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2013年1月16日 第4回 救急救命士の業務のあり方等に関する検討会(議事録)

○日時

平成25年1月16日(水)10:00~12:00


○場所

厚生労働省 専用第22会議室(18階)
東京都千代田区霞ヶ関1-2-2


○議事

○佐久間救急・周産期医療等対策室長
 定刻となりましたので、第4回「救急救命士の業務のあり方等に関する検討会」を開催いたします。本日は、先生方には御多忙のところ御出席を賜り、誠にありがとうございます。開催にあたりまして、原医政局長より、御挨拶を申し上げます。

○原医政局長
 医政局長の原でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、構成員の先生方におかれましては、御多忙のところ、第4回「救急救命士の業務のあり方等に関する検討会」に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 本検討会は、前回から約3年ぶりの開催となりましたが、開会にあたり、一言、御挨拶を申し上げます。
 平成3年に救急救命士制度が発足してから、既に20年が経過いたしました。救急救命士の資格を有する消防職員は現在2万7,000人を超えていると聞いております。94%を超える救急隊で運用されておりまして、量的な充実が進んでいます。また、制度の発足では、御承知のように、平成15年にはAEDの使用、平成16年には気管内チューブによる気道の確保、平成18年にはエピネフリンの投与などについて業務の拡大が続いてきております。これによりまして、病院前の、病院に到着する前の救護の質が格段に向上したのではないかと考えています。
 この検討会では3つの項目について本日御報告いただきます。まず1つ目が、血糖測定と低血糖症例に対するブドウ糖溶液の投与、重症喘息患者に対する吸入β刺激薬の投与、心肺機能停止前の患者に対する静脈路の確保、この3つの行為について、平成21年に御検討いただいた結果を受けて、平成22年度から研究班を発足させまして、昨年7月から実証研究を行ってまいりました。今回は、中間的な段階ですが、この実証研究の報告をしていただく予定です。
 救急救命士は、医師が全部対応できればよいのですが、どうしてもそうならない、病院前の救急医療体制としても非常に重要なファクターでございますので、貴重な御意見を頂戴いたしますことをお願いいたしまして、簡単ではございますが、私の挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

○佐久間救急・周産期医療等対策室長
 構成員の先生方を御紹介いたします。本検討会座長の、日本救急医療財団理事長の島崎修次先生です。昭和大学病院院長の有賀徹先生、東京消防庁救急部長の有賀雄一郎先生、日本医師会常任理事の石井正三先生、札幌市消防局警防部救急課長の岡本征仁先生、救急振興財団救急救命九州研修所教授の郡山一明先生、星ヶ丘厚生年金病院院長の杉本壽先生、東京大学法学部教授の樋口範雄先生、日本看護協会常任理事の松月みどり先生、読売新聞東京本社編集局医療情報部部長の南砂様、市立堺病院副院長の横田順一朗先生、藤田保健衛生大学救命救急医学講座客員教授の野口宏先生です。
 なお、本日の議題に関連して、参考人としまして、厚生労働科学研究費「救急救命士の処置範囲に係る研究」の研究分担者であります、救急振興財団救急救命東京研修所教授の田邉晴山先生においでいただいています。また、関係省庁から、消防庁救急企画室の海老原室長にお越しいただいています。海上保安庁警備救難部救難課の平湯医療支援調査官は若干遅れていらっしゃるようです。
 以降の議事運営については、座長の島崎先生によろしくお願い申し上げます。

○島崎座長
 島崎でございます。足下の悪い中をお集まりいただきまして、ありがとうございます。この検討会は実に3年ぶりで、途中で東日本大震災などいろいろとありまして、ここまで延びたわけです。この検討会では、先ほど原医政局長からお話がありましたように、3つの処置についての実証研究を行って、それを救命士の処置として導入するかどうかを検討しようということで発足しました。その条件としては、まず、実証研究の場所は、MC体制が十分に整っている所でこの研究を行おうということで、野口先生をはじめ現場の皆様方の御協力で、昨年の7月から実に僅か半年間で、後ほどお話がありますような膨大な資料を中間報告として出していただきました。本日の検討会では、その方向性を決めようということです。皆様方から議論をいろいろと出していただきまして、日本のプレホスピタルケアの発展のためによろしく御検討をお願いいたしたいと思います。
 それでは、議事を進めたいと思います。まず、資料の確認を事務局からよろしくお願いいたします。

○徳本救急医療専門官
 この段階でカメラは退出をお願いいたします。
 それでは、資料の確認をいたします。まず、本日の議事次第、続いてステイプラー止めで、構成員の名簿、参考人名簿、座席表となっています。次に、開催要綱を付けています。資料1「これまでの経緯」、パワーポイント資料です。続いて、資料2「新しい救急救命処置の実証研究の概要について」、資料3「救急救命士の処置範囲に係る研究(中間解析結果)」、資料4「これまでの処置範囲拡大の際の追加講習・実習について」、資料5「その他『非侵襲性異常ヘモグロビン測定に係る疑義について』」です。
 続いて、参考資料1「救急救命士の業務のあり方等に関する検討会報告書(平成22年4月28日付け)」、参考資料2に「救急救命士法」、参考資料3に「救急救命士法施行規則」を付けています。また、今回の実証研究に関連しまして、参考資料4に救急救命士法施行規則の一部を改正する省令、参考資料5に厚生労働大臣が指定する市町村の消防機関、参考資料6に「救急救命処置の範囲等について」という通知、参考資料7に平成23年8月1日付けの通知を付けています。お手元の資料に不足等ございましたら、事務局にお申し付けください。

○島崎座長
 それでは、議題に従い進めたいと思います。本日の議題は「救急救命士の処置範囲に係る研究の経過報告」と「その他」となっています。まず、議題1について、資料1「これまでの経緯」を説明してください。

○徳本救急医療専門官
 資料1に基づき説明します。おおよそ3年ぶりの検討会の開催なので、これまでの経緯について、救急救命士制度のそもそも論から説明いたします。
 まず、3ページを御覧ください。「救急救命士制度の概要」です。そもそも救急救命士とは、その定義として、上の四角囲みにあるとおり、重度傷病者に対して病院又は診療所に搬送されるまでの間に救急救命処置を行うことを業とする者のことです。その下の絵にあるとおり、救急隊員が応救処置を実施するのに加えまして、救急救命士は救急救命処置を実施する者と位置づけられています。
 4ページです。救急救命士の行為の実施にあたりましては、メディカルコントロール体制の下にその質を担保することになっています。メディカルコントロール体制においては、[1]業務のプロトコールの作成、[2]医師の指示、指導・助言、[3]救急活動の事後検証、[4]救急救命士等の教育等により、医学的観点から、救急救命士の救急救命処置等の質を保障する、このような形で実施しています。
 5ページは「救急救命士の運用状況」を示しています。平成23年の段階で、免許登録者数が3万9,000人、救急救命士の資格を有する消防職員が2万6,533人。救急隊として救命士を運用している割合が94%となっています。
 6ページを御覧ください。「救急救命処置」とは何かということについては、重度傷病者に対して気道の確保、心拍の回復その他の処置であって、その症状の著しい悪化を防止し又はその生命の危険を回避するために緊急に行うものをいいます。
 7ページです。一番下のカラムに「特定行為」と書いてあります。特に救命士の行う処置の特定行為については、制度当初は半自動式除細動器による除細動、薬剤を用いた静脈路確保のための輸液、器具による気道確保とされていますが、その大前提としましては、1つ上の囲みにありますとおり、医師が具体的な指示を救急救命士に与えるために必要な情報が医師に伝えられていること、が前提条件になっています。
 8ページは「救急救命処置の範囲」です。1.医師の具体的な指示の下に行うもの、これを「特定行為」と呼びます。これと、2.医師の包括的な指示で行うもの、の両者が救急救命処置として含まれています。
 9ページです。平成3年の救急救命士法の施行以降、特定行為及び包括的な指示の下で行う行為については、平成15年のAEDによる除細動、平成16年の気管内チューブによる気道確保、平成18年のエピネフリンの投与、平成21年の自己注射が可能なエピネフリン製剤によるエピネフリンの投与、平成23年のビデオ硬性挿管用喉頭鏡を用いた気管挿管等が処置範囲として追加されています。
 10ページです。平成24年4月1日時点で、救急救命士の資格を持つ消防職員が2万7,827人、そのうち、挿管認定救命士、薬剤認定救命士の数は御覧のとおりです。
 11ページです。「救急救命士が行う処置件数の推移」は、制度発足当時から年々増加していまして、平成23年には12万件に達するほどの件数が行われているのが実状です。
 12ページ以降では、「救急救命士の教育体制について」を説明いたします。13ページにありますように、いわゆる救命士の養成校で養成される者、救急隊員がその業務を経て救急救命士養成所での半年課程を経た者、その他大学等での履修を受けた者で、国家試験を受験し大臣の免許を受けることになっています。そのカリキュラム等は14、15ページにございます。
 16ページ以降で、今回の「救急救命士の処置範囲に係る研究について」、その概略を説明いたします。17ページです。まず「検討対象の処置について」は、ここに掲げた3つです。血糖測定と低血糖発作症例へのブドウ糖溶液の投与、重症喘息患者に対する吸入β刺激薬の使用、心肺機能停止前の静脈路確保と輸液の実施です。
 この三行為については、18ページにありますとおり、これまで厚生労働科学研究野口班で平成21年からおおよそ1年間御検討いただきましたものが、前回第3回までの「救急救命士の業務のあり方等に関する検討会」です。そして、厚生労働科学研究特別研究事業において、その実証研究のための基盤的研究、平成23年度、平成24年度には実際にこの処置範囲に係る研究を実施していただきました。平成22年4月におまとめいただいた報告書におきまして、この三行為の基本的な方向性につきましては、処置範囲に追加する方向で検討することが妥当として、19~21ページに御議論いただいています。22ページは、今回、実際に実施している実証研究の研究体制のイメージ図です。以上です。

