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2012年12月12日 第8回厚生労働統計の整備に関する検討会議事録

大臣官房統計情報部企画課統計企画調整室

○日時

平成24年12月12日(水)10:00~11:51


○場所

中央合同庁舎5号館 厚生労働省19階 専用第23会議室(1908)


○出席者

委員(五十音順、敬称略、◎:座長)

阿藤誠
今田幸子
大江和彦
柏女霊峰
玄田有史
西郷浩
齋藤英彦
土屋了介
永瀬伸子
◎廣松毅

事務局

伊澤統計情報部長
辻田企画課長
田邉統計企画調整室長
井嶋審査解析室長

○議題

1.「厚生労働省統計調査の省内事業仕分け報告書」の論点に基づく各統計調査の検討について
2.その他

○議事

○辻田企画課長 それでは、定刻になりましたので、これから第8回「厚生労働統計の整備に関する検討会」を開催させていただきたいと思います。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中を出席いただきまして、本当にありがとうございます。
 次に、本日の出席の状況ですけれども、阿部委員、石川委員、岩田委員、大沢委員及び津谷委員が御欠席ということでございます。
 また、本日出席いただいております玄田先生におかれましては、所用のため11時半までということになっております。
 それでは、以降の進行について、廣松先生、お願いいたします。

○廣松座長 皆様、年末のお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。
 議事を進めたいと思いますが、本日の議題は、お手元の議事次第にございますとおり、「『厚生労働省統計調査の省内事業仕分け報告書』の論点に基づく各統計調査の検討について」及び「その他」の2つでございます。
 それでは、早速最初の議題でございます「『厚生労働省統計調査の省内事業仕分け報告書』の論点に基づく各統計調査の検討について」、資料1及び資料2を準備していただいておりますので、それに基づいて事務局から説明をお願いいたします。

○田邉統計企画調整室長 おはようございます。統計企画調整室の田邉でございます。
 ただいま御案内いただきましたとおり、当整備検討会におきましては、厚生労働省の一般統計に関しまして、省内事業仕分け報告書に掲げられました幾つかの論点に沿いまして、御検討いただいているというところでございます。
 本日は「調査実施におけるPR」と「結果公表における広報について」「統計への容易なアクセスについて」といった論点につきまして御議論をいただきたいと思っております。
 御説明に入ります前に、資料のうち、お手元のドッチファイル、分厚いものがございますけれども、先ほど御案内しましたとおり、この11月1日現在で全てを更新いたしました。若干補足の御説明、御連絡をさせていただきたいと思います。
 ドッチファイルをお開けいただきますと、従来、厚生労働統計調査一覧ということで、各調査の概要等の情報を並べていたような形式でしたけれども、今回、各調査ごとに表裏1枚に調査の概要等をまとめて、それぞれの調査の頭につけるという形にしております。
 例といたしまして、1のインデックスがついております社会保障・人口問題基本調査(出生動向基本調査)を御覧いただきますと、資料の上段に調査の実施周期あるいは目的といったような基本情報、下段に直近5回分の公表期間及び回収率、ページをめくっていただきまして、裏面の上段に外部委託の状況、中段にe-Stat及び厚生労働省のホームページの過去3年分のアクセス数、下段に同じく過去3年分の二次利用件数をまとめさせていただきました。
 従来の資料を、これまでの検討テーマの中で議論いただく際に集約いたしました省内の一般統計調査個々の属性情報を、各調査ごとに確認できるように編さんし直したものでございます。
 本日、これから御説明申し上げる会議資料につきましては、全体として傾向を見る形で取りまとめておりますけれども、その前提といたしましては、御覧のような形で個々の統計調査の詳細情報を把握した上で整理をさせていただいているということを御承知置きいただきますとともに、今後の議論の際に参考として適宜御活用いただきますようよろしくお願いいたします。
 それでは、会議資料の説明をさせていただきます。
 お手元の資料1及び資料2をお開きいただきたいと思います。
 今回のテーマに関しまして、厚生労働省の一般統計調査92本を所管するそれぞれの担当部局に対しまして、最新の状況について改めて実態調査を行った結果でございます。
 まず、資料1の「調査実施におけるPRについて」でございます。
 この内容、表1を御覧いただきますと、当然のことながら調査のお願いや手引きを作成している調査につきましては91.3%に上るということでございますけれども、ポスターやパンフレット等につきましては、やはり予算の裏づけが必要となるということもございまして、9.8%と少なくなっております。
 また、事前のプレスリリースというのは、これからこういう調査をやりますので、御協力よろしくといったお知らせのようなものでございますが、これを記者会等のマスコミに情報提供するといった内容でございます。
 次に、「事業所・企業の本社への協力要請」といった項目につきましては、いずれも10%台の低い実施状況ということになっております。
 また、今年の4月以降開始されました政府統計の統一ロゴタイプの使用につきましても、これは年度途中でございますけれども、対象となる調査は全部で47調査ございますが、そのうちの40調査、85.1%で使用されていたということでございます。
 そのほかこれらの事項以外に行われていた調査実施の際のPRといたしましては、全国紙による広告、広報紙「厚生労働」あるいは「厚生労働統計通信」に調査の協力依頼を掲載したといった報告がございました。
 なお、これらの項目の実施割合につきましては、その項目に該当しない調査、例えばホームページに調査のお願いを掲載したり、あるいはプレスリリースといった項目につきましては、都道府県等の地方自治体を対象とした調査12本を除外しております。
 また、業界団体、事業所・企業の本社への協力要請といった項目からは、個人や世帯、または自治体を対象とする35調査を除外した数字を分母として算出しております。
 裏面を御覧いただきたいと思います。
 こちらの資料は結果公表における広報についてまとめたものでございます。こちらが結果の公表後の広報ということでございます。
 こちらの内容、表2でございますけれども、厚生労働省ホームページに調査結果を掲載しているものが全体の96.6%。
 政府統計の総合窓口(e-Stat)に統計表を掲載しているものが90.8%となっています。こちらの結果は、むしろ100%になっていないことが疑問ではないかというところもございますが、例えば医薬品価格調査とか保険医療材料等使用状況調査といったような調査は、行政内部での使用を目的といたしまして、実施当初から非公表扱いとなっているもので、5本ほどございます。
 原爆被爆者実態調査、歯科疾患実態調査といったような6年に一度あるいは10年に一度実施される調査は、e-Statが平成20年にスタートをいたしましたけれども、これ以前に調査が実施されているということで、e-Statへの掲載が見送られているケース、あるいは過去の統計表は掲載されているけれども、直近の結果の掲載が滞っている、遅れているといったような状況がございます。
 また、報告書の作成が82.8%という数字になっております。ここで言う報告書とは、例えばプレスリリースの際などに配付される概況ペーパーではなくて、統計表を全て編さんして、公表後、改めて冊子形式にしたものを発行するということを言っております。近年、公表の形態の主流がホームページ等のIT媒体に移行してきているということもございまして、ホームページあるいはe-Statに調査結果を掲載した場合や一般公開している検討会、こういったもので資料とか出版物などに調査結果を掲載した場合などは、その後、こういった報告書を改めて作成しないという状況もございます。予算的にも報告書の作成部数が毎回財政当局から見直しを求められ、削減対象となっている事実もございます。
 そのほか被調査者への御礼のはがきや次回調査の手引きに調査結果の掲載を行っている割合につきましては、いずれも低くなっているという結果でございました。
 なお、これらの事項以外には検討会や学会の場で概要を説明したり、あるいは電子メールで公表ページの案内を行ったという報告がございました。
 次に、資料2を御覧いただきたいと思います。
 こちらは統計への容易なアクセスに関連した資料でございます。
 まず、この課題を検討していく際には政府統計の総合窓口(e-Stat)がポイントの1つになるのではないかと考えております。e-Statは、そもそも平成18年に制定されました統計調査の最適化計画に基づきまして整備されたものでございます。
 参考資料1を御覧いただきたいと思います。A4横のポンチ絵でございます。
 こちらは統計調査の最適化計画における取り組みの概要でございます。この中で府省横断的なICT業務改革といたしまして、各府省の情報システムを集約し、政府統計共同利用システムを整備するということとされています。
 平成20年度に本格運用が開始をされましたものでございますが、その際、取り組みの三本柱の1つでございます統計利用に係るワンストップサービスの実現を目的に、各省のホームページの構成とか用語などの共通化を図る、そして統計情報を一元的に利用できる環境を整備するということが目的とされたものでございます。
 具体的には次の資料「統計に係るホームページの共通メニュー及び共通掲載項目」に示されました内容に則りまして、各府省はそれぞれのホームページを整備いたしまして、総務省で別途構築するe-Statの統計表管理システムにリンクさせる。結果表はそちらのほうで閲覧をする。そういった設計でユーザーにとっての利便性を向上させるということを目指したものでございました。
 厚生労働省といたしましても、この原則に基づきまして、ホームページとかe-Statへの統計データの掲載をこの間、順次行ってきたところでございます。
 その次の資料に厚生労働省のホームページにおける統計調査関係情報の掲載モデルをつけさせていただいております。各調査ごとに御覧のような形式で調査の概要や結果を掲載いたしまして、その内容としてそれぞれの「調査目的」「調査方法」「利用上の注意」という事項を取りまとめて紹介しております。
 さらに、中段の「統計表一覧」のところでe-Statとリンクをいたしまして、統計表はe-Statのサイトで閲覧していただくという仕掛けになっております。
 お手元に参考資料「e-Statクイックガイド」をつけさせていただきました。これは総務省統計局の広報用のパンフレットでございます。ここにはe-Statの機能と使い方がまとめられております。
 それでは、恐縮でございますが、資料2に戻っていただきたいと思います。
 資料2の表1にはe-Statに掲載をしております一般統計調査の分野別1調査当たりのアクセス数の年次推移を整理いたしました。これを見ますと、平成20年から23年までの間、確実に増加してきているというところでございますが、直近では、ユーザーが固定したのか、あるいは利用方法に慣れていただいたのか、ある程度アクセス数も頭打ちになってきているように見受けられるところがございます。
 数字は1調査当たりの平均アクセス数でございますけれども、分野別に若干ばらつきがあるようにも見えるところですが、参考に平成23年の結果を1統計表当たりの平均アクセス数で比較をしますと、それほど大きな差がないということがお分かりになるかと思います。
 次に裏面を御覧ください。こちらの資料は、調査結果につきまして、プレスリリースなどによって第1報を公表してからe-Statに結果表全ての掲載が完了するまでに要した期間がどれくらいだったかということをまとめたものでございます。
 その結果を見ますと、公表と同時にe-Statに掲載を行っているものは27.6%と全体の4分の1になっております。それも含めまして公表から1年未満でe-Statに掲載が完了するといったものが全体の83.9%となっています。
 e-Statへの掲載までに時間がかかる理由といたしましては、調査結果を速報値と確定値に分けているような場合には公表時に全ての結果表の掲載ができないということが、まずございます。
 また、掲載まで1年以上となっているものの中には、社会保障・人口問題研究所の調査のように、5年ローテーションで実施しているものの中には平成20年以前に公表されたものなどもございまして、整理上、こういったものも含まれているという事情もございます。
 また、e-Statへの掲載作業に際しましては、各調査担当者がCSVとかエクセルの統計表ファイルを直接政府統計共同利用システムにログインいたしまして、1表ずつアップロードするという作業が必要になってまいります。ちゃんと掲載されたことを確認した後、公開の手続をするという手順を踏むわけですけれども、それなりの労力と時間を要するという事情もございます。
 こうしたe-Statへの掲載状況につきましては、基本的には毎年最適化計画の実施状況ということで、各府省に対しまして総務省がフォローアップを行っています。ただ、厳密な掲載期限あるいは努力目標というものがあるわけではございません。
 したがって、こうしたばらつきは、とりもなおさずe-Statそのものの機能的な制約とともに、省内の一般統計調査の所管部局担当者の意識にかかわる部分がございます。今後、e-Statの機能改善を求めるとともに、政府統一的あるいは厚生労働省として掲載に関する一定のルール化をする、この是非につきまして課題になろうかと考えておりますので、この点も含めまして、当省のホームページやe-Statのユーザーのお立場から率直な御意見や御提案をいただければと考えております。
 以上、御説明を終わります。

