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2012年12月4日 第13回厚生科学審議会生活環境水道部会議事録

健康局水道課

○日時

平成24年12月4日(火)15:00~17:00


○場所

厚生労働省18階専用第22会議室


○出席者

秋葉委員、安藤委員、遠藤委員、大垣委員、大澤委員、岡部委員、小笠原委員、沖委員、尾崎委員、佐野委員、瀬川委員、中野委員、永井(恵)委員、永井(雅)委員、藤井委員、古米委員

○議題

(1)新水道ビジョン策定検討状況について
(2)東日本大震災の被害状況調査結果について
(3)その他

○議事

○石飛水道課長
 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「厚生科学審議会生活環境水道部会」を開催いたします。
 委員の皆様には、御多忙のところお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
 議事に先立ちまして、矢島健康局長より御挨拶を申し上げます。

○矢島健康局長
 健康局長の矢島でございます。
 委員の先生方には日頃から生活衛生、生活環境、水道行政にわたりまして、色々な面で御支援、御協力をいただいております。この場をおかりいたしまして、厚くお礼申し上げさせていただきます。
 本日、お集まりいただきました生活環境水道部会の案件でございますけれども、現在、策定を進めております新水道ビジョンの策定の検討状況について御報告をさせていただきますとともに、昨年の東日本大震災につきましては、被害が甚大だったということで、なかなか現場も混乱をしておりまして、被害の状況等についても、かなり不明な点がございました。今の段階でとりまとめられる範囲でございますけれども、状況がまとまりましたので、調査の概要について本日は御報告をさせていただければというふうに思っております。
 大変お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。忌憚のない御意見をいただければありがたいと思っています。
 よろしくお願いをいたします。

○石飛水道課長
 本日、御欠席の委員は、相澤委員、岸委員、津野委員の3名でございます。
大住委員におかれましては、間もなく御到着になられると思います。
委員、臨時委員計20名中、17名の委員が御出席されておりまして、審議会令第7条の規定によりまして、定足数を満たしておりますので、本部会開催は成立しておりますことを御報告申し上げます。
次に、前回部会以降、委員の交代がございました。今回から、岡崎委員にかわりまして、全日本水道労働組合中央本部執行委員長の永井委員に御就任いただいております。
永井委員、よろしくお願いいたします。
続きまして、さきほど御挨拶いたしました矢島健康局長のほかに、前回以降に異動になりました事務局の職員を紹介させていただきます。
 まず、健康局担当の高島審議官でございます。

○高島審議官
 高島でございます。よろしくお願いいたします。

○石飛水道課長
 それから、依田生活衛生課長でございます。

○依田生活衛生課長
 依田でございます。

○石飛水道課長
 それでは議事に入ります前に、事務局から資料の確認をさせていただきます。

○日置水道課長補佐
 それでは、資料の確認をさせていただきます。お手元にあります資料のクリップどめを外していただけますでしょうか。
 まず、一番上に第13回「厚生科学審議会生活環境水道部会議事次第」でございます。
 裏が「委員名簿」。
 その次が、第13回「厚生科学審議会生活環境水道部会座席表」でございます。
 次が、ゼムクリップでとまっております。「新水道ビジョン策定検討状況について」という資料1でございます。
 ゼムクリップを外していただきますと、「新水道ビジョン策定検討会中間とりまとめ」資料1-1というA3の3枚の紙。
 続きまして、資料1-2としまして、「新水道ビジョン《骨子案》」というものがございますでしょうか。
 続きまして、資料2でございます。こちらもゼムクリップでとまっておりまして、外していただきますと、資料2といたしまして「東日本大震災水道施設被害状況調査の概要」というもの、もう一つ同じタイトルの、「東日本大震災水道施設被害状況調査の概要」というパワーポイントの打ち出しがございますでしょうか。
 パワーポイントの資料の最後のほうに、参考資料1、「厚生労働省設置法」と書いた紙、さらに一番最後の紙が参考資料2ということで、「ホルムアルデヒドによる広域的な断水被害等の発生について」というところでございます。
 もし、足りないもの等、御不明な点等ございましたら、事務局までおっしゃっていただけますでしょうか。
 特に大丈夫でしょうか。
 ありがとうございます。

○石飛水道課長
 それでは、以降の議事につきましては、大垣部会長に進行をお願いいたします。

○大垣部会長
 大垣でございます。
 本格的な冬が始まって、またお忙しいところお集まりいただきありがとうございます。
 本日の議題は、今、事務局のほうから説明がありましたように長期ビジョンという長い時間レンジの話、それから東日本大震災という異常時における水道の対応の仕方等に関係する幅広い議題でございますので、よろしく御審議のほどお願いしたいと思います。
 それでは、まず最初の議題の(1)新水道ビジョン策定検討状況についてでありますが、事務局より説明をお願いいたします。

