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2013年1月23日 第7回中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門部会議事録

○日時

平成25年1月23日(水)12:01〜12:58


○場所

於 厚生労働省講堂(低層棟2階)


○出席者

関原健夫部会長 印南一路部会長代理 西村万里子委員 森田朗委員
小林剛委員 白川修二委員 花井十伍委員 
石山惠司委員 伊藤文郎委員 
鈴木邦彦委員 安達秀樹委員 嘉山孝正委員 
堀憲郎委員 三浦洋嗣委員
禰宜寛治専門委員 昌子久仁子専門委員 田村誠専門委員  加茂谷佳明専門委員
池田俊也参考人 福田敬参考人 田倉智之参考人
<事務局>
木倉保険局長 神田審議官 宇都宮医療課長 井上医療課企画官
竹林保険医療企画調査室長 近澤薬剤管理官 田口歯科医療管理官 他

○議題

○ 費用の範囲や取り扱いについて(生産性損失等についての具体例)
○ データの取り扱いについて

○議事

○関原部会長
 それでは、皆さんおそろいになりましたので、ただいまより、第7回「中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門部会」を開催いたします。
 まず、委員の出席状況について御報告いたします。先ほど総会にはお出でになっていましたが、所用で万代委員、田中委員が御欠席です。
 それでは、議題に入ります前に、きょうの検討の進め方について確認をしたいと思います。事務局より資料が提出されておりますので、事務局より御説明をお願いします。
○井上医療課企画官
 医療課企画官です。
 資料費−1に基づきまして、本日の検討の進め方について御報告をいたします。
 まずは1点目として、前回の議論の中で費用の範囲や取り扱いについて検討を行ったところ、指摘がございました。ここに書いてございます費用の取り扱いについて、特に生産性損失の取り扱いがわかるように具体的な事例を示してはどうかという指摘がございましたので、この点に関しまして、まず1点目の議題としたいと思います。
 次に、費−1の資料の裏側2ページ目でございます。本来の議論ですが、平成24年度9月27日の本部会におきまして、当面の検討事項とされた内容が点線で囲んだ部分でございます。上から順次議論をしてまいりまして、本日は下線を引いてあるこのデータの取り扱いという部分でございます。これにつきましても本日の議題とさせていただきたいと考えております。
 以上でございます。
○関原部会長
 どうもありがとうございました。
 特に今の御説明について、御意見等はございませんか。
 それでは、議題に入ることにいたします。
まず「費用の範囲や取り扱いについて」を議題といたします。福田参考人に具体的な例を示して、お話ししていただきたいと思っております。
福田先生、提出資料について御説明をお願いいたします。
○福田参考人
 福田でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、費−2の資料に基づきまして、費用の範囲や取り扱いについてお話をさせていただきます。
本日の内容ですけれども、1枚目のスライドです。前回のことを少しお話しさせていただいた上で、特に御指摘がありました生産性損失を含める方法について、具体的な事例を含めて御紹介させていただきたいと思います。
 次のページにまいります。まず、前回、費用の範囲ということでお話をさせていただいた点ですけれども、3枚目のスライドにありますとおり、費用効果分析を行う際には、この左側になりますが、医療技術の費用と効果を別々に測定するということで、前回、費用の範囲や取り扱いについての議論を御紹介させていただきました。
具体的な費用の内容ですけれども、4枚目のスライドになります。ここに費用の種類として主なもの、これは前回と同じ図ですが、医療機関で支払われる医療費、保険者や患者から払われる保険からの負担分、あるいは自己負担分を通常、医療費という言い方をしております。
これに対して、患者さんの下にありますような、介護に関連する費用とか、左側にあります、本人が仕事や家事ができないことになる損失、本人の生産性損失と言わせていただいておりますが、家族等による介護やケアの費用、さらにその他、公的な医療保険制度では支出がされないような支出がございます。
これを言葉で説明したのが、5枚目のスライドになります。
スライドの6枚目、この中で前回話題になりました生産性損失です。生産性損失と一般に申しますのは、病気によって仕事や家事ができない、あるいは減少するということは、社会全体で見れば損失になるという考え方であります。かといって、これは実際に金銭のやり取りが生じるわけではありませんので、医療費と直接関連するというものではございません。医療の立場から見ると、費用に含めないことが基本とされ、計算をされていない場合が多いと理解をしています。
その推計方法ですけれども、後で具体例を御紹介したいと思いますが、一般には賃金を用いて推計することがされております。
 7枚目のスライドにまいります。この生産性損失の諸外国での取り扱いです。諸外国では経済評価の標準的な手法を示すガイドラインが作成されている国がございますが、その中でも取り扱いは分かれており、これを含める国、含めない国がございます。ただし、含めるとしている国でも、生産性損失を含めない費用も同時に提出させるということが一般的に行われております。
もう一つ、推計の留意点としては、生産性損失はどこまで含めるかという点でのばらつき、あるいはそれをどうやって推計するかという方法による差が大きいという状況であります。これについては、後で具体例を御紹介させていただきます。
8枚目のスライドにまいります。これも前回御紹介したものですが、諸外国のガイドラインでどう取り扱われているかということで、生産性損失を含めないという形での取り上げ方をしている国は、イギリス、フランス等、幾つかの国でございます。
一方で、生産性損失を含めるとガイドライン上されている国は、スウェーデン、ノルウェー等、これも複数の国がございます。
