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2013年3月19日 第6回再生医療の安全性確保と推進に関する専門委員会 議事録

医政局

○日時

平成25年3月19日(火)17:00〜19:00


○場所

厚生労働省(17階)専用第18・19・20会議室


○出席者

永井委員長、位田委員、伊藤委員、今村委員、梅澤委員、掛江委員、澤委員、辰井委員、中畑委員、花井委員、早川委員、前川委員、町野委員、松田委員、宮田委員、大和委員

神田審議官、鎌田経済課長、佐原研究開発振興課長、荒木再生医療研究推進室長
赤川審査管理課長

○議事

○荒木室長 それでは、定刻となりましたので、第6回再生医療の安全性確保と推進に関する専門委員会を開会いたします。先生方におかれましては、お忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。
 本日は、独立行政法人理化学研究所発生・再生科学総合研究センター副センター長の西川伸一委員、中日新聞社編集局整理部記者の野村由美子委員から欠席の御連絡を頂いております。また、辰井委員及び宮田委員は少し遅れておられます。現在、18名の委員のうち16名の委員が御出席予定ですので、本会議は成立しておりますことを申し上げます。
 頭撮りはここまでとさせていただきます。
 それでは、ここからは座長の永井委員長に司会をお願いします。
○永井委員長 それでは、最初に事務局から本日の資料の説明をお願いします。
○荒木室長 お手元に配布した資料を御覧ください。議事次第、座席表、委員名簿、続けて資料となります。資料は大きく1〜3まであり、資料1はこれまでの御議論をまとめていただいた議論のまとめ(案)ということで、前回のものを修正したものです。資料2は、議論のまとめの参考資料です。資料3は「再生医療の実用化・産業化に関する研究会の最終報告書」ということで、経済産業省がまとめた資料を参考に付けております。
 さらに、机上配布している資料が2点あります。1つが「再生医療を国民が迅速かつ安全に受けられるようにするための施策の総合的な推進に関する法律について」です。これは前回御指摘いただいた議員立法の意見ですが、本日の衆議院の厚生労働委員会で、委員長提案において提出されて、可決されております。今後、本会議等の手続を踏まえてということになりますが、議員立法が動いているということで、その内容について情報共有させていただきます。もう1つが伊藤委員からの提出資料です。
 さらに、参考資料1〜5を紙ファイルで配布しております。参考資料については、委員会終了後は机上に置いたままで、お持ち帰りにならないようにお願いします。以上です。
 過不足・落丁等ありましたら、事務局までお申し付けください。
○永井委員長 それでは、本日の議事を始めます。前回の専門委員会で議論した再生医療の安全性確保と推進のための枠組み構築について、事務局において前回の議論を踏まえ、再度まとめ直しをしていただいております。最初に、前回時間が来てしまって議論できなかった項目6を御説明していただき、それから項目1〜5について前回からの変更点を中心に説明をいただきます。前回既に議論いただいているところも多いので、本日は全ての項目を通して議論していきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、事務局から項目6について御説明をお願いします。
○新木室長 資料1、資料2を御覧ください。項目6は、資料1の13ページからになります。「倫理面の配慮・その他について」です。論点ですが、1つは、患者や細胞の提供者への適切な説明及び同意、個人情報の保護、倫理審査委員会の質の担保など、倫理面に十分に配慮するためにどういうことが必要であるかということです。もう1つは、再生医療・細胞治療の実施に際して、被験者保護のための補償の措置、あるいは研究促進のためのヒト細胞の円滑入手等についてどうあるべきかということです。
 これまでの議論と主な意見ですが、1つは、再生医療・細胞治療の実施に当たっての、被験者・患者に対する医療機関の説明は、再生医療・細胞治療が先進的な技術であり、感染症や将来的な腫瘍化のリスクも否定できないため、リスク等については患者が十分理解した上で進められる必要があり、適切な表現で説明がなされるべきではないか。さらには、組織等が再生するかどうかについて、被験者の誤解を招かないよう、しっかり科学的な根拠を持って説明がなされるべきではないか。以上2つが、インフォームド・コンセント、説明及び同意の観点です。
 3つ目の○ですが、再生医療・細胞治療も含め臨床研究が実施される際には、現行では臨床研究倫理指針等の規定に基づき、医療機関等に設置されている倫理審査委員会において実施計画の審査がなされているが、構成員が審査内容を、必ずしもその内容を把握し実効性のある審査をしていない例もあるのではないか。そういうことも考えると、倫理審査委員会の委員構成については、識見を有することに加え、第三者性が担保されるよう基準を設けるべきではないかという御意見を頂いております。
 iPS細胞、あるいはES細胞由来の細胞を使用する場合には、自己の細胞以外のものを使用する場合もあるため、細胞の提供者の個人情報を保護するための措置を講ずる必要があるのではないかということです。長期的なリスクが不明である細胞を用いた先端的な医療である再生医療・細胞治療については、被験者の保護や研究の促進の観点から、補償(実施者に過失がない場合の手当)についても配慮すべきではないかということです。また、再生医療・細胞治療の研究の促進のためのヒト細胞の円滑な入手策については、細胞提供者から有償による提供を認めることが円滑な入手につながるものの、提供者や採取した細胞の安全が確保されるかどうかやヒト細胞・組織の営利的な利用についての倫理的課題があるのではないかということを前回御議論いただいております。
 「方向性」ですが、(1)倫理審査委員会は、実施する再生医療・細胞治療について、倫理的・科学的観点から審査する能力を有するとともに、第三者性が担保されるような委員構成とする。(2)再生医療・細胞治療は未解明な部分があり、感染症や将来的な腫瘍化のリスクも否定できないため、その実施に当たっては、リスク等について患者が十分理解した上で進められる必要がある。また、組織等が再生するかどうかなどの想定される効能効果について、被験者の誤解を招かないよう、科学的な根拠を持って、適切な表現で説明がなされるべきである。(3)再生医療・細胞治療に用いられる細胞の情報を含めて、細胞提供者の個人情報の保護を十分に図るべきである。(4)再生医療・細胞治療の実施の際に、患者に生じる恐れのあるリスクに対しての補償を考慮する必要がある。このような方向性を示しております。
 これに関する参考資料、資料2の参考6-1を御覧ください。「倫理面の配慮に関する現行制度における記載」ということで、3つのトラック「治験」「臨床研究」「自由診療」の中で、それぞれどういう形で記載されているかを横並びに書いたものです。例えば倫理審査委員会の設置、治験においては治験審査委員会があります。また、患者への説明と同意についても、ヒト幹指針あるいは治験のほうで書かれています。個人情報の保護についてもこのような形で、若干の差違はありますが記載されています。補償については、治験あるいは臨床研究、ヒト幹指針においては、被験者に生じた健康被害の補償のために必要な措置を講じることを規定しております。細胞提供については、治験においてはドナーからの細胞又は組織の採取は無対価であることを規定。あるいは臨床研究、ヒト幹指針では無償による提供であることを規定しているということを書いております。
 倫理審査委員会の質の担保という観点ですが、ヒト幹指針においてどのように倫理審査委員会が定義されているかが6-2-1です。倫理審査委員会の前に、構成要件をヒト幹指針で書いております。?倫理的及び科学的観点からの総合的な審査ということで、メンバーとしては、一から四に書いております。基礎の分子生物学、細胞生物学、病理学の専門家、臨床医、法律の専門家、生命倫理に関する識見を有する者、ということが条件として書かれています。?ですが、男女両性から構成されること、複数の外部委員が含まれること。?その活動の自由及び独立が保障されていること。?それぞれに必要な手続に関する規則が定められていること。現行のヒト幹指針でも、このような形で倫理審査委員会の要件を定めております。
 6-2-2ですが、業務の例です。こちらに書いているように、倫理審査委員会では?実施計画書の適合性についての審査を行って、研究機関の長に意見を述べること。?進行状況について随時報告を受けること。?改善・修正等の報告を受けた場合には意見を述べること。?重大な事態に係る報告を受けた場合には、原因の分析を含む対処方針について意見を述べること。?必要と認める場合については、適正性及び信頼性を確保するための調査を行うように求めること。これが倫理審査委員会の要件及び業務の例です。
 参考6-3については、1〜5の復習をする際にもう1度御説明しますので、この6の項目については以上です。
○永井委員長 それでは、委員の皆様から御意見をお願いします。
○位田委員 細胞の提供者の個人情報の保護の所ですが、これだけでは誰が提供したかという話だけのような印象を受けるので、特にiPS細胞の場合には遺伝情報がそのままずっと継続して残りますから、個人遺伝情報のこともここに付け加えていただければと思います。
○大和委員 補償の所ですが、現在、我々もヒト幹の下でやっている臨床研究に関しては外部の保険に入っていて、それぞれ治療の危険度、どれくらいシビアなトラブルが起きると想定されるかなど、あるいは被験者の数などといったところから各保険会社に見積りを出していただき、リーズナブルだと思われるところでお願いしています。6-1を拝見すると、補償に関して自由診療では「記載なし」とある一方、「ヒト幹指針に準ずる」とあります。一方、今度の3段階の区分で一番下のランクに入るようなものであるとした場合、届出のみでOKとなっています。その際、ヒト幹指針に準ずるのであれば、今お話したような外部の保険等々に加盟して、万が一のことに備える形になると思いますが、そういう認識でよろしいのでしょうか。
○荒木室長 御指摘ありがとうございます。そこも含めて御議論いただければと思います。届出のものについては必要ないのか、あるいはそれでも届出が必要なのかも含めて、御意見を賜れればと思います。
○大和委員 保険は専門外で、詳しくないので分かりませんが、それを受けてくれる保険会社があれば、登録しておいて、何かあったときに備えるということはしたほうがいいと思います。薬などであれば、もう国の制度が確立していて、それが保険収載や薬事承認等と全てリンクしている形で、うまく回っていると思うのですが、先ほどの一番下のランクのものでは、そこから完全に外れることだけは間違いないので、旧来の制度に載せるのは無理だと思うのです。このシステムを早期に導入する際に、そこまで手を回すのは時間的に無理だと思うので、次善の策としてプライベートな会社の保険に強制加入というか、入ることを条件にするぐらいでも良いのではないかと考えます。
○今村委員 このような医療は、これから国策として進めようということが前提だと思うので、国のきちんとした制度を作ってもらって、そこで補償するほうがいいと思います。ここで民間会社とどうだこうだと話すことについては、被験者になる方は非常に不安を覚えると思うので、補償のやり方についても考えていただいたほうがいいのではないかと思います。
○大和委員 中長期的には私も全く賛成ですが、ここでシェアされているようなコンセンサスの時間感覚でいくと、そこまで手を打ってからでないとこれが出てこないのは、やや遅いのではないかというのが1つ問題です。
