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2013年1月22日 第55回労働政策審議会障害者雇用分科会 議事録

職業安定局高齢・障害者雇用対策部障害者雇用対策課

○日時

平成25年1月22日(火)
10時00分〜12時00分


○場所

厚生労働省専用第12会議室(12階)


○出席者

【公益委員】今野委員、岩村委員、菊池委員、武石委員、松為委員
【労働者代表】桑原委員、杉山委員、斗内委員、冨高委員、南部委員
【使用者代表】栗原委員、塩野委員、高橋委員、中村委員、萩原委員
【障害者代表】川崎委員、北原委員、竹下委員、森氏
【事務局】岡崎職業安定局長、小川高齢・障害者雇用対策部長、山田障害者雇用対策課長、金田地域就労支援室長、松永調査官、田窪主任障害者雇用専門官、安達障害者雇用対策課長補佐、境障害者雇用対策課長補佐

○議題

(1)意見書(素案)について
(2)その他

○議事

○今野分科会長
まだ来られていない方が3名程いらっしゃいますけれども、定刻になりましたので始めさせていただきます。ただいまから、第55回「労働政策審議会障害者雇用分科会」を開催いたします。本日の欠席は野中委員、桑原委員、阿部委員です。阿部委員の代理として、社会福祉法人日本身体障害者団体連合会常務理事・事務局長の森祐司さんに出席をしていただいています。
  議事に入ります。いつものことですが、発言される方はまず挙手をしていただいて、私が指名いたしますので、名前を言っていただいてから発言をしていただくということでお願いいたします。
  議事次第にあるように、本日は意見書についてとその他の2つの議題です。この議題に入る前に、前回の分科会において、各委員から指摘のあった事項がありますので、それについて事務局から資料を用意していただきましたので、その説明をお願いいたします。
○障害者雇用対策課調査官
障害者雇用対策課調査官の松永です。前回の分科会以降、各委員から御指摘のあった事項について、資料1に沿って説明させていただきます。指摘していただいた事項は大きく分けて2つあります。「精神障害者に対する支援施策の実施状況等」に関するものと、「精神障害者を取り巻く状況の推移」に関するものです。ある程度体系的な説明ができますように、前回以前の分科会で配布したものも含まれておりますけれども、改めて御説明させていただきます。
  精神障害者に対する支援施策の実施状況については、雇入れ前、雇入れ後など雇用の局面ごとにどこからどういう支援が受けられるのか、そういうものが分かるような資料、それぞれの施策について、企業のニーズがどれぐらいあるのかが分かる資料という御要望を頂いております。全ての御要望に叶っていないものもありますけれども、こちらで把握できる範囲で資料を準備させていただきました。
  1ページは、精神障害者向けの支援策の推移です。平成7年当時は、精神障害者に対する支援策は6つしかありませんでしたが、現在では22の支援メニューを用意しています。
  2ページでは、これらの施策を時間軸に沿って並べて整理したものです。ハローワーク、就業・生活支援センター、地域障害者職業センターが中心となり、障害者本人に対する施策は「○」で、事業主に対するものは「◎」で書いてあります。こういう形で、就職の準備段階から、職場定着までの一貫した支援を実施しているものです。
  一番上の「ハローワーク」は、ジョブガイダンス事業で、求職者の掘り起こしを行い、その後マッチングの段階ではトータルサポーターによる専門的な支援、ナビゲーターによる職業紹介を行い、就職後の職場適応段階ではトライアル雇用、職場適応指導を実施しています。
  真ん中の「障害者就業・生活支援センター」では、当初は関係機関との連絡調整を行い、就職後には職場定着支援、事業主支援を行っております。就職後は、この就業・生活支援センターが事業主を支援するウエイトが高まってくるということで幅を広く書いてあります。
  下の段の「地域障害者職業センター」では、本人の職業準備支援、雇入れ支援を行い、就職後はジョブコーチ支援、定着支援を行っておりますが、徐々に支援のウエイトは就業・生活支援センターのほうに移していく形で行っております。一方で一番右にあるように、休職した場合の復帰支援というリワーク支援はこのセンターで実施しています。
  3ページからは、個別の施策に関する資料です。今申し上げた時間軸に沿って、支援策の紹介をしていきます。まずは、就職準備段階の施策です。「精神障害者等のジョブガイダンス事業」というのは、ハローワークの職員が医療機関や福祉施設に出向いて行き、これまで就職活動に至っていなかった患者さんや施設の利用者に対してガイダンスを行い、言わば求職者の掘り起こしをする事業です。昨年度の実績として、1,779人に対してガイダンスを行い、求職活動に移行できた者が32%、そのうち就職にまで至った者は7.8%です。この事業については、来年度も引き続きハローワークから働き掛けを行うというものに加え、就職に向けた取組を積極的に行っている医療機関や福祉事業者に直接委託し、主体的に取り組んでもらうことを考えております。
  4ページは、「地域障害者職業センターでの職業準備支援の実施状況」です。これは前回の分科会でも御紹介いたしましたが、センターの中に模擬的な就労の現場を作り、そこでの作業訓練を通じ、作業能力、コミュニケーション能力などの基本的な労働習慣の体得をさせ、次の就職活動に結び付けているものです。昨年度は2,100人に支援を行い、障害種別では精神障害とその他、これは手帳を持っていない発達障害者が多いわけですが、そういう者を中心に行っているものです。
  5ページは、「精神障害者雇用トータルサポーターの支援状況」です。ハローワークに専門家を配置し、本人に対してはカウンセリングや就職に向けた準備プログラムを行います。企業に対しては、精神障害者の雇用に関する意識啓発、就職後の定着支援を行っています。これは、全国のハローワークに303人を配置していて、昨年度は4万8,000件の支援を行っております。企業に対する支援については、昨年度からスタートしているため、件数はやや少ないですけれども4,100件程実施しています。
  6ページからは、職場適応段階の施策です。まず、「トライアル雇用」ですけれども、事業主が障害者を、短期のトライアル雇用という形で受け入れることで、企業や障害者双方の不安感を除去する。そして、以後の障害者雇用に取り組むきっかけ作りや就職を促進することを目的としたものです。
  7ページ以降でいろいろな実績を載せています。7ページは経年の実施状況です。この制度は、平成11年度から開始したもので、当初支給額は5万9,000円でしたが、現在は月4万円となっております。また、トライアルの開始者数は年々増えていて、その隣の常用雇用移行率も80%台をキープしています。支給額は、平成11年度当初から大幅に増えていて、昨年度ベースで9億8,000万円という状況です。
  8ページは、この実績を障害種別に見たものです。どの種別も昨年度まで増加していて、常用移行率も80%台で推移しています。
  9ページと10ページは、平成23年度と今年度の直近までの状況を都道府県別に見たものです。平成23年度までは、今御説明したとおり増加しているわけですが、平成24年度は前年度比で大幅に開始者数が減っている状況です。
  開始者数が減った要因を説明したものが11ページです。先程御説明した障害者トライアル雇用の趣旨・目的を踏まえ、今年度から対象事業所の明確化を行ったものです。このトライアル雇用というのは、障害者を受け入れることの不安感等を除去し、以後の障害者雇用のきっかけ作りをすることを目的にしているわけですが、実態を見ると障害者雇用の実績も、ノウハウも十分に合う事業所にも広く活用されていたということがあり、このため障害者雇用に関するノウハウがある事業所については、そこの下のほうにあるように、同一職種で雇入れ経験がない障害種別・障害部位別の求職者を雇用する場合、あるいは、ハローワークが特に就職が困難と判断する者を雇用する場合に限って対象とするというような見直しを行いました。
  12ページは、精神障害者等ステップアップ雇用奨励金です。こちらは前回も御説明いたしましたけれども、一定程度の期間をかけて、段階的に就業時間を増やしながら、常用雇用にしていく取組を行う事業主に対する助成を行うものです。
  13ページは、その他です。精神障害者を雇用する際に活用できる助成金の一覧です。一番上にあるのは、障害者をハローワークの紹介で雇い入れた事業主に対して支給する、特定求職者雇用開発助成金です。真ん中には、雇用する精神障害者が働きやすい職場づくりを行った事業主に対して支給する奨励金です。一番下は、精神障害者を雇用し、職場支援従事者の配置を行う事業主に対して支給する助成金です。
  14ページ以降は、高・障・求機構の出先機関である地域障害者職業センターでの事業主支援の取組です。この地域センターでは、一般的な事業主支援として、企業との事前の相談、支援計画の策定、計画に基づく雇入れ支援、定着支援を実施しております。昨年度支援を実施した事業所は1万7,000件程あり、雇入れ支援が1万2,000件、定着支援1万8,000件の支援を行っております。
  15ページは、これとは別に行っている地域センターでのジョブコーチ支援の利用状況です。地域センターを利用した障害者は、昨年度で3万人程おります。そのうち職業リハビリテーション計画を策定したものは2万4,000件程あります。この計画にジョブコーチ支援が盛り込まれているものは4,200件程あります。したがって、17.6%ぐらいがジョブコーチ支援を受けている状況です。
  右下に支援実績があります。この数字は、上の4,200件超のうち、センター単独でジョブコーチ支援をしたものだけを計上したものです。3,342人に支援を行い、支援終了後6か月の定着率は87.4%です。
  16ページは、ジョブコーチ支援に対する企業のニーズに関する資料です。これは、企業に対して行ったアンケートです。精神障害者を雇用した企業50の事例のうち、32の事例、64%で、受入時に外部機関によるジョブコーチ支援を活用したということです。これ以外にも5事例では、企業内にジョブコーチを配置したものもあります。下にあるのは、障害者を雇用する企業117社へのアンケートです。最近10年間で、障害者の職場定着のためにどういう取組をしたかということで回答してもらったものです。ジョブコーチ等外部の人的支援を活用したと回答した企業が約7割、更に10年以上前からジョブコーチ等を活用していたと回答した企業を合わせると8割近い企業がジョブコーチ等を活用している状況にあります。
  18ページは、地域センターで行っている職場復帰、いわゆるリワークの支援です。鬱病等で休んでしまった、休職してしまった精神障害者の円滑な職場復帰を目指して本人、事業主双方に対して、カウンセラーや医師とも連携しながら支援を行うものです。
  19ページにこれの実績を載せております。ここでは、職場復帰支援と、その後の雇用継続支援についての実施状況を載せております。左側が事業主支援ですが、昨年度の職場復帰支援は2,700件超、雇用継続支援は2,000件超となっております。下の参考1にあるように、昨年度の復職率は85.4%です。参考2のように、職場復帰支援というのは、かつてはこの支援を受けるために、企業に待っていただいている、待機していただいているのが見られました。このために、専任のカウンセラーを新たに設置し、現時点では待機が発生している状況はないということです。
  20ページは、就業・生活支援センターでの事業主支援です。事業主からの要望により事業所に対して相談支援を行った実績は、昨年度が21万件、相談支援内容の割合は右側にあるように、雇入れに関するもの、職場定着に関するものの割合が高くなっております。下の参考の所は、事業主又は本人からの要望によって職場訪問をして、職場定着支援を実施した件数になります。昨年度は14万件に対して支援を実施し、就職後6か月経過時点の定着状況は80%です。
  21ページは、障害者雇用納付金に基づく助成金の一覧です。障害者が作業を容易に行えるような施設の設置・整備、障害者を介助する者の配置、通勤の配慮、職場適応援助者(ジョブコーチ)による援助、能力開発を行った場合の助成という形で、ここにあるメニューを用意しております。
  22ページは前回の分科会でもお配りした資料ですが、精神障害者の雇用への理解促進のための周知・啓発の取組です。働く者からのメッセージ発信等々の取組、周知・啓発を行っているものです。
  23ページは、前々回の分科会でお配りした資料です。精神障害者向けの主な支援施策の実績の推移です。ハローワークでの就職件数、6・1報告での雇用者数、就業・生活支援センターの登録者数等々、各種支援施策についての実績は増加している状況です。
  24ページは第一研究会で行った、事業所のアンケートです。精神障害者の雇用の促進のためにどのような支援を期待するかを聞いたものです。上の段は、精神障害者の雇用の促進のためにどのような支援が必要かを聞いたものです。多かったものは、雇入れから雇用継続までの一貫した助言・援助等の支援、社内での周知や理解促進、雇入れ予定の障害者の個々の障害特性や雇用管理上の留意点に関する情報提供等々といった順序になっております。下のほうは、個々の施策についての支援制度に関するニーズです。今後利用したいと回答した割合が高かったものとして、ガイドブックや事例集の配布、セミナーの開催、職場支援従事者助成金、障害者トライアル雇用、地域センターでの雇入れ、職場復帰のための支援といった順序になっております。
  25ページからは、精神障害者を取り巻く状況の推移に関する資料です。こちらでは、精神障害者の雇用状況についての詳細な資料、障害者の離職状況についての詳細なもの、平均勤続年数についての詳細なもの、障害者求人の充足状況といったもの、精神障害者の雇用についての企業の意識に関する資料について御要望があったものです。順次説明をしていきます。
  25ページは前回の分科会でもお配りした資料です。知的障害や精神障害について、実雇用率のカウント対象となった時期から、雇用義務化の検討時期に至るまでの雇用状況の変化をまとめたものです。上の段が6・1報告による障害者の雇用者数、下の段がハローワークの就職件数ですが、いずれも大きく伸びている状況です。
  26ページは、ハローワークでの障害種別の就職件数の状況です。精神障害者については、実雇用率のカウント対象となった平成18年当時と比較すると、その構成比が大幅に伸びている状況です。
  27ページは、6・1報告で障害種別に雇用している企業数の推移をまとめたものです。一番右側に増加率を載せていますが、精神障害については実雇用率のカウント対象となった平成18年と比べて大幅に増加している状況です。
