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2012年9月26日 第5回緩和ケア推進検討会議事録

健康局がん対策・健康増進課

○日時

平成24年9月26日(水)


○場所

厚生労働省 18階 第22会議室(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○議題

1.緩和ケアの推進について
2.その他

○議事

出席構成員:花岡座長、池永構成員、岩瀬構成員、大西構成員、小川構成員、木澤構成員、小松構成員、田村構成員、中川構成員、細川構成員、前川構成員、松月構成員、松本構成員、道永構成員、武藤構成員

○がん対策推進官 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第5回「緩和ケア推進検討会」を開催いたします。
構成員の先生方の出席状況でございますけれども、加賀谷構成員から欠席との御連絡をいただいております。
また、武藤構成員からおくれて出席されるとの御連絡をいただいております。
また、9月10日付にて事務局にて人事異動がございましたので、御報告申し上げます。矢島健康局長でございます。
○健康局長 矢島でございます。よろしくお願いいたします。
○がん対策推進官 続きまして、宮嵜がん対策・健康増進課長でございます。
○がん対策・健康増進課長 宮嵜でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○がん対策推進官 それでは資料の確認をお願いいたします。お手元にお配りしております資料でございますが、まず、座席表、その次に議事次第、続きまして資料1、緩和ケア推進検討会構成員名簿。
資料の2、中間とりまとめ(案)に関する主な御意見。
資料の3、緩和ケア推進検討会~中間とりまとめ~(案)修正版。
資料の4、緩和ケアに関する正しい知識の普及についての主な御意見。
資料の5、専門的なケアへのアプローチにおける問題点。
資料の6、専的的なケアへのアプローチ(各職種の適正配置)に関する構成員の意見のとりまとめ。
資料の7、今後の議事の進め方(案)。
参考資料1、田村構成員提出資料でございます。
資料に不足、落丁等ございましたら、事務局までお申し出いただけますようお願いいたします。
以上をもちまして、カメラの方はお納めいただけますようよろしくお願いいたします。
では、この後の進行、花岡座長どうぞよろしくお願いいたします。
○花岡座長 どうも皆さんお忙しい中、また、お暑い中をお集まりいただきましてありがとうございます。それでは第5回の「緩和ケア推進検討会」を始めたいと思います。
本日の議題に入りたいと思いますが、本日は、中間とりまとめについて、緩和ケアに関する正しい知識の普及について、また、専門的なケアへのアプローチについての3つの議題を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。
 まず、中間とりまとめについてでございますが、事務局より資料の說明をお願い申し上げます。
○事務局(山下) 事務局の山下でございます。よろしくお願いいたします。
 私から、資料2、そして資料3について説明申し上げます。
資料2をごらんください。前回の検討会で、本検討会の中間とりまとめを行うことを承認いただきまして、この間事務局で中間とりまとめの素案を作成いたしました。そして、素案に対して各構成員の先生方より御意見を頂戴しております。資料2にございますように、中間とりまとめの案に関する主な御意見という格好でこのようにたくさんの御意見をいただきました。一つひとつ御紹介は省略させていただきますが、この御意見を受け反映させたものが資料3になります。
 資料3、中間とりまとめ(案)修正版をごらんください。まず、1ページ目を開いていただきまして、「はじめに」という項目がございます。この項目で、本検討会が設置された経緯、これまで行ってきた議論について。そして、1番下の段落ですが、「今般、平成25年度概算要求等に位置づけるなど緩和ケアの推進に向けた施策を早急に実現するため、これまでに一定の検討を行った項目のうち必要な施策に関し、中間的なとりまとめを行った」と記載しております。
 その下ですが、「緩和ケア全般に係る基本的認識」といたしまして、苦痛というのは主観的なものであり、苦痛の緩和には、患者やその家族などのつらさや苦悩に耳を傾け、苦痛の緩和に当事者が主体的にかかわることができるよう支援することが重要。
 専門的緩和ケアの充実だけではなく、がん医療に携わる全ての医療従事者による基本的緩和ケアを、全てのがん患者やその家族などが受けられることが必要。
 緩和ケアは身体的苦痛だけでなく、精神的苦痛を含むそのほかの苦痛を緩和するものであることを患者・家族、医療従事者がともに認識することが必要。
 緩和ケアは、がんと診断されたときからがんの治療と並行して、患者とその家族などが切れ目なく受けられることが必要。
 医療従事者だけでなく、がん患者やその家族、さらには国民に対し、がんによる痛みはコントロール可能であることを初めとする、緩和ケアの考え方を普及させることが重要。
 緩和ケアにおける対策について目標を定め、それぞれの進捗を評価するための体制を整備する必要があると記載しております。
続いて、項目として「緩和ケア提供体制」、「がん疼痛等身体的苦痛の緩和」、そして「精神心理的苦痛等の緩和について」という項目を立て、そのそれぞれに「基本認識」、「求められる方策」として記載をしております。
まず、「緩和ケア提供体制」の基本認識ですが、がん診療連携拠点病院に設置されている「緩和ケアチーム」、「緩和ケア外来」、「相談支援センター」は、おのおのの機能をさらに強化し、相互の連携を強化することが必要。地域において必要なときに、確実に、緊急時にも対応可能な、緩和ケアを受けることのできる体制を構築することが必要。
そして、求められる方策として、全てのがん患者やその家族などに対して、より迅速かつ適切な緩和ケアを切れ目なく提供するために、都道府県がん診療連携拠点病院などにおいて、これまでの緩和ケア体制をさらに強化した「緩和ケアセンター」を整備する。
「緩和ケアセンター」は、これまでの「緩和ケアチーム」や「緩和ケア外来」の運営機能に加えて、地域で緊急に生じた緩和ケアのニーズに確実に対応する機能、地域のほかの医療機関などとの連携調整機能、がん患者やその家族に対する相談支援機能、緩和ケア関連研修会の管理運営機能、緩和ケア診療情報の集約・分析機能などを有するものとし、各機能が相互に連携体制を構築するものとする。
緩和ケアセンターの運用が開始された後には、各センターにて得られたデータの共有や、実績報告、評価などを行い、今後の施策に活用するための枠組みを検討する。
がん診療連携拠点病院については、相談支援室の人員強化を図るとともに、都道府県拠点病院などにおける「緩和ケアセンター」の進捗を踏まえつつ、「緩和ケアセンター」の効果的な普及方策を検討すると記載しております。
続いて、「がん疼痛など身体的苦痛の緩和」の基本認識としては、日本の医療用麻薬消費量は増加傾向にあるが、欧米先進諸国と比較すると依然として少なく、がん性疼痛に苦しむがん患者の除痛がまだ十分に行われていないと推測される。
がん患者が自身に起こり得る様々な苦痛とその対応策について事前に十分な説明を受けることで、苦痛やその変化を訴えやすい環境を整えるとともに、苦痛を残した状態でがん治療を行うことがいかに人間の体にとって悪影響を及ぼすかということや、この悪影響が鎮痛薬などを使うことの副作用などと比較してはるかに大きいということなど、苦痛を緩和することの意味について、がん患者やその家族などへの十分な説明がなされることが必要。
がんによる身体的苦痛を取り除くためには、診断時から身体症状のスクリーニングを徹底して行うことが必要。さらに、診断時からの身体的苦痛に関するモニタリングを通じて、身体的苦痛の管理の質の向上を図ることが重要。
がん疼痛などの身体的苦痛を可能な限り取り除くために、以下の方策を実施する。
求められる方策として、がん診療連携拠点病院において、以下の取り組みを推進する。
外来診察で使用する問診票に疼痛などの身体症状の項目を設ける、カルテのバイタルサイン欄に疼痛の項目を設ける、看護師などによる面談を活用するなど、がんと診断したときから苦痛の評価を継続して行う体制を整備すること。
緩和を要する苦痛に関する情報が確実に診療へつながり、患者へ還元されるよう、施設ごとに評価された苦痛への対応の手順を明確にし、主治医や緩和ケアチームなどの役割を定め、適切な対応が行われているかを評価し公表する体制を整備すること。
医師により医療用麻薬などの鎮痛薬が処方された場合には、必要に応じて薬剤師による面談を行う体制を整備すること。
難治性疼痛などを抱えたがん患者に対して、適切な診療を提供するために、緩和ケアチームなどの専門家へ紹介する手順などを明確にすることとしております。
「精神心理的苦痛等の緩和について」は、基本認識として、精神心理的苦痛などについては、その評価手法に関する研究を推進し、個々の患者の精神心理的苦痛などの程度を可視化し、苦痛緩和に関する取り組みを進めることが重要。
がんの診断時に、全ての患者に対し、今後行われる予定のがん治療の内容のほか、精神心理的苦痛を含めた起こり得る苦痛とそれらに対する相談支援などのサポートなどについてわかりやすい情報提供がなされることが必要。医師による説明には看護師などの他職種も同席し、必要に応じて相談・支援などを行い、補助的な説明や理解度に対する確認、精神心理面へのケアを行うことが重要。
精神心理的苦痛のスクリーニングやフォローアップにおいて、看護師や薬剤師、臨床心理士などの役割が重要であり、がん診療に携わる医療従事者内で患者の精神心理的苦痛についての情報を共有し、患者の精神心理的苦痛の軽減を図ることが必要。
がん診療に携わる医療従事者が、日常診療の中で患者の精神心理的苦痛の存在に十分注意するとともに、常に患者やその家族などが相談しやすい環境を確保することが必要。
そして、精神心理的苦痛を可能な限り取り除くため、以下の方策を実施するとしております。
 求められる方策として、精神心理的苦痛などに対する緩和ケアの提供などを充実させるために、がん診療に携わる看護師に対する研修を行う。
 精神心理的苦痛などに対する緩和ケアを充実させるために、診療報酬の改定などに関する検討も含め、看護師による継続した相談・支援を行う体制を整備する。
 がん診療連携拠点病院において、以下の取り組みを推進する。
 診断結果や病状を伝える際には、医師のほかに看護師などのほかの職種が同席する体制や、説明後に看護師などと患者・家族との間で追加説明や相談を行うことのできる体制を整備するなど、患者とその家族などの心情に対して十分に配慮した体制を整備すること。また、適切な対応が行われているかを評価し公表する体制を整備すること。
 がん診療において、精神心理的苦痛を持つ患者とその家族などに対して、専門的な診療を適切な時期に提供できるように、看護師や精神腫瘍医などの専門家へ紹介する手順などを明確にすること。
 がん患者とその家族などが抱える苦痛の受け皿を整備するとともに、がんに関する不安などの悩みに耳を傾け、相談や情報提供を行うため、相談支援センターにおいて、専門的な知識を有した看護師などの人員増員を図るとしております。
 「おわりに」ですが、本とりまとめに沿って、「求められる方策」を実現させることにより、がんと診断されたときから切れ目のない緩和ケアの提供体制を構築することが重要である。また、本検討会では、緩和ケアの推進に向け残された課題について引き続き検討を行い、本検討会終了時には総合的なとりまとめを行い、具体的施策に反映させることとするとしております。
 以上です。
○花岡座長 どうもありがとうございました。
