ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 子ども家庭局が実施する検討会等> 児童虐待防止医療ネットワーク事業に関する検討会> 第2回児童虐待防止医療ネットワーク事業に関する検討会議事録




2013年2月6日 第2回児童虐待防止医療ネットワーク事業に関する検討会 議事録

雇用均等・児童家庭局母子保健課

○出席者

委員

奥山座長、市川委員、臼井委員、内海委員、木下委員、小林委員、桜山委員、佐々木委員、佐藤委員、田中委員代理、平野委員、笠委員

参考人

高橋参考人、中山参考人、古澤参考人

事務局

桑島母子保健課長、為石虐待防止対策室長、高橋母子保健推進官、山本課長補佐、三平課長補佐

○議題

1.開  会

2.議  事
(1)児童虐待対応に関する行政と医療機関との連携について(取組報告)
(2)児童虐待防止医療ネットワーク事業に関する検討会報告書骨子案について
(3)その他

3.閉  会

○議事

○山本課長補佐 定刻になりましたので、ただいまから第2回「児童虐待防止医療ネットワーク事業に関する検討会」を開催いたします。
 委員の先生方には、本日大変お忙しい中、また、雪で天候も悪い中、遠方より御出席賜りまして、まことにありがとうございます。
 昨年、9月19日に第1回検討会を開催させていただき、医療機関での児童虐待対応に対する取り組み等をお伺いさせていただいたところです。
 本日は、行政側から医療機関との連携についてお伺いするとともに、検討会の報告書の骨子、事業の評価について有識者の先生方の御意見を伺いたいと考えております。本日は、よろしくお願いいたします。
 議事に先立ちまして、本検討会の委員に変更がございましたので、御報告させていただきます。
 先日、日本産婦人科医会からの委員で御参加いただいておりました寺尾委員が御逝去されました。寺尾委員にかわりまして、新たに日本産婦人科医会代表理事の木下委員が就任されましたので、御紹介させていただきます。
○木下委員 木下でございます。よろしくお願いいたします。
○山本課長補佐 また、本日、業務の御都合により、田中委員の代理といたしまして、東京都立小児総合医療センター救命・集中治療部救命救急科医長の井上信明先生が代理出席されております。
○井上代理 井上と申します。よろしくお願いいたします。
○山本課長補佐 なお、本日は参考人といたしまして、北九州市子ども家庭局子ども総合センター児童虐待防止担当課長の高橋浩さん、北九州市子ども家庭局子ども家庭部子育て支援課子ども支援係長の中山浩子さん、埼玉県越谷児童相談所虐待・相談指導担当部長の古澤泰子さんに御出席いただいております。本日は、よろしくお願いいたします。
 続きまして、お手元にお配りしております資料の確認をさせていただきます。
 次第にございますように、資料1から4、さらに参考資料1ということで5つの資料がついているかと思いますので、クリップを外していただきまして、それぞれの資料がございますかどうか御確認をお願いいたします。不足等ございましたら、事務局までお申しつけください。
 それでは、ここからの議事進行につきましては、奥山座長によろしくお願いいたします。
○奥山座長 よろしくお願いいたします。
 まず、寺尾委員の御冥福を心よりお祈りしたいと思います。
 では、本日の議事に従って進めさせていただきます。
 議事の1つ目ですけれども、「児童虐待対応に関する行政と医療機関との連携(取組報告)」ということで、本日、参考人として御出席いただいております北九州市子ども家庭局子ども総合センターの高橋課長、子育て支援課の中山係長、越谷児童相談所の古澤部長にそれぞれ御発表いただきたいというふうに考えております。2か所に関する御発表全てが終わりましてから、御意見をいただきたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、まず北九州市のほうから、高橋課長、中山係長、どうぞよろしくお願いいたします。
○高橋参考人 よろしくお願いいたします。
 それでは、まず、私のほうから児童虐待防止のための医療機関との連携ということで、北九州市の現状を説明させていただきたいと思います。
 本市の子ども総合センターの児童虐待の統計等、要保護児童対策地域協議会、口頭ではございますけれども、最近、医療機関と関わった事例について説明させていただきたいと思います。その後、同局の子育て支援課の中山のほうから補足の説明をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、「北九州市での取組み」の1ページ目をあけていただけますでしょうか。
 まず、統計の説明を簡単にしたいと思いますけれども、まず「児童虐待相談対応件数の推移」でございます。表の左の欄にございますが、本市の対応件数は減少傾向が続いてきましたけれども、平成23年度は322件と、前年度に比べて14件、率にしまして4.5%微増しておる状況でございます。
 ただ、この表にはございませんけれども、虐待の通告件数につきましては、平成23年度が393件と前年度に比べて71件、率にしまして22%と急増いたしております。この通告件数につきましては、調査した結果、虐待が否定された件数も含む件数でございます。この通告件数が増加している背景といたしましては、市でもさまざまな啓発活動を行っております。市民に対しては、市政だより、ホームページ、講演会の案内によるPRをしていますとともに、保育所や幼稚園、小中学校の職員に対して毎年通告義務の徹底を図る研修をしております。そして、子どもに関するあらゆる相談を受け付けますホットラインを周知する名刺サイズのカードを、所属があります高校生以下の全児童に配布するなどの対応をしております。それと、最近、やはり児童虐待に対する事案がマスコミ等で大きく報道される中で市民の関心が高まってきたのではないか、件数が増えたことについては分析しております。
 その下の、「年齢別・相談種別対応件数」についてでございますけれども、全国的な傾向と思いますけれども、ゼロ歳児から就学前児童の対応件数は、計のところにございます146件と、全体の45%を占めております。小学生までの合計では、146件と107件を足して253件となり、全体の80%弱を占めております。こういうことから、やはり年齢が小さければ小さいほど虐待を受ける可能性が高いということがうかがえるのではないかと思っております。
 虐待の種別についてですけれども、これも全国的な傾向のとおり、やはり身体的虐待が130件と多く、続いてネグレクトが121件、心理的虐待が57件の順となっていて、一番低いのが性的虐待となっています。ただ、本市につきましては、性的虐待の件数がちょっと増加してきているという現状がございます。今年度も12月末現在で、速報値なのですけれども、15件の性的虐待の対応件数となっております。
 その下の、「相談種別件数の推移」については、後ほどごらんいただければと思っております。
 次の2ページを開いていただきたいと思います。
 「経路別件数の推移」でございますけれども、これは、対応件数がどこからの経路の通告で対応しているか、ということの表でございまして、平成23年度、一番下の欄のところなのですけれども、多い順番から、近隣・知人が60件。それから、家庭からが51件。次いで、左のほうにありますけれども、児童福祉施設、これは保育所になりますけれども、45件。あと、真ん中辺にございます学校等が45件。これは幼稚園を含んで小中高までという順になっております。医療機関の通告は22件となっております。
 国が今、出しております福祉行政報告例を見ますと、全国の児童相談所の件数になりますけれども、医療機関からの通告は2,310件と、23年度はなっております。全体の対応件数が5万9,919件ということになっておりまして、割合で直しますと、3.9%が医療機関からというふうになっております。本市の場合は、医療機関からの通告が、今、言いました22件になりますので、全体の対応件数が322件ということで、割合から言いますと6.8%ということになっておりまして、全国より、医療機関からの通告の割合が高いという結果がうかがわれております。そして、その22件をちょっと分析してみますと、7割程度が診療所以外の大きな病院からの通告となっておりまして、、診療所からの通告は少ないというような状況になっておりまして、やはり大きな病院のほうが組織的に虐待というものに対応できて、マニュアル等の対応方針もしっかりできているので通告が多いのかなというふうに思っております。この辺については、診療所が対応した事例を、後ほどお話ししたいと思っております。
 その下の、「主な虐待者別件数」と「対応種類別件数の推移」については、参考までに掲載しておりますので、後ほどごらんいただきたいというふうに思っております。
 次の、3ページ目を説明させていただきたいと思います。
 「北九州市要保護児童対策地域協議会」についてでございますが、児童福祉法に基づきまして、本市では、平成17年の4月より設置しております。
 会議は、「協議会設置の主旨」にあるとおり、児童虐待の予防、早期発見、迅速な対応及び児童の自立、家族への支援を図ることを目的としていまして、関係機関が連携を強化する場となっております。医療機関を初め、関係機関とのネットワークということでは、この会議により連携を深めていることがいえると思います。
 組織体制としては、市レベルでの「代表者会議」、区レベルの「実務者会議」、ケースごとの「個別ケース会議」の三層構造で会議を開催しております。
 代表者会議の関係機関といたしましては、下のほうにあります(3)の参加機関のところを見ていただければと思います。大変多くの機関に参加していただいて、協議を行っております。市レベルの代表者会議は年2回開催しておりまして、ここに委員をされております市川先生に会長を引き受けていただいております。市川先生には、さまざまな助言をいただいておりまして、例えば身体的虐待で、保護者の意に反して職権で一時保護をした場合には診察をしていただいて、虐待かどうかの御意見や、場合によっては診断書を書いたりしてもらっております。また、所属から通告がございまして、写真等がある場合、虐待かどうかの判断というものが難しい場合につきましては、参考意見をいただくなどして対応をしていただいておりまして、本当にさまざまな面でサポートをいただいております。
 次の4ページ目をあけていただきたいと思います。
 「代表者会議」の協議内容でございますけれども、表に書いてあるとおり、本市の虐待の現状説明や区の実務者会議の報告、子ども総合センターで対応した事例報告、関係機関の活動状況とか情報交換など、そういったものをこの代表者会議の中で行っております。
