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2013年1月18日 専門医の在り方に関する検討会(第15回)議事録

○日時

平成25年1月18日(金) 10:00~12:00


○場所

厚生労働省専用第22会議室(18階)
東京都千代田区霞が関1-2-2中央合同庁舎第5号館


○議題

さらに議論が必要な論点について 等

○議事







専門医の在り方に関する検討会(第15回)



日時 平成25年1月18日(金)
10:00~
場所 厚生労働省専用第22会議室(18階)

○医師臨床研修推進室長 専門医の在り方に関する検討会(第15回)を開催します。
 本日は、先生方には御多忙のところ御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。本日、高山委員、平林委員から、所用により御欠席との御連絡をいただいております。森山委員は後ほど到着すると思います。文部科学省医学教育課から、村田課長にお越しいただいています。なお、事務局について、今回より医政担当の審議官の神田も同席させていただきます。
 以降の議事運営につきましては、座長にお願いいたします。高久先生、よろしくお願いいたします。
○高久座長 皆さん方、お集まりいただきまして、ありがとうございました。まず、資料の確認を事務局からお願いいたします。
○医師臨床研修推進室長 お手元にお配りしている資料です。議事次第等の3枚セットの紙、その後ろに委員提出資料として、池田先生から御提出いただいています「総合医(仮称)に関する検討会」意見集約です。次に、事務局提出資料1「前回(第14回)までの主な御意見」、事務局提出資料2「更に議論が必要な論点について(案)」、事務局提出資料3「基本領域及びサブスペシャルティ領域における専門医数・診療科別医師数」、事務局提出資料4「新たな専門医の仕組みに関する全体スケジュール(たたき台)」、事務局提出資料5「専門医の在り方に関する検討会今後のスケジュール(案)」です。参考資料「専門医の在り方に関する検討会 中間まとめ」の全文と参考資料です。
 別途、机上には、日本専門医制評価・認定機構のお作りになっておられる「日本専門医制度概報(平成24年度版)」です。不足等がありましたらお申し出ください。
○高久座長 参考資料も入っているのですか。
○医師臨床研修推進室長 はい。一番最後に、紙媒体の参考資料「専門医の在り方に関する検討会中間まとめ」の後ろのほうは、中間まとめの参考資料を全て付けています。
○高久座長 よろしいでしょうか。本日の議事は、最初に「前回(第14回)までの主な御意見について」、次に「更に議論が必要な論点について」、「その他」になっています。まず、議事1の「前回(第14回)までの主な御意見」について、事務局から説明をお願いします。
○医師臨床研修推進室長 事務局提出資料1「前回までの主な御意見」です。これまでと同様に、前回検討会で賜りました主な御意見を、アンダーラインを付して追加しています。そこで、追加部分についてのみ、確認のため御案内いたします。
 2ページです。一番上ですが、「例えば麻酔科標榜医やがん治療認定医など、別の制度に基づくものと専門医との関係は、慎重に検討を続けていく必要があるのではないか」。
 4ページの下のほうですが、「標榜科を検討していく際には、総合診療科という新しい概念についても検討するべきではないか」。
 10ページの上から2つ目で、「総合医について、国民に分かりやすく説明するプロセスが重要である。キーワードとしては、地域を診る視点、各科・各領域の専門医との密接な連携、医師以外の職種との連携、また、在宅、緩和ケア、高齢者ケアなどが挙げられる」。
 11ページの一番下で、「名称は、『総合診療専門医』が妥当ではないか。その場合、『総合医』という言葉を別に使うことは避けるべきではないか」。
 13ページの上から5つ目で、「総合診療という専門医ができても自動的に人が集まるわけではないので、1つの診療領域としての総合診療について、学生時代からプレゼンテーションしていく必要があるのではないか」。
 14ページの下から2つ目で、「総合診療専門医のプログラムについては、この検討会ではプログラムを作成するプロセスを議論し、そのプロセスに従い第三者機関で関係学会や日本医師会等と連携して作成していく形がいいのではないか。また、臨床研修修了後原則3年間の研修期間とすることが適当ではないか」。
 20ページの中ほどで、「臨床研修の基本理念に鑑みれば、その2年間を専門医養成に加味したり、プラス加点したりすることのないように整理するべきではないか」。追加部分は以上です。
○高久座長 何か御意見はございますでしょうか。特にないようでしたら、議事2「更に議論が必要な論点について」に入ります。まず、前回、池田委員から総合診療専門医について、機構の検討状況の御報告をいただきましたが、改めて御説明をお願いいたします。
○池田委員 本日は資料を提出させていただきました。これは以前からお話をしていますように、機構の中で、「総合医(仮称)に関する検討会」を、金澤座長の下に、機構から2名、日本医師会から1名、内科、外科、小児科、救急、プライマリ・ケア連合学会、病院総合診療学会等、関連する学会の代表の先生に出ていただきまして、議論をして参りました。その意見が、4回の議論を経て、まとまりましたので、それを機構の中で作った検討会なものですから、機構の理事会でも議論をさせていただきまして、基本的には本日提出させて頂いた資料のような意見集約で、理事会としてはいいのではないかということでお話しさせていただきます。
 5つのパートに分かれていまして、「はじめに」というのは、「専門医の在り方に関する検討会」でのまとめを経て、機構で「総合医(仮称)に関する検討会」を立ち上げましたということが書いてあります。
 最初に、名称について議論させていただいたのですが、これは前回のここの検討会でも話が出ましたが、「総合診療専門医」という名称でいいのではないかというコンセンサスが得られたということです。
 次に、総合診療医の位置づけについて記載していますが、これは19番目の基本領域として認定すべきではないかということです。ただ、他の18の基本領域の専門医と多少違いますので、例えば、既に基本領域の専門医を取った方たちが、総合診療専門医のほうに移行していく場合もございますし、また、総合診療専門医のほうから、ほかの基本領域へ移る場合もかなりあるということで、それぞれについては、そのプロセスを仮定しまして、然るべき研修プログラムを作って、それに対応するべきではないかという議論がありました。
 基本領域は、これまで原則として、1つの資格にすべきであるということでしたが、総合診療医については、2領域の専門医資格を持つことが可能かどうか、移行も含めて、その辺は今後第三者機関、あるいは検討会等で十分に議論をしていくものであろうということが話されました。
 総合診療専門医の活動内容と医師像が、一番重要なわけですが、これもそこに4つほど書いてあります。このような、きちんとした医師像を皆さんに知っていただくことが大事だということで、ここの検討会でも福井先生を中心にお話がありましたように、日常的に頻度の高い疾病や傷害に対応できることに加えて、地域によって医療ニーズは異なりますので、そういう地域の医療ニーズを的確に判断して、「地域を診る医師」としての視点が、かなり重要な医師像になってくるのではないかということです。
 ただ、これも前回の議事録を見ていただければ分かると思うのですが、日常的に遭遇する頻度の高い疾病や傷害に対して、初期対応できるということと同時に、必要に応じて各科の専門医と連携できるということ、そして各科の専門医と連携できるだけではなくて、ほかの職種、医師以外の職種とも連携して、包括的、あるいは多様な医療サービスを柔軟に提供できるような医師というのは、医療はもともと社会性のあるものですから、そういうトレーニングをある期間きちんとやることが必要だろうということで、そういう医師像をしっかり作って、医療の中で、重要な一つの専門医像だということを認識していただくことが必要だろうと思っております。
 最後に、そういう医師をどうやって育てるのか。これは一番クリティカルなところですが、その研修プログラムについては、まだまだ具体的にお示しする段階ではないだろうというのが検討会での意見ですし、理事会でも、今後多くの関連する学会あるいは日本医師会等と連携をしながら、後で新しい第三者機関の話が出るかと思いますが、委員会(ボード)を作って、そこで具体的な研修プログラム、研修施設、あるいは研修の指導医をどのように配置していくかなども含めて、考えていかなければいけないということで、これについては恐らく1年、2年、じっくり議論をして、国民的なコンセンサスの形成も念頭に入れながら、やっていかなければいけないということです。総合診療専門医の研修については、今まで学会主導でやってきたわけで、それはそれで、今後も専門家の集まりの学会が中心になってやっていくわけですが、この総合診療専門医の研修については、多くの関連する領域の配布や日本の医療を担ってきた地域の開業医の先生方も、研修プログラムの策定に関与してもらう必要があるのではないかというような話が出ました。
 総合診療の医師像を念頭に置きながら、研修のプログラムをどう作っていくか。これは、正にこれからの重要な課題として、早急に解決しなければいけない問題だという認識だということです。意見集約は以上の5点について述べさせていただきました。これまでのここの検討会の御意見と、大きな齟齬がないような気が私はしますが、これが機構で現在集約した意見です。御報告させていただきました。金澤先生から御意見がありましたら、お願いいたします。
○金澤座長代理 3ページの2つ目の○の文章の最後に、「日本医師会の協力も必要」と書いてありますが、この「も」は、実は私たちの心としては、「が」なのです。そのつもりで受け取っていただきたいと思います。以上です。
○高久座長 既に研修プログラムの中に日本医師会の名前が出ていますから、当然のことだと思います。池田委員から提出された資料に関して、御質問、御意見がありましたら、よろしくお願いいたします。池田委員、実際に研修プログラムを作るのは第三者機関で作ることになりますか。
