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2012年11月7日 障害年金の認定(高次脳機能障害等)に関する専門家会合(第1回)議事録

○日時

平成24年11月7日(水)10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎5号館共用第8会議室


○出席者

委員

大橋正洋委員 加藤元一郎委員 冨永秀文委員
豊原敬三委員 中島八十一委員

○議題

(1) 障害年金制度の概要
(2) 高次脳機能障害に係る障害認定基準等について
(3) その他

○議事

○和田事業管理課給付事業室長補佐 定刻になりましたので、ただいまより障害年金の認定(高次脳機能障害等)に関する専門家会合を開催します。本日は大変お忙しい中、本会合にご参集いただき誠にありがとうございます。本会合の座長が決まるまでの間、事務局のほうで進行役を務めます。私は年金局事業管理課給付事業室の室長補佐の和田と申します。よろしくお願いします。
 今回は初の会合ですので、この会合を参集した大臣官房年金管理審議官からごあいさつをさせていただきます。
○高倉大臣官房年金管理審議官 厚生労働省の大臣官房年金管理審議官の高倉です。本日はご多忙のところ、障害年金の認定(高次脳機能障害等)に関する専門家会合にお集まりいただき、誠にありがとうございます。皆さま方におかれましては、日ごろから厚生労働行政全般、いろいろな側面からご協力をいただき、また、この専門家会合の委員の就任のお願いにつきましても快くお引き受けいただき、心から御礼を申し上げます。
 ご承知の通り、国民年金、厚生年金保険の障害年金は病気やけがなどによって障害になったために、日常生活に著しい制限を受けた方々の生活を保障するために支給されるものです。この障害年金制度を公平かつ適正に運営していくためには、障害を認定する際の判断基準が大変重要な役割を果たします。このため順次障害認定基準の見直しを図っているところです。今回、この専門家会合にご参集いただきましたのは、精神の分野の障害として認定を行っている高次脳機能障害といわれるものを中心に、認定現場のほうから従来の基準に関して、もう少し日常生活能力のとらえ方などの観点から、より詳細な障害認定基準にするべきではないか、あるいは診断書の様式等も見直すべきではないかという意見が寄せられ、見直しが課題となっています。この見直しに際しては、先生方のそれぞれの専門的な見地からのご意見、ご助言をいただいて、誤りなきを期していきたいということでお願いしています。
 障害年金の分野については、本人、当事者はもとより、その方を支えているご家族等の皆さまも含めて、とても大事な問題です。今のわが国での最高の知見を反映してよりよいものにしていきたいという思いです。限られた回数、時間ですが、活発に議論をいただき、よいものが得られますようにお願いして、簡単ですが私からのあいさつとさせていただきます。よろしくお願いします。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 年金管理審議官は所用のためここで退席させていただきます。
 続いて委員の皆さまをご紹介します。
 資料1に委員名簿を添付していますので、お名前のみを五十音順で紹介します。大橋委員、加藤委員、冨永委員、豊原委員、中島委員です。
 続いて事務局の紹介をします。年金局事業管理課給付事業室長の新です。
○新事業管理課給付事業室長 よろしくお願いします。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 医療専門官の西嶋です。
○西嶋医療専門官 よろしくお願いします。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 障害認定企画専門官の小杉です。
○小杉障害認定企画専門官 よろしくお願いします。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 事務局側として障害年金の認定を行っている日本年金機構の海老原年金給付部長です。
○海老原日本年金機構年金給付部長 よろしくお願いします。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 郡山障害年金業務部長です。
○郡山日本年金機構障害年金業務部長 よろしくお願いします。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 以上です。どうぞよろしくお願いします。
 続いて本日の会合資料の確認をします。お手元の議事次第の下、資料1の委員名簿、資料2の障害年金制度の概要、資料3の高次脳機能障害の認定事例(診断書)、資料4の障害認定基準及び診断書の事務局見直し案(たたき台)、以上の資料のほか、参考資料として障害認定基準の全文をお配りしています。不足がありましたらお申し出いただければと思います。
 それからこの会合の運営について説明します。本会合は対象となる患者が特定されるなど、個人情報保護の観点から特別な配慮が必要と認められる場合などを除き公開としています。資料3の高次脳機能障害の認定事例(診断書)については高次脳機能障害の具体的な症例に関する診断書ですので、個人情報保護の観点から非公開とします。委員の皆さま方にはお配りしていますが、会合終了後に回収します。そのほかの資料については公開とし、会合の内容は厚生労働省のホームページに、委員名も含め議事録として掲載する予定です。あらかじめご了承ください。
 続いて本会合の座長をお選びいただきたいと存じます。互選にしていますので、どなたかご推薦いただけますか。
○加藤委員 加藤です。ぜひ中島先生にお願いしたいと思います。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 皆さん、よろしいですか。
 異議もないようですので中島委員にお願いしたいと思います。座長席にお座りいただき、一言ごあいさつをお願いします。
○中島座長 国立障害者リハビリテーションセンターの中島です。高次脳機能障害に関する厚生労働省の施策も診断・訓練から始まって障害者年金というところまできました。障害者年金に関する諸処の問題あるいは改善すべき点を、この専門家会合を通じてより良き方向に持っていく提案を出すことで施策全体を良くしていかれるように、この会を充実させたいと思いますので皆さま方のご協力をお願いします。
 議事に入りたいと思います。本日の議事についてはお配りした議事次第がありますので、この内容に沿って、まず障害年金制度の概要説明を事務局からお願いします。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 まず、障害年金について年金制度の概略を説明します。資料2ですが、障害年金の説明をする前に、年金制度の仕組みについて簡単に説明します。1ページ目です。国民年金、厚生年金は日本の公的年金制度の中核になりますが、国民年金に加入するのは20歳から60歳までのすべての方が対象です。すべての方が国民年金に加入し、さらにサラリーマンなど厚生年金に入っている方は二重加入する制度になっています。それが図の下の部分です。実際には自営業などで国民年金に入っている第1号被保険者、サラリーマンなどの扶養になっている第3号被保険者、さらにサラリーマンである厚生年金加入、もしくは共済に加入している第2号被保険者、この1・2・3号といわれている被保険者で制度が成り立っています。被保険者の皆さんがこのような制度に加入している間に、保険事故が起きた場合に年金を支払うという制度です。
 年金の大きな目的は老齢給付ですが、それ以外にも給付制度を設けていますので、次の給付の種類というところに記載しています。国民年金または厚生年金保険の加入者が老齢・障害・死亡などの保険事故になったときに支給するのが、老齢年金・障害年金・遺族年金です。国民年金から国民共通の基礎年金というものが支払われますが、その上乗せとして厚生年金加入者で障害があれば障害厚生年金、遺族年金であれば遺族厚生年金という2階建ての形で支給されることになります。
 本題である障害年金について説明します。障害年金は、老齢・障害・死亡の保険事故のうち、障害になった際に支給するものです。もともと被保険者が病気やけがで日常生活に著しい制限を受ける場合などに所得保障するということで支給されるものです。加入する制度によってもらえる年金が異なります。例えば国民年金に加入している間に病気やけがになった、通常初診日といっていますが、この初診日がある方については障害基礎年金、厚生年金の被保険者であるサラリーマンが加入中に病気やけがで病院にかかったということであれば障害厚生年金、公務員が病気やけがということになると障害共済年金が支給されます。国民年金は1・2級ということで等級が定められていますので、1級もしくは2級で年金が支給されます。厚生年金については昭和61年以前の旧法の時代から、1級から3級まで制度がありますので、実際に年金としては1・2・3級まで受けることができます。
