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2012年11月29日 第1回依存症者に対する医療及びその回復支援に関する検討会 議事録

障害保健福祉部精神・障害保健課

○日時

平成24年11月29日(木)15:00〜17:00


○場所

虎ノ門スクエア スタンダード会議室
(東京都港区虎ノ門1−15−10 名和ビル 4階)


○議題

1.行政説明(依存症者の現状・課題)
2.有識者ヒアリング
 和田 清 先生(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 薬物依存研究部 部長)

3.その他

○議事

○江副課長補佐 それでは定刻となりましたので、ただいまより第1回「依存症者に対する医療及びその回復支援に関する検討会」を開催いたします。
 構成員の皆様方におかれましては、御多忙のところ御参集いただきまして、まことにありがとうございます。
 座長が決まるまでの間、精神・障害保健課の江副が進行役を務めさせていただきます。議事に先立ちまして、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長、岡田より御挨拶を申し上げます。
○岡田障害保健福祉部長 障害保健福祉部長の岡田でございます。
 本日は、大変お忙しい中「依存症者に対する医療及びその回復支援に関する検討会」に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 日ごろから、皆様方におきましては、依存症対策に御尽力いただいていますことにつきまして、この場をかりて心からお礼を申し上げたいと思っております。
 厚生労働省におきましては、各種の依存症対策につきまして、医療や福祉サービスの充実、連携強化について努力しているところでございますが、若干最近の動向を幾つか御紹介をさせていただきたいと思います。
 まず1つは、刑法の関係でございます。刑の一部執行猶予制度というのが、法務省のほうで導入についてさきの国会に法案が提出されるなど、現在検討が進んでいるところでございます。これによりますと、例えば現行の仕組みですと3年間刑務所で処遇された薬物事犯者がこの新しい仕組みの導入によりまして、刑務所での処遇期間が一部短縮されて、残りの期間は保護観察つきで社会の中で過ごすことができるようになるというような制度でございます。この場合、当然、地域におけます薬物依存者への対策がこれまで以上に重要になり、そういう取り組みを進めていく、そして充実させていくことが必要になるということが第1点でございます。
 それから、自殺対策の観点から依存症対策が非常に重要だという認識で取り組まれているところでございます。本年8月に改定されました「自殺総合対策大綱」におきましては、薬物依存症、アルコール依存症に加えまして、新たに病的賭博についてもその対策の必要性が記載されたところでございます。
 また、アルコール依存症対策につきましては、アルコール健康障害対策基本法というものについて議員立法の動きがあるということも承知しているところでございます。
厚生労働省といたしましては、このような各種の依存症対策へのニーズの高まりを踏まえまして、本検討会において依存症者に対する医療やその回復に向けた支援の方策などについて御意見をいただき、また関係省庁とも連携を図りながら依存症対策のさらなる充実強化などを図っていきたいと考えているところでございます。
皆様方には、ぜひ活発な御議論をお願いして、今後の依存症対策の大きな方向性について一定の方向をお示しいただければと考えているところでございます。
本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
○江副課長補佐 それではカメラにつきましては、ここまででお願いいたします。
(カメラ退出)
○江副課長補佐 では、お手元の資料の確認をさせていただきます。
 資料1は「依存症者に対する医療及びその回復支援に関する検討会開催要綱」でございます。
 資料2は「依存症者に対する医療及びその回復支援に関する検討会構成員名簿」でございます。
 資料3は「アルコール、薬物依存症患者の現状」でございます。
 資料4は「依存症対策に関する厚生労働省の取り組み」でございます。
 資料5は「今後のスケジュール(案)」でございます。
 資料6は「精神作用物質使用による精神および行動の障害対策に向けて」でございます。
不足の資料等がございましたら、事務局までお申しつけください。
よろしいでしょうか。
それでは、本検討会構成員の皆様を御紹介させていただきます。詳しくは、お手元の資料2を御参照いただければと思います。50音順に御紹介をさせていただきます。
まず、公益社団法人全国自治体病院協議会、川副構成員でございます。
○川副構成員 川副でございます。よろしくお願いいたします。
○江副課長補佐 続きまして、特定非営利活動法人東京ダルク、幸田構成員でございます。
○幸田構成員 幸田でございます。
○江副課長補佐 地方独立行政法人岡山県精神科医療センター、河本構成員でございます。
○河本構成員 河本です。よろしくお願いします。
○江副課長補佐 依存症者の御家族のお立場から、佐藤構成員でございます。
○佐藤(し)構成員 佐藤しのぶです。よろしくお願いいたします。
○江副課長補佐 株式会社読売新聞医療情報部、佐藤構成員でございます。
○佐藤(光)構成員 佐藤です。よろしくお願いします。
○江副課長補佐 医療法人社団コスモス会紫藤クリニック、紫藤構成員でございます。
○紫藤構成員 紫藤です。よろしくお願いします。
○江副課長補佐 公益社団法人全日本断酒連盟、立木構成員でございます。
○立木構成員 立木です。
○江副課長補佐 全国精神保健福祉センター長会、田辺構成員でございます。
○田辺構成員 田辺です。よろしくお願いします。
○江副課長補佐 依存症当事者のお立場から、月乃構成員でございます。
○月乃構成員 月乃です。よろしくお願いします。
○江副課長補佐 埼玉県立精神医療センター、成瀬構成員でございますが、所用により到着がおくれてございます。
 AA日本ゼネラルサービス、服部構成員でございます。
 それから独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター、樋口構成員でございます。
○樋口構成員 樋口です。どうぞよろしくお願いします。
○江副課長補佐 公益社団法人日本精神科病院協会、堀井構成員でございます。
○堀井構成員 堀井です。よろしくお願いします。
○江副課長補佐 北里大学、宮岡構成員でございますが、本日は御欠席との連絡をいただいております。
 続きまして、全国保健所長会、山中構成員でございます。
○山中構成員 山中と申します。青森県弘前に現在おります。よろしくお願いします。
○江副課長補佐 事務局の紹介は時間の都合上、省略させていただきます。
 なお、本検討会は公開のため検討会での審議内容は厚生労働省のホームページに議事録として掲載される予定ですので、あらかじめ御了承くださいますようお願いいたします。
 次に座長の選出に移らせていただきます。座長は資料1の検討会開催要綱3の(2)に基づきまして、構成員の互選により決めることとしております。
 どなたか御推薦ございますでしょうか。
 お願いします。
○田辺構成員 久里浜の樋口先生が適任と思いますので、御推薦いたします。
(「異議なし」の声あり)
○江副課長補佐 それでは、樋口構成員を御推薦いただきまして、御賛同いただけましたので、樋口構成員、座長席にお移りください。
 それでは、樋口座長に以後の進行をお願いします。
○樋口座長 久里浜医療センターの樋口と申します。
 座長をお受けしたのですけれども、非常に重い検討会なので心してやっていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それから、私のほうからちょっと一言だけ言わせていただきたいのですけれども、依存症というのは非常に大変な病気であるにもかかわらず、社会の中で多くはもがいている家族、本人がいて、しかし余り日の目を見ないという歴史がございます。今回、このように検討会を厚生労働省が正式に立ち上げていただいたということについて、我々、医療に携わる者として心から御礼申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは議事に入らせていただきたいと思います。
 まず、資料1でございますが、「依存症者に対する医療及びその回復支援に関する検討会開催要綱」について事務局より御説明いただきたいと思います。
○蒲生専門官 事務局でございます。
 資料1、「依存症者に対する医療及びその回復支援に関する検討会開催要綱」につきまして、御説明させていただきます。
 まず、この検討会の「目的」ですが、政府における各種依存症対策における取り組みといたしまして、「第三次薬物乱用防止五か年戦略」や「常習飲酒運転者対策の推進について」、「自殺総合対策大綱」において、相談支援の充実等が挙げられております。
 しかしながら、これらで挙げられている対策につきましては、乱用防止対策や常習飲酒運転者対策、自殺対策の一環として提示されているものであり、明確に依存症者に対する医療及びその回復支援の回復に特化した観点で取り組みを行っていくことが求められております。
 また、依存症者から回復するためには、精神科医療機関において適切に治療を行うとともに、医療機関、行政、自助団体、依存症者の家族等が協働して支援を行うことが重要でございますが、依存症の治療を行う医療機関が少ないということや、治療を行っている医療機関の情報が乏しいということ、依存症に関する効果的な治療法がいまだ見つかっていないということなど、依存症者が適切な治療を受けられていない現状にございます。
 さらに、現在、刑法等の一部改正が検討されており、その中においては更生保護法を一部改正し、保護観察における指導監督の方法として、規制薬物等に対する依存の改善に資する医療を受けられるよう必要な指示その他の措置を行うことを追加することとされております。また、依存症に対する医療体制の充実が強く求められているということでございます。
 このため、これまでの依存症に対する取り組みや調査・研究結果等を踏まえつつ、依存症者に対する医療及び回復支援に関する検討を行うこととさせていただきました。
 「検討事項」といたしましては、(1)依存症者やその家族が身近に相談できる場所の提供、(2)精神科医療機関で適切かつ継続的に依存症治療を受けられる体制の整備、(3)患者の個別の状態像に応じた各種治療・回復プログラムの研究・開発、(4)医療機関、行政、自助団体、依存症者の家族等の連携体制の強化、(5)その他依存症者に対する治療及びその回復支援のために必要な事項、これらを検討事項とさせていただきたいと思っております。
構成員の皆様には、別紙のとおりで既に御紹介をさせていただいております。そして、必要に応じて有識者を参加させることができるということにさせていただきます。
本検討会に座長を置き、構成員の互選によってこれを定めるということですが、これは既に樋口座長にお願いしたということでございます。
検討会の運営等に関しましては(1)検討会は、社会・援護局障害保健福祉部長による検討会といたしまして、社会・援護局障害保健福祉部長が開催するものとさせていただきます。(2)検討会の庶務は、社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課心の健康支援室が行わせていただきます。(3)本検討会は、公開とさせていただきます。(4)本要綱に記載のないものにつきましては、別途定めるものとさせていただきます。
