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2013年4月1日 第14回社会保障審議会年金部会議事録

年金局

○日時

平成25年4月1日(月)13:00〜15:00


○場所

厚生労働省12階「専用第15・16会議室」(国会側)
(東京都千代田区霞が関1−2−2)


○出席者

神 野 直 彦 (部会長)
植 田 和 男 (部会長代理)
宮本 礼一 (委員)
小 塩 隆 士 (委員)
柿 木 厚 司 (委員)
菊 池 馨 実 (委員)
駒 村 康 平 (委員)
小 室 淑 恵 (委員)
小 山 文 子 (委員)
佐 藤 博 樹 (委員)
武 田 洋 子 (委員)
花 井 圭 子 (委員)
藤 沢 久 美 (委員)
森 戸 英 幸 (委員)
諸 星 裕 美 (委員)
山 口  修 (委員)
山 本 たい 人  (委員)
吉 野 直 行 (委員)
米 澤 康 博 (委員)

○議題

(1)公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案について
(2)その他


○議事

○神野部会長 それでは定刻ですので、ただいまから第14回年金部会を開催いたします。春が巡ってまいり、年度始めのお忙しいところ、委員の皆様方には御参集いただき本当にありがとうございます。
 本日は植田委員、小室委員、小山委員、宮本委員、山口委員、吉野委員から御欠席の連絡を頂戴しております。御出席の委員の方々の数が3分の1を超えておりますので、この部会の会議は成立していることを御報告申し上げます。事務局からの出席者は、お手元の座席図のとおりとなっておりますので、これにて御紹介に代えさせていただきます。
 それでは早速議事に入りたいと思いますが、御説明の前に資料の確認をしたいので、事務局からお願いします。
○藤原総務課長 年金局の総務課長でございます。お手元の本日の資料を確認させていただきます。まず資料1は枝番で1〜5まであり、資料1-1は「公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案の概要」という1枚紙。1-2は「厚生年金制度の見直し」。1-3は「厚生年金制度の見直しについて(試案)」です。1-4は「『厚生年金制度の見直しについて(試案)』に関する意見」。1-5として「第3号被保険者の記録不整合問題への対応について」という編綴です。
 資料2は枝番1、2とあり2-1が「『年金個人情報の適正な管理のあり方に関する専門委員会』の設置について(案)」です。2-2は「『年金個人情報の適正な管理のあり方に関する専門委員会』の設置について」の資料です。
 最後に参考資料として「社会保障審議会関係法令・規則」のテキストです。以上です。御確認ください。
○神野部会長 よろしいでしょうか。御確認いただければと思います。それでは大変恐縮ですが、カメラの皆様方にはここで御退室をお願いします。御協力ください。
 それでは議事に入りますが、お手元の議事次第を御覧ください。本日は大きく2つの議事を予定しております。1つは、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案と、もう1つは個人年金情報に関する専門委員会の設置、この2つの議題を用意しております。
 まず、第1の法律案に関わる議題です。この法律案は大きく内容が2つに分かれております。1つは「厚生年金基金制度の見直し」です。もう1つは「第3号被保険者不整合記録問題への対応」です。この2つの内容から成り立っております。このうちの第1の「厚生年金基金制度の見直し」については、昨年11月にこの部会で専門委員会の設置について御了承いただき、この部会から専門委員会に御参加、御協力いただき7回にわたって精力的に議論を頂戴しました。私が取りまとめ役を仰せつかり、資料にもあるようにあとで御説明があると思いますが、去る2月8日に意見書として取りまとめを行っております。
 この大きく2つを内容とする法案については、4月上旬の閣議決定を目指して、厚生労働省で鋭意作業中ですが、本日はその内容について事務局から一括して御説明いただき、議題は大きく2つに分かれておりますので、それぞれ分けて御議論を頂戴したいと思っております。それでは事務局から資料について御説明をお願いします。
○渡辺企業年金国民年金基金課長 それでは、お手元の資料1-1から1-4までを一括して御説明いたします。資料1-1は、先ほど部会長からお話がありました現在作業中の法律案の全体像です。この法律案は大きく2つの内容があります。1点目は「厚生年金基金制度の見直し」で、これは主に厚生年金保険法等の一部改正になります。内容については後ほど御説明いたします。
 2点目の内容は「第3号被保険者の記録不整合問題への対応」で、これは昨年の通常国会にも一度提出しておりますが、国民年金法の一部改正ということで、後ほど年金課長から御説明いたします。
 3「その他」ですが、現在、障害・遺族年金の支給要件の特例措置、若年者の納付猶予制度がありますが、それぞれ平成28年3月末、平成27年6月末で期限切れとなることに伴い、今回の法律改正と併せて10年間期限を延長するという内容です。
 以上、大きく2つありますが、まず私から厚生年金基金制度の見直しについて御説明します。資料1-2です。1ページに「年金制度の体系」が載っています。厚生年金基金については、昨年11月に専門委員会を設置する際に、一度この年金部会でも現状について御説明しておりますが、簡単にご説明いたします。
 厚生年金基金は、昭和41年にできた制度で、前年の厚生年金保険法の改正のときの経済界からの要望等を踏まえできた制度です。図を御覧いただいても分かりますように、いわゆる三階部分の企業年金ではありますが、一部公的年金である厚生年金の一部を代行しているところが他の企業年金にはない特徴です。ピーク時には基金数も2千弱ありましたし、また厚生年金被保険者の3人に1人が加入するという我が国の企業年金の主柱でありました。その後、今から約10年前になりますが、平成13年、14年に確定拠出年金と確定給付企業年金制度ができ、大企業の大半は、企業会計基準の見直し等もありましたので、厚生年金基金の代行部分を国に返上して、これらの制度に移っております。
 現在の厚生年金基金は560余りですが、その8割は総合型といわれる中小企業が集まって作る基金で、産業構造の変化や経済金融環境の変化等もあり、財政悪化による積立不足が続いています。厚生年金の代行部分に必要な資産も持たない、いわゆる代行割れといわれる状態にある基金も多くあります。
 こうした中で、代行割れ状態を放置しておくことは、厚生年金保険全体の財政にも関わってまいりますし、また、この不足分を負担する母体企業の経営にも関わってくるということになります。昨年のAIJ事件で顕在化しましたが、それ以前から構造問題として指摘されていました。
 昨年、年金部会の下に専門委員会を設置していただき、厚生労働省で試案の形で厚生年金基金制度の見直しの改革案について御提示をし、これをたたき台として御議論いただきました。試案の詳細は資料1-3にありますが、簡単にポイントだけ申しますと、大きく3つの点があります。1つは先ほど申し上げた、いわゆる代行割れの問題。これについては、これを放置することは厚年本体の財政にも影響を与えるということで、早期の解散を促す方向で、特例解散制度を5年間の時限措置で見直すことを提案しております。
 一般には代行割れというのは事業主が一括で埋めなければいけないというのが原則ルールですが、特例解散制度の下では分割納付ができます。ただ分割納付をしている途中で1社が倒れてしまうと、その1社の倒産分の債務が他の分割納付の事業所にも及ぶということで、この連帯債務を見直してほしいという要望がかねてよりありました。試案の中では分割納付についての事業所間の連帯債務を見直すことや、母体企業の自己負担原則、厚年本体との財政中立が基本ではありますが、分割納付期間の延長や納付額の特例の拡大を提案しました。また、特例解散については、第三者委員会で審査して、個別に客観的に見ていくということとしています。こういった形で全体として代行割れ問題を処理していくということです。
 それと併せて、代行制度そのものについて、先ほども申し上げたように、大企業の大半はDBやDCにもう既に移っておりますが、他の企業年金への移行を進めながら、10年間で段階的に縮小して廃止をする。またこれに併せて解散認可基準の緩和、あるいは債務計算方法の補正等を行うことを2つ目の柱として提案をしました。そしてまた、厚生年金基金から他の企業年金等に移りやすくするための支援策について提示をしました。
 これについては、今年2月8日に、7回の議論、この中では関係団体等からのヒアリング等も行いましたが、議論を経て、専門委員会として試案に対しての意見書を頂いております。専門委員会の意見書の詳細は1-4です。代行割れというのは、基金制度にとっては、非常事態なわけですが、これが常態化しているという現実、また、上乗せ給付を含めれば、9割以上の基金で積立不足になっている状況の中で、代行制度の持続可能性は低いということが、専門委員会の意見です。そして、代行割れ問題については早急な対応が必要であり、代行割れが二度と起きないように、代行割れのリスクを厚年本体の財政から遮断する方策を制度的に担保することが必要であるという御意見を頂いております。
 先ほど申し上げた試案の中で特例解散の見直しについては、概ね試案の方向で止むを得ないということで御意見を頂きましたが、先ほど申しました特例措置の拡大について、納付額の特例を拡大することについては、反対の意見が大半でした。
 代行制度の見直しは、10年間の移行期間を置いて段階的に縮小し廃止する方向ですが、これについては妥当であるという意見で概ね一致をしました。なお少数意見として、一定の基準を満たす健全な基金には存続させてもよいのではないか、という御意見もありました。健全ということの定義については、やはり安易に設定することになると、今後も代行割れを残すことになるので、最低限の条件として、解散した場合に三階部分の上乗せまできっちり支払える資産を保有している、あるいは金融市場のリスクが高まっている中で、代行部分の資産を短期の金融市場の変動から守るという観点からは、少なくとも代行部分の1.5倍を超える程度の積立水準が必要であるということ、これは事務局で過去12年間のデータに基づいて専門委員会の中でも示していますが、こういうことを委員会としても議論いただきました。
 それから企業年金の持続可能性を高めるためには、できるだけ中小企業が作りやすい制度設計、手続の簡素化に留意することに加え、今後の課題として、公的年金と私的年金の役割分担、これは個人年金も含めてですが、これについて、今後、年金部会等でも議論していく必要があるのではないかという御意見も頂いております。
 以上がこれまでの経過ですが、今回の法律案の中では、厚生年金基金制度改革について、基本的には今頂いた専門委員会の御報告を踏襲した形になっておりますが、幾つか相違点がありますので、そこも含めて御説明いたします。
