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2012年11月21日 第8回化学物質による疾病に関する分科会 議事録

労働基準局労災補償部補償課職業病認定対策室

○日時

平成24年11月21日(水)10:00〜12:00


○場所

中央合同庁舎5号館専用第12会議室(12階)
(東京都千代田区霞が関1−2−2)


○出席者

参集者:五十音順、敬称略

圓藤吟史、高田礼子、松岡雅人、宮川宗之、柳澤裕之

厚生労働省:事務局

若生正之、天野敬、鈴木秀博、大根秀明、上田敦郎 他

○議題

(1)労働基準法施行規則第35条専門検討会化学物質による疾病に関する分科会報告書(案)について
(2)その他

○議事

○上田職業病認定業務第二係長 定刻となりましたので、「第8回労働基準法施行規則第35条専門検討会化学物質による疾病に関する分科会」を開催いたします。委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中をお集まりいただき、ありがとうございます。
 前回の分科会以降、事務局に人事異動がございましたので紹介させていただきます。9月10日付けで中沖労災補償部長が着任しております。
○中沖労災補償部長 中沖でございます、よろしくお願いいたします。
○上田職業病認定業務第二係長 それでは、座長の圓藤先生に議事の進行をお願いしたいと思います。お願いします。
○圓藤座長 議事に入ります前に、事務局から本日の資料の確認をお願いします。
○上田職業病認定業務第二係長 資料の御確認をお願いいたします。本日の資料は、資料1として「2-ブロモプロパンに係る『生殖機能障害』の分類について」、資料2として「労働基準法施行規則第35条専門検討会化学物質による疾病に関する分科会検討結果報告書(案)」となっております。
 また、第1回目から第7回目までの分科会の資料を机上に用意しておりますので、必要に応じて御覧ください。資料の不足などはございませんでしょうか。以上でございます。
○圓藤座長 それでは、前回の検討会で保留となっておりました、2-ブロモプロパンに係る「生殖機能障害」の分類につきまして、最初に検討したいと思います。事務局から資料1について御説明いただき、先生方の意見をいただきたいと思います。それでは、事務局より資料1についての御説明をお願いいたします。
○上田職業病認定業務第二係長 資料1は前回分科会で議論となりました、2-ブロモプロパンに係る「生殖機能障害」の分類について事務局で整理した資料でございます。平成8年に労基法別表第1の2が改正されると同時に、症状・障害の表記方法を全面的に改めた際、WHOが出版したICD-10を受けて作成された疾病・障害及び死因の統計分類を参考にして、症状・障害の表現を改めました。事務局としては、症状・障害を追加及び分類するに当たって、今回も平成8年の時と同様、ICD-10に準拠した疾病・障害日・死因の統計分類で用いられている用語などを参考にしたいと考えております。
 具体的には、無月経及び精子形成機能障害は、ICD-10第14章「腎尿路生殖器系の疾患」に分類されております。そのため、報告書の別添2「告示に規定する症状・障害の表現」のうち、「尿路系の疾患」などを「腎尿路生殖器系の疾病等」と改め、その中に「生殖機能障害」を追記してはどうかと考えております。以上です。
○圓藤座長 ありがとうございます。ただいまの御説明に対し、御意見をいただきたいと思います。「腎尿路系障害」と「生殖障害」を一つの群にまとめるのに違和感を感じるのですが、ICD-10の方が「腎尿路生殖器系の疾患等」とまとめておりますので、それに従ってはいかがかということです。よろしいでしょうか。
                  (了承)
○圓藤座長 それでは、了承とさせていただきたいと思います。以上で2-ブロモプロパンに係る「生殖機能障害」の分類に関しての検討を終了したわけですが、報告書の別添2に反映させた上で、併せて第35条専門委員会の方に報告することにしたいと考えています。