資料1の説明に関しては以上でございます。
○樋口座長 ありがとうございました。
 続きまして、皆さんの手元に資料の3、4、5というのが配付されていると思いますが、資料3は「アルコール、薬物依存症患者の現状」、資料4は「依存症対策に関する厚生労働省の取り組み」、資料5は今後のスケジュールについて。この3つの資料について事務局のほうから御説明いただきたいと思います。
 よろしくお願いします。
○蒲生専門官 それでは資料3の説明に入らせていただきます。資料3「アルコール、薬物依存症患者の現状」ということで、1ページから6ページまでの資料となっております。
 まず、1ページをごらんいただきたいと思います。これは、ICD-10というWHOが出しております診断分類の一部を抜粋させていただいたものです。アルコール・薬物関連精神障害の分類というところでF1x.0からF1x.9まで、こういったものが羅列されております。現在まで医療が中心になっていたものが赤で囲っております「急性中毒」、「離脱状態」、「せん妄をともなう離脱状態」、「精神病性障害」。これらのものが主たる対象となっていましたが、今後、「依存症候群」つまり依存症というものも医療の対象として考えていきたいということで、このような記載をさせていただいております。
 なお、F1の次のxの部分に入るものとしましては、横にありますアルコール、アヘン類、大麻類、鎮静剤あるいは睡眠剤、コカイン、カフェインを含む他の精神刺激剤、幻覚剤、タバコ、揮発性溶剤、多剤使用及び他の精神作用物質という0から9までの数字が入ることになっております。
 続きまして、2ページ目になります。これもICD-10における依存症候群の診断基準を一部抜粋させていただきました。詳細はお読みいただければよろしいかと思いますが、特に重要な点は、ある物質あるいはある種の物質使用が、その人にとって以前にはより大きな価値を持っていたほかの行動より、はるかに優先するようになるということで、物質使用に基づくということが、依存症候群の診断基準として大事な点になるということでございます。
 続きまして、3ページ目です。これは病的賭博の診断基準になります。病的賭博いわゆるギャンブル依存症といわれているものですが、これにつきましても、詳細は全文お読みいただければよろしいかと思うのですが、この診断基準のポイントとしましては、第2パラグラフの下から4行目ぐらいからです。賭博をしたいという強い衝動を抑えることが困難であり、それとともに賭博行為やそれを取り巻く状況の観念やイメージが頭から離れなくなるといったことがあります。
こういった点で、依存症候群と病的賭博のある意味類似性というものが考えられると考えております。
続きまして、4ページ目の資料になります。「アルコール、その他の薬物使用による精神および行動の障害」。これは厚生労働省の患者調査による総患者数というものを示させていただきました。
御注意いただきたいのは、精神及び行動の障害ということで、最初にお示ししました精神障害の分類全てを含んでおりますので、この数字が依存症そのものをあらわしているものではないことを御了解いただけたらと思います。
 平成20年の値ではアルコールによる行動の障害は約5万人、アルコール以外の薬物が1万6,000人という数字になっております。今まで厚生労働科学研究等で行われた推計値によりますと、アルコール依存症者の数が約80万人というデータがございますし、薬物依存症に関しては約10万人という数字が出ております。こういうことから、いかに医療機関につなげていくかというのが今後大事な視点ではないかと我々は考えております。
 ちなみに病的賭博の総患者数ですけれども、平成14年から20年の間は500人未満、それ以前は数字がなしということになっておりまして、病的賭博の総患者数がなかなか表にでてこないということも今後の課題と考えております。
 なお、先日平成23年の患者調査の結果が公表されているのですが、これに関しましては資料作成に間に合わなかったものですから、次回改めてこの数字を入れたものをお出ししたいと考えております。
 続きまして、5ページ目でございます。保健所における相談件数ということで、地域保健・健康増進事業報告からデータを持ってまいりました。ごらんになるとおわかりになるように、保健所における相談件数はアルコール以外の薬物に比べてアルコールが圧倒的に多いという状況になっております。
 次、6ページ目の資料でございます。それに対しまして、精神保健福祉センターにおける相談件数ということです。これはアルコールとアルコール以外の薬物にそれほど差がないという状況になっております。
 資料3に関しましては、現状ということで手持ちのデータをお示しさせていただきました。
 続きまして、資料4の説明に入らせていただきたいと思います。資料4、「依存症対策に関する厚生労働省の取り組み」ということで、これは1ページから16ページまでの資料になっております。
 まず1ページ目でございますが、これは平成24年8月28日に改正されました「自殺総合対策大綱『自殺を予防するための当面の重点施策』」から、その内容を抜粋させていただきました。黒丸のところが厚生労働省が関係しているところ、赤字の部分が平成24年に改定されて新規で追加項目をしたところになります。
 真ん中の部分に、「適切な精神科医療を受けられるようにする」というコラムがありますが、それの一番下の丸ポツになります。うつ病以外の精神疾患等によるハイリスク者対策の推進ということがこの大綱に掲げられております。このハイリスク者というものが何を指すかということですが、次の2ページ目をごらんいただきたいと思います。
うつ病以外の精神疾患等によるハイリスク者対策の推進ということで、うつ病以外の自殺の危険因子である統合失調症、アルコール依存症、薬物依存症、病的賭博等という表現で記載されております。
このような観点からも、本検討会ではアルコール依存症、薬物依存症に加えて病的賭博というものも検討の中心にお据えいただけたらと考えております。
続きまして、3ページ目の資料でございます。これは「自殺予防と遺族支援のための基礎調査」いわゆる心理学的剖検調査というものの中間報告から持ってきた資料でございます。中高年、30歳から64歳を指しているのですが、そこで社会的問題を抱えた人の背景にアルコール問題があるという指摘がされております。特に注目すべきはアルコール問題とうつ病の合併ということがございますので、アルコール問題の背景にはさまざまな精神医学的な問題がかかわっているために、非常に今後重視していく必要があるという資料でございます。
4ページと5ページに関しましては、厚生労働省におけるアルコール依存症の関連対策あるいは厚生労働省における依存症関連対策ということで、それぞれ相談・指導、人材育成、調査・研究、地域体制整備というくくりで、さまざまな今の取り組みを書かせていただきました。
この中でアルコール依存症関連対策、薬物依存症関連対策どちらも相談・指導の部分で精神保健福祉センターの相談件数、相談援助・技術指導に関する数字が平成23年、一番新しいものにさせていただいております。資料3では平成22年までの数字をお出しいたしましたが、保健所における相談件数が現時点でまだ平成22年のもので、それと比較するために平成22年にさせていただきました。ここでは平成23年の数字を書かせていただいております。
続きまして、6ページの資料でございます。これは平成21年から平成23年度まで行われておりました地域依存症対策推進モデル事業の概要について御説明させていただいた資料でございます。
各自治体における依存症対策というものが、それぞれの地域の実情を反映していく必要があるだろうという視点におきまして、各自治体において独自の取り組みをしていただくということでこの事業を始めさせていただきました。御参加いただきました自治体としましては、北海道、栃木県、長野県、山口県、佐賀県、岡山市、鳥取県、北九州市の8自治体になります。
この自治体がどのような取り組みをしていただいたかということにつきまして、7ページ目と8ページ目に資料をつけさせていただきました。詳細につきましてはお読みいただければと思うのですが、このように各自治体においてさまざまな取り組みがなされています。
例えば栃木県では、薬物再乱用防止教育事業を初めとする薬物再乱用に特化した取り組み。逆に岡山市では、職域におけるアルコール関連問題実態などアルコールに特化したような取り組みということで、各自治体の実情を反映したさまざまな取り組みが行われております。
さらにこれらの取り組みが実際に参考に値する取り組みということで、幾つか9ページ目に上げさせていただいております。
例えば、自治体、医療機関、福祉関係機関、自助グループあるいは御家族との連携した依存症回復支援の推進とか依存症家族の支援、依存症支援者の研修、依存症に対する普及啓発活動の1つとしてのかかりつけ医研修、フォーラムの開催あるいはガイドブック等の作成などが、今後参考とすべきモデル事業での取り組みではないかと考えております。
続きまして10ページになりますが、依存症回復施設職員研修事業について御説明させていただいております。これは各回復施設の職員の方に研修をすることで、依存症に関する医学的知識や利用可能な社会資源に関する知識を得ていただこうという取り組みであります。特に自助グループの方々は、財政上の事情あるいは人員上の事情から、なかなか研修が行えていないというお声もございましたので、このような形で研修をさせていただいております。これは平成22年度より始まっておりまして、今年度も開催する予定でございます。
 その次の11ページですが、回復施設ということでお出ししました。代表的な依存症のリハビリ施設とか代表的な依存症自助グループということで、どういったものがあるのかということについて触れさせていただいております。
 続きまして12ページですけれども、「地域依存症対策支援事業について」ということで御説明をさせていただいております。これは平成21年度より実施しておりました先ほどの地域依存症対策推進モデル事業の結果を踏まえて、依存症の御家族に対する支援としての家族支援員の設置とか研修事業を実施するとともに、当該モデル事業における好事例を対象としてさらなる検証を図り、全国6カ所の自治体及び指定都市において実施するというものです。
 具体的な地域依存症対策支援事業のイメージが13ページに図示されております。このように国、自治体、依存症の御家族が依存症の方を支援していくというイメージになっております。
 続きまして14ページ、家族支援員についてというものがございます。これは、今後、厚生労働省として依存症の御家族も支援していきたいということで、依存症の御家族に対する相談支援、依存症の御家族への依存症回復施設の紹介、連絡調整あるいは依存症の御家族への依存症に関する普及啓発等を行って、依存症の方の御家族を支援するとともに依存症の方の回復の支援にも役立てたいと考えております。
 資料15ページに関しましては、地域依存症対策支援計画事業というものを平成21年度からのモデル事業からの流れとして示させていただいたものでございます。
