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2013年2月6日 専門医の在り方に関する検討会(第16回)議事録

○日時

平成25年2月6日(水) 16:00~18:00


○場所

厚生労働省専用第22会議室(18階)
東京都千代田区霞が関1-2-2中央合同庁舎第5号館


○議題

報告書(素案) 等

○議事





第16回 専門医の在り方に関する検討会(議事録)




日 時:平成25年2月6日(水)16:00~
場 所:厚生労働省 専用第22会議室(18階)





○医師臨床研修推進室長 それでは、先生方がおそろいになられましたので、「専門医の在り方に関する検討会」を開催いたします。
 本日は、先生方には御多忙のところ御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。
 まず、本日、森山委員、松尾委員から、所用により御欠席との御連絡をいただいております。また、文部科学省医学教育課からは、村田課長にお越しいただいております。
 以降の議事運営につきましては、座長にお願いいたします。高久先生、よろしくお願いいたします。
○高久座長 それでは、議事を進めてまいりたいと思います。まず、資料の確認を事務局からよろしくお願いします。
○医師臨床研修推進室長 かしこまりました。お手元にお配りしている資料は、まず議事次第、3枚セットのものでございます。
 事務局提出資料1といたしまして、「前回(第15回)までの主なご意見」。
 事務局提出資料2といたしまして、横紙で、「新たな専門医の仕組みにおける広告について」、2枚セットでございます。
 事務局提出資料3といたしまして、「専門医の在り方に関する検討会報告書(素案)」でございます。
 その後ろに、「参考資料(案)」といたしまして、この報告書の素案の参考資料をおつけをしております。
 次が、横紙の1枚ものでございまして、事務局提出資料4として、「新たな専門医の仕組みに関する全体スケジュール(修正案)」でございます。
 その後ろ、これも縦長の1枚紙でございます。事務局提出資料5といたしまして、「専門医の在り方に関する検討会 今後のスケジュール(案)」でございます。
 最後に、参考資料といたしまして、「専門医の在り方に関する検討会 中間まとめ」の全文をお配りしております。
 また、以上の資料とは別に、小森委員、高杉委員から御提出のございました報告書の素案に対する日本医師会修正案、右肩に「日本医師会修正案」と枠で囲って記述しております資料を机上配付させていただいております。
 資料は以上でございます。
○高久座長 皆さん方のお手元に資料があると思います。それでは、議事に入りたいと思います。
 本日の議事は、前回までの主な御意見について、2番目が新たな専門医の仕組みにおける広告について、3番目が報告書(素案)であります。その他も入っておりますけれども、まず、議事の最初の前回(第15回)までの主な御意見について、事務局から説明をよろしくお願いします。資料の1です。
○医師臨床研修推進室長 かしこまりました。おっしゃるとおりでございます。
 事務局提出資料の1、前回までの主な御意見をごらんいただけますでしょうか。これまでどおり、前回いただいた主な御意見につきまして、アンダーラインを付して追加をさせていただいております。お時間の関係から、一部割愛させていただきながら御案内をいたします。
 まず、6ページの○でございます。「第三者機関の体制については、各領域ごとのボードにそれぞれ10人程度必要であり、それとは別に、専門医の全体像の議論、外部との連携や外部評価、広報、ITなどといった委員会や部署が必要であり、また、事務局にも最低10人程度は必要であると考えられる」。
 その2つ下、「第三者機関では、プログラム認定や各施設の評価・サイトビジットなどの業務を行うこととなる。そのための体制や費用を学会や医療界だけで賄えるのか、国の支援がなくてもいいのかについては検討の余地があるのではないか」。
 次の7ページ、上から4つ目の○、「基本領域よりも専門性の高いサブスペシャリティ領域については、基本的には、?その領域の患者数や専門医数等を踏まえ、日常的に診療現場で十分に確立し得る診療領域単位であること、?基本領域との関係が明確であること、➂専門医の認定や更新が、十分な活動実績や適切な研修体制の確保を要件としてなされること、などを暫定として設定することが適当である」。
 その4つ下でございます、「サブスペシャリティ領域について、この検討会では、医療制度の基盤となるようなものを検討しているので、『プロフェッショナル』を養成する視点から考えるべきである。細かな分野なども重要ではあるが、それは『スペシャリスト』として学会等がこの制度とは別に養成することを認めてもいいのではないか」。
 ページをおめくりいただきまして9ページ、上から5つ目の○でございます。「安易に複数の領域を取得できるようなレベルを設定すべきではないが、極めて優秀で熱心な人が複数を取得することは妨げないこととすべきではないか」。
 その下、「複数認定の是非について、あまり厳密に決めてしまうと、例えば、救急専門医を取っていない外科医が救急現場を担いにくくなることが考えられ、また、総合診療医については、時間の経過とともにその意義も変わってくる可能性もあるため、制度発足当初はあまり厳密には縛らない方がよいのではないか」。
 ページをおめくりいただきまして、10ページ、下から2つ目の○でございます。「従来の学会認定専門医から第三者機関認定の専門医への移行時期については、新しい仕組みのもとで養成された専門医が出てくる見込みの平成32年度より前から移行できるとすると、対外的な誤解を招くではないか」。
 その下、「新しい専門医を指導する、医師を養成する観点から考えると、移行基準を早期に決めて、その基準を踏まえた指導医としての資格を早期に付与し、指導していってもらうべきではないか」。
 次の○、「新しい専門医の仕組みをうまく機能させるためには、現在の学会の更新基準を高めて新しい専門医の理念に近づけるようにするなどのために、何年間かの移行準備期間を置くことも考えられるのでばないか」。
 その下、「移行する際には移行基準を設けることとなるが、その基準の中で、症例数等を厳格にみていくこととすれば、その結果、資格喪失者がでてくることも念頭に置くべきである」。
 ページをおめくりいただきまして、14ページの中ほどの○でございます。「総合診療医の養成数については、現在、少子高齢化が進んでおり、今後も年齢構造や疾病構造の変化が予想されるため、これらを踏まえつつ、継続的に議論していくことが重要ではないか」。
 次が16ページ、下から3つ目の○でございます。「総合診療医は、地域の診療所や3次の医療機関など、働く場所によって求められる内容が異なることにも留意が必要ではないか」。
 その下、「総合診療医の養成には、地域の開業医等が関わることが非常に重要である。米国でもプライマリ・ケア専門医の養成が始まった当初は、多くのGP(一般医)の医師が指導に当たっていた」。
 次が、18ページの一番上の○でございます。「へき地等の医師数の少ないところでの医療を経験することは、若い医師本人にとっても貴重な経験になるため、是非プログラムの中に盛り込むべきではないか」。
 追加部分は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○高久座長 それでは、このことにつきまして、どなたか御意見はおありでしょうか。大体今までに相反する意見も出ておりますが。どうぞ。
○桃井委員 私がきちっと見られていないのかもしれませんが、前回ではないのですが、前々回でしょうか、専門医になる、育成される側の立場から見る事も重要なので、インセンティブについても議論、検討する必要があるのではないかと意見を申し上げ、それに賛同するご意見も種々いただきました。それに関してはどこに記載がされているのでしょうか。
○医師臨床研修推進室長 済みません。すぐには見つからないものですから、確認次第、御案内いたします。
○高久座長 ほかにどなたか。わかりましたか。
○医師臨床研修推進室長 追加でよろしゅうございますか。一部書いてあるところもあるのですが、桃井委員がおっしゃったことが適切に反映されていないところもあるかと思いますので、また議事録等を確認いたしまして、また改めて記述をさせていただきます。
○高久座長 桃井委員、それでいいですか。
○桃井委員 はい。
○高久座長 それでは、議事の2の「新たな専門医の仕組みにおける広告について」、これも事務局から資料の2に従って説明をよろしくお願いします。
○医師臨床研修推進室長 かしこまりました。事務局提出資料の2、横紙をごらんいただけますでしょうか。「新たな専門医の仕組みにおける広告について」でございます。
 広告制度の現状につきましては、以前この検討会においてもその概要をお示しいたしましたけれども、今回改めて、現在の専門医認定機構の認定との関係を含めて整理をしてお示しするものでございます。
 現在、下のほうにありますように、日本専門医制評価・認定機構が認定している専門医の現況といたしましては、下のほうから?、?、?と上に上がってまいりますが、第?領域が基本領域として認定している専門医、その上、サブスペシャリティ領域として認定している専門医、その上、機構に加盟している学会の?・?以外の専門医、すなわち認定はされていない学会認定の専門医、こういう形になっております。
 これらのうち、アンダーラインを引いた部分が、制度上、広告可能な専門医資格となっております。括弧して書いてありますが、この中にあるもののほか、学会として機構に加盟していないところで、熱傷、気管支鏡、レーザー専門医がありまして、広告可能となっている専門医は全部で55資格ございます。
 この広告可能とする根拠につきましては、次のページ以降にお示ししております厚生労働省の告示がございます。次のページをごらんいただきますと、医療を受ける者による医療に関する適切な選択に資する観点ということを踏まえまして、以下に掲げます一~九項目までのいわゆる外形的な基準を満たす団体、すなわち学会が認定する専門医を広告可能といたしております。次のページに、その一覧表をお示ししております。
 以上のような現状を踏まえました上で、最初のページをお戻りいただきまして、論点といたしましては、上に書いてありますように、3項目ほど挙げられるのではないかと考えております。
 ?といたしまして、基本領域・サブスペシャリティ領域、すなわち下で言う?、?の部分、ここは第三者機関が今後基本的には新しい機関として認定されることが予想されます。検討会におきましても、これらは広告可能とすることが基本である旨の御意見をいただいているところでございます。
 それから、?でございます。同じ領域、?、?の領域でございますが、学会認定から第三者機関認定へ移行中の専門医の広告についてどう考えるかでございます。移行期間中の広告を可能とするのか否か。それから、括弧に書いてありますように、移行期間に具体的な時限を設定するのか。この問題は、広告制度というよりも、そもそもの専門医の移行措置の設定をどうするかという問題でもございます。この問題が1つございます。
 それから、?といたしまして、第?グループ、基本領域サブスペ以外のグループ?の学会が認定する専門医の広告についてどう考えるかという論点がございます。新しい仕組みの実施後は、広告不可とするのか、あるいは名称を含めまして何らかの区別を設けるのかといったような問題がございますので、そのあたりのことを御議論賜りたいと考えております。よろしくお願いいたします。
○高久座長 これはなかなか難しい問題でありますが、どなたか御意見はおありでしょうか。?、?の基本領域として認定している専門医や、サブスペシャリティ領域として認定している専門医については、余り御議論はないと思いますが、?の機構に加盟している学会の?・?以外の専門医についてということで、線を引いているところは広告可能な専門医資格。この中には入っていませんが、熱傷なども可能なのですね。特に、?の問題についてはどなたかお考えはあるでしょうか。どうぞ、池田委員。
○池田委員 専門医の広告についてですけれども、これは私が最初にプレゼンテーションしたときもお話ししたと思うんですけれども、基本的に平成14年に「広告可能な専門医資格に関する規定」というのが設けられたとき、広告の可否を決めるのには内容が一番大事なので、外形基準だけで広告の可否を言うのは問題があるのではないかということを、これまでも繰り返しお話をしてきたわけです。その観点からすると、専門医の質というものがきちっとある意味で保証されているところが広告可能だというような、非常にクリアな考え方にすることが私は妥当ではないかなと思っています。
 そういう観点から、中立的な第三者機関が認定したものに関しては、とりあえず広告は可能とする。まだ認定していないけれども、今後、質の問題も含めて認定されるようになった場合には、当然のことながらそれは広告を可とすると。しかし、質の問題とか、専門医全体の枠組みの問題からして、第三者機関から見てこういう専門医をつくることがいいのかどうかというようなことで議論がある場合には、すぐに広告をそのままオーケーというわけにはいかないのではないかなと私は思っています。
 実際の問題としてはサブスペシャリティの領域だと思うんですけれども、サブスペシャリティの領域は今17がきちっと認められているのですけれども、それ以外にもう既に基本領域、例えば内科、小児科とか、あるいは整形外科等々で、サブスペシャリティとして妥当だと認定されているようなところで既に広告の許可をとっているところもあるんですね。?のカテゴリーで言うと、例えば小児神経とか、生殖医療とか、周産期等は、これはもうサブスペシャリティとしていいのではないかということで、現在の機構ではコンセンサスが得られているということがございますので、そういうところは恐らくこれからは広告はそのまま続ける。
 それ以外のところは、今後どういうカテゴリーで第三者機関が認定するかによって、広告の可否を決めていくという形にせざるを得ないのではないかなと私自身は考えるのですけれども、いかがでしょうか。
○高久座長 要するに、今、先生の評価・認定機構が認定しているところは、恐らく第三者機関も認定するであろう、それ以外のものは第三者機関で質とかを検討して決めるということですね。
○池田委員 はい。
○高久座長 この点について、いかがでしょうか。どうぞ、門田委員。
○門田委員 広告ということで議題として挙がっていますけれども、その前に、今池田先生のお話を伺ってもそうですが、今回、学会認定ではなくて第三者機関の認定ということは、学会を超越した立場でつくっていくということが大前提にあると思うんですね。
 それで、この基本領域というのは、見ていただくとわかるように、ほぼダブりはないわけですね。ところが、?のところのサブスペシャリティを見ても、例えば、私は消化器関係ですから、消化器病がありがとう、肝臓があり、あるいは消化器外科があり、これは今までのところ、学会認定してきた学会さんがそれぞれ自分のところの専門医を育ててきた学会が母体となって出てきたものであって、せっかく第三者機関というのであれば、一たんその学会から離れて、消化器に関してはどうするのか、消化器病と肝臓というのが挙がっているけれども、これをどう考えるのかというディスカッションがあって、その次に広告云々ということになるのではないか。