 4ページの一番上にありますが、まず、今回は、いわゆる代行割れ基金については、できるだけ早期の解散を促していくということです。これは平成23年度末の状況ですが、1.0が代行部分の水準ですので、これより下の所が約4割。ここはできるだけ早期に解散をさせるということで、先ほど申し上げた事業所間の連帯債務を外す、あるいは分割納付の際の利息を固定金利にする、あるいは現在の最長納付期間は15年ですが、これを延ばすということで、できるだけ母体企業の経営と両立するように少し長期の返債も考えていくということで、早期に解散させるということです。
 ただ一方で連帯債務を外すことになると、倒産が出るとその時点でそこの部分は厚年本体の不納欠損になりますので、その意味では、厚生年金の被保険者3,400万人にもある程度のリスクの分かち合いをしていただきながら、この問題を解決していかなければならない。そのためには、やはり代行割れを再び起こさないための制度的な措置をきちんと入れていく必要があるということです。
 その上で、平成23年度末では、代行割れ以外の所でも、残りの5割ぐらいの所は代行割れ予備軍とも言える状況です。ここについては5年間で代行割れ基金に対応している間に、他制度への移行あるいは解散を選択していただく。若干でも上乗せありますので、移行を進めていくわけですが、単独で作るのが難しい場合には、例えば既存のDBあるいは中退共などに上乗せ資産を持ち込んで続けられる、あるいは少し簡易な設計でできるような企業年金の対象を拡大するなどして、他制度に移行できる所はしていただく。もちろん解散もあり得ますので、その場合には認可基準の緩和等も行うこととしています。施行日から5年後以降については、代行保全の観点から、設定した基準を満たさない所には厚生労働大臣が解散命令を発動できることを法律上明記することを考えております。
 基準を満たす右端の1割ですが、当初、試案ではここも含めて10年という一定期日を設けて全て解散させるということで、専門委員会でも概ね妥当という意見も頂きましたが、その後、私どもで与党との調整等もあり、また省内でも大臣とご相談する中で変更いたしました。一定の基準を設けて解散命令を出すことを法定する、これは代行割れを再び起こさないための制度的措置になるわけですが、逆に言うと、こうした基準を満たした所まで10年という一律の期日で解散させるということは、行政の姿勢としてどうか、ということで、ここについては代行部分を強制的には返還させないということにしています。ただ大半は、上乗せ資産が多くある基金ですので、代行返上する基金も多いと思います。そういう所はできるだけ他制度に移行しやすいようにしていくということにしています。このように、代行割れのリスク度合に応じて対応をしていくということが法案の骨格です。
 次の5ページは、今申し上げたことを時間軸に沿って見たものです。施行日から5年間で代行割れ基金について対応し、その後は代行割れを二度と起こさないための制度的措置をとりながら、上乗せ資産で他の企業年金に移行することを促進していくということです。
 次の6ページ。これは図でいうと左の部分、「代行割れ基金の早期解散のための方策」で、「分割納付の特例」は、先ほど御説明したように、事業所間の連帯債務を外す等の対応を考えています。これと併せて、全基金共通ですが、代行部分の債務、これは解散するときに国に返す債務ですが、これについて幾つか技術的な補正が必要ということで、これまで御指摘を頂いていたこともあり、係数等の補正を行うことを考えております。
 「納付額の特例」として、現在は特例解散を行うときには一定の納付額の計算の特例があります。それは具体的に申しますと、通常は平成11年9月までの期間を境に債務の計算方法が大きく変わったので、それまでの期間は5.5%、それ以降は厚年本体の実績利回りで計算することになっていますが、基金設立時からの本体の実績利回りを用いて計算したほうが低ければ、そちらを取っていいというルールになっております。これは現行と変えないということで、当初の試案では更に納付額の特例を拡大することも提案しておりましたが、それはとらないということにしております。
 また「解散プロセス」は、自主解散が基本ですが、なかなかそれが進まない場合に「清算型解散」といって厚生労働大臣が指定して、解散を促していくという方法も入れる。また、特例解散の適用を受ける場合には、厚年本体にリスクを負わせることになるので、申請時点以降は上乗せ給付を支給停止することも入れるなどの見直しを行うことになっております。「解散認可基準の緩和」は、その下にあるとおりです。
 以上のようなことを行うことにより、次の7ページです。改正により、この代行割れ基金の負担額はどれくらい変化するかの粗い試算ですが、先ほど申し上げた代行部分の債務計算を精緻化することと、納付額の特例を適用することにより、マクロベースでは平成23年度末時点で約1兆1,000億円の代行割れ総額でしたが、6,000億円ぐらいまで圧縮できます。事業主の負担感ということで、仮にこれを加入員1人当たりに置き直してみますと、23年度末の210の代行割れ基金で平均的には不足額の負担は86万円ですが、これが約半額ぐらいになります。最高額も補正前だと550万円ですが、228万円になります。最高額のところでも例えば20年分割のようなことを使っていけば、今は代行割れ基金でも上乗せの掛金を年間12万円ぐらい払っておりますので、これが返済に置き換わるということで、今支払っている上乗せ掛金の水準ぐらいで返済できる規模まで圧縮できます。
 もちろんこれは平成23年度末の推計ですので、その後の状況変化で変わることもありますが、事業主の母体企業への配慮の点からも、厚年本体との中立という原則をそれほど大きく崩さない範囲で整理できるのではないかということで試算しております。
 8ページ。一方で連帯債務を外すことになると、母体企業の1社が倒産した時点で、そこで厚年本体に穴が空くことになるので、こういうことが二度と起こらない措置をとる必要があります。その意味から、5年後以降の解散基準、逆から見れば存続基準ですが、この基準は、「代行資産の保全」の観点から設定しています。大きく2つの基準を示しており、このいずれかを満たせば存続できる。逆にいずれも満たさなくなった場合には、解散命令の対象になります。
 1つ目の考え方は、冒頭でも申し上げた「市場環境の短期変動による代行資産の毀損リスクを回避できる積立水準」で、後ほど御説明しますが、代行部分の債務の1.5倍以上の資産を持っていることが条件です。
 2つ目の基準は、上乗せ部分に積立不足があると、どうしてもそこは上乗せ部分の給付をするために、代行資産にも手を付けることになるので、「上乗せ部分の積立不足による代行資産の毀損リスクを回避できる水準」ということです。簡単に申すと、代行と上乗せ、三階部分までの債務について、これまでの加入期間に応じた給付をきちんと払えるだけの積立金を持っていれば、場合によっては上乗せが薄い所は1.4、1.3のこともあるかもしれませんが、そこはそこまでの三階部分の資産をきっちり持っていれば、そこは存続できるということで、この2つの基準を示すことにしています。
 先ほど申し上げた1.5倍の基準ですが、11ページに「代行割れを生じない積立水準」を載せております。これは平成12年から23年まで、過去12年間の全ての基金の決算データを基に実績値として出しております。これはどういうものかというと、横軸がある年の代行に対する積立水準、1.00が代行ぎりぎりで0.幾つというのが代行を割っているということです。そういう状態にあった基金が1、2年後に代行割れとなる確率、どれぐらいの割合の基金がなったかでして、これはこの時期の全基金のデータです。
 この時期はリーマンショック、サブプライムなどの時期も含んでおりますが、逆に日経平均が1万8,000円ぐらいにかなり上昇した時期も含んでおります。その意味では市場のアップダウン、両方を含んだ全ての期間における実績です。例えば0.80というところがありますが、ある年の基準が0.80だと1、2年後には代行割れとなった基金は100%です。1.00の場合は約半分ということで、こういう形で見ていくと1、2年後の短期間の運用変動に耐えられる時間は、積立水準は代行部分の1.5倍以上必要というのが実績データです。
 12ページ。基金と厚年本体の利回りの差、これが代行割れの要因となるわkですが、実績をもとに今後5年間にどれくらいの差があるかを平均と標準偏差で見たものです。これで見ると、今後5年間で99%の確率で代行割れとならない、つまり、代行割れの確率を1%未満に抑えるためには、少なくとも現時点で代行部分の1.6倍程度の純資産を保有している必要があるということです。
以上のような、過去の実績データ等を使って、市場の短期の変動により代行資産を毀損しない水準として1.5を示しているということです。
 8ページに戻り、一番下の参考です。平成23年度の決算データに基づく平成25年3月末時点の状況は、両方の基準を満たす基金は13。(1)の基準のみを満たしている基金が34。(2)のみを満たしている基金は7です。実際にこの基準が発動するのはこれから5年後になるので、5年の間にこの不足分を埋める努力をすれば、基準を満たす可能性もあります。
 最後に9ページ。専門委員会の中でも議論がありましたが、厚生年金基金というのは、公的年金である代行部分と企業年金部分である上乗せ部分の両方を持っております。それぞれの給付が、厚生年金基金が解散した場合にどうなるかということです。代行給付は当然のことながら公的年金ですので、仮に代行割れ基金であっても給付が減らされることはありません。ただ上乗せ給付は残余財産の範囲内での分配になります。上乗せ資産が残っている基金については、積立不足のままで分配するよりも、できるだけ他制度に移行しやすくするために、いろいろな支援を行うこととしています。総合型基金という複数の事業主から成る基金が全体で代行返上することはできますが、全ての企業はそうならないというときに、解散したあと幾つかの企業が、企業単位で、単独で確定給付企業年金を作ったり、あるいは既存のDBに企業単位で入っていったりということができるようにするということも、今回の法律改正の中で併せて措置をすることにしております。
 代行割れ基金の場合は、現在は上乗せ部分の資産がない状態です。これを放置しておくと、代行割れ基金の受給者に対しては、3階部分も含めて給付をし続けています、代行部分の資産を取り崩す状態が続くことになります。これは厚年被保険者の方から見ると理解が得られないことです。
 ただ一方で、この上乗せ部分に退職金の原資を持ち込んでいる所もありますし、場合によっては事業主だけではなく加入員からの掛金を徴収している所も1割弱ぐらいあるので、こういった基金が上乗せ部分の再建をすることと、代行不足を厚年本体に返還することを両立できるように、厚年本体の返還について先ほど申し上げた分割納付期間の延長といったようなことも併せて考えていく、ということを提案しております。
 以上、少し長くなりましたが、最初の厚生年金基金のところについての御説明にさせていただきます。

