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2013年2月8日 第1回「日本人の食事摂取基準(2015年版)」策定検討会 議事録

健康局がん対策・健康増進課

○日時

平成25年2月8日(金) 10:30〜12:30


○場所

厚生労働省共用第8会議室


○出席者

構成員<五十音順・敬称略>

雨海 照祥 (武庫川女子大学教授)
勝川 史憲 (慶應義塾大学スポーツ医学研究センター教授)
河野 雄平 (独立行政法人国立循環器病研究センター生活習慣病部門長)
木戸 康博 (京都府立大学大学院教授)
葛谷 雅文 (名古屋大学大学院教授)
熊谷 裕通 (静岡県立大学教授)
児玉 浩子 (帝京平成大学教授)
佐々木 敏 (東京大学大学院教授)
佐々木 雅也 (滋賀医科大学附属病院栄養治療部病院教授)
柴田 克己 (滋賀県立大学教授)
柴田 重信 (早稲田大学教授)
曽根 博仁 (新潟大学大学院教授)
多田 紀夫 (東京慈恵会医科大学教授)
寺本 民生 (帝京大学教授)
徳留 信寛 (独立行政法人国立健康・栄養研究所理事長)
中村 丁次 (神奈川県立保健福祉大学学長)
菱田 明 (浜松医科大学名誉教授)
深柄 和彦 (東京大学附属病院手術部准教授)

事務局

矢島 鉄也 (健康局長)
宮嵜 雅則 (がん対策・健康増進課長)
河野 美穂 (栄養・食育指導官)
芳賀 めぐみ (栄養専門官)
佐藤 礼子 (がん対策・健康増進課長補佐)