 せっかく学会認定ではなくて、第三者機関認定という形になっているのだから、まず広告というディスカッションに入る前に、?のカテゴリーに入るものはそっくりこのままいってもいいのではないかというふうに安易に流すべきではないのではないかと思います。
○高久座長 藤本さん、どうぞ。
○藤本委員 患者がお医者さんを探す際に、広告はとても参考になるものですので、この中にあるような、例えば糖尿病に関連するもの、あるいはがんといった、これから患者さんがふえてくるものに関しては、何らかの形で情報がとれるような方法を考えていただきたいということが1つです。
○高久座長 患者さんの数が多いとか、そういうことですね。それもある程度考慮してもらいたいということですね。わかりました。どうぞ。
○山口委員 これは門田先生から御指摘があったように、まず第三者機関が認めるサブスペシャリティと何かという基本的な議論が一番必要ではないかと思うので、そういう意味では、先ほどの消化器病、肝臓と分かれているのは妥当かというような話も含めて、やはり一度議論しなければいけないと思います。
 基本的には、サブスペシャリティはある診療領域という考え方を基本とすべきだと思います。この広告のところにもありますように、「医療を受ける者による医療に関する適切な選択に資する」ということが明確に書かれていますので、患者さんのほうから見て何だかよくわからないというものまで認めるという話はないだろうと思います。
 そういう診療領域と、もう一つ?のところに書かれていますいろいろな専門医を拝見すると、特殊領域の専門医、あるいは特殊な能力をトレーニングで得たという専門医も多数含まれていますので、ある特殊領域のトレーニングを受けたということがあって、そのトレーニングのシステムがしっかりしているのであれば、第三者機関で認めるというのもひとつ考慮する必要があるだろうと思います。その辺が診療領域の専門医と、特殊能力を持った専門医というのが、かかる患者さんにとってわかりやすいような形でないといけないのではないか。
 そういう意味で、しっかりとしたトレーニングを受けた特殊能力というものもこの第三者機関で認めるかどうか、もう一度検討はする必要があるとは思いますけれども、やはりその種のものについても、それと分かる形で認めていいのではないかと思います。
 ただ、その場合にはそれとわかるような形になっていることが必要で、そのような特殊能力に対しては、例えば「専門医」以外の別の言葉がもしあれば、それに超したことはないと思うんですが、これまで出ているいろいろな言葉の中であるとすれば、「専門医」か「認定医」という言葉ぐらいしかないので、特殊能力について第三者機関が認めるときには、例えば「機構が認める認定医」というような名称で認めていく。そうすると、第三者機関が認めたものは広告をしてもよいということになった場合にも、「専門医」という形ではある診療領域を表して、特殊能力については「認定医」というような形で表す。そこの区別がつくような形で第三者機関が認めていけば、サブスペシャリティの中でのありようについて、診療を受ける側にもかなりわかる形で第三者機関が認めたスペシャリストを表現できるのではないか。
 そうすれば、患者さんの側も、専門医というのと認定医というのではこう違うということさえわかっていただければ、受診に際して非常にわかりやすい情報提供を受けることができると思いますけれども、どうでしょうか。
○高久座長 私も認定医も広告できるようにする解決方法はあると思います。先生のおっしゃったとおりです。
 それから、消化器病と消化器外科というと、恐らく患者さんはまず消化器病の先生のところに行くと思います。それから、その人が見て、消化器外科に行くか、肝臓のほうにも行くとか、あるいは膵臓のほうにと、適当なところに紹介をするという形をとるので、消化器病と消化器外科がオーバーラップするから一緒にする必要は必ずしもないのではないかと思うのですがどうですか。
○門田委員 消化器病のほうを申しますと、基本的には消化器病というのは内科系の消化器という感じなのですが、実際は違うんですね。消化器病の中の外科系の専門医というのが出てくるんですね。ですから、そのあたりを基本的な考え方を整理してから、具体的なディスカッションをしたほうがいいのではないでしょうか。
 それと、消化器病の中には肝臓も膵臓も入ります。ところが、肝臓はまた肝臓という臓器で出てきますので、こういう場合にどう考えるのかということを順番に決めたほうがいいのではないですかということです。
○池田委員 これまでもこの検討会で、確かに十分ではないと思うんですけれども、サブスペシャリティ領域をどういうふうに第三者機関で認定していくのか話しをしてきました。この表を見てもわかるように、たくさんの学会認定の専門医というのが実際にあるわけですけれども、これがどういうふうに整理されなければいけないかというのは、ある程度議論はされました。まだまだ十分だというわけではないと思うんですね。最終報告書の案のところにもその辺の議論が入っていますので、そこでもまた議論を煮詰めたらいいと思います。
 基本的には、私が申し上げたように、第三者機関が見て公平に、これは一つの診療領域で専門医としていいだろうというところは広告をする。それから、山口先生がおっしゃったように、特殊な技術認定とか、特殊な特定の診療領域というのがもしあるとすれば、それは何か別の形で認定するというような原則があればいいのではないか。詳細について一つ一つの、この学会、あるいはこの領域の専門医はどうするか、ここで議論するのはなかなか難しいと思うので、そういう議論は別にきちっとしたプロセスを踏んで、必ずどこかでやるというような仕組みを提案していけばいいのではないかなと私は思っています。
○高久座長 そうすると、門田先生の御意見では、?の領域についても第三者機関でもう一回見直すということですね。
○門田委員 ですから、まず最初にここに挙がっているものがありきではなくて、まずどういう考え方で整理するかということをしていただければ、ほかのものにもそれは応用できると思うので、よりわかりやすくなるのではないかと思います。
○高久座長 どうぞ。
○藤本委員 医療の流れをつくるという意味では、患者さんに出すべき情報と、医療者の間で持っているべき情報というのは、私は分けてもいいと思います。
 患者さんがダイレクトにここへ行こうと思う、選べる対象となるようなものについては、もちろん広告していただきたいですし、逆に患者さんが勘違いして行くことがないように、専門家の方から紹介していただいたほうがいいようなものについてはあえて広告をしないという方法もあるのではないかと私は思っております。
○医師臨床研修推進室長 座長、補足をさせていただいてよろしゅうございますか。今、先生方がおっしゃるとおり、そもそもサブスペシャリティ領域の在り方につきましては、前回検討会において、池田先生を初め、いろいろな考え方について御意見を賜りました。その内容については後ほど御案内をする最終報告書の素案の中でも一部敷衍をしております。
 その上で、今お配りをしていた「広告について」という資料の下のほうは、現状の機構のほうで認定をしている形のものをお書きをしております。ですから、この中から今後検討した上で、サブスペシャリティ、あるいは基本領域も含めて、どういう形で認定がされていくのかということはこの中では未知数のところがあります。
 ただ、それを踏まえて、大体予想されるところではこれぐらいではないかということも先生方の念頭にはあるんだと思うんですが、その上で、そうしますと、第三者機関が認定する専門医というのはこういうカテゴリーだというふうに決めたとしても、その場合でも一つは移行期間というのは残ります。すべてが一律に第三者機関に一瞬にして移行するということではないと思いますので、移行期間中の学会認定の専門医の広告をどうするのか。もう一つは、継続的に、ここで言う?になるのですが、第三者機関ではなくて学会として認定していく専門医を継続するという学会があった場合に、個別にどの学会ということではなくて、その場合に専門医としての広告を可能とするのか、名称を変えるなりして差別化を図るのか、そのあたりのことを御意見を賜りたいと思います。
○高久座長 そうですね。特に、最後のポイントについてはいかがでしょうか。どうぞ、福井先生。
○福井委員 前回、基本領域として認定している専門医のグループだけを「専門医」という言葉を使って、それ以外は認定がいいのではないかということを申し上げましたが、そのときに言いたかったことは、第三者機関が認定するものについては「専門医」という言葉を使って、学会が独自でやるものについては「認定医」という言葉で統一すれば、外部から見ても随分わかりやすくなるのではないかという意味で申し上げました。
 それを詰めていくプロセスは、山口先生、門田先生がおっしゃったとおり、第三者機関でしっかりとサブスペシャリティのところについて詰めていく必要があると思います。これから学会独自の新しいものがどんどん出てくると思いますので、それらについては「認定医」という言葉で統一してはどうかという案です。
○高久座長 学会が出してくるものは認定医として、第三者機関は審査しないという事ですが。
○福井委員 はい。第?のグループまで全部第三者機関が審査するのは、しばらくは無理ではないかと思います。
○池田委員 それは一つの考え方だと思うんですけれども、例えば技術認定に関して言うと心臓カテーテルであるとか、超音波であるとか、内視鏡であるとか、これらの専門医制度は実際に存在しています。それらの専門医制度も領域によって非常に千差万別というか、割に簡単に「専門医」という称号を与えるのと、非常に厳しくトレーニングをして、手技をきちっと認定しなければいけないということで厳しく認定しているところと、結構ばらつきがあるんですね。
 そういうばらつきをなくそうということで、もともとこの専門医制度の在り方が質の向上ということで始まったものですから、私自身の考えとしては、技術認定とか、特定診療領域の医師も、やはり何らかの標準的な指針があって、それを満たすものを認定していくという仕組みにしないと、学会に全部任せるということになると、また問題になるのではないかなと思います。大変かもしれないけれども、第三者機関はそれぐらいの覚悟でやらないといけないのではないかなと私自身は思っています。
○福井委員 決して全部を任せるということではなくて、あくまでも第三者機関がちゃんと考えた枠の中で、認定するものは「専門医」という言葉を使って、そうでない、そのプロセスを経ていないものについては「認定医」という言葉にしたらどうかという案です。
○高久座長 私はやはり第三者機関が何らかの形で関与しないと、第三者機関には患者さんの代表も当然入るわけですね。それが学会だけだと、患者さんの視点が入らない。だから、そこのところは認定を全部学会だけに任せるのではなくて、第三者機関を経たほうが私はいいのではないかなと思います。よろしいでしょうか。どうぞ。
○医師臨床研修推進室長 もう一つだけ補足させていただきます。国の制度でございますので、私どものほうの考え方も御案内をいたします。
 例えば、先生方がおっしゃるように、基本的には新しい第三者機関が認定した専門医については広告可能、その中で認定医ということもオプションとしてあるというお話ですが、その第三者機関が認定した専門医を広告可能とするだけで本当にいいのかという課題がございます。
 すなわち、第三者機関そのものは任意団体でございますので、ここが要はどういう根拠に基づいて広告が可能なのかという理屈を説明する際に、それは一定の質が確保されたものだという説明をする。そうすると、その一定の質とは何かという、その要素が問題となってきて、今の外形基準はどうかというお話がありますけれども、第三者機関の認定に比肩し得るような、例えば以下のような要件を満たしたものについては別途広告が可能とするような体裁にしないと、バランスが悪いのではないかという課題があるのではないかと思っております。そのあたりのこともちょっと御意見を伺えればと思っております。
○高久座長 よろしいですか。次の議題もたくさんありますが、どうぞ。
○池田委員 外形基準を全部取り外せということではなくて、私が言っているのは、外形基準で残すべきものは当然残さなければいけない。それと同時に内容を重視してくれということで申し上げたので、一定の基準をつくるということは当然だと私は思います。
○高久座長 よろしいでしょうか。この事は最終報告書の中でまた議論されることになると思いますので、報告書の素案について、事務局から説明をよろしくお願いします。
○医師臨床研修推進室長 かしこまりました。お配りしている事務局提出資料の3、「専門医の在り方に関する検討会 報告書(素案)」をごらんいただけますでしょうか。
 こちらは、基本的には8月におとりまとめをいただきました中間まとめの項目立て、あるいは記述を踏襲いたしまして、当時、括弧書きで引き続き議論が必要とされた項目につきまして御議論いただいた内容を踏まえまして、先ほど御案内いたしました主な御意見から抜粋ないし引用する形で追加・修正を加えているものでございます。
 特に、総合診療専門医につきましては、専門医機構でおまとめになりまして、前回検討会においても池田委員から御案内をいただきました検討会の意見集約を踏まえまして、大幅に加除、修正をしております。
 以上のように、加除や修正を加えた部分につきましては、アンダーラインを付しております。
 全体として一つの報告書として御確認いただくために、修正部分を含めまして一とおり御案内をしたいと思っております。内容が大部になりますので、全体を3つに区切りまして御議論いただければと考えております。具体的には目次をごらんいただきまして、区切りの1つ目が「はじめに」から3の(7)「学会認定専門医の移行措置について」、区切りの2つ目が4「総合診療専門医について」、区切りの3つ目が5の「地域医療の安定的確保について」以降でございます。
 なお、参考資料一式につきましても、改めて整理をしております。こちらを先に御案内いたしますと、その後ろにおつけをしている参考資料(案)をごらんいただけますでしょうか。こちらも基本的には中間まとめの参考資料をベースにいたしまして、今回最終報告書の参考資料として体裁を整えたものでございます。
 なお、この最終報告書(素案)の内容との関係で、若干追加した資料がございます。具体的には30ページ目の「今後の課題」ということで、第4回前沢参考人提出資料ということで、これは総合診療医の予想される人数についてです。それから、その次の31枚目、これは福井委員から御提出がありました「“総合医”を普及させるために」、これも人数との関係でございます。
 それから、ページが飛びますけれども、37枚目からが第15回で池田委員から御提出のありました「総合医(仮称)に関する検討会」の意見集約をこの中でそのまま追加をさせていただいております。これが40まででございます。
 それから、44ページでございます。こちらは13回鶴田参考人から提出がありました静岡県の専門医研修ネットワークプログラムの例でございます。このページと次の45ページまでが追加分でございます。
 以上、追加した資料がございますので、御案内いたします。
 それでは、先ほどの報告書の素案にお戻りいただきまして、1つ目の区切りを御説明いたします。

