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2012年10月30日 第16回原爆症認定制度の在り方に関する検討会議事録

健康局総務課

○日時

平成24年10月30日(火) 16:00〜18:00


○場所

港区虎ノ門1-15-10 名和ビル4F
スタンダード会議室 虎ノ門SQUARE


○議題

1.開会

2.議事

(1)各方向性のより詳細な検討について

(2)その他

3.閉会

○議事

○榊原室長 開会に先立ちまして、傍聴者の方におかれましては、お手元にお配りしています「傍聴される皆様への留意事項」をお守りくださいますようお願い申し上げます。
 これ以降の進行は、神野座長にお願いいたします。
○神野座長 それでは、これから第16回「原爆症認定制度の在り方に関する検討会」を開催したいと思います。
 委員の皆様方には御多用中のところを万障繰り合わせて御参集いただきまして、本当にありがとうございます。
 議事に入ります前に、事務局から委員の出席状況の報告と資料の確認をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
○榊原室長 本日の出席状況でございますが、潮谷委員、高橋進委員、三藤委員から欠席との連絡をいただいております。
 次に、お手元の資料について御確認をさせていただきます。
 議事次第、資料一覧に続きまして、
 資料1 第15回検討会における主な発言
 資料2 議論のポイントと各方向性の整理表
 資料3 方向性のイメージ図(追記版)
 資料4 3つの方向性に関する具体的イメージ及びこれまでの検討会における主な議論
 資料5 被爆者援護対策の現状・経緯等
 資料に不足、落丁がございましたら事務局までお願いいたします。
○黒木室長補佐 マスコミの方はここでカメラ撮りをおやめください。よろしくお願いします。
(カメラ退室)
○神野座長 どうもありがとうございました。
 前回は3つの方向性の考え方と、議論すべき内容について各委員から御発言を頂戴したところでございます。その際、委員の皆様からも御希望ございましたけれども、今回は1、2、3という3つの方向性について、より具体的な議論ができるような資料の作成を事務局のほうにお願いしております。これまでこの審議会に出た発言、提出された資料などに基づいて、方向性の1、2、3のイメージを明確化できるような資料を作成していただきました。
 また、御要望がございました援護施策の全体像の資料についても、これまで検討会に提出されたものを含めて資料を作成し、提出していただいた次第でございます。
 それでは今回、こうした資料に基づいて、より具体的なフェーズでもって御議論をちょうだいしたいと思いますので、資料について事務局から御説明をお願いしたいと思います。 よろしくお願いします。
○榊原室長 それでは、事務局から御説明申し上げます。
 まず、資料1は「第15回検討会における主な発言」でございます。御確認いただきますよう、お願い申し上げます。
 資料2でございます。資料1にある御発言をそれぞれ前回までの整理表に加えたものでございます。説明させていただきます。
 1ページ目「ア 起因性」に関する議論でございます。
 「総論・3つの方向性共通」につきまして「(第14回に出た)『原爆起因性』について、他の被害との区別という意味で放射線起因性の部分を動かすのはよくないのではないか」という御意見。
 「方向性1」に関しまして「放射線起因性を要件として取り込むかどうかが議論のポイント。科学的な積み重ねで高度の部分とグレーな部分があるが、方向性1は起因性を無視してもいいという部分を含んでいるのが、非常に気にかかる。また、対象にする疾病を放射線と関係なく拾い上げるのは、原爆被爆者に対する救済制度としては広過ぎる」といった御意見。
 「必ずしも放射線に限定されなくても良い。被爆者の心の不安も原爆の被害なのだから、そういうものに対して手当があって良いという考え方。その上で放射線が原因の病気は加算を行う。初期放射線以外の考慮がないので、人がどれくらいの放射線の量を浴びたかにより疾病を認定するのは不可能に近いと思っており、個別の放射線起因性は問わない」という御意見でございます。
 また「放射線起因性を起点とすべきことは、(検討会での)コンセンサスだと思う。ただ、手当を全員に広げるという発想は、被爆者の方は、放射線の影響がいつ自分に出てくるか、どういう病気にかかるかわからないという気持ちをずっと持っており、そういう意味で慰謝とが入ってくるのではないか。具体的な疾病の種類で、同時に(原爆放射線の)量ということを外しては考えられない。日常でも放射線を浴びているので、結局、どの程度浴びたかということも考慮せざるを得ない」という御意見。
 「方向性2」に関しまして「安易に科学的知見に基づいて客観的に認定していくという仕組みは崩してほしくない。(方向性2で)そのかわり外で拾う。原爆症とは認定できないが、準ずる状態として認定できないか」という御意見でございます。
 ページをおめくりいただきまして「イ グレーゾーン」に関してでございます。
 まず「総論・3つの方向性共通」につきまして「検討会で制度設計をするところまで行くなら、法律を使うか、過去の慣行を使うか、一刀両断的にグレーでは無くするような物差しが必要。放射線起因性といっても、客観的に放射線を浴びた人が白内障になったり、前立腺がんになったりすれば、年の影響だろうと割り切っている人もおり、グレーゾーンもかなりあるのではないか。恐らく3つの方向性で折り合いをつけるのは難しいと思うので、3つの方向性の利害得失を条件を整理するところまでではないか。やはり一番の物差しは放射線起因性と思う」という御意見。
 また「少なくとも放射線に被曝したというときに、疫学的に確立した放射線の影響があったという範囲と、そうとはいえないという非常にグレーゾーンに相当する線量、被曝量というものを一つの基準としてある程度持っていないといけない。(被爆者は)放射線による被害と、放射線でない被害もある。どういう病気を取り上げるか、そのときに放射性起因性に頼って、その範囲を広げるということで解決するのか、それとも、困っている気持ちまで含めて認定するのか、ちょっと考えてもいいのではないか」という御意見がございます。
 「原爆症認定の起因性だけに着目されているが、被爆者援護法では、全体に原爆放射線の起因性の考え方が入りつつ、その中はいろんなものが散りばめられていて、認定は積極的に起因性を認めなければいけないが、健康管理手当は、どちらかというと消極的に起因性がないというものは除いて、それ以外全部いこうという考え方である。被爆者は、地域に居たかどうかで決まっており、起因性の捉え方もいろんな段階を既に持っているので、それを明らかにした上で、方向性2にあった放射性起因性が無視できない程度という新たな部分というものをつくれるのかを議論したらどうか」という御意見。
 また「方向性1」に関しまして「グレーゾーンは残るのではないか。放射線に起因している病気かどうかわからないものもあるので、どこまで手当すべきかは、被爆者間での公平性という観点からも議論が残ってしまう」という御意見。
 「1年に1回程度、被団協代表も入った審議会で随時見直していく考え方。今は放射線の起因性を非常に厳密に問うているが、放射線が関係ある病気だと決められた疾病は加算の対象にし、放射線が病気の原因になっているかどうかは問わない」という御意見。
 あるいは「一律性がかなり強いので、国民の理解と科学性という面でかなり弱いのではないか」という御意見。
 「方向性2」に関して「グレーゾーンは現行の認定制度の内に引き込むのか外に出すのか明確になっていないが、グレーゾーンは、認定制度の外側に出さないと成立しないと思う」という御意見。
 「方向性3」に関しまして「相当程度判断が固まっているとの表現があるが、現実的にそういう判断ができるのならば問題は発生していない」という御意見。
 続いて3ページ目「ウ 疾病、要医療性」に関してでございます。
 「総論・3つの方向性共通」部分ですが「論点の1つとして、要医療性を入れるべきではないか?今、医療が大変進んでおり、疾病にかかったからといってずっと治らないということはないので、方向性1、2、3どれをとっても、医療の必要がなくなったら打ち切るということもあり得ると思う。公平の視点から入れておいたほうがいい」。
 「現行の認定制度をそのまま残すのであれば、認定する疾病は何かという議論を先にすべき。その場合、対象疾病や医療の程度、期間の議論を先にやったほうが良い」。
 「現行の制度でも治癒したら(健康管理手当より高いが)特別手当に落とす。ただ、従来だと、かなり長い期間を要医療性として認められてきたところがあったが、見直すことがあっても良いのではないか」という御意見。
 「方向性1」に関しまして「各段階に疾病を特定する考え。がんも重度、軽度とかあり、治療のやり方でも例えば抗がん剤を打つとか普通の薬剤くらいで抑えることができる、というのがある。それにランクをつけてもいいのではないかということ。3つのランクは疾病やその重症度、生活レベルも勘案したものを決めるというふうに考えている。加算対象の疾病は、放射線起因性があると言われている疾病を加え、病気の段階に応じてランクの中で入れる。それ以外は、必ずしも放射線の影響と言えなくても認定されているものがある(ケロイドなど)ので、考慮した方が良いのではと思う。治癒した場合はランクを落とすということを考えている」。
 続きまして「エ 手当のあり方(必要性)」に関しての議論でございます。
 「総論・3つの方向性共通」でございますが「健康管理手当の要件(疾病)というのは、放射線起因性に深くかかわっていない。医療特別手当は(認定する際)分科会等でかなり慎重に科学的に判断していただいていると思う。司法では、放射線起因性は議論の俎上にのっているが、現在の被曝線量の推定を否定しているところに大きな乖離がある。医療特別手当をどういう意味づけをして支給していくかを議論しなければいけない」。
 「方向性1」に関しまして「高度の蓋然性の中で認められるかどうか難しいケースがいっぱいあるが、それを全部拾い上げるべきだというのはちょっと広過ぎる。手帳保持者の人への給付も、今の制度では放射線に関係がないことが明らかな場合には外しており、一定の合理性がある。放射線と関係のない人で原爆体験のある人への慰謝的な要素というのは、ほかの戦争被害との区分けがつかなくなるという意味で広過ぎる」という御意見。
 「方向性1で、症状に応じて加算ないし減額との話だが、医学的な(基準設定の)複雑さ、また医学的に判断されたものに対し、被爆者御自身が認識しているものとの間で納得が得られがたいのではないか。また既得権もあり難しいのではないか」という御意見。
 「放射線に関係ないケースでの対応について、対象外にせざるを得ない割り切り方しかないのではないか。そういう方々も全く手当てもしてこなかったわけではなく、その限度で我慢してもらわなければ仕方がないのではないか」という御意見。
 おめくりいただきまして、最後の1枚でございます。
 「オ 国民の納得(公平性)・財政上の視点」というところでございます。
「認定の問題を国民に理解して貰うために、認定をどのようにやっているか行政側で説明してもらっても良いのでは無いか」という御意見。
 「政府が公費を使う以上国民の理解といったときは、当然、予算額が国民の関心事。全体の制約の中でどれぐらいの予算を工面するかが見えたら議論は空中分解するし、恐らく国民の支持も得られないと思う。いろいろ議論して制度的に結構だという後に、制約要件として予算をいれるのは必要」という御意見。
 「方向性1」に関しまして「慰謝の部分を手当し、その上の階段は要医療性で手当をして、必要がなくなれば下げるという制度も1つの考え方。(既に受けている方の)手当を減らされるのは1つのデメリットだが、疾病が良くなったら手当は下がるという、既得権はつくらないというところまで議論ができれば被爆者の間でも公平な制度になり、歩み寄りの余地はあるではないか」という御意見。