ただ、その下にも書かせていただきましたが、生産性損失を分析に含めるという国においても、これを含めない分析結果を同時に提出させているというような状況でございます。
では、具体的に、その次のスライドから事例を紹介させていただこうと思います。
10枚目のスライドにまいります。まず、生産性損失を含めない分析を実施している国ということで、これはイギリスの例でございます。ここでは具体的な例ということで、実際の技術の名称を入れさせていただきましたが、アバタセプトと言われる関節リウマチ治療薬についてでございます。
これはTAとありますが、technology appraisalというもので、2011年8月にその評価結果が出ています。これはイギリスのNICEという機関での評価になりますので、原則としては生産性損失を含まないという立場をとっております。ただ、これに対して、この評価結果の書類を拝見しますと、このデータをもともと提出した製薬企業からは生産性損失を含んだ費用が提出をされているというような記載がございます。そこで実際に提出された資料をレビューする委員会においては、NICEでは基本的にそれを含まないで計算することになっているということで、除外をする形の再計算がされて、最終的な評価が行われているという状況であります。これは含まないという例ですので、仮に含んでいたとしても、このような扱いがされるということでございます。
次に、生産性損失を含む分析を実施している諸外国の例を御紹介したいと思います。
13ページに総論として書かせていただきました。先ほども申し上げたとおり、生産性損失を含めた分析を行おうとしている国でも、実際には分析を含めていないことが多くございます。さらに含める範囲や推計方法によっては、値が異なるということとか、場合によっては誰がデータを準備するか、提出するかということになって、そちらに有利になるような分析が行われる可能性も否定できないという点、さらに生産性損失が医療費の部分と比べて非常に大きい割合を占める場合に、医療費の使い方としての効率性という観点での評価が困難になるという点が指摘できると思います。
では、具体的な事例として、オランダの例を14枚目のスライドから御紹介をしたいと思います。ここでオランダを取り上げている理由といたしましては、評価結果が比較的詳細に報告されているということで、内容がわかるという意味でございます。
15枚目のスライドにまいります。289の薬剤の評価結果が公表されて、参照できるようになっております。この中の31薬剤の評価に関して、生産性損失等の単語が含まれています。これは検索した結果、そのようになったということでございます。ただ、これに全て計算が含まれているかというとそうではなくて、31薬剤の評価のうち13薬剤ということで、全体の289薬剤の4.5%という数字になりますが、評価で生産性損失を含めた分析を行っているということでございます。
18薬剤については生産性損失という記載はあるのですが、これは含めていないという旨の記載があるということで、その理由として以下のようなものが書かれています。例えば対象患者が高齢者であって、そもそも生産性損失の計算に適さないという判断をしているものとか、仕事に復帰できる可能性が小さいとか、経済評価の場合には比較対照を設定しますので、両群で差がないというケースということであります。
その中でも計算に含めている例として、16枚目のスライドでございます。これは抗血小板薬の1つの例であります。これは生産性損失として、心筋梗塞等の心血管イベントに伴って仕事ができなくなるという損失を含めているということです。具体的には、ティカグレロールという薬ですが、比較対照であるアビラテロンと比べると、医療費だけを比較するとティカグレロールのほうが多くかかるということですが、生産性損失の部分については少し減少するということで、こういったような計算をされているということであります。ただ、あくまでもこれは費用計算だけですので、これに効果も勘案して判断をするのが一般的でございます。
もう一つの例として、これもオランダですけれども、下の17枚目です。アリトレチノイン、カポジ肉腫治療薬でございます。これは先ほどの上の例のように、生産性損失を含めると、比較対照との間の費用の増分が少なくなるので、一般にこの経済評価の結果を増分費用効果比という、かかる費用を追加的に得られる効果で割った指標を使いますけれども、この値が小さくあらわれるということになります。このケースの場合には、医療費のみで計算をすると、これはたまたまアウトカム、結果をQALYという単位であらわれしていますけれども、1QALY増加に対して2万4,000ユーロ程度だったものが、生産性損失を含めると1万9,000ユーロ程度になっています。
この2つの値の違いですが、18枚目にありますとおり、この増分費用効果比に関しては、生産性損失まで含めるか、含めないかで2つの値が出てくることになります。この図は横軸に効果をとっており、縦軸に費用をとっております。医療費だけで計算をしたと仮定した場合には、効果の尺度は同じものを使いますので、効果指標は同じです。但し、費用のほうが医療費のみで計算した場合には、C1からD1、C1が比較対照技術で、D1が評価をしている技術ということですけれども、医療費のみを見た場合にはこうなります。
これが仮に生産性損失部分を加えて、先ほどの例のように評価対象技術、右側の技術のほうが生産性損失の部分が少ないとすると、その増分が小さくなるということで、点線で書いておりますD1とD2の2つが異なる値として出てくるということでございます。
実際に計算をすると、下のような式で計算ができるということになりまして、18枚目にある図のケースでは、生産性損失を含んだほうが値としては小さくなるというような結果になります。このあたりを総合的に勘案して判断をしていくことがされているということでございます。
