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2013年2月18日 第50回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会議事録

労働基準局勤労者生活課

○日時

平成25年2月18日(月)15:30~17:30


○場所

労働基準局第1・第2会議室


○出席者

公益代表委員

勝部会長、臼杵部会長代理、鹿住委員、内藤委員、西村委員

労働者代表委員

大塚委員、久保委員、高橋委員、早川委員、宮嵜委員

使用者代表委員

市瀬委員、島村委員、清水委員、新田委員、長谷川委員

(事務局)

山越大臣官房審議官(労働条件政策担当)、木原勤労者生活課長、曽我勤労者生活課課長補佐、小笠原勤労者生活課課長補佐

○議題

(1)財政再計算について
(2)その他

○議事

○勝部会長 それでは、定刻になりましたので、まだ見えておられない委員の方もいらっしゃいますが、ただ今から第50回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会を始めたいと思います。まず、本日の出欠状況と委員の異動について、事務局から報告をお願いいたします。
○木原勤労者生活課長 労働基準局勤労者生活課長の木原でございます。よろしくお願いします。資料の議事次第の次に委員名簿を付けております。本日は全委員が御出席の予定でございます。鹿住委員、今は遅れていますが、おいおい到着なさるかと存じます。
 また、委員の異動でございます。労働側の林委員の後任として、全国建設労働組合総連合賃金対策部長の高橋義次様が就任しておられますので、御紹介申し上げます。
○勝部会長 ありがとうございます。それでは議事次第に沿って、最初の議題に入りたいと思います。議題(1)ですが、「財政再計算について」ということで、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○木原勤労者生活課長 説明いたします。昨年10月の部会でも申し上げましたが、前回の財政再計算から5年が経過します。当部会におきましても、予定運用利回りに関し具体的な検討をお願いするわけですが、それに当たり、何点か資料を用意しております。
 まず、資料1-1です。「一般の中小企業退職金共済制度の予定運用利回りの検討について」ということで、事務局として、今回の検討の視点とでもいうべき内容を整理しました。1では、中退共制度の意義を再確認しまして、最後の所ですが、「今後とも、長期的に安定した制度として維持されていくことが必要である」としております。2では、財政的安定性について示しております。下の3の(1)にも書いておりますが、現在、一般の中退共には1,741億円の累積欠損金があります。累積欠損金があるということは、退職金支給のための必要額に不足しているという事態です。また、運用資産が減少している分、本来得られるべき額よりも運用収入が減ります。その結果、累積欠損金があるために、積立不足がいっそう拡大することにもつながります。さらに、制度運営に対する信頼を損ね、加入者の減少を招く恐れもあります。この点、委員の皆さんからも、中退共は累積欠損金があって大丈夫なのかと問われたというお話も伺いました。この累積欠損金に関しましては、計画的に解消を図る必要があり、「累積欠損金解消計画」を定め、平成29年度までに解消することとしております。
 3では「財政等の状況について」としまして、検討に当たって考慮すべきと思われる点を4点ほど挙げております。(1)は累積欠損金です。平成23年度末で1,741億円の累積欠損金があり、解消計画に比べて解消ペースは遅れております。特に、前回財政再計算を行った平成19年度からの5年間の運用利回りは▲0.08%でして、この間に累損は1,590億円増加しました。これらの数字は後ほど資料1-4、1-5で出てまいります。
 2ページの(2)、運用状況です。中退共制度を運営している勤労者退職金共済機構では、運用として、国内債券中心の安全性を重視した運用を行っております。ここ最近の10年国債の利回りを見てみますと、1%台前半以下、直近で見ると0.8%も切るような状況になっております。(3)、中退共には付加退職金という仕組みがあります。予定運用利回りを上回れば付加退職金で還元することが前提となっております。なお、そのためにも、早期に累積欠損金を解消し、付加退職金を支給しやすい状態とすることが望ましいと考えられます。(4)は他制度との比較でして、他制度との比較から見ても見劣りする水準とはなっていないと考えられます。このように、中小企業退職金共済制度は重要な制度であること、そういう制度の意義及び財政的安定性の観点からも累積欠損金の計画的解消が必要なこと、これを踏まえていただいて、本日御議論いただければと存じます。
 もう1点、予定運用利回りの検討に当たって、御承知いただくべき事項をここで紹介します。資料の後ろのほうですが、資料2-1で、勤労者退職金共済機構の見直し関連の資料を出しております。これは本日の部会の後半で改めて報告しますが、今は関連部分だけ報告します。39ページを開いてください。文章の4行目、「この度」という所ですが、本年1月21日付けで、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会、ここは独立行政法人の事業に関する勧告権限を有する委員会なのですが、そこから厚生労働大臣宛てに、勤労者退職金共済機構に関する「勧告の方向性」が示されております。その中で、2の「累積欠損金の確実な解消」が指摘されております。次期中期目標期間、これは平成25年4月からのことですが、この期間において、付加退職金の仕組みや予定運用利回りの変更を検討した上で、累積欠損金の早期解消に向けて「累積欠損金解消計画」の必要な見直しを行い、着実に累積欠損金の解消を図るものとする。このような指摘があることも御承知いただければと存じます。
 3ページ、資料1-2です。これまでの、予定運用利回りの改正及び審議の際の考え方を整理した資料です。昭和34年に制度が創設されて、予定運用利回りが引き下げられたのは平成2年改正が初めてです。それ以降、何度か予定運用利回りが引き下げられてきました。それぞれの考え方はここに書いておりますが、共通するのは、予定運用利回りは、運用実績がそれを下回らないような水準にするということで、単年度で赤字が生じない、更には、黒字となり、累損解消に資するような水準とする、ということです。平成2年、7年、10年、14年、ほぼ同様な考え方でして、実は平成19年度のとき、予定運用利回りは1.0%のままとされました。ただ、その際も累積欠損金の拡大についての懸念が述べられております。また、今回同様、政策評価・独立行政法人評価委員会からの指摘もありました。
 5ページ、資料1-3です。「一般の中退共事業における収支状況の推移」です。このように、予定運用利回りの引下げを何度か繰り返してまいりましたが、それにも関わらず、単年度で赤字の状況です。ここで見ますと、右から2つ目の「当期損益金」という欄の△が入っているのが単年度の赤字の部分ですが、単年度で赤字の状況が続きました。平成14年度に、予定運用利回りが現在の水準である1.0%に引き下げられて、ようやく単年度黒字が続くようになりました。ただ、最近はサブプライムローン問題とかリーマンショックがありまして、赤字と黒字を繰り返し、現状に至ります。