○池田委員 それぞれの学会が認定している専門医というのは、一定のカリキュラムが各学会で決められまして、それを到達目標にして、研修期間を3年なら3年、研修施設はこういう施設だということだけを決めて、あとはお任せで試験をするという格好になっていたのですが、これからはそれぞれの領域の専門医を育成するためには、3年間なら3年間、4年間なら4年間の間に、計画性をもって、プログラムディレクターがどなたで、指導医がどなたでどのような研修をするのか、プログラムをしっかりと作って、そのプログラムに従って研修をしていただくことによって、きちんとした臨床能力が身に付く。各領域の専門医についても、第三者機関ができ、その中に恐らくボードというものができると思うのですが、そのボードで具体的に議論をしていただいて、2年ぐらいかけて、研修プログラムを研修施設も含めて策定していただくという流れの中で、この総合診療の専門医の研修プログラムも作っていく必要があるのではないかと思っています。
○高久座長 委員の皆さん、御意見、御質問はいかがでしょうか。
○桃井委員 総合医あるいは総合診療医の数が多くなってくると、日本の医療提供体制も変わってくるかもしれませんが、それまでには当分時間がかかって、今の主に病院における医療提供体制は、そう急には変わらないと思うのです。
 そこで、例えば私は小児科医ですが、地域の200床、300床ぐらいの病院に医者を派遣するときに、多くは全科当直、内科系当直とか、そういう形で行われていて、今まで全体を見たことのない医師が、突然に内科系全科当直とか、そういう形になることが多いのです。それが1つです。
 それから、ダブルボードが議論されていて、今後決まると思うのですが、いろいろな方向の矢印が可能な研修体制にしないと、特に総合医あるいは総合診療医はいけないとなりますと、今まで我々の頭にある専門医は、一括というか、5年間一括、割合に一定の方式の研修体制ですが、最初に申し上げた全科当直などの体制が、医師にとっても患者にとっても安全に行えるようにすることと、いろいろな方向の矢印が可能な、やや複雑な研修体制を可能にするということを考えますと、この研修体制に関しては、例えばレベル1、レベル2、レベル3などの、ある一定の段階を設けて、例えばレベル1を修了すれば全科当直に入れるとか、その病院にはレベル1を提供する義務が生じるとか、そのような形にしていただけると、医師も安心してその業務に就けるということがありますので、今までのような一括した研修体制ではなくて、段階的な研修体制も考慮して、工夫をして作っていただきたいと、医師を派遣する立場から思います。
○高久座長 それは総合診療医に関してですね。
○桃井委員 はい。総合診療の研修に関してです。必ずしも総合診療の専門医を取らなくても、レベル1を取れば、200床病院の全科当直に安心して入れるというような、工夫が必要ではないかなと思います。
○高久座長 ほかに御意見はございますか。
○福井委員 細かいことはここでディスカッションする必要はないと思います。そのようなプロセスで決めていただければいいと思います。
 桃井委員のおっしゃったことと似たようなことですが、総合診療を部分に分けると、ある部分については、例えば整形外科の先生はすでに身に付いていますので、もし将来、整形外科の先生が総合診療をやろうとするときには、それ以外のところを付け加えてもらえるように、総合診療のプログラム自体を、いろいろな専門分野とオーバーラップしているところは、ユニットに分けておいて、部分的に研修や認定試験をするといった工夫も組み込めば、相互の行き来が比較的簡単になるかもしれません。
○池田委員 今、桃井委員あるいは福井委員から話がありましたように、領域の相互の連携とか、研修をする課程を、それぞれ認識しながら進めるということは、今までは1つの学会でしか専門医制度は議論されて来なかったので、1つの機構でやるということになると、委員会相互の連絡ができるような仕組みにしておくと、一層議論が深まるのではないかと思います。第三者機関をどのように組織するかにもよると思うのですが、今、2人の先生が言われたことというのはとても重要なことだと思いますし、専門医制度そのものを、日本の医療体制の中でどう作っていくかということと、密接にリンクしてくるような状況になっていますので、そういう方向で進められればいいなと、私自身は考えています。
○藤本委員 質問です。3ページの上から3つ目の○で、プログラムの中に研修をする場所が書いてあります。診療所あるいは病院と書いてありますが、御高齢の方は施設に入所される方もいらっしゃいます。地域を診るということであると、施設も研修の場として必要になってくるのではないかと思えるのですが、その辺の御議論というのはあったのでしょうか。
○高久座長 介護のほうになるわけですかね。
○池田委員 在宅、訪問診療という言葉は入っているものですから、特に、介護施設などを言葉に入れることは、余り議論はしていないのですが、恐らく、在宅、訪問診療というカテゴリーの医療の中に含まれると思ったものです。
○高久座長 総合診療医といっても、3次の医療機関で働く総合診療医、2次の医療機関で働く総合診療医、1次の診療所で働く総合診療医では、要求される医療の内容が随分違うと思います。
○池田委員 そう思います。
○高久座長 ですから、先ほど桃井委員が言われたこととも関係がありますが、本人が最初にどこでやるかによって、カリキュラムの内容をだんだん増していくという形になるのでしょうね。
○池田委員 そうですね。総合診療では、かなり幅広い能力が要求される。基本的な診療能力をつける為に、どういうプログラムを作らなければいけないか。しかし、前に議論が出たと思いますが、働く場所によって要求されることは異なって来ます。総合病院での総合診療を担当する医師、大学病院で総合診療を担当する医師がそれぞれ、どのような役割をするか、また地域の診療所でどういう役割をするか、自ずと変わってくると思うので、地域あるいは働く場所によって、プラス何か研修をしなければいけないというところは、当然出てくるのかなとは思っています。
○高久座長 ほかにいかがでしょうか。
○今委員 桃井委員のおっしゃった、総合診療専門医プログラムのレベル1を終えてから、全科当直に入るのが望ましいということで、非常にいいと思いました。
 その全科当直に入るのは、総合診療専門医プログラムに乗っている人だけの話なのか、内科専門医を目指している人も、若いうちは全科当直に入ると思うのですが、その人たちも、総合診療医プログラムのレベル1の中に入って研修をしたほうがいいということなのでしょうか。もしそうだとすれば、すごくいいことではないかと思うのですが。
○桃井委員 例えばということで申し上げただけで、今の診療提供体制というか、当直医療あるいは当直という名の救急医療提供体制に鑑みて、例えばこういう現状もあるので、そこも勘案するような研修プログラムがほしいと申し上げただけで、レベル1、レベル2、レベル3にこだわっているわけでもないのです。
○今委員 例えばそういう話があったらいいなということで、私もそう思うのですが、総合診療研修のプログラムに入っている人、救急のプログラムに入っている人だけが救急当直をするわけではありませんので、たくさんいると思われる内科専門医の若いグループ、たくさんいると思われる外科専門医の若いグループの人たちも、全科当直に入るはずなのです。
 そこに、今までは専門医のプログラムの中に、例えば外科であれば主に手術です。ほとんど手術を重点にしてやるところに、桃井先生がおっしゃったような、こういう全科当直を意識したものを組み込むことによって、若い世代の外科専門医のカリキュラムが入っている人たちが、上手に全科当直をできるのではないか、それは内科でも同じだと思います。そこを組み込めれば、素晴らしいことではないかと提案いたします。
○小森委員 少し話が戻るところもありますが、先ほどの報告の中で、専認構の委員会の委員長から、「日本医師会の協力も」の「も」は「が」であるということを言っていただいたわけですが、これは日本医師会としても、この問題については主体的にかかわっていくということを、極めて大事なことだと認識をしておりますので、そのように御発言いただいたことは感謝を申し上げたいと思います。
 それから、藤本委員がおっしゃられた件ですが、これは総合診療医のみならず、全ての医師にとって、これから様々な観点、あるいは居住場所で生活をしておられるような住民の方々、あるいは患者という呼び方だけではなくて、そこで生活しておられる方を支えるということは、極めて大事なことです。ただ、この4回の委員会では、そこまで議論しなかったということでして、書いていませんが、そのことは極めて大事な視点、欠かすことのできない視点だという認識は、委員の方々全員が持っておられたと思っています。
 それから、桃井委員が言われたことには、基本的に賛成ですが、議論が最も早いペースとしても、平成27年に新しい臨床研修制度が見直されてスタートする。その方々が、平成29年から専攻生という名前がいいのかどうか、いずれにせよ専門医を取得するために、3年あるいは4年、そのコースは学会等、様々なコースがあろうかと思いますが、目指して研鑽を積んでいくという過程の中でして、現在、年間に120万人の方がお亡くなりになられる。こういった方々が30年ほど経ちますと、160万名、そういう方々は年齢構成も疾病構造も変わっていく中で、徐々にフィットしていくということですので、余り総合診療医のあるべき姿を、何人必要である、そしてこういう要件であるということを議論しすぎますと、その状況にぴったり添っていく、これは継続して議論していくことが大事だと思っています。
○池田委員 専門医制度の改革は前にもお話をしましたように、それぞれの診療領域別に専門医を認定していくということで、そのそれぞれの専門医がそれぞれの診療領域で、質の高い医療が展開できる、そのためにどういう制度設計をしたらいいかということの1点に絞ってやってきたわけです。それは取りも直さず、日本の医療の体制とか、先ほど今委員が言われたように、病院の当直体制などに関係してくるとは思いますが、それを第一義的に考えて討論した訳ではなくてむしろそれぞれの診療領域の医師を専門医としてきちんと認定して、質のよい医療を提供くれる医師をしっかり作る事を目指しました。
