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2012年12月18日 第2回先進医療技術審査部会 議事録

医政局

○日時

平成24年12月18日(火) 16:30~17:50


○場所

航空会館701+702会議室(7階)


○出席者

猿田座長、山口座長代理、一色構成員、伊藤構成員、金子構成員、佐藤構成員、
柴田構成員、関原構成員、竹内構成員、大門構成員、田島構成員、直江構成員、
藤原構成員、三上構成員、山中構成員、山本構成員、北川技術委員
(事務局)
医政局研究開発振興課長
医政局研究開発振興課 治験推進室長
医政局研究開発振興課 再生医療研究推進室長
医政局研究開発振興課 課長補佐
医政局研究開発振興課 先進医療専門官
保険局医療課 専門官
医薬食品局医療機器審査管理室 調整官

○議題

1.先進医療会議及び先進医療技術審査部会の運営等について(報告事項)
2.第2項先進医療及び第3項先進医療の先進医療A又は先進医療Bへの振り分けについて(報告事項)
3.新規申請技術の評価結果について
4.試験実施期間の延長について
5.協力医療機関の追加について
6.先進医療専門家会議の審査結果について
7.その他

○議事

○猿田座長
 時間がまいりましたので、ただ今から「第2回先進医療技術審査部会」を始めさせていただきます。本日は大変寒い中、また12月に入ってお忙しいところを委員の先生方にはお集まりいただきまして、どうもありがとうございました。本日は、一応全員出席ということで、一色先生と竹内先生が遅れていますが、最後に全員出席ということですので、御報告させていただきます。
 本日は、技術委員として北川先生においでいただきました。よろしくお願いいたします。それから高橋政代技術委員と高橋信一技術委員には、事前に検証していただき、その意見書を提出いただいていることを報告させていただきます。
 それでは、配付資料と本日の審査案件の確認を事務局からよろしくお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官
 事務局でございます。よろしくお願いいたします。配付資料について、まず確認させていただきます。議事次第から始まり、座席表、構成員及び技術委員名簿と続きます。次に、先進医療会議及び先進医療技術審査部会の運営等として資料1-1から資料1-2、通し番号で7ページから13ページになります。次に、第2項先進医療及び第3項先進医療の先進医療A又は先進医療Bへの振り分けとして資料2、通し番号で15ページから始まります。新規申請技術の評価結果として資料3-1から資料3-12まで、通し番号で47ページからになります。試験実施期間の延長として資料4、111ページからになります。協力医療機関の追加として資料5、115ページからになります。さらに、先進医療専門家会議の審議結果として資料6、通しページで117ページがございます。最後に、参考資料として1から4までを付けております。これが137ページからです。
 本日の資料は以上です。過不足等ございましたら、事務局までお知らせいただきますようお願いいたします。
 それから利益相反について、47ページの資料3-1を御覧ください。対象となる医薬品及び医療機器の企業について記載しております「医薬品・医療機器情報」を御覧ください。対象となる企業又は競合企業に関して、事前に確認させていただいております。北川技術委員より、利益相反の届出がございました。そのほか事前の届出以外にも、もし何らかの利益相反がございましたら、この場で御報告をお願いいたします。よろしいでしょうか。該当なしということで、お願いいたします。
○猿田座長
 早速、お手元の議題に従いまして審議に入りたいと思います。最初に、先進医療会議及び先進医療技術審査部会の運営等について、事務局から御説明をよろしくお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官
 事務局より御説明させていただきます。なお、撮影されている傍聴者の方はここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 資料1-1を御覧ください。7ページ、先進医療会議の開催要綱です。第1回の先進医療会議において、3つの改訂が議案に上りましたので、改訂したことをここで御報告申し上げます。
 9ページを御覧ください。下線が主に3か所引いてございます。まず、一番上、「個々の医療技術に精通する者」という文言を追加しました。2点目は、座長代理の役割を明確化することとして(5)(6)を改訂しております。
 さらに、5「議事の取りまとめ」に関して、議事の取りまとめの分母から利益相反のある構成員等を除くことを明記させていただきました。
 続きまして資料1-2、13ページを御覧ください。前回の部会での御指摘を踏まえ、振り分け前に審査できることとさせていただいております。その資料を提示させていただきます。14ページの3番、保険医療機関が先進医療の届出を行い、事務局がそれを受理した場合、審査の迅速化が事前にできる場合は右のパスウェイに行かせていただきます。すなわち、「審査の迅速化のための事前審査を実施できる場合」として、先進医療A又は先進医療Bへの振り分けを、座長の了解を得て審査を開始することができることとします。一方、4の左の1事務局において分類を判断できない場合、2申請した保険医療機関が事務局案に異存がある場合、3座長が事務局案では問題があると判断した場合は5番に行きまして、「先進医療会議において、先進医療A又は先進医療Bへの振り分けを行う」こととしました。以上です。
○猿田座長
 この点に関しては、要するに少しでも早くこの審議を進めなくてはいけないということがあり、こういった形でやらせていただく。ただし、問題があったときはきちんとこの会議にかけさせていただくということですが、どなたか御質問ございますでしょうか。これは、前からも御説明があったかと思いますが、一応こういう形でやらせていただくということで、特に御意見がなければ、この形でいかせていただきます。
 では、次に「第2項先進医療及び第3項先進医療の先進医療A又はBへの振り分けについて」、事務局から御説明をお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官
 15ページを御覧ください。これまで第2項先進医療技術として扱われた66技術のうち、先進医療Aに振り分けられる50技術をこちらに示しております。16ページ、2番目は先進医療Bへ振り分けられる技術。66技術のうち15技術は、先進医療Bへ振り分けられる技術となります。さらに、第2項先進医療技術の66項目のうち、17ページ3番、告示番号61番「デキストラン硫酸を用いた吸着型血漿浄化器を使用した血漿交換療法」については、先進医療から削除する技術として示しました。これは、資料先-4で示しております。
 もともと第3項先進医療であった40技術については、全て先進医療Bとして扱うこととなりました。旧第2項先進医療のうち15技術が先進医療Bに該当しますので、この件に関しては平成28年3月31日までに先進医療Bに申請し、先進医療Bとして試験実施計画等の科学的評価を終了する必要があることを申し添えます。以上です。
○猿田座長
