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2013年1月15日 第2回労災診療費のレセプト審査事務に関する検討会(業務改善等について)議事録

労働基準局労災補償部補償課

○日時

平成25年1月15日(火)17:00~19:00


○場所

労働基準局第1・第2会議室


○出席者

小西 康之、竹内 啓博、蜂谷 將史、松島 正浩、山口 浩一郎

(厚生労働省:事務局)

中沖 剛、若生 正之、河西 直人、栗尾 保和、松本 和之、倉重 潤一郎

○議題

(1)検討すべき項目等
(2)業務改善等に係る検討

○議事

○松本職業病認定調査官 
 定刻になりましたので、ただ今から「労災診療費のレセプト審査事務に関する検討会」を開催いたします。参集者の皆様におかれましては、御多忙中のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
会議を始めるに当たりまして、資料の確認をさせていただきたいと思います。本日の資料は、議事次第で始まります1綴りの資料となります。1枚めくってもらいますと資料1がございます。下に通しページがあります。1ページ目から最終34ページとなっています。こちらの資料1つでございます。よろしいでしょうか。
                (特に発言なし)                
 写真撮影は以上とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
それでは、山口座長、よろしくお願いいたします。
○山口座長 本日はレセプト審査事務の業務改善等につきまして検討するのが、目的でございますけれども、「検討すべき項目」の洗い出しと、項目についての検討ということで進めさせていただきたいと思います。
 前回の会議では事務局のほうで作成していただきました「検討すべきポイント(案)」が出されましたが、これとは別に委員のほうからも御意見があれば伺うということになっておりましたので、本日は委員の方の御意見と併せまして、事務局から資料の構成について説明をお願いしたいと思います。それでは、お願いいたします。
○栗尾労災医療専門官 前回の検討会におきましては、委員の皆様から検討すべき項目について意見をお出しいただくということになったところです。その参考としていただくべく、事務局のほうでたたき台として「考えられる検討項目及び着眼点」というものを作成させていただき、座長に御確認いただいた上で、委員の皆様に送付をさせていただきました。
 御意見としましては竹内委員、蜂谷委員からいただいております。各委員からいただきました意見、及び、委員の皆様に送付させていただいた「考えられる検討項目及び着眼点」につきましては、資料の「検討すべき項目に係る意見等」というところで、本日の資料に入れさせていただいております。
 委員の皆様方からいただきました御意見と事務局でたたき台として作成した「考えられる検討項目及び着眼点」とを集約して整理したものを資料1として提出させていただいております。更に、業務改善等の内容を御検討いただくための資料を資料2から12として提出させていただいております。
 事務局としましては、本日の検討会で「検討すべき項目」について整理していただき、その後、御議論の状況にもよりますけれども、できるところまで検討すべき項目ごとに御議論いただきたいと考えております。以上でございます。
○山口座長 事務局のほうから、本日の検討会では、検討すべき項目について整理をした上で、その後、各項目について検討に入っていただきたいという御提案がございましたが、そういう進め方でよろしゅうございますか。
                (賛同の声あり)                
 それでは御異論がないようですので、まず、検討すべき項目の洗い出しをしていきたいと思います。委員のほうからは、竹内委員と蜂谷委員から御意見が提出されております。事務局のほうでは、これを資料1としてまとめていただいておりますので、一通り、事務局のほうから御説明を伺い、そして、必要に応じて両委員から補足をしていただきまして、各委員の先生方から御意見や御質問を承りたいと思います。
○栗尾労災医療専門官 それでは資料1ですが、「検討すべき項目」の洗い出しということですので、資料1の「着眼点」と「対応策」についてまず説明をさせていてただき、関連する資料番号を記載していますが、それらにつきましては、後ほど説明をさせていただきたいと考えております。
 資料1についてですが、この資料の取りまとめに当たりましては、この資料の中でローマ数字で記載しておりますが、ローマ数字の「?審査の手法」、「?審査の範囲」、「?審査の精度」、「?その他」という4つの項目に分類して整理をしております。
 まず、「?審査の手法」ですが、審査の手法におきましては、総論的なところで、算用数字の「I審査の手法における論点」と、その下のほうにありますが、「2システムの活用」の2つの柱を立てております。
 それでは、「I審査の手法における論点」ですが、この着眼点と対応策の3点につきましては、竹内委員からの御意見となっております。着眼点としては、現行の審査点検手法の見直しにより効率化の余地がないかという点、それから、審査担当職員又は、審査委員の業務効率化を図る手法改善として何が考えられるのか、一人当たりの審査件数を更に向上させる手法はあるのかという着眼点です。
 対応策としては、現行の審査業務手法の見直し、それから審査のシステム化(電子レセプトの導入促進)、3点目が専門性を高めることによるー人当たりの処理能力の向上というところの検討ということです。
 「2システムの活用」についてです。システムの活用の中でも、(1)から(3)に分類をしております。「(1)システム導入のメリット」、「(2)電子レセプト請求普及の取組」、「(3)電子レセプト請求の普及目標等」という、この3点に分けております。
 1ページのシステム導入のメリットのところから、順次、説明いたします。着眼点としましては、まず、労災レセプト電算処理システムの稼働、平成25年9月を目途としていますが、この機械的なチェックが可能となることにより、審査点検における見落としの防止が、適正な審査につながるのではないかという点、また、システムの活用により、労働局における業務の効率化、迅速化を期待できるのではないかという点です。2点目としては、電子レセプトの導入コストと費用削減効果の試算、3点目が電子レセプトのシステム導入により、場所、時間の短縮、労力などの効率化、迅速化が挙げられるが、そのためには審査の精度を上げる必要があるという点です。2点目の費用削減効果の試算のところは竹内委員の御意見です。3点目の場所、時間短縮、労力などの効率化等のところは蜂谷委員の御意見です。
 対応策としては、現在、進めておりますシステム開発につきましては、業務・システム最適化計画に基づく開発を行うこと。2点目にシステムの中身としては、健康保険のレセプト電算処理システムと同程度のチェックの範囲、水準を確保していくということ。3点目としては、電子レセプトの導入コストと業務処理時間の短縮による削減効果の試算をするということで検証をしていきたいと考えております。
 続きまして、「(2)電子レセプト請求普及の取組」ですが、着眼点としては、1点目が健康保険と労災保険の仕組みの違いという点です。具体的には、健康保険においてレセプト請求は、請求省令に基づき決められており、普及が図られてきたという経過がありますが、労災保険においては、省令等で決まっているものではありませんので、そういった違いがあるということです。
 2点目が医療機関の対応ということで、電子レセプトでの請求を実現するためには、医療機関側のシステム機器やソフトウェア導入等の経済的な負担が伴う対応が必要となるところです。
 その中で、以下、蜂谷委員の御意見ですが、支払基金や国保と同じで、診療所における年配の医師、レセプトの少ない医療機関では普及しにくいのではないか、また、医療費が病気によって定額払いとなるDPC対象病院やDPC対象病院以外でもある程度の病床数の医療機関で、支払基金や国保に既に電子レセプト請求を行っている医療機関は、労災の電子レセプト対応は大丈夫ではないか。しかし、レセプトの少ない医療機関の対応は分からないという御意見です。3点目が、指定医療機関の電子レセプト請求に伴う経済的負担を軽減する措置を講じることが必要ではないかという点です。
 次に、電子レセプト普及の見込みとして、電子レセプト請求を普及させるために取り組む必要があるのではないかということです。
 これらの対応策としては、各医療機関におけるレセプト枚数の把握により、労災診療費の請求の多い労災保険指定医療機関等に対する電子レセプト請求の勧奨など、2点目としては、医療機関における電子レセプト化への取組に対するインセンティブの付与などを考えるべきではないかというところです。
 「(3)電子レセプト請求の普及目標等」ですが、着眼点の1点目として、電子レセプト普及の目標設定、労災保険における電子レセプト請求について目標を立てて取組を行うことが必要ではないかという点です。ポツの二つ目は蜂谷委員からの御意見ですが、このためには各医療機関におけるレセプト枚数を把握することにより、ある程度の普及目標の線は引けるのではないかという御意見です。
 2番目の○で、普及目標を定めるに当り、労災レセプトの電子化が見込まれる医療機関について検討すべきではないかということで、どのような医療機関等であれば労災レセプトの電子化を速やかに、早期に実施していただけるか、実施することが期待できるかという点です。
 次の○で、労災レセプトの電子化普及の時期ですが、指定医療機関等が診療報酬改正に伴うシステム対応を図る際に、併せて労災保険のレセプト電子化の対応を図ることが期待できないかという着眼点です。
