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2012年10月1日 第37回社会保障審議会児童部会議事録

雇用均等・児童家庭局

○日時

平成24年10月1日(月)17:00~19:00


○場所

厚生労働省省議室


○出席者

委員

大日向部会長 松原部会長代理 秋田委員
石津委員 大澤委員 佐藤委員
土堤内委員 矢藤委員 渡辺委員

事務局

石井雇用均等・児童家庭局長 鈴木大臣官房審議官 定塚総務課長
大鶴家庭福祉課長 杉上育成環境課長 橋本保育課長
桑島母子保健課長 黒田少子化対策企画室長 為石虐待防止対策室長
高橋児童手当管理室長

○議題

(1)最近の児童行政の動向について
(2)その他

○配布資料

資料1社会保障審議会児童部会委員名簿
資料2子ども・子育て関連3法について
資料3保育士養成課程検討会の再開について
資料4児童手当法の一部を改正する法律について
資料5小児慢性特定疾患児への在り方に関する専門委員会の設置について
資料6「社会的養護の課題と将来像」に基づく施策の進捗状況について
資料7親権に係る制度見直しの施行状況について
資料8子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について(平成24年7月児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会第8次報告)
資料9東日本大震災で被災した子どもの心の支援について
資料10-1平成25年度概算要求の概要
資料10-2平成25年度税制改正要望の概要

○議事

○大日向部会長 
定刻となりましたので、ただいまより、第37回「社会保障審議会児童部会」を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、本日大変お忙しい中をお集まりくださいまして、ありがとうございます。
会議に先立ちまして、9月に事務局に異動がありましたので、その紹介をお願いしたいと思います。また、委員の皆様の異動と出欠状況についても合わせて報告をお願いします。

○定塚総務課長 
9月10日付で事務局に異動がありましたので、各自、自己紹介をいたします。

○石井雇用均等・児童家庭局長 
9月10日付で雇用均等・児童家庭局長になりました、石井です。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○鈴木大臣官房審議官 
担当審議官を拝命いたしました鈴木です。よろしくお願いいたします。

○大鶴家庭福祉課長 
家庭福祉課長を拝命しました大鶴です。どうぞよろしくお願いします。

○高橋児童手当管理室長 
児童手当管理室長の高橋です。よろしくお願いいたします。

○桑島母子保健課長 
母子保健課長の桑島です。よろしくお願いいたします。

○定塚総務課長 
最後になりましたが、総務課長の定塚です。よろしくお願いいたします。
 次に、委員の異動です。榊原委員が昨年2月7日をもちまして退任されていらっしゃいます。
委員の出欠状況です。本日は、奥山委員、小杉委員、才村委員、林委員、宮島委員の5人の方が所用によりご欠席と伺っています。以上です。

○大日向部会長 
それでは、議事に入ります。まず、前回、昨年10月31日の児童部会で説明がありました、「子ども・子育て支援新制度」について、8月10日に関連の法律が成立しましたので、事務局から説明をお願いします。