 先生方の資料にございますような中間とりまとめ(案)に関する御意見を考慮いたしまして、現在のような中間とりまとめ(案)ができ上がっております。その中の術語でございますけれども、「精神的苦痛」という表現を「精神心理的苦痛」というふうに統一されたような状況になっております。
先生方のほうでこの中間とりまとめに対する御質問、御意見、修正案などございますでしょうか。
 どうぞ、田村構成員。
○田村構成員 ありがとうございます。読ませていただきまして、少し提案したいことがございますので、発言いたします。
 基本計画をベースにして今まで議論をしてきましたので、まず、がん性疼痛というところから精神腫瘍的アプローチというところで議論が進んできていることも理解しておりますが、文言の部分で、「精神心理的」というふうに表記が統一されています。けれども、皆様のお考えも若干お伺いしながらとは思いますが、「心理社会的苦痛」というのが1つのことではないかなというふうに私の立場から特に思います。本日、後半少しお話をさせていただきますけれども、いろいろな不安、精神的な部分というのは、本当に精神腫瘍の専門の先生、というところがあるのではというふうに思うのですが、心理的な部分については、看護師さんを初め、いろいろな職種が心がけながらかかわっております。心理、不安というところが、今、たくさんここに書かれておりますが、それはかなり生活や暮らしの部分と密接にある部分も多いかと思うので、「精神心理社会的」というふうな表現があったほうがいいのではないかなということが1点です。
 それと、特に相談支援センターの評価ということも文言にありますけれども、例えば4ページ目に相談支援センターの専門的な知識を有した看護師というふうに書かれておりますが、現在、相談支援センターの相談を担っておりますスタッフは、看護師と社会福祉士が、半々という現状がありますので、実際にそこで担っている社会福祉士ということも書き入れていただいたほうがいいのかなと思います。
 また、さまざまな相談支援というところがある部分で、例えば、もう一つ上の、緩和ケアを充実させるために診療報酬の改定云々の部分にも、実際に行っている社会福祉士というところが必要ではないかというふうに思うのですが、皆さんとしてはいかがでしょうか。
○花岡座長 どうもありがとうございました。
田村構成員から以上のような御意見をいただきましたけれども、ほかの先生方はいかがでしょうか。
 大西構成員。
○大西構成員 田村委員ありがとうございます。
やはり、私どもも考えているのは、精神心理とか社会全般的に考えていくことが大事かと思います。きょう、私の不手際もございまして、皆さんの文書に盛り込まれていないのですが、私たちの中でも精神心理社会的苦痛に関して及びその対応をちょっと考えてきたので、分けて考えたいと思います。
なぜなら、今は、精神心理社会、一緒になっているのですね、それは分けて考えないといけないので、読ませていただきます。
精神心理社会的苦痛、言葉の定義は、僕は「精神心理」と書いたのですけれど、皆さんで考えていただければと思います。精神心理社会的苦痛及びその対応は以下のように定義する。
まず第1段階が情緒的サポート。それはどういうものかというと、共感的な態度、基本的なコミュニケーションであり、医療従事者であればだれもが行うこと。これが第1段階ですね。
第2段階として、心理的な問題への対応として、疾病への取り組み方、家族あるいは医療者との対人関係の問題であり、看護師や医療ソーシャルワーカー、心理職が対応する。どういうことをやるかというと、危機介入や通常反応などの心理的問題に関する知識と介入技術に関する研修を受けることが望ましい。
第3段階目として、精神医学的な問題への対応です。それはどういうものを扱うかというと、うつ病やせん妄に対する薬物療法を含めた専門的治療、認知症治療も含むものであり、精神腫瘍医が担当する。
私の不手際もありまして出していないのですけれど、こういうふうに分けて考えないと多分混乱すると思うのですね。まず、こういうふうに分けて、それから議論を進めていっていただければ幸いかと存じます。
○花岡座長 ありがとうございます。
小川構成員どうぞ。
○小川構成員 大西構成員に質問いたします。先生は今、社会的という面については特におっしゃっていなかったように思うのですけれども、それはまた別ということでしょうか。
○大西構成員 済みません。私もそこまでちょっと考えていないのですけれども、やはり僕たちは精神科なのでそちらに寄ってしまうのですけれど、でも、心理的な問題への対応にはいろいろ社会の問題から発生していることがありますね。だから、そういうのには医療ソーシャルワーカーが入るべきだというふうに、心理的な問題の対応の中では入っていると考えていいかなと思います。
○花岡座長 ありがとうございます。
田村構成員どうぞ。
○田村構成員 大西先生ありがとうございます。
おっしゃった心理的問題への対応の中の対人関係ですとか、社会との問題でというふうにお話ししてくださったように、心理的問題というところに、社会の状況をよりよい状況にする、ということとセットで考えることが実際には必要なのかなと思います。そこが「心理社会的」というふうに私どもとしては押さえている部分なのですけれども、皆さんはどんなふうにお考えでしょうか。
○花岡座長 どうぞ、松本構成員。
○松本構成員 ありがとうございます。
患者の立場から、田村構成員の先ほどの御提言に強く賛成をいたします。
 私どもも、患者さんから御相談をお受けしますときに、最近多いのが、治療費が払えなくて生活保護をお受けになるということ。そこから発生しているとても強い心の痛みというものがありますので、そういった点については恐らく田村構成員のような社会福祉士の方々が、社会的な問題という側面からのアプローチをしていただくのが必要かと思われますので、先ほどの田村構成員の発言に賛成をいたします。
ということで、もう一つ、つけ加えて言わせていただけるといたしますと、4ページの「求められる方策」の中の1番目ですけれども、がん診療に携わる看護師に対する研修を行うという文言がございます。これは修正される前は、確か医療従事者に対する研修を行うという文言だったのが、今回のこの案で看護師に変わっておりますけれども、ここはどういう意図があってこういうふうになったのか。それで、先ほどの田村構成員の御発言から考えれば、また、大西構成員の御発言から考えれば、ここは医療従事者に対する、つまり社会福祉士も含んだ研修が必要ということではないかと思われますが、いかがでしょうか。
○花岡座長 どうもありがとうございます。
これは、事務局としてのお考えは何かございますでしょうか。どうぞ。
○がん対策推進官 当初の医療従事者という表現が看護師に変わっているという点ですけれども、これまでの議論で看護師さんの重要性というのが言われていたということで、そこに焦点を当てる形で看護師という文言にさせていただいています。
○花岡座長 具体的なことで、そんなふうな文言になったということでございます。
 中川構成員どうぞ。
○中川構成員 がん対策推進協議会の中では、緩和ケアについて全人的苦痛というような言葉を使っていますね。そういう点では、やはり社会という問題は非常に欠かせない気がいたします。
○花岡座長 どうもありがとうございます。
ほかには。
どうぞ、木澤構成員。
○木澤構成員 木澤でございます。
これは個人的な意見でございますが、確かに医療従事者に対する研修というふうに言うと、聞こえはいいというか、全てを包含するのでいいのですけれども、実際に、では、誰に教えていくかということと、その内容をどういうふうにしていくか、また、その実効性というものを考えると、対象を絞って行ったほうが研修しやすいのではないかと思います。ですので、看護師さんに対して優先的に研修をしていくというのは1つのあり方かなと思います。例えば、ソーシャルワーカーさんに研修すると考えると、今、やっている相談支援センターの研修とどのように区別していくのかというようなことを、具体的検討していかないといけないのだろうと感じました。
 以上です。
 以上です。
○花岡座長 どうもありがとうございます。
どうぞ、田村構成員。
○田村構成員 木澤先生、おっしゃってくださってありがとうございます。
相談支援センターで、当初は看護師さんの話題の方が非常に多かったのですが、次第に福祉士が増えてきて、半々という状況であって、特にそこでチームにも入っている人や兼務の人はいるのですけれども、やはりおっしゃるように教育が必要だというふうに思います。どんなふうにというところでは、今、日本医療社会福祉協会の方でいろいろな教育をしている部分もありますが、やはりこのがん対策の中で、また社会福祉士向けの研修というところも展開していけたら、本当にありがたいなというふうに私どもとしては考えておりました。
○花岡座長 どうもありがとうございます。
ほかにはよろしゅうございますか。
全人的医療ということになると、また、スピリチュアルというような言葉もそこに出るのですが、これも入りますと非常に複雑な感じになる可能性もあるとは思いますが、いかがでございましょうか。
どうぞ、松月構成員。
○松月構成員 看護師に対する研修ということで書き込まれて、私どもが受け止めましたのは、看護師の数は何といっても医療従事者の中でも一番多いということと、それから、診断された初期から、できるだけ多くのがんと診断された患者さんにサービスの提供ということになると、医師の診察のあと、がんということを伝えるその場面のすぐ近いところにいる外来のナースの役割が重要だと、私は具体的な場面をちょっと予想しました。
そこの外来の中でやはり基本的な緩和ケアを実施していこうということになると、先ほど大西構成員の方から、心理的な問題というのは危機介入や医療一般にそういうことをやる医療職が行うものだというふうに整理をしていただきましたが、それを聞いていて非常に納得したのですが、その実施をするに当たり、本当にこの人に、今、声をかけたらいいなと思っている外来のナースたちはたくさんいるのですけれども、やはり現在の外来診療では人も時間も不足しており、なかなか実行に移せるだけの現状にないということがあります。是非、この診断された初期から緩和ケアを実行していくためには、外来におけるナースの配置や診療体制などを見直し、診療報酬上のさらなる評価や、外来の要件なども整備していただければと思います。また、現在、がん拠点病院でも一般の病院でもがん専門看護師や、がん関連認定看護師の多くは院内教育に携わっています。彼らがもっと教育的な役割を発揮できるようなしくみや体制をぜひお願いしたいと思っております。
○花岡座長 どうもありがとうございました。
どうぞ、小松構成員。
○小松構成員 田村構成員がおっしゃった苦痛の捉え方というのは非常に重要なことだなと思って、私も同意したいなというふうに思っています。
もう一つ看護師の研修ということでフォーカスを当てていただくことの重要性ということを、もう一つの観点から言いますと、今、大西構成員がおっしゃった精神心理社会的な苦痛に対する少しステージングを設けたような形のアプローチをしていくというときに、今、その心理的な問題に対する部分というのは看護師が多々担っていく部分が多いと思いますけれども、その前の情緒的な部分、それから専門的な部分につないでいくというケアコーディネーションというふうな部分を、多分研修の部分では、特に診断時からの緩和ケアを推進していくというところでは盛り込んでいく必要があるだろうというふうに考えているところでございます。
○花岡座長 どうもありがとうございます。
ほかにはいかがでございましょうか。
 看護師さんの継続した相談支援という形がやはり必要だということは、これは今のところカウンセリングも1回のみというようなことになりますので、それを継続できるような形というのをその次のフォローにも盛り込まれているように思いますが、そのあたりはいかがでございましょうか。来年の10月ごろにはまた中医協に対するいろんな要求も出てくる可能性もございますのですが。
どうぞ。中川構成員。