 「カ その他全般」ということで「裁判の解決につながるかどうか、被爆者の支援に真に繋がるものかどうか、制度本来の目的とか、などの論点も要るのではないか」という御意見。
 「1は、認定制度をめぐる争いが無くなるが、デメリットは、国が認定をやめることになるので国の責任が薄れる仕組みになり、援護施策全体への影響が心配」という御意見。
 「(認定制度をなくすことについて)政府の責任が軽くなるという側面はあるが、最終的には今の問題が解決できないということであれば、無くしたほうがいいのではと思っている」という御意見。
 「方向性2」に関しまして「2は、放射線起因性が科学的に難しいという点から別の枠組みをつくるということはメリット。しかし、グレーゾーンをどう仕込むかにより、認定を巡る裁判は減るかは不明」。
 「方向性3」に関しまして「3は、行政と裁判との違いを無くす方向性に沿ったものだが、今の法律に入れるのは困難な印象なので、法律改正する必要があると思う。その際、審査会で基準をつくるということを法定化などを明記していく形かもしれない」という御意見でございます。
 続きまして、資料3でございます。「方向性イメージ図(追記版)」ということで、検討会において、より具体的なイメージをもって議論を進めるために、これまで検討会に提出された資料や意見の発言等をもとに追記したものでございます。
 まず、2ページ目でございます。
 「方向性1」に関しましては「被爆者(手帳所持者)全員に手当を支給」する。
 「対象とする疾患の範囲」として「放射線の影響が認められている全ての固形がん、白内障、心筋梗塞、甲状腺機能低下障害、肝機能障害、子宮筋腫など。熱傷瘢痕、免疫力低下などで重症化した外傷など」という御発言がございました。
 また「加算後の最高額は現行の医療特別手当相当」。
 区分は3段階でございまして、1番重い「区分3」が「放射線治療、抗がん剤などの治療を受けている場合等」。
 「区分2」が「内視鏡を用いての切除、重い副作用を伴わない服薬治療の場合等」。
 「区分1」が「治癒した場合」などとなっております。
 続いて、3ページ目でございますが、中間取りまとめの記載を転記したものでございますので、説明は省略させていただきます。
 4ページ目「方向性2」についてでございます。
 まず「1種原爆症」は「現行制度を基本に認定」する。
 「2種原爆症」としまして「新たな基準として、放射線起因性を否定しきれない人を、医療必要度を念頭に第2種とする」。
 そして、第2種手当は段階的にする。「既に確立している既存の各種基準を参考に設定(入院医療では、医療必要度とADLの組み合わせ、介護保険では要介護、要支援度、年金制度や障害福祉分野での障害認定など)。医療必要度を基本に、他の基準などを参考に、個別総合的に認定」する。
 そして「状態が重くなれば高いランクの手当、軽くなれば低いランクの手当に変更。さらに症状が軽くなった場合等は支給停止もあり得る」。
 また「手当の水準は、社会保障制度全体の整備状況、これまでの被爆者に対する援護措置の拡大の状況を踏まえ検討」という御発言がございました。
 5ページは同じように中間取りまとめの転記でございますので、省略させていただきます。
 6ページ目「方向性3」でございます。
 現行の「医療特別手当(原爆症認定)の要件を、具体的に法令に明記することも含め、客観化」という御発言がございます。
 それから「手当は段階的なものとはしない」。
 「対象疾病を拡大」する。「相当程度判断が固まっているものを救済の観点から行政認定に取り入れる」ということでございます。
 7ページにつきましても、中間まとめの記載でございますので、説明を省略させていただきます。
 続きまして、資料4でございます。資料3がイメージ図でございますが、資料4のほうは、最終的に検討会で制度あるいはあり方などを検討するときに、主なポイントとなる事項を意識できるような形でまとめさせていただいたものでございます。
 まず、2ページ目のところでございます。
 「方向性1」に関しまして、手当の趣旨でございますが、被爆者全員に被爆者手当を支給。医療特別手当、健康管理手当等は廃止。被爆者の人生の苦悩に慰謝する意味を持つという御提言がございました。
 「方向性2」に関してでございますが、第二種認定被爆者に対して手当を支給する趣旨というものについて1つ議論のポイントとなってくるのではないかということで記載させていただいております。
 「方向性3」は、基本的に現行制度と趣旨としては同じということになるのであろう。
 「対象とする疾病の範囲」でございます。
重複になりますが「方向性1」は放射線の影響が認められている全ての固形がん等々となっております。
 「方向性2」については、第一種認定被爆者は現行制度を基本に認定。第二種認定被爆者は新たな基準に基づいて認定(原爆に準ずる状態)。
 「方向性3」は、現行どおりに加えまして、裁判例や医療分科会の客観的な積み重ねを尊重しつつ、相当程度判断が固まっているものを救済の観点から行政認定に取り入れて、乖離を埋めていくという御発言がございました。
 続きまして「具体的な基準」でございます。
「方向性1」についてでございますが、1つは被爆者手帳を持っているということがあろうかと思います。手帳の交付要件はここにありますように、原爆投下の際、被爆地域、広島市・長崎市、あるいは隣接区域にいた人。原爆投下後2週間以内に爆心地付近に入市した人。原爆の放射能の影響を受けるような事情のもとにあった人、あるいは胎児。
 疾病はまた繰り返しになりますが、これまで放射線の影響が認められている全ての固形がん等々となってございます。
 続きまして「方向性2」でございます。第一種は科学的に高度の蓋然性ということでございます。
 参考までに現行の審査方針ということですが、積極的に認定する範囲として被爆地点より約3.5km以内、原爆投下より100時間以内に爆心地から2km以内に入市した人。原爆投下より100時間経過後から2週間以内の間に2km以内に1週間程度滞在した人などとなっております。
 疾病ですが、悪性腫瘍、白血病、副甲状腺機能低下症、放射線白内障、放射線起因性が認められる心筋梗塞、放射線起因性が認められる甲状腺機能低下症、放射線起因性が認められる慢性疾患などとなっております。
 また、積極的に認定する範囲に該当する場合以外は総合的に判断となっております。
 方向性2は、新たな基準ということで、放射線起因性を否定しきれない人、医療必要性を念頭に置くという御発言がございました。
 「方向性3」ですが、審査の方針の拡大ということでございます。参考までに、現行の審査の方針を記載させていただいております。
 続きまして、4ページ「手当額」でございます。
 「方向性1」は健康管理手当相当額をベースとしまして、障害があるものについて手当額の加算を行う。
 「方向性2」ですが、有効期間を設けて、一定期間ごとに再認定する。介護保険では6カ月ないし1年間でやっている。状態が重くなれば高いランクの手当、軽くなれば低いランクの手当。軽くなるとか治癒すれば支給停止もあり得る。
 「方向性3」は現行どおりということでございます。
 「方向性1」「方向性2」は手当額を段階的なものにする案でございます。
 また「手当額の差の根拠」としまして「方向性1」は障害の手当、具体的な中身としましては疾病の重篤性や要医療度ということになっております。
 「方向性2」は医療必要度、要介護度、障害の程度、ここでは身体機能ですとか、日常生活への影響などとなっております。
 「差の具体的な基準」としまして、これも繰り返しになりますが、「方向性1」は放射線治療、抗がん剤などの治療を受けている場合が3、内視鏡を用いての切除、重い副作用を伴わない服薬治療が2、これらが治癒した場合が1などとなっております。
 「方向性2」は既に確立している既存の各種の基準を参考にということで、入院医療では医療必要度とADLの組み合わせ、あるいは介護保険や障害福祉の認定を使うなどとなっております。こういう意見が出ているということでございます。
 5ページ目「他の社会保障制度との調整」ということでございます。
 「方向性2」に関しましては、手当の水準は社会保障全般の整備状況やこれまでの被爆者に対する援護の措置の拡大の状況を踏まえて検討ということでございます。特に被爆者の方は年金を受給して一定の収入を得ているですとか、健康管理手当を受けているですとか、医療、介護も一部無料だというところも考慮するということでございます。
 「経過措置」につきまして、1、3は今のところ指摘はございませんが、2については、既に認定を受けた人について一定の経過措置も考え得るという御発言がございました。
 「新制度への移行」方法ということで「方向性1」「方向性2」の場合は再認定の方法などを検討する必要があるのだろうということでございます。
 6ページ目以下でございます。こちらはこれまでの議論の積み重ねを無駄にしないという意味で、中間取りまとめなどにおける意見、あるいは中間取りまとめ前の論点整理表に出ている意見を大きなテーマごとにくくって再掲したものでございます。
 「制度全体に関する議論」ですとか「科学性と放射線起因性」に関する議論ですとか「グレーゾーンと対象疾病」に関する議論ですとか「司法判断を踏まえた認定基準の検討」ですとか、あるいは「対象疾病の重篤性、要医療性」に関する議論ですとか「手当の趣旨と水準」に関する議論がございました。
 これは全てそのまま引き写ししたものですので、説明は省略させていただきます。
 最後に、資料5「被爆者援護対策の現状・経緯等」でございます。
 まず、1枚目でございます。これも当検討会に1回お出しした資料でございます。
 昭和32年に原爆医療法が制定されまして、手帳あるいは健診が始まったということでございます。それから医療特別手当が35年にできまして、その後、43年に健康管理手当、特別手当ができる。あるいは平成6年に2つの法律が統合される等々の、これまでの経緯が記載されてございます。
 2ページ目も当審議会にお出しした資料でございます。
 現在も援護措置としまして年2回の健診、医療の自己負担を国費で全額負担している。あるいは福祉サービスにつきましても一定の公費負担がある。これに加えまして健康管理手当33,000円、あるいは医療特別手当13万6,480円を受けることができる方がいらっしゃるということでございます。
 3ページ目も1回提出させていただいた資料でございます。
 各種手当の御紹介ということでございます。医療特別手当、特別手当、小頭症手当、健康管理手当、保健手当、介護手当、家族介護手当、葬祭料等となっているところでございます。
 4ページ目も1回提出させていただいた資料でございます。
 一般高齢者に対する社会保障給付に上乗せする形で被爆者に対する援護措置がなされているということでございます。例えば現金給付ですと、公的年金で老齢基礎年金平均受給額56,000円、あるいは老齢厚生年金平均受給額15万円などに加えまして、受給要件に該当される方は健康管理手当33,570円あるいは医療特別手当13万6,480円を支給することができるということでございます。
 あるいは医療給付につきましても、通常の医療保険でのカバーに加えまして、残余の部分を医療費無料化している。あるいはこのほかに健診が年2回受けられるということでございます。
 また、介護・福祉分野におきましても、介護保険サービスにつきまして、一定の部分で介護サービスの無料化などの措置があるということでございます。
 5ページ目、社会保障制度の大きな流れということでございます。
 もともと原爆医療法ができました昭和32年ごろとは大分いろいろ状況が変わってきたということでございます。
昭和36年に国民皆年金、皆保険となりました。
 皆年金のほうですが、当初は拠出がない、給付額の低い老齢福祉年金が中心でございましたが、だんだん給付額も改善され、拠出制年金を受けられる方がふえてきたという状況がございます。