 ここのところは先生方にとっても重要なところなので、見ていただきたいと思います。今お話がありました15ページ目の「先進医療Aへ振り分ける技術」に関しては50技術ということで、先生方におかれましては、各内容を御存じかと思いますが、一応そういう形です。2番目の「先進医療Bへ振り分ける技術」としては15技術ということで、ここに挙げてあります。3として「先進医療から削除する技術」が、デキストラン硫酸を用いた吸着型血漿浄化器を使用した血漿交換です。あとは、今お話あった第2として、「第3項先進医療」として40技術があるということですが、これらに関してどなたか御質問はございますでしょうか。よろしいですか。
 特に御質問がないようでしたら、続きまして、新規申請技術の評価結果について、事務局から御説明をお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官
 資料3-1、通し番号で47ページを御覧ください。新規申請技術の評価結果として、整理番号001、先進医療名は「肝硬変症に対する自己骨髄細胞投与療法」、適応症は「C型肝炎ウイルスに起因する肝硬変」が対象となっております。申請医療機関は、山口大学医学部附属病院です。審査担当構成員として、主担当が柴田構成員、副担当として伊藤構成員、佐藤構成員、高橋政代技術委員、高橋信一技術委員となっております。以上です。
○猿田座長
 よろしいでしょうか。早速001、今お話がありました「肝硬変症に対する自己骨髄細胞投与療法」について、主担当が柴田先生、副担当が伊藤先生、佐藤先生、技術委員として高橋信一先生、高橋政代先生ということで。柴田先生から、まず概要をお願いいたします。
○柴田構成員
 今回001番を担当いたしました柴田です。お手元の資料3-2をお開きください。こちらに「実施計画等評価表」をはさんでございます。実施体制については伊藤先生に御評価いただいておりますが、1番、2番、3番とも結果としては「適」といただいております。ただし、コメントとしてはいくつか御指摘があり、先行のエビデンスをどのぐらい評価しうるものなのかということ、あるいは全身麻酔による骨髄採取という身体的負担を伴うものであるが、そのリスク・ベネフィットバランスはいかがなものかという御指摘等をいただいております。「実施条件欄」として、対照群となった被験者が本治療法を望まれた場合の先進医療の取り扱いを明確にしてくださいとの御指摘をいただいておりますが、この評価自体は「適」ということで御判断いただいているところです。
 めくっていただき、高橋政代先生にいただいた「実施体制の評価」です。こちらも1番から3番まで、いずれも「適」をいただいております。ただし、コメントについてはいくつか御指摘をいただいているところです。まず、適量が病変部にきちんと到達しているのかどうかというコンセプトのところが心もとないところと、あるいは肝動脈投与のほうが侵襲は大きいものの確実ではないかなどの御指摘はございます。また、細胞投与量を増やすことも検討の余地があるのではないかとの御指摘です。こちらについては、今後の検討課題と解釈させていただいております。
 高橋信一先生からの「実施体制の評価」が、次の欄にございます。こちらについては1番、2番は「適」をいただいておりますが、3番の医療技術の有用性等について「不適」の御評価をいただいております。コメント欄に関しては掻い摘んで御説明いたしますと、こちらの今回の主要評価項目が、24週経過した時点でのChild-Pugh Scoreが1点以上改善した場合に効果有りと判断するという基準になっておりますが、それが臨床的な有用性の観点から少し緩いのではないかとの御指摘と理解しております。臨床的な有用性の評価が緩いということは、実際に患者さんが実感される効果よりも過大に有効性を評価してしまう危険性があるということで、そこのところについての御指摘と理解しております。
 ページを進んで、「倫理的観点からの評価」については、佐藤先生に御担当いただきました。4番、5番いずれも「適」との御判断をいただいており、いくつか書類に疑義がある点はありましたが、適切に修正されているとの御判断をいただいております。
 「試験実施計画書等の評価」については、私が担当しました。6番から16番まで、10番以外は「適」と判断しております。10番について「不適」と記しましたが、伊藤先生あるいは高橋信一先生の御指摘にもありましたが、有用性の評価というのが臨床的な観点から十分であるか否かというのは論点として検討すべきと考え、一旦「不適」とさせていただきました。
 コメント欄に書きましたが、一般論ではございますが、対照群との間に統計学的に有意差が示されたとしても、それが臨床的に意義のある差違であるとは限らないのは、一般論です。本申請に関しては、現在設定されている有効性の評価方法・主要評価項目によって、臨床的に意義のある差とか、本技術のリスクや身体的負担に見合う有用性を示したことになるのか否かについて、検討は必要であろうと考えております。その辺のところがきちんと整理されているのであれば、現状のエンドポイントで評価できるものに限界があるというところについて明らかになっているのであれば、現状のままでも構わないかとは考えております。
 最終的な評価は52ページにございます。一旦、御指摘もいただいたところがありますので、「条件付き適」という形でまとめております。評価者の先生方の御指摘を踏まえ、必要に応じて、修正・変更等が必要であると考えております。評価は以上ですが、それぞれの評価の先生からコメントいただければと存じます。
○猿田座長
 今、総括的には一部検討していただくところがあるから、「条件付き適」という形でということですが、今日まずいらっしゃっています伊藤先生からコメントいただけますでしょうか。
○伊藤構成員
 肝硬変に対する新しい治療法ということで見せていただきました。この治療法は、調べてみたところ全世界で余り数多くやられてないようで、出されている論文の数が限られていると思っております。見せていただく限り、3つ大きな問題点があると認識をいたしました。
 1つは、現在提出されている一番大規模な臨床研究で症例対照研究になったのが2つしかない。1つは、山形大学が出されている5例と5例の研究。もう1つは、B型肝炎を対象とした肝硬変53例で、対照が105例という研究が、Hepatologyに出ております。Autologous Bone Marrow Mesenchymal Stem Cell Transplantation in Liver Failure Patients Caused by Hepatitis B : Short-Term and Long-Term Outcomesという論文があります。一番大きい症例数がありましたので、この論文は詳細に読んでみました。
 中国で行われた試験の結果ですが、B型肝炎由来の肝硬変患者を対象とした研究ですがアルブミンなどの評価項目は、骨髄移植、早期の3週から24週までは改善しているが、コントロールも同じように改善していて、36週以上については差がない。この論文の成績が、症例の全部を捕促しているかどうかが大変分かりにくいので、何とも申し上げようがないのですが、6か月以降の長期予後について差がないというデータが出ております。安全性に対して懸念がない治療法であれば何も問題がないのだろうと思ってはいるのですが、骨髄移植というのは、健常人のドナーを対象にして、1万数千人の中で1例死亡例が出たという報告もありますし、肝硬変の患者さんから400mLの骨髄を採取し、投与をするというプロトコールが本当に安全だろうかというのが、大変懸念に思ったところでございます。