 また、臨床研究においては、現状では67件通っている中の初期はともかく、最近数年間に関しては、民間の保険に入ることを文言としては検討すべきと書いてあるような気がしますが、最近の10数件は入っているような認識で、現状そのように動いていることを考えると、それに準ずると書いてある資料が出てくることも踏まえれば、短期的にはそれを援用して、中長期的には十分練ることも極めて重要だということに関しては異論はありません。
○伊藤委員 どこでお話していいか分からなかったのですが、自由診療のことがあったのでお伺いしたいと思います。私の提出資料になっていますが、大阪に出かけたときに、偶然ある一流ホテルの中に「再生医療センター」という看板があったので、再生医療は実際には自由診療で行われているのだと思って、別に営業を妨害する気持ちはありませんが、写真を撮ってきたのです。ここで議論されている自由診療と、ここで書かれている再生医療センターはどういう関係があるのか、これをどう考えるのか、専門の皆さんにお伺いしたいと思います。私が偶然見つけたぐらいですから、実際にはもう各地にあるのではないかと思うのですが、これとここで検討していることのスピード感との関係などについても、どなたか教えていただければと思います。
○大和委員 何回か前のこの委員会では海外の動向を中心に御報告しましたが、あのときは海外のという依頼が厚労省事務局からあったので海外の話をしました。国内でもGoogle等で検索を掛けると、かなりの数の自由診療で再生医療という看板を出している、いわゆる規制外診療のクリニックがヒットします。しかも、御指摘のとおり、超一流ホテルの中とか東京駅の前の大きなビルの中とか、目立つ所でやっていて、決して裏でこそこそやっているイメージではなく、堂々とやっている現状があります。今回の委員会の目的は、そういったものの中である程度実施例があって、新規性にかけてはさほど問題がないものに関しては、届出制と把握しましょうということだと思います。一方、一定以上新規性が高くて結果がどうなるのか分からないようなものや、今までの研究の流れでとても効くとは思えないようなものに関しては、規制当局が介入しましょうというモチベーションがあってこの委員会が立ち上がっていると認識しているつもりです。
○伊藤委員 私たちが分からないのは、「再生医療センター」という名前ですと。患者はそこにすごく期待をして行く。目にする機会が多くなるとそういうことも考えられますが、ここでやられている治療の内容や細胞の培養といったものは、どのような状況でやっておられるのか。あるいは厚労省のお考えなどもお聞きしたいと思います。
○大和委員 再生医療学会としては、啓発の意味で患者向けに声明文を出したり、ISSCR(国際幹細胞学会)が作った患者向けガイドブックの日本語版へのリンクをホームページに載せており、十分慎重に考えて治療を受けてくださいというメッセージを出しています。実際に中で何が行われているかに関しては、患者としてスパイのようなかたちでクリニックに入っていくわけにはいかないので現状の把握には限界があります。ホームページ等で確認するレベル以上のことは、私自身はしていませんが、これらのクリニックの多くは、施設基準としては満足のいくレベルであるようです。ここ1年ぐらいで、厚生労働省も経済産業省もかなり調査をされているようなお話を伺っているので、是非そちらの立場からコメントを頂ければと思います。
○荒木室長 今回、伊藤委員から例を出していただきましたが、この委員会の第2回、第3回でお答えしたように、実態が把握しづらいところもありますので、先ほど大和委員からも御意見を頂きましたが、そういう実態を把握するために、最低限実施されている医療の内容については届出を頂きたいというのが1つです。
 もう1つは、使われている細胞自体は、人の体に入れるということで同じものです。その安全性の確保も同じものですので、細胞培養・加工をする施設については基準としての安全性が確保されるようなものと、明確に提示していきたいと思っております。この案件について具体的にという話ではありませんが、正に伊藤委員に御提示いただいた問題意識がこの委員会の主目的なのかなと思っております。
○花井委員 これはもっと前の所かもしれませんが、1つ発言します。広く国民に「再生医療」という言葉が知られているから、国民が思っている再生医療というものがイメージとしてあって、そのイメージがこういう看板に表れる、例えば白血球含有多血小板血漿注入治療は決して再生医療ではないと思いますが、そういう所で再生医療という概念がクリティカルでないことが、逆に、看板を自由に上げて良いことにもつながっていくという弊害もあると思うのです。広く知れ渡っていることからこれを入れるべきだという議論があったと思うのですが、こういう観点から言うと再考が必要かもしれません。再生医療という概念をある程度クリティカルにしておくことによって、これは再生医療ではないけれども、再生医療という看板を上げているとか、そういったことが指摘可能になるというのが1点です。
 もう1点は、今の6の件です。倫理審査委員会の質の確保というのは完全に一致している話ですが、ここで挙がっている方向性だと、委員構成とその人たちの能力だけで方向性が示されていて、これも議論には出ていると思いますが、それだけでは質の担保とは言えないのではないかと。よく研究でエフォート率というのがありますが、非常に倫理委員会が多忙になっていて、1つの案件についてちゃんと審議ができるかとか、そういったことがないと質の担保は難しい現状があるかもしれません。
 医薬品は、治験の場合はGCPがあって、より厳密なのかもしれませんが、指針であって、しかもある程度ルールを守っているから質が担保されているというよりも、もっとこれがワークするような仕組みを考えることも重要かと思います。議論としては、再生医療はそんなに多くないから、大学だったら、治験の審査で忙しい先生方がこれにも借り出される構造になると思うのです。そうすると、必ずしも倫理的にそんなに難しくない研究も含めて同じ先生方が扱っていて、そういう中で再生医療という極めてリスクをきちんと見なければいけない部分を同じ人がやるようになると、過重労働みたいになっていくと思うので、そういう意味ではちゃんと見る部分がワークしやすい仕組みも考える必要があるのではないかと思いました。
○永井委員長 今の点について、事務局はいかがでしょうか。
○荒木室長 これは後の項目で、戻って御説明する際に申し上げようと思ったのですが、資料1の3ページの「再生医療」という言葉が浸透しているということは、それはそれであると。しかし、その場合、実際に再生しているかどうかについては把握できないので、その場合には再生を目的とする医療ということで整理をし、更にここについて強調していく。
 また、資料2の参考6-3-2ですが、こちらで、今のような再生医療と称した広告についても、余りにも事実に反するような広告については、医療法に基づいて広告規制という制度もありますので、こういうことも併せて、実際に再生していることがない場合には、必要に応じてこういう対応を取ることも可能かと思っております。
○荒木室長 もう1点、倫理審査委員会のエフォート率、ワークするような配慮については、この方向性の中に追加して記載したいと思います。
○澤委員 この点に関しては、再生医療学会でも随分議論があって、再生医療学会はこういうスタンスと国民の目線からコンフュージョンされるのが最も迷惑であると。特に再生医療学会の会員の中に、はっきりした施設名が明記されていないような方がおられたり、クリニックの方とか、再生医療という観点から言うと、最初から、お話にあるような非常に新しい治療として安全性と有効性を検証しながらやっているとは考え難いような方も、会員としては入っているのです。こういう事象が起こったとき、例えば……の問題が起こったときにも、あの方は会員だったので、学会としてどうすべきだと、除名があるべきかとか、そういったことを学会外からも指摘されるのです。
 我々もこれから考えなければいけませんが、再生医療をやる立場の人も認定制度を設けて、これは難しいのですが、例えば日本移植学会も移植認定制度を設けていて、同じ移植をするわけではないのですが、移植に関する倫理性や安全性をクオリファイするために、認定医になれば更新基準としては、何年かに1回安全委員会に出席して、自分自身でレビューしていかなければいけないということをしています。これまで再生学会としては、施設、培養基準ということで、培養士の認定も考えていましたが、こういう観点から言うと、社会からはっきり識別していただけるような再生医療をする医者の認定もやっていくべきではないかという意見も、今、議論している状況です。
○辰井委員 倫理的な課題とは、14ページに書かれているような同意の問題と個人情報の問題の2つということでしょうか。というのは、倫理審査委員会の質についていろいろ御議論があって、それはある程度理解できるのですが、これまでの自分の経験からいくと、倫理審査委員会がいまひとつうまく機能しないのは、何を審査したらいいか分からないからであると思います。ここで倫理的な審査をしろと言われて、説明・同意についてと個人情報の保護について規定が設けられる。そうなると、何かそれ以外にありそうな感じがするので、そこで一生懸命頑張って深読みをして、いろいろな議論をすることになるわけです。
 特に今回の場合、指針でただ義務付ける場合と異なって、今の想定どおりであれば、法律に基づいて倫理審査が義務付けられることになるわけです。ということは、それはある程度国の許認可権限を倫理審査委員会に委ねることになりますから、その判断基準は相当法律で明確にしておかないと問題があると思います。もし、我々が何を審査するべきかがこの場で分からないのであれば、倫理委員会に分かるはずがないので、そこは少し明確にするように議論が必要かと思います。
○永井委員長 これは、中央倫理審査委員会はある程度教育や研修をしっかりするということでよろしいですね。
○荒木室長 そのつもりです。
○町野委員 今のことに関してですが、これはかなり重要で、実は倫理審査ではないのです。倫理指針ができて、それに適合しているかどうかを判断するわけです。各委員がそれぞれの倫理観を持ち寄っていろいろ議論をし始めたら、それは宗教戦争しか残っていませんから、その点を明確にする必要があるわけです。だから、倫理の内容を明確にするというよりも、そのときに審査する事項について、そのことを明確にする。ときどき「倫理審査」という言葉で、本当に自分が倫理を審査するみたいに思っている委員がいますが、そうではなくて、倫理規定に適合しているかどうかを審査するわけなのです。そのことを明らかにしておく必要があるわけで、そうだとすると、辰井委員が指摘されたように、これからは法令に基づいたそれになりますから、既に特定胚指針の中でそれに基づいた審査についても同じことがあるわけですが、そこで明確になっていないとかなり問題であるということです。私が申し上げたいのは、倫理審査ということではなくて、倫理指針が明確になっていて、それに適合しているかどうかを審査するのが倫理委員会であろうという話です。
○永井委員長 それはよろしいですね。そういうことまで含めた教育・研修が必要だと思います。
○掛江委員 今の点と、別の点についてコメントします。今の点に関しては全く異論はなくて、「方向性」の1行目に「倫理的・科学的観点から審査する能力を有するとともに」と書いているのですが、恐らくこの「再生医療・細胞治療について」の中でこういった能力を有するというのは、自然に能力を有する方が発生してくるわけではないので、どういうことを審査するかをきちんと決めていただくことが大前提になりますし、かつ、それを委員の先生方に研修なりを義務付けをしていただく必要があると思うのです。