 続いて、(2)「実務者会議」でございますけれども、本市には7区ございまして、それぞれの区で開催しております。各区の関係機関の代表者が出席しまして、年4回程度の会議を開催しております。協議の内容につきましては、困難事例について助言指導等の検討を行ってもらっております。会議の中で、医師の先生からは医学的な御意見をいただいております。
 (3)「個別ネットワーク会議」につきましては、主に行政機関が集まって、毎月1回、個別ケースごとの会議を開催しておりまして、同様に児童処遇についての検討を行っております。
 あと、資料ではございませんが、最近、医療機関が関係した事例、これは開業医が対応した事例につきまして、口頭で説明をさせていただきたいと思います。
 児童は、保育所に所属していたのですけれども、休みが多い児童で、今年の4月から小学校に入学する児童で、家族構成としては、本児と、母親は、姉は無職の18歳の3人家族の家庭でございます。たまに登園するのですけれど、そのときに大きな傷やあざはなかったのですが、通園するたびに小さなあざがあるなど、気になる児童でございました。何度か家庭訪問などをしている家庭でございます。そして、母親が言うには、本児が病気がちであるとか、姉が面倒を見ていて保育所に行きたがらないとか、そういった言いわけをされておりまして、昨年暮れにも保育所で、児童相談所と保育所、母親と姉と本児を交えて協議の結果、4月から小学校入学ということも控えており、集団生活が全然できていませんので、集団生活になじませるということで説得をして、1月から保育所に通園させると母親も理解をその当時は示しておりました。1月24日に保育所のほうに出欠の確認をいたしました。保育所が言うには、1月に入り母親からの連絡があって、本児はテーブルで頬にけがをした、本児は保育所に行きたくないと言っているので休ませるとの連絡があって休んでいるとのことでした。診療所も受診していますということでした。その日に、家庭訪問をいたしまして、本児の安全確認をしたのですけれども、目の周りに本当に物すごいあざがあり、目の白いところが赤く充血したような状況でございました。聞くと、1月11日にテーブルで打ったと。そして、翌々日にクーラーボックスでまた同じところを打ったということでした。同じところを打つということも不自然で、傷も不自然だったので、その日のうちに職権による一時保護を行いました。診療所を受診しているということで、診療所に受診した結果を確認したところ、診療所の開業医の先生が、親からたたかれた可能性があるのではないかというような発言をされました。それで一時保護をしまして、八幡病院に受診して診断を仰いだところ、目のまわりがやはり大きく腫れているので、極端に言えばボールとか、人間でいえばこぶしなどでたたかれたものによるものではないかという御意見をいただいたところでございます。
 24日に一時保護をしているのですけれども、18日に開業医のほうを受診した際に、通告をいただければもっと早い対応ができたというような事例でございます。
 これらを受けて、私のほうで感じたことなのですけれども、本市の虐待に対する医療機関の体制は、基幹病院として八幡病院、市川先生のほうで対応していただいておりまして、さまざまな面でサポートを受けております。また、昨年9月にこの会議の席で、市川先生のほうが御説明されたと思うのですけれども、本市の児童虐待のネットワークの構築、また、今日はお手元の参考資料として5ページのところに記載しておりますけれども、医師会のほうで作成しました「医療機関と保育園・幼稚園・学校との連携マニュアル」など、本市では市川先生などの御尽力のもと、取り組みは他の市に比べまして進んでいるようにも感じておりますけれども、今、説明しましたようなことや、先ほど言った統計的なものを見ても、診療所からの通告が少ないというふうな状況が感じまして、まだまだ認識の薄い開業医や病院もあるのではないかというふうには感じております。
 今後、本市といたしましては、医師会とともに、病院を含め開業医の啓発を行う必要があるというふうに考えております。医師会のほうからも、今、言いました連携マニュアルは作成はしておりますけれども、まだ十分には活用されていないという報告も承っておりますので、連携して対応していく必要があるというふうに感じております。
 このような状況で、私のほうで感じたことですけれども、例えば、長期的なスパンで考えるという意味で、児童虐待の意識を高めるということで、臨床研修を今やられているかと思いますけれども、その中で、詳しくは知らないのですけれども、児童虐待に対するプログラム、そういった面の充実を図るといったことや、また、今までも実施したことはあるかと思うのですけれども、病院、特に開業医などについて、児童虐待についての意識調査をして、それを分析して、児童虐待の通告義務などを、開業医が主になるのですけれども、そこら辺の周知徹底を図る等の検討をすることが、効果があるかどうかはわかりませんけれども、いかがなものかなと思っております。
 私のほうからは、以上でございます。
 あと、中山のほうが補足をいたします。
○中山参考人 子育て支援課子ども支援係長の中山でございます。
 補足説明をさせていただきます。
 先ほど高橋が御説明した、北九州市医師会作成の医療連携マニュアルでございますが、市川先生と一緒に中心になって作成された医師会の先生に確認をしたところ、保育所や小学校、中学校でのこのマニュアルの周知率、活用率は高いものだったそうです。しかし、医師会の中には温度差があるということでございました。これは一つ課題として挙げられると思います。
 それから、医療機関と関係機関との連携の現状と課題についてでございます。まず、現状について御説明しますと、保育園の現状ということで、保育所支援担当課長に聞き取りをいたしました。そうしますと、保育所の園医と園との関係があります。熱心な園医で、保育園とも関係がいい場合は、気になる子どもの相談をする環境というのはできています。しかし、園医にも温度差があるというようなことでした。保育所では、毎日子どもを見ておりますので、家庭状況も含めた全体の把握をしております。傷を見た場合に、それが転んでできた傷なのか殴られたものかというのは、子どもをずっと見ていると大体察しがつくと。子ども自身も、ママからパチンをされたと言うようなこともあるそうです。緊急性がある場合は、保育所はすぐ子ども総合センターへ、その他の場合は区役所の保健福祉課という部署がございますが、そこにつないでいるということです。子ども総合センターは、関係機関からの通告があった場合、虐待かどうかの判断が難しいときは、先ほど高橋が申し上げましたとおり、市川先生に、虐待でできた傷かどうかというお伺いをしているということです。北九州市の医療連携は、保育所から子ども総合センター、それから医療という流れでございます。学校も、ほぼ同様の流れをしております。
 こういったところが現状で、課題といたしましては、先ほど申し上げましたとおり、園医、校医に温度差があるということ。それから、保育所、学校から子ども総合センターあるいは区役所、それから医療という流れで対応しておりますが、保育所、学校等の児童の関係機関と、校医、園医、開業医など、身近な医療機関との連携がさらに円滑にいくための仕組みは必要ないのかどうか。それから、在家庭で、どこにも所属がない子どもというのはどこからもつなぎがないということで、医療の比重が高くなるというふうに思いますので、やはり開業医群からの通告の必要性があるのではないかと考えます。それから、私は平成18年から平成20年まで3年間、区役所のほうで児童虐待の対応をしておりましたが、そのときの実感といたしまして、幼稚園は、保育所や学校と比べて若干児童虐待の意識が薄いというふうな印象を持っておりまして、幼稚園の意識の向上というのも必要ではないかというふうに考えております。
 それから、今後の展望について申し上げますと、北九州市では、来年度、児童虐待防止医療ネットワーク事業の予算要求をいたしましたが、北九州市の財政状況が厳しくて、予算が残念ながらつきませんでした。地方は、それぞれ財政状況が異なっておりまして、財政基盤が脆弱なところもございますので、児童虐待に係る経費について全額国庫負担ということであれば地方の財政当局も予算を認めやすいのではないかと思っております。
 福岡県では、平成25年度からコーディネーターを配置して、2地区、筑豊・筑後で医療ネットワーク事業を行うという予定にしておりまして、北九州市は、前回、市川先生が発表なさった拠点病院群を中心とした児童虐待防止医療連携ネットワークというものがございます。これと国の医療ネットワーク事業は共通する部分もありますし、違う部分もございます。先ほど申し上げた課題を解決するためにどういったことができるかという視点から、来年度は既存の事業とのすり合わせを行って、再来年度のコーディネーターを配置した医療ネットワーク事業に向けた検討をしたいと考えております。
 私から、補足の説明は以上でございます。
○奥山座長 高橋課長、中山係長、どうもありがとうございました。
 では、引き続きまして、越谷児童相談所の古澤部長にお願いしたいと思います。
 よろしくお願いいたします。
○古澤参考人 古澤と申します。よろしくお願いいたします。
 私のほうは資料は非常に少なくて、現場の声を届けてこいという、所長からの命もございまして、少しお耳を傾けていただければというふうに思います。
 まず、資料は用意してこなかったのですが、私どもの児童相談所のアウトラインをお伝えしたいと思います。
 埼玉県、さいたま市が政令市でございますので、さいたま市分を除いた約600万人の人口のところを6カ所の児童相談所で管轄しております。
 当越谷児童相談所は、600万人のうち約126万人、児童人口20万5,000人ぐらいです。越谷児童相談所はちょっと特殊でして、実は、本所と、草加市というところに支所を置いておりまして、その管轄を2つに分けて分担しているような状況です。私は本所のほうに属しておりますが、本所が3つの市と3つの町、合わせて73万6,000人の管轄です。現在、地区を担当しております児童福祉司、ケースワーカーが9名。平均で割ってしまうと8万2,000人ぐらいの人口を1人が担当しております。その9名のうち、20歳代が7人おります。残り2人は30代、40代ということでございますが、非常に若い。埼玉県が特殊なのかしれませんけれども、今、20歳代の方のところで福祉行政職をふやしていこうということでふえておりますので、非常にケースワーカーが若い。そういった事情がございます。その9人を、2人のスーパーバイザー、担当課長が見ているという状況です。その2人の課長の上に私がいて、その上に副所長がいるというふうなスタイルです。フリーで実はもう1人担当課長がおりまして、その者は、実は私どもの管内で、ほかの児童相談所の管内でも、ちょっと死亡の事例が出まして、検証委員会等も行われまして、そういったことへの対応の一つとして、市の体制の強化ということで児童相談所の職員を月に10日間、市のほうに派遣をする。併任の形なのですが、そういった形をとっております。現在、私どもの管内の春日部市に1名職員を出しています。
