ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(疾病対策部会造血幹細胞移植委員会)> 第38回厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会議事録




2013年3月15日 第38回厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会議事録

健康局臓器移植対策室

○日時

平成25年3月15日(金) 10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎5号館 専用第21会議室(17階)


○議題

1 提供の促進について
2 臍帯血の品質確保について
3 治療提供体制の整備について
3 その他

○議事

○西脇室長補佐 定刻になりましたので、ただいまから「第38回厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会」を開催いたします。
 本日は、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 本日は、今村委員、辰井委員、西川委員、武藤委員、山口委員から御欠席との御連絡をいただいております。
 ここで健康局審議官の高島から御挨拶申し上げます。
○高島審議官 審議官の高島でございます。
 今日は、お忙しいところをお集まりいただきまして、大変ありがとうございます。
前回から、基本方針に盛り込むべき事項ということで、具体的な議論に入っていただいております。前回、ドナー登録の推進ということでございましたが、きょうの議題としては、提供の促進ということで、コーディネート期間の短縮といった話とか、臍帯血の品質確保、治療提供体制の整備ということで御議論いただくことにしております。短い時間ではございますが、積極的な議論をお願いし、基本方針に結びつけていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○西脇室長補佐 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 お手元の議事次第の配付資料に沿って御説明いたします。
 資料1「第34~37回造血幹細胞移植委員会までの主な御意見(概要)」。
 資料2-1「コーディネート期間の短縮について」。
 資料2-2「非血縁者間末梢血幹細胞移植の体制について」。
 資料3「臍帯血の品質について」。
 資料4「非血縁者間造血幹細胞移植に係る医療体制について」。
 お揃いでしょうか。不備等がございましたら、事務局までお伝えください。
 また、机の上に法律等の参考資料と第34回から第37回の造血幹細胞移植委員会の資料をまとめたファイルを置いておりますので、議論の際に参考にしてください。
 それでは、議事進行を小澤委員長にお願いいたします。
○小澤委員長 おはようございます。前回の2月22日に引き続きまして、法施行に向けた議論の第5回目となります。よろしくお願いいたします。
 前回に引き続きまして、基本方針について、本格的な議論を行いたいと思います。本日は、提供の促進、臍帯血の品質確保、治療提供体制の整備について、御議論をいただきたいと思います。
それでは、早速、議事次第に従って議事に入りたいと思います。
最初の議事は「(1)提供の促進について」です。まず、コーディネート期間の短縮についてと、非血縁者間末梢血幹細胞移植の体制についての資料を一括して事務局に説明してもらいます。これまでの議論を踏まえて事務局に論点をまとめてもらっておりますので、あわせて説明、よろしくお願いします。
○間臓器移植対策室長 それでは、私から、お手元の資料番号で申し上げますと、2-1と2-2につきまして、一括して、まず御説明を申し上げます。
 まず、資料2-1は「コーディネート期間の短縮について」というテーマでございます。そもそも、なぜコーディネート期間を短縮しなければならないのかということにつきましては、できるだけ早期に適切な移植を行うために当然と言えば当然なのですが、まずデータを見ていただきたいと思います。
資料2-1の最初のページの下のグラフでございますが、これは、骨髄バンクに患者登録をしている方々について、登録をしてから実際に移植を行った、あるいは登録が取り消されているまでどれぐらいかかっているのかというのを理由別に整理したものでございます。90~210日ぐらいまでの間に相当数の数が非血縁者間の骨髄移植、あるいは末梢血移植を受けておられるというのがまずわかります。
それから、もう一つ、赤いところをご覧いただきますと、最初は骨髄移植などで登録をされていたのですけれども、患者の病状その他、諸事情を考慮されて、主治医の先生が、例えば、臍帯血移植でありますとか、血縁者間の移植などを選択されたということで、実際に別の形での移植が行われたものが、この赤い棒グラフでございます。
そのほかに、登録を取り消しになった患者、移植が行われなかった患者がいらっしゃいます。次のページをご覧いただきますと、この白い部分について、さらに詳細に整理した資料でございます。登録が取り消しになった理由は、大きく3つございます。1つは、病状が悪化をしていて、今、移植を受けられるような状態ではない、なかなか見込みが立たないということで登録取り消しになった方が紫の棒グラフであります。それから、残念ながらお亡くなりになられた方が、このえんじの棒グラフでございます。それから、このグラフでいきますと、右のほうにオレンジ色の棒グラフがございますが、この方は経過が良好になったということで、移植はとりあえず必要ないということで登録が取り消しになった。この方の場合には、比較的ハッピーなケースだと思います。
これを前のグラフと見合わせていただきますと、90日とか、210日とか、この辺のところでお亡くなりになられている方もいらっしゃいまして、こういう方々の中には、もし早くコーディネートができれば、移植が行えて、あるいは命も助かったケースもあるのではないかという中で、どういうふうにコーディネート期間の短縮を図っていくかが課題だと認識をしております。
下の絵でございますが、「ドナーコーディネートの流れ」につきましては、前回の本委員会でも御説明をしておりますので、繰り返しは避けたいと思いますけれども、この全体的な流れの中で、ドクターがドナーにコーディネートしてもらえないかということで、中央値で11人ぐらい選んでおられる。そして、問診票を各ドナー候補者にお送りをして、いいですよと回答があって、実際、確認検査に入っていくのが5人、実際、確認検査に至るのは3人、そこから最終的に同意に至るのがお1人という流れになっているというものでございます。
次の3ページの上のほうを見ていただきますと、「コーディネートの実際例」。これはあくまで一例でございますので、御参考でございますけれども、なぜそんなに時間がかかるのかということなのですが、例えば、ある方の場合、主治医の先生が、1月4日コーディネート開始ですが、3月には移植をしたいと希望されている。主治医が選択したいと思っておられるドナーは、HLAの型がマッチしているという方であります。最終的に5人のドナー、(1)から(5)まで同時並行でやっていくわけでございますが、(1)の方、(2)の方は何らかの理由でここで終了になっている。お断りになられたということだと思います。それに呼応してドナー(6)、(7)、(8)のコーディネートが始まってまいります。
こうやっていった結果、(3)の方、(8)の方については、主治医の先生が選択したいとおっしゃっているHLAの型がマッチしている方だと判明をしたということなのですが、(3)の方の場合、施設のほうの御事情で5月しか空いていなかった。(8)の場合には6月しか空いていなかったというような形で、時間がかかるという実例がございます。
他方、(4)、(6)、(7)につきましては、もう少し早い段階の調整が可能だったケースもございます。4月でも可能だったのですけれども、HLAの型がミスマッチであるということで、主治医の先生が選択されなかったということであります。これは患者の御事情を考えてのことですので、いた仕方ないことと思いますので、そういうことが起きているということであります。
では、このコーディネートの期間を短くするためにどういうふうに取り組んできたかということでありますが、骨髄移植推進財団を中心に、関係者の間で努力は積み重ねられてきております。3ページの下がそれでございます。個別に1つ1つを御説明する時間はありませんけれども、例えば、「これまでの取組」の一番上に載っておりますピンポイント調整というのは、ドナーの日程よりも、病院側の手術室で、いつならば採取ができるという日程を先にいただいておいて、そこにドナーの御都合も合わせていただくような調整をするものも平成12年から行っています。
それから、上で見ていただきましたように、並行的に調整をするドナー数を、平成13年には3人から5人に増やすということをやっております。
それから、今、7割方が迅速コースなのですけれども、とにかくできるだけ早く調整できるようにということを取り組んでおります。
それから、真ん中よりちょっと下にあります採取、移植件数を増やすため、施設認定の基準を緩和と。認定施設を増やす努力もしておりまして、例えば、平成19年に行われましたのは、2年以内に血縁間の採取5例を行ったというのが条件だったものを、2年以内に5例、または1年以内に3例という形で若干緩和をしながら、施設を増やすという努力もしてきたところでございます。
この結果、前回の資料にもございましたように、初期コーディネートの部分については短縮が図られてきてはおりますが、さらなる短縮ということで、来年度につきましては、初期コーディネートの段階でドナー候補者に問診票を送付するわけですけれども、それが返ってくるまでの期間を短くするために、督促を早目に行っていこうと。そのための予算的な助成も予算案の中に盛り込んでいるところでございます。
ただ、前回から申し上げておりますように、最終的には採取工程という最後の工程が一番時間がかかっているわけでございます。次のページをご覧いただきたいと思います。4ページでございます。では、この最後の工程につきまして、どんなふうになっているか。これはたしか前回お出ししたものでありますが、1,318件の2012年の全コーディネート件数で見ますと、最短は26日で、最長は321日、中央値は77日でございました。最短のケースは、このケースに関してだけ申し上げますと、2回目のドナーだったということもありまして、比較的スムーズに進んだと聞いております。他方、長いケースは、ほとんど全て患者の御事情で、今はちょっと待ってくれという形で延期になったケースと承っております。
今のケースを病院単位に再編をしまして、病院ごとの中央値はどうだろうかというふうに示したものが、4ページの下のグラフでございます。病院単位で見ますと、最短48.5日、最長120日、中央値76日ということで、全体の中央値とほぼ合致しているわけです。ただ、気をつけなければいけませんのは、採取件数もまちまちでございますので、後ほど出てまいりますけれども、年間数件のところから、30件近くやっておられるところまでございますので、単純な比較はちょっと難しいところでございます。
こういった中で、期間を短縮していこうと思うと、どんな工夫があるのだろうかということで、いろいろお知恵を伺いながら考えたものが次のページでございます。全体としては3つあると思っていますが、特に骨髄移植に関しては、採取病院を増やすということは、採取件数を増やす意味では有効ですけれども、手術室の確保に直につながるか、つまり、短縮につながるかというと、必ずしもそうではないようであります。
そこで、例えば、毎週何曜日かの午前中は血液内科が骨髄採取のために手術室を使えるという枠を持っておられるという病院が幾つかございます。こういう病院の場合には、通常は血縁であり、非血縁であり、埋めているわけですけれども、何らかの事情でその枠が空いた場合には、そこにすっとほかの急いでいるようなケースを対応することも可能だということだと思います。これはあくまで実例でございますが、A病院、B病院と、スロットと呼んでおりますけれども、定期的な手術室の枠を持っておられる病院では、全体に対しまして中央値も若干短目で、最短のケースも、例えば、40日や50日のケースもあるということでございまして、こういった例を参考にしていくことはいかがなのかなと思っているところでございます。
それから、2つ目は、今は骨髄の採取の話でございましたけれども、末梢血幹細胞移植についても、もう少し積極的に考える必要があるのかなと思っております。コーディネート期間だけで単純に比較をいたしますと、末梢血と骨髄、下のグラフのとおりでございまして、各工程における期間の長さは多少大小ありますけれども、骨髄の場合には120日超のものに対して、末梢血の場合には100日余り。特に最終工程のところは全身麻酔を行わないため、手術室の確保が必要ありませんので、かなり短いというのが実情でございます。
