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2013年1月31日 第25回社会保障審議会議事録

○日時

平成25年1月31日(木)10:00~11:15


○場所

厚生労働省 省議室(9階)


○出席者

委員

秋田喜代美委員 遠藤久夫委員 大日向雅美委員
加藤達夫委員 河村小百合委員 見城美枝子委員
木間昭子委員 駒村康平委員 斎藤勝利委員
櫻井敬子委員 庄司洋子委員 白波瀬佐和子委員
神野直彦委員 菅家功委員 田中滋委員
永井良三委員 中川俊男委員 西村周三会長
藤原忠彦委員 本田勝彦委員 山崎泰彦委員
吉川 洋委員

事務局

唐澤政策統括官(社会保障担当) 原(徳)医政局長
矢島健康局長 石井雇用均等・児童家庭局
村木社会・援護局長 原(勝)老健局長
木倉保険局長 香取年金局長
岡田障害保健福祉部長 池永会計課長
福本参事官(社会保障担当) 藤澤参事官(会計担当)
西村参事官(情報政策担当) 込山政策企画官
池元医薬食品局総務課長補佐 松下労働政策担当参事官室長補佐

○議題

1 会長の選出について
2 社会保障・税一体改革、社会保障制度改革国民会議について
3 平成25年度厚生労働省関係予算案等について

○配布資料

資料1社会保障審議会委員名簿
資料2社会保障審議会委員の所属分科会・部会一覧
資料3社会保障・税一体改革、社会保障制度改革国民会議について
資料4-1平成24年度厚生労働省補正予算(案)の概要
資料4-2平成25年度予算案の概要
資料4-3平成25年度予算案の主要事項
資料4-4生活保護制度の見直しについて

○議事

○政策企画官 本日は、委員の先生方におかれましては、お忙しい中御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 それでは、定刻になりましたので、ただいまから「第25回社会保障審議会」を開会させていただきます。
 申しおくれましたが、私は社会保障担当の政策企画官をしております込山と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、多くの委員の皆様におかれましては、新しい御任期をお迎えのもと第1回目の会合となります。
 皆様方には、後ほど、会長を選出していただくこととなりますが、それまでの間、大変僭越ではございますが、便宜、私のほうで議事進行を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、初めに、前回の総会以降新たに委員に御就任いただいた方々を御紹介申し上げます。恐れ入りますが、お一言ずつ御挨拶を賜りたいと存じます。
 本年1月29日付で、新たに御就任いただくこととなりました慶應義塾大学大学院教授の田中滋委員でございます。

○田中委員 慶應大学の田中でございます。経済学をベースに医療政策や介護政策を専門としております。よろしくお願いいたします。

○政策企画官 自治医科大学学長の永井良三委員でございます。

○永井委員 永井でございます。専門は循環器内科でございますが、今、医学、医療、地域医療等、いろいろ関与しております。どうぞよろしくお願いいたします。

○政策企画官 国立社会保障・人口問題研究所長の西村周三委員でございます。

○西村委員 西村と申します。よろしくお願いします。
 2年前から今の長を拝命しております。よろしくお願いいたします。

○政策企画官 次に、本日の出席状況を御報告させていただきます。
 本日は、伊豫委員、加藤静子委員、西郷委員、津谷委員、福田委員、宮本委員及び森委員が欠席でいらっしゃいます。
 御出席いただいた委員が委員総数の3分の1を超えておりますので、会議は有効に成立しております。
 では、最初の議題に入らせていただきます。
 それでは、これから、冒頭御説明申し上げましたとおり、当審議会の会長の選出を行っていただきたいと存じます。
 社会保障審議会令第4条に定めるところによりますと、「審議会に会長を置き、委員の互選により選任する」となっております。
 選出の方法につきましては、「委員の互選」となっておりますので、皆様方にお諮りいたしたいと存じます。どなたか御意見等ございませんでしょうか。

○政策企画官 大日向委員、よろしくお願いします。

○大日向委員 我が国の社会保障や経済に大変御造詣が深くいらっしゃいまして、これまでもさまざまな分野で御活躍をされてこられました西村周三委員に会長をお願いしてはどうかと思いますが、皆様いかがでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○政策企画官 ただいま、大日向委員から、西村委員に会長をお願いしたらどうかとの御発言がございましたが、いかがでございましょうか。

(「異議なし」と声あり)

○政策企画官 ありがとうございます。
 それでは、御異議がないようですので、西村委員に本審議会の会長をお願いしたいと存じます。西村委員、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、早速で恐縮でございますが、西村委員には、会長席にお移りいただき、以後の進行をお願いいたしたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

(西村委員、会長席に移動、着席)

○西村会長 ただいま、会長と仰せつけいただきました改めて西村でございます。
 この審議会は、今、まさに日本の国民的課題でございます社会保障を審議する重要なものと心得ています。この審議会の会長ということを仰せつかり、重責に身が引き締まる思いでございます。
 いろいろと不手際があるかもしれません。円滑な会の運営に努力いたしますので、どうか御協力を賜りたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入りたいと思いますが、最初に、社会保障審議会令第4条第3項に定めるところにより、「会長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する」となっております。
 この定めに基づきまして、会長代理をお願いしたいと思いますが、御経験が豊富な山崎委員にお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。
 山崎委員、よろしくお願いします。

○山崎委員 お引き受けさせていただきます。
 プロ野球の指名代打と違いまして、会長に事故があるときのみの職務代理でございまして、くれぐれもそういうことのなきよう御自愛くださいませ。

○西村会長 それでは、この委員会は皆様の所属なさっている分科会及び部会が大変重要というふうに聞いております。
 社会保障審議会令第5条第2項及び第6条第2項の定めにより、分科会については厚生労働大臣が、部会については社会保障審議会会長がそれぞれ属する委員を指名するということになっております。
 この定めに基づき、委員の皆様の所属する分科会及び部会について資料2に「社会保障審議会委員の所属分科会・部会一覧」がございます。それを御確認いただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。

○政策企画官 カメラの皆様方はここで御退室をお願いいたします。

(報道関係者(カメラ)退室)

