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2013年4月11日 第1回たばこの健康影響評価専門委員会 議事録

健康局がん対策・健康増進課

○日時

平成25年4月11日(木) 14:00〜16:00


○場所

厚生労働省専用第21会議室(17階)


○出席者

出席委員 (敬称略・五十音順)

奥村 二郎 (近畿大学医学部環境医学・行動科学教室教授)
蒲生 昌志 (独立行政法人産業技術総合研究所安全科学研究部門リスク評価戦略グループ研究グループ長)
欅田 尚樹 (国立保健医療科学院生活環境研究部長)
山海 知子 (筑波大学医学医療系保健医療学域准教授)
多田羅 浩三 (一般社団法人日本公衆衛生協会会長)
津金 昌一郎 (独立行政法人国立がん研究センターがん予防・検診研究センター予防研究部長)
望月 友美子 (独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センターたばこ政策研究部長)
大和 浩 (産業医科大学産業生態科学研究所健康開発科学研究室教授)

事務局

矢島 健康局長
高島 審議官
宮嵜 がん対策・健康増進課長 
馬場 課長補佐
松田 課長補佐
野田 たばこ対策専門官

○議題

(1)たばこの健康影響評価について
(2)たばこの成分分析について
(3)その他

○議事

○宮嵜がん対策・健康増進課長 それでは、定刻より若干早いのですけれども、委員の先生方、おそろいになられましたので、ただいまから、第1回「たばこの健康影響評価専門委員会」を開催いたします。
 委員の皆様には、御多忙のところお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
 私は、厚生労働省健康局がん対策・健康増進課長の宮嵜でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 まず、開会に当たりまして、健康局長の矢島より御挨拶申し上げます。
○矢島健康局長 健康局長の矢島でございます。
 委員の先生方には、大変お忙しいところをお集まりいただきまして、大変ありがとうございます。また、先生方には、日ごろから、たばこ対策だけではなくて、厚生労働行政、いろいろなところで、いろいろな意味でお世話になっております。この場をおかりいたしまして、厚くお礼申し上げさせていただきたいと思います。
 たばこのことは先生方、御専門なので、今さらではないのですが、おさらいという意味も込めまして、厚生労働省のたばこに対する考え方を少し整理させていただきたいと思います。
 たばこにつきましては、がん、循環器疾患、COPD(慢性閉塞性肺疾患)など、多くの疾患の原因でございます。日本人の年間死亡者のうち、約1割は喫煙が原因による死亡と推定されております。
 このような状況を踏まえまして、厚生労働省としては、禁煙支援や受動喫煙防止対策など、たばこ対策を推進してきたところでございますけれども、これらのたばこ対策を推進する上で欠くことのできない重要な要素として、これまでも施策の節目に当たりましては、たばこによる健康影響について、科学的検討をその都度、実施をしてまいりました。
 しかしながら、今般はたばこの健康影響の評価に関する社会的な需要が高まってきたことを踏まえて、たばこによる健康影響につきまして、広く詳細に全体像を把握し、今後のたばこ対策に寄与することを目的といたしまして、たばこの健康影響評価専門委員会を立ち上げることといたしました。
 先生方におかれましては、たばこ成分の分析及び健康影響評価を行い、たばこによる健康影響を減らすための施策について、科学的知見に基づき御議論をいただくことで、科学的根拠に基づいたたばこ対策を一層推進していきたいと考えておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。
 以上で私の挨拶とさせていただきます。
○宮嵜がん対策・健康増進課長 続きまして、事務局から委員の先生方の御紹介、資料の確認等をさせていただきます。
○馬場課長補佐 それでは、委員として御就任いただきました先生方を御紹介いたします。
 一般社団法人日本公衆衛生協会会長の多田羅委員長でございます。
 近畿大学医学部環境医学・行動科学教室教授の奥村委員でございます。
 独立行政法人産業技術総合研究所安全科学研究部門リスク評価戦略グループ研究グループ長の蒲生委員でございます。
 国立保健医療科学院生活環境研究部長の欅田委員でございます。
 筑波大学医学医療系保健医療学域准教授の山海委員でございます。
 独立行政法人国立がん研究センターがん予防・検診研究センター予防研究部長の津金委員でございます。
 独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センターたばこ政策研究部長の望月委員でございます。
 産業医科大学産業生態科学研究所健康開発科学研究室教授の大和委員でございます。
 なお、本日は全ての委員に御出席いただいております。
 続きまして、事務局を紹介いたします。
 高島審議官でございます。
 野田たばこ専門官でございます。
 松田課長補佐でございます。
 私、課長補佐の馬場でございます。よろしくお願いいたします。
 続きまして、配付資料の確認をいたします。
 議事次第、座席図のほかに、資料1、「たばこの健康影響評価専門委員会設置について」、
 資料2、「たばこの健康影響評価に関する国内外の動向」、
 資料3、「化学物質のリスク評価」、
 資料4−1、「たばこ煙の有害化学物質について」、
 資料4−2、「各機関が分析している、タバコ葉中あるいはタバコ主流煙中有害化学物質一覧」を配付しております。
 資料の確認は以上でございますが、もしお手元に配られていないもの、あるいは落丁等がございましたら、事務局までお申しつけください。
 続きまして、本委員会の位置づけについて御説明いたします。
 資料1の設置要綱をご覧ください。
○野田たばこ対策専門官 資料1につきまして、たばこ対策専門官、野田より説明をさせていただきます。
 目的につきましては、先ほど矢島健康局長より説明もございましたが、たばこに関しましては、日本人の年間死亡者数の約1割は喫煙が原因による死亡と推定されております。
 厚生労働省といたしましては、これまでも、がん対策推進基本計画や健康日本21(第二次)で数値目標設定や喫煙を公衆衛生上の喫緊の課題と位置づけて、多くのたばこ対策を行ってまいりました。また、国際条約といたしましては、たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約を批准するなど、国際的な協力のもとでたばこ対策を行ってまいりました。
 このような国民の健康を取り巻く現状や課題、国内外におけるたばこ対策の進展の状況を踏まえまして、たばこ及びたばこ成分の健康影響評価を行い、たばこによる健康影響を減じるための施策について検討するため、本専門委員会を設置することになりました。
 検討事項といたしましては、このような背景を踏まえまして、次の4つ、すなわち、たばこの成分分析の実施等に関すること、2番目に、たばこ及びたばこ成分の健康影響評価に関すること、3番目に、健康影響評価に基づき、健康影響を減じるための施策に関すること、4番目に、その他、たばこ対策に必要な事項について、科学的知見に基づき客観的かつ中立公正に検討を行っていただくことが検討事項となっております。
 構成につきましては、別紙のとおり、専門委員を親部会であります厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会の部会長の永井先生に選任いただきまして、委員を選定しております。
 かつ、専門委員の中から、委員長につきましても部会長が指名することになっておりますので、多田羅委員に委員長に就任していただいております。
 3番目としましては、委員長に事故がある時は、専門委員会委員の中からあらかじめ委員長が指名した者がその職務を行うということで、委員長代理を置くことを定めております。
 委員会の運営につきましては、本専門委員会委員長が招集するということで、審議の必要に応じて、適当と認める有識者等を参考人として招致することができるということを1番目に定めております。
 2番目に、専門委員会の議事は公開とする。ただし、特段の事情がある場合には、委員長の判断により、会議、議事録及び資料を非公開とすることができると定めております。
 3番目としまして、専門委員会の庶務につきましては、健康局がん対策・健康増進課において総括し、及び処理するということを定めております。
 以上でございます。
○馬場課長補佐 それでは、以後の進行は、多田羅委員長にお願いしたいと思います。
 よろしくお願いいたします。
○多田羅委員長 本委員会の委員長を仰せつかっております、多田羅でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 先ほど局長の挨拶にもございましたけれども、たばこ対策は肥満対策と並んで我が国の公衆衛生の最大の課題であると認識いたしております。そのたばこ対策の推進に関しては、これを科学的根拠に立った施策を推進しなければならないということが強く求められております。そのような形で進めることが不可欠であろうと私も思います。
 そういう観点から、この専門委員会は、たばこの健康評価専門委員会とございますが、たばこ対策の施策の推進に資する科学的根拠をあくまで明らかにする。そういうことを基本的な使命として会議を持つよう、以降、委員の皆様の御協力をいただいて、会を進めさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしく御協力をお願いいたします。
 それでは、開催させていただくのですが、開催要綱の3、構成には、委員長に事故がある時は、専門委員会委員の中からあらかじめ委員長が指名した者がその職務を行うことが定められております。そこで、委員長代理としては、私のほうから、奥村委員にお願いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○多田羅委員長 よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 それでは、委員長に事故があるときは、奥村委員長代理に職務をお願いすることといたします。
 奥村先生、よろしくお願いいたします。
 それでは、撮影はここまでとさせていただきます。
(報道関係者退室)
○多田羅委員長 それでは、早速でございますが、本日の議題に入りたいと思います。
 議題1、たばこの健康影響評価についてであります。
 資料2について、望月委員から説明をお願いいたします。
○望月委員 ありがとうございます。
 国立がん研究センターたばこ政策研究部の望月でございます。
 今回の専門委員会に当たりまして、これまで厚生労働省、諸外国でたばこの健康影響評価に関して、どのような観点あるいは議論がされてきたかをレビューしてみました。
 まず、2ページ目、健康影響評価。
 この専門委員会のタイトルですけれども、これを最初、漢字で見たときに、どういう意味かなとちょっと調べました。2通りの使い方がされていることもわかりまして、1つは、健康影響をリスクと訳しまして、英語で言えば、ヘルスリスクアセスメント。もう一つは、健康影響をもろもろの施策を講じたときのインパクトということで、インパクトアセスメント。この2つの取り組み方、アプローチがあります。
 そして、厚労省の設置要綱を拝見しますと、検討事項2は、まさにリスクアセスメントで、この検討委員会の1つのミッションだと思いますし、またさらに検討事項3においては、健康影響を減ずるに必要な施策ということであれば、その施策を講じた結果によってどのような、我々が望ましい影響が及ぼされるのか。ですので、スコープとしては、健康影響評価というのは、リスクアセスメントからインパクトアセスメント、2つの方向に向かっていくのだろうなということをまとめてみました。
 まず、リスクアセスメントによりますと、下線に引いてありますように、まず、「有害物質への曝露に起因する生物物理学的リスクに焦点を当てる」ということが重要な課題で、ですから、たばこの成分の分析などが出てくるわけです。