○中川構成員 私、先ほど申し上げたように、社会的な面に対して非常に重視しております。ですが、現実に医師に対する研修をやるにおいても、医師ですら、さまざまな関心と知識とレベルの違いがあって、現実には大変難しい問題があります。したがって、これを全ての医療従事者とすることが現実的なのかなという気は少ししております。
 それから、事務局にちょっと確認をしたいのですが、8月31日に案を見せていただいて、また直近にいただいたわけですが、例えば3ページの3行目にあります、「以下の方策を実施する」と。この「以下の方策を実施する」というのは幾つか見られるのですが、「以下の方策を実施する」主体は、これは行政ということでよろしいのでしょうか。それとも、この検討会が方策を実施するということを望む、要望するということなのでしょうか。
○花岡座長 事務局の方、いかがでございましょうか。
○がん対策推進官 事務局でございます。
この検討会からこういう意見を受け取り、行政としてその施策の推進に向かって取り組んでいくという理解をしております。
○中川構成員 つまり行政が実施する、そういうことでよろしいですか。
○がん対策推進官 はい。
○中川構成員 わかりました。
それに少し関連するのですが、求められる方策の中に「体制を整備する」という言葉があって、この体制の整備というのは基本計画の中でもかなり使われているワーディングだと思うのですが、8月31日にいただいた段階ではここの部分が、「確保」という言葉もかなり使われていました。確保と整備、なかなか微妙な違いがあると思うのですけれども、整備にしたという意味と、整備ということになると、やはり具体的な目標あるいは時期、拠点病院などに対する強制力を考えると、この体制の整備ということをずっと連ねるのがどうなのかなというふうな印象を持ちました。
 それから、最後に3点目として、4ページ目の終わりのところにありますが、本検討会終了時には総合的なとりまとめを行う、具体的施策に反映するということでしたが、当初この検討委員会が始まったときに、1つのテーマを3回で議論して、そして具体的な施策を報告いただくということだったはずだと記憶しています。その方針と今後の議論の進め方が違ってくるのかどうか、これもちょっと確認したいと思って、事務局にお尋ねする次第です。
○花岡座長 事務局はいかがでしょうか。
○がん対策推進官 今、お話しいただきました2点あって、1点目の体制の整備という言葉ですけれども、先生もおっしゃいましたように、評価、分析をして施策の改善につなげていくということがやはり必要だと思っておりまして、そういったシステムを構築する中で、ここで言われている施策を実現していくという必要があるだろうという認識のもと、確保という言葉から体制の整備という言葉を使用しているというふうに考えております。
○中川構成員 この時期に関しては、ある程度打ち出していただくことはできるのでしょうかね。ここをいつまでも体制の整備ということですと、現実に苦しんでおられる患者さんが多数おられるわけですから、ちょっと弱いのではないかなというふうに感じたものですから。
○がん対策推進官 この体制を整備するという文言を使っている部分、拠点病院での取り組みということになってございまして、拠点病院にどういう役割を期待するのかということについて、また基本計画の中でもそこは改めて検討するということにもなってございまして、そこでの議論に反映させていくということになろうかと思います。
○中川構成員 つまり、今後出てくるということですね。
○がん対策推進官 はい。
2点目でございますが、ちょっと後ほどそのあたりお話をさせていただこうと思っておったのですけれども、今、御質問いただきましたので、資料の7をちょっとごらんいただければと思っております。
今後、3回ごとに各議題についてヒアリングをいただき、また、議論をいただいた上で、皆様方に事務局から施策案をお示しして、また、それについてたたいていただいた上で、具体的な施策をまとめていくということで御提案をさせていただいた。他方、前回、この夏の概算要求に向けて急ぎ御意見をまとめる、中間とりまとめということを御提案し、御了承をいただいたという経緯があるかと思っております。
原則論として、3回で各テーマにおける施策をまとめていくということに変更はないというふうに事務局としても思っておりまして、この中間とりまとめに当たっての経緯の中でややイレギュラーな形で御議論いただくという部分も含まれていたかと思うのですけれども、この先は、まず残されている大きなテーマとしては、専門的な緩和ケアというものへのアプローチということと、あとは緩和ケアに関する人材育成、教育体制というようなことが大きなテーマとしては残されていて、それについてもう少し細かく見ていきますと、第5回から第7回、今回も含めましてこの3回で緩和ケアチームへのアプローチとして各職種の適正配置という御議論をいただこうかと思っております。
そのほか緩和ケアチーム、専門的緩和ケアへのほかの観点として、後ほど事務局からも御説明しますが、アクセスの改善でありますとか、地域連携、患者と家族の意向に応じた切れ目のない連携体制というテーマもまた、6回目から8回目で御議論いただきたいと思っております。
また、7回目から9回目では人材育成、教育体制という観点で御議論いただいてはどうかということを、またちょっと後になりますけれども示させていただいて御議論いただければと思っております。
○花岡座長 よろしゅうございますか。どうもありがとうございます。
 ほかには。
どうぞ、松本構成員。
○松本構成員 済みません。先ほど言いっぱなしになりましたので、研修のところ少し蒸し返してしまって恐縮でございます。看護師に対する研修を行うという「求められる方策」についていろいろ御意見、事務局の御意向も伺いました。恐らく、先ほど木澤構成員がおっしゃったように実効性ということを考える場合に、ここはやはり看護師にまず研修を行うということがこの中間とりまとめで事務局がお書きになった意図だということはよく理解をいたしました。であるならば、これは看護師に対する研修を行うということで、例えば「今後、社会福祉士を含め他の職種の研修についても検討を行う」という文言を一言加えていただければよろしいかなと思っております。
 それからもう一つ続けてよろしいでしょうか。
○花岡座長 はい、どうぞ。
○松本構成員 申しわけありません。3ページ目の「求められる方策」の拠点病院においての取り組みの2ポツ目です。「施設ごとに評価された苦痛への対応の手順を明確にし」という文言が、私、よく理解ができないのですけれども、事務局としてもう少し詳しく御説明をいただければ幸いです。
○花岡座長 よろしゅうございますか、事務局の方。
○がん対策推進官 もし、わかりやすい言葉ということがあれば、逆に教えていただきたいのですが、今、こういう言葉を使わせていただいているものとしては、身体的苦痛の評価指標、幾つかあろうかと思うのですけれども、どの指標を必ず使わなくてはいけないということというのはちょっとまだタイミングとして早いのかなと。施設ごとにこれを使いましょうという指標等の設定をされて、その施設ごとに、しっかり標準的な指標で患者さんの苦痛の評価を行って、緩和の質の向上につなげていくという趣旨でこういう言葉を使っているということになります。
○花岡座長 施設ごとにやっていくということは、各施設によって少しずつ違ってくるわけではないのですね。「施設ごとに」で切れて、「評価された苦痛への対応の手順」という文章なのですね。
○がん対策推進官 そうです。
○花岡座長 大西先生。
○大西構成員 大西です。
今、読ませていただいて感じたのですけれども、施設ごとにというのは、「公表する」の前に持ってくるのがいいのですかね。自分たちの病院ではこういう緩和ケアの体制を組んでいます、何か困ったことがあったらこういう体制を組んでいますよというのを施設ごとにつくって公表するという形にすればいいのですかね。形容詞の問題ですけれども、そのほうがわかりやすいかな。どうなのでしょう。
○花岡座長 いかがでしょうか。
松本構成員、その辺の言葉のあやですけれども。
○松本構成員 ありがとうございます。よくわかりました。
つまり、「評価された苦痛への対応の手順を明確にし」云々があって、「施設ごとに評価し公表する体制を整備すること」と、それとイコールなのですね。そういうことを言いたかったと。日本語の問題です。ありがとうございました。
○花岡座長 よろしゅうございますか。
どうぞ、小松構成員。
○小松構成員 先ほど中川構成員がおっしゃったところと少し通じてくると思うのですが、ページ4のところの「求められる方策」の中の、看護師の役割が非常に期待されていて、そこに書かれているように、診療報酬の改定等に関する検討も含めて、外来を中心とした継続した相談支援を行う体制を整備するというふうに掲げていただいて、非常に大きな責任を感じているわけですけれども、ここが、今、おっしゃったように、もしも整備するということが行政的な施策の改善でシステム的なものを見越しながら書かれているとすれば、それが恐らく今回、5回から7回のところで緩和ケアチーム等に関してのアプローチに関する適正配置とかは検討されるわけなのですが、かなり外来の部分を看護師は責任を持ちながら研修を受けてやるというときに、そこでのシステム的な部分の具体的なものも想定して検討会としてはやはり出さないと。絵に描いた餅にならないようにしたいなというのが、外来のナースの配置は風前のともしび的なところもありますので、そこが風前のともしびにならないように、ひな形的なものは何らかこれ以降のところでどこかにねじ込んでいただけないかというのが、私の、松月構成員もと思いますけれども、切なる願いであります。
○花岡座長 具体的な例という形になるのでしょうか。
○小松構成員 はい。検討事項、システムのところを検討すること。外来における緩和ケアとかというふうに。でも、これは先生、緩和ケアチームへのアプローチとなっていますから。そこのくくりのどこか、丸ポチを増やすか何かしていただければ。
○大西構成員 もう一つ提案がある。
○花岡座長 どうぞ、大西先生。
○大西構成員 これは僕が言うより、細川構成員とか木澤構成員にちょっとお伺いしたいのですけれども、専門的な緩和ケアとか基本的な緩和ケアという言葉が出ていますけれども、私ども、先ほど精神のほうでちょっと定義させていただいたのですけれども、こちらも少し、資料7にもより専門的なケアとか出てきますので、ちょっと言葉の定義をされたほうがすっきりするのではないかなと思うのですけれども、それはいかがでしょうか。
○木澤構成員 ありがとうございます。
大西構成員のおっしゃるとおりで、緩和ケアに関しても専門的な緩和ケアと基本的な緩和ケアだけで構わないと思うので、定義したほうがいろんな施策等がしやすくなるだろうというふうに思っています。
○花岡座長 どうぞ、細川構成員。
○細川構成員 具体的には、今、一般に行われている緩和ケア研修がありますね、あれを基本的な、基礎的なというところに取り上げて、あともう少し痛みに関して言えば、例えばペインクリニックの先生であるとか、それから精神的なものであればそれこそオンコロジー、腫瘍学の先生から診ていただく、リエゾンの先生も含まれるのですけれども、そういう方たちに入っていただいたり、放射線科にコンサルトしたりとか、いろんなことがあると思うのですけれども、そういう細かく分類できるような部分を専門的として、研修とかで一律にやるものに関しては基礎という形に分けてはっきりと区別するというほうが、もちろん先生おっしゃるようにいいと思います。
○大西構成員 それを最初に盛り込んでいただければ、よりよい、わかりやすい、クリアカットとなるのではないかなと思うのです。
○花岡座長 確かに、我々でさえすらどういう意味かという線引きがよくわからないので、その辺のところがはっきりした形になっていれば、より話が通りやすいかというふうに思います。
○大西構成員 そうした形でやっていただけると、わかりやすいのではないかなと思いまして。
○花岡座長 どうもありがとうございます。
ほかにはよろしゅうございますか。