ただ、気をつけなければいけませんのは、末梢血の事例でございますけれども、非血縁間で我が国で行われたのは18例でございまして、2012年は14例でございます。伸びてきているということでございますが、その例のデータということですので、その点は御理解いただきたいと思います。
続きまして、次のページに、もう一つのオプションは臍帯血移植でございます。臍帯血は、骨髄、末梢血と比べますと、ずば抜けて早く対応することができるということでございます。どれぐらいの早さでさい帯血バンクは出庫できるかということで申し上げますと、下にありますように、通常の場合には、特に1分1秒というのではないケースの場合には、申し込みから出庫までの中央値は14日でございます。
他方、これは急ぐのだ、すぐに出してほしいという場合には、中央値で1.5日で8バンクが対応しておられる。各バンクの日数につきましては、右側にその実数が出ております。最短のものは即日出庫というケースもあるというふうに承知をしているところでございます。
こうしたことを踏まえますと、急いで移植が必要な患者に対して、どういうふうに対応していくかということを考えますと、「コーディネート期間短縮のために」ということで、まず第1は、非血縁者間骨髄移植では、手術室の確保に時間を要していることから、一定数以上の採取や早期採取も比較的対応しやすい手術室の枠を定期的に確保する体制、先ほど御紹介したようなものが望ましいのではないかという論点でございます。
それから、2つ目は、末梢血幹細胞移植は全身麻酔と手術室の確保が不要なため、ドナー選定から採取までの期間は非血縁者間骨髄移植に比べて短いことを考えますと、非血縁者間末梢血幹細胞移植の一層の普及が必要なのではないか。
3番目に、臍帯血移植につきましては、末梢血幹細胞移植以上に移植までに要する期間が短いことを考えますと、その適応もございますので、医学的な適応もよく考えた上で、一層の活用が必要ではないかということでございます。
さらに、もう一つ関連する論点として、前回の資料を御説明しているときも出てきたのですが、本日のデータでも「登録」という言葉が出てまいりました。これは骨髄移植、末梢血幹細胞移植の患者のみでございまして、臍帯血移植の場合には、すぐに出庫でき、ウエイティングが余りないということもありまして、患者登録の仕組み、患者登録というのは、バンクに対して患者を登録するというプロセスがございません。その結果として、移植は行われているのだと思いますけれども、ある患者に対して、いつごろ、どんな移植が行われたのか、その結果どうなのかということをトータルで見ることが非常に難しくなっております。現状では、骨髄の患者登録をされた方についてのデータとなっております。しかも、それが紙媒体で情報が整理されておりますので、なかなか追跡の調査ができていないということでございます。
その中で、もう一つの論点は、患者の疾病の種類や病状に合わせた適切な対応ができるよう、骨髄移植などから臍帯血移植に切りかえた場合も含めまして、患者の状態とか転帰を把握する仕組みについて、どう考えるかということについて、御議論いただきたいと思っております。
それから、関連しまして、資料2-2でございます。「非血縁者間末梢血幹細胞移植の体制について」でございます。非血縁者間の末梢血幹細胞移植は、約2年半前の平成22年8月の本委員会におきまして、一定の条件のもとに慎重に始めていきましょうというゴーサインをいただいております。その後、若干条件緩和いたしておりますが、先ほど御紹介しましたように、これまでのところ、18例の移植の施行例がございます。以前は骨髄移植のドナー経験者からのみ行おうということにしておりましたが、その条件を外したところ、平成24年は、現在のところ14例ということで、18例中14例は本年度の例でございます。
ただ、さはさりながら、骨髄移植と比べると、まだ大分差がございます。これは一体どういう理由によるものなのだろうかというのを分析したいということでございまして、下のグラフは、患者・主治医の先生方とドナー側で、骨髄移植、末梢血幹細胞移植について、何が好ましいと思っておられるのか、違いがあるのかどうかというのがこのグラフでございます。
左側をご覧いただきますと、患者、あるいは主治医の先生方の希望としては、骨髄移植のみ希望と、どちらかというと骨髄移植希望という方が4分の3近く、どちらかというと末梢血幹細胞移植、あるいはどちらでもよいという例は、それぞれ8分の1ぐらいずつということでございます。
他方、ドナー側で見ますと、どちらでもよいという方が83%もいらっしゃるというのが現状でございます。
こうした中で、なぜ末梢血幹細胞移植が増えにくいのかと言いますと、次のページの「ドナー要件」のところをご覧いただきたいと思います。これは、審議会での議論も踏まえて、骨髄財団でロジックをつくっているわけでございますけれども、すみません、コピーがきれいでなくて、字が読みにくいかもしれませんけれども、このイエス・ノーのプロセスを経て、右側であれば末梢血幹細胞移植のコーディネートに入っていき、左側は骨髄移植のコーディネートになっていき、真ん中をずっとおりてきますと、両方可能なコーディネートということで、最終的には主治医の先生が選択すると、こういう形になってまいります。
その中で、例えば、真ん中の四角の上から3つ目、ドナーが末梢血幹細胞移植の採取認定施設まで通院可能かという条件がありまして、イエスならば末梢血幹細胞移植のコーディネートの可能性が残されますが、ノーでありますと、骨髄移植のみになるということでございます。その下に、ドナーに採取歴があるかということも1つございます。それから、もう一つ、HLAミスマッチがないかということで、これはイエス・ノーが逆な感じがしますけれども、HLAミスマッチが全くない、DNAレベルでフルマッチの場合にのみ末梢血幹細胞移植を行うようなルールに、2年半前の本委員会での議論になっておりますので、逆に言うと、ミスマッチがあれば直ちに骨髄移植になると、こういう状況でございます。
では、実際に末梢血幹細胞移植のドナーコーディネートからなぜ除外されたのかということについて、これは宮村委員の研究班で御検討いただいたものでございます。複数条件で除外されている例がありますので、単純に足すことはできませんけれども、ミスマッチで除外になっている例は2割前後でございます。他方、地域の事情、先ほどの通院可能かどうかというところで除外になっている方が7割から8割ぐらいいらっしゃる。これが現状でございます。
次のページをご覧いただきたいと思います。「非血縁者間末梢血幹細胞採取の課題」と題しておりますけれども、これらをどう考えるかということでございまして、ドナーの居住地による制限がある。2年半前の本委員会の議論では、通院可能であることをまず条件にして慎重にやろうということでございました。具体的に通院可能というのはどういうふうにするのかということで、1時間という運用がなされています。1時間で通える範囲となっています。
次のものもただいまの条件と関連するのですけれども、採取施設がまだまだ少ないということでございます。これは多くの方の御努力もいただいて、増えてきてはいるのですけれども、骨髄採取施設が177あるのに対して、非血縁者間末梢血幹細胞採取施設は41施設。これでも最近増えたところでございます。このような状況でございます。骨髄財団では、大体100を目標にふやしたいという考え方でおります。ここにつきましては、先般来、何度か御説明したかと思いますが、国の予算におきまして、24年度の予備費でございますけれども、末梢血幹細胞採取施設認定を受けやすくなるような機器の整備につきまして国庫補助を出すということをしておりまして、本年度につきましては、11の施設に対して補助を行うことを決定しております。その中で、1施設は既にもう認定がおりております。現在、財団がサイトビジットしてやっていこうというところが5施設ほどありまして、さらにふえていくものと考えております。
それから、これもまた関連するのですけれども、緊急時の対応ということで、非血縁者間末梢血幹細胞採取施設が対応できるように、やはり居住地の制限がある。この辺は全部リンクしたものであります。施設が近くないとできないと、こういう条件になっております。
それから、もう一つは、これは医学的なことでありますけれども、日本人の場合には、非血縁者間では骨髄移植と末梢血幹細胞移植の成績についてイーブンではないのではないか、GVHDが末梢血幹細胞移植のほうが強いのではないかという指摘もございまして、このあたりは医学的な治験の蓄積が必要かなと思っているところでございます。
そうしますと、合わないものを無理に移植するわけにはいきませんけれども、もし、その患者に末梢血幹細胞移植がいいだろうということだとすると、もう一段進めるとするならばということで、2つ論点を書いてございます。
非血縁者間骨髄採取を行っている多くの病院で、血縁間では末梢血幹細胞採取を行っております。実際に末梢血幹細胞移植と無関係におられるわけではないということでございます。そうしますと、例えば、緊急時の対応はできないということはないのではないか、ドナーの居住地による制限というのは緩和できないかというのが1つの論点であります。
2つ目は、これが仮にやや性急だなということだとすると、本筋の議論としては、採取施設をそもそも増やすということだろうと思いますので、非血縁者間骨髄採取に比べて末梢血の採取施設は少ないことから、引き続き採取施設を増やすことに取り組むべきではないかと、こういう論点でございます。
以上、資料2-1と2-2をあわせて御説明申し上げました。
以上でございます。
○小澤委員長 ありがとうございました。
 それでは、コーディネート期間の短縮について、それから、非血縁者間末梢血幹細胞移植の体制について、御議論いただきたいと思いますが、今日は宮村委員が途中で退席されるということですので、後半の非血縁者間末梢血幹細胞移植の体制についてから先に議論を始めたいと思います。まず、ただいまの御説明について、この資料について、何か御質問、コメント、いかがでしょうか。確認しておきたいところとか。内容的には、よろしいですか。
 それでは、宮村委員、今後のアロのPBSCTの方向性等について、見通し等、いかがでしょうか。
○宮村委員 ただいま室長から詳しい説明があったように、現在、非血縁者間末梢血幹細胞移植は、なかなか進んでおりません。一方、血縁者におきましては、昨年度で言いますと、PBのほうが骨髄より200ぐらい多いですね。ということで、必ずしも全体の先生がPBを嫌っているわけではないということになると思います。
そういう中で、なぜ少ないかということについては、やはり一番の問題は採取施設が少ないということになります。埼玉県、千葉県、京都など、非常にドナーが多い県で、今のところ、採取施設が1つもないということがございます。認定施設がない。こういうことは非常に大きいのですが、1つは、室長が述べたように、CD34陽性細胞の測定、要するに、ある機械がなければ認定されないのですが、その機械を国の補助で入れていくという中で、10施設ぐらいふえました。その中にこういう施設も入っておりまして、この3施設は3月の間に認定される予定ですので、これによって非常に多くのドナーが利用できる。現在、8割のドナーが、自分がなりたくても、あるいは患者がなってほしくてもできない状態から、近々5割ぐらいまで減るのではないかと思っております。
 それから、2点目は、では、なぜ増えないかということは、やはり医者のほうで、この前アンケートを行いましたが、非常に忙しいということで、忙しいということが全ての要因になっていくわけですね。例えば、先ほど出たような、認定施設ではないけれども、ドナーがいたら緊急時は受け入れようとか、そういったことに関しても、少しリラクタントになっていくという現状があります。これはなかなか難しいのですが、確実にこの数年の間に医者の負担軽減ということで、いろいろなことが各病院で行われて、いろいろなデータをきちんと市長が持っていくとか、そういったことも含めて、いろいろなことが進んでおります。
ただ、今回、無菌治療室加算が大幅に減額になるということが本当に行われますと、各病院の中で、忙しい医者を助けていこうという感じがなくなってくるのではないかと思いますので、そこら辺を少し危惧しております。
そういうことは危惧しておりますが、例えば、採取施設がないような施設は、骨髄の施設が協力するということが1つ大きい方向性ではあると思いますが、それができなければ、1施設だけきちんとお願いをして、そういったところに何か手厚くしていくということ。例えば、以前、沖縄県に骨髄の採取施設がない場合に、ハートライフ病院というところが、ドナーが沖縄にいる間に何か起こったら対応するということがありましたが、そういう例を進めていただく。そういったことをやっていただくことによって、採取施設が増えると思います。