 はじめに
○わが国においてはこれまで、医師の専門性に係る評価・認定については、各領域の学会が自律的に独自の方針で専門医制度を設け、運用してきた。
○しかし、専門医制度を運用する学会が乱立して認定基準が統一されておらず、専門医として有すべき能力について医師と患者との間に捉え方のギャップがあるなど、現在の専門医制度は患者にとって分かりやすい仕組みになっていないと考えられる。
○また、医師の地域偏在・診療科偏在は近年の医療をめぐる重要な課題であり、専門医の在り方を検討する際にも、偏在の視点への配慮が欠かせない。
○今後、患者から信頼される医療を確立していくためには、専門医の質の一層の向上や医師の診療における適切な連携を進めるべきであり、現在の専門医制度を見直す必要がある。
○このため、改めて患者の視点に立った上で、医師の質の一層の向上及び医師の偏在是正を図ることを目的として、厚生労働省として本検討会を開催し、本検討会において専門医の在り方に関して幅広く検討を行うこととなった。
○本検討会は、平成23年10月に第1回の会合を開催し、以降、関係者からのヒアリング等を参考に活発な意見交換を重ね、平成24年8月には、それまでの議論を中間的にとりまとめたところであるが、その後、引き続き議論すべき項目等について議論を深め、今般、以下のとおり報告書を取りまとめたものである。
 1.検討にあたっての視点
○専門医の在り方を議論するにあたっては、専門医を「患者から信頼される標準的な医療を提供できる医師」として考えるべきである。
○新たな専門医の仕組みについて議論するにあたっては、これから臨床研修を修了し、専門医の資格を取得しようとする若い医師をどのように育てるかという視点で考えるべきである。
○新たな専門医の仕組みについては、専門医の質を高め、良質な医療が提供されることを目的として構築すべきである。そのような仕組みを通じて専門医を含めた医師の偏在が是正される効果が期待される。
 2.求められる専門医像について
○専門医とは、「神の手を持つ医師」や「スーパードクター」を意味するのではなく、例えば、「それぞれの診療領域における適切な教育を受けて十分な知識・経験を持ち、患者から信頼される標準的な医療を提供できる医師」と定義することが適当である。
○「専門医」に類似する名称として、学会等が認定する資格名である「認定医」や、医療法に基づき厚生労働大臣の標榜許可を受けた診療科についての「標榜医」等があげられる。「
○「専門医」と「認定医」との関係については、今後、新たな専門医の仕組みの構築の中で、関係学会等との連携のもと、患者にとって分かりやすい形で統一的に整理していく必要がある。
○「標榜医」の在り方については、麻酔科専門医の養成状況等を踏まえつつ、今後、検討を行うことが考えられる。
 3.専門医の質の一層の向上について
 (1)基本的な考え方
○専門医制度を持つ学会が乱立して、制度の統一性、専門医の質の担保に懸念を生じる専門医制度も出現するようになった結果、現在の学会主導の専門医制度は患者の受診行動に必ずしも有用な制度になっていないため、質が担保された専門医を中立的な立場で認定する新たな仕組みが必要である。
 (2)専門医の位置づけについて
○新たな専門医の仕組みは、プロフェッショナルオートノミーを基盤として、設計されるべきである。
○新たな専門医の仕組みにおいて、養成プログラムを充実させることにより、?医師の診療レベルが向上すること、?医師が修得した知識・技能・態度について認定を受けて開示できること、その結果、➂患者が医療機関を受診するにあたって医師の専門性を確認できること、などの意義がある。
○広告が可能な医師の専門性に関する資格名等については、新たな専門医の仕組みの構築に併せて見直すことが必要である。
○専門医の広告に関しては、サブスペシャリティ領域の範囲等も踏まえつつ、一定の質が確保された専門医に関する国民への情報提供の観点から、基本的に第三者機関が認定する専門医については広告を可能とする等、学会認定の資格名との間に何らかの区別を設けることが望ましい。
○わが国における専門医の領域は概ね診療科に応じて設定されているため、新たな仕組みの下での専門医について、標榜科と関連させることも将来的には考えるべきである。○専門医の仕組みの状況等を踏まえつつ、関係制度への位置づけを検討することが望まれる。
 (3)専門医に関する情報の在り方について
○専門医は単なる個人の能力認定という面だけではなく、その領域の診療を担う社会的責任という面もあることから、専門医のキャリアや認定基準、更新基準など専門医に関する情報を国民に分かりやすく示すなどの仕組みが必要である。
○専門医に関する情報は、医師が必要に応じて他の領域の専門医や高次医療機関の専門医を円滑に患者に紹介できるようなネットワークで活用できるようにすべきである。
○第三者機関において、専門医の質や分布等を把握するため、専門医及び専攻医に関する情報の収集・管理等を円滑に行うことが重要であり、そのためのデータベースの構築が必要である。
○データベースは、国や都道府県においても基礎資料として活用することも考えられるため、その構築に対する国の支援が必要である。
 (4)専門医の認定機関について
○専門医の認定は、学会から独立した中立的な第三者機関が学会との密接な連携の下で行うべきであり、そのような第三者機関を速やかに設立すべきである。
○中立的な第三者機関は、医療の質の保証を目的として、プロフェッショナルオートノミーに基づき医師養成の仕組みをコントロールすることを使命とし、医療を受ける国民の視点に立って専門医制度を運用すべきである。
○中立的な第三者機関は以下のとおり運営すべきである。
 ? 専門医の認定と養成プログラムの評価・認定の2つの機能を担うとともに、その際の専門医の認定基準や養成プログラムの基準の作成も第三者機関で統一的に行うこと。
 ? 専門医の認定部門と養成プログラムの評価・認定部門の下に、各領域の専門委員会を設け、それぞれの領域の学会等の協力を得て運営すること。
 ? 専門医の認定や基準の作成はプロフェッショナルオートノミーを基盤として行うとともに、情報公開や実施体制等の制度全般について国民の視点やニーズを反映するため、患者代表等も参加する外部評価委員会を設ける等、国民も参画できるような仕組みとし、組織の透明性と専門医の養成プロセスの標準化を図り、説明責任を果たせるような体制とすること。
 ? 専門医に係るデータの把握を継続的に行って公表するとともに、当該データを踏まえ、諸外国とも比較しなから、専門医の質を確保する視点から専門医の認定基準や更新基準について継続的な見直しを行いつつ、望ましい専門医の養成数について検討を行うこと。
 (5)専門医の領域について
 基本的な18の診療領域を専門医制度の基本領域として、この基本領域の専門医を取得した上でサブスペシャリティ領域の専門医を取得するような二段階制の仕組みを基本とすべきである。
○専門医の定義や位置付けに鑑み、医師は基本領域のいずれかの専門医を取得することを基本とすることが適当である。
○専門医の領域については、患者が医師の専門性をどこまで理解できるのかを踏まえ、患者から見て分かりやすいものとする必要がある。
○専門医の認定については、個別学会単位で認定する仕組みではなく、診療領域単位の認定にすべきである。
○基本領域の専門医の一つとして、総合的な診療能力を有する医師を加えるべきである。
○基本領域よりも専門性の高いサブスペシャリティ領域については、基本的には、?その領域の患者数や専門医数等を踏まえ、日常的に診療現場で十分に確立し得る診療領域単位であること、?基本領域との関係が明確であること、?専門医の認定や更新が十分な活動実績や適切な研修体制の確保を要件としてなされること、などを前提として設定することが適当である。
○ただし、個別の技能等に関するより専門分化した領域については、例外的な取扱いとして、今後、第三者機関において検討する必要がある。
(6)専門医の養成・認定・更新について
○基本領域において、1人の医師が複数の専門医の認定を受けることについては、原則として複数の認定を念頭に置いた制度設計は行わないこととしつつ、自助努力により複数領域の認定基準を満たすのであれば、許容することが考えられる。
○複数の認定を受けることが安易なものとならないよう、適切な認定基準が必要であり、また、複数の認定を受けた場合の更新についても、各領域の活動実績を要件とする更新基準を適切に満たす必要がある。
○専門医の資格取得後も、生涯にわたって標準的な医療を提供するという視点から、専門医資格の更新要件については、現在、一部の学会認定の専門医制度において手術経験数や症例数、eラーニングを含めた学習などを要件としていることを踏まえ、専門医としての活動実績を要件とすべきである。
○専門医の認定・更新にあたっては、医の倫理や医療安全、地域医療、医療制度等についても問題意識を持つような医師を育てる視点が重要であり、例えば、日本医師会生涯教育制度を活用することも考えられる。
○専門医の養成プログラムは、どのような専門医を養成するのかという目標を明確にした上で、そのために必要な指導医数や経験症例数等を踏まえて作成することが重要である。
○基本領域の専門医については、各領域の専門性に加えて、卒後2年間の臨床研修で求められている到達目標である「一般的な診療において頻繁に関わる負傷又は疾病に適切に対応できる基本的な診療能力」を維持した専門医を養成するという視点が必要である。
○基本診療能力を維持させるためには、各領域の養成プログラム等において、当該領域の専門性に関する項目だけではなく、当該領域に近接する領域についても診療能力を養成するような工夫が求められる。
○多様な医師を養成するニーズに応えられるよう、専門医の養成の過程において、例えば、研修の目標や内容を維持した上で、養成プログラムの期間の延長により研究志向の医師を養成する内容を盛り込むことや女性医師の増加等に伴い出産・育児に配慮することなどが考えられる。
○新たな専門医の養成は、今後、第三者機関における認定基準等の作成や、各研修施設における養成プログラム作成を経て、平成29年度を目安に開始することが考えられる。研修期間については、例えば3年間を基本としつつ、各領域の状況に応じ設定されることが望ましい。
 (7)学会認定専門医の移行措置について
○既存の学会認定専門医から新たな第三者機関認定の専門医への移行については、なし崩し的にならないよう、第三者機関において適切な移行基準を作成することが必要である。
○移行については、各学会認定専門医の更新のタイミング等に合わせて、移行基準を満たす者から準備移行を可能とすることが適当である。
○移行を開始する時期については、指導医の育成等の観点から、新たな専門医研修が開始される見込みの平成29年度以前から移行可能とすべきとする見方と、新たな仕組みの下での専門医研修が修了する見込みの平成32年度移行とすべきとする見方があり、今後、第三者機関において、移行基準の作成状況等を踏まえつつ検討する必要がある。