○日置水道課長補佐
 お手元の資料1に基づいて説明させていただきたいと思います。資料1のほうは、パワーポイントの打ち出しになっていますが、上半分、下半分という形でスクリーンのほうに映写しながら説明させていただきたいと思います。
 「新水道ビジョン策定検討状況について」ということでございます。
まず、新水道ビジョン策定検討会ということでございまして、現行ビジョンは平成16年にできましたが、その策定から8年以上が経過したということがございました。また、近年人口の減少というのが確定的となりました。また、東日本大震災で水道界としては、未曽有の経験をしたということで水道界を取り巻く環境が変化したということでございます。
こういう状況を受けまして、これまでの水道ビジョンを抜本的に見直して今後の危機管理のあり方ですとか、今後人口が減少していく中で水道事業をどのように永続的に行なっていくかということを改めて打ち出していきたいということで、新水道ビジョン策定検討会を設置して、検討を開始したということでございます。
下側に、構成員の方々の名簿をつけさせていただいております。この中には、尾崎委員、永井委員も入っていただきながら、進めていただいていますが、座長は東京大学の滝沢先生にお願いをして検討を進めているという状況でございます。
新水道ビジョンの視点をあらわしたパワーポイントでございますけれども、黄色い枠囲いの中に黒字で書いておりますが、まず1つ目、50年、100年先を見据えた問題解決の方法をも示したいということでございます。
また、国、都道府県、水道事業者の役割分担を明確に示したいと考えています。
東日本大震災を踏まえた危機管理のあり方の検討、老朽化に対する更新需要、人口減少の対応といった話。有害物質対策、小規模水道の管理、安全な水の確保、住民等との連携のあり方、国際展開のあり方といったことが視点でございます。この中で一番検討の動機となったものは、東日本大震災を踏まえた危機管理のあり方、老朽化に対する更新需要、人口減少の対応という3番目、4番目の視点というのが、今回ビジョンの中で我々としては一番打ち出していきたいという内容でございます。
このスライドは策定検討会の検討経過ということでございまして、まず第1回は、今年の2月10日に行いました。現行ビジョンの5つの主要施策群というのがございますが、その中のレビューを第1回、第2回ということで行いました。第3回から第8回につきましては、特定のテーマというものを設定いたしまして、そのレビューを行ったということでございます。まず3回目は将来の事業環境、4回目は住民等との連携、5回は、安全な水の確保、6回目は危機管理の徹底、これは東日本大震災を踏まえた話とその他の危機管理という内容でございます。第7回が国際展開の推進、第8回が水道サービスの持続性の確保、こちらが水道の運営基盤の強化ということで、特定テーマを設けてそれぞれ掘り下げて検討していったということでございます。
さらに被災事業体との意見交換ということでございまして、実際、被災された事業体の方々の意見も聞きながらビジョンをまとめていきたいという御意見を受けまして、岩手・宮城県が8月の末、福島県が10月の末ということで伺いまして、いろいろと意見を承ってきたということでございます。危機管理のあり方ですとか、新水道ビジョンに対する意見交換を実施してまいりました。
第9回、第10回ということで、10月の末、11月の末と行いまして、第9回では第8回までの議論を一旦整理した中間とりまとめというものを、後で参考資料の中で説明させていただきますが、今後の骨子につながる中身について議論をいただきました。
第10回、こちらは9回の検討会におきまして議論した新水道ビジョンの構成イメージにつきまして、内容を精査して骨子というものを議論いたしました。これは、資料1-1と1-2でございます。これにつきましては、この次に改めて説明をしたいと考えています。
このスライドは今後の予定でございますけれども、この前に、さきほど申し上げました資料1-1でございます。中間とりまとめの内容について、これまでどのような議論が行われて、どのように整理したかというのをまとめた資料がございますので、その説明に移りたいと思います。
ちょっと文字が多くて恐縮でございますけれども、資料1-1ということでございまして、新水道ビジョン策定検討会第10回資料から若干抜き出す形で用意させてもらったものでございます。
「中間とりまとめ(これまでの議論の整理修正版)」ということでございまして、まずどのような議論を行ったかという話でございます。
まず、特定テーマ、先ほどパワーポイントのスライド中で説明いたしましたが、将来の事業環境ということで、どのような課題があって、どのような解決策があるのかというものをまとめたものでございます。
順を追って説明させていただきますと「将来の事業環境」としては、まず1つ課題の分類という一番左側のカラムがございます。ナンバー1と打ったところでございますけれども、人口構造の変化。これは、具体的に少子化に伴う人口減少ですとか、あと、職員数の減少に伴う技術力、災害対応力の低下というものがございます。それの解決としては、広域化の推進による組織力、職員数の確保ですとか、そういうことが必要だというような議論をいただくことができました。
こういう形で、例えばナンバー3の施設の老朽化につきましては、資金、経営力の確保ですとか、アセットマネジメントによる中長期的な視野でのアプローチという解決策があるのだろうという話。あと、気候変動に関しましては、解決策として、適正な水源計画のあり方と今後の対応というものが必要だろうということで議論をいただいたところでございます。
2の「住民等との連携」というところ。こちらは第4回で議論していただいたところでございます。まず一番左の課題の分類の欄ですが、7番の水道事業に対する住民等の認識・理解不足というものが挙げられます。そういうものに対しては、解決策として、一番上の○、住民への適切な情報提供といったものが必要だろうということで御意見をいただいているというところでございます。
順を追っていきますと、3の「安全な水の確保」。これは第5回で議論した内容でございますけれども、まず課題の分類としては、有害物質、有害生物による水道水の汚染のおそれというものがございます。こういったものについては、耐塩素性病原微生物の対策の推進ですとか、13番の長距離輸送や老朽管による管路内での水質変化といったもの、あと、水道未普及地域の解消ということに関しましては、運搬給水等、未普及解消の手法の多様化というものも今後必要になるのではないかということで皆様の議論をいただいたところでございます。
続きまして2ページ目に参りたいと思います。
続きでございますけれども、未規制小規模・専用水道・飲用井戸の水質管理という問題については、解決策として飲用井戸等の衛生管理の強化ですとか、保健衛生行政や保健所との連携、情報提供による住民への周知といった対応があるのではないかということで議論いただいております。
さらに、給水装置の衛生対策といったものについては、工事業者、給水装置工事主任技術者への指導強化といったような行政の取り組みも強化していくというようなことがあるのだろうという話でございます。
鉛給水管の対策については、解消に努めるために住民への適切な情報提供を行なっていくということ。
18番、地方分権による衛生指導担当の変更への対応ということでございまして、分権計画などによりまして、いろいろと権限が移譲しているという中で、市町村の水道事業体と衛生指導部局といったところが連携するのがその解決策になるのだろうというような議論をいただいているところでございます。
「4—1 危機管理の徹底(東日本大震災を踏まえて)」ということでございまして、これは第6回でございます。東日本大震災を踏まえた中身について御議論いただいたところでございます。
課題の1つといたしましては、水道施設・管路の耐震化の遅れといったものがある。これについては、解決策として耐震化の推進ですとか、計画策定を進めていくことが必要だということでございます。
21番「広域的な被災地への対応」に関しましては、水道事業担当部局と関連部局との連携の強化ですとか、日常的な訓練の実施、事業継続計画の策定推進、また災害対策の想定範囲を見直すということが今後要るのではないかという話でございます。
また、応援体制の強化による初動及び復旧の迅速化というところでございまして、こういうところはマニュアルの整備ですとか、BCP、事業継続計画の活用、あと、通信手段、燃料や食料を備蓄する、資機材、冬期のタイヤの各整備といったようなことがいえるのではないかということでございます。資機材の不足による復旧の遅れという問題については、資機材、薬品の備蓄、供給体制を確保する。また、サプライチェーンの把握といったものが日ごろから必要なのではないかということでございます。
「応急給水の確保」については、受水槽の活用ですとか、各家庭での水の確保に関する情報提供といった日ごろの取り組みが要るのではないかということでございます。
「原子力災害への対応」につきましては、災害対策基本法に基づいて計画を策定して備えるということが議論されたところでございます。
4—2も危機管理の徹底でございますが、危機管理全般として、先ほどの地震以外の渇水、風水害、自然災害、水質汚染事故といったものに対する対応についての課題と解決策の議論の整理結果です。
26番「(中小事業体における)危機管理のマニュアルの整備の遅れ」という話については、まず目的を明確化して策定を促すとか、事故事例集といったものを活用していく必要があるのではないかという話。
あと「エネルギー(電力)逼迫への対応」ということで、短期的には非常用発電機を充実させる、燃料を備蓄する。中長期的には電力の安定供給の確保を考慮した事業への転換、体質の転換が必要ではないかという話がございました。
また、住民への説明、啓発のあり方というところについては、防災部局と連携したハザードマップの提示ということが解決策としてあるというような議論をいただいたところでございます。
「貯水槽水道、地下水利用専用水道等への対応」ということでございまして、地域の給水拠点としての民間施設の有効活用というものが災害対策にはあるのではないかということで議論いただいたところでございます。
最後、3枚目に参ります。こちらは、特定テーマ5といたしまして、第7回で議論いたしました「国際展開の推進」ということでございます。
こちらは「水道における国際協力と水ビジネスの位置づけの明確化」といった課題があるということでございまして、解決策としては、海外進出に対する水道事業者の理解の促進ですとか、職員の海外経験による技術力の確保という内容が解決策になるのではないかということでございます。
また「今後の水ビジネスのあり方」という点に関しましては、海外で事業化するための支援ですとか、成立するまでのリードタイムを支える方策の整備。あと、水道事業者が海外貢献できるような枠組みを整備していくといったようなことが必要ではないかということでございました。
6—1といたしまして「水道サービスの持続性の確保(水道の運営基盤の強化 その1)」。こちらは施設整備及び技術基盤の強化の視点という観点から見た水道の運営基盤の強化ということで考えますと、課題の分類としましては、34番、中小規模事業体の脆弱な運営基盤に対しては、人口減少を見据えた施設の再編と合わせたアセットマネジメント推進ですとか、地域で核となる水道事業体への国や都道府県からの支援、官民連携の推進といったことが解決策になるのではないかということでございます。
また、35番「広域化の推進や老朽化施設の更新の遅れ」といった点に関しましては、資金・経営力の確保、またアセットマネジメントによる中長期的視野でのアプローチというものがあるということでございます。
次、36番「広域的な水道施設の再構築・広域化」に関しては、解決策として周辺事業体との連携による水道施設の広域的な再構築、水需要量に応じたダウンサイジングですとか、効率化、高度化といったものがあるということでございます。
また「民間委託の推進」に関しては、民間技術者の段階的な育成が必要ですとか、水道職員の人事に関しては、解決策としては人材育成を念頭に置いた人事サイクルの整備ですとか、大規模事業体と小規模事業体の職員の人事交流。あと、水道技術管理者の位置づけや権限の明確化が必要なのではないかということでございます。
また「団塊世代の退職」という問題に関しては、その解決策が真ん中にございますけれども、外郭団体、NPOの創設、それらの団体との協力を推進ということがあるのではないかということでございます。
6—2に移りまして、こちらも同じく「水道サービスの持続性の確保(水道の運営基盤の強化 その2)でございますが、特に経営面から見た持続的な事業運営のあり方ということでございます。
まず1つ、水道料金のあり方というのがございまして、細目には合理的な料金設定がなされていないというような問題があるかと考えられます。そのためには、資産維持費が不足する場合の新たな算定方法の検討ですとか、長期的なスパンから見た料金設定ということを考えていく必要があるのではないかということでございます。
またその下の欄に、固定的原価を回収できるような基本料金の設定というような考え方も必要ではないかということでございます。
42番として「マーケットとしての水道産業の魅力の低下」ということでございます。水ビジネスを進展して魅力をつくっていくということが必要なのではないかというようなことで、それぞれの特定テーマに対して、課題の分類と解決策というものを網羅的に出していただきまして、この議論の整理ということで中間とりまとめで整理したということでございます。
 次は、この中間とりまとめを踏まえまして、これからの新しい水道ビジョンの骨子ということでとりまとめたものが資料1-2でございます。
 こちらは「新水道ビジョン《骨子案》」ということで、第10回の検討会に出させていただいたものでございます。この骨子案につきましては、先ほど申し上げましたが、第9回の検討会の中間とりまとめの議論を踏まえまして策定しております。検討段階のものではございますが、新水道ビジョンの目指すべき方向性といたしまして、持続性の確保ですとか、安全な水の供給、強靭な水道構築といったものを示しておりまして、そのような水道を構築するための方策を、持続、安全、強靭という3つのポイントを軸にまとめたものでございます。
 まず、順を追って説明しますと1の「はじめに」というところでございます。ここでは新水道ビジョンの性格等を説明しているものでございまして、今後の水道のあり方について、水道の全ての関係者が共有できる視点から政策提言をとりまとめたいということでございます。
 50年から100年先の水道、国民の水の確保ということに置きかわるかもしれませんが、その理想像と目標像について示したいということでございます。また、わかりやすいメッセージを伝えたいということでございまして、かけがえのない水の確保、水道関係者が未来に向かってトップランナーのバトンを次代へつなぐということでございます。このトップランナーというのは、現行のビジョンがトップランナーとしてチャレンジし続ける水道というような基本理念がございますので、それを次へつないでいこうという趣旨でございます。
 「2 基本理念」でございますが、こちらは検討案がございまして、ここでは信頼され続ける日本の水道ということで記載しております。前回の策定検討会の中で構成員の先生からの意見といたしまして、例えば、信頼され未来へつなぐ日本の水道ですとか、地域を支え世界に貢献する日本の水道といったような色々な案を出していただいております。こういう意見をいただきながら、今後、確定していきたいというふうに考えております。
 また、ビジョン全体の中身を議論してから、こういった基本理念というのは導出されるのではないかという意見もございましたので、検討員の先生方の意見を十分伺いながら決めていきたいと事務局では考えているところでございます。
 次のページ「3 水道の現状評価と課題」「4 将来の事業環境」ということについてもまとめたいと考えておりまして、この3と4に関しましては、先ほど説明させていただきました中間とりまとめの内容に沿って整理していきたいと考えているところでございます。水道における現状を評価して代表的課題を分類して整理する。4の事業環境におきましても、こちらも先ほどの中間とりまとめの最初の特定テーマでございましたが、将来の事業環境というところで水道の将来の事業環境がどのように変化しているか、外部の要因と内部の要因に区別して整理していきたいということで、ここは事実を整理していくというスタンスでまとめたいと考えているということでございます。
 5以降は「目指すべき方向性とその実現方策」ということでございます。その中で水道の現状評価と課題を踏まえ、信頼され続ける水道を実現するための方向性を、持続性の確保、安全な水の供給、強靭な水道の構築ということで、この3本の柱に沿って方策をまとめていきたいということでございます。
(1)としては、方向性を3つきっちり打ち立てたいということでございます。まず1つ目、「持続」というものにつきましては、人口減少社会の到来、施設の老朽化と更新需要の増大等、水道を取り巻く環境が厳しくなる状況であっても、水道事業の運営が安定的に持続するといったことを目指したいということでございます。
次の「安全」という内容につきましては、水道原水の水質保全、適切な浄水管理、管路内における水質保持を実現し、すべての国民がおいしく飲める水道水を享受できる水道というものを目指したいということでございます。
「強靭」という中身に関しましては、施設の耐震化やバックアップ機能を構築いたしまして、自然災害による被災を未然に防止できる強い施設を実現したい。また、施設が被災した場合であっても迅速に復旧できる水道を目指したいということで、持続、安全、強靭という3つの方向性をここで確立したいということでございます。
 次の3ページのほうに参りまして、その「方向性への実現方策」ということです。具体的に水道に関係する人々はどういうことをしていったらいいのかをまとめていきたいということで、持続性を確保し安全で強靭な水道に向かって実現方策を整理するということでございます。
 まず、「持続」に関係する方策といたしましては、安定的運営基盤の継続ですとか、適正な料金設定、関係機関等との連携があると考えます。
「安全」という切り口に関しましては、安心して飲める水道づくり、水質管理体制の充実、水源保全による強化があると考えます。
「強靭」という切り口に対しましては、危機管理、施設の計画的更新・再構築といったことについて取りまとめていくということを考えているところでございます。
 次のページでございます。こちらは横断的な実現方策ということで書いております。先ほどの3本柱に主としてぶらさがるわけではなく、それを行うことによって3本柱、複数の方向性に複合して関係する方策だろうというような内容については、この横断的な実現方策ということで整理していきたいと考えております。
 まず1つ目が「多様な広域化」ということでございます。次は「あらゆる関係者との相互理解」ということでございまして、こちらは検討会の中では住民との相互理解として強調すべきという意見もいただきました。あらゆる関係者というわけではなく、住民というところをもっと強調したほうがいいのではないかという意見もいただいたということでございます。
 3つ目が「アセットマネジメント」ということでございます。こちらについては、「経営改善」というような概念の表現にしたほうがいいのではないかというようなことで意見をいただいたところでございますが、アセットマネジメントなどを推進するということも、横断的な実現方策の一つだろうと考えております。
 次は人材育成、あとは、水道のガバナンス、また、環境エネルギー対策、国際展開、技術開発といった切り口で、○の中に具体的な項目を挙げておりますが、これに限らず含まれる概念について実現方策としてとりまとめていきたいということで考えているところでございます。この中で、特に環境エネルギー対策、国際展開といった内容につきましては、現行ビジョンとの関係もございまして、ほかの横断的な実現方策に比較して、もうちょっと強く位置づけられないかという意見もございました。こういう位置づけにつきましても、さらに検討員の先生方の意見をいただきながら、整理していきたいというように考えているところでございます。
 次が関係者の役割分担ということでございまして、先ほど整理いたしました方策を実現するに当たって、関係者がどのような役割分担をしていけばいいのかということでございます。
 こちらは、国、都道府県、水道事業、民間企業、大学・研究機関、住民とさまざまな関係者が水道にはあるということでございまして、どういったことをするのかを整理していきたいと考えております。
 特に、都道府県と水道事業に関しては、新水道ビジョンの方向性を踏まえ、それぞれの策定する水道ビジョンといったものについてもあるべき姿を表現したいということでございます。そちらについては、一番下の枠囲いのところにございますが、都道府県ビジョン、水道事業ビジョンといったものにつなげていってほしいということです。
 都道府県に関しましては、将来の都道府県域の水道事業の広域化を含めた目指すべき方向性などを示す。
 水道事業者に関しましては、将来の事業基盤を見据えた目標像を具現化するといったビジョンをつくっていってほしいというようなことも、今回の新しいビジョンでは書いていきたいというようなことで考えているところでございます。
 以上がビジョンの骨子案でございまして、冒頭に申し上げましたが、まだ検討中のものということでございまして、次回が12月18日にまた策定検討会を開く予定でございます。また、そういった中でこの骨子案を提示いたしまして、いろいろ意見をいただきながらとりまとめていきたいというように考えているところでございます。
 またスクリーンのほうに戻りまして、今後の予定ということでございます。
 先ほど申し上げました第11回の検討会は、12月18日を予定しております。この中で今、申し上げました新水道ビジョン骨子案をもう一度提示して、御意見をいただきたいということでございます。
 さらに、住民とのワークショップというイベントも企画しておりまして、一般参加、各地の水道モニターの方ですとか、あとは、厚生労働省のホームページで10名程度公募で参加していただきまして、グループ討議を行っていただきます。その方々の水道に対するニーズですとか、求める将来像をいろいろ議論いただきながら、今、水道事業の直面している人口減少ですとか、経年施設の増加、危機管理といった、これからの水道を取り巻く環境を踏まえつつ、いろいろと意見を伺っていきたいということで、ワークショップを開きたいと計画しているところでございます。
 第12回から13回の検討会は、来年1月から3月の間に予定しているものでございます。これまでの議論、中間とりまとめ、骨子案を踏まえて新水道ビジョン素案というものをつくっていきたい、肉づけをしていきたいと考えておりまして、その内容について議論いただきたいと考えています。また、この間にパブリックコメントも実施するということで考えておりまして、パブリックコメント後の新水道ビジョン案についても最終調整を行いたいということでございます。
 また、シンポジウム的なイベントも、できればパブリックコメントの期間中に行いたいと考えております。そういう様々な方のご意見を踏まえながら、新水道ビジョンを最終的にとりまとめていきたいというふうに考えているところでございます。
 年度末には、最後、この新水道ビジョンの公表ということで、何とか頑張ってとりまとめていきたいというふうに考えているところでございます。
 新水道ビジョンの策定検討状況の報告については以上でございます。