○黒田少子化対策企画室長 
先生方のお手元の資料2に基づき、子ども・子育ての新しい制度が、どのような形で法律として成立したのかについて説明します。
 まず、2頁です。今回の、子ども・子育てに関連する新しい制度の目的です。これは、政府で法案を国会に提出したとき、あるいは、今年3月に政府内で少子化社会対策会議決定としてまとめた際と変わっておりません。1つ目が、「質の高い幼児期の学校教育、保育の総合的な提供」です。2つ目が、「保育の量的な拡大・確保」。3つ目が、「地域の子ども・子育て支援の充実」。この3つの目的で、今回の制度改正をしようということです。
 3頁から4頁にかけて、今回成立した法律のポイントを箇条書きで挙げています。趣旨は、2頁でご覧いただいたものと重なりますが、幼児期の学校教育・保育、それから、地域の子ども・子育て支援を総合的に推進するために、法制度を改革しようということです。
 ポイントは○で、3頁に3つ、4頁に4つ書かれています。まず、1つ目の○です。「認定こども園制度の改善」です。現在は、幼児期の学校教育・保育を司る施設として、幼稚園、保育所、認定こども園の3つの仕組みがあり、この3つの仕組みで支えているわけです。これについて、現行の認定こども園制度をベースにしながら所要の改善をしようとして、法律が成立しています。具体的には、認定こども園の類型の中で、幼保連携型認定こども園という、幼稚園と保育所の2つの認可の上に、認定こども園としての認定を経て行っているタイプの改善です。大変立派な実践で現場の評価も高いのですが、一方で、幼稚園、保育所のそれぞれの手続を経るため非常に煩瑣で、スタートした後も指導監査が2本、お金の流れも2本となっていました。評価は高いけれども、非常に大変。始めるときも大変で始めた後も大変だという仕組みだったのです。これを、新しい制度の中では、幼保連携型認定こども園については認可、指導監督を一本化して、1つの認可で学校かつ児童福祉施設としての法的位置づけを付与しようという制度改正を行いました。そのために、認定こども園法を改正しまして、このような法的な手当を行うとしています。これがポイントの1つ目です。
 2つ目の○です。1つ目の○はいわば施設の制度の話でしたが、2つ目の○は財政支援の部分です。現在、幼稚園は、文部科学省から行われている私学助成と就園奨励費の中で運営されています。保育所については、特に私立の保育所は、保育所運営費の形で厚生労働省から市町村に、市町村から園へお渡ししています。それぞれの仕組みが別々に運営されています。そのため、認定こども園においては2つの別々のお金の流れを施設(現場)で1つに束ねて運営することになっていて、その財政支援の仕組みの一体化が非常に強く望まれています。今回の仕組みでは、こういった、文部科学省、厚生労働省が別々に現在行っている仕組みを、一体的に行うための法制度である「子ども・子育て支援法」という法律を新しく立てました。この法律は内閣府が所管し、内閣府から市町村に対してお金を渡すという流れにしようというものです。具体的には、認定こども園、幼稚園、保育所に共通の給付としての、「施設型給付」を創設すること。それから、現在は保育所運営費の対象から基本的に外れている20人未満の小さい保育に対しても、義務的経費で個人給付としてしっかり財政支援をするための新しい仕組みである、「地域型保育給付」を創設すること。これらを、子ども・子育て支援法という新しい法律に位置づけて一体的に措置していこうということです。
 3つ目の○は、「地域の子ども・子育て支援の充実」です。現在も、子どもや親御さんを支える大切な仕組みとして市町村を中心に運営されている、地域子育て支援拠点や乳児期の全戸訪問の事業など、きめ細かな事業が、前述した施設体系とともに、就学前のお子さんを中心に支えています。これについても、先ほど申し上げた、新しい財政支援の仕組みである、子ども・子育て支援法の中に、「地域子ども・子育て支援事業」という形で位置づけて、量的にも確保し、質を上げていく対象とします。これも柱の1つです。
 4頁です。いまは、いろいろな仕組みに分かれて運営されている子ども・子育ての仕組みを、今回の新制度の中では、基礎自治体である市町村が中心になって行います。市町村は、地域のニーズに基づいて計画を策定し、束ねて提供されることになる給付や事業を計画的に実施する主体として、新しい制度の中で位置づけられています。また、市町村が中心ではありますが、国、都道府県がこれを重層的に支えることによって、実施主体となる基礎自治体である市町村を応援しようということです。
 その下の○は、「社会全体による費用負担」です。現在、公費でいうと、子ども・子育てを支える現物給付は、約2兆円です。これに、消費税引き上げの財源の中から0.7兆円、それ以外の財源も含めて1兆円超の財政措置を検討しています。こういった取組みによって国と地方を合わせて恒久財源を確保し、幼児期の学校教育・保育、地域の子ども・子育て支援について質と量双方の引き上げを図ろうというのが今回の制度の眼目です。
 その下の○は、「政府の推進体制」です。先ほど、子ども・子育て支援については、これまで文部科学省と厚生労働省でそれぞれ行ってきた分野だと申し上げました。お金の流れを1本にするための、「子ども・子育て支援法」という法律を新しく作ります。この法律は内閣府に所管していただきます。また、認定こども園制度を改善する「認定こども園法」の改正を行いました。新しい認定こども園法の所管に内閣府も加わっていただきます。それらを所管する部署を内閣府に設ける必要がありまして、内閣府に所要な体制を整備する。これによって、特に、この仕組みを運営していただく地方自治体の皆様や施設等の現場でご尽力いただいている先生方からは、内閣府を見ていれば完結するという絵姿を描こうというものです。
 最後の○は、「子ども・子育て会議の設置」です。これは、子育て当事者が、忙しくて施策について発言しようと思ってもなかなか機会がなかったといった、子どもの分野に特有の事情に鑑みまして、有識者、地方公共団体、事業主あるいは労働者の代表の方、子育て当事者、子育て支援の当事者の方々などに入っていただいて、子育て支援の政策のプロセス、PDCAの一連のプロセスに関与していただくための仕組みとして、国の内閣府に「子ども・子育て会議」を新しく設置します。市町村あるいは都道府県にも同様の合議制の機関を作っていただくための努力義務の規定が子ども・子育て支援法の中に盛り込まれています。これらを合わせて、新しい給付事業の体系、当事者参画でPDCAを回す仕組みを運営したいというものです。以上がこの仕組みのポイントです。
 5頁は、これらの仕組みを「子ども・子育て支援法」という法律に束ねまして、その法律に基づく給付や事業のリストです。左側が個人に受給権が発生する個人給付、右側が市町村が実施主体の市町村事業という分類になっています。左側のいちばん上にあるものが、幼稚園、保育所、認定こども園に共通の給付として創設する「施設型給付」。その下が、20人未満、19人以下の小さい保育を支えるための、新しい個人給付、義務経費の仕組みであります「地域型保育給付」。その下が「児童手当」です。なお、児童手当については、先般、恒久的な位置づけの下に成立した児童手当法がありますので、この法律では、「現金給付は児童手当法に規定する児童手当である」ということのみを書いて、詳細は児童手当法に委ねる形になっています。また、施設型給付について、私立保育所は子ども・子育て支援法に基づく財政支援の対象になりますが、払い方は委託費払いの形になり、利用者負担の徴収も市町村が行うという修正が、子ども・子育て支援法の附則として行われていますので申し添えます。右側が市町村事業です。いちばん上の■は、新たに事業として位置づける利用者支援を除き、現在は次世代法に基づく交付金制度の中で運営している各種事業です。2つ目と3つ目の■は、現在は児童手当法に基づく児童育成事業の中で財政支援を行っている、放課後児童クラブ、延長保育、病児・病後児保育で、いちばん下の■が、妊婦健診という、このような仕組みです。これらはそれぞれ根拠法も財政支援の仕組みも別々に行われていますが、これを、子ども・子育て支援法の中に束ねて提供しようということです。なお、こういったさまざまなタイプの給付事業が行われることになることから、1つ目の■の冒頭にある利用者支援が、この仕組みを活かす上でも非常に重要であるということが、衆議院の修正の中で各党の先生方の一致するところとなり、市町村事業の冒頭に利用者支援事業を明記するという修正が行われています。
 5頁はいわばメニュー表ですが、6頁は、実施主体である市町村にこれらの給付事業をどのように汲み取っていただくかの概念図です。ベースにあるのは、その市町村にお住まいの親御さんあるいはお子さんのニーズです。教育のニーズ、保育のニーズ、子育て支援のニーズと、さまざまありますが、それらをしっかり汲み取っていただいた上で、それを事業計画の中に位置づけていただいて、市町村のエリアの中での仕組みの組み合わせで、必要な幼児教育・保育・子育て支援を提供する計画を作っていただく。いわば、需要計画と供給計画を作っていただく仕組みです。市町村事業計画は、全市町村に義務づける計画でありますので、これから各市町村にはこういった計画を作っていただく準備をする必要が生じます。また、都道府県には、市町村を応援する都道府県事業計画も作っていただきますので、これも法定で義務づけになります。このような仕組みの中で、これまでに比べてメニューが束ねられ、統合され、また、いろいろな形態が認められるようになりました。それを各市町村で活かしていただくような計画をこれから作っていただく必要があろうと思います。
 7頁は、この仕組みの中でどういう施設類型になったのかをまとめた概念図です。8頁は、今回の仕組みでは現在の認定こども園法を改正していますので、どの点が改正されたのかを示したものです。まず、7頁の上のほうに、「施設型給付」として点線で囲ったところがあります。そこに、認定こども園、幼稚園、保育所の3種類の施設のタイプが明示されています。まず、いちばん上の認定こども園です。これは、政府提案の段階では総合こども園という仕組みを提案していまして、総合こども園の仕組みは、幼稚園からの移行は手挙げ、保育所は、3歳以上の施設については法律上の義務づけで移行していただくとしていました。1つの認可で児童福祉施設かつ学校という位置づけの案として総合こども園法案を政府は提案しましたが、3党修正の中で、新しい総合こども園法案に替えて、現行の認定こども園法を改正する形で施設体系について整理することになり、このような体系になっています。
 認定こども園は、先生方ご案内のように、現在は4タイプあり、詳細は8頁です。幼稚園と保育所の両方の認可を取っている「幼保連携型」、幼稚園部分のみ認可を取っている「幼稚園型」、保育所部分のみ認可を取っている「保育所型」、それから、双方について認可の位置づけはないけれども認定こども園として運営している「地方裁量型」の4タイプがあります。総合こども園法案という政府案の仕立ての際は、認定こども園制度もなくし、総合こども園法案に一体化しようという運びだったので、上の図の「認定こども園」は「総合こども園」だったのですが、今回の3党合意に基づく修正の落ち着きでは、認定こども園法の改正なので、7頁のような位置づけになっています。認定こども園は4類型ありますので、基本的にはこの4類型のまま存在し続けることは法律上可能だという整理になります。これが1つ目の修正点です。
 もう1つは、移行が手挙げ方式だということです。認定こども園の仕組み自体は、先生方ご案内のように、現在の幼稚園、現在の保育所で移行を希望する施設から手が挙がって認定こども園に移行するタイプなので、今回の改善された認定こども園制度でも、その位置づけに変更はありません。保育所からの強制移行、つまり、3歳以上のお子さんを預かっている保育所は保育所ではなく、強制的に移っていただくというしつらえを改めました。保育所は、0歳から5歳のお子さんを預かる状態でも保育所としての存続は認められますが、一方で、認定こども園に移行することも可能になるという、手挙げ方式になりました。ここが修正点です。
 8頁に改正点を整理しています。まず、幼保連携型について現行の制度では、幼稚園の認可、保育所の認可、それらの上で一体的に行われる認定こども園法に基づく認定を経て運営されていますので、開設する際には、2認可と1認定を取って始まることになります。開設する際の手続が非常に煩瑣だということが課題です。また、開設時にそれぞれの認可を取っていますので、スタートした後の指導監督もそれぞれの体系に基づいて行われることになり、指導監督も2通りのラインで行われます。また、財政支援も、幼稚園部分は文科省のお金、保育所部分は厚労省のお金になりますので、財政措置もバラバラになっています。これが、評判はいいけれども、現場ではなかなか大変だということの裏付けです。
 右側にあるように、今回の改善後の認定こども園制度の下では、こうした立派で評判はいいが、現場の開設時の手続が大変だという点を改めようと、1本の認可で学校かつ児童福祉施設という位置づけにすることで、開設時の負担を下げようとしています。1本の認可に基づく開設になりますので、開始後の指導監督も当然1本になります。また、いままで財政措置をバラバラに受けていましたが、7頁にありましたように、子ども・子育て支援法という新しい法律に基づく施設型給付を受けますので、財政措置も1本になります。こういった点について改善されました。
 その幼保連携型の下にある、幼稚園型・保育所型・地方裁量型については、開設時の許認可や認定の手続は現行どおりですが、財政支援の部分がそれぞれバラバラに行われていました。これが、子ども・子育て支援法に基づく施設型給付に一本化されますので、開設後の手続はかなりやりやすくなります。その結果、強制的に移行するしつらえは改めますが、認定こども園のどのタイプであっても、いままでよりも運営がしやすくなります。特に、新しい幼保連携型の認定こども園については、開設時の負担、開設後の指導監督、財政支援も含めて、やりやすくなり、それぞれのタイプにメリットがあります。
 7頁の下の、地域型保育については、先ほど話したとおりです。
 9頁以降の資料については、昨年報告した、総合こども園のしつらえとほとんど変わっていませんので、変更になった点のみ個別に説明します。
 昨年の立案段階の際、あるいは今年3月に政府が出した総合こども園法案でのこの仕組みは、保育所について、3歳以上を預かっている施設は強制的に移行してもらうしつらえでした。したがって、現在保育所を運営している主体である社会福祉法人はもとより、株式会社等の主体についても一定の条件の下に設置主体として認める案になっていました。ところが、先ほどご覧いただきましたように、3党合意に基づく修正後の姿では、認定こども園制度の改善で対応することになり、手挙げ方式に変更になっています。そうすると、現行の幼保連携型でも設置主体として認められている、国、地方公共団体、学校法人、社会福祉法人が主体でよいという落ち着きになりました。その点は、10頁の「制度設計について」のいちばん上の欄の「設置主体」にありますように、設置主体は、国、地方公共団体、学校法人、社会福祉法人が主体だということに変更されています。なお、株式会社等については、認定こども園の保育所型でも運営いただくことが可能ですし、引き続き運営していただく際には保育所としての設置も可能なので、そういった主体の方々は保育所型認定こども園、あるいは保育所での関わりをお願いしています。以上が認定こども園の関係です。
 続いて、13頁をご覧ください。「認可制度の改善等について」です。この部分は政府案で想定していました指定制度が修正された部分なので、これについても説明します。政府案の段階では、現行の認可の仕組み、保育所の認可、幼稚園の認可、認定こども園の認定について、行政庁の裁量が一定程度あることはやむを得ないという前提の下に、公費の対象として、外形的な基準を満たすことを前提に、できるだけ客観的に、さまざまな主体を財政支援の対象として認めようとしていました。こうすることによって、基準を満たしているけれども公費が得られない施設や、そもそもそういう受け皿になる仕組みが整っていない小規模なものについても指定制度の中で対応していこうというしつらえでした。このような仕組みを導入することにより、これまでの伝統的な担い手である社会福祉法人、学校法人に加えまして、それ以外の方々もできるだけ仕組みに入っていただくことが、制度設計の念頭にありました。なお、この点については、衆議院や参議院の特別委員会の際にもかなり議論になりました。一定の質を満たす方々にお入りいただくことは構わないが、どうしても、悪い主体を最後の最後でブロックできなくなるのではないかという心配の声がかなり国会で出まして、その結果として、13頁にある形に落ち着きました。それは、現行の認可制度自体を改善することで認可を客観化してしまおうという発想に立っています。具体的には上の四角囲みの中の1つ目の○にあり、原則は?です。欠格事由に該当する場合や、供給過剰になって需給調整が必要な場合以外については、行政庁は認可するものとする。まず、原則認可だということをはっきりさせました。その上で、社会福祉法人や学校法人以外の方々については、先ほど申し上げたように心配の声もありますので、客観的な認可基準への適合に加えて、経済的基礎、社会的信望、社会福祉事業の知識経験に関する要件を満たしていただくことを要件として付加しています。現在の認可制度の下では、基準は満たしているけれども認可が得られずに公費が得られないというような話を、認定こども園の先生方の現場でも聞きますが、この仕組みの中では、供給過剰になっていない限りは原則認可であることになるので、透明化・客観化が図られるでしょうし、質を満たしている施設、事業者の方々に参入いただける仕組みになっていると思います。その上で、社会福祉法人、学校法人以外の方々についても、法律上、参入要件を明記しました。逆に言うと、認可しない場合には、どの要件に該当したので認可しないのかという挙証責任を自治体に持っていただく仕組みにしました。このような仕組みを活用することで、政府案で提案していました指定制とほぼ同様の効果は得られるのではないかと考えています。このような仕組みを導入することによって、認可の仕組みを改善し、質を保って、担保されている施設、事業者には公費が入るようにしたいということです。
 14頁です。実際に財政支援を行うのは市町村なので、認可のフィルターを経て、質を担保されていることを市町村で確認していただいて、財政支援の対象にするという仕組みです。なお、市町村は、お金を出している以上はその施設がきちんと基準に適合した形で運営されているのか等を、当然、住民や利用者である親御さん、お子さんに近い立場からチェックしますので、市町村の主体性も守られています。
 続いて、15頁です。いまの幼稚園の財政支援と保育所の財政支援を束ねて新しい子ども・子育て支援法にすると申し上げましたが、その束ね方の概念図です。できるだけ大括りにしていこうという発想に立っていますので、3歳未満で2区分程度、3歳以上で3区分程度です。3歳以上のいちばん低い段は、いまの幼稚園の利用に対応する段です。このように大括りにすることで細切れにならないようにしていこうということです。
 16頁は、手続の資料です。これも昨年ご覧いただいた資料とおおむね変わっていません。左側の、幼稚園は現在でも親御さんと園の契約に基づいて利用されていますが、保育所は園との契約ではなく市町村と利用者との契約という形態になっていますので、園と利用者の間には直接の法的な関係はないのが、現行の保育所の仕組みです。今回の新しい仕組みでは、それを右側に切り替えようということです。利用者である親御さんと施設の間には契約関係を持っていただきましょうとしています。ただ、この契約は、何も親御さんと施設だけにお任せしようというのではなく、市町村がかなり濃密に関わるという意味合いで、資料では「公的契約」という表現を使っています。そのように、公的な関与の強い形で契約関係を結んでいただき、利用者である親御さんと施設の間で法的な関係を持っていただくというのがこの仕組みの考え方です。なお、先ほどもご覧いただいた点と重なりますが、私立の保育所は、市町村から施設に委託費として払う仕組みになっています。この右側の三角形では、私立の保育所については変更があるということです。つまり、私立の保育所を利用する際には市町村と利用者の間で契約が結ばれ、それに基づいて利用し、市町村は園に対して委託費を払う形になります。認定こども園、幼稚園、それと、新しく創設される地域型保育給付については、この図の本則のとおり、公的な契約、個人給付、法定代理受領となります。いわば、私立保育所の部分だけ修正がかかって成案に至ったということです。
 17頁は、それを手続きに換言したもので、親御さんと市町村の間の手続のフローです。私立保育所の場合と認定こども園・公立保育所・地域型保育の場合とでは、最終的な出口の段階で、誰と契約するのか、誰に保育料を払うのかの部分が違っています。それ以前の手続は基本的には同じです。このようなやり方になっています。
 18頁は、児童福祉法の関係で、先ほど説明したように、私立保育所に係る契約について法案修正が行われた理由でもあります。黒い太字の点線で囲ってある部分です。当初、政府案では、この仕組みは公的契約として、園と親御さんの間に直接法的な関係を持っていただくことを前提としていたので、市町村の責任については、2つ目の◎のスタイルで全体を書ききることにしていました。つまり、総合こども園、保育所、地域型保育については、確保義務をかけて市町村の責任をはっきりさせるやり方にしていました。ところが、保育所保育の市町村責任を後退させるべきではないという意見が国会で多数出ました。その結果として、1つ目の◎にあるように、市町村は保育所において保育しなければならないという、現行の第24条第1項前段の部分を復活させましたので、その規定があります。逆に、私立保育所以外の保育所保育以外の部分では、確保義務が要ることになりましたので、下の◎となりました。いわば並列の形で置きまして、これが新しい児童福祉法第24条の姿です。従来の第24条は保育所以外の保育の担い手の位置づけが不十分でしたので、そこは確保義務をかけることを明確化したことにより、改正前の児童福祉法第24条に比べて、市町村の責任をはっきりさせたのではないかと思っています。
 少し頁が飛びますが、20頁の、地域型保育給付です。20人未満の小さな保育に、義務的経費で個人給付としてでお金を出すための新しい仕組みです。この対象は、昨年説明したときと変わっていません。1つは、「小規模保育」で、利用定員は19人以下6人以上としています。それと、いまの「保育ママ」の仕組みで、利用定員は5人以下としています。それから、「居宅訪問型保育」、「事業所内保育」。この4類型について、この仕組みの中から、義務的経費で個人給付として義務経費でお金を払うというものです。
 21頁です。この仕組みは、都市部型の活用の仕方と一般市町村型の活用の仕方のそれぞれが考えられます。まず、都市部です。22頁をご覧ください。なかなか土地の手当が難しいので、既存の建物等を活用した上で、基準をクリアすることが大前提になりますが、一定の質を保った小さい保育所にもしっかりお金を出し、質を担保しながら場所を整えていこうというものです。小さい規模だと、どうしても質に対する心配がありますので、バックアップする施設をしっかり作っていただいて、その先生方からもバックアップをいただく形で、親御さんなど周囲の方々の心配にお応えしたいと思っています。下の図は、大都市以外の一般市町村向けです。ややもすると、子どもの数がやや減少に転じている市町村も相当数あります。このような場所では、子どもの居場所である保育の場所等を、利用者の住む場所からそれほど遠くない場所に確保することが必要です。そのための仕組みが、現在の児童福祉法等には十分には整えられていないのが現状です。この地域型保育給付の仕組みを活用いただき、もちろん、認定こども園、幼稚園、保育所が中心の仕組みではありますが、このような小さい保育や小さい子育て支援の事業を組み合わせた形でご用意いただくことにより、それほど遠くに行かなくても、住まいからそう遠くない所で子育ての支援が得られるような仕組みを作っていきたいということです。
 23頁は利用者負担です。この仕組みでは、保育・教育については応能負担にしたいということです。詳細な金額は施行までの間に詰めることになりますが、現行制度の水準、利用者の負担能力を勘案した応能負担ということが明記されています。この仕組みになることで利用者負担を上げようという考え方ではありません。
 24頁は、市町村事業のリストです。修正の中で、利用者支援が明記された点は先ほど申し上げたとおりです。
 最後に、所管と財源の話で終わりたいと思います。25頁が所管についてです。幼稚園、保育所、認定こども園、地域子ども・子育て支援事業を通じた新しい法律であります「子ども・子育て支援法」を作ります。それを所管する部署が必要になりますので、それを内閣府に作りたいということです。詳細は26頁です。子ども・子育て本部という組織を内閣府に作り、子ども・子育て支援法や認定こども園法を所管する部署を作って、自治体や現場の先生方からすれば、内閣府を見ていれば全体が完結するようにしたいというものです。なお、25頁の最後の○にあるとおり、この所管と組織体制については、内閣府に子ども・子育て本部を作るという規定はそのまま生きているのでこの設置に係る準備をしますが、それと並行して、修正された法律の中に、公布後2年を目途として行政組織の在り方について検討を加えるという検討規定が盛り込まれていますので、この検討も並行して行われることになります。
 財源については、27頁、28頁に、昨年6月の一体改革成案の関係を抜粋しています。子ども・子育てに、消費税から0.7兆円程度、それと、税制抜本改革以外の財源も含めて、1兆円超程度の措置を今後検討すると記載しています。
 29頁は、消費税の0.7兆円についてです。まず、子ども・子育てビジョンに基づく、喫緊の課題である待機児童解消等の、保育等の量の拡充のために0.4兆円、職員配置基準の改善や処遇改善などをいまよりも手厚くするという、保育等の質の改善の部分に0.3兆円、計0.7兆円がイメージされています。
 30頁にありますように、審議の中では、消費税からの0.7兆円を超えて、消費税の引き上げによる財源を含めて、1兆円超程度の財源が必要で、政府はその確保に最大限努力するというくだりが3党合意の中に盛り込まれています。それを受けて、子ども・子育て支援法の附則に、安定財源の確保に向けた政府の努力義務の規定が設けられています。この仕組みは、消費税が10%になる平成27年度の施行。現在は平成27年4月施行に向けて準備を進めています。