 7ページ、資料1-4です。これまでも示してきまして、御記憶にある表とグラフかと思います。機構の「累積欠損金解消計画」の実施状況を示したものです。「累積欠損金解消計画」の本体そのものは、参考資料として別に付けておりますが、この計画は、平成17年度から毎年度180億円ずつ累積欠損金を減らしていき、平成29年度に累積欠損金を解消するものです。計画のとおり進みますと、下半分のグラフの実線のように減っていくはずです。それに対して、棒グラフが実績です。平成23年度で見ますと、1,741億円の累積欠損金があり、目標残高との間に718億円の乖離があることを表しております。
 9ページ、資料1-5でございます。「過去の財政再計算の将来推計と実績の比較」です。前回が平成19年度でしたので、平成19年度の検討時の将来推計と実績とを比較したものが資料1-5です。前回の財政再計算におきましては、外部シンクタンクに委託をして、メイン、楽観、悲観の3パターンの経済シナリオでの各資産の期待収益率を出して、それを基にした将来推計を行い、御議論をいただきました。その経済シナリオでの将来推計による、各年度の利益と実績による利益とを棒グラフで比較したものが下のグラフです。全体を薄く塗ってあるのが実績でして、平成23年度を除いて各年度大きく乖離をしております。平成19年度については、年度途中の急速な運用状況の悪化が見えていましたので、1月までを実績に置き換えているため、平成19年度については少し乖離が目立たなくなっております。それでも、右端の「5年間累積」では大きな乖離があります。真ん中に、「●実績」と書いた表がありますが、この表の右端の枠で、運用利回りの平均が▲0.08%で、この間に累積欠損金が1.590億円増加したというのが、最初の資料1-1に出てきた数字です。
 続きまして、11ページの資料1-6でございます。将来推計です。これまでに説明を申し上げてきましたように、予定運用利回りの引下げを繰り返しても累積欠損金が年々増えていき、長年にわたり蓄積されてきた累積欠損金があり、これを解消する必要があるが、計画よりも解消ペースが遅れているという実態です。それが現状です。この状況下において、事務局としてはできるだけ堅実な検討を行うことが必要と考えました。そのような観点から、将来推計に当たりましては、前のページの資料1-5に見られるような、一定の経済シナリオに基づく、期待される収益率での推計となると、現実に実績との乖離が生じてしまいましたので、そういった方法だけではなく、より堅実な推計方法として、過去の運用実績に基づく推計を基本とすることが適当と考えて、この資料1-6を準備しました。
 ここでは3通りの推計を示しております。11ページがその1つ目で、1として書いていますが、過去8年間の運用状況を基に推計した場合です。8年というのは平成17年度から24年度で、平成17年度、すなわち、累損解消計画が始まって以降の期間です。「将来推計の前提」の所の表に入っている利回りで推計しました。まだ年度途中である平成24年度につきましては、12月までの実績を基に、表の下に書いてあるように、実績見込みを出しております。委託運用の平成25年1~3月は、平成17年4月からのベンチマーク収益率の平均としました。この表にある数字は、過去8年間の運用実績としてはこういう利回りがあり、この実績を基に将来を計算してみたものです。
 これらの数字は、今後、このような利回りが見込まれると考えて資産運用を行うという性格のものとは少し異なります。今後こうなるだろうという見込みでしたら、今後の国内株式は-2.1%が見込まれるのであれば、国内株式は投資対象としないのが合理的で、マイナスを見込んだ推計はナンセンスだという見方になるのかもしれません。しかし、ここではそのような考え方ではなくて、結果に着目しております。今後の運用実績が、結果として、過去8年間の実績と同様となればどうなるかという前提で推計を行ったものです。その際に用いた利回りが、この表にある過去8年間の利回りです。累積欠損金をどうするかという重い課題がある中、堅実な検討を行うために、過去8年間の実績と同様の運用実績となった場合の数字について試算をしたものです。この過去8年間の運用実績を踏まえ、さらに、中ほどの○の「将来推計の結果」の所にあるような、6通りのケースの推計をしました。
 推計1-1は現行どおりです。予定運用利回りは現行の1%のまま、付加退職金については、「平成17年3月の意見書の定めるところにより支給」とありますが、利益の見込額が360億円以上であれば、付加退職金と累損解消に半分ずつを充当する。360億円を下回っていれば180億円を累積欠損金に充当し、残りを付加退職金に充当するというもので、大雑把に言うと、利益の半分程度を付加退職金に回すものです。
 推計1-2は、予定運用利回りは現状の1%のままとして、付加退職金については見直しを行い、累積欠損金解消までは付加退職金を支給せず、利益の全額を累損解消に充当するというものです。推計1-3以下は、推計1-2同様に、累損解消まで付加退職金を支給せず、利益の全額を累積欠損金解消に充当するとした上で、予定運用利回りの見直しを行うこととしたものです。0.7%と0.5%、時期は平成25年4月からと平成26年4月からと、推計1-3から推計1-6のように分けて推計をしました。
 この推計をした結果が、1枚めくった所の表です。6枚の表があります。それぞれの表の右端の下から2番目の所に網掛けをしていますが、これは平成29年度の累積剰余金、▲の場合は累積欠損金で、これを示す部分です。推計1-1の現行どおりでは、平成29年度末で820億円の累積欠損金が残ります。推計1-2で、付加退職金は累損解消まで支給しないとすると、累積欠損金は残りますが、434億円程度となります。推計1-3、これは平成25年4月から予定運用利回りを0.7%にした場合ですが、ここで初めて、平成29年度に累損解消が見えてきました。ただし、推計1-4、実施時期を平成26年4月からとしますと、平成29年度でなお累損が残ることになります。推計1-5と推計1-6は、予定運用利回りを0.5にした場合です。いずれも平成29年度に累損解消は達成できます。
 次に、15ページです。過去8年間ではなく、過去5年間の運用状況を基にした場合です。財政再計算は少なくとも5年ごとということで、5年という期間が1つの基準となっているので、過去5年間の実績で推計をしたものです。「将来推計の前提」の所の表に入っている利回りで運用すると仮定して推計しました。なお書きの所ですが、ベンチマーク収益率の平均をとる期間、これは平成24年4月からとしています。過去8年間の場合と同様に、過去5年間の運用実績と同様であればどのような数字になるかという前提で試算をしたものです。6通りのケースのケース分けについては過去8年間の場合と同様です。
 この推計では利回りが厳しい数字になっておりまして、1枚めくった所の推計結果では、推計2-1から推計2-6のいずれも、平成29年度累損解消は達成できません。過去8年間で見ましたら、付加退職金は累損解消までに支給せずとした上で、予定運用利回りを0.7%にすると平成29年度累損解消が見えてきましたが、ここでは0.7%にしても、推計2-3、推計2-4のとおり、平成29年度には1,000億円を超える累積欠損金が残ることになります。過去の経験を踏まえれば、このような厳しい結果になる可能性があることを念頭に置く必要があると考えます。