 それでは、「本分科会報告書(案)」の検討に入りたいと思います。本文を中心に事務局から読み上げてもらい、随時、御意見のある委員に御意見をいただきたいと思います。そして、最終確認を進めていきたいと思いますがよろしいでしょうか。
                  (了承)
○圓藤座長 それでは、事務局より資料2について御説明いただきたいと思います。
○上田職業病認定業務第二係長 まず、資料2について御説明します。資料2は本分科会の検討結果報告書の全文でございます。内容につきましては、前回分科会での検討結果などを踏まえて追記・修正したものです。
 前回分科会で結論が得られました、「平成15年検討物質の疾病」「木材粉じんによるがん」、同じく「平成15年の検討物質の疾病」「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」、それと追加検討物質の「過硫酸アンモニウム(ペルオキソ二硫酸アンモニウム)」、及び「過硫酸ナトリウム(ペルオキソ二硫酸ナトリウム)」、あと理美容師が取り扱うシャンプー液の成分であるシステアミン塩酸塩、コカミドプロピルベタインの検討結果を追記しております。
 御意見のありました12ページの別添4「化学物質に関する基本情報」の⑥「許容濃度」の表記も修正しております。具体的には、日本産業衛生学会について、許容濃度が設定されていない場合の表記を未設定に統一し、更に日本産業衛生学会(ACGIH)とともに最新の2012年版の許容濃度を記載しております。
 また、48物質について、SDSの名称とは異なる名称の表記となっているものがあったため、SDSの名称に合わせた形で物質名を修正しております。具体的には、資料の別添1を御覧いただきたいと思います。別添1の(12)「過硫酸アンモニウム」とあった所を「ペルオキソ二硫酸アンモニウム」としております。
 続いて、(13)の「過硫酸カリウム」を「ペルオキソ二硫酸カリウム」としております。(14)「過硫酸ナトリウム」を「ペルオキソ二硫酸ナトリウム」としております。(15)「キャプタン」としておりましたところを「N-(トリクロロメチルチオ)-1,2,3,6-テトラヒドロフタルイミド」としております。(18)「クロルビリホス」を「チオりん酸O,O-ジエチル-0-(3,5,6-トリクロロ-2-ピリジル」としております。(25)「シクロナイト」を「ヘキサヒドロ-1,3,5-トリニトロ-1,3,5,-トリアジン」としております。(39)「フェニルグリシジルエーテル」を「2,3-エポキシプロピル-フェニルエーテル」としております。(44)「メチルエチルケトンバーオキサイト」としておりましたところを「エチルメチルケトンペルオキシド」と表記を変えております。最後、(47)「ベンゼン」としておりましたところを「1,2,3,4,5,6-ヘキサクロロシクロヘキサン」と修正しております。以上となっております。
 続きまして、報告書の案文を読み上げさせていただきます。項番1の「検討の背景」から項番4の「検討に当たっての基本的な考え方」までを読み上げさせていただきます。
 1 検討の背景
 業務上疾病の範囲については、労働基準法施行規則別表第1の2及びこれに基づく告示に定められ、新しい疾病の発生等に対処し、業務上疾病の範囲に係る法令の見直し、追加を迅速に行うため、労働基準法施行規則第35条専門検討会が定期的に開催されている。
 平成21年に取りまとめられた第35条検討会の報告書では、「『理美容の業務による接触皮膚炎』及び『インジウムによる間質性肺炎』について、化学物質に関する分科会を開催して検討を行うとともに、製造業等における新物質の利用が急速に広まりつつある状況を踏まえ、同分科会において、新たな化学物質による疾病について幅広く検討することを望む。」とされたところである。