○西村会長 それでは、次の議題に移りたいと思います。
 「議事の2」でございます。社会保障・税一体改革、社会保障制度改革国民会議の動き、及び「議事の3」平成25年度厚生労働省関係予算案等について、事務局から一括して説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○参事官(社会保障担当) まず議事の2、資料3の御説明をいたしたいと思います。
 「社会保障・税一体改革、社会保障制度改革国民会議について」でございます。
 1ページでございますが、本社会保障審議会の皆様方には、昨年の春でございましたけれども、社会保障・税一体改革の大綱あるいは法案が提出をされたタイミングでその中身について御説明をいたしました。
 本日はその後の状況について御報告をいたしたいと思います。
 2ページをごらんいただきたいと思います。
 上に平成24年2月17日、「社会保障・税一体改革大綱」が閣議決定をされまして、3月30日でありますけれども、子ども・子育て関係の法案、年金関係の法案、税制抜本改革の法案が閣議決定をされ、国会に提出をされております。
 その後、この法案について、5月に国会審議に入りまして、7法案が審議をされました。
 6月になりまして、民主・自民・公明の3党の協議が始まりまして、その協議を踏まえまして、提出をいたしました法案の修正と追加の議員立法の提出がなされております。
 6月26日でありますけれども、衆議院においては、関連8法案になりましたが可決をされまして、参議院に送られました。参議院においても審議が行われまして、8月10日、関連8法案が可決・成立をいたしております。
 それにおくれて、11月に臨時国会がありましたけれども、国民年金法等の改正法案、年金生活者支援給付金法案という法案についても成立をいたしまして、関連の法案がこういう形で成立をいたしております。
 3ページでございますが、政府原案と国会での審議を踏まえて修正がされ、実際成立いたしました法案のリストでございますが、政府原案は左の方の7法案、修正の結果、追加の議員立法もなされまして、全体で10法案の一体改革の関連法案が成立をしております。
 4ページでございますけれども、「成立した社会保障・税一体改革関連法」の法律の全体のリストでございます。
 社会保障制度改革推進法、これは後ほど御説明いたしますけれども、議員立法で、改革の基本的方針と、社会保障制度改革国民会議(以下、国民会議という)の設置が定められた法案が成立をいたしております。
 子ども・子育ての関連については3法律。
 年金の関係では、国庫負担を2分の1に恒久化する法律。
 被用者年金について一元化をする法律。
 国民年金法について、24年度、25年度の基礎年金の国庫負担割合を2分の1にするとともに、従来、物価スライドについて特例を講じておりまして、それを解消することを中身とする法律が成立をいたしております。
 年金生活者支援給付金法で、これは新たに低所得高齢者・障害者等に対して、福祉的給付をするという中身の法律でございますけれども、それが成立をし、国税、地方税について関連する法律が成立をいたしておるわけでございます。
 5ページでございますけれども、国民会議に関連いたしまして、社会保障制度改革推進法がどういうものかを1枚の紙に整理をいたしております。
 議員立法でございますけれども、第1条には今後の社会保障制度改革の基本的事項をこの法律が定めるということと、国民会議を法律に基づく会議として設置をするということが目的としてうたわれております。
 2条から3条が「基本的な考え方・国の責務」として4つの基本的な考え方が示されております。
 自助・共助・公助の最適な組合せを行うこととか、社会保障の各制度の機能の充実、重点化・効率化を合わせて同時に行うということ、年金・医療・介護は社会保険制度を基本とするというようなことがこの基本的な考え方に書かれております。
 第4条の「改革の実施及び目標時期」に関してでありますけれども、次の5条から8条に書いてあります基本方針に基づいて改革を政府は行うべしということと、その結果、必要な法制上の措置については、法律施行後1年以内、この法律が昨年の8月に施行されておりますので、今年の8月ということになりますけれども、それまでに国民会議の審議結果を踏まえて必要な法制上の措置を講ずるということになっております。
 「改革の基本方針」でありますけれども、改革をすべき内容としては4つの分野、マル1からマル4ということで書いてあります。その中に、公的年金制度に関しては、財政の現況とか、見通し等を踏まえて、国民会議で検討して結論を得るということでありますとか、医療保険制度に関しては、国民皆保険を維持するということでありますとか、今後の高齢者医療制度については、状況等を踏まえ、必要に応じて国民会議で検討し、結論を得るというような表現で位置づけられております。
 介護保険制度では、介護サービスの効率化・重点化を行うということ。少子化対策では、人生の各段階に応じた支援を行う、あるいは待機児童解消策等の推進に向けた措置を講ずるというようなことが基本方針として書いてあります。
 第9条から第15条までは、国民会議についての規定でありまして、内閣に国民会議を設置する。委員は20人以内ということで総理が任命をするということで、国民会議の設置の根拠規定がこういう形で設けられております。
 6ページに参りまして、国民会議でございますけれども、「2番、委員」のところでありますが、総理大臣の任命で、有識者の方々、いわゆる学識経験者の方々で15名から構成をされて任命をされております。
 この中には、本社会保障審議会の委員の方々も含まれております。
 開催の経緯でありますけれども、第1回目は11月30日に開催をされまして、意見交換がなされております。第2回は12月7日でありましたけれども、このときには、国民会議で議論すべき分野としての4分野、医療、介護、年金、少子化対策でありますけれども、それぞれの分野について、厚生労働省の社会保障審議会の各部会がありますけれども、4部会長から現状と課題についてプレゼンをいただきまして、それに基づいて意見交換を行うということを第2回目にはいたしております。
 その後、政権交代がありましたけれども第3回は1月21日に新政権のもとで開いております。これまでの議論がどういうものであったかを確認するとともに意見交換をし、今後の段取りということについては、2月になりますけれども、ヒアリングを2回程度開催する。財界、労働界、あるいは地方団体等からのヒアリングをするということにしようと。
 あわせて事業者の方々、個別の分野、医療、介護とかそういう事業を行われておる方々からは、医療・介護を議論する会がその後設けられますので、その際にヒアリングをするということにしてはどうかということで、議論の今後の進め方の整理がなされております。
 最後に7ページは、国民会議の検討項目ですが、既に御説明をいたしましたように、社会保障制度改革推進法の中で、国民会議のミッションが規定をされておりますと同時に、国民会議の発足を定めましたこの基本法が与野党の3党の修正協議の中ででき上がっておるものですから、国民会議のミッションについても3党の協議がなされまして、社会保障制度推進法に書かれたものとほぼ同じでありますけれども協議で合意をされ、この医療・介護・年金・少子化ということについて、国民会議で議論をしてほしいという整理がなされておるものでございます。
 資料3については、以上でございます。