 もう1種類、19ページでございます。これは参考として出しておりますが、前回同様、経済シナリオと国内債券、国内株式等の試算ごとの収益率の作成を外部シンクタンクに委託して、それに基づく推計です。平成24年度分は過去8年間の運用状況に基づく推計の数字と同様としまして、平成25年度以降はこの表のとおりの利回りとしました。株が毎年度かなり上昇するという前提になっております。なお、この数字についてですが、勤労者退職金共済機構がシンクタンクに作成を委託して、機構の運用方針等を踏まえてシンクタンクが示した数字と聞いております。
 6通りのケースの推計はこれまでと同様ですが、このように、伸びる前提の数字になっていることもあって、1枚めくっていただいた所の推計では、平成29年度を待たずに累損がおおむね解消するという推計結果になっております。この中でも目を引くのは、最初の、推計3-1です。現行どおりだと、平成29年度には累損は解消しないという結果になっております。以上、過去8年間の実績を基にするもの、過去5年間の実績を基にするもの、参考としての経済シナリオによるものの3パターン、それぞれについて6ケースの将来推計を示しました。
 事務局としてはこれらから、平成29年度に累積欠損金を解消するためには、現状のままとすることは困難であり、何らかの措置を講じざるを得ないと考えております。具体的には次の2点です。1つ目は、付加退職金については、推計1-2などでも示しておりますが、「付加退職金は累積欠損金が解消するまでは支給せず、利益の全額を累積欠損金の解消に充当することが必要なのではないか」、2つ目には、「累積欠損金解消のためには予定運用利回りを0.7%程度に引き下げる必要があるのではないか」、このようなことを中心に、本日、御意見、御議論をいただければと思います。
 ここでもう1点。予定運用利回りや付加退職金についての検討をいただく際に、考慮すべき要素となると思われる情報を追加いたします。資料1-6の推計は、現時点で数字が確定している平成24年12月までの実績を反映させたものです。しかし、参考1-1にもあるように、1月は12月よりも株高、円安が進んでいます。そこで皆様も、12月までの実績ということだけども、1月の運用実績はどうなのだ、という御関心をお持ちになるかと思います。1月の数字はまだ確定しておりません。確定しているのは12月の数字なので、資料は12月ですが、速報値を口頭で申し上げると、1月末で運用収入や利益がおよそ800億円程度プラスとなる見込みです。すなわち、1月末の速報値で考えますと、資料1-6の推計値も、付加退職金を支払う想定の所は別ですが、それ以外の、付加退職金を払わないとしている所についてはおおむね800億円程度のプラスとなるイメージかと思います。急激な運用状況の改善のためにこのような状況にありますが、今後も同様な状況が続くかどうか、何とも言えないところです。
 また、中退共制度は中長期的に考える必要があるのでしょうし、また、過去5年間の実績も踏まえる必要があると思います。さらに、安全性を重視した運用ということで、運用の中心となっている国内債券については、「10年国債」の利回りが最近は1%を切っているという状況もあります。皆様には、このような様々な状況、要因を踏まえて、御意見、御議論をいただければと存じます。
 この後、予定運用利回りに関係する部分で、資料1-7から資料1-9までを簡単に説明します。23ページの資料1-7ですが、他の制度との比較ということで、まず、中小企業庁所管の小規模企業共済。これは小規模企業の経営者向けの退職金制度ですが、これは1%です。このほかには、中退共と同様に、業種を問わず企業が加入する退職金共済制度ということで、商工会議所の特定退職金共済制度の例を挙げております。A、B、Cとしていますが、1%の例、0.75%の例があります。
 資料1-8では、産業別の加入状況について示しております。財政的安定にも関係する加入者数の確保という観点を含めて、産業別の加入状況について整理したものでして、25ページは数字だけですが、26、27ページのグラフを御覧ください。26ページは、中退共の「被共済者数」の推移です。製造業が多く、次いで、サービス業、商業も伸びてきています。27ページは、経済センサスの「中小企業常用雇用者」の推移でして、サービス業が最も多く、商業、製造業の順となっております。26ページと27ページの表を見比べてもそうですし、次の28、29ページ辺りからも言えるのですが、中退共は製造業には強いが、サービス業や商業については浸透は不十分と言えるかと思います。産業別という観点も意識して、高い成長が見込まれる分野とか、労働者数に比べて加入が進んでいない分野などを対象に、工夫した加入促進に取り組んでいただく必要があろうかと考えます。
 最後、資料1-9です。これは「年齢別の加入状況について」でして、前回の部会で、島村委員から、被共済者の年齢別の状況について御質問がありました。そこで、資料を整理しました。31ページは、薄い棒グラフが「中退共の被共済者」で、濃い棒グラフは労働力調査の「99人以下企業の雇用者」の数字です。労働力調査の数字は常用雇用だけではなくて、臨時日雇いも含んだ数字となっていて、その分、60歳以上の部分が膨らんでおります。中退共の場合は、臨時労働者は包括加入の対象外という法律上の仕組みがありますから、この部分の違いはやむを得ないかと思われますが、全体としてそんなに違和感はないかと思います。
 さらに、経年で見てみますと、32、33ページですが、32ページが「中退共の被共済者」、33ページが労働力調査で「99人以下企業の雇用者」の数字で、60歳以上の部分を除くと、中退共の年齢分布と労働力調査で見た年齢分布では、おおむね各年度も経年の推移も同様の傾向となっていると思われます。中退共のほうでどこかが不自然に凸凹しているということもありません。このようなことから、年齢構成から見た中退共特有の問題は、現時点では見受けられないのではないかと考えております。長くなりましたが、資料の説明としては以上でございます。
○勝部会長 ありがとうございました。ただいま事務局から、現状とシナリオ別の予測、事務局案の提示がありましたが、これらについて御質問や御意見があればと思います。御自由に御発言いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○久保委員 何点か教えていただきたいのですが、1つは、こういう財政再計算を基にして、利回りをどうするかという議論に当たって、今回から過去の実績を基にしたという言い方だったと思うのですが、それは今回からということでいいのかということが1つです。
 もう1つは、昨年の11月、12月ぐらいに債券も株価も、いろいろ動きが激しくなっているときに、運用資産をどういう組合せでやるかという見直しは、年に1回やっているとお聞きした印象があるのですが、ここのところ、情勢がいろいろ動くときに、そういう固定的なもので今後もやられるということなのか。仮にそうであるとすれば、なぜそうなのかを教えていただきたいのですが。
○木原勤労者生活課長 まず、過去の実績を前面に押し出して御検討をお願いしているわけですが、これは2つの考えがあります。
