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2013年1月16日 第7回集団予防接種等によるB型肝炎感染拡大の検証及び再発防止に関する検討会

○日時

平成25年1月16日(水) 15:30~17:00


○場所

厚生労働省 省議室(9階)


○議題

(1)検証項目「1.予防接種等の実態」の(4)及び検証項目「4.集団予防接種等によるB型肝炎感染被害発生の把握及び対応」の(2)の都道府県・市町村向けアンケート調査結果報告(中間報告)について
(2)検証項目「3.B型肝炎に関する医学的知見及びそれに対する関係機関等の認識について」の(1)から(3)及び検証項目4の(2)の保健所長経験者・医療従事者向けアンケート調査結果報告(中間報告)について
(3)検証項目1の(4)及び検証項目4(2)の都道府県・市町村ヒアリング調査について
(4)検証項目3の(1)から(3)並びに検証項目4の(1)及び(3)の関係学会等ヒアリング調査について
(5)検証項目1の(3)の注射器等製造販売業者向けヒアリング調査の結果について

○議事

○野村B型肝炎訴訟対策室長補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第7回「集団予防接種等によるB型肝炎感染拡大の検証及び再発防止に関する検討会」を開催いたします。
構成員の皆様には、御多忙の折、お集まりいただきまして、厚く御礼申し上げます。
事務局より、本日の構成員の出欠状況について御報告いたします。小林構成員、小森構成員、花井構成員、丸井構成員、山本構成員から御欠席の御連絡をいただいております。
また、高橋構成員から遅れる旨の御連絡をいただいております。
事務局のほうですけれども、局長及び課長の正林が公務のために遅れております。
撮影についてはこれまでとさせていただきます。
ここからは、永井座長に議事の進行をお願い致します。
○永井座長 では、前回に引き続きまして、研究班の調査結果の御報告をいただき、皆様に検証をいただくことにいたします。
 本日の議題は、配布している議事次第で御確認をいただきたいと思います。
 議事に先立ちまして、事務局より資料等の確認及び事務局に異動があったということですので、御紹介をお願いいたします。
○野村B型肝炎訴訟対策室長補佐 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 お手元に御用意させていただいておりますが、議事次第、構成員名簿、座席表、資料一覧。
資料1「検証項目ごとの調査手法及び内容」
資料2、都道府県・市町村アンケート調査報告書(中間報告)
資料3、保健所長、医療従事者アンケート調査報告書(中間報告)
資料4、都道府県・市町村ヒアリングについて(案)
資料5-1、有識者・研究者ヒアリングについて(案)
資料5-2、保健所長経験者ヒアリングについて(案)
資料6、製造販売業者向けヒアリング調査の結果
構成員提出資料として、野口構成員からの御意見書ともう一つ、奥泉構成員、田中構成員、梁井構成員からの御意見書をいただいております。
また、前回までの資料をつづりましたファイルを各構成員の席に置かせていただいております。不足や落丁等がございましたら、事務局にお申し付けください。
 続いて、座長から御紹介がありましたとおり、事務局で人事異動がございましたので、御紹介させていただきます。
 B型肝炎訴訟対策室長の小澤でございます。
○小澤B型肝炎訴訟対策室長 小澤でございます。よろしくお願いいたします。
○野村B型肝炎訴訟対策室長補佐 以上でございます。
○永井座長 ありがとうございます。
 では、議題に入ります。議題1の都道府県・市町村向けアンケート調査結果報告(中間報告)と、議題2の保健所経験者・医療従事者向けアンケート調査結果報告(中間報告)について、あわせて研究班から御報告をお願いいたします。
○多田羅構成員 報告させていただきます。
 自治体向けアンケート及び医療従事者・保健所長向けアンケート調査は、11月の第5回検討会で御了承いただいた後に調査を実施いたしました。
 今回は中間報告として、現在集計が終了しているところまでを報告させていただくものであります。
 今後、最終報告に向けて詳細な集計を進めていくこととしております。今後の集計に当たり、留意すべき点などについて研究班でも御意見を既にいただいておりますが、この検討会の構成員の皆様からも御意見をいただき、最終報告につなぎたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、結果の詳細につきましては、三菱総研から説明をお願いします。
○研究班事務局 それでは、お手元の資料2、資料3に基づきまして、御報告をさせていただきます。
 本日は、都道府県、保健所長・医療従事者を対象としたアンケート調査の中間集計の御報告ということでございます。
 まず、お手元の資料2「都道府県・市町村アンケート調査報告書(中間集計)」をごらんください。
 1ページ、調査の概要でございます。全国の都道府県及び市町村、ただし制度の歴史的経緯の異なる沖縄県だけは除いておりますが、対象として質問調査を行いました。調査期間は11月23日~12月24日。はがきによる督促を行っております。
回収状況でございますが、都道府県調査につきましては、12月25日時点で40件、回収率87%、市町村調査については12月17日時点で848件、回収率が49.9%という状況でございました。本日御報告させていただきますのは、それぞれの時点の回収で一旦締め切って、速報値として御報告をさせていただくものでございまして、この後も回収を引き続き行っておりますので、この値はもう少し上がってくるということでございます。
2ページ「2.1 集団予防接種等の手技等に関する指導内容」、まず、注射針についての集計でございます。この設問では、対象疾病等によって異なる状況も考えられますので、複数回答を許す設問になってございます。そのため、集計をわかりやすくするために、ここでは小さい番号の選択肢を優先した集計を御報告するものでございます。
2ページに文書で書いてございますが、3ページのグラフを見ていただいたほうがわかりやすいかと思います。グラフは細かい数字もございますので、下に合わせて表も載せてございますので、見比べていただければと思います。横軸が時間軸でございまして、昭和24年、29年から始まりまして、6時点をこの調査では把握をしております。
一番上の灰色のところが「記録がなく分からない」ということで、過去にさかのぼればさかのぼるほど、「記録がなく分からない」という回答がふえておりますが、一番下の黒に白の点々の部分がディスポを使用するよう指導したということで、下の表を見ていただくと、昭和52年が12.5%、昭和63年が35%ということで、このあたりからでディスポの使用が次第に普及してきたというようなことがうかがわれるかと思います。
○永井座長 その判例がよくわからないのですが、95%というのは「記録がなく分からない」というマークに相当しているのでしょうか。むしろ、この5番目のアルコール綿のマークに似ているのですが、これは間違いないですか。
○研究班事務局 下の表をごらんいただきますと、例えば昭和24年度及びその前年度、これを横に見ていただきますと、「記録がなく分からない」が95%、38件ということです。
○永井座長 このマークの塗りつぶし方、パターンがやはり違うのではないですか。これは大きくもっとわかりやすくしてほしいのですけれども、しかしこれは間違えていませんか。
○研究班事務局 申しわけございません。今後、御報告の際には留意して、もう少しわかりやすくいたします。
○永井座長 ちょっと確認していただけますか。どう見ても対応していないように見えます。
○研究班事務局 かしこまりました。確認させていただいて、また御報告を別途させていただきたいと思います。
 続きまして、4ページでございます。注射筒について、同様の設問でございます。
5ページ目のグラフを見ていただきますと、針とほぼ同じような傾向でございまして、やはり昔のことは皆さん、わからないという回答が多うございますが、ディスポ等につきましては、昭和52年くらいからふえてきているという状況でございます。
 6ページ、指導内容の確認方法についてということで、これはいずれの時点も都道府県の記録文書を探したという回答が最も多く回答されておりました。そのほか、都道府県担当者の聞き取り等の回答も見られております。
 7ページ、手技に関する指導の方法でございます。わからないという回答がございますが、それ以外で見ますと、「厚生労働省からの文書を送付して指導」という回答が最も多いという状況でございました。
 8ページ、手技に関する実態の把握ということで、実態を把握していたかどうかについての設問でございます。わからないというところ、あるいは手技に関する実態を把握していないところが全てでございました。それ以外の回答は見られなかったということでございます。
 9ページ、実態の報告についてでございます。これも同様にわからない、あるいは行っていないというところで全て占められておりました。
 10ページ、B型肝炎の感染可能性が疑われる具体的な事例ということで、昭和63年3月以前とそれ以降と分けて聞いております。63年3月以前については「分からない」が65%で最も多く、「把握した記録はない」が30%、「把握していた記録がある」が2.5%でございました。
