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2012年9月20日 第23回医薬品・医療機器等対策部会 議事録

医薬食品局安全対策課

○日時

平成24年9月20日(木)


○場所

厚生労働省専用第23会議室


○議事

○事務局 開会に先立ち、傍聴の皆様にお知らせいたします。傍聴にあたりましては、既にお配りしています注意事項をお守りくださいますようお願いいたします。
 定刻になりましたので、ただいまから「第23回医薬品・医療機器等対策部会」を開催いたします。本日の部会は、従来の取扱いと同様、公開で行うこととしております。カメラ撮りは、議事に入る前までとさせていただきますので、マスコミ関係者の方々におかれましては、ご理解とご協力をよろしくお願いいたします。
 本日ご出席の先生方におかれましては、ご多用のところご出席いただき、誠にありがとうございます。本日は、本部会委員14名中12名の出席をもちまして、部会を開催いたします。部会の委員について、お一人交代がありました。日本製薬団体連合会の従前の大西委員に代わり、浅田委員です。なお、高杉委員と寺井委員は欠席とのご連絡をいただいています。この先、議事進行は外部会長にお願いいたします。
○外部会長 九州大学の外です。よろしくお願いいたします。それでは、議事に入ります。初めに、事務局から資料の確認をお願いします。
○事務局 配付資料の確認をいたします。座席表、議事次第、委員名簿、配付資料一覧の順となります。続いて、資料1「ヒヤリ・ハット事例等収集結果-医薬品-」および参考資料1、資料2「ヒヤリ・ハット事例等収集結果-医療機器-」および参考資料2、資料3「薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業収集結果」および参考資料3、資料4「医療安全関連通知集」、資料5「PMDA医療安全情報」また参考資料として、本部会の設置要綱等の順です。先生方には、別途机上配付資料をお配りしていますが、それは後程使わせていただきます。過不足等ありましたら、お申しつけください。
○外部会長 議事次第に従って、議事を進めていきたいと思います。本日は、検討事項が3つ、報告事項はその他となっています。まず、検討事項の1番目、医薬品ヒヤリ・ハット事例等収集結果について、事務局から説明をお願いします。
○事務局 資料1および参考資料1をご覧ください。また、資料1を1枚めくってください。本報告書は、公益財団法人日本医療機能評価機構による医療事故情報収集等事業の第27、28回の報告書およびホームページ上の公開データ中のヒヤリ・ハット事例記述情報および医療事故事例の概要について、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)が医薬品の使用方法および名称・包装等の物的要因の観点から、分析した結果を報告したものです。
 医療事故については、医療事故情報収集等事業の第27、28回報告書中の記述情報および評価機構ホームページ上の公開データから抽出しました平成23年7月1日から12月31日の間に報告された事例をまとめました。ヒヤリ・ハット事例については、当該報告書中の記述情報から抽出した平成23年7月1日から12月31日の間に報告された事例をまとめました。その他については、当該報告書中の記述情報から別途抽出した医薬品に係る事例をまとめました。医薬品に関連する医療事故およびヒヤリ・ハットの事例については、医薬品の使用方法および名称・包装等の観点から、安全管理対策に関する専門的な検討を行うため、各医療関係職能団体代表等の委員から構成されるPMDAでの医薬品・医療機器安全使用対策検討会で検討した内容を報告いただいたものです。
 報告書の2頁目の表は、調査対象となった医薬品に関連する医療事故およびヒヤリ・ハットの合計127例について、医薬品の安全使用に関して、製造販売業者等による対策が必要又は可能と考えられた事例、製造販売業者等により既に対策が取られているもの、もしくは既に対策を検討中の事例、ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例、情報不足等のため製造販売業者による対策が困難と考えられた事例の4つの区分に分け、それぞれの区分をまとめたものです。製造販売業者等による対策が必要又は可能と考えられた事例が1件、製造販売業者等により既に対策が取られているもの、もしくは対策を既に検討中の事例が10件、ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例が103件、情報不足等のため製造販売業者による対策が困難と考えられた事例は13件でした。
 1枚めくって1/77頁をご覧ください。医薬品の安全使用に関して、製造販売業者等による対策が必要又は可能と考えられた事例として、糖尿病用薬と高血圧薬の販売名類似による取り違い事例です。この事例は、高血圧薬のアルマールを処方しようとしたところ、文字を打ち間違えて糖尿病用薬のアマリールを処方してしまったものです。この事例は院内調剤ですが、誤入力の結果を十分に確認せずに医師が処方し、また看護師も医師が間違えないだろうと思い込み処方内容を確認しなかった事例です。なお、アマリールとアルマールの名称の類似性については、参考資料1の6~8頁、および9~21頁に記載されているとおり、平成15年と平成20年に医療機関に注意喚起をしています。具体的な品目を挙げた注意喚起は、8頁および13頁のとおりです。また、両製剤の製造販売業者から、参考資料1の22~26頁のとおり、取り違えに関する注意喚起がなされています。アルマールについては、22~24頁のとおり、このほど販売名をアルマールから「アロチノロール塩酸塩錠『DSP』」に変更し、発売を開始しましたのでお知らせします。22、23頁は医療関係者向け、24頁は患者向けの資料です。アルマールについては、経過措置期間終了後の2013年の4月1日以降は保険請求できなくなる予定とのことです。
 続いて、製造販売業者等より既に対策が取られているもの、もしくは対策を既に検討中の事例です。資料1の2/77~7/77頁の1番~6番、9、10番は、すべてPTP包装シートの誤飲事例です。PTP包装シートの誤飲については、参考資料1の30~34頁の、国民生活センターの報告書を踏まえて、参考資料1の27~35頁の、平成22年9月15日付のPTP包装シート誤飲防止対策についての通知により、誤飲防止に関する医療機関や薬局への注意喚起を行うとともに、製造販売業者に将来的な技術の進歩を見据えた包装の改良および改善のための研究開発の継続を行うことを要請したところです。
 資料1の4/77頁の5番は、内服薬の処方箋の書き方に起因した事故事例です。なお、内服薬の処方箋の記載方法については、参考資料1の37頁以降の、平成22年1月29日付の「内服薬処方箋の記載方法の在り方に関する検討会報告書の公表について」において、参考資料1の46頁に「散剤および液剤の『薬名』および『分量』については…薬名を製剤名で記載し、分量は製剤量を記載することを基本とする。例外的に、分量を原薬量で記載した場合には、必ず【原薬量】で明示する」と示されています。
 資料1の5/77頁の8番は、注射キット製剤の組立て等の要因による過量投与の事例です。ドパミン塩酸塩のプレフィルドシリンジ製剤をシリンジポンプにセットしたところ、投与10分後に患者さんの心拍数等の異常が観察され、処置がなされた事例です。処置後にシリンジを確認したところ、シリンジのゴム栓が斜めになり、隙間からシリンジ中に空気が入り、空気に押し出される形で薬液が体内に急速注入されたものと考えられています。本事例を受けて、製造販売業者において製品の改善が検討されました。その結果、参考資料の66頁のとおり、シリンジの押子とガスケットの接続部の改良が行われました。従来は押子をシリンジのゴムの部分に直接差し込むところを、押子とシリンジの間に接続用のプラスチック部品を加えて、その部品に押子を差し込むよう設計を変更することにより、ゴムに押子を直接差し込むことができなくなったものです。
 また、資料1の8/77頁以降は、ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例です。また、資料1の72/77頁以降は、情報不足等のため製造販売業者による対策が困難と考えられた事例です。これらにつきましては時間の関係で説明は割愛させていただきます。なお、ヒューマンエラー事例については、日本医療機能評価機構において別途検討がなされ、定期的に医療安全情報等を発出するなど、注意喚起が行われているところです。資料1については、以上です。