○廣松座長 ありがとうございました。
 今回の議論はPRと結果の公表ということでございますが、資料1と2に基づいて現状を御説明いただきました。
 ただいまの説明に関しまして、具体的に考えられる論点としては、これまで行っている取り組みの中で今後強化していくべきPR方法、これまで行っている取り組み以外で効果的と考えられるPR方法、もう少し一般的な議論として、日頃e-Statへアクセスをしていただいていると思いますが、その印象について、特に資料2に関して、e-Statの掲載について、かなりまちまちになっているところがありますが、一定の基準を設けることについてどう考えたらいいか。さらに厚生労働省のホームページについて、最適化計画に基づいて整備してきたわけですが、不十分な点あるいは今後さらに改善すべき点等考えられると思います。
 どうぞ御自由な立場から御発言いただければと思います。いかがでしょうか。
 確認ですが、資料1の表1の5、6、7は、事業所・企業を対象とした統計が分母になっているということですね。

○田邉統計企画調整室長 はい。世帯調査ですとか、あるいは自治体を対象とした調査は省いております。

○廣松座長 わかりました。
 どうぞ。

○柏女委員 柏女です。なかなか出席できずに、申し訳ございませんでした。
 いわばユーザーの視点から意見を申し上げさせていただきたいのですけれども、掲載時期の話です。これは資料2のほうになります。
 結論を言えば、注目が集まるとき、例えば何とか月間とかそういうときにデータが公表されているとありがたいというのが1つです。例えば11月は「虐待防止月間」ですが、虐待の件数が種類別にどうなっているのかというのは2年前のデータしかないのです。昨年度の数値は11月末の時点でそれが公表されましたので、結局、11月の「虐待防止月間」で全国的にいろんなイベントが行われたりするときには、2年前のデータでやらざるを得なかったという問題があります。
 もちろん、統計情報部のほうで6月、7月に速報値として総数だけは出してくださっているのですけれども、身体的な虐待の割合はどのくらいとか、性的虐待の割合はどのくらいとか、そういう細かなところについては2年前のデータを使わざるを得ないということがあります。これは統計情報部のほうの人員とか予算との関係で非常に難しいことがあるのだろうなということは想像がつきますが、そういう一番大事なときにデータがないというのはちょっと残念だと思うので、その辺を工夫ができればなと思います。
 私の分野で言えば、10月の「里親月間」も同じで、里親の数というのは2年前のものを使わざるを得ない。そういう問題があるので、ここはうまくいけばいいなと思いました。これが1つです。
 もう一つは、私などは社会福祉関係のテキストを作っていて、ちょうどこの時期が改訂の時期に当たります。統計数値を新しくしていくのは年内がリミットという感じで、今、ちょうど再校の時期です。年が明けて三校ぐらいで入れ込んでいくこともあるのですけれども、年度内に出そうとすると12月がリミットという形になります。そういう意味では、割と時間とにらめっこのようなところがあって、厚生労働省のホームページで統計のところを見たりとか、新着情報をちゃんとチェックしたりしているのです。学生たちの国家試験対策にもかかわる話ですので、ユーザー目線で言うと、遅くとも12月末ぐらいまでにそれが掲載されるとありがたいなと思います。
 そういう意味では、掲載時期が公表から1カ月未満とか3カ月未満とありますけれども、遅くなっていいものもあれば、これは同時にしていただかないと困るというのもありますので、社会福祉関係とか保健関係は国家試験テキストとの関係ということも配慮していただけるとありがたいなと思いました。
 この関係では以上でございます。

○廣松座長 ありがとうございました。
 大変貴重な御意見だと思います。調査実施部局のそれぞれの事情も当然あることだろうと思いますが、特にご指摘のあったような何とか月間という行事に間に合うような形の公表というのは大変重要ではないかと思います。
 どうぞ。

○阿藤委員 統計へのアクセス数になるかもしれませんけれども、集計された結果はこういう形でやられている。今、若い研究者がだんだんふえており、個票データを自ら分析するというのが大変盛んになってきています。基幹統計の場合には、いわゆる匿名データを統計センターで一括して提供されているのだと思うのですが、厚生労働省の一般統計については集約的に提供されているのか。もし提供されているとすれば、どれぐらいの種類がどの程度の頻度で使われているのか、お伺いしたい。

○田邉統計企画調整室長 二次的利用の御関係ですか。

○阿藤委員 はい。

○井嶋審査解析室長 匿名データにつきまして、今、国民生活基礎調査のみ提供させていただいておりまして、まだ一般統計までは至っていない状況でございまして、国民生活基礎調査のほうで13年、16年を提供させていただいているところです。利用件数がまだなかなか伸びなくて、大体1桁のオーダーぐらいのところでございます。

○廣松座長 どうぞ。

○阿藤委員 厚生労働統計の中でも統計情報部でなくて、それ以外のところで実施されているもので匿名データとして利用させているところもあると思うのですが、そういうのは把握されていないのですか。

