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2012年12月14日 第9回医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会 議事録
医政局総務課医療安全推進室
○日時
平成24年12月14日(金)
○場所
厚生労働省専用第23会議室(19階)
○出席者
会議メンバー(五十音順)
鮎澤純子 (九州大学大学院医学研究院医療経営・管理学講座准教授) |
有賀徹 (昭和大学病院病院長) |
飯田修平 (練馬総合病院病院長) |
岩井宜子 (専修大学法科大学院名誉教授) |
加藤良夫 (栄法律事務所弁護士) |
里見進 (東北大学総長) |
豊田郁子 (新葛飾病院セーフティーマネージャー) |
中澤堅次 (秋田労災病院第二内科部長) |
松月みどり (日本看護協会常任理事) |
宮澤潤 (宮澤潤法律事務所弁護士) |
山口育子 (NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長) |
山口徹 (国家公務員共済組合連合会虎の門病院病院長) |
山本和彦 (一橋大学大学院法学研究科教授) |
オブザーバー
内閣府 |
消費者庁 |
警察庁 |
法務省 |
文部科学省 |
一般社団法人日本医療安全調査機構 |
厚生労働省
原徳壽 (医政局長) |
神田裕二(大臣官房審議官) |
吉岡てつを (医政局総務課長) |
田原克志 (医政局医事課長) |
宮本哲也 (医政局総務課医療安全推進室長) |
川嵜貴之 (医政局総務課医療安全推進室長補佐) |
○配布資料
資料1 | 第8回医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会議事録 |
資料2-1 | 前回(第8回)までの議論について |
資料2-2 | 捜査機関との関係について(その2) |
資料3 | 消費者安全調査委員会について(消費者庁) |
資料4 | 再発防止のあり方について |
参考資料1 | 今後の検討方針について |
○議事
○川嵜室長補佐
それでは、定刻になりましたので、ただいまから第9回「医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会」を開催いたします。
本日は、御多用の中を当検討部会に御出席いただきましてまことにありがとうございます。
本日は、高杉構成員、樋口構成員、本田構成員より御欠席との御連絡をいただいております。また、厚生労働大臣政務官の糸川でございますが、本日は欠席でございます。
それでは、以降の進行につきましては山本座長にお願いいたします。山本座長、よろしくお願いいたします。
○山本座長
皆さん、こんにちは。本日も御多用のところをお集まりいただき、ありがとうございます。本日もどうかよろしくお願いをいたします。
それでは、まず事務局から資料の確認をお願いいたします。
○川嵜室長補佐
お手元の資料の確認をお願いいたします。
まず、「座席表」及び「議事次第」。
配付資料といたしまして、資料1は前回の議事録でございます。
資料2-1「前回(第8回)までの議論について」、33ページまでございます。
資料2-2「捜査機関との関係について(その2)」、3ページまでです。
資料3「消費者安全調査委員会について(消費者庁)」、これは表紙を除き6ページです。
資料4「再発防止のあり方について」、20ページあります。
参考資料といたしまして、参考資料1「今後の検討方針について」、これは1枚です。
このほか第1回~第8回の資料について、青色の参考資料ファイルを用意させていただいております。
以上でございます。乱丁・落丁等ございます場合には、事務局までお申しつけください。
○山本座長
皆さん、資料はおそろいでしょうか。
それでは、本日の議事でありますけれども、委員からかねて御要望のありました消費者安全調査委員会につきまして、消費者庁の方から御説明をいただくことを予定しております。
それから「医療事故に係る調査の仕組みのあり方について」ということで、これまでの議論についての整理、それから、前回非常に白熱した御議論をいただいた結果として積み残しになりました「再発防止のあり方について」という部分は、本日御議論をいただく予定であります。
早速でありますけれども、議事に入りたいと思います。まず議題(1)の最初のポツで、「前回(第8回)までの議論について」ということで、資料2-1及び2-2にまとめていただいておりますけれども、まず事務局のほうから御説明をお願いいたします。
○宮本室長
まず、資料2-1を御用意いただきたいと思います。32ページをお願いいたします。「診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業」についてですが、前回、前々回に検討いたしました内容につきまして、構成員の皆様より修正の御希望がございましたので対応しております。
下から2つ目の○、これは有賀構成員からの御発言ですけれども、解剖に関する事業の中で得られた経験を全国的に普遍化させていくということについて、御趣旨を明確にということでしたので、そのように対応しております。
それから、一番下の○ですが、これは飯田構成員より発言いただきました。事業の目的について、現在の事業の中では、ADR機能などのような部分が大きくなっているということについて、目的と整合性が合うようにという発言がございましたので、そのように記載しております。
あわせて、まとめの部分についても変更しております。
それから、資料2-2「捜査機関との関係について(その2)」、前回御検討いただきました部分についてまとめております。
1ページ目「(届出に関する考え方)」、2ページ目「(過失等の判断に関する考え方)」「(院内調査と捜査機関との関係)」、3ページ目「(調査の目的と捜査機関との関係)」「(議論の進め方等)」、このような形でまとめまして、最後の四角のような御意見があったということでまとめております。この部分を読み上げさせていただきます。
診療関連死には、故意又は故意と同視すべき捜査機関が取り扱うべき事例も紛れ込むものであり、診療関連死は全て第三者機関に届け出ることとし、医療界が中心となってその判断も含めて第三者機関が行うべきではないか。
一方、医療者は犯罪かどうかふるいにかけられることについては、感情として受け入れることができないのではないか。
他方、院内調査が行われるだけで、問題のあるケースが警察にも第三者機関にも届け出られないということでは国民の理解は得られないのではないか。
医療事故調査制度の目的は、診療行為に関連した死亡について原因を分析し、再発防止を図ることによって質の高い安全な医療につなげることであり、医師法第21条に関する議論は横に置いて考えるべきではないか。
1つの結論ということではございませんが、さまざまな御意見があったものを、方向性について簡単にまとめたということでございます。
私からは以上です。
○山本座長
ありがとうございました。
大変御苦労をいただいておまとめをいただいたということでございますけれども、今の資料2-1及び2-2につきまして、御意見あるいは論点等について追加あるいは修正等がございましたら、御発言をいただきたいと思います。
おおむねよろしゅうございますか。それでは、一応のまとめということでございますけれども、資料2-1及び2-2については、このような形で扱わせていただきます。
それでは、引き続きまして議題(1)の2つ目のポツです。先ほども御紹介いたしましたが、かねてこの部会の中で、消費者安全調査委員会についてお話を伺うのが参考になるのではないかという御意見もございましたので、本日は消費者庁から担当の方においでをいただいて御説明をお願いしております。
それでは、よろしくお願いいたします。
○白石課長補佐(消費者庁)
消費者庁消費者安全課事故調査室の白石と申します。よろしくお願いいたします。
本日は、消費者安全調査委員会の御説明の機会を設けていただきましてありがとうございます。本日、資料3を用意させていただきました。
前回の会議で、特に消費者安全調査委員会において医療事故がどのように扱われるのか、それから、警察との関係をどのように整理しているのかといった点について質問があったということですので、その点について説明をさせていただきたいと思っております。
まず1点目、医療事故の扱いについてですが、資料の1枚目のポンチ絵をご覧ください。
消費者安全調査委員会は、生命・身体分野の消費者事故等の原因を究明して再発・拡大防止につなげていく委員会です。
図の【調査対象】にあるように、消費者安全調査委員会は、法律上、運輸安全委員会が調査対象としている航空、鉄道、船舶事故以外の生命・身体分野の消費者事故等について、調査をする権限を持っております。つまり、製品・食品・施設・役務に関する消費者事故等を広く対象としております。ここで「役務」と入っておりますように、現時点では医療サービスも消費者安全調査委員会の調査対象に入ってくると整理をしております。
ただ、このように、消費者安全調査委員会が調査委対象とする「生命身体事故等」は、分野も幅広く、たくさんの事故が起きておりますので、この中から調査委員会が再発・拡大の防止のために原因を究明する必要性があると判断した事案を選定して、調査をします。
この事案の選定に関しては、再発・拡大の防止といった観点から原因を究明する必要があるのかを中心に判断していくことになりますので、一般論としては、個々の事故の個別性が強いものや、特殊な事情によって発生したような事故は選定しにくいと言えるのではないかと考えております。
この事案の選定自体も、調査委員会の委員の専門的な知見によって判断していただくという仕組みになっており、法律上何か限定や基準を設けているわけではございません。
したがって、医療事故も調査対象となっているということ、調査委員会が再発・拡大防止のために原因を究明する必要性があると判断した事案については、調査委員会で調査をすることができます。
その調査のやり方ですが、図の「事故等原因調査等」と四角囲みをしているところですが、調査委員会の事故調査の手法には、「事故等原因調査(自ら調査)」と、「他の行政機関等による調査等の結果の評価等」とがあります。後者は、単に「評価」と呼ばせていただいております。
「自ら調査」というのは、皆さんも普通にイメージしていただけると思いますが、調査委員会が最初から最後まで、自ら調査権限などを行使しながら調査をしていくというものです。
もう一つの「評価」は、他の行政機関等による調査等の結果がある場合もしくは出ることが見込まれる場合に、その調査が消費者安全の観点から原因を究明しているかを検証して、必要に応じて意見を述べたり、追加的な調査を調査委員会が自ら行うとものです。
つまり、いずれも消費者安全の確保の見地から原因を究明するという目的は同じですが、他の行政機関が一定の調査をしている場合には、その専門性などを活用させていただくこととし、さらに消費者安全の確保という観点から必要な調査がないかを検証し、足りない部分について、その調査を実施した機関に追加の調査を依頼したり(意見を述べる)、もしくは、調査委員会が自ら調査をするというスキームになります。
この「評価」の対象となる「他の行政機関等による調査等」とはどのようなものなのかですが、事故の原因を究明する調査は、基本的に国が責任を持ってやるのが原則だと考えております。ですから、ここで言う「他の行政機関等による調査等」というのも、原則としては国の調査、行政機関による調査であり、そのほかに、国の調査と同視し得る調査ということで、例えば地方公共団体やその他の機関が、法律に基づいてやる調査や検査がこれに該当します。このように、原則として、最終的な実施主体が国の行政機関であるものと考えております。
消費者安全調査委員会の医療事故の取扱いについては、今後どのような形で調査機関の検討が進んでいくのかによって、2つの可能性があると思っております。
1つは、医療事故の調査機関が運輸安全委員会と同じように位置づけられた場合です。運輸安全委員会が対象としている事故を除いている趣旨は、法律上、事故の原因を究明することが所掌事務として明記をされている独立性の高い行政機関で、法的な調査権限が付与されている機関が調査をしているということに根拠があります。このため、医療事故の調査機関が、運輸安全委員会と同等に位置づけられるのであれば、医療事故についても、同じように調査対象から除くという検討も可能なのかと考えられます。