○橋本保育課長 
それでは続きまして資料3のご説明をさせていただきます。ただいまご説明を申し上げました子ども・子育ての新制度を実施に移していくための1つの検討課題ですが、保育士養成の関係で説明いたします。いま説明した認定こども園制度の改正により、新たな幼保連携型認定こども園の制度が作られることになります。この中では、中心職員として、学校教育と保育を一体的に提供する施設ということに鑑み、保育教諭が置かれることになっています。この保育教諭は幼稚園教諭免許状と保育士資格の両方の免許資格を有していることが原則です。
 一方で、下に数字がありますが、現在の実態で見てみますと、保育所、幼稚園ともに約4分の3の方が両方の免許資格をお持ちですが、残りの2、3割の方々が、いずれか片方しか有していないという状況です。そこで、新しい幼保連携型認定こども園への移行を円滑に進めていく観点から、施行後5年間については、どちらか片方の免許資格を有していれば保育教諭になることができるという経過措置が講じられているところです。
 2頁です。同時にこの経過措置を講じることと合わせて、この期間となる5年間のうちに、それらの片方の免許資格を有している方々に、もう片方の免許資格を取得していただくことも必要です。したがって、幼稚園あるいは保育所で勤務されているこの勤務経験を評価することにより、もう片方の免許資格取得に必要な単位数を軽減する特例を設け、免許資格の併有を促進したいと考えております。これについては厚生労働省、文部科学省それぞれのサイドで進めようと考えており、幼稚園教諭免許状のみを持っておられる方の保育士資格の取得の促進については、厚生労働省のサイドにおいて、幼稚園における勤務経験を評価し、そして保育士資格の取得に必要な単位数との特例を設け、これについての告示・省令改正等を実施したいと考えております。
 括弧の中にありますように、文部科学省のサイドにおいては、保育士資格のみを持っておられる方の幼稚園教諭免許取得の促進を検討しておりまして、保育所における勤務経験を評価して、必要な単位数の特例等を設けるということです。今後、省令改正を予定しているわけですが、今回の3つの法律の中の1つである整備法により、教育職員免許法について所要の改正が行われているということです。
 これを受けまして厚生労働省においては、平成22年3月にこの保育士養成課程等検討会をこの場において中間まとめをしていただいているわけですが、この中間まとめのあと開かれていませんでした、この検討会を再開して、幼稚園勤務経験者の保育士資格取得に必要な単位数の検討を行い、年内を目途に結論を得るという形にしたいと考えております。
 3頁に参考で示しております現行の保育士資格の取得について、幼稚園教諭免許を持っておられる方について、実務経験は問わないという形になっていますが、試験の制度、筆記試験免除ということで実質的には試験を受けない形で保育士登録をしていただくというルートがあります。これをさらに発展させ、下のほうにありますように実務経験のある幼稚園教諭免許所有者の方について、筆記試験の方法、あるいは科目履修による方法、この両方の面からこの保育士資格をより取得しやすいような形にする特例について、検討いただこうと考えております。