○島崎座長
 事務局からの説明に、何か御質問等ございますでしょうか。

○郡山構成員
 全く瑣末な話で本日の議論とは関係ありませんが、後々のことがあるので、今、結論を求めるわけではありませんが申し上げます。4ページの、メディカルコントロールの定義として、「[4]救急救命士等の教育等により、医学的観点から、救急救命士の救急救命処置等の質を保障する」とあります。これは、救急救命士だけの質を保障するのか、救急隊が行う救急救命処置全般の保障を行うのかは、恐らくまだきちんとまとまっていないということがあります。
 それから、もっと瑣末な話です。言葉として、9ページに平成16年の処置として「気管内チューブによる気道確保」とありますが、これは「気管チューブ」かもしれません。そのときに言葉を統一したかもしれません。

○島崎座長
 いかがでしょうか。まず、4ページの[4]については、今までのコンセンサスでは、MCは基本的にはプレホスピタル全般を担う人ということで、救急隊員ですね。その中で特定のいろいろなことができる救急救命士がMCの中で仕事をしている。ということで、質の確保は救急隊員全般ではありませんでしたか。

○海老原室長(消防庁救急企画室)
 消防庁です。結局、部隊活動なので、救命士だけではなくて、救急隊員も含めてメディカルコントロールの下で教育いただくことが適切であると私どもは考えています。

○佐久間救急・周産期医療等対策室長
 文章を確認しなければなりませんが、平成13年に出した通知にメディカルコントロール、これは消防庁と、私どもはその後に出したものがあるのですが、その中では確か「救急救命士等」という書き方をされていると思います。ですから、一般的には、救急隊員と救急救命士の両方を対象としたものだと考えています。

○島崎座長
 調べてください。救急救命士を含むか、あるいは救急救命士等の救急救命処置などの「等」は何をさすか。決まっているのでしょうか。

○郡山構成員
 平成13年のときにはそうかもしれませんが、その後、議論を重ねる中で、ここは結構問題になってきたところです。それで、病院在院救護という観点から救急隊全般でいこうという考えに、ほぼ統一されてきているのではないかと思います。それから、平成13年のメディカルコントロールに関する一番最初の通知では、恐らくこの[1]から[4]の4点ではなく、3点だけだったのではないかと思います。何が足りていなかったのか私も覚えていないのですが。その後、このような検討会なりをするときに、いろいろと改訂がされてきていると思いますので、それを踏まえて対応していただきたいと思います。以上です。

○島崎座長
 よろしいでしょうか。よろしくお願いします。
 2つ目の「気管内チューブ」は、「気管チューブ」ではないかという点について、これは恐らく郡山先生のおっしゃった「気管チューブ」でよいと思うのです。7~9ページと、いくつかありますので、そこの訂正をよろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。
 では、引き続き、資料2「新しい救急救命処置の実証研究の概要について」、それから、資料3「救急救命士の処置範囲に係る研究(中間解析結果)」について、野口構成員と田邉参考人により説明をお願いいたします。

○野口構成員
 それでは、資料2をまず御説明させていただきたいと思います。まず1ページ目、「新しい救急救命処置の実証研究の概要について」ということで、先ほど来、座長並びに局長からも御紹介がありましたとおり、平成22年の本検討会で決まりました、先ほど御紹介がありました3つの行為、血糖測定と低血糖発作症例へのブドウ糖溶液の投与、重症喘息患者に対する吸入β刺激薬の使用、心肺停止前の静脈路確保と輸液の実施に関して、それを中心にメディカルコントロール体制が十分に確保された地域で、研究班が中心となって実証研究を行うということです。
 方法としては、実施主体として平成23年度、24年度の厚生科学補助金をいただいていますこの研究班、「救急救命士の処理範囲に係る研究」ということで、私が主任研修者となっていますが「研究者」です。申し訳ございません。分担研究者が7名です。そのうちのお一人、田邉先生には今日参考人として、傍聴席にはお二人の主なる分担研究者が傍聴させていただいています。研究協力者、これは添付資料1に書いてある方々の御協力をいただいています。
 メディカルコントロール体制が十分確保された地域として選定したのは、39のMC協議会です。200ほど協議会があるわけですけれども、そのうちの15%に当たります。それから、消防本部が129、概算ですが800ありますので約15%になります。参加救急救命士の皆様は2,332人の方に、いわゆる研究協力者として携わっていただきました。オブザーバーとしては、2つの行政の方々に加わっていただいております。
 2ページを御覧ください。[2]処置の実施者に関しては、アドレナリン投与を行う認定を各地域のMCでされている方々に対し、心肺停止傷病者に対して行っていただく。ただし、条件として、当研究班の示した教育カリキュラムを作成しておりますので、それを基に研修を受けていただいた方と限らせていただきました。所管するMC協議会に関しては、新しい処置を適切に実施できるよう、実施者に対して認定していただいています。
 [3]処置の対象者は、20歳以上の傷病者と限らせていただきました。なおかつ、書面にて本人又は代諾者から処置の実施と実証研究に参加する、という同意を得られた方という対象に限らせていただきました。
 「血糖値測定と低血糖発作症例へのブドウ糖溶液の投与」に関しては、ここに挙げましたように意識のレベルがJCSで10以上。経口血糖降下薬かインスリンの使用がある。それから、別の原因による意識障害の可能性が低い。この3つのことをお考えいただいて、ブドウ糖の血糖の測定をしていただいて、その上で血糖の測定値が50mg/dL未満であったものということです。
 2項目目、「重症喘息に対する吸入β刺激薬の使用」に関しては、呼気時の喘鳴を伴う呼吸困難がある。SpO2が95%以下である。β吸入薬が処方され、なおかつ保持していて、自分で吸入することができないということ、なおかつβ吸入薬の添付文書の範囲内で使用するという条件を加味いたしました。
 「心肺停止前の静脈路確保と輸液」ということに関しては、ショックの判断、皮膚の蒼白、湿潤・冷汗、頻脈、微弱な脈拍等からショックが疑われるもの。それから長時間の狭圧、狭い所へ閉じ込められていた人ということで、クラッシュシンドロームが疑われる場合、クラッシュシンドロームになる可能性がある場合、そういう事例に関して心停止前に静脈路確保と輸液を行うということです。
 次のページを御覧いただきたいと思います。[4]研究デザインとしては「非介入期と介入期の比較を行う」という、historical controlといわれる統計学上の手法を採用させていただきました。
 「多地域共同研究として実施」ということです。非介入期は、新しい処置の対象となる傷病者の選定と情報登録ということです。介入期は、新しい処置の対象となる傷病者の選定、処置の実施、情報登録ということです。この非介入期に関しては、この3つの行為を行う対象となる症例を、何ら搬送業務などには影響を与えないということで登録をしていただくことを、非介入期の登録とさせていただいています。それ以降、介入期に入りましては、今申しました同意書の問題や観察などをしっかりやっていただいて、介入処置を行うということです。
 [5]評価指標に関しては、「血糖値測定と低血糖発作症例へのブドウ糖溶液の投与」ということで、病院到着時の意識レベルの改善、搬送先で役に立つと思われるものを副次的な効果としてあるか。同じように重症喘息に関しても、現場から病院到着までの時間を主目的、SpO2、あるいは自覚症状の改善等を含むということにいたします。心停止の前の輸液に関しては、ショックインデックスを主な効果判定基準に、それからここに書いてあります皮膚の観察などを副といたします。有害事象の発生状況についても調査項目、評価項目とさせていただきました。
 [6]実施期間は平成24年7月から平成25年1月31日の間、正にまだ継続中ということです。3か月の期間をそれぞれの参加MC協議会で設定していただき、非介入期、介入期を行っていただくということです。
 [7]処置の位置づけとプロトコール、これはあらかじめ救急救命士法施行規則等の改正を行っていただいて、救急救命士の行う特定行為に関して、医師による直接指示を必要とする処置として法的に位置づけられた上で行うものであるということです。具体的には携帯電話などで医師に連絡を取っていただいて、医師の指示を得た上で行うことが法的に義務づけられた状態でこの研究をやらせていただいております。
 4.倫理面に関しましては、我々の前の研究班において検討する班を作り、そこで厳密な倫理規定を作らせていただきました。さらに外部の組織による適性の判断ということで、日本救急医学会を中心に倫理検討を行っていただきました。この詳細に関しては添付資料4にございます。
 [3]臨床研究に関する倫理指針の尊重ということで、必ずしも時間的制約がある救急医療という特性を十分設定して策定されたものではないという、厚生労働省の基準があります。大変恐縮ですが、その辺も議論の上、やはりそれに近い格好で我々はこの倫理規定の下にこの研究を進めているということをあえて申し上げたいと思います。
 [4]情報発信に関しても、我々の倫理感あるいは外部からの御指摘もいただき、添付資料5のようなものを作成して、パンフレットやポスター、ホームページ等で情報を発信することに努めました。
 5.これまでの経緯としては、先ほど来御説明がありますように、平成22年の報告書で実証研究を行うことを決めさせていただきました。ただ、平成23年は東日本大震災があり、若干こちらへの業務、あるいは現場の救急隊員の方々等が極めて多忙になりましたこともあり、言い訳ですけれどもそういう理由により11月から再開ということで、いろいろな操作を行いながら平成22年には3月、4月、5月、6月、7月、10月、12月、現在11月まで登録されたデータで中間解析を開始しているところです。
 添付文書の御説明は、先ほど来申し上げましたように1が研究者・協力者。添付文書2が、御参加いただいている39のメディカルコントロール協議会と、介入・非介入のスケジュールです。地域によって10月から介入時期に入ったところ、あるいは11月から介入時期に入ったところと若干のずれがありますけれども、それぞれのMCで1つのMCが介入期と非介入期、両方かぶってスタートしたところむはございません。添付資料3「実証研究のプロトコール」。これは研究班で平成22年度、23年度に報告したものをここに添付しております。添付資料4は、我々の倫理問題検討会、大変重要な研究班でしたけれども、詳細な検討を加えていただき、これにのっとり、外部からの御意見も参考にしながら修正を加えたものをここに添付しております。
 以上、内容について御説明いたしました。