○外部会長 医薬品に関するヒヤリ・ハット事例等の収集結果を報告していただきました。いまの説明の中で、以前から指摘されていましたいろいろな薬剤名、具体的にはアマリール、アルマールというような、これまで出てきた事例がまた出てきているようです。さらに、PTPの問題等もあったようです。この説明あるいは検討内容等で何かご質問がありましたら、お願いします。アマリール、アルマールに関しては、この対策あるいは一方の名称変更があったということなのですが、まだしばらくは混乱が続くのでしょうか。土屋委員、何かご意見はありますか。
○土屋委員 本来はアマリールが名称を変えなくてはいけないのに、危ないほうのアマリールが変えずにアルマールが変えてしまったというのは、引き続きアマリールについてどうするかということを検討する必要があるということです。また、現実としては、アマリールについても以前は後発品がありませんでしたが、後発品であるグリメピリド錠が各社から発売されたことから、医療機関の選択肢は増えました。ノルバスク、ノルバデックスもそうですが、企業が名前を変えるか変えないかに関係なく、調剤する側がハイリスク薬については薬歴をきちんと取って調剤をする必要があります。日本病院薬剤師会では、以前よりハイリスク薬の初回投与時に、本当にこの患者さんに出してよいのかしっかり確認しなさいと言っていますが、それを改めて徹底することが必要です。製薬企業だけの対策だけでなく、あるいは製薬企業がその対策を取らないとしても、医療機関側が取り違えに対する防御体制を取ることは、必要と思います。特に、薬歴を取りながらチェックをすれば、高血圧の患者さんに糖尿病の薬が出た、あるいは抗がん剤が出たことがあったとしても、おかしい、と考えられるわけです。したがって、医療機関側あるいは薬局側の調剤のときの注意徹底が必要と考えます。
 PTPの誤飲については、国民生活センターの文書が出て時間が経つのですが、おそらく当初発表されたときより、ずっと事例が発生し続けているのだろうと思います。この件については、医療機関でアセスメントシートを作ったり、一包化をする等の対策が必要だったという気もします。PTPというのは、品質保証をする上で非常に大事な包装ですし、ハイリスク薬には「糖尿病用薬」などの表示による注意も入っています。仮にPTPを廃止して、バラ錠にすると、品質保証や表示による注意がなくなってしまいますので、問題です。PTPの誤飲については、国民啓発運動が必要だと思いますので、なるべく多くの所でPTPを誤飲しないようキャンペーンといいますか、運動をきちんと徹底していかざるを得ないという気がします。ただし、それでもゼロにはならないと思います。
○外部会長 高齢者社会で、認知症の患者さんも増える状況にあり、このようなPTPの問題はなかなか解決しないで残っていくのではないかと思われます。医薬品の検討について、何かご意見はありますか。
○原田委員 2点あります。まず土屋先生に質問なのですが、アルマールが名称変更になった場合に、電子カルテに出てくる名前の部分が、いつどのような形で一斉に変えられるのかどうかを教えていただきたい、というのが1点です。
 もう1点は、PTPのほうですが、誤飲しないように気をつけましょうというよりも前に、とにかく切り離さないという教育だと思います。切り離して1錠分になっているから飲んでしまうのです。1シートごと飲む人はたぶんいないので、切り離さないように、という広報と同時に、もう少し、切り離せない、たとえば普通の鋏では切れないようにできないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○外部会長 貴重な意見だと思いますが、いかがでしょうか。
○土屋委員 1つ目の件です。アルマールの名称が変わっても、先ほどありましたように、経過措置といって、一定期間、アルマールを保険診療で使うことは許されています。大体、販売名が一般名に変わり、包装が変わったときには、その時点で電子カルテ上の名称を変えると思います。ただし、電子カルテ上への処方の入力を一般名でやるようにするかというと、おそらく医師がアルマールと入れたときに、いまは名称が変わりましたよとお知らせするようなやり方をする所が多いとは思います。ただ、例えば、アマリール、アルマールやノルバスク、ノルバデックス等の類似名称の問題がある薬は採用止めた医療機関であっても、医療機関が採用を止めた薬を持参薬として持ち込まれることはあります。現在のシステムは、持参薬を基本的に電子カルテシステムに登録できるようにはなっていませんので、持参薬の存在は電子カルテに反映されないのです。そうすると、反映されないために起こるそれに従ったエラーが出てしまうことがあります。病院としては、持参薬を使わせないとするルールを持っている所もありますが、一律にはいかずなかなか難しい部分ではあります。
○外部会長 PTPについては、いかがですか。
○土屋委員 PTPについては、1錠にしないという文化をどうつくるかです。一方で、世の中で売られているピルケースは、PTPを1錠に切ることを前提として作られていますので、そのようなグッズにもどう対応するのかと。PTPは、昔は縦横どちらでも切れて、1錠ずつに手で切れるようになっていたのですが、いまは縦か横かどちらかしか手で切れないようになっています。1錠ずつに切る必要がある以上、どうしても切る人が出てきて、そういう人ははさみ等で切ることから切断面が却って鋭角になってしまう等のなかなか難しい問題があります。これを避けるためには、角を丸めるというやり方もあるのですが、いちいち毎回角を丸めるかというと、そんなことはやっていられないでしょうから、対応がなかなか難しい気がします。ここは、本当に悩ましいところです。
 ただ、今回はPTPのまま5種類も飲んでしまったとかの事例も起きていることから、こういったことも起き得るのだということを想定する必要があるわけです。PTP誤飲を防ぐために、どのように文化をつくっていくか。たとえば、よく見られるドラマで「PTPのまま飲んじゃ駄目よ」というような注意をするとか、製薬会社が作るCMでは、医師薬剤師に相談するというクレジットが最近付きますが、そこにPTPを誤飲しないようというようなクレジットを追加するとか、やはり国民レベルの啓発活動を地道にやっていくしかないかなと。ただ、PTPの誤飲は確率的には非常に少なく、通常でいえば不可抗力といわれるような発生率だと思うのですね。ただ、医療はこういった事例でもゼロを求められてしまう、そこがきついところです。
○松月委員 それに続いて、患者さんの一包化ができていない所では、PTPをホチキスで留めるということも行われています。今回の例にもホチキスがありました。それはもうずっと続いた、長年培った文化ですが、私はせめてホチキスで留めることは無しにしたいと思います。病院でホチキスで留めるのをやめるためには、薬局は一包化の機械を必ず買ってもらって、薬は一包化して提供する。面倒でも、せめて病院はそのようにしてもらいたいと思います。土屋先生に怒られるかもしれませんが、私はこのようなことを防ぎ、PTPの問題を解決するために、錠剤を1つのボトルに入れるというものもあっていいかと思います。こんなことは可能かどうかわかりませんが、PTPが胃液に触れたら溶けてしまうというようなことも考えたりします。
○外部会長 食道に詰まったりしますからね。
○松月委員 水というとまずいですよね。
○土屋委員 調剤方法をどうするのかですが、逆に一包化をあまり進めてしまいますと、変更があったときにまたそれを戻すのにというのがありますので、現場でどこまでやるかが重要です。ただ、ホチキスで止める文化はもうやめたいというのはあります。また、この4月から病棟の薬剤師が常駐するようになりましたが、患者を診ながら相談しつつ、この患者さんにあった投与方法はこのようなものがいいだろうというのがあるかもしれません。さらに、入院中に患者にPTPを認識させて、ここからきちんと出して飲むことを教育をするという意味では、何でも飲んでしまうのではなく、PTPから出したことを確認しながら飲みましょうという文化を患者さんに付けていただくのに、入院期間中はいい機会でもあります。一包化すれば誤飲は防げるかもしれませんが、薬を確認しながら飲むことを理解させる必要がある人に対する教育も大事なのかなと思います。ただ、ホチキス止めはそろそろやめて、それだけはやらないようにしようというのは必要だと思います。
