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2012年11月16日 第58回社会保障審議会医療保険部会議事録

○日時

平成24年11月16日(金)9:58〜12:08


○場所

東海大学校友会館「阿蘇の間」


○議題

1.高齢者医療制度の在り方について
2.高額療養費の見直しについて
3.調査権限・現金給付の見直しについて

○議事

○遠藤部会長
 皆様、おはようございます。それでは、ほぼ定刻になりましたので、ただいまより第58回「医療保険部会」を開催したいと思います。
 委員の皆様におかれましては、御多用の中、お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。
 本日の委員の出欠状況について、申し上げます。
 本日は岩村委員、大谷委員、岡崎委員、齊藤正憲委員、齋藤正寧委員、武久委員、福田委員、和田委員より御欠席の連絡をいただいております。
 続きまして、欠席委員のかわりに出席される方について、お諮りしたいと思います。
 大谷委員の代理として、黒川参考人。まだお見えになっておられませんけれども、すぐにお見えになると思います。
 岡崎委員の代理として、村岡参考人。
 齊藤正憲委員の代理として、藤原参考人。
 武久委員の代理として、中川参考人。
 福田委員の代理として、名越参考人の御出席につきまして、御承認いただければと思いますけれども、よろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 それでは、議事に移らせていただきたいと思います。
 まず初めに「1.高齢者医療制度の在り方について」を議題としたいと思います。事務局から資料が出されておりますので、報告をお願いしたいと思います。
○横幕課長
 おはようございます。高齢者医療課長でございます。
 お手元の資料1から資料3に沿って、高齢者医療制度のあり方について、御説明をさせていただきたいと思います。
 資料1「70〜74歳の患者負担特例措置について」です。
 1ページをごらんいただきますと、今年2月の社会保障・税一体改革大綱の中で記載がございます。70歳から75歳未満の方、平成20年から法律により2割負担になっておりますけれども、制度の円滑な施行という観点から、毎年度、約2,000億円の予算措置により、1割負担に凍結されております。これについて、世代間の公平を図る観点から、見直しを検討する。25年度以降の取り扱いは、25年度の予算編成過程で検討するとされております。
 2ページ、平成22年12月、高齢者医療制度改革会議最終まとめでいただいた意見がございます。3つ目のところ、新たな制度の施行日以後、70歳に到達する方から段階的に本来の2割負担とするという意見をいただいております。
 昨年も御議論いただいたところですが、こういった仕組みをとることによって、今、どういう状況になっているか、6ページをごらんいただければと思います。
 上段が医療費、患者負担の額を年齢階層別に整理してございます。65歳から75歳以上にかけて、年齢が上がるにつれて、医療費は上がってまいります。負担割合は3割、2割、1割と下がってまいりますので、年間の患者負担額は真ん中の縦の列、おおむね7万円から8万円、9万円といったところにございますが、70歳から74歳の方は、1割負担と凍結されていることによって、4.7万円になっている。ここだけ上の年齢、下の年齢と比べて、やや低い額になっているという状況がございます。
 下の段、年収との関係を記載してございます。これは年齢が上がるにつれて、収入が下がっていくという状況がございます。これに対する患者負担の額の割合をパーセンテージであらわしたのが、一番右側の縦の列でございます。おおむね4%、5%といったところにございますが、70〜74歳の方については、1割凍結されていることによって、この割合2.4%、上よりも下よりもやや低い水準にあるということでございます。
 こういった状況に対して、改革会議からは段階的に引き上げるという案をいただいております。
 5ページをごらんいただきますと、現在、70歳未満の方は3割負担になっているわけですけれども、新たに70歳に到達する方から、3割から2割になる。これを5年間続けていくことによって、全体として70歳から75歳の負担を現状の1割から2割にしていく。こうすることによって、一人ひとりの負担を見た場合には、1割から2割に増えるのではないというあり方としてはどうかという案でございます。
 あわせて8ページをごらんいただきたいと思いますが、改革会議の案では、低所得の方に配慮すべきであるということで、高額療養費の上限額、70歳以上の方は70歳未満の方と比べて、そもそも上限額を低く設定しておりますが、このうち低所得の方、住民税非課税の方については、2割負担にした場合であっても、据え置きする。2万4,600円あるいは1万5,000円で据え置くことによって、低所得でかつ医療費の高い方について、負担が増えないように配慮すべきであるという御意見をいただいております。
 こうした見直しをすることによる財政影響を9ページにあらわしております。
 一番上の囲みは、毎年度予算措置をしております国費への直接的な影響ですが、これまで毎年度2,000億程度要しておりますけれども、今、御紹介したように、段階的に実施する場合、初年度は−200億、それ以降は毎年度−400億といった形で、減少していくことを見込んでおります。
 その下2つの囲みは、患者負担の見直しによる波及効果が、各医療保険制度に財政影響という形で出てくるものを整理したものでございます。
 2つ目の囲みが初年度、合計で-130億です。各保険制度、公費に与える影響はおおむね10億から30億程度の▲ということで記載してございます。
 下の箱は、5年間特例見直しをした最後の姿です。合計-1,800億と記載しております。
 こういった形で見直しを行う場合の論点を10ページに簡単に記載してございます。
 一番上の○は、今、御紹介したとおり、順次2割にするという方法を改革会議からいただいておりますけれども、他方で、この5歳の対象の方を一遍に2割負担としてはどうかという御意見もございます。これについて、負担額が急激に変わる方が多くなる、あるいは個々人の負担が1割から2割に増えるケースがあるということについて、どう考えるかというのが1つ目の点です。
 2つ目の点は、見直しの時期を年度当初から行うか、一定の周知期間等を確保した上で年度途中から実施するか。
 3つ目の点は、高額療養費の上限額は、低所得の方について据え置くということを、今、御紹介しましたけれども、その上の一般の層にかかる部分については、一定程度引き上げるという案になっておりますが、ここについてどう考えるかということが、論点としてあろうかと考えております。
 資料2をごらんいただきたいと思います。「後期高齢者支援金の総報酬割について」。
 1ページをごらんいただきますと、一体改革大綱がございます。総報酬割の話は、そもそも高齢者医療制度全体の見直しの中の1つのパーツになりますので、今後、国民会議でも議論いただく中身の1つになります。
 1ページにございますように、大綱の中では、この問題について特出しをしております。総報酬に応じた負担とする措置について検討するということが1つの柱になっておりますので、きょう改めて御意見を賜れればと思います。