○度山年金課長 年金課長の度山と申します。続きまして、法案のもう1つの中身でございます「第3号被保険者の記録不整合問題への対応について」、御説明をさせていただきます。
 1ページ目、「第3号被保険者記録不整合問題について」とありますが、サラリーマンの被扶養配偶者が国民年金の第3号被保険者で、自らは保険料を負担せずに基礎年金を保障されるということになっておりますけれども、これはサラリーマンの被扶養配偶者である限りにおいてそうだということで、例えば転職をする、あるいは離職をするとか、失業したとか、いろいろな事由でサラリーマンでなくなった場合には、制度上は自営業者等と同じように第1号被保険者となり、自分で保険料を納めなければいけない存在に夫婦ともになるというのが、制度上の仕切りです。
 サラリーマンのほうは会社を辞めますと、厚生年金の被保険者ではなくなったという手続を会社のほうが取ってくれますが、被扶養配偶者のほうは、第1号も第3号も国民年金の被保険者ということで、自分で市町村役場のほうに届けを出さなければいけないという仕組みになっております。被扶養配偶者の届出が励行されずに、記録として第3号だったまま残ってしまうということがままあり、これが、いわゆる現実と記録が不整合な状態になっているということで、不整合問題と呼んでいるわけです。
 基礎年金の番号が入って以降は、番号で夫婦のペアリングをしますので、届出がなかった場合でも「届出が出ていませんよ」というお知らせを出したり、あるいはある年からは職権で修正をするなりということで、不整合記録が生じないようになってきているところですが、特に基礎年金の番号が入ります平成9年以前については、このような期間が残ってしまっているというのが実態のようです。
 1ページの右側に「厚生労働省の粗い推計」というのがあります。不整合期間があって、どうも本当の神様の目から見たときの年金額よりも高い年金額を受給している方が、今5万人ぐらいいるのではないかと推計されています。一方で、多くの場合には年金をもらい始めるときに記録をチェックする過程で、不整合記録が分かって、記録を訂正された上で本来の年金額を受給されているということが一般的で、不整合期間を訂正したログが残っている方も50万人程度あるということですので、一部の方がいろいろな問題があってチェックをすり抜けて、本来よりも高い額が出ているというのが、今の実態といえるのではないかと思います。
 この問題ですが、年金記録がいろいろ問題になりましたときに、このような問題もあるという声が現場のほうから指摘がありまして、この問題についてどのように対処するかということで、平成22年頃に内部で検討が行なわれました。2ページ目に簡単に経緯を書いてありますけれども、平成22年の3月に、いわゆる「運用3号」取扱いという方針をとるんだということを内部的に意思決定をしたところです。
 右側にこのポイントが書いてありますが、簡単に言いますと、将来に向けてはこのようなことがないようにするけれども、過去の不整合期間については、これを修正せずに年金の支払いをするという中身です。これを基にマニュアルを作ったりとか、全国で事務が統一するようにということで準備作業を進めまして、その年の12月に全国の年金事務所に、課長通知という形で発出をされて、平成23年の1月からこのような取扱いがスタートしたという経緯です。
 取扱いが始まったあと、特に国会でこの取扱いについていろいろな御批判を頂きました。1つは、年金の保険料納付あるいは受給権、いずれも法律上の義務や権利でありますが、これを課長通知で処理したということはおかしいのではないかという御批判。それから、自らきちんと市役所に届出を出した被扶養配偶者の方も少なくない中で、届出を行わなかった人が結果的に年金給付をもらえるという利を得るという、正直者が損をするというか、ばかを見るような運用はおかしいのではないかという御批判。そのような御批判を頂き、この運用自体は約2か月で停止をし、その年の3月には、この問題を立法措置によって解決をする方針がまとめられて、通知は廃止された経過があります。
 それ以降、立法作業を進めたわけですが、当時、年金部会がまだスタートしておりませんでしたので、この問題のための特別の部会を平成23年の3月に設置しまして、4月、5月にかけて精力的に御審議を頂き、5月10日に御報告をいただいたという経緯があります。それから、当時の与党、民主党でもワーキングチームを作られて、いろいろ検討をされました。
 その年の11月に、俗称「主婦年金追納法案」という形で、臨時国会に提出をしたわけですが、臨時国会では時間が取れず、年が明けて平成24年の通常国会は、消費税とか年金関係でも4つの法律、社会保障・税一体改革の審議というものが優先された関係で、審議時間が取れないまま昨年の衆議員の解散に伴い廃案になったという経過です。
 3ページで、この問題をどのように処理をするかということをまとめております。基本的に、保険料納付に応じた給付という社会保険の原則に立ち返った処理をしようということで、不整合の記録に関しては訂正をする。その分、保険料の納付実績に見合った額よりも高い年金額となっているということに関しては、これを是正するということです。
 ただし、このような経緯のある問題ですので、3年間の猶予期間を作って、その間に特例的に保険料を追納できるという枠組みを作りまして、その保険料納付をいただいた場合には、その保険料納付実績に見合った年金額、空白期間が完全に埋まれば、今もらっている年金額がそのままという形になりますが、それを保障しようと。納付いただけなかった場合には、猶予期間の終了後、納付実績に応じて年金額を減額しようという形をとっています。
 しかしながら、御高齢の方で年金が急に大きくダウンしたということでは生活が成り立たないということがありますので、生活の安定に配慮して減額の上限は10パーセントまでとし、9割以上は年金を減らさないという配慮措置を講じることにしています。先ほど御説明したように、不整合期間が裁定時に訂正されている方も少なくないわけで、この方についてもバランス上、同じように不整合期間についての保険料追納を認め、この方に関しては保険料納付をいただければ、今もらっている年金から上がるという処理をいたします。
 3ページ目の真ん中よりやや下で、点で囲んだ箱があります。不整合期間に修正されると、今の制度上は保険料未納扱いということになってしまって、今は25年、そのうち10年になりますけれども、いわゆる年金の受給資格期間を満たせるかどうか微妙になってくる人も出てまいります。これについては、年金額の計算にはカウントをしませんが、25年ないし10年の受給資格期間のカウントには算入するという、いわゆる「カラ期間」扱いにするということで、この問題によって無年金にならないように、あるいは今そういう状態になっている人については、無年金状態を解消するというような措置を行います。
 現役の方についても同様の処理を行いますが、追納できるのは、一応いろいろな制度とのバランスも考えて10年間ということにしまして、高齢者の方は50歳から60歳までの10年間、現役の方についてはその時点からの過去10年間ということで整理をしてあります。
 この問題を再発しないようにということで、一番右下に第3号被保険者ではなくなったということについて、健康保険のほうですと被扶養者の給付ということで、リアルタイムで状況が把握できますので、健康保険組合や共済組合等の御協力もいただいて、この情報を日本年金機構のほうにいただけるような規定も併せて整備をしたいと考えています。
 この処理のフレームは、基本的に平成23年11月に法案を出したときのフレームを踏襲しておりますが、4ページ目にありますように、この問題が生じてから期間がたっているということと、できるだけ早い処理が望ましいということがありますので、日本年金機構とも相談して、この国会で法案が無事成立すればという前提付きではありますが、以前出した法案のスケジュールよりはやや処理期間を短縮するような見直しを講じているということです。以上でございます。
○神野部会長 それでは、今、御説明いただきましたように、大きく2つの内容がありますので、厚生年金基金制度の見直しの問題と、第3号被保険者の記録不整合問題を分けて議論したいと思います。初めに、厚生年金基金制度の見直しの問題について、御質問、御意見を頂戴できればと思いますが、いかがでしょうか。
○菊池委員 おまとめいただきまして、ありがとうございます。本体にもかなり配慮された案になったと思います。1点確認させていただきたいのですが、資料1-2の6ページ、より具体的には8ページの「具体的な仕組み」のところですが、「第三者委員会の意見を聴いて解散命令を発動できることとする」となっています。それから、6ページの4の?では、大臣が第三者委員会に意見を聴いて解散を促すと書いてありますが、これは法律上は権限付与規定というか、できる規定になっているのでしょうか。つまり、第三者委員会の意見と大臣の判断との関係、つまり大臣の裁量があるのかどうか。もし何らかの事情でここで解散を命ずるかどうかの判断に裁量が介在することになると、必ずしも解散に結び付かないことにもなり得なくはないので、その辺りを確認させていただきたいと思います。
○渡辺企業年金国民年金基金課長 法文上の規定は、解散命令を出すことが「できる」という規定です。今も、実は解散命令の規定が厚年法上にあります。第179条にそのような規定がありまして、事業実施が困難である場合には解散命令を出すことができることになっております。ただ、実際にはこれは発動されたことはありません。
 今回、先ほど申し上げたような2つの基準を解散命令の発動基準として、法律上も明記をすることを考えております。ですから、法文上はできるという規定ではありますが、その意味では発動の契機はより明確になります。法的には大臣が第三者委員会の意見を聴いて解散命令を出すことができるという規定になります。