 また、国際労働機関(ILO)の「職業病の一覧表並びに職業上の事故及び疾病の記録及び届出に関する勧告」(第194号勧告)に付属する「職業病一覧表」が平成22年3月に改定され、新たな化学物質による疾病が示されたところである。
 こうした状況を受け、本分科会は化学物質による疾病のうち、新たに業務上疾病として別表第1の2に追記すべきものがあるか否かについて、検討を行ったものである。
 2 検討事項
 本分科会において具体的に検討した事項は以下のとおりである。
(1)検討事項1 労働安全衛生法施行令別表第9に掲げられた安全データシート(以下「SDS」という。)の交付義務のある化学物質640物質のうち、別表第1の2に規定されていない物質による疾病で、別表第1の2に追記すべきものがあるか否かの検討。
(2)検討事項2 ILOの第194号勧告に付属する「職業病一覧表」の改定により、当該一覧表に新たに追加された9疾病のうち、別表第1の2に規定されていない「化学的因子による疾病」及び「職業上のがん」について、別表第1の2に追記すべきものがあるか否かの検討。
(3)検討事項3 平成15年に取りまとめられた第35条検討会の報告書において、長期的ばく露による慢性影響が明らかでない等として、別表第1の2に追加する必要がないとされた「化学的因子による疾病」及び「職業上のがん」について、その後の状況を踏まえ、別表第1の2に追記すべきものがあるか否かの検討。
(4)検討事項4 理美容の業務による接触皮膚炎について、別表第1の2に追加すべきものがあるか否かの検討。
3 検討対象物質の選定
 本分科会において検討を行った対象物質は、別添1のとおりである。また、検討事項1及び4については、以下の考え方により、対象物質の選定を行った。
(1)検討事項1について
 SDSの交付義務のある化学物質640物質の中から、別表第1の2、第4号1の「厚生労働大臣が指定する単体たる化学物質及び化合物にさらされる業務による疾病であって、厚生労働大臣が定めるもの」に既に規定されている151物質を除いた489物質から、平成8年以降に症例報告が3件以上あった45物質と、当該45物質の検討過程において委員から検討対象に追加すべきとの提案があった3物質(ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、1-ブロモプロパン)の合計48物質を検討対象物質とした。上記45物質には、21年報告書において分科会で検討すべきとされたインジウムが含まれていることから、インジウムについては本検討事項1の対象物質として整理することとした。
 なお、症例報告を平成8年以降としたのは、新たな化学物質とこれらにばく露することによって生じる疾病について、平成8年に全面的な見直しを行ったことによるものであり、また、症例報告を3件以上としたのは、化学物質と疾病との因果関係の評価や、化学物質による症状・障害の特定のため、複数の症例報告を確認する必要があることによる。
(2)検討事項4について
 理美容の業務による接触皮膚炎については、21年報告書において「独立行政法人労働者健康福祉機構が実施した接触皮膚炎に関する調査研究において成分パッチテストを行ったところ、シャンプー液等に含まれる一部の化学物質について陽性反応が認められるという結果が得られている。したがって、この件については速やかに結論を得る必要がある一方、同機構が実施したパッチテストには交差反応の問題もあり、なお詳細に分析・検討すべき課題があるものと考えられる。」とされたものである。
 この報告を踏まえ、本分科会において、独立行政法人労働者健康福祉機構による「『職業性皮膚障害の外的因子の特定に係る的確な診療法の研究・開発・普及』研究報告書」に掲げられた成分パッチテスト成績を確認し、シャンプー液等に含まれる物質で陽性率が10%以上の物質から対象物質を選定することとし、既に大臣告示に規定されている1物質(パラフェニレンジアミン)、検討事項1で検討対象となった1物質(ペルオキソ二硫酸アンモニウム)、パラフェニレンジアミンに交差反応を示す物質で実際のシャンプー液等に含まれていない2物質(パラアミノアゾベンゼン、赤色2号)を除いた2物質(システアミン塩酸塩、コカミドプロピルベタイン)を検討対象物質とした。