○大日向部会長 
ありがとうございました。ただいまの事務局からのご説明について、委員の皆様からご質問、ご意見がありましたらお願いいたします。

○松原委員 
資料の2に関してですが、いまいくつかの自治体で次世代育成行動計画の委員会に所属しているのですが、これはこの子ども・子育て会議のほうに移行して、計画を立てることになるのでしょうか。また、次世代育成支援法そのものが延長される可能性があるのか、あと2年後になっていますので、その辺の展望があれば教えていただきたいのですが。

○黒田少子化対策企画室長 
ありがとうございます。お尋ねの件ですが、次世代法自身は先生のお話のとおり、平成26年度末までの時限法になっており、この新制度の仕組みは平成27年度からということがいまターゲットになっております。ですので、特に自治体の取組みについては、基本的にはこちらの仕組みに移っていただく。次世代法に基づいて行っている交付金等々の根拠もこちらに移りますので、そういうことを前提としています。なお、次世代法のほうが、この子ども・子育て支援法に比べると少しウイングが広いところがあり、1つはワーク・ライフ・バランス、特に事業主の方々に計画を作っていただいている部分が入っておりますのと、自治体の関係でも青少年育成等少しウイングが広いところがあります。これらについては次世代法の延長をするかどうかの検討も並行してするようにということが、付帯決議の中にもありますので、そちらの検討も並行して行われますが、自治体の計画のメインの部分である財政支援の部分についてはこちらに移るということです。

○大日向部会長 
ほかにいかがでしょうか。石津委員お願いいたします。

○石津委員 
感想も含めてなのですが、厚生労働省は皆さん優秀な方が揃っているせいか、制度がどんどん複雑になっていって、わかりにくくなっていくというのが感想で、高齢者の施設も老健と特養だけのころは私も全部理解していましたが、有料老人ホームとか介護付きとかいっぱい入ってきて、ニーズに合わせてということなのでしょうが、今回のこの施設型が入ってきたり、従来型があったりということで、利用者からすると要は教育と保育だけなわけですね。それなのに制度がいっぱいあって、認定こども園とか、うちでもいまは県も幼保一体化をやっていますので、既にいま幼稚園と保育所と認定こども園という幼保一体化施設でやっていますが、実態は皆さんそのようには認識していなくて、教育をやってくれる、保育をやってくれるという認識だと思うのです。
 ですから過渡的であればいいのですが、制度ができ、そこに利害関係が生じてその制度を守るような働きが出てくると、この施設型とそうでないものといったみたいに固定化され、余計わかりにくくなって、利用者の応援というか支持も得られにくくなるのではないかと思うのです。ですから、なるべくわかりやすい形にもっていくように、固定化しないうちにもっていっていただきたいという思いがあります。
 もう1つ、ちょっと気になっていることが、利用する場合に認定をして選ぶ形になっています。違えばいいのですが、教育バウチャー制度みたいなものがあって、その新自由主義的なやり方に基づいて、そのやり方でいくと競争を促進して荒廃していくみたいなことにもつながるということを考えると、あまりそういうやり方でいくのはどうなのかと思っていて、いままでなかったやり方が入って、それがそのままどんどんそっちの方向に進んでいくのか、そうでないのかというのがちょっと心配でしたので、その点だけお尋ねしたいと思います。

○黒田少子化対策企画室長 
ありがとうございます。2つお尋ねのお話でした。まず、前者の施設類型が複雑になるのではないかというお話です。
 私どもから見ますと落ち着きは幼稚園、保育所、認定こども園ですので、施設類型の基本的な骨格は現行制度ベースで、いまよりも複雑になっていることはまずはない。その上で認定こども園制度を改善し、財政措置をまとめて、できるだけ一本化していきましょうということですので、言ってみれば現状からステップ・バイ・ステップで上がっていこうという考え方だと、私どもは理解をしていますが、住民の方々から見て、複雑になった、わかりにくくなったというお話ができるだけ出ないようにしていきたいと思います。
 また、今回の修正の中で利用者支援が非常に大切だというお声があって、事業の中に利用者支援の必要性が明記されているのですが、それも先ほどの落ち着きとの関係もあります。つまり、いろいろなタイプができること、選べるようになることで、他方でそれを選ぶ親御さんたちが迷わないようにする必要がありますので、施設のカタログをはいと渡して終わりというよりは、身近にどんな場所があって、こちらの場所を選ぶとどういう教育なり保育をしてくださるのかということを、わかりやすく住民の方にお伝えするための仕組みを入れようというお話がございました。ですので、市役所、町村の方々のお話を伺って肉付けをしていきたいと思っています。
 幼稚園が市役所、町村の役場ともっと近くなっていただきたいというのは、この仕組みが始まったときからずっと関係者一同の願いでした。私立の幼稚園はどうしても県庁を向いてしまっているというところがあって、市町村行政の中になかなか入ってきにくいというお話を、市長会、町村会にお邪魔をするたびに言われておりましたので、強制ではありませんが大半の幼稚園にできるだけ入っていただいて、むしろ市長さんの采配でこの園をこうしていきたいというお話を園長先生とお話いただけるような、そういう条件整備をやっていきたいと思っています。これは文部科学省と内閣府と3府省でやっていきたいと思います。

○橋本保育課長 
それでは私からバウチャーというお話もございましたので、若干補足させていただきます。いわゆる事前規制型の行政でいくのか、それとも事後規制型の行政でいくのか、そういうさまざまな議論も世の中にございます。例えば一定の金銭的な援助を消費者の方にして、それを基にして自由に選択をしていただく。そのような形態が典型的なバウチャー制度と言えるのかと思いますが、この制度の中においては、確かに施設型給付、あるいは地域型保育給付といったものは、1人ひとりの利用者に対する個人給付という位置づけになっていますが、しかし、その給付の対象にする施設については、あらかじめ国あるいは地方自治体が設けた基準に基づき、認可されている施設、あるいは事業者が給付の対象になるという形で、いわゆる事前規制を前提にした形での提供体制になっています。
 そのクリアしたものに対して、そこで受けたサービスについて施設にその給付のお金を代理受領していただく、こういう仕組みで構成しておりますので、いろいろとサービスの提供形態について、バウチャー制度というような形で見られる機会もありますが、そういった形ではなくて、あくまでも認可制度を前提とした形でのサービス提供形態になっているということでご理解いただきたいと思います。

○大日向部会長 
ありがとうございました。ほかにいかがですか。

○土堤内委員 
2つ質問があります。1つは資料の2、8頁ですが、幼保連携型認定こども園の設置主体が今回、国、自治体、学校法人、社会福祉法人のみと限定されており、株式会社等の参入は不可ということですので、NPO法人もここに入ると理解するのですが、やはり時代の要請から考えて、NPO法人が排除されているのは、13頁にある認可の条件、経済基盤であったり社会的信望であったり、そういったところにまだ懸念があるというご判断なのかどうかということをお聞きしたい、これが1つです。
 もう1つは資料3です。個人的なことですが、私は自分の子どもを保育所と幼稚園の両方に通わせた経験があり、やはり保育士と幼稚園教諭は資質も能力も求められているものもかなり違うとそのとき理解しました。
 今回、保育教諭という形で一本化していくということで、しかも5年間の経過措置があるとのことですが、それがある意味ではそれぞれの専門性を下げた結果、折衷されてしまうのではないかという懸念があります。これから検討されることなのでまだわかりませんが、その辺りをどのようにお考えかお聞かせください。