 63年4月以降についても、ほぼ同様の結果でございました。
 11ページからが、市町村を対象とした調査の結果でございます。市町村のほうでは、まず、実施の形態について聞いております。集団接種か予防接種かというところで、「記録がなくわからない」という回答が古い時代ほど多くなっておりますが、それ以外では集団接種、次いで個別接種というような回答になっておりまして、特に63年では個別接種がふえているという状況が見て取れます。
 12ページ、先ほどの都道府県と同じように、注射針についてどのような実施をしていたかということで、今度は市町村でございますので、指導の状況ではなくて、どのようになっていたかを把握したということでございます。
 13ページ、回答の傾向は先ほどの都道府県と似てございますが、昭和44年くらいからディスポの使用が見られておりまして、昭和52年には21.9%、昭和63年になりますと71.2%でディスポという回答が見られております。
 続きまして、筒についてが14ページ、15ページでございまして、15ページのグラフを見ていただきますと、針とほぼ同様の傾向で推移をしているということが見て取れます。
 16ページ、手技の確認の方法ということで、これは市町村担当者に聞き取りが比較的多く回答されておりまして、市町村の記録文書の検索が続いております。その他の関係者への聞き取りという回答も見られております。
 17ページ、独自文書について、これは予防接種の実施に関して、その自治体において独自で文書を策定していたかということでございますが、53年度及びその前年度以降、「独自文書がない」という回答がふえておりまして、63年度及びその前年度では「独自文書はない」というのが35%見られています。「独自文書がある」という回答は63年度及びその前年度、最新の区分でも0.8%でございました。
 18ページ、実態の報告ということで、手技に関して都道府県に対して報告をしていたかどうかということですが、「分からない」という回答がほとんどでございました。一部、都道府県からの文書等による照会により実態を報告していたというようなところが見られておりまして、昭和63年度で3.8%でございました。
 19ページ、B型肝炎感染可能性が疑われる具体的な事例ということで、63年3月以前については、やはり「分からない」が多く見られておりましたが、続いて「把握していた記録はない」、「把握していた記録がある」という回答は3.7%でした。
 63年3月以降については「把握した記録がある」が4.1%で見られていました。
 続きまして、資料3を用いまして、保健所長・医療従事者アンケートについて御報告をさせていただきます。
 1ページ、調査の概要でございます。保健所長調査につきましては、全国保健所長会様に御協力をいただきまして、名誉会員の方を対象として調査を行っております。また、医療従事者調査につきましては、日本小児科医会に御協力をいただきまして、50歳以上の会員の方を対象として質問調査を実施したものでございます。調査期間は12月1日~12月14日、はがきによる督促を行っております。
 回収状況でございます。12月25日時点で保健所長調査については37件、回収率が60.7%、医療従事者調査については12月17日時点で1,150件、回収率34.1%でございました。
 2ページ、保健所長の調査を対象とした調査結果でございます。
63年3月以前に保健所長としての勤務経験があるという回答が83.8%を占めておりました。
その在任期間について、その下でございますが、昭和52年4月~昭和63年3月までが最も多く、次いで昭和44年4月~昭和52年3月、昭和34年4月~昭和44年3月となっておりました。
 3ページ、B型肝炎の病態等に関する認識ということで、1点目としまして、重症な疾患であることについての認識ということでございます。
まず、認識した時期については、昭和52年4月~昭和63年3月という時期を挙げる方が最も多く見られておりました。次いで昭和44年4月~昭和52年3月を挙げる方が多く見られておりました。
認識した情報源につきましては、学術論文、雑誌等が48.5%で最も多く、一般のマスコミ報道、学会のガイドライン通知注意喚起、国の法令・通知・通達・事務連絡といったものが挙げられておりました。
4ページ、キャリア化することについての認識でございます。時期については先ほどと同様に52年~63年が最も多く、次いで44年~52年ということです。
認識した情報源につきましては、学術論文、雑誌等が最も多かったということで、先ほどと同様の傾向でございました。
5ページ、感染性についての認識でございます。時期については、やはり同様に52年~63年が最も多く見られております。また、情報源につきましても学術論文、雑誌等が最も多いという結果でございました。
6ページ、B型肝炎ウイルスの感染経路等に関する認識としまして、まず、針について、針が感染経路になり得る、感染可能性があるという認識の時期については、昭和44年~52年が最も多く30.3%、次いで昭和52年4月~63年3月という回答でした。この情報源については、やはり学術論文、雑誌等が最も多く挙げられておりました。
7ページ、筒についてでございます。時期については52年~63年が27.3%と多く挙げられておりまして、次いで昭和44年4月~52年3月でございました。情報源については同様に、学術論文、雑誌等が挙げられています。
8ページ、ここからは集団予防接種等における注射針、注射筒の交換等に関する保健所としての指導状況ということで、まず、針についてでございます。
被接種者ごとの針をディスポーザブル製品を使用して交換していたかどうかについて、この指導の有無については先ほどの自治体向けの調査と同様に、小さい番号の選択肢を優先した集計を行って、単数回答として集計を行っております。指導の有無については「指導した」が36.4%、「指導していない」が12.1%でございます。ここは調査票の設計上、まず、指導していたか、していなかったかを聞いた上で、時期についてお伺いするというような構成になってございますので、御承知おきください。
また、ここのディスポーザブル製品の使用について、「指導していない」と回答した方には、加熱消毒をした、あるいはアルコール綿を用いた消毒を指導したといったケースが含まれておりますことも御留意ください。
(2)が針の交換・加熱消毒についてでございます。この加熱消毒を「指導した」という回答は33.3%、「指導していない」が15.2%でございました。ここも同様に「指導していない」には、ディスポを扱う指導をしていた、あるいはアルコール綿を用いた消毒の指導をしていたという回答が含まれております。
9ページ、アルコール綿を用いた消毒については、「指導した」が30.3%、「指導していない」が21.2%という回答でございました。
10ページ、筒でございます。筒の交換はディスポの使用についてが1でございます。「指導した」が39.4%、「指導していない」が15.2%。先ほどと同様に「指導していない」と答え方の中には、加熱消毒をしていた方なども含まれております。その加熱消毒については、「指導した」が21.2%、「指導していない」が21.2%ということでした。
11ページ、アルコール綿を用いた消毒については、「指導した」が18.2%、「指導していない」が27.3%でございました。
12ページ、集団予防接種等によるB型肝炎ウイルスの感染の症例把握ということですが、感染症例を把握した時期は52年~63年が最も多く、63年4月以降、44年~52年と言う回答が続いていました。情報源については、学術論文、雑誌等が最も多く挙げられておりました。
13ページ、そういった症例の中で御自身がかかわった事例の把握についてですが、「把握していた」という回答が15.2%見られております。
14ページ以降が、医療従事者を対象とした調査の結果でございます。
勤務経験でございますが、従事した時期としては、昭和52年4月~63年3月が50.6%と多くを占めておりました。次いで44年から52年が24.3%でございました。
15ページ、B型肝炎の病態等に関する認識ということで、重症な疾患であることについての認識については、52年~63年が多く挙げられており、認識した情報源としては学術論文、雑誌等、医学教科書が多く挙げられておりました。
16ページ、キャリア化については、認識した時期は52年~63年。情報源としては、学術論文、雑誌等、医学教科書が多く挙げられておりました。
17ページ、感染性についての認識についても52年~63年が半分以上を占めておりまして、認識した情報源としては、学術論文、雑誌等、医学教科書というものが挙げられていました。
18ページ、感染経路に関する認識でございます。針については認識した時期が52年~63年が53.4%と最も多く挙げられています。情報源については、学術論文、雑誌等、医学教科書が挙げられています。
筒についての時期については、昭和52年~63年、情報源については学術論文、雑誌等が多く挙げられておりました。
20ページ、集団予防接種等における針に交換の実施状況ということで、現場の実態をこれで把握するという設問でございます。
まず、針についてでございますが、ディスポーザブル製品を使用していたという回答は71.7%でございました。使用していないという回答が9.2%、その他「わからない」と「無回答」が見られております。