そして、末梢血のほうが慢性GVHDが多いということは世界中の事実でありますが、移植成績が日本で悪いということに関しては、血縁者では引き続き今でも確認されておりますが、これについては、日本人の遺伝的な問題かどうかということで、現在、日本のデータとアメリカのデータの比較が、現在、始まっております。そういう中で、本当に日本が悪いのかがわかると思います。
一方、多くの施設で、私の施設も含めてPBは特に悪くないと思っている施設もありまして、今回の学会で発表しましたが、私の施設でも有意差はないですが、PBのほうが成績がいいということで、PBは非常に悪い状態の患者にやっていたというバイアス、そういったことの可能性について、まだ否定できないと思いますが、引き続き調査研究をしていく必要があると思います。
とりあえず、以上でございます。
○小澤委員長 ありがとうございました。
 最初のほうで、PBの施設として認定されるのを少し懸念するという、忙しさのためにですね。それは結局、骨髄から末梢血に単に変更になるということだけではなくて、採取施設が少ないために、その地域を広く引き受けなくてはいけなくなるということなのですね。当面は、採取施設数が少ないために。
それから、末梢血の成績のことをお話しされましたけれども、例えば、再発のリスクが高いと思われる患者には末梢血のほうがよりいいとか、その辺の成績はどうでしょうか。
○宮村委員 海外では、再発しやすいようなグループにおいては明らかにいい成績です。これはランダマイズといって、科学的な無作為の比較試験をやっております。
一方、日本では、後方視的な研究の中でございますが、末梢血のほうがあらゆるポピュレーションで再発が少ないということはございませんでした。一方、慢性GVHDが多いということがありましたので、生存においてはPBが劣るということです。ただ、後方視的研究の限界がありますので、今後どういうことをしていくかということは先ほど述べたとおりです。
○小澤委員長 何か御質問等、いかがでしょうか。まだまだアロの末梢血幹細胞移植の例数が少ないので。
 鎌田委員。
○鎌田委員 患者としましては、再発も非常に深刻なのですけれども、やはり慢性GVHDも末梢血幹細胞移植ということでは一番気になるところなのです。それを抑えるための機械があると伺っていますけれども、その導入も進めていくことが末梢血幹細胞移植を進めていく上では欠かせないと思うのですけれども、そちらの状況についてお伺いできますか。
○宮村委員 これについては、私どもの研究班では岡本委員がオペでやられている機械、今から説明していただくと思いますが、それ以外に、福田先生がやられている研究班では、GVHDに対する日本で使えない薬をできるだけ早く通していくように努力しております。ECPという機械なのですけれども、それについては、岡本委員からお願いいたします。
○小澤委員長 岡本委員、いかがでしょうか。
○岡本委員 体外循環をして、そこに紫外線をかけて活性化し、慢性GVHDを起こすリンパ球を抑える、そういう治療なのですけれども、世界で使われていないのは日本ぐらいなもので、そういったものもあるわけです。そういったことを今、検討しています。
これを広げて考えていきますと、骨髄がいいか、末梢血がいいかという議論はある意味ナンセンスで、基本的にはソースとしてどちらがいいかという問題で、今、私たちが直面しているのは、どんなソースを使っても、とにかく可能な限り早く移植をしよう、もし末梢血がこういった問題があるのであれば、それを悪いとして使わないのではなくて、そういった問題点を解決するような方向に何らかの施策を打っていって、末梢血を骨髄と対等に使えるような形に持っていくという、そういった視点をしっかり持っていけば、末梢血の普及に大きく貢献すると思います。生存率が下がってきてしまうと、こっちはいい、こっちは悪いと、イエス・ノーの問題になってしまう。そうではなくて、患者の状況等々の選択も当然出てきますし、それを改善する方法も十分あると思います。まとまった形で検討していく議題だと思います。そういったことは、移植医の中でも、いい、悪いという簡単な御理解をしてもらわないように、学会としてはしっかり働きかけるべきだと思っています。
○小澤委員長 ありがとうございました。
 何か御意見、関連してありますか。張替委員。
○張替委員 よろしいでしょうか。末梢血幹細胞の採取施設認定が骨髄の採取認定を受けていることという要件になっていて、骨髄の採取と末梢血の採取は医療行為としては違うし、今、宮村先生おっしゃったように、骨髄を採取しながら、さらにPBを増やせというのはなかなか施設としては負担が大きいので、例えば、骨髄採取の要件がもし外れれば、末梢血を採取している経験はかなり持っている施設が多いので、そうすると、末梢血幹細胞を採取するのに手を挙げる病院が少し増えるような気がするのですけれども、その辺はどうなのでしょうか。
○小澤委員長 宮村委員。
○宮村委員 これについては非常に大事な課題だと受けとめております。PB中心にやっている施設について、検討はしました。そういう施設は数施設ありますので、緩和するかどうかについては現在検討中でありますが、そういう施設がすごく多いわけではないということも同時にわかっております。ですので、検討課題として財団のほうにお願いしていくという形で答えさせていただきます。
○小澤委員長 その辺は学会でも検討されるということでありますが、先ほどの間室長からの提案といいましょうか、説明については、こういう方向性はよろしいでしょうか。何か御意見、いかがでしょうか。
 梅田委員。
○梅田委員 ドナーとドナーの登録説明をする立場で、現状を御説明したいと思います。私の千葉では、ボランティアの会だけでも年間50回ぐらいドナー登録会をやっているのですが、先ほどの円グラフでもありましたとおり、骨髄と末梢血、どちらでもいいよとおっしゃっていただけるドナーの方は結構多いです。ただ、中には、末梢血にかなり関心を持たれている方がおられて、いろいろと細かく説明を求めてくる方がいらっしゃいます。その方にいろいろと説明していると居住地域と病院がかなり離れていると難しいのですよというところまで、ある程度言及せざるを得ないことがあります。そうすると、あれっという感じになって、ちょっとネガティブなことをおっしゃる方もおられます。先ほどいろいろな対策がございましたけれども、ぜひとも病院数を増やして、そういう方の利便をよくしていただければ、ドナーリクルートの立場としては非常に楽になります。
○小澤委員長 間室長。
○間臓器移植対策室長 今の点につきましては、これは宮村委員の御発言とも関連するのですが、先ほど申し上げました予備費でついた予算で最終施設を増やしていく施策を打っておりますけれども、その補助先に関しましては、まず第一に、県内にそういう施設がない地域のものを優先的に採択をするということをやっています。そのほかにも、例えば、ドナーの多い地域で、2つ目、3つ目というところも当然あり得るわけですし、今後の話でいけば、既に認定は受けているのだけれども、その機会がないとか、いろいろあるのですけれども、まずは空白地域を埋めていくことを第一にやっていきたいと思っております。
○小澤委員長 ありがとうございました。
 坂巻委員。
○坂巻委員長代理 移植施設する施設のほうからの立場ですが、1つには、我々も骨髄と末梢血で、やはり再発のリスクの高い患者には末梢血を選びたいなということがございます。ただ、多くの場合、岡本委員が言いましたように、なるたけ早く移植をしたいということが多いのですが、その際、末梢血の場合には、2日連続で取りに行かなくてはいけないということがあるのですね。うちの病院の場合には、年間50例以上の非血縁の移植をやっているとなると、そのたびに幹細胞を取りに人を派遣しなくてはいけない。末梢血の場合には、2日連続で行くという準備をしておかなくてはいけないというのは、移植する病院にとっては結構負担ということもあって、どちらでもいいという場合には、つい骨髄をという現状もあります。些細な問題とはいえ、移植する側にとっての負担という点もあります。
○小澤委員長 ありがとうございました。
 その辺も学会のほうでもよく検討していただきたいと思います。ともかくドナーの希望としては、末梢血がかなりありますので、それに対応できるように施設を増やしていくことが重要かなと思います。
 それでは、時間も限られておりますので、前半のコーディネート期間の短縮についてに移りたいと思いますけれども、まず、先ほどの間室長の御説明について確認したいこと、いかがでしょうか。この資料について。よろしいでしょうか。
それでは、一般的に、何か御意見、特に論点等が出ていますので、そういうことについて、御意見を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
 浅野委員。
○浅野委員 手術室の確保がなかなかできないということが、この期間延長の大きな理由になっていますけれども、その場合、ある病院に手術室があって、それは結局、ほかの手術との取り合いになるわけですね。そのときに、こちらの採取のほうが優先だということを、採取する側というか、病院側から言っても、はっきり言って、採取の行為をしたときに返ってくる見返りの額が少ないということが1つ。手術室の問題だけではなくて、担当医が確保できないということもあるのだと思いますけれども、採取のために割くという判断をする際には、当然、病院側には、はっきり言って、儲かるかどうかというか、現実には採取行為というのは、ボランティア的とは言いませんけれども、やっている時間、労力、ほかの手術を犠牲にするということから言ったときに、そこから返ってくる見返りは少ないというふうに理解をしています。
ですから、これは質問というよりも意見なのですけれども、現実には、直接採取行為は医療保険の対象になっていませんね。当然、健康な人にやるわけですから。だけれども、最終的には、骨髄液を提供して移植が行われる。それは当然医療保険の点数になっているわけですね。実際には、それの中の内訳というか、これを提供してもらったということのコストに対してペイバックが行われるということですね。骨髄バンクに対して、それから、採取病院に対して。採取病院に対して、ちゃんとした額のペイバックが行われることが、この期間短縮というか、つまり、手術室の取り合いになったときに、採取の手術室を確保することが病院側においても、うん、そうだねとなるような形にするためには絶対の条件だと考えているのです。
これが問題点として言われているのですけれども、では、手術室の確保をどうしたらいいかというときに、ここであったのは、定期的に手術室の確保をするといっても、確保するのは病院側ですから。それが、月に1回確保するか、週に2回確保するかということを判断するのは、結局、見返りで返ってくる額によると思います。
私の推測として、手術室が確保できない、医師が確保できないということの原因の大きなものは、見返りの額が低いということなので、ここから意見を出すときに、国庫補助だけではだめなのですね。国のお金を出してください、だから、保険局の問題になるというか、ほかのところでもいっぱいありますけれども、診療報酬の適切な骨髄移植に対する確保というか、点数づけというか、結果的には引き上げですよね、これを強く言いたい。そうでなければ、これは解決しないと思っています。これは意見です。
○小澤委員長 オペ室確保の問題ですけれども、本当にそういう収益性の問題が大きな問題になっているのか、あるいは、今、大きな病院では手術件数が相当増えていますので、現実的になかなか難しいのかというのがありますけれども、その辺、いかがでしょうか。
 岡本委員、何かございますか。
○岡本委員 収益だけの問題ではなくて、基本的にこれが始まったときに、日本の場合には移植病院が採取病院を兼ねるわけですね。ですから、ギブ・アンド・テイクで、移植をするという恩恵にもあずかるわけです。それをバランスよくとっていけば、それなりにいくわけですけれども、そこのアンバランスが存在していることが1つ。
 それから、次は、今のスロットのとり方ですけれども、例えば、慶応であれば、金曜日の午前中は採取を優先しますという枠を持っていたら、いつも埋まるわけではなくて、実際にとっていても、キャンセルするものもあるわけです。そういった枠を有効に使うことでも、頑張ってやることによって、移植の数は当面改善することができると思うのです。実際にフレキシビリティーをもって採取を受けるということは、移植をやっているところで、スロットを持っているところのほうがやりやすいので、まず、そういったところを補填していって、それと同時に、細々とやっているところでも、それを倍にするような努力を一緒にやっていただくということを全体に広げることによって、それなりに数を増やせるかなと思っています。コストの面が改善すれば、ある程度改善するかもしれませんが、それが全てを劇的に改善するとは、私は余り思えないです。