○大日向部会長 
それでは橋本課長、お願いいたします。

○橋本保育課長 
まず幼保連携型認定こども園の設置主体についての議論です。この点について国会等での議論の中ではいろいろありました。やはり特に保育の世界においては平成12年に設置主体の制限を撤廃しておりますので、NPOはもちろんですし、株式会社その他さまざまな設置主体がいま保育所の設置主体になっています。そこからの全数の移行を前提として政府案の総合こども園制度は、当然多様な設置主体が総合こども園の設置主体になるという前提で組み立てられています。それに対し国会の場においては、特に学校教育という法的な位置づけの下での教育を行う主体として、こういう学校法人制度を前提としながら、どこまで範囲を広げるのが妥当か、こういう観点からのさまざまな議論があったと承知しております。そういう意味では保育の提供体制という議論よりも、どちらかというと学校教育の提供体制についての議論、それとの関連の中での国会の議論の中で、こういう設置主体についての考え方が整理されてきたのではないかと私は理解しているところです。
 もう1点の保育士と幼稚園教諭についてです。これについてはそれぞれの制度、免許資格が果たしている役割を十分に評価した上で、この新しい幼保連携型認定こども園という両者の役割を合わせ持つ施設をどのように運営していくのか。この辺りは資格制度の問題としても重要ですし、それぞれの施設における実践をどのようにしていくかというノウハウの蓄積という面でも、どちらの面からも重要だと思っております。もとよりそれぞれの専門性を下げるという観点からの議論がこれまでされてきたということではないだろうと思っていますし、現場において両方の免許資格を持っている方が必要とされている、そういうニーズに対応した両方の免許の併有促進を考えていくことであろうと思っております。なお、国会の3党合意の中で、両者のこの免許・資格制度について、今後のあり方について、先ほどの資料2の36頁に、認定こども園法の附則の第二条の中に、政府は幼稚園の教員の免許及び保育士の資格について一体化を含め、そのあり方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする、という検討規定が設けられました。免許・資格制度そのものの今後のあり方については、こういった検討規定も踏まえ、政府全体としてどのような形でしていくべきか、これも併せて検討させていただきたいと考えております。

○矢藤委員 
いまの免許・資格制度に絡んだ話なのでお願いします。幼児教育、保育の質を高めるときに、たぶん予算規模からすると保育者の方の全員の給料をいくらかずつ上げるなどということは現実的にはかなり厳しいと思います。そういうときに現場で指導的な役割を果たすような保育者をきちんと位置づけることが必要になるかと思うのですが、まず配置職員では主幹保育教諭か指導教諭といったようなリーダー的な立場の人に関しては任意配置になっているということが1つ。それと一体化して保育教諭としていくときに、幼稚園は専修1種、2種とあって、保育士は基本的に2年制の課程の中で取れるというような大きな差がある中で、現場の指導的な保育教諭の位置づけをきちんと何らかの形で制度に組み込んでいくことについて、具体的な検討をお願いできればと思います。

○大日向部会長 
佐藤委員はもし資格のことで同じでしたら、時間の関係もありますのでご一緒にまとめてお願いいたします。

○佐藤委員 
同じく資格制度のことについてなのですが、今度の養成課程等検討会で検討されることは、経過措置の5年間が終わった後のことなのでしょうか。それともそうではないのかということを確認したいということです。特にいま移行、両方の免許云々ということでいえば、幼稚園教諭免許所有者が保育士試験に関して、単位取得だけでオーケーだということがあるわけですが、同じ資格ではありませんが、例えば介護福祉士は現状では、あるいはかつては学校卒業で資格が取れましたが、国家試験が導入されることになっております。いまのところ保育士に関しても幼稚園教諭に関しても、単位を取得すれば取れるということで、どちらかというとハードルはあまり高くない。さらにいま短大でも2つの免許を取れるわけですから、折角、保育教諭ということにするのであれば、私はもう少しハードルを上げることを検討しないといけないのではないか。ただし、ハードルを上げることによって、現行の認定こども園が広がらないということは、それはそれで問題があると思いますので、最終的にはいろいろ言っても認定こども園の方向に一本化して、保育所、あるいは幼稚園とそれだけのものが、そう遠くない将来には、むしろそちらが例外になるような政策誘導をすべきだろうと考えますので、資格制度を厳格にすると人材供給の点で問題が出てくるということは避けられないジレンマになってしまうので、その点について、かなりきちんとした議論をしていただく必要があるのではないかと思っています。現行の幼稚園は、保育園的な要素をどんどん取り入れることによって、入園者を確保しよう、つまり長時間ですとかそういうことをやる。現状の保育園は幼稚園のいわゆる教育に負けないように、中身については現状ではそんなに差があると思っていないのです。ですから、そういう意味でいえば保育教諭資格を経過措置以降に関していえば、やはり抜本的に整理することを考える必要があるのではないか。いくつかの意見と質問が混在していますが、以上のようなことをお聞きしたいと思います。

○大日向部会長 
ありがとうございます。それではいまのお二方のご質問に対してお答えいただいて、この案件はできましたらこの辺りでと思いますので、よろしくお願いいたします。

○橋本保育課長 
お2人の方からご質問をいただきました。先ほど矢藤先生からお話いただきましたような中心となる保育者としての位置づけ、あるいは短大卒、4大卒、院卒といった者に対応した資格制度についての議論が必要ではないかということについては、平成22年3月に中間まとめをしていただきました、この保育所養成課程等検討会の中間まとめの中にもそういったことが出てきております。まさに保育士資格の今後のあり方をめぐる議論としては、これが1つ大きな議論であろうと思っています。同時に、今度の新しく実施される新制度の中で、そういった保育士あるいは幼稚園教諭を含めて、全体として従事される方々の職場におけるさまざまなステップアップと処遇の改善をどうやって結びつけていくのかということも、この新制度を実施していくにあたっての重要な論点だろうと考えております。
 質の改善として確保された新しい追加財源の部分を、どのようにこの新制度の中に反映させていくのかということについて、さまざまな議論が必要だと考えていますので、我々事務局としても十分にその点を考えていきたいと思っております。
 この資格の特例の関係ですが、1つは経過措置を講じる5年の中での話か、後の話かということで申し上げれば中の話です。したがって、今後、施行後5年間、経過措置ということで片側の免許の方が保育教諭として従事することが可能であるとすると同時に、その期間の中でこの両方の資格を併有促進させていただくということで講じられている特例措置です。この5年後のときにどういう状況になるかということについては、また別途の議論として、そこのところについては必要な場面も出てくるかもわかりません。
 いま、保育教諭のあり方についてのご議論もいただいたわけですが、1つご承知おきいただきたいと思いますのは、保育教諭というこの幼保連携型認定こども園の中で位置づけられている名称は、新たな資格制度ではありません。資格制度としてはあくまでも保育士の制度と幼稚園教諭というこの2つの資格制度の上に成り立っているので、その両方を持っている方を保育教諭と呼ぶという位置づけですので、仮に今後、両者の性格を合わせ持つ存在ということについて別途の資格制度というような議論を行うとすれば、先ほど私が申し上げましたような、認定こども園法の附則第二条に基づく今後の検討課題ということで、こういった中で一体化を含め、あり方について検討を加えるということですので、そういった脈絡の中での別途のご議論が必要かと思っております。

○大日向部会長 
ありがとうございました。皆様から貴重なご意見、ご質問をいただきましてありがとうございます。この新制度に関しましては、いま課長のお話にもございましたが、今後の検討に託されているものもたくさんあるかと思いますので、引き続き事務局におかれましては、ただいまのご質問、ご意見等もご参考に、是非よろしくお願いしたいと思います。
 それでは3月30日に児童手当法の一部を改正する法律が成立し、4月から施行されておりますので、事務局からこの点についてご説明をお願いいたします。

○高橋児童手当管理室長 
資料4の「児童手当法の一部を改正する法律の概要」です。児童手当制度につきましては、政権交代後、平成22年度、平成23年度と単年度の法律によりまして支給水準、手当の名称を定めてまいりました。いろいろ制度を変遷してきたわけです。これにつきましては平成24年度から3党合意を踏まえて、恒久的、安定的な枠組みとして新たな児童手当制度が実施されておりますので、そのことについて報告を申し上げます。
 「概要」、支給額については、?所得制限額未満であるものにつきまして、3歳未満のお子さんは月額1万5,000円、3歳以上小学校修了前で第1子、第2子の方は月額1万円、第3子以降が1万5,000円、中学生が月額1万円。所得制限額は、夫婦児童2人世帯の場合には年収960万円を基準に設定しております。支給額の水準につきましては、従前の子ども手当になる前の児童手当と比べますと、小学校修了前については5,000円増額、中学生については1万円新たに追加されたということです。
 ?所得制限額以上である者につきましては、今年の4月から所得制限が新たに施行されております。実際の適用は6月の支給分からということです。6、7、8、9月分につきましては、10月に4カ月分支給されますので、これから所得制限以上の方は児童手当としては支給されないということです。
費用負担につきましては、国と地方の間で議論を重ねてまいりましたが、最終的に国と地方の割合が2:1ということで合意しております。地方の中で都道府県と市町村の割合は1:1です。被用者の3歳未満、所得制限額未満の1.5万円の方につきましては、その7/15を事業主の負担とし、それ以外はすべて国と地方の公費負担です。公務員分につきましては、従前どおり所属庁の負担としております。
(3)は平成23年度特別措置法に盛り込んだ事項の規定を、今回の恒久法におきましても、そのまま引き継いだ事項です。児童手当の支給の適正化・適切化の観点ということから、児童に対しても留学中の場合等を除いて、国内居住要件を設けております。施設入所の児童等につきましては、施設の設置者等に支給する形で手当を支給します。地方団体からの滞納や、未納対策という観点からご要望を受けて、保育料を手当から直接徴収できる仕組みと学校給食費等、本人同意の上で手当から納付することができる仕組みを入れております。
(4)恒久法ですが、3党合意の中で検討規定を入れるということで、読み上げますと「政府は、速やかに、子育て支援に係る財政上又は税制上の措置等について、この法律による改正後の児童手当法に規定する児童手当の支給並びに所得税並びに道府県民税及び市町村民税に係る扶養控除の廃止による影響を踏まえつつ、その在り方を含め検討を行い、その結果に基づき、必要な措置を講ずるものとする」ということが、法律の附則に規定が置かれております。
 特例給付の在り方、所得制限を超えた者に対する5,000円の給付についても、当分の間の措置ということで規定されておりますが、検討の結果に基づいて必要な措置を講ずることとされています。
その他につきましては、平成23年度の特別措置法の未申請者に対する特例的な措置として規定を設けております。施行日は平成24年4月1日、所得制限は6月分から適用ということで、実際には10月から特例給付が支給されることになります。
 新たな児童手当法の改正の前に、3党で修正合意がありました。もともと政府案として出されていた法律案について3党で修正した内容です。手当の名称につきましては、政府案では「子どものための手当」ということでしたが、3党合意で「児童手当」にすると、法律の名称も児童手当法とするということです。目的規定・検討規定については、先ほど申し上げた点です。
 4.所得制限基準額以上の方の取扱い。その他ということで、これが3月15日に合意され、法律として修正を経て、成案を得たという経緯です。
 旧児童手当時代から比べて支給対象所得制限等について、どういう変遷をしていくかという比較になっております。平成21年度までは旧児童手当法で、平成22年度から子ども手当法で月額一律1万3,000円。そのあとはつなぎ法、特別措置法ということで支給水準が定められて、その後、この4月から恒久法という枠組みで施行されている現状です。
 資料10-2、「平成25年度主な税制改正要望の概要」の3頁、「子育て支援に係る税制上の措置の検討」「所得税・個人住民税」とありますが、これは先ほど申し上げた法律に定められた検討規定を踏まえて、平成25年度の税制改正要望として、現在厚生労働省から要望を出させていただいている内容です。私からの報告は以上です。