○大垣部会長
 ありがとうございました。
 策定検討会の検討の状況、それから新水道ビジョンの骨子案が出ております。それでは、ただいまの説明に関しまして、御質問あるいは御意見をいただきたいと思います。
 発言の前に挙手いただければ幸いであります。
 では、いかがでしょうか。どなたからでもどうぞ。
 ものすごく幅の広い検討状況ですので、いろんなレベルの議論があるかと思いますが、いかがでしょうか。

○小笠原委員
 ちょっと教えていただきたいのですが、新水道ビジョンの視点の中に小規模水道の管理など安全な水の確保を検討という項目が上がっています。
今、厚生労働省におかれましては、平成28年度を目途に1市町村内1水道事業というような方向で強力に施策を進めておられます。それの一つの発想といたしましては、例えば簡易水道とか、そういったものを解消いたしまして水道の規模を大きくして、足腰を強くするという役割を担わせたというふうに私は理解しております。さらにこの水道ビジョンの中でそれが行われるわけですが、足腰を強くして水質管理のレベルも上げるといって、今、施策を講じた中にあっても、なおかつこの水道ビジョンの実施機関の中で小さな水道の維持管理が問題だという認識があると思うのですが、どういう問題があるか、ちょっと説明いただければありがたいです。

○大垣部会長
 いかがでしょうか。

○日置水道課長補佐
 小規模水道の足腰をどうするかということでございますけれども、このビジョンの中では、核となる水道事業者が小規模事業者を支援できるような方策はあるのかというようなことをとりまとめていきたいと考えています。広域化を進める話ですとか、あと、管をつないで水を給水するというようなことが本当に実現不可能ならば、違う方法を考えなければならないとか、そういったこともいろいろ選択肢を考えながら、周辺の小規模な事業者における安全な水の供給の確保ということの方策を提示できたらなというふうには考えているところでございます。

○大垣部会長
 どうぞ。

○小笠原委員
 今のお話でいきますと、1市町村の規模ではやはり規模が小さくてうまくいかないところがあるだろうと。そういうときには、その地域の中核となる水道と何らかの関係をもってレベルアップするという趣旨でよろしいですか。

○日置水道課長補佐
 一義的にはそういったことが一つの大きな柱かなということでございます。
ただ、色々な方策を検討していきながら考えますと、それ以外も意見をいただければいろんな方策を提示したいという気持ちはございますが、基本的にはそういう意識でおります。