もう一つが、先ほど申し上げた「評価」の対象となる場合です。つまり、国ないしはそれに準ずる調査機関が調査を行うという形であれば、「評価」の対象として捉えることができると考えております。
続きまして、警察との関係について説明させていただきます。資料3の5枚目にあるように、消費者安全調査委員会の事務に関して、消費者庁と警察庁とで、必要な事項を確認しております。捜査と調査はそれぞれ目的を異にしておりますので、それぞれの目的のために十分な活動を行うために、必要な調整を行いながら、お互いに協力することを前文で確認しております。
その上で、次のページになりますけれども、捜査と調査が競合するような場合には、警察と調査委員会で協議をして、相互に支障を来さず実施していけるように調整を図っていくものとしております。
実際の場面において、どのような形で調整をしていくのかを実務レベルで詰めながら、現在も協議しながらやらせていただいています。例えば、実際に事故の現場に行ったときも、現地の警察の方と協議をしながら、調査を行っています。
以上、簡単ではございますが、私からの説明とさせていただきたいと思います。
○山本座長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問等がございましたらお願いいたします。
中澤先生、どうぞ。
○中澤構成員
調査の対象というところで医療サービスも入るということと、医療サービスの中で選定して調査をされるという御報告があったと思うのですけれども、具体的に消費者庁が入った医療が関係する事件というか、事故というか、そういうものがあれば教えていただきたいのと、今、考えられている医療サービスの中の消費者庁の調査の中で、こういうケースは入ったほうがいいかというふうに、消費者庁として考えられていることがありましたら教えていただきたいと思います。
○山本座長
よろしくお願いします。
○白石課長補佐(消費者庁)
調査委員会は今年の10月1日に発足したばかりで、まだ3回しか会議を開催しておりません。実際に調査対象として選定した事故は、現在5件です。
医療サービスについてどう考えるかというのは、調査委員会には、事故調査の申出という制度がございまして、一般の国民の方から、こういった事故がありましたので調査をしてくださいという申出をすることができます。医療サービスに関するものについても、幾つか申出がありまして、前回の委員会でも少し議論になりました。その上で、医療サービスにつきましては、調査委員会としてどのように考えていくのかといったことをきちんと整理したほうがいいのではないかということで、引き続き議論をすることになっております。
○中澤構成員
ちょっと具体的な内容を知りたいのですけれども、その5例の中にこういうケースが含まれていたというようなこと。全体像がちょっとつかみにくいので、具体例があれば消費者庁の色彩というものがわかりやすいかと思って質問しています。
○白石課長補佐(消費者庁)
選定された5件には、エレベーターの戸開走行による事故、エスカレーターからの転落事故、ガス湯沸かし器の一酸化炭素中毒事故、この3件が含まれております。
○中澤構成員
それは、医療とは関係ないですね。そうすると医療との関係で、今まで議題に上ったのはゼロと考えていいですか。
○白石課長補佐(消費者庁)
議題に上ったという御趣旨が。
○中澤構成員
取り上げたと言うのですか、選定したという意味でもいいと思います。
○白石課長補佐(消費者庁)
なかなか難しいのが、どの事故を選定したのかについては、原則として公表しないことにしております。例外的に、具体的な相当性がある場合については公表をするという形で、公表の基本的な考え方を調査委員会が定めておりまして、それに基づいて選定した5件について検討した結果、消費者安全調査委員会としては、今の3件については選定したという事実を公表することとしました。このため、残りの2件については、具体的にどのような事故かを申し上げることができません。
○中澤構成員
その中に医療事故は含まれるのですか。
○白石課長補佐(消費者庁)
それを申し上げると特定できてしまう可能性があるため、申し上げることはできません。
○中澤構成員
でも、選定するというのは、基準があって選定するという話になると思うのです。それはよく言っていることなのですけれども、上のほうから選定するという話であれば、どんな基準でもOKみたいな感じになってしまうのですが、国民として選定する、あるいは選定される側に立った場合に、どういう基準になったら消費者庁に行くのか、あるいはどういう基準になったらどこに行くのかということが明確になってないと、制度としてはちょっとおかしいのではないかという気がします。
○山本座長
よろしいですか。
今のは、消費者安全調査委員会の運営についての御意見のようにも伺いましたけれども、それはこの部会の対象外のことであることは明らかでないかと思うのです。消費者庁としては、今のようなお答えなので、要するに5件中3件については公開するということで、今、お話があって、残りの2件は公開しない。そして、それは医療が含まれているかどうかも含めて公表はしないということが、その委員会としての御決定だと伺いましたので、それはそういうものだというふうに理解していただくことなのではないかと思います。
○中澤構成員
そういうわかりにくいものだということですか。
○山本座長
わかりにくいという御意見は承りました。
○中澤構成員
わかりました。
○山本座長
里見先生、どうぞ。
○里見構成員
似たような意見になるかもしれませんけれども、行政の仕組みというものは私もよくわからないのですが、今、この委員会では、医療事故に関してできるだけ医療界で自律性を持って判断をして、自分たちで原因を究明して再発防止まで持っていこうという仕組みをつくろうとしているのですけれども、今のお話を聞いていると、突然、消費者庁が医療事故も裁くのである。ある意味では評価を下し、自分たちで調査もするのだ。こういうことを決めて、我々が何か委員会をつくったときに、それが国の機関であるかどうかも判断をして、それに対しての評価もしますというふうに突然出てきて、こういうふうに決めるということは、いつ誰がどういう形でこういうことがいいのですよと決めることになるのですか。ちょっと私はびっくりしているのですけれども、今、ここで我々は一体何を話していたのか、よく理解できない。
○山本座長
もちろん、これは国会で通った法律に基づいてやっておられることは明らかだと思いますが、今の御質問にお答えいただける範囲で。
○白石課長補佐(消費者庁)
「評価」とは、他の調査機関の事故調査の結果について、良い・悪いという意味での評価をするというものではなくて、その機関の調査結果を活用させていただくというものです。
つまり、消費者安全の確保という観点から原因を究明するために必要な事項というのは、さまざまな観点のものがあります。例えば、製品の事故であれば製品の構造もありますけれども、その背景的な要因、その製品と人との関係、事故というのは、そういったさまざまな要因が絡み合って起きるので、そういったさまざまな要因について解明をするというのが、消費者事故の原因究明だと考えております。
そして、そのうちの製品の構造については、他の機関が調査をしているということであれば、その部分については他の調査機関の結果を活用させていただき、構造以外の背景的な要因などについての調査を、調査委員会が追加的に自ら調査をして、全体を原因究明していこうという仕組みです。
○山本座長
よろしいですか。御了解いただけましたか。
○里見構成員
ですから、中澤先生も、医療で具体的にこういうことだったら調査の対象になりますよということがわかると、はっきり議論がしやすいねということでおっしゃったんだと思うのです。ですから、医療事故も調査の対象にしますと言われて、全てを評価する上位の機関としてありますよと言われると、我々として一体どう処理していいのかがよくわからなくなるものだから、今、お聞きしているわけです。
○山本座長
だから、医療をどう扱うかというのは、現在調査委員会で、まだ一般的な方針を検討中であるというふうに先ほど伺いました。
○白石課長補佐(消費者庁)
医療事故についてはそうです。
調査委員会では、一般的な調査対象の選定指針を決定しており、それに基づいて、特に医療事故についてどのように考えていくのかについて、調査委員会で丁寧に議論をしたいということで、現在、検討をしているという状況でございます。
○山本座長
よろしいですか。
松月構成員、どうぞ。
○松月構成員
ベッドの転落事故があったときに、ベッドは医療用具ではないため厚労省扱いではありませんでした。そこで消費者庁に、御相談に行ったことがあるんです。その時の印象ですが、消費者の中に申し出があれば、消費者庁は広く何でもカバーできますが、ずかずかと来て、医療界で起こっていることをこのルールに従ってやるぞというものではないと私は認識しています。
先ほどの説明では、申し出の制度があるということでした。申し出ることはできるけれども、ずかずかと医療界に入ってくる話ではないと私は認識しているのですが、そんな認識でいいのでしょうか。
○白石課長補佐(消費者庁)
最終的には、調査委員会が何をやるのかということを決定して実施していくものですので、現時点で私のほうからどこまでお話できるのかという問題はありますけれども、調査委員会の調査対象は非常に幅広く、その中の一つとして、医療サービスも含まれています。そして、消費者の安全を確保することを目的とする調査委員会として、必要性が高いものから調査を行っていくことになろうかと思います。つまり、調査委員会としては、プライオリティー、優先順位をつけざるを得ないと思うのですが、そういった中で何から選定すべきかを検討していただくということになると思います。その中で医療事故をどのように位置づけていくのかを議論していただくことになろうかと思います。
○山本座長
では、山口徹構成員。
○山口(徹)構成員
そもそもの話がもう一つよくわからないのですが。この委員会が対象としてある出てきたものから選定をするという話はわかりましたし、その中に消費者からの申し出というものがあるのはわかりましたけれども、そもそもこの委員会が選定の対象とするものは、誰がどう選んで出てくるのでしょうか。この委員会の委員は、何をもって、どこの中からその対象を調査するかどうかを決めるのでしょうか。
○白石課長補佐(消費者庁)
ちょっと飛ばしてしまったのですけれども、図に「端緒情報」として記載しておりますが、先程話が出ました「申出」のほか、消費者事故に関する情報が消費者庁に集約されるようになっております。このように、消費者庁に集められた情報や申出などの中から事案を選定します。
○山本座長
この発生情報というのは、国民生活センターとか、そんな感じでしょうか。
○白石課長補佐(消費者庁)
消費者安全法に基づいて、各行政機関等から消費者庁に通知をされる情報、ご指摘のPIO-NETの情報などです。
○山本座長
よろしいですか。
どうぞ。
○山口(徹)構成員
そうすると、消費者庁のほうでまとめられて、それが委員会にかかるということでしょうか。この委員会にかかる対象は、どこで誰が決めているか。
○白石課長補佐(消費者庁)
情報自体は、委員の先生方にも共有して見ていただくことを考えております。また、消費者庁でも、多くの事故情報の中から注目案件を抽出する作業を行っており、その中で、調査委員会に候補を提案することも予定しております。ですから、事務局からの提案もありますし、委員の先生方からこういったものが気になるという提案があり、委員会にかかるという両方があります。
○山本座長
よろしいですか。
では、山口構成員。
○山口(育)構成員
先ほど松月委員がおっしゃったのは、今までの消費者センターへの届け出ということではないかと思いました。今の御説明を伺うと、国民生活センターで把握されているものの中から、生命身体事故に関係して議論しなければいけないものを選ぶ委員会というふうに受けとめました。
そこで、私からは3つほど質問したいと思います。まずは、先ほど国民からの申し出も可能だというお話をされたのですけれども、一体どこにどのように申し出るのか。また、先ほどの御説明では、申し出れば必ず調査の対象になるとは思えなかったのですが、医療においてはどのような基準で原因調査をする必要が高いと判断されるのか。今、もし議論で何か一定の基準が決まっているのだとしたら、教えていただきたいと思います。
