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2012年12月3日 第54回労働政策審議会障害者雇用分科会 議事録

職業安定局高齢・障害者雇用対策部障害者雇用対策課

○日時

平成24年12月3日(月)
16時00分~18時00分


○場所

厚生労働省専用第23会議室(19階)


○出席者

【公益委員】今野委員、岩村委員、武石委員
【労働者代表】桑原委員、杉山委員、斗内委員、冨高委員、南部委員
【使用者代表】高橋委員、中村委員、萩原委員、小林氏
【障害者代表】川崎委員、北原委員、竹下委員
【事務局】岡崎職業安定局長、小川高齢・障害者雇用対策部長、山田障害者雇用対策課長、金田地域就労支援室長、松永障害者雇用対策課調査官、田窪主任障害者雇用専門官、安達障害者雇用対策課長補佐

○議題

(1)障害者雇用促進制度における障害者の範囲等についてマル2
 ・ 前回の議論の整理
(2)地域の就労支援の在り方について
(3)その他

○議事

○今野分科会長
 お揃いですので、ただいまから第54回労働政策審議会障害者雇用分科会を開催いたします。本日は菊池委員、野中委員、松爲委員、塩野委員、栗原委員、阿部委員が御欠席です。なお、欠席の栗原委員の代理として、全国中小企業団体中央会労働政策部長の小林信さんが出席をされております。よろしくお願いします。
 議事に入る前にいつもと同じですが、発言される前には手を挙げていただいて、私が指名いたしますので、氏名を言っていただいて発言をしていただければと思います。
 議事に入ります。お手元の議事次第にありますように、最初は「障害者雇用促進制度における障害者の範囲等についてマル2」の前回の議論の整理、次は「地域の就労支援の在り方について」です。最初の議題について、事務局から説明をお願いします。
○障害者雇用対策課調査官
 障害者雇用対策課調査官の松永です。お配りしております資料1を使いまして、前回の議論の整理について御説明したいと思います。大きな柱の一つ目、「障害者雇用促進制度における障害者の範囲」です。(1)の一つ目の○は、現行の障害者雇用促進制度における障害者については「長期にわたる職業生活上の相当の制限」を個別に判断をしている。例えば、手帳を所持しない発達障害者、難治性疾患患者等で「長期にわたり、職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な者」についても法の対象に含まれていることから、本来対象とすべき者が障害者とされていることと整理しています。二つ目の○は、この法律における障害者の定義規定については、障害者の範囲について見直しが必要な状況にはないが、改正障害者基本法との整合性の確保、対象の明確化の観点から、法制的な検討を行うべきであることとしております。
 (2)就労の困難さに視点を置いた判断の在り方については、現行法の対象となる障害者であることの判断は、医学的判断に加え、「長期にわたる職業生活上の相当の制限」を個別に判断しており、就労の困難さに視点を置いたものと評価できることとしております。次の○は、一方で、就労の困難さは障害特性により多様であることに加え、企業の職場環境や本人の希望職種などによっても異なるため、判断のための一律の基準を作ることは困難であるが、医療機関や支援機関の担当者等からの情報も参考にしながら判断することを通じて、就労の困難さについての判断の精度を高めることが必要であるとしております。また、この判断の精度を高めるとともに、障害者本人の状況に応じた就労支援を適切に行うため、医療機関や支援機関も含めた人材育成も重要であることとしております。
 2ページの大きな柱の二つ目の「障害者雇用率制度における障害者の範囲等」です。(1)雇用義務制度の趣旨・目的については、前回の論点でも提示しましたが、雇用義務制度は、雇用の場を確保することが極めて困難な者に対し、社会連帯の理念の下で、全ての企業に雇用義務を課すものである。したがって、企業が社会的な責任を果たすための前提として、一つ目は企業がその対象者を雇用できる一定の環境が整っていること。二つ目は対象範囲が明確であり、公正、一律性が担保されることが必要であることとしております。
 その上で(2)精神障害者の取扱いの一つ目の○については、精神障害者の雇用環境は改善され、義務化に向けた条件整備は着実に進展してきたと考えられることから、精神障害者を雇用義務の対象とすることが適当であるという御意見があった一方、義務化の意味合いは非常に重いことから慎重であるべきとの意見があった。さらに、精神障害者の雇用環境に関する状況についての検証が不可欠であり、更に議論する必要があるとの意見があったということで、それぞれの御意見を併記しております。次に実施時期の関係ですが、仮に精神障害者を雇用義務の対象とした場合であっても、その実施時期については、企業の経営環境や企業総体としての納得感といった観点を踏まえて、十分な準備期間が必要であるとの御意見があった一方、十分な準備期間は必要であるが実施時期については余り先延ばしすべきではないという御意見があったということで、ここも両論併記しております。また、精神障害者の雇用義務化に当たっては、企業内で理解を得られる環境作り、個人と企業とのマッチングや定着を支援するための体制整備や経済的な支援、企業と外部の支援機関が連携をして支援していく体制の充実を図ることが必要であることとしております。精神障害者を雇用義務の対象とする場合の対象者の把握・確認方法は、精神障害の特性やプライバシーへの配慮、公正、一律性等の観点から、精神障害者保健福祉手帳で判断することが適当であることとしております。その際、本人の意に反し、手帳の取得が強要されることがないようにすべきではないかという御意見があったということです。
 3ページの(3)その他の障害者についてです。手帳を所持しない発達障害者、難治性疾患患者等のその他の障害者については、一つ目は、企業における雇用管理ノウハウの蓄積や企業の雇用環境の改善を更に進めていくとともに、地域の就労支援の体制作りやネットワークの構築を進めていくこと。もう一つは、対象範囲が明確でなく、公正・一律性が担保されていないことから、職業生活上の困難さを把握・判断するための研究を行っていくことが必要であること。その上で、雇用義務制度の趣旨・目的を踏まえると、障害者手帳を所持しない発達障害者、難治性疾患患者等のその他の障害者については、現時点では雇用義務の対象とすることは困難であることとしております。
 三つ目の柱は、「障害者雇用率制度に関するその他の論点」です。4ページです。(1)のダブルカウント制度については、就労の困難度の高い重度障害者の雇用促進に一定の役割を果たしてきた等で、ダブルカウント制度は継続していくことが必要であることとしております。次の○で、一方で、重度障害者の基準について、実態に応じた見直しを検討していくべきとの御意見があった一方で、就労の困難さは障害特性により多様であること等を踏まえると、新たな基準を定めるのは困難との意見があったということで、それぞれの意見を入れております。
 (2)特例子会社制度については、知的障害者をはじめとする障害者の雇用促進に果たしてきた役割は大きいということで、特例子会社制度は継続していくことが必要であることとしております。一方、今後の役割についてはノーマライゼーションの観点も踏まえ、今後は、特別に配慮が必要な障害者の雇用の創出という機能のみならず、その子会社で蓄積した障害者雇用に関するノウハウを普及・啓発させる等の役割が期待されるのではないかといった御意見。特例子会社で雇用される障害者について、キャリア形成をより積極的に行うことが必要ではないか、労働条件などの面でも適切な取扱いがなされるようにすべきだといった御意見があったということです。
 (3)派遣労働者については、派遣労働は複雑な雇用形態であること等から、引き続き、派遣労働者としての障害者雇用のニーズの動向等を見た上で検討すべきであるということにしております。
 以上が、前回までの議論の整理です。なお、前回の分科会で御指摘をいただいた地域別のデータ等々については参考資料の3以下、特に参考資料6でまとめておりますが、これについては議題2にも関係してきますので、次の議題2のときに改めて御説明をさせていただきたいと思っております。まずは資料1の内容について御確認いただき、御意見等があればお願いしたいと思います。私からは以上です。
○今野分科会長
 前回の議論を整理していただきましたので、整理が不十分だという点があれば御意見をいただきたいことと、言い残したことがあったということもありましたら、それも含めて御意見をいただければと思います。
○萩原委員
 萩原です。資料1の1ページの(1)の二つ目の○の2行目です。障害者の範囲について、今回は見直しが必要な状況にないということですので、そのあとの「改正障害者基本法との整合性の確保」は、より正確を期すために「表現の整合性の確保」や、「規定ぶりの整合性の確保」という言い方にできないのかというのが1点目です。
 2点目は質問です。そのページの(2)の一つ目の○に「障害者であることの判断」とありますが、この判断というのはどちらがやることになっているのかという質問です。企業がやるのか、ハローワークがやるのかの確認をしたいです。
○今野分科会長
 まずは2点目からいきましょう。
○障害者雇用対策課課長補佐