 何をやっているかといいますと、まずは、ということで、市の中での虐待相談を受けるについてのマニュアルづくりですとか、あるいはその記録だとか、ケースの挙げ方、そのアセスメントの仕方、終わり方というあたりの、少しマニュアル的なものをみんなで議論しながらつくっていこうというようなことを1年目はやっております。まだ、公式には決まっていないようですが、恐らく来年度も継続になるのではないかというふうな状況になっております。
 あと、地域の特徴ですが、今日、厚労省までお邪魔させていただいて、児童相談所から、スカイツリーラインになったのでしょうか、スカイツリーラインで1時間弱で行けるのですが、埼玉県の南東部、東京都のいわゆる下町地域に隣接をしている、東京都のベッドタウンでもあるというふうな地域です。
 相談の件数ですが、詳しい統計は私何も持ってこなくて、ちょっと性格があらわれてしまうなと、心が痛んでおりますが、虐待は、全国で6万件弱ですね。埼玉県で約4,500件ぐらいだと思いました。越谷児童相談所が680件です。ずっと増加傾向で、特にここ2~3年増加の率が高くなっているという印象です。埼玉の場合、増加で一つ大きいのは、近隣からの泣き声通報がふえているという印象があります。もう一つは、警察署からの文書での通告、特にDV目撃による心理的虐待という形での通告がふえております。
 ガイドラインはそのあたりにさせていただいて、ちょっと資料のほうで、なるべく事例などを御紹介しながら、具体的なところでどういった連携をというふうに、考えるヒントにできればと思って、事例を一つ持ってきました。
 急性硬膜下血腫のケースですが、実は、今年度、多分10件ぐらい医療機関からの直接の通告が入っているのですが、急性硬膜下血腫が3ケースか4ケースあったかと思います。比較的、多いです。
 このケースは、生後7か月の男の子で、実の御両親と3歳のお姉さんの世帯でした。救急搬送ということで、急性硬膜下血腫プラス眼底出血と。手術は必要がなくて、点滴等の保存的な治療をしています。最初に見てくださったのは恐らく脳外科のドクターだと思うのですが、脳外科のドクターと小児科のドクターとでお話をされて、ひょっとするとこれは複数回受傷している可能性があるというふうな判断をされました。保護者の方は病院には、お母さんが夕御飯の支度をするか何かのときに目を離して、その間に転んでしまったというふうな説明をされていたようです。病院は、保護者の方には虐待という言葉は使わず、非常にデリケートな問題を含んでいるので念のため児童相談所に連絡しますといった御説明をしていただいておりました。この病院は公立の病院です。特に虐待対応の専門チーム等の組織はないです。ドクターのほうから連絡を受けた医療ケースワーカーの方が、救急搬送されたその日に児童相談所に連絡をしていただきました。
 相談所は通告を受けますとどういった動きをするかと申しますと、まずは予備調査ということで、結構基礎的な調査を一気に行います。市役所に住民票の転出転入の経過ですとか、あるいは市の児童担当のほうでかかわりがあるかないか、保育所の利用があるかないか、そういった調査。あとは、市の保健センターに、いろいろな検診ですとか予防接種、その他持っている情報をざっと把握をします。小さいお子さんですのでこれどまりですね。学校に行っているようなお子さんだと学校への調査とかというのも電話でざっと行って、その上で、原則即日、緊急受理会議ということで、所長以下関係職員が協議の場を持ちます。このケースについても、いろいろ情報を集めている中で、救急搬送のときの搬送確認書というのも入手できたりということがありました。市の児童担当のほうは特に情報はなかったのですが、保健センターのほうで、ベビーズ訪問ですとか4か月検診をちゃんとやっていますよと。予防接種についても必要なものは全て受けています。特に何か心配な情報はありませんということが入っていました。
 3歳のお姉さんについて、発達の遅れか、あるいは穏やかな発達なのかというところでのコメントと、実は別の病気で別の病院に入退院を繰り返していた時期があって、現在はフォローというふうな形で、ただ、そのお姉さんのかかわりの中では、特に心配な御家族という情報はなかった、というあたりの情報を得ています。その情報をもって緊急受理会議をやって、とにかくすぐに病院のほうに調査にお邪魔しましょう、少し詳しいお話を伺いましょうというふうな方針になって、病院に訪問をしています。病院の調査の上で、保護者のほうにどういったアプローチをしようかという検討をしましょう、ということでした。
 この最初の段階では、まずは入院の期間がどのぐらいなのかということと、家族への調査を入院中にどこまでやるか。あと、純粋に医療的な判断だけで退院をしていいのかどうかというあたりのヒントを得る、そういった視点で調査を始めております。余り細かいお話は省略させていただきますけれども、病院で詳しいお話を伺い、結果的には、入院中に保護者の面接と家庭訪問をして、受傷時の状況を、実際にその家の中のどこにお子さんがいて、どこにお母さんがいて、どういう状況でというのを詳しくお聞きしています。
 そういった調査をした結果、確定はできないものの、恐らく積極的な虐待はなかったであろうというふうな判断をしました。ただ、不適切な養育という言葉をここで使っておりますけれども、事故防止に対する意識が非常に低い親御さんだというふうな判断をさせていただきまして、市の児童担当や保健センターと協力して、一定期間見守りの家庭訪問等、定期的なカンファレンスを開催してフォローしていこうという方針になりました。
 実は、この家では、お姉さんがちょっといろいろ病気を持っていたり、発達もゆっくりめだったりということで、そちらに少し注意が向いている中で、このお子さんは男の子さんですが、非常に発育・発達もよろしくて活発なお子さんで、元気でいいじゃないかということで、余り危険に対する配慮がなくて、男の子だし元気なのはいいことだというふうな大ざっぱな見方で養育をしていたということが一つありました。
 月齢的にもそうなのですが、生まれたときから若干頭囲が大きいお子さんで、どうも頭が重ためのお子さんということで、その辺からも転倒の危険性はかなり高いお子さんだったということがありました。7か月ですが、つかまり立ちを既にしておりまして、かなり活発につかまり立ちをして、それで後ろにストーンと転んで、そこはフローリングで何も敷いてないというふうな状況がありました。お部屋の中はとても物が多くて、物が多いがために死角も多くて、お母さんの視線が遮られて、お母さんが台所に立っているとリビングにいるお子さんがほとんど見えないというふうな状況でした。その辺の事故防止の対策をメインにしながら、家庭訪問を最初は2週間に1回、保健センターと市の児童担当と児童相談所でローテーションを組んで、2期間ずつセットでやりました。月齢に応じた安全対策ということで、子どもの発達の状況に応じて少し先取りをして、こういうところは危ないんじゃないのとか、これぐらいになるとこういうところも手を伸ばしたり背伸びをしたりして手が届いちゃうんだよというふうなことですとか、かなり具体的な助言をしてきました。そんな中で、親御さんのほうは、一緒に危ないところをいろいろ考えて助言をしてくれるので大変に助かるというふうな、非常に好意的な見方をしてくださいまして、親御さんと協力体制を組んで、フォローを現在は2か月に1回ぐらいの訪問頻度で、もうそろそろ大丈夫かな、なんていうふうな段階になっています。
 カンファレンスについては、市の児童担当と保健センターと児童相談所の三者で継続をしております。病院には、最初は比較的頻度多く定期的な通院があって、次第に頻度を減らしてという形でかかわりがあったようです。こちらのほうから病院にはお尋ねをして、受診の結果どうでしたか、ちゃんと受診に行きましたかというふうな情報を取っていますが、なかなかカンファレンスへの参加というところまでは、お忙しくて難しいというふうに言われておりました。
 こういった事例というのは、医療機関がかかわる虐待の事例としては比較的多いのではないかと思います。この病院のように虐待の専門チームがないとなると、気がついたドクター御自身から、あるいは医療ケースワーカーから御連絡をいただくという形になります。埼玉の場合は、その後のかかわりとしては医療機関さんのほうは余り積極的ではなくて、行政の側が問い合わせをすると情報は伝えてくださる、そういった状況になっております。市の要保護児童対策地域協議会には、地元の医師会ですとか公立病院さんはメンバーにはなってはいるのですけれども、なかなか個別のケースで一緒にカンファレンスをやるというところまでは難しいのが実態です。
 では、次の「医療との連携における課題」のほうに移らせていただきます。
 医療機関のほうでかかわっていただくケースというのは、このケースなども一歩間違えれば生死にかかわる重大な事案であったのですけれども、そういった事案から、割と予防的にかかわる軽い事案まで非常に幅が広いです。虐待の相談というのは、泣き声から本当に命にかかわるものまで幅広いのですけれども、医療機関でかかわる事例についても同様に、非常にレベルがさまざまです。したがって、その都度の判断ですとか、必要な対応というのも相当幅が広い。そうすると、どうしても、個々の医療機関やドクターがイメージしている児童虐待というものも相当温度差があったり、落差があったりというふうなことがあります。
 あとは、その下に書いてありますように、直接、医学的な診断とは別で虐待を疑うというようなケースもございます。
 下に、ちょっと事例1~3と書きましたけれども、例えば小児科に風邪で来院をした母子なのですが、そのお子さんに傷、あざがあるというのを、たまたまその受付の方が発見したと。それで、ちょっと、ということでドクターにささやいて、ドクターのほうで、それでは心配だから、ちょっと児童相談所に連絡をということでいただいたケースがあります。
 このケースは小学生だったのですが、結果的にはDVのある家で、メインはお父さんからお母さんへの暴力で、このお子さんのあざというのは、お父さんからお子さんへの虐待ということだったのですが、お母さんがまだ逃げるところまでの決心がつかず、しかし、ちょっとDVの証拠は集めておきたい、みたいなことで、子どもの傷・あざについても、実は発熱で受診したのだけれども、診断書を書いてもらえないか、みたいなこともその後のお話で出てきたというようなケースでした。
 次の、2番目の事例、これはかなり特異な事例なので、若干、脚色をさせていただいておりますが、中学生の女の子が妊娠して、やはり公立病院の産婦人科を受診した。相手はというところで、お父さんから、自分との間の子だという話があったと。当の中学生自身は何もお話しされなかった。ただ、医学的には何の問題もなくて、母胎も胎児も異常なし、いわゆる妊産婦としてのフォローアップをしていくというふうな事例でした。