それから、場合に応じて臨時委員や専門委員を任命するというふうに読めるのですけれども、医療についてはどういったメンバーの方をこういう委員に選定するのか、どこまでの調査をされる御予定なのか、今の段階でわかっていることがあれば教えていただきたいと思います。
○白石課長補佐(消費者庁)
まず、最初にご指摘のありました選定のもとになる事故情報ですが、必ずしも消費者センターに限らず、さまざまな行政機関からも入ってきておりますし、報道等も含めて、情報源としてはもう少し広く考えております。
また、申出の方法ですが、消費者安全調査委員会、つまり具体的には事務局を担当しております事故調査室のほうに、申出書を出していただくことになっております。
御指摘いただいたとおり、申出があった事案の全てについて、調査委員会が調査するのではなくて、その中から原因究明が必要なものを選定して調査を実施することになります。ですから、調査の申出というのは一つの端緒情報、情報収集の手段と位置付けられます。
選定の基準ですが、医療事故については、先ほども申し上げましたように、現在どのように考えていくかを議論しているところです。一般的には、調査委員会では、事案の選定指針を作成しております。ある程度抽象的ではありますが、公共性、被害の程度、単一事故の規模、多発性、消費者自身による回避可能性、子どもや高齢者などへの集中、こういった要素を総合的に見て判断していくことになっております。
○山本座長
臨時委員、専門委員。
○白石課長補佐(消費者庁)
臨時委員、専門委員につきましては、医療事故に限らず幅広い分野の事故に対応できるようにということで検討していますが、まだ任命が間に合っておらず、現在、順次やっています。具体的には、まず調査委員会として調査することが想定される事故について、必要になる専門分野の方を依頼するという作業をしており、任命作業は今後も続くかと思います。
医療事故に限らず、生命身体に関する事故の調査をする上では、被害自体を見ていただくことも必要ではないかということで、ぜひ医療関係の方にもお願いしたいと考えております。
○山本座長
どうぞ。
○山口(育)構成員
ということは、届け出があったものに限定するというよりも、届け出も受け付けはします。広く行政から上がってくるもの、あるいはメディアで報道されているものも含めて、この調査委員会の方たちが、これは取り上げないといけない問題だと判断なされば調査の対象になると考えればよろしいですか。
○白石課長補佐(消費者庁)
そうですね。
○山本座長
宮澤構成員。
○宮澤構成員
今回の消費者安全調査委員会の御説明を聞いてわかったことは、里見先生がおっしゃったとおり、生命・身体分野の消費者事故で役務を対象とするということになると、明らかにこの委員会の対象とかぶっていることがわかったということが第1点で、その環境をどうするかというのは、運輸安全委員会の調査を対象外としているように、今回これも何らかの法律を定めて対象外とするのか、あるいは消費者安全調査委員会の役務のサービスというものに関して、その中に入れて、特殊な委員会として独自性を持たせてやっていくか、その位置づけを考えなければいけないことが今回の御説明でわかったということは、今後の決めていくことの内容として、その両者の関係をどうするかということを必ず決めていかなければならないことが、はっきりしたということでいいのかなと思います。まずそういう理解をするということが、このお話を聞いた中での一番大事なポイントなのかと思います。
○山本座長
飯田構成員、どうぞ。
○飯田構成員
私も同じようなことなのですが、消費者安全法で決まった。だから、法に基づいてやっていますということはよくわかったのですが、何か屋上屋を重ねているような気がします。消費者というのは、国民ほとんど全部ですね。国民から訴えが出たものをとりあえずは全部受け入れて、それを選定するかしないかも考えて、検討するのは、とても時間と労力がかかります。そこにまた専門家が必要だとすると、あらゆる分野の専門家が必要になるわけです。あなたに言ってもしようがないのですが、これは不可能だと思うのです。ここで言うべきことでないかもしれませんが、言っておかなくてはいけない。ちょっと考えにくいのです。構成員はみんなそういう思いがあって質問しているので、参考人に文句を言っているわけではないのです。国の責任だといえばそうです。
ほかのところでもそうなのですが、目的は何かといったときに、消費者を守ることはよくわかりました。それではそこに限定して、ほかでやっていることはそこにお任せして、評価をすることも、公的なところで評価し、専門的にやっているのだから、そこにお任せしたほうがいいのではないかと思います。よけいなお世話かもしれませんし、座長に怒られるかもしれませんが、理解できないのです。そういうコメントがあったということだけは、お伝えいただきたいと思います。
以上です。
○山本座長
恐らく先ほどの評価、この条文にある16条2号の他の行政機関等による調査、検査の結果について評価を行うというのは、先ほど申し上げたようにマル・バツをつけるという話ではなくて、そういう専門的なところがやっているということを前提にして、もちろんそのままうのみにするということではないかもしれないけれども、基本的にはそれを尊重して取り扱うという意味なのではないでしょうか。
だから、専門的な調査機関という信頼できるような機関がそういう専門分野でできてくれば、基本的には飯田先生がおっしゃるように、明らかに何でもかんでもできるほどの人はいないですし、これはそういう構想でできている制度ではなかろうかと思います。
○飯田構成員
よくわかるのですが、実はことし、医療安全ではないのですが、個人情報保護法に関して消費者庁長官宛てに文書が来ているものを読んで、唖然、呆然としたのです。消費者というのは何から何までいろいろと言ってきますから、それを受け取るのは大事だと思うのですが、よけいなことですが、それを全部本当にこういうふうにやっていったら、多分もたないと思います。
○山本座長
加藤先生、どうぞ。
○加藤構成員
今の御議論をお聞きしていて、少し具体的な事例で考えてみたらどうかとな思ってお話しするのですが、医療サービスの場面で、現実にこんな事故がありましたというところからちょっとお話をさせていただきますと、気管切開をしている人がカニューレをつけている。その中にスピーキングバルブというものがあるようで、操作をちょっと間違えますと、窒息死するということがございました。現実にそういう事故がございまして、私自身、事故調査にオブザーバー参加したという経験がございます。
こういう場合には、ある注意をすれば大丈夫だというのではなくて、その扱いについてかなり紛らわしいということであれば、製造そのものを改善することが事故防止にきわめて大事だという観点から、メーカーにも改善方を要請することになってくると思います。
例えば、こういうようなカニューレをめぐる事故などは、一定の広がりがあると同時に、その事故のAさんだけが悪いという問題ではないということであるとすれば、しっかりとその原因を究明し再発を防止するために、消費者安全調査委員会というところが、この製品の問題性というものをしっかりと科学的に分析し改善方を勧告もできるでしょうし、いろいろと働きかけることによって、同じような被害が発生しないように営みをされることはとても大切なことだと思います。
とりわけ医療に関連しては、今、お話を聞いていて、第一義的には、医療現場で起きている事故について、医療安全調査委員会という第三者機関が早くできれば、そのすみ分けというものはスムーズにいくのではないか。その意味では、消費者安全調査委員会のお話を聞いて、医療安全調査委員会のようなものが一刻も早くできることがいいのではないか、そういうふうに感じた次第です。
これから質問なのですけれども、消費者安全調査委員会の予算とかスタッフについて、ちょっとお聞きしたいと思ったのです。というのは、1年間にどのぐらいの生命・身体にかかわる重大な事故が起きるのかという予測値を、何を根拠にはじき出したのかということと、それを調査するにどのぐらいの人的パワーを当てたら可能かということを、どのように設計されたのかというあたり、もし、きょう説明のために来ていただいた消費者庁の方が御存じであれば、その御存じの限りで御紹介いただければと思います。
○白石課長補佐(消費者庁)
まず、予算ですが、今年度は、10月1日からスタートして3月までの半年分ということで、事故調査のための経費が7,500万円となっております。
この積算根拠については、実際にやってみないと、何件の事故を調査できるのかも分からず、一件にかかる費用もかなりばらつきがあると考えております。
ですから、かなり机上の計算をして、半年分で7,500万円という予算となっておりますが実際にこれで足りるのか、余ってしまうのかは、今後の活動にかかってくると思っております。
人員ですが、調査委員会の事務局機能を担う事故調査室に、21名の定員がついております。
実際の調査は、専門委員を中心に実施することを想定しております。
例えば運輸安全委員会のように、調査官を事故調査室に置くことは、調査委員会の対象がとても広いことから、現実的ではありません。このため、専門委員を中心に調査を実施していくというスキームで考えております。
○加藤構成員
診療関連死についてのモデル事業というものがあって、全国的に広がっていくといいと私は思っているわけですけれども、今の21名というのは東京に室というのが1つあって、そこのスタッフが21名、こういうイメージでお聞きしたのですが、それでよろしいですか。
○白石課長補佐(消費者庁)
そのとおりでございます。
○加藤構成員
そうすると、例えば全国的に見た場合に、中部地方とか四国とか九州とか、そういうブロックごとにある程度対応するという設計でないと、消費者安全の調査というものが迅速に回らないのではないかと、一見して感ずるのですけれども、その辺については制度設計に当たってどんな議論があったのか、もし御存じであれば御紹介いただけますか。
○白石課長補佐(消費者庁)
地方で事故が起きた場合も、事故調査室の職員が現地に行くことになります。消費者庁は各地に支部もございませんので、東京で対応せざるを得ません。
現在の枠組みの中でとり得る手段としては、例えば専門委員として、なるべく東京近辺だけではなくて各地方に在住の専門家の方にお願いすることも考えられますが、いずれにしてもこの点はこれからの検討課題と思っております。
○宮本室長
最初の消費者庁さんからの説明の背景といいますか、補足させていただきたい点がありますのでお話しさせていただきます。
消費者安全調査委員会をつくる際の検討の中で、医療事故については、専門性・特殊性がかなりあるという議論をされたと伺っております。こういった議論を背景としまして、消費者安全調査委員会をつくるということになりました消費者基本計画の改定に関します閣議決定の中で、医療分野における事故の原因究明及び再発防止の仕組みのあり方については、厚生労働省と関係省庁で必要な検討を行うとされているところでございます。
今、皆様で行っております検討は、この閣議決定も一つ背景として踏まえているものでございますので、その結論を踏まえて、消費者安全調査委員会との関係が整理される、このように考えております。
○山本座長
では、鮎澤構成員。
○鮎澤構成員
まず、きょうは消費者庁さんからの御説明、ありがとうございました。
里見構成員もおっしゃっておられたのですが、以前から議論が続いている医療事故の調査の仕組みをどう考えられたのか。要は大綱案をめぐって紛糾しながら細かいところを議論していたのに、あのあたりの議論はどういうふうに整理されたのだろうと思いながら、消費者庁の法案が通っていったことがとても驚きだったのです。そのあたりの整理がされておられるのであるならば、ぜひともお伺いして、これからの制度設計と整合させるなり確認をしていくなりしていきたいと思って、お話を伺いたいと思った次第です。
前回も申し上げましたが、あの法案が通った直後、当院に消費者庁からお電話が入ってびっくりしました。これはどういう問い合わせで、どういうことがこれから進んでいくのかがわからなかったのですが、とりあえず法案が通ったことは存じ上げていたので、多分そのせいだろうということで対応させていただいた記憶があります。
