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2013年2月27日 第8回中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門部会議事録

○日時

平成25年2月27日(水)11:28〜12:39


○場所

於 厚生労働省専用第15・16会議室(12階)


○出席者

関原健夫部会長 印南一路部会長代理 西村万里子委員 森田朗委員
小林剛委員 白川修二委員 花井十伍委員 
石山惠司委員 田中伸一委員 伊藤文郎委員 
鈴木邦彦委員 安達秀樹委員 嘉山孝正委員 
万代恭嗣委員 堀憲郎委員 三浦洋嗣委員
禰宜寛治専門委員 昌子久仁子専門委員 田村誠専門委員  加茂谷佳明専門委員
池田俊也参考人 福田敬参考人 田倉智之参考人
<事務局>
木倉保険局長 神田審議官 宇都宮医療課長 井上医療課企画官
竹林保険医療企画調査室長 近澤薬剤管理官 田口歯科医療管理官 他

○議題

1 効果指標の取り扱いについて

○議事

○関原部会長
 それでは、おそろいになりましたので、ただいまより第8回「中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門部会」を開催いたします。
 まず、委員、参考人の御出席の状況ですが、本日は全員御出席ということです。
 それでは、議題に入ります前に、いつものとおりきょうの検討の進め方について確認をしたいと思います。事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○井上医療課企画官
 中医協費−1の資料をごらんください。点線で囲んである部分が、昨年6月27日の棟専門部会において定めました検討事項の内容でございます。この当面の検討事項に沿いまして、これまでのところ(1)、(2)の○1の4)データの取り扱い等のところまで議論を進めてまいりました。ただ、これまでの議論の中で本日、下線を引いてございます効果指標の取り扱いの部分は、まだ議論が十分に尽くされていないという指摘を委員から受けております。これを踏まえまして今回は効果指標の取り扱いというテーマにつきまして、再度論点を整理することを議題としたいと思います。
 以上でございます。
○関原部会長
 どうもありがとうございました。
 それでは、今の御説明に従って進めていってよろしゅうございますね。御意見もないようですから、ただいまの確認に基づきまして議題に移りたいと思います。
 本日の議題です。「効果指標の取扱いについて」ということで、福田参考人より御説明をお願いいたします。
○福田参考人
 福田でございます。よろしくお願いいたします。
 今ありましたとおり、効果指標の取り扱いについてということで資料を準備させていただきましたので、御説明をさせていただきます。
 本日はスライド番号1にあります4点について、御報告をさせていただきたいと思います。では、早速本題に入ります。
 めくっていただいて、まず1番目の効果指標の種類に関してでございます。
 3番目のスライドにありますとおり、個々の医療技術ごとによって、もちろん得られる効果というのは異なるということであります。ただ、そういうものをこういう場で評価していこうということであれば、一定の普遍性あるいは比較可能性等を有する評価手法を使うことが必要になってくるかと思います。
 一例として下に脂質異常症の治療について、そのときに考えられる効果指標としてはどのようなものがあるかというのを挙げさせていただきました。例えばコレステロール値の変化であるとか、それに伴う心筋梗塞、脳卒中の発生率の変化、あるいはそれに伴って死亡率も変わる。いろいろなものが効果指標としては考えられて、これは疾患によって違うということになります。
 ただし、こういうさまざまな効果指標が考えられる中で、どういうものを優先的に、あるいはどういうものを斟酌して検討していけばいいか、評価していけばいいかという点でございます。
 4枚目、医療のゴールについての考え方と言うと大層なのですけれども、こういうものをまとめたものがありましたので御紹介をさせていただきます。
 医療のゴールはいろいろな考え方があると思うのですが、1つ多数の国で集まってつくられたレポートの中では下の4点が挙げられております。
 1番目に、疾病の予防と健康の増進及び維持。
 2番目に、病気による苦痛の緩和。
 3番目に、病気を持つ者の治療とケア及び治療が不可能な者のケア。
 4番目に、若年期の死の回避と穏やかな死の追及ということでございます。
 これはコンセプトをまとめたものということなのですが、次の5番目のスライドに、これを受けて具体的にゴールを考えたものもレポートとして出ております。
 この中では下に幾つも出されておりますけれども、最も重視されるものとして2点、1番目として寿命の保持及び延長、2番目としてQOLの維持・向上という点が挙げられております。QOLといいますのはQuality of Lifeでございます。
 6枚目、これを先ほどの脂質異常症の治療に対して当てはめて考えてみますと、もちろんコレステロール値の変化に伴って脳卒中や心筋梗塞の発生率が変わります。それによって死亡するケースもありますけれども、死亡しなくても脳卒中の後遺症であるとか心機能の障害が残る場合がございます。これによって寿命が変わっていったり、あるいはQuality of Lifeの維持や向上が図れるということでございます。
 この健康に関する効果指標を考えるときに、しばしば臨床試験等では真の健康アウトカムと代理の健康アウトカムという考え方が用いられます。7番目のスライドにまいります。これは1つの分類の方法ですけれども、真の健康アウトカムと申しますのは、目的に即したアウトカムということで、生存期間の延長であるとかQuality of Lifeの改善等あるいは重大なイベントの発生、例えば心筋梗塞の発生とか、そういうものをとる場合が多いということでございます。
 ただし、この真の健康アウトカムを計測するというのは、例えば臨床試験の場などを想定いたしますと、かなり長い間、参加者を観察しなければいけないということになりますので、負担が大きくなる可能性があります。そこでしばしば、この真の健康アウトカムと相関があるとされるような検査値とか所見等を用いて、代理の健康アウトカムとして使うということがされております。
 次に、具体例を出させていただきました。8枚目のスライドになります。真の健康アウトカムとして用いられることが多いものとしては、先ほど申し上げたとおり生存期間であるとかQuality of Lifeとか主要なイベントであります。それに対して代理の健康アウトカムとして用いられることが多い指標というのが疾患に応じた検査値等となっています。
 この後、これらのさまざまな健康アウトカムを評価の指標として使う場合に留意する点について少しまとめてみましたので、御報告をさせていただきます。
 9枚目、一般的には代理のアウトカムとするものと真のアウトカムというものは相関することが多いというのは実際そうなのですけれども、ただ、時に留意しなければいけないケースもございます。
 1つ目は、代理の健康アウトカムと真の健康アウトカムとが必ずしも相関しなかったケースということで、抗不整脈薬の臨床試験の例を御紹介させていただければと思います。これは心室性不整脈のある心筋梗塞後の患者についてこの薬剤を投与したところ、左下にありますとおり不整脈の発生は少なくなったということでありますが、右の死亡+心不全の発生率を見ると、むしろ投与群のほうが多くなってしまったということがあります。ここで想定しますのは、右側のものが真の健康アウトカムではないかということです。このように違った形になる場合もございます。