先ほどと同様にここの集計では複数回答を認めていますので、単数化してわかりやすくするために、小さい番号の選択肢を優先した集計を行っております。また、設問の構造上、ディスポを使っていないという回答の中には、加熱消毒を実施していた方も含まれているということでございます。
21ページ、今回、中間集計で時間的に単純集計までしか御報告できなかったのですが、ここについては少しクロス集計を実施いたしております。予防接種にかかわった時期とディスポーザブル製品の使用状況ということで、横軸に医療従事者として、いつかかわっていたか。その時期にディスポの製品を使っていたと回答した方の割合をグラフにして示したものでございます。
昭和29年まではnが非常に小さい数字でございますので、御留意いただきたいと思いますが、34年はn=29、44年以降ではnが100以上ございますので、このあたりで見ますと44年くらいに約半数を超えて6割くらいを占めていた。52年~63年では8割を占めていたというような状況であることがわかります。
22ページ、加熱消毒についてですが、やはり下のクロス集計のグラフを見ていただきますと、昭和44年はnが68、昭和52年がnは88でございます。おおむね半数くらいが実施をしていたという回答をしているという状況でございます。
23ページがアルコール綿を用いた消毒でございますが、やはり下のグラフを見ていただきますと、5~6割くらいが実施をしていたというような形で推移をしてきているということがわかります。
24ページ、ここからは筒についてでございます。下のグラフを見ていただきますと、ディスポの使用についても針と同様に、昭和44年~52年の約半数、52年~63年に8割くらいという回答が見られています。
25ページ、加熱消毒については、針と同様に5割前後の値で推移をしております。
26ページ、アルコールを用いた消毒については、6割くらいを推移しているという回答でございました。
27ページ、B型肝炎ウイルスの感染の症例把握ということで、把握した時期を聞いたところ、52年~63年が40.5%ということで最も多く見られております。情報源につきましては、学術論文、雑誌等、一般のマスコミ報道や学会からの情報提供というような回答も見られています。
28ページ、そういった症例の中で御自身がかかわった事例については、6.3%の方が把握していたという回答をしております。
アンケートの報告については、以上でございます。
○永井座長 ありがとうございます。
 では、ただいまの結果につきまして、ここで御意見、御質問を伺いたいと思います。いかがでしょうか。
○垣本構成員 
まず、資料2の13ページは、時系列を追って、そのディスポーザブルが使われた時期がいつかを見ようと思うと、これがよく示されていると思いますが、例えば昭和24年度及びその前年もこの表と一緒に見ますと、1件そこで既に使われておりますね。
それがずっと飛んで、24年で1件あったものが44年で3件、52年からはずっと広がっていくわけですが、1件あったものがしばらく20年以上なくて、それで突然44年度で入ってきて、中間報告では結果だけが出てきたのですが、なぜに当たる部分も、やがては結果として出てくるのでございましょうか。それが1つ。
13ページの昭和63年度及びその前年度は、ディスポーザブルを使っていた割合が71.2%となっておりますが、今の資料3で見て、20ページの3.4の集団予防接種等における注射針・注射筒の交換等の実施状況の中では、特に時期を指定しておりませんが、そこでは71.7%の数字が出てきているのですけれども、この両者の関係はどうなのかなということで、ディスポーザブルについてのみ質問いたしました。
以上です。
○永井座長 ただ、これはデータの確認が必要ですね。そもそもこの時代にディスポーザブルがあったのか、御本人が何か記憶違いをしていないか。そこはさかのぼって確認することはできますか。
○多田羅構成員 永井先生がおっしゃるとおり、このデータ全体について、どこまでどういう認識で回答をいただいているかということについては、かなりクエスチョンマークのつくところも現実にございます。あり得ないところに数字があったりするところもございます。
それが一番大きな課題ですので、その辺を含めまして、この調査については、これは言わば1次調査で本調査はヒアリングで、一応丸をしているところはその事実がどういうものであるかということで、こういうものがあったという回答はそれなりに貴重ですので、そういうところを中心に、あとは訪問調査として、まさに2次調査というのでしょうか。これだけではデータそのものの信頼性のところが基本的に課題になりますので、例えばB型肝炎の方の症例の把握も、既に症例を把握したと回答をいただいているわけですね。それが現実にどういうものであるのかというのは、訪問して詳細に、特に市町村その他については検討させていただきたいと思っております。
○永井座長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
○野口構成員 全国予防接種被害者の会の野口です。詳細な御報告をありがとうございました。
 今、多田羅先生がおっしゃったように、ヒアリングということも、今後の課題ということも含めて、お伺いさせていただきたいと思います。
 まずは、都道府県・市町村関係のほうです。13ページ、15ページの下の図のほうで、針と筒です。被接種者ごとの交換・消毒は実施せずということで、ディスポーザブルが使われ始めてからも実施せずというところに何件か挙がっておりますが、筒と針と両方のところです。この数について、まだ中間報告で早いかもしれませんが、地域性が見られたかどうかということが第1点目です。
第2点目ですけれども、今度は医療者・従事者アンケートのほうに移っていただきまして、21ページです。集団予防接種にかかわった時期のディスポーザブルの製品の使用状況ということで、昭和44年、52年以降、使用状況は高まっておりますが、逆に反対から見ると、使用していない方もいらっしゃるということで、実はこれはうちの家族の例ですけれども、予防接種副反応に関して、医療従事者の方で認識のずれが当時あったという記録があります。
例えば、うちの家族の場合は、副反応が起きたときに病院に行ったのですが、1件目の病院では、これは違いますと、副反応ではないですと。2件目の病院でも違いますと。3件目の大病院に行って、初めて副作用ですと認められました。
これは絶対的なことではないですが、例えば医療従事者の勤務されていた形態とか、地域とか、総合病院のすごく大きいところであるとか、あるいは町の個人経営であるとか、知見の差異がもしかしたらあるのではないかということで、これは多分ここから出てこないと思いますけれども、次回のヒアリングのときに含めていただくと、もしかしたらそういう傾向が見られるのではないかと思います。
以上です。
○多田羅構成員 地域性については、市町村についてはそれぞれの地域がわかりますので、分析できると思います。
1つ目の質問のポイントはどういうことでしたか。
○野口構成員 ポイントとしては、医療従事者の方の知見に、ばらつきがもしかしたらあったのではないかと。
○多田羅構成員 知見のばらつきといいますと。
○野口構成員 つまり、ディスポーザブルを使用するとかしないとか、こういうB型肝炎の知見に関して、多くは学術論文から知ったと書いてありますけれども、個人個人の医療従事者の方に知見のばらつきがもしかしたらあったのではないかと。
これは私の姉から出た仮定ですけれども、非常に大きな総合病院、大病院の方は日々研究をしていらして、こういう知見が入ってくるのがもしかしたら早かったのではないか。断定的なことは言えないですけれども、私の姉の例でそういう事実があったということを言いますと、何らかの知見のばらつきの特徴がもしかしたらあるのではないかということです。
○多田羅構成員 その回答者のですか。知見というのは、医療従事者であるとか、そういう方の知識ですね。
○野口構成員 そうです。
○多田羅構成員 アンケートには、その本人の属性までは集計できないです。
○野口構成員 それは冒頭にヒアリングでと申し上げましたし、ここでは出てこないと思いますので、一般的に相対化していいますと、要するに知見に関するばらつきとか傾向とかは、そこでどういうふうに拾えるのかなということです。
○多田羅構成員 留意するようにいたします。
○永井座長 認識と言ったほうがいいかもしれないですね。
○多田羅構成員 そうですね。わかりました。
○永井座長 ほかにいかがでしょうか。
○奥泉構成員 B型肝炎訴訟弁護団の奥泉です。
 本日のものはあくまで中間ということで、今後は本当に詳細な報告がされるということを期待しております。
ただ、きょうの段階で1つ質問といいますか、集団予防接種等によるB型肝炎の感染の症例把握は数が結構出ていまして、実際にどんなものがあるか。もし若干報告といいますか、幾つかでも事例をお話ししていただければ、お願いしたいということが1点。
 今後のまとめといいますか、報告の中で留意していただきたいと思うのは、確かに古い時代といいますか、大分前はその資料がないのでわからないと。それが少しずつふえていって、実態がわかる。ただ、その自治体としては、何年は書いていなかったけれども、その後に変わったというのがわかるといいますか。その自治体によって経過がわかるような整理の仕方というのでしょうか。