○大臣官房会計課長 引き続きまして、会計課長をしています池永と申しますが、私のほうから予算の関係の説明をさせていただきたいと思います。
 お手元に資料を4種類ほど用意しております。
 4-1というものが「補正予算(案)の概要」というものです。4-2が「平成25年度予算案の概要」という資料、4-3が青色の表紙の冊子ですが、主要事項をまとめたものでございます。4-4が「生活保護制度の見直しについて」ということでございますが、4-1と4-3は詳しい資料でございますので、必要に応じてお時間のあるときに御参照いただければと思います。
 私のほうからは、今週の火曜日に政府案が閣議決定されました来年度予算の概要について御説明をさせていただきます。その上で、その中の1つの大きな事項でございます生活保護に関しては、担当の局長のほうから後ほど御説明するという形でさせていただきたいと思います。
 それでは、4-2の「平成25年度予算案の概要」をごらんいただきたいと思います。
 まず、1ページ目に厚生労働省の予算の全体像がお示ししてございます。25年度の予算案、29兆4,321億円というふうになってございます。その右に、前年度の増減が書いてございますが、2兆7,000億円を超えるものと、やや大きくなってございますが、これは(注1)、(注3)のところに書いてございますが、少し特殊な事情がございます。
 24年度の予算につきましては、当初予算では、年金の国庫負担2分の1と36.5%の差額分は、当初は交付国債により確保するというふうにされてございました。
 したがいまして、この関係の予算は、24年度の当初予算には含まれていないということでございました。したがいまして、当初予算との比較では、やや大きな数字になってございますが、これを加味して実質考えますと、(注3)のところにございますが、一般会計は対前年度比で0.9%増という形になっております。
 一般会計の中の大宗を占める社会保障関係費につきまして、その内訳を見たものが次の2ページ目になります。
 年金、医療、介護、福祉等、雇用、それぞれについて、内訳を記してございます。
 右側に円グラフで割合を示してございますが、全体はごらんいただいたような状況になってございます。こちらも先ほどの全体像と同じでございますが、年金について、対前年と比べると大きくなっているのは、先ほど申し上げたような特殊な事情があるということでございますので、それを実数を加味して考えますと、(注3)にございますが、社会保障関係費の部分で申し上げますと、0.8%増という形になってございます。
 3ページ目をごらんいただきたいと思います。特別会計の全体図でございます。労働保険特別会計、年金特別会計、東日本大震災復興特別会計の関係の全体をお示ししてございます。
 4ページ目以下が今回の予算の主要事項、ポイントをまとめたものでございます。今回の予算は、基本的に3つの考え方で整理をしてございます。
 1つは政府の予算編成の基本方針に沿い、与党の予算編成大綱に沿って取りまとめるということ。政府の方針の中で3つの重点分野がございます。「暮らしの安心・地域活性化」、2つ目が「復興・防災対策」、3つ目が「成長による富の創出」ということでございますが、この3つの重点分野に沿って取りまとめるということ。3つ目の考え方が補正予算と合わせて15カ月予算の考え方に沿って、補正と一体で編成をするということが3つ目の考え方でございます。
 一般会計の全体像は先ほど申し上げたものでございますが、4-1のところの最初のところをごらんいただきますように、補正予算では経済対策として7,000億円ほど盛り込んでございます。こちらと一体となって編成をしていくということでございます。
 4ページ目以下でございますが、まず子育て関係でございますが、こちらは4ページ目の下にございますように、補正で待機児童解消のための保育士確保のための対策を盛り込んでございますが、それに加えて、従来から進めております保育所の受入児童数の拡大等、保育の充実のための予算を確保しているということでございます。
 5ページ目に移っていただきまして、一番上のところでございますが、妊婦健康診査の公費助成の関係でございますが、こちらは従来、補正予算で毎年基金を積んでまいりましたが、来年度以降につきましては、地方財源を確保した上で、恒常的な仕組みに移行するということとしてございます。
 「医療・介護等」の関係でございます。
 医療保険の関係でございますが、1つは夏以降の課題でございました協会けんぽの関係でございますが、こちらは現在の24年度までの特例措置を2年間延長するということで整理をしてございます。
 後期高齢者支援金の3分の1を総報酬割とする。国庫補助率を16.4%にするということでございます。
 あわせて夏以降の課題でございました高齢者の医療の70~74歳の窓口負担の軽減の関係でございますが、こちらも5ページ目の下にございますように、補正予算で当面1割を継続する措置に必要な経費を盛り込んでいるということでございます。
 この措置のあり方については、ここにございますように世代間の公平あるいは高齢者に与える影響について、引き続き検討し、早期に結論を得るということとされているところでございます。
 6ページ目でございますが、医療提供体制の関係でございますが、こちらも6ページ目の少し下のほうになりますが、点線の枠囲みにございますように、補正予算で災害医療、在宅医療、地域の医師確保対策に取り組むということをしてございますが、それに加えて本予算のほうでも小児の在宅医療あるいは薬局を活用した在宅医療、さらにはへき地救急医療への充実といったところとともに、従来から進めております医師確保対策としての「地域医療支援センター」の拡充を盛り込んでいるところでございます。
 次の7ページ目に移っていただきますが、がんの関係につきましては、早期発見あるいは緩和ケア等の整備、職業生活の両立といったところにも取り組むということとしてございます。
 難病関係でございますが、こちらも夏以降の課題としてございました。
 難病の医療費助成につきましては、今年度、約350億の予算でございましたが、90億ふやして、地方の超過負担を今年度より減少させるということとしてございます。
 あわせて、さらに将来に向かって、より公平で安定的な難病対策の確立に向けた取組みを進めるということで、総務大臣、財務大臣、厚労大臣の合意の中にも趣旨を盛り込んだところでございます。
 7ページ目の一番下のところでございますが、子宮頸がん等ワクチンの定期接種化の関係でございますが、こちらも従来、補正予算で毎年手当てをしておりましたが、来年度以降、地方財源を確保した上で、予防接種法の改正法案を今国会に提出するという予定にしてございます。
 8ページ目、認知症関係でございますが、「認知症施策推進5か年計画」に沿って、早期の診断、早期の対応に力を入れて取り組んでいくということとしてございます。
 9ページ目の年金関係でございますが、国庫負担2分の1に必要な財源を確保した上で、必要な経費を盛り込んでおりますが、年金の紙台帳とコンピュータとの突合の関係は、来年度被保険者に取り組み、ほぼめどがつくという形の予算になってございます。
 障害者の関係は、補正予算でも災害時の在宅の障害者の備えに必要な経費を盛り込んでおりますが、それに加えて本予算でも社会参加の機会の確保、あるいは住まいの確保に必要な予算を計上してございます。
 10ページ目の下にございますが、生活保護の関係は、生活保護の適正化、生活困窮者の自立・就労支援対策を強化するための事業に必要な経費を盛り込んでございますが、生活扶助基準等の見直し等につきましては、後ほど別の資料で担当局長のほうから御説明をさせていただきます。
 11ページ目に移っていただきますが、生活扶助基準の見直しとあわせて、不正受給対策、あるいは後発医薬品の原則化を含む医療扶助の適正化、あるいは自立・就労支援等の強化といったところに総合的に取り組むこととしてございます。
 関係の点線の枠囲みの下にございますが、厚労省の予算、直接的な予算ではございませんが、福祉事務所のケースワーカーの増、嘱託員の手当てについて、地方交付税の算定基準の配慮ということもあわせて取り組むということで、参考までに記してございます。
 生活保護の適正化、自立・就労対策でございますが、生活保護世帯の養育相談あるいは学習支援、さらには就労機会の提供といったところに取り組むということとともに、就労自立促進につきましては、福祉事務所とハローワークが求職情報を共有化した上で、共同して取り組むということで、これを全国的に展開していくために必要な予算を計上してございます。
 12ページ目が「雇用・労働」関係でございますが、若者、女性、地域の雇用の創出といったところに力を入れて取り組んでいるということでございます。
 13ページ目に移りますが、非正規雇用の方の雇用の安定・処遇改善といったところにも必要な経費を盛り込んでございます。
 14ページの2つ目の重点事項でございます復興・防災関係でございますが、応急仮設住宅、まだ必要な経費がございますし、そのための必要な経費、医療・介護等についての一部負担金や保険料免除措置の軽減措置の延長に必要な経費を盛り込んでいるというところでございます。
 15ページ目でございますが、災害関係は、水道施設あるいは医療施設、社会福祉施設の耐震化につきまして、本予算の補正とあわせて取り組んでいくということとしてございます。
 最後の3つ目の柱になりますが、「成長による富の創出」ということでございますが、厚労省は医療分野のイノベーションという中で、特に基礎研究をいかに臨床応用につなげていくかというところにその役割を持ってございますが、そのための関係の経費として、特に来年度は創薬の支援の機能を強化するための経費、治験環境を整備するための経費に引き続き取り組んでいくということでございます。
 あわせて審査・安全対策の充実、新しい技術の有効性・安全性を評価するためのガイドライン作成等を含んだ取り組みを進めるということとしてございます。
 17ページになりますが、研究関係でございますが、がんあるいは難病・希少疾病等、8つほど重点領域がございますが、その中の特に創薬につながる研究の開発に強化をしていくということとしてございます。
 あわせて、再生医療の実用化に向けて、必要な支援についても本予算でも取り組むということとしてございます。
 18ページでございますが、個別化医療等の推進ということで、臨床と研究所とあわせて持つナショナルセンターを核とした研究の推進もあわせて盛り込んでいるということでございます。
 以上、来年度予算のポイントについて説明申し上げました。