 ここまで1つ目の区切りでございますが、これらのスケジュールの記述に関連いたしまして、資料を別途用意いたしております。事務局提出資料4、横表の1枚紙でございます。「新たな専門医の仕組みに関する全体スケジュール(修正案)」でございます。これは前回たたき台としてお示しいたしましたけれども、前回検討会におきまして、具体的な移行措置につきまして、この右側の移行措置の部分ですが、移行開始の時期を明示してお示しをしていたところでございますけれども、その時期について多々御意見をいただきましたので、時期は明示しない形にして修正をしてお出ししているものでございます。
 この資料を踏まえまして、先ほど申し上げましたようなスケジュールを記述しているものでございます。
 区切りの1はここまででございます。よろしくお願いいたします。
○高久座長 今の事務局の説明について、御意見をどうぞ。
○小森委員 日本医師会といたしましては、書き漏らし等がないように文章で提出してございますので、今の議論のところについて、修正のみお話をさせていただきます。
 右肩に「日本医師会修正案」と書いてある資料を御参照いただきたいと思います。その3ページ、専門医の認定機関でございますけれども、第三者機関が学会との密接な連携の下で、これは当然のことでございますけれども、学会、いわゆる医学界を代表する日本医学会、また医師の代表である日本医師会というようなことも、日本医師会としても相当の覚悟でこのことに協力をしていくという立場から、ぜひ特出しの記入をお願いしたい。これは要望でございます。
 めくっていただきまして、6ページの上から2つ目の○、その3行目、「女性医師の増加等に伴い出産・育児」、これは過去の検討会においても、私、さらに桃井委員からも御指摘をいただいたところでございまして、御記載をいただいたことには感謝を申し上げたいと思いますが、出産・育児だけではございませんし、介護なども含まれることから、「等」というふうに記載をしていただきたい。
 あわせて、ここは、藤本さんがいらっしゃいますけれども、医師の中では女性が1人ということで、ジェンダーイクオリティー等の考え方がこの答申に含まれておりません。
 この際、申し上げておきたいのは、例えばこの専門医認定指定病院、研修の指定病院の指定基準等に、メンターとしての女性医師を1人以上配置すること等、これは第三者機関においてその詳細は御検討いただければいいと思いますけれども、親会議といいますか、国の検討会といたしましては、そういった視点もどこかに入れていただきたいなということをお願いしたいと思っております。
 最後、(7)「学会認定専門医の移行措置について」でございますが、1つ目の○の「新たな第三者機関認定の専門医への移行については、なし崩し的にならないよう」、これは最終答申案としてはよくわからない日本語でございますので、ここで議論してきましたのは、専門医の在り方に関する検討会の最大の目的は、専門医の質を担保して国民の方々にそれを説明責任を果たすということであれば、例えば「専門医の質の観点から」というふうに書きかえてはいかがかということでございまして、ここは御議論いただければよろしいかと思います。
 私のほうからは以上でございます。
○高久座長 これは、確かに「なし崩し的」というよりは、「専門医の質の観点から」のほうが、池田先生、そのほうがいいですね。いいですか。
 ほかにどなたか御意見をどうぞ。
○藤本委員 6ページの最初の○のところですけれども、「基本診療能力を維持させるためには」というこの文章の中で、各領域のドクターが「当該領域に近接する領域についても診療能力を養成するような工夫が求められる」とあります。これは診療能力も大事ですけれども、さらに、適切にほかのお医者さんへの紹介をしていただくということも大事かなと思いまして、例えば「診療能力など」のように、何か文言を入れていただけるといいのではと思っています。
○高久座長 当該領域に近接する領域についての診療能力を持つことで、適切なリファーができると思います。この言葉は、それを含んでいるのではないかと思います。
○藤本委員 文字が一人歩きした場合に、何でもかんでも診察、治療をしなければいけないのかというふうに受けとめるドクターもいらっしゃるかと思いましたので、適切な紹介という言葉も入れたほうが良いと思います。
○高久座長 ほかに、どなたか御意見をどうぞ。桃井委員、どうぞ。
○桃井委員 全体として意見が反映されていると思いますけれども、国民の視点に立ってということだけが再三語られていて、国民のニーズは365日、24時間、アクセスのよい最高の医療が受けられることであると思いますが、それだけの視点に立って理想論だけを述べ立てますと、現実の医療提供体制に大きなひずみが来るのは、現在の医療提供体制を見ても明らかであります。
 ですから、再三この委員会でも申し上げたように、育成されるキャリア支援の立場にも立った文言がぜひ必要だと思いますが、どこからも欠けているように思いますし、また、専門医を取ることに関するインセンティブに関する文言も全く欠けているように思います。
 例えば、(4)の「専門医の認定機関について」の2番目の○でございますが、「医療を受ける国民の視点に立って専門医制度を運用すべきである」、これはもっともなのでありますが、理想論だけを語りますと、先ほど言ったようにゆがみは全部現実の医療提供体制のほうに来るということも危惧されますので、育成される、あるいは養成される医師のキャリア支援の視点も必要であることを文言としてここに入れるべきであろうと思います。
 そうしませんと、後のほうに出てきますが、医師の偏在の是正などで十分なキャリア支援の体制のないところで、医師不足地域への研修等々だけが一人歩きすることを極めて懸念いたします。国民の視点はもちろんでありますが、つまり医療受益者の視点はもちろん最大限重要でありますが、しかし育成される医師の視点、キャリア支援の視点が欠けているように思いますので、それをぜひ入れていただきたいと思います。
 そのもう一つの例は、(6)の「専門医の養成・認定・更新について」でございます。ここにも国民の視点は書いてありますが、医師の育成のキャリア支援の視点が全くありません。専門医の育成こそキャリア支援体制の整備が重要でありますので、キャリア支援体制の整備という文言、例えば「研修施設におけるキャリア支援体制(24時間保育の支援体制)」等々の文言を明確に入れていただきたいと思います。そうしませんと、理想論だけが語られて、育てられる医師のほうにひずみ、しわ寄せが来るというのでは、これは良質な専門医の育成にはならないと思います。随所にそういう文言を入れていただきたいと思います。
 それは、(6)の最後から2番目の○、先ほど小森委員が御指摘になられた、「出産・育児に配慮することなど」で一部語られていますが、これがもし「出産・育児に配慮することなど」ということで、出産・育児に対応する女性医師は例えば研修期間が少しペンディングで長くなってもいいというような後ろ向き支援だけの発想では大変困るわけで、前向きの発想のキャリア支援体制の整備というのが今後ぜひ必要です。
 そういう意味でも、この文言があることは大変重要ですが、それのみならず、ここにもやはり「研修施設におけるキャリア支援体制の十分な整備」という文言をぜひ入れていただきたいと思います。
○高久座長 わかりました。よろしいですか。どうぞ、門田委員。
○門田委員 3点申し上げたいと思います。3ページ目の一番上の○ですが、先ほどのディスカッションもございましたけれども、今回の新たにこの委員会を設けて新しい体制の専門医制度をスタートするというこのタイミングで、この文章の最後のところで、「広告を可能とする等、学会認定の資格名との間に何らかの区別を設けることが望ましい」と、これは今までと違うものをスタートするということからしますと、「区別を設けることが望ましい」というのは少し弱過ぎるのではないか。やはり、「必要がある」か、何かもう少し強い表現にしておくほうが、多分これから先、第三者機関で作業をしていく上で助かるのではないかと思います。
○高久座長 ちょっと待ってください。ですから、「学会認定の資格」という言葉を外したほうが良いと思います。
○門田委員 いや、「望ましい」という弱気の発言をもう少ししっかりしていただきたいということであります。
○高久座長 わかりました。どうぞ。
○門田委員 2点目は、今度は5ページ目の○の3つ目のところで、?、?、?と書いてありますが、これも先ほどのことに関係しますけれども、「高いサブスペシャリティ領域については、基本的にはその領域の患者数や専門医数等を踏まえ、日常的に診療現場で十分確立し得る診療領域単位であること」と、これは非常に的を射ていると思うんですが、2番目の「基本領域との関係が明確である」ということが、今、18の基本領域があって、そして先ほど出ていましたけれども、2階建てのところもいろいろなものがこれからディスカッションされるにしても、その疾患と基本領域との関係が明確であること、少し意味がわかりにくいのではないのかなと。これは必ずしもなくてもよくはないかという意見です。
 それから、3点目です。6ページ目の(7)の「学会認定専門医の移行措置について」の3つ目の○ですが、まとめに時間がなくなってくると、両論併記というのはよくやることだとは思うのですが、ここのところ、「29年度以前から移行可能とすべきとする見方」と、「正式なものが始まって」というところと、ここについては第三者機関として、作業をする初めの段階で、この表現を残しているとやはり難しいのではないか。ここのところは、きょうここの委員会でディスカッションして、どちらかを決めておくほうが次の作業がしやすいと思います。
 以上、3点です。
○高久座長 特に、最後のほうはどうですか。何か御意見がありますか。
○門田委員 前も申しましたけれども、新しい体制で正しい専門医がスタートするより前に、移行措置のものが来るというのは、やはりどう考えても国民に対してわかりにくい。この際、もう少し明確に新しいものをスタートするということを一つひとつ押さえていくべきだというのが私の意見です。
○高久座長 どうぞ。
○桐野委員 今の御意見に賛成です。もっと極端に言えば、平成何年以降の医師免取得者以降から認定する、それ以前は認めないという考え方もあると思うんですね。
 それから、指導する者が専門医でなければ指導できないというのは、鶏と卵みたいな議論になって、医学博士を最初に認定した人は医学博士でなければならないと、いつまでも行くわけですね。そういう意味では、今、門田先生が言われたように、そこのところはすっきりしておいたほうがよろしいのではないかと思います。
○高久座長 それでよろしいですか。皆さん、反対がなければ、ここのところは。どうぞ。
○山口委員 やはり現実的な問題として、現在、学会の認定ではありますけれども、その専門医がそれぞれの領域の専門医体制を支持して育てているわけですね。それで、今の実際の診療が成り立っているので、確かに新しい専門医制度でより質の高い専門医をこれからつくろうということは、それはそれでいいと思うんですが、ではこれまでの診療を支えてきた専門医がこれからの専門医の診療体制を支えるのに何ら貢献しないかといったら、決してそういう話ではない。やはりその専門医群も含めて、長い目で見て、非常に新しく、よりレベルの高い専門医制度に変わっていくということのほうがより現実的な姿であろうと思います。あるところから急にぱっと新しい専門医が出てきて、それ以前は関係ありませんという話は余り現実的な話ではないと思いますが、どうでしょうか。
○小森委員 これは前回と同じ議論をしておりまして、門田委員と桐野委員と私は一致した意見でございまして、山口委員はまた違う御意見です。したがって、この4人が議論しても全く進歩がありませんので、ほかの委員の方々の御意見をお聞きになったほうがいいと思います。
○高久座長 むしろ、単純に手を挙げていただけますか。ですから、最初に言い出した門田委員の御意見に賛成の方は手を挙げてください。それはむちゃくちゃですか。どうぞ。
○平林委員 これは一つの制度の変革だと思いますので、制度を変えるときにはやはり何らかの経過措置というものをつくる必要が私はあると思うんですね。
 そのときに考えるべきことは、その経過措置を踏まえる必要性がない問題なのか、あるいは通常の場合と同じように経過措置を設定して考えたほうがいい問題なのか、そこの議論をしないと、イエス・オア・ノーで議論しても余り生産的ではないと思います。そこの実質的な判断は私にはわからないものですから、御意見をお伺いできればと思います。
○今委員 八戸、今です。大ベテランの外科専門医が移行措置になるというのは何となく理解しやすいのですけれども、平成29年とか27年のスタートのちょっと前の、今の学会制度の修練中の人がいるわけですよね。その人たちは非常に動揺します。実際、もう今相談されまして、総合内科専門医を受験したほうがいいのでしょうかとか、あと、二、三年待ったほうがいいのでしょうかと、そういう混乱が起きておりますので、今の学会制度で専門医を受ける人が確実に来年も再来年もいるわけですから、その人たちに何か示してあげないと、例えば来年から数年間は困難といいますか、停滞が生じるのではないかと思うんですね。今の学会制度で取った人も、新しく取った人も、新しい専門医制度にスムーズにいけますよみたいなある程度の情報があったほうが、今の若い人たちには有利ではないかと思います。
○高久座長 どうぞ。
○藤本委員 質問ですけれども、今、いろいろな学会の質がでこぼこしているというお話がある中で、新しい制度に移行したときに、今の学会の質を維持できるのであればそのまま取ってもいいよという学会と、いや、これはかなり基準を厳しくしないと、新しい機構としては認定できないよと、いろいろあると思うんですが、その辺はどうなのでしょうか。
○高久座長 どうぞ、池田委員。
○池田委員 基本的には、これまでの機構で認定してきた基本領域とサブスペシャリティの学会はそれぞれ非常によく考えられて、専門医制度は学会によってばらばらだとはいっても、これらの学会については非常に質の高い専門医制度をつくるように相当努力をされています。そのような経過を念頭に入れ、更にこれからの学会では更新の仕組みについても、現在真剣な議論をしているところです。やはり更新も新しい形で基準をつくっていきましょうという議論が始まっています。
 認定のプロセスのところは大体でき上がっていると。更新についてはもう少し時間をかけて議論をする必要がある。それも、恐らく第三者機関が仮に13年度、今年度中に仮に立ち上がったとすると、後1~2年のうちに、各領域で更新の基準もかなりしっかりしたものができると思うんですね。
 そういうことからすると、私自身は、平林委員がおっしゃったように、制度というのはばちっと切るということではなくて、経過措置というのをわかりやすい格好で、皆さんが納得できるような形で、なし崩し的にならないような、要するに質の担保がされたような形で、皆さんがこれだったらいいのではないかというようなことであるのだったらば、私はある程度の移行措置というのを考えたほうが混乱がなくて済むだろうと、実務的には思っています。
○高久座長 ある程度の移行措置がないと、それは無理だと私は思うのですが、ここにきっちり29年度とか32年度と書かないで、移行措置を配慮するならば、29年度からやっても良いですね。そうですね。
○池田委員 はい。
○高久座長 それのほうがいいのではないですかね。
○池田委員 少なくとも平成29年度、2017年には新しい制度が発足して、新しい研修プログラムにより後期研修、専門医研修が開始される、そこでは制度設計としてはでき上がったという格好で進めないと、何をやっているんだという話になるわけです。その時点では当然更新の基準に対する議論も終了していなければいけないと考えたらいいのではないかなと、私自身は考えています。
○高久座長 そうですね。よろしいでしょうか。どうぞ。
○金澤座長代理 別の視点でよろしいでしょうか。1ページ目の「はじめに」の2つ目の○で、この議論を始める理由について、専門医として有すべき能力について、学会が乱立してしまっていて、レベルが違い過ぎるということが非常に大きな点として挙げられております。これはこれで正しいことだと思うのですが、ここをこう修正すべきということはわからないまま申し上げて申し訳ないのですけれども、ここで議論するのは、確かにレベルアップということが一つですが、もう一つは国民の目から見たときに、余りにもいろいろな専門医ができ過ぎていて、本当に診療の現場、先ほど救急の医者が救急の専門医でないと、ほかのお医者さんが診てはいけないのではないかというような議論もあるというふうに言われるほど、非常に細かいスペシフィックな技能まで含めたものまで専門医という言葉を使っているということに関する問題だと思います。私は少なくとも自分ではこの問題を意識してきたつもりです。そういう意味で、2ページ目の一番上に、「専門医とは」といってかなり大きく捉えていただいているので、私はこれは正しいと思うのですね。
 そういう目から見ますと、同じ2ページ目の3の(1)の「基本的な考え方」の中にも、実を言うと、今の点は出てこないのです。余りにも先鋭化し過ぎているように思えるということに関する疑義といいましょうか、それが出てこないので、これでいいのかなと思いつつ、今ずっと伺っていたのです。
 そのことは、余りにも踏み込みますと、5ページの一番上の4つ、特に3つ目、4つ目の○にかかわってしまうので、ここでは余り議論しにくいのかもしれませんけれども、先ほどの広告の話にあった?群というものに対して、もちろん例外はあるとしても、やはり我々はある程度のきちっとした姿勢を示しておくべきではないかという気がしています。
○高久座長 次にまた議論することがたくさんあって、時間がどんどん迫っておりますが、どうぞ、平林委員。
○平林委員 済みません。いつも時間がないときに。4点ほどお伺いしたことがあるのですが、まず、3ページの(3)の前のところで、「専門医の仕組みの状況等を踏まえつつ、関係制度への位置づけ」というふうに非常に漠として書いてありますが、恐らくこれはどういうふうにも読めるようにという御趣旨なのかなとは思いますが、前にも申し上げたのですが、現段階では先ほどの広告規制という大臣告示のレベルで法的な制度の問題を取り扱っておりますが、将来的にこれが定着してくれば、医療法とか、あるいは医師法というところまで踏み込んで、国がプロフェッショナルオートノミーを基盤としつつ制度的に担保していくということも考えるべきではないかと、ずっと思っているものですから、そこをどう書き込むかはなかなか難しいのですが、もう少し具体的にここを書いたほうがいいのではないかというのが1点目。
 2点目がその次の4ページですが、?のところで、これも従来から議論のあったところで、「プロフェッショナルオートノミーを基盤として」ということと、加えて「患者代表等も参加する外部評価委員会を設ける等」というふうに、患者代表等のプロフェッション以外の者が参加するものが外部評価委員会というふうに特定されているというのは、私は少し違和感があります。むしろ、患者代表等も運営の適正について議論をするということを考えますと、これがどういう組織になるかはわかりませんが、理事会とか評議委員会というところにも第三者としての委員が存在するということは、ほかの会議を見ても十分にあり得ることだと思いますので、そういう形で外部評価委員会というふうに特定することはいかがなものかなと思っております。もちろん、専門的な事柄についてはプロフェッショナルオートノミーが基盤となって、素人がそこに口出しをするということはできないということは重々承知をしております。
 それから、3点目が5ページのところで、これも議論を全体として見れば、そう誤解をすることはないのかなというふうには思いますが、(6)の最初の○のところで、「複数の認定を念頭に置いた制度設計は行わない」とあるのですが、この複数の認定を念頭に置いた制度設計というのは、基本的に同一段階といいましょうか、基本領域の中で複数のダブルボードは認めないという意味だろうと思います。ただ、第?段階とのダブルボードはもちろん、複数のあれは認めるわけですから、そこのところが我々のような素人が読むと、必ずしもこの文章からはそれは読み取れないと思いますので、そこは少し丁寧に書き込んだほうがいいのではないかなと思っております。
 それから、最後の4点目が6ページの一番上のところであります。これもこの委員会の中で何回か議論してきたところだと思いますが、こういう書きぶりでいいのかなという疑問を持っております。と申しますのは、「当該領域に近接する領域についても診療能力を養成するような工夫が求められる」ということが、「基本診療能力を維持させるため」となっていて、この「当該領域に近接する領域についても診療能力の養成」というのは、従来の議論では必ずしも基本の診療能力とは少し違う、もう一歩上の能力を専門医は持っていなければいけないんだという議論であったかなと思っております。もちろん、こういう議論もありましたが、そこは十分に尽くされていなかったのかもしれませんが、私自身の理解としては、むしろ基本の診療能力を基盤とした上で、さらに専門医は自分の専門に近接する領域についてももう一歩踏み込んだ能力を持っている、それが専門医の資質なんだというような議論ではなかったかなと理解していたものですから、そこも申し上げておきたいと思います。
 以上、4点です。
○高久座長 この問題は、いつまで議論をしても結論は出そうにはありませんから、次の「総合診療専門医について」に進みたいと思います。事務局から説明をよろしくお願いいたします。
○医師臨床研修推進室長 かしこまりました。6ページの下のほう、4「総合診療専門医について」でございます。

