ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> 歯科専門職の資質向上検討会> 第1回歯科専門職の資質向上検討会 議事録(2012年11月28日)




2012年11月28日 第1回歯科専門職の資質向上検討会 議事録

医政局歯科保健課

○日時

平成24年11月28日(水)
14:00~16:00


○場所

中央合同庁舎第5号館 省議室


○議題

1.歯科医師臨床研修について
2.歯科技工士国家試験について
3.その他

○議事

○小椋課長補佐 
 定刻になりましたので、ただいまから第1回「歯科専門職の資質向上委員会」を開催させていただきます。委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。まずは事務局のほうで進行させていただきます。
 本検討会の委員を名簿順に御紹介いたします。日本大学総長の大塚委員です。日本歯科衛生士会会長の金澤委員です。日本医師会常任理事の小森委員です。日本歯科医学会副会長の佐藤委員です。全国歯科技工士教育協議会会長の末瀬委員です。日本歯科技工士会会長の古橋委員です。全国歯科衛生士教育協議会専務理事の眞木委員です。日本歯科医学教育学会理事長の俣木委員です。日本歯科医師会副会長の宮村委員です。日本私立歯科大学協会副会長の安井委員です。ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口委員は本日御欠席との連絡を受けております。また、オブザーバーとして文部科学省高等教育局医学教育課の村田課長に御出席いただいております。
 事務局側の紹介をさせていただきます。医政局長の原徳壽です。大臣官房審議官の高島泉です。歯科保健課長の上條英之です。歯科保健課課長補佐の野田裕司です。歯科保健課課長補佐の簑原哲弘です。私は歯科保健課課長補佐の小椋です。
 医政局長より御挨拶を申し上げます。

○原医政局長 
 医政局長の原です。委員の皆様方におかれましては、日頃から医療行政全般にわたって御協力を頂いておりますことを、この場を借りて御礼申し上げます。また、お忙しいところを本検討会にお集まりいただきましてありがとうございます。
 この検討会は、歯科専門職の資質向上を図るということで、いろいろ他方面から議論していただきます。その背景には、急速に進む今後の高齢化、また、それぞれがいろいろな価値観を持った、多様な人生を歩んでこられた、そういう高齢者がどんどん増えてくる。そういう中で歯科診療に対しても、様々なニーズが発生するだろうということが考えられます。
 もともと高齢者がどんどん増えるということは、基礎疾患を持った方々が増えてくる。その上での歯科医療をどうするかあるいは、これから在宅医療を進めていかなければなりませんけれども、そのための在宅の歯科診療、そのためのサポートという問題がいろいろと出てくるのではないかと思います。平成23年には、歯科口腔保健の推進に関する法律が成立したわけですが、国としてもこれらのために、総合的な施策を推進していく必要があると考えております。
 今回の検討会では、歯科専門職ということで歯科医師、歯科技工士、歯科衛生士の三職種の方々についての、それぞれ論点があります。まず、歯科医師については、臨床研修についてです。臨床研修についても、平成23年3月文部科学省で、歯学教育についてのモデル・コア・カリキュラムの改正が行われたと聞いております。また、それに沿って平成24年4月には、歯科医師国家試験制度改善検討部会において、今後の歯科医師国家試験制度についての報告が取りまとめられ、現在その歯科医師国家試験の出題基準の改正作業に取り掛かっているところです。卒業直後の歯科医師を対象とする、歯科医師臨床研修制度ですが、これらの状況を踏まえながら、歯科医師の資質の向上を図るため、どのような制度の見直しが必要かについて、この検討会で御検討いただきたいと思っております。
 歯科技工士の国家試験については、実技試験を行う観点から、現在は各都道府県において実施されています。これを踏まえてどうしていくか。資質の高い歯科技工士をどのように輩出していくかという観点から、試験問題、あるいは判定の均一化を図る必要があるのではないかと考えております。こういう観点から、歯科技工士の試験の在り方について御検討をお願いしたいと思います。
 歯科衛生士については、別途チーム医療推進会議というのを私どもは持っています。その中で、歯科衛生士法について、その業務改正について一定の御議論がなされました。また、歯科衛生士の国家試験の受験資格についても、歯科技工士と性格は違うわけですが、これについてどう考えるかについても御議論をお願いしたいと思います。
 そのほか幅広くいろいろなことがあると思いますが、歯科専門職の資質向上に当たっての貴重な御意見を賜りますことをお願い申し上げまして、私からの挨拶とさせていただきます。どうぞ、よろしくお願いいたします。

○小椋課長補佐 
 局長は、公務のためここで退席させていただきます。冒頭のカメラ撮りについてもここまでとさせていただきます。
 続いて資料の確認をさせていただきます。議事次第、座席表、資料一覧です。資料1「歯科専門職の資質向上検討会設置要綱」、資料2「歯科専門職の概況」、資料3「歯科衛生士法改正に関する資料(歯科衛生士国家試験の受験資格)」、資料4「歯科技工士法改正に関する資料(歯科技工士国家試験の全国統一化)、資料5「歯科技工士ワーキンググループ(案)」、資料6「歯科医師臨床研修に関する資料」、資料7「歯科医師ワーキンググループ(案)」です。
 参考資料1-1「歯科衛生士法改正に関する資料(チーム医療関連)」、参考資料1-2「日本歯科医師会・日本歯科衛生士会要望書(チーム医療関連)」、参考資料1-3「日本歯科衛生士会要望書(歯科衛生士国家試験の受験資格)、参考資料2「日本歯科医師会・日本歯科技工士会・全国歯科技工士教育協議会要望書」、参考資料3-1「歯科医師臨床研修制度の概要」、参考資料3-2「歯科医師法第16条の2第1項に規定する臨床研修に関する省令」、参考資料3-3「歯科医師法第16条の2第1項に規定する臨床研修に関する省令の施行について」、参考資料3-4「歯科医師臨床研修推進検討会第2次報告」、参考資料3-5「歯学教育モデル・コア・カリキュラム(平成22年度改定版)」、参考資料3-6「歯科医師国家試験制度改善検討部会報告書」です。
 資料1は「歯科専門職の資質向上検討会設置要綱」です。目的は、多様化するライフスタイル、長寿命化、医療技術の進展によって、基礎疾患を有する高齢者の歯科診療の受診機会が増えてくること、あるいは在宅歯科医療のニーズが増えてくることなどにおいて、国民の求める歯科医療サービスも高度化・多様化してきております。また、QOL向上の観点からも、より安全・安心な歯科医療の提供の確保が求められております。歯科医師臨床研修制度の見直しについて、あるいは各都道府県で実施されている歯科技工士国家試験の在り方や出題基準等について検討を行うことが必要となっております。
 本検討会においては、歯学教育モデル・コア・カリキュラムや、歯科医師国家試験の制度改善検討部会報告書などを踏まえた、歯科医師臨床研修の到達目標などの見直し。あるいは歯科技工士国家試験等の在り方や出題基準等に関する検討を行いたいと考えております。この検討会の中で想定される主な検討内容として、歯科医師臨床研修の到達目標、歯科医師臨床研修の修了基準及び修了認定の在り方、歯科医師臨床研修の制度管理、実施機関、指導者の在り方、歯科技工士国家試験の在り方や出題基準などです。その他、歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士の資質向上に関連する内容等、こちらのほうについて検討していきたいと考えております。
 3番目は構成です。座長については、検討会委員の中から互選により決定する。専門の事項について検討を行うため、必要があるときには検討会の下にワーキンググループを置くことができる。なお、ワーキンググループの座長については、本検討会の座長が指名することとする。ワーキンググループの委員については、検討会の座長の意見を踏まえて適宜追加することができる。
 4番目は、検討会の運営です。(1)検討会及びワーキンググループの審議の必要に応じ、適当と認められる有識者を参考人として招致することができる。(2)検討会及びワーキンググループの議事は公開とする。ただし、特段の事情がある場合には、座長の判断により会議、議事録及び資料を非公開とすることができる。(3)検討会及びワーキンググループの庶務は、医政局歯科保健課において総括し、及び処理する。委員については別紙のとおりです。
 この要綱案のとおり進めさせていただいてよろしいでしょうか。