○議題

(1)食事摂取基準のこれまでの策定状況と課題について
(2)各領域における栄養・食事療法の課題について
(3)その他

○議事

○河野栄養・食育指導官 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第1回「『日本人の食事摂取基準(2015年版)』策定検討会」を開催いたします。
 構成員の皆様方には、御多忙のところ、御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 検討会の開催に当たりまして、健康局長の矢島から御挨拶申し上げます。
○矢島健康局長 健康局長の矢島と申します。
 構成員の先生方には、大変お忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございます。
 また、今回の食事摂取基準の見直しにつきまして、構成員をお引き受けいただきまして、ありがとうございました。
 御存じのように、ちょうど5年前にメタボ健診と呼ばれる、特定健診・保健指導が始まりまして、メタボだけではなく、そこで出てきますのは、糖尿病の予備群でありますとか、循環器疾患、動脈硬化の予備群であるとか、いろんな方々がそこから出てまいりまして、実際に現場で保健指導する段階では、病気になってから、例えば糖尿病になってからの食事指導ももちろん重要でございますけれども、その一歩手前の予備群の方々に対して、どういうふうに保健指導・栄養指導をしていくのか。重症化しないように、糖尿病を発症しないようにするのが大事ということが、現場では大きな課題になってきております。
 それから、最終的に、心筋梗塞、脳卒中を予防するためではあったのですが、その中で、慢性腎臓病、CKDの問題も浮かび上がってきました。慢性腎臓病を予防するためにも、どういう栄養指導・保健指導が必要なのかということも出てきました。
 そういう意味で、健康日本21、ちょうど今年4月から第2次が始まります。新しい健康日本21が始まりまして、その中では、生活習慣病の発症予防と重症化予防を徹底するとございます。この2文字が大事でして「徹底」という言葉が入っています。ただ単に発症予防する、重症化予防するのではなくて、発症予防、重症化予防を徹底するためには、何が必要なのかということで、私どもはいろいろと考えさせていただきまして、本日、先生方にお集まりいただいたわけです。例えば糖尿病でありますとか、高血圧、循環器系の疾患、動脈硬化、慢性腎臓病、そういう各分野にわたります先生方にも御協力をいただいて、最終的な生活習慣病発症予防・重症化予防を徹底するための食事摂取基準は、どうしたらいいかということを是非御議論いただきたい。
 糖質制限食だとか、脂質制限食だとか、いろんな議論がございます。その人その人にとって、いろいろな対応の仕方があると思いますけれども、現場の保健指導・栄養指導に携わる者にとって、科学的な根拠というものを是非つくっていただければと思っています。
 このような検討会を開催させていただきましたのは、厚生労働省として初めてであります。先生方もお気づきだと思いますが、今まで日本の中でこのような形で御議論する場はありませんでした。今回初めて、関係の学会にも御相談をさせていただいて、まとめさせていただくということでございますので、従来の食事摂取基準とは違った形で、日本で初めての仕組みを是非つくらせていただきたいと思っています。関係する学会の先生方、学問のいろんな分野の先生方とも調整をさせていただきながら、是非いいものをつくっていくことができればと思っていますので、作業は大変かとは思いますけれども、何とぞよろしくお願いいたします。
 ○河野栄養・食育指導官 それでは、本日お集まりいただきました、先生方を御紹介させていただきます。
 資料1の開催要領の裏面、別紙にございます、構成員名簿の順に御紹介いたします。
 武庫川女子大学教授、雨海照祥構成員でございます。
 慶應義塾大学スポーツ医学研究センター教授、勝川史憲構成員でございます。
 独立行政法人国立循環器病研究センター生活習慣病部門長、河野雄平構成員でございます。
 京都府立大学大学院教授、木戸康博構成員でございます。
 名古屋大学大学院教授、葛谷雅文構成員でございます。
 静岡県立大学教授、熊谷裕通構成員でございます。
 帝京平成大学教授、児玉浩子構成員でございます。
 東京大学大学院教授、佐々木敏構成員でございます。
 滋賀医科大学医学部附属病院栄養治療部病院教授、佐々木雅也構成員でございます。
 滋賀県立大学教授、柴田克己構成員でございます。
 早稲田大学教授、柴田重信構成員でございます。
 新潟大学大学院教授、曽根博仁構成員でございます。
 東京慈恵会医科大学教授、多田紀夫構成員でございます。
 帝京大学医学部学部長、寺本民生構成員でございます。
 独立行政法人国立健康・栄養研究所理事長、徳留信寛構成員でございます。
 神奈川県立保健福祉大学学長、中村丁次構成員でございます。
 浜松医科大学名誉教授、菱田明構成員でございます。
 東京大学医学部附属病院手術部准教授、深柄和彦構成員でございます。
 なお、門脇構成員におかれましては、本日、御都合により御欠席です。
 引き続きまして、冒頭、局長より御挨拶申し上げましたが、そのほかの事務局を紹介させていただきます。
 改めまして、私は栄養・食育指導官の河野でございます。よろしくお願いいたします。
 がん対策・健康増進課長の宮嵜につきましては、本日、公務の都合でおくれてまいります。
 課長補佐の佐藤でございます。
 栄養専門官の芳賀でございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。
 引き続きまして、資料の確認をさせていただきます。
 座席表、議事次第をおめくりいただきまして、資料1としまして「『日本人の食事摂取基準』策定検討会開催要領」。
 資料2としまして「食事摂取基準(2015年版)策定検討会の進め方(案)」。
 資料3としまして「食事摂取基準(2015年版)策定の方向性(案)」。
 資料4−1としまして「食事摂取基準とその沿革について」。
 資料4−2としまして「食事摂取基準(2010年版)で策定したエネルギー及び栄養素について」。
 資料4−3としまして「食事摂取基準の位置づけ」。
 資料5としまして「食事摂取基準(2010年版)の課題について」ということで、佐々木敏構成員からの提供資料でございます。
 資料6としまして「学会ガイドラインにおける食事療法等に関する記載(エネルギー・栄養素別一覧)」。
 資料7としまして「学会ガイドラインの概要と食事療法等に関する記載」。
 河野構成員提供資料としまして「高血圧治療ガイドライン(JSH2009)」をお配りしております。
 また、机上には冊子としまして「『日本人の食事摂取基準』策定検討会報告書(2010年版)」を置かせていただいております。
 以上が資料ですが、不足がございましたら、お申し出いただけますでしょうか。
 それでは、資料1の本検討会の開催要領の「5 その他」に書いてありますとおり、検討会議事録及び資料につきましては、原則として公開とさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 また、本検討会の座長につきましては、本来でありましたら、構成員の先生方から御推薦をいただくところでございますが、事務局としては、菱田構成員にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○河野栄養・食育指導官 それでは、菱田座長、一言御挨拶をお願いいたします。
○菱田座長 この検討会の座長に推挙いただきました、菱田でございます。
 日本人の食事摂取基準につきましては、日本人における栄養不足の問題、また過剰の問題、その時代時代において、どのような食事を摂取していくことがいいかということで、日本人の健康に多大な貢献をしてきたと思っております。今回、その改定に当たりまして、この検討会の座長を引き受けさせていただきまして、是非しっかりやらせていただきたいと思っております。
 先ほど健康局長からありましたけれども、高血圧、糖尿病、CKD等のような生活習慣病、もしくは慢性疾患が問題となる時代におきましては、そういった人たちにおいて、食事摂取をどうするかということは、非常に大きな課題であり、また難しい問題であろうかと思っております。構成員の皆様方の御協力を得て、実りある食事摂取基準が作成されればと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
 また、副座長につきましては、中村構成員にお願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
(「異議なし」と声あり)
○菱田座長 ありがとうございます。
○河野栄養・食育指導官 ありがとうございました。
 これ以降の進行につきましては、菱田座長にお願いいたします。
 カメラの撮影はここまでとさせていただきます。
○菱田座長 それでは、まず本検討会の趣旨と全体の流れにつきまして、事務局より説明をお願いいたします。
○河野栄養・食育指導官 資料1の開催要領をごらんいただけますでしょうか。
 「1 目的」につきましては、日本人の摂取基準は、国民の健康の保持・増進、生活習慣病の予防を目的とし、エネルギー及び各栄養素の摂取量の基準を示したものですが、今回は平成27年度から使用する、2015年版の食事摂取基準の策定に当たっていただくことになります。
 先ほど来のお話にありますように、高齢化の進展や糖尿病有病者数の増加等を踏まえまして、代謝機能の維持・低下の回避の観点から、発症予防だけではなく、重症化予防を視野に入れて改定を行う必要があるため、本検討会では、各種疾患ガイドラインの先生方にも参画いただきまして、国内外の知見をもとに、日本人の食事摂取基準の方針を決定し、基準を策定いただくことになります。
 具体的な検討の進め方につきましては、資料2をごらんいただけますでしょうか。
 本日、2月8日、第1回検討会に引き続きまして、3月、4月で3回の検討会を行いまして、2015年版の食事摂取基準の大まかな策定方針を決定いただきます。
 それを受けまして、ワーキンググループによる策定内容の検討を進めさせていただきます。
 また、右端に書いてございますのは、来年レビューの研究班が仮に採択されましたら、研究班とともに連動する形で、レビュー作業を進めていく予定でございます。
 第4回検討会につきましては、12月を目途に再開いたしまして、3月までの間、食事摂取基準(2015年版)の策定根拠の検証を進めていただきながら、報告書の取りまとめを行っていただく予定としております。
 それを踏まえまして、食事摂取基準の数値につきましては、食事による栄養摂取量の基準として、厚生労働省大臣告示という形で、公表させていただくことになります。
 最終的に使用開始は27年度からになります。
 以上でございます。
○菱田座長 ありがとうございました。
 それでは、議事「(1)食事摂取基準のこれまでの策定状況と課題について」に進ませていただきます。
 事務局から、これまでの食事摂取基準と2015年版策定の方向性について、説明をお願いいたします。
○河野栄養・食育指導官 資料3に基づきまして「食事摂取基準(2015年版)策定の方向性(案)」について、御説明させていただきます。
 上の図の下にありますとおり、冒頭、局長の御挨拶の中にございましたが、健康日本21(第2次)の推進が平成25年度から10年間となっておりまして、主要な生活習慣病の発症予防と重症化の徹底を図ることが、基本的方向として示されております。
 また、健康日本21(第2次)の最終目標は、図の一番上にありますとおり、健康寿命の延伸とされております。
 高齢化の進展・糖尿病等有病者数の増加を踏まえまして、健康の保持・増進、生活習慣病の発症予防とともに、生活習慣病の重症化予防を図るために、国民の栄養評価・栄養管理の標準化と質の向上を図る必要があります。
 その重要なツールとなるのが食事摂取基準であり、今回の食事摂取基準の改定に当たりましては、右側にございますとおり、各種疾患ガイドラインとも調和を図っていく形になります。
 また、食事摂取基準につきましては、科学的根拠をもとに策定ということで、下の参考の棒グラフに示したように、引用文献数は2000年以降かなり増加しておりまして、2010年では1,244本となっております。
 ただ、根拠は不十分ですが、重要な課題もございますので、そういったものにつきましては、今後、実践研究の推進により、科学的根拠の集積を図るようなサイクルをつくる体制を目指していくことができればと考えております。
 続きまして、これまでの食事摂取基準の概要について、御説明申し上げます。
 資料4−1「食事摂取基準とその沿革について」ということで「2 沿革」を示してございます。
 戦後、科学技術庁が策定していました、日本人の栄養所要量について、昭和44年の策定より当時の厚生省が改定を行うこととなり、以降、参考の表にお示ししましたとおり、5年ごとに改定を行ってきております。
 また、平成17年度から使用の日本人の食事摂取基準(2005年版)において、現行のような食事摂取基準の概念を全面的に導入し、名称を変更しているという経緯がございます。
 続きまして、資料4−2に移らせていただきます。「食事摂取基準(2010年版)で策定したエネルギー及び栄養素について」。