 ですから、そういう方たちをどのように活用して、それぞれの地域、それぞれの病院が責任を果たしていくかというのは、また別の問題なので、それは別の形で議論するところがあってもいいのかなというように思いますので、ここは専門医に関する委員会なので、そちらのほうに議論を集中していただきたいなと思います。
○高久座長 そうですね。
○高杉委員 日本医師会の高杉です。私は以前に地域医療の実践ということを言ったと思うのですが、これは桃井委員のおっしゃることと、ある程度一致していると思うのです。
 総合診療医のコースだけではなくて、各課専門に行かれるときも、いわゆるレベルは基本的なこととして取ってほしいな。これは臨床研修で培うものでしょうけれども、しかしその視点は耳鼻咽喉科に行こうと、眼科に行こうと、そこのところのレベル1のクラスは押さえてほしいというのが、専門医の論議の前に当然あるべきもので、それを背景にしたプログラムを作ってほしいなと思います。それが地域医療の実践で果たせれば、それはものすごくいいことにつながってくるだろうと思っています。
○高久座長 今、地域枠の学生が各大学にできたことを契機として、大学によっては、地域枠以外の全部の学生が、地域医療に一定期間実習する様になってきています。それと、卒後臨床研修の地域医療実習を組み合わせれば、レベル1ぐらいのことはできるのではないかと思っています。
○福井委員 どの専門領域にいく先生方も、現在の研修プログラムの2年間の基本的診療能力をずっと維持してくれれば、随分幅広く救急の基本的なこともできると思います。それを専門医になったら、最初の2年間で達成した到達目標を全て忘れたかのように、狭い分野だけに集中してしまうということが、まずいのではないかと思っています。せめてそのレベルを維持するように、どの専門分野に行ってもやっていただければ、いわゆる全科当直の基本的なところはできるのではないかと、個人的には考えています。
 それから、小森委員のおっしゃった、日本医師会の先生方が最初のところでかかわるというのは、これは絶対に必要でして、アメリカで1970年前後にプライマリ・ケアの専門医の学会ができて、養成が始まったときも、ほとんどがGPの先生方が、第1世代のプライマリ・ケア専門医の養成にあたりました。そういう形にならないと、なかなか多くの総合診療専門医は養成できないのではないかと思います。
○今委員 今、福井委員がおっしゃったように、専門医制度が、早くしっかりした、幅の狭い高い専門領域に到達しようと思っていたのは、今までもそうだったわけです。そこを、いい医師、いい専門医を育てるために、こういう委員会で少しだけ修正すると。その修正の方向は、専門医のプログラムの中に、専門医であっても、研修医であったらできたけれども専門医になったらできなくなってしまったというところがあるわけで、簡単にいうと、例えば気管挿管ができなくなったとか、そういうところを専門医のプログラムの中に少し入れてあげることによって、専門医の更新若しくは専門医を受けるときに思い出して、いい医師になるというところを、もしもこの会議で手を加えられるのであったら、是非ともやってほしいと思います。
○高久座長 恐らく機構が重要な役割を果たすと思いますが、これからできる第三者機関の専門医の研修、認定のところで、当然議論していただきたいと思いますので、これからの課題だと思います。
 時間の関係もありますので、次の資料2「更に議論が必要な論点について(案)」、事務局から説明をお願いします。
○医師臨床研修推進室長 事務局提出資料2「更に議論が必要な論点について(案)」です。検討会では、これまで8月の中間まとめにおいて、引き続き議論が必要とされた項目については、一通り御議論をいただきました。ただ、全体的に見まして、もう少し議論を深めていただきたいと思われる項目を挙げてみたものです。今回、大きく3つの項目を挙げておりますので、その3つに区切って御議論をいただきたいと考えております。
 1つ目です。1ページ目の「サブスペシャルティ領域について」です。中間まとめの中でも、関係部分を抜粋しますと、いくつか記述がございます。例えば「基本的な18の診療領域を専門医制度の基本領域として、この基本領域の専門医を取得した上で、サブスペシャルティ領域の専門医を取得するような二段階制の仕組みを基本とすべきである」。
 その次の○ですが、「専門医の領域については、患者が医師の専門性をどこまで理解できるのかを踏まえ、患者から見て分かりやすいものとする必要がある」。「専門医の認定については、個別学会単位で認定する仕組みではなく、診療領域単位の認定にすべきである」。「基本領域の専門医の1つとして、総合的な診療能力を有する医師を加えるべきである」。「広告が可能な医師の専門性に関する資格名等については、新たな専門医の仕組みの構築に併せて見直すことが必要である」とありまして、その上で引き続き議論が必要とされた項目としては、枠で囲ってありますように、「基本領域よりも専門性の高いサブスペシャルティ領域の在り方について」とあります。
 これについての論点としては、例えば「サブスペシャルティ領域を設定する際に、基本的な考え方をどのように整理するか」、「各サブスペシャルティ領域と基本領域との関係について、どう考えるか」といったようなことが挙げられるのではないかと考えております。
 次のページです。御参考までに、この項目に関連しまして、これまでの検討会でいただいた御意見を抜粋しております。例えば「サブスペシャルティ領域については、どういう領域を認め、どこまで情報を開示するかということについての慎重な議論が必要」「サブスペシャルティ領域については、何らかの基準を作ることが必要であり、余り細かい疾患名や症状を主体とすることは望ましくないのではないか」、あるいは「各基本領域の上に乗る分野をどのように考えるか、基本領域との関係を非常に重視して制度設計する必要があるのではないか」「例えば、救急と外科系との関係、外科系とリハビリの関係などは、サブスペシャルティ領域をどう設定していくかが問題となるのではないか」「専門医の広告に関しては、第三者機関が認定する専門医について広告できることを基本としてはどうか。ただ、どこまでを第三者機関が認定するかについては、医療界全体での議論が必要ではないか」といったようなことが挙げられています。
 また、これについて、御参照いただくための参考資料をいくつか用意させていただいています。1つは、池田委員から御提供いただきまして、机上にお配りしております「日本専門医制度概報」の冊子です。これについては、後ほど池田先生からも御案内いただければと考えています。
 2つ目は次のペーパーで、事務局提出資料3「基本領域及びサブスペシャルティ領域における専門医数・診療科別医師数」です。このペーパーは、各診療科ごとに、従事する医師がどの程度の割合で、学会認定の専門医として認定されているのかを把握していただくために作成したものです。ただ、そこの「注」に記述していますが、左側の「専門医数」は、池田委員の専門医機構でおまとめのデータです。右側の「診療科別医師数」は、私ども厚生労働省で実施している3師調査のデータですので、直接に左右を比較することは適当でない部分もありますが、おおむねの傾向として、参考いただければと考えております。
 これを御覧いただきますと、例えば一番上の内科につきましては、内科を主たる従事する診療科としている医師が、6万1,878名なのに対して、左側の総合内科専門医を取得している医師が、1万4,753名であります。小児科につきましては、1万5,870名が主たる診療科としている医師数であるのに対しまして、左側の小児科専門医については、1万4,827名が取得をしているというような状況です。
 3つ目の参考資料としては、配付資料の最後に、参考資料として付けています中間まとめの全体版の中の、後ろのほうの添付資料の「14」と書いたスライドに、第2回検討会で池田委員から御提出のありました「専門医制度の基本設計」ということで、基本領域とサブスペシャルティ領域のイメージがありますので、以上を御参考いただければと考えています。1つ目の項目については以上です。
○高久座長 これについては難しい点が大分ありますけれども、池田委員、まず御意見をいただけますか。
○池田委員 サブスペシャルティをどのように議論するかということなのですが、御承知のように、ここの検討会では基本領域、仮に19とさせていただくと、その基本領域を取ったあとにサブスペシャルティにいってほしいということで、現在機構では、外科系、内科系を含めて、17のサブスペシャルティについてはかなりしっかりとした認定制度をお持ちで、歴史もあるし、それぞれこれまで議論されてきたということで、認定をしておりますが、その17領域以外にも、小児科領域、産婦人科領域、整形外科領域、放射線科領域等、2つ、3つのサブスペシャルティが妥当であるというような議論が、現在なされていますので、恐らく20数領域のサブスペシャルティが基本的には妥当だと考えられるわけです。それ以外にも、機構には現在80学会が加盟して、それぞれの学会が専門医制度を作っております。それ以外にも、機構に加盟していない学会でも、専門医制度を持っているところはたくさんございます。そういう、専門医制度を、今後どういう位置づけにしていくのかということも、非常に重要なことになるわけです。
 まず、それを考える上で、サブスペシャルティを、どのような考え方で第三者機関が認めていくかという、基本的な考えをまとめていかなくてはいけないのではないかと、私自身は思っています。
 基本的な考え方を少し御披露させていただきますと、もともと専門医制度は診療領域別に専門医を作るということですので、どなたが見ても、患者さんから見ても、これは非常に重要な診療領域であることが認定されることがエッセンシャルな問題だと思いまして、明確な診療領域が規定できて、そして、基本領域の専門医との連携が明らかになっている、お互いが納得し合えるような関係になっていることが、まず1つ基本的な考えとして、押さえておかなければいけないことです。
 それから、今まで学会の専門医には、疾患名、症状名を専門医制度に付けているところがあるのですが、基本的には、個々の疾患、症状に関して、専門医というのは難しいのではないかと思っています。