○島崎座長
 引き続いて中間解析報告もお願いできますか。

○野口構成員
 引き続きまして資料3「救急救命士の処置範囲に係る研究(中間解析結果)」について、御報告させていただきます。
 2ページですが、「11月末締めまでの傷病登録の状況について」。非介入期間の登録数として低血糖が539例、中ほどです。重症喘息が53例、ショックが1,453例、合計として2,045例です。右端に必要登録数が書いてあります。これは統計処理上の必要例ということで、目論んだ数です。低血糖が25例、重症喘息が63例、ショックが63例ということで、低血糖とショックははるかに超える非介入時期での登録件数がありましたけれども、重症喘息に関してはこれを下回ったということであります。
 介入期間の登録数ですが、これは11月末までということで低血糖は168例、必要登録数25例を大きくクリアしております。重症喘息に関しては63例の必要登録数ということでしたけれども、8例ということです。ショックに関しましても378例ということで、これも大幅に必要登録件数を上回っているということです。
 続きまして「評価項目分析(効果分析)」のほうへ移らせていただきます。4ページを御覧いただきたいと思います。先ほど来御説明いたしましたように、7月から大体10月までを非介入期間、介入期は10月から11月末ということで、救急現場で「処置の適応」を満たすと判断した傷病者を分析対象としております。これも非介入期、介入期の数がここに示してあります。喘息に関しては7例が介入期の例です。全体としては2%ということです。
 先ほどの件数と若干差がありますけれども、これはあくまでも医療機関から報告したものに限定しております。医療機関で登録されていないと、いわゆる結果の報告がないということになりますと、検索する件数も減ってまいりますのでこういう状態になっています。
 5ページは、3項目のうちの1つずつの中間解析です。[1]血糖測定と低血糖発作症例へのブドウ糖溶液の投与、処置の適応を満たす例が616例、非介入群が509例、介入群が107例です。このうち、右側に行きますと「医師の指示なし、代諾者の同伴なし、同意なし」が12例ということで全体の12%。同意が得られた例が95例、このうち血糖測定ができなかったのが12例の13%です。
 さらに下に斜めに行きますと、血糖が測定できたのが83例です。このうち血糖を測定したもので血糖値が50mg/dL以上のものが41例、49%でした。50mg/dL以下、いわゆる低血糖と判断されたものが42例でした。ただし、そのうちの23例、55%が静脈路が確保できなかった。すなわち、ブドウ糖の投与ができないわけです。42例のうち、静脈路ができたのが19例です。更にこの19例のうち2例がブドウ糖投与ができなかった、皮下へ漏れてしまったなどの理由が2例ありました。よって、50%ブドウ糖溶液の投与ができたのは17例ということです。
 6ページをお開きください。解析には2つの方法があります。介入期の症例について同意が取れなかったもの、低血糖でなかったもの、静脈路が確保できなかったものなど、全てを含めて解析したのが(ア)ITT分析です。(イ)の方のPP分析というのは、介入期の症例について、ブドウ糖投与ができたもの、完遂できた例にのみ限定したものを集めた分析が下段になります。
 まず、ITTに関しましては「改善あり」が34例、33%、非介入期のときには20%が「改善あり」ということでした。介入期の「改善なし」が67%、68例。非介入のときは当然80%ということでした。下のPP解析では、介入期は「改善あり」が15例の94%、非介入期は20%、98例でした。「改善なし」が1例、非介入は当然80%が「改善なし」ということになります。
 次がブドウ糖投与の副次的効果、先ほどは「主要評価の項目」ということで、意識レベルの改善に関してのデータでした。申し訳ありません。「副次的評価項目」、血糖測定が脳梗塞等の他疾患との鑑別や搬送先の選定に役立ったかどうか。これはあくまでも救急救命士の方の主観評価であります。「役立った」と評価した例が80例の97%、「役立たなかった」が2例の2%、データ欠損が1例ありました。その下の副次的評価項目、初期観察時と医療機関初診時の血糖値ということで、当然、ブドウ糖を投与したもののみを集めた結果ですが、医療機関の初診時には血糖が100を超えているということでした。
 [2]重症喘息に対するβ吸入刺激薬の使用ということです。処置の適応を満たす例が53例、非介入のときは46例、介入のときには7例でした。投与に至らなかった7例分をここに挙げております。[1]例から[4]例に関しては、全て自ら吸入β刺激薬を使用しておりまして、いわゆる薬剤の添付文書の使用制限によって投与できなかったということであります。救急隊到着の5分前に自分で投与していたとか、自分で数回の吸入が既になされていたとか、自分で吸入薬を使用してからの時間が短かった、直前まで自分で吸っていたということです。こういうものは、添付文書では使用してはならんとなっていましたので適応外ということになります。本人が既に数回吸っていた、これもそうです。
 [5]本人による吸入薬の使用が可能となったため、意識レベルが上がって自分で吸えるようになったため本人が使用した、救命士は投与していないということです。[6]は、本人の所持する薬剤の残量がなくなって、これは本人のものを使うということに限定していますのでこういうことが起きました。傷病者の意識レベルの著しい低下と、それによってβ刺激薬の使用状況が聴取できないということで、要するに同意というか、状況観察ができなかったために適応外ということであります。結局のところ、β吸入薬を投与した症例は介入群においてはゼロでした。
 その後、12月分を少し添付させていただいています。参考として、中間解析の対象外ですけれども、新たに10例が介入群の中に登録されてまいりました。ただし、そのうちの6例は投与には至っていません。[1]から[5]に関しては自ら吸入薬を使用しており、先ほどの添付文書上の制限により投与できないということになります。[6]が処方薬を持参していなかったということです。
 β吸入薬を投与した4例に関しては、[7]、[8]例、プロトコールどおり投与した。ただ[9]、[10]例に関しては処置の適応を満たしていなかった、あるいは満たしていなかった可能性があるとかということで、現在、これは12月のものですので十分な確認はまだ取れていませんので、今確認中ということです。ただ、20ページに少し詳細を添付しています。
 20ページ、[4]その他の報告例を御説明いたします。(イ)重症喘息に対するβ吸入刺激薬の使用は、酸素投与下でSpO2が95%未満を対象にしております。ただし、この場合99%のSpO2があったということです。救急救命士は実証研究対象外と認識していたものの、状況をメディカルコントロール医師に具申したところ、「症状が改善しないのであれば吸入をしなさい」ということで、同乗の夫にも同意を得たということです。傷病者は救急隊到着の30分前にも自己吸入しているが、実際に吸入できていなかったとの判断の下、実施をしたということです。あえて12月の分、中間解析の対象外でしたけれども今御説明させていただきました。
 次の10ページ、[3]心肺機能停止前の静脈路確保と輸液です。処置の適応を満たすのが1,637例、非介入群が1,401例、介入群は236例です。医師の指示なし、代諾者の同伴なし、同意なしが108例の46%でした。同意を得られた例は128例、そのうちの58例、45%が静脈路の確保ができなかったということです。静脈路の確保ができたのが70例でした。輸液の量ですが、基本輸液は1秒に1滴が60%、急速輸液の適応だと考えられたものが22例、32%、基本輸液と急速輸液を併用したということで途中から急速輸液に変えたとか、あるいはその逆もあり得たかと思います。詳細はまだ把握しておりませんが、3例。不明が3例でした。
 11ページは静脈路確保と輸液を行ったショックの原因として、出血性ショックが31%、心原性ショックと思われるものが19%、脱水が17%、敗血症性ショックと思われるものが6%、神経原性ショックと思われるものが6%、アナフィラキシーショックが3%、閉塞性ショックと考えられるものが3%ということでした。これら、私がお読みしたのはいずれも介入期です。同程度のような傾向で、非介入期のものも横に添えております。
 12ページはこの評価ですけれども「主要評価項目」、ショックインデックスの改善の有無ということでITT分析、PP分析があります。ショックインデックスに関しては、「改善あり」と「改善なし」は御覧いただければお分かりだろうと思います。Pが0.56ということで有意差はないということです。PP分析においても0.78ということで有意差は出ていないということです。
 ただ、13ページに「副次的評価項目」ということで皮膚の蒼白、湿潤・冷汗等の改善があります。こちらはあくまでも救急救命士の主観が入るかと思いますけれども、介入期の「改善あり」が25%、「改善なし」が75%ですけれども、PP分析では介入期は非介入の14%に対して「改善あり」が41%、「改善なし」が59%、非介入期の86%と比較すると、このITT、PP分析、いずれも統計学的な有意差が出ているということです。
 さらに次のページ、14ページには「副次的評価項目」として微弱な脈拍の改善です。こちらもITT分析、PP分析ともに統計学上は有意差が出ているということです。
 15ページは「追加分析」です。(ア)ショックインデックスの改善と輸液量の関係。ショックインデックスで改善したと思われるものは、輸液量が多かった。ただ、少しばらつきがあります。(イ)急速輸液と基本輸液と実際の輸液量の関係。当然のことながら急速輸液が多い。ただ、基本輸液のほうが若干ばらつきが多いですが、これは山間地域での例ということで、搬送時間が長かったということが影響しているものと思われます。
 次の16ページ、17ページは「有害事象等の分析」ということで、[1]有害事象の可能性のある報告事例です。活動中に心肺停止に陥った。活動中に呼吸停止に陥った。プロトコールに反した事例があった。血糖測定のための穿刺を行うも、血液の流出がなく測定できなかった。これは13%あったようです。静脈路の確保に関する報告では、不穏により体動で、留置針が抜けてしまった。穿刺するも外筒を進めることができなくて抜去した。外筒がねじれ抜去した。皮下出血を来たした。穿刺部位に輸液の漏れを認めた。これは後ほどまた記載があります。血管走行が確認できず穿刺できなかった。血管が細く静脈路を確保できなかった。2回というように限定させていただきましたが、3回の穿刺を行った。このようなことがありました。
 18ページ、[2]有害事象(心停止例)です。これはちょっとセンセーショナルですけれども、非介入の時期にショックに関して心停止が46例ある。現在のところ、救急隊の日常業務の中で目の前で心停止になるという例が、これほどあるということを御認識いただきたいと思います。その上で介入時期ですが、低血糖の症例として1例、ショックに関して7例ということです。いずれも詳細を少し説明させていただきます。
 オンラインで医師により血糖測定の指示を受けたあと、血糖測定までの間に車内で心停止に陥られた。ただし、血糖測定は施行しておりませんということです。[1]から[4]は意識障害があり、代諾者がいないために同意を取得することができなかった。[5]の症例は、同意を取得中にドクターカーが到着、ドクターが関与したということで実証研究からは外されます。同意取得中に心停止に陥ったもの、同意を得る前で処置は実施していないというのが[6]です。[7]が静脈路確保を2回試みたが、搬送途中に心停止に至ったということです。これはまだ詳細な確認を取れていませんので、MC協議会のほうへ確認をしているところです。
 19ページ、[3]有害事象(その他)です。[1]血糖測定後の呼吸停止の事例に関しては、救急車収容後に血糖を測定した。血糖値が180台だった。その後、呼吸停止に陥ったという事例です。
 [2]点滴漏れの事例は複数例あります。(ア)ショックの判断で車内に収容後、家族から同意を得た後、医師のオンラインの指示の下、右足背静脈に20Gを穿刺した。バックフローあり滴下するも腫れ漏れがあり抜去したということで、20Gの静脈路を確保して基本輸液で搬送した。(イ)血糖測定し低血糖を確認した傷病者に対してブドウ糖溶液を投与したが、皮下に漏出した。医療機関では血糖の上昇を確認できなかったということですので、血管内には糖液は入っていなかったということでしょう。「その後も特に問題はなかった模様」という記載がありました。
 [4]その他の報告例として、[3]プロトコールから逸脱した事例がありました。(ア)静脈路確保のための穿刺について、プロトコールは2回までと定めておりますけれども、従来のプロトコールは地域によっては3回まで静脈路の確保を認めているところがありましたので、3回行ってしまった。搬送先の医師からそういう説明を受けています。(イ)に関しては、先ほど御説明したとおりです。これらのものに関しては、実証研究参加MC協議会から我々の事務局に報告のあったものであります。事務局は全てのMCに対して注意を喚起するということで、次のページにあるようなものを各MC協議会に我々研究班から、その都度出させていただいています。
 22ページ、23ページにまとめと課題ということでまとめさせていただきます。[1]血糖測定と低血糖発作症例へのブドウ糖溶液の投与。当初想定した登録必要数を十分に上回る症例数が登録されました。介入群が非介入群に比べ、有意に主要評価項目が良かったと思います。想定された以上の有害事象の発生は、今まで詳しく説明させていただきましたけれども、これまで報告されていないといってもよいのではないかと我々は考えております。後ほど、また御意見をいただければと思います。
 [2]重症喘息に対する吸入β刺激薬の使用。これまでのところ、当初想定した登録必要数を下回っている。数か月程度の介入の延長では、登録必要数に満たない見通しである、と我々は考えています。
 [3]の静脈路確保と輸液に関しましては、当初想定した登録必要数を十分上回る症例が登録されました。介入群と非介入群を比べて、主要評価項目に有意な差を現在のところは確認できてはおりません。ただ、副次的評価項目では差を認めております。想定された以上の有害事象の発生はこれまで報告されなかったと。[1]と同様、この[3]に関しても我々はそのように考えております。
 「課題」としては、特に重症喘息に対する吸入β刺激薬の投与に関しましては、更に研究期間の延長について、これは我々も今大変苦慮しております。まだ、我々の検討会では最終的な結論は出しておりません。特に、全国的に実施するとした場合に関しての課題としては、「研究結果に基づき業務として位置づける際の課題」として、対象を未成年者、20歳未満の方々。20歳以上でやりましたので、処置を実施する救急救命士の要件、プロトコールについて実証研究と同じでよいかどうか。
 「教育・研修体制」に関しても、低血糖の陽性適中率、あるいは静脈路の確保率などを踏まえ、全国的な実施の際には必要なカリキュラムの質や量をどう考えるかということを、課題として御提示申し上げたいと思います。
 「事後及び結果の検証体制」として、実施した個別の事例に対しての事後検証については、メディカルコントロール協議会においてどのような点に注意すべきか、マニュアル等の策定が必要かという御意見をいただいています。実施した処置の効果検証を継続的に行う仕組みをどのように確保するかということも課題ではないかと思います。
 大変長くなりました、以上です。