 16ページ、「依存症家族研修事業について」ということでございます。先ほど申し上げましたように、今後、依存症の御家族への支援もしていきたいということで、先ほど御紹介させていただきました依存症回復施設職員研修事業と同じような形で、依存症の御家族、家族会というものに関して研修を行っていけたらということで、このようなものを考えさせていただきました。これは本年度から開催予定ですが、まだ実施はされておりません。これから公募の予定でございます。
 資料4に関しましては、以上でございます。
続きまして資料5でございます。「依存症者に対する医療及びその回復支援に関する検討会今後のスケジュール(案)」としてお出しさせていただいております。
第1回目、本日となりますが開催しまして、平成25年3月をめどに今後計5回予定をしております。第2回目としましては、平成24年の12月、つまり来月開催予定でございます。このときは、医療関係者からヒアリングを行う予定でございます。第3回目としましては、平成25年の1月中をめどに考えておりまして、このときの議題としては構成員の方、当事者の方、御家族等からのヒアリングを行う予定であります。予備日を設けておりますが、第4回は平成25年2月中ということを予定しておりまして、ここではこの検討会で議論されたことについての骨子案をお出しして、それについて議論をしていただけたらと考えております。そして第5回平成25年の3月中をめどで報告書を出させていただきまして、それについて議論をしていただけたらと考えております。
あくまでこれは案でございますので、状況によって少しその内容は変わっていく可能性がありますので、御了承いただけたらと思います。
資料に関しましての御説明は以上でございます。
○樋口座長 どうもありがとうございました。
 今、資料が提示されていたのですけれども、構成員の方々で御質問があったり、この点は明確にしておきたいというふうなことがありましたら、ここでちょっとお時間とりたいと思いますが、どなたかございますでしょうか。
○紫藤構成員 紫藤でございます。私は最近アルコールから離れていて、ちょっと不勉強なのですけれども、教えていただければと思います。
 資料3のところの4ページに、アルコール依存症者の推計値、約80万人とあります。以前、1980年代だと思いますが、私が久里浜病院でアルコールやっていたころは、たしかアルコール依存症は220万人と言われていた記憶があるのですけれども、推計値が変わったのは、統計のとり方等が変わったのかどうかということを教えていただきたいと思います。
 もう一つ、資料4のところに家族支援員があったと思いましたけれども、この職種がどういうものなのか、あるいは家族等が関係しているものなのか、家族支援員の具体的な内容について質問したいと思います。
○樋口座長 それでは、事務局お願いいたします。
○蒲生専門官 ありがとうございます。
 まず、最初の質問、アルコール依存症者約80万人ということでございますが、これは厚生労働科学研究で座長の樋口先生が中心になっておまとめいただいたものでございます。これは、サンプリング調査の中で対面でアルコール依存症の疑いがあるという、たしかICD-10に基づいていたと思うのですが、それをもとに出した数字と認識しております。
 次の家族支援員ということに関しましては、現在どういった方を家族支援員に据えようかというところで、実は議論しているというところが現状でございます。具体的な資格が要るのか、あるいは依存症の御家族の方に対する支援の熱意が強ければもうそれで十分とするか等々いろいろな議論がございまして、この点につきましては、今、課内で議論をしているところでございます。
 以上でございます。
○樋口座長 私が当事者なものですから、ちょっと追加させていただきたいと思います。
 前、210万人とか240万人とかといわれていた時代がありましたけれども、あのときは1984年に行われた日米共同疫学研究というのがございまして、そこの中で、久里浜式アルコール症スクリーニングテストというのを使って、それで推計していたのですね。やはりスクリーニングテストですから、少し広めに拾い上げるというようなことがあったので、210万とか240万という数だったと思いますけれども、今回は先生がおっしゃったとおり、やり方が違う。それで数が変わったということで、こちらのほうがより現実に近いのではないかというふうに思われます。
 そのほかに何かございますでしょうか。
 はい、どうぞ。
○堀井構成員 日精協の堀井ですが、私も樋口先生が冒頭に言われたように、この依存症の対策が政府で検討されるというのは非常にありがたいことだと思っていますので、うれしい思いで出席させてもらっています。
 ただ、依存症者という場合に、物質依存といわゆる過程依存、プロセスアディクションといわれる行動依存と、それから関係依存というような、依存といった場合に非常に大変な定義の問題があると思います。ここでは多分医療に限るものということで、これから和田先生の話があってから、その辺の話が出るかとは思うのですが、ある程度、依存の中でもこういうものを対策として行う、医療に係るものという定義でここでは一応いくということなのでしょうか。それとも、もうちょっとそれはこの後の議論でしていくということなのか。その辺、一応、コンセンサスを得てから全体の討議をしたほうがいいのではないかとは思うのですが、そのあたりをお伺いしたいと思います。
○樋口座長 大変、重要な御指摘だと思います。昨今いろいろな依存の問題が出てきて、インターネットの依存なんかもその中に入りますけれども、ここではどのようなものを主に取り扱っていくのかということについて、事務局のほうから御説明いただけますでしょうか。
○蒲生専門官 御指摘ありがとうございます。まさに御指摘ございましたとおり、嗜癖というところで、かなり広い範囲になってくると思います。とりあえずこの場では、先ほど御説明させていただきましたように、アルコール依存症その他の薬物依存症、そして嗜癖に関しては、自殺の総合対策大綱にも取り上げられていることから、病的賭博に限定して、主にこの3つを医療的な立場、そしてその回復支援という視点で御検討いただけたらと考えております。
○堀井構成員 ギャンブルを入れておられるので、アルコール、薬物という物質依存プラス少し医療にかかわるもの的なニュアンスがちょっと入るかなと思ったのですが、その辺は多分和田先生の話の後での話になるかとは思うのですが。
○蒲生専門官 もちろん医療という観点を中心に据えて考えているところではございます。
○堀井構成員 それでプロセスアディクション的なものは少し入るということで理解してよろしいですね。
○蒲生専門官 アディクションに関しては御議論の中で当然出てくるかもしれませんので、そこは皆様の御意見を踏まえて今後どう検討していくか。アディクションには、さまざまなものがございますので、ということになりますが、御回答になっているかどうか。
○樋口座長 田辺先生、どうぞ。
○田辺構成員 病的賭博の医療機関での対応というのはまだ少ないですが、実際上は、医療として必要なケースはたくさんあります。しかも、ソーシャルワークも含めまして包括的な医療的な対応をすれば改善するはずの人が、病気という認識や治療を要する状態という認識がないがために自殺に追いやられているというようなケースもあります。樋口先生も最初に感謝の言葉をお話しされておりましたけれども、今回、こうして厚労省が現代のアディクション全般の中から、病的賭博も含めて、自殺総合対策大綱や依存症治療の議論のテーマ設定をしてくれたということは、私は非常に感謝しているところです。ぜひとも医療の対象としての議論が必要な段階に入っているのではないか。特に我が国はパチンコが非常に広範に広まっておりますので、いろいろな調査をするとすごく大きな数字も出てきて、これはもう外国との比較検討なんかも必要なぐらいの段階に入っていると思いますので、私は病的賭博の医療のことも含めて議論していただきたいというふうに考えております。
○樋口座長 先生、よろしゅうございますか。
ほかにございますでしょうか。あと1人ぐらい質問とれるかと思います。
ないようでしたら、一旦ここの御質問とそれに対する回答については終わりにしたいと思います。
続きまして、独立行政法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部の和田先生からヒアリングを行いたいと思います。
和田先生、どうぞよろしくお願いいたします。
○和田先生 御紹介いただきました和田でございます。
 座らせて話をさせていただきたいと思います。
 皆さんのお手元に、資料6として本日私がしゃべらせていただきます内容を配らせていただきました。
 私は、その肩書のとおり薬物依存研究部というところに所属しておりまして、いわゆる物質依存の中でもアルコールを除くその他の薬物を中心にやっているところです。そういうことで、私のきょうの話は、アルコールも実はかなり同じ考え方で進めるべきところがありますが、それ以外の薬物依存についての話がメインになります。参考人なものですから余計なことは言えない立場ですが、先ほど堀井先生が言われたのは非常に重要な問題だと考えております。
 本質的に、アルコール及びそれ以外の薬物の依存は物質依存という言い方があります。これは、その物質自体が依存を生む力を持っているということです。どんな人でも、どんな気持ちで使おうが、使い続ければ依存する力を物質が持っているということです。
 それに対して、ギャンブルというものは、ギャンブルが持っているというわけではないです。それを使う人の心のありよう、生活のありよう、いろんなことがあって依存、依存という言葉が妥当かどうかはわかりませんけれども、そういう違いがあります。
 ですから、なかなか現実的にも、対応策を考えるときには同一レベルでやっていいかどうかという問題があるかと思いますが、それはまた皆さんのほうで考えていただければと思います。
 それから、資料の3なのですが、紫藤先生のほうからアルコール依存症者の数ということが出ましたが、同じことが実は薬物依存症者の約10万という数字にもあります。詳しいことは言いませんが、私の感想から言わせていただくと、これは厚生労働科学研究でやっておりますけれども、調査対象の母集団が妥当であったかという問題は前から考えております。これは、また今後の課題かと思います。
以上を大前提に、資料をごらんになってください。構成員の方々にここで私が改めて講義的なことをすること自体が、釈迦に説法的で、非常に恐縮なのですが、一応2つ目の図をごらんください。
そこの時間経過は左から右にと考えてください。薬物乱用というのがこの赤い矢印、1回1回「使った」、「使った」です。アルコールの場合には「飲んだ」、「飲んだ」と考えてもらっていいかと思います。そういうことを繰り返しておりますと、脳の中に変化が起きます。その結果、薬物依存という状態が形成されるわけです。そうなりますと、ますます乱用の頻度が増えます。最終的には、例えば覚せい剤なんかの場合には、慢性中毒として、幻覚・妄想状態、精神病状態になります。そうしますと、その方は、幻覚あるいは妄想に頭が占領されまして薬物乱用、使う頻度自体は減ってくるということになります。