 このケースは、実は、ナースですね、師長さんが、これって性的虐待ではないのでしょうかということに気がつかれて、そこから話が広がって、このケースもたしかMSWのほうから直接には連絡をいただいていました。このケースは、現在も進行中で、お子さんについては職権で保護をしておりまして、赤ちゃんも無事に生まれまして、赤ちゃんについては同意で乳児院に措置をしているというふうな状況です。
 3番目の事例ですが、お母さんの言動から、育児が苦しい、たたいてしまうというふうな訴えが、たまたま診察をしていた、この内科医というのは心療内科的な内科医ということで、お母さんがいろいろ自分の悩み事を訴えている、その中で自分がたたいてしまうんだ、苦しいんだというふうな訴えがあったと。こういった形の医療機関へのつながり方もあるということですね。
 ですから、直接病気を診てもらうということはもちろんなのですが、そういうこととはまたちょっと違ったところで、視点を変えるとこれも虐待かもしれないなというふうな疑いで児童相談所につなぐことができるという部分があります。どうしても、ドクターは病気を診るのが仕事ですので、病気の部分。あと、看護スタッフですとか医療事務のスタッフの方がまた違う視点から親子関係の様子、待合室での親子の様子を見て、これはちょっと不自然だというようなお話があったり、やはり医療機関はいろいろなスタッフがいらっしゃるので、そこの情報をまとめると、思った以上に虐待の発見が可能なのではないか、虐待の疑いというのを拾えるのではないかというふうに私ども感じているところです。
 先ほど北九州市さんからもちょっとお話がありましたが、私どものところでは、恐らく医療機関からの直接の虐待通告は3%前後ではないかと思います。決して多くはありません。かつての印象では、医療機関からの通告というと、もうそれだけで相談所内に緊張が走る。相当重篤なケースかもしれないということで、非常に緊張が走ったということがありました。ただ、先ほどもお伝えしたように、今年度は、何件かありますが、比較的軽いというのは適切かどうかわかりませんが、そんなに重篤ではないケースが多くなっています。通告のされ方が、事故の可能性が高いけれども虐待は否定し切れないので、念のために通告をしますというふうな形で御通告いただいたケースが何件かあります。先ほどのケースもそんな意味合いがありますが、再発防止の指導をメインにしてかかわってほしいとか、あるいは養育支援のネットワークを構築してほしいので児童相談所に連絡をしたというふうなものも非常にふえてきている印象はあります。
 私どもの管内でも、本所では2カ所の公立病院と、1カ所大学病院があるのですが、7割方はその公立病院、大学病院からです。残りが小児科のお医者さん、あとはその他ということですね。比較的大きな病院からの通告がメインになっております。ほかの機関からの通告だったけれども、医療機関と強力な連携を組んだというケースもございます。例えば、救急搬送で救急隊から警察に連絡が行って、警察から児童相談所というようなケースもございました。それは、随分遠くのほうに住んでいる親族から、たまたま電話でやりとりをしていて心配だったということで救急要請があった。小学生の、障害を若干抱えたお子さんで、低体温るいそう状態で、要保護児童対策地域協議会のケースにも挙がっていたので、休みの日だったのですが、緊急連絡網のルートで警察から児童相談所に連絡が入って、病院にそのまま児童相談所の職員が駆けつけたというようなケースもございました。そのケースについては、病院への一時保護委託や転院など、幾つか至急の調整が必要でしたので、その日のうちに、所長とは電話連絡をとりながら調整をしたようなことがございます。
 あと、瑣末なことといえば瑣末なことなのですが、実務的には結構大変だったのが、その緊急搬送された病院が付き添いがないとだめだということで、御家族の方の付き添いをさせるわけにはいかない、このケースの場合は御家族もいなかったのですが、いたとしても付き添いをさせられるような状況ではないということで、でも、だれか付き添ってくれというふうなことで、結果的には児童相談所の職員が一泊したというふうなこともございました。
 それから、広く言えば虐待なのでしょうが、ハイリスクのケースですね。出産をしたのだけれども、果たして、ここの家で育てられるか心配、例えば親御さんが精神障害だとか知的障害、あるいは非常にお若い、若年の親御さんだということで、出産は無事に済んだけれども、この後どうなんだろうというふうなことで、児童相談所に御連絡をいただく場合もございます。こういった場合は、ひょっとすると施設を使わないといけないかもしれないというときには児童相談所に御連絡をいただくように思います。そうではなく、基本的には在宅でサポートをというふうになると、恐らく母子保健の分野でのサポートということで、ハイリスクの家のフォローで保健師さんを経由して、地元の要保護児童対策地域協議会で生まれる前からカンファレンスをやるなんていう事例も幾つかございます。そういうところに、私ども、お招きをいただいて一緒にかかわるということもあったりします。
 児童相談所が調査をさせていただくというのは、一つには虐待を疑われた事実について確認をさせていただく。医療機関からいただいた説明と保護者の説明に矛盾はないかということを中心にして、必要に応じて家庭訪問をして現場で実際に説明を求めるようなこともあります。あともう一つは、やはり児童相談所がやれる強みとしては、社会調査の部分ですね。その御家族の社会調査をやって、そのリスクをアセスメントしていくというふうなところを児童相談所はやることができるので、その辺で児童相談所の機能を使っていただきながら、その後のサポートの体制を組んでいくということはあるかと思います。サポートについては、各市や町の要保護児童対策地域協議会を中心とした地域ネットワークに参画をしていくという形がメインになっていくかと思います。
 今、県の小児医療センターの平野さんが委員でいらっしゃいますけれども、小児医療センターさんとは非常にいい連携をとらせていただいているというふうに思っております。ただ、中には、比較的大きな病院のドクターも、虐待のケースは小児医療センターに転院させてもらえばいいんじゃないの、みたいなことをおっしゃる先生がいらっしゃったり、やはり、まだまだ1つの病院、1人のドクターのレベルまでは、虐待についての対応のイメージというのはつくられていない先生方もたくさんいらっしゃるのだなというふうに感じるところです。
 最後のページですけれども、児童相談所の現場から望むことというところで、具体的なところでは、医療機関の中の窓口をぜひ一本化していただけると助かるなというところがあります。先ほどお伝えしましたように、病院にはいろいろな職種の方がいらっしゃるので、非常に多面的な情報を得られるという点は強みなのですが、一方、それぞれの立場で、それぞれ児童相談所にいろいろなお話をされてしまいますと、相談所の中も混乱してしまうということがございます。できれば、その医療機関の中の内部での意見をまとめて、窓口一本化でやりとりをしていただけると助かります。そうしますと、児童相談所の調査結果ですとか、今後の方向性をフィードバックする際にも情報伝達や連携がスムーズに行うことができるように思われます。
 もう一つは、医療機関を含めた地域の関係機関の児童虐待についてのスキルアップということで、さまざまな形での研修がこれからますます必要になってくるかと思います。
 以上です。どうもありがとうございました。
○奥山座長 ありがとうございました。
 要保護児童対策地域協議会と児童相談所が同じレベルにある政令市の場合、それから、県、しかも埼玉県はかなり人口が多い県で、医療機関は人口比で日本一少ない県ということで、そういうところの状況ということで、いろいろお話をいただきました。
 幾つかポイントがあると思うのですけれども、まず、その通告ということに関しまして、開業医さんからの通告が少ないのではないかというような御意見も出ていましたが、内海委員、何か御意見ありますか。
○内海委員 虐待予備軍みたいなものは、多くの小児科で、子育て相談や検診の機会を利用して介入を実際にもうしているケースがかなりあるのではないかということは一つ言えると思うのですね。もう一つは、明らかにというか、まだ、事の重大性が頭ではわかっていても、現場で介入という体験をしていないので、通告にやはり敷居が高い。それから、行政とフェイス・トゥ・フェイスでのかかわりのない先生のほうが、圧倒的に実数としては多分多いと思うのですね。医師会の理事をやっているとか、そういうことでもなければ行政の組織はわかるけれども顔が見えてこないので、そのあたりが地区医師会として、どう開業医と行政を具体的につなげていくかという課題はあると思います。
○奥山座長 ありがとうございました。
 前回の会議でも、こういうネットワークがあって病院間連携があることによって通告がしやすくなるのではないかという考え方と、それがあることによって逆に預けてしまって自分が通告しなくなってしまうのではないかという御意見とがあったと思うのですけれども、委員の先生方から今日のお話を聞いて。佐藤委員。
○佐藤委員 北九州市、本当にありがとうございました。きちっとした資料をまとめて、短い時間で端的な御説明、本当に感謝申し上げます。非常にわかりやすかったです。
 今、先生のほうからお話しございましたが、私は保育園の園医のばらつきということがちょっと気にかかっておりまして、実は、歯科医師は園医の中でも、保育園の中でも多少位置づけが医師と違うところがございます。同じようにばらつきがあるのであれば、これはやはり問題視しないといけないと思っておりますので、このばらつきの課題というのは歯科医師にもあるのかどうかということが1点目。
 それから、簡単に聞きます。実は、今回、出していただいた資料の中で、う蝕に着目してくれたことは大変ありがたいと思っておりますし、複数の都道府県の歯科医師会と行政が一緒になって一時保護の子どもたちのう蝕の状態を見ますと、はるかに多いのですね。そういうことに着目なさってくれたことは本当にありがたいのですが、今日の資料の中には一時保護児童の歯科検診の実施状況がなかったのですが、やったかやらなかったかだけ、ちょっと教えていただきたい。
 それから、瑣末な問題ですが、18ページに未治療のう蝕が多いという中で、虫歯が多いと全身疾患の影響の記載がありますが、上顎洞炎に至るというのは、これは永久歯の課題で、乳歯の課題、もう少し3歳4歳の課題であれば、例えば摂食の問題であるとか、発熱の問題であるとかというふうな問題が出てきて、上顎洞炎に至るケースはもう少し年齢が上の永久歯の課題のように技術的には思うのですが、そこの部分のお答えよりも、むしろ、歯科医師会が、もしくは歯科の専門、学術団体関係がこれらの中に御参画になっているのかなという、その3点を簡単に教えていただければありがたいのですが。