(異議なし)

○小椋課長補佐 
 ありがとうございます。それでは、構成3の一つ目にあるように、座長は検討会委員の中から互選により決定するとなっております。どなたか、座長の御推薦はございますでしょうか。

○宮村委員 
 この検討会の座長ですけれども、私は歯科的な専門知識のみならず、幅広い見識をお持ちの大塚委員に座長になっていただくのがいいと御推薦いたしますが、いかがでしょうか。

(異議なし)

○小椋課長補佐 
 皆様御異議ないようですが、大塚委員よろしいでしょうか。

○大塚委員 
 力不足の点もありますが、皆様の御推薦を頂くということであれば、座長を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。

○小椋課長補佐 
 それでは、大塚委員には座長席にお移りいただき、以降の議事進行につきましては大塚座長にお願いいたします。

○大塚座長 
 座長ということになりましたので、資料1で説明があったとおりの問題点を、この委員会を通して、検討会として討議し、また、詳細についてはワーキンググループを作ってもよろしいということですので、そのような流れに沿って進めていきたいと思います。歯科専門職の概況ということで、資料2を事務局から説明をお願いいたします。

○小椋課長補佐 
 資料2「歯科専門職の概況」について説明させていただきます。歯科医師・歯科衛生士、歯科技工士について、本当に簡単ではありますがまとめてあります。歯科医師についての根拠法令は歯科医師法です。就業歯科医師数は、平成22年の数字で約10万人です。業務としては、歯科医療及び保健指導です。歯学部を設置している大学数、修業年限、定員としては、27大学、29学部、修業年限は6年間、定員は2,440名が平成24年度の定員です。
 歯科衛生士の根拠法令は歯科衛生士法です。就業歯科衛生士数については、平成22年の数字でおよそ10万人です。業務の一つ目は予防処置です。予防処置の中に二つあって、歯の露出面、正常な歯茎の遊離縁下の付着物や沈着物を機械的操作によって除去する。もう一つは、歯や口腔に対して薬物を塗布する。これらの予防処置に関しては、歯科医師の直接の指導の下に行う形になっております。二つ目の業務は、歯科診療の補助です。三つ目の業務は、歯科保健指導という業務があります。養成学校数は156施設、修業年限は3年、定員は6,559名が平成24年度の数字となっております。
 歯科技工士の根拠法令は歯科技工士法です。就業歯科技工士数はおよそ3万5,000名です。業務としては歯科技工です。歯科技工とは、特定人に対する歯科医療の用に供する補てつ物、充てん物又は矯正装置を作成し、修理し又は加工することを言います。養成学校数は53施設、修業年限は2年、定員は1,625名です。簡単ではありますが以上です。

○大塚座長 
 歯科専門職に関与する業種についての現在の概況の説明がありましたが、この件について御質問、御意見等はありますか。現況はこういう状況であることを御理解賜りたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 続いて資料3の歯科衛生士法の一部改正について事務局から説明をお願いいたします。

○小椋課長補佐 
 資料3の前に、先般、チーム医療推進会議において、「衛生士が予防処置を行う際に、歯科医師の直接の指導の下」という文言がありますが、これについて直接の指導ではなく、歯科医師の指導の下で、かつ、緊密な連携の下で行うというような改正。また、歯科衛生士法において、女子をいうと明記されているものの、「女子」を「者」として改めたいということについて、チーム医療推進会議において御了承いただいております。
 本日は、それ以外に資料3ということで、「歯科衛生士国家試験の受験資格について御議論いただきたいと考えております。現状と課題ですが、近年高齢化により、要介護高齢者等の誤嚥性肺炎や低栄養を予防する上で、専門的口腔ケアが重要視されてきております。糖尿病や生活習慣病においても、歯周病や咀嚼の関連性が明らかとなっており、全身疾患と歯科の係わりが注目されてきております。
 そのような状況の中、平成20年以降の診療報酬改定や、介護報酬改定において、「歯科衛生士」が出てくる項目が増加してきており、歯科衛生士の需要が高まってきております。歯科衛生士の求人倍率については、平成15年は5.3倍でしたが、平成23年には13.6倍と著しく増加しております。歯科衛生士の人材確保に対する対策が急がれているところです。
 平成22年度に全ての歯科衛生士学校が2年制から3年制へ移行しております。それに伴い、平成25年春に卒業してくる歯科衛生士の卵の方々は、全ての卒業生が3年制になります。また、平成23年8月に歯科口腔保健の推進に関する法律が制定されたことを受け、今後も歯科衛生士の需要が更に高まってくるということが予測されるところです。
 2ページの、歯科衛生士国家試験の受験資格を有する者の教育内容については、歯科医師国家試験や歯科医師国家試験予備試験。歯科医師国家試験予備試験というのは、外国の学校を卒業した人が受ける試験です。歯科医師国家試験や歯科医師国家試験予備試験を受けることができる者の教育内容に包含されているということで、歯科医師国家試験を受けることができる者は、歯科衛生士国家試験の受験資格を十分有しているのではないかと考えられます。なお、歯科技工士国家試験の受験資格については、歯科医師国家試験又は歯科医師国家試験予備試験を受けることができる者が含まれております。
 こうしたことから、歯科衛生士の人材確保の観点から、歯科衛生士国家試験の受験資格に、「歯科医師国家試験又は歯科医師国家試験予備試験を受けることができる者」を含めてはどうかということです。
 改正の方向性としては、歯科衛生士法第12条に定める受験資格に、例えば「歯科医師国家試験又は歯科医師国家試験予備試験を受けることができる者」を追加するというように考えております。
 3ページで付則です。上のほうは歯科衛生士法第12条、下のほうに参考として書かれているものは、歯科技工士法第14条です。これは、歯科衛生士法も歯科技工士法も、国家試験の受験資格を書いている条文です。下のほうに、歯科技工士国家試験について、第3号として下線の引いてある部分ですが、「歯科医師国家試験又は歯科医師国家試験予備試験を受けることができる者」ということで、これらの者は受験資格として含まれております。それに反して上の歯科衛生士法については、歯科医師国家試験や歯科医師国家試験予備試験を受けることができる者というものについて特に記載はありません。
 繰り返しになりますが、このようなことから改正の方向性として、歯科衛生士法第12条に定める受験資格に、例えば「歯科医師国家試験又は歯科医師国家試験予備試験を受けることができる者」を追加するということを検討しております。以上よろしくお願いいたします。

