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2013年3月5日 第57回労働政策審議会障害者雇用分科会 議事録

職業安定局高齢・障害者雇用対策部障害者雇用対策課

○日時

平成25年3月5日(火)
10時00分〜12時00分


○場所

厚生労働省専用第23会議室(19階)


○出席者

【公益代表】今野委員、菊池委員、武石委員
【労働者代表】南部委員、桑原委員、冨高委員、杉山委員、斗内委員
【使用者代表】栗原委員、高橋委員、中村委員、塩野委員、平野委員
【障害者代表】阿部委員、川崎委員、竹下委員、宮武氏
【事務局】岡崎職業安定局長、小川高齢・障害者雇用対策部長、山田障害者雇用対策課長、金田地域就労支援室長、松永調査官、田窪主任障害者雇用専門官、安達障害者雇用対策課長補佐、境障害者雇用対策課長補佐

○議題

(1)意見書(案)について

○議事

○今野分科会長
出席予定の南部委員はまだ来られておりませんが、定刻になりましたので始めさせていただきます。ただいまから、第57回「労働政策審議会障害者雇用分科会」を開催いたします。本日は岩村委員、松為委員、野中委員、萩原委員、北原委員が欠席です。欠席の萩原委員の代理として、株式会社日立製作所人材統括本部勤労部労務・雇用企画グループ部長代理の平野健太郎さんが御出席です。北原委員の代理として、社会福祉法人全日本手をつなぐ育成会事務局長の宮武秀信さんが御出席です。
  毎回しつこいようですが、発言されるときにはまず挙手をしていただき、私が指しますので、名前を言ってから発言してください。
  議事に入ります。本日も前回と同様に、「意見書(案)」について議論していただきます。前回、活発に議論していただきました。前回の議論を整理すると、第1に、精神障害者の雇用義務化以外の部分については、分科会として合意をいただきました。
  第2に、精神障害者の雇用義務化については前回活発に議論していただきましたが、私のほうから次のように最後に整理をさせていただきました。その整理の内容は、精神障害者の雇用義務化を通し、精神障害者の雇用促進を図ろうではないかという原則については合意をいただきました。精神障害者の雇用促進のための環境整備が100%整っているわけではない、という現状認識についても合意をいただきました。今言った原則と現状認識を踏まえてどうするかということです。そのときに2つの意見がありました。
  1つ目の意見は、雇用義務化を決める。さらにその実施については柔軟に対応することを通して、雇用促進を図る。私の言い方にすると、戦略は明確に、戦術は思いきって柔軟に行こうではないか、それで行こうという意見です。
  2つ目は使用者側から、まだ環境整備が十分ではないので、雇用義務化の決定はまだ早すぎる。それと共に、あるいはそれに従って環境整備にはこういう政策的な方法が必要なのだということを詳細に意見表明していただきました。
  こういうことが、前回までの議論です。少しずつですが前には進みつつあるのかと思っています。そういう議論を踏まえ、最後に精神障害者雇用義務化の部分については、事務局から案文を出してもらい、それに従って本日は議論するということで前回は終わりました。まず、事務局からその案文等についての提出資料について説明をしていただき、議論をしていきます。
○障害者雇用対策課調査官
障害者雇用対策課調査官の松永です。今お話のあった意見書(案)について御説明いたします。分科会長からお話があったとおり、精神障害者の雇用義務制度の取扱い以外の部分は、前回までの分科会で合意形成が図られましたので、こちらにおいては前回からの修正はありません。
  今お話のありました精神障害者の取扱いの部分については、資料1の別紙を御覧ください。最初の段落は、精神障害者については平成16年の当分科会の意見書の中で、「将来的にはこれを雇用義務制度の対象とすることが考えられる」とされています。その後、平成18年4月からは、精神障害者については実雇用率への算定対象とされました。平成20年の障害者雇用促進法改正をした際の国会の附帯決議の中でも、「精神障害者を雇用義務の対象に加えることについて、可能な限り早期に検討を行うこと」とされています。