 2ページ目はその構成を図解したものです。実際に国民年金だけの方については、基礎年金の1級もしくは2級しか支給を受けることができません。厚生年金加入期間中に病気やけがで年金を受けることになると、1・2級については基礎年金も合わせた2階建ての形で受けることになります。これは先ほど申し上げたように、基礎年金をベースに二重加入しているということで、3級については厚生年金独自の制度ですので、ここには国民年金の給付はないことになります。
 受給の要件について説明します。それぞれの年金は保険制度ですので、支給の要件が必要になります。ここに書かれているマル1からマル3までの基本的な要件が必要になります。まずは当該傷病の初診日に年金制度の被保険者であるということです。国民年金の加入期間中であれば国民年金、厚生年金保険の加入期間中であれば厚生年金というように、どの制度に初診日のときに加入しているかということが大事になります。次に一定の納付要件があること。これは加入期間中の保険ですので、初診日以前にきちんと保険料を納めているかどうかを確認する必要があります。それから、1・2・3級の障害の程度にあるかどうかということになります。
 特に初診日については、どの制度で年金を受けることができるか、もしくは納付要件を計算する場合、保険料がきちんと納まっているかどうかという一定の要件を見る基準となります。例えば、初診日の前々月までに3分の2以上の納付があることや、直近の1年間に未納がないことという納付要件は、計算する際の起点を決めるものでもあります。さらに障害の状態を確認するのは、原則として初診日から1年半目のところを障害認定日として、その時点で障害の状態が1・2・3級に該当するかどうかを見ることになります。そうしたことから、初診日は重要なものであることが分かると思います。
 20歳前の障害について説明します。20歳前障害は20歳になる前に障害の状態にある方に年金を支給する制度です。障害年金の年金制度は、初診日が年金制度に加入している期間にあることが必要だということは先ほど説明しました。20歳前の障害者は20歳になる前に既に障害の状態になっていて、20歳から初めて年金制度に加入することになりますので、保険料を納めるという保険制度に加入する前から障害があるということです。これに関しては障害福祉年金という制度が旧年金制度にあり、補完的な意味で20歳前に既に障害のある方については年金を支給するということで、国民年金の中で障害福祉年金という形で支給をしていました。これは昭和61年4月の法律改正の際に、障害基礎年金ということで保険料を納めている方と同じ年金に金額を引き上げることで所得保障をしたという経緯があります。従って、20歳前の障害で年金を受ける方については、保険料の負担をしていないということですので、例えば一定の所得がある場合などについては、年金額の全額または一部を支給停止するという、所得に関する制限が設けられています。そのほかに日本国内に居住していないとか監獄等に拘禁されている場合について、その間は支給停止するという条件が付け加えられています。
 3ページ目は障害基礎年金、障害厚生年金の受給要件をまとめたもので、年金額などについても記載しています。要件について先ほど申し上げた3つの条件は、国民年金であれ厚生年金であれ同じものです。年金額については、障害基礎年金の1級、2級でそれぞれ決められています。1級は現在98万3,100円、2級は78万6,500円の年額支払いをしています。厚生年金は報酬に応じて計算することになりますので、報酬比例の年金額という書き方をしています。給与に応じて計算された部分が障害厚生年金ということで支給されます。これは2級が老齢年金の額と基本的に同じですので、それに1.25倍したものが1級の金額になります。基礎年金も78万6,500円の1.25倍したものが1級の金額になっていますので、老齢年金の金額が2級と同じと考えればよろしいと思います。
 4ページ目は平成22年度末現在の障害年金の受給権者数を示しています。国民年金・厚生年金をそれぞれ受給される方の合計が分かると思います。実際には現在200万人ほどの受給権者がいます。所得制限以外でも障害の状態が軽くなったということで支給停止されている方なども含めて200万人程度が、現在、障害基礎年金・障害厚生年金の受給権者ということになります。簡単で恐縮ですが以上が障害年金についての説明です。
○中島座長 障害者年金の骨格にかかわるところを説明していただいたわけです。ご質問などがありましたらお願いします。よろしいですか。後ほど質問が出ましたら承ることにします。
 次に移ります。精神の障害に係る障害認定基準の説明を事務局からお願いします。
○小杉障害認定企画専門官 精神の障害に係る障害認定基準の説明をします。参考資料の障害認定基準をご覧ください。精神の障害の部分を説明する前に、障害認定基準のつくりについて簡単に説明します。まず、目次を見てください。こちらの第3の第1章に障害等級認定基準と書いてあります。現在、障害認定基準としては、第1節から第18節まで18の分類に分けて認定しています。それぞれの障害について部位ごとに分けているとお考えいただければと思います。
 この障害認定基準は旧の年金、昭和61年3月以前は厚生年金と国民年金はそれぞれ別々の認定基準をもって認定していました。61年4月に基礎年金制度を導入した際に1つの基準としていますので、この基準の大方は61年4月に策定されています。こちらで国民年金、厚生年金とあったものを1つに合わせたという形になります。先ほどの障害年金制度の概要の中で、国民年金の1・2級、厚生年金は1・2・3級の年金を支給するということで説明しました。実際に障害の等級がそれぞれ施行令別表で定められているのですが、どのぐらいの程度という概略が決められています。
 それについては3ページを開いてください。障害の程度ということで、法別表に定められている障害の1・2・3級の程度について説明しています。まず1級について「身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものとする」と。施行令別表がこのような書き方で古い言い回しになっています。実際に本人がほとんど自分で何かができない状態、全介助の状態が1級相当と想定されています。2級については「身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」ということです。日常生活に支障があるということで、必ずしもすべての日常生活に関して他人の助けを借りる必要はないが、日常生活をするについては極めて困難で、労働についてはほとんどできない状態を2級相当と定めています。
 3級については先ほど説明があった厚生年金独自の給付ということで、もともと厚生年金の認定基準の中では労働制限でしたので、3級は労働制限をそのまま残した形になっていますので「労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」と定められています。3級よりも低い障害の程度ということで、さらに障害の状態が固定しているものについては一部障害手当金という形で支給することになっています。1・2・3級の程度にあわせて、それぞれ認定基準の中で細かい要領を定めているのが認定基準のつくりになっています。
 実際に精神のところについて若干説明します。43ページの第8節、精神の障害です。こちらに認定基準として法別表に定められている基準について、1の認定基準で表の形で示しています。「精神の障害であって、前各号」と書いていますのは、別表の中にそれぞれ1級相当、2級相当の状態が記載されていますので、それと同等ということです。
 2の認定要領から先が具体的な内容を記載しています。精神の障害については、AからEまで障害別にカテゴリーを設けています。Aは統合失調症または統合失調症型障害、気分障害というものをカテゴリーしています。Bは今回議論をいただく症状性を含む器質性精神障害、Cはてんかん、Dは知的障害、Eは一昨年新しく項目を設けた発達障害について、それぞれ要領を記載しています。
 今回議論をいただくのは、症状性を含む器質性精神障害でBのカテゴリーです。ここについて簡単に説明します。(1)で症状性を含む器質性精神障害はどのようなものかを説明した上で、(2)に等級ごとに相当する、各等級等に相当すると認められる状態ということで一部例示をしています。1級については高度の認知症、高度の人格変化、その他の高度の精神神経症状が著明なため、常時の介護が必要なもの。常時介護が必要だというところが1級相当です。次の2級も同じようなものですが、日常生活が著しい制限を受ける。3級については労働制限があるということで障害の程度を分けています。特に(4)で精神作用物質使用による精神障害ということで、アルコールや薬物に関するものについても、器質性精神障害の中のカテゴリーで認定していくということを書いています。