○大日向部会長 
ただいまのご説明について、委員の皆様からご質問、ご意見がありましたらお願いします。石津委員、お願いいたします。

○石津委員 
特に今後の検討という部分で、現状の手当等を今後はどうしたらいいかということについて意見を申し上げたいと思います。ほかにやることがあるだろうみたいな意見は、私が市長をやっているとよく言われる話なので、あまりそういう言い方はしたくないのですが、この手当自体が所得再配分というか、そういう目的を持っているのか。それとも児童福祉としての目的を持っているのかというのは、結局、両方併記なのでしょうか。曖昧になっているというところで、もし本当に所得再配分的な政策を重視するのであれば、もっと所得に応じた手当が検討されるべきであって、いまのやり方だと中途半端というか、そこがよくわからない。児童政策・福祉政策という部分でいくのであれば、私はこの手当ではなくて、医療費や予防接種に是非お金を回していただきたいと思っています。
 北本市ではいま15歳まで入通院を無料化しております。予防接種についても、子宮頸がん、HIB、肺炎球菌はもちろんですが、水疱瘡、おたふく、小児インフルエンザ、ロタウイルスも全部補助金を出しています。これは小児科医の先生も含めて大変喜ばれております。もしこの医療費を全部無料化すると、14歳までが2兆円ぐらいかかって、2割とか3割の負担分で4,000億円~6,000億円ぐらいで済みますし、予防接種も全部100パーセント接種して2,000億円ぐらいと計算を出してくれたのです。これを全部やめてもお釣りがくるぐらいなのです。これは2兆円もかけてやっているわりに、あまり喜ばれていないのではないかと、私は個人的に思うのですが。それより医療が全部無料になって、予防接種もみんなただで受けられることになれば、これはものすごく評価もされるし、喜んでいただけるのではないかと思います。室長さんがそれに答えるわけにはいかないでしょうが。
 そういう部分で、本当に何が子育てのために必要な支援なのかという部分を、結局、市町村が先取りをしてやってしまっているわけです。それを一定の自己負担が必要だと言いますが、75歳以上は1割負担で済んでいるのに、子どもは2割負担なのはどうしてなのかとか、就学児は3割とか、その辺の見直しもせめてしていただきたいと思います。そちらに回すべきであって、今後児童手当については、所得再配分としての機能であれば、それはそれで控除を廃止して、そちらに回しますと明確に出すのならいいですが、厚労省が進める政策としては、私はそちらのほうに是非重点を置いてやっていただきたいと思います。

○大日向部会長 
そのようなご意見ですが、いかがでしょうか。

○高橋児童手当管理室長 
新たな児童手当制度の趣旨は、資料の1頁の「目的」に大きく2点あります。1つは、家庭等における生活の安定に寄与することです。もう1点は、児童の健やかな成長に資するということです。その点について、所得再配分的な効果を期待しているのかどうかということであれば、今回所得制限額以上の方については特例給付ということになっていますので、そのような所得再配分的な効果がないということではありません。

○大日向部会長 
この案件に関しては、ほかはよろしいですか。

○石津委員 
予防接種のことについては、どういうふうにお考えかお答えいただけないのでしょうか。医療費はともかく、予防接種は是非私はやってもらいたいと思うのですが。

○大日向部会長 
それは、ご意見としてお届けになってはいかがでしょうか。次に、児童部会に新たに設置された専門委員会に関わる報告を含めて、最近の専門委員会の状況について、事務局からご説明をお願いします。

○桑島母子保健課長 
資料5、社会保障審議会児童部会のもとに、小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会を設置させていただきましたので、その報告をいたします。
 1つ目の「設置の趣旨」です。今後の難病対策の在り方の中間報告が、平成24年8月16日に厚生労働審議会の疾病対策委員会でとりまとめられております。この中では難病の定義や医療費助成の在り方、難病に関する抜本的ないろいろな議論がなされております。特に私どもに非常に大きく関係しているのは、小児慢性特定疾患児の成人移行、つまり、20歳以降へのトランジションのことについても触れられております。
 その流れを受けて、私どものほうでも児童部会のもとに小慢児への支援の在り方に関する専門委員会を立ち上げさせていただいたという経緯です。
 3.主な検討の事項ですが、3つに分けております。小児慢性特定疾患児への医療費助成の在り方について、例えば給付の水準や、対象の疾患の範囲、さまざまなご議論をいただきたいと思います。
 2点目は、小児慢性特定疾患の流れとしては、都道府県からさまざまな情報が集まってきますが、そのデータをうまく活用することが非常に課題となってくるわけですが、その収集の方法や内容についてご議論いただきたいと思います。
 3点目は「その他」と括っておりますが、なかなか当課で難しい部分もありますが、教育、あるいは福祉の分野に関することについてもご議論いただきたいと思います。
 次頁には、当専門委員会の名簿が記載されております。第1回目専門委員会で成育医療研究センターの総長である五十嵐先生に委員長をお願いしております。当委員会は、大澤先生にもご参加をいただいております。
 次頁には、スケジュールを示しております。第1回目を9月24日に開催して、小慢の現状と課題ということでフリーディスカッションをいただいております。また、8月16日にまとめられている難病の対策の検討状況についても担当部局からのご説明もいただいたところです。
 全体の進め方については、下の※に示しておりますが、難病対策部会の難病対策委員会の進捗状況を見ながら、その進行を調整していきたいと考えております。簡単ですが、資料の説明を終わらせていただきます。以上です。

○大鶴家庭福祉課長 
続いて「社会的養護の課題と将来像」に基づく施策の推進状況についてご報告します。資料6、1.課題と将来像のとりまとめと取組ということで、平成23年1月に「児童養護施設等の社会的養護の課題に関する検討委員会」を設置して、集中的な検討を行っています。この児童部会のもとに、社会的養護専門委員会を設けて、社会的養護の課題と将来像をとりまとめていただいたところです。その課題と将来像に基づいて、平成23年4月から順次、検討委員会の議論も踏まえながら、実施要綱の改善、あるいはガイドラインの策定、最低基準の見直し、施設長研修と第三者評価の義務化等の省令改正などを進めております。
 最近では、平成24年3月に第三者評価の義務化等の施行と併せて、施設運営指針、あるいは社会的養護関係施設第三者評価基準の策定を行ったところです。また、平成24年度予算案におきましては、基本的な人員配置の引き上げをはじめとした家庭的養護の推進などのための措置費について、国費分として893億円対前年度で58億円増の費用を確保しております。今後につきましても、この課題と将来像に沿って、家庭的養護の推進、施設の小規模化、いま検討会を設けている親子関係の再構築の支援など、それぞれの課題について検討を進めていきたいと思っております。
 次頁、昨年度末に定めた施設運営指針と里親等養育指針の概要について書いております。基本的には、?各施設の種別ごとに運営理念等を示す指針を作っております。現在は、この指針の解説書となるような「手引書」を作る作業をしております。また、この指針に基づいて自己評価、自己点検を行うということと、外部の目を入れた第三者評価を義務づけるということをしており、現在その評価者の研修などを行っているところです。
 下のほうに4つ絵が描いてあります。施設種別ごとの「施設運営指針」と、「里親等養育指針」の策定。これは保育所保育指針に相当するものが、社会的養護施設にはなかったということで検討チームを設置して作成したところです。次頁にどのようなものかということで、運営指針と養育指針が書いてあります。第?部と第?部で構成しており、第?部総論としては、社会的養護の基本理念と原理、施設の役割と理念、対象児童等、養育等のあり方の基本、施設の将来像ということで、それぞれ6つの類型ごとにありますが、社会的養護の基本理念と原理については、それぞれの施設類型に共通のものにしております。
 第?部の各論においては、これは運営指針ですが、第三者評価基準の評価項目とそれぞれ対応した形の作り方となっております。第三者評価ではABCと3区分で評価することになります。その目指すべき方向として、A評価の内容に対応するものということで挙げております。「指針の基本構成」は?部と?部とありますが、?部の各指針の特徴でいけば、児童養護施設は、養育論、関係性の回復、乳児院は、乳幼児期の重要性、愛着関係、情短施設は、心理治療などということで、それぞれ施設類型に応じて書き分けております。
 この策定に当たっては、次頁、「指針及び第三者評価基準の検討経過」ということで、それぞれこの頁のいちばん下のワーキンググループを作って、施設類型ごとあるいは里親、ファミリーホームということで、それぞれ施設の方に入っていただいて、具体的な検討をしていただいております。
 それをワーキンググループの全体会議を柏女委員長にまとめていただいて、全体の整合性も見ながらとりまとめをするということで、最終的には社会的養護専門委員会でお諮りして決定ということです。この3月29日の年度末に議論をいただいて策定したということです。それぞれのワーキンググループの開催日程などについては、ここに挙げております。
 次頁、そうした指針等、第三者評価の評価基準に基づいて、第三者評価をするという仕組みを、省令と通知に基づいて実施しております。この中では、一般的な社会福祉事業と第三者評価の仕組みとの比較を挙げております。特に右の社会的養護関係施設についての特別の仕組みとしては、受審について社会福祉事業共通では任意としているところですが、通知の中で定期的に3年に1回以上受審しなければならないということを決めております。
また、評価基準は、全国共通の第三者評価基準、ただし都道府県の推進組織において独自に策定することが可能ということとしておりますが、受審を義務化して効果的に実施する、あるいは施設の数が少ないということで、評価機関が評価経験を蓄積するということから、全国共通の評価基準を作ってお示ししております。
 そのほか、この表の下のほうで、「利用者調査」は、利用者の調査を実施すること、結果公表については、全国推進組織(全社協)が評価機関から報告を受けて評価結果を公表する。「自己評価」についても、毎年度自己評価を行わなければならないということとしております。以上、社会的養護施設について第三者評価の外部の目を入れた質の向上を図っていくことの枠組みを作ったところです。
 次頁、6.「社会的養護関係施設の第三者評価機関の認証について」で、これは既存の評価機関も活用しながら、社会的養護の関係について一定の質の担保ということで、この絵の中では、未認証の機関については、全社協の研修で共通事項、全社協の研修で社会的養護関係の研修を受けるということで、社会的養護については全国で有効な第三者評価機関としての資格を得るということ。都道府県認証の第三者評価機関については、全社協で受ければ全国で通用し、都道府県の研修の中では当該都道府県の中で有効となるような社会的養護の第三者評価機関としての位置づけをするということで、評価機関の育成をしております。
 参考として、各施設運営指針と里親の指針の構成内容、先ほどのワーキンググループの委員の先生方の背景を付けております。資料6、社会的養護の進捗状況については以上です。