4 検討に当たっての基本的な考え方
 (1)検討に当たっては、化学物質のばく露を受ける業務とこれに起因して生じる疾病との間に、一般的に医学的な因果関係があることか確立されているかどうかを基本とした。また、昭和52年8月1日の業務上疾病の範囲等に関する検討委員会による「業務上疾病の範囲と分類に関する検討結果報告書」で示された「化学物質による疾病(がんを除く。)の取りまとめのためのガイドライン」を活用し、国内外で症例報告のあった疾病について、通常労働の場において発生しうると医学経験則上評価できるかどうかという観点から検討を行った。
 具体的には、以下に該当するものについては、「通常労働の場において発生」するとは考えにくいことから、これらの症例報告を除いて、職業性ばく露による症例を検討し、化学物質と疾病との間に医学的な因果関係が確立していると認められる場合には、原則として例示疾病に追加すべきとした。①自殺、誤飲等、非職業性ばく露による疾病。②事故的な原因による急性中毒等の疾病。③国内での使用が確認されない化学物質による疾病。
 (2)職業がんについては、疫学による証拠が重要であると考えられることから、上記の考え方に加えて、疫学としての証拠がある場合(海外を含む。)を判断の指標とした。
 1から4は以上でございます。
○圓藤座長 ありがとうございます。先生方、以上のところまででいかがでございましょうか。
○高田委員 2ページ目の(1)「検討事項1について」の6行目、検討対象に追加すべきとの提案があった3物質のうちの2つ目、「ペルオキソ二硫酸カリウム」になっていますけれども、もともとカリウムを検討していたので、ここは「ナトリウム」に修正をお願いいたします。
○圓藤座長 ありがとうございます、ほかに御指摘はございませんでしょうか。また、お気付きの点がございましたら、後日でも結構ですのでお願いいたします。それでは、一応ここで了承したということでよろしいでしょうか。
                   (了承)
○圓藤座長 ありがとうございます。続きまして項番5「検討結果」及び項番6「まとめ」を読み上げてください。そして、項番5「検討結果」を読み上げる際にも、別添3の可否についての判断理由も含めて読み上げてください。個々の物質ごとに一つずつ検討していきたいと思います。
○上田職業病認定業務第二係長 分かりました。それでは、項番5「検討結果」から項番6「まとめ」までを読み上げさせていただきます。
 5 検討結果
(1)検討事項1
 検討を行った48物質のうち、下表の左欄に掲げる17の化学物質(うち、1物質については混合物である。以下同じ。)にばく露される業務によるそれぞれ右欄に掲げる症状・障害を別表第1の2に追加することが適当であるとの結論を得た。
 なお、今回別表第1の2に追加すべきであるとした2-ブロモプロパンの症状・障害「生殖機能障害」は、現在の大臣告示中の症状・障害に規定されていないものであることを念のため付言する。
 症状・障害の表現については別添2に示す。
 参考資料として、追加の可否についての判断理由を別添3、検討を行った物質に関する基本情報を別添4及び検討を行うに当たって参考とした文献を別添5に示す。
 表を読み上げさせていただきます。表「別表第1の2に追加することが適当であるとの結論を得た化学物質による疾病」。
 1「アジ化ナトリウム」、症状・障害は「頭痛、めまい等の自覚症状、前眼部障害、気道障害、血圧降下の循環障害。
 2「インジウム及びその化合物」、症状・障害は「肺障害」。
 3「過酸素水素」、「皮膚障害、前眼部障害、気道・肺障害」。
 4「ペルオキソ二硫酸アンモニウム」、「皮膚障害、気道障害」。
 5「ペルオキソ二硫酸カリウム」、「皮膚障害、気道障害」。