 この点について、申請者との具体的なやり取りは、資料を御覧いただくと分かるとおりです。
 それに加えて当初は90万円の負担を被験者にお願いするとなっていました。長期予後の成果がはっきりしないようなプロトコールであるにもかかわらず、患者さんからお金をいただくというのはいかがなものかということで、やりとりをしたところそちらについては研究費負担をするということです。
 いずれにしても、こういう治療法というのが、対照群を置いて比較試験をやらなければ有効性はわからない、そうでなければ解決をしない問題であるというふうにも思います。実施することを止めるものではないと思いますが、安全性が本当に担保されているのかについては、常に十分な情報提供をされた上で実施されるべきであろうと思っております。
 あとは、この対照群の方が6か月を過ぎれば、この治療法をするという記載も見えたりしますので、現行のプロトコールのままではHepatologyに出ている長期予後についての評価はできないプロトコールだなというのが、もう1つはこの試験の本質的な問題点だと認識をして、見させていただいた結果を書かせていただきました。
○猿田座長
 もう1つ、佐藤先生からのコメントをいただいて、それから審議に入らせていただきたいと思います。佐藤先生、よろしくお願いいたします。
○佐藤構成員
 倫理面からの審査をさせていただきました。通常、倫理面からの審査というのは、説明同意文書を中心に見るということで、51ページのコメント欄というのも、そのことしか書いていないのですが、今回審査をしていまして、2つ通常と違うことを悩みましたので、御意見をいただけたらと思います。
 1点目は56ページの伊藤先生の御指摘ですが、3番のところで、その骨髄液を保管サンプルや研究用に故意に多く取っているデザインになっていないかということです。この研究では研究への保存に同意をいただけた方については、骨髄液と最終産物とを保存する。もちろん同意をいただけてない患者さんについては保存しないのですが、どちらも骨髄液の採取量が同じですので、その点少し気になりまして、事務局を通じて数度問い合わせていただきました。そのことが、57ページ以下に書いてあり、結局としてはこのデザインしかないだろうと私も思いましたのが1つです。
 それから事前に柴田先生から、今、伊藤先生が触れられましたリスク・ベネフィットという点について、倫理面からの指摘があればということでしたので、一言だけです。私の個人的な考えは、科学的でなければ倫理的であり得ないということでして、この研究が十分にそれに値いするものであることが確認できればと。そのため、説明同意文書では、まだ全世界でやられていないのでよく分からないけれども、としか書けないのだろうと考えました。
 別に綴じてあるほうの3ページ目で、この新しい治療法の説明が書いてあるのですが、結局としてはよく分からないとしか書いてございません。骨髄液の採取については、9ページの予想される有害事象で書いてあって、多分これ以上の患者さんへの説明はできないだろう。あとは、この会議や倫理審査委員会で、この研究のデザインがリスク・ベネフィットのバランスで、許容できるものかという、パターナリスティックなという言葉はもしかすると最近受けが悪いのかもしれませんが、ある意味でパターナリスティックな判断をするしかないのだろうと思いまして、倫理面からの判断は「適」としました。以上です。
○猿田座長
 先ほど柴田先生からお話ありましたように、本日、高橋政代技術委員と高橋信一技術委員から出席できないということでコメントをいただいていて、大体この50ページに書いてあるようなコメントです。
 高橋政代先生のほうは、投与した単核球のうち末梢静脈投与でどの程度の細胞が肝臓に生着しているか不明であり、適量が病変部に到達しているか心もとないです。さらに、大量の細胞が有効である場合もあり、今後もっと投与細胞量を増やすことも必要かと思われます。また、投与ルートについても侵襲は大きいが、肝動脈投与のほうが確実で、有効性も高いという可能性はないかなどを検討していく必要があると考えますということです。
 それから高橋信一先生、消化器の先生ですが、一番問題になりますのは、やはり主要評価項目とされている、このChild-Pugh B以上のこの判定法です。これは、実はこの医療法に関しては以前に先進医療のほうに出てまいりまして、先進医療のほうでやはり随分議論いたしました。そのときには、この主要評価項目となっている項目でいいだろうかと。実際に肝硬変がある患者さんの場合に、ちょっとしたことでアルブミンとか、あるいはほかのデータも変わるのではないだろうかというようなことがあったことと、先ほど伊藤先生から御指摘がありましたように、肝硬変患者さんで、本当に骨髄液をこれだけたくさん採ることが大丈夫だろうかということもございました。
 それから、安全性の問題も議論させていただいたのですが、確かにそのときはまだいろいろな不備なところもあったということで、先を考えたらやはりもう1回、昔の状態では高度先進医療の、今のこの会議ですね、回していただいて、しっかりプロトコールそのほかを検討していただいて、それでやるのがいいだろうということで、こちらにもう1回検討し直しということで出させていただいたということです。
 先ほど、伊藤先生がおっしゃったように、あのHepatologyの論文は中国から出ていまして、確かに読みにくいところがある。効果的なことは書いてありますが、そのほか今までの全部の論文は、私は大体当たりましたけれども、国際的にはこの評価方式がなかなかないということです。1つこの評価法が認められるのは、結局肝硬変がかなり進んだ状態の患者さんを対象にしている。この評価点で7以上ということは、かなり病状が悪くて、もうこれ以上治す方法がないような状況ですと、一般的な療法だけでは患者さんの状態がどんどん悪くなっていくということで、ポッと自然に改善するというのは比較的少ない状態である。
 もう1つは、1点、2点、3点でこれ分けてありますが、1点以上の改善ということを評価などもしますと、ある程度の意義はあるということであって、いろいろな国際的なことでのいくつかのペーパーでは、やはりこの方法は一応使われている。ただ、出てきたプロトコールを見ると、副次評価項目で、各ほかの項目も出しているということで、もう1回その辺りをどう本当にうまくまとめて評価するかが、重要なポイントではないか。
 もう1つは、本来であれば、動物実験がやられていますが、本当は肝臓の組織的な変化がどうなるかということは重要な点です。本当に成果がどのくらいよくされているのだろうかといった点もあるのですが、そこまで見るのはなかなか大変かなということがございます。
 高橋信一先生のほうは臨床経験から、患者さんの診療経過中において、このChild-Pugh Score法ですね、1点程度は容易に変動するのではないかと言うのですが、かなり肝硬変が進んで、もうこれ以上治療がないという患者さんの状態ですと、必ずしもそんなに動揺するものではないことは確かでございますので、その辺りのところも勘案して議論していただきたいというのが、私の考えです。
 全体的に、柴田先生、もう1回まとめていただいて、それから議論を最終的にしていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○柴田構成員