ここで問題は、薬物依存ということはどういうことなのだということなのですが、それが3番目の図でございます。これは、薬物によりまして、アルコールを含めても結構です、脳のどこに作用するかは、作用点は全て薬物ごとに違います。ただし、依存性をつくる力を持っている薬物は、最終的には、私たちがA10神経系と呼んでいる神経があるわけですが、中脳の腹側被蓋野から側坐核というところに行っているA10神経系に作用しまして、ここが変質します。簡単に言うと、ここがいつもアルコールを含めて薬物を呼び込む脳に変わってしまうということなのです。これは医学で依存症が認められた根拠でもあります。結果的に、そこの作用がおかしくなっておりまして、個人の持っている精神力だけでは自制がきかない。極端な場合は、覚せい剤の場合でしたら、依存されている方がもうやめようと思って残っている覚せい剤をごみ箱に捨てた。捨てた途端に左手がごみ箱を探っているという現状が起きたりします。頭の中で考えることと行動がばらばらになるという、まさにそこまでいってしまうという事態があります。これが典型的な依存症です。
4番なのですが、結果的に依存症あるいは薬物乱用というものは、モグラたたきの機械とモグラの関係だと考えております。その方自身がモグラたたきの機械になってしまう。いわゆる依存症、依存という状態になってしまうと、意思に反してモグラという薬物乱用が際限なく現れるということです。
ついつい、私たちはモグラに目をとられます。ついつい、モグラをたたくわけですけれども、もとのモグラたたきの機械が変わらない限り、モグラは出続けるということなのです。そうなってくると、モグラを適度にたたきながら脳の異常の本体に対する、いわゆるモグラたたきの機械に対する何らかの方策を講じないとエンドレスということになります。これが依存症の難しいところかと思います。
5番の図をごらんになってください。基本的にそういうことで我が国でとられている対策は、薬物の場合でありますと、乱用というものについては、乱用してはだめだよということでまず予防教育です。しかし、残念ながらそれでも使ってしまう方々が後を絶たないということで大変な問題になっているわけです。結果的に、違法な薬物の場合には取り締まらざるを得ないということです。それに対して現在の医療は、厚労省の担当者のほうからも、これまで医療として何を対象としてきたかと最初に話がありました。まさにここの私の書いた図で言いますと慢性中毒いわゆる精神病状態ですね。そこについては、やってきたのだと思います。これから、今、ここで議論すべきことは、薬物依存に対してどう対応していくかという具体策に向けての検討になってくるのだろうと考えております。ということで、この赤に塗りましたところを順番に、1番から4番まで少し説明させていただきたいと思います。
まず現存の医療です。次のページの7のスライドをごらんになってください。
これは、典型的な覚せい剤精神病の方の症状を実際に調べまして図にしたものです。左のほうは、覚せい剤を使いつづけて覚せい剤精神病になった方が100人病院に来たときに、どういう症状を持っていたかということを実際に調べたものです。赤い色になっております幻聴だとか妄想、まさにこれが精神病と言われる中核的な症状です。目に入るもの全てが自分に対する敵に見えてくる、極端に言いますと、目に入るもの全員が自分を殺しに来ている、包囲されて攻撃されるという、包囲襲来妄想という状況になります。これが街の中で起きれば通り魔事件という本当に悲惨な結果を生むわけです。ところが、実はこの調査は20年前の結果です。その当時でも、精神科の医療でいわゆる薬を使って治療しますと、幻覚、妄想というものは治療薬によって消えます。3か月以内、長くて3か月治療をしてその症状がどう変わったかというのが右のほうになるわけです。当時ですら、幻覚、妄想は本当にもうよくなって、幻聴が残る方が当時はまだ2割いましたけれども、この20年間で精神科の治療薬がすごい進歩を見せております。ということは、もっともっと現在では治りがよくなっていると考えるべきだと思います。ということは、幻覚、妄想を中心とする精神病状態については、現在の医療でやれるのだということだと私は考えております。
ところが問題があります。8番です。これは『精神保健福祉資料』という本に出ている、公表されている全国の6月30日現在の全精神科病院の調査結果なのですけれども、専門病棟がどのくらいあるのだという数字です。ここで出てくる専門病棟という定義は、1つの病棟で、そこにあるベッドの半分以上がアルコール関連精神障害者用であればアルコール専門病棟、それ以外の薬物専用であれば薬物の専門病棟というふうに定義づけているようです。こうやって見るとアルコールの方々もやはり苦労されているのでしょうけれども、何と薬物という欄には、病棟数は非指定病院にわずか1、同時に病床数70、こういう数字しか出てきません。これは本当に驚くべきことでして、その詳細というわけではありませんが、次の9番をごらんになってください。
9番の上のほうですが、これは厚生労働省が調べている結果ですけれども、6月30日現在、我が国には31万人の精神障害者が入院しております。そのうち多いのは統合失調症6割です。あと2割が器質性精神障害ということになります。いわゆる物質障害、アルコール及びそれ以外の薬物による患者というのは全体の4.7%しかおりません。しかも4.7%のほとんどはアルコールの患者さんです。それ以外の薬物は何と少ないことかということなのです。これは、本当に患者が少ないのかという話になってくるわけです。実はそうではないという現状は、本当に医療現場の方々は嫌というほど御存じだと思います。また、実際問題、そういう対象者を抱えている家族の方々は、この問題にまずぶち当たります。どこに連れて行っていいのだ、診てくれる病院がないよと。これは大変な結果です。このスライドの9番の図の下半分は、私が調べている結果ですが、私は自分の専門としまして、薬物乱用者の中でのHIV感染の割合を調べる調査もやっております。そこに協力していただいている全国の病院が幾つかあるのですけれども、そういう病院の6月30日現在入院している方々の人数をもらうことができます。そういう人数を日本全体と比較すると、これは精神科病院全体では0.2%にしかならないのですが、何とたった4つの施設で全国に入院している覚せい剤患者の12%が入院しているというすごい偏在ぶりが出てきます。これは本当に正直言いまして、医療の貧困としか言いようがありません。ということで、これはもう大変な事態です。
それでは、覚せい剤に特化していいますと、覚せい剤依存症者はどこにいるのだという話になります。それが10番です。毎年新たに新受刑者として大体3万人前後刑務所に入ります。そこに罪名が出ております。何と2番目に多いのが、これはずっと昔からそうですが、覚せい剤取締法で入ります。覚せい剤取締法で刑務所に入るということは、実は初犯ではないのです。ここがポイントです。覚せい剤取締法の初犯というものは、その当の本人が暴力団員ではない限りは、基本的には実刑1年6カ月、執行猶予3年とパターン化されておりまして、最初はそういう判決になります。執行猶予です。刑務所に入りません。そこで刑務所に入ったということは、また捕まった、またやってしまったということなのです。またやったということは、実は見方を変えれば、薬物依存症の可能性が非常に高いということです。結果的に薬物依存症者は刑務所にいたということです。
ということで11番になります。これはきょう事務局の方からも話がありました。これは法務省のほうで刑の一部執行猶予という、再犯率を下げるための新しい施策だと思います。これが依存症者にとって妥当かどうかは別としましても、近いうちに確実に制度化されてくるのだろうと思います。そうしますと、1つの例ですが、今まで刑務所に実刑3年で入っていた方は、実刑2年6か月、うち6か月は刑務所を出てから執行猶予3年とか、早く刑務所から出てくる。出てきた後に執行猶予がつくという形になります。そうすると、そういう方々をどうするのだという大変な問題が出てくるわけです。ところが、残念ながら、今、お示ししたとおり医療の受け皿がございません。本当に少ないのです。これは早急に考える必要があります。それが11番です。
入院に関して言いますと、とにかくもっともっと整備する必要があります。モデル的に基幹病院というものを考えてもいいのではないか。これは地域格差がありますので、私は最初から全国一律にと言う気は余りないのですけれども、やはり現状に即してそういう基幹的な病院の整備と同時に、治療法ということもあります。薬物依存症に対する特効薬は残念ながらありません。ところが、私たちはこの間数年かけてワークブックを使った認知行動療法というものを開発してきました。後ほど説明しますけれども、これはなかなか捨てがたい魅力があります。ですから、受診すればいいという話ではなくて、受けてそこで何を施すか、何を提供するかという具体的な中身を提起していくことが非常に重要だと思います。そのあたりを1つ私は考えていただきたいと思います。同時にそういうことをやるためには、病院といえども医療経済というものの上に立っておりますので、そういうことがちゃんとできるような、端的に言いますと診療報酬上の手当てをしないことには何も変わりようがないと考えております。これが入院医療に対する私からの皆さんに対するお願いということになります。
さて、次に「これからの医療」と書きましたが、簡単に言いますと「これからの医療」と書いた先にあるのは、矢印の先あたりなのですが、これは入院の必要はありません。要するに外来の話です。薬物依存症というのは、まさに渇望といいまして、欲しいというその気持ちをどうコントロールしていくかが全てです。この渇望は、絶対に使えない環境下ではしぼみます。もう消えてしまったほどにしぼみます。しかし、自由になって使える環境下になると一気にそれが膨張します。簡単に言いますと、喫煙者のたばこがそのものです。要するに、長時間の飛行機の中では吸わなくても平気なのです。ただし、目的地に着くと真っ先に喫煙所に行きます。そういうことで、刑務所にいる間は渇望は限りなく消えます。もうなくなったと思います。しかし、出所して自由になりますと、覚せい剤が目に入ってくると、もう我慢できません。渇望とはそういうものです。これはなかなか消えません。そういうことで、外来いわゆる自由な環境下でどう乗り切っていくかというのが依存症の一番大変なところだと思います。ここを何とかしないと薬物問題は対応できないと考えております。
そこで13番になるのですが、これは私たちの研究部で全国の精神科病院について調査いたしました。少々古いのですが、おたくの病院で薬物依存症に対する治療プログラムはありますかという質問です。何と薬物依存に特化されたプログラムがあると答えた病院はそのうちの5%しかなかったのです。アルコールを含めると大体13%ないしは20%に増えるのですが、余りにも貧困です。実はこの当時は、我々はまだ認知行動療法を開発しておりませんでした。ですからこういう数字になります。そこで本当に認知行動療法の開発に取りかかるわけですが、ワークブックという小冊子といいましょうか教科書といいましょうか、それをみんなで勉強しながらやっていこうという今までの発想になかったものなのです。
 14番がSMARPPという、ここの構成員にも入られている神奈川県のせりがや病院の職員たちが頑張って開発したものです。SMARPPをもじって多摩総合精神保健福祉センターがTAMARPPですね。何とか「プ(PP)」というのが全国に随分広がりました。埼玉の場合にはLIFEというのがあります。