  この間の取組ですが、ハローワークで求職活動を行う精神障害者の数、企業で雇用されている精神障害者の数も増加していて、雇用環境の更なる整備を図りつつ、精神障害者を雇用義務の対象とすることが求められている。一方、精神障害者を雇用する上での企業に対する支援策は十分とは言えない状況にあることから、こういう取組を着実に進めるためにも、企業に対する支援の更なる充実が求められている。
  「これらを踏まえると」の段落で、精神障害者を雇用義務の対象とすることについては、企業が精神障害者の雇用に着実に取り組むことができるよう、十分な準備期間を設けることを前提とした上で、企業に対する更なる支援策の充実を進めつつ実施することが必要である。
  「さらに」の段落で、精神障害の対象者の把握・確認方法については、精神障害者保健福祉手帳で判断することが適当である。その際、本人の意に反し、手帳の取得が強要されないようにすべきである。このような形で案文を作らせていただきました。本日は、この案文について御議論いただきます。私からの説明は以上です。
○今野分科会長
それでは、皆さんから御意見を頂ければと思います。
○栗原委員
栗原です。今の文言を見て、文章的には素晴しい作り方をされているなと思いました。私は、重度障害者多数雇用事業所協会の会長をやっています。ちょうど今この時期がブロック会議の時期です。北海道から九州まで7ブロックあるのですが4つ終わりました。そこでいろいろな話が出たのですが、今回の精神障害者雇用義務化の話が俎上に載ってきました。今までそういう話はなかったのですが、たまたま今回そういう話をされる方が多いということで話をさせていただきました。
  中小企業でも、雇用をどんどん増やしていきたいのだけれども、なかなか人が集まらないということが1つあります。今までは身体・知的障害者を雇用してきました。これからは、精神障害者のほうへ行かなければいけないのではないか、という認識を皆さん持っているらしいのですが、精神障害者を雇用しても、定着が今一悪いということで、例えば1人雇用して、その人は良いねということで、ではもう少しというと全然違った様子で長続きしないとか、すぐに辞めてしまうというように、身体・知的障害者とは違う精神障害者の難しさを皆さん認識しています。
  そういうことで出てきている内容というのは、私も前に言わせていただきましたが、トライアル雇用を精神障害者の場合には必ずやらせていただきたい。やっていただかないと、雇用については非常に難しい。いくら他の障害をもった方を多く雇用していても、精神障害者の雇用が増えていても、我々にとってはこれからの雇用分野だと認識しています。5年、10年、20年と精神障害者が定着していけば、なぜあのときにこんなふうに思ったのかねという形になるかも分からないのですが、最初ですから法的な整備をしていただいて、取り組みやすくしていただきたい。
  今までのトライアル雇用は3か月という話がありましたが、3か月では短いという話があります。どのぐらいならいいのかというと、長ければ長いほどいいのだけれども、少なくとも1年ぐらいはやらせていただきたい。我々も同じなのですが、人間ですから誰でも多少波があります。波があると、良いときと悪いときには起伏がありますので、そういうときの判断をさせていただくにはある程度の期間があったほうがいいということで、できれば期間を少し延長していただいて、トライアル雇用の制度を残していただければ、もっと取り組みやすくなるのですけれどもね、という話が多く出ていましたのでお話をさせていただきました。
○宮武氏(北原委員代理)
全日本手をつなぐ育成会の事務局長をやっております宮武です。私は、現場で知的障害者の就労支援を30数年やってまいりました。通勤寮という制度があります。私は、トライアル雇用の制度を作るときに関わっていました。平成10年に知的障害者の雇用が義務化になり、それで、初めて知的障害者向けのといいますか、知的障害者に合った雇用施策が作られていきました。その1つがトライアル雇用です。それまでは、身体障害者のお下がりで知的障害者のほうは制度を使わせていただいていました。
  江東区などの町工場ですが、その頃は小零細企業で、中学を出た知的障害者が多く働いていました。職場開拓ということでカブに乗って御用聞きに回ります。うちに働きたい人がいるのだけれどもという話をすると、町工場の社長は、「1週間ぐらい来てみたら」というところから始まります。実際に働いてみないと分からないという知的障害の特性もあるのですが、それがネックになりました。その後就職した場合に、いろいろな助成制度があって、それを使うには職安を通さなくてはいけないという前提があります。1週間ほど働いてしまうと、雇用前就労といいますか、既に雇用の実績ができてしまいます。
