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2012年11月12日 第5回集団予防接種等によるB型肝炎感染拡大の検証及び再発防止に関する検討会

○日時

平成24年11月12日(月) 16:00~18:00


○場所

厚生労働省 省議室(9階)


○議題

(1) 検証項目「3.B型肝炎に関する医学的知見およびそれに対する関係機関等の認識について」の(1)~(3)のB型肝炎に関する医学的知見及びそれに対する関係機関等の認識に関する文献調査について

(2) 検証項目「3.B型肝炎に関する医学的知見およびそれに対する関係機関等の認識について」の(1)~(3)及び検証項目「4.集団予防接種等によるB型肝炎感染被害発生の把握及び対応」の(2)の医療従事者、保健所長向けアンケート調査票について

(3) 検証項目「1.予防接種等の実態」の(4)及び検証項目「4.集団予防接種等によるB型肝炎感染被害発生の把握及び対応」の(2)の自治体向けプレ調査結果を踏まえた自治体向けアンケート調査票について

○議事

○巽B型肝炎訴訟対策室長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第5回「集団予防接種等によるB型肝炎感染拡大の検証及び再発防止に関する検討会」を開催いたします。構成員の皆様におかれましては、御多忙の折、お集まりいただきましてお礼申し上げます。
 事務局より、本日の構成員の出欠状況について報告いたします。
 位田構成員、小林構成員、小森構成員、丸井構成員、丸木構成員、八橋構成員から御欠席の連絡をいただいております。また、高橋構成員は少しおくれている模様です。
 ここからは、永井座長に議事の進行をお願いします。
○永井座長 きょうは前回に引き続きまして、研究班の調査結果を御報告いただき、皆様に御検証いただくことにいたします。
 本日の議題は、お手元の議事次第がございますので、ごらんください。
 撮影はここまでということでございます。
(報道関係者退室)
○永井座長 では、議事に先立ちまして、事務局より資料等の確認をお願いいたします。
○巽B型肝炎訴訟対策室長 議事次第、構成員名簿、座席表のほか、
資料1
 資料2
 資料2の参考1及び参考2
 資料3-1
 資料3-2
 資料4-1
 資料4-2
 資料4-3
 奥泉、田中、梁井構成員提出資料
 花井構成員提出資料
 本日提出されました山本構成員提出資料でございます。
 また、前回までの会議の資料をつづりましたファイルを構成員の席に置かせていただいております。不足や落丁等がありましたら、事務局にお申し付けください。
○永井座長 では、議題(1)に入ります。
 検証項目「3.B型肝炎に関する医学的知見およびそれに対する関係機関等の認識について」の(1)~(3)のB型肝炎に関する医学的知見およびそれに対する関係機関等の認識に関する文献調査について、研究班から御報告をお願いいたします。
○多田羅構成員 それでは、報告させていただきます。
 文献調査につきましては、検証項目3.の医学的知見や認識につきまして、論文や医学教科書を対象に調査を行いました。事務局の三菱総研のほうで行っていただきました調査結果について報告させていただきます。
 それでは、詳細につきましては、事務局の三菱総研からお願いいたします。
○研究班事務局 三菱総合研究所でございます。
 お手元の資料2、資料2の参考1、参考2の3つの資料を使いまして御報告をさせていただきます。
 資料2が全体の概要でございます。
 資料2の参考1が収集した文献のリストのうち、論文等について整理をしたもの。
 資料2の参考2が同様に収集文献リストのうち、医学教科書について整理したものでございます。
 資料2をベースに、適宜、参考1、参考2についても御参照いただければと思います。
 それでは、早速ですが、資料2の「結果の概要」という項目からごらんください。
 1B型肝炎ウイルス発見までの研究動向でございます。
 ここでは、B型肝炎に関する医学的知見等についての認識を収集、分析しておりますが、ウイルス発見の前後で大きく知見や認識の状況が違うということがわかりましたので、まず1でウイルス発見までの研究動向について整理をさせていただいておるということでございます。
 1つ目の○ですが、おおむね1940年代ごろから輸血または各種血液製品注射後に黄疸が発生するとの報告が見られるようになっております。それまで日本では血清肝炎に関する報告はほとんどなかったという報告がございます。
 「楠井1954」と書いてございますが、資料2の参考1で具体的にごらんいただきますと、4ページの上から2段目の四角で、1954年の楠井論文です。「1943年から輸血または各種血液製品注射後、黄疸の発生することが各方面から注目せられるようになり、その原因究明ならびにその予防処置に関する活発な研究が次々に現れてきた」ということでございました。
 一番下の段落を見ていただきますと「血清肝炎に関する報告は、欧米ではかなり多数あるのに反し、従来わが国では、これを紹介せる数編の記載ある以外、ほとんどないといってよいくらいであったが、最近に至り、自ら観察せる血清肝炎、或いはそれらしく思われる症例報告がいくつか現れてきた」ということで、この時代にこういった報告が見られるようになってきたということがわかります。
 続きまして、資料2をごらんください。
 1950年(昭和25年)頃までには、経口感染する流行性肝炎と、血液によって感染する血清肝炎が存在すること、また、その2つは別種の疾患であることが認識されていたということでございまして、参考1で少し戻りますが、1ページをごらんください。
 1950年、下から2つ目の四角で宮川論文です。「戦後2種の肝炎のあることが、主として米国において注意せられている。その一は、伝染性肝炎であり、その二は血清肝炎といわれるものである」ということです。
 さらに、そのどちらもウイルスによる疾患であるということが認識されておりまして、その下に1951年の楠井論文がございますが「流行性の黄疸について、今日ではこの種の流行性黄疸は、一種のビールス感染によって原発性に肝臓実質が障害せらる一つの独立した伝染病であるとの結論に達した」という認識がされていたということでございます。
 次の○に行きまして、この時期から既に、肝炎の原因となるウイルスが普通の消毒法では死滅しないこと、輸血や血漿の注射により感染すること、注射器の不十分な消毒によって感染する可能性があることなどが指摘されております。
 具体的な文献で見ていただきますと、参考1の1ページの1951年楠井論文です。
 2ページに行っていただいて、2段落目です。「輸血、乾燥貯蔵血漿の注射、各種の人血清による予防注射又は注射筒や注射針の不十分な消毒が原因となって黄疸が起こることもしばしば経験せられるようになった」という記述がございます。
 資料2に戻りまして、1953年にWHOにおいて、経口感染する流行性肝炎をViral Hepatitis Aと呼び、血清肝炎をViral Hepatitis Bと呼ぶように定められております。
 ただ、この時点では、ウイルスの発見・同定が行われていなかったために、あくまでも症例から見て判断する状況であったということでございます。
 1960年代(昭和40年代後半)まで血清肝炎の報告は多く見られており、その予防策として、売血禁止、家族からの供血、自己血輸血、肝機能検査を行い感染リスクのある患者から輸血しない、避けられる(少量の)輸血はなるべく避ける、などの方法が検討・推奨されております。1970年(昭和45年)頃にオーストラリア抗原と肝炎との関係が明らかになり、スクリーニングが可能となるまでは、輸血による血清肝炎を確実に予防する手段はなく、現実的には輸血による感染を確実に回避することが困難であったことから、輸血後の肝炎・黄疸の発症を予防する手段としてガンマグロブリンの投与について研究が行われたということでございます。
 2ページ目です。
 1964年(昭和39年)のライシャワー事件を契機に、読売新聞が「“黄色い血”根絶キャンペーン」を展開したことで輸血後肝炎は社会問題化し、その後の売血全廃、献血制度の拡充につながっております。この時期は、文献でも売血による感染リスクを指摘、改善する提言を行う記述が見られております。この時期については、輸血後肝炎に着目されていたということで、輸血による感染に関するものの文献が多く見られておりますが、一部で注射による感染に関する指摘も見られているということです。
 参考1でごらんいただきますと、9ページの下から2つ目の欄、1965年の上野論文です。
 「血沈、採血等に使った注射器をおざなりの煮沸消毒あるいはアルコール消毒で、他の患者に使うとき、それを介して肝炎に感染するおそれがある。病院では原則として注射器を乾熱滅菌するべきであり、乾熱滅菌を行えない診療所等では、注射器をよく洗い、煮沸滅菌も十分時間をかけて行うべきである」という文献でございます。
 資料2に戻っていただきまして、2ページ目の「2ウイルスの発見」でございます。
 1965年(昭和40年)にBlumbergがオーストラリア抗原を発見し、1970年(昭和45年)には日本の大河内先生がオーストラリア抗原と肝炎との関連を見出しております。また、同年Daneがオーストラリア抗原陽性の3人の肝炎患者の複合血清試料から発見された粒子を、血清肝炎のウイルスであると特定した。
 この後ですが、最高裁判決でB型肝炎ウイルスの発見が1973年とされていて、この根拠となる論文は確認できていないと記載されておりますが、その後、研究班の委員の先生から情報提供をいただき、1973年KaplanがDNAポリメラーゼ活性について発見したものをもって発見であるということがわかりましたので、ここに訂正して御報告をさせていただきたいと思います。
 これを受けて、1972年(昭和47年)には日赤血液センターで献血中のオーストラリア抗原のスクリーニングが行われるようになっております。
 1970年代以降ですが、輸血後肝炎の報告論文が大きく減少しておりまして、献血中のオーストラリア抗原のスクリーニングによって輸血による肝炎が大きく減少したものと推察されます。
 抗原の検出が可能になって以降、B型肝炎に関する感染様式、発症機序、病態等に関する研究が大きく進展を見せていたということでございます。70年代にこういった研究が進んだということで、77年の1つの文献では「B型肝炎の研究は、ようやく始まったばかり」という記述もございました。
 「3疾患概念」でございます。
 1960年(昭和35年)代ごろまでに「流行性肝炎の予後は従来一般に良好で、急性期を過ぎれば罹患患者のほとんどが何ら肝機能障害を残すことなく完全に治癒し、永く肝障害を残すものは少数にすぎないと考えられていた」ということでございます。1964年ごろになって肝障害が長期に残存し慢性型へと移行すること、また一部肝硬変にまで進展することが実証されたということでございます。
 1967年(昭和42年)に開催された第1回犬山シンポジウムにおいては、ウイルス性肝炎を原因とする「慢性肝炎では、Glisson鞘を中心とした持続性の炎症性反応があり、単核細胞浸潤と繊維増生による門脈域の拡大がみられる」という病理組織学的立場からの概念が決定し、臨床経過の上から了解事項として「明らかな急性期から6カ月または1年の経過をみたもので、臨床的に肝障害が残っているものを臨床的に慢性肝炎とし、6カ月から1年の間のものは慎重に取り扱うことが必要であり、それを遷延型とよんでもよい」とされたという記述がございます。これは坂本論文の1973年ですが、犬山シンポジウムの記録を引用しておりますので、そちらの原典については現在確認中でございます。