 今、猿田先生からもまとめていただきましたように、この技術そのものに関する、まだ開発途上であることは間違いないことですので、そこのところがきちんと明らかになった上でやられること。なおかつ、臨床試験の方法論といたしましては高橋信一先生の御指摘のように、確かにその出てきた差というのが十分に大きいか否かというのは、将来的にこのものが仮にポジティブになったときに、臨床現場で使われるようになるまでにまた改めてディスカッションになると思います。非常に大きな効果があるのか、マージナルな効果しかないのかというのがあると思います。
 治療法の開発は、医薬品で喩えますと、フェーズ1、フェーズ2、フェーズ3とステップを踏まれていくものであることも考えますと、現時点でこの計画で臨床試験を実施すること自体は、さほど変ではないと思います。そこそこの差があるかないかというのを確認しつつ、また、例えば高橋政代先生から御指摘があったような点についても、もうちょっと科学的に追及すべきところがあるのではないかということを考え合わせながら、少しずつ前進していきながら、日常診療に導入されるまでの道を歩まれることになると思います。
 また、伊藤先生からも御指摘がありました点ではございますが、リスクであるとか負担であるとか、現時点での不確実さがきちんと押さえられた上であれば、臨床試験の方法論としてはアクセプタブルなのではないかなと考えております。ですので、そこの臨床的な評価についてもう少し、ディスカッション、御意見のある先生がいらっしゃったらお伺い等したいところですが、担当者としては以上のように考えています。
○猿田座長
 今、全体的な皆様方の意見を入れて、どうぞ活発な御意見をいただければと思います。
○関原構成員
 私も、この患者の同意説明書というのを読みました。先ほど佐藤先生が御指摘の、新しい治療法の説明が、現時点で25例以上の患者さんに実際に実施しておりますと。しかも、これは当院を中心にやっている、とちゃんと書いてあるわけですね。その効果は、何か肝機能の改善傾向が認められていますということなのだけれども、25例以上というのは、えらい漠とした話で。28例なら28と数字を書いて、そのうち何パーセントがこうでしたとしないと、よその症例なのか。自分のところを中心にやっていますということを言うのであれば、患者から見て、これは非常に分かりにくい。
 それから我々は分かっているわけですが、同意書の最後のところに、この坂井田先生のところが名前だけしか書いてないのですね。これはやはり同意書だから、何者なのだというのが分からないので、ここは山口大学の教授なので、それはやはり書いてもらったらいいと思います。取りあえず以上です。
○猿田座長
 今、御指摘いただいたことは大変重要なことです。実際にここの施設では平成15年からずっとこれをやっていまして、もう8年か9年ということで、こつこつ症例をためてこられたということですから、今の関原構成員がおっしゃったとおりの数はしっかり出せると思います。
○関原構成員
 改善傾向が認められるのだったら、もうちょっと。
○猿田座長
 ありがとうございました。どうぞ山本構成員。
○山本構成員
 山本です。肝硬変について余り知識はございませんが、ランダム化されてはいるけれどもブラインドできない試験で、なおかつ、評価の一部に主観的評価が入るということですよね。普通であれば、通常その回避するための方策としては評価者をブラインドすることが取られると思いますが、ちょっとそういうことについての記載がないのです。評価者をブラインドすることが非常に難しいのであれば、それはそういう理由でもってせざるを得ないと思います。ただ、一般的な腹水と肝性脳症の状況の判断だけでしたら、ブラインドの評価者を立ててすることは可能なのではないかと思います。何らかのそういう方策を付けて、評価のほうを中立的な評価であることを、デザイン上担保する方法をとられてはどうかと思いました。
○猿田座長
 貴重な御意見をありがとうございました。
○直江構成員
 これは細胞療法ということですが、パラパラと読ませていただいて、あれっと思ったのは、骨髄輸血を400cc採ると。それから単球を分離して、末梢血からということで、細胞数が規定されていないのです。肝硬変の方は非常にバラエティがございまして、少ないハイポになる方からノルゴンの方からいらっしゃるということなので。まず、どういう細胞の分画をどのくらい末梢血に入れることが、先ほど話がありましたように、肝臓に生着してその自己再生を促すのかという、その根拠がはっきりしないなと。ですから、これを探索的にやるというレベルよりも、このステージにもう来ていますので、データがあるのかもしれません。
 例えば、私は血液の領域ですが、骨髄移植をやるときには大体1掛ける10の10乗となっているのです。CD34、例えばステムセルですとどのくらい要るかはもう分かっておりますが、この再生の場合に、果たしてどういう細胞の分画がどのくらい入ると、その後自己再生を促すのかというところが抜けているのではないかというのが、ちょっと懸念されます。
○猿田座長
 高橋政代先生も、そこのところをお書きになっています。多分、問合せてデータがあると思いますが、そこのところは重要なポイントで、ありがとうございました。ほかにございませんでしょうか。やはり骨髄細胞をこれだけ採るということと、その内容的なことは非常に重要なことかと思います。
 それから、もう1つ伺いたいのは、この評価方法ですね。ほかに何か良い方法があるかどうかなのですが。割と国際的な方法というのは臨床症状ですね。例えば、脳症状と浮腫の状態、それからあとビリルビンとアルブミンと、それからプロトロビンタイムと、まあまあバランスを取って評価をしているのですね。あと副次評価では細かなデータをやっていますが、ほかに何か良い方法があれば、そういったことも。お渡しするときにそういったところをもしあればということで。私も、随分肝硬変の浮腫をとる、病態で随分昔やったのですが、なかなか難しいのですね、肝硬変は。そういったことで、何か良い方法があればということです。もし、あればその辺りの御指摘をいただければと思うのです。
 もちろん、そのほかのことでも何か御意見ございましたら、いただければと。一応、柴田先生からは、総括的にもう1回条件付きで、先ほど伊藤先生も御指摘いただきました。それから高橋信一先生も御指摘いただいた。今、直江先生、山本先生から御指摘いただいたことを戻させていただいて、それで御回答いただくということで、よろしいでしょうかね。柴田先生、何かその辺りで意見がございますか。
○柴田構成員
 御指摘いただいた点を踏まえて、申請者の先生方の御見解を伺いたいと思いますので、その上で、最終的な判断ということで、よろしいでしょうか。
○猿田座長
 ありがとうございました。では、そういうことでよろしいでしょうか。ヒト幹のほうは、もうこれ通ってちゃんとやってきているものでございますので。
○直江構成員
 先ほど、肝硬変の方で出血傾向のある方とか、除外基準をもう一度だけ見直していただければと思います。
○猿田座長
 最初、先進に出たときというのは、やはり安全性の問題が随分議論されたのですが、今までこの施設ではそういった、余り事故がないということであったものですから。ありがとうございました。その点も是非とも、非常に重要な点でございますので、御指摘させていただきます。
 それでは、よろしければこういう形で、今、柴田先生がまとめていただいたように、「条件付き」という形で「適」ということで、1回戻させていただくということで。では、そういう形で、どうもありがとうございました。
 続きまして、次に移りたいと思います。次は、番号の002です。事務局からお願いできますか。
