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2013年2月22日 第37回厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会議事録

健康局臓器移植対策室

○日時

平成25年2月22日(金) 16:00~18:00


○場所

中央合同庁舎5号館 共用第9会議室(19階)


○議題

1 造血幹細胞移植の現状について
2 造血幹細胞移植の需要と提供の目標について
3 その他

○議事

○西脇室長補佐 定刻になりましたので、ただいまから、第37回厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会を開始いたします。
 本日は、お忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございます。
 本日は、今村委員、岡本委員、西川委員、武藤委員、山口委員からは御欠席との御連絡をいただいております。
 ここで健康局審議官の高島から御挨拶申し上げます。
○高島審議官 健康局審議官の高島でございます。
 今日は、お忙しい中、この造血幹細胞の委員会に御出席いただきまして大変ありがとうございます。
 それから、皆様方には、日ごろから、厚生労働行政につきまして各現場でいろいろ御協力、御尽力いただいております。この場をおかりして御礼申し上げたいと思います。
 今日の造血幹細胞の委員会でございますが、前回、それから前々回は、関係の皆様方からいろいろ現場での御意見、取り組み状況についてお聞かせいただきました。これからは基本方針の作成に向けまして御議論いただきたいと思います。今日は、造血幹細胞の移植の現場状況、現状はどうなっているか、その中でこれからの需要はどうなるか、それからドナーの状況はどうか、これからドナーをどのようにリクルートしていくかということにつきまして御議論いただきたいと思います。
 短い時間ではございますけれども、活発な御議論をいただき、基本方針の策定に向けて有意義に議論が深まることを期待しております。
 今日は本当にありがとうございました。よろしくお願いいたします。
○西脇室長補佐 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 お手元の議事次第の配付資料の欄に記載されています順に御確認ください。
 資料1「第34~36回造血幹細胞移植委員会での主な御意見(概要)」。
 資料2-1「造血幹細胞移植を必要とする患者の動向について」。
 資料2-2「非血縁者間造血幹細胞移植体制について」。
 資料2-3「ドナーコーディネートの状況について」。
 資料2-4「移植後の患者やドナーのデータ集積・分析について」。
 資料2-5「基本的な方向性について」。
 資料3-1「非血縁者間造血幹細胞移植の需要について」。
 資料3-2「非血縁者間造血幹細胞の提供の目標とドナーリクルートについて」。
 そして、参考資料としまして、「平成25年度移植対策関係予算(案)の概要(抜粋)」を入れてございます。
 お揃いでしょうか。不備等がございましたら事務局までお伝えください。
 また、机の上に法律等の参考資料と前回までの造血幹細胞移植委員会の資料をまとめたファイルを置いておりますので、議論の際に参考にしてください。
 なお、ファイルについては、各委員の専用とし、次回以降も使用いたしますので、会議終了後、机上に残していただきますようお願い申し上げます。
 本日のマイクの使い方ですけれども、プッシュと書かれているところを押したままで発言をお願いいたします。
 それでは、議事進行を小澤委員長にお願いいたします。
○小澤委員長 それでは、前回2月4日に引き続きまして、法施行に向けた議論の第4回目となります。よろしくお願いいたします。
 本日は、前回、前々回のヒアリングを踏まえまして、基本方針について本格的な議論を開始したいと思います。
 まず、患者の動向や医療体制についての現状説明を聞いた後に、造血幹細胞の需要と提供の目標について御議論いただきたいと思います。
 それでは、早速、議事次第に従って議事に入りたいと思います。
 最初の議事は、(1)造血幹細胞移植の現状についてです。最初に、事務局に現状の説明を求め、その後、御質問を承りたいと思います。よろしくお願いします。
○間臓器移植対策室長 それでは、私から、お手元の資料2-1から2-5までを一括して御説明申し上げます。
 基本方針には、冒頭、施策の方針の前に現状認識を記載することになると思いますので、現状について、まず概観を知っておく必要があると思いまして、改めて資料を御用意いたしました。
 まず、資料2-1でございます。「造血幹細胞移植を必要とする患者の動向について」ということでございます。
 委員の皆様御案内のように、全ての白血病その他、重篤な血液疾患の患者さんが造血幹細胞移植を必要とするわけではありませんが、そういった移植を必要とするような疾患の患者さんの全体像をできるだけとらまえたいと思っています。ただ、残念ながら、なかなか細かいデータがございませんで、お手元に、今、2-1の一番下のところを見ていただきますと、これは患者調査のほうから、がんの関係を取り出して、その中でも悪性リンパ腫と白血病については取り出されて統計がとられておりますので、これを御用意しております。
 これを見ますと、これは移植が必要かどうかということではなくて、そういう病気にかかった方がどれぐらいいらっしゃるかということですが、2002年から2011年にかけて、悪性リンパ腫の方は9,600人から1万2,800人とかなり大きく増えている一方、白血病の患者さんは6万5,000人から6万9,000人と、こういうような全体状況にございます。
 こうした中で、1枚おめくりいただきたいと存じます。では、果たして、例えば急性骨髄性白血病の場合に、どれぐらいの方が移植を受けられるのかということなわけですけれども、これはJALSGと呼ばれる、まさにこの本日御参画いただいております移植の先生方もほとんど入っておられますし、また、多くの移植病院が、ほとんどの移植病院が参加されているような研究チームでございますけれども、こちらのほうで臨床研究をして、その経過、フォローアップもして、その結果を公表されています。このデータによりますと、直近の研究データによりますと、第一寛解期、寛解導入療法を行って完全寛解になった状態、最初の状態で同種間造血幹細胞移植が行われた例は全体の12.8%であったということであります。しかし、この後、例えば寛解期を経て、再発をして、その後、移植を受けたという方もいらっしゃいますから、これは移植を受けた方全ての数字が12.8%ということではございません。全体ではないという意味でお受けとめいただきたいと思います。
 これは、実は疾患によっても大きく異なっておりまして、次のグラフは、急性骨髄性白血病における移植を受けた患者さんの移植を受けたときの年齢でございますけれども、こう見ていただきますと、移植を受けられた方全体は非常に伸びているということで、特に高齢者、60歳以上の部分が大きく伸びていることがご覧いただけると思います。
 他方、次のページでございます。悪性リンパ腫の場合、先ほどの最初の資料で、悪性リンパ腫の患者さんが非常に増えているということをご覧いただきましたけれども、その移植ということで考えますと、リツキシマブ、新規の治療薬が登場しました結果、まず、そういうような薬でかなり抑えていけるということが、病状が安定するような患者さんが多いと聞いております。そのために、必ずしも悪性リンパ腫の場合には移植が第一選択となるということではないことから、移植自体の総数はそんなには大きく変わっていないというのが現状でございます。
 ところが、全体として移植自体は、特に非血縁の移植は伸びているわけでございますが、これはどういうことによるものなのかというのを要素分解したものが次の資料でございます。移植時年齢別患者数という資料がございます。この下のやや青みがかったものですが、これの左側2つは血縁者間の移植、骨髄の移植と末梢血幹細胞の移植であります。右側の2つは非血縁間の骨髄移植と臍帯血移植を載せたものです。非血縁間の末梢血幹細胞移植はまだ実施例が多くございませんので、ここにはデータとしては載せておりません。
 これで見ていただきますと、明らかに増えておりますのが非血縁間で、特に46歳以上の中高年の方々への移植が大きく伸びているというのが見ていただけると思います。こういう層が移植を受けられるようになってきているということでございます。
 次のページをご覧いただけますでしょうか。こういうような一つの背景になっておりますのは、移植の前処置で、要するに骨髄を破壊するような処置をして真っ白くしてから移植をするのか、それとも完全には非破壊的な方法でやるのかという、大きく移植が進化してきているのが2つあるわけでございますけれども、これで見ますと、血縁間では総数ではそんなに変わっておりませんけれども、非血縁間で見ますと、この下の青い部分、全体に伸びておりますけれども、青い部分も伸びている。骨髄非破壊的な部分が大きく伸びている。こういうような手法が生まれたので移植が伸びているというような傾向が見てとれることがおわかりかと思います。
 それからもう一つ、リスク別というちょっときつい言葉を使っておりますけれども、これまでの医療では比較的治療の困難度の高い患者さんかどうかというので見ますと、これも非血縁間を中心に、今までは難しかった方々にも移植が行えるようになってきた。これも現場のドクターたちの御努力の成果だと思いますけれども、こういうような傾向だと。そうやって、高齢者であり、非破壊的な部分、そして比較的治療の困難度の高い方々、こういう方々に移植が行えるようになったので移植が増えてきているということであります。
 そしてもう一つ、移植成績でございますけれども、これは、非血縁者間の骨髄と臍帯血でございますが、骨髄につきましても、臍帯血につきましても、2001年-2005年と、それから2006年-2010年を比較した場合、1年生存率、5年生存率、全ての項目にわたって向上している、助かるようになってきているということでございます。
 他方、前処置別移植成績につきましても、骨髄破壊的手法につきましてはそんなに大きく変わっていないのですけれども、骨髄非破壊的な移植法につきましては、骨髄の場合も臍帯血の場合も向上しているということがこれでご覧いただけるかと思います。
 こうしたもろもろの治療成績の向上あるいはその適用の拡大といったことを背景に、次の6ページでございますが、患者登録者数の推移とあります。この患者登録者数というのは、残念ながら、それは骨髄移植、末梢血幹細胞移植についてだけ、患者登録という仕組みが現在存在しているものですから、臍帯血の患者は分母に入っておりません。骨髄だけで見たものでございます。こういう移植が必要となる可能性がある患者の主治医が、非血縁者間ドナーを探すために、骨髄移植推進財団に登録する患者登録をされる方も伸びてきているということでございます。
 そして、下のグラフにありますように、骨髄移植につきましても、この年代別で申し上げますと、オレンジ色よりさらに上のところ、もっと言うと紫色のところが多いでしょうか、この辺の年代の層の方への移植が非常に増えているということでございます。臍帯血移植はさらに顕著でございまして、平成15年以降、非常に大きく移植が伸びているという傾向をご覧いただけるかと思います。
 まず、移植の全体の状況につきましては以上でございます。
 続きまして、資料2-2をご覧いただきたいと思います。移植体制についてでございますが、概況でございます。
 まず、非血縁者間では、血縁間でも同じでございますが、骨髄採取が必要でございますけれども、その認定を受けた施設数の推移はご覧のとおりでございます。青につきましては、骨髄でございますが177まで増えておりまして、末梢血は今、宮村先生を初め、チームが、研究班の皆様方が大変御努力いただいておりまして、働きかけをしていただいて、今ここまで来ていると。
 さらに、後ほど、一番最後に御説明しますけれども、平成24年度の予備費で末梢血幹細胞移植の採取施設、認定施設を増やすような施策を打ちましたところ、これだけでもう年度内に10以上の施設が採取施設として上がってくる予定でございまして、今後ともこれを増やしていく必要があるだろうと思っています。