次に、生産性損失を含む事例として、スウェーデンの例を御紹介させていただこうと思います。スウェーデンの場合には、必ずしも詳細が全て公表されているということではございませんので、具体的に幾つがそれに該当しているかを数えるのは非常に困難ですけれども、21ページにありますとおり、実際に計算をされている事例を見ていくと、推計方法とか生産性損失を含める範囲によって、損失が費用に占める割合が大きくことなっているという状況でございました。
具体的な例として、22枚目に移らせていただきます。これは多発性硬化症治療薬でありますフィングリモドを比較対照薬と比べたものです。投与の経路として、この評価対象の薬剤は経口投与となっていますが、比較対照である薬剤は静脈注射するということで、医療機関に通院することが必要になるということです。生産性損失は幾つかの要素がありますけれども、この評価においては静注投与を受けるための通院をしなくてはいけない。それによって仕事ができなくなる損失のみを計算しているというやり方であります。そもそもその医療を受けるために仕事ができない部分だけを考慮しているということです。
ですので、下のグラフを見ていただきますと、生産性損失の部分が減少しているということなのですが、そもそも比較対象薬でかかっているものも、それほど大きくはなっていない。医療費の割合で見ると、ごくわずかになっているということであります。これは通院にかかるところだけを計算したためと考えられると思います。
もう一つが下の例で、これは抗うつ薬とありますけれども、こちらの場合には、生産性損失として、治療及び病状が悪化することによって仕事ができなくなるという損失を含んで考えているというものであります。これによって結果的には、全体の費用の大きな部分で約85%になりますが、生産性損失が占めることになっています。
結果として下のグラフを見ていただきますと、医療費だけで比べた場合には、その差分は大体16スウェーデンクローナくらいという部分ですけれども、上の生産性損失の部分の差は大体150クローナくらいありますので、両者の差を見るというときに、医療費部分の差は非常に小さなものですので、解釈するときに課題になると考えられます。
24枚目、次に生産性損失を推計する方法による影響でございます。
25枚目のスライドで、その1つの例としては、どこまでを考慮するか、その範囲による差の例を御紹介したいと思います。これまでお話をさせていただいたとおり、生産性損失は、休業による損失を評価する場合が多いです。仕事にそもそも行けなくなって、休まなければいけなくなるというところであります。ただ、疾患によって、例としては、うつ病とか関節リウマチ等を挙げさせていただきましたが、仮に仕事に行ったとしても、場合によっては能率が上がらない、生産性が低下してしまうという部分もあり得るということです。これはしばしばプレゼンティイズムという言われ方をしています。
もちろん休業して仕事に行けないことだけをカウントするか、行っているけれども能率が上がらないところまで考えるかによって損失は変わります。一般的には、その能率の低下まで考慮すれば、生産性損失としては大きく見積もられ、計算されるということになります。
実際に推計方法によって比較をしている研究がございまして、26枚目にまいります。これは関節リウマチ、変形性関節炎の患者さんの例でございます。仕事能率が低下する部分、休業については日数で計算をされていますけれども、仕事の能率が低下する部分を4種類の異なる手法で評価をしています。
具体的には、患者さんに対してどのくらい仕事ができなくなっているかを自己申告する形で聞いております。実際に自分ができなかった分をほかの人にかわってやっていただいた分を聞くようなやり方とか、ほかに勤務している方と比べて、どの程度できなくなっているかと自分で感じているか、あるいは自分の仕事ができている程度を10段階で評価するという形で、評価する等の手法を使っています。
結果として、その分に相当するものが、これはカナダドルで計算をされていますけれども、結果としては非常にばらつきが多くなっているということであります。したがって、ここを含めるか、含めないかでも変わりますし、どういう方法で算出をするか、調査をするかということによって、大きくばらつくということでございます。
もう一つの例、27枚目のスライドになります。これは休業による損失の推計のところですけれども、これも評価の方法が幾つかございます。多くの国では、一般的に生産性損失といった場合には、1日当たりの賃金に、その病気の状態であるために仕事ができなくなる日数をかけ算して、生産性損失として推計するということがされております。
ただ、オランダでは少し違うやり方をとっておりまして、1日の賃金に代替する人員が確保するまでの日数を掛けるという考え方をしております。つまり、仕事が仮にできなくなったとしても、数日間のうちにほかの方、例えば新規採用をするとか、そういうことで補えるのであれば、その部分からは生産性損失は発生しないのではないかというような考え方をとっているということです。この考え方については、専門家の間でも議論があるところで、どちらであるべきかは、両方の意見があるのが現状でございます。当然でありますけれども、どちらを使って推計するかによって、値は大きく変わってくるということでございます。
最後にまとめの28枚目のスライドです。生産性損失を含めた分析を行うとされている国でも、実際には分析に用いられているのは一部のケースだと言えると思います。含めない理由も幾つか提示をされています。
生産性損失は医療費と比べて非常に大きい割合を占める場合、比較対照との差分をとるときにも費用のほとんどをそこが占めてしまうということになって、医療費の使い方の効率性という観点の評価からは、配慮が必要と思われます。
生産性損失にどのような費用をどの程度含めるかは、いろいろなばらつきがありまして、その方法についてもデータの提出者に依存する部分がございます。
最後に、その含める範囲や方法によって値が異なるのは、実態としてありますので、もしこういうものを考慮するのであれば、どういうやり方でどこまで含めるかを決めておかないと、同じような評価は難しいだろうと考えられます。
以上でございます。
○関原部会長
 どうもありがとうございました。