○小澤委員長 ということは、ドナーの方に少し遠くから来ていただくということですね。
 吉村委員。
○吉村委員 ちょっとわからないのでお聞きしたいのですが、骨髄を採取するのにどのくらい時間がかかるのですか。
○岡本委員 最初から終わりまでで2時間です。
○吉村委員 そういった枠を金曜日に用意するとか、そういったことは私は難しいと思うのです。私どもは産婦人科ですから、いつも緊急手術があるわけです。いつも緊急でやるということはできないのですか。1週間に5つも6つもあるわけではないですね。我々は緊急手術をいつもしているのですけれども、1週間に10個ぐらいやるわけですね。そういうことを考えていかないと、私はコストではないと思うのです。要するに、病院側の手術室の確保の問題だと思うのですね。ですから、骨髄採取は緊急手術でやることにしていけばですね。
○浅野委員 それは無理。
○吉村委員 どうして無理なのですか。
○浅野委員 ドナーが来てくれない。
○吉村委員 いえ、そうではなくて、いつでも来るときに医師がやろうとすれば、そのときにやれるようなシステムを病院側でつくっていけばいいということです。私が言っていること、おわかりですか。
○小澤委員長 いかがですか、岡本委員。
○岡本委員 先生のお考えになっている緊急と、移植の緊急と多少ニュアンスが違いまして。
○吉村委員 もちろん、そうです。ですから、枠の取り合いになるということであるならば、緊急ということでやればいいということです。枠をとるというわけであれば、病院としてそういうことを考えることは可能なのではないかということです。
○岡本委員 しかしながら、患者は治療を受けていらっしゃるので、絶対に緊急で入るという保証がない限りは、この採取はできないわけです。緊急でというシステムはともかくとして、この日に確実に採取ができますという枠がない。しかも、当日ではなくて、ある一定の期間の前に確定していないと、この治療は成立しないのです。
○吉村委員 もちろん、おっしゃっていることは大変よくわかるのですけれども、緊急の考え方の違いであって、いつでもやれるようなシステムをつくっていけばいいということです。病院側がつくればいいということでしょう。例えば、いつになるかわかりませんけれども、患者本位の考え方で、そのときに手術枠がとれればいいということでしょう。そういうことではないのですか。
○岡本委員 スロットのとり方が、手術枠の決め方によって、一番やりやすいのは、この時間を優先にしますということが、多分、どの施設もやりやすい形であって、先生のおっしゃる、どこでもいいですよ、この日にという形でとりやすいところがあれば、それはそれで検討していっても構わないと思います。
○小澤委員長 吉村委員の言われることも含めて、フレキシブルな形になっても、スロットとしては用意すると。現状では結構それで空きがあるので、遠くのドナーも来ていただいて、できるだけ有効活用しようということですね。
 浅野委員。
○浅野委員 まだコストにこだわりたいのですよ。というのは、例えば、慶応病院は採取もやるけれども、移植もやっているから、当然それはギブ・アンド・テイクでやる、そういうところもあります。ほかの病院でも、骨髄移植の大事さは非常に理解して、責任感と使命感で、金は余りもらえないけれども、やるというところはあります。だけれども、それでは採取病院は増えないですよ。それから、採取機械も増えないです。だから、医療機関についても余り高いレベルを考えずに、金もらったらやるよというところをふやさない限りは、これは解決できないと考えますので、ぜひ真剣に、コストが大きな要因ではない、どの程度の要因かわかりませんけれども、そこのところを上げていくことによって、採取病院、それから、病院の中での採取する機械は絶対ふえると思いますので、これは解決に大きく資すると思います。
実は、こういうことはほかの分野でもそうで、後からも出てくるかもしれませんけれども、骨髄移植、そして白血病の治療ということについて、関係している人はすごく使命感を持っていらっしゃるのです。これがある意味仇になっているとは言いませんけれども、そうでない人たちもちゃんと関わってもらえるようなシステムをつくっていかないと、せっかくこの法律をつくっていったにもかかわらず、今までの使命感が高い人たちだけの中で解決していこうということでは済まないということなので、これもその1つだと思って、強く、これは要望というのですかね、診療報酬を考えてもらいたいということで。
○小澤委員長 採取施設にとってはメリットのある方向ではありますので、可能性は事務局のほうで探っていただくということで、間室長。
○間臓器移植対策室長 今の浅野委員の関係で、事実関係だけ申し上げておきます。採取医療機関が採取した場合に、どういうふうに評価されるのかという話ですけれども、今、浅野委員おっしゃったように、健康な方からのものなので、採取の医療機関に直接は払われませんが、移植が行われた場合には、移植をした病院に一旦、採取術の診療報酬と移植術の診療報酬が同時に払われて、移植医療機関から、採取をしてくださった病院にお支払いをする。それは1件当たりで申し上げますと17万4,400円、1万7,440点払われるという形になっております。そういう形の評価が今はなされているということでございます。これは事実関係でございます。
○小澤委員長 坂巻委員、何かございますか。
○坂巻委員長代理 これだけ予定で行う診療行為を、そのたびに緊急で入れるというのは、その病院の中でのほかの科との兼ね合いから見て、なかなか難しいと考えております。やはり固定枠を持つというのが私は一番いいことだと思います。駒込病院の場合にも、金曜日の午前中という枠を確保している。そうなりますと、少なくとも年間50近くの枠は確保できる。これだけの枠が確保できれば相当できるはずだと思いますので、私も固定枠を確保するのがいい方法だと思っております。
 それから、診療報酬に関しては、採取の手技料を採取した病院に多く払っていただけるようにしていただければ、よりいいなというふうには思います。
○小澤委員長 野村委員。
○野村委員 先ほどからのお話を聞いていますと、末梢血のほうでも坂巻先生がおっしゃっていたように、要は、手術室を確保することよりも、2日間人を派遣するほうが、骨髄移植をたくさんやっていらっしゃる病院にとっては負担に感じられるという御意見のように見受けられたので、そういうことであるならば、手術室を確保して骨髄を頑張っていらっしゃるところでも、もちろん患者の希望や状態もありますけれども、そちらをかなり埋める努力、空きでもったいないことがないようにしていただいて、先ほど張替先生がおっしゃったように、骨髄移植をやっていなくても、末梢血のほうで頑張りますというほうを、そっちはそっちで増やしていくという方法も1つではないかと、議論を聞いていて思いました。
○小澤委員長 浅野委員。
○浅野委員 取りに行くということなのですけれども、非常に基本的なことを知らなくてあれなのですけれども、現実には、今、移植をやる病院のほうが取りに行くのですね。提供するほうが持っていくというのはだめなのですか。つまり、移植が成り立つためには、医療機関側でやる手技もありますね。だけれども、骨髄液というのは、それを成り立たせるための薬みたいなものですね。薬を買いに行くのか、お届けするのかみたいなことなのですけれども、これはどうやって決まっているのか、よくわからないのですけれども、採取した側が持っていく。その持っていくことも、御苦労さんというか、人件費かかりますから、時間かかりますから、それもお返しするときの、いわばコストですね、そこに含めていくということでやればいいのではないかと思うのです。また、そういうシステムとは別に、医療的に言ったときに、取りに行くというのと、持ってきてもらうというのと、メリット、デメリットがあるのでしょうか。教えてもらいたいのです。
○小澤委員長 輸送に関して、業者に頼むようなこともできるようになっていると思うのですけれども、業者にお願いすると、ものすごく費用がかかるのですね。そういうのは基本的に患者に請求することになることもあって、結局、それでは大変だからというので、医者が動いているような現状もあったりして、ますます忙しくなっているところがあるのですね。その辺、どうでしょうか、岡本委員。
○岡本委員 でも、これはグローバルコンセンサスですね。採取が終わって手渡したところから、あとは移植病院の責任であるというのは世界の基準でも決まっています。それをアウトソーシングして業者に頼むとか、そういうことはありますけれども、実際、責任をどこで分担するかということははっきりしておかないといけない。採取病院はやはりとるところまでの責任であって、その後のことに関しては移植病院が責任を持つというのはコンセンサスだと思います。負担をどう軽減するかというのは、そういった業者を使うとか、その費用を誰が補償するとか、そういった問題はあるかと思いますが、そのルールは多分、変わらないと私は思います。
○小澤委員長 張替委員。
○張替委員 とりに行くのが必ずしも医者である必要はなくて、今回、移植管理加算のようなものがついたので、その加算が増えれば、例えば、コーディネーターみたいな者を雇って、その人に取りに行ってもらうというのも1つの方法だと思います。我々も1人、ちょっと足りませんけれども、雇っています。
 あと、採取2日の場合には、初めから2日目に行くという形でやれる。我々も一回往復やって大変だったので、聞いたらば、初めから2日目に取りに行く形にしてもらったほうがいいですということなので、そこは少し工夫すれば軽減できるかもしれません。
○小澤委員長 よろしいでしょうか。鎌田委員。
○鎌田委員 手術室の枠を確保しているというのは昔からされていたと思うのですが、この枠が空くとかという情報を共有することは容易にできるのでしょうか。もしできるのであれば、空いた枠を活用していただくというのは非常に合理的でいいと思うのです。
○小澤委員長 その辺も一元管理の意味合いに入ってくるかなと思いますが、岡本委員、何かございますか。
○岡本委員 それはシステムをつくることは可能だと思います。1週間とか、そういう枠ではないと思います。情報をいつも掲示しておいて、そこで振り分けていくということはある程度できると思います。
○鎌田委員 ありがとうございます。
○小澤委員長 そのほか、いかがでしょうか。先ほどの資料の中にもいろいろ論点、あるいは提案みたいなものがありましたけれども、方向性としては、こういう形でよろしいのかどうか、御意見いかがでしょうか。
 浅野委員。
○浅野委員 手術室ではなくて、骨髄移植の採取の際には、採取医という人と、当然、麻酔医も確保しなくてはいけないのですね。そうすると、今、聞くところによると、麻酔医はめちゃくちゃ忙しい、人が足らないということになって、手術室も確保できた、採取医も確保できたけれども、麻酔医が確保できないということもあるのでしょうか。実態もお聞きして、もし足らないとすると、それはどうやって解決するのかわかりませんけれども、最終的にはコストを引き上げることが若干の解決になるのかなと思います。そこのところ、採取の実際というのがよくわからないのですけれども、麻酔医の確保というのはどうなっているのでしょうか。
○小澤委員長 その辺も問題だと思いますが、坂巻委員、いかがですか。
○坂巻委員長代理 確かに麻酔医は少ないです。ただ、枠を確保している場合には、そこでの手術に関して、麻酔医が足りなくなるということはないですね。もちろん、枠が空いていれば別の手術が入る。採取が増えれば、その分、ほかの手術が逆に減るということになって、病院全体としては手術件数は増えるという方向に行きますので、麻酔科に対する何らかのインセンティブがあったほうが、院内の調整としてはやりやすくなるということはあります。
○小澤委員長 ほかにはいかがですか。浅野委員。
○浅野委員 すみません、私ばかりで。2-1の3ページなのですけれども、「コーディネートの実際例」ということで、ドナー(1)から(8)まであります。そのうち、ドナー(4)、ドナー(6)、ドナー(7)がHLAミスマッチというのが出てくる。この時点においてHLAミスマッチがこんなに出るということなのですけれども、実際は、最初にコーディネートを始めるときには、当然、ドナー登録になっている人から、患者のHLAの型等のマッチングというのがあるわけですね。そこから選び出すわけですね。ひょっとして、DNAのほうまで入っていないからということかもしれませんけれども、これはこんなにあるのですかというのが1つ疑問なのです。
 さらに、意見として言えば、登録のときの検査ではドナー候補者のDNAまではとっていないのですか。それを最初からとっていれば、こんなことは起きないですけれども、多分、金がかかるということなのでしょうか。そこを教えていただけますか。
○小澤委員長 間室長。