○大塚座長 
 歯科衛生士法改正についての提案があり、改正の方向といいますか、歯科医師国家試験又は歯科医師国家試験予備試験を受けることができる者を追加することはいかがでしょうかということですが、御意見を賜ります。

○眞木委員 
 全国歯科衛生士教育協議会を代表して出席させていただいている眞木です。教育の観点から幾つかお伺いしたいことと、この理由に関しての解釈の違いというところをお話させていただきます。
 今回の歯科衛生士法の改正は、歯科衛生士国家試験受験資格ということで、これを追加したいということだと思うのです。果たして、それで歯科専門職としての歯科衛生士の資質向上になるのかどうか、私どもは若干疑問なところがあります。お伺いしたいことが1点あります。それは、一体ほかの医療職種、特に医科のほうではどういう状況なのか。私が知っている限りでは、かつて衛生検査技士は医学部、歯科部も同様なのですが、卒業をすれば受験資格が与えられていた、又はそのまま食品衛生管理者のようになってもいいですよというように、受験しなくても自動的に与えられていたという職種がありました。
 現在は、食品衛生管理者についてはまだ存在しますが、衛生検査技士にはそういう資格はなくなりました。どうも一般の医科でいうと、看護師、保健師、助産師、准看護師まで含めて、医学部を出ればという受験資格はないのではないかということで、ちょっと疑問な点が1点あります。
 資料3の現状と課題のところの1番、2番に関しては、特に要介護高齢者を対象としたようなところがあります。一体歯科医師の教育、例えばコア・カリキュラムといったものには、実際の要介護者の食事支援又は口腔機能の向上トレーニングといったような、臨地実習的なものはあるのか。現在、私どもの大学にはないわけです。それに対して、歯科衛生士の教育の中には、臨地実習があり、実際の施設における実習、在宅訪問診療時のトレーニングといったところをやっている学校が多いわけです。通常の歯学部教育を受けた人では、こういう場面で実際に臨床研修も受けていないわけですから、使いものになるのかなという疑問があります。
 3番目の項目に、求人に関するところがあります。この求人の倍率が、平成15年度は5.3倍、平成23年度は13.6倍という数字がありますが、実は平成23年度の歯科衛生士学校の就職者数は3,302人でした。昨年度は特に少なかったわけです。歯科衛生士の教育が2年制から3年制への過渡期ということでしたので、この倍率をそのままこれからも使うことはできないと思います。
 そこで1年ずらして、平成16年度と平成22年度で比較すると、平成16年度は7.1倍、平成22年度は11.9倍です。就職者数は平成22年度で5,137人ですから、平成23年度の6割増しぐらいになります。今年度はというと、来年3月には今のところ推測すると約6,000人の卒業生が出る予定です。そうすると、この倍率をそのまま適用はできないのではないか。実際には、例えばこの求人というのは、一つの診療所で複数の歯科衛生士養成所に求人を出している歯科医院が多いわけです。そうすると、倍率としては2倍から3倍ぐらいが適当なのではないかと推測されます。
 それであれば、わざわざ歯学部を卒業した者よりも、むしろ未就業の歯科衛生士の活用ということが優先されるのではないかと考えています。ちなみに、現在の就業歯科衛生士数10万人ですが、ライセンスを持つ歯科衛生士数は20万人を超えています。この10万人に関しては簡単ではないと思いますが、資質の向上という面では、きちっとしたベースの教育を受けている人ということになるので、そちらのほうがいいかなと思います。
 もう1点は、2枚目の最初に書いてある項目です。教育内容は、歯科医師の教育と歯科衛生士の教育は共通して含まれているということですが、実際に法律上の解釈では恐らくそうなっているのではないかと思います。ところが、実際の教育面では、例えば全国歯科衛生士教育協議会が今年の3月に、3年制教育のためのコア・カリキュラム、教育内容ガイドラインという形で出させていただきました。この内容でいうと、歯科衛生過程、デンタルハイジーン・ケア・プロセスとか、臨地実習、歯科衛生士法、従来からある歯科保健指導といった、実際に歯学部の教育に含まれていない項目が多々あるのが現状です。
 したがって以上のことからすると、単に受験資格を付与するということだけだと、歯科専門職としての歯科衛生士の資質向上につながるとはなかなか考えにくいと思います。特に、教育環境の整備、そのほかをきちんとやった上で実施していただくのが妥当かと思います。
 最後になりますが、できれば、この件に関しては歯科衛生士教育の現場の意見を聞いて、それで決定させていただければ幸いかと思います。以上です。

○大塚座長 
 ほかの委員の先生方から何か御意見はありますか。

○宮村委員 
 私も、眞木委員の意見と同感部分が多いのですが、眞木委員が、カリキュラムで衛生士の教育と歯科大学の教育が、必ずしも同じではないと指摘されています。しかし、それはそうにしても、医療提供に関する法制上、医師と歯科医師は、それが医業あるいは歯科医業を包括的に独占する(医師法・歯科医師法第17条)、それで全ての医療職スタッフを指示するという形になっています。
 つまり、歯科医師になれば衛生士業務はできるのです。歯科医師の教育の中に介護があるなしにかかわらず、資格としては歯科医師になったらなれる。これは法として間違いないことです。したがって、今回、この会議でそんな本音を言っていいかどうか分かりませんけれども、歯科医師の免許を取れるならば、衛生士だとか技工士の資格試験を受験するはずがないのです。歯科医師になったら、衛生士になれるわけです。従ってこれは、具体的には国試浪人が対象です。歯科医師の学校に入って、卒業したけれども歯科医師国家試験で、二進も三進もいかないという国試浪人以外は対象には考えられないわけです。
 仮にそうだとすれば、厚生労働省もこの提案の中で、いま本当に歯科大学を卒業したのだけれども、つまり6年の修業年限をクリアして、ダブルライセンスになる訳でもない衛生士の、あるいは技工士の受験をするわけはないのですから、そこに二進も三進もいかなくて受ける人が一体何人いるのだと申し上げたい。私の試算では居たとしても10名程度だと思います。その10名が人材確保に資するほどの数なのかどうなのかということも、やはり資料として出していただきたいと思います。
 衛生士の倍率は何倍が正しいかどうかは別にして、本当に不足していることは間違いないわけです。その中の一つの方策としては分かるけれども、例えば都道府県の県立の衛生士学校はどんどん廃止されていく。衛生士学校に対する補助金はないとか、いろいろほかの手段が、本来的な施策があるはずであって、そういう施策も同時に考えてもらわないと、この資格だけ与えましたからというのは、何か空々しいと思うのです。
 それから、医師になれば臨床検査技士ももちろんそうだし、看護師も、診療放射線技士も、OTもPTもみんなできるわけです。医師会の小森委員がいらっしゃいますけれども、医師になればそんなことはなれるわけです。医師になれなくて、その受験資格を我々も求めるとおっしゃるのか、おっしゃらないのか。つまり、医療提供全体から見たときに、その資格欄というようなところで歯科関係職だけの受験資格を与えるだけで、ほかは何も考えなくていいのかどうかということもあるものだから、結論を急ぐべきでないと思います。座長にお願いしたいのは、本日これで決めますというのはちょっと堪忍してほしいという気がいたします。

