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2012年10月16日 ホームレスの実態に関する全国調査検討会(第6回)議事録

社会・援護局地域福祉課生活困窮者自立支援室

○日時

平成24年10月16日(火)


○場所

厚生労働省 専用第21会議室


○出席者

座長

岩田 正美 (日本女子大学人間社会学部教授)

委員

水内 俊雄 (大阪市立大学都市研究プラザ教授)
森田 洋司 (学校法人樟蔭学園常任理事)
奥田 知志 (NPO法人ホームレス支援全国ネットワーク理事長)
沖野 充彦 (NPO法人釜ヶ崎支援機構副理事長)
佐久間 裕章 (NPO法人自立支援センターふるさとの会代表理事)
森川すいめい (世界の医療団東京プロジェクト代表医師)
木原 弘子 (東京都福祉保健局生活福祉部山谷対策・自立支援担当課長)
蔵野 和男 (大阪市福祉局生活福祉部ホームレス自立支援担当課長)

○議題

ホームレスの実態に関する全国調査(平成24年1月実施)について

○配布資料

資料1前回の検討会でご指摘があった事項の整理(案)について
資料2-1平成24年ホームレスの実態に関する全国調査(生活実態調査)報告書(案) (目次)
資料2-2平成24年ホームレスの実態に関する全国調査(生活実態調査)報告書(案) (はじめに・委員執筆のコラム・おわりに)
資料2-3参考資料編
 ・ホームレス生活実態調査の調査票
 ・ホームレス生活実態調査の単純集計表
 ・ホームレス生活実態調査のクロス集計表
 ・「平成23年度ホームレス対策事業運営状況調査」

○議事

○岩田座長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第6回「ホームレスの実態に関する全国調査検討会」を開催いたします。
 本日は、委員の皆様、お忙しいところお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。
 初めに、事務局より、委員の出席状況と配付資料の確認等についてお願いします。
○金子地域福祉課長補佐 本日の委員の出欠状況でございますけれども、森川委員が業務の都合で、間に合えば途中から御出席いただけるという連絡を受けております。代理といたしまして、澤田様に御出席をいただいております。
 それから、行政側でオブザーバーの国土交通省住宅局の深堀補佐につきましては、所用により途中退席をさせていただくことになりますので、あらかじめ御了承いただければと思います。
 本検討会につきましては、原則公開とさせていただきます。資料や議事内容等につきましては、委員限りの資料を除きまして、後日、ホームページへの掲載を予定しておりますので御承知おき願います。
 なお、カメラの冒頭撮りはこれをもって終了させていただきますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。
 次に、配付資料の確認をさせていただきます。
 1つが、議事次第、座席表、資料1といたしまして、「前回の検討会でご指摘があった事項の整理(案)について」、資料2として、報告書(案)となっております。報告書(案)は、本編が資料2-1、報告書のコラム等をまとめたものが資料2-2、参考資料編が資料2-3となっております。不足などがございましたら、お知らせ願えればと思います。
 なお、本日の時点では、傍聴者のほうにお配りした資料2については、目次部分のみにさせていただいておりますので、御容赦願います。
 それでは、検討会の開催に当たりまして、村木社会・援護局長より御挨拶を申し上げます。
○村木社会・援護局長 9月10日付で社会・援護局長を拝命いたしました、村木でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 先生方には、昨年の10月以来、この検討会に御参加をいただきまして、精力的に御議論いただきまして、本当に感謝をしております。特に岩田先生には、座長をお引き受けいただきまして、ここまで議論をリードしていただきましたこと、本当にありがとうございます。
 本日、報告書の議論ということでございますが、これまでの議論の成果を生かして報告書をいよいよ取りまとめていただくということになっております。
 折しも、私ども厚生労働省の方で、今、社会保障審議会の方に専門部会ということで「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」を設置いたしまして、生活保護制度の見直しと、新しい生活困窮者支援を一体的に取り組むということで、生活支援戦略と呼んでおりますが、この策定に向けて検討を行っているところでございます。
 経済情勢はなかなか一気にはよくならないという中で、ホームレスを含む生活困窮者対策を進めていくというのは、我々にとって非常に大事な課題だというふうに考えております。ホームレス対策としては、今お話しした特別部会の議論も横目でにらみながらということになりますが、この後、来年の夏に向けて、この検討会でおまとめをいただいた報告書をベースにして基本方針の見直しの作業に入っていくということになります。この検討会での議論をしっかり生かして、基本方針をつくりたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○金子地域福祉課長補佐 大変申しわけございませんけれども、村木社会・援護局長につきましては、所用によりまして、ここで退席をさせていただきますので、御容赦願います。

(村木社会・援護局長退席)

