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2012年12月21日 第2回依存症者に対する医療及びその回復支援に関する検討会 議事録

障害保健福祉部精神・障害保健課

○日時

平成24年12月21日(金) 13:00〜15:00


○場所

経済産業省別館1028号会議室
(東京都千代田区霞が関1丁目3−1)


○議題

1.医療関係者ヒアリング
2.その他

○議事

 ありがとうございました。
○江副課長補佐 定刻となりましたので、ただいまより、第2回「依存症者に対する医療及びその回復支援に関する検討会」を開催いたします。
 構成員の皆様方におかれましては、御多忙のところ御参集いただきましてありがとうございます。
 本日は、独立行政法人国立病院機構肥前精神医療センター院長、杠岳文先生をお招きし、アルコール依存症について御説明いただくこととしております。
 また、本検討会の川副構成員、田辺構成員より、薬物依存症、病的賭博についてそれぞれ御説明いただくこととしております。
 まず、お手元の資料の確認をさせていただきます。
 資料1は「本検討会の目指す方向性(案)」でございます。資料2は、杠先生より御提出いただいた資料でございます。資料の3は、川副構成員より御提出いただいた資料でございます。資料4は、田辺構成員より御提出いただいた資料でございます。また、参考資料として、「アルコール、その他の薬物使用による精神および行動の障害 総患者数」がございます。
 足りない資料がございましたら、事務局までお申しつけください。
 よろしゅうございますでしょうか。
 なお、成瀬構成員、宮岡構成員、山中構成員につきましては、本日所用のため御欠席と御連絡をいただいております。
 本検討会は公開のため、検討会での審議内容は厚生労働省のホームページに議事録として掲載される予定ですので、あらかじめ御了解くださいますようよろしくお願いいたします。
 それでは、樋口座長に以後の進行をお願いいたします。
○樋口座長 それでは、本日の検討会を始めてまいりたいと思います。
 初めに、本検討会に当たって参画いただくことになりましたアドバイザーについて御紹介いたします。
 前回の検討会の最後のところでも申し上げましたけれども、まずは、独立行政法人国立精神神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部の和田清部長です。よろしくお願いします。
○和田先生 和田でございます。よろしくお願いします。
○樋口座長 それから、同研究部診療治療開発研究室の松本俊彦室長です。
○松本先生 松本です。どうぞよろしくお願いします。
○樋口座長 それでは、議事に入らせていただきます。
 まず、資料1「本検討会の目指す方向性(案)」、及び参考資料「アルコール、その他の薬物使用による精神および行動の障害 総患者数」について事務局より説明いただきたいと思います。
○蒲生依存症対策専門官 事務局でございます。
 まず、資料1「本検討会の示す方向性(案)」について御説明させていただきます。
 前回、各構成員の皆様にこの検討会の今後の方向性ということで御意見をいただきました。いただいた御意見をそれぞれまとめてカテゴライズさせていただいて、事務局として5つの方向性ということでこの柱を立てさせていただきました。
 資料1の1ページ目のスライドをごらんください。
 「1.本人、家族が気軽に依存症に関する相談ができる体制の整備」ということで、相談窓口の整備、相談支援のあり方等を検討していただければと考えております。
 「2.医療機関、行政、自助団体の連携体制の整備」ということで、これは相談を受けた後で、それぞれの関係機関がどのような連携をとればいいかということで、適切な支援を受けられる連携体制のあり方について検討していただければと考えております。
 「3.必要な医療を受けられる体制の整備」ということで、どのような医療を提供すべきか、そのためには何が必要なのかということについて検討していただければと思っております。
 「4.当事者の状況に応じた回復プログラムの整備」。これは、回復プログラムは必ずしも医療機関だけで提供されるものではありませんので、医療機関、行政、あるいは自助団体、それぞれどのようなプログラムが提供できるかということについて検討していただければと考えております。
 「5.地域における当事者、家族の支援体制の整備」。当事者、家族の回復支援のためには何が必要かということを検討させていただきたいと思っております。
 今まで依存症対策という視点ですと、1〜4までが語られることが多かったのですが、回復した方がそのまま回復をし続けるためには地域でどのような支援が必要かということについて、検討していただければと思っております。
 2ページ目、3ページ目に関しましては、前回いただいた御意見が、今回示させていただきました1〜5番のどこに当てはまるかということで当てさせていただきましたので、お読みいただければと思っております。
 続きまして、参考資料「アルコール、その他の薬物使用による精神および行動の障害 総患者数」について御説明させていただきます。
 前回検討会で出させていただきました資料が、平成20年までの総患者数ということでお出ししましたので、今回、最新の平成23年の患者調査のデータをつけさせていただきました。
 平成23年の総患者数、アルコールによる精神及び行動の障害、4万3,000人。アルコール以外の薬物では3万5,000人となっております。平成20年のアルコール以外の薬物の数字は1万6,000人ですので、数字としては倍増以上ということになっております。
 ただ、その内訳なのですけれども、2ページ目をごらんください。平成20年、平成23年とも、その大部分を占めるのは、実はニコチン依存症ということになります。平成20年の1月にチャンピックスというニコチン依存症の喫煙者に対する禁煙の補助薬の効能・効果が承認されて、同年4月から薬価収載されておりますので、実際は禁煙のための受診がふえたというデータになっております。
 もう一点、この中に「タバコ」「アンフェタミン」「その他」と書いておりますが、アンフェタミン自体は患者調査の中でカテゴリーはF15なのですが、その中でアンフェタミンに特化した項目がありますのでその数字を挙げさせていただきました。
 資料説明は以上になります。
 最後に事務局からですが、発言の際、マイクのボタンを押しながら御発言いただくようお願いいたします。指を離してしまいますとマイクが切れてしまいますので、御面倒ですが、ボタンを押しながら御発言いただくようよろしくお願いいたします。
 以上です。
○樋口座長 事務局からは以上でしょうか。
 続きまして、ヒアリングを行いたいと思います。
 まず、川副構成員から薬物依存症について御説明いただきたいと思います。
 川副構成員、どうぞよろしくお願いします。時間は大体15分ぐらいでお願いしたいと思います。
○川副構成員 川副です。
 それでは、お時間をいただきましたので、私からは薬物依存症について資料3をもとに話させていただきます。
 せりがや病院で、ほかにも発表している青山先生と連名で資料を作成いたしましたけれども、せりがや病院は薬物依存症だけを取り扱っているわけではありませんので、途中でアルコール依存症の数字も出てきますし、また、共通する部分も多々あるかと思いますので、その点はお含みおきください。
 目次のように、内容的にはこの順番なのですが、特に段落、間に仕切りを置いているわけではありませんので、一応流れです。
 1枚おめくりいただきますと、例えば2ページ、スライドの3、4のあたりは一般的な前提になるもので並べた資料です。WHOのICD-10、国際疾病分類の内容を要約して書いたというあたりです。
 F1が「精神作用物質使用による精神及び行動の障害」で、そのうちの症状、あるいは状態像によってさらに下位分類がありまして、それがスライドの4、2ページの下、F1x.2で、xのところに物質が入るというように理解しておりまして、上のスライドの例えばアルコール依存症候群であれば、F10.2と理解しております。これが依存症の一般的な話になります。
 その次、3ページの5以下は、それぞれの物質についてのもので、私も少数例しかない物質について全て自分で治療を経験しているわけでもありませんので、一般的な成書から関連があるところを抜き出してきております。
 スライドの5では大麻、スライドの6では睡眠薬・抗不安薬、これは非常に一般的なものだろうと思います。大麻は内外で非常に取り扱いの違いがあるということ。スライド6の睡眠薬・抗不安薬については、現在はベンゾジアゼピン系がほとんどで、さまざまな作用があり安全ということになっていましたが、医師の処方せんが必要であるにもかかわらず、違法な入手が問題になっています。
 4ページのスライドの7ですけれども、覚せい剤。後にも数字を出しますが、以前は有機溶剤がアルコール以外の薬物の中で最も医療機関を訪れていたのですけれども、現在まで長く覚せい剤になっている、それがまた変わりつつあるということだと思います。精神病状態が非常に有名で、動物実験では統合失調症のモデルにすらなっていると思います。一番下に、スライドの8が有機溶剤だと思います。
 それでは次に、まずは私ども神奈川県立精神医療センターせりがや病院の診療状況について簡単に御説明したいと思います。
 前回お話ししましたように、来年で創立50年になるのですけれども、戦後の覚せい剤・麻薬の流行を背景にして発足した県立病院、あるいは自治体立病院で唯一の専門病院ということです。さまざまな啓発活動への参画、コメディカル職種が当初より配置されてきたことなど、非常に特徴的な病院として歩んできました。
 スライドの10が通院治療プログラムで、全員が参加するわけではありませんけれども、薬物とアルコールに大まかに分けまして、このようになっております。一般的なことなのですけれども、広くとればアルコールのところに書いてあるような集団精神療法、作業療法が行われる一方で、薬物のところに書いてありますSMARPP、後ほど御説明しますけれども、一般的には外来では24回、24週間、半年をかけて行われるSMARPP-24が基本ですが、入院中から外来に移行する16、それから、最近では処方薬・市販薬等を主たる依存物質と想定している、そのかわり2週間に一遍しかできないのですけれども、SMARPP-12というものを考案しまして、実施を始めているところです。
 おめくりいただきましてスライドの11が、「ある週の」と、余り説明なく書いてしまいましたが、こちらは入院中の患者さん、特に薬物依存症を想定したプログラムの例です。全員が必ずこうなるわけではありません。午前、午後、時には夜間、いわゆる教育入院になりますけれども、薬物を最近まで使用していた方が解毒、薬物から離脱した後、こうしたプログラムに参加することになっています。
 もちろん、この間に医師の診察、あるいは担当の看護、ソーシャルワーカーたちとの面談、その他種々あるわけですけれども、一応集団のプログラムとしてはこんな流れが多くなっています。
 この中で御説明が必要なところとしては、OTは作業療法の略です。火曜日の午後に「DARCメッセージ」と書いてありますけれども、DARCの方に来ていただきまして、まさしくメッセージ活動を行っていただく。先ほど言いましたように、水曜の午後にはSMARPP-16があるということです。木曜日の教育講義というのは、私なども含めてスタッフが3カ月で一巡するぐらいのペースでそれぞれ情報提供といいますか、まとまった知識を伝達していく機会。土・日、あるいは夜間についても、そうした活動が行われている。略号については、前回事務局から説明がありましたので繰り返しませんけれども、断酒会、AA等も含めまして、必要に応じて参加していただいています。