 さらに、真の健康アウトカムならどれでもいいかというと、その中でも結果としての指標が異なるという場合がございます。これは10枚目のスライドになりますけれども、臨床試験によっては重大なイベント、心筋梗塞の発生とか、そういうものを真の健康アウトカムとする場合もございます。ただし、この重大なイベント発生率と生存期間、あるいはQuality of Lifeとの間には、必ずしも正の相関があるとは限らないというケースもございます。下は糖尿病治療の例ですけれども、心筋梗塞や脳卒中、心血管合併症による死亡については減少傾向でありましたが、全死亡について見ると増加をしていたということで、必ずしもイベントの発生と全体の生存率というものが相関をしないケースもあるということで、こういうものにも留意が必要だということでございます。
 11枚目、さらにこの健康アウトカム、複数の指標があるときに、それの間でトレードオフ、二律背反のような関係がある場合にどう考えるかという点にも留意が必要だと思います。
 これは左側にありますとおり、肺がんの術後化学療法の影響というものを模式的に書かせていただいたものですけれども、もちろん化学療法を行った場合にはがんの再発抑制効果はございます。ただし、治療法によっては有害事象、副作用を伴うというケースがありますので、化学療法を行った場合には有害事象が多く発生するというケースがございます。
 物によっては副作用の発現というのが非常に大きいために、治療法として普及しなかったというケースもあると聞いておりますので、右下にありますが、どちらの治療を選ぶかということについては臨床的な判断に加えて、患者自身が副作用や再発抑制効果をどのように評価するかということも重要ではないかと思います。
 12枚目、こういう健康アウトカム間にトレードオフ、一方の観点ではA治療法のほうがいいけれども、別の観点ではBのほうがいいという場合にどう考えていくかということで、この後、お話をさせていただきますQALY、質調整生存年を使うやり方が1つございます。これは横軸に生存時間の長さをとって、縦軸にQuality of Lifeの評価値をとったものでございまして、例えばこの場合には副作用が発現した場合には、発現しない場合と比べてQOLが低下する、状態が悪くなる。ただし、化学療法を行ったほうが生存期間は延びるということで、この面積を比較することによって評価をしようという発想でございます。
 13枚目が今までお話をしてきた1番目の観点であります、効果指標の種類についてのまとめでございます。
 次に、医師による評価と患者報告アウトカムという観点について、お話をさせていただきます。
 15枚目、これは冒頭で申しました脂質異常症に対する医療を行った場合のイメージですけれども、死亡に関しては死亡しているかどうかというのは明確に客観的に判断できますので、それをもとに生存時間を計算することができます。ただ、例えばその下にあります脳卒中の後遺症の程度であるとか、心機能障害の程度をどう評価していけばいいか。これが1つの課題になってまいります。
 そこで、この疾患について得られているものですけれども、次の16枚目のスライドにまいります。これは一般に臨床の場で使われていると伺っておりますが、左側が脳卒中後の後遺症の程度を評価する場合に、一般に医師が客観的な評価として用いられているスケールということで、修正Rankinスケールというものでございます。全く症候がないところから死亡までを含めて6段階でという形の評価になっていて、これは治療ガイドライン等にも示されております。
 右側は心機能障害の程度を評価するものとして、これは4段階の尺度で評価をして一般に用いられていると理解しております。
 では、このような評価と、例えば患者が考えた評価というのはどういう関係にあるかということなのですけれども、次の17枚目のスライドにまいります。これは脳卒中の後遺症についての評価をしたものの調査をした結果でありますが、先ほどの修正Rankinスケールという7段階になっている評価とQOLの尺度です。ここでは具体的に使っているのはEQ-5Dと申します、以前にこの部会でも手法を御紹介させていただきましたが、0を死亡、1を完全な健康という形で評価ができる尺度でございます。これを見ると下の表に示させていただきましが、修正Rankinスケールで状態が悪いと評価された人のほうが、EQ-5Dで評価したスコアも悪くなっているということで、きれいに相関している状態が見ていただけると思います。そういう意味では患者から評価するものと、医師が客観的に評価したものは、ある程度関連していると考えることができると思います。
 一方で、次の18枚目にまいります。場合によってはこれが食い違うケースも報告されております。一般にこのQOLというのは患者報告アウトカム(Patient Reported Outcome:PRO)という言い方をしておりますけれども、この一種であると考えています。
 先ほどもお話をしたとおり、医師による評価と患者の報告という場合には正の相関がある、一般に関連があるということは多くあるのですけれども、異なる場合もございます。18枚目で御紹介しているのは、抗がん剤の副作用に関する評価です。医師による副作用の報告で使うCTCAEという形式と、患者による報告によって累積の発生率を比較したものであります。
 18枚目のスライドに疲労と食欲低下を載せさせていただいて、19枚目のスライドにほかのものについて累積発生率のグラフを載せさせていただいています。全体として見ていただきますと、このケース、この調査に関しては医師による評価は患者による報告よりも副作用が少なく報告されているということで、場合によってはこういうケースもある、患者の報告と少し違うこともあり得るということでございます。
 この患者報告アウトカムというものなのですけれども、これは単に患者さんに好きに回答してもらうというものではなくて、その報告を定量的に評価して数値化するというようなことが行われているものでありまして、計量心理学的な手法を使って下にありますような信頼性、妥当性あるいは応答性、さらに実際の調査でできるかという実施可能性を検証して、確立した尺度を使うというような形で諸外国でも行われております。
 次は補足的に信頼性と妥当性についてイメージを書いたものですので、省略をしたいと思います。
 22枚目には、例えばこれは応答しているかどうかというものの1つの例なのですけれども、乳がんの化学療法中の患者についてQOLがどうなっているかということを、2つのもので比較をしたものです。これで見ると実際にこのケースですと経口剤よりも注射剤のほうが、その治療期間中のQOLが低下していることが出ているという1つの報告でございます。
 23枚目、この患者報告アウトカムなのですけれども、米国においては2009年12月にFDAが患者報告アウトカムの取り扱いに関する指針を出しておりまして、医薬品や医療機器の申請における使用を認めるという考え方を示しております。ただし、その中では下にありますとおり、明確に定義された信頼性の高いPRO尺度で測定することが大事だということが指摘されております。
 24枚目に、これについてのまとめも書かせていただきました。
 3番目のテーマとして、25枚目以降のQALY(質調整生存年)の話に移らせていただきます。
 26枚目は以前にも御紹介させていただきましたが、QALY(質調整生存年)の計算の考え方をお示ししています。QOLスコアと言われます、このスコアについては0を死亡、1を完全な健康という形で定義された尺度ですけれども、QOLスコアとその状態でいる期間、年数を掛け算することによってQALYが算出できるようになっています。掛け算といいますのは単純に左側の長方形のようなイメージでありまして、一定期間ほぼ同じ状態が続いているとすれば、こういう形になりますし、変わっていくとなると定義的には右にありますような曲線下の面積となってまいります。