 1972年(昭和47年)に血清肝炎は症状が軽いこと、5%から50%が慢性化すること、肝硬変に移行すること、さらに肝硬変から肝がんに移行することという記述がございました。
 その後ろに具体的に引用しておりますが、2ページの一番下の箇条書きのところでございます。「血清肝炎は一般に流行性肝炎よりも症状が軽いと言われております。特に38度以上の発熱は少ないといわれております。また、黄疸の出ない例も多くて、肝機能検査ではじめて発見されるものが多いのです。血清肝炎の方は非経口的にだけ感染するといわれてきました。病気の起こり方も血清肝炎の方が無自覚的に徐々に起こってくるのですが、流行性肝炎は感冒のような症状で急激に起こってくると言われてきてきました。劇症肝炎では激しい症状を呈して1~数%の死亡が出るわけです。また血清肝炎の慢性化率は5%から50%という報告があり、流行性肝炎では10~15%と言われております。この慢性化から肝硬変に移行します。流行性肝炎から肝硬変に移行するのは1%ぐらいと言われていますが、血清肝炎では数%と言われております。また、肝硬変から肝がんになることも考えられる。」という文献でございます。
 1973年(昭和48年)の時点で、「Au抗原は急性肝炎のみならず、慢性肝炎、肝硬変にも、さらには肝癌においてすらかなりの頻度に検出され、それらの疾患において何らかの病因的意義をもつことが暫時明らかとなった。」という記述がありますので、この時点ではオーストラリア抗原と肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝がんとの関係というものが示唆されていると考えていいかと思います。
 1974年(昭和49年)の「戸田新細菌学第26版」では、HB抗原と血清肝炎との関係について記載されております。具体的には、その下の箇条書きのところでございます。「近年、hepatitis B antigen(HB抗原)といわれるウイルス様粒子が検出され、しかも血清肝炎の病因と密接な関係があることが見出され、肝炎ウイルスの検索上、大きな手がかりが与えられた。(中略)ウイルス性肝炎患者では、報告者によって異なるが、15~50%に陽性で、正常人に比べて検出頻度が非常に高い。肝炎の2つの病型との関係では、一般に血清肝炎に陽性率が高いが、流行性肝炎でも報告されている。」という記述がございます。
 その後、1988年第29版になって、HBV感染に伴う免疫反応として肝炎が発生すること。したがって、免疫機能が十分でない場合に持続性感染を起こして、無症候性キャリアとなること。慢性肝炎や肝硬変、肝がんへ移行する場合があることなどの記載が追加されておりまして、74年から88年の間にこういった知見が蓄積されてきたと考えることができるかと思います。
 具体的には、箇条書きの2つ目でございます。2行目の最後のあたりからです。「この場合、肝細胞で産生されて血中に放出されたHBsAgがT細胞を感作し、その感作T細胞が肝細胞表面のHBsAgと反応して肝細胞を傷害することによって肝炎を生じ」、「免疫機能が十分でない申請時や幼児(3歳以下)、あるいは成人の免疫不全患者の場合、HBVは持続性感染を起こし、無症候性HBVキャリアーとなる」という記述が追加されているということでございます。
 4ページです。
 1977年(昭和52年)の「朝倉内科学初版」ではB型肝炎ウイルスの持続性感染と肝がんとの関連の指摘についての記述がございます。
 下の箇条書きの1つ目でございます。「日本およびアジア、アフリカの原発性肝癌患者の血中には約半数、HBs抗原が低濃度ながら認められる。このことは、肝におけるB型肝炎ウイルスの持続性感染が肝細胞との共存関係に破綻をきたし、肝細胞の壊死再生の反復過程が頻回に起こり、その間に発癌因子の関与を受けやすい結果であろうと、肝硬変を伴った原発性肝癌については考えられている。」という記述でございます。
 その後、1984年(昭和59年)に第3版になって、キャリア化と肝癌の関連についてもう少し詳細な記述が追加されております。
 具体的には箇条書きの2つ目でございます。「HBVのDNAが染色体に組み込まれていることが見出されているが、通常肝癌組織にはHB抗原は証明されない。キャリアー化を予防すれば、これによる肝癌は予防できると考えられている。」ということでございます。
 また、1987年(昭和62年)の第4版では、不顕性感染例がみられること、一過性感染以外に数十年にわたる持続感染例(HBVキャリア)がみられることの記載がございます。
 箇条書きの3つ目でございます。「黄疸を伴った典型的な急性肝炎を示す例のほかに、明らかな症状の見られない不顕性感染例がある。また、A型肝炎と同様にHBVが宿主の体内から完全に排除される一過性感染のほかに、数十年以上HBVの感染が持続する持続感染があり、持続感染者をHBVキャリアとよんでいる。」ということでございます。
 こういった教科書の記述からも、この時期にこれらの知見が蓄積されてきたということがわかるのではないかということでございます。
 続きまして「4感染経路」についてでございます。
 オーストラリア抗原がB型肝炎と関連することが明らかになって以降、B型肝炎ウイルスに関する研究は大きく進展しました。1973年(昭和48年)頃までにはオーストラリア抗原が糞便、尿、胆汁、唾液、羊水、気道分泌物などからも検出されることがわかっております。
 感染経路については、B型肝炎が問題になった昭和39年頃は輸血による感染が多数を占めていたということで、文献においても輸血後肝炎に関するものが大多数でございました。ある文献によりますと、輸血例の約50%が肝炎を罹患していたという指摘がございます。その後、輸血が売血から献血に転換したことで肝炎罹患率は輸血例の20~30%に低下し、さらに1972年(昭和47年)にB型肝炎のスクリーニングが実現したことで10%程度まで低下したということでございます。また、この段階、つまり輸血の感染が縮小した段階になって母子感染、性行為、歯ブラシ、カミソリの共用といった感染経路に着目されるようになったということでございます。
 具体的に文献のほうで見ていただきますと、参考1の23ページでございます。
 上から2つ目の欄ですが、1977年の志方論文です。上から3つ目の段落ですが、B型肝炎が最初に問題になったのは「輸血後肝炎」ということでした。これは一時、いわゆる「黄色い血」として騒がれたものですが、大体輸血例の50%が肝炎になっていた。
 売血に頼っていた血液を献血に切り替えることで30%から20%ぐらいまで減った。
 B型肝炎のウイルスが発見され、スクリーニングができるようになって10%にまでなった。
 B型肝炎ウイルスが発見され、スクリーニングが実施されるようになってから、実は、B型肝炎ウイルスも持っている人はたくさんいて、感染経路も輸血だけでなく、いろいろな感染様式があるのだということがわかってきた。
 母子感染のその1つで、ほかにも夫婦間の接触とか、歯ブラシの共同使用、カミソリなどで感染することもわかっているという記述でございます。
 資料2に戻っていただきまして、4ページの一番下の○でございます。
 このような視点から、この時期には、予防接種や薬物常用者の注射針の共用、歯科治療、刺青、針治療、針刺し事故といった感染の危険性について指摘する文献が見られております。
 例えばその下に箇条書きで引用しておりますが「B型肝炎の集団発生は現在では極めて稀である。このウイルスの感染は主として血液を介して行われるので、集団発生が起こるとすれば、予防注射などで注射針を取り換えないで多数の人に注射した場合に起こりうる。」「B型肝炎の感染経路がほぼ明らかになった現在、このような経路での集団発生の報告に接しないが、現行の予防注射がすべてこの経路でのB型肝炎の集団発生を全く起こさないように万全の処置がとられているかどうか疑わしい。使い捨ての注射器や針を用いるか、あるいは1人ずつ注射器や針を取り換えるという処置がなされなければならない」ということで、1978年の谷川論文でございます。
 5ページの「5肝炎の発生機序」についてということで整理をしております。
 1972年(昭和47年)ごろには、Au抗原が肝炎を起こす仕組み自体はまだ確認されていなかったということで、例えば1972年の大河内論文では「Au抗原を含む血液を輸血されても、肝炎を起こさない場合もあり、また大量の輸血によってもすべての受血者に肝炎が起こるわけではなく、A型、B型感染の両者を含めても受血者による肝炎の頻度は最高70~80%で20~30%の患者には、輸血後肝炎に対する感受性がないようにみえる。」これらの事実を説明する仮説として、1)、2)、3)という3つの仮説が挙げられていますが、いずれにしても、この段階では、肝炎を起こす発生機序についてはまだ明らかでなかったということかと思います。
 その後、少し離れますが、1980年(昭和55年)の文献では、HBV感染による免疫反応の結果肝細胞障害が起こるという説明が見られています。
 「HBVの肝細胞での感染増殖は、それ自体では肝細胞障害を来さないと考えられる。このことは、無症候性キャリヤの存在すること、しかも、それらのキャリヤの血中HBV関連抗原が高濃度であることからも推定される。したがって、HBV感染による肝細胞障害は宿主の免疫反応によって引き起こされるという可能性が出てくる。事実、HBV感染に際し、宿主の免疫反応が低下している条件では、肝細胞障害も軽度であり、HBV増殖は盛んで、かつ持続しやすい。逆に、免疫能が正常な成人でのHBV感染は、肝細胞障害を呈する急性肝炎となることが多く、この場合には、HBVは排除され感染は一過性で終わる。」ということでございます。
 したがいまして、やはり70年代に研究が進展してきたことで、発生機序についても80年までに把握されていたということが理解できるのではないかと思います。
 文献調査の結果の報告については、以上でございます。
○永井座長 よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御報告につきまして、御意見、御質問等がおありの方は御発言をお願いいたします。
 野口構成員、どうぞ。
○野口構成員 全国予防接種被害者の会理事の野口です。詳細な御報告ありがとうございました。
 今の御報告をお伺いして、1つ印象に思ったのは、やはり70年以前は、国内に余り知見がなくて、海外の文献等に頼っていたのかと思います。これだけを見るとどういう研究かというのは、国内の研究者の方が実際にしたのか、それとも海外から知見を引用して文献として引っ張ってきているかというあれがあるのですが、やはり70年代以前では文献的なものなのかという印象です。
 同じ1970年なのですが、オーストラリア抗原が発見された後に急速するのですけれども、この進み方というのは、ただ、発見されたのは海外なので、質問ですが、海外と比較してどういう状況なのか。つまり、アメリカとかイギリス、先進国でもいいのですが、やはり1970年ぐらいを起点にして大きく変わってきているのか。それとも違った動きになっているかということをお伺いしたいと思います。