 2ページ、改革会議の取りまとめの中でも、3つ目の○ですけれども、新たな制度においては、被用者保険者間の按分方法を全て総報酬割とするという案をいただいております。
 これについては去年も御議論いただきましたが、4ページ、5ページをごらんいただきたいと思います。これまでの高齢者にかかる医療費の支え合いの仕組みについて、改めて振り返る資料をつけております。
 現行制度前は、老人保健制度と退職者医療制度の組み合わせでやっておりました。簡単に申し上げますと、老人保健制度の方は、高齢の方が市町村国保または被用者保険に加入しているという、加入関係を継続したまま、各保険者からの拠出金によって支えるという仕組みをとっております。
 あわせて退職者医療制度は、被用者保険に20年以上など、長く入っていらっしゃった方が、退職して国保に移った後の医療費について、何もしなければ、国保で全部負担することになりますので、これを被用者保険から支えるという仕組みでございます。
 具体的な比較を5ページにつけておりますが、太線で囲んであるところが、各制度の拠出金の負担方法でございます。
 老人保健制度の場合には、各保険者が加入者割で負担する。1人当たりの給付費実績をベースに、加入者割で負担する仕組みになっております。これは現行の前期調整とほぼ同じ仕組みであります。
 退職者医療につきましては、前に入っていた被用者保険、今は被用者保険から離れて国保に移っているわけですけれども、そういった方を支えるために、保険料は国保のスキームに従って本人に負担していただいた上で、残りの部分について、被用者保険サイドから総報酬割で負担してもらうといった仕組みになっております。
 現行の後期高齢者医療の方は、原則加入者割ということでスタートしており、今、被用者保険の3分の1について、総報酬割になっておりますけれども、こういったこれまでの制度の仕組みを考えると、加入関係を継続しているか、あるいは独立しているかということで、退職者医療の例も1つあるということでございます。
 7ページをごらんいただければと思います。加入者割と総報酬割の違いをモデルケースを使って御紹介するものです。ここでは、支援金1億円をA、Bの2つの保険者で負担する。A、Bの加入者数は同じでそれぞれ1,000人ずつ、総報酬額は4倍の差がある15億、60億という例をモデルとして置いて、どういう効果が出るかということを簡単にお示ししたものです。
 左側の全面加入者割の場合、それぞれ加入者数は同じですので、A、B、5,000万円ずつの支援金を負担する形になります。
 これを賄うために、総報酬額に対してどれだけの保険料率が必要かというのが一番下の段ですが、Aが3.33%、Bが0.83%と4倍の差が出てくる形になります。
 他方、右側、全面総報酬割の場合には、総報酬額で按分することになりますので、1対4、2,000万円と8,000万円という形で負担していただくことになりますが、保険料率で見ると、それぞれ総報酬額の高い、低いを反映して、同じ1.33%になる。財政力に応じた負担になるというのは、ここに出てくるという意味でございます。
 もう少し具体的な例に即したものが8ページでございます。A、B、Cという3つの保険者は、実際にある保険者です。加入者1人当たりの報酬額が146万から573万と3.9倍の差がある。これを全面加入者割で支援金を負担していただく場合には、どの保険者も1人当たり4万7,000円。これを保険料率で見ると、3.2%と0.8%で3.9倍の差があるという形になります。
 全面総報酬割にした場合には、1人当たりの額で見ると、2万7,000円と10万7,000円という差がある一方、所要保険料率で見れば、どの保険者も1.9%で、同じ水準になるものであります。
 実際の健保組合のばらつきを図にしたものが9ページです。
 横軸に各保険者の加入者1人当たりの報酬額を挙げておりますが、全被用者保険の平均で252万円。協会けんぽの方がやや低いので、健保組合共済だけで見ると、この平均より高くなります。
 これは現行の平成23年度の各健保組合の姿をプロットしたものですが、現行から総報酬割を拡大した場合、加入者1人当たりの平均報酬額よりも高いところにある保険者で、総報酬割の拡大により負担が増える。左の方は、平均よりも低いところで負担が減ることになりますので、それぞれ63%で増、37%で減ということになります。
 10ページ、全体としての制度ごとの影響額を、現行からの比較という形であらわしております。
 資料3は、これまでの高齢者医療制度の見直しに関する経緯、改革会議から出た考え方のポイント等をお示しするものをつけております。今後、国民会議などで議論をいただくことになるものですので、御参考までにお目通しをいただければと思います。
 1つ、15ページから18ページに後期高齢者の保険料に関する資料をつけております。
 16ページをごらんいただきますと、保険料軽減の特例措置とございます。もともと制度的に低所得の方に対する保険料軽減を予定しておりますけれども、制度施行当初から、これも円滑な施行という観点から、特例軽減措置を講じております。幾つかの種類がございます。改革会議からは、これも段階的に縮小すべきという意見をいただいておりますので、今後の課題と考えております。
 以上でございます。
○遠藤部会長
 ありがとうございました。
 ただいま御説明のあった内容につきましては、当部会でも既に議論をしているものもあるわけですけれども、改めて御議論いただきたいと思います。
 患者の自己負担の話と総報酬割の話と、若干毛色の違う話がありますので、まずは70〜74歳の患者自己負担の特例措置について、御審議いただければと思います。どなたでも結構でございます。
 菅家委員、お願いします。
○菅家委員
 2つの課題について、今、説明があったんですけれども、共通する事柄として申し上げたいのは、いずれの説明も高齢者医療制度改革会議の報告書の内容を引用して、したがって、こういうことが考えられるのではないかということを言いたかったんだろうと思いますが、改革会議の議論というのは、今の後期高齢者医療制度を廃止して、その後の姿をどうするかという議論をして、出された結論なわけです。したがって、そういう文脈の中でのさまざまなメニュー、考え方というのは、それはそれで考えればいいと思うんですけれども、単体で高齢者の自己負担をどうするんだとか、あるいは支援金に対する負担のあり方について、総報酬割がどうのこうのとか、そういう議論というのは、私はナンセンスだと思っておりますので、まずそのことを申し上げたいと思っています。要するにあの結論を一体どうされるつもりなんですかということを、まずもって明らかにした上で、議論するんだったら、それはそれであり得ると思いますけれども、今、説明のあったような議論の仕方というのは、ちょっとおかしいのではないかというのが大前提の考えでございます。
 その上で、患者一部負担の話をさせていただきますけれども、例えば70〜74歳とか、75歳以上とかの話でありますが、説明の中であったように、年齢にかかわりなく、低所得者に対する高額療養費の制度の改革をすることによって、全体としてどうなんだという議論があったと思うんですけれども、私は年齢の問題ではなくて、自己負担の問題というのは、そういう問題だと捉えているんです。年齢でもって区分して、1割がいい、2割がいい、3割がいいという議論は、医療保険制度のあり方としては、根本的におかしいと思います。したがって、1割がいい、2割がいいという水準だけの議論をしても、意味がないと考えているということを申し上げたいと思います。