 エフォートの問題も花井委員から御指摘がありましたが、いろいろな所できちんとした委員を育てるというか、質を担保するような研修をしていただかないと、審査できる方が増えないと思いますし、そういった意味では、厚生労働省のヒト幹委員会などノウハウをお持ちの先生方がたくさんいらっしゃると思うので、できれば広く皆さんにそういった審査のノウハウをお知らせする機会を提供できるよう検討していただけるといいのかなと思っています。
 別の点ですが、13ページの最後にある有償提供の件、以前、大和委員から御提案があったと思いますが、これについて方向性の中で対応している所がないので、少し気になっているのです。有償提供が良いかどうかは倫理的議論がもちろんあると思いますし、少なくとも臓器移植に関する法律の中で臓器の売買は禁止しているわけで、臓器というのは細胞の集合体です。間に組織という単位が入るのかもしれませんが、どこまでが細胞で、どこまでが組織で、どこからが臓器なのかというところが、特に私のようなサイエンスを専門としていない者にとってははっきりと分からないのですが、いいずれにしろ移植という領域では明らかに臓器の有償提供に関しては禁止しているといえます。そういった状況の中で、どういう形で整合性を取っていくのか、どういう形で細胞、組織、臓器を切り分けて法律で対応していくのかといった辺りは、是非教えていただきたいと思っています。
 また、造血幹細胞移植の法律も先だって成立していると思いますが、そちらではこういったことについて一切触れていないように読めましたので、そこでどんな議論があったのかなかったのかも、もし情報をお持ちでしたら教えていただければと思います。
○荒木室長 確かに御意見のあった13ページのように、有償による提供ということも1つ方策としてあると思います。しかし、一方で安全性の確保、あるいは営利的な利用についての懸念があったということは、事実だけ意見として書いております。なかなかすぐ今回の枠組みの中でこれを反映することについては議論が熟化していないのかなということもありましたが、方向性の中ではあえて書いておりません。そういう形で議論を今後も続けていく必要はありますが、こちらの方向性の中には書いていないということです。今御指摘のあった臓器、組織、細胞をどういう形で整合性を取るかについての議論も、これからだと思っております。
 造血幹細胞移植の法律の中では、これも議員立法ですが、法文上任意の提供と書かれております。任意というのは、提供者側の任意性をしっかり担保せよということしか触れられていないので、有償なり無償については触れられていなかったように記憶しております。
○伊藤委員 驚いたのですが、倫理審査委員会が設けられたことは大変良いことというか、期待はしたいと思いますが、決められた指針に合致するかどうかを審査するだけだったら、無理していろいろな人たちを集めた倫理審査委員会を作る必要はなくて、全部厚生労働省でやればいいではないかと思います。なぜ生命倫理に関する識見を有する者や外部の委員を様々に持ってくるか、その辺りの感覚が国民的には分かりにくいのではないかと思います。私は分からないのですが、そこの兼ね合い、なぜ倫理審査委員会を設けなければならないのか、なぜ指針に合致するかしないか、もちろんそれは見なければならないのでしょうけれども、そこが主な仕事になるのかがよく分からないのです。非常に単純に考えてということですが。
○荒木室長 これは先ほどの辰井委員、あるいは町野委員からの御指摘の内容だと思いますが、倫理指針に基づいてそれに合致するかどうかの確認ということで、倫理指針に基づいているものの項目を明確化していくことが今後の作業で必要ですが、既にヒト幹指針等で審査をされている内容を考えると、そこは伊藤委員が御指摘のように、単に機械的にこういう人数がいますとか、そういうことをチェックするだけではなくて、手続や進め方について倫理的観点からチェックしてくださいという形での項目の書きぶりになりますので、単に機械的にチェックするだけだと、おっしゃるとおり第三者性とか生命倫理の分かる人がいなくてもいいではないかという御指摘かもしれませんが、審査の基準の中にある程度幅広くというか、何々手続についての倫理に関することとか、幅広く書かれる形になるのかなと思っておりますので、決して倫理の方が必要でないということではないと理解しております。私の説明が分かりにくいかもしれませんが、そういうことです。
○町野委員 フォローがあるかと思いますが、被験者に対して危険性について十分説明しなければいけないという項目があって、規定があるとします。そうすると、今説明したことがこれに当たるかということの審査は残るわけです。ただ、私が申し上げたいのは、例えば臓器移植法のときの議論で、臓器移植法に適用しているかどうかということでいろいろやるわけです。倫理審査が出てくる話ではないのですが、臓器の運び方が、当時、クーラーボックスに入れて運ぶのは倫理違反だと言う人がいたわけです。それをやられたらたまらないというだけの話で、今のような余計なことというか、自分の倫理観に基づいて判断するのではなくて、倫理指針の倫理観に基づいて判断してくれという話です。その限りでは、倫理的なことについて造詣の深い方が必要だということだと思います。
○位田委員 倫理審査委員会の要件うんぬんという話ですが、ここで書かれているのはどちらかというと枠組みなのです。どういう人を委員にすればいいかとか、若しくはきちんと手続や規則を定めていないといけないとか、自由や独立が保障されていないといけないとか、それは要するに外見の問題であって、一番重要なのはどのようにして倫理審査をするかという話です。
 余り「倫理」という言葉を強調し過ぎると、恐らく違うと思うのですが、例えば現行のヒト幹指針では、資料の18ページには倫理審査委員会は実施計画書のこの指針に対する適合性、その他のヒト幹細胞倫理研究を実施するに当たり、必要な事項について倫理的及び科学的観点から審査を行うことになっています。私はときどき言うのですが、科学的に合理的でないことを研究としてやるのは非倫理的なのです。ですから、ここには倫理的・科学的観点としか書いてありませんが、ESの指針では、科学的合理性と倫理的妥当性を倫理委員会が判断するのだとしています。したがって、倫理の部分だけを判断するのではなくて、科学も含めて実際に行われようとしている研究計画が科学的に妥当であるかどうか。そのときにはこの指針にどのように書いてあるかという問題と、先ほど町野委員もおっしゃいましたが、書かれている中身が具体的にこの研究計画ではこのように書いてあると。それは科学的に妥当なのか、若しくは倫理的に見てこういうことをしていいのだろうかということを、それぞれの委員が判断するという話です。先ほど掛江委員がノウハウとおっしゃいましたが、ノウハウは恐らく余りなくて、それぞれの人の倫理的な判断は当然あると思うので、それに従って議論をして、委員会として決めるというプロセスだと思うのです。
 そのように、枠組みの問題と同時に、倫理審査をするには科学的な知識も持っていないと中身が分からないはずですし、倫理的な判断をすることについて、例えば前に審査をやったことがあるのですが、血液を20cc採ってゲノム解析をするという計画があって、何で20ccも要るのかと。このぐらいのゲノム解析であれば、10ccあれば十分だという話が倫理委員会で出てきたのです。ということは、血液を採るときにはインフォームド・コンセントを取りましょうという話だけで終わらなくて、具体的にこの計画のここの部分は本当に科学的に合理的なのか、それともこれをやり過ぎると倫理的に問題があるのかということを、それぞれの委員がそれぞれのバックグラウンドで考えるという、そこの問題だと思うのです。これはある程度訓練するというか、研修の形で訓練していただかないと、単にノウハウがあるという話でも終わらないでしょうし、倫理だからインフォームド・コンセントのところだけ、説明文書だけ見ていればいいという話でもないのだろうと思います。その辺りが、倫理審査というときに若干混同されているというか、十分に理解されていないのではないかと思います。
○辰井委員 また引っかき回すようで恐縮ですが、今回の倫理審査は、これまで通常指針で行われていた倫理審査とも少し違うものと考えなければならないと思います。なぜかというと、倫理審査委員会で判断されて、もしそこで駄目だと言われたら研究はできないわけで、それで研究を行った場合には刑罰が掛かるかもしれないという枠組みになっているわけですから、それはこれまでに行われていた審査とは違います。
 そうだとすると、法律の中にきちんと要件を書かなければいけないことになるはずで、同意なども書くでしょうけれども、それ以外に意義があるか、例えばリスクとベネフィットを比較したときにベネフィットのほうが大きいと言えるかどうかとか、そのような形である程度明確な指針を書く必要があると思います。そのようなものが法律に書かれたとしても、倫理委員会には多様な人が必要であるというのは、科学的に意義があるかどうかの判断が、どのぐらいそれに価値を見いだすかというのはある程度社会的なものでもあるので、そこでいろいろな方が判断する必要があるということで、指針には明確に書かなければいけない。しかし、だからと言ってメンバーが科学者だけでいいということではないと思います。
○今村委員 倫理審査委員会の在り方についての議論ですが、言わずもがなのことかもしれませんが、倫理審査委員会はよく第三者性を担保するという言い方で、第三者機関みたいなことが言われることがあります。このことに限っては国民の医療に責任を持つということで、是非厚労省が全責任を持って運営するようなものにしていただきたいと思います。
○掛江委員 位田委員に「ノウハウ」という言葉は不適切と言われてしまいましたが、個々人が個々人の倫理観で判断するのではなく、一般的な知識、要するに倫理的な問題とは何で、その場合に、例えば弱者保護についてはどういう判断をしなければいけない、個人的にはそこの考え方に対して自分の倫理観としてどう思うかではなくて、被験者保護、弱者保護のためにはこういう判断が必要とか、こういう一定のラインは守らなければいけないということは当然あるわけで、それを私は「ノウハウ」と呼ばせて頂きました。それが不適切だったのであれば言葉としては撤回しますが、そういった意味では最低限必要な知識、個人の価値観ではなくて、社会的な通念というか、社会的なモラルとしてここまでは死守しなければいけないところをきちんと見ていく。それが多角的な視点で見られれば、より倫理性が担保されやすいのではないかと思います。そういった意味では一般的な知識・知見については研修で随分補えるのではないかと考えていますので、非常に研修に期待しております。
○中畑委員 今回、倫理に関する問題で、枠組み的には3つ走っています。治験については除外するとしても、今までヒト幹でやってきたものの範疇の再生医療と自由診療でやられてきたものを含めていく形で、自由診療については報告義務が生じるということで、今まで議論がありましたが、自由診療についても診療を開始するに当たっては倫理委員会を経て診療が開始されていると、皆さんそういう理解だったと思うのです。自由診療で行われている倫理委員会の質と、iPSやESを使った再生医療の倫理委員会の質が同じ要件を満たすことになるのか、あるいは違う基準でやるのかという議論も必要になってくるのではないかと思います。
 先ほどから議論のある倫理委員会の質ということで、これはヒト幹指針ができる前に大部議論があって、アメリカは最終的には倫理委員会の質が全国的にレベルが上がってくれば、実際に医療を行う施設の倫理委員会を経て、そこで十分な審査が行われればそれで十分であろうと。ただ、日本の現状はまだそういう状況ではないということで、中央審査という形になってきたと思うのです。こういう形で今までヒト幹指針が動いて、中央審査を経て実際の再生医療が行われる形になって、倫理委員会の質というか、上がってくる案件の倫理委員会での審査の内容とか、そういうものが最初に比べて大部質が上がってきたのではないかと思います。そういったことからしても、前から議論がありますが、中央審査をできるだけ良い形で進めていくことが非常に重要ではないかと思います。また、自由診療の倫理審査はどういうところまで網を被せるかが非常に大きな問題だと思います。
