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2012年11月7日 第1回運動基準・運動指針の改定に関する検討会 議事録

健康局がん対策・健康増進課

○日時

平成24年11月7日16:00~18:00


○場所

厚生労働省 22階 第14会議室


○議題

(1)身体活動・運動に関する現状と課題
(2)改定に向けた論点について
(3)運動基準とその対象者について
(4)その他

○議事

出席者
 構成員
  鎌形 喜代実 市川市こども部部長
  下光 輝一  公益財団法人 健康・体力づくり事業財団理事長
  鈴木 志保子 神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部栄養学科教授
  鈴木 隆雄  独立行政法人 国立長寿医療研究センター研究所長
  須藤 美智子 ソニー健康保険組合事務長
  田中 喜代次 筑波大学体育系大学院人間総合科学研究科教授
  田畑 泉   立命館大学スポーツ健康科学部部長
  戸山 芳昭  慶應義塾大学医学部整形外科学教室教授
  内藤 義彦  武庫川女子大学生活環境学部食物栄養学科教授
  福永 哲夫  国立大学法人 鹿屋体育大学学長
  藤川 眞理子 葛飾区保健所金町保健センター所長
  道永 麻里  社団法人 日本医師会常任理事
  宮地 元彦  独立行政法人 国立健康・栄養研究所健康増進研究部長

 厚生労働省
  矢島健康局長
  宮嵜がん対策・健康増進課長
  佐藤がん対策・健康増進課長補佐
  菊地がん対策・健康増進課長補佐


○宮嵜がん対策・健康増進課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから、「第1回運動基準・運動指針の改定に関する検討会」を開催させていただきます。
 委員の皆様には、御多忙のところをお集まりいただきまして、御礼申し上げる次第でございます。
 厚生労働省健康局がん対策・健康増進課長の宮嵜でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 健康局長の矢島も出席の予定でございますが、他の公務のために若干遅れております。到着次第、御挨拶させていただければと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 この検討会は、平成18年に策定いたしました「健康づくりのための運動基準2006」、「健康づくりのための運動指針2006」を、新たな知見等を踏まえて見直す必要があるだろうということから、この検討会を設置する運びとなったところでございます。構成員の皆様におかれましては、日ごろから、それぞれのお立場で国民の皆さんの健康づくりに御貢献いただいているところでございますが、この検討会におきまして、是非、皆様方から忌憚のない御意見、御議論を賜ればというふうに思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、構成員の皆様の先生方を御紹介させていただきます。お手元に、1枚目に議事次第、2枚目に座席図がありまして、その次に資料1がございます。資料1の2枚目に構成員の名簿をつけさせていただいておりますが、この名簿の順に従いまして御紹介させていただきます。
 まず、鎌形喜代実構成員でございます。
○鎌形構成員 皆様、初めまして。千葉県の市川市から参りました、鎌形と申します。江戸川区に隣接しております47万都市でございます。現在、市川市は市民の健康ということで、健康都市の宣言をしている市でございまして、健康という切り口の中でさまざまな事業展開をしているところでございます。
 私自身は、スタート時点では保健の分野で保健師として活動しておりました。そして介護保険に携わらせていただいて、その後、現在は子どもの分野に携わらせていただいております。健康という視点はとても重要だと思います。特に行政の中でもなかなか成果を上げにくいところでございますが、評価の在り方とか、次につなげていく方法等について一緒に検討していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○宮嵜がん対策・健康増進課長 ありがとうございます。
 続きまして、下光輝一構成員でございます。
○下光構成員 下光でございます。今年の3月までは東京医科大学の公衆衛生学を担当しておりました。その後、公益財団法人健康・体力づくり事業財団の理事長を拝命しております。この運動基準・運動指針につきましては、前回の委員会でも何人かの先生方と御一緒に検討させていただいております。よろしくお願いいたします。
○宮嵜がん対策・健康増進課長 よろしくお願いいたします。
 鈴木志保子構成員でございます。
○鈴木(志)構成員 神奈川県立保健福祉大学の鈴木と申します。よろしくお願いいたします。私は管理栄養士の養成校の教員でして、運動と栄養の関係は欠かすことができませんので、この基準・指針がしっかりと浸透できるように頑張っていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○宮嵜がん対策・健康増進課長 鈴木隆雄構成員でございます。
○鈴木(隆)構成員 国立長寿医療研究センター、鈴木でございます。どうぞよろしくお願いいたします。私は、特に高齢者の健康ですとか、自立の支援といったことに携わっていろいろやっておりますので、そういった領域でお話ができればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○宮嵜がん対策・健康増進課長 須藤美智子構成員でございます。
○須藤構成員 ソニー健康保険組合の須藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○宮嵜がん対策・健康増進課長 田中喜代次構成員でございます。
○田中構成員 筑波大学体育系の田中喜代次です。どうぞよろしくお願いいたします。
○宮嵜がん対策・健康増進課長 田畑泉構成員でございます。
○田畑構成員 立命館大学、田畑といいます。よろしくお願いします。
○宮嵜がん対策・健康増進課長 戸山芳昭構成員でございます。
○戸山構成員 慶應大学の戸山と申します。よろしくお願いいたします。
 私の専門は運動器を扱う整形外科を担当しております。どうぞよろしくお願いいたします。
○宮嵜がん対策・健康増進課長 内藤義彦構成員でございます。
○内藤構成員 武庫川女子大学生活環境学部食物栄養学科、内藤と申します。今まで、身体活動と病気との関係、医学研究についてやってきたのですけれども、今、栄養についても研究しております。よろしくお願いいたします。
○宮嵜がん対策・健康増進課長 福永哲夫構成員でございます。
○福永構成員 鹿屋体育大学の福永です。よろしくお願いいたします。
○宮嵜がん対策・健康増進課長 藤川眞理子構成員でございます。
○藤川構成員 葛飾区保健所金町保健センターの藤川でございます。臨床の専門が糖尿病でしたので、行政でも糖尿病対策に力を入れております。糖尿病予備群や糖尿病患者の予防や治療としての運動と、地域の健康づくりの一環としての運動について、お話ができればと思います。よろしくお願いいたします。
○宮嵜がん対策・健康増進課長 道永麻里構成員でございます。
○道永構成員 この4月より日本医師会の常任理事をしております、道永と申します。特定健診担当ということでこちらの席に参っております。よろしくお願いいたします。
○宮嵜がん対策・健康増進課長 宮地元彦構成員でございます。
○宮地構成員 国立健康・栄養研究所の宮地でございます。よろしくお願いいたします。
○宮嵜がん対策・健康増進課長 本日はすべての構成員の皆様に御出席いただいております。お忙しいところをどうもありがとうございます。
 続きまして、事務局ですが、事務局は座席図のほうで見ていただければということで、御紹介に代えさせていただきます。
 続きまして、事務局から資料の確認等をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○菊地課長補佐 それでは、配付資料の確認をさせていただきます。
 お手元にお配りしている議事次第、座席表のほか、資料1「開催要綱」、資料2「身体活動・運動に関するこれまでの取組み」、資料3「運動基準・運動指針の改定に向けた主な論点(案)を」配付しております。
 また、本日は構成員の方々から資料をいただいております。後ほど御説明いただきますが、下光構成員から、「運動基準・運動指針改定にあたって~ヘルスプロモーションの視点から~」という資料。宮地構成員から、「運動基準・指針の改定のための研究 システマティックレビューとメタ解析」という資料とその論文の2点です。鈴木隆雄構成員からは、「中高年期の運動の重要性」という資料をそれぞれ御提出いただいております。
 構成員の方々には、机上に参考資料として緑色のファイルを御用意させていただいております。こちらには、既に公表されております資料として、「健康日本21(第二次)」の資料、「健康づくりのための運動基準2006」「健康づくりのための運動指針2006」、平成9年の「生涯を通じた健康づくりのための身体活動のあり方検討会報告書」、平成5年の「健康づくりのための運動指針」、平成元年の「健康づくりのための運動所要量策定検討会報告書」、以上のものが入ってございます。
 こちらにつきましては検討会を通じて御利用いただくということで、本日は会議終了後、お持ち帰りにならず、机上に残していっていただきますようお願いいたします。もしお持ち帰りを御希望されるという構成員の方におかれましては、事務局までお申しつけいただければと思います。
 以上、資料の確認でございますが、もし不足あるいは落丁等ございましたら、事務局までお申しつけいただきますようお願いします。
 続きまして、本検討会の位置づけにつきまして、資料1の開催要綱をごらんください。こちらに基づきまして、私から御説明させていただきます。
 まず、「目的」に書いてございますとおり、これまで、身体活動・運動分野における国民の健康づくりのための取組みということに関しましては、平成元年の運動所要量と平成5年の運動指針を策定しました。平成18年には、運動基準2006、あるいは運動指針、いわゆるエクササイズガイド2006を策定いたしました。こうしたものを活用しながら普及啓発等に取り組んできたところでございます。
 ただ、平成18年の運動基準2006などの策定から既に6年以上経過しています。その間、身体活動・運動に関する科学的知見が蓄積されていること、さらに、来年度、平成25年度から健康日本21の第二次が開始するといったことで、これらの運動基準・運動指針の内容を改定する必要が生じているといったことでございます。また、昨年の最終評価でもお示しいたしましたが、現行の健康日本21においての日本人の歩数の減少が指摘されております。こうした観点からも、身体活動・運動の重要性について、普及啓発を一層推進する必要があるといったことでございます。
 こうした状況を踏まえまして、新たな科学的知見に基づき運動基準2006を改定するとともに、エクササイズガイド2006を見直すことを目的に、この検討会を厚生労働省の健康局長のもとに設置させていただいて、皆様のお力添えをいただきながら所要の検討を進めてまいりたいと考えております。
 「主な検討事項」としては、運動基準2006あるいはエクササイズガイド2006の見直し、関連しまして、普及啓発に係る方策について検討事項としておりますが、具体的には本日の議題にもございますとおり、改定に向けた論点を、今回、案としてお示しの上、御議論をいただくことになってございますので、その中で御議論いただければというふうに考えてございます。
 構成員は、本日お集まりいただきました13名の方々で構成させていただいております。
 その他、座長に関する事項、あるいは構成員以外の有識者等の出席を求める旨の事項等規定しておりますが、基本的には通常の検討会の開催要綱と同じように、この会議につきましては原則として公開の形で進めさせていただきたいと考えております。
 開催要綱の説明につきましては以上のとおりでございます。
 続きまして、本検討会の座長についてでございます。こちらにつきましては、開催要綱の4の(1)をごらんいただければおわかりになると思いますけれども、構成員の互選により座長を置くことにさせていただいております。
 座長につきまして、この場で御推薦等がありましたら、どなたかお願いできればと思います。
 宮地構成員、お願いします。
○宮地構成員 前回の基準・指針の策定にかかわっていらっしゃった、臨床、公衆衛生両面に精通しておられる、あるいは運動の安全性、効果共に見識がある観点から、慶應大学の戸山芳昭教授を座長として推薦したいと思います。
○菊地課長補佐 ありがとうございます。戸山構成員という御推薦がございました。
 ほかにどなたか、いらっしゃいますでしょうか。
 特に御異論ないということでございましたら、戸山構成員に座長をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
(拍 手)
○菊地課長補佐 ありがとうございます。
 それでは、戸山構成員、座長席のほうに移動をお願いしたいと思います。
(戸山構成員、座長席に移動)