そういうことももちろん考えられていると思いますけれども、特に資料がないということが多いのですが、それがあるという中で、どういうきっかけでそういうふうに変えるようになったとか、そういうことがわかるのであれば、ぜひとも自治体の時的な流れといいますか、経過といいますか、そういうことも御留意いただいて、もし可能であれば、この医療従事者の方の地域性、これはわからないのかな。わかるのであれば、この医療従事者の方は何年ごろにこういうことだったので、この自治体との関連性とか、そういう自治体の調査との関連性も可能であれば、そういう形で報告をいただければと思っています。
○多田羅構成員 今、奥泉構成員のおっしゃった点は、我々も問題意識として持っている点でございます。市町村のデータについてはフォローができますので、それぞれの市町村を訪問して、そういう把握の流れ、把握したものがどのように報告され、扱われたかということについては、慎重に検討をさせていただきたいと思います。
 ただ、医療従事者及び保健所長については、プライバシーの観点から、個人のところまでフォローできるかが、今のところは難しいというところがございます。それについて、各レベルをクロスとか、いろいろな形でかなり把握したという例が確かございますので、自身がかかわった事例も6.3%ございますので、その中身をどのように把握できるのか、検討させていただきたいと思っております。
○研究班事務局 事務局のほうから補足をさせていただきます。
○奥泉構成員 症例の報告がもし可能であれば、そういうことは難しいですか。
○多田羅構成員 ちょっと待ってください。
○研究班事務局 具体的に自由記入欄を設けまして、事例の内容を御記入いただいております。今回は自由記入欄までは分析が間に合いませんでしたが、最終的な報告の中では、自由記入欄の記載内容も御報告をさせていただきたいと思います。
 ただ、今、回収されているものを眺めると、必ずしも集団予防接種の事例だけではないものが挙げられていたりとか、あと自治体の場合は市町村向けに訴訟する方が御自分の予防接種の記録を請求されるそうですが、その請求をもって事例があったという回答をされている自治体も多く見られておりまして、そのあたりは少し精査をした上で御報告をさせていただきたいと思います。
 以上です。
○永井座長 どうぞ。
○田中構成員 全国B型肝炎訴訟原告団の田中です。
 研究班でもお願いをしましたが、今回の資料2、資料3のアンケートの集計の仕方で、枝の選択肢の小さい番号から選ぶようになっています。そうすると、例えば注射針を被接種ごとに交換をしていた、アルコール綿で消毒をしていた、あるいは交換・消毒は実施せずというところで幾つか複数で選択ができますので、小さい番号を選ぶといい結果のほうが浮き彫りにされる。
逆に私たちが求めたいのは、なぜ使い回しがいつまで起きていたのかという悪い結果もぜひ見たい。そういう意味では、小さい番号ではなく大きな番号の集計もお願いしたい。その中で、いつまで使い回しをされていたかが出てくると思っています。ぜひそれはお願いしたい。
2点目に、今回の結果で市町村でも31市町村が、この感染可能性が疑われるという事例を挙げている。あるいは医療従事者も600人くらいの中で72人ですか。御自身が感染症例にかかわっているという報告がこのアンケートの結果だと思います。こういう実態の中で、アンケートの結果の中では、国の法令や通達で知ったというのが余りにも少ない。その辺はぜひ、なぜなのかを明らかにしていただきたいと思います。
以上、よろしくお願いします。
○多田羅構成員 2点について貴重な御指摘をいただいたと思います。おっしゃるとおりで、最初の点についても過去の分析でできますので、やらせていただくようにします。
 国からの情報が十分に生かされていないという御指摘は、御意見として承っておきます。ありがとうございました。
○永井座長 どうぞ。
○位田構成員 位田です。
 都道府県・市町村アンケートの5ページです。3ページ以降の「表」は、数が絶対数とパーセンテージで出ています。しかし、グラフをつくるときのテクニカルな話ですが、例えば80%、90%、もしくは2.5%といってもベースになる数がサンプル数40ですので、このグラフには、むしろ絶対数も併記をしたほうが、この場合は都道府県ですけれども、現実にどの程度のそれぞれの回答が出ているかがよくわかると思います。2.5は基本的には1ということですので、1カ所だけ、もしくは1都道府県だけということですから、イメージが変わってくるかと思います。
○多田羅構成員 その点は私から事務局のほうに、もう既に指示しております。
○位田構成員 ありがとうございます。
 それから、5ページです。昭和44年だけグラフの中でカーブが下がっていますが、これは何か理由なり原因なりがあるのでしょうか。それ以外のグラフでは、ほとんどが右肩上がりですが、このグラフだけ44年が引っ込んでいます。
○研究班事務局 実はここに挙げております6時点のうち、44年度以外は国からの何らかの通知・通達を出しているタイミングでございまして、44年度だけはおおむね10年刻みということで、比較のために入れたものでございます。都道府県の場合は、特に国からの通知があった場合に、それを市町村に通知として流すということが多いようでございまして、そのために記録が残っているということで、回答が多くなったということかと推測しています。
○位田構成員 そうしますと、そのほかは複数年度でグラフが出ているのですが、例えば34年度及びその前年度ということですと、2年のうちのどちらかで、例えば国からの通知か何かがあれば、イエスに丸がついている。そういうふうに理解をすればよろしいですか。
○研究班事務局 はい。
○位田構成員 ありがとうございます。
○永井座長 ほかにいかがでしょうか。
 この間にメーカーがディスポ製品をどのくらい生産したかという調査は、あわせて行っていらっしゃるわけですね。
○多田羅構成員 それは後段で御報告させていただきます。ぴったりしたデータが挙げられているかどうかが問題ですけれども、そういう問題意識を持って調査を行っております。
○永井座長 よろしいでしょうか。
 それでは、次に、課題3の自治体ヒアリング調査について、及び課題4の関係学会等ヒアリング調査について、研究班から御報告をお願いいたします。
○多田羅構成員 自治体及び関係学会等に対するヒアリング調査は、自治体における予防接種の具体的な実施実態や、B型肝炎に関する関係認識について、先ほど報告させていただきました、あくまでアンケート調査の結果を踏まえまして、アンケート調査の2次調査といいますか、そういう位置づけのもとに実施させていただくものでございます。
 今回はこのヒアリングの項目について、前回、研究班でどのような項目でヒアリングを行うのかということを議論いただいておりますので、報告させていただきます。
なお、ヒアリングの対象者は非常に大きな課題でございますが、これについても研究班で相当詳しく議論いただいておりますが、最終決定には至っておりません。最終決定につきましては、ほぼ大きな点では研究班で検討いただいているのですけれども、私のほうに一任いただいて、研究班の委員の皆様には、結果を報告して御了承いただいて、ヒアリングをさせていただくと研究班のほうで御了解いただいていると理解しております。
それでは、特にヒアリングの項目につきまして、その詳細を事務局のほうから説明させていただきます。
それでは、お願いいたします。
○研究班事務局 それでは、資料4、資料5-1、資料5-2に基づきまして、御説明をさせていただきます。
 まず、資料4、都道府県・市町村ヒアリングについて(案)でございます。
目的としましては、検証項目1、検証項目4について把握するため、アンケート調査を補足する形で、都道府県・市町村を対象とし、当時の集団予防接種の実態及び具体的な感染事例等についての情報を把握するということでございます。
方法としましては、半構造化面接法による聞き取り調査、訪問等をいたしまして、調査を行います。研究班の班員の方々にも御都合が合えば、御同行いただくということで考えております。
3番目が調査項目(案)でございます。
まず、都道府県対象の調査につきましては、1点目として、針、筒の交換消毒の実態。2点目として、集団予防接種等によるB型肝炎感染可能性が疑われる具体的な事例。3点目として、B型肝炎ウイルス感染のリスクに関する認識ということでございまして、アンケート調査を踏まえつつ、さらにその内容を深堀りしていくというような内容で考えております。
少し具体的にごらんいただきますと、1の交換・消毒の実態については、アンケートで設定した6時点を中心に聞き取りを行いまして、その他の年次についても把握可能であれば、追加的に情報収集を行う予定でございます。具体的には、アンケートの回答内容の確認補足を行った上で、予防接種制度全般への都道府県のかかわりであるとか、予防接種等の手技等の指導に関する都道府県のかかわりといったような内容について、把握をする予定でございます。
2点目の具体的な事例については、先ほど申し上げましたように、自由記入欄に書かれているものもありますが、詳細についてヒアリングで把握できればと考えております。エビデンスを確認する、把握の方法、具体的な事例の概要として感染者数であるとか症状であるとか時間的変遷、感染経路といったようなこと。情報の入手方法や都道府県としての対応、あるいは国との連携といったようなことについて把握をする予定でございます。