○小笠原委員
 わかりました。国としてぜひ引っ張っていっていただきたいと思います。
もう一点よろしいでしょうか。水道ビジョンの骨子案の2ページの4「将来の事業環境」というところがありますが、その四角で囲った2番目に「内部環境の変化」というのがあります。例えばということなのだと思うのですが、ここで3つの項目があります。この中で、既に検討されていると思いますが、水道の形態の変化というものをちょっと御検討願えればなと思うのです。
ということは、今のお話とも関連があるのですが、1市町村を見た場合に、中核となる上水道に周りの水道を事業として統合するという施策が、今、行われています。しかしながら、小さな水道の施設そのものはそのまま残っているわけです。市町村合併が今、なされまして、1つの市町村の中の水道の数だけ勘定しますと、合併前の2倍ぐらいに増えているのですね。それからいきますと、パイプがつながっていないところの水道の管理というのが大変課題になると思うのです。国もいろんな施策を既に講じられておりますけれども、そういったこともぜひ検討に加えていただければなと思います。

○大垣部会長
 どうぞ。

○日置水道課長補佐
 そういった管がつながっていないところの小規模な水道をどうするかという話。もちろん、これから人口減少傾向を踏まえても我々大事な話だと考えていまして、その対応策として、研究機関の連携ですとか官民の連携ですとか、そういういろんな方策を組み合わせて何とかしていきたいという意識ではおりますので、もちろん検討する方向でとりまとめているところでございます。

○大垣部会長
 ありがとうございました。今の最初のほうの件は、ビジョンの骨子の3ページにある「持続」という中の安定的運営基盤の継続の中に入ってくるような課題でしょうかね。ぜひ、それでは検討会で検討を続けてください。
 ほかにはいかがでしょうか。
 はい、どうぞ。

○古米委員
 前回のビジョンのキーワードとしては、安全、安心、持続、環境、国際ということで5つあったのが、今回は震災を受けて、強靭というキーワードが出てきたと思う。新ビジョンとして非常に魅力的ですけれども、一方で環境の視点が比較的今回のとりまとめの中ではさほど目立っていないように、資料の1-1などを見ていると感じられます。環境対策あるいはエネルギー対策という項目は、いわゆる電力が逼迫したときに対応するという形でしか表現がされていなくて、ちょっと後退しているかなというイメージがありました。
しかしながら、資料の1-2の最終的なところでは、横断的な実現方策というところで、項目として環境エネルギー対策、あるいは国際展開ということで前のビジョンにおけるキーワードであったものが、ここに取り込まれた形で調整をされているというように理解しました。しかし、資料の1-1というような基本的な過去のレビューに関しては、しっかりと環境対策がどのように行われて、なお何が不足しているのか、あるいは対策が進んできたのかというレビューを受けた上で、新しいものを出すという形をとっていただくといいのかなというのが1点目です。
 2点目は、前回のビジョンでは大量の高度な技術者が退職されて、技術継承というキーワードも比較的出ておりましたが、今回はそれは人材育成という形で受けているというように理解しました。
 3点目は、今回の場合は東日本大震災を受けて、平常時だけではなくて災害時、あるいは危機管理上どうすればいいのかといったところが非常に重要だと思います。私自身は、もう少し水道施設の情報を電子化しておくことが、ある意味アセットマネジメントにもつながりますし、被災したときに紙ベースのものがなくなったことによって非常に混乱したという経験もありますので、施設情報の電子化管理のあり方というものも、ある意味危機管理の一つとして位置づけていただくことも意味があるのかなと個人的には思っていますので、ぜひ検討の1項目としていただければと思います。
 以上、3点です。

○大垣部会長
 ありがとうございます。
 2点目、3点目は要望で、1点目はいかがでしょうか。何か特に意図があったのか、あるいは検討会でどういう議論があったのか。

○日置水道課長補佐
 確かに、環境、国際というテーマにつきましては、環境はもう全ての事業者が普遍的に取り組んでいるようなところもあるというような話と、国際展開につきましても、事実上やれる事業者とやれない事業者と明確にあるというところもございます。そういったところで、大きく3本柱としての目標というよりかは、横断的に取り組む3本柱に至るための方策として位置づけてみてはということで、事務局としては資料を整えていったのです。けれども、確かに今、古米先生からおっしゃられたような意見というのは検討員の先生方からもいただいておりまして、そこは、これまでの経緯もございますので、できるだけ違和感のないような形でまとめたいなという気持ちではいるところでございます。

○大垣部会長
 とりあえず、よろしいでしょうか。
 ほかにはいかがでしょうか。
 どうぞ。

○秋葉委員
 国や都道府県、水道事業など関係者の役割分担を明確にするということで、広域化を目指して都道府県を中心に考えるということでございますが、最近の国の政策の流れとしましては、地方分権の推進、水道では専用水道、貯水槽水道が、都道府県から市町村へ権限が移譲するようなことも行われております。水道の数十年の将来像を考える場合、国の政策の変化が大きな影響を及ぼします。3本柱の一つの強靱の中で、危機管理が取り上げられています。災害時の応急給水等では、水道協会が大きな役割を担いますが、5ページの関係者の役割分担の中では、水道関係団体が入っておりません。危機管理の中で、指揮命令系統を明確にする場合、水道関係団体の役割も非常に重要だと思うのですが、そういったところはどうですか。

○日置水道課長補佐
 危機管理については、誰がどのような判断を下していくのかというのは、非常に大きなポイントになると思います。まず、現場で判断するレベルもあるでしょうし、その後、国のほうからイニシアチブをとって対応していくこともあると思いますが、そういうことを踏まえてまとめていきたいというふうに考えております。
○大垣部会長 今の件は5ページのところの関係、役割分担というのは、平常時のことが大体書いてあるわけですよね。それで、今の御指摘には異常時というような意味合いもありますね。

○秋葉委員
 そうですね。
 これから高齢化が進む中で、例えば病院や福祉施設などの重要施設の危機管理を考えた場合、平常時から給水協定を結ぶようなことは市町村が中心になるのでないかとおもいますが、そのようなことは都道府県がビジョンを策定して、その中で、市町村の役割分担を明確するということでしょうか。危機管理を考えた場合、いろんなケースがありますね、都道府県によって体制が大きく違いますので。

○日置水道課長補佐
 水道事業者が基本的に市町村というところもあるので、水道事業という中の、確かに行政としての関係もございますので、災害も意識したような形の役割分担も取り込んでいきたいというふうに考えます。

○大垣部会長
 ほかにはいかがでしょうか。

○安藤委員
 各先生方がおっしゃったことと同じようなことになりますが、やはり私、国と都道府県と市町村、あるいは水道事業体の役割という、ここが非常に大事かなと思っています。つまり、厚労省としてはそういうふうな枠組みで地方でお願いしますよ、あるいは都道府県でお願いしますよというのはよろしいのですけれども、実際問題、それが本当に機能しているかどうかというのが非常に大きな問題でして、幾つか問題点が結構ある。
 そういうことからすると、この水道ビジョンでは個別については非常に丁寧にお書きになっているけれども、基本的に体制というものに対して、今の体制でいいのだろうか。例えば、簡易水道はどんどん変化している、あるいはいろんなものは変わっている。ここで議論しているのと、社会での動きというのは変わっている。そういうものを含めてもう一度見直しをしていただきたい。個別は結構ですけれども、そうではない全体として、この体制でずっと後10年なり何年なりそれは動かせるのだろうか、それをもう一回どこかで御検討いただければありがたい。それは役割分担という中でも結構ですが、どこかでそれを議論していただければありがたいと思います。

○大垣部会長
 よろしいですか。

○日置水道課長補佐
 一応、我々、こういうビジョンを出して、後はフォローアップも多分必要だと思いますので、そういう中で実効性のあるものにしていきたいというふうに考えるところでございます。

○大垣部会長
 ありがとうございます。
 はい、どうぞ。

○中野委員
 検討会の検討の中に、持続性の確保ということで、恐らく都道府県あるいは市町だけではなくて、民間という一つのカテゴリーが出てくるのだろうと思うわけです。民間委託をした場合の国としてのかかわり、例えば、ビジネスモデル的なものを示す、あるいは全体のフレームづくりといいますか、あるいは安全、安心というものをどういった形で確保するのか。ここにも懸念材料として価格競争の弊害ということも書いてあるわけですけれども、それと安全、安心とどう均衡をとっていくか。あるいは、やはり住民に対する水の安全、安心をどう確保するのか。ここのかかわりというのは、国としてもやはり当然引き続いて担われるべきだろうと思うのですけれども、今後フレームづくりあるいはビジネスモデル的なものを示すなり、どういった形でのかかわりを今からお考えなのかということをお聞きしたいと思います。

○大垣部会長
 どうぞ。

○日置水道課長補佐
 民間企業のかかわり方は、いきなりかかわる形もあるかもしれませんが、先ほど申し上げた中核の水道事業者と民間企業が組んだ形で、他の水道事業の面倒見ていくとか、そういう方策もいろいろあるかと思います。
 そういった中で、民間の方もうまく水道事業を引き受けてやっていけるような体制とか、そういう土壌づくりもできていくのではないかと考えております。水道ビジョンでは大枠を示すのですけれども、そういう具体的な細かいところは、さらに厚生労働省としてガイドラインとかそういうサポートをしていきながら、ビジョンに沿った形で施策を進めていくのが適当なのかなというふうにも考えるところでございます。