実はきょう、では具体的にどういう調査をされていかれるのか、それから調査結果をどのように使っていかれることになっているのか、特に調査権限と捜査機関との関係の問題、私たちがこれだけ議論しているあのあたりのことを改めて伺いたいと思ったのですが、わかったのは、そのあたりの議論はこれからだということでした。ですので、そのあたりについては、またどうなられるのかをいずれ伺いたいと思いますが、現時点で伺っておきたいことが1つあります。どうやって知り得るのかというお話なのです。
先ほど国民から、いわゆる消費者からの申し出というお話がありましたけれども、消費者安全法にのっとって言うと、行政監督官庁が知り得たものは消費者庁に連絡が行くことになりますか。そうすると、私たち病院で事故が起きる。国立なので、病院なので、文部科学省、厚生労働省に御連絡する。地方だったら厚生局などにも御連絡する。それから、医療法の縛りの中で、また病院の認定機関として医療機能評価機構にも事故があったことを御報告する。ということは、今、そういったことが起きたということの全ての御連絡が消費者庁に行っているのでしょうか。
○白石課長補佐(消費者庁)
我々のほうでは、消費者事故に該当する事故であれば御通知をいただいているものと考えております。
○宮本室長
1つだけ補足させていただきます。行政機関が知り得た情報については、今、御説明いただいたとおりですけれども、医療機能評価機構については行政機関ではありませんので、それはそういったものではないということでございます。
○鮎澤構成員
では、文科省、厚労省、厚生局等に報告したものについては消費者庁に全部ですか、ある判断のもとにですか。
○宮本室長
原則どおりということで先ほどから御説明しているとおりで、医療事故だからということではなく、行政が知り得た事故に関する情報については、全て消費者庁さんのほうにお伝えする仕組みになっているということでございます。
○鮎澤構成員
それから、先ほど「委員の先生方からこういったものが気になるといった形で上がってくるもの」ということをおっしゃっておられましたけれども、気になったことについても御連絡をいただくかもしれないのですね。つまり、委員の方がどういう形で御存じになるのかはわかりませんけれども、具体的には、例えば事故を公表したときには、当然、消費者庁も委員の方も知るところとなれるのでしょうけれども、あれについてもちょっと気になるねという形で端緒に乗っていくことになるのでしょうか。
○白石課長補佐(消費者庁)
可能性としては、あると考えております。
○鮎澤構成員
今、乗っていく可能性はそのあたりですか。申し出と、行政から入っていくものと、気になったもの。
○白石課長補佐(消費者庁)
そうですね。
○鮎澤構成員
先ほど気になったものとおっしゃったので、そういうスキームがあるのかと思って伺いました。こだわってしまって申しわけありません。
○白石課長補佐(消費者庁)
気になったもの、あとは報道とか、そういったものも含めてですね。
○鮎澤構成員
そういったものから知り得たものということですね。
○白石課長補佐(消費者庁)
はい。
○鮎澤構成員
ありがとうございます。
○山本座長
よろしいですか。
どうぞ。
○加藤構成員
消費者事故調検討会というところで、いろいろとディスカッションされてきたわけですね。国会審議でもいろいろな意見があったようですけれども、刑事手続との調整の観点ではどんな意見があったのかということを、かいつまんでお知らせいただければと思うのです。
きょうの資料3の最後のほう、5ページ、6ページに警察庁と消費者庁との相互協力という確認文書がございますけれども、検討会や国会等で議論されたことは、この文書でおおむねカバーされてしまったのか、それともそうでないのかというあたりも含めて御説明いただけますか。
○白石課長補佐(消費者庁)
検討会や国会の議論では、もちろんさまざまな局面における捜査と調査の競合について御指摘がありましたけれども、やはり一番多かったのは証拠物に関する競合です。例えばエレベーターの事故などについて、物が押収されてしまったことについてつまり、証拠物を警察が押収した場合に、調査委員会がそれを調査することができるのかといった問題意識について、多くの御意見や質問があったというふうに私のほうでは認識をしております。
この点に関しましても、はっきりと証拠物についてという形で書いてあるわけではございませんが、例えば調査委員会から警察に対して、35条による協力の要請として、調査のために押収物を見せてくださいと要請したときには、警察の捜査に支障がない限りにおいて応じますよという形で、つまり事前によく協議をして、お互いに支障がないような形で実施できるという整理をしました。
○加藤構成員
消費者事故に関しては、消費者の保護の場面で、もちろん消費者の声もそうでしょうし、当然メーカーの声もヒアリングされているだろうと思うのです。そういうときに、再発防止のために正直に真実を言うということとの関係になるのですけれども、この医療の場では、医療側の人が盛んに刑事的な問題との関係について、繰り返し発言されているわけですが、消費者安全調査委員会のいろいろな活動に対して、メーカー側の人が、刑事免責されない限り本当のことは言いませんということを言った経緯がありましたでしょうか。
○白石課長補佐(消費者庁)
調査委員会の活動としては、まだそこまで進んでおりませんので、まだ実際にそういった経験はないとお伝えせざるを得ないかと思います。
刑事責任の追及との関係をどのように考えるのかについては、まず我々としては、調査委員会の調査は捜査とは違う目的でやっているものですということを、丁寧に説明した上でヒアリングを行うということかと思います。それから、事故調査報告書は公表されますので、現在の法律の仕組みの中では、刑事手続を問わず、民事でも責任追及の場面において報告書が使われることを排除することはできないと考えております。
このため、それを前提に、どのように報告書に記載していくのかを工夫して考えざるを得ない。そういった工夫の中で、メーカー等との信頼関係を築くように努力せざるを得ないのではないかと思っております。
運輸安全委員会も、実際にそういうことを非常に研究しながら報告書を出していると聞いておりますので、我々もそういった手法などを勉強しながらやっていくというのが、基本的な考え方だと思っております。
○山本座長
よろしいですか。
ほかにいかがですか。山口徹構成員、どうぞ。
○山口(徹)構成員
今のお話で、1ページの事故等原因調査等から発生・拡大防止等のための提言のところに小さく「事故等原因調査等に応ずる行為や申出をしたことを理由とした不利益取扱いは禁止」と書かれていますが、具体的にはどういう対応をされるということなのでしょうか。
○白石課長補佐(消費者庁)
こちらは、雇用関係などを念頭に置いたものでして、例えば自分が勤務する会社の事故について調査に応じた場合に、解雇等の不利益な取り扱いをすることは禁止するものです。ただ、調査委員会における取扱いを定めるものではなく、労働法制とか民事裁判上での取り扱いになりますので、いわゆる確認規定ということになります。
○山口(徹)構成員
それは先ほどのように、調査に応じて、例えば過失があったことをちゃんと報告した場合に、それに対して不利な取り扱いがないということではないのでしょうか。この委員会が調査をされ、そこでこういう過失があったという申し出をしたときには、委員会が不利な取り扱いをしないというだけのことなのか、例えば並行して行われている司法の場でどういう扱いになるのか。司法などの話には何ら関与してないことなのでしょうか。
○白石課長補佐(消費者庁)
事故に関する責任追及という司法の場との関係を規定しているものではなく、雇用などの関係で考えているものです。
○飯田構成員
きわめて重要なことなのですが、消費者庁は全ての分野、全ての事故に関して扱うわけです。物に関しては証拠もはっきりしているし、状況もはっきりしますので事故の原因が追求しやすいのですが、私たち医療界では物も関与しますが、物よりもヒューマンファクター、ヒューマンエラーなのです。役務に関してと、物に関して、事故の原因追究その他、議論の仕方を何か検討しているかどうかを教えてほしいのです。そこが一番のポイントです。
○白石課長補佐(消費者庁)
事故調査において物だけを見ていてはいけなくて、ヒューマンファクターの部分がとても大事であり、その部分をどのように研究していくのかということについては、さまざまな方にも御指摘をいただいているところです。このため、そういった部分についての専門家にお願いをして、委員会もしくは部会にも参加していただき、我々事務局としても勉強を重ねていこうと思っているところです。
○飯田構成員
質問の趣旨はそういうことではなくて、物と人とのインターフェースというのは当然あるのです。そうではなくて役務、サービスとしての問題です。サービスのヒューマンエラー、ヒューマンファクター、そこがかなり厳しいところで微妙なのです。証拠も残らないし、なかなか難しいので、その辺をどういうふうに考えてらっしゃるかを知りたいのです。
○白石課長補佐(消費者庁)
調査委員会の調査の方法としては、先ほども申し上げたように専門委員の先生に多くの知見をいただくということになりますので、そういった分野の専門家をきちんと集めて対応していくことになろうかと思います。
○飯田構成員
それに関しても、具体的な議論は出てきてないということですね。これからそういうふうに議論しますということですね。
○白石課長補佐(消費者庁)
はい。
○山本座長
いかがでしょうか。中澤構成員、どうぞ。
○中澤構成員
大体いろいろなことがわかって、どういうことを意図しているかということが少しわかってきているのですけれども、この委員会との関係をちょっと整理していただければと思うのです。というのは、やはりここに議題として出ているということは、この委員会として関係を持って考えなければいけないという御意向があって出てきている。
○山本座長
これは事務局からあるかもしれませんが、私の理解は、これは鮎澤構成員を初めとして委員の中から、消費者安全調査委員会の意見を聞いたらどうかという話があったので出てきた。
○中澤構成員
そういうことですか。
○山本座長
先ほどもお話がありましたように、消費者安全調査委員会は法律に基づいて、粛々とその業務というか、役割をこなされるのだろうということなので、我々の検討の結果とは基本的に切り離されている。
ただ、我々の中で議論してできたものが、例えば運輸安全委員会のようなものができるのであれば、この法律の規定の中で、消費者安全調査委員会の生命・身体事故等のところから除かれて、消費者安全調査委員会の対象外の話になって、この新しい委員会だけが管轄をするということになる可能性はある。
あるいはそうでなくても、我々の検討の結果、先ほど申し上げた16条2号に規定されているようなものができれば、つまりここで「他の行政機関等による調査等」という概念に入るようなものができれば、一般的には消費者安全調査委員会の対象にはなるけれども、そこでなされた調査を評価する。直接調査をするのではなくて、調査結果を評価するという間接的なものになる可能性もある。しかし、我々の検討の結果、そういうものでもないようなものが出てくれば、それは消費者安全調査委員会とは基本的に全然関係ないような形になって、そっちはそっちで調査を進める。我々のものは、また別で調査をしているという状態になる。
だから、ここで議論した結果どういうものが出てくるかによって、関係は変わってくる。いずれにしても、その場合は法律を改正したりしないといけないことになると思いますけれども、出てくる可能性はあるということ。しかし、どういうものをつくるかというのは、ここで御議論いただくことということなのではないかと思います。
○中澤構成員
基本的には、参考にこういうことがありますよという捉え方でいいわけですね。
○山本座長
そうです。
○中澤構成員
議論がかなり広がってしまったみたいな気がしたので。
○山本座長
消費者全般という形。
○中澤構成員
そうです。ここの委員会との絡みの中まで広がってちょっとわからなくなったので、そのスタンスだけ聞かせていただきました。
○山本座長
全体の消費者事故という枠組みから、そういうお話だったと思います。
先生、どうぞ。
○里見構成員
今、先生は、この委員会が3つほどの性格を持ったものになるかもしれないとおっしゃいました。そのどれに当たるかというのは、誰が判断することになるのですか。要するに、これは独立してやっていい機関、評価を受ける機関、全く別だからもう一回再調査をする対象になるというのは、誰が決めることになるのですか。
○山本座長
どうぞ。