 これを使って27ページにありますとおり、費用と効果を評価して増分費用効果比を算出するということがされております。
 28枚目、このQALYは諸外国において経済評価を政策応用しているような国、意思決定に活用しているような国を見ますと、第1選択としてQALYを推奨しているという国がイギリスをはじめとしてアイルランド、ノルウェー、ニュージーランド等がございます。あるいは、ほかの国ではQALYも含めて推奨する。QALYを第1というわけではないけれども、これを含めて推奨するというのをやっているのがオーストラリア、カナダ、スウェーデン等でございます。ただ、下にもありますとおり、費用対効果を意志決定に活用している国でQALYを選択肢として排除している国はほぼ存在しない。ほぼと書かせていただいたのは全世界のことを知っているわけではありませんので、私の承知している限りでは存在しないという意味でございます。
 実際にQALYを第1選択にしていない国ではどうなっているかということで、下にオランダの例を参考として出させていただきました。オランダではQALYは必須ではないのですけれども、実際の評価としてはQALYを用いている場合が多くなっています。42件のうち32件はQALYを効果指標の1つとして用いております。
 30枚目、ではこのQALYが費用対効果評価等において諸外国でもしばしば用いられている理由なのですけれども、3点にまとめてみました。
 1点目は多くの疾患についてQALYを用いて評価できるということでございます。例えばそこには逆流性食道炎とか、過敏性腸症候群等を書かせていただきましたが、これはそれぞれのQuality of Lifeの評価をする。そういう尺度が開発されています。ただし、尺度が違う場合には、その結果の数字を直接比較することはできないことになります。
 では、これを比較可能にするにはどうすればいいかというと、QOLの評価そのものを同じスケールで評価する。QALYであれば0が死亡、1が完全な健康ですけれども、評価をすることによって違う疾患についての比較ができるということでございます。
 もう一つ、下に書かせていただいたのは、同じ疾患を比較するのであれば生存期間を使う場合もございます。ただし、やはり疾患によっては生存期間よりもむしろQuality of Lifeの改善に重要な影響がある。例えば関節リウマチであるとか、すぐに死亡するという疾患ではないですけれども、やはりQuality of Lifeには大きく影響する。こういうものに対する医療の価値を捉えようとしたら、生存期間だけではなくてQuality of Lifeを入れたほうがさまざまな疾患で比較ができるということだと思います。
 31枚目に2番目の理由として、複数の効果を同時に評価できるというのを書かせていただきました。これは冒頭でも述べさせていただきましたが、疾患によってさまざまな効果指標が考えられます。しかも中にはトレードオフの関係、有害事象は多く出るのだけれども、生存等には大きく貢献するというような治療法もございます。そういう複数のものをまとめて評価していく場合には総合的な指標、医療技術を総体として扱うような指標があったほうがいいだろうということで、QALYが多く使われているものと理解をしております。
 32枚目に3番目の理由として、結果の解釈がしやすいというものを挙げさせていただきました。例えばこれは疾患に応じていろいろな指標をとったとして、例えば本当にこれは例ですけれども、C型肝炎ウイルスの除去率が10%改善する。この価値はどのくらいなのだろう。これに幾らかけてもいいのだろう。この議論はなかなか難しい。さらに、これをさまざまな疾患ごとにやっていく、効果指標ごとにやっていくと判断がなかなか難しいのではないかと思います。それをQALYという1つの物差しで目安として考えると、1QALY、1QALYというのは意味から言うと、1年間完全に元気で長生きできるということに相当する価値をあらわしますので、それに対して費用投資を考えることがしやすいと思います。
 ということで33枚目に、このQALYについての考え方を整理させていただきました。
 最後のAppraisalについても補足でありますけれども、つけさせていただきましたので御報告をさせていただきます。
 35枚目、これは諸外国の例を見ても一般的に費用対効果評価を用いた意思決定のプロセスを見ますと、下のように整理できるかと思っております。
 まず最初の段階がAssessmentと通常は英語では表記されていますが、費用対効果評価そのものの分析をするというところで、日本語では分析と訳させていただきました。つまり従来の治療法と比べて追加的な費用と追加的な効果の比をとる。増分費用効果比を算出するような手続でございます。この部分をAssessmentと呼んでいて、ここは専門家が担当する場合が多いと思います。
 それに対して、これを使って評価をする、あるいは最終的な意思決定をしていくというのは別のステップとして考えている国が多くございます。その評価する段階をAppraisalという英語で一般に使われています。Appraisalでは何をするかというと、費用対効果の分析として出された数値をどう解釈すればいいか。それについての議論をしたり、あるいは費用対効果だけでは反映されないようなその他の要因として、例えば臨床的な要因とか、倫理的、社会的な影響等を考慮する。そういうものを総合的に考えて、最終的な意思決定のために評価をするというものがAppraisalという段階でございます。
 36枚目、実際に諸外国でもこういうことはしばしば行われておりまして、例えばイギリスの例であります。イギリスはNICEという組織がQALYを用いて費用対効果の評価を行っていますが、分析はQALYでやっているのですけれども、最終的にAppraisalの段階では費用対効果以外にもさまざまなものが定性的に勘案されているということでございます。実際にこれについてはNICEの方が報告されている文書を拝見しますと、過去の事例としてこういうものが考慮されましたということで挙げられているのが36枚目のスライドにあるとおりです。例えば疾患の重症度でありますとか、致死的な疾患での延命治療あるいは関係者からの意見、イノベーションの大きさ、障害者などの集団への配慮、小児の疾患というようなものが要素として挙がっております。これは過去の事例においてこういうものを勘案して最終的な評価をしましたというふうに報告されているものであります。
 具体的な例としては下に1つ挙げさせていただきました。小児骨肉腫に関する治療法について2011年に出された評価結果でございます。これは単純に分析の結果だけですと、一般にイギリスNICEにおいて費用対効果に優れるという範囲が、1QALY増加に対して2〜3万ポンド以下とガイドラインでも示されておるのですが、その観点からすると費用対効果には必ずしも優れないということが分析結果としては出ておりました。ただし、この疾患が小児であることを考慮して、長期的な予後を重視するような観点あるいは価格的な調整を行うとか、この治療法が革新的である、稀少疾患に相当するといったことを勘案して、最終的には推奨するという形がとられております。
 ということで、QALYのようなものを使うにしても、それ以外のことを加味することは諸外国でも行われておりますし、必要ではないかと思います。
 38枚目、スウェーデンの例も挙げさせていただきました。スウェーデンでは医薬品償還3原則というものが言われておりまして、1番目に挙がっているのが平等に取り扱われる。人は年齢や人種、性別等による差別を受けないということであります。2番目に重症度の高い人は優先的に償還されるというルールを挙げております。3番目に費用対効果のよい医薬品を償還するということが挙げられておりますので、やはり費用対効果を勘案するというのは1つでありますけれども、それ以外に考慮すべき点もあるということでございます。