○研究班事務局 海外の文献については系統だってまだ調べているということではございませんで、これはまだ裁判等で取り上げられた資料を参考にしているという状況ですので、印象も含めてということになりますが、やはり70年代にオーストラリア抗原が発見されて以降、急速に研究が進んでいる。それは欧米でも同じような状況ではないかと思います。
 一方で、日本の大河内先生により、70年代に国際レベルの御研究をなさっていらっしゃった方もいらっしゃいますので、日本でもその当時の研究レベルがかなり進んでいたのではないかとも考えております。
 ただ、その発見前の日本での研究の状況がどうだったかといいますと、やはり先ほどの引用文献にもありましたように、日本での知見が余りなくて、海外の文献に頼っていたという状況だったのかということでございます。
○野口構成員 きっとこれは本日すぐにというわけではないですが、そうしますと知見が70年代以前に海外の知見しかなかったときに、それを吸い上げていく組織体制がどうなっていたかというのは、この文献調査の項目ではないのですけれども、1つのポイントとして関わってくるのではないかと思っております。
○永井座長 オーストラリア抗原の発見ということと、それが肝炎、慢性肝炎、肝硬変という臨床的な流れとの関係は大河内先生が見出したことですか。それとも、その前から外国では指摘されていたか。
 大河内先生が世界の最先端でいらしたのは事実なのですね。ですが、この発見が世界で最初なのか、その前からもう指摘されていたことなのか。数年間事例があったかどうか。
○研究班事務局 今回の調査で私が理解している範囲では、これは日本の大河内先生が初めてこの関連を見出したという認識でおります。
○永井座長 奥泉構成員、どうぞ。
○奥泉構成員 B型肝炎訴訟弁護団の奥泉です。本当に詳細な御報告ありがとうございました。
 ただ、今、お話に出ましたように、まだ血清肝炎という時代については、かなり外国文献を日本の学者さんがいろいろ研究して、いろいろ広めていったと私たちが文献を調査したところでは、そういうところが中心かと思ってはいます。
 ですので、特にこの問題でいいますと、血清肝炎の当時から危険性が言われていたということを明確にするという意味でも、できれば外国文献の特に戦前、戦後にかけては詳しい報告が出ていると思いますので、そのあたりの文献調査もぜひともしてもらいたいと思ってはいますが、いかがでしょうか。
○永井座長 多田羅構成員、どうぞ。
○多田羅構成員 それはおっしゃるとおりでございまして、外国文献は外国における予防接種、今、イギリス、ドイツ、アメリカでやっておりますけれども、その中でも相当紹介されておりますので、そういうものも参考にしながら、系統的に外国の文献についてあわせて研究させていただくようにしたいと思いますので、御理解いただければと思います。
○永井座長 新美構成員、どうぞ。
○新美構成員 リスク要因であるということは研究の経緯でわかりましたが、そのリスク要因の相対リスクないしはエクセスリスクがどんなものであるのかということに関する文献はあるのでしょうか。
○多田羅構成員 そのリスクの大きさですか。
○新美構成員 大きさというか、強さというか、そういうものがデータとしてあるのかどうか。法律家の議論からすると、非常に重要なポイントなものですから、そういうものがあるかどうかを伺いたい。
○研究班事務局 今回収集した文献の中では、そういった記述は見られていなかったということです。
○多田羅構成員 具体的なそういう事例の数字とか、こういう患者があって、これだけの中でこれだけの人が感染したというところまでの報告は少ないのではないでしょうか。そういう人があらわれたということで、リスクがあるというところまでの、私が見た今までの文献でも、具体的に何名が注射したり、あるいはこういう患者を見てこうだったという数字まで上がっているのは、今までのところは見ていませんね。
○新美構成員 今のことと関連しますけれども、ウイルス性の肝炎であるということはいいのですが、それが慢性肝炎化したときに、慢性肝炎であるという診断をしたことから、これはウイルス性肝炎が原因であるとか、他のものが原因であるということは鑑別診断可能でしょうか。あるいはそういうことを報告した文献はあるでしょうか。
○研究班事務局 慢性肝炎からさかのぼって、そういったことをむしろわからないと書かれている文献は見ましたけれども、それについて述べられた文献というのはなかったと思います。
○新美構成員 わかりました。どうもありがとうございます。
○永井座長 戦前は慢性肝炎という概念すらなかったと思います。
 ただ、肝硬変とか肝臓がんという概念はあったと思うのです。それが血清肝炎から慢性肝硬変。
○新美構成員 そういうプロスペクティブに行くのはいいのですけれども、レトロスペクティブに、この疾病からこれが原因だろうとさかのぼることは可能かどうか。
○永井座長 それは例えばウイルスがわかれば可能なわけですよ。
○新美構成員 そうすると、それは特異性な疾患でいいという理解ですか。
○永井座長 ウイルスがわかればですね。ウイルスがわかった時点では可能になったので、1970年代から急に進歩したわけです。ですから、ウイルスがわからない時点でそういう流れをレトロスペクティブに可能かというお話だと思うのです。
○新美構成員 そうではなくて、ウイルスによって起きるということが仮にわかったとしても、法律論からいくと、他の要因が排除できるかどうかというのが実はポイントなものですから、そういうことが鑑別診断できるかどうかということなのです。
○永井座長 もう一つ大事なのは、リスクの大きさとして肝がんになるということが非常に大きなポイントなので、それがいつからわかったのか、外国ではどうか、日本ではどうかというところを明確にする必要があると思います。
 我々が学生時代に習ったのは、もう既にそういうことがあれでしたが、ちょっと前の世代は一過性だと思っていた世代もあるわけですね。一過性で直ると思っていた世代もある。それが次第に慢性化するぞ、あるいは肝硬変になるぞ、肝がんになるぞというのは、我々の世代には習っていたわけです。
○永井座長 岡部構成員、どうぞ。
○岡部構成員 記憶があいまいなのですけれども、先ほど慢性肝炎の話が出ましたが、GOTとかGPTとかがきちんと測定できるようになったというのは、昭和40年代の真ん中手前ぐらいではないでしょうか。私はちょうどそのころ卒業なのですが、そうすると症状がない人に対して肝障害があるという概念は全くなかったのではないかと思います。
○永井座長 その前は、黄疸で見るわけですね。ビリルビンで見るわけなので、軽い肝障害の持続的な慢性化のものというのは概念がなかったのでいないかと思うのです。
 ただ、バイオプシー、生検ができるようになってきて、また随分変わりましたが、生検はいつごろからでしょうか。
○岡部構成員 いつかは記憶がないですけれども、最初のときはニードルでなかなかできないからオープンだったと思うのです。
○永井座長 私が卒業した昭和49年には、もうニードルで慢性肝炎の診断をしておりましたね。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、次に検証項目「3.B型肝炎に関する医学的知見およびそれに対する関係機関等の認識について」の(1)~(3)及び検証項目「4.集団予防接種等によるB型肝炎感染被害発生の把握及び対応」の(2)の医療従事者、保健所長向けアンケート票について、研究班から御報告をお願いいたします。
○多田羅構成員 報告させていただきます。
 今回報告させていただきますアンケートは、医療従事者及び保健所長経験者向けのアンケートでございます。このアンケートは、昭和23年~63年ころの知見や認識等について、実際に現場で従事していた医療従事者及び保健所長の個人の記憶からそれらの知見や認識について明らかにすることとしております。
 このアンケートにつきましては、きょうの審議をいただいて、今月中にも調査票を対象者に送付したいと考えております。
 この調査票につきまして、研究班で御議論をいただきましたので、その結果について、本日報告させていただきたいと思います。
 詳細につきましては、三菱総研からお願いいたします。
○研究班事務局 資料3-1と3-2を用いまして御説明をさせていただきます。
 資料3-1が医療従事者向けのアンケート調査票(案)でございまして、8ページの次から、研究班の依頼状、依頼状の別紙1、2、参考、厚生労働省健康局名の協力依頼状ということで構成させていただいております。
 まず、医療従事者向けのアンケート調査につきましては、一般社団法人日本小児科医会様の御協力をいただきまして、医会の50歳以上の会員は3,000名ほどいらっしゃるということですが、その方々を対象に実施したいということで進めております。今、小児科医会様と調整をさせていただいているところでございまして、小児科医会の最終承認が得られれば、この形で実施をするという段階でございます。
 それでは、1ページからごらんください。
 本調査では、昭和23年~63年までの期間を対象として、自治体調査と同様に期間を大きく6つの時代に区分をして、その時代の状況をお伺いするということで構成しております。
 初めに、1.の「(1)先生が初めて医療・公衆衛生の現場での業務に従事したのはいつですか?」ということでございまして、昭和63年3月以前に従事したことがない方はこのまま調査が終了するということでございます。
 2.が、B型肝炎の病態等に関する認識ということで、(1)は、B型肝炎が重症になる疾病であることの認識の時期についてお答えいただく設問になっております。
 2ページ、1は、B型肝炎が重症になる疾病であることについて認識した情報源について選んでいただくという設問でございます。
 (2)は、B型肝炎のキャリア化についての認識の時期及びその情報源という設問でございます。
 3ページ、(3)は、B型肝炎ウイルスの感染性についての認識及びその情報源に関する設問でございます。
 4ページ、3.は感染経路に関する認識ということで、注射針、注射筒それぞれについての認識をお伺いするものでございます。
 4ページが針についてで、1は、注射針の連続使用によるB型肝炎ウイルスの感染可能性についての認識の時期。
 2は、その認識した情報源についてお伺いする設問でございます。
 5ページが同様に注射筒についての連続使用による感染可能性についての認識の時期とその情報源についてという設問です。
 6ページ、4.は、注射針・注射筒の交換等の実施状況についてということです。
 (1)は、小児を対象とした集団予防接種等の実施にかかわったことがあるかどうかについてお伺いして、かかわった方には、その下の設問にお答えいただくということでございます。
 (2)は、針の交換・消毒について、小児を対象とした集団予防接種等の実施のかかわった際、注射針の交換等を行ったことがあるかどうかということで、ディスポーザブル製品を使用して注射針を被接種者ごとに交換していたかどうか。交換していた場合は、その実施していた時期にについてお伺いをします。
 また「交換していた」あるいは「交換していない」を選択した場合に、交換するようになったきっかけであるとか、交換していなかった理由についても記載をしていただく欄を設けております。