  町工場の社長に、まずハローワークに求人票を出してください、ということをなかなか言えないわけです。そんな面倒くさいのならいいよということになってしまいます。その辺は、厚労省の障害雇用対策課、その当時は村木厚子課長でしたがそういうお話をしました。トライアル雇用というのは3か月間やってみて、駄目だったら双方がそれで終了ということなのです。試用期間というのがありますが、3か月間なりの試用期間が普通にありますけれども、なかなか解雇ができないのです。それほど縛りがきついので、その緩和策としてトライアル雇用という形で始まった制度です。今おっしゃるように、精神障害者の障害特性を踏まえた上で、やはり柔軟に制度を活用していけば非常に有効な制度だと思っています。
○中村委員
中村です。前回この分科会で2つ意見を申し上げました。1つは、中小企業では障害者を採用したくても応募がなくてなかなか採用できないということです。地域によっては、そもそも障害者が少なくて雇用できないという声が各地から寄せられているということをお話しました。この問題が改善されなければ、法定雇用率が上がっても、中小企業は納付金の負担だけが増えるという状況を招くことが懸念されます。
  もう1つは、精神障害者福祉保健手帳の交付に係る審査判定が、地域によってばらつきがあるという声が上がっているということです。公正・一律性の観点からも、今後の環境整備に向けた取組の際には是非留意をしていただきたいと思います。
  その際に局長からも、中小企業の採用への支援について、最大限努力をしたいというコメントを頂きましたが、この2点を意見書に盛り込んでいただきたいと思います。
○今野分科会長
先ほど言いましたように、本日の主要なテーマは、この案文についてどうするかということです。一応、事務局から原案も出ておりますので、したがって皆さんの意見が余りないと、もういいかなということでこの会議は終わることになります。幾つか御希望は頂きましたので、その御意見をここにどう反映するかということはまた考えなければいけませんが、その他御意見がないと。高橋さんは何かありますか。
○高橋委員
高橋です。今回示された案を拝見すると、企業に対する支援策の充実という点には触れられておりますけれども、前回の会議で私どもが主張した点がほとんど反映されていないと見受けられます。残念ながらこの内容では納得することはできないと申し上げざるを得ないと思います。幾つか付言いたします。
  第1に、前回の会合で我々は、精神障害者を「雇用できる一定の環境が整っている」かどうかを判断するに当たり、重要となる点を縷々説明いたしました。そうした点がこのペーパーには全く考慮されていないと言えます。前回の会合での発言はなるべく繰り返しを避けたいと思いますが、その中で公的な就労支援の不十分さだけが取り上げられているような感を受けます。就労支援の不十分さだけではなくて、それ以外にも先ほども御意見が出ましたが、定着率の問題であるとか、就労可能性の公的な担保の話、雇用管理ノウハウの蓄積・普及、あるいは企業や従業員の理解などが不十分であるといった点が踏まえられていないと言えます。
  また、精神障害者に対する合理的配慮の内容であるとか、運用の在り方が明らかになっていない現段階において、義務化を議論するには余りに不確定要素が多過ぎると言えます。
  さらには、4月からの2%という新しい法定雇用率の達成に向けた企業の取組状況を全くチェックすることのないまま、現段階で更なる法定雇用率の引上げにつながる方針を決めることについては、納付金制度に対する企業側の不信感を募らせることになりかねないのではないかと懸念しております。
  第2に、今回の案の書きぶりを拝見すると、結論に至る論旨が不十分であるのではないかと思います。1段落目の記述は事実関係を淡々と記載しているとも言えます。2段落目を見ると、ハローワークで求職活動をしている精神障害者の数であるとか、企業で雇用されている精神障害者の数が増加していることだけを理由に、雇用義務の対象とすべきとしているような印象を受けます。最近の雇用者数の増加などの変化というのは、実雇用率への算入によってもたらされている面があるのではないかと思います。このままの記述では、実雇用率の算定から7年が経過したので、そろそろ義務化してはどうなのかというような主張にも読めるような気がしております。