 ということで、このAppraisalについては効果指標を考えるときに画一的に1つでやるのではなくて、さまざまなことを最終的にはAppraisalの段階で勘案をして判断をしているというのが諸外国の例ですという御報告でございます。
 39枚目にそのまとめをさせていただきました。
 40枚目が本日の御報告のまとめになりますので、御参照いただければと思います。
 私のほうからは以上です。ありがとうございました。
○関原部会長
 どうもありがとうございました。
 きょうは前回と同様に結論を得るとか、あるいは合意を得ることを目的としているわけではございませんから、今の参考人の御意見に対して活発な御審議あるいは御意見を出していただいたらと思います。鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員
 今回も丁寧な御説明をありがとうございました。
 1つは、今のお話は順調にいった場合という感じがするのですけれども、いろんなケースがあるかと思います。代理の健康アウトカムよりも真の健康アウトカムを用いるべきだということですが、例えば真の健康アウトカムが測定できないような場合に、代理の健康アウトカムを使わざるを得ないといった場合があった場合には、どのような対応をする必要があるのかということを1つお聞きしたいと思います。
 もう一つは、QALYが必ずしも真のゴールを反映しているとは限らないということがあるかと思います。違う結果が出る場合もあるわけですが、そのような場合にはどのような対応をしたらいいのか。そういった点についてまず教えていただければと思います。
○関原部会長
 では、福田先生よろしくお願いします。
○福田参考人
 御質問ありがとうございます。
 まず1点目の真の健康アウトカムが測定できない場合ということなのですけれども、一般に費用対効果の分析を行う場合に、臨床試験の結果等をもとに計算をしていきます。やはり臨床試験ですと時間が限られていることもございますので、そこでは中間的な指標をエンドポイントとして使って成績を出すということがされています。
 経済評価を行う、費用対効果を考えるという意味では、その疾患の治療が影響する十分長い期間で分析をするというのが一般的にされていますので、その中間的な健康アウトカムを使って真の健康アウトカムがどうなるか、これはほかのデータ等で補完しながら、モデルを使ったりして推計していくというのが1つのやり方になってくると思います。
 もう一つ、QALYが必ずしもそれが真の健康アウトカムとは限らないのではないかというのは、御指摘のケースはあり得ると思います。QALYを実際に計算していくということになりますと、生存期間とQuality of Lifeの評価、この2つの指標が必要になってまいります。生存時間の長さに関してはある程度客観的にとれますけれども、特にQuality of Lifeの評価については幾つかの手法がございますし、それによるばらつきも実際のところございますので、これに関しては例えば評価手法を適切なものに統一をしていくとか、あるいはその上でも、そういうツールでは反映できないもののような要素がある場合はそういうものを勘案して、Appraisalの段階等で考慮していく。そういうことは必要なのではないかと思っています。
○関原部会長
 鈴木委員、よろしいですか。
○鈴木委員
 一応、御説明としては伺いました。それと最後を見ますとAppraisalに関しては私から以前、総合評価とか言っておったかと思いますので、それは丁寧に説明していただいてありがとうございました。
 あと、最後の40番目を見ますとQALYが非常に有用であるということを改めて強調されていらっしゃるのですが、QALYの位置づけは福田先生は28ページで例えばイギリスを初めアイルランド、ノルウェー、ニュージーランドなどはその第1選択としてQALYを推奨とありますし、オーストラリア、カナダその他の多くの国々はQALYも含めて推奨という、微妙に違ってくるのですが、先生が結論でおっしゃっているQALYを含めた評価を行うことは重要であるというのは、どちらを意味していらっしゃるか教えていただけますでしょうか。
○関原部会長
 福田先生、お願いします。
○福田参考人
 これは私の意見となってしまうと思うのでけれども、QALYを評価の1つとして含めてやるべきだというような意見であります。オプションの1つということよりも、共通の尺度としてそれはやってみるべきではないか、その価値はあるのではないか。できるときにはある程度、必須まではいかないかもしれないですけれども、可能な限りそれでやってみて、ただし、それで評価できないものについても勘案すべきではないかという意見でございます。
○鈴木委員
 そうすると、どちらかと言うと上のほうに近いということですね。
○関原部会長
 上のほうという意味は、イギリスに近いということをおっしゃっているのですか。
○鈴木委員
 そういうことではないかと。
○関原部会長
 QALYを含めて推奨ではなくて、第1選択としてというふうに先生がお答えになった。そういうことでよろしいでしょうか。
○福田参考人
 個人的な意見としては、比較的上に近いと思います。少なくともそれでやるものは含めるというような意見です。
○鈴木委員
 全てにおいてQALYは入れるんだということですね。そうすると2ではないから1に近いというか、そういうことでしょうか。これは事務局は現時点ではどんなふうにお考えなのでしょうか。ちょっと教えてください。
○関原部会長
 今、それらをこの部会でやっているわけですが、どうぞ。
○井上医療課企画官
 この点については事務局がどう考えるかというよりも、費用対効果評価専門部会の議論の中で決まっていくことと考えております。まだ最終的に中間的な取りまとめの段階まで至っておりませんが、これまでの数回の専門部会の中での各委員の意見を踏まえれば、事務局としての現時点での理解を申し上げると、28のスライドで言うところの1と2の間のどこかに委員の相違があるというのが、私どもの理解でございます。
○関原部会長
 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員
 これまでの議論を踏まえて考えると、少なくとも何が何でもQALYというのは無理なのかなという気がいたしますが、ぜひイギリスも随分歴史的な経過を踏まえていろいろ変わってきているわけです。Appraisalなんかも後で入ってきたような話で、いろんな社会的批判などいろいろ受けて、我々は後から検討しているわけですから、そういう先行する事例のできるだけ最新のところまで見ながら、そういうものも取り入れていったらよろしいかと思うのですが、そういう意味ではイギリスが1つ先進国家でありますけれども、同じ社会保険制度をとるドイツとかフランスでも最近動きが出てきているようで、それはイギリスとは違ったような形で考えているということも伺っておりますが、そういう動きについてもぜひ教えていただきたい。最新の動きについても教えていただければと思いますが、現時点についてどのように理解されているか教えていただけますでしょうか。
○関原部会長
 福田先生にイギリス以外について、フランス、ドイツ等のお話をお願いします。
○福田参考人
 御指摘ありがとうございます。ドイツやフランスについては以前に少しだけ御報告させていただいたことがありますけれども、ドイツに関しましては現時点では費用対効果を判断に使うことはされておりませんので、その評価を今後していく可能性があるという時点で、前回の御報告とは私の理解は変わっておりません。