  28ページは、6・1報告で精神障害者を雇用している企業数の推移を、企業規模別に見たものです。右側に増加率を載せておりますが、100人未満規模はやや増加率が低いけれども、いずれの企業規模でも大幅に増加している状況です。
  29ページは、障害者の離職状況に関する資料です。前回の分科会では、解雇者数の状況を示したものでしたが、こちらは離職をして、雇用保険の受給資格決定を受けた障害者数です。障害種別で見ると、身体障害は2万4,000、知的障害が4,300、精神障害が9,600となっています。下に参考として、新規求職申込件数を載せておりますが、新規求職申込件数に占める受給資格決定件数の割合を見ると、身体障害で35.7%、知的障害で15.7%、精神障害で19.8%という状況です。健常者を含めた一般求職者では35.6%となっていて、身体障害の場合は健常者と同じ水準、知的障害と精神障害についてはそれよりちょっと低い水準になっている状況です。
  30ページは前回の分科会でもお配りした資料ですが、障害者の平均勤続年数の推移です。直近の数字は一番下の段になりますが、身体障害、知的障害は9年2か月、精神障害は6年4か月という状況です。
  31ページは、平均勤続年数のうち、採用時点で既に障害者であった方に限った場合の平均勤続年数を取ったものです。これも、直近の平成20年の調査ですが、身体障害は9年6か月、知的障害は9年0か月ということで、前のページで見ていただいた平均勤続年数とほぼ同じです。精神障害については4年0か月ということでちょっと短くなっています。これは、調査が平成20年のものであり、平成18年度から精神障害者については実雇用率のカウント対象となったということで、それ以降に採用された者の割合が高いことによるのではないかと考えられます。
  33ページは、ハローワークでの障害者専用求人の充足率の数字です。昨年度は10万件の新規専用求人があり、このうちの充足率は32.4%です。一番右に一般の充足率がありますが26.9%という状況です。ただし、障害者の職業紹介というのは、一般の求人からも行うケースもあり、この充足率をもって直ちに何らかの評価ができるものではないところに御留意いただければと思います。
  34ページ以降は、精神障害者雇用に関する企業の意識に関する資料です。34ページは、平成21年から平成22年にかけて、大手10社に取り組んでもらったモデル事業の実施状況です。一番上にあるように、モデル事業中に雇用された精神障害者は79名あり、現在でも75%の方が定着している状況です。障害種別については統合失調症が一番多い状況です。あとは資料にはありませんけれども、週の労働時間について見ると、労働時間というよりも会社に居た時間ですけれども、事業を始めた当初は20時間未満だった所が2社ありますけれども、多くは30時間台でスタートしております。一方で40時間以上、これは会社に居た時間ですので40時間を超えますけれども、そういう会社も2社あります。その後2年目に入り、会社に居る滞在時間を増やした所が6社あり、おおむね20時間台の所が1社、30時間台の所が6社、40時間台の所も3社あるという状況です。
  こういうモデル事業の取組の中で、雇入れ前、雇入れ後の不安、苦労といったものについてです。雇入れ前については、そもそも採用した経験がない、あるいは知識が不十分、それから、能力が分からないためにどういう仕事をしてもらうかということで、業務の切り出しに苦労した。雇入れ後の苦労としては、個々の障害特性に対応した業務管理方法の構築、御本人が調子を崩したときの対応に苦労したというものです。次に課題等の対応のために工夫・改善した点です。まずは業務日誌をつけてもらう、定期的なカウンセリングなどによって、体調などの状況を常に把握した。御本人の状況に合わせて、1日の勤務時間数・始業時間を考慮した。体調を崩したときに休息を取れるようなスペースを確保したといった工夫をしております。外部支援機関の活用としては、ハローワークや地域センター、就労支援機関などで雇用管理、業務の切り出しを相談したり、トライアル雇用を使ってマッチングの判断をしたり、ジョブコーチで業務管理方法の相談、生活面では就労支援機関に依頼するといったことをやっております。その下は雇用した効果、今後の課題です。効果としては、社内の精神障害者に対する理解が促された、精神障害者が担当する業務の幅が拡大した、という効果があった。今後の課題については、安定して勤務し職場に定着するための支援の充実やノウハウの蓄積、御本人に相談したり、分かりやすく指示が出せるような周りの社員の育成が課題となっております。
  39ページは、精神障害者の雇用に関する企業の意識の変化です。これも第一研究会で行ったアンケートからの抜粋です。精神障害者を雇用していると回答した事業所数の推移については、前回平成5年に調査をしていますが10.8%から、今回は14.4%になっています。真ん中の段で、今後積極的に雇用に取り組みたい、ある程度仕事のできそうな人が応募してくれば雇うかもしれないと回答した企業の推移ですが、積極的に雇用に取り組みたいという所が1%から3.2%、ある程度仕事ができそうな人が応募してくれば雇うかもしれないという所が16.4%から29.6%という状況です。参考として、今後の精神障害者の雇用方針として、雇いたくないと回答した事業所の推移としては、前回の32.5%から、今回は28.7%という状況になっております。
  40ページは、第一研究会で配布した資料です。大阪で、精神障害者の就労移行支援事業を実施しているNPO法人のJSNが支援している、精神障害者を雇用した企業41社に対するアンケートです。精神障害者の雇用に対する企業の理解として、10年前と比べて理解が進んだかどうかについて、「大変進んだ」が15%、「進んだ」が77%という状況です。精神障害者を雇用してみた企業の感想として、「大変良かった」が17%、「良かった」が56%です。一方で「余り良くなかった」というのも10%程度ありました。精神障害者を雇用したことによる仕事現場の変化です。「戦力になった」「雰囲気が良くなった」「助け合うようになった」という前向きな答え、後ろのほうにあるように「ミスが多く、他が手を取られ不満」「指示の理解が悪く、他が困る」という声も出ました。今後の精神障害者の雇用に取り組む意向です。「今後更に精神障害者の雇用に取り組む予定がありますか」ということについては、「具体的に考えている」が7%、「考えている」が7%、「可能性あり」が59%、「考えていない」が20%という状況です。
  その他参考資料として、先ほど御説明したモデル事業に関するパンフレット、第一研究会で行った事業所アンケート調査の概要の全文、精神障害者保健福祉手帳の交付事務の流れ、申請書類の様式に関する資料を付けております。以上長くなりましたけれども、頂いた要望の全てに叶っているわけではありませんが、可能な限り準備をさせていただきました。これらを基に御議論いただければと思います。私からは以上です。
○今野分科会長
意見書についてはこれから議論いたしますので、今、説明のあった資料について事実関係とか、ここのデータはおかしいとか、どうなっているのかというような御質問、御意見がありましたらお願いいたします。
○栗原委員
栗原でございます。資料の説明をしていただき、トライアル雇用というのは非常に効果があるというのが実績として出ているわけです。トライアルをやった所の大体80%が継続雇用に、常用雇用に結び付いているということです。トライアルをやるかやらないか、というのはかなり大きなファクターではないかと思います。そのトライアルが、最初雇用の経験のない企業にトライアルを使っていただいて、そして経験を積んでもらう。ただ、ある程度経験、ノウハウが付いたところでトライアルをなくすというデータがあったと思います。
  ところが、経験というのは何名ぐらいをもって経験というのか、又は何年ぐらい雇用したからそのノウハウを蓄積したのか、その辺がよく分からない。最初は、確かに全然雇用の経験がない企業であれば、それは構わないと思うのです。経験があるといっても、1人とか2人でノウハウを蓄積したというのはおかしいかなという感じがします。そこで、私が前々からお願いしているのは、トライアルという制度は4万円という金額に魅力があるのかも分かりません。しかし、制度としてお金の出ないトライアルというのもある程度必要ではないのか。
  中小企業というのは、まだまだ知的障害とか身体障害に比べて精神障害というのは未知の分野です。そこに取り組んでいくというのは、1人や2人雇用したとしても先が分からない部分がある。そういう企業に対してトライアルをもっと取りやすくする、お金は別にいいのですけれども、経験があるということでお金は出なくてもいいのですが、少なくとも3か月がいいのかどうかというのは私も疑問があります。精神障害の場合は半年ぐらいはやっていただいたほうがいいのかという気がするのです。そのようなことで、システムとして、制度として残していただかないと、ある程度までいっても、それ以上に伸びていかないのではないかという気がします。
  最初から、あなたの所は1人とか2人雇用したことがあるではないか。次からは正規に雇用してくださいと言われたときに、果たして本当にこの人が会社でうまくやっているかどうかというのは、知的障害とか身体障害に比べて、その辺の判断が難しい部分が精神障害の場合にはあると思うのです。そういうことを踏まえたら、お金は別にして、その制度自体としてはトライアルというのはやっていただかないと。要は雇用率を伸ばしていくわけですから、いかさなければいけないわけですから、トライアルをやれば80%雇用できているということですから、そういうのを進めていくためには、制度自体としては残していただきたいと思います。
○今野分科会長
何かありますか。
○障害者雇用対策課長
障害者雇用対策課長です。栗原委員から頂いたような御意見は、他の企業からも頂いております。精神障害者については、障害特性が個々人によって差異が大きい、障害の状態が変動するという特徴が、身体障害や知的障害とは違ってある、そういうことも踏まえて、経験の有無と切り離した形で、精神障害のトライアルの運用については再検討することを現在しておりますので、何とか今の御意見が受け止められるような形にしたいと思っております。
○今野分科会長
ほかにはいかがでしょうか。特にこの宿題をやっておけと言った方は、これで情報としては十分ですか。
○高橋委員
高橋でございます。いろいろと注文を出させていただきましたが、限られた時間の中でいろいろと詳しい資料をお出しいただいて大変感謝しております。ただ、他方でこれは運営の仕方にも関わるところですけれども、委員から依頼をしないと、こうした基礎的なデータが出てこないという運営の仕方で本当にいいのだろうか、ということを私はすごく疑問として感じております。精神障害者の雇用についての議論をするのであるならば、もっと早い段階で、何も言わなくてもこのぐらいのデータが出てきてしかるべきだろうという感想を持ちました。
  私は、前回までは申し上げませんでしたけれども、はっきり申しまして、精神障害者の雇用について議論する際に、非常に重要な資料が依然として提出されていないと思っています。それは何かというと、もし仮にの議論ですけれども、雇用の義務化をした場合の影響です。具体的には法定雇用率がどうなるのかということのデータ、今の法定雇用率の各社の分布状況などを総合勘案しながら議論をしていく必要があると思っております。依然としていまだにそうしたデータすら提示されていないことについては、非常に疑問を感じております。
○今野分科会長
御意見としてお聞きしておけばいいですね。
○高橋委員
はい。
○今野分科会長
ほかにはよろしいでしょうか。本日説明していただいた資料は膨大ですので、お帰りになってからゆっくり見ていただければと思います。次は意見書についてです。まず、事務局から説明をしていただいてから議論に入ります。
○障害者雇用対策課調査官
障害者雇用対策課の松永です。資料2の意見書の素案について御説明させていただきます。この素案の作成に当たっての考え方ですが、これまで議論をしていただいて、おおむね異論がないと思われる所は黒字で記載しております。具体的には、2年前の当分科会の中間取りまとめの中で異論がなかったとされた事項、それから、これまでの議論の整理という形で、毎回ペーパーでお示ししておりますけれども、そのペーパーに盛り込んだ事項は黒字にしております。議論の整理ペーパーの中で、意見があったとされていた部分とか、分科会でその追加の意見があった部分についても、異論がなさそうな所については黒字にしています。議論の整理ペーパーで両論併記となっていた事項については、赤字で案文を示した上で(P)という形で記載させていただいています。障害者の雇用義務化に関する部分は論点のみ提示しています。以下、順に御説明させていただきます。
  1ページの第1の1の権利条約への対応です。基本的枠組みの、(1)枠組みの全体像の所は、権利条約への対応についてですけれども、ここは他の労働法令との調整を図りつつ、障害者雇用促進法を改正すること等により対応を図ることが適当である。その際、内閣府で検討している差別禁止法と、障害者雇用促進法が整合性の取れたものとなるよう、分科会での議論を踏まえ、内閣府等との調整を図るべきであるとしております。「また」書きの所は中間取りまとめですけれども、障害者雇用率については引き続き残すことが適当であるとしております。
  (2)対象範囲です。障害者の範囲については最初のパラグラフで、ここは論点ペーパーから加筆しておりますけれども、事業主への義務付けとなることを踏まえて、対象となる者が明確であるとともに事業主にとって把握可能な者であることが求められるとしております。これらを踏まえ、差別禁止の対象となる障害者の範囲については、現行の障害者雇用率の対象よりも広範囲なものとし、障害者雇用促進法第2条第1号に規定する障害者とすることが適当であるとしております。ここで(P)となっているのは、過去に障害の履歴のある者、将来障害を有する者、障害者をもつ家族の取扱いについて(P)となっております。「なお」書きの所は、前回の議論の整理からのものです。外見で判断しづらい障害者については、ハローワーク等の外部機関が支援を行うべきとしております。
  事業主の範囲についての件は、全般的に前回の議論の整理からの引用です。ここで言っている事業主の範囲については、企業規模によって差を設けず全ての事業主を対象とすることが適当としております。派遣労働の取扱いについては、派遣先事業主は現行の派遣法に基づく責任を負いつつ、当面、派遣元事業主に障害を理由とする差別の禁止等を課すことが適当である。「また」書きの所で、この義務の主体については事業主とすることが適当であるとしております。