 以上が大まかな説明ですが、いよいよ診療データということで、昨年度、平成23年度の初診者の受診経路で、見にくい部分もあって恐縮なのですけれども、初診者というのは、いわゆる医療保険上の数カ月間を置いた再初診は含まず、初めてカルテをつくる方です。
 こうしてみると経路はごらんのとおりで、精神科の医療機関が最も多い。他科の医療機関がその次ということで、医療機関からの紹介が既に過半数になっているということです。そして福祉関係、当事者活動、AAとか、DARCとかからの御紹介といいますか、大体は同行したり、連絡が入ったりということになります。その他というのは、本人1人でいろいろ調べて来たり、御家族と一緒に来たりというようなパターンだろうと思います。
 物質別については、7ページの上の13にあるのですけれども、色で見分けがつきますでしょうか。90年というのは、県立精神医療センターという今の組織になった時点ですけれども、それから後はデータがあるものですからこのようにしました。ごらんのとおり、アルコールの次に多かったのは有機溶剤。それが右のほうの平成22年の数字ですとほとんど見えなくなっていて、記憶では平成23年度は、有機溶剤の方は入院などもほとんどいなかった。覚せい剤が圧倒的に多く、それに比べて徐々にふえてきているのは他の薬剤です。これはさまざまなものがあるのですけれども、いわゆる市販薬、その他のもの、それからいわゆる処方薬ということになります。
 それを細かく書いてあるのがその下の図になります。アルコール以外の薬物について数字が出ております。円グラフを並べてしまいましたが、男性・女性の数が違いますのでそこのところはお含みおきいただいて、女性の場合、多剤と処方薬が男性に比べて目立ちますけれども、これは全体の母数を比べて見れば必ずしも男性より多いというわけではなく、むしろ男性では脱法ドラッグと言われるもの、覚せい剤が女性に比べてかなり多いという考え方になると思います。
 おめくりいただいてスライドの15は、いわゆる脱法ドラッグで、比較的最近の数字をお見せしました。その前のページのスライドが23年度以前のものでしたので、ごく最近の状況で、ごらんのとおりです。この中心は、もう報道されていますとおり、いわゆる脱法ハーブということになります。1日3人程度初診を見ているのですけれども、その全員がハーブということも、決してまれとも言えなくなってきました。
 下が新入院。新入院という言葉はなかなか耳なれないかと思いますが、これは初回に限りません。再入院も含みます。要は、今、入院しているではなくて、入院で入ったといった患者さん。年間何件という動きを示します。
 こちらは、初診になってから通院し、通院してから入院になるのが一般的なパターンですので、どうしても生活の定着といったこともあるので、アルコールの方の比率が初診よりもずっと多くなります。年度によってかなり大幅な違いがあるのは、その時々の医師数の問題が非常に大きいわけです。
 これをごらんになっていただくとわかるとおり、有機溶剤がアルコールの次に多かったのが今ではもう圧倒的に少なくなって、この1〜2年は有機溶剤依存症で入院する方はほとんどいないに等しい。覚せい剤、それを超えるその他薬物ということで、ハーブについてはなかなか悩ましいところなのですが、最近ではF19の中に、その他、あるいは多剤のカテゴリーの中にとりあえず入れて、院内では登録することが多いです。
 9ページに参りまして、スライドの17は、その新入院をさらに細かく薬物依存症の部分を見ているわけですけれども、これも母数に男女比があるということ。男女比がこれだけあるのは、1つには平成2年にできました現在の建物の構造が大きく作用していまして、これが違っていれば、もう少し女性がふえた可能性はあります。比率だけで言えば、女性の処方薬・多剤の比率が多いけれども、母数をかけ合わせてみればそれほど大きな違いはない。先ほど申し上げましたように、脱法ドラッグと覚せい剤が、むしろ男性で多いという見方が正しいと思います。
 続きまして、その下のスライド18です。そうした新入院の方の2010年度、若干古いのですが、平成22年度の性別と年齢の分布を見てみました。ごらんのとおり、アルコール依存症の場合、男性はピークが50歳台にあります。女性の場合はそれより少し低くて40歳台になっています。それに対して薬物依存症の場合には、この年度に関する限り、一番上の年齢の方でも50歳台、ピークは30歳台となっています。やはりこの年齢の分布も非常に大きくいろいろな行動、入手する経路、入院する方々、通院する方々の社会経験の長い、短い、そういったことにも影響して、医療あるいは福祉のケアの必要度も変わってくると思います。
 おめくりいただきまして、スライドの番号で19番。その一端を示すものとして、新入院された方が退院のときに、ここでは「転帰」と書きましたが、要はどういう形で退院するかです。
 下に凡例が示してありますけれども、「軽快」というのは一応予定どおり退院した方、あるいは目的を達成したという形の退院。2番目の赤茶色い部分は「希望」ということで、当初想定した、約束した入院期間よりかなり早い時期に希望して、ほとんど任意入院ですのでそのまま退院していただいたという方。
 それから「事故」というのは、例えば飲酒等の問題、あるいは病棟の中での治療環境を維持しかねるような挙動があった場合の退院ということになります。「転医」というのは、恐らく身体合併症によるほかの病院への入院、あるいはほかの精神科病院への転院ということになると思います。
 これも比率を少し見て、絶対数でいえばアルコールのほうが多いのですが、ごらんいただくとおわかりかと思いますが、アルコール以外の薬物で「希望」による退院という比率が多い。「希望」と「事故」を入れますと、実は半分弱になります。
アルコールの場合、事故による、つまり飲酒しての退院も多いのですけれども、アルコールの場合には一旦外に出れば入手することが容易ですので、その問題もあるかと思います。この半分弱が、単純に計算しますと45%ほどが、この「希望」あるいは「事故」による退院だったというのは、本人ももちろん、医療従事者側から見ても、最後まで当初想定した治療を全うできなかったわけですので、ここが大きいと思います。
○樋口座長 川副委員、もう15分たっているので少し早めていただいて。
○川副構成員 済みません。SMARPPにつきましては、前回も和田先生からもお話がありましたように、集団でのプログラム治療、認知行動療法を中心とした治療ということになると思います。先ほどお示ししましたように入院・通院、入院から通院する人に実施している。具体的な例としてスライドの21に写真で示しておきました。
 その他、せりがや病院が取り組んでいる治療活動以外の活動として、薬物乱用防止教室で、県立病院として中学、高校、さらに小学校、それから学校の職員も含めて、看護、コメディカルを要請に応じて派遣しています。
 おめくりいただいてスライドの23、「保護観察所との連携」で、昨年度、今年度はこのようなことを行っております。SMARPPの研修で、一度に3名が行って、その場でロールプレイ等を行うということもあったようです。
 そして、診療経験ということでまとめてみますと、先ほど言いましたように、世代等で一応別のものとして一度は考えてみる必要があるということです。先ほどからお話ししましたような種々の点が指摘できると思います。
 13ページ、スライドの25以下が自治体立病院についての調査です。これについては、時間の問題もありますので簡単にしますけれども、現在受け入れている病院、受け入れていない病院、今後の見込みを比べて示しました。これより数字は若干ふえていますけれども、このようになっております。
 実際の病棟がこのような形で、専用病棟があるところが6カ所、病床のみが3カ所、ないところが15カ所になっております。重度アルコール依存症入院医療管理加算の算定をしているところが過半数となっております。
 診療報酬について、そうした加算を算定していない病院については、患者さんがいないためにプログラム活動がなかなかできない。あるいは、そうした研修を受けた配置が今のところ難しい等の理由がありました。
 診療報酬の(2)、スライドの28のところは、例えば、1日で作業療法、集団精神療法を実施しても、その2つとも請求するというのは今の診療報酬の仕組みでできません。さらにSMARPPのような準備を要する相当の手数をかけているプログラムへの手当も、集団精神療法の点数しかありません。このあたりへの評価は、ぜひお願いしたいところであります。
 続きまして、参考資料を交えて最後にお話しします。
 まず、スライドの29ですけれども、問題になっている自殺者のうち、原因・動機の分類で健康問題である場合のさらに精神疾患を挙げたものです。これを見ますと、うつ病がほとんどなのですけれども、統合失調症、アルコール依存症、薬物乱用と続いているということです。
 スライド30の「子どもの心の診療ネットワーク事業」は場違いなものですけれども、厚生労働省のほかの部局における事業ということで、このようなスキーム、枠組みはとても参考になるものと考えております。
 おめくりいただきまして31は、最初のときに部長さんのお話にもありましたように、前国会で成立しなかったようですけれども、薬物使用等の場合の刑の一部執行猶予という問題について、その案の要綱を抜き出しておきました。
 私ども、薬物依存に力を入れている病院からの要望を最後にまとめました。
 アルコール依存症と同等、ないしそれ以上に手厚いケアを要しています。それから、メンタルヘルスだけではなくて、住民の健康被害にも及ぶということで、大変公衆衛生上も重要な課題だと思っていますけれども、そのための診療報酬上の手だては非常に乏しいと思います。少なくとも当面は、アルコール依存症と同じ枠組みで、それと同等の入院医療管理加算をお願いしたいと思っております。
 それから、ワークブックを使用した集団療法、SMARPPのようなプログラムの評価を、これもぜひ厚くしていただきたいと思います。
 最後なのですけれども、子どもの心の診療拠点病院と同じように、アルコール・薬物依存症につきましても、そうした事業を創設することをお願いしたい、提案したいと思います。その際には、規制されている薬物の依存症者の入院の受け入れ、研修・啓発活動への取り組み、保護観察所等の法務・司法機関との連携などを要件に加えていただきたいと思います。
 その上で、特定入院料という形で包括の、十分な精神科の手厚いケアを必要とする他の領域と同等の入院料をお願いしたいと思います。
 最後、若干駆け足になりましたけれども、まとまりませんが以上です。後で御質問いただきたいと思います。
○樋口座長 川副委員、ありがとうございました。非常にわかりやすい説明をいただきました。
 どうしても明確にしたいことがあるということがございましたら、非常に短い質問は受けることができるかもしれませんが、どなたかいらっしゃいますでしょうか。3名の先生方にヒアリングを行った後で総合的にお話ししますので、ここは先に進みます。
 杠委員の交通関係の事情で順序を反対にさせていただきました。
 続きまして、田辺委員のほうから病的賭博についての御説明をお願いいたします。
○重藤精神・障害保健課長 これは押し続けないといけないので、ほかの先生方も、御発言するときは、押し続けないと切れてしまいますので、よろしくお願いいたします。
○田辺構成員 ちょっと両手を使いたかったのです。