 6「N-(トリクロロメチルチオ)-1,2,3,6-テトラヒドロフタルイミド」、「皮膚障害」。
 7「グルタルアルデヒド」、「皮膚障害、前眼部障害、気道障害」。
 8「ヘキサヒドロ-1,3,5-トリニトロ-1,3,5-トリアジン」「めまい、頭痛、嘔吐等の自覚症状、意識喪失を伴う痙攣」。
 9「テトラメチルチウラムジスルフィド」、「皮膚障害」。
 10「テレビン油」、「皮膚障害」。
 11「二亜硫酸ナトリウム」、「気道障害、皮膚障害」。
 12「ニッケル及びその化合物」、「皮膚障害」。
 13「ヒドロキノン」、「皮膚障害」。
 14「2,3-エポキシプロピル=フェニルエーテル」、「皮膚障害」。
 15「1-ブロモプロパン」、「末梢神経障害」。
 16「2-ブロモプロパン」、「生殖機能障害」。
 17「ロジウム及びその化合物」、「皮膚障害、気道障害」。
 (2)検討事項2
 以下に取りまとめたとおり、ベリリウム及びその化合物によるがんについては、業務上疾病として別表第1の2に追加することが適当であり、その他の疾病については、別表第1の2に追加する必要はないとの結論を得た。
 なお、検討を行うに当たっては、「業務上疾病に関する医学的知見の収集に係る調査研究」による文献レビューを参考としたほか、「カドミウム及びその化合物によるがん」については、別添5に示した文献を追加収集し、検討の参考とした。
 ア、イソシアン塩酸のうち、メチレンビスシクロヘキシルイソシアネートによる疾病職業性ばく露による健康障害に関する症例報告はないことから、現時点において、新たに追加する必要はないと考えられる。
 イ、硫黄酸化物のうち、三酸化硫黄による疾病
 国内での慢性ばく露による症例報告はなく、国外では三酸化硫黄を含む混合ガスの長期的慢性ばく露と口腔粘膜の潰瘍性病変の発生について検討した症例報告はあるものの、三酸化硫黄単独の毒性効果とは判断できないことから、現時点において、新たに追加する必要はないと考えられる。
 ウ、硫黄酸化物のうち、亜硫酸による疾病
 亜硫酸ガスの事故的中毒事例を除くと、亜硫酸ナトリウム含有パーマ液に接触ばく露した美容師のアレルギー性接触蕁麻疹の報告が1例あるのみで、職業性ばく露による中毒症例に関する十分な情報が蓄積されていないことから、現時点において、新たに追加する必要はないと考えられる。
 エ、ベリリウム及びその化合物によるがん
 国内ではベリリウムばく露による肺がん例についての報告はない。しかし、米国産業衛生専門家会議(ACGIH)がA1(ヒトに対して発がん性がある)、国際がん研究機関(IARC)がGroup1としているように、多くの疫学論文がある。
 国内ではベリリウム及びその化合物は許可物質であり、現在、ばく露する労働者は限られているが、両肺野にベリリウムによる慢性の結節性陰影がある労働者には健康管理手帳が交付されていることから、「ベリリウム及びその化合物による肺がん」を別表第1の2に追加することが適当と考えられる。
 オ、カドミウム及びその化合物によるがん
 国内においてはカドミウムばく露による肺がんの症例報告がなく、疫学研究では、肺がんとの因果関係を認める報告と否定する報告があることから、現時点において、新たに追加する必要はないと考えられる。
 カ、エリオン沸石によるがん
 国内での使用は確認されておらず、今後も職業性ばく露による症例の発生の可能性は低いと考えられることから、現時点において、新たに追加する必要はないと考えられる。
キ、エチレンオキシドによるがん
 現在までに、白血病、リンパ(肉)腫、乳がんとの関連が報告されているが、国内では
職業性ばく露による発がんの症例報告はない。国外では、ばく露による発がんリスクの上
昇を指摘する報告もあるが、否定する報告もあり、現在のところ、発がんとエチレンオキ
シドばく露との因果関係は十分とはいえない。また、コホート研究において、長期間ばく
露された場合のリンパ腫による死亡の超過リスクは低いとの報告もあり、現時点において、
新たに追加する必要はないと考えられる。