  差別の禁止の基本的な考え方です。最初のパラグラフは、前回の議論の整理の引用で、事業主にとって何が禁止すべき差別に当たるのか明確であるということ。事業主に対して合理的配慮の提供義務が課されることとの関係に留意することが求められる、としております。
  2ページで各論に入っていきます。直接差別、間接差別の所についてです。直接差別については禁止すべきである。車椅子、補助犬その他の支援器具等の利用、介助者の付き添い等の社会的不利を補う手段の利用等を理由とする不当な不利益取扱いについても、直接差別に含まれるものとすることが適当である。さらに、こういう差別の範囲が明確になるよう、差別に当たる具体的な事例を分かりやすく示すことが必要であるとしております。
  一方で間接差別については、どのようなものが間接差別に該当するのか明確でない。直接差別に当たらない事案についても、合理的配慮の提供で対応が図られると考えられることから、現段階では間接差別の禁止規定を設けることは困難である。将来的には、この事例の集積を行った上で、この禁止規定を設ける必要性について検討を行う必要があるとしております。
  合理的配慮の不提供についての所は、前回の議論の整理の引用です。ここは、端的に事業主への合理的配慮の提供義務とすることで足りると考えられるとしております。
  ハラスメントも前回の議論の引用です。ハラスメントについては、障害者虐待防止法で、既に職場における心理的虐待ということで措置が講じられておりますので、まずはそちらの履行確保に努めるべきとしております。
  労働能力に基づく差異等についても前回の議論の整理の引用です。合理的配慮が提供された上で、能力を適正に評価した結果としての異なる取扱いは、禁止すべきものではないということ。障害者を有利に扱う積極的差別是正措置も禁止すべき差別ではないとしております。
  (2)禁止すべき差別の所は、中間取りまとめの引用です。雇用に係る全ての事項を差別禁止対象とすべきであるとしております。
  (3)差別禁止の私法上の効果の所は、先ほどもありましたように雇用に係る全ての事項を対象にしておりますので、個々の行為の効果は、その内容や状況に応じて個々に判断せざるを得ないということで、私法上の効果を規定することは困難であるとしております。ここで(P)になっておりますのは、解雇や雇止めの効果について規定すべきかどうか、というところで残された論点となっています。
  合理的配慮の提供についての基本的な考え方の所は、中間取りまとめの引用です。合理的配慮の提供を事業主に義務付けるべきであるとしております。3ページで、次のパラグラフも中間取りまとめの引用です。合理的配慮というのは、非常に多様かつ個別性が高いということで、法律では概念を定めて、具体的な内容は指針で定めることが適当としております。「また」書きの所は前回の議論の整理の引用です。今後指針を定めるに当たっては、公労使と障害者の参画の下で検討を行うということ。「なお」書きは中間取りまとめの引用です。ここも、労使の相互理解の中で可能な限り提供される性質のものであって、最初から細部まで固定した内容のものとすることは適当でないとしております。
  (2)合理的配慮の枠組みです。この枠組みについては前回の議論の整理からです。施設・設備の整備、人的支援、職場のマネジメントに関する配慮といった枠組みで考えることが適当としております。
  (3)合理的配慮の内容です。募集・採用の機会については、合理的配慮の内容に入ることとすることが適当としております。ここは、中間取りまとめの引用です。「なお」書きは、前回、中村委員の御指摘があって入れたものです。「募集・採用時に、合理的配慮を必要とする場合には、事業主が事前にそれを認識できるようにすることが求められる」と入れました。
  (4)合理的配慮の提供のための仕組みと実効性担保です。マル1の最初のパラグラフの所は、中間取りまとめの引用です。この実効性担保のためには、余り確定的に権利義務関係で考えるのではなく、当事者間の話合い、第三者が入ってのアドバイスの中で必要なものを個別に考えていくことが適当であるとしております。「また」書きの所は、前回の議論の整理からです。個々の具体的な内容については、当事者間で相談しながら決めることが重要であり、企業内で障害者からの相談に応じる体制の仕組みを確保することが必要であるとしております。「なお」書きの所は、障害者が合理的配慮について相談したことにより不利益な取扱いを受けないようにすることが必要である。ここも意見が割れておりますので(P)にしております。
  それ以降は、前回の議論の整理からの引用になります。相談体制の仕組みについては、企業内には、当事者同士が話し合うことのできる相談窓口の整備、事業主が障害者からの相談に応じるようにすること。企業内での管理者や、現場の担当者に、研修などによってその障害特性に対する理解を促す仕組みとすることが必要であるとしております。「また」書きの所は北原委員から頂いた意見です。「職場において、知的障害者等が相談しやすい環境を整えることも必要である」と入れております。
  (ロ)企業外の支援体制としては、ジョブコーチなどの外部の専門家の活用。ハローワーク、地域センター、就業・生活支援センターなどの公的な機関による適切な助言・指導が受けられるような仕組みとすること。そういう組織の体制整備、専門性の向上に努めることが必要としております。
  「このため」以降の記述は、松爲委員からの指摘で追加しております。「これらの機関の体制の強化や人材育成を含めた専門性の向上に努めることが必要である」としております。
  「さらに」のパラグラフは、前回の議論の整理からの引用です。「合理的配慮の内容については、当事者間で相談して決めることを基本としつつ、紛争になった場合に障害者の側から紛争処理機関や司法機関を利用できるようにすることが必要である」と入れております。
  マル2助成の在り方です。最初の一文は、前回の武石委員からの御指摘で入れております。「合理的配慮の提供は事業主に義務付けられるものであることから、個々の事業主が負担することが原則である」と入れております。それ以降の記述は、前回の議論の整理からの引用です。その一方で、事業主への支援も検討する必要があるということ。現行では納付金制度がありますので、そういう仕組みを活用していくことが適当であるということ。「なお」書きの所は、事業主の負担に関する助成の在り方を検討するに当たっては、合理的配慮の具体的内容や過度の負担の内容を踏まえて議論を行うべきであり、納付金財政への影響や他の公的支援の活用の可能性も含めて考えるべきであるとしております。
  過度の負担の所の最初の2行は、中間取りまとめの引用です。過度の負担となる場合には、合理的配慮の提供義務を負わないとすべきである。次のパラグラフは、前回の議論の整理からの引用です。過度の負担を判断するに当たっては、企業規模、業種、これは前回の指摘で追加しております。企業の置かれている財政状況、経営環境や合理的配慮に対する経済的な支援等も考慮すべきであり、これらの項目を勘案した指針をもとに判断することが適当であるとしております。「また」書きの所は、前回の塩野委員、高橋委員からの御指摘で追加しております。合理的配慮は、多様かつ個別性が高いということで、事業主側の対応に一定の期間を要するものや、対応が困難なものもあることから、過度の負担を判断するに当たって、その点についても留意することが必要であるとしております。「なお」書きの所は中間取りまとめからの引用です。過度な負担については非常に個別性が強いということで、判断基準として一律の数値基準を設けることは馴染まないとしております。最後のパラグラフは、前回の議論の整理からの引用です。今後この指針を定めるに当たっても公労使と障害者の参画の下で検討を行うことが適当としております。
  次は権利擁護です。(1)企業内における紛争解決手続については、中間取りまとめの引用です。紛争が生じた場合は、まずはできる限り自主的に問題が解決されるべきであるとしております。
  外部機関による紛争解決の所も、中間取りまとめの引用です。第三者機関による解決を図る際でも、判定的な形ではなくて、調整的な解決を重視すべきであるということ。5ページで、早期解決の実効性を考えると、既に存在する紛争調整委員会を活用した仕組みとすることが適当であるとしております。具体的なものとしては、均等法を参考にし、紛争時における労働局長による助言・指導、勧告、調停制度による調整的な仕組みとすること、紛争調整委員会の活用に当たっては、障害者に関する知見を有する者の意見を聞くことが可能な仕組みとすることが適当であるとしております。虐待防止法との関係で、都道府県の権利擁護センター、市町村の虐待防止センター、内閣府で検討されている権利救済機関と労働局とが連携を図るべきであるとしております。最後の「また」書きの所も均等法を参考に、紛争以外の場合でも差別禁止等の施行に関して、大臣による助言・指導、勧告の規定を設けることが必要であるとしております。ここで(P)になっておりますのは、企業名の公表規定を入れるかどうか、というところが残された論点になっています。
  5の公務員の取扱いについても、民間と同様に権利条約への対応が図られるべきであるということで、関係省庁間において調整が図られるべきであるとしております。
  大きな2つ目の枠は、障害者の範囲の見直しです。(1)障害者の範囲についてです。現行の障害者の範囲の取扱いですが、ここは前回の議論の整理の引用です。現行でも、「長期にわたる職業生活上の相当の制限」を個別に判断していて、本来対象とすべき者が障害者とされている。したがって、障害者の範囲について見直しが必要な状況ではないけれども、障害者の定義規定については改正障害者基本法における定義の規定ぶりとの整合性の確保、対象の明確化等の観点から、法制的な検討を行う必要があるとしております。
  就労の困難さの判断の在り方です。こちらは、現在も医学的な判断に加えて、「長期にわたる職業生活上の相当の制限」を個別に判断していて、就労の困難さに視点を置いたものと評価できるとしております。ただ、一方で就労の困難さというのは非常に多様ですので、判断のための一律の基準を設けることは困難であるけれども、医療機関や支援機関の担当者からの情報も参考にしながら、判断の精度を高めることが必要としております。その判断の精度を高めるとともに、本人への適切な就労支援を行うためにも、医療機関や支援機関を含めた人材育成も必要であるとしております。
  6ページで、雇用率制度における障害者の範囲です。この義務制度の趣旨・目的については、前回の議論の整理からの引用です。雇用義務制度は、雇用の場を確保することが極めて困難な者に対して、社会連帯の理念の下で、全ての企業に義務を課すものと。したがって、この責任を果たすための前提としては、企業がその対象雇用できる一定の環境が整っていること、対象範囲が明確で、公正、一律性が担保されることが必要であるとしております。精神障害者の取扱いの所はペンディングとし、論点のみを提示しております。
  「また」書きの所で、精神障害者の雇用環境の更なる改善を図る観点から、企業内で理解を得られる環境作り、マッチングや定着支援をするための体制整備、経済的な支援等の体制の充実を図ることが必要であるとしております。「さらに」の所で、仮に精神障害者を義務の対象とする場合の対象者の把握・確認方法については、精神障害者保健福祉手帳で判断することが適当である。その際、本人の意に反し、手帳の取得が強要されないようにすべきであるとしております。
  (3)その他の障害者の取扱いです。手帳を所持しない発達障害者、難治性疾患患者その他の障害者については、現時点では雇用義務の対象にすることは困難でありますけれども、企業における雇用管理ノウハウの蓄積、企業の雇用環境の改善を更に進めていく、ネットワークの構築を進めていくということ。対象範囲が明確でないということで、職業生活上の困難さを把握・判断するための研究を行っていくことが必要であるとしております。
  その他の論点としては、ダブルカウント制度の問題についてです。重度障害者の雇用の促進に役割を果たしてきたということで、ダブルカウント制度は継続していくことが必要としております。一方で、就労の困難度に基づく重度障害者の基準については、引き続き研究を行っていくことが必要であるとしております。
  特例子会社制度についても、知的障害者をはじめとする障害者の雇用促進に果たしてきた役割は大きいということで、こちらも継続させることが必要であるとしております。一方で今後の役割として、特例子会社で蓄積したノウハウを普及・啓発させるといった役割、そこで雇用される障害者について、キャリア形成をより積極的に行うといったこと、労働条件などの面でも引き続き適切な取扱いがなされることが期待されるとしております。派遣労働者については複雑な雇用形態であり、今後とも引き続き派遣労働者としての雇用のニーズの動向を見た上で検討すべきであるとしております。
  3つ目の大きな柱は、地域の就労支援の強化です。(1)雇用促進制度の見直しを踏まえた支援の強化です。ここからは論点ペーパーを基に、前回の意見などを基に書き下しております。今後、障害者雇用促進制度の見直しを行うことに伴う事業主の様々な負担を考慮し、経済的な支援や人的支援の拡充、就労支援機関の体制強化といったものが必要である。その際、真に必要な支援策に重点化する等のメリハリを付けた取組が求められるとしております。「なお」書きの所では、就業・生活支援センター、ジョブコーチ制度については、今回の制度の見直しを踏まえつつ、両制度の在り方について検討することが必要であるとしております。
  (2)障害特性を踏まえた支援の強化です。精神障害や発達障害等、従来の手法では対応が難しい障害者が増加しております。こういう中で、これらの者の専門的な支援の強化を図るとともに、こういった就労支援を担う人材の育成を図ることが必要であるとしております。事業主に対しても、この理解の促進、事業主向けの相談体制の充実を図ることも重要であるとしております。特に精神障害者については、「医療」から「雇用」への流れを一層促進する必要があるとしております。
  (3)定着支援の強化です。今後は雇入れ支援のみならず、職場定着支援を強化することが求められる。特に精神障害、発達障害については、短期間で企業がその特性を見極めることが困難なケースも多いということで、地域の関係機関が連携しながら、継続的な定着支援を行うことが必要であるとしております。
  (4)中小企業に対する支援の強化です。中小企業というのは、雇用の大きな受皿ではありますが、一方で中小企業の実雇用率、法定雇用率達成企業割合は低い水準にありますので、中小企業への支援の強化が必要である。このため、中小企業のニーズを踏まえながらマッチングの支援、企業の不安の解消に向けたノウハウの提供といった取組、地域の就労支援機関における中小企業への支援の強化を図ることが必要であるとしております。