 それでは、時間が15分ぐらいなので、お手元の資料をかいつまんでお話しさせていただきます。
 まず、診断基準については、前回資料が配られましたのでちょっと省略させていただきます。
 ふだん私は、「ギャンブル依存症」という呼称で普及啓発をさせていただいています。それは、そこに書いてあるとおり、ギャンブルをしたいという強い欲求、やることへの執着があり、自制できない状態であるということ。それが、経済的、職業的、人間関係的、心理的に好ましくない結果をもたらすほどになっているが、そのことがわかっていてやめなければならないと決意をしたり、約束をしたり、努力してもやめられずに反復する。そして結果的に、進行性で人生上の問題や人格的な問題になって、周囲も困るようになっているというようなことでお話ししております。
 この「ギャンブル依存症」という呼称は、賭博という行為が日本では刑法185条で禁止されている行為で、実は診断名としての病的賭博については、病前はまじめな公務員であるとか、場合によっては教員であるとか、そういった方も発症することがあり非常に使いにくかったので、こういう言葉を使っています。きょうも時々そういう「ギャンブル依存」という言葉を使うかもしれませんが、基本的に病的賭博を意味してございます。
 私が最初にお話ししたいのは、中核的な部分は、他の薬物、アルコール依存症と同様に、クレービングやアウト・オブ・コントロールがいわゆる嗜癖性障害という共通のものだということです。DSM-5のアメリカの診断、医学統計分類の来年度の草案では、現疾患名のPathological Gambling(病的賭博)は、Gambling disorderということになって、所属カテゴリーも衝動制御の障害からSubstance Use and Addictive Disorders、すなわち、一度は診断概念の用語として廃棄してきた医学会が、dependenceの用語のほうが最近は混乱があるということで、全体を包括的に嗜癖、Addiction、あるいはAddictive disordersという形で捉えようとしているという、それを病的賭博が大きな要因であると思っています。
 この「PG」というのは病的賭博、Pathological Gamblingの略でございますけれども、PGの海外的なもので見ますと、まとめたものでございますけれども、思春期、成人初期に始まって、男性がより若く開始する。しかし、女性は病的状態に進むのが速い。これは、日本でもちょっとそういう傾向が報告されたり、感じられております。
 男性には物質依存の治療歴、反社会性人格障害の割合が高い。種目としては、ビデオポーカー、ブラックジャック、スロットマシーン、ビンゴなど日本と全く違う、後でお話ししますが、日本はパチンコとかスロットが圧倒的に多いわけです。
 国内文献は幾つかありますが、代表的なものとして、森山先生の文献を御紹介しますが、男性92名、女性8名、これは私ども精神保健センターでやっている相談から比べると、非常に男性の率のほうが高いです。
 種類として、パチンコとスロット、スロットのみ、その他載ってございますが、森山先生のところは九州ですがスロットが割と多い。一般的にはパチンコのほうが多い印象があります。しかし、この両者で7〜8割、大抵のギャンブルの相談の窓口でそういう経験だと思います。
 借金の平均額は1,293万で、最高は1億1,000万、最低50万ということです。合併症としては、うつ病とかアルコール依存症が示されておりまして、森山先生は、配偶者65名の方のうち10名が精神科疾患ありと言っております。
 これは、アルコール依存症であれば、随伴する合併症として頻発なのは肝臓障害、肝臓が壊れるということですが、病的賭博の場合は、破産とか債務問題が生じてきます。言わば、私は「財布が壊れる」と言ったりするのですが、財布は実は夫婦の場合、共通なのです。ですから、アルコール依存の場合は本人の肝臓が痛むだけですが、病的賭博の場合は両者の財布が痛むということで、配偶者のほうも長くそういうダメージがあったり、すっきり回復しないということがあります。
 関連する論文も、この10年非常に伸びて数がふえてきております。研究テーマとしても注目されてきているというところでございます。
 京都大学の村井教授のもとで、少しこの病的賭博のバイオロジカルな研究が進んできているのは、私どもの厚生科学の研究班のメンバーとしても非常に力強いところです。鶴身先生から、脳画像研究からの戦略と現状をちょっとメモをいただきましたけれども、「病的賭博患者はギャンブル絡みの刺激に対しては脳が過剰に反応する」「一方でギャンブルが絡まない刺激には脳はあまり反応しない」「ギャンブル以外のことへの反応が減っている反面、ギャンブルへの反応は高まっているため、よりギャンブルから抜け出しにくいと考えられる」「この現象は物質依存患者の薬物とそれ以外の刺激に対する反応と一致している」ということで、現在ギャンブルとは関係のない報酬を予測する課題、その他を与えていろいろ反応を見ようと。
 構成員の先生のお手元にあるカラーの画像の写真、これをなぜ資料とせず別物としたかと言いますと、まだ発表準備中なのでホームページとかに張りつけられないということで、回収ということでございます。ごらんになっていただければと思います。こういった脳機能、あるいは脳の神経伝達物質系の研究なども徐々に進んできているのが現状でございます。そういうことで、最初に申し上げたいのは、病的賭博は、こういった病的な機能変化がある疾患という捉え方を中核的には置かなければいけないだろうということです。
 5ページです。私どものギャンブル依存の来談者、お手元の資料はぎりぎりで提出したので、恐らくカラーで刷る時間がなかったので見にくいかと思いますが、10年来の相談のまとめでございます。500名以上で、大体私どものほうは4対1とよく言っておりましたけれども、20%前後が女性です。ですから、九州の森山先生のクリニックとは、大分比率が違うということです。
 ですから、ギャンブルの相談場所によって、いろいろな方の切り口で見ているのだろうと思います。少し減ってきてまいりましたのは、同じエリアの中でも札幌市のセンターがだんだんとギャンブルの相談もするようになったということで、ちょっと折れ線で示してございます。
 私ども、診断的アセスメントをしてケースワークをし、治療の動機づけをし、受診としては集団精神療法を月2回で行っています。
 6ページ、その集団精神療法の概数ですが、平均の1回の参加者数は大体15名ぐらいということで、月2回で維持しております。大体延べ数で360名の当事者が参加するということでございます。
 これらの経験から、相談支援の小さい総括でございますけれども、ギャンブル行為への強烈な精神依存である。アルコール・薬物依存症同様に進行性である。そして、特に高率な自殺傾向がある。種目は、欧米にはないパチンコやパチスロが断然多い。メジャーグループは、人格障害や精神疾患はなくて、サブグループにうつ病性障害の合併、あるいはクロスアディクション型、アルコール依存症の回復期に大体7%ぐらいがギャンブル依存を合併するというのが、かつてのAAの調査のアンケートの中から見えております。発達障害系、統合失調症が併存するとなかなか治療が困難でありますが、そういうケースもございます。
 パーキンソン病の薬物治療中、海外でパーキンソン病の治療中に発症したということで訴訟が起きたりしているところでございますけれども、こういったケースも一部ございました。
 特にこの中で自殺傾向の問題にちょっと着目してお話ししたいと思いますが、7ページでございますけれども、「自殺傾向の精神疾患比較表」、各種の報告を並べたものでございます。
 特に嗜癖問題にこれを整理しますと、ギャンブルの自殺念慮の生涯経験率は62%、松本先生がお調べになった薬物とアルコールの入院者のちょうど間ぐらいの自殺念慮の経験率ということでございます。そして、1年経験率は大うつ病性障害よりもギャンブルのほうが高い。ギャンブルは4人に1人が自殺を考えるということでございます。
 次の8ページでございますが、医師が診断して診断名が得られた平成19年〜23年までの137名の自殺傾向を調べましたところ、自殺傾向としては38名、自殺念慮のみが21名で、自殺企図ありが17名です。
 自殺傾向と、そこにお示ししたような円グラフのとおりで、28%が自殺傾向がある。万一治療と社会的支援がなくこの28%が自殺したとすれば、もう人口10万人当たりの自殺に置きかえると、日本の自殺率の1,000倍ということになってしまいます。
 私は量的な研究はやっておりませんが、自死遺族からの聞き取りというような形で自殺の質的な研究をしましたけれども、ほとんど病前、発症前は社会的適応もよい、非常に温厚なサラリーマンや公務員などが最終的には軽犯罪に近い状態になって、そして責任を取る形で自死をするというようなケースも相当あるようでございました。
 38名の自殺傾向の診断の内訳がそれです。4分の3は単に病的賭博のみで、4分の1がアルコール依存、あるいは統合失調症、PDD、あるいはうつ病などを合併してございました。
 今度は治療のお話をさせていただきますが、病的賭博は集団療法、内観療法、あるいは認知行動療法、あるいは心理教育的、いわゆる何々教室といったものがいずれも効果があるというような実感を得ております。委員の中の河本先生は内観療法をやっておられますが、私どもは集団療法をやっておりまして、平成24年ことしの参加者のアンケートですが、そこにもお示ししたように、男性17名、女性6名、平均52.8歳、大体30代から60代までまたがってございます。パチンコとかスロットが多いです。
 男性のほうが初体験年齢が早く、習慣化までに時間を10年ぐらい要するのに、女性は初体験年齢が遅く、習慣化に5年ぐらいでなってしまうというのは、ほかの文献等とも共通しますし、外国の論文とも共通するところでございます。借金は6割が500万を超えてございますし、自殺念慮、自殺企図は集団療法に継続的に参加する群ではより高くなってございます。
 センターの集団療法を継続した結果でございますけれども、これは、毎年そういうプロフィールを取っているのですが、量的には少ないので質的なものを示すだけでございますけれども、半年以下の利用者の状態はまだ不安定でございますが、半年から1年、2年、あるいは3年ぐらいまで通所とギャンブルの抑制が一致しております。すなわち、1年ぐらい通うと非常にクレービングが収まって抑制しやすくなる。ところが、これは毎年の調査のグラフで同じ傾向なのですけれども、4〜5年目ぐらいからまた、もう大丈夫かなということで、いわゆるスリップをする。そうすると不安定になって、また慌てて同じ借金をつくってしまい、わかったはずなのに大変だということでまた参加して、長期になるとまた安定するという、これは依存症の特徴なのかと思いますが、いわゆるスリップも含めた長期経過で見ると、こういうことが言えると思います。
 「グループの何が良いのか」という質問をしましたが、これは、いわゆる集団精神療法理論家のヤロムのtherapeutic factorというものと同じような質問でございますが、集団療法的な効果についての返答が出てございます。私は、嗜癖、アディクションには心理療法が必要だと考えてございますが、それは、脳の病的機能への生物学的治療だけでは、この嗜癖に伴って進行した心理的な障害、社会的な障害、あるいは場合によっては犯罪にまで至るようなそういったプロセスを、現実を認めて内省を深めていく、それには非常に心理的な苦痛が癒やされて、そして新たな認識を獲得するようなプロセスが必要であると。