○大垣部会長
 よろしいですか。
 ほかにはございますか。
 はい、どうぞ。

○大澤委員
 先ほどの安藤先生の御発言とちょっと重複をいたしますけれども、50年から100年先の水道の理想像、目標像という大変高い目標を掲げておられる。ただ、私の経験というか、私のバックグラウンド、建築とか都市計画とかいうところを見ても、50年、100年先に一体何が生き残っているかは全くわからないという状況で、非常に言葉としては耳に心地よいのですけれども、これを実現する方法とかやり方について具体的に何か根拠とかイメージがおありでしたら教えていただきたいと思います。

○大垣部会長
 どうぞ。

○日置水道課長補佐
 50年、100年先、世の中どうなっているかわからないというのは、私も多分そうだろうと思っております。ただ、水道施設といいますものは、今、例えば、送水管とか管を埋めますと、それは50年、100年使うような施設であります。その間に人口が減っていくというのは、恐らくそうなのだろうと思います。今、1億2,000万でほほピークにありますけれども、50年、100年後には、もう人口が半分になるような推計もあるというところでございます。そういう中で1億2,000万人分の施設を維持しておくべきなのか、それともそれらをどのように更新していきながら、例えばサイズを小さくしながら、持続性を確保していくのかということを我々関係者の間で共有しながら、今後の水道事業の持続性を確保していきたいという気持ちがございまして、50年、100年というようなことを書かせていただいているところでございます。もちろん50年、100年先をきっちり予測して、そのとおりやるというところは、多分難しいかなと考えておりますが、水道施設の性質として、そういう面がございますので、50年、100年というような書き方をさせていただいているというところでございます。

○大垣部会長
 ほかに。
 できれば、簡潔にお願いします。

○小笠原委員
 中間とりまとめの長い表の36番で、上下水道の一体化が議論されているように書いてあるのですが、どういう議論がなされたか教えてください。

○大垣部会長
 3ページ目の36番の解決策の一番下のほうです。

○日置水道課長補佐
 こちらは特にこの方向で行くべきだというようなことではなく、一般的に上下水を組織として一体化したほうが、職員の確保ですとか、技術系の職員とかも水道と下水と合わされば合理的に集まることができるとか、そういう内容の議論だったかと記憶しております。

○大垣部会長
 ほかには、よろしいですか。
 どうぞ。

○瀬川委員
 今の35番、36番の辺なのですけれども、広域化は目指すのですか。
 東日本大震災の危機管理上は、広域的な連携がどうしても必要になると思うのですけれども、それぞれの事業体がそれぞれのことをやって、危機のときだけは広域化ができるよという体制なのか、それとももう最初から広域的にしてしまうのか、それをお聞きしたいです。
また、小笠原さんにもお聞きしたいのだけれども、簡易水道が広域化の中に組み込まれていくのであれば、ちょっと問題があるのかなという気もするのですけれども、どうでしょう。

○日置水道課長補佐
 広域化の推進ということで、これまでずっと申し上げてきているところですけれども、我々も検討会をやっていく中で必ずしも広域化だけが唯一の解決策かどうか、という面はございます。中小の事業体さんでもきっちり地に足のついた事業をやっているというようなところもございますので、そういうところは我々としては、一つのあり方として新しいビジョンの中でも位置づけられたらなと考えております。ただ、どうしても、人がいないとかそういうときは広域化で手助けを求めないといけないこともあるでしょうし、もちろん災害とかそういうときは状況に応じた連携のあり方もあるということで、広域化は言葉は1つですけれども、中身はいろんなことがあるというのに注意しながらまとめていきたいと考えております。

○小笠原委員
 広域化という言葉は人それぞれにいろんな意味を持って、今、使われているのが現状だと思いますが、私のイメージからいきますと、今の広域化というのは施設の管理体制の広域化がメーンにあるのかなと。施設のほうとしては、今、国が進めておられるように、施設の統合ではなくて、ある管理体制のもとに含まれるという方向だろうと思います。私はそれはいいと思います。
災害対応を考えたとき、それから、先ほどのお話にもありましたように、50年先を考えたときに人口が極めて少ない、ひょっとしたら集落がなくなるところもあるかもしれない。そういったことを踏まえますと、良質な水源であれば、ほんの小規模であってもそのまま残して管理をしていく。そういう時代がくるのだろうなと私は思っております。したがって、そういった施設をいかに効率的に管理するかというのが、広域化に隠されたメーンの言葉かなというふうに思います。

○大垣部会長
 ほかにはよろしいでしょうか。
 この議題に関しては一応、予定の時間は過ぎておりますけれども、よろしいでしょうか。
 今、いろんな御意見が出ましたけれども、地域全体をどう設計してというのは50年、100年後のということにも関係しますし、先ほどの上下水道の一体化の議論とかエネルギーの問題とか、全体で御意見、かなり共通の部分もありますので、ぜひそれを検討会にも伝えていただきたい。そして事務局でも御検討いただきたいと思います。よろしいでしょうか。特に加えるべきことはございますか。
 よろしいですか。それではどうもありがとうございました。大変貴重な、本質的な議論が幾つか御指摘がありました。
 それでは次の議題に移ります。
 「東日本大震災の被害状況調査結果について」であります。
 事務局より説明お願いいたします。