○菊池委員 分かりましたが、そこで法文上は解釈の余地があるという点でやや懸念されるということを、個人的な感想として述べさせていただきます。ただ、ほかの規定もそういう規定ぶりになっていますので、年金法全体の仕組みからするとそうならざるを得ないのかなということではありますが、感想として述べさせていただきました。
○神野部会長 政治的に追求される場合を含めて、つまり出さない場合を含めてということになりますよね。
○柿木委員 1つ質問させていただきたいのですが。資料の見直しの4ページになるのだと思うのですが、専門委員会の中の議論で出ていましたキャッシュバランスプランの弾力的な制度運用や、それからいろいろと反対意見も多かったのですが、集団運用型DCの創設について、今後どのように取り扱われるのか、もし今何かお考えがあれば教えていただきたいと思います。
○渡辺企業年金国民年金基金課長 今御指摘のありましたキャッシュバランスプランの給付設計の弾力化ですが、これは実は政省令や通達で決める事項で、法律事項ではないもので今回は載せておりませんが、試案で提案した内容については、この法律改正と並行して作業を進めていくことにしたいと思っております。
 それから、集団運用型DCは、いろいろと専門委員会でも御意見がありましたので、今回の法律改正の中には盛り込んでおりません。ただ、専門委員会の議論の中で、DCについて、基金から移行するときの積立基準を緩和してほしいという議論もありましたので、そういったことは政省令以下でできることですので、これも法律改正と並行して、進めていきたいと思っております。

○柿木委員 分かりました。
○駒村委員 専門委員会で関わったのですが、質問ということではないのですが、これから法案を提出されて国会で審議されるにあたって、くれぐれもお願いしたいことが幾つかあります。3ページ目の一番下の行では、今回の案では余り強調されていませんが、公私年金の議論は早めにやっていただきたいというのが、今後の課題だと思います。
 それから、資料の8ページの一番上に書いてある「リスクの分かち合い」という何かきれいな表現になっていますが、本来は厚年基金に入っていない人にとってみれば、本来は、存在しないはずのリスクを押しつけられているようなものですので、リスクの分かち合いなどという話ではなくて、二度とあってはいけない問題だと思いますので、国会審議においても、例えばこの1.5倍の基準などが間違ってもこれ以上緩くならないように、二度とこういう問題が起きないように厳しくこの案で進めていただきたいなと思います。
○花井委員 私も有識者会議から専門委員会までずっと本件に関する会議に参加してまいりましたので、意見と質問を述べさせていただきたいと思います。まず最初に、今年の2月にまとめられました「『試案』に関する意見」の中では、「10年間の移行期間を経て代行制度を廃止する、という方向性は妥当であるという意見でほぼ一致した」となっていたにもかかわらず、いわゆる健全基金が一部残ることに対して極めて遺憾であり、納得できず残念であるということを述べておきたいと思います。
 その上で質問ですが、4ページにあります10年後も存続するとされている健全基金は約1割とありますが、8ページの下の数を足し合わせると54になるかと思うのですが、大体1割程度というのはそのぐらいの数なのかということが1つです。そして、その対象加入員数及び受給者数は、一体どのぐらいを見通しているのかを教えていただきたいと思います。
 それから意見ですが、1割の基金の存続のために制度を維持するということは、厚生年金本体の財政を引き続きリスクにさらし続けるということで、本当にそこについては明確にしておいていただきたいと思います。
 一部の基金、約1割とされておりますが、そのために制度を存続させる行政コスト、そのための体制を保持しておく行政コストについてどう考えるのかは残るのではないかと思っております。厚生年金基金に入っていない被保険者からすると、理解を得ることはなかなか難しいのではないかと考えます。
 今後も運用を続けていくということは、あくまでも皆が払った厚生年金保険料を使っていくのだということを強く認識していただきたいということと、財務状況についてはきちんと徹底した情報公開をしていただきたいということを求めておきたいと思います。
 さらに8ページですが、(1)で健全基金として最低責任準備金の1.5倍を保持すればよいとありますが、健全というのは先ほど課長の説明にもありましたように、上乗せ部分を含めて確保していることが健全ということではないでしょうか。そうであれば、最低責任準備金×1.5だけで果たしていいのかどうなのかということは非常に疑問で、上乗せ部分も含めるようなことを検討できないかということです。難しいのは承知しておりますが、最低責任準備金だけでいいのかは非常に疑問だということを述べておきたいと思います。
 そして最後に、法施行後5年以内に解散する基金は総合型が多いのではないかと思いますが、総合型の基金が解散する場合、その母体企業ごとに移行先がばらばらで、解散してしまう所、DC、DBにいく所、中退共にいく所と様々になることが想定されます。中小企業労働者のその先のあり方、企業年金に移行するとすれば、きちんと情報公開や指導的なことを行っていただきたいと思います。なかなか、厚生年金基金がガバナンスが効いていなかったことが大きな反省として挙げられていたかと思うのですが、きちんとした意思決定が行われて、企業年金に移行できる体制の整備を、国としても支援していただきたいと思います。
 私たち労働組合としても、加入員あるいは労働者が困ることがないよう、勉強会や学習会を通じて情報提供をしていく努力をしたいと思いますので、国としての支援も行っていただきたいことを要望しておきたいと思います。
○神野部会長 それでは、駒村委員の御意見や見解などを含めて、今の意見の部分については、今後の作業を進める上で参考になるようなものであれば御配慮いただくということで、1割の中身といいますか、54という数や加入者その他等々、御質問のあった部分についてお答えいただければと思います。
○渡辺企業年金国民年金基金課長 8ページの下にあります54という数字は、平成23年度末の状況です。この中には、実は既に代行返上などを始める準備なども進めている基金もありますので、今後どうなるかはありますので、とりあえず今の時点での数字です。(1)の1.5倍以上という基準を満たすところの数字で申しますと、受給者数が約20万人弱、それからいわゆる加入員数については35万人ぐらいです。(2)については、今手元にデータがありません。これは平成23年度時点での数字ですので、今後出入りもあり得るということです。