どうぞ、田村構成員。
○田村構成員 ちょっと戻ってしまって済みません。皆様が心理社会的というくくりが大事である、と全人的というところで押さえてくださったという中ですので、この具体的な文言の中では「心理的」を「心理社会的」と書き変えていくという部分ですとか、○の精神心理社会的苦痛のスクリーニングやフォローアップにおいて、臨床心理士等のところも、社会福祉士もそういう担い手として入れていただけたらありがたいと思います。特に、先ほども申しましたけれども、がん相談支援センターの4ページ目の最後の部分ですと、特に看護師と社会福祉士の人員増員をというふうに書き入れていただけましたらありがたく思います。
○花岡座長 どうもありがとうございます。
いろいろ御意見がございましたが、ありがとうございます。
中間とりまとめでございますので最終ではございませんけれども、中間とりまとめにつきましては私と事務局の方で預かるということにしまして、最終的にとりまとめをしたいというふうに思っておりますが、よろしゅうございますでしょうか。それではどうもありがとうございます。
 それでは続きまして、「緩和ケアに関する正しい知識の普及について」に移りたいと思います。事務局より資料についての御説明をお願いいたします。
○事務局(山下) 事務局より資料4について説明をさせていただきます。「緩和ケアに関する正しい知識の普及についての主な御意見」という資料でございます。こちらは前回の検討会で緩和ケアの定義というものに関しては、がん対策推進基本計画にも引用されているように世界保健機関の定義がある。ただ、この定義というのが少しわかりにくいのではないか。正しい知識を普及させるためには、世界保健機関における緩和ケアの定義を少し変えたり、これに説明文をつけたりすることをちょっと考えてはどうかという御意見が出たことを受けまして、今回の検討会の事前にこのことに関してアンケートを行いました。そして、以下の御意見をいただいた次第です。
 御意見としては、以下のようなキャッチコピーを使用して広めていけばどうかというような具体的な御意見を出してくださった先生方もおられますし、中には、下から3つ目ですが、言葉の定義に関する議論は現時点では不要ではないかというような御意見を出してくださった先生方もおられました。
 そこで、裏のページになりますが、事務局としては「御意見のまとめ」というところでありますが、WHOの定義自体の変更は現実的ではないだろう、また、定義に対して説明文を付加することを検討してはどうかとの御意見がある。これに加えて、正しい知識をどのように普及させるかということについても、具体的な方策について議論をするべきではないかというふうな御意見だったと認識しております。そこでこの件に関する対応案として、緩和ケアに関する正しい知識をどのように普及させるかということを重要な課題であると認識し、後の検討会において議論の場を設け、正しい知識を普及させるための具体的施策について検討をしてはどうかというふうな御提案をさせていただきたいと思います。
 以上です。
○花岡座長 どうもありがとうございました。
前回、非常に議論が盛り上がった1つでございますけれども、緩和ケアというものは何ぞやということにつきましてのいろいろお話を伺いました。まとめとしては、定義というのはこの下にございますように、WHOの定義がございます。ここの訳では心理社会的問題というような表現がされておりますが、いずれにしてもこの正しい知識をどのように普及させるかということが必要になってくるというふうには思いますが、なかなかこの定義文を読みましてもよくわかりにくい、一般の方はもっとわかりにくいのだろというふうに思いますが、それで恐らくわかりやすいような表現というのが必要ではないかという御意見もございましたが、先生方のほうでいかがでしょうか。
 細川先生どうぞ。
○細川構成員 定義ということについて、WHOの定義を否定して新たに定義をつくろうという発想ではなく、別に学問的な面ではWHOの定義でいいと思うのです。わかりにくいとは言うけれども、理解できるのですね。これはこれで置いておくのですけれども、これとは関係なく、今、一番大事なことは、がんと診断されたときからの緩和ケアという言葉で、緩和ケアという単語を使っているにもかかわらず、いまだに医療者も一般の患者さんも含め、その緩和ケアという言葉がいわゆる終末期医療、ターミナルという感覚の方が非常に多いのですね。そういたしますと、幾ら早くからの緩和ケアといっても、いや、緩和ケアは最後ではないか、私はまだ違うというふうに考える人が多い。これはこの間の広辞苑の定義でも出しましたけれども、あそこにはいまだに、治療が全部効かなくなった方へのという言葉の定義が入ってしまっている。ですから、例えば、今もがんリハビリの先生方とちょっと検討して、そちらのほうも直していただいているのですけれども、がんリハビリの中では4つにがんのタームを分けて最後の部分に「緩和的がんリハビリ」という言葉を使っているので、がんリハビリの先生方にとっては緩和ケアの緩和という言葉がターミナルでイコールなのですね。これを一般の方も含めてはっきりとさせない限りは、幾ら緩和ケアの普及や緩和ケアの緩和という言葉を使っても、みんなが違うことを考えていたのでは進まないというのが発想なので、WHOの定義はもうこれは公式なものとして、このまま置いていただいて、そうではなくもう少しわかりやすい文言としてのことを、この検討会何なりで少し示していただけて、厚労省のお墨つきというものが出れば、それをもってして看護の領域でも社会福祉の領域でもリハビリの領域でも研修会の領域でも、あらゆるところでその言葉の定義を出していくということができれば、2、3年の間に言葉として定着する可能性が出てくると思うのですね。
 これは、人間ドックという言葉が最初出てきたときにも、最初何のことかさっぱりわからないのが、今はもう「人間」をつけなくてドックと言っただけで何かというのはみんなイメージできるわけですけれども、それと同じことをしていただきたいという形で。僕は定義という言葉を使ったのが悪いのですけれども、わかりやすい言葉を添えるという形にできればと思うのですね。それを、これから研修会の場、とりあえず緩和ということについての話をするときに必ず最初に入れていただく。これは医師会も看護協会もやっていただきたいのですけれども、そうして医療者の中から普及し、やがて患者さんにも普及するという形をしていきたいという形で。幾つか実はたたき台はつくってきたので、それがいいか悪いかは、またみんなで考えていただいたらいいと思うのですけれども、ちょっと言っていいですか。
○花岡座長 どうぞ。
○細川構成員 3つに分けているのですけれども、一番シンプルなのが、これはあくまでみんながわかりやすいということですので、医療者にとってはちょっと易しすぎるかもしれませんけれども。「愛と思いやりを持って心や体のつらさを和らげ、あなたがあなたらしく生活するためのケア」というのが一番シンプルな定義。これですと、ほとんど1行ちょっとでいけるのですね。
 ただ、これでは少し具体的なものがわからないということで、「愛と思いやりを持って患者さんの体のつらさ(痛み、吐き気、倦怠感)や心のつらさ(不安、不眠、鬱)を和らげ、あなた(患者さん)があなたらしく生活できるようにするためのケア」と。ちょっとしつこいのですけれども、具体的にちょっとわかりやすくなると思うのですね。これは読んだらだれでも多分わかると思うのです。
 もう少し、さらにちょっとしつこいのですけれども、だれがやるのだということになるので、「医療者を初め、患者さんとその家族にかかわる全ての人が愛と思いやりを持って患者さんの体のつらさや心のつらさを和らげ、あなた(患者さん)があなたらしく生活できるようにするためのケア」と。
 この3つぐらい用意したのですけれども。これならわかりやすいのではないかと僕は思っているのです。ただ、もちろんたたき台ですので、これをたたいていただいて、もう少しこれを省いたらということになったらいいのですけれども、これで2、3行にまとめれば非常にみんながわかりやすくて、これから緩和ケアという言葉を俎上に上げるときにやりやすいのではないかなというのが僕の意見なのです。
○花岡座長 どうもありがとうございます。
人それぞれの意見がございますけれども、確かに緩和というのはものすごく、恐らくそれぞれの人によっても違うと思うのですね。だから何となくそれが言葉として、また医療用語としてみんなにわかるような、イメージがわくような、その観念に持てればというようなことで、いまだにというのはもう何十年も経ってもこういう状況が続いているということ自体もまた非常に言葉としても紛らわしい状況なのですが、いかがでございましょう、先生方のほうで。
 どうぞ、前川構成員。
○前川構成員 今、細川構成員がおっしゃったように、私、患者の立場として、患者サロンを主催している立場として、緩和ケアとは何ですかと聞かれた場合、一言で説明できないのです。さて、最初の診断されたときの緩和ケアと、経過観察中はいいのですけれども、本当に疼痛コントロールが必要になったときの緩和ケアは全然違います。それを緩和ケアという一つの言葉にすると患者さんは→迷います。もっと素人というか国民にわかりやすい言葉を何か、WHOの定義とは別として、わかりやすいものを提示して、それから検討しないと、何かもやもやとした感じがするのですけれども、いかがでしょうか。○花岡座長 どうもありがとうございます。
 どうぞ、田村構成員。
○田村構成員 細川構成員が出してくださった、体や心のつらさを和らげという表現を、私がいつも相談で初めての方が緩和ケアというところでお見えになったときに、どんなことだと思ってらっしゃいますか?というふうにまずお聞きして、ここで考えているのは、体や気持ちのつらいのを緩めて和らげるという字が書いてあるように、そういうふうなケアなのですというふうに説明をすると、かなりの方は、楽にするというイメージを持ってくださることが多いなと。そして、緩和という漢字が表すようにつらいのを緩める、和らげると言うと、余りわからない顔をされないなということがあるので、その表現は伝わりやすいというふうに感じます。
○花岡座長 どうもありがとうございます。
 ほかには。
大西構成員どうぞ。
○大西構成員 今、細川構成員から意見いただいて、精神科医、僕、考えたのですけれども、結局、緩和ケアは今回がんのことだけで考えさせていただきますと、一言でもっと短くすると、要はがんになっても自分らしく生きるです。だから、がんになって初期、がんになった直後で、自分らしく生きる、いわば普通に生きていくことですよね。だから、痛みやつらさを和らげるというのは当たり前で、それの結果、自分らしく生きていくわけだから、「がんになっても自分らしく生きる」、それぐらいの文章で間に合いませんかね。足りないかな。
○花岡座長 がんになっても自分らしく生きると。
○大西構成員 とりあえず個人的な意見として聞いていただければ。
○花岡座長 自分らしくというのも全部人によって違うのでしょうけれども。
 武藤先生どうぞ。
○武藤構成員 今のたたき台をベースに考えるのであればですけれども、「つらさ」という言葉について申し上げます。私どもも緩和ケアの方とお話ししていると「つらい」ということもあるのですが、やはり「今後どうなってしまうのだろう」という「不安」を抱えておられることを、強く感じます。それは初期の方も含めて治療ができる方もそうです。「不安」という言葉もどうだろうかと思います。
○細川構成員 今、武藤構成員がまさにおっしゃったので、最初のところの「心のつらさ、体のつらさ」だけにしてしまうと、具体的に何かということが患者さんはわからないと思うのですね。二番目に説明をつけてあるので、つまり体のつらさというのは括弧で痛み、吐き気、倦怠感などという形でちょっと具体的になるのですね。心のつらさというところに、不安、不眠とか鬱とかを入れているわけなのですね。そうすると、患者さんが自分が不安を持っていれば、心のつらさの中に不安という形になってくるので、少しわかりやすいかなというあたりで、3つのうちの真ん中がいいと僕は思っているのですけれども、そういう形でちょっと示させていただいたという形です。