  3段落目の所は、「企業が精神障害者の雇用に着実に取り組む」ためには、「企業に対する支援の更なる充実が求められている」ということが書かれています。このこと自体は大変歓迎すべき内容です。しかしながら、この内容の企業に対する支援の充実ということは、義務化するかしないかに関係なく重要なことです。それに関係なく促進すべきものであります。
  前回、我々は公的な支援策がいかに小規模なものに留まっているのかという点、一番重要な支援となる医学的な支援が全くなされていない点などを指摘させていただきました。こうした、極めて抽象的な表現の内容のままの文章では、なかなか評価はできないのではないかと思います。少なくとも、どのような公的な支援策の充実を、いつまでに行うのかといった内容を記載していく必要があるのではないかと考えています。
  現在、円高の修正が行われつつあることは大変歓迎しておりますが、企業を取り巻く経営環境は極めて厳しいことに変わりはありません。また、将来が大変見通しにくい経営環境にあることにも是非御理解をいただきたいと思っております。こうした中にあって、例え「十分な準備期間を置くことを前提にする」ということであっても、「実施することが必要である」との結論を現時点で支持することはなかなか難しいのではないかと思います。改めて、前回の会合同様に、現段階で義務化することは時期尚早であると申し上げておきます。
  申すまでもなく、今回の議論というのは、企業にとっても、また労働市場全体にとっても大きな影響を与える内容です。前回、今野先生は議論が尽くされたとお話をされましたが、私自身は十分に議論が尽くされたとは感じておりません。実際に精神障害者の義務化の議論に費やされた時間は、昨年の秋から数えても極めて少ないのではないかと言えると思っております。前回お話申し上げましたように、我々としては支援施策の充実を含め、義務化の検討に向けた、メルクマールといったものを設定し、その進捗状況などを踏まえながら、改めてその義務化の具体的な時期などについて検討すべきということを申し上げました。
  目指すべき将来的な方向性については、先ほど先生がまとめたとおり、確認されたとおりですけれども、まずは精神障害者の雇用実態を十分踏まえ、義務化の実施可能性を見極めるための検討を十分行った上で、改めて判断をすべきではないかと考えています。前回の会合で申し上げた点、あるいはただいま私が申し上げた主張なども踏まえた形で、この案文については改めて事務局のほうで再調整をしていただきたいというお願いを申し上げて私の発言とさせていただきます。以上です。
○今野分科会長
1点確認させていただきます。先ほど栗原委員からの御意見と、中村委員からの御意見は、広く言ったら支援策についての意見をちゃんと盛り込んでほしいという御意見だったと思うのです。高橋委員が言われた、ここの書きぶりが、支援策については抽象的なので、もう少し明確にというか、具体的に書いてくれという御要望があったわけですが、その御要望は、私が今言った栗原委員と中村委員の意見と結局同じことかなと思ったのですが、それを確認させてください。言っている意味は分かっていただけましたか、同趣旨ですねということです。
○高橋委員
はい。
○今野分科会長
もう1つは、議論は尽くされたと私は言いましたか。議論は前に進んでいるということは言ったかもしれないのですけれども。
○高橋委員
高橋です。私の記憶では前回、議論を尽くされたのでという言葉を使ったのではないかと。
○今野分科会長
そうですか。もしそういうことを言ったとすれば、議事録修正ですかね。尽くされたのだったらこの会を開く必要はないです。
○川崎委員
精神障害者家族会の川崎です。私どもの考え方としては、今回義務化の方向付けをしていただきたいということをずっと申し上げてきていました。まだ、企業の方からの御賛同を頂けていないのが現状であると思っております。企業の方にお願いしたいことは、これまで障害者雇用に関しては、身体障害、知的障害と進んできておりますが、先ほど育成会からのお話がありましたように、身体から知的に移るときにも、障害がいろいろ違うということで、その時点で様々な支援策が講じられてきて、現在に至っていると思います。