3点目のリスクに関する認識としましては、医学的知見についての把握をしていたという記録の有無、あるいは感染リスクに関して検討したような記録の有無について、把握をできればと考えております。
2番目、市町村についても同様の項目構成になってございますので、ごらんいただければと思います。市町村のほうは具体的な実施の状況についても把握をしたいということで、予算の変遷であるとか委託の状況、検討体制の変遷、実施の具体的な方法、ディスポの使用状況等についても把握をできればと考えております。
都道府県・市町村対象ヒアリングについては以上でございます。
引き続きまして、資料5-1「有識者・研究者ヒアリングについて(案)」について、説明させていただきます。
目的については、検証項目3の1~3、検証項目4の(1)について把握をするということで、肝炎研究に関する有識者の方を対象として、当時の認識や背景等についての情報を把握したいということでございます。方法については、先ほどと同様でございます。
調査項目(案)でございますが、大きく1~3の項目を挙げてございます。
1番目として、B型肝炎に関する医学的知見に関する変遷。2番目として、B型肝炎に関するリスク認識に関する変遷。3番目としまして、関係学会、医療関係者による事例の把握と対応という項目を挙げております。
この各項目につきまして、御本人の認識を伺うとともに、当時の学会等でどのような認識であったのかについてもお聞かせいただければと思っております。
まず1点目の医学的知見に関する変遷という項目では、アンケートとおおむね一致させておりますが、重症化に関する認識、キャリア化に関する認識、感染力の強さに関する認識という側面でお話を伺う予定でございます。
また、リスク認識に関する変遷につきましては、感染経路、注射針の針や筒による感染リスクの認識、集団予防接種による感染リスクの認識、B型肝炎ウイルス感染防止対策に関する認識という項目についてヒアリングをするということで考えております。
3番目の関係学会、医療関係者による把握及び対応という項目では、集団予防接種によるB型肝炎感染の症例報告があったか、なかったか。あった場合には、その概要や学会等の対応についてお伺いするということで考えております。
続きまして、資料5-2「保健所長経験者ヒアリングについて(案)」でございます。
目的としましては、先ほどと同様でございます。また、方法についても、先ほどと同様の方法で考えております。
調査項目(案)でございますが、ここでは大きく4点挙げてございます。
1番目として、B型肝炎の病態等に関する認識。2番目として、B型肝炎の感染リスクの認識。3番目として、針の交換消毒の指導実態。4番目として、B型肝炎感染可能性が疑われる具体的な事例ということで、アンケートに沿ったような形で、その内容をさらに深めるというような項目で考えております。
1番目の病態等に関する認識につきましては、重症化、キャリア化、感染力の強さの認識の変遷についてお伺いします。また、B型肝炎ウイルスについての医学的な知見を得る機会としまして、どのようなものがあったのかを少し踏み込んでお伺いできればと思っております。
2番目の感染リスクの認識については、感染経路に関する認識、針・筒による感染リスクの認識、集団予防接種による感染リスクの認識という項目で考えております。
3番目、交換消毒の指導実態でございます。アンケートでも把握をしておりますが、この具体的な内容であるとか、指導していた場合にはそうするようになったきっかけ、あるいはしていない場合には、していない理由といったようなことを把握できればと思っております。
事例については、アンケートのほうで記載していただいている内容を確認するとともに、都道府県や市町村の対応など具体的なアンケートに書かれていない部分についても聞いていきたいということで考えております。
以上でございます。
○永井座長 ありがとうございます。
 言葉の使い方ですが、感染リスクと言ったときに、他者へ感染を起こすリスク、あるいは感染性のリスクということでしょうか。そこを明確にしないと、回答者によっては感染を受けている人のリスクとも読めます。例えば、ヒアリングのさいに、B型肝炎の感染性に関するリスク認識のほうがよろしいと思いますし、1のほうも医学的知見に関する変遷ですと論文の調査になってしまいますから、医学的知見の認識に関する変遷ですね。それから、肝がん、肝硬変に進行するのではなくて、肝硬変、肝がんに進行するということですね。
 いかがでしょうか。
○位田構成員 位田です。
 先ほどのアンケート調査とこれを見合わせると、保健所長経験者へのヒアリングのときに、もし可能であれば聞いていただきたいと思うのですが、注射針、筒の交換・消毒について、感染経路等の認識の差が先ほども少し御発言があったのですが、国からの指導の場合と都道府県からの条例等々、保健所長・医療従事者アンケートのほうの18ページを見ていただくと、保健所長さんと医療従事者の間で、先ほども少し御指摘があったのですが、認識のばらつきがあるように見えます。保健所長は国から、都道府県から指示がある、もしくは条例等が下りてくる。
そこは比較的認識されるのだろうと思います。しかし、医療従事者のほうになると、国から、もしくは都道府県、市町村からによって認識したという情報源がごくわずかで、学会とか教科書とか、そういったのが非常に多い。ということは、国、都道府県、市町村からの指示がどの程度の効果があるのか。そういうところも感染経路の認識の情報源というのでしょうか。その辺をどう取り扱われていたかがもし可能であれば、聞いていただければいいかと思います。
○多田羅構成員 わかりました。
○永井座長 ほかにいかがでしょうか。
 どうぞ。
○丸木構成員 丸木と申します。
 アンケート調査で被験者ごとの交換・消毒の実施は実施せずというのが実数で何件か挙がっているものですから、ぜひこれを市町村とか都道府県のアンケートのときに、多分アンケートを受けられる人はそういうことがない人が受けられると思いますけれども、このアンケート調査の数字を示した上で、聞いていただきたいというのが要望でございます。
 たとえ数が少なくても、63年以降、1件、全くしないという明言して答えている人がいらっしゃるのは驚きを感じたのですけれども、認識のずれも当然どこの場にもあるとは思いますが、ぜひその辺をなぜそういう意識を持つのかも、こういう調査の中で明らかにしていただければと思います。要望です。
 以上です。
○多田羅構成員 了解いたしました。
○永井座長 ほかにいかがでしょうか。
 それでは、次に議題5。ここに先ほどお伺いした、注射器等製造販売業者向けヒアリング調査の結果について、研究班から御報告をお願いいたします。
○多田羅構成員 注射器等製造販売業者向けのヒアリングにつきましては、予防接種に使用する器具等の開発・普及状況につきまして、文献調査の結果あるいはアンケート調査の結果を補完することを目的として既に実施しておりますが、残念ながら業者側にも記録がほとんど残っていないということがございまして、参考になるような具体的な事実については、今のところは把握できておりません。
 それにしましても調査を実施しておりますので、その内容について事務局から説明させていただきます。
 それでは、お願いいたします。
○研究班事務局 それでは、お手元の資料6をごらんください。「B型肝炎メーカー等ヒアリング状況調査結果」ということでございます。
 まず、テルモ株式会社様へ調査の御協力をお願いいたしました。テルモさんは日本で始めてディスポを販売したということで、今回の調査の対象とさせていただいたところでございます。
 概要の下に箇条書きで書いてございますところの2点目からでございますが、テルモさんの社史にも、ディスポーザブルの注射器を開発・販売していった時期の状況が記載されております。それについての情報を御提供いただいたところでございます。
 また、社内で関連部門に過去の情報に当たっていただきました。ただ、古い情報ということで、現在では残っていない状況だったということでございます。
 最初のシリンジを生産した工場でも過去の情報がないかを確認していただきましたが、社史に記載されている以上の当時の状況がわかる資料は残っていないということでございました。
 御参考までに、裏側にテルモさんの社史から一部抜粋する形で、ディスポーザブル注射器の普及状況について整理をさせていただいております。
昭和38年1月にディスポーザブルの注射筒、39年1月にはプラスチック製のディスポーザブル注射針の販売を開始されております。
 販売当初は、品質面よりも「もったいない」という心理的抵抗感があって、ディスポの注射器はなかなか普及しなかったという記述がございます。
 その後、事故災害時など消毒の設備がなく緊急を要するような場合にディスポが使われたということを通じて認識が向上し、昭和44年、45年ごろから大病院で採用されるようになって、その後、国内に普及し始めたということでございます。
 戻っていただきまして、2番目としまして、日本医療器材工業会様に問い合わせをさせていただいたところでございます。医療機器の業界として、医療機器の特性を踏まえた制度改正の実現と新成長戦略の工程表の具現化など、官民一体となった取り組みを通じた国際競争力の強化を行うことをうたっていらっしゃる団体でございまして、ディスポの注射器については、この業界様が取り組んでいらっしゃるということでございます。