○島崎座長
 ありがとうございました。実証研究の概要と中間解析結果の詳細な御説明がありました。統計上の必要な数を決めて、介入群と非介入群に分けて、現場では倫理上ICをきっちりと取って、その結果エンドポイント、プライマリー、あるいはセコンダリーエンドポイントを事前に決めて、その結果こうなったということです。こういうプレホスピタルの研究に関しては、異例とはいえないですが、極めて医学的にアカデミックな形でこの報告、検討会がなされているといえると思います。
 今お話をお聞きいただいて3つありますが、まず血糖の測定と低血糖発作のブドウ糖投与ということです。3つの最初に関して、何か御質問・御意見等ありますか。

○横田構成員
 少し確認をさせていただきたいことがあります。血糖測定と低血糖発作症例のエントリーにかかるプロトコールについて、結果として有害症例は明らかになかったけれども、エントリーをしようとした症例の中に、呼吸停止例、心停止例がそれぞれ1例1例あったと報告されています。意識障害のある傷病者を対象に、意識レベルが一定以上ある、あるいは糖尿病等の既往が考えられるような場合に介入してくださいということになっています。
 そもそも意識障害を呈する二次性病変としての原疾患が、ほかにもたくさんあるわけです。例えば低潅流、低酸素血症等々のようなものがあって、それがあれば、処置なり、あるいは対応なりが本来、それらを改善させることが優先されるはずなのです。それらを除外しなさいねということをきっちりエントリーしてやられたかどうかということをちょっと確認したい。それはあとあと結論にもお書きになっていますが、もしこれがイエスとなった場合のプロトコールの修正にも関わってくるのかと思いますので、この実証研究のエントリーするときの再確認をちょっとお願いしたいと思います。

○野口構成員
 その点に関しては資料2の9ページで、実証研究プロトコールを御覧いただきたいと思います。「血糖測定と低血糖発作症例へのブドウ糖溶液の投与」ということで、ここにアルゴリズムが載せてあります。意識障害、20歳以上、JCSが10以上ということで、その下に経口血糖降下薬かインスリンの使用がある。こういう情報を得ているということです。それから、別の原因による意識障害の可能性が低いというところで、ここで救急救命士の観察によって、該当する、しないを分けさせていただいております。

○横田構成員
 別の原因による意識障害の可能性が高い症例は省きなさいということだということになれば、副次検討になっている血糖値を測定すれば、他の原因となっているものとの区別がよりよくなりましたということになってくると、要はどちらが先で後かという話も出てきます。資料3の7ページの脳梗塞等の他の疾患との鑑別に役立ったということは、既に身体所見等々から除外できているのであれば、本当に血糖値を測定するという行為によって副次的な効果だったのでしょうか。これは隊員の聞き取り調査ですので、その辺の精度は多少考えないといけないのかとは思います。ちょっとそこを整理しておいたほうがよいのかなと思って、最初に確認をさせていただきました。

○島崎座長
 一応は、その可能性が高いものと低いものに分けてやると。低血糖の可能性が高いかなと思っても、実は鑑別診断で血糖を測って、改めてこれは低血糖ではないというのをリーコンファームもできるということだと思います。よろしいですか。

○横田構成員
 いいです。

○杉本構成員
 中間報告ということなので、まだ最終的な結論は出ないと思うのですが、その前の段階としてお聞きします。この中間報告のデータを理解する、解析する上で確認しておきたいと思ってのことです。分析対象として資料3の4ページに示されている症例数と、2ページの11月末締めまでの症例数がかなり違っているのですが、2ページは11月末締めまでの登録状況の数であり、4ページは医療機関からの報告であるというお話でしたね。ということは、実際には11月末までで終わっているのだけれども、まだ医療機関から報告が来ていないものがあるという理解でいいのですか。

○野口構成員
 そのとおりです。

○杉本構成員
 なぜそういう質問をしているかというと、非介入期、介入期それぞれ3か月となっているわけですが、介入期の11月は既に終わっている。従って、本来なら、介入期症例数の3分の1ぐらいはすでに集まっていなくてはいけないと思うのです。ところが、実際には介入期の症例数は予想の5分の1から6分の1しか報告されてきていないということになっていますね。ということは、医療機関からの報告が遅れるような何らかのバイアスがかかっている可能性があるのではないか。もしそうであるとしたら、中間報告の解析は非常に難しい話になってくるのではないかと思ってのことですが、その辺に関してはどのようにお考えでしょうか。

○野口構成員
 この辺は実は私どもも苦慮しているところで、なおかつ中間報告をこの時期に公表するということに関しても、さっきのさっきまで我々は議論をしていたところですので、先生の御心配はかなり当たっているのかなということはあります。

○杉本構成員
 基本的には今の時点での症例数は必ずしも介入期の3分の1と確定はできていないという理解でいいですかね。最終的には3か月の介入期間が終わって、全部集まった上での解析が必要で、この中間解析は非常に限界があるものと理解すべきということでいいですか。