 フランスに関しては少し動きがあるようで、昨年末にこういうものを評価していくためのガイドラインというものがHASという組織ですけれども、そこから出されまして、その中でも選択肢の中でQALYを使うということが含まれているような形になっております。まだ具体的にフランスにおいてもそれを使って判断をしていくというのは、これからだというふうに伺っていますが、そういうガイドラインが示されてきた状況と理解しております。
○関原部会長
 嘉山委員、どうぞ。
○嘉山委員
 ずっと各国の費用対効果の文献とか制度を紹介していただきましたが、我々アカデミアから見るとちょうど抄読会と同じなのです。
 抄読会で相手の意見ばかりを聞いているのは学問ができないわけで、その国で、あるいはアメリカでのニューロサイエンスの論文が出てきたときに、弱点というのも読んで抽出して紹介をして、では我々はどうするかというのが抄読会の目的なわけなのですけれども、先生も当然お考えになっていると思うのですが、今回紹介された中でイギリスのQALYにしろドイツの制度にしろ、何かここが問題だから日本でやるとしたらばこういうところを改善しなければいけないんだと、これが新しい学問なのです。そういうことで先生がお気づきになった点を教えていただけないでしょうか。それで私自身が意見をここの中で、これが危ないのではないかというのがあるので、ここを日本で検討すれが世界で一番いいQALYができるのではないかというのがありますので、その辺を抄読会の抄読者として教えていただきたいのです。
○関原部会長
 福田先生、お願いします。
○福田参考人
 ありがとうございます。ぜひ先生のご意見を伺いたいところなのですけれども、私の理解している範囲では、QALYという考え方そのものは生存時間とQuality of Lifeを加味して活用を考えるという意味では諸外国でも取り組まれているし、日本でも同じような考え方はできると思っています。ただし、それを実際に計算していく場合にやはり課題となってくるのはQuality of Lifeの評価をどうやっていくか。これについて手法を、繰り返しになりますけれども、信頼性、妥当性が確立した適切な尺度で、しかも日本国内でそういうものが調査されるような環境をつくって、データをそろえて適切な評価をしていく。これを日本でやっていかなければいけないと思っております。
○関原部会長
 嘉山委員、どうぞ。
○嘉山委員
 全く私と同じ意見なのですけれども、例えば17ページのmRSとEQ-5Dの自己評価なのですが、先生も御存じのようにOECDのヘルスレポートで日本は2つDランクがあるのです。Aが一番いいのですけれども、1つは呼吸器系がDなのです。もう一つのDはself-assessment of healthなのです。これは国民が自分を健康だと思っているかどうかという評価を国民にさせると、日本は最下位なのです。イギリスなどはAなのです。これは自覚的な評価ですから、それだけ国民の病気に対する思いが違うものを、ですから先生がこれを日本で調査するのがいいとおっしゃったのですけれども、このmRFとEQ-5Dをもしやると、これとは大分違うようなデータが出るのではないかと思っています。
 したがって、これをお使いになるのはいいと思うのですが、やはり日本でもある程度、自己評価ですから日本人の自己評価はかなり外国と違うので、すごくいい健康を得ているにもかかわらず、世界一の長寿になっているわけです。したがって、そういう中でこれをイギリスのような評価をそのまま持ってくるというのは問題だと思いますので、先生がおっしゃったとおりでこれを評価し直していただきたいと思うのです。
 もう一つは、最後のAppraisalのところで機械的にやるのではないと。いろんなファクターも加えますよというのは正しいと思うのですけれども、そのときに一番大事なのは評価の基準が常にぶれてはならないと思うので、つまりイギリスでも根拠を持って順番をつけていると思うのです。ですからオッズ比をつけて順番を一度つけてみて、それでもって個々の症例に合わせてやってみて、それをスタートでしないと毎回ぶれるのです。もしもそのスケールをちゃんとつけておけばどこで間違ったかというのもわかりますし、次はここを変えようとかいうのもわかりますから、複眼的に物を見て物を決めるのは当然なのですけれども、やはり一度はスケールをきちんとつくっておかないと毎回違うという議論になりますので、その2つの要点がここに入っていないので、その2つを入れていただければと思うのです。
○関原部会長
 今のは御意見ということで、これから作業していく過程でそのご意見を踏まえていきたいと思います。
 ほかに御意見はございますか。西村委員、どうぞ。
○西村委員
 今の御意見などにも関係するところなのですけれども、QALYをいろいろ伺っていて懸念されるのが、リウマチのようなそういうQALYは改善されるけれども、生存期間はそれほど影響しないような場合というのが代表例で出ていて、全く反対というような薬とか技術も多いと思うのです。生存期間は延びるのだけれども、QOLは余り改善しないという、そういうものも多いと思うのですが、その場合がQALYで言うQOLを入れると0とかそこら辺が改善されないので、すごく低く値として出てきてしまうので、そういう根本的なところはどういうふうに、QALYはかなり活用できるとは思うのですけれども、どうするかというのをお聞きしたいことと、もう一つ、国によって位置づけが違うので課題を抽出して改善したいと私も思うので、QALYを第1選択として使っていない国というのはどうして第1選択にしないのかという、そういう理由も調べて教えていただけると、ここでの改善する資料としては重要かなと思います。
○関原部会長
 2つありましたが、2番目のほうはこれから調べるということで、最初のリウマチのような長い疾患と、悪性度が高いがんで生存期間が非常に短い疾患、そういうところのQALYの扱いについて御説明をお願いできますか。
○福田参考人
 ありがとうございます。
 確かにQALYを計算する場合にはQuality of Lifeの評価と生存期間がありますので、生存期間が延びることによって価値は評価できますけれども、先生御指摘のようにQALYがかわらないようであれば、そこの部分での原因は少ないというか、ほとんどなくなるというケースはあると思います。
 そのときにどう考えていくかなのですけれども、あくまでもQALYを1つとしてやっていくということでありますが、例えば諸外国の例でオランダでも御紹介させていただきましたのが、QALYと、life yearという単にQuality of Lifeで重みをつけないlife yearを併用して使ったり、イギリスでも例外的なものとしてスライドですと36枚目に挙げさせていただきましたが、致死的な疾患での延命治療に関しての評価については、実際にQuality of Lifeが下がることを加味しないで生存期間だけで考慮してやるというものを、36枚目のイギリスの費用対効果以外にも評価するというスライドの中のEnd-of–lifeというところなのですけれども、こういう状態の人に関してはその期間で生きる数カ月、数年というのは完全に元気に生きられる人と同じ価値があると見なして、Quality of Lifeで評価値を1として計算するという考え方をしています。ですのでQALYで計算するとそうなりますが、それ以外の要素が重要な場合には一緒に加味していくことが必要だと思います。
○関原部会長
 万代委員、どうぞ。
○万代委員
 意見と質問を幾つかお願いしたいと思いますけれども、まず費用対効果にどういった手法を入れるかについては、この間、福田先生いろいろ教えていただきまして本当にありがとうございました。大分頭の中がすっきりしてまいりましたが、基本的にはもともと、そもそも論でいけば日本独自の費用対効果の判定の手法を開発するのがベストだと思いますが、それには人的あるいは時間的な要素が非常に絡みますので、諸外国の例を参考にするというのは、それもまた一ついいことだなと考えております。