○熊谷水道計画指導室長
 東日本大震災から1年半強過ぎておりますけれども、ようやくこの震災の状況というものの全貌がわかりかけてきましたので、ここまでの調査結果の内容を御報告したいと思います。
 御出席の小笠原委員にも御協力いただきまして、被害状況の調査報告書をとりまとめているところです。
 今回お話ししますのは、平成23年度中までに災害査定といいまして、災害時の公共施設の復旧の補助事業として採択するもの、これらの申請の内容をとりまとめたものでございます。非常に甚大な被害をこうむった、いわゆる津波被害地区といわれるものの被災状況というのは、今年度になって調査を進めているところでして、それらの詳細については、まだこの中に含まれておりません。今年度の調査結果を待って、ここまでの調査結果とあわせて今年度中に全体の報告書として公表したいと考えているところでございます。
 これまで、震災直後から日本全体の断水状況について、時々刻々断水状況の報告、記者発表など行なってきたのですけれども、今回再調査してみまして、その当時調査したものに非常に大きな漏れがあるということがわかりました。今回、全体を精査してみますと、日本全国で約257万戸の断水戸数があった。日本全国で約5,100万世帯ぐらいの数ですから、東日本大震災といいながら、日本全体で5%に近いような断水率であったということが判明してきております。
 今、お示ししておりますのは最大断水率が75%を超えるような事業体に赤いマークを入れて、地図上で表示したものになります。このように非常に大きな断水率をこうむったところが81事業者ありまして、やはり沿岸域にそういう事業体が集まっていることがおわかりになるかと思います。
 気象庁の発表などを見ますと、今回の東日本大震災と同時に起こった新潟、長野の内陸の地震であるとか静岡の地震については、無関係との整理をされているようです。しかし、この当時、断水被害としては同時に公表していた結果として、次に見ていただくとおり、あの3月11日以降1週間ぐらいの間に、日本全国で22都道府県にわたって断水を経験することになった非常に大きな被害であったことが改めてわかっております。
また、マスコミ報道等で被災3県というような言い方が各所でされておりますが、この都道府県別の断水戸数を見ていただくとおり、10万戸を超えるような都道府県というのは、実は5県にわたりまして、岩手、宮城、福島、茨城、千葉県。水道に関しては、被災5県という状況であったというふうに表現してもいいのではないかとデータを見て考える次第です。
特に茨城県の80万戸、宮城県をして64万戸の断水に対して、この茨城県の断水戸数の大きさというのは、多分一般的な東日本大震災に対する認識と、この水道の被害の大きな違いといえると思っております。
今回、断水被害で大きかったのは、この当初の震災によって起こった断水被害に加えて、1か月後、4月7日から12日にかけて3回起こった大きな余震が非常に大きな影響を与えております。再断水の戸数が約38万戸と、先ほど御紹介しました257万戸、これは各断水戸数の純計でして、この再断水を延べ戸数にしますと295万戸に近い断水被害ということになりまして、2度以上断水をこうむる。当初から気象庁など注意喚起をされておられましたけれども、このようなプレート型で大きな余震が起こると、当初被害だけでなくその1か月後から3か月に出てくる被害の大きさ。この余震だけでも38万戸というと、普通の単独の地震でも相当の被害件数ですので、そういう事態が起こったということは、今回、特に阪神・淡路大震災のような活断層ものの地震と大きく違った点だというふうに思っております。
次の表は各4月7日、11日、12日に関しまして各県の断水戸数を集計したものです。一番大きかったのは4月7日、25万戸近くというものなのですが、その後も4月11日に12万戸、4月12日にも1万戸強の断水に見舞われています。特に4月11日の10万戸は、ほぼ福島県のいわき市1市で起こった被害でして、仮復旧が終わってほぼ断水解消した直後に見舞われた余震として、水道の中では非常に大きな記憶として残っているところでございます。
今回の256万戸の断水の中で施設被害があるもの、ないものというものを区分したいということで、データ上で整理できる範囲で解析をしましたのが以下でございます。施設の大きな被害がなく断水戸数の報告があったものが76万戸ということになりますので、約3分の1ぐらいは、停電のみの断水戸数が中に含まれていたということの理解となろうかと思っております。
時間も押していますので、細かいところはちょっと飛ばさせていただいて、応急給水・応急復旧の状況ということで、最も多い時期に全国から327台の給水車が被災地の応急給水に当たっております。台・日、人・日の活動日数ということにしますと1万4,000台・日、また作業員の人数でいきますと4万人・日というような応急給水の体制が、その当時現地に投入させていたというのが今回の整理でわかってきております。
給水車の派遣については、やはり震災直後から2週間ぐらいまでの間がピークという状況になっております。その後の応急復旧のための支援ということになりますと、応急給水が少し収束しかけた後、3月下旬から4月の中旬くらいをピークに全国からの応援が集まって、今回の水道の復旧に働いたということがわかってきております。
皆様のほうには応急給水の応援の経緯を資料でお渡ししていますので、後ほど見ていただければというふうに思います。特に今回注目すべき点は、日本水道協会を中心に全国の水道事業者を被災地に集めるというスキームを持っているのですが、その連絡調整、被災地の情報を集めて要請をかけるという基幹事業者が大きな被災に見舞われたというのが、過去ここ十数年間でいろんな被害を受けておりますけれども、その中でもなかった、初めての例といってもいいと思います。宮城県の全体の被害状況の連絡調整を行う石巻の水道企業団、また、東北地区全体の被害状況を日本水道協会と調整をする仙台市、この両者が大きな被害に遭われたということは、今回のこういう応援体制の連絡調整という意味では非常に困難をきわめたところでございます。スキーム的には、こういう連絡調整役の代行制度というのを持ってやっているのですけれども、今回初めてそれを本格的に運用するといったことが行われております。
皆様のほうには、細かい拠点施設、浄水場や管路関係の被害状況というのをお渡ししています。数字的なものなので御紹介するところを少し省かせていただきますけれども、今回の水道施設の中でやはり大きな被害に遭って、また長期の断水に至ったものは地盤そのもの、崩落するであるとか、液状化によって浄水場そのものが機能が停止するといったもので、復旧に非常に困難を極めております。
数的には、これだけ広いエリアという意味では、5浄水場にとどまったというのは、不幸中の幸いであったかというふうに思います。けれども、宮城県の女川町の鷲神浄水場、栃木県にあります旧黒田浄水場、多分、一番今回の浄水場被害の中で大きかったのは、茨城県の鰐川浄水場、また同じように液状化被害を受けております宮城県の石巻の蛇田浄水場、また千葉県の神崎町の神宿浄水場というのがございまして、ここに載せています液状化関係の被害の蛇田浄水場と神宿浄水場に関しては、災害復旧において場所を変えて復旧するという初めての例を経験しているところでございます。
この辺は写真を御紹介したかったのですが、時間の関係もございますので、簡単に見ていただきます。茨城県の液状化で最もひどかった鰐川浄水場の例ということで、地盤沈下、噴砂、段つきいろんな被害を見ていますし、ちょうどこの中で管路関係が折れている、抜けているという状況です。管路の関係の被害といいますと、いわゆる送配水系のネットワークというのもございますけれども、今回は非常に場内配管といわれるような浄水場の中であるとか、配水池前後といったところで大きな被害に見舞われているものが見てとれます。
次に御紹介しますのは、石巻の広域水道企業団、これは移設で今度復旧することが決まりましたけれども、蛇田浄水場の急速ろ過のものですけれども、構造体そのものがひび割れて壊れているような状況が見ていただけるのではないかと思います。
あと、もう一つ今回の震災被害の中で非常に長期化したものの中に、塩水化、海岸域にある井戸、水源の障害というものがございまして、数的にはここに上げています7か所で大きな被害を受けて、全体の水源数からみれば非常に少ないのですけれども、非常に長期化したということで注目もされていましたし、その後の復旧で非常に困難をきわめたということで、非常に象徴的な今回の被害例というふうにいえるかと思っております。
水道管路につきましては、全域で約1万5,000か所の管路破損というものがありまして、これを今回ほぼ1か月から3か月の間に復旧するというような体制をとっております。管路被害率にしますと、過去に比べれば絶対値そのものは非常に低いレベル、それは一般的な建築構造物についても、例えば阪神・淡路大震災のときのようなビルや建物の崩壞状況に比べると被害は小さかったというのは一般的な認識とされているところでございます。管路関係に関しましても、過去の地震被害に比べては非常に絶対値が小さいという状況ですけれども、今回の被害状況を見ますと5強と6弱あたりに大きな差がありまして、6弱を超えますといろんな管種において被害が発生し始めるという境界線が見てとれる状況になっております。
この近辺で千葉県の浦安市内は、液状化で非常に大きな被害を受けたところですけれども、その直後、後流のような噴砂状況で、電柱が斜めになっていたり、道路地盤と家屋が大きく段差づきになってそこで切れると、非常に大きな被害を受けているところでございます。
今回、全体の被害対策をやる中で、既に阪神・淡路大震災の時点でいろいろな教訓、今後に向けてということで指摘されていた事項がございます。特に改めてですけれども、例えば基幹病院、透析用水が必要になるような病院に対する給水問題というのは、既に阪神・淡路大震災のときから指摘いただいているところです。また広報関係、広報計画というのをきちんとやらないとなかなかうまくいかない。断水解消は地域一律に公平にできるというものではなく、どうしても地域的に偏在をするということに対して、どういう広報戦略をとるかという部分に関しては、17年前の課題を今回再認識するという状況にあったような気がします。
また、本庁機能の喪失というのも阪神・淡路大震災のときから指摘されているもので、今回も特に津波被害地区において本庁機能、事務所機能あわせて施設配置の図面類の喪失であったり、その後の復旧活動に非常に支障を及ぼすような被害が幾つかのところで見られたという状況になっております。このような内容をもう一度過去の地震にさかのぼって今回の東日本大震災を踏まえて、今後の危機管理体制にきちんと生かしていきたいと考えている次第でございます。
ありがとうございました。

○大垣部会長
 ありがとうございました。
ここにまだ資料はありますけれども、これは。

○熊谷水道計画指導室長
 内容的に阪神・淡路大震災とかなり重なる部分がありますので、説明を省かせていただきます。

○大垣部会長
 それでは、ただいまの御説明に関しまして、御質問や御意見いただきたいと思います。
 いかがでしょうか。
 私から1つ。阪神・淡路のときに、配水池などが崩れそうになって2次被害の問題が心配だということで、その後各地で耐震対策をしました。今回の場合、余りそういうことは顕在化しなかったのでしょうか。

○熊谷水道計画指導室長
 阪神・淡路大震災からその後普及した耐震対策として非常に大きかったのは、地震感知で配水池の出口を閉めるというような、緊急遮断弁といわれるような型式のもので、これは非常に各地で普及もしましたし、今回作動してその後の復旧のための、水を確保するという意味では非常に大きな役割を果たしたというふうに思います。
 ただ一方で、どのくらいの震度でとめるかという緊急遮断弁の設定に関して、震度4や5弱ぐらいで設定したところでは、逆に大きな水道施設の被害がないのに遮断弁が作動して断水が起こり、その普及に非常に時間がかかったというところがありました。こういったようなものを管路の耐震化のレベルにあわせて設定を変えていくとか、運用をどういうふうに考えていくかということは逆に問題になったところがございます。
 こういう経験を生かして、ハードに頼るのではなく、それをどういうふうに運用するかというところも含めて考えていくべきだと認識しております。

○大垣部会長
 ありがとうございます。
 はい、どうぞ。

○岡部委員
 阪神・淡路の大震災とほぼ同じような反省と教訓があったというふうにおっしゃったのですけれども、ということは、今、ちょっといいところもおっしゃっていましたけれども、ほとんどそれが生かされていなかったということになりませんか。
 そこは余り追及するつもりはないのですけれども、そこの教訓を踏まえた今後の対応策、これが本当は一番大事で、これをどういうプランでこれからやっていくというようなことは何かあるのでしょうか。

○熊谷水道計画指導室長
 もちろん阪神・淡路大震災以後、非常に耐震対策強化されたところたくさんございますし、逆にそういうエリアではなかったところが今回震災にやられたというのもあります。また、全国的な指標で耐震化率も徐々に上がりつつあったのですが、特に津波の被害を受けたようなところは、非常に中小規模で耐震対策に余りお金がかけられなかったところで大きな被害があったということで、今回の被害の状況をどういうふうに解釈すべきかというのは、なかなか私どものほうも苦しむところです。
 阪神・淡路大震災以後もやはり2年から3年の間は、耐震対策補助事業なんかを実施する私どもの立場としては、いろんな施策を打つのですけれども、やはり時間の経過とともにそういう要望や実施計画も、だんだん少なくなってくるというのは、実際現実の姿としてございました。
今回の被害状況を踏まえて、継続的にいかに関心を持ってやり続けるかということ。先ほど御説明させていただきました水道ビジョンの中などできちんと取り上げて継続的な取り組みを今後求めていきたいというふうに考えております。