 1に記述してございますとおり、人間の生存、健康の維持・増進に不可欠であることが明らかであり、そのための摂取量が定量的に明らかになっており、それが科学的に十分に信頼できるものとして世界的な合意が得られていると判断された栄養素を策定の対象としております。
 また、日本人でその予防対策が重要である生活習慣病に深くかかわっていることが科学的に明らかにされている栄養素も策定の対象としており、その結果、2010年版の策定では34種類の栄養素が策定の対象とされております。
 これとは別に、生存に不可欠なものとして、エネルギーも策定の対象としておりまして、具体的な策定栄養素については、枠の中に記述をしております。
 「2.対象者及び対象集団」につきましては、健康な個人並びに健康な人を中心として構成されている集団とする。ただし、高血圧、脂質異常、高血糖など、何らかの疾患に関して軽度にリスクを有していても、自由な日常生活を営み、当該疾患に特有の食事指導、食事療法、食事制限が適用されたり、推奨されたりしていない者も含むこととするとなっております。
 付記的な記述としまして、特有の食事指導、食事療法、食事制限が適用されたり、推奨されている疾患を有する場合であっても、その疾患に関連する治療ガイドライン等の栄養管理指針を優先して用いるとともに、食事摂取基準を補助的な資料として参照することが勧められるというのが、2010年版の対象者及び対象集団として記述されているものでございます。
 2ページに移らせていただきまして「3.栄養素の指標の概念と各栄養素に設定した指標について」。
 栄養素については、3つの目的からなる指標があります。
 1つ目の摂取不足の有無や程度を判断するための指標として、推定平均必要量を算定することにし、推定平均必要量を補助する目的で推奨量を設定しております。推定平均必要量と推奨量が設定できない栄養素が存在し、これらについては、目安量として設定をしております。
 2つ目としましては、過剰摂取による健康障害を未然に防ぐことを目的として、耐容上限量を設定しております。
 3つ目としましては、生活習慣病の一次予防を目的としてというところで、生活習慣病の一次予防のために、現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量としての指標を提示し、目標量と呼ぶことにしております。
 これら3つの目的からなる5つの指標の概念とその特徴については、表1にまとめられております。
 例えば値の設定根拠となる主な研究方法は、実験研究、疫学研究であったり、症例報告であったりという違いがありますとか、あるいは2つ下の健康障害が生じるまでの典型的な摂取期間についても、摂取不足や過剰による回避は数カ月間、生活習慣病の一次予防は数年から数十年間ということで、指標によって特徴があるということが、こういった形で整理されております。
 また、策定した指標につきましては、表2において、34の種類の栄養素について、どの指標を設定したかということを一覧表で示しております。○がついている部分が、設定を行った指標になります。
 具体的にどういった基準の示し方をしているかということについては、4ページにお示しをしております。ここでは紙面の関係上、エネルギーとたんぱく質の食事摂取基準についてお示しをしておりますが、性別・年齢階級別では、ここにお示ししておりますようなカテゴリー、さらに妊婦、授乳婦の付加量という形で整理をしております。
 先ほど厚生労働省の告示になると申し上げたのは、この数値の表が、告示という形で最終的には公表されることになっております。
 続きまして、資料4−3には、食事摂取基準の法的位置づけを整理したものをお示ししております。
 食事摂取基準は、健康増進法第30条の2に基づき定められております。
 参考にございますように、健康増進法第30条の2では、食事による栄養摂取量の基準として、食事摂取基準を定めるものとするということです。
 2にございますとおり、食事摂取基準においては、次に掲げる事項を定めるものとするということで、1つは望ましい熱量に関する事項。2つ目としては、望ましい栄養素の量に関する事項ということで、その欠乏が国民の健康の保持・増進に影響を与えているもの、また、その過剰な摂取が、国民の健康の保持・増進に影響を与えるものという栄養素につきまして、健康増進法の施行規則第11条で、具体的に整理をされるという形になっております。
 また、裏面におきましては、食事による栄養摂取量の基準ということで、こちらが最終的に告示として公表されるものです。
 別表省略となっておりますのは、先ほどの資料4−2の裏面の表が、告示に掲載されているものになっております。
 説明は以上でございます。
○菱田座長 ありがとうございました。
 今回の2015年版の策定に当たって、今までの経過と今後の策定の方向についてお話をいただきました。2010年版のバージョンアップという意味での不足量、過剰量、生活習慣病の一次予防という観点での食事摂取基準に加え、今回はそれに重症化予防という観点がどのように加えられるかということが問題、というお話だろうと思います。
 続きまして、前回の食事摂取基準策定検討会において、副座長をお務めになられました佐々木構成員から、2010年版の食事摂取基準の課題という観点から、お話をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○佐々木(敏)構成員 それでは、20分程度のお時間をいただきまして、お手元の資料5をもとに説明をさせていただきます。
 前々回の2005年版で食事摂取基準の基本概念がつくられ、それが2010年版で改定をされ、今回の2015年版にどうもっていくかというところが、この検討会の根幹であろうと考えます。
 それを踏まえまして、きょうは概略を下の5つにまとめてみました。
 1つ目は、先ほどの河野指導官からのお話とやや重複いたしますが、基本構造、どのようなところで使われるのか、ごく簡単に諸外国の状況はどうなっているかというところを概観いたします。
 次に指標が特徴だと思うんですけれども、それを目的から整理をしてみたいと思います。
 それに基づいて、残された、チャレンジすべき課題は何かということをまとめてみたいたしましてと思います。
 今回の新しいところであると思います、疾患のガイドラインと重症化予防との関連はどう考えるべきかというところのたたき台という形で、御用意をしました。
 最後に、この食事摂取基準は、つくるためのものではなく、使うためのものであります。すなわち、普及・教育・啓発をどうするかということを考えるべきということで、ごく簡単にこれを御紹介させていただきたいと思います。
 資料をめくっていただきます。各資料のこまの右下に、1番から小さく番号を打ってございます。それで説明をさせていただきます。
 最初は、歴史的経緯と2010年版の基本構造、活用場所、諸外国の状況でございます。
 2枚目は、既に説明をしていただいております。そういう歴史背景のもと、2005年、平成17年に食事摂取基準ができ上がりしまた。しかし、それ以前から、欠乏、過剰、一部生活習慣病の予防に関する数値も入ってございました。昭和54年に名称なしと書いてございますが、ここに食塩の数字が入ってまいります。その後、脂質バランスであったり、食物繊維、コレステロールというような、生存というよりも、我々が現在呼んでおります生活習慣病の一次予防に関与する栄養素、並びにその数値が入ってきました。それが理論的整理をなされ、平成17年の食事摂取基準に至り、現在に至っていると考えるべきであろうと、私は考えております。
 3ページ目でございます。参考文献数は、このように増えてまいりました。
 2010年版の発表年別の集計を見ますと、過去5年間におけるものが、オレンジ色、全体の4分の1、そのまた過去5年間が00年からの左下でございますが、およそ4分の1、これでおよそ半分ということで、この10年間における食事摂取基準に関連する論文数は、急に増えていることがわかります。
 それを受けまして、2005年版、2010年版のところでは、徹底した系統的レビューを行って、まとめ上げたということでございました。
 しかしながら、過去の論文が役に立たないわけではございません。重要論文は、円グラフにございますように、適宜引用されている状況でございます。
 4ページは、同じ内容を別の切り口から見てみました。
 左下の円グラフは、どういう総数であるかということでございますが、学術論文が全体の88%ということで、いかにオリジナルペーパーが重要かということがわかります。これ以外になしという感じの系統的レビューを行ってまいりました。
 かつ、これは今後の話につながると思うんですけれども、円グラフを飛び出させた10%の緑色のところは、疾病のガイドラインや諸外国のガイドライン、一部教科書や専門書等からの引用でございます。この辺りの連携、バランスをどう図っていくかというところが課題かと考えます。
 右の円グラフは、日本人を測定したものか、そうでないかというところで、3対1になっております。
これらの文献の経由を概観しますと、量的にはかなりよいところにきたのではないかと、私自身は考えております。すなわち、量から質へ、質を落とすことなく、さらに高めていきたいと考えます。
 5ページでございます。基本構造です。きょうここに2010年版の食事摂取基準を事務局に御用意いただきましたが、これは306ページでございます。306ページは、総論と各論に分かれております。
 先ほど事務局から説明していただいた部分の8割ぐらいは、総論に書かれているものでございます。今回は総論に基づきまして、これをどう発展させていくかということが、重要なところであろう。そして、その考え方、コンセプトに基づいて、各論に数値、理論をどう落とし込んでいくかということではないかと考えます。
 6ページをごらんください。これが、日本、お隣の韓国、食事摂取基準の策定をかなり早期に手がけましたアメリカの違いでございます。
 日本はエネルギー並びに34種類の栄養素でございますが、韓国並びにアメリカもほぼ同じです。韓国、アメリカの方がやや多目でございますが、特に大きく異なるという状況ではございません。
 また、それぞれ国の事情、目的がございますので、栄養素が少し異なるというのは、むしろよいことではないか、しっかりとそれぞれの国が考えているということであろうと、私は理解をしております。
 韓国、アメリカともに、レビューをしっかりして、サイエンティフィックにつくるという点において、日本と同じ方針でつくっていると記述をされております。
 7こま目でございます。食事摂取基準の難しいところは、性・年齢階級別、目的によっては、身体活動レベル別に数値を落とし込んでいくことでございます。
 策定に携わった者として、下に書きましたように、エビデンスレベルが低いところは、空白というわけにはいかないという現状がございます。いわゆるレビューペーパーではないところに、この性格が強く出ているものであろうと思います。しかしながら、エビデンスレベルの高いところと、低いところをしっかりと読者や利用者がわかって、それに基づいて利用できるようにするということも、また務めであろうと考えます。
 どのように使うかというところが、8ページのスライドでございます。
 2010年版では、食事改善、給食管理、これを2つの主目的と掲げております。
 食事改善は、次の3つのステップを踏んで行うようにと記述されております。すなわち、食事摂取状態を評価すること、それに基づいて食事改善の計画を立案すること、それに基づいて改善を実施すること。この3ステップを行いなさいと書いてございます。ということは、具体的な方法が述べられるようなエビデンスが必要であり、またそれを我々がまとめて見せる必要があるということだと思います。
 それは、個人向けと集団別向けに分かれるものであろうという記述がございます。
 アメリカも構造はやや異なるんですけれども、コンセプトは全く同じでございまして、右下にアメリカのものをそのままコピーしてまいりました。このフローでいきますと、Nutrient Requirements、要するに食事摂取基準に書いてある数値でございまして、右がNutrient Intakesです。今、どう食べているかということを、下のフローでAssessing Diets、調べなさい、そして、Planning Diets、計画を立てなさい、そして、実施しなさいということですので、日本と同じ枠組みで食事摂取基準を使おうとしていることがわかります。
 9ページをお願いします。ところが、食事摂取基準が実際に適用される範囲はさらに広がってまいります。
 食事摂取基準の右側に4つ並べました。
 1つ目が、食事指導・食事改善で、先ほど入ってございます。
 2つ目が、給食の献立で、先ほど入ってございます。
 食事指導をますに広げますと、これは食育という概念に広がっていきます。ここまでも引用されるということでございます。
 それから、食品等のレギュレーションの関係で、栄養成分表示など、食品産業さんが中身を表示するようなところの参考資料としても、食事摂取基準は物差しとして使われるところでございます。したがって、適用範囲は非常に広いということでございます。
 食事摂取基準は、当検討会の報告書がそのままイコールでございます。すなわち、当検討会報告書がそのまま食事摂取基準になる。そして、それはそのまま現場の物差しになるということで、非常に責務の重いものであると考えております。食事摂取基準の責任は重大かつ直接的であります。
 10ページのスライドから、指標について考えていきたいと思います。