 同様に、被接種者ごとの針の交換、加熱消毒ということで、加熱消毒をしていた、していない。していたら、その時期と、していなかったあるいはしていたきっかけや理由についてお伺いしています。
 3つ目が、被接種者ごとの針のアルコール綿を用いた消毒ということで、針同様に実施していた時期ときっかけや理由についてお伺いするというものでございます。
 7ページ、(3)は、注射筒の交換・消毒についてということで、先ほどの針と同じような設問でお伺いしております。
 8ページ、5.は、集団予防接種等によるB型肝炎ウイルス感染の症例の把握についてということで、これは検証項目4に対応するところでございます。
 集団予防接種等によるB型肝炎ウイルスの感染の症例報告について把握した時期についてお伺いしています。
 また、次の設問では、その症例報告を把握したときの情報源についてお伺いをしています。
 (2)は、集団予防接種等によってB型肝炎ウイルスへの感染可能性が疑われる事例、これは論文等での報告ではなくて、御自身が実際にかかわった事例について把握したことがあるかどうか。把握していた場合には、その事例の概要及びその関係者の事例への対応について具体的に記入していただくという設問になっております。
 最後に、欄が小さくなってしまいましたが、本調査に関連してお気づきの点等があれば自由にお書きくださいということで、自由記入欄を設けております。
 以上が医療従事者アンケート調査票でございます。
 続きまして、資料3-2の保健所長経験者向けのアンケート調査票についても御説明をさせていただきます。
 先ほどと同じように、後ろのほうに研究班の依頼状、厚生労働省健康局名の依頼状をお付けしております。
 保健所長経験者向けのアンケート調査につきましては、保健所長会様の御協力のもと、保健所長会の名誉会員のリストを使いまして、おおむね80名ほどのリストがあるということで伺っておりますが、その方々を対象に調査をする予定でございます。こちらも現在、全国保健所長会様の最終承認をいただくよう調整をしている段階でございます。
 それでは、調査票の御説明です。
 1ページ、はじめに(1)で昭和63年(1988)年3月以前に保健所長として勤務した経験の有無を聞いている設問でございます。
 昭和63年3月以前に保健所長としての勤務経験がある方については、具体的な在任期間を伺って、その後の回答についても回答していただきます。
 ただ、保健所長向けは対象になられる方が非常に少ないということもありまして、研究班での議論を踏まえまして、昭和63年3月以前に保健所長としての勤務経験はないけれども、保健所長での勤務をしていた方についても同じように回答していただこうということで、2番の設問を用意しております。
 これ以降の設問は、この1番、2番を回答した方についてお伺いするものとなります。
 1ページの一番下、2.の病態等に関する認識については、先ほどの医療従事者と同様です。
 (1)が、重症になる疾病であることの認識と、その情報源。
 2ページの(2)が、キャリア化に関する認識とその情報源。
 3ページの(3)が、感染性に関する認識とその情報源に関する設問でございます。
 3ページの下側、3.は、感染経路に関する認識ということで、これも先ほどの医療従事者向けと同様でございます。注射針についての連続使用による感染可能性についての認識の時期及び情報源。
 同様に4ページで、注射筒についての連続使用による感染可能性についての認識とその情報源という設問でございます。
 5ページ、4.は、集団予防接種等における注射針・注射筒の交換等に関する保健所としての指導状況です。
 設問の構成は、医療従事者とほぼ並びで整合性のある形にしておりますが、保健所向けですので、指導状況についてお伺いするという表現ぶりになっております。
 また、その下のゴシック体の記述のところですが、保健所長として勤務していた方は市町村への指導実績をお答えいただく。保健所長として勤務していなかった方については、保健所職員として勤務していた期間の勤務先の保健所の指導の実施状況をわかる範囲でということでお答えいただくという設問になっております。
 (1)は、医療従事者向けとほぼ同様の構造になっていまして、針の交換、ディスポの利用、あるいは加熱消毒、アルコール綿を用いた消毒について指導の有無、指導している場合にはその時期、指導したあるいは指導していないその理由、きっかけについてお伺いする設問となっております。
 6ページの注射筒についても同様でございます。
 7ページ、5.は感染の症例の把握ということで、B型肝炎ウイルスの感染症例の把握した時期、情報源、(2)では、感染可能性が疑われる具体的な事例、これも御自身が実際にかかわった事例の把握の状況についてお伺いして、把握していた場合には、その詳細を記載していただくという構成になっております。
 8ページが、最後に自由記入欄を設けておりまして、特に館内での「予防接種の手技等に関して、実態の把握や、国・都道府県への報告・問い合わせ、意見等をおこなったご経験がありましたら具体的にご記入ください」という記載をしております。
 「また、本調査に関連して詳しいお話を聞かせていただける方はご連絡先をご記入ください」ということで、保健所長向けは対象になる方が非常に少のうございますので、情報を持っていらっしゃる方には、積極的にこちらからお伺いするような形にできるようにしようという研究班での議論を踏まえて、任意ではございますが、連絡先を記載していただくような欄を設けているということでございます。
 資料3の御説明は以上でございます。
○永井座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御報告につきまして、御質問、御意見をお願いいたします。
 花井構成員、どうぞ。
○花井構成員 基本的なことを教えていただきたいのですけれども、保健所長のOBのリストで調査をされるということのようですが、現在はともかく、当時保健所長さんというのは、例えば保健所勤務30年でプロパーで所長になるという形があったのですか。
 私の今の理解だと必ずしもそうではなくて、所長さんというのはどこか外で経験を積んだ方が例えば数年間所長を務めるという例があると思うのですけれども、そうすると調査の範囲をここに限定すると、保健所でのいわゆる予防接種行政の業務に携わってきた人という意味では範囲が狭過ぎるような印象があるのです。私も実態をそんなに詳しいわけではないので、その辺との関係を教えてもらえますでしょうか。
○多田羅構成員 今の前半のお話はどういうことですか。
○花井構成員 保健所長の経験者ではあるけれども、実際にその保健所で勤務した期間は意外に短いという先生も今だったら結構おられると思うのですが、当時もそうでしたか。
○多田羅構成員 保健所長以前に、保健所の経験がないまま所長になられた方があるということですか。
○花井構成員 そういう方がおられるのか、おられないのか。
○多田羅構成員 あったと思います。例えばどこかの私立病院の内科部長さんとかですね。
○花井構成員 そうですね。多分そういう感じの人事だと思うので、むしろ保健所内にいるいわゆる専門職のたたき上げの人たちの証言というのは、ここでは必ずしも拾えない形になっていますね。そこは何かリストがないのですか。あれば、そちらにも広げると意外にいいかと思います。
○多田羅構成員 実際上はそういうリストがないのです。ですから、広めてと言われたら努力しないといけないのですけれども、かなり大変な作業になります。
○花井構成員 私の現場での印象なのですけれども、やはり保健所長さんよりもそんなに全体を詳しく把握していなくて、割とアドバイザー的な仕事をしておられる感じで、実際にはもっと現場の実務を取り仕切っている専門家がいるというのは、私の知っている保健所では意外に散見されるのですが、そういう観点からすると、範囲をもうちょっと広げればいいなという感じです。
○多田羅構成員 花井構成員のおっしゃるとおりだと思うのです。
 ただ、保健所長は所長として指導していますので、知らないというわけにはいかないのです。現実には現場の方がやっておられると思うのですけれども、あくまで所長の指示のもとにということになりますので、所長は知らないということはないという前提には立っております。
ですから、そこが現実はどうであったかという御意見になりますと、所長も知らぬ間に進むということもあったのではないかと言われると困るのですが、一応制度としては、保健所長の指導のもとにとなりますので、保健所長がどのように認識していたかということがポイントであり、かつアクセスできるリストがそういうところにしか今のところないので、さらに検証をかけて広くやりなさいと言われれば検討しないといけないかもわかりませんが、当面、可能な範囲で今回の時間的なことも考えて、保健所長経験者の方に、特に63年以前が中心ですので、お願いしたいと研究班としては御議論いただいたと思っております。
○花井構成員 わかりました。
○永井座長 山本構成員、どうぞ。
○山本構成員 日肝協の山本です。
 8ページ目の「その他、本調査に関連してお気づきの点等がございましたらご自由にお書きください。」ということなのですけれども、7ページ目の(2)は「先生は、昭和63(1988年)3月以前に」ということで、この下にこれが付いていますので、これは実態の把握や国・都道府県への報告・問い合わせというのは、障害がいろいろ出てくるとか、そういうことは63年以降にも結構あったと思いますので、ここは項目が5ではなくて、6にして、独立した項目にしていただいたほうがいいと思います。ですから、年度を問わず、こういうことについて具体的に御記入くださいということにしていただいたらいいのではないかと思います。
 これは前の医療従事者のアンケートでも同じことなのですけれども、医療従事者のアンケートの8ページの5の(2)の下に書いてありますので、これも昭和63年3月以前にと限定されてしまうと思いますので、独立して6にして、年度を問わずお気づきの点がございましたらご自由にお書きくださいとしていただいたほうが、いろいろ結果とかそういうのが出てくるのはもっと後も結構あると思いますので、そういうふうにお願いしたいと思います。
○多田羅構成員 わかりました。
 基本として、この研究班は昭和23年~63年における国の責任を明らかにするということが目標で、63年にちょっとこだわっていたところがあるのですけれども、これまで議論をいただいて、63年以降にも重要な課題が生まれている可能性が大いにあるということは認識しておりますので、今、御指摘いただいた点で6にさせていただく方向で、独立した調査項目にさせていただくということは、資料3-1、3-2について、ともに表現法については御指摘の方向で検討させていただきたいと思います。
○永井座長 これは「6」と立てればそれでよろしいのですか。
○山本構成員 そうですね。昭和63年と限定しなくて「年度を問わず」という言葉も入れていただけるとありがたいと思います。
○永井座長 では「その他、年度を問わず本調査に関連してお気づきの点等が」としましょう。
 ほかにございますか。
 野口構成員、どうぞ。
○野口構成員 全国予防接種被害者の会の野口と申します。
調査票の作成、ありがとうございました。リストが活用できるということで、そういう意味では非常に有効だと思っております。