○永井委員長 まだ議論があるかと思いますが、また次回以降御相談したいと思います。
 今日は1〜5までについて、これまでの変更点を中心にもう一度まとめ直しをしていただいているので、事務局から御説明をお願いします。最初に1〜3についてお願いします。
○荒木室長 資料1と資料2です。資料1の1ページで1番の項目ですが、前回もおおむねこれでよろしいという御意見だったと思いますので、修正はなしということで飛ばさせていただきます。
 3ページで、2の柱である「対象範囲・定義について」です。棒を引っ張って追加した所は下線を書いてありますが、minimally manipulatedの所については、minimally manipulatedであっても安全性の確保が必要な治療というのが存在するのではないかという御意見がありましたので、それを反映させていただきました。
 3ページの一番下の「再生医療」という言葉は、先ほど机上配布で説明させていただきましたが、本日の衆議院厚生労働委員会で可決された再生医療の議員立法でも、「再生医療を国民が迅速かつ安全に」ということで「再生医療」という言葉を用いております。一般に国民に非常に浸透していることも考えると、訴求しやすい名称を検討する必要があるのではないか。その場合には、しっかり留意事項として、これは実際に再生しているかどうかということではなくて、再生を目的とする医療ということについてしっかり留意しておくべきだということで、こちらを記載させていただきました。
 5ページは大きい話ですが、「リスクに応じた安全性確保の枠組みについて」ということで、変更点の部分を主に御説明いたします。前回頂いた御意見、それ以後に早川委員をはじめとする、特に有識者の方々の御意見を踏まえて書き直させていただきました。5ページの中段下部のア)で、「細胞を用いた医療の安全性確保対策の必要」というように、「リスク」という言い方よりも、安全性確保対策の量の多寡ということで評価をしていくべきであろうということで、そういう表現に変えております。「細胞固有の」という所で、これは「投与細胞の」と書き直させていただきました。
 6ページは後で御説明いたしますが、再生医療の安全性の評価を事前にするというときに、安全性評価の項目、留意点の多寡で評価する際に「高」から「低」に分ける。そうした際に、オ)で、個々の再生医療・細胞治療の分類については、EMAにおけるCATのような客観的な判断ができる専門家集団、日本においては例えば厚生科学審議会のようなものに委ねる必要があるのではないかという御意見を頂きましたので追加させていただきました。
 7ページの一番上の○で、実施されている再生医療・細胞治療をリスト化し、その進捗状況、例えば薬事承認を受けました、先進医療に進みましたのような形のものをホームページ上で客観的に国民に情報提供すること、あるいは厚生労働科学研究費等を活用した有効性等の検証の実証により、有効な医療を早期に実用化につなげることができるのではないか。安全性確保という観点で届出をしていただきますが、その進捗状況についても、しっかりと客観的に情報提供すべきということで書かせていただきました。
 2つ下の○で、特に安全性確保対策の必要度の高い再生医療・細胞治療については、その安全性を国が事前に確認できる仕組みとすることを検討してはどうか。これは前回御意見がありましたように、その際、憲法を保障する研究の自由の侵害に当たらないような枠組みとするよう慎重な検討が必要ではないかという御意見をここに反映させていただきました。
 「方向性」の部分ですが、これも先ほど申し上げましたように、3分類程度のリスク確認・管理分類ということで、これは、安全性確保対策の必要度の多寡ということで書かせていただきました。
 (2)で、なお書きを追加しています。これも前回御指摘を頂きましたが、厚生労働省では厚生科学審議会において、地域的な審査のばらつきが生じないよう、慎重かつ横断的に安全面や倫理面に問題がないか、という観点から審査を行うものとする。これは、前回A・B・Cに分類した必要性の高いもの、前回はAと申しましたが、こちらについては「地域倫理審査委員会」での審査、意見を伺った上で、厚生労働大臣のほうも厚生科学審議会で議論をする。その役割分担はどうなっているのかという御指摘がありましたので、そこを少し分かりやすいように書きました。地域的な審査のばらつきがどうしても出る可能性があります。そういう意味では、慎重かつ横断的に審査をするということで書かせていただきました。(3)(4)については、その名称を変更いたしました。
 資料2で追加させていただいたものについて御説明いたします。資料2の参考3-5-1、参考3-5-2、参考3-5-3の部分です。前回、参考3-5-1という形で、今回検討中の枠組みにおける医療のリスクの考え方、イメージということで、細胞固有のリスクと、投与部位や投与方法等によるリスクによって高・中・低に分かれるのだろうと。それの掛け算でA・B・Cになるのかという形で書かせていただきました。
 この辺の表現ぶりについて少し分かりづらいということもありましたので、参考3-5-2、参考3-5-3というのを、有識者の先生に御相談させていただいて追記しております。参考3-5-2については、参考3-5-1の考え方としては、2つの軸がある。投与細胞のリスク要因ということ。その中には原材料とか、その調整過程における新規性、純度、恒常性等の要因があります。右のほうのX軸のほうで、治療法の新規性及び投与部位や投与方法等によるリスク要因があります。この2つの掛け合わせで、安全性確保対策の必要度の低いものから高いものへとグラデーションになっています。
 これを1軸に直したものが参考3-5-3です。「今回検討する枠組みにおける医療の安全性確保対策の必要度」です。?と?は先ほど御説明いたしましたリスク要因として2つあるだろうと。この2つの総合的な判断で高・中・低に分かれるということで、例えば現時点における分類のイメージの一例です。これは、確実にこれでこうなるというものではありませんが、例えば同じリンパ球を用いた治療であっても、遺伝子導入をするようなものは安全性確保対策の必要度としては高いものだろうし、現行でかなり行われているものについては低いものだと。
 真ん中にあるように、同じ脂肪幹細胞を用いるものでも、それを豊胸術、再建術に用いる場合には、安全性確保対策の必要度は中ですけれども、これまで使われたことがない新規性が極めて高い腎疾患治療に使うものについては、高いものになる可能性があります。iPS細胞、ES細胞についてはそもそも使われたことがないということで、新規性が極めて高いということで、安全性確保対策が必要だと高くなるということでイメージ図を追加させていただきました。
 参考3-10の本文の中で、「EMAにおけるCATの役割」ということです。CATというのは、Committee for Advanced Therapiesということで、CATというのは欧州薬品庁(EMA)内に設置されている7つの専門委員会の1つです。それぞれ欧州においては先端医療医薬品ということで、再生医療製品、遺伝子治療の製品というものも見ますが、そちらの質、安全性、有効性について、責任を持って見るものだということで、欧州各国の各分野のベストの専門家が集っています。
 主な役割は、EMAに提出されるATMPの申請について、ATMPに該当するかどうか等の区分割りを行ったり、承認等についての最終意見を下す前にドラフトの意見を提出するということで、実質的に最初の振分けから審査の段階においても、非常に責任を有しています。ちなみにCATの構成員は、欧州連合加盟国から各1名、欧州委員会からは、臨床医の代表、患者会からの代表それぞれ2名が指名されることになっています。
 すみません、先ほど説明を飛ばしてしまいましたが、参考3-5-3に戻ってください。「今回検討する枠組みにおける医療の安全性確保対策の必要度(イメージ)」の所の下に○で書いてあります、リスク要因?と?ということで、投与細胞のリスク要因、治療法の新規性等のリスク要因を総合的に勘案し、安全性確保対策の必要度を高・中・低に分類することとしてはどうかということです。
 先ほどの資料1の本文中にも書いてありますけれども、個別医療の具体的なリスク分類というのは、厚生科学審議会等により審議し、あらかじめ定めることとしてはどうか。リスクは科学技術の進歩、研究が積み重ねられることによって変わりますということで、厚生科学審議会の意見を踏まえて不断の見直しを行うこととしてはどうかということで、本文に書かれているものとの整合性を取って書かせていただきました。
 資料1から資料3について、追加した所を中心に御説明いたしました。以上です。
○永井委員長 3ページの、「再生を目的とする医療」というのはちょっと行き違いがあると思うのです。研究でこれから推進するときには再生を目的とする医療でよいのだけれども、患者さんに実施するときは再生するのが再生医療でしょう。そこの違いがある、ということは今までも散々議論していると思うのです。そうでないと、医療側が再生を目的とするから、これは再生医療ですということが言えてしまうでしょう。それは、いろいろな混乱を招くわけです。これを今推進しようという立場であれば、再生を目的とする医療を再生医療の範疇の中に入れておくけれども、実施となればもっと厳しいことが問われるというのは、今まで散々議論していたと思うのです。しかも、場合によったら罰則が加わるということで、そのニュアンスをよく踏まえておかないといけないと思うのですが、いかがですか。
○掛江委員 今の永井先生の御意見を伺っていて感じたのですが、ここは再生医療の定義として、再生を目的とする医療とか、「医療」で止めてしまうから問題なのかなと。再生医療を目指した研究、再生医療研究についての規制の話をしているわけですよね。
○永井委員長 いや。
○掛江委員 違うのですか。
○永井委員長 実践も含むのです。
○掛江委員 実践は永井先生がおっしゃるように、再生医療になってしまえば、ちゃんとエビデンスを持って再生していることが確認できているものでなければ医療として認められないということで、「再生医療」で永井先生がおっしゃった定義どおりでいいのだと思うのです。再生医療を目指している研究で、「目指している」が省略されて、再生医療研究の場合には、研究段階だから本当に再生しているかどうかが分からない状態である。でも、目的として再生することを目指しているのだという説明になるということで、別に両者に矛盾はないような気はするのです。ただここで、再生を目的とする医療として再生医療の定義としてしまうと、永井先生がおっしゃったように、現場で再生していないものも再生医療と言えることになってしまうので問題なのかなと思うのです。そういう言葉の食い違いではないのでしょうか。
○永井委員長 もう1つは「・」をこのままでいいのかと。再生する医療はあるのですよ。だから、再生する医療、再生医療及びまだよく分からない手段を論ずる細胞治療。むしろ「・」をやめて、「及び」とかはっきりしたほうが、これは法律の問題ですから、非常に深刻な事態が後で起こらないようにしておかないといけないと思うのですが、どうでしょうか。
○荒木室長 ここに書かせていただいたのは、書き方がちょっと不適切だったかもしれません。今回この法律できちんと規制といいますか、ちゃんと把握していきたいといったものの中には、再生を目的とした医療というのも、実際に再生するかどうかは別として、あるということで、開始をする段階では目的とするという段階のものも含めて、この法律の対象としていくべきなのではないかと。
○永井委員長 それは研究の段階であって、医療として確立するためにはもう再生するかしないかは分かっているはずだと思います。