 事務局の障害者雇用対策課課長補佐の安達です。1点目については検討させていただきます。2点目については、ハローワークの現場で職業紹介等々を行う場合には、当然ハローワークの現場において行うということで対応させていただくことになると思います。さらに、前回のシリーズでありました、例えば合理的配慮等々が対象という障害者の判断については、まずは事業主ということになると思いますが、あの場での議論では、事業主が判断することはなかなか困難な場合があることを踏まえて、ハローワーク等も含めて支援等を行うことが必要という御議論をいただいたと理解しております。
○萩原委員
 萩原です。後段はおっしゃるとおりだったと思いますが、最終的に判断権はどちらにあるということになりますか。
○障害者雇用対策課課長補佐
 事務局の障害者雇用対策課課長補佐の安達です。判断権というのは、どういう用語で使われているのかは私もこの場で判断しづらいところはありますが、いずれにしろ現行の障害者雇用促進法で判断するに当たって、ハローワーク等で行っている障害者の判断という部分と乖離しないような形で適切に判断されるということが必要で、まずは企業で行うことになるにしろ、ハローワークで行うことになるにしろ、障害者の判断が適切に明確に行われることが必要だと考えております。
○萩原委員
 萩原です。企業が仮に判断をしたときに、それが違うというかの議論が起こり得ると思いますが、そのときの最終的な確認は厚労省あるいは最終的には司法ということになってしまうのでしょうか。
○今野分科会長
 その前に、具体的にどういうことを心配されているのかを言われたほうが。その前に、これは政策上の支援を前提にしているから行政が判断する、ハローワークだと思いますが、それを越えて何を心配されているのかを言っていただいたほうが。
○萩原委員
 ハローワークが判断されているのであれば、それで結構ですが、要は企業側が全面的な挙証責任を負わされるということになればつらいと正直思ったものですから、伺った次第です。
○今野分科会長
 それは雇用義務との関係でですか。
○萩原委員
 萩原です。雇用義務もあると思いますし、合理的な配慮を適用するか否かの場合もあると思います。
○障害者雇用対策課課長補佐
 事務局の障害者雇用対策課課長補佐の安達です。個別の事案がどういうものなのかというのはあると思いますが、繰り返しますが、事業主のみで判断するのがなかなか難しい場合というのもある。具体的に議論になっていたのは、内部障害などのケースの議論だったと思いますが、そういう場合において、事業主が全て判断を負うというのは難しいこともあるので、外部の支援機関が、これは現在でも、例えば様々な助成制度をする際には障害者であるということの判断を行っているわけですが、そういう支援機関等が、障害者であることを判断する部分のアドバイスを適切に行う必要があるというようなことかなと思っております。
○萩原委員
 外部の支援機関等のアドバイスを得ながら判断すれば、そんなに大きな問題は起きないだろうということで理解すればよろしいでしょうか。
○障害者雇用対策課課長補佐
 障害者雇用対策課課長補佐の安達です。そういう形で対応ができるのではないかと考えておりますが、逆に、もしそれでは足りないというようであれば、この場で御指摘いただければと考えております。
○萩原委員
 萩原です。そういう意味で、私も良い知恵があるわけではないのですが、企業側が一律的に責任を負うような形で判断をさせられることにならなければ、それで良いかなと思っています。ある程度、外部の有識者のアドバイスを得れば、そんなにおかしな判断ではなかったということであれば、それで結構です。
○今野分科会長
 そういう御意見があったということで受け取っておきましょうか。多分、合理的配慮も非常に多様なので、合理的配慮をする仕掛けを用意しておいて、個別に判断しましょうということになっていますよね。その範囲内かなと思いますが、そのときも今後どうするかというのは、今後、更に専門家の人たちが集まって議論されると思います。何かありますか。
○職業安定局長
 職業安定局長です。恐らく、今、差別の禁止とか合理的配慮のところでどうなるかという御心配だとすると、これまでの議論の中で障害を持っていることによって何が働く上でネックになっているか、それに対してどういう合理的配慮をするかについては企業の中でまず話をして、必要であれば外部の支援機関がやって、難しければ労働局等に、これから紛争解決するには更に議論していきますが、そういうところでもという方向になってきていて、その中で、そもそも障害をお持ちかどうか。障害を持っているから何かがネックになっているかどうか。それに対して合理的配慮になるか。それは一連のものとして議論されますので、企業だけが一方的にということではなくて、その紛争解決の過程の中で、基本的には労働局なり支援機関を含めて、適切な対応がなされることになってくるのではないか。むしろ、そういう紛争解決手段の中で、今の御心配のところも解決できるようなことを作り上げていく必要があるのではないかなと考えております。
○中村委員
 中村です。前回、精神障害者の離職について質問したのですが、参考資料の6の6ページに、精神障害者の在職期間が6か月以上は49.1%と表示されています。この数字は健常者あるいは身体や知的障害者と比べてどう評価したらいいのかの御意見を伺いたいと思います。
○障害者雇用対策課長
 障害者雇用対策課長です。これと全く同一の健常者のデータは存在していません。これは精神障害者の職場定着の状況を調べるために、スポットでハローワークで調査したものなので、同一のデータはないです。その資料を御指摘されたので、6ページの最初の○の上から3行目の「2月27日時点」というのは間違いで入ってしまっているので、ここで言っているのは平成20年7月からその年の10月までに就職した人で、平成21年10月末時点での職場定着の状況がどうなっているのかという数字になります。これはマックスでも16か月という数字しか出ませんので、その中で割合を求めると右にあるようなグラフになっているということになります。あえて健常者との比較ということであれば、7ページに障害者の平均勤続年数の推移というのを載せていますが、健常者の平均勤続年数というのは11年6か月という数字になっています。これは、健常者と比較できる数字で、定着そのものという数字ではないですが、勤続年数ということであれば健常者との比較ができる数字が存在します。
○高橋委員
 高橋です。資料1の4ページの特例子会社の2番目の○の一番最後の部分です。意見ですので、そこまでこだわらないでくださいと言われるかもしれませんが、「労働条件などの面でも適切な取扱いがなされるようにすべき」という意見については、あたかも現在特例子会社において、労働条件などでも適切な取扱いがなされていないかのような印象を与えてミスリードしますので、前回の御議論を踏まえて必要な修正をしたほうが良いのではないかと思います。以上です。
○今野分科会長
 これは前回、松爲さんが言われたことですよね。松爲さんの趣旨は、障害者もキャリアをきちんと積められるようにしてほしいという趣旨だったと思います。
○高橋委員
 それは最初のほうに書いてあります。
○今野分科会長
 だからキャリアを積めば、それに従って労働条件が上がりますよね。松爲さんが言われたのはそのような意味なので、もし誤解を招くようだったら少し修正をする。
○障害者雇用対策課課長補佐
 事務局の障害者雇用対策課課長補佐の安達です。前回、この部分は竹下委員が御指摘いただいた部分でもありますが、分科会長がおっしゃったとおり、ここは全体として意見があったというところでもありますので、全体の中でどういう書きぶりが良いかについては御指摘いただいた上で、修正が必要だということであれば修正をさせていただこうと思っております。
○今野分科会長
 いずれにしても、先ほどの萩原委員の意見も含めて修正しますので、そのときにまた改めてみていただいて、私は先ほど言ったような趣旨だと思っていますが、もう一度前回の発言を精査して考えさせていただくことにいたします。ほかにいかがでしょうか。
○斗内委員
 斗内です。2ページの下の(2)精神障害者の取扱いの○の二つ目の後段部分の「十分な準備期間は必要であるが、実施時期についてはあまり先延ばしすべきではないという意見があった」というのは、多分私の発言の趣旨を捉えてお書きいただいているのだと思います。前段のところにもありますように、障害者の雇用の義務化に向けた環境整備が進展してきていることを踏まえると、趣旨としては義務化という時期については、いたずらに先延ばしをするべきではないということを申し上げました。その後の議論でもありますように、必要とされる準備期間があるということは認識しております。ただ、「十分な準備期間」という前段の部分と同じ言葉で表現をされておりますが、背景というか考え方の趣旨というものに若干ニュアンスが違うものがあると思いますので、今後の意見書などの作成に当たっては、その辺も考慮いただければと思っておる次第です。
○今野分科会長
 簡単に言うと、この「十分な」を取ってしまえばいいわけね。
○斗内委員
 そうです。
○今野分科会長
 準備期間は必要であるということは皆さん合意されているので、そういう御意見でいいですね。取ってしまえばいいと。前半の「十分な準備期間は必要である」の意見の一方の「十分」は必要ですが、後段のそれ以降の「十分な」が要らないと。
○斗内委員
 そうです。
○今野分科会長
 それはそれで、前回の議論を踏まえるといいのではないですか。また、ほかの件と同じように全体を精査させていただきますが、とりあえず私の意見としては「十分な」を取ってしまえばいいかなと思っています。ほかにいかがでしょうか。
○杉山委員