 その下の箇条書きのところでございます。ディスポーザブル製品に関しては、医療用プラスチック懇談会という形で、昭和42年に検討会が発足したということでございますが、現在その当時の状況を御存じの方がいらっしゃらないので、なかなか把握が難しい。
個別の製品に関する、具体的にはテルモさんのディスポの状況ということですが、そういった情報は持ち合わせていないということで、やはりここでも具体的な記録が残っていないという結果でございました。
 以上でございます。
○永井座長 ありがとうございます。
 いかがでしょうか。御質問、御意見をいただけますでしょうか。
○野口構成員 全国予防接種被害者の会の野口です。
レポートをありがとうございました。裏側の補足のところで「販売当初は、品質面よりも『使い捨てはもったいない』という心理的抵抗感等もあり」、この心理的抵抗感を持たれたのは、どの方なのでしょうか。
○研究班事務局 社史の中に具体的に書かれているわけではありませんが、前後の文脈から考えると、医療現場の医療従事者の方、あるいは経営者の方ということになるのかなと理解しております。
○永井座長 どうぞ。
○位田委員 それに関連するかと思いますが、ディスポーザブルの注射筒の価格はわかりますでしょうか。当時幾らであったか。安ければ、それほど使い捨てをもったいないという話にはならないと思います。
○研究班事務局 以前に統計資料について調査をした結果を御報告する中で、販売量と販売金額から単価を算出した資料を御報告させていただきました。ただ、昭和五十何年でしたか。そこからしか統計の区分が設定されていないということで、ちょうどその普及の時期に当たる情報については、残念ながら統計資料からも把握できなかったという経緯がございます。
○位田委員 それは要するにテルモ社の中でも把握できない、もしくはできていないということでしょうか。社史は90年とか50年とか記念するときに書かれると思いますけれども、社史を書かれる場合には膨大な資料を使って書き込まれると思うのです。そういう資料が全くないというのでしょうか。資料整理がされていないのかはわかりませんが。もしくは社史を書いてしまえば、そういう資料は全部捨てるとか。会社の資料は恐らく非常に重要なものだと思うので、私企業ですから秘密にしておきたいということであれば、話は別ですけれども、価格くらいはわかるのではないかと思います。
○研究班事務局 その社史を書かれたときの資料が現在どうかというところまでは把握をしておりませんが、その点は今の御指摘も踏まえまして、もう一度テルモさんのほうには問い合わせをさせていただきたいと思います。
○多田羅構成員 非常にこのデータは、具体的な製造のことですので非常に大事なデータだと思います。わからないでは済まないような気がいたしますので、何とかテルモさんなり、工業会でしょうか。そういうところにおける製造実績なりが全体の統計の中で残っていないかどうか、再度アプローチをしてみたいと思います。
○永井座長 針についても、価格を御調査いただくということですね。
○多田羅構成員 そうですね。針のディスポということですね。
○永井座長 そのほかにいかがでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、きょうの予定は以上でございますが、よろしいでしょうか。
○野口構成員 全国予防接種被害者の会の野口です。
済みません。資料を提出させていただきました。2点ございます。
1点目は、被害者実態調査アンケート。前回の検討会で話した事項で、その後、私のほうから意見書を出せさていただきまして、下記のような質問を入れていただけないかということをお願いいたしました。
本検討会が御自身または御遺族の方へのヒアリングを実施した場合、御協力いただけますでしょうかと。こちらは記名式ではなく、私の書き方も悪かったのですが、無記名式で今後ヒアリングを実施するということになった場合に、その前情報をどの程度の規模で実施するのかという重要な情報が得られるのでよいのではないかと思いますが、この設問が非常に入れるべきではないという強いお考えがあったらお聞かせいただきたいと思います。
2つ目は、実態調査アンケート後のヒアリングについてですが、やはり、きょうの前段の御報告にもありましたように、例えば都道府県とか市町村、医療従事者、保健所長の方にアンケートをして、その後にきっちりとヒアリングをして、漏れのない多面的な調査を実施しているということで、非常に確度の高い情報が得られると思いますが、この被害者に関しても同様に、本検討会の中で最終報告に盛り込まれるような形で実施していただきたいと思います。
以上です。
○永井座長 多田羅構成員、どうぞ。
○多田羅構成員 その件につきましては、前回この検討会でも御議論をいただいたと思います。
 まず、そういう観点から今回のアンケートに基づいて、その内容を深めるという意味でアンケートを1次とし、ヒアリングを2次とするという意味で、市町村及び都道府県は行わせていただくというところもございます。そういう形で、この被害者の方へのアンケートを展開するということについて、前回疑論をいただきました。
そのこと自身は非常にあり得ることだと思いますけれども、現実に相当数の方にそういう形で実施した場合という形でお願いするということの結果に対して、ヒアリングというものの方法、そういう多数の方に対してするということは方法的に、今年度にこの研究班の中でやることについては非常に困難性のほうもあるし、どこまで実施できるかについては、むしろ困難であるという御議論を前回いただいて、対案として調査票の中での自由記載ですね。そこの中でヒアリングに匹敵する内容を今回は記載いただく。
それでおっしゃっていただいているアンケートに対する補強という意味では、その自由記載のところで検討させていただくということで、今回のアンケートについては御理解をいただきたいと思います。それはむしろ方法と時間等の問題になるかと思います。ですので、必要であれば、別途ヒアリングをやる必要があるかどうかは、この検討会で改めて御検討いただくということに前回になっておりますので、今回の調査につきましては自由記載ということによって、今おっしゃっていただいている点の内容はカバーさせていただくということで御理解をいただきたいと思います。
○野口構成員 もちろん、時間的拘束とか諸般の事情があることは十分理解しております。ただし、先生が相当数とおっしゃったのは、これは相当数かどうかはまだわからない情報でございまして、そのために前の設問ですね。どのくらいの規模なのかを把握する上で、その設問が有意義なのではないでしょうか。
○多田羅構成員 相当数というのは1,000名以上の方のアンケートを行うわけでございますので、それについてのヒアリングということになりますと、数は相当なものになると思わざるを得ないですね。ですから、方法として非常に今回は限界もあり、非常に難しいところを検討会でも御議論いただいて、今回は自由記載ということで、その部分を何とかカバーしたいとなったと理解をしております。
○永井座長 多分するのならば、相当数をヒアリングしたほうがよいだろうということですね。
○多田羅構成員 科学的な方法でですね。
○永井座長 するのなら改めてということですね。
○多田羅構成員 形を相当整えないと、ヒアリングは特にこういう状態の被害の実態等の具体的な調査となりますと、相当科学的なものではないと、ただ聞き置くようなものにしかならないと思います。その点を御理解いただきたいと思います。
○永井座長 するかどうかを含めて、するというのは一つの検討項目だと思います。そこをどうするか、また原告団と事務局で御相談をいただければと思います。
○野口構成員 御趣旨は理解いたしました。希望としては、ヒアリングは成果物の中にきちんと反映されるということをお願いしたいと思います。
○永井座長 どうぞ。
○奥泉構成員 奥泉です。
 今の点につきましては、前回の議論で私たちもヒアリングをぜひとも実施していただきたいということでお願いをしたのですが、議論の中で、どうせするのであれば、きちんとしたものという御意見も出まして、それで我々としましてもいろいろと議論をしまして、相当時間も労力もかけた形で被害実態調査ができるのであれば、その方向で実施をしていただけたら、今回の検討会の報告に加える形で、加えるかどうかは調査がどの程度かかるかということにもよると思いますが、和解をした数は1,500名で今回の調査の対象になっています。
ですので、これからも被害者と認定される方がふえるものですから、なるべく多くの方の調査のヒアリングを実施していただくという意味で、性根を据えたといいますか、そういう調査を厚労省にお願いしたいなと。そして、きちんと発表して、我々の被害実態を皆さんに知っていただくという形をとっていただければと考えております。
○永井座長 ほかにいかがでしょうか。
 奥泉構成員、どうぞ。
○奥泉構成員 別件です。事前に書面を出させていただきましたけれども、検証作業の進捗状況と今後の進め方についての意見ということで、私と原告2名の構成員で意見書を作成させていただきました。これについて報告させていただければと思います。