○森委員 日本薬剤師会の森です。本日の報告は病院での事例なのですが、これはやはり在宅医療が増えてきて、在宅でも同様なことが考えられています。基本的には、自己管理ができない患者さんには一包化をしているのですが、やはり何でもかんでも一包化にするのがいいとは思いません。きちんとわかる患者さんは自分で管理をするのが1つ重要なことなので、そこは見極めてやっているのですが、今後在宅医療が増えて居室なり居宅で療養される中で、今回のような事例は自分たち薬局薬剤師も気をつけなければいけないことかと感じています。
 もう1つ、アマリール、アルマールですが、処方箋を受け付けて調剤にかかる前に、患者さんの後発品の意向を含めて、その日の状態を聞いてから調剤にかかろうという手順を作成しています。1つは、そのように患者情報をきちんと取ったうえで調剤をすることによって、リスクが防げることもあります。一方、注意していても相変わらず過誤が起きていますので、今後は物としての対策も必要ではないかと思っています。
○原田委員 「切れないように」というのと似ているのですが、やはり「自分で確かめて飲みましょう」という教育を有効にするためにも、「これは飲めないよね」と見てわかるようにモノを作っていくことが大事だと思うのです。そういう意味で、いま思い出したのは、PTPの大きさです。薬がどんどん精度がよくなって小さくなってきています。それにしたがって、PTPの一つひとつも小さくなっているものをよく見かけます。これだけ小さければ、確かに飲んでしまうかもしれないと思うほど小さいものを、家族が持っているのを見かけたことを思い出しました。当然、製薬会社さんとしては、コストカットのためにも薬が小さくなれば包装も小さくしたいと思われるのでしょうが、そこを小さくしすぎないでいただきたいと思います。例えば、1.5cm角のものがあれば、それはおそらく飲みませんし、飲みかけても飲みにくそうだなと思えれば、これは飲んではいけないのだなということを学習できます。ですので、一旦そこで飲まないで立ち止まることができるような仕組みをモノにも作りつつ、「飲んではいけない」ということを広めていく、その両方向でいかないといけないと思います。ですので、小さくしすぎないという点は、是非ご検討いただきたいと思います。
○望月委員 ちょっと話題が変わってしまうのですが。
○外部会長 PTPの件について、製薬団体から何かご意見はありますか。まだ取り組んでいる途中かとは思いますが。
○浅田委員 日本製薬団体連合会ですが、業界としましてもPTP誤飲については、以前からそのような情報提供等をさせていただいています。業界としても、なかなかこれといった方策は難しいところがあります。先ほどありましたように、最近は錠剤を飲みやすくするために、なるべく小さい物になっています。そのためPTPも小さくなっていきますので、なかなかその辺りはいまのところ良い方法が見つからない状況ではあります。
○土屋委員 アメリカでは、もともと、PTP包装を製薬会社がやらないのですね。アメリカではリパッケージ会社という、ばらばらの錠剤やカプセルをPTPに収めるのを専門にやっている所がやるのですが、錠剤やカプセルが収められたPTPは子どもが飲めない大きさで、1バイアルよりも大きいのですね。30錠シートはiPadよりも大きいのですね。そうすると、リパッケージされたPTPを調剤棚に置こうとしても、棚に30錠包装をいままで100品目置いていた所に100品目起き続けることはできず、10品目しか置けないというようなことになります。こういうアメリカでリパッケージされたものは本当に大きく、物理的に飲めないのですね。一方で、製薬会社がやらずに、リパッケージ会社がやったPTPは、すべてのものが大きく、しかもすごくいい加減なのは、たとえば4×8の32錠包装に30錠しかはいっておらず、2錠は空なのですね。2錠が空だから32錠のPTPと間違えるのではないですかと言ったら、30錠しか入っていないから大丈夫だよといった答えが返ってきます。いい文化だなとは思いますが、これを日本で同様にするのはなかなか難しい気がします。ただ、アメリカのような大きさのPTPが8シートもあったら、おそらく患者さんからもいろいろ意見が出てくる可能性がありますので、そこが痛し痒しのところです。
○外部会長 継続的な問題かと思います。それ以外の医薬品に関して、望月先生お願いします。
○望月委員 14/77頁のワーファリンによる事故です。死亡なのですが、原因がワーファリンかどうかはわかっていません。ヒューマンエラー、ヒューマンファクターなので、ここでお伺いすることは筋が違うのかもしれませんが、つぶし、粉砕をしていて、その粉砕したものが病棟に残っていて、たぶんINRで用量設定をして、用量を下げるという指示があったときに、逆に病棟に残っていた薬に上乗せで多い量を投与してしまったと。これは、今後対策をきちんと考えなければ、病院の中だけの問題でいいのかという感じがした例だと思いました。
 先ほど森委員が、在宅のことで一包化の話をされていましたが、当然在宅の方でつぶしで出されている方もいらっしゃると思います。つぶしてしまうと、何がどのように入っているのかもよくわからなくなってしまうことがあります。こういうことは、ニアミスなのか何が原因だったのかはわかりませんが、きちんと考えていかなければいけないことなのかなと感じましたので、一言言わせていただきます。
○外部会長 つぶしのというのは、ちょっと理解しづらかったのですが、もう少しわかりやすくお願いします。
○望月委員 ワーファリンがもし錠剤のまま出ていれば、記号や番号で量が変更されたときに何か対応ができたのかと思うのですが、粉で出てしまっているので、どの粉の包装が1ミリグラムで2ミリグラムなのかは、普通は粉の場合はそこに量は書きません。また、場合によっては、これは単独の粉だったかもしれないのですが、いろいろなものが混ざってしまっていたりすることもあると思います。今回このような例がありましたので、今後きちんと考えていっておいてもいい事例なのかなと思いました。
○土屋委員 このような錠剤の粉砕や散剤は、アメリカの安全団体から、なぜ日本はあれだけ対策を取りながら散剤などという剤形を許すのか、あれは危ないだろうといわれています。散剤は世界にはあまりないわけですから、日本だけがこのような剤形をやっているのは、ああいう危ないものをよくやっていられるなというか、文化の違いだとは言いました。例えば、処方が変更になったときに、処方変更により中止になった薬剤を、病棟から薬剤部に回収する手順をきちんと徹底させることが必要だと思います。処方された散剤の包装に量等を書けというのは、書ける機械を持っている病院はいいのですが、書ける機械がない所やパイルパッカーのようなものだと難しいところがあります。
○外部会長 粉砕指示となっていると、非常にわからなくなってしまうということで、問題も大きいかなと思いました。医薬品については、よろしいでしょうか。ヒューマンエラーのところはいろいろあると思います。私としては、KCLのワンショットが相変わらず起きていることに対して、非常に懸念をいたします。わかっていてもやってしまったというようなことですので、継続的な教育も含めて、見ていかなければいけないと思いました。
 それでは、次の医療機器ヒヤリ・ハット事例等収集結果について、事務局から説明をお願いします。
○事務局 資料2および参考資料2をご覧ください。また、資料2を1枚目食ってください。本報告書はPMDAが、医薬品と同様に、医療機器について報告したものです。医療事故関係については、医療事故情報収集等事業第27回、第28回報告書中の記述情報および医療機能評価機構ホームページ上の公開データから抽出した平成23年7月1日から12月31日までの間に報告された事例をまとめました。ヒヤリ・ハット事例関係については、当該報告書中の記述情報から抽出した平成23年7月1日から12月31日の間に報告された事例、その他、当該報告書中の記述情報から別途抽出した医療機器に係る事例をまとめました。
 医療機器に関連するヒヤリ・ハット等の事例について、医療機器としての観点から安全対策に関する専門的な検討を行うため、医薬品と同じくPMDAが検討した内容を、こちらのとおり報告いただいたものです。
 報告書の2頁目の上段の表は、調査対象となった医療機器に関連する医療事故およびヒヤリ・ハットの合計136例について、医療機器の安全使用に関して、医薬品と同じく4つの区分に分け、それぞれの区分をまとめたものです。
 今回、製造販売業者等による対策が必要または可能と考えられた事例はありませんでした。また、製造販売業者等により既に対策が取られているもの、もしくは対策を既に検討中の事例が12件、ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例が93件、情報不足等のため製造販売業者による対策が困難と考えられた事例は31件でした。