 続きまして、2ページでございますけれども、臍帯血の採取認定施設数でございますが、臍帯血自体は、かなり参加の病院の大変な御苦労をいただきまして、後ほど申し上げますように品質も上がってきておりますけれども、この臍帯血は、大変ありがたいことに、今、足りていないという状況ではございませんので、採取施設そのものは今のところは横ばいというような状況になっています。
 続きまして、移植を行う医療機関が地域別に見た場合にどうなっているかというのが、次の2ページの下のグラフでございます。ご覧のとおり、医療機関そのものは、済みません、ちなみに、青が骨髄の採取と移植を行うところ、赤が末梢血の採取と移植を行うところ、緑色が臍帯血の移植施設ということでございます。これは、全体的には関東、近畿、中部のほうに、医療機関の数が多いということもありますけれども、多くなっているということがご覧いただけます。
 では、これを、参考でございますけれども、人口当たりで、100万人当たりでどうかという数字で割ってみますと、このような状況でございまして、それほど、先ほど見ていただいたほど大きな差はないということがおわかりいただけます。
 しかしながら、次の3ページの下のグラフでございますけれども、専門のドクターの数というものを見ますと、これも先ほどの医療機関と同傾向で、関東、近畿、中部で多いという傾向でございますが、これを人口100万人単位で見てみますとかなり変わってきておりまして、関東地方がかなり、人口比というものでございますけれども、かなり厳しい状況にあるということがご覧いただけるかと思います。
 そして、これをまた骨髄に限った話、残念ながらそういうデータしかとれないわけですけれども、地方別で登録患者数と骨髄移植患者数と見た場合には、東北地方以外は著明な差がないということでございますが、逆に言うと、東北は何でこうなのだろうかということが非常に気になるわけでございます。
 これを少し分解してみましたのが5ページのグラフでございます。これはまた人口100万人単位で、非血縁者間の骨髄採取・骨髄移植件数を比較したものがこちらでございます。これで見ていただきますと、今の東北は、骨髄採取数は多いのですけれども、移植数は少ないということですが、そのすぐ下の、今度は臍帯血のほうを見ていただきますと、東北はそこが非常に多ございまして、足してみると、どちらかというと他の地域と比べて臍帯血移植が盛んに行われているということで、トータル移植ニーズを満たしておられるのかなということが見てとれるわけでございます。
 この臍帯血につきましては、次回、詳しく資料もお出しして御議論いただきたいと思いますけれども、公開済み、これは前回、一番最初の回に御説明いたしましたけれども、この臍帯血移植の場合には、出産、分娩のときにいただいた臍帯血を利用しているわけでございまして、ここも採取病院にいろいろな御苦労をいただいて、良質な臍帯血をいただけますと、特に、横軸が細胞数でございますけれども、右側の細胞数の多い臍帯血は非常に多く利用されているということでございまして、ここをどう増やしていくかと。他方、左側の使われないで残っている臍帯血をどう活用していくのかというのが、また別の回での御議論いただきたい点でございます。
 続きまして、立て続けで恐縮ですが、資料2-3「ドナーコーディネートの状況について」を御説明いたします。
 まず、年齢別ドナー登録者数につきましては、ご覧のとおりでございまして、色の薄いほうが女性です、色の濃い青いのが男性ですけれども、全体として見るとやや女性のほうが若い方に登録いただいていると。20代の方がやや多いかなと。男性は30代から40前後のところがピークになっているというのがおわかりいただけると思います。
 次のページでございます。地方別ドナー登録者数というので見ていただきますと、大体ドングリの背比べなのですけれども、沖縄が突出しているものですから、沖縄だけあえて外しておりますが、沖縄は非常に高いと。これは非常に熱心なボランティアさんがいらっしゃって、日赤と組んでやっておられる効果だと聞いておりますけれども、こういうような、逆に言えば、沖縄を除けばそれほど差はないという状況でございます。
 それから、ドナーコーディネートの流れにつきましては、このとおりでございまして、また次回詳しく御説明したいと思いますが、ここで見ていただきたいのは、グラフの一番左側に初期行程、確認検査行程、ドナー選定行程、採取行程と、各行程に分けてみますと、それぞれ、中央値でございますけれども、こういう日にちがかかっているということでございます。
 後で御説明することにも関係するのですけれども、ざっと申し上げると、まず、主治医の先生が、この方に移植を行うことになるだろうと思ったときにドナー検索をかけます。そのときに、たくさん候補がいらっしゃっても、こういう人たちに声をかけてほしいという候補を挙げるわけですね。それが、中央値で見ますと11人ぐらい挙げておられます。11人の方に、特に優先順位の高いほうから5人ずつぐらいに声をかけていって、「あなたはドナー候補者なのですけれども、受けていただけますか」というようなお伺いを各ドナー候補者にしまして、「オーケー」と返ってきた人が中央値で5人ぐらいです。問診票と受理というのが骨髄バンクの真ん中辺にありますが、ここで5人ぐらいになります。そこから、実際その方の健康状況その他を勘案して、ドナーの確認検査に実際に入れる、あるいは既往歴とかいろいろなことを考えて、ドナー確認検査に入れるのが3人ぐらいでございます。そこから最後、いろいろな検査、判定などをして1人に絞っていくということでございます。
 大体ドナー確認検査ぐらいのこの時点から、もう既に、実は骨髄財団は採取病院と日程調整を始めてはいます。始めてはいますが、そうやって1人始めておりまして、最後、最終同意面談という最終行程の一番最後の最初のところ、ここで1人に絞られるときには、何日がその採取の候補日ですよというのがもう事実上決まっています。その中でドナーの御都合と相談をしながら日程を具体的に決めるということになっております。
 ところが、それをして、かなりそういう努力はしておりますけれども、採取行程は中央値で75日、この2010年時点では75日かかっております。
 その関係の年次推移をお示ししたのが次の3ページでございまして、今申し上げました、最後、ドナーさんがお1人に決まってから実際に採取に至るまでの間というのが、この紫のところで、直近の数字、2012年で申し上げますと77日という状況でございます。
 ただ、これは中央値なので、中央値だけ見てもしようがありませんので、実際どうなのだろうかというのを全部並べたものが次の下のグラフでございます。2012年の最新のものでございます。これで申し上げますと、最短日数は26日でできているケースもあります。他方、最長の場合には321日ということでございます。かなり違うわけですけれども、最短の場合には、やはりドナーの方の御理解あるいは採取病院との調整が非常にうまくいったケースの場合には、これぐらいででき得るということであります。ベストプラクティスであります。
 他方、長いケースは、ほぼどのケースも、患者さんの御都合で延期になって、もうちょっと待ってください、今ちょっと体調が悪くなったのでという形で延びていった結果、このように長くなっていると。全体としては中央値77日と。長いケースもありますので、平均値にしますと81日になっているということでございます。
 続きまして、資料2-4でございますけれども、「移植後の患者やドナーのデータ集積・分析について」でございます。
 これについては、学会を中心に関係者に大変御努力いただいておりまして、移植登録について一元化管理というものをやっておられます。これは、日本造血細胞移植学会あるいは小児血液学会、あるいは骨髄財団あるいは日本臍帯血バンクネットワーク、関係者の御協力によって、大変な御努力によってできているものであります。
 これについては、次のページにありますように、学会のホームページ上でも、どういう結果なのか、どういう病気について、どれぐらい移植が行われていて、生存率はどれぐらいなのかといったデータは公表はされています。公表はされていますが、やはりやや専門家向けということで、一般の方がご覧になるにはなかなかしんどいなというようなところかと思います。
 先般、岡本委員からもこの点については御報告がありましたけれども、100%ではないけれども、大体の移植ケースは把握できていると聞いているところでございます。
 その下の絵は、平成25年度の予算案、これから国会審議されるわけでありますけれども、その中に盛り込んでいる項目として、このデータは非常に有用な、また患者さんにとっても恐らく知りたいデータでもありますので、今までは学会がみずからお金を出してやってこられたわけです、寄附金などを受けながらやっておられたわけですけれども、ここに税金も投入しまして、データのクリーニングとか、それからデータを整理するようなこともきちんとやった上で、その関係研究機関、医療機関あるいは患者相談をされている方々なども、あるいは、もちろん財団などもそうですけれども、そういうところに対してきちんと提供して、最終的に国民の皆さんに届くようにしたいと思っています。そのために税金を投入することを現在検討しいるところでございます。
 最後に、資料2-5でございます。今までは現状の話を、若干踏み込んだことも申し上げましたが、現状の話をいたしましたけれども、今回の法律に基づく大きな改革ということになりますが、その基本的な方向性は何だろうか、何を目指すのだろうかということにつきましては、これは議員立法でございますので、立法者の意思が割と明確に示されております。
 このページにあります下のところをご覧いただきますと、この法律案が提案されたときの提案理由説明の中でこういうことが言われています。いろいろな法律に盛り込まれた規定を、こういうことをやるのですとおっしゃった後で、最後の3行でありますけれども、「これにより、移植を希望する患者の方々にとって、病気の種類や病状に合った最適な移植が行われるとともに生活の質の改善が図られることが期待されます。」と。これを期待して法律をつくったのだということでございますので、こういうことを実現できるように、一歩でも二歩でも実現できるように、この審議会で御議論いただいた基本方針に基づいて、関係機関が協力して進めていかなければいけないと考えているところでございます。
 以上でございます。
○小澤委員長 ありがとうございました。個々のテーマについては、今後、順次議論していくことになりますが、ただいまの御説明に対しまして、委員から御質問等、何かありますでしょうか。いかがでしょうか。膨大なデータを御紹介いただいたわけですけれども、最初のほうでは、移植件数がどんどん増えてきているのは、主に移植年齢が随分上がってきている、高齢の方への移植が随分増えてきているというところでありますし、また、医者は都会にどんどん集まっていっているのかと思っていましたら、人口100万人当たりにすると、意外と関東は少なかったり、これが果たしてどういう意味があるのかどうかちょっとわかりにくいところがありますけれども、いろいろなデータを出していただいております。
 何か確認、質問等、いかがでしょうか。浅野委員。
○浅野委員 今の座長がおっしゃったところも私は非常に疑問なので、ひょっとしてこれは資料の間違いではないかと思うぐらいに2-2の資料の3ページと4ページを比べているのですけれども、人口100万人当たりの移植医療機関数で言うと、北海道と関東はほとんど同じぐらいなのですけれども、次のページの4ページにある専門医の数になると、今お話があったようにこんなに少ない。ということは、関東の場合には、1医療機関に抱えているこういう専門医が、北海道の何分の1かというぐらいになっているということなのですか。これはちょっと信じられないのですが、実際にやっていらっしゃる、御存じの方、これは経験値に合っていますでしょうか。それとも、こうなっている理由は何か考えられるのでしょうか。
○小澤委員長 坂巻委員、印象はどうでしょうか。
○坂巻委員長代理 確かに、関東だけ人口の比率にすると専門医の数は非常に少ないのですが、専門医の数は確かに関東に集まっていますけど、それ以上に関東の人口が非常に多いということなのだろうと思います。ですから、この数字は、確かに関東が人口の割には少ないという印象がありますが、人口で割るとこんなふうになるのかなと思います。