○間臓器移植対策室長 現在、ドナー登録をする際にはDNAタイピングまでやっているのですが、ある時期からそれを始めているのですね。過去の人については、機会があったときに検査をさせていただいてDNAタイピングをするということはあるのですが、昔登録いただいた方の中には、血清レベルのもので、そうすると、細かいところまで見るとミスマッチということが起こり得る。それが、このミスマッチの事例ということになります。
○小澤委員長 よろしいですか。
 あと、その下のほうに、先ほども迅速コースの話が出てきましたけれども、これはうまく機能していると理解してよろしいでしょうか。間室長。
○間臓器移植対策室長 迅速コースというのは、ここにございますように、急ぐ方について、できるだけ早くということなのですが、現状、迅速コースに該当する方が約7割、全コーディネートの中にあるのですが、実際のコーディネートの現場では、先ほどのように120日もかかっているという現実の中で、ピンポイントで調整するということも含めて、できるだけ早くするということを財団のほうではやっておりまして、その意味で、迅速コースと名を打つことについて、現状においてどれだけ意味があるのかというのは、正直申し上げるとあるとは思います。
そういった中で、先ほど少し御提案申し上げたような、どういう方については急ぐということがもしはっきりするのであれば、先ほどのようなスロット、枠の確保をされている病院にやると。他方、そうは言っても限界はありますので、例えば、週1だと50の枠ということになりますので、どこまでもできるということではないとするならば、そういう枠を確保されているところは緊急時などの対応をもう少し多くやっていただくけれども、ほかの一般的な病院は、例えば、あともう一例頑張っていただくとか、そういう形で負担を分担していただくということはあるのかなと。そういうふうにしていかないと、なかなか短縮というのが難しいのかなと考えております。
○小澤委員長 岡本委員。
○岡本委員 迅速コースは最初はいいアイデアだったのですけれども、だんだんみんな迅速コースに行ってしまって、基本的にその意味がなくなっています。これは、卵が先か、鶏が先かの問題で、結局、コーディネートに時間がかかるので、最初から担保をとっておきたいという形でみんな登録をしてしまうわけです。これがある程度短縮できるということが目に見えてくると、最初のスタートのところで少し踏みとどまって様子を見て、必要になったところで登録をしようという症例も出てくると思います。そうすると、今、全部コーディネートをかけているマンパワーを前に持ってくることができると思います。そういった点で、さらにそれが加速していい方向に向かっていくのだと思う。もちろん適切に症例を選んでやりましょうということが重要なのですけれども、ある程度このシステムを動かしていって、短縮することが目に見えていったところで、さらにそれを強化していくということが、このコーディネート短縮には重要ではないかと思います。
○小澤委員長 坂巻委員どうぞ。
○坂巻委員長代理 今、間室長がおっしゃった中で、関東地区の採取の状況を見ますと、非常に多く採取している施設が幾つかあるのですが、採取件数が非常に少ない病院がものすごくいっぱいあるのですね。そういうところが少しずつでも増えるだけで相当なキャパシティーになります。慶応とか駒込のように、かなり件数が多いところは、枠を持っていて、そこを増やすというのもあるのですが、恐らくそれ以上に、ものすごく多い採取施設の、少しずつでも上積みができるということが、全体の採取枠としては相当増えると思っております。
○小澤委員長 その働きかけ方がなかなか難しいところなのでしょうけれども、そこをうまくやるというところですかね。よろしいでしょうか。
 浅野委員。
○浅野委員 今日はコーディネート期間の短縮についてということが中心なので、これは当たるかどうかわかりませんけれども、最初に私が出たときに申し上げたのですが、直前キャンセルです。患者側がもう既に前処置まで終わっている段階で、ドナーが、健康状態が悪いとか、何らかの理由によって採取できなくなった。それは待っている患者からすれば命にかかわって、実際、亡くなったという例も聞いていました。これは非常に悲劇的な例なのですけれども、これは今日でなくて、どこかでまた議論する機会はあるのでしょうか。なければ、ここでぜひ申し上げたいと思います。
○小澤委員長 間室長。
○間臓器移植対策室長 その点は本日御議論いただいてもよろしいかと思うのですが、今日の資料でいきますと2-1のまさに臍帯血のところの話になってくるのだろうと思っております。最後のページの上のところでございますが、全てのケース、全てのドクターがということではないかもしれませんけれども、骨髄移植などをされる場合に、今、浅野委員がおっしゃったようなドナーの事情でキャンセルになるリスクもあるものですから、臍帯血のほうも考えておく。もし骨髄がだめになった場合には臍帯血移植に切りかえてという例もあるやに伺っております。その意味で、迅速に執行できる臍帯血の体制というのは非常に重要なのかなと。そういう形であれば、何も移植を受けられないで亡くなるというケースは減るのではないか。ただ、臍帯血も、必ずしも生着するかどうかがありますので、全て移植が行えたからうまくいくということではないのかもしれませんけれども、複合的に、バックアップのことも含めて考えていく必要があるのではないかと思っています。
○小澤委員長 浅野委員。
○浅野委員 今、おっしゃったのは、事実上のことでそういうことが行われているということだろうと思うのですね。そういう場合も想定して、臍帯血がバックアップだということをきちんと、それはシステムとしても用意するし、患者側としてもそういうことをちゃんと把握をしていると。もちろん医師側もそうですけれどもというふうになっているのかどうか。というのは、先ほどの例において、実際亡くなってしまったというときには、今おっしゃったことができなかったのですから。これだけがそういうときの対応ではないかもしれませんけれども、非常に大きな要因ですね。そうであるとすると、待っている患者としても、もし万が一、私も実際、本当に考えましたからね、ドナーに何かあった場合には、これはだめなのかと思ったのですけれども、こういうことがあるよということをちゃんとインフォームされていれば、どれだけ安心して待っていられるかということがあるので、そこは御検討というか、事実上、そうやって緊急的に避難するというのではなくて、これはシステムとして、こういうことがあるよということをきっちりと設けて、しかもそれを事前にみんなに知らしめられる、そういう体制にしていただきたいと思います。
○小澤委員長 一元管理はそういうことも含めてということでよろしいわけですね。
 それでは、大分時間がたってしまいましたので、とりあえずまとめてみたいと思いますけれども、非血縁者間の骨髄移植のコーディネート期間の短縮のためには、定期的に手術室の枠、スロットを確保できるような体制がやはり望ましい。ある程度実績のあるところには早期の採取にも取り組んでいただき、これまで採取件数が少ないところは、何とか1件でも2件でも増やす努力をしていただきたい。システムのこともいろいろ考える必要があるかなと思います。
それから、先ほどの岡本委員のスロットの有効活用、そういうものも含めて、トータルとして何とか増やしていくということだと思います。
また、早期に移植を実施するという意味合いでは、臍帯血移植もさらに活用を進めていくことも重要かなと思います。
こういう幾つかのソースがあるわけですけれども、登録の段階から移植の状態、転帰まで把握できるような仕組み、全体をトータルに把握するような、そういったシステムの構築が必要でしょう。
それから、コーディネート期間短縮のためには、非血縁者間末梢血幹細胞移植のさらなる普及が望ましい。現状では、欧米各国に比べて、まだ随分少ないわけですので、何とか早く普及していくことが必要であろう。
また、末梢血の場合には、ドナーの居住地による制限がありますので、これもできるだけ緩和の方向で議論をしていただきたい。
それから、末梢血幹細胞採取施設の認定に当たっては、地域のバランスや、ドナー候補者の地域ごとの人数等も見ながら、引き続き増やしていく方向が重要であろう。
そんなことが意見として挙がってきたかと思いますけれども、何か追加すべきところはありますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、とりあえず1と2については、そのようなまとめにしたいと思います。
それでは、2番の「臍帯血の品質確保について」になりますけれども、資料について、事務局より説明をしていただきます。その後、これまでの議論を踏まえて、事務局に論点もまとめてもらっておりますので、あわせて説明をお願いします。
○間臓器移植対策室長 引き続きまして、私から資料3に基づきまして「臍帯血の品質について」というテーマで資料の御説明を申し上げます。
 まず、最初のグラフでございますが、これは以前お出ししたものでございます。横軸が臍帯血に含まれる細胞数、縦軸がその細胞数を持つ臍帯血の個数でございます。青い棒グラフが公開されているもの、赤いものが実際に移植に使われたもの、そして青分の赤がこの緑の折れ線グラフでございまして、どれが利用されたかということで、より細胞数の多いものが利用される傾向にあるということでございます。
 次のページでございますけれども、総細胞数ではなくて、その中でも特にコアになりますCD34陽性細胞でみてみますと、これも同様の傾向でございまして、結果的にCD34陽性細胞の多いものが多く使われているという傾向にございます。
 最初のグラフを少し見方を変えたのがそのすぐ下のグラフでございまして、いつごろ公開されたか。つまり、新しい臍帯血か、古い臍帯血かということで見ますと、オレンジが21年度以降のもので、新しいものでございます。その次に水色の16~20年度、紫の11~15年度、一番濃い青は10年度以前ということでございます。これを見ていただくと一目瞭然でございますが、新しい臍帯血のほうが総細胞数が多いとなっています。これは、背景には、1つは公開基準を上げてきている。少ない細胞数ではなくて、より多い細胞数のもののみ公開するというふうにルールを変更してきたということが1つと、採取病院のほうのスキルが大分上がってきて、非常によい臍帯血をとっていただけるようになったということではないかと思っております。
 次のページでございますが、これは実際に行われた例をピックアップして、横軸が患者の体重であります。縦軸が使われた臍帯血の総細胞数でございまして、基本的には、体の大きい人にはより細胞数の多いものが必要だということで、体重当たり2掛ける10の7乗個という、下の斜めの直線より上のものを基本的には使っていこうという方向に現場ではなっています。ただ、その患者に合うものがなければ、それよりも少ないものを使う場合もあるし、それで生着をしてうまくいっている例もあるやに伺っております。こう見ますと、お子さんの場合には、体重比でいくとどうしても多いし、また、体重に見合ったよりも、かなりクオリティーの高いもの、オーバークオリティーになるかもしれませんけれども、そういったものが使われている例もある。他方、体重の多い方の部分について、なかなかそれに合う総細胞数のものが多くはないということでございます。
これも踏まえて、これからの方向性を考える上で、大胆な試算をしてみました。前回、非血縁間の造血幹細胞移植がどうなっていくだろうかというような粗い推計を出させていただいて、今後、少子化などもありますけれども、大きなトレンドとしては、移植がもっと増えるということをお示ししました。これをベースに、大人、子供で体重が違いますので、日本の標準体重の正規分布を当てはめながら、こういう年齢の患者がいた場合には、その体重に見合ったどんな細胞が必要だろうかというのを推計してみました。これはかなり大胆にやっていますけれども、そうしますと、ご覧のような推計値、2010年、2020年、2030年、それぞれ、細胞数でいきますと、こんなような試算ができております。だんだん体格もよくなっておりますので、細胞数の多いものが必要になってくるということでございます。
それに対して、現在のさい帯血バンクネットワークに登録されている臍帯血の登録数で見ますと、ご覧のとおりでございます。総数は非常に多く、2万6,000もございますけれども、例えば、14億個以上の臍帯血で見ますと、将来予測が、本当に粗い推計でございますけれども、これとの比較でいきますと、少し足りていないのかなと。ただし、前提が1つありまして、仮に総移植ニーズを臍帯血でカバーするとした場合、先ほどバックアップの話が出ました。現在、バックアップというのを正面から運用しているわけではありませんけれども、仮にそういうものも含めて考えた場合には、総数としてこれぐらい推計値で必要で、実際の登録数はこうだということでございます。