 器質性の障害の場合には神経系の障害を伴っていることもあります。(5)ではもとの神経系のものについてはそちらで見て、精神のところはこちらの精神のところで見るということを書いています。現実に認知症、人格変化、その他精神神経症状がありというところで見ていますが、高次脳についても認知症や人格変化というところに合わせて、実際に認定医の方に医学的な見知で判断していただいています。これが精神障害に係る認定基準の主なところです。
○中島座長 ただいまの説明について質問などがありましたらお願いします。委員の皆さま方いかがですか。
○加藤委員 今、高次脳と言われたのですが、高次脳というのがあるのではないので、高次脳機能障害ときちんと言ってください。低次脳、高次脳というものがあるわけではないので注意してください。
○小杉障害認定企画専門官 分かりました。
○中島座長 ほかにはいかがですか。
○小杉障害認定企画専門官 引き続き事例の説明をしてもいいでしょうか。
○中島座長 よろしくお願いします。
○小杉障害認定企画専門官 資料3をご覧ください。実際に障害年金を認定している現場から事例としていただいたものです。今回、高次脳機能障害を検討するに当たって、実際にどのぐらいの状態を1級、2級、3級と認定しているかというところをご覧いただきたいので、このような事例を示しています。
 事例1は1級相当というものです。実際に認定医の先生方にマル7の発病から現在までの病歴から、高次脳機能障害の原因等を確認していただき、これまでの治療の経過等を確認した上でマル10の障害の状態のところをご判断いただいているところです。マル10は今回のケース1級では、うつの状態に丸が付いています。下方の知能障害等のところでは、認知症、遂行機能障害、学習困難、注意障害に丸が付いていますので、明らかに高次脳機能障害の症状が出ているというところです。右側で先ほどの状態について、その程度、症状等を記載してくださいというところには、この先生は比較的丁寧に細かく書かれています。注意障害の状態、記憶障害はどのようなものが起きているかとか、遂行機能障害についてどのようなことができていないということを比較的丁寧に書かれている診断書です。
 このようなところを判断いただいた上で、裏面の日常生活状況というところを見ると、2の日常生活能力の判定と3の日常生活能力の程度が大きなポイントになると思われます。この方の場合には日常生活能力の判定で一番右側に寄っていますので、助言や指導をしてもできない、もしくは行わないというところにすべて丸、チェックが入っているということで、ほとんど自分で日常生活に当たってできていないことが分かると思います。3の日常生活能力の程度は(5)の精神障害を認め、身のまわりのこともほとんどできないため、常時の援助が必要であるというところに丸が付いています。こちらは実際に認定した認定医の先生が1級相当という判断をしたものです。
 同様に2級、3級についても、今回示している診断書は比較的高次脳機能障害のことをよくご存じの先生がすごく丁寧に書かれていて、認定された先生方も比較的判断がしやすかったと思われます。実際にここまで丁寧に書かれる診断書は大変少なく、情報量が少ないと認定側からも意見が出ています。そのようなところをこれからどう改善していくかというところが大きな問題になると思います。こちらの2級相当、3級相当を比べると、大体等級のイメージが分かると思います。
○中島座長 この認定事例あるいは取り扱いについて何か質問はありますか。よろしいですか。
 次に高次脳機能障害等に係る障害認定基準及び診断書の事務局見直し案について事務局から説明をお願いします。
○小杉障害認定企画専門官 資料4に診断書案を示していますので、こちらのほうで説明します。たたき台に入る前に、若干今回の見直しの問題点について説明します。今回の見直しで障害等級の変更については行わないということです。現在の認定基準の中に詳細が書かれていないので、認定医の先生方もどう判断していいか分からないところがあると伺っていましたので、まず今の基準の中で詳細に書くことが目的です。認定基準の精神の障害のB、器質性精神障害で認定を行うというところも変更はありませんので、この中で高次脳機能障害についてどれだけ説明を書いていけるかというところだと思います。
 実際にここで問題となるのは、高次脳機能障害の症状に神経内科と精神科の領域の両方の症状が存在することです。実際に全国47の事務センターと本部で認定事務を行っていますが、大半の事務センターでは精神科医が認定しているのが現状です。先生方にヒアリングをすると、神経内科の部分は難しいと言われる先生もいます。そのような部分をこの中でどう表現していくかというところです。このようなところでどう判断していいのかを記載してほしいという意見が、今までのヒアリングの中にありました。
 実際に今回検討するに当たって、認定医の先生、事務センターの事務方にいろいろと意見要望を取った際に幾つか意見が出てきましたので紹介します。高次脳機能障害の定義、障害の程度を示してほしいという意見がありました。特に診断書を見ていると、認知症のスケールでは正常だが行動障害などがあり、ADLに支障がある場合にはどう判断していいのかという質問もありました。認知障害や見当識の障害が具体的に記載されていないので、どういうところに支障があるか分かりにくいと。診断書の中に症状、障害の状態でどのようなものが出ているかを記載してほしいという意見が出ていました。そのようなことを踏まえて、今回は診断書にどのように書くかが大きなものになると思います。高次脳機能障害の特有の症状により支障をきたしていることを判断する具体的な基準を、重症度で示してほしいという意見もありました。器質性の精神疾患のカテゴリーの中で高次脳機能障害の症状のみを細かく書くことになると、器質性のほかの精神疾患とのバランスや整合性がとれなくなるので、高次脳機能障害だけを丁寧に細かく書くことはできないのではないかと考えています。先生方にこの場で議論をいただいたいろいろな意見を踏まえて、認定事例や、認定医の先生方に説明するときに、そのような内容について反映させたいと思いますので、活発な議論をお願いしたいと考えています。
 障害認定基準のたたき台の変更点について説明します。資料4の1ページ目は、今回の基準の改正で直接ではないが、一部文言の整理をしているところです。平成14年に今の基準を見直したときに、そううつ病と書かれていたところを気分(感情)障害と直しています。そのときに以下そううつ病とカッコ書きを入れていました。こうなるとそううつ病だけと見えがちなので、ここは必要がなく、気分(感情)障害という説明だけで十分傷病の状態が分かるのではないかということで削除しています。「妄想」は漢字を使っている記載が多いので訂正しているだけです。
 2ページ目のAの統合失調症は今回議論をいただくところではないのですが、前回知的障害と発達障害の基準の見直しを図ったときに変えた部分を、こちらについても合わせたいということで直しているところです。1級の例示の常時の「介護」をすべて「援助」と直しています。前回の見直しのときに、精神疾患の場合は「介護」というイメージよりもサポートのほうが大きいので「援助」という言葉のほうが望ましいのではないかということで、知的障害の部分で「介護」という言葉から「援助」に訂正しています。ほかの精神疾患も「介護」というイメージよりも「援助」のほうが望ましいのではないかということで「援助」と書き換えています。そううつ病のところは「気分(感情)障害」と変更しています。
 2ページの一番下の2行のまた書きのところです。前回の見直しのときに、障害年金で2つ以上の障害があるときは、併合して認定するということで基準がつくられていますが、精神疾患の場合にはそれぞれ別々に見ることは難しくてできないので、総合的に判断するべきだということで総合認定の考え方に改めています。DとEについて、知的障害と発達障害についてはそういう書き方をしましたが、A、B、Cについては前回訂正していませんので、今回ここの部分はすべて「総合認定」という形で直しています。
 3ページの上の(3)です。日常生活能力等の判定に当たってということで、どのような生活をしているのか、仕事をしている場合はどのような形で働いているのかということを配慮するという文言が書かれています。知的障害と発達障害の見直しを図ったときに、就労についての考え方で、働いているから即年金は出さないというのではなく、就労の状況が周りの方の支援があってか、普通にできるのか、本当に一般就労が可能なのかどうかをよく見て判断しましょうという書き方に訂正しましたので、同じように訂正したというところです。
 (5)のなお書きのところです。神経症については原則障害認定の対象にはならないとしていますが、精神病の病態を示している場合は統合失調症等に準じて取り扱うと基準上はなっています。これについて認定医の先生方が、認定に当たって状態が分からないので、作成医の方にICD-10のどういう病態の区分かと聞いていることが多いので、できれば診断書の記載要領に記載してほしいということで、前回診断書の記載要領にこの文言を入れています。診断書の訂正が先になりましたので、この部分についてはこちらに補足という形で入れています。