○藤沢委員 不勉強ですが、質問が1つとお願いが1つです。これを拝見していますと、結果的には事業主が責任をもって負担をするということだと思います。こういった年金制度のどの基金に入るのかを含め、やはり責任は全て事業主にあるという理解でよろしいのでしょうか。私自身も運用の業界にいましたので、運用する基金が責任をもつ、責任を取る、負担をすることはおかしいのは十分分かりますが、中小企業の事業主さんたちと触れておりますと、そういった金融リテラシーが必ずしもなくて、何も考えずに基金に入られた方は大変多く、これは中小企業経営者さんだけではなくて、従業員も、恐らく組合の方々もそうだったのだろうと思います。そういう意味で今、事業主に責任があるということが国によって明確にされるということは非常に大きなことなのかなと思い、1つ質問をさせていただきます。
 それからお願いなのですが、そういう意味ではこのあとDB、DC、中退共へということを提案されているのですが、この提案をされるのであれば、是非とも事業主の方、そして従業員の方、組合の方々に金融リテラシーをしっかり持っていただくというような仕組みづくりなのか、支援なのかをしていただかないと、結果的に運用結果は悪かったですと、結局マイナスになりましたと。国民全体には影響はないかもしれないが、結果的に中小企業で働く人々にとってはマイナスの結果がやってくるということになってしまっては、大変残念なことになると思いますので、ここは少し検討いただけたら有り難いと思いました。
○神野部会長 この場合は、今の事業主だけがというときの、それだけではないという相手方は、従業員とかそういうことでしょうか。
○藤沢委員 私は、運用を担当している運用会社が責任を取るのは本来はおかしいと思っているので、これは明確に、事業主が本来責任を取るべきものだったのですよというメッセージと理解してよろしいのでしょうかということです。
○渡辺企業年金国民年金基金課長 厚生年金基金の制度的な仕組みを申しますと、例えばどこの運用会社に委託するといった基金の運用、あるいは財政運営の方針は、事業主と加入員の代表からなる代議委員会が、最終的な意思決定権限を持つという仕組みになっております。ただ、実際には運用が予定どおりいかなくて不足が生じた場合については、これは基本的に確定給付年金ですので、もちろん合意を得て給付を下げることもできますが、不足部分あるいは代行割れの不足部分については、事業主が負担をするのが今の法的な仕組みです。ただ、一方で事業主にいわば年金の債務によって倒産ということが起こらないように、先ほど来説明しておりますような様々な理屈の付く範囲内での補正等をした上で、企業経営と年金の不足を事業主責任できちんと埋めることが両立し得るような改革案を目指したということです。

○神野部会長 運用の問題を先におっしゃったのではないですか。
○藤沢委員 いや、運用の責任を追求するのは、私はもっともだと思いますので、それは求めません。
○神野部会長 分かりました。
○山本委員 今のこととも若干関係するのですが、今、花井委員が言われました1割の部分が健全ということで、したがってこの制度が残っていくということです。これを残すことにする理由は、一体何かということを質問させていただきたいと思います。仮に、移行期間が長ければ、これはいずれかの段階でこの制度そのものを廃止をしていく道もまたあるのかということも感じました。
 もう1つは、いずれはDBやDCに切り替えていくのですが、実際に今ヒアリング等を取られていて、どれぐらいの率でこの移行が可能になりそうなのかという見通し。極めて、その率が低いとしますと、この部分の年金の加入者の受益部分が減っていくわけですから、先ほど最後に非常に大きな課題が出ておりましたが、全体の年金なり社会保障という大きなフレームの中で、この問題はどれぐらいのシェアを有することになるのかという辺りの目算も、恐らく非常に少ない構成比だと思いますが、少し認識はしておいたほうがいいのかなと思いましたので、お答えがあるようでしたらお知らせください。
○渡辺企業年金国民年金基金課長 先ほど花井委員からもありました制度を一部残すということの行政コストについて、どう考えるかです。既にこの健全基金の中には代行返上等を始めている所もあり、今後そういう所を移行させていくことは併せてやっていきたいと思います。ただ、一方で代行割れが二度と起きない措置を講じつつ、それをクリアしている所まで強制的に一定期日で解散をさせることに伴うコスト、例えば訴訟コストなどと、一部をモニタリングしつつ移行させていくコストと、両者の比較衡量による政策判断として、この結論に行き着いたものです。

○神野部会長 そのほか、いかがでしょうか。
○小塩委員 今の説明についてですが、納得はいたしますが、私は少し違う見方をしております。例えば、資料1-3の最後のページに、純資産額と見直し後の最低責任準備金の基金による違いが示されています。ここでは、1.5を上回れば健全だという判断だと思うのです。しかし、経済学者から見ますと、右端にあるのは異常値ではないかと思ってしまうのです。つまり、厚年基金が想定した行動をしていない結果、こういう結果が出てきたのではないかと思うのです。ですから、そういう基金の面倒をどうして厚年基金で見るのかという問題が出てきます。そうすると、やはり花井委員がおっしゃったように、行政的なコストが無視できないのではと思うのです。この辺りの基金は恐らく体力はあるでしょうから、別に移行しても構わないのではと思うのです。なぜ、わざわざ残すのでしょうか。それが、やはり理解できないなという気がいたします。
○森戸委員 1つ目は、まず先ほど駒村委員がおっしゃった公私年金の議論や、私的年金、企業年金を含めてのあり方の議論は今後必要だというのは、繰り返しになりますが一応私もそう思いますので、一言申し上げておきます。それから、先ほどの菊池委員の質問に絡むのですが、一応今後どうなるかというので、資料1-2の4ページのような感じで、スムーズにやっていきましょうというのは分かるのですが、まず代行割れの基金については特例、新特例も認めますし、自主解散しなさいという方向だということで、期限付きで割と有利な条件を出しているのだからそれに従いなさいというので分かります。
 質問したいのは、自主解散しろと促すが、しかし、しない場合には清算型解散というか、解散命令を出すような方向なのだという理屈なのですが、そこの法文上の切っ掛けというか。自主解散しないのだなと。では、解散命令だといくのは、どういう判断がされるのでしょうか。例えば、法律ができて1年たっても何もしないと解散命令だということなのか、今一生懸命話し合っているのですが、いろいろもめていまして、抜けるという所もいますし、何かごちゃごちゃしているのですよと言って、もう少し待ってくださいと言われていたら、ではまだ議論しているようだから解散命令は出せないねと言っていると、5年たってしまうのかなと思っています。
 実際上、もちろん多くの基金が合理的に行動できるのであれば、この際新特例で解散しようと思うのでしょうが、やはり法律家なので例外的なことを考える癖があるので、それでも応じないとか、基金自体が余り機能していないみたいなことが起きたときに、解散命令を打ってそちらにいくと。ではもう自主解散する気はないのだなと、では解散命令だといって移行する契機というか、切っ掛けは法令上どのように整理されるのか。若しくはどのような見込みで、実際上は皆自主解散するよねという見込みなのか、そんなことは言えないのでしょうが、少しそこはどのような感じで考えられているのかを聞きたいのが1点です。
 もう1点は、同じ資料1-2の9ページ、今後の上乗せ部分の受給権保全ということで、この問題が大事なのはよく分かります。聞いていたつもりなのですが、よく分からなかったのは、ケース2の代行割れの場合の今後上乗せ部分をどうするかという話です。事業主の退職金原資の再建という※が付いていて、「こうした基金が解散後、上乗せ給付を再建するスキームとしての活用も考えられる」と。どういう意味かよく分かりません。何を活用するのかなということと、退職金原資の再建というのは、要するに新しくお金を持ってくればできるだろうということを言っていることにすぎないのか、従業員掛金があることはどういう理屈で書いてあるのかを、もう少し補足していただけると有り難いです。
○渡辺企業年金国民年金基金課長 まず、清算型解散の発動ですが、これについて、具体的な要件は政令で定めます。例えば、積立水準がある一定水準を割ってしまっている所、これは毎年の決算で分かりますが、そういう指定という行政行為の発動の要件は客観的に定めることにしております。