次のページになりますけれども、これはTAMARPPの内容です。これは全8週間で一通り終わるプログラムです。毎回テーマが決まっております。そういうテーマごとに読み合わせをやりながら、自分の場合はどうだ、人の場合はどうだ、またみんなでディスカッションして、簡単に言うと渇望が起きたときにどうやって乗り切るか、それぞれ工夫をして実際にそれを実践する。それの繰り返しの中で、それこそダルクではありませんが今日1日です。今日1日やらない、それをまたあした繰り返す。それによって365日繰り返せば1年ということで、こういうワークブックを使った認知行動療法というものを開発しました。これはなかなかすぐれものです。薬物依存症者は外来に通ってきてもなかなか長続きしないのです。どういうことかというと、病院に診察に行っても薬物依存の治療のための特効薬はありませんから、原則薬は出ません。そうすると、医者の聞くことは、「どうあなた、この2週間薬使った?、使わない?」とくるわけですね。使わなかったと言うと「ああよかったね、頑張ったね」となります。ところがそこで使ったという話になると、「何だおまえ、しようがないな!」と、病院に行くたびに説教食らう。ましてや帰るときには医療費も払ってくる。叱られてお金を取られると誰も通わない、これが現状なのです。ということで、3か月間外来を継続する人が何と3割ぐらいしかなかった。ところがこのSMARPPを始めたら、それが6割に伸びている現実があります。これは非常に重要なことです。薬物依存からの回復というのは、やはり継続です。やはりどこかにつながり続けることが大切だと思います。ということで、私はこのワークブックを使った認知行動療法は非常に大切なものだと考えております。
16番です。そういう私たちが開発しました認知行動療法、何とか「プ」というプログラムですけれども、現在、医療機関で全国32か所、保健行政機関、精神保健福祉センター中心で9施設、ダルクの方々も利用されていて12か所、それから司法機関10か所、これは刑の一部執行猶予を狙いまして刑務所からスムーズに外に出てくる準備のために試行しております。この数年間で随分と広がりを見せております。それだけ個々のところがこういうものを望んでいたという事実と、またそれなりの価値があるのだろうと思います。
17番です。通院医療に関しましては、ワークブックを使った認知行動療法というものをどんどん広めるということが、やはり非常に現実的なのではないかと考えております。しかし、これもただではできません。ワークブックには印刷費がかかります。そういうことで、これもどこかで診療報酬的なものがないと実際にはできない。あるいは場合によっては、そういうことをやるための人の確保ということも重要になってくる。それと同時に、そういうものを医療機関が提供してこそ、民間リハビリテーション施設あるいは自助グループとの連携がますます進むのだろうと思います。
現状の薬物でいいますと、ほとんどのところが幻覚、妄想は病院でやるけれども、それ以外はダルクという民間リハビリテーション施設に「丸投げ」に近い状況が続いております。病院も病院としてできることは提供する関係、それをもってこそ初めて自助グループとの連携ということが、有機的連携という形になっていくのだと考えております。
それから3番目です。まさに家族です。家族の方々はもうくたくたです。疲労困憊です。あらゆる努力をしてきて、本当にうまくいきません。家族の対応がいいも悪いも当事者に影響するという大原則があります。まず、家族の心の健康を取り戻すということをやっていかないと、家族の患者に対する対応はいい方向に動きません。ということで、この家族に対する対応もきちんと考えていく必要があると考えております。目指すものとしては、本人も家族も、基本的には医療が手をかしながらも、最終的には回復支援グループにつなげてゆく。そういうところが目指す方向かと思います。
私は基本的に、全て何が何でも医療機関が全部丸ごとやれと言う気はありません。やはりいろんな方々の得手不得手があります。そういう意味では回復支援グループにつなげるというのは非常に重要なことかと考えております。
19番です。一番最後になりますが、これまで精神保健福祉センターを中心に家族教室というものが行われております。ただし、これはもう始まってから10年以上経っております。ここで、私は見直しが必要だということを言わせていただきたいと思います。これは地域差もあるのですが、かなりのところでは年に1回講師を呼んで講演会をやることによって、家族教室をやったという言い方をします。私はそれでは不足だと思っているのです。もっともっと家族がどういうとき、どういう接し方を本人にしたほうがいいとか、そのノウハウを含めて本当に具体的なところを指導していく家族教室が必要な地域がいっぱいあります。大都市がそうです。
そういうことで、実はこれも我々の仲間ですが、新潟医療福祉大学の近藤あゆみ先生の家族向けのワークブックを使った認知行動療法、4回構成ですが、開発されております。具体的なそういうことも厚生労働科学研究で開発してきました。これはもう少し練る必要があるかわかりませんが、既に数カ所でトライアルが始まっております。最初の結果は今年度末には報告してもらえると思いますけれども、施設によっては、こういうことを提供していく家族教室もやはり広めていく必要があるのだろうと考えております。
最後に全てのまとめになりますけれども、基本的には依存というものは入院していて治るものではありません。問題は自由な環境下でも薬物を使わない、アルコールを使わない。そういう意味ではギャンブルも同じなのだろうと思います。そういうことで地域ということが非常に重要になってくると思うのです。当然外来医療、入院医療は地域とつながる必要があります。それと同時に、そこにはやはり民間の方々といかにうまく連携するか、これは丸投げではだめですよということをやはり強調したいと思います。
それともう一つ。現在の精神保健福祉センターは、いろんな業務があって書類業務が非常に増えていて皆さん大変だと思います。ですから、現状の中で何か新しいことをやることは非常に困難だろうと思いますが、この精神保健福祉センターというものは、全ての都道府県に最低1カ所は必ずある施設です。今後、地域との架け橋として、そこをうまく利用するということを具体策として考えていく必要があるのではなかろうかというのが本日の私の話になります。
それで、1つ最後のお願いです。こういう話になりますと、総論的な玉虫色の総論というのは今までもいろんな話が出ております。しかし、そんなことでは前に進めません。今、必要なのは具体策です。ということで、私は、ここで1つの例としてワークブックを利用した認知行動療法をどううまく利用していくか、それでこそ日本のシステムが前に進むという考え方で、いろんな問題を個別に前に進むための各論を推し進めるための検討会という形になっていただければと思っております。
私の話を終わらせていただきます。
○樋口座長 和田先生、包括的な説明ありがとうございました。
 時間も押しているのですけれども、非常に貴重な御意見いただきましたので、今の和田先生の御発表に対して御質問があれば受けたいと思いますが、どなたか御質問ございますでしょうか。
 どうぞよろしくお願いします。
○月乃構成員 外来でワークブックを使うと6割ぐらいが3か月継続するという話ですけれども、これはマンツーマンなのですか。外来通院でグループでワークブックを学習するのかをお聞きしたいのですが。
○和田先生 大原則は、外来でグループです。
○樋口座長 ほかはいかがでございましょう。
 はい、どうぞ。
○河本構成員 和田先生、まとまった話、ありがとうございました。
 幾つか聞かせていただいてTAMARPPというのをうちの岡山の病院でもステムという名前で1年弱ぐらいさせていただいているのですけれども、和田先生のお話のとおり、外来の通院継続率みたいなものは、確かに増えているなと思います。ただその中で、和田先生がおっしゃられたし、きょうの話にも出ていますけれども、依存症医療が依存症そのものの治療に対してはほとんどなすすべがない。依存症の基本はクレイビングですね。コントロールが非常に難しくなるということなのですけれども、それに対しては精神医療というか、医学というのはほとんどなすすべがないのですね。となると、延ばしてもただ延ばしているだけで、たまたま運よく医療とは関係のないところで回復の道を歩んでいく人もいます。それを待つのは待つとして意味があるかもしれませんけれども、ただ、ある意味だらだらとステムとかうちのようなプログラムを使って、きょう1日をとか、先延ばししながら延ばしているのは、極端な言い方ですけれども、詐欺みたいなものではないかなと思ったりもすることもあります。
 ですから、特効薬というか、クレイビング、欲求に対する何らかの手当てみたいなのも、本当に精神医療というか精神医学の役目かもしれませんけれども、これはこれでしっかり取り組んでいかぬといけないのかなと思います。
○和田先生 そういう魔法の薬があれば、それにこしたことはないと思います。それはそれでそれを専門にする研究者たちはやはり世界中がやっております。なかなかうまくいきません。
ただ、今のお話をお聞きして思ったことが、どうしても私たちは病気とか疾患といいますと、「治す」、「治った」、「治らない」、そういう言葉で考えます。しかし、残念ながら、そういう言葉でいえない病気があります。慢性疾患です。例えば糖尿病がそうです。一旦糖尿病という病名がつくと「治す」話ではございません。血糖のコントロールが治療です。そのためには食事療法をやるでしょう、あるいは薬を飲むでしょう、インスリンも使うでしょう。何をやっているかというと、これは糖尿病を治しているのではありません。血糖のコントロールをやっているわけです。まさに依存症の治療もそうです。コントロールです。治すという考えを持っている限り、これはなかなか広がりを持たない可能性があります。ということで、慢性疾患という捉え方をする中で、いかにコントロールをうまくやっていくかという見方が非常に重要かと考えています。
○河本構成員 そのとおりだと思います。
 だとしたら、アルコールも薬物もギャンブルもそうですけれども、断ち切るとか、断酒とかではなくて、覚せい剤なら2回使ったのが1回に減ってよかったねとか、ギャンブルもそうですね。それをある意味依存症医療のスタンダードにしていかないといけないのではないかと思います。和田先生が言われるように断ち切るまでの治療技術が進んだら、そこで初めてアブステンス、断ち切ろうということがあがるかもしれませんけれども、今、本当に極端に言うと、断酒を節酒にかえるとかいう、節酒がいいかどうかはわかりませんけれども、少なくともコントロールをしていく、少しでもコントロールができたらよかったねというふうに変えていくような、依存症医療の戦略みたいなものの変更を厚労省も国も含めて一つ出していけたらなと思います。
 その視点で見ると、どんな教科書を読んでも依存症といえば、方針は断ち切ることと決まったように書いてあるので、きっとそこも一つそう考えると問題かなと思ったりしています。
○樋口座長 非常に重要な問題なので、ここでそれがいいとか悪いとかいうような結論を出すべきではないと思います。検討会が進む中でこのような議論がまた出てくるかもしれませんので、そのときにまた議論できればと思います。
 少し時間が過ぎていますので、ここで和田先生のお話と質疑応答を一旦終わりにさせていただきまして、次に進みたいと思います。
 この検討会を今後どのように進めていくかというのは非常に重要な話だと思います。先ほどから話にも出ていますとおり、どこまでを対象にするのかとか、いろいろなまだ定かでない部分がございます。そこで、各構成員の方々に二、三分で検討会を今後どう進めていくべきかというようなことについて御意見をいただければと思います。大変申しわけないですけれども、先ほどのあいうえお順に従って川副先生から二、三分程度でお話しいただければと思います。
 どうぞよろしくお願いします。