○医政局研究開発振興課専門官
 47ページを再び御覧いただき、整理番号002、新規の申請技術の評価として、「早期乳がんに対するラジオ波熱焼灼療法」です。適応症は、「早期乳がん」が対象になっています。申請医療機関は、独立行政法人国立がん研究センター中央病院です。審査担当構成員として、主担当が竹内構成員、副担当として山口構成員、田島構成員となっています。
○猿田座長
 002に関して、主担当の竹内先生から総括的にお願いします。
○竹内構成員
 002を担当している竹内です。申請書は、国立がん研究センター中央病院です。実施体制は山口先生、また倫理的観点からは田島先生に評価をしていただいています。申請者との間に相当やり取りがあり、山口先生又は田島先生のほうで評価をしていただき、全て「適」ということで御納得をしていただいています。実施計画書は私が担当させていただき、プロトコールも全て「適」でした。山口先生、もし、できましたら、詳細については、実施体制のところで何かコメント等がありましたら、お伺いできますか。
○猿田座長
 山口先生、お願いできますか。
○山口座長代理
 結論として「適」としましたが、80ページから主なやり取りがいくつか記載されていますが、これは本来かなり技術を要するものだと思います。申請者は一応これが乳腺のときの針生検と同じと書いていますが、私は同じだとは思いません。くまなく焼くということで、その一部を採取する技術の差は大きいのです。81ページを見てみますと、実際に10%ぐらいで不完全焼灼があるわけで、これは要注意と思います。そのあとのやり取りは、結局、術者の要件とか、指導する人の要件とか、そういうことについてお尋ねして、一応お答えをいただきましたので、一応「適」としました。
 もう1つの問題は、欧米で行われている研究はほとんどが10年以上前のものが多くて、そのあとは余り行われてなくて、欧米では実際には認められてない形跡があるので、これは何か理由があるのかをお尋ねしました。つまり、余り有効性がないのではないか、あるいは危ないのではないかを伺ってみたら、欧米では適応になる症例が少ないので、日本ほど細かい診断をしてないからだというお答えをいただいたので、一応納得しました。
 乳腺の経験者は、これは皆さん、確かに10年選手がたくさん並んでいますが、術者はほとんどRFAはやったことのない方が多いと思うのです。RFAを簡単な技術と誤解すると大変なことになるので、是非その辺りの技術指導をきっちりしていただいて、安全にやっていただければ「適」ということで納得しました。
○猿田座長
 田島先生からコメントをよろしくお願いします。
○田島構成員
 同意説明文書についてチェックしたところ、当初、不明瞭な点、分かりにくい点がいくつかありましたので質疑応答をし、その結果、所要の修正がなされて問題点は解消しています。
 質疑応答の内容については、85ページに資料があります。一般の患者に理解できるように、専門用語の説明を付加していただきました。説明文書中にある試験結果、研究結果等の数値について、根拠がよく分からない点がありましたので、質問したところ、データが新しいものに訂正されていなかった点もありましたので、それは説明文書に最新のもので全部記載をしていただくようにしました。副作用について、全てが網羅されていなかったところの不足分を追加していただいています。これについて補償はありませんが、がん治療ということでやむを得ないと考えています。それで、全体として「適」という評価にしました。
○猿田座長
 竹内先生、もう1回よろしくお願いします。
○竹内構成員
 体制又は倫理的観点、プロトコールの評価で全て「適」となっていますので、総合評価としては「適」としました。ただし、本研究は、観察期間が、一応主要評価項目は5年の温存乳房内再発割合ということで、5年間の長期になる主要評価項目です。それまでに327例は、既に登録されています。先ほど山口先生が御指摘されたように、症例数設定のときにも海外の大規模臨床試験から算出しているので、一応開始してしていただいて構わないと思うのですが、海外の大規模臨床試験の対象患者と現在これから実施しようとしている対象患者が違ってきているので、有害事象等の発生又は推定してきたイベント発生率をしっかりと精査していただきながら臨床研究を進めていきたいとは思っています。それで、コメント欄としては、一応要望として書きました。
○猿田座長
 山口先生、何かいいですか。
○山口座長代理
 結構です。
○猿田座長
 委員の先生方からどなたか包括的に御質問はありますか。担当した先生方、実際に申請者からのやり取りを拝見しましたが、きちんと対応されていると私も思いました。今、最後に竹内先生がおっしゃったことは、もう1回しっかりしていただくことかと思うのですが、どなたか御質問はありますか、よろしいですか。
○関原構成員
 私はこれを是非もっと大々的にやって、臨床研究の比較でエビデンスを積み上げて、どちらの治療法が有効かを早くやってもらいたいと思っています。というのは、私は実は肝転移で2回切除、切ったわけです。これは外科にかかったら手術だと言うのです。内科にかかるとこれはラジオ波ですと。私はこれが実は一番困るわけです。だから、これは乳腺外科の先生で外科の先生なので、切ったほうがいいか、ラジオ波がいいかというのは、それはどこかの時点でエビデンスが出てくると思うのです。これは患者にとっては非常に大きな問題なので。これを見る限りは、少なくとも300いくつの例で見れば、ラジオ波のほうが有効率が高いわけです、5年で。乳がんですから、もっと10年とか見なくてはいけないのですが。だから、これが分かれば、乳がんの治療が相当変わるのではないかという気がしますので、これは是非とも積極的にやってほしいと思います。
○猿田座長
 ほかに御意見あるいはコメントはありますか。
○山中構成員
 国立がん研究センター東病院の山中です。プロセスについての照会ですが、10ページに7-2「予定の試験期間及び症例数」を御覧になってください。ここで「登録終了後1年の時点でデータを集積し先進医療報告書を作成する」とあるのですが、先進医療報告書について御説明いただけますか。
○猿田座長
 厚い資料の10ページに出ているものです。
○山中構成員
 厚い資料の10ページの7-2に「登録終了後1年の時点で先進医療報告書を作成する」とあるのですが、これが何をさしているか確認させてもらえますか。
○医政局研究開発振興課専門官
 3局長通知にもありますが、定期報告を行うということだと思います。
○山中構成員
 そのことを指しておられるのですね。
○医政局研究開発振興課専門官
 はい、そういうことだと理解しています。
○山中構成員
 分かりました。
○猿田座長
 ほかにありますか。もしなければ、先ほど竹内先生がおっしゃった、ここのところだけのコメントと、関原構成員からお話のあったことを、できるだけ早く進めていただきたいということです。これは「適」という形で処理をしたいと思います。どうもありがとうございました。
 003について、これも事務局から御説明をよろしくお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官
 再び47ページを御覧ください。新規申請技術の評価結果として、整理番号003、「食道癌根治的治療後の難治性良性狭窄に対する生分解性ステント留置術」です。適応症は「食道癌根治的治療後の難治性良性狭窄」が対象となっています。申請医療機関は、独立行政法人国立がん研究センター東病院です。審査担当構成員として、主担当が大門構成員、副担当として山本構成員、田島構成員、北川技術委員となっています。