 そこで、結局は自分が嗜癖問題を持つ者として新しい生き方を学ぶという、そういう心理的過程が必要だと考えてございますが、それらは長期的に見れば当事者グループのギャンブラーズアノニマス等で非常に充足される部分も多いと思っております。現在、100以上の地域のGAグループがございます。
 心理療法の目標は2つでございまして、私が思うには、中心的な課題は2つでございまして、1つはスリップの活動に対する心的拮抗力をどうつけるか。認知行動療法は非常に効果があると考えてございます。それから、人間的な成長を来すことによって、嗜癖を持つニーズを減衰させるという、これは内観療法等内省を深める治療がこういったことに力点を置いているかと思っております。集団療法は、その両方にまたがった効果を得られると私は勝手に、我田引水かもしれませんが、そう考えてございます。
 そして、諸外国におけるギャンブル依存症とその日本のものを比較しますと、非常に樋口先生の研究班の調査で圧倒的に高い数字が出てきてございます。これについてもう少しお話ししますと、疾患、あるいはパーソナリティー障害といったものの合併率が非常に高い。薬物乱用、アルコール依存、それからパーソナリティー障害、これは外国のほうが高い。日本はむしろうつ病の合併が高い、あるいは社会不安障害がある程度高いというようなことがございます。
 これらを考えますと、まず、ギャンブル問題の初歩的対応というところで、欧米と日本でちょっと差がある可能性があると考えております。それは、ギャンブル問題を娯楽ギャンブル、問題ギャンブル、病的ギャンブルと、重症度、あるいは回復困難性に応じて分類して考えますと、娯楽ギャンブルは治療の必要はありませんけれども、問題ギャンブルには早期の、あるいは短期の治療的な介入で反応が得られる可能性があります。そして、病的ギャンブルには治療的対応で当事者活動などが必要と考えております。
 次に、スクリーニング上の日本の有病率の高さを考えますと、スクリーニングテストのカットオフポイントというのは、本来問題ギャンブルと病的ギャンブルを区別するところであるのだろうと思いますが、日本では、ギャンブル体験の日常化が進んでいる。それはレジャー、ゲームの結果、換金システムが普及しているために、直ちにギャンブル体験になるという日常性がある。
 資金の入手の利便性がある。ATMでおろすだけではなくて、今、借金がカードでできるということです。あるいは女性への普及があるということで、日本のこの高い有病率というのは、問題ギャンブルも含めて上がってきているのではないかという印象を持ってございます。逆に言えば、ブリーフなインターベンション等の治療的な対応で改善するケースもかなり多いのではないかというのは、臨床的にやっている仲間の意見では、ギャンブルでちょっと介入しただけですごく長期的な予後のよい人がいるという印象と合致するものであります。
 しかしながら、平成24年現在の精神科病院で1,205施設の研究ですが、問題を抱えた方や家族からの相談を受けることがありましたかというのに対して、300施設はあると答えてございますが、診療や相談対応を実際に行っているというのは175施設、1割弱、回答はいただいていませんけれども、はっきりしているのは175施設ということですから、もし1,205で見ますと、まだまだ高くないということでございます。
 それが現状でございますので、今後の医療と支援体制の構築のためには、1つは診断名でF63.0、現行ICD-10分類を明記させれば、病的賭博以外の、例えば、嗜癖障害、嗜癖行動障害、病的ギャンブリングなどの用語を寛容に認めてほしい。すると診療がしやすくなるし、診断書も出しやすくなる。
 内観療法、認知行動療法、あるいはワークブックセラピー、あるいは酒害教室のような教室的な集団療法といったもので効果があると考えられますので、精神療法の診療報酬の対象と認めてほしい。現在は、都道府県でばらつきがあるということが研究班の仲間のディスカッションで明らかになっています。
 それから、無一文者の再出発支援では、自立支援法下の施設を利用できるようにならないかと期待しております。
 相談及び当事者グループ、家族グループ支援の精神保健活動は精神保健福祉センター等の役割でございますけれども、また、こういったアディクション医療の普及をするための教育研修、精神保健研究所なり、国立の依存症の研究機関なりで、病的賭博等プロセスアディクションについても、こういった教育などをしていただければという期待がございます。
以上でございます。
○樋口座長 ありがとうございました。
 病的賭博について現状をまとめていただきました。
 次に、肥前精神医療センターの杠先生、きょうはゲストとしてお見えですけれども、アルコールについてまとめていただけるとありがたいと思います。
○杠先生 肥前精神医療センターの杠と申します。
 今回だけの出席ですので、全体の流れをよく把握しているわけではございませんで、資料のつくり方も不十分であったかもしれませんが、蒲生さんから2〜3週間前に、依存症対策についての課題を発表してくれという依頼を受けましたので、病院のスタッフからもいろいろアイデアを募りまして、それを集めてスライドを作成させていただきました。
 配布資料はカラーでもったいないことをしてしまいまして、白黒で印刷すればインク代が安くすみましたのに、済みませんでした。
 私からは、アルコール依存だけに限ってお話をさせていただきますが、2枚目のスライドが、今日私が話をする項目であります。課題としまして、「アルコール依存症に関する一般人の知識の不足」、これは一般人と申しましても、依存症の治療に当たっていない医療関係者、それから行政・福祉の関係者、そういうものを含めて一般人のアルコール依存に対する正しい知識が、まだとても十分とは言えないという状況、ここにやはり啓発がさらに必要だろうということが一点。
 昔に比べますと専門治療機関にまでたどり着くまでの時間というのは短くはなってきておりますけれども、まだまだ私どもの病院に来るときには、既にもう家族もないし、仕事もないし、体も肝硬変、糖尿病というような重篤な状況でおいでになる方が圧倒的に多うございます。そういう意味では早期介入が重要だろうと思いますし、このためには、やはり内科・救急といった一般科との連携、警察・消防といった行政機関との連携というのも非常に重要なところになると思います。これが二つ目の要点です。
 先ほど、診療報酬のことが話題に上りましたので、そういう意味ではここに診療報酬のことをつけ加えるとすれば、内科・救急から依存症を疑われて専門医療機関に紹介されたときには、診療報酬をちょっと手厚くしていただくというのも一工夫かとは思います。
 3番目ですけれども、治療内容の充実。昔に比べるとこれは非常に各施設とも工夫をされておりますけれども、まだまだ専門治療施設は遍在がございまして、日本全国を見ますと東北・北陸地方にはやはり専門治療施設が少ない印象があります。そういう意味で二次医療圏には1つずつぐらいあったほうがいいのかと思ったりします。
 4番目は、治療プログラムの中では、やはりそろそろ節酒を治療目標の1つとして私ども受け入れなければいけないのではないかという、そういう時代の変化も感じておりますので、そういうことについてもちょっと触れたいと思います。
 5番目にアルコール依存症患者さんの回復支援、これにも触れたいと思います。私ども、佐賀におりまして、自助グループの活動がだんだん停滞といいますか、患者さんが高齢化したということも理由の1つにあると思いますけれども、自助グループに参加する人が非常に少なくなってしまいました。そういうところで、やはりもう一度活性化が必要だろうと思っております。自助グループに断酒会に迎えに来る方がいらっしゃらなくなって、院内から行けなくなってしまいました。このため現在、私どもが、タクシーを出して断酒会に送り迎えをしているという時代になってまいりました。
 また、家族支援のことですけれども、相談窓口、家族教室、こういったものが昔に比べると見えなくなってきてしまった印象があります。前は、保健所に行くと定期的に家族教室、相談の日というのがあったのですけれども、こういう依存症の相談事業が市町村に移ったせいでしょうか、なかなか専門の人がいらっしゃらないということで、こうした相談事業から紹介されて私どもの病院に来られる方も随分少なくなった印象がありますので、相談窓口、家族教室というのをもう一度強化する必要があるのではないかと感じております。
 そのことを少し詳しくお話をしてまいります。3枚目のところは、「予防・啓発」と書きましたけれども、主に啓発のことです。
 そして4枚目のスライドは、皆さん御存じの依存症の診断ということで、依存症という病気であるということです。ちゃんと診断基準に基づいて医学的に診断されたものが依存症であるということであります。
 次の5枚目、少しかみ砕いて書いておりますけれども、重要な点はオレンジ色のところだと思います。「アルコール依存症とは、意志の力では飲酒行動を抑制できない慢性的な脳の異常状態にあるものを指す」、先ほどギャンブルのところでも画像などを使って病気であるということを示していただきましたけれども、やはり、アルコール依存症も脳の病気であるということを改めて我々が認識しておかなければいけない。「アルコール依存症は、一定量以上の飲酒を続けていると誰でも罹り得る回復可能な脳の疾患である」、これは改めて周知させる必要があると思います。多くの医療関係者もまだまだ意志の問題、人格の問題と捉えることが多いように思います。
 次のスライドは一般人向けということで、本当の一般の人向けのことですけれども、ここではやはり、依存症の病気の正しい情報、認識を伝えるためには、マスコミからの情報発信というのは非常に重要だろうと考えます。政治家、芸能人等々、アルコール関連問題が出たり、がんの問題も最近も新聞などのニュースに出ておりますけれども、そういったときにこそ、背後にある病気の真の原因であるアルコール依存のことを正しく伝えるような工夫とか、そういうことをもう少し意識していただければと思うわけです。
 そういうときに、依存症ってこんな病気、誰もなります、回復できます、うつ病の背景にしばしばアルコール問題がありますというようなことを、その機会ごとに啓発していただければ一般の方々への啓発に非常に役に立つのではないかと思うわけです。
 次のスライドは、医療従事者、アルコール依存を見ていない依存症以外の医療従事者、行政、福祉といった方々、一応専門職に近い立場にいらっしゃいますけれども、そういう方でもやはり認識不足に基づく誤解、偏見、好ましくない対応というのはあるように思います。依存症は回復可能な病気であるという認識を改めて持っていただきたい。人格・意志の問題ではありません。うつ病、肝障害ではなく、真の原因はアルコール依存症ではないでしょうかということを啓発していければと思います。
 8番目のスライドは早期介入、その連携の2番目のテーマの問題です。
 これにつきましては、9番のスライド、隣にいらっしゃる和田先生のもとで、2005年、2006年ぐらいに全国調査をさせていただきました。アルコール依存症治療施設の実態に関する研究ということでさせていただいて、洲脇先生ともどもこの研究にかかわったものですから、その結果を御紹介しておきたいと思います。
 このときは、精神保健福祉センターにアルコールの治療プログラムを有して入院治療を行っている施設をまず紹介いただきまして、そこから各施設にお手紙を出しまして、具体的な治療内容、治療構造についてお問い合せをしました。
 ここでは、入院患者さんの50%以上がアルコール依存症である病棟は、アルコール専門病棟と呼びました。5名以上のアルコール依存症の患者さんがいらっしゃる病棟を準アルコール専門病棟と呼ぶことにしました。