○森戸委員 では、次の法律ができたあと、最初の決算のときに数字的にアウトだったら。
○渡辺企業年金国民年金基金課長 基本的には、そこは清算型の指定の候補として上がってくるということになると思います。
○森戸委員 分かりました。
○渡辺企業年金国民年金基金課長 それから、2点目の9ページですが、先ほど申しましたように代行割れ基金の場合は、今既に上乗せ資金が不足、すなわち、自主財源がありませんので、この代行資産を使って3階を払っているという状態です。解散をすると当然のことながらそこは顕在化します。そうしますと、例えば上乗せ部分にもともと退職金原資を持ち込んでいた所、あるいは上乗せ部分に一部加入員の掛金が入っている所をどうするのだと問題がありますが、そういった課題を抱える基金の中に、代行不足を払う前に、代行資産から上乗せ給付分を先取りできないかという要望もあります。しかし、不足している代行資産から上乗せをさらに先取りすることは、厚生年金の被保険者として許容はできないのではないかということです。一方で事業主としては退職金原資を持ち込んだということで、退職金を支払う義務はあります。そういうときに、結局、そこは代行資産を使って出すわけにはいきませんので、再建をしていくしかないのですが、その際に、例えば税制上の損金算入などのスキームを使うとすると、この企業年金のスキームしか今はありませんので、そういうことに簡易なDBを作ることもあり得ます。
 ただ、もちろんそれは事業主に体力があればということですので、全ての事業主ができるかどうかはあると思いますが、ここはある意味、代行資産を使って3階を払うわけにはなかなかいきませんので、本体に返すほうを長期ローンにして、余力があれば3階を積み直すことができるようにするという趣旨で書いた図です。

○米澤委員 改めて、厚生年金基金の健全な所を残すことに関して、いろいろ政策コストも高いので、いかがなものかという意見が出ました。私も基本的にはそうだと思いますが、もう1つはそれらの基金が移行する先の新しい制度とかは、まだ十分に議論されていないのではないかということですので、是非、早くもう少し制度を固めてあげて、そういう所に自動的に移っていくことをするのが必要ではないかと思っています。そういうことがまだ十分でないところで、DCやDBに移れる所はいいですが、必ずしも移りにくい所もありますので、そこは致し方ないのではないかなと思っています。
 政策コストがかかるのは事実ですが、リスクに関してはどうしてこんなに代行割れができるのか。昔の5.5%というのはかなわなく、ここの根っこがあるのはしょうがなくて、これは大きいかもしれませんが、それ以降は厚生年金本体のほうに合わせておけば中立的になるわけですから、そんなに運用で難しい話でもないので、そこのところでどうしてこんなに出てくるのか。それは利益が上がるとか上がらないではなくて、本体のほうと比較してですので、今後はそこのところを本体と合わせるようにしておけば、更なるリスクはそこから発生することはないのではないかと理解をしています。特に最初のほうはもう少し受入側のほうを拡充して、自然体になくしていくというのを考えるべきではないかなと思っております。
○渡辺企業年金国民年金基金課長 3階部分については、確かに今もDB、DCという制度はありますが、もう少し使い勝手を良くする、あるいは先ほど言いました移行しやすくしていくことの工夫は必要だと思います。後段については、フルファンディングの状態、きちんと積み立てている状態であれば、厚年本体と同じポートフォリオを組んでやっていけばそんなに乖離はないですが、一度代行割れになってしまうと、いわば、水面下に沈んでしまうと、水面である厚年本体の運用実績もそれなりに上がっていきますので、景気のいいときに確かに基金も良くなりますが、その目標である厚年本体の運用も上がっていきます。ですので、厚年本体を相当上回る運用収益を挙げ続けないと、浮上できないというのが今の代行割れの状況です。フルファンディングでゼロベースで始めれば、そこはおっしゃるとおりだと思います。

○駒村委員 2つほど質問です。これから法案や政省令を作られると思いますが、ここに書かれていないことがもしかしたら御説明にあったかもしれませんが、この専門委員会の試案をレファレンスしながら作られるという理解でよろしいのかが1点目です。それに関わる話ですが、先ほど森戸委員のお話で、代行割れのまま最終的にリスクを本体が引き受ける、リスクをなるべく下げる、コントロールする役割として第三者委員会が極めて重要になる。第三者委員会がどういう役割を果たしていくのか、どういう権限を持てるのか、委員がどのように選ばれるのかがとても重要だと思います。試案には5ページに、リスクを引き受けなければいけない。厚生年金本体のガバナンスをきちんと反映するような人選にすべきだということも書かれていますので、そういうことも含めて法案や政省令のほうで書き込んでいただけるのだろうと思いますが、一応の確認です。
 それから、現時点でこういう性格の第三者委員会というのは、ほかに厚生労働省の行政上はあるのでしょうか。これはどちらかと言うと、該当する基金が出てくるのを、それとも事務局から基金は対象になりそうという報告があると積極的に検討するのか、どういう性格のものなのか。今は、年金制度の中ではないと思うが、社会保険や厚生労働省の中に類似の委員会はあるのかどうかだけを教えていただければ。
○渡辺企業年金国民年金基金課長 駒村先生の御指摘にありましたように、きちんとした厚年本体の拠出者の意思、ガバナンスが効くようにということで人選も考えていくということは当然だと思っておりますし、その方向で考えていきたいと思っております。
 それから、先ほど言いましたように、御質問のありました清算型基金の指定の基準とか、特例解散の適用条件といったものは政省令・通達レベルですが、これから客観的にきちんと決めていきますので、客観基準をまずお示しした上で、具体的にA、B、Cというケースが上がってきて、これは客観基準に照らせばこうだけれども、解散命令は発動していいかということをお聞きをする形の運営になっていくかと思っています。

○神野部会長 意見書については、一応、最小基準として尊重するということでよろしいですね。
○渡辺企業年金国民年金基金課長 そういうことです。
○山本委員 7ページに、代行割れ総額が精緻化後に6,000億円に減っているという試算がありますが、平成23年度末でその後のいろいろな資産状況が激変しております。平成24年度末はまだ数字が出ていないと思いますが、それを見込みで考えてみると、先ほどの40%、50%、10%というあの辺の比率が少し変わってくることもあるのかどうかという気もしたので、これはみなしの数字しかまだないと思いますが、実際に最終決定されるときにそんなことは反映する必要がないのかどうか。
○神野部会長 何か現時点でお答えできることがありましたら。
○渡辺企業年金国民年金基金課長 これまでの数字というのは、全て平成23年度の決算が最新ですので、それを基にやっております。ただ、御指摘にありましたように平成24年度末、資産の部分については、かなり改善をしていることは確かです。ただ、先ほど米澤先生のお答えでも申し上げましたが、債務のほうも厚生年金本体の利回りで増加していきますので、市場がいいときは債務と資産の両方が伸びるということになります。平成24年度末の粗々の推計ですが、先週末の日経平均の終値が1万2,400円弱ぐらいでしたが、仮に1万2,500円ということで推計すると、精緻化と現行特例を適用したとしても、なお代行割れ基金140ぐらいで、代行割れ額4,000億円ぐらいということです。
 ただ、個々の基金で見ると、恐らく不足額が今かなり縮まっている所もあると思いますので、その意味では私も日々実務しておりまして、ここ数週間でも相当解散の事前申請が上がってきていることも事実です。