○猿田座長
 主担当の大門先生、よろしくお願いします。
○大門構成員
 主担当の大門でございます。申請技術の名称は、専門官の方から御説明がありましたように「食道癌根治的治療後の難治性良性狭窄に対する生分解性ステント留置術」ということで、その効果を見込めるか否か、の探索的な臨床試験が計画されています。この度御評価いただいた先生方は、実施体制面に関しては山本先生、同じく実施体制面と申請技術の有用性の面に関しては北川先生、倫理面に関しては田島先生になります。試験実施計画書等の面に関しては私が担当しております。結果としましては、いずれの先生からも「適」という評価をいただいておりますが、各先生方からコメントをいただき、最後に私から留意したい点等、総評を述べたいと思います。
○猿田座長
 早速ですが、山本先生からよろしくお願いします。
○山本構成員
 「実施体制の評価」をしました。責任医師等の体制、実施医療機関の体制、医療技術の有用性等、大まかに見て特に問題はありませんでした。医療機器の試験ですが、プロトコールに実施責任医師の要件がありませんでしたので、技術的な要件は医療機器の場合はプロトコール内に記載は必須だと思いましたので、そちらの整備をお願いしました。その指摘により記載をしていただいたので、特に問題はないと思っています。
○猿田座長
 また、田島構成員からよろしくお願いします。
○田島構成員
 同意説明文書については、当初、不明瞭な点、疑問点などがありましたので、質疑応答を経て所要の修正をしていただきました。その結果、問題点が解消されたので「適」としています。
 質疑応答の内容は、資料の104、105ページに記載があります。主な点は、副作用について一部記載漏れがありましたので、全て網羅的に追記していただきました。この臨床試験に用いられる医療機器の費用は、医療機器の製造販売会社が無償提供するということで、最初は記載がありませんでしたが、その金額をおよそ780ユーロ(およそ8万円)と追記していただきました。この臨床試験については、臨床研究に対する賠償責任保険に加入されており、その補償の内容についての資料が添付されていましたが、そこの説明の内容に5つの疑問点がありましたので、それを誤解のないように訂正していただいています。また、ここでの補償内容については、適切と判断しています。
○猿田座長
 技術に関して、北川先生から御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○北川技術委員
 この技術は、難治性良性食道狭窄に対する生体内で分解できるステントの留置と、臨床の現場からすると比較的魅力的な技術です。一方、本試験の欧米の先行研究でも、食道ステントの宿命ですが、重度の疼痛、違和感が一定頻度報告されています。これは私どもの経験でも、特に高位、食道入口部に近い、のどに近い食道に留置すると重篤であるという経験を持っており、本試験の適応は入口部から2センチメートルという規定で、こういった有害事象が出る可能性はかなり高いのではないかという御指摘をし、これは改善していただいています。また、ステント挿入技術にも一定の習熟を要するので、当該技術の実施症例数が医療機関として5例は少な過ぎるのではないかということで、20例に是正していただいています。
 また、食道癌根治術後、根的治療後といっても、実はこれは内容がかなり異なり、手術後再建した胃管と食道の吻合部狭窄、内視鏡的治療、いわゆるEMR、ESD後の狭窄、化学放射線療法後の狭窄と3つあります。特に、前2者と最後の化学放射線療法後は、かなり組織学的にも生物学的にも狭窄の質が違うので、これを一緒にして検討することはいかがかという御指摘をしました。本試験では、こういった種々の病態全てに関する有用性、安全性をまず確認して、その次に、恐らく施行する可能性のあるランダム化比較試験、多施設協同試験の中での層別化ということで、もう少し背景因子別の有用性も出てくるのではないかというコメントをいただき、本試験の目的としては一定の合理性があるのではないかということで、総合的に「適」としました。
○猿田座長
 3人の方にコメントをいただきました。大門先生からもう1回総括的に、そのあと議論します。
○大門構成員
 はじめに実施計画書等に関してですが、私から申請者へいくつか確認・指摘をさせていただきました。そのやりとりの内容は93ページから102ページに示されているとおりです。主な点といたしましては、この試験の主要評価項目は、3か月のdysphagia scoreですが、その信頼性を担保するための評価手順が記述されていませんでしたので、その点を指摘させていただきました。この点について申請者から、回答が得られ、実施計画書の修正がなされています。
 その他、症例数設計において、閾値及び期待値が少々古いデータで設定されていたので、その点も改善していただきました。また、北川先生の御指摘にもありましたように、狭窄原因とともに、拡張処置が主要評価項目の成績に影響を及ぼすのではないかということで、その対応策を検討していただき、実施計画書へ反映していただきました。この結果、実施計画書等に関しては、適切に改善がなされ「適」と判断いたしました。
 総括といたしましては、評価表の全ての評価項目において「適」とされていますので、総合評価も「適」としております。ただし、留意したい点としては、北川先生も御指摘いただいたように、狭窄原因によって治療成績が異なる可能性があるかもしれない点、ひいては、例えば今回の症例集積の結果、狭窄原因の例数に偏りが出た場合には、その試験結果の解釈には注意を要するであろうという点が考えられました。
 しかしながら、これらは本試験の主たる目的ではなく、この留意点が本試験実施に問題を惹き起こすほどのものではないと判断しております。それ故、先進医療評価内で本試験が実施されること自体は「適」と判断いたしました。
○猿田座長
 今、御説明がありましたように、症例数20例にして最終的にはこの形で「適」でいいのではないかということですが、委員の先生方から御意見をいただければと思いますが、どなたかありますか。
○関原構成員
 私ばかりですみません。
○猿田座長
 いや、いつも大切な意見をありがとうございます。
○関原構成員
 同意書の中でいくつかあります。同意書の3ページに「2005年から2007年にEBDを受けた方」と出ているのですが、これは「東病院の調査によると」と書いてあるのです。これは東病院でやった実績報告なのか、東病院の調査はいったい何なのかが分からなかったわけです。「110名中67名いらっしゃいました」というのは、いかにも自分でやった感じで、では調査ではなくて自分たちの実績はこうですという話になるかどうかを確認したかったのです。
 4ページにあるものは、既にヨーロッパでは5年前に保険にも収載されているわけです。ところがここの説明は、「開発状況」のところに「欧州ではすでに一般診療として使用されています」と書いてあるのだけれども、「欧州で行われた臨床試験では」ということで、21名の話が書いてあるのです。一般使用で5年も使っているのであれば、むしろそこの一般使用でどうだったかを書かないと、余りロジカルではないかというのが2つ目です。
 6ページにある「検査内容と検査スケジュール」という中で○が付いて、内視鏡検査は、毎回毎回、内視鏡検査を受けることだと理解しているのですが、そういう話かどうか。これは結構大変だと、診察は別にいいのだけれども。この意味は、本当にそういうことなのかどうか。