○奥山座長 では、北九州市のほうから。
○高橋参考人 このマニュアルについて歯科医師会等に確認しているかということまでの確認のほうは、まだしておりません。○佐藤委員 園医のばらつきについては。
○高橋参考人 園医のばらつきで申しますと、まだ、分析中ということで、概略を聞いただけの話なのですけれども、小児科医などはやはり意識は高いというふうな感じでは伺っております。ただ、ほかの一部に、ちょっと関心が薄い開業医が見られるということで、今のところ御意見を医師会のほうから伺っております。
○奥山座長 ありがとうございました。
 ほかに御意見ございますか。内海先生。
○内海委員 保育所の嘱託医のことですが、日本医師会でも、昨年2年間、保育園の嘱託医の体制のあり方という答申が出ていまして、非常に地域格差が激しいのですね。学校保健法に決められているような、学校医の職務のような規定は嘱託医にはなくて、厚労省が出している保育の指針の中に、保育所から嘱託医に求めるニーズは高いのですけれども、嘱託医の身分設定ですとか、嘱託医の業務内容が余り細かく書かれていないので、その嘱託医の資質や熱意で左右されている部分がかなりあって、例えば年1回だけ構わないというところもあれば、週に一度来てくださいというところもあるし、嘱託医自身も積極的に介入したくても年1度の予算しか取っていないので、年1度の検診でいいですと言われるようなところもありますし、昨今の、保育所がどんどんつくられている中では、私は文京区ですけれども、文京区の公立保育園ではゼロ歳児は月2回行くことになっていますが、新しくできた保育園では年1回、2回しかオーダーがないという実情で、その辺が、保育所に通う子どもたちがふえてくる現状を思うと、看護師を置いている保育所も、望ましいと書いてあるだけで、置いていないところは過半数を超えていますので、そういう体制づくりもしていったほうがいいのではないかと思います。
○奥山座長 ありがとうございました。
 考えてみれば、医療機関だけではなくて、園医という形で医者もかかわっているということも意識に入れておいて、そちらとの連携をつくっていくネットワークも考えていかなければいけないというふうに思いました。
 ほかに御意見ございますか。
○井上代理 では、ひとつよろしいですか。井上です。
 今、お聞きして感じたことが1点と、あとは北九州市の方に質問があるのですけれども、医療者からの報告が数%台で少ないというふうにおっしゃられたのですが、米国のデータなどを見ても、医療機関からの報告というのは大体数%台なのですね。米国は、これは4~5年前の報告ですけれども、8割ぐらいの施設で小児科の研修医がしっかりと1か月間、虐待のことを学ぶローテーションがあって、そういう中で、例えば地域に出て行って、日本の児童相談所に相当する人たちがどういう活動をしているかとか一緒について回って、地域の中で、虐待を受けている子どもたちがどのように扱われているかというトレーニングを受けていて、卒業の時点ではほとんどの人が虐待に対して、小児科の研修医が比較的自信を持って対応できるというようにアンケートに答えているのですけれども、そういった教育をされていても数%台なので、日本ではなかなかそこまでいっていないと思うのですけれども、その状況であって数%台というのは、よく頑張っているほうではないかと個人的には思うのですね。それで私たち甘んじていてはよくなくて、実際、こういったネットワークづくりの中で、もしかしたらターゲットとするのは現在働いている、勤務している小児科の先生方、いろいろな職種の方々とあわせて、これから小児科医療、地域に出て行こうとしている医師であり看護師であり、そういう方たちへのターゲットを広げていくというのも、ひとつの考え方ではないかなというふうに感じたことが1点ですね。
 あともう一つ、北九州市の方の発表にすごく私もう感動して、素晴らしいな、素晴らしい取り組みだなと思ったのですけれども、ちょっと気になったのは2点で、性的虐待が若干ふえつつあるというふうな御報告だったのですけれども、性的虐待というのは非常にセンシティブで、私自身が救急で診療していて、実際に来られるのは、はっきりわかるやつなら全然迷わないのですけれども、非常に疑わしくて、けれども証拠がないことがほとんどなのですね。そういう方たちへのインタビューの仕方とか、非常に私たち心を砕いて、誘導しないように、そういったことも、実は米国の人たちはトレーニングを、僕たちも受けるのですけれども、なかなか難しいなと感じながらしているのですけれども、その辺の対応を何か具体的に考えていることがあるのかということと、これはニューヨークの小児病院からの報告ですけれども、身体虐待を受けた子どもたちの大体7割ぐらいは時間外に受診しているのですね。私たちが実際診療していても、悩ましいのは大体時間外で、これどうしようかなと思ったときに相談する児童相談所の方たちはおられなくて、当院のソーシャルワーカーも家に帰っていませんので、結局怪しいやつはもう仕方ないから入院させましょう、安全確保のために入院させましょうという話になるのですけれども、後ろにネットワークをつくっておられて、非常に情報を持っておられるので、こういった情報がもし、例えば24時間アクセス可能とかいうのであれば、これはすごいなと思うのですが、そのあたりはどうですか。
○高橋参考人 答えられる範囲で御回答をします。
 まず性的虐待については、本当に重篤な虐待であるということで認識をしておりますので、本市の取り扱いとして、性的虐待の疑われる児童につきましては、基本的にまず一時保護をするというような形で、それから、児童、保護者にアプローチしていくことで対応しております。対応する職員につきましては、性的虐待の研修を受けた職員でそれも複数で対応をするというような形をとっております。傾向といたしましては、小学生などもちょっと件数が上がっているのですけれども、本児がちらっと先生に、お父さんからさわられたとかいうような発言があれば、直ちに学校に行って、とりあえず児童を保護して、後は面接してその事実関係を調べるというような対応をとっております。中学生、高校生で多いのは、やはり友達に相談をしてその友達が母親に言って、母親からの通告がある。そういったような形が今年のケースで何件か、中学生、高校生はあったというふうな状況でございます。
 以上でございます。
○奥山座長 時間外対応のネットワークの中でというのは。
○高橋参考人 時間外対応につきましては、北九州市の場合ですと、係長以上の職員が携帯対応しておりまして、ホットラインが24時間あいておりまして、そこにそういう時間外に通告があれば、た重篤な場合がございますと、担当者が出て行って一時保護を行うというような形で対応しておりますけれども、去年、今年と性的虐待で時間外に出て行って一時保護をしたというケースはないというような状況でございます。
 以上でございます。
○奥山座長 ありがとうございました。
○井上代理 非常に先進的な取組みをされておられるなと思ったので、モデルになっていくシステムなのではないかなというふうに思ったので。ありがとうございます。
○奥山座長 ありがとうございました。
 通告のところで少しお話を進めていたのですけれども、きょうの2か所のところからの御報告の中で、通告の問題と、それから、先ほど北九州市のほうからは、目の周りのあざに関して、市川先生のところに、セカンドオピニオンといいますか、それを求めて非常に役に立っているという御報告でございました。
 埼玉県のこの「連携事例:A」というのを見ていると、これはセカンドオピニオンを多分求めておられないと思うのですけれども、恐らくここのメンバーにセカンドオピニオンを求められたら、かなり違った答えが返るだろうなという症例ではないかなと思うのですね。やはりセカンドオピニオンというのはかなり重要だとは思うのですけれども、その点でちょっと市川先生お聞きしたいのですけれども、児童相談所のケースを、拠点になる病院、こういうコーディネーターがいるような病院が全部セカンドオピニオンを受けるということになったら相当大変になるのではないかと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
○市川委員 そんなには大変ではないと僕は思っています。
 24時間救急やっていますので、もちろん、時間外にかかっても連れてきていただいて、預かりするかしないかというのは、僕らの意見で決めていただいています。先生がおっしゃるように、そういう基幹病院になったときには、そこに集中するという形で事例がかなりふえるのではないかなということですけれども、現実的には、例えば毎晩40人急患の患者さんが来られて、そのうちの1人が児童相談所の人が連れてきた患者さんであるだけであって、そんなに危機感は持っておりません。
○奥山座長 桜山委員はお時間があってお帰りになられたのですけれども、東京都は、法医学の先生方にセカンドオピニオンをお願いするという形でたしかやっていると思いますが、やはりセカンドオピニオンは非常に重要だなという気がしているのですけれども、この拠点病院がどの程度そこを担っていけるのか、もう少し考えて報告書の中に盛り込むようなことも考えていかないといけないかなと思いました。
 もう一つ、3番目の問題として、要保護児童対策地域協議会への出席ですね。
 実はこの前も、子どものこころのネットワーク事業というのが、これとは全然別にあるのですけれども、児童精神科の先生が静岡市では要保護児童対策地域協議会の実務者会議に必ず出ておられて、親御さんの精神的な状況に関してかなりコメントを述べておられて、すごく役立っているというお話もいただいているのですね。医者が要保護児童対策地域協議会で果たす役割というのはかなりあると思うのですけれども、そのときに静岡市の先生がおっしゃっていたのですけれども、やはりそういう事業があるからそのお金で出て行けるのであって、診療報酬は何もつかないので、病院としてはとてもそれをカバーすることはできないのだというお話がありました。そういう意味で、このネットワークの中でどれぐらい要保護児童対策地域協議会への出席というのが可能になるのか。その辺も少し考えていかないといけない問題なのかなと思いましたが、何かその辺で御意見ございますでしょうか。
○平野委員 ちょっと戻るのですけれども、要保護児童対策地域協議会の前にセカンドオピニオンのことで1つ。
 埼玉の小児医療センターなのですけれども、御意見を出させていただきたいと思うのですが、法医学の医師は当センターにはおりませんで、放射線科のドクターと脳外科のドクターがかなりこういった役割を担っておりまして、実際、センターに来院する患者さん以外でも、他県とか、結構遠いところの警察などからも意見を求められることがございます。そういうことに対して、やはり手弁当でやっているという部分で、いつも会議で話題に上るものですから、ネットワーク事業の中でそういうことはぜひ盛り込んでいただけたらと思います。