○川副構成員 川副です。全国自治体病院協議会から参りましたけれども、普段は神奈川県立精神医療センターせりがや病院で仕事をしております。アルコール、薬物いずれも受け入れて、最近もいわゆる脱法ハーブの方3名が初診で来られ、今週のある日はアルコールの方が3名いらっしゃいましたし、さまざまな方がいらっしゃっています。たまたま私も最近知ったのですが、樋口先生の久里浜医療センターと発足の年は同じなのだそうです。来年50年を迎え、発足当時の麻薬の流行期に横浜港がそういう物資の流入の場所だったということでできた県立病院とのことです。
 私どものように先ほどからのSMARPPのようなプログラムをやっている、院内的には「SMARPPのSはせりがやのS」がスローガンです。それで先ほどから部長さんのお話にもありましたような背景のもとで保護観察所の方が研修においでになる、逆に私どもの職員が保護観察所に研修会に出向く、もちろん保護観察所の方のお勧めで患者さんが初診に来る、そういったことをずっとやっています。そういう立場からしますと、やはり、何らかの拠点的な医療機関というものは必要になるのだろうと認識しております。これはまたいずれと思いますが。
アルコール、薬物の依存症並びにそうした物質が引き起こす中毒性の、伝統的な言い方でいいますと中毒性の精神障害。アルコールも幻覚、妄想状態を起こします。抑うつ状態を起こします。認知症も起こします。同じように覚せい剤が幻覚・妄想状態を起こすことも有名な事実です。そうした精神症状を引き起こすという意味で、依存症に陥るとともに、精神病症状を結果的に引き起こす。その両面でやはり物質依存の問題について外来、入院治療のあり方について、それが全てではありませんけれども、ぜひ中心的な課題の1つとして取り上げていただきたいと思っております。
 とりあえず以上です。
○樋口座長 ありがとうございました。
 それでは、幸田委員お願いします。
○幸田構成員 東京ダルクの幸田です。
今、ダルクは全国に50から60の施設があって、七、八百人の人が利用されているというふうに思います。ただ、僕はその全国のダルクの代表としてここにいるわけではないので、私がやっている東京のダルクでのことしか、なかなか申し上げられません。ただ今回の委員会のお話はできる限り全国のダルクのほうにフィードバックしていきたいというふうに思います。
それでダルクをやっていて一番感じることは、薬物依存症の人たちがダルクに入ると多くの人たちが薬物はとまるわけなのですけれども、薬物依存症から薬物を取ると依存症というのが残ってきて、そうするとその中にやはり多くの生きにくさといいますか、生きづらさみたいなものがはっきり見えてくるわけですね。薬物を使っている間は薬物による症状のほうが大きくて、そちらが見えてこないわけなのですけれども、薬がとまってきますと、本来持っている依存症の生きにくさの部分が非常にクローズアップされてきて、そういう部分で、私たちはケアをしていくわけなのです。
ダルクには今、薬物の方もアルコールの方も一部ギャンブルの方もいます。依存症は違っていても一緒にやれているというのは、何らかの共通点があるのだと思います。ただ、医療機関に私たちが期待する部分では、それぞれアルコール依存、薬物依存、もちろんギャンブルの人もそうですけれども、依存症の種類によってどの部分をどういうふうに医療機関に協力していただきたいかというのが若干違うところがあります。それと同時に、症状がとまって半年から1年してくると、その本来の姿が見えてくるわけなのです。精神疾患と依存症と幾つかの合併症を持っている方がはっきりしてきて、その部分に対してダルクとしては、もう本当に素人の施設ですので、対応がなかなか困難になっている。高齢化という問題も伴ってそういう方たちのダルクを出た後の行き場がないというところで、非常に困ってはいます。回復過程でどの部分で医療機関にかかわるのが適切かというのが非常に難しいところだと思います。
以上です。ありがとうございます。
○樋口座長 ありがとうございました。
河本構成員お願いします。
○河本構成員 岡山で、実際の日々の仕事としてはアルコール、薬物、ギャンブルの診療を担当させてもらっています。特にギャンブルの取り組みの中ですごく悩むのは、ギャンブルだけの問題の方と、それから先ほどダルクの方がおっしゃられたような合併障害、特に広汎性発達障害とか自閉的傾向を持っている方が多いこと、あと統合失調症とギャンブル、どちらが後か先かは別として、合併されている方が多いです。
その中でギャンブル単独の方は二、三回ぐらい外来診察をして、GAに通っていきましょうとか、あるいは院内ミーティングもあるのですけれども、そういう自助グループの中で回復していかれるのですね。だから、余り依存症単独の人はそう長く医療はかかわる必要はないのですけれども、合併症のある方はなかなかグループにも適応しにくいということなどがものすごく課題になるなと思っていました。先ほどダルクの方がおっしゃられたように薬物依存症の方と合併精神障害、特にどこまで覚せい剤の精神病でどこから統合失調症かというのが非常にわかりにくい方の場合は、ダルクの中でもそこら辺対応が難しいし、医療としても難しいなということがあります。ですから、ここで明らかに医療が診るものと、ここから先は変に医療が抱えるとくさらせてしまうなと思うような方、純粋に依存症の方はそういう回復グループのほうに行けばいいのですけれども、そこら辺、どこまで医療が抱えて、どこら辺が境界域でというのが一つ検討できていけたらいいと思います。そこら辺を見えるようなことは難しいと思うのですけれども、指針が出せたらいいなというのを医療の側と回復グループの側からいろいろ出して検討していきたいと思います。
○佐藤(し)構成員 佐藤です。よろしくお願いします。
 今回、家族の立場で参加させていただいていますが、私はギャンブルとアルコールと薬物、今回厚生労働省が取り上げてくださる依存症が3人とも家族にいるわけです。実際、10年ぐらい前から、そういう家族の会ですとか、先ほどお話の中にもあった自治体がやっている家族教室、毎月やられているところにたまたまちょっと通わせていただいていましたし、今もちょくちょく顔を出させていただいています。実際には、本来それは無料ですし、もっと多くの方に知られて、いらっしゃれるかなと思うのですけれども、なかなかそこに行き着くところまで一般的に知られていないということが、とても大きな問題だと思っています。現在、私は家族だけではなくて本人も一緒に回復をしましょうという自助グループを主催させてもらっているのですけれども、そこにいらっしゃる方たちというのは、そこにいらっしゃるまでが本当に何年もかかってらっしゃるのですね。どこに相談したらいいのかわからないような現状ですね。親戚、家族の中でそんな話をするのはとんでもないだろうということもあって個で隠している現状があり、ようやくの思いで、どうにもならないのでとか、警察沙汰になってとかそういう形で表に出るのに数年かかっています。つながってからも、またさらに、もうよくなったのではないかとか、もうよいだろうという家族のほうの否認も強いので、家族自体に知識がないということもとても問題だと思っています。今回のように家族のほうにそういうふうな学ぶ機会を与えてくださることとか、社会のほうに向けてこういう取り組みがなされているということをもっと一般の人たちに気づいていただけるような形ができたらなと思っていますので、本当に期待しております。
よろしくお願いいたします。
○佐藤(光) 読売新聞の佐藤です。
 私もいろいろ取材を通して、こういった依存症の治療について知る機会が最近特に多いのですけれども、思うのは、依存症の治療は和田先生が説明されたような認知行動療法、それから薬物療法、こうした幅広い手法を組み合わせて行うことが必要な精神科医の総合力が試される医療だなというのを感じています。それこそ、精神科医になる人はみんな依存症治療の研修をしたほうがいいのではないかというぐらいの、とても大切な医療だと思っています。
ちょっと時間もないので簡単に、薬物依存のことに絞って3点言わせていただきたいのですが、まず、やはり和田先生もおっしゃったように治療できる医療機関がない。薬物依存症を体系的なプログラムを組んで治療できる病院というのは、全国でも10か所ぐらいではないかといわれているわけですね。これを早く整備していくことは非常に重要だと思うのですけれども、その前に何でここまで放置されてきたのかということを、しっかり検証した上でやっていったほうがいいのではないかと思うのです。
というのは、薬物依存症の患者や家族は、医療機関に相談をしに行っても、「うちでは診ていません」と言われてしまうことが非常に多いようなのですね。せっかく医療につながっているのに拒否されてしまう。これは非常に問題で、そもそも医者が患者を嫌がっているのではないかと思えてならない。そういう現状の中で、対応施設の数だけどんどん増やしていっても、まともな医療なんかできないのではないかという感じもしますので、そういう医者の意識から変えていく必要があるのかなと、この問題は結構根深いものがあるなということを感じています。
 それから治療を進めていく上で、離脱症状などを抑えるための薬物治療のあり方をしっかりと考えていく必要があると思います。今、依存症の治療をやっている医療機関は、適切な薬物の使い方をされていると思うのですが、これから広がっていく中で、覚せい剤の依存からは脱することができたけれども、今度は漫然投薬によって処方薬依存になってしまったみたいなことになると、これまた非常に問題だなと。こういう薬の使い方についても、きちんと整理して考えていく必要があるのではないかと思うのですね。
 最後は、処方薬依存についてですが、薬物依存の治療をやっている病院にいろいろ伺いますと、2割ぐらいが処方薬依存の患者になってきている。処方薬依存は、医師は余り直視したくない部分なのかなと思うのですけれども、処方薬依存の患者は無視できない数になっています。処方薬依存は、そもそも医者がつくり出しているわけですから、医者が最後まで責任を持って対応してもらわないと困るのですね。ところが、いざ減薬をしている途中で離脱症状が出てきてそれが長期化すると、「そんなものはない」「離脱症状は4週間以上続かない」「それは気のせいだ」「もともとあった症状が原薬で再燃しただけだ」とか、患者の訴えがほとんど一方的に切り捨てられてしまっている。うそつき呼ばわりされて傷ついたり、薬を飲む前よりもはるかにひどい症状が現れたりして、本当に大変な思いをしている方がたくさんいる。医者が耳を傾けていないだけで、たくさんいるのです。処方薬依存の方に対する対策もしっかり考えていかなければならないと思います。処方薬で大変困っている方にも、この場でお話を聞く機会がぜひ欲しいと思っています。
 以上です。
○紫藤構成員 紫藤です。私、昔、久里浜病院に勤めていて樋口先生と同僚だったのですけれども、そのほか保健所などにも勤めたことがあって今は東京の新宿区内でメンタルクリニックを開業しています。典型的な1人医者の診療所ですので、私1人で週5日診て、地域連携をしながら診療しているのですけれども、アルコール、薬物、ギャンブルの方、ときどきクリニックにも見えます。東京の真ん中ですのでグループをやっているクリニックは結構ありますので、グループに乗っていけるような方はそういうところにお願いできるのですけれども、なかなか乗れない方が結構いて、先ほど広汎性発達障害の話なんかもありましたけれども、ほかの合併精神疾患を持っている複雑なケースがグループをやっていないところに来る傾向があるかなと思っています。