(3)検討事項3
 以下に取りまとめたとおり、タリウム及びその化合物による疾病については、業務上疾病として別表第1の2に追加することが適当であり、その他の疾病については、別表第1の2に追加する必要はないとの結論を得た。
 なお、検討を行うに当たっては、「業務上疾病に関する医学的知見の収集に係る調査研究」による文献レビューを参考としたほか、「木材粉じんによるがん」については、別添5に示した文献を追加収集し、検討の参考とした。
 ア、タリウム及びその化合物による疾病
 国内では、炭酸タリウムを使用したガラス製造作業者において、脱毛や末梢神経障害等が発生した症例報告がある。また、国外では同様の症例のほか、2003年以降も症例が報告されている。
 職業性ばく露による症例が国内においても発生し得ると考えられることから、症状・障害を「皮膚障害、末梢神経障害、中枢神経障害」として別表第1の2に追加することが適当であると考えられる。
 イ、オスミウム及びその化合物による疾病
 四酸化オスミウム溶液へのばく露による皮膚障害の報告については、事故的な症例であること、四酸化オスミウムのヒュームへのばく露による眼刺激症状や視覚障害等の報告については、1946年のものであり、近年の症例報告はないことから、現時点において、新たに追加する必要はないと考えられる。
 ウ、ベンゾキノン及びその他の角膜刺激物による疾病
 ベンゾキノンからハイドロ機能を合成する作業におけるベンゾキノン蒸気ばく露で前眼部障害及び視力障害が発生したとの報告がされているが、同報告は1977年のものであり、近年、職業性ばく露による症例報告はない。労働の場で発症する可能性はあるものの、症例に関する情報が不十分であるため、現時点において、新たに追加する必要はないと考えられる。
 エ、作業活動によって生じる慢性閉塞性肺疾患(COPD)
(ア)炭じんによる慢性閉塞性肺疾患
 これまでの炭鉱夫に関する国外の疫学研究では、COPDによる死亡率上昇や肺機能低下、慢性気管支炎発症の増加が報告されている。しかし、別表第1の2、第5号「粉じんを飛散する場所における業務によるじん肺症又はじん肺法に規定するじん肺と合併したじん肺施行規則第1条各号に掲げる疾病」に活性炭じん肺、炭坑夫じん肺、気道の慢性炎症性変化が含まれることから、現時点において新たに追加する必要はないと考えられる。
(イ)穀物及び農作業の粉じんによる慢性閉塞性肺疾患
 国外のパン製造や小麦粉製造従事者を対象とした疫学研究で、小麦による慢性気管支炎・喘息との関連が報告されているほか、農作業従事者でCOPDのリスクが増加した疫学研究が報告されているが、穀物及び農作業の粉じんとCOPDの発症との因果関係は十分ではなく、現時点において、新たに追加する必要はないと考えられる。
(ウ)畜舎の粉じんによる慢性閉塞性肺疾患
 国内では畜舎の粉じんによるCOPDの症例報告はないが、国外の調査研究では家畜飼育農家などに慢性気管支炎あるいはCOPDの増加が報告されている。しかし、真菌、エンドトキシンやアンモニアの吸入ばく露により気道炎症や気管支過敏症が生じうる可能性もあり、現時点では、畜舎の粉じんばく露によるCOPD発症との因果関係は必ずしも明確ではなく、現時点において、新たに追加する必要はないと考えられる。
(エ)繊維じんによる慢性閉塞性肺疾患
 綿肺症等の有機繊維じんによる呼吸器影響については別表第1の2、第4号6に「落綿等の粉じんを飛散する場所における業務による呼吸器疾患」として規定されており、この規定における呼吸器疾患にCOPDが含まれるのであれば、主として問題となる綿については既に規定済みである。落綿などに含まれない繊維じんとして、絹繊維じんに関する報告があるが、絹の影響は綿に比べて明らかではなく、落綿等以外については証拠は不十分と考えられる。今回確認した調査報告では国内のものはなく、また収集された国外の5文献も、綿を含めてCOPDと繊維じんばく露との関係を明確に示した報告は少なく、現時点において、新たに追加する必要はないと考えられる。
(オ)紙じんによる慢性閉塞性肺疾患
 海外においては症例報告があるものの、国内には症例報告はない。文献が少ないこと、文献が古いこと、ばく露とCOPD発症との因果関係が明らかでないこと等の理由から、現時点において、新たに追加する必要はないと考えられる。
 オ、木材粉じんによるがん
 IARCの報告によれば、国外では1995年以降も木材粉じんによる鼻腔・副鼻腔がんの症例集積研究がある。複数の疫学研究において、木材粉じんによる鼻腔・副鼻腔がんリスクの増加が報告され、鼻腔・副鼻腔の腺がんについては木材粉じんばく露との強い関連が認められるが、扁平上皮がんについては腺がんに比較して木材粉じんばく露との関連が弱いとされている。