○大塚座長 
 事務局から何かありますか。

○小椋課長補佐 
 質問も何点かありましたので、それに対する回答をさせていただきます。医療関係職種の受験資格についてですが、これは医師、歯科医師、薬剤師、獣医師については臨床検査技師の国家試験を受けることが可能となっております。今回の資料3で説明させていただきましたが、歯科医師については、歯科技工士ということも受験資格として与えられているところです。カリキュラムの観点からすると、歯科医師と歯科衛生士の教育のカリキュラムは若干違っているところがあろうかと思いますが、その業務範囲のところから考えていくと、歯科衛生士の業務範囲については、歯科の予防処置、診療の補助、歯科保健指導の3点です。その3点を全てを歯科医師は行うことができる形になっております。
 したがって、受験資格としては、これが歯科衛生士の資質向上につながるのかどうかという質問もありましたが、これについては受験資格を与えるということだけです。受験をして受かるか落ちるかということについては、歯科衛生士国家試験で担保していただきたいと考えております。
 歯科衛生士の求人倍率についてもありましたが、実質倍率は2、3倍というお話でした。2、3倍求人倍率があるということは、依然として歯科衛生士は足りないということです。その歯科衛生士をいかに増やしていくかということは、様々な方策を用いた上で行っていかなければいけないと考えております。先ほど御指摘のありました、未就業歯科衛生士についても、これは別の補助金で歯科保健課としては、このような未就業歯科衛生士の方々の再教育という言い方はおかしいかもしれないのですけれども、実際に現場に戻る前に、現場感覚を取り戻してもらうような研修を受けていただいた上で、現場に戻るような教育・研修について、各都道府県に補助をさせていただいております。その補助金の目的は、未就業歯科衛生士の項目だけではありませんが、未就業歯科衛生士の再研修、再教育みたいなものも含め、補助金として補助をしております。質問に関しては以上です。

○安井委員 
 事務局からの説明に、歯科技工士国家試験のこともあったのですが、歯科技工士国家試験の資格というのは、いまの歯科衛生士のスタンスとは全く違う歴史的背景の中から出てきたと理解しております。歯科技工士法にこれが載っているから、歯科衛生士法に載せるという論理は成り立たないのではないかと思います。医師が各医学部の入学定員を増やしている現状の中で、歯科衛生士の数が足りないということであれば、歯科衛生士の学校に補助をするなり何なりし、定員を増設するという解決の方法もあろうかと思うのです。
 宮村先生の歯科医師国家試験の浪人対策という話は別としても、これで資格試験である国家試験を難しくされると困るし、そのほかの方法論も十分に考えた上で、この件については是非検討していただくということで、ここで安易に1回で、それではこうしましょうという判断はなかなか難しいのではないかと考えております。

○大塚座長 
 資格を与えるという点に関して、資格者蘭に書き込むということでは、余り問題はない気がします。いま現場で行われている衛生専門学校等の教育内容としては、実を言うと介護のほうが重要視されてきているわけです。3年制になってどうするのかということで、そちらのほうが随分強調されているわけです。歯科医療の基本的な問題ということであれば、受験資格があってもおかしくはないかなと基本的な問題として私は感じている部分があります。

○金澤委員 
 歯科衛生士のことですので一言御説明させていただきます。歯科衛生士会は、ここ数年にわたり人材確保に関する総合的な対策を講じていただきたいという要望を出しております。その中の一つに、歯科技工士の法律がこうなっているので、そこのところは揃えたらどうかという助言もあり、今回要望書を出させていただきました。このことは、関係する皆様方のそれぞれの所で十分なコンセンサスを得なければいけないことだと考えております。そういう議論の結果として、どのようなことになるかということについては委員の皆様のご判断によると考えておりますので、よろしくお願いいたします。

○宮村委員 
 座長がおっしゃるとおりで、文言として入れておくのはという考え方は全く明快でそのとおりでそうなのだろうと思います。しかし、具体的に人材確保をしたいとか、後ほど出てくる臨床研修にしても、その施設の設備基準に衛生士を入れたりなどしているわけだから、やはり行政としては本当に人材を確保するために有効な、具体的な方策をやるべきではないかと思います。
 例えば、この受験資格でも具体的に言えば、6年も7年も歯科大学にいて、衛生士さんの方に行くかということです。本日は文部科学省の村田課長もいらっしゃっていますけれども、例えば、4年生修了時に行われている共用試験のようなものが、準資格的なものになって、共用試験のところで、あなたは適性を欠くから転部しなさいということにでもなれば、4年で転向するということで、ずるずると最後まで引っ張らないので、人材確保は具体性もあるという気がするのです。でも、割り切ってしまって、文言だけならいいではないかと言えばそうだと思いますけれども、歯科医師会としては役員会もやっていませんので、ここでいいとはとても言えませんので本日は結論は出せません。

○大塚座長 
 おっしゃるとおりです。

○小椋課長補佐 
 本日、この議題については多くの先生方に初めて御提出するということになります。今後全体像を厚生労働省のほうで少し整備させていただいて、再度先生方に御議論いただきたいと考えておりますが、いかがでしょうか。

○宮村委員 
 結構です。

○大塚座長 
 衛生士会のほうからも御意見が既に出ています。提案として厚生労働省のほうに出していただいています。本日は、そういう形で確認が、関係した部署においてもう一度お考えいただくということで、次回までに、こちらでもその根拠をまとめておきますけれども、委員のほうからもよろしく御意見を賜れればと思います。一応このような形で検討していきたいということでよろしいですか。方向性としては全く検討しないということもあるわけですけれども、このような形で検討させていただくということで進めていくということで、この問題を閉じたいと思います。ありがとうございました。
 次は、技工士国家試験の話になります。こちらについても、事務局から説明をお願いいたします。