 杉山です。参考資料6の2ページに関して、後ほど御説明があるという話だったのですが、今扱っている議題と絡むものですから、ここで発言させていただきます。前回、実施時期の関係で、知的障害者の実雇用率のカウント開始から雇用義務化に至るまでがどういう状況だったかは、一つの参考になるのではないかという発言をさせていただいて、あれからよくこんなに短い時間で資料をまとめていただいたなと思いますが、参考資料6の2ページのような形でまとめていただきました。改めてこの数字を見させていただくと、知的障害者と精神障害者を単純に比較する必要はないと思いますが、いずれもカウント開始時から非常に大きな伸びがあるのは紛れもない事実だと思っています。そういった意味で、雇用義務の時期等々を考える中でも、この辺は一つ大きな参考になるのではないかと思いますので、その旨、発言させていただきたいと思います。以上です。
○今野分科会長
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。資料1は、もう一度今日の議論を踏まえて修正をさせていただきます。
 次の議題に入りたいと思います。次は、「地域の就労支援の在り方について」です。まず、資料の説明からお願いします。
○障害者雇用対策課調査官
 障害者雇用対策課の松永です。議題2について、まずは資料2を使って御説明をしたいと思います。大きな論点として、「地域の就労支援をめぐる課題について」ということで、三つあった研究会のうちの「地域の就労支援の在り方に関する研究会」、いわゆる第三研究会と言われるものの報告書を踏まえて、今後の地域の就労支援の在り方についてどう考えるかということを議論していただければと思います。具体的にはそこにありますが、一つ目は中小企業等のニーズを踏まえた支援の強化。二つ目は精神障害者、発達障害者等の障害特性を踏まえた就労支援機関による支援の強化をどうするか。三つ目は、雇用障害者の増加を踏まえた職場定着支援の強化。四つ目は「教育」「福祉」「医療」から「雇用」への流れを促進する観点からの企業見学や職場実習等の促進。それから、地域における就労支援機能の強化。そのほか、地域の就労支援について取り組むべき課題はあるかということで御議論いただければと思います。
 具体的には、その下の第三研究会の報告書の「まとめ」の部分を抜粋しておりますが、そこにもあるように平成19年当時と比べて、新たな課題が生じているということです。一つ目のポツの下線を引いてあるところですが、今後は、これまで以上に「雇用」と「福祉」との間に密接な連携が必要になってきていること。二つ目のポツは中小企業への関係で、中小企業に対する支援の強化が必要になっていること。特に障害者を雇用する企業の不安を解消するとともに、企業を地域の就労支援ネットワークの構成員としていくことが重要であるとされております。三つ目のポツは、就労支援機関の関係です。これまでずっと増加しておりまして、それぞれの機関間の連携といったものも図られてきているわけですが、下に就労移行支援事業所については、事業所間の差が大きい。また、就業・生活支援センターについても、センター間に差がみられるといったことが言われております。次のページになりますが、就労支援機関自体が整備されていない地域もありまして、地域間の差が大きくなってきていることも言われております。次のポツは、精神障害や発達障害、高次脳機能障害、難病など、従来の手法では対応が難しい障害者に関する取扱いへの支援の必要性が高まっている。特に、精神障害者については、医療機関を利用している場合が多いわけですが、こういった医療機関との連携も図りつつ、「医療」から「雇用」への流れを一層促進する必要があるとされております。
 次が職場定着の関係で、職場定着のために生活支援を含めてどういった支援が必要か、特に、長期にわたる継続的な職場定着支援をどう行っていくかが、大きな課題となっているとされております。それから、加齢に伴って能力が低下した障害者に対する配慮や福祉へのソフトランディングについても大きな課題となっています。最後のポツは、「教育」「福祉」から「雇用」への流れを一層促進する観点から、企業見学や職場実習等を通じた企業理解の促進を推進すべきといった御意見をいただいております。その中でも、職場実習や企業見学は、まず教員や施設の職員、保護者にとっても、企業を直接知るために効果的なものですし、障害者本人が自らの将来の選択肢を広げるためにも、効果がありますし、企業にとっても障害者の特性や職務遂行能力を確認するための手段としても効果的であるということが指摘されております。以上のような報告書の内容も踏まえて御議論いただければと思っておりますが、この議論の参考のために、参考資料3~6に、最近の障害者雇用の状況や現在の障害者雇用対策の概要について資料を用意しております。それぞれごく簡単にこの概略を説明したいと思います。
 参考資料3を御覧いただければと思います。こちらは、近年の障害者の雇用状況に関する全国ベースの数字です。1ページは、今年の6・1報告の民間企業の雇用の状況です。前回の分科会でも御報告をしましたが、実雇用率は1.69、雇用者数は38万人ということで、9年連続で過去最高を更新している資料です。2ページは、今の数字を障害種別に見たものです。真ん中の太線は身体、知的、精神障害いずれも伸びておりまして、特に精神障害者の雇用の伸びが大きいということです。下の段は達成企業数の状況ですが、達成企業割合も徐々に増加しています。
 3ページは、公的機関の障害者の雇用状況です。国、都道府県、市町村は法定雇用率を満たしているわけですが、教育委員会についてはまだ未達成が多いということです。下の段が障害種別のデータですが、公的機関でも精神障害者の伸びが大きいです。4ページは、企業規模別に見た状況です。平成9年以前は中小企業が牽引してきたわけですが、最近では大企業が大きく伸びています。
 5ページは、ハローワークにおける障害者の職業紹介状況です。新規求職申込件数、就職件数の推移はいずれも伸びてきていて、就職件数は6万件と過去最高を更新しています。6ページは、いまの職業紹介状況を障害種別に見たものです。左側が身体障害者になりまして、これが一番多いわけですが、就職件数は2万5,000件です。知的障害者は右側ですが、新規求職件数が右肩上がりで伸びてきていて、就職件数は約1万4,000件です。7ページは精神障害者とその他になりますが、精神障害者は新規求職、就職件数ともに右肩上がりで伸びており、就職件数は1万9,000件。その他も伸びておりますが、就職件数は1,300件となっていて、ほかの障害と比べるとまだ数は少ないです。
 参考資料4を御覧いただければと思います。主な地域の就労支援機関の概要ということで、ハローワークと地域障害者職業センター、就業・生活支援センターについて簡単に御紹介をしたいと思います。
 (1)のハローワークは、国の第一線機関で全国545か所に設置されております。先ほども説明しましたが、新規求職申込や就職件数ともに大きく増加しています。(2)は地域障害者職業センターです。これは高・障・求機構の機関で、おおむね各都道府県に一つずつ設置をするというものです。こちらも利用者数、職業リハビリテーション計画作成件数ともに大きく伸びています。(3)は就業・生活支援センターで、社会福祉法人、NPO等が運営する機関で、おおむね各地方の福祉圏域に一つずつ設置するというものです。現在316センターありまして、今後、全ての福祉圏域に設置することを目標でやっていて、現在のところ1センター当たりの支援対象者数、就職件数も増えています。今の関係で2ページ以降が個別の資料になります。
 2ページがハローワークにおける取組で、ここは御承置のとおり三つの大きな柱がありまして、一つ目は雇用率達成指導の強化。二つ目は障害者に対する支援ということで、職業紹介や相談といった取組。三つ目は事業主に対する支援として、職業紹介、求人開拓、助成金、定着指導といったものがあるということです。
 3ページは、ハローワークで行っている取組の中の「チーム支援」です。これは障害者1人に対して、ハローワークや福祉施設、専門機関等の職員がチームを結成して、就職から定着までの一貫した支援を行っているというものです。右下に昨年度の実績を載せておりますが、支援対象者は約1万9,000人、就職者数は約9,900人、就職率は52%となっております。
 4ページは、地域障害者職業センターの概要です。このセンターは、障害者への専門的な職業リハビリテーションを提供する施設ということで、そこにあるように職業評価から始まりまして、職業準備支援、ジョブコーチ支援、精神障害者への総合雇用支援、事業主への相談・援助、地域の関係機関に対する助言・援助等をやっています。
 5ページは、その中のジョブコーチによる支援の資料です。これは御承知のとおり、職場にジョブコーチを派遣して、障害者の職場適応を容易にするための援助をやっております。右下に実績がありますが、現在1,200人ほどおりまして、昨年度の地域職業センターでは支援対象者3,300人で、支援終了後6か月後の職場定着率は87%となっております。
 6ページは、就業・生活支援センターの概要です。このセンターも御承知のとおり、就業面と生活面での一体的な相談・支援を行っています。実績はその下の四角のところに載せておりますが、平成23年度末現在の支援対象者は9万5,000人、昨年度の就職件数は1万4,000件、就職率は69%です。
 参考資料5です。先ほどの論点にありました障害特性に応じた雇用支援施策をまとめたものです。身体や知的障害については障害類型にかかわらず、一般的な障害者雇用支援を行っているわけですが、精神障害や発達障害、難治性疾患の患者については一般的な取組に加えて、それぞれの特性に応じた特別の支援をやっております。