○井嶋審査解析室長 私どもは、個別の部局ではまだ出していないと承知しております。

○阿藤委員 社会保障・人口問題研究所の調査などはそういう形で出しているのではないか。一般に対してかどうかわからないですが。

○井嶋審査解析室長 個別の利用ではなくて、一般に提供するという形は多分とっていないような気がいたします。
 32条、33条は二次利用ということで、32条は内部で使うもの、33条は外部の先生方や都道府県から申請を受けて出すものですけれども、これについては個別に対応しております。件数は今、手元にないです。

○永瀬委員 参考資料2「厚生労働統計一覧」、これも全部ですか。

○井嶋審査解析室長 匿名データというのは、一般の方が使うという目的で提供しているものですので、扱いが異なっております。

○永瀬委員 こちらは目的外使用ということですか。

○井嶋審査解析室長 そうです。旧法下の目的外利用になります。

○廣松座長 どうぞ。

○玄田委員 1つ提案は、今、厚生労働省のホームページを見ていたら、You Tubeに厚生労働統計に関する活用があまりないなと思いました。ちょっと見ただけですけれども、「国民生活基礎調査のお願い」というのが今You Tubeにあって、再生回数1,051回だから、それなりに見られている。そうすると、お願いだけでなくて、統計が一段落したら、こういう結果が出ましたよみたいなことを、統計情報部が司会をして、部局の担当者にちょっとしゃべってもらったりすると、例えば大学の授業とかで使えたり、コストもほとんどかかりませんし、意外にいけるのではないか。そのときに多少e-Statを使いながら、こういうふうに使うともっと詳しくできますとか、手元にせっかくこういうのがあるわけだから、もうちょっとそれを活用すると、地道かもしれませんけれども、それなりにPRになるのではないかなと思うので、そのあたりを御検討なさってはいかがでしょうか。

○廣松座長 どうぞ。

○永瀬委員 私もそういうのがあったならば授業に使いやすいなと思います。
 PRですけれども、これだけいろんな調査をしていて、日本の社会にとって重要な結果がいろいろ出ているのですが、あまりそれがテレビなどのメディアではとりあげられていない。例えばテレビなどでは、生活保護とか年金とか、あるいは介護とかに、高い関心がある。そして個別のケースが画像に流れます。それら個別のケースは実在するとしても、全体の分布の中のどこかの一部を取り出しているものです。大事なのは全体の分布がどうなっているか、そのどの部分を取り上げているのかを示すことです。全体分布は統計調査でこそわかるものであり、それが十分に検討されないで議論されることの問題性はきわめて大にて、もっと統計が利用しやすくなるべきと思います。
 例えば介護で非常に大変な個別のケースがあったとしても、介護給付の側面から見れば、どんなふうな給付の分布になっているのかを見る必要がある。それが十分な人もいれば、行き届いていない個別もある。そうとしたら、どういう問題なのかと、いろいろ掘り下げていけると思うのですけれども、全体がどういう分布になっているのかというのがあまりテレビ番組上で取り上げられていない。
 例えばプレスリリースみたいなことをもう少ししていけばいいのではないかと思いました。重要な統計が出されるたびにもう少しそれをプレスリリースという形でしていく。それをとても簡単にやる方法として、You Tubeは確かにお金もかからないですし、いいのかもしれないなと思いました。いい調査がされているので、もっと活用されるよう、一般の人に伝わるようPRをしたらよろしいと思います。

○廣松座長 どうぞ。

○齋藤委員 92本ある厚生労働省の統計の中で、何回もやる場合に、毎回無作為に抽出してやるのがほとんどなのか、あるいは同じ人にまた経年的にやる調査もあるのですか。
 なぜそれをお聞きしたかというと、「統計調査の結果の公表における広報等」で「被調査者への御礼のハガキ等に調査結果を掲載」というのは、5.7%と書いてありますけれども、同じ人に何回もお願いするのだったら、結果をもらったときにそういうお礼をしておくと、また協力が得られやすいということが考えられますけれども、毎回全然違う人にやるのだったら、これはやってもあまり意味がないような気もするのです。いかがでしょうか。

○田邉統計企画調整室長 世帯調査と事業所調査がございますが、世帯調査の中で例えば縦断調査につきましては、毎回同じ世帯に対して調査のお願いをしています。そういう場合は、先生が御指摘のとおり、お礼とかが効果的だと思います。
 事業所を対象にしている調査につきましては、継続的に何年間かお願いをして交代をするとか、あるいはアトランダムに毎年決めるというふうにさまざまでございます。ですから、その調査の特性に合わせたやり方ということになるかと思っております。

○廣松座長 よろしいでしょうか。

○齋藤委員 はい。

○廣松座長 どうぞ。

○土屋委員 資料1について1点と資料2について2点お伺いしたい。
 ちょっと確かめたいのは、資料1の表1は項目ごとに母数が違っているということですね。

○田邉統計企画調整室長 はい。

○土屋委員 表2は、母数は全部一緒ですか。87。

○田邉統計企画調整室長 非公表となっているものの5調査を除いた87調査です。

○土屋委員 全部が87分の幾つですか。

○田邉統計企画調整室長 そうでございます。

○土屋委員 表1ですけれども、「周知等が該当する調査数を用いて算出」ということで、周知等が該当する判断は各当該課でやっているのですか、あるいは統計情報部で一律の基準でこれを考えているのですか。

○田邉統計企画調整室長 私ども事務局で整理をさせていただきました。

○土屋委員 一定の基準ではじいているということですね。

○田邉統計企画調整室長 はい。

○土屋委員 わかりました。
 先ほど事務局の方がおっしゃった表2の「3.報告書の作成」です。私は研究報告書で随分苦労したのですが、今の時代、電子化して、印刷物が欲しければ自分で印刷してもらうというのを原則にしたほうが予算上、大変よろしいのではないか。これは結構お金がかかっていると思うのです。財政当局の指摘どおりではないかと私も思います。
 資料2の表1です。22年度、23年度、大体頭打ちであるということなのですが、これは十分な情報の提供があるという判断なのか、あるいはアプローチしても大したことないやというので諦めているのか。
 というのは、裏の表2のところで、先ほど言われたように1年以上かかっているのがまだまだある。16%ぐらいが1年以上あるいは不明ということなので、先ほど先生が御指摘されたように、2年前のデータしか見られないならいいやというので頭打ちになっている可能性もあるのではないかと推察するのです。
 そうだとすると、表2のところで一定の基準でルール化すべきかどうか。私はルール化すべきではないかと思います。そのためには統計情報部に権限と金と人をくれないと多分やりづらいと思うのです。それを明確にする。それぞれの統計は税金でやっているわけですから、担当部署にその責任を持たせて、計画段階で公表は1年以内なら1年以内ということを立てさせて調査をすべきではないかと思うのです。それを全体のルールとすべきではないか。
 残業をやらないとできないというのであれば、人を増やすか、総定員法で無理なら、統計項目を減らすしかないと思うのです。省内でやりづらければ、コンサルを入れてでも仕事量をしっかり計算して、厚生労働省ですから、残業のない範囲でしか仕事はできないとはっきり突っぱねるべきではないかという気がいたします。いずれにしろこれは厚労省全体のガバナンスの問題だと思いますので、大変重要ではないかという気がいたします。

○廣松座長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 先ほどは、現在必ずしも十分行われていないPR方法としてYou Tubeという具体的な提案もございました。
 結果公表については、特に基幹統計に関しては厳しく決められているのですが、一般統計に関しては必ずしもそういうルールがない。これは厚生労働省内部だけではなくて、一般統計全体に関わることですから、その点に関して例えば厚生労働省が率先して省内でやっていただければ、いろんなところにも波及効果が出るのではないかと考えられます。その意味でいろいろPR、結果公表に関しまして努力すべき点はまだあるように思います。
 どうぞ。

○今田委員 厚生労働省の内部あるいはそれ以外でやった調査をe-Statに掲載するかしないかについて、どういうルールになっているのでしょうか。
 現在八十何本という範囲内で掲載されるということですが、それ以外の調査について、e-Statに掲載する義務、ルール化というのはどのような状況になっているのか。