 きょうは前回と同様に、結論について何か合意を得ようということが目的ではございませんので、ただいまの参考人の説明に対しまして、疑問や質問等がございましたら、活発に行っていただきたいと思います。
石山委員、どうぞ。
○石山委員
 何点か教えてください。スライドの16、薬の中身はわからないですけれども、左右で生産性損失に若干差があります。この差がある中身の要因はどういうことですか。これが1点です。
 第2点は、スライドの23、生産性損失を含んだ費用のケースです。ここで病状悪化と書いてあります。どちらをどう含んでいるのかは知らないですけれども、治療及び病状悪化で仕事等ができなくなるときの損失ということで、病状が悪化するのだったら、こんな治療をしてはいけないのではないかということを単純に考えてしまうのですが、これはどういう意味があるのですか。
 その2点です。
○関原部会長
 それでは、先生、お願いします。
○福田参考人
 御質問をありがとうございます。
 まず、16枚目のほうです。生産性損失の差が生じるものに関しましては、心血管イベントの発生状況、あるいはそれに伴う治療にかかる時間等によって仕事ができなくなる日数が変わるというのが内容となっています。
 もう一つ、23枚目のスライドです。これは病状悪化というのは、治療によって病状が悪化するという意味ではなく、一般に疾患の進行の状況として状態が悪くなるという意味で、治療に伴って病状が悪化するという意味ではございません。
○関原部会長
 石山委員、どうぞ。
○石山委員
 それであったら、病状悪化などを加味する意味はあるのですか。
○関原部会長
 福田先生、どうぞ。
○福田参考人
 病状悪化といいますのは、治療を行ったとしても必ず全員が治癒するということではありませんので、仮にこれが残念ながら有効でなかったという患者さんがいた場合には、自然経過として悪化していくことが考えられると思います。それは治療と関連すると思います。
「治療及び病状悪化」と書いてありますが、その治療と言いますのは、上の例で御紹介したような、治療にかかる時間に伴う生産性損失という意味でありまして、病状悪化はそうではなく、治療がうまくいかないとか、自然経過として悪化していくという場合を想定して計算をされているようであります。
○関原部会長
 池田先生、コメントはございますか。
○池田参考人
 今の説明で結構です。
○関原部会長
 石山委員、よろしゅうございますか。
○石山委員
 はい。
○関原部会長
 それでは、花井委員、どうぞ。
○花井委員
 1つは、スライド27にも関連すると思いますけれども、これは基本的に生産性の損失というのは誰にとっての損失かというと、社会にとっての損失という理解でよろしいですか。そういうことだから、例えばオランダにおいては、代替の人がいれば、それで社会の損失はなくなるという考え方だという理解ですか。社会にとっての損失という考え方自体は、他の国と違いがないのかということが1つ。
 もう一つは、生産性損失というものがコストに乗っかっている。そうすると効果のほうでQOLが入っていくクオリーになっているとすれば、QOLが当然上がれば、生産性損失は下がるということでダブルカウントになっている。これは横軸が伸びれば、縦軸は下がるし、逆にQOLが下がれば、縦軸は伸びる。これが評価としてはダブルカウントになるのではないかと思いますけれども、この2つについて教えていただけますか。
○関原部会長
 福田先生、お願いします。
○福田参考人
 まず、27枚目のスライドに関しましてですけれども、生産性損失を含めて考えるというのは、かなり広い視点を持って計算しているということで、一般には社会の視点という場合が多いと思います。このオランダで考えている考え方でも、一定の失業率等がある状況下で考えると、その代替ができるのであれば、社会的には損失が発生しないという考え方をとっています。
 もう一つの点は御指摘のとおりで、効果指標を何に使うかということになりますけれども、例えば生存期間を効果指標としてとったときには、生存できることの価値は効果で評価されていますので、早く死亡することによる生産性の損失は入れると二重カウントになるという指摘もございます。さらに、もし健康状態としてクオリティー・オブ・ライフのようなものを加味するのであれば、そこの部分で仕事ができなくなっている部分の損失もやはり同じように評価されているので、二重計上になるのではないかという指摘がございます。御指摘のとおりです。
○関原部会長
 よろしいですか。要するに花井委員のおっしゃっていることは、そういうことですと。
○花井委員
 ある種そのオランダの話は、今、言ったとおり、失業者がいるのだったら、そこでかえられるのだから、同じように投入すれば社会の制度は全部変わらないということを加味しているということで、合理性があるという理解でよろしいですね。あとは二重カウントの議論があるということですね。
○関原部会長
 田村委員、どうぞ。
○田村専門委員
 福田先生に1つ質問させてください。以前にもこの部会で私から同様の趣旨の発言をさせていただきましたけれども、医療技術の効果や価値は、なるべく幅広く包括的にとらえるべきだと考えております。その意味では、医療技術によって働けるようになるというのは、医療技術のもたらす非常に重要な価値、効果の1つだと思います。
逆に言いますと、働けるようになるということを費用対効果評価から完全に外すことになると、医療の価値を過小評価するという危惧もあります。今の話でありましたように、ダブルカウントで、クオリーで働けるというものもある程度は補足できているのだと思いますけれども、完全にリンクしているものではないのではないかと考えます。
そこで福田先生に伺いたいのですが、ここで議論されているように、もし生産性損失を費用に含めることが技術的になかなか難しいとした場合、費用対効果評価の効果指標の1つとして就業率がどのくらい改善したとか、休業日数がどのくらい減ったとか、そのように就業関連の指標を効果としてとらえることはできませんでしょうかという質問です。
○関原部会長
 効果のほうを重点に置かれていますけれども、福田先生、いかがでございますか。
○福田参考人