こういうような将来の見込みを踏まえつつ、では、現実どうなっているかということでございます。次のページでございます。さい帯血バンクでは、採取病院で採取された臍帯血のうち、採取病院で捨てられてしまうもの、あるいはさい帯血バンクで受入基準がございますので、全てではありませんが、相当数受け入れておりまして、2011年の1年間で受入処理を行ったものが1万3,712でございました。このうち既に実際に公開に至ったものは2,297、このほかに、これから公開できるかもしれないという公開待ちのものが900弱あります。この差は何だということなのですけれども、この差は、これまでの基準で、調製保存に入るものは採取後24時間以上経過したものはだめですよとか、あるいはもう血が固まっていますというものはだめですとか、明らかに採取量が足りていない、移植用には不適切であるとか、あるいは細菌培養したら陽性であったと、こういった理由で廃棄に至るものが、実は残念ながら相当数ありまして、この結果としてこうなっている。しかしながら、公開数2,297ですけれども、移植総数が1,100余りでございますので、量的には足りているということでございます。
その下のグラフは、101余りある採取病院間で、すみません、これは全て100を1,000にしてしまっていますので大変見にくくなっておりますけれども、受け入れから公開までの臍帯血数がどういうふうに推移したかというのはご覧のとおりでございまして、個数につきましては相当差がありますけれども、全体としては似たような傾向で、受け入れから公開に至るまでは、ある程度落ちていってしまうというのが現状でございます。これも踏まえてどうするかということでございます。
次のページをご覧いただけますでしょうか。これは、採取病院ごとに、どういう病院がいい臍帯血といいましょうか、細胞数の多い臍帯血をとっていただいているだろうかというのを分析したものでございます。ここでは年間採取例10例以上と10例未満で分けてございます。
左側の青い棒グラフは、10例未満の病院と10例以上の病院、それぞれ母数が40人であり、50人でありますから、それなりの数がございますけれども、実際受け入れたものから公開に至ったものの割合、仮に公開率と名づけますけれども、これで比較をいたしますと、年間10例以上のところが17.44%に対して、年間10例未満は9.09%ということで、明らかに慣れておられるところのほうが公開に至る割合は高いということが言えると思います。
右側は、実際に公開されたものの総細胞数がどうですかというのを比較いたしますと、先ほどほど顕著な差ではございませんけれども、年間10例以上おとりいただいている採取病院のほうが総細胞数も多いというような有意な差が出ているということでございます。
今のは採取病院ごとに見たものでございます。続きまして、さい帯血バンクごとに見ますと、どういう採取病院と契約されているかということにかかってくるわけでございますが、全体的な傾向としては、受け入れから公開まで、ある程度落ちていくのは似たような傾向がございます。ただ、公開率というものを考えますと、バンクによって若干差がございますが、これは何人を受け入れるかとか、どういう病院とおつき合いなさっているかということの差がございますので、単純な比較は難しい面がございます。ただ、このような状況でございます。
続きまして、さい帯血バンクごとにどういう臍帯血を受け入れておられるのかということに若干差がございますので、御紹介をしておきます。これはバンク名も出しておりますけれども、受入基準について、北海道のバンクと近畿のバンクにつきましては、つまり、公開に至る可能性の高いものということで、60ミリリットル以上ということで受け入れて、そのほかのバンクについては、契約しているところは一旦全て受け入れるけれども、公開に至らないものもそれなりにあると、こういう取り扱いになっています。
それから、もう一つでございますが、受け入れを増やしていくという意味で、例えば、いい臍帯血をとってくださる採取病院があった場合に、金曜日の夜から日曜日の午前中ぐらいまでに出産があった場合、土日にさい帯血バンクが運営していませんと、持ち込むことができずに廃棄になる場合があるわけでございます。そこで、各バンクではいろいろ工夫されていまして、土日の受け入れについて、実施もしくは検討しているということで、こういう形でより多く受け入れるような努力をされている、あるいはそれを検討されているということでございます。
続きまして、さい帯血バンクごとの公開時細胞数の違いにつきましては、公開時の総細胞数は8億個以上という基準もございますので、そう大きな差はないということでございます。CD34陽性細胞数については違いがございますが、これは測定法その他の違いもございますので、参考という形でご覧いただければと思います。
以上のようなことも踏まえながら、では、各バンクが実際どんな執行状況にあるかと申しますと、次のページの表でございまして、各バンクごとに、採取病院、幾つぐらいの病院と契約されているのかということ公開数、そして大事なのは移植数でございまして、主治医に選ばれている臍帯血が、どこの病院がどれぐらいあるかというのは、このような実績になっているところでございます。それぞれ違いはあるということでございます。
今後でございますけれども、まず、移植用臍帯血の品質の確保に向けて、既に動かしている取り組みは2つございまして、1つは、この委員会の初回、昨年12月28日にお認めいただきました移植用臍帯血基準検討会でございます。こちらで最低基準としての基準について、現在、検討していただいています。昨日が1回目でございました。そこでは、どういう基準を設けるかということについての基本的な考え方が昨日も議論なされました。3つございます。この3つをまず踏まえようということでございます。
1つは、現状、日本さい帯血バンクネットワークがこれまで自主的に改定をされてきました臍帯血移植の実施のための技術指針、それから、基準書がございます。実績も上がっている面もありますから、これをまずベースにはしよう。
同時に、臍帯血も血液でございますので、血液事業など、関連事業がどういう項目を最低基準として定めているのかということをにらみながら検討していきましょう。
3番目は、国際的な基準、国際的な動向について定めていこう。これについては、FACTというところで新しい基準がことしの夏ぐらいには発行されると伺っておりますけれども、こういった動向も踏まえて、国際的な基準とハーモナイズするようなことも考えなければいけないだろうということで、現在、検討が開始されたところでございます。これは最低基準の話でございます。
もう一つは、臍帯血移植等共同支援事業というのがございまして、25年度予算案、まだ通過しておりませんので案でございますけれども、よりよい採取ができるように、いろいろな採取病院のいい事例をお互い紹介し合ったり、必要であればマニュアルをつくったりという形で、全体として底上げできるような事業をやっていこうと。それと同時に、さい帯血バンクにおきましても、調製保存の技術を現場レベルで底上げを図っていくということについても共同でやっていこうという事業を支援するような予算を計上しているところでございます。こういうような形で、最低基準だけではなくて、さらに上を目指すような取り組みを応援したいと思っています。
最後のページでございますけれども、「良質な臍帯血の一層の確保のために」と題されております。どうやったら、細胞数の多い、これからの移植ニーズに応えるような臍帯血が確保できるだろうかということを考えますと、移植に適した臍帯血を増やすために、例えば、先ほど御紹介したような営業日を増やすなどによって受入数を増やすということは1つあると思います。それと同時に、採取施設と協力して、公開に至る割合、つまり歩留まりをよくしていくということも必要ではないかという点が1点目でございます。
 それから、2点目に、採取施設を増やそうという議論もあろうかと思いますけれども、採取施設をただ増やすだけでは、なかなか公開に至らないような臍帯血では、せっかくの善意が生きませんので、数を増やすだけでは十分ではないだろう。定期的に一定水準以上の臍帯血を採取できる施設を中心に協力を求めていく必要があるのではないかというのが2点目でございます。
 それから、3点目は、さい帯血バンクについては、最低基準の話だけではなくて、段階的により品質を高めていけるようなものが必要だと思いますが、それについて、どのような取り組みが望ましいかということについて御議論いただければと思っております。
 以上でございます。
○小澤委員長 ありがとうございました。
 それでは、「臍帯血の品質確保について」の議論を始めたいと思いますが、まず、臍帯血の採取病院について、吉村委員から御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○吉村委員 臍帯血をいかにして細胞数の多いものをとるかということは、とる人のスキルと、ハイリスク妊娠ではなかなか難しいのですね。とるまでの時間も関係ありますので、正常分娩でないと、これはなかなか難しい。最近は高年になってまいりまして、20年前に比べますとハイリスク妊娠がものすごく増えているのです。少子化で人数も減っていますし、とれる数も減ってくる。そして、正常分娩をやっているところでないと、なかなかとれない。教育機関みたいなところはほとんどハイリスク妊娠ですし、また、とる人がたくさんいる。要するに、20人、30人のスキルを全部上げることは不可能ということになります。やはり5~6人の病院で、正常分娩を扱っている機関、そういう施設が残ってきます。最近では、とる人も、半年ぐらいたってくると非常にうまくなるのですね。しかも要領がよくなってくる。ひとえにこういったことにかかってくると思います。
○小澤委員長 そうすると、基本的に慣れた病院にお願いするという方向で、何とか対応できる感じでしょうか。
○吉村委員 そうですね。それと、正常分娩をやっているところということになります。本来なら開業医などはいいと思うのですけれども、最近ではそういったところが人手もなくてという感じで、なかなか協力してもらえないということがあると、5~6人の病院ということになるのではないかと思います。
○小澤委員長 何か御意見等、いかがでしょうか。張替委員。
○張替委員 前にもちょっとお話ししたのですが、産科の先生、骨髄を採取したところにちゃんと診療報酬がいくように、インセンティブをきちんと担保しないと確保ができないのかなと思うのです。移植した場合は、そこにいく。そうすれば、移植ができるような細胞数が多い採取を産科の先生も心がけてくれるような気がしますし、安定供給という意味と、クオリティーの高い臍帯血をとるという意味でも、そこはきっちりと担保したほうがいいのかなと思います。
○小澤委員長 採取病院に対する謝礼といいましょうか、謝金といいましょうか、その辺に関しては、今、どういう状況でしょうか。間室長。
○間臓器移植対策室長 今、張替委員が御指摘になられましたように、先ほどの骨髄採取とは違って、移植病院から採取病院に、産科の病院に払われるような形になっておりませんで、バンクが謝礼という形で、例えば、採取時に、これはバンクによって違いますけれども、2,000円だったり、6,000円だったりをお払いし、公開時、もしくは保存時に例えば1万円お払いするという形で謝礼を出しているというのが現状でございます。
○小澤委員長 吉村委員、これについてはいかがでしょう。
○吉村委員 我々はお金をいただいているという意識は全くないので、本当にボランティアでやっているという感じですので。それに関しては、別にインセンティブはなくても私たちは構いませんし、そういったことが大きな問題になっているわけではないような気がします。
○小澤委員長 ほかに何か御意見。野村委員。
○野村委員 これは私、わからなくて、どなたでもいいのでお伺いしたいのですけれども、集中してやっていったほうがいいというのは今、おっしゃいましたけれども、逆に言うと、今後のことを考えて、裾野みたいなものを増やす必要はあるのか、集中してさえいけば、将来的に大丈夫なのか、私にはわからないので、その辺は皆さん、どうお考えになっていらっしゃいますか。
○吉村委員 これは多分、両面でやっていかなくてはいけないと思うのです。これから先、本当に赤ちゃんが減っていきます。ですから、裾野も開けていかなくてはいけないのですけれども、やはり半年くらいのスキルが必要になりますから、医者が変わってしまうような病院はなかなか難しいのではないかと私は思います。ですから、大学病院などというのは、そういう意味ではなかなか難しいと思います。ですから、ある一定の、5~6人の病院で、お産する先生が変わらないという病院でとっていただいたほうが、効率的なような感じがします。現時点で裾野を増やす必要はないかといったら、そうではないかもしれませんが、それよりは、私は質の高いものを得たほうがいいのではないかと思います。赤ちゃんに対して処置がかかるようなところでは絶対に無理になってきますから。