○大日向部会長 
以上のご説明に関して委員の皆様からご質問、ご意見がありましたらお願いします。

○佐藤委員 
いまの社会的養護に関して、この部会の委員になってから一貫して主張していることですが、例えば、ここのカテゴリーに属する中で、障害児関係の施設が除外されていると言ってもいいかと思うのです。たしかに障害児関係の重症心身障害施設などは、年齢の問題、必ずしも児童と言えない人たちのほうが圧倒的に多い。知的障害児の施設でも、加齢児と言われる18歳を超えた人たちの在籍者が非常に多いという現実はあるでしょうが、明らかにいま障害児施設の利用者、入所児童については、社会的養護が必要な人たち、つまり、家庭の養護機能にいろいろな意味で無理があるという人たちが利用をしている現実があると思うので、よく専門性が違うというお話があるのですが、しかし、情短施設がここに入っているわけですから、障害児の施設をここから除外する合理的な理由はないのではないかと考えているわけですが、今後の見通しとしてはいかがでしょうか。


○大鶴家庭福祉課長 
社会的養護の課題と将来像を議論するときには、児童養護施設など施設ごとにどういう課題と将来像があるかが議論されています。親との関係で養育が困難な状況、親との関係をどう考えるかということを中心に対象施設を選んで、親子関係の修復や社会でそれを養育するという意識で対象施設を選んできております。
 子どもに障害があって、その障害について、障害ゆえに施設に入っているという視点での整理ではなくて、成長過程において親との関係でどうであるかということを中心に考えられています。親との関係で入ってきているが、そこに障害のある子が相当程度いるということに対する配慮をどうするか、あるいは障害のある子に着目した施設類型の中でも、親との間に問題があるとは思いますが、先ほど先生はここでは専門性が違うのではないかと言われましたが、専門性を踏まえ、親との関係でどうかということを中心に施設類型を選んで整理してきています。

○佐藤委員 
私が主張したいのは、現実に障害児施設を利用している子ども、あるいは入所させた親を含めて考えても、障害が主な理由で障害児施設に入っているケースは、もう学校が30年以上前から義務性になって、そういうニーズではなくて、まさに社会的養護、つまり、家庭の養護機能が障害のある子どもを抱えていくのに脆弱であったり、また親が養育を放棄することも含めて、実際にいま入っている子どもたちのニーズは、障害ではなくて社会的養護のニーズと捉えるべきではないかということで、先ほどこのようなことを申し上げたわけです。そこをできればきちんと精査をしていただくことも必要だろうと思いますが、児童福祉の課題の中で、障害児が常に別枠に置かれるという傾向がどうしてもあるのです。やはり、広い意味での子育て支援、あるいは子育てをする家庭の援助で言えば、障害児自身も、あるいは障害児を抱えている家族も、より子育て支援に関してのニーズは高いと思うわけで、この点に関して議論を深めていただければいいのではないかと思います。以上です。

○渡辺委員 
まずは慢性疾患のお子さんに関しては、もう専門委員会のほうでご議論をいただいていると思いますので、申し添える程度ですが、ご家族の負担がものすごく大きくなりますので、是非家族支援の視点をしっかりと盛り込んでいただけたらと思います。
 もう1つは、治療の進歩によって、最近は慢性疾患のお子さんも長期的に入院するというよりも、断続的に入退院を繰り返すケースが増えてきていると思いますので、一童一学籍といういまの現行の教育制度のもとではどうしても教育が断続的になってしまうこともあります。その点ももう専門委員会のほうでご議論をいただいているとは思いますが、またご検討をいただければと思います。
 社会的養護に関しては、いまの家庭的養護の推進に力を入れて進めていただけたらと期待もしているところです。この度、施設運営指針が検討されているということで、これも先ほどのご説明にもあったように、おそらく保育所保育指針と同じような位置づけになってくると思いますので、これについては要望ですが、保育士というのは18歳までカバーするのが保育士の仕事ですので、保育士の養成教育や資格教育の中に、この指針ができたときにこれを折り込んでいくことを是非進めていただきたいと思っております。そういった意味で、1つだけ質問です。いまの関連で言うと、保育教諭ということが、今回職名になるのか、新資格になるのかわかりませんが、位置づけられたことによってということで言うと、保育士の仕事というのはどちらかというと、就学後の施設保育の部分が保育士の仕事としてわりと重点的に残っているとお考えになっているのか、それとも保育教諭で別なものとしてあって、保育士というのはこれまでどおり就学前から就学後も含めて、全部をカバーしていく資格というのは、これまでどおり存続していくと捉えていけばいいのか、これについて方向性だけで結構ですのでご回答をいただければと思います。

○橋本保育課長 
保育士の制度の位置づけということで申し上げれば、保育教諭というのは、幼保連携型認定こども園に置かれる職員であって、保育士資格と幼稚園教諭免許の双方を有するものを指して、保育教諭という呼び方を法律上しているというものですので、資格制度として独立したものではないという前提です。したがいまして、就学前のお子さんに対する保育士としての役割、就学後のさまざまな児童福祉施設における保育士の役割は、保育士の役割としては引き続き全体として現在と同じように役割を担っていただくということです。

○渡辺委員 
わかりました。

○大日向部会長 
渡辺委員、佐藤委員のご意見は意見として事務局でお受け取りいただければと思います。それでは、そのほか最近の制度改正後の状況について、事務局からご説明をお願いします。