○大垣部会長
 ほかにはいかがでしょうか。
 はい、どうぞ。

○秋葉委員
 ご説明の終わりの部分で、透析用水などの病院の給水の確保の話が出てまいりました。阪神・淡路大震災を契機としまして、確か平成8年に災害拠点病院を都道府県が指定するというようなことになっていたと思います。現在、全国で六百幾つぐらいあると思うのですが、今回、災害拠点病院では、どのように水の確保を行い、病院機能の継続はがどうであったか。災害拠点病院では、独自の水の確保が要件の一つであったかと思います。地下水利用専用水道を設置した地域の給水拠点になったとかという話もあるようです。災害拠点病院の給水の確保、他の機関との給水協定とか、今後の応急給水のあり方を検討する上で有用となるような、そういった情報はあるのでしょうか。
○熊谷水道計画指導室長
 災害拠点病院全てを知るわけではないので、私の知る範囲ですけれども、専用水道的になって逆に水道をやめてしまったり、ちゃんとした対応で自己水源を持ちながら水道の接続もされているようなところもありますし、いろんな対応であったかと思います。
 水道の復旧の中で、やはり優先的にやるということで、路上配管みたいな形で先に病院だけをつないでしまうというような努力もされておりますけれども、そこに至る間で、そこは単なる病院という意味ではなくて、今回のような大きな被害になりますと、避難地域や、そこのいわゆるエイドステーションのような場所になっていることも多くて、そこが非常に復旧がおそくなることによって、全体の水道事業の対応に市民全体として不信感を持つような状況があります。
 結果的な問題ですけれども、復旧のめどをきちんと見せる、計画をちゃんと見せる、それをきちんと広報する、それをどういう手段でやっていくか、非常に人員も限られた中で、いわゆる応急給水や応急復旧だけではなく、これは神戸の反省の中にも出てきている部分なのですよ、災害対応の中に広報計画をきちんと入れるべきだということに対して、17年前の指摘がありながら、やはり個々の事業を見ますと甘い部分があったかなと反省する部分があります。
今後の改善に役立てていきたいと思っております。

○大垣部会長
 よろしいですか。

○秋葉委員
 もう一点、別件ですけれどもよろしいですか。井戸の塩水化ですけれども、100日以上を要したところ、現在も停止しているところが結構あるということですが、これは結局、井戸を使う必要がないということで復旧しなかったのか。復旧されたところというのは、井戸を洗ったりとかすると思うのですけれども、どのような方法なのでしょうか。それぞれの井戸の構造によっても違うとおもいますが。

○熊谷水道計画指導室長
 もう個々の井戸の状況によります。中をもう一回清掃をやってという形式で復旧したところもありますし、一旦、中のくみ上げをやって塩化物イオン濃度としては基準値以下に下がったものの、その後の降雨や流況状況によって、再度濃度が上がるということを繰り返しながら漸減しているようなところもございます。またほかに代替水源があるところにおいては、もう最初から復旧を諦めて別水源に切りかえられたようなところもあります。
 非常に大きな報道がなされた南三陸町なんかという場合については、代替の水源がなかったので長期間くみ上げをやりながら、どうにか塩化物イオンの濃度が下がるのを待った。これが110日間ぐらいかかった例になっております。一つ一つの井戸の構造にもよりますし、そもそも内部を空っぽにできるか、清掃に入れるかどうかというのも井戸底部の構造によって大きく違ったりしますので、ここはまさに一つ一つの状況、一般論がなかなか見えにくいところかというふうに思っております。
 実は、ここに関しては、まだ査定業務も全部終わっていないところでして、今後、もうちょっと詳しい情報がとれれば整理をして最終報告書に入れ込んでいきたいというふうに考えております。

○大垣部会長
 よろしいですか。
 ほかにはいかがでしょうか。
 はい、どうぞ。

○古米委員
 今の議論に関連して、津波によって塩水化した浅井戸の水源において、水道法上、水道水質基準を満足しない限り給水できないという事業体の使命感が過剰にありました。一方で、飲み水として使わなくても、要は生活用水として使うに十分足りる水は実はあった。そういったときに緊急避難的に水を供給するかしないかというのは、今後大きな事故や災害があったり、同じような状況が起きたときに、住民に対して健康だとか安全を確保しながら、生活用水を一部供給するという判断が今回議論になったと思います。今回の経験を踏まえて、特に東日本大震災のように復旧に時間がかかる場合には大事な視点かなと思います。それについては、何か議論をして今後水道法を変えるわけではないでしょうけれども、運用方針を示すなり、災害時の生活用水供給面での考え方を検討するということは出てこないのでしょうか。

○熊谷水道計画指導室長
 今回につきましても、実は塩化物イオン濃度が基準値を超えた状況でも、それを十分公表しながら生活用水として供給する方向で、私ども都道府県と調整しながら実施させていただいております。
 塩化物イオン濃度に関しては、御存じのとおり、いわゆる健康項目、人の健康に影響する項目という認識でもございませんし、味の問題ということで、基準値を少々超過しようとも直接には影響はない、少々の誤飲があっても影響がないということもありましたし、そういう形で今回運用させていただいております。
 一方で、そういうふうに相談をいただけたところには、厚生労働省としてそういう回答をやりましたし、調整の中で実際に供給がスタートしているのですけれども、非常に残念だったのは、やはり自治体自体で基準値を超える供給はまかりならないということで、御相談がいただけなかったところについて、こういうような運用がちょっと行き渡らなかったところがございます。今回の被災地の状況を考えますと、食品であるとか飲み水というのは、救援物資としていろんな形で供給されていますので、御指摘いただいたとおり柔軟的な対応は必要なものだというふうに思っております。
 今回を機にこういう非常時の運用に関して、今回の経験を踏まえて事業体に柔軟な対応ができるように、こちらの意向というか考え方の基本に戻った対応を求めていきたいというふうに思っております。

○大垣部会長
 よろしいですか。
 ほかには、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、最後の話題は次の議題とも若干関係するかもわかりませんが、議題の3に移ります。「その他」ですけれども、事務局から説明をお願いいたします。