○小椋課長補佐 
 資料4を御覧ください。こちらは歯科技工士法改正に関する資料です。1番目は、歯科技工士国家試験の全国統一化をするための改正に関してです。現状と課題については、昭和57年の歯科技工士法の一部改正により、歯科技工士の免許権者が都道府県知事から厚生大臣、現在は厚生労働大臣免許ですが、厚生大臣免許に移行されました。その当時、実技試験を実施していくという観点から、試験は当分の間、歯科技工士の養成施設の所在地の都道府県知事が行うこととされています。試験科目、試験時間、合格基準、試験の出題基準などについて、「歯科技工士国家試験実施要綱」を厚生労働省から各都道府県に示していて試験を実施しているところですが、試験形式、例えば記述式あるいは選択式あるいは穴埋め式あるいは○×式等の試験形式等が、各都道府県で異なっていたり、試験問題数が異なっていたり、あるいはもっと大きな点として試験実施日も異なっているというようなこともありますので、今後は歯科技工士の国家試験について均てんな試験問題の実施が望まれています。
 また、インプラントやCAD/CAM等の精密な技術が必要とされるような歯科技工物の需要は増加しています。しかし、地域によってはこのような高度な技術に係る試験問題を作成できる試験委員を確保することが困難になっており、ついては、その問題を出題することについても困難な状況になっています。
 このような状況を踏まえて、歯科技工士国家試験の問題について国が作成することとしてはどうかということです。改正の方向性としては、歯科技工士国家試験を現在のように各都道府県知事が行うのではなく、国が実施するよう歯科技工士法を改めるという考え方です。
 次のページは試験の実施体制です。現状と課題として、歯科技工士国家試験の全国統一化に関しては、現行は各都道府県が行っている試験問題の作成、採点、その他の試験の実施に関しての事務を国が行うという考え方も一つあろうかと思いますが、行政組織の拡大を図るということは、今般の行政改革の観点からは適当ではないと考えています。
 こうしたことから、試験の実施に関する事務を指定試験機関、厚生労働省令により指定する者に行わせてはどうかと。なお、歯科衛生士の国家試験については、指定試験機関で実施されているところです。また、歯科技工士の登録の実施に関する事務についても同様の観点から、厚生労働省令により指定する者、指定登録機関に行わせてはどうかというところです。改正の方向性としては、歯科技工士国家試験を指定試験機関においても実施できるよう、あるいは歯科技工士の登録の実施に関する事務を、指定登録機関において実施できるよう、歯科技工士法を改めてはどうかということです。
 次のページです。下線の引いてあるところですが「参考」の条文として試験の実施に関しては第12条第2項、「厚生労働大臣が行う試験に関する事務の全部又は一部は、政令の定めるところにより、都道府県知事が行うこととすることができる」と法律で定められています。
 5ページです。下線の引いてあるところですが、試験については「当分の間、歯科技工士養成所の所在地の都道府県知事が毎年少なくとも1回これを行うものとする」と附則で記載されているところです。
 6ページです。歯科技工士国家試験の概況ですが、実施内容としては、先ほども説明しましたとおり、学説のペーパー試験及び実技試験、実地試験を行っているところです。歯科技工士の国家試験を行っているのは47都道府県の中の35都道府県です。実施時期に関しては、2月から3月の都道府県知事の指定した日という形になっています。受験者数、合格者数については、受験者数が1,319名、合格者数が1,302名です。これは平成24年の状況です。説明としては以上です。

○大塚座長 
 試験の在り方についてということで、国が実施する形にしたらどうかということと、国家試験の指定機関というもので衛生士が現在扱っているような形に変更してはどうかという2点あるのですが、試験を統一したらどうかという話についてはいかがでしょうか。

○古橋委員 
 冒頭、局長の話にもありましたように、高齢社会の中で歯科技工の重要性はますます増してくるわけで、正に資質の高い歯科技工士の確保は急務です。
 今、事務局から説明がありましたように、1ページで、近年、インプラントやCAD/CAMが精密な技工が必要とされて高度な技術だと言うのですが、歯科技工は全部高度ですよ。巧緻性、精密性も最たるものですから。先ほどの議論も、お話を聞いていて余り気持ちのいい議論ではないと私は思います。それは歯科技工士、歯科技工の技術は非常に高いものですから、なかなか本当に教育から試験からきちんとやっていかないと、高齢社会の中で対応できない、担い手不足になるということが正に現状ですから。当分の間と言われながら昭和57年から30年、既に経過しているので、これは先生方にもよく御理解をいただいて、スピード感を持って前進させていただきたいと思います。

○末瀬委員 
 全国歯科技工士教育協議会会長の末瀬と申します。衛生士の国家試験が統一されて既に20年ほどになるわけですが、技工士も、デンタルスタッフとして同様に扱っていただきたいというのはもちろんあるのですが、やはり一番大事なのは、質の均質化です。冒頭に医政局長もおっしゃいましたが、質の均質化ということが非常に大事だと思います。
 現状行われている都道府県の試験は、先ほど小椋課長補佐からも説明がありましたが、非常に問題の出題の仕方等々がばらばらです。国家試験の合格率はほとんど98%という高い合格率を成しております。そういった中で、こういった高度な技術もますます出てくるわけで、更に今後、歯科技工の技術力は世界でも冠たるものがあるわけですが、そういった意味でもスタンダードを求めるという意味でも、全国統一の試験を行うことが望ましいのではないかと考えております。

○大塚座長 
 そのような方向性でよろしいですか。

○安井委員 
 歯科技工士の国家試験化というのは、先ほど問題点がいくつか出ていましたが、都道府県によって実施時期が違うので、掛け持ち受験も可能です。やはり国家資格ですので、そこはきちんと統一をすることが基盤整備という意味で重要かと思いますので、この方向でいかれるのがいいと思います。

○大塚座長 
 これは、もうこの方向に進むべきだという意見でよろしいですか。そのための業務も歯科衛生士の試験をやっているような方向性で進めるということと、統一の問題の話をしていかなければいけないと思っております。
 実務で大きな変更などがいろいろこれからありますので、この方向性でいけということであれば、当然、ワーキングか何かを作って進めていかざるを得ないのではないかと思っています。そこで話をまとめていただいたものをこちらに上げてきて、その先のものを検討して報告するという形になろうかと思うのですが、そのような形をとるということでよろしいですか。事務局からワーキングのほうの話について説明していただけますか。

○小椋課長補佐 
 資料5について説明させていただきます。歯科専門職の資質向上検討会、本検討会における歯科技工士のワーキンググループの案です。1.目的として「安全で質の高い歯科医療を提供するため、歯科技工士国家試験の全国統一化や実地試験の実施について等の検討を行う」。2.想定される主な検討内容として、歯科技工士国家試験の全国統一化について、出題基準について、養成所の教授要綱の在り方について、歯科技工士の資質向上に関連する内容について、その他となっています。3.ワーキンググループの位置づけについては、医政局長が有識者の参集を求めて開催する本検討会の下部組織として、有識者による検討を行うとなっています。4.スケジュールとしては、本日、第1回の検討会を行っていますが、もしこれで了承が得られれば、早ければ平成24年12月頃、第1回検討会のワーキンググループを開催し、平成26年の春ぐらいには意見書取りまとめを行い、医政局長へ答申したいと考えています。ワーキンググループの委員の案としては別紙のとおりです。

○大塚座長 
 今、問題の検討内容と位置づけという形で説明がありまして、スケジュールもその辺りを目途にという話でした。このような形でグループを検討のメンバーという形で名簿も出されていますが、これらの委員についてはよろしいですか。ほかに何か追加することなどはありませんか。考えておいて、また問題があれば私のほうに連絡をいただければと思います。
 ワーキンググループの委員としてこのような方々に入っていただくということですが、ここで代表の長を選ばなければなりませんので、まとめ役として、本委員会の委員である末瀬委員をグループのまとめ役になっていただきたいとお願いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。                 