 次のインパクトアセスメントにおきますと、その施策、政策、プログラム、もろもろの会議を行ったときにどのように集団に影響が行われるか。そこまでアセスメントするわけですけれども、その場合には、さまざまなステークホルダーからの情報提供も考慮する。非常にシステマティックな過程であるということになっています。
 翻ってみまして、旧厚生省あるいは今の厚生労働省が健康影響評価に関連したことをどのように取り組んできたかを見ますと、1つは、1997年、21世紀のたばこ対策検討会というものがなされたときに、事務局の資料として考え方が述べられております。
 当時と今とでは、例えば成人喫煙率の動向とか、消費量とか、相当に状況が変わっていますので、その状況のところは少し変わるのですけれども、議論の論点というものが過去の感情論に基づく議論から科学的根拠に基づく議論と大きく変化しました。
 その1つのきっかけが、平成9年版の「厚生白書」において「喫煙習慣は個人の嗜好の問題にとどまるのではなく、健康問題であることを踏まえ、総合的なたばこ対策の一層の推進が求められる」という、ここで非常に大きなパラダイムのシフトがありました。
 21世紀のたばこ対策検討会の対策の本質として事務局が出した視点は、まさに啓発普及からリスク管理へということに行きまして、依存性物質においても、ニコチンはもちろんそうなのですけれども、関連した物質ももろもろありますし、たばこへの有害性というものも、後に述べますように、ニコチン、タール、一酸化炭素という3つのものだけでなしに、非常に多くの有害物質が入っているということから、新しい視点によるリスク管理が検討されました。
 そのときに、4ページ目、厚生省のたばこ対策においてこのようなリスクアセスメント、マネジメント、コミュニケーションということは初めてだったということから、このように整理されておりますけれども、まさにこれがもう一度、16年ぶりにこの検討会で実施することになったのではないかと思います。
 もう一つ、5ページ目、やはり同じ第1回目の事務局資料にありましたのが、当時、アメリカのマサチューセッツ州の衛生部がたばこの製品規制に取り組み、リスクアセスメントをやっていた結果がマサチューセッツ州の衛生部からの資料だと思いますけれども、出されておりました。いろいろな成分においてどのように非発がんリスクと発がんリスクがあるかが資料として提供されておりました。
 6ページ目、これも旧厚生省の試みということで、1999〜2000年度におけるたばこ煙の成分分析。これはカナダの研究機関において測定してもらった結果ですけれども、厚生省のホームページにも概要は出ておりました。そのうちの抜粋ですが、当時、よく売れている主要銘柄のうち7つを選んで、いわゆる標準的な燃焼条件、平均的な燃焼条件という2つの方法によって測定した結果です。これにおいては、具体的なことは後に欅田先生がカバーしてくださるのではないかと思いますけれども、これは国の事業として既にたばこ成分の分析がなされていました。ここで重要なのは、いわゆる低タールたばこといわれるものの銘柄は、副流煙においては、高タールといわれる製品よりもたくさん有害物質が発生していることなどもこの分析で明らかになったわけですが、残念ながら、この分析結果は厚生省の施策には直接は反映されることなく、分煙効果の判定基準で参照データとして使用されたにとどまっておりました。
 昨今、たばこ煙中の放射性同位元素の存在が、これは古くて新しい課題ですけれども、国会の質問主意書という形で出されておりまして、2012年、参議院の紙先生が「タバコに含まれる放射性物質ポロニウムに関する質問主意書」を出されております。
 ところが、30年前、1982年に既に草川先生が「タバコの販売政策に関する質問主意書」の中で「タバコの煙に含まれている放射性元素ポロニウムの人体に対する危険性について、政府はどう捉えるか」と質問しておりまして、そのときの政府答弁は「今後その内容を詳細に検討してまいりたい」ということでした。
 それが恐らく前提にあったのかと思いましたが、旧厚生省及び厚生労働省のいわゆる「たばこ白書 喫煙と健康」という報告書においては、Po-210含量が記載されております。
 2012年の紙先生の質問主意書の答弁の中で、「厚生労働省において、たばこに含まれる個々の成分を分析し、医学的知見を踏まえた上で外部有識者の意見も聴きながら検証を行い、その結果を公表していきたい」ということでこの委員会が発足したのであろうと背景を理解しました。
 これに関して、Po-210というのは、1つの代表的な放射性同位元素ですけれども、これが研究面でシガレットの気相部分に含まれているということは、1964年に既に公表されておりまして、その物質が肺の組織内にも沈着しているということ。それらの研究を契機として、多くの基礎研究、疫学研究などが進展し、除去したときのヘルスインパクトアセスメントについても、研究面で非常に大きな進展を来たしております。
 一方で、たばこ製品をつくっているたばこ産業がどのようにリアクションしたかといいますと、たばこ産業の内部文書による論文から抜粋しましたけれども、研究面で明らかになったそのさらに前、1950年代からPo-210が製品に含まれることが既にたばこ産業側に知られていた。それが何に由来するものか。大気中のものなのか、肥料なのかということで、この論文においては、高燐酸肥料由来であろうと。それが製品に含まれることを知った会社側がどうやって除去できるか。研究調査を相当に進めていることも内部文書で明らかになっておりますが、そのような情報はパブリックにはなっておりませんでした。
 このように、たばこの問題は非常に単純に見て、非常に複雑である。たばこの煙一つをとっても、さきにも申し上げましたように、タール、ニコチン、一酸化炭素という3つの要素は小学生からでも知られていることですけれども、それ以上に非常に複雑なものであるということをまず前提として共有する必要があるのではないかと思います。
 8ページの資料は、アメリカのCDC、NCI、FDAのさまざま資料からエキストラクトをしたものですけれども、まず、シガレットの煙というものは、いわゆる粒子相に結合あるいは気相に遊離して存在する化学物質の複雑な混成物である。単純なものではない。
 その中にどんな物質が含まれているかは論文によって揺れはあるのですけれども、多いものでは、既知の7,000種以上のものが含まれている。発生する量としては、その10倍〜20倍であることもたばこ産業関連の報告書から明らかになっております。もちろん燃焼条件とか製品デザインにより組成が変化する。
 69種類の発がん物質を含む。
 たばこの煙は、ヒトにおける毒性化学物質への曝露及び化学的に媒介された疾病の最も重大な原因である。
 たばこ産業による新たなたばこ製品の開発が、今度は燃焼でなしに、加熱とかや可溶性のものも開発されておりますし、後に述べますたばこ規制枠組条約というWHOの国際条約においても、たばこの製品そのものに対して重大な国際的な関心が上っております。
 9ページ、たばこ製品がどのように変わってきたか。
 Changing Cigarettesという言い回しは繰り返し出てくるのですけれども、特にアメリカの公衆衛生総監の報告書やアメリカのがん研究所におけるモノグラフ等あるいは論文でも出てきています。たばこ製品が1つのシガレットという形態をとるようになってから、実は、見かけは同じですけれども、中身が随分、デザイン的に変わってきていることをリマインドするための文言だと思います。
 2010年に米国の公衆衛生総監の報告書が出されましたが、ここに書いてあることは、そうは言っても、シガレットの変わらぬ本質は、消費者に依存性物質ニコチンを送達する、デリバーするたばこ由来の製品である。これが本質だとアメリカの政府の報告書が述べております。
 このことに関して、日本にも入っておりますけれども、アメリカのフィリップモリスというたばこ会社の幹部が1972年に言っている言葉を抜粋しているのですが、当然、製造者としては、製品の本質をよくわかっていて、シガレットはプロダクトというよりも、パッケージとみなすべきである。シガレットは多くのパッケージ層から成り立っている。それを下に写真でわかりやすく書いたのですけれども、要は箱が何層にもなっていて、消費者が最終的なニコチンを手に入れる。シガレットはニコチンの1回用量の取り出し器と考えてみよなどということもたばこ産業みずからが述べていることです。
 これは研究面ですけれども、平均的なたばこ1本には、10ミリ〜14ミリのニコチンが含まれており、喫煙によりその10分の1ほどが体内に吸収されることもわかっております。
 ですから、見かけの低タール、低ニコチンたばこは、あくまでも見かけの、一定の条件による測定結果であり、実際には体に入っていくニコチンあるいは製品に含まれているニコチン、ニコチンは例ですけれども、それは全く違うものだということをここでお示ししたいと思います。
 10ページ目、引き続き変貌するたばこ製品について少し整理してみました。
 1950年代の初めに、これは疫学研究によってですけれども、先ほど局長がおっしゃられたような、シガレットが呼吸器疾患、循環器疾患、がんなどの原因と解明されてから、そのような疾患をもたらす製品をどうするということで、産業側のリアクションとして製品デザインの大きな変化が起こっています。それで現在に至っているのですが、実は、製品デザインの変化によって、これらの疾患のリスクを低減することを期待したのですけれども、それほどの効果は示されておりません。
 例えば製品デザインの手法例でいいますと、最初に登場したのはフィルターシガレットで、日本で売られているたばこはほとんどフィルターが使われております。
 縦に見ますと、低タール製品というものもあるし、添加物、新たなたばこ製品。これはそれぞれ独立したものではなしに、このようなデザイン変化の手法例を組み合わせてたばこ製品が成り立っている。非常に高度に技術開発されたデバイスとみなすべきではないかと思います。
 フィルターについていうと、まず、タールとかニコチンが高い集団だと、肺がんなどのリスクが高いということを前提に、それを除去できるのではないかということから開発されたのですけれども、実際の効果は、先ほど述べたような測定方法における見かけのタール、ニコチン値が減るとか、あるいは消費者側が代償喫煙といって、今までのたばこの吸い方を変えて、より深く、強く吸うようになったことによって喫煙そのものが増強していったとか、あるいはフィルターに新規有害物質が入っていて、最初に話題になったのは、アスベストが入っていて、それによる被害が製造工場労働者においてわかり、それがなくなったとか、グラスファイバー入ったとか、あるいはカーボンが入るなどのように、フィルターの開発において新しい有害物質が入っていくことも事実起こっております。フィルターがあるから大丈夫ではないかと思って禁煙に向かうべき人たちがとどまっていったということもありますし、フィルター部分に原料を詰めなくてもいいというコスト削減の効果もあった。新規健康リスクというものは、これはまだ仮説の段階ですけれども、当時、肺においては、扁平上皮がんが多かったのが、それと入れかわって肺腺がんがふえておりますが、これはフィルターとか低タール製品のような新しい製品デザインの変化による結果ではないかということも推測されております。結果、リスク低減との関連がないということも言われております。
 低タール製品においては同様です。
 添加物ですけれども、香喫味とたばこ産業側は言っていますけれども、いわゆるフレーバーを添加することによって、保存、保湿だけでなしに、燃焼とかpHコントロール、さまざまな薬理・生理作用を持ったものが添加されております。それによって薬理・生理作用が増強されたり、あるいは煙というにおいが減少されたり、外観というのは、煙が見えなくなるような、副流煙が見えなくなるようなものも添加物によって製品デザインの結果として行われている。ニコチンの吸収操作というのは、ニコチンの吸収を操作できるpHコントロール、あるいはほかの例えばアセトアルデヒドなどによる依存性の状況などというものが実際の効果として出てきました。