 11こま目をごらんください。これは先ほど事務局から説明をしていただきました、「エネルギーの指標」推定エネルギー必要量、「栄養素の指標」推定平均必要量、推奨量、目安量、耐容上限量、目標量とございます。
 それをもう少し見やすく、ビジュアルに下に書きかえてみましたので、12こま目をごらんください。
 それぞれ定義がありますが、それを短くしまして、どこまで言葉を詰められるかを考えてみました。
 推定エネルギー必要量と言いますのは、現在の体重が保たれるエネルギー量であると定義されております。あくまでも現在の体重を保つというところが、定義でございます。
 次は34種類の栄養素ですけれども、推定平均必要量は、あるポピュレーションの半数の人で、その必要量を満たす量であるということであります。ところが、これでは半数の人が満たしておりませんので、実際にうまく使うことができません。
 そこで、次にほとんどの人で必要量を満たす量を推定しまして、これを推奨量と呼び、使おうということでございます。
 ところが、このような考え方、並びに方法で数値をつくることができない栄養素がございます。これに関しては、別の方法を用いまして、不足が観察されない量をはかりまして、言葉をかえて、目安量としております。
 したがって、推定平均必要量と推奨量は同じものが出てまいります。目安量は別ものが出てまいります。しかしながら、片方の栄養素は推定平均必要量から、別の栄養素は目安量からということが、現実に栄養素の特徴として起こっているということでございます。
 目的は1つでございまして、不足からの回避であります。
 次は未来イメージでございますが、過剰摂取の害が起こり得ない最大量をもって、耐容上限量とする。これは過剰からの回避でございます。
 この2つは、不足並びに過剰からの回避で、1つの概念にまとめ込まれます。
 次が全く異なる概念でございまして、生活習慣病というある特定の疾患を予防するためのものである。これを目標量と呼んでおります。この名称は日本独自でございますが、ほかの国もこのような概念をどう考えるか、どう使うかということが議論されているようでございます。特定の生活習慣病の一次予防に勧められる量ということになります。
 食事摂取基準の最大の特徴は、この指標の考え方と、この指標の使い方にあるだろうと考えます。
 13こま目でございます。対象者は誰か、誰に使うのかということでございます。
 栄養所要量のころは、健康の維持・増進を専らの目的としておりました。それが食事摂取基準(2005年版)に入りますと、一次予防という名前で書かれておりますが、疾病の発症予防が目的の中に入ってございます。そして、2010年版になりますと、ややそれが拡張されて、範囲は決めにくいのですけれども、重症化予防のところに若干踏み込んだ書きぶりになっている。さて、2015年版はどうするかということであります。
 右側に書きましたが、2010年版は、対象者・対象集団の定義を健康な個人並びに健康な人を中心として構成されている集団と書き始め、以下ですが、14ページのスライドをごらんください。
 歴史も踏まえまして、第6次の栄養所要量、2000年のときは、健康人を対象としてという一文で終わってございます。
 それが2005年版になりますと、軽度にリスクを有していても、当該疾患に特有の食事指導、食事療法、食事制限が適用されたり、推奨されたりしていない者を含むとなっております。
 それが2010年版になりますと、先ほど事務局から御説明がありましたように、やや拡張されまして、その疾患を持っていて、食事療法や食事指導が適用されている場合には、その治療ガイドラインを優先して用いるとともに、食事摂取基準を補助的資料として参照することを勧めるという書きぶりに変わってまいりました。
 2015年版は、これをどうするかということが、非常に重要な課題ではないかと考えます。
 そこで、考えたんですけれども、予防という概念をどう考えるかです。1枚戻りまして、13こま目の一番下をごらんください。
 食事摂取基準では、一次予防という言葉を専ら使ってまいりました。ところが、予防というものは、予防したい人がどこに立つかによって、言葉が変わります。すなわち、相対座標である。絶対座標ではないということです。
 そうしますと、絶対座標で用いる場合には、目的を明確にしないといけません。すなわち、ここでは発症予防、重症化予防と書きかえてみました。局長からのお言葉にありましたように、発症の予防、重症化の予防を正しく区別し、私としましては、正しく連結させたい、それをどうするかということではないかと考えます。
 対象者と目的、予防、この辺りが関連してまいります。
 15こま目になります。対象者をアメリカはどう考えているか。アメリカとカナダの合同でございます食事摂取基準の目的のフローチャートを見ますと、赤の点線で囲みました個人のところは、特別なconsiderationsは必要かというところで、Yesとなりますと、smokerとかathleteが入っているんですけれども、その下にill personとありまして、その病気に栄養が関連している場合は、含めろとアメリカは書いてございます。
 さて、日本はどうするかということです。
 16こま目です。指標別に見た課題です。レビューをどう行っていくかということで、例も交えて御紹介したいと思います。
 17こま目の1こまに、検討課題の整理をまとめてみました。
 エネルギー。考え方と表現の仕方の再整理、エネルギーは非常に重要でございますので、ほかのガイドラインとの整合性をどう整理するかということかと思います。
 栄養素に関しましては、推定平均必要量から耐容上限量までのところは、栄養素ベースになります。ここは従来の方式、すなわち2010年版で用いられた方式にプラスαです。αはどこかと言いますと、下の目標量のところが、疾病のガイドラインとかぶってまいります。ここをどう考えるかということになろうかと思います。すなわち、従来方式プラスαと発症予防に重症化予防を追加してここを整理し、相互の情報交換を行い、バランスのとれた使いやすいものをつくりたいという考え方であります。
 同じことを18こま目に書いてございます。これは従来方式の部分だけを取り出したものでございます。これはお話いたしました。
 19こま目でございます。食事摂取基準を丁寧にお読みいただいたり、実際に使っていただいている先生にとっては、当たり前のことかもしれないんですけれども、推定平均必要量というものは、先ほど申し上げました定義があるんですが、実は栄養素ごとにかなり異なっております。何をもって必要量とするかという考え方、それによって異なってまいります。
 2010年版で、微量ミネラルの総括をしていただいた吉田先生がつくられたものを、そのままきょうはお借りしてきましたが、クロム、モリブデン、鉄、亜鉛、セレン、銅というところで、推定平均必要量のつくり方が違うんだということを見せてくださいました。こういうものをどう見据えるか、利用者にどう理解していただいて、現場の負担にならずに、うまく利用できるようにするかということも務めではないかと考えます。
 20こま目でございます。食事摂取基準はあらゆるところで使われます。
 2011年、東日本大震災発生時、食料が足りませんでした。どれだけの食料を確保すべきか、送るべきか、これも食事摂取基準がベースになってつくられました。
 これは避難所における栄養提供量に関する調査結果の概要からの抜粋でございます。ビタミンB1のところに、黄色と赤の丸をつけました。平均提供量は、避難所調査の平均値で1日当たり0.87ミリグラムという量でございました。それに対して、厚生労働省から出されました目標栄養量は、1日当たり1.10ミリグラムでありました。その比が79%ということで、2割程度不足しているということであります。
 プレーンにはそう読むんですけれども、その場合のビタミンB1というのは、飽和量を使っております。このような大災害、非常事態においての飽和量をどう考えるかというところまで、栄養の専門の者、食事摂取基準を使う者は戻って、避難所の栄養供給の確保をどうすべきかと考えるべきであろう。これが是か非かという話ではございません。こういう非常時にこそ、食事摂取基準というものが使われ、たくさんの命を支えるという一例かと思って、きょう持ってまいりました。
 21こま目でございます。先ほどの震災の例でございますが、ビタミンB1が足りているか、足りていないかという話は、非常に難しいです。なぜならば、何をもって足りているとするかという指標を、まず食事摂取基準で提示しなければなりません。
 ここは一番下の0.15当たりの矢印を見てください。これは、ここより少なくなると、ビタミンB1の不足により、脚気が起こる可能性があることが知られている摂取量でございます。
 その上、0.30のところが、この程度以上であれば、脚気が起こらないことが知られている摂取量。すなわち、脚気の一次予防、脚気の回避を目的とするならば、この辺りを勘案すべきとなります。
 それに対して、さらなる健康維持・増進を考えますと、上の0.45という辺りが出てまいります。半数の人で血中ビタミンB1が飽和するというところでございます。
 どれがよいかということは、そのときの目的によるわけでございまして、食事摂取基準はここまで考える必要があるだろう、これぐらい重要なことであるということです。
 22こま目を見てください。22こま目は平時です。
 たんぱく質は、非常に重要な栄養素でございます。食事摂取基準の使い方のところに、まず摂取量を調べなさい、それによってプランを立てなさいということがございました。そこで摂取量を調べてみたという例でございます。
 これはおよそ800人の成人女性を調べた結果でございます。過去1カ月間の大ざっぱなたんぱく質の摂取量でございますが、その頻度分布であります。どうぞごらんください。縦に赤い破線が2本入ってございます。左側が推定平均必要量、右側が推奨量でございます。推奨量から見事に800人が食べていることがわかります。すなわち、この集団は、たんぱく質の摂取量は極めて良好であり、過剰でもなく、うまくいっているということが示されている。こういうふうに活用していくわけでございます。
 23ページであります。これは先ほど示しましたものを、もう一度ここに出しております。対象者は誰か、予防の概念と言葉、使い方をどうするかということで、健康の維持・増進、発症予防、重症化予防、それぞれが使われる対象者の整理をしたということでございます。
 24ページのスライドをごらんください。これも先ほど既に部分的にお見せしております。予防の部分でございます。
 現行では目標量がそれに当たりまして、これは重症化予防、発症予防、改めてこの検討会で考えていただけますれば、拡張をし、再整理をし、エビデンスを収集し、他のガイドラインとの整合性を整理しというところにいくのではないかと考えております。
 25ページのスライドをお願いいたします。現行、目標量はどうなっているかということを一覧表にしておきました。
 エネルギー産生栄要素の比率に関しての数字、脂質や飽和脂肪酸等、炭水化物、食物繊維のところがあります。それから、ミネラル類で、ナトリウムとカリウムがあります。現在はこの辺りにとどめております。
 食事摂取基準は、エビデンスの高いものに限ってつくらないと、何しろこれがベースになりますので、かなりコンサバティブにつくるべきではないかと、当時、議論した記憶がございますが、ここは改めて御議論いただきたいところでございます。
 26こま目です。これは第2回の検討会で、もう少し詳しく紹介をさせていただければと考えております。
 エネルギーに関して、データが十分に整わないという事情がありまして、直接測定がまだ不足している。ある一部の集団においては、測定されていないところもございます。
 たんぱく質、脂質、炭水化物のエネルギーバランスをどうするかということは、生活習慣病も絡み、重大な課題ではないかと考えます。
 ビタミンとミネラルは、推定平均必要量の定義をどう考えるか。算出根拠や判断プロセスの記述はどう考えるかというところでございます。
 ビタミン類に関しましても、一部疾患の予防を考えなければならないものも出てきてございます。
 ミネラルは仕方がないかもしれませんけれども、エビデンスが不足しているところもあります。これをどう記述するかということがあるかと思います。
 そして、乳幼児、高齢者等のライフステージに対する配慮をどうすべきかというところも、前回はディスカッションいたしましたが、たくさんの課題が残されているということで、終わっているように感じております。
 27こま目です。ほかの疾患ガイドライン等との関連でございます。
 28こま目をごらんください。類似のスライドを既にお見せしましたが、もう一度、一部つけ加えてでございます。
 各疾患別の治療予防ガイドラインが各種学会から出されております。こことの関連をどう考えるか。
 次は、厚生労働省、農林水産省さんが出しております、食生活ガイドライン、食事バランスガイドなどの食事に関するガイドとの関係をどうするか。
 消費者庁所管の栄養成分表示等の食品をどうするかという関係がございます。
 これは文部科学省でございますけれども、学校給食の給与基準にも参照されます。ですので、関係すると考えてございます。
 これらも十分に認識し、策定に当たるべきと考えております。
 29こま目です。普及・教育・啓発活動です。つくっても、使わなければいけません。そこで、積極的かつ正しい活用を図る必要がございます。
 最後のスライド、30こま目でございます。