(異議なし)

○大塚座長 
 末瀬委員はよろしいでしょうか。お引き受けいただけますでしょうか。

○末瀬委員 
 はい。承ります。ありがとうございます。

○大塚座長 
 では、よろしくお願いいたします。

○末瀬委員 
 先ほど御指示がありました検討内容等について、ワーキンググループで意見集約をさせていただき、本検討会に御報告し、又、御審議いただくようにいたします。よろしくお願いしたいと思います。

○大塚座長 
 末瀬委員にまとめをやっていただくとお願いするという形で、歯科技工士の試験問題については終わりたいと思います。ありがとうございました。

○安井委員 
 すみません、この内容について特に疑義があるわけではありません。ただ、この指定機関のことについてですが、私は本日は立場が違うのですが、歯科医療振興財団が歯科衛生士の試験の指定機関になっておりまして、こういう指定機関にどこが当たるかは分かりませんが、この財団としての経験からすると、大変運用が難しいところがありますので、この辺りについてはワーキンググループとは別に、厚生労働省の歯科保健課と、指定の在り方についての検討はさせていただいたほうがよろしいのではないかと思います。よろしくお願いします。

○大塚座長 
 事務局でその辺りを検討していただけますか。

○小椋課長補佐 
 その点についても、安井委員の御指摘を踏まえまして、関係団体と将来の歯科技工士国家試験のあり方、その実施の方法についても、どのようにやっていくかについては検討させていただけたらと考えております。

○大塚座長 
 では、そちらはよろしくお願いします。歯科技工士の国家試験については以上でよろしいですね。
 先に進みます。資料の6で、歯科医師の臨床研修についてです。事務局から説明をお願いします。

○小椋課長補佐 
 資料6は歯科医師臨床研修に関する資料です。資料6の1ページの上のほうは、歯科医師臨床研修の経緯を示しています。昭和62年に歯科医師臨床研修の委託事業を開始し、それからかなり期間があいていますが平成18年に歯科医師臨床研修の必修化が開始されています。医科の臨床研修が平成16年から行われているので、医科から2年遅れという形で歯科医師の臨床研修が開始されているところです。
 下の図は、臨床研修を含めた歯学部の教育あるいは臨床研修、生涯研修という形で模式図で示しています。歯学部の教育が6年間ありますが、6年間の最後のほうに臨床実習があります。この臨床実習と歯科医師臨床研修は1年以上という形になっていますが、臨床実習、1年以上の臨床研修、その後生涯続けていかなければならない生涯研修、これらの連続性についてどのように考えるのかということについても、先生方に御議論いただけたらと考えております。
 次のページです。上のほうに模式図が示されていますが、これは臨床研修からマッチングに参加して修了するまでの簡単な流れです。歯科医師国家試験を受ける前にマッチングに参加していただくのですが、マッチングに参加していただいて臨床研修を開始する人が、上の段でいくと単独型の臨床研修施設、下のほうでいくと管理型の臨床研修施設で協力型と連携して臨床研修を1年以上行うという形になっています。これらの方々については、上のほうが単独型が840名、下の管理型については1,322名です。数字については厚生労働省の補助金の対象者ということで、臨床研修を受けている全員の人数ではありません。右側のほうで修了という形になります。修了するためには、臨床研修における到達目標がありますが、この到達目標をクリアした人たちが修了するという形になっています。ただし、到達目標をクリアできない方々は未修了あるいは怪我などで中断される方なども、中に入っていると思います。ただ、この未修了などの方々は臨床研修を受ける方々の中の、ほんの極一部という形で、臨床研修の修了判定が形骸化しているのではないかということも、指摘として一つ挙げられています。
 次のページです。歯科医師臨床研修推進検討会の見直しの報告書です。右側が検討会の報告書の概要というか目次的なものを記載しています。上のほうは臨床研修の施設群方式の推進ということ。下のほうは研修管理委員会の充実ということが記載されています。右側の下線が施されているところは、既に省令改正や通知改正によって対応済みのところです。下線が引いていないところは、まだ対応されていないところです。
 4ページです。これは平成23年度の改正に伴う変更点は赤字で示していますが、三つ並んでいる棒の一番下の「グループ研修を取り入れた研修プログラム」ということですが、緑のところが平成23年度の改正によって連携型という新しい施設として加えられています。単独型についても大学病院や、協力型も診療所、連携型も診療所や病院など、どのような施設で、どのような形で研修をしていくのが今後望まれるのかについても御議論いただけたらと考えているところです。
 5ページです。こちらも先ほどの、平成23年度の改正に伴う変更点については赤字で示しているところです。これは全て臨床研修施設に関する基準ですが、上のほうを見ていくと単独型、管理型、協力型、連携型ということで、繰り返しになりますが、連携型という新しい施設をこちらのほうで加えているところです。赤字のところも適宜、平成23年度の改正に伴って変更しております。
 6ページです。歯科医師臨床研修に関する論点ですが、歯科医師臨床研修制度の在り方について、国民の多様化するニーズに対応できる歯科医療を提供するため、歯学部の教育の中での臨床実習、今回の卒後臨床研修、生涯研修、これらの連続性の観点から歯科医師臨床研修制度の在り方についてどのように考えるのか。また、歯科医師臨床研修の修業年限についてどう考えるか。歯科医師臨床研修のあるべき姿として、歯科医師臨床研修が、歯学部7年制と。6年間ではなく7年制として形骸化しているとの指摘があります。歯科医師臨床研修のあるべき姿についてどのように考えるか。
 到達目標の見直しと症例数等についてです。歯科医師臨床研修の到達目標については、平成18年度の開始から今まで変わってきていません。この到達目標について、全身管理や医科歯科連携等のチーム医療等を強化するなどの見直しを行うことについてどのように考えるのか。また、その到達目標には、より具体的な行動目標や研修歯科医が実施すべき症例数等を加えることについてどのように考えるのか。
 歯科医師臨床研修の実施場所ですが、一定の指導体制等を確保しつつ、基本的診療能力を身に付けるための症例を経験させるために、病院歯科や歯科診療所における研修をどのように充実させるべきと考えるのか。
 受入実績のない歯科医師臨床研修施設の位置づけです。管理型の臨床研修施設と協力型の臨床研修施設では、緊密な連携体制の下で研修を実施する必要性がありますが、遠隔地等の理由によって、継続して受入実績がない臨床研修施設についてどのように考えるのか。
 最後ですが、アルバイトや大学院に関する解釈についてです。アルバイトや大学院に関する考え方において、医科の臨床研修と歯科の臨床研修で解釈が異なっているところがあります。こういう物事についてどのように考えるのかということを論点として事務局から提示させていただきたいと思います。説明としては以上です。