○小澤委員長 いかがでしょうか。坂巻委員。
○坂巻委員長代理 臍帯血採取に関しまして、本当にボランティア的にやっていただいている、しかも、品質がさらに上がっているということは、移植をする側にとっては本当にありがたいことだと思っております。ぜひ、このような優良な採取施設といいますか、そういうところに対して、金銭的なインセンティブというのはないとしても、やはり何らかのモチベーションを上げるようなものがあって、そういう施設にある意味感謝するという姿勢を、何らかの形で制度的にあればいいのかなと思います。裾野を増やすのも必要なのかもしれませんが、我々移植している側から見ますと、臍帯血だと結構見つかる。どんどん臍帯血が増えれば、よりいいのかということではないような気もするのですね。恐らく保存していくのには相当のお金もかかりますので、やはり質の高いものを今後も継続的に保存していくというほうがいいのではないかと思っております。
○吉村委員 臍帯血というのは、我々がやると言うわけではなくて、妊婦さんがやってほしいとおっしゃるわけです。病院側に対するインセンティブというよりは、妊婦さんがやってくださいと言う、ほとんどがそういった人の訴えから始まっているわけですから。現実そうです。ですから、妊婦さんに対する働きかけとか、啓発とか、そちらにお金を使われたほうがいいような感じがします。
○小澤委員長 そのインセンティブ面では、事務局からは何か御意見ありますか。
○間臓器移植対策室長 先ほど申し上げましたように、現実にバンクからそのような謝礼という形は出ていて、かつ、それは国庫補助金の対象にも実はなっているわけでございます。お金でないとすると、これはたまたま仄聞する世界でございますけれども、今、吉村委員おっしゃいましたように、妊婦さんがとってほしいと言っている。とったが、営業していないので、バンクが受け入れられず、いきないということになると、産科の病院側が責められるケースがあると伺います。その意味で、産科の病院から一部聞こえてくる話は、お店を開いてほしい、バンクとしてちゃんと受け入れてほしいということがあって、そういったことも含めて、協力体制を構築することが必要かなと思っております。
○小澤委員長 ほかにはいかがでしょうか。浅野委員。
○浅野委員 これも今日御議論する対象なのかどうか、よくわかりませんけれども、2つあるのですけれども、臍帯血移植と骨髄移植の比較というか、そういう中での臍帯血移植の位置づけということがよくわからないのです。役割というか。さっきはバックアップとして使えると申しましたけれども、もちろんそれだけではないと思うのです。赤ちゃんの数も少なくなったからあれかもしれないけれども、これは医療的なところもありますね、本当は臍帯血のほうが成績がいいとか、GVHDが少ないとか、そういうところはどうなっているのかということが1つ。
 だから、今後の方針にもよるわけですけれども、臍帯血移植を増やしていきたい、多々益々弁ず、それは骨髄移植も登録者数がまだ少ないということで、合致する数が少ないということもあって、臍帯血のほうで、その意味でのバックアップというか、共存共栄というか、両方やっていけば、患者とすれば、移植を受けられる可能性が高くなるということがあるのかということなのですね。
 それから、ちょっとお話があったコストの関係もあります。これは有用だけれども、金がかかるといったらば、ちょっといかんというか、というところでとめておかなくてはいけないということになるのか、その辺の位置づけですね。今後の見通しというか、どういうふうにこれを位置づけていくのかということを伺いたい。
 それから、臍帯血というのは、移植だけではなくて、ほかのいろいろな研究とか治療にも使われると聞いているのですけれども、それと、この移植に使うという、こっちが先だとかいうふうになるのかどうかよくわかりませんけれども、希少な資源ですね、さい帯血バンクに保存されているというのも。それとの取り合い関係ということがあるのかどうか、その辺のことも考えたい。さい帯血バンクのバンク名で見ると、基本的にはみんな非営利ですね。株式会社でやれないことになっているのかどうかわかりませんけれども、これから増やしていくとすると、善意だけに期待していいのか。臍帯血移植の、骨髄移植との位置づけの、そこにもかかってくるのかなと思っていますので、ちょっと教えていただきたいと思います。
○小澤委員長 張替委員、いいですか。
○張替委員 研究と臨床で、どっちが優先されるかと言えば、それは臨床で、ただ、臨床用に採取したけれども、使えなかったもの、もしくは数が少なくて保存されているもので10年以上たっているものに関しては、研究者にバンクから倫理委員会を通した上で提供しているという事実はあると思います。それはあくまで臨床用に使えるものはもちろん臨床で、そこから落ちてしまったものを研究者に回しているというのが現状だと思います。
 移植成績については岡本先生からかもしれませんけれども、骨髄移植が先に走って、その後、臍帯血という形で、緊急的に条件の悪いものに使われた、補完的に使われていたので、当初は臍帯血の成績は悪いということがあったかもしれませんが、今は、同じような条件でやれば、成績としては余り変わらないのではないかと思います。
○小澤委員長 岡本委員。
○岡本委員 無作為の比較はないですけれども、日本造血細胞移植学会のデータセンターのデータを利用して、単にバックアップではなくて、アップフロントで使ったときにどちらがいいか、病気によってというデータは着実に今、蓄積されていますので、そういったものがより充実してくることによって、どの細胞をどの病気に使うのが一番いいかという指針がこれから出てくると思います。
○浅野委員 そうすると、まだ優劣はわからないのですか。
○岡本委員 大きくくくって、この病気には同じぐらい、この病気では、病気が進んでいるか、アップフロントで少し落ちるかもという、そういったデータはもう既に出ております。
○浅野委員 どうなのですか。
○岡本委員 そう簡単なものではないです。そう簡単に一言で言ってはいけない。
○浅野委員 どちらが勝っているとは言えない。
○岡本委員 どっちが勝った、負けたの問題ではなくて、それは最終的に患者の状況等々判断して決めていかなくてはいけないので、どっちがいい、悪いではないと私は思いますけれども、参考のデータはもう出ております。ある程度は。
○小澤委員長 間室長。
○間臓器移植対策室長 あと、もう一つ、コストの観点でちょっとお話ししておきたいと思います。臍帯血と骨髄と末梢血、今、お話ございましたように、どれかだけがすばらしい、これだけあればいいというものではないということから、診療報酬上も、昨年の診療報酬改定におきまして、移植術は、骨髄移植の場合も、臍帯血移植の場合も同じ66万4,500円払われるという仕組みになりました。かつ、それを前提として、移植医療機関から骨髄バンクやさい帯血バンクに払われるお金も、移植術からは同じ額になっておりまして、4万800点相当、つまり40万8,000円。66万円余りのうちの40万円が骨髄バンクとさい帯血バンクから払われている。それはつまり、選択肢としてイコールであるという考え方に立って、このような取り扱いを昨年からいたしております。
○小澤委員長 浅野委員。
○浅野委員 現実に患者の立場からいったとき、ともかく移植を必要としているわけですけれども、そのときに、あなたは骨髄移植を受けますか、それとも臍帯血移植を受けますかということを、患者は選べないと思いますけれども、選べないというか、能力がないと思いますけれども、でも、何となく、その患者が持っているいろいろな情報から、どうも骨髄移植のほうがちゃんと実績もあるし、いいようだと、そうやって選べるのか。それとも、それは全く医師の判断で、この患者については骨髄移植でいく、実態ですけれども、どうなっているのかなと。私が患者の場合には、最初から骨髄移植と自分で頭に入っていましたから、臍帯血移植などということは考えなかったのですけれども、今、優劣がどうですかみたいなことで、まだどっちとも言えないと言いながらも、それは患者が選べるというか、また、それは医師が判断してやるということなのか、それとも医療機関で、うちでは骨髄移植しかやりませんということなのか、その辺の実態もお聞きしたいのですね。それが骨髄移植と臍帯血移植の治療における位置づけというか、役割というか、そういうことの理解になると思うのですけれども、ちょっとそこがよくわからないのです。
○小澤委員長 これは別に移植に限らず、治療方針全般についてよく患者と話し合って、主治医が一方的に決めるということはないわけですので、余り心配されることはないと思います。
 よろしいでしょうか。お時間なくなってきましたので、「臍帯血の品質確保について」のところをまとめてみますと、臍帯血採取の施設については、ただ数を増やすということではなくて、安定して定期的に採取していただける病院に依頼していく。
また、営業日ですね、土日も含めて採取、保存してもらえることを、バンクのほうの問題ですけれども、考えていく。
また、受け入れた臍帯血のうち、公開される割合を高めていく。ボリュームとか、良質のものをできるだけ増やす。結局、慣れたところに採取してもらうということでありますけれども。
また、さい帯血バンクの基準については、現在、議論が始まっておりますので、そこで最低基準だけではなくて、今後向かうべき方向、そういったところも示していただいて、また報告をしてもらうということになります。よろしいでしょうか。
 鎌田委員。
○鎌田委員 「良質な臍帯血の一層の確保のために」というところでお伺いしたいのですが、さい帯血バンクの場合は、骨髄バンクの場合とはいろいろな意味で違うと思うのですけれども、現実に「物」が保存されているというところから、いわゆる患者登録は必要がないため、最終的に臍帯血移植をしたか、しなかったか、その結果どうだったかという、後からの判断というか、そういうのがなかなかつかめないと伺っているのですけれども、臍帯血バンクを通した場合においても、全体を把握するような形にこれからはしていく必要があると思うのですけれども、そういったことについてはどうでしょうか。
○小澤委員長 その辺は事務局からお願いできますか。
○間臓器移植対策室長 現状は、実際に移植が行われれば、学会中心にやっていただいているフォローアップ事業、レジストリーのほうで把握することになりますが、移植を行われる前からきちんとつながっているかと言いますと、臍帯血の場合にはウエイティングがないということもありまして、患者登録の仕組みはないということでございます。ただ、今回も前回も御説明している中で、もう一つ奥歯に物が挟まったようになったのは、移植を必要とする患者全体についてどうなのか、実際に適切に対応できているのかどうかという全体を語ることがデータ的にもできないというのが現状でございます。また、主治医の先生から見た場合にも、患者登録という仕掛けがあるわけですけれども、さい帯血バンクは、もちろん個別にお願いすればいいということはありますけれども、一本になっていない感じがあるわけでございますので、そのあたり、どうすべきかということを御議論いただきたいと思っています。そういう中で、今、鎌田委員おっしゃったような、レトロスペクティブに、遡って、どんなふうだったのか、どういう臍帯血がよかったのかということの研究もいずれ進んでいくのではないかと思います。
○鎌田委員 先ほど岡本先生もおっしゃっていましたけれども、どういったソースで移植をしたら、どうだったかというのも含めて、いわゆる情報の一元化というのが、今回の法律の成立を契機に進んでいくといいなと思います。
○小澤委員長 その方向という理解でよろしいですね。
 浅野委員。
○浅野委員 すみません、何度も。骨髄バンクがさい帯血バンクを併用するというか、持つというのは可能なのでしょうか。バンクですから、貯蔵庫も要るとか、そういうこともあるのでしょうし、それから、骨髄バンクのほうでそういうことを望む、またはやれると思っているのかどうかわかりませんけれども、海外ではどうなっているのでしょうか。骨髄バンクとさい帯血バンクは全く別物なのでしょうか。何となく、骨髄バンクがさい帯血バンクもやったら、コーディネートするときも、骨髄が合わなくて臍帯血がやれるということがあったりするのかなと思っているのですけれども。
○小澤委員長 その辺は大分業務内容が変わってきますので、事務局から一言。
○浅野委員 海外はどうなっているのですか。
○間臓器移植対策室長 海外は基本的に別物になっていると思います。やはり業務的に、ちょっと失礼な言い方になるかもしれませんが、さい帯血バンクはいわば製造業でございます。骨髄バンクは人のあっせんの業務でございますので、全く質的に違うというところはございます。業務的に一緒にしても、お互い人事交流してやるような、スケールメリットは出にくいというところはあると思います。