 7ページに、「臨床試験の参加に伴って期待される利益」で「参加することによる、あなた自身にとっての直接的な利益はありません」と書いてあるのです。いや、これは利益があるのです。要するに、利益がない場合もありますという話なわけです。「直接利益はありません」ということでは、要するに、効果の得られる可能性がありますが、そうでない可能性もありますということは、あなたは、これは直接的なメリットは得られないかも分かりませんということであって、直接利益がないというのは、記述は間違いだと私は思うのです。
○猿田座長
 今いくつか御指摘いただきましたが、これは何かありますか。
○大門構成員
 1点目については、実績報告になると思います。ただ、この同意説明文書を見る限りは、確かに不明瞭であると思いますので、申請者に修正していただいた方がよさそうです。そのほか、欧州のデータに関しては、構成員らの事前の確認・指摘により実施計画書等の書類へ相応に反映されているのですが、同意説明文書には確かに反映されていないと思います。
○猿田座長
 文章の書き方が少しよくないということですね。
○大門構成員
 修正していただいた方がよさそうです。
○猿田座長
 北川先生、毎回検査というのは、毎回やるわけですか。
○北川技術委員
 毎回やるのです。この表の見方からいくと、そういうことになりますね。患者からすると、多少抵抗があります。
○関原構成員
 ほかのものは、MRIはいいのだけれども、そこは結構大変だ。何か4、5日ごとに内視鏡をやるというのは。それが事実か、それならそれで結構です。私はそこが分からなかったので。
○猿田座長
 ほかにどなたか御意見はありますか。今のところは、訂正ではしっかり直していただきたいと思います。
○一色構成員
 循環器領域では、冠動脈への生体吸収型のステントの治験が進行中で、このデバイスはそれをすごく大きくしたものとして、親近感を感じます。患者への説明文書ですが、13ページの下のところで、生体分解性ステントと体内で自然に溶けるという表現があり、その次のページにかけて「3か月で自然溶解します」と書いてあるのですが、この言葉の使い分けが理解し難くなっています。循環器領域では「溶解」という言葉は用いず、あくまで「生体吸収」という言葉のみが使われていると思います。「溶解」すなわち物が溶けていくというのは、このデバイスのメカニズムとは違うように思いますので、適切な表現に替えていただくのがよろしいのではないでしょうか。
○猿田座長
 そのような形にします。ほかにありませんか。先ほど大門先生がおっしゃったように、御指摘いただいたところを直していただく形で、大門先生、一応これは「適」という形でよろしいですか。
○大門構成員
 はい。
○猿田座長
 委員の先生方、よろしければ、先ほど、特に関原構成員からお話のありました患者への説明のところ、そのほか直していただいた、それから今、一色先生の御指摘いただいたところも直していただくということで、全体としてはこの委員会としては「適」としたいと思います。
 今日の審査する3つはこれだけです。続いて、試験実施期間の延長について、事務局から御説明できますか。
○医政局研究開発振興課専門官
 資料4を御覧ください。通しページで111ページになります。試験実施期間の延長として、大臣告示番号030、先進医療名は「重症低血糖発作を伴うインスリン依存性糖尿病に対する心停止ドナーからの膵島移植」です。適応症は、重症停血糖発作を伴う「インスリン依存状態糖尿病」が対象となっています。
 次のページを御覧ください。申請医療機関は、福島県立医科大学です。実施期間の延長を希望する理由として、中段より下「平成24年6月1日よりドナーが発生次第、臨床膵島移植が実施できることとなりました。しかし、その後、10例のドナー情報のうち膵臓提供から膵島分離に至った症例が2例あるものの、その2例は移植基準を満たさず、現時点まで膵島移植に至った症例はありません」とのことです。「試験期間の延長により20例の症例実施をしたいと考えており」、113ページの最後になりますが「2年間の試験期間の延長を希望いたします」となっています。
○猿田座長
 今、御説明がありましたように、対象患者がなかなか集まらないと。これは大分前からやっていただいているのですが、症例がなかなか集まらないと。少し患者を集めるためには、脳死の状態も入れようということですが、いろいろお話を伺うと、一番問題なのは、本当にフレッシュな移植可能な患者が出たときに、移植に行ってしまうのです。どうも細胞療法へなかなか行きにくいということがあって、どうしても進んでいない。
 今、各施設が協力でやっていただいているので、ここに書いてある施設でできるだけ早くやっていただきたいということです。果たして2年間でどれだけ進むか分かりませんが、一応2年間の延長を認めてはということです。非常に画期的な技術ですが、なかなか大変な治療法でもあるということです。伊藤先生、何かありますか。いいですか。山口先生、何かありますか。いいですか。大丈夫ですか。いいですか。もし特に御意見がなければ、2年間もう1回延長してやっていただくと。少しでも早く症例をこなしていただきたいということかと思います。
 次に移ります。次は資料5になります。協力機関の追加について、事務局からお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官
 資料5、115ページを御覧ください。協力機関の追加について、リストアップしています。読み上げます。協力機関の追加について、まず、大臣告示番号015、先進医療名は「ラジオ波焼灼システムを用いた腹腔補助下肝切除術」です。申請医療機関は、岩手医科大学附属病院です。今回、追加を予定している医療機関は御覧の2病院となっています。
 大臣告示番号020、先進医療名は「パクリタキセル静脈内投与(1週間に1回投与するものに限る)及びカルボプラチン腹腔内投与(3週間に1回投与するものに限る)の併用療法」です。申請医療機関は、埼玉医科大学国際医療センターです。今回、追加を予定している医療機関は御覧の7病院となっています。
 大臣告示番号021、先進医療名は「パクリタキセル静脈内投与、カルボプラチン静脈内投与及びベバシズマブ静脈内投与の併用療法(これらを3週間に1回投与するものに限る)並びにベバシズマブ静脈内投与(3週間に1回投与するものに限る)による維持療法」です。申請医療機関は、埼玉医科大学国際医療センターです。今回、追加を予定している医療機関は、御覧の1病院となっています。
 大臣告示番号026、先進医療名は「経胎盤的抗不整脈薬投与療法」です。申請医療機関は、国立循環器病研究センターです。今回、追加を予定している医療機関は御覧の1病院となっています。
 大臣告示番号032、先進医療名は「神経症状を呈する脳放射線壊死に対する核医学診断及びベバシズマブ静脈内投与療法」です。申請医療機関は、大阪医科大学附属病院です。今回、追加を予定している医療機関は御覧の1病院となっています。
 大臣告示番号033、先進医療名は「術後のホルモン療法及びS-1内服投与の併用療法」です。申請医療機関は、京都大学医学部附属病院です。今回、追加を予定している医療機関は御覧の23病院となっています。
 大臣告示番号039、先進医療名は「ペメトレキセド静脈内投与及びシスプラチン静脈内投与の併用療法」です。申請医療機関は、静岡県立静岡がんセンターです。今回、追加を予定している医療機関は御覧の1病院となっています。