 本題のBの基準の見直しの説明をします。症状性を含む器質性精神障害というところで、(1)に先ほど申し上げた総合認定に関する部分を追記しています。また書き以降ですが、症状性を含む器質性精神障害とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは併合(加重)認定の取り扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定するということで総合認定ですと。現在の症状全体を見て等級を付けるというようにこちらで規定を入れています。
 (2)の一部例示です。当初1・2・3級のところに認知障害の症状をいろいろ入れてみたのですが、ほかの器質性精神障害のことも丁寧に書かなければいけないことになりますので、この中で全体像を説明するのはなかなか難しいということで、シンプルな形に直しました。今回の先生方の議論の中で、ここをもっと詳細に細かくということであれば、そういうことも含めて検討したいと思っています。
 まず1級についてです。平成14年に基準をつくったときは高度の痴呆と書かれていたものを、前回単純に痴呆を認知症と直していたのです。認知症は症状をいっているもので、病名をいっていることになるので、正しく言うと高度の認知障害という形になります。ここで認知症というのは誤りで、認知障害と直しました。それから「介護」を「援助」と直しています。2級についても今まで認知症と書いていたところを認知障害と文言を訂正し、3級、手当金についても認知症と書いていたところを認知障害と訂正しました。
 4ページの(3)と(4)については訂正はありません。(5)で高次脳機能障害の定義を記載しています。主にどのような症状、障害があるのかを記載してほしいという要望がありましたので記載しています。「高次脳機能障害とは、脳損傷に起因する認知障害全般を指し、日常生活または社会生活に制約があるものが認定の対象となる。その障害の主な症状としては、失語、失行、失認のほか記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などが生じるものである」。その後になお書きで「障害の状態は、脳の代償機能やリハビリテーションにより好転も見られることから療養及び症状の経過を十分考慮する」。実は外傷性や脳血管障害がある場合は、肢体の障害と一緒に出てくるケースが多いのです。特に肢体のほうは、6カ月を経過して症状が固定して変わらなければ、6カ月経過のところで症状固定を認めているというところがあります。高次脳機能障害についても6カ月で認めていいのではないかという意見があり、本来一緒にしたい気持ちは分かりますが、いろいろな文献等を読んだところではリハビリでかなり機能が回復する場合もあるとのことです。
 先生方に伺ったところによると、脳には代償機能があるので、ある程度経過を見るべきだという意見がありました。ここにきちんと書いた上で、6カ月は時期尚早だと思いますので、年金法で定めている1年半の時点で状態を確認するという意味で、なお書きで記載しています。
 その下のまた書きで、失語の障害については、本章「第6節 言語機能の障害」の認定要領により認定するというところです。言語障害の中で脳性の障害についても、そちらで認定することになっていますので、言語障害のほうで認定するほうがいいのではないかということでこちらに記載しています。実際に言語障害がないケース、あるケース、多々いろいろあると思いますが、言語障害については第6節のほうで認定して、その他の症状については第8節の精神のところで認定します。障害年金の障害の程度について2つ以上の種類があるときは、先ほど申し上げた併合認定というルールがあります。併合認定のルールを使って、実際に等級を判断する形でいいのではないかと考えています。こちらも先生方のご意見を承りたいと考えています。
 (6)の「日常生活能力等の判定に当たっては」というところです。先ほどAの統合失調症のところで説明したように、知的障害・発達障害のところで就労状況を記載したのと同じように記載を直したというところです。
 てんかんも同じように「介護」を「援助」と直し、総合認定というところをまた書きで追加したところが変更点です。基準については以上が見直し案のたたき台の修正箇所です。
 続いて診断書についても説明をしたいので、見直し案と現行の診断書をお開きください。今回の見直し案は、表の面の1面のところだけを修正しています。修正箇所は青い線で囲んでいます。認知障害のところに高次脳機能障害の症状でどのような障害が出ているかを記載するということで、3番の認知障害で書いています。2の認知症の軽度、中等度、重度、最重度という程度について前回削りましたが、あったほうがいいという意見があり、戻しています。認知障害のアとイは失行と失認だけで、本来はここに失語も入りますが、失語については言語の診断書のほうで見るということで抜いています。ただ、先生方があるべきだということであれば記載するべきかなとは思います。ここに丸を付けられると、そこもこの診断書の中で判断するのかということになってしまうので抜いてほしいという要望があり、このような形にしています。記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害、高次脳機能障害の主なものについて丸を付けられるようにしています。下方の青い四角は、以前のほうを見ると薬物の関係の離脱というのが入っていましたが、離脱がある状態で年金の請求をしてくることはあり得ないのでおかしいというご指摘がありましたので抜いています。ここは今回のものに直接関係ありませんが、診断書としてはおかしいということで抜いています。
 7の知能障害等をどのように書くかというのが大きなところになると思います。ただ、これだけでは不十分だということであれば、場所的には限られますが、必要なことを書いていただくという意味で何か意見があれば取り入れていきたいと考えています。以上が診断書の変更点です。
○中島座長 障害認定基準および診断書、ならびに事務局の見直し案を丁寧にご説明いただきました。議論に移る前に私のほうから1つ確認をします。Aの統合失調症、統合失調型障害あるいはCのてんかんの部分について今説明をいただきましたが、この会議で議論を入れてもいいものか、知識として聞いて議論の対象にはしないのか、どちらですか。
○小杉障害認定企画専門官 今回の議論はBの器質性のところになります。AとCについては文言の整理ですので一応説明しましたが、議論はBをお願いしたいと考えています。
○中島座長 Bの症状性を含む器質性精神障害という項目に限定して質疑応答、意見交換を行いたいと思います。いかがですか。冨永先生どうぞ。
○冨永委員 国民年金の診断書を18年ぐらい見ています。うちは精神保健福祉センターですから手帳も判定していますし、同じような診断書で。例えば手帳でいえば、高次脳機能障害では、F04、06、07がそれぞれ該当すると、これに限るように書いているのです。実際に出てくるものを見ると、ヒアリングのときにも言ったのですが、福祉の診断書は精神科医が書き慣れているかなと。次はリハ科の先生。精神科とリハ科だけなのですが、神経内科はまあまあ、小児科はまあまあ、脳外科になると全然だめという感じです。助ける後に人生があるのですが、その辺の福祉的な観点がないと。
 今日はてんかんは議論の対象ではないのですが、てんかんの診断書を高いお金を出して書いてもらっているのに全部1番、一番上の1番、何も障害がないと。電話で問い合わせましたら、こんなにふうに言われました。発作がないときは普通の人ですと。最近月に一遍ぐらい、2~3カ月に一遍あるのではないのかと、危険を守れないでしょと聞いたら、それでも発作がないときには正常です、精神症状はありませんと。精神症状と発作を勘違いしているのではないかなと思います。脳外科の先生などが分かっていないのは、単身で生活する場合を想定して書いて下さいということが分かっていないのかなと。例えば、食物は嚥下がきちんとできる、こぼさずに食べられるとか、そのレベルで判定しています。精神科医は、一人暮らしをしてインスタントラーメンばかりを食べたらだめだという感じで判定しているわけです。
 今日は議論の対象ではないですが、てんかんも重要な問題です。従来の診断書でも器質性精神障害、F04、06、07で精神科医やリハ科の先生は書いていたのですが、苦手の脳外科と小児科の先生にしたら診断書が記載できるように、書きやすいように手帳や年金も改訂されてきているのかなと。そうしなければ通るべき人が通らなかったら困るなと思っています。