 検討結果については、資料2の1/61頁以降をご覧ください。なお、評価機構のホームページ上で製品名が確認できたものについては、不具合報告の有無等についてもPMDAで確認してくださっています。
 まず、製造販売業者等により既に対策が取られているもの、もしくは既に対策を検討中の事例として、資料2の1/61頁の1番~2番で、人工呼吸器の動作不良の事例です。これらの事例については、薬事法に基づく不具合報告が行われています。これらの事例は製造販売業者による解析の結果、人工呼吸器内の基板交換という対応となったということです。
 続いて資料2の1/61頁の3番で、アルコール含有消毒剤使用下における電気メスの引火事例です。この電気手術器の添付文書には、可燃性物質に引火する可能性があることが記載されております。これまでに同様の事例が集積しているところですので、参考資料2の1~3頁のとおり、PMDAより医療安全情報が作成・配信され、この電気メスに関する注意喚起がなされているところです。
 資料2の2/61頁の4番で、AEDの使用範囲外のECGによる解析不能事例です。心肺停止となった患者にAEDを装着し、心室細動を確認したが、AEDで「ショック不要」と判断されたため、マニュアル式の除細動器でショックを行い、心拍が再開した事例です。解析の結果、使用されたAEDには異常を認めなかったとのことです。
 資料2の2/61頁の5番で、歯科用ドリルのメンテナンス不足による加熱・火傷の事例です。この事例については、薬事法に基づく不具合報告が行われています。この事例は、抜歯していた際にマイクロドリルが過熱し、患者の唇に熱傷を起こしたものです。マイクロドリルのアタッチメントの保守点検が十分に行われていなかったことから、マイクロドリル内で部品が固着し、過負荷がかかることにより発熱に至った可能性が推察されております。この事例を踏まえまして、参考資料2の5~10頁のとおり、製造販売業者から医療機関に情報提供が行われているところです。また、本件の図解をわかりやすく示したものが、参考資料2の4頁になります。
 資料2の2/61頁の6番で、手術台用上肢台の脱落事例です。この事例については、薬事法に基づく不具合報告が行われています。手術台の上肢台に横方向からの荷重がかかっていまして、その結果上肢台から手台が脱落したとのことです。上肢台の添付文書については、横方向に力を加えないこと、またこの上肢台にもたれかからないこと等が記載されています。また、製造販売業者からは2008年に、横方向耐荷重に対する改良が実施されているところです。
 資料2の3/61頁の7番で、中心静脈カテーテルによる薬液漏れの事例です。人工血管置換術を実施している患者に、中心静脈カテーテルを挿入したところ、おおよそ3時間後に中心静脈ルートが流れにくくなるという状態が観察されました。しかしながら、経過観察しつつ手術を継続したものの、手術終了後にカテーテル挿入部周辺に水疱が形成されており、カテーテルが抜けかけて、そしてカテーテルの側孔から薬液が漏れていた可能性があったという事例です。これについては、参考資料2の11頁、本製品の添付文書に当たります。左側の「警告」の6に、点滴の際には側孔が血管内に位置していることを確認する旨記載しているところです。また、この事例を受けて、参考資料2の17頁にあるように、製品に側孔位置を明示したラベルを貼付して出荷しているとのことです。わかりやすい写真が18頁にあります。
 資料2の4/61頁の8~9番です。皮下植込み型ポート用カテーテルの断裂事例です。これまでに、カテーテルの破損および離脱については事例が集積されていますので、平成23年5月25日付けで、参考資料2の19~24頁のとおり、通知を発出し、製造販売業者に対し、この種の製品の添付文書に、カテーテル断裂について注意する旨を記載するとともに、医療機関へ情報提供するよう指示しております。なお、先ほどの資料2の4/61頁の8、9番の事例ですが、これは平成23年7月から12月に報告された事例でして、本通知の周知過程での報告事例である可能性があることに、ご留意のほどお願いいたします。
 資料2の4/61頁の10番です。これも皮下植込み型ポート用カテーテルの断裂事例です。この事例については、薬事法に基づく不具合報告が行われています。中心静脈カテーテルポートを患者に造設し、その後化学療法を実施したところ、薬剤の液漏れが生じた事例です。カテーテルがポートのコネクターの根本まで挿入されておらず、嵌合不足により離脱した事例となっています。参考資料2の25頁ですが、こちらの左側の「警告」の2、3にありますとおり、ポートの根本までカテーテルを確実に差し込むよう、注意喚起しているところです。また、参考資料2の31頁のとおり、平成24年2月以降には、製品の包装に拡大写真で示されているような表示をすることにより、注意喚起をしているところです。
 資料2の5/61頁の11番です。中心静脈カテーテルによる血栓形成の事例です。がんの化学療法中に中心静脈カテーテルを挿入している患者で、カテーテル抜去後のCTを行いましたところ、挿入血管内の血栓形成と肺塞栓が確認された事例です。添付文書には、カテーテル留置中の静脈血栓症のリスクが記載されているところです。
 続いて資料2の5/61頁の12番です。カテーテルのガイドワイヤのコーティング剥離の事例です。カテーテルのガイドワイヤのウレタン外層が体内に遺残した事例で、この製造販売業者としては同様の事象を複数確認していまして、ガイドワイヤのウレタン外層が金属針と接触することにより剥離したと考えられるとしています。なお、参考資料2の32頁のとおりで、添付文書には、「禁忌、禁止の併用医療機器」のところで、金属針や金属製外套管と併用しない旨が記載されているところです。
 資料2の6/61頁からは、ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例、資料2の48/61頁からは、情報不足等のため製造販売業者による対策が困難と考えられた事例です。これらについては、時間の関係で説明は割愛させていただきます。資料2については以上です。
○外部会長 医療機器に関する検討結果を報告していただきました。医療機器に関しても、これまで取り上げられた事例、関連事例が多く見受けられます。いろいろな種類の医療機器があるために、12事例がこれまでに既に対策を取られているもの、対策を既に検討中の事例ということで紹介していただきました。短時間での説明でしたので、十分なフォローは難しかったかもしれません。ヒューマンエラーについても93症例あります。この中でも、もちろんこういう医療機器が関連していますので、ヒューマンエラーには入っていますが、物のほうの改善でも、ある程度の効果が得られるものもあるのではないかと思います。また、情報不足が31例ありまして、これは非常に多くあるわけで、なかなか難しい側面もあるかと思います。この医療機器に関するヒヤリ・ハット事例等収集結果について、ご質問等がありましたら、よろしくお願いします。
○目黒委員 全体的な感想からですが、我々が扱う人工呼吸器とか、大きな機械に関するもので対策が取られているのは、私の施設もそうなのですが、医療安全管理室を経由して発信されてくることが多くなり、周知されてきています。しかし、医療材料にかかわる、カテーテルやガイドワイヤ等にかかわる部分の、各種の通知や情報が出てくると、特にまだ組織がきちんと動けないようなところでは、それが末端まで周知されるのに時間がかかる、あるいは末端までいっていないように全体を見て感じました。
 私たちが機械を扱うときには、医療法の監査、その他自治体等による監査等がありまして、重要な生命維持管理装置に関しては、きちんと保守点検をやっているか、あるいはその研修をやっているか等の調査をされるのですが、こういう材料にかかわる部分については、重要な機器であるのだけれども周知がなかなか難しい部分があるので、ここら辺については今後何か対策を考えていかなければいけないと思います。全体的な感想です。
 これでいうと、メーカーの方が、カテーテルなり、生体にとって重要な影響を与えるものを売る場合に、重要項目として、説明チェックリストを作りまして、これは説明した、この先生には説明した、この説明はやったというものを作ったほうがいいのではないか。要するに、ヒューマンな部分を含めてテクニカルな部分もかなりありますので、業務にかかわる看護師に説明する重要な部分、先生たちに説明する重要な部分、そういう部分をメーカーが考えながらやると、ヒューマンエラー、ヒューマンファクターを減らしていけるのではないかと思いました。
○外部会長 ほかにいかがでしょうか。