 医療保険につきましても、国民皆保険制度が導入されまして、当初は国保は全員3割負担、被用者の御家族は全員年齢に関係なく5割負担などとなっておりました。昭和48年に特に高い医療費がかかる方についての高額療養費制度ができて、自己負担の上限額ができました。また、平成6年には、保険外のさまざまな負担ということで、付添看護の解消ということで、そういったものが解消されてきたという歴史がございます。
 また、介護保険のほうもゴールドプラン策定によりましてサービス業が伸びて、平成9年には介護保険法ができるという流れがございます。
 6ページ目、予算の状況でございます。健康局でいつも使っている予算説明資料でございます。
 健康局は難病対策、がん対策、感染症対策、肝炎対策などの疾病対策をやっているところでございます。そうした中で、原爆症の対策経費は局の予算の約44%を占めておりまして、非常に力を入れている分野というところでございます。
 7ページ目「医療特別手当について」、こちらも当検討会に出した資料でございます。
 支給月額、支給期間、受給者数、それから支給等に係る実務上の流れなどについて紹介した資料でございます。説明は省略させていただきます。
 8ページ目「健康管理手当について」でございます。こちらも当検討会に出した資料でございます。
 健康管理手当の支給月額あるいは支給対象者、支給期間、受給手続、受給者数などを御紹介したものでございます。説明は省略させていただきます。
 9ページ目「医療特別手当と健康管理手当の法令上の規定の整理」でございます。
 医療手当の場合はポイントとなる10条でございますが「原子爆弾の傷害作用に起因して負傷し、又は疾病にかかり、現に医療を要する状態にある」人に対してという要件でございます。ただしということで、「原子爆弾の放射能に起因するものでないときは、その者の治癒能力が原子爆弾の放射能の影響を受けているため現に医療を要する状態にある場合に限る」という規定になってございます。
 これに対しまして、健康管理手当は「被爆者であって、造血機能障害、肝臓機能障害その他の厚生労働省令で定める傷害を伴う疾病」ただし、原子爆弾の放射能の影響によるものでないことが明らかな場合を除くという規定になってございます。そして、省令で11障害が明示されているところでございます。
 10ページ目「医療特別手当と健康管理手当の額の根拠と変遷」ということでございます。こちらも当検討会にお出ししている資料でございます。
 これまでの各手当の額、その推移等を御紹介したものでございます。説明は省略させていただきます。
 以上でございます。
○神野座長 どうもありがとうございました。
 本日は、今、事務局から説明をしていただいた資料のうち、特に資料3と4をごらんいただいた上で、各方向性の内容を御認識いただいて、より具体的に制度を考える上で不足している点とか、さらに明確にすべき点などを念頭に置きながら、議論を頂戴できればと思っております。
 それでは、内容の質問でもどこからでも構いません。
 田中委員、どうぞ。
○田中委員 方向性が3つ出されているのですが、日本被団協の場合には認定制度をなくすということで、手当だけの方向性が出されておるので、しかもどういう疾病をどういう区分に入れるかということまで提言に従ってここに記入されていますので、おわかりいただけると思うのですけれども、方向性3というのは全くわからないということと、それから3も2もそうですが、今の認定制度を残してありますね。認定制度を残した場合に、この検討会のもともとの出発点であった司法と行政の乖離を、埋めるという言葉になっていますけれども、解消するというのが最大の目的になっているわけですね。認定制度を残して乖離部分をどう解消するかということについては、この2と3では全くわからない状態になっていますので、その点を御説明いただきたいと思っております。
 現行の医療特別手当の部分は認定制度をそのまま残すのだということで理解できるのですが、グレーゾーンに相当するのですか、別の手当がついていますね。ここの部分で恐らく乖離を解消しようというお考えになるのかどうか、その辺を御説明いただきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
○神野座長 方向性2と3については、2については主として山崎委員が御提言されております。ただ、これも山崎委員の考え方に基づいて、この会議でこうした方向性も1つの検討材料として取り上げていく上では、具体的に中身を詰めていくという議論をこれからやっていく。
 3も同じことです。委員の皆様方から出た御意見をまとめてみると、中間取りまとめの後に御説明したように、こういう方向性が出てきているのだけれども、これについて中を詰めていくという議論を今、しているわけです。
 したがって、田中委員からは常にその御指摘をいただいておりますけれども、今のところ2と3については考え方を2つ提示しておりますので、それに基づいてここで皆さん方に議論をしていただいて、まずどういう問題点があるかということについて詰めてもらう議論をした上で考えていこう。
 この検討会に与えられた諮問事項は、あくまでも認定制度のあり方について諮問されておりますので、まず認定制度を前提にしながらこれをどう改革していくのかということを詰めていった上で、これも何回も御理解いただいていると思いますが、どうしてもこの制度では機能しないのだということになれば、全否定するとおっしゃっているような提案を含めて考えていこうということで、今、3つの検討をしている状況でございますから、誰がどういうふうに説明するということにはちょっと至らない。
 山崎委員からも補足していただければいいと思いますが、2については2つに分けるというアイデアを山崎先生にお出しいただいているわけですけれども、1種のところ、新しくつけ加えられた制度ではないところについては、現行制度について少し段階を設けるというような含みを残していらっしゃいますが、これについてもここで議論をしていきながら詰めていくという作業を今とっているということを繰り返し申し上げているところなのです。
○田中委員 私が申し上げているのは、乖離の部分です。なぜ乖離ができているかというのは、放射線の起因性をめぐって行政と司法が違うのだと思うのです。
 司法のほうは恐らく広く起因性を認めたわけです。その典型的なのは入市した人たち、あるいは遠距離の人たちも一人一人総合的に見れば認定できるのだ、放射線の影響を持っているのだというのが司法の判断だったと思うのです。その判断は行政には取り入れられないわけです。それをどうするかということがなければ、この問題、制度も改善されないことになるのです。
 だから、改善しようというこの提案の中には、その問題はこういうふうに解決するという考え方が入っているというのがなければ議論ができないということです。
○神野座長 だから、それについての大きな枠組みは、方向性2の方向では別の制度を一つ設けましょうとか、段階を設けたらどうでしょうかということでそこをクリアしていこうと考えているわけですし、3のほうでは対象範囲を少し拡大したらどうですかという提案になっている。
○田中委員 何回も繰り返しますけれども、科学的知見では今、証明できない放射線起因性。私たちはできると思っているのですけれども、一応できないということになっている放射性降下物の放射線の影響は今きちっと科学的と言えるデータがないですね。だけれども影響はあるわけですね。それを司法は認定したわけです。そういうものを新しい制度でどういうふうに取り入れられるかというのがなければ、私たちに与えられた検討の責を負えないことになりますので、この2つの中にはそのことがどういうふうに盛り込まれるでしょうかということなのです。
○神野座長 だから繰り返しになってまた同言反復になってしまいますので、山崎委員、2について何か具体的にございましたらお願いします。
○山崎委員 私は田中委員がおっしゃっているような司法と行政の乖離を完全に埋めて問題を解消するというところにまで至らなくても、現状を改善できればそれでいいと思っております。ですから、今後裁判が引き続き避けられないということは考えられると思うのです。ただ、現状から大きく改善される方向ではないかと思っております。
 それから、完全に司法と行政のギャップを解消する方策を諮問されているのであれば、私としてはそれは無理でございますという回答があり得るわけでございます。
○田中委員 でも、私たちは解消するということが合意事項になっています。乖離を解消するというのは皆さんが合意したことであるということ。
解消するのは、手当の制度を変えれば解消することではないと思うのです。何回か言っていますけれども、科学的にはなかなか認定しにくい放射性起因の問題、影響の問題をどういう形で制度の中で認定するか、その上で今度は手当をどうするかということだと私は考えます。ですから、そこのところは最初にクリアしておかないと話がどうも進まない。
○神野座長 ちょっと同言反復になりますが、方向性2のほうでは1種に加えて2種を設けるということと、段階で乖離を埋めていこうという提案ですし、方向性3のほうでは疾病の対象を拡大するという方向で埋めていこうという提案になっているというのが私の理解です。簡単に言ってしまえばそういうことだと思います。
○田中委員 簡単に言ってしまえばそういうことかなと思うけれども、ですから、それを具体的に今まで。
○神野座長 だから今、具体的に3のようなものでは疾病対象をどういうふうに拡大していったらいいのか。拡大していっても結局おっしゃっているようなものが埋められないということであればこの方向は無理かもしれないし、山崎委員が御提案されているのは2種と1種と分けながら、1種のほうで拾いがたいので2種で、さらに1種の中でも少し段階を設けるということを考慮してはどうか。この提案について少しもんでいこうかということですね。
○田中委員 わかりました。
 とにかく私のほうから注文ですけれども、第3のモデルで疾病対象を拡大ということしか書いていないのですが、これは何を言っているか、疾病対象というのはどういう病気を言っているのか、どういう疾病をつけ加えるというふうになっているのかとか、相当程度判断が固まっているというのはどういうことなのか。それが全くないですから、これをみんなで出し合いましょうというのであれば、やはり最初にこういうふうに考えているという意見がないと、みんなてんでばらばらな意見になってしまいますね。
○神野座長 それは徐々に詰めていくという話だと思います。つまり、方向性2のほうでも3のほうでもそうですけれども、徐々にコンセンサスをとりながら、どういう疾病対象を拡大していけばいいかとか、仮に2種という方向で私たちのこの議論をまとめていくのであれば、2種についてどういうことをやっていったらいいのか。段階を設ける区分についてはどうやっていくのか。
○田中委員 わかりました。
 では、座長にお願いなのですけれども、現行制度の認定制度は残るわけですね。この中で乖離の問題はどういうふうに解消しようと考えればいいか。
○神野座長 現行制度が残るというか、医療特別手当という制度を残す。
○田中委員 手当の問題でないということを私は毎回申し上げたと思うのです。10条、11条というのは手当の問題ではないのです。認定の問題なのです。だから、現行の認定制度を残すということは、手当以前に乖離をどうするかということはどうしても残っていくのです。ですから、それをはっきりしておかないといけないというのが私の意見なのです。
○神野座長 高橋委員、どうぞ。
○高橋滋委員 多分、前々回に私が申し上げたことの繰り返しになると思うのですけれども、司法と行政の判断の乖離といった場合に、個々の下級審判決について、それはある種確定した部分がありますが、しかし、それはあくまでも事例判断であって、全てが結局そのまま認定制度の中に入れなければいけない部分とは私は思っていません。そういう意味では、個々の裁判所の判断のばらつきを見て、その中で合意がとれるところできちんと埋められるところは埋められる。その埋め方としては、具体的に明確な放射線起因性が判断できないときにグレーゾーンを設けて広げるというやり方もあれば、今の制度を維持しつつ確実なところで広げるというやり方もあれば、いろいろな拾い方があると思うのです。