 特に1番はうちの仕事でもありますが、行政的な医学的な意味の高次脳機能障害を加えられたら全部高次脳機能障害ですが、行政的には下の4つです。短期記憶障害、遂行、注意障害、ここはわれわれは分かっていますが、多くの脳外科の先生には分かっていないのではないかと思います。ここに例がありますし、これで大体書きやすくなったと、診断書の様式も少し変える点はあるかもしれませんが、非常にいいのではないかと思っています。
○中島座長 大橋先生。
○大橋委員 私はリハビリテーション科医師です。高次脳機能障害に関連しては、交通事故の損害補償における高次脳機能障害認定システムの創設や改訂作業に関わったことがあります。この認定システムにおいては、2種類の議論がありました。
 1つは入口の問題です。入口というのは、認定作業を開始する対象か、「外傷による脳損傷」を経験した事例であるかについて正しく判断できるだろうかという問題です。自賠責の高次脳機能障害認定作業は、提出された書類と神経画像をもとに行われます。したがって認定用の書類にどのような質問項目が用意されていれば、器質的障害と機能的障害を区別できるのだろうかという問題になります。たとえば軽症脳外傷などの意識障害が無いか軽度で、しかも画像にも異常が無い、しかし、外傷後の生活困難が著しい。こうした事例を考えたときに、審査用の診断書のつくりが適切であるかどうかという議論です。
 もう一つの議論は、入口に対して出口ともいえる障害等級判定の問題です。外傷による脳損傷があったと認定できた場合に、この人の障害が何級であるかを的確に判定できる審査書類になっているだろうか、という点です。
 さてさきほどのご説明で、障害年金診断書の表側に記載されている一部の語句の修正と、診断書作成要項の一部について改訂が検討されるとのこと。その場合に、改訂される診断書にもとづいて、障害等級判定の実務を行っておいでの先生方は、審査対象が器質的精神障害を持つ人であることを正しく判断できるのでしょうか。いわば自賠責審査における入口の問題が、障害年金診断書の訂正でクリアされると考えて良いのでしょうか。つぎに出口の問題です。今回の検討では診断書の記載要項が訂正され、「仕事ができても日常生活に困難な人はいるのだから、仕事ができているからといって年金支給の対象外にしてはいけない」といった内容の文言が加わるということです。それは適切な改訂だと思います。しかし診断書の裏面の障害等級判定に関わる部分には変更が無いとのことであり、障害等級判定実務にあたっておいでの先生方は、裏面の改訂が無くても判定作業に不都合がないのでしょうか。
○冨永委員 左側の日常生活能力の判定はできるから、助言、指導して、もしくはできないと。日常生活能力の程度は5段階ですから、県によっては違うかとも思いますが、左から2番目と3番目が半分ずつぐらいあって3とか4だったら2級にしているかなと。できるとか、その次が半分ずつぐらいだったら2でも3級、そんな感じです。5番目が多ければめったにありませんが1級になる。一応手帳はそうです。
 私がびっくりしたのは意外と年金の1級が多いと。そんなはずはないと私は思います。手帳では1級は1割、2級は7割、3級は3割か2割5分ぐらいではないでしょうか。県によって違うと思いますが、1級は5%かもしれない。従来の手帳の基準などで先生なりに考えているのではないかと思います。
○加藤委員 今大橋先生が言われたことで幾つか問題点があると思います。入り口のところは高次脳機能障害と判定するかどうかという大問題があります。マイルドTBIといわれる意識障害が非常に少なかったり、なかったりするケースや、本当の頭部外傷を満たすか満たさないか分からないような、頭部外傷後遺症の判断基準を満たすか満たさないか分からないようなところは今日本でもまとまっていませんし、外国でも非常にまとまりが悪いところです。非常に軽度の頭部外傷後遺症を含んだ入り口の軽いところは問題があると思います。等級判定にするとその人たちはそんなに重くないので、この診断書に関してはあまり問題がないだろうと思っています。MRIや脳波など何も所見がなくて、発症時に意識障害がない人たちについては問題はあるのですが、この診断書にはあまり関係がないのではないかと思います。
 等級判断は、何とかうまく1級か2級か3級かできるようになっているのではないかと私自身は思っています。
 診断書のマル10欄の障害の状態のところですが、今気付いてみると失語の問題が残ると思います。失語の等級で1級はないですよね。
○小杉障害認定企画専門官 失語は2級以下です。
○加藤委員 失語を持っていて、それにプラス記憶障害があったり、行動障害が非常に著しいケースがあり、どうにもならない人がいるのです。それを失語だけで申請すると2級以上にいかないので、障害をもって複合すれば1級だというケースがあるので、失語をどうするかというのは議論になるだろうと。
○小杉障害認定企画専門官 今のケースでは失語が2級になり、その他の高次脳機能障害の症状が2級であれば、2+2で1級に上がるので。今まで言語障害では失語だけで2級までしかいかないという上限があったのですが、併合判定をすると逆に重く出るのではないかという話を事務方のほうとしたことがありました。先生が言われるように、失語症の方は言語の機能だけの障害の方と違って実際に言葉が出ないということで、声が出ないだけではなくて、いろいろなところに影響してきているはずです。認識が違って違う言葉で出てしまうとか、ものが分かっていないとか、話が分からないとか、そういうことまで含めて失語症としてくくっていますが、声が出ないという機能だけの障害よりも、日常生活などは重いはずなので、今までの機能障害で見ているときのほうが日常生活が加味されていなかったのではないかと思います。
 日常生活の部分は精神のほうで他の部分と一緒に見ることで、最終的に併合して1級相当になる可能性があるというところで、この辺が妥当なのかどうかも先生方に議論をいただきたいと考えていました。
○加藤委員 失語がここにあったほうがいいですね。
○小杉障害認定企画専門官 失語はあくまでも言語で見て、精神のほうの診断書で見ていただくのは失語を除いた他の部分です。ただ、失語が持っている日常生活の部分は、他の記憶障害や遂行障害などと合わせた日常生活の支障度の中で混じってしまうと思いますが、日常生活の支障度は精神のほうで見ることになると考えています。
○加藤委員 用語の問題で難しいのは、知能障害等というところの骨格は大体これでいいと思いますが、1番に知的障害とあります。知的障害の場合は別の項目ですよね。知的障害という用語は前から気になっていたのですがDですよね。18歳以下の発達期にあらわれる。
○小杉障害認定企画専門官 そうです。
○加藤委員 ここに知的障害という言葉を使っていいのかといつも思っているのですがそれでいいですか。この知的障害は昔でいう精神発達遅滞のことを指すことになるのですか。
○小杉障害認定企画専門官 ここは知的障害等でくくっていますが、知的障害は昔でいう精神発達遅滞です。
○加藤委員 精神発達遅滞があり、なおかつ、さまざまな高次脳機能障害や精神障害が絡んでいる場合に、ここに丸が付くと考えて。
○小杉障害認定企画専門官 両方に使っているのです。例えば、知的障害がない方で発達障害がある方については、知的障害等のところで、4の学習障害や、発達障害の中には注意障害や社会的行動障害など同じような障害がありますが、そういうものがあればこちらに付けていただくことになります。
○加藤委員 1番は高次脳機能障害ではないのですね。
○小杉障害認定企画専門官 そうです。
○加藤委員 2、3、4が高次脳機能障害という。
○小杉障害認定企画専門官 こちらはカテゴリーとしてBとDとE、器質性の精神障害の高次脳機能障害や知的障害など。
○加藤委員 BとDとEを含むということ。
○小杉障害認定企画専門官 その中で出てきている症状をこの中で書いていると考えていただければと思います。
○加藤委員 分かりました。
○大橋委員 今回改訂される診断書の知能障害等のところに、学習障害の語句があります。発達障害の中で学習障害、読み書きの障害のお子さんの場合にここに丸をするのであり、脳外傷などによる認知障害で読み書きができないのは、記憶障害のほうに丸をするということですか。
○小杉障害認定企画専門官 実際にはそのようにつくっています。発達障害でどういう障害があるかを書こうとしたときに、学習障害だけで障害年金の等級に該当することは少ないと思います。発達障害の症状としてこれだけを抜くのもおかしかったので、手帳のほうもそういったものを一緒に入れていましたので、症状として確認するという意味で入れています。ある意味、発達障害で書いていただく部分だと考えています。
○加藤委員 混乱して広がるのでよくないかもしれませんが、本当のアカデミックな分類では4の学習障害は発達障害、関連障害の中に入るのですね。
○小杉障害認定企画専門官 そうです。
○加藤委員 そこまでいくと、発達障害のEのほうに話がいかなければいけないので大変なことになります。ここに置いておいたほうがいいのかなとは思いますが。