 御指摘をありがとうございます。今の御指摘のとおり、確かに医療技術の相対的な効果を評価すべきだとは思います。そのときに生産性損失で見るか、あるいは効果の指標で見るかというのは、確かに二重計上のことを考えると、どちらかを優先したほうがいいと考えています。
一般には、恐らく効果のほうでまず見られるものは、健康状態の改善としての効果はそこで見ていく。仕事ができるという状況も含めて、そこで見ていくのではないかと思います。何らかの理由で、そこでうまく評価できていないという要素があるとすれば、生産性の損失を金銭で計算したものも加味するということはあり得るかもしれませんが、原則としては効果を見ていくということではないかと思います。
 効果を見ていくときに、もう一つ御指摘がありました、例えば就業日数がどうなるか、そういうもので見るのは、効果の1つの手法としてはあり得ると思います。ただ、効果の指標をそれだけで見るというのは、やはり問題になってくると思いますので、効果の議論の際に少しありましたけれども、全体的な治療の影響を評価できるような評価手法を用いて、そこになるべく反映させるべきではないかと思います。
○関原部会長
 田村委員、どうぞ。
○田村専門委員
 ありがとうございました。きょうは効果の話でないので、効果の話になって大変恐縮ですが、もし費用でとらえることが難しいのであれば、今、福田先生がおっしゃったように、就業日数とか就業率とか、そういうものを効果としてとらえて、もちろん、それだけを費用効果分析でとらえるのではなくて、クオリーもあってもいいかもしれません。
 それから、以前、嘉山先生がおっしゃったように、メディカルなハードな臨床データを効果に持ってくるものもあわせて列挙するというような形のほうが、それぞれの医療技術に適した価値をとらえる適切な費用対効果分析になるのではないかと考えます。
以上です。
○関原部会長
 それは御意見として承ることにいたします。
 嘉山先生、どうぞ。
○嘉山委員
 今の意見と全く同じ意見です。事務局に確認ですが、きょうの一番最初に説明のありました費−1の裏の議論の進め方で、データの取り扱いのところに線が引いてありますが、評価手法の「2)効果指標の取り扱い」は、この前は主観的なポイントだけを挙げられたのですが、今のような点を入れないとだめだということは、今後また話があるということでよろしいですね。
○関原部会長
 企画官、お願いします。
○井上医療課企画官
 医療課企画官でございます。
 これまで各論点について、この会の中で完全なコンセンサスを得るという議論の進め方をしておりません。ですから、まだ議論に関してコンセンサスが得られにくいと思われるような、今の先生がおっしゃったような焦点については、引き続きどう議論するのか、会長とも相談の上、今後進めさせていただきたいと考えて思います。
○嘉山委員
 この後、「データの取り扱い」についてというところで、また効果の議論が出てきますね。
○関原部会長
 それでは、ほかにございますか。
 時間の関係でありますので、今日のメインはこのデータのほうでございますので、「データの取り扱いについて」に議題を進めさせていただきます。きょうは繰り返しになりますが、これも結論について何か合意を得ようという目的ではございませんので、具体的な論点を提示いたしまして、検討しようということにしております。
 福田参考人及び事務局より資料が提出されておりますので、まず、福田参考人より御説明をお願いいたします。
○福田参考人
 では、費−3の資料に従って御説明をさせていただきたいと思います。データの取り扱いに関してであります。
 スライドの2枚目、先ほどと同じですけれども、費用効果分析では、費用と効果の両方のデータを扱うことになります。そこで、それぞれについてデータを取り扱う際の考え方を整理しておく必要があるのではないかと思われます。
 3枚目のスライド「費用対効果の評価の特性」と書きましたけれども、データ統合型という言い方をさせていただきました。一般には、さまざまなデータソースから、それを集約する形で計算をしていく。評価をしていくという分析が行われております。ただ、ベースとなりますのは当然でありますが、費用のデータと効果のデータの2つになりますので、まずは効果のデータの扱いについて、4枚目のスライドから御説明をさせていただきます。
 これは一般に、費用対効果の評価を行っているという方法です。
 5枚目にありますとおり、効果データに関しては、国内外のさまざまな臨床に伴う治療成績等のデータが存在することがしばしばございます。複数そういうものがある場合に、どのデータを使うかということについては検討が必要です。これについては、特にシステマティックレビューなど、エビデンスが高いものを優先的に公表するというのが一般的にとられていると思います。
 下に参考として、エビデンスレベルと研究のデザインということで書かせていただきました。
 次のページ、これを具体的に書いたものです。一般に臨床研究あるいは疫学研究と呼ばれていますけれども、この中には大きく分けて、介入研究と呼ばれる実験的にある治療法を行う群と行わない群、あるいは2つの治療法を比較するというやり方と、観察研究といって現場で実際に行われていることを観察していくという研究スタイルがございます。
 介入研究の中にも、特にあるA治療法とB治療法を無作為に割り付けるという形をとるランダム化比較試験と、そうではない形での非ランダム化比較試験がございます。さらに観察研究の中でも時間軸で見たときに、前向きに要因から結果を見ているスタイルを一般的にとるコホート研究と、後ろ向きに見ていくケース・コントロール研究がございます。一般的には、左側に行くほどエビデンスレベルが高いと解釈がされております。
 具体的な種類について御説明をさせていただきますが、7枚目のスライドにあります。まず、観察研究のほうから御説明をさせていただきます。
観察研究の1つがコホート研究と通常言われているもので、時間軸から見ると前向きに技術の治療効果を比較するというものであります。具体的には下の図にあるとおり、技術Aを行った群と技術Bを行った群。ただし、これは無作為に割り当てることはされていないもので、実際の臨床の場等でAが実施された場合とBが実施された場合という意味でございます。この治療について、例えば10年後に生存率を比較するとか、その治療成績を比較してみようというのがコホート研究であります。