○野口構成員
 そのとおりです。

○島崎座長
 正に11月末までのデータということで、1月の末で一応、報告の全部が上がるという形ですよね。

○田邉参考人
 御指摘のとおりで、消防機関からの情報はほぼ確実に上がってくるのですが、そこから医療機関への情報となると、重症度、あるいは有害事象があった、なしにかかわらず、なかなか上がってこないという事情がありまして、それでだいぶ差があると。ただ、これについては、今、事務局のほうから各医療機関にMC協議会を通じて働きかけておりまして、恐らく最終的なときには3分の1とかいうのではなくて、もう少し良いところで御報告できるのではないかと考えております。それまでちょっとお待ちいただきたいと思います。

○島崎座長
 例えば1月末のデータで、リアルタイムで消防のほうからのデータは分かると。医療機関側は大体どのぐらいのずれ、1か月かかりますか。

○田邉参考人
 一応こちらとしては2週間という形でお願いしているのですが、2週間から更に報告しきれないところが出てくるので、今回、中間解析といった状況ではこうなっていると。

○島崎座長
 少なくとも2月いっぱいには、それなりの医療機関側からのデータも得られて、1月までのデータは解析できるということですね。

○田邉参考人
 そのスケジュールで考えておりますが、何分お願いしてやっているところで、今の予定ではそうしているということです。

○杉本構成員
 そういう前提でお聞きしたいのですが。資料3の6ページ、低血糖の主要評価項目意識レベルの改善の有無で、介入期と非介入期の比較が示されています。上のほうのITT分析については、これでいいかと思うのですが、PP分析は先に送っていただいた資料では非介入期の対象は50?/dL以下の低血糖の症例だけを対象に比較されていたかと思うのです。
 ところが本日の資料でのPP分析は非介入期の502例全部を対象にされていますね。前にいただいた資料では、非介入期502例の中で大体60%が病院到着時の血糖値が50?/dL以下であったかと思います。資料3の5ページを見ると、介入群では約50%が50?/dL以下の低血糖であったということになっています。その低血糖の中で、糖液を投与できたものだけを対象にして、非介入期の502例と比較したPP分析の結果が示されています。これでは大きな差が出るのは当然です。要するに非介入期の502例の中には、低血糖でないものが入っているわけですから。これでは公平な比較ではないと言わざるを得ないと思うのです。
前と同じように、非介入期に関しては少なくとも病院到着時低血糖であるものを比較対象としてはどうかと。その場合も、介入群は糖を投与できた16例ではなしに、血糖値が50?/dL未満の42例を、本来対象にすべきではないかと思うのです。なぜなら、こういう行為を救急救命士がやることによって、どれだけ改善があるかというものの見方からすれば、行為をやろうとしてもできなかった症例が当然起こってくるわけですから、そういう意味合いでの比較をされたほうがいいのではないかと私は思うのですが、その辺は研究者の方々はどのように解釈されているのでしょうか。

○田邉参考人
 御指摘のとおり、(イ)のper-protocol分析、PP分析の介入期については、実際にブドウ糖が最後まで投与できたという例を取ったのですが、その対照の非介入期をどれに取るかというのは議論がありました。最初は先生の御指摘のとおり、病院に到着した時点で血糖を測定して、その結果、低血糖であったといったものをこちらに載せておりました。ただ、それはあくまでも病院到着時の低血糖なので、介入期は現場で低血糖といったものにブドウ糖を投与した場合という形になっておりましたから、病院到着時の低血糖の症例を集めるよりは、現場に救急隊が行ったときに、低血糖だなと判断した例を並べたほうがいいのだろうといった議論で、こちらに修正したということです。ただ、いずれにしても、先生がおっしゃったようなものについても有意差をもって改善しているという結果でした。御指摘を踏まえて、今後は両方載せるような形でもやっていきたいと思います。

○杉本構成員
 公平性を期すという意味だったら、非介入期の病院到着時に50?/dL以下と同じように、介入期で測定したときに低血糖と判断したもの同士を比較するのが一般的ではないかと思います。というのは、病院に搬送するまでの時間の差が若干あるでしょうけれども、そんなに長時間は考えにくいと思っての意見です。
 非介入期の中で病院に到着した6割ぐらいの症例、300例ぐらいの低血糖症例で、実際には病院に到着したあと治療もされただろうと思うのですが、それも含めて生命あるいは機能予後に影響が起こった症例はあったでしょうか。今回の主要評価項目にそれを入れていない、救急医学会の意見で入れていらっしゃらないのはよく分かるのですが、300例の予後はいかがだったでしょうか。本来の目的は、低血糖が起こって、生命あるいは機能予後に影響が起こるのを少しでも下げたいという点にあります。英国の疫学の統計で、?型糖尿病の1、2%になっていましたから、そのぐらいは低血糖が死亡原因になるというのを根拠にされているわけですから。病院から報告があった300何例の予後ですね。502例の6割、非介入期の低血糖症例の機能及び生命予後が、もし分かれば非常に参考になります。1、2%ということですが、?型糖尿病は比較的まれだから、そういうので亡くなる方は実際にはほとんどいらっしゃらないのではないだろうか。どうなのかなと思ったのが1点です。
 もう1点、先ほどの横田委員の質問もそうなのですが、介入期と非介入期の中で搬送時間ですね。現場到着から病院到着までの時間に差が出てこなかったのかどうか。恐らく、普通は差が出ると思うのです。介入する方が時間がかかりますから。そういうことによって問題が起こってこなかっただろうか。1つは被搬送者に問題が起こらなかったかどうか。もう1つは、そのために救急隊そのものが占有されるというのですか、業務で絞られる時間が当然長くなってくるだろうというようなことを考えて、こういった面からの評価も、どこかでしていただくのがいいのではないかとは思います。気付いたところはこの2点です。

○島崎座長
 簡単にお願いします。

○田邉参考人
 長期予後については、傷病者の転帰として集めておりますので、時間をいただければ、どこまで把握できるかといった問題がありますが、一定の報告はできるものと思います。同様に時間についても、同じように収集しておりますので、どこまでというのももちろんありますが、報告できるものと考えております。

○島崎座長
 予想的には、血糖が下がったまま医療機関に運ばれてくるよりは、血糖を上げて医療機関に運ばれたほうが、恐らくは実際には予後はいいでしょうね。それはデータが十分に揃わなくても、上がったというデータだけで私は十分ではないかという気はするのですけれどもね。

○杉本構成員
 いろいろな考え方があるかと思うのですが、基本的には低血糖が起こって、発見されるまでの時間は、実際にはそんなに短い時間ではないと思います。外傷のようにある時に突然ポンと起こって、運ぶのが早い、遅いというのとは違って、低血糖の場合は実際には低血糖が起こってからある程度の時間そのままで置かれた後で発見されて、搬送されていることが多いです。だから、搬送の前に、例えば5分間早く糖を投与することによって、効果が出て予後が大きく変わるかどうか。これはやはり実際に確かめてみる必要があります。そのためにこのように実証されている面もあるわけですから。
 なぜこういうことをあえて言うかというと、これは救急救命士側にとっては非常に負担のかかる作業をしろということを言っているわけだからです。また、それに伴って、救急救命士をそのために教育しないといけない。そのための費用というか、コストもかかってくる仕事なわけですから、やはり実証して効果があることを確認した上でやっていくべきだろうとは思います。

○島崎座長
 血糖に関して、ほかにいかがでしょうか。

○石井構成員
 私はもともと脳外科を地方でやっていましたので、こういう事象は時々遭うものなのです。全部含めて、今回のこのデータを見せていただいて、法令改正までして、いわゆるナショナルデータベースを作ろうというようなプロジェクトをやっていただいて、幸いに大きな有害な問題がなくてここまで今、中間的にですが、来ていることに関して、まずお礼を言いたいと思います。これは現場の先生方、現場の関係者の方々は大変な思いだったと思いますが、幸いにここまで来た、その上での話ですが、臨床の現場で運ばれてきてから意識不明で、特に脳外科のところまで運ばれてきて、そこで振り分けして、それから今度は糖尿病であるかないかだとか、体のほかの部分の問題で振り分けていってという手間を考えますと、これは入口のところで振り分けてもらっていれば、それはそれで有難い話なのです。現場のほうの感覚で言うとそう思います。
 それが有害なことはなしに行うということは、血管確保ができたか、できないかを含めて、いろいろなことで振り分けられてしまうことはやむを得ない。かといって、そこでずっと長く血管確保に頑張ってもらうよりは、それなら運んできて、そこで頑張りましょうということになるのはやむを得ないことだと思います。ですので、このことに関して、血管確保はあとのほうにも出てきますが、この時点では血管確保そのものにどのぐらいの過重があったのか。でも、何とかこの中でやれたということを考えておくのでいいのではないかと思います。
 最初に結論めいた話で恐縮ですが、これだけのことをやってみて、データはもっと取ったほうがいいという議論をこのあとでするかどうかという話で言えば、これは一旦区切って、もう一度こちら側でよく相談をする話ではないかと思うのです。というのは、やはり1割以上の国民を対象にやっているトライアルと、それを長々と続けてどうあるべきかというのは、これは公平性に問題を残すことにもなりますので、一度区切って十分な議論をするという手順の中で、このあと進んでいければなという思いです。

○島崎座長
 血糖に関しては、1月末のデータで、それに基づいて結論を出そうということでいいだろうと。

○杉本構成員
 今、石井先生からおっしゃったようなことは、私も別に反対しているわけではないのです。ただ、このことは少し分けて考える必要があるかと思います。といいますのは、血糖を測定する、これは比較的やりやすいですよね。だから、血糖を測定するということと、血糖を測定したあと実際に糖液を投与することとを、1回分けて考えたほうが話は進みやすいのではないかと思います。血糖を測定することによって、「あっ低血糖だね。それじゃあ、どこそこへ搬送しよう」ということは、比較的簡単にできる作業だろうと思うのです。そのことと実際に糖液を与えるかどうか。これは分けて、もう少し糖液に関しては評価が必要だと言うのだったら評価されたらいいだろうけれども、そこのところを分けて考えたほうが話は整理しやすいのではないかと思います。