 一方、1989年に我が国において報告された大工・木工作業者の症例対照研究は、副鼻腔の扁平上皮がんのリスクの増加に関するものであり、その研究報告以降、我が国において木材粉じんによるがんの症例報告は見当たらない。
 木材粉じんによるがんについては、平成21年に開催された第35条検討会においても新たな発症例の報告が見当たらないとして、別表第1の2への列挙が見送られたが、今回の検討においても、新たな国内発症例の報告は確認できず、現時点において、新たに追加する必要はないと考えられるが、IARCの報告において木材粉じんによる鼻咽頭がんについて新たな知見が集積されており、今後も引続き情報収集が必要であると考える。
(4)検討事項4
 シャンプー液等に含まれる物質で、研究報告書に掲げられた成分パッチテスト成績において最も高い陽性率を示したパラフェニレンジアミンについては、既に大臣告示に規定されている。シャンプー液等に含まれる他の物質で、当該パッチテスト成績において比較的高い陽性率を示すものとして今般検討対象とした2物質については、以下に取りまとめたとおり別表第1の2に追加する必要はないとの結論を得た。
 なお、検討を行うに当たって、参考とした文献を別添5に示す。
 ア、システアミン塩酸塩(CHC)
 国内にはCHCによるアレルギー性接触性皮膚炎の報告はない。また、海外でも2症例が報告されているだけであるため、現時点において、新たに追加する必要はないと考えられる。
 イ、コカミドプロピルベタイン(CAPB)
 シャンプー成分の界面活性剤CAPBによるアレルギー性接触皮膚炎が報告されている。我が国では5例報告されており、海外でも同様の症例報告がある。理美容師を対象としたパッチテストにおいて、CAPBは高い陽性率を示しているが、シャンプーのパッチテスト陽性率では、CAPBを含有していないものの方が含有しているものよりも高く、CAPB以外のアレルゲンとなり得る成分の可能性が指摘されていることから、現時点において、新たに追加する必要はないと考えられるが、CAPBはアレルゲンとして注目すべき物質ではあり、引続き、シャンプーに含有される他のアレルゲンも含めた情報収集が必要である。
 6 まとめ
 上記検討結果を踏まえ、行政当局においては、有害性の認められる化学物質とこれにばく露することによって生じる疾病について、新たに業務上疾病として別表第1の2に掲げることが適当であると判断する。
 なお、ちょっと飛びますけれども別添資料の6ページ、別添3のところに今回、48物質の追加の可否についての判断理由を示した一覧表を掲載しておりますので、御確認いただければと思います。以上です。
○圓藤座長 きれいにまとめていただきましたが、何か補足、修正、御意見はございませんでしょうか。
○天野職業病認定対策室長 事務局から数か所の修正漏れがあります。4ページの表の中ですが、「追加することが適当とした物質」の11番の二亜硫酸ナトリウムでございますが、症状・障害が「気道障害、皮膚障害」という順番になっております。これを入れ換え、従来の告示の表記の順番とさせていただきたいと思います。
 7ページの1行目、「ベンゾキノンからハイドロキノンを合成する」とありますが、ハイドロキノンは別名の「ヒドロキノン」がSDSの名称となっておりますので、「ヒドロキノン」に修正をお願いします。
 エのCOPDの(ア)炭じんの関係の4行目でございます。「粉じんを飛散する場所における」云々とありますが、その4行目に「じん肺施行規則」とあります。これを「じん肺法施行規則」と正式な表題にしたい。修正をお願いいたします。以上でございます。
○圓藤座長 ありがとうございます。
○天野職業病認定対策室長 それから、8ページの下から3行目、「システアミン塩酸塩」のところ、「CHCによるアレルギー性接触性皮膚炎」とありますが、次のページのコカミドプロピルベタインのところでは「アレルギー性接触皮膚炎」という表記になっておりますので、CHCの方を修正して、「アレルギー性接触皮膚炎」というように修正をお願いいたします。
○圓藤座長 よろしいでしょうか。コンタルトデレマタイティスですので、「接触皮膚炎」の方が正確な表現のようですので、そちらでお願いいたします。ほかに修正はございませんでしょうか。
○松岡委員 細かいことですが、5ページのイ、「硫黄酸化物」の2から3行目、「長期的慢性ばく露」とありますが、「慢性ばく露」のほうがよろしいのではないでしょうか。