○小杉障害認定企画専門官 23年の4月から精神障害者の手帳で、発達障害、高次脳機能障害の部分の基準の改正が行われ、診断書も一部改正されました。私どものほうもそのときに一緒にしなければいけなかったのに遅れていますので、今回順々にやっています。その中で発達障害の関連症状を記載したのですが、同じように私たちもここに入れさせていただきました。そのときに学習障害をどちらに入れるかというのも悩んだのですが、手帳の書き方に合わせたという経緯があり、ここにカテゴリーとして入っています。
○中島座長 座長から議論を整理するために意見を述べます。ただいま加藤委員から出ました、学習障害は発達障害ではないかという議論は、学問的にはという断りが入ってのご意見でした。基本的に発達障害という病名は行政的に何を示すかというと、発達障害者支援法に定められたものということになります。従って、外傷性の損傷であっても子どもであるなら発達障害になります。その辺の割り切りは先ほどの知的障害もそうですが、精神・知的・身体の3障害を意識した用語ですので、それを踏まえた用語であるとご理解いただくと理解しやすいと思います。
 7の知能障害等を今ご議論いただいていますが、私から事務局への質問です。精神障害者保健福祉手帳の申請に当たっては冨永先生がよくご存じだと思いますが、冒頭の障害の原因となった傷病名のところに、障害者手帳の場合には高次脳機能障害という一言を大前提として記すことが可能になりました。従って、そこに高次脳機能障害と書いて、ICD-10コード、04、06、07と入れるということです。そこに大前提として高次脳機能障害という言葉が記されると、7の知能障害等もどういう意味で使われているか分かる仕組みになっています。7だけにとらわれていると、非常に混沌としてくる部分があります。これは傷病名と書いてありますから難しいのですが、その辺の整理はどうなりますか。高次脳機能障害という言葉を使うか、使わないかという。
○小杉障害認定企画専門官 実際には作成医の先生に委ねられているところです。今大半は高次脳機能障害と傷病名を書いてくる先生が多いようですが、中には違う傷病名で書いている方もいます。年金を認定するに当たって基本的には傷病名にとらわれず、どのような障害が出ているかで認定する立場です。ここに書かれている傷病名は、認定医の先生が症状を判断するに当たって参考にしているところだと思います。病名が何であっても障害が年金に定める障害の状態に該当するかいなかで判断しなければいけません。書かれている診断書の中身が妥当であるか、もしくは書かれている症状とかい離がないかを先生方が判断するに当たり、傷病名、病歴、経過を読んで、確かにこの障害だというところから、その下の障害の状態などを判断されていると考えています。
○豊原委員 私は年金機構で主として内部障害の障害等級の認定をしています。しかし、認定医の数が足りないなどで、精神医的な疾患の認定をやらなければいけないことが結構あります。それで最近気が付いたことは、高次脳機能障害の中に言語障害がありますが、高次脳機能障害があって言語障害で請求する、さらに精神の診断書で請求すると、ダブルで請求してくるのです。失語症以外に失認、失行、注意障害、遂行機能障害があるのです。それを簡単に併合すると上位等級になるのですが、それは総合的、全体的に見なければいけないと感じました。
 神経内科の先生に多いのですが、診断書を書くときに、裏面の精神障害にすごくこだわるのです。高次脳機能障害は精神障害ではないと。精神障害のところを一切書かずに、2~3人の神経内科の先生方の診断書を見ると、知的障害のところに書いてあります。知的障害のところに書いていいのかと。そこは精神遅滞だろうと言うのだが知的障害のところに書く。絶対に精神障害に書かないです。神経内科の先生方も書くということで、診断書の書き方を改めていただきたいというのが現場からの声です
○中島座長 現場でのそのような混乱は重々承知しています。そこに議論が集中することは非常に多いと思います。したがって、周知については大変重要で必要なことだと思います。それについての議論は後回しにしていただいて。
○大橋委員 高次脳機能障害と失語症を併合できるという考え方についてですが、別の診断書の失語症というのは、言語中枢が損傷された巣症状としての失語症が主体だと思います。原因疾患が脳梗塞とか、明確な巣症状と判断できる場合はいいのですが。しかし、脳外傷の人で脳があちこち壊れると、巣症状としてではなくコミュニケーション障害が起きたり、あるいは、さまざまな認知障害に失語症も混在する場合があります。そういう場合には、失語症を別の診断書に記載して併合で上位等級を求めるのはアンフェアな気がします。高次脳機能障害とコミュニケーション障害を合わせて、日常生活にどういう困難があるかで総合的に判断するほうがいいと思いました。いかがですか。
○冨永委員 併合認定のことはおっしゃる通りで、ぎりぎり2級で1級になるケースがあります。これは総合判定しかないと思います。だから失語症はどちらかに入れなければだめなのです。両方とも失語を取ると、2級、2級になって1級になりますから、神経内科の神経疾患のほうに。逆でもいいのです。こちらのほうに入れてもいいのですが、そうしなければ混乱が起こるかなと思っています。
 高次脳機能障害の場合に自賠責などは、入院時の画像所見でびまん性の軸索損傷がなければだめとか、数日間の意識障害がなければとか、結構厳しいです。そうなると、テストバッテリーも最初に当たる脳外科がやっているわけです。診断書を書くときにそういう資料を付けようとすると、脳外科に書いてもらわなければいけないのだが書き方があまりうまくないと。精神科は書けるのだが一次情報をもらえない可能性がある。協力的な病院もありますが、その辺をどうにかしなければなかなかうまくいかないと思います。
○加藤委員 失語症はあったほうがいいような気がしてしょうがないです。一括してこちらに入れたほうがいいような気がします。それは難しいのかな。
○小杉障害認定企画専門官 診断書の中に入れるのは、症状としてあることを記載することは問題ないです。ただ、認定自体をどうするかというところです。実際に失語で声が出ないという判定の仕方が、会話が成り立たないとか、全く声が出ない、家族とも会話ができないという状態で2級相当です。機能が損失している人でも同じ2級なので、2級とその他の精神疾患のほうで見るもので、重過ぎるという判断になるかどうかというところです。
 脳血管障害で肢体と言語が出ている場合は併合認定で、肢体が何級、言語が何級で合わせてというやり方を現実にやっています。それに合わせた形で、今回きちんと切り分けるべきかどうかというところです。先生方が、症状全体として足し算では重過ぎるということであれば精神のほうで見て、逆に言語のほうから抜かなければいけなくなると思います。本当に失語症のみしか出ていないケースもあると伺っていますので、その場合は言語で見て、その他の周辺症状があるのなら精神のほうで全体像で見るのが望ましいのか、そこを整理しなければいけないと考えています。
○中島座長 私個人の印象を述べれば、各先生の言われていることはもっともなことで、それぞれの立場からは理解できるご意見だと思います。しかし、障害者手帳のときには失語を除いて、年金の場合は急に失語が入るというのも分かりにくい。一方で、大橋先生が言われるように、外傷性脳損傷の場合は脳血管障害の巣症状のようなクリアカットのものではない、あえてコミュニケーション障害という言葉を使ったほうがいいということもあります。そのときには、5番にその他というところがあり、カッコの中にそれを付け加えることができます。取りあえず議論としては承ったのですが、ほかの制度との整合性というものを議論の中心に捉えて、もう一度考えてみる必要はあると思います。
 先ほどの入り口論です。意識障害が軽いのに後遺障害が残っているという、それをどうするのかという議論がありました。あくまでも障害者年金は後遺障害について取り扱っているわけです。意識障害が軽かったから認めないとか、そういう議論をする場ではないと思います。後遺障害の程度によって判断するのが。そこはわきまえたいと思います。
 後で議論を整理する必要上、委員の先生方に確認したいのですが。小杉専門官の説明の中に認定医という用語が出てきました。資料4のタイトルは障害認定基準及び診断書です。また、皆さま方の議論の中では判定という言葉が繰り返し出てきます。診断書を書く人を認定医と呼んでいるのか、あるいは最後の等級を、冨永先生のお立場でいる人を指すのか。判定医は、診断医は誰のことを指すのか議論の上で混乱をきたしつつあります。冨永先生の精神保健福祉センターで診断書を受け取って等級を決めたり、携わる方が認定医ですか。
○小杉障害認定企画専門官 障害年金の場合は、提出された診断書を年金事務所で受け付けると、国民年金の場合は47の事務センターがありますので、そちらで冨永先生のように認定医を委嘱されている先生方が判定します。そのような先生方が認定医です。認定基準に基づき、障害等級を決定する方が認定医です。豊原先生は厚生年金のほうをやっていただいています。実際に障害年金の等級に該当するかどうかの判断をする方を認定医と申しています。
○中島座長 認定と判定は同義であると?