 次が、電子レセプト請求の普及目標値ということで、ここでは既に実施しております健康保険における電子レセプトでの請求状況から目標値を設定できないかという着眼点です。最後は、電子レセプトの普及による削減効果ということです。電算処理システムが稼働して、電子レセプトによる労災診療費の請求が普及しますと、レセプト審査事務にあたる職員の業務処理時間の削減が見込まれるというものです。
 対応策としては、1点目が各指定医療機関における労災レセプトの取扱状況の把握、2点目が健康保険における電子レセプト普及率を踏まえた導入率の目標設定ということです。3点目が労災保険指定医療機関がソフトウェア導入などの対応を行うことを踏まえた普及時期の目標設定、最後が電子レセプトの普及によって、最適化計画に示されておりますが、22,558人日分の業務処理時間の短縮が見込まれるというものです。
 続きまして、ローマ数字?の「審査の範囲」の着眼点と対応策です。審査の範囲につきましては、1点、。療養の費用における診療行為の労働局での点検を挙げております。着眼点としては、1点目が診療行為等の審査ということで、現在は監督署において取り扱っております療養の費用請求書の診療行為等の審査を労働局で行う仕組みにすることにより、精度の高い審査になるものと期待できないかという点です。2点目は蜂谷委員からの御意見で、監督署における業務上外の認定と労働局における診療内容の審査について、併行して実施するなどにより速やかに決定できるようにすべきということです。時間的にも速やかにという御意見です。対応策としては、療養の費用請求書における診療行為等の審査の精度確保のためには、労災診療費のノウハウを有する労働局職員が審査を行う仕組みとするということです。
 ローマ数字の?の「審査の精度」についてです。1点目としては「審査の精度における論点」ということで、全体的なところから参りたいと思います。こちらは着眼点、対応策、いずれも竹内委員からの御意見です。
 着眼点の1点目、一人当たりの審査能力アップの方法は専門性向上以外にないかという点、2点目が専門性向上の方法は研修の効果的な実施しかないのかという点です。3点目が審査担当者の継続性を確保できるかという点です。これに対する対応策としては、審査担当者の異動が頻繁ということであれば定着をさせることによって処理能力が向上していくのではないかという点、それと研修の成果を測定して、効果的でないと判断されるのであれば実施方法を改善するという2点です。
 その中で2番ですが、審査担当職員の専門性の確保という点です。着眼点としては、確保すべき専門性の検討ということで、どういうところの専門性を確保していくかという点ですが、労災レセプト審査においては、私傷病を排除し業務上と判断される負傷又は疾病に限定することや労働基準監督署長が負傷又は疾病の治ゆの判断を行うための医療効果に係わる情報の把握という労災固有の審査に係る専門性と診療報酬点数表等に定められた保険診療ルールに係る専門性が必要となるというものです。この中で、労災保険においては外科系のレセプトが多いということで、保険診療ルールの部分においても外科系を中心とした審査業務の専門性が求められるのではないか、さらに、じん肺、振動障害、石綿関連疾患等の職業性疾病等の労災特有の疾病に係る医学的知見を職員に習得させる必要もあるという点です。コメ印以下に、外科系、内科系、特殊な科ということで記しております。こちらは蜂谷委員の御意見の中から取り入れております。
 5ページで最初のマルですが、研修コストの削減の観点です。1点目が研修等の実施方法の見直しによるコスト削減ができないかという点、2点目で蜂谷委員からの御意見ですが、中央研修、全国会議、ブロック研修を中止して、各都道府県別の研修会の開催にしてはどうかという御意見です。次のマルは竹内委員からの御意見ですが、担当者の継続性を確保する人事方針は実行可能なのかという点です。それと、同じく竹内委員からですが、研修成果の認定制度を導入してはどうかという御意見です。
 これらの対応策としては、労災特有の疾病等の医学的知見の習得には外部専門家の活用が必要ではないかということ、それから、全国斉一的な取扱いのため、労働局をまたがる職員間での情報交換等の機会を活用すべきではないかという点、伝達研修の効率化のために研修資料を電子媒体で配布する等の工夫が必要ではないかという点、それから、都道府県労働局単位での研修による経費の縮減と時間の有効活用、最後が研修内容に係る職員のニーズや意見の把握と反映を挙げております。
 項目として最後の「その他」になりますが、その他としては2点挙げております。1点目が指定医療機関の拡大です。着眼点としては、労働者の負担軽減です。指定医療機関以外に労働者がかかった場合には、一時的とはいえ、療養の費用を負担することになりますが、この費用を負担せずに済むよう、指定医療機関を拡大するための取組を進めることが必要ではないかという点です。また、指定医療機関拡大の取組は、結果として、監督署における療養の費用の請求の件数減少にもつながることになりますので、監督署で行っている療養の費用の請求書の審査に係る業務負担の軽減も可能ではないかということです。
 対応策としては、療養の費用の請求書が提出された場合に、被災労働者が受診した医療機関に対して労災保険指定医療機関となることの勧奨を実施していくということを挙げております。
 大きな2点目は、国の庁舎への集約化等ということです。着眼点としては分庁舎の解消、現在の労災レセプトの審査事務が行われている事務室が民間ビルの場合、これが同一の国の庁舎に入居できれば、行政の意思決定、連絡調整のために職員や関係資料が行き来する必要がなくなり効率化が図られるのではないか、また、国の庁舎に入居することになれば、民間ビルの賃貸借料が削減できることにもつながるのではないかという点です。
 対応策としては、1点目が蜂谷委員からの御意見ですが、労働局が入居する国の庁舎に入ることが最良で、次いで至近の国の庁舎、更に次いで廉価な民間ビルへの移転という順で検討すべきではないかということです。2点目が早期に国の庁舎へ移転できるよう関係機関との調整を継続して実施する。3点目が国の庁舎への移転に長期間を要する場合は、賃貸借契約の際に借料の引き下げ交渉や移転費用の兼ね合いを見ながら、より廉価な事務所への移転を検討するという点を挙げております。
 着眼点、検討項目等につきましては、以上でございます。
○山口座長 ただ今、検討すべき項目について一当たり御説明をいただきましたが、御意見、御質問がありましたら、こういう項目を新たに付け加えるべきではないかという御意見でも結構ですし、こういう項目はもう検討の必要がないのではないかという御指摘でも結構です。項目を検討していく際にそういう御意見を併せてお出しいただいても結構です。項目だけについての御意見がないようでしたら、初めから少し検討していきたいと思いますので、それでよろしいでしょうか。項目について御意見ありましたら、どうぞ御遠慮なく。
○蜂谷先生 国の庁舎への集約化は周知のことですので、これについて検討することはいかがでしょうか。例えば、当院では会議室が3部屋と非常に少ないので、時々私は病院中の各部署を見回っています。色々な物品・書類を倉庫として使用している所もあり、「5年使わなければ捨てる」ように言っています。整理をして部屋を空けるか、別の所の倉庫に移動してもらっています。そうすれば、多分空くのではないかと思い、意見を述べさせて頂きました。そこで、この件については既に検討することもないのではないかと思います。
○山口座長 役所は、原則として法律上保管義務のある書類がありますね。
○栗尾労災医療専門官 はい。
○山口座長 それは、どこに置いておられるのですか。
○栗尾労災医療専門官 過去のものは、倉庫に入れております。保存年限が決まっていますので、保存年限が過ぎれば廃棄なりという処理はしております。
○蜂谷先生 必要なものだということです。
○栗尾労災医療専門官 蜂谷委員からの御指摘の努力はさせていただいております。
○蜂谷先生 それでも、部屋もないということなのですか。
○山口座長 それらを御覧になっていて、捨てていいようなものは結構ありますか。
○蜂谷先生 ありますね。特に、医師は講演、発表をしますので、その経過が非常に大切になります。10年以上、私は20年以上倉庫にカルテ・X線写真を持っています。フロッピーに保存するとか、少し費用がかかってもマイクロフィルムに入れるとかすればよいのです。でも、整理をしておかないと、使うとき探すのが大変です。
○山口座長 私どもは研究機関ですから、甚だ申し訳ないですけれど、先生と逆の意見で、役所は古いものは捨てないで置いといてほしいという方です。実は今年うちでそれを離脱することに決めているのですけれども。戦後、労働組合法というのができたのです敗戦になった年に資料労働運動史に資料が載っているのですけれど、実は、探し回って、原資料を見たら、資料労働運動史に公開しているのとは全然議論が違っていることが分かって、貴重な資料が出てきたのです。だから、我々研究家から言うと、日常の業務の効率も大事なのですが、行政文書もどこかに置いておいてほしいなという気はします。
○蜂谷先生 診療はまた別です。何か起きて、結論がでたらお終いではなく、その間の色々な病態の変化が大変重要になります。後から見て、「あの時こうすれば」ということもありますので。私の前院長は昭和31年から患者さんが生まれてから現在までのカルテ・X線写真を殆ど全て保存し、それを後世に伝えたいという気持ちがあります。それらの保管する場所もそうですが、それを管理することも大変です。
○山口座長 それもどこかで検討できれば。
○松島先生 労働基準局のスペースというのは、行ったことがないのですが、どのくらいの大きさの建物の中でやっているのですか。というのは、私も厚労省に週1回来ていますが、大変狭いですよね。そんな所に何かほかの委員会がきたら、とても作業ができないし、会議室もこの二つしかないでしょう。自分の所で会議やるのだって、ほかのビルを借りているのですものね。だから、非常に手狭だなと思っています。各都道府県の労働基準局は、逆に本省より大きいのですか。