 これまで研究班によって精力的な調査、検証作業が進められており、その御尽力にも敬意を評したいと思います。B型肝炎原告団、弁護団の構成員として、これまでの検証作業の進捗状況を確認し、調査検証によって明らかになった点や、なお不十分と思われる点を指摘するとともに、今後の進め方について意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、文献調査についてですが、これまでの調査・検証作業において、予防接種等の実態やB型肝炎に関する医学的知見及びそれに対する関係機関等の認識に関する文献調査等、あるいは自治体や保健所長経験者・医療従事者向けのアンケート調査等が行われてきました。
 文献調査においては、国内外のB型肝炎(血清肝炎)に関する多数の文献が調査され、欧米において1940年代から注射器を介して肝炎が感染することが指摘され、戦後の日本でもそれら欧米の研究が報告されてきたことが明らかになりました。また、イギリスとアメリカの予防接種制度やB型肝炎感染防止対策の実態調査がなされ、同国においては早期に予防接種等での注射器の連続使用はなされていなかったことなどが報告されています。ただ、文献調査において外国文献の調査報告をなお充実させる必要があるものと考えます。
特に注射の筒の交換の必要性についてです。この点については特に重要だと考えますので、参考として本意見書にこの点の文献を添付したいということで、実はきょう追加で出させていただいた文献がこの関連の資料です。左上に甲第18号証と書いてありますが、これは先行訴訟で使わせていただいた英国医学雑誌です。これに注射の針だけではなくて、筒の交換が必要だと。それはどうしてかということが明らかにされています。
訳文で結論ですけれども、右肩に10ページと書いてあるところです。
「上記の事実より、1回1mlの筋肉内注射後高い頻度で注射が汚染されることは明白であろう。種々の実験によって下記のように汚染が起こると考えられる。注射後、少量の体液が針内に逆流するか、抜針する際針先に少量の血液が残存する。この血液が針に沿ってゆっくり拡散し、針を注射器から外す際、針の内容物が吸引され、注射器先端に汚染された液体が残される。針を交換しても、この液体が次の注射器を汚染する。特別な状況下では(特に大量注射の際には)、実際筋肉内から注射器に液体が逆流し、直接注射器が汚染される」ということで、針の交換だけでは足りないということが1946年の英国医学雑誌の報告になっています。
その後につけましたのが、1987年のWHOの日本語訳ですけれども、これにもどうして危険かが裏側に参考図で、ゴムの管に詰めた液に注射器の針を刺して、針を交換しても筒が汚染されるという実験が1950年代からありますよということが、1987年のWHOの報告に添付されています。ですので、この知見について、相当以前から筒の危険性が実証的に言われていたということをぜひとも文献調査で加えていただきたいと思いまして、書かせていただきました。
意見書に戻りまして、2ページの3です。諸外国の調査として、イギリスとアメリカの調査が報告されていますが、その報告において、例えばインタビュー対象者がどのような人であり、何人に対してなされたかなどの記載がされていませんので、客観資料を含めた報告書を充実させていただく必要があると思います。
また、この2カ国以外の国の調査はされないのでしょうか。ヨーロッパのほかの国の制度のほか、B型肝炎ウイルスのキャリア率が高いと言われているアジアの国々の調査も必要、有益ではないかと考えます。
次に検証項目2のB型肝炎ウイルスの感染実態について、前回の検討会において、田中先生の報告がされましたけれども、これで終了ということであれば、不充分だと考えます。この研究報告では、B型ウイルスの感染実態として感染者数を90.3万人としていますが、検討会で丸木先生が質問されたとおり、最高裁判決では、感染者数は120万~140万人と認定されています。最近の日本肝臓学会の資料では、感染者数は130万~150万人とされています。田中研究班員の感染者数は、「感染を自覚しない潜在的なウイルス感染者数」ですけれども、肝炎感染を自覚している人、あるいは発症している人の数を含めた感染者数が実際にどうなのかをより正確に調査する必要があると考えます。
この感染者のうち、集団予防接種での感染者数がどのくらいになるかについて、田中先生は最大14万人×2以下だろうと設定されました。この推定は男女のキャリア率の差を根拠にしているようですけれども、この年齢別キャリア率の資料については、どのような資料を用いられているのかは明確ではありません。岩手県の資料ということが発言の中でありましたので、昭和62年の厚生省の研究報告をもとにしているのではないかと思うのですが、仮にそうであれば、25年前の資料をもとにしていることになります。最近の資料をもとに研究されるべきです。
また、八橋先生からも男女のキャリア率の差について、女性のHBs抗原の消失の問題も指摘されました。このようにB型肝炎に関しては、新たに知見が出てきております。これらからして、B型肝炎感染の実態については、最新の資料、最新の知見を加味して研究されなければならないと思います。この意味で、なお、この項目に関する研究・調査を十全なものにする必要があると考えます。
文献調査について、まだ全く手がつけられていないものがあります。国に対する調査です。検証項目が表になっておりますけれども、この1の「予防接種等の実態」についての行政資料の収集、整理、研修項目3の「B型肝炎に関する医学的知見及びそれに対する関係機関等の認識について」の国(国立感染症研究所を含む)の認識がどうだったかに対する調査。さらに検証項目4「集団予防接種等によるB型肝炎感染被害発生の把握及び対応」の「国(国立感染症研究所を含む)による把握及び対応」についての調査です。
第5回の検討会において、私たちは国の調査について「国の当時の担当者に対する調査を求める意見書」を提出しました。この意見に対しては、まず文献調査を行い、その結果によって実施を検討するということになりました。しかし、この国の対する文献調査がまだ行われていません。そもそもどのような文献資料があるのかについて、目録だけでも早期に提示してもらいたいと要望しておりますが、その目録もまだ提出されておりません。
本検討会は何よりも注射器等の連続使用によるB型肝炎ウイルスの感染被害の真相究明が第1の課題です。すなわち、どうしてこんなにたくさんの感染被害者が発生したのかを明らかにすることにあります。そのためには、予防接種が国の公衆衛生実現のために強制的に行われた経過、歴史からして、国の認識、国が行ってきたことの実態を明らかにすることが不可欠です。この点から、国に対する実態調査を早急に徹底して実施する必要があると考えます。
第3として、アンケート調査についてです。この点について先ほど議論いたしまして、意見を申し上げました。若干数字を間違えまして、今回の調査結果で注目すべきはB型肝炎の感染可能性が疑われる具体的な事例について、昭和63年以前において把握していただく記録があるとの回答が、実数で都道府県で1、市町村では31からなされております。
さらに、保健所長経験者・医療従事者の中で、集団予防接種によるB型肝炎ウイルスの感染の症例を自分自身がかかわった事例として把握していた人が、保健所長経験者で5名、医療従事者では72名と書きましたが、パーセントと母数をかけますと38名でしたので、訂正させていただきます。これは先ほども申しましたけれども、この結果は極めて重要だと思います。現場でB型肝炎感染の事実を把握している人がこのように多数いるということであり、そのような事例はどのように処理報告をされてきたのか。国はその事実を把握していたのか。それらは感染防止対策に生かされたのかどうかを調査すべきであります。徹底して掘り下げた調査研究をしていただきたいと考えます。
アンケート調査の2番目ですが、被害実態調査アンケートが開始されます。私たち原告弁護団が求めてきた実態調査であり、多くの被害原告から回答がなされるように力を注ぎたいと考えております。もちろん、一人一人の自由意思が損なわれないようにしなければなりませんが、対象者数が全国で1,500名を超えるものであり、質問項目も多岐にわたり、自由記載欄も充実させたこともあるので、回答期間を十分確保する必要があると思います。拙速な実施にならないように十分な配慮をお願いしたいと思います。
第4、最後ですが、検討会の今後の進め方についてです。
以上、調査・検証の進捗状況を見てみますと、作業はまだ緒についたところであると言わざるを得ません。
先に述べましたように、本検討会は、集団予防接種等での注射器の使い回しでどうしてこんなにたくさんのB型肝炎感染被害者が発生したのか、まず、その原因を究明することです。被害原告の皆さんの思いもこの点にあります。自分はどうしてB型肝炎ウイルスに感染しなければならなかったのか。早くから感染の危険が指摘されていたのに防止できなかったのはなぜなのか。数十万人とも言われる未曾有の感染被害者をどうして発生させてしまったのか。これを知りたいと考えています。
今日までの調査・検証作業では、この原因がどこにあるのか、まだ何ら明らかになっていません。今後少なくとも前述した調査・検証作業を行い、それで不十分であれば、なおできる限りの手段、方法をとってこの疑問の回答を見つけなければならないと思います。
さらに、原因が究明されたならば、このような被害を再び発生させないシステムとなっているのか。仮になっていないのであれば、再発しないような仕組みをどう構築するか、検討することになります。