○田邉統計企画調整室長 e-Statそのものが平成18年に制定されました最適化計画で構築をされたものでございます。e-Statへ各府省がそのデータを掲載するという行為につきましても最適化計画の中で明記をされている。最適化計画自体は各府省の連絡会議、合意のもとで行われているという整理なのです。したがって、明確な法的な義務というものがあるわけではございません。
 したがって、ある程度各府省の主体性、それに対する対応のスタンスが違ってきている状況もあるかと思います。そういった中で、総務省は毎年、最適化計画の実施状況について、各府省に対してフォローアップ、要するに、e-Statにちゃんとデータを掲載していますかということをチェックし、ヒアリングも行っております。
 そういった中で十分にそれが対応されていない場合は総務省から指摘、指導、それほど強い強制力があるものではございませんけれども、そういうものが各府省にございまして、それを我々は窓口として受けて、各調査担当のほうに連絡をする。そしてできるだけ掲載をするように依頼、要請、お願いをするといったような関係でございますが、そういうことで今、何とか対応しているという状況でございます。
 したがって、厳密なルール、厳密な義務といったものがあるわけではございません。

○今田委員 わかりました。

○永瀬委員 e-Statは、統計表がただ入っているだけです。これに対して、「○○調査の概況」のような形での発表もありますよね。これには文章もついていますね。例えば母子世帯に関する調査が出ましたら、調査の概況ではこうでしたということが書いてある。その結果が今度e-Statに統計として入っていくという印象を私は持っているのです。e-Statのほうが詳しい統計がとれる、「○○調査の概況」という資料はもう少し早目に出て説明の文章もつくという印象ですが、それでよろしいのでしょうか。

○田邉統計企画調整室長 統計調査の結果を公表する際には概況という形でまとめて、その主要なポイントを取りまとめます。その際に掲載する統計表というのは非常に限られたものでございます。全てではないわけです。結果を公表したものにつきましては、通常厚生労働省のホームページにそのまま掲載をされる。さらに細かい統計表につきましては、厚生労働省のホームページではなくて、e-Statのほうに全て掲載をするという関係になっています。
 したがって、厚生労働省のホームページに掲載するタイミングよりもe-Statのほうに全ての統計表が掲載されるタイミングは後になるというような関係になってまいります。

○永瀬委員 私も使っていてそういう印象をもちました。そうしますと、公表とか統計の蓄積には幾つかの段階がある。一般の方にこういう結果が出たということを示すというもの。たとえば概況ということで、文章がついて、読むとわかるというもの。次にe-Statは、もう少し詳しいことを知ろうと思ったときに、それを知っている人がe-Statに自分で入り自分で加工などして使う。そういう別の段階になっています。
 ですから、PRという側面で言いますと、当初の発表をどれだけ幅広く一般の方に示すのか、それはどうやったら前進できるのかということです。いい調査をしているので、PRをもっとしたほうがいいという話だと思います。
 一方、e-Statの使い勝手といったときには、使う人は、自分で分析目的を持ってアプローチする人となります。ですから対象は違うと私は思います。ですので、早さとか使いやすさといったときに、両方は別に検討すべきだろうと思います。
 私はe-Statのヘビーユーザーなので、e-Statを使った上の印象を申し上げてもよろしいでしょうか。

○廣松座長 どうぞ。

○永瀬委員 e-Statになってから、良くなった面と改善が必要な面とがございます。まず机にいてエクセルでどんどんいろんな表がとれるので大変便利になった。特に過去の統計が見られる。図書館まで行って統計表を借り出してコピーをして入力するということなしに、椅子に座って全部それができるというので、大変よくなった、利用者としてとても感謝しています。
 一方で、使いにくくなった点、改善が必要な点がございます。使いにくい点はどういうところかというと、配布してくださった総務省のこのパンフレットの4ページに「e-Stat 統計表一覧」というので国勢調査の例が出ていますので、これを例にしますと、こういう形で表がずっと並んでいるわけです。もし、見出しがあって、インデントがあって、項目別にまとまっているといったような形になっているともう少し見やすいでしょう。
 しかし現在は例えば100表とかが、ただずっと並んでいるものもございますので、自分が目的とする表を見つけ出すまでに時間がかかります。私は良く使っていますので、絶対あるはずだという確信を持って根気よく見ていくと、時間をかけてようやく見つかるということが結構ございます。そして、あるととてもうれしく思うわけですが、これがもう少し使いやすくならないものかなと思っております。
 できることなら、ある程度優秀な大学生であれば、例えば大学3、4年でレポートをまとめようと思ったときに、e-Statを使えるという程度に使い勝手が良くなると良いです。今の状況ですと、「絶対にあるはずだと思って根気よく調べなさい」と学生に熱心に指導しないと、学生も諦めてしまいかねません。ですので、大学生が卒業論文で使おうと思ったら使えるぐらいに使い勝手が改善されることを望みます。
 それをどういうふうに直したらいいのかということに関していえば、制作側でない、外部の若い人に何度かディスカッションしてもらって、こういうふうにするともっと使いやすい、といったアイデアを聞いてみて、できるところからでいいので使いやすく改善するといいと思います。
 e-Statになってから、また印刷された統計表よりも利用しにくくなった別の点は、説明が離れてしまったということです。印刷された統計表については、最初と最後を結構使っていました。最初には「統計の集め方」とかそういうところがありそこを読む。また印刷された統計表では最後のところに必ずついている、どれとどれがクロス集計できていますと丸がついている表をよく使う。そしてこの集計は出ているのだなと思って探し出すということをしていました。
 今はe-Statの表とそれらはHP上で分かれているようです。e-Statになってから、利用上の注意がなかなか探せませんでした。また調査票そのものも見つけられず。かなり時間がかかって、ようやく、こうすれば調査票にたどり着けるのだとわかった次第です。調査票というのは、どういうアンケートをしたかという質問紙であり大変重要です。これは、印刷された統計集なら必ず載っていたのですが、現在のHP形式では、調査票が別の場所に一覧になっていまして、e-Statの表と分かれたページになっていますので、あっ、ここにあるのだと見つけるまでに結構時間を要したということです。
 「利用上の注意」がどこに載っているかというのも、ついこの間、教えていただいて初めてわかった次第。e-Statと検索すればすぐに統計表にたどり着きますが、その際にすぐに、「使用上の注意」や「質問紙」にはたどりつければよいと思います。
 一般の人がすぐそこにたどり着けるかは、ネットのつくり方の問題で、そんなに難しくないでしょう。ボタンをちょっと増やせばいいだけなのではないかなと思うので、その辺も利用者に少し意見を聞いてみて、改善していただきたい。すばらしい統計表が多く掲載されていると思いますので、そうしたらよろしいのではないかなと思います。
 長くなって失礼いたしました。

○廣松座長 ありがとうございました。
 e-Statそのものは、総務省が開発をして、統計センターが運営をしているという状況ですから、そのものの内容は厚生労働省が直接変えられるわけではないのです。

○永瀬委員 調査票に行くボタンを増やすぐらいはできないのですか。

○廣松座長 それも開発段階でスペックが決まっていますからかなり難しい。
 ただ、リーフレットの最後にございますが、来年の1月からリニューアルをすることになっておりまして、今、御指摘の点等に関しては、全部反映できるような形のものになるかどうかはわかりませんが、少しは改善されるのではないかと思います。
 どうぞ。

○柏女委員 e-Statのことではないのですけれども、国の調査に一番期待することは時系列でどうなるかというところで、その他の細かいことはほかの調査で見ていくというふうにしているのですが、そうなると、数字が大きく変わったのはなぜなのかというのがわからないのです。今、永瀬先生がわからないことが多いということをおっしゃいましたけれども、私もそうなのです。
 1つは市場化テストです。市場化テストを実施されたものというのは、いつなったのかがわからないのです。市場化テストによって民間事業者に委託されれば当然回収率が下がるという形になる。例えば児童館がいきなり300カ所も減っているのです。なぜなのかというのがわからなくていろいろ調べた結果、市場化テストの結果だった可能性が高いということがわかるわけで、それらの情報も入っていると、ここから民間事業者に変わりましたということがわかる。
 あるいは母子家庭の収入が今回70~80万上がっているけれども、それはなぜなのかというのがわからない。そういうのは、調査票が変わったのか、母集団が変わったのか、抽出方法が変わったのか、調査方法とか調査内容についてわかるとすごくありがたいなという思いがしています。
 何を公表するか。結果だけを公表するのでなくて、その手法が変わったということも公表していただけるといいかなと思いました。
 以上です。