繰り返しますが、乖離といっても全ての個別判断が確定したわけでもないし、かつ、その個別判断でもばらつきがあるわけですね。ですから、国が勝ったものもあれば、同じような事案で原告が勝った場合もあって、それをどう判断するのかというのは、あくまでも我々のところできちんとそこは合理的なところを決めなければいけないと思っております。
 残留放射線の問題については、どこかでこの問題はきちんとこの場で本当に残留放射線の問題を含めた形で、それをどう取り込むかということを1回は議論したほうがいいと思いますので、座長にもそのような場を設けていただいたほうがいいと思います。
 繰り返しますが、それを踏まえて個々の司法の判断にはばらつきがあるので、我々としては、そこは取り入れるべき判断と、残念ながらこの判断は参考にならないという形で切らなければいけない部分もあって、そこはある種合理的な判断の分かれ目というのはどこかであるのではないか。
そういう意味では、私としても1でいくか、3でいくかは難しいと思うのですが、2についてもそこは乖離を埋める十分な1つの選択肢になっているのではないかと思うということです。
○神野座長 石先生、先にどうぞ。
○石委員 ここに御出席の委員の方は、皆さんお立場というか自分のバックグラウンドを背負っていろいろ議論をされて、高橋さんは行政学の立場から言われたと思います。
やはり認定制度をどうするかというのは、諮問にもあるように、そこは一番のポイントで、田中さんがしばしば問題になされているところですね。
 方向性1、2、3が出ましたけれども、結局2と3は現行の物差しを何とか活用したい。1はそんなのはだめだなと、私は少し問題にしなければいけないと思いますけれども、現行の物差しというのは確か司法と行政の乖離云々でだめなのはわかりますが、ではだめな後の次の物差しを全然用意しないのか、それともなしでやったときに一体税金である手当というのをどういう根拠で配分できるかという問題は残るのです。
 少なくとも手当というのは、きょういろいろと見せていただきましたが、どんどん加算されて屋上屋的になっていますね。まさに先ほど会長がおっしゃったように、当初つくられたときの制度というのは今みたいな手厚い介護制度もないし、医療制度も不備だったころにできた上にさらに乗っかっていますから、非常に重層的になっている。それはいい悪いは別としてそうなっている事態を踏まえまして、手当というものをどう支給するかという観点が非常に重要になったときに、認定制度の有無というのは絶対に必要ですよ。
 というのは、会計検査院というのは頑張っていて、税金の使い方には極めて厳しいわけです。今、復興財源でかなりずさんにつけたといっていじめられていますけれども、そういう視点から見ると、やはり納税者というのを頭に入れたときには、しかるべき根拠、私は法律をどうするか、制度をどうするかに詳しくありませんけれども、しかるべき法的な基準がなかったら税金は使えないのです。今までの議論というのは、それは現行の認定制度だったと思うのです。現行の認定制度をなくすと言った途端に、それにかわる何か別の認定制度をつくらない限り、方向性1というのは成立しない案になりますから、その点はフォローしておかないとまずいなという感じはします。
○神野座長 ありがとうございます。
○荒井委員 同じ問題が繰り返し繰り返しというのは、これはある意味で当然かもしれないのですけれども、司法と行政の判断のギャップというものがあって、この在り方検討会が設けられた大きなきっかけになったということは明らかだろうと思うのです。
しかし、在り方検討会の目的というものが、司法と行政とのギャップを埋めるということを唯一あるいは絶対の命題、目標として動き出しているわけではない。やはり今のままでいいの方どうかということを検討しようというのが趣旨だろうと思うのです。そこがまず、田中委員の御発言をお聞きしているとちょっと違うのかなということが1つ。
 それから、これは私自身も高橋滋委員の先ほどの御発言と同じく、もう何度も何度も申し上げてきたのですが、やはり司法は個別判断であって、ギャップがあるからといって全てを行政認定の基準に持ってくるということは無理がある。これはやはり認めざるを得ないと思うのです。これが1つ。
 それから、基準をどうつくるかという場合に、司法のほうもそうですけれども、放射線起因性というものをベースにしてよりよい基準を探していくということが基本だろうと思いますので、起因性というものを把握する方法といいますか、科学に依拠しながら、しかし科学にも限界があるということもこれまで随分出てきました。さりとて、起因性が難しいからといってそれを捨てるわけにはいかない。それを捨ててしまったのでは、ほかのいろいろな救済制度とのバランスといいますか説明がつかないことになる。
 残留放射線の問題が出ましたけれども、これも司法がそれを使った場合もありますが、やはり高度の蓋然性を持ってという、あるいは高度低度というレベルの問題ではないのだということで、これも私は何度も申し上げました。要するに、今の原爆認定制度の中で、起因性があるかどうかという判断に、ケースによってはそれを補助材料的に使ったというだけだろうという認識なのです。したがって、それを法律あるいは行政認定の物差し、基準の中に残留放射線の問題を取り込むほど、そこはまだ科学的な確立したものがないのではないか。もし考慮するとすれば、いわゆる個別ケースの中で総合判断として考慮していく以上には、それを客観化するというのは無理ではないかと思っているのです。
 そういう意味で、確かに田中委員の御指摘のように、方向性2も3もまだまだ疾病名をどうするか、あるいは要件をどうするかということは出ておりません。それをこれから中身を議論していけばよろしいのではないでしょうか。
 私はついでに疾病のほうで申し上げますと、今、申し上げた、司法は高度の蓋然性を持った放射線起因性という基準を使いながらも、実は実質的に見るとどうも外れているのではないか、起因性で説明するのは無理ではないかという判断を個別にしているケースがございます。だから、それを全部取り込むというのは無理だという出発点は、そこの違いはあるのです。
しかし、放射線起因性、放射線の影響というものと、これまでの科学的な認識の中でつながりを認めていくのは無理だという疾病は、これは広げるといっても取り込むべきではないのではないか。これが1つ。
 それから、現実の行政の運用もそうですし、裁判のほうでもそうだと思いますけれども、ある程度病気が一時的なもので治ってしまう見通しが強く持てるような病気であれば、あえて医療特別手当の対象にするような、いわゆる原爆症としての扱いの対象として広げる必要はないのではないか。広げるとしても、基本で押さえるべきものというのはあるのだろうと思うのです。
 それは、私は基本的な方向性3の枠組みを念頭に置いて今まで考えてきているわけですけれども、そういう意味では疾病を拡大拡大と書いてありますけれども、どうもそれほど広げるべきものがあるのかどうか、もう少しそこは起因性とかあるいは疾病の重篤度なり、回復見込みの程度というようなことを物差しにしながら、どの程度広げる可能性、余地があるのかどうか。それは少し専門の先生方にお教えを請いたいと思っております。
○田中委員 最初に高橋先生がおっしゃいましたことは、そのとおりなのです。個別判断をするのです。しかし、30近い判決があって、その大部分は今の認定のやり方はおかしいという判断をしているわけです。その方向性はあるわけですから、高橋進先生が前におっしゃっていたと思います。1つの傾向が出てきたら、その傾向を行政はちゃんとすくわないといけないのではないかという発言をされました。私もそうだと思います。
 私は、全部裁判の一審で勝った人たちを認定すべきだということは言っていないのです。大部分の人たちが、この人たちは認定されるべきではないかという判断をされた。最終の判断をされていないというのですけれども、あれは上級審に行っても勝ったと思いますよ。ただ、政治的な判断をしていただかないと人道問題になってきたので、私どもも早く終結したいということを、一審で終わるとか二審で終わらせているわけです。
 ですから、傾向です。大部分の判断は、今の認定のやり方ではいけないというのは、極端に言いますと科学的な知見だけに基づく認定だけをやっていると救われない人たちが出てくるのではないか。その大部分の人たちは先ほどから何回も言っていますけれども、遠距離の人だとか入市した人でいろいろ重い症状が出た人たちがいる。その人たちは救うべきではないか。その認定のやり方を考えるべきではないかというのが言外にあると私は思っているのです。
 荒井先生なのですけれども、先生が第3の考え方を持っていらっしゃるのでしたら、私が今、言いました、司法はここに判断しているけれども認定すべきだという判断をされた人たちに対応するような人たちは、拡大ですか、ここで何とかする。手当はここでする。だけれども、認定というやり方はどういうふうにされるということを先生はお考えなのでしょうか。
○荒井委員 直接今の御指摘のお答えになるかどうかは別ですけれども、個別のケースで司法のほうで認定対象にされて、それが固まったという人たちの隅から隅までを行政認定の対象にするというのは少し筋が違うというのが私の考え方なのです。
 しかし一方で、司法の十何連敗とかという話がありましたけれども、そういう結果をそのまま行政が無視してきたかというと、それは少し制度運用の認識としてはいかがなものか。つまり、新しい審査の方針というのがある時期から出ました。あの新しい審査の方針というのは、私は分科会に籍を置いて、専門の先生方からいろいろと議論をお聞きする機会があるわけですけれども、やはり新しい審査の方針のかなりの部分というのは、専門の先生方から言うとまさに放射線の影響というものは疑問がつくというのが相当広がっているわけです。とりわけ白内障でいうと、放射線白内障あるいは放射線起因性のある心筋梗塞という、後から追加されたものというのは新しい審査の方針がさらに改定されて追加されました。あの追加されたものというのは、放射線起因性のあるという枕言葉というのか、縛りがかかっております。それもしかしどういうことかといえば、司法の中で個別判断で救済されたというか、認定されたものを極力取り入れようということで広がってきているのではありませんか。ですから、繰り返しますけれども、司法の判断を100%あるいは全て取り入れるということは適切ではむしろないというのが私の考え方です。
 しかし、それでは全く司法の結果を個別だ個別だということで無視するのかといえば、それはそうではない。現在の運用もかなり広げてやっておりますし、ある意味で科学のレベルからいうと疑問がつくところまで広げられている。なおかつ、ここでの方向性の2とか3とかというのは、それを個別の裁判の結果との対比は厳密には出ておりませんけれども、今よりも少しでも広げられないかという前提での2であり3であると思っているのです。
 その限度では見直しの努力をしなければならないし、それはそれで満足すべき部分というのはあるのではなかろうかということです。
○田中委員 ですから、もう少し詳しくこういう格好で認定を広げていったほうがよろしいというのがあればよろしいのですけれども、ただ拡大だとか相当判断が固まっているとか、判断が固まっているというのはどういうことかと全然ここではわかりません。だから、そういうことを具体的に御説明していただくか、あるいは御提案をしていただきたいというのが私の最初のあれです。
○神野座長 今後議論していくということで。
 では、草間委員、どうぞ。