○菊地課長補佐 以降の進行につきましては戸山座長にお願いしたいと思いますが、その前に、戸山座長から御挨拶をいただければと思います。よろしくお願いします。
○戸山座長 ただいま、座長に御推薦いただきました戸山でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 先ほど御説明がありましたけれども、次年度から第二次の健康日本21が10年間でスタートいたします。その中には健康寿命延伸ということで、特に運動が多く盛り込まれています。この検討会におきましては、よりよい運動基準・運動指針を示そう、つくろうということで、是非、皆様の御協力をお願いできればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○菊地課長補佐 報道の方におかれましては、撮影はここまでとさせていただきますので、よろしくお願いしたいと思います。
(カメラ退室)
○菊地課長補佐 以降の進行を、座長、よろしくお願いします。
○戸山座長 時間も限られておりますので、早速、本日の議題に入らせていただきます。
 初めに、「身体活動・運動に関する現状と課題」に関しまして、事務局から御説明をお願いします。よろしくどうぞ。
○佐藤課長補佐 よろしくお願いいたします。
 お手元に資料2を御用意いただきたいと思います。「身体活動・運動に関するこれまでの取組み」ということでまとめさせていただきました。
 1枚おめくりいただきまして、我が国における死亡率の推移でございます。戦後から今日に至るまでの死因の推移をお示ししたものでございますが、疾病構造の変化がございまして、生活習慣病の重要性は着実に増しているところでございます。
 続きまして、3ページをごらんください。生活習慣病と医療との関連でございます。左側のグラフは死因別の死亡割合、その中で生活習慣病は約6割を占めているということでございます。右側は一般診療医療費の中での生活習慣病の割合ということで、少なく見積もって約3割が生活習慣病関連であると言えるかと思います。
 4ページは、介護が必要となった主な原因の構成割合(要介護度別)ということで、生活習慣病の重みというものは、死因、医療費のみならず要介護になる要因としても重要なものがございます。
 総数だけでもごらんいただければと思いますけれども、脳卒中、心臓病、糖尿病に加えまして、関節疾患、骨折・転倒といった運動器疾患によるものも要介護の重要な原因となってございます。また、認知症、高齢者による衰弱というところも加えますと、この辺りまでが身体活動・運動に直接関係すると言って差し支えない範囲だと思いますが、約8割にのぼると言えるかと思います。身体活動・運動についてこれから御議論いただくわけですが、こういったものが、医療、介護それぞれに非常に大きな影響を及ぼしていることを念頭に置いていただければと思います。
 続きまして、5ページでございます。こちらのスライドには、左側に国民健康づくり運動の主な流れ、右側に身体活動・運動に関する動きを取り出して、時系列で並べたものでございます。歴史的経緯というところも含めて、少し丁寧に御説明させていただきたいと思います。
 まず左上ですが、昭和63年から、「アクティブ80ヘルスプラン」ということで、第二次国民健康づくり運動が始まっています。これに先立つ昭和53年からの第一次国民健康づくり運動で、健康づくりの3要素として栄養・運動・休養が挙げられましたが、その中でも運動につきましては取組みが遅れているということで、特に運動について重点を置いた健康増進事業の推進がうたわれました。
 これを受けまして、右側を見ていただきたいのですが、平成元年に「健康づくりのための運動所要量」が策定されまして、ここで健康を維持するために望ましい運動量の目安が示されました。また、それをよりわかりやすく表現するということで、平成5年に「健康づくりのための運動指針」が策定されました。
 平成9年、「生涯を通じた健康づくりのための身体活動の在り方検討会」が開催されまして、この中で、それまで運動については非常に強調されていたわけですが、それに加えて身体活動という、より広い範囲での考え方が重要であるということが指摘されたところでございます。
 ちなみに身体活動というのは、骨格筋の活動によって安静時よりも多くのエネルギー消費を伴う活動と定義されております。この中には、運動、スポーツも加えて、日常生活活動や趣味、レジャー活動なども含めたものでございます。こういったものも含めて、性・年代を問わず、容易に楽しく継続的に取り組めるように身体活動に着目する必要があるということでした。また、この報告書の中では、生活習慣病などに対する効果ということでも、身体活動・運動の重要性が指摘されております。平成9年に先立つ平成8年に、成人病という言葉に代わって生活習慣病という言葉が使われるようになって、ここでその位置づけがされたということにもなっております。
 左側に戻っていただきますと、この時期に健康日本21の取組みが始まります。2000年から当初10年間ということで始められたものでございます。第三次国民健康づくり運動ということで、具体的な数値目標がここで設定されました。身体活動や運動についても目標設定がされています。その後、健康増進法の制定を経て、平成17年に「今後の生活習慣病対策の推進について」というものが取りまとめられました。ここから身体活動・運動について2つの発展がありました。
 一つは、ハイリスクアプローチということで、メタボリックシンドロームの概念に基づく健診・保健指導の導入が提言されまして、それが平成20年からの特定健診・特定保健指導の制度に反映されています。一方、ポピュレーションアプローチとしてエクササイズガイドを策定することが提言されました。こういった流れも受けまして、右側の平成18年のところですが、「健康づくりのための運動基準2006」「健康づくりのための運動指針2006」が策定されたということでございます。
 その後の流れとしましては、平成23年の健康日本21最終評価を経まして、昨年から今年にかけて、次期国民健康づくり運動ということで、健康日本21(第二次)に関する議論が行われまして、今年の7月に大臣告示がされたところでございます。来年度、平成25年度からこの具体的な取組みが始まるということで、現在、その準備期間に当たっているということですが、このタイミングで運動基準・運動指針の改定に関する検討会を開催させていただいたという流れになっております。
 6ページをごらんください。これ以降は、歴史的な経緯ということで御紹介いたしました運動所要量や基準について、簡単に御説明したいと思います。
 まず、健康づくりのための運動所要量、これは平成元年に制定されたものでございます。背景、策定にあたっての考え方は資料のとおりでございまして、健康づくりに適した運動強度、健康づくりのための運動所要量が設定されました。運動強度につきましては、全身持久力をつけるための運動強度ということで、各個人の最大酸素摂取量の50%の強度が所要量として定められています。
 ちなみに、最大酸素摂取量につきましては、これが大きいほど多くのエネルギーを産生することができ、したがいまして、より高い強度の運動をより長い時間実施できるというものでございます。これが全身持久力の尺度として活用されております。
 また、健康づくりのための運動所要量につきましては、ごらんの表のような形で各年代ごとに整理されています。
運動所要量をもっと一般の方にわかりやすく親しみやすいものとしてお伝えするということで、「健康づくりのための運動指針」というものが平成5年に策定されました。標語のような形で、明るく楽しく健康的な生活を創造することを目的として策定されたというものでございます。
 続きまして、7ページをごらんください。次に御説明いたしますのは、健康日本21、第一次に相当しますが、2000年から始められた取組みの中で身体活動・運動分野に関する主な目標項目を御紹介してございます。ほかにもありますけれども、代表的なものを3つ挙げてございます。
 まず、日常生活における歩数の増加という意味では、プラス1,000歩という目標になっております。理想は1日1万歩ということが掲げられまして、1万歩の根拠としては、1日当たり約300kcalのエネルギー消費に相当するということがここで言われています。
 次に、運動習慣者の増加ということですけれども、こちらについては、定義として以前から調査等で使われております、「1日30分以上の運動を週2回以上実施し、1年以上持続している人」という定義のもとにプラス10%が目標として設定されています。
 3つ目としては、高齢者についての歩数の増加という目標設定でして、プラス1,300歩がここで設定されています。ここでは、いわゆる日常生活動作、ADLの障害に対する初期予防活動として、高齢者にとって歩数を増加させることが有効であることが指摘されております。
 8ページにまいります。先ほど経緯として御説明いたしましたけれども、平成17年の「今後の生活習慣病対策の推進について」という中間取りまとめを受けて策定されたものでございます。健康づくりのための運動基準2006の概要、サブタイトルとして、~身体活動・運動・体力~という3つが挙げられております。これは平成18年7月に公表されたものです。
 策定までの経緯につきましては、その前の運動所要量から15年以上が経過したこと、また、科学的知見が蓄積されてきたということでございます。運動基準2006におきましては、そうした蓄積されたエビデンスを対象としてシステマティックレビューを行ったというところが、非常に新しいところでした。その結果策定された基準値が枠の中に書かれている内容でございます。
 身体活動を主体として健康づくりをする人であれば、身体活動量23メッツ・時/週、運動を主体とした健康づくりをする人におきましては、運動量4メッツ・時/週ということが言われています。メッツという単位が出てきますが、下に説明をつけております。身体活動の強さを安静時の何倍に相当するかで表す単位でございます。座って安静にしている状態が1メッツ、普通歩行が3メッツに相当するとお考えいただければと思います。
 このような身体活動量、運動量の基準値を目指すことで、生活習慣病の発症リスクが下がることがこちらで言われていることでございます。
 体力という観点では、2つ目のマルで書いてございますけれども、健康づくりのための性・年代別の最大酸素摂取量の基準値ということで、運動所要量のときと同様に最大酸素摂取量が全身持久力の指標として使われ、このように表現されているということでございます。
 9ページをごらんください。運動基準2006をよりわかりやすく、特に生活習慣病予防のためにとうたって普及のために策定されたものが、こちらでございます。運動指針2006、別名として「エクササイズガイド2006」と呼ばれています。特にこの中では、内容の2つ目のマルに書いてございますけれども、身体活動の量をあらわす単位として「エクササイズ」というものが新たに設定され、右側のイラストで示しているように、よりわかりやすく表現することも工夫されたものでございます。
 10ページでございます。健康日本21に話を戻しまして、2000年から始まって2012年までという取組み期間の最終段階で、2011年(平成23年)に最終評価が行われています。そちらで、日常生活における歩数はどうなったのか、運動習慣者の割合はどうなったのか等が評価されています。まず、日常生活における歩数は有意に減少していること、また、運動習慣者の割合も大きな変化が見られていないということで、評価等(抜粋)と書いてありますとおり、まだまだ課題が大きいことが指摘されているところでございます。
 11ページをごらんください。運動習慣者の割合を年代別に分析したところ、年齢層によって異なる傾向があることが指摘されました。下のほうに箇条書きにしておりますけれども、男女とも60歳以上の運動習慣者は増加しています。一方、60歳未満の年齢層では増加していない。特に女性では減少が見られているということでございます。また、60歳未満の就労世代の7~8割が運動習慣を有していないことも、調査結果としてはっきりしたということでございます。
 こういったことを踏まえて、では、次の健康日本21(第二次)にはどう取り組むのかということが次の12ページでございます。具体的な数値目標が設定されまして、これからこうした目標に向かって取り組むということで、今年7月に大臣告示された内容の抜粋でございます。
 日常生活における歩数の増加をプラス1,500歩、運動習慣者の割合の増加をプラス10%にする。また、新しい観点としては、住民が運動しやすいまちづくり・環境整備に取り組む自治体の数を、全都道府県に広げていこうといったものが目標として設定されております。目標の根拠につきましてはごらんのとおりです。
 13ページには目標設定の考え方をお示ししています。下のほうから上に向かって目指していくという状況でございますけれども、左側が、個人の取組みとして歩数を1日1,500歩増加させましょう、また、運動実施者の割合を10%増やしましょうという目標を示しています。右側の流れにつきましては、まちづくり、社会環境という部分で、それぞれが呼応し合って個人の生活の質の向上と社会環境の質の向上につながり、ひいては健康寿命の延伸、健康格差の縮小につながっていくという考え方で目標設定がされました。