 1つには、現実に累積欠損金が存在しているという状況で、さらにそれが計画に比べて回収ペースが遅れているという状況。これを解消すべく、累積欠損金を解消するためという観点からどう考えればいいのだろうかということを考えました、というのが1つです。その際には、過去、このようなペースで運用されてきたということを、さらに将来に伸ばして考えるほうが確実なのではあるまいかと考えたということです。
 そう考えた1つのきっかけとしては、過去5年間の経験として見た場合に、5年前に参考にした将来推計と実績の間に相当な乖離があったということです。
 もう1つ、運用資産の組合せ、すなわちポートフォリオの見直しであるかと思いますが、これは、勤労者退職金共済機構で必要に応じて見直しております。必ずしも年1回と固定されたものではないと思われますが、専門家の意見も聞きながら、必要があると考えるときには適切に対応していくと思っております。
○勝部会長 そうすると、財政再計算においては、今回初めて過去の実績を使ったという理解でよろしいですか。今までは見通しをベースにしていたものを、過去の実績にしたのは今回が初めてということですか。
○木原勤労者生活課長 すみません、初めてかと言われますと詰まるところがあるのですが、確かに、前回、前々回については、一定の経済シナリオに基づいて将来推計を出していて、それを基に御議論いただいたということはあります。そういう意味では、少なくとも過去2回の経験とは異なり、今回、新たに過去の実績を見るという打ち出しをさせていただきました。
○大塚委員 今のお話で、3つのシミュレーションがありまして、8年、5年の過去、もう1つは、シンクタンクの状況による作成。このシンクタンクのほうは、9ページにあるように、前回、余りにも現状と食い違ったから余り使いたくないというのが判断なのかなと。
 もう1つは、では8年を使うのか5年を使うのかという場合に、前回の平成19年はシンクタンクだけでやっているのですよね。
○木原勤労者生活課長 はい。
○大塚委員 ですから、この8年平均、あるいは5年平均というのは、そういう意味では今までは使っていないと。
○木原勤労者生活課長 そうですね。この8年も、累積欠損金解消計画が平成17年度からスタートして、平成17~24年の8年間ということですので、そういう意味では、さらにそういう考え方の基で8年間というものを出したというのは、今回初めてではあります。
○大塚委員 ということは、逆算していくと、例えば平成19年度のときに、これは過去形で申し訳ないのですが、仮に過去5年間とか8年間というものは、恐らく経済情勢が全く違うから、8年が正しい、あるいは5年が正しいとはなかなか言えないのではないかとは思うのですが、少なくとも外部に委託したものは、前回は外れたと。今回外れるかどうかは分からないですよね。
○市瀬委員 先ほど、速報値で1月まで800億がプラスという形でしたが、私が聞き漏らしたのかもしれませんが、12月までの確定のが出ているのですか。それはおいくらなのでしょうか。
○木原勤労者生活課長 12月までの実績を基にした推計を、資料1-6に示しております。
○市瀬委員 この平成24年度のところですか。
○木原勤労者生活課長 はい、平成24年度のところです。
○市瀬委員 まだマイナスがあるということですね。ということは、1月でプラスマイナスすると、約900億ぐらいですか。1か月でプラスになったという考え方でよろしいのですか。
○木原勤労者生活課長 1か月で800億です。
○市瀬委員 1か月で800億ということは、また、2月、3月までに800億があるかもしれないと考えてよろしいわけですか。そうすると変な話、1,700億ですから、平成29年を待たずにこの3月で解消されるかもしれないという考え方でよろしいのですか。
○木原勤労者生活課長 かもしれないという点では、今回、11月の半ばからでしたか、株高円安が進行していまして、12月末までの実績を踏まえた推計はこれですが、さらに12月から1月の1か月で、おおむね800億円程度、運用収入として上積みをされそうだということを申し上げました。では、それが2月3月も同様に800、800とくるのかといえば、そこは分かりませんし、ひょっとしたらマイナスもあるかもしれませんし。
○市瀬委員 もちろんそうですけれども、マインドとしては、多分いい感じですよね。実際は分かりませんけれども。ということは、可能性としては、年内にあと1,000億程度マイナスですから、解消される可能性もあるということですね。考え方としては。
○木原勤労者生活課長 可能性という点では何と申し上げていいのか分かりませんけれども、もちろんいろいろな可能性があるかと思います。
○市瀬委員 分かりました。ありがとうございます。
○勝部会長 確かにG20のあと、また株高と円安が進んでいるということであるので、2月も既に18日ですので、これはまた実績がどうなるか分からないのですが、そういった可能性もあるということなのかと思います。ほかに何かありますか。
○市瀬委員 少なくとも昨年の11月頃とは全然違う状況であるということだけは認識してもよろしいということですね。
○島村委員 パターンを幾つかお聞きしましたが、それが給付金にどのように影響されるかというデータのようなものがあれば教えてほしいというのと、少しとんちんかんな質問になってしまうかと思うのですが、下がった場合、働く人や会社にどう影響があるかを相像すると、例えば働く人にとっては給付金が下がるわけです。会社のほうで退職金を変えなければ、足りない分を退職金規定に基づいて払えば働く人には影響はないと思うのですが、中には退職金を中退共の給付とするようなことというふうになっていると、労働者にとっては下がった分が退職金の減額になってしまうし、会社のほうとしては、退職金をまた下げてしまうようなことを考えなくてはならないと思いますので、そういった、労働者のほうにも退職の規定の定め方によって違ってくると思うのです。今までの改正の中で、そういった御意見や、労働者や会社のほうから切実な訴えなどはあったのでしょうか。
○木原勤労者生活課長 まず、退職金にどれぐらいの影響が及ぶかということですが、今、退職された方の状況を見ると、大体10年程度の加入期間になっています。掛け金の平均が大体9,100円ぐらいです。ということで、10,000円で10年間ということで試算をしてみると、1%でしたら126万5,600円です。ここで、私が先ほど0.7%程度に引き下げる必要があるのではないかと申しましたので、0.7%で試算をしてみると、1万円の10年で124万5,100円です。2万500円ほどの差があるということになります。もちろんこれは、仮に引き下げたときには、通常、経過措置を置いて、見直したところから先で0.7%であるというふうにしますので、全部が0.7%になったと仮定した場合に、その2万500円の差があるということです。
 それから、おっしゃるとおり、例えば就業規則で退職金は中退共制度によるとしていましたら、中退共制度のほうで退職金の額が減れば、実際に働く方が受け取る退職金の額も減るということにはなります。そういう影響は、確かにあります。