○草間委員 まず、この在り方検討会がどこまでやるかということも議論だと思いますけれども、少なくともきょう、こういう形でかなり具体的なイメージを出されているわけですけれども、先ほど司法と行政との乖離というお話があったのですが、いずれにしましても、司法にしても行政にしましても、認定の要件として放射線起因性を考えましょうということと要医療性、この2つの要件でやりましょうというのが両方とも同じだし、ここの委員会もその2つは基本にしましょうというのは決まっているのだろうと思うのです。
 司法と行政の乖離が、私の認識ではどこにあるかといったときに、要するに司法が全く行政の被曝線量の算定を認めなかったというところがかなり大きいのだろうと思うのです。私も裁判にも関係させていただいたりしているのですけれども、結局特に先生が言われるように残留放射能等に関しては充分なデータがないということがあったりしまして、それで急性症状を中心に算定しようという形で司法のほうはそれをかなり認めているわけです。要するに司法が行政の被曝線量の算定の仕方を認めていないというところに大きな乖離があったのだろうと思います。
 いずれにしましても、放射線起因性に基づいてやりましょうということになりますと、何が重要かというと、被曝線量がどうだったかということと、疾病の範囲をどうするかということなのだろうと思うのです。
 きょう具体的に1、2、3について、例えば具体的な基準として距離で決めるとか。今、分科会では残留放射能を認めていませんとの発言がありましたが、それぞれ方向性2、3にありますように、入市者については時間とか日にちとか、どれだけの期間滞在したらという形で考えております。残留放射線の評価がいいかどうかというのは先ほど高橋先生がここで議論すべきだという話だったのですけれども、私はここで議論すべきことではないと思っているのです。なぜかというと、ここはそれに関係した専門家はほとんどいない。だから、具体的な基準がいいかどうかということは、それぞれ専門家に任せなければいけないのだろうと思います。
 したがいまして、全く一緒になるかどうかはわかりませんけれども、司法と行政の乖離をなくしていくためには、被曝線量に相当するものをどう判断していくか。今、ちょうど方向性2と3についてはこういう形で示されているので、これがいいか悪いかということで決めていくということなのだろうと思うのです。
 あと、疾病についてどの範囲にするかということについても、何を基準にするかというのはなかなか難しいですけれども、やはり国際的にきっちり評価されているUNSCEARとかあるいはICRPとかの基準を参考にやっていきましょうということになるのだろうと思うのです。だから、その辺の大枠をここで決めていくということになるのではないかと思っているのです。
○神野座長 ありがとうございます。
 高橋委員からも残留放射線問題は少し場を設けたらどうかという御提案があったのですが、いずれにしても長瀧先生と御相談しながら進めざるを得ないのですが、この段階で長瀧委員から何かコメントがあれば。
○長瀧委員 科学という立場から言えばそれを動かすことはできない。それは確かなのです。ただ、科学と援護をどこで結びつけるかというのは、これは本当に物すごくいろんなファクターを含めた上で、日本の文化として決めていただくということであって、私自身はどちらかといえば国際的に科学というものを日本は誤解していないと。こういう立場で科学というものを持っているけれども、援護ということに関して日本の文化として、国としてこういう立場で援護したのだということがすっきりできればいいと思うところなのですが、援護したいから起因性として科学が曲がってしまうということは避けたいという気持ちが非常に強い。
○荒井委員 ちょっとよろしいですか。
 許されれば長瀧委員に教えていただきたいのは、田中委員が御指摘のいわゆる残留放射線というものを起因性の判断の中に、司法であれ行政であれ、取り込むことができる程度に科学というものが成熟と言っていいのかどうか、あるいは統計的なものを含めて、そういうものがあるのかどうか。現状において残留放射線問題を原爆症認定制度の中にどういう位置づけで考慮すべきか、できるのか。その辺を教えていただければありがたいと思います。
○長瀧委員 本当に今の段階で、今、荒井先生がおっしゃったように、一番大きなファクターではないかという印象はあります。現実に最近の報道機関でも非常に残留放射能も含めてフォールアウトということの健康影響というのが話題になっていますので。
 でも、科学的にという言い方で言いますと、特に長崎に関しては残留放射線に関して相当にデータがある。多少まとめてもらいましたけれども、人間についても。
 ただ、今、1つだけ気になっておりますのは脱毛です。脱毛が本当に放射線以外の原因で当時起こり得るのか。それはまだ確実にわからない。でも、そこを除けば測定された範囲においては非常に少ない。少なくとも健康に影響を与えるような量が発見されたということはない。
 ですから、そこは日本の国全体としてきちっとした科学的なものをつくらなければいけない。これは国として長崎、広島の県としての立場でもいいし、放影研という立場でも構わないし、あるいは厚生省、国として、やはりどこかではっきりとした結論を出さないと、この起因性というものに関して非常にうやむやな、不確実なところが続いていくと思います。荒井先生のおっしゃるとおりです。ここは非常に大きな点だと思います。
○荒井委員 データはかなりあるけれども、現在のところ、それは線量的にはそう大きいものとしてはつかめていないという。
○長瀧委員 それは国際的には今までのデータを発表していて、それで健康影響があるという言い方は余りされていませんね。
○草間委員 よろしいでしょうか。
 原爆線量については、御承知のように、一番最初は1965年に算定されたTentative Dose、TD65という形で評価されたわけですけれども、そのときは本当に初期放射線としての外部放射線だけだったのですが、次に日米の専門家、放射線物理の専門家から全部集まって、DS86をつくった。DS86のときから内部被曝線量について評価をしていて、その後DS02というのが同じように日米の専門家によって、線量の再評価という形でやられまして、そのときも一応内部被曝、残留放射線も含めまして、内部被曝に関する評価はしています。
 だから、少なくともそういう形で内部被曝については国際的な専門家による調査が行われております。長瀧先生が言われたように、DS02のときまでは初期放射線に比べて内部被曝の線量というのはかなり少ないとされてきました。その後またさまざまな広島、長崎、特に広島等でもさまざまな実験データが出てきております。したがって、先ほど高橋先生が言われたように、新しいデータが出ていて、もう一度DS02を見直すかどうかという形で1回やる必要があるかもしれません。でも、それをやったからといって結果としてはそう大きく変わるものではないと思います。
 しかし、DS02の後、新たなデータが出てきているので、厚労省等含めて何らかの形で86あるいは02を出したときと同じような形の日米の合同委員会みたいなものをやって、もう一度内部被曝について再評価して、こうでしょうと出す必要はあるのかなというのは私も思っています。それはここの仕事ではなくて、もうちょっと厚労省がきっちり大きなプロジェクトとしてやるべきだと思うのです。そこで結論を出して、今、医療分科会で使っているデータは、少なくともDS02のデータを使って時間とかそういったものを出しておりますので、それがいいかどうかというのを検証する必要があるかなというのは思います。
○神野座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○田中委員 体験者として言いますと、本当にたくさんデータは集まっていますか。基本的にはアメリカが直後にどれぐらい調査したかということによるのだと思うのですけれども、これはないか、隠しているかなのですよ。
その後、日本の人たちが調査したのは台風があって、大水があって、広島も長崎もそうなのですけれども、かなりの表土が流されたという状況の後で測定されているのです。今、測定しているのもそういう測定値なのです。それをもって少ないという判断をされるということについては、私どもはそうではないのではないかというのがあります。
 それから、黒い雨という言葉で象徴されるのですけれども、実際に私が長崎で体験したのは必ずしも黒い雨ではないのです。広島の場合には圧倒的に火災がありますから、ほとんど黒い雨になったかもしれないのですけれども、長崎などはそんなに真っ黒ではない雨が降ったわけです。直後に降っていますから、それは本当にプルトニウムはあったと思いますし、相当な影響があったと思うのです。しかし、それはわからない。そのときに誰も測定していないと思いますので。
 西山地区というのは黒い雨ではないのですが、雨が降ったところで、プルトニウムですから半減期が物すごく長いので今でも測定できて、あそこには確かに降ったということになっているのですけれども、それ以外のところにも雨は降っているのです。広島でもそういう話に今でもなっていると思う。
 ということは、私に言わせればわからないということです。科学的にやろうとするというのはほとんど不可能に近い。しかし、実際は、現実にはあったのだということを踏まえて、どうするかということだと思うのです。
 ただ、救済ということでいってしまうと認定、認定でないという問題になるから、放射性降下物の放射線はあったとみなしてこういう対策をとるという判断が必要ではないかというのが私どもの気持ちなのです。
○神野座長 では、高橋委員、どうぞ。
○高橋滋委員 私は別に基準をここで決めようという話をしているわけではありません。具体的に言うと方向性2と3の選択をするときに、この問題というのは結構大きくかかってくるのかなということなので、少しこの問題について様々な方からお話しをお聞きしたほうがいいのではないですかということを申し上げたかった。
 つまり、残留放射線の問題が看過できなくて、かなり重要な問題として認定されるようになっていれば、それは3を一挙に広げるという話になりますし、わからないということであれば、大変申しわけないのですけれども、今の知見でもわからないわけです。ただ、そこは不確実性が高いので、いわゆる切れないというところで放射線残留の影響性が確実には排除できないという新しいグレーのところをつくって、そこはある種中間的な救済をつくるという選択肢もあり得るだろう。
 そういう意味では、2と3の選択の問題としてこの問題は結構重要なのではないかなということなので、少し議論したほうがいいのではないですかと今、申し上げた次第です。
○神野座長 先ほどの田中委員の、データが集まっているか集まっていないかということに関しては、どちらにお聞きすればよろしいですか。
 長瀧委員、残留放射線の問題に関してのデータ。
○長瀧委員 それは今あるデータで見た範囲に大量のものがないということは確かなのです。ただ、はかっていないものにあったかというと、それはもうわからないとしか言えないですね。
○田中委員 科学でいうと、あるものはあるのですけれども、ないものはないとは言えないというのが科学なのです。そこが一番大変なところ。ですから、そういうものをどう判断するか。
 体験者たちからすれば、降った、放射線があった、脱毛を含めて被害があったと思っているわけです。脱毛はストレスではないかということもあるのですけれども、ある一定の距離みたいなものあるのです。東京空襲でストレスが物すごくあったと思うのです。その人たちから脱毛がたくさん出たかといったら、そんなことは余り聞かないのです。だけれども、広島、長崎の人たちは遠距離でも脱毛したりしているわけです。それは何かといったら、やはり残留放射線の影響としか言わざるを得ないのです。
 そういう問題を今の科学では判断できないけれども、どうやったらいいかということですね。司法はそれを一人一人見たのです。被爆前の健康はどうだったかとか、その人はどこを爆発後歩いたかとか、何時間ぐらい中心地にいたか、そういうことをやっているわけです。それでこの人はやはり残留放射線の影響を受けたのではないかと考えられということをやっているわけです。それを一人一人全部これから申請者にやっていくかといったら、一人一人を細かくやるというのは行政はできませんね。だから一人一人でなくてもやれる何かうまい方法というのを私たちは考えないといけないのではないかと思ってはいるのです。