大西構成員がおっしゃった、まさに、あなたがあなたらしく生活するためのケアというのが、自分が自分らしくと全くイコールだと思うのですけれども、ただ、患者さんは、そこまで飛ばしてしまうと、ちょっと何をしてくれるのかわからないというところにいってしまうので、少し具体的にこういうことですよということを入れたいのが1つと、それを医療サイドだけならかたい言葉で言ってもいいのですけれども、患者さんにとっては、もう少し易しい言葉という形になるので、どういう志でやるかというところに「愛と思いやりを持って」というのを入れれば、何となくやわらかくなって受け入れやすいかなというような背景は一応あるのですけれども。
○花岡座長 どうぞ、松本構成員。
○松本構成員 ありがとうございます。
事務局の対応案は、後の検討会において議論とあったのですけれども、もう今、議論になっているようなので、あえて申し上げますと、細川構成員がおっしゃってくださった意図は大変よくわかります。ただ、私の個人的な意見とすると、何をしてくれるというか、医療者から一方的にこんなものを提供するのだよというのではなくて、私たち患者、家族がどうなっていくためのケアなのだという、その主体をどこに置くのかということが、ほんの少しですけれども、違和感というか、一方的に与えられるべき存在ではないということも含めて、否定するわけではないのですけれども、そのように思いました。今、これだけでもいろんな議論も出ますので、今、耳で聞いただけで、細川構成員がおっしゃったことメモする間もなかったので、例えば何か活字にしていただいて、後に改めて議論するというのはいかがなのでしょうか。
○細川構成員 ありがとうございます。
本当は早く出しておくべきだったのですけれども、結構間際まで考えていたもので、ちょっと出せなかったのですけれども、私は医療サイドなので、まさしく医療者から書いたものだと言われて、確かに、今、そう思いました。このどこかに、ともにというか一緒にやっていくというような言葉を入れられればそれでできると思うのですけれども、失礼ですけれども、患者さんサイドといたしましては、こういうことを定義していくというか、言葉を使っていくということには賛成いただけるのでしょうか。それはオーケーですか。わかりました。そうしたら、また改めて、これをたたき台として出させていただきまして、また、それに患者さんサイドから一緒にやっていくというような、一方方向でない双方向性の言葉をうまく入れるという形で、また次回検討していただくというような形でよろしいでしょうか。
○花岡座長 よろしゅうございますか。
 中川構成員どうぞ。
○中川構成員 むちゃくちゃ難しい問題ですね。この中だけで決めるのが本当にいいのか。例えば緩和医療学会の中で少し知恵を絞っていただいて、それでやはり学会から出てきたものというようなのが。ここの中でということになると、ちょっと責任。
○細川構成員 済みません。私個人ではなく木澤先生の知恵も入っておりまして、緩和医療学会のかなりの部分は反映しています。
○中川構成員 緩和医療学会の意見ですか、それは。
○細川構成員 いやいや。このことをやっていただけるなら、緩和医療学会からのたたき台という形にはできるのです。ただ、決まっていない段階で出すことができなかったので、一応、緩和医療学会の重立った人に話をして、こういう形でちょっと意見出してみようかというところからきているので、私、全く個人ではございません。
○花岡座長 よろしゅうございますか。
確かに非常に大きな問題でありますので、後々も含めて、この会の1つの方針としてもあるでしょうから、細川構成員の方からまたたたき台などを出していただいて、皆さん方の御意見を伺いたいというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 それでは次の議題に移りたいと思います。
 これまで、一般のがん治療医から提供される基本的な緩和ケアについての議論をしてまいりましたけれども、次の課題としては、専門的なケアへのアプローチというものが必要になってまいります。中でも緩和ケアチームなどにおける各職種の適正配置といったところへ論点を進めたいというふうに思いますのでよろしくお願い申し上げます。
 事務局より資料の説明をお願いいたします。
○事務局(山下) 資料についてお話しさせていただきます。資料5、資料6を見ていただきたいと思います。また、資料7も、もう既に出ましたのでこれも同時に見ていただきながら聞いていただけたらと思います。
 これまでの検討会で、基本的な、一般的な緩和ケアという格好で、一般のがん治療医であるとか、医療従事者が行うケアについての議論を行ってきたかと思います。そして次の段階として、資料7ですが、5回~7回、6回~8回の掲げているものとして、緩和ケアチームへのアプローチという課題がございます。基本計画の取り組むべき施策から抽出した項目として、緩和ケアチームにおける各職種の適正配置であるとか、緩和ケアへのアクセスの改善、そして、患者と家族の意向に応じた切れ目のない連携体制といったところが課題になってくるかと思います。
 そこで資料5ですが、「専門的なケアへのアプローチにおける問題点」として、今、申し上げました3つの点に関して図にしたものでございます。
 まず、青い枠でくくってありますが、これは入院医療機関ということになっておりまして、その中に緩和ケアチームや緩和ケア外来であるとかそういったような専門的なケアのチームがございます。このチームにおける人材の適正配置の問題。緩和ケアチームに必要とされる職種について、そしてその職種の専任であるとか専従であるとかの規定についてといった議題があるかと思います。
 次に、入院医療機関の中で病院のがん治療医などから緩和ケアチームなどへのアクセスの問題。アクセスを改善させるために必要な施策についてという課題があるかと思います。
 最後に地域連携というところでは、診療所などの地域の医療機関と入院医療機関との連携の問題。切れ目のない連携体制を構築するために必要な施策についてというような議題を掲げてございます。
 そして、資料7にもございますが、まず今回からの時間を使って各職種の適正配置といったところで議論をいただければというふうに考えております。
 そこで資料6ですが、これは、第1回の検討会を4月に行いましたが、その前に各論点に沿って各構成員の先生方から出していただいた意見のとりまとめでございます。緩和ケアチームや緩和ケア外来における各職種の適正配置についてということで、緩和ケアチームでの適正配置については、例えば、専任MSW、専任臨床心理士、精神症状担当専任医師、専任薬剤師、専任リハビリテーション医、専従PT、専任がん専門看護師、専任緩和認定看護師、専任栄養士が必要であるといったような御意見や、下から2つ目ですが、各職種、常勤を基本とするといったような御意見をいただいております。
 また、緩和ケア外来での適正配置というところでは、2つ目ですが、心理士、MSW、リハビリテーション医、PTを兼任として配置してはどうかといったような御意見や、緩和薬物療法認定薬剤師が必要という御意見。また、拠点病院では医師、看護師、薬剤師、事務員には必ず緩和チームに参加する期間を設けてはどうかなどの御意見をいただきました。
 最後に、そのほかの御意見として、2つ目ですが、緩和ケアチーム専任の臨床心理士とMSWを必須化するといったような御意見や、下から2つ目ですが、緩和ケアチームが形だけのところも多く、査察が必要であろう、質的担保が困難な場合には拠点病院の指定から外れるべきであるといったような御意見をいただいております。
 これからの議論の参考にしていただければと思います。
 以上です。
○花岡座長 どうもありがとうございました。
今回、田村構成員より各職種の適正配置といった観点からの提出資料がございますので、田村構成員の方から御発表いただきたいというふうに思います。参考資料ということで出ておりますので御参照いただきたいと思います。それでは、田村構成員よろしくお願い申し上げます。
○田村構成員 ありがとうございます。
緩和ケアチームで、MSW、社会福祉士がどんなような状況であるかというところで、お題いただきましてお話しさせていただきます。
 まず、お手元の資料を御一緒にめくっていただきつつ、聞いていただけましたらと思います。
 厚生労働省の、私ども医療ソーシャルワーカーの業務指針というものを1枚目につけております。社会福祉の立場から患者さんの抱える経済的、心理的、社会的問題の解決、調整援助というところ。社会復帰の促進が役割というところで、趣旨の部分に記されておりまして、社会福祉学を専門にした部分を十分に発揮して仕事ができるようにというような趣旨で出された業務指針です。
そこに示されている業務の範囲というところでありまして、入院中の心理、社会的問題の解決、調整援助。例えば具体的に、受診や入院とか在宅医療などの不安と、それを具体的に解消していくためのさまざまな資源の活用、家族への支援なども挙げられています。退院調整に関しても、やはりそれに伴う不安ですとか、在宅のサービス、介護保険、地域連携などもその範疇に入っております。また、社会復帰援助では就労支援、今、がんと就労が大きなテーマになっておりますが、就労に関すること、職場、学校などとの連携、協力などもあります。
受診・受療援助では、入院通院に伴う不安、また、いろいろな医療資源との関係形成や情報提供、これもこのたびの緩和ケアチームや病棟、いろいろなそういう資源につなぎながら、受診・受療援助をしていくという部分で、つながっていくと思います。また、療養生活の基盤という意味での経済的問題の解決、調整援助、高額療養費・傷病手当金、種々の使えるものを使いながら基盤をつくっていくということです。それと、地域活動としてのネットワークですとか、特に緩和ケアの在宅などでも大きな柱になっていくと思われますボランティアコーディネーションの部分、当事者の方たちとの協働でいろいろな状況を整えていくなども入っています。
 次に、具体的に緩和ケアチームでどのような活動が必要であろうかというところで、これは日本緩和医療学会の「緩和ケアチーム活動の手引き」というものを今、改定作業中でありまして、そこにMSWの部会の方から1度提出して、審議をしている途中のものです。緩和ケアチームにおいて、「全人的苦痛に対し、心理社会的苦悩についての相談支援を柱に緩和を図ることを目標とする」というふうに行動目標では挙げております。
 次に、支援の実際の流れ。雑駁ではあるのですが、まず、ソーシャルワーカーの特徴として、緩和ケアチームが介入前に接点を持つことがある。例えば、院内のMSWとして、また、がん相談支援センターに配属されているスタッフとして、ここにありますようなギアチェンジであるとか経済の問題、家族の葛藤、本人の御不安や気持ちの折り合いについての支援や、就労、教育、そしてさまざまな身体症状が今いる機関でうまく図られていないときに、受診、受療の希望などをお受けすることがあるのですが、そういうような御様子の中で相談に訪れた方を、そこに御入院されている方であればその主科と緩和ケアチームにつなぐというような、そういう流れもあろうというところです。また具体的に、緩和ケアチームとともに介入し、入院中、退院時、臨死期というところを御一緒に支えていくことになります。そこに並んでおります、チーム介入前と同じような、問題もありますが、入院されていますと、就労、教育問題の次、の外出・外泊についての支援などもあります。外泊でも訪問看護が診療報酬の対象にになりました。院内から外の資源につないでいくことに、外出・外泊などでも連携をとれるようになってきています。
 療養場の選択という中では、看護の状況になってある程度緩和が図られて、いい時間を持てる状況になりましたら、どこで過ごすのかというような課題も出てきます。それらを関係機関との連携調整を図りながら一緒に支えていくということです。