○為石虐待防止対策室長 
虐待防止対策室長の為石です。私から、資料7と8と9についてご説明させていただきます。
 資料7、親権にかかる制度の見直しの施行状況。親権の停止制度が今年の4月1日から施行されました。併せて未成年後見人制度の中で、法人と新たに複数人の申立てができることになりました。その結果について、24年4月から6月の間の児童相談所の親権停止の審判申立て実績を調べております。6自治体で7事例ありました。そこに事例を3つほど掲げております。事例の1は医療ネグレクト関係です。事例の2と3については、児童の自立に関する親権停止の事例を掲げております。そのほか法人または複数人の未成年後見人の選任につきましては、この間の実績はなかったということです。
 資料8、子ども虐待による死亡事例等の検証結果。これは、平成22年4月1日から平成23年3月31日までの12か月間に発生し、または表面化。表面化というのは、事件自体は以前あったかもしれませんが、発見されたのがこの期間の中だったということですが、児童虐待による死亡が82例で98人でした。下の表に第7次、第8次と並べてありますが、第8次のほうが若干増加しております。調査・分析方法につきましては全数を集計して、その結果に基づいたデータと個別ヒアリングを4事例実施しております。その結果が次の2頁目です。
 事例の分析です。今回の分析の特徴としては、心中以外と心中によるというのを分けています。これは、心中も子どもを殺すという意味では虐待です。従来から集計もそういう形で加えておりますが、発生メカニズムと言いますか、プロセスが違ってきますので、分けて分析をするということで1と2に分けています。まず1のところで心中以外の虐待死です。死亡した子どもの年齢は0歳が23人、45.1%。3歳以下を合わせますと43人、84.3%と大部分を占めているという状況でございます。虐待の種類は例年だいたい同じ傾向ですが、身体的虐待がいちばん多く、次いでネグレクト。主たる加害者につきましては、実母が6割を占めると。実母の抱える問題としては若年妊娠、望まない妊娠、妊婦健康診査未受診、母子健康手帳未発行、乳幼児健康診査未受診などが多かったということです。
 2番目の心中による虐待死。これは未遂を含んだ形になっております。心中の場合は非常にデータが集まりにくいという環境がありますが、死亡した子どもの年齢は0歳から15歳まで各年齢に分散しています。直接死因は「頸部絞厄による窒息」が3割、次いで練炭等を用いた中毒になっております。主たる加害者は実母が7割を占めている。加害の動機として、保護者自身の精神疾患、精神不安が4割強となっております。
 3番目の関係機関の関与。児相の関与事例、市町村の関与事例というのが見られております。救える命をできるだけ救わなければいけないということですが、だいたい2割弱ぐらいが例年関与事例として見られておるところです。
 4番目の0歳児の心中以外の虐待死です。日齢0日の死亡が9人、月齢0か月の死亡が3人、月齢1か月から11か月が11人ということで、日齢0日は産んですぐに死亡したケースということになります。これらを合わせますと、いちばん上の0歳23人という数字になります。0日0か月の事例では実母の抱える問題として、母子健康手帳の未発行、妊婦健診未受診などがあげられております。そのほか10代の妊娠が目立っております。
 個別ヒアリングの調査結果の分析は、4事例から拾っております。妊娠期からの支援におきまして、関係機関でアセスメントや支援方針の協議をしていない事例などが見られる。市町村と児童相談所の役割分担、連携が不十分である。7番目、特に医療機関等の積極的な連携についてですが、医療機関と協議していない事例などが見られたということで、こういった点の改善が必要になってきます。
 3頁、「課題と提言」という形で地方公共団体と国への提言をいただいております。地方公共団体への提言の中では、望まない妊娠について関係機関との連携、協働した支援。近い将来親になりうる10代から20代の若年者などに向けた虐待予防のために、広報・啓発をすすめると。虐待対応機関の体制の充実、虐待の早期発見、早期対応、地域での連携した支援などさまざまな観点から提言をいただいております。国につきましても同様のご指摘を受けているところです。
 4頁、これまでの虐待死の事例の中から、リスクとして留意すべきポイントをまとめて出しております。以上です。
 続いて資料9、東日本大震災で被災した子どもの心の支援について。8月21日現在ですが、孤児は241人、遺児は1.480人となっています。孤児につきまして、うち親族による里親への委託。これは6月14日現在ですが166人になっております。241人で166人なのですが、これは親族里親として委託をされた児童が166人ということでございます。そのほかの児童につきましては、例えば、あと1年だからとか、経済的にそれほど困っていないからという形で親族の方が引取っていらっしゃるのですが、親族里親にはなっていらっしゃらないというケースが多いと聞いております。ちなみに施設に入所している子どもさんは5人という状態です。
 2番目の被災児童への支援。特に2つ目の○のところで安心こども基金に積み増しにより、被災県での事業を支援しております。23年の1次補正で27億円、4次補正で基金の積み増しをいたしまして、実施期間を24年度末までということで広げております。具体的にそれぞれの県でやっている事業についてが2頁目のところにございます。
 被災県での子どもの心のケアに関する取組みとしてまとめています。右と左に分かれますが、色の付いている左側は子どもの心のケアを中心にしてまとめています。右側はそれ以外の事業をまとめているということです。被災の状況もそれぞれ違いますし、取組みも若干異ったところが見られます。岩手県では子どもの心のケアといたしまして、いちばん下に・がございますが、「子どものこころのケアセンター」の設置運営をしております。3か所に拠点を置いて、児童精神科医が診察あるいは巡回相談を受けているという状況でございます。宮城県におきましては、子どもの心のケア推進事業でいちばん最初の・ですが、児童精神科医、臨床心理士などで「子どもの心のケアチーム」を編成いたしまして、医療的ケアを含めた子どもの心のケアに関する幅広い支援、巡回をしながら相談に乗っていくという活動を進めております。福島県につきましては、児童相談所を中心にして、児童精神科医に来ていただいて対応に当たっているというところでございます。
 そのほか特徴的なところを申し上げますと、岩手県は遊び場が少ないということが言われて、遊び場の提供事業を進めております。特にいちばん下のところにわんぱくキッズ招待事業。児童館や保育所等に募集をかけて、遠方にバスハイクをするという形で通常の環境から違う環境に出て行って、子どもたちがおもいっきり遊べる場所を提供するという活動になってきています。宮城県におきましては、心のケアに関するパンフレットだとか、あるいはできるだけ細かな支援体制を取っていこうということで保育所の巡回、あるいは幼稚園、学校そういったところの巡回がされているというところです。福島県は県外避難者が非常に多いということもあり、都道府県としても県外避難者への支援というところに重点を置かれてるというところがございます。
 1頁目。昨年10月、これは前回もご報告いたしましたが、恩賜財団母子愛育会が「東日本大震災中央子ども支援センター」というのを設置しています。その活動につきましてご説明を追加させていただきます。3頁と4頁はこの支援センターの概要を掲げています。中央センターでは本部と現地窓口というのを置いています。現地窓口では現地の状況、現地での実行体制を整えているということで、この本部の元に協議会というのを設置しています。協議会に参加していただいてる団体は9月18日現在で56団体という形になっています。
 先ほどの東日本中央子ども支援センターの事業。これは基本的に被災県から委託を受けて協働でこの取組みを進めるという形にしています。3県共通したところで専門家の派遣事業があります。基本的には福島県、宮城県、岩手県ともに医療過疎地と言われるところ、特に児童精神科医は全国でもなかなか確保しにくい環境がありまして、この児童精神科医の派遣を調整する役割を担っています。
 あとは特徴的なところだけご説明させていただきます。宮城県の保育士・教諭や研修ですが、保護者に対する研修のところを見ていただきますと、年間60回程度開催することになっております。現状を申し上げますと、宮城県のほうで子どもの表出する問題というのは非常に見えにくい環境になってきています。普通の生活の中に溶けこんでしまって、保育士さんたちの相談に乗ってるうちに子どもの問題が発見されるような環境になってきていて、できるだけ小さな単位で座談会方式で相談を受けてやりとりする中で、子どもの問題に対するフォローをしていくようなやり方が必要だろうということで進めてきております。
 福島県のところに戻りますが、福島県の場合は県外避難者の支援団体への研修や、交流の場の設置ということで県外避難親子の交流会、グループミーティング、交流サロンというのを実施するようにということで委託を受けております。母子で避難されている家庭のお子さんたちは、なかなか避難地で自分の心を打ち明けることができなかったり、子どもさんも慣れない環境の中にいるということで、例えば、8月20日から24日に「プレイ!プレイ!!プレイ!!!」というのをこどもの城で首都圏に避難していらっしゃる方を対象に行っています。遊びの提供とお母さんたちのお話ができる場などを提供したわけですが、この際にもアンケート調査をいたしまして、その結果の中に「子どもの笑顔が見られてありがたかった」というのもあり、そういった支援策が非常に求められてると感じ取れたところです。この取組については今度は埼玉県で計画しているということでございます。
 その他のところで、先ほど遊びの場の確保というところで申し上げました、わんぱくキッズ招待事業につきましては、このセンターが受託をしながら進めているという状況です。私からは以上です。

○大日向部会長 
ありがとうございました。以上のご説明について何かありますか。

○秋田委員 
時間もありますので、個人的な意見を1点だけ申し上げさせていただきたいと思います。資料9で被災した子どもの心の支援が重点的に行われていることは、極めて重要なことだと思っておりますが、最近になって、子どもを支援してきた保育士の方が、このぐらいの時期になってから精神的な疲労や休職、離職等も出ているという話がいろいろなところから耳に入ってきます。子どもの支援と同時に、子どもを支援している保育士の心のケアというところにつきましても、合わせて是非とも支援いただけるようにお願いしたいと思います。以上です。

○大日向部会長 
ありがとうございます。松原委員、渡辺委員続けてどうぞ。

○松原委員 
資料7に関わるのですが、年長の子どもでも18歳過ぎたところでこういう案件が起こりますと、住む場所がないということで全国でシェルター事業が展開しています。これについて自立援助事業ということで国のほうでも支援をするということで、非常に評価をしておるのですが、実体的に自立援助ホームの制度で換算すると、シェルターというのは人の出入が多いので、例えばそれを定員に満たしているかというところでいくとなかなか年間満たせないということですので、自立援助事業の枠組の中で、しかし、シェルター固有の特性を活かしていただいた助成を是非していただきたいというふうに思います。以上です。

○渡辺委員 
資料9についてなのですが、いまご意見もありましたが私も同じような意見なのですが、福島に関してはこちらの東日本大震災の中央子ども支援センターの福島窓口の方にもご協力いただいてアンケート調査を、幼い子どもをもっていらっしゃるお母さん方にやっているのですが、福島で4割超えるぐらい、山形の避難母子の方で言うと7割を超える母親の方々が、抑うつであったり不眠であったりという精神的な不調を訴えていらっしゃいます。子どもの精神的な不調ということと関連して調査をしていくと、お母さん自身が、精神的不調を感じていらっしゃるお子さんの精神的不調の表れ方が優位に高いことも見えてきておりますので、これは過去のチェルノブイリの原発事故のときでもそうでしたが、長期的に言うと母親の不安というのが子どもに影響を与える非常に大きな要因になることはわかっていますので、是非児童相談所などももちろん大事なのですが、身近な地域子育て支援拠点などで、きめ細かに親御さんたちを支援して孤立させないようにするための施策というものに十分に取組んでいただけたらというふうに思います。

○大日向部会長 
ありがとうございました。ほかはよろしいですか。それでは、予定の時間を過ぎておりますが、最後にお手元の資料の10-1及び10-2がございますが、これは説明を省略したいと思います。ただ、地域子ども・子育て支援基盤の再生として、重点要求がなされていますので、この点に関して事務局にご質問、ご意見がありましたらお願いしたいと思います。よろしゅうございますか。それではご発言がないようでございますので、本日はこれで閉会としたいと思います。長時間ありがとうございました。


(了)

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