○望月委員 私も見ていて、いま目黒委員がおっしゃったことを考えていました。添付文書が改訂6版とか10版とか、何度も改訂されて、警告欄、禁忌の欄が結構多いのです。こういう改訂情報の文書は出されてはいるのですが、それを使われている方に、実際にどれほど伝わっているのだろうかということを非常に感じました。
 費用対効果のこともあるので、医薬品の場合は、かなりMRさんが医師等に面談して、改訂の重要な情報を説明することもあるかもしれないのですが、医療機器ですとなかなか難しい場合も多いかと思い、もう少し効率よく効果的な情報提供のあり方というのを考えられるといいと感じました。
○外部会長 医療材料、医療機器は種類が多いということもあって、情報の伝え方、添付文書だけでは解決しない場合もありますが。
○目黒委員 私たちも設備が新しくなったときに、医療機器の添付文書あるいは取扱説明書は、基本的にオーダリングあるいは病院情報システム(HIS)の中から、いろいろ取り出せるようなシステムを作っています。各病院でも大きなところは、この情報管理システムの上で構築されつつあるのです。
 ところが、医療材料も医療機器ですが、我々臨床工学から外れている部分と、薬剤部分の薬から外れている部分のカテーテル類は、それをまとめて情報を見るものがないのです。インターネットまでいって、物を探していく。
 いま薬剤だと、薬剤部のほうで、自院で扱う薬剤情報は大体閲覧できるような形になっているのですが、医療機器、医療材料もそこまで引き上げて、いろいろな情報をすぐに見られる形に持っていかなければならないのではないかと思いました。
○外部会長 それ以外にいかがでしょうか。
 中心静脈カテーテルの薬液漏れがありました。3つ孔が開いている3ルーメンで、3番目の孔が7cmぐらいのところにあって、それが血管の中から外れていたということです。
 こういう3つ孔が開いたCV カテーテルはほかにもあると思うのですが、それ以外のカテーテルではこういうことはないのですか。これが特殊な形というか、先端が7cmというのは異常に長いと思ったのですが、何かデータはお持ちですか。
○事務局 確かにこの製品は、プロキシマル ルーメンとディスタル ルーメンの距離が離れているということなのですが、そういう現場のニーズに基づいて、プロキシマルのルーメンの位置をここに設定して、長い間発売している製品ですので、この病院も、本来ならプロキシマルのルーメンがここにあるということは認識して使われていたと思っていたのですが、カテーテルを引き戻してしまったために、プロキシマル ルーメンが血管外に出てしまったという事例だと思っています。
 他社では、このプロキシマル ルーメン、ディスタル ルーメンは、いろいろな箇所にありますので、それは先生方の好みによって種々選択して、採用していただくというような現状だと思っております。
○外部会長 あえて離す理由が何かあるのかなと思ったのです。なるべく先端に近いほうが、血管内から外れることはなくなるであろうということですが。
○事務局 これは特殊な中心静脈カテーテルになっていまして、確かに点滴の穴としては3つなのですが、1つ目が先端に穴が開いていまして、その次に、このカテーテルは酸素濃度を測る機能がありまして、そのための部品が、通常のトリプル ルーメンのカテーテルの2番目の穴の所に位置します。そのために、2番目の穴、3番目の穴が、カテーテルの根本側に少しずつずれていくということで、最後の3つ目の穴が7cmと、通常よりも少し遠い場所に位置するということになっていると聞いております。
○外部会長 特殊ではあるのですが、これを少しでも先端に近付けられるような、製品の改良等があればなと思いました。ほかにいかがでしょうか。
○松月委員 それを使っていた集中治療室で仕事をしておりました。遠くの位置にあることにより、それはそれでメリットがあるのです。さまざまな輸液を1本のルートでいこうと思ったときに、2種類以上の薬があまり近い位置から出てくると相互作用みたいなものが出現します。さらに、先ほど温度センサーの話がありましたが、やはり温度が変わるのです。このカテーテルはいろいろな機能を持たせているので、使っている人は、そこの位置にある意味を知ったうえで使っています。このように引き抜くことがまずいのかなと思います。穴の位置をずらすことによって、本来の目的が駄目になることが考えられますので、これはもともとこういう使い方をしたのが、おかしかったのではないかと私は思っております。
 それともう1つ別のことですが、先ほど話題になりましたが、こういうカテーテル類についての安全情報を誰が取っているのかということです。一昔前には、こういう材料を扱う中央滅菌材料室に師長が安全情報を一手に引き受けていろいろな情報を出していたのです。ところが、最近大きな病院は中央滅菌材料室の師長というのはいなくなりまして、それを全部業者に外注に出すようにしていますので、なかなかそこに専門の人がいなくて、そこが欠落するようになりました。
 それをすべて医療安全対策室の少ないメンバーでやるかというと、安全情報を追いかけるだけでも大変だろうなと思っております。
○外部会長 ほかによろしいでしょうか。ヒューマンエラーのほうもかなり多くあるようです。気になったのは、資料2の8/61頁の7番に、心臓手術の冠動脈還流液のラインに空気が200ccほど入ってしまったと。これがヒューマンエラーということですが、こういうエアーが混入されるのを自動的に機器として察知して、防げないかなと思ったのですが、具体的によくわからないので難しいのですが、いかがでしょうか。
○目黒委員 以前の会議の席上でもいろいろ話題になったような気がするのですが、基本に可能性があるところ、気泡とか異常が起こり得るようなところには、それを検知するようなシステムを作るというのが、本来の筋だとは思うのですが、センサーについても検知できる量だったのかどうか、そこら辺が詳しくわからないのです。
 例えば、当院の場合にはとにかく安全を第一に考えていますので、規定の量を決めてしまって、300cc入れるのであれば300ccをセットして、それ以降は、ポンプは止まるというシステムでやっていけば、こういうことは起こらないと思うのですが、そこにある機械がそういうシステムで動ける機械であったのか、止まるシステムがなければ、また起こり得るような気がします。
 特に、この人工心肺システム、私たちは背中に汗を流しながらいろいろな手術で一緒にやってきました。実は、透析装置よりも安全装置が少なく、人の目や耳等が重要な機械で、気泡あるいは流量をすべて五感で感じとれるように言われました。外先生も見られていて歴史はわかるかと思うのですが、この様な中でやってきましたので、こういう部分の歴史を知って、何が大事か、何が重要であるかということを視点に置かなければいけないのですが、そういう教育と、あとは機械のほうからのアプローチで安全を確保するというのが、いかに大事かという部分を示していると思っています。
○外部会長 よろしいでしょうか。
 次の議事に移ります。議題3「薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業収集結果」についてです。事務局から説明をお願いします。
○事務局 資料3および参考資料3をご覧ください。また、資料3を1枚めくってください。
 本報告書は、公益財団法人日本医療機能評価機構が公表している薬局ヒヤリ・ハット事例収集分析事業において、平成23年7月1日から12月31日の間に報告された4,339事例のうち、規格・剤形間違い、薬剤取り違えおよびその他に関する1,997事例、並びに疑義照会349事例を、PMDAが物的要因の観点から分析を行いした結果を報告したものです。
 医薬品の安全使用に関して製造販売業者による対策が必要または可能と考えられた事例はありませんでした。製造販売業者等により既に対策が取られているもの、もしくは対策を既に検討中の事例は3件、ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例が1,172件、情報不足等のため製造販売業者による対策が困難と考えられた事例は214件でした。また、右の頁の疑義照会349事例について、その理由等を分類した結果が示されています。
 資料3の1/135頁以降は、検討結果です。製造販売業者より既に対策が取られているもの、もしくは対策を既に検討中の事例は3例あります。まずは、資料3の1/135頁の1番~2番ですが、抗てんかん薬と睡眠薬との販売名類似による誤入力の事例です。マイスリーが処方されたところ、レセコンにマイスタン錠と入力した事例と、もう1つは予測変換による入力ミスで、マイスリーとマイスタンを間違えた事例です。両製剤の取り違えについては、参考資料3の1~2頁のとおり、平成24年6月に、両製剤の製造販売業者から医療機関への注意喚起が実施されました。なお、この薬局ヒヤリ・ハット事例ですが、平成23年7月から12月に報告された事例で、注意喚起の前の事例であることに留意してください。