○小澤委員長 よろしいでしょうか。それでは、残り時間わずかとなりましたけれども、3番の「治療提供体制の整備について」ということで、十分議論はできないかもしれませんけれども、一応、資料の紹介をお願いしたいと思います。
○西脇室長補佐 それでは、資料4について御説明いたします。「非血縁者間骨髄採取施設の認定基準」が1ページ目の下のところです。これは現在の骨髄移植推進財団の基準です。先ほども少し話が出ていましたが、過去2年以内に骨髄採取術を5例以上実施していること、または過去1年以内に骨髄採取術を3件以上実施していること、かつ、過去に骨髄採取術を10例以上経験している医師が責任医師となっていることとされています。また、麻酔科が設置され、常勤の日本麻酔科学会専門医または麻酔標榜医がいることも要件となっています。
 次のページは「非血縁者間末梢血幹細胞採取施設認定基準」です。これは先ほど張替委員からも御指摘がありましたが、まず、非血縁者間骨髄採取施設認定基準とDLIの認定基準を満たしていることとされています。そして、迅速にCD34陽性細胞が測定できる体制が確立されていることとされていて、当日夕刻までに測定結果が判明することが求められています。また、採取件数としては、過去2年間以内に末梢血幹細胞採取術を5例以上、うち3例以上は健常人から実施していること、もしくは過去1年以内に末梢血幹細胞採取術を3例以上、うち2例以上は健常人から実施していることとされています。
 次に、下の段は「非血縁者間骨髄移植施設認定基準」です。過去3年間に10例、小児科では7例以上、もしくは過去1年間に4例、小児科は3例以上の移植の経験を有し、かつ過去に10例以上の移植の経験を有する医師が1名以上いること。また、非血縁者間骨髄採取認定施設基準を満たしていることとされています。
 次のページの上の段は「非血縁者間末梢血幹細胞移植施設認定基準」です。これは、非血縁者間の骨髄移植の認定基準を満たし、非血縁者間末梢血幹細胞移植の採取基準を満たしていることとされています。
 3ページ目の下の段は、日本さい帯血バンクネットワークが定めている臍帯血の「移植医療機関登録」に関する登録基準です。ここでは、同種造血幹細胞移植を過去5年間で、内科では10例以上、小児科では7例以上実施していることなどが定められています。
 次のページの上の段の左側のグラフは、横軸が移植件数、縦軸が骨髄採取件数で、両者には相関が見られていて、骨髄移植の件数が多いほど骨髄採取の件数も多い傾向があります。
 また、右側のグラフは、横軸が移植チームの医師数、縦軸が採取件数で、移植チーム医師数が多いほど採取件数が多いという傾向があり、採取を行うにはある程度の医師数が必要であることが伺えます。
 下の段は「医療機関ごとの骨髄採取・移植件数」ですけれども、左側が採取件数、右側が移植件数です。採取は小児の医療センターではゼロ件のところがあり、最も多い施設では29件、中央値は6件となっています。移植件数が最も多い施設では53件で、中央値は5件となっています。いずれも上位20%、35施設でおよそ半数行っているのが現状で、医療機関間でばらつきが見られます。
 次のページは「提供の促進のために採取病院に求められること」としまして、骨髄採取では、早期採取のための手術室の確保、また入院病床の確保が挙げられます。
 一方、末梢血幹細胞採取では、CD34陽性細胞の迅速な測定が可能な環境の整備、迅速な採取に対応できる体制なのか求められます。
 下の段は「造血細胞移植コーディネーター(HCTC)について」で、これは、造血幹細胞移植が行われる過程の中で、ドナーの善意を生かしつつ、移植医療が円滑に行われるように、移植医療関係者や関連機関との調整を行うとともに、患者やドナー及びそれぞれの家族の支援を行い、倫理性の担保、リスクマネジメントにも貢献する医師以外の専門職として日本造血細胞移植学会が認定しているもので、このほど初の認定が行われ、チーム医療として医師の負担軽減の環境整備が進められています。
 最後のページの上は、「造血幹細胞移植医療体制整備事業」として、骨髄移植、末梢血幹細胞移植、臍帯血移植のいずれもバランスよく行っており、採取の積極的実施、緊急移植の受け入れ、研修の実施を行うような病院を造血幹細胞移植拠点病院として、治療成績の向上や研究の促進が図られることを期待しています。
 下の段は、拠点病院に求められる条件の案を示してあります。診療実績として、骨髄移植、末梢血幹細胞移植、臍帯血移植のいずれも一定数以上定期的に行っていること、一定の専門性、経験のある医師が一定数以上配置されていること、移植のみならず、感染症管理などのために個室も含め、病棟全体としての感染症対策、移植チームとしての対応などがとれていること、学会のフォローアップ事業に積極的に協力していること、診療実績、治療成績について、学会ホームページ等で公開し、第三者の視点を入れるといった方針を医療機関として有していること、移植後の長期的なフォローの体制がとれていること、他の専門医療機関からの患者の受け入れや、特定の治療法が必要な患者の他の専門医療機関への紹介など、関係医療機関との連携がとれていること。
そして人材養成の取り組みとして、移植にかかわる医療従事者が定期的にカンファレンスを実施するなど、チーム医療を実施していること、他の医療機関から経験の少ない医師等を積極的に受け入れていること、他の医療機関に必要に応じて医師を派遣するなどの体制がとれていること。
また、早期採取の取り組み等として、骨髄採取について、一定数以上行っていること、造血細胞移植学会認定のHCTCを配置していること、特に早期の骨髄移植が必要なケースについては、採取のために定期的に手術室の枠を確保しているなど、採取工程の現状をより大幅に短縮して採取が行われる体制を整えることなどを要件として考えています。
以上です。
○小澤委員長 ありがとうございました。
 今日の予定の12時になりましたので、詳細な議論は次回に回したいと考えております。ここでは基本的に移植体制の整備ということで、拠点病院を認定していこうというのがメインの議論になります。細部についてはここで議論することではありませんけれども、こういう方向性、つまり拠点病院を認定していくということについて、何か御意見ありますか。
 岡本委員。
○岡本委員 これは私たち実際移植を行っている側からの意見ですけれども、移植拠点病院というものの位置づけですね。これは多分、がん拠点病院とは大きく異なるものであって、移植採取、移植に関する教育、質の向上といったものを総合的に行うモデルとなるような病院、そこに採取をなるべく効率よく数を増やすということもミッションで入れた、そういった理解だと思います。それから考えると、今、挙げられた条件については、それなりにうまくバランスがとれたものができているかなと考えます。
特に採取のところに関しては、先ほど来の議論がそれなりに反映されていると思いますし、早期の採取の最後のところに書いてありますような、大幅に短縮できる採取、つまり、これを採取拠点病院としてしまいますと、現場で起こってしまうことは、採取をそこに任せればいいということで、先ほどから御議論があった、1例でもやっているところに、もうひとつ頑張ってほしいというところに水を差すような形も、ここでできるのだったら、そこに任せようという流れが当然出てくるわけで、そうではなくて、これは全体に頑張ってもらって、頑張り切れないところをこの病院が担保しようという形だと理解しますので、それは非常にいい方向性だと思います。具体的に、ここにある基準の中で、学会としてもその意見を言っていきたい、今、どれぐらいの数が必要であるかとか、そういったことでございます。
 それから、もう一つ詰めていかなくてはいけないのは、これまで骨髄バンク、さい帯血バンク等々がそれなりの数をもって移植施設を認定してきたという経緯がありますけれども、ここで1つ大きくまとまるという中においては、このモデル病院ということの概念も一緒に加えていって、やはり統一をされたような移植病院の認定とか、そういったものを、学会も協力しながら、学会が中心になるか、その辺はあれですけれども、そういった形で今後検討していくという方向性もここでぜひ共有したいと思います。詳細については時間があれなのですけれども、一応、大まかなところではそんなところです。
○小澤委員長 野村委員。
○野村委員 先生たちの御意見は、もちろん医療的なことはそうだと思うので、全然あれなのですけれども、もう一つ加えていただきたいのは、患者、御家族ともに、いい治療が受けられるなら遠くでも行きたいとお考えの方がほとんどであって、拠点病院にも、遠くから治療に来る方の家族の支援の体制が充実していること、かつ、そういった家族支援についてモデルとなるようなことが入ってくるといいのではないかと思うのです。
○小澤委員長 細かい議論は次回に回したいと思いますけれども、もし一言あれば。
○岡本委員 家族のサポートに関しては、ハードの面とソフトの面があると思うのですね。ソフトの面への対応はこのモデル病院でできるのですが、ハードの面に関してはもう少し議論が必要かと思うのです。
 それから、日本の現状として、移植だけを積極的にやる病院をつくることはなかなか難しくて、やはりモデルを決めて、その中で多少淘汰があるかもしれませんけれども、現状を大きく崩すことなく、こういったモデルをつくっていって、理想の方向に持っていくという方向性がすごく重要かなと思っています。
○小澤委員長 大きな方向性で、次回の議論のときまでに、一言、今日言っておきたいとか、何か御意見ありますでしょうか。これについてはよろしいですか。学会の議論も、もう少し細かい話を次回。
○岡本委員 学会のほうでもこれは議論をしておりまして、もし次回お時間いただけるのであれば、それも含めて議論させていただきたいと思います。
○小澤委員長 今、ここに書かれているような拠点病院と、それから、もう少しプロジェクト病院的な、そういうものとのすみ分け、区別とか、そういうことも含めてまた紹介してもらえれば。
○岡本委員 移植病院が全て均一になる必要はないと思うので、非常に研究的なことをやっていらっしゃる病院は、それはそれで結構ですし、小さいながら、そこのキャパシティーの中で、安全に、かつ効率的な病院もあって結構です。拠点病院は中核にあるところであって、そこから先に、ミスマッチをどんどんやる病院とか、非常に特殊な症例に移植をやる病院とか、そういうところとうまく連携をとれるような形の病院という位置づけで考えていければいいかなと思います。
○小澤委員長 ありがとうございました。
 それでは、時間が過ぎてしまいましたので、特に「その他」として発言をしておきたいという方がいらっしゃるようでしたら、お願いしたいと思いますが、よろしいですか。
 岡本委員。
○岡本委員 すみません、話が戻って恐縮なのですけれども、コーディネートのところなのですが、前回、私、欠席したので、話が出ていないかもしれないのですけれども、ドナーのことに関する今までの骨髄バンクの扱いなのですけれども、非常に手厚い。ドナーになるべく負担はかけたくないというのがあります。ドナーのためのドナーバンクという。そうではなくて、安全性は最大限に担保するとしても、ドナーの善意を最大限に生かすという視点に立っていただいて、骨髄バンクは患者のためにあるものであって、ドナーを動かすとか、あるいは多少の負担があったとしても、それをフレキシブルに受け入れていくという形に少し姿勢を変えていただくことも、コーディネート短縮には随分大きく貢献すると思いますので、その辺もコメントとしてつけ加えさせていただきたいと思います。
○小澤委員長 ドナーの保護の問題とか、先ほど少し出ました情報の一体的提供等については、また次回、議論の予定になっておりますので、今日の最後の拠点病院のところから、今のようなテーマについて御議論をいただきたいと思います。
 本日の議事は以上となります。
 最後に、事務局から連絡をお願いします。
○西脇室長補佐 本日も活発な御議論をいただきまして、ありがとうございました。
 次回、法施行に向けた議論の第6回目は、平成25年4月15日の18時からを予定しております。
また、法施行に向けた議論の第7回目は、平成25年4月26日の10時からを予定しております。
先生方におかれましては、お忙しいところ恐縮ではございますが、日程の確保に御協力いただきますよう、よろしくお願いいたします。
 以上です。
○小澤委員長 それでは、遅くなりましたけれども、本日の会議を終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)
<<照会先>>

厚生労働省健康局疾病対策課臓器移植対策室

代表 : 03(5253)1111
内線 : 2366 ・ 2363

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(疾病対策部会造血幹細胞移植委員会)> 第38回厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会議事録

ページの先頭へ戻る