○小澤委員長 どうでしょうか、ほかの委員の方、何か。宮村委員どうですか。
○宮村委員 そうですね、私は東北大学でも造血幹細胞移植に関わっていましたが、やはり東北地方に血液のお医者さんがこれだけ多いということはちょっと意外だったのですが、小児科の先生の血液の専門家などは、東北地方に非常に集まっているのがあらわれているのでしょうか。
○小澤委員長 張替委員どうですか。
○張替委員 実感として東北地方にこれぐらい多いというのは余りないので、ちょっとこのデータを見ても、今の段階では理由はわかりません。関東がこんなに少ないというのもちょっと意外だったので、人口だけで説明できるのかどうか、ちょっとこれは持ち帰って分析したいと思います。
○小澤委員長 間室長、お願いいたします。
○間臓器移植対策室長 座長、すみません。おっしゃるとおり、この血液疾患にかかる割合が、地域によってそう大きな差がないとすればということで、人口100万で割ってみたということでございます。ただ、最終的には、実際に移植の必要な患者さんが受けられるかどうかということがポイントだとすると、その意味では、実は4ページの下のこのグラフのほうが、もう少し意味があるのかもしれないと感じています。要するに、移植体制が、数がどうなのかというのと割合がどうなのかというのをお示ししておきませんと、やはりドクターたちの御苦労もありますので、そこをお示ししたかったわけですけれども、移植が実際必要な方が受けられているのかどうかというのは、この4ページのものが一つ参考になるだろうと思います。
 ただ、この数字が非常に限定的なのは、臍帯血移植を受けられる方々、最初から臍帯血を選択されるような方々は、この分母にも分子にも入ってこないということでございまして、そういう移植を受けられる患者さん全体を把握するという、事前に、移植前に把握するという仕組みになっていないということでございます。
 これもあったものですから、先ほど御説明しましたように、東北もやはり気になり、要素分解してみると、5ページになるわけでございまして、こうすると、骨髄は確かに東北の場合に、特にこういう形になります。これも人口100万当たりですから見方があるかもしれませんが、臍帯血のほうは非常に盛んに行われているということで、それを足し合わせますと、それなりにどこの地域でも行われている面があるかと思います。
○張替委員 4ページの下の縦の数字というのは登録者分の移植患者のパーセンテージで、右側の5ページのほうは臍帯血の絶対数なので、多分同じような評価というのはできないので、参考資料ということで、傾向として、確かに私どものほうの関連病院は臍帯血を早目にやる傾向があるので、臍帯血でカバーしているという傾向は確かにそうだと思うのですけれども、数字で完全にイコールなスケールバーではないので、そこは参考ということだと思います。
○小澤委員長 よろしいですか。実感とはちょっと違うかなという気もしますけれども、ほかのことについては御意見が何かありますでしょうか。
○張替委員 実感としては、後で出るかもしれませんが、骨髄異形成症候群の移植が随分増えているようなところもあるので、そこは組み込まないと、データとしては十分ではないかという気もします。
○小澤委員長 ほかには。次の6ページの臍帯血の数ですけれども、これは結局、細胞数の多いほうをどんどん使ってきますから、残っている臍帯血は細胞数の多いものは非常に少ないという理解でよろしいですね。
○間臓器移植対策室長 そのとおりです。
○小澤委員長 何かほかに。浅野委員。
○浅野委員 それで、ちょっとこのグラフを解析してみて、もう一つ、5ページの100万人当たりの地方別の骨髄採取の件数で言うと、やはり関東が物すごく低いですね。この地域が日本で一番低いですね。それで、一方において、その2ページ前の3ページの医療機関数で言うとそこそこのところに行っているということは、そうすると、関東の骨髄移植とか採取をやりますよと言っている医療機関は、骨髄移植・採取については暇だということですね。件数が1医療機関当たり使われていないということを示しているわけですね。当然ながら、対比していけば。そうですよね。100万人当たり関東ではこれしかやっていない、最低レベルですね。5ページの上の資料で。それで、医療機関数は、3ページの上の資料では、大体平均ぐらい行っているということですから、少なくともほかの地域と比べると、移植医療機関と称している医療機関で扱っているお客様というかそれは、関東は異常に少ないと。1医療機関当たりの。数はあるけれども、1医療機関当たりは、本当に年間数件しかやっていないのかもしれない。だから、北海道とかほかのところは、年間もっと何十件もやっているという、平均でですよ、そういうことというのは実感に合うのですか。何か逆だと思っているのですけれども。
○小澤委員長 間室長。
○間臓器移植対策室長 実際に取り組んでくださっている先生方から御意見をいただきたいところですが、1つこうまとめているものですから、医療機関間の差はかなり大きいと思います。物すごくたくさん採取をやってくださっているような病院もあれば、年間一、二件のところもあると。そういうところをならしてしまうとこういうことになるという面はあるのだと思います。
 それから、血液疾患の治療に取り組んでおられる病院であっても、要するに化学療法なんかをすごく一生懸命やっておられて、全てがその移植を同じようにやっておられるわけでもないというところも恐らく影響しているかと思います。
 ここは、そういう意味では、個々の医療機関の御努力の部分とこの差というのは、捨象されているという点はお許しいただきたいと思います。
○小澤委員長 阪巻委員。
○坂巻委員長代理 確かに、人口で割ってしまうとこのようになるのですが、実際、関東地区の骨髄移植と採取をずっと見ますと、日本で一番多く採取している施設が、ずらっと関東には連なっておりますので、確かに関東の中で非常に多くの採取をやっている病院と少ない病院との差は、とても大きいというのが実態でございます。
 採取が非常に多い病院は、それなりにというか、非常に移植も多い病院ということがございますが、大学病院でも、実際にはほとんど移植をやっていない病院もあったりして、そういうものをならし、医療施設が多いという中で割り算をしてしまうとこういう結果になると思っております。
 確かに、御指摘のように、病院によってのアクティビティーの差というのはとても多くあるというのが現状です。
○小澤委員長 結局、今のお話のように、地方ですと、医療機関の数が少ないので、どこも全て移植まで全部カバーしてやらなくてはいかんと。それに対して、関東地方の場合には医療機関がたくさんあるので、移植をやらないで済んでいるところも結構あるから、ならしてしまうと少なくなってしまうということなのですね。医療機関別の件数が全部出ていますから、移植医療機関に限定すると、関東のほうでも、相当頑張ってやっているということだと思います。
 よろしいでしょうか。
○浅野委員 ちょっとすみません。ここで言っている専門医師数というのがありますね。そこで言う移植にかかわる専門医というのは、どういうお医者さんなのでしょうか。これは、誰かが資格を与えているわけではないですね。事実上ですね。そうするとこれは、統計をとるときに、どうやって数えているのか、この人は専門医、この人は専門医でないと。
○西脇室長補佐 これは、骨髄移植推進財団のほうに移植医として登録されている数を使っています。なので、厳密な意味で、移植学会のほうで専門医制度はまだ発足していませんので、一般に言う学会認定の専門医とかそういうものではありません。
○小澤委員長 どうぞ、野村委員。
○野村委員 質問なのですけれども、今のところの資料の6ページの公開済み臍帯血の細胞分布と利用率で、先ほど細胞数が少ないと使われていないのが現状だとおっしゃっていて、そのものについての有効利用もこれからというようなお話だったのですけれども、ちょっとわからないので教えてもらいたいのですが、その場合、要は、臍帯血というものは、とられた元というのですか、そのデータがたどれるように、全てが100%もちろんなっているかと理解しているのですが、その情報は均一にデータ管理されているのかということと、あと、こういうものは臍帯血移植と、その他の有効利用、臨床研究とかそういうものになるのかわからないのですが、例えば何十年保管されていても、それは大丈夫なものなのかどうか、何か問題が起きているのかどうか、課題があるのかどうかについて教えてください。
○小澤委員長 間室長。
○間臓器移植対策室長 これはまた別にいずれ詳しく御議論いただきたいところではありますが、今日のところで御説明しますと、まず、保存の期間につきましては10年という形になっておりまして、10年経過すると、廃棄をしたり、あるいは、少なくとも公開はしない、つまり移植には使わないという扱いを各バンクではされています。
 それから、個人情報の扱いにつきましては、これは連結可能といいますか、そもそもいただいているわけですので、そのときの採取時の連絡先というものは保有していると。ですから、例えば里帰り出産されていたりすると、場合によっては、御実家のほうの連絡先などがわかっているということであります。
 利用の用途につきましては、移植のほかに、臨床研究に使う場合もありますし、臍帯血バンク内でバリデーションに使う場合もありますし、それから、非臨床の研究、再生医療なんかの研究などに、例えば理化学研究所のバイオリサーチセンターのほうに提供するというようなことがあります。そういう場合には、個人情報を消して提供するということを、非臨床の場合ですね、連結不可能な形で提供するということが実際に行われています。
 実際に、どの研究に対してどういう臍帯血を出すかということに関しましては、各バンクで現状は御判断いただいていると。この法律のもとでは、省令に沿って提供、つまり厚生労働省令に沿って、つまりこの審議会での御議論も踏まえてルール化していくということを検討しているところでございます。
○小澤委員長 よろしいですか。
 そうすると、次のドナーコーディネートのところは、また、次回がメーンの議論する場になりますので、ちょっと次に行って、データセンターのほうへ。この辺、ホームページにも公開されていて、もちろん学会員等はよく見ているわけですけれども、患者の立場から見ていかがでしょうか。鎌田委員、何か御意見ありますか。
○鎌田委員 前回も話に出ましたが、データがやはり集約されるということは非常に大きな意義があると思います。この学会向けというのは、内容が専門的であるという意味で学会向けということですか。
○小澤委員長 内容が難しいので、今後、患者向けに、要するに二本立てみたいな、医者向けのものをつくるのと同時に、患者向けのものもわかりやすいものをつくってほしいとか、何かいろいろありましたら。
○鎌田委員 いろいろな情報を知りたい患者さんがアクセスしやすく、また理解しやすい形で提供がされていくようになれば非常にありがたいことだと思いますし、まずは、そのデータが一元化されることの意義はとても大きいものだと感じています。
 ところで、今のお話の中ですべき話なのかわからないですが、データの一元化等に関連することかと思うので質問したいのですけれども。骨髄バンクを通したものに関しては、その検体も保存されているので、HLAを調べるのとかも、その時代に応じてより一層詳しく後から調べて、そのデータと照らし合わせてということが行えるけれども、臍帯血に関しては、検体の保存というものが、やはり骨髄バンクのように必ずされているわけではないので、そういった解析とかというのがなかなかできないという話をお聞きしたのですけれども。
○小澤委員長 どうですか、回答は。
○間臓器移植対策室長 そこは、正確なところはもう一回調べたいと思いますが、私の認識では、臍帯血のバックでも、本体に使うもののほかに、少し分けて区分して、チェック用に使えるような部分があって、臍帯血もそういう部分は保管しているということだったと記憶しています。
 ただ、それが全部でない可能性があるのかどうか、そこはちょっと調べた上で、また御報告をしたいと思います。
○小澤委員長 張替委員、何かコメントがありますか。
○張替委員 臍帯血に関しては、恐らくその検体は保存してあると思います。