 このページで一点、補足を申し上げたいのは、運動の歩数を増加させたり、運動習慣者を増やすことの目的として、メタボ、ロコモ、低体力の低減ということが書かれております。メタボはメタボリックシンドローム、ロコモはロコモティブシンドロームの略でございます。このロコモティブシンドロームについて、次のページで少し御紹介させていただきたいと思います。
 14ページです。ロコモティブシンドロームは運動器症候群と言われるもので、運動器の障害のために自立度が低下し、介護が必要となる危険性の高い状態でございます。原因として、バランス能力の低下、筋力の低下、骨や関節の病気が挙げられています。
 右側に矢印でお示ししていますように、最終的な流れとして健康寿命の延伸を目指していきたいということですが、そのためには、介護が必要となる国民の割合が減少することが望ましく、そのためには、国民全体として運動器の健康が保たれることを目指すことが必要で、そのためにはロコモ予防の重要性が認知されることが必要だという考え方でございます。その端緒として、まずロコモティブシンドロームという言葉、概念の認知度を高める必要があるということで、健康日本21(第二次)で、ロコモティブシンドロームという言葉の認知度を上げることが目標設定されたということでございます。
 これに関連しまして、ロコモティブシンドロームだけではなく、例えば足腰に痛みのある高齢者の割合を約1割減らすという目標もあります。そういったこともあわせて健康寿命の延伸に寄与するものと考えられます。
 以上が歴史的経緯の説明でございますけれども、こういったものを踏まえまして、15ページに現行の基準・指針を改定する必要性をまとめてございます。左側が、運動基準2006の策定から6年以上経過してエビデンスが蓄積し、研究班においてシステマティックレビューを実施していただいております。後ほど御紹介いただきますけれども、研究代表者として宮地構成員に携わっていただいておりまして、こういった最新の科学的知見に基づく運動基準の見直しが可能であろうということです。
 一方で、国民への啓発を目的にエクササイズガイド2006を策定したわけですが、日本人の歩数は減少しており、また、右のグラフにお示ししますとおり、施策としての認知度はまだまだ厳しいものがございます。
 2007年11月時点ということで、まだ策定されて間もない段階ではありますが、インターネット調査によると、当時、エクササイズガイド2006を聞いたことがある人の割合が12.3%であったという結果が出ております。その一方で、個々人の行動変容はさらに期待できるのではないかと思われます。といいますのは、下のグラフにありますように、国民健康・栄養調査の結果によりますと、意識的に歩くように心がければ歩数を増やせると思う人が約6割ぐらいいらっしゃるということでもありますので、身体活動・運動の重要性や具体的な取組み方法について、さらなる普及啓発が必要であろうということでございます。
 最後に16ページ、17ページで、これからの議論におきまして、新たな運動基準、運動指針の利用者、対象者は誰なのかというところを明確にしていただき、認識を共有していただいた上で御議論を深めていただきたいと思いまして、認識共有のための粗い整理ということで御用意したものでございます。
 まず、16ページにつきましては、特に指針に関係するところですけれども、これまでの平成5年の運動指針、平成18年の運動指針2006、これらはそれぞれ一般の国民向けのものであったということを示しています。平成5年の運動指針のほうは標語という形で示され、平成18年の2006のほうでは、参考資料を含めると40ページを超えるかなり充実した資料が提示され、一方で、内容が難しいとか、情報量が多いのではないかという指摘もいただいております。
 そういったところを含めて、新たな運動基準・運動指針は、誰が利用することを想定するのかというところを踏まえ、利用者の視点に立った指針とはどういうものなのか、ということを御議論いただければと思います。
 最後に、17ページでございます。対象者ということについて、これも認識共有のためのごく粗い整理でございますが、特に基準に関係するものとして御用意したものでございます。左側の軸は、病気やけが等で自覚症状がある人の割合を国民生活基礎調査から取り出したものでございます。男女別に年代が上がるにつれて増えていきます。また、右側の軸は運動習慣がある人の割合ということで、上が0%、下が100%としております。こちらについては、年齢が上がるにつれて運動習慣のある人が増えているというデータになります。
 現行の運動基準・運動指針は、お手元の資料では黄色いエリアと緑色のエリアになりますが、20歳~69歳までの運動習慣のある方には4メッツ・時/週という基準が設けられ、運動習慣はないけれども、一方で自覚症状があるわけでもないという方々については、身体活動を中心としてということで、主に生活活動になるわけですけれども、健康づくりをする人々ということで、23メッツ・時/週という基準が設けられたということかと思います。
 では、それ以外の白いエリアになっているところについては、新たな知見に基づいて言及できるのかどうかということを、先生方に御議論いただければと思っております。
 長くなりまして恐縮です。資料2のご説明は以上です。
○戸山座長 ありがとうございました。
 今、事務局から、身体活動・運動に関するこれまでの取組みについてお話しいただきました。最後には、今回の検討会での論点になろうというところもお示しいただきました。御質問、御意見あろうかと思いますけれども、後ほどお受けさせていただきます。
○矢島健康局長 健康局長の矢島でございます。遅くなって申し訳ございませんでした。
 9月に健康局長を拝命いたしました。実は5年前に健康局の生活習慣病対策室長をさせていただきまして、戸山教授には、私が厚生科学課長ですとか、技術総括審議官のときもいろいろとお世話になり、ありがとうございました。それから、田畑先生、宮地先生も、エクササイズガイドをかなり短期間のうちに、かなり御無理をお願いしてつくったということを記憶しております。特定健診・保健指導が始まりメタボ健診の制度を入れるというので、何とかそこに間に合わせようということで、かなりご無理をしてつくらせていただいたというふうに思っております。
 厚生労働省で第四次の国民健康づくり運動ということで、健康日本21、来年度から第二次にいよいよ入ります。ちょうど5年もたったということもありますし、後でまた具体的に話が出てくると思いますけれども、5年前はかなり運動、運動ということで来たのですが、最近、高齢者の方というのでしょうか、いろいろな方々がたくさんいらっしゃる。あのときも、運動しなければいけないということで、私自身も、階段だとか、電車に乗らずに歩くだとか、そういうことでいろいろ運動をさせていただいたのですけれども、どうもその辺が、スポーツをしなければいけないのではないかというような誤解もあった。エレベーターを使わずに階段をのぼるだけでもいい、バスに乗らずに歩くだけでもいいということがうまく伝わらなかった反省もありまして、運動というのがいいのか、身体活動という形にしたほうがいいのかという、名称の変更も含めまして、どういうふうにやったら実際に国民の方々に使っていただけるのか、そういう観点でお願いしたいと思っています。
 あのときは、生活習慣病予防、疾病予防ということをかなり出させていただいたのですが、将来的な介護予防というのでしょうか、若いうちから運動することによって、寝たきりの目の前というよりも、むしろ将来的な介護予防に、今からやっておくことがつながるという観点、そういうことで是非やっていただければと思っています。
 一に運動、二に食事ということで、運動はすごく大事だというふうに私どもも思っていますので、そういう観点で是非これからもよろしくお願いしたいと思っています。
 よろしくお願いいたします。
○戸山座長 ありがとうございました。今、局長から大変熱いメッセージをいただきましたので、構成員の皆さん方もこれに沿いまして、運動基準・運動指針のよいものを示したいと思います。是非よろしくお願いいたします。
 それでは、下光構成員から、身体活動・運動に関する国際的な動向についての御説明をよろしくお願いいたします。
○下光構成員 トップバッターということで緊張しておりま。10分程度の発表ということでしたが、スライド30枚を超える資料(プリント)を作成してまいりましたのでポイントだけ押さえて説明させていただきたいと思います。詳細につきましては後程しっかり読んでいただければと思います。
 健康日本21は、ヘルスプロモーションという大きな理念のもとで進められているということで、2ページ目で、健康日本21(第二次)が、過去のアルマ・アタとオタワの会議の流れをくんでいることをお話ししたいと思います。
 1978年に第一回プライマリーケア国際会議がアルマ・アタで開かれましたが、このときに「Health for All(世界のすべての人々に健康を)」というスローガンが掲げられました。健康日本21(第二次)では、その戦略の一環として「健康格差の解消」が全体目標に加えられました。健康格差には、都道府県間の格差という地域間格差がありますが、性差や社会経済状況により健康格差の問題もあります。また、乳幼児から高齢期までのあらゆる世代を対象とすることもHealth for Allの範疇に入ります。さらに健康な人から病気を持っている重症な人までということで、発症予防から二次予防、三次予防までという予防の視点からのHealth for Allもあります。これらのすべてが健康日本21(第二次)に含まれているということを、最初に述べさせていただきました。
 また、健康をどのようにして推進するのかということがしっかり議論されたのが、カナダのオタワで開かれた1986年の第1回ヘルスプロモーション国際会議ですが、その時にヘルスプロモーションとは「人々が自らの健康をコントロールし、改善することができるようにするプロセスである」と定義されました。この意味は、健康を推進するためには、個人が自らより健康になるために努力するばかりでなく、社会環境を整備し、一人一人の健康づくりを支援することも大事であるということであります。そして、ヘルスプロモーションを進めるための3つの戦略を打ち出しました。すなわち、?公共的な支援を行う、?一人ひとりの個人の能力を高める、?すべてのセクター(部門)が協力、協同して進める、というものです。
 このヘルスプロモーションの概念も健康日本(第二次)の中で社会環境の整備がしっかりうたわれているということで、今回の健康日本(第二次)はこれまでの健康づくり施策の中では、大変洗練されており、よりブラッシュアップされていると思いました。
 ただ、4ページ目ですけれども、「その他国民の健康の増進の推進に関する重要事項」ということで、社会環境の整備の内容がここに列挙されています。「その他」というのがちょっと寂しいなと思いましたが、実はこれが今回の施策の中核となるものではないかと思っております。社会環境といいましても物理的に歩道や自転車道を整備するようなハード面での社会環境、健康づくりを推進するマンパワーの養成や心理社会的な環境という意味でのソーシャルキャピタルの醸成などのソフト面での社会環境があり、この社会環境への取り組みをしっかりやっていかなければいけないだろうと思います。
 次の5ページは、James Sallis先生の図を持ってきました。Sallis先生は、最初は個人の行動変容へのアプローチをいかにおこなっていくかというところから研究を始められたのですが、個人へのアプローチだけでは良い効果が得られないことがわかり社会環境対策に取り組まないとすべては進まないということで、今は社会環境への様々な取り組みを行っている方です。個人の行動を変えるためには、個人間、組織、地域、政策というふうにより上流にさかのぼっていく必要があるということを唱えています。
 6ページ目も同じような内容で、QOLの低下・死亡を予防するためには、上流の方までさかのぼって環境要因というものに着目していろいろ施策を進めていく必要があるだろう。運動であれば、公共交通機関、歩道の整備、街の景観、運動やスポーツを行う施設の問題、ワークライフバランス、健康格差、こういうものを考慮に入れて進めていかなければいけないのではないかということが総論的な話でございます。
 これからが身体活動・運動の話ですが運動に関する指針の考え方は1990年代に大きなパラダイムシフトがありました。それ以前は、第二次国民健康づくり対策「アクティブ80ヘルスプラン」も同様でしたが、運動・スポーツによって冠動脈疾患を予防しようという考え方でしたが、今や、身体活動全体を増加させることによって健康増進を図っていこうという流れになっています。今は運動・スポーツからもっと広く日常生活活動をも含めた身体活動(physical activity)を推進しようということになってまいりました。
 次にWHOや世界各国の身体活動推進のためのガイドラインを見てみましょう。8ページですけれども、WHOは、2010年に子どもと若者、成人(64歳まで)、65歳以上の高齢者に分けて勧告をおこなっています。勧告の内容を色で分けてみましたが、赤はガイドラインの核となる有酸素的な身体活動です。緑は筋骨格系についての提言です。子どもは、毎日60分の中等度以上の身体活動を行うべきであるとWHOでは提唱しています。