 介護の問題、患者さんを看る主介護者、従介護者、また、その御家族内にもう一人、もう二人の要介護状態の方がおられるおうちなどもあり、それらをどういうふうに調整するかということもあります。
 単身者への関わり、それと臨死期には特に未完の仕事、遺言ですとか、献体、臓器提供、財産分与に関すること、公正証書をつくるためのさまざまな支援などがありまして、御葬儀、お墓、お骨に関する御相談までつながっていくわけです。これらの活動を次にありますように、相談支援というものを柱に行います。
相談支援というものが、最終的には何らかの形につながっていくものではあるのですが、基本、プロセスそのものが支援である。最初の方にあります、両方から矢印が出ている相談者すなわち患者さん・家族と、聞き手、相談の受け手であるソーシャルワーカーの方でやり取りをする、その中で、的確な対象者理解をする。その後、内容をもう一度御自身につないで吟味していただいたり、一緒に考えを深めていく。その中で本当のニーズを共有して具体的にそこのアセスメントをしたり、いろんな資源とのマッチングというところにいくことになりますが、その相談の御様子、ニーズをわからせていただくに当っては、やはり基礎的な知識も必要ですし、コミュニケーションですとかカウンセリングのスキルなどももちろん必要になります。アセスメントとマッチングの後で、いろいろな情報提供が、どんな内容で、どんな伝え方がいいかなというところを配慮しながら、気持ちをサポートすることと一緒に情報も提供していく。あるいは専門の機関につなぐ、いわゆるトリアージ機能というところになります。よく、相談というのは、情報提供とトリアージという結論の最後のところが役割であるというふうに、認識されておられる方も多いように思うのですけれども、そのプロセスを通して患者さん御本人が、あるいは御家族が、御自身のやり方を確認されて御自身で歩んでいかれるというそのプロセスがサポートであるというところが大事かと思います。緩和のソーシャルワークのさまざまな教育等を一緒にしている福地さんの資料なのですが、そのところを押さえていただけたらと思います。
 次に、具体的に緩和ケアチームの実態の中で、MSWがどのような状況であるかということです。これは緩和医療学会の緩和ケアチームの登録の結果のほうから少しお話をしていきたいと思います。2011年4月1日現在の指定数で、ここにありますように登録数と指定数ということで371施設が登録された調査です。およそ、拠点病院のチームの7割をカバーした調査ではないかというふうに思われています。具体的にチームのある医療機関の病床数というのが次の横棒グラフになります。ごらんになっておわかりのように、251~750、300、500、750というところのこの2本が多いわけです。いわゆる地域にある基幹病院といいますか、中核病院といいますか、大規模の病院に緩和ケアチームというのが置かれているという現状と思います。それからちょっとブルーのラインがありまして、当日本医療社会福祉協会の現況調査から、今、医療機関の医療ソーシャルワーカー、社会福祉士がどのような配置にあるかということなのですが、精神保健福祉士、社会福祉士、そしてその他の相談支援に当たっている者を含めますと、100床当たり1人が何とか満たせるぐらいの、ざっとの平均ではないかというのが出ています。ただ、これは平均でありまして、具体的には療養型病院、リハビリ病院、いわゆる回復期のリハなど、それと、200床以下の中規模病院のほうが高い配置になっております。緩和ケアチームのある医療機関の大もとの大規模病院は、100人に1床を満たしているのは、特にDPCが導入されているような大きいところですと、4割に満たないというようなことがわかっております。もとより配置は十分とは言えない中で、がん拠点になって緩和ケアチームの業務も入れてもらって始まったのだが、さらに緩和ケアチームでの仕事も役割も兼務になっているということが、9割弱のソーシャルワーカーの現状としても現況から出ています。
 また、次をおめくりいただきますと、ではその緩和ケアチームにMSWの専従、専任、兼任のいずれかがいる施設で見てみますと、全体の登録数の中の76.3%にはMSWが存在しているということにはなっているのですが、次の円グラフを見ていただきますと、専従、すなわち業務の8割、と、専任、業務の5割をしめるMSWがいる施設・いない施設を見ますと、いないという機関が92.2%となっています。つまり、緩和ケアチームの76.3%に名前は連ねているのですが、しかしほとんどが兼務といいますか、専従・専任は7.8%に過ぎないということで、専従、専任率の低い職種ということになると思います。
 このお話をいただいてから、いろいろな一線でやっているチームのソーシャルワーカーたちともメール、電話等で情報収集いろいろしていきましたけれども、具体的にちょっと逐語で入れている部分があります。がん拠点になったことで緩和ケアチームに加わったけれども、なかなか活動時間が確保できない、カンファランスに出ればそこでソーシャルワーカーの視点から発言して検討に加われるのだけれども、なかなか困難なので配置が高くなったら、早くからチームに一緒に動けるのではないかということ。そのチームの活動に、心理社会的な視点と福祉的視点のところから活動を一緒にできるのではないかということをお話ししていたソーシャルワーカーがいました。時期がおくれてリファーされたケースで、女性の方だったのですが、なかなか気持ちがすぐれないということで、早く帰りたい、治療の途中から帰りたいというお話だったので面接させてもらうと、不登校の息子さんを置いての御入院のシングルマザーでいらして、その息子さんをどうやって支援するかというところにとても気持ちがいっていて、不安な思いをされていたとわかった。そこで、学校の教員との連携ですとか、フリースクールを活用するなど、地域資源と一緒に息子さんを支えていくようにした。支援がちょっとおくれてしまったのだけれど、こういうことも最初からかかわれたらよかったのではないかというようなことをお話されていました。
 また、次をおめくりいただきますと、入院がん患者さん当たりの緩和ケアチームの利用率というのがあります。いろいろなチームの種類ではありますが、全体で年間のがん患者の退院数の4.2%の活用率ということになります。それに関してなのですが、主科での対応が困難になって緩和ケアチームに依頼が出るのだけれども、もっと早くチームに介入するとよかったなというケースがやはり多いということ。リファーがあるのは、看護師さんや患者さん家族というよりは、やはり主科の主治医がその考えを持っているかというところで、依頼はあったり、なかったりというのが現状であるということ。もし、高い配置になると、要するに人と社会資源をつなぐというのが社会福祉の役割というところですので、緩和ケアチームという資源についても院内外に広めていくというところに動くことができるのではないだろうか、ということがありました。チームから、地元に帰りたい希望がある人だということでつながれた患者さんだったのですが、よくよくお話を聞くと、自分がもうそろそろ亡くなるということも感じていたので、地元のお墓参りをしたい。自分も仲間に入るので。ということだということがわかり、その外出に向けて先生が紹介状を出し、寝台タクシーで行くのに社会福祉士的な資源や、移動ルート上の緩和資源として病院や在宅療養支援診療所を当たり、打診をし、リストをつくり、そういうふうな支援をしたのですけれども、患者さんの御様態が悪くなってそれがかなわなかったということなどがあり、もう少し早く介入できたらよかった。などというような具体的な話をしている人がいました。
 また、具体的に緩和ケアチームへの関与、コミットする割合を高くし、看護師さんに何かあったら、気になる方がいたら声をかけてくださいと言うことで、面接依頼が増えて、そこでいろんなニーズを拾ってチームにつなぐとか、主科の先生につなぐ、そこからチームの先生に依頼が来るというような流れができた。緩和の心理社会的な相談をメーンとして、チームで受けていますよというふうに、自分がチーム内で頭出しをしていることがすごく有効だったと話しているワーカーもいました。社会福祉士は地域医療福祉機関から連携を図られることがたくさんあるのですけれども、そういう方たちにも地域の資源として緩和ケアチームをつないでいくことにも貢献できるのではないかというふうに話しているワーカーもいました。
 次、おめくりいただきますと、緩和ケアチームへの初診時の依頼内容というものが出てまいります。当然ですけれども、がん性疼痛の依頼が最も多く7割弱ですね。そして精神症状というところで、地域連携や退院支援は3.4%と余り多くはありません。ですので、やはりもちろんチームへの依頼は身体的な症状と精神的な症状やつらさに大きく偏っていて、「不安といえば心理的反応であるからもちろん心理士さん」と介入依頼となって、改善できないと、次がソーシャルワーカーというふうに、やはり介入がおくれてしまうということがよくある。でも、よく聞いてみると、不安の原因は、先ほども申したように病気のことにとどまらず、がんになって患者さんが持っていた問題が顕在化するということもありますし、新たに加わるということもあって、患者さん自身と社会的な関係、人と家族、仕事、お金、介護などで行き詰まり感や今後の生活に不安があるということによく出会って、具体的に介入をして少し改善していくということもあるということです。ですから、早期に社会的に介入することができると、患者さんや御家族の生活の不安を少しでも軽くして、心のケア、安定した療養というところにつながっていくのではないかということも意見としてありました。
 実際に70代の女性で、お金がなくて不安だ不安だと言うので心理士さんがずっと関わり支えておられ、貧困妄想ではとのこと。「年金も受給されているし、70代で高齢者医療だし、おかしいのでは?」ということであったのですけれども、若干ずれてリファーを受けて面接をしたら、実際に困っておられて、公務員の年金ではあったのですけれども中途退職によって金額が少なかったために、生活保護との併給になって少し安心されたというようなこと。それから、物忘れもある方だったので、何度もそのことをおっしゃるのだけれども、説明を加えてお話をしまたほっと安心してを繰り返しながら支えていく。そのような「暮らしのこと」が心配な方もおられると思うという意見もありました。
 それと、退院支援は少ないのですが、どうしてもリファーの時期がおくれる。ですので、予後が迫ってから次を考えなくてはいけないということが生じ、患者さんや御家族にとって、とても見捨てられ感が強烈なものになっているということで、もう少し早い時期から療養場のことを考えることができるといいのではないかというふうに思います。これは多くの意見としてありました。
 次をおめくりいただきますと、これは私どもの医療機関での過去亡くなった方を54ケースずっと亡くなった時点からさかのぼって、ソーシャルワーカーがどんな支援をしていたのかという研究の一部分です。当院は243床で58床の緩和ケア病床がある構成に、ソーシャルワーカーが7名いるのですけれども、その中で亡くなった時期からさかのぼると4か月ぐらい、4か月以上のときにはやはり医療者との関係形成ですとか療養環境整備に関する支援をかなりしていた。制度活用とか、そのときちょうどおうちに帰れるなどで在宅を調整するなどが多かった。
また、2~3か月になると、もうこの時期が最も他院からの緩和ケア目的での転院相談が集中しており、そのギアチェンジの部分、今までと違う、自分らしく、ここでどう過ごそうかというところでの相談支援が多かったというところ。そして、患者さん・御家族と医療者の関係形成ですとか、どんな情報をどんなふうに求めておられるのかといった情報のサポートにつなぐなどが多く、患者さん本人と家族がだんだん厳しい状況になっていく中で、どんなふうに過ごしたいかという実際的な話が、コミュニケーションが余りうまく円滑にいかない、お互いにお互いを思いやるあまり話せなかったり、気詰まりになっているところに介入していくような相談ニーズもありました。具体的にどんなふうにこれから過ごしていくのかといった話し合いなどもこの辺で多くしていました。