○島崎座長
 簡潔にお願いします。

○横田構成員
 杉本構成員と同じ考え方で、私もそれを言おうとしていたところがあります。先ほど言ったのは、意識障害の傷病者を診たというときに、例えばショック状態であるとか、低酸素であるとかと同列に、低血糖が関与していますという意味においての判定ツールとして、そこまでは認め得るという判断と、そこにインターベーションを加えていく。例えば低酸素だったら酸素投与というのは既に許されたことですが、今度は低血糖だから糖を投与することについては、少し議論を重ねた上でやってもいいのかと思っていました。それは先ほどちょうど発言のあったことに加えて、今後プロトコールを作っていくにおいても同じような問題が出てくるのかなと思いましたので、追加発言させていただきました。

○島崎座長
 実際に静脈路確保が、実際の適応の半分ぐらいしかなかったということなのですが、逆に先生の話だと低血糖で静脈路を確保せずに、そのまま病院でという話になると、患者サイドのほうからの異論なりが出てくる可能性があるのではないかというのが1つです。これは込みでやろうよというのを、前回の検討会で決めていますよね。ですから、結果が非常に変わったから、血糖測定だけをして静脈路確保の糖投与は別にしましょうと、データを見てそういう話ならいいと思うのですが、特に先生、それとは関係ないですよね。このデータを見られて、やめたほうがいいという話ではないですよね。

○横田構成員
 そうではなくて、データの有効性はそれなりに評価できると思います。そのときに、プロトコールとして今度はどのような形で現場でやっていただきましょうかというときに、そこで線を引いたような考え方で出さないと、低血糖だろう、低血糖の可能性があるから、すぐ輸液を取って糖を投与するのだというような、考え方が狭くなるようなことでは困ります。要するに、広くバイタルサインを見るのと同格に血糖値を測るというところまで持っていくのは、それは結構でしょう。その次にやる血糖値、低血糖に対して糖を投与するということも認めるという方向で、それは否定してはいないのですが、そこは考え方として線は引いていいのではないですかという話です。

○島崎座長
 気管挿管認定救命士とか、薬剤投与認定救命士とかを作っていますよね。だから、そういう形で、このあと教育の話も最後に出るのですが、その段階でいろいろプロトコール上、検討していく必要はあるなという気はします。
 よろしいでしょうか。これに関しては、1月末の研究結果のデータを併せて、もう一度皆様方の前に、先ほど杉本先生がおっしゃったような医療機関側からのデータも出てきた段階での最終データが出ると思いますので、1月末までのデータを集積するということにさせていただきたいと思います。恐らくデータとしては、それなりのリーズナブルなデータが出ているようには思います。時間の関係で、先へ進ませていただきます。

○杉本構成員
 このショック原因が様々ありますね。これはサブグループの解析を1回やられたほうがいいのではないかと思います。もう1点、副次評価項目で皮膚の蒼白、湿潤・冷汗ということが載っていますが、この副次的評価項目は、ブラインドスタディ、ブラインドでやっているスタディだったら別ですが、ヒストリカルなコントロールであると、これは嫌でもやったら絶対効果があると書きたくなるところがありますよね。どうしても、かなりバイアスが掛かってくる。やむを得ないのですが、やった人にしてみたら、きっと改善したと言いたくなる気持が起こってくる。そのことは非常に慎重な評価というのですか、分析をしていただきたいなと思います。

○島崎座長
 そのまま「心肺停止前の静脈路確保と輸液」に先に。これは今のお話で、1つはショックの原因が非常に幅広く、心原性も出血性ショックも一緒になっていますから、この辺をもう少し分けてデータを出すことは必要かと思います。ほかにいかがでしょうか。残念ながら、プライマリーエンドポイントのショックインデックスに関しては、明らかな有意差はなかったけれども、セカンダリーエンドポイント、副次的評価としての主観的なデータとしては改善していると。もう1つ、これは客観的なデータだと思いますが、脈拍の改善が見られたということです。いかがでしょうか。これも血糖と同じに、1月末までのデータを集積してやるという感じになろうかと思いますが、御意見がありましたらどうぞ。これもそういう形でやっていきたいと思います。

○郡山構成員
 今までの議論を踏まえてですが、最初のもともとの検討会はmustとmayでやりましょうというのがまず1つだと思います。今後の方向に向かってということを話しておりますけれども。ショックのところも、この中で出血性と脱水という、ものすごく簡単に言えば、この2つのところは現場で輸液をするということで有効かもしれないということが多分出てくるのだと思うのです。それは1月のときに分けて出てくるという状況ですよね。

○田邉参考人
 サブグループ、出血性、心原性ごとに、今お示ししたようなものを出すというのは、そのつもりでやっております。今回は症例数が余り多くないものですから、お見せできませんけれども。

○島崎座長
 これはそれぞれ分けてしまいますと、ものすごく症例として減るかも分からないので、例えば血管内容量減少性のショック。絶対的に少ない、あるいは相対的に少ない、アナフィラキシー・ショックとか、敗血症あるいは脱水とか、出血性ショックとかですね。それから少なくとも心原性は分けたほうがよろしいかと思いますが。その辺はお任せいたしますので、よろしくお願いいたします。

○横田構成員
 15ページの輸液の方法といいますか、それとインデックスの輸液量と指標の改善の分析で、先ほど御説明の中で搬送時間が長いところと短いところがあるのでばらつきがあったとおっしゃったと思うのですが、急速輸液がどれだけ効果を出したかというのは、分母を時間単位で表す輸液量として評価する仕方はやられたのでしょうか。

○野口構成員
 これはまだ中間ですし、一部そういうデータも私は見せていただいていますが、どの程度出るかはまだ私も分かりません。ただ、その検討はしているところです。申し訳ございません。

○島崎座長
 それも含めて、2月、3月の最終解析結果でお願いしたいと思います。

○野口構成員
 分析に関しては、我々はいろいろなバイアスが掛かっている研究者ですので、あえて分析に関しては、できるだけ掛かっていない人のグループにお願いしております。今日、実は陪席していただいていますので、その情報は感じ取っていただけるかと思いますが、なるべくバイアスは掛けないところでしていただいていることを申し添えさせていただきます。

○島崎座長
 極めて客観的にやりたいということです。よろしくお願いします。

○有賀(徹)構成員
 今のバイアスの話なのですが、統計学的な処理とか、統計学的な結果の考察という話は、基本的にあえてここに理科系でない方たちもおられるので、敢えて説明しますと、私たちの今のバイアスを含めた第六感といいますか、仕事上から得られた印象ですよね。ここではきっとこうなるだろうとか、こうするとこうに違いないとか、その手のことを統計学的な方法論によって、ある程度サイエンティフィックに示す。そのような局面もありますから、バイアスのないところへ丸投げするみたいな話は、逆に危険だと思いますので、これは野口先生にしっかりバイアスを持って見ていただくと。

○島崎座長
 おっしゃるとおりです。心肺停止前の輸液に関しては、よろしいですか。
 喘息のβ刺激剤のSABAの使用に関してなのですが、これはちょっと問題がありまして、最初に御説明があったように必要登録数を極めて下回っているということです。1月末までのデータということですが、それを入れても少なくともデータが集まってくることは悲観的だろうというように思われます。実際この検討会の研究期間を延長するとすると、3月末までは延長できるということらしいのですが、実際にそれをやって、3月末までこのSABAに関してデータを取る必要があるのか。あるいは現状を鑑みて、1月末まででデータとして出して、必要登録数が集まらなければ一応そこで打ち切るという形にするのか。石井先生は、先ほどこれだけ膨大な人員とあれを使って、まず一定の結論をできるだけきっちりした形で、期間内に出したほうがいいのではないかとおっしゃっていただきました。喘息の中身に関してよりも、まず症例数が集まっていないということで、3月末までに延長するかどうかを御議論いただきたいのですが、いかがでしょうか。

○杉本構成員
 その前に、この必要登録数の算出について、少し教えていただきたいのですが、これはどういう仮定の下に出された数字なのでしょうか。

○島崎座長
 63例がどういう数か。どういう議論で。

○杉本構成員
 仮定に基づいてやっていると思うのです。こういう効果があるだろうという仮定の下にですね。それを証明するためには63症例が必要であると、恐らく算出されたのではないかと私は想像しているのですが。そこのところに全く問題がなかったということだったら、非介入期の53例を見ても到達していないということだと難しくなってしまうと思うのです。

○島崎座長
 これは統計学の学者の先生が、そういうことならこれだけだというのを何か説明する知識はお持ちでないと言うと失礼、分かりますかね。

○野口構成員
 平成22年でしたか、以前の報告で決めたものは、まずプライマリーエンドポイントとしては、現場から病院到着前の時間ということ。それから、セカンダリーエンドポイントとして、病院到着時の自覚症状、SpO2の改善、ターシャリーへのエンドポイントとしてはバイタルサインの措置前後の変化ということで見ました。例数に関しては、その前に病院までの搬送時間が3分以上遅れないことを評価すると。それで、病院到着から病院までの平均時間は23分のところ26分までを許容範囲にするとかいうことで、それに対するパワーとして80%。αエラー5%で検出するには、1群として63例、合計例数として126例が必要であるというところから計算していただいたことなので、更に詳しくということであれば、オブザーバーの席ではございますが、直接説明申し上げてもよろしければそうさせていただきます。

○杉本構成員
 分かる範囲内で、理解できる形で結構だと思うのですが、教えていただければと思います。

○島崎座長
 簡単に分かるように説明できますか。

○オブザーバー(浦島研究分担者)
 統計担当のリーダーです。今、野口先生に言っていただいたとおりで、過去の救急搬送の時間から3分以上遅れない。SDもある程度ありまして、それを鑑みて63例ずつという、いわゆる同等性試験といわれるものですが、それで計算いたしました。今、御報告がありましたとおり、介入群でしっかり条件を満たして、吸入をしばらくやっていなくて御自身が持っているという形で、今回12月いっぱいぐらいまでのデータをもっても、しっかり介入ができているケースが僅か2例しかありませんでしたので、症例数としてはかなり限られたものになっているというのが現状です。