○河西課長補佐 庁舎については国交省のほうで決めた基準があって、確か国交省だったと思うのですが、職員が何人いるかによって必要な面積というのは機械的に全部計算できるようになっていて後は会議室なども必要な面積はこれぐらいだというのは決まっておりますし、それに基づいてやっています。今、職員数もだいぶ減ってきていますので厳しいようでありますけれども、一応決まったもので計算した基準でできております。
○松島先生 例えば、委員がそこへ短期間押しかけていって、こういう業務をするとしますよね。そういうスペースが各都道府県の労働基準局に余裕があるのですか。
○河西課長補佐 一応、蜂谷先生はよく御存じかと思いますが、狭いところで会議室を取って、そこで診療費の審査などはやっていただいているようです。
○山口座長 ただ、我々学校教師から見ますと、大学は会議室は数を随分たくさん作っていますでしょう。ところが、役所というのは建物を造ったときに、会議室は余り作らないのです。数が少ないところへもってきて、何か事件が起こって、何とか対策室を作るとしたら、まず会議室を潰して、そこへ置きますか、だんだん会議室というのは少なくなってきて、会議は外でやらざるを得ないとか、そういうようになってくる。部屋の運用の仕方など違いますから、スペースをどう確保するかというのは、またそれなりの工夫が要るのではないかと思いますね。それは、この庁舎等作業場所の問題という最後のところにだいぶ関係してきますから。
○若生補償課長 労働局が単独庁舎に入っている所と、合同庁舎に入っている所があって、多くは合同庁舎に入っています。今、補佐の方から話がありましたように、職員数の定員に応じて一定確保されていて、合庁に入るといろいろな役所の共通の会議室があって、そこを予約順で確保できたりしていますので、大丈夫かと思っております。
○山口座長 ほかに何かございますか。
○松島先生 唐突な意見ですが、例えば、学校などが随分閉鎖されて、そこを公募してそこをいろいろな方々が使っていますよね。だから、各都道府県に閉鎖される学校がたくさんあれば、その1室を専用のそういうものに利用するか、その入れものとしたらよろしいかなと思います。学校は文部科学省のものですか、都道府県のものですか。
○河西課長補佐 学校、中学とか高校とか違いがあると思いますが。
○松島先生 閉校となった校舎を最近は特に芸術関係の人に部屋を貸すとか、いろいろと随分開放していますね。あれだけ余裕があるなら、各都道府県で本当に生徒が減ってきて空く教室があるなら、そういうのを活用したら、場所は確保できるかなと、想像していたのですけれどね。
○河西課長補佐 前回の検討会の際にも、資料で確か出して御説明させていただいたかと思うのですが、役所は役所でやはり組織の改廃等が行われていまして、無くなっていく役所というのもあります。そういう役所が無くなった場合には、使用調整をして、必要な面積を確保し、民間のビルに入っているようなものや機関については、国の機関のほうに出るような取組を今やっております。学校に限らず、今そういうことは進めているところです。
○松島先生 分かりました。ありがとうございました。
○山口座長 項目についての御指摘は以上でよろしいですか。また、必要がありましたら各場所でお出しいただいても結構です。次に、項目ごとに区切って、事務局のほうから御説明をいただき、検討に入ってまいりたいと思います。まず、審査の手法のところで、資料も出ておりますから併せて御説明をお願いします。
○栗尾労災医療専門官 資料1の内容に沿って説明申し上げたいと思います。資料1と、2以下は別綴じになっておりますので、資料1を参照していただきながら、関係資料を御覧いただければと思います。
 「?審査の手法」についてです。「1 審査の手法における論点」に関して、審査業務手法の見直しということで資料2、システム化については資料3を用意しております。専門性を高めることによる1人当たりの処理能力の向上については、後ほど?の項目で説明させていただきます。
 まず、資料2と資料3の説明をさせていただきます。7ページの資料2です。以前検討会にお出しした資料ですが、改めて説明させていただきます。審査業務手法の検証の観点から、労災指定医療機関等から請求されたレセプトに係る現在の労働局での審査の流れの資料です。
 まず、上段の図です。下のほうに書いてあるのですが、毎月10日までに指定医療機関等から提出された請求書とレセプトは受付処理、請求書とレセプト添付枚数の照合、確認の後、労災行政情報管理システムに入力して受付簿の作成などを行い、労災認定が必要な新規分のレセプトと継続分に分けて、それぞれ審査を行うことになります。レセプトの審査は受け付けた全てのレセプトの全ての項目について、審査担当職員により診療報酬点数表等に基づく基本的な部分と労災固有部分の審査を行い、疑義のある事項については単純な請求誤り、解釈誤り、医学的判断を要するものなどに区分し、疑義付箋を添付することになります。その際、レセプト記載内容で不明な点がありましたら指定医療機関等への照会や、症状固定の時期などに関する労働基準監督署への照会などの必要な確認も行っております。その後、審査委員会において専門医による審査を行っております。その際にも、必要に応じて指定医療機関等への照会を行っております。審査が終わりますと、システムに入力し、支払を行うということになります。この受付から支払のためのシステム入力までの一連の労災レセプトの審査は、毎月10日の受付から翌月15日頃の支払処理まで、決められた期間の中で指定医療機関等から提出された請求書及びレセプトの紙媒体を順次回付し、複数の審査担当職員による相互点検、重点項目の点検などを行うなどの手法を用いて、審査担当職員及び審査委員により行われております。
 続いて、下の図です。「レセプト全数の審査が必要な理由」ということで、労災レセプトの審査の特徴を補足いたします。診療報酬点数表等に基づく基本的な審査と、労災固有の審査を行っておりますが、労災固有の審査においては、労災保険として給付を行うに当たり、別に調査が必要なものがないかということを見る必要があります。そして、その内容を踏まえて、下の箱に「医学的な事項に関する調査」と記載しておりますが、主治医から意見書を提出していただいたり、カルテ、手術記録、レントゲン写真もしくはそれまでに行われた検査の結果といった資料を求めていくことになります。このように、レセプトの中から、労働基準監督署が傷病の業務上外や治ゆの決定に必要な情報を労働基準監督署に提供していかなければなりませんので、全てのレセプトの全ての項目について確認する必要があるということになるものです。
 続いて資料3、審査のシステム化による審査業務の効率化ということで前回の検討会に提出させていただいた資料と同じものですが、あらためて説明いたします。労災レセプト電算処理システムについては、労災保険指定医療機関等からの診療費請求におきまして、現在の紙のレセプトによる請求に加え、オンライン又は電子媒体による請求も可能とするものです。このシステムにおいては上の図のように、システムでの点検を行うとともに、端末の画面上で審査を行うこととなります。システムでの点検の概要については、資料に記載のように、受付時における点数や金額の計算誤り、療養期間等の記載が必須である項目の入力漏れの機械的なチェック、受付後の診療報酬点数表に基づく重複算定誤り等の算定要件、医科レセプトと調剤レセプトの突合などの機械的なチェックなどの点検を可能とし、また、レセプトの返戻業務の自動化、受け付けた労災レセプトのデータが蓄積されることにより、過去のレセプトを参照した業務外傷病や、治ゆの確認の時間短縮も可能となると見込んでいるところです。これにより、審査点検における見落とし防止や適正な審査、労働局における労災保険給付業務の効率的かつ迅速な事務処理が可能となるものと見込まれます。
 労災レセプト電算処理システムの稼動によりまして、このように審査における事務処理の効率化が見込まれるものですが、そもそも健康保険等においては、既に医療機関等がオンラインで請求することが可能となっているなかで、労災保険においてはオンライン化が図られていないということですので、このシステムの稼動により、医療機関が診療費を請求する手段、それから機械チェックによる審査事務が健康保険等と同程度になることが期待されるものです。
 8ページの下のところですが、労災レセプト電算処理システムは「労災保険給付業務の業務・システム最適化計画」に基づいて開発が行われております。この計画においては、平成25年9月を目途にシステム化し、電子レセプトの普及が図られると、年間22,558人日分の非常勤職員の業務処理時間の短縮が見込まれると明記しております。
 資料1に戻りまして、1ページの「システムの活用」について説明をいたします。システム導入のメリットですが、参照資料として資料3、資料4、資料5とあります。資料3は先ほど説明しましたので、資料4と資料5について説明いたします。
 9ページの資料4は、現在行っている紙レセプトと電子レセプトの事務処理の流れを示しております。左側が紙レセプトで、右側が電子レセプトです。受付から審査、支払の流れに変更はありませんが、電子レセプトになりますと現在の手作業から機械処理で対応できる部分が出てきます。