  (5)地域の就労支援のネットワークの構築です。地域の就労支援機関は近年急激に増加していて、ネットワークも構築されつつあります。今後とも更なる障害者雇用の拡大を図る観点からも、この関係機関の連携を強化する必要があります。ただ、この就労支援機関については、実績も増加する一方で、就労支援機関の機関間で格差が見られる、あるいは地域間での差も大きくなっていて、就労支援機関の体制の強化が必要である。また、障害者の就労支援の担い手の育成、専門性の向上をより一層図る必要がありますし、その処遇とかキャリア形成についても十分配慮することが必要であるとしております。
  最後に、上記に加えて、「教育」「福祉」「医療」から「雇用」への流れを一層促進する観点から、障害者本人のみならず、保護者、支援者等に対する企業見学や職場実習等を通じた企業理解の促進について、様々な観点から推進すべきであるという形で書かせていただいております。以上、素案についての説明でしたが、これを基に御議論いただければと思います。私からは以上です。
○今野分科会長
ありがとうございました。それでは、今から議論をしていただきたいのですが、私からお願いが2つほどあります。
  1つは、素案の書き方がこの場で合意されていると考えられる部分とペンディングと考えられる部分が書き分けてありますので、特に後者のペンディングと考えられる部分については、皆さんのたくさんの意見を頂きたいと考えております。
  それともう1つ。素案の構成が、1ページ目に第1「障害者の権利に関する条約への対応」、5ページ目に第2「障害者雇用促進制度における障害者の範囲の見直し」、ここで精神障害者の雇用義務の問題が入りますが、7ページ目に第3「地域の就労支援の強化」と、大きく3つのパーツに分かれております。議論を少し効率的にするために、第1と第3を最初にやらせていただいて、そのあとに第2の議論をやらせていただくという進め方をさせていただければと思います。
  まず、今、私が申しました第1の部分と第3の部分について御意見を頂ければと思います。よろしくお願いします。竹下委員、ちょっと待ってください。
○南部委員
ありがとうございます。南部です。よろしくお願いします。私からは、まず基本的枠組みについて確認したいと思います。今回、国連の障害者権利条約の批准に向けて、雇用労働分野は、障害者雇用促進法の改正によって対応を図るという点について確認をしたいと考えております。
  障害者権利条約は、障害者を保護の客体ではなく権利の主体として認めた上で、差別などを禁止するとともに、障害者の権利を保護する枠組みであると考えております。現行の障害者雇用促進法は、事業者などに障害者の雇用促進措置を義務付ける行政指導法であることを考えますと、行政指導法である障害者雇用促進法の改正によっても、障害者権利条約の批准が可能であるのかどうかということが1点です。併せて、この条約の解釈権を有する外務省の見解があれば確認したいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○今野分科会長
どうでしょうか。
○障害者雇用対策課長
最初の御質問の障害者雇用促進法の改正については、基本的に今の障害者雇用促進法でも事業主の雇用促進だけに限っているわけではないですし、今回、分科会での見直しを通じてその権利条約への対応に対する要素を障害者雇用促進法に入れることによって、障害者雇用促進法がそれに対応したものに変わるということです。
  外務省の件については、批准に当たって必要な内容を、彼らが具体的に示しているわけではありません。彼らは「これをすれば批准ができる」という言い方はしていません。そういう意味では、外務省の見解について今の御質問に対するお答えは、今現在は存在していないということになります。
○今野分科会長
よろしいですか。
○南部委員
はい。
○今野分科会長
ほかにいかがでしょうか。竹下委員、どうぞ、失礼しました。
○竹下委員
竹下です。2ページの第1のアラビア数字2の(3)ですか、「差別禁止の私法上の効果」という所です。基本的にはこの内容で了解なのですが、日本語として、最後は「私法上の効果を規定することは困難」であれば、規定できないというようになってしまうと思うのです。そうではない。これは、多分日本語の意味は、判断せざるを得ないことから、一律に私法上の効果を規定することは困難であるという趣旨なのかなと思うので、そこを確認したいのが1点です。
  それから、第1のアラビア数字の5、公務員の絡みで指摘していただいた点です。私はこの内容でいいと思うのですが、問題は、この場では公務員の制度そのものは議論しないわけですが、しかし、障害者雇用促進法は公務員を適応対象にしているということになると、実際に公務員における合理的配慮の実施が具体的にはどういう仕組みで、あるいはどういう内容で実施されていくのかということについては、この障害者雇用分科会で全く議論できないというのはいかがなものかと思うわけです。その結果として論議された内容が、人事院なのか総務省なのかよく分かりませんが、公務員について合理的配慮が、あるいは差別禁止の内容が制度化されていくことを確実にするためにはどういうことが必要なのかについて、もし御教示いただければ有り難いと思います。
○障害者雇用対策課課長補佐
障害者雇用対策課課長補佐の境です。まず1点目ですが、障対法そのものに一律に規定することは困難という意味です。この差別禁止規定につきまして、私法上の効果といったものが一切発生し得ないものかどうかということを書いたものではありません。
  今の2点目の「公務員の取扱い」ですが、公務員法制につきましては、そもそもの公務員法の世界があります。そういった中でどのような対応をするのかということを御議論しなければいけないのですが、当然のことながら、権利条約の批准といったことを考えたときに公務員の世界も、まず責任省庁において御議論いただくことが重要であるかと考えております。もちろん今回、厚生労働省において議論が行われているこの分科会の内容につきましては、適宜、関係省庁に提供するとともに、我々の考えていることについて公務員法制においてどのように御対応されるのかということは、今、適宜、調整させていただいているところです。
○今野分科会長
その件についてついでに、関係省庁はどこになるのですか、人事院ですか。
○障害者雇用対策課課長補佐
障害者雇用対策課課長補佐の境です。関係する省庁としましては、総務省と人事院になってまいります。公務員にはいろいろな類型の公務員がありますので、そういったところもやや関係してまいりますが、大きくは総務省と人事院です。
○今野分科会長
ほかにいかがでしょうか。
○萩原委員
萩原と申します。2点、質問と要請があります。
  1点目が、2ページの2の(1)の一番下の括弧内の労働能力に基づく差異等という所ですが、「労働能力」という用語が気になっています。例えば極論すると、定年というのはその年齢のみに基づく解雇ということですが、労働能力だけで判断をしないといけないのかというのは疑問があります。例えば事業所によって、勤怠というか、出勤率などで見ている所もあるでしょうし、そういう意味で、「労働能力等を公正な基準に照らし適正に評価した結果」というように、「等」が付けられないかなというのが1点目です。
  2点目が4ページです。3の(4)のマル1の最後から2段目の行ですが、「障害者の側から紛争処理機関や司法機関を利用できるように」とあります。この内容は、要するに、事業主側からは司法機関を積極的に利用できないという趣旨なのか、確認したいと思います。
○障害者雇用対策課課長補佐
障害者雇用対策課課長補佐の安達と申します。まず、後段のほうから答えさせていただきます。
  後段のほうは、当然の前提として、障害者の側のみならず事業主の側、双方から利用できるということを前提と考えております。あくまでこれは、障害者の側が利用できるということが主な論点として挙がってきたので、こういう文言になっているわけですが、そこを明確化するということであれば、そういう趣旨を踏まえた修文を行うことは可能であるかと思っております。
  前段の「労働能力を適正に評価した結果」と言った場合、「労働能力の評価」というのは恐らく広い概念で考えているのかと思います。そういった部分も含めて、ある程度公正に評価と知った上での異なる取扱いを認めるという趣旨で書いているのかと思いますが、この部分については、更にこういう部分も追加したほうがいい等の御意見があれば、頂ければと思います。
○萩原委員
後段については了解をいたしました。強いて言えば、「も」ぐらい付けてもいいかなと思ったのです、「障害者の側からも」とかです。
  前段の部分については、恐らく思いは多分異なっていないと思うのですが、これは後々審議会の文書として残るとすると、余り能力というものだけに限定的に結果的に捉えられるのは困ることもあるかなと思っています。できればうまい言い方がないものかなという思いは、正直あります。
○今野分科会長
これはなかなか難しいですね。何と表現しようかな。これは要するに、合理的配慮をした上で例えばパフォーマンスに差が出るのだったら差が出てもしょうがないですよねという趣旨が入っているわけですよね。皆さんはそのように受け止めているとは思うのですが。この「労働能力」がそういうものを上手に表現できている言葉かということですが、これは健常者についても非常に難しい言葉の使い方になるのですが、何かいいアイディアがあれば。
○萩原委員
萩原です。余りいいアイディアではないのですが、「労働能力と公正な基準に照らし適正に評価した結果」などとできないかなと思います。
○今野分科会長
労働能力を1つの基準だと考えて。
○萩原委員
代表例として。
○今野分科会長
代表例として。では事務局に検討していただくことにします。皆さんの言いたい趣旨は一緒だと思いますので、あとは表現の問題なので。それではほかにいかがでしょうか。
○杉山委員
杉山です。2ページの(3)、先ほど竹下委員からも発言があった差別禁止の私法上の効果について、意見と質問を申し上げたいと思っています。まず、意見を先に述べておきたいと思います。先ほど竹下委員からあったように、ここの表現は誤解を受けると思っています。工夫をしていただきたいという意味でその理由を述べたいと思います。
  まず、冒頭、南部委員からあったように、障害者権利条約をどのようにして批准していくかということです。そもそも今回、この議論をしているのは、障害者権利条約への対応として、雇用・労働において障害者の権利をどう担保していくのか、どう実現していくのかということがだと思います。これはかねてから我々が主張してきていますが、障害を持つ労働者が職場の中で差別されることなく、意欲を持って生き生きと働いていくことができるような環境を整えなければならないと思います。そのために差別禁止や、その実効性をどう担保していくのかという点で言えば、我々としては、やはり私法上の効果を有する条文を明記することが望ましいと考えています。
  先ほどのお答えにもありましたが、2ページの(3)に「雇用に係る全ての事項を対象としており、個々の行為の効果は、その内容や状況に応じ個々に判断せざるを得ない」と書かれております。そのとおりだとは思うのです。ただ、これはどこが判断するのかということを考えてみますと、これはやはり司法の場で判断していくことではないかと考えているところです。
  差別禁止の実効性を担保するという意味で、例えば、「障害を理由とする差別的取扱いをすることは無効とする」といった直接的な規定を法に盛り込んでいくことが望ましいのではないかと考えています。そのような直接的な規定を入れることによって、障害者の権利が担保されていることを明らかにしていくべきではないかということです。その上で質問をしておきたいと思います。
  私たちは、私法上の効果を直接的に盛り込んでいくことが望ましいと考えているわけですが、この件については、これまでの研究会や、この審議会の中でもいろいろ議論をしてきたわけです。事務局若しくは有識者の先生にお聞きしたいのは、一般的に私法上の効果を形成していくためには、立法技術という点も含めてどのような考え方があるのか、質問させていただきたいと思います。
○障害者雇用対策課長
障害者雇用対策課長です。今の御質問について、先ほど堺から障対法に一律に規定することは難しいということは申し上げましたが、基本的な考え方について事務局から御説明をしたいと思います。
  障害を理由とする差別の禁止規定の効果については、最終的にはおっしゃるとおり、規定の趣旨や違反の度合いとか、そういったものを勘案して裁判で決せられるものではありますが、禁止規定の存在自体は、公序良俗に反して当該行為を無効とするか否かに当たっての重要な判断要素になるものと考えられる、というのがまず1点あります。また、禁止規定に反する行為というのは、不法行為を形成して損害賠償請求権の発生の根拠になるものだと考えています。これまでの議論でも出ましたが、例えば障害者差別を理由とする解雇の場合について、労働契約法の16条の「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないものに該当し無効になるもの」と考えている、というのが基本的に我々事務局の考え方です。
○岩村委員
岩村です。差別禁止の私法上の効果については、今、障対課長からあった説明のとおりだろうと思っております。「差別」と言っても、少なくとも法的観点からいうと、法律行為であったり、あるいは事実行為であったりということです。したがって、そういった区別をせずに一律に、例えば「無効とする」という規定を置くのは、これはやはりちょっと難しいだろうと思います。
  あとは、何々してはならない。例えば、「差別してはならない」という条文の作りをしたときに、それがどういう法的効果を持つのかという問題がありますが、それ自体は、今、障対課長が説明した考え方が1つのオーソドックスな考え方かなと思います。もちろん解釈の問題としては、例えば「差別してはならない」というような規定であっても、それ自体として例えば私法上の強行規定だと解釈して、例えば障害者であることを理由として解雇したといったときに、労契法の16条を媒介とせずに、直接その禁止規定を根拠として無効とするというような解釈自体も、採用し得るものとしてはあり得るかなとは思います。しかし、そこは、最終的には裁判所のほうで解釈していくことになるのだと思います。もちろん、「差別してはならない」という規定を置くことによって、これ自体が厚生労働省所管の法律ですから、一定の行政指導の根拠規定としても機能する、そういう点も忘れるべきではないと思っております。
○今野分科会長
ほかにいかがでしょうか。
○中村委員
中村です。ペンディング部分ではないのですが、よろしいですか。