○圓藤座長 ほかにございませんでしょうか。
                (了承)
○圓藤座長 それでは、了承ということといたします。個々の物質につきましては、別添の中で対象物質、別添資料全体を簡単に御説明いただけますでしょうか。全部、丁寧に説明すると時間がもったいないですので。この別添資料は、報告書の後ろに「別添」として付けるということですね。
○上田職業病認定業務第二係長 はい、そうです。48物質の追加の可否についての判断理由といたしまして、17物質を追加していただくという結論をいただきました。そのうち、6ページから8ページのところに17物質の判断理由を書いております。それ以外の、今回追加する必要がないと結論を得た物質の判断理由につきましては、8ページから12ページまでに記載しております。なお、事務局の方でこの判断理由に関しては表現ぶりを整理しておりますので、各御担当の先生方に御確認いただければと思います。
○圓藤座長 ありがとうございます。そして、別添4に基本情報を記載していただいております。28ページから別添5として参考文献を列挙していただいております。多岐にわたりますので、御担当のところを御点検いただければと思います。
 それから、許容濃度等につきましては審議の途中で、最終的に2010年度版が出ておりますので、2012年度版に従って確認していただいていると思いますけれども、それで修正しております。これは全部点検していく必要があると思いますので、細かい修正に関して、あるいは訂正・誤記があるかも分かりませんので、担当の先生方に修正をお願いしたいのですが、今日、今すぐにと言っても難しいかと思いますので、修正箇所がございましたら、点検作業をしていただいて、最終報告書に仕上げたいと思います。訂正箇所がございましたら、事務局の方に御指摘いただければと思います。大きな所でございましたら、今、御発言いただければ良いかと思います。全体的な点につきまして修正箇所はございませんでしょうか、「検討すべき事項」で残っている所というのはございませんでしょうか。特にないようでしたら、修正箇所につきましては事務局に御報告いただいて、私の方で最終確認させていただいて、最終報告書に仕上げたいと思います。いかがでしょうか。最終的に私の方に一任させていただければ幸いでございます。
                (了承)
○圓藤座長 それでは、皆様に少し宿題をしていただくということで、本分科会の検討は終了とさせていただきたいと思います。今後、事務局の方で正式な形で報告書をまとめていただきたいと思います。その結果を35条専門検討会の方に報告させていただきたいと思います。先生方におかれましては、これまで熱心に御議論いただきまして、本分科会の効率的な運営に御協力いただきましてありがとうございました。事務局にお返しいたします、よろしいでしょうか。
○上田職業病認定業務第二係長 圓藤座長、ありがとうございました。ただいま、先生方から御指摘いただきました点につきましては修正を行い、正式な報告書を完成したいと思います。このあと誤記、追加する修正がありましたら事務局に言っていただければ修正いたします。よろしくお願いいたします。
 委員の先生方におかれましては、これまで御熱心に御協力いただきましてありがとうございました。これをもちまして、8回にわたりまして行われた分科会を終了したいと思います。最後に、事務局を代表して、中沖労災補償部長から御挨拶を申し上げます。
○中沖労災補償部長 圓藤座長をはじめ、先生方におかれましては大変御多忙の中、昨年7月の第1回以来、8回にわたりまして熱心に御議論・御検討いただきましたこと、大変ありがとうございました。近年の症例報告、あるいは医学的知見の集積状況を踏まえ、基準法の施行規則別表第1の2に、「19の新たな物質を追加することが適当である」との御結論をいただいたところでございます。今回の結論につきましては、先ほど座長から御紹介がありましたとおり専門検討会の方に報告、御議論いただいた上で、告示改正等の所要の措置を取りたいと思っております。本当にありがとうございました。
○上田職業病認定業務第二係長 ありがとうございます。では、「労働基準法施行規則第35条専門検討会化学物質による疾病に関する分科会」を終了したいと思います。委員の先生におかれましては、お忙しい中を長期間にわたりまして御協力いただき、ありがとうございました。これで終了したいと思います。ありがとうございました。


(了)

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