○吉岡総務課長
それは、まさしくこれからここで御議論いただいて、どのような形の調査の仕組みになるかということだろうと思います。それが最終的に、今の運輸安全委員会のようなしっかりとした仕組みのものができるのであれば、同様にここからもすっかり除くという判断ができるものになるでしょうし、そうでなければ、先ほど座長がおっしゃったように、対象からは除かないけれども、消費者庁もその結果を評価するという形にするのか、そこは最終的な御議論の中で整理していただく話なのかと思います。
○里見構成員
多分、我々としては、一番最初のしっかりしたものをつくっているという意識でつくろうと思っているのですけれども、つくったものがそうでないという判断を誰かが下すのであると困るので、一体誰が決めるのかと聞いているわけなのです。
○山本座長
審議官、どうぞ。
○神田審議官
法制的に決めるということになれば、当然法律を提出するに当たっては閣議決定がありますので、政府部内で消費者庁さんと各省で調整するということになります。閣議にかかりますので、最終的な意思決定は政府として閣僚間でするということかと思います。法制的にきっちり書き切るのであればそういうことでしょうし、何か法制的に完全に書かれるようなものでなければ、先ほど言った一次的な調査としてはこちらで調査をして、それを評価するという間接的な調整というものが実質的な運用としてはあり得るかもしれませんし、いずれにしろ行政的に何がしかの制度をつくるということであれば、そこは政府としてしっかり意思決定していくことかとは思います。
○山本座長
では、有賀先生。
○有賀構成員
どうやら医療の事故のようなことについては、別途きちんと考えていく必要がありそうだということはわかったのですけれども、現在、提供された資料で先ほど来出てくる、「製品・食品・施設・役務を広く対象とする」という1枚目の紙のよってきたるゆえんは、多分「消費者安全法(抜粋)」と書いた第2条の5のところですね。
そこには「事業者がその事業として供給する商品若しくは製品」、キャラメルとか、そういうことを言うのでしょうね。「事業者がその事業のために提供し若しくは利用に供する物品」、これも物ですね。その次に「施設若しくは工作物又は事業者がその事業として若しくはその事業のために」、ちょっと日本語がよくわからないのですけれども、「提供する役務の消費者による使用等」、この消費者による使用等のところに医療が入っている、そういうことなのですか。
つまり、消費者安全法というもので患者も消費者に入る。確かに先ほどの気管切開のチューブそのものは消費されていることになるのでしょうが、どなたかがお聞きになったように、人の営みの連鎖ということからするとなかなか難しいのですけれども、もしそれが医療の本質だとすると、この文章でいくと役務の消費者による使用というところがそれになるのですか。
○白石課長補佐(消費者庁)
そうですね。役務としての医療サービスを受ける消費者ということです。
○有賀構成員
消費者による使用等と書いています。だから、消費者たる患者が使用しているまたは使用等の対象となっている役務、そういうことなのですね。皆さんは、この文章で乗っけの最初から医療が入ると思っていたのですか。
○白石課長補佐(消費者庁)
はい。
○有賀構成員
これで。もう一回聞きますけれども、役務の消費者による使用ですね。
○山本座長
使用等。
○有賀構成員
やはりおかしい。そもそも論から見て、この法律の核心は一体何だったのだろうという気が少ししますね。医療も入るはいいのですよ。ただ、どの部分で医療が入るのかといったときに、この使用者による使用等に医療が入るというのは、医療者から見ると変なのという印象ですね。つまり、法律のつくり手は最初からわかっていましたか。
○山本座長
確かに、日本語としてこれが適切かどうかという問題はあるかもしれません。
○有賀構成員
不適切ですね。
○山本座長
ただ、国会議員の方がこれでつくられたので。
○有賀構成員
国会議員のせいにするわけにもいかないでしょう。やはりその筋のプロが周りにいて国会議員を支えるわけでしょう。だから、やはり「等」が入っているからみんな入るみたいな話はおかしいわけで、最初から医療も入っているのだとすれば、もうちょっとまともな日本語になったと私は思います。
○山本座長
ありがとうございました。そうかもしれません。
では、宮澤構成員。
○宮澤構成員
用語の問題等いろいろあるかと思うのですが、私は違うところをお聞きしたいのですけれども、よろしいでしょうか。
「医療事故等調査等」の四角で囲ってある「事故等原因調査(自ら調査)」というところなのですけれども、この中で【調査権限】と書いてありまして、「報告徴収、立入検査、質問、物件提出・留置、物件保全・移動禁止、現場立入禁止」と、かなり強制的な色彩を含む内容があって、これは捜索差し押さえとか、内容的にはそういう内容とほとんど同じなのではないか。これは強制的な措置を含む内容と考えてよろしいのでしょうか。
○白石課長補佐(消費者庁)
調査権限に関しては、間接強制になります。いわゆる行政処分ですので、拒まれたときに強制的に入っていくということはできませんが、理由なく拒んだ場合には罰金が課されるという形での間接強制になります。
○宮澤構成員
間接強制とすると、強制的に取っていくとか、そういうことは対象になっていないということですね。
○白石課長補佐(消費者庁)
はい。
○宮澤構成員
わかりました。
○山本座長
鮎澤構成員。
○鮎澤構成員
先ほど、「運輸安全委員会の調査対象とされている事故等を除く」ということがあって、もしこれに該当するようなものをつくり得るのであるならば、そうした問題についてはとりあえず議論の外に置くことができる、と先ほど座長がおっしゃってくださった3つほどのオプションの1つ目として、宮澤構成員もおっしゃっておられましたけれども、私はとても大事なところだと思っています。
改めてですが、航空、鉄道、船舶等を対象としていたと思います運輸安全委員会の設置はどこでしたか。国土交通省でしたか。
○白石課長補佐(消費者庁)
国土交通省の、いわゆる三条機関として設置されています。
○鮎澤構成員
国土交通省の中にある運輸安全委員会ですね。そうすると、先ほどどういう委員会であるべきなのか、条件として何かあるか、どうかという御質問があったかとも思いますが、ここで議論する調査機関、例えば「運輸安全委員会の調査対象とする事故等を除く」ものに該当するようにするためには、どこかの行政に所属した調査機関をつくらなければいけないことになりますか。
○白石課長補佐(消費者庁)
基本的にはそう考えております。国の事務として事故調査を行うことが、位置づけられる必要があると思っております。
○鮎澤構成員
少なくとも、そこのところは織り込み済みの文言だということですね。
○白石課長補佐(消費者庁)
はい。
○山本座長
それでは、時間が既にあれしていますが、どうしてもということがあれば。よろしいですか。
○有賀構成員
宮本先生たちにお聞きしたいのですが、厚生労働省の中にそういう委員会をつくることを前提に話し合いをされてきたのですか。
○宮本室長
そこは先ほどと同じ話になってしまうのですけれども、どういったものができるかということにより、言わば消費者安全調査委員会との関係が事後的に決まってまいりますので、考え方がまとまったものを受けて調整をしていきたい、こういうことでございます。
○有賀構成員
今、運輸安全委員会が、ある省の中に入っているということから、ここで議論した委員会もそういう形をとらなければいけないのですかという質問があって、そうだというふうにおっしゃったのは、行政の筋からすると当たり前の答えなのですか。
○山本座長
行政の筋かどうかはわかりませんが、恐らく消費者安全調査委員会の調査対象から完全に除くということは、その消費者安全調査委員会と同等あるいはそれ以上の権限を持って、事故調査を行うことができる機関であるということは前提になっているということだと思います。先ほどもお話があったように、かなり強制的な調査権限等を持って調査をする仕組みができておりますので、それと同等以上のもの、そういう権限を行使できるのは、基本的に行政に所属しているところ以外には考えにくいのではないかという感じがしますので、先ほどの三条委員会、行政組織法3条というのは非常に強力な独立性を持った委員会ですけれども、それと並びのものでないと、完全に消費者安全調査委員会の枠外になることは考えにくいというお話だったのではないかと理解しています。そこまでやるのかどうかというのは、ここでの御議論だということだと思います。
よろしいでしょうか。消費者庁、大変長時間ありがとうございました。
それでは、ちょっと時間が押してしまいましたが、以上で議題(1)については終わります。
引き続きまして、次の議題「(2)再発防止のあり方について」、前回の積み残し部分でありますけれども、まず事務局のほうで資料4について御説明をお願いします。
○宮本室長
資料4について説明させていただきます。再発防止のあり方ということで、論点例を大きく分けて2つ書いております。
1つ目としましては、調査結果の再発防止のための活用方策についてということで、活用に関する基本的な考え方ですとか、具体的な活用方策について、論点となるのではないかということで示しております。
2つ目としましては、現在既に行われております医療事故情報収集等事業というものがございますので、こちらの仕組み、また、その連携のあり方についてどのように考えるのか、このような論点があるかということで提示しております。
参考1と2については、これまでの御意見ですとか団体からいただいたものでございまして、基本的には調査結果を活用、また、現場のほうにフィードバックをして再発防止につなげていく、このような考え方でいただいております。
おめくりいただきまして、参考3といたしましては、現在行われております医療事故情報収集等事業の概要を、非常に簡単でございますけれども、まとめております。
若干紹介させていただきますが、医療法施行規則に基づきまして、現在一部の医療機関から事故情報を収集する事業が機能しております。対象といたしましては、国立に関係する病院ですとか特定機能病院など、273の病院については義務で提出をお願いしておりますし、そのほか任意にお願いしております病院、737ほどからいただいております。こちらから、事故に関します情報を医療機能評価機構に提出いただきまして、収集、分析、解析結果の公表等を行っているということでございます。
事業の実績といたしましては、徐々に報告件数が増加しておりまして、平成23年ですと報告義務医療機関からは2,483件、任意の参加の医療機関からは316件ほどの報告をいただいております。
この成果をどのように生かすかということで、1つは5ページ目にあります別添1にありますが、1つおめくりいただきまして、「医療安全情報」というものを毎月発行しております。3カ月ごとに報告書を作成するほか、その情報をさらに抽出した形で、医療現場ですぐに使っていただけるようなものということでまとめております。5ページ目に、これまでに発行いたしました医療安全情報のタイトルを記載しております。
また、製品に由来します、または製品のほうで改善していただくような事項があるものについては、一部改善に結びついた例がありまして、そちらのほうを紹介しております。例えばインスリン含量の誤認に関連した対策ということで、インスリンに含まれております単位数がわかりにくかった、そういうものを表示を改善していただいたという例がございます。
それから、抗リウマチ剤のメトトレキサートの使用方法、こちらのほうは1週間を単位としまして、1日目と2日目だけに服用するというような、やや複雑な服用方法を行うお薬ですけれども、間違って連日に服用するような事案が発生しまして、その外装を変更していただくような対応について紹介しております。
それから、名称としましてアルマール、これは血圧に関しますようなお薬です。アマリールは血糖、糖尿病の治療のお薬なのですが、こちらを取り違えて服用したという事例がございまして、結果としましてアルマールの販売名を変更していただいたという事例もございます。
このようなことで活用いただいているということで、紹介させていただきました。
私からは以上です。
○山本座長
ありがとうございました。
それでは「再発防止のあり方について」という項目、どこからでも結構ですので御意見をいただければと思います。中澤構成員。
○中澤構成員