○今野分科会長
どうぞ。
○中村委員
5ページの6行目ですが、「また」以下に「障害者に関する知見を有する者の意見を聞くことが可能な仕組みとすることが適当である」という文章があります。以前、「障害者に関する知見を有する者」とはどういう方ですかという質問をした際に、これについてどう捉えるかは議論をしてもらえればいいという話だったのです。この知見を有する方が、例えば一方の希望に偏ってしまうというケースも心配されますので、双方合意に基づくものとか、そのような一筆を入れる必要があるのではないかと思います。意見です。
○今野分科会長
何かありますか。いずれにしても、もしこれでいくのなら、この制度設計をするときに考えなければいけない問題だということだと思います。
○障害者雇用対策課課長補佐
障害者雇用対策課課長補佐の境です。今、御指摘いただいた点につきましては、例えばパート法などについても、関係者を呼ぶ規定などがあります。そういったものにおいては、例えば委員会がその必要性を判断するとか、そういったことを係らしめているものもあります。今、御指摘いただいた点も踏まえて、そういった先行事例も踏まえつつ制度設計をさせていただければと考えております。
○今野分科会長
ほかにいかがですか。
○杉山委員
杉山です。先ほどのやり取りに関連して、山田課長と岩村先生から見解を頂いた点についてです。
  中身については理解しました。ありがとうございます。言われていることは十分理解するのですが、民法、いわゆる一般法の規定から私法上の効果を導き出すということについて、障害者雇用促進法によって障害者権利条約への対応を図るという基本的な大きな枠組みの中で実効性を担保するという考え方からすれば、やや弱いのではないかと思います。これについては、意見として強く受け止めていただければと思います。
  その上で、冒頭申し上げた2ページの(3)の記述の方法についてです。「私法上の効果を規定することは困難である」との記述になっています。これは、先ほど竹下委員もおっしゃっていましたが、これがこのまま残っていくと、この立法段階、現段階で私法上の効果を想定していなかったと将来捉えられるのではないかという危惧があります。将来の司法判断を拘束してしまう可能性も否定できないと思います。「私法上の効果を規定することは困難」という文言については是非修正をお願いしたいと考えますので、よろしくお願いいたします。
○今野分科会長
今、お話になった最後の点は、先ほど障対課長とか岩村さんが言われたような内容がきちんと分かるように書けと、そういうことでよろしいですね。