 繰り返しになりますが、食事摂取基準は、そのまま使うガイドラインでございます。エビデンスの集大成のみを目的とするものではございません。集大成が使えるガイドラインであるべきということでございまして、エビデンスと使いやすさのバランスと折り合いをどこでどのようにつけるかというところが、我々に課された課題であろうと考えます。
 そして、つくる側は当然なんですけれども、教育をする人、実際の実務に当たる方に、さらに食事摂取基準をうまく使っていただけるような教育の強化が必要であろうと考えます。策定者は当然でございますが、それを実務者に教育してくださる方々への教育・普及が課題であろうかと考えます。
 全体をまとめさせていただきますと、当検討会の報告書は、そのまま食事摂取基準となりまして、現場の物差しになります。あらゆる食事が健康に関与し、ベースとして使われることとなります。先生方、是非よろしくお願いいたします。
 私からの資料は以上でございます。
○菱田座長 ありがとうございました。
 佐々木構成員におかれましては、2010年版の策定の議論を踏まえながら、食事摂取基準作成の目的、役割、策定に当たっての留意事項について、非常に明確におまとめいただいた上、2015年版で検討すべき課題について触れていただきました。いろいろと御意見、御質問があろうかと思いますが、後でまとめてしていただくことにします。
 引き続き、議事「(2)各領域における栄養・食事療法の課題について」に移りたいと思います。
 資料6と資料7に、各学会ガイドラインにおける食事療法に関連するところをまとめ、また一覧表として作成していただいておりますので、これも参考にしていただければと思います。
 各学会のガイドラインにかかわりの深い先生方に、ガイドラインの策定や現場における食事療法の課題について御意見をいただく形にしたいと思います。
 それが終わりましてから、各領域の構成員の方々の御自由な意見もお聞きしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 最初に動脈硬化性疾患予防ガイドラインを中心に、寺本構成員にお願いいたします。
○寺本構成員 それでは、どちらかというと、資料7をごらんいただきたいと思います。
 動脈硬化性疾患予防ガイドラインは、最初の○のところにございますけれども、経緯はこんな形で、2012年版として改定されております。
 資料6、横のものに、脂質異常症治療ガイド2008年版とございますけれども、これは2007年版に対応した形の治療ガイドでございますので、バージョンとしては、2012年版が新しいものとお考えいただきたいと思います。
 動脈硬化性疾患予防ガイドラインに関しましては、2つの軸がございまして、1つは、動脈硬化性疾患自身を予防するという観点から見たエビデンスです。そういったものを中心としたものが1つでございます。
 それに非常に関連するところとして、脂質、特にコレステロールに関連するものが非常に重要だということで、コレステロールに影響を与えるような食事内容などに関する記載として、エビデンスを求めていったというのが、このガイドラインの中の食事療法に関するところでございます。
 恐らくエネルギー摂取量であるとか、そういったものに関しましては、食事摂取基準の中のものから使われているわけでございまして、基本的には過体重を防ぐような形ということで、お話をさせていただいておりまして、総量、炭水化物、脂質、たんぱく質という形なんですが、私どもの脂質に関して言いますと、炭水化物と脂質に焦点を当てて数字を出してきて、それにあわせる形で、たんぱく質が入っていく形になろうかと思います。
 2012年版では、総エネルギー量として50〜60%という数値を出しております。脂質異常症治療ガイド2008年版では、55〜60%としておりますが、50%に引き下げているというのは、中性脂肪等々に関しての考え方が少し変わってきて、量を減らすということで考えた場合、50%ということで、総量の下の括弧のところに「高TG血症:エネルギー比をやや低め」と書いてあるのは、そういう理由でございます。
 食物繊維は、基本的にコンセンサスもありますし、全体的にそういったデータもございますので、摂取量を増やすという形になっているかと思います。
 脂質に関しましては、食事摂取基準の中のもので、20〜25%ということで、これに関してはエビデンスが余り明確ではございませんので、特に記載されてございません。
 我々で一番問題になりますのは、コレステロールの摂取量でございますけれども、非常に厳しい量を出しております。2008年版では300ミリグラムという表現にしておりましたけれども、今回のものは、コレステロールの高い方の場合には、200ミリグラム以下にした方がよろしいのではないかとしております。これはかなり疾病に特化した形で記載されておりまして、エビデンスからも(コレステロールが)低い方がよろしかろうということがございますので、そういった形にさせていただいています。
 脂肪酸に関しましては、飽和脂肪酸が非常に重要だということで、これも4.5〜7%未満という形で書いてあります。4.5%という下限値ですが、飽和脂肪酸の非常に低い方たちでは、動脈硬化性疾患としては、脳卒中が増えることがあるというエビデンスをもとに、一応下限を決めたという経緯がございまして、このような4.5〜7%という形を用いています。もちろん過剰摂取がLDLの上昇をもたらすということは、よく知られているわけなので、7%という数字を堅持しているところであります。
 今回違うところは、不飽和脂肪酸をかなり多く取り入れておりまして、n−3系、n−6系の多価不飽和脂肪酸に関して、幾つもエビデンスが出てきておりますし、疫学的データもしっかりしております。しかしながら、特に重要な点は、n−3系に関しては、どちらかというと、動脈硬化予防というところに大きくかかわっているということで、n−3系を捉えているということであります。
 トランス不飽和脂肪酸に関しましては、摂取を避ける。前は極力少なくするという表現を用いていたんですけれども、今回は限りなくゼロにもっていこうという考え方でございます。これは欧米でも非常に大きな問題になっておりますし、トランス不飽和脂肪酸に関しては、LDL上昇、HDL低下、並びに動脈硬化性疾患の上昇があるということで、我が国では余り大きな摂取量ではないと言われつつも、今後、大きな問題になっていくことを考えると、動脈硬化性疾患予防ガイドラインとしては、これを下げるということをした方がいいのではないか。
 ビタミンとかミネラルに関しましては、コントロールスタディーは余りございませんで、どちらかと言いますと、ミネラルの摂取並びにビタミンの摂取が動脈硬化の低減化につながっているという疫学データをもとに、こういったものを設置しているということであります。
 ナトリウムに関しましては、高血圧の問題がございますけれども、最近になりまして、ナトリウムの摂取は、メタボリックシンドロームとも非常に関係するということもございますので、この摂取量を減らす。これは高血圧のガイドラインを参考にさせていただいて、6グラムという数字を出しているので、明確なエビデンスがあるわけではないんですけれども、これは下げるだけ血圧も下がるということがわかっておりますので、こういったことをしております。
 アルコールの摂取量に関しては、一応25グラム以下としています。以前からこの量は出ているんですけれども、疫学データからしますと、やはりこれぐらいの量で、動脈硬化性疾患が一番予防できるということが1つ。
 もう一つは、25グラム以上の摂取量で、中性脂肪の上昇が認められるというデータから、こういったデータを出しているということで、動脈硬化性疾患予防ガイドラインの流れとしては、脂質、特にLDLコレステロール、中性脂肪、HDLに対する考え方と、動脈硬化性疾患自体に対する予防効果を狙った食事指導という形にしているということです。
 以上でございます。
○菱田座長 ありがとうございました。
 続きまして、高血圧治療ガイドラインを中心に、河野構成員からお話をお願いします。
○河野構成員 それでは、私からお話をいたします。
 はじめに資料6を御説明いたします。
 ごらんいただきますように、数値目標として、食事に関する記載は少ないです。
 エネルギーに関しては、特に記載されておりません。
 炭水化物にしても、そうであります。
 たんぱく質については、腎臓病との関連から、腎臓が悪い人には摂取を控えるということです。
 脂質は、動脈硬化との関連から、コレステロールと動物性脂肪を控える。一方、魚、n−3の脂肪酸は摂取を推奨しております。
 2ページ目ですけれども、ビタミンについては、特に数値を記載しておりません。
 ミネラルでは、ナトリウムについては、比較的詳しく記載されております。
 カルシウム、マグネシウム、カリウムについては、摂取が推奨されますが、一方、カリウムでは、腎臓が悪い方には逆に要注意という勧告をしています。
 アルコールについては、ほかの学会のガイドラインと多少記述が異なりますけれども、国際的な高血圧のガイドラインとはほぼ一致して、男性と女性とで少し分けた基準になっております。
 資料7の高血圧治療ガイドライン2009を御説明いたします。
 高血圧のガイドラインの読者のターゲットは、一般臨床医でございます。したがいまして、高血圧になった方の管理、治療が主でありまして、高血圧の予防、いわゆる一次予防についての記述は非常に少なくなっております。
 現在は2009年のガイドラインですけれども、かなりのディスカッションを経て、つくられたものでございます。2009年のガイドラインは、エビデンスレベルは書いていますけれども、推奨レベルは記載しておりません。
 6ページですけれども、高血圧のレベルとほかのリスクファクターや心血管疾患によって、リスクを層別化するということ。
 それから、生活習慣の食事療法に関する記載では、先ほど言いましたように、ナトリウム以外は具体的な数値目標を積極的につけておりません。
 補足資料として、パワーポイントのスライドのコピーを準備しておりますので、これについて、少し御説明いたします。
 スライド1が、高血圧治療ガイドラインの生活習慣の主な修正項目でございます。
 6グラム未満の減塩、食塩以外の栄養素については、野菜・果物を積極的にとるということ、コレステロールや飽和脂肪酸を控えるということ、魚は積極的にとるということを勧めております。
 エネルギーについての具体的な記載はありませんけれども、当然ながら、肥満者においては、標準体重を目指した減量ということで、エネルギー制限を勧めております。
 あとは、運動、アルコール制限、禁煙でございます。
 スライド2は、実際に食塩が守られているかどうかということです。一般の日本人も食塩は減りつつありますけれども、10グラム以上です。残念ながら、高血圧の患者さんも、ガイドラインが勧めている6グラム未満を遵守できている方は、少数でございます。平均レベルで見ると、日本人の平均よりも2グラムぐらい少ないですけれども、ガイドラインの達成度は非常に低い状況です。
 食塩の量は、割と認識されていると思いますが、食品に表示されている成分としては、食塩ではなくて、ナトリウムとして表示されていることが大部分です。食塩も一部には表示されておりますが。これが一般の方の認識が低い理由の1つではないかと思います。
 高血圧学会では、数年前から、減塩委員会というものを組織して、多面的な活動をしております。昨年、減塩委員会報告という3つの論文からなる報告書と、減塩食レシピを出版いたしました。次のガイドラインには、この内容が少し反映されるのではないかと思います。
 スライド5のミネラルにつきましては、カリウム、カルシウム、マグネシウムは、疫学的研究、高血圧の患者さんへの介入研究では、弱いながらも降圧効果が出ています。特にカリウムははっきりしております。しかし、一次予防のエビデンスは、観察的研究は比較的多いですけれども、介入研究はあまりございません。現実的にはカリウム、マグネシウムが多い野菜・果物、カルシウムが多い低脂肪の乳製品は勧められるのではないかと考えております。
 減量は、血圧を下げることは、歴然としております。高血圧の一次予防の介入試験でも、食塩の制限と減量が効果があるというのは明瞭でございます。
 アルコールは、少量なら循環器病にはいい方に働くし、大量では悪い方に働くということです。
 スライド8ですけれども、生活習慣の改善の効果と限界です。もちろん利点はたくさんありますが、限界もありまして、降圧効果が小さいということと、実行継続が難しいということが、大きな限界となっております。
 最後のスライドで、現在のJSH2009も4年になりまして、実は来年2014年版のガイドラインが出版される予定で、既に改定作業中でございます。このガイドラインでは、エビデンスレベルのほかに、推奨レベルも加えることになっております。
 生活習慣修正に関しましては、私は執筆担当ではなくて、査読担当ですけれども、原稿は大分でき上がっております。要点は大きな変更はなくて、細かいところは多少変更があるのではないかと思います。
 以上でございます。
○菱田座長 ありがとうございました。
 続きまして、CKD診療ガイドラインを中心に、熊谷構成員、お願いいたします。
○熊谷構成員 CKDガイドラインについて、御説明いたします。
 日本腎臓学会で出しておりますガイドラインは2つありまして、1つは一般のかかりつけ医を対象としたCKD診療ガイドライン、これは2012というものが出ております。もう一つは、エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2009というもので、これは主に専門医を対象としたもので、きょう御提供されております資料は、CKD診療ガイドライン2009でございます。