 9ページ目は成人に関する提言です。1週間のうちに少なくとも150分の中等度の強度の有酸素的活動、あるいは高強度の有酸素的活動であればその半分の75分の活動、あるいはそのコンビネーションを推奨するということがWHOの提言となっております。さらに、より一層の利益を得るためにはその倍を行おうということも云っています。また、有酸素活動は1回に少なくとも10分以上続けなければならない。
 10ページには、65歳以上の高齢者も65歳未満の成人と同じような内容が列挙されています。その他4番目の項目に(茶色で色を付けましたが)、高齢者はバランス能力を高めるために、転倒予防のための身体活動を週に3回以上行うべきであるという提案がなされています。
 アメリカのガイドライン(2008年)では、子どもと青年については、WHOと同じような内容になっておりますが、筋力強化と骨の強化が別々に挙げられています。
 12ページ、成人については、成人は150分以上の中等度の身体活動、高強度であれば75分ということがWHOと同様に推奨されています。さらに主要な骨格筋群を含んだ筋力強化活動を週に2回以上行うことが推奨されています。
 13ページは高齢成人のガイドラインです。150分以上の中等度の活動が進められていますが、それが出来ないときにはできる限り身体的に活発でなければならないと云っております。ここでもやはり、転倒リスクがあるときには、バランスを保持し、改善することができるような運動をすべきであるということが挙げられています。
14ページはオーストラリアのガイドラインです。これは非常にシンプルでありまして、成人に対しては、?身体活動・運動を不都合や不便としてではなく健康のための一つの機会(チャンス)と考えよう、?毎日をできる限り活動的に過ごそう、?できれば毎日、少なくとも合計で30分以上の中等度の強度の身体活動を行おう、?できれば、一層の健康とフィットネスのために、いくらかでも高強度の活動を楽しもう、とわかりやすいメッセージになっております。
 カナダのActive Canada20/20は子どもと成人に分けて、やはり子どもは60分以上、成人は1週間に150分の身体活動ということで、大体同じようなことになっています。
 昨年に出ました最も新しい英国のガイドライン、「Start Active, Stay Active」では、乳幼児まで入っておりまして、生まれたときから、特に安全な環境下で床遊びや水遊びを通して進められるべきであるということも含められています。ある程度歩けるようになると1日に180分は身体的に活発でなければならない、また、青色で示しましたのは、座りがちの(セデンタリー)の時間を最小限にする、すなわち身体的な不活動を避けるというのが入ってまいりました。
 17ページの子供と青年についても同様で、長時間の座りがちの時間を最小限にとどめなければいけないとしております。
 18ページの成人、19ページの高齢者も同じでありまして、セデンタリーをなくそう、少なくしようという流れが出てきています。それ以外の有酸素活動等については、WHO、アメリカなどとほぼ同じような基準でシンプルな形で出されています。
 20ページからは、身体活動推進に関する重要な国際的な動向を2つ御紹介したいと思います。一つは、Toronto Charter、今一つはLanset特集号です。
 21ページにToronto Charterをお示ししました。International Congress of Physical Activity and Public Healthという学会が採択したものです(29ページから日本語版のコピーをつけました)。実は先週、第4回の国際会議がシドニーで開かれまして、ここのおられる内藤義彦先生等何人かの先生も御一緒だったのですが、この学会が世界規模での身体活動推進の行動の呼びかけということで、2010年にToronto Charterを採択しました。22ページに「9つの指針」と「4つの行動領域」の項目を列挙しました。特に政策立案者や科学研究を行う人たちが一緒になって、身体活動推進を進めていこうということを提案しております。
 24ページですが、Lansetという世界トップクラスの医学ジャーナルの特集号をご紹介したいと思います。Lansetを発行している会社はイギリスの雑誌社で、ちょうど今年はロンドンオリンピックが開かれるということで、先ほどのToronto Charterを採択したグループ、Fiona BullやAdrian BaumanやI Min Lee等、身体活動推進のために頑張っている世界の研究者グループがLansetに働きかけ、一方Lansetのほうもこれは非常に大事なテーマということで、今年の7月に特集号として出版されました。
 その中でどんなことが書かれているかというと、世界の死亡の約10%が身体的不活動に起因し、その影響の大きさは肥満や喫煙に匹敵するというものです。「成人の33%、子どもの80%が推奨される身体活動を行っていない。すなわち、疾病発症のリスクが高い状態にある。身体活動を推進する介入方法のエビデンスはどんどん明らかになっている。身体的不活動は世界的に大流行している(パンデミックな状態にある)といえる。そこで世界中で対策を進めよう」という内容です。このLanset特集号のインパクトは、身体的不活動はパンデミック(pandemic)な状態であるとして、パンデミックという言葉を非常にセンセーショナルに使ったことでしょう。これについてはいろいろ議論のあるところと思いますが、身体活動研究グループは、身体的不活動はもうパンデミックであるというという認識の下、世界中で対策を進めなければいけないとLansetで強調したわけです。
 このLanset論文の中から表を2つピックアップしてまいりました。25ページですが、全世界の健康への影響を喫煙と身体活動とを比較したものです。左の棒グラフが喫煙(Smoking)、右が身体的不活動(Physical inactivity)です。Prevalenceは喫煙者のほうが低く身体的不活発な人たちの割合は全世界では35%と比較的多い。
 その一人ひとりのリスクはHazard ratioとなりますが、喫煙が1.57倍、身体的不活動は1.28倍のリスクがあるということなのですが、人口寄与危険度(population attributable risk)を計算しますと、喫煙と身体的不活動はほぼ同等である。実際に計算してみると、1年間に全世界で喫煙が原因で死ぬ人が510万人、身体的不活動が原因で死ぬ人が530万人ということで、かなり大きなインパクトがあります。
 次のページはちょっとショッキングなのですが、身体的不活動が全死亡及び各種疾患死亡の原因の何%を占めているのかということで、人口寄与危険割合を、日本と世界のデータを比較しました。何と日本のほうが身体的不活動によるリスクが全世界の平均と比べて高いという結果が出ております。全死亡、冠動脈疾患、2型糖尿病、乳癌、大腸癌、右が日本です。ということで、身体活動を推進することは大変重要であることを認識していただきたいと思います。
 最後2ページは私が個人的に考えたことを列挙させていただきました。この12年間、第一次の健康日本21で歩数はベースラインデータよりも1000歩以上も減少してしまいました。私自身、かつて目標値を決めた分科会委員の一人として非常に反省しているところですけれども、主にこれは通勤や買い物などの日常生活の歩行の減少であった。日常生活の歩行を増やすためには、何かドラスティックな対策がないといけないだろうと思います。ちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、都市への車の乗り入れの禁止とか、社会環境対策、健康を視点に入れた健康なまちづくり計画などに入っていくことも必要だろう。
 また、日常生活の歩行に対する介入以外にレジャータイムでの歩行、散歩、健康ウォーキングのための環境の整備、運動・スポーツ習慣者を増加させる対策も必要なのではないか。もちろん、ロコモ対策も必要ですが。
 また、今までの流れは、身体活動を高めよう、運動しようということでしたが、身体的な不活動を減少させよう、座りっぱなしの時間を減らそうという流れも出てきております。前回の「運動指針」では、3メッツ以下の活動については、エビデンスがないということでネグレクトしたのですけれども、3メッツ以下の身体活動、NEAT(Non-Exercise Activity Thermogenesis)といいますが、これをどうするかについても検討していただきたいと思います。
 指針というのは、国民への強力なメッセージとして発せられなければならないと思いますので、指針はできるだけシンプルなものにしたほうがいいだろう。それから、前は成人だけでしたが、Health for Allという視点からは、すべての世代に対して指針を提案することが必要だろう。
 「運動指針」は、ポピュレーション戦略の重要な手段ですので、ソーシャルメディアを用いた強力なキャンペーンをもっと積極的に行っていかなければいけないのではないか。そうだとすれば、そのようなキャンペーンに容易に使用できるシンプルな指針、わかりやすい指針が求められるだろう。
 それから、先ほど報告しましたように、身体的不活動はパンデミックな状態にあるということですので、我々も危機感を持って対策を考えなければならない。我が国でも新型インフルエンザの流行時にはパンデミックということで、国もお金をかけて国民に対して普及啓発を行い、職域や地域や学校でいろいろな強力な対策が行われましたが、それに準ずるぐらいの身体活動の推進を、ソーシャルメディア等を活用したキャンペーンを是非行っていただきたい。ポピュレーションアプローチとしての「健やか生活習慣国民運動」とか、「スマートライフプロジェクト」をさらに一層強力に進めていただければというのが、私の個人的な意見であり、また、健康日本21全国推進連絡協議会会長としての要望でもあります。
 御清聴ありがとうございました。
○戸山座長 大変な資料をお持ちいただきまして、世界に関しての動向を簡潔に御説明いただきました。非常に量が多いですから、後ほど御意見、御質問を受けますけれども、持ち帰ってじっくり見ていただいて、次回にでも、何かあればまた御意見を受けたいと思います。WHO、アメリカ,オーストラリア、イギリスなどの現状、それから雑誌「Lanset」についての御説明もいただきました。どうもありがとうございました。
 後ほど御意見はいただきますけれども、引き続き、「健康づくりのための運動基準・運動指針2006」の作成で非常に御尽力いただきました田畑構成員から、現状ないしは問題点等について簡単に御説明をお願いいたします。
○田畑構成員 「健康づくりのための運動基準」(以下、運動基準)と「健康づくりのための運動指針2006<エクササイズガイド2006>」ですけれども、これは、1989年策定の健康づくりの運動所要量を17年ぶりに改定したものであります。この資料を見ていただきますとよくわかると思いますけれども、運動基準というのは運動指針を定めるための科学的な根拠を示したもので、先ほどもお話がありましたが、これは健康運動実践指導者等の健康運動指導者が国民の方々に指導するための科学的なエビデンスを示しております。
 一方、エクササイズガイド2006は、運動基準で明らかとなりました生活習慣病予防のために必要な身体活動量、運動量、体力に関して、素人である一般の国民の皆様が自ら学習して身体活動量、運動量、体力を高め、自ら生活習慣病の予防に取り組むために用意されたということになっています。
 運動基準2006では、生活習慣病アウトカムとして、MEDLINEや医学雑誌を対象としたシステマティックレビューを行い、多くのコホート研究から得られた、糖尿病等の各生活習慣病発症に関する境界値を求め、それをもとに生活習慣病発症予防に必要な身体活動量、運動量、体力を求めました。
 運動基準2006をもとに、運動指針2006、エクササイズガイド2006では、生活習慣病発症予防には、1週間に23エクササイズ以上の身体活動、そのうち4エクササイズ以上は運動という値を決めました。これはある意味ポピュレーションアプローチですけれども、加えて、ハイリスクアプローチということで、メタボリックシンドローム解消のためには週10エクササイズ以上の運動が必要であるということを示しています。また、持久力及び筋力については簡易な評価法を提示いたしました。
 もとに戻りますけれども、エクササイズというのは、身体活動量、運動量の科学的指標でありますメッツ・時の愛称です。運動基準2006及びエクササイズガイド2006の改定後、エクササイズという言葉が、マスコミ等を含め多くの国民の中で使われるようになったことを感じております。
 また、運動基準2006とエクササイズガイド2006は、英語、韓国語、中国語に翻訳され、多くの国で参考とされています。例えば私はこれを使いまして、2007年に、中国の衛生部、CDCですけれども、疾病対策センターで講演を行い、運動基準とエクササイズガイドの紹介をしてまいりました。先ほど矢島局長からもありましたが、多くの困難がありましたけれども、事務方と策定委員会の委員の皆様の熱い情熱をもって当該分野における基準が17年ぶりに改定されたということになります。