 それ以外として考えなければならないのは、特殊な技能、あるいは非常な特殊な領域です。例えばintervention、内視鏡、超音波といった、技術的な問題、あるいは外科系の中でも非常に特殊な訓練が必要だということで、現在、外科学会では、肝胆膵や食道という領域を非常に特殊領域として見ているというところがあります。
 この特殊技能とか、特殊領域については、きちんと別に議論をしておかなければいけないということ、これから非常に大事な問題として認識をしています。
○高久座長 そうですね。
○池田委員 しかし、何といっても、サブスペシャルティを認めるか認めないかの一番大事なところは、それぞれの領域の専門医を認定するためには、基本領域の専門医と同じように、研修プログラムをしっかりと作れる、然るべき研修施設もあって指導医もきっちりといる、そして、しっかりとしたプログラムが作れるかということがすごく大事だと思いますし、標準的な認定のプロセスを履行できるか。そういう体制が作れるかどうかということだと思うのです。
 ですから、非常に小さな、細かい領域では、それは無理だと思うのです。そういうところを、認定することはなかなか難しいのではないか。何でもかんでも認定していくと、それこそ、質をよくしようとするために専門医制度を作っているのが、逆の方向になってしまうので、そこはきちんとした規制をしなければいけないのかなと思っています。
 しかし、そうはいっても、その判断をするのはかなり難しいと思います。私自身、びっくりするのですが、アメリカではプライマリボードというのは24あって、専門医はサブスペシャルティも合わせて145あるのです。非常にたくさん、細かなところもサブスペシャルティとして認めているのですが、数がいくつぐらいが適当かという議論は、今ここではナンセンスなので、しても仕方がないと思います。それぞれの専門医制度をどういう仕組みで認定していくかという仕組みを先ず作っていかなければいけないと思うのです。
 アメリカの場合は、ABMSという母体があります。そことほかの団体が、サブスペシャルティを認定するような基準とか、プロセスをある程度明確に作っておいて、そして、それを審査する仕組みを作っているのです。liaison committee for special boardというcommitteeを作りまして、そこで審査をするという仕組みを作っていますので、私としては、これからたくさんサブスペシャルティで認定する必要があるような領域の専門医を作っているのもありますので、そういうプロセスを明確にして示していくというのが、考え方としては妥当かなと思っています。
 ですから、今、この時点でどういうものがよくて、どういうものがいけないというのではなくて、基本的な考え方としては、今、申し上げたように、明確な診療領域と判断できる事が重要で、個々の疾患や症状によるものは、少し難しいかと思います。しかし、内視鏡やインターベンションといった特殊技能、特殊領域については、今後どのような形で認定していくかについては、今後十分に議論しなければいけないという状況と考えています。
○松尾委員 基本的に池田委員の言われたことに賛成なのですが、もう少し言い方を変えると、先ほど総合診療医の話が出ましたが、サブスペシャルティというのも個々の領域というのは結構広いのです。例えば循環器といっても、腎臓といってもたくさん領域があります。だから、池田委員が言われたように、これを更に細分化していくと、私は腎臓の中のこれしかやらないとか、どんどんいくので、私はサブスペシャルティの一番の基本は、もし第三者機関で認証するとすると、一定の広がりをもった専門領域について、その領域について総合的にやると。それから、関連する領域とも、きちんと理解をしながらやれるということを研修をし、また実践できる人をサブスペシャルティとすべきではないかと思います。
 それから、もう1つです。今の二階建てのものですと、サブスペシャルティに入ってくるのはいろいろな領域から入ってきますよね。ある専門家については、外科からも、小児科からも、もっとほかの科からもくると。そうしたときに、一応、今のところ試験、研修等でコルフィシケーションしているとはいうものの、資格を取ったあとのその人の実際の臨床における、やはり基本領域に縛られるところはあるので、その辺の基本領域とサブスペシャルティの関係も、今のがいけないというわけではありませんが、もう1回整理して考える必要があるのではないかと思います。
○高久座長 そうですね。
○桐野委員 同じようなことですが、基本的診療領域を取らないで二階建てにいくというやり方は、恐らく認めないという考え方だろうと思うのです。
 それで、外科の基本的診療科の上に、例えば心臓外科、呼吸器外科、肝胆膵の外科、消化管の外科を乗せるというのは、分かりやすいのですが、複数領域にまたがるような診療科の場合は、1階の部分と2階の部分の認定と更新、あるいは資格喪失の問題というのは結構難しいのです。
 つまり、1階部分の資格を喪失しても、2階部分が有効かどうかということもありますし、結構複雑で、入り組んだ状況になりますので、順次認めていくというやり方をしないで、全体的なプランを立ててから、2階部分については認定を始めていくようなやり方を採用していただければと思います。
 それから、サブスペシャルティは限りなく分断化していく可能性があって、分断化すればするほど、お互いがオーバーラップして、こちらは俺の領域だとか、あちらは俺の領域だとか言い兼ねないようなところがあるので、数は分からないので、池田委員も言われたように、いくつがいいかというのは分かりにくいのですが、余り分断化を促進するようなことはやめていただいたほうがいいのではないかと思います。
○高久座長 そうですね。特に、疾患、症状、特殊技能の分野のサブスペシャリティをどうするかという事は、非常に大きな問題ですね。ただ、疾患の中でも、例えば糖尿病は、患者が非常に多いですから、需要があると思います。福井委員、いかがですか。
○福井委員 これは非常に難しい話で、今度新しく発足する第三者機関が、全てをマネージできるのか不安に思っています。
 桐野委員がおっしゃったとおり、これから10年、20年後は、もっと細分化していく分野はいくつも出てくると思います。それで、これは突拍子もないアイディアかもしれませんが、専門医というのは基本領域だけに使う言葉にして、そこから先は「認定医」としてしまって、全然違うカテコリーで、第三者機関とは切り離してやってもらうというのも1つの方法かと思います。国として責任を持って、一番権威ある資格というのは専門医で、そこだけをしっかりと押さえて、あとは比較的、専門医よりも認定医のほうが言葉としては軽いようなイメージを国民に与えながら、一番重要なのは専門医だというメッセージとともに、認定医についてはフレキシビリティを持たせてはどうかと思っています。サブスペシャルティという言葉を、基本領域の専門医とは少し違うニュアンスで日本語にできれば、随分いいのではないかという気がします。
○医師臨床研修推進室長 今年度中ですから、3月までを目処に考えております。
○高久座長 そこまでは完全に議論しきれないと思いますので、主に基本領域について議論をして、あとはまた別の委員会でも作っていただいてと思いますが。
○池田委員 それも1つの考え方かもしれないのですが、現在、先ほど申し上げました17のサブスペシャルティとそれに加えたいくつかのサブスペシャルティに関しては、基本領域との連携について長い歴史があって、互いにコンセンサスが得られている領域だということで、現時点ではそれらのサブスペシャルティに関しては、場合によっては基本領域に近いようなところもあり、基本領域と同等に扱っていいのではないかと思っています。
○門田委員 確かにこれは難しい問題だと思うのですが、基本領域だけでするのか、池田委員がおっしゃられたように、もう少しサブスペシャルティも基本領域に近いところがあるのかというところを、どこをどのように線を引くかというので、1つの考え方とすれば、今、我々がここでやっているのは、患者を紹介するということを含めて、医療制度の基盤となるような制度を考えているはずなのです。そうすると、池田委員がおっしゃられたように、どの領域がそうなのかということになって、18学会以外の領域も出てくる可能性もあります。
 実際問題、私たち外科にはいろいろな外科があります。例えば消化器外科医というのは、心臓血管外科医とはまるで別な生活をしているのです。スタートの段階で、外科専門医ということで入っていきますが、今、どこの病院にいっても、1人の外科医がこの2つのもの領域の診療をしている所はないと思うのです。そうすると、大半のところは心臓血管外科医なのか、あるいは消化器外科医なのか、小児外科医なのかという形が、もう定着してきているのも事実だと思うのです。
 ですから、今までのところ、一応、基本領域学会ということで話が進んできました。その上に、外科系あるいは内科系もそうだと思いますが、2階の部分では、そういうところは徐々に確立しつつあるというところです。
 ついでに外科の立場として話をさせていただきますと、今、出ていましたように、消化器外科の上に、今度は、肝胆膵外科とか、あるいは大腸、肛門の外科というような、更に小さな臓器単位のものが上に乗ってきます。これを言い出したらきりがないと思うのです。
 だけれども、学会はいろいろなことを考えておられるので、学会は学会で、それぞれのスペシャリストを作る。我々が考えているのは、プロフェッショナルとしてどうするか。このプロフェッシュナル、スペシャリストという考え方で分けていくという作業が必要なのではないかと思うのです。
 そうすると、プロフェッショナルのほうは学会から離れて考えるべきで、領域から考えるべきである。ただ、スペシャリストというのは、学会がいろいろなスペシャリストを作られておかしくないわけですので、それは認めていったらいいのではないかと思うのです。ここが扱うかどうかは、また別だと思うのです。そういう整理の仕方があるのではないかと思います。
○山口委員 もともと現在の専門医の議論の基本領域の考え方は、その領域の診療に、一定の研修をして、専門の診療を担当するという意味合いが強いので、学会がこれだけの能力があると認めたという話とはもう一つ違って、その領域の診療を担当する社会的責任も負っているという、そういう専門医制度だと理解をしています。