○岩田座長 それでは、早速議事に入りたいと思います。
 前回、第5回検討会におきまして、報告書(案)についていろいろな御議論をいただきました。その結果を事務局において資料1として整理をしております。この整理を踏まえて、今回の資料の報告書(案)、2-1、2-2、2-3をまとめてあります。これは可能な限り前回の御意見を反映したものに一応なっております。
 まず、本日の配付資料のうち、資料1について事務局より御説明をお願いいたします。
○金子地域福祉課長補佐 それでは、まず、資料1をごらんください。これは、前回御意見等をいただいたことにつきまして、報告書全般にかかわるものと個別内容に関するものと大きく2つに分けてまとめております。
 それでは、1ページ目ですけれども、報告書全般に共通する事項として、1つ目が「用語の説明・整理について」ということで、指摘内容としては、「長期層」や「再流入層」といった独特の用語などは、一般の読み手にもわかりやすいように定義を明確にしておく必要があるのではないかという御指摘がございました。これについては、資料2の報告書(案)本編の2ページの「3.データ利用上の注意」で約束事を書かせていただいておりますが、ここの4ページの「4.野宿経験タイプ別」の中に「長期層」とか「再流入層」といった言葉の定義をさせていただいております。
 それから、前回、「支援策」や「支援施策」等の類似の用語が混在しているということがありましたので、整理をする必要があるのではないかということでした。これについては、統一的に「支援施策」という形で整理をさせていただいております。
 このほか、「東京市部」とか「東京近郊」などという使い方をしておりましたけれども、それぞれその後ろに括弧書きで具体的な都市名を加えるなど整理をしております。例えば、報告書の19ページをごらんいただきたいと思います。19ページの上から2行目、「自治体別では、東京市部(府中市)・神奈川県(平塚市)」云々という形で括弧書きで具体的に書かせていただいております。
 それから、2つ目の事項として、「本文中に挿入しているグラフ等の図表について」ということでしたけれども、1つが、凡例の字が小さくて見えにくいという御指摘でございました。これについては、今回別冊にしておりますけれども、参考資料編のほうにデータをつけておりますので、これはなかなか技術的に難しい面もございまして、データを参照できるような形で対応するということにしております。
 それから、重複回答が可能な回答については、そのことも記載した方がいいのではないかということがございましたので、これについては、それぞれの見出しの末尾のほうに複数回答という形で記載させていただいております。これは、例えば報告書の26ページをごらんいただければと思います。「困っていること」の(1)「路上生活の中で、困っていること(複数回答)」という形で記載させていただいております。
 それから、本文中に、前回、まだ暫定データというようなものがありましたけれども、これについては、全て最終的には置き直しをさせていただいております。
 それから、3番目として、「『その他』(自由回答)について」ということで、自由記述の傾向についても本文に盛り込んだ方がいいのではないかという御指摘がございました。これについては、前回、前々回と自由記述のグルーピングを行っておりましたけれども、その結果、多く見られた傾向について、本文の方に加筆してございます。例えば、報告書(案)の16ページ、(2)「具体的な寝ている場所」の下から2行目、「『その他』という回答が約1割に上ったが、その内容としては、『図書館前玄関』」云々ということで例示的に書かせていただいております。
 2ページに行きまして、個別内容に関する事項ですけれども、1つが、報告書(案)の12ページになります。第2章第1節「回答者の基本属性」ということで、女性のホームレスの実態がわかりにくいのではないかというご指摘がございましたので、これについては、コラムの方で言及させていただいております。
 コラム等をまとめました資料をごらんいただきたいと思います。資料2-2の5ページになります。水内委員に執筆をいただきましたコラムの中で、女性について言及をさせていただいております。
 次に、2つ目が第3節「仕事や収入」の「3.初めて路上(野宿)生活をする前にやっていた仕事」というところが該当します。報告書の5ページになりますが、「初めて路上生活をする前にやっていた仕事」という表現がどの時期を指すのか、「初めて」というところがわかりにくいということでございました。これについては、報告書の方、5ページをごらんいただきたいと思いますけれども、5ページの真ん中のところに「イメージ図」ということで、今回、路上生活をしていたというところがどの部分に当たるかというのがわかるような図を挿入させていただいております。これは、実際の調査を実施するに当たって調査員用の手引を設けておりましたけれども、その中で調査員がわかりやすいようにということで示していたものより抜粋しております。
 次に、「4.一番長くやっていた仕事」という部分で、報告書の41ページになりますが、35歳未満の年齢層に関する記述について、サンプル数が少ないということをきちんと書いておくべきではないかということでございましたので、ここでは、「サンプル数は少ないが、35歳未満の年齢層で『サービス職業従事者』が占める割合が最も多く47.1%」という書きぶりにしてございます。
 それから、4つ目は、47ページになります。第4節の「路上(野宿)生活に至ったいきさつと移動」の関係でございます。「現在路上生活をしている市区町村に来た理由」についての内訳を見ると、「偶然・特に理由がない」といった層が見られた。また、「以前の知り合いが誰もいなそうである」といった消極的な理由により来ている層が一定数を占めている。これが割に実態に近いように思える。必ずしも主体的な選択により来ているわけではないのではないかということで、そういったことを報告書の中に明確に盛り込んだ方がいいのではないかということがございました。
 これについても、47ページの2行目の「また、」以下に記述がありますけれども、「さらに『その他』の自由記述の内訳を見ると、『偶然・特に理由がない』が一定数を占めている。このように主体的な選択によってではなく、消極的な理由により現在の場所に来ている層も多くなっている」といった記述を入れさせていただいております。
 それから、5つ目ですけれども、報告書の51ページになります。「特定地域・場所(いわゆる『寄せ場』)での就労・求職経験」の関係です。特定の地域・場所での就労・求職経験については、なしが多くを占めているので、各地域の対比がわかりにくいのではないかということで御指摘がございました。これについては、まず、図表で就労・求職経験について「あり」「なし」「無回答」に分類した単純なグラフを示した上で、「あり」について特定地域ごとに分類したグラフを示しております。これが図表の71になっております。
 3ページに移ります。報告書の76ページ、自立支援センターの関係ですけれども、前回、自立支援センターの認知度や利用経験を自治体別に見ると、「知っており、利用したことがある」という横浜市の割合が全体に比べて突出しているということについて、この要因として、横浜市が他の自治体と運営の形態が異なっており、入り口が広く設定されている。だから、繰り返し入所のチャンスを提供していることがあるのではないかといった御指摘がございました。
 事務局の方で、横浜市にも確認をさせていただきました。委員の御指摘のとおり、自立支援センターでシェルター機能を一部兼ねている部分がございまして、本人が希望すれば複数回入所できるといった仕組みも用意しているということでございましたので、センターの運営方法が関連しているということを本文中に明記することとしました。これが76ページでいうと上から2行目のところになりますが、その中でも横浜市はということで、横浜市について記述をさせていただいております。
 それから、次が7番目になりますが、80ページ、別紙のほう、コラムの20ページを見ていただきたいと思います。自立支援センターから就労退所した人が路上生活に戻った理由というところで、再び路上に戻った理由を見ると、生活面の失敗が多くなっているということが注目すべき事柄であるので、退所後の生活面でのサポート、見守りの必要性が示唆されるのではないかといった御指摘がございまして、これについては、コラムの20ページ、「〈要旨3〉自立後のアフターケア体制について」のところに盛り込んでいただいております。
 次に、8番目になりますが、生活保護制度の利用の関係です。これもコラムのほうの22ページをごらんいただきたいと思います。前回、アパート等で単身で生活保護を受給したことがある者が再度路上生活に至った原因を見ると、飲酒とかギャンブルが一定割合を占めている。このことがひとり歩きしてはいけないのではないか、注意深い記述が必要なのではないかといった御指摘がございまして、水内委員の方で御執筆いただいた「生活保護利用経験者に関する分析」で対応しようかということになっていたのですけれども、結果的には、ひとり歩きしないようにというのはなかなか難しい部分もございますので、この点については、触れないように整理をさせていただいております。
 それから、9番目ですけれども、報告書の94ページになります。民間団体の支援に関する部分ですけれども、「あなたが利用したことのある支援団体について、どこで知りましたか」という設問の回答に対して、その他の自由記述の内訳を見てみると、支援団体からの「声掛け」というのが200件以上あったということで、これを本文の方にも明確となるように再整理してみてはどうかという御指摘がございました。これについては、御指摘の主旨を踏まえまして、もともと選択肢に「炊きだしや夜回りで配られたチラシ等」というのがございましたので、「声掛け」をここに含めてデータを再集計いたしまして、本文中にこのことを明記しております。