 そうして全国で調べましたところ、入院患者の半分以上がアルコール依存症患者さんという専門病棟は43施設全国にございました。一方の準アルコール専門病棟のみの病院というのが32施設です。全国に70〜80のアルコール病院があるということになるでしょうか。
 というところで、11番目のスライドですけれども、治療期間については概ね3か月未満というのが多かったように思います。
 12番目のスライドですけれども、5〜6年前の調査なのですが、この時代からアルコール専門病棟でも、薬物、摂食障害、それからギャンブルといったようなほかのアディクションの患者さんも、かなり柔軟に受け入れているということがわかりました。アルコール専門病棟と言いながら、本当はアディクション病棟というような感じに移りつつあったところかと思います。
 13枚目のスライドは、具体的な治療内容をお示ししました。非常にたくさんバラエティーに富んだプログラムが用意されております。施設ごとに特徴を生かした治療プログラムが用意されていると思います。
 かなり柔軟に対応されてきているところなのですけれども、14番目のところで、さらに私たち治療者にも変化が必要とされていると。専門職にもさらに変化が必要とされている。私たちは常々社会に変化を求め、患者さんに変化を求めておりますけれども、自分たちも自らが変わらなければいけない時代ではないかと思うわけです。
 15枚目のスライドです。具体的に医療に求められる変化としては、先ほど言いました一般医療・他機関との連携をさらに強化すべきだろう、そのために診療報酬のインセンティブがあればということです。2番目に早期介入。そのためにどういう工夫が必要かということで、私どもの取り組みをちょっと紹介いたします。それから、多様な患者さんにオーダーメイドの治療。その中では、やはり飲酒量低減、すなわち節酒というのが治療目標として取り入れられるのではないかと思うわけです。
 16番目のスライドは、左側が今までの好ましくない連携といいますか、救急病院、精神科、一般病院、行政、警察といったところが、やはりアルコールの患者さんをみんな忌避してしまう。すると連携が組めない。ここに大きな問題、酩酊保護の問題があると思います。ですから、この連携を組むときに1つ課題としては、酩酊保護をどう取り扱うというか、どういう協力をするかということが鍵にはなってくるかと思いますけれども、できれば右側の図のように皆さんが手を組んで連携を取れればまさに早期発見につながるでしょうし、こういう連携が取れていれば回復支援にもつながると思います。左の図から右の図へ移れることを期待しております。
 オーダーメイドの治療というのは、左側の画一的な治療、既に1つ断酒しかない治療目標からいろいろなバラエティーに富む治療目標を用意することで様々なニーズの患者さんに対応できる、幅広い患者さんを受け入れられるというふうに考えるわけです。
 18番目のスライドですけれども、これは、私たちが行った早期介入の社会実験ということになろうよろしいかと思います。私が福岡市の飲酒運転の対策にかかわっていたことで、アルコール依存が疑われた方をどうやったら早く専門治療につなげられるかということを考え、福岡市南区というところには元々アルコールの専門病院がなかったものですから、一般病院である国立病院機構福岡病院、ここは小児科と呼吸器内科、重心病棟があるような300床ぐらいの一般病院なのですけれども、そこに私どもが出向きまして、週に1回アルコール専門外来というのを作りました。
 このサテライトクリニックの特色は、一般病院の中にアルコール外来ができたということと、もう1点は、ここでの治療では節酒というのを治療目標の1つに最初から掲げておりました。断酒だけではなくて、節酒もやりますというのを、この新聞の記事の中には書いてあります。こうした工夫によって幅広い患者さんを受け入れる施設を、専門病院の外につくったということが実験でありました。
 次のページが治療転帰の結果であります。最近は余りマスコミに出なくなりまして、当初、これが記事になって新聞に出たものですから、患者さんが殺到しまして予約から3カ月待ったというようなことがありました。その当時は、特に半分以上が軽症の患者さんで、節酒ができるようなレベルの人でした。だんだん重い人が多くなりましたので、全体としてみますと、最終的な診断は94名のうち77名が依存症で、その手前の乱用レベルが12名ということです。
 患者さんと合意の得られた治療目標ということでは、断酒が56名、節酒が21名おりました。下の乱用レベルの10名と合わせますと31名ですから、3分の1以上が節酒を目標としたということです。
 転帰を見ていただきますと、比較的節酒を目標とした人でもそんなに悪くない。平均が2年ぐらいの追跡期間ですけれども、そこそこ治療目標を達成できていると思います。逆にいうと、今まで断酒しか治療目標として受け入れなかった治療の中では、この節酒以下の人は全部切り捨てられたわけですから、その方々を救えたという言い方もできるかと思います。実際やっていて手ごたえとしては非常にあるということ。今まで私たちは、病院の中から受け身で見ていますと、どうしても重症の患者さんしか来ませんでしたけれども、地域の医療機関の前線に出ていきますと軽症の患者さんが比較的気軽に来られるということがわかりました。節酒を治療目標の一つにしたことも大きかったと思います。早期介入という意味では、こういう工夫もひとつ役に立つと思っております。
 20枚目のスライドでございますけれども、依存症治療でのファーストチョイスは、もちろん断酒でありますけれども、セカンドチョイスとして節酒指導があるのではないかということが、NIAAAのClinician’s guideに書いてあります。これは私たちの考えているのと同じことだと思いまして、紹介させていただきました。
 「『断酒』が最も安全な方針であり、これが通常、臨床家しての推奨であろう。しかしながら、それぞれの患者に合った個別の治療目標を立てるのが最良と考えられる。患者の中には、特に初回治療では断酒を治療の目標にすることに抵抗を示す者もいるであろう。もし、アルコール依存症患者が飲酒量を大きく減らすことに同意するなら、断酒が最も望ましい目標であると助言は与え続けながらも、当面は節酒に専念させるのが最良である」という考え方、これを私どもが取り入れている考え方でございます。
 21番目がアルコール使用障害スペクトラムで、今までの治療というのは断酒しかございませんでしたので、左側の断酒です。ですから、対象となる患者さんは、アルコール依存症の非常にヘビーな、ピラミッドの一番上の患者しか治療の対象になり得なかった。ここは、相互に規定されたところがあって、断酒しかないからそういう重症な人しか来ない、重症な人しか来ないから断酒しかないというような規定ができあがったと思いますけれども、節酒というのを取り入れますと、対象が幅広くなってくる。二次予防のレベルから対応できると考えるわけです。ですから、私どもも節酒という考え方をそろそろ受け入れたらどうだろうかというところです。
 22番目が、節酒を取り入れる背後にある考え方ということで4つ挙げました。1つは薬物のほうで先にありますハーム・リダクションの考え方の普及。「健康日本21」でもうたわれております多量飲酒者対策。3番目が、飲酒量低減をするための技法、ブリーフイターベンション(BI)の技法について、そのツールがさまざまつくられてまいりました。また有効性を示すエビデンスが蓄積され、有効性が確立されたという時代になってまいりました。4番目は、AcamprosateをはじめとするAnticraving agent、渇望を抑制する、お酒を飲みたい気持ちを抑えるような薬、そういった薬の導入が進められているという薬物治療の面でも節酒の時代に変わってきたというところであります。その4つが、節酒をアルコール依存の治療目標の一つとして受け入れる背後にあるだろうと考えます。
 次のスライドですけれども、節酒技法(ブリーフイターベンション)が入ることによって、何がどう変わるかと言いますと、そのハーム・リダクションにも、二次予防にも役立つわけですから、治療の前後を支えるものになるだろうと。治療が手厚く重層になるということかと思います。治療そのものの内容も少し変わってまいりますけれども、節酒技法は治療からこぼれる人も救えるし、その手前の人も救えるというような技法ではないかと思います。
 最後は「社会復帰促進・家族支援」でございます。
 25番目のスライド、これは皮肉っぽいところがありますけれども、「依存症と診断、レッテルを貼られたばかりに」「働けない」「住む場所がない」「サービスが受けられない」という、病院に来なければよかったというところが患者さんの本音である人も出てくると思います。依存症という病名をつけられたばかりに、むしろ、いろいろな制約を受けてしまうということは、悲しいかな真実に近いところがあるように思います。
 26番目に挙げましたように、就労の問題、生活の場の問題、所得の問題、生活保護を受けないと回復できないというような状況、そういうのも一面あるように思います。もっと早い段階で依存症の患者さんに合った社会復帰システム、そういうものができないかと考えるわけです。
 次は、家族支援のお話です。左側に3つ輪がありまして、「受診に結びつかない」「長年の抱え込み」「家族自身が抑うつ的に」ということで右回りに回っていますけれども、これは左回りでもどちらもあり得るかと思います。こういう連鎖がありまして、この連鎖を打ち切るためには、やはり開かれた相談の窓口が近いところにあるべきでしょうし、家族教室もあるべきでしょう。それから、家族が集う場、憩う場、そういう場がもっと数多くできればと思います。
 最後、28番目のスライドですけれども、自助グループの活動の活性化についてです。退院後の患者さんの回復を支え、居場所を提供するものであります。さらに、先行く仲間の姿は回復が始まった患者さんの道標になります。回復者の姿が見える形で存在することは、先ほどから言っています疾患のイメージを変えることにつながります。回復可能であるというメッセージを社会に届けることができます。それから、ピアカウンセラーとしても役立っていただけます。ここにはやはり教育の場が必要だというニーズもあるようです。
 最後に、私ども地方では、過疎化と高齢化の中で自助グループ活動がだんだん低迷してきていると感じています。ちょっとここにてこ入れをできればと感じているところでございます。
 以上です。
○樋口座長 杠先生、ありがとうございました。
 3名の先生方から、アルコール、薬物、ギャンブルの3つの依存、嗜癖といいましょうか、医療の面から見たヒアリングを行いましたけれども、3名の先生方の中で一番共通で出てきていたのは診療報酬の話です。啓発の必要性についても指摘がございました。それから、早期発見・早期治療。治療の目標について再考したほうがいいのではないかという指摘もございましたけれども、今から大体30分の間、このヒアリングを受けて、委員の先生から意見をお聞きしたいと思います。
 私から1つだけお願いしたいのは、前回の委員会のときにちょっと感じたのですけれども、自分の身の回りのことの意見が多く、もう少し巨視的に捉えていろいろなことを考えていって、少しずつ議論を集約していくということも必要なのではないかと思いますので、そのあたりも踏まえて御意見いただければと思います。どうぞ、どなたでも結構ですので、時間が限られていますのでコンパクトに意見を言っていただければと思います。いかがでしょう。
 紫藤委員。
○紫藤構成員 紫藤です。