○久保委員 議論の仕方として、累損はないに越したことがないと思うのですが、額で言うと、何かすごく実際の議論がずれてしまうのではないかと思っているのです。要は、運用資産が大きくなればなるほど、0.1%や1%の違いというのは額ベースで言うと、ものすごく大きく出てきてしまうということがあるのだと思うのです。今回、累損が1,700億円ありますといっても、先ほど市瀬委員がおっしゃったように、運用資産そのものが4兆円ですか、あるとすれば、ちょっとしたことで、それはすぐなくなってしまうのではないのかということも起こり得る話だと思うので、累損額で議論するのは、先ほど言いましたように、ないほうがいいことではあるのですが、では、これが耐えられないほどの累損の規模なのかどうなのかという議論と、実額ですべきなのかと思うのですけれども。その辺りはどうなのですか。
○木原勤労者生活課長 確かに4兆弱、3兆7,000億、8,000億程度の資産がある中での、1,740億という問題。それをどう評価するべきなのかということもあるのかもしれません。しかし、もし仮に加入者が全員辞めると言ったときに、さあ払えと言ったら、ないという状況で、足りないという状況ですし、それに、先ほども少し申し上げましたが、累積欠損金があるのだけれども大丈夫なのかという声を行政としても聞きますし、勤労者退職金共済機構にもそういう声があると聞きますし、労使の皆様からもそういった声を聞いたことがあるよという話もお伺いしました。そういった累積欠損金があるということに対する懸念の声と心配の声も無視できないと思っています。したがって、資産規模に対しての額という問題もさることながら、累積欠損金がある、しかもずっとあるということの問題点は、予想以上に大きいのかなと思っております。
○久保委員 結局、要は知らない人たちからすると、1,700億円の累損があると額で言われると、今おっしゃったような懸念が出てくるのかと思うのですが、分母になっているのは4兆円ですということだとすればどうなのかということがあるのが1つ。繰り返しですが、ないに越したことはないとは思うのですが、ただ、そうしたときに、絶対ゼロでないと制度的にどうもおかしくなってしまうみたいな議論になるのかというのと、ちょっとそうも言いにくいのではないかということも1つです。結局はどのような想定をしても、過去の実績からするとでこぼこは、どうしても起こってきてしまうということを考えれば、多少の累損のようなものが起こってもやむを得ないみたいな制度の見方をしておかないと、絶えずゼロでなければいけないという議論にはならないのかなと、私は思うのですけれども。
○勝部会長 恐らく、今の久保委員の御意見ですと、規模の問題ではないのではないかというお話なので、ただ、やはり今、1,740億円というマイナス、全資産の5%程度ですよね。ということは、やはりある程度のバッファーと言いますか、ゼロでいいのかという議論も、もちろんあるだろうし、実はそれ以上の、例えば自己資本比率のような形で5%ぐらいのバッファーがあれば、何か不測の事態が起きてもサステイナビリティは保たれるというような議論もあると思うので、これだけリスク資産を持っている中で、どの水準がサステイナビリティがあるかということも、これからは示していかなくてはいけないということかなと思うのですが。ほかに何かありますか。
○市瀬委員 先ほどので、取りあえずただマイナスが相当増えてもいるという現実を見ると、やはり、それと今回、この勤労者退職金共済機構からの勧告というか、その辺りもあるので、私は累積欠損金を早期に解消するという、何よりも利益を全部、累積欠損金に当てて、取りあえず解消するということに関しては、私は賛成だと思います。
○早川委員 まあ、累積欠損の見方はいろいろあると思います。私も、久保委員が言われたことは基本的には同感なのですが、要は様々なところから懸念が表明されているのはありますが、杞憂と言っては言い過ぎかもしれないけれども、少し過大に見られすぎている部分があるのではないかと。だから、余りそのことだけを見直しの根拠というふうに言うと、逆に、実態を知るものからすると弱いところがあるのかなというのはあります。
 ただ、それにもかかわらず、欠損については早期に解消すべきというのは正論であると思っております。そのときに、1つは、欠損があるわけですから何らかの形で給付を抑えるということで、本日2点、予定運用利回りを見直すということと、付加退職金の支給については、欠損がある間については見送ってはどうかと。給付を抑えるというのは1つありますが、一方で、何というか、利回りの確保というのか、こちらのほうで、例えば自家運用と委託運用のバランスの問題や、委託の中でのポートフォリオに意見を言って、内容を見直していくこと。過去、何で失敗してきたのかということも含めて、そちらのほうの手立ても1つやる必要があるのではないかと思います。
 極端なことを言えば、過去について言えば10年国債だけで運用していたらマイナスになったことはないはずなのです。変なギャンブルで委託運用しているので欠損が出てしまった部分もあると思うので、そういうところは反省する必要があると思うのですが、ただ、本日お示しいただいた推計の1ないし3については、その部分は現状、平成23年度までと同じような自家と委託の比率で、ポートフォリオも変わらないという前提の推計で、変わるのは給付のほうの利回りや付加退職金の給付をどうするかと。そこが違うだけ。この推計の見方はそういうことでよろしいのですか。
○木原勤労者生活課長 はい。
○鹿住委員 私も基本的には利回りの件や付加退職金の件を考えた場合に、付加退職金のほうは、累損の解消のために、しばらく累損解消を優先すべきと思います。利回りのほうは、ほかの退職金制度で0.7%に下げているところもあるのですが、昨今の状況を見ると、多少いい方向に向いているのかなと。ただ、私は金融の専門家ではないのですが、一般的には株価が上がると長期金利は下がる。つまり国債が下がって利回りが上がるというのが一般的なのですが、ずっとトレンドを見ていても今のところ長期金利は上がってきていないのです。ただ、これがいつ長期金利が上がる方向にいくかもしれないということもあります。長期金利が上がると、今度は国債の利払いが増えるので政府としては余り歓迎すべき状況ではないのですが、運用の成績としてはいい方向にいく可能性もあるということで、今、軽々に0.7%に引き下げるのは時期を得ていないのではないかと思います。
 ですので、退職金の給付も下がってしまいますので、利回りのほうは少し慎重に検討されて、付加退職金のほうは、できれば累損解消まではそのまま累損解消に当てるというのでいかがかと思っております。
○臼杵委員 すみません、質問と意見です。まず質問を先にさせていただきたいのですが、確認なのですが、先ほど移行措置ということをおっしゃったと思うのですが、推計の場合、これは予定運用利回りを下げた場合に、責任準備金ベースで見て、過去分も下げるのでしょうか、それとも将来分だけ下げるのかというのが1点目です。
 2つ目は、この資産のベースになっている過去の利回りなのですが、これの出来上がり、ポートフォリオ、出来上がりで何%かというのが知りたい。それが、今、実際に勤退共さんで組まれているポートフォリオの期待リターンとリスク、標準偏差から見て、どのくらいの確率で起こり得ることなのかということも伺えればと思います。
○木原勤労者生活課長 予定運用利回りを引き下げることとした場合ですが、そのときには経過措置をどう置くかということに絡んでくると思います。恐らく、先ほども少し申し上げましたが、ある時点から引き下げるとしても、過去に遡って引き下げるということにはならないと思われます。過去の分は1%で、それは確保した上で、将来の分については引き下げた率を適用するということになると思われます。