 (1)総合的な診療能力を有する医師の必要性等について
○総合的な診療能力を有する医師の必要性については、?特定の臓器や疾患に限定することなく幅広い視野で患者を診る医師が必要なこと、?複数の問題を抱える患者にとっては、複数の臓器別専門医による診療よりも総合的な診療能力を有する医師による診療の方が、適切な場合もあること、?地域では、慢性疾患や心理社会的な問題に継続的なケアを必要としている患者が多いこと、?高齢化に伴い、臓器や領域を超えた多様な問題を抱える患者が今後も増えること、などの視点が挙げられる。
○総合的な診療能力を有する医師の名称は「総合診療医」とし、その専門医としての名称は「総合診療専門医」とすることが適当である。
○「総合診療専門医」の定義を、例えば、「頻度の高い疾病と傷害、それらの予防、保健と福祉など、健康にかかわる幅広い問題について、わが国の医療体制の中で、適切な初期対応と必要に応じた継続医療を全人的に提供できる医師」とすることが適当である。
○「総合診療専門医」の名称は、既存の大学や大病院での総合診療部門のみならず、地域の小病院や診療所も含めてその育成、診療に取り組まなければならないことを意味するものと解するべきである。
 (2)総合診療専門医の在り方について
○総合診療専門医は、従来の領域別専門医が「深さ」が特徴であるのに対し、「扱う問題の広さと多様性」が特徴であり、専門医の一つとして基本領域に加えるべきである。
○総合診療専門医は、日常的に頻度の高い疾病や傷害に対応できることに加えて、地域によって異なる医療ニーズに的確に対応できることも必要であり、「地域を診る医師」として視点が重要である。
○総合診療専門医は、他の領域別専門医や他職種と連携して、地域の医療、介護、保健等の様々な分野において、リーダーシップを発揮しつつ、多様な医療サービス(在宅医療、緩和ケア、高齢者ケア等)を包括的かつ柔軟に提供するとともに、地域における予防医療・健康増進活動等を行うことにより、地域全体の健康向上に貢献することが期待される。
 (3)総合診療専門医の養成について
○多くの若い医師が臓器別・領域別の専門医志向を持っている中で、総合診療専門医を目指す若い医師を増やすためには、養成プログラムの一層の充実が必要である。
○他の基本領域の専門医と異なり、臨床研修修了直後の医師が進むコースに加えて、他の領域から総合診療専門医への移行や、総合診療専門医から他の領域の専門医への移行を可能にするプログラムについても別に用意する必要がある。移行に当たってどのような追加研修を受ける必要があるか等については、今後の新たな専門医の仕組みの構築の中で引き続き議論する必要がある。
○総合診療専門医の養成プログラムの基準については、プライマリ・ケア連合学会、内科学会、小児科学会等の関連する学会等が協力して、第三者機関において作成すべきである。
○養成プログラムの基本的な枠組みとしては、以下が考えられる。
 ?内科、小児科、救急を必須とし、その他領域別研修として外科・整形外科・産婦人科等を研修する。
 ?診療所や、在宅医療を実施している小病院、中規模以上の病院の総合診療部門等における内科、小児科、救急を組み合わせ、日常的に頻度の高い疾病・傷害への対応を中心とした外来診療、救急診療、在宅医療等を研修する。
○総合診療専門医の養成には幅広い臨床能力を有する指導者の養成も必要であり、地域で中核となって教育ができる医師を育てることも重要である。
○総合診療専門医の養成については、地域医療の大半を支えている開業医(かかりつけ医)等の指導医としての関与が必要であることから、日本医師会の協力が必要である。
○「地域を診る医師」としての視点を踏まえ、研修施設や指導医の認定等について、第三者機関において検討する必要がある。
○総合診療専門医の養成プログラムにおける研修目標の設定や更新基準の作成については、日本医師会生涯教育カリキュラム(2009)の活用を考慮しつつ、第三者機関において引き続き検討することが必要である。
○総合診療専門医を養成するためには、臨床実習などの卒前教育においても、それぞれの診療科を単にローテイトするだけではなく、総合的な診療能力を養成するようにプログラムを構築し、地域の診療所や病院、介護福祉施設等の協力を得て実習を実施するとともに、頻度の高い疾病や全人的な医療の提供、患者の様々な訴えに向き合う施設などを学ぶことが必要である。
○地域の病院では、領域別専門医であっても総合的な診療が求められており、総合診療専門医と基本診療能力のある領域別専門医をバランス良く養成することが重要である。
○総合診療専門医については、今後の高齢化や諸外国の状況等を踏まえると、将来的には大まかな目安として、数万人程度が必要となるとの見方があることを踏まえつつ、第三者機関において、その養成数を今後検討する必要がある。