 そこで本題ですが、策定時に今後の問題として残されたのが、お手元の運動基準の7ページにあります。ここに、今後の課題及び方向性ということで幾つか挙がっております。このたびの運動基準・指針の改定に際しましては、前回の改定からの申送り事項というような感じでありますけれども、それに忠実に話していきたいと思います。
 そこには、今後の課題として、健康づくりのための運動基準に沿って行われた国民の身体活動・運動の実施効果について、一定期間後に評価を行い、その結果と新たな研究成果を取り入れて、定期的に運動基準やエクササイズガイドを改定していく必要があると書かれています。このたび、そういうことで運動基準、エクササイズガイドの改定がなされることになった一つの理由だと思います。
 さらに、運動基準策定後の課題として6つが挙げられております。
 最初に、日本人を対象とした身体活動や体力、筋力・筋量を含む生活習慣病予防に対するエビデンスの蓄積が書いてあります。これにつきましては、2006年以降、厚生労働科学研究費、循環器疾患-糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業で、国立健康・栄養研究所をはじめ、身体活動量、運動量、体力に関する幾つかのコホート研究に研究費が出まして、日本人のエビデンスが蓄積しております。
 2番目は、身体活動の評価法の標準化ということですけれども、これは予想外の出来事がありました。エクササイズガイド2006が出て間もなく行われました、オーストラリアで開催された国際肥満学会で、それまでは歩数計とか、カロリー表示であった身体活動量計に、エクササイズガイドで示された「エクササイズ」もしくは「メッツ」という指標が出るようになっておりました。複数の企業が、エクササイズ表示を活動量計や携帯電話等に取り入れています。日本発の身体活動量、運動量の指標が、日本の企業が生産した機器により海外へ発信されております。これらの機器を用いた身体活動量の評価法の進化が見られています。
 3番目は、性別・年齢別、小児・高齢者及び対象生活習慣病別の身体活動量や体力の評価が書いてあります。運動基準2006及びエクササイズガイド2006の対象は、20歳~69歳の健康な国民でした。すなわち、20歳未満、70歳以上は対象としておりません。これは運動基準・指針が生活習慣病発症予防を目的に策定されたもので、そのようになっております。
 しかし、子ども、児童、青少年の健全な発達を考えた場合、さらに、運動、身体活動習慣による高齢者の生活の質の維持向上を考えた場合、そういうエビデンスが蓄積している今次、高齢者の運動指針を策定することも期待されています。最近、文部科学省が幼児の運動指針を策定したこともあります。このたびの運動基準・指針の改定では、これらの年代における適切な運動量、身体活動、体力についても、それが示されることが期待されております。
 次に、筋力・筋量の具体的な指標の検討です。筋力・筋量については、生活習慣病発症という観点から、2006年当時にはエビデンスが量的・質的には十分ではなかったので、定性的な指標となっています。最近、幾つかの筋力と生活習慣病、あるいは総死亡率という観点からコホート研究の成果が発表されており、今後、筋力についてもよりよい指標をもとに基準値が作成される可能性があります。
 また、高齢者の自立を考えた場合、筋量を維持、サルコペニア予防という観点から必要な筋量を策定することが考えられます。若年者から高齢者までの筋量の分布が、最近、報告されております。今後、筋量という観点からの基準策定も可能になるかもしれません。
 健康づくりのための身体活動の上限値の検討がここに書いてあります。身体活動量、運動量が多いことは、生活習慣病の発症予防や生活の質を上げることになりますけれども、やはり過度の運動は体、特に運動器に障害をもたらします。このことについても今回の改定で追加する必要があると考えられております。
 最後に、身体活動・運動による医療費適正化の効果判定ということがここに書いてあります。このことにつきましては、運動介入によるコホート調査において医療費削減効果が報告されています。今後、さらにエビデンスが蓄積されるというふうに期待されています。
 ここには書いていないことですけれども、個人的には、当時の所管の生活習慣病対策室が、今次、がん対策・健康増進課となったことも考えますと、運動基準2006で対象としなかった、生活習慣病としてのがんの発症予防に対する必要な身体活動量、運動量、体力という点も考える必要があるかもしれません。エクササイズガイド2006については、筋力と持久力と生活習慣病との関係を示すエビデンスがさらに多く蓄積されておりますので、それについても新しい観点から、簡易な筋力や持久力の評価方法を示すことができればと思っております。
 また、エクササイズガイド2006は、平成20年から始まりました特定保健指導における運動指導のツールとして用いられています。これについては、国立健康・栄養研究所でメタボリックシンドローム改善に必要な運動量について、メタアナリシスという指標を用いて策定し、それは論文化されております。エクササイズガイド2006策定と、先ほど矢島局長が言われましたけれども、特定保健指導の開始は時間的に非常にタイトでした。今回は特定保健指導の中間見直しが既に行われておりますが、見直しの結果をもとに、特定保健指導におけるエクササイズガイドについても考える必要があるかというふうに思っております。
 以上です。
○戸山座長 概要の説明とともに、これからのこの検討会が取り組むべき課題も幾つかお示しいただきました。ありがとうございます。筋力の問題も出ましたし、6年間でエビデンスが大分構築しているので、それを取り入れようというお話もありました。対象が20~69歳ということで、これから高齢化に向かうのであれば、高齢者ないし子どもの運動に関する問題も御提示いただきました。これからお示しいただく論点の中に、かなり含まれているものではないかと思います。
 今、事務局、下光構成員、田畑構成員から御説明をいただきましたけれども、ここで少し皆さんから御意見、御質問等を受けたいと思います。特に改定に関する検討会でございますので、田畑構成員から示されましたエクササイズガイド2006、それが実際どうか、また現場の立場から何か御意見等あれば承りたいと思います。いかがですか。
○須藤構成員 ソニー健保の須藤と申します。
 事務局の資料の中で、身体活動量を10%増やすという目標が挙がっているかと思います。特に働き盛り、20~64歳も同じように10%上げる。高齢者、会社をリタイアしてからというのは身体活動というのは取り込みやすいのですけれども、私もソニーで20年ぐらいやっていますが、週2回、1回30分の身体活動量というのは、私が力不足かもしれませんが、1%も上がったことがありません。そういうことを考えると、65歳以上も働き盛りも同じ10%目標をポーンと掲げておいて、また34年になったら、「できませんでした」ということになっても、目標だからよいと考えるのか、その辺の考え方の論拠を教えていただきたいのですが。
○戸山座長 事務局、よろしいでしょうか。
 宮地構成員、どうぞ。
○宮地構成員 では、私が代わりに説明というか、私の考えを述べさせていただきたいと思います。
 先生がおっしゃるように、20歳から50歳の働き盛り、あるいは子育て世代の運動習慣を伸ばすということは非常に難しい課題であります。須藤先生は先ほど身体活動とおっしゃいましたけれども、これは運動の習慣ですね。資料の図を見ていただいてもわかると思いますが、運動習慣者は、非常におもしろいことに60歳とか70歳のほうが圧倒的に多うございます。これはなぜかと言いますと、リタイアされていますので自由時間が多いからです。ということは逆の言い方をすれば、20歳から50歳の方々は運動の重要性はわかっている。週に1時間くらい運動しなければいけないことはある程度わかっている。わかっているけれどもできないという、そういう世代であると考えております。
 この世代に関して10%増やすのは確かに困難ですが、今回の健康日本21では、環境の整備というものを挙げております。その環境は、自治体も頑張るということもありますが、職域や企業等も頑張るということで、環境整備を通して労働者に自由時間等を与え、身体活動や運動を無理だと諦めるのではなく、増やしていく努力を、個人の意識の高まりだけでなく社会をも通してやっていくということです。実現性を考えて低めに目標設定することはできたと思いますが、目指すべきものを、挑戦ということで受けとめていただければありがたいと思っております。
○戸山座長 いかがでしょうか。よろしいですか。
○須藤構成員 はい。
○戸山座長 どうぞ。
○内藤構成員 根本的なところですけれども、運動基準、運動指針ということで、運動というのが入っているわけですけれども、先ほど局長が言われたように、「身体活動・運動」というふうにしたほうが、むしろこれからの流れには合うのではないかと思います。タイトルそのものに対して、今までの流れで「運動」でないといけないのか。そこを確認したいと思います。
○戸山座長 よりわかりやすく身体活動・運動を呈示するということですね。
○内藤構成員 はい。身体活動・運動基準とか、身体活動基準でもいいとは思います。
○戸山座長 運動基準ではなくて。
○内藤構成員 はい。
○戸山座長 ありがとうございます。
 そのほかいかがですか。特に今回、改定ということでございますが、田畑構成員から幾つか御指摘がございました。現場での声を聞かせていただけるとありがたいと思いますけれども、私のほうから指名するのもあれですが、藤川構成員ないし道永構成員、いかがでしょうか。もしよろしければ、御意見をいただければと思います。
○藤川構成員 資料の中のエクササイズガイドのメッツとかエクササイズについて、このデータにもございましたように、まだ周知が徹底されていないということをやはり取り上げたいと思います。糖尿病の予防とか生活習慣病のために大いに運動しましょうという中で、運動強度の目安となるメッツやエクササイズといった身体活動量の指標について、残念ながら、糖尿病学会のほうでも積極的には取り入れていないと思います。
 糖尿病の場合ですと、食事の指導のときに、食品の80kcalが1単位ということについて患者さんは、繰り返し説明されますので、摂取エネルギーの指標である1単位80kcalは、しっかり頭に入ります。同じような流れで、せっかくできている運動指針のメッツとかエクササイズを例えば糖尿病のような疾患の運動療法のガイドにも入れていただくと、今、糖尿病の人口も非常に多いので、糖尿病の患者さんと、そのご家族や糖尿病予備群に対して運動が大事だと指導する中で、運動指針がもう少し身近に感じられるようになると、運動に取り組む姿勢も違ってくるのではないかと思います。
私どもは今、地域の健康づくりの一環として、運動する住民グループを増やすという取り組みもいたしております。その中で、例えばラジオ体操などは国民的財産だと思うのですが、あの音楽を聴けば、誰でも振り付けが身に付いているので自然に体が動きます。ああいったものも、例えばラジオ体操は何メッツなんだろうかとか、そういったことを私どもは聞かれてもわからないので、その辺も是非教えていただきたいと思います。ラジオ体操も、力の入れ方とか、筋肉の意識した動かし方によって、多分メッツが違ってくるのではないかと思います。
 そういう誰でもできるようなことに引き寄せて、運動というのは何もジムに行ってやるだけではなく、エレベーターをやめて階段を使う、あるいは駅までバス停を一つ前でおりて歩くだけという指導はしておりますけれども、実は歩き方一つとっても、ブラブラとそぞろ歩きなのか、一生懸命速く歩くかによって、それこそメッツも違ってきます。運動指針やエクササイズガイドについて、そういったメッツが意味する運動の強度、質の違いといったところも国民にわかるように啓発活動を展開していただくと、運動への取り組み方も違ってくるのではないかというふうに思います。
○戸山座長 ありがとうございました。より国民の目線でわかりやすい方向で、ということは非常に参考になるかと思います。
 ほかにどなたかございますか。
○道永構成員 今のお話とかぶるのですけれども、私自身もメッツまでは話を知っていますが、エクササイズガイドまでは知らなかったです。今、いろいろとお話を伺いまして、非常にいいガイドラインなので、これをもう少し一般の人がわかりやすいようにと。身体活動というのがありましたけれども、おうちにいる方たちは生活活動がどれくらいの運動量になるかということを、わかりやすく説明したシンプルな指針をつくって、もっと小さくしてパンフレットとして啓発していくといいのではないかなと思います。
 患者さんたち、確かに70歳ぐらいの方々は、毎日、グループで連れ添って近所の公園にラジオ体操に行っています。ああいう方々に、あなたたちはこれくらいの運動をしているからいいんですよということを、こちら側としてもお話しするのに、ああいうパンフレットがあればいいのではないかと思っているので、そういったものに改定していただければと思います。運動というと、どうしてもお金もかかるし時間もかかる。そういうものではなくてできる、ということを啓発するものにしていただければと思います。