○尾川水道水質管理官 それでは、本年5月に利根川で発生いたしましたホルムアルデヒドを原因といたします断水被害の状況と、現在の対応について御説明いたします。
 資料は、今、熊谷が御説明しました東日本のパワーポイントの一番最後のところに1枚紙で参考資料の2としてスライド4枚載せてございます。画面でもって御説明をさせていただきます。
 今回の事案でございますけれども、事の発端は5月15日なのですが、埼玉県の企業局が浄水の定期の水質検査をしていたときに、水質基準項目にございますホルムアルデヒドをはかってみたところ、基準値は超えていないのですが、基準値の半分を超えて検出をされたということが発端でございました。
 ホルムアルデヒドは、もちろん広く使われている化学物質でございますので、ホルムアルデヒド自体が来ることもあるのですけれども、原水中に含まれております、自然界にも存在しますアミン類と消毒に用いる塩素が反応することによって生成する消毒副生成物といっているものの1つでございます。
 埼玉県企業局では、通常ここまでの濃度でホルムアルデヒドが検出されることはないものですから、原因は何かということで原水を調べたのですけれども、ホルムアルデヒド自体は検出されない。そういうことになると、これは何かその前駆物質に当たるものが流れてきたのだろう。また非常に高濃度で来ておりますので、自然由来というよりは、何かその上流で事故の類いがあって、大量の前駆物質が流れてきたのではないかというふうに推定をいたしました。
 水道事業者あるいはこの地域の埼玉県、群馬県の環境部局では何とかその原因を見つけようということで、そのあたりの沢なりをシラミ潰しに当たるわけですけれど、なかなかこれが原因に行き当たるには至らなかった。そうこうしているうちに、ホルムアルデヒドの濃度が下がってくれることを期待していたと思うのですが、下がるどころか上がり始めて、5月18日は金曜日でございましたが、金曜日の夕方ぐらいから千葉、埼玉の浄水場で次々と取水を停止するに至ったということでございます。
 なぜ、これが取水をとめることになったかと申しますと、このホルムアルデヒドの原因物質を何とか塩素と反応しないようにするために粉末活性炭を入れて吸着除去しようとか、あるいは塩素の注入点を変えて何とかホルムアルデヒドの発生量自体を抑えようとしたのですけれども、これが全く効かない。つまり活性炭にくっつかない前駆物質が原因だということで、後ほど御説明いたしますけれども、特に高度処理の施設を持っていないところは、原水の濃度が上がってくると、なすすべもなくそのまま浄水中に0.08という基準値を超えたホルムアルデヒドが出てしまうという事態になりますので、それを避けるために取水を停止せざるを得なかったということでございます
 結果的に、5月19日の土曜日であったのですけれども、千葉県内で36万戸、87万人という非常に大きな給水停止、断水が起きてしまって、20日の明け方まで断水が続いた事業体もあったということでございました。
 これはその後、どんどん原水中のホルムアルデヒドの前駆物質の濃度も下がってまいりまして、事故自体おさまりました。
 次のスライドに参りますが、その後判明したこととして、なぜこういう事態が起きたかと申しますと、その上流にございます排出事業者と書いているところがございますが、埼玉県の本庄市にあるヘキサメチレンテトラミンを使っていた事業所があるのですけれども、こちらからヘキサメチレンテトラミンという物質を数十%含む高濃度の廃液数十トンが処理に出されておりました。処理の行き先が、高崎市内の産廃処理施設と書いてございますが、利根川の支流の烏川沿いの産廃処理施設に処理が委託された。ところが、この排出事業者はヘキサメチレンテトラミンという物質は水道の塩素処理をするとホルムアルデヒドになるということがわかっていたわけでございますが、そのこと自体を産廃業者にちゃんと伝えていなかったということもあって、産廃の処理能力が十分でないところにヘキサメチレンテトラミンを高濃度で含む廃液が投入されてしまって、結果的にはほとんど処理されないヘキサメチレンテトラミン数トンが下流にどんどん流れ下ってしまったということであります。
 下流のほうでは、江戸川沿いの浄水場は軒並みやられてしまいましたが、下のほうのちょっと色が変わった金町浄水場ですとか、ちば野菊の里浄水場というところがございますが、これらの浄水場につきましてはオゾンと生物活性炭を組み合わせた高度処理施設を持っておりまして、それらが、ヘキサメチレンテトラミン自体あるいはその生成したホルムアルデヒドを分解なり吸着する能力があったということで、同じく原水の濃度が高かったところであるにもかかわらず取水停止に至ったところとそうでない施設が出たというのが今回の状況でございました。
 一枚スライド戻りますが、厚生労働省では、とにかく流れていた原因がわからないということだったのですけれども、水道事業体がとっておりましたホルムアルデヒドの前駆物質を高濃度で含む水を国立医薬品食品衛生研究所の御協力で分析をいたしまして、この物質が幾多ある前駆物質の中でヘキサメチレンテトラミンであるということを特定したということ。そして、国立保健医療科学院の推定によりまして、その量が数トンオーダーだという、この2つでもって先ほど申し上げた処理施設から来た排水が原因であるということの特定に至ったということでございます。
 現在、こうした不適切な廃棄物処理が原因となった事案ということになりますと、あまねく、いかなる可能性もございますので、こうした事案が再発しないようにということで検討会を設置しまして、検討を開始しているところでございます。
 少し話を環境サイドの取り組みのほうへ移らせていただきますが、今回の事案については、やはり廃棄物なりを適正に処理していただくということ。こうしたヘキサメチレンテトラミンのように注意していただきたい化学物質については、下流に流れ出ないように排水なりを管理していただきたいということなのですが、残念ながらヘキサメチレンテトラミンは水質汚濁防止法の排水規制などの対象外の物質でございました。
 そうしたことが対応の遅れにもつながったということもございまして、環境省では私どもとともに検討するということで、環境省の検討会におきまして、水環境分野それから廃棄物と両方の部局が一緒になって検討いたしまして、9月の中旬にはヘキサメチレンテトラミン自体の濃度規制に当たるものを、これはホルムアルデヒドの生成能でもって排水をちゃんと管理しましょうというという通知を出していただいています。また、ヘキサメチレンテトラミンを含む産業廃棄物につきましては、その処理委託に際しまして、そういう物質であるということをちゃんと処理業者に通知をするようにという留意事項を廃棄物サイドから通知をしていただいているということでございます。
また、9月26日公布、10月1日施行の水質汚濁防止法施行令の改正でございますけれども、こちらで指定物質という水質汚濁防止法の中で事故時の対応を義務づけている物質がございますので、この指定物質にヘキサメチレンテトラミンを追加指定をするという措置を環境サイドではとっていただいているところでございます。
下のほうには群馬県、埼玉県ということでそれぞれの県において要綱や条例改正によってさらにまた厳しい規制を考えて、あるいは実施していただいているところでございます。これらの環境サイドの取り組みによりまして、今後、同様の事案が発生する確率についてはかなり低くなってきているのではないかと思っておりますが、さはさりとて、こういった事案が今後起きる可能性というものはゼロではないということでございます。
そういうこともございまして、厚労省に設けております検討会におきましては、これまで2回検討会を開催いたしました。第3回を来年の1月に予定してございますが、今、スクリーンでごらんいただいているとりまとめをしようということで、現在、作業をしております。
このポイントといたしまして、1つは、このヘキサメチレンテトラミンというのは、PRTR法という化学物質の排出や移動を管理する法律の対象物質でございました。こういうPRTR法の対象物資でありながら、水質汚濁防止法の規制対象になっていないというのは、ほかにもたくさんございますので、同じように下流にいったときに塩素と反応してアルデヒド類なりが生成するような消毒副生成物の前駆物質になるような物質がないかどうかということをリストアップをしよう、それをこちらのほうで発信しようというのが1番目でございます。
また2番目でございますが、事故に対応するために上流のそうした事業所も把握していかなければいけないわけですが、いざ流れ出したときの監視体制ですとか、簡易な分析法でもって迅速にはかるということも必要かと思いますし、こうした監視体制がどうあるべきかというのが2番目でございます。
3番目でございますが、水道事業体の連携によりまして、流域単位での協議会を設けているところもございます。1つの事業体でこうした事故にそれぞれ立ち向かうということではなく、流域内で連携をして上流でのリスクの把握、そしてその対応についての組織化あるいは組織の強化といったもの。
そして4番目は先ほど粉末活性炭が効かなかったということを申し上げましたが、流れ出る物質によってどういう技術が有効であるかということについての検討も行いまして、最終的には5番目として今後のあり方についてとりまとめたいと思っております。
今回の事案でございますけれども、検討会のタイトルにもございますように、消毒副生成物の前駆物質汚染対策ということで、こちらについて緊急にとりまとめる予定でございます。実際にはこの利根川水系の水道事業体も別にこの規制対象外物質のみならず、規制対象内の物質でもときどき事故によって上流から化学物質が流れ出てくるということもございますし、また健康項目ではございませんが、においの原因物質が出てきて、においによって下流のほうで非常に迷惑を受けるという事態もございます。
そうした、過去、水道側が緊急に体制を組んで監視を強めたり、あるいは特段の処理をしたりという水道への影響があるような物質の流出というのは、絶えず起きているわけでございます。こういうヘキサメチレンテトラミンを皮切りにいたしまして、その他の対応が必要な物質についても考えていきたいと考えています。
もう一つ、今回の利根川水系というのは、全国でも非常にしっかりした体制がとれている。水道事業者の連絡協議会もございますし、今回も水道事業者が自ら車を出して、上流に採水に行ってという、結果的には原因事業所の特定にまでは至らなかったわけでございますが、そういう機動力を持った流域でございます。こうした事故というのは、そういうしっかりした組織を持たないところでも起き得るわけでございますので、そうした中小の事業体の上流で事故が起きた場合にどのように対応するのかということについても、利根川水系での対応例をその他の水系へつなげていくということも、私どもの重要な役割だと思っております。このとりまとめ及びこのとりまとめ後の検討に当たっても、そういうことに留意をして検討してまいりたいと考えております。
資料の御説明は以上でございます。

○大垣部会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明に関しまして御質問、御意見がありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。特によろしいでしょうか。
 これは最後の議論のところで、例えばこれにさらに渇水時とか水量が減っているときに影響が出やすいとか、そういうよりシビアの条件のとこなんていう議論は余りされていないですか。

○尾川水道水質管理官
 確かに部会長がおっしゃられているように希釈による期待というのもございますけれども、今回の例というのは、数トンオーダーのものが一気に流れ下っているということでございます。こうした渇水時であろうが豊水時であろうが、水質基準を超えなければいいということではないと思いますので、やはり方向としては、上流で、場合によっては健康に影響のある恐れのある物質がきちっと管理をされて流れないようにする、あるいはもし上流で人為的なミスや事故によってその物質が流れ出た場合には、速やかに連絡をして監視をするなり取水を停止するなり、除去するなりという体制をつくっていくことが大事だと考えております。河川の状況にかかわらず上流からの物質によるリスクに対する体制、能力を強化していきたいと考えています。

○大垣部会長
 どうもありがとうございました。
 それでは参考資料2の報告のほかに、今後の予定等で事務局から説明がありますでしょうか。
 お願いします。

○石飛水道課長
 きょうは御審議ありがとうございました。
 特に新水道ビジョンについては、きょう骨子の案をお示しした段階でございます。今後さらに肉づけをしてパブコメ等にかけるわけでございますけれども、次回はこの新水道ビジョンの案がある程度できた段階でもう一度この部会にお諮りして御意見をいただいて、その後の完成に向けて作業を進めていきたいと思います。具体的な開催時期については、また委員の皆様方と調整して決定させていただきたいと思います。
 以上です。

○大垣部会長
 ありがとうございました。
 それではこの第13回厚生科学審議会の生活環境水道部会を終了してよろしいですか。
 失礼、その前にあるのですね。

○石飛水道課長
 失礼しました。事後報告になりましたけれども、きょう結局大住委員は、御欠席になりました。急遽、体調を崩されてきょうは出席できないという御連絡がありました。
 そうであっても、きょうは定足数を満たしておりますので、部会は結果として成立していることを報告いたします。
 以上です。

○大垣部会長
 1つ、私なりにちょっと加えます。先ほど古米委員から出ました非常時とか異常時というか、そのときの水道水質の考え方あるいは給水停止の考え方等は、やはりこの震災等を受けて重要な課題だと思いますので、事務局のほうは、ぜひ今後も検討の材料と成り得るかどうかを検討いただければと思います。
 それでは、第13回の生活環境水道部会をこれで閉会といたします。
 どうも、長時間ありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省健康局水道課

TEL: 03-5253-1111 (内線4013)

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