 1ページは、精神障害者向けの主な支援メニューを一覧にしたものです。右側が一般的な障害者雇用支援メニューで、精神障害者も利用できるもので、職業相談・職業紹介等々の取組があるというものです。左側が精神障害の特性に応じた支援メニューで、一覧に載せております。具体的な話は2ページ以降で説明します。
 2ページは、精神障害者雇用トータルサポーターです。これはハローワークに精神保健福祉士等の専門家を配置して、本人に対する専門的なカウンセリングや就職準備プログラムの実施といったものを行っています。上の四角の中に実績を載せておりますが、相談支援を終了した者のうち、就職や職業訓練等の次のステップに移行できた者の割合は77%です。
 3ページは、「精神障害者等ステップアップ雇用」奨励金です。これは一定程度の期間をかけて、段階的に就業時間を増やしながら常用雇用につなげていくという取組を行う事業主に対する助成です。実績は右の四角の真ん中にありますが、昨年度は開始者数が327人、常用雇用への移行率は42%です。
 4ページは、精神障害者雇用安定奨励金です。これは精神障害者の職場定着を図るために、カウンセリング等を行う専門家を新たに雇用するなどの取組を行う事業主に対する助成金です。こちらは、昨年度の実績は3件です。
 5ページは、精神障害者に対する総合的な雇用支援です。これは地域の障害者職業センターで、精神障害者に対して雇用する前や雇用後の雇用継続支援、雇用したあとに休んでしまった者の職場復帰支援を実施していますが、真ん中の太い四角にあるように、職場復帰支援で大きな役割を果たしています。下に実績がありますが、職場復帰支援で実際に復職した方は85%です。
 6ページは、医療機関等との連携によるジョブガイダンス事業です。これはハローワークの職員が医療機関に出向きまして、精神障害者や医療関係者に対して就職に関するガイダンスを行って、職業意識の高揚や医療関係者に対する就職に関する理解を促進するための取組を実施しています。昨年度は、全国で377の医療機関や福祉施設で約1,700人がガイダンスを受講しています。
 7ページは、精神障害者の雇用への理解促進のための周知・啓発の取組です。左上にあるように、働く障害者からのメッセージ発信事業や、その下の精神障害者の雇用のモデル事業を実施して、その成果を普及させるような取組や、右側の精神障害者の雇用管理のノウハウ、好事例集みたいなものをガイドブックにして普及を図っています。
 8ページ以降は、発達障害者に対する支援施策です。8ページは支援メニューの一覧になっていて、精神障害のものと同様に、右側は一般的な施策で発達障害者も利用できるもの、左側は発達障害者の特性に応じた施策になっております。左側の施策について9ページ以降で、簡単に概略を説明したいと思います。
 9ページは、若年コミュニケーション能力要支援者就職プログラムです。これは発達障害等の要因でコミュニケーション能力に困難を抱えている求職者に対するもので、ハローワークで専門のナビゲーターを配置して、本人が希望する場合は専門支援機関への誘導をしたり、希望しない場合でも専門のナビゲーターが発達障害等の特性に応じた個別の相談支援などを実施するものです。実績はその左下にありますが、昨年度の新規対象者が2,600人、就職率は48%です。
 10ページは、発達障害者就労支援者育成事業です。これは、発達障害者の就労支援を行っているものに対するノウハウの提供のための講習会や体験交流会を実施するほか、右側の欄にありますが事業所で職場実習をやってもらうということで、雇用のきっかけ作りをしている事業です。
 11ページは、発達障害者雇用開発助成金です。これは障害者手帳を持っていない発達障害者に対する施策で、手帳を持っていない発達障害者を雇い入れて雇用管理に関する事項を把握・報告する事業主に対して助成をするものです。実績は右上にありますが、昨年度は63件ありまして、うち雇入れに至ったものは41件です。
 12ページは、発達障害者に対する体系的支援プログラムです。これは高・障・求機構で、発達障害者に対する職業リハビリテーションの支援技法の開発を行っていて、その成果物を活用して、地域障害者職業センターで試行的に支援を実施するものです。一番左にありますように、センター内に模擬的に職場を作りまして、そこでの模擬訓練みたいなものを通じて仕事に必要な技能を学ぶことが特徴になっています。
 13ページ以降は、難治性疾患患者に対する支援策です。13ページは支援メニューの一覧になっていて、これもほかの障害と同様、右側が一般的な施策、左側が難治性疾患患者の特性に応じた施策になっております。この左側の施策について、14ページ以降で個別に説明したいと思います。
 14ページは、難治性疾患患者雇用開発助成金です。これは、手帳を持っていない難治性疾患患者に対するもので、先ほど御説明した発達障害者雇用開発助成金のいわゆる難病版です。実績は右上にありますが、昨年度支給件数236件ありまして、うち雇入件数は239件です。
 15ページは、難治性疾患患者の就労に関するマニュアルです。これは主な難治性疾患について、それぞれどういう病気なのか。そういった難治性疾患患者が就労する際に、事業主はどういう配慮をすれば良いかといったことなどをガイドブックにしてまとめています。
 最後は、参考資料6についての説明をさせていただきます。参考資料6は、前回の分科会で御指摘をいただいた地域別のデータ等を中心にまとめています。2ページは先ほどの議論でも出ましたが、知的障害や精神障害について、実雇用率のカウント対象となった時期から雇用義務化の検討時期に至るまでの雇用状況の変化をまとめたものです。上の段が6・1の報告による障害者の雇用者数ということで、見ていただくと知的、精神ともに実雇用率のカウント時から雇用義務化の検討時にかけて、雇用者数が大幅に伸びています。下の段が、ハローワークの就職件数になります。上の段は6・1報告ですので、56人以上の企業からのデータになりますが、下の段は56人未満の企業も含めたトータルの就職件数の推移になります。こちらも、精神障害者は知的障害者に比べて大きく伸びていることが分かるかと思います。
 3ページは、6・1報告ベースの都道府県別、障害種別の雇用者数の状況です。御覧いただきますと、精神障害者についてはどの都道府県でも大幅に伸びていることが分かるかと思います。
 4ページは、ハローワークでの障害者の新規求職申込件数、就職件数といったものを都道府県別、障害種別にまとめたものです。こちらも求職申込件数は全国都道府県で増加しておりますし、精神障害者についてもどの都道府県でも大幅に伸びています。
 5~7ページは、障害者の離職状況に関するデータというオーダーに応じたものです。これは申し訳ないことに、ストレートに離職状況が分かるデータがないので、それに関連するものを分かる範囲で御紹介をしております。5ページが、障害者の解雇者数の都道府県別のデータになります。ここで言う解雇には自己都合退職は含まれていませんが、全体の解雇者数は1,200人、うち精神障害の方の解雇が59人になっています。
 6ページも先ほど議論にありましたが、精神障害者の定着状況をまとめたものです。ハローワークの求職者や就業・生活支援センターの利用者、地域障害者職業センターでのジョブコーチの支援対象者について、就職後6か月後の定着状況を調べたものです。一つ目のハローワークについては、就職後6か月以上在職している者の割合は49%です。二つ目の就業・生活支援センターの利用者についての就職後6か月経過時点での定着状況は71%です。三つ目の地域障害者職業センターのジョブコーチ、支援対象者についての支援終了後の6か月経過時点での定着率は80%です。このように、就業・生活支援センターやジョブコーチの支援により、定着率が向上するという結果が出ています。
 7ページは、障害者で現在働いている方の平均勤続年数の推移をまとめたものです。精神障害者については一番下の段になりますが、平成15年の平均勤続年数が3年9か月ですが、平成18年に実雇用率のカウントができるようになって、その後平成20年の勤続年数が6年4か月と期間が伸びています。ちなみに知的障害者はその上の段ですが、これも平成10年が6年10か月となっておりますが、平成11年に雇用義務化になって、平成15年を見ると勤続年数が9年3か月になって、こちらも期間が伸びています。
 8ページは、ハローワークにおける障害者の専門相談員の配置状況です。一番左がハローワークの数で、その右側に四つ、障害者の専門のナビゲーター、コーディネーター、トータルサポーターの配置数を県別で載せています。これも基本的に、各都道府県の業務量に応じて配置しています。
 9ページは、就業・生活支援センターの実績です。これも支援対象者数、就職件数を都道府県別、障害種別にまとめました。どの都道府県でも精神障害者の支援対象者数、就職件数は伸びています。以上、駆け足になりましたが、参考資料についての説明をさせていただきました。こういったデータ等も参考にしながら、御議論いただければと思います。私からの説明は以上です。
○今野分科会長
 それでは御意見をお願いします。
○川崎委員