○戸山座長 内容もそうですけれども、「わかりやすく」ということが、今、出たかと思います。この検討会では、是非その方向でつくることを一つの視点にしたいと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、この検討会で、幾つか論点を絞って皆さんと共有して進みたいと思っております。あらかじめ御意見を伺いまして幾つか論点を整理しておりますので、事務局から、その論点について御説明をお願いいたします。
○佐藤課長補佐 資料3をお手元に御用意ください。1枚紙でございます。
 「運動基準・運動指針の改定に向けた主な論点(案)」ということで、読み上げたいと思います。
 論点1、運動基準・運動指針の「対象者」及び「利用者」をどう考えるか。
 論点2、新たな科学的知見を踏まえ、運動基準をどのように改定するか。
 論点3、高齢者や生活習慣病患者及び子どもの運動基準についてどう考えるか。
 論点4、安全かつ効果的な運動指導のために留意すべきことは何か。
 論点5、利用者の視点に立った運動指針の在り方についてどう考えるか。
 論点6、まちづくりの視点を含めた普及啓発の具体的方策についてどう考えるか。
 以上でございます。
○戸山座長 事務局から論点6つを御提示いただきました。田畑構成員から、前回のが20歳~69歳ということで、今後、対象の幅を広げるかどうか、利用者をどうするかという意見もございましたし、エビデンスが大分出てきていますので、それを踏まえての診断基準をどのように改定するか。また、高齢者、生活習慣病患者ないしは子どもさんの運動基準についてどういうふうに盛り込むか、これも非常に大事だと思います。また、安全に対してはどうするか等々6つを示してもらいました。
 これに関しまして、御意見をいただきたいと思います。これは必要ないのではないか、ないしは、6つですけれども、論点としてこれは是非入れるべきだということがあれば、御意見をちょうだいしたいと思います。いかがでしょうか。
 どうぞ。
○田中構成員 1から6の論点、どれにというわけではございません。主に3、4、6辺りになるかと思いますけれども、手短に3つ、コメントさせていただきます。
 まず、内藤先生がおっしゃったように、身体活動・運動というところは賛成ですけれども、子ども、中年、そういった世代までターゲットを広げていくとなれば、身体活動・運動、レクリエーション、さらに、スポーツというものも私は入れてもいいのではないかと思います。ただし、体育系の人からすると違和感はないのですが、そうでない方からすると、スポーツは競技、リスクが高いという意味もありますので、それならば健康という言葉を使っていけばどうかなと考えます。
 高齢者、退職世代にはその中で主に身体活動量の増加を勧める。しかし、膝痛、腰痛、そういった整形外科的な問題点を持っている方は、福永先生のやられている「貯筋運動」とか、いわゆるレジスタンス、筋トレ、アクア、そして、中年世代には健康スポーツやレクリエーションを積極的に勧めるという柔軟なアプローチもいいかなと思います。
 1,000歩増やすというのも、当然、指針として示していきながらも、膝痛等のある方には要注意ですので、そういう意味ですべての人に同じメッセージを出すよりも、こういった方には別の方法がありますよという、代替案的なものを出すことで国民みんなにメッセージを出しているということで、国民なり指導者が、拒否反応というか違和感を示さない、そういう柔軟性が必要かなと思います。
 もう一つは、運動習慣者の割合を、中途半端にと言うと失礼ですけれども、35%、40%、45%とするよりは、障害者とかいろいろいますので、全員が無理ならば、90%とか、あるいは理想としては100%と書きながら、それを徐々に上げていく。それに対して45というところの根拠が極めてあいまいだろうと。アルコールはわかりませんけれども、たばこはゼロを理想とし、運動は90なり100を理想とする。現実とはちょっと違いますけれども、それが目標ではないかなと。
 いろいろなことを申し上げましたけれども、もう一つは、「安全かつ効果的」というのは私は以前から気になるのですが、習慣化ということも含めて、どうしても安全を優先するなら効果がちょっと難しい。しかし、効果を優先すると安全性がうまくいかない。そうなると、子どもや高齢者、特に高齢者には安全性とか、そういうふうに、「安全かつ効果的」もウエートを少し変えながらのダブルメッセージで持っていくことが、多くの指導者が受け入れやすい内容になるのではないかと思います。
○戸山座長 ありがとうございました。論点3、4、6につけ加えての御意見だったのではないかと思います。高齢者もここに含まれておりますし、大きい課題としての論点というよりは、3、4、6をより深く、幅広くというところと受け取らせていただければと思います。
 ほかにどなたか、よろしいでしょうか。
○鎌形構成員 まちづくりの視点ということで、論点の6にございます普及啓発の具体的方策、これは私はすごく重要ではないかと思っています。市川市で行っている健康教室というのがありますけれども、これをやることによって生活にハリができた人、運動習慣がついた方、体力が向上してきたというようなアンケート結果が出ております。自身では体力が落ちてきている不安をすごく感じている方が多い中で、どうしていったらいいのかというのがよくわからないと。そこについての仕組みづくりを、まちづくりの視点を含めて行政の中できちっとしていくことが重要ではないかと思います。
 それと論点3のところで、高齢者の方たちは日々の生活の中で、人と会うとか、社会参加の機会が少なくなる。そのようなことにすごく不安を感じている方が結構いらっしゃいます。人と話したり社会参加することだけであっても、すごく大きな変化があらわれてきますので、その辺は、運動というハードルよりも、生活習慣の中でそういう機会を持っていくことがすごく大きなことで、そういう視点も入れていけたらいいのではないかというふうに思います。
○戸山座長 ありがとうございました。特に論点6の普及啓発のところが一番重要かなと。今後、普及啓発が非常に大事になってくるかと思います。事務局からも御提示がありましたけれども、健康日本21も、エクササイズガイドも、思ったよりも認知度が低いということがございましたので、これはまた、いずれこの検討会で御意見、いい知恵を拝借したいと思います。よろしくお願いいたします。
 基本的にはこの6論点でほぼ集約して、皆さん、これで議論しようということでよろしいかと思いますが、いかがでしょうか。
 どうぞ。
○福永構成員 論点はこれで結構だと思いますが、健康日本21最終評価、これがきれいにまとめられていますけれども、この中で気になるのは、運動習慣者の定義が、「1回30分以上の運動を週2回以上実施し1年以上持続していること」とあります。これはかなりの運動量ではないかと思うのです。この条件でいくと、ここにいらっしゃる皆さんの中で運動習慣者の人はほとんどいないのではないかと思います。そのアンケートの結果、20%ぐらい男性・女性ともにいるというのは結構なパーセントではないかと思います。
 それで、今後もこの基準で行くのかどうか。運動習慣者の割合で評価していくのかどうか。1回30分以上やるというのは、私自身を考えてもそんなに経験はないです。ここの評価する方法を考えなくてはいけないと思いますが、いかがでしょうか。
○戸山座長 これは、論点2の運動基準等々で十分深くディスカッションをしていきたいと思いますので、よろしければ、今、示した6つの論点で皆さん共有して、これから検討会でのディスカッションに入りたいと思います。よろしいですか。
(「はい」と声あり)
○戸山座長 ありがとうございました。
 それでは、次の議題に移らせていただきます。
 厚労省の研究班で行っていただいております、「運動基準・指針の改定のための研究 システマティックレビューとメタ解析」研究班から成果が出ておりますので、宮地構成員、御説明をよろしくお願いいたします。
○宮地構成員 ただいま座長から御紹介がありました、「運動基準・指針の改定のための研究 システマティックレビューとメタ解析」という資料をごらんいただきたいと思います。
 2ページ目をごらんください。システマティックレビューや文献の調査をするためには、エビデンス収集の方向性をある程度定めなければいけません。その方向性について、5点ほど私たちで挙げたものがありますから、最初に説明させていただきます。
 まず、2006というかなりしっかり議論された基準・指針があるということで、もともとある基準値が、本当に変更が必要なのかということをしっかり文献的におさえることが1つ目。
 2つ目は、2006が従来より、死亡、肥満、糖尿病、循環器疾患の発症を予防することを観点に置いていたわけですけれども、それに加えて、がん予防、あるいはロコモや認知症の発症に代表される、社会生活機能の低下の予防を含めたものに基準づくりをすることができるかということ。
 3つ目は、多くの先生から御指摘がありますように、「高齢者の」という言葉がよく出ていますけれども、高齢者の基準というのがつくれるのか。
 4つ目は、余り注目されていないようですけれども、全身持久力を含めた体力の基準というのをどのように見ていくのか。
 5つ目は、身体活動や運動習慣は非常に個人差が大きく、できる人とできない人の差が大きい行動ですけれども、個人差を一つのラインで示すというだけではなく、個人差を考慮した基準の作成ができるかということを5つ目の観点としてレビュー作業を行ったところです。
 3ページを見ていただきたいと思います。今から2年ほど前の2011年2月10日から研究班で検討を開始いたしました。5回ほどのレビューボードを開きまして、その間、体力医学会、臨床スポーツ医学会、公衆衛生学会等の学会での議論を踏まえて、システマティックレビューの作業をこのように行ってきたところであります。
 4ページですけれども、どのような文献をレビューしたのかということを簡単にこの図で示したいと思います。研究開始時にほぼ1,000人以上の大規模な研究で、しかも、ベースライン測定後5年、10年と長い時間、前向きに観察をしたという、いわゆるコホート研究というのを本研究の対象にしております。この研究の場合ですと、研究開始時に50歳だった方の最大酸素摂取量を測りまして、高い人から低い人まで分けて観察してみると、最大酸素摂取量が優れている、全身持久力が優れている人ほど心筋梗塞による死亡が低いということを示すデータです。このような文献を数多く集めて、必要な基準の値を定めていくという作業をいたしました。
 5ページを見ていただきたいと思います。システマティックレビューは2005年当時に行われたものですけれども、それ以降、ほぼ5、6年たっています。その間にどれぐらいの論文が増えたのかということを示しております。2005年当時とほぼ同じ検索語で検索したところ、6,500本、6年間で新しい文献がヒットしてまいります。レビューボードでレビューをしていき、最終的に206本の文献が、4ページにあるようなクライテリアに合う研究だということで採択されました。2006のときに使いました文献も加えて、最終的に268本という文献を使いまして、今回の文献の調査を最終的に行ったわけであります。
 例えば、18歳以上の身体活動量に関する文献は90本、そのうちメタ解析には33本が使われており、運動量、高齢者のガイドライン、個人差を考慮したガイドライン、あるいは持久力や体力に関する基準などをつくっていくための文献がそれだけあったということを、下の四角に囲っている部分で示してあります。
 次のページをごらんください。それらの文献をメタ解析という統計処理をした結果、どのような基準が示せるのかを見ました。まず、上の図を見ていただきたいのですが、身体活動量と死亡、NCD発症。NCDの発症というのは、糖尿病、高血圧、高脂血症、循環器疾患等のいわゆる生活習慣病と、がんやCOPDを含めたものの総称です。運動器の障害は、転倒・骨折、あるいは痛みの発生等。それから、認知症の発症といったアウトカムのリスクの減少との関係を示したものがこのメタ解析の結果です。
 コホート研究の対照群の身体活動量は、オレンジの四角で囲ってあるところに小さな矢印で書いてあります。4.4メッツ・時/週の身体活動をやっているわけですけれども、それよりもちょっと増えただけの6.6メッツ・時/週でもリスクが0.861ということで、14%ほどリスクが下がっています。身体活動量が22.4メッツ・時/週、46.4メッツ・時/週と増えていくに従いまして、身体活動が増えれば増えるほどリスクが下がるというところが見えています。
 その下に、運動量と死亡、NCD発症、運動器障害・認知症発症のリスクとの関係を示しておりますけれども、やはり運動量も、一番運動習慣のないグループに対して、2.9メッツ・時/週、約3メッツ・時/週あれば、既に12%ほどリスクが低いということがわかっており、また、運動量が増えれば増えるだけリスクが下がっていくことがわかっています。
 この結果を本当にエビデンスだけで決めるということになってしまえば、身体活動量の一番少ないグループの6.6メッツ・時/週、あるいは運動量で言えば2.9メッツ・時/週、これぐらいあればリスクは減るわけだから、基準値はここでもいいではないかという決め方もできるわけであります。ただ、ここで考慮したいところは、さらに身体活動量や運動量を増やせばもっとリスクが下がるということがわかっているので、どこに定めるかというのが一つ悩むところであります。