 総数3,080の中で大変難しいと思うのですが、どれぐらい。
○多田羅構成員 3,000が医療従事者のほうです。80が保健所長です。
○野口構成員 どれぐらいのレスポンス量等を想定されておりますでしょうか。
○研究班事務局 郵送によるアンケート調査は、おおむね2割~3割ぐらいが一般的な回収率だと思います。
 今回、厚生労働省健康局名の依頼状もお付けしていることを考えて、3割を超えるぐらいの回収率になるのかという感じで考えております。
○永井座長 よろしいですか。
奥泉構成員、どうぞ。
○奥泉構成員 奥泉です。
 細かいアンケート項目になるのですが、注射針・注射筒の交換等の実施状況です。医療従事者であれば6ページ、保健所長であれば5ページになります。この回答の仕方なのですが、行った時期を全て選ぶという1つの項目と、対象疾病ごとによって状況が変わる場合には回答する全ての番号に丸を付けてくださいということが合わさっているので、例えば昭和30年代にある接種については書いていたと。それ以降は全部丸印が付くと思うのですが、さらに疾病によって違うのがもっと後にあった場合には、この聞き方では出てこないのかという感じがしまして、聞き方を工夫していただけるといいかと思います。
対象疾病で違うのであれば、対象疾病を書いていただくということが可能であれば、そのほうがわかりやすいのか、あるいは問題は全体が取りかえられていないという問題があれば、最後に取りかえるようになったのはいつかという質問項目でもいいのかと思いました。ですので、こういう項目をつくっていただいて、特にそういう疾病ごとによって違うという場合も拾い上げていただくということは大変有効だと思うのですが、聞き方について工夫していただければと思いました。
 もう一点、先ほど少し出ましたけれども、医療従事者の方の自分の経験で集団予防接種等によってB型肝炎ウイルスの感染が疑われる事例を把握したことがありましたという8ページあるいは保健所長のほうでは7ページになります。
これも聞き方なのですが、昭和63年3月以前に感染した事例が後からわかるというのがこのB型肝炎の特質で、後からわかった場合もということは、前回自治体のアンケートの中でも、そこであらわれてきたら書いてくださいと書いてもらったと思うのですが、この質問項目は御自分が実際に経験されたことを聞くものですから、いろいろ資料を探さなければいけないということにはならないのかと思います。ですので、昭和63年以前は集団接種でそれは感染者事例として把握していると一般的に聞く形でも、御自分の経験を聞くという意味では、それほど大変な作業をおかけすることにならないので、そういう形で質問項目を変えていただければと思いました。
○永井座長 具体的にどういうふうに記載すればよろしいのでしょうか。
○奥泉構成員 今の点で言いますと、医療従事者の方のアンケートの8ページで、ここの書き方としたら、3月以前に把握したものと読めてしまうので、3月以前に集団予防接種によって感染した事例について、その後でも構わないので御自分の経験された事例をお書きくださいと書いていただくことでよろしいのかと思いました。
○多田羅構成員 これでほぼ最終段階なので、文言で教えていただければありがたいです。
 先ほどのお話で、「その他」というのは別の項目に立ち上げるということはよくわかりました。
 今の5の(2)の文言について、具体的にどのように提言されているのでしょうか。
○奥泉構成員 ここの冒頭の部分ですね。「先生は、昭和63年(1988)年3月以前に、」で点が入っているので、3月以前に把握したということになるかと思います。ですので、その点を外すことと、事例を「現在まで」という言葉で。
○多田羅構成員 どこですか。「現在まで」という意味だと思うのですがね。
○奥泉構成員 そこの意味をはっきりさせていただければと思うのです。
○多田羅構成員 この「以前に」というのは、以前に感染可能性が疑われるということですね。そうではないのですか。ですから、点は要らないのではないかと思います。なくてもいいですね。
○奥泉構成員 大丈夫ですね。
○多田羅構成員 では、その辺は最終的に研究班で確認させていただきますけれども、御意見としてお伺いしておきます。
 ほかには、先ほどの「疾病ごと」というのも研究班で随分議論したのですが、実際上、非常に疾病の種類も多いし、形もいろいろなので、非常に複雑な調査票になってしまうのではないかという議論がありました。そういうことで、今回は回収率を何とか3割は確保したいということもございまして、実際は「疾病ごと」ということもそれほど要因として重要というよりも、いつごろどのようなことであったのかということが基本の情報ではないかということで、余りにも疾病の1つ、2つだったらいいのですけれども、時期によっては相当の疾病数にもなってきますので、今回はこういう形でお願いしたいと研究班ではなりましたので、その点を御理解いただければと思います。
○永井座長 垣本構成員、どうぞ。
○垣本構成員 垣本と申します。
 知識として連続使用してはまずいということは知っていても、実際にそれがおくれてしまったとか、そういう事実があったわけですけれども、そういうことについて聞くわけですから、責任の追及ではなくて、事実の解明をするためにぜひ協力していただかなくてはいけないわけですから、それぞれの先生たちの責任追及とか、そういう意味ではないということを強く言うことが必要ではないかと思います。それによって不利益をこうむらないということを初めに徹底して、無記名であることと共に述べておくことが必要と思います。。
○多田羅構成員 最初に「本調査は、個人の責任追及を意図するものではなく」と書いてはいますが、これでは不十分ですか。
○垣本構成員 事故事例などではそうですけれども、みんな隠したりしたがるのです。でも、やはりこれは今後のためにぜひともということを何か強調して言うことが必要ではないかと 感じたもので、それによって回答が出たり、出なかったりということになるとまずいかと思ったものです。 、大きな内容の中に入ってしまっているものですから、やはり初めぐらいに明確にしておいたほうが、 必要かと感じましたものですから 。
○多田羅構成員 そうですね。何か責任追及と思いますからね。保健所の方が正直に書いてしまうと怒られるのではないかとね。
○垣本構成員 何でディスポーザブルにしなかったのですかということはみんな内心思っているわけですから、その経緯を明らかにして、今後の方針につなげるわけですから、ぜひお願いしますということは必要かと思いました。
○多田羅構成員 わかりました。
○永井座長 では、そこはゴシック体にすると。
 それから、当然依頼文がつくわけですね。
○多田羅構成員 依頼文ももちろんついております。
○垣本構成員 それは、 見ていなかったです。済みません。
○多田羅構成員 最後のページに依頼文はついております。
 わかりました。その点をもう一度意識して取り上げさせていただきまして、最低限ゴシック体にはできると思います。
○垣本構成員 ありがとうございました。
○永井座長 ほかにいかかでしょうか。
 梁井構成員、どうぞ。
○梁井構成員 ちょっとわからないのですが、先ほど山本構成員からは、自由記載の番号を変えてくれといった設問がありますけれども、そこでは年を問わずに答えてくださいと述べられたと思うのですが、それで間違いありませんか。
○山本構成員 はい。
○梁井構成員 そうすると、先ほどの奥泉構成員の63年3月以前に行われた云々という同じ設問に対しての意見だったと思うのですけれども、もし山本構成員がおっしゃるので通るのでしたら、私も年を問わずに感染可能性が疑われる具体的な事例があれば、それをつかんだことがあれば書いてくださいという文章のほうがいいのではないかと思いました。
そこの確認と私の提案です。
○永井座長 6の項目の書き方ですね。「その他、年度を問わず、本調査に関連してお気づきの点があれば」とするということになったのですがね。
○梁井構成員 山本構成員はそのようにおっしゃったのですけれども、またその後で、奥泉構成員が63年3月以前に行われた云々とおっしゃって、そのままで通すと多田羅先生のほうが。
○多田羅構成員 私はそう言っていません。「年度を問わず」で行くと言ったのです。
○梁井構成員 わかりました。
○野口構成員 奥泉構成員の御指摘なのですけれども、これはやはり奥泉構成員が言ったように誤解されかねないので、例えば「昭和63年3月以前の集団」。
○多田羅構成員 何ページですか。
○野口構成員 先ほどの8ページの5の(2)です。先ほど指摘があったところです。
 先生は「昭和63(1988)年3月以前に」というところを「以前の集団予防接種によって」のほうが多分的確ではないかと思います。
○多田羅構成員 では「による」となりますか。「以前の集団予防接種等による」ですか。「の」のほうがいいのですか。
○野口構成員 そう思います。
○多田羅構成員 日本語としたら「による」となりますね。
 了承しました。
○永井座長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 そういたしますと、今の8ページですね。医療従事者の用紙では8ページの5の「(2)先生は、昭和63(1988)年3月以前の集団予防接種等によるB型肝炎ウイルスの」で、あとは同文になって、6として「その他、年度を問わず本調査に関連して」という2点を修正させていただくということ。
 それから、責任のところについては、最低限ゴシック体にする。
 かがみ文のところでそこも明記するということですね。
 これらについて修正いただくということでよろしいですか。
○多田羅構成員 はい。
○永井座長 ありがとうございました。
 それでは、ぜひ多田羅先生には、調査開始をよろしくお願いしたいと思います。
 では、議題3でございます。検証項目「1.予防接種等の実態」の(4)及び検証項目「4.集団予防接種等によるB型肝炎感染被害発生の把握及び対応」の(2)の自治体、都道府県、市町村向けプレ調査結果を踏まえた自治体調査票について、これを研究班から御報告いただきます。よろしくお願いいたします。
○多田羅構成員 報告させていただきます。
 前回の検討会におきまして、本日のこの検討会において、この内容について報告させていただくこととしているものでございます。
 つまり、自治体向け調査にあたって実施しましたプレ調査の結果を御報告するとともに、その結果を踏まえて、研究班で議論をして、修正した調査票を改めて本日報告させていただくものでございます。
 この調査につきましても、今月中に何とか開始したいと考えておりますので、本日の御審議をよろしくお願い申し上げます。
 なお、詳細につきましては、三菱総研から説明させていただきます。
 それでは、お願いします。
○研究班事務局 資料4-1を用いまして「自治体アンケートプレ調査の方法及び結果概要」について、資料4-2と資料4-3につきまして、アンケート調査票(案)について御説明を申し上げます。
 まず、プレ調査の目的でございますが、調査票の回答可能性について確認をし、本調査に向けた調査方法、調査票の改善資することを目的として実施したものでございます。
 対象とする都道府県、市町村の選定については、1ページ目の2.に記載しております。
自治体における行政文書等は、通常文書管理規定にのっとり、管理、保管されておりまして、行政文書の保存年限は、文書の種類にもよりますが、3年~10年程度とされるものが多いということでございます。