○鎌田委員 そういったHLAとかの、後になってからより詳細な分析ができることも非常に意義があるので、骨随バンクはそれがきちんとできていることの意義の大きさというものを伺ったことがありましたので、そういったことについても、例えば臍帯血バンクの場合は、ネットワークですし、費用面を含めいろいろな負担というものが、また事情が違うのだと思いますが、こうした法律ができたことによって、そういったデータを集約したり、検体を保存したりとか、いろいろな面で今までかかっていた個々の負担というものが軽減されて、より一層データの集約等がしやすくなっていくと、患者にとってもよりありがたいなとは思いました。
○小澤委員長 それでは、大分時間が押しておりますが。
○浅野委員 ちょっとその前に、今のことで気になるのですけれども、今の登録支援事業で、ドナーさんの情報の登録という中に、ドナーさんのHLAの型とか、こういうものまで登録するということは、これはここから出てくるのですか。それは違うのでしょう。
○鎌田委員 すみません、私が勘違いしていたかもしれません。
○浅野委員 いや、そこはちょっと、ここはそうではないですね。
○間臓器移植対策室長 現在の仕組みに関して申し上げれば、ドナーさんの、どういうHLAの型から頂戴した骨髄なのかとか、臍帯血なのかという情報は保管されています。学会として一元的に管理されています。
 つまりどういうHLA、例えば臍帯血の場合ですと、完全にそのHLAの型が合っていなくても、一部ミスマッチがあっても移植は行えるわけでございますので、そうすると、こういうHLAの患者さんがいらっしゃいます、こういう臍帯血、一部ミスマッチかもしれませんけれども、移植を行いましたと。その場合、結果、移植成績がどうなりましたか、その後の経過はどうですかということを追うこと自身が、非常に意味があるということだと思います。そのためにHLAの情報は保有されています。
○浅野委員 非常に細かいことですけれども、骨髄移植の場合のHLAの型というのは、私の場合にも4座掛ける2で8座がぴったり合っていたと。そもそもそこまでしか調べないですね。登録のときには、移植で大事な、マッチングすることが必要だという4座についての情報だけが登録されているのではないのですか。さらにもっと広く、つまり、今はもうこれでいいと言っているのですけれども、ひょっとして、ほかのところの合致具合というものが移植の成績に大きな影響があるということは、まだ今の段階では解明されていないわけですね。だから、ここで登録されているというのは、確認ですけれども、多分その重要な4座の型だけですよねということです。
○間臓器移植対策室長 A、B、C、DRのものが基本的に登録されています。アメリカの場合にはもっと、8つではなくて10とかというものがあるので、今後の研究として、これからもっと登録をしていこうというようなことはあり得るだろうとは思っています。
 ちなみに、C座も以前は登録されておりませんでしたけれども、C座が移植に関係するということがわかったので、それも検体保存事業、まさに検体を保存していたからこそ追えて、確認ができたという面がございますので、今、鎌田委員がおっしゃったような、さかのぼって確認できるというのは非常に重要かと思っています。
○浅野委員 それは、単なる検体の保存の話ですね。今の話は。
○間臓器移植対策室長 はい。登録しているのは基本的にA、B、C、DR。
○浅野委員 登録しているのはその4座だけですね。
○間臓器移植対策室長 はい。
○宮村委員 今、室長がおっしゃったことと基本的に同じなのですけれども、現在DQ、DPあたりの成績も少し違ってくるのではないかということが厚生労働省の研究班の中でも出てきますし、今後さらに10座合わせていくとか、そういった方向に行って、より安全な移植をやる方向にはなっていく。そういった意味で、過去の保存している検体で検査をしていくということが大事であり、検体の保存をしています。それで、臍帯血についても、骨髄バンクと同じようなことが研究班のほうで開始されております。
○小澤委員長 よろしいですか。それでは、次の議題、(2)の造血幹細胞移植の需要と提供の目標についてに移りたいと思います。
 本日は、骨髄、末梢血幹細胞移植を中心に議論を進め、臍帯血移植については次回に議論したいと思います。
 まず、資料について事務局より説明してもらいます。その後、これまでの議論を踏まえて事務局に論点をまとめてもらっていますので、あわせて説明をしてもらいます。よろしくお願いします。
○西脇室長補佐 それでは、資料3-1、3-2について合わせて御説明いたします。
 まず、資料3-1です。1枚目の一番下の図ですが、これは非血縁者間移植の年次推移です。右肩上がりで増加していることがわかります。年齢別に見てみますと、増加の主な原因は56歳以上の高齢者で、以前は移植の対象年齢とされていなかった年代の増加によるものと考えられます。
 次のページを見てみますと、先ほど張替委員からもお話がありましたけれども、疾患による造血幹細胞移植件数の違いです。疾患によって移植件数の推移は異なっています。左側は骨髄異形症候群の移植件数ですが、高齢化により疾患の増加などの影響のため、移植件数は大幅な増加が見られています。一方、右側は慢性骨髄性白血病の移植件数ですが、新規治療薬の登場により病状安定が得られるようになったため、移植件数は減少しています。
 非血縁者間造血幹細胞移植の需要に影響を及ぼす要素をまとめたものが、その下の資料ですけれども、増加の要素として、高齢化に伴う骨髄異形成症候群などの患者の増加、骨髄非破壊的前処置の進歩による移植年齢の引き上げ、また、少子化によるHLA一致血縁者が見つかる確率の低下や新規治療薬不応性となる患者の増加の可能性などが考えられます。
 一方、需要減少の要素として、少子化による若年患者の減少、新規薬剤の開発等による疾患の治癒率、安定化率の増加などが挙げられます。
 次に、移植の総需要について考えてみますが、先ほど述べましたように、需要増加の要素と減少の要素があり、また、移植適応は時代によっても変化するため予測は難しいですが、高齢者に対する移植技術の進歩などもあり、基本的には高齢者の増加に比例して、当面は造血幹細胞移植を必要とする患者は増加するのではないかと思われます。
 一方、移植ソース別の需要については、現状ではソースごとの需要予測は難しいと思いますので、骨髄移植と末梢血幹細胞移植を合わせて現状の移植シェアは必要と見込まれ、そのためにはドナーの確保が必要ではないかと考えます。
 また、臍帯血移植については、現状のシェアのほか、骨髄移植や末梢血幹細胞移植のバックアップという側面も考えると、総需要を満たし得る程度の臍帯血のストックは必要と見込むのが望ましいのではないかと考えられます。
 下の図は、今後の人口動態の予測を示したものですけれども、今後、高齢化が進んでいくことが予想されます。
 次のページに行っていただきますと、この影響を受けて、同種移植の数がどのように推移するかということを粗い推計で示したもので、上の図は55歳から74歳の同種移植数について粗い推計をしたものです。技術の進歩等により、現在よりも高齢者の移植数が多くなるであろうという仮定に基づいています。年齢を5歳ごとに区切りまして、各年代の移植数が2010年時点での55から59歳の人口100万人当たりの移植数に近づいて増えていくという仮定のもと、推計人口を考慮して移植数を推計したものです。
 65歳から69歳及び70歳から74歳の移植数は増加し、55歳から74歳の移植数が増加していくと予想されます。
 下の図は、若年者も含めて粗い推計をしたものですけれども、0歳から54歳の若年人口の減少の影響で、この年代での移植数は減少すると考えられますが、全体で見てみますと、移植数は当面は緩やかな増加傾向になると見込まれます。
 続いて、資料3-2について御説明いたします。「非血縁者間造血幹細胞の提供の目標とドナーリクルートについて」です。
 下の図はドナー登録者数の推移を示したものです。ドナー登録者総数は年々増加しています。赤いバーで示してありますのは、登録留保及び20歳未満のドナーを除いた有効ドナー登録者数です。骨髄移植推進財団では、ドナー登録をしていただいた方に年2回、骨髄バンクニュースを送っていますが、住所変更等によりこれが届かなくなり、連絡がとれなくなってしまった方や、御自身からの申し出によりドナー候補に上がらない状態になっている場合を登録保留としています。コーディネートの開始に至らない方を除いた段階で約35万人と、登録者総数からおよそ2割弱減少します。
 次のページの上の図は年齢別のドナー登録者数を示したものです。上が2003年12月末、下が2012年12月末です。2003年には30代にピークがありますが、2012年にはピークは40代となっており、ドナー登録者数の年代も全体的に高くなっている傾向がわかります。
 下の図は、ドナー登録者数を年齢別に示したものです。左側が男性、右側が女性で、総登録者総数はほぼ同等で、いずれも30代、40代が約7割を占めています。
 次のページの上の図は、これに対して実際の提供者数を年代別に示したものです。総数では男性が多く、中でも30代が44%と最も多い割合を占めています。前のグラフと比較しますと、相対的に20代のシェアが高まっています。
 下の図は、これは実際に提供した人がドナー登録したときの年齢を見たものです。男女ともに20代が最も多く、若い時期に登録をしていただいていることがわかります。
 次のページの上のグラフは、HLAの適合率と各年の新規登録者数と移植患者数の比率を示したものです。初回登録時に95.1%の確率でHLA適合ドナーが1人以上見つかっています。ここで言う適合とは、血清レベルでHLAのA、B、DRの6抗原が適合している者を言っています。
 一方、ある年の新規登録患者数とその年の移植患者数の比率は55.7%となっています。これは単純に適合率を比較できるものではなく、その年の登録患者が実際に骨髄移植に至った率ではありませんし、臍帯血移植を受けた患者も含まれていません。傾向としてご覧ください。
 正確に把握しようとすれば、臍帯血移植を希望する患者も含めて患者数全体を把握し、移植を適切に受けられたかどうか追跡する仕組みが必要となります。
 下の図は、先ほどのコーディネートの流れのところでも説明がありましたが、ドナーコーディネートの実際の流れを示したものです。各行程で何人のドナーコーディネートが行われているかということですけれども、主治医からのコーディネートの依頼があったドナー人数の中央値が11名、そのうち、それぞれの地区でコーディネートが開始された人数が5人、確認検査が実施された数が3人、そのうちから1人のドナーが提供ドナーとして最終的に選択されています。
 次の図は、それでは、そのドナーコーディネートの終了別の理由を示したものです。1つ前の図で言いますと、コーディネートが開始される前に終了となる場合で、11人から5人となっている段階に当たります。2011年度には2万5,307件のコーディネートが開始され、そのうち1万4,775件が初期段階で終了となっています。15%が患者理由で、その中には、状態が安定して当面移植は必要なくなった例や、逆に状態が悪化してしまった例などが含まれます。残りの85%はドナー理由による終了で、そのうち37%は健康理由によるものです。その中では、疾患の治療中というのが40%で最も多くなっています。
 ドナー理由終了のうち63%は健康理由以外による終了で、「都合がつかない」という理由が46%、3,651人、「連絡がとれない」という理由が30%、2,334人と最も多くなっており、「家族の同意が得られない」という例も12%、972人に見られています。
 下の棒グラフは年代別のコーディネートの内訳を示したものです。ドナー年齢が上がるにつれて健康理由による終了が多くなっており、逆に、若年者ほど、都合がつかないなど、その他の理由が多くなっていることがわかります。
 次のページの上は、骨髄バンクのドナー登録時に登録されている情報ですが、ここに上げてありますように、氏名、年齢、性別、住所、電話番号、Eメールアドレスなどの連絡先というように、コーディネートに必要な情報に限られています。
 最後に、これまでの御議論を踏まえまして代表的な論点をまとめたものが、一番最後の「非血縁者提供の目標とドナーリクルートの方向性について」という題になっている最後のものです。