また先ほどの議論とちょっとかぶるところがあると思うのですが、恐らく医療事故の話はすごく個別的な要素が強くて、どういう方に対してどういう医師が絡んで、どういう病院でどういう治療を行ったらどうなったというような、かなり個別的な話だと思います。
それから、今の話の中で普遍的にいく、例えば薬剤の問題とか、ここに御紹介があった表示の問題とか、どこの病院でも共通して起こるものがあると思います。
そうなると、個別的なものというのは、中央の委員会が行うには非常に遠くなってしまって、余り現実に即した討論もできないのではないかと思われますし、その反面、データの収集の中で共通したものを討議するということであれば、中央機関の意味が出ると思います。ですから、再発防止の仕組みというのは、中央と現場という感じの持っていき方が必要ではないかと私は考えております。
○山本座長
ありがとうございました。
ほかに御意見があれば。加藤先生、どうぞ。
○加藤構成員
再発防止のあり方を考える基本的な考え方のところで、全国的にどのぐらい、どんな事故が起きているのかということの把握というのは、厚労省等がきちんと把握すべきなのではないかと考えるわけですが、第三者機関ができれば、そこがしっかりと報告を受ける機関となっていくのだろうと思うのですけれども、今、室長のほうから御報告があった資料4の3ページ、この上のところに事業実績というものがございまして、平成23年で見ると報告義務が課された医療機関は273、報告件数は2,483。これに対して任意参加の医療機関数は609あって、報告件数は316。そういうことで、ちょっとここはわかりませんけれども、多分ベッド数等で考えると、任意参加の医療機関の全てのベッド数を足すと多いのだろうと思うのです。それで、任意参加というふうになっていても、抽出力といいましょうか、各医療機関ごとに報告すべき件数というものが、きちんと上がっているのかという問題が1つ。
それから、これに参加していない医療機関となると、そうした再発防止のあり方の基本になる安全文化といいましょうか、そういう事故が起きたときには、こうした医療事故情報の収集事業をしているところに届け出をしていくんだということが、十分に徹底してない現状があるのではないか、そんなふうに感ずるわけですけれども、そういうことについてはそのような理解でよろしいでしょうか。
○宮本室長
なかなか難しい点を御指摘いただいたと思いますけれども、少なくとも平成23年までは全体数として増加の傾向にありますので、徐々に御理解をいただいているものと思います。この増加につきましては、事故発生件数が増加したというよりも徐々に御理解をいただいて、病院の中で事象の発生を捉え、それを御報告いただくという流れになってきているものと思っております。その流れがさらに上向きになっていくように、私どもも努めていきたいと思います。
○山本座長
よろしいでしょうか。どうぞ。
○加藤構成員
むしろ医療機関所属の構成員の皆様にお聞きしたいのですけれども、こうした事故情報をきちんと集めようということは、医療法施行規則に定められたものがありながら、十分にそういうものに参加しない医療機関があるとか、ある一定のベッド数があれば、事故は一定割合で起きているはずだという推計が可能なのですけれども、そういうものが、この事故情報収集事業のほうにきちんと上がってきてない現状をどんなふうに見ておられますか。
私は再発防止に向けてきちんと事故情報を集めようという、医療界の最もベーシックな安全文化の意識が欠けているのではないかと思います。これだけいろいろなことが言われていてもなお、そういうことに全然参加しない医療機関も相当数あるはずですね。そういう現状について私は憂いているわけなのですけれども、どんな感想をお持ちでしょうか。
○山本座長
どうぞ。
○飯田構成員
多分、私が答えることが最もよいと思います。なぜかというと、当院では出しておりません。出してない理由は、安全文化が劣っているわけではありません。当院では、機構に出すよりももっと詳細なデータをオンラインで登録させて、院内で分析しております。そういう病院も多いと思います。機構に出すフォーマットよりも詳しいソフトを自前でつくって前からやっておりますので、そういう病院もたくさんあります。ですから、このデータからそういうことを言われては非常に心外です。
実は、私はこの機構の医療事故防止センターの運営委員もやっていました。この集計のときもやっていましたが、そこでもいろいろ議論しています。報告件数が問題ではないのです。件数の問題ではなくて、重要な事案をどう出して、どう分析するかが大事なので、事故情報を出すときに数だけを集めてもしようがない。そこで分析して、それをどうするかということをやったほうが、機構としては役割を果たすのだという話をいたしました。今、そういうふうに動いております。
それから、事実だから言いますが、報告義務がある病院全てがたくさん出すわけではありません。出すべき義務病院でもほとんど出ない病院と、出している病院と、かなりでこぼこがあります。任意参加は任意参加ですからどっちでもいいのですが、任意参加あるいは出してない病院が劣っているという言い方はちょっと違いますので、訂正いただきます。
それから、病院もそうですが、私たち医療団体として安全文化の醸成に関していろいろな仕事をしております。前にもお話ししましたが、医療安全管理者養成講習会をしておりまして、きわめて濃密な研修会をやっています。4日間の講議と2日間の演習です。その後もアドバンスト講習会などいろいろやっています。それも全国で約3,000名、医療安全管理者を養成しておりますし、そのアドバンスト講習をやっています。今、厚生科研費をいただいて院内医療事故調査のあり方の検討をやっておりますが、そこでも平成16年と23年に全国調査をやりましたけれども、かなりよくなっております。
それから、今、大学病院でも非常に困っておりまして、小さな病院だからどうだということでなくて、種別あるいは規模あるいは運営主体の差に関係なく、改善の努力をしていない病院もありますからみんなと言うと言い過ぎですが、多くの病院はしていまして、この8年間でかなり進んでおります。それでも事故はなくなりません。事故は減りません。これはもう仕方がないことなのです。いいとは言っていませんが、ヒューマンエラーというものはなくならないので、今、どうしたらいいかということを検討して、そちらのほうの研究もやっております。
以上でございます。
○山本座長
どうぞ。
○加藤構成員
院内でやっておられるという、飯田構成員のお話がございました。この医療事故情報収集等事業のほうにも、ある意味ではそうした成果を同じように出していくことが、医療安全によりふさわしい営みだと私は感ずるわけです。院内でやることは当然のことながら、ある医療機関で起きていることは他の医療機関でも起きている可能性があって、そういうものをずっと集めることによって、資料4の後ろのほうのアルマールの話は、昔から言われている紛らわしい話の筆頭みたいなものなのですけれども、そういうことなどがきちんと行政のほうにも届いていったほうが、安全ということにはつながっていくのだろう、そういうふうに考えるのですが、その点はいかがでしょうか。
○飯田構成員
趣旨が御理解いただけなくて残念です。出してないわけではないのですが、少なくともこの機構の事故調査には参加してないというだけであって、機構では運営委員会などで事故調査の検討をしていますし、そこでもいろいろな発言をしています。重要な事案は別ですが、先ほど個別の問題だという話もあったのですが、アマリール、アルマールの取り違いはうちでもありました。すぐに対応しました。そういうことは既に報告されています。ただ、報告をしても、機構で前にも安全情報を流したけれども、また起こっているということで再度喚起しております。それでも起こるのです。
話を戻しますが、出さない理由は、もう既にそれ以上のシステムをつくってやっていますので、それに加えてシステム開発をして2度入力する手間はできません。そういうことも考えています。情報システムの開発は、かなり大変なのです。最初からシステムがない病院は、機構に出すようなでき合いのソフトを使えばよろしいのですが、でき合いのソフトにも入れ、あるいは独自に開発したソフトにも2度入力することは、現場の職員はとてもできません。
正しい情報をきちんと収集することが大事です。
当院では固有名詞がなくてもいいと言っていますが、ほとんど100%固有名詞を入れて、きちんと詳細な事故情報を出してくれます。それを安全推進委員会で分析し、対策を練っております。それを病院、その他講習会でも使っております。ですから、自分のところでただ一人やっているわけではございません。
○山本座長
山口構成員。
○山口(育)構成員
患者の立場としては、不幸にして起こってしまった事故などを、いかにプラスに転じていただけるかということに非常に関心があります。特にきょうの論点である調査結果をいかに再発防止に生かしていくかということで言いますと、例えば義務になっている医療機関、そして任意の医療機関ということで、実際に機構で7年にわたって報告書を年4回発行してこられたという実績があります。ほかにもいろいろ独自にされていることもよくわかりましたけれども、例えば現場の方たちがこういう調査結果の報告書を手にしたことによって、実際にどれだけ再発防止あるいは質の向上に結びついてきたのかという検証みたいなものは、これまでにあったのかどうかということを教えていただけますでしょうか。
それから、今、飯田委員が機構のものは使ってないとおっしゃったのですけれども、例えばこういうものがないからプラスに使えないのだとか、再発防止や質の向上につなげていくには医療機関としてはどういうことを公表すればよりプラスに働くのかというところをお聞かせいただけたらと思います。
○山本座長
それでは、まず飯田構成員。
○飯田構成員
先ほど来申し上げていますが、ヒヤリ・ハット報告の件数が問題ではないのです。例えば当病院でも、仕組みを変えれば別ですが、同じであれば、数年間やったらパターンは大体わかるわけです。私も見ていますから、その中から出てきたものを一例一例分析して、危ないと思ったら結果がオーライでも分析させています。それが大事なのです。ですから、どうしたら機構に出せるかではなくて、それよりももっと詳細にわかる分析を我々はやっているわけです。それを捨ててまで機構のシステムに変える意味がないわけです。
○山口(育)構成員
だとしたら、今ここで話し合っている第三者機関の中で、そういうふうに再発防止に結びつけていくとしたら、具体的にどういうあり方がいいとお考えですか。
○飯田構成員
ですから、全ての病院が参加する必要はないと思っています。要するに、医療界としてある程度のマスがあればパターンがわかります。ヒヤリ・ハット報告で大事なのはパターンなのです。重大な事案は別です。要するに、ちょっとした間違い、アマリール、アルマールは重大ですけれども、結果として重大でなくても出さないということは困りますから、もっと多くてもいいのですが、マスがあればパターンはわかります。それとは別に結果オーライも含めてそれをどう分析するか、それが大事なのです。
○加藤構成員
今、ちょっと気になったのですが、医療事故情報収集等事業というのはヒヤリ・ハットの話ではないですね。飯田構成員はヒヤリ・ハットの話のようにおっしゃっているけれども、きょうの資料4の2ページに「医療事故等事案として報告していただく情報」として、患者さんが亡くなったとか、重い後遺症が残ったとか、そういう事例を集めるということが書いてあると思うのですね。だから、現実に具体的な被害が患者さんに及んだ中でも、重大なものを報告するということです。
続いてちょっとお聞きするのですが、飯田構成員の院内でやっているということですが、例えば年次的に何件重大な事故があったのか、そういうことなどは一般に知ることができる状況になっているのですか。こういう場で公表していただけるとか。
○飯田構成員
議論が混乱しまして、ヒヤリ・ハット報告と重大な事故との発言が混乱したので申しわけないのですが、ある程度マスがあるといいと言ったのは、確かにおっしゃるとおりヒヤリ・ハットです。
重大事故に関しては、別途検討しなくてはいけない。それに関しては、認定病院と認定病院でないところがあります。それに関しては、ヒヤリ・ハットと重大事故とは分けて考えます。重要症例に関しても、固有名詞を出さなくても、今、いろいろな分析をしておりまして、病院団体で集めたものを研修して、それをどう分析するかということが大事であって、今、それをやっております。例えば薬剤のいろいろな問題があったときに、それを業務フローから分析して、単位業務のところにどういう問題が起こりやすいかということを分析して、それぞれで検討して発表していただいて、それをまた検証するということをやっておりますが、全ての業務に対してできるわけではございませんので、今、できる限りやっている段階です。