○遠藤部会長
 ありがとうございました。
 議論の前提になるところからの御発言だったと思います。
 ほかにございますか。鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員
 まず資料1の10ページの論点を見ると、見直しを行うということですが、これは現行の1割を2割にどのようにするか、どのように緩和措置を入れるかということが全ての内容になっております。そもそも現実的には、現行1割になっているわけですから、それを2割に増やすことについての話になりますので、70〜74歳の方にとって、誰も個人的に増える人はいないということですが、実際は増えるということは明らかであると思います。
 その上で、6ページにあります表が、どのようにしてつくられているのかわからない点があるので、質問させていただきたいと思います。高齢者の収入や所得というのは、必ずしも正確に補足されていないのが実態であると思うんですが、このもとになっている国民生活基礎調査というのは、抽出調査と書いてあります。抽出調査というのは、非常にばらつきが大きく出るものです。実調などでも6月単月というのは、かなりばらつきが出て、その結果、誤った改定などが行われたこともあったわけですが、そういうばらつきがあるものをもとにしているのではないかということです。
 2番目には、家計に関する調査というのは、基本的に1世帯当たりで集計されるわけですが、たとえ対象となる世帯主が75歳以上の場合でも、75歳未満の方がいる場合もあるわけです。厚労省は国民生活基礎調査をもとに高齢者1人当たりの平均年収を独自に集計していると思われますが、この内容をどのようにして1世帯当たりから1人当たりにしたのかが、よくわからないということがあります。そもそも家計というものは、世帯全体で見るのが一般的だと思うんですが、高齢者だけを取り出して1人当たりで見るのが妥当かどうかという問題もあると思います。
 3番目には、厚労省は1人当たりの平均収入を示しておりますが、70歳以上の患者の一部負担の割合は、現役並みの所得とそれ以外で区分されているわけで、現役並み所得者を含んだ平均で見るということは、適切ではないと思います。現役並み所得の方が一定程度いらっしゃるわけですが、これらの方の所得が平均値を引き上げていると思いますので、それを分けて考えるべきではないかと思われます。
 4番目には、入院と入院外の医療費を合計しておりますけれども、一部負担割合の引き上げによって、最も懸念されるのは、入院外の受診抑制だと思いますので、入院と入院外は区分して考えるべきだと思います。
 我々の調査によりましても、そもそも処方日数の上限が撤廃されてから、処方日数の長期化に伴って、受診抑制が起こっており、それによっていろんな問題事例が発生しているという調査結果が出ております。例えば患者の容体の変化に気づくのがおくれたということが16.9%、あるいは患者が服用を忘れたり、中断したりしたために病状が改善しなかったということが33.6%、こういう結果が出ておりますので、受診抑制につながるようなことは、避けるべきです。しかも、70歳以上になりますと、公的年金や恩給の割合が平均でも5割以上になり、年金に頼って生活されている方も増えてくるのです。今後、消費税が上がることも決まっておりますので、家計が苦しいための受診抑制も懸念されると思います。
 これも我々の調査によりますが、自己負担が増えますと、1割と2割と3割とで分けて比べた場合、1割から2割に増えたときに、非常に負担感の増加や受診抑制が進むというデータも出ております。
 さらに受診を控えた方の半数以上は、受診を控えたために症状が悪化したという結果も出ております。こういうことを考えますと、所得格差が拡大していくことによって、受診抑制が増えていくことが懸念されるのであります。
 我々としましては、従来より我が国の自己負担は最高3割と高いので、先進諸国に比べて高い自己負担をむしろ若年層で引き下げて、受診抑制による症状悪化等が起きないようにすべきだと主張しておりますので、この問題に関しては、引き続き1割にとどめるべきだと考えております。
 以上でございます。
○遠藤部会長
 ありがとうございました。
 今の話は、とりわけ高齢者の所得の話と医療費の推計について、事務局にお尋ねする必要はないという理解でよろしいですね。コメントを求めますか。
○鈴木委員
 その中で、1世帯当たりで出ていた調査を1人当たりにどのようにして直していったのかということと、抽出調査の信頼性についてお願いします。
○遠藤部会長
 わかりました。
 もし現在おわかりになれば、お答えいただけますか。今、無理であれば、後日ということで結構でございます。
○横幕課長
 また整理できるところは整理したいと思います。
 国民生活基礎調査は、世帯単位で、世帯主の年齢階級別で調査結果が出ていまして、それで見ても大体同じ傾向になるんですけれども、さらに世帯員というデータは、それで統計処理されたものは公表されておりませんが、それを特別集計するという形で、1人当たり収入の資料をお出ししているものです。
○鈴木委員
 公表されていない資料を使ってやっていらっしゃるんですか。
○横幕課長
 調査そのものは、公表されている資料ですけれども、その中のデータを使っています。世帯単位のものもありますので、それもまたあわせてと思います。
○遠藤部会長
 鈴木委員、よろしいですか。
○鈴木委員
 公表されていないところで、何らかの操作というと、ちょっと語弊があるかもしれませんが、その辺を明らかにしていただければと思います。よろしくお願いします。
○遠藤部会長
 横尾委員、どうぞ。
○横尾委員
 鈴木委員に確認なのですけれども、先ほど説明があった5ページの資料でございますが、前の会議でも申し上げたのですけれども、負担が1割の方が2割に増えるのではなくて、1割の方はそのまま75歳に1割で移行していって、69歳から新たに70歳になる方の自己負担が3割から2割の負担になるのです。そのことは御認識されているのですね。
○鈴木委員
 もちろんそうですが、今、要するに70〜74歳は1割ですね。
○横尾委員
 制度はそうですけれども、一人ひとりを考えると、70歳の人は1割でずっといくのです。69歳の人は3割から2割になる。特例措置がなくなるとそのようになります。
○鈴木委員
 3割から1割になるのが、2割になるということですね。
○横尾委員
 制度が変わればそうです。ただし、3割から2割になるということは御認識されているのですね。
○鈴木委員
 もちろんです。
○横尾委員
 先ほどの言い方は、1割が2割になるとおっしゃったのです。それはちょっと誤解を招いてしまいます。
○鈴木委員
 現行1割の負担が2割になる。もともと3割の方がね。同じことだと思います。
○横尾委員
 当事者としては違うと思います。
○遠藤部会長
 堀委員、白川委員という順番でお願いします。
○堀委員
 質問と意見がございまして、1点目は事務局に御質問させていただきたいんですが、8月にできた社会保障制度改革推進法の記載によりますと、これから発足します国民会議においても、高齢者医療制度については、検討して結論を得るという記載がございますが、今、我々がこれから議論する内容と同じようなことをまたそこでやるのかどうか。その場合の議論のすみ分けというか、扱いはどうなるのか、そこをまずお聞きしたいと思います。