 ドナー登録者数の目標についてどう考えるか。登録ドナーが提供に応じていただける割合を増やすことについてどう考えるか。また、ドナーとなる意思を持ち続けている方にできるだけ長い期間登録していただくことが望ましいのではないか。ドイツなどのようにドナーの新規登録時年齢の上限を制限することについて、我が国ではどう考えるか。登録は広く受け付けるが、ドナーリクルートを積極的に行う対象を絞り込むことについてどう考えるか。さらに、連絡の維持やドナーリテンションのために、電子メールの活用のほか、どのようなことが効果的か。ドナーの御家族への働きかけについてどう考えるか。こういったことについて御議論を深めていただければと思います。
 以上です。
○小澤委員長 ありがとうございました。今の御説明から見ますと、高齢者の移植がどんどん増えてきているのですね。そうすると、やはり移植そのものも大分難しくなってきていますから、移植の負担は、質の面でもかなり増してきているかなという感じはします。それでは、ここでは、最後にまとめてやりますけれども、上の2つ、この非血縁者造血幹細胞の提供の目標とドナーリクルートの方向性について御議論いただきたいと思います。
 まず、上の2つ、ドナー登録者数の目標についてどのように考えるのか、それから、2番目の、登録ドナーが提供に応じていただける割合を増やすことについてどう考えるのか。この辺について委員の皆さんから御意見を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。梅田委員。
○梅田委員 ドナーの目標についてですが、私が今までドナー登録会や他の経験も踏まえながらですが、今42万人の登録者がいるのですが、先ほどの保留他の7万人を除いてしまうと35万人になります。この35万人全員にドナーリクルートをやったとすると、半分ぐらいがまた落っこちてしまうのかなという印象を持っています。そうするとさらに減って、18万人ぐらいになります。この18万人をある意味ではベースに考えていかざるを得ないのかなと思っております。
 一方、献血併行登録会または献血ルームでドナー登録される方が、今はほとんどで年間約4万人の登録があるのですけれども、ルームでは39%ぐらい、それから献血バス、これは献血併行がほとんどですけれども、これが57%ぐらいだと思います。ルームを調べると120カ所ぐらいあります。それから、献血バスは、1日130台ぐらい稼働していると伺っています。バスの稼働を月20日と見ると、1日1人、ルームとかまたはバスでリクルートできると、ここだけで月約5,000人は登録できるのではなかろうかと思います。そうすると、12倍して1年では6万人ぐらい、数字になってくるのではなかろうかと思います。
 この6万人にも日赤さんの協力が必要です。一方各自治体にはいろいろな協議会ができていると思います。私は千葉県なのですけれども、千葉県には骨髄移植推進協議会というものがります。千葉県の場合は、日赤さんと県とボランティアが良好な関係にあり、協議会は有効に動いているのですが、他県では有名無実になっているところも多いやに聞いております。そういうところでは、県のほうの指導をさらに強化いただいて、日赤さんにはルーム等々での登録をもっと増やすような形にして、これはあくまでも私見ですけれども単年度6万人、3年で18万人ぐらいの目標があるといいと思います。その中で有効なドナーを増やしていかなければいけないので、登録のところでの、説明をうまくやるような方法とか、または、献血手帳にこの方はドナー登録されていますよという記載を入れるようなこともいいのではないかと思います。
 登録会では、我々ボランティアは献血の募集、要するに「献血をやってください」と呼びかけて、日赤さんは受付のところで「ドナー登録いかがですか」と声をかけるのが一番有効的だというのがわかっています。ただし、最近は、「いや、もうやっていますよ」とか、結構「うるさい」と言う方もおられるということで、日赤さん自体がそういう声がけを嫌がる傾向があるのですね。そのときには、献血の手帳に、もうドナー登録していますというのがわかる様に記載がしてあれば、声がけられて、有効的な登録会ができると思います。
 それで、一方では、ドナー登録されているのだなというのがわかれば、その方に、住所変更等々があったときは連絡してくださいというようなことにも使えるかなと思います。ちょっと長くなってしまいましたけれども、私は、目標としては、ある程度数字を出して、年間6万人ぐらいがいいのではないかと思っております。
○小澤委員長 これまでも梅田委員にはこの日赤の献血ルームを利用して何とか登録者を増やしたらどうかという御意見をいただいております。この目標を設定するということについては多ければ多いほどいいかと思いますけれども、現実的な数値というものをどのように決めるのか難しいところもあるかもしれません。ほかの委員の方で何か御意見ありませんでしょうか。宮村委員。
○宮村委員 財団の骨髄バンクのほうで95%の患者さんについて、6分の6の、当時の適当なドナーがいる人を見るので30万人というまず目標で、それは五、六年前に達成したと思うのですが、その後の目標というものは、現在、数値目標はないということですが、これを見ますと、ドナー2万5,000人のうち約1万5,000人が終了しているということから見ますと、その分の2.5倍ぐらいを目標にドナーをリクルートしていくことが1つかなと思います。なによりドナーを集めていくという事業は、お互いを助けていくという気持ちを広げていく大事な事業と思います。
 それからもう一点、やはり家族の同意のところを最初のこの問診の中で、「あなたの御家族も賛成してくれそうですか」というようなところで、ちょっと本人にも考えてもらうということで、そういうことを入れていったらどうかと思います。
 それから、厚生労働省のほうに質問なのですが、例えば愛知県だと、各保健所あるいは県庁の保健課の方たちが非常に熱心にやってくれているのですが、話を聞くと、県によっては温度差があるということですけれども、実際には、厚生労働省から各県のほうにはどのような通達というか協力要請がなされているか、それを教えてください。
○間臓器移植対策室長 今の最後の点についてですけれども、先ほど協議会の話が、活発なところとそうでないところがあるということもあるのですけれども、昨年の2月に行われました全国の健康担当課長会議におきましても、私のほうから、まさにそういう関係機関との協力づくり、単に会うというよりも、関心を持ってコミットメントしてほしいというようなことを各都道府県、各自治体に対して要請しております。
 ただ、実際調査して、協議会があるところとないところで登録の成果に差があるのかどうかというのを調べてみたのですけれども、そこは、実は協議会があるかどうかは必ずしもリンクしないとなっていまして、それがなくても、やはり県が気にしています、一緒にやりましょうというような姿勢を持っておられるところは、やはりかなり活発に登録がなされているという受けとめをしているところでございます。
○小澤委員長 宮村委員からは、具体的な数値目標と、それから登録ドナーが提供に応じていただける割合を増やす対策みたいなお話を少しいただきましたけれども、家族の了承をうまく得られるかどうかですね。
 ほかには何か、実際に提供に応じてくれる割合を高めるためにどんなことを考えたらいいのかとか、御意見はいかがでしょうか。梅田委員。
○梅田委員 やはり、これは広報が一番重要なのだろうと思うんですね。日本広告機構が一時いろいろな宣伝をやっていたときに非常にドナー登録者数は高くて、宣伝が休止になったときには、かなり下がった実例があります。この減少を見ますと、今、日本広告機構が再び宣伝やっていただいているところをうまく利用しながら、さらに広告を強化するといいと思います。
 その中で、特に若い人ほど、登録期間が長くていいということですから、若い人を狙ったようなうまいキャンペーンができたらいいなと思います。それから、家族の反対があってだめになってしまうということの対策として、家族へ適切な情報を伝えるのは、いろいろな媒体を考えても、テレビが一番効果があると思います。だから、あるキャンペーンシリーズで、若者向けのほかに、家族向けのテーマをやるのが、私は一番効果があるのではないかと思います。
○小澤委員長 いかがでしょうか。では、野村委員。
○野村委員 全国の日赤さんでやられていることかとは思うのですけれども、愛知県で前に取材した日赤さんは、それは献血に関してですけれども、日赤がある場所はとても田舎なのですけれども、逆に、田舎なので大学が近くにいっぱいあるところで、そこを開放していて、日赤内学生サークルみたいなものができていて、取り込みながら、学祭なんかでそういうイベントをやってもらうと、学生さんたちとの協力関係を幾つかの大学と持っていたのですね。
 後半部分につながると思うのですけれども、やはり若い人のほうが成績がいいということを考えると、そういう形で、自主的な関心を持って、そこで学生たちが自分たちでほかにコーデを広めてもらうというような形の取り組みも、皆さんやっていらっしゃると思うのですけれども、あるかなと思いました。
 あと、ごめんなさい、法律の規定自体がどこまでうまく踏み込めるかわからない、いわゆる基本理念のところの5というところにある「移植に用いる骨髄又は移植に用いる末梢血幹細胞を提供する者の健康の保護が十分に図られること」というこの規定が、どこまで実際とりたいという方の、会社の休みとか、有休とか、そのところにこの法律の規定ができることが踏み込めるのかなというのがちょっと、やはり法律のその規定があれば役所は動けるみたいなところがあるかと思っていて、それがどのぐらい生かせるのかなというのがちょっと、どうなのでしょうかというのがあります。
○小澤委員長 その辺は事務方から何かありますか。
○間臓器移植対策室長 今おっしゃっていただいた法律の規定から直ちにというのは、正直なかなか難しいかと思います。ただ、先ほど見ていただきましたように、資料3-2の5ページの上のところにありますように、こういう最終的に健康理由以外で断られた、コーディネートが中止になった理由の一番大きいものは、「都合つかず」というのがございます。こういうものを考えますと、例えばドナー休暇がどのように普及するのかといったようなことも、これまで以上に考えていく必要があるかとは考えています。
 何か法律家が直接というのはなかなか難しいかもしれませんけれども、この確実に、今まで以上に提供に応じていただける方を増やしていくために何が必要かということを御議論いただければ、それに沿った対応を、できる限りのことはしたいと思っています。
○小澤委員長 ほかに。鎌田委員。
○鎌田委員 私は、個人的にはドナー登録者数の目標というのは、当初、骨髄バンクができたころから考えれば、10万人、30万人という目標が達成されてきたことは本当にすばらしいことだったと思いますし、今42万人に至ったということは非常にすばらしいことだと思うのですけれども、今現在、どれくらいの割合で患者さんに合うかとかといった適合率の観点からの、では、「次は何十万人」ということには、余りもうこの後はそれほど意味がないのではないかと思っていたのですけれども、先ほどおっしゃっていたみたいに、抜けていく人の人数を考えると、今の全体の割合を維持するためのドナーリクルート、新しいリクルートはもちろん大事なことだと思います。
 だから、具体的な数字の目標設定はともかく、全体をこれからも増やしていくことが大事なのはもちろんだと思います。さらに、やはり私のいろいろな患者さんと一緒にいた実感からしても、より一層、今は本当に登録ドナーが提供に応じていただける割合を増やすというところの重要性というのを強く感じています。本日出していただいた資料にもありますが、ドナー理由終了のうち、健康上の理由というのはもちろんどうしようもないことで、私は慎重過ぎるぐらいでもいいと思います。ドナーさんには万が一のことがあってはいけないですし、因果関係が必ずしもなくても、提供したせいで悪くなったという印象があったりしたら、それはよくないことだと思うので。