○臼杵委員 この試算は、そういう考えでされているということですか。ここに出ている推計は。
○木原勤労者生活課長 そうです。
○臼杵委員 今までもそういうふうにされていたのですか。
○木原勤労者生活課長 はい。過去の、3%から1%のときなども同様です。この推計でお示しをした資料1-6に当たって、機構のポートフォリオとの関係についての細かな分析まではいたしておりません。
○勝部会長 出来上がり自体は、この11ページにそれぞれの運用がありますが、全体としてはという質問ですか。
○臼杵委員 それもそうです。
○木原勤労者生活課長 今、現在の基本ポートフォリオ、すなわち国内債券が76.9%で、国内株式、外国債券、外国株式それぞれが7.7%で、これが現在の基本ポートフォリオです。これを前提に推計をしたものですが、御質問があったような細かな分析まではできておりません。
○勝部会長 その全体のポートフォリオの出来上がりの利回りの平均値はお持ちではないということですか。その数値をまず、あとはリスクとリターンというのは、その確率ということですか。
○木原勤労者生活課長 質問にお答えできているかどうか分からないのですけれども、例えば12、13ページの表で言いますと、これが、運用に当たって基本ポートフォリオは変えていない前提、すなわち先ほど申した国内債券が76.9%、そのほかの国内株式、外国債券、外国株式がそれぞれ7.7%というポートフォリオで運用するという枠組み自体は変えていません。その結果、得られる利回りとしては、このそれぞれの表の下から3段目の「運用利回り」に上がっている数字で、これが想定される利回りということかと考えております。御質問に対しては、そういうことでよろしいでしょうか。
○臼杵委員 はい、分かりました。ここを見れば一応、想定されている利回りは分かるので。2つほど意見として申し上げたいのですが、1つは、先ほどからも議論が出ているように、今、考えられる操作変数というかコントロールできると考えられることは、1つは、おっしゃるように予定利率です。もう1つは、付加退職金をどう払うかということがあると思います。
 ただ、もう1つ、先ほど御指摘がありましたが、ポートフォリオを変えるということも、当然考えられるわけで、仮にもう少し、国債についてはいろいろな議論があるかもしれませんが、債券をもっと増やしていくというようなことにすれば、過去のことを繰り返す想定は置かなくてもいい想定です。そういうことの中でどうしていくのかということがあると思います。
 それから、予定利率と付加退職金に関して、私自身はむしろ累積損失を早期に解消する意味では、予定利率は思い切って下げて、場合によっては0.5%とか0.3%にして、むしろ付加退職金をきちんと払う。要するに、将来の不確実性があるわけですから、もし仮にうまくいけば、そこで付加退職金を払えばいいわけで、そこを、むしろ付加退職金のほうが柔軟に将来の変動に対応できるのではないかと思っています。
 だから、推計の中で、例えば運用利回りを1%にして、付加退職金を現行にするというのは1つの考え方かもしれませんけれども、例えば逆に、運用利回りを0.5%や0.3%にして、付加退職金を、いいときには払う、悪いときには払わないというふうにするという考え方もあるのかなと。付加退職金も、今は2分の1で払っていますが、例えばそれを3分の1にするとか、そこの操作変数はもう少しいろいろなことが、アセット・アロケーションを変えることも含めていろいろあるのではないのかなと思います。ここに挙げられている案だけで考えるのは、いいのかどうかと思っています。
 2つ目は、先ほどから出ているように、将来は不確実で、特に足下が不確実だということでいくと、財政検証というものはある程度中長期的に決めるものではありますが、将来、情勢の変化に応じて、考え方、あるいは仕組みを変えていく予地も少し残すような形で考えていくということもあるのではないかと思います。
○勝部会長 ありがとうございます。ほかに御意見、御質問はございますか。
○清水委員 先ほど、1月期の段階というお話があり、そこを含めると800億ぐらい浮いてくるのではないかという予測をされていますが、この組み合わせの中でどの部分がそれに当たるのでしょうか。株式市場があれだけ上がっていますので、国内株式など、どういった部分が寄与してそういう数字の動きになるのか。その辺をつかんでおられたら教えていただきたいのです。
○木原勤労者生活課長 国内株式の好転もあるのですが、多くは恐らく円安が要因だと思われます。外国の株式、外国の債券、これらの寄与するところが大きいようでございます。
○島村委員 先ほど、利率を下げるというお話をされていましたが、下げたことによってその制度自体が大変弱まってしまうように危惧しています。確かに累積欠損を減らすことも大事でしょうけれども、制度維持という観点からするとどうなのかなと心配しています。先ほど付加退職金の話があって、ここについては止むを得ないのではないかと思いますが、下げるということについて、制度自体を維持するという辺から検討する必要があるのではないかと思います。
 資料を見たら、サービス業の加入がないということでした。加入促進だとか、この間お手数をおかけしましたが、年齢別の加入率もお示しいただいたのですが、若い人がまだまだ入っていませんので加入の促進、余地もあります。その辺もからめて議論したほうがいいのかなと思っています。結論は出ていません。
○新田委員 確認と意見を申し上げたいと思います。まず確認ですが、事務局からの先ほどの御提案は2点あって、1つは付加退職金について累積欠損金が解消するまで支給しないとしてはどうかというのが1点目でした。2点目は予定運用利回りを現行の1%から0.7%に引き下げるということでよろしいのですよね。
 2点目の方、引下げのタイミングは平成25年4月と平成26年4月の2つが示されています。今、念頭に置かれているのはどちらでしょうか。
○木原勤労者生活課長 仮に引き下げるとした場合には、コンピューター・システムの見直しなどいろいろな手続きがございますので、現実的には平成25年4月というのは難しいと思っております。ですから、どこが可能かというのはありますが、遅くとも平成26年4月をイメージしております。
○新田委員 その上で事務局案に対して1点申し上げると、先ほど臼杵部会長代理がおっしゃられたことと近いのですが、まず付加退職金について累積欠損金が解消されない限りは支給しない方がよろしいのではないかというように考えています。その上で、やはり累積欠損金がありますと制度自体の信用の問題にもずいぶん関わってきますので、早急に累積欠損金を解消する観点からしても引き下げて、それを上回った場合には付加退職金という枠組みがあるわけですからそちらを活用して、支払う時にはそちらを使って支払うという形に持っていくのがよろしいのではないかと考えます。私からは以上です。
○長谷川委員 私も新田委員と同様の考えです。やはり、資料1-3で見ても欠損金が平成5年度の0億円から今日までずっと続いている。まず、これを解消して財政の健全化を図った上で、付加の部分は考えるべきだと考えております。
 現在の経済状況がどこまで続くか、非常に微妙なところですが、累損が解消するのが事務局の考えより早いということであれば、その部分で付加も認められるような形になるので、現状では欠損の解消を第一に考えるべきだと考えております。