○遠藤部会長
 総務課長、お願いします。
○濱谷課長
 新聞報道等がされておりますけれども、国民会議を近々に設置ということでございますが、高齢者医療制度につきましては、三党合意におきまして、あらかじめ三党で協議する。その後、国民会議で議論することになっております。そういう意味では、今回の社会保障審議会の議論と重なる部分があるわけでございますけれども、国民会議設置後の社会保障審議会との関係につきましては、設置後に改めて整理をさせていただきまして、必要に応じ、この部会にも報告し、議論していただくことになる可能性もあると考えております。
○遠藤部会長
 堀委員、よろしいでしょうか。
○堀委員
 わかりました。
 意見なんですが、先ほども単体で議論するのはどうかという御意見がありましたが、一部負担の問題も、高齢者医療制度の問題の1つの論点だと思っておりますので、ここだけ抜き出して議論するあり方が適当かどうか、少し懸念がございます。2割負担が打ち出されてから相当時間が経ってきておりますし、今般の消費税増税による財源確保とも少なからず関係するところだと思いますので、そういったことを総合的に俯瞰して、高齢者医療制度がどうあるべきかということの議論をする中で、バランス感覚を持って、腰を据えて議論するべき問題ではないかというのが、1点目の問題意識でございます。
 それから、具体的なところでございますが、このことは2割のことが決められてから、凍結を繰り返していただいている案件でありまして、今、説明があったように、段階的に1割から2割にしていくという案が、当時の改革会議の最終取りまとめで出た後でも凍結されているというのは、それなりの理由があったんだろうと思っております。
 取りまとめの中にも、明記されているのが受診抑制です。そもそも現役世代の負担率が高い、これを引き下げるべきだということも特記されていて、それも1つのあらわれだと思いますし、当時の国会の議論でも、相次ぐ高齢者あるいは年金生活世代に対する負担増、そういったものに対することはいかがなものかということが議論されていました。公費で賄うべきである、あるいは保険料でカバーするべきだという議論があったのも記憶にあるところでありますので、そういったとことが1つ背景にあるということを認識すべきだろうと思います。
 それから、我々の方で見ている健康面については、厚労科研のデータがありまして、我が国の平成22年度の健康寿命があります。つまり日常生活を支障なく過ごせる期間でありますが、男性は70.4歳、女性は73.6歳でこれが尽きるとなっておりまして、まさに、今、議論している70〜74歳の期間で健康寿命が尽きて、その後は何らかの障害あるいは要介護の状態で寿命を全うするということが出ております。
 また、歯科では8020と言いまして、御承知だと思いますが、80歳で20本の歯を残して、結果として、最後まで健康な生活を送ってもらいたいという運動をやっておりますが、平均して20本の歯がある方は、69歳まででありまして、70歳からは20本を割ってしまうということで、大変重要な時期だと思っております。重要な70歳から74歳の期間で、先ほども話がありました、受診抑制が起きてしまう、あるいは受診控えがあるということは、その後の人生、最後まで質が高い生活を送ってもらうという、我々が望むところが達成できなくなる危険があるということを強く懸念しております。
 受診抑制につきましては、話があったとおり、現在の3割負担でも、既に公的医療保険の制度とは呼べないという認識にありますし、先の東日本大震災のときに講じられました窓口負担の免除の中での受診動向を見ますと、これからデータが分析されると思いますけれども、現行の3割負担でも受診抑制があるのではないかということを懸念しております。そういったことを総合的に勘案しまして、ぜひ70歳から74歳の患者負担については、現状の1割を維持していただきたいと強くお願い申し上げたいと思います。
 以上です。
○遠藤部会長
 ありがとうございました。
 お待たせしました。白川委員、お願いします。
○白川委員
 今、各委員の御意見を聞いておりますと、この場で1割であるべきだという御意見、あるいは国民会議で議論をするのだから、それまで待った方がいいのではないかという御意見があったんですけれども、私は全く違う議論だと思っております。1割がいいか、2割がいいかということは、多分18年、19年の国会で議論されて、現在、2割負担という法律が存在するわけでございます。それを5年間実施してこなかったことこそが問題であって、いろんな政治的な配慮ということになっておりますが、ほかの年齢区分の方、あるいは70〜74歳の現役並み所得の方は、法律どおりの負担を続けているわけで、なぜこの層だけが法律が適用されないのかということが、この問題の本質だと申し上げたいと思います。法治国家である以上は、法律が成立をすれば、定められた手続で施行するというのは、ごく当たり前の話でございまして、そういう意味では、政治がこの仕組みをゆがめたと言わざるを得ないとも思っております。
 しかも、今回、来年度70歳に到達する方から、5年かけて2割負担にしましょうという御提案をするから、国民会議云々という話とバッティングする御提案になる。我々としては、来年度から、法律で定められたとおりに、直ちに2割負担を実行すべきだと御意見を申し上げたいと思います。
 もう一つは、これによって、国の負担が大体2,000億円弱、この資料ですと、1,800億円ぐらいが5年後には浮くような形になっております。これで出ました財源につきましては、我々としては、高齢者医療制度全体の公費の拡充に充てるような使い方をしていただきたい。それもあわせて意見として申し上げたいと思います。
 以上でございます。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 小林委員、お願いします。その次に、樋口委員ということで、お願いします。
○小林委員
 私どもとしては、前回の部会で申し上げましたとおり、高齢者医療制度の見直しは喫緊の課題と考えており、3点、公費負担の拡充、総報酬割の全面的な導入、70歳から74歳の方の2割負担を要望しております。
 この中でも70歳から74歳の患者負担については、他の制度の改正とは異なって、法律の改正が必要なく、それどころか、今、白川委員からお話がありましたように、既に2割と法律に規定されているものを、毎年、補正予算の措置によって1割としているものであります。1割凍結のために、毎年度2,000億もの予算が投入されており、国の財政が厳しい中で、いつまでこのような臨時特例的な措置を続けるのか、全く理解できません。
 しかも、今回の御説明にありましたように、現在、1割負担となっている70歳から74歳の方の負担は、一律の2割に引き上げるのではなくて、70歳に到達された方から、段階的に負担を2割に軽減する。それまで3割だった方が2割負担になるという、高齢者の方の負担に十分配慮した仕組みであると考えております。私はこの案でいいのではないかと思っておりますが、こういった点を政府がもっと国民に訴えていけば、必ず理解を得られるのではないかと思います。