 資料の下に脚注で記しておりますが、表中の◎は主に機械処理によるもの、○は端末操作によるもの、▲は手作業によるものを表しています。端的に申しますと、資料中央部の黒い吹出し部分が変更点です。まず、受付については現在の紙レセプトでは手作業で確認を行っていますが、電子レセプトでは自動チェックとなり、また紙レセプトで行っている受付の入力が、電子レセプトでは、そもそもデータで受け付けていますので入力は不要となります。また、審査点検については全レセプトの全項目の審査という数量は変わりませんが、紙媒体で全て手作業というものから、機械チェックの上、画面審査という形になります。一番下の黒い吹出しは、審査終了後支払のための入力を行うわけですが、紙レセプトでは、支払のために改めて機械入力を行っていますが、電子レセプトでは端末の画面上のボタン操作で対応することになります。このように、事務処理が変わることにより、システム稼動後、電子レセプトによる請求の普及に合わせ、段階的に先ほどの資料の最適化計画にあるように、年間22,558人日の業務処理時間の短縮、人件費で試算すると3.2億円相当が見込まれるものです。
 資料5は、労災レセプト電算処理システムに係る経費についての資料です。このシステムを構築するに当たっての設計・開発等経費については設計・開発業者、及び設計に当たっての工程管理支援業者との契約金額の合計で、一番上になりますが8億4,800万円となっています。2番目のランニングコストについては、内容としてはハードウェア等の保守、アプリケーション保守と運用の3つに分類されます。ハードウェア等保守が約1億9,500万円となっているほか、現段階では、アプリケーション保守と運用等の調達がまだできておりません。したがいまして、具体的な金額は積算できない状況になっております。先ほどの最適化計画に記載されているシステム運用経費年間5億円程度については、このランニングコストのところが相当するものです。また、これら開発に係る調達に当たっては、3として、経費の妥当性と記載しております。大きく3点、丸印になりますが、分離調達の実施、第三者等による審査、最後に一般競争入札の実施により適切な価格での調達に努めているところです。以上が、システム関係のところです。
 資料1の2ページ、(2)電子レセプト請求普及の取組について、説明いたします。普及の取組については、該当資料として資料6と資料7になります。まず、資料6から説明いたします。11ページ、労災レセプト電算処理システムの稼動に当たりましては、労災診療費の請求を電子レセプトにより行っていただくよう、労災保険指定医療機関等に対する取組を行う必要があると考えております。その方法としては、各労災保険指定医療機関等に対するリーフレット等の送付や、関係団体を通じた周知のほか、労災レセプトの取扱いが多いところほど電子化のニーズが高いと考えられますので、労災診療費の請求が多い医療機関等を把握し、当該医療機関等に対する電子レセプト請求の勧奨の実施などが考えられるところです。
 また、医療機関における電子レセプト請求の普及のためのインセンティブとして、電子レセプトにより請求を行った場合に、レセプト1件につき3点を加算する「労災レセプト電子化加算」を設けるべく、現在、平成25年度概算要求に計上しております。
 この加算の参考資料として、次の12ページに、健康保険における取組を記載しております。健康保険においても、医療機関がレセプト電子化を行った場合、診療報酬においてその取組を評価しており、労災保険においても同様のスキームを用いることによって、普及促進の取組を図っていきたいと考えているものです。
 11ページの中ほどに、参考ということで、四角に囲った資料があります。どれくらいの補助率というか、医療機関に対してインセンティブになるかを試算したものです。
1として、労災レセプト対応ソフトウェアの価格ということですが、これは電子化対応というものではなく、現在診療所クラスの医療機関が、労災の紙レセプトを作成するために別売りで労災のソフトウェアを購入する際の価格を調べたものを計上しております。平均すると12万6,000円程度です。電子化加算を全期間取った想定ですと、補助率7%前後に相当する金額になると試算しております。。
 また資料1に戻り、(3)の「電子レセプト請求の普及目標等」です。参照資料としては資料の3、4、7、8とありますが、3、4、は先ほど説明しましたので、新たに7、8について説明いたします。13ページの資料7です。蜂谷委員の御意見において、電子レセプトの普及見込みに関して、レセプト枚数の実績調査の実施をあげていただいております。このことを踏まえ、労災レセプトの取扱件数について抽出調査をしたのが、この上の表になります。その前提条件として脚注になりますが、薬局を含まない医療機関だけの集計で、期間は中途半端ですが、平成23年5月から平成24年3月までの11か月間のものであること、抽出した労働局は関東甲信越ブロックの10の労働局としております。抽出調査局において、平成23年5月から平成24年3月までの11か月間に、支払実績のあった医療機関数は、表の中の8,423機関、そのうち一つの医療機関で500件以上のレセプトを取り扱ったところ、つまり月40件から50件程度となりますが、これがその下の309機関。8,423に対する率として3.7%。更に、そのうち一つの医療機関で1,000件以上、月にすると100件程度になりますが、レセプトを取り扱ったところはその下の88機関で、8,423に対して1%程度になっております。
 また、レセプト件数、その右の欄ですが、抽出調査局全体で71万件のところ、500件以上のレセプトを取り扱った医療機関のレセプトは28万件で、全体の39.9%。更に、1,000件以上のレセプトを取り扱った医療機関のレセプトは13万件で、全体の18.3%になっております。
 同様の考え方で、支払額については全体で545億円のところ、500件以上の所が290億円の53%、1,000件以上の所が143億円の26.3%になっております。
 10局の抽出ですので、これらの比率をもって全国ベースでの機関数等を推計したのが、下の表です。医療機関の数については、1医療機関で500件以上のレセプト取扱いがあると推計できるのは27,939機関の3.7%を掛けると、1,034機関。1,000件以上ですと1%ですので、279機関と推計されるところです。したがいまして、下の黒枠になりますが、1医療機関当たりの労災レセプト取扱件数は多くないことから、レセプト数を基に、電子レセプト請求の目標を設定するのはちょっと難しいのではないかと考えております。
14ページの資料8、電子レセプトによる労災診療費請求の普及目標についてです。既に電子レセプトによる請求を取り扱っている健康保険の状況を踏まえると、資料の○に記載しているように、医師等が高齢の診療所・薬局の場合、レセプトコンピュータを使用していない場合などは、レセプト電子化の例外規定を設けており、このような機関においては労災保険においてもレセプト電子化の普及は難しいのではないか。
 二つ目ですが、健康保険におけるオンライン請求の導入状況を見ると、平成18年の診療報酬等の請求に係る省令の施行以降、平成21年の省令改正も含め、複数年にわたって、段階的にオンライン化が進んでいる状況となっております。
 三つ目の○ですが、各医療機関において、労災レセプトの取扱件数は健康保険の件数に比べると少数であり、各医療機関等における省力化等のインパクトは、健康保険に比べれば労災のほうが小さいと考えられますので、健康保険の電子レセプトの導入率を超えることは見込めないのではないかと考えております。
 このようなことから、労災レセプトの電子化の普及目標を設定するに当たり、15ページの上の黒枠ですが、健康保険等における電子レセプトによる請求の率を目標とすることが考えられるのではないかと考えているところです。なお、その際、14ページの下の表で、丸印を打ってありますが、医科、歯科などに区分して、それぞれの目標を立てるか、もしくは医科、調剤を合わせた総合計の率を目標するかという点はありますが、いずれにしても労災レセプトの電子化を考えるに当たり、参考にできる数値としては、健康保険において取り扱っている電子レセプトの率しかありませんので、これが拠り所になるのではないかと考えております。
 15ページの下ですが、普及の時期の考え方です。医療機関等が電子レセプトによる労災診療費請求を始めるに当たり、医療機関等のレセプトを作成するコンピュータに、ソフトウェア導入などの対応を図る必要が生じます。このことから、一つ目の○になりますが、各医療機関がソフトウェア導入等の対応を行うことを踏まえて期間を設定すべく、その下の矢印になりますが、レセプトコンピュータのメンテナンスが行われることが想定され、これに併せて労災レセプトの電子化対応を図ることが期待できると考えられますので、診療報酬改正の時期をポイントとするのが適当ではないかと考えております。診療報酬改正は通例2年ごとに行われており、労災レセプト電算処理システムの稼動を予定している平成25年9月以降では、稼働の約半年後の平成26年4月、更にその次では平成28年4月に診療報酬改正が行われる見込みです。
 16ページは前回の検討会で説明いたしました資料ですが、健康保険の電子レセプトの普及状況をまとめております。これを見ますと、複数年の中で段階的に普及が図られてきていることから、労災保険においても、労災保険指定医療機関等に対する十分な周知とその浸透を考えると、システム稼動直後に一気に普及が図られるというよりも、一定期間の中で段階的に普及していくと考えるのが現実的ではないかと考えております。
 このことから、15ページの下の黒枠ですが、普及時期の目標としては労災レセプト電算処理システムの稼動が平成25年9月に予定されており、その後の最初の診療報酬改正は半年後の平成26年4月と、期間が短いことから、次の診療報酬改正時期である平成28年4月を目途とした普及を目標とすることが考えられるのではないかということで、記しております。審査の手法については以上です。