これに対して8枚目にありますケース・コントロール研究といいますのは、時間軸で言うと、後ろ向きに評価をしていくという手法であります。イベントあるいは治療効果があったかどうかに基づいて2つの群に分けて、さかのぼって、どういう治療がされていたのかということを見ていくような方法であります。
これに対して9枚目にあります、ランダム化比較試験です。これは対象となる被験者を無作為に群分けをする介入研究でありまして、同じような特性を持つ対象者に対して、Aの技術を使うか、Bの技術を使うかを無作為に、例えばくじ引きをするような方法で割り付けて、治療成績を見るということであります。この特徴としては、被験者の背景因子が均等になることが期待されるので、一般的には観察研究よりもエビデンスレベルが高いとされてございます。
実際の例として御紹介したいのですけれども、10枚目のスライドになります。これは更年期障害の方に対してのホルモン補充療法と冠動脈疾患の発生についてでございます。一般的には、多くの場合は観察研究とランダム化比較試験の結果は一致する場合が多いと思います。
ただ、この事例の場合には注意が必要かもしれないと指摘されたものでありまして、これの場合には、まず観察研究の段階では、これは1990年代ですが、ホルモン補充療法によって冠動脈疾患の予防効果が示唆されるような知見が得られておりました。ただ、これに対して約1万5,000人を対象にしたランダム化比較試験が行われて、その結果から見ると、このホルモン補充療法を行っている群のほうが冠動脈疾患の発症が多かったというような結果が得られています。
11枚目のスライドにまいります。観察研究の場合には、この場合で言うとホルモン補充療法をするかしないかというのは、無作為に割り付けるということではなくて、たまたまされた人と、そういう治療法がされていない人がいたということで、それに伴って治療成績を見たというのが結果として提示をされているということです。
12枚目のスライドにもありますが、この中には一般的にはRCT、ランダム化比較試験のほうが観察研究よりも真実を反映する可能性が高いと考えられていて、そこは先ほども申し上げましたコホート研究の場合には、背景因子に偏りが生じる可能性があるためということであります。
例として考えられますのは、先ほどのホルモン補充療法の例であれば、そもそも収入や健康意識が高い等によって、やる人、やらない人が違っているかもしれないとうことが考えられます。そういうものが冠動脈疾患の発症リスクと関連しているのであれば、そもそも治療法そのものだけの影響ではなくて、ほかの要因が重なって、偶然こういう結果に見えることがあり得るということであります。
ランダム化比較試験はあくまでも実験的にやるものですので、観察研究のほうが実際の臨床を反映しているという部分もありますので、適切なデータを適切な場面で使うということが必要だと思います。
13枚目が、エビデンスレベルが一番高いとされている、システマティックレビューでございます。臨床研究の場合には、ランダム化比較試験等があったとしても、類似のテーマのものが複数存在する。複数の臨床試験あるいはランダム化比較試験が行われているという場合がございます。この場合に既存研究を用いて、一般にはこのデータを医療技術の治療成績をレビューするということをやります。ただ、この場合に網羅性がないと、たまたま目についた研究だけをとってくるということをやりますと、場合によっては、選んだ研究によって、結果が偏る可能性があります。
下の図でお示ししましたが、幾つも研究がある中で一部分の研究だけをとってくると、それが有効に見える場合があります。ただ、これに対して、一般にシステマティックレビューと言っていますのは、その研究を抽出する条件を厳密に決めた上で、網羅的に全ての研究を漏らさずに収集してレビューをするというアプローチをとるもので、こういうことをやることによって、漏れなく研究がとれるということになります。
効果データに関して留意すべき点としてまとめさせていただきました。一般には、エビデンスレベルが高いデータを優先するという原則がとられておりまして、これが重要であると思います。ただし、実際に評価する治療法等の対象集団あるいは診療実態の違い等についても、留意してデータを分析することが必要であると思います。特に海外データを利用するような場合には、我が国との使用実態の違い等には、留意が必要だと思います。
システマティックレビューはエビデンスレベルが一番高いとされていますが、場合によってはデータが少数しか存在しない場合があります。ランダム化比較試験は1つしかありませんというケースも当然考えられるということには、留意が必要です。
これに関しましても、諸外国の経済評価のガイドラインではどう扱っているかを15枚目にまとめさせていただきました。明示的に書いている国として挙げさせていただきましたが、いずれの国もシステマティックレビューに基づくとか、全てのランダム化比較試験を含めるというような形で、このようなものを基本的な効果データとしては使うことが推奨されております。
16枚目から、費用データの取り扱いについてまいります。
17枚目、費用データに関しましては、原則としては、診療行為であれば、1回の単価に回数をかけることによって得られるという形で計算をしております。単価としては、一般に用いられているのは、公定価格等実際に現場で使用されている価格を用いるのが一般的であります。ですので、日本国内で想定すると、診療報酬点数であるとか薬価基準で定められた価格を用いるのが多くされており、実際に日本で行われているこのような研究でも、点数表あるいは薬価基準が用いられているのが一般的であります。
それらの行為が何回行われているかということですけれども、これについてはガイドライン等で示された標準的な診療過程を設定して、それに従って治療を行ったときに、どういう点数計算になるか。あるいは実際の診療を分析したデータ等に基づいて計算をするということが多くなっています。ただ、いずれにしても、これは海外のやり方ではなくて、日本国内の診療実態を反映する、あるいは日本の単価を反映して計算することが必要だと思います。