 川崎です。資料2の1ページの研究会のまとめの最初の○の・の1番目の最後ですが、今、「雇用」と「福祉」との間の垣根は確実に低くなってきていて、「雇用」と「福祉」との間の密接な連携が必要であるということが言われていて、まさにこのとおりだと思いますが、実際どういう形で連携ができていくのか。今、地域の現状を見ていると、連携というよりか混ざり合ってやっている感じで、例えば地域活動支援センターにメンバーが来て就労したいということを言いますと、そこの地活センターの職員がハローワークのほうに行きなさいと。ハローワークに行きますと、ハローワークのほうで先ほどのいろいろなことから、もう少し支援が必要ということで、地活の職員に就労支援をするように言われて就労支援をしていますが、地活の職員が兼ねてやっているということで、かなり細かな支援ができないということもあります。今「主な地域の就労支援機関の概要」という資料がありまして、ハローワークと職業センターと障害者就業・生活支援センターがありますが、この雇用の機関と実際に地域でやっている民間の就労支援、特に精神は就労支援がないというのが現状です。地活や自立支援で立ち上がりました就労継続、就労移行支援の事業所のほうが就労支援をしておりますが、二つ目のポツに就労支援ネットワークのことが書いてありますが、これは恐らく先ほどのハローワークや職業センターや障害者就業・生活支援センターのネットワーク作りだと思います。そこに企業も入るし地域の就労支援者も入っていくようにして、情報を共有して福祉的就労と促進法の雇用が、今なんとなく流れが一つの方向にいっているところもありますので、なかなかうまく説明できませんが、その辺の整理が必要ではないかなという思いをしております。以上です。
○今野分科会長
 何かありますか。
○主任障害者雇用専門官
 事務局の主任障害者雇用専門官の田窪です。川崎委員から御指摘いただいた部分は、大きく二つあろうかと思います。1点目の連携を取った「福祉」と「雇用」の連携については、先ほど参考資料4の3ページにチーム支援ということで施策を御紹介させていただいておりますが、各機関がバラバラの支援をやっていると、就職という部分での早めの就職、時期を得た就職を逸してはいけないということで、ハローワークが中心となりまして、就労移行支援事業所なり地域センター、それ以外の関係機関全て含めて、個々の人ごとに、どういった支援機関が対応すべきかをケースごとに検討して、一体となって就職に向けて支援をしていきましょう。また、定着のための支援をしていきましょうということをどんどん広げていて、下に実績が書いてありますが、この実績は毎年どんどん伸ばしてきています。こういった取組でバラバラの取組がないようにやっていこうということで、現在進めております。
 2点目のネットワーク作りですが、これは決してハローワークと地域センターと就業・生活支援センターだけの取組ではなくて、就労移行支援なり福祉サイドの部分も含めて、個々の部隊のチーム支援の推進なども含めて進めていこうと取り組んでいて、決して労働関係の部分だけで進めているわけではないことだけは御理解いただければと思っております。以上です。
○竹下委員
 日盲連の竹下です。資料2の関係で確認というか、お願いです。そこに「教育」「福祉」「医療」から「雇用」への流れを促進する観点からの企業見学や職場実習等の促進とありまして、その資料の後半に研究会の報告の概要があって、その後半に「特別支援学校、医療機関等送り出し機関に対する支援」とあります。この部分が、どこまできちんとここで議論されていくのかが気になります。ここに「特別支援学校での取組を充実していくため」、少し飛ばしますが「教員の専門性確保・向上などを支援すること」とあって、さらにそのあとに「教員や保護者に対して、企業実習や企業見学を支援することも」とありますが、視覚障害者の関係は盲学校で職業教育をやっているのは鍼・灸・マッサージをやっている「理療科」と呼ばれる分野ですが、この担当している教員の9割以上が視覚障害者です。そういうところで専門性を維持することは当然ですが、職場実習に行くときに想像してもらったら分かりますが、連れていく生徒が目が悪くて、教員が目が悪かったら補助者が必要なわけです。そういうところがきちんと支援されないと、この部分はお題目で終わってしまうのではないかと。その関係でやっかいなのは、職場介助者というのは民間では非常に広がってきていて素晴らしい制度を実施していただいていますが、盲学校の2、3校を除いては、国もありますし都道府県立もありますが、公務員であるために職場介助者が適用されていません。そういう谷間にあることを考えると、少し公務員に対する合理的配慮という観点と、特別支援学校の関係でも職場実習をやるためにも補助というのは細かい部分ですが、きちんと検討していただくことが必要かと思っております。以上です。
○今野分科会長
 ほかに何かありますか。お聞きしておけばいいですかね。ほかに、いかがでしょうか。
○北原委員
 北原です。私のほうから2点です。一つは、資料2のところで就労の支援機関として福祉関係ですけれども、就労移行支援事業が入っていますので、これについてお聞きします。実はこの就労移行支援事業所の中には、1年経っても一般雇用がゼロという所も現にあるわけです。それで、まずこの就労移行支援事業の一般雇用ですね、このデータを出してもらえないかと思います。
 それから、なぜ一般雇用が低いのかという原因ですけれども、就労移行支援事業所に移行した経緯というのはいくつかあって、一つは、旧体系で言えば通所授産施設から移行して就労支援へ行った所が圧倒的に多い。そういう事業所は多機能化していて、その多機能の中で就労移行支援事業をやっている。今、就労移行について一般雇用に結び付けると報酬単価が上がるとか、そういうのがいろいろあるのですが、なぜ低いかというと、職員の意識がかつての授産の意識なのです。何か作業を施しておけばいいという意識がかなり強い。どうしても就労、雇用というところになかなかいかなくて、いろいろな手当はされているけれども結び付かないところがあるので、是非、こういう就労移行支援事業をいろいろやっている所で、職員の皆さん方の研修あるいは企業の見学だけでなく、意識を変えていく作業が必要ではないかと考えています。
 もう一つは、就業・生活支援センターです。かなり成果は上がっていますけれども、実際問題になっているのは生活支援のところの手が薄くてなかなか手が回らない。実際に働いている人たちの生活支援がなかなか難しいところがあります。人員を増やせば一番良いのでしょうが、現場はそうはいかないといったことで、特に知的障害で働いている人たちはグループホームを利用している人たちがかなりいて、このグループホームをバックアップしている福祉関係の組織との連携です。当然、就業・生活センターの職員がフォローしていますけれども、併せて例えばグループホーム支援センターなどを持っている所は、そういう所と連携しながら生活支援をしている所もありますから、今の就業・生活支援センターの事業を強化するのと併せて、福祉サイドとの連携をもう少し考えるべきではないかと思っています。
○障害者雇用対策課課長補佐
 障害者雇用対策課の安達です。お問合せのあった1点目、就労移行支援事業所の部分について、一般就労への移行の実績がない就労移行支援事業所があることは承知しています。データということでしたが、直近の平成23年4月現在で約36%の就労移行支援事業所が、一般就労への移行実績がない状況になっています。このような事業所は先ほど話にもあったとおりノウハウを蓄積していない。それが実績に結び付いていないところもあります。またそういう事業所の中には、就労移行実績のある事業所のノウハウを知りたいという声も上がっていますので、平成23年度の障害者総合福祉推進事業において就労移行支援のガイドラインを作成しています。こうしたものを活用いただくことで周知・啓発を図っているところです。併せて、本年4月の報酬改定の中で、一般就労移行を促進するために一定期間、一般就労への移行実績がない場合の減産等を導入することによって、一般就労の促進のインセンティブを図ることも行っています。
○障害者雇用対策課長
 障害者雇用対策課長です。付け加えます。就業・生活支援センターについては非常に成果が上がっているということでお話をいただき、一方で、スタッフがかなり疲弊して大変な状態にあるということも踏まえ、今、平成25年度の予算要求で障害者就業・生活支援センターについて定着支援を頑張っているセンターに対し、スタッフの加配を行うことを検討しています。あと抜本的な問題について福祉サイドのほうでは、もともと障害者総合支援法の中で、法施行後3年の就労系事業の見直し規定というのが入っていますから、そちらで福祉サイドの検討をするとともに、我々のほうも御紹介した地域の就労支援の在り方に関する研究会において、就業・生活支援センターが大きなテーマではあったのですが、そこで集中的に掘り下げをするだけの時間がなかったこともあり、現在、御検討いただいているこの見直しが終了し次第、就業・生活支援センターの在り方について、これを単体として見直しに踏み出すつもりです。
○小林氏(栗原委員代理)
 栗原委員代理の小林です。今、就労支援センターや支援機関のお話があったのですが、福祉と就労支援ということも含め、もう一つ加えていただきたいのは、教育という見地で特別支援学校の関係も含めて一体的にやっていただきたいと思います。資料2の枠の中に「教育」「福祉」「医療」と書いてあり、先ほど竹下先生も言っていましたけれども、特別支援学校との関係、教育という部分を考えていただきたい。