○山口座長 ただ今、審査の手法についての論点と資料を御説明いただきましたけれども、論点以外の最初の資料2は、労災レセプト審査の大きな特徴ですが、労災保険固有の審査点検項目があるために、全数の審査が必要であるというのが大きな制約条件になっており、これがいろいろな制度を考えていく上での前提になります。ここから審査業務の専門性が必要になってきますので、審査に当たっていただく方々の業務能力の向上、研修等々を考える際にもこれが大きな要件になると思います。したがって、こういう中で、それでは一体、現在の審査、点検手法に効率化の余地がないのかどうか。更に、職員といいますか、審査委員、担当職員の業務の効率化にどういうものが考えられるかです。そして、この出てきた検討項目は、その一つの大きな要因として、この電子レセプトの導入があり得るというようになっているのではないかと思います。そういう点からこの専門性の向上ということも、もう一つの大きな問題です。
 最後に、その他の庁舎の問題もあると思います。電子レセプトの導入の問題は非常に大きな業務効率の問題点だと思いますので、この点を巡って、先生方の御意見、あるいは御質問でも結構です。
 ちょっと私の方から無知を言って申し訳ないのですが、この最適化計画で、「22,558人日」になっています、この「人日」というのは、前によく監督官の中で見ていたのですが、中身を忘れてしまったので、人日の意味をちょっと説明していただけませんか。
 それと、その効果が8ページと9ページでちょっと違っていて、8ページだと年間約5億円程度の運用経費についての増加となっていますが、9ページは3.2億円相当の処理時間の短縮云々となっていますけれども、これはどのように読み合わせればいいのですか。
○栗尾労災医療専門官 まず、人日ですが、一人1日当たりの作業量という意味合いです。22,558人日は、年間では1人220日ぐらいになるかと思うのですが、最適化計画の表記では「22,558人日」は1人の1日の業務処理時間としてという意味合いです。
○山口座長 これは分かりやすく、常勤、非常勤職員の何人分というようには直らないのですか。
○栗尾労災医療専門官 計算すれば出ると思います。100名ちょっとの数字になるかと思います。
○山口座長 それが出てくれば、人件費がこれだけ節約できますという計算が分かりやすくなるのではないかと思うのですが、そうはいかないですか。
 恐らく、削減は3億円程度ではなく、もっと額としては大きくなると思うのですが。
○栗尾労災医療専門官 この3.2億円というのは、22,558人日で1日当たりの単価を単純に掛けただけの数字で、それに付帯して下がる経費までは見込んでないというか、22,558人日の数字を試算させていただいていますので、3.2億円に留まっているというところになろうかと思います。
○小西先生 すみません、その点に関して、9ページの、段階的に3.2億円相当の短縮が見込まれると記載されているのですが、段階的にというのは、例えば10年後にはというか、そういうことになるのですか。
○栗尾労災医療専門官 電子レセプトの普及の状況に応じてということで、全て電子レセプトになれば22,558人日になるということです。
○小西先生 ということは、全て電子レセプトにならない、例えば普及率は50%の場合にはこの金額にはならないということですね。
○栗尾労災医療専門官 そうですね、この人日にはならないことになります。それで、積極的に普及させる取組が必要ではないかと考えております。
○小西先生 ここに載っているのは、最大を見込んだ場合、最大100%普及した場合ということですね。
○栗尾労災医療専門官 そういう形になります。
○小西先生 あと、先ほど山口先生から、労災レセプトシステムの導入があり得るというような、考えられるというような話があったのですが、この労災レセプトシステムの導入はもう確定していることではないのですか。
○栗尾労災医療専門官 現在、開発に着手させていただいています。
○小西先生 導入しないということは考えられないということですね。導入することを前提として、どのように機能効率を図っていきたいかを考えていくということですね。
○河西課長補佐 一番効果が大きいということで、座長の方からお話があったと思います。システム化を図ることが業務効率化に一番効果が大きいのではないかと、そういう意味であり得るのではないかと御指摘だったと思います。
○山口座長 そうですね。だから今、健保でやっているように、電子レセプトで全てをやろうということではないかと思います。
○蜂谷先生 私の審査している労働局でのお話しをします。例えば、審査担当職員の審査で疑義がでますと、職員の方は医師が審査をする前に前月のレセプトでの査定の有無のために、保管場所に行き、前月レセプトをコピーして用意をします。また、適応外の薬剤・検査・診療報酬算定の通則・特例・事務連絡などについても同様に資料のコピーをつけてくれています。この作業は時間も掛かり、大変な作業です。これが電子レセプトになると、さらに、医科点数表の解釈・日本医薬品集Drugs in Japan・労災の特掲なども画面で見られ、6か月前からのレセプトの縦覧・突合もできるため、これらの作業はなくなり、職員の手間も激減し、時間も短縮され、より審査の精度も向上します。
○山口座長 適切な理由かどうか分からないけれども、分かりやすく言えば、入試があるでしょう。今もみんなマルティプルチョイスで番号に○をすればそれでいいようになっているかもしれませんが、一時期まではそういう箇所と1箇所か2箇所英作文かなどでは本当に書かせて採点していたでしょう。だから労災はその英作文で書かせている部分があるので全部機械でというわけにはいかない。だけど、どこかまでは何番かに○をすればいいという問題にできるかもしれない、それが多分、うまくいけば電子レセプトとかそういうものに乗ってやれるのではないかということだと思います。
○小西先生 私は労災レセプトシステムに反対しているわけでは全然ないですけれども、先ほどの説明の中ではかなり健康保険との違いということを意識しておくことが必要なのかなと思いまして。
○山口座長 たしかに、両者は制約条件が違っているから、そこの違いをよく認識することが必要だと思います。
○小西先生 役所といいますか、集約する上ではそのようにデータ化することは非常に大切というか、有益だと思うのですが、それが各医療機関という所のレベルにした場合には、労災で来る患者さんが非常に少ない所は、わざわざ導入しようという気にはなかなかならないのですね。
 しかし、集約する所ではそのようにデータ化した方がいいことは、多分、それは間違いないと思いますけれども、入試でいうと実際に採点する枚数が少なかったら別に英作文でも構わないわけですよね。
○山口座長 そうかもしれませんが、3分の2か、4分の3ぐらいマルティプルチョイスであと英作文を書かせた時に、前の方はコンピュータで採点できるようになったから、大学はものすごく早く試験結果を公表できるようになりました。だから私はそういうメリットは十分あるのではないかと。
○小西先生 でも例えば、学生数が10人とか少なかったら、そんなに変わらないですよね。マルティプルチョイスを導入する方に手間がかかって、実際に医療機関が採点してそれを出すだけで。
○山口座長 それはおっしゃるとおり。だからこの数ですが、今、指定医療機関に労災レセプトを扱っている件数が全国で221万件あります。これを先ほどの大学の試験で10人ぐらい程度のものと見るか、いや、これは合理化が可能な方にすると見るか、そこの評価ですね。
○蜂谷先生 レセプトの多寡によらず、もし電子レセプトにしなければ、紙ベースにして運ぶことになります。まずレセプトの印刷、運ぶ時間・費用、紛失および提出期限などを気にしなければなりません。
○竹内先生 単純にコストだけの話で見ると、先ほどの3.2億円は恐らく100名分辺りで大体300万強の年間の報酬というイメージになろうかと思います。それで、この5億円がシステムの保守費になり、システム開発に8億4,800万円の予算になっています。ただし、ランニングコストはまだ正確には積算はできないのでしょうが。結局、3.2億円の費用削減効果よりも毎年の保守費の方がこれを上回る可能性もあるのかどうか、正確には分かりません。少なくともこの開発費用を回収していくような効果がないと、なかなか国民の理解を得られない、合理性を説明できない設備投資になってしまうのではないか、というのが通常、民間の設備投資の経済性を判断する場合であればそういうことだと思うのです。ただ、今御説明をいろいろ聞いて、3.2億円の試算自体がもう少し削減効果があるのか、この労災レセプトの審査事務自体の精度が高まるという効果も期待されるのか、そういったところも加味して総合的に意思決定する必要はあるのでしょう。コストだけで考えると、現在この3.2億円という数字があるだけなので、システム最適化計画にある5億円という保守費の数字を見ると逆転しているので、削減効果がないというように見えてしまうのですが、その辺りについては。
○山口座長 そうですね。そうなのかどうかですね。
 この「5億円」とかいうのは、一回的な設備投資のコストではないのですか、運用コストは分からないと出るのだから。
○栗尾労災医療専門官 最適化計画の策定時には毎年5億円程度かかるという見込みでこの計画を立てております。
 10ページのランニングコストは、まさにこの5億円に相当する部分で、まだ試算できないというところです。
○中沖労災補償部長 多分先ほど座長から御指摘がありましたように、要はこのレセプトをきちんと早く点検できることによって、早く決定できるというそういう運用利益にとって時間の利益は非常に大きなものがありますから、そういうものを含めてコストを考えなければいけないと思います。
○山口座長 時間の利益を非常勤職員の何人分に当たるのかという計算をして、それでコストを出していると。
○若生補償課長 そうですね。
○山口座長 だからどれぐらいの合理化になるのかは、どういう指標で、どう計算したら一番納得できるのでしょうか。