 一方、公文書館を設置している都道府県もありまして、公文書館で保存年限の経過した行政文書等を歴史的文書として保存、維持しているということでございますので、公文書館がある都道府県では、保存年限を経過した予防接種関連の文書が保管されている可能性が高いのではないかと考えました。
 そこでプレ調査の調査対象とする都道府県の選定に当たっては、公文書館の設置の有無に着目をすることといたしました。
 参考までに、その下に国立公文書館で公表されています都道府県公文書館の設置状況についてお示しをしております。
 2ページ目は、市町村についてです。
 市町村を対象とした調査においては、合併というのが非常に大きな問題であると認識しておりまして、合併によって古い時期の文書が散逸してしまっているのではないかということが懸念されております。
 そこでプレ調査の調査対象とする市町村の選定に当たっては、都道府県と同様に公文書館の設置の有無に加え、合併前後の文書管理の状況について確認するために、近年合併したことがあるところについて、有無についても着目をして選定をしたということでございます。
 3ページ目の「3.調査対象」のところに、都道府県と市町村のそれぞれの選定の結果について表でまとめております。都道府県については3カ所、公文書館があるところが2カ所、ないところが1カ所でございます。
 市町村につきましては、合計7カ所でございまして、公文書館があって合併があるところが3カ所、公文書館があって近年合併がないところが1カ所、公文書館がないところが3カ所で、そのうち2カ所が合併あり、1カ所が合併なしという選定の仕方をしております。
 4ページからがプレ調査の結果の概要でございます。
 プレ調査は、前回の検討会において御報告いたしました調査票(案)をもとにヒアリング調査の形で行っております。
 まず、都道府県の1としまして、予防接種関連文書の保存についてです。
 関連文書は通常5年の保存期間である。5年経過後は機械的に公文書館に移管され、その中で永年保存と判断された特別な文書以外は廃棄されているということでした。これがAの自治体でございました。
 B、Cでは、5年~10年の保存年限。期間経過後は、基本的には廃棄されているということでございました。
 公文書館で保存しているAの自治体においては、所蔵文書についてキーワード検索が可能で、過去の文書が廃棄されていなくて残っていれば、キーワードで探すことは比較的容易であることというお話でした。
 2としまして、予防接種指導状況を確認するための文書についてです。
 国からの通知等は市町村へ通知しているが、現状、独自の指導を行っているわけではないというのが調査対象となった3都道府県でいずれも同じような回答でした。
 また、国からの通知があったときに市町村へ通知を行うので、毎年年度の初めなどに同じ文書を発出しているわけではない。そのため、都道府県からの通知が探しやすくなるよう、調査票には国からの通知の発出時期やタイトルを明示したほうがよいということで、前回の見ていただいた調査票案では、国の通知の中身については詳細をあえて載せていないという方針だったのですが、それは載せたほうがいいという御意見をいただきました。
 3としまして、OB等関係者への聞き取りについてです。
 OBを特定することがかなり難しい、あるいは特定できたとしても現在の所在を確認するにはかなり時間を要するということがございました。
 また、都道府県の立場では、先ほどのように国からの通知を市町村へ通知するということですので、そういう意味では、医師会に改めて聞き取りをするような内容ではないのではないかという御指摘がございました。
 それ以外に、これは前回見ていただいた以前のバージョンの調査票では、古い年度から記載するような形にさせていただいていましたが、さかのぼって資料を探していくために新しい年度から回答できるほうがいいのではないかという御意見がございました。
 市町村につきまして、4ページの(2)です。
 1予防接種関連文書の保存については、やはり保存年限は5年~10年。保存年限経過後には廃棄されるというところがほとんどです。
 また、予防接種関連文書は公文書館があるところであっても公文書館の対象文書になっていないというところがございました。
 過去に公文書館に移管された記録はなかったというところもございました。
 一方で、保存年限が経過してもすぐに廃棄しない場合もあるという回答もございました。
 5ページです。
予防接種の実施状況について広報が比較的古い時代から保管されているので、そういうもので確認できるのではないか。
あるいは決算書であるとか、年報・市政概要のような実績報告書によって確認できる可能性があるのではないかということです。
 集団接種は学校で行っているので、学校保健担当への照会が必要であるということで、今回のヒアリングをお願いしたのは、予防接種担当部署ということですが、学校保健との連携が必要になる。
 市町村で予防接種の実施手順を定めた実施要領を作成していると回答したところと、一方で独自に手順を定めていないところもないのではないか。
 実際に実施手順が厚労省の通知を踏まえて実施することといった趣旨が記載されているだけで、独自の手順書を定めているものではないところがあることがわかりました。
 合併についてですが、これは近年の平成の合併について状況をお聞きしております。
 合併前の自治体の文書も文書管理規定にのっとって引き継がれているということで、合併前後で、平成の時代には比較的管理がされているということでございましたが、やはり5年~10年の保存年限後は廃棄されているということですので、いずれにしても合併前の状況はわからないということでした。
 古い時代も含めて合併前のことまで聞くのは負担が大きく、現実的ではないのではないかという御意見もございました。
 OB等関係者への聞き取りについてですが、やはり当時の関係者の特定が難しい。
 古い時代については特に難しく、所在の確認が困難であるという御意見。
 試行的にOBの方に電話で確認していただいた自治体もございまして、ただ、昔のことなのでわからないという回答であったということでございました。
 その他、調査票、調査項目は余り細かいと回答できない可能性が高いとか、心理的な障壁になってしまう。回答しやすいような配慮が必要なのではないかという御意見がございました。
 以上を踏まえまして、アンケート調査票の改定を行っておりますので、資料4-2、資料4-3で御説明をさせていただきます。
 まず、資料4-2の都道府県アンケート調査票(案)でございます。
 1ページ目は、表を載せておりまして、これが先ほど指摘のありました国からの通知の時期を明示するということで、これによって都道府県は割と回答しやすくなるだろうということがございました。
 2ページ目は、「記載要領」の1の2つ目の段落です。都道府県の記録文書という括弧の中に例示を載せておりますが「条例、規則、告示、訓令、予防接種の実施要綱」とありまして、その後に「市政総覧等」を例示としてアドバイスいただいたということで追加をいたしております。
 4ページ目からが年代の並べ方を新しいほうからという意見を踏まえまして、昭和63年から、新しいほうから古いほうに向かっていくという形に改定をしております。
 以降、5ページ目が昭和52年度、6ページ目が昭和44年度ということで、同様でございます。
 その後に研究班の協力依頼状、その別紙、最後に厚生労働省健康局名の依頼状を付けております。
 続きまして、資料4-3の市町村アンケート調査票(案)でございます。
 1ページ目の国からの通知等のタイミングについては、都道府県と同様でございます。
 先ほど御説明が漏れましたが、プレ調査の中で通知のあった段階で次の都道府県あるいは市町村の通知を行うというお答えがあったことを踏まえまして、調査の時期に対象期間については、例えば昭和24年度であれば、その前年度も対象にして答えていただくという形にしております。
 2ページ目をごらんください。市町村のほうは合併のところが大きな課題でありましたが、合併についてはなかなかお答えにくいという御意見が多うございましたので、表のすぐ下の■で「この間に市町村合併があった場合、当該期間において記録が保存されているどちらか1つの市町村の状況を記入して下さい。」ということで、A市とB町が合併しC市になった場合、合併後のC市について昭和63年、52年の状況、合併前のA市、B町についてはどちらか状況を記入していただければいいということで、1つ一番記録の残っている回答しやすいほうを回答していただくという形に変えさせていただきました。
 そのため、4ページをごらんいただきますと、前回は非常に細かい表の形の調査票になっておりまして、やはり回答する側から見ると、見た目でも、実際の労力でも負担感が大きいという御意見がございましたが、1つの市町村について回答していただく形になりましたので、都道府県と同じような形で1ページに1年分の設問が並ぶという形で変更をいたしております。
 主な変更点につきましては、以上でございます。
○永井座長 ありがとうございます。
 それでは、ただいまの御説明に御質問、御意見をお願いしたいと思います。
 山本構成員、どうぞ。
○山本構成員 日肝協の山本です。
 例えば市町村アンケート調査票の11ページ目でございます。この3行目に「昭和63(1988)年4月以降に把握した記録がありますか。上記1の設問につき昭和63(1988)年3月以前の把握状況を確認する過程で見つかった記録があれば、是非とも記入して下さい。」とあり、その下には「昭和63(1988)年4月以降に把握した記録がある」ということで書くようになっているのですけれども、前のときにも言いましたように、いろいろ症状が出てきたりするのは昭和63年4月以降でも結構あると思うのです。
ですから「昭和63(1988)年4月以降に把握した記録がありますか。」で「上記1の設問につき」から「見つかった記録があれば」のところはカットしていただいたほうがいいと思います。「記録がありますか。是非とも記入して下さい。」ということで、市町村のほうから県のほうも両方ともここの文章はカットしていただきたいと思います。
 以上です。
○多田羅構成員 削除するのですか。
○山本構成員 はい。削除してください。
○永井座長 「上記1」から「記録があれば」までの1行のところを削除したらどうかということです。
○研究班事務局 研究班の中でもここは議論があったところではございますが、これは昭和63年4月以降の状況を確認するのに、またその分の調査の負担が回答者にかかってしまうということですので、回収率をなるべく高めるという観点から調査負担を減らしたいということで、ここはメインである昭和63年までの状況をメインにお聞きして、その過程で昭和63年以降のものがあれば記載していただくという形に議論が落ち着いたかと理解しております。
○山本構成員 調査してきたときに、そういう事例が出てきたと。そのときに、これは昭和63年4月以降の状況だということで、カットする必要はないと思うのです。
 いろいろ調査されていたら、今、申していますが、いろいろこの状況が出てくるのは、昭和63年4月以降が結構多いと思うのです。ですから、その項目をできればずっと後々もやっていただきたいのですけれども、そういうせっかく出てきたいろいろな状況はやはり出していただいたほうがいいのではないか。昭和63年4月以降にいろいろ問題事例が出てきたのを、これは昭和63年4月以前だからということでカットする必要はないと思います。