 94ページの上から3行目、「なお、集計にあたっては、支援団体が夜回りなどで路上生活者に直接行った『声掛け』もアウトリーチ活動として、上記の分類に含めた」といった記述をさせていただいております。
 最後、10番目ですけれども、コラムの27ページをごらんいただきたいと思います。ホームレス経験者の現在の就労状況についてということですけれども、ホームレスを脱し、現在就労している方の実態についてコラムとして盛り込んではどうかということでしたので、これについては、27ページ、コラム9ということで水内委員に御執筆いただきました。
 以上でございます。
○岩田座長 ありがとうございました。
 前回の御意見に対してどういうふうに対処したかという御説明でしたけれども、今の御説明に対して、何か御意見あるいは御質問がございましたら、どうぞ。
 大部のものなので、そうしましたら、少し中身に入りながら、確認をしていきたいと思います。
 この報告書(案)と、初めにコラムというのと両方見ていただければと思います。コラムの入る場所は、本文のところに示した位置に入ることになるわけですね。
 「はじめに」は、前回もお示ししましたので、特に大きな変化はありませんけれども、路上のホームレスの数自体は、だんだん減少しているわけですけれども、その周辺に広義のホームレスと言われるような人たちの存在があって、しかもその両者が関連し合っているというあたりのことを改めて指摘しまして、そして、前回調査ではホームレスの高齢化、長期化ということが指摘されていますので、そういう点と、今回、広義のホームレスに関する調査とか、あるいは地方都市の調査との比較をしながら、どういうホームレス像が描けるかというようなことを最初に書いております。
 それでは、コラムを御執筆された先生方にコラムの説明をしていただくということで進めたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
 その前に私の執筆した「おわりに」についても説明しておいたほうがよろしいですね。資料2-2の最後につけてあります。あらかじめどういう結果だったかということを4点指摘しています。一部文章上のミスとかがあるのですけれども、1点目は、路上生活者の高齢化、長期化というのがさらに一段と進んでいまして、しかも、今回、運営状況調査や広義のホームレスの可視化調査と比べましたので、これが非常に鮮明になったということを指摘しています。つまり広義のホームレスの方に含まれる、比較的短期間の路上経験しか持たない、相対的に若年者と路上にいる長期化、高齢化している人たち、という対照的な現象があるということを最初に触れました。
 2点目は、そういう長期化、高齢化している路上生活の長い人たちがどういうふうに暮らしているかということについて述べていまして、当たり前といえば当たり前ですけれども、廃品回収を主とした仕事で収入を得て、それなりの生活を立てているというイメージが非常にはっきりしています。それから、仕事以外の収入のある割合もちょっとありまして、しかも高齢層では年金収入がある場合がある。これは、多分、世間のホームレスに対する常識的な見方とは違う点かもしれませんけれども、仕事による収入、仕事以外の収入の組み合わせ、特に高齢期では年金との組み合わせということで、路上で暮らしているということがわかります。
 そういう生活をこれからどうしたいかという質問に対して、これは毎回そうですけれども、今のままでいいというのがどうしても多くなります。これは、特に収入のある仕事をしている層で多くなりますが、仕事以外の収入との組み合わせとか、年齢が高くなりますと、その他と福祉や医療を利用したいというのがふえてきます。その他というのは、中身が3つほどあるわけですけれども、どうしたらいいかわからないという、選択できないという層を含んでいる。したがって、必ずしも今のままでいいとみんなが思っているわけではないということです。
 したがいまして、こんなに働いているということとか、年金受給をどういうふうに評価していくか、それから、高齢によるいろいろな健康不安にどう答えていくかということが課題となろうという整理をしました。
 3点目は、「再路上化の問題」ということで、これは長期化、高齢化という特徴の裏側で、数は少ないですが年齢の若い層とか、あるいは短期の路上生活期間の層というのが浮かび上がってくるのですけれども、しかし、もう少し初めての路上生活の時期というようなものとか、路上生活とほかの屋根のあるいろいろな施設との意識を含めて考えますと、こういう層は路上には長くいないのだけれども、どうも行ったり来たりして路上に時々あらわれる、こういう層なのだろうということが言える。その中に自立支援センターやシェルターの利用者が含まれていますので、そういう人たちの中には、これは生活保護も含めてですけれども、退所した後、再路上化ということが、どのぐらい多いかというのは全体の中で見ていかなければなりませんから、この調査だけでは言えないわけですけれども、この中にそういう人たちも見えている。
 そこで、先ほど事務局からも御紹介がありましたけれども、理想的な退所といいますか、アパート確保で就労退所という自立型の退所でありながら、その後、路上に戻っているという人たちもあったということです。そういうような点を今後どう考えていくかということを3点目の課題にしました。
 4点目としては、3点目で指摘した「若年層の問題」としては、路上生活期間が短いし、施策によって補足される可能性が高齢層よりずっと高いということがあるのですけれども、やはり、これまでのホームレス像とは大分違いまして、例えば、最長職の仕事内容も、先ほどありましたように、数が多くないので余りはっきりしませんが、サービス従事者が多い。それから、アパート以外、勤め先の社宅とか寮が多いとか、路上生活を始めた理由が非常に多様であるとか、借金が多い。借金ありと答えた人たちの割合が若年層で非常に高い、そういうようなことが指摘できるだろうということで、こういう層は長期化、高齢化している路上生活者とは質が異なった層で、若年ホームレス問題といいますか、そういう問題を最近の若年者の移行困難というような文脈の中でもう一回把握し直していく必要があるのではないかということで、この4点を括ってあります。
 何か今のまとめについて、もっとこういう点を入れた方がいいとかございますか。
○奥田委員 1番目なのですけれども、今回、調査の対象になった現野宿者に関しては、こういう傾向が見えるという。若年のことも触れていただいていますので、全体を読めばわかるかもしれませんけれども、どちらかというと、高齢者もしくは長期野宿層が施策から漏れていって、路上に残っているということであって、野宿全体が長期化、高齢化しているわけではないのではないか。つまり、全国ネットでやった可視化調査の方でいうと、大体年間の規模感でいうと、4万1,000人ぐらいが路上から生活保護なりなんなりを使って移行しているわけです。その全体の規模感でいうと、果たして長期化、高齢化と言えるのかどうか。どちらかというと、若年層なりが早いタイミングで移行していて、路上には高齢化、長期化した人が残っているというふうに言わないと、野宿者全体、4万1,000人が事実かどうかというのは、これは予測規模ですからあれですけれども、年間4万1,000人ぐらいの規模で路上からの移行者がいるという全体像からいくと、移行した人が4万人、路上にいる人が1万人ですから、軽く言うと5万人規模の対象者がいるとすると、5万人のレベルで高齢化、長期化と言えるのかというところはどうなのですか。そこはどう考えたらよろしいでしょうか。
○岩田座長 この調査は、あくまで路上の調査なので、もっと強調して言いましょうか。そのことは「はじめに」でも言っているわけで、ですから、今、奥田委員が言ったような意味なのです。つまり、そもそも誰が路上に残っているかという調査なのです。
○奥田委員 こちらの「はじめに」ですか。済みません。
○岩田座長 ですから、ここにも図を描きましたように、最初から今回は、全国調査それ自体がこのように調査されていますので、おっしゃったように、誰が路上に残っているかということがまずわかるということです。移行層は可視化調査とか、あるいは運営調査でしか把握できない。そこで比べてみましょうというのは1に入っていますので、誤解のないようにということであれば、ここの「おわりに」の最初にそのことにもう一回触れてもいいかもしれません。
○奥田委員 済みません。
○岩田座長 ありがとうございました。
 そのほか、何か。
 それでは、コラムについて御執筆の先生に、このコラムは、地方都市調査との比較もありますけれども、基本的に今のように本文中には生活実態調査の結果が出ています。今回、可視化調査等の比較はコラムで大体やろうというような設計になっていますので、最初に、このコラムの1から4まで水内先生に説明していただきます。
○水内委員 目次でいいますと、第2章が「調査結果」になっておりまして、その中で幾つか節があり、その中にコラムが挟み込まれています。挟み込まれているということは、類似調査との比較ができる項目については比較しよう。その類似調査とは何かといいますと、ホームレス自立支援センターの退所者、緊急一時宿泊所の利用者、NPO法人ホームレス支援全国ネットワークがやった広義のホームレス調査などを利用して、この生活実態調査の位置づけというのをよりあぶり出そうという形で書き込んでおります。なので、比較できるところだけとなっておりますので、比較できないところに関しては、この生活実態調査のみの形になっております。
 最初に、調査票の順番で比較できるところをやりますと、性別と年齢というのがコラム1になっております。作業部会でも確認したことは、調査の母数が異なります。その母数がどういう形で選択されたかということも、かなり地域的な特徴が反映する部分、あるいは外的要因というのが入ってまいりますので、これをもってしてもホームレスの全体像が一般化できるということではないということを文章の中に書き込みつつ、しかし、数字でもって言えることは言おうということでございます。