○社会・援護局長 それでは、生活保護の関係について、補足的に御説明を申し上げたいと思います。
 資料4-4をごらんいただきたいと思います。
 1ページ目をごらんいただきたいと思います。生活保護制度全体の見直しについては、先ほど説明がありました3党合意に基づいて、社会保障制度改革推進法に方向が書かれてございます。その1ページの下の枠囲いの中でございますが、1つは不正受給に対して厳格な対処を行うということ。2つ目に、生活扶助や医療扶助等の給付水準の適正化を行うということ。3つ目として、保護を受けている世帯の就労の促進を行うということ。この3つが法律に規定をされております。
 併せまして、その上の絵をごらんいただきたいのですが、もちろん生活保護制度そのものも非常に大切で、ここで生活保護法の中に就労支援の仕組みを盛り込むとともに、生活保護に至る前、その周辺の困窮者層もしっかり支援をしていかないとこの問題は解決をしないということで、いわば第2セーフティネットのようなものを社会保険制度と生活保護の間にしっかり設けていくと。ここを強化し総合的に実施をするということが社会保障制度改革推進法で規定をされているというところでございます。
 この方針に基づいて、具体的にどういう施策を立てていこうとしているかというのが2ページでございます。
 柱が3つございます。1つは生活保護法の改正でございます。不正・不適正受給対策の強化、生活保護の予算の半分を占めます医療扶助の適正化、この中では特にジェネリックをもう少しお使いいただく方策を立てたいというふうに考えております。
 生活保護の仕組みの中に、就労・自立を促す仕組み、働けば手元にもう少しお金が残る仕組み、あるいは保護を脱却するときに、少しまとめてお金を手渡せる仕組みなども考えたいということでございます。
 2つ目の柱、いわゆる第2セーフティについて、新しい法律をつくれないかということで検討をしております。
 生活保護に至る方については、福祉事務所が対応しているわけでございますが、それの手前の方々あるいは周辺の方々の相談の仕組みがまだ弱いということで、ここに包括的な、そして早くアウトリーチができる相談の仕組みをしっかりつくるということ。就労支援をしっかりやりますが、その前段階の生活訓練や社会訓練をする仕組みをしっかりつくる。職と一緒に住まいを失うというケースが大変ふえておりますので、住まいだけでも手当てができる仕組みというのを、今、予算でやっておりますが、これを恒久的に仕組めないか。子どもですとか、若者、貧困の連鎖の問題にしっかり取り組めないかということで、こういうことを自治体に実施をしていただくための新たな法制度がつくれないかということで検討しているところでございます。
 3つ目が生活保護基準の見直しということでございます。
 この3つの柱で特別部会、生活保護基準部会のほうで御検討をいただきながら、それをもとに対策を立てているということでございます。
 今回、生活保護基準のところは予算で、法律については何とかこの通常国会に出せないかということで鋭意準備を進めているということでございます。
 基準の見直しについては、3ページに簡単な考え方がお示しをしてございます。生活扶助基準については、適正化を図るということで、マル1、マル2というふうに書いてございますが2つの考え方で生活扶助の基準を見直しております。1つは生活保護基準部会において検証していただきましたが、今の扶助の基準が一般の低所得者世帯と比べて、年齢・世帯人員・地域差で見たときに、よい形になっているかどうかということで検証をいただきました。
 実際の低所得の世帯の消費の構造とやはりずれている部分があるということで、ゆがみを修正するということを1つやりたいと思っております。ここは、水準そのものを上げる、下げるではなくて、いわば生活保護の中でのゆがみの修正というふうにお考えいただければよろしいかと思います。
 もう1つ、高さについては、マル2にございますが、前回の見直し以降、物価等を勘案した調整を行っておりませんので、平成20年以降の物価の動向を勘案して、物価が下がった分だけは生活扶助の基準についても下げさせていただくということをやるということでございます。
 これで、財政効果としては、670億ほど出ております。
 もう1つだけその下にございますが、期末扶助、いわゆる年末の餅代でございます。これにつきましても、単価は1人当たり1万4,180円という考え方でやっておりましたが、人数がふえると人数倍しておりましたが、一般の御家庭ですと、やはり家族の人数がふえればスケールメリットが働くということでございますので、それを反映した形にさせていただいております。ここで財政効果が70億というふうに出ております。
 あとは細かい考え方等の資料が載っております。5ページには特にそれぞれの世帯にどういう影響があるかということが出ておりますので、後でごらんをいただければと思います。
 こういう基準の見直しをしてやっておりますが、生活保護全体としては、保護の対象人員もふえますので、先ほどの予算の資料を後で見ていただければと思いますが、去年に比べて1%ほどの増の予算ということになっております。
 以上でございます。