○杉本構成員
 今の話を私なりに解釈すれば、搬送時間を基に、23分が26分まで3分間延長すると仮定して、今までの症例を基にしてSDを含めて計算されて、そのためには63例が必要だろうという理解でいいわけですかね。分かりました。ありがとうございます。

○島崎座長
 ということだそうで、症例数の必要数に関しては、基本的に統計学の専門の先生を含めて、リーズナブルだろうという気はいたします。ということで、とてもではないですが、1月末で、まず非介入群が集まっていないということで、そもそものベースのあれができていないので、3月末までで非介入群が10数例足りないのですよね。これは先生、ついでと言っては何ですが、検証を3月までやって、介入群を増やしても、非介入群がそもそもの必要症例を満たしていなければ成り立たないですか。

○オブザーバー(浦島研究分担者)
 そうだと思います。さらに、介入群はそれに輪をかけてというか、桁違いに少ないので、かなり厳しい状況だと思います。

○島崎座長
 1月から3月の間に非介入群を10例やってということは、本来のアカデミックな統計手法からしたら駄目ですよね。

○オブザーバー(浦島研究分担者)
 はい。同じであるということを証明するためには数、いわゆるパワーが非常に重要になってまいりますので、足りない場合には対象症例数が少なかったために差が出なかったのか、それとも本当に差が出ないのかということを全く区別できなくなってしまうのです。

○島崎座長
 いやいや、1月から3月までの間で、非介入群を作ってというのも駄目、それも駄目ですよね。途中で計画が変わりますものね。

○オブザーバー(浦島研究分担者)
 駄目ですね。介入群が余りにも少ないので、難しいと思います。

○島崎座長
 介入群が奇跡的に集まったとしても、非介入群が、そもそもベースがね。ありがとうございました。

○樋口構成員
 私は医者でなくて、先ほど有賀さんがおっしゃってくれたような文系の人間なので、本当はよく分からないわけですよね。ただ、2つの点だけは言うことができる。1つは、これは突然、今日、急にやっているわけではないということですね。法学部だから先例を重視するというか、役人的だと言われるとそうなのですが、一番最初に説明がありましたが、従来の経緯があると。経緯を今から覆すような御発言はいかがなものかと、やはり思うのですね。2点だけにしますが、一番初めのところで基本的な方向性を、それこそ医学の専門家が専門的なバイアスによって、有賀さんによればね、専門的な見地からすれば、こういうことはちゃんとやれる人がやるのだったら早いほどいいのではないのという話で、基本的な方向性を定めて、それを実証研究の形で検討してみましょう。この場合の実証研究は、ゼロからスタートするような医学研究ではないと私は思うのです。今回やってみて、今までの専門家のバイアスを覆すようなとんでもない結果が1例でも出てきましたという話であれば、基本的な方向性を覆すという話があっていい。だから、症例数などに余りこだわることはなくてと、私は思うのです、本当に。
 一番難しいのは重症喘息患者だと言うのですが、これについてはそもそも自分でやっているわけですよ。自分でやっていて、自分でやれない場合のような人にだけ救急隊員が行って、それだったらやらないといけないのではないですかという話になっているだけなので、自分でやれているような事例で済ませているのだったら、どんどん症例数は少なくなるに決まっているので、本当にこれは初めから症例数が63なんて集まるようなはずはないのだと私は思うのです。家族がいれば家族がやる。しかし、これで救急隊員がやってしまったら、とんでもないことになったという事例が出てきたら、これはそれこそ専門家のバイアスが覆されたようなことだって、たまにはあると思いますから、どんな専門家だって。そういう話で実証研究を考えるべきであって、一番最初に御説明がありましたが、厚生労働省の臨床研究に関する倫理指針に厳しく従ってというような、そもそも性格のものだったのだろうかと。
 緊急時のところでのものなのですから、少し考え方を従来の経緯をむしろ尊重するような方向でまとめるのが。だから、むしろ反証を出すほうが責任があるのではないでしょうか。今までやってきたことはとんでもないことなんだよと。専門家のバイアスを含めて、全部間違っていますよという、正に事例によって専門家が反証を出してくださるようであれば、それならもっと慎重にやったらどうでしょうという話になると私は思いますが、そうでない限りは今日の議論の方向性は、余りにも今まではもう全部なし、大震災があったのだから、全部新しい形でやりましょうというぐらいの話なのかなというように、素人には考えられるものですから。全く素人でとんでもないことを言っているのだとは思いますけれども、申し上げました。

○島崎座長
 おっしゃることは、一般市民感覚でのお話として極めてよく分かりますし、そういうことだろうなと思います。ただ、今までがそういう形でということはないのですが、医療機関内でやっていることだから、現場でもそのまま引き続いてやるのが本来のあれだろうという形でやられてきたのを、少しでもプレホスピタルででも医学的にアカデミックな形でデータをきっちり取ろうよと。実はこれはこういう形でやるのは、先ほどちょっと言いましたが初めてです。こういうやり方もあるのかなということは、私も実は思わないでもなくて、座長を引き受けさせていただいたわけです。
 それに従って、倫理指針も、国の決めた倫理指針というのではなしに、今回は学会が有賀委員が理事長のとき、今も理事長ですが、作られた倫理指針を学会に投げて、こういう形でやるには学会としては、救急医学会ですから現場のことを非常によく分かった学会ですので、その方々にお願いして、有賀先生を中心として、やるならこういう同意が必要ですよ、こういう倫理的問題がありますよ等を含めてここまで来たということですので。

○石井構成員
 先ほどの発言に補足しますが、樋口先生のおっしゃっている中にも少し含まれていますが、喘息に対する薬剤投与は、この議論を始めたときと今とで、少しまたフェーズが変わってきていると思うのです。というのは、本人が使うだけではなくて、家族であるバイスタンダー、今やもうそれも学校でもということで、それも進めましょうという話で動いていますので、救命士がやらなければいけない事象はボリューム的にはだんだんだんだん小さくなっているということだと思うのです。ただ、問題なのはやらなくていいことなのかどうかという判断は、最後にこの会でやるべきではないでしょうかという趣旨で、最初に申し上げたわけです。ですから、この実証研究そのものに頼りきるのではない方法がよろしいのではないかということでは、樋口先生の御発言と全く同じ趣旨だという意味で申し上げました。以上です。

○島崎座長
 医師会の発言もだいぶ昔と比べて。

○松月構成員
 元救急の看護師の立場から申し上げますと、やはり私は前回の研究デザインを作るところには参加しておりませんので、今回これを見て、先ほどの心肺停止後の輸液に関するショックインデックスというのは余りにも厳しすぎるかなと思いました。と申しますのは、やはり時間がかかりますよね。ですので、血圧が少し上がったとか、そんなことぐらいで取ってもよかったのかなと思ったり。今回の喘息に関しては、いろいろ調べてみますと、救急隊の方がお使いいただける、救命救急士の方がお使いいただける薬剤の範囲が、その頃はそのように決められていたのだと思うのですが、そこももしやるのであれば、多くの喘息で亡くなる患者はいらっしゃるわけですから、そういうことを本当に何とかしようと思うのであれば、この中身がもう少し広い範囲のものが使えるようなことが考えられるといいなと、ナースの患者のそばに寄り添っている立場から見ますと、やはりそのように感じる部分があります。今後の議論だと思いますが、そのように感じました。

○島崎座長
 これはSABAを本人が使って1時間以上経過していない、再吸入は1時間ですよね。30分か、1時間かですよね。

○野口構成員
 いや、効能書き上3時間。それに従っていますので、3時間です。

○島崎座長
 3時間、時間の経過を見ないと、能書にそうなっているのですね。それから考えると、一番最初からこれはなかなかだなという気はしたのですが、能書に、ドラッグ・イン・ジャパンにそうなっていますので、それを無視してまで現場でやれという話ではないので、今回のような形できっちりとそれにのっとってやった結果、こういう状況だったということです。
 喘息を日常的に見ていますと、もう少し早く吸入していればなという症例は確かに非常に多いのですが、今回こういう形でのきっちりした区分けをしてやってみようよということを、一番最初の検討会で決めた結果、こういう形になっているわけです。
 お聞きしたいのですが、このまま3月まで延長するのか、あるいは従来の予定どおり1月で打ち切るのかということをちょっと。

○有賀(徹)構成員
 ほとんどの先生方、ここにおられる方たちはそう思っていると思うのですが、当初の経緯にのっとってこれが始められて、症例数のことやら何やらありますが、目的のけじめはそれで一旦つけると。そこで、こういう方法論を使ったのでこういう結果になったということは、それこそ救急医学会に倫理的側面に関することで投げられたときから、このような方法であればこうだよねという、予めの予想どおりになってしまってはいるのですが、だからと言って延ばすというのではなくて、そういう意味ではけじめはきっちりつけて、そのような議論をする。石井先生が言われたり、樋口先生が言われたりしたような形で、また別途、それを踏まえた形ででもいいですから議論を始めると。そのほうが私はいいと思います。患者にとってもそのほうがいいと思いますし、救急隊員にとっても、そのほうが仕事が分かりやすいというように考えます。

○島崎座長
 ということですが、よろしいでしょうか。

○杉本構成員
 今、先生は効能書きに3時間と記載されているとおっしゃいましたね。確か喘息発作でのβ刺激薬吸入は呼吸器学会だったかと思いますが、むしろこれは是非とも実現するようにと賛成だったと思うのです。喘息発作時のガイドラインに出ていると思うのですが、その中にも3時間になっていましたかね。普通は、前回の投与から次の投与までの時間という形で、臨床の場で、例えば私自身が喘息患者を診ているときは、正確には忘れましたが、私は15分と言ったかもしれないですが、そのぐらいの分単位、少なくとも10分単位ぐらいの単位のところで反復使用をしなさいと。2回効果がなかったら、これはもう救急車を呼びなさいという指導をしていたと思うのですが。