 なので、文章に書かれていることから、ある種、言外の意味を読み取るということが可能かもしれませんけれども、そういう読み取り、推測等に関しては、なるべく避けるという形でさせていただいております。
 コラム1に関しましては「年齢・性別」ですけれども、まず、年齢につきましては、何度も申しますけれども、相変わらず55から64歳という中堅どころの数というのが一番多いということですが、生活実態調査では、著しくそれ以上の高齢に傾きましたが、ほかの調査に関しては、かなり若い部分も分厚いという数値が出ております。多分、自立支援センターの方の調査では、平均年齢が何歳というのは出ておらないと思うのですけれども、出てこなかったのですかね、40歳代になっているかと思います。広義の調査では50歳代前半という形で、生活実態調査は60歳近くなろうということでございますので、そういう意味での路上に残った方の高齢化、それから、ホームレス全般に関しては、あらゆる年代層に満遍なくホームレス状況が進んでいるということがわかったかと思います。
 女性については、これもなかなか母集団が一定しませんので何とも申せませんが、ホームレス自立支援センターでは2.7%という女性比率ですし、広義のホームレス調査で、福祉事務所を使ったホームレス調査で出したことに関しては、11.8%という数字が出ております。今までホームレスという関連で調査された中で、1割以上の値が出たというのは、多分初めてではないかと思いますので、その点、ホームレスという幅を広げれば、女性の比率が高くなっていくという状況です。それだけ可視化されにくいホームレス状況が女性には見られるのではないかということです。
 加えて、コメントでもいただいたので、女性についてどういう特色があるのかということで、年齢層、あるいは路上期間とか婚姻状況、仕事、収入についてはクロスをとらせていただきました。平均年齢は出せると思うのですけれども、そういう意味では、男性よりも若いとか年をとっているというようなはっきりした特徴は出ませんでしたけれども、ちょっと異なる、55歳から64歳が少なくて、65歳以上と55歳以下が膨らむという男性とは違う結果になっており、収入に関しても、働いていない割合は男性より高いですが、仕事以外の収入がある人が高いとか、あるいは婚姻状況も、結婚している率が男性の4倍以上、離婚・死別に関しても1.5倍ということで、未婚という割合が4割ぐらい、男性より6割ほど少ない。婚姻状況に関しては、かなり異なっておりました。
 そういう結果が出て、これ以上の踏み込みをしておりませんので、今後、女性のホームレスについては、ある種、もう少し踏み込めた分析も今後はできるような体制をとりたいし、そういう施策というのが望まれるのではないかと思っております。
 コラム2につきましては、目次でいいますと「路上(野宿)生活の形態」ということで、これもかなり重要な知見かと思います。いわゆるホームレス状態の居住とは何ぞや、それに、屋根のないルーフレスというか、個人的には、ルーフレス、ハウスレス、ホームレスという言葉をよく使うのですけれども、あからさまに路上生活をしているという方と、ハウスレス、あるいはホームレスという方は、家はあるけれども帰れない、あるいはホームレス、関係性が欠如しているという方々まで踏み込んだ調査が広義調査であり、あるいは自立支援センターでもそうかと思います。ですので、決定的に宿泊場所ということに関しては、生活実態調査とそのほかの調査では大きな違いが出たということがここに書いてあります。
 自立支援法では、公園、河川、道路、駅ということがうたわれて、それで生活実態調査も進められているわけですけれども、自立支援センター自体は、公園、河川、道路、駅ということに関して、そこに住んでおられたという方は、ある種、半分ぐらいに減っておりまして、緊急一時宿泊に至っては3分の1ぐらいになっております。それから、広義のホームレス調査も半分から、そういう路上が少ない方は福祉事務所でも3割という形になっておりますので、いわゆる路上生活者、法律で規定している路上生活というものから居住状態に関しては大きくその様相を変えてきたということがうかがわれているのではないかと思います。
 ある種、東アジア、欧米のホームレスの定義に近いことが今回の日本の調査の実態になったのではないかと思います。この知見は自立支援法の根幹にかかわる定義の問題ですので、ここにそういう事実を書き、今後につないでいっていただければと思っております。
 コラム3につきましては、目次でいいますと第2節の2の「路上(野宿)生活期間・継続状況」ということで比較をさせていただいております。これも今のコラム2の結果を受けまして、居住状態というのが路上に固定されないホームレス状態の方がたくさんおられることを反映しまして、1か月未満という尺度でしか切れませんが、厚労省の調査というのは、1か月未満以下の尺度はないわけですけれども、その割合が生活実態調査では4.4%なのですけれども、自立支援センターでは59.9%、運営調査、緊急一時宿泊に関しては64.7%ということで、これも大幅に状況が異なっているということがわかりました。広義のホームレス調査でも、1か月未満というのは大体三、四割を占めております。これも露骨に違いが出たのではないかと思っております。
 それから、目次でいいますと、仕事ということが幾つか項目があって、いろいろと調べられておりますが、今回、収入等々はなかなか自立支援センター等でもホームレス調査等々では得られませんので、何とか比較できたのは職業と雇用状況、そのあり方については比較できました。この雇用に関しては、余り路上に至る、あるいはホームレスに至る方の以前の雇用状況に関しては大きな差というのは、それほどはあらわれておらないという結果が出たのではないかと思われます。強いていえば、建築・土木系という傾向は相変わらずどの調査においても多いのですけれども、広義のホームレス調査ではやっていませんので、自立支援センター等と比べるとちょっと少ないかということでございます。
 正社員という定義が調査によってぶれがありますので、雇用状況の正社員率というのは、ストレートにそのままのみ込むことはできませんが、生活実態調査で常勤職員という答え方をしていたのが40.6%、結構な数がおられます。ほかの調査においても、より細分化して、社保あり、社保なしとか、社保があるけれども、いわゆる契約・嘱託社員とか、派遣(日雇いを除く)なども入れていて、それをいわゆる常勤とすれば、やはり4割ぐらいの方はそういう常勤がおられる。そういう意味では、純粋の日雇いの比率というのは、それほど高くは見られない。この辺は昔の推移というのを見ないといけないと思うのですけれども、建設日雇いという大きな、大都市ではそういう流れで見ているところがあるのですけれども、いわゆる正規雇用に近い、あるいは正社員の方々のホームレス化というのが結構進んできたのかという感じはいたしました。これらについては、ここ1点のみ比較できたということでございます。
 目次に従いますと、次は健康になりますので、これは森川委員の執筆でございますので、そちらに譲りたいと思います。ここまでで一旦切らせていただきます。
○岩田座長 以上、健康の前までですね。1から4まで水内先生に書いていただいたところですけれども、何か御質問、あるいは、加えた方がいいとか、削った方がいいとかいうことがありましたら。
 では、もしありましたら、また後から言っていただくことにして、コラム5については、澤田委員の方から。
○澤田様(森川委員代理) コラムの方ですけれども、きょう、森川が仕事の都合で来られないということで、私がかわりに説明させていただきます。
 森川から、今回、きょうが最後の検討会ということでコメントがありますので、読ませていただきたいと思います。
 このたびは、参加させていただき、ありがとうございました。会議は代理出席ばかりで、厚労省の方がお忙しい中、何度も来てくださり、たくさん議論をさせていただきました。微力ながら、次回、このような会がありましたら、お声がけいただきましたら幸いです。
 最後の会に出られなかったことを森川は大変残念がっておりました。もし間に合いましたら、終わりのほうぐらいに来れたら出席するということでしたので、よろしくお願いいたします。
 コラムのほうは、結果を淡々とまとめただけとなっていると言っておりました。森川が、考察のつもりで書いていたのですけれども、例えば、不眠の人がたくさんいる、安心して眠れる場所が必要だと書くと政策提言になってしまうという御指導をいただきましたので、安心して眠れる場所が必要だという部分は削除となっております。しかしながら、少しでも意味のあるものにするべく、引用論文を載せさせていただきました。
 では、コラムの説明をさせていだたきます。
 「健康状態に関する考察」です。路上生活者の方は、年齢が高い人も多いことを考慮すると、めまいやむくみ症状を訴える人の中には心臓疾患などの重篤な病気を抱えている可能性があります。
 歯が悪いと訴える人が多く、治療を受けなければ感染症などの重篤な疾患を患う可能性もあります。
 不眠を訴える人が一定程度おり、路上では十分な睡眠を確保することが困難である。不眠は、あらゆる心身疾患の原因でもあり、また、心身疾患の結果としてのあらわれでもある。不眠が続いた場合には、心身ともに悪影響を及ぼす可能性があります。
 鬱病などの精神疾患を有する人たちは少なくないということでした。
 続けて、資料2-2の15ページに行きます。
 本調査だけでは、腰痛などの症状が路上生活以前から続いているものか、あるいは路上生活での肉体労働や生活環境に起因して発生したものかは判断できないが、これらの諸症状と就労状況は相互に関連しているものと考えられます。
 次の結核の部分ですが、結核については注意が必要であろうということを言っていました。
 次のところですが、ホームレス状態の人への支援に当たっては、一つの視点として、障害を持っている可能性を踏まえる必要があることに留意しなければならないということでした。
 以上になります。