○奥山座長 ありがとうございました。
 ほかに御意見ありますでしょうか。
 もう一つ、北九州市さんのほうからも出ていた、先ほどの議論の中でも出ていた教育ですね。埼玉のほうからも出ていたと思うのですけれども、地域での医療的な面での教育を担ってほしいということも御意見の中に出ていたというふうに思います。やはり医療機関への期待という意味では、通告のみならずほかの面でもかなり期待があるのだなということをいろいろ勉強させていただきました。
 では、地域の行政側からの御発表に関する御意見、ほかになければこれで締めさせていただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
 では、2つ目の議題に移りたいと思います。少し時間が押していますが、できるだけ迅速に進めていきたいというふうに考えております。
 2つ目の議題ですけれども、児童虐待防止医療ネットワーク事業に関する報告書の骨子案でございます。
 資料3、資料4について、事務局より御説明をお願いいたします。
○山本課長補佐 まず資料3ですが、「児童虐待防止医療ネットワーク事業に関する検討会報告書(骨子案)」をお示しさせていただいております。
 この検討会ですが、児童虐待防止医療ネットワーク事業というものが今年度から予算化されておりますが、本年度はまだ事業を実施する自治体がいないという状況でございます。そのため、本年度は児童虐待対応に関して、医療機関が先進的に取り組んでいる自治体、医療機関について取組み事例へのヒアリング、それから研究成果の報告などを前回も行いまして、これらに基づきまして、医療機関における児童虐待の早期発見と地域の関係機関との連携強化のための取り組みの考え方をまとめられたらということで開催させていただいているものです。
 これまでの検討会の事例報告とか、各委員の御意見、研究成果等を踏まえて、できれば今年度中に検討会の報告書ということでまとめられればと思っておりまして、本日は大まかなその検討会の報告書の骨子案ということで、事務局で作成させていただきました。構成やキーワードにつきまして何か御意見があればいただけたらと思っております。
 構成ですけれども、まず、「はじめに」という形で、児童虐待対策がどのような仕組みで行われているかというような概要、そしてこれは医療機関に関する検討会、事業でございますので、児童虐待対応における医療機関の役割、医療機関や医療関係者に通告の義務があるというようなことを示すということは必要かと思います。
 そして、医療機関における児童虐待対応の現状と課題ということで、対応件数の推移でありますとか、院内虐待対応組織が実際医療機関にどの程度設置されているのかというような現状、そして、それらの現状を踏まえて、院内で組織的対応を推進していく必要性とか、医療機関のネットワークというものが必要だというような課題というものが浮き彫りとなるのかと思います。このような現状と課題を踏まえて、児童虐待防止医療ネットワーク事業というものを開始しているという経緯と目的というものを「はじめに」のところで構成するのはいかがかと思っております。
 実際、児童虐待防止医療ネットワーク事業というのは、その院内での組織的対応を地域全体として強化するということ、そして、医療機関同士、関係機関同士のネットワークというものを強化することを目的にしていますが、それらによって医療機関における児童虐待の早期発見・早期対応の推進を図るということですので、2番の部分で事業の実際の内容ということで、院内の組織的対応というのが実際どのような形で行われるべきなのかということ、リーダーとコーディネーターというものがどのような役割を担うべきなのか、院内児童虐待対応組織の基本と発展というのはどのようなものなのかというようなこと、研究班の報告などでもございましたので、そのようなものを盛り込んではどうかと思います。
 また、拠点病院を明確化するということで期待をされることということで、地域の医療機関からの相談・紹介先が明確化されること、医療機関間連携が促進されること、行政等地域の関係機関と医療機関の連携が促進されることや、研修や事例検討会など、平素からの関係構築などさまざまなことがあるかと思いますので、そういうものを明確に記載してはどうかと思います。
 3番目ですが、第1回の検討会で委員の先生方からも、妊娠期や出産早期からの取り組みという、切れ目のない支援の必要性というものの御意見が随分ございました。
 この事業の大きな目的というのは、医療機関における児童虐待の早期発見・早期対応の推進というところではございますが、やはり切れ目のない支援という視点から重要な点ではございますので、児童虐待の発生予防や診療体制について、重要性ということを言及してはどうかと思います。
 終わりに、児童虐待防止医療ネットワーク事業の活用の可能性というようなことを言及していただければ、この事業に関する検討会の報告書としての構成としてはいかがかと思っております。
 また、参考としまして、これまでの事例報告や研究の報告書、マニュアルなどもございますので、そういうものを参考としてつけたり、今後、児童虐待防止医療ネットワーク事業が普及してまいりますと、そのネットワーク事業を行うことによって、どのような効果があったのかなど、実際やっているその事業でどんな進展があったのかというようなことを見ていくようなことが必要になってくるかと思いますので、まだ事業も始まっていないので今後の検討部分だとは思いますが、せっかくの機会ですので、この機会にこのような評価指標の案みたいなものをつけるのも今後の進展にはどうかと思いまして、参考に入れるかどうかということも含めて、御意見をいただけたらと思います。
 資料4は、その評価指標の案になるようなものは、今までの検討会や研究報告などから出ているものとしては、このような視点での評価というものが考えられるのではないかということで、資料4におつけさせていただいております。
 評価の視点としましては、まず、拠点病院の院内虐待防止対応組織がきちんと発展型のものなのかどうか。発展型というのもいろいろな御意見があるかと思いますが、余り多くなりますと指標としては難しくなると思いますので、考えられるものを挙げさせていただきました。
 また、そのような拠点病院で院内児童虐待対応組織を設けることによって対応がどのように変わったのかというようなことで、院内児童虐待対応組織が受理した件数がどのように変わったのか、そのうち、内容もどのように変わったのかというものを対応理由別に把握したり、対応をした後に通告・相談など、地域の関係機関に相談・連絡というものがどのように変化していくのかというようなものを見るということが一つではないかと思います。
 先ほど医療機関に研修への期待というものも御発言がございましたが、そういう拠点病院が研修というものを行うことによってどういう効果があるかということで、なかなか指標は難しいのですが、例えば研修実施回数と参加率とか、地域の医療機関や関係機関というのがどの程度その研修に参加しているのかというようなものが一つ評価の視点としてあるのではないかと考えられます。
 また、3番目ですが、拠点病院と地域の医療機関との連携についての評価の視点としましては、医療機関から拠点病院への紹介・相談件数がどのように変わるのかというようなことや、また、それを逆に還元ということも重要という指摘もございましたので、その件数を把握するとか、会合の件数というのを見るというのも一つ視点としてあるかと考えられます。
 あとは、拠点病院と関係機関、これは行政などの関係機関、医療機関以外の関係機関ですが、そことの連携の評価としましては、先ほど要保護児童対策地域協議会の話も随分ございましたが、拠点病院が地域の関係機関との会合を主催または参加した回数というようなもので推移を見ていくというのも一つあるかと。また、関係機関から拠点病院への紹介・相談というものを評価していくということはあるかと思います。
 また、拠点病院事業を行うことによって都道府県内の医療機関全体がどのように変わったかということにつきましては、拠点病院で把握するのは難しいかもしれませんが、都道府県内の全体として、虐待通告・相談件数のうち医療機関からの通告・相談というものがどのように変わったかというようなことや、都道府県内の医療機関の中で院内児童虐待対応組織というのがどのように変わったか、基礎レベル、発展レベルという件数で見た場合に、基礎レベルがふえたかどうか、発展レベルがふえたかどうかというようなことで、都道府県内の医療機関の動向というものを把握するということもあり得るかと考えます。
 以上、早足になりましたが、資料3と資料4で少し案をお示しさせていただきましたので、御意見いただければと思います。
○奥山座長 ありがとうございました。
 それでは、皆様のほうから御意見をいただきたいというふうに思います。
 基本的には、医療機関の組織的な機関内の対応、それから医療機関間の連携、それから、地域のほかの機関との連携ということが重要な要素として入っているというふうに思われます。
 いかがでしょうか。皆様のほうから御意見ございますでしょうか。
○佐々木委員 今ごろ聞いてはいけないのかもしれないのですけれども、児童虐待防止医療ネットワーク事業という名前なのですけれども、医療機関が児童虐待を防止するような医療のネットワークをつくるという意味ですか。なぜお聞きしているかというと、前回の会議で、児童虐待の発生予防について、そんなに詰めた話はしなかったような気がするんですね。そうすると、ここはどちらかというと、医療機関における、そういう医療機関等を中心にしたネットワークということなので、こんなに予防まで、この検討会で述べていいのかどうかというのが一つ疑問がありました。
 それから、この項立ての中で、きょうの事例のお話を伺っても、地域の関係機関と、内海先生はフェイス・トゥ・フェイスと言われましたけれども、顔の見える関係ができないところではどんなネットワークも機能はしないと思うのですね。だから、どこに入れたらいいか、この2番の研修や事例検討会とかそういうようなところに、まず地域の関係者と顔の見える関係づくりをつくって、それをベースにしてネットワークを動かしていくというようなニュアンスのことが入ったほうがいいかなというふうに思いました。
○奥山座長 ありがとうございました。
 1つだけ、佐々木委員、1点目の確認なのですけれども、この3の発生予防というところは、今回の事業としては入れる必要はないのではないかという御意見ととってよろしいですか。
○佐々木委員 検討をしていないですよね。発生予防体制についてとか。
○奥山座長 その体制については検討していないのですけれども、それが重要だという御意見が前回かなり出たと。
○佐々木委員 そうです。
○奥山座長 その辺の重要性を述べておこうかということではないかなと思うのです。