 資料3の1/135頁の3番です。これは精神神経用薬と脳循環改善薬の販売名類似による取り違え事例です。精神神経用薬であるセロクエル錠で一包化調剤するところ、セロクラール錠を渡してしまった事例です。両製剤の取り違え防止については、両製剤の製造販売業者から注意喚起を行う必要があり、現在検討されているところです。
 ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例については、資料が非常に膨大となることから、本部会では配付いたしません。また、資料3の2/135~35/135頁については、情報不足のため、製造販売業者による対策が困難と考えられた事例、以上については、時間の関係で説明は割愛させていただきます。
 資料3の36/135頁からは、疑義照会の事例です。これについて、いくつかご紹介いたします。まず、資料3の36/135頁の事例1です。吐き気で内科を受診した患者に、制吐剤であるプリンペランおよびナウゼリンが処方されたところです。しかしながら、薬歴を確認したところ、同じ病院のほかの診療科よりナウゼリンを定期処方されていることがわかったことから、ナウゼリンの二重処方を疑い、疑義照会しましたところ、プリンペランおよびナウゼリンが削除となった事例です。
 続いて資料3の37/135頁の事例5です。こちらは6歳の小児に、カロナール細粒50%が1g、発熱時5回分処方されていた事例です。小児における本剤の用量は、通常アセトアミノフェンとして10~15mg/kgで、また文部科学省による平成23年度学校保健統計調査の結果、6歳の平均体重は21.3kgですから、理論的ではございますが、通常の用量としてはアセトアミノフェンは最大320mgを投与できるとなると考えられております。一方、実際の処方箋ではカロナールが500mg投与されるということになっていたことから、過量と判断し疑義照会したと考えられます。その結果、カロナール細粒50%が20%に変わりまして、カロナール細粒20%が1gに変更された事例で、その結果、アセトアミノフェンで200mgと適切な用量となりました。
 資料3の71/135頁の117番です。これは他の医療機関からの処方薬から類推して、前立腺の疾患があると考えられる患者に対し、咳止めのフスコデが処方されていましたが、前立腺肥大等の疾患にはフスコデは禁忌であることから、疑義照会が行われたところ、フスコデが削除となった事例です。
 資料3の81・135頁の事例148番です。風邪で受診した患者に、高血圧の薬であるタナトリルが処方されておりました。しかしながら、患者の血圧が100前後であることから疑義照会を行ったところ、抗アレルギー薬であるタリオンに処方変更となった事例です。その他の事例については、時間の関係で説明は割愛いたしますが、今後同様の事例の集積を行い、対応を検討していきたいと考えております。資料3については以上です。
○外部会長 薬局ヒヤリ・ハット事例収集分析事業の報告でした。既に対策が取られているということで3事例、抗てんかん薬と睡眠薬、精神神経用薬と脳循環改善薬、いずれもマイスリーとマイスタン、セロクエルとセロクラールと、非常に類似している名称で、これが薬局からのヒヤリ・ハットということです。あと多くの薬剤がここには挙げられていまして、疑義照会に関する事例も取り上げられました。この報告について、何かご意見はございますか。
○森委員 事務局にお伺いします。資料3の3/135頁の疑義照会の部分で、「349事例の疑義照会の照会理由等を調査したところ」というところのいちばん上に「薬歴等」とあるのですが、この「等」は、あとはお薬手帳と考えていいですか。
○事務局 そうです。
○森委員 今回の結果を見させていただきますと、薬歴とお薬手帳から疑義がわかって、照会をして、処方変更になったということで、特にお薬手帳を利用している患者さんがかなり増えました。お薬手帳は患者と薬剤師、患者と医師もそうですが、医師と薬剤師の情報共有のツールとして、非常に有用ということが言われており、次回からは、お薬手帳は別に集計してみるというのはどうでしょうか。難しいでしょうか。薬歴、お薬手帳からというのが、かなり報告されていましたので、それが1つです。
 それから、手帳といえば、手帳を使って41/135頁の重複投与、80/135頁のアレルギーのある薬を防いだとか、いろいろあるのですが、いくつかは最終的には止められたのですが、手帳をうまく使えていなかったという事例もあると思うので、そういう意味では、自分たちも患者にきちんと手帳の使い方を再度教えることもそうですが、勧めていければと思います。
○外部会長 ほかにいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構安全第一部長 「等」の別集計の話ですが、こちらで検討させていただければと思います。
○望月委員 前からそうだったのかもしれないのですが、今回気になったのが、ジェネリック薬品への変更不可の指示とか、変更の指示とか、その辺りのヒヤリ・ハット事例が結構たくさん出ているような気がしたのです。ジェネリックに変更不可とか、何も書いていない場合はどうするとかが、この1、2年の間にころころ処方箋の記載方法が変わったりもしたので、なかなか徹底できていない部分もあるのかと思いつつ、ただ、ものとしては剤形と中身は同じものという状況を、どう考えていくのだろうか。結構調剤が煩雑になってしまって、それによるミスを招いているようなところもあるのではないかという感じがしたのですが、厚労省などは、こういうことに関しては何かお考えはあるのでしょうか。
○安全対策課長 ジェネリックの処方の方法とか、そういうことについてですか。
○望月委員 この中を読ませていただくと、例えば中身が一緒で、剤形が一緒というのが間違いというか、ミスになるとなっているわけですよね。それが例えばジェネリックであっても、メーカーまで指定していたりする場合もあったりして、そういうものの取扱いというのをどう考えたらいいのかなと思ったのです。それを守ろうとするがために、調剤が煩雑になって、ミスを招いている可能性も、今回気になったので、あったりするのだったら、それはベネフィットとリスクを考えると、どちらがいいのだろうということを思いました。
○土屋委員 薬局ヒヤリ・ハットは、医療機関が気がつかなかった点を薬局が報告するという意味で、とても重要なのです。医学的見知からいえば、別にそれはいいではないかといわれるかもしれませんが。保険上、経済上の話としてはあるかもしれないけれども、患者にしてみれば、間違いといってもメーカー名が違うとか、そういうことがあるというのが見えてきます。
 薬局ヒヤリ・ハットで情報が出てくることによって、そこに存在する問題が何なのかとか、たとえば2年ごとに処方箋に署名をしたら変えていい、しなかったら変えては駄目といったルールを2年ごとに変えているということですが、後発品の推進はわかるのですが、一方で現場にかなりの負担を強いているだろうということと同時に、先ほどのお薬手帳の件もそうなのですが、現行の薬局ヒヤリ・ハットのシステムでは、そこまで細かいことを調査することができません。先ほどのように、処方箋のルールが2年に1回大きく変わってしまっているので、長期的に細かな情報が取れるようなデータベースになっていないのです。ですから、そこら辺のところは考えて、特にこの4月からは一般名処方云々が出ていますから、そうすると情報システムのほうの取り方をどうするか、ヒヤリ・ハットの収集をどうするかという課題の解決方法を検討しなければいけないと思います。
 もう1つは、これはなかなか現実としては厳しい話かもしれませんが、レセコンに入力された情報に基づき薬剤師が調剤をしているのか、処方箋に基づき薬剤師が調剤をしているのかということも重要です。病院の場合は、病院情報システムでは似ていると注意がでるようになっていますが、薬局の場合は、入力エラーを防止するような仕組みというよりは、エラーがあったとしても選ぶようになっており、薬局での選択エラーがシステム的に発生しやすい状況にあるのだと思います。
 薬価基準に載っているものは全件マスターが薬局のシステムに入っているでしょうから、名前を入力することにより、候補がずらりと並んできたりとか、そういうことをするとあり得るので、そこに対しては、まず入力したものと処方箋が合っているかのチェックを確実に行うことが、今回の薬局ヒヤリ・ハットで報告されているようなことを防いでいく調剤上の手順として、1つ入れることが重要ということだと思います。入力ミスというのは結構報告されていますので、これはシステムが入力ミスをチェックする機能を持つか、あるいはチェック機能を持っていないシステムであれば、入力された情報と原本が合っているかどうかをチェックするという手順をきちんとやるということが、1つ対策ではあるのかなという気がします。