 区切りの2つ目はここまででございます。
○高久座長 それでは、総合診療専門医について、この事務局の案に御意見をどうぞ。小森委員。
○小森委員 引き続きまして、日本医師会提出資料の6ページをごらんください。ここには、それぞれ専門医としての総合診療医のことが多く語られておりますけれども、全人的に診る視点等は総合診療医のみならず、臓器別専門医であっても、全ての医師が具現化しなければならない要件であります。
 議論の出発点が、今、特に地域等においてプライマリ・ケアに特化した、そしてそれを生涯続けたいという医師に対する評価が余りにも低いために、比較的若い方々を中心とする方々が誇りを持てないで現場に当たっていらっしゃる、これを評価しようということであれば、このような前文があってもよろしいのではないかなと。時間の関係がございますので、読み上げませんけれども、このようなことを前文として入れさせていただいた。
 同時に、7ページの2つ目の○、これも今申し上げた理由で、そこに書いてある3行は全ての医師が備えていなければならない要件のことを指しておりますので、「臓器別領域における深い専門医は有しないが」ということを少し加えたほうが明確になるのではないかということでございます。
 同じ7ページの(2)の在り方についての1つ目の○、「従来の」、これは今までの中で残っておりましたので掲載をされたのだと思いますけれども、新しい仕組みについて議論がここまで深まってまいりましたので、「従来の」という言葉はもう不要ではないかということでございます。
 (3)養成についてでございますけれども、総合診療専門医を目指す若い医師を増やすためにプログラムを充実させるのではなく、そういった若い医師の評価を高めるということのために充実が必要であり、そのことによって地域それぞれの住民、患者さんのニーズに応えていくということでございますので、増やすためにするのではなくて、質を上げるためにするのであるということを明確にお願いをしたいということでございます。
 8ページ目につきましては、先ほど申し上げた事項と同じでございますので、要望ということで挙げさせていただきました。
 以上でございます。
○高久座長 ほかにどなたか御意見はないでしょうか。どうぞ、福井委員。
○福井委員 もとの案6ページの下から2行目、「総合的な診療能力を有する医師の名称は『総合診療医』とし、その専門医としての名称は『総合診療専門医』とすることが適当である」という部分の前半はリダンダントな気がします。例えば、外科専門医について記述する場合、これこれの診療能力を有する医師の名称は「外科医」とし、その専門医としての名称は「外科専門医」とするというふうに書かなくてはならなくなりますので、ここは「上記のような専門医の名称は『総合診療専門医』とすることが適当である」くらいでいいのではないかと思います。
 それからもう一つ、小森先生がおっしゃったことの中で、医師会からの案のの7ページの一番上の赤い部分ですが、これをわざわざ総合診療専門医のところだけに、「臓器別診療における深い専門性は有しないが」という言葉をこういうふうに入れるとなると、ほかの領域別専門医のところは「広さと多様性はないけれども」というふうに全部入れないとおかしくなりますので、できましたら、このネガティブな文章は入れないでいただきたいと思います。
○高久座長 小森委員、いいですか。
○小森委員 先生の主旨については了解致します。
○高久座長 では、桐野委員、どうぞ。
○桐野委員 一番下のほうに、多分専門領域から移行できるとしてあるので、矛盾しますので、専門性をお持ちになっている方もあれば、そうでない方もあるのですから、これは小森先生のお言葉ですけれども、少しどうかなと思います。
○小森委員 ただ、福井先生の言われる意味はよく理解できるのですが、そうであれば、7ページの(2)の1つ目の○のところも少し工夫しないと、あるいはそこは1つに別途考えていただく必要があるのかなと思います。
○高久座長 7ページの2つ目の○ですね。
○小森委員 (2)の1つ目の○には、「領域別専門医が『深さ』が特徴であるのに対し、『扱う問題の広さと多様性』が特徴であり、専門医の一つとして基本領域に加えるべきである」となっておりますので、それと先ほど申し上げた7ページの上から2つ目の○のところとの言葉の整理を一回されておかれたほうがいいのかなと思います。
 あくまで、ここに書かれている上の2つ目の○は、全ての医師が有しないといけないことで定義してありますので、そこは少し整理しておいたほうがいいのかなということです。
○高久座長 では、先生、最後にしていただけますか。
○山口委員 先ほどの臓器別領域における深い専門性の云々の話は、基本領域の専門医を2つ持てるかどうかという議論にもかかわる話なので、それで総合診療の専門医はほかの特殊な領域の専門医と2つ持てるという方向でぜひ検討したいという流れの話で来ていると思いますから、それから言うと、ここで臓器別の深い専門性はだめという話をしてしまうと大きな矛盾になってしまうので、やはりこの文言は不適切だろうと思います。
○高久座長 どうぞ。
○?山委員 時間ないのに申し訳ないのですけれども、(2)の「総合診療専門医の在り方について」の中で、2つ目の○、3つ目の○のような非常に包括的な観点の重要性が訴えてあって、これはずっと共通しているのですけれども、それを受けた(3)の養成についての具体的なプログラムの形成過程についての記述に関して見ますと、例えば3つ目の○で、結局、「関連する学会等が協力して」とだけになっているのですけれども、この点は質の高い総合診療医の養成する上では非常に重要なポイントになると思うんですね。臨床系の技術論は非常に具体的に議論しやすいのですけれども、この重要な観点を深める部分はえてして形骸化してあいまいになってしまうと思うんですね。これは必ずしも医学の学会だけでカバーしきれない領域もあると考えられますので、例えば保健、福祉、介護、リハ等の関係団体からの意見聴取とか、地域包括ケアの先進事例とか、先進地域の系統的なレビューもあわせて行って、これらも加味して養成プログラムの基準が作成されるとか、それを担保するような表現でもう少し具体的に書かれるべきではないかと思います。
○高久座長 あと30分しかありませんが、どうぞ。
○桃井委員 最後の○です。数ですけれども、「大まかな目安として、数万人程度が必要となるとの見方があることを踏まえつつ」と、ここに一部の見方といいますか、一部の情報に基づく数字をこの最終的な素案に入れるべきではないと思いますので、「第三者機関において養成数を今後検討する必要」、あるいは「よりよい医療提供体制のために」とか、そういうふうにすべきだと思います。
○高久座長 それでは、次の「地域医療の安定的確保について」、これも事務局から説明をよろしくお願いします。
○医師臨床研修推進室長 8ページの5「地域医療の安定的確保について」。