 新たなたばこ製品については、これによる疫学的な成果が出るまでには試用期間が短いのですけれども、今、言われている低煙たばこ、無煙たばこ、低燃焼性たばこ、電子たばこのようなものが既に開発されております。これも最初のフィルター、低タール製品と同様に、禁煙動機が低減される、あるいは受動喫煙の回避のために、禁煙の場所でも、これはスモークレスだからといって吸ってしまうようなこともあるようになっています。社会的受容についていうと、シガレットから煙の出ないものだったらいいのではないかと社会的な受容も変化が起こってくる。これらに関連して、結果としては、さまざまな規制が回避されることがあると思います。
 WHOのたばこ規制枠組条約について、この観点から述べますと、11ページです。
 たばこ及びたばこ成分に関連する国内状況と条約の条項ですけれども、たばこについていうと、国内的には、たばこ事業法で定義がされているのみであって、たばこは非常に複雑なものですけれども、製造たばこの定義をごらんになっておわかりになるように、「葉たばこを原料の全部又は一部とし」ということで、後に何を入れていいとか、いけないとか、どうやって製造するかは全く定義されておりません。
 一方、WHOのたばこ規制枠組条約は、2005年に発行した条約で、日本も批准しておりますけれども、その中の用語における「たばこ製品」は、ここに書いてあるように、やはり事業法と同様に、具体的な細かい定義はありません。
 たばこ成分ですが、今回もたばこ製品を測定するという、「成分」という言葉が出てきましたが、これにおいても、英語で言うと、contents、constituents、ingredients、emissionと全てたばこ成分と捉えるべきであろう。
 これに対して国内的には、たばこ事業法の中では規定がない。唯一、タール、ニコチン量の測定に関して、測定するのだと施行規則の雑則の中で触れているだけであって、厳密な定義はございません。
 厚生労働省分煙効果判定基準においては、これに関連した文言でいいますと、浮遊粉じん、一酸化炭素、ガス状成分等について触れているだけで、余り厳密なcontents、constituents、ingredients、emissionは一体どういうものなのかがここでは整理されていないので、この検討委員会においても、ぜひその辺も整理した上で審議を進めればいいと思います。
 FCTC、先ほどの条約のこの問題に関する条項といいますと、9条と10条ですけれども、まず、含有物についての規制、製品についての情報の開示に関する規制がありまして、それぞれガイドラインがあります。ガイドラインの目的は、含有物と排出物の規制により、たばこの魅力とか依存性、総毒性の低減を通じ、最終的にはたばこ起因の疾病と早世死亡を減らすということですので、この検討委員会の目的が最終的には、疾病と早世死亡の減少ということであれば、どうしても9条、10条については避けて通れない問題ではないかと思います。
 では、諸外国では、政府の規制はどのようになっているか。
 12ページ、米国のFDAは、実は、アメリカはたばこ規制枠組条約を批准しておりません。一方で、国内対策としては、たばこ製品の規制がActの中、2009年に施行されたFamily Smoking Prevention and Tobacco Control Actといって、オバマ大統領が就任して真っ先に署名した法律ですが、その中で製品規制が行われています。これも実は、90年代に既に当時のFDAが、FDAのActそのもので規制しようと試みたのですけれども、実際には、さまざまな裁判が起こって、FDAはその規制権限を一たんは失ったものです。それに関連してFDAに製品規制に関する一定の権限を付与ということで、若干権限を狭めた法案でありますけれども、これも非常に画期的な法案でありまして、その中でHPHCsといって、93種のたばこのHarmful and Potentially Harmful Constituentsですので、成分に関して会社が報告する義務を設けています。これについて、テーブル1などに書いてあるのですが、こういった成分はこの93種の一部ですけれども、これを測定して報告しなければいけない。FDAの中には、FDAのたばこ製品規制に関する審議をする諮問委員会があるのですが、その中でのトピックスの4つの柱が、メンソール使用の影響、可溶性たばこ製品の特徴と影響。この可溶性というものは、口の中に入れても溶けてしまう。今までの口腔内で使うたばこはかすが残ってしまうのですけれども、完全に溶けてしまう、そんな製品まで米国では売られているようです。
 3.ニコチン含量変更と依存を生じないレベル。最初のほうで申し上げたように、シガレットは、究極にはニコチンを送達する仕組みだということであれば、依存を生じないレベルまで含量が変更できるのではないかということを審議しています。リスク修正あるいは低減製品のたばこ産業による提供。何か試作品ができたら提供するということで、このようなことをアメリカではやっています。
 13ページ、これで最後ですけれども、先行研究は、2003年に出た1つの研究ですが、同様の研究が実はたくさんある中で、ピックアップしてみました。この研究は、J Fowlersさんというのはニュージーランドの研究機関の方で、E Dybingさんはノルウェーです。どちらも製品規制に関しては非常に先行的にやられている国々の研究機関が、最初、政府に対して提出した報告書をもとに論文にしたものです。この中で、Cancer Risk IndexとNon Cancer Risk Index、それぞれについてたばこの成分、データの得られた158種のたばこに含まれている化学物質についてリスクアセスメントをやった結果です。
 このように、ちょっと駆け足ではあったのですけれども、厚生省及び厚生労働省においては、既に先行的に今回の問題については審議を開始している中、何年かのブランクを置いて、条約とか、あるいはアメリカのFDAや各国でこのように規制につながるデータも出されている中、この検討会が発足したのだと理解して、レビューいたしました。
 ありがとうございました。
○多田羅委員長 望月先生、ありがとうございます。
 たばこの健康影響ということに関して、これまでの知見について歴史的な観点から御報告いただきました。非常に詳細に御報告いただいて、ありがとうございます。
 委員の皆さんからの御質問、御意見、追加などはいかがでしょうか。
 津金先生、何かありますか。
○津金委員 ちょっとお聞きしたいのですけれども、5ページ、例えば発がんリスク、アセトアルデヒド1×10-3となっていますが、これは1日20本喫煙したときのアセトアルデヒドの量を生涯投与し続けるとがんのリスクが1,000人に1人上がると、これは人のデータですか、それとも動物実験か何かですか。ほかのところも全部発がんリスクを書いていると思うのですが、例えばアセトアルデヒドでいえば、1本に含まれている量を生涯。生涯というのは、20歳から例えば80歳という過程ですか。
○望月委員 これは70年です。ここでは少し多目にとっている。当時の70年の生涯リスクということで、たばこについていうと、20歳からとか、10歳からとかさまざまあるので、そこの部分はネグって、当時の定番の生涯リスクの計算方法なので、ここでは70年になっています。
○津金委員 アセトアルデヒドの用量反応関係で、このぐらいの用量だと、そうではない、ゼロに比べてリスクが何倍ぐらいというのがあるのだろうけど、そういうデータはどこからでしょうか。ちょっとその辺を知りたいと思ったので。
○望月委員 これは私の資料ではなくて、厚生労働省の当時のリスクアセスメントを御紹介したものです。
○津金委員 今、例えばがん死亡の生涯リスクは、日本人だったら20%ぐらい大体ある状況の中で、10-5は相対リスクとしてはわずかなリスクなのです。逆に言えば、意外と小さいなとは思っているのですが。
○望月委員 単一の成分において、たばこの煙の成分に含まれているものとしたのであって、結局、ここでも議論されていると思いますし、IARCの評価についても、たばこはコンプレックスである。それぞれのものが、少しずつのリスクを持ったものが複合的にあるものなので、総和としては大きいわけです。だから、アセトアルデヒドだけを含んだ煙を発生するたばこというのはあり得ないわけですから、それぞれの個別の物質を。
○多田羅委員長 総和のデータはないわけですね。これを単純に足すことができるかどうかはわかりませんからね。
○望月委員 相加か相乗かそれはわからないので、これを通常の多分、複合の成分を持ったものに対して、恐らく蒲生先生が御専門ではないかと思うのですけれども、コンプレックスに対して個々の成分をどう足すのか、掛けるのかは通常しないと思うのですが。別の考え方をせざるを得ないのではないでしょうか。
○津金委員 コンプレックスとかそれ以前の問題として、まず、アセトアルデヒドというものの発がんリスクが1×10-3というのをどういうデータに基づいて出したのか。今後、これから成分のリスク評価をするに当たってとても重要だと思うので、そこを教えていただきたいということです。
○望月委員 これはたしか当時、ウオッチしていて、マサチューセッツ州がたばこの煙に含まれているアセトアルデヒドの量をはかった。それから幾つかの計算式だと思いますけれども、非発がんリスクと発がんリスクを計算したものなので、私も原典をもう一度当たって、次回に御紹介します。
○多田羅委員長 お願いいたします。
 ほかにいかがですか。
 もう次に進みたいのですが、私も非常に単純な質問というよりも、先生に印象をお聞きしたいのだけれども、こういう中で結構アメリカのデータが出てきますね。アメリカは枠組条約を批准していないのだけれども、結構こうしてアメリカとかカナダとか、そういう国からこういうデータが出てくるという社会的背景は何かあるのですか。
○望月委員 社会的背景は、やはりアカデミアがしっかりしていることと。
○多田羅委員長 アカデミアというと、どこですか。
○望月委員 研究機関全般。それに対して、例えばアメリカがなぜここまでやっているかというものは、1964年に米国の公衆衛生総監の報告書が世に出ました。これは当時の、もう亡くなった、大統領ミッションとして始まったわけで、そのときに、当時、7,000本の研究を、疫学的なクライテリアを設けて、ジャッジして、そして結論を出す。その流れがずっとあります。だけれども、そこには規制はないのですが、なぜその因果関係の解明にそこまで長年取り組んできたかというと、それによって結論を出して、そしてそれによる、いわゆるバーデンですね。社会における疾病の負荷を次に計算して、それを回避する。
○多田羅委員長 国民が、ですか。
○望月委員 政府が。そのためのエビデンス。
○多田羅委員長 必ずしも規制はやらないのでしょう。
○望月委員 規制をするかどうかは次のステップだと思います。だから、どういう対策をとるかのための基礎になるものが、まず、政府主導で始まっている。そのもとになるものは各研究の論文だと思うのですけれども、そこに上る前には、やはりアカデミアが研究論文をずっと発表して、エビデンスを積み重ねていって、それを集大成して、結論を出す。そこがすごく重要だと思うのです。結論を踏まえて、次のアクションを促す。そのアクションがポリシーになるわけですが、そのポリシーはどういうものなのかというものを何十年もさまざまな模索をしていて、最後にたどり着いたのが、FDAによるたばこの製品そのものの規制であるというところです。その手前には、EPAが今度は環境保健の観点から公共の場所とか職場などにおけるリスクアセスメントとか、あるいはそれによってどういう。
○多田羅委員長 わかりました。だけれども、枠組条約は批准していないのですね。
○望月委員 枠組条約は国際条約ですので、国際的な責任を果たすか否かということ。
○多田羅委員長 国際的に求められていることであって、それはやはり国民に対する政府の姿勢だと思いますが、そこはエビデンスがありながら、必ずしも政治はそれを政策にしないというところもアメリカらしいなと思うのですが。