 そこで次の7ページを見ていただきたいと思います。日本人を対象にした研究だけを調べてみました。そうすると、非常に興味深い結果がわかりました。日本人の研究では、身体活動量が一番少ないのは6.2メッツ・時/週です。これを対照としまして、18.9メッツ・時/週やっているグループでは残念ながらリスクは下がらない。しかし、22.5メッツ・時/週、あるいは26.2メッツ・時/週というカットオフラインがあるわけですけれども、そこを過ぎた平均27.2メッツ・時/週の身体活動量をやっているグループでは、リスクが急激に下がるというのが日本人の特徴です。
 日本人の身体活動の量というのは、おおむね18メッツ・時/週程度にあるわけですけれども、その平均を超えてくることに意義があるということが、こういう結果にあらわれているのではないか。日本人の身体活動が多いことがこういう結果に反映されているのではないかと思います。
 次の8ページは、高齢者の基準を定めたいということがございました。そこで、65歳以上だけを対象にした文献を使ったメタ解析を行いました。65歳以上の文献で数多く使われていた身体活動の概念は「余暇身体活動」という概念でした。これは、スポーツとかフィットネスだけではなく、家庭菜園で水やりをするとか、草むしりをするとか、あるいは隣のおじいちゃんのところに行って立ち話をするとか、余暇時間にやるようなのんびりとした活動ですけれども、そのような活動の量とさまざまなリスクとの関係がかなり明らかになっており、メタ解析をすることができました。下の図を見ていただきたいのですけれども、4メッツ・時/週ほどをやっていれば、高齢者のリスクが15%ほど下がることがわかりました。
 次の9ページを見ていただきたいと思います。先ほどから「量反応関係」という言葉が出ています。要するに、身体活動量が増えれば増えるほど、運動量が増えれば増えるほどリスクが下がっていきますということですが、この関係があるということは私たちにとって非常にいいことです。すなわち、従来の23メッツ・時/週や運動習慣4メッツ・時/週に到達するのにとても遠いところにいる少ない身体活動量の人が、ちょっとでも増やすというやり方で効果があるという意義。さらに基準値を既に超えてしまっていて基準値では不十分だという人が、さらに増やすことにも効果があるという意義がございます。
 それを、GreenlandとLongneckerという方々が開発した若干特殊な方法でメタ解析をやってみますと、1週間に1メッツ・時/週、時間に直しますと1日たった2~3分、身体活動量が増えると、たった0.8%ですけれども有意にリスクが下がる。10分増やすと3.2%リスクが下がるというように、基準値に到達しなくてもいい、あるいは基準値を超えていても、より増やせばいいということがわかりました。ですから、一番下に書いてありますけれども、今よりも少しでも長く、少しでも活発に体を動かすことを、基準値を目指しながらも推奨することができるということがこの研究からわかりました。
 次の10ページを見てください。全身持久力の体力要素の基準策定の文献は2006年当時よりもさらに増えました。体力の位置づけがわからないという御指摘がありますけれども、身体活動量をどれだけ多く増やしても、せいぜい20%程度の発症リスクを減らす効果しかないわけですが、体力が増えていくと、最大限40%から50%ほどリスクが下がるということが多くの文献が示しているところであります。すなわち、単に体を動かすというだけではなく、体力が増えるような取組みをすることによってより大きな効果があるということ、さらに介護予防とか運動器の機能の向上という観点からも、日本人の体力を増やすことを目指すための基準が必要ではないかと思います。
 身体活動量や運動量と同じようにメタ解析をやりますと、全身持久力すなわち最大酸素摂取量の基準値を示すことができます。単位は従来のml/min/kgだと難しいですけれども、メッツで表現することができると考えております。
 11ページにまとめを挙げておりますが、新しく200本余りの論文を追加し、メタ解析などの統計分析をすることができました。
 死亡や生活習慣病発症のみならず、がん、運動器の障害・認知症の発症をエンドポイントにした知見が多く含まれることがわかりました。
 18歳~64歳には、これはシステマティックレビューをした研究班からの提案ですけれども、中強度以上の身体活動量の基準値23メッツ・時/週辺りを基準としていいのではないか。運動量の基準値としては、4メッツ・時/週辺りがいいのではないか。
 65歳以上には、強度にこだわらない余暇身体活動量の基準4メッツ・時/週辺りはいかがということ。
 個人差を考慮した基準として、今よりも少しでも身体活動量を増やすというのはどうだろうかということ。
 6番として、体力の基準として以下のような値はいかがということ。
 7番は、システマティックレビューを一生懸命やりましたけれども、全身持久力以外の体力で、基準値を策定するためのエビデンスとして十分あるのは握力だけです。握力であれば基準値はつくることができます。ほかの身体活動量や最大酸素摂取量と同じクライテリアで決めるとしたら、という観点ですが。ですから、それをどのようにしていくのかということは御検討いただきたいと思います。
 最後のページです。エビデンスに基づく基準値の提言ということで、18歳~64歳の青壮年には23メッツ・時/週ということですが、少しわかりやすく表現させていただきますと、歩行もしくはそれと同等以上の活動を1日60分、歩数に換算すると1日8,000歩以上。3メッツ以上の中高強度の運動量として4メッツ・時/週というのがありますけれども、わかりやすく言いますと、息が弾み汗をかくようなスポーツや体力づくり等の運動を週60分。
 今回の改定で新しく追加できるであろうと考える基準としまして、65歳以上の高齢者に対して3メッツ未満も含む余暇身体活動(運動を含む)として、4メッツ・時/週ですが、炊事、外出、散歩、軽い体操などの活動を週に120分。ここら辺の言いぶりはいろいろ考えていく必要があると思います。
 なぜ若者と同じ4メッツ・時/週で、若者は60分で高齢者は120分なのかという疑問があるかもしれませんけれども、若者は、4メッツとか5メッツのスポーツだったりジョギングだったり、そういったものも含めて60分ということですが、高齢の体に、走れとか、テニスをしろというのはなかなか難しいので、2.5メッツとか2メッツの弱い活動や運動も合わせるとおよそ120分になるだろうと。1日当たり15分ほどと思っていただければいいです。
 すべての世代において量反応関係を考案して、身体活動量を現状で少しでも増やすことがいいということがわかったわけですけれども、それを、「今よりも少しでも長く、キビキビと活発にからだを動かす」という表現もできるのではないかと思いました。
 付録として13ページ~15ページまでは、メッツ表といいまして、どんな活動がどんなメッツなのかということを紹介しております。先ほど、藤川委員や道永委員からラジオ体操という御指摘がありましたけれども、ラジオ体操のメッツも既に明確になっております。ラジオ体操第一が4メッツ、第二が4.5メッツ、「みんなの体操」は3.8メッツ。座ってやるラジオ体操のメッツも明らかになっておりまして、座ってやるラジオ体操第一は3メッツ、座ってやるラジオ体操第二が3.5メッツというように、さすが日本のラジオ体操、きちんとメッツも出ています。そういったもののメッツ提示もできるような研究が進んでいることを紹介して、私の発表を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
○戸山座長 ありがとうございました。論点2の科学的知見を踏まえた運動基準をどういうふうにするかということで、これは、この改定の根幹をなすかと思います。これをまた一般の方にわかりやすくというのは、その次のステップとしまして、今、宮地委員から御説明がございましたけれども、非常に基本のところでございます。何か御意見があれば、お受けしたいと思います。新たに論文200本を追加してそれを検討した結果、64歳まで、それは前回の基準と一緒で大体1週間で23メッツ・時ということです。それから、高齢者も今回お示しいただきました。
 いかがでしょうか。
○鈴木(隆)構成員 宮地先生、本当にシステマティックレビューは大変だったと思いますけれども、きれいな結果を見せていただいて、ありがとうございます。18~64歳、あるいは65歳でもいいですけれども、例えば6ページのところで、身体活動量と死亡、NCD発症、運動器障害・認知症発症リスクとありますが、これは、何かのイベントが起きたものを全部合わせたものをアウトカムしているのですね。
○宮地構成員 そうです。すべて含んでおります。
○鈴木(隆)構成員 例えば、18~64歳で認知症発症というのはちょっと考えられないですね。
○宮地構成員 研究開始時がその年齢だったというふうに御理解いただければいいと思います。それから15年とか20年観察して、認知症の発症のエンドポイントを見たという研究です。
○鈴木(隆)構成員 身体活動が恐らくこれら個別のイベントに対しても有効で、抑制的に働くというのはよくわかりますが、アウトカムを全部一緒にしてしまうと、疾病頻度に大きな差が存在していることからも、「何に効いているのか」という問題が出るのではないかと思いますが。
○宮地構成員 今回、お示ししなかったのですけれども、例えば死亡だけ、あるいはNCD発症だけ、運動器障害だけ、認知症だけというレビューも全部やっておりまして、身体活動で有意差が出てくる身体活動量や運動量は違いますけれども、必ずどこかのレベルで有意差が出てまいります。認知症というのは、かなり多くの身体活動をやっていないとアウトカムが出てこない。グループ2からグループ4で言いますと、グループ3の22.4以上でないと認知症は有意差が出てきません。運動器障害も同様です。死亡やNCDは非常に低いところから出てきますけれども、そのようなことがあります。
 これは解釈として、認知症の発症の予防にそれだけ多くの身体活動を必要とすることを示しているのか。あるいは、文献の数が不十分なので、統計的パワーがなくてそうなっているのかがちょっとわかりません。両方がかかわっております。ただ、アウトカム別に見ると、そのようにそれぞれのものを示すこともできますので、次回の機会にでもきっちりと御報告させていただきたいと思います。
○戸山座長 ありがとうございました。これから鈴木委員からは中高年期の運動の重要性ということで御報告をいただきますので、それを踏まえて、その後、時間があればディスカッションをしたいと思います。基本的にはこれだけのレビューの中での数値ですので、骨格をなす数字としてお認めいただければと思います。
 では、もうひと方、どうぞ。
○内藤構成員 いろいろレビューは大変だと思いますけれども、メッツ時を換算するときは、中強度未満の低強度の活動も含めての身体活動量で計算したものなのかということです。最終的に1日60分程度の3メッツ以上の活動をということで提言されているわけですけれども、こういう切り方で、単純に3メッツ以上だけを時間で切って同じようにメタアナリシスをされていないのか、その辺を教えていただきたいと思います。
○宮地構成員 その点は大丈夫です。身体活動量の質問紙をすべて見まして、3メッツ以上の活動だけを対象にした文献を使ったメタ解析をしております。ちなみに、3メッツ未満の活動を含めてしまうと身体活動量がすごく大きな値になってしまって、全く混沌としてしまいますので、3メッツ以上の身体活動だけを含めた研究でやっております。
○内藤構成員 もう一つ、先ほど問題提起がありましたけれども、不活動をどうするかということで、いわゆる不活動を少なくするというようなエビデンスは今回検討されていないのかどうか。
○宮地構成員 不活動に関するシステマティックレビューも行いました。不活動が多ければ多いほどリスクは上がってまいります。その基準を示すだけの根拠は恐らくあるだろうと思います。もし必要であれば、次回にそのレビューの結果を持ってくることもできますので、また、御検討いただければと思います。
○戸山座長 どうぞ。
○鈴木(志)構成員 システマティックレビューから基準を作成いただくのはよいのですが、現場で説明する際には付随するエビデンスのほうが重要視されます。例えば免疫力が上がるとか、10年、20年先、自分が何によって死ぬかはわからない状態で、死ぬことのリスクが軽減されるからどうぞやってみてくださいといくら説明しても、なかなか説得力がない。それよりも、こういう運動をちょっとでも積み重ねると免疫力が上がるのですよ、ということに国民は目を向けます。
 先生方がシステマティックレビューしていただいたときに、付随したエビデンスも是非、指導者側、従事者側に示していただくと、病気という大きいイベントのときだけではなく、運動によって健康の維持に結び付くので、毎日の積み重ねが必要ですよという、運動基準を進めていく後押しになります。是非、そのエビデンスも示していただけたらと思います。
○戸山座長 ありがとうございます。基本骨格を検討していますので、今、お話しいただいたようなものの資料が他にあれば、次回にお出しいただく。ないしは、それらを加えて検討するという方向がよろしいかと思います。
 それでは、時間も押していますので、済みません、鈴木委員から、「中高年期の運動の重要性」について、よろしくお願いいたします。