○荒木室長 プラスそういうものについて、正に倫理審査委員会とか、認定倫理審査委員会の所で、研究計画が妥当であるかとか、本当に再生を目的としたものと言ってよいのか、あるいは再生をするものであるのかどうか、といったようなことも含めてきちんと見ていただくことになると思います。さらに言えば、本当に有効性があるのかどうかというのは、また別の仕組みというか治験であるとか、先進医療Bみたいなものも使って、確実に見ていくような流れになっていくのではないかと思います。
○宮田委員 これは、前の委員会でも大混乱になった所なのですけれども、結局自由診療で行われているものは何かというところの背景に、実は今の概念の混乱があるのではないかと思っているのです。今までみたいに、全て臨床研究にしてくれという整理は非常によかったのですけれども、現実に自由診療で行われているものがあり、医師法とか医療法では、そういった自由が認められている現状を考えると、それでは自由診療で行われている再生医療とは一体何だろうということを考えると、まず効果がない、副作用があるかもしれない、データが不足である、経験がないというものしかないのではないかと思っています。そういうものを法律でどうやって認めていくのかというのが、ちょっと難しいかなとずっと思っていたのですというか、頭がうまく整理できないのです。
○永井委員長 そのときに、医療者側の主観が入る余地があるわけです。目的とするというように、目的論が入ってきたときに、何でもありになりかねないと思うのです。ですから、医療として実践するのであれば、再生するものが再生医療であると。研究の段階では、再生を目的とする再生医療研究というのが一番正しい表現のように思います。ただ気を付けないと、これは正に法律なので、きちんと定義しておかないといけないと思います。現場は相当混乱しますし、それでいろいろな告発が起こりかねないということです。そうなると、もっと混乱してしまうわけですから、そこの言葉をしっかりしておく必要があると思います。
○花井委員 先ほどの話と関係する話なのですが、このペーパーについては3ページの下の記述は一応「論点と議論」なので、問題は4ページの※の記述をどうするかということになろうかと思うのです。1つ確認しておきたいのは、再生医療は細胞治療の部分集合というふうに私は理解していたのですが、これではそうなっておらず、横並びになっています。細胞治療の集合の中に、再生医療という領域があるという整理であるならば、もし私の理解が正しければ、この記述はちょっと混乱を招くかなというのが1点です。
 それから、自由診療で行われているもので、再生はしないけれども再生医療と標榜することが、先ほど言ったように容認されることになることは問題があると思うのです。もちろんそれを取り締まるかどうかは別として、やはり再生医療であればアウトカムとして再生があるということが保障というか、そうだという医療にならないと。確かに、何となく再生が期待されれば再生医療と標榜し、概念としてもそうなればかなり混乱する余地は残るのではないかという気はします。何回も戻る話になって恐縮なのですが、ここはもう一度先生方に確認してほしいと思います。
○永井委員長 再生がまだ明らかでないときは、細胞治療と言っておけば間違いはないわけです。
○花井委員 そうです。
○掛江委員 質問なのですが、今の話に出ていた自由診療は、既にやってしまっているものなので混乱の種になっていると思うのです。今、自由診療でやっているようなものの中で、全く臨床研究もしていない、エビデンスもないというようなものは、今後そういうものを新規にやろうとした場合に、今ここで議論されているような研究審査を経て、臨床研究等をしていくのですという方向になるのか。これができても、自由診療で好きなことができるという道、再生医療と標榜するかどうかはともかくとして、今問題になっているようなことが、今後こういう規制をいろいろ議論した後も、抜け道として常に自由診療の中で自由にできるような体制が残っていくのでしょうか。
○永井委員長 その地域の倫理審査委員会が判断するのだと思います。
○掛江委員 ということは、一応新規のものは全て研究審査委員会を通過するという理解でよろしいのですか。
○永井委員長 そうですね、そういうことですね。
○掛江委員 そういう理解になりますか。
○佐原課長 事務局としては、今までの先生方の御議論を聞いて、そういうことだというふうに考えて認識しております。この倫理審査委員会なりで安全性がきちんと担保されていることを確認していただいて、スタートしていくわけです。さらにその有効であるかどうかというのは、またもう1つ治験であるとか、先進医療とか、いろいろな枠組みの中できちんと評価されていくべきものと。いずれにしろ全て細胞を使う医療については、この枠組みの中でスタートしていくということが、先生方の御意見かと理解しております。
○宮田委員 そうすると、参考3-5-1の扱いをもう少し考えなければいけないと思います。樹状細胞とかリンパ球などの分化細胞、B or Cと書いてありますけれども、一方でこの裏の3-5-3で、遺伝子治療をすると、樹状細胞とかリンパ球でも最高度のリスクになります。だから、ここでA or B or Cなのではないかと思います。原料とかそんな話ではなくて、我々の臨床経験がどれだけあるかというところが、実はリスクと≒だと思うのです。
 そうなると、前に何回も言いましたけれども、私たちが再生医療を推進する上でどうやって臨床経験を幅広く集めるかということが重要になるので、倫理委員会において正しくプロトコールとかそういうのも絶対に重要なのですけれども、それが正しく施術されて、正しくアウトカムが記録されて、それが集中的に国家の知識として集められるかというところまでしっかりやってもらわないと、このリスクというのを機械的に話してはいけなくて、我々の臨床経験がどれだけ積み重なっているか。そのケースも、きちんと質の高いケースが報告され得るかということを保障するということは、倫理委員会の重要な任務になってくるのではないかと思っています。多分、多くの人たちが、ひょっとして自由診療の所でなあなあの倫理委員会が行われるのではないか、ということを一番恐れていると思うのです。ここが行われないというか、そういうことを許さないように担保する仕組みもやっておかないといけないかと思います。
○松田委員 話題を少し変えてもよろしいでしょうか。
○永井委員長 はい。
○松田委員 全体を通じての中で、3の「リスクに応じた安全性確保の枠組みについて」という項目が、他の項目に比べて非常に記述が多い。それだけ重要な議題としてたくさんの意見が出たということを示すには十分だと思うのです。その一方で、脈絡というか、こういう意見もあったということを羅列的に書くのもいいと思うのですが、できれば脈絡を付けたほうがよろしいのではないかと思うのです。
 そういう意味で、例えば6ページの下のほうから1番目の○と、3番目の○は極めて関連性のあるポイントだと思うのです。できるだけ医師主導型の治験で安全性を確保して、その安全性が確保されたならば、できるだけ広く普及するような医療とし、薬事法の下で臨床試験ができるように持っていくという脈絡があると思うのです。そういう意味で、できるだけ多くの患者さんがそのベネフィットを享受できる、あるいは医療経済的にハンディなく、できるだけ安価で良い治療が受けられるようになることを皆さん期待しているわけですから、そういう方向に持っていくように努力すべきだという点では、下から1番目の○と、3番目の○は関連付けて書くか、あるいは続けて書くかという辺りがちょっと気になりました。
○町野委員 若干前のほうに戻りますが、永井先生が言われたことです。要するに、法律のタイトルをどうするかという問題が1つと、中の目的規定で、絞り込むように書けるかということ、そして次に定義の所です。そして、その審査体制との組合せという幾つかの概念の整理があるわけです。私は、再生医療というのを前面に出す法律というのは、名前として適切ではないのではないかというように、永井先生のお話を伺っていてそう思いました。
 いろいろお話を伺っていると、こういう法律では再生医療をどうのこうのという促進法ができていることもありますから、一応これに合わせる。ただ、こちらのほうでは、今拝見したところ、再生医療についての定義は何もないのです。とにかく漠っと進めるというだけの話なのです。したがって、こちらのほうで目的の規定の所で、例えば「この法律は再生医療のうち、細胞治療によって行われる医療が、そのやり方如何によっては多くの被害や危険性に問題があることに鑑み、そのことについて安全性を確保するとともに、全体として再生医療の実現に寄与することを目的とする」というように書いて、そして、中のほうで、問題とするあれについてはという具合に提起点を挙げる。
 これは、内閣法制局などと相談すれば簡単にできる話だと思いますから、そのようにすればタイトルの所で「再生医療」という言葉を使っても差し支えないのではないかと思うのですが、永井先生いかがですか。
○永井委員長 ですから、再生するのなら使ってもよいのです。実際にそういう医療があります。骨とか軟骨はちゃんと再生するのです。そういうものと、ただ医療者が目的としているだけで言っている再生という言葉をきちんと分けていただきたいのです。そうでないと、患者さんの過剰な期待を煽ってしまうことを恐れます。あるいは、それ自体が倫理問題であろうということなのです。そこをきっちり使い分けていただきたいということです。
○佐原課長 今いろいろ御議論いただいている点で、今回の法律の対象とする中には、実際に再生するものもあれば、そうでないものもあるということは、きっちりと法律の条文の中に、分かるような形で御指摘も踏まえて書いていきたいと思います。この文章では、仮に「再生医療・細胞医療」と書いてありますけれども、これも内閣法制局と十分これまでの御指摘も踏まえた上で、適切な書きぶりを考えていきたいと思っております。
○位田委員 7ページの「方向性」の(1)に関わるのですが、基本的に3分類をしてリスク確認・管理をして、そのどれかに当たればIRB若しくは地域審査委員会又は国の厚生労働大臣ということですね。しかし、審査をするのは、基本的に研究・医療を行う前の話なので、その審査をした後、その審査が適切な審査であったかどうかという、その審査の評価がどこかで必要なのだろうと思うのです。地域審査委員会といいますけれども、関東に1個とか、東京に1個という話ではなかなかうまくいかないのではないかと思うのが1つです。
 イギリスにしろ、フランスにしろ地域委員会があります。イギリスは今60ぐらいになったのでしょうか、例えばロンドンにも幾つもあるわけです。そうすると、そこでまたフォーラムショッピングが起こって、通りやすい所に持って行かれるという話が出てくる。地域審査委員会にしろ、若しくはIRBにしろ、どこかで、審査委員会の評価ではなくて、審査そのものの評価をどこかでやらなければいけないのではないかと思います。
 それと同時に、実際にその審査を通って行われている臨床研究であれ、自由診療であれ、それをきちんとプロトコールどおりに行われているかどうかというフォローアップなりモニタリングというのが必要になってくるのではないか。とりわけリスクの高いものについては、そういうことを考えておく必要がある。これは前にも少し言ったかもしれませんが、有害事象だけを報告するという話ではなくて、有害事象が起こってしまうと困るわけですから、起こらないように定期的にモニタリングをするということを体制としてはやっておく必要があると思います。
○掛江委員 今、位田委員が御指摘された点は重要だとは思うのです。ただ、一方で知財の問題とか、いろいろ審議の内容が、例えば今のヒト幹の審査委員会でも表に出せない状況にあるわけです。そういう状況の中で、どうやって審査自体の質の担保というか、評価をしていくのかというところが、私自身具体的な方策が見えていないので、もし具体案があれば教えていただきたいというのが1点です。