○神野座長 草間委員、どうぞ。
○草間委員 誤解がないように1つだけつけ加えさせていただきますと、行政の判断も医療分科会で大ざっぱに漠とやっているのではなくて、一人一人について行動をきっちり評価させていただいて、どこに何時間いたということで今、ここに示された基準でやっておりますので、決して行政がまとめて一括してやっているのではなくて、個別に審査しているというのはお考えいただきたいと思います。
 ただ、残留放射線について、今までのデータですと広島だと降雨地区を中心に、長崎ですと西山地区を中心にという形のデータが主だったので、そういったものに基づきながらやっている。それがいいか悪いかの判断だろうと思います。それについては先ほども言いましたように、新しいデータが出てきている中で国際的にきっちり判断していただいて、こういうふうに判断して、初期放射線に比べてこの程度だというのを出していただければ、そこで解決するのではないかというのは思います。
 では、わからないものはわからないと言って、いつまでもやっていていいかというとそうではないと思いますので、そんなふうに思っています。
○神野座長 では、坪井委員、お先にどうぞ。
○坪井委員 文化とか文明とか、これだけ発達した世の中で厳しさを要求するのは私は当然だと思います。厳しさがなかったら何もできないような世の中ですから、そういう意味では乖離というのは物すごく厳しい言葉です。しかし、我々がそう言っているだけであって、司法がそう言ったのでもなければ誰が言ったのでもないですね。だから、司法と行政が章立てをしたのではないのですと私は思っています。司法のほうでは、このままではだめですよ、もっと足りないところがありますよ、だから埋め合わせるようにしっかり考え直しなさい。こういうようにとれば検討するあれは要らないですよ。その問題を解決しなければ進めないことはないわけです。
 したがって、理想とかいうこともありますが、人間のなすことには誤差がいろいろとあるのです。だから、そういう意味では私はここまでやって、これで完璧だということを余り考えないほうがいいと思う。ここに出ているのは相当深く入りこんでいるのですから。だからどこに出しても大丈夫なような話がたくさんあります。
 それを上手にどう乗り越えてまとめていくかですが、1つだけ私が言っておきたいのは、あの放射線の問題は、福島の問題を考えてみてくださいよ。今、必死でしょう。我々が今やっている被爆者の放射線についてはどうでもいいのかと言いたくなるのですよ。それはわからなかったからですね。放射線の被害だとは思わずに、道半ばにして多くの人が死んでいったのです。特にその年の5カ月の間にはばっと逝ったのですが、1年たち、2年たっても私の目の前でみんな死んでいったのですよ。だから、あんなことが起こるのはおかしいなと思いながら死んでいった者がたくさんおります。それは放射線の被害ということがわからなかったから。
そういうようなことを考えますと、後からかけていくのですからなかなか難しい問題が多いと思います。しかし、我々が知恵を出して、今のように完璧ではなくても、ベストでなくてもいいことです。ベターでいこうではないかというのが私の考えなのです。
 したがって、少しでも早く結論を出していただきたいのですよ。それは私の知っている人がどんどん死んでいくのですから、今でも嫌というほど被爆者の死を見てきておりますからということなのです。
○神野座長 ありがとうございます。
 荒井委員、どうぞ。
○荒井委員 これまでの議論を思い出しながら、私なりの頭の中の整理なのですけれども、中間取りまとめの段階でも残留放射線問題をどういうふうに考えるかということについて、田中委員からも何度も御指摘がありました。
 今、方向性1〜3まで出ていまして、2と3の考え方というのは基本的には放射線起因性から離れるわけにはまいらない。私の勝手な理解かもしれませんが、それはここの在り方検討会の中の多数といえば多数の御意見ではないか。しかし、田中委員のおっしゃるように、放射線問題にこだわっていたのでは残留放射線を考慮することがなかなか行政では難しいだろう。そうすると、放射線起因性というものから離れてしまったほうが新しい制度づくりにはわかりやすいのではないかというので方向性1が出てきていると思うのです。
 ですから、私の理解では残留放射線問題をここでどうこう決めるというのは我々の腕に余るといいますか、ちょっと無理がある。そうすると、放射線起因性から離れないで残留放射線をどういうふうに考慮していくべきかというのは、もうちょっと細かいというと悪いのですけれども、起因性をどういうふうに認定していくかというレベルでの問題だろう。だから、ここで1、2、3を決めるときにそれが決定的な問題だとは私は考えなくていいと思うのです。そこがまずこれまでの残留問題と起因性の問題の私なりの整理なのです。
 さて、ここから私はもうちょっと別のことに入りたいのですが、先ほど草間委員がおっしゃった要件としての要医療性の問題。これが実は2と3について整理したいろいろな項目に対応して要医療性をどう考えるかということが余り書き込まれていない。ある意味で方向性1については疾病の度合いによってということがありますから、ある程度要医療性にかかわる問題が考慮されているのではないか。
それから、方向性2についても若干のグレーゾーンの取り扱いによっては要医療性によって区別していくという考え方が含まれているかもしれない。一番そこが希薄といいますか、まだ具体的に出てきていないのが方向性3だろうと思うのです。
 私は起因性に関しては大分前のこの会のときに、なるべく省令レベルも含めて客観的に基準を取り込んでいくことができればもう少し安定した認定の運用ができるのではないかということを申し上げたのですけれども、考えてみると要医療性のほうも、例えば具体的に分科会での議論を聞いておりましたら、がんならがんの病気になり、手術もして、何年ぐらいたてはどうだ。あるいはある特定の薬の投薬がどの程度の量でどの程度続いておれば要医療性があるかないかとか、そういう議論が随分出ております。
 それから、方向性1、2共通で、病気の程度によってランクづけをする、あるいは場合によっては打ち切ってもいいという発想がある。そういう意味で、いわゆる今までの基準からいうと、要医療性にかかわるところをもうちょっと議論をここでしていく必要があるのではないか。
 きょうの資料説明の中にもちょっと出ていましたし、前の資料にもあったと思いますが、例えば健康管理手当を受けている人は、たしか山崎委員でしたか、ほとんど8割ぐらい受けているのではないかというお話がございました。
○山崎委員 9割近いと思います。
○荒井委員 その受けている人たちがどういう病気で受けておられるのか、あるいは現況届というのですか、後で調べて治っているかどうか。そこらにどういうふうにそれぞれの疾病で健康管理手当、特別医療手当を通じて、疾病と病気の程度とか治り具合とかというものがどの程度関係しているか。それを要医療性の要件をもうちょっと具体化していくことについて実態を知りたいという気持ちがあるものですから、少しこれは事務局にもお願いすることになるかと思うのですが、いかがでしょうか。今、可能かどうかです。
○神野座長 可能でしょうか。
○榊原室長 はい。努力させていただきます。
○神野座長 どうぞ。
○石委員 今、荒井さんの御発言に若干関係するのですけれども、どこまで詳細に我々が立ち入るかという問題が既に出てきていますね。放射線起因性の不確実さをどうするかとか、要医療性の程度をどうするか。それは後で座長におまとめいただきたいのだけれども、ここにある委員の専門性からいうと、どこまでそれに立ち入ったことができるかという問題が起こると思うのです。
 私は骨太の方向性を示すだけでも十分我々の任務は終わっているような気もして、そういう意味では、きょうの方向性イメージの追記版というのは実によくできていると思うのです。結局のところ、我々はこの方向性1、2、3から誰がどれをとって、誰がどこで、多数はどこだというところまでいくのは行き過ぎのように思うのです。やはりこういう骨太の基本的な方針を示すということで、我々の任務は十分に終わっているのではないかと思いますし、逆に言って方向性の中を詰めると、例えば方向性1の区分の閾の点を何で決めるのかとか、あるいは方向性2だとグレーゾーンの幅を広く書いてあるけれども、これは2種のほうが大きいのか、1種のほうが大きいのかという問題が残るでしょう。それから、まさに方向性3からいえば、疾病対象を拡大する基準をどうするかといろいろ、どこまでいってもこの議論はエンドレスなのです。
 そこで、あるところの骨太のある領域で我々が十分に任務を果たしたと考えるのか、それとも今、言ったところを詰めるのだったら、専門家を呼んできてヒアリングでもしないとわからないと思います。その辺で、別に私は逃げるわけではないのだけれども、どこまで我々の任務として期待されているのか、あるいはマストでやらなければいけないのか。それは座長の権限に任せますから、いずれそれは決めていただかないと、多分先ほど坪井さんが言ったようにベストでなくてベターだと、私はもうベターになっているのではないかと思っていますけれどもね。さらにもう少し追及したいというのならばそれはそれで大いにやりますけれども、エンドレスの議論をしてもしようがないと思う。その辺で細かく迷い込んで。それをちょっと御配慮いただきたい。
○神野座長 わかりました。
 田中委員、どうぞ。
○田中委員 ベストを言っていくのではないのです。被団協が言っている提言もそんなに詳しいことを言っているわけではないのです。こんなところでおおよその見当していただければいいかなという出し方なのです。それに比べると、1のついているのがよくわからないから、もうちょっと詳しく御説明いただければいいなというのがひとつあって、最初の質問だったのです。
 私が想像をするとしたら、従来の認定制度を残すということになれば、まず今の基準がありますね。あるいはそのまま残るとして、それで裁判で解決しなかったもの、乖離の部分をつけ足したところでやるとしたら、認定されているような病気で放射性起因性が説明できない人たちは全部ここで認定すると考えてよろしいでしょうか。
○神野座長 今のここの段階でですか。もう少し議論しないと。
○田中委員 荒井先生がもし考えるときに。
○石委員 そういうことはここではできませんよ。そんな権限もないし。そういう問題が出されたということを明記するぐらいが精一杯でしょう。そんな決定権もないし、我々に能力がない。
○田中委員 意見ですから、別に言葉には責任を持たなくてはいけないということはありますが。
○神野座長 先ほどおっしゃっていて、方向性3という。
○田中委員 例えばがんは今、3.5km以内だったら認定されることになっています。5kmのがんの人がいたとしたら、それは5kmの放射性起因性というのか、その人の被曝線量は推定できないからそれはもうしようがない、ここで認定しましょうと考えてよろしいでしょうかということ。
○荒井委員 認定しましょうではなくて、無理でしょうということになるのではないですか。
○田中委員 でも、手当は出しましょうですか。
○荒井委員 そうではない。認定がなければ手当はなしですよ。
○田中委員 でしたら、手当の額は変わらないという、ここでいうと紫色の部分はどういう人たちが認定されるのでしょうか。例えばでいいのですよ。
○荒井委員 私自身がつくった図ではないので。
○神野座長 普通に考えれば疾病の対象を検討していくということになる。
○石委員 私の意見はこういう紫の色のところがどうだとか、1種、2種がどうだというところまで立ち入れないだろうと言っているのです。でも、田中さんは非常に要求度が高いからやるべきだという御意見だと思いますから、そこは食い違うので、それは議事進行の中で加味することしかないだろうというのが私の意見です。