○岩田座長 どうもありがとうございました。
 今のコラム5「健康状態に関する考察」ですけれども、よろしいでしょうか。
 なかなか分析の難しい箇所でもあって、森川先生も御苦労されたと思うのですけれども、本人の感じている症状と国民生活基礎調査との比較等をしていただいたことになります。
 よろしいでしょうか。
 そうしましたら、次にコラム6で、これは奥田委員にお書きいただいた自立支援センターの利用者についてのところですけれども、よろしくお願いします。
○奥田委員 済みません、提言なしで淡々としゃべるのが一番苦手な人が書いたので、大分御苦労かけて申しわけございませんでした。どちらかというと、現場からこうしようというのを書きたいばかりなので、済みませんでした。これでさえまだ淡々と書いていないので、申しわけございません。大分手直ししていただきました。
 まず最初に、自立支援センターの就労状況ですが、今回の資料では、路上の方の聞き取りの部分なので、運営状況のほうの資料を大分見せていただきました。これは先ほどの水内先生の分ともかぶっているとは思うのですが、センターの就労状況ですけれども、かつては日雇い労働者から野宿という構図でしたけれども、それが崩れているということです。それと、センターの就労自体も大体3割が就労、3割が福祉措置、3割が規則違反等での退所ということで、そういう感じで就労支援センターという形で10年前につくりましたけれども、実際には就労ということがメーンにもなっていないということはあります。それが1つです。
 2つ目としては、自立支援センターと生活保護のダブルトラックが、特に平成20年のリーマンショック以降、保護の運用改善が進んだということで、自治体にもよるのですけれども、路上からの保護申請ということも可能となった。しかし、手前のセーフティーネットであった自立支援センターが、20年以降は入り口のところで2つ、保護かセンターかという選択ができるような状態になっているということで、また、さらにそういう中でケアが必要な人が就労支援センター、自立支援センターの方に来て、単身生活が可能な、ある程度力を持っている人たちが居宅生活に行くという逆転現象も起こっているのではないかということで、下は北九州の自立支援センターがこの間出した障害の率です。これは、そう思われるというようなことではなくて、実際に手帳を取ったということ、もしくは診療を受けているという具体的なケースですけれども、一番多い年だと、入所者全体の6割以上が知的障害もしくは精神のあれを持っているということであります。障害イコール就労不可ではないので、北九州の場合は、それでも6割の就労率ということを維持していますけれども、このあたりで生活保護と自立支援センターの両制度を、どう一体的に見ていくかということは課題としてあるだろう。
 それから、3番目ですけれども、アフターケア体制が問題だということで、年間に自立支援センターは7,000人ぐらいが利用していますから、大ざっぱに言うと、今までに延べ7万人ぐらいの人がセンターからの自立者としてはおるわけで、そういう中で、アフターケアの体制がどうなのだろうか。23年度のセンター自立者7,148名に対して、行き先が把握されている人は1,970人、だから、センター退所後、どこへ行ったかわからない人が7割に上っているというのは、これでいいのかという、当然、その7割が全部路上に戻ったということではありませんけれども、アフターケアの体制がとれていないということであります。
 あと、4番目としては、自立支援センターの早期入所、早期自立というのが効果的で、そのチャンスを逃すとだんだんと長期化していく。しかも長期化した人は、センター利用は余りしたくないという、長期層に行くと、9割がセンターを利用したくないという結果が出ているということで、やはり早期のケア、入所、そしてまた、言い方がまずいかもしれませんが、一発勝負というのが割と効果的であるというふうにも見えました。
 最後の表と表の間の「また、」という2行は二重にかぶっていると思いますので、削除しておいてください。
 以上です。
○岩田座長 ありがとうございました。
 今の奥田委員のコラム6ですけれども、何か御質問はいかがでしょうか。
○水内委員 蔵野さんにお聞きしたいのですけれども、大阪市の自立支援センターの場合、入り口で生活保護を前提に入所するというのは公式化されていましたか。
○蔵野委員 今の御質問ですけれども、自立支援センターへ入所される際にということでしょうか。
○水内委員 その出口に生活保護を前提とした入所というのはされていましたか。
○蔵野委員 前提に入所というのはないです。住居相談でお話をお聞きしまして、就労自立を目指されて、センターへ入りますか、それとも福祉的な援護、居宅保護、施設入所も含めてどうですかという御質問をしますけれども、生活保護を前提に自立支援センターに入られるということはないです。そういうセッションをしているわけではないです。
○水内委員 これは、奥田さんが先ほど言われた就労3割、生保3割、自主退所3割という、要するに出口が生活保護をやるという出方もあるという話で、北九州ではそこも含み込んで入所をされているということですか。
○奥田委員 一応、前提は就労支援なので就労で入りますけれども、例えば障害でいうと、入所してから障害が見つかるというケースがほとんどなのです。ですから、50歳、60歳近くなるまで、例えば療育手帳を持っていない。うちのセンターに入ってから、いろいろ本人のケアをする中で、どうもそういう疑いがあるということで療育センターなりに行ってきちんと見てもらうと、障害がありますよということで、半就労・半福祉という形で退所されるというケースが出てくる、そういうのもあります。
 ですから、一応、自立支援センターの大前提としては、最初から保護だけでいくというケースは、特別枠ということで、高齢者で待ったなしの人。北九州はシェルターがないので、自立支援センターが一部利用している、そういうケースはありますけれども、このケースは、大体2か月入所ぐらいです。一応、家が決まるまでの間だけです。だから、ほかの人は就労支援は6か月ですから、その入り口で明らかに70歳や80歳で、行き場がどうしようもなくて、センター入所を一部使うというのはやっているのですけれども、いわゆる稼働年齢層で最初から保護を使うという前提で入所というのはありません。
○水内委員 要旨の最初の18ページ、コラム6の最初のところで、出口で「35%は福祉等の措置により退所」と書かれているので、もっと前提で書いておいた方がいいのかなというのが僕の意見というか。
○奥田委員 何ページですか。
○水内委員 抜粋のコラムの18ページの要旨1で、自立支援センター退所者のうち、就労自立した人は33%、35%は福祉等の措置により退所とあるのですけれども、多分、横浜とかいろいろとローカルルールがあって、その辺、今言われたような入所の経路もあるので、入り口のそういう違いというのは入れておかないと、自立支援センターに入って、ストレートに受けてしまえば、生活保護に係るという形をどうイメージされるかというのは、考えによるとちょっと危険なところもあるので、入り口のいろいろなそういうものもあるというあたりを本当は書き込んだ方がいいのかなと思った次第です。
○奥田委員 わかりました。後で相談させていただきます。
○岩田座長 それから、18ページの下は、グラフか何かを入れるのですか。これは、事務局の方が自立支援センター運用状況調査の方から適当な表を入れられるのですか。
○金子地域福祉課長補佐 基本的には、運営状況調査自体は参考資料におつけしますので、そちらを御覧いただくことを考えていたのですけれども、もし何かグラフ化等が必要ということであれば、そこは工夫をしたいと思います。
○岩田座長 ちょっとブランクになっておりますね。
 どうぞ。
○沖野委員 同じ18ページですけれども、1つ質問は、「就労自立した人は」というのは、23年度の自治体ホームレス対策事業運営状況調査の中で就労自立として挙がってきたものをそのまま書いているのか、あるいは、ある程度これが就労自立だろうなという形で幾つかの分類されているものを寄せたのか。
○奥田委員 これはまとめた数で挙がってきたのをそのまま書いたのです。
○金子地域福祉課長補佐 それは、そのままのものです。
○沖野委員 そうしたら、各都市によって何を就労自立として挙げているかというのは少しずつ違ったりすると思うのですけれども、各都市から就労自立ですよというのが挙がってきた数値の集計ということで理解したらいいのですか。
○金子地域福祉課長補佐 基本的には、調査をお願いするときに、例示をした上で調査をお願いしていますので、各自治体の前提は同じだと理解はしておりますけれども、一応向こうから就労自立ということで回答があがってきたものをここに入れさせていただいています。
○沖野委員 わかりました。
 もう一つ、19ページの要旨2の上の段ですけれども、ここは、これだけ読んでしまうと、元気な人が生活保護へ行って、困難を要する人は自立支援センターに入っているのですよと読めるのですけれども、確かに北九州での取り組みはそうなのかもしれないけれども、それぞれの自治体の自立支援センターの運営の仕方によって、入り口段階のことが大分変わってくるというのもあるので、ここは混在化しているというか、自立支援センター入所者と生活保護の受給に行った人が同じような人というのか、並列的な形でもうちょっと書いた方がいいのではないでしょうか。
 大阪とかを見ていると、どちらかというと明らかにこういう形でというよりも、困難を要する人も自己管理が可能である人も生活保護へ行っているし、困難を要する人も自己管理ができる人も自立支援センターへ行っているしという、そこの振り分けのところが何となく曖昧になっているという、そういう意味でのダブルトラック化というイメージがするので、何かもうちょっと表現を考えてもらった方がありがたいかなと。