○望月委員 それは70年代、80年代に散々議論されていて、ダブルスタンダードではないか。国内向けには消費政策をやっていながら、それを輸出するのはいかがなものかということは議論には上っていました。まず、国内政策を徹底的にやるということが2000年前後に大きく変わったと思います。そして、最終的に連邦レベルでの法律を持ったのが、FDAのActが始めてなので、そこまでようやく行った。国際的な責務をどうするのかというのは、多分、次のステップだと思いますし、もしかしたら批准するかもしれない。でも、まず国内の、国民のためにどれだけできる限りのことをやるかという1つの例ではないかと思います。
○多田羅委員長 2009年の法律が非常に大きなステップであるという認識ですね。わかりました。
○津金委員 要するにアメリカはレギュラトリーサイエンスに対して物すごく力を入れているということです。政策は基本的にはサイエンスに基づいてやるということですね。
○多田羅委員長 サイエンスが明らかにすれば、アメリカは政策にするのですか。
○津金委員 それによって政策を原則的にはする。日本の弱いところはそこが飛んで政治に行ってしまう。
○多田羅委員長 アメリカでは、こういうアカデミアによる科学的な根拠が明らかになると、かなり政策につながっている国であるという認識でいいのですね。
○望月委員 それはちょっと異論がある。
○多田羅委員長 異論があるのですか。済みません、時間をとって。
○望月委員 やはり簡単には、ポリシーレコメンデーションまでいっても、ポリシーが実現するかどうかは、やはりポリティクスがどうしても出てきますね。ですので、二大政党で、こっちの政党だとちょっと足踏みをするけれども、現政権ですと進むということはよく観察していると明らかです。
○多田羅委員長 ですけれども、パターンとしては、そういうアカデミアによるサイエンティフィックなデータが明らかになって、それを根拠にしながらレギュレーションの形を考えていくというパターンで、後はポリシーが関与してくるというスタイルは基本的にあるわけですね。そして、できるものはできていくという点で、先生から見て、日本はその点はアメリカと比較してどうなのですか。言いにくいかもわかりませんが。
○望月委員 言いにくい、ずばり言っていいのでしょうか。
○多田羅委員長 これはそのための会議ですから。
○望月委員 例えば予算規模1つをとっても、100倍以上違います。
○多田羅委員長 それはアカデミアのほうですか。アカデミアの研究予算ですか。
○望月委員 アカデミア、国立がん研究センターのカウンターパート的なものはNational Cancer Instituteだといつも言われているのですけれども、100倍かなといってみますと、感覚的には100倍以上です。Office of Smoking and HealthというものがCDCの中にあるのですけれども、これがずっと最初の1964年のSurgeon General's Reportの後継事業をやってきたのですが、ちょっと出るときに調べてみましたら、165人のスタッフで100ミリオンの予算。75%がエクストラ・ミューラルでやっているということがあるので、なぜそれだけの予算が配分できるのかとか、なぜそれだけの大きな組織ができるのかということもある。恐らくさっき津金先生がおっしゃったようなレギュラトリーサイエンスに対する社会の理解、サポートもあるのではないかと思います。
 そういう政府機関だけでなしに、ノンガバメントのほうでも、がんでいうと、アメリカン・キャンサー・ソサエティという、これはチャリティー団体とはいっても、独自の財源で、政府の予算によらない、非常に大きなファンドを持って、リサーチもやっているし、ポリシーレコメンデーションもやっているし、プログラムも開発して、インプリメントしている。ですので、市民社会側にそれを裏打ちして、補完的に助け、ガバメントを助けていく仕組みも備わっているのではないかと思います。
○多田羅委員長 わかりました。ありがとうございます。
 その辺はこの委員会全体の課題でございます。やはりサイエンスを明確にして、施策を進めてほしいという全体の観点は先ほど局長の挨拶にもございましたので、そういう点を認識いただいて、積極的に御発表、御意見をいただきたいと思います。
 それでは、時間も少し経ちましたので、蒲生委員から次の御報告をお願いいたします。
○蒲生委員 私自身は、必ずしもたばこに関する研究に従事しているわけではなくて、一般化学物質、環境汚染物質のリスク評価、最近は工業ナノ材料のリスク評価ということをやっているわけですが、その観点から本委員会の議論のとっかかりになればと思いまして、資料を作成いたしました。
 2ページ目にリスク評価の目的、何のためにリスク評価をするのだということで、それ自体が目的というわけではもちろんなくて、管理・対策の意思決定に資するというところだろうと思います。
 化学物質の関係でリスクという言葉を強調する場合の文脈でいいますと、それ自体の有害性ではなくて、実際にたばこでいいますと、吸われている状況を考慮して健康影響の大きさを推定するのだということで、枠組みとしましては、左のほうの図にありますが、暴露量の評価ということと、有害性の評価ということを組み合わせまして、リスクを算出したり、記述したりする。狭い意味でいいますと、ここまでがリスク評価というアクティビティで、それにその対策にかかる費用を考慮いたしまして、リスク管理につなげていくということであります。一般化学物質の分野でも、やはり米国はリスク評価に関する経験とか、科学的な知見が出てくるものというのは日本に比べてけた違いであります。
 先ほどの議論で、もう一つ加えたいかと思うのは、リスク評価がなぜそんなにアメリカで発達してきたかというところは、1つは、何でも裁判に持ち込まれる。裁判で戦おうとなったときに、やはりエビデンスベースだということになると、どうしてもそれぞれが数値、エビデンスで理論武装してくるところが基礎にあるということを聞いたことがあります。
 今のは余談ですが、リスク評価いたしまして、そのリスクレベルが無視していいレベルなのか、早急に対策すべきか、それとも社会状況を考えながら減らしていくべきか。この社会状況というのは、1つは対策オプションは何かとか、もう一つは対策費用はどれ程かということが関係してきます。
 ここでもう一つ申し上げたいのは、後ろのほうにも関係しますが、リスク評価というものが決まって、こうやってやるのだ、こういうスコープでやるべしというものが事詳細に広範囲に決まっていると私は実は認識しておりませんで、端的にいいますと、どのようにその対象を管理していきたいかがある程度念頭にあった上で、それに見合ったリスク評価のやり方があるのではないかということを考えています。
 そういう点でも、今回のディスカッション、ここで出てくるいろいろな整理される科学的知見が一体どういう施策に反映されるのだろうかということを共有しながら進めると、議論の発散が防げるのではないかと思いました。
 スライド3に行きまして、たばこの成分を相手にするのが今回の委員会の1つのポイントだと思いますが、非常にたくさんの成分があるということで、先ほどもありましたけれども、FDAがリストしたものだけでも、93種あるということであります。この全てに、本来的に言えば、原著論文からその情報の確かさをチェックしながら評価していくのが本来だと思うのですが、残念ながら恐らくそこまでの労力がかけられないと考えたときに、個々の物質にブレークダウンしてみますと、例えば先ほども出ましたアセトアルデヒドその他、既往の有害性評価がある物質も少なくないということで、そういうものを活用するというのが1つ方法としてあるのだろうと思いました。
 ということで、ファーストステップといたしましては、そういうものを活用しながら、簡易なといいますか、リスク評価を行い、優先順位の高いものについてはもう一段掘り下げる可能性を残して進めていくのがいいのではないかと思いました。
 次に、もう1枚めくっていただいて、今回の委員会に参加するに当たって伺ったお話の中から、こういうところを少し考える必要があるのかなということで、論点としていくつか挙げさせていただいています。
 最初のはリスク評価の目的、評価のスコープの設定ということで、これは既に申し上げました想定される対策・管理オプション、この評価はどう使われるのかをきちっと共有したほうがいいだろうということ。暴露評価が大事だということ。これらはたばこを専門にやっておられる方からすれば当然のことだとは思います。
 有害性評価に関しましていうと、高感受性集団とか、あと、先ほどもちらっと話題に出ましたけれども、各成分についての動物試験データによる評価とたばこの煙全体についての疫学データによる評価、そういうものを同じような評価の俎上にのせて比較、あるいは足し合わせていくという作業はちょっと注意が必要かなと思います。一般的に、疫学データは割合、実績という側面がありますが、動物性試験のデータはそれに基づく予測という観点が入ってきますので、どうしても安全側に評価するという評価の枠組みになりがちだと考えています。もう一つは、各成分の積み上げと混合物という評価をどうつないでいくのかというところは恐らくポイントだろうと思います。評価の不確実性と安全側の評価についての配慮も必要になってくるだろうと思っています。
 一番最後の5ページには、これはあくまでも例ですが、今回、リスク評価のレポートのようなものをまとめると伺いましたので、我々の研究所でやってまいりましたリスク評価のうち、特にこれがたばこの例に近いというわけではないのですけれども、1つ、目次のようなものを引っ張ってまいりました。
 生産・使用・排出ということから始まり、環境汚染物質としての扱いですので、環境動態とモニタリングデータが整理され、ヒト健康リスク評価と、この物質の場合は、エコロジカルな生態リスク評価まであります。リスク削減対策の社会経済分析といったことも扱っています。こういうセットを我々はリスク評価書と呼んでこれまでやってきております。
 私のほうからは少し話題提供的ですが、簡単に、以上でございます。
○多田羅委員長 ありがとうございます。
 それでは、1のたばこの健康影響評価について、全体として、委員の皆さんの御意見をお伺いしたいと思います。
 今、望月先生と蒲生先生から御報告いただいたことなどを背景として、今後の健康影響評価の委員会の進め方について、これについては施策の推進に資する科学的根拠を明らかにするのが大きな柱であることは、最初の挨拶でも話をさせていただきましたし、局長からもそういう趣旨のお話をいただいたと思います。
 ということで、御了解いただきたいと思うのですが、その場合、科学的根拠ということでいえば、全体というよりも、やはり部分といいますか、各論といいますか、具体的な物質を焦点にしていくことが科学的ということの意味合いになるかと思います。これは座長としての勝手な判断ですが、そういう点から、この委員会として、まず、どの成分を優先して評価すべきかという観点について委員の皆さんから本日の第1回の委員会としては、御意見をいただいて、取りまとめさせていただきたいと思っております。ということで、お願いしてよろしいでしょうか。
 進め方について、何か御意見ございますか。
 津金先生、いかがですか。そんなところでよろしいですか。
 具体的にどの成分を優先して検討すべきかということについて、委員の皆さんの御意見をお伺いしたいのですが、まず、望月先生から全体を御報告いただいておりますので、この辺が大事なのではないか。特に放射性物質ポロニウムもかなり関心を集めている物質のようにも聞くのですけれども、先生からはいかがでしょうか。
○望月委員 まず測定可能なものでなければいけない。ポロニウムについては保健医療科学院ではかっていらっしゃると思うので、後で御報告を伺いたいと思います。
 何をという前に、測定可能で、低減可能である。技術的にそれを減らすことができるというものでないと、最終的にはかってあることがわかっても、どうしていいかわからない。例えば社会が回避していくということ、個人が回避していく、あるいは製品のほうが、産業側がそれを除いていく方向に行くのか。それによっても何を選ぶのかということは変わっていくと思うのです。ですから、施策のスコープというか、ただ情報を得るだけでは減らないので、その辺のお考えをもし事務局からでも伺った上で私の考えを述べさせていただきたいと思います。