 ちょっと論点が変わってしまうのですが、7ページの上から3つ目の○の後半に、「その際、憲法が保障する研究の自由の侵害に当たらないような枠組み」とありますが、これは前回辰井委員が御指摘された点で、そのときには「そうか」と思ったのです。ですが、ここで議論されていることは、全て被験者という研究者とは別の人が存在するわけで、その方の人権侵害が起こらないように、人権保護の観点からこの研究は実施するべきではない、という評価をもし仮に国がしたとしても、憲法が保障する研究の自由の侵害に当たらないのではないかと思うのですが、専門ではないのでちょっと分からなかったので、前回に補足して教えていただけるのであれば、その点をお伺いしたいと思います。
○辰井委員 今の最後の御質問の点に関しては、たとえ目的が人権保護であっても、この場合は明らかに被験者のほうです。被験者保護の目的であったとしても、実際になされる判断というのは、こういう研究をやろう、こういう臨床研究、あるいは医療をやろうと思いますということがあって、それは一定のリスクの評価をします。そのようなリスクがある研究を、実際にやることが妥当かどうか。それは、実施するに値する研究かどうかというところで、明らかに研究の価値といいますか、研究の学術的な価値を判断することになります。そこの判断を国がやるということが、研究の自由という観点からはかなり問題であると考えられているということのようです。
 この点は、私もまた少し勉強して、この基本枠組みがこれで大丈夫なのかということについて、今回、厚生科学審議会での審査の内容を明確にしていただいて、随分お考えいただいたと思うのです。それでも、なお若干懸念が残ります。それで2つ御指摘させていただきます。
 1つ目は、これは臨床研究みたいなものを規制する初めての法制度ということになります。ですので、この先何か先端的な医療で問題が起こった場合に、必ずやあのやり方をこっちでも使えということになるだろうと予想されます。その意味では、ここで今我々は基本的に再生医療のことを想定して議論していますが、全ての臨床研究のもとができてしまうかもしれないので、その点は相当慎重であるべきだと思います。
 そのような観点から指摘させていただきたいのは、どのように説明しても研究の自由の事前規制であるということは否定し難いということです。私は必ずしも専門ではありませんので少し勉強したのですけれども、一般に表現の自由などの場合と同じように、研究の自由の事前抑制というのは相当厳格に統制されなければいけないと考えられています。表現の場合は検閲ということになりますから、目的がいかなるものであってもほとんど認められないです。この場合は、被験者の保護という目的が非常に明確ですので若干緩和されるかもしれませんが、それはかなり重大な問題であるということです。
 そのような観点からいくと、リスクの高い医療について、最終的な決定権を厚生労働大臣が持つということは、法律学が積み上げてきた常識の観点から言うと、やはり容認できないのではないかと思います。判断主体の問題と判断内容の問題の2つがあります。判断主体について言うと、学問の自由の保護という思想は、単に個人の自由を守るという趣旨ではなくて、国家権力から自由な、専門家が律する領域を保護する。そのことが、最終的には国家にも役に立つというような思想で、その領域を保護するという趣旨も含んでいます。そういう学術研究の内容に関わるような規制というのは、仮に行うとしてもその判断主体は専門家集団であるべきだというのが一般的な考え方です。
 御案内のように、ドイツには幹細胞法というのがあり、幹細胞の輸入が許可制になっています。許可の主体は、ロベルト・コッホ研究所なのです。昔、私はなぜ研究所なのかと思っていたのですが、よく考えると、そういう研究の自由の観点からそのような措置が取られているということのようです。今のが主体の問題です。
 2つ目は、判断内容の問題です。判断主体をどこに置くにせよ、これは先ほども議論になりましたとおり、これが国の規制である以上、判断基準は恣意的なものであってはなりません。ということは、それは法律にきちんと書かれなければいけないことになります。今の方向性の所を背景にすると、例えば、ESなどの先端的技術については、まずは一定の設備や体制が整った医療機関に限定するなどし、そうした医療機関における実施状況を踏まえ、一般的医療になり得るものかどうかを検討と書かれています。そのように判断したいということはよく理解はするのですけれども、最初は京大や阪大でやってもらいましょう、それでだんだん数が重なったら他の所にも広げましょう、というような仮に判断だとすると、それは相当恣意的判断ですから、とても法律には書けない。法律に書いたら憲法違反だし、しかし法律に書かないでやったらそれはそれで憲法違反だということで、なかなか難しい問題があるような気がいたします。
 最後に、これも法律枠の委員として申し上げておきたいことは、再生医療の周辺にいると事前に国が研究内容をチェックするというのは、すごく当たり前のことのように思えてしまいます。これは、法律的に見るとかなり異常なことです。それを法律で規定できるのかというのはかなり大問題であるということは指摘しておきます。
○伊藤委員 我々は憲法学者でもありませんし、法律をやっているわけでもないから分からないのですが、今の議論は患者としては違和感を感じます。研究は自由だと言いながらも、学問は自由であってもいいかと思いますが、国民の健康・生命に直接関わるようなことが、憲法という問題を持ってきて、自由の制限という議論になるとすれば、我々としてはかなり違和感があります。専門家が判断するべきだという御意見もありましたが、一般的な裁判でさえ、裁判員制度で一般国民が参加しながら、専門の法律家の中に混じっていろいろ議論している時代です。
 また、参考の中にあるCATについても、どの程度までというのはよく分かりませんけれども、その中でも患者の代表が参加するということが書かれています。そういう流れの中にあって、日本だけが専門家集団、あるいは専門家による判断というのは、事の是非はよく分かりませんけれども、何かかなり違和感を感じざるを得ないという感じなのです。そのことについて意見を述べておきます。
○永井委員長 事務局、今の点はいかがでしょうか。掛江委員と伊藤委員の御意見についてです。位田委員から先にどうぞ。
○位田委員 研究の自由という一般的な自由に対して、研究の自由というのはもちろん人権ですが、それに対して一般的に国が制限を加えてはいけないというのは、基本的に憲法の理論としては成り立つと思います。問題は医学の研究、特に臨床研究というのは、生きている人に対して、新しい治療法なり若しくは薬なりを使ってみるということですから、当然相手は、ひょっとすると死んでしまうかもしれない。それを、これは研究の自由だから、なるべく法律的規制をしないでいいというのは、辰井委員の文献の読み方が少し違うかと思います。
 臨床研究が、法律に基づかないでやられている国というのは恐らく日本ぐらいです。他にもあるかもしれませんが、アメリカでも法律に基づいてやっていますし、EUでも同じだと思います。多くの国で、要するに、単に人から材料を取ってきてという話ではなくて、患者さんにやってみるという意味での臨床研究については、基本的に国がその国民一人一人の命をちゃんと守るという意味もある。したがって、臨床研究は法律で定められた基準に基づいて行われるのだというのが本来の形だろうと思います。
 確かに辰井委員がおっしゃったように、研究の自由なのだから、専門家による判断ということは考えられないわけではありませんけれども、恐らく辰井委員の御主張は、ドイツをモデルにされたのかと思います。もしドイツであれば、幹細胞法の前に胚保護法というのがあって、そのもっともっと前にはナチスドイツがやった人体実験、若しくはユダヤ人の断種という問題があります。もし仮にドイツをモデルにするのであれば、ドイツというものの歴史的な状況の中でこれまで来ているということを考えないといけない。そうすると、日本がドイツと同じような国情であるのかと。これは必ずしもドイツに限らないのであって、アメリカにしてもそうでしょうし、ヨーロッパについてもそうだろうと思います。
 私は、基本的に臨床研究は法律で定めてやるべきだと思っています。これまで厚生労働省の取扱いは、ある意味で研究なので、指針でした。つまり拘束力のない指針でお医者さんたちが、若しくは研究者たちがそれを遵守していただければ問題はないだろうという形でやってきました。私は、今回の再生医療だけではなくて、本来は臨床研究全体を考えたほうがいいと思っています。いずれにしても再生医療・細胞治療の分野において、臨床研究が法律に基づいて行われるというのは本来の形に戻るのだろうと思っています。
 専門家の判断という点は、ドイツはある意味でギルド社会ですから、専門家の判断そのものが、例えばドイツの医師会というのは医師の資格を剥奪することもできるように、非常に強い権限を持っています。日本の場合には、それぞれの学会がそこまで大きな権限を持っているわけではない。先ほど佐原さんもおっしゃいましたが、せいぜい除名をするということにしかならない。除名することが、そんなに大きな意味を持つかどうかというのは、産科婦人科学会で、何人かの指針違反の先生が除名されたことによって、逆に患者さんが多くなったという非常に皮肉な結果にも現れているとおりです。
 日本の専門家、つまり科学者のコミュニティの持っている権限と、外国の科学者のコミュニティが持っている権限は異なります。日本の場合に、本当にそういう形にしていいのか。そういう形にすると、今度は国がそういう科学者の団体にそういう権限を与えて、しかもその科学者の団体が、ある具体的な臨床研究に対してやっていいかどうかという判断をし、もしそれが違反であれば何らかの罰則が加わって、しかもそれは実効的な罰則でなければいけないという話になるわけです。
 しかし、恐らく日本はそういう社会ではないので、理論的に辰井委員のおっしゃることは分かりますけれども、今回の再生医療研究を法律で規制することについて、大上段に憲法を持ち出してきて大きな議論をするという状況ではないのではないかと思います。
○町野委員 時間も押しているようなので簡単に申しますけれども、今のは誤解だろうと思います、辰井委員の意見について。彼女が言っているのは、法律による規制は当然であってしかるべきだと。しかし、事前規制をするときについては考えなければいけない。今は事前規制がポイントなのです。ドイツなどで事前規制をするときには、職能集団によってやっていますが、他は直罰です。だから、法律による規制の問題とは全然別で、今のは誤解だと思います。
 簡単に申し上げますと、ここの所で憲法上の価値というのは、学問研究の自由に行くと。それからお医者さんたちの業務権といいますか、これは職業選択の自由として、最高裁判所も認めているような、医療選択の自由の権利があります。それから、先ほど伊藤委員が指摘されましたように、患者の治療を受ける権利と3つの憲法上の権利が掛けられています。これらを考慮しなければいけないということです。
 ここで憲法上の議論を大上段にする必要があるかどうかという議論がありますけれども、実はそれを踏まえておかなければいけないと思います。一番最初にクローン技術規制法が作られたときに、実は胚研究の自由について規制を加えるということがあったから、既にそこのところで研究の自由の規制があって、しかもそれが政府の最終的なチェックを通らなければいけないわけだから、既にそこで事前規制がなされていたのです。その時点で私はペーパーを書いて、ここのところが研究の自由についての規制が問題であると。これはドイツに倣った議論ですけれども、そうしたことがあります。しかし、今回のところでは更に研究の自由ばかりではなくて、先ほどの職業選択の自由というとあれですけれども、お医者さんたちの業務権の範囲と、患者の治療を受ける権利が掛けられているということです。