○廣松座長 今のことに関して何かご意見がございますか。

○田邉統計企画調整室長 先生が御指摘のとおり、統計の中で時系列の情報というのは非常に重要でございますし、歴史が長い統計調査ほどそういった問題がいつもあるのではないかと思います。
 特に最近の状況としては、今、御指摘の市場化テストの対象となったことによって回収率が下がったのも事実でございますので、そういう状況につきましては、概況発表を公表するときには当然その旨は明記しておりますけれども、そのことが公表後、ホームページ上で明確に把握できるような形になっているかどうかというところがポイントなのかなと。さらにe-Statに掲載をしていく過程の中で調査担当者は当然そういったことに留意をしていますが、不十分であるのかもしれません。そういった御指摘は十分謙虚に受けとめる必要があると思っております。

○廣松座長 ありがとうございます。
 どうぞ。

○永瀬委員 今の点ですけれども、文章がついている「概況」等には解釈が書いてあることもある。しかし、e-Statは表だけになります。時系列で数字をとれるのはいい点ですが、何年か前のものになると、その説明文書は、HP上でまったく別の箇所に分離されていますので、わかりにくい。両者が関連付けされるとより良い、少なくともどこにあるか説明があると良いと思います。

○廣松座長 ありがとうございます。
 調査実施におけるPRと結果公表における広報、あるいは統計への容易なアクセスに関して、ほかに何かございますか。どうぞ。

○永瀬委員 時系列でとろうと思うときに、e-Statの場合、1年ごとにHPを開いて統計表をとっていくことを繰り返さないとたとえば10年分をとれないということがあります。項目ごとに時系列でとれると便利とも思います。
 表の一覧が一般人にもう少しわかりやすいものになるような改善、これを第1に望みますが、時系列でデータをとるための工夫がもし可能であれば、それも使い勝手を改善すると思っております。

○廣松座長 ありがとうございます。
 ほかに御意見はございますでしょうか。
 現在、厚生労働省がやっている取り組み以外に、例えばYou Tubeの利用はどうかとか、利用可能性を検討すべきだとか、あるいは公表のタイミングに関して、規則として定められている範囲内で出せばいいというのではなくて、先ほど柏女委員のほうがおっしゃったとおり、その統計にとって重要な意味を持つ行事やイベントがあれば、それに間に合うような形の公表のタイミングを図るべきであるというご意見をいただきました。
 またe-Statに関しては、技術上の制約もあることではございますが、いろいろな御要望がございました。メタ情報とか付属情報、あるいは参考情報が別になっているというのは大変不便なところだと私も思います。e-Statの全体を今、すぐ改善するというのは難しいかもしれませんが、厚生労働省のホームページで目立つところにわかるような形で掲載して、e-Statと厚生労働省のホームページの連携がうまくとれていれば、もう少しユーザーにとって便利になるのではないかと思います。
 どうぞ。

○永瀬委員 印刷された統計表の最後に載っている、どの質問項目とどの質問項目がクロスしてあるかという表。これをe-Statにも、統計年ごとに、PDFファイルでいいですので、表と一緒にアップしていただきたい。それだけでずっと使い勝手はよくなるだろうと思っております。

○廣松座長 どうぞ。

○阿藤委員 今の件ですが、e-Statの製造者があり、それを市場化委員会でチェックするということなのですけれども、統計委員会というのは、こういうときに例えば基本計画において統計の利用という観点で、e-Statの改善をこういうふうにしてほしいとか、そういう形での要請が入ってくる可能性というのはあるのですか。

○廣松座長 はい。一応基本計画の中に利用者の利便性の向上ということが大きな柱となっており、その一つの手段がe-Statなわけです。毎年、統計法の施行状況報告を総務大臣が取りまとめるわけですが、それに関して委員会が審議をして報告を出しております。
 ただ、今ここで話題になりましたような具体的な点に関しては、委員会では必ずしも取り上げられてはおりません。それはそれぞれ担当、e-Statの場合には総務省の統計局の情報システム課が開発等の元締めですが、そういう担当部局に対して要望を出すという形になります。
 ほかにございますか。どうぞ。

○永瀬委員 民間放送のほかにBSテレビとかいろいろなメディアがありますが、そういうメディアで統計を示し、何人かでディスカッションする。例えば国民生活基礎調査とか大きなものが出たときには、こんな結果が出ましたということで、少しディスカッションができると関心も上がるのではないかなと思います。You Tubeのほうが安いとは思います。
 もう一つ、You Tubeのようなところでお願いしたいのは、先ほど玄田委員もおっしゃっていましたけれども、e-Statの使い方、こんなコツがありますとか、授業で流せるぐらいのものがあるとe-Statのユーザーも大きく広がるのではないかなと思います。

○廣松座長 ありがとうございました。
 メディアの件に関しては、メディア側の事情というところもあって、なかなか我々の思いが通じないところがあることも事実なのですが、永瀬委員のおっしゃっていることは大変意味があることだろうと思いますので、折に触れて調査実施者がそういうメディアへの露出度を増やすということもぜひ考えていただければと思います。
 とりあえずよろしいでしょうか。まだ御意見がございましたら、後ほどまた御発言をいただく時間をつくることにいたします。
 本日は、もう一つ大きな話題として資料3に中間報告書(素案)を用意していただいております。それに関して事務局から説明をいただいて、御意見をいただければと思います。
 では、よろしくお願いします。