最後、18枚目のスライドに、これは具体的なイメージでつくらせていただきましたけれども、インフルエンザ治療をすることを想定した場合に、単価と回数を分けて計算するといいますのは、このような意味であります。初診料から始まって、検査とか処方せんを発行して、調剤薬局で薬を入手してという経過をそれぞれ単価と回数で分けて、費用計算をしているということになります。これをやることによって、例えば診療報酬点数の年次が変わったりしたときにも、変更して計算がし直せるというメリットもあるということでございます。
以上です。
○関原部会長
 福田先生、どうもありがとうございました。
 引き続きまして、今の説明に基づきまして、事務局より論点を整理いただいておりますので、事務局より御説明をお願いいたします。企画官、どうぞ。
○井上医療課企画官
 医療課企画官です。
 ただいまの説明に基づきまして、費−4の資料で、データの取り扱いというテーマに関しましての論点を整理いたしました。
 効果データと費用データはそれぞれある中で、「1.効果データについて」は、取り扱い案としまして、1点目「幅広に関連する効果データの検索を行う等、網羅性を担保することとしてはどうか」。
2点目として「複数の効果データが存在する場合は、対象集団や診療実態の違い(例えば海外データの場合、医療技術の使用実態のわが国との違い等)等に留意しつつ、原則としてエビデンスレベルが高いデータを優先することとしてはどうか」という整理をいたしております。
次に「2.費用データについて」は、取り扱い案として、1点目「単価データについては、原則として、診療報酬点数表、薬価基準、得意保険医療材料価格基準等を用いることとしてはどうか」。
2点目として「回数データについては、わが国の診療実態を適切に反映していると考えられるデータを用いることとしてはどうか。(例:「ガイドライン等に示された標準的な診療過程」、「実際の診療を分析したデータ」)」を用いてはどうかと整理をいたしました。
以上でございます。
○関原部会長
 どうもありがとうございました。
 それでは、この結論を得るということではございませんので、ただいまの福田参考人や事務局の御説明につきまして、御意見、御質問がありましたら、どうぞお願いいたします。
○鈴木委員
 丁寧な御説明をありがとうございました。先ほどの生産性損失については入れないほうがすっきりするのではないかと思うのですけれども、入れるという判断をしたとしても、両方出すという考え方がよろしいかと思います。
 効果データについては、システマティックレビューの必要性を以前からずっと言わせていただいておりましたので、そういったものが取り上げられたということは、よかったと思っております。ただ、実際はやる、やらないというよりも、どこまできちんとやるかということが大事だと思いますので、その辺をしっかりしていただく必要があり、その辺を担保する仕組み、人材育成も含めた枠組みが必要であると思います。
 また、QALYという話も出てきましたが、それを使うか、使わないか、あるいは使うにしてもメインとして使うのか、参考として使うのか、まだその辺の議論は進んでおりませんが、例えばシステマティックレビューを行う際に、効果に関するデータがあっても、QOLではなくて罹患日数など、QALYに変換できないようなデータの場合、どのように扱ってていくのかということがあります。
 それと以前にも話をしたことがあるのですが、QZLYを使う場合の話ですけれども、各年齢や業態別にはどのように算出していくのかを教えていただければと思います。費用データについては、今お話をいただいたような形でよろしいかと思います。
 さらに、効果データについて、14ページで、例えば海外データなどを使う場合、対象集団や診療実態の違いについても留意して分析することが必要であるとありますが、その留意してというのは、具体的にはどのように処理していくことを意味するのか、その考え方について教えていただければと思います。
 以上です。
○関原部会長
 鈴木委員から幾つかの質問が出たかと思います。まず、福田先生にクオリーにかわる指標も含めて御説明をいただいて、その後に企画官にコメントをいただくということにします。
では、お願いします。
○福田参考人
 まず、効果の指標のとらえ方で御指摘をいただきましたが、罹患率であるとか、仮にクオリー等とは違うのではないかというような指標が出てきた場合にどうするかということですけれども、これは指標を1つだけに決めるのではなく、それらを勘案して決めていることになるのかなと。そうすべきではないかと思います。
 ただ、一方で先ほども申し上げましたが、総合的に見る指標も1つあるべきではないかと思います。例えば罹患率や再発率であっても、それによって健康状態が変わるところは。仮にクオリーを用いても反映をしていくことができますので、それも1つではないかと思います。そのときには、例えばクオリティー・オブ・ライフは病気別の測定をするのか、あるいは年齢別に測定をするのかは、その測定の研究が必要になっていくと思います。
 海外データに関しまして、これは留意するというイメージですけれども、私の書かせていただいた部分に関しては、例えば日本と諸外国では、ある診療をやるにしても、使い方が違う、医療のやり方が違う。例えば薬などであれば、投与量が違うとか、そういうこともあると思いますので、違いがあるかどうかは少なくともチェックをする必要があって、海外のデータを当てはめられるのかどうかを十分に吟味して適用すべきだという意味で、海外のデータがだめだと言っているつもりはございません。そういうのは十分吟味した上で、むしろエビデンスレベルの高いものを使うべきだという意見を持っております。
 以上です。
○関原部会長
 では、費−4にペーパーが出ておりますので、企画官のほうからコメントをいただけますか。
○井上医療課企画官