○神野座長 坪井委員の先ほどの御発言をどうとるかなのですが、私としては可能な限りここで合意ができれば、もう少し具体的な、田中委員の意見もそういうことだろうと思いますが、少なくともイメージが湧くような書き方をしてほしいということですね。
○田中委員 荒井先生だと疾病をふやすようなことだとすれば何を。
私どもは今の認定の疾病にほとんど該当するものを加算すると言っているわけです。そんなに広く言っているわけではないのです。広げるとしたらどういう病気を認定にできるかというのは、進歩しますから、原因がありそうだ、関連性がありそうだという病気が今、どんどんふえてきていますから、それはどんどん入れましょうというのであれば、それはわかるのですけれども、それはこの認定の中に入れればいいわけだから、基準の中にどんどん入れていけばいいのですから、別に新しい制度でなくてもできるのです。だから、よくわからない。よくわからないままで骨太だからいいというわけにはいかないかなというのが。
○神野座長 坪井委員、御発言どうぞ。
○坪井委員 おこがましいようですけれども、認定をする分科会の委員さんがどうやるかというのが非常に大事になるから、その辺をちょっとえぐるようなことをやっておかないと、一生懸命やっているけれども、実際に認定する分科会の委員さんがそうそうとやられたのでは何のことやらわからぬですから、今、我々は、これはいいのだろうか、これはだめだろうかと言ったところで、あの方に血も涙もあるかどうかによって変わるだろうと思いました。
○神野座長 何かございますか。
 高橋委員のほうに、先ほど田中委員のほうから、つまり我々から言うと1つの法があり、制度があり、そこにおける解釈の相違によって司法判断と行政判断のずれが起こるのだろうと普通に考えるのですが、高橋委員の御説明に対して田中委員のほうから御疑問が出ていますね。それを含めて御発言いただけるとありがたいのですが。
○高橋滋委員 どこまで具体的にやるかどうかというのは確かに石先生がおっしゃるように、適宜これから進行していただければと思うのです。もっとも、私自身は、司法と行政との違いというのは、司法は制度を前提として白か黒かをとにかく決めなければいけない。そのときに裁判官の判断で、これはとにかくいかざるを得ない、要するに自分の心証として判断せざるを得ないという形で決断をするわけです。他方、行政のレベルとして、我々はそれをどう受けとめるかという話で、石先生もおっしゃいますが、行政制度としてそれを組みかえるときには、納税者を説得できる具体的な根拠がないと、認定というところまではいけない。
ということになると、残留放射線の問題もありましたが、わからないというところで司法が積極的に認定せざるを得ないなというところの判断にいった例があるとすれば、そこはグレーゾーンであるとして、客観的な線引きをしていかざるを得なくなります。また、積極的に認定できるというところではございませんので、段階づけをせざるを得ないという案になるだろう。
 そういう意味で、残留放射線の問題についても草間先生がおっしゃったように、新しく検討した場合であっても変わらないということであれば、これはかなり3に近づくということになるわけですから、制度設計上は大きな意味をもってきます。よって、この問題は少しヒアリングでもして、これだけ被爆者の代表の方がおっしゃっているのですから、制度設計を考える上で一遍はヒアリングをしてきちんとそこは決めておく必要があるのかな、それはそういう手続が要るのではないかと私は思います。
 加えて、繰り返しますが、司法と行政の間をどう埋めるかということについては、司法の判断を丸ごと入れるというわけではなくて、行政の制度として新しく引き直すという考え方も重要なのですということも、再度、繰り返し申し上げたかったということです。
○神野座長 田中委員、どうぞ。
○田中委員 私も先ほどから丸ごと入れようと言っているのではないのですけれども、多少取り入れて新しい基準をつくったのですね。だけれども、新しい基準でも認定されない人たちで裁判で勝っている人たちが結構いるわけです。上級審に行って、負けてまた勝った人もあるわけで、その違いは病気ではないのです。一人一人の線量を数値ではあらわせないから、行動を裁判官が判断をして、この人はある程度高い線量を受けているのだから認定するべきだという判断。ほとんどは疾病ではないのですよ。
○高橋滋委員 ですから、繰り返しますが、それは今の制度として白黒つける上での裁判官の判断手法だと申し上げております。それを行政として組みかえるときには別の判断があっていいと私は思っている、と申し上げさせて頂きます。
○田中委員 それはあってもいいのですが、それをここで私たちがやろうという話になっているわけでしょう。ですから線量です。数値であらわせない線量の問題をどうするか。
○高橋滋委員 私も、そこは、きっちりとやった方がいいのではないでしょうかということです。
○田中委員 草間先生から一度原爆起因性というような考え方で認定をするということもあるかというお話があった。これは面白いと思ったのです。それで認定ということができるとしたら、それはそれでいいかなと思ったのですけれども、その後そういう考え方はいかがですか。
○草間委員 原爆起因性と提案したのは、決して私は放射線起因性を否定して原爆起因性と言ったつもりは全くないのです。長瀧先生がいつも言われるように、放射線起因性と言ったときに科学から余り外れてほしくない。外れてほしくないという大きな理由は何かというと、放射線起因性という言葉で言うと原爆だけとは限りません、これから福島の問題も起こってきます。職業病認定のほうも問題となる。それから、放射線起因性が全く何もないと今度は東京空襲はどうしますか、沖縄はどうするかということになるので、ほかに広がっていかないという意味で、ここは原爆起因性という形でどうでしょうかとお話をさせていただいた。
 はっきり言ってしまうと自民党のPTが出した今の3.5kmというのが、放射線起因性を議論する科学のぎりぎり、私たち科学者としては本当にぎりぎりの線、あるいはもうぎりぎりよりもかなり外れているかなという印象を持っているのです。現在、3.5kmを使った新しい基準という形でやっているので、これは原爆起因性という形でやっていただくとほかのところに広がっていかないからという思いがあって、それで原爆起因性という言葉を提案させていただいた。
 それが原爆起因性イコール放射線起因性を外れているというつもりは全くなかったのですけれども、ちょっと先生方から誤解されて放射線起因性を捨てるのですかなどと言われているのですが、私はそんなつもりは全くなく、よそに広がっていかないのですよということを意図したかった。そういうことなのです。
○神野座長 荒井委員、どうぞ。
○荒井委員 忘れないうちに、草間委員に異論を申し上げて済みませんけれども、原爆起因性という言葉の中に、放射線起因性を捨てているわけではないというのはよくわかるのですが、それを原爆起因性という言葉に置きかえることによって、放射線起因性以外の、熱風とか爆風とかそういうものが入ってくる可能性がある。だから、言葉だけの問題ではなくて、そこは原爆起因性という言葉の中にどういう要件を想定なさるかということがまだ私にははっきりつかめていない。放射線起因性以外の要因を取り込んでくるとなると、本来の原爆症認定制度の趣旨をかなり逸脱してしまう心配があるということだけ申し上げておきます。
 それから、もう一言申し上げたいのは、方向性2と3との違いを少し薄めることができるのではないかと思いますのは、資料4の3ページに、これは前々から御説明がありますけれども、第2種ということで新たな基準で、放射線起因性を否定し切れない人なり医療の必要性を念頭に置いてつくっている。この場合の起因性を否定し切れないというのは言葉として言えばいわゆるグレーゾーンということに受け入れられやすいのですが、きょうの資料でも健康管理手当の支給要件というのは「原爆の放射能の影響によるものでないことが明らかであるものを除く」。ですから、恐らくこの否定し切れないというのは、健康管理手当の支給基準とほぼ同じだろうと思うのです。そういう意味では、山崎委員が前に、最大限広がっていく場合には第2種の対象者というのは健康管理手当の対象者に一致するほど広がる可能性があるということを、たしかおっしゃったことがおありだったと思うのですが、それはちょっと広過ぎるのではないか。否定し切れないとか、あるいは明らかであるものを除くとなると、健康管理手当の基準をぐっと上げていくような結果になるのではないか。それもちょっと趣旨が違うのではないか。つまり、グレーゾーンなるものを、これまでの原爆症認定制度13万幾らということを前提にしての要件の外側といいますか、健康管理手当対象者と従来のいわゆる原爆症認定対象者との間に、特別医療手当の外側に置くというお考えだとすると、ちょっと広過ぎるというのが私のイメージであり、あるいは懸念なのです。
 むしろ新たな基準として御指摘の、医療の必要性ということももう一つの要件として取り上げておられる。実は方向性3というのは、先ほど私は要医療性のことを申し上げたのはそこなので、従来のといいますか、現在の医療特別手当というのは13万幾らということで一本線なのですけれども、これまでのいろいろな議論の中で、回復の可能性とか現在の症状いかんによって取り消しまで含めて考えてもいいのではないかという御意見が結構出ていたと思うのです。そうすると、方向性3の見直しの中で、疾病対象拡大というのがどこまでできるか、これはかなり専門家の御意見が中心になっていくだろうと思うのですが、方向性2で言われるところの医療の必要性あるいは症状の程度などを加味してランクを1つつくるということができないのだろうか、つまり、起因性で区別していくのはどうも難しいのではないか。しかし、一方で、病気の程度とか症状の程度、回復の見込みなどを考慮してワンランク中間段階をつくるということは絶対あり得ないのかどうか。方向性2のアイデアというものを方向性3のほうで追加していく道がないのだろうかということをちょっと考えるのです。
 もちろん、そうなりますと、従来、現在の認定制度のもとで原爆症認定対象になっていたような病気なり、その病気の程度の方々がワンランク少し下の給付水準に落とされてしまうという問題が起こるかもしれない。その辺をどう考えるかということが一つあり得ると思うのですけれども、起因性一本で方向性3が徹底しなければいかぬかどうかというのはもうちょっと考えたいなという気がしているのです。
○神野座長 では、山崎委員は最後にまとめてお話いただくとして、長瀧委員、どうぞ。
○長瀧委員 今、原爆症というお話が出ましたけれども、ちょっとずれるかもしれませんが、今、一番当面の問題として私自身も考えているところで、例えば福島で被曝から逃れるために避難の途中に60名亡くなってしまったとか、今、放射線から避難するために仮設住宅にいて、そのためにどんどん成人病がどんどん悪くなっている。それから、新聞報道の範囲ですけれども、仮設住宅のストレスのために何百人亡くなったという現実があります。それは明らかに放射線のせいではないですね。それから、もっと遠いところまで言えば、今の子どもたちの放射線で何か起こるのではないかという、親から受けたストレスというものは物すごいものだと思うのですけれども、それも放射線の直接の影響ではない。
 例えばですけれども、そういうものを原爆症というもの、放射線以外の被害というものを一体どう考えるのか、それはこの際全く別にしていいとするのか、そこは今、福島ということを前にして、本当に放射線を中心にしていくということで日本という国の考え方がそれでいいのか、それとも避難生活をして、そのために具合が悪くなっている方たちを一体何の被害と考えるのか。