○多田羅委員長 施策の方向という御質問ですが、では、専門官からどうぞ。
○野田たばこ対策専門官 たばこ対策専門官でございます。
 一番初めに局長からの挨拶の中にもございましたが、やはりまずは、社会的なニーズとして始まっているというところもございますので、まずは、たばこによる健康影響、特に各成分について広く詳細に全体像を検討して、普及啓発、リスクコミュニケーションをしていくところが一番初めの段階になると思いますので、その観点から議論していくということが一番重要ではないかと、最近の社会的状況から考えています。もちろんリスクコミュニケーションの結果、こういう形の規制をすべきであるという意見が上がってきた場合には、その観点に基づいて再度議論いただくことが一般的には一番いい方法ではないかと考えます。
○多田羅委員長 ですから、まず、この委員会は、社会に働きかけていく具体的な物質を明らかにしていくということでしょう。
○野田たばこ対策専門官 一番初めにまずはそういうところにあると思います。
○多田羅委員長 そういうところから取り組んでほしいというお考えですね。それをもって社会に働きかけていく、リスクコミュニケーションしていくということですね。
 ですから、具体的なものを取り上げて、そのリスク、健康影響評価をここで明らかにして、それを社会に示していくことがまず原点である。それに伴うもちろんレギュレーションであるとか、法律ということも将来の話としては出てくるでしょうけれどもね。
○望月委員 リスクコミュニケーションはとても重要だと思うのです。社会が規制に踏み切るか、そのまま許容するか。そうすると、厚生省の前の私が出した資料の4ページ目で、ほかの分野では規制されているものがたばこの煙の中に入っていれば国民はわかりやすい。アセトアルデヒド、ホルムアルデヒドとか、ベンゾピレンなど、ほかの分野で既に規制されているものは、リスクコミュニケーションを経て既に規制されているわけですね。だから、全く新規のものを突然出されても、多分、判断ができにくいのではないかということから考えると、絞り込みの1つのアプローチとしては、例えば大気汚染の分野、食品衛生の分野など、ほかの既に公衆衛生上の規制が行われている領域にも存在している物質がたばこの煙にもあるとしたら、そこは入り口として、当然それを日常的に摂取するわけですから、消費者にとっても、あるいは副流煙などで周りの人たちにとってもわかりやすい物質の候補になると思います。
 もう一つは、有害性の観点からいえば、やはり致死性の高いもの。ですので、発がん物質はもう一つの考え方にもなりますし、でも、先ほどの出し方でも、非発がん性のものであっても十分有害なものは多々あるので、なかなかたくさんの化学物質の中で、例えばFDAですら93種、この中でどれが一番いいですよと私はとても判断ができかねるので、まず、この専門委員会の中でセレクション・クライテリアみたいなものも同時に検討しながら絞り込んでいってはいかがかなと思います。
○多田羅委員長 一応、そういうことが基本の考えだと思うのですけれども、この専門委員会は、私が委員長としてお聞きしているのは、やはり具体的な物質を当初から取り上げて検討してほしいと伺っております。そういう意味で、今、望月先生がおっしゃったことを踏まえて、先生はどのような物質から検討すべきかということについて、意見を出してほしいのですが。
○津金委員 ちょっとよくわからないのですけれども、基本的には、ハザード・アイデンティフィケーションをするわけではなくて、リスクアセスメントをするということですね。ハザードとしては、例えばアセトアルデヒドだって、カドミウムだって、もうみんなそれは有害性、発がん性があることわかっていると思うのです。ただ、それが今度、たばこで例えば1日20本を生涯吸うことによって入ってくる量がどのぐらいのリスクの大きさかを評価するのがリスク評価ですね。そのためには、恐らく暴露評価はある程度簡単にできると思うのですけれども、いわゆるドーズレスポンスですね。きょうは2人とも教科書的なことはちゃんと出していらっしゃるのですが、いわゆるリスク評価をするには、用量反応関係のデータが必要なのですね。それでさっき望月先生にも聞いたのですけれども、用量反応関係は人のデータですかと。動物実験のデータでやるのですかというその辺のことです。では、実際、本当にそれがあるのか。当然、この中でやれるわけがないわけですから、国際的にアベイラブルなデータを探してきてという話になるので、実際にこれは幾つかの成分に関してリスクアセスメントというか、私はがんの専門なので発がん性に偏るかもしれませんけれども、10のマイナス何乗という発がん性のデータがあるので、そのデータに基づいてやるというのが現実的なのだろう。だから、既存のほかの諸外国がやっているデータなしにはできないと思います。
○多田羅委員長 できないですね。ですから、一応、物質を絞って、それについてのデータを集めてここで検討いただくという形でこの委員会としては進めていただきたいと思います。一般的な考え方は、今日は第1回の会で、先生方の御意見が非常に重要ですけれども、その結果、どういう物質から始めるかという形でこの委員会は進めていただきたいというのが委員長からのお願いでございますので、できましたら、決めにくいところもあるかと思うのですけれども、具体的な物質について案を出していただいて、合意いただきたい。当面ここから始めるということでございますが、蒲生先生はいかがですか。
○蒲生委員 私自身は、先ほど紹介した中にありますように、既往のものの情報で、非常に粗々でも評価を一度してみて、その結果を見て選ぶべきではないかと思っています。具体的なリスク評価までいかなくても、極端に言えば、最初のリストは網羅的にFDAの出している93種からスタートするとして、そこに実際、有害性については、発がんのスロープファクターがあるのかどうか、気中レベルとしての無影響濃度があるのかどうかという情報の充足度だけでも確認しながら、一方、暴露については、データがあるのかないのかというのだけでもチェックして、まず、そういうリストを一度、全体で眺めてみたいなという気が正直します。もちろんFDAのリストを見ていると、よく耳にする物質があって、そこから始めたらいいのかなみたいに思わないでもないですが、ちょっとそれは全体像ということにならないのではないかと思います。
○多田羅委員長 もう少し全体のデータをリストとして眺めてから。わかりました。
○蒲生委員 少なくとも情報の充足度は確認したいような気がしますし、できれば、非常に大ざっぱな簡易的な評価を一度るのが良いと思いますが、一方で、情報もなく、簡易な評価もできないのだけれども、話題性のあるような物質があれば、そこはそこでちょっと詳細に、例えば一次情報から集めるような評価をやるのかやらないのかという検討があってもいいとは思うのですが。
○多田羅委員長 わかりました。
 奥村委員、いかがですか。
○奥村委員 私も、ここは初めに全体像を見ておかないと、個別に物に入っていってしまうと、確かにきちっとしたデータが出てくると思うのですけれども、全体を見失うみたいなことがあるので、初めにどうその物質にたどり着いているかをはっきりさせながら、さっき蒲生先生の発表のときに、施策を見ないとなかなか難しいのだといったところも、それと関連があると思うのです。全体にどういうリスクがあって、その中でどういうことが明らかになっているかを見て、そのほうがかえって後から見ると安全というか、物事が着実に進んでいくという感じがしています。
○多田羅委員長 わかりました。
 私のほうでちょっと早とちりしたところがあるのかもわかりませんが、専門委員会として、専門の先生にお集まりいただいていますので、物質というか、成分については合意に達するのかなとちょっと思っていたものですので、そこは今の御意見では、もう少し広い視野からのセレクションの方法、リストなどもつくって、一度そういうものの中でという蒲生先生や奥村先生のお話です。
 欅田先生、いかがでしょうか。
○欅田委員 今のような議論に関して、実際、国内でどのような形であるのかということに関して、この後、私のほうからも実態について御報告させていただこうと思います。その中で、既に諸外国で挙げられている優先順位がつけられているリストがどんなものかについても触れさせていただこうと思っています。
○多田羅委員長 では、先に山海委員から一言、その辺の進め方について御意見を伺って、欅田先生のお話をお伺いすることにします。
○山海委員 ありがとうございます。
 私も、全体像というところでぜひ見ていただきたいと思います。疫学をやっている立場でいいますと、たばこ全体の影響としては評価するのですが、それぞれの成分ということはちょっとわかりかねますので、ぜひそのあたりのリストを勉強させていただきたいと思います。
○多田羅委員長 大和委員、いかがですか。
○大和委員 これまで受動喫煙の曝露指標として粉じん濃度を測定してきたので、先ほど出ていたように、発がん性物質、特に、管理濃度や日本産業衛生学会が示している「許容濃度等の勧告」などで国や学会が規制しているもの、そして、過去の粉じん濃度との組み合わせからリスクの大きさが推測できるような物質を測定していくと有用であると思いました。
○多田羅委員長 津金先生、よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 それでは、もう少し広く、全体像を見てから物質を絞り込んだほうがいいのではないかというのが委員の先生方の御意見のようでございますので、その方法などについて考えないといけないと思いますが、それを踏まえまして、欅田先生からお話を次にお願いしたいと思います。
○欅田委員 今の議論にもありましたけれども、どういった化学物質をこの委員会の中で対象としていくのかということに関しまして、基本になるようなところ、国際的な情勢がどうなのかといったことについて御報告させていただこうと思います。
 先ほど望月委員からも話がありましたけれども、FCTC(たばこ規制枠組条約)で、9条で含有物に関する規制、10条でその情報の開示ということが求められているのですけれども、私たちのほうでは、そういった化学物質の分析、評価、情報の開示をここ数年、WHOと共同しながら実施してまいりました。
 化学物質を評価するということになりますと、2ページ目、標準手順書という形で、一定の、誰もが同じデータを得るような方法を確立してはかることが重要になってきます。
 左側にWHO TobLabNetと書いていますけれども、これは世界中の二十数カ国の公衆衛生機関が参加しているたばこ研究室ネットワークですが、その中で、FCTC9条、10条に基づいたたばこの成分の分析を行っております。対象物質として掲げているものは、たばこ葉成分、ニコチン、アンモニア、各種添加物、たばこ主流煙成分、その中で粒子状成分とガス状成分の分析を今、進めているところであります。
 発がん性がどうなのかという議論がありましたけれども、青字で示しているものがIARCのグループ1、人において疫学的に発がん性があると認められている対象物質を実施しております。
 こういった標準手順書をつくることにおきましては、各参加国のグループがまず、スタンダードになるテスト方法を確立しまして、その時点で分析可能なところが手を挙げて、共同で実施しまして、ラウンドロビン研究というものを行います。一定の測定方法が確立されたということで、右に示すような標準手順書を公表していくことが実施されているところであります。
 私たちのところでもそういった中で、左の下に丸で囲んでいますけれども、アルデヒド類を含むカルボニル類であったり、揮発性有機化合物、こういったものに関しましては、TobLabNetの中でリーダーラボとして、標準手順書を確立する準備を今、進めているところであります。
 どういったたばこを対象としてやっていったらいいのかということになってきますと、3ページに、これは2006年の時点で、売上高国内上位10銘柄のたばこリストを挙げているのですけれども、たばこのパッケージには、そこに数値が書いてありますように、タール、ニコチンというものがパッケージに表示されています。日本のたばこで有害成分として書かれているものは、タール、ニコチンだけです。それ以外にTobLabNetでは、下に書いていますような測定対象物質、主流煙のタール、ニコチン、一酸化炭素、たばこ特異的ニトロソアミン、たばこ葉中のニコチン、たばこ特異的ニトロソアミンといったものを分析している状況であります。