○野口構成員
 先生がおっしゃるとおりで、アレルギー学会等は。ただ、我々はこの研究では、前も樋口先生に大変お叱りを受けたのですが、あくまでも我々はこれは厚労省管轄の研究ということになりますと、アレルギー学会も全部、医師が診た上でという前提が、書いてある、書いていないは別にして、そういう解釈をせざるを得なかったということです。是非、御議論をここで深めていただければと思います。

○杉本構成員
 実際に医師が指導して、発作時にこうしなさいと説明していると思うのですが、それは要するに今言っている効能書きを無視してやられているという理解でいいわけですか。

○野口構成員
 そのとおりです。

○杉本構成員
 分かりました。ありがとうございました。

○島崎座長
 いずれにしても、一応、従来のスケジュールどおりにやろうということでよろしいですか。そのようにさせていただきます。
 続きまして、資料4の「これまでの処理範囲拡大の際の追加講習・実習について」ということで、説明をお願いします。時間が押しておりますので、簡単によろしくお願いします。

○野口構成員
 資料4の2ページの左から[1]、[2]、[3]、[4]、これは今までの救命士の業務拡大を行ってきたところの教育カリキュラム等の追加等講習を行ったところです。一番右が今回の実証研究のための教育カリキュラムで、心停止前ということが対象症例と変わったということです。それについては、条件がありました薬剤投与の資格を持っているということに関して、追加講習・実習を修了しているということで、この辺の補填講義は特に設けておりません。ただ、追加講習・追加実習として、10時間、あるいは12単位を設けて、単位を1時間とすれば、22時間の追加講習ということにさせていただきました。我々が一応、研究会としてこういうことを教育カリキュラムとして追加してください、というのが添付1と2に掲げてあります。以上です。

○島崎座長
 いかがでしょうか。追加講習・実習についての時間、研修期間等。何か御質問なり御意見はありますか。実習期間が、時間がそれぞれトータルで何単位とおっしゃったのですか。

○野口構成員
 22単位です。1時限50分で22時限。

○島崎座長
 22時限、何日間なのですか。

○野口構成員
 4日か5日ぐらいでこなしていただきます。

○島崎座長
 中身に関して、研修内容、期間がもう少し長くてもいいのではないかという意見は出ておりましたが、もう少しこれについても検討していただいてということであろうと思いますが、郡山先生、いかがですか。

○郡山構成員
 今回のことであれば、50分、22時限で、多分十分だろうと思うのです。しかも、もしβstimulantがなくなれば、もっと少なくなるという状況だと思います。私の感覚から言っても、特に何か新たな実習が必要かという気は余りしないです。

○島崎座長
 事務局、データを1月末までで集めて、最終の報告会、検討会はいつ頃開かれますか。SABAをやるかどうかも含めて、2月中ぐらいですか。

○徳本救急医療専門官
 先ほど研究班のお話によりますと、医療機関から返ってくるのもお時間がかかるということと、それが集まってからデータ入力、データクリーニング、解析、解析に基づいた資料づくりということになりますので、ちょっとお時間をいただくと思います。

○島崎座長
 2月いっぱいには無理ですね。

○徳本救急医療専門官
 恐らく救急班がおまとめいただくのが2月を過ぎて、3月になってしまうのではないかと思っております。それから、当方は資料等の準備になります。

○島崎座長
 野口先生、3月中旬以降に最終の検討会をやるとすると、その検討会を受けて、研修期間等を決めるということになりますよね。

○野口構成員
 はい。研修期間を含めて、もう一度我々班の中でのディスカッションが必要だと思います。

○島崎座長
 それのこうなりましたというのは、この検討会の最終を受けてからでないと、研修期間等は決められないですか。そのとき一緒に出てきますか。例えばSABAしないという話になると、研修期間等を含めて、かなり中身が変わると思うのですが、どうなりますか。

○徳本救急医療専門官
 その辺はまた先生方にお伺いするのですが、例えば今回22時限で十分という話になって、SABAをしないということであれば、そのSABAの分だけを単純に抜いてしまっていいのか、そうではなくて、ある程度相補的にしているので、幾分かはその分を残しておくのかということについては、また御議論いただけたらと思いますが、基本的には次回で一定のおまとめをいただくときに、研修内容も大枠のところは御議論と御判断をいただきたいと思っております。

○島崎座長
 今の話ですと、SABAを抜いた形になる可能性が極めて高いような感じですが、それで22時間マイナスいくらかでやるのか、全体的に見て22時間前後でやるのか。その辺は野口先生、ちょっと検討いただいて。皆さん、何かそれに対して御意見なりありますか。時間に関して、お任せいただけますか。野口先生、その辺よろしく御検討をお願いいたします。
 続きまして、議題2「その他」なのですが、資料5「非侵襲性異常ヘモグロビン測定に係る疑義について」の説明をお願いいたします。

○徳本救急医療専門官
 時間も過ぎていますので、手短に説明申し上げます。非侵襲性異常ヘモグロビン測定に係る疑義照会が委員のお手元にあるかと思います。この疑義照会について、我々としては、新たな異常ヘモグロビンを測定する機器に関して、従来「救急救命処置の範囲等について」という通知におけるパルスオキシメーターの使用と実質的に構造等変わらないと考えております。ですので、パルスオキシメーターの利用と同様に救急救命処置の範囲として認めてはどうかと考えております。
 ただ、そのときの課題として、異常ヘモグロビンの測定を行うための教育体制の整備とMC体制の整備は必要だと思っております。また、測定に基づいて、搬送先医療機関を決定する体制の構築がなければ、使用に関しては特に意味のない行為になりますので、その辺も併せて、体制をとっていただいた上での使用ということを我々は指導してまいりたいと思っております。そのような取組みでよろしいかどうかについて、構成員の皆様に御議論いただけたらと思います。

○島崎座長
 いかがでしょうか。パルスオキシメーターで異常ヘモグロビン、主にCOヘモグロビンを測定できるパルスオキシメーターがあるということで、測れるならそのデータも測ってよろしいでしょうかということ。

○郡山構成員
 時間がないので、そもそも論で、考え方のところだけを申し上げたいと思います。恐らく救急救命士が行う救急救命処置の中で使う器具といったときに、処置を伴うものとセンサだけのものと、2つあるのだと思うのです。そこのところを明確に分けて議論しないと、今後新しい機械が出てくれば出てくるたびに、こうやって疑義照会がかかるというのはおかしな話だと思うし、現状例えば救急救命士は開放性の気胸があれば三辺固定などもするのです。ところが、そういうのは救急救命処置に相当するのかということは、現状の課長通知では書かれていないという話にもなるし。ですから、多分、今日ここのことを1つ認める、認めないというよりも、その辺の考えを救命救急士法ができて大分なりますし、1回きちんと整理をするという作業をやったほうが建設的ではないかと思います。

○徳本救急医療専門官
 ありがとうございました。

○島崎座長
 そのようなことでよろしいですか。時間も大分過ぎておりますが、全体を通して、何か御意見なりありますか。

○郡山構成員
 1つだけ、どうしても言いたいことがあります。今後の今回のこの研究班及び検討会は、1つの枠を決めたものとして結論は出つつあります。それは理解した上で、参考資料1で平成22年4月28日の1ページの2で、今後、今回言われた行為のほか、私は2つ目の○の[1]、[2]、[3]みたいなことも必要ですということを提言しているのです。特に[3]アナフィラキシーに対するアドレナリン(エピネフリン)投与などという問題は、例えばここ最近を見ても、たまたま追加で配られた給食で、子どもが亡くなってしまった事例があります。それは、そもそもアレルギーの既往があったけれども、先生が新たに配られたものを知らずにいたという、なかなか避けがたい、誰にとっても不幸な話であるわけです。世論がワッとなったときだけに救急救命処置をどんどん積み重ねていくというのではなくて、きちんと計画的に構築をするという考えを私たちはやはり持っていかなければいけないのではないのかということは、是非ここで提案をしたいと思います。

○石井構成員
 話が前後して申し訳ないです。COの測定の話ですが、これは実際、山梨でこの間トンネル事故がありましたね。トンネル火災、そうすると飛び込む救急隊、警察官、そういうレスキューチームを含めて測ってあげたほうがいいのです。あの中に飛び込むということは、こういうものに巻き込まれる非常に高いリスクを持つ事象なのです。私は常磐炭坑のあった所に育ったものですから、落盤事故のあとの海馬の遅発性細胞死によって、記銘力障害、人格障害という非常に悲惨な事例を目の当たりにしております。これは是非とも常備して、測って、そのあとのデータも参考するという話だろうと思います。したがって、手順が同じなわけですから機械を更新すればいいだけのことで、データが増えれば、それはいいことではないかと思います。

○島崎座長
 今、先生がおっしゃったのは、飛び込む救命士側もつけていくということですね。こういう形で現場で救急救命士、あるいは患者自身に役に立つようなものであれば、できるだけ我々としても取り組んで、現場にフィードバックをかけたいとは思っております。
 全体を通して、ほかにいかがでしょうか。従来どおりのスケジュールでやっていくということで、SABAに関しては3月末までの研修期間の延長はなしということで、1月末までのデータを最終的に今度持ち寄って、3月中ぐらいに検討会を開かせていただくということにしたいと思います。時間に関しては、日程調整の上、決まりましたらということですが、事務局から何かありますか。

○佐久間救急・周産期医療等対策室長
 先生におっしゃっていただいたとおり、研究班のデータの整理等々の部分もありますので、次回については日程を調整した上で、また御案内させていただきたいと思っております。

○島崎座長
 これで中間報告の検討会を終了させていただきます。活発な意見をどうもありがとうございました。お疲れさまでした。


(了)
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直通電話: 03-3595-2194

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