  今回は精神障害者ということで、またここで新たな障害をもった人を、企業が雇うことに当たっては、いろいろな支援策が講じられるのは当たり前だと思っております。厚生労働省のほうでも、それなりの支援の充実をしていこうというお話です。最初の段落にありますように、精神障害者の雇用義務化の方向を検討しようと言われていて、現在は法定雇用率にも入るようになりましたし、精神障害者の施策についても今回いろいろと資料が出されて出来つつあります。
  しかし、これを更に充実させていかなくてはいけないと思っています。その中で大きなことは企業側の支援ということです。企業の必要に応じて施策を作っていかなくてはいけないと思っております。それは、実際に企業が、精神障害者は何もできないとか、どうしたらいいかということではなく、雇用するという方向性の中で、一体どんなことが必要なのかということが出てきて、それを施策として充実させていくというのが1つの考え方ではないかと思っております。
  今回はその施策が不十分である、100%でないというのは当たり前です。まだ義務化されておりません。100%はかなり難しいと思いますけれども、なるべく100%に近い形での施策の充実を私たちは考えていかなくてはいけない。それの準備期間を持とうということを言っているわけです。今そういう準備期間で、いろいろな企業の方からの要望などを取り入れていき、精神障害者の雇用義務化に向けて動いていければと思っております。
  どうしても企業にとっては、障害者というのは少し厄介者だと思います。健常者と比べるといろいろな支援をしなくてはいけない。しかしながら、今まで身体・知的障害で証明されておりますように、しっかりと支援策があれば雇用できるし、彼らも社会の一個人として働いていき、元気になっている現状を考えると、この際、精神障害者の雇用義務化の方向付けをしていただきたい。障害者も企業にとっての戦力になるはずだと思っておりますので、そういう意味で厄介者でいやだなということではなく、支援策があれば精神障害者もしっかりと戦略になるというようにお考えいただければというお願いが1つです。
  もう1つは、ここに少し加えなければいけないと思います。国内外のいろいろな障害者の問題で、障害者の社会参加が強くうたわれています。その社会参加の促進のためにも雇用を促進させることは必要ではないかと思います。このために、企業側がしっかりと社会参加、それで国が掲げている共生社会の促進のために、企業も大きな役割を担っていることをしっかりと証明していただいて、是非ともこの際、精神障害者の雇用義務化をここで位置付けていただきたい。そうしないと、様々な支援策が講じられないかなと。義務化に向けてだからこそ、いろいろな声が出てくると思いますので、そこで支援策の充実を図っていければと思っております。是非とも企業の方の御理解と、御協力をお願いいたします。以上です。
○宮武氏(北原委員代理)
宮武です。やはり、障害理解の問題だと思います。私は世田谷区にある「すきっぷ」という知的障害者の就労支援施設に長くいました。2年間で就労させるトレーニングセンターです。近くの小学3、4年生が、社会科見学でたくさん参りました。印刷と老人ホームのクリーニングをやっています。小学生の皆さんが一回り見て、職員が「何か質問はありませんか」と聞くと、小学生の1人が、「障害者は何を食べているのですか」という質問が出ました。知的障害、それまでは精神薄弱者と言われていました。子供は障害者をどのように見ているのか、それが今の日本の社会では、残念ながらまだそういう社会であると思うのです。
  知的障害の義務化を拒んでいた。納付金があって、22年後の平成10年に義務化になりました。それは、使用者の方々がおっしゃっていることが2つありました。適職の開発が進んでいない。精神障害者の場合はストレス耐性に弱いのではないか、状態が安定しないのではないかと2つおっしゃっています。それが、正に知的障害の障壁だったのです。知的障害でも同じことを言われました。適職の開発が進んでいないと。
  2点目は、身辺自立ができていないのではないか。自分の下の世話もできないのではないか。そういうことで20何年義務化になりませんでした。それで、研究費だけは付いていたのが実態です。今も同じ議論をしていると思うのです。適職の開発が進んでいないということは、正に障害理解ができていないわけです。これは、障害者に対する偏見・差別です。今、正に差別禁止法ができようとしているときに、そういう見方、そういう障害者観を持っていること自体がおかしいと思います。