 ただ、そういった健康理由は仕方がないとしても、それ以外の事情の中で、例えば都合がつかないという言葉一つにしてもいろいろなものがあると思いますが、生活上、もちろん過度な犠牲を強いるのもよくないと思いますし、本当に仕事上どうしようもないという場合もあるでしょうし、家庭生活上、いろいろ事情はあると思うのですけれども、そういった中でも、ちょっと大変だけれども、都合をつければつけられるという場合もあるのではないかと思います。そういった中で、やはり自分が提供するということにどれくらいの意味があるかということを、登録した段階では多分いろいろなきっかけがあって登録したとしても、そのモチベーションを維持するというか、そういった機会を維持し続けるということも、実際の提供に至るまでの過程では大事なのだろうと思います。また、連絡がとれなくなるとか、そういったことというのは、うまく工夫をすれば避けられることだと思いますので、そういった方法などを個別具体的に対策を考えていく必要があるし、その対策を考えていけば、こういう理由で提供に至らなくなってしまうというのは避けられるのではないかと思います。
 若い方に対する、先ほどおっしゃっていたみたいなイベントですとか、いろいろな形での働きかけというものも大事だと思います。例えば、メールアドレスは登録されているわけですね。そういったものをきちんと活用できたらよいと思います。例えば、紙媒体での情報提供というのも私は大事だと思っているのですけれども、いろいろな形での情報提供というものがあったほうがよりいいと思いますので、メールの活用もした方が良いと思います。最初にそういう体制をつくるのはもしかしたら大変かもしれませんが、例えばメルマガのような形で定期的に情報を提供するということも、一度その体制が組めれば、割と継続して容易にできることなのではないかと思うので、一般的に若い人も含めて、いろいろな人が、いろいろな形で常に移植の必要性ですとか、自分がドナーとして登録していることの意義とかを感じる機会を提供することが有効なのではないかと思いますし、提供に応じていただける割合を増やすことに力を入れていただけたらと思います。
○小澤委員長 その辺は最後のほうでもまた少し議論になりますけれども、ほかには何か御意見ありますか。坂巻委員。
○坂巻委員長代理 私は梅田委員と同様に、やはり広報がとても重要だと思います。目標30万人を超えても、その後も増え続けているのですが、その増加の傾向を見ますと、ACの宣伝効果というものが明らかに出ていると思います。ですから、今後もそういう広報活動を続けるのと同時に、やはりいかに若い人をリクルートするか。その若い人のその後を見てみると、男性の場合は、やはり就職してしばらくの間がなかなか難しいとか、それから、女性の場合は、子育ての期間でどうしても減ってしまうという、ライフスタイルの中でどうしようもないところがあるのですが、ただ、男性の場合は、やはりドナー提供のための休暇というものがもうちょっと普及すると、少しいいのかなとは思います。
 それから、やはり広報の一つは、テレビで行う、それも、梅田委員のおっしゃるように、家族に向けての内容もあると、ただ「ドナーになってください」ではなくて、そういうものもあるのが私もいいなと思います。それから、いろいろな意味での連絡を常にとり続けるという意味では、私も、今、全部メールアドレス、全部ではないかもしれませんが、メールアドレスを書くところがあるのが、現在余り使われていないと聞いていますので、そういうものも活用するのがいいのではないかと私は思っております。
 数値目標については、なかなかこれは、目標があると、そこに向けての数だけ頑張るというよりは、現時点でも確実に伸びていて、それはかなり広報の部分があるというと、必ずしもその数値目標を設けなくても行けるかなと個人的には思っています。
○小澤委員長 ほかにはよろしいですか。では、浅野委員。
○浅野委員 私からは大きく2点申し上げたいと思いますけれども、まず、リクルート、どちらもそうですけれども、広報というのは確かに有効なのですけれども、もう一つ、ピンポイントの方法があると思うのですね。狙い撃ちをしてやると。それは、例えば職種で言うと、自衛官とか警察とかというのは、こういうものに乗りやすいのではないかと思うのです。消防士。そういうふうに、人命ということに関わる人たちというのは、こういう形でというのがすっと入っていけるかなと思って、そういうところに少しピンポイントするということ。広く、司法研修所に行ってこういうことをやるということもいいかもしれません。
 それから、大学生がちょうど若いからいいのですけれども、例えば看護学部とか、医学部はもちろんですけれども、それから福祉専門学校なんかというところにピンポイントでビラを配る、チラシを配るだけではなくて、行って、話して、映画でも見せて、時間をとってもらえるかどうかわかりませんけれども、そういうふうに押しかけて行ってみたいな形でやるのがいいのではないかと思います。
 それから、例えば企業の入社式でこれをやると。さらに、企業の中に入り込んでいって、これは企業のCSR、企業福祉活動の社会貢献活動の一環としてそこでやるというのと、それから、登録者数がすごく多いところを表彰すると。誰が表彰するかわかりませんけれども、たまたま私は、日本フィランソロピー協会というところの会長をやっていますから、そういうところでやっていって、そういうインセンティブみたいなものを与える。
 多分、会社としても、それは、社員のある意味でのやる気を引き出すのに、「おっ、登録した、登録した」、こういうことでいいのではないか。だから、どこか会社の入社式に紛れ込む、紛れ込んでというか、前もって時間をくれませんかと。
 同じことで言えば、自治体の入庁式というものがあります。県庁なんかだと毎年100人ぐらい入ってくるわけですね。大きな市でもそのぐらい入ってくるわけですから、そういう諸君に言うと。これは、むしろこの法律を見ると、10条に、国及び地方公共団体は、こういうことを国民の理解を深めるよう、必要な施策を講ずるものとする。まず隗より、足元ですね。地方公共団体が一般にというのではなくて、自分のところの職員にやれよと言うのは、法律も期待しているのではないかと思っています。ちなみに、学園祭なんかでやるというのは余り聞かないと思います。やはりまじめなところで、しっかりしたところでやって、働きかけるということが必要だろうと思います。
 2番目、全然違うことを申し上げますけれども、私の患者の経験、コーディネーターの人から聞いたのですけれども、ドナーさんが骨髄液を提供して終わって、「はい、とれましたよ」と言うと、多くの方が「ありがとうございました」と言うのだそうです。ということは、実は、ドナーさんになるというのは、もちろんこちら患者からすると、してもらう、ドナーさんからしてあげると言いながら、実はそれは自分にとっても大変に有意義なことだということで、極端に言えば、人生が変わると。それはそうですよね、たった一人でも、命を救うということを直接的に感じられるわけですから。そういう経験というのは誰しもできるわけではなくて、これは、ある意味、ドナーになって、提供できたということの特権だと思います。そういう意味では、ドナーになるというのを義務ベースとは言わないけれども、ある意味、権利ベースで、「ドナーにしてあげるよ」ということをむしろ言うと。
 それで、ここからちょっと極端になるのですけれども、まじめに言っているつもりです。少年院でリクルートしたらいいのではないかと。少年院だと、年齢上、まだ二十になっていないわけですから、ただ、そこでちょっと行って、それを頭に入れておいて、少年院を出て、二十になったら登録しようと。半分でいいんです、3分の1でいいんです、ちょっと思ってもらおうと。
 さらには、そこから延ばして、受刑者はどうだろうかと。受刑者。刑務所に乗り込んで行って、どうしようもないのもいるかもしれませんけれども、罪を悔い改めて、今度しゃばに出たら何かまともなことをやりたい。ここにもあるよということもいいのではないかと。
 これはちょっと余りにもワイルドだけれども、死刑囚、自分が誰かをあやめた。自分もそれで死刑になっていく。死ぬ前に1回、誰か一人の命を救いたいと。これはすごくドラマにもなるシーンだけれども、いつ死刑執行されるかわかりませんからね。昨日3人ぐらいやられたわけですから、これは多分だめだと思いますが、受刑者ぐらいはいいのではないか。
 これは、何を言うかというと、ドナーになることによってその人の人生が変わるということなんですね。だから、この事業というのは、もちろん直接的には、ドナーになって、骨髄液で私みたいな患者を助けるということもありますけれども、ドナーさんの人生を変えると。一番変えられる人は、例えば非行をした人とか、引きこもりになって、俺なんか何の役にも立たないと思っている人に、こういうのがあるよと言って、10分の1でもそれに引っかかってくればというか、もちろん数も増えるからいいのですけれども、これがある意味、社会事業と、むしろドナーに登録させるということが、ドナーになってもらうということが、そういうこともちょっと考えたいと思っております。
○小澤委員長 ありがとうございました。
 梅田委員。
○梅田委員 ちょうど今おっしゃっていただいた、1人の命を救うというのは、私も2歳半の男の子に骨髄を差し上げて、親御さんから手紙をいただきました。ベッドの上でもうぴょんぴょん跳ねて元気になったとありました。物すごく感激しました。やはり1人の命を救える機会というのはまずないからですね。
○浅野委員 人生変わりましたか。
○梅田委員 やはり変わりますね。
○浅野委員 真人間になった。
○梅田委員 やはり考え方が変わります。結構同じような考えのドナーさんは多いですね。
 それから、先ほど、消防署ですとか自衛隊という御意見がありましたが、千葉でも大分やらせていただいています。この中で、特に消防学校では65人が献血をやったんですが、このうち63人がドナーになっていただいた、こういう経験もあります。それから、自衛隊も何カ所かでやらせていただいていますが、非常に多くの方に登録いただきました。
 消防学校の場合は、副校長さんがおられて、この方が物すごく登録に熱心な方だったんですね。この方が異動されてしまうと、やはり登録数が落ちました。それから、自衛隊も、館山ですとかいろいろなところでやったのですけれども、登録数が非常に多いときと、やはり少なくなってしまうのがあって、指揮官が物すごく熱心な方のときは登録数は多いんですよ。そういう方への、宣伝がやはり要ると思います。広告機構は広報に有効と思います。
 それから、大学も同じなんです。大学も、ある担当の方がいたときは、学生にはドナー登録はだめだと言ったところがありました。その方が異動でいなくなったときに、日赤さんから大学にドナー登録をやって頂けないか説明行ってみませんかというので、私は休みをとって行きました。そうしたら新しい担当者はドナー登録を、いいですよと言ってくれました。その後、ドナー登録数は物すごく増えたんです。だから、ドナー登録をよしとする考えを持っておられる方にいかにうまく説明するかは、結構重要なんです。
 それから、先ほどメルマガという意見が出ましたが、これは若い人には非常に有効だと思いますね。ただ、アドレスデータをどこが持っているかというと、アドレスはドナー登録をやったときに登録者が申込書に書くのですが、必ずしも全員が書いているわけではありません。今アドレスは、ほとんどの若い人が持っていると思います。アドレスはパソコンで持っている場合と携帯で持っている場合があります。申し込み用紙に2つ書いていただけば、住所が変わっても、アドレスはどっちかが残るはずです。ドナー登録のときにそこの辺をさらに強化して、日赤さんからアドレスデータを出していただくような協力が必要です。
 それから、今、日赤さんのニュースは結構な頻度で出ているのですが、ここにドナー登録について載せていただくとか、また逆にバンクニュースのほうには、献血を載せて、相乗効果を狙うというのが、今後結構有効ではないかと思います。
○小澤委員長 ありがとうございました。
 よろしいでしょうか。
○浅野委員 すみません、もう一つ思い出しました。ドナー登録数というのは県別で大分違うのですね。それこそ人口当たり幾らというので。それで、例えば、去年の最下位、群馬県と言うと群馬県はあせりますよね。群馬県御当局も。そうしたら後ろから2番目か3番目になったとかということは、これは有効なんです。
 それで、その結果を大新聞に発表したら、発表というか、取材させて、毎年載せると。これは、私も知事をやっていましたけれども、隣の県だけには負けたくない、いいことです、勝負ですからね。そうすると、そういう為政者も本気になってやる、担当にもきちんとやれと。来年はベスト10に入れとか、こういうことも有効なのではないかと。