 今、診療報酬という話でちょっと考えたのですけれども、アルコールにせよ、薬物にせよ、家族病だと昔から言われていて、いわゆるファミリーインターベンション、家族が相談に来るというケースが多いと思うのですけれども、実際に医療機関に家族が来る場合、どのように対応したらいいのか。いわゆる保険診療という形で家族の相談を受けられないという現状があって、窓口で本人を連れてきてくださいと追い返してしまうと、結局、本人が来ることができずに受診の機会を逸してしまうということが多いと思うのです。
 仕方なく、保健所とか精神保健福祉センターとか、公的なところにお願いせざるを得ないということで、実際に私ども、町の中にある診療所の立場から言うと、もっと気軽に家族の相談に応じられるような方法が確立されてもいいのではないかと考えたのですけれども、いかがでしょうか。
○樋口座長 非常に重要な指摘だと思います。診療のシステムの中に家族も入れられたらということで、そういう指摘でした。
 そのほか、いかがでございましょうか。
 月乃委員。
○月乃構成員 質問なのですけれども、節酒というのを事例目標にすると最後にお話があったのですけれども、具体的にどのようなことで節酒をするのか、やり方ですね。古い常識だと、飲むと再発するからみたいな、私は当事者として、これから私が節酒にチャレンジという気持ちになかなかなれないのですけれども、その辺の具体的なやり方というのをお聞きしたいのです。
○樋口座長 アルコール依存症の中で、飲酒量の低減ということについては、前回も河本委員のほうからも話がありましたけれども、杠先生、今の意見、いかがでございましょう。
○杠先生 具体的にどういう目標を立てるか、今までの治療の中でも実際にはある程度やられていたのではないかとは思いますけれども、患者さんが、もちろん断酒がベストだというメッセージは一方で与える必要はあるとは思います。ただ、それを受け入れない、特に先ほどのように福岡病院のように一般病院の中に来るレベルの人たちにいきなり断酒と言っても、節酒も試みたこともない人もいるわけですから。これまでの専門病院での治療でしたら大体病院に来られる方は節酒を何回も繰り返してだめで断酒を受け入れるというプロセスがあるわけですけれども、早期の段階から治療に乗ってくる方に対しては、やはりまず節酒をさせて、それがだめだったら断酒というふうに準備ができるのではないかと思います。そういうプログラムやツールも様々今ではできましたので、やりやすくなったと思います。
 ただ、現段階で私どもが工夫しているのは、断酒の患者さんと節酒の患者さんと治療空間を分けています。それは、断酒は病院でやっていますし、節酒は一般病院の外来でやっているというところで、断酒目標の患者さん方と節酒目標の患者さん方をできるだけ混ぜないように、混乱を招かないように配慮をしています。
○樋口座長 医療の質を上げていこうという努力のうちの1つのオプションとして、今のようなことがあるという受け止めでよろしいでしょうか。
 そのほか、いかがでしょう。
 幸田委員、よろしくお願いします。
○幸田構成員 DARCの幸田です。
 1つギャンブルのことなのですけれども、DARCにもギャンブルの問題を抱えた方が非常に多くて、皆さん借金を抱えてDARCに来るわけなのですけれども、先ほどの発表の中にギャンブル依存の方が少ないというふうに載っていましたけれども、それはギャンブルの依存でつぶれる前に先に薬物の問題でつぶれてしまって、ギャンブルで底をつくまで至らなかったというのが実際のところなのかと思います。
 DARCの中にいる人たちは、やはり薬がとまると、どうしても薬をやめた後に再度ギャンブルの問題に行ってしまうという方が多いので、やはり、ギャンブルと薬物の問題を両方抱えている方というのもたくさんいるのではないかと思います。
 それともう一点、川副先生にお聞きしたいのですけれども、以前、埼玉の医療センターの病棟のスタッフの方から、アルコール病棟の定員の半分が薬物になってしまったときに、もう病棟の中が非常に大変だったと。アルコールの人の倍以上手がかかるので、薬物の人がふえてしまうと大変だったということを伺ったことがあるのですけれども、先生のところでは両方の患者さんとを診てらっしゃって、その辺はどういうふうに対応されているのでしょうか。
○川副構成員 古くて新しい問題としか言いようがないのですけれども、先ほど言いましたように、年齢・性別、いろいろな行動上の問題がやはり違うとは思っています。
 例えば、アルコールの方で、これは私が申し上げるだけではなくて、多くの方が言っていることですけれども、社会経験を積んで、その中でむしろ過剰なほど社会に適応しようとしてアルコールに走った。先ほどのギャンブルの話とも共通する部分かと思うのですけれども、その末に入院することになった方々と、ある意味では、社会経験を積む前に薬物依存で入手できてしまって問題になって入院になった方々とでは、やはり病院も一種の集団であり医療従事者側は組織ですので、そういったあたりへの適応の問題が、まず1つはあるのだろうと思います。なかなか個別にやっていくしかないというのが実情ではないかと思います。
○樋口座長 今の2つの御指摘と質問ですけれども、とても大事だと思います。1つは、クロスアディクション、これをどうしていこうかということ、後で議論になるかもしれません。もう一点は、薬物の治療の受け皿をもっと大きくしなければいけないのではないかということに今の話はつながるのだと思いますので、このあたりについては、また後でアドバイザーのほうからお話がいただけるのではないかと思いますので、また、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、佐藤委員。
○佐藤(光)構成員 川副先生の発表に関連して質問させてください。認知行動療法のSMARPPについて、SMARPP-12、24、16という、日数を分けた取り組みをされていると思うのですが、先ほどのご発表の中で、SMARPP-12は対象を処方薬や市販薬の依存症患者に絞っているとおっしゃっていました。こうした認知行動療法を行っている医療機関では、覚せい剤などの依存症患者の中に、処方薬の依存症患者が混ざる形で一緒に行っているケースが多いと聞きます。スタッフの確保の問題など、様々な事情でこうしたことになっていると思うのですが、その中で処方薬に絞ってやり始めたというのはすごく良いことだと思います。回数の違いだけではなく、内容の違いがもしあれば教えてください。
○川副構成員 ここにはアドバイザーに考案者もいらっしゃいますので、後でまた詳しいことはお聞きいただきたいぐらいなのですが、先ほど申し上げましたように、16は入院中でもできるところからなのです。そうして分けたというのは、1つは、なかなか難しいいろいろな問題、余りに細かくし過ぎるとまた対応がし切れないということはあるのですが、規制されている薬物の依存という方々と、処方されたお薬、あるいは市販のお薬、果てはガスその他に至るまで、そういった日常的に買えてしまう、普通のお店にある薬物等の方とは、一緒にした場合、市販薬、処方薬の依存で来られた方々が、さらに依存性の高い、そして法にも触れる物質についての話がどうしても出るわけです。それはテキストにもありますし、患者さん同士の会話の中にも当然出てくる。果たしてそれが患者さんにとってどうか、あるいは御家族から心配が出てくるので、まだ試みの段階と言わざるを得ないことなのです。
 実は、市販薬・処方薬といっても、男性の方が多い。その中で、なかなか女性の方が発言とか、率直な話をしかねる部分というのは、性の問題も薬物依存の問題で出てくるので、当座はそのように分けてみているぐらいのことです。
○樋口座長 ありがとうございました。
 そのほかいかがでございましょうか。
 どうぞ。
○河本構成員 杠先生が最初におっしゃられた、依存症は誰でもなり得るというのは、1つの啓発としてよく保健所とかいろいろなところで使われているのですけれども、いろいろな患者さんに教育とか研修をする上で、あるいは患者さんに病気の説明をするときに、依存症となったからコントロールできないよ、だから病気だよという話はするのですが、ただ、そうは言っても、あんたがたくさん飲んだからなったんだろうとかというところで、やはりそこでいろいろな偏見とか、患者さんの罪悪感とか、頑張らない、だから自分のせいだなんて言うと思うので、言い方として、誰でもなり得るというのは、いつも患者さん教育で引っかかるのです。
 それは、啓発とか研修にかかわると思うのですけれども、例えば、依存症になりやすさとか、同じ体質的な依存症への脆弱性とか、そこら辺を教育とか研修とか、あるいは啓発の場で少し重点を置いたほうがいいかなというのが、いつも気にかかっているところです。
○杠先生 今のお話は患者さんに対してということですか。
○河本構成員 そうです。あと家族、あるいは社会的な啓発です。
○樋口座長 杠先生、何かコメントございますか。
○杠先生 私がここに書いたのは、特に一般の、患者さん以外の人に向けてのメッセージで、アルコール依存症になりやすい性格傾向や体質が全くないかと言われるとそうでもない、確かに病気になりやすいある種の性格傾向、体質というのは一部にあるでしょう。ただ、それはいずれ、アルコール依存に偏見を持つ一般の人たちにとっては、良い 、悪いという評価と結びついてしまうことが出てきてしまいそうですので、そういう意味でも、予防できるものでなければ、誰でもなり得るというような単純なメッセージのほうが一般の人にはわかりやすい、偏見解消に役立つのではないかと思ったわけです。
○樋口座長 アルコールを例に取ると、我が国というのは諸外国に比べてもアルコールに対する非常に寛容さというのがよく言われるのですけれども、しかし、依存症の人たちに対するスティグマというのは、外国に比べてかなり強いものもあるのだと思うのです。そういうことを考えたら、多くの先生から出ている啓発というのはとても大事なことだと思うので、今のような内容も、また将来、中に組み入れて考えていただきたいと思います。
 立木委員、どうぞ。
○立木構成員 断酒会の立木です。
 杠先生の節酒治療は、前にも去年も総会でお伺いしましたし、月乃さんが言ったように、私も古い会員になってしまっているので、断酒会で節酒をしようと言ったら暴動が起こりまして、どちらかというと古い会員が、「きょうはいいことを聞いた。節酒という部分もあるぞ」と言ったら、多分国賊扱いになると思います。実態はそういうことです。
 なぜかというと、先生のお話、レジュメにもあったように、アルコール依存症はもう宿命的に脳の病気だと今どんどん言われているわけですから、これが節酒ということと両立するのかなというのは理屈があるのですけれども、ただ、客観情勢の中で見ますと、今、全日本断酒連盟というのは、10年前まで1万人ちょっと正規の会員で実働会員がいたのです。それが、10年たったら2,000人近く減ってしまって8,500〜8,600人。どうしてこうなのだろうとしゃかりきになって全国規模でいろいろと調査したり、リサーチしているのだけれども、1つの傾向が出てきたというのは、退会者は10年間大体同じレベルなのです。脱落していく人たちというのは、大体同じパーセントである。
 減った理由は、携帯電話の純増数ではないけれども、入ってくる人間がすごく少ないのです。これがどんどん低下してきた。つまり、断酒会が縮んできたのは、頭数で言うと、やめる人は変わらないが、新しい人がうんと減ってきた。差し引き縮んできたというのが、データ的に1つ出ています。