○小杉障害認定企画専門官 そういうことになります。
○中島座長 診断書を書く人は診断医ですか?
○小杉障害認定企画専門官 通常私どもは作成医と申し上げています。どの先生でも、本人がかかっている先生に診断書を書いていただけることになっていますので、通常私どもは作成医と言っています。
○大橋委員 失語症の問題ですが、冒頭に豊原先生は障害等級を判定される立場で、診断書が2枚出てきて等級が上になる場合があると話されたと思います。総合判断ではなく2つの障害の併合で良いとした場合、認知の問題がたとえば記憶障害などで3級程度にとどまるのに、失語症を併合すれば上位等級の2級になる。そうであるならば脳外傷などで広範な損傷があって、その一部に言語中枢も含まれている事例には、積極的な意味で高次脳機能障害の診断書に失語症の診断書を追加したほうが患者の利益になる場合がある。そのように考えていいのですか。
○中島座長 専門官はいかがですか。
○小杉障害認定企画専門官 全体像で全部を見るのであれば1枚が望ましいと思いますが、実際に言語について細かく書ける診断書ではないので、言語の部分をきちんと確認する意味では別の診断書で見ているほうが、より障害の状態は確認できる。ただ、今回の高次脳機能障害の失語は、機能を損失しているだけではなく脳の中の部分がありますから、そこが本当に言語のほうで見ていいのかというところは、これまでも議論があったのではないかと思います。過去の認定基準をさかのぼって見ると、言語をつくった段階で既に脳症ということで入れていましたので、そういう議論も含めて言語のほうにカテゴリーしたのではないかと思われます。
○中島座長 私から大橋委員への質問です。先生が言われていることは、現行、併合認定という形で等級は上がるという便宜さは保証されていますが、先生のご指摘は1枚の紙でやれなければ面倒ではないかということですか?
○大橋委員 日頃診断書を作成する立場からお話しすると、肢体不自由と失語症が併存する場合に、2枚の診断書を書く場合があります。正直なところ、書かなければならない書類が多いのは面倒と感じています。しかし、必要な診断書は書かなければならないので、医学的に失語症も併存すると診断できる事例で、高次脳機能障害と失語症を併合して上位等級になる場合には、2枚の診断書を書くこともやむを得ないのではないかと思います。
○中島座長 現実に高次脳機能障害をお持ちの方は半身マヒを伴っている場合もあるし、運動機能障害を伴っていることが非常に多い訳です。結果として2枚書く場合は非常に多いのです。失語が現行の取り扱いで精神のほうに入っていないということの、作成医の先生方に極端な混乱と不自由を呈していると思わないことがありますが、そうでもないのでしょうか。
○大橋委員 私は併合できることを知らなかったので、コミュニケーション障害を高次脳機能障害として診断書1枚しか書かなかったのです。
○豊原委員 実際に認定の判定の現場では、高次脳機能障害の一部分症として失語症もあると。しかしそのほかの高次脳機能障害もあるという場合に、2枚出ることは結構まれならずあるのです。その場合にどうするのか。併合していいのか、総合的に見ていいのかというのは非常に迷います。しかし、精神の診断書を見たら、失語症のことも一生懸命書いてあるのです。これは失語症も含めた精神の障害として見るのだから、純粋に言語だけの障害はオーバーラップしているわけですから、それをオミットして精神だけの診断書で総合的に認定するというケースも、まれならずあるかなと思います。
○小杉障害認定企画専門官 今まではそこがきちんと書かれていないので、実際に精神のほうに書かれていたり、別の診断書が出てきたりということで、認定の現場は混乱していたのではないかと思います。1つにしてしまうのか、きちんと切り分けて書くかというように整理したほうが、認定する側、書く側もきちんと書けるようになるのではないかと思います。いかがですか。
○中島座長 今の意見についていかがですか。
○加藤委員 とても難しいと思います。失語症そのものは声が出ないとか、聞こえないということではないので、シンボルそのものの認知が壊れていくということなのです。前頭葉性の失語の場合は思考の障害もベースに入ってくるので、かなり難しい問題があると思います。言葉として書くこともできるし、行動として書くこともできるのです。そうすると、確かに2枚出てきたときに非常に困るのではないかと思いますが、はっきり2枚出してくださいと決めるか、1個にまとめてくださいと。1個にまとめると構音障害の人は別ですが、失語症の人は言葉が出ないというだけでは絶対ないので、行動の障害とかほかの認知障害などがコミュニケーション障害も含めて入ってくるので、1枚にしなさいというとこちらになると思います。この中に失語症も重いという記載がいっぱい出てくる。私も書くことがあるのですが。そうすると、どちらかに決めればいいと思いますが、それはその判定をしたほうがいいと思います。
○中島座長 この問題については、障害者手帳のほうにも同じ問題がありまして、失語症の患者が身体障害者手帳を取得するときの状況は、ほとんどが右半身マヒを伴っているケースです。運動機能障害だけで取っていて、音声言語障害がないということがしばしばあります。障害者手帳についても同じ問題がありまして、障害者年金に特有な問題ではありません。従って、これを解決することが今の議論なのか、先ほど申し上げた通りに周知を徹底することで解決すべき問題なのか。この専門家会議は3回、回を重ねることにしていますので、次の機会までにいかなるものかということを委員ともども吟味して、次の議論に反映させたいと思います。その点はこちらからよろしくお願いします。
○大橋委員 別のことですが、先ほど中島先生が言われた精神の診断書は高次脳機能障害と書いて、F04、06、07と書けばよくなったということですが、年金の診断書のサンプルで出てきている、3人の先生が書かれているのは、はなから高次脳機能障害となっていて、器質性精神障害ではないです。私はいつも器質性精神障害F06という書き方をしていました。年金の場合もサンプルで出ているように、高次脳機能障害と書いておけば高次脳機能障害だということで、入り口論が解決するという考え方でよろしいですか。
○中島座長 今日サンプルとして出てきた3枚の診断書を見て、期日や施設等を考えると、精神の手帳の基準の書き方が変わったときにオーソライズしたと理解して高次脳機能障害を記されたのだと思います。しかし、年金局のマターとしては実際にそれをオーソライズしたかどうかについては定かではないですが、いかがですか。
○小杉障害認定企画専門官 先ほども話したように、必ず高次脳機能障害と書いていなければいけないとは作成側には伝えていません。どういう傷病名で来たとしても状態を見るという考え方ですから、今までどちらで書いてくださいという指示をしたことはないです。
○中島座長 手帳の方はそうではなくて、以前は高次脳機能障害という用語を使えず、器質性精神障害という表現も使わなかったのです。器質精神病という表現でずっと通してきましたので。積極的にそれを使うことが良くないと言ってきたので、年金の診断書に高次脳機能障害という言葉を使ってもいいのかというのが今の質問です。
○小杉障害認定企画専門官 全く問題ありませんので、先生の判定した傷病名を書いていただくということで。
○加藤委員 私の意見ですが、日常的にはICDのコードで器質性精神病ないしは精神障害と書いて、その下に高次脳機能障害と書いています。それが一番いいと思います。しかしこれは傷病名なので、先ほど脳外科の先生の、精神の障害というのはおかしい、書けないという文章を見て、ここは器質性精神障害とか病と書いた上で、高次脳機能障害を付け加えるというように決めるわけにはいかないかもしれませんが、高次脳機能障害1本を受け付けるということでもいいと思います。基本はそうしてほしいということをやったほうがいいのではないかと思います。