 それから、ヒヤリ・ハットの疑義照会がこれだけ報告されているというのは、実は医療機関のエラーが多数あるわけです。ここのところはすごく大事なところで、薬局ヒヤリ・ハット事例は一方で物のことでもありますが、処方の70%近く院外処方になっている以上、特にジェネリック関係のヒヤリ・ハットは薬局ヒヤリ・ハットで見ないと、普通は病院からの報告はないと思いますので、その意味でこの報告が非常に重要だなという気がいたします。ここを見て、医療機関でどういう対策を取るかということを考えていかないといけないと思います。
○外部会長 ちょっとそこを確認したいのですが、ジェネリックが可能か不可かというのは、薬局のほうで医師が「可」と書いてあればできるのですか、それとも「不可」と書いてあったときにできないのですか。
○土屋委員 不可のときには署名をしなさいというのが基本なのです。
○外部会長 それ以外は薬局のほうで。
○土屋委員 できるというのが原則になっているのですが、今回の処方箋で不思議なのは、「後発品への変更不可」に×を付けると後発品への変更不可ということを意味するという仕組みになっているのです。だから、私はそれはヒューマンエラーを起こすのではないかと思うのです。普通は、「処方箋変更可」と書いてあるなら、×が付くと不可になると通常は思うと思うのですが、今回のルールは「レ点あるいは×を付けなさい」と書いてあるのです。それはヒューマンエラーを扱う人間から見たら、「後発品への変更不可」のところに×を付けさせて、それは変更不可ですよ、×が付いていなければ変更可能、つまり○ですよということを考えるというのは、ちょっとロジックとしてはおかしいから、ああいうルールは今後もう少し見直してもいいのではないか。ヒューマンエラーを誘いやすい表記の仕方を保険が求めているのです。そこは検討すべきではないかという気はします。
○外部会長 その辺は考えて改善できればと思います。
○望月委員 なぜ今回気がついたかと言いますと、いま薬学生が実務実習で薬局にかなりお世話になっていて、薬局の訪問も大学の教諭もさせていただいているのですが、何軒かの薬局から、ジェネリックの調剤はミスも発生しやすく大変であるという情報もいただいたので、ここでこういうデータでしたので、お話をしておいたほうがいいかなと思いましたので、させていただきました。
○外部会長 厚労省から何かコメントはありますか。
○安全対策課長 この物部会としては、ダイレクトには難しいと思うのですが、今日お話のあった件については、また関係部局にも伝えておきたいと思いますし、また森先生、土屋先生からの、ジェネリックに関連した問題などがあれば、またおまとめいただいてお知らせいただければ、関連部局とも情報をシェアできるのではないかと思っております。
○外部会長 薬局ヒヤリ・ハットはよろしいでしょうか。
 次は報告事項です。「その他」について、事務局よりお願いいたします。
○事務局 資料4をご覧ください。こちらは前回の医薬品・医療機器等対策部会以降に発出されました医療安全関係の通知となります。資料4の1~10頁は「医療用医薬品へのバーコード表示の実施要項」の一部会正についてです。医療用医薬品につきましては、その取り違いやトレーサビリティの確保を目的として、平成18年9月15日に安全対策課長が発出した通知により、特定生物由来製品、注射剤のすべての包装単位、また、内用薬および外用薬の販売包装単位、即ち箱ですが、これらについて平成20年9月以降に出荷されるものについて、バーコードの表示を求めていたところです。
 しかしながら、平成18年の通知では、内用薬および外用薬の調剤包装単位、即ちPTP包装シート等につきましては、表示にかかる技術的な検討の後にバーコード表示を求めることとしていました。そこで検討等をしていただきまして、その後平成24年6月29日に、資料4の1頁~10頁のとおり通知を発出しまして、平成27年7月以降に出荷される内用薬および外用薬の調剤包装単位、6頁にあるとおりJIS X0509に従ったバーコード表示をお願いすることになりました。本部会に参加いただいている委員の皆様方におかれましては、本通知の内容をご周知いただきますようお願い申し上げます。
 また、併せて現在販売包装単位である箱ですが、JIS X0507やあるいは元梱包装単位であるダンボール等に表示されていますJIS X0502によるバーコード、いわゆるJANコード、ITFコードについては、平成25年9月までは、JIS X0509のバーコードとの併記が必要ではありますが、通知から3年後、平成27年7月以降に出荷されるものにつきましては、先ほどのJANコード、ITFコードの併記ができないことになりますので、合わせて申し添えます。よろしくお願いいたします。資料4については以上です。
○外部会長 資料4、バーコード表示の実施要項です。いまご説明が駆け足でなされましたが、医療用医薬品が今後バーコードで統一されることになっていくわけですが、これについて土屋委員、何かご説明がございますか。
○土屋委員 調剤包装単位にバーコードが付くということは、いままで医療機関などで自分の所でバーコードを貼ってやっていた所では貼り違いとかが起こりえるものですから、やはり製薬企業でバーコードが付いたものが来ることの大事さはあります。今回のものは取り違いを防止するのが主眼ですが、私どもではほとんどバーコードを使っていないというのが現実ですので、まず、医療機関でどうやってバーコードを使っていくか。よく医療機関でやっている3点確認と言っているのは、実はその処方がこの患者に出ていいかどうかをチェックしているのであって、その処方の中身がきちんと合っているかどうかのチェックをほとんどしていないのが現状ですので、そこのところの手順をバーコードチェックできちんとやることによって、きちんと調剤がされ、そして、その処方が患者さんに間違いなく出されていくことになります。今後、薬剤部門で薬を出すときに、こういう基本的なチェックをしていく環境がこれで整いますので、バーコードチェックを実行していくことは、医療機関あるいは薬局で必要なことなのかなと思います。
 ただ、先ほど最後にお話があった来年の9月以降、必ずしもJANが表記されなくてもいいということになって、平成27年7月以降は併記されなくなるのですが、これ実は散剤の鑑査システムなどは、JANコードを使ってものが合っているかどうかをいまチェックしたりしていますので、こういったことが来年9月以降、JANではなくてGS1のデータバーでやるのだよということからいくと、少しバーコードリーダーを変えなくてはいけないということが出てくるかもしれません。このことは薬局と病院がよく理解していないと、現行のシステムでも読めると思っていたら、それが読めないということはあり得るので、そういったことをユーザーに徹底していくことが必要かなと思いますので、病院薬剤師会とか、薬剤師会から、そういう周知徹底を図る必要はあるだろうという気がいたします。
○外部会長 これによって医療事故が少しでも防げればと思います。ただ、こういう変更時期はいろいろ現場の困乱もあるかと思いますので、その辺よろしくお願いしたいと思います。このバーコード化についてはよろしいでしょうか。それでは次の説明は資料5になります、お願いします。
○事務局 資料5をご覧ください。こちらは前回の医薬品・医療機器等対策部会以降に発出されましたPMDA医療安全情報になります。資料5の1~3頁です。PMDA医療安全情報No.30、「気管チューブの取扱い時の注意について」です。気管チューブが抜けかけたときの適切な対応および気管チューブを固定する際の注意点を紹介しています。
 資料5の4~6頁です。こちらはPMDA医療安全情報No.31、「注射用放射性医薬品の取扱い時の注意について」です。注射用放射性医薬品は、鉛等にシリンジが覆われているため、外観が非常に類似しているため、取り違いに注意が必要であること。また、取り違いを防止するために患者名等を記載した識別シールを貼る必要性を紹介しています。
 資料5の7~9頁です。これはPMDA医療安全情報No.32、「閉鎖式吸引カテーテルの取扱い時の注意について」です。気管チューブの長さ調節の際の注意点。吸引後は必ず吸引カテーテルを気管チューブ内から引き戻さないと、気道抵抗が高くなる可能性があることを紹介しています。資料5については以上でございます。