 それからいうと、サブスペシャルティも、その領域のある、例えば内科なら内科、耳鼻咽喉科なら耳鼻咽喉科の中で、更に細かい専門領域のところで、しかもその診療領域を担当しているということが、そのサブスペシャルティの専門医として、やはりもう一つ必要な考え方である。逆にいうと、ここのサブスペシャルティの専門医を取ったら、例えば更新をするときには、その領域の診療をずっと担当してきたという実績がないとできないようなものが、はじめてサブスペシャルティの1つの領域として認められるわけです。その意味で、先ほど外科のサブスペシャルティの消化器外科のように、消化器外科の診療を、手術をずっと続けているうちは専門医をキープすることができるけれども、手術から手を下ろしたら、それは専門医ではなくなりますよ。それがサブスペシャルティの1つの領域の考え方だと思うのです。
 だから、例えばごく特殊な疾患だけの専門医を学会が認定されるのはいいと思うのですが、その疾患だけをずっと診ていますかといったら、そんなことはないわけですから、そういうのに、この第三者機関が専門医資格を与えるという話にはならない方がよいと思います。
 もう一つは、その診療領域が患者にとって分かりやすいということも必要な点で、ごく特殊な領域でその能力があることは、それはそれで学会がお認めになるのはよろしいのではないかと思うのですが、この第三者機関の認めるサブスペシャルティとしては、その特殊な領域だけをやられているという医師がたくさんいるわけでなければ、この第三者機関が認めるサブスペシャルティの領域とすべきではないと思います。
 その辺の基本的な考え方だけは、この検討会である程度方向性を決めていただいて、個々の専門医については、第三者機関でまた検討するということでいいかと思うのですが、ある程度大まかな方向性が決まっていないと、第三者機関での検討もなかなか難しいかなと思います。
 あと残っている問題としては、内視鏡や超音波の検査など、特殊な能力について、ここで診療領域というのとは違うけれども、特殊な能力を第三者機関の認める専門医資格に含めるかという問題があります。大きな方向性だけでもここで決めて、それは学会のレベルでやっていただくとするかどうか。それを学会レベルとすると、第三者機関が認める専門医資格というのは、診療領域というところで、ピシッと筋は通るとは思うのですが、そこは議論のあるところかなと思います。
○高久座長 第三者機関には、当然ドクターだけではなくて、一般の方も入られるわけです。一般の国民の意見が、かなり重要だと思いますので、ある程度は第三者機関の中でサブスペシャルティの事を議論をして、決定していく必要があると思います。
○__委員 皆さんの意見を伺っておりまして、私は福井委員と一部同じようなことを考えていたのですが、その後の議論を伺っていて、やはりこうかなと思うのは、基本領域だけではなくて、1つ上のサブスペシャルティ領域ぐらいまでは山口委員のおっしゃるような意味で、きちんと第三者機関で扱うべきだと思います。
 ただ、糖尿病は別にしますが、そこから先の1つ1つの病気、手技に関しては、学会の認定ということで、国民の皆さんに納得していただければ、それでいいのではないかと思っていたのです。
○高久座長 大きな問題として、現在の専門医の認定更新についての議論を、しなければならないのですが。最後にどうぞ。
○今委員 今の資料の2ページの4つ目の○で、「例えば救急と外科、外科とリハビリのサブスペシャルティの」という項目があったのですが、これとダブルボードの話も一緒にさせていただきます。
 以前もお話をしましたが、救急というのは時間軸で幅広く見ます。総合診療は、地域で幅広く見ます。リハビリは少しあとのフェイズで幅広く見ます。これら3つの専門領域は、実は臓器別で区切るのが難しくて、今までは各専門医と掛け持ちでやっている人がほとんどです。例えば総合診療医は内科専門医、外科専門医と救急、脳外科専門医と救急、リハビリと整形のような形でやってきました。
 これで原則的にダブルボードが無理となると、サブスペシャルティを作ることになります。しかし外科領域では、例えば心臓外科、消化器外科、小児外科、呼吸器外科などのサブスペシャルティに力を入れて、これからも進めると聞いていますので、ここで救急領域の外傷のことについては、余裕がないのではないかと思います。
 では、今、一生懸命交通事故の手術をしている人たちはどうなるかというと、救急の専門医を取って、そのあとで外科の専門医を取る、若しくは逆です。そのようにして修錬してきています。
 ですから、今後もそうなるのではないかと思いますので、この幅広く見る3つの領域に関しては、ダブルボードをある程度認めてあげたほうが、細かいサブスペシャルティに走らなくて済むのではないかと思います。
○高久座長 次の議題の「専門医の認定、更新等について」です。説明をよろしくお願いします。
○医師臨床研修推進室長 提出資料2「更に議論が必要な論点について(案)」の3ページです。2つ目の項目、「専門医の認定更新等について」。これは中間まとめの中でも上に書いてありますように、「専門医の養成プログラムは、どのような専門医を養成するのかという目標を明確にした上で、そのために必要な指導医数あるいは経験症例数等を踏まえて作成することが重要である」。「専門医資格の更新要件については、現在、一部の学会認定の専門医制度において手術経験数や症例数、eラーニングを含めた学習などを要件としていることを踏まえ、専門医としての活動実績を要件とすべきである」。「今後、『総合医』、『総合診療医』を新たに養成していくためのプログラムについては、臨床研修修了直後の医師が進むコースに加えて、領域別専門医の資格を既に取得している医師のためのコースも設ける必要がある」と書いてありまして、その上で引き続き議論が必要な項目としては、「18の基本領域の専門医及び『総合医』、『総合診療医』について、1人の医師が複数の認定を受けることについて」とあります。
 論点としては、例えば1人の医師が複数の基本領域の認定基準を満たす際に、複数の認定を受けること、いわゆるダブルボードについてどう考えるか。あるいは、基本領域とサブスペシャルティ領域の専門医の更新についてどう考えるか。基本領域やサブスペシャルティ領域の認定を受けた後に、総合医、総合診療医の認定を受けることについてどう考えるか。また、逆に総合医、総合診療医の認定を受けた後に、基本領域やサブスペシャルティ領域の認定を受けることについて、どう考えるか。これらの内容については、先ほど御議論をいただきました総合診療専門医の内容とも重複をいたしますが、以上のような論点が挙げられるのではないかと考えております。
 なお、検討会においても下に書いてあるように、例えば1人の医師が複数の基本領域の専門医を取得することは、更新時を考えると現実的には難しいと考えるが、取ってはいけないということにはならないのではないか。基本領域の専門医については、原則として複数の認定は取れない内容の質を維持すべきではないか。総合医、総合診療医については、初期臨床研修修了直後に進むコースに加えて、途中で臓器別専門医から総合医に移行するための研修プログラムと認定試験によるルートを作る必要があるのではないか。いわゆる複線化です。それから、総合医、総合診療医を目指す医師の中には、他の臓器別専門医を取得しているなどキャリアが複雑な医師も多いため、他の臓器別専門医を取得したあとでも、総合医になるためのプログラムが必要ではないか。専門医研修を受ける立場の医師にとっては、総合医であっても軸足となるような得意分野を持つ方が教育を受けやすく、なおかつ若い医師のインセンティブも醸成しやすいのではないかといった御意見もいただいておるところです。2つ目の項目の御説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○高久座長 このことについては、先ほども今委員から御質問がありましたが、確かに救急とで外科は決両方もっていないと困るでしょうね。
○今委員 交通事故、労災事故、自殺など、救命救急センターに運ばれてくる主に重症な患者の対応は、今は外科医と救急医とで一緒にやっている所と、救急医が単独でやっている所と外科医がやっている所がありまして、病院によって機能が違います。救急の外科医が存在する所では救急の医師が手術をしますが、救急の医師がいない所では外科医が手術をしております。今後、救急の医師が増えて、さらに手術もする救急の医師であるならば、交通事故の現場、患者に関しては、そのような外傷の手術を得意とする救急の外科医が手術するほうが救命率がいいわけです。今はそうなっておりますので、それを専門医制度がきちんとなることによって、つまり外科と救急と内科とに分かれてしまうことによって、今まで両者をうまく渡り歩きながら上手にやってきた医師が存在しなくなります。そうすると、重症な患者の手術をする人たちがいなくなるのではないかということを前回も話したのですが、山口先生はサブスペシャルティで考えるべきだということをおっしゃられました。しかし、サブスペシャルティは先ほど発言したように、外科の専門医の中で外傷をサブスペシャルティにする人はなかなか困難。外傷というのは、頭も胸も腹も骨盤も一気にやるわけで、それを一気に手術する医師が必要。ですから、そこでは無理なので、救急と外科のダブルボードを持っている人たちが存在して、このまま存続していいのではないか。同じことがリハビリでも、また総合診療でも言えるわけで、今までなかった臓器別ではない専門医の3つに関しては、ダブルボードは原則避けるべきだというところから少し外れるのではないかと思います。
○福井委員 私は、規範的に最初から1つでなければ駄目だとか、そういう議論は成り立たないのではないかと思っています。資格試験ですので、それに何が求められるかによるわけで、本当に能力のある方はひょっとして3つぐらい取れるかも分かりません。とりあえずダブルボードでも構わないというふうに始めて、これは5年、10年、20年とやっていく中で、ダブルボードを持っている方の存在意義がだんだん変わってくるかもしれませんし、総合診療医が増えてくれば、スペシャリストはよりスペシャリストにならないとやっていけなくなる可能性があります。発足当時は1つでなければ駄目とか、そういう縛りは付けない方がいいのではないか、それぞれの分野のプログラムによるのではないか、と思います。