○大塚座長 
 臨床研修も、時間とともに一部形骸化の恐れがあるということは指摘されるところです。先生方から研修に関しての御意見はございますか。

○俣木委員 
 日本歯科医学教育学会の俣木です。形骸化しているというのは、むしろ形骸化させているのではないかと思っております。論点のところにも書いてあるように、卒前の臨床実習と臨床研修、生涯研修の連続性と書いてありますが、その辺りがなかなかうまく機能していない。自動車の運転免許取得に例えれば、免許を取ってから初めて路上で運転を始めるか?ということです。まず教習所内で指導員の横でハンドルを持って、教習所内のコースで練習をして、それから仮免を取って、また教習所外の一般の路上で教習をして、それで最終的に運転免許を取るわけです。やはり卒前との継続性が重要ということになりますが、ただ、ここは厚生労働省の委員会ですので、あくまでも卒後の臨床研修に関していろいろやっていかなければいけないと思っています。
 文言の問題で、臨床実習、卒後研修、生涯研修と書いてあるのですが、臨床研修の理念など、最初のところに書いてある文章を読むと、臨床研修は生涯研修の第一歩と書いてあります。括りとしては卒後研修は、生涯研修の中に含まれているのではないかと思いますので、臨床実習、卒後研修、生涯研修とすると何か卒後研修は生涯研修ではないような感じに捉えられるのではないかという危惧もありますので、この辺りのうまい言い回しの方法も考える必要があるのではないかと思います。
 論点の3番目に「到達目標の見直しと症例数等」と書いてありますが、私も長く臨床研修のいろいろな指導医講習会等でもお話をすることがあります。臨床研修では症例数等を問わないというところがポイントのように、いつも説明しておりますので、何かそれと矛盾しているような気がします。症例数等で縛ってしまうと、全国統一で何症例やらないと研修は認めないというようなことになりかねませんので、数ばかりが独り歩きをするという一番よくない、それこそ形骸化になりますので、そういう症例数等ということに関しても少し考慮する必要があるのではないかと思います。
 受入実績のない臨床研修施設の位置づけというのもありますが、現在、指導歯科医の資格に関しては、一度講習会を修了した後、そのままずっと何の更新もないということもありますので、その辺りも併せて、指導歯科医の資質の担保という意味からも、検討する必要があるのではないかと考えます。
 アルバイトの件については、やはり医科の研修医との考え方とも解釈が異なる点もあるので、少し背景等検討して、よりよい方向に持っていければと考えています。

○安井委員 
 臨床研修に関してですが、実はこの臨床研修が始まる前は、大学を卒業すると、それぞれ専門の科に行って、歯科医師の第一歩を始めるということでした。そうではなくて、卒業して、いわゆるジェネラルデンティストリーを一回勉強した後、その次に専門の科へ行って勉強するのがいいという方向性であったと思うのですが、その原点が少し失われてきているのではないかという気もするわけです。大学も基本的には総合診療部のようなところに所属させて、一般歯科診療が総合的にできるようにと配慮しています。医学部は市中の病院がたくさんあるので、そちらで総合的な研修をしてから自分の専門性で勉強していくスタイルができています。歯科の場合には、その市中病院に当たるところが開業医の先生方だと思うので、もう少し、大学と開業医の先生の間の連携をうまく活かせるような方法論を採らないと、今の方法論では初期の目的に到達できにくいのではないかと思います。是非最初の論点に戻って広くジェネラルデンティストリーを最初の年に学んだ上で専門に育っていくという道を作っていただければと思っております。

○佐藤委員 
 ただ今の安井委員と被ることがあるかと思いますが、4ページの研修方式の図で見ていただいて、一番上の列の単独方式の研修プログラムですが、特に2年制の病院の歯科口腔外科のようなところを希望した研修医は、どうしてもその研修内容が口腔外科に偏ることが懸念されます。そこに将来雇用されたいのか知りませんが、この歯科臨床研修は少なくとも1年間は一般な歯科治療ができる歯科医師として研修するようなことをやっていただかなければいけないのですが、どうも聞き及ぶところ、口腔外科等に偏向している傾向が強いのではないかと思います。少し本来の目的に戻る必要があるかと思います。
 また、同じページで3列目に、途中から取り入れた週1回の連携型というのは大変理想的で、開業医の1施設などが加わっていただいて研修するというものです。大変いい方式が途中から加わったのですが、なかなかこの方式が実行できていないので、是非こういうところも実現できれば今後ともよろしいかなと思います。
 もう1点は、この研修制度は歴史的な流れの中、と言ってもそれほど長くはないですが、歯科医療の中でも、一般の歯科診療の方式というのが変わってきて、在宅の診療などが、以前は特別に偏った施設でしか実施されていなかったと思うのです。ところが、それが日常化というか、やっていかなければいけないものになってきました。現実に教育をただ受けるだけではなく、現場に出かけて行って、先ほどの歯科衛生士と同じかもしれませんが、そういう教育研修も全体的に取り入れていかなければいけない、検討していかなければいけない時代に「来た」のではなく、もう「来てしまった」というところです。うまくいき始めているところもありますが、恐らくまだ現実に円滑に始まっていない部分もあろうかと思いますので、そういう部分を今後検討していただきたいと思います。

○眞木委員 
 2点ほど、現状どうなっているのかをお聞きしたいのです。まず第1点は、今、佐藤先生のお話にもありましたが、資料の中に臨床研修における地域保健、地域医療の役割というものがありますが、実際に本当に、例えば高齢者、障害者といったような施設に出向いて、そこで医療をやっているような機関が、一体どれぐらいあるのか。私は実際に研修医を連れて行って、いくつかは知っています。でも、そのほかでやっているところがあるのかなという疑問です。それから、保健に関わることは行政、例えば健診制度がありますね、母子保健の健診制度や学校保健の健診制度などが。そういうところも、実際にやれるようになって巣立つのだろうかと、少し疑問なので、その辺りの実態がどうなのか。これからの方向性は、その実態に基づいて決めていく必要があると思います。それが1点です。
 もう1点は、最後のところのアルバイト、大学院とあります。特に大学院に関しては私自身もすごくおかしいというか、それでいいのかなと思うのは、同じ歯学部、医学部とは関係なく歯学部の中でも臨床研修を受けながら、臨床研修の1年目を大学院の1年と見なすというような大学が前にありましたが、今でもそうなのか。または、もう大学院は臨床研修修了後に受けるものと決まっているのか。前は混在していたと思うのです。その辺りも、歯科医師の資格という件で言えば、少なくとも歯学部の中では揃えていただきたいと思います。

○大塚座長 
 今の、研修中の大学院の話は、多分、厚労省にも話が来ていると思います。事務局から何かありますか。

○小椋課長補佐 
 まず研修の実態ですが、厚生労働省としては、今、臨床研修を実施している方々に対してアンケート調査を行っているところです。実際にまだその解析までは至っておりません。今後、もし解析の数字が出ましたら先生方には、その数字に関しては御提示させていただきたいと考えております。
 大学院に関して、今、医師のほうと歯科医師のほうでは大学院に関する考え方も変わっていますし、今、歯科のほうでは大学院に関しては認められないという形になっているところです。