 また、6月、公益財団法人日本医療機能評価機構から、医療事故情報等収集事業第29回報告書が評価機構ホームページで公表されています。公表の際は都道府県を初め関係団体等への報告書の公表を連絡するとともに、同様の事例の再発防止および発生の未然防止のために、報告書の内容を確認の上、共有すべき医療事故情報等の内容に留意するとともに、注意喚起を促すよう周知を依頼したところです。この報告書ならびに評価機構のホームページで公表されているヒヤリ・ハット事例事実情報等の中から、独立行政法人医薬品・医療機器総合機構が医薬品・医療機器に起因する観点から、専門的な評価、対策の検討を加えた報告書を次回の部会でご審議いただきたいと思っております。以上でございます。
○外部会長 医療事故の検討からPMDAのほうで、このようにわかりやすく図を入れて安全情報の周知を図ったところです。見やすくなっておりますので、これが役に立つのではないかと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございます。一応、予定していた議事・検討事項、報告事項等は以上ですが、ほかに何かご発言等がありますでしょうか。
○目黒委員 事務局に確認なのですが、いちばん最初にこの医療事故等のヒューマンエラーの部分については、医療機能評価機構で評価されて、それが公になって皆さんに注意喚起するというような考え方でいいのでしょうか。
○事務局 はい、先生のおっしゃるとおりでございます。
○目黒委員 わかりました。すると、いまご説明をいただいた資料、例えばPMDAで出しているような安全対策に関しては、かなりヒューマンな部分、機材が絡むので大丈夫というか、非常に助かるのですが、そういう部分についても合わせてPMDAでいろいろな情報を出していてくださる、ということになりますよね。要するに切ってしまうというのは、ヒューマンエラーの部分が入ってきますよね。例えば間違ってチューブを切ってしまうとかいうのは。そういう部分を合わせての注意喚起は大事なことなので、それはいいなと思っているのです。
 ただ、1つ私が言いたいのは、これから少し離れるのですが、このヒューマンファクターに起因すると考えられた事故事例で、これが適正な改善策ではないのではないかというのもかなりあるものですから、この辺の部分はどこで咀嚼されて、あるいは検討されているかという部分が少し気になったもので、その辺の議論がどこかでなされているのかがわかったら教えていただきたいし、今後どのようになるのかということがわかれば、いちばんいいのですが。
○外部会長 いまの点、厚労省はどうですか。
○事務局 医政局総務課医療安全推進室です。ヒューマンエラーの部分ですが、いま医療事故情報収集等事業ということで、日本医療機能評価機構で情報収集をしていただいていています。その報告をしてもらうときには、その病院で原因を分析して、その病院でとられた改善の結果を併せて報告をしていただくということで、あくまでも当該病院で適切であろうと思ってとられた対策を、1つの参考にしていただきたいということでやっております。ですから、その対策がどんな病院でも適切かどうかはわからないのですが、それは医療機関によって病床規模も違えば、扱っている疾患も違いますので、1つの参考にしていただきたいということで、その改善策も含めて情報提供をさせていただいているのが現状です。
○目黒委員 わかりました。要するにどこの場でも、どこの施設でも対応策が合わないということがわかりましたので、それは理解いたしました。どうもありがとうございます。
○外部会長 いまの事柄はずっと問題になっているところです。私たちも今日こうやって検討をしましたが、ほとんどの事例がヒューマンエラーに属する、そして、ヒューマンエラーについては、いまの説明では医療機関評価機構で収集分析のところはやるけれども、さらにそこからどうやって対策を検討していくのか、国の施策としてやっていくべきかというところについては、なかなか動いていないというように理解しました。せっかくこういう検討会議の図式があって、ヒューマンエラー部会が存続するのであれば、少なくとも何回かはそういう所で検討をしていただいて、是非こういう所からの意見をそこに持ち上げて、最終的にはそこをいじらないと教育やシステムの問題、人をどうやって育てていくか、監視していくか、その辺は非常に大事なポイントだと私はずっと思っていますので、検討をしていただければと思います。
○北澤委員 今日の薬局ヒヤリ・ハット事例は、去年の7月から12月までの報告でした。ですから、次回はおそらく今年の1月から6月ということになるのではないかと思うのです。今年の4月に一般名処方が始まったことで、一般名処方がずいぶん増えて、薬局でも対応が必要になったと思います。ですから、もし可能であれば次回、一般名処方の影響で、ヒヤリ・ハットや疑義照会がどのくらい増えたのか、前後比較というのでしょうか、そういうものがあればより参考になるのではないかと思います。
○外部会長 いまの点、非常に重要なポイントだと思いますので、是非次回はそういうところに焦点を当ててデータ等を集めていただければと思います。先ほどもジェネリックの話が話題になりましたので、よろしくお願いします。ほかによろしいでしょうか。
 私、今日の事例を見ていろいろな問題点で、また新しい側面も見えつつあるのではないかと思いました。医療がいろいろな現場で薬剤にしろ医療機器にしろ、例えば昔は集中治療室やオペ室でしか使われなかったような機器や薬剤が病棟で、あるいは在宅でも使われるようになっています。特に麻酔薬や鎮静薬が集中室以外で使われて、いろいろなヒヤリ・ハット事例、あるいはもうアクシデントに近いような事例も報告されています。その辺は使ってはいけないというわけではないですが、それを使うための安全な環境整備とか、人の教育の問題も整備しなければいけない問題かと思っています。その辺少しアンテナをそちらに向けて今後、見ていきたいと思いました。ほかにございませんか。あと事務局から何かご発言がありますか。
○事務局 事務局から追加でございます。委員の皆様に、机上配付資料として置いた資料をご用意ください。医療用配合剤とは、複数の有効成分を配合した医薬品のことです。医療用配合剤につきましては、配合剤であることに気付かず、ほかの医薬品と誤って重複または過量投与されるおそれがあることから、これを防ぐための対策として、医療用配合剤の販売名には「配合剤」である旨を追加するなど、販売名を命名する際の事項等を規定する取扱いを、平成20年9月に通知しました。この机上配付資料の2頁からが実際の販売名命名の取り扱いに当たるものです。この通知での取扱いの対象は、2頁の2番の「適応範囲」にあるように、内用薬のみとなっていますが、医療事故の防止の観点からは、内用薬に加えて注射薬についても配合剤であることを明確にする必要があると考えますので、内用薬のように除外対象を十分に精査した上で、今後必要な通知の改正を行うことといたします。以上でございます。
○外部会長 十分な理解ができないところもありますが、この「除外対象薬」が非常に重要だということですから、この辺、土屋委員や森委員の意見があるのではないかと思いますが、何かございませんか。
○土屋委員 いま例えば内服であれば、配合剤であることが、もう「配合」という名前がはっきり出ているので、これはすごく大事なことで、二成分以上含まれているというメッセージを発することにより、成分がほかのものと重複していないかどうかをチェックすることを促すものです。ただ、注射薬の場合は配合が当たり前のものもあるものですから、注射薬においてどういうルールでやっていくのかは、やはりきちんと今後検討をしていくことが必要かなとも思います。複数のものが入っているということが当たり前のものもたくさんあるものですから、そこにどう対応するかは、これまでに起きている事故とか、あるいは今後の開発状況などを見ながらきちんとしたルールを、実態を見ながら検討していくことが必要なのではないかという気がいたします。
○外部会長 ありがとうございます。これでよろしいでしょうか。これですべて終了ということになりますが、事務局は特に何かありますか。
○事務局 次回の部会開催の予定につきましては、委員の先生方の日程を調整しご連絡をさせていただきます。また、本日の議事録につきましては、後日送付させていただきますので、内容のご確認をお願いいたします。なお、修正・ご確認をいただいたあとは、厚生労働省のホームページに掲載いたしますので、よろしくお願いいたします。
○外部会長 本日はこれで終わります。どうもありがとうございました。


(了)
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