 さっき言ったのと全然違うような方向ですけれども、いろいろなことを駆使してということを言いたかったわけでございます。
○小澤委員長 間室長
○間臓器移植対策室長 今の最後の点だけ申し上げますと、まさしくおっしゃるとおりで、昨年の課長会議のときには、そういう県別のランキングではありませんけれども、全部並べたものをお出ししまして、やはり、おっしゃるように、最下位にはなりたくないということで、ボランティアさんも含めて頑張っていただいて、そこは順位が変わるということが現実に起きております。
○小澤委員長 ありがとうございました。
 非常にたくさんの御意見を出していただきまして、ちょっとまとめ切れないところがありますけれども、後でよく整理をしていただきたいと思います。
 では、最後に宮村委員。
○宮村委員 現在、非常にドナーをどんどん集めていくという方向で話がなっていたのですけれども、もう一つ大事な点は、やはり私たちは、特に最初の第1例目の最初のときなんかは、やはり周りの多くの人は、健康な人にやっていいのかということで、恐らく20年前の常識というのは、健康な人に針を刺すということについて非常に抵抗感があった。
 ですので、今日の議論のように、たくさんの人の善意を起こすような広報をしながら集めていくというのは非常に大事だと思うのですけれども、同時に、それを集めただけではなくて、今度は、コーディネートのところで、やはりドナーさんの自発的な意思を本当に確認していくというのが、広く集めれば集めるほど大事かと思いますので、ちょっとコメントさせてもらいました。
○小澤委員長 ありがとうございました。
 最初のいろいろな資料の御説明にありましたように、高齢者に対する移植の件数が増えてきておりますので、とにかく需要はこれからもしばらく増加していくであろう。一方で、このドナー登録者の年齢層がだんだん高齢化してきているというところがありまして、やはり若い人を対象にした登録をより一層推進することが必要であろうということであります。
 この目標値をどうするかということがありますけれども、どうも今日の議論の関係では、トータル、ただ単に登録者を増やしても大きな意味はないのではないかと。やはり本当に提供してくれるような有効なドナーの登録を増やしていく必要があると。特に若者ですね、そういうところに対してどのように進めていくのか。
 1つは、広報はしっかりやる必要があるだろうと。いろいろなマスコミ、テレビ等、あるいはメルマガとか、いろいろなものを使っていく。それから、浅野委員からは随分いろいろな御提案をいただきましたけれども、もっと戦略的な活動をピンポイントでいろいろな職種を考えて、そういったところに広報を集中的に、あるいは企業にとか、大学とか、そんなようなお話がありましたし、それから、やはり今の若者はインセンティブが重要ですから、そういったことも考える必要があるであろうと。
 一方で、ドナーの意識改革ですか、そういうものも非常に重要なので、何らかの対策を考えてほしいとか、最後のところでは競争原理なども出ましたので、ちょっと収拾がつきませんので、後でしっかり整理していただいて、どういうものが本当に有効であるのか、会社のほうの制度的な面、会社を休めるような形をもう少しよく考えるとか、いろいろな意見がありましたので、よろしくお願いいたします。
 それでは、この6番の今後の方向性の上の2番で随分いろいろな意見が出ましたけれども、その後の3つ、3番目から5番目、3番目がドナーとなる意思を持ち続けている方にできるだけ長い期間登録していただくことが望ましいのではないか。当然ですね。それから、ドイツのようにドナーの新規登録時年齢の上限を制限することについて、我が国ではどう考えるのか。登録は広く受け付けるが、ドナーリクルートを積極的に行う対象を絞り込むことについてどう考えるのか。既に議論も出たところもありますけれども、この辺について御意見いかがでしょうか。
○張替委員 今の御議論のとおり、多分、ドナーの年齢が右に動いてきている状態なので、やはり年齢上限を設けるというのは余り現実的ではないだろうと僕は一つの答えとして思います。
 あと、これは、最後は関係ないですね、御家族に関してはもう出たのですね。御家族の部分が結構大事だと思っていて、特に若い人のときには、調整しているときに、親御さんが一緒に来て、初めから反対みたいなことを言われることがあって、そこは家庭への教育といいますか、御家族への啓発活動が僕は大事なのではないかと思います。
 あとは、全体のことになりますけれども、実際のところ、人口が減ってきて、恐らく自発的なボランティアの比率というのは大体一定なので、そうすると、次回以降の議論になると思いますけれども、オルタナティブなソースとして、やはり臍帯血とかそういったものの基盤を増やすという方向は、一歩考えておかないといけないかとは思います。
 すみません、ちょっと話がそれましたけれども。
○小澤委員長 いかがでしょうか。野村委員。
○野村委員 私も、やはりこういったものは社会的な関心をずっと社会全体で持ち続けていくことをいかに維持できるかが大事だと思うので、年配になられたら、成功率としては下がる状態になっても、年齢を制限せずに、ずっと登録していただいて、親から子へ受け継いで、次に自分の子供たちにもそれを話して聞かせて、登録してもらうという、とにかく社会的関心を維持していくためには、年齢制限というのは余りよくないのではないかと私自身は考えます。
 あと、すみません、先ほど法律ができたからすぐにというわけにはいかないと、もちろんすぐにはいかないと思うのですけれども、法律の基本理念に規定される前よりも、それが進まないという事態があってはやはりいけないと思うので、こういった基本理念に書かれたようなものというのはなるべく使い倒せるように、法律を使い倒して実施をよくしていくということが法律の意味だと思っていますので、ぜひともその突破口に、その文言を使い倒すような形で規則その他、その事業者への働きかけに使っていくべきだと思っています。
○小澤委員長 いかがでしょうか。梅田委員。
○梅田委員 私も年齢については制限すべきではないと思います。先ほどとちょっとかぶりますが、そうはいっても、若い人ほど健康で、あげたときの成績もいいと聞いていますので、若い人を増やすキャンペーンをやるべきです。ただし、年齢制限はしないでいいと思います。
○小澤委員長 ほかには御意見はいかがでしょうか。よろしいですか。
 先ほどからの議論と重なりますので大体よろしいかと思うのですけれども。
○浅野委員 ドナーリテンションは。
○小澤委員長 その次です。一応、今のお話では、ドナー登録の年齢制限は現段階では設けるべきではないということと、一方で、やはり若手のほうが、データを見ても望ましいということもありますので、若手にフォーカスを当てた形のドナーリクルート、先ほどいろいろな御意見がありましたけれども、そういったことを考えていく。そういうことで、よろしくお願いいたします。
 まとめ方で抜けているところがあるかと思いますけれども、それでは次に、最後の2項目ですね。連絡の維持やドナーリテンションのために、電子メールの活用のほか、どのようなことが効果的か。それから、ドナーの御家族への働きかけについてどう考えるのか。ドナーリテンションという言葉ももう少しわかりやすい日本語があったほうがいいかとも思いますけれども、御意見いかがでしょうか。辰井委員。
○辰井委員 御家族の同意の件でわからないことがあるので教えていただきたいのですけれども、今、一応法律上は同意を得なければならないとされている対象というのは、提供者御本人ですよね。それで、実際上は御家族の同意も必要だとされていると伺っているのですが、そのことに関しては、今後、省令とか何か下位の法律で規定することになるのですか。そうではなくて、そこはやはり今後も、事実上それが必要だという運用を続けることになるのですか。
○小澤委員長 間室長。
○間臓器移植対策室長 そこは、今まさに検討しているところなのですけれども、法律に基づいて厚生労働省令を定め、さらにその通知レベルですがガイドラインを恐らく定めることになると思うのですね。その中には2種類の性格のものがありまして、つまり最低基準として絶対にやらなければならないという部分と、こういうものが望ましいという話と2つでございます。
 家族の部分については、これまで日本的なるものを考えますと、なかなか外すのは難しいのではないかという御意見が当然ありますし、他方で、それが実際の現場では困っているのだという御意見がある中で、外すべきだという御意見もございます。そこをまさにこの審議会の御意見も踏まえて考えたい。
 ただ、家族同意は全く不要とするというのはなかなか、多分、臓器移植もそうですけれども、いろいろな事例を考えますと難しいし、実際の事例を見ますと、本人はその気なのだけれども、家族はとにかく体を張って反対すると。子供が小さいのにどうするんだ、何かあったらどうするんだと。その心配に対して、家族同意は不要ですからということだけでは、むしろこの移植医療が広がらなくなってしまうのではないかということを心配しているところでございます。そういう場合も考えて、その規定の位置づけというものを考えていきたいと思っております。
○小澤委員長 辰井委員、どうぞ。
○辰井委員 もし何らかの、どこかの規則なりで家族同意が必要であるとした場合に、多くの、例えば臓器移植ですとか、家族の同意が割合決定的な意味を持っている法律においては、なるべく本人の提供意思を尊重してくださいというような任意性を確保すると同時に、御本人が提供したいという場合には、なるべくそれが尊重されるようにというような規定も入ることが多いのですね。何かそういうものがあると多少動きやすいかと思います。
○小澤委員長 間室長。
○間臓器移植対策室長 法律上、この同意が書かれた背景は、通常の医療におけるインフォームドコンセントよりもっと強いものでございます。通常は、きちんと情報を伝えるように「努めなければならない」と書かれているのですが、この法律においては「同意を得なければならない」という形で義務化しているという点が、通常よりも強くなっておりまして、その本人の同意を義務化したというところにこの規定の一番の意味がございます。その意味では、家族の部分について何か排除をするという積極的な意図があったわけではないと認識をしております。
 今後考える上で、今の辰井委員の御指摘を踏まえて検討していきたいと思います。
○小澤委員長 そのほかはいかがでしょうか。では、梅田委員。
○梅田委員 ドナーリテンションですが、先ほど大分言いましたのでまとめますと、やはり広告機構の活用が一番かなと。2番目は、定期的に出ているバンクニュースと、日赤さんの献血ニュースがあります。ここで、ドナーのために後で、ドナーの意識を高める、または住所が変更になったときは必ず届けなければいけないのだと、そんなようなところを特に盛り込んだキャンペーンを張るのがいいのではないかと思います。
 それから、先ほどのメルマガですとか、あとホームページですね。日赤さん、財団もホームページは非常に立派なものがあるわけで、ここでドナーリテンションにポイントを置いたキャンペーンを張ることも必要ではないかと思います。
 それから、お金がかかることではありますけれども、例えば、あるイベントで、マスコミをうまく活用しながらできるようなイベントをやって、それがテレビに流れドナーの意識づけを高めるようなものの何か工夫ができれば、結構いいのかなとは思いますね。
○小澤委員長 鎌田委員。
○鎌田委員 ドナーの御家族への働きかけが必要であろうという話は先ほどからも出ていたかと思いますが、そのときに、現在は登録される本人の資料を用いて御家族も理解をするという形になっていると思いますが、やはり自分で登録して、提供しようと考えている人が求める情報と、ドナーの家族として安心できるような情報というのは、重なる部分ももちろんあるでしょうけれども、異なるところもあると思いますので、御家族の安心を求めるための特化した情報みたいなものも工夫してお出しするようにする必要があるのではないかと思います。
○小澤委員長 ほかには何か御意見いかがでしょうか。浅野委員。
○浅野委員 ここでも発言します。ちょっと、わかっている人がいるかどうかわかりませんけれども、ドナーに登録しますよね。そうすると、その人は登録証とか何かをもらうのですか。