○西村会長 どうもありがとうございました。
 それでは、今までの説明に対して、御意見、御質問等を御自由に伺いたいと思います。
 挙手を願うとありがたいと思います。
 どうぞ。

○中川委員 資料3の一体改革と社会保障制度改革国民会議についてという資料の5ページ目なのですが、社会保障制度改革推進法のポイントという整理がありますが、「改革の基本方針」(第5~8条)というところのマル2医療保険制度の国民皆保険の維持と書いてありますけれども、社会保障制度改革推進法には国民皆保険の維持という言葉はないのです。これはどういう解釈かと。社会保障制度改革推進法には、法律に基づく医療保険制度に原則として全ての国民が加入する仕組みを維持するとありますが、この解釈が国民皆保険の維持ということだというふうな解釈を厚労省がしているという意味ですか。いかがでしょうか。

○政策統括官(社会保障担当) この資料そのものは、内閣官房社会保障改革担当室のほうで整理をしている資料でございますので、私どもは表現が国民皆保険の維持という表現ではありませんけれども、国民皆保険を維持していくという考えで規定されているというふうに理解をして、こういう資料がつくられているというふうに考えております。

○中川委員 よくわからないのですけれども、この紙は内閣府がつくった資料ですか。

○政策統括官(社会保障担当) この資料そのものは、国民会議の事務局である内閣官房社会保障改革担当室で作成したものです。この資料は国民会議にも提出されている資料でございますので、その資料をいただいて、それを今日お配りをさせていただいているという形でございます。

○中川委員 いや、ですから、解釈として。

○年金局長 年金局長ですが、社会保障制度改革推進法の取りまとめの過程で、内閣官房の職員として担当しましたので申し上げますが、自公民3党は、国民皆保険を維持するということを前提に議論しておりますので、内閣官房の解釈という問題ではなくて、今の自公民3党は、基本的には皆保険体制を維持するということを前提にこの法律をつくったと。これは当時の担当していたそれぞれの各党の代表の議員の方々の議論から明らかであります。

○中川委員 そういう解釈、経緯はわかりました。そこの原則という言葉がついているのがどうなのかというのが1つ聞きたいこと。政府のこういう文章には、それまで国民皆保険を堅持すると理解できる言葉があったのです。原則としてがついたことと、維持するという言葉に変わったということの意味は、今までの国民皆保険を堅持するという意味とイコールだと考えてよろしいということですね。

○年金局長 6条の条文を読み上げます。「健康保険法、国民健康保険法、その他の法律に基づく医療保険制度に原則として全ての国民が加入する仕組みを維持するとともに、次に掲げる措置その他必要な改革を行うものとする」とありますので、恐らく法律用語として堅持というのは使いませんので、この表現が法律の表現でそのものどおりに御理解いただければと思います。

○西村会長 次に行っていいですか。

○中川委員 しつこいようですが、法律ではなく3党合意にも、国民皆保険の堅持、維持という言葉がなく、原則として維持するという言葉があったので、あえて質問しているのです。そういう解釈でいいのですね。

○政策統括官(社会保障担当) 私どもはそういう解釈をしております。
 中川先生の御指摘、御関心のところはよくわかるのですけれども、条文そのものは内閣提出の法律ではないものですから、議員のほうで提案された条文ですから、、私どもの用語とぴったり合っていないものはあると思いますけれども、考え方は同じだというふうに私どもは受けとめております。

○中川委員 私どもはとはどういう意味ですか。

○政策統括官(社会保障担当) 政府はという意味です。

○中川委員 揚げ足を取るわけではないですが、「政府は」ですか。

○政策統括官(社会保障担当) そうです。法律そのものは議員で作成されたものですから、政府はそれをこういうふうに解釈しているという意味でございます。

○中川委員 では、今までの政府の方針と何ら変わりはないという意味ですね。

○政策統括官 (社会保障担当) 皆保険を維持していくという点では同じだという考え方です。

○中川委員 わかりました。ありがとうございます。

○西村会長 ほかに。どうぞ。

○斎藤委員 私から3点申し上げたいと思います。
 第1は社会保障給付の効率化・重点化への取り組みの強化でございます。皆保険、皆年金制度を持続可能なものとするためには、膨張する社会保障給付からぜい肉をそぎ落とし、制度を筋肉質にしていくことが必要と思います。
 国民全体でこの制度を大切に使っていこうという意識の向上も肝要かと思います。
 例えば、70~74歳の医療費の自己負担割合につきまして、皆保険制度を大切に使っていくためにも、また、世代間の負担の格差を是正するためにも、速やかに本則の2割に戻していただくべきと思います。
 これと併せまして、要支援、軽度の要介護者への給付の見直しや、年金給付のデフレ下におけるマクロ経済スライドの発動など、制度の持続可能性の向上に向けた改革の推進が不可欠であると考えます。
 第2は、健康の維持増進や疾病予防等の予防医療の推進でございます。健康寿命を少しでも長くできれば、QOL、生活の質を向上させることができますし、結果として医療や介護費用の軽減も期待できるものと考えます。
 本年4月から第二次健康日本21がスタートをすると承知をしておりますが、厚労省をはじめ政府全体としてこの面での強い発信力を期待したいと思います。
 第3は、経済成長と両立する制度改革の実現でございます。
 これ以上の社会保険料の負担増は、企業の国際競争力を奪い、個人消費や雇用にも大きなマイナスの影響を及ぼすこととなります。
 とりわけ現役世代が加入する健保組合は、高齢者医療への多額の支援金や納付金の負担により、約9割が赤字でありまして、解散も相次いでおります。まずは前期高齢者を含む高齢者医療への税投入割合を拡充すべきというふうに思います。
 さらに、後期高齢者支援金における総報酬割の全面導入や介護納付金への総報酬割の導入は、協会けんぽに対する国庫補助を肩がわりさせるものでありまして、到底容認することができません。この点に関しまして、多くの雇用を抱える電機・自動車等、主要産業界から国内の雇用機会の喪失を招くものであるとして、これを容認することができないという強い意見表明に接しております。
 また、健保連の集計によりますと、多くの健保組合におきまして、保険料収入の約5%を健康診断や保健指導等に充て、病気の予防に努めている状況にございます。保険財政がさらに窮迫することになりますと、こうした保健事業によって、医療費の適正化に取り組むといった保険者機能の発揮も大変厳しくなるものと危惧しております。
 高齢者医療制度の全体像を描かぬままに、取れるところから取るという方策は、企業の競争力を低下させることとなり、経済再生を最重要課題に掲げる内閣の方針に逆行することにもなりかねないと思います。
 こうした点を踏まえまして、総報酬割の導入につきましては、ぜひ慎重な取り扱いをお願いしたいと思います。
 以上でございます。