 毎年報告書を出しています。そこにも参考で配っているのですが、1月中旬ぐらいにはそのデータが出て来ます。もろもろの8,000人レベルのデータですけれども、はっきりしているのはそれです。新しい人が入ってこないというのはどういうことなのだろうということでいろいろ調査もしたのですが、有力なのが亡くなる人。それから、再飲酒に絡む断酒会に対する、1つの組織に対するあり方の不満みたいなことで、昔と違っているのです。
 昔は再飲酒してそれでおしまいということなのだけれども、思想的にも、実態的にも、死亡は物理的なものですが、断酒会に対する、あるいは人間関係でやめていくというのがだんだん出てきたのです。我々が入会したころにはあり得なかったことなのです。そうすると、アルコール依存症、あるいはその周辺の人たちの心理とかそういうものが、客観情勢も変わってきているのではないか。
 言いたいのは、新しい人に節酒したら、そのまま断酒につながって会に入ってくるのではないかという、樋口先生の言葉をかりると、治療を質的に高める1つのオプションだということなので、節酒治療というのは、新しい人たちに対して1つの効果があるかどうかというようなことが、実験的にあり得るのではないかと。新しく入ってくる人というと、なかなか何を考えているかわからないし、3年以内に50%近くがやめてしまうのです。企業でも新入社員は3年以内に一番辞めるのです。だから、この辺にその新しい人、若年者の問題がどうなのかということ。
 もう一点だけ。これは別の話ですけれども、依存症、ギャンブル、アルコール、ドラッグ、きょう、お話を伺いました。共通項は依存症でくくられています。この対応に対しては、今、はやりなのだけれども、やはり依存症対策基本法みたいなものでくくらないと、統合的、総合的な対応はできないのではないかということで、やはり法律の1つの制定が最大公約数になって、この依存症、各エリアの依存症を統合できるような、規制できるような法律を1つつくらなければいけないのではないかと、ちょっと先走りますけれども、そういう提案です。
 以上です。
○樋口座長 自助グループが、さらに活性化していただくような話というのは、もういろいろなところから話が出ていますし、やはり強い期待があると思いますので、今のような話が逆転するような形で、最後に意見を取りまとめることができればいいなと思います。
 そのほか、いかがでしょうか。
○杠先生 今の話にちょっとつけ加えさせていただくと、多分、断酒会の方々、あるいは今まで専門治療に罹られていた依存症の方というのは、先ほど図で示したピラミッドの一番上のほうなのです。それを私たちは依存症と呼んでいたのですけれども、私たちが見ている依存症というのは、その下の依存症で、診断基準に当てはまるけれども、今までは事例化しなかった早期のアルコール依存症の方々、そういう方々を拾い集める意味が非常に大きいのだという、そういう意味での早期介入ということになりますので、今、本当に重症な人に積極的に私たちが節酒をさせるかというとそうではないので、その辺、誤解がないようにお願いします。
○立木構成員 いわゆる我々依存症、アルコールもそうですけれども、例の精神保健福祉法5条で、薬理のあるものに対する依存ということになっていますけれども、どうもアルコール依存症の人の、例えば断酒継続の時間的な問題とか、グレードをつけるとすると、いわゆる病態ではないです。30年、40年断酒がきちんとできて社会的に適応している人も、5条で言う依存者になるのかどうかというものも整理して考えないと、対応策が出てこないのではないかと思います。
 臨床の段階では、幻覚が出たり、酒が抜けなくて重症というのはわかるのだけれども、依存症というのは、やはり時間的な経過と回復の問題があるので、その辺も整理して対応しないと、理論がごちゃごちゃになってくるのではないかということも考えております。
○樋口座長 ありがとうございました。
 堀井委員、どうぞ。
○堀井構成員 日本精神科病院協会の堀井です。杠先生が先ほど言われていた話に関係するのですが、この委員会は、依存症に対する治療及び回復支援に関する検討会なので、広くアルコール依存ということも考えていく必要もあると思うのです。病院医療だけでなく、関係する家族、あるいは地域で考えていくことが大切で、杠先生の対策の中にも早期発見・回復のところに救急病院とか、警察、役場が入ってきます。
 特にアルコール問題は、飲酒運転でありますとか、酩酊者の保護でありますとか、救急医療の現場では救急隊がどう扱っていいのかわからないとかという問題が非常に大きな問題の一つです。その辺のところを考えていく必要があるのではないか、警察の関与もある程度必要なのではないかと思ったりするのですが、杠先生、今後の対策を考えるのに、その辺を検討していくのに何か御意見がおありですか。
○杠先生 今、御指摘のとおり、やはり今、忌避されている1つの理由は、その酩酊の問題が非常に大きいところがあると思います。そういう意味では、この対策を考えていく上で、警察の方々がこのアルコール依存の問題にどうかかわっていただけるかが重要ですし、ここは両方が歩み寄る必要があると思います。警察の問題だと言ってしまえば、やはり虎箱に収容されたときは、警察の方々はやはり身体的なものを非常に危惧されていて、吐物誤嚥だとか、突然死が起こるのではないかといった心配をされています。そういう意味で両方の連携の場、協議の場を設けるというのは非常に重要なことだと思っております。
○堀井構成員 薬物についても、刑を受ける、あるいは刑を受けて出てくるときとの関与がありますので、やはり法的な問題がどうしてもかかわってくると思うのですが、その辺をクリアするために、今後、もし対策の中に入っていただくのは難しいというような、厚労省の立場としての問題もあると思うのですけれども、それが難しいようでしたら、それを考えていく委員会的なものでもつくっていかないと、本当の解決にならないという気がするのです。
○樋口座長 貴重な指摘だと思いますけれども、事務局のほうから、何かコメント等ございますか。
○重藤精神・障害保健課長 今この検討会で直接警察とか、委員会ということではあれですが、この検討会の意見をいただいて、私ども事務局として、警察庁の地域課というところと事務的にお話をしたりいろいろやって、それでまたそういうこともやりましょうということになればそうかもしれませんが、一応この検討会としては御意見をいただいてということで、あとは事務局に判断させていただければと思います。
○樋口座長 佐藤委員、どうぞ。
○佐藤(光)構成員 先ほどの御質問のケースに関連しますが、私も、医師が通報する、しないということが、特に公務員の場合などは、はっきりさせておかないと問題になると思うのです。これから認知行動療法などを広めていく中で、やはりその辺の議論は欠かせないと感じます。
 アルコール依存症のことで一つ質問をさせてください。杠先生の御発表を聞き、マスコミもきちんとした情報を発信していかなければならないという思いを強くしているのですが、アルコール依存症になると、ずっと断酒を続けなければならず、ちょっとでもアルコールを口にすると、また元に戻ってしまい、飲酒の歯止めがきかなくなるという認識で記事を書いてきました。しかし、今の杠先生のお話を聞き、記事の書き方を変える必要があるのではないかと感じました。アルコール依存症になっても、節酒でコントロールできる人がいるということなのですか。
○杠先生 それほど長期に見ているわけではなくて、2年ぐらいの平均追跡期間ですから、その中ではこの数がいらっしゃったということです。それが何年もつかということはわれわれのデータではまだ明らかになっていません。ただ、比べて見なければいけない対象はこれまでの治療なのです。これまでの治療よりは、少なくとも、この節酒の治療に乗って、少なくとも一定期間QOLが向上してくる人がこれだけふえているわけですから、そういう意味では十分意義があると思うわけです。
○佐藤(光)構成員 もう1つだけ済みません。その中で、お話になったような介入技法とか、薬物治療とか、新しい手法がここ何年かで出てきているということなのですか。そうした薬は今、日本でも簡単に使えるのでしょうか。
○杠先生 まさにおっしゃるとおりです。技法も薬物も、これからこういうのが導入されつつありますし、今ちょうどこうした早期介入技法やブリーフインターベンションの研修会とかというのをいろいろなところでやっているところでございます。
○樋口座長 紫藤委員、どうぞ。
○紫藤構成員 紫藤です。
 田辺先生のお話を聞いて、きょう、まとめてギャンブル依存症の話を聞いたのは初めてだったのですけれども、大変な問題なのだということを改めて実感しました。特に日本の有病率の高さというのは、圧倒的にパチンコ、スロットが多いということに起因しているのかと思いますし、実際借金とか、自殺とか、子供置き去り事件とかいろいろな問題が起こっていて、日常的に町の中にもパチンコ屋さんがある。若い人が行きたくなるようなデコレーションがあって、うちに来ている学生さんや主婦が次第に病的賭博という世界に入っていくわけです。要するに、パチンコ屋さんというのは、賭博ではなくて、遊技場という位置づけらしいのですけれども、もらった景品をお金に交換するというのは暗黙の了解でみんな知っていますが、法的には賭博の扱いにはなっていないというお話です。
 このような部分について何らかの歯どめをしないと、治療する以前にどうやって規制していくか、これはこの会の目的ではないのかもしれないけれども、精神保健全体の問題として考えていかなければいけないと感じましたし、田辺先生の御意見をお伺いできればと思います。
○樋口座長 どうぞ。
○田辺構成員 調査の有病率の高さは、海外のギャンブルの種目と全く違うものが日常的にレジャーとして、まず楽しまれていて、でもそれが裏の換金システムといいますか、暗黙の理解で、皆そういうことが可能だということを知っているというところとセットされて、レジャー体験、娯楽体験が直ちにギャンブル体験になるということで、そこでは非常に射幸性の高いゲーム機が入れば、遊びで10万円勝ったという話になって、どんどん深みにはまりやすい構造が私たちの社会にあると思っています。
 先ほどアルコールのほうで節酒の話が出ましたけれども、私たちのほうは、「節パチ」とかいうのはありませんで、しかし、どちらかというと心理教育的な指導とか、短期の面接とかで、予後がよい人もいるのだという意見は出ています。
 つまり、それは恐らく先ほど図に書いて示したように、押し上げられた高い部分の中には、長期にGAに所属して頑張っていかなければならない人と、ある程度の疾患カテゴリーといいますか、自分の脳にそういう病気があったのだということで、大げさに言えばそういう捉え方をしていただいて、維持的な程度で対応している人がいます。私のほうにも年に数回来て、忘れそうになるから集団療法に参加してワクチンを打って帰るんだというたとえで、自分の脳の中にはウイルスが入っている、だから、年に3回ぐらいはワクチンを打ちにこないと再発してしまうんだと、4年目、5年目、7年目、8年目で、そんな形で維持療法的に来られている方がいるのです。
 だから、そういう層の人が、多分日本のスクリーニングテストでカットポイントを超える人たちの中にいるのだろうと思っています。ですから、今の社会環境の中に平均的なサラリーマンをして病的賭博になるような日本の現状があるのだろうと思っています。
○樋口座長 あとお一人だけ、短いコメント、意見がありましたら、お聞きします。
 月乃委員、どうぞ。
○月乃構成員 質問なのですけれども、川副先生、「新入院の依存薬物内訳」ということで資料が出ていましたけれども、女性は4割が処方薬で、23%が覚せい剤で、多剤が34%となっていますが、多剤のうちで処方薬が絡む多剤というのは大体どのぐらいなのですか。単純に足すと、処方薬絡みが5割以上ぐらいになるかと判断してもよろしいのでしょうか。それはどうでしょう。