 (1)医療提供体制における専門医
○医療提供体制全体の中で、医師の専門性の分布や地域分布について、グランドデザインを作ることが重要である。
○国民のニーズに応え、かつ効率的な医療を提供するために、現在のフリーアクセスを前提としつつ、総合診療専門医や領域別専門医の所在を明らかにして、それぞれの特性を生かしたネットワークにより、適切な医療を受けられる体制を構築することが重要である。
○新たな専門医の仕組みにおいて、プロフェッショナルオートノミーを基盤としつつ、地域の実情に応じて、研修病院群の設定や、専門医の養成プログラムの地域への配置の在り方などを工夫することが重要である。
○研修施設が専門医の養成プログラムを作成するに当たっては、先進的な都道府県等の例を参考としつつ、国や都道府県、医療関係者等と十分に連携を図ることが期待されるとともに、いわゆる「地域枠」をはじめ、地域医療に従事することを希望する医師が専門医となる環境を確保していく観点から、地域医療に配慮した病院群の設定や養成プログラムの作成等に対する公的な支援を行うことも考えられる。
○研修施設については、必要に応じて都道府県(地域医療支援センター等)と連携しつつ、大学病院や地域の中核病院などの基幹病院との地域の協力病院等(診療所を含む)が医師不足地域を含めた病院群を構成することが考えられる。
○特に、総合診療専門医、内科専門医、小児科専門医等の初期診療が地域で幅広く求められる専門医の養成プログラムの中に、一定期間の医師不足地域等における研修を取り入れることなどが期待される。
 (2)専門医の養成数について
○新たな専門医の仕組みの議論においては、専門医の質に加えて、専門医の数も重要な問題である。
○専門医の養成数については、患者数や疾病頻度、各養成プログラムにおける研修体制等を勘案して設定されるべきである。その際、研修の質を確保する観点から、年度ごとの専門医の養成数の合計を設定するに当たり、何らかの配慮が考えられる。
○養成数の設定においては、専門医及び専攻医の分布状況等に関するデータベース等を活用しつつ、人口構成や医師不足の状況等の地域の実情を総合的に勘案する必要がある。
○専門医取得後も、研修施設において、都道府県等と連携しつつ専門医の地域への定着を促進することが期待される。
 6.医師養成に関する他制度との関係について
○新たな専門医の仕組みは、基本的には、2年間の臨床研修修了後に専門医の養成プログラムが実施されることを前提として構築することが適当であるが、各専門領域の実情等を踏まえ、臨床研修における研修内容等を加味することも検討することが考えられる。
○新しい仕組みの下で専門医が身に付けるべき「基本診療能力」を養成していくため、卒前教育における医学教育モデル・コア・カリキュラムを踏まえた診療参加型臨床実習の充実等が重要である。
○臨床研修制度については、平成27年度の研修医から適用することを念頭に、別途、制度の見直しが議論されているが、当該見直しに当たっては、新しい専門医の仕組みを踏まえつつ、臨床研修と専門医研修との連続性にも配慮することが期待される。
 おわりに
○今後、専門医の質が一層高まり、良質な医療が提供されるよう、本報告書をもとに、新たに設置される中立的な第三者機関が、関係者との連携のもと、新たな専門医の仕組みを推進することが求められる。また、このような仕組みを通じて専門医を含めた医師の偏在が是正されることを期待したい。
○専門医の在り方については、新たな仕組みの導入以降、その進捗状況を見極めつつ、適宜、継続的な見直しを行っていくことが必要である。