○高橋委員 専門家ではありませんので、間違った質問でしたらあとでいろいろ御意見をいただければと思います。5年間での推計と過去8年間での推計でそれぞれ指標が出されているのですが、5年間と8年間で言いますと、平成19年度と20年度というのは運用利回りがマイナスの時を含んでいるわけです。8年間でやるとどうなのか、5年間でやるとどうなのかという数値はここに出されているのですけれども、加入者からしますと更に運用利回りが1%から引き下げられるという影響の方が大きいのではないのか。更に入りましょうという点で言えば、1%以下というのは今の預金利息のようなものですから止めた方がいいと思うのです。
 その付加退職金を結果に応じてということであれば、それはそれでそういうこともあり得る。先ほど言ったように1月にしろ、12月にしろ800億円が短期間で出ているのであれば、そういう推計は数字には現せないのかもしれませんがそういうこともあり得る。あくまでも過去の実績だけでの推計のようですから、より加入者を増やすという方向での数値を示していただきたい。そういう方がいいのではないかと私は思います。以上です。
○久保委員 簡単に言ってしまうと原資配分を付加退にするのか、利回りでやるのかということですが、基本はやはり、加入者にとってはどういうように将来の退職金が約束されるのかということが重要な話だと思います。そうした時、利益が出たらその時に付加退をいっぱい払えばいいというのは、要は加入している時点の運・不運みたいなものがその中に強く反映されてきてしまうことだと思います。やはり、予定利回りを下げるのは極力避けるべきで、付加退の部分は裏返しで言いますと累損がなくなるまでは仮に付加退を払わないとすれば、その間にいた人は不運だったねということはあり得るにしても、やはり基本の利率をいじるよりはそちらの方がまだ公平感が保てるのではないかと思います。是非、そのような方向で御検討いただければと思います。
○西村委員 私も今の御意見に基本的には賛成です。付加退職金は利益が出た時には出すけれども、累積欠損金を解消するまでは支給しないもよろしいかと思います。予定利率はある程度、長期的な公平性と制度加入の信頼性という点で、やはり下げ過ぎるというのは制度の財政安定にとっては効果があると思うのですが、問題があるのかなと思います。
 もう1つ確認したいのは、財政再計算ごとに予定利率を検討するのですが、例えば今は経済状況が非常に変化する時で、将来予測が立てにくくなっているのですが、もしここで少し下げることを取った時、またすぐ、半年とか1年後ぐらいで又見直すということもあり得るのかどうか。そこも伺った上で決定したいと思います。
○木原勤労者生活課長 中退共制度の予定運用利率は、従来は法律で給付額を定めておりましたので法改正が必要でしたが、14年の改正以降は政令で定めることになっております。したがって、手続的にはある程度、法改正に拠らないという意味で、それに比べればある程度柔軟に見直しをすることが可能な状況となっております。したがって、今お話があったような一旦下げたあと、又その状況を見て変えるとか、あるいは今は見送りにして今後の状況に応じて変えるとか、必要に応じた柔軟な対応は可能な制度設計でございます。
○勝部会長 分かりました。ほかに何か御意見はありますか。
○内藤委員 私自身は金融等の専門家ではありませんので、そういった経済的な見通し等に関しての正確な意見を申し上げることはできませんが、ただいまの諸委員のお話を伺っていて思ったのは、少なくとも累積欠損金を解消するということは急務なのだろうと思われます。というのも確かに現在、経済が少し上向きまして、もしかするとこの1年、あるいは2年で解消させる可能性もあるかもしれない。しかし、例えばいただきました資料1-4、7ページなど御覧いただくと、かつて平成16年度、17年度の際に見直しを入れた時には、平成19年、20年という恐らくサブプライムローンやリーマンショックということは予想外であったと思います。そういうことを考えますと、今、まず手堅い方策で累積欠損金というものの解消を図ることが急務であろうと思われます。
 それに加え、もう1つの御提案として出ておりました予定運用利回りの引下げ等につきましては、実は前回も御議論で出ていたかと思うのですが、今30代や40代の方々が年齢構成として非常に多くなっているのは、恐らくは適格退職年金からの移行ということが非常に多かったと思います。そうしますと、そのファクターがある意味でなくなってしまった今現在、これから先中退共金にお入りになる方々、そういったクライアントを求めることを考えますと、例えば予定利率が1.0%でさえ決して高くないものを0.5%にしますということは、マイナスの印象を与えるのではないかと思われてなりません。
 そういったあたりのことを考えると、ある意味で私の個人的な意見ですが、利率の据置きをする代わりに、ひとまず累積欠損金のほうに生じたところのフローはすべて投入するということで1、2年考え、解消され状況が好転した段階で、今一度会議等で議論するということを考えるのがある意味ではベターではないかと思われます。
○勝部会長 ありがとうございます、よろしいでしょうか。様々な御意見をいただきまして、大変ありがとうございます。事務局の御提案である2点、1つは累積解消を重視して付加退職金は累積解消がなされるまでは支給しないということ、2番目として1%から0.7%にまずは引き下げるというオプション、それ以外に臼杵委員のほうから第三のオプションとしてポートフォリオを変えるというものが提示されました。もう一つのオプションとしては利回りをまず下げて、付加退職金で支給していく。ただ、最後の部分についてはやはり制度の公平性といいますか、どの年に退職したかによって退職金が変わってしまうということは余り望ましくないということから考えますと、そのオプションというのはなかなか取れないのだろう。もう一つ、第三のオプションのポートフォリオを変える、これは適宜やっていただいていることかと思います。
 今までの意見をまとめますと、いろいろな意見が出てきたわけですけれども、まず付加退職金については累積解消までは支給しないという形で考えてよろしいでしょうか。それから、2番目としましては1%の利回りなのですが、見直しをするという事務局の案なのですが、これを今回は見送る。今後、柔軟に検討ということもできますし、
かつ、今かなり経済の潮目が変わったといいますか、特にデフレ解消ということで金融政策が大きく変わろうとしている中で、今までの前提が少し変わってきているという状況もございます。先ほど、市瀬委員が言われたように1月、2月でかなり運用実績が変わってきている。これは3月、年度末に又良くなるということは毎年のパターンでは言えるということもあります。
 本日の議論をまとめるに当たっては、現時点では1%の見直しについては見送るという、この2点、この方向性を本日の議論のまとめとしたいと思うのですがよろしいでしょうか。何か、御異論があれば承ります。
○久保委員 結論においては部会長の仰せのとおりで結構かと思います。駄目押しみたいな話ですが、向こう5年間このままですということではなくて、状況が変わったらいつでも見直しの議論はするんだという確認をしていただければと思います。
○勝部会長 そうですね。先ほど事務局からも御説明がありましたように、政令で利回りについては変えられるということもありますので、今後柔軟に見直し・検討を行うという確認でよろしいですか。