○田邉統計企画調整室長 それでは、お手元の資料3「厚生労働統計調査の現状と改善方策について 中間報告書(素案)」というものでございます。開いていただきまして目次を御覧いただきたいと思います。
 全体の構成といたしましては、まず「はじめに」がございまして、整備検討会が発足いたしました背景を述べております。
 次の「検討経緯及び検討結果」におきましては、検討方法や検討テーマにつきまして整理した上で、各テーマ、すなわち論点ごとに現状と課題、取組の方向性をまとめております。
 なお、本日のテーマでございます統計への容易なアクセスにつきましては、見出しのみの記載としてございます。
 最後のまとめといたしましては、残るテーマにつきまして今後の課題として来年度に引き続き御検討いただく予定ということにして、平成25年度末に全体の最終報告書を取りまとめるという整理をさせていただいております。
 さらにこの報告書に基づきまして、厚生労働省内の一般統計調査に対する今後の具体的な改善の進捗について、どうフォローアップをしていくかという点につきましても、当検討会で議論をお願いしたいと考えております。
 それでは、1ページの「はじめに」でございます。
 ここでは、平成22年に開催をされました厚生労働省省内事業仕分けの一環としてプロジェクト方式で統計調査の事業仕分けが行われ、その報告書が取りまとめられました、その内容、経過を明記しております。この仕分けにおきまして、個別統計調査を検討する際の視点に関しまして全体的な検討が行われ、報告書にその論点がまとめられたところでございます。
 これを踏まえまして、論点に基づく具体的な検討を別会議で行うこととされました。
 これにつきましては、平成23年12月に既に運営されておりました本整備検討会の開催要綱を改正いたしまして、その検討の場をこの検討会とするという位置づけにされたものでございます。そういった経緯についてまとめております。
 次の2ページ「検討経緯及び検討結果」ございます。
 ここでは厚生労働省が所管しております100本余りの統計調査のうち、当整備検討会では92本の一般統計調査について重点的に検討することといたしまして、検討におきましては可能な限り目的、活用実績、調査の方法等の一覧及び調査要綱、調査票等を参照しつつ、個々の統計調査に関する現状・課題等を整理して、具体的な検討を行ったといったことを明記しております。
 その次に検討会におけるテーマ案について表にまとめてございます。
 こちらは統計調査の事業仕分け報告書でまとめられました論点をもとに整理をしておるわけでございますが、昨年の12月にこれも検討会で確認をされたものでございます。
 3ページからは各テーマごとの各論になってまいります。
 まず「回収率の向上について」でございます。
 このテーマは、今年の3月1日の検討会におきまして、直近調査の回収率が60%以下となっている統計調査13本を対象に、調査担当者のほうから、「回収率が低いことをどのように考えているか」「回収率の維持・向上のために現在行っている取り組み、努力」「回収率が低いことにより偏りが生じていることが考えられるが調査を継続する必要性は何か」といった点について情報収集をいたしまして、各府省における回収率維持・向上のための取り組みを含めて議論をしていただきました。
 引き続き6月の検討会におきまして、回収率の向上の内容につきまして、経年的な推移を見る必要があるという御指摘がございまして、それを捕捉した資料を用いて議論を行いました。
 その結果、現状の課題ということで、以下のように取りまとめております。
 近年、個人情報保護意識や企業の情報管理意識の高まりに伴い、統計調査への協力が得られにくくなっており、これが統計精度や調査の円滑な実施に影響を与えている。厚生労働統計調査の中には、回収率が低いものの、他の代替データが存在しないため、行政施策上の必要性から実施されている統計調査も見受けられる。
 回収率が低いと非標本誤差が大きくなる可能性が高まり、政策判断あるいは企業の経営判断や国民の経済情勢の把握を妨げ、適切な政策運営等の障害になるだけではなく、厚生労働統計への信頼性を低下させることにもつながるため、統計調査の正確性と有用性の観点からできる限り回収率の向上に努める必要がある。
 そういった現状の整理のもとに、現在、厚生労働省として回収率の維持・向上のために行っている取り組みとしては以下のとおりということで、整理をしています。
 「?調査票等の改善による記入者負担の軽減の検討」の内容といたしましては、記入しやすい調査票のレイアウトの設計、照会先を明確に記載、プレプリントの導入、調査票と調査要領の一体化。「?オンライン調査導入による記入ミス防止と記入者の利便性の推進」。 「?統計調査の理解と協力を得るための説明」、調査票発送時の電話による到着確認、宛先不明により返送された調査票について、移転先を調べ再送、調査票に記入された事項を統計以外の目的で使用しないことや、記入者の特定ができないこと等を記した協力依頼状の添付、前回調査時の調査結果を同封することにより統計調査の有用性の啓発、コールセンター等の活用による照会対応の強化、調査対象事業所の本社への協力依頼。「?はがきや電話などによる督促」、複数回の督促を実施。「?広報の充実」、厚生労働省ホームページへの掲載、広報紙「厚生労働」による広報、調査に関連のある携帯サイトへの調査協力依頼掲載、記者クラブへの公表。「?調査時期の変更」、年末の繁忙期を避けるため、調査時期の前倒し。「?委託業者への指導」、週1回の進捗状況の報告、月1回の打ち合わせ、といったような省内の個別の実施状況をまとめております。
 一方、他省庁において回収率の維持・向上のために現在行っている取組は以下のとおりである。「?統計調査の理解と協力を得るための説明」、調査対象の事務担当者を対象とした説明会の実施、個別訪問による調査協力依頼、月次報告期日一覧の配布、提出がおくれがちな調査対象事業所への事前案内の実施。「?調査票等の改善」、民間委託の場合においては、調査票発送用の封筒を請負業者クレジットではなく、実施省のクレジットの封筒で発送。「?はがきや電話などによる督促」、複数回の督促を行うにあたり、1度目はFAX、2度目は電話等、手法を変更、連絡のつきやすい時間帯に配慮し、督促を実施。「?複数の調査方法導入による記入者の利便性の推進」、調査員、郵送、FAX又はオンライン等複数の調査方法を導入。「?いくつかの調査を対象に期間を定め、調査票の提出について集中的に促進を図る」、未提出事業所リストに基づき調査票提出に向けた督促(電話、訪問等)を実施、協力要請における成功事例(省内、地方局、都道府県より1~2例程度)の収集を及  び情報共有。「?オンライン調査導入よる記入ミス防止と記入者の利便性の推進」、オンライン化率の目標の設定、オンライン提出要請事業所情報を元にオンラインシステムによる調査票提出の要請(電話、文書等)を実施したといったような他省庁の事例を挙げております。
 それらを踏まえまして、さらに取り組みを充実させるために考えられる方策としては、以下のとおりでございます。「回収率の目標の設定に当たっては、各調査一律の目標を設定するのではなく、個々の調査において目標回収率を設定し、実際の回収率との乖離を検証する。」「被調査者の負担軽減のため、可能な限り行政記録情報を活用することが必要である。」「経年的に回収率が低下している場合には、基本的な調査方法自体の見直しの検討が必要である。」「民間業者に委託している場合に調査実施者が厚生労働省であることを明記し、国の調査であることを明らかにする。」「実数を記入する調査項目について、階級別の選択肢から回答する方法や、例えば金額を問う調査項目について、総額ではなく、1人あたりの金額を回答する方法等、調査項目の設定を工夫する必要がある。」
以上のようなまとめをしております。
 次に、6ページ「公表の早期化について」でございます。これは6月の検討会で御検討いただきました。
 直近の公表時期が1年3カ月、月次四半期調査においては60日を超える統計調査9本を対象に、調査実施者から「公表時期が遅い理由」「公表を早めるために講じている措置」といったことを確認して、議論を行いました。
 (1)現状・課題等。公表の早期化については、統計法第8条に「行政機関の長は、基幹統計を作成したときは、速やかに、当該基幹統計及び基幹統計に関し政令で定める事項を、インターネットの利用その他の適切な方法により公表しなければならない。」と定められており、さらに一般統計調査についても、第23条において同様の趣旨の記載がある。
 「速やかに」の具体的内容としては、平成9年2月10日閣議決定「申請負担軽減対策」 で定められた「原則として、すべての指定統計の第1報の公表を可能な限り早期化し、遅くとも月次調査は60日以内、年次・周期調査は1年以内に公表する」を踏襲し、基本的な目安としている。
 しかし、厚生労働統計調査の中には、公表時期が1年を超える調査が散見される。いかに優れた統計であっても、社会が必要とする時期を逸して提供された場合には有用な統計とはなり得ず、厚生労働統計調査が公的な資源を用いて作成される情報であることからも、厚生労働省は公表の早期化に努める必要がある。
 このような状況の中で、厚生労働省において公表を早めるために講じている措置は以 下のとおりである。「?調査票の記入要領の見直し」。「?エラーデータの減少」、正確なデータの提出及び提出期限の厳守を図るよう各都道府県へ周知、オンライン調査を導入し、電子調査票上でエラーチェックを行うことにより、エラーデータを減少。「?集計・分析の効率化」。「?外注仕様書の見直し」、外注業者からの疑義照会における対応の迅速化。「?回収にかかる督促・確認の迅速化」。「?人員の拡充」。「?第1報として概要版を公表する」といったような工夫を行っています、というようなことで取りまとめております。
 さらに「取組の方向性」として考えられる方策につきましては、「大幅に遅延する調査については、速報的に知りたい情報とそれ以外の情報を精査して、2段階に分けて公表することを検討する。」「公表遅延の一因として考えられる、結果集計までの作業プロセスや外注業者との関係について、個々の調査に応じて必要な見直しを行う。」ということで取りまとめております。
 8ページの「調査の方法について」でございます。これは前回の10月に御検討いただいたものでございます。
 「採用している調査方法について」「オンラインの調査の効果及び問題点」「オンライン調査を導入していない理由」「調査員調査の課題及び現在行っている措置」といったような事項について整理をした上で、議論をお願いいたしました。
 「現状・課題等」といたしましては、厚生労働省が行っている一般統計調査は92本あるけれども、採用している調査方法を見ると、半数は郵送調査であり、調査員調査は全体の約4分の1を占めている。また、オンライン調査を導入しているのは21調査であり、17%を占めている。
 これを、調査の対象・採用している調査方法別に見ますと、「世帯・個人等」を対象とする調査においては、調査員調査が多数を占めており、オンライン調査は導入されておらず、「施設・事業所・企業等」を対象とする調査においては、郵送による単一の方法が過半数を占めておりました。
 「都道府県・市町村等」を対象とする調査におきましては、オンライン調査が多数を占めており、調査員、郵送、オンラインのそれぞれ単一の調査方法を採用している統計調査が全体の7割といったようなことがわかりました。
 このように厚生労働省で行われている統計調査の方法は多岐にわたるわけでございますが、調査員調査方法を採用している調査が抱える課題と現在行っている対応については以下のとおりとしてまとめています。「?調査員の質・量の確保」、講習会等での指導の徹底、手引き等を配布し、調査の際に持参するよう指導、問答事例集の作成、解決できない疑義が生じた場合の照会先の周知。「?個人情報保護意識の高まり」、回収を密封方式に変更、調査員証を携帯するよう指導、挨拶状を携行。「?昼間不在世帯等の増加」、訪問の日を改める、帰宅の頃を見計らって訪問時間を変える等、再訪問を試みるよう指導。「?厳重なセキュリティの建物への訪問」、調査協力の「お願い」やチラシ等を作成。「?寒冷地における活動が困難」、調査時期の早期化を検討。「?自治体等の調査実施機関の業務負担」、調査実施機関を2年ごとの持ち回りとし、4~6年に一度程度の頻度で担当するように実施。
 さらに、統計調査の仕分けにおきまして推進すべきとされましたオンライン調査につきましては、現在、厚生労働省としては6つの方法で行われているということを確認していただきました。
 それなりにコストの削減や業務の効率化といったところで一定の効果が見られておりますが、一方、オンライン調査の方法を採用していることによる課題も挙げられております。
 例えば、「セキュリティの問題として、被調査者側のセキュリティの制約がある。」「決算情報等をオンラインで報告することの抵抗感。」「リソースの問題として、照会の増加により、現行の体制では対応し切れない。」「オンライン化率の問題として、オンライン化率がなかなか伸びないため、費用対効果が得られない」といったケースもありました。「容量の問題として、1回に送信できる容量に限界があるため、複数回の送信が必要」といったようなことも報告されていました。
 こういったことを踏まえまして、調査員の質の確保及びオンライン調査の推進のために考えられる方策としては以下のことが挙げられました。「調査員に対する調査説明会などの際に、調査の説明のみではなく、調査員の質を向上させるための内容の充実を図る。」「調査員の質・量を確保するため、政府全体の取り組みを踏まえつつ、調査員の確保・育成に係る取り組み体制について検討する。」「被調査者の利便性向上の観点から、コストの問題に配慮しつつ、個々の調査に応じて、複数の調査方法を取り入れるなどの対応を検討する。特に、個人・世帯を対象とした調査についても、外国の事例等を参考にしつつ、オンライン化も含めた調査手法の柔軟な組み合わせの可能性について検討する。」「個々の調査に応じた手法を、統計調査の概算要求に係る内容聴取などの際に統計情報部から調査実施者に提案する。」といったようなことが挙げられておりました。
 統計への容易なアクセスにつきましては、本日の議論を踏まえて明記をしたいと考えております。
 最後、12ページ「まとめ」でございます。
 まず、「今後の課題について(1)調査間の調整について」ということで、「個々の調査の調査項目に関して、他の調査との重複や関連性の強化、行政記録情報の活用可能性について検討する」。「(2)利活用度合い及び費用対効果について」ということで、「個々の調査について、施策における利活用や国民の利用度合いを検討する」。
 以上の2点を来年度引き続き御検討いただいた上で、この中間報告の内容等を含めまして最終結果報告書を取りまとめるということでお願いをしたいと思います。
 そのスケジュールも含めまして、次の「最終報告までのスケジュール等について」で整理しております。
 今般の中間報告書の取りまとめに当たっては、これまで検討を行ってきた「回収率の向上について」「公表の早期化について」「調査の方法について」「統計への容易なアクセスについて」、厚生労働省が行ってきた一定の措置等について評価をし、また、現在、厚生労働省が抱えている課題について、今後考えられる方策等を議論した。今後、最終報告書の取りまとめに向けて検討会にて検討を予定している事項は、上記1のとおりであり、平成25年度においても、引き続き検討会を開催し、検討結果をもとに最終報告書を取りまとめる予定である。
 なお、統計調査の概算要求に係る内容聴取や一般統計調査の承認審査の際に、統計情報部が各論点等の視点から内部的な審査を行うとともに、さらなるフォローアップの方法について、今後検討会において議論を行う必要がある。
以上でございます。