 その中で、これまでの議論の中でQALYを1つの代表的な指標として用いることの流れで来たかなと思っておりますし、QALY自体についての評価についても、私自身は一定程度いいのではないかと思っております。
 と申しますのも、何回か前に御説明がありましたようにEQ-5Dにつきましては日本版がもう既に完成している。しかもそれに基づく患者さんの調査データが欧州の本部でも認められて、一応オーソライズされたということからすれば、あるいはまたさらにEQ-5Dの使用例を実際に見させていただいて、一定程度納得できるなということからすれば、QALYの質の判定の部分にEQ-5Dを主体として用いることについては、納得できるかなと考えています。
 そこで、ここの諸外国の例ということで国によって第1選択とするか、QALYも含めて推奨するかということでございますけれども、やはりこれまでの議論を伺っていますと、さらに日本独自の考え方も入れて、と申しますのもやはり日本の文化と欧米あるいは欧州の文化と違うと思いますので、医療に対する考え方、先ほど嘉山委員もおっしゃいましたけれども、そういったこともありますので、どちらかと言うと私自身は現時点では基本的な立場としてはQALYも含めて推奨。と申しますのは、そういったことをガイドラインとしてQALYをどう取り扱うという国も多いし、韓国、台湾というアジアの国も入っておりますので、基本的なスタンスとしては、QALYを中心にして考えながらやっていくというのがいいのではないかと考えています。
 そこで質問でございますけれども、細かなことで大変申しわけございませんし、揚げ足をとるつもりは全くございませんが、具体的には19枚目のスライド、18ページからの引き続きということで、19ページはどちらかと言うと悪心とか嘔吐というのは副作用関係の指標かなと思うのですけれども、その医師による評価が少し下がる。より軽く考えてしまうということがデータとして出されておりますが、一番最後の矢印のところにある副作用が減少するような医療技術の効果を小さく評価してしまう可能性があると書いてございますけれども、逆かなというような思いもするのです。医師が副作用をより過小評価すれば、ある技術についてはこれは副作用が少ないからいいんだというふうに考えるのであって、医療技術の効果を大きく評価してしまう可能性があるということかなと思いますけれども、少し御検討いただいて、いずれにしろ医師の評価と患者さんの評価は違って、それによって評価の度合いが違うということについては十分認識しておりますので、よろしいでしょうか。
 もう一つ、30ページのところでQALYの有用性が書いてございまして、上のほうのポツで逆流性食道炎と過敏性腸症候群と前者が胸焼け、後者が腹痛についてのQALYをどう評価するかという中で、これはいずれも命にかかわる病気ではございませんので、あるいは状態ではございませんので、基本的には生存年という意味ではそこで生き死には関係ない。そこで質問は、その場合の生存年については、症状が改善している期間ということで生存年、例えば1年のうち半年間は症状が改善しているとか、1カ月しか改善していないとか、そういったことでQALYにおける生存年を考えるのかというのが1点目の質問でございまして、2つ目は細かいのですが、下線の部分でございますけれども、逆流性食道炎も過敏性腸症候群も同じQALYで評価可能という、この同じという意味がどういう同じなのかを教えていただければと思います。
○関原部会長
 福田先生、お願いします。
○福田参考人
 どうもありがとうございます。
 まず後ろのほうでありました30枚目のスライドに関してですけれども、生存に影響しないけれども、QOLの改善に影響する場合、その場合の生存期間をどう考えるかということなのですが、基本的にはQOLが改善していて2つの治療法で差が出る期間というような意味合いでございました。ですので、先生御指摘のとおり、それが例えば半年なり1年であれば、その期間でのQOLの改善というものがQALYに反映されるという意味でございます。
 同じ指標で評価できるということなのですけれども、これはQuality of Lifeの評価にはいろいろな尺度があって、病気ごとにやっていくものがありますが、それを数値化するときに例えばスケールが100点満点であったり50点満点であったり10段階のスケールであったり、さまざまなものがございます。ここで統一できるというのはQALYのコンセプトで言うと0が死亡、1が完全な健康という形で全て表現するようになりますので、そういう意味で同じ尺度、定義が0が死亡、1が完全な健康という尺度になるという意味です。
 さらに御指摘ありましたとおりEQ-5D等のツールですと特に疾患に依存した、この疾患だけに使うというものではございませんので、同じ調査票を使っていろいろな疾患について調査をしていくことも可能ですので、ツールまである程度統一をしてやれる。同じやり方で評価ができると思います。
 もう一点よろしいですか。19枚目のスライドに誤解があるような書き方になっていたかもしれませんけれども、ここで医療技術の評価を小さく評価してしまうというふうに書かせていただいたのは、仮に今後出てくる新しい治療法で完全にこの有害事象がゼロにできるような、極端な話、こういうものがあったときに、もともと患者のほうが高く評価していたので価値が多く出るのではないかと考えたということです。今やっている治療法に対して、新しい治療法が単純にこれをなくせるというものとなったときに、差が大きくなるかなと思って書いてしまったのですが、書き方がわかりにくかったかもれしません。
○万代委員
 わかりました。ありがとうございました。
○関原部会長
 ほかにいかがですか。印南部会長代理。
○印南部会長代理
 質問といいますか、Assessmentはかなりきちんと客観的に、ある意味では機械的にやってぶれないようにする。その上でAppraisalで社会的合意として意思決定するという、基本的なフレームワークはそういうことだと思うのです。
 そうすると評価のAssessmentの部分は、かなり客観的にきちんとやらなければいけない。できれば医療技術相互で比較可能にするのが望ましいということだと思うのです。37ページのイギリスの例なのですが、これは当初の評価が5万6,700ポンドもあって、次に3万6,000ポンドに激減しておりますね。この3万6,000を3万より上回っているという理由で、社会的合意として認めたり推奨したりするのは全然構わないのかなと個人的には思うわけです。ところが、5万6,700が3万6,000に激減する。
 私が聞きたいのは小児であることを考慮してとありますけれども、小児骨肉腫のこの治療法に対するものだけを恣意的にやったのか。それが1点。ほかの小児に対する治療法でも同じように長期的に予後をちゃんと重視しているのかという、恣意性が入っていないかどうかという話と、もう一つが価格を割り引いていますけれども、これが長期的な予後を考慮するという部分と連動して価格を割り引いているのか、そうでなくてここも恣意的にこの場合だけディスカウント・レートを変えたとか、そういう事実があるのかお聞きしたい。
○関原部会長
 福田先生、お願いします。
○福田参考人
 御指摘ありがとうございます。