○西村会長 どうもありがとうございました。
 事務局のほうで何かお話ございますか。

○健康局長 健康局長でございます。
 ただいまの御指摘の中で、健康日本21というものが出てきました。健康日本21を担当しております健康局といたしましては、今年の4月より健康日本21の第二次計画がスタートいたします。そのため、昨年見直しを行いました基本的な方針の中で、生活習慣病の発症予防、重症化予防を徹底することによりまして、その結果、社会保障制度が持続可能なものとなるようにすることも基本指針の中に入れて、生活習慣病ですとか、そういうものの発症予防、重症化予防をすることによって、結果的に医療費の伸びというか、医療費の適正化が図れるようにこれからも頑張っていきたいと思っていますし、本日、ここに委員として永井先生がおいででございますが、永井先生は日頃から、予防医学、予防医療というものが重要だということで、日頃からいろいろと御指導をいただいておりますので、これからも頑張っていきたいというふうに思っております。
○西村会長 斎藤委員の1点、3点は私の承知するところでは、国民会議の重要議題というふうになっていると聞いておりますので、鋭意進めていただきたいと思います。
○保険局長 今、会長が御指摘いただいたとおりでございますが、1点目の70~74歳の問題、これも医療保険部会でも議論をいただきましたが、早急に戻すべきという意見とともに、慎重にという御意見もありました。それを踏まえて、政府全体でも議論をして、先ほど補正予算のほうにありましたように、当面これを継続するけれども、両面あるところを早急に検討して結論を得るというところで、さらに公平の観点も踏まえた議論を加えていきたいというふうに思っております。後期高齢者医療制度、あるいは前期高齢者への支援金の話も含めまして、高齢者医療制度のあり方全体像をきちんとやるということも御指摘いただいたとおりで、3党でも御協議いただきますが、本会議の大きな重要な議題にもなろうかというふうに考えております。
 以上です。

○西村会長 それでは、吉川委員、どうぞ。

○吉川委員 幾つか発言をさせていただきます。
 最初は、財政と社会保障のかかわりでございます。財政赤字が大変だということは、皆さん御承知のとおりですが、財政の健全性の基準ですが、何で見るか、いろいろな議論があるかとは思いますが、最終的には公債のGDPに対する比率、ネットGDP比が最終的に重要な指標になるわけですけれども、政府の最新のプロジェクションは昨年の8月に内閣府がやった試算だというふうに理解しておりますが、これには御承知の消費税を5%から段階的に10%まで引き上げた効果等も既に入れ込んであるわけですが、現状では、消費税が10%に引き上げられたとしても、およそ200%に近い公債、ネットGDP比は、上げ止まらないと。いまだに上がり続けているという姿になっているわけです。
 ですから、財政はそういう状況であると。そういう中で、財政、とりわけ歳出面を見ますと、やはり社会保障関連の歳出の伸びが大きいわけですね。
 ですから、こういうことを踏まえますと、社会保障については、私が給付面でも賢い効率化を今後進めていかなければならないと。各論はいろいろなことがあると思いますが、そのことが避けられないと思います。これが第1点です。
 第2点は、このことと関連するのですが、既に斎藤委員から御発言がありました70~74歳の方々の医療費の負担を法律で決まっているものを1割に抑え込むと。先ほど1,900億円くらい補正で支えると。これは私の財務省の財政制度等審議会の委員もやらせていただいているのですが、財政審のほうでは、ほぼ全員こういうことはやめるべきだと、私も個人的にもそう思います。
 先ほど、保険局長がこちらの部会でも議論があったけれども、両論あったということのようですが、これは先ほどの中川委員から御発言のあった皆保険を維持するためにもこういうことをやっていたらだめだというのが財政審の委員の方々の御意見でした。
 私が知るところでは、財政審の委員の方々も含めて、医療保険について言えば、皆保険を維持すべきということに異論を持たれている方は1人もいらっしゃらない。
 そういう中で、医療保険をきっちり堅持するためには、必要なところはやはりお金の面で工夫していかなければいけないというのが財政審のメンバーの方々の御意見でしたので、紹介させていただきます。
 最後に、少し長くなりますが、同じく財政審で生活保護のジェネリック、後発薬の使用について、実は財政審で30~40分議論をいたしました。
 そこでの問題は、後発薬の薬効が、つまり新薬と比べて薬効が同じということが、生活保護の方々に後発薬の使用を原則化するというときの必要条件であって、ただその点が我々も厚労省のほうでどうなっているのか、後発薬というのが普通名詞で使われていて、普通名詞で使われている場合には、後発薬の中にも薬効が異なるものがあるということになると。
 一方で、後発薬といった途端に、薬効は同じだということが大前提になっているというのですが、そうであれば、薬効が同じ後発薬については明確なリストがなければ、医療関係者によって認定された明確なリストがなければおかしいはずだということになるわけですが、果たしてそこまで定義がはっきりしているのかどうか。
 いずれにしても、財政審のほうでは、そのようなことを議論して、財政審の委員の方々、私も含めてですが、当然生活保護の方々に原則化する。それは実は生活保護でない方にとってもそのほうが合理的になるわけですけれども、薬効が同じという点がどれほど明確に定義あるいは担保されているのか、このことを厚労省に問いたいというような御意見があったことを御紹介させていただきます。
 長くなりました。

○西村会長 最後の論点は何か、事務局、答えの用意はございますか。
 薬務の局長はおられないので。

○社会・援護局長 薬効の問題は私からお答えはできませんので、ただ1つだけ考え方を。
 今回、ジェネリックを原則にしていくということですが、1つはお医者さんが何のお薬を処方するか、これは医療の専門家の方が何を処方するかを決める。それがまず大前提であって、ジェネリックでいいという処方が出れば、それは原則ジェネリックを使っていただくということです。
 お薬ですから、例えばどうしても前に効かなかった、何かトラブルがあったなど、そういう正当な理由があったら別のお薬を使うという健康面のことをきちんと担保しながら、お財布の中を見て決めるというプロセスがどうしても生活保護受給者にはありませんので、そこは専門家であるお医者様から勧めていただくようなことができないかということで、関係のところとよく御相談をしているところでございます。

○山崎委員 こちらの質問の関連で。

○西村会長 ではどうぞ。

○山崎委員 生活保護法を見直すということは、歴史的には大変なことでございまして、生活保護自体が時代の要請にこたえるべく自己改革していくという時期に差しかかっているのだろうと思います、それで、ただいまの吉川委員の御発言に関連いたしまして、別に生活保護に限らず、医療保険等、公的な医療共通の課題であるはずでございますが、にもかかわらずここで仮に生活保護のみに限定して後発医薬品の使用を促すということ、法制化するということにより、後発医薬品が低レベルだというようなイメージとか誤解を招くことになれば、かえって全体としての後発医薬品の普及・促進に支障を来すということを非常に懸念しておりますので、そのあたり適切な対応をお願いできたらというふうに思います。
 これはしたがって、保険局との共通のテーマだろうというふうに私は思っております。