○廣松座長 ありがとうございました。
 玄田委員が中座なさるということですから、先にお願いします。

○玄田委員 2点ほど再訂の御提案を申し上げます。
 3ページ目の「(1)現状・課題等」の8行目に「国民の経済情勢の把握を妨げ」とありますけれども、厚生労働統計は、経済情勢はもちろんのこと、医療、福祉、さまざまな把握に必要でありますので、「経済情勢」よりは、より幅広く「社会情勢」のほうが適切ではないかと思うのが1点目でございます。
 もう一点は、7ページ「(2)取組の方向性」の1つ目の○「大幅に遅延する調査については」という文言ですが、これだけ見ますと、大幅に遅延する調査の存在を是認するようなニュアンスにとられかねなくもないので、私としましては、その前のページで「速やかに」ということの基本的な目安も出ておりますので、「速やかな公表が困難な調査」とか、もう少し厳密に「速やかな公表が困難と客観的に判断され得る調査については」といったような文言のほうがこの内容には合致しているように思いますので、ぜひ御検討いただければと思います。
 以上です。

○廣松座長 ありがとうございました。
 全体としてこれまで5回検討してきたわけですが、今日議論していただいた分と全体の取りまとめに関しては後ほど追加をしていただきますが、12ページの最後のところで今後の課題、スケジュールに関してまとめていただきました。
 御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。どうぞ。

○阿藤委員 2点ほどあります。
 まず、5ページです。私は参加していなかったので、そのときに出たかもしれませんが、(2)の最初の○に「目標回収率」という言葉があるのですが、これはかなり議論されて使われている言葉なのかどうか、ちょっと確認したいのです。個々の調査でそういうものが一体成り立つのかどうか、私にはよくわからないので、御説明願えればと思います。
 11ページの最初の「○調査員に対する調査説明会などの際に、調査の説明のみではなく、調査員の質を向上させるための内容の充実を図る」というのは、説明会で調査員の質を向上させるというのが、意味がはっきりしないのです。「内容」とは一体何なのか、そこら辺をお伺いしたいと思います。

○廣松座長 お願いいたします。

○田邉統計企画調整室長 まず、5ページの「目標回収率」の表現でございます。外注等の仕様書で業者に指示をする際、回収率の目標ということを設定する際に使われている事実はあるかと思います。
 一般的に統計調査を実施する際に、前回よりも回収率を向上させようとか、調査を実施する際に目標とする回収率をそれぞれ設定をするということもございます。そういった中で目標設定率と実際の回収率との乖離がございまして、その点につきまして、検討会の場で若干議論をいただいたといった経緯がございました。

○阿藤委員 そうすると、業者に委託する場合には、目標回収率を出さないと業者との関係に齟齬が生じる可能性があるということなのでしょうか。

○田邉統計企画調整室長 例えば先ほどありました市場化の対象となっているような調査については、全面的に調査の実施を業者に委託をしておりますが、その際に目標とする回収率を当然一つの条件として仕様書に明記をするといったようなことがございます。
 もう一つ、11ページの調査員の質の問題でございます。この表現は具体的ではないので、わかりにくい部分かと思いますけれども、調査員に対しては、それぞれ調査の実施の際に事前に説明会を行います。国が直接説明会を行うということはほとんどなく、各都道府県にお願いをするというのが実態でございますが、その際に事務的な処理の内容だけではなく、当然調査を行っていただく際の心得ですとか、被調査者に対する態度、姿勢といったことも含めて御説明をしていただくように普段から我々としてはお願いをしております。
 そういった中で、当然調査をやっていただく方の御経験というのはさまざまだと思うのですけれども、今、どんどん調査員が高齢化をしておりまして、その中で調査員不足も生じております。新しい調査員を確保しなければならないという状況もございますので、新たに調査員になっていただく際の基本的な心得というものを一から身につけていただくような場としての説明会を考えていくべきではないか、そういった趣旨でございます。

○廣松座長 どうぞ。

○阿藤委員 そこまでお聞きして初めてわかる文章だなと思うのです。調査員の質というと、もうちょっと長期的に、調査員を確保して、その人たちにいろんなトレーニング、知識、情報を提供して次第に育てていくみたいなニュアンスがあったので伺いました。1回の説明で質を上げるというのであれば、別の言葉のほうがよろしいのではないかなと思いました。

○田邉統計企画調整室長 はい。

○廣松座長 西郷委員、どうぞ。

○西郷委員 阿藤先生がおっしゃっていた5ページの「目標回収率」というところですが、私、多分ここで発言した者なので、そのときどういう議論が行われたかということを記憶に基づいてお話しいたします。
 阿藤先生がおられたかどうかは記憶にないのですけれども、そのときに現状でどれぐらい回収率があるかという数字が示されまして、特にあのときやり玉に上がったのが、所得再分配調査の回収率が非常に低い、たしか五十何%という数字であったかと思います。そのときに玄田委員がこれは本当に問題なのではないかという発言をなさって、それに私があわせるような形で次のような発言をいたしました。
 所得再分配調査というのは、分布の中心の位置だけでなくて、特に貧困率であるとか分布の端っこのほうが問題にされるような調査なので、この回収率というのは確かに低過ぎるだろう。ただ、そうかといって、全ての調査に関して一律に回収率がこの程度であればいいという話をするのは難しいだろうから、例えば所得再分配調査に関しては、分布の端のほうが使われるということに鑑みて、本来あるべき回収率を高目に設定するとか、調査の特性に合わせて回収率がこれぐらいであるという議論をするのはメリハリをつけて、目標とすべき調査の回収率が変わるということがあってもいいのではないか。たしかそういう議論をしたように思っております。