亡くなる1か月前となりますと、スピリチュアルなニーズというふうに書きましたけれども、生きてきた意味だとか病気になったわけなどをかなり深く語るというニーズのある方が多く、7割の方にそういうことをしていました。いつも、その患者さん・家族と医療者を橋渡ししたり、患者さん、家族の話し合い、それとだんだん迫ってくると、どう過ごしたらいいのかという中で御家族間の意見の相違や、いろんな感情表出がありまして、葛藤に介入するなどもありました。
 また、亡くなる1~2週間前といいますと、特に御家族の予期悲嘆が強く、それプラス看取りの相談ということになります。具体的に、御葬儀やお墓、それからどんなふうな最期にしたいのかといったお話。そして関係形成をしながら、葛藤緩和に入りながらお話を進めていく、この時期にはそういうサポートがあります。
つまり、縷々お話しさせていただきましたが、緩和ケアの療養の経過に沿っていろいろな支援が継続して必要であるということがあると思います。
 さて、緩和ケアチームにソーシャルワーカーが専従と書きましたが、今よりも専従もしくは専任で配置されることによって、見込まれる効果です。初めの部分から、つまり、患者さんや家族ががんとともに生きるということの支援には、生活に主軸を置いた介入というのも必要になるというふうに思います。ですので、社会福祉士が高い配置になりましたらば、緩和ケアチームの活動そのものに心理社会的な視点と社会福祉的視点の中で介入が少し厚くなるのではないかなと思いますし、そういう心理社会的ニーズを早期に理解してアセスメントして直接関与したり、支援をしたりする可能性も生まれると思います。それと、3つ目の部分は特に、療養場の選択とか、おうちに帰りたい、いろいろな希望を持っておられますが、そういうことに早期からチームと一緒に密に組んで、機会を失うことのない、患者さんや家族が、どこでどんなふうにというところを主体的で現実的に考えていくというところを御一緒できるのではないかなというふうに思います。
 それと、がん相談支援センターと緩和ケアチームの橋渡しをしたり、連携をするというところで、兼務というところが、特に専従ではなく専任になったとしても、そういうことができるのではないかと思います。また、主科の担当医や看護師さんと緩和ケアチームをつなげることも、実際には、高い配置で動いている社会福祉士にはそういう事例もかなり増えてきているという話があります。
 何より緩和ケアチームという地域資源の有効活用に向けて、患者さんや家族、利用者でそれを使ってもらうようなこと、そして、ほかの医療社会福祉機関にそういう資源があるということを伝えて使っていただくようなことを促進できるのではないかなと思います。がんの療養は、治療方針の自己決定や経済的な問題、療養先の検討などと、ずっと患者さん、家族には不可欠な課題が次々とあるのですけれども、相談支援を柱に患者さん、家族の思いや、その方をチームが的確に理解するというところに、少しでも貢献しながら、患者さん、家族がその方らしい個別的な生活というというところをチームが支えていくようなことにつながれればなというふうに思います。社会福祉士がもう少し濃くかかわらせていただくと、緩和ケアチームの全人的なケア力という部分で、心理社会的な評価と支援を付加して、患者さんや家族の支援にそこから貢献できていけたらというふうに考えます。
 以上です。
○花岡座長 どうもありがとうございました。
現在、緩和ケアチームに必要とされる職種というのは、専任の身体症状担当医師と専従の看護師、また精神症状担当医師、これは専任が望ましい、ということで、拠点病院の要件上では確保されているわけでございますけれども、緩和ケアチームなどにおける人材の適正配置についてということで議論をしていただきたいという思いでございます。
 ただいまの田村構成員の御報告も含めて、また資料6にもございますように、緩和チームの適正配置など、先生方のここに書かれていることを含めて御意見がございましたらお願いしたいと思います。
 武藤構成員どうぞ。
○武藤構成員 田村構成員どうもありがとうございました。
緩和ケアチームにメディカルソーシャルワーカーが専従もしくは専任でいることの重要性はよくわかりました。
そこで2つお聞きしたいのですけれども、1つは、現実的に緩和ケアチームの中にメディカルソーシャルワーカーがいる割合というのは少ないと思うのですが、その理由として、それは病院側の体制の問題なのか、もしくは報酬制度も含めて制度の問題なのか、もしくはソーシャルワーカー自身の問題なのか。どこに本質的な要因があるのかということと、逆にそういったものは何があれば解決し得るのかということをお聞きしたいのが1点目です。
 2つ目が、在宅と外来併受診の患者さん群、そして在宅に移られた患者さん群と分けてみると、その2つの患者さん群に対して、メディカルソーシャルワーカーがどのように介入してらっしゃるのか、もしくはし得るのか、その可能性について教えていただければと思います。
○花岡座長 田村構成員。
○田村構成員 ありがとうございます。
まず、1つ目の御質問で、なぜ低いのかということで、私ども皆言っているのは、病院にとって直接収入につながらないというのがやはり大きい。診療報酬の中に社会福祉士の働きは退院調整加算というところに入りましたが、ほとんど経済的裏づけの部分は特に緩和の中ではありません。ですので、緩和ケアチームができて、名前は入れていただいたのですけれど、増員はされてはいないというのが現状です。経済性のところが一番大きいというふうに私どもとしては考えています。
 もう一つお聞きくださった、在宅と外来についてということですけれども、在宅に行くに関しては調整をしますね。主に介護保険の対象の方ですと、ケアマネさんを中心に、そして訪問看護師さんですとか在宅療養支援診療所の先生など、行くときに院内で病棟でカンファランスをしたり外来でカンファランスをしてつないで、もし、何かあったときに病院の窓口になっています。患者さんがこういう御様子で、それから家族がこのようにお疲れでレスパイトが必要ですとか、このようなお気持ちでおられてというようなところの御相談は続きにさせていただいて、窓口になるわけです。いろんな地域資源の人的な資源の人々がコンタクトをとるのが社会福祉士、ソーシャルワーカーという役割になっているということです。
 それと、外来フォロー中の方は、当院の場合ですと、緩和ケア外来に継続してかかっておられる方の資料、必要時にコンタクトした記録を、ソーシャルワーカーが共有していますし、必要な希望のある方は継続して相談支援をしています。あと、外来につながり地域資源につないだ後、たとえばその訪問看護師さんの頻度で大丈夫かとか、介護保険のケアマネさんとの、生活用具を入れたのですけれども、それで大丈夫かどうかというようなところのモニタリングを含めて、こちらからリーチアウトするというふうにして支援しています。
○花岡座長 よろしゅうございますか。
 どうぞ木澤構成員。
○木澤構成員 全体的なことについての意見です。。ソーシャルワーカーさんが緩和ケアチームにいたらすごく役立つと思うのですが、僕たちの病院は800床に対して10人のワーカーがいるのですけれども、兼任の配置にしています。というのは、医療全体の問題にソーシャルワーカーさんにはかかわっていただきたいと考えているからです。その観点で緩和ケアにどれだけの人を配置できるかということを考えないといけないと思っています。病院に一人しかワーカーさんがいない、もしくは全く病院自体に常勤さえいないという病院が、拠点病院でもあるのが実情なので、全チームにMSWを専従にするということは慎重に考えるべきだと思います。専従、専任にしたら加算をつけるというのが現実的な方法だと思うのですけれども、
 もう一つ、緩和ケアチームの適正な人員配置というのは、夢のようなドリームチームをつくるのはすごくいいと思うのですけれども、現実的に地方の病院では、医師と看護師さえきちんと配置されていない緩和ケアチームがまだまだ多いというのが現状だと思います。まずは、専従の看護師がいるはずなのですけれども、ほかの外来に配置されていたりすることも現実にあるのですね。やはり、病棟での看護師の配置を確保するために外来から人が引き上げられて、外来でさえ十分に看護師が配置されておらず、外来看護師として、今日ははあちら、今日はこちらに行ってというふうに使われているケースがあると聞いています。まずは専従の看護師がきちんと働けるようにするということがまず第一。第二は、専従か専任の医師。これは能力があれば、精神腫瘍医でも緩和ケア医でもどちらでもいいと思っていますが、その人が専門的な緩和ケアを実施する。その体制がミニマムであって、それを早急に全国に整備しないと、多職種チームも何ももあったものではないと思っています。まず喫緊の問題は、患者さんの苦痛を改善するために専門の医師と看護師がきちんと患者さんのケアに従事できる、24時間とは言わないので、平日、日中は常にアクセスできる状態をつくることだと認識しています。
○花岡座長 どうもありがとうございます。
十分に人がいて専従、専任という議論ができるので、人がいないときにはそういうものはもっと向こうの先の話になるというふうな形になるのですね。
 田村構成員、どうぞ。
○田村構成員 木澤先生、ありがとうございます。
おっしゃるとおりというところもあるのですけれども、あえて今、この緩和ケアというところで、いわゆる全人的に患者さんや家族を支える医療を推進していこうというふうな柱で考えている国の中で、もちろん現状はそうでも、人材としてそういう機関にソーシャルワーカーがいないというわけではありませんので、全人的に患者さんや家族を支える医療の推進の方向で整えていくということの指針として、社会福祉士の人員を整えるというふうにするのは、私は必要ではないかなと思うのですね。それで申している次第です。先生のおっしゃっていることは本当に事実ではあると思うのですが。いかがでしょうか。
○花岡座長 確保は難しくても、整備という意味では進められるという御意見でございますね。
どうぞ武藤構成員。
○武藤構成員 ありがとうございます。
木澤構成員がまさにおっしゃった通りで、まずは、ミニマムセット、どういうものが最小限必要なのかという水準を設定し、それをあまねく広めていく、という考えも重要ではないかと思っています。そして次に、どういう職種が必要かという議論においては、この緩和ケアチームがどのような機能を持つのかということを定義した上で、その機能をだれがやっていくかについて検討すべきであると思います。例えば、人的資源が少ない地域であれば、これは看護師さんが担う、医師が担う、というようになるでしょうし、人的資源が豊富な地域ではソーシャルワーカーさんが担う、というようにすることが理にかなっており現実的であると思います。いろんな考え方はあると思うのですけれども、まずは、緩和ケアチームというのはこういう機能を果たすべきなのだと、それを誰が担うかはその病院それぞれで考えるというような、機能のアプローチもあると思います。ですから、その両面で考えられるとよいのかなと思います。
○花岡座長 どうもありがとうございます。
そのほか、いかがでございましょうか。
 道永構成員どうぞ、お願いします。
○道永構成員 この6ページなのですけれども、緩和ケアチームの利用率が余りにも低いので、ちょっとびっくりしました。4%というのは、どこの病院でもそんなものなのでしょうか。
○木澤構成員 私たちの病院では50%くらいだと思います。○道永構成員 そうですよね。
あとは、MSWの方が緩和ケアチームに入るのはもちろん大事だし、そういうことが許されれば、もう本当に夢のような話なのですけれども、どちらかというと、相談支援センターの方でMSWの方が働くチャンスというのは多くないのでしょうか。先ほど、看護師さんと半分半分ぐらいだとおっしゃっていましたけれども。