 もう1つ申しますと、事前規制について簡単に言うと、政府と職能集団とが相談して事前規制を掛けるというのが、日本の倫理指針のやり方です。このやり方を嫌いだという人はいるだろうと思います。言わば学問の自由、職業の自由というものを、政府に売り渡すものだという考え方もあると思います。そのために、多くの国ではそのようなやり方を取っていないというのは確かに辰井委員の言われるとおりです。しかし、前のときの議論を思い出しながら申しますと、そのときに直罰を掛けるかということに対しては強烈に反対したのが医療者集団だったのです。そこのところは、ラボに警察が入ってくるよりは、やはり事前に相談しながら進んでいったほうがいいだろうというやり方を取ったわけです。私は、このやり方が憲法違反とは思っていません。その点では辰井委員とは意見が違います。
○辰井委員 ありがとうございます。1点だけ申し上げますと、クローンのような場合、直罰が問題になるケースというのは、それ自体が悪い行為だと認識されるケースについて問題になるわけです。今回の場合の問題は、再生医療というかいろいろな医療自体は推進されるべき良きものだと認識されていて、それに自後的に罰則を掛けるということはほとんど考えられないわけです。そういう良きものを行うときに、事前に国がそれをチェックすると。
 私が問題にしているのは、基本的に判断主体の問題で、それを国がやるのが良いのか、それとも京都大学再生医学研究所の中に何か委員会を設けてやるのがいいのか、何か少し工夫が必要ではないかということです。
○大和委員 良きものという前提は成立しないと考えています。この委員会のそもそもの成り立ちは、自由診療で、伊藤委員から出てきたような、ああいうクリニックに対して国としてどう考えるのですかということです。私が以前報告いたしましたように、海外では規制当局が強力に介入しているにもかかわらず、日本では全く放置されています。かつ、この委員会を中心とした動きに関しても、最近の『Nature』誌で、甘いのではないかという指摘が名指しでされている現状があり、良きものが前提であるとは認識しないほうがよろしいと考えます。
○永井委員長 良いか悪いかだけではなくて、益にも害にもならない治療をどうするかという話にもなります。そこも結構大きな問題です。
○掛江委員 これは提案なのですが、本日ここでこれだけ議論があったわけです。最後の○の項目について、「研究の自由の侵害」という所だけが取り立ててスポットを当てているように見えてしまうので、この文章については本日で承認という形ではなくて、継続的に検討していただけないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○佐原課長 事務局としても、この論点はとても大切なことだと思っております。法学者の皆さんの中でもいろいろな意見があるし、法学者以外の方でもいろいろな意見があると思います。我々としても、ここはきちんと整理をしていきたいと思いますので、これまでの立法例であるとか、他の制度とのバランスといったことも考慮し、次回までに事務局において、内閣法制局ともよく相談をし、次回整理したものをお出しさせていただきたいと思っております。
○永井委員長 時間の関係もありますので、項目4について説明してください。
○荒木室長 それでは項目4です。資料1の9ページを御説明します。変わったところは、9ページ下段にあるように、前回、「細胞培養・加工」のところで、産業の活性化・育成にもつながるのではないのかについて文言を追加しております。更に10ページ、細胞培養・加工の際に、再生医療学会等において、培養・加工実施者の研修や技術認定ということです。その際に、国による支援策も検討してはどうかという御意見を頂きましたので追加しております。更に、細胞培養加工施設には、どの医療機関から委託を受けているか等について実績の報告を求めることとしてはどうかという御意見もありましたので追加しております。現時点で細胞培養・加工を実施している医療機関内の施設等においても、新たな基準を満たす必要があると。その際には、この基準について届出等をお願いしたいということですが、その際には一定の猶予期間を設ける必要があるのではないかという御意見を付けております。
 「方向性」の部分については、これまで議論をさせていただいた中で明確化したものです。施設基準・手順等についての基準については、細胞の培養・加工の安全性の確保という観点から、薬事法下での検討と整合性を図る必要があると明記しております。これに関しては、資料2で追加したものです。参考4-1〜参考4-4で、前回、細胞・培養・加工施設において、製造物責任法(PL法)が適用されるのかどうかという御質問がありました。こちらについて、PL法の国会での審議過程等を確認して資料をまとめましたので簡単に御説明します。
 参考4-4-1、2つ目の○です。PL法では、製造物責任が発生する「製造物」「欠陥」「製造業者等」についての定義が置かれております。製造物とは、製造又は加工された動産をいう。欠陥とは、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていること。製造業者等とは、製造物を業として製造、加工又は輸入した者。このように定めております。この法律を所管する消費者庁に確認したところ、この法律における「加工」というのは、元の動産に新しい価値を付加したものということです。この法の趣旨というか、法の定義を直接解釈しますと、細胞培養加工施設における加工は、動産である細胞を業として加工することから、PL法上の加工に当たるため、製造物責任の対象となると考えられるということで、直接的には対象となるということです。
 しかしながら、細胞、あるいは人に投与する医薬品というものについて、PL法をたくさん適用することはないという実状があります。それはなぜかと言いますと、参考4-4-2に書いてありますが、医薬品については、当然これもPL法上の製造物責任が発生することになっております。PL法をどんどん使うというよりも、一番下に書いてあるように、平成6年7月にPL法が成立するに際して、裁判によらない迅速、公平な被害救済システムの有効性に鑑みということで、ADR、裁判によらない紛争処理機関の設立ということで、「医薬品PLセンター」を医薬品においては対応するために作られているということが参考4-4-2です。
 参考4-4-3では、似たようなものについて、「医薬品・血液製剤・ワクチン」ということで、これはPL法の国会審議の過程でかなり議論されたものです。要点としては、2つ目の○、「最終的には」と書いてありますが、「血液製剤、ワクチンを含めた医薬品については、元の動産の性質に変化を加えている以上、PL法上の製造物に該当すると整理され、欠陥があった場合にはPL法上の製造物責任が発生しうる」。「ただし」ということで、例えば輸血製剤については、?生命の危機に際して使用されるものであり、極めて有用性が高い。?輸血によるウイルス等の感染や免疫反応等による副作用が生ずる恐れがある旨の警告表示がしっかりなされていること。?世界最高水準の安全対策を講じた上で供給されているが、技術的に完全にウイルス感染や免疫反応等による副作用の危険性を完全には排除できないこと。???の特殊事情があることで、欠陥の有無の判断については、かなり限定的に解釈されるということで、下の参考4-4-4にある附帯決議がなされております。
 すなわち「血液製剤については」ということで、参考4-4-4、一、特に輸血用血液製剤については、その特殊性に鑑み、審議における政府見解の周知徹底を図ること。あるいは、二、日赤がしっかりと献血者の問診等献血者にとって煩雑なものとならないよう配慮しながら必要な協力が得られるようにすること等々が、附帯決議として指定されております。
 もう一度まとめますと、基本的にPL法の対象となるということですが、「欠陥」という解釈については、医薬品、あるいは今回の細胞も含めてかもしれませんが、そもそも事前に予期されないこともあるということで、しっかりと被験者に説明することにおいて、欠陥として判定されないこともあり得るのではないかということです。これは参考4-4の追加です。4については以上です。
 資料3については、細胞培養加工施設に関することで、経済産業省のほうで報告書を取りまとめられたということで、こちらの委員会と並行して動いているもので、参考までに机上配布させていただいております。「プレスリリース」に書いてありますが、概要のところだけ。2.「必要な制度的枠組み」ということで、?医師法・医療法の下で、医師・医療機関によって行われる再生医療は、細胞・組織の採取から加工、検査、移植までの全作業を医師・医療機関自らが実施しなければならず、非効率性・コスト高の原因となる。そのため、再生医療に必要な細胞・組織の加工業務について、外部の事業者に委託できる制度の整備が必要です。同時に、細胞加工機関の適性確保のための第三者認証等の担保措置の整備が求められます、というようなことを検討会でまとめられております。
 ?薬事法の承認を経て販売される再生医療製品については、原材料の不均一性等、従来の医薬品の審査手続きをそのまま適用することは不適切であるので、早期承認制度と再生医療の特性を踏まえた安全性等の基準の整備が必要ですということで、大きく「必要な制度的枠組み」ということで、経産省の研究会でも報告書がまとめられたことを、参考までに御報告申し上げます。以上です。
○永井委員長 ありがとうございます。いかがでしょうか。
○宮田委員 少し教えてください。今の説明を受けてよく分かっていないのですが、結局、製造物責任法はかかるのだけれども、ある種の血液製剤に準じたような、例外規定をイメージする。ただし、そのときに重要なのは、ADRをどうやって作るかということになりませんか。先ほどから大和委員が言っている賠償責任に関しても、それは触れたものだと思うのですが、このADRをどうやって作るかという議論をしなければいけない。
 もう1つは、無過失の賠償責任をどうするかです。この場合は、過失立証した賠償責任が議論されていますから、その2種類の過失に対して、どうやって患者さんの賠償をするかということも少し検討項目に入れなければいけないということになると思います。そういう理解でよろしいですか、ということを確めたかったのです。
○荒木室長 御指摘のとおりでございます。無過失の賠償のほうは、補償という観点で、先ほどの6にも入っております。
○花井委員 関連質問ですが、今、生物由来製品については、生物由来感染等被害救済制度という、無過失・無欠陥救済制度がはしっていますが、これは薬事で承認されたプロダクトに限るものですが、これがそのままこれに対応するということには、やはりならないのですよね。そうすると、もし、無過失・無欠陥救済制度をプロダクトに関して作ろうと思ったら、新たな法律が必要という理解でよろしいでしょうか。
○佐原室長 基本的に、現行の制度は、薬事法で認められたものが対象と理解していますので、今回の新しい法律の中で考えているものは、当然対象外になってくる。したがって、何らかの新しい枠組みというか、仕組みが必要になってくると思っております。それをどうするかというのは、更に議論が必要だと思います。
○永井委員長 ほかにいかがでしょうか。もしよろしければ、最後の5の説明をいただけますか。
○荒木室長 資料1につきましては11ページになります。「国民への情報提供について」ということで、今、非常に大事な項目です。追加しているところは、中段以降の3つになります。「国民向けに分かりやすい内容とする」ということですが、それぞれ対象ごとに、「特に」と追加しております。特に、患者・国民に対する情報提供としては、実施されている医療の内容を分かりやすく伝え、研究への参画あるいは医療機関で受診する際の目安にできるものがよいのではないのかということ。更に、再生医療に係る専門家に対する情報提供としては、厚生科研費やヒト幹細胞、情報ネットワーク事業等を通じて、最先端の臨床研究の成果等のフィードバックということで、臨床研究開発へのアイデアを創出して、更なる実用化を進めるようなものがいいのではないのかというのを追加しております。