 私どもは障害者雇用の関係で、前回の障害者雇用促進法改正以降、いろいろな事業を通じて事例調査とか、支援機関の調査などもやらせていただきました。そのとき、北海道の札幌高等養護学校というのがあって、この支援学校はできて間もないのですが、いろいろな職種、食品製造などの訓練をしたりとか、いろいろな分野の職業教育をやっているようです。多くの支援学校は、クリーニング、ビルメンテナンスなどの訓練をやっている所が多いのですが、逆にクリーニング業界、ビルメンの業界の話によると、地域のそういう支援学校で教育していただいた生徒を受け入れてくださいと言われても、毎年受け入れられない状況があるのです。地域の中小企業ではいろいろな障害者の方を受け入れたいという業種もあるのですが、支援学校の教育があまりにも範囲が限定されている所が多いという実情があるようです。ところが札幌の場合、いろいろな分野のチャレンジ雇用にアタックしているようですので、そういう支援学校も幅広くいろいろな職業教育をやっていただきたいと思います。ひいては「教育」と「福祉」と「労働」の関係で、一体的なネットワークが取れるようなことをやっていただきたいというのが、お願いの一つです。ちょっと長くなりますが、よろしいですか。
○今野分科会長
 どうぞ。
○小林氏(栗原委員代理)
 一つ目は、中小企業のニーズを踏まえた支援の強化というのは、是非やっていただきたい。地方からよく上がってくる声で、障害者の雇用をしたい企業があって募集をかけるけれどもなかなか見つからない、マッチングができないという声が多くあります。また地域によっては、内定を出したけれども逆にその障害者の方が、これは言い方が悪いですけれども、地方自治体の内定が決まってそちらに移ってしまった。地方自治体は雇用率が高く設定されていますので、自治体もそういう募集をかけているのだと思いますが、非常に競争が激しい状況があることを認識していただきたい。
 ハローワークが昨年の平成23年ぐらいから、200~300人規模の事業所に対していろいろ御指導いただいたということで、これも障害者の方を雇入れていたけれども定年で人がいなくなったときに、今後、雇用の計画を立ててくださいという相談が私どもの所にも来ます。ハローワークの御指導は非常にありがたいのですが、いざ、探すと障害者の方がなかなか見つからない、マッチングできないというのが多いようです。
 さらに首都圏などでは、来年4月から1.8が2.0になるという雇用率の問題の影響があって、障害者の方々の募集をいろいろな企業が行っている現状にあります。なかなか中小企業のほうに目を向けていただけないのですが、地域で通いやすい所として中小企業がありますし、中小企業へのいろいろなニーズにマッチングするような支援策も、今後、模索していただきたいと思います。
 もう1点ですが、中小企業で雇用すると言っても従業員の理解が得られないとか、企業によってはトップの考え方が、なかなか障害者雇用に目を向けてくれないため、障害者雇用は、今、小規模ほど雇用率が下がっているような状況があります。その点に関しては周知とか、いろいろな意味で相談に乗っていただくことが是非とも必要です。ハローワークも当然なのですが、地域の支援機関の充実強化が必要だと思います。あまりにも人数が少なすぎて、障害者就業・生活支援センターでは3~4人の方が就労支援をやって、1年間、隈なく動いているというお話を聞きますし、地域によっても就労支援している所と、していない所の温度差があるとも伺っています。そのため相談してほしいけれども、支援機関のほうの援助が得られない、相談に乗ってもらえないということがあるので、就業センターもそうですが、障害者就業・生活支援センターの人員の強化と就労支援のいろいろなノウハウの提供をやっていただきたいと思います。
 就労継続支援事業の関係ですが、これはA型、B型があり、就労に向けた活動というのはかなり低い状況にあります。たしか二千何百箇所あって非常に身近な所にあるのに、就労支援の拠点としては機能していない側面もあるので、その辺を含めた支援機関の強化を是非ともお願いしたいと思います。
○今野分科会長
 ほかに、いかがでしょうか。
○南部委員
 南部です。参考資料について、二つ、質問と意見です。一つは、参考資料5の4ページに精神障害者雇用安定奨励金の概要ということで、平成23年度の実績が支給件数3件となっています。利用届出は9件あったということですが、かなり少ないのはなぜかという質問が一つです。それと9件の届出があって支給件数が3件ということは、6件支給されていないことになるので、その理由がもし分かれば教えていただきたいと思います。これは浸透すべきだと考えますので、周知が不足しているのであれば、それを課題として資料2に加えていく必要があるのではないかというのが、ここに対する意見です。
 併せてもう1点、参考資料6の5ページです。ここに解雇者数が書かれていて、先ほどの御説明では自己都合は含まれていないということでしたが、解雇理由を把握されているのかどうかというのが質問です。もし把握されていないようであれば、これについては雇用の安定、継続的な職場の定着支援を考えると、解雇の理由は大きな要因になってきますので、これを整理して課題に盛り込むべきではないかというのが、ここに対する意見です。
○障害者雇用対策課長
 最初の安定奨励金の支給があまり出ていない原因について私どもからお話をして、持越ししている件数については室長から答えます。解雇の件については後ほど主任から御説明します。
 精神安定奨励金については、もともと研究会で議論して、こんなバックアップがあればうまくいくという話があって、それに基づいて平成22年度に打ち出したものですが、我々のほうで支給があまり出ていないことに対する原因分析をしたところ、一つは、環境整備に取り組む前に利用届を出さなければいけないということ、あと内容が、今、ここにありますように4種類に分かれていますけれども、助成率、助成額が分かれていて制度が複雑で分かりにくいということがあります。平成25年度にはこれをオーバーホールして4事業を一本化し、もう一つ、第5のメニューとして、新たに雇用した精神障害者が休職した場合の代替要員の配置に関する場合にも出るようにして、その五つの事業から自由に選んでいただく形にする予定です。助成率や助成額も一つひとつばらばらにするのではなく一本化するということで、全体助成率を2分の1助成する形に切り替えることで、今、準備をしているところです。
○地域就労支援室長
 補足させていただきます。先ほど利用届出提出件数が9件で、実際の支給が3件であったということで、届出を出したものの、結果的に4ページにあります1~4までの取組がなされなかった部分とか、具体的な内容を把握しているわけではないですけれども、精神障害者を雇用したものの短期で離職してしまった事案もあると思われます。
○主任障害者雇用専門官
 主任専門官の田窪です。先ほど御質問いだいた解雇の件については、もともと障害者雇用促進法で、障害者の方を解雇する場合、事業主の方に届出をしていただかないといけないことになっています。その解雇の種類として懲戒解雇は含まれない。また天変地異で致し方ない状況の場合も含まないことになっています。そういう意味では、ざくっとした言い方で申し上げると、事業縮小や事業廃止に伴う解雇が行われることに伴って、この届出が行われると御理解いただければと思います。
○今野分科会長
 よろしいですか。
○南部委員
 南部です。ありがとうございます。解雇についてですが、そうすると、事業縮小や事業がなくなったことにより、解雇になったという理解でよろしいですか。
○主任障害者雇用専門官
 主任専門官の田窪です。倒産などでなくなる場合と、事業全体を縮小しないといけない、今までの半分の人数でやらないといけないケースなど、そういう事業縮小のものも含まれると御理解いただければと思います。
○今野分科会長
 経営上の理由で解雇ということですかね。でも結局、先ほどほかの方も質問しましたが、離職の状況は分からないということですよね。これしかデータがないのでしょう。
○南部委員
 南部です。何度もすみません。そうすると自己都合は含まれていないということでしたので、離職している数がこの数でないというのは明らかであり、そうなると自己都合による離職も含めた検討が必要になってくるのではないでしょうか。今すぐというのが難しければ、そういった問題を抱えているということだけでも資料の中に含めていくことが必要ではないかと思っていますが、いかがでしょうか。
○竹下委員
 竹下です。今の質問に重ねて、これは大事な問題提起だと思います。会社の自己都合というのは解雇を中心に、ここで数字が出てくるというのはいいのです。依願退職は含まれないということですけれども、実際にはいろいろな助成等が切れることが縁の切れ目と言わんばかりに退職を迫る形で、言わば退職勧奨ですね、それでやった場合に、ここでは表れてこないとすれば重大な問題だと思います。一般に、例えば失業保険などですと退職勧奨があれば、言わば会社都合退職に準じて取扱いされるくらいですから、そう考えると障害のある人が、現実には解雇という形になっていなくても、退職に追い込まれている例も十分考えられる現実からすれば、そうした分析ないし数字も是非把握していただきたいと思います。
○障害者雇用対策課長
 障害者雇用対策課長です。先週の火曜日に御指摘いただき、今日の月曜日に慌てて突貫作業で出した資料ですので、別のアプローチで離職者の状況に迫れないかどうか少し検討してみます。その上で、今のような視点が大事だということについては全く同感ですので、今すぐできないにしても、どういった形でアプローチできるかについては検討させてください。
○桑原委員