○神野部会長 そろそろこれを打ち切らせていただいて、今日出た御意見、御要望、御注意といろいろあるかと思いますが、適切な様々な御意見を頂戴したことを感謝して、事務局というか厚生労働省におかれては、今後の作業を進める上で参照する1つの目安としても採用いただければということと、単にこの作業に限らず、今後の年金に関わる政策を考える上でもお役に立てていただければと願う次第です。
 続いて、「第3号被保険者の記録不整合問題への対応について」、どうぞ。
○佐藤委員 幾つかあります。1つは3ページで、多分これは今後、該当する人をフォローしていくということになると思いますが、推計ということで把握できるのかどうか。特に無年金になっている人のところは推計の人数も書かれていないということは、ここがよく分からないのですが、人数が現状でも推計できないのかという気もしないでもない。ほかは入っていますが、ここは入っていないので、実際上この辺は法律が通ったあと、これをお願いするようなことができるのかどうかが伺いたいことの1つです。
 もう1つは初歩的なことで、1ページに戻ると、普通考えると、制度設計したときに当然起きると思って当たり前だと思います。つまり本人が手続しない限りですので、3号を入れたときに起きると思ってもいいと思うけれども、それがなぜ職員のアンケートで出てきたか。もう1つは配偶者のほうが2号になってということではなくて、例えば配偶者が1号になって妻が3号で残っているのも記録上あるのかなと。分かりませんが、もう少し幅が広いのかなという気もする。あと、空いている期間が平均6.8というのはとても短いような気が。まだまだデータ的にはフォローした上で出している6.8で、パターンもこの1ページにあるようなパターンだけなのかと、あとはフォローできるのかということを少し教えていただければと思います。
○神野部会長 よろしいですか。
○度山年金課長 順に御説明いたします。まず推計の数ですが、受給者、被保険者それぞれに数百のサンプル調査をして、それで弾き出している数字ということです。訂正済みのほうは、ログが残った記録ということでほぼ実数ですが、推計5.3万人や現役層の42.2万人は、サンプル調査の結果を全体に置き換えた数字ということで、そういう意味でいうと非常に粗い推計であるということは申し上げたいと思います。
 裁定時に不整合期間を訂正した結果、受給資格期間を満たさない者というのは、サンプル調査をするときに受給者でデータを取っていますので、受給資格期間を満たさないと受給者にならないので、このサンプルがないので難しいのですが、運用3号の取扱いが2か月有効だった期間に、その取扱いを受けた方が300人程度いらっしゃいます。その中には、かなりスレスレだったようなケースもあるように聞いておりますので、論理的にはこういうことはあり得るし、おそらく実態としてもあるのだろうなと推測をしております。
 結局、今この推計5.3万人の方は、私どもも知らず、受給者もよく分かっていないという関係ですので、全ての受給者あるいは被保険者の記録にバッチを当てて、この不整合期間を洗い出すためのシステム開発を2年がかりぐらいで進めていて、それがちょうど法律が通った頃にできるかなということで、プログラムを走らせて個々の方に御案内をし、確認をする作業をいたします。
 1ページの「不整合記録が生じる例」のパターンとしては、典型的には図に書いてあるような例ですが、もう1つは被扶養配偶者だった方が自分で事業か何かを始められて、被扶養配偶者としての要件の収入130万円を超すケースがあります。それに関しては、健康保険で被扶養者から外れる扱いになりますので、その記録と照合をして、そういう実態があった方については、不整合を認定する作業を並行して行うことになります。
 6.8か月と比較的短いと申し上げたのは、典型的には無職の期間が余り長いと生活できませんので、一般的には次の仕事を見つけられるまでの間の空白期間、データ的にいうと、サンプル調査では、1か月だけという方が4割いらっしゃいます。1年未満という方に広げますと、全体の8割。1年超える方は2割ぐらいしかいらっしゃらないということなので、転職の間の期間。サラリーマンの方が事業を興すことも難しく、普通は次の仕事を見つけられると思いますので、そういった実態だと思います。
 最後に、制度設計したときに、こういう問題はよく分かっていなかったのかということに関しては、この問題が起きたあと、第3号被保険者不整合記録問題に関する調査会議というのが当時の副大臣をヘッドとして設けられておりまして、弁護士の方等にも入っていただいて、報告が出ております。確かに当時もいろいろ問題視はされていたけれども、特に番号が入っていない以前というのはできることも限られておりましたので、そういう意味でいうと、完全にチェックができない仕組みを10年少しにわたって運用していたという経過から生じた問題だと、この報告書には整理をされているということだけ御紹介させていただきます。
○神野部会長 よろしいですか。ほかはいかがでしょうか。
○諸星委員 今回のこの問題というのは実務家からしてみれば、先ほども佐藤委員からもお話がありましたが、機構からのアンケートと言っていますが、社会保険審査会で過去に何度もこの問題は出ていました。10年以上前からこの問題が出ていて、これはおかしいではないかと。何回も言って裁決書で書いていますが、それがアンケートで結果が出てきたという実態だと思います。
 それから先ほど事例としてありましたが、具体的にある事例としては、3号だったのですが途中で再就職か何かをして2号になったのに3号の健康保険の扶養を除かないままに、また辞めてしまう。するとデータ上は1号になります。ところが、3号の健康保険には入っているままに放置していた事案が結構多くて、協会健保は多分データを整合させますが、健保組合が漏れるというのが実態です。そういったところも今後考えていただきたいと思います。
 それから、そもそも国民は自分が1号なのか、2号なのか、3号なのかが分からないのです。私が女性の方々にお話を聞くと、「私は3号と言われているけれども」と言うのですが、「1号、2号って何ですか」と聞くと、それ自体分からない。ですから、そういった周知も学校教育が必要だと言っていましたが、そうではなくて、そういう普通の方々にも国民年金は1号、2号、3号、それぞれの働き方とかそれによってあるよということを、きちんと周知するべきだと思います。
 最後に、今後不整合記録の再発防止の措置ということですが、3号の届出は今は、平成14年から事業主が届出をしています。ところが、退職時に関して3号の廃止というか、退職の届出の義務はないのです。これが私は問題なのかなと思っています。入るときに届出を事業主にさせたら、辞めるときにも事業主がきちんと出しなさいという形にすべきだと思います。ちなみに、よく女性の方々が「私は主人に全て任せていました」と言いますから、私は旦那さんを信用してはいけないといつも言います。正にそのぐらい実務的には難しい問題ですから、これを契機にもっと具体的にこれからの法律が通ったら、政省令で出ると思いますが、実態に合ったやり方というのを考えていただきたいなと思っています。以上です。
○神野部会長 ほかはいかがですか。
○度山年金課長 御指摘ありがとうございます。そもそも自分のステータスが分からないというのは深刻な問題ですが、今ちょうど国会に提案されましたが、社会保障番号というのが通りますと、自分のステータスをオンライン等で確認ができるような仕組みも設けられる予定にしておりますので、そういうこととも相まって広く啓発等をやっていきたいと考えています。
 再発防止の措置で端折って説明をしましたが、過去において第3号の届出は今御指摘があったように、事業主経由で行うことに改正をいたしました。それは、健康保険の被扶養の手続を取るときに、複写でそのまま同時にできるようにという工夫をして、そういう措置をとったということです。その背景は、あの頃は今以上の問題として3号自体の届出を忘れる。しかも、昔はその場合には届出があってから2年しか3号の効力は遡らないという制度でしたので、3号の届出を忘れることをどう処理するかの関係で、そういうことにしたという経過があります。
 そのときに、外れるときもというところに思いが至らなかったのは、当時の担当者としても深く反省をいたしますが、今回の法律では健保組合、共済組合の御協力もいただいて、被扶養から外れたということの情報を年金機構にいただく。これで入るほうも外れるほうもおそらく漏れがなくなるということで、協会けんぽの保険料は年金機構で徴収しておりますのでその中で分かりますが、健保組合と共済組合は別法人ということで、わざわざ法律に規定を入れて処理をすることにしたということを御報告させていただきたいと思います。
○神野部会長 ほかはいかがですか。
○菊池委員 1点確認です。法案の施行スケジュールを前倒しというのは大変結構なことだと思いますが、実際は日本年金機構にかかってくる部分が大きいと思います。先ほど既にプログラムの開発準備をしているというお話でしたが、昨年も大幅な法律改正がたくさんあって、実際に運用に当たるのは年金機構だと思います。今回もこのようなスケジュールの見直しということで、記録問題も山場は越したということですが、まだ残っている中で大変な事務量というか作業量が年金機構に行くと思います。政府としても、何らかの人・モノ・カネも含めた支援をしていかないと、本当に国民の側としてうまく施行できるのかなという心配があるわけですが、その辺は何か具体的なものがあれば教えていただきたいのですが、いかがでしょうか。
○度山年金課長 十分なお答えにならないことを前提に、実は今回法律を出し直す上で一番頭を使ったのがその点です。特に、被用者年金一元化や年金生活者給付金制度という結構システム的にも負荷のかかる作業が、特に消費税の引き上がる平成27年10月に集中しておることがあります。今回これを出し直すに当たって、そのスケジュールも頭に置いた上で、それから先ほど申し上げた、プログラムを当てて本人に郵送をして確認をするとかの処理に必要な期間などをシミュレーションした上で、4ページのようなスケジュールを書いておるということです。
 政治的な調整過程では、もっと短縮ができないかという御意見もいただきましたが、記録を確認するプログラムは法律が通らなくても準備はできますが、追納を受け付けるとか追納額に応じて年金額を改定するとかというのは、制度がきちんと社会的な合意がされて初めてその作業処理に当たれるということで、余り縮まらなかったということですが、それでも少しでも処理期間を短縮するスケジュールを組んでいるということが実際です。