○奥田委員 これは、最初の1との絡みもあって、結局、就労支援センターと言っていても3割しか就労できていない。多分、この就労自立と答えているセンターは、北九州は完全にそうですけれども、半就労・半保護も含めて就労自立と言っていると思うのです。だから、一部でも福祉利用をしていたら就労自立だというカウントの仕方をしているはずなので、そうなると就労支援センターと言ってきたところに福祉的要素のケアの部分が相当数入ってきているというのは事実で、逆に言うと、一方で元気な人が保護へ行っているというのは書かなくてもいいのかもしれない。それは書かないでおいて、ただ、ダブルトラックというタイトルにしたので、その逆転現象が起こっているのではないかということを言おうとしたのですけれども、事実としては、福祉的支援、ケアの要素は必要としている人が、就労支援センターの中に相当数入っていて、結果としても就労自立できた人が、多分、福祉利用の上で就労自立した人を含めても3割しかいないというのが現実なので、そのあたりの押さえ方を今回は見えるというふうに言った方がいいのではないか。
 だから、19ページの方の元気な人が保護へ行っているは、確かに削除してもいいと思います。それは要らぬ一言かもしれないから、それはいいかもしれないけれども、僕が一番言いたかったのは、就労支援という枠組みの施策だったのに、就労支援施設の中に福祉的要素の人が相当数入っていますよというところが論点だったのです。
○沖野委員 わかりました。そこら辺、ストレートに書いてくれた方がよかったかと思います。
○木原委員 東京都でございますけれども、東京都においての就労自立というのは、常勤で就労した人について、就労自立したという形でお答えしています。最近、ちなみに約35%の方が就労自立している。これは、入っている方たちが若年化して、稼働年齢層がふえている。過去に比べて就労自立度が上がっているのですけれども、これは稼働年齢層の方たちがふえたためではないかというふうには思っております。
○岩田座長 多分、このあたりは地域によっても大分違って、生活保護の場合も後方に保護施設をある程度持っているかとか、宿泊所や何かをどの程度使えるのかということによっても、もしかして違っていて、東京都はいろいろな資源が比較的あるものですから、自立支援センターもそのように機能しているところがあるかもしれないですね。ちょっとそのあたりを加味した。
○奥田委員 わかりました。余り保護の方に入らないようにして。
○岩田座長 そうですね。
○奥田委員 ただ、今の、この運営調査の就労自立の中身については、もう一回教えてください。東京都さんみたいにきちんと100%就労というところでとっているのか、一部でも働いている人に関しては就労というのかという、そこのところをちょっと。それによっては、大もとの35%が崩れます。
○矢田地域福祉課長 その辺は、また少し地方にも当たってみたいと思いますが、大枠として私どもで理解をしている内容としては、一応、就労自立というカテゴリーは常勤だけではないですけれども、就労して生活保護は受けないで、他の福祉は受けないで、要するに自活ができているというような方のカテゴリーかというふうに思っています。
 それで、その下の福祉等を受けてというカテゴリーですけれども、1つは、治療が必要なので入院されてしまった方々は、当然ですね。それから、保護施設とか障害者の施設、高齢者の施設、そういったところの施設に入られる方々もその中に20%ぐらいいらっしゃいます。あとは、居宅を確保して生活をされる、これは生活保護を受ける場合が非常に多い。入院される方、居宅の場合の方は生保を受ける方が非常に多いと思いますが、居宅での生活が生保につながる。ただ、それは全く働けていないかというと、中には働けるのだけれども、自活ができるまでに至っていない、生活保護の基準まで収入が至っていない、そういった方もかなり含まれているのだろうと思います。
 私どもでは、一応そういうふうな受けとめ方をしていますが、また少し実態を聞いてみて、コラムにどういう形で書くのか調整をさせていただければありがたいと思います。
○奥田委員 そこがはっきりすると、就労自立が100%就労のみということだったら、余計はっきりするわけで、それが33%しかいないというのは、もともと入所者全体からいくと、雇用状況とか外的な要素が大きいですけれども、それにしても3割しかいないというのが、残りの7割、自主退所3割もまた多過ぎるのですけれども、そうなると、やはり就労層のみで運営しているという枠は、もう大分違ってきているというのは、どちらにしても書かなければいけないと思うのです。自立支援センターが就労のみに特化した支援施設であり続けるというのは、現実的にはずれてきているよというのは、やはり今回触れないといけないかと思っているのです。
○水内委員 自立支援センターは、僕もかなりあちこち行っているので、個性があって、入り口もそれぞれ違うので、ここに関しては、僕もちょっとお手伝いさせていただきます。
○岩田座長 その辺を少し修正していただくということで、それでは、コラムの7から以降、また水内先生に。
○水内委員 コラム7につきましては、目次で言いますと、第7節の「制度や支援の利用」というのが今回も生活実態調査で設けられております。貴重なデータは何かといいますと、生活保護や、自立支援センターを利用した人で、今、野宿をしている人の御意見とかをお聞きしておりますし、これは今まで余りきちんとこういう知見を得ることもできなかったし、少し詳し目というか、生活保護をかつて利用して、今、再路上をしている方について、これも余り知見がないので少し詳し目に紹介しております。
 結果として、利用経験のある人というのは、路上生活期間というのが、22ページの図を見ていただきますと、大きな違いが年齢層に関しては見られなかったということになります。しかし、路上生活期間につきましては、生活保護を利用した方は比較的短かったけれども、何度も往還しているという状況が多かったのではないかと思います。
 相違点というのは、健康状態に関して生活保護利用経験者というのは、健康状態がかなり悪いということにもかかわらず、生活保護から再路上に至っているということで、なかなか居宅の生活というのが健康の問題を媒介しながら安定しないのかと。しかし、路上に出ても健康状態が悪いということは、再び悪化するかもしれませんので、この辺、健康状態という指標で野宿の往還がどういうことになっているかというのは重視しなければいけないのではないかと思います。
 それから、広義のホームレス調査とも比較いたしましたが、これは部分的にしかクロス集計しておりませんが、大きな違いが出たのは、四大都市、自立支援センター実施都市、緊急一時宿泊事業実施都市、それ以外何もしていない都市という地域分類を入れますと、四大都市の方で広義調査の方は、かなり生活保護との往還が多いという地域差が出たのが特色です。これの理由については書いておりませんが、社会資源の多さということもありましょうし、四大都市では、いわゆるこの領域の中で出たり入ったりされる方の数が施策のない都市よりも多いということは、はっきりと出ているということです。ただこれ以上の解釈を加えるのは苦しいところですので、グラフでかなり露骨に出ておりますので、見ていただければと思っております。
 それから、ほかにも比べるところといいますと、年金受給者とか、あるいは路上生活者における収入の多様性というか、いわゆる空き缶で収入を得るというのが8割ぐらいを占めたわけですけれども、そういう仕事というのが路上生活者の主力であるわけですが、それ以外の収入というのが一定程度見られたということで、その収入のあり方とは何ぞや、その収入が脱野宿に向けてどういう効果があるのか、路上生活者の年金受給者の希望等を探る、それから、ホームレスを脱して、実際にいろいろな収入の組み合わせで仕事、生活をされているホームレス経験者の今の実態というのを少し比較してみました。
 それが目次で言いますと、第8節の「今後の生活について」で、「年金受給者と生活の希望に関する考察」というコラムを入れさせていただいております。
 路上生活者につきましては、仕事以外の収入がありという方につきましては、無回答の部分もあるのですけれども、若干収入が多いということがわかり、月収5万円以上の方が4分の3以上を占めるというのが、特に年金受給者に関しては5万円以上が4分の3を占める。ただし、84名という母数ですので、余り解釈にひとり歩きはできないかもしれませんけれども、そういう形で路上生活を続けられている方もおられるということです。もちろん、年齢分布はより高くなっております。
 今後希望する生活につきましては、年金受給者におきまして、これもなかなか難しいというか、必ずしも脱野宿したいという希望が明確にあらわれたわけではないことになっています。今のままでいいという方は少なくなっておりますけれども、明確にどう違うかというほどあらわれておりません。コラムでは、65歳以上の年金生活者の日本全体の状況から見て、5万円以上の収入で果たして脱野宿できないのかということを推計しておりますけれども、決定的な違いは、貯蓄と住居費という問題で、やはり一般的な年金受給者とは大きな差がありますので、なかなか脱野宿、年金をもらっているというだけでは持続可能な生活はできないということはちょっと触れております。書き過ぎているかなという気もしないではないですけれども、そういうことが言えるかと思っております。
 実際、ホームレス経験者で今アパート生活を送っておられる方の収入というのも、広義のホームレス調査で調べておりますけれども、年金との組み合わせとか、就労との組み合わせという形での年金利用というのは結構多いということがわかっております。したがって、一たん脱野宿をした場合、必ずしも生活保護にというだけではなくて、今までの年金を受給している方々の生活というのが、この年金によってそこそこ維持されているということも明らかにされております。知見としては、全ての脱ホームレスの方々が生活保護全てにどっぷり依存しているわけではないということと、26ページですけれども、就労という要因が2割ぐらいは、何らかの就労ということを媒介にして脱野宿後の生活を送っているということも数値として明らかにさせていただきました。