 この2つのガイドラインは、若干の違いがあります。
 1つは、2012年に新しいCKD診療ガイドラインが出まして、(資料7)8ページの「リスクの層別化」に、たんぱく尿の基準が新たに導入されております。
 それと、食事・栄養に関するところでも、ステージ3のたんぱく摂取量に両者で違いがございますが、エビデンスを重視する考えにのっとれば、エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2009に準拠していくのが適当だろうと思われます。
 CKD患者さんの食事摂取基準では、たんぱく質の摂取量が最も重要でして、これは基礎代謝物の血中濃度を下げるだけではなく、CKDの進行を抑制する可能性があるからです。8ページの下の記載にありますように、ステージ3以降のCKD患者におけるたんぱく質摂取量は0.6〜0.8g/kg/dayが目安とされております。
 ただし、窒素平衡を維持するのに最低必要たんぱく摂取量というのが、2010年の日本人の食事摂取基準に示されているわけでございますが、これが0.65g/kg/dayになっております。ですので、これを下回らないようにする必要はあると思います。
 エビデンスについてですが、たんぱく質0.6〜0.8g/kg/dayで腎不全の進行が抑制できるという報告は、RCTもたくさんございますし、メタアナリシスもたくさんありまして、エビデンスはレベル1ということで、十分に信頼できるものが出ていると思われます。ただし、糖尿病性腎症に関するメタ解析は非常に少なく、RCTにおいても、低たんぱく食が必ずしも有効でないという報告もあり、今後の検討課題だと思われます。
 エネルギーに関してでございますが、低たんぱく食とする場合は、エネルギー不足にならないように、また、アミノ酸スコアの高いたんぱく質を摂取されることが必要であるとされています。腎不全の患者さんは、特にエネルギーの代謝亢進が起こるとか、代謝の低下が起こるというエビデンスがないものですから、一般に理解は得られているけれども裏づけの論文はないというコンセンサスの記載になっておりまして、健常者と同じエネルギー摂取量を推奨することになっております。
 続きまして、ナトリウムでございますが、ナトリウムでは6g/day未満の食塩制限が推奨されております。そして、下限も設定されておりまして、3g以下は避けることが望ましいことになっております。腎機能が低下しますと、ナトリウム保持能も低下するということで、脱水の危険がある。それを避けるという意味でございます。
 減塩食に関しては、高血圧のガイドラインを流用しているようなところもありまして、減塩食は高血圧の軽減に有効である、また高血圧をコントロールすることがCKDの進行を抑制させる、という2段階の理論で成り立っていまして、直接的に減塩食がCKDの進行を抑制させたという報告は非常に少ない状況でございます。そのため、レベル2というエビデンスレベルになっております。
 これらのガイドラインの課題でございますけれども、まず高齢者の問題があります。最近、CKD患者さんは高齢者の方が非常に多くなってまいりまして、そういう方では0.6〜0.8g/kg/dayというたんぱく制限は厳し過ぎるのではないか。日本人の食事摂取基準によりましても、高齢者の推定平均たんぱく質必要量というのは、若年者より多くするという設定になっておりますので、そういう配慮が必要かもしれないということでございます。
 2番目の課題ですが、CKD治療の目的は、従来、単に透析を開始するとか、先延ばしにするということが主だったわけですけれども、最近、CKDは心血管合併症が非常に高頻度に合併するということが知られていまして、マクロアンギオパチーを防ぐという視点も必要になってきていると思われます。そうしますと、低たんぱく食というのは、必然的に相対的な高炭水化物食または高脂肪食になりますので、その辺でどう妥協点を探るかという議論も出てくるのではないかと思います。こういう議論は、これまで余りされてこなかったんですけれども、昨年出たメタ解析では、低たんぱく食と高たんぱく食を比べてみて、低たんぱく食の方が、体重、高血圧、糖尿病、中性脂肪の高値が多いということが示されておりまして、今後、議論になっていくところだと思います。
 3番目の問題点としては、ステージ3で一応全部切っているわけですけれども、ステージ3の前半と言いますか、ステージ3Aには、尿たんぱくがマイナスで余り腎機能が悪化しないと予想される高齢の方が非常にたくさん含まれております。高齢の女性の方は、みんなここに入ってきてしまうわけです。そういう方にとっても、たんぱく制限をする必要があるのか。筋肉量の低下や骨粗鬆症との関連とか、いろいろな問題がありますので、議論が必要なところではないかと思います。
 その他、現場における課題としては、低たんぱく食において、指示されたたんぱく質を遵守するのは非常に難しい、かかりつけ医で栄養指導が困難である、とか、特殊食品の入手の困難さ、高価であること、家族と別の献立を作成する必要があるというような問題点がございます。
 以上です。
○菱田座長 ありがとうございました。
 続きまして、糖尿病治療ガイドラインを中心に、曽根構成員、お願いいたします。
○曽根構成員 本日は、糖尿病学会理事長でおられます門脇孝構成員が欠席ですので、代わりに発表させていただきます。
 糖尿病の食事療法に関するガイドラインも、資料7にあります「科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン」という比較的専門家を想定したガイドラインと、そのうちのエッセンスを
抜き出した「糖尿病診療ガイド」というものがあり、現場で広く用いられております。
 糖尿病の食事療法を考える場合、重要なのは、糖尿病は、今までお話がありました、高血圧、脂質異常症、肥満、CKDなどを始めとする多彩な合併症を含んでおりますため、糖尿病食事療法のガイドラインは、10ページに示してありますように、各栄養素に及んでいるということです。さらに3食きちんと食べるであるとか、早食いをしないなどの食習慣にも及んでおります。
 もう一つ大事なことは、歴史的に、先ほど来議論になっております疾患治療あるいは重症化予防という以前に、そもそも糖尿病のための食事療法は、糖尿病でない一般成人の方にも健康食として広く勧められるというスタンスで、これまで指導もされてきましたし、診療や保健指導の現場では、学会がまとめた「食品交換表」というものが実際に広く用いられているという状況があります。なお、この食品交換表に関しましては、現在第7版に改定中ということで、作業の途中であります。
 基本的な方針としては、10ページに示すように、適正なエネルギー量を遵守するということで、BMI22の理想体重を想定し、その体重当たり25〜30キロカロリーのエネルギーとしています。そのうち炭水化物はエネルギー比で50〜60%、内容的にはできる限り単純糖質を控え、食物繊維も20〜25グラム毎日とる。
 たんぱく質に関しましては、先ほどお話がありましたように、腎症との関連であまり多くすることは勧められず、標準体重1キロ当たり1〜1.2グラムを目安に、進行した腎症を合併した場合には減量するということになります。
 糖尿病には、脂質異常症が多く見られ、動脈硬化症の合併も多いので、脂質に関しても脂質異常症が見られる場合には、動脈硬化学会のガイドラインに則った形で、資料にあるように、脂質摂取量を総エネルギーの全体の25%以下に抑えるとか、高LDL血症を伴う場合はコレステロール摂取量を1日200ミリグラム以下にするとか、または飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸それぞれに関しても目安が設けられております。
 また高血圧の合併も多いので、今のところ、多くても10グラム以内。さらに高血圧を合併する場合には6グラムとこれらも、高血圧学会のガイドラインに準拠する形となっております。
 アルコールに関しても資料のように目安を設けております。先ほども少しお話がありましたけれども、昨今、炭水化物に関して非常に注目が集まっており、たとえば低炭水化物食などが取り上げられています。糖尿病学会でも、先ほど申し上げた新しい食品交換表の中において、まだそれほど一般の方には広がっていないカーボカウントという新しい概念に基づく指導法なども取り入れられる予定と伺っております。
 ただ最近、低炭水化物食などが非常に注目を集めている反面、総エネルギー量の重要性がやや軽視されている傾向があるとか、余りにも個々の栄養素に限定して論じてしまって、糖代謝、エネルギー代謝全体の包括的な視野に立って評価するという姿勢が、全般的に乏しくなってしまっているのではないかという観点から、糖尿病学会では、「食事療法に関する委員会」が、糖尿病における食事療法の現状と課題というテーマで現在、ステートメントを取りまとめている最中です。慈恵会医大の宇都宮教授を委員長として、これまでお話をいただいた各学会の先生方にも見ていただいて、御意見を伺っている最中でございます。これは大変重要なステートメントになりますので、次回以降、門脇構成員から御説明があるかと存じます。
 そのような現状でございます。
○菱田座長 ありがとうございました。
 4つの学会のガイドラインについてのお話をいただきました。
 本日の会議は、さまざまな立場の先生方にお集まりいただいておりますので、先生方の立場から見て、現行の食事摂取基準の課題、御専門領域の食事療法の課題などについても、御意見をお伺いしたいと思っております。
 最初の佐々木構成員からのお話についての御質問、また各学会のガイドラインについての御質問もあろうかと思います。そういった質問も含めまして、御自由に御意見をいただければと思います。御意見のある方は、挙手をしていただければと思いますが、いかがでしょうか。
 どうぞ。
○寺本構成員 寺本です。
 今回の食事摂取基準を策定するに当たって、今までの時代的な流れを考えていったときに、最初は国民をいろいろなものの不足から防ぐための健康政策として始まったと思うんですけれども、今、ちまたで問題になっていることは、疾病予防の方に大分偏ってきているということを考えたときに、基準を考えて、まずベーシックにこんなものは必要ですとか、先ほどの災害のときのように、こんなものが必要だということは、非常に重要だと思います。かなり重点的に考えていくことは、発症予防、重症化予防ということになってくると思うので、その辺のところを、国民にわかりやすくした方がよろしいという気がするんです。
 佐々木先生がおっしゃったように、これが実際に使われることになったときに、国民にとってみてアトラクティブで、例えばこういったことには、こういったことをした方がいいんだという指針が出てこないと、失礼な言い方ですけれども、また食事摂取基準が出たというぐらいになっては困る。その辺のところのつくり方は考えないといけないし、プロパガンダも必要なのではないかという印象を持っています。状況を把握して、名称をどうするべきなのかということも考えなければいけないのではないか。副題などを考える必要があるという気がするんですけれども、その辺はどうでしょうか。
○菱田座長 どうぞ。
○矢島健康局長 大変貴重な御提言ありがとうございます。
 次回に御説明をさせていただこうかと思ったんですが、今、厚生労働省では、4月から新しく特定健診・保健指導に使います、標準的な健診・保健指導プログラムの中で、例えば糖尿病学会とか、循環器病学会、腎臓病学会、こういう基準になったら食事指導、こういう基準になった受診勧奨とか、予備群、治療が対象になる方の基準を、健診での血液データでおまとめいただいたものがあります。それに沿って、例えば保健指導をやる。この値を超えたら受診勧奨で、医療機関にお願いをする。予備群と本当に治療が必要な方の検査データのもとになるものがあるものですから、実際、管理栄養士さんたちは栄養指導に入るわけです。
ですので、それぞれの学会でやっているガイドラインと連携を持ってやっていかなければいけませんし、同じ管理栄養士さんでも、病院に勤めている管理栄養士さんと、健診・保健指導に携わっている管理栄養士さんでもよく連携をしておきませんと、そこに谷間が生じてもまずくなるわけですので、今、御指摘がありましたように、連続性というのでしょうか、そういうところも踏まえて、最終的には食事摂取基準がもとになって、実際の保健指導・栄養指導、現場で国民の方、住民の方、そういう人たちに使えるものにもっていきたいと思います。
 逆に、学会の方の専門の先生方には、そことうまく連携ができるようにお願いをしたいということと、いろいろな学会と調整をさせていただいているのですが、先生方にも御理解いただきたいと思います。
 1人の人がいろいろなリスクを複数持って保健指導・栄養指導に来るわけです。血圧の問題、血糖の問題、脂質の問題とか、重なった形で来る方に、どういうふうにやるのかということも含めて、先生方には御議論いただいて、実際に使える形にもっていくことができればというのが、我々が願っているところですので、是非そういう視点でお願いできればと思っています。
○菱田座長 ありがとうございました。
 どうぞ。
○徳留構成員 健康・栄養研究所の徳留でございます。
 矢島局長と寺本先生のディスカッションに関連するかもしれませんが、まず、2つの視点について申し上げます。食事摂取基準はダイエタリー・リファレンス・インテイクスですが、リファレンスは、健常な方から得られる参照値ということです。したがいまして、食事摂取基準は、健常者の基準値群を提示するものだと思います。それが1つです。