 4ページ、こういった成分を分析するに当たってどういう形で捕集分析しているのかといったところが、確立されたものがないと定量化できない。レギュラトリーサイエンスとして科学的に評価するという形できちっとした方法がつくられないといけないわけですけれども、4ページにはそういった形で、機械喫煙装置というものを用いまして、主流煙の捕集法についてお示ししています。
 右側に書いてあるのがこの機械ですけれども、上にたばこをセットしまして、これをオート制御の空気を吸うことによりまして、フィルター上に主流煙のタール成分をトラップしていく。また、その後ろでガス状成分も捕集していく形になっています。このフィルターに粒子状成分がトラップされることによってその重みがふえますので、そういったものからタール量が判定されます。さらにニコチン量を化学分析していって、ニコチン量を定量していきます。
 日本のパッケージに書かれているものは、タール量とニコチン量だけが左の上に赤い円で書いてあるような状況で示されている。
 一方、諸外国ではどうなのかということで、先ほどカナダの例がありましたけれども、カナダは比較的先進的にこういった対応をとっておりまして、そこに書いていますが、いろいろな成分をはかっています。タール、ニコチンだけではなくて、一酸化炭素、ホルムアルデヒド、シアン化合物、ベンゼン、そういったものをはかっています。さらに、1つの値ではないのです。これはレンジをもってはかっています。レンジをもってはかっているというのは、カナダ保健省が提示している測定方法と、また、ISOという日本のたばこパッケージに書いてあるような捕集方法、そういったものをあわせて、人の吸い方によってどのようなレンジになるのかということも含めた数値の表記方法をとっている状況にあります。
 今、捕集方法を述べましたけれども、5ページを見ていただきますと、たばこの煙を上のような機械で捕集するときにどういう約束事のもとでやっているのかということで、2種類の喫煙方法で評価しています。
 1つは、ISO法と言われるものです。これに基づいて日本のたばこパッケージは規格されている。測定したものが書かれています。これは1回に35ミリリットルの吸煙をして、それを2秒間で吸煙する。それを60秒間隔で行っていくという形です。
 一方、カナダの方法は、HCIと書いてあるのは、Health Canada Intensive法というものですけれども、カナダ保健省の方法は、1回の吸煙量は55ミリリットルで、それを2秒間で吸いますけれども、30秒間隔で行いますよというところです。吸煙ボリュームと感覚が違います。さらに大きな違いは、一番右に通気孔の閉鎖とありますけれども、通気孔というのは、たばこを吸わない方は余り御存じないかと思うのですが、下にたばこの絵のアップが写されていますが、たばこは口をつけるところのフィルターにミシン目の穴が無数にあいているのです。この穴をあけているか詰めるかということで、ISO法におきましては、ここの穴は全然加工しない。オープンのまま、製品のままはかるという形。そうすると、35ミリリットルを2秒間で吸煙したときに、実は、たばこの葉のほうから来る煙だけではなくて、空気を吸って希釈される形になっていきます。Health Canadaのほうでは、それがないようにということで、この穴を100%ふさいでしまってはかるという形で測定するという状況であります。
 そのような形ではかりますとどうなるかということで、先ほど上位10銘柄の絵柄を示しておりましたけれども、私たちのところで主流煙中のタール、ニコチン、一酸化炭素、たばこ特異的ニトロソアミンを測定しております。
 それの結果が6ページに示しているものですけれども、それぞれ下のところに0.1〜1.2の数値が書かれていますが、これはたばこパッケージに書かれているニコチン量です。それに対してバーが2本ずつありますが、一番左はタール量です。右上がニコチン量、左下が一酸化炭素、右下がたばこ特異的ニトロソアミン量を示していますが、2本ずつのペアの濃いほうのバーはカナダ保健省が示すHCI法という、先ほどのフィルターの通気孔を全部塞いで捕集した場合。薄いほうのバーはISO法ではかったものです。ISO法ではかったものは、日本のたばこパッケージに表示されている値ときちんと同じ表示になって、0.1〜1.2まで10倍の差があれば、測定したデータもその10倍の差を反映した結果として出てきます。一方、Health Canada法、HCI法で測定した場合には、左上のタール量におきましても、たばこパッケージには12倍の差がありますけれども、せいぜい2倍以下の相違しか認められない形になってくる。
 右上のニコチン量に関しても同様の経緯が認められます。さらに、右上のニコチン量に関しましては、オープンサークルの線がつけられていますけれども、これはたばこ葉中のニコチンを測定したものです。実は、たばこの中の葉のニコチン量は全然変わらないわけです。それを先ほどのフィルターの通気孔の穴で調整して数値が変わっているのがほとんど実態ですよということがこれからもうかがえます。
 さらに左下、今のはたばこの粒子成分とかそういったものでしたけれども、ガス状成分になってきますと、左下は一酸化炭素ですが、ISO法ではかると低ニコチンたばこから高ニコチンまで、若干傾向が見られますけれども、濃いグリーンで書いていますHCI法で見ると全く一緒と。ガス状成分に関してはまるっきり差異は認められませんという状況になります。
 右下は、たばこ特異的ニトロソアミン量ですけれども、これはそういったパッケージとの表示の傾向は認められなくて、むしろニコチン表示0.5〜0.8ミリグラムぐらいの中間あたりのものが一番高く出てくる形になりますが、実は、たばこ葉は主要3種類ぐらいのたばこ葉をブレンドしてつくっていますので、ブレンドのぐあいによってたばこ特異的ニトロソアミン量は変わってくることが反映されていると思われます。
 7ページ、先ほど通気孔がありますということでしたけれども、これは日本の同じブランドのパッケージ表示が1ミリ〜10ミリまで違うたばこのフィルター部分の通気孔を写しているのですが、1ミリという低タール、低ニコチンたばこにおきましては、左側に見られますように、4列にわたって細かいミシン目がつけられているわけです。それでたばこの煙が全部、実は希釈される測定をしているものがISO法です。3ミリ、6ミリ、8ミリ、10ミリとなっていきますと、通気孔の穴がどんどん減らされている状況になっています。Health Canada法におきましては、この通気孔を全部塞いでやるとほとんど成分は変わらなくなっているというのが先ほど示した結果になってくるわけです。
 次にめくっていただきまして、先ほど望月委員から測定をきちんとする、測定可能物質を対象とする、また、その結果として低減可能性があるのかどうかも判断根拠になるという意見がありましたけれども、実際、たばこ成分の量はどう経時的に変化しているのかを望月委員から示されました厚生労働省のホームページに公開されています2000年のデータと私たちのところで測定しています2008年のデータを比較したものです。
 これはたばこ特異的ニトロソアミン量を示していますけれども、A、B、C、D、Eという5つのたばこのブランドに関しましてはかったところ、2000年のデータ、濃い茶色に対して、2008年のデータはいずれも半分から3分の2ぐらいまで低下しているという形で、たばこメーカーにおきましても何らかの対応をとっているというのがこういうところで見られるところであります。
 ただし、この低減が十分なものなのかということに関しましては、次の9ページ、カナダ産たばこ葉中のたばこ特異的ニトロソアミン量を経時的に見たもので、各ブランドに関して、2003年、2004年、2005年とはかったデータが右側に書いてあります。トータルたばこ特異的ニトロソアミン量として示されていますけれども、例えばサンプルAを見ますと、2003年には1,799ng/g、2004年には1,291ng/gという形でかなり減らされています。2005年には352ng/gということで、ダイナミックに低減が図られている。ほかのブランドに関しましても同様の傾向で、2004年〜2005年に顕著に低減化が図られていることが見てとれます。日本の部分はそこまで下がっていないというのが先ほどのデータでした。
 さらにたばこメーカーのほうにおきましては、新規のたばこがいろいろ出されていて、望月委員からその辺のコメントがありましたけれども、その1つの例がメンソールたばこということで、10ページにあります。
 メンソールたばこは今、非常に普及してきているところです。これに関しまして、FDAでは「メンソールたばこの販売停止はアメリカの公衆衛生に有益である」という勧告を2011年に出しています。さらに、ドイツのがん研究センターのほうからは「たばこのフィルターにメンソールカプセルは,有害な製品の魅力を増大させる」ということで、左の写真つきのパンフレットをつくっているわけです。
 ここに出ているものは、日本のたばこで、右側に拡大写真がありますけれども、たばこのフィルターのところにメンソールのカプセルを入れてある。これは歯で噛むことによってつぶして、一番下のように、メンソールをにじませて、爽快感を持たせながら、たばこの煙の苦味をなくして吸えるという形で、喫煙導入にこういうものがすごく使われているところがある。また、女性をターゲットにしたりして、こういう新しい製品が開発されてきているというのが今の情勢であるというところです。
 化学物質に関しましては、概要はそういったところですけれども、先ほど来ちょっと話題に上がっていましたポロニウムに関しましても、私たちのところで、厚生労働科学研究の特別研究事業という形で実施しております。
 その背景に関しましては、望月委員からもありましたけれども、1960年代からたばこにポロニウムが含まれているということは、放射線衛生をやっている人たちにとっては、比較的常識と言われる範疇で知られている内容でした。ところが、東京電力福島第一原子力発電所の事故で放射性物質の環境汚染ということで、さらに社会的な注目も上がってきているところがあります。また、飲食品中の自然放射性物質由来の内部被ばく線量評価、これはトータルダイエットスタディとかといったもので、私たちのところで福島の事故以前からずっとはかっているのですけれども、その中の数値におきましても、ポロニウムが比較的高いものですよということで、一昨年末に0.98ミリシーベルトという形で数値が改定されました。それ以前は0.4ミリシーベルトぐらい。カリウム40を中心として、0.4ミリシーベルトぐらいということでしたけれども、私たちの研究等で報告していたものが反映されて、0.98ミリシーベルトという状況になっています。その過半をポロニウムが占めている状況です。そういったことで、ポロニウムの分析をスタートさせたところがあります。
 測定方法は下に書いていますけれども、ちょっと煩雑なところもありますので、次を見ていただきますと、12ページに今、述べました食品中の被ばく線量とかの反映がどうなのかということで、右上に棒グラフが書いてありますが、福島の事故以来こういったものを見る機会がふえていると思いますが、私たちが通常に生活をしていましても、自然放射線由来の放射線被ばくということで、世界平均で年間2.4ミリシーベルトの被ばくをしています。日本の場合は、一昨年の改定される前は1.5ミリシーベルトぐらいですよと。ラドンの寄与が諸外国に比べて非常に少ないものですから、1.5ミリシーベルトぐらいですよといわれていましたけれども、トータルダイエットスタディ等のデータが反映されて、食品の値が改定されました。
 その結果、真ん中に黄色で食物物等からとなっているところが非常に大きくなっていますけれども、ポロニウムが0.8ミリ、カリウムが0.18ミリシーベルトという形で、今、トータル2.09ミリシーベルトぐらい私たちは日常生活の中で放射線被ばくしている。これは福島の事故と関係なく、ポロニウムというのは自然にもともとあるものです。