○佐々木委員 もし、そうであれば、参考か何かに発生予防についての考え方とか、この検討会の報告書ですので、こういう希望があったということだけを述べて終わるかどうかですよね。ある程度の内容を書き込まないと余りよろしくないかなというふうに思います。
○奥山座長 ありがとうございました。
 木下委員お願いいたします。
○木下委員 私、初めて参加させていただきまして、多少とんちんかんなことになるかもしれませんけれども、今、お話をずっと聞いておりまして、特に北九州市の事例も含めて、いつもそうなのでありますけれども、何件の報告があって、児童虐待の統計というのはどのぐらいの率であったかということはよく出るのですね。それを分類することもよくなさいますけれども、では、その結果、介入というか、皆様方こういったネットワークの関係者がいろいろと手を尽くして、その方たちに対応していたときに、最終的にどういうふうになっていったかというその効果というか、それはどうなっているのだろうかといつも思うのであります。それは評価も非常に難しいと思いますね。もう、自然に自立していってしまって、もう完全に虐待がなくなったケースが最もいいかと思いますが、ずっとケアしていかないといけないケースもあるかもしれませんし、本当に専門家が介入しなければならないようなケースも当然あると思いますね。それがどうなっていったかという評価が、いつも私見たことがないのでありますが、一体どこにそのエンドポイントを置いてこういう仕事をしていったら最も効率よく児童虐待というのがよくなっていくかというふうな視点というのが、余り語られたことがないのでありますが、その視点はぜひ教えていただきたいと思いました。
 ということは、検討会の報告書の中に、それに近いようなことをして、例えば医療機関でありますれば、児童虐待対応の現状と課題といった課題のところで、あるものは本当に医療的な、医療機関でそういうことをする限りにおいては、当然、児と母親、あるいは家族と一緒に見ていくということになると思いますが、その結果として、どういうふうなアプローチをして、どうやっていったらば、その虐待ということがなくなっていくのかというふうなこと、新しいカテゴリーに入るかと思いますけれども、そこまで踏み込んだことをやるというのが、ここの仕事ではないかなと実は思います。そういうことが明確な言葉として語られてないというのは、ちょっと残念だなという気がいたしました。
 もう一つ、リーダーとコーディネーターの役割ということでも、その役割はこういうことをするんですということはあるけれども、その結果はどうなったか、効果はどうなっているのだろうかということに対する評価というのがどこにもないのですね。ですから、次のネットワーク事業の評価についてというところで、院内児童虐待対応の組織の対応の評価とございましたが、ここでやるのかなというふうなことを思って聞いておりましたが、どうもそれとはちょっと違うような評価というふうな視点でありました。評価というのは、やはり我々がこういったふうなネットワークをつくって、連携でありますとか、それぞれ関与して発見する、早期発見はいいのですけれども、その全てが、皆様方が努力して、アプローチしていった結果としての評価という地点を何らかの形で、そのプライオリティーがあるのかわかりませんが、教えていただきたい。もしも、それが具体的にないとすれば、新しくつくればいいと思いますし、どういうふうな形でこれを記載していくかということで、こういったケースというのは事例報告になってしまうのかもしれませんけれども、ある程度カテゴライズできるかもしれないというふうな視点がありますので、その辺の視点はどうなのでございますでしょうか。
○奥山座長 ありがとうございます。
 効果指標をどうするかということだったと思うのですけれども、効果指標として虐待が減ったということがわかれば一番いいのでしょうけれども、なかなかその辺は難しいかもしれないと思います。
 もう一つは、もうちょっとわかる範囲で言うと、虐待死の減少ということはあるかもしれないというふうに思います。
 ただ、虐待の対応というのが、ほとんどが危機対応でございますので、危機介入をしているというのが一番大きなポイントだと思うのですね、初期対応に関しましては。それが、将来的にどういうふうになっていくかということに関して、残念ながら、それを何もしなかったときと、やったときとを比べるというのはなかなか難しいものがあって、介入しないというわけにはいかない。それをどう判断するかというのは非常に難しいかなとは思いますけれども、何らか、もしアイディアがあったらお教えいただければと思います。
○木下委員 いや、正直なところ、具体的なことはないのでありますが、少なくとも、介入する前と後のことに関しまして、どういうアプローチをしていけば、その家庭、家族、親子たちがそういった暴力沙汰でありますとか、さまざまな虐待の形があるかもしれませんが、それが1年後、2年後にはなくなってしまったということが一番いいのかと思いますが、少なくともその家庭においてよくなっていく。こういったものは一遍でよくなるはずがないのでありまして、波があるのだろうと思いますけれども、その振幅が小さくなっていけばいいかなと思いますが、そういったことはさまざまなケースがあるのだろうと思います。ですから、そういった視点を持って、逆にどういうふうにしたら、皆様方はいろいろな御経験がある方ばかりだと思いますし、実際にそういった虐待児を見ていた方が多いと思いますが、どうなっていったかというふうなこともある程度分類できていって、こういった方向で行くものはこういうやり方をすればいいと。つまり、そのためには、コーディネーターの資格でありますとかリーダーの資格でありますとか、実際にアプローチする小児科の先生方もそうでありますでしょうし、実はこれは子どもだけの問題ではなくて虐待する親のほうの問題でありますから、親に対するアプローチをどういうふうにしていって、これはよくなっていくのかということなしには、どんなに子どもを救っても子どもは直りっこないわけでありますから、その辺のところに対する対応というのは、ただ話せばいいのか、話しただけでは絶対に直りっこないと思いますだけに、何か本当に専門的な資格をもってやるような、訓練を受けた専門家が、そのための専門家ができてきていいカテゴリー、領域の問題ではないかなというふうなことを思いますだけに、そういうことが具体的にされていないとすれば、ぜひやっていただきたいなと思っております。
○奥山座長 ありがとうございます。
 先ほどの発生予防という段階があって、そして、今回非常にテーマになっている、医療機関できちんと通告をしてちゃんと連携しようという、早期発見・早期対応のところがあり、今、先生がおっしゃったように、在宅支援なり分離の場合でもそうかもしれませんけれども、支援があって、効果が最終的にどうなるかという、両側の議論が今、出たのかなと思うのです。この事業で今回、強化してやりたいと思っているところは、早期発見・早期対応だと思うのですけれども、この前後が必要ですよねという御意見を何らかの形でどこかに組み込むという形でいくしかないかと思っているのですけれども。
○木下委員 私は、早期発見やその辺は極めて大事だと思いますけれども、何のために早期発見するかというと、少なくとも、そういう児が少なくなっていくようにと、今、本当に苦しんでいる子どもたちが、よりよくなっていくというふうなことのためには、その効果なしに、集めただけで満足するというのはおかしな話だと思いますので、そこまで、我々は専門家であるならば踏み込むべきだというふうに思いますだけに、あえてそういう思いを伝えました。
○笠委員 先ほどの児童虐待の発生予防の件ですが、前回の検討会の議論にもありましたように、医療機関が早期に発見して、通告を含めた早期対応をするためには、日頃からの医療機関同士や地域の関係機関との連携が大切だと考えています。要保護児童対策地域協議会の委員はその役割等を理解していても院内の主治医や地域の医師会の会員等の皆様にお伝えすることが難しいといったお話が前回ありました。全国の地域の要保護児童対策地域協議会設置率は99.5%以上であったと聞いていますが、今後、早期発見や早期対応等をすすめていくたには、日頃から顔の見える関係の中で要対協の枠組みで医療機関と地域の関係機関といかにつながりを持ち、通告や対応についても相談できることが、重要だと考えます。その後の医療機関同士や医療機関と地域の子育てネットワークとの継続的な連携が児童虐待の再発の防止につながると思います。この児童虐待防止医療ネットワークをベースとした医療機関と地域の関係機関との連携、妊娠期や出産早産からの切れ目のない支援の重要性について、ぜひ、報告書の中に入れていただくことが重要ではないかと思います。
○奥山座長 ありがとうございました。
 ほかに御意見ございますでしょうか。
○井上代理 2つあって、1つは、リーダーとコーディネーターというその定義というか、早期発見するに当たって、虐待をされた子どもに対して、それを感じ取れる医療者が必要だと思うのですけれども、それは何か定義づけみたいなものを既にされているのかということ。
 もう一つ、ネットワークは、恐らく想定されているのは、日本各地に広げようということですよね。そうすると、ネットワーク間のネットワークですね。御家族というのは転居されますので、せっかくその中で話し合われた御家族が転居されてしまって、違うネットワークの地域に行ったときに、その情報がうまく伝わるようなシステムということも想定されているのかということをちょっとお聞きしたいなと。よく私たち経験していることで、自分たちの今、住んでいる地域は全然上がっていないけれども、例えば別の地域から最近転居されてこられて、全然情報が伝わっていなかったということがあるので、ちょっと素朴な疑問で申し訳ないのですけれども、2点です。
○奥山座長 そうしましたら、リーダーとコーディネーターを簡単に。
○山本課長補佐 リーダーとコーディネーターについては、田中委員の代理の先生と木下委員は今回初めての出席になるかと思うのですが、前回の検討会で、溝口先生から研究報告で、医療機関における児童虐待対応連携構築について御提案いただいたのですが、その中で医療機関間ネットワークの意義や機能する虐待対応組織の最小単位を御説明いただいておりました。医療コーディネーターとリーダー医師はその機能する院内虐待対応組織の最小単位として御提示いただいておりまして、それぞれ定義は別にないのですが、地域の院内と院外のコーディネートを行うというのが院内医療コーディネーター、リーダー医師は、虐待の疑われる事例の医学的評価対応における責任者となるとされています。
○井上代理 そうなのですけれども、それをできる人というのがどのように、つまり、役割を決めることは簡単だと思うのですけれども、市川先生とか、キーパーソンがおられるところは対応できるかもしれないのですけれども、その関心が薄い地域になったときに、どうやってそういうのは見つけるのかとか、そのような点はどうなのですか。