 それから先ほど佐藤さんがおっしゃった処方薬依存。これは本当に耳の痛い話で、出したくて出しているわけではないのですが、実際に切れない現状があったり、診療所がいっぱいありますので、患者さんがいろんなところをドクターショッピングして、前医の処方を示しながらやって来ますが、なかなか切ろうと思っても思うようにいかないという現状があると思います。
 あと、私は医師会員ですので、地域の医師会の先生とお話をする機会も多いのですが、この間近くの総合病院の救急科の先生の講演があったのですけれども、最近、脱法ハーブの患者さんがもうすごくたくさん来ている。新宿とか渋谷にショップがあって、そういうところで買えるということで、ほとんどまだ実態がわからないまま救急で急性期の症状だけ治めて帰すというようなお話を聞きました。これはやはり、精神科だけの問題ではなくて、ああいう水際といいますか、救急などに来た方が、さらなる依存になっていくのか、あるいは単なる遊びのレベルなのかわかりませんけれども、そういうところから啓発していくような流れをつくらないと、でき上がってしまった依存症の人を治すのは大変ですので、プライマリーなところで、どのように対応するのかということも大事だなと考えております。
 よろしくお願いします。
○立木構成員 断酒会の立木でございます。
 アルコール依存症というのは随分、当事者としてはわかりにくい、見えにくい病気だなと思います。1つの問題として、40年前に専門病院で診断を受けたときは酒精中毒という診断書だったですね。それから間もなく慢性アルコール中毒症、現在はアルコール依存症と40年の間に病名が3つ変化しました。例えば、らい病がハンセン氏病になったような差別だから病名を変えたというのではなくて、この病気が非常にわかりにくいというか厄介な病気だというのは専門家の診断の名前が3回、言葉が悪いけれどもぶれている。非常に捉えづらい病気だなということを実感しているわけです。
 そういった中で、厚生労働省つまり国が依存症者にとってこういう集まりをセットしていただいて、今後実現に向けてもろもろの問題を解決していこうと、待ちに待ったチャンスの1つだなと思います。自治体の中ではいろいろコンタクトがありますけれども、国レベルでこういうものができたというのは、当事者にとって非常にありがたいということが1つです。
そう期待して資料の1を見ていたのですが、資料の1のこの会合の「目的」の中の後段の部分に数行書いてありますが、依存症の治療は現状では専門病院が非常に少ない。したがって情報も少ない。それから私たちにとっては非常に痛いのだけれども、依然として有効な治療法がない。ないないづくしのこの現状認識があるのですが、この部分が魔法みたいに1晩で改善されるとは思っていませんけれども、病院が少ないとか有効な治療法がないという根っこの部分が改善されないと、「検討事項」の(1)とか(2)、お金にからむ問題、あるいは今後のスケジュールなんかも、ある意味では心細いなと。和田先生のお話で大分救われたのですけれども、まだまだですね。
40年前からずっと面倒見ていただいている高名な先生がいらっしゃるのですが、この間我々の周年行事で30年ぶりに講演いただきました。30年経ったけれども、我々はアルコール依存症には有効な治療を見いだせないよというような話があるので、この辺はどうのこうのというより改善していかないと、茂るべき枝葉も根っこがこうでは茂らないだろうということが1つあるわけです。それに対してどうすればいいのかというのが今後の問題の1つになると思うのです。治療の技法とかスキルではなくて、大きな1つの構造的な問題を少しでも打破していこうと。
岡田部長の御挨拶の中でありましたけれども、アルコールに特化した法律が今、超党派の議員連盟でやっとアグレマンを得ましてこれから国会に上程しようかというときに解散になってしまいました。早くても来年の秋ぐらい、予算が終わって来年の5月ぐらいでないと、またこの法律に対する扱いが議員連盟の中では実現しないですけれども、今、アルコール健康障害対策基本法というのが動き出しましたので、国会の上程の手前まで来ましたので、この辺をできるだけすみやかに実現する。病院が少ない、これは診療報酬の問題だと思います。こういう国レベルの援助、あるいは支援が法律によって実現されないと、この大きな現状の問題というのは解決しないだろう。逆に言うと、この中でこういうアルコールに特化して、ほかの法律はないのですけれども、少なくともこの法律だけ芽生え始めたので、この集まりの中でもぜひ実現に向けて合意を得ていきたいと思っております。
 以上です。
○田辺構成員 精神保健福祉センターの副会長として参席しておりますが、私個人は依存症の治療としては、病院時代の10年はアルコール、薬物でしたが、精神保健分野に移ってからは、医療で対応しにくい依存症として、いわゆるプロセスアディクションのほうのギャンブルの相談などをやってきております。ですから、その部分の経験とセンター長会の立場と2つの観点から参加させていただいております。
きょうは和田先生からいみじくもクレイビング、精神依存の強烈な部分について中心にお話しいただきましたけれども、今回、精神依存が中心である病的賭博を含めて、依存症に対する医療及びその回復支援に関する検討会という、単に医療だけではなく地域のさまざまな機関を含めた依存症対策ということを厚生労働省に取り上げていただいて、非常に感謝しています。
それで、今、冒頭でちょっと病態の説明がありましたけれども、やはりアルコールと薬物は、いわゆる疾患のカテゴリーでいいますと「残遺性の障害」と「精神病性の障害」ですね。依存症に加えて残遺性の障害と精神病性の障害があるがために、医療機関の中ではその部分への対応、治療ということがメディカルアプローチとして非常にわかりやすく、医療の対象とされました。しかし、回復していくためには、やはり精神依存の部分、いわゆる依存症の中核部分に対する種々の治療が必要だというお話だったかと思います。
そういう意味においては、病的賭博、ギャンブル依存症については、精神病性障害もないし、残遺性障害もない。純粋の依存症の部分だけである。ただし、社会心理経済的な状況で言えば、借金というものが必発的に出てきますので、その部分で2次的に抑うつ的になったり自殺企図が増えたりする。それで自殺者が多いというような部分があろうかと思います。そういった中で、依存症治療の心理療法であるワークブックセラピーなり、集団療法なり、内観療法なりは、病的賭博も十分に治療の対象としうるものです。
ですから病的賭博も含めて、医療と福祉で、どこまでそれが対応可能なのか、考え方の整理がなども少しできるような理念といいますか、その共有が一つ必要かなと思っています。
例えば、最近、ある市では違法薬物を使った後の障害は福祉の対象から外すかのような議論が出ているようにもお聞きしております。そういったこともありますので、残遺性の精神病性障害といったものをどう捉えるのかといったことも当然そうですが、精神病性障害、残遺性障害が出ない病的賭博のようなものはどう捉えるのかといったことについても、もう一歩、実際にその状態に悩む人たちが回復していくための支援の施策が伸びるような整理ができればよい、そのきっかけの議論ができればというのが1つです。
 それからもう一つは、医療が依存症に対して回復する役割を果たす部分は全てではありません。非常に重要な部分になっておりますが、自助グループ、当事者グループや、ダルクやマック等の施設がなければ、やはり安定した長期的な依存症の回復状態というのは維持できないということでございます。地域の中でどの機関が、精神保健福祉センターも含めまして、どういう役割を果たせるのかという方向性の確認ができてくればということも期待しております。
○樋口座長 済みません。時間が非常に押していまして、できれば5時までに終わりたいと思いますので、前と後で差がついて申しわけないですけれども、どうぞコンパクトにお話をしていただきたいと思います。
 どうぞよろしくお願いします。
○月乃構成員 アルコールと処方薬依存症の当事者の月乃です。
 では3点ですけれども、1つ目は今お話に出ましたが、処方薬の依存症についてです。私自身も処方薬依存症者なのですけれども、私、知人の中間施設をやっている女性のハウスの方に、そこの現場では今、依存症で来る方で一番多いのは何でしょうかと聞いたのですが、私は覚せい剤なのかと思いましたが、処方薬依存症者がそこの施設では一番になっているという現状があるということでした。これは現実に医療として出している薬で、依存症の方がもう無視できないくらいか、そこの現場で一番ぐらいになる実数に来ているということなのです。きょうの調査で、いろいろ覚せい剤とか実数が上がっていましたけれども、早急な調査と対策みたいなのが必要ではないかというのがまず1点。
 2点目が、私は当事者としていろいろイベント活動やっているのですけれども、具体例として、ちょうど今刑務所に入っていますけれども、その前に出て、まだ切れているときに、田代まさしさんにイベントに出てもらったことがあるのです。当事者として私は、当時はやっていなかったように感じますけれども、実直でいい方でしたが、病気が再発して刑務所に3年6か月だか入っています。ただ、報道等では人間性にまつわることが田代さんに対して言われたりとか、当然、病気が再発したので、私なんかは早く治療とかが始まればいいなと思うのが、実際は刑務所に3年間罪人として入っているわけですね。今、私はそれが大変な問題だと思っています。覚せい剤で刑務所に入っている方の割合が示されていましたけれども、病気の人が刑務所に犯罪者として治療も余りせずに入っているという現状は、刑務所で1か月30万円ぐらいの税金がかかるといわれていますけれども、金銭的にも猛烈なむだだと思います。有名な話ですけれども、アメリカでドラッグコートといいまして、違法薬物をやった人が裁判で治療を受けるか刑務所に入るかというのを選択して、治療を選択した人はもう自宅に戻ってそれから薬物依存症の治療が始まる。それでものすごく効果を上げているということらしいのです。現状としては、病気の人は刑務所に入って、またそれをただただ繰り返しているということは猛烈な問題ではないかと当事者として思っています。
 あともう1点は、私は自殺未遂で医療保護入院になって、そこでその病院がたまたまアルコール病棟がある病棟で、自助グループとか中間施設を知ることができました。中間施設経由で自助グループで回復したのですけれども、そこの病院に入院しなかったら、多分自助グループも中間施設も知らなかったと思うのですね。そうすると、私は今ここにいない可能性も結構あると思うので、病院に入院しなくても自助なり施設があるということが社会的に知られることというのは猛烈に大事ではないかと思います。
 以上です。
○成瀬構成員 成瀬と申します。専ら精神科医としてアルコール依存症と薬物依存症の患者さんの診療に当たっている者です。おくれて申しわけありませんでした。ただ、ここに来る前に、司法関係の集まりにいたのですけれども、そこのテーマが薬物依存症の人の回復支援をどうするかというテーマでした。法務省の関係でのテーマがそういう話になっています。
 僕としては、特に薬物ですね、犯罪ではなく病気である、それも回復する病気であるというこの当たり前のことを強調したいということ。もう一点は、これだけ多くの依存症の患者さんがあるのに医療の体制がほとんどなきに等しい状況であるという、これをまず早く何とかしないとどうにもならないのではないか。