 今の御指摘なのですけれども、このケースに関しては2つ要因としてあります。小児である場合に、長期的な予後を重視するような分析手法と書かせていただきましたのが、実は長期間にわたって推計する場合の将来の価値を割り引くときの割引率をどう設定するかというのを書いています。これについては、NICEが出しているガイダンスとして30年以上にわたって推計するような場合に、長期の部分を少し割引率自体を減らすというような対応がとられていて、それはこのケースがきっかけだった可能性もあるのですけれども、一般に適用するという形の基準としてなっています。それを最初に適用したようなケースになるかと思います。
 それと価格を割り引くというのは別でありまして、NICEが今までもやってきた評価の中で、患者アクセス保障という言い方になるのですけれども、メーカーと企業と話をして価格の合意が得られれば、そのものについてその価格で提供をする。その価格設定での費用対効果を考える。これは治療に限らず一般的に適用されている手法になっています。その2つを両方加味すると、このくらいの数字になるということで記載がされております。
○関原部会長
 印南委員、よろしいですか。それでは、安達委員、どうぞ。
○安達委員
 前に先生御指摘だったと思うのですけれども、QALYの問題点のほうです。特にQuality of LifeをEQ-5Dでやるときに、これは患者さんの自己状態に対する評価なのですけれども、特に4ページにある医療のゴールのところの若年死を避けてと、こういうところと関連して、つまりQALYは疾患を超えて公平な評価はできる側面、長所はあるのだけれども、例えば年齢によってという評価が入らないということが、1つの問題点かなということを先生前に御指摘いただいたことがあると思います。
 特にですから同じ例えば抗がん剤を使うときに、若年の人はある程度EQ-5Dは悪くても完治を目指してその治療を続けるという意欲が強いということは、このEQ-5Dの中だけでは単純にやれば入らないわけです。この意欲を日本でやるときにEQ-5Dを変える形でやるのか、それとも最後に挙げていただいたAppraisalへそれを入れるのか、どこかでそれを評価しないとQALYの長所は疾患を超えてのある程度相対評価が可能なという点ですけれども、年齢間での治療の必然性あるいは治療に対する非常に強い期待感というものの違いがひょっとしたら評価できない。これが問題なのかなと思うのですが、それはどちらでやればいいと先生お考えでしょうか。
○関原部会長
 それでは、お願いします。
○福田参考人
 ありがとうございます。
 御指摘のとおり、例えばEQ-5DでQuality of Lifeを評価するときに年齢によって明確に違うかというと、それはないと思います。あくまでも健康状態に対してどう思うかということになると思います。ただ、それを使って最終的にQALYの計算をするときには、Quality of Lifeの評価値に生存年数をかけて計算をしますので、結果として出てくるQALYそのものは比較的年齢が若い、一般的な意味での期待余命が長い年齢層が大きく出る可能性はあると思います。
 つまり最終的に計算をしていくときに、例えばある疾患の治療についての評価をする場合にも、それ以外の原因で死亡するような要因も考えて長期推計をやっていきますので、当然、若年の方に治療を行った場合の差分、従来の治療と新しい治療を比較したもののほうが、それによってQOLはともかく生存期間が長く延びるのであれば、QALYではそこは勘案される。EQ-5DのQOL の評価では出ないかもしれませんが、そもそも期待余命が長いというところはQALYの計算には入ってくると思います。それでも不十分なケースというものがあれば、先ほども御指摘がありましたがlife yearも併用して使っていくとか、そういうものもあるかなと思います。
○関原部会長
 よろしいですか。それでは、鈴木委員どうぞ。
○鈴木委員
 1つは先ほど印南先生が御質問された37ページのAppraisalな具体的な例ですけれども、これは本当に我が国でこういうことが始まったら大騒ぎになるのではないかと思いますが、患者団体とか大騒ぎしています。これが毎日厚労省を批難するような報道であふれかえるのではないかと思いますけれども、こういうことを我が国でもやるのか。
 私は医療制度がまず違う。公営医療の国と国民皆保険の国と全く違います。公営医療というのは配給制ですからイギリスの場合は無料ということです。ある程度我慢しても、並んでも時間を待っても受けるという治療ですから、それでもこれだけの声があって、当初はそういうことがなかったわけですが、後からこうやって批判に対して対応するような形になった。End-of-lifeの致死的な疾患でない延命治療なんかも、後からこういうものは特別に枠を設けるような話が出たということで、非常にこれは社会問題になると思います。抗がん剤は特に高いわけですし、患者さんにとっては切実な問題ですから、こういったことをあえてやろうとされているのかなと改めて思います。
 もう一つ、先ほど万代先生からの御質問で、万代先生が日本版のEQ-5Dは完成されているとおっしゃったことに対して、福田先生はそれを何もおっしゃらなかったのですけれども、私は全く完成されていないと思いますが、健康人のものだけはできているけれども、年齢別とか疾患別とかそれこそ全然ないわけですから、それは全く当たらないと思うのですけれども、それについての御回答と、もしそういうことをきちんと例えばイギリスみたいにするのだったら何年ぐらいかかるとお考えか。それをお聞かせいただけますでしょうか。
○関原部会長
 福田先生、お願いします。
○福田参考人
 御指摘ありがとうございます。
 EQ-5Dの日本版に関しましては、多分、万代先生に御指摘いただいたのはツールとして日本語のものが日本版あるいは日本人で価値づけをする仕組みが確立をしていて、それはちゃんと本部の承認も受けているという意味で、日本語版のツールが確立しているという御指摘をいただいたと思っています。
 それを使っていろいろな疾患、いろいろな状態について実際に患者さんに調査をして数字を出していくことが必要なのですけれども、これは鈴木先生御指摘のとおりで、今、日本でも取り組まれておりますが、十分にあるかというと、それはまだそこまではいっていないと思います。何年かかるかというのは、どう使っていくかというところに関連をしていて、今でも我々を含めてこういう調査というのは様々な疾患でさせていただいておりますけれども、実際にはこういうものを費用対効果の評価に使っていくとすれば、それをどういう場面で、どういうタイミングで、どのくらいのものに活用していくんだというあたりによってくる。そういう意味では評価の必要に応じて調査を進めていくようなスタイルになるのではないかと思います。あらかじめ全疾患についてこれを誰かが評価するというスタイルは、余り諸外国でもとられていないと認識しています。
○関原部会長
 よろしいですか。よろしいというか、説明はそういうことでございます。
 嘉山委員、どうぞ。
○嘉山委員
 前回、先生に質問させていただいたのですが、クリニカル・ランダマイズド・トライアルをやったときに有意差が出た場合に、NNTの扱いをどうするかということを今後の問題ですけれども、私もまだイメージがないのですが、例えば1万人に使って2つの薬でやっと差が出る。100人でもエンドポイントに差が出てしまうようなお薬があった場合に、そういうものをどうやって評価したらいいのかなというのは私にもよくわからないのですが、先生のお考えが何かあったら教えていただきたいと思います。
○関原部会長
 福田先生、お願いします。
○福田参考人
 どうも御指摘ありがとうございます。本日はそれに関しての資料を全く用意していなかったので申しわけないのですけれども、先生から御指摘あったようにNNTというのは重要な指標だと思いますので、費用対効果の評価の中で考えているのですけれども、結局この費用対効果を出す中で増分費用効果比と言いますが、費用がふえる分を効果のふえる分で割り算をするという指標の算出を行います。具体的には27枚目のスライドの右側にあります増分費用効果比というもので、従来の治療と新しい治療を比較して、費用がふえる分を効果のふえる分で割り算するというようなものを用います。