○廣松座長 どうぞ。

○阿藤委員 目標回収率なるものが存在して、世間一般の人が見てこれは何%、これは何%と一方的に決めて、それに満つるか、満たないかという議論が本当に成立するのかどうか。ちょっと別の形の表現にして、分布の問題できめ細かくとる必要のあるものについては、その点を文章で説明する。一言で「目標回収率」と言われても、何か唐突な感じがしないでもないと思うのですが。

○廣松座長 はい、どうぞ。

○今田委員 「目標回収率」ではなく、「個々の調査において」という表現をすると、回収率は適当に設定できるのだという誤解が生まれるので、この文章はまずいのではないかと思う。
 目標回収率というのは、時系列の場合は、これまでの経緯あるいは調査の内容によって勘案される。非常に難しい調査の場合には、目標回収率を高く望んでも、かなり低く抑えざるを得ない。あるいはこれまでのトレンドからいって、時系列なのだから、このぐらいは維持しなければいけないというような実態から規制される目標設定として意味がある。この言葉は別にそれほど違和感がないと思うのです。
 それよりも問題なのは「個々の調査において目標回収率を設定する」と言ってしまったら、目標はなく、回収率はいかようにでも許容されるというような誤解を与える。回収率は適当に設定していいものでない、厳密に期待値として設定されなければいけないものという観点から言えば、この文章はそのニュアンスを伝えるようにしないと誤解を生むと思う。
 「個々の調査において回収率を設定する」という、今、西郷先生がおっしゃったことの真意は伝わらずに、誤解を生むのではないかと思うので、御検討いただきたいと思います。

○廣松座長 ありがとうございました。
 では、この点は事務局とも相談をしながらもう少し内容がわかるように補填することにし、11ページに関しても検討させていただきます。
 では、土屋委員、お願いいたします。

○土屋委員 阿藤委員が言われた11ページの件、2つ目の○に「調査員の量・質を確保するため」とありますので、1つ目の○の後半を「調査の説明のみではなく、調査の質を向上」として、「員」を取ってはどうかと思います。

○廣松座長 ありがとうございます。
 どうぞ。

○柏女委員 議論に十分参加をしないままにここまで言っていいのかどうかわからないのですが、11ページの調査の方法についてです。例えば5番の前の一番最後のところに、なお書きでもいいのでこういうことが入れられないかということの御提案です。
 この間、調査手法が変更されてきていますので、その影響等についてここで触れる必要はないのかどうかということです。つまり、調査手法を変更する場合には、その影響等について慎重に考慮の上、判断をすべきであるとか、もう一つは、調査方法を変更したことの影響について精査、フォローアップしていく必要があるといったようなことを入れてはどうかというふうにちょっと思いました。この間、調査の手法が、縦断調査であれば調査員調査から郵送調査に変わりましたし、行政ルートから民間事業者委託、いわば市場化テストのほうに幾つかの調査が変わっております。私個人的にはその影響が非常に大きいと思っていますので、それらをこの中になお書きでもいいので入れてはどうかと思いました。
 この報告書自体は、省内事業仕分けの報告書に取り上げられたことを検討するということなのでしょうけれども、テーマが「改善方策について」ということなので、それ以外のことを入れてもいいのではないかと思って、そのことはぜひ伝えておいたほうがいいのではないかと思いました。
 以上です。

○廣松座長 ありがとうございました。
 大変貴重な御意見だと思います。
 大江委員、どうぞ。

○大江委員 少し細かいこと、表現上の問題だけです。
 まず、5ページの「(2)取組の方向性」のところだけ、ほかのテーマの方向性の書きぶりと少し違っています。5ページの部分は○が5つありますが、そのうち幾つかが末尾に「必要である」というのがついているのですが、これはこういう言い回しではなくて、例えば2つ目の○であれば「活用する」、3つ目の○であれば「検討する」のほうがストレートでわかりやすいのではないか。5つ目の○も「工夫する」でとめたほうがいいように思いました。
 7ページの「(2)取組の方向性」の1つ目の○で、先ほど玄田委員から少し触れられたところですが、この文は、本来は1年以内に公表すべきであるという目標があるにもかかわらず、遅れるのはやむを得ないので、遅れる場合には2段階に分けて出すということであって、すぐ上に書かれている「公表の早期化の方策」とはちょっと言えないような気がします。2段階に分けて公表するということであれば、この報告書だけ読むと、6ページの末尾に既に行っている措置として「第1報として概要版を公表」ということが書かれていて、既に2段階方式はとっているということになりますので、それに加えた新たな方策というふうには読み取りにくいので、ちょっと検討いただいたほうがいいのではないかと思います。
 先ほど来議論されている11ページの「調査員の質・量を確保するため」というところですが、私はその後がちょっとわかりにくいなと思ったのです。その後に書かれている「政府全体の取り組みを踏まえつつ」というのが、この報告書のそれより前のところで現在、政府でどういう取り組みが行われているかということがはっきりと読み取れないので、ここは、政府全体ではこれこれこういった取り組みが行われていることを踏まえつつというふうに少し内容を書きおろしていただいたほうが読む人にとってはわかりやすいと思いました。
 以上です。

○廣松座長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○阿藤委員 確認です。5ページの(2)の4つ目の○です。先ほど政府のロゴマークの説明で、これは事業所の調査だけにつけるというふうな説明ではなかったですか。世帯の調査にもつけられるのですか。

○廣松座長 はい、そうです。

○阿藤委員 わかりました。

○廣松座長 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○齋藤委員 これは私の理解だから間違っているかもしれませんけれども、今日中間報告書(素案)として、今まで議論してきたことの骨子をただ羅列しているだけだと思うような感じがするのです。最終的な報告書というのは文章の形にするので、今、骨子について大きい問題点があれば言ってもいいですけれとも、「てにをは」まで言っても、文章になったときにもう一遍やらなければいけないのではないかという気がするのです。

○廣松座長 その点は御指摘のとおりでございまして、12ページに書いてございますとおり、まだ検討しなければいけない課題もたくさん残っておりますので、最終報告書はそれらも全部盛り込んだ形で報告書にしますので、細部の表現上の詰めは当然必要だと思いますが、とりあえず今の段階でお気づきの点をご指摘いただいて、なるべく早く改善できればという趣旨でございます。
 時間も迫っておりますので、私がちょっと気のつきました点を一言だけ申し上げます。
 特に民間事業者への委託についてです。その点について、先ほど柏女委員からも御指摘がございましたが、市場化テスト、すなわち公共サービス改革法の対象になっている統計調査に関しては、内閣府の中に委員会があり、仕様書等がもうかなり固まっておりまして、それを公共サービス改革推進室で審議をし、情報公開もかなり厳しく求めております。
 したがって、その部分はいいのですが、一般統計で法の対象になっていなくて民間に委託をしている場合の扱いというのはちょっと微妙なところがあることも事実でございます。
 例えば6ページのところに「外注仕様書の見直し」という項目が入っておりますが、これは、民間事業者側からいくと、もっと情報を公開してくれという要望にもなりますし、発注する側から言うと、先ほどいろいろ議論が出ましたとおり、民間事業者にこれだけのことは必ずやってほしいという意味での見直しということにもなります。民間委託の件に関して幾つか散乱しているところがございますので、それらのまとめ方については後ほど事務局と相談をしたいと思います。
 ほかにいかがでしょうか。これは当然のことながら素案であって、今日初めて皆様方に御覧いただくものでございますので、これをたたき台にした上で、さらに今後検討すべき課題、11ページのところにありますアクセスの部分、12ページにあります今後検討すべき課題等を御検討いただくのと同時並行的に、この報告書の取りまとめの作業を進めていくということになろうかと思います。
 ただ、中間報告としては一応この3月末に公表する予定にしておりますので、今日の段階のものに関しましていろいろお気づきの点がおありだろうと思いますので、それらについては後ほど事務局のほうにお申し出いただければ幸いでございます。
 ということで、一応予定をしておりました議事は以上でございますけれども、全体を通じまして御発言ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 では、事務局のほうから今後のスケジュールに関して説明をお願いいたします。

○辻田企画課長 大変長時間にわたり、あるいは貴重な意見をいただきまして本当にありがとうございます。
 中間報告書につきましては、今回御議論いただいたものも報告書の中に反映をさせて、座長とも別途御相談をさせていただいた上で、次回提示をさせていただきたいと思っております。
 次回の検討会の開催につきましては3月を予定しておりますけれども、日程等については別途調整をし、改めて御案内をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、これをもちまして本日の検討会は終了させていただきます。
 本日はお忙しい中、本当にありがとうございました。

○廣松座長 どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

大臣官房統計情報部企画課
統計企画調整室

統計企画係: 03-5253-1111(内線7373)

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