 桑原です。資料2の5ページの一番下のジョブコーチについて一つ質問させていただきたいのですが、この報告概要に、今後は企業や障害者等の様々なニーズに的確に対応するため、ジョブコーチ制度の見直しについて検討すべきであるという報告がされています。参考資料6の6ページの一番下に、ジョブコーチが精神障害者を支援した場合の定着率が80%を超えているとなっており、その横に参考値でいくつか数字が出ているのですが、どちらにしても90%近いということです。非常に成果の出ている素晴らしい制度であるという中、あえてこの報告書で、様々なニーズに的確に対応するため見直しが必要だとしていることについて、今、何かしら具体的な課題があるのか、若しくは、この「様々なニーズ」いうのが既に具体的なものとして分かっているのか、その辺について質問したいと思います。
○障害者雇用対策課長
 障害者雇用対策課長です。先ほど就業・生活支援センターの問題について深め切れなかったと発言しましたが、実はジョブコーチも同じで、これだけ掘り下げてやる時間がなかったことがあります。こちらも就業・生活支援センターの見直しにかかる研究会と、ジョブコーチについても、同じく大きな制度見直しが終わった暁には検討を始めることにしています。中身的には二つの側面があって量的な問題と質的な問題があります。これは就業・生活支援センターも同じですけれども、質的な面というのは、ジョブコーチでより専門性を高める方向を目指すとか、ジョブコーチ自体に質の差がある問題などが念頭にあって、それをどうしていくのかということで検討しています。
 御指摘のように、このジョブコーチは定着を高めるための一つの大きな仕掛けに実際なっています。ジョブコーチというのは障害者の人が仕事を始める上で、それをアシストするという役割を超えて、事業主に対し、その事業主が障害者に対してどう当っていくか。基本的に、ジョブコーチは、就職してからそんなに長い期間いるわけではないので、やがては企業の人に障害者の雇用管理を学んでいただく必要があります。やがてはフェードアウトする存在ですが、内容的には非常に評価されているものですので、そういったところをどう変えていくのかについての検討を考えています。
○桑原委員
 桑原です。ありがとうございました。課長が言われたように、良い制度ですから我々も担い手を増やしていくことが重要だと思っていますし、質を高めることも非常に重要だと思っています。ただ、それには、ジョブコーチの処遇など労働条件の実態把握をしていただいて、さらに改善も必要ではないかと思っていますので、そうした検討も併せて行っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○川崎委員
 川崎です。今のジョブコーチに関連して、先ほどの資料の支援機関のところにジョブコーチの支援という項目があり、ここのジョブコーチの配置数ですが、平成24年3月末現在、トータルとしては1,206名、地域センターのジョブコーチが309名です。1号と2号でいくと、私ども地域ではこの2号ジョブコーチを増やしてほしいという声があるのですが、今これで見ると福祉施設が約800名近くいるのに対して事業所型が120名です。なかなかジョブコーチになれないのか、なり手がないのか、その辺の事情が分かればと思っています。
○地域就労支援室長
 地域就労支援室長の金田です。2号ジョブコーチの活動が少ないということですが、2号ジョブコーチは、障害者を雇用している事業所の社員が2号ジョブコーチになっていただき、活動場所も自社でやるというものです。私どもはそれに対して月15万円を上限とした助成金を出していますが、ジョブコーチを雇っていただくことで促進をしている状況です。ただ、先ほど課長の山田が申しましたように量的拡大、質的充実という課題があることは認識しているところです。
○障害者雇用対策課長
 一言、付け加えます。先ほど申し上げなかったのですが、もう一つの問題としてジョブコーチの研修の在り方も結構重要な話で、特に川崎委員が気にされているように、知的障害者については非常に慣れているジョブコーチは多いと思いますが、精神障害者や発達障害者も含めて、きちんと対応していけるような体制にしなければいけないので、量も質も大事ですけれども、それを支えるために、このジョブコーチを養成していくことも含めて検討を進めたいと思います。
○今野分科会長
 ほかに、いかがですか。
○高橋委員
 高橋です。申し上げたいことがものすごくたくさんあるので、区切って皆さんの発言の合間に発言させていただきたい。そうでないとあと30分、私が独占してしまうと申し訳ないからです。
 1点は資料2のところです。「福祉」から「雇用」への流れを促進するというのは大変重要な観点かと思います。その観点で大変重要となるのが施設外の実習ではないかと思っています。しかしながら現状では、私どもに寄せられた事業主の意見として、過去3年以内に施設外の実習をした障害者を同じ企業が雇った場合は、事前雇用予約に抵触して特開金などの助成金の対象とならない見解も示されて困っているという意見が寄せられているところです。その現状についてもし分かれば教えていただきたい。
○主任障害者雇用専門官
 主任専門官の田窪です。今、御指摘いただいたように職場実習を受けて、その後、障害者を雇用したときに特開金が出るかどうかという部分です。所掌は別の課ですけれども、一応、制度的に一律に排除していることはないと聞いています。個々の状況に応じて実習を受けて、「では、うちへ来るか」という声かけをされていたと。それを、ハローワークを通して紹介して採用したという形を取ったとしても、その時点で雇用予約していたという事実があれば、それは特開金の対象にはできませんという趣旨で、制度は運用されていると聞いています。
○今野分科会長
 一つ目終わり、二つ目。
○高橋委員
 高橋です。二つ目ですが、この場では精神障害者についてどのような取扱いをするかという大きなテーマがあります。前回も私は申し上げましたが、現状は基本的に企業が最終的に判断しています。精神障害者の方は面接だけでは十分でなく、分かりにくい部分がありますので、見極めという観点からはトライアル雇用といったものが非常に重要になってくると思います。今回、たくさんの資料を短期間の間に用意していただいたことに大変感謝しますけれども、なぜかトライアル雇用についての資料が全くないのです。トライアル雇用は、今年から支給対象が雇入れ経験のない事業所に限定されるといった縛りが掛かるなど、トライアル雇用を制限していく動きがあることを大変懸念しています。精神障害者の関係を議論していく際においては、このトライアル雇用制度をしっかりと充実させていく必要があろうかと思うので、是非、次回の会合で結構ですから、トライアル雇用制度に関する資料、並びにこれまでのトライアル雇用制度の運用等についてまとめた資料を、お出しいただきたい。これが2点目です。
○障害者雇用対策課課長補佐
 障害者雇用対策課長です。了解しました。次回、提出させていただきます。
○今野分科会長
 高橋さん、ちょっと待ってください。ほかの御意見、いかがでしょうか。
○武石委員
 武石です。こういう支援策は、多分、あればあるほど良いので、どんどん質と量が充実する方向に意見として出てくるだろうなと思います。それはそれとして重要なことだと思いますが、今度の新しい法律の一つの大きな変化として、合理的配慮が事業主に義務付けられる点が大きな点としてあるわけです。そうなってくると今の支援策を前提にして拡充する部分とは少し離れて、事業主の合理的配慮を支援する視点から、例えば今のトライアル雇用やジョブコーチの支援という辺りは、すごく重要な点になってくるのではないかと思うので、この支援策はかなり枠組みが変わってくるのかなという印象を持っています。そういう方向で進めないと今の法律が大きく変わるところで、これの延長だけで全部を充実することができれば良いのですけれども、少しめりはりを付けたところが必要になるのかなという感想を持っています。
○障害者雇用対策課長
 障害者雇用対策課長です。合理的配慮に関するものについては、どちらかというと今回、あまり御紹介していませんけれども、納付金に基づく助成金のほうがむしろ対応している部分があります。今回、事前に資料を送らせていただき何人かの委員からお話をいただいたのですが、結構、良いことをやっているのにポイントが資料でよく分かりにくいという話もありました。特に合理的配慮についても新しい大きな柱になるということで、既存の制度自体がそれに対応している部分も多々ありますから、全体としてどういう枠組みがあるのか、きっちり説明していけるようにする必要があるのと、あと合理的配慮の提供というのは、具体的に義務付けが決まることが前提になりますけれども、その後の指針の議論の際にも、今の助成措置の在り方、行政サービスの在り方が、それに照らして適当なのかどうかは、また御議論いただくことになろうと思います。いずれにしても特に精神、発達関係については、ここ5年ぐらいで急激に施策を膨らませてきたこともあって、やや整理が付いていない感があるのは全く御指摘のとおりですので、その辺りをきちんと整理し、利用者である障害者の人に対しても、事業主に対しても、分かりやすく説明していけるようにする必要があるかと思います。
○中村委員
 中村です。中小企業の障害者雇用を促進するという意見ですが、中小企業の経営者は、従業員規模や業種の異なる雇用事例などを見ても、雇用管理の仕方や提供できる配慮の内容が異なるため、その事例やノウハウを自分の会社に照らして考えることが難しいと思います。したがって中小企業の中で同業他社が、どのように障害者を雇用しているのかを知ることが効果的であると思いますので、雇用事例やノウハウ集などの検討に当たっては業種別、企業規模別などによって、より細かく整備をしていくことが有効だと思いますので、その点をお願いしたいと思います。