 特に45歳未満とかその辺になりますと、就労のみとか福祉的就労で3分の1以上を占めている、3分の1しかない、どちらの言い方でもいいのですけれども、全てが生活保護で動いているという世界ではないということは強調したいということで書かせていただきました。26ページの図表30の収入の組み合わせというのは、結構説得的なグラフかというふうには思っております。
 さらに、この議論の中で追加された項目は、ホームレス経験者の就労状況というのはどうかということです。先ほど、自立支援センター退所者のアフターケアの問題とか、なかなか就労退所率が上がらないということが指摘されましたが、脱野宿後、ホームレス者の就労実態というのは、継続を含めてどのようになっているのかということもコラム9で紹介させていただいております。
 1つ分析したのは、自立支援センターの利用経験者について、どのような形でなっているかということでございますけれども、自立支援センターを退所して、大体7割前後の方は半年ぐらいは居宅生活を維持したけれども、再び仕事を失って路上生活についているという実態が明らかになったということは重要な知見かと思っております。要するに、就労自立の方、母数がかなり少なくて36ぐらいしかないのですけれども、半年は何とか持ちこたえられている。しかし、その半年たった後は、やはり路上生活に戻ってしまうという現実がわかりました。
 それから、期限退所とか自主退所された方は結構母数が多いのですけれども、この方々は、1か月から3か月ぐらいのところで退所してしまう。28ページの図表32に出ているのですけれども、自立支援センターを出た方で、いわゆる無断退所、自主退所された方は、かなり早期に、1か月から3か月ぐらいの間で再路上になっているということがうかがえます。
 いずれも自立支援センター退所後、再野宿された方のデータですので、これをもってこれ以上のことは言えないかもしれませんけれども、少なくとも就労自立した人は半年は持ちこたえている。アフターケアで半年ぐらいでじっくりと見ていってあげるというのは、ここで仕事をやめたときにちょっとした支援が入ると、ひょっとしたらまた持ち直して就労に当たるとか、そういうことにつながるかもしれない。そういう意味では、アフターケアの効果というのは、半年を目安にやっていけば効果的ではないかという政策的な提言はできるかもしれません。ここにはそこまで書き込んでおりませんが、もし書くとなれば、その辺はちょっと書いてもいいのではないかと思っております。これが結構貴重な知見かと思います。134の母数でしかないのですが、1割ですけれども、貴重なデータかと思っております。
 それから、私の担当で最後ですかね。「生活歴」というのが第9節の最後に出てきておりまして、この中で最終学歴という分析を行っております。29ページのグラフは衝撃的ではないかと思います。国勢調査と比較していただきまして、年齢別の35歳未満から10歳刻みで最終学歴を書いておりますが、中卒以下の割合が激しい差がございます。生活実態調査では、年が上がるごとに中卒率がふえるというのは非常によくわかるのですが、広義のホームレス調査になりますと、実は若い人のほうが高くて、45歳から55歳が一番低くて、65歳以上が上がってくるということで、特に45歳未満の最終学歴の中卒率というのは、全国平均の10倍ぐらいになるのかと。特に福祉事務所調査との比較でやると、35歳未満の学歴の中卒率は14倍で、かなり衝撃的な数になっております。文章では淡々と書いております。
 以上です。
○岩田座長 どうもありがとうございました。
 今の水内先生に書いていただいた部分について、何か御意見ございますでしょうか。
 どうぞ。
○沖野委員 27ページのコラム9は、表現だけの問題ですけれども、要旨の1行目、「路上(野宿)生活者のうち、自立支援センターの利用経験があり、退所の時点で就労して居宅を確保していた人はごく少数である」というのを、多分、水内先生の主旨からしたら、「自立支援センターの利用経験がある路上生活者のうち」ということではないかと思ったのですけれども。
○水内委員 はい。
○沖野委員 これはダブってしまうと、要するに自立支援センター利用経験がある人は少ないですよ、しかも退所の時点で就労居宅を確保していた人はごく少数ですよと並列化されてしまうような気がして。
○水内委員 はい、先ほど言われたとおりです。書きかえます。
○沖野委員 その方がはっきりするというか、要は、期限到来で追い出してしまったときに、路上に滞留してしまう人がふえてしまうよということが現実だろうと思うので、そこの修正だけお願いできたらと。
○水内委員 「ごく少数」の「ごく」も要らない。3分の1はありますので、そんなに少数ではない。
○岩田座長 図表31のような表現に統一していただくということでよろしいでしょうか。
 今のいろいろな収入と就労のことに関しては、本文中でも、こちらの報告書(案)の37ページですけれども、収入の組み合わせの図表をつくっていただきました。ちょっとごらんいただければ、一番多いのは仕事の収入だけですけれども、しかし、65歳以上だと、その組み合わせもちょっとですけれどもふえますし、仕事以外の収入だけという人が相対的には多くなります。これは年金の効果が大きいかなというところです。
 先ほどの、25ページの10万円以上年金がある場合は路上を脱することができるかどうかということについての説明ですけれども、住宅があればできるかもしれないというような書き方もあり得ますね、そう書いていいかどうかはわからないけれども。例えば、宿所提供施設といいますか、住宅扶助の現物支給のようなものがあればできるかもしれないというような感じではありますね。私も最後書いたのはそういうニュアンスもあって、インタビュー調査の経験では、路上にいる人たちの中で年金手帳をおなかにしまい込んで、もらえる日を楽しみにしているという人は少なからずいた記憶があるのです。だから、何となく年金受給者という、数はもちろん数%にしかすぎないわけですけれども、そういう光の当て方をしてもいいのではないかという感じは今回とても強く思ったのですけれども、余り書き過ぎない方がいいということであれば、これでもいいかなとは思います。
 あと、全体を含めて何か気になった点とかございますか。どうぞ。
○木原委員 先ほどの森川委員のコラムのところですけれども、ちょっと気になるのが結核のところで、前回ここの部分は出ていなかったので、今回拝見させていただいているのですけれども、路上生活者で結核について注意が必要であるというのはもちろんわかるのですけれども、この文章を見ると、全体の9.5%が結核の疑いがあるというふうに見られてしまうのかなと。この調査でわかったのは、路上生活中に結核と診断されたことがある人は9人である。これは調査の結果だと思うのです。症状の中で、いろいろな組み合わせをされて、この人たちは結核の疑いがありますよというふうに医師としての判断をされているとは思うのですけれども、微熱が続くというところに1つ丸がついているのも結核が疑われる症状という範疇には入っていると思うのです。
 私たちは行政としてホームレス対策を継続的にやっている立場から、今でも順番に自立支援センターというのを各区につくっているところなのですけれども、実際のところ、変にこういう結果をもって、ホームレスの人たちは結核率が高いとかされるとちょっと困るなというのがあるのです。
○岩田座長 反対されたりということがありますね。
○木原委員 もちろん要旨3のところについてはいいのですけれども、こういうようなところまで出す必要があるのかどうかというところをちょっと。
○岩田座長 そうですね、この辺は難しいところで、森川先生はお医者さんの立場でいうと心配だということなのでしょうけれども、今のような施設をつくるときの反対理由や何かになりかねないというのは確かにあるかもしれない。「結核の症状に見られる」というのを取って、「なお、」「などの症状を」というぐらいに変えますか。
○水内委員 図表20のタイトルも「結核が疑われる諸症状の組み合わせ」というのですけれども、そこでは一般的にこういうチェック項目で結核の検診というのはされるのですか。ここは結核だけのページとならない形でやって、要旨の後に書き加えるとか、ちょっと工夫した方がいいですかね。この辺、医療の現場でこういうチェック項目で結核という形で一般的には言われているのでしょうか。
○岩田座長 無論、結核は要注意だと思います。ですから、検診が必要ですし、いろいろな意味で早目の治療が必要ですし、それから、退院した後、路上にすぐ出てきて、本人も戸惑っているということが大分昔ですけれども、その様な話しをうかがったことがありました。だから、いつでもホームレス問題の特に医療との関係では、結核問題というのは大きいことは大きい。ただ、こういう報告書でどういうふうに表現するかということで、結核の症状に見られるというのを取って、なお、こういう症状を複数組み合わせて訴える人がこのぐらいいましたよというのは事実なので、要旨3の○のところについてはいいでしょうか。
○木原委員 それは、結核の受療率が、平成20年度で人口10万人に比べれば、9人いらっしゃいますので高いのかと思いますので、それはいいのですけれども、では、路上生活している人がせきをしていただけで、みんな結核なのだとか、忌み嫌われるような表現は。
○岩田座長 そうですね。では、これは事務局の方で後で森川先生とちょっと、今のような御意見があったということで。
○金子地域福祉課長補佐 森川委員と相談をさせていただきます。
○岩田座長 どうぞ。
○奥田委員 コラム10の水内先生のところなのですけれども、学歴の話は、それこそ生活支援戦略とか何とかでも非常に大きな話になっているのですが、生活実態調査と後の移行入居者福祉のところで、35歳未満のところが生活実態調査の方は一般傾向に近い形が出ていて、それ以降は全然逆転で出ているので、ここは解説というか、これはこう、これはこうとしか書いていないのですけれども、これはどう見たらいいですか。今回の生活実態調査では、35歳未満は一般傾向になっているのですね。