○栗尾労災医療専門官 これは行政側も確かに効率化を図られるのですが、医療機関側にもメリットがあります。こちらも含めるとなると、試算するのが難しいところではあります。
○蜂谷先生 一つには余った時間は他の仕事に回せますし、非常勤職員も減らせますので、私はそれで良いのではないかと思います。
○中沖労災補償部長 あとは国民の方は早く決定してもらえれば早く給付できますから、そういう利益というか、なかなか数に出すのは難しい部分はありますけれども。
○蜂谷先生 早く給付出来た方がいいです。運転資金が少ないと、支払いがかなり厳しいので。
○山口座長 合理化というのか、合理性をそのように表現した方が分かりやすければ、むしろそう書いた方がいいのかもしれないですね。
○中沖労災補償部長 確かに5億円と3億円を比べると、ここは事務局の方も少し知恵を出してみたいと思います。先生方から何か御提案があれば受け止めたいと思います。
○山口座長 だけど、求められているのは国会の委員会でしょう。だから国会の先生に分かりやすいようにならなければということで、だから22,.558人日で計算した方が分かりやすいのか、もう少し不正確になるかもしれないけれども、人日ではなくて、時間を入れたり、それから経費も時間当たりの単価を計算して、何人分ぐらいで何円ぐらいと出した方がいいのかもしれません。
 私がこの「人日」というのはよく理解していないのかもしれませんけれども、2万人で3億というのは、何か安すぎるような気がするのは、そういうように計算できないのかもしれないけれども、単純に割ったら、これは最賃もいかないのではないでしょうか。私が理解できていないだけなのかもしれないけれども。
○若生補償課長 職員が何人削減されるといった人数を計算した方が分かりやすいでしょうか。
○中沖労災補償部長 健保は多分、電子レセプトを採用することによって、全体的有数に医薬品のオーダーとかいうものまではじき出せるはずだというのを出しているはずですから、そういう効果もこちらは出てくるはずなので、そういうところも含めてできるかどうか検討させてもらいます。
○山口座長 そうですね、波及効果が大きいということも十分に。
 次に、私はちょっと気になったのですが、資料10が付いているように、職員は研修というのが重視されているようですが、職員の専門性という場合に、審査担当職員の専門性、担当職員の専門性は、この研修でもいいのですが、仕事というか、件数が溜まっているとか、あるいは非常に忙しいような時に、今、公務員の場合には再任用制度などありますから、以前そこにいて専門性の高い職員の人がいれば、そういう人を非常勤か何かで少し助力を求めることは考えられないのですか。
○河西課長補佐 それは現在もやっておりまして、先ほどの3.2億円というのは、非常勤職員の方の削減効果の分で算出しているのですが、この審査業務については、非常勤職員の他に、再任用の行政の職員が退職した方について採用して、今、審査をやっているところです。
○中沖労災補償部長 だからそういう人を再任用すれば、研修の費用が圧縮できるのではないかと、多分、御指摘もあるでしょうね。
○河西課長補佐 そうですね、それもあります。
○山口座長 そうするとそれは専門性を維持する観点から現在こういうようなこともやっているということは書いた方がいいのかもしれません。
○河西課長補佐 はい。
○松島先生 逆の観点から言いますと、国会の先生方が言うほど無駄遣いはしていないということです。現時点でも、一生懸命やってもこのぐらいしか削減が出ないわけです。電子化の結果はこれからの必要性ですから、それは投資しなければいけないですけれども、実際はもっと先生方が考えているほど、この中に無駄なことがあるのだったらこれがもっと30億、40億と出るわけです。きちんとやってみて、実質的に見たら私も唖然としたのです。何だ3億円ぐらいかと思って、何となくがっくりきたのです。
○山口座長 あと電子レセプトの導入のインセンティブですが、その3点でインセンティブになるのかどうか。
○蜂谷先生 1点11.5円ですね。社保・国保は1点10円ですから、1.5円の差ですが年間で考えれば、やはり頂けるのと頂けないのとではかなり大きいです。特に、私どもは独立採算制ですので、落ち穂拾いという感じで経営しています。
 一つ教えて頂きたいのですが、審査をしっかりしても診療費については事業者側が負担しますので、被災労働者側は関係ないのですね。
○若生補償課長 労災保険は事業主から保険料という形で徴収し、その保険料の率は業種によって異なります。
 国が事業者からだけ保険料を取って、その保険料の中でこの運用をしております。ですから、査定がよくて労災診療費の支払いが減れば保険料が安くなることにつながります。
○蜂谷先生 安くなることは良いことですね。
○若生補償課長 はい。
○蜂谷先生 事業者が払うからいいのかと思っていました。そうではないのですね、分かりました。
○山口座長 いかがでしょうか、審査の手法について、これ以上御質問、御意見がなければ、次の「審査の範囲」について事務局から説明を伺いたいと思います。
○山口座長 それでは、お願いします。
○栗尾労災医療専門官 「?審査の範囲」について御説明します。療養の費用における診療行為の労働局での点検ということで、資料9の17ページです。右と左に分かれておりまして、左側の「現行」と書かれているのが現在の取り扱いです。労災保険指定医療機関以外を労働者の方が受診した場合には、労働者は治療費を自己負担した上で、その要した費用を療養の費用請求書を用いて、労働基準監督署に請求することとなります。療養の費用請求書の裏面には労災保険指定医療機関がレセプト請求する時に記載する診療行為等と同じ内容が記載されることになりますけれども、その内容を含めて、労働基準監督署の方で審査決定するという流れになっています。
 いくつかの労働局では、労災のレセプトと同様に請求書に記載された診療行為等を労働局で点検しているということもありますけれども、多くの労働局では、必要に応じて労働局に照会し、その指導を受けつつ、監督署において診療行為等の審査を行っているという実態となっています。つまり同じ診療内容の審査であっても、労働局ではなくて、労働基準監督署で行うものもあるということでして、この審査を診療費審査のノウハウのある労働局で行うこととすることにより、精度の高い審査が期待できるのではないかと考えております。
 また、その際においても速やかに決定するという観点を考慮して、資料の右側の案を策定させていただいております。全体としてやるべき項目は同じですが、見直しのポイントは資料中ほどの療養の内訳に関する審査等を、レセプト審査のノウハウを有する労働局で実施する。また労働基準監督署における業務上外の調査と並行的に診療行為の審査を実施することにより、費用請求の支給決定までの処理の時間についても、少なくとも現在より長くなることがないという形で考えております。資料については以上です。
○山口座長 ただ今、御説明がありました審査の範囲の内容は、現在監督署で行っている業務の一部を労働局で扱うということです。局の方はこれだけ引き受ける余裕があるのかどうかです。
○河西課長補佐 実はここが今回の検討会の御議論をいただく中での1つの大きな目玉になるところかと思っております。今回このような検討の場がなければ、私どもも今までどおりの業務の仕方で事務を進めてきたと思いますけれども、見直してみると、22ページにもう少し、この労災診療費の支払い状況と非指定医療機関の支払いの件数等を参考で資料に出させていただいております。平成20年度では91,738件とか、平成22年度は88,231件、これが監督署でほとんど診療行為の部分の審査をしているところです。これが今回、労働局の方で全部審査をするような形になれば、正確さも出てきます。今まで全部レセプトは労働局の方で審査をしていたところですので、同じようなその業務を集約化することによって、正確さと効率化が更に図られるということで、今回、こういう検討の場があったので、少し見直しをさせていただけるかなと思っているところです。
○山口座長 それはその他のところで検討される、庁舎をどう確保するかの問題と関係してきますか、こないですか。
○若生補償課長 関係してこないです。
○蜂谷先生 もし、電子レセプトになると、業務上外の審査を監督署で行い、業務上であればキーを押すだけでレセプトが労働局に届き、速やかに審査が可能となります。
○山口座長 なるほどね。
○蜂谷先生 そうしますと、どの位の件数をこなすかにもよりますが、監督署で審査するよりも精度があがり、かなり時間も短縮され、その分監督署で本来の業務ができ、職員のモチベーションも上がると思います。
電子レセプトになれば、レセプト審査は全て労働局に移ります。労災の場合には審査日が1日ですが、監督署より業務上のレセプトが上積みされても、現在の件数であれば少し上乗せする位で済みますので、精度が上がり内容的には良くなると思います。
○竹内先生 現行の監督署内で、これでやられているやり方だと、業務上外に関する調査と、レセプトの審査というものを並行的にやっているわけではないということですか。
○蜂谷先生 一緒です。
○竹内先生 一緒にやっているということだと、内部的に並行してやっているということになるわけですね。
○蜂谷先生 そうですね。
○竹内先生 業務上外の判断を先にやって、ということですか。
○蜂谷先生 はい、そうです。
○竹内先生 業務外だと判断されたレセプトは。
○蜂谷先生 返却します。
○竹内先生 返すということは、その分減るわけですね。
○蜂谷先生 そうです。減ります。医療機関には最初に全額診療費を支払って貰っていますので、保険に変えるだけです。
○竹内先生 そうすると、労災レセプトの審査の対象は、現行の業務フローの方が少ないということになるわけですか。
○蜂谷先生 現行というのは。
○竹内先生 要するに業務上外のものを外してしまうわけだから。
○河西課長補佐 結果的にはそうなると思いますね。