○杉山委員
はい。
○今野分科会長
では、ここは表現の問題なので。何かありますか。
○障害者雇用対策課課長補佐
事務局の障害者雇用対策課課長補佐の安達です。今の御指摘を踏まえると、例えば私法上の効果について民法、70条、709条等の規定にのっとって個々に判断されるというような文言に修正するという趣旨で考えていけば、ということでよろしいでしょうか。
○今野分科会長
具体的な修正については、また別途考えてもらって。
○障害者雇用対策課課長補佐
分かりました。
○今野分科会長
それで、杉山さんとか竹下先生に御意見も伺って、趣旨ははっきりしたので障対課長とか岩村さんが言われた内容が表現できればいいということなので、あとはその辺を相談してください。ほかにいかがでしょうか。
○冨高委員
冨高です。2ページの基本的考えの各論の「直接差別、間接差別」の特に間接差別について、書きぶりに関して意見させていただきたいと思います。
  9行目に「現段階では間接差別の禁止規定を設けることは困難である」という記述があります。この記述ですと、間接差別が存在するにもかかわらず禁止すべき差別の対象に含めないとも読めるのではないかと思います。今までこの審議会で議論してきた中では、間接差別の定義が明確になっていないことからで、まずは具体的な事例の集積などを行い、合理的配慮の内容を類型化して示すことなどによって、実質的に雇用の全ステージにおいて障害を理由とする差別的取扱いがなされないようにするといった現実的対応が必要なのではないか、と主張してきました。
  困難なのは間接差別を定義するということであって、「間接差別を禁止することが困難」と記載してしまうと、ニュアンスが少し変わってしまうのではないかと思います。例えば、もう少し丁寧に「現段階で間接差別を定義することは困難であるため、禁止規定を設けることは将来的な課題とすべきである」というような書きぶりに変更していただいてはどうかと思いますので、意見として言わせていただきます。
○今野分科会長
何かありますか。
○障害者雇用対策課長
山田です。正にそういう趣旨を踏まえて、あえて「禁止規定を設けることは困難である。将来的に・・・検討を行う必要がある」として、間接差別の存在そのものを否定する書き方にはしていないつもりです。加えて、これまでの研究会、分科会を通じて、障害者の間接差別の具体例がほとんど出てきていないという問題もあります。そういったことを踏まえれば、これまでの議論は今の文案で十分踏まえられていると考えています。