 誤解無いようもう一回強調したいですけれども、自然由来のものとして、左側にウラン系列というものを示していますけれども、ウランから自然にずっと系列として分裂していくものなのです。途中にラジウム226というものがありますけれども、ラジウムを経て、ラドンを経て、それがポロニウム210、赤で囲ってあるところですが、こういったものになって、最後に安定の鉛になっていくというものです。こういったものがたばこにおきましても含まれているということで、その被ばくということが心配されているわけです。
 私たちのところで、現在、暫定的に評価しました結果としまして、13ページに書いていますけれども、標準たばこ、これはWHOのTobLabNetの研究室での調査のときにも使う標準たばこですが、その標準たばこと海外産のたばこ1種類、国内産のたばこ1種類について、たばこ葉中のポロニウム、主流煙の粒子成分、先ほどのフィルターにトラップしたポロニウムの分析、評価を行いました。
 その結果、標準たばこにおきましては、たばこ葉中に、1本たばこ当たり11ミリベクレル、主流煙中には0.4ミリベクレルという数値がありました。海外産たばこにおきましては、たばこ葉中に13ミリベクレル、主流煙中に0.9ミリベクレルぐらい。国産たばこにおきましては24ミリベクレル、主流煙中に1.4ミリベクレル程度という形で出てきて、今、述べた数値はISO法によるものですけれども、Health Canada法でやりますと、その下に書いてありますように、さらに3倍ぐらいの数値になってくる状況です。
 たばこ葉中のポロニウムに関しまして、1本当たり24ミリベクレルというのは、これまでにも国内でもかなり評価されているところがあるのですけれども、それらの数値と大体一緒のものでありますし、望月先生から紹介いただいたもので、ピコキュリーという昔の単位で評価されていましたが、あの中でもベクレルに直しますと、大体、最大で40ミリベクレル程度という数値になりますので、それらの範疇に入るもの。ただし、諸外国のものよりはちょっと高いのかなというのが日本のたばこ。まだ数をはかっていないものですから、その辺は今後検討が必要になってくるところがあるという状況です。
 そういった問題に対して今後も主要銘柄について測定していく必要があるというのと、今のポロニウムに関しましては、粒子相だけでしたけれども、ガス相についても今後検討していく必要がある。そういったものを測定するための標準測定法の開発が必要になってくるということが残された課題になっていくと思います。
 今、述べましたことを最後、15ページにまとめとして挙げてあります。時間の関係がありますので、まとめのところは省略しますけれども、最後に16ページのところ、これは先ほど望月委員から紹介のありました厚労省のホームページに公開されている対象化学物質と私たちのところで測定したものを相互比較できるように並べてあります。2000年のものと2008年のものです。ただし、これの測定方法は、ISO法の数値だけを挙げてあります。また、有機化合物のところに関しては、NAとしていますけれども、ちょうど当時の該当するたばこについて私たちのところで測定できていませんけれども、その他のものについてはこういった有機化合物についても測定しているところであります。
 大体、低減されているものもあれば、余り変わらないものが大半ですよという状況かと思われます。一番低減されているのは、下のところにあるニトロソアミン類です。これは先ほど棒グラフでも示しましたけれども、ニトロソアミン類についてはかなり下がっているところが認められるという状況です。
 こういったことで、今後どういったものをはかっていったらいいのかということに関して、私のほうで考えているものを17ページに示させていただいていますけれども、まず、測定するたばこ銘柄の選定をどうしていくかということで、これは次のスライドでお示ししたいと思います。
 結論としましては、流通している毎年のトップ銘柄、売上高上位7銘柄ぐらいを測定していったらよろしいかなと考えているところです。また、それをたばこ葉と主流煙について、標準的な方法としてのカナダ保健省のHCI法、またISO法によって測定していく。こういったものを主流煙だけでなしに、副流煙についても測定ができていけばよろしいかと考えているところです。
 その7銘柄を選択した根拠に関しましては、最後の18ページを見ていただいたら、これは2011年の平成23年度でのたばこ売上銘柄上位20銘柄についてのリストを出しています。数量のところが、一番上がセブンスターで8,542となっていますけれども、これは単位を書き忘れていまして、単位が100万本単位です。したがって、これで85億本という状態です。
 国産たばこの上位7銘柄を左側に黒いポツで示していますけれども、上位7銘柄といいましても、たばこパッケージがソフトなパッケージのものと、ボックスタイプのものがありますので、そういうものを全部含めていきますと、左に示している形で含まれてくる。さらに、輸入たばこもかなり流通していますので、輸入たばこについても、上位7銘柄を選んでいくと、左の白丸で示した形になっていくという形で、まだ20銘柄以降のところにも上位7銘柄が含まれてきますので、上位20銘柄に相当するもの、シェア率で43%といったものですけれども、そういったものがカバーできてくる。
 さらに、先ほど来、望月委員からもありましたし、私のほうからも述べましたように、メンソールたばこのような新規のたばこがどんどんつくられているのですけれども、こういったものに関しては、回転も非常に速いところで、若人であったり、女性をターゲットとして開発されてきていますので、そういったものの状況を把握するために、それも7銘柄ぐらいはかっていったらいいのではないかと考えているところです。
 銘柄に関してはそういった選択根拠、また対象とする化学物質についてはどうなのかということで、別紙の資料4‐2に掲げていますけれども、先ほど来、発がん性であったり、いろいろな問題を指摘されていましたが、諸外国での状況がどうなのかというのをまとめているのが1ページの図であります。
 実線より上がたばこ葉中のもの、下がMainstream、主流煙中のものという形ですけれども、TobLabNet、これはWHOのFCTCに基づいて、たばこ研究室ネットワークではかっているものを丸で示しています。Health Canadaと書いてあるのは、カナダ保健省がはかっているものです。カナダ保健省は非常にアクティブにいろいろなものを測定している状況です。CORESTA、これはフランスが中心になってやっていますけれども、たばこ産業の人たちも加わってやっているもので、大体、TobLabNetでやっているものと同じものを測定している状況にあります。
 さらに、これらの有害性に関しましては、2ページのところにまとめてありますけれども、発がん性から見たものとしましては、たばこに含まれる発がん性物質はIARCのグループ1、ヒトに対する発がん性が認められるものがこういったものが含まれている、さらにグループ2Aでもこういったものが含まれている状況です。
 最後に、3ページを見ていただきますと、先ほど望月委員、蒲生委員それぞれから出てきましたFDAがまとめたリスト、93種というものがありましたけれども、その93種のリストがこういったもので、その生物活性がどうなのかということで、発がん性あるいは呼吸器への問題、心血管系への負荷、生殖発達への負荷、依存性といったものでそれぞれ分類されている状況にあるということで、こういったものの中の、今、幾つかのものについてWHO FCTC TobLabNetの中ではかっていますし、私たちもそこに参加して、実際にはかって、そのデータを公開してきているという状況にあります。
 以上です。
○多田羅委員長 詳細に分析方法を含めてお話いただいてありがとうございます。非常に具体的にわかるところがあったと思います。そういうことを踏まえまして、この委員会としては、最初にお話したように、成分というところに若干、今のところこだわっているところがございまして、今の先生のお話からすると、この成分を検討すべきだという、その成分の決定方法といいますか、その辺のお考えはどのようなものでしょうか。
○欅田委員 はかれるもの、低減できるものは望月委員のほうからありましたけれども、それに加えてリスクの大きさがどうなのかというのは当然のことながら問題になってくるわけです。
○多田羅委員長 資料4−2の中でそういう検討はできるのですか。
○欅田委員 ここにはそういうリストとしては提示していませんけれども、先ほど望月先生から出された論文の一番最後の参考論文の中に同様のことが反映されていまして、そういった中で、リスクとして大きいものは何なのかというものを見ていった場合に、アルデヒド類がかなり大きいものですよと。アルデヒド類はここでも、アセトアルデヒド、アクロレイン、ホルムアルデヒドとか、いろいろリストがありますけれども、これらは1回の測定で1つの物質をはかるわけではなくて、アルデヒド類としてはかれるわけですので、そういった評価ができてくるわけです。VOC(揮発性有機化合物)についても同様な形で、1つの測定の中で多種類のものが測定できるわけですけれども、そういったくくりの中におきまして、アルデヒド類がリスクとしてはかなり大きいものを占めている。さらに、重金属類であったりというものがまた次を占めますよということが望月委員のほうから紹介された論文などに挙げられている。
○多田羅委員長 それをレビューすれば、具体的な成分の決定といいますか。
○欅田委員 優先順位はできると思います。
○多田羅委員長 優先順位を決めることはできる。
○欅田委員 現実にそういった資料をもとにしてWHO FCTCでやっていたものが、最初のほうに述べましたようなリストになっていて、まず、測定方法をきっちり確立して、誰がやっても同じ値が出せるという形にバリデーションをしないといけないですので、そういったものを順次つくっているところという現状です。
○多田羅委員長 わかりました。
 ということのようでございますので、その辺の今、望月先生に御紹介いただいた論文を、望月先生、もう一度ちょっと簡単に説明をお願いします。
○望月委員 13ページの論文だと思うのですけれども、これが先ほど申し上げたように、ニュージーランドの厚生省に対して研究機関が、J FowlersさんのグループはTobLabNetにも入っているオランダの研究機関だと思いますが、そこがリスクアセスメントをした結果です。
 それぞれの具体的な方法は私は述べられないのですけれども、この中でCancer Risk IndexとNon Cancer Risk Indexについて大きい順に並べてあるものです。ですので、これは考え方として、リスクの大きいものからということの目安にはなるのではないかと思います。
○多田羅委員長 ありがとうございます。
 13ページにあるCancer Risk Indexを指標にしていくことが1つの方法ということでよろしいのでしょうか。
○欅田委員 今の私の発言で1カ所訂正させていただきたいのですけれども、資料4−2の1ページ、各機関が分析していると私が書いていますけれども、これは各機関が提案しているものであって、その分析方法を今、確立しているもののリストという状況ですので、実際、分析しているものという状況ではまだないものです。訂正させていただきます。
○多田羅委員長 4−2は分析した結果でしょう。
○欅田委員 分析を提案しているものであって、まだ全部が。
○多田羅委員長 これを提案しているのですか。わかりました。
 きょうは第1回の委員会ですので、どのような方法でこの委員会を進めていくか。あるいはどのような成分について今後検討していくかというところで意見を伺ったことになるかと思います。最後に、欅田先生から望月先生に御紹介いただいた論文のCancer Risk Indexを参考にしていけば、1つのインデックスも明らかになるのではないかという御意見をいただきました。
 ほかにいかがでしょうか。具体的な成分について検討していくことがこの委員会の先の道筋になっていくと思います。きょうは御意見を伺っているわけですが。