 現役世代の負担がさらに増えていく中で、世代間の負担の公平性を考えれば、とっくに実現しておかなければならなかったことであり、国民皆保険制度の維持のために、保険料負担が重い被保険者の理解も得られないと思っております。ぜひ直ちに実現していただくよう、強くお願いいたします。
 以上です。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 診療側の委員お二人、保険者の委員お二人からお聞きしましたので、今度は当事者になるかもしれませんけれども、樋口委員、お待たせしました。
○樋口委員
 私は高齢当事者でございますから、もちろん高齢者の負担が増えることは、決して喜んでおりません。喜んでおりませんけれども、私自身、改革会議に身を置いた立場といたしまして、あのときも十分に論議は尽くしたはずだし、そのとき私と元千葉県知事の堂本暁子さんで2人並んでおりまして、2人が口を開くと、「公平」という言葉を繰り返し発言したことを覚えております。
 昔から「乏しきを憂えず、等しからざるを憂う」という言葉があり、今、まさに私たちの国は、財政が乏しい時代で、どのように社会保障から受ける利益を享受していくか。享受するときに、絶対的公平ということはあり得ないと思っておりますけれども、できるだけ誰が見ても公平な方法でやってほしい。
 そこで見ますと、70代前半というところだけが、これは改革会議ではきちんと御説明があり、多久市の市長さんもおっしゃいましたように、1割だった人が2割になるのではなくて、3割だった人から順次2割になり、やがて1割になっていく。考えてみると、年齢別に窓口負担が違うということもおかしいのかもしれません。
 今の高齢者の所得で、私もこの数字を見てびっくりしてしまったんですけれども、例えば75歳以上の人の平均年収が168万円です。今、日本人でひとり暮らしの人々が数百万人おりまして、その4分の3は女性でございますけれども、そこで調べれば、年収は120万以下の方がぐっと多くなるはずでございます。ですから、公平という意味だとしたら、低所得対策ということを、声を大きくして申し上げたと思います。もし窓口負担を2割にし、特別な措置を必要とするならば、低所得の方には十分に配慮していただきたい。
 そして、先ほど医療関係の方から、70代の前半で、高齢者の健康状態は、歯にしても、その他にしても、ぐっと悪くなるというお話がございまして、ここで受診抑制があってはならないとおっしゃいました。もしその理由に学問的裏付けがあるとすれば、証明していただきたいと思います。
 公平という視点から見ますと、我々高齢者は本当に居心地が悪いんです、このところ。いろんなところで、若い方とも話し合うんですけれども、そのたびに私は世代間公平なんかあると思っている方がおかしい、ちょっと上の世代は戦争でばたばた死んだではないか、大学へも行けない人が我々世代は多かったではないか、年金を我々はもらい過ぎというけれども、就職もできない女が私も含めてごまんといた、世代間不公平などと大きな声で言ってもらいたくない、全て世代間というのは、全部不公平である。ただし、年金制度とか、さまざまな保険制度にとって、余りにも不公平であるということは、どんどん是正していかなければならないし、社会保障制度において一番是正しなければならないのは、年金の不公平だと思っております。
 医療保険とか介護保険というのは、人が困ったときに使う制度でございまして、これはできるだけ年齢別なくやっていただきたい。今、若い方に向けて、あなただって、ほとんどは人生80年、90年を生きるんだ、生涯の中でやりくりがつくので、今、年をとった人だけでなく、これから年をとるあなた方も、その恩恵に受けるんだと言えることを大変幸せだと思っております。
 そういうわけで、結論ですが、確かにおっしゃるように、3割という窓口負担は限度だと思っておりますし、もっと低くあるべきだと思うけれども、これもまた国民会議で御議論なさることかもしれませんが、国民皆保険の医療保険というのは、私は政府・国民を挙げて守らなければならないことだと思っております。そうだといたしますと、応分の負担というのは、どの世代も考えなければいけない。親に養われている大学生も、パートのお母さんもみんな3割払っているときに、少額とはいえども、年金をある程度もらっているはずの70代前半だけがなぜ1割でなければならないかという御説明は、きょう伺いましても、私は世代間公平という意味から、反対いたします。法律どおり粛々とやっていただきたいと思います。
 今まで何の思惑か、おくれている間に最悪の時期を迎えてしまったとは思っております。デフレ効果の年金削減ということが、どうやら実施されることになりました。消費税増税も決まりました。こんなときにまで延ばしているのが悪かったんだというのは、これは最後に恨み節でございます。
 以上でございます。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 公益的なお立場でしょうか、岩本委員、お願いいたします。
○岩本委員
 自己負担を上げ下げする場合には、メリットとデメリットの両方がありますので、科学的・客観的に判断するに当たっては、それぞれのメリット・デメリットを定量的に評価して、比較した上で結論を出すというのが、あるべき姿であると思います。
 ただ、残念ながら、データの制約とか、知見の制約によって、この問題につきましては、先ほどからお話が出ています受診抑制、もう一つは、自己負担が低いことによるモラルハザードの問題がありますけれども、そのはっきりした評価はわかっていないという状況ではないかと思います。ですから、70〜74歳の自己負担率については、1割がいいという御意見と、2割がいいという御意見、どちらも科学的に完全に否定される状況ではないかと思います。そういった意味で、法律を改正してでも1割にすべきであると御主張される方がいれば、それは論が立つとは思います。
 先ほどお話に出たように、そういう異なる意見がある中で、現在、意見が集約された姿としては、国会で議決された法律に書かれている2割負担があるわけです。それを何年間も法律を変えないで、予算措置によって1割にしているという現状があるということは、やはり手続的に問題があるのではないかと考えます。1割がいいということであれば、これまでの間にしっかり議論をして、法律の方で1割に改正という手続を踏むのが正しい姿ではないかと思いますが、それが実現されていないということであれば、意見集約の議論としては、相変わらず2割がこれまでの姿であるということが言えます。
 さらに予算措置なんですけれども、当初予算ではなくて、補正予算で財源を手当していることによって、例えば今年度の経費が前年度の歳入によって賄われるという姿になっております。これは財政法の観点からいきますと、会計の透明性を損ねるということで、原則とるべきではない姿に近いものになっているという意味でも、手続的にも問題点があるということが言えるかと思います。そのような状況を考えますと、これは手続的な要素が強いんですけれども、2割負担とされている本則に戻していくということが、適切ではないかと考えます。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 菅家委員、お願いします。
○菅家委員