 2つ目は、我が国は、今、少子高齢社会になっているわけですけれども、今回の策定検討会は、先ほど局長がお話になった生活習慣病の重症化予防の徹底という観点からかと存じますが、生活習慣病あるいは高齢者を対象とした学会を代表される方々が多く、小児科とか産科の先生方が少ない。私は、妊婦あるいは授乳婦、乳幼児、小児、このライフステージのリファレンスが非常に大事だと考えています。このライフステージの方々が将来を担うものでありますし、生活習慣病の予防のためには、その時点から健全・育成をしないといけないということです。そういう点で妊婦、授乳婦、小児、子供の基準値群の研究、データの創出が非常に大事だと思います。
 それから、具体的な点を3点申し上げたいと思います。
 今、申し上げた重症化予防に関することですが、資料4−2を見ていただくと、これは先ほどからディスカッションがあるところなんですが、食事摂取基準は、健常な集団と個人を対象にするということで、健康増進・疾病予防の一次予防に関することであります。それから、早期の疾病を持っているんだけれども、特段の指導を受けていない方を対象とするということですから、これは二次予防になるわけです。明らかに何らかの疾病を持っている方々に対しては、診療ガイドライン等の栄養指針を優先して用いるということが記載されておりますから、ここは先ほど佐々木構成員が御説明になったとおり、重症化予防のところとオーバーラップしている部分だと思います。そのような場合は、食事摂取基準を補助的なものとして使うのがよろしいわけでございます。食事摂取基準の1冊の本に、いわゆる食事摂取基準値群と診療ガイドラインの値を載せると、かなり混乱を起こす可能性があるということです。どのように整理するか、整合性を保つか、あるいはすみ分けるか、付録にするかなどを考えなければならないと思います。今、寺本先生がお話になったように、出版物の名称を工夫する必要があるかもしれません。それが1つ目です。
 2つ目は、残念ながら、日本人のデータが少ない。先ほど申し上げた高齢者もそうなんですけれども、妊婦、授乳婦、小児、子供のデータが非常に少ないんです。そういう意味で、厚労省にお願いしたいことは、研究の継続と言いますか、日本人のエビデンスを創出するための研究班を継続的に準備していただきたい。これが2点目でございます。
 3点目は、先ほどもプレゼンテーションがあったわけですけれども、せっかく作成した食事摂取基準が現場で必ずしも広く活用されていないということでございます。活用のための普及・啓発・教育を行い、活用の促進を今後とも進める必要があると思います。
 以上が具体的なことに関する3点でございます。
○菱田座長 ありがとうございました。
 局長、どうぞ。
○矢島健康局長 大変貴重な御意見ありがとうございました。
 基本的には徳留先生のおっしゃった方向にいくと思います。まさにこれから議論していただく話だと思っています。従来の子供の話ですとか、妊婦の話、そういうものを否定するものではなくて、先生が御指摘のように、従来の流れのものはきちんとリファレンスしていただいて、見直すべきところを見直していただく。ただ、そこの部分については、見ていただくとわかりますけれども、かなり蓄積されている。
 今回、新たにお願いした部分というのは、40歳以上の人たちの問題なのかもしれませんが、ちょうど5年前に特定健診・保健指導が始まって、保健指導・食事指導が現場で始まりました。始まったことによって、健診のデータが住民の方々の手に届くようになった。保健指導が始まった中で、見てみると、データに問題がある人たちの方が多い。逆に問題のない人の方が少ない。
 現場で栄養指導をする管理栄養士が使えるものにしていく必要もあります。従来の流れを否定するものではなく、さらにそこをより現実に合った形、使いやすいものにする、現場で使っていただかなければいけないものという形で、御議論をしていただければと思っています。
 そういう意味で、これからどういうふうにすると、国民のためになるのか、現場がうまく動くようになるのか。実際に保健指導をやっているわけですので、食事摂取基準のPRではなくて、保健指導そのものがこれになっていくという考え方にできればいいと思っています。先生方の御議論の中で、そういう議論を深めていただければありがたいと思っております。
○菱田座長 ありがとうございました。
 寺本構成員、徳留構成員からは、今回食事摂取基準の枠組みを大きく変える可能性があることから、重要な問題を提起していただいたと思います。
 この検討会といたしましては、4月までの3回の間で、基準をまとめていくために、どのような形で資料を検討していくのかという方針を立てていくことが必要です。そういった意味で、きょうのいろいろな意見をお聞きしながら、次回、検討課題について整理した形で、また御意見を伺うような機会を設けたいと思いますので、そういう視点で御意見をお願いしたいと思います。
 きょうの会議は12時30分までの予定ですし、是非多くの人に御発言いただきたいと思いますので、議論の中身というよりは、問題の提起という観点で、いろいろ御発言をいただければありがたいと思います。
 児玉構成員、よろしいですか。
○児玉構成員 徳留先生、妊産婦と小児が重要であるということをお話していただきまして、どうもありがとうございます。
 私も寺本先生と徳留先生がおっしゃったようなことは、非常に重要だと思っております。
 あとは、これをいかに活用するかということで、重症化の予防も含めますと、医師に使いやすいものを考えていただくことがいいだろうと思います。幾つかガイドラインが出ております。このガイドラインというのは、恐らくきょうは食事のところだけをピックアップされたと思うんですけれども、薬のことなども入っていると思います。今、薬は非常にいいものがどんどん開発されてきておりますので、一般の臨床の医者が見ると、新しい薬にすぐに飛びついてしまう恐れもあるのではないかと思います。食事のところは、医師が一緒に指導できるようなものをお願いしたいと思います。全ての患者さんが管理栄養士さんに細かく栄養指導してもらうという体制は、今はなかなかとれていないと思いますので、その辺も是非検討していただけたらと思います。
○菱田座長 ありがとうございました。
 どうぞ。
○柴田(克)構成員 滋賀県立大学の柴田と申します。
 私は食事摂取基準を2回担当してきて、主に微量栄養素を担当してきました。食品成分表のおかげで、微量栄養素の摂取量がわかってきたんですけれども、その後の受け手の方の人のデータが非常に少なくて、特に病気の方のデータがない。それはなぜかというと、測定してくれる人がいないからと言われます。ここにおられる方でも、血液とか尿のビタミンをはかったことがあるとか、ミネラルをはかったことがあるか、アミノ酸をはかったことがあるかというと、ほとんどない。しかし、そういうデータは、人数が少なくても持っておられる方がいると思うので、そういうものも出してまとめると、こういうガイドラインにももっと生きてくると思います。そんなデータもまとめるような方向性もほしいと思っています。
 以上です。
○菱田座長 ありがとうございました。
 どうぞ。
○葛谷構成員 今回、私がここに呼ばれたのは、高齢者のことにかかわれということだと思っております。食事摂取基準を決める1つのターゲットは、一次予防で、疾病予防だということですが、高齢者のことをターゲットにするときは、疾病予防よりも、むしろ虚弱予防なんです。だから、かなり方向性が違う。ただ、そうはいっても、高齢者も病気になりますので、そこら辺の整合性がかなり難しいと感じています。
 あと、高齢者の定義は一般に65歳以上ですが、65歳から74歳までの前期高齢者は、普通の成人と同じぐらい健康で、活力のある方ですので、高齢者と言うことで、差別化しなければいけないのは、75歳以上の後期高齢者をどうするかということだと思います。
 もう一つ、よく問題になるのは、ガイドライン自体はすばらしいと思いますし、それに準じた予防をすべきだと思いますが、成人ですり込まれた知識は、75歳、80歳になってもなかなか抜けないんです。決して太っていない、コレステロールも高くない、血糖も高くない高齢者が、すごく厳しい生活習慣病予防をやっておられて、むしろ健康障害につながっていることがあるので、そこら辺を啓蒙するときにも気をつけていかなければいけないと感じています。今回新しいものができれば、非常にありがたいと思います。よろしくお願いいたします。
○菱田座長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
○柴田(重)構成員 私は今回初めてこの会に出席させていただくんですが、私自身は時間栄養学と言いますか、ここ10年ほど体内時計の研究が随分進んできまして、今まで食べ方というと、量とか質の問題を議論していたと思うんですが、例えば朝食の問題だとか、夕食、夜食、あるいはシフトワーカーは実際どういう食べ方をすれば予防できるかとか、そういった点が、研究上は非常に重要になってきております。
 エビデンス自身は、マウス等、動物のデータがほとんどでありまして、人のデータは非常に少ないです。ただ、アメリカを中心にして、実際に朝食の欠食がどのぐらい影響するかとか、そういうことがありますので、総論という意味ぐらいにしかならないとは思うんですが、そういった視点なども、これから先の健康維持・健康寿命のためにはいいのではないかと思っていますので、その辺を披露させていただければと思っております。
○菱田座長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
○勝川構成員 勝川です。
 実際に現場で使用する状況を考えますと、特にエネルギー量の場合、どうしても過小評価が起こりやすい。食事調査でも平均的に5〜30%の過小評価が起こりますし、食事指導の現場でも、患者さんは指示されたエネルギー量よりも、実際は多く食べるという状況が起こるだろうと思います。ですから、食事摂取基準で求めるエネルギー量と、実際の患者さんに指示する場合のもので、どう整合性をつけるかということも、ちょっと配慮が必要だと思います。
○菱田座長 ありがとうございました。
 どうぞ。
○寺本構成員 先ほど私が申し上げているのは、あくまでも動脈硬化とか、いろんな病気を予防しようと考えるときに、基本は栄養状態がいいということが前提にある。要するに適正な栄養状態でいいということだと思います。
 先ほど局長がおっしゃったように、コレステロール700でいいと言いながら、先生たちが200とか、300というのは、何かおかしいという感覚がどうしても生ずるんです。そこをシームレスにしていただかないといけない。一応必要な所要量があるんだけれども、疾病がある場合はこうなんだという形の流れをつくっていただかないと、これは恐らく使いにくいものになって、あれはそう言っているけれども、あなたは違うという話になって、一気にこちらに流れてしまうということが起こるので、この基準が重症化を予防するという考え方に立つ場合は、その流れをつくることが必要です。
 厚い本なので、これでそういうことをすると、大変なことになるという気がしますけれども、今までこれだけできているので、かなり割愛できるところがあるのではないかと思います。今後の流れとして、CKDに関しても、何でもそうだと思うんですが、この場合はこうなんだ、この場合はこうなんだという流れ図をつくっていただくことが重要だと思っています。
○菱田座長 ありがとうございます。
 佐々木先生、どうぞ。
○佐々木(敏)構成員 流れをつくるというのは、重要な御意見だと思います。今まで予防というと、発症予防だけで終わり、そして、治療にかかわっておられる方々は、病気になってからがスタートでした。本来、それはおかしいんです。人は健康から病気に徐々に移っていくわけで、そこがうまくつながるようなものをここでつくるべきだろう。そのところで数値が違うのは、あってよろしい。そこをどう我々が理解し、どう記述し、どう使っていくかというところのコンセンサスをうまくつくっていくべきだろうと思います。
 もう一つ、勝川先生のエネルギーの話なんですけれども、食事摂取基準(2010年版)には、それが記述されております。ところが、なかなかうまくそれが広がらない。そこはそれ以外の疾病のガイドラインであったり、ほかの食事に関するところのガイドラインや使い方のところでも、先ほどの寺本先生と同じようにシームレスで、そこに移行していくんだ、別のものではないというところで、こういう記述を両方にうまく織り込んでいくことができるといいと、お二人の意見を伺って感じました。補足でした。
○菱田座長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでございましょうか。どうぞ。
○多田構成員 多田です。
 この会にお呼びいただきまして、徳留先生がおっしゃるように、病態までいかなくても、高齢者とか、幼児の問題、小児科の問題は、しっかり考えていかないといけないと理解しております。
 そういうことに加えて、疾病を持った患者さんに対して、実際、現場の栄養士さんや医者が食事摂取基準をそのまま当てていいかどうかという問題は、私どもは臨床をやっていますので、感じています。ここを埋めていかなければいけないのではないかということで、今回の厚労省の矢島局長の考え方の中で、我が国のデータはないかもわかりませんけれども、初めて健常者と疾病を抱えた方へのすみ分けを考慮するという方向性が出たということで、大変私は感銘を受けて、できるだけ一生懸命やろうと思っております。