○望月委員 厚生労働省が規制権限をまだ持っていないがゆえだと思うのですけれども、たばこ製品に関する詳細な情報をまだ持ち得ていない。では、財務省は一体どうなのだろう。先ほど私の資料の中で、FCTCについて9条、10条は一応、規定されているのですが、成分について規定はないのですが、製造たばこを所管している財務省に対して、たばこ産業は何らかの形で情報提供をしているのかどうかはいかがなのでしょうか。
 もう一つは、先ほど欅田先生がメンソールたばこについては、上位20種の中に入っていないので、開示がされていないと。でも、20位以下にすごく細かいセグメントでさまざまなものがあって、その情報を恐らく日本たばこ協会などが持っていると思うのですけれども、この委員会として、あるいは厚生労働省から財務省なり、協会に対してリクエストして、情報提供をしていただくことは可能なのでしょうか。
○多田羅委員長 事務局、いかがでしょうか。
○野田たばこ対策専門官 今、望月委員の御指摘の件に関しましては、事務局のほうより、当該部局に確認をさせていただきまして、次回以降、出せる場合には、その状況について示させていただきます。
○望月委員 ありがとうございました。
○欅田委員 望月委員のほうからメンソールたばこの件の指摘がありましたけれども、私たちが今後はかったらいいというだけではなくて、既に私たちのほうでもメンソールたばこについてはかっています。きょうは資料の関係で提示していませんが、さらにそれ以外に、通常のパッケージのたばことほとんど変わらない状況である。それに加えてメンソールの成分がすごく入っているというところです。また、新規のたばこが出てくるということですけれども、先ほど望月先生のほうからも無煙たばこの御意見がありましたが、そういったものについても私たちのほうで評価を行っているところです。
○多田羅委員長 欅田先生の評価した結果というのは、どこかにパブリケーションされているのですか。
○欅田委員 ジャーナルのほうにもパブリケーションを順次やっていますけれども、基本的には、これは厚生労働科学研究費のほうで実施させていただいていますので、それの報告は全部、今、上げています。
○多田羅委員長 それは厚労省に上げているわけですね。世の中に対してはどうなっているのですか。
○欅田委員 厚生労働省に上げた分は全部、ホームページに公開になっていますので、順次、見られる状況にはなっています。
○多田羅委員長 分析結果について国民が広く見ることができる。
○欅田委員 ただ、私たちのほうでもうちょっとそこは積極的に2000年の測定したものと同じような形でホームページなりで情報公開は今後続けていきたいと思っているところですけれども、分析法そのものが今、WHO TobLabNetとネットワークを組みながら、私たちのところで確定法をつくっているところですので、そちらと整合性を持ちながらやっているところですので、まだホームページでの情報公開とかが確立していないところであります。順次出していきたいと思っているところです。
○多田羅委員長 今後、この委員会でもそういう成分の分析結果は先生のところの結果に相当依拠していくことになりますね。
○欅田委員 そう思います。
○多田羅委員長 その点も含めまして。
○欅田委員 中立的な立場ではかっているところは国内では私たちのところしかありませんし、規格にのってやっているところは私たちのところだけだと思います。
○多田羅委員長 国際的にはどうですか。
○欅田委員 国際的にやっているのがさっきのTobLabNetの中で、TobLabNetは世界中の二十数カ国が入っていますけれども、それぞれがこの化学物質についてはこの国が担当しましょうねという形で役割分担をしているわけです。その中でアルデヒド類とか揮発性有機化合物は、捕集方法を含めて分析が困難で、担当が決まらなかったのですけれども、それを今、私たちのところがリーダーラボとしてやらせていただいているところです。
○多田羅委員長 わかりました。先生のところのデータに最終的には依拠せざるを得ないところも相当出てくるのではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。
 どうぞ。
○望月委員 欅田先生に1つ質問ですけれども、先生の資料の13ページ、ポロニウム-210の分析結果で海外のたばこと国産のたばこが2倍ぐらいの開きがあるのですが、これはなぜ高いと、あるいはほかに何かレファレンスの物質、普通のタール、ニコチン量でもいいのですけれども、何か目安になるものははかっていらっしゃるのでしょうか。
○欅田委員 ポロニウムは重金属類と同じような流れになってくると思うのです。ただ、ここについては、今のところ私たちは、化学的にポロニウムの成分を抽出して、ポロニウムはアルファ・エミッターという、アルファ線しか出さないものですから、飲食品のモニタリングに使うようなゲルマニウム半導体検出器ではかることができないわけですけれども、そのために、かなり煩雑な手技を要して測定しているのですが、それで今、出しているのはここの3つぐらいしかまだ出していません。これまでに報告されているレポート上で出ている数値を見ましても、日本のものが残念ながら諸外国よりはちょっと高い形になっているのがポロニウムに関しては実情のようです。
○多田羅委員長 残念ながらというのはどういう意味ですか。
○欅田委員 低減が可能であれば下げたらいいのでしょうけれども、ここの3つを見ても、日本の部分が一番高い。ほかのレポートでも日本のものが若干高い傾向があるという意味です。
○多田羅委員長 ポロニウムは当面この委員会で取り上げる順位としては、先生から見たらいかがなのですか。
○欅田委員 今、放射性物質ということで、福島の事故との関連ですごく関心の高いところだと思うのですけれども、健康リスクとして見たときに、これがどの程度寄与するのかが次の課題になってくると思うのです。これを吸い込んだことによる被ばく線量がどの程度なのか。これについても評価がされているところであります。
○多田羅委員長 それはデータはあるのですか。
○欅田委員 それに関しましては、12ページのところ、日本の自然放射線源による被ばく線量を棒グラフに示したものがありましたけれども、これが原子力安全協会から生活環境放射線という形でまとめて出されて、そのデータが国連科学委員会(UNSCEAR)に大体、引用されていくわけですが、その中でたばこによるポロニウムの被ばくというものが評価されています。喫煙者におきましては、1パッケージを毎日吸う方で年間0.051ミリシーベルト。それを喫煙率で全人口平均にすると0.01ミリシーベルト/年という形ですので、被ばく線量からいくと、リスクとしてはそう大きくないというのが評価されているところです。
○多田羅委員長 ありがとうございます。
 今のところ、国民は放射性ということについて非常に関心が高いので、ポロニウムも話題に上がってくるということも聞いております。
 それでは、きょうの議論は、議題2のたばこの成分分析について、今、欅田先生からお話をいただいたということで、2の議題について以上とさせていただきますが、よろしいでしょうか。
 どうぞ。
○津金委員 ISO法とHCI法というのは、ヒト暴露として考えた場合は、基本的に、現実のシチュエーションとしては、ISO法ということになるのでしょうか。
○欅田委員 要は、ISO法というものが通常の工業規格と同じようにつくられて、それではかりましょうという形ですけれども、それをつくった後にたばこ会社のほうは、見かけ上の健康リスクが低いものということで、フィルターに穴ぼこをあけるという発案をしていっているわけです。それに対して実態評価できるものはどうなのかということで、マサチューセッツ州などはかなり早い段階から関心を持って、マサチューセッツ法というものを開発して、それが2000年に厚生労働省が出している1つのデータになってくる。望月委員のほうから紹介があったものです。カナダのほうはもっと積極的にやっているところで、100%通気孔を防ぎましょうという形でやっているところで、ヒトの暴露実態はどうなのかということで、吸煙量等に関して私たちのところでも評価しているのですけれども、たばこを吸うたびに1日間ずっと吸煙量を評価できるようなポンプを使った評価をしますと、大体、日本人の場合は、Health Canada法、カナダ保健省に基づいた55ミリリットルに近い1回吸煙量をやっている。さらに低タール、低ニコチンたばこは代償性喫煙というものが起こってきますので、深く吸いますので、吸煙量がふえてくるということに関しても私たちのほうで既に報告しているところです。
○多田羅委員長 どうぞ。
○奥村委員 関連するといえば関連するのですが、欅田先生の16ページの資料ですけれども、これは化学物質ばかりですが、データが2000年〜2008年でニトロソアミンとか、ホルムアルデヒドはがくっと減っていますね。要するにここの会議で、さっきの空気穴の話もそうかもしれないのですが、ここで個別の物について評価していくと、たばこ会社が8年間、そういう期間にその物だけ減らして、ほかのものはという、そういう操作みたいなものが可能なのですか。そこをちょっとお尋ねしたいのですが。
○欅田委員 なかなかそこは難しいところで、1つだけ先に御注意いただきたいのは、ホルムアルデヒドのところに関しては、右の備考に「改良中」と書いていますけれども、ホルムアルデヒドが反応性の高いもので、比較的不安定なので、2008年の数値に関しては、真値として見ないように気をつけていただいたらと思っているところです。今、先ほどいいましたようなTobLabNetの中で私たちがこれの測定方法をきちんと確立しようとしているところですので、1.2、2.7に下がっているというのは、そういう意味で見ていただいたらと思います。
○多田羅委員長 低過ぎるわけですね。
○欅田委員 同じアルデヒド類のアセトアルデヒドがすぐ下にありますけれども、これはほとんど変わっていないので、恐らくこういう動きしかしていないと思いますので、そこについては御注意いただければと思います。
 そうしますと、ニトロソアミン以外の化学物質はほとんど大きな変わりがないというところです。たばこ特異的ニトロソアミンに関しましては、たばこというのは、たばこ葉を収穫してから、ずっと2年、3年、発酵とか熟成、醸成させていって、皆さんが手にとるパッケージになっていくのですけれども、その醸成過程の工夫をすることによって低減されるのではないかということが言われています。カナダなどはそういったことをかなり先進的にやっているようですが、詳細に関しては私たちのほうではわからないところです。
○多田羅委員長 ニトロソアミンの減少はこのままということですか。そういう工夫がされてかなり減少しているのですか。
○欅田委員 はい。それはたばこ産業のほうでそういう努力をされている。
○多田羅委員長 わかりました。ありがとうございます。
 いろいろな分析方法の具体的なデータについて御紹介いただいて、非常に理解するところが多かったと思います。このようなデータをもとにこれからの委員会は御検討いただくことになるということかと思います。
 ということで、本日のところは、具体的な成分の名前まではたどり着きませんでしたけれども、本日いただいた意見をもとに、私と事務局のほうで検討させていただいて、具体的な成分にたどり着くリストですとか、そういう決定方法等の事務局案を次回までに用意させていただきます。きょうの議論を踏まえまして、最終的な成分にたどり着いて、その成分についての健康影響評価を具体的に明らかにしていただくということについて、御理解いただければと思います。
 そういうことでよろしいでしょうか。事務局はそれでよろしいですか。
 それでは、一応、議題としては2まで終わったことにさせていただきます。
 その他について事務局から何かございますか。よろしいですか。
 第2回の予定については。
○馬場課長補佐 第2回専門委員会の日程等につきましては、後日、日程調整の上、改めて正式に御連絡申し上げますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○多田羅委員長 それでは、本日の第1回専門委員会は以上にて終了させていただきます。
 御協力どうもありがとうございました。


(了)

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