○西村会長 駒村委員、何か補足ございますか。今のお話で。

○駒村委員 今の意見は山崎先生と同じ意見でございます。
 別の件ですので。

○西村会長 ああそうですか。では駒村委員、櫻井委員という順番で。

○駒村委員 資料4-4のところで、3ページ目で基準の見直しで3年間の効果、670億円にかかわるところなのですけれども、これは非常に単純な御質問で、物価上昇局面にこの間なった場合に、機動的に対応できるのかということをお考えなのかということだけでございます。

○西村会長 それでは、お答えを。

○社会・援護局長 これは今回5年に1回の構造的な問題も見直しをしましたが、毎年このファインチューニングをしていく仕組みがございますので、過去に非常に物価が急速に上昇したときは、年度途中の対応も考えたというようなこともございますので、そこは仕組みとしては担保はできているというふうに思っております。
 つけ加えて、先ほどのジェネリックの話ですが、ジェネリックは皆さんに使っていただくというのが当然で、その考え方の中で、生活保護受給者にはどういうふうにして使っていただくかという文脈の中で制度は考えたいと思っております。

○西村会長 それでは、櫻井委員、どうぞ。

○櫻井委員 私は行政法が専門なので、少し法律論でお伺いしたいと思っているのですけれども、社会保障分野というのは、メーンテーマは、今、いろいろな議論が出てきたような事柄が大体大宗を占めているのですけれども、制度というものの、法制度という意味ですけれども、重要性というのがやはり問題がだんだん深刻化している事案が多いとか、あるいは違法な行為をされる方の違法度が高いというようなこともあって、社会保障分野なので非常にナイーブな分野であって、そこに特段の配慮が必要だということは大前提なのですけれども、マージナルなところで、かなりいろいろな違法行為というのが顕著になるというようなことを踏まえると、法律的な議論というのをもう少しされるといいのではないかなというふうに全体として思っているのですが、まずは代表例としましては、先ほど議論がありました生活保護法の改正なのですけれども、これに不正・不適正受給対策の強化という項目が挙がっているようで、法改正も視野に入っているということなのですが、これも数年前でしたか、たしか遠藤先生が座長だったと思うのだけれども、介護保険法の改正をやりましたときに、私もかかわらせていただいたのですが、悪質事業者に対してどういう規制をするのかというあたりは、この分野にしては結構なかなか思い切った制度改正がされたのではないかというふうに思っておるのですが、この中で一種1つ重要なことは、自治体の調査権限強化ということで、行政調査をどういうふうに仕組んでいくかというのが1つの大きなテーマなのですが、とりわけ行政調査のやり方というのは、行政の手法という点で言うと非常におくれているといいますか、何となく任意でやっているというところになっているわけです。
 ところが、通常の受給者の方で少し問題があるような方というのがメーンなのですけれども、かなりセミプロ的な方もいらっしゃって、そういう人に対しては、違法行為に対して対抗していくという発想で、例えば犯罪捜査なんかですと、完全にそういう考え方に転換をしつつあるわけです。そうすると、その取っかかりになるのが行政調査なのですが、
一般論ですけれども、税務調査のあり方を見ましても、自治体の行政調査はものすごく動いていないと。そもそも制度自体がそれを許していないところもあって、やはりレンジを少し広げるのと、質を強化して、ツールを行政側が持っていないと、いざというときに使えるものがそもそもないというようなことがあるので、そのあたり、切れのいい仕組みを当該分野の特質を踏まえてなのですけれども、用意していく必要があって、その辺をどのぐらい考えておられるのか、調査権の権限強化と書いてあるけれども、範囲を広げるということなのか、調査のやり方に少し強制力を持たせるのか、あるいは別のもうちょっといろいろなやり方があるので、権限を連結していくというようないろいろな工夫がございまして、そのあたりを具体的に伺いたいというのが1点。
 同じような関心問題で、4-2の9ページの予算案のほうで違法ドラッグ対策の強化というのがあるのですが、これも麻薬取締法とかそちらの話ですね。これも包括指定とかでなかなか法律論的にはダイナミックな飛躍なのですけれども、それも含めて、違法ドラッグ対策の強化という中に制度論はどのぐらい入っているのかというところは、これは単純な御質問。同じ関連で、その下に年金がありまして、保険料徴収の仕組みというのがありますが、これは何も歳入庁とかにポンと行かなくても、保険料の徴収の仕方についても、これも特に警察法ですと、違法駐車の取り締まりも、やはり山のように違法行為があって、日常的にやって、それをどうやって効率的に対処していくのかというので、道路交通法の改正とかですと、かなりいろいろな工夫を凝らして、放置違反金をつくってみたり、放置違反金の徴収については、強制徴収ももちろんできるのですけれども、むしろ車検証とセットにして、車検を通さないよというところが、これは違う法律をドッキングさせて実効性確保の仕組みをつくっているのですが、それがある意味大成功しているというようなことがあって、保険料についても、もう少しいろいろな制度的な工夫の余地がたくさん、先端的な事例といいますか、現実に成功しているものがあって、そういうところにもう少し目配りをされるといいのではないかということで、これも同じですが、保険料の収納対策の取り組み強化というところに具体的にそういうことをぜひ視野に入れていただきたいというか、現状どのように考えておられるのかということを御紹介いただければと思います。
 以上です。

○西村会長 大事な御指摘をいただいたと思います。
 社会・援護局長、もし必要であれば年金局長、よろしくお願いします。

○社会・援護局長 まず、生活保護の関係なのですが、現時点で動いているものがありまして、これは制度を変えなくてもできるということで、例えば医療扶助に関しては、電子レセプトでほかと違う、あり得ないような受診行動があるとか、非常に高い診療費が出ているとか、そういうイレギュラーなもののピックアップを容易にできるようにする。
 あるいは、金融機関に聞くときに、今までは全部の支店に問い合わせていたものを、本店で一括照会できるようにするという調査の効率化を図るというところを、今、法律を変えなくてもできるので、まずやってみます。
 法律を変えて少しやりたいと思っていることは、福祉事務所の調査の範囲の拡大、例えば、就労活動に関する調査をできるようにする。
 官公署については、回答義務をつくれないか、例えば税務署からきちんとお答えをいただけるようにできないかといったことを考えております。そういうことで福祉事務所の手間をできるだけ軽くできないか考えております。
 まさにおっしゃったように、今まで犯罪に当たるようなものをなかなか告発ができずにいましたので、告発の目安となる基準を定めて、福祉事務所が動きやすくしたいと考えております。自治体とよく相談しながら、現場が持ちたい手段というのを幾つか入れていきたいということで、法改正議論をしております。