○今野分科会長
私もそのように思うのですが、ここはまた検討させていただきます。私もそのように思っていたものですから。考えていることは一緒なので、あとは表現ですね、ここも。
○高橋委員
高橋です。3ページの(4)マル1のP、ペンディングの文章です。「障害者が合理的配慮について相談したことにより不利益な取扱いを受けないようにすることが必要である」という文章です。現段階において、どのような行為が果たして「不利益な取扱い」に当たるのかということが明確にならないままに、「受けないようにすることが必要である」とする意味がよく分からないのです。これは何か法定化をするようなことをイメージしているのだとするならば、書き過ぎなのではないかと思っております。どういうものが不利益な取扱いとなるのかということについて今後検討していくという趣旨であるならば、私はよろしいかと思っています。
  それから、5ページの「公務員の取扱い」のすぐ上のPです。先ほど事務局から企業名公表がペンディングだというような説明がありましたが、私が、前にも申し上げましたことを繰り返します。男女雇用機会均等法でも、制定当初から10年以上を経た上で、事業主や労働者の理解も深まった上で企業名公表規定が入っております。今回、合理的配慮の提供を義務付けるという法制化を進めるに当たりまして、何が合理的配慮、具体的なものなのかということが、今後、ガイドライン等でいろいろと示されていくと思いますが、事業主にとってもその理解、概念が浸透していくには相当程度の時間を要するのではないかと思っております。これからの段階でありながら、直ちに企業名公表制度を入れることについてはあくまでも反対をしてまいりたいと思います。
○今野分科会長
事務局から何かありますか。
○障害者雇用対策課課長補佐
課長補佐の安達です。まず、前者の部分です。まさにここは、その前段で合理的配慮の具体的な内容については当事者間で相談しながら決めることが重要という中で、それを担保するものとしてのつながりとしてなお書きということで、「相談したことにより不利益な取扱い」という流れになっています。
  これは、例えば他法令でも、労働条件等で何らかの不利益な取扱いを受けたりすることが想定されるとは思いますが、おっしゃるとおり、では、法的にやるのかというところも含めてどこまで厳格にやるのかというのは、ほかの労働法令の取扱いも参考にしながら検討していくべきなのかなと思っております。いずれにしろ、ここで言っているのは、法的にどうこうするというより、相談しながら決めるということで言っている関係上、何らかの形で、相談したことにより不利益な取扱いを受けないようにするということを決めておく必要があるのではないか、というような趣旨で書かせていただいているところです。
○今野分科会長
すみません、もう1つありますので。2つ質問があったのですが、後半は。竹下さん、ちょっとお待ちください。5ページ目のペンディングのところです。
○障害者雇用対策課課長補佐
安達です。5ページ目は、まさに以前の分科会でそうした御議論があったことを踏まえて、現在お示ししている赤字の案では公表は入れていないという形にしているというところです。
○今野分科会長
高橋さんの御意見は、一般的には助言・指導、勧告はいいわけですね。企業名の公表だけは問題がある、そういう御意見ですか。つまり、助言・指導、勧告は、入口から駄目という意見と、それはいいけれども、その1つの手法としてここの部分が駄目というので大分違いますので。
○高橋委員
前の会議でも申し上げたのですが、やはり合理的配慮というのは、当事者同士の話合いの中で措置すべき内容等もいろいろと変わってくるものですので、何か、これは法律に違反しているとか違反していないとか、明確に線引きができるようなものではないと思っております。そういう意味において行政の側が、これは合理的配慮違反だとか、そういうことを明確に判定できるような類のものではないのではないかと、概念的には、非常に難しいということを前、お話させていただきました。その観点から、そのときも申し上げましたが、厚生労働大臣による勧告まで規定するのはいかがなものかというお話もさせていただいたところです。
○今野分科会長
そうすると助言・指導は。
○高橋委員
助言・指導はよろしいのかもしれませんけれども。
○竹下委員
竹下です。先ほどの「合理的配慮を求めたことによって不利益な取扱いをされてはならない」というところですが、これについて今の説明は少し理解ができないのです。と言いますのは、既に立法例と言いますか、我が国の法制度の中で、例えば機会均等法の関係で言うと、女性が差別の是正を求めたことによって不利益な取扱いをしてはならないという規定は、既に法定化されています。今、法律の名前がパッと出てきませんけれども、労働局長に処遇の改善を求める、あるいは一定の労働争議というか労使間の紛争における相談等のあっせんを申し立てたことによって、不利益な取扱いをしてはならないということも法制化されています。労働者側が一定の是正を求めた行動を取ったときに、そのことによって不利益な取扱いをしてはならないというのは、立法例が幾つかあると思うのです。ですから、これが立法化されていくのは、ごく自然な流れではないのかと思っているというのが1点目です。
  具体的な例で言いますと、これは幾らでも実例を挙げることができると思うのですけれども、一番典型的な例は、職場において一定の改善を求めたというときです。例えば障害者が仕事を遂行するのに、このような補助機器を備えてほしい、あるいは職場介助者を配置してほしいといった要請、要望したときに、そういう要望を出すならば、あなたを別の職場に回してしまいますよというのが一番典型的な例です。そうした例は幾らでもあります。そのようなことを考えますと、意見書に整理していただいたことは、ごく自然だと思いますし、特にこれが将来事項ではなくて、現実の立法の過程で実現することが、差別禁止というものを雇用促進法の中に制定していく上では極めて不可欠なことではないでしょうか。
○今野分科会長
高橋さん、何かありますか。高橋さんが言われたのは、例えば障害者が合理的配慮を求めたときに、その要望が合理的配慮の対象になるか、ならないかということが不明確な段階で、このようなことをやるのはおかしいということでした。確かにそういう面はあると思うのですが、これはそこの問題ではなくて、ただ相談したことですので、高橋さんの理屈からいっても余り問題にならないかなと思うのです。ただ、高橋さんが言われた後半の問題は、その点はある、特に勧告の場合はあるかなと思います。しかし、高橋さんの議論からしても、前半は余り問題にはならないかなというのが私の意見です。
○高橋委員
高橋です。一言だけ、よろしいですか。今の竹下先生の最後の事例を聞いていて、こういうことだと思うのです。例えば、何らかの相談を頂いて、対応策として配置転換も1つの選択肢としては考え得るケースもあると思うのです。それを直ちに不利益な取扱いとするのも、いかがなものかと申し上げたのです。
○今野分科会長
ここはそういうことを言っているのではないと思います。
○高橋委員
そうですか、それなら、よろしいですけれども。
○今野分科会長
それで適切な仕事配置になるのだったら、配置転換すればいいし。
○高橋委員
先ほど竹下先生が事例は幾らでもあると言われて、その例を出されたものですから、私はそのような理解ではないということを申し上げたかったということです。
○岩村委員
岩村です。結局ここで言っているのは、相談をしたことを理由として、一番分かりやすい言葉で言えば、その報復として不利益取扱いをするということですので、今、高橋委員が挙げられたような例というのは、当然この対象には入ってくるものではないという理解でよろしいかと思います。
○今野分科会長
高橋委員との関係では、特に5ページの「勧告」というのが問題になっているわけですが、何かほかに御意見があればお願いいたします。
○障害者雇用対策課課長補佐
課長補佐の安達です。先ほどの話にあったとおり、合理的配慮との関係で適用になかなか難しい問題があるというのは、おっしゃるとおりだと思います。ただ、明らかな差別禁止等が行われている例ですとか、合理的配慮についても、本来なされるべきものが、やられていないような極端な例を想定するのであれば、そのような場合において勧告という規定を置くことは、先ほどの差別禁止、合理的配慮の義務等の履行確保との観点からすると、先ほど説明したとおり、勧告までの規定は男女雇用機会均等法でも、制定の頃から置いてあるということなどの均衡を考えると、そうしたことも考えられるのではないかと思います。ただ、公表については先ほど言ったような問題があるというのも、おっしゃるとおりだと思います。
○岩村委員
岩村です。課長補佐の説明と同じ考えでして、特に合理的配慮という話になると非常に微妙な問題があるので、大臣による助言・指導、勧告を行うというのは、場合によっては認定評価が難しいということはあると思います。そもそも明確な差別をしているとか、うちの企業では合理的配慮は一切やらないといった極端な例を想定したときには、助言・指導にとどまらず、勧告ということまでできるようにしておくことは、法の実効性の担保を考える上でも重要ではないかなと思っております。逆に言うと、何でもかんでも勧告までいくという話ではありませんし、取り分け、合理的配慮の非常に微妙な問題になってきたときには、そこの評価、判断というのは非常に難しいので、仮に、やると考えるにしても、当然、慎重さがやる側にも求められてくるだろうと思っております。そのような意味で、高橋委員が懸念されるようなことは、余りないのではないか。勧告までいくというのは、ある意味かなり明確なケースなのかなと思ってはおります。
○高橋委員
高橋です。ペンディングのものではないのですが、4ページのマル2、「事業主の負担に対する助成の在り方」ですけれども、今回、1行目の終わりから「個々の事業主が負担することが原則である」という明確な一文が入ったこととの兼ね合いで、全体を通して、納付金財政で事業主の負担に対する助成をしていくという趣旨が書かれております。その際、是非お願いしたいこととして、納付金財政の現状がどうなっているのか、また、一定の仮定を置いた中期試算でも結構ですけれども、合理的な配慮の助成に向け得る予算というのが、一体どの程度あり得るのか、そういったことも数字を見ながら、助成の在り方というものを議論させていただきたいということです。
○今野分科会長
御意見としてお伺いしておけば、よろしいでしょうか。
○高橋委員
結構です。
○今野分科会長
そのほか御意見があればお願いいたします。
○杉山委員
杉山です。簡潔に申し上げます。先ほど企業名の公表に関わることについての議論がありましたので、労働側として意見を述べておきたいと思います。第52回の審議会で労働側から発言したとおり、実効性を担保していくための1つの重要な要素として、強い行政指導の枠組みが要るのではないかと考えております。具体的には企業名の公表規定が必要であるということを発言してきたわけです。その考え方、思いは変わっていないということを改めて申し述べておきます。
  その上で質問をさせていただき、整理をしておきたい点があります。1ページの派遣労働の取扱いのところですが、「派遣先事業主は現行の労働者派遣法に基づく責任を負いつつ、当面、派遣元事業主」云々とあります。まずは現行の派遣法に基づいて、派遣先事業主には具体的にどのような責任が生ずることになるのか、事務局に確認させてください。
○今野分科会長
事務局、いかがでしょうか。
○障害者雇用対策課課長補佐
障害者雇用対策課課長補佐の境です。今、御質問のありました派遣先ですが、例えば派遣法第40条において、「適正な派遣就業の確保等」という条文があります。これは派遣労働者から苦情を受けた際には、派遣元の事業主と密接な連携の下に、「誠意をもつて、遅滞なく当該苦情の適切かつ迅速な処理を図らなければならない」という条文がありますので、当然、派遣場所での就業環境については、派遣先についても確保するといった責務を用意しておりますから、現時点においても定められているということです。また、派遣の解除において、例えば障害を理由とした解除といったようなものも、当然禁止されております。このように、派遣先についても派遣労働者に関しては一定の責務を用意しているものと考えられます。
○杉山委員
そうしますと、派遣先にも一定の義務が課されているわけで、その実効性の担保を具体的にどうしていくのかということについて、重ねてお聞かせ願えますか。
○障害者雇用対策課課長補佐
障害者雇用対策課課長補佐の安達です。今、まさに申し上げたとおり、派遣元の事業主を通じて、派遣先事業所において派遣労働者に係る障害を理由とする差別禁止等の提供が適切に行われるように、例えば業務取扱要領の改正も視野に入れながら、そこは検討していきたいと考えております。
○今野分科会長
よろしいですか。それでは、もう1つ議題がありまして、今日終えるのは絶対不可能な時間ですが、少しは議論しておきたいと思っております。今まで議論していただいた第1と第3については、特にペンディングのところが気になっていたのですけれども、文章の表現は変えることがあるかもしれませんが、趣旨は合意を頂きましたので、このような方向でいきたいと思います。ただ、少し気になるのは、高橋さんが言われた5ページのところです。先ほど高橋さんが言われた「合理的配慮」というのが非常に微妙なものなので、そこは十分配慮するということを踏まえた文章であるということで、この文章で、こういう方向でいかせていただければと思います。
  次に、第2に入ります。時間どおりでいくと10分ですが、エレベーターは混んでいるから少し遅れていっても平気だろうと思いますから、少しオーバーして議論していきたいと思いますので、第2のところについてお願いいたします。どなたでも結構です。
○岩村委員