○大塚座長 
 大学院と研修の両方は駄目だという話は最初からでしたよね。ほとんど、それは守られているとは思いますが。医師と歯科医師の関係で研修の期間が違う面ももちろんありますが、この辺りの解釈がほとんど変わらないような形で、事務局で整理していただきたいと思います。
 研修内容については、恐らくそれぞれ、大きなものは歯科の場合、大学でやっていることがほとんどであろうと。管理の施設は大学が多いと思いますが、内容は少し最初の頃よりも変わっってきている部分もあるのかなと思いますので、原点をよく見直して、GP育成の在り方ということから研修というものを考えると。佐藤委員から出ましたが、確かに医学部の口腔外科などに入ってしまうと、そこの口腔外科が外科専門に受け付けて患者が偏っているという場面もあるわけです。ですから、そういう意味では、最初から昔と同じような研修になってしまって、GP育成からは少し外れている部分が多くなる可能性もあるので、この辺りを含めて検討していきたい。やはりワーキングを作らないと少し幅広すぎる問題かと感じていますので、その辺りについて事務局から説明をお願いします。


○小椋課長補佐 
 資料7について説明させていただきます。歯科専門職の資質向上検討会、本検討会における歯科医師のワーキンググループ(案)です。1番目は目的です。資質の高い歯科医療を提供できる歯科医師を引き続き養成するため、歯科医師臨床研修制度及びその関連する諸制度に関する検討を行うと。2番目は想定される主な検討事項です。歯科医師臨床研修の到達目標あるいはそのプログラムの在り方、歯科医師臨床研修の修了の判定の基準や認定の在り方、歯科医師臨床研修の制度管理、実施機関、指導者の在り方、その他としています。
 ワーキンググループの位置づけについては、先ほどの歯科技工士ワーキンググループ同様ですが、本検討会の下部組織として歯科医師臨床研修制度について有識者により検討すると。このワーキンググループについては少し特殊ですが、医道審議会、歯科医師分科会、歯科医師臨床研修部会がありますので、こちらのほうとの緊密な連携を図りたいと考えております。
 スケジュールについては、これも技工士と同様ですが、早ければ12月頃に第1回検討会、ワーキンググループを行い、平成26年の春ぐらいに最終的な意見書を取りまとめ、医政局長へ答申したいと考えております。ワーキンググループの委員については、別紙(案)のとおりになっております。

○大塚座長 
 検討項目、位置づけということで、よその専門部会とも密な連絡を取ってということです。なお、委員の(案)という形でワーキングの案を提出させていただきましたが、いかがでしょうか。このような方々で、医師会のメンバーにも入っていただいてという形で進めていきたいということです。よろしいですか。
 やはりこれもグループリーダー、長を作らなければいけませんので、医学教育学会、歯科医学をやっている俣木先生に引き受けていただきたいと思っているところですが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

○俣木委員 
 はい。承りました。

○大塚座長 
 大変だと思いますが、よろしくお願いいたします。

○俣木委員 
 かなり大変そうですが、皆さんの協力を得て意見集約をいたしまして、御報告致しますので、御審議よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○大塚座長 
 ありがとうございました。それでは、またワーキング等の打合せなどを事務局にお願いするという形で、なるべく早く第1回目を開いていただくということになります。検討会の日程についても、それらの進行状況等を踏まえて、また日程調整をさせていただくことになると思います。
 また、先ほどの歯科衛生士法に関しては少し事務局に検討していただく形で、次回に話題提供ができればと思っているところです。
 1時間半ほどの討議でしたが、先生方から何かございますか。

○末瀬委員 
 要望というか、あれなのですが、先ほど歯科衛生士の国家試験の受験資格の問題にも、あるいは先ほどの臨床研修の問題も関わってくるのですが、あえてこの検討会が歯科専門職の資質向上という検討会ですので発言をさせていただきたいと思います。いわゆる大学の教育、それから衛生士の教育、あるいは技工士の教育が、今、非常に複雑になってきています。私自身も今、大学に所属しながら衛生士と技工士の両面の教育をしているのですが、なかなか複雑で把握できていないのも現状なのです。やはり、そういった国家資格であったり、歯科医師の臨床研修であってもそうなのですが、教育の中で、今、どのような形で歯科医師、衛生士、技工士の教育が進んでいるかについてすり合わせなどを把握しておかないと、先ほどもおっしゃっていたように、恐らく大学の先生は衛生士の教育が今は何をされているのかもあまり御存知ではないと思うし、技工士についてもしかりだと思います。歯科衛生士、技工士の設置は文科省と厚労省に分かれているので非常に複雑なところもあろうかとは思うのですが、ただ、教育という観点ではもちろん両部門にも共通しているところだと思います。ですから、是非とも何かの形でそういった教育のすり合わせというものを今後やっていただきたいと思います。

○安井委員 
 事務局に確認なのですが、このスケジュールから見ると、第1回検討会で、後は意見取りまとめ、医政局長へ答申ということになっているのですが、この会自体はもう開催されないのでしょうか。それとも中間でやっていただけるのでしょうか。

○小椋課長補佐 
 こちらの検討会については、ワーキンググループの進捗状況を見て、適宜、先生方にはお集まりいただき、情報提供をさせていただいて、そのまま御審議いただけたらと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

○大塚座長 
 一括ではございません。いろいろな問題を抱えている部分で、ここで交通整理というか全部見直していくことも非常にいいことだと思いますので、改めて次世代の教育に向けて検討をしていくということで、資質の向上を目指して検討会を続けていきたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。事務局から何かございますか。

○小椋課長補佐 
 すみません、今の話の続きになるかもしれないのですが、本検討会において、ワーキンググループの設置を認めていただきましたので、今後は適宜ワーキンググループで、歯科技工士国家試験あるいは歯科医師の臨床研修については御審議、御議論いただきたいと考えているところです。それらを適宜開催いたしまして、ある程度の案がまとまった段階で、再び日程調整を先生方にさせていただきますので、次回の検討会についても是非よろしくお願いしたいと思います。

○宮村委員 
 今の事務局の説明で結構だと思うのですが、衛生士の受験資格というところは、一応ペンディングにしてほしいと、説明してほしいということになって。そうだというふうにお聞きしていたのですが、そうではなくて、今日を受けてワーキンググループをずっとやって、適宜それに報告するということならば、ワーキンググループでオーケーと言ったときに、通常はひっくり返らないのです。だから、その辺りは少し配慮していただかないと。つまり、ワーキンググループで下ろしたところを、これでよろしいということになりましたと言ってこの親会議に戻ってきてもそれは困ると言っても、もうどうしようもないのですから。

○小椋課長補佐 
 衛生士の受験資格についてはワーキンググループはありませんので。次回の検討会の中で御審議いただきたいと思います。

○大塚座長 
 進める方向で指摘された問題について、更に少し検討を加えて、この委員会にもう一度出てくるという話になるということですので。ほかにございますか。よろしいですか。事務局からほかになければ、以上で閉じさせていただきます。本日はこの会議に御協力いただきありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> 歯科専門職の資質向上検討会> 第1回歯科専門職の資質向上検討会 議事録(2012年11月28日)

ページの先頭へ戻る