○田村構成員 ありがとうございます。
相談支援センターの方には、スタッフの半分が社会福祉士になっているという現状があります。できたら、そことリンクさせながら動くようにできればいいなというのがみんな考えているところです。実際にはばらばらで、そういうふうなリンクということが、そこの機関に委ねられているので、そういう部分も工夫の1つかなというふうに思います。
 この4.2%は本当に平均ですので、ものすごくコミットしているところもありますし、すごく少ないところもあるというところです。
○花岡座長 木澤構成員どうぞ。
○木澤構成員 これは日本緩和医療学会の調査なのですけれども、研究班で別調査をしていまして、n=500ぐらいの調査で、緩和ケアチームの利用数というのは平均が年間80人前後です。ですから、すごく少ないですよ。整備はまだまだ進んでいないというのが現実だと思います。
○花岡座長 よろしゅうございますか。
ほかにはいかがでしょうか。
 どうぞ大西構成員。
○大西構成員 きょう最初の方に、緩和ケアの基本的、精神とか心理社会的な苦痛ということを議論したものですから、やはり心と体というと精神がいて身体がいて看護が要るのは、当然ですね。社会的苦痛はやはりすごく大きい要素なので、そういうところもやはり前向きに考えていただけるのがよいのではないかなと私は考えています。
○花岡座長 どうもありがとうございます。
 池永構成員どうぞ。
○池永構成員 池永でございます。
御意見、発表聞かせていただきましたけれども、例えば、もし田村先生のほうで専従化について考える場合に、MSWの必要要件というか、そういうものが決められるものなのかどうかということ。あと、非常に幅広いケアがあると思うのですけれども、確かに、私自身も専従化については基本的には賛成なのですが、ただ、実現可能性としてはどうなのかというようなことはあります。もちろんワーカーが専従化したからといって、全てのケアを緩和ケアチームで対応できるというふうには考えられませんし、特に多くの仕事が、ナースとのすみ分けと言いますか、もちろんかぶるところは非常にたくさんあって、相談業務も看護師とワーカーが半々というようなことでしたが、退院調整に関してもワーカーがかかわったり、ナースがかかわったりというふうな、さまざまなかぶっている部分もあるかと思います。どちらかというと私自身は、ワーカーでないとできないところをある部分明確にして、緩和ケアチームでいわゆる専門的なケアとしてのワーカーの配置というところから入っていくほうがいいのではないかというふうな意見を持っていますが、いかがでしょうか。
○花岡座長 どうもありがとうございます。
MSWは国家資格ではないのですね。
○田村構成員 社会福祉士もしくは精神保健福祉士を基礎資格としている職種ですね。90%近くが今そうなっています。
○花岡座長 そうですか。
その中でない方はMSWを名乗ることはできる。
○田村構成員 いえ、そんなことはないです。名称独占ではないので。
○花岡座長 ないのですか。
どうぞ中川構成員。
○中川構成員 実は、私の近しい近親者が、今、私どもの病院に入院しておりまして、緩和ケアチームも看ているのですが、そこで一番、今、私が大事だと思うのがやはりMSW的な機能なのです。ただし、先ほど来の議論のようにそこを専従、専任とするようなリソースが十分かというと、なかなかそうもなっていない。武藤構成員が先ほど言われたことは非常に重要だと思うのですが、専従、専任の議論の前に、やはりその求められる機能を明文化していただいて、それをそのリソースがあるところではMSWの方がやればいいし、そうでなければ、場合によれば、大変ですけれども、医師がやるというところも仕方がない施設もあるでしょう。そこで、その必要な機能を書き込んでいただくと、では、そこを我が病院ではだれがやるのかという議論に必ずなって、そのときに今まで緩和ケアに関心のなかったMSWの方も意識がかわってくると思うのですね。ですから、どういった機能を求められるかということを書いていただいて、リソースの中でそれをこなしていくというのが、当面現実的ではないかなという気がします。
○花岡座長 どうもありがとうございます。
岩瀬構成員、現場からの意見、何かございますか。
○岩瀬構成員 東大病院の緩和ケアチームの活動の紹介になるのですけれども、私どもの緩和ケアチームに病棟から依頼がございましたら、ほぼ100%、地域医療連携部というところに紹介をして、一緒に患者さんを診察させていただいて、ソーシャルワークもしているという現状でございます。東大病院の場合は、MSWの方だけではなくて看護師の方が地域医療連携部の中にいらっしゃいますので、2つの職種の方とソーシャルワークを一緒にすることになるのですけれども、看護師の方が一緒にソーシャルワークをしてくださる場合と、MSWの方がやる場合と、また業務の内容が、症状等の理解、それからその調節について変わってくるところもあります。今後、MSWの方の必要性、その構成員として緩和ケアチームの中に要るかどうかということに関しても、私は100%要るという意見なのですけれども、その業務内容については詳しく定義といいますか、意味づけをしていく必要が今後現場では必要になってくるのではないかというふうに思います。
○花岡座長 どうもありがとうございます。
 田村構成員どうぞ。
○田村構成員 ありがとうございます。
池永構成員がおっしゃってくださった必要要件というところでは、今、皆さんがおっしゃっているように緩和について研修をするというところはもちろんだと思うのですね。もう一つ看護師さんとの連携ということでは、退院支援もそうですし、この緩和ケアチームでの動きでもそうです。例えば、お一人の方をおうちにというふうに考えたときに、やはり医療依存度が高いですとか、症状緩和の課題を続きに在療診の先生に、また訪看さんにつなぐとか、そういうような課題を持っている方は看護師さんを中心にいきますし、家族に課題があったり、家族支援を、かなり家族の力動に入って面接をしていたりとか、そういう課題のある人はソーシャルワーカーが動きながらというふうに、退院調整という部分で両者が配属されていると、お互いの専門というか持ち味というところをお互いに頼りにしながら生かしながら動けてきているというのがよくあることなので、おっしゃっるように、業務内容といますか、得意の部分というところをわかりやすくしていくというところが必要かなと思います。ありがとうございます。
○花岡座長 どうもありがとうございました。
 どうぞ事務局から。
○がん対策推進官 済みません。事務局ですけれども、先ほど今後の進め方でちょっとお話をさせていただきましたように、本日の議論を踏まえて、どういう対策がということを事務局からも御提案させていただきたいと思うのですけれども、今いただいた御議論を伺っていると、機能の観点に着目して、そこからどういう体制が必要なのかという議論をすべきではないかというお話があって、どういう機能なのかというあたりを、またちょっと先生方に伺って、そういった方向でどういう人材というところの議論もさせていただければと思っております。
 ちょっと1点、先ほどの御議論の中で教えていただきたいこととして、緩和ケアチームと相談支援センターとの連携がなかなか難しいというお話もあったかと思うのですけれども、そのあたりというのはどういう状況か、田村構成員教えていただけますか。
○花岡座長 田村構成員どうぞ。
○田村構成員 難しいと言いますか、緩和ケアチームのことに余りにも時間が割けないので。話していたのは、緩和を求めてくる方で相談支援というところにつながった方が、すべからくとは言わないまでも、緩和ケア外来もしくは入院された後に、緩和ケアチームが支援できるようなつながりをきちんとつけていければいいのだけれども、なかなか全部うまくはいかないという。緩和ケアチームにに深くかかわっていき、時間を多く割くということができないので、相談支援の中ではそこでベストをつくしてやるのだけれども、その後の医療資源としての緩和ケアチームを使っていただくような動きというところになかなかつなげにくいということです。そこそこの事情があると思うのですけれども、実情として話が出ていました。それぞれの機関で違いはあるとは思いますけれども。
○花岡座長 よろしゅうございますか。
それでは時間も迫っておりますので、今回の議論はこれまでといたしたいと思います。
次回の検討会では、先ほど議論いただきました各職種の適正配置につきまして、事務局から具体的な施策案を示していただきまして、また議論をしたいというふうに思います。また、次の議題でもございます専門的緩和ケアへのアクセスの改善、そして、患者と家族の意向に応じた切れ目のない連携体制についてのヒアリングを行うとともに御議論いただきたいというふうに思っております。
 ヒアリングの対象者などにつきまして構成員の先生方から御意見があれば、事務局まで御連絡いただきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 そのほか、事務局から連絡事項等ございますでしょうか。
○がん対策推進官 事務局でございます。
熱心な御議論どうもありがとうございました。
次回、第6回の検討会の日程につきましては、構成員の皆様方の御都合を調整させていただいた上、早急に御連絡させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 当初、ここで御説明をさせていただく予定にしておったのですけれども、資料7を再度御確認いただきたいと思います。資料7に今後の議事の進め方ということで、第5回から第10回までを目途とした進め方を示させていただきました。説明は先ほどさせていただきましたので、こういう進め方でよろしいかということをちょっと御議論いただければと思います。
○花岡座長 今後の議事の進め方について資料7に記載されておりますけれども、それにつきまして何か御意見等ございますでしょうか。
 どうぞ、小松構成員。
○小松構成員 先ほど発言させていただいたシステム化をしていただくためには、外来における看護師のアプローチについて、どこかでお時間をいただければありがたいなというふうに思います。
○花岡座長 これは入っていますか。
○小松構成員 これは見る限り入っていないので、どこか。
○がん対策推進官 第6回から第8回の緩和ケアへのアクセスの改善の中で、緩和ケア外来というところで御指摘いただいた点を御議論いただければというふうに思っております。
○小松構成員 緩和ケア外来ではなく、一般外来というか、初診時からのというところで、一般の外来のところで看護師が相談支援をするというふうにうたっていただきましたので、それをどういうふうに具体的にというところのアプローチに関しての議論をお願いしたいということです。
○木澤構成員 具体的提案していいですか。
○花岡座長 どうぞ木澤構成員。
○木澤構成員 ここの第8回の緩和ケアへのアクセスの改善のところに、もう一つ丸ポチをつけて、外来における緩和ケアの改善とか、外来における緩和ケアの体制の整備とかにすれば、そこで議論できるかなと思います。
○花岡座長 一般に来られて、それから緩和ケアに行くというプロセスがあるので、そこのところの議論というお話でございます。
あとはよろしゅうございますか。
どうぞ、細川構成員。
○細川構成員 先ほどの話なのですけれども、最後の第8回から10回の緩和ケアに対する正しい知識の普及というところに入るのですかね。どうでしょう。
○がん対策推進官 はい、そのように予定しております。
○花岡座長 よろしゅうございますね。
それではお時間が参りましたので、本日の検討会を終了したいと思います。構成員の皆様方、本当に長時間にわたりありがとうございました。


(了)
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健康局がん対策・健康増進課

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