これも厚生科学研究費をいただいて、幾つかの業務フローに関して検討しまして、またこれからチャンスがあればそういう検討をしたいと考えております。
○山本座長
それは、一般に知られる形になっているのかという御質問です。
○飯田構成員
原因分析手法に関しては、本にも書いていますし、全日本病院協会、四病院団体協議会で研修会をして、それは会員以外でも参加しております。毎年やっております。ことしも先週終わったばかりです。それは広く公開しております。少なくとも我々がやっただけでも、3,000名ぐらいの受講生が全国の各病院に散って実践して、また来て継続研修をしていますので、そういう意味ではフィードバックしていると思います。
○山本座長
わかりました。
中澤先生、どうぞ。
○中澤構成員
先ほどの具体的な貢献は、どんな形があるかということなのですが、医療事故は個別な事例が多いということから申し上げますと、医療機関あるいは医師の活動分野は専門性が高く分化しているので、全てを網羅されたところで情報が入ってきても、なかなか目に通らないのですね。
私たちの考えでは、自分たちのところで起きた事例で、検討して再発防止をしたということは、自分たちにとっては物すごく大きな改善の効果があると思います。今のアマリールとか、その辺の話は非常にわかりやすいので、医局の入り口か何かにはってあればみんな一応目を通すので、意味はありますが、個別の事例はかなり個別のところで検討されて、個別のところにフィードバックされるというのが一番インパクトがあり、私たちは院内調査の結果を非常に重要視しています。中央に行くものと院内でやるものとの差を、そういうところに感じているということです。
○山本座長
ほかにいかがでしょうか。山口構成員、どうぞ。
○山口(育)構成員
先ほどの、報告したものをどれぐらい活用されているかということを調査された結果は何かないですか。
○山本座長
そうでした。失礼しました。これは事務局のほうですか。
○宮本室長
申しわけないのですが、もう一度お願いいたします。
○山口(育)構成員
機構で年に4回報告書が出されていて、それが再発防止に生かされるという目的で出されていると思うのですけれども、実際に年4回、7年間出してきたことによって、現場はこういうふうにプラスになったとか、効果が上がっているという具体的な調査とか、確認されたようなことは把握されていますでしょうか。
○宮本室長
そのあたり、直接測定するのはなかなか難しいと思います。ただ、先ほど紹介いたしました医療安全情報などは、非常によく使っていただいている医療機関もあると伺っております。一つ一つを職員お一人お一人に出すような形で、院内の活動に使っていただくようなところもあると伺っています。
○山本座長
飯田先生、どうぞ。
○飯田構成員
医療事故だと、効果はどうかというものの統計というのは無理です。要するに、ヒヤリ・ハットではなくて、滅多に起こらない事故を減った増えた、1年に1回起こるか起こらないものがゼロになったらよくなったのか、2件になったら変わらないのか、わからないのです。ですから、その数字的なデータは意味がないというか、とれないと思います。
厚生科研費をいただいて全国調査をしましたが、それは文化と言っていいかどうかはわかりませんが、急激には上がりませんが、よくなっているということは確かです。ただ、医療安全文化の研究も長谷川友紀教授と一緒にやっていますが、なかなかマスをたくさん集めるわけにはいかないので、文化風土の測定というのはなかなか難しいところになっています。
それから、当院では、機構の安全情報はイントラネットで流しておりますので、職員も全部見られますし、医療安全推進委員会で教育しています。では、減ったかというと、それでも減りません。ただ、そういう周知徹底をしているということで、効果は上げていると思います。
○山本座長
どうぞ。
○鮎澤構成員
今、議論しているような第三者調査機関ができたときに期待できることは、再発防止の観点から言うと多分2つある。一つ一つの個別の事例でこんなことが起きている、大変だ、みんな知っておいてね、気をつけてね、これだけでも十分大事なことがあるし、もう一つは、たくさん見るからこそわかってくることがある。こんな2つがあるのではないかと思っています。すでにいろいろなところで、そういった活用をされておられるとも思います。
今、医療機能評価機構の収集事業のほうのお話になっていますが、ちょっと違うところから。産科医療補償制度が動いています。私は実はそちらの委員に入れていただいています。原因分析委員会といって個別の事案を分析する委員会の次に、原因分析委員会で検討されたたくさんの事案を検討して再発防止策を検討していく再発防止委員会というところがあって、その再発防止委員会に入れていただいています。
ありがたいなと思うのは、そこで議論された再発防止策が、そこに出席されてらっしゃる関連する専門領域の先生方が、学会や職能団体などのラインを通して、そこで議論された再発防止策を具体的にどうしていこうかということまで議論できるようになってきたことなのですね。
例えば新生児学会や産婦人科学会でこういうことをやりましょう、こういうことを学会で取り上げて、再発防止策を議論していきましょう。職能団体で研修会として広げていきましょう。そういう具体的なアクションが起き始めている。
構成員のどなたかがおっしゃったように、それで具体的にどういうアウトカムに至ったかということはこれから先ですけれども、もう一つ再発防止委員会でのことをご紹介させていただくならば、たくさんの事案を検討するからこそわかり始めてきたことがある。それらについて、きちんと学術的なエビデンスをつくっていくことができないか。実はわからないことがまだまだたくさんあるわけです。そういったことを学会にお願いして、きちんとしたエビデンスをつくっていただくことができないかといった、そうした提言をしていくというアクションまで起こせるのではないかという話が出ています。
実はこれまでそういうスキームが私たちの中になかった。これまでたくさんの調査をして、たくさんの報告書をつくって、その報告書の中にはたくさんの提言があって、当該医療機関の提言、学術団体、関係団体への提言、国への提言といっぱいあるのですけれども、それが一体どうなっていたのかということになると、本当に闇の中に吸い込まれてしまった感じがあるのです。当該機関はそれなりにやります。同じようなことをやっている病院と共有できているかというと、なかなかそこまでさえできていないのも実際です。ですので、第三者調査機関については、そういうことができるような組織になっていくということが、私が今回検討していることに期待しているところです。
もう一点、再発防止以前のことなのですが、事故の経験というのは通常の診療の中で起き得ないことを経験することです。例えば医療過誤で過量投与があったとする。この量でどういうことが起きるのか、どういう治療をして、どういう転帰をたどったのか、どういう可能性があるのかということを知るだけでも、当該事故の直後の対応に当たる医療従事者の参考になることがすごくあるのですが、意外とそういうことが共有し得ていません。その領域の関係者同士では何となく起きていることを知っていて、あのときはああだったらしいということを知ることになるのですけれども、第三者調査機関については、直後の医学的な対応について学ばせていただけることが共有できるようになるということも期待しているところです。
以上です。
○山本座長
ありがとうございました。
加藤さん、どうぞ。
○加藤構成員
資料4の論点例で、1の「1)医療事故に係る調査結果の再発防止のための活用に関する基本的考え方」、こう書いてありますが、まず再発防止ということを考えるに当たって、その根本になるのは、調査結果がしっかりと事実関係を正しく認定して、考えなければいけない背景因子にまでいろいろと検討をめぐらせて、分析をして、初めて調査結果というものが真相究明なり何なりに資するものになるだろうと思うんですね。そういう上に立って、次なる改善のための提言というものが調査報告書に書かれることになる。
そういう意味では、再発防止のための提言の根本の基礎をなすのは、その事故なりにかかわる経過、つまり正しい事実認定が、専門的な知識、経験をもって公正に分析されるということが殊のほか大事だという点だけは、改めて指摘するまでもないことかもしれませんが、実は物すごく大事で、その事故調査に係る調査そのものがゆがんでしまいますと、再発防止のための営みというものもかなり限界を帯びてくる、そういうふうに考えられるので、とりわけその調査の任に当たるチームあるいは調査委員会、そういうところが公正さや専門的な力量といいましょうか、あるいはピアレビューとか、いろいろな事故の分析手法とか、そういうものに、ある程度トレーニングを積んだメンバーがかかわる必要があるのではないかということを指摘しておきたいと思います。
○山本座長
ありがとうございます。
中澤先生、どうぞ。
○中澤構成員
今の御発言は、非常にもっともなことだと思います。ですから、いかに真実がどうかということになっていくわけですが、私たちが一番重要だと思っておりますのは、これは現場の例というふうにお考えいただきたいのですが、要するに、実際事故を起こした当事者が、いかに本当のことをしゃべってくれるかということが一番大きな問題で、私はそこに重要な点を置きたいと思います。
その中で一番問題になるのは、調査をしている、あるいは議論の対象としてカンファレンスで取り上げたときに、個人の責任という形に持っていってしまうと、先ほどお話がありましたように、その事実の認定ということがゆがんでしまうというところがあって、私たちは、責任は病院が全部持つから、個人は持たなくていいということを前提にしていますが、これはすごく重要なことだと思います。
それから、自分たちの思いを、そのまま正確に病院全体が共有していくということは、医療事故の防止、とっさのときの病院の動きにすごく大きな関係が出てくると思いますので、一番重要なのは、現場に対する調査の仕組みとして当事者の責任を問わない、病院が責任をとって、当事者の責任を問わないということを明確にしていくことが、重要ではないかと考えております。
○山本座長
ありがとうございました。
有賀先生、どうぞ。
○有賀構成員
別添1の5ページに、No1からずっと並んでいます。例えば54に「体位変換時の気管・気管切開チューブの抜去」というものがありますけれども、そもそも私が昭和大で医療機能評価機構に届けているのは、多分2つだから、5年に1回以下なのですね。そういうものを届け出て、結局なるほどねというのは、体位変換とさらっと書いてありますけれども、たくさん集めると実はそういうことなのですね。
私もICUで一生懸命働いていると、おっとっとということがあるのです。幸いなことに患者さんがということにはなりませんでしたけれども、やはりそこそこ集めると体位変換時が出てくる。さすがに体位変換時の気管・気管切開チューブの偶発的な抜去、このテーマに関しては、医療機能評価機構から現場に派遣されたことはありませんけれども、別の例で、その後の病院の中のフィードバックの様子などを見てきてほしいということで、今の話でいけば、多少の専門家ということで現場に行って、ディスカッションさせていただくこともありました。
だから、この医療機能評価機構の仕事ぶりが、どれだけ満足度の高いものかどうかという話は、国民各位にとっては随分幅のある問題だとは思うのですけれども、少なくとも何年かをかけてここまでやってきた。これを病院がどう利用するかといえば、例えば昭和大学病院においては、職員が休む部屋に電子掲示板と言いましたか、要するに、看板にいつも流れている。だから、ご飯を食べながらこれが見られる。そういうふうな工夫の上に工夫を重ねながら、現在いろいろな病院がやっている。この仕組みもそういう形で少しずつ進化しているということがありますので、一朝一夕にはできないけれども、じわじわと頑張っている。
例えば臨床研修の義務化ができて、今、もう何年かたちましたけれども、臨床研修医が病院の医療安全の委員会や感染管理の委員会に、1年目の人1人、2年目の人1人、順繰りにその委員会の中に入れて、その委員会でどんな議論をしているかをとにかく若いうちに勉強してもらおう。