 あらかじめ事務局において倫理審査委員会の構成、医療機関の実施体制を事前に確認しています。特に御意見がなければ、追加の手続きを進めたいと思っています。
○猿田座長
 どうしても症例を集めなければいけないということで、できるだけ協力していただける機関にはこのような形で協力していただくと。ただし、やはり先進的な医療ですので、一番怖いのが事故です。そういったことで、事務局で各施設に関してはきちんと調べていただき、大丈夫だろうという形で、こういった形でお認めいただければということですが、どなたか御意見はありますか。もし特に御意見がなければ、これでお認めいただくということでよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、そういう形にします。その次、資料6、先進医療専門家会議の審査結果について、これも事務局から御説明をよろしくお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官
 資料6を御覧ください。117ページになります。先進医療会議の審査結果報告ということで、整理番号043、「コレステロール塞栓症に対する血液浄化療法」、及び整理番号045、131ページになりますが、「慢性心不全に対する和温療法」の技術を9月に先進医療専門家会議に提出し、保険との併用の観点から「適」として了承されています。また、中医協にもその旨が報告されています。
○猿田座長
 どなたか御質問はありますか。特になければお認めいただいたということでよろしいですか。
 どうもありがとうございました。事務局から何かありますか。
○医政局研究開発振興課専門官
 事務局から、先進医療技術審査部会の定期開催について提案したいと存じます。先進医療会議及び先進医療技術審査部会を定期開催することが、先生方のスケジュール管理、スムーズな審査の実施等に資するものと考えています。先進医療技術審査部会については、毎月第4週のいずれかの曜日に開催したいと考えています。しかしながら、先生方におかれましては、院内会議、外来診療等、定期的な行事も多いことと存じます。そこで、近日中に構成員の先生方の毎月第4週のスケジュールを調査させていただければと考えています。できる限り全ての構成員の先生が出席できる曜日、時間帯に、定期的に開催できるように調整したいと思います。いかがでしょうか。
○猿田座長
 実はこの会議は非常に重要で、最先端医療のことを議論するものですから、どうしてもできるだけ多くの先生方においでいただきたい。しかしながら、委員の先生方は非常に忙しいのはよく分かっていますので、事務局といろいろ相談し、日を決めてしまうと出られない先生がいますから、事務局としては、とりあえず第4週で一番都合のいいところを大体、例えば木曜日とか、あるいは月曜日とか、そういった日で決めていこうということで今、議論しているところです。
 ともかく先生方がお忙しいのはよく分かっているので、都合がつくように、先生方が一番出席しやすいように、今日はちょうど全員が出てくれていますので、お分かりいただいて、非常に重要なことなので、そういう方向でやってみてはということを考えています。もう1つでやっている先進医療会議は、先生方が半分ぐらいしか出ていただけないことがあったりするものですから、そういったことで今の形でいろいろ検討します。それで、ともかく一番先生方が出やすいように、そしてこの会議が効率的に進められるようにと考えてやっていきたいと思います。委員の先生方からどなたか御意見はありますか。本当にお忙しいところですが。
 今やってみて非常に分かったことは、技術委員の方がたくさん入っていただいているのですが、やはり技術委員の方も忙しいと。それから、関連技術がどうしても利益相反に引っかかってしまうのです。これに関してもう少しいろいろな形で検討してみなくてはいけないと思っています。動き出して今日は2回目ですので、そういったこともいろいろ考えてやっていかなくてはいけないと考えています。一応そういう形で進めますが、御了承いただきたいと思います。
 最後、今日はせっかく皆さん方全てがおいでいただいていますから、先生方から何か注文なり御意見があれば、是非。山口先生、何かありませんか。
○山口座長代理
 資料を読むのが大変、それだけです。
○猿田座長
 そうなのですね。バッと帰ると、こんなに積んであって、一日で読めといってもこれは大変です。どうか体に気をつけて読んでください。私も本当に目を悪くして。ほかに何か御意見はありますか。ただ、私は非常に重要なことと思いますので、できるだけ早く進めようというのがこの会議ですので、できるだけ要領よく、しかもできるだけ早く進める形でやっていきたいと思っています。
○一色構成員
 スケジューリングに関してですが、できましたら年間のスケジュールを決めていただけると、非常に調整しやすいので、そういう形を採っていただけると大変ありがたいと思います。
○猿田座長
 先生の貴重な御意見として承って。皆さん方の御意見も聞いて、一番進めやすい形にしたいと思いますが、今、大切な御意見をいただきました。せっかくですから、ほかにありますか。
○直江構成員
 資料が何か、今PMDAでもエレクトリックで申請をして、審査もそれでまいりますよね。
○猿田座長
 方向になっていますね。
○直江構成員
 これを見ると、相当な量の紙ではないかと。紙の資源ももったいないなとは心配しているのですが、いかがでしょうか。
○猿田座長
 これは将来の方向として考えていくことだと思うのです。先生が今おっしゃったように、申請の形が今だんだんとこういった形で紙をなくそうという形になっていますが。
○医政局研究開発振興課専門官
 事務局からですが、御指摘のとおりで、やはり資源の有効活用という点で、電子化への試みを始めたところです。電子化の一番の問題点は、たくさん資料があると、発表者が何ページを開けてくださいと言ったときに閲覧者が迅速にそのページにジャンプできない場合があり、発表者が示したい資料に皆が付いていけないという懸念があります。発表者とみんなの電子ファイルが同期するなどの機能がそなわればよいと思います。一方、その機能が備わっていない場合はみなさんの慣れも必要でありますので、その辺りがきっちりできる体制をとってから皆さんに御案内したいと考えています。
○猿田座長
 進行中ということですね。ほかに御意見は出ますか。もしほかになければ、あと事務局から何かお伝えしたいことはないですか。
○医政局研究開発振興課専門官
 次回の日程ですが、現在、調整中です。詳細等が決定したら追って御連絡申し上げます。また、本日の議事録については、作成次第、先生方の御確認をお願いし、その後公開しますので、よろしくお願いしたいと思います。
○猿田座長
 最後、ありますか。課長さんから何かありますか。
○医政局研究開発振興課長
 先生方にはいつも資料の審査をお忙しい中でやっていただきまして、本当にありがとうございました。来年も引き続きどうぞよろしくお願いします。
○猿田座長
 第2回の委員会を終わりたいと思います。先生方、1年間本当に御苦労さまでした。来年もどうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。


(了)

照会先
厚生労働省医政局研究開発振興課
TEL 03-5253-1111
先進医療係 新美 内線2589

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