  今、企業が精神障害者を生み出しているではないですか、違いますか。我々の所には発達障害の方も来ます。背伸びしながら専門学校に行って、障害を隠して就職をしても、やはり意思の疎通ができないとか、上司の言っていることがよく理解できない、同僚からいつも浮いているような気がするということで発病し、それで私どもの所に来ます。それがクローズで、隠さないと就職できないという現状が今もまだあります。だから、障害者を生み出しているという一面もあるのです。
  彼らは入ってきて、ダウン症の利用者などと一緒に作業をすることでホッとするのです。自分が知的障害の手帳を取得し、自分が障害をもっていたことが分かってホッとしたという言い方もします。正に高橋委員がおっしゃった、定着はどうか、就労の可能性はどうか、ノウハウができていないのではないか、医療的支援が必要ではないかと。
  私は、江東通勤寮という、知的障害者が働いて3年間で自立する施設にもいました。近くに生活保護法の宿泊提供施設がありました。精神病院から社会復帰して宿泊提供施設から就職して自立する。皆さんがその施設の近くにアパートを借りて、前向きに生きようということで努力します。しかし、失敗する人が多いのです。その失敗の仕方が知的障害の失敗の仕方と同じような失敗をするのです。職場での人間関係、あるいは金銭管理の問題が1つネックになっています。そういう生活面の支援が必要なのです。
  それで、今は就業・生活支援センターという、知的障害者向けの、正に就労ということは生活支援も同時に進めなくてはいけないという事業ができていました。もう時代が変わっているという認識を持っていただきたいと思います。
○栗原委員
栗原です。今の宮武さんのお話の中で、差別をというお話をされたのですが、私はそこだけは引っ掛かりました。精神障害者の雇用は非常に伸びています。それは、数字が現しています。伸びているということは、差別をしているということではなくて、前向きに取り組んでいると思っています。先ほど高橋委員が言われたことも、これは違うかもしれないのですが私なりに読むと、私どもの会員には中小企業が多いのですが、大企業の特例子会社もおります。
  あるとき、そこで言われたのは「会長、うちには約7万5,000人ぐらいの従業員がおります。そこで0.1というと75名です。それが0.幾つになるかは別として、今度0.2になるにしても、一遍にそれだけの人数を集めるのは大変です」という話でした。先ほど高橋委員が言われたこの辺が明確ではないというのは、義務化でもってすぐに数字が出てきてというと、これに対応するのは企業としても非常に難しい部分が出てくるのではないかと。これは私が本日思ったのですけれども、そういう話を聞いていると、確かにそういうこともあるなと。
  例えば0.4%といったら、そこの会社の場合は300人ですから大会社が1つ出来てしまうわけです。そうすると、うちの会社で4倍の会社を一遍につくらなければいけないということでは大変だと思ったのです。そういうことからいっても、私は義務化は絶対に駄目ということはないのでいいのですが、ただ、早急に義務化を目の前で出されるというのは、プレッシャーがすごく大きいという感じがいたします。やはり、ある程度年数を置いてやっていって、軟着陸をしていくような方向性を打ち出していただかないと、これはなかなか難しいのではないかという気がいたします。
○今野分科会長
栗原委員が言われていることと、障害者団体の方たちが言われていることとは、私からすると余り変わらないです。精神障害者の雇用義務化をパッと決めて、雇用率がバッと上がったときに、会社は大変ですよねというのは皆さん思っています。したがって、十分な準備期間を置いてというのが御意見だと思うのです。そこは余り変わっていないかなと思ったのですが、栗原さんどうですか。
○栗原委員
栗原です。飽くまで私の周りは中小企業が多くて、雇用が進んでいる企業が多いものですから、そのようになるのかも分からないです。これは大手との違いは当然出て不思議はないと思います。その辺になると、私は大手企業の立場が分かりませんので、それは温度差があるという言い方しかできないのかと思います。
○今野分科会長