それから、昭和大あたりではインシデントレポート。今、インシデントは余り関係がないと言っていますけれども、インシデントの先にアクシデントがあるわけですから、重大事例だけではなくて、細かなところを分析するときに一緒に入ってもらうということで、その人たちが恐らく指導者の水準になっていくにつれて、この手の話はまたもっとよくなっていくのだろう。
だから、そんなに焦って、がちっと何かをしなければいけないというほどに医療者はおばかさんではございませんので、じわじわいけるというのが、私のこの資料からの感想であります。
○山本座長
ありございました。
松月構成員、どうぞ。
○松月構成員
再発防止につきまして、この医療評価機構がやっている事業に関しては、私は非常に敬意も表するし、非常に意義ある活動をやってらっしゃると思います。しかし、これはあくまで任意です。報告が義務になっている病院も、実態としては出してない病院もありますので、先ほどの消費者庁の権限のようなことも少し議論の中に入れてもいいのではないかと思います。
これを報告するべき、と考えるのは、その人一人一人の意識にかかわる問題です。ここに参加の構成員のみなさまは、優れた対策をとっている病院にいらっしゃる方々ですので、日本中の一部、まだそこまでもいってない病院も引き上げるということも考えなければいけないのかというふうに思っています。
私も、事故情報を何も集めてないときから1つの病院でずっとかかわっておりましたけれども、集めることによって見えているものがたくさんありますので、日本中の多くの病院を対象にした事故情報の収集を推進するための仕組みがつくれないものかと思っているところがございます。個人的には、今、病院で集めているものはどこかで一元化して集めて、日本中で何か一つのデータというものがつくれないかと思っております。
○山本座長
ありがとうございます。
どうぞ。
○中澤構成員
今のお話ですけれども、院内調査がしっかり行われていれば出すのはたやすくなるし、恐らく分類もやりやすくなります。件数を上げるという意味ではすごくいいことだと思うので、やはり院内調査がキーになっていくということです。
今の議論の中で、第三者機関を主にという御意見が非常に多いですけれども、実際にモデル事業を見てみると、やはり院内調査の重要性が指摘されていますので、院内調査をいかにやりやすくできるのかということを仕組みの中につくっていっていただくことで、結果的にはそういうものを集めることがやりやすくなる。
先ほど申し上げたように、条件としては、それを責任追及に使わないという条件が出てくる必要があると思うのです。ただ集めたらどこかに持っていって、それが何かの追及に使われてしまうという話になると、これを出す人はいなくなるだろうなと感じています。
○山本座長
どうぞ。
○飯田構成員
全国調査に否定的な考えを持っているわけではなくて、賛成なのです。ただ、そのためには情報システムの相互運用性を確保するか。もう相互運用性は無理なので、インターフェースをどうするかです。
話が飛ぶようですけれども、診療報酬でDPCがうまくいっているのです。DPCの仕組み自体はいろいろ賛否両論あるのですが、あれだけの詳細なデータを統一フォーマットで出せる。あれができたおかげで、私どもは経営分析にも安全分析にも使える。今、厚生科学研究費をいただいてやっていますけれども、そういうことが医療事故の調査に関してもできないとだめなのです。
ですから、松月さんのおっしゃることは大賛成なのですが、今の状況では無理なのです。機構の事故情報収集もそうです。うちは出してないと言っていましたが、機構に出せるような仕組みは今つくっていますので、近い将来出そうと思っています。今は出してないですけれども、反対しているわけではないです。
ですから、そういう全国的な調査をして、ヒヤリ・ハットを集めて分析することも大事なので、それができないから、今、自院だけでやっているということをお話ししたわけです。
ですから、ぜひ国にお願いしたいのは、そういうものをつくっていただきたいと思っております。お願いいたします。
○山本座長
ありがとうございました。
山口構成員、どうぞ。
○山口(徹)構成員
3ページの実績には細かいものがありませんけれども、これを見させていただいても、同じ医療機関でずっと報告がないものも、かなりの数があると聞いています。実際にそんなことはあり得ないのではないかと思うのですが、要するに、上の1施設あたりの報告数を見ても明らかに違うわけですから、やはり各病院でそれなりに取り組まれているといってもいろいろなレベルがあります。それから言うと、やはり非常によく、いい取り組みをされているところを、取り組みがまだ不十分なところは参考にすべきで、その意味では、やはりできれば全ての報告がどこかに集まるというシステムが基本的には必要ではないか。
そこに入って報告をしなければいけないという話になると、また同じ院内の事故調査の取り組みも違う話になるのではないか。やはり院内の事故調査が基本であることは間違いないですし、再発の予防を担うのは院内の医療従事者ですから、そこがしっかりしてないといけないのですが、同じしっかりしているといっても、病院のレベルなり大きさによって相当な差があることは間違いない。今のモデル事業で見ていても、同じ報告書でもちゃんとした報告書が出てくるものと、確かに報告書は出てくるのですけれども、大分ピントがずれているものといろいろなレベルがありますから、やはりそういうところのレベルアップを図るという意味でも、もっと多くの病院を含めたような報告システムであってほしいと思っています。ぜひそういうものが報告しやすいような形の第三者機関をつくってもらいたい。
○山本座長
ありがとうございました。
おおむねよろしゅうございましょうか。
それでは、きょうの予定された議題はおおむね以上ということになります。皆さん御承知のとおり、これできょうの参考資料1ですか、ずっと前にあれした今後の検討方針についてというものですが、そこに挙がっている検討事項については、おおむね一通りの検討ができたのではないかと思います。
そこで、今後この部会として、どういうふうに議論を進めていくかということでございますけれども、私の印象では、それぞれの論点について、当初思っていたよりは皆さんの意見が一致する部分が多かった。私の当初の予想がどうだったかはあれですが、コンセンサスが得られる部分というのは多かったような気がします。とはいえ、もちろん皆さんの間で大きく意見が分かれているところというのも、まだ多く残っている印象を受けました。そういう意味では、直ちにここから取りまとめに向かうというのは、私の印象では、今の段階ではまだ拙速ではないかという印象を持っています。
そこで、一通り全体をなめたわけでありますけれども、第2読解といいますか、特に意見の隔たりが大きい部分に絞った形で、事務局のほうで既にかなり詳細なまとめをつくっていただいていますので、これを踏まえた形で整理をいただいて、それに基づいて、議論の集約に向けてさらに深堀りをした議論を行っていくというのが、取りまとめに至る近道かというふうに思うのですが、いかがでございましょうか。
中澤構成員、どうぞ。
○中澤構成員
今までの議論の中で大きな問題は、第三者機関はどうあるべきか、院内調査とはどうあるべきか、その辺がすごく大きいことであって、すべてがそれに係るのだけれども、内容が余りはっきり議論されてない、あるいはプレゼンテーションされてないところがあるので、その点が根本的な議論になると思うのです。例えば院内調査に重きを置くといったら、第三者機関のあるべき姿というものがまた規定されますし、第三者機関はこうあるべきだというと、院内調査はこうなってしまうよみたいな話になるので、その辺から皆さんで御議論いただくことがいいのかというふうには思います。
○山本座長
おっしゃるとおりで、幾つかの論点があると思いますし、相互の論点がお互いに密接に関連し合っている部分もあると思うのですね。だから、その辺をほぐしながら。意見が違う構成員がおられるものですから、最終的には落としどころというものをどこかに見出さないと、この会議体としての意思決定はできないわけですから、お互いに歩み寄っていただくところが必要な場面も出てくるかと思いますが、とりあえずここまでは、皆さんかなり御自由にといいますか、それぞれの御議論をいただいたように思いますので、これからはある程度取りまとめを見据えた形で、しかし、もちろん安易に妥協していただくという趣旨ではございませんので、さらに議論を深めていって、何とかお互いが合意できるような着地点を見つけていく作業を行いたいという趣旨であります。
そのような形で進めてよろしいですか。有賀先生、どうぞ。
○有賀構成員
多分、基本骨格はそんな感じかと思うのですけれども、里見先生の御意見が一番ポイントになるかもしれませんが、これは親会の子どもですね。ですから、親会の目指すところと、ここでまとめる部分がどういう関係になるのか。だから、過失または無過失を説明するということと、たくさんのアクシデントを集めて、それから学んで病院のクオリティーをよくしていこうという話が、どういう形で整合性を持たせることができるのかというあたりがポイントになるように思うのです。
ですから、別に親と子どもが一心同体である必要はないのですが、子どもが完全にぐれた子どもになっても困るわけでしょうから、そこら辺のバランスは、やはり里見先生に少し考えていただかないといけないのかと少しだけ思います。
○山本座長
それは私も大変気にしているところで、中の部会であるにもかかわらず、親の会が久しく開かれておらない状況で、今までのところは一読で、全体として御議論いただく。私が思っていた以上に、議論に時間がかかった部分がございます。
ただ、1回目の議論が一通り終わったわけですので、私としても、手続的に見ても親会のほうに一度御報告を申し上げて、そこで御意見なり、有賀先生が言われたように全体の中での基本的考え方なりというものをいただいて、最後の取りまとめに向かっていくというのは、当然あるべき筋かなというふうに思っておりますので、これは私のほうからも里見先生にお願いしたいところです。
○里見構成員
そういう考え方でよろしいのですか。
○宮本室長
その点、山本座長からも厳しく言われておりまして、里見座長とも相談をしまして、そのような機会をなるべく早急に設けたいということで準備を進めたいと思います。
○里見構成員
では、よろしいですか。ぐれた会議だとはとても思っておりませんから。でも、ここで交わされた意見というのはかなり尊重されるべきものだと思いますので、かなり反映した形で議論はしたいと思います。ただ、もちろんダブっている方もいますけれども、ダブってない方もたくさんおられますから、そこでまた異なるような意見が出る可能性はあるとは思います。
○山本座長
ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。 よろしゅうございますか。
それでは、今のような方針で、次回以降、意見の分かれている部分についてかなり集中して御議論をいただきたい。そして、折を見て親会のほうにも御報告を申し上げて、御意見をいただくという形で進めていきたいと思います。
それでは、最後に今後の予定等につきまして、事務局のほうからお願いいたします。
○川嵜室長補佐
次回の検討部会の日程については、調整の上、後日連絡させていただきます。よろしくお願いします。
また、お手元の参考資料ファイルですけれども、本日の資料を追加の上、次回も御用意させていただきますので、机上に置いてお帰りください。
○山本座長
ありがとうございました。私の不手際で時間が超過してしまいました。
中澤委員、どうぞ。
○中澤構成員
1月はあるのですか。
○山本座長
いかがですか。
○宮本室長
いただいております日程の中で調節させていただきますが、少し時間があくかもしれません。
○中澤構成員
1カ月前というのはちょっときついので、早目に決めていただいたほうが。
○宮本室長
承知いたしました。
○山本座長
そうですね。またいろいろ調整があろうかと思います。
それでは、本日はこれで閉会といたしたいと思います。
長時間にわたる御議論、ありがとうございました。
<照会先>
医政局総務課医療安全推進室
室 長: | 宮本 内線2570 |
室長補佐: | 川嵜 内線4105 |
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