 このような事務処理に時間と手間がかかるということについて、世間的にはなかなか御理解がいただけない中で、十分な配慮を求める御意見を頂戴したことは、大変私どもにとっても有り難く思います。
○諸星委員 1つ質問が漏れてしまったのですが、被保険者記録不整合で追納ということがあります。昨年10月から、過去10年間納付することができるという後納制度というものが始まりましたが、この追納期間のやり方はそれと同じようなやり方ということでよろしいのでしょうか。
○度山年金課長 仕掛け的には似ております。ただ、不整合期間がどこからどこまでかについて分からなければいけないので、繰り返しになりますがプログラムを当てて、その期間を特定した上で手続に入るということを取ります。ただ3ページのとおり、まず高齢者で既に受給されている方は、今の後納制度は活用できませんので該当しませんが、現役の方で不整合期間が既に訂正になっている方がいらっしゃいます。この方については、この法律によって保険料の穴を埋めることも可能ですが、既にシステム的には不整合期間が訂正されて未納扱いになっていますので、先に後納制度を活用して穴を埋めていただくことも仕掛け的には可能になっているということです。
○神野部会長 あとはいかがですか。
○武田委員 1点意見、1点質問がございます。意見としては、先ほど来出ているとおり、そもそも自分のステータスが分からないとか、所得で130万円を一時的に超えていても第3号のままでいるとか、いろいろなケースで適正に運用されていない部分が明らかになっていると思いますので、社会の必要なインフラとして、所得の情報と社会保障関連の情報をきちんとリンクさせる形でインフラ整備していくことの必要性を改めて実感したという感想を申し上げたいと思います。
 2点目は、冒頭御説明いただいたとおり、正直者が損をするスキームであってはいけないということで見直しをされ、今回こうした形を御提示いただいていると思います。しかし、それでも追納期間の終了後、猶予期間を追納する機会もあげ、かつ時間の猶予もあげ、更には減額も上限を設けるということで、冒頭におっしゃっていらっしゃったような正直者が損をする部分は、多少なりとも残っているのが事実だと思います。減額上限の10%という根拠などは、どういう経緯で結論として考えられたのかというところを確認させていただければと思います。以上です。
○度山年金課長 前半部分はそのとおりで、繰り返しになりますが、番号制度が是非動き出すことを我々としても期待をしております。
 後段ですが、いろいろな配慮が実際には政策を考える上では必要で、そうは言ってもどこかに不公平というのが残ってしまうということは御指摘のとおりです。そういうことも踏まえた上で、今回の問題がただ本人の責に帰する問題ばかりでもないということもあって、このような処理になっていることを御理解いただきたいと思います。
 10%の根拠ですが、私も記憶がやや定かではないですが、過去にいろいろ被用者年金の関係で上乗せ部分を調整したときに、減額を10%までに抑えるという前例が確かありまして、そういうものを参考にして整理をしたと記憶しております。
○山本委員 要するに、過去の納付不足部分をこれから徴収を図っていくという原案だろうと思っております。これの行政コストがどれぐらいかかるかというところの質問ですが、そのこととの鑑みでいきますと、きちんと計算どおりその部分を全額請求して、フルにならないと復活できませんと理解していいとすると、その辺の行政コストをもう少し縮小して、この部分を世論も納得できるような理論武装というのはできないのだろうか少し思います。
 後の背番号制度の問題が、いずれどの時期で採用されていくのかということもありますが、そのときに一気にこの解決を図るとか。それは時期的に相当先になるかもしれませんが、今、主として伺いたいことは、全体を精緻に物事を考えていくのは当然ですが、行政コストのことを考えると、これはどれぐらいになるかということを私はよく存じ上げておりませんが、もう少しそれを簡素化して、この問題を世の中に通るような形の理論武装ができないだろうかということも、できるのならばということで意見として申し上げたい。質問にもなりますが。
○神野部会長 コメントができればで結構です。
○度山年金課長 この問題だけを取り出して行政コストはなかなか難しいかもしれませんが、今はここには持ち合わせておりません。ただ、人々が2年前に問題が起きたときに反応したというのは、年金記録問題にも共通するかもしれませんが、支払ったものというのはお金では残っていないかもしれないけれども、記録というのはきちんと信用できる形で残っていて、それが根拠に年金が裁定されるというのが、年金制度の1つの信頼の担保、紙幣のようなものかもしれませんが。年金記録問題は、それが記録されていなかったことに対して国民は怒ったし、この問題は記録がないところを、おまけするような形で給付をする扱いに人々は怒ったのかなと思います。
 そう考えると、不整合だったかどうかというところは洗い出しをしなければいけない。ただ、これを1件1件やるのも大変ですので、そういうこともあって、プログラム開発をして処理できるようにした。だから、事務処理のことも考えながら、しかしある程度の公平性というものも意識をした処理を考えたことについて、御理解を賜ればと思います。
○神野部会長 いかがですか。よろしいですか。そもそも日本の税及び社会保障制度は有機的にチェック・アンド・バランスが付くようなシステムになっていないところがありまして、徴収面でもシャープ勧告がやったのは、こちらで税を出すとするとこちらで損をすると、うまく回すような式を作っていますが、少しそんなことでも考えないと、なかなか難しいかなという気もいたします。いずれにしても、現在頂戴いたしました御意見も厚生労働省では参照して、今後の作業を進めていただければと思っています。
 どうもありがとうございました。第1の議題をここら辺で打ち切らせていただいて、第2の案件の委員会の立ち上げ問題の御説明をお願いできればと思います。
○尾崎政策企画官 事業企画課です。資料2-1と資料2-2について、資料の内容に沿って御説明をさせていただければと思います。ただいま部会長がお話のとおり、年金部会の新しい専門委員会の設置についてお諮りしたいということです。
 先に資料2-2の裏の資料から御説明します。「年金個人情報について」の資料を用意しています。日本年金機構法という法律に規定された「年金個人情報」という言葉は、ここにあるとおりプライバシー性、権利性が非常に強い、かなり長い間管理が必要だという特性があるわけです。これらの年金個人情報について、国民年金法、厚生年金保険法の規定において、ここの「法律事項」「省令事項」について、大臣が原簿を備え、これらの事項を記録しなければならないと規定しています。
 一方で訂正手続で見ると3にあるとおり、今現状の訂正手続としては?〜?の?一般法である行政機関個人情報保護法に基づく訂正手続、?の保険料の領収書など明確な証拠がない場合でも記録を訂正する仕組みとして、総務省に第三者委員会が置かれております。そのあっせんを受けて訂正する。?の領収書の証拠がはっきり残っている場合については、年金事務所が受け付けた段階で職権で訂正するというような実務になっておりますが、年金法の中で明確に訂正手続というものが規定されているわけではないという状況です。
 資料2-2の「『年金個人情報の適正な管理のあり方に関する専門委員会』の設置について」の1「現状と課題」とありますが、御説明をしたような年金個人情報の現状を踏まえて、総務省の第三者委員から、司法手続も考慮に入れた年金記録確認の仕組みが必要だという御指摘を頂いております。先ほど裏にありました証拠が明確にない場合でも、総務省であっせんによって記録の訂正を行うということですが、それは事実行為という位置づけで、訴訟でも却下される傾向にあります。?のとおり、最近の記録誤りというのは国の誤りも含めて、いろいろな事情で起こるのだと思いますが、特に最近でも事業主の届出が漏れてしまった、誤ってしまったといったような記録の誤りによって発生する可能性もあるということで、※のような状況になっています。
 こういった状況を踏まえて、矢印の下にありますが、今後、記録の誤りの再発防止・予防に資する、記録をすっかり直すという観点から、将来を見据えて年金制度、年金関係法という法律の中で、恒常的な記録訂正が可能になる手続をしっかりと考える必要があるのではないかということで、今回、専門委員会の設置の御議論をお願いしたいということで考えています。
 2の「主な論点」はこれから御議論いただくもので、今後の論点ということで4つほど書いています。より迅速で簡便な記録訂正の手続。国民の立場に立った調査審議ということで、記録を直していく。総務省からも御指摘があったような、本人に不服がある場合でも、司法手続への移行に考慮した手続のあり方。このような記録の訂正手続について、しっかりと御議論いただきたい。記録の訂正に行ったあと、あるいは行く前、いずれにしろ予防的なものも含めて、年金個人情報の正確性が向上するような取組を是非御検討いただきたいということで、専門委員会を設置をして、夏頃を目処に取りまとめをお願いしたいということです。
 資料2-1はここの案ということで、検討自体はこれからということですが、設置の趣旨は先ほどお話をさせていただいたようなことです。それから「検討項目」「運営」「その他」ということで、このような形で夏頃を目処に御検討をお願いしたいための専門委員会の設置について、よろしくお願いできればと思います。私からは以上です。よろしくお願いいたします。
○神野部会長 「年金個人情報の適正な管理のあり方に関する専門委員会」を設置したいという御提言で、それについて現状、課題、論点等々について御説明いただきましたが、何か御質問がありましたらお伺いします。御意見でも結構です。よろしいですか。御意見がないということは、一応この委員会の設置についてお認めいただいたということで、理解させていただきたいと思います。年金個人情報の管理のあり方に関する専門委員会については、ただいまお配りした資料2-1のとおりに設置をさせていただきたいと思います。
 ほぼ予定の時間ですので、本日の審議はこれにて終了させていただきたいと思います。次回以降の年金部会に関して、事務局から連絡事項がありましたらお願いします。
○藤原総務課長 本日はありがとうございました。次回の開催日時については、追って御連絡をさせていただきたいと思います。
○神野部会長 本日の審議については、これにて終了させていただきます。御熱心に御討議いただいたことを感謝申し上げる次第です。どうもありがとうございました。


(了)

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