これら本検討会の課題、責務を考えるならば、調査・検証作業に時間的制約を設けるべきではないと考えます。少なくとも本年3月中に調査、研究作業を終了させるのは不可能であると考えます。
以上の観点から、本検討会の今後の進め方についての御検討をいただきたく、意見を述べさせていただきました。
○永井座長 ありがとうございます。
 調査の進め方について、多田羅先生、御意見をいただけますでしょうか。
○多田羅構成員 貴重な御意見をいただいて、ありがとうございます。現在までのことと、これからのことに関しまして、研究班を代表して回答させていただきたいと思います。
 まず、この資料に沿っていきたいと思いますが、文献調査についてでございます。もちろん、文献調査の重要性については深く認識しております。第2の1については、報告されているとされています。
 「ただ」以下でございまして、この46年の文献について御紹介をいただきました。これにつきまして、私の前回の資料3、諸外国の予防接種制度及び予防接種に伴う感染防止対策の実施状況云々の調査結果といたしまして、イギリスの文献ということで紹介させていただいているのがございます。この中で既にこれは46年ですけれども、イギリスでは1943年、1945年に報告がされております。そして、45年のイギリス保健省、政府の担当官の書いた文章として、黄疸の伝染と注射器の関係を検討し、注射針、筒の使い回しや従来の滅菌法の見直しの必要性が示唆されているということで、45年に政府の担当官の報告として出されているということが既に行われておりますし、43年に既に最初のそのような報告もございます。
 そういうところで、一応43年、45年があって、ここに報告されているわけでございますので、その点は御理解をいただきたい。しかし、46年も非常に貴重な文献でございますので、この資料の中に今後は掲載させていただきたいと思いますが、イギリスの文献では43年、45年に既に報告されていることは認識いただきたいと思います。
 3の諸外国について、インタビューの対象者がどのような人であるか。これはもう全部記録が残っておりますが、検討会の資料としては大きくなり過ぎますので、私の手元に残っております。2カ国以外のということについては、もちろん研究班長として、より広くという観点は当初から持っておりますので、それなりに取り組みを進めておるところもございますが、ヨーロッパ、あるいはアジアということについて、非常に貴重な御意見をいただいたことを踏まえて、今後ともできるだけ充実した報告ができるよう努力したいと考えます。
 4の感染実態の田中研究班員のところは、田中先生に御回答をいただくほうがいいのですけれども、田中先生のデータ自身は非常に貴重なもので、田中先生が自分の人生をかけて取り組んでいるような研究でございまして、非常に貴重なものでございます。これを超えるものは今のところ、私の知っている範囲では難しいというのが現状かと思いますが、田中研究班員にもさらに充実した分析をしていただくよう、私のほうから今日の御意見を受けて、さらにお願いをしたいと思います。
 5でございます。国の調査については既に事務局のほうで、国が保管しております戦後からの可能な範囲の文献、これは膨大なものでございますが、それについて文章を点検する。通知等ですね。そういうことについては、事務局の三菱総研のほうで取り組んでいただいているということは聞いておりますので、その結果は近々出され、その結果によって、さらに次の方法、必要があれば検討するということになるかと思いますが、非常に国の資料は膨大なものであるようでございまして、少し時間がかかっているという点を御理解いただきたいと思います。
 第3のアンケート調査についてでございます。自治体アンケート及び保健所長経験者・医療従事者でございますが、自治体のほうにつきましては、記名で回答をいただいておりますので、その結果をもとに、ここに挙げていただいております都道府県で1とか、市町村は31というところで、31全部を行くのは難しいかと思いますが、そういう形で回答をいただいているところには必ず訪問などによって、その経過については確実に押さえるようにさせていただきたいと思います。
 保健所長経験者・医療従事者は無記名調査でございますので、的確なフォローが難しいという限界がございます。ただ、先ほど事務局からも言いましたように、自由記載のところもございますので、そういうところを生かして、特に38名は非常に大きい数字ですので、そういうものがどのような形で報告されたのかは、何とかアクセスするように尽力したいと思います。国のほうについてはそういう形で現在取り組んでおりますので、御理解をいただきたいと思います。
 被害実態調査についてでございますが、回答期間を十分ということについては、今のところは研究班長としては2週間程度をお願いしたい。全体をまとめる期間も必要であり、その2週間の後に督促等も必要になってきますので、そういう程度が妥当かなと思っているところでございます。
検討会の今後については、永井先生のほうからお答えいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
○永井座長 これはもちろん、報告書がきちんとできてからの話であります。それから、さらにインタビューをどうするかということまで含めて、3月まではいずれにしても難しいと私は思っておりますが、事務局はそういうことでよろしいでしょうか。
○小澤B型肝炎訴訟対策室長 事務局でございます。
 本検討会におきましては、検証開始時に決定いただいた検証項目に基づいて議論を行っていますので、事務局としては今年度中に全ての検証項目について御検証いただけますよう、まずは今回、次回の検討会で十分に御議論をいただければと思っております。
 なお、先ほどありました被害者へのヒアリングにつきましては、前回の検証会議でも年度内の作業とは別途やっていくという意見を多くいただいていると承知しておりますので、事務局としてもその方向で考えております。その具体的な方法につきましては、原告弁護団とも相談をしながら決めていきたいと考えております。
○永井座長 どうぞ。
○田中構成員 全国B型肝炎訴訟原告団の田中です。
 きょうは傍聴者にも被害者の方がたくさん来られています。120万、140万と言われている被害者の方を代表して、一言発言させていただきます。
 今回の検討会で、本当にこのB型肝炎感染拡大、なぜこの感染拡大が起きたのかというしっかりとした真相究明、そして、再発防止の提言をまとめていただきたい。そのためには今ありましたが、検討会の延長も含めて、ぜひ考えていただきたいと思います。
なぜ私たちが苦しまなければならなかったのか、あるいは多くの方が亡くなられた。その実態はやはりきちんと明らかにしてほしい。私自身、4年前にがんを発症し、苦しまなければならなかった。そして、また、この1月に7ミリの影があると言われ、再検査をしなければなりません。こうやって多くの方が苦しんでいる、あるいは亡くなられている。
今回の調査は、まだまだ時間が足りないし、上辺だけというような感じの調査、研究、究明に思えてしようがありません。外国の文献あるいは医療従事者のアンケート、そういったところからも、まだまだこの真相究明がされていないし、国の文献あるいはヒアリング、被害者へのヒアリングもぜひ延長の検討会で実施していただきたい。
以上、よろしくお願いします。
○永井座長 ほかにいかがでしょうか。
 時間を過ぎていますので、手短にお願いします。
○梁井構成員 原告団の梁井です。
 研究班にもおりまして、中間報告を送ってもらって読んだときに、背筋が寒くなりました。なぜ自分が肝炎に感染したかがまだわからなかった時期、それよりもずっと以前に医療関係者は、もう肝炎の恐ろしさをわかっていたのだと。それがアンケートで出てきています。それでは、私たちは何だったのだと、本当に背筋が寒くなりました。
 今、多田羅班長は、まだ国のヒアリングの前に文献調査をやらなければならないということをおっしゃっていますけれども、私としては田中さんがおっしゃったように、私の知り合いで、がんで苦しんでいる人もたくさんおります。肝硬変で本当に大変な状況の友達もおります。まだ国のヒアリングをやらないとかではなくて、これだけ現場で働いている人たちが肝炎が恐ろしいということを把握しているのだったら、もっともっと早くに原因がどこにあるのか、なぜ国のほうに伝わらなかったのか、そこの問題はどこにあるのか、早く調べていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○永井座長 いかがでしょうか。
そうしましたら、事務局と今後の3月以降のことも含めて、私のほうで相談したいと思いますので、よろしく御理解ください。
 それでは、事務局から連絡事項をお願いいたします。
○野村B型肝炎訴訟対策室長補佐 次回の日程につきましては、2月22日の金曜日、午後2時からを予定しております。場所は未定でございますので、追って御連絡をさせていただきたいと思います。
 本日も長時間にわたり、どうもありがとうございました。
○永井座長 それでは、これで終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)

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