○岩田座長 どうぞ、森田委員。
○森田委員 私もこの点については、中学卒業という定義がしっかりしていないなというぐあいに思っています。通常、中退者、つまり、今、就労で非常に問題になっているのは、高等学校へ入り、そこで中退してしまった。この人たちは学歴からいきますと中卒なのです。それをどれだけ移行者調査と入居者調査と福祉事務所の方で厳密に指摘をしているのか。それから、本人の認知だけでやっている生活実態調査というものとのずれがどうなのかということが1つ大きくかかわっていると思います。学歴を見ていますと、高卒もあり、35歳以下は大卒も入ってきていますので、全般には生活実態調査の方は高学歴化しているように一見見えるのですが、その中で、つまり高等学校へ行ったというやつを実態調査の聞き取りの段階で高卒ととらまえてしまうということもないではないし、このあたりの調査の問題と今の中卒という定義の問題はあると思います。
○水内委員 移行者調査、入居者調査、福祉事務所調査は、定義の中に高校中退を含むとしてあったのですが、生活実態調査に関しては入っていなかったと思います。
○森田委員 だから、そこのところは少し書いておかれた方がいいと思います。こちら側の中卒と言われて、ここには高校中退を含むというのを記入されて。
○岩田座長 学歴問題はいつもここの点があって、しかも中退問題というのはだんだん大きくなっています。
○森田委員 そうなのです。
○水内委員 奥田委員が言われたことに関しては、うまいこと半ページに収まったので、あえてこれ以上書き込まなかった。子供の貧困とか、貧困の再生産ということまで書くと大変なことになりますので、読んでいただければわかるかと思いまして、半ページですぽっと収めました。
○奥田委員 それは別にそういうことではなくて、データの傾向がここだけ違うのが気になっただけで、全体としては貧困スパイラルであるとか、低学歴問題というのは読めば皆さんそういうふうに、一般に比べてこれだけの量が出ているわけですから、明らかにそういう子供のころからの貧困を引き継いでホームレス化しているというふうにみんな読むと思うのです。35歳未満の中卒、最終学歴だけが生活実態調査だけぐんと下がっているから、そうなると、聞いた基準が違うのではないかというふうにも見れるし、もっと言うと、路上調査は、これはもともとこの調査自体の限界ですけれども、本人の証言のみですから、裏づけはとれない調査ですから、そうなるとちょっと頑張って答えているという傾向もあるかもしれない。中卒というより高校は行ったという、そちらの方に重きを置いて答えている人も多いかなという、かつて、俺は元社長だったみたいな人が何人かいたみたいな話に相通ずるものも感じるかなという、この辺は悲しい話かという気も現場の想像としてはあるので、もう少しこのデータの違いには一言二言触れた方がいいかもしれないです、触れられないかもしれないけれども。
○水内委員 せっかくですから、今のご指摘に対応しますと、2ページにありますので、もう少し凡例などを入れて書きかえます。生活実態調査というのは、65歳以上や尋常小学校卒業というのも入ってきまして、いわゆる当時の義務教育というのが入っていますので、そういうものを書き込むともう少し膨らみますし、逆に、今は大卒率とか高卒率も何かありましたら入れてもいいかなと思うので、もう少し膨らませてきっちり比較をさせていただきます。
○森田委員 その際に、もう少し中退問題に触れておいていただきたいという気がします。これからのホームレスだけではなくて、いわゆる非正規雇用、あるいはそういう形でない無職層と言われる人たちとの関連といいますか、学歴との関連ということで見ますと、これから一つは注目しておかなければいけない点だろうと思っています。
○岩田座長 いずれにしても、若い層をどういうふうにとらえるかというのは、今後のすごく大きな課題で、相当難しいですね。今のところ、かなりいろいろなことが、つまり、稼働能力は相対的に当然高いわけで、したがって、政策との相性がいいわけですけれども、ところが、全体に来てみるといろいろな問題があるとか、そういうことがわかってくるとそう簡単ではないと、どうもそういう感じはするのです。ただ、それがもっとクリアにまだ見えてこない。
○森田委員 だから、余りクリアに決め打ちはしなくてもいいと思うのです。
○金子地域福祉課長補佐 先ほどの生活実態調査の聞き方なのですが、問い自体は、最後に出た学校は次のうちどれですかということで、小学校、中学校、高校という形で聞いているので、一応聞き方としては中退であると中学と答えていると思うのですが。
○奥田委員 高校と言うだろうと思っておりますので。
○岩田座長 学歴調査というのはすごく難しくて、本当にやるときはかなり細かく、特に専門学校とかはどうするかとか、いろいろあるものですから、森田先生のような御意見になったと思いますので、水内先生、簡単に中退などを含んでか含んでいないかということがあるだろうけれどもというぐらいを入れておいてもらえれば。
○水内委員 それで結構です。
○岩田座長 そうしましたら、あと15分ぐらいになりましたので、まだ御意見あると思いますが、どうしても今おっしゃりたいことがあれば、どうぞ。
 この後、もしも、ここの点はやはりちょっと変だとかいうことがございましたら、事務局の方に、いつまでにしましょうか。
○金子地域福祉課長補佐 本日、一応取りまとめを行うということで検討会を開かせていただいていますので。
○岩田座長 1週間以内ぐらいですか。
○金子地域福祉課長補佐 できれば今週中ぐらいで御意見をいただければありがたいと思います。
○岩田座長 そのようにしていただいて、そして、きょうのいろいろな御意見を踏まえて、特に文言の修正を行いたいと思います。修正については、事務局と座長が相談してやるということで御一任いただけますでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○岩田座長 それでは、そのようにしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、事務局から最後に。
○金子地域福祉課長補佐 それでは、4点ございます。
 1つ目は、データの取り扱いについてになります。まだ最終的な取りまとめになっておりませんけれども、今後、委員の皆様がさらに研究活動や論文等の関係でデータの使用等が必要となる場合には、事前に事務局に御相談をいただければと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 2点目は、報告書の最終完成版についてですけれども、本日の報告書(案)については、今後、事務局におきまして、座長に御相談しながら取りまとめをさせていただきます。委員の皆様には、後日、公表前に送付させていただく予定にしておりますので、その際に最終的な御確認をいただければと思います。委員の皆様の御確認が済みましたら、できるだけ速やかに検討会の報告書として公表させていただく予定でおります。
 3点目ですけれども、本日の資料、報告書(案)については、まだ現段階では取りまとめ途中ということですので、大変申しわけありませんが、完成まではホームページ等での公表は差し控えさせていただきまして、現時点では委員限りとさせていただきます。
 それから、4点目ですけれども、事務的な話になりますが、報告書の取りまとめ後についてです。取りまとめられました報告書の内容等を踏まえつつ、来年の夏に向けまして、「ホームレスの自立の支援等に関する基本方針」の見直しに係る手続等を進めてまいりたいと考えております。その過程では、委員の皆様にも改めて御意見を伺う機会もあろうかと思いますので、その際にはよろしくお願いいたしたいと思います。
 それでは、検討会の終わりに当たりまして、地域福祉課長より一言御礼を申し上げます。
○矢田地域福祉課長 まず、皆様に御礼を申し上げたいと思います。冒頭、局長も挨拶の中で触れておりましたが、この検討会、実は昨年10月から6回にわたって、5年ぶりという調査のスタート時点、要するに、調査項目を決めるというところから始まって、調査結果の分析に至るまで御議論をいただきました。
 それから、本日は報告書の一応の取りまとめもいただきました。座長を初め、各委員の皆様には本当にお忙しい中を、この検討会以外でも、例えば作業部会への参加、あるいはコラムの執筆、そういったことも快くお引き受けいただきました。本当にありがとうございました。
 この1年間の間に大きな動きとして、6月には10年続いたホームレスの特別措置等の延長も行われました。これも皆様方のお力添えのおかげだろうというふうに思っております。深く深く感謝を申し上げたいと思います。
 今後でありますけれども、皆様方から貴重な御議論、御意見をいただきました、その結晶であるこの報告書をもとにいたしまして、延長されましたホームレス法に基づく基本方針の見直しを各省庁とも連携をとりながら、しっかりと見直しをやっていきたいと思っております。
 皆様方には、ホームレス対策に限らず、社会保障、社会福祉、そういった行政を進める上で、引き続き、御助言なり御示唆をいただければありがたいと思っております。昨年の10月以降1年間、長い間、本当にありがとうございました。
○岩田座長 それでは、以上をもって本検討会を終了いたします。
 皆様には、どうもお忙しいところを御協力いただきまして、ありがとうございました。完成まであとちょっと、また御協力いただきたいと思います。どうもありがとうございました。



※今回の検討会で使用した資料中の数値は、公表前の精査途中のものであったため、平成24年12月21日に公表した調査結果の数字と若干異なっておりますので、御留意願います。


(了)
<照会先>

社会・援護局地域福祉課
生活困窮者自立支援室

ホームレス自立支援係: 03(5253)1111

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