 私のほうからのコメントといたしましては、鈴木委員の御質問の中で、効果指標の取り扱い、クオリーをするのか、あるいはそのほかの罹患率、再発率、いろいろな指標があり得るのかという御質問がございました。
 この点に関しては、まだこれまでの議論の中で十分な整理がついていないところですので、引き続き、今後の議論のあり方を会長と御相談しながら、進めてまいりたいいと考えております。
 以上でございます。
○関原部会長
 嘉山先生、お願いします。
○嘉山委員
 基本的には、こういうことなのだと思うのですが、余りにもメタアナリシスを信用し過ぎているのではないかと思います。私は現場の医者なので、研究もしていますが、脳卒中のガイドラインが第3版の改訂が始まったところですが、14ページのエビデンスレベルが高いデータを優先するのは当然、科学的には原則です。ところが実際の多くの疾患で、メタアナリシスがきちんとやられている疾患はそんなにはないです。
 もう一つは、これから新しいものをやるという新しい分野ですね。これは全くありません。ですから、予防医学には全然これは合わなくなってしまいます。例えば脳卒中の中でも、まだ症状が出ていないけれども、MRIでも出血する可能性があるという徴候は今わかります。それに対して、どういうお薬が効くか効かないかというのは、ランダムマイズド・クリニカルトライアル、社会的にやったデータがなくて私は書くのを困ったのです。13ページにあるような個別の研究データの中から我々が、先ほど万代先生もおっしゃっていた、要するにメディカル・オートノミーでこういう治療法がいいだろうということ。それが実は科学です。缶詰工場のようには、医学はできていないです。
 実際にエピデンスベースのメタアナリシスをやられている分野は、大体2割〜3割くらいだと言われていますから、これだけでやってしまうと、あとの8割くらいは全然できないです。そういう意味で、予防医学、新しい分野、希少疾患ですね。少ないものはできない。
そこで福田先生のお考えをいただきたいのですが、14、15を比べますと、まず14の留意すべき点で、3番目のポツ「システマティックレビューを行っても、データが少数しか存在しない場合もある」とは書いてあるが、15では、ほとんどの海外はシステマティックレビューに基づいているので、13でシステマティックレビューのスキマーが出ていますが、こういうものを使うのは現実的ではないかと思いますから、その辺は事務局もお考えになっていただきたいと思います。メタアナリシスをやっているデータは本当にありませんから、事務局でも探すのが大変な薬も今までいっぱいあったと思います。現実には、方針はこれでいいのですが、やるときにはそういうことをお考えになっていただきたいと思います。
先ほど田村専門委員のほうからも出た効果のことです。やはり生産性損失があると同じように、生産性効果ももちろんあるわけで、きょうは薬のことがずっと述べられてきていますが、出血が減るとか入院期間が短くなるとか、そういうことも考慮しないとアドバンテージにならない。新しい発展が全然見込めなくなりますから、日本流のクオリーをつくってくれというのは、そういうことだったのです。海外のものは保険会社がこうやって計算して、いかに合理的に保険会社がインセンティブを得るかという制度が大部分です。我々は国民の目線でやっていますから、そういう意味では日本流のクオリーをつくっていただきたいと思います。
○関原部会長
 今のご意見は御要望であり、御意見でもありますので、これまでの福田先生のご説明は基本的には比較対象のある治療や薬剤でどのくらい費用増と効果があるかということを原則として議論をしましたので、今のご意見を含めて、まだ時間もありますので、今後検討していきたいと思います。それでよろしいですか。格別コメントはございますか。
 嘉山先生、どうぞ。
○嘉山委員
 その場合のメタアナリシスのデータを使う場合に、NNTという概念を御存じだと思いますが、そのNNTの概念、つまりNumber needed to treatですね。その概念をどうやって費用対効果の中の入れていくのか。我々は現場で毎日考えながらやっているわけです。
Aという薬とBという薬が差が出るのは、1,000人に使ってやっと1人だと。どちらの薬を使ったらいいだろうと。999人には効果は同じで、1,000人でやっと差が出るというのがあります。このNNTの概念を対費用効果の中にどうやって入れていくのかは、世界でこれをやれば、最初の費用対効果になりますので、日本がオピニオンを出すいいチャンスだと思いますから、先生方におやりになっていただきたいと思います。世界で多分お考えになっていないと思います。あれは大きな問題です。
現場で医者が薬のAとBを使うときに、ほとんど同じですけれども、製薬会社はNNTが大きかろうが、メタアナリシスで勝った勝ったということになるのですが、我々現場ではそんなに差がないのだったら、同じ薬を使うかなという場合もありますから、その概念をどうやって入れるかをお考えいただきたいと思います。
○関原部会長
 それでは、嘉山委員から御指摘のあったように、今までの例から見てもほとんど薬の話なので、メディカル・ディバイスの場合のイメージがちょっと違うかもわかりません。今後の議論の中でディバイスのことも含めて、議論をしていきたいと思います。
 ほかによろしいですか。思ったより早く終わりましたけれども、御質問もないようでございましたら、この議題についてはこのあたりにさせていただきます。きょういただいた御意見を踏まえまして、事務局も含めて相談して、次のステップに進めたいと思います。
 それでは、きょうの議題はこれで終了いたします。次回の日程等について、事務局からお願いいたします。
○井上医療課企画官
 次回の日程に関しては、現時点で未定でございます。決まり次第、御報告をいたします。
 以上でございます。
○関原部会長
 それでは、本日の費用対効果評価専門部会は、これにて閉会といたします。
どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第1係

代表: 03−5253−1111(内線3288)

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