○久保委員 はい。
○勝部会長 ありがとうございます。それでは、本日の委員の皆様の御意見を踏まえ、次回の部会までに事務局に一般中退共の予定運用利回りの見直しの検討について、部会としての意見の案を取りまとめてもらおうと思いますが、よろしいでしょうか。
○早川委員 付加退職金の取扱いを、今まとめていただいたような中身で変える場合の手続というか、それはどういう段取りになるのですか。
○木原勤労者生活課長 付加退職金につきましては省令により、毎年、この部会の意見をお伺いした上で、大臣が告示で支給率を定めることになります。ですから、毎年支給率を定めると手続が必要となります。その支給率を定めるに当たっての部会の意見を聞く場面において、こういう考えで部会の意見としては考えようという意見をまとめていただくということになろうかと思います。
○勝部会長 よろしいでしょうか、ありがとうございます。それでは、そのような形にさせていただきたいと思います。次に議題(2)についてですけれども、「その他」につきまして事務局から説明をお願いいたします。
○木原勤労者生活課長 前回の部会におきましても、勤労者退職金共済機構は今年度が中期目標期間の最終年度であるため、組織・業務全般の見直しについて検討が必要である旨御説明を申し上げました。先ほども触れました資料2-1、39ページを御覧ください。39ページに「勧告の方向性の概要」という一枚紙があり、ここに見直しの手続を少し書いております。
 まず、厚生労働省で勤労者退職金共済機構の組織・業務全般の見直し当初案の作成をいたしました。この見直し当初案は前回、10月のこの部会で報告をさせていただきました。次に第2段落目ですが、この見直し当初案等を基に、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会から厚生労働省に対し、勤労者退職金共済機構に対する「勧告の方向性」というものが通知をされます。その概要はここにあるとおりでございます。
 1の「退職金未請求者の縮減等」では、いわゆる長期未請求者対策について、長期にわたる事務管理コストの削減等の観点から、新たな長期未請求者数等の縮減方策を検討すべしとされています。時効の援用も途中例示されていますが、コスト削減の観点からの方策を検討せよというのがポイントです。?建退共については、データベースの整備が不十分であるとして、データベースを抜本的に改修し、手帳の長期未更新者の現状を把握せよと指摘をされました。2の累積欠損金の問題は先ほど御報告したとおりです。
 厚生労働省では、この見直し当初案に勧告の方向性の内容も踏まえて見直し内容を作成しました。37ページをお開きください、これが厚生労働省が作成をした勤労者退職金共済機構の見直し内容の概要です。前回、見直し当初案のときの説明とほとんど重なってしまいますので要約して御説明申し上げます。
 第1の1の(1)、「確実な退職金支給のための取組」では、そもそも新たに未請求となる人の発生防止対策などに重点を置くという考えになります。2つ目の長期未請求者に対しては、これまで全員の住所の把握を試みて、把握できたら請求干渉するということをしてきたのですが、それではコストがかかりますのでコスト削減を意識した方策を検討します。時効の援用に関しては、これまでも時効を援用せずにお支払いをしてまいりましたし、現実的に困難かもしれませんが、勧告の方向性との指摘を踏まえてコスト削減を意識した方策を検討するということです。3つ目のポツ、建退共のデータベースの整備は、勧告の方向性での指摘を踏まえ行う予定で、現在勤労者退職金共済機構で具体的に検討中と聞いております。
 (2)の「効果的な加入促進対策の実施」は、前回報告した見直し当初案の内容を書いています。加入促進は機構の基本的な任務でありますし、本日も加入促進についていろいろ御意見もいただきましたので、積極的に対応する考えです。
 その他、2の財形業務、第2の「業務全般に関する見直し」ということで、見直し当初案にあったものと同じ内容を含んでおります。
 今後はこの見直し内容を踏まえ、厚生労働省として、勤労者退職金共済機構の次の5年間の業務の基本となる中期目標を作成し、それを実施するための勤労者退職金共済機構としての中期計画を作成するという手続きに入ります。以上、資料2-1の御報告でした。
 57ページをお開きください。「独立行政法人の見直しについて」ということで、これまで述べてまいりました勤労者退職金共済機構の見直しは中期目標期間の最終年度の見直しで、現在の独立行政法人の法令の枠組みでの組織・業務の見直し、言わば通常の見直しであります。
 それに加えて、これまでも部会で報告してまいりましたが、政府として法改正もして「独立行政法人制度そのものを見直そう」という動きがありました。この動きですが、57ページの一枚紙に書いてありますように新たな閣議決定がされ、それにより「当面凍結する」ということになりました。引用しております平成25年1月24日の閣議決定ではいろいろ書いてありますが、独立行政法人については当面凍結するということでございます。
 ただ、最後の行にもありますが、「独立行政法人の見直しについては引き続き検討し、改革に取り組む」とされています。ですから、独立行政法人の見直しはもうやらないということではなく、引き続き検討し改革に取り組むということでございます。今、いつからこうなりますというのがあるわけではないのですが、この後も動きがありますれば状況に応じ部会への報告なども行うこととさせていただきます。
 以上、報告でございます。
○勝部会長 ありがとうございます。以上の御説明につきまして御質問、御意見等ございますでしょうか。58ページにある部分、アンダーラインが引いてあるのは中退共に関わる部分ということで。
○木原勤労者生活課長 はい、そうです。
○勝部会長 この部分もすべて凍結されるということですか。
○木原勤労者生活課長 勤労者退職金共済機構に関わる部分を部会でも御報告してまいりましたけれども、「報告したのですが凍結になりました」ということです。
○勝部会長 こちらはよろしいでしょうか。建退共についてのデータベース化等について、何かよろしいですか。
○高橋委員 こういう方針ならしっかり取り組んでいただければよろしいかと思います。
○勝部会長 分かりました、よろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、最後に事務局から今後の日程について説明をお願いいたします。
○木原勤労者生活課長 今後の日程でございます。次回は3月11日(月)午前10時から12時、本日と同じこの場所での開催を予定しております。本日御議論いただきました「一般の中小企業退職金共済制度の予定運用利回りの見直し」の検討については、皆様からの意見を踏まえ、次回、案を取りまとめたものをお出ししたいと思っています。また、次回の部会では、先ほど少し申し上げましたが、毎年定例で行っております来年度の付加退職金の支給率についても御審議いただく予定ですので引続きよろしくお願いいたします。
○勝部会長 ありがとうございます。本日はこれにて終了といたします。本日の議事録の署名委員ですが、宮嵜委員と長谷川委員にお願いしたいと思います。本日はお忙しい中、どうもありがとうございました。


(了)

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