○小森委員 これまでの14回の議論の中で尽くされているのだと思いますが、今までの議論の中の私の理解は、1つでなければいけないという議論はしていないのだと思います。安易にダブル、トリプルと取れるようなレベルではなくしましょうと。そして、極めて優秀で熱心な方がダブルボードを取られる。これは妨げないということだと思います。今先生のお気持は非常によく分かりますが、それを余りやると救急担当を持っていない外科の先生が救急現場を担いにくくなったり、そういうことが求められて、いみじく、今うまくやっているものが、それを厳しくするとというふうにおっしゃられましたが、今先生もおっしゃられましたように臨床研修の理念を2年間というものは、義務化された理念の中に比較的頻度の多い疾患に対応し、基本的な診療能力を身に着け、正しい臨床推論を行える能力を身に着けるといったことが義務化された上で、どのような専門医であっても、基本的な診療能力はリフレッシュし続けてください。そして、私どもが申し上げているこの社会保障のあり方、医師の倫理等についてもリフレッシュし続けてくださいというようなことがしっかり担保していければ、必ずしも外科、救急とダブルボードを安易にする方向性は問題があるのではないかなということで、福井先生のおっしゃることも違うことを言っていると思いませんが、1つでありきという議論は今までもしていないと思います。安易に2つ、3つ取れるようなレベルの専門医の議論はしないでおきましょうと思っております。
○藤本委員 いま今先生のお話を伺っていて、救急の先生、リハビリの先生というのは、ある意味その場面ではあるけれども、総合医的なことをされているのだなと理解をしました。本当に医師の少ない地域、1人の先生が何役も背負ってやっていらっしゃるような地域では、正にそういう先生がいらっしゃらないとなかなか回っていかないという現実的な問題があると思います。質を上げることもとても大事ですが、それぞれの医療現場が回らなくなるような事態になるのは避けていただきたいと強く思っておりますので、その辺を配慮したうえでのプログラムをお考えいただきたい。前にもお話しましたようにたくさんの医師がいる所と、そうでない所とを、研修の場としてうまく回るようなプログラムを作る工夫をして、先生方が満遍なくいろいろな地域に来られるような形にしていただくこと、それも希望しております。
○山口委員 今先生の感覚的な話は非常によく分かりますが、その感覚の裏にはその専門医が無いと、何となしにその領域の診療をやってはいけないような話の流れがあるのではないかと思います。これは第三者機関で認める専門医を余り細分してはいけないことと相通ずるものがある話ですが、だんだん細かくすると、その専門医を持っていないとその診療をしてはいけない、患者は無い人にはかからないというような話に行ってしまう恐れがある。救急の外科が得意な先生が外科の専門医だけで救急に携わっても何ら問題はないだろうと思いますし、整形外科の先生がリハビリテーションの専門医を持っていなくてもリハビリを担当しても、それはそれで何ら問題はない。ただ、整形外科のリハビリだけに特化した専門医がたくさん育って、それの然るべき養成のプログラムがあるのであれば、サブスペシャルティの領域として必然的に育ってくるのではないかと思います。先ほどの救急外科みたいなものがそれに特化して、その診療に携わる人が専門医としてたくさん誕生してくるのであれば、サブスペシャルティとして自然にできてくるのではないかと考えます。専門医が無いとできないというところからなんとか専門医資格を作ってはという話ではなくて、そういう診療領域を担当する人たちがたくさん出てきて、実際に一つの診療領域になっている現実があれば、その段階でそれをサブスペシャルティとして認めていけば何ら問題はないのではないかと思います。
○高久座長 松尾委員、最後にしていただけますか。
○松尾委員 今の点ですが、専門医を作るときにその専門医が何をやるかということですが、例えば救急だったら現実もいろいろな人が関わっています。本当は救急専門ではないけれども、人が足りないからいろいろな人がやっている。けれども、そこに救急診療をやる上できちんとオーガナイザーがいて、一定の質を担保していくという役目をする人がいなかったら、かなりめちゃくちゃな救急になりますよね。多分ここで議論している専門医というのは、それぞれの領域領域でリーダーシップを発揮できて、クオリティをシェアするために努力する役割も果たすことを、もっと専門医というふうにしていかないといけない。特に救急だとか、そういった分野はそうかなと思います。人手が全然足りないので、そう思いました。
○高杉委員 門田先生、山口先生、福井先生のおっしゃることはよく理解できます。ただ、私が気になるのはこの次のページの資料3を見ると、内科の基本領域は総合内科専門医となっています。ところが、次の右側には内科の医師が実に多い。その中でサブスペシャルティの項目には、それぞれがずっと進んでいる。これは内科学会でお考えになることでしょうけれども、この辺の整理は外科の部門も大変でしょうけれども、内科はもっと大変であろう。これは総合内科専門医で片づくことではないと思いますので、池田先生、これも併せて説明ください。
○高久座長 内科は認定医の上に総合内科専門医を作った関係ですか。
○池田委員 そうです。内科学会は、これまで認定内科医という制度を作りまして、卒後3年のうちに認定内科医が取れますが、そのあとにサブスペシャルティに行って、そのサブスペシャルティの1つとして総合内科専門医という位置づけのものを作ったのです。恐らくそれを今内科学会では議論をして、ほかの学会と同じように認定内科医という形ではなくて、内科専門医という格好でプログラムを作り直そうということになりますので、総合内科専門医ではなくて内科専門医になるのではないかなと私自身は理解しています。
○高久座長 まだ1つテーマが残っています。「専門医の認定機関について」を説明していただけますか。
○医師臨床研修推進室長 今、座長から御案内のありました項目については、11月の第13回検討会において座長と池田委員から改めて議論する旨の御示唆を賜りましたので、上げさせていただいたものです。
 中間まとめの中では、中立的な第三者機関について1から3に掲げるような記述があります。「専門医の認定と養成プログラムの評価・認定の2つの機能を担うとともに、その際の専門医の認定基準や養成プログラムの基準の作成も第三者機関で統一的に行うこと」。「専門医の認定部門と養成プログラムの評価・認定部門の下に、各領域の専門委員会を設け、それぞれの領域の学会等の協力を得て運営すること」。「専門医の認定や基準の作成はプロフェッショナルオートノミーを基盤として行うとともに、情報公開や実施体制等の制度全般について国民の視点やニーズを反映するため、国民も参画できるような仕組みとすること」です。その上で、引き続き議論が必要な項目として、「第三者機関の設立に当たっては、組織の透明性と専門医の養成プロセスの標準化を図り、説明責任を果たせるような体制とし、運営資金に公的な性格を持たせることについて」とあります。
 論点としては、中立的な第三者機関の具体的な機能についてどう考えるかですが、検討会においてもこれまで下に書いてありますように、例えば第三者機関における専門医の認定や基準の作成等については専門家が行い、第三者機関の運営全体をチェックする際には国民の代表も参画するべきではないか。専門医認定の基準、養成カリキュラムの作成も第三者機関で行うことを明確にする必要があるのではないか。第三者機関の事業については、地域にも医師が来て、その医師も専門医が取得できるようなプログラムが作成されることが必要ではないか。医療の質を高めるうえでは、教育資源の集約化なども必要だと思うが、地域医療が先細ることのないような制度設計が大切ではないか。第三者機関は、シンクタンク的機能をもって提言できるような役割も担うべきではないかという御意見がありました。
 なお、御参照いただく資料としては、先ほども一部御案内いたしました中間まとめの参考資料1の13ページのスライド、これも池田委員から御提出いただいたものですが、専門医機構(仮称)組織図の案がありますので、こちらを御参照ください。御説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○高久座長 今のことについて、どなたか御意見はおありでしょうか。
○藤本委員 4ページの「主な意見抜粋」の上から3つ目の○のプログラムのことについてですが、先日私は地域医療再生基金の関係で地域に視察に行きました。研修医の先生方がたくさん集まっていらっしゃる大きい病院で、そこの研修医を医師の少ない病院地域に派遣していらっしゃるというお話でした。その派遣している機関というのは、今は研修の機関には含まれていないそうです。とにかく手伝いに行ってこいということで出されているということでした。その派遣されている期間、研修が中断されることについて研修医の先生方の評判はどうなのかなと思ってお話を伺ったところ、最初行くときはそんなに乗り気ではなかった先生も、実際に行ってみるとそこで求められるものが派遣元とはかなり違ってくるので、派遣する指導医の先生から見ると、行って帰ってきてからの様子が全然違うとのことでした。本人は望んでいなくても、そういうところに出て頼りにされるし、いろいろな患者を診るということがその後の研修にとても生きてきているというお話を伺いました。ですから、それを研修プログラムの中に入れていただきたい。「地域を見てくる、僻地の少ない医師の所で医療を経験することをきちんとプログラムの中に入れなければ、これは機構が認定するものにはならないぞ」ぐらいのところでやっていただければ、ドクターにとってもハッピーですし、地域の患者又は医療機関にとってもハッピーなことですので、是非それをお願いしたいと思います。
○高久座長 それは初期研修ではなくて、専門研修ですね。
○藤本委員 そうです。