いずれにしても、雇用義務化が進んだときに、企業側には大変なことがありますよね、ということについては皆さん合意をしていただいています。したがって、大変なことがあるので、雇用義務化を決めて、十分な準備期間を設けて、ソフトランディングしましょうという意見と、大変なので義務化を決めるのが早いですねという意見ということの分かれ方なのです。ですから、雇用義務化を進めるという御意見も、ちゃんとソフトランディングするように考えましょうということはあるので、そこは御理解いただいたほうがいいかと思います。ほかに御意見はいかがですか。
○竹下委員
竹下です。私は日本語の理解力が悪いのかもしれませんが、一番最後の所の、結論から言うと「その際」というのがどこに掛かってくるのかよく分からないのです。精神障害者に対して、手帳の取得を強制したらあかん、ということの結論はこの記載でいいと思うのです。その対象者が、採用の場面での求職者を指しているのか、それとも、例えば事業所に既に雇用されている人に手帳の取得を強要ないしは積極的に勧めて雇用率達成に近付けようとすることも大いに予測されるわけです。「その際」というのは何を指しているのかを説明していただきたいのです。
○障害者雇用対策課課長補佐(安達)
障害者雇用対策課課長補佐の安達です。この文言自体は、過去の分科会において、精神障害者の雇用義務化について議論する際に、手帳で判断するということ自体が適当であろうということで出てきています。その確認をするという制度の中で先生がおっしゃったとおり、雇用状況を事業主が把握する際に、従業員に強制的に手帳を取らせたりすることのないようにという御指摘の文脈で、こういう御指摘があったと理解しております。
○今野分科会長
今の竹下委員の質問は、端的に言うと採用も掛かるかという質問ですね。
○竹下委員
はい。
○障害者雇用対策課課長補佐(安達)
今の話は想定され得ると思いますので、そういう部分も含めて読めるような文言にはなっていると思います。
○今野分科会長
いろいろおっしゃられたけれども、要するに採用も入るということですね。
○障害者雇用対策課課長補佐(安達)
はい。
○武石委員
武石です。前回欠席をしてしまいましたので、白熱した議論をきちんとフォローできていないのです。高橋委員から、幾つか指標を見ながら、メルクマールというお言葉がありましたが、それを見ながら実現の状況を確認し、義務化へというお話がありました。それはお話として大変よく分かります。多分メルクマールを作って、例えば数値目標的なものを決めるというのは、現実的にはとても難しいことではないかと思います。この水準がここまで行けば義務化ですということはとても難しいと思うので、定性的なメルクマールにしかなり得ないのではないかと思います。精神障害者の雇用が今はどんどん進んできているわけですが、方針をここで決めて、更に雇用が進んでいけば、いろいろな指標も改善すると思いますし、雇用を進めながら指標を上げていくというのが現実的な対応なのかなというのが1点です。
  精神障害者の雇用義務化という言葉が出てくると、精神障害者を企業が一定数雇わなくてはいけないようなイメージがどうしてもあります。ここで議論しているのは、法定雇用率への算定対象に精神障害者を含めるということだと思います。実質的に法定雇用率は上がると思いますが、一律、企業が精神障害者を雇わなくてはいけないということではないと思いますので、そこを確認しておいたほうがいいのかなということが2点目です。
  3点目は、今回、障害者差別禁止の条約を批准するというタイミングの中で、基本的にこの条約を批准する上で、精神障害者も差別しないという枠組みに関しては合意ができていると思います。そういう人たちに対して合理的配慮をすることが事業主に義務付けられていく。これは既に合意ができている部分で、確認されていることです。そういう中で、この条約の批准に向けて、精神障害者も含めた障害者に対する差別が禁止され、合理的配慮が企業に義務付けられていくということになっていくと、非常に精神障害者の雇用の環境は整っていくと思います。私は前にも言っているのですが、この条約の批准というのは、時宜を捉えたタイミングで精神障害者の実雇用率への算定を進めていく大変いい時期ではないか、というのを前々回と繰り返しになりますが申し添えたいと思います。以上です。
○障害者雇用対策課課長補佐(安達)
今の御指摘の中でおっしゃったのは、法定雇用率の中に精神障害者をカウントするという御議論で、その取扱いは先生がおっしゃったとおり、身体障害者、知的障害者は法定雇用率の算定の対象になっていますが、その取扱いと精神障害者を同様にするということで議論が進んでいるということであり、一律に企業が精神障害者を雇わなくてはいけないとことではないと理解しています。