○多田羅構成員 一応、この研究の仮説が昭和23年~63年という論理を立てておりますので、そこのところが大きな柱なのですけれども、そういう論理を研究班としてまとめ、座長としては、余りそういうところの論理を軽視というのではないですけれども、難しいので、一応その把握状況を確認する過程でと入れさせていただいたということなのです。
研究班の一応大きな論理が昭和23年~63年と研究会議の設定の中で確定されておりますのでね。しかし、原告団の皆さんの御意見等もあり、昭和64年以降も非常に大事だということは認識しております。そういうことで、その点、妥協的な面があるのですが、把握状況を確認する過程でと一言入れさせていただいて、研究班の全体の論理と調査項目のあり方を若干調整させていただいたという苦肉の策の点で、研究班の位置づけの問題になってきますので、御理解いただきたいと思います。これは特に座長としてお願いする点でございます。
○永井座長 いかがでしょうか。
○山本構成員 症状とかいろいろ出てくるのが昭和63年以降の方が結構多いと思いますので、そういう具体的な事例が昭和63年4月以降に結構あると思うのですが、それが入らないというのはちょっと問題ではないかということで提案いたしました。
○荒井構成員 この点は、たしか前回議論になったと思うのです。昭和63年以降の調査を独立にするというのはちょっと趣旨が違ってくるのではないかと思います。
しかし、昭和63年以前のことを調べる過程で、もしそういう情報があれば、それは大事に報告に上げてもらうべきではないかという議論があって、こういう整理の仕方になっているのではないかと思いますので、私はこのとおりで山本構成員がおっしゃった趣旨は理解できるのですけれども、アンケートの仕方としてはこのままでよろしいのではないかと思います。
 ただ、細かいことですけれども、表現として「上記1」というのは「上記(1)」ではございませんか。
○多田羅構成員 そうです。
○永井座長 よろしいでしょうか。調査の過程で見つかったものがあれば出していただくという整理ですね。
○多田羅構成員 はい。
○永井座長 野口構成員、どうぞ。
○野口構成員 全国予防接種被害者の会の野口です。
 資料の御提供ありがとうございます。資料4-1「自治体アンケートプレ調査の方法及び結果概要」の4ページについて2点お伺いしたいです。
 4.の(1)の1の黒ポツ2、関連文書は通常保存期間は5年~10年、期間経過後は基本的に廃棄。次に、公文書では所蔵文書についてキーワード検索が可能というところなのですけれども、これは公文書館に資料があるかどうか推測はされているのかということがまず1点です。
 2点目は、次の「2予防接種指導状況を確認するための文書について」の黒ポツ1、国からの通知等は市町村へ通知しているが、独自の指導を行っているわけではない。次に、国からの通知があった場合に市町村へ通知を行うのであって、毎年同じ文書を出すわけではない。ここなのですが、逆に出しているほうですね。国の出しているほうの資料の把握というのはどの辺まで進んでいるのでしょうか。この2点についてです。
○研究班事務局 まず1点目についてですが、ここに記載しておりますとおり、公文書館がある自治体でも、やはり予防接種の関連のような日常的な文書については永年保存にはなっていないという状況のようです。
 ただ、現在はそういった文書管理が行われているのですが、過去においてそこまで厳格にされていたかというのはちょっとわかりませんので、実際このキーワード検索をしていただいたAの自治体では「予防接種」というキーワードで幾つかヒットしているということです。もちろん、まだ中身については精査されていないのですが、そういった形で公文書管理が徹底される前の時代には記録が残っている可能性がないとも言えないという印象でございます。
 当初我々は、公文書館があるところのほうが文書管理がきちんとしていて、公文書館での記録が残っているのではないかという予想だったのですが、逆に公文書館があるほうが、5年たつと機械的に公文書館に送って処理されるということのようですので、むしろ公文書館がなくて、そういう文書管理が徹底されていないところのほうが書庫などに残っている可能性があるのではないかという感触を持っております。
○多田羅構成員 後段は何でしたか。
○野口構成員 後段は、2の予防接種指導状況を確認するための文書についてということで、国からの通知等は市町村へ通知をしているから独自の行っているわけではない。次に、国から通知があったときに市町村へ通知を行う。同じ文書を云々という感じで、文書は国から出ているわけですので、それがいわゆる出し手側の状況の把握はどの程度なされているのかという質問です。
○研究班事務局 今回はアンケート調査票の1ページに記載していますような国からの告示等を主な対象にしておりまして、これをもとに時代区分も設定しておりますので、これを見ていただいて、これをもとに都道府県あるいは市町村の通知等の発出を確認していただくという構成で考えています。
○野口構成員 済みません、よくわからないのですが、そうすると国から文書が出ているので、出し手側も確認をされるということなのでしょうか。
○研究班事務局 出し手というのは、国のことですか。
○野口構成員 そうです。
○研究班事務局 国については、この表に載っているような通知が出ているということは確認できています。
○永井座長 そのほかいかがでしょうか。
 奥泉構成員、どうぞ。
○奥泉構成員 奥泉です。
細かいところなのですが、資料4-2の4ページ以下の質問項目の4を付け加えていただいたと。特に実態を報告していたか、あるいは国に対して疑義照会をし、または意見を述べたという質問項目を付け加えていただいてありがとうございました。
 ただ、設問4の上に「上記3で『把握していた』と回答した方が対象」と書いてあるのですが、実態の報告だけではなくて、今、読み上げた疑義照会とか意見を述べたというのは、必ずしも実態を把握していない場合でもあり得るのかということで、この特に3の質問も入れているということであれば、3と4を並列的に聞いてもらって構わないと思います。そのほうが意見が出てくるのかと思いました。ですので、この括弧書きは外してはいかがかと思いました。
○永井座長 もう一度、具体的にどこをどうしていただきたいのですか。
○奥泉構成員 4ページの枠の一番下の欄の4で、括弧して「上記3で『把握していた』と回答した方が対象」と書いてあるのを削除したほうがよろしいのではないかという意見です。
 あと、これはついでですけれども、各年度の前年度の部分を入れていただいたのですが、昭和44年度の部分は「及び前年度」が抜けているので、これは記載もれだと思います。
○多田羅構成員 一応、これはアンケートについて常識的に3を受けての4なので、把握していないと実態の報告というのはあり得ないわけですね。ですから、わざわざ言わないでもいいという意味ですかね。
○奥泉構成員 そうですね。実態調査はほかに疑義照会とか、意見を述べたという質問項目があるものですから、それを生かすためには、必ずしも実態把握を前提としなくても聞くべき質問かと思っただけです。
○多田羅構成員 わかりました。
 今のところ、私の判断では外してもいいように思いますので、研究班のほうに一応最終的にお諮りして、了承を得られれば、そうさせていただきたいと思います。
○研究班事務局 後段の昭和44年のところでございますが、1ページの国からの通知と調査対象期間の一覧をごらんいただきますと、申しわけありません、先ほど説明が漏れておりましたが、昭和44年は下から2行目のところにございますように、特段通知等は発出されていないのですが、おおむね10年の区分を設定するために、経年変化の比較対照年として設定したものでございまして、これは昭和44年とその前年度という扱いではなく、昭和44年度の1年でいいと考えております。
○奥泉構成員 失礼いたしました。
○多田羅構成員 ちょっと細かくて申しわけございません。
○永井座長 そのほかいかがでしょうか。よろしいですか。
 御指摘の点を調査班の確認をとった上でということで。
○多田羅構成員 はい。きょうの審議された結果の最終的案をつくりまして、研究班の方に確認させていただいて、それをもって研究調査アンケート票とさせていただきたいと思います。
○永井座長 そういうことでよろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○永井座長 では、そういうふうに進めていただくようにお願いいたします。
 あと御発言の方いらっしゃいますでしょうか。
 花井構成員、どうぞ。
○花井構成員 済みません、ちょっとお時間をいただいて。
 きょう、皆様に要望書を私の提出資料として出させていただいておりますので、これは後からお読みいただいたらいいのですが、若干提出趣旨だけ説明させていただきたく、時間をいただきたいと思います。
 主にこのワクチントーク及びMMR被害児を救済する会、日本消費者連盟からの要望ということで、私どものほうは薬害被害者の団体としてMMR被害児を救済する会からも入っていますので、被害救済という観点からこの要望書を提出させてもらいました。
 そもそもこの予防接種に関して、今回は集団感染ということなので、予防接種の被害そのものは直接この問題とかかわるわけではないのですが、皆様も御承知のように、いわゆる予防接種というのは公衆衛生の一環として行われるのであって、その公衆衛生というのは当然のことながら、個人のリスクベネフィットというよりは、社会における効果とリスク、もしくは効果と費用というものを勘案して、行政なり、あるイニシアティブを持つ機関が決定するというのが正論だと思います。
我が国におきましては、いろいろな状況の中で右左に動くということもありながら、では、そのときに救済、つまり予防接種被害というものがどのように扱われてきたのかという問題は、基本的な国の公衆衛生のスタンスというものを図る上で非常に重要だと考えておりまして、今回の肝炎の集団感染という問題と基礎のところではリンクするだろうということで、これを提出させていただきました。
 項目はるるあるのですけれども、今後、行政、本省のほうのインタビューをするかしないかという論点とかあると思うのですが、そこにかかわる部分が多いので、ぜひこの観点というところを事務方のほうでも一度御一覧いただき、また後半にお示ししました文献一覧も御参考にしていただいて、基本的にこれで国の予防接種行政のスタンスがどのように意思決定されたかとか、基礎になるデータをどのように扱っていたか、もしくは扱おうとしたのかというところが肝炎とは共通する。私どもとしては、やはり被害者救済という観点に着目することによって、それが明らかになるのではないかと考えていますので、このようなものを提出させていただきました。
 救済というのと、副反応救済ということでいろいろ時代背景がありますけれども、ここにるる書いていますように、その扱いというのは、節目節目でいろいろなことが検討されたりしながらも、それがその後どうなったのかということについてはよくわからなくなったりとかで、古いことなのでいろいろ散逸していることもあると思うのですが、ぜひ今後行政の調査に係るに当たって、もしインタビューということが今後どうなるかわかりませんが、ぜひこういった政策的な議論と基礎になる情報収集について御検討いただければと思います。