 議論を聞いていて、ますますわからなくなったんですけれども、法律は確かに2割です。政府が政策的な判断のもとに、予算措置で1割を埋めているということです。しかも、予算ですから、国会の承認を経てということであります。政府がそういう政策判断でやっているんですから、政府がけしからぬとか何とかという議論は、ここではなじまないのではないか。一体何を議論しようと言っているのかよくわからないんです。政府の政策的な判断で、予算措置でやっていることがけしからぬという結論をこの審議会が出せるんですか。法律本則の話をどうするかという議論は、この審議会で議論すればいいと思うけれども、予算措置がけしからぬなんてことを我々が言えるんですか。それは政府が判断して、政策的にやっている話だと思います。
○遠藤部会長
 申しわけありません。まだお話されていない方を優先したいと思います。村岡参考人、お願いします。
○村岡参考人
 市町村国保を預かっているような市町村の立場から、意見を述べさせていただきたいと思います。
 基本的に財政運営が非常に厳しい保険者の立場からすれば、70歳から74歳の自己負担割合というのは引き上げていく、また公平の観点からすれば、引き上げざるを得ないという面があるというのは、我々も認識をしております。ただ、市町村国保の場合には、低所得者が大変多いという問題がありますので、被保険者の立場や住民の立場を考えると、引上げはやめていただきたいというのが本音でございます。
 先ほどいただきました資料の6ページのお話にもありましたが、70歳から74歳の平均収入が193万円ということになっておりますが、70歳から74歳の被保険者の圧倒的多数、8割は国保の被保険者になっています。国保の平均所得で、一般的に国保制度を議論するときに、1人当たりの所得であったり、世帯当たりの所得という平均が示されますけれども、平均で見た場合、47都道府県の中で、平均を超しているのは8都県ぐらいしかない。それ以外のところは、圧倒的に低所得という実態がございますので、平均で見た場合には193万ということになっていますが、国保制度だけで抜き出して見ると、圧倒的に低所得の方が多いのではないかと認識をしております。
 被用者保険の場合には、70歳から74歳の方でも働く収入が確保されておりますし、一方で、制度的には傷病手当金という制度もありますから、一定の保障があると思うんですが、国保の場合はそういった制度はなく、年金生活者のみという実態がありますから、仮に引き上げを実施する場合には、樋口委員さんもおっしゃっていましたが、しっかりとした低所得者対策をやっていただく必要があるのではないかと考えています。
 高額療養費制度はそのまま現状で残していくということですけれども、高額療養費制度は現状のままで本当にいいのかどうか。医療費がかさんでいきますと、最近、生活保護の議論もございますが、医療費自体が払えなくなって、生活保護に移っていくという状況もございます。そういった面を社会的なコストから見たときに、医療保険制度で2割負担を導入して、一方で、負担が増えたことによって、生活保護の受給者が増えることになれば、総コストとしてはよりかかるという社会現象にもなるのではないかと危惧しておりますので、そういう面からトータルに議論をしていく必要性があるのではないかと考えています。
 2点目といたしましては、実施時期の問題ですが、実施時期は25年度予算編成過程で検討ということになっておりますが、保険者の立場で見ますと、70歳から74歳の負担割合を変更するというのは、制度的には非常に複雑な制度になりますので、現場でのシステム改修等も非常に時間がかかるという問題が発生をいたします。急に決定をされても、給付そのものは間に合わないこともあります。後期高齢者医療制度の発足に伴って、国保制度は被用者保険以上に複雑な制度になっておりますから、そういう点では、十分な準備期間がない限り、対応できないということを強く申し上げておきたいと考えています。
 それと、段階的な負担区分の見直しということで、考え方が示されておりますが、実務的な側面から見ますと、国保というのは、世帯を単位として制度を運用しておりますので、その中にそれぞれの年齢によって負担区分を設けていくことは、非常に複雑で大変な作業になっていくことが懸念をされています。また、システム改修にも膨大な費用がかかる。全国的にも相当な費用が見込まれるのではないかと思っておりますので、実務的な面から見れば、国民の皆さんの理解をいただいた上で、一斉に実施をしていく方が、効率的ではないかと考えております。
 あわせて、仮に実施をする場合には、制度改正に伴うシステム改修費用というのは、市町村の保険者に負担をさせるのではなく、国において全額責任を持っていただくことが前提になるということを申し上げておきたいと思います。
 以上でございます。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。国保のお立場で御発言をいただきました。
 藤原参考人、お願いいたします。
○藤原参考人
 ありがとうございます。
 3点申し上げたいと思います。
 1点目、70〜74歳の患者負担の特性措置については、早急に法定の2割に戻すべきだと考えております。この特例措置により、既に5年間にわたって負担を軽減してきております。したがいまして、高齢者の方々に、医療保険の持続可能性が非常に危うくなっているということ、国の財政状況も非常に厳しくなっていることを御理解いただきながら、痛みを分かち合っていただきたいと思います。
 2点目は、資料3の18ページにあります、後期高齢者医療制度の保険料の特例措置についても、既に長い期間、この特例措置が行われておりまして、特に元被扶養者の方に関しては、周りのほかの方々と比べても、余りにも大きな軽減措置が継続されておりますので、早急に本則に戻していただきたいと思います。
 3点目は、冒頭、菅家委員から指摘のとおり、高齢者医療制度改革会議の取りまとめを持って審議するのはいかがなものかという点は、私も同様の感覚を持っております。同会議は、後期高齢者医療制度の廃止に向け意見をまとめたというのが経緯であり、同会議の取りまとめからパーツを取り出してきて議論するというのは、やはりおかしいと思います。そもそも後期高齢者医療制度を廃止するとの意見書をまとめてから、既に2年もたなざらしになったままであるのは、要するに後期高齢者医療制度を廃止する意思がほとんど感じられないということなのだと思います。そういうものを前提にした議論の一部を持ってくるというのは、おかしいのではないかと思っております。
 以上です。
○遠藤部会長
 ありがとうございました。
 山下委員、お待たせしました。
○山下委員
 1点は、全面総報酬割への移行についてです。
○遠藤部会長
 報酬割については、この後にやろうと思っておりますので、今はできれば自己負担の話を中心にお話いただければと思います。
○山下委員
 わかりました。
 資料1の9ページにあるように、来年から74歳の対象者全てを2割負担とする場合と、5年間で順次2割負担としていく場合の財政影響が比較されていますけれども、トータル、総額での場合の財政影響が出ていないので、ぜひこの比較をしていただきたいと思います。
 特例措置については、暫定的な措置である以上、段階的な解消というのは、考え方としては余りそぐわないというか、おかしいのではないかと考えています。段階的に順次2割負担とする場合、現在70歳の人は、そのまま4年間特例が増やされることにもなり、不公平が生じると思いますので、現在、特例対象となっている人は、全て来年から2割負担とすべきではないかと考えております。