○鈴木(隆)構成員 それでは、手短に。皆さんのお手元に「中高年期の運動の重要性」ということで、1枚おめくりいただきますと、健康日本21。来年度から第二次が開始されますけれども、特に中高年期に関しては、「高齢化に伴う機能の低下を遅らせるため、高齢者の健康に焦点を当てた取組みの強化」ということが、今回うたわれております。
 そこでは全部で6項目、要介護状態を予防して要介護認定を下げるとか、認知機能低下を予防するためにハイリスク高齢者の把握率を向上させるとか、ロコモティブシンドロームの認知度を上げる。良好な栄養状態を維持してBMI20以下の者を減少させるとか、身体活動の増加、あるいは社会参加の促進と、いずれも重要な項目でございます。
 次を開けていただきますと、歩数の増加、あるいは運動習慣者の割合を目標設定したということでございます。中高年期の運動が、高齢期の身体機能、自立、死亡率、そういったものにどう影響を与えるか。きょう、お示ししますのは、私ども国立長寿医療研究センターで15年ほど行われております、老化に関する長期縦断研究(NILS-LSA)がございます。今回、第5次調査のデータを担当の下方部長に分析していただきまして、中高年期の運動が高齢期の身体機能や認知機能にどう影響したかということを御紹介いたします。
 6ページ目、いずれも同じようなグラフになりますので、中年期の運動習慣があるか、ないかということが横軸にとられています。全く運動習慣のない人、低強度(2.5メッツあるいは3メッツ)、中等度以上は4.5メッツ程度の運動ですけれども、こういった習慣がそれぞれあるかどうかという視点から、高齢期になったときに、「階段を数段のぼることに困難」を「感じる」か、「感じない」か、ということを見たものです。そうしますと、ごらんのように運動習慣のない人を基準(リファレンス)に置きますと、中等度以上の人では有意に困難を感じることが減る、リスクが有意に減るということを示しております。
 同様に、7ページですが、体を前に曲げることに困難を感じるかどうかということについても、やはり中年期における中等度の運動を行っている者はそのリスクが有意に下がっている。
 8ページですが、1キロメートル以上歩くことに困難を感じるかどうかというのを見ていきますと、中年期の中等度以上の運動を行っている者では平均で50%のリスクを減らすことができるということです。
 もう一つは、認知症の中でよく使われるテストでMMSEというテストがございます。MMSEというのは30点満点ですけれども、23点以下を認知症と仮に置いた場合、これもやはり中等度以上の運動をしている方は有意にリスクが減っていることが見てとれます。
 このグラフを別な形で見ていきます。認知症というのは、高齢期に年齢に依存して発症率が高くなる非常に特徴的な病気ですけれども、認知症になる確率は、中年期に運動習慣のない人は、65歳から、ブルーの線で書かれていますように、年を取るとともにそのリスクが上がっていきます。しかし、軽度の運動習慣あるいは中等度以上の運動習慣のある人は、運動習慣のない人に対して発症リスクが下がっていることが、各年齢階層ごとの発症率から見てわかってきたわけです。
 同じテストで、30点満点で27点以下を認知機能低下と位置づけることができますけれども、これについてもお示しいたしますように、中等度の運動をしている者では、高齢期において認知機能低下が抑制される。リスクが下がることがわかります。
 認知症になった方というのは、予防するという視点から見ますと、もうそれ以上の予防はできないのですけれども、最近、特に注目されているのは、認知症予備群、すなわち認知機能の低下状態で、認知症になる前の段階が実は非常に重要だということがわかってきております。これについては後で追加で御説明いたします。
 12ページは、うつでございます。うつについては、いずれも有意な関連性がないことが今回のデータでは見てとれます。これは恐らく運動よりも、社会状況とか、経済とか、そういったことが非常に大きく効いてくるのだろうと思われます。そういったものは調整変数に入れておりませんので、こういったデータが出るのではないかと思っております。
 13ページ以降は、握力、脚伸展筋力、上体起こしといった測定された運動機能でございます。中年期に運動のなしとあり、高齢期の余暇身体活動でそれぞれグループを区切って見ていますが、特に中年期の運動習慣があれば、高齢期の身体活動が軽度でも握力はかなり高く維持される。脚伸展筋力についても、高齢期の余暇身体活動とかそういうものがなくても、中年期の運動の機能がかなりよく維持されているのではないか。上体起こしについてもそういったデータが出てきております。
 次に御説明をさせていただきますのは、実はこういうリスクというのはよくわかっています。先ほど宮地構成員からも、システマティックレビューで多くのリスクというものが御報告されています。運動をしない人は、将来、死亡のイベントやNCDの発症のイベントといったものが増えてくることは、多くのところで言われています。
 問題は、そういったリスクを改善するようなことをした場合、本当に死亡や認知症、あるいはロコモティブシンドロームをはじめとする筋力の低下を防げるかどうかを検証するためには、全く別のと言いましょうか、16ページに書かれておりますが、ランダム化試験というものをやらなければいけません。高齢者における生活機能を目的としたランダム化試験というのは、世界的にも非常に少ないものでございます。ただ、日本は世界的にもトップの長寿の国ですし、介護予防という国家の施策が実施されておりますので、その視点から、サービス提供されるプログラムが有効かどうかということを、きちっと検証しなければいけないという段階にあるわけでございます。
 16ページはランダム化試験の一般的な流れ図(フロー)ですけれども、ハイリスク者を選んで、無作為にくじ引きで2群に分けて、一つの群には運動を介入する、あるいは栄養を介入する。一つは今までどおり普通に生活をしていただく。その結果、ここで紹介するのは、サルコペニアという筋肉がへたってしまうものと、認知機能が低下してしまうことの2つの課題ですが、運動をした人たちがそういったことが防げるかどうかということが科学的に証明できるかということでございます。
 17ページは、サルコペニアのRCT(ランダム化試験)が書かれています。75歳以上、後期高齢者の女性ですが、約1,400名に対してサルコペニアを判定し、そこから4群に分けてランダム化試験を行っています。1群には運動とアミノ酸。アミノ酸の中でもロイシンを高付加したものですけれども、1群は運動だけ。もう一つはアミノ酸だけ。もう一つは、今までどおりの生活というふうにして、4群のランダム化をしていきます。
 18ページには、実際の運動がどのくらい介入したかということで、3か月間・週2回、1回当たり60分、特に筋肉強化ですとかそういったことをやる。先ほどからよく出ていますけれども、高齢者というのはよく転びますので、バランスとか歩行訓練は必須になりますけれども、そういったものを取り入れています。栄養については、ロイシンを42%含むものを1日6g。ロイシンで言うと約3gですけれども、飲んでいただくということです。
 その結果、3か月の介入の結果、何がわかったかというのが20ページでございます。筋量に着目していただきますと、非常にきれいに4群の間でトレンドがはっきり分かれます。一番左側のEx+AASというのは、運動とアミノ酸を一緒に投与していただいた方です。その方々は筋量が明らかに増えています。運動だけでも筋量は増えます。アミノ酸付加は増えますけれども、有意ではありません。健康教育だけされた方は減っている。歩行速度についても、エクササイズ、運動をした方は非常によく増えます。アミノ酸でも少し増えていきます。それから、筋力は膝の伸展筋力で測っておりますが、これも非常にきれいに、4つの群でトレンドが明らかに有意に出ます。運動とアミノ酸を介入した群では最もよく改善いたしますし、何もしなければやはり下がっていくということになります。さらに筋肉量と筋力を合わせた(合成した)状態を分析すると、運動+アミノ酸投与群で著しく改善したことも証明されています。
 21ページからは認知症に関してです。ごらんいただくとわかりますが、認知症というのは後期高齢者の病気というふうに認定してよろしいかと思います。もちろん若年性の認知症はありますけれども、日本で増えているアルツハイマーというのは明らかに年齢に依存いたします。
 これについても、日本で初めてだと思いますが、認知機能低下者に対するRCTを行いました。22ページには、どんなことをやったのか、第一次のスクリーニング1,500名を対象にしています。そして100名ほどの方々が、さまざまな認知機能テストや脳画像、さらに専門医の診察などから(認知症ではないものの)認知症予備群(軽度認知機能障害;MCI)ということで最終診断を致します。 24ページは、そのエクササイズを写真でごらんいただいています。これは単純なエクササイズではなくて、頭を使うエクササイズを入れてあります。結果を見てみますと、25ページですが、運動をした方々(ブルー)は認知機能テストのグラフが右上がりになっている。すなわち、よくなっていることを示しています。赤い方は、健康教育だけ行った方々ですが、やはりよくならない。悪くなっている者もあるということです。
 26ページですけれども、画像で見てみますと、特に右側の健忘型MCIの方々は、1年から2年後にアルツハイマーに移行する確率が高い方々ですが、運動と、脳を刺激するような介入をいたしますと、脳の萎縮が予防される。一方で、何もしないと脳の萎縮が進行するということで、この両群の間には明らかな交互作用、有意差が出てくることがわかっています。
 27ページからは介護予防と病気の予防のための説明文ですが、時間がありませんので、また後日、行います。
 ということで、高齢期においても運動が非常に重要であり、特に高齢者の生活機能やQOLを傷害し、要介護認定の原因となりやすいサルコペニアや認知機能低下の高齢者に対するRCTを用いた介入研究でもその結果が出ているということを紹介させていただきました。
 以上です。
○戸山座長 ありがとうございました。鈴木構成員から、高齢者に関しても運動が非常に重要である。認知症も増えているけれども、運動介入でよくなることも示されました。また、サルコペニアに関しても運動が大切ということを示されました。論点の一つの対象者に関しまして、これだけいい結果が出ておりますので、今回は、18歳~64歳、さらにその上の高齢者も対象に含めて指針をつくろうということでは、皆さん、御同意いただけるのではないかと思いますが、これはよろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○戸山座長 また子どもも含めた形で進めさせていただければと思います。
 それから、宮地構成員から、18歳~64歳に関しまして、「2006」と基本的には同じということは、200本の新しい論文からもこれでいいということですので、多分その方向でということで、もう一度持ち帰って見ていただいて、次回、何かありましたら意見をいただきたいと思います。
 高齢者に関しましては、新たにつくるということで、いろいろ御意見があろうかと思います。たくさんの資料をつくっていただいて本当に申しわけなく思いますけれども、これを是非持ち帰って見ていただいて、次回、また高齢者等に関してはディスカッションをさせていただければと思います。そういうわけで、対象者、利用者に関しては今のような形で出させていただきます。また、新たな基準に関しましては、次回、高齢者も含めて十分ディスカッションをしたいと思います。
 時間になりましたので、これで閉会とさせていただきますが、次回には十分にディスカッションをしたいと思います。
 今後のスケジュールにつきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○菊地課長補佐 今後の日程ですけれども、調整させていただきました結果、第2回検討会は11月27日(火曜日)16時から、第3回検討会は、12月26日(水曜日)14時からということで予定してございます。後日、改めまして正式に御連絡を差し上げます。
 なお、次回、検討会で御説明をいただきます構成員の先生方におかれましては、大変恐縮ですけれども、22日(木曜日)の正午辺りをめどに事務局まで資料をお送りいただければと考えております。よろしくお願いしたいと思います。
 以上です。
○戸山座長 この検討会は2時間という形で一応セットしていますけれども、第2回では、もっとディスカッションはホットになりますし、新たな対象の高齢者や子どもも入ってきますので、時間が若干延びる可能性もあることを御承知おきいただいて、第2回を予定したいと思います。
 それから、きょうはたくさん資料がございます。申しわけありませんけれども、お持ち帰りいただいて、十分見ていただいて、次回、御意見をいただければ幸いです。
 では、これをもちまして閉会とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。



(了)
<照会先>

厚生労働省健康局がん対策・健康増進課
  課長補佐 佐藤(内線2348)
  係長    原 (内線2396)
(代表電話)03-5253-1111

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