岩村です。早くしゃべってしまったほうが得のような気がしてきたのでお話いたします。第2のところに入る前に、第1と第3については、ペンディングのところについてもほぼ議論できましたので、是非、次回これでまとめていただきたいと思っております。もちろん、修文の部分などはあるにしても、この方向でまとめていっていただければと思っております。第2のところの、特に精神障害者の取扱いについてですが、私自身は次のように考えております。第1に、今回この障害者雇用促進法の改正において、差別禁止条約に合わせる形で、障害者の雇用面における差別の禁止が規定されることになるであろう。かつ、障害者雇用率というのは、積極的差別是正措置として意見書(案)でも位置付けられているところでもあります。また、精神障害者についても、当然、差別禁止規定の対象になると考えますと、積極的な差別是正措置としての障害者雇用率制度において、やはり精神障害者も含める方向で考えていくべきだろうと思っております。
  ただ、そうは言っても、ある日突然、精神障害者の方々を雇用義務の対象として一遍に含めるというのは、やはり企業の経営にとっては大きな負担ですし、今日、事務局からいろいろ御紹介いただいた資料などを拝見しても、精神障害者の方を雇用していくに当たって、企業側でも一定の準備期間や慣れ、慣れと言っては何か変ですけれども、どのように精神障害者の方々を処遇していくか、あるいは仕事の切出しといったことについては多々考えていかなければいけないところがあるというのも確かです。そのような意味では、雇用義務の対象とするという基本方針をきちっと定めた上で、精神障害者の雇用義務化というものを段階的に進めていくという方向で考えていくのが適切ではないかと思っております。
  また、今日出てきたトライアル雇用などといったものが非常に重要であることも踏まえて、併せて精神障害者の雇用義務化についての環境整備というものも、厚生労働省で十分に検討し、進めていっていただくことが、雇用義務化を進めるに当たってのもう1つの環境整備になるのかなと思います。障害者雇用分科会に先立って、研究会も既に開かれ、一定の研究もして、その報告書も有り、この審議会でもいろいろな資料をかなり御提供いただいて議論も深まってきていると思いますので、次回を1つのめどとして、義務化の議論の結論を導くような形で、議論を進めていただければというのが私自身の考えです。
○武石委員
武石です。岩村先生の御意見に賛成です。やはり権利条約を批准して、今のタイミングで精神障害の関係を義務化すると、大変重要な時期を捉えての改正になるというのが同意見であるというのを1つ申し上げたいのと、先ほど高橋委員から法定雇用率が何パーセントになるのかという質問がありまして、事業主がそれを懸念されるのは大変よく分かるのですけれども、雇用率が何パーセントだったら、精神は雇用できないのかという議論もちょっとおかしい議論かなという気がします。参考数値として雇用率の予測というのはあり得るかもしれないですが、それが前提となる議論というのは少しおかしいのではないかということを付け加えて申し上げたいと思います。
○川崎委員
家族会の川崎です。ここの問題は、正に皆さんの議論が両論併記で、どのような方向性を取るかが、現在この分科会での一番の検討事項だと思いますが、やはり先ほど来からの権利条約の整合性とか、今回、事務局からいろいろ報告された精神障害者の雇用の進み具合ですが、ここが急速に進んでいるということは、多くの精神障害者が就労可能な状態にあることも含めて、是非とも、この分科会では精神障害者の雇用の義務化の方向付けをしていただきたい。先ほど武石委員が言われたように、それで雇用率が上がっては困るからというのは、全くの差別ではないかという感がいたしますので、その辺のところの方向付けを、是非ともしていただきたい。
  もちろん、企業側は大変だと思います。環境整備などの準備期間は必要だと思いますが、その間に何をするかということですけれども、事務局にお願いしたいのは、企業側のニーズ調査をして、一体どのようなことが解決できれば、精神障害者を雇用できるかということです。今、実にいろいろな企業側へのサポートがされているのですけれども、それを知らない企業も多いので、現行法をもう少し周知させて、活用させるということを望むのと、これ以外にもいろいろなサービスがニーズから出てくると思いますけれども、それを全て完璧に整備体制した上で義務化するということではなくて、ある程度の準備期間を取って義務化の方向付けをする。
  完璧にして、それでいいというのはなかなか難しいと思いますし、精神障害者を雇用することによっていろいろなニーズが出てきたり、こうしたほうがいいという見極めも出てくると思うのです。これは障害者の様々な施策の中でも言われていることでして、例えば私ども精神障害者にとっては社会的入院の問題がありますけれども、地域の受皿ができたら社会的入院が解消されるという意見があった中、そうではなくて、地域移行をしながら、その中で整備体制をつくっていこうという話になっているのです。企業側も雇用をしながら、精神障害者の対応の仕方をいろいろと学んで、新たな仕組みづくりをするという方向性で、ここにある「十分な準備期間」の「十分」を取っていただく。やはり準備期間は必要ですので、その間の必要なことをどうするかが検討されていくべきではないかと思っております。
○菊池委員
菊池です。川崎委員と同意見です。精神障害の方の職業生活というときには、環境整備が一番大事で、その環境も人の理解と言いますか、社員や職場の人たちの理解あるいは雇用主の理解ということだと思います。条件を整えたから理解するということではなくて、やはり1人でも2人でも、精神障害の方が働くことを通して、経験を通して、お互いを理解して学習を高めるということだと思うのです。そのような意味では、正に、会議の冒頭に事務局から示されました資料1の中のトライアル雇用もそうですけれども、実際に雇用してみたら、得るところもあったし、プラスのこともあったということですから、実際に雇用を進めていく中で、いろいろなことが更に改善されると思います。義務化をすることで雇用が進むのであれば、この時期に雇用の義務化ということを進めていいのではないかと思っております。
○北原委員
育成会の北原です。現場の雇用の実態からして、今、ナカポツセンターなどで一番相談が多く、就職に結び付いているのは精神障害で、知的よりも、身体よりも上回っているのです。まず、そのような雇用の実態があるということと、先ほどから報告がありましたように、精神障害者の就労促進を支える施策が随分整備されてきたという実態、あとは雇入れ側の意識の問題が問われるわけですけれども、これについても、今日言って明日やりなさいということではなくて、準備をしていくということでしょうから、意識もだんだん変わってくるだろうと思います。そのような意味では、ここでは精神障害の方々の雇用を義務化するという方向付けはしていただいたほうがいいのではないかと思います。
○森氏(阿部委員代理)
日身連の森です。私は、現在どのような立場にあるのかということを考えたほうがいいかなと思っております。1つは、やはり権利条約を批准しなければいけない、何が変わったのかという問題があろうかと思います。岩村先生が話されたとおり、障害者の雇用促進法が差別になるのではないかということでしたけれども、私自身はそうではないだろうと思っております。積極的な是正措置というのがあって、35年からずっと歴史を守っているわけです。そして、国民にも理解してもらっているし、経済のほうでも理解してもらっている、労働のほうでも理解してもらっている、そのような時代でずっと来ているわけです。もう1つ見てもらえば分かりますけれども、身体障害者の場合は初め任意でしたが、義務化になりましたし、知的障害のほうも63年からカウントするようになり、7年か8年かかったわけですけれども、義務化をやった。
  今度は、やはり精神障害者の問題だと思います。私が言うことでもないですけれども、日本の精神障害者の場合は、間違いなく医療を中心にやってきていて、福祉は全然なかったのです。そのような面から言うと、今ここでやらなければいけない。私の捉え方では、精神障害者の人権問題が一番の問題になっている。それで入院から地域へ、地域ということになれば、働く場所も必要になってくる。そのような面から見て、全体的にその時期が来ているのではないか、すぐということにはならないにしても、方向付けはきちんとしておかなければいけないのではないかと思っております。
○萩原委員
萩原です。少し耳障りな意見を述べることになって、申し訳ないことになるかもしれません。今回の権利条約の批准というのもよく分かりますし、精神障害者の活用がかなり進んできているというのもよく分かります。ただ一方で、企業側としては、数字は関係ないと言われても、やはり数字の関係があるのも事実でして、現在のタイミングというのは、正に雇用率が1.8%から2%になって、なおかつ、権利条約へのいろいろな対応として合理的配慮が求められる時期という中、精神障害者を入れるから雇用率が上がる、ということが必ずしも問題ではないとは思えません。
  雇用率自身が更に上がるということ自体について言いますと、対応には非常に苦慮せざるを得ないというのが本音です。これは今後いろいろな研究や検討が進めば変わってくるのかもしれませんけれども、私どもの会社も精神障害者の方を雇用し、活躍いただいておりますが、やはりいろいろな工夫が必要で、なおかつ職場が限られているというのも事実です。そのことも含めますと、今回の義務化と言いますか、これに伴って雇用率を上げるということについて、中長期的な方向性として分からなくはないのですけれども、足下のところでそこまで決めてしまうのかというのは、非常につらい思いもあります。
○今野分科会長
今、公益の委員とか障害者団体の方からいろいろな御意見がありましたが、まとめて言ってしまえば、企業経営と同じですが、戦略は明確にしておいて、実現の戦術は柔軟にという話になります。最初の戦略の明確化というのが、今の萩原さんの意見とそれ以外の方の意見とでは違うということなのでしょうか。ただ、何となく聞いていると、戦略の明確化も、戦術さえ柔軟ならばいいような感じもします。萩原さんの意見は中長期の問題ですからね。
○萩原委員
萩原です。企業から見ますと、精神障害者は実雇用数には既にカウントされているわけですから、非常にドライな言い方をすると、法定雇用率が上がる下がるだけの話なのです。そのような意味では、精神障害者の方について雇用義務の対象とするということだけであれば、そこは特に異論はないのですけれども、そのことによって法定雇用率における更なるかさ上げが図られるということについて言うと、正直、非常に悩ましいなというところです。
○今野分科会長
今までの皆さんの意見から大変なことは分かるので、戦術は柔軟にと皆さん言っていたのですけれども。そのほかこちらについて何かあればお願いいたします。もし、労側から御意見があればもう1つぐらい伺って、今日はこれでやめようかなと思っているのですが、いかがでしょうか。
○斗内委員
斗内です。今、議論がありましたように、またこれまでのデータから見ても、基本的には精神障害者の雇用を義務化する環境が整ってきているということについて、労働側としてこれまでも発言してきましたし、そのように判断させていただいております。準備期間が必要ということは前提としつつ、いたずらに先延ばしすることなく、いろいろな戦術を考えていってはどうかと思います。全障害者に占める精神障害者の割合からみても、精神障害者を区別するということは、かえって不自然ではないかと思います。障害を持っている方々が現場で生き生きと働く社会をつくっていくために、雇用義務化という方向性の結論を今回明確にしていくべきではないかと思います。
○今野分科会長
戦術は柔軟でいいのですね。
○斗内委員
はい。
○高橋委員
高橋です。時間がないので、次回じっくりとお話させていただきたいと思いますけれども、今回出された素案で、6ページの2の(1)に書かれていることが、私は非常に重要だと思っております。企業に雇用義務を課す制度ですから、当然、採用の自由を法律で縛るための前提として、そこには2つのことが書かれてあります。とりわけ、最初の?がとても大事なのではないかと思っています。この場合でしたら精神障害者ということになりますが、企業が精神障害者を雇用できる一定の環境が整っていることが必要だと。これは非常に重要です。先ほどから先生が盛んに戦略と戦術とを使い分けてお話をされていましたけれども、戦略を設定する際においても、その前提が満たされた上での戦略設定というのが当然あるわけですから、そこについて次回じっくりとお話させていただきたいと思います。
○今野分科会長
私が言いたかったのは、今、高橋さんが言われた意味の戦略の部分で、意見が違うのですねということを確認しただけです。最後の今議論していただいた、雇用義務以外のペンディングの点について、マイナーな修正は別にして、基本的には合意を頂けたかなと思いますので、次回は今日中途になっております、精神障害者の雇用義務について集中的に議論していただければと思います。今日はこれで終わりますが、「その他」というのは何かありましたでしょうか。
○障害者雇用対策課課長補佐
障害者雇用対策課課長補佐の安達です。次回の日時は現在調整中です。卓上に日程調整表を置かせていただいておりますので、この場で記載いただくか、今週中にファックス等でお送りいただければと思っております。確定次第、追って御連絡させていただきたいと思います。
○今野分科会長
最後に、議事録の署名についてですが、労働者代表は斗内委員、使用者代表は塩野委員、障害者代表は北原委員にお願いいたします。以上で終了いたします。ありがとうございました。


(了)

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