 以上です。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 事務局への御要望があったかとも思いますけれども、事務局、何かコメントはございますか。
○横幕課長
 確認させていただければと思いますけれども、9ページに各保険制度への影響を載せておりますが、2つ目の箱が初年度の影響、3つ目の箱が5年間かけてやった最終的な影響、一番下には一遍にやった場合の影響を書いてあります。3つ目と4つ目は同じ形で、最終的には、現在の医療費を前提とすれば、同じ影響が得られるというものです。
○山下委員
 5年間のトータルとしての数字は、どれですか。
○横幕課長
 それがこれです。現在の医療費をベースとして計算すると、こういう影響が見込まれるということです。
○山下委員
 そうですか。わかりました。
 あと1点追加で、申し忘れましたけれども、全て一斉にというお話の中で、低所得者に対する配慮はぜひお願いしたいと思っています。
 以上です。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 齋藤委員、お願いします。
○齋藤訓子委員
 ありがとうございます。
 私どもも検討いたしました結果、これから高齢の方が増えてくるといったときに、財政が不安定であるということは、十分な医療や介護の提供ができないことが懸念されますので、やはり御理解をいただいた上で、本則どおり2割に戻すということは、やむを得ないのではないかという結論に至っております。
 後期高齢者医療制度がどうして見直されてきたかというと、制度そのものの周知が非常に不足だったのではないかと感じております。さまざまな広報はしていたかと思いますけれども、非常に難しい言葉であったり、年金から徴収されますとか、そういうことも実に広報不足だったと感じております。ですので、本則どおりに戻す際には、混乱が生じないように、わかりやすい言葉で、端的に広報をしていただきたいと考えております。
 それから、在宅医療などの現場を見ますと、非常に所得の低い方々の暮らしを目の当たりにします。ほかの委員も言っておりましたけれども、この負担増によって、適切な医療が提供できないということでは、本末転倒になりますので、低所得者に対する措置は十分に検討して行っていくことを担保して、本則どおりに戻すことに賛成をいたします。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 川尻委員、お願いいたします。
○川尻委員
 ありがとうございます。川尻でございます。
 70歳から74歳の問題については、御意見も多々あろうかと思います。今も賛成、反対といろいろ意見が出ておりますが、当初2割に引き上げることについて、組織としては反対であった。その1つには、5年をかけずに一括して上げてしまうことについての抵抗があったと伺っております。
 今回は、69歳から70歳になられる方から順に段階的に適用していくということでありますので、財政面あるいはいろいろな面から、多少やむを得ない部分もあるという理解をしているところでございます。ただ、そういう形になって、受診の抑制につながってはいけないし、低所得者の対応をきっちりしていただくと同時に、PRといいますか、広報を丁寧にやって周知徹底を図っていただきたいと思っているところです。
 高齢者も応分の負担というのは、義務があるところではないかと思います。樋口委員からもお話がございましたとおり、私たち当事者といたしましても、これは非常に苦しいところではございますけれども、反対ばかりではどうにもならないのではないかという気持ちを持っているところでございます。
 したがいまして、今、申し上げました受診の抑制とか、低所得者への対応、広報活動、説明をきっちりやっていただくことを前提にして、この制度自体の1割から2割ということについては、もろ手を挙げて賛成というわけにはいかない部分もあるのですけれども、そこのところはきっちりやっていただくということで、私たちは考えていきたいと思っております。
 以上です。
○遠藤部会長
 どうもありがとうございます。
 森委員、お願いいたします。
○森委員
 医療提供者として、受診抑制は非常に心配をしているところになります。ただ、一方、今の保険財政を考えると、そこのことは非常に悩ましい。
 今、お話がありましたけれども、低所得者対策を十分やることと、堀委員も言われましたけれども、2014年4月に消費税率の引き上げが予定されている中で、今後、財源を含めて、全体を検討していっていただきたいと思っております。
 以上です。
○遠藤部会長
 どうもありがとうございました。
 事務局、関連でお願いいたします。
○横幕課長
 補足を若干させていただきたいと思います。
 1つは、御意見の中で、予算措置についてどうなのかということがありましたが、一体改革大綱の中で、この問題については、予算編成過程で検討することになっておりますので、これに当たって、今、御意見をいただきたいということです。
 もう一つ、先ほどの鈴木委員の御意見に対して、私から調査に関する数字を挙げて御説明しましたけれども、不正確な面がありましたので、どちらにしても、整理して、またお示ししたいと思います。
○遠藤部会長
 よろしくお願いします。
 この問題は、継続をして御審議いただきたいと思います。ただいま皆様方の御意見をほとんどお受けいたしましたけれども、引き続き、継続をさせていただきたいと思います。
 それでは、次に後期高齢者の総報酬割を中心に高齢者医療制度の見直し、この辺について、御意見がございましたら、いただきたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。
 白川委員、どうぞ。
○白川委員
 総報酬割についての私どもの考え方は、前回も御説明しましたけれども、別に反対はしておりません。公平の観点からいうと、こういう考え方もあり得ると考えております。したがいまして、ほかの退職者に対する拠出金などでも、同じようなやり方をしているということで、理解をしているところでございます。
 資料2の7ページ、8ページ、9ページ辺りに、後期高齢者支援金の負担方法について説明がございまして、例えば7ページの表の健保組合のA、健保組合のBということでいえば、まさにこのとおりでございまして、これについては、異存はございません。
 ただ、どうしてこういう出し方をするのか理解できないのは、資料2の10ページでございます。健保組合の中で、総報酬割という考え方は一定の理解を示すと申し上げているんですけれども、これが協会けんぽさんとの間になると、非常に話がややこしくなる、複雑になるものですから、御説明をしたいと思っております。
 なぜこれが問題かというと、これに国の補助金が入っていない、ここに記載されていないことが問題でございます。具体的に申し上げますと、10ページの真ん中の表の協会けんぽさんの現行の後期高齢者支援金の負担額計(1)1兆8,100億円とありますが、これは協会けんぽさんの保険料で支援するものが1兆6,000億あって、国からの助成金2,100億円、16.4%という助成金が入って、合計1兆8,100億円という姿でございます。したがいまして、負担額の変化の一番下、全面総報酬割にすると、2,100億円マイナスとなっておりますが、これは協会けんぽさんが自らの保険料で負担されている分ではなくて、国の補助金が引き上げられるという話でございます。したがって、総報酬割にすると、国の財政が2,100億円戻ってくる、今、こんな不思議な仕組みになっています。