○池田委員 正に研修プログラムをどう作っていくかに、そういう視点を入れ込むことがとても大事だと思います。研修施設、研修プログラムを作る。その個々のプログラムをそういう視点も含めて評価認定するという仕組みが、どうしても第三者機関には必要だということです。第三者機関は基本的には専門医を認定する、あるいは更新する。そして、そのための基準づくり、それをきちんと審査する場所、もう1つは研修施設でどういうプログラムを作るかということを議論すると同時に、個々のプログラムを評価認定をするというその2つがどうしても欠かせない一番大事なところだと思います。その方向性を推進させるのに基本領域なり先ほど議論のありました主なサブスペシャルティの領域のボードをなるべく早く作って、そこで関連する多くの人たちに参加をしてもらって議論を始めて成案を得るという仕組みを、第三者機関で早く作らなければいけないのではないかと思っています。
○高久座長 ほかにどなたか第三者機関について。
○富田委員 この第三者機関がプログラムを評価とか認定するということですが、実際にプログラムが走り出して、いろいろな専門医ができるときに、その専門医がその資質を保てているかどうかといった評価もプログラムの評価だけではなくて必要になってくると思います。そういったことに関しては検討はされていますか。
○高久座長 それは更新制度がありますから、そこでチェックできるのではないでしょうか。
○富田委員 更新は恐らく更新の基準があって更新できますが、実際に現場で働いている専門医が、本当に専門医としての資質が保てているかどうかということです。
○高久座長 それは更新のときにそのレベルを。
○池田委員 基本的には毎年チェックをするわけにはなかなかいかないので、多くの領域では5年というものを1つの期間にしてもう一度洗い直して、先ほど山口先生が言われたように、その領域の医師として然るべく責任を果たす診療をやっているかどうかということを審査するような基準を作って、更新制度を確立するということに尽きると思います。ただ大事なのは、それに至るまでに新しい機構ではデータベースの作成というものを非常に重視しなければいけないのではないかなと思っています。それぞれの領域の専門医が何人ぐらいいて、どこでどういう仕事をしているのかというようなことを把握をすることがどうしても必要なのですが、私どもがやっている社団法人の機構ではその業務は行っていません。そういうデータベースは各学会にあって、学会によっても補足をきちんとしている所と大まかに掴んでいる所といろいろありますが、今後は第三者機関がデータベースを作成して情報を提供する、把握することがどうしても必要かなと思っています。
○福井委員 池田先生に質問です。先生が提出されたスライド13の新しい機構は、どれくらいの規模のものを想定されているのでしょうか。
○池田委員 規模というのは。
○福井委員 専任のスタッフはどれくらい必要なのでしょうか。
○池田委員 財政基盤をどうするかにもよりますが、ボードのメンバーというのは例えば基本領域19あるいはサブスペシャルティ30ぐらいあるとすると、40とか50ぐらいのボードができる。そのボードのメンバーは10人ぐらいの人数できちんと議論しなければいけないので、参画する人数はそれぐらいの数がどうしても必要だというのがボードについての基本的な考え方です。それと同時に、例えば専門医の認定更新の全体像を作ったり、外部団体との連携とか外部評価を受けるための仕組みとか、広報とかデータベース作成というような委員会をボードとは別に作らなければいけないということで、人数としてはそれぐらいになると思いますが、それぞれ第三者機関に属してそこで働くということではなくて、当座は各領域、各学会と密接に連携を作りながら、そういうところの先生方にお手伝いをいただく格好で運営するしかないだろうと思っています。
○福井委員 事務局機能がかなり大きくなりますが、専任の事務局の人数はどれくらいの数を想定されているのでしょうか。
○池田委員 なかなか難しいですが、データベース作成とか広報とかをやると、更に各ボードの調整や何かもすると、10人ぐらいは最低必要かなとは思っています。要するに、たくさんいればそれに越したことはないですが、それだけの財政基盤ができるかどうかということもあると思います。
○桃井委員 この新しい機構で新しい専門医がスタートすると、医療提供体制が徐々に変わっていくことが期待される。実際に変わっていくと思います。そのときに一番大事なのは、池田先生が先ほどおっしゃったように、種々の視点からのデータベースがきちんとしているかどうかが評価できるか、あるいは軌道修正できるかどうかが決まってくると思います。そのデータベースは恐らく膨大なものになって、細かいことを言えば研修期間に助成支援の体制があるかどうかとか、そんなことも含めていかないといけない。あるいは住民の満足度はどうか。そういう膨大なデータベースは、この機構だけで10人、20人のレベルではとてもできないと思いますので、国のサポート体制も絶対に必要だと思う。サポート体制というよりは、国がすべき仕事の一部だと思いますので、国との連携の仕方、あるいは医師会も大きな研究機構を持っておられますので、そういったことの連携も枠の外になると思いますが十分に設定をして、お考えいただくとよろしいかと思います。
○小森委員 極めて重要な問題で、議論は繰り返ししませんが、財源等についてどこまで公的な意味合いを持たせるかは散々議論したことです。国がこのお金を出してくれるというのは非常に簡単なお話ですが、正に医療者の覚悟が今求められているので、日本医師会も相応の負担をいたしますということを申し上げましたが、ここに医療者の自律という行為が働くことでありまして、議論だけして、あとは国にお金を出してくださいという話は成り立たないであろう。プロフェッショナルオートノミーという限りは、財源についても自分たちで手当をする方策をしっかり考えるということだと思います。この医学会、医師会の緊密な協力体制を中心に、全医学会の英知を結集をする。この覚悟が試されているのだと思いますので、ここはそういう方向性ということはしっかりとやっていくということだと思います。福井先生がおっしゃるように、池田先生はいろいろ苦しい御答弁をされましたが、20人、50人、100人いれば楽に決まっておりますが、その問題について医療者がどこまで覚悟を国民の方々に見せられるかということだと思いますので、是非ここに御参加の先生方の御協力をまたお願いをしたいと思います。
○高久座長 データベース等の場合でも地域単位、県単位でも作る必要があるのではないかと思うので、そうなると当然県の医師会、地方自治体も関与しなければならないと思います。池田先生、そういうことになります。
○池田委員 実際に、そこで専任として働く人数が何人かという話と、これに関与する方たちがどれぐらいかということと別に考えなければいけないので、非常に多くの人たちがインボルブしないとこの仕組みが成り立たないということだけは間違いない。その大きな部分は、今まで各学会が作ってきた専門医の認定委員会等々の先生たちが、引き続き何らかの形で協力してもらうことが最低限必要だということと、その学会だけではなくてほかの医療に関係する団体、地方自治体、国も含めて、随所随所で協議をしながら進めていくという仕組みづくりがこれから必要なのかなと思っています。具体的に協議会を作るとか、外部評価委員会を作るとか、例えばデータベースの問題に対して国や地方自治体とどう連携していくかとか、あるいはほかの医療団体、医師会、病院団体とか、どう連携していくかについては個々のテーマによって考えていかなければいけない。相当多くの人数でこれを運営していくような仕組みを作りたい。その中心に、第三者機関が位置すると考えればいいのかなと思っています。
○松尾委員 その財源のことですが、今各学会で専門医会計ということで、相当大きなお金を扱っていると思います。これは学会ごとでやっている。全ての学会がそうでないとしても、サブスペシャルティも含めて何十かの学会でこういう第三者機関を作って、そこで認定しようという話になったときに、学会で今扱っている多額のお金をどういう項に活かすかというか、専門医の質を上げて均質化するという言い方は悪いですが、標準化していくかについて突っ込んだ議論がないと、表面の議論だけではなかなかいかないというところがありますので、この辺のところは是非腹を割ってしっかり話をしないといけない。先ほど小森先生のお話がありましたが、ある程度覚悟を決めてやらないと、総論賛成、各論反対になってしまうので、私は今、学会の理事長をやっていますから、その辺はしっかりとやりたいなと思っています。
○山口委員 既に学会でも進んだところは、専門医に関するものは特別会計でもう別枠にして、それが学会の一般会計に組み込まれるということはないような話になっていますし、学会の中には恐らく学会担当の事務の方が事務局にはいらっしゃいますから、ある意味ではその会計が第三者機関に移り、学会担当の事務の人が第三者機関に移るというような、イメージとしてはそうなると思います。全部の学会担当者が移るほどの人数がいなくても、やる業務は十分できると思います。ただ、従来の専門医の認定作業、更新作業というところではそうだと思いますが、今度の第三者機関には新しい仕事がもう1つ、研修プログラムを作るという話と、そのプログラムを実施できるかどうかを各施設へ行って評価をするという、今までなかった作業が始まっています。今、機構でサイトビジットをして、その施設でプログラムがどう行われているかをチェックしていますが、それにもものすごく大勢の人と仕事量があります。その意味では、従来の行われた各学会での費用だけでは足りなくて、さらに多くの費用負担になる仕事をやらなければいけないので、その辺の覚悟が医療界でどこまであるか。更に、従来まだチェックされていない新しい研修を今オンゴーイングの人たちの実態を把握する作業も含めて、そういう資料もきちんと整備をすることになると、医療会、学会、あるいは専門医に関わるこのメンバーだけでできるか、本当に国の補助がなくてもいいかというのは微妙なところかなと思います。
○高久座長 それは山口先生のおっしゃるとおりだと思います。
 時間も限られていますので、最後の専門医の仕組みの全体スケジュールについて、資料4で説明お願いします。