○川副構成員 ここの場合の多剤というのは、処方薬の例えば、AとBとCというのではもちろんなくて、例えば処方薬がその一つにあるとしたら、それと例えば覚せい剤とか、そんな話になります。かけ合わせていただくとおわかりのとおり、この女性の多剤のところは恐らく10名ぐらいでしょうけれども、一般的に言いますと、男性でも多剤が相当数いるわけです。例えば、脱法ドラッグに男性などで行った人なども、ある年齢に行ってしまうと単一のものを長年にわたって使用し続けるということのほうがまれです。
 例えば有機溶剤、覚せい剤、それから最近では脱法ハーブというふうに、その時々で利用しやすいものを結果的に移動して、渡り歩いてしまったということが多くなっています。
 ただ、これは、過去に短期間でも使ったものを全部多剤としてカウントしてしまうと、そういう実情からいうと物すごく広がってしまいます。ですから、現在の病態に非常に関係のある物質が1つに絞り込める場合には、それぞれの分類にするように私どもの病院の中ではしているところです。
○樋口座長 ありがとうございました。
 議論は尽きないところですけれども、そろそろ時間も参りました。
 今までの議論を踏まえて、アドバイザーの先生方に5分ずつで申しわけないのですけれども、御意見いただきたいと思います。
 まず、松本先生からよろしくお願いします。
○松本構成員 いろいろお話いただきまして、私も非常に勉強になりました。
 話の中で出てきた幾つかの疑問みたいのがあるのですが、そこでお答えしたいかと思います。
 私は以前、90年代の後半から2000年ぐらいまでせりがや病院に勤めていたのですが、そのときに病棟のスタッフからよく言われていたのは、入院患者の2割を薬物が超えないようにしてくれと依頼されておりました。
 でも当時、第三次覚せい剤乱用期で本当に一番激しいときだったので、もう2割はすぐ超えてしまって、いつも超えると医者はかなり心苦しい思いをしていました。それを何とか交渉して3割までふやしてもらった記憶があります。最近は4割か半分ぐらいまで許してもらって、ちょっとずつ枠を上げているところがあります。
 この話でもわかりますように、薬物依存症は本当に治療の場が限られているという現実があります。変な話、薬物という名がついただけで、先ほどまでは空床があると言っていた病院が突然数秒後には空床がなくなるという超自然な現象も起こるわけです。
 SMARPPというワークブックに基づく治療プログラムを開発した経緯にはそういったこともございました。もちろん、専門病院がふえるということは大事なのですけれども、実は専門病院を新たにつくっても、国内で2〜3カ所が追加されるにすぎないのではないかと思ったのです。皆さんも御承知のように、依存症の治療というのは地域の中で行われなければいけないので、とにかく、これまで苦手意識を持っていた人が、これがあれば話すネタができるよねというツールができればと思った経緯があります。
 実は、そのツールを使ってプログラムをやる中で、当事者の方がファシリテーターで入ってくれたりとか、いろいろな保健所の関係者が来てくれたり、いろいろな交流や情報交換、初めてそこでネットワークができるということを意図しています。
 ただ、こういったネットワークが地域で広がっていくためにも、一番どうしようもない事態のときに引き受けてくれる医療機関がないと、安心して地域のネットワークがつくれないというところもあるので、そこのところも、ぜひ今後皆さんの中で考えていただけるとありがたいなと思っています。
 最後に1点だけ、杠先生から節酒の話が出ました。私は主に薬物依存の治療をしているので、さすが「節シャブ」というのは対外的にも、治療的にも言いづらいところがございます。ただ、あえて使いながらでも、とにかく本人が通っているということは、このままではいけないという気持ちのあらわれだろうということで、消極的に節シャブを容認してしまう場合もございます。
 そうすることによって何が起きるかというと、治療継続性が高まります。依存症の治療で一番大事なのは治療の継続性であって、最終的にそれでいいと思っているわけではないのですけれども、最悪、最終的にやめられなくても、人生トータルで使う薬物やアルコールの量が減るということは、多いよりはましではないかという気持ちもございます。
 ぜひ、この継続性ということを皆様も大事にしていただいて、どうやって地域でより支援の継続性を保っていくかという議論が今後展開できればありがたいと思っています。
 以上です。
○樋口構成員 松本先生、ありがとうございました。
 和田先生、お願いします。
○和田構成員 きょう、3人の方々から話を聞かせていただきました。この3人の方は、いわゆる医療サイドの方々ということで、そういう意味では、医療サイドの意見を大体出していただけたと思います。医療にかかわらず皆さん言われていたのは、啓発の必要性かと思います。やはりスティグマということが非常に大きいと思うのです。その辺については、分野を越えて皆さん思われているのかと思います。これについての対策というものを現状を考えながら、もっと先に進めていくというか、効果的にやっていく必要性というのは、恐らく皆さん持たれていると思います。
 そのスティグマに一部かかわるとは思うのですけれども、田辺先生の指摘された病的賭博ですが、「賭博」という言葉が強烈なわけです。「賭博」は間違いなく日本語なのですけれども、本当に前時代的というか、むしろギャンブルという言葉自体が既に今の世の中では日本語になっている気がします。ですから、「病的ギャンブル」ぐらいに言っておけば随分受け取り方も変わるかと、個人的には思います。そもそもこれは医学界で病的賭博とICD-10の英語を訳したところに責任があるわけでして、そこに縛られる必要はないと思います。通用する言葉にかえていただければいいのではないかと個人的には思います。
 あと「虎箱」問題です。薬物の場合では、通報するかしないかという話もありました。実はこれは精神保健福祉法の改正のときに、第5条に薬物依存症というものは入ったわけですけれども、そこに急性中毒というものも入ったのです。当時改正するときに、厚労省の方々と私たちとも協議しました。急性中毒、これは要するに「酔っ払い」です。「酔っ払い」はそれまでも、今もそうですが、いわゆる「虎箱」で対応する日本のやり方があったわけです。
 ところが、法を変えた直後に、ある都道府県が「虎箱」に急性中毒者を入れないということを実施したのです。そうしたらその県では大混乱が起きて、結果的にもとのスタイルの「虎箱」で1泊させるということに戻さざるを得なかったようです。その辺のことは、まさに医療と警察との協議の中で、現実的に考えていく必要がある問題なのだろうと思います。
 通報ということはよく出るのですが、私はいつもこの議論が出るたびに、まずは、現在の法の中身をきちんと医療従事者は知りましょうということを言いたいのです。どういうことかというと、覚せい剤の話が出るとよく通報の話が出ます。実は覚せい剤取締法には、医療従事者に対する通報義務はどこにも書かれていないのです。
 もう一つ、麻薬及び向精神薬取締法の中には、麻薬中毒者だと医師が診断したときには、県知事への届出義務が出るのです。警察への通報ではないのです。そこをきちんと押さえずして、全て警察への通報ということで議論が始まることが多々あるので、これは、医療界の中できちんと研修を通して教育していく、そういうことをこれまで以上にやるべきだろうと思います。
 今回のこの検討会自体ですが、医療モデルとして、依存症というものをどう捉えるかということがかかわってくるわけでして、アルコールの場合には退薬という時期は、誰が見ても、医療モデル的に考えやすいのです。ところが依存そのものは、世間ではなかなか医療モデルとして考えてもらえないという問題があるわけで、そこが啓発になっていくかという気がします。
 長くなりましたが、アルコール依存の方と薬物依存の方を一緒に診るべきかどうかという議論は昔からあります。杠先生の12番目のスライドにもありましたが、いわゆるアルコール病棟では薬物依存の方はなかなか入院させてもらえないという問題があります。逆に同じ病棟にアルコールと薬物の依存症者が入院しているけれども、そのSMARPPのプログラムについては、12週と24週で分けて診ているという現実も紹介されました。一緒にやることの一長一短があるわけでして、その辺も、専門的には詰めていく必要がある問題なのかという気がします。
 ということで、医療から見たときに、今回の3つのディペンデンスないしはアディクションの中で指摘されていたのは、診療報酬の必要性と、スティグマをめぐる啓発ということ、さらには職員の研修の必要性が指摘されたのかと、拝聴させていただきました。
 以上です。
○樋口座長 和田先生、松本先生、ありがとうございました。
 前回と同じですけれども、今後の議論の進め方につきましては、本日のヒアリングや委員の先生方の御意見、あるいはアドバイザーの先生方の御意見を踏まえて私のほうで預からせていただきまして、事務局と調整の上、今後の議論の進め方をまとめるというふうにさせていただきたいと思いますけれども、よろしゅうございますでしょうか。
○堀井構成員 1つだけお願いがあるのですけれども、今後、この委員会はこういう依存症に対する相談をする場所を広げたり、いろいろな情報提供をする場を設ける必要があると思うのです。江副課長補佐とか、蒲生専門官にお願いすることになるのかと思いますが、いろいろなトータルのデータの数字は出ているのですが、実際に各県がどのようなギャンブルの相談とか、薬物の相談、アルコールの相談をされていて、実際に紹介しているような施設を各県がどの程度把握しているのかという実態がわかりません。その辺をできたらわかるように調べていただけるとありがたいと思います。今後の対策が考えやすいので、できましたらということなのですがよろしくお願いします。
○樋口座長 事務局のほうから何かございますでしょうか。
○蒲生依存症対策専門官 可能かどうか調べた上で、また検討させていただきます。御提案ありがとうございました。
○樋口座長 ありがとうございました。
 それでは、最後に事務局のほうから、次回の検討会のテーマ及び次回以降の日程等について御説明いただければと思います。
 よろしくお願いします。
○江副課長補佐 活発な御議論ありがとうございました。
 次回の検討会につきましては、各種依存症の当事者の方やその御家族の方から依存症についての当事者、御家族の視点でのさまざまな御意見を伺えればと考えております。
 日程につきましては、来年1月31日木曜日の13時からを予定しております。正式な場所等の御案内は後日お送りさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 また、田辺構成員の説明資料で、1枚の「検討会終了後回収」と赤字で記載させていただいている資料については、終了後に事務局で回収いたしますので、机上に残しておいていただければと思います。
 事務局からは以上です。
○樋口座長 本日はお忙しい中、長時間にわたりありがとうございました。
 また、杠先生におかれましては、九州から本検討会においでいただきまして、ありがとうございます。重ねてお礼を申し上げたいと思います。
 それでは、これをもちまして第2回「依存症者に対する医療及びその回復支援に関する検討会」を閉会いたします。


(了)

障害保健福祉部精神・障害保健課障害保健係

連絡先: 03-5253-1111(内3065)

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