 そんなことを考えていると、原爆症も考え方として、本当に放射線だけにするのかということは考えるのですけれども、これは私にとっては現在の感覚で、今までずっとあった歴史の中の原爆被爆者の援護という中で、放射線がずっと残ったといいますか、中心になってきたので、それは動かさないほうがいいというような委員の判断になるのか。それは今後のことにも日本の考え方として、被爆した唯一の国、そしてその国が原発の事故を起こした日本の国として、本当に日本の国がどう対処したかということはすごく大切なことだと思いますので、そういう面もあるのではないかということだけ、以上お話しして、これは決して科学だけの問題ではないということです。
○神野座長 私は法律の専門家ではないのですが、例えば仮設住宅その他の孤独死やさまざまな悲劇が起きているのは、岩手などでも起きていて、福島でも起きている。ただ、その場合に、自然災害に起因している場合と、人為的に起因している場合とが相違があるかもしれないのですけれども、そのこと自体は。
○高橋滋委員 基本的に原子力損害賠償の話でもそこは考慮しているわけですね。ただ、この場合に、今、おっしゃったような話は、原爆症の場合については既にかなり当初の話としてあって、今さらこれを制度設計に入れるかどうかというのは非常に難しいと私は思います。福島の例と比較するのはこの場合ちょっと無理があるのではないかというのが今、お聞きした感想としてはあった。
○荒井委員 私は原発のほうにも若干かかわっているものですから。
 放射線ということで専門の先生方が福島との関係を懸念されることは理解できなくはないのですけれども、福島のほうは原子力損害賠償保障法という法律ができておりますので、それは簡単に言うと民事の損害賠償という枠組みの中ですから、慰謝料も何も全部当然ながら入ってくる。
 けれども、原爆の場合は既に今の制度ができて30年以上の歴史でとにかく運用されてきているわけですね。大変な被爆者の方々のお気持ちはよくわかるのですけれども、慰謝料まで含めてということはこれまでにないわけですから、30年後にそれを取り上げて対象にするというのは、私としては到底それは無理な話だということで整理しなければならないのではないかと思います。
○神野座長 佐々木委員、どうぞ。
○佐々木委員 私のほうは、被爆者の方々も高齢化しているということを踏まえて、できるだけ具体的な論議をこの場では、石先生からはある程度骨太でいいのではないかというお話もありましたけれども、やっている以上はできるだけ具体的な議論を一つでも二つでも深めたいという観点でお話をさせていただきたいと思います。
 前回も申し上げたのですけれども、今の法律の全体の立て方というのは、原爆の放射能の起因性があれば100で、あとがゼロということではなくて、一定の区域にあれば住んでいたということで被爆手帳という広い区域があって、先ほど荒井先生も御了解されたように、私は消極的な起因性と言っていますけれども、そういうものがあれば健康管理手当が出てくる。いきなり高いところにいって、積極的な放射能起因という病気を国が認定すればあくまでも医療特別手当が出るという仕組みになっているわけです。
 先ほど荒井先生が、健康管理手当が被爆者で一定の疾病で、放射能の影響によるものでないことが明らかであるものを除くというのを捉えて、方向性2のところの放射性起因性を否定し切れないと、結局これが健康管理手当の要件でぐっと広がってしまうのではないかという御指摘があったのですが、それに関連して、例えば健康管理手当の要件というのは疾病単位で明らかでない疾病というものをばくっと切ってしまって、そういう疾病であればあとは個別の人がどういう様態であろうが全然問わないという仕組みではないですか。それは全部個別の人が放射能の影響によるものでないことが明らかかどうかと全部審査をするということなのですか。
 それによって、グレーゾーンとこういうものが成り立つのか成り立たないのかというのが、ここのところがきっと議論をもう少し深められるのではないかなと思いますし、今の健康管理手当の消極的な起因性みたいなものの考え方より、もう一段深いものがつくれるのかどうかということを、できれば議論したいというか、考えたいのですけれども、もし今の健康管理手当の一定の疾病で、影響によるものではないことが明らかであるものを除くの具体的な運用というか解釈を教えていただければありがたいのですが。
○神野座長 これはどうしましょうか。事務局のほうからお答えをいただいてから、山崎委員にお願いします。
○榊原室長 また資料にするなりしましてあれしたいと思います。
 基本的にはこちらの資料の8ページにあるとおりでございますが、制度上は一定の疾病にかかっているものというものを見て対象でないことが明らかであるものを除くという制度とはなってございます。
○佐々木委員 ということであれば、ここの健康管理手当の除くというレベルとは違うレベルの仕分けの仕方ができる可能性があるのではないかと、今、詳しい説明がなかったのでそれ以上わかりませんけれども、例えば今の原爆症の認定であれば、いろいろな要素を全部並べてみて、それに該当しなければならないけれども、その一つが欠けているとか、その一つについて疑問があるとか、いろいろな立て方があるのではないかということで、この点はさらに追及をしていけるポイントではないかという感じがしておりますので、さらに深めていただければありがたいと思います。
○神野座長 山崎委員、先ほどの荒井委員を含めた御指摘について。
○山崎委員 放射性起因性を否定し切れないものということになると、最大限健康管理手当の対象者まで広がるということになりますが、ただ、先ほど来議論がありますように、私も申し上げましたように、現に医療を必要とする状態かどうかというのが今の基準だろうと思います。ですから、13万幾らかの医療特別手当が出て、治癒したという人が5万円の特別手当と、この2段階になっているわけでございますが、その間に重篤性等の医療を必要とする状態というのがあったり、あるいはその他介護保険の認定の仕組みなども発言いたしましたけれども、その他個別的な考慮すべき事情があるかもわからないということになるのだろうと思うのです。
 そうすると、医療が必要な程度ということになりますと、ただ通院しているというだけではないのだろうと思いますから、特にがんなどは本当に相当進行していくわけでございますから、定期的にかなり頻繁な認定審査が必要なのではないかなとは思っております。
 以上です。
○神野座長 ありがとうございます。
 あとはいかがでございましょうか。
 どうぞ。
○草間委員 先ほど17万人の方たちの健康管理手当の疾病がどうかということでしっかり資料をということだったのですけれども、21万人の被爆手帳を持っている方たちの距離。それはわからないですか。例えば最大でこのぐらいまでの方たちが実際に被爆手帳をもらっているかというのはぜひ資料として出していただきたい。
○榊原室長 検討させていただきます。
 一番遠い方は当然長崎市の端の方とかですと12kmなどとなっているかと思います。
○神野座長 次回以降、石先生の御指摘を踏まえながらも進めますが、むしろあれでしたらこの機会に委員の方から資料要求があれば、少し具体的に議論を進める上でもあれば。
○田中委員 資料要求ではないのですけれども、荒井先生がおっしゃいました、厚労省がきょう答えてくれてよかったと思うのですけれども、原爆症認定の場合は要医療性がある、医療費を支給をするのが法律ですから、要医療性がないといけないので要医療性が入っているのですけれども、治れば、山崎先生がおっしゃったように、治ったということで認定もなくなってしまうのです。なくなってしまって、手当は特別手当になるのです。そういう制度はあるのです。ただ、一旦認定してもらった人たちが手当13万を切られる、5万円に下がってしまうということへの抵抗はあって、しかもそれを判断するのは医療分科会ではなく各県の医師たちなので、それがずっと残っているケースが多い。ケースが多いのでちゃんと下がっている人たちもいるのですね。
 それから、健康管理手当も治ったら打ち切り、下がるのではなくて打ち切りで、できた当時はかなりのものが打ち切りでいったのです。3年、5年たったら再申請をしていかないといけなかったのですけれども、もともとこの中身は今の生活習慣病の程度の医療を受けていれば健康管理手当を出すとなっていますね。そうなっているのです。その生活習慣病というのは、もう高齢化してくれば治るというようなものではないから、打ち切りをやらないで継続してやる。ただ、明らかに治るという病気だけは申請をしろというのが、ちゃんと説明を先ほどされましたけれども、3年と5年が少し、2〜3の疾病だけ残っている。あとは今、全部生涯健康管理手当をもらっている。経過がありますけれども、基本的には最初は治ったらやらないというのが方針だったのです。ということでよろしいですね。それだけでも私は荒井先生の質問にはよかったのではないかと思っているのです。
○神野座長 いいですか。どうもありがとうございました。
 そろそろ時間でございますので、本日も貴重なお時間を頂戴して、熱心な御議論を頂戴したことに深く感謝する次第でございます。
 次回も具体的に、この3つの方向性を基盤にしながらもうちょっと具体化を図っていきたいと思いますが、きょういただいた宿題としてかなり資料を事務局のほうに作成していただいた上で、石先生の御指摘もございますから、少し具体的に議論が進むような条件と、どこまでかという見通しもできれば可能な限り具体的なレベルで決めさせていただければ、坪井委員が御指摘のように、余り長い、本当に方向性だけで終わると政策に上げていくまでに時間がかかってきますので、可能な限り同意できることを合意して、一歩でも二歩でも着実に進めるようなステップをとり得るようなものを出せればと思っておりますので、次回以降もう少し議論が具体的になるような資料のつくり方と、余り資料が膨大にならないように、次回以降2と3をまとめるとかをしながらも、具体的な議論が進むような資料をつくっていくように考えていきたいと思います。
 また、先ほども私は専門家ではないので議論をうまくできていないので、残留放射線の問題などを含めて長瀧委員とも相談しながら、必要であればきちんとした、高橋委員のような御指摘もございますので、時間をとるなり何なりしながら進めていこうと思っております。
 それでよろしければいいですか。
○田中委員 それでよろしいのですけれども、私どもが意見を出します。そうしたら、現在の認定制度を残したとしても、法律改正をやらなければいけなくなるのではないかと私は思うのですけれども、それは厚労省が法案をつくっていくことになるのですね。
○神野座長 最終的に法改正が必要であるとすれば。
○田中委員 だとすれば、ここで議論されていることの中身がよくわからないと、厚労省も法案ができませんね。だから、そういう意味でここのところはこれでいいのですかというような、リードされたら困ると思うのですけれども、リードではなくて、厚労省はこれから法案をつくる場合でも、基準をつくる場合でも、よくわからないことは私どもに質問していただいた方がいいかと思いますので、座長のほうでそれを御協力していただければ。
○神野座長 わかりました。ありがとうございます。今のことを含めて事務局にお願いすると同時に、長瀧委員とも御相談しながら進めさせていただければと思っております。
 それでは、本日の議論はこの辺で打ち切らせていただきますが、事務局のほうから補足すべき点がございましたら、どうぞ。
○榊原室長 次回の日程につきましては、11月20日火曜日13時〜15時で予定しておりますので、よろしくお願いいたします。
○神野座長 それでは、夜遅くまで、暗くなるまで御熱心に御議論いただきましたこと、重ねて感謝いたします。また、貴重な時間を頂戴しながら、不手際によって余りうまい運営ができていなかったことを反省しておりますので、お許しいただいた上、委員の皆様方の議事運営に関する協力に感謝申し上げる次第でございます。
 どうもありがとうございました。


(了)
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