○高橋委員
高橋です。蛇足で申し訳ないのですが、文章の内容ではないのです。先ほど栗原委員もお話されましたが、今、本当に企業の現場では障害者雇用に必死に取り組んでいて、その実がずっと上がってきています。前回も申し上げましたけれども、リーマンショックなど、未曾有の事があっても、9年連続で障害者雇用者数は増加しています。とりわけ精神障害者の数も非常に増えてきています。
そうやって現場がみんな一生懸命になっています。
ここの場は障害者雇用を促進するために四者が集まって議論している場だと思うのです。そうした場で、企業の社会的責任を果たせとか、企業が差別を生み出しているという発言は個人的には余り聞きたくないという感想を持っています。やはり、精神障害者の雇用をどうやって促進していくのか、四者が知恵を出し合って検討し、議論し、望ましい政策を進めていくという一体感で是非議論していきたいと思っています。本日は、ちょっと残念な会合だったという印象を、最後に余計なことですけれども申し上げます。
○今野分科会長
先ほど私も言いましたけれども、基本的には障害者団体の方たちも、企業は大変だということは理解しているので、したがって十分な準備期間を設けることを前提にする。大変だということは理解していますというのは、やはり考えていただきたいと。したがって、十分な準備期間を置いてやっていきましょうという提案です。もし、これは大変だと思っていなければ、十分な準備期間などという発言は出ないはずですので、その辺は共通基盤があるのかと思っています。最後の戦術をどうするかというところで、今は意見が分かれているかなというのが私の理解です。
  ほかにはいかがでしょうか。前回も大分意見を頂いて、本日は具体的に事務局に作っていただいた文面に基づいて、もう一度御意見を頂きました。私としては、本日の御意見などを踏まえて、次回の分科会にもう一度この文案の修正案をお示しをして、それでまとめたいと思うのですがいかがでしょうか。まだ言い足りないことがあるということであればお聞きします。
○宮武氏(北原委員代理)
宮武です。高橋委員からお話がありましたが、私どもも全く同感です。知的障害者の就労支援を30年やってきて、大企業に知的障害者がたくさん雇用されて、元気に働いている姿があります。霞が関にも知的障害の青年がたくさん働いています。背広姿で霞が関に、知的障害の青年が堂々と登場するというのは、10年前には全く想像もしておりませんでした。私が先ほどお話した内容は、障害理解について、社会的にもっと理解を促進すべきだという内容なのです。その点だけ付け加えさせていただきます。
○川崎委員
家族会の川崎です。やはり、差別ということがとても大きく今回響いたようですけれども、実は現在、障害者間の差別をなくそう、格差をなくそうということで障害者差別禁止法ができたり、障害者権利条約を批准しようということで、企業側だけがそういうことをしているということを私たちは申し上げているわけではなく、社会全体でそういうものをなくしていこうという中で、精神障害者の雇用を御理解いただきたいということでお話しました。別に高橋さんを責めてはおりません。よろしく御協力のほどをお願いいたします。
○今野分科会長
私が先ほど申しましたように、本日の御議論を踏まえ、本日の案文の修正文を作り、もう一度議論していただきたいと思います。その際に、本日の御意見の中で、今回の案文についての具体的な修正に関わる御意見は、主に使用者側の方たちから多くあったと思います。ですから、そういうのを踏まえて修正文を作り、できれば次回にはまとめたいと思いますので、引き続き御協力のほどよろしくお願いいたします。そういうことで、本日は終わりたいと思います。事務局から今後の予定について説明をお願いいたします。
○障害者雇用対策課課長補佐(安達)
事務局の、障害者雇用対策課の安達です。次回は3月14日(木)の16時から18時まで、議題は「意見書案について」ということで、場所等の詳細は追って連絡させていただきます。以上です。
○今野分科会長
議事録署名人として、労働者代表は桑原委員、使用者代表は中村委員、障害者代表は竹下委員にお願いいたします。本日はありがとうございました、これで終わらせていただきます。


(了)

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