○西村会長 年金局長。

○年金局長 年金局長ですが、簡単にお話しをします。
 保険料の収納の問題は、2つのフェーズがありまして、1つは国民年金、国民年金は原則自主納付ということになっているので、基本的には納付の督励をするというのが収納対策になります。
 もう1つは、免除の制度があるのですが、免除の制度が十分活用されない、免除の基準になっている人が、免除を受けられないということ。免除を適用しますと、御案内のように、国庫負担分だけ給付がついて、無年金がなくなりますということで、基本的には所得のある方については納付督励をすると。
 この場合はいろいろ今でもコンビニで納付ができますとか、そういうやり方をしていますが、あとは免除をきちんとやる。
 一部非常に所得の高い方で、確信的な未納者については、場合によっては強制徴収というのも考えますが、現状ではまだ対象者全員に強制徴収するまでになっていません。
 厚生年金のほうは、基本的には納付の義務者が事業主になるので、国民年金のように払わないと給付がないという意味での、給付・反対給付関係がない方々になるので、そうするとある程度、そういう意味でいうと、租税と同じような構造になるということで、今、問題になるのは未適、小さい事業所で適用が漏れている、あるいは適用申請してこないというのが、実は収納というか未納の1つの大きなポイントなので、厚生年金全体として90%を超えている収納率なので、そういう意味では国民年金のような問題がないわけですけれども、基本的には未適の適用を上げる。これは足で稼いで、それこそ繁華街の小さな店で登録してこない水商売なんかをピックアップしていくということになるので、これは事務所と、あとは一部、今はもう既に民間事業者を活用して調査をしたり訪問したりみたいなことも始めておりますし、ここもある程度裏がとれれば、職権で適用してやるという形で動いている。基本的にはそういう段階でございます。

○櫻井委員 違法ドラッグのお答えがないのですけれども。

○西村会長 違法ドラッグですか。お願いします。

○医薬食品局 違法ドラッグ対策につきましては、新規物質の指定の迅速化ですとか、そのほか包括指定についても現在進めている状況でございます。
 それ以外に麻薬取締官による取締りを法改正でもってできないかということも検討している状況でございます。
 以上でございます。

○西村会長 もうお一方ぐらい、御意見等がもしほかになければ。ほかにございませんか。

○白波瀬委員 若干ぼんやりしたお話になってしまうかもしれませんが、生活保護の見直しについて意見を述べさせていただきます。
 不正・不適正受給については確かに問題でございますし、それを見逃してもよいというわけではありません。ただ、議論のバランスが悪い印象を受けます。不正・不適正受給に該当しない方も実際にいらっしゃるわけです。
 社会保障制度全体の見直しという観点からいうと、資料4-4の1ページに示されているボーダーのところが鍵になると思います。生活保護を最後の行き止まりの場所とせずに総合的というか、大きな枠組みで生活保護制度を見直そうというところが1つのポイントだというふうに思いました。ですから、制度自体に問題があるので不正・不適正受給があるということは、まさしくそのとおりではございますけれども、不正・不適正受給だけを強調するあまり、生活保護制度の全体像を見落とすようなことは避けなければなりません。摘発すること自体にもコストがかかりますし、もう少しバランスのある形での制度見直しの議論をお願いしたいと希望します。
 以上です。

○中川委員 先ほど、吉川先生から国民皆保険を堅持するということに対して誰も反対する人はいないとおっしゃっていただいたのは、非常にうれしいです。吉川先生だから特にです。
 ただ、日本国民が公的医療保険制度に入ってさえいれば堅持されたということではないと思うのです。現在、例えば若い世代は3割負担、70~74歳も本来2割、その先は1割と決まっていますが、この給付範囲はもう限界をある程度超えていると思うのです。最低限、この給付範囲を維持されて、初めて国民皆保険が堅持されたというふうに言えると思います。
 それと、こういう日本のすばらしい公的医療保険を支えているのは、公費と保険料と窓口一部負担です。その適切なバランスが必要だというふうに我々は一貫して主張しているのですが、先ほど保険料について、斎藤委員の御発言がありましたが、この資料3の7ページの検討項目の、医療の改革のマル2のところです。「保険料負担に関する公平の確保」というものがあります。これは我々が指摘していることは、例えば被用者保険を例にとると、協会けんぽの保険料率も100パーミルになっていて、ほかがずっと低い。これは所得の多寡と逆行しているのです。
 こういうことを意味しているのであれば、もう大賛成だと思うのですが、この辺のところは事務局、どうでしょうか。

○政策統括官(社会保障担当) 法律の言葉は非常に広い意味で書いてありますので、個別の例はついていませんけれども、私どもは一体改革の中では、例えば総報酬制の導入ということを検討するという方向が出ておりますので、そういうものも含めた広い意味ではないかというふうに考えております。

○中川委員 いや、総報酬割ではなくて、この7ページのマル2の「保険料負担に関する公平の確保」という意味です。

○政策統括官(社会保障担当) ですから、それは保険料負担に関する公平の意味というのは、このとおりの意味だと思います。保険料負担をできるだけ国民の間で公平に負担する。ただし、先生の御主張はよくわかります。

○中川委員 保険料率のことを含んで言っているのではないのですか。

○政策統括官(社会保障担当) いや、それは含んでいるかどうかは、保険料負担というものは公平であるということは必要だと、これは誰も否定しないと思いますが、その公平というのはどういう指標ではかったときということについては御意見があるので、これは国民会議でも御議論いただくということになるのではないかと思います。

○西村会長 今のお話を含めて、この社会保障審議会は、先ほども申しましたが分科会・部会が大変重要な役割を占めております。きょう出た御議論は、そういう場で続けていただくとありがたいというふうに思います。
 私から1点だけ申し上げさせていただくと、今回、生活保護に関して、ジェネリックの問題にかかわることとして嘱託医の存在は、ほんのわずかでございますが、手当をふやすという案がございます。本当に微々たる額なので残念なのですが、やはり医療のあり方そのものも含めて、ジェネリックにとどまらず、もうちょっと広い観点から御検討いただくとありがたいかと思います。
 恐らく、そういうことに関していうと、櫻井委員がおっしゃった違法行為を含めて、今、やはり一番コミュニケーションが足りないのは、国と地方自治体の双方のコミュニケーションではないかというふうに私は認識しております。そういう話も含めて、各部会で御検討いただくと大変ありがたいと思います。
 そろそろ予定の時間がまいりましたので、これで閉会したいと思いますが、何か特に、どうしてもという御意見がございましたらお受けしたいと思いますが、よろしゅうございますか。
 それでは、今日はどうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室

代): 03-5253-1111(7707、7708)
ダ): 03-3595-2159

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