 もう1点、支援策についての意見ですが、東京商工会議所が10月から11月にかけて、会員企業2,500社に実施したアンケート調査の中間集計結果があります。その中に「仮に障害者の雇用義務の範囲が拡大された場合に求めたい施策」という設問があり、回答が多かった上位三つを御紹介したいと思います。一つ目が「助成金などの経済的支援の拡充」で68%、二つ目が「サポートスタッフの派遣など人的支援の拡充」で42%、三つ目が「派遣先企業での雇用率算入」で35.1%という結果となっております。経済的支援や人的支援の拡充について特に企業のニーズが高いことから、是非、支援策に盛り込んでいただけたらありがいと思います。
○今野分科会長
 高橋さん、まだありますか。どうぞ。
○高橋委員
 1点だけに限らせていただきます。参考資料3でハローワークの関係の資料を出していただいていますけれども、新規求職の申込件数と就職件数だけのデータに止まっているのです。ハローワークの関係のデータを出していただく以上は充足率はどうなのか、マッチングの状況はどうなのかといったことも併せてお出しいただきたい。とりわけ精神障害者は、申込件数が増えている中でどの程度の充足率になっているのか。もう少しハローワーク関係のデータを充実して、是非、次回お出しいただきたい。
○障害者雇用対策課課長補佐
 検討させていただきます。
○今野分科会長
 竹下さん、どうぞ。
○竹下委員
 竹下です。中小企業支援のところに関連するのですが、雇用納付金制度に基づいた助成がどうしても中心になると、先ほどの課長の話からも出てきますけれど、そこに私は一つ落し穴があると思います。助成なり支援というのは、どうしても期間が限られている場合が多いわけです。例えば視覚障害者の職場介助者というのは、昔、7年から10年になり、今は視覚障害者からの要求で15年まできているかと思いますが、そういう形の限定された支援になっているために、本来、ここで問題になっている事業主の合理的配慮義務といったときに、では補助金が切れてしまったら過度の負担ということに転化するのか分かりませんけれども、それで支援が受けられなくなっていくのはおかしな話です。ですから、中小企業への支援というものがもっと普遍的にというのか、もう少し検討されるべきではないかと思います。
○今野分科会長
 ほかに、いかがでしょうか。
○高橋委員
 一つだけ、先ほどジョブコーチの関係のことで議論がありましたけれども、今回の資料で一番欠けているのは何かというと、例えば支援対象者数が3,342人でたくさんやっている。今回の資料はやっている、やっているという資料なのです。でも大事なのは、やっていることもさることながら、この支援対象者数は果たしてニーズに対して100%応えた支援対象者数なのかどうか、それが非常に大事だと思っています。後ほど同じことを言うかもしれませんが、どのくらいのニーズがある中で、どのくらい支援しているか、その支援率といったものも含めて資料を充実していただきたい。
○今野分科会長
 先ほど山田課長が言ったように、ジョブコーチの問題もほかもありますけれども、少し落ち着いたらその問題を更に深く検討したいというお話でした。それでは駄目ですか、それとは別に資料を出せということですか。
○高橋委員
 高橋です。研究会報告が着実に進展したと考えることから、義務化が適当ということが今回の検討の一つの軸になっていますから、着実に進展しているのかどうかを判断する材料を求めているということです。
○障害者雇用対策課長
 障害者雇用対策課長です。定量的に派遣した数や対象になった企業というのは、実際に起こっている話なので分かるのですが、ニーズがどれぐらいあるかを定量的に把握できるかどうかは分かりません。今の指摘を踏まえて定性的なものになってしまうかもしれませんけれども、資料を集めてみます。
○今野分科会長
 ほかに、いかがでしょうか。
○小林氏(栗原委員代理)
 栗原委員の代理の小林です。ちょっと教えていただきたいのですが、精神障害者の就労支援という見地で就労支援機関が相談に乗る。精神障害者の方を雇用した企業でその方が働いていて、いろいろな相談をしたいときに、上司に相談ということもあると思いますが、中小企業の場合は上司がなかなか対応できないということで、この相談を受けるのが就労支援機関であったり、はたまた医療機関という形になると思います。この間も安全衛生法の改正でメンタルヘルスが問題になっていましたが、医療機関に行ってしまうと、個人情報の関係で相談結果を会社では聞けないという不具合が出てくる可能性が一つ懸念ではあるのです。企業側の産業医の方に相談したりして、その方から報告を得ることもあると思いますが、実際に産業医の方で精神科医の方というか、そういう相談に乗れる方がどのぐらいいらっしゃるのか。企業として精神科の産業医にお願いしているのはどのぐらいあるのかが分かるデータがあったら、教えていただきたい。
○障害者雇用対策課課長補佐
 障害者雇用対策課の安達です。今、手元にデータはありませんが、産業医はご存じのとおり、従業員規模が一定規模以下の企業については地域産業保健センターによる支援が行われているという話もありますので、そういう中でどういうデータが提供できるのか、次回まで準備させていただきたいと思います。
○今野分科会長
 もう少し時間がありますので、どうぞ。
○萩原委員
 萩原です。参考資料5の7ページでモデル事業を御紹介いただいています。この中で10企業で68名が雇用されたということですが、この方々が今も定着されているのか知りたいし、実際に事業に取り組んだ方々が感じた課題についてのヒアリングをしているようでしたら、教えていただきたいと思います。
○障害者雇用対策課長
 障害者雇用対策課長です。このモデル事業については、ほかの委員からも御関心が寄せられています。先ほどあまり詳しく説明していませんでしたが、この10企業はもともとどういう基準で選んだかというと、身体や知的の障害者雇用経験はあるけれども精神の雇用経験がない企業を選んで、10社に対してやっていただいたということです。定着のデータは、今、手元にはありませんが、あります。かなり高い定着率だという記憶があります。あと、このモデル事業の「精神障害者とともに働く」というレポートは企業からも引合いが非常に多くあるのですが、当然、枚数の関係から要約して話を書いている部分もありますので、もうちょっと細かく、精神障害者をもともと雇用していない所がどういう不安を持っていて、それがこのモデル事業を通じてどういう形になったのか。実はこの10企業は、いろいろなパターンで精神障害者雇用の取組をしていただいたという意味でも、非常に興味深いものですから、その辺りはもともとの冊子に補完する形で資料を作ってお示しできるようにしたいと思います。
○今野分科会長
 ほかに、いかがでしょうか。それでは、そろそろ終わりにしようと思っていますので、高橋さん、今、持っている手持の中で一番重要なものをお願いします。
○高橋委員
 高橋です。全て言えなくて残念ですが、1点だけという縛りなので1点だけ申し上げたいと思います。精神障害者の雇用を考えていく上においては企業の理解がとても重要になってくると思います。今回、いろいろ資料を出していただきましたけれども、それに関する資料が出されていないところは残念かなという気がしています。研究会の中でも、今後の精神障害者の雇用方針に関わるようなアンケート調査の結果が、たしか出されていたと思います。そうしたアンケート調査の結果も含めて、企業側の精神障害者に対する意識の調査等を、是非、厚労省から次回、お出しいただきたいということです。
○障害者雇用対策課長
 了解いたしました。
○川崎委員
 川崎です。精神障害者だから特別に変わった人とか怖い人とか、何かそういうイメージではなく、障害を持つことによって就労がしづらい、その人の就労のしづらさに企業の方も目をつけていただいて、特に精神障害者だからと最初から対応するのではなく、やっていただけたらなというのが家族からの思いです。よろしくお願いいたします。
○今野分科会長
 このまま続けると高橋さんばかりになってしまうので、特に必要な資料がありましたら文書でもいいですから、あるいは電話でも良いので事務局に言ってください。今日はこれで終わりにさせていただきます。本日も含めて5回、各論について議論をしていただきましたので、これ以降は意見書の取りまとめの段階に入りたいと思っています。そこで次回は、もともと今月の13日に開催する予定でしたが、今後の進め方等について私と事務局で相談をさせていただきたいと思っています。したがって今後の開催日程は後日、事務局から連絡をさせていただくことにして、とりあえず次回の12月13日の開催は延期をしたいと考えていますが、よろしいですか。一度、ここで考えさせてくださいということです。それではそのようにさせていただきます。最後に、その他について事務局から連絡をお願いします。
○障害者雇用対策課課長補佐
 障害者雇用対策課の安達です。ただいまの分科会長からのお話を踏まえ、次回、12月13日の開催は延期させていただきます。また今後の具体的な開催日程についても、分科会長と相談後に連絡をさせていただく予定です。
○今野分科会長
 今日の分科会はこれで終わりにいたします。議事録の署名ですが、労働者代表は桑原委員、使用者代表は高橋委員、障害者代表は川崎委員でお願いをいたします。今日はありがとうございました。終わりにいたします。


(了)

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