 更に、情報発信者の主体として、国・学会等の関係者、実施医療機関等が考えられますが、そこは相互に連携することで適切な情報をということで追加しております。12ページです。学会等の関係者が効果的で継続的な情報発信をするために、必要な予算面の支援も検討する必要があるということで、前回御意見を頂きましたので追加しております。
 「方向性」の部分で、再生医療・細胞治療の実施状況の中に、実施されている、あるいは計画に基づいて実施されている再生医療・細胞治療に係る健康被害情報あるいは重篤な副作用についても、当然含まれるということで、そこを明示的に追加しました。
 参考6-3-1と参考6-3-2については、情報提供の部分にも関わってくるものですが、「再生医療及び細胞治療に実用化及び有効性の評価(案)」として出させていただいております。これは先ほどの永井委員長のお話で、最初の研究においては再生を目的とするものということですが、それが今後どういうふうな形で実用化・有効性の評価をするかということについても、新しい枠組みの範囲外かもしれませんが、そういうことも明確に示したほうがいいだろうということで、少し案として出させていただいております。
 参考6-3-1については、1.「有効性を担保して、臨床使用に至るまでの流れは以下のとおりと考えられる」ということで、現行制度等も参考にしますと、「再生医療・細胞治療」が、薬事法に基づいて治験に進むルートも当然ありますし、自由診療でそのまま行われるルート、そして、臨床研究を通じて、例えば、先進医療等の評価療養を行って、それが更に安全性・有効性が担保された場合には、保険収載につながるルートがあるだろうということです。
 2.再生医療・細胞治療のうち、医薬品の製造販売業者が流通させるようなものについては、当然、先ほどのルート?、薬事法上の治験を通じたものということです。稀少性の高い疾患等を対象とする院内完結型の治療で、かつ、自家移植のものについては、先進医療等の評価療養という形での進め方も現行制度を踏まえるとあるのではないかということで整理をさせていただいております。
 3.これは情報提供の部分にも関わってきますが、新法に基づく再生医療・細胞治療についての有効性の検証策は別紙のとおり、ということで参考6-3-2になります。再生医療新法による今回の枠組みでの安全性の確保を前提として、それ以降の有効性の検証策を考えた場合に、?国民への情報提供ということです。これは先ほども触れましたが、再生医療新法の対象となっている医療をホームページ上で公表していくこと。その進捗状況として、薬事承認を受けたもの、治験中のもの、保険収載されたもの、先進医療等の評価療養の対象となっているもの等を明らかにすることによって、どの医療について有効性が進んでいるか確認されているかの情報を国民が確認できるようにすること。?厚生労働科学研究費等を活用した有効性の検証ということです。これは薬事法の治験、あるいは先進医療等の評価療養に入ったもの以外の再生医療・細胞治療についても、特に有効性に疑念が持たれるもの、逆に、有効性が高いのではないかと考えられるもの等については、厚生労働科学研究費等を活用して、研究班による有効性の検証を行い公表すること。
 ?これも適切な情報提供ということです。広告規制の徹底ということで、現行においても、医療法は比較広告、誇大広告、あるいは広告を行う者が客観的事実であることを証明できない内容と。例えば、再生していないのに再生医療をうたうことも、もしかしたら今後含まれる可能性があるかもしれませんが、そういうものについては、再生医療新法に基づく報告、立入調査等を行う際に、こうした禁止された広告が発見された場合には、医療法に基づき是正を図ることも考えられるのではないかということで補足させていただきます。以上です。
○永井委員長 ありがとうございました。御質問はいかがでしょうか。
○前川委員 「再生医療・細胞治療」の言葉ですが、「・」があり、これは何でこの順番なのですか。再生医療は細胞治療の中に含まれるわけですので、すなわち細胞治療のうち、再生をした細胞や組織をもちいたものが再生治療ですので、「細胞治療•再生治療」あるいは「細胞治療及び再生治療」と言うような順番ではいかがでしょうか。伊藤委員が出された○○というのは見えているのですが、再生医療センターですが、ホームページ上で何を実施しているのか見てみますと、骨再生治療とか、確かに再生もあるのですが、あとはNK細胞とか、ビタミンCの大量点滴とか。結局、これは免疫に関係するようなことで、ただ「再生」という言葉が非常にはやっているので、再生医療センターと付けたと思うのです。
 もう1つは、私は伊藤委員のお話は全くそのとおりだと思います。研究に対して自由が保障されないといけないという法律的なところがあるかも分かりませんが、ヒトを対象とするような臨床研究に関しては、それはきちんと制限をしないと、自由があるからと言う理由のもとで、好き勝手にいろいろなことをやっても良いと言うのは問題だと思います。法律的には研究の自由を保障しなければいけませんが、それは基礎研究のことであって、患者さんを相手にする臨床研究は制限を加えるべきだと思います。それに、基礎研究でもヒトの胚をもちいた研究などは規制されております。こう言った研究も、「研究の自由を保証すべきだ」と言う観点から、自由にやっても良いと言うことにはならないと思います。
○永井委員長 いかがでしょうか。もう1つは、科学的有効性まで法の規制にしていくところです。それでは、どこまでならよくて、どこからいけないのか、結構、グレーなところがあります。100%効果があるというのは、有害性がなければもちろん良いと思います。ただ、10人に1人は効くとか、そこは良いのかどうかとか、100人に1人ならいいのかとか、あるいは駄目もとでいいから受けたいという人たちがいたときはどうするかとか、結構、悩ましい問題がいろいろ出てくるかと思います。そこまで法律で規制できるかということも、一方にはあるような気がします。
○宮田委員 それは大いに悩みますよね。しかし、良いものは、できれば保険収載に持っていきたいというのは、皆さんそうだと思うのです。
○永井委員長 そこは議論はないと思います。
○宮田委員 そういうベクトルをこの法律の中にどうやって盛り込むかということが、一番重要なのです。ですから、先ほどから、研究と自由診療の境は何だろうとずっと考えていると、良いものは研究のほうに持っていって、保険収載をどんどんしてほしいと思うのです。そうすると、効かない、効果がない、安全ではないかもしれないというものしか、自由診療では、結局はこの法律の下では残らない。それをきちんとみんなに返すことによって、国民が正しく判断して、いわゆる再生医療の自由診療が適正化することを、私としては望みたいと思います。駄目もとの医療の自由というのも、やはり重要だと私は思っています。しかし、賢い判断ができるような国民を作っていって、良い再生医療だけが残っていく仕組みを、この新法で実現できないか努力しようと私は思っています。
○大和委員 一言でやめますが、正直言って、私の印象は、宮田先生がおっしゃるところまで持っていくのは、難し過ぎて不可能に近いというものです。しかし、今自由診療で、野放しになっていること自身は問題だという認識は、誰もがシェアしていると思うので、最低限届出にして、把握だけはしたいと。それが効くか効かないかとか、有害事象がどうこうというのは次のステップで、ここではそこまで踏み込めないかもしれないが、取りあえず、届出、把握はする。
 臨床研究に関しては、「地域倫理審査委員会」という言葉がいいかどうかに関しては、やや議論をすべきだと思います。ヒト幹の審査が、もはや手に負えなくなっていて、一方では、何件も出している大学で、かなり間違いないものが上がってくる一方、今だに何回も何回もリバイズしないと通らないものが上がっている現実があって、同じ枠組みの中で全部審査するには、残念ながら、研発課の手が回らない事情があるのではないかと勝手に推察をしております。それを解決する1つの方法として、高中低の方法が編み出されたのではないかと勝手に推察しており、それに関しては、改善には向かう。しかし、宮田先生がおっしゃるような理想にはまだ程遠いということです。
○宮田委員 大和さん、それはやめてください。その届出だけというのは、やめていただきたい。臨床研究というのは、法律に基づいて安全性を担保するのが理想型ですが、前から議論しているとおり、今、私たちが、再生医療みたいな重要なものに対して、国民が体を張って経験を積んでいるわけです。その経験は全部集めて、我々の顧問がナレッジにしないと、こういったものはうまくいかないです。ですから、届出制だけでとどまるという意見は、私より消極的だと思います。
○大和委員 とどまると言っているのではなくて、もちろん6-3-2にあるようなことはやるのですが、この実現もものすごく難しく、大変なことがあるので、少なくとも、届出だけでも、かなり大きな1歩であるという認識を持ちたいということです。
○位田委員 簡単に申し上げます。国民への情報提供で、一般の国民に対して、伊藤委員が出されたような再生医療センターみたいな、まやかしのようなものが出てくる1つの理由は、今どこまで進んでいるかという情報はたくさんあるのですが、しかし、今、ここまでしか進んでいないという情報をきちんと与えてあげていないことです。例えば、今度、高橋政代先生の臨床研究が出てきますが、そこから、心筋細胞の移植の実際の医療まで行くまでに、一体何年かかるかという話は、国民には恐らく伝わっていない。つまり、少しずつ、きちんと1歩ずつ進んでいかないといけない医療なんだよということを知らせていただきたいと思うのです。再生医療というのは夢の医療だ、今、ここまで進んでいると言っているから、ひょっとしたら今できるかもしれないよと言うので、こういう再生医療センターに行く患者さんはたくさんいると思うのです。
 そうではなくて、目標は再生医療を保険収載されたところまで持っていくのですが、それまでにはこういうステップがあって、今のところは、まだ網膜ですよということを、きちんと教えていただく。つまり、マイナスとプラスの両方を教えないと、国民というのはプラスばかりしか見えないのでうまくいかないのではないかと思います。
○伊藤委員 もう1つ付け加えます。早川先生がおっしゃられたように、これは再生医療ではないと言うのだったら、それははっきり、こういうのは再生医療とは言わないということも、国民に情報を与えていかないと、何々と大きな町の名前が付いて、再生医療センターとあると。しかも、立派な建物に入っていると。国民はみんなそれを信用します。それではいけないということも、きちんと捉えていただければ有り難いと思います。
○永井委員長 まだ御議論はあるかと思いますが、次回以降、取りまとめをしていきたいと思います。次回は、報告書(案)を提示していただいて御議論をいただきます。事務局、よろしくお願いします。最後に連絡事項をお願いします。
○荒木室長 本日も長時間にわたり、御議論いただきありがとうございました。次回は、4月8日(月)3時〜5時で開催したいと思います。詳細につきましては、またメール等でお伝えいたしますので、よろしくお願いいたします。
○永井委員長 ありがとうございました。それでは、本日はこれで終了いたします。


(了)

照会先
厚生労働省医政局研究開発振興課再生医療研究推進室
TEL  03−5253−1111
内線 2587

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