○医師臨床研修推進室長 事務局提出資料4です。御説明いたします。「新たな専門医の仕組みに関する全体スケジュール(たたき台)」です。こちらは7月に開催をした第9回検討会において、全体のスケジュールについては一度お示しをしておりましたが、十分な御議論あるいは御理解をいただけなかったがために、今回適宜修正を加えて改めて御案内をするものです。
 主な修正点は2点あります。1点目は、専門医研修の開始と認定の時期について左下ですが、専門医研修開始、前回は平成27年度からとしておりましたが、今回は平成29年度に修正をしております。専門医の認定の時期についてはそこに書いてありますように、研修期間は各領域の実情に応じて別途定めることとしてはどうかということで、この認定の時期について年度一律に決め打ちではなくて、いくつかのオプションがあることが分かるようにいたしました。同時に、欄外に(※)で「各領域の実情に応じて、臨床研修(2年間)についても加味することが可能としてはどうか」と注記をしております。
 修正の2点目です。右側の既存の専門医の移行措置として追加をしております。こちらに「移行可能とする時期をどう考えるか」と記述しておりますが、移行や更新の基準あるいはその策定時期によって流動いたしますが、既存の学会認定の専門医は一定の基準をクリアすれば、新しい仕組みの下での専門医に移行できることが分かるようにしたものです。資料の説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○高久座長 この点について、どなたかどうぞ。
○門田委員 新しく追加になったところの2つについて、まず左側については3年だ5年だというディスカッションがあったので、こういう幅を持たせた形でお示しいただいたということで、今の事情に即したものかなと思いますが、1つの提案は、この検討会である程度の枠を決めて出すやり方をしないと、ボードに任されてもボードがバラバラに動くという問題が生じないのかなという気がするのが1点です。
 特に私が強調したいのは右側の図です。今まで専門医学会等でやっていて、初期には非常に厳しい専門医を育成するということをどこの学会でも制度のことをやってきて、若い人を育てるときは厳しいものを作っていたのですが、自分達の専門医取得のため徐々に遡り認定をやり出して、どんどん規制が緩んでいったことを繰り返した経験があります。従って私たちが前ディスカッションしたときには、この移行ということを簡単に考えるべきではないのではないかという慎重な意見を出しました。しかしそれにはいろいろな考え方があるので、たとえ移行するとしても、ここでおかしいと思うのは、新しい第三者機関を立ち上げて、新しい専門医が平成31年度か平成32年度に正式なものが世に出た段階で、今までの既存の専門医をどうするかということで、その後移行していくというのなら理解できますが、これより前に平成28年度ぐらいの段階から赤い色になって移行措置を認めているのは少し誤解を招くのではないかなと思います。少なくとも移行措置を入れるとすれば正式の専門医認定が始まって以降に、線を入れるべきではないのかなと思います。
○高久座長 今までの議論が、初期研修が終わって3年ないし4年でということになっていましたね。
○山口委員 反対の意見を述べさせていただきます。3年間のよく練られたプログラムに沿って研修して出てきた新しい専門医資格を取った人と比べて、専門医としてその領域にずっと5年、10年と研鑽を積んできた人が著しく劣っているとは思えませんので、移行ということについては、もちろんきちんとしたクライテリアを決める必要があると思いますが、既存の専門医が新しい専門医資格へ移行していくことにそんなに大きな問題はないと思っています。
 また、この新しいプログラムに沿って専門医研修を受ける人たちを教えている人は誰かというと、その人たちは全部専門医をまだ取っていない、そのような人たちが教えていく、これはおかしいのではないか。それを考えると、既存の専門医の然るべき人たちに新しい資格を与えて、その人たちが今研修中の人を指導しながら新しい専門医を誕生させていく、それが筋ではないかと思います。それから言うと移行措置を早く明確にして、それをクリアした人から移行をしていって新しい専門医を誕生させ、その人たちが新しい若い人たちを指導し、新しいプログラムによる専門医を育てていくという役割を担ってもらったほうがいいのではないかと思います。
○桐野委員 基本的な議論のところで、今度の基本的診療科の専門医は、安易には2つ、3つは取れないものを作るという話でした。しかし、既に現在の専門医を取得している方を比較的速やかに加えていくことになると、その原則を維持できるかどうかが疑問があると思います。現状の今の学会が認定している専門医制度の下では、2つ、3つということもよくある話で、それをこのやり方でやると新しい専門医が新しいコースでできてきたときに、今、先生がおっしゃったように、周辺には自分の先輩の同じ資格の専門医が大勢存在することになります。そのグループが同様の意味で2つ、3つは取れないというような厳しい形で認定されていくのかどうかというのは、よほどよく制御をしない限り難しいのではないかと思います。
○小森委員 私は、基本的には門田先生と桐野先生の意見に賛成です。過去においても専門医制度が導入されたとき、門田先生もおっしゃられましたように、経過措置を行ったためにこの厳格性が失われてしまった。これを成功と見るか失敗と見るか。ただ、旧制度の専門医制度の資格を持ち、更新をされればそれでいいのであって、新制度による専門医というのはこれから医師になる人たちの道として議論してきたと思いますので、そういう意味で質を担保していくということでよろしいのではないか。したがって、全体スケジュールたたき台(案)事務局提出資料4の右側については誤解を招く部分がありますので、いっそのこと、あえてここにある必要はない。とすれば、削除されてもいいのではないか。
 それから、移行可能とする時期をどう考えるか。移行可能であるかどうかについても議論をするということでないと、提出をされましたが、この部分については確定資料として公表されることになると、問題がいろいろあるだろうと思います。両論あると思います。
○桃井委員 確かに両論あり得ると思いますが、山口先生のおっしゃるように指導する立場は旧体制のものですから、そこがうまく機能するためには早めに更新の内容、質をより高く持っていくように今の機構で指導されて、更新の質をより新しい制度の概念、理念に近くするような制度にして、何年間かの更新準備期間を置かないと、円滑な医療体制が形成できないと思います。特に現在の基盤学会の専門医制度は、評価委員なども今の機構でかなり立ち上げられて、研修施設等々に関しても比較的十分と言える充実さがありますので、更新制度を早めに新体制に沿った形にするということで斜めの線はあり得ると思います。
○池田委員 私も桃井委員と同じ意見ですが、更新をどうするかというのは新しい専門医制度にとっても非常に重要なテーマで、これについてはかなり早い時期にしっかりした議論をして、実際に今学会で認定している専門医がいらっしゃって、その方たちはずっと未来永劫、学会にいて専門医で終わってしまうわけではなくて、機構が認定する専門医としてもう1回認定される時期がなければいけないわけですから、それは新しい基準に沿ってやるのであれば、少し前倒しすることはあってもいいのではないか。むしろ、そのほうがスムーズにものが進むのではないか。済し崩しにいい加減な形で更新をすることが、絶対にあってはならないということが条件です。
○桐野委員 もちろん厳格な更新制度を設けて、安易に2つ、3つは更新できない仕組みは、レベルを高めるために大変いいと思います。ただ、一方でその制度を作った場合に覚悟しておかないといけないのは、資格喪失者を出すことです。資格喪失者が出てくるというのは、経験症例数や特に手術の症例数を厳格に見ることになれば、外科系の専門医は比較的早く資格を喪失することを覚悟しないといけないので、その辺の設計はよく考える必要があります。手術をしなければ外科医に非ずという言い方ももちろんあるので、それはそれでいいと思いますが、それでうまく動くかどうかはかなりよく考えて、各領域の意見を聞かれた上でおやりになったほうがいいと思います。
○藤本委員 質問です。この移行措置に関しては移行措置終了時期というものは定めているのかどうか。それから、この表の下の※で、「各領域の実情に応じて、臨床研修(2年間)についても加味することが可能としてはどうか」は、前は加味しないという方向でかなり先生方の御意見が出ていたように思いますが、この2点を確認したいです。
○医師臨床研修推進室長 事務局から御説明させていただきます。まず最初の移行の周期ですが、移行の状況によっていつかというのは書き切れないかなという意味で、途中でここでも切れている段階ではありますが、そこは正に移行の基準であるとか移行の期間をどう定めるかによって変わってくるかと考えております。
 もう1つ、欄外の「各領域の実情に応じて、臨床研修(2年間)についても加味することが可能としてはどうか」は、そういう御提案で、御議論の中では確かにこの初期2年とは別の理念であるので別で考えるべきだという御意見もありますし、一方で専門医の認定をする際には初期2年間、どういう内容の研修を行ったのかについても加味して認定をするべきだという御意見もありましたから、書き方としては「可能としてはどうか」という御提案をさせていただいて、あとは御議論を賜ろうと考えております。
○高久座長 よろしいですか。事務局から資料5について説明してください。
○医師臨床研修推進室長 事務局提出資料5「専門医の在り方に関する検討会今後のスケジュール(案)」ですが、中間まとめ後のスケジュールを過去の分も含めてお示しをしております。今回は下の枠で囲んだ部分に当たります。次回以降、第16回、第17回については、最終報告に向けての検討となっていますが、次回はこの報告に向けた骨子ないし素案をお示ししたいと考えております。
 なお、次回は2月を予定をしておりまして、詳細が決まり次第、追って御案内申し上げます。以上です。
○高久座長 本日の検討会は、これで終了させていただきます。活発な御議論をいただきまして、どうもありがとうございました。


(了)

厚生労働省医政局医事課
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