○竹内先生 ただ、それでどの程度のメリットがあるのかちょっと分かりませんけれども、そういうことですか。
○河西課長補佐 はい。それが9万何某の数字になります。これは業務上と決定したもので、非指定医療機関から請求があった分で実際に支払った件数という形になりますから、監督署の業務上外が決定した上で、診療の内容についてもOKだというので支払った件数が出ます。そういう意味ではもう少し数が若干、請求件数そのものはあるかもしれないです。
○山口座長 これは要するに、労災保険で給付の対象にした件数ですね。給付の対象にしないのもあるわけですね、業務外で請求で出てきて。だから全体で審査を何件やったのかというと、これはプラスアルファーではない。
○蜂谷先生 非指定医療機関から出され、業務上として平成22年度は全国で約9万枚のレセプトが審査されています。これを一県当たり一か月のレセプト枚数にしますと、約150件です。しかし審査は業務外も入ります。県により差があると思いますが、多いと仮定し500件としてみます。監督署は業務上外の審査にかなりの時間、場所および人も必要です。これだけでも大変な件数です。その上、レセプト審査となりますとかなりの労力を使います。しかし、労働局にとっては審査員も多く、例え500件上乗せされたとしてもたいした件数ではありません。
○竹内先生 私の疑問点は、業務上外の判断を先にして、やっている現行の方が効率的ということはないですか、ということです。
○蜂谷先生 ないです。
○竹内先生 ないですか。
○蜂谷先生 業務上外の審査は大変な上、その後レセプトを審査をします。レセプト審査はかなりの枚数を見ている労働局の方が専門家です。
○竹内先生 それは専門性の問題ですね。
○蜂谷先生 はい、審査の精度も高いですから。
○竹内先生 同時、並行的にやっているのは効率的でしょうか。
○蜂谷先生 でも、慣れてみれば基準局も日頃からレセプト審査をしていますので。
○若生補償課長 監督署に労災請求が出てきたときに、業務上外を判断する上で、災害発生場所や日時、被災した身体箇所など(背中、腰等)特定して決定しているわけですが、それを裏付けるものとして、レセプトで腰や肩などの治療箇所を確認し、相互関連しますので、業務上外の判断と労災レセプトの審査とはに相互作用していると思います。
 また、療養の費用払いは業務上外の判断の他に療養に要した費用の額の特定が行政処分の内容になりますので、署の職員が健保の詳細な箇所まで正確には分からないので、そういう意味では局で挙げてやった方が非常に専門性の高い審査のものができるのではないかと思います。
 それから業務上になる率は非常に高くて、統計はないのですが、90数%ぐらい業務上になっていますので、不支給認定によるデメリットは全体から見た場合、少ないと思っています。
○竹内先生 それともう1つ、労働局の方でおやりになるとしても、現行の体制でできる範囲の業務だということなので、新たな借料とか、人件費といったものは考慮外というか、大した金額ではないということですか。
○蜂谷先生 これは一県あたり月にしますと多く見積もっても500件位ぐらいですから、実際には僅かな時間でそのまま延長すればできてしまうことです。2か所に審査員がいることは無駄ですし、時間的な問題だけです。
○山口座長 他に何か御質問はありませんか。これはよろしいですか。
 それでは、審査の範囲は一応、この程度にいたしまして、次に「審査の精度」に移ります。これも最初に説明をお願いいたします。
○栗尾労災医療専門官 審査の精度に関しまして、資料10の研修等の関係資料を出させていただいております。審査の精度については、先ほど説明させていただきました電子レセプトのシステムでのチェックによる審査の見落とし防止がありますが、基本的には審査担当職員の審査能力の向上を図ることにより、審査精度が維持・向上できるのではないかと考えています。
 労災レセプトの審査については、本日の資料2で説明させていただいておりますが、診療報酬点数表等に基づく審査に加え、私傷病の除外等の労災固有の審査、つまり労災保険として給付することができるかどうかに関わるチェックが重要なものとなっています。このためには、個々の被災労働者の状況を踏まえて、個別に判断していく必要があります。例えば、この傷病名は労災保険には該当しないとかするとかという機械的に判断できるものではありません。このことから、職員の専門性に頼る部分が大きいと考えています。
 18ページの資料10は、前回の検討会において、審査担当職員の専門性確保のために実施している研修等について説明させていただきました。この資料では、その研修等に係る所要経費を新たに記載させていただいています。一つ目の労災診療費審査専門研修については、205万円、二つ目の労災診療費担当者会議が322万円、19ページの三つ目の労災医療担当者ブロック研修が168万円となっています。この中では、二つ目の全国労災診療費担当者会議と三つ目の労災医療担当者ブロック研修が同じ1日の研修会議ということで、同じ期間で実施していますが、所要経費としては、ブロック研修のほうが低コストとなっています。しかしながら、現在実施しております研修等の内容、講議による中央から地方への伝達、また斉一的な取扱いのための職員間での討議、レセプト審査の実習など、その目的とするものがそれぞれありますので、研修はこの方法で行うという特定の形式とすることはとても難しいものと考えています。
 このことから、19ページの黒枠の中にまとめのような形で多くの項目を記載させていただいております。順に申し上げると、労災特有の疾病等の医学的知見の修得のための外部専門家の活用、斉一的のための取扱いのための労働局間をまたがる職員間での情報交換、研修等の参加者がその内容を他の職員に伝達することとなるため効率的に伝達できるような工夫、都道府県労働局単位での研修による経費の縮減と時間の有効活用、WEBを活用した研修の検討、研修内容に係る職員のニーズの把握や受講者の意見の研修への反映を挙げておりますが、それぞれ研修の目的に応じて、これらの点を考慮していくことでいかがかと考えています。
 20ページを御覧ください。診療費審査の専門性確保の観点からは、ノウハウを有する職員が長く診療費、審査に携わることにより、その確保が図られることにつながりますので、審査担当の非常勤職員の離職状況とその理由を調べたものを資料とさせていただいております。平成23年度、昨年度においては、75名の審査担当非常勤職員が離職しています。そのうち、年度途中に離職された28名についてその理由を確認したところ、把握できたのは22名のものとなりますが、最も多かったのは、下の表の「業務内容」でした。それ以外の理由も多々ありますが、個人的な理由が多く、人材確保のために行政として対応を講じられるものとしては、欄外に○を打っていますが、「業務内容」と「人間関係」になろうかと考えています。これらの対応としては、黒い枠の中になりますが、業務内容に対応できる専門的知見の付与と職場において充実したコミュニケーションが図られることに努めるということで考えています。専門性確保の観点では以上です。
○山口座長 ありがとうございました。この審査の精度について御意見がありますか。研修が中心的になっていますが、次に出てきている資料では、審査担当職員でも非常勤のデータが挙がっていますが、研修で予定されているのは正規職員ではないのですか。
○栗尾労災医療専門官 研修の対象はそれぞれ正規職員もありますし、ブロック研修ですと、特に非常勤職員と正規職員を合わせて実施するという形でやっています。
○山口座長 一つの問題は、蜂谷先生から問題提起があって、中央研修全国会議、ブロック研修を中止して、各都道府県別の研修会にしたらどうかということなのですが。
○蜂谷先生 コスト削減から言えば、極端ですがこれくらいのことをしなければダメだと常々思っています。しかし、会議や研修会の費用の報告を聞いて、それほど無駄をしていないことが分かりました。中央研修会議も各都道府県から1名の出席ですが、診療内容はポイントだけにする。実務演習はビデオにして渡すなどして、5日間を短縮する。また情報交換の場であったり、コミュニケーションの場として開かれているようですので、それはそれで意味あることだと考えます。また、診療費担当者会議では2名の出席です。前もって、研修する資料を渡して各自が検討してきた上で、研修をすればもっと短時間で効率的で効果がでるものと思います。いずれにしてもその間、職員が減りますので、手薄になり業務が大変になります。労災医療担当者ブロック研修はすでに専門研修および審査担当職員にも研修していることと、社保・国保の審査に準じて行っているため、地域により審査に多少差があるようです。これは都道府県別で良いと思います。
○山口座長 今までやっておられた本省の実績や経験や感触はどうですか。
○栗尾労災医療専門官 文章で分かる部分も多分にあると思うのですが、特に労働局間で実際顔を合わせて情報交換をするとか、本省としても地方局と顔を合わせて丁寧に説明するところに大事な部分が多分にあると考えております。
○蜂谷先生 そういうことでしたら、内容、人数および日にちを考慮した上で、施行して良いと思います。ただ、ブロック会議は必要かどうかということになりますと、必要ないと思います。むしろ私は県単位で開き、県内の精度を上げるべきだと考えます。不明な点は直接、中央との確認で良いと思います。これらの経費の大部分は何に使用されていますか。
○栗尾労災医療専門官 基本的にはこの経費のほとんどが旅費です。
○蜂谷先生 旅費ですか。
○栗尾労災医療専門官 はい。