○奥山座長 基本的には、そんなにそういう先生方がおられないので。
○井上代理 集めましょうと。
○奥山座長 県に1か所ぐらい拠点病院があって、そこにはそういう先生がいてほしいというのが、多分このネットワーク事業のもくろみだというふうに思います。
 もう一つは、転居の件だと思うのですけれども、確かに転居というのは非常に大きな課題だと思います。転居に関しまして、北九州市さんと埼玉県の方にお伺いしたいのですけれども、児童相談所では、転居のときにどのような形で対応されておりますでしょうか。
○古澤参考人 児童相談所は、転居の場合のケースの移管及び情報提供についてということで、全国ルールで同じ様式を使ってケースの情報提供なり移管なりをするという形になっております。これは児童相談所の場合。あと、要保護児童対策地域協議会レベルでも、最近はちょっと全国的なルールはないと思うのですが、私どもの管内の市町村さんですと、転居をすると、市は市同市で転出先に情報提供をする。保健センターも情報提供をするというようなスタイルが今は常識といえるような状況になっております。
○奥山座長 その際に医療機関がかかわっているときに、元の居住地でかかわっていた医療機関と転居先の医療機関との連携みたいなものは、児童相談所さんが間に入ってお願いするというようなことはあるのでしょうか。
○古澤参考人 そうですね、ケースによってはあるかと思います。医療の関与というのが結構キーになっているようなケースですと、正直、転出先でどの医療機関につないだら一番効果的だろうなんていうことが検討のテーマになっている場合には、事前にその辺も調整をして送り出すというようなことはあるかと思います。
○奥山座長 田中先生の御意見としては、医療機関同士でもやりとりをして、児童相談所、要保護児童対策地域協議会を介さないで、やりとりをしたほうがいいのではないかという形ですね。
○井上代理 そうですね。結局、現場で困るのが、この人はどうなのかなって思ったときに、やはり、すっと返事が返ってきてほしい。そこで、うちの事例では全くありませんと。ところが、それがしばらくたって、実は過去にこういうことがありましたとわかる、そこにタイムラグがどうしてもできてしまうのですね。そういう何か情報のやりとりというのがあれば、せっかくこのネットワークをつくろうとされているのであれば、ネットワーク間の情報の共有というのがあるとよりスムーズにいくのではないかなと思っただけの話です。
○奥山座長 医療機関同士が決まっていると。
○井上代理 医療機関同士というのはなかなか難しいと思うのです。もし、その拠点病院というのをつくられるのであれば、拠点病院間のやりとりというのが、行く先がはっきりわかりますよね、情報のやりとりの。現状ではどこに伝えたらいいかがわからないから、医療機関同士というのは難しいと思うのですけれども。もし拠点病院をつくられるのであれば、移転先の拠点病院と移転元の拠点病院との間の情報のやりとりというのは可能にはなるのではないかなと。
○奥山座長 拠点病院にかかっているとは限らないけれども、そこに情報を伝えておきたいというような感じですか。個人情報の問題があるかなと思って、ちょっと整理をさせていただけたらと思います。
○井上代理 そうですね。むしろ、別に病院間でのやりとりというのはなくても構わないと思うのですけれども、そのネットワークの中での情報の共有があれば。
○奥山座長 わかりました。転居したときにきちんと医療情報が伝わって、医療的に欠落することのないように。
○井上代理 必ずしも医療が必要な方とは限らないわけですから、いざ必要となったときに、情報が分散してしまって、せっかく集約しようとしているのに情報が集まってきていなかったら何か残念だなということですね。
○奥山座長 はい。ありがとうございました。
 佐々木委員。
○佐々木委員 同じ心配で、プライバシーはどうなのかなと思って。拠点病院は全て公的な病院になりますか。
○奥山座長 そうとは限らないと思います。
○佐々木委員 そうすると、なかなか情報の出し入れは難しいのではないですかね。
○笠委員 転居による医療機関同士の情報のやりとりをスムーズに行う場合には、個人情報の取り扱いの問題等もあるため、要保護児童対策地域協議会の枠組みを利用した情報共有がよいと思います。要対協のケースとなれば、医療機関同士の情報のやりとりは当然できますし、転居先の医療機関が決まっていない場合であっても児童相談所や保健センター、子ども家庭支援センター等を通して、必要な情報を整理した上でケースと医療機関をつなぐとともに医療機関同士のパイプ役となることもできるかと思います。基本的には、要保護児童対策地域協議会の仕組みを使って、医療機関同士や地域の関係機関との情報共有と連携を推進していくことができるのではないかと思います。
○奥山座長 ありがとうございました。
 木下委員。
○木下委員 拠点病院づくりというふうなことを目指してらっしゃるようでありますけれども、これはもうちょっと具体的に、ある児童が虐待を受けたというふうなことがわかって、それは病院でわかったと。そうすると、それを今度は病院として、その児童と家族をどのようにしてよりよくしていくかというふうなことを一つ想定したときに、では、拠点病院として、そういう子どもを含めた家族が何組も出てくればいいわけでありますが、そういうようなものを仮に1カ所に集めたときに、どういう診療科でやるのか。小児科が中心にやるのは、小児に対する対応というのと、児童虐待をする親たちとの対応、親が中心になるはずでありますから、その人たちに対してどういうかかわり合いをもっていくのかというのは小児科の先生がそう得意であるとは思えないというようなことからすると、どういう仕組みでもって、その診療科みたいなものをつくるのか。それは保険診療の中でどういうふうな位置づけにしていくのかというふうな、特にここに「診療体制の」とある、診療だとすると、どういう疾患名でどういうふうに点数をつけていくかとそういった問題も当然出てくるはずであります。だから、がんの拠点病院でありますとか、ある特定疾患の拠点病院というのはよくあるのですけれども、では、児童虐待センターとか、児童虐待の診療部なんていう名前はとてもつけられるものではないだろうと思いますので、拠点病院という考え方はわかるようでありますけれども、同じ虐待として集まった、児童センターに来たものもまた拠点病院に行く場合もあるかもしれませんが、どのぐらいの数が病院としてやっていけば効果があるのかというものは、全体の児童虐待の中でどのぐらいの数があるのかなと思いますと、本当にそれだけの数がいるかなというのがちょっと心配になります。つまり、ほとんどの方は、要保護児童対策地域協議会のそういったことを担当なさる方たちが直接家庭に入って、その家族、親たちと面談しながら、あるいは精神的な治療が必要とすれば、というようなこともあるかもしれませんが、そういうような具体的な事例を考えたときに、そういうふうなことで別に病院に行かなくてもいいではないかということもあるかもしれない。とすると、どのぐらいの率が拠点病院に集まるかというと、これはまたちょっとお考えいただいた上で、役割は本当に何があるかということの視点から、もうちょっと具体的なことを書かれたほうが、何かイメージとして走ってしまっているような気がするので、それはぜひ御勘案願いたいと思います。
○奥山座長 ありがとうございます。
 先生がおっしゃっている、その支援の部分ですね。今回の事業は、どちらかというと、一般的に虐待対応が、予防・介入・支援というふうに分けますけれども、介入部分がメインということで行われている事業だと思うのですけれども、先ほどから出てきています発生予防、それから支援の部分、両方必要なことは必要だと思いますので、そこもある程度言及はすると思うのですけれども、この事業の本体としては、どちらかというと介入ということで考えさせていただいています。支援に関しましても、非常に重要な部分でございますし、どのぐらい医療機関が支援を担うべきかというのは大きな課題ではないかと思いますので、その辺も、一応、医療機関としての課題があるということで言及をさせていただければと思います。ときには介入をしてしまうことで、その機関では当然支援が非常に難しくなるということも多くございますので、医療機関全体としてはどんなふうに支援を考えていくべきかというのは、次のまた大きな課題かというふうに思います。
 ということで、いろいろな御意見をいただきました。
 そして、多分、資料4の評価につきましては、皆さん、きょうごらんになっておられると思いますので、ぜひ資料3、資料4を読み込んでいただいて、もし御意見があるようでしたらば事務局のほうに御意見をいただくということでいかがかと思うのですけれども、事務局のほうはそれでよろしいでしょうか。
○山本課長補佐 はい。
○奥山座長 では、そういうことで、事務局のほうに、もし御意見がありましたら、ぜひ多く寄せていただきたいというふうに思います。
 そろそろ時間となってまいりました。非常に多くの御意見をありがとうございました。
行政と医療機関の連携の意義ということと事業評価の意義を再確認する機会となったと思います。
 本日は、お忙しい中、まことにありがとうございました。
 それでは、事務局のほうにお返ししたいと思います。よろしくお願いいたします。
○佐々木委員 お願いですけれども、今日、真っ裸でここへ来た。できたら、次回は特に最終案が出てくると思いますので、お忙しいとは思いますけれども、少し前にメールでお送りいただければと思います。お願いします。
○奥山座長 事務局のほうはよろしいですか。よろしくお願いいたします。
○山本課長補佐 申し訳ございませんでした。
 次回は、資料を、報告書の案ということでお送りさせていただきますので、早目に先生方にお送りさせていただきまして、できれば、先生方の御意見を一度反映したものをもう一度検討会に出すような形にできればと思っております。
 また、きょうの資料3、資料4についての御意見につきましては、2月20日、ちょうど2週間後になりますが、それまでに事務局のほうまで、もし御意見がございましたら、いただけたらと思います。
 次回の開催につきましては、別途、日程調整をさせていただきますので、その御案内と、御意見をいただく連絡先の御案内も含めまして、きょうじゅうに先生方にもう一度メールをさせていただければと思います。
 それでは、これをもちまして、第2回検討会を終了させていただきます。
 本日は、活発な御議論をいただき、ありがとうございました。


(了)
<照会先>

雇用均等・児童家庭局母子保健課母子保健係

電話: 03-5253-1111(内線7938)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 子ども家庭局が実施する検討会等> 児童虐待防止医療ネットワーク事業に関する検討会> 第2回児童虐待防止医療ネットワーク事業に関する検討会議事録

ページの先頭へ戻る