○梅田委員 ドナーカードというものがありまして、そういうものを渡します。ただし、これの裏に、「住所変更したときに連絡してください」というようなことが書いてあり、例えば銀行のカードみたいに、どこかで何かで使うというわけではありません。登録しましたという証明書というか記念みたいになっています。
○浅野委員 その登録証をすごくきらびやかで立派なものにして、つまり登録しているということは、その人にとって、ちょっと威張りたいことだと思うのですよ。だから、ちょっと飲み屋に行って、「俺、登録してるんだよ、こうやって」というのが、少しはもてる材料になるというぐらいにするように、登録証というのが、何かちゃちいものだと出す気がしないから、骨髄バンクの人がいないからあれだけれども、そういう立派なものにするというのも、それも、つまりそれを常に身につけているということが、ずっと登録者でい続けるということの一つのきっかけになるのではないかということで、些細なことのようですけれども、登録証を立派にしましょうとか。
 それから、家族の問題で、若い人のリクルートと言うのですけれども、これは、実は二律背反するようなもので、20代で、多分独身で登録した人が、実際にドナーになるまでの間には、家族をつくる、つまり結婚して子供もできるということが入ってくるわけですね。そうすると、登録したときの状況と変わって、本当は結婚するときのプロポーズに、「俺はこれに登録しているんだぞ」と言わないといけないのだと思うのですけれどもね。これも、ある意味、インフォームドコンセントみたいなものですからね。ドナーになるかもしれないと。それで嫌だったら、そういう人をもらわなければいいんだけど。まあ、半分冗談のようですが、状況が変わるわけですね。なので、これはある程度は仕方がない部分があるかもしれません。その人の人生観というかそれが変わってしまう。自分が登録したのと違う人格の人がそこに入ってきて、さっきのように同意が必要だということになってくれば、成り立たない場合があって、これはある意味、致し方ない部分もあるかもしれません。本当だったら、結婚したら、その配偶者も登録者にしてしまうというぐらいでないといけないのですけれども、それは誰にでも求められるものではないと思います。
 実際上、ドナー候補者になってからの対応は、コーディネーターがやるわけですね。骨髄バンクのコーディネーターがやるのですけれども、となると、やはりそのコーディネーターの質と量というものを充実していかなくてはいけない。量を増やすのはどういうふうにしたらいいのかちょっとあれですけれども、基本的にボランティアだから、お金でつるわけにいかないということと、それから、質の部分は、多分研修とかを充実して、今でもやっているのでしょうけれども、それをきっちりやって、こういうところもきちんとつかまえてということはないのだけれども、ドナーさんになってもらうことの意義みたいなものをきちんと説けるような、そうするとちょっとやそっとではやめないと。さっきの家族のあれにしても、きちんと、こういうことで家族も説得するということになると、その分少しは同意が増えるかもしれません。そういうことで、この事業においては、つまりバンク側のコーディネーターという人たちの数を増やす、それから質を高めるということも必須ではないかと思います。
○小澤委員長 ほかには何か御意見は。大体よろしいでしょうか。
 そうすると、ここのところでは、ドナーリテンションのところでは、結局、ドナーリクルートと同じような対策が有効かなということで、いろいろな広報、広告を含めた、バンクニュースとか、先ほど梅田委員からいろいろお話がありましたけれども、献血ニュースとか、メルマガ、ホームページ、あるいはマスコミを通じたイベントとか、いろいろなものを活用していくのがいいのではないかというようなお話がありました。
 今、Eメールアドレスはできるだけ書いてもらうようにしているようですけれども、実際、まだ余り活用はされていないようなのですね。ですから、こういったものをうまく活用して、お金のかからない対策でありますので、できるだけ定期的にいろいろなニュースを送って意識を高めておく、キープしておくような、そういったことが必要かということです。
 また、浅野委員から、何か登録した人に立派な登録証をつくってほしいというようなお話もありましたし、コーディネーターの充実、その辺も重要であろうというようなことであります。
 それから、ドナーの家族への働きかけということですけれども、こういったところにも、後からだめになるというのは非常にまずいことでありますから、早い段階から、ファミリーを含めて、このいろいろな情報を提供して、よく考えていただく、協力していただくという方向で、御本人向けだけではなくて、家族向けのパンフレットをつくったり、そういう活動が必要であろうというようなことでありました。
 大体そんなようなことだったでしょうか。ほかに何か御意見いかがですか。よろしいですか。宮村委員。
○宮村委員 家族同意については、本当に皆さん同じような気持ちだと思うのですけれども、これは、実は日本が特徴的なものですね。それで、やはり海外へ行くと、海外でも家族同意なくていいということを言いながら、最終段階で、家族に強く言われて本人が意識を、かえって患者さんが不利益になるということが、やはり皆さんの経験の中で時々聞きますので、やはりこのシステムは日本だけかもわからないけれども、非常にいいシステムだと思います。
 それからあと、ドナーさんにずっと続けてもらうために、単なる一つの方策ですけれども、スマホなんかに入れるアプリでその人たちにはやっていって、そこを見ればいろいろな情報が常にあるというのなんかもこれからの時代にはいいのかなと思います。
○小澤委員長 ほかにはよろしいですか。
 そうしましたら、今日の議事の(3)、最後のその他のところに入りますけれども、本日の内容につきまして、何か御意見、コメント等がありましたらまたお願いしたいと思います。
 吉村委員は、臍帯血のところが重要になってくるかと思いますけれども、今日の議論を聞かれていて何か。
○吉村委員 いろいろ勉強させていただいています。
○小澤委員長 ほかに何か御意見、言い忘れていることとか、全般的に御意見いただければと思います。よろしいですか。野村委員。
○野村委員 いろいろな細かいアイデアを出すというのは、今回ここで出すのかなと思っていたのですけれども、これは今いろいろなアイデアを出していただいたものの、例えば、やはり実行主体は自治体や国そのものがやるわけではないと思っているのですけれども、そこを、国が管理する形ではなくて、やはり上手に、邪魔しないという言い方は変ですけれども、うまく活動ができるように、風通しがいいような形でのフォローというのが、個々では実際必要になってくるのではないかと思っています。
 あと、ちょっと細かい話ですけれども、「はぐみんカード」というものが私たちの地域、皆、共通の名前ではないのかな、子育てしている御家庭に配られるカードなのですけれども、そのカードがあると、さまざまなところが5%引きとかになったりするのですけれど。現実的なそういった、立派なカードだけだと、なかなか若者とかそういうのはあれかなというのも、すみません。
○小澤委員長 こういうこの委員会での議論がどういう形で現実、実際に反映されていくかということで、今のお話を受けて、どういうふうに事務方としてお考えか、簡単でいいです、ちょっと御説明いただけますか。
○間臓器移植対策室長 この審議会で御議論いただいた、こういうふうな方向が望ましいのではないかということについては、私どもや学会や日赤、骨髄財団、あるいは臍帯血バンクネットワークなど、要するに実務者と相談をして、具体的にどうするのか、具体化を図っていきたいと思っています。その中で、おっしゃるように主体的に取り組んでいただくのが非常に重要だと思いますので、そういうことは十分留意したいと思います。
○小澤委員長 そのほか御意見ありますでしょうか。よろしいですか。
 そうしますと、今後のことでありますけれども、コーディネート期間の短縮とか、臍帯血移植、あるいは医療提供体制については、次回議論の予定であります。
 そうしますと、今日の最後のところですか、最後に参考資料2、平成25年度移植対策関係予算の概要について、事務局より簡単に御説明をお願いしたいと思います。
○間臓器移植対策室長 簡単に御説明申し上げます。
 去る12月28日、第1回のときには、平成25年の概算要求の御説明をしました。これは夏の概算要求のものでございましたが、政権交代もございまして、その後、再度概算要求、予算編成を行っており、現在、この案でこれから国会において審議がなされるということでございます。
 結論から申し上げますと、平成25年度予算、お金の面だけで申し上げますと、昨年が17億8,000万円余りでございますので、1億円余りの増ということであります。それから、今年度要求しておりました新規の項目は全て認められております。
 1つは、先ほどのような患者登録のデータの整備をするような造血幹細胞移植患者・ドナー情報登録支援事業でございます。
 それから、2つ目は拠点病院でございます。当初、1年間で9カ所を整備するような概算要求になっておりましたが、これは今の議論の現状から行きましても段階的にやっていこうということで、初年度は3カ所の予算が認められております。
 それから、臍帯血の採取あるいは調整保存について、みんなで協力して高めていこうというような共同支援事業につきましても、そのまま認められています。
 それから、末梢血幹細胞の採取施設を増やすために、フローサイトメーターの購入を補助しようということにつきましては、25年度に先立ちまして、24年度の予備費のほうでもう既に実現しておりまして、10余りの枠に対して40余りの病院が手を上げるということで、非常にヒットした施策になっております。宮村先生を初め、研究班の皆様の御努力の上にそのような成果が上がってきつつあるということでございます。
 その他、日赤、骨髄財団、臍帯血バンクなどに対する補助金の必要額を確保しております。
 それから、研究費も、いろいろ厳しい減額を強いられるところだったのですけれども、対前年度は確保いたしました。
 それから、今回の法律の施行を踏まえて、臓器移植対策室の名称を変更して「移植医療対策推進室」とするという方向で今後取り組んでまいりたいと思います。
 以上でございます。
○小澤委員長 ありがとうございました。
 時間も限られておりますが、何か御質問がありましたら手短にお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。予算関係、よろしいですか。
 それでは、ありがとうございました。本日の議事は以上であります。
 最後に、事務局から連絡をお願いいたします。
○西脇室長補佐 本日も活発な御議論をいただきましてありがとうございました。
 次回、法施行に向けた議論の第5回目は、平成25年3月15日の10時からを予定しております。
 また、平成25年4月につきましては、15日の月曜日と26日の金曜日の2回開催する方向で検討しております。次回につきましては、なるべく多くの委員の先生方の御都合に合わせたいと思います。一度お伺いさせていただいておりますところ、大変恐縮ですが、お手元に用紙をお配りしておりますので、出席可能な時間帯に丸をつけていただきまして、お帰りの際に事務局にお渡しください。
○梅田委員 バツをつけるのではないのですか。
○西脇室長補佐 すみません、だめな時間にバツをつけて事務局に提出してください。
 また、机の上のピンク色のファイルにつきましては、各委員の専用として次回以降も使用しますので、会議終了後、机上に残していただきますようお願いいたします。
 先生方におかれましては、お忙しいところ恐縮ではございますが、日程の確保に御協力いただけますよう、よろしくお願いいたします。
 以上です。
○小澤委員長 ありがとうございました。
 この4月の日程調整は、最終的にいつ決まりますか。
○西脇室長補佐 本日御出席の先生方に関しましては、本日中に集計して、規定数に達するようでしたら早急に御連絡を差し上げます。
○小澤委員長 週明けぐらいにはですかね。よろしくお願いします。
 それでは、本日の会議を終了いたします。ありがとうございました。


(了)
<<照会先>>

厚生労働省健康局疾病対策課臓器移植対策室

代表 : 03(5253)1111
内線 : 2366 ・ 2363

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