○蜂谷先生 自県で大体労災の審査をしている先生は社保また国保の審査員も一緒にしていることが多いです。それよりも、ここに書かれている竹内先生のおっしゃるとおり、精度、専門制の向上ですね。そこで、担当職員の方には100%労災固有のところは周知しておいて下さい。また、診療報酬の通則、特例、事務連絡および注書きのところもしっかり覚えておいてほしいものです。疑義に関して、よく聞かれるのが「これについてはどうですか」ではなく、「ここにこのように、記載がありますが」と教えて頂ければ、審査が上手くいきます。手術など治療内容に関しては、研修に行くよりマンツーマンで教えた方が上手くいきます。特掲では手指は2倍、上肢・下肢は1.5倍などインセンティブも十分ついています。
○河西課長補佐 今、四肢の話の加算の話がありましたが、それを主に重点的に研修のような形でやっているのが全国労災診療費担当者会議のところです。
○蜂谷先生 担当者会議ですか。
○河西課長補佐 ええ。当然、役所のことですので、地方の職員に徹底して、全部斉一的にやってもらわないといけないようなものは、全部文書やパンフレットを配付して、徹底しているはずなのですが、それ以外にやはり口頭で説明しなければいけないような時もあります。こういう会議を開催させていただいたりですね。
○蜂谷先生 以上の3つの会議については出費の記載がなく、もっと出費が多いものと思っていました。必要なものについては効率よく効果の出るような運営をしてください。
○河西課長補佐 先ほど、研修に行っている間は手薄になって、業務がなかなか大変だという話があったかと思うのですが、実際、業務が相当大変になっているので定員削減になって、例えば中央研修みたいな形とか、中央のほうでセットするような研修会議とか、あるいはブロック会議をきちんと徹底してやらないと、心配なのは、そういうような日頃の業務が忙しいところがあるので、地方任せにしてしまった場合に、研修がきちんとなされるのかというのが心配な部分です。そのところの御意見を伺えたらと思っているところなのですけれども。
○山口座長 実は私が今いるところ、労働大学というのが研修をやっているのです。大変なのです。定員の削減がかかっているから研修に来るのが大変なのです。せめて、2、3日前とは言わないが、前の日ぐらいはテキストを読んで、用意してくる時間がないと気の毒なのに、前の日まで出張でどこかに行かされて、夜中に帰ってきてということだから、本当にきついです。ブロックがいいのか、全国がいいのか。裁判所も同じような事件が都道府県にある各地方裁判所に継続しますと、判断が違ってはいけないということで、そういう事件を担当している裁判官を集めて裁判官会同をやっていますが、統一性と徹底性という観点からは、全国レベルでやっています。
 他に何か御質問はありませんか。それでは、次に「その他に」移りたいと思います。説明を御願いします。
○栗尾労災医療専門官 「その他」の部分を説明させていただきます。その他は2点あります。まず指定医療機関の拡大と国の庁舎の集約化の2点です。資料11の指定医療機関の拡大の部分から御説明申し上げます。
 労働者が労災保険指定医療機関以外を受診した場合、一時的とはいえ、療養の費用を負担することとなります。受診した医療機関が労災保険指定医療機関であれば労働者の負担が生じないこととなりますので、多くの医療機関が労災保険指定医療機関となっていただければ良いわけですが、先ほどの22ページにありますように、実際は指定医療機関の数は年々増えているものの、非指定医療機関に受診した件数、支給された件数は年間9万件前後ある状況になっています。
 前回の検討会において、座長から労災指定の手続はどうなっているのかという御指摘をいただきましたので、21ページにまとめさせていただいております。労災保険の指定に当たっては、関係書類を添えて申請していただくと労働局で審査の上、指定するという流れです。指定に要する期間も47労働局の平均で約3週間程度となっています。手続面で医療機関の負担が大きいものではないと考えております。
 資料の下の黒い部分になります。療養(補償)給付は、療養の給付が原則です。療養の費用の支給は例外的なものとしております。先ほどの22ページの資料にあるように、年間9万件程度の療養の費用があることから、被災労働者が療養の費用を負担せずに済むよう、指定医療機関の拡大の取組を進める必要があると考えております。その方法として、被災労働者が指定医療機関以外を受診した場合に、被災労働者は費用請求を行うことになるわけですが、その費用請求書に記載された医療機関に対して労災保険指定を受けることの勧奨をしていくことが、地道ですが効果的ではないかと考えております。
 23ページの資料12は、前回の検討会において、労災レセプトの審査を行う部門の事務室の状況について説明させていただきました。今回の資料では、民間ビル借り上げにかかる経費をお示しさせていただきます。経費的には、民間ビルから国の庁舎への移転、若しくはより廉価な民間ビルへの移転により、予定ですが、平成23年度から平成25年度の2年間で1億7,700万円の経費縮減が図られる見込みとなっています。
 労災レセプトの審査事務が行われる事務室が所属する労働局の労災補償課が入居する庁舎と別になっている分庁舎形態の場合、行政の意思決定や連絡調整のために職員や関係資料が行き来する必要が生じますので、そもそも効率的であるとは言えないところです。さらに数字でお示しているように、国の庁舎に入居することができれば、民間ビルの賃貸借料が削減できることになりますので、引き続き国の庁舎への集約化を進めていきたいと考えております。
 しかしながら、前回も説明させていただきましたが、国の庁舎への入居については、国の庁舎の空き状況が都道府県ごとに異なり、また関係機関との調整が必要であることから、本省と労働局のみで移転計画を策定して進めていくことがなかなか難しい状況になっています。日頃から関係機関と連携調整をしていきながら、場合によっては国の庁舎ではなく、より安価な民間ビルの移転も含めて検討していくことが必要と考えております。以上です。
○山口座長 ありがとうございました。その他について御意見、御質問がありましたら。併せて全体についての御意見、御質問がありましたら、それも併せてお願いします。民間ビルに入っている施設がだんだん減ってきているというのは、国の庁舎のスペースができてきているから移っているのですね。スペースができているのはどういう原因なのですか。
○栗尾労災医療専門官 ほかの機関の改廃でそのスペースが空く場合になります。
○山口座長 そうですね。
○河西課長補佐 指定医療機関の拡大というのも、実は今回機会をいただいたことによって、先ほどブロック会議の話も話題になりましたが、ああいうような機会を通じて地方の取組状況みたいなものを職員から聴いたところです。従来から積極的に広げるようにということは文書でも伝えていたところなのですが、実際のところ、なかなか余り動いていないような状況があります。今回の検討の機会もありましたので、このところは是非今後、積極的に進めていきたいと思っています。
○山口座長 それはそうですね。診療科によって、労災と関係ないところが入っていないので、こういう数字になっているということもあると思いますが、従来から余り指定を受けるようにというキャンペーンをしていないことで、そうなっているのだったら、そのところはまだ努力する余地はあるということだと思います。
○河西課長補佐 数字でもほとんど9万件ぐらいで、このまま推移している状況で、大きく減っているというあれではないものですから是非、取組を強化したいと思います。
○蜂谷先生 業務上のレセプト約9万件の医療機関には、労働局および基準監督署から指定医療機関の話をしているのですか。また、リーフレットとかホームページに載せるとかしていますか。
○河西課長補佐 それがあまり取組がされていないような。要は、署のほうで審査をしていて、局のほうでどういう話のことなのかよく把握していないというのもあったのかなと思うのですけれども。
○蜂谷先生 あとは、整形は臨床整形外科医会が各県にあります。そこは開業医の先生ですので、会長に話をすれば指定医療機関になって頂けるのではないでしょうか。○山口座長 昔だったら、どうしても負傷が中心ですから、外科とか整形外科とか、認定基準で脳・心とか、ああいうのがすぐ来るから、内科とかも、あれも入ってもらわないとですね。
 そろそろ時間ですので、以上で一応、今日、検討すべき項目についての説明を伺い、検討したということにさせていただきます。したがいまして、次回は、前回ここで説明を受けて検討しました審査業務の現状、今日、検討すべき項目と御意見を伺いましたので、その検討ということで、その内容を報告書にまとめるときは骨子になるものをまとめていただいて、次回はそれをもとに先生方から御意見を伺い、議論をしていただくことにさせていただきたいと思いますが、それでいかがですか。それでよろしいですか。
                 (異議なし)
○山口座長 御了解いただけたようですから、次回はそれでお願いしたいと思います。事務局の方は大変ヘビーだと思いますが、準備をお願いします。そうしますと残った問題は日程ですか。スケジュールとしては、2月上旬というふうにこの前言われておりましたが、どのような感じですか。日にちは。
○松本職業病認定調査官 御議論ありがとうございました。次回の日程ですが、2月上旬ということで、具体的には2月7日又は8日はいかがでしょうか
○小西先生 時間帯は夕方ですか。
○松本職業病認定調査官 本日と同じ午後5時からとさせていただきたいと思います。。
○蜂谷先生 8日の方がいいですね。
○松本職業病認定調査官 2月8日でよろしいですか。2月8日金曜日午後5時からでよろしいでしょうか。
○山口座長 17時ですか。
○松本職業病認定調査官 はい。場所については、改めて御連絡をさせていただきます。
○山口座長 確認をいたしますと、次回は2月8日17時からということにさせていただきます。長時間にわたりありがとうございました。
○松本職業病認定調査官 ありがとうございました。


(了)
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