先ほど10か所程度というふうに言われましたけれども、実際に本当に個人が点で診療をやっているような状況のところが多く、その医者がやめるとその病院ではもう薬物依存の治療ができないというような本当に貧弱な状況で今、薬物依存の医療のほうの支えをやらざるを得ない状況です。絶滅危惧種とも言われていますけれども、薬物依存を診る医者が本当に少ない。
なぜかというと、それは、依存症患者の対応は非常に困難だ、困難だといわれますけれども、困難にしているのは治療者の依存症者に対する陰性感情、忌避感情に違いないというふうに確信しております。その忌避感情をいかに下げていくかというとこは、個人の善意であるとか、努力であるとかに頼っていたのでは、もう潰れてしまうことは目に見えております。
高所からそういった薬物の方、アルコールも含めてですけれども、診療していきやすいシステム、工夫そういった後押しを大きな力でやられない限りは、これだけ社会問題として騒がれているにもかかわらず、この20年医療は全く広がっているというふうには思えません。和田先生のSMARPPがありますけれども、それも医療がちゃんと診ることがあって初めて広げていけるというふうに思っておりますので、SMARPPがあるから病院は関係ないということでは全くないと思っております。
その辺を今回のこの会で、何か1つでも突破口になる具体的な形をできればなというふうに期待をしております。
 よろしくお願いします。
○服部構成員 皆さんこんにちは。AA日本ゼネラルサービスから参加させていただきました服部と申します。よろしくお願いいたします。当事者でございます。
 当法人はアルコールに問題のあるアルコール依存症者の方の回復のお手伝いということを推し進め、またその周辺、家族、支援者、医療機関などに正確なAAの情報提供のサービスを行っていました。これを推進しておりますが、なかなかAAというものがわかっていただけないというのをやはり感じるときがございます。我々の努力が足らなかったというところもあるのでしょうけれども、AAって何と言われる医療関係者のところへ行くときに、やはり寂しさを感じます。
情報提供をもっとやらなければいけないのですけれども、AAというものを知っていただくために、我々、定期的にアンケート調査をとっております。メンバーシップサーベイというのですけれども、その結果がホームページにも公開されております。その項目はメンバー構成や、飲まないで生きている時間とか、男女比とかAAの構成図みたいなものがわかるのですけれども、その中にAAにつながった大きな理由は何ですかというところを見ると、大多数の方は医療関係者、一般病院からの後押しでAAの門をたたき回復のプログラムに出会っているのですね。
このことからも我々は、先ほど丸投げはいいのか悪いのかというのがありましたけれども、丸投げ大いに歓迎なのですね。我々が幾ら会っても数百人しか会えないところを先生方は何万人という患者さんにお会いできる。その方にAAの存在を教えていただける。ホームページでも我々のところにリンクできるようになっておりますが、それについてのコメントは一言も厚労省のホームページではございませんでした。この存在は何なのだろうと見た方は思われると思います。ですので、我々は関係者の皆様との共同は最重要事項と考え、この検討会を機会に、また皆様の御意見を伺うことで活動を推進させていただきたいと思います。
 素晴らしい先生方のお歴々で私の求められるのもがよく理解できませんけれども、現場の声というものは出せると思います。そしてAAには伝統という活動指針がございまして、先ほど、テレビ撮りのときに退席させていただきました。これは伝統に関係するからです。そこのところでAAの行えること、行えないことがございますが、どうぞ私のほうは求められばお答えいたしますので、御利用いただきたいと思います。
 ありがとうございました。
○堀井構成員 日本精神科病院協会の堀井です。岡山の精神科の病院でアルコールを中心に精神科医療に携わっております。
日本精神科病院の印象というのは多分ここに集まっておられる方は、ネガティブなイメージが多いのではないかと思ってちょっと心配しているのですが、日本精神科病院協会も昨年将来ビジョンというものをつくりまして、患者サイド、家族サイドの医療を推進していっております。例えば今年度からは、地域移行推進委員会というのをつくりまして、私、その担当の理事なのですけれども、どんどん数が減るものなら減らしていきたいというふうに思っていますので、そういう意味で日本精神科病院の御理解をよろしくお願いしたいと思います。
 きょうの会ですが、本当にアルコール、薬物あるいは他の依存問題に真摯に取り組んでいける会をつくっていただいてありがたいのですが、ただ難しいと思うのは、具体的なことがどれだけ出せるだろうかということを私は危惧しております。例えば、アルコール問題でしたら、アルコール依存症は第1次予防からありますけれども、治療的側面もあります。アルコールが関連するのは例えば飲酒運転もありますし、私、20年ぐらい前に岡山の刑務所にアルコール関連の服務者を訓練するのにお話しに行かせてもらっていましたが、かなりいるのですね。そういう方をどうするのか、あるいは救急医療で救急車に乗って、救急へ行ってアルコール問題が多いのですが、その後、その人たちを放置してそのまま帰るというようなことになる。あるいは警察に行って、その翌日しらふになって、勧めたとしてもどこへも行かずに家へ帰ってしまってまた繰り返す。そういうふうな医療が繰り返されております。その辺を危惧しますので、そのあたり具体的にどの程度この会が関与していただいて、具体的な策がとれるかということを考えています。
 それから後のフォローアップ。先ほど何人かの方が言われていましたけれども、やはり依存症になりますと、ものを断ったそのあとの社会との関連、その人の性格の特徴をいかに直していくか、あるいは克服していくか、あるいは自分自身を取り戻していくか、そういうふうなことが非常に大事なことですので、その辺を考えてのサポート体制をいかにできるか、その辺を大事にこの会でも議論して対策を練っていただきたいと思います。
 時間がないのでこの辺で。
○山中構成員 全国保健所長会の山中と申します。今回のこの構成員の中に行政として入っているのは恐らく私どもの所長会だけなのだろうなと、大変期待されているのだなというふうに非常に思っております。
 現在、保健所は大変間口の広い仕事をしておりますけれども、特にこのアルコール等の依存症に関しましては先ほどの資料でもありましたが、いろんな形の相談を受けてございます。中でもやはり一番多いと思われるのが、御家族の方が何とか病院に御本人を連れて行っていただきたいという、保健所に行けば医療に結びつくのではないかというふうな期待をされていらっしゃることが一番多いのではないかと思っております。保健所は病院に連れていく機関ではないのですと言ってしまいますと、もう御家族の方々の信頼感が損ねてしまって、そこから先、なかなか保健所の支援という形が続かないというふうな事例もございます。そういった点では、今後は保健所としての支援のスキルというところでは、先ほどお話のありました精神保健福祉センターとの連携とか、あるいは精神保健福祉センターの人材育成の点でのサポートだとか、そういったものが必要なのではないかというふうに考えています。
 それから自殺予防対策という中で、これまでいろんな基金なども活用してまいりましたが、やはりこういった方々の支援というのは保健所だけではなく、いろんな社会全体がこういったことに目を向けてかかわっていくことが必要なのだろうなと思っています。特に自殺ということでお話をすれば、市町村なども非常にこういったことにも目を向け始めました。ですので、相談の窓口という点では、恐らくもっともっと潜在的に相談をしたい方々がいらっしゃると思います。そういう意味では保健所だけではなくて、もっと相談をする場所も広げていく、そういったことに関心を持つ、あるいはそういったことに対応できる行政機関も増えていくというようなことが重要であると思います。それから、それぞれの得意分野がありますから、それが連携を持って地域のネットワークをつくっていくということも大事なのだろうなというふうに思っております。
 日々、私どものほうでも、アルコール依存症あるいはいろんな薬物依存症がありますと、どこをまず紹介したらいいのだろうか、医療機関が地域にないのではないのかというふうなことも結構あります。非常に処遇困難というふうな事例として困っているところも地域によってはあるかと思います。そういった点では、先ほど医療の提供ということで議論がなされましたが、やはりなかなか都道府県ごとでは薬物依存などは難しいのかもしれませんけれども、私ども行政とすれば、そういう医療提供体制をしっかりとつくっていくということも必要だなというふうに思った次第です。
○樋口座長 各構成員の方々から意見をいただきました。
私もここで一言申し上げなければいけないのですけれども、既にもう多くの構成員の方々から出ている内容と同じ内容でございます。1つだけ申し上げたいのは、依存症とそれを取り巻く家族も含めた方々の回復と、それからQOLを向上するために目に見える形で何かをつくり上げていくような議論がこの中でなされていくといいなというふうに考えていまして、それに貢献できればと思っています。
 ふだんから各構成員の方々は心の中にたくさんのものを持っていらっしゃって、その熱い思いが出てきまして、それで時間が少し延びてしまいましたけれども、これはもう仕方のないことだと思います。
 今後の議論の進め方でございますけれども、大変僭越なのですが、各構成員の方々からいただいた意見を私のほうに預からせていただいて、事務局と相談しながら今後の議論の方向性を検討していきたいと思いますが、それでよろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
○樋口座長 それから、きょうはヒアリングでおいでくださいました和田先生でございますけれども、薬物依存症の専門家として当検討会のアドバイザーとして参画していただきたいと考えています。和田先生以外にもほかに関係の先生方がいらっしゃいますが、その先生方も踏まえてということですが、それについてもよろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
○樋口座長 どうもありがとうございました。
では、最後に事務局の方から次回の研究会のテーマ及び次回の日程等について説明いただきます。
よろしくお願いします。
○江副課長補佐 次回の検討会につきましては、医療に従事されている先生方から依存症治療の現状について御説明いただければと考えております。
 日程につきましては、調整の結果、12月21日金曜日の13時からを予定しております。正式な御案内は後日お送りさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 事務局からは以上です。
○樋口座長 12月21日金曜日13時から2時間でございますか。
○江副課長補佐 そうです。
○樋口座長 では13時から15時までということですね。
 本日は大変お忙しい中、長時間にわたりありがとうございました。
 これをもちまして第1回の「依存症者に対する医療及びその回復支援に関する検討会」を閉会いたします。
 ありがとうございました。


(了)

障害保健福祉部精神・障害保健課障害保健係

連絡先: 03-5253-1111(内3065)

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