 例えば臨床試験等でNNTが算出されている場合に、これと増分費用効果比の関係を式の上で考えますと、増分費用効果比というのはNNTの数字に患者1人当たりの費用の差を掛け算すれば、同じものが算出できます。ですので、先生の御指摘のとおり密接に関連しておりまして、NNTが大きいものはこの増分費用効果比が大きくなるので費用対効果の観点からは課題があるかもしれないと、そういう解釈になるようであります。御指摘ありがとうございました。
○嘉山委員
 先生のおっしゃるとおり、理解しました。どうもありがとうございます。
○関原部会長
 ほかにいかかですか。白川委員、どうぞ。
○白川委員
 福田先生の説明に直接関係する意見ではないのですが、この議論が始まってもう半年ぐらい、福田先生をはじめ参考人の方々の資料をもとに勉強してきたことで、コンセプトに関する一定の土台はできたと思っているのですが、評価結果を何に使うのかについてのコンセンサスはまだ得ていないと思うのです。
 申し上げたかったのは、例えば薬でも医療技術でもいいのですが、それを承認する段階で評価結果を使うという考え方もあれば、保険収載する段階で、いわゆる値決めで使う方法もあると思うのです。
 何でこんなことを申し上げているかというと、いろいろ話が出ているNICEだとかHASというところは、国によって機能が違っております。ですからいろいろな参考の意見、資料も出るのですが、何人かの先生がおっしゃるとおり、NICEとかHASといった機関の機能は国によって違いますから、それを前提にいろいろ話をしても、これ以上は進まないのかなと危惧をしております。日本で評価結果をどう使うんだということについては何人かの先生方から意見が出て、いわゆる値決めするときの参考として使うべきではないかという意見が多かったと思っているのですが、そうだとすれば、そういう目的をはっきりさせて、それに合致した手法は何かということを具体的に議論していかないと。話が細部に入り過ぎて全体がよくわからないような状況に私自身は陥っております。
 費−1の資料によりますと、多分次回あたりに具体的な評価の活用手法を一度議論して、その後に中間まとめを行う予定なのかどうかわかりませんが、全体の検討スケジュールを示していただきたい。私は日本ではこういう費用対効果評価は入れるべきだと思っていますが、入れる必要はないという意見の先生もいらっしゃるかもしれないので、その辺は少し整理をして、評価結果を何に使うんだというところを一度議論するべきではないか。その後、今まで勉強したことを踏まえて日本に合った評価手法を検討するという手順で議論を進めたらどうかと考えております。
 事務局の見解をお聞きしたいと思います。
○関原部会長
 では、事務局からお願いします。
○宇都宮医療課長
 今、白川委員から御指摘いただきましたが、もともと我々はこちらに着任してきたときに、こういった宿題があるということで一つ一つこれをこなしている段階ではあるのですけれども、確かに先にそういう活用方法、目的をはっきりさせてからというお考えもありますが、そもそも我々の感じているのは、こういった評価手法などについて中医協の委員の先生方の間で十分な御理解というか、あるいはそれぞれの認識の違いというものが存在するのではないか。そこのところをきちんと合わせた上でないと、恐らくその議論がかみ合わなくなってしまうのではないかということで、この順番も24年6月27日の事項として示されておりますけれども、ちょうどこの順番でまず基本的な考え方、それから、評価手法というのはどういうものがあって、どういうふうにやるんだと。そういうところを理解した上で、つまり、それぞれの知識、理解がある程度一定の共通項を得た上で次の活用手法に進んだ方が、恐らく生産的な議論というか、そういうことになるのではないかと考えまして、このようにさせていただているところでございます。
 今、御指摘のように、本日また改めて効果指標の取り扱いということで福田参考人から御説明いただいて、皆さん御議論いただいて、これで大体皆さんの御理解がほぼ同じような共通のものになったということであれば、次回その具体的な評価の活用手法、今まさに白川委員がおっしゃったように承認の段階で活用するのか、保険収載ということでするのか、値決めでするのか、それぞれいろいろな例が海外でもあると思いますし、そういうものをお示しして何に活用するんだということを、こちらの中医協のほうでまた御議論いただいてというふうに考えていたところでございます。
○関原部会長
 白川委員、どうぞ。
○白川委員
 わかりました。課長のおっしゃるように進めていただきたいと思います。当初の予定では具体例に基づく議論をたしか去年の12月ぐらいにやりますかという話だったと記憶していますが、この後どういうふうに議論をしていくのかという大まかなスケジュール案でも構いませんので、次回ないし次々回ぐらいに示していただくことをお願いしておきます。
○関原部会長
 事務局には、これまで議論が相当長くなっていますので、次回ないし次々回に今後のスケジュールあるいは来年の改定のところあたりまでのスケジュールを出していただけるということでお願いできますか。
○宇都宮医療課長
 了解しました。スケジュール案を出させていただきたいと思います。
○関原部会長
 それでは、提出していただいて進めていきたいと思います。
 ほかにございますか。
○鈴木委員
 今の話は、話としてはそのような方向性というのはあるでしょうけれども、実際に仕組みをどういう仕組みでやるのかも決まっていないのです。そういうNICEみたいなものとか、HASみたいなものは何もないですし、そんなものもないのにどうやるという話だけしても意味がないのではないですか。
○関原部会長
 もちろんその辺をどのように反映させるか。それを誰が行うかということを含めて全体像、アウトラインを出してもらうということで、それをベースに議論していくことになるはずです。それでよろしいですね。とにかく次回に今後こういう形で進めるというのを出してもらうこと自体については、それもまずいということですか。
○鈴木委員
 どういうことを出されるのかわかりませんが、現状の仕組みの中でどんどん進めていくというのは、私は無理があると思います。
○白川委員
 スピードを上げて検討しろと言っているつもりはないです。ただ、来年4月の改定が見えていますので、そこまでにどこまでやるんだということは一定程度意見を合せておかないといけないかなと。したがって、スケジュール案でおおまかなものを出していただいて、それがいいかどうかというのは次回か次々回かわかりませんが、議論をさせていただければいい。それだけのことでございます。
○関原部会長
 鈴木委員、よろしゅうございますか。
 それでは、次回か次々回かに、事務局に提出をお願いいたします。
 ほかにございますか。それでは、時間もちょうどまいりましたので、きょうの議論はこの辺で終わらせていただきたいと思います。
 次回の日程について事務局から何かございますか。
○井上医療課企画官
 現時点では未定でございます。定まり次第、御連絡を差し上げます。
 以上でございます。
○関原部会長
 それでは、本日の「費用対効果評価専門部会」はこれにて閉会としたいと思います。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

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代表: 03−5253−1111(内線3288)

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