 これは3年以上になりますけれども、佐々木先生と一緒にいろんな仕事をしているんですけれども、実際に目の前の患者さんがどういうものを食べているのかということが、本当にわかるのか。思い出し法で本当にちゃんと把握できるのか。こういった大きな問題がまだあるんです。患者さんが病気として来た。指導しましょう。指導したけれども、その人がどんな状態であるかを知らないで、我々は勝手に基準を持ってきているという現状があるわけです。こうした摂取内容の把握法も一緒に考えていかなければいけない大きな問題ではないかと思っております。そこも問題があるんですけれども、まず病態を持った患者さんがどういう食事をすべきかという各学会でコンセンサスのとれた基準、ガイドラインをつくっていかなければいけない。その第一歩がはじまるのだと思っております。
○菱田座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○徳留構成員 貴重なコメントありがとうございます。
 オーソドックスな食事摂取基準は、一次予防、二次予防を念頭に置いたものだと思います。今回、重症化予防の観点も加えたいということを局長がお話になりました。多くの方々が生活習慣病を持っておられるわけで、その重症化予防というのは非常に大事だと思います。生活習慣病を予防するだけでなく、重症化予防を目指し、人のQOLを向上するという方向性を目指しているところは、大変評価できるんだと思います。
 しかしながら、先ほど来ディスカッションがありましたが、コレステロールは、動脈硬化学会は200mg/日以下、食事摂取基準では男750mg未満、女600mg未満とあります。これを1つの本のなかに盛り込むと、専門職、一般の方々、患者さんが理解に苦しむ可能性がある。
 コレステロールの場合だけでなく、食塩にも同じような問題があります。食塩相当量の場合、WHOの目標量は5g/日未満、高血圧学会のガイドラインは6g未満、健康日本21(第2次)では8g未満であります。食事摂取基準2010年版の目標値は男9g未満、女7.5g未満です。そういう雑多な数値を1つの出版物のなかに記載した場合、専門家が迷い、一般の方々も迷い、患者さんも迷うことになります。その辺りをどのように整合性をもって表現していくかを勘案する必要があります。特に、医師、管理栄養士などの専門職が適切に使えるような食事摂取基準の作成をしたいものだと考えているわけです。
○菱田座長 ありがとうございます。
 今の問題は非常に重要な問題で、最後までにまとめることだと思います。また、皆様方のお知恵を出していただければと思います。
 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
○深柄構成員 東京大学病院の深柄と申します。よろしくお願いします。
 私はもともと外科医でございまして、生活習慣病のために腎臓が悪くなったり、あるいは耐糖能が悪化した患者さんが手術を受けた場合に、合併症の頻度が高くなるということを、これまで多く経験してまいりました。
 日本人の食事摂取基準を作成する上で、これまでは不足の観点と過剰の観点の双方からのアプローチだったと思います。しかし、国民の生活レベルの向上に伴って、不足ということは、余りないだろうという思いがバックグラウンドにあるような気がします。確かに、多くの方々が過栄養をもとにして、生活習慣病に陥って、それがもとで医療費も増大する。これは非常に大きな問題だと思います。しかし、医療の現場では、特に外科領域では、栄養摂取不足が大きな問題として存在しています。
 私は、東大病院の栄養サポートチームの責任者を務めています。対象となる患者さん方は、生活習慣病をもとに臓器障害を合併していらっしゃる方も多いのですが、重症感染症あるいは大きな侵襲を受けたことによる臓器障害を発症する患者さんがいっぱいいらっしゃいます。入院患者さんの2〜3割は、何らかの低栄養状態を呈しております。こういった患者さん方は、栄養をとりたくても食欲がなかったり、あるいは腸管の機能が低下したり、嚥下機能が悪くなったり、こういったことで、十分に栄養をとれないということがございまして、これがもとで、先ほど葛谷先生がおっしゃったような虚弱がさらに進行して、疾病から改善しない。不幸な転帰をたどる。入院期間も長くなる。こういった患者さん方を多く経験しているところでございます。
 これらの患者さん方にベッドサイドでお話をするときに、制限ではなくて、摂取することの重要性をお伝えするように心がけています。栄養をとること、食事をしっかりとることが、病気の早期回復につながるんだということを説明して、理解していただくと、それから急激に摂食量が増えて、早く回復されるということも多く経験しております。
 我々のような立場は、健常者を対象として生活習慣病の予防に役立てるという立場とは、ちょっと違うかもしれません。一般の国民の方々に、必要な量の栄養をしっかりとること、必要な栄養素をバランスよくとることの重要性、それが急性の消耗性疾患あるいはがんになったときに、いろんな治療に耐えて、闘っていくために必要な体を支えるもとになるんだということを理解していただければ、いろいろな治療に対する忍容性も高くなって、入院期間の短縮であるとか、医療費の削減といったことにもつながるのではないかと考えておるところであります。
 こういった低栄養の防止・栄養摂取の推奨が、今回の食事摂取基準とどういうふうにかかわってくるかは、非常に難しいとは思いますが、策定にあたってご検討いただければと存じます。
○菱田座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○矢島健康局長 大変貴重な御指摘ありがとうございます。
 食事摂取基準ができただけではなくて、現場で使うことになると、もちろんドクターの方にも御理解いただかなければいけないんですが、実際に栄養指導に当たる管理栄養士が、医療機関などにいらっしゃるわけです。今回、栄養士会名誉会長の中村先生にも来ていただいていますので、管理栄養士さんたちが実際に使えるようなものをつくっていただきたいと思います。
 アウトプットとして、そういうものも大事なんだ、実際に入院される患者さんが、感染症などで臓器障害を起こして、なかなか摂取ができないような場合には、こういうふうにした方がいいんだということ、管理栄養士さんたちにもいろんな形で教育をしていただくような、実際に管理栄養士さんたちが、現場で使えるようなものをつくっていただくということがあればいいと思います。そういうところにも御助言いただければ、最終的な成果として持っていけると思います。
 医療機関の現場で、ドクターだとか、管理栄養士さんたちがうまく連携をとりながら、やっていくようなものがあってもいいのではないかと思っていますので、先生の視点を我々は忘れずに持っていきたいと思いますので、そういうことも含めて、御意見をいただければありがたいと思っています。
○菱田座長 ありがとうございます。
 そろそろ時間も迫ってまいりましたので、まだきょう御発言いただいていない構成員の方に、あとは御発言をお願いしたいと思います。
 どうぞ。
○木戸構成員 京都府立大学の木戸といいます。
 この前の2010年版では、欠乏、過剰、生活習慣病の一次予防ということで、明確に指標を示したというのが、大きな成果だったと思います。それに対して、局長から最初にお話があったように、重症化予防、つまり連続性を考えて、一歩踏み出そうという視点でお集まりになっていただいていると思います。
 私たち管理栄養士の立場からしても、ここまでは何とかで、ここからは知らないというわけにはいかないわけです。連続性を持った新たな指標を提案する。そして、それをもとに、学会が示しているガイドライン、そういった根拠も結集して、1つの食事栄養管理の指標になればいいのではないかと思っています。
 基本は健康な人がどれだけ食べたらいいのかということを示すことであります。それはライフステージごとに違うわけですが、生まれてから、あるいは妊娠時を含めて、高齢者まであります。高齢者でも元気な高齢者もいれば、疾病を持っている高齢者もいますが、それぞれに手厚く対応できるようなものを目指すべきではないかと思います。
 今回の2015年版でどこまでできるかというのが課題ですけれども、できれば継続性をキーワードに検討していっていただければと思います。よろしくお願いします。
○菱田座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○佐々木(雅)構成員 滋賀医大の佐々木です。よろしくお願いします。
 私は静脈経腸栄養学会で、静脈経腸のガイドライン作成を担当したのですが、そのときに感じたことは、日本人のエビデンスが非常に少ないということです。当然栄養とか代謝というのは、日本人と欧米人では随分違いがあると思うのですが、先ほど佐々木先生からもお話があったように、エビデンスレベルからいくと、どうしても欧米のものが重要視されるような傾向にあり、そこに疑問がありました。なるべく、日本人のデータから作成するのがいいと思うのですが、日本人のエビデンスがない部分に、そこだけ欧米人のデータを持ってくるわけにもいかないと思いますので、その辺りの手法が大事ではないかと考えております。
 もう一点、私はエネルギー代謝や経腸栄養のことを専門領域としているのですが、現在、たくさんの種類の経腸栄養剤、いわゆる流動食が市販されており、この食事摂取基準の改定ごとに、メーカーは新しい食事摂取基準に合った栄養剤に組成を変更しています。ですから、経腸栄養剤の組成としては、かなりよくなっているのですが、本来、病気の方に使うものではありますが、この食事摂取基準をベースにそういうものが改定されていっている、製造されているというのが現状だと思いますので、そういうことも念頭に置いていただければと思っております。
○菱田座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○雨海構成員 武庫川女子大の雨海です。
 私も実際に管理栄養士さんと一緒に働くようになって、栄養指導を隣で一緒にやるようになって感じたことは、医者の立場では栄養指導の内容がオープンになっていないというか、私らがアプローチしないためにわからないんです。実際に聞いてみると、お互いに教育背景が違いますので、共通言語がないんです。共通言語として、食事摂取基準が使えればいいですし、私にはこれも難し過ぎるので、佐々木先生のBDHQを使わせていただいて、それを通して、栄養士さんと共通言語を持っているんです。
 食事摂取基準は、管理栄養士の先生方だけではなくて、栄養の専門でない医者であるとか、場合によっては一般の方であるとか、対象がぶれるかもしれませんけれども、今、管理栄養士さんが一生懸命やっていらっしゃる障害を持っていらっしゃる方、その辺は病気なのか、病気ではないのか、グレーゾーンなんですけれども、グレーゾーンの方々もターゲッティングする必要があるのかも、是非議論していただけたらと思っています。
○菱田座長 ありがとうございます。
 中村先生、お願いします。
○中村構成員 先ほどから、欧米に比べて日本人のデータが少ないという話がありました。逆に、欧米ではなぜあれだけのヒューマンスタディーが出るかというと、ベッドサイドに管理栄養士が常駐しているからです。患者さんのそばにいる管理栄養士たちが行う日常業務が、データの蓄積になっています。我が国には管理栄養士がベッドサイドにいないので、その仕組みがありません。臨床栄養関係のエビデンスが少なくなっていると思っております。
 もう一つは、今回のチャレンジというのは、とても大きな意味がありまして、一次予防は栄養状態の改善が健康増進につながります。ところが、疾病の悪化を予防することになりますと、例えば糖尿だったらエネルギーを制限する、腎臓だったらたんぱくを制限する、動脈硬化だったら脂質を制限するということで、健康人から言えば、アンバランスダイエットを患者に施行することになります。したがって、気をつけなければいけないのは、何人かの先生からも同じような話があったんですが、病態の改善と栄養状態の改善が矛盾する場合です。このときに、臨床の場でのさじ加減をする仕組みをつくらないと、血糖を下げる、クレアチニンを下げる、と一生懸命やっていると同時に、逆に栄養状態が悪化し、低栄養の障害として疾患を増悪化させる危険性もあるということです。
○菱田座長 ありがとうございました。
 非常に貴重な御意見、検討を要する多くの課題を皆様方からいただいたと思います。まだいろいろな御意見があろうかと思いますが、時間となりましたので、今回の議論はここまでとさせていただきたいと思います。きょういただいた議論を整理した上で、次回以降の議論をどうするかということを決めていくことになるかと思います。
 最後に事務局から今後のスケジュールについて、説明をお願いいたします。
○河野栄養・食育指導官 今後の日程について御案内申し上げます。
 第2回検討会は3月19日火曜日10時から12時、第3回は4月8日月曜日15時から17時となっております。
 開催案内については、後日お送りいたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○菱田座長 ありがとうございました。
 それでは、これで本日の会を終了したいと思います。皆様方の熱い議論、本当にありがとうございました。次回以降もよろしくお願いいたします。


(了)

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