 以上でございます。
○高久座長 どうもありがとうございました。では、最後の「地域医療の安定的確保について」、どなたか。どうぞ、小森委員。
○小森委員 日本医師会修正案の9ページをごらんください。2つ目の○、「国や都道府県、医療関係者等」となってございますけれども、こういった地域のことにおきましては、それぞれの地域医師会を欠かすことを視点としてはできないだろうということで、「医療関係者等」の「等」を削っていただいて、「地域医師会等医療関係者」としていただきたいということでございます。
 中ほど、(2)専門医の養成数について、2つ目の○、ここも同様のことでございますが、「患者数や疾病頻度」、これで十分とは思いません。やはり地域地域の特性は地域でしかわからないということがございますので、ぜひ「地域特性」という言葉を入れていただきたい。
 それと、2行目以降でございますが、「その際、研修の質を確保する観点から、年度ごとの専門医の養成数の合計を設定するに当たり、何らかの配慮が考えられる」、これは全く意味不明でございまして、特に先ほど桃井委員が御指摘になられましたように、総合診療医等につきましても、これが何人かというのは、一部の委員が主張はなさいましたけれども、全ての委員の合意ではございません。そういったことを含めまして、養成数の合計について「何らかの配慮が考えられる」というのは、報告書には大変なじまないというふうに思っておりますので、ここは皆さんの御議論をいただきたい。
 最後でございます。この検討会が専門医の質の向上、そして地域医療の安定的確保、この2つを目的として設置をされたというふうに理解をしてございます。第1回目の設置要綱にそのように記載をしてございます。この16回にわたる議論の中で、このことにおいてはプロフェッショナルオートノミーを基盤とした上で、医療提供者、医療者が責任を持って専門医の質の向上や地域医療の安定的確保にこれからも努力をするということであれば、それを高らかに宣言をしていただきたい。
 見直すのは当然でございますので、追加をさせていただきました。以上でございます。
○高久座長 どうもありがとうございました。ほかに、どうぞ。
○藤本委員 最初に私が昨年の3月にプレゼンテーションさせていただいたときの資料が、こちらの参考資料の46番のところにあるのですけれども、読み上げさせていただきます。
 市民、国民が知りたいことで、「今後(たとえば10年後、20年後)、高齢者を総合的に診療し、看取りまでできる医師が、いったい何人必要になるのでしょうか」「そうした医師を地域に偏りがないように配置するためには、どのようにしたらよいのでしょうか」「そのような医師に『めぐり合う』ための情報を、患者はどのように得たらよいのでしょうか。」3つ問題提起をさせていただきました。
 3つ目の問題につきましては、情報ということで、先ほども広告の件で御検討いただいたのですが、1番目、2番目に関しましては、まだ私は具体的なお答えがこの委員会で出されているとは思っておりません。ですので、先ほどの人数の件がありましたけれども、もし人数の件がまだ合意ができていないということであれば、この会議の中で意見交換をして合意をしていただきたいと思います。
 それからもう一つ、研修プログラムのことに関して9ページに書いてありますが、○の3つ目、4つ目の最後の言葉が「が考えられる」、「が期待される」というふうになっております。平成32年度からドクターが地域に出てくることを考えますと、高齢化のスピードに対応した医療提供体制としてはテンポが遅いと思います。そういう意味でも、研修を受けているドクターがきちっと地域に回ってくるようにプログラムを考えていただくことは、もう「考えられる」とか、「期待される」というレベルではないと思っておりますので、ここも皆さんに御検討いただきまして、もうちょっとはっきりした言葉で報告書をつくっていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○高久座長 どうぞ。
○池田委員 専門医のそれぞれの領域の数とか配置、これと専門医の質を向上させるということとが、両方とも満足行くようになればいいのですけれども、一義的には、ここで何回も議論があったように、専門医の質を向上させようと、それは研修プログラムをしっかりつくることによっていい質が担保されるんだと。そのプログラムをどういうふうにつくるか、どういうふうに配置するか、そういうことによって変わってくる。それから、いいプログラムをつくるためには、そこの研修の場に患者さんがどれぐらいいるかというようなことも含めてプログラムが作られなくてはいけないのです。
 患者さんの疾病構造の変化とかいうものを踏まえながら当然プログラムができていくということになりますので、それを今ここで適正な数を出せとか、総合診療専門医は数万必要だとか、そういうことを今ここで議論するということは難しいと思うんですね。ですから、ここではあくまでもいい研修プログラムをつくる、そして効率の良い研修をさせる、患者さんはその地域にどれぐらいいるか、そういう事をきちっと念頭に入れて研修プログラムを作って行かなければいけない。そういう形で頭を整理しておかないと、いつまでたってもこの議論は進まないのではないかと私自身は思っています。
 もう一つは、先ほど専門医の養成数について、2つ目の○で、「その際、年度ごとの専門医の養成数の合計を設定するに当たり」と、これは私も小森委員と全く同じで、これはどういうことかわかりにくいので、とったほうがいいのではないかと思います。
 それから、「専門医の養成数について」の4番目の○ですけれども、「専門医取得後も、研修施設において」云々、「専門医の地域への定着を促進する」、これは専門医制度をうまく改革していこうということとはちょっと別次元の話だと思いますので、これこそ行政的が若い先生たちが専門医を取った後に、そういう所で更に勉強したいと思う仕組みをつくっていかなければいけない。それはまた別の観点から非常に重要な視点なので、検討し直さなければいけないのではないかと思いますので、この報告書に入れるというのはちょっと不適切かなと思いました。
 以上です。
○高久座長 ほかに。どうぞ、桃井委員。
○桃井委員 5の(1)の最後の2つの○です。地域で、医師不足地域を含めた病院群を構成することが考えられると記載が在ります。そして、特にこれら3つの初期診療が求められる専門医の養成プログラムの中に、一定期間の医師不足地域における研修を取り入れることなどが期待されるとの記載があります。医師不足をこの体制で多少とも解消しようという意図がここに見られていると思うんですが、地域の医師不足解決には、医療機関の再編成という非常に大きな問題が基本的にあって、単にこの研修を一つの足掛かりとして、医師不足地域にも行かないと単位が取れませんよというような姑息なやり方では本質的な改善はできないと思いますし、ここに記載すべきではないと思います。
 したがって、ここは、特に最後の○は、「一定期間の地域医療における研修は必須である」ということであれば、現状もしておりますし、研修にも重要だと思いますが、医師不足地域における研修を取り入れると記載することは極めて大きな問題が生じ得ます。例えば指導医も十分いないような医師不足地域の医療機関を病院群の一つとして設定して、そこに十分な研修指導体制もないのに研修の名目で実際には医師不足解決の手段として若い医師を派遣するというようなことがあっては絶対ならないことです。そういう解釈を誘導することもこの文言からは危惧されることでありますので、「医師不足地域」と書かずに、「地域医療の研修」としていただきたいと思います。
 なおかつ、病院群を構成することが考えられるのみならず、各研修施設においての研修体制の充実についても、ここで重ねて文言として入れていただきたいと思います。
○高久座長 ほかに、どなたか御意見はおありですか。よろしいでしょうか。
○山口委員 ちょっと余りにも気になるので。先ほどから養成数の話が出ていますけれども、参考資料(案)の30番に大きく「2025年までに総合医群を10万人に!」とでかでかと資料に書かれていますけれども、今の予定から言いますと、2020年からようやく新しく誕生するという話なのに、5年間で10万人が達成できるわけは到底あり得ない。これをこの数少ない参考資料の中にわざわざ入れるという意味はないように思います。特に人数の話がうるさく言われているときに。ぜひ除いていただきたいと思います。
○高久座長 わかりました。これは除きましょう。ちょっと現実離れしていますから。
 ほかにどなたか。どうぞ。
○門田委員 全体のことですが、今回、小森委員が日本医師会の修正案を出していただいて、いろいろなところに「医師会」という名前が出てまいります。なるほどふさわしいところもあると思いますし、そこまで入れなくてもほとんど内容は変わらないようなこともございますので、事務局のほうでもう一回そのあたりを精査してやっていただきたいと思います。
○池田委員 その点についてつけ加えたいと思います。専門医制度を改革するに当たっては、どちらかと言うと、これ迄各学会が自身の学会の各学会のためにつくって来た側面が非常に強かった専門医制度でしたが、そこを少し国民視点、あるいは国の医療のことを考えて、専門医制度を変えよう、学会のエゴをなくして専門医制度を考えようという事でこういう改草案が出来上がったという経緯があります。
 日本医師会の小森先生は非常に前向きに専門医制度改革に取り組んで発言してくださって、私としては非常に有難く思っているのですが、日本医師会も専門医制度にかかわり合ってこれだけやってくださるのでしたら、地域の医師会会員の先生方も含めて、一枚岩でぜひこれに立ち向かってほしい。学会も色々な議論を経て、ここ迄まとまってきたということを踏まえると、日本医師会もぜひ先生のお力で一枚岩でこういう方向に向かって協力していただけるように御尽力いただけたら幸いだということがあります。
 もう一つ、最後に私の意見として申し上げたい事は、桃井先生が言われたように、私共は国民のために、患者のためにということで、専門医制度をとにかく変えようとしてきたのですけれども、やはり努力する若い医師の励みにもなるように、努力して取得した専門医に対するインセンティブというものについて報告書の中に記載する必要があると思います。
 先ほど、今までのまとめというのを見ましたら、専門医の位置づけについてということで、3ページから4ページにかけてインセンティブというのは議論されている。残っているんですね。中間まとめと、これまでの議論に。ですから、何らかの形で現在できる範囲内で、インセンティブというものを将来的にも考えていくという方向性を書いておいていただいたほうが、若い医師の励みにはなるのではないかなと思います。
○高久座長 これはあと1回この会議があって、その会議では事務局の最終の報告案をもう一回ディスカッションしますね。
○医師臨床研修推進室長 おっしゃるとおりでございます。
○高久座長 きょうたくさん御意見をいただきましたが、まだ言い足りないところがありましたら、次回までに事務局のほうに。書面でも良いですから御連絡下さい。
○医師臨床研修推進室長 本日は限られた時間の中で多々御意見をいただきましたが、御議論、御発言し尽くせなかったところがあると思いますので、それにつきましては、次回、私ども、本日の議論を踏まえて修正をした案をお出しする際にも、これからあと先生方からもし追加の御意見があれば、私どもで受けつけさせていただいて、それを反映したもので次回御議論を賜ろうと思っております。そのための御案内も追って申し上げたいと思っております。
○高久座長 高杉委員、何もおっしゃらなかったけれども、手を挙げられたので、どうぞ。
○高杉委員 藤本委員の御質問、これからどうするのか、2025年どうするのか、お年寄りが増えるからどうするか、これは違うところで議論はちゃんとしております。私も介護保険の担当でいろいろ意見も言っておりますので、ここは専門医をどう養成するかというところですから、それについてのお答えはここではなかなか出ないということをつけ加えさせていただきます。
○高久座長 まだ10分ほどありますが、何か御意見は。よろしいですか。この最終の案の原案を次のこの委員会の前に皆さんに1回お送りしてそれに手を加えていただいたのをまた修正して、最終案にしたいと思います。
○医師臨床研修推進室長 かしこまりました。
○高久座長 どうぞ。
○今委員 八戸の今です。地域医療安定確保のことで、総合診療とか、小児科、内科医ということが特別挙げられておりますが、実は地域医療の安定化に産科、お産ですね、非常に危機的状況です。そこはこの会で触れないで、産科の専門医のほうに丸投げというか、そちらにお願いしていいのでしょうか。それとも、ちょっとだけでも産科について言及できるのでしょうか。
○高久座長 この内科専門医、小児科専門医等の中に幾らでも入ってくると思うのですが。
○今委員 もし入るのであれば、「産科」という言葉も入れてくれると、ちょっと違う。「産婦人科」ではなくて「産科」です。
○高久座長 わかりました。「産科」ですね。
 ほかにどなたか。よろしいでしょうか。どうぞ。
○富田委員 今回の議論で総合診療医というのが出てきて、国民にとってまずファーストタッチでかかるところが一番大事だと思うんです。その辺は今後もうちょっと強力に、まず国民の受診行動として総合診療科をかかるということをどこかで、この会で言ったほうがいいのか、それは第三者機関に任せたほうがいいのか、その辺の検討も少ししていただいたらいいかと思います。
 そうしないと、先ほども意見がありましたけれども、患者さんはどの専門科にかかっていいかわからない。意外と検討違いな専門科にかかってしまうということがありますので、まず総合診療科にかかるということをもう少しこの会としても言ってもいいのではないか。
○高久座長 どうも。ほかにどなたか。どうぞ。
○小森委員 申し訳ございませんけれども、今の御意見には全く反対でございます。そのようなことのために議論をし、総合診療医というものをこれから育てていこうということではありません。もちろん、30年、50年という長いスパンの中で、国民のニーズも医療体制も刻々と変わっていくと思いますし、そういう時代も来るのかもしれません。
 しかし、今大切なことは、総合的な診療能力を有し、またそういった方向で生涯をかけて頑張っていこうという方々、こういう方々もやはり評価をして差し上げようと。それが一つのキーワードになるに違いないということで合意をしたわけでございまして、今の受診行動等については、むしろ今の臓器別の専門医という太い背骨を10年、20年なさった上で、地域で開業医師として、あるいは病院医師として地域医療をしっかり支えてくださっている医師が十分機能しておりますので、この段階で総合診療医を受診すべきだという議論は我が国の国情を全く理解しておられない発言であると思いますので、個人的には何の恨みもつらみもございませんけれども、このことについては反論させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○高久座長 それでは、その点は十分に考慮したいと思います。ほかに。まだ時間は少しありますが、どうぞ。
○藤本委員 池田先生にお伺いします。先ほどいわゆる患者代表は外部評価委員という書きぶりがありましたが、理事会とか、そういったところに患者代表も参画するべきだという委員の御意見もありましたけれども、その辺のお考えをお聞かせください。
 もう一つ、今のお話の流れでもありましたように、国民に対してどういう情報を出すかということを考えますと、やはりメディアの方たちにも参画していただいたほうがいいのかなと思いますので、その組織とか運営のあたりのお考えを伺いたいのですけれども。
○池田委員 中立的な第三者機関がどういう格好になっていくかというのは、ここでも基本的な考え方は先生方と御議論させていただいたと思うんですけれども、具体的な組織の在り方等に関しては、まだまだ煮詰めなければいけないところがあると思います。
 はっきり申し上げられるのは、患者さんの視点でこういう制度改革をしようということですので、患者さんの考え方を聞かない仕組みというのはないということ。それは、内部であれ、外部であれ、余り私としては大きな問題にはならなくて、しっかりとした患者さんの視点というものをとらえられるような仕組みさえうまくつくれればいいのではないかなと、今の時点では思っています。余り具体的でなくて申し訳ないのですけれども、メディアの方たちの御意見も当然お聞きするということで。
 ちなみに、今の私どもの専門医制評価・認定機構には、理事会に全く医学に関係のない先生、あるいはメディアの方たちが入って議論をしております。第三者機関はプロフェッショナルオートノミーということを非常に盛んにここの議論でも出ましたので、実際の運営に関しては恐らく医師がやっていくという格好になるとは思いますけれども、専門医制度全体を考えるときには、やはり言われたような視点は決して忘れることはできないと思います。今の時点では、そのようなお答えです。
○高久座長 それでは、きょうは非常に多くの意見が出されましたので、事務局のほうで大変でしょうけれども、整理して、次回のときまでに1回お送りして、そしてさらに御意見を書いていただいて、そして最終報告書の案を持ってきていただきたいと思います。
 次回はいつごろの予定ですか。
○医師臨床研修推進室長 提出資料5として、今後のスケジュールをお配りをしておりますが、これは以前にもお示ししているとおり、枠が下に下がっていって、今回は第16回ということでございまして、第17回、次回が年度内最後の検討会となります。しかたがいまして、本日の御議論を踏まえた修正の案をまず事前にお配りをして、それに対する御意見を賜った上で、次回はその修正案をお配りして御議論を賜りたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
○高久座長 それでは、来月やらなければならないですね。
○医師臨床研修推進室長 はい。来月に予定をしております。
○高久座長 それでは、今度は少し時間を長くとったほうが良いかもしれませんね。2時間では収まりそうにもありませんから、3時間ぐらいとって。それもよろしいですか。そういうふうにしていただきたいと思います。
 本日は、多くの御意見をいただきましてありがとうございました。


(了)

厚生労働省医政局医事課 医師臨床研修推進室

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