 以上でございます。
○永井座長 ありがとうございました。
 ほかにございますか。
 田中構成員、どうぞ。
○田中構成員 今の要望書に関して、とりわけ予防接種のワクチンだとか、B型肝炎の手技に関してはちょっと違うとは思うのですが、その観点を見させていただくと、例えば1番の予防接種後の副反応報告とこのデータの集積、公開、活用はされていたのかどうなのか。これはB型肝炎にとっても非常に重要な問題かと思います。やはりB型肝炎の感染拡大についてもリンクする問題かと思います。
 2番についても、被害の実態ということで、30年近い年月を要した。B型肝炎も1989年に提訴をして以来随分かかりましたけれども、そういった何でこんなに年月を要したのかという理由、背景は私どもも知りたいと思いますし、観点7の認定被害者の被害実態に関しても、平成10年度にこの研究が実施され、公開されている。この予防接種リサーチセンターで実施しているが、結果は一般には公開されていない。これはなぜなのか。
 こういったことも、実態調査の手法と結果はいかなるものなのかと書いてありますが、やはりB型肝炎にも通じるものがあるかと思いますので、ぜひこれも御検討いただきたいと思います。
 以上です。
○永井座長 ほかにいかがでしょうか。
 奥泉構成員、どうぞ。
○奥泉構成員 奥泉です。
 きょう「国の当時の担当者に対する調査を求める意見書」というペーパーを出しておりますが、このことについて一言意見を述べさせていただきたいと思います。
 これは前回、田中構成員からもお話がされたのですが、今回の検証項目の中に、きょうも資料1で出ていますけれども、この検証項目の3あるいは4は、国に対する調査の中にアンケート調査あるいはヒアリング調査というのが入っていないということで、研究班の話を聞きますと文献調査を行ってからというお話ではあるようなのですが、やはり文献調査だけでは十分ではないというのは、きょうのアンケート調査をいろいろ議論していくことと同じように必要性があることだと思うのです。
 この文献調査で、特に行政文書がまだどの程度あるのかということについても、その目録も出てきてはいないのですけれども、きちっとした国に対する調査を行うという意味では、この文献調査だけではなくて、アンケート、そしてヒアリングをぜひとも実施していただきたいということで、この検討会でもその辺の必要性について確認をいただければと考えました。
 以上です。
○永井座長 いかがでしょうか。
 山本構成員、どうぞ。
○山本構成員 奥泉構成員の補足的なことになるかもわかりませんが、同じような意見なのですが、1枚ペーパーを出しています。
 9月13日の検証会議で提案させていただいたのですけれども、今、いろいろな項目、社会や医療環境の調査もしているのですが、それにあわせて検証会議の趣旨というものは、その実態を調査して、その後、そういうことを起こさないという目標ですので、個人の責任究明ではなくて、国に問題があったということですから、次の事項の調査を要望しますということで、4-3の項目の中に入っているのですが、国による把握及び対応についてということでなっているのですが、4番が集団接種等によるB型肝炎感染被害発生の把握及び対応となっていまして、4-3の中に「国による把握及び対応」という項目が入っております。その項目を具体的にする場合に、感染拡大の実態把握をしているのですが、国のほうが感染拡大把握をどう把握したかということと、把握したと今も話していろいろ出ましたが、国のほうがどう行動したかということと、その後、蔓延するのですけれども、蔓延する状況はあらかじめわかっていたと思うのですが、そのときにどう行動したかということと、蔓延してしまった後、国はどう行動したかということの調査もぜひお願いして、実態を明らかにして、今後の対応策を講じていただきたいと思います。
○永井座長 具体的には、まず国を対象とするアンケートを実施してほしいということですか。
○山本構成員 そうですね。今、ヒアリングという話が出ましたが、これの詳細項目がいろいろあると思うのですが、そういう項目をつくっていただいて、ヒアリングをお願いしたいということです。
○永井座長 いかがでしょうか。
 多田羅先生、御意見をいただけますか。
○多田羅構成員 結局ヒアリングの問題なのですけれども、今回、自治体、県、市町村の担当者へのヒアリングというのは、特にアンケート結果報告の中で、あるいは文献的に過去にそういう肝炎の流行があったような地域、そういう基本的に文献なりアンケートの結果をもとに具体的にヒアリングを行って、その経過、報告書等の確認をさせていただきたいというのは、県、市町村、あるいは医療従事者、保健所長についてもそういうことでございます。
 国についてということで、今、御指摘をいただいているのですけれども、国についても、やはり通知、都道府県からのアンケート結果という中で、当時、国がした役割がどのようなものであったかということが明らかにしたいということが出てくる場合には、躊躇なくその関連のことについてはヒアリングさせていただくということにさせていただかないと、国全体に今からヒアリングをしてということは、方法的にも非常に難しいですし、ほかの都道府県、市町村についてもヒアリングを行うのは、そういう事前調査があってのヒアリングを行うということであって、そうしないと誰にヒアリングを行うかということ自身が確定できませんので、国についてもそういう通知、そういうものに対する県の対応、あるいはそういう市町村の対応、あるいは文献を踏まえて、必要であればヒアリングをやるということについてはやぶさかでないと研究班では意見が一致したと私は理解しております。
○永井座長 まず調査をしてからということでしょうか。
○多田羅構成員 都道府県、市町村を調査して、その中で対象者が、例えば三重県なら三重県についてこういうことがあったので、一度、ちゃんと当時の保健所長であるとか、部長がいればヒアリングしてみるとか、当時の報告書を集めてみるというのは、一応最初にアンケートなりがあって、あるいは文献調査があって行われることであって、一般的にヒアリングをするということはできないと思います。やはりそういう前提のものがあってと思うので、それは同じく国についてもそういう方向にならざるを得ないと今のところ判断しておりますし、研究班でもその点では意見の一致をいただいたと思います。
○永井座長 野口構成員、どうぞ。
○野口構成員 全国予防接種被害者の会の野口です。
 奥泉、田中、梁井構成員の意見書に対して御質問があるのですけれども、これは今、先生がおっしゃったように、かなりハードルが高くなる可能性があります。それはしかるべき配慮ですとか、方法論のところが非常に問題になってくると思うのですが、このまま何かお考えがあれば、もう少し聞かせていただけたらと思います。
○永井座長 奥泉構成員、どうぞ。
○奥泉構成員 奥泉です。
配慮といって先ほども出ましたけれども、これは責任追及されるものではなくて、あくまで実態がどうであって、今後再発をさせない、こういう問題を起こさないための調査なものですから、聞いたことによって何らかの不利益が出るということは一切ない。そういう前提で行わなければいけないとは、まず第1に思います。
 それと方法論といいますか、いろんな文献の中でも、研究班の中での手塚先生の本ですかね。『戦後行政の構造とディレンマ 予防接種行政の変遷』という御本を書かれていますけれども、例えばその中でもいろいろな座談会がされていて、そこから名前が挙がっている方とか、具体的には手元にないですが、あの本を書かれるにも随分そういう個々の担当の方のいろいろなお話を前提に書かれているということもあるものですから、そういうことなどから、そういうところもとっかかりということでやっていけるのではないかとは考えています。
○多田羅構成員 ですから、そういう文献で研究班で検討して、担当された方にはお話を聞きましょうということはあり得ると考えております。
○永井座長 課題が見えて、論点を整理した上でヒアリングをしましょうということですね。
○多田羅構成員 そういうことでないと、方法が成り立たないということです。
○永井座長 漠然とお聞きするよりも、少し問題点が見えてからのほうがいいということですね。
○多田羅構成員 そういうことです。
○永井座長 そういうことでよろしいでしょうか。
 結果はいつごろまでにまとめていただけるのでしょうか。
○多田羅構成員 主としてアンケートですね。まずこの段階で、その結果こういうヒアリングであるとかいうのは、またその結果で御報告しますので、アンケートは今月中には発送ですね。
○研究班事務局 アンケート調査のほうは、きょう御承認をいただきましたので、早々に準備を始めまして、今月中に発送をして、おおむね1カ月ぐらいの回収期間を予定しております。ですので、来月の末ごろから入力集計を始めますので、次回の検討会には、もしかしたら速報という形になるかもしれませんが、一定の集計結果を御報告させていただく予定でございます。
○永井座長 12月のときには、先ほどの問題も少し論点が整理されてくる可能性があるということですね。
○多田羅構成員 はい。
○永井座長 よろしいでしょうか。
 山本構成員、どうぞ。
○山本構成員 今のことに追加なのですけれども、4-3の項目で、国による把握及び対応ということで、アンケート調査、ヒアリング調査とあるのですが、国に対してはアンケート調査というのは考えていないのですか。
○多田羅構成員 どこですか。
○山本構成員 今の4-3です。大きな項目の4-3で、ここに国立感染症研究所を含む把握及び対応ということで、国も入っていると思うのですが、このアンケート調査とヒアリング調査とありますが、ヒアリング調査というのは今、話がありましたけれども、アンケート調査というのはあると考えていいのですか。
○多田羅構成員 国に対するアンケート調査は現在考えておりません。それは通知なりが出ているということで、それを情報の基盤にするという考えでございます。それが国の姿勢ということとして、アンケートは今のところ考えておりません。
○永井座長 通知文書を調査するということですか。
○多田羅構成員 そういうことです。そういう通知を出して、それに対する対応がどうであったかというところは基本のデータと考えています。
○永井座長 どうぞ。
○研究班事務局 先ほどの私の発言で一部訂正させてください。
 12月末から集計を始めますので、御報告ができるのは1月以降の次々回の検討会でございました。失礼しました。
○永井座長 そういうことでよろしいでしょうか。
 では、そういうことで進めてください。
 きょう議論すべき議題は以上でございます。
 あとは事務局から連絡事項をお願いします。
○巽B型肝炎訴訟対策室長 次回の日程につきましては、12月20日の木曜日、14時半から予定しております。場所は未定でございますので、追って御連絡いたします。
 本日も長時間にわたり、どうもありがとうございました。
○永井座長 どうもありがとうございました。


(了)

照会先
健康局結核感染症課B型肝炎訴訟対策室 TEL:03-5253-1111(内線2080)

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