○小杉障害認定企画専門官 そういうことであれば、私どものほうは診断書の様式を変えたりしたときに、作成要領を作成して本人に配布したり、関係団体のほうにホームページ等の掲載をお願いしていますが、その記載要領を作成する際に、疾患についてはそのように表記してほしいということを周知することは可能です。
○加藤委員 付記で注意書きを付けておくのがいいと思います。全体的なことですが、脳外科の先生は精神障害と付けにくいので、この委員会で決められることではないと思いますが、精神および行動の障害を認めるというようにしておくと、脳外科の先生は割といいのかなと思いました。最後の判定のところです。そうすると脳外科の先生もつけやすいですかね。精神障害というよりも。
○中島座長 脳外科の先生だけではなくて、書きづらい先生はたくさんいらっしゃいます。その点について精神の手帳に関しては記載見本を作り、このように書くのがよろしいということで、今は高次脳機能障害情報支援センターでも記載見本をネット上で公開しています。そうすることが1つの便宜かなと思います。
 定義上、高次脳機能障害とは脳損傷に起因するということをうたっていますので、脳損傷に起因した後天性のものでということは一応定義上は出来上がっているというのが、私の見解です。
○冨永委員 神経内科や脳外科、精神の先生で、説明すると分かってくれる先生が8割ぐらいです。てんかんの発作がある場合は身辺の安全保持および危機対応ができないですよねと。高いところで発作があれば転落するかもしれないとか、天ぷらをしているとやけどをするかもしれないとか、見ていなければいけないですよね。そういうことを説明すると「一定の制限はありますよね」と言ったら「じゃあ、そうしてください。2番に丸をしてください」と。そうしたら手帳がもらえる。年金ではなくて手帳の場合です。3級があれば障害者枠の雇用などができるということで、そこから説明していかなければいけないのです。
 今度の年金の改正でAとかBの発作が月に一遍以上あると結構もらえるのに、本当はもらえるのにもらえていない人が結構いるのではないかと思います。脳外科、小児科、神経内科、リハ科、精神科のいろいろな先生が書いているわけですから。独自の福祉法がないから、てんかんは神経疾患だが精神保健福祉手帳などに入ってきています。年金も一緒ですが。そのように理解していますが、その辺をどうしていくかは非常に難しいです。本来もらえる人がもらえない可能性があるかなと思います。
 精神症状ではないとおっしゃるのですね。それは分かります。発作がないときは普通ですとか。
○豊原委員 てんかんのことですが、私どもは精神の認定医の先生が少ないので、内部障害を認定して私がある程度認定しなければいけないことがあります。精神科の先生がてんかんの診断書を作成する場合、かなり精神障害のようなものをよく見て、きちんと書いていただけるのですが、神経内科や脳神経外科で割り切りのいい先生は、発作がないときは何もないではないかと。だからすべてADL能力の程度は1だとか、能力の判定も全部Aということがあります。そういうことで非常に不公平を生じています。てんかんは米国では神経内科医が見るんですかね。日本では元来は精神科医が見ていたのですが、いつのまにか神経内科の先生が多くなり、また、脳神経外科の先生が多くなったのではないですかね。
 やはり精神のことが分かるのは精神科の先生ですので、てんかんの診断書は、認定する側からすると精神科医に書いていただきたいと思います。
○加藤委員 高次脳機能障害とは全然関係ないですが、高次脳機能障害でもうつ状態が起こったり、そう状態が起こったりするので、あえて申し上げておきたいと思います。上のほうの1、2、3ですが、用語がおかしいです。これはここで決めることではないと思いますが、例えば、2のそう状態の感情昂揚という言葉は精神医学の中にはないです。思考奔逸は通常は精神神経学会の用語集では観念奔逸といいます。そう状態のところの誇大性という言葉も用語としてはないです。誇大的な思考とか誇大的な妄想、誇大妄想など。この辺の用語がいかにも古くさいと思っています。どこかの機会で何かがあればよろしくお願いします。
○冨永委員 感情の鈍麻はドイツの医学です。今は感情の平板化となっていると思います。学会ではfluttering emotion、それは新しいものに変える必要があるかもしれないです。今日の場ではないですが。
○中島座長 ほかに何か意見はありますか。
○大橋委員 障害認定基準はどのように配布されているのですか。書類は普段目にするのですが、この人がどのような状況だと何級になるのかと、今日これを拝見して確認できたのですが、これは広く配布されているのですか。それともそうではないのですか。
○小杉障害認定企画専門官 今はこれは通知で出ています。通知としてはホームページ上に掲載していますので、どなたでもご覧いただけます。基準のほうですが、このような形で本として外部に出ていますので、先生によってはこのようなものをお持ちの先生もおられます。こちらのほうからいつも作成していただく先生方に出しているわけではないのですが、公開されている通知の中でご覧いただくことになります。
○中島座長 ほかにありませんか。
 今日は第1回目として、事務局から現行の取り扱いおよび改正案について説明をいただき、いくらかの議論を重ねたわけです。議論の焦点は高次脳機能障害の障害年金認定がこのような認定基準ならびに診断書の書式の見直しにより、前に進むだろうということにあり、これについては異論がないということの確認ができたと思います。その大前提の上にいくらか調整したほうがいい事柄、あるいは共通認識をつくったほうがよろしいということについての議論がなされました。その多くは誰が書くのか、どのような病態を指した用語なのかという、診断書式を作成するまでの手続きに多くの議論がなされたように思います。しかしながら、そこの背景に大きな理念上の問題で控えているものがあり、これは今後の議論においても慎重に取り扱うべきものだと私は思っています。
 今日議論いただいたことを記録に残して、それをたたき台にして次回からの議論をより充実したものにもっていきたいと考えます。
 いくらか時間を残していますが、委員の方々の中でこれだけは今日述べておいたほうがいいだろうという事項がありましたら承りたいと思います。いかがですか。
 一通り委員からのご意見も今日のところは終了したということで、本日の議論はここで終わりにしたいと思います。次回の日程等について事務局から説明をお願いします。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 本日はありがとうございます。次回の日程については12月12日水曜日、午前10時からの開催を予定しています。後日改めて開催場所の連絡を差し上げたいと存じます。
 次回は本日いただいたご意見等を踏まえて、確認したい点を項目ごとに示して、ご意見を伺い、その都度整理したいと考えていますのでよろしくお願いします。
 また、本日お配りした認定事例については、後ほど回収しますので机の上に置いておいていただければと思います。
○冨永委員 場所は厚生労働省でいいのですね。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 後ほど連絡します。
○中島座長 本日の会合はこれにて散会とします。ご協力ありがとうございました。


(了)
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