 御存じかと思いますが、国が協会けんぽさんの支援金に助成を入れている意味は、報酬差を補填するためという名目で入れておりますから、総報酬割にすると、助成の名目がないということになりますから、この2,100億円を引き上げることになります。その2,100億円をどう使うんですかということを申し上げているわけです。
 そのまま財務省が召し上げて、ほかの項目で使うという手は、1つとしてあります。
 2つ目は、協会けんぽさんの別の項目で使うという手があります。3分の1総報酬割のときは、そうしました。
 3つ目、我々が主張していますのは、2,100億円というのを、例えば前期高齢者の負担が、団塊の世代が入ってきて重いですから、そこに使っていただけないか、これが第3の選択肢でございます。
 さらに言えば、前期高齢者の国の助成というのは、3割以下の状態でございまして、これが被用者保険全体の財政を圧迫している状況でございます。2,100億円ぐらいでは全然足りないものですから、高齢者医療制度改革論議で前期高齢者の負担構造をどうするのかということを議論する中で、このお金を使っていただけないかというのが、私どもの主張でございます。そうすれば、我々も助かるし、協会けんぽさんも、満額ではないですが、助かる。こういう構図を描いていただけないかということを主張しているんだということを申し上げたいと思います。
 以上でございます。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 小林委員、お願いします。
○小林委員
 今の白川委員の10ページの問題については、特にコメントをいたしません。
 後期高齢者支援金の総報酬割について申し上げますと、資料2の7ページ、8ページは大変わかりやすい資料だと思います。この中で書かれておりますが、ここで言おうとしていることは、高齢者医療を支える上で、全面総報酬割はそれぞれが負担能力に応じた負担になるということであり、それがより公平だということであります。すなわち、全面総報酬割は、所得の低い人も高い人もみんな同じ割合で負担をするという、まさに社会保障と呼ぶにふさわしい最も公平な負担になると考えております。
 以上です。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 山下委員、お願いします。
○山下委員
 先ほどちょっと申し上げたんですが、白川委員がおっしゃっているように、いずれの保険者も財政状況が大変厳しい中で、保険者同士の負担のつけかえにしかならないような全面報酬割であれば、反対したいと思います。協会けんぽより健保組合の保険料率が低いという単純な比較はできないのではないかと考えています。
 保険者の保険料率がこんなに高くなっている以上、公費や自己負担を含めた医療保険制度全体の枠組みを議論すべきであると考えていまして、先ほど申し上げた70〜74歳の医療費の窓口負担を2割に一斉に戻すということが、優先されるのではないかと思っています。これによってプラスの影響が出る、公費約2,000億円ということを考えれば、協会けんぽへの国庫補助の補助率20%引き上げに投入するなど、そういったことをぜひ検討していただきたいと思います。
 以上です。
○遠藤部会長
 ありがとうございました。
 菅家委員からお願いします。
○菅家委員
 なかなか難しい問題だと考えておりまして、1つは先ほど申し上げましたとおり、改革会議の結論のパーツ、いいところ取りで議論をしているというのは、そもそもおかしいと思っております。
 もう一つは、協会けんぽさんと健保連さんということで、それぞれ後期高齢者支援金を負担する側が、その負担の仕方が公平かどうかという議論になってしまうんですけれども、そもそもいつまでも支援金という制度を維持し続けるんですかということがありまして、例えば被用者保険全体で見れば、45%ぐらいの財源を前期と後期の支援金納付金というところに、要するに自分たちの保険集団のお金ではないところに持っていかれているという、保険制度としてのありようの問題があるわけです。
 高齢化がどんどん進んでいきますと、やがてそういうウェートが5割になり、6割に近づいていくということは、今の制度を続けていく限り、目に見えているわけです。5割を超えたとき、保険制度として、一体それは何なんですか。自分以外のところに自動的にお金が持っていかれてしまう。要するに保険制度の自立性という意味で、限界にきているという認識をまず持つべきだと考えております。
 それから、小林委員がおっしゃった負担の公平の問題でありますけれども、確かに支援金だけを見れば、それぞれの保険集団の体力に応じて負担をしましょうというのは、公平と言えるのかもしれませんが、現役のところはどうなっているんですかということでありまして、それぞれの保険集団の体力が違うというのは、現役のところで歴然としてあるわけですから、そういう問題が生じていて、現役のところの負担の公平性というものは、どういうふうに考えなければいけないんでしょうか。
 これまでの制度では、国庫負担がそういう役割を果たしてきたわけでありますけれども、それも限界にきている。しかも、所得格差というものがどんどん広がっているという客観的な現実もある中で、医療保険全体の負担の公平性について、どういうふうに考えなければいけないんですかという、そもそも論、根っこの議論をした上でないと、対立的な支援金についての負担の公平という議論だけをやっても、それは意味がないのではないかと考えております。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員
 総報酬割については、前回も申し上げましたが、私どもとしては、保険料率の平準化ということを従来より主張しております。前回の資料に出てきました、従業員さんがわずか数人しかいないような協会けんぽの方が給与が一緒だった場合、従業員が数万人、数十万人いるような大企業の組合健保、あるいは親方日の丸と言われる公務員の共済組合よりも、実額で保険料の負担が多いというのは、いかにも理不尽な気がいたしますので、そういうことを是正していくためにも、ぜひ総報酬割の全面導入に御理解いただきたいと思います。
○遠藤部会長
 ありがとうございました。
 藤原参考人、お願いいたします。
○藤原参考人
 ありがとうございます。
 先ほどの菅家委員の御意見と私どもは同じ考え方であり、そもそも高齢者医療制度の中で、支援金をどのように考えるのかが本来的な問題であり、健保組合の保険料収入の45%を高齢者医療へ拠出していること自体、保険制度を持続可能なものにしていこうという保険者の努力を、全く削いでしまうものだと思っております。
 それから、総報酬割という考え方自体にも私どもは反対です。所得水準の差に伴う公平性の確保というものは、本来税でやるべきものだと思っております。もちろん社会保険の中に再分配機能があってもいいかもしれませんけれども、今は度を超えてしまっていると思います。社会保険というのは、自助で賄い切れないリスクを共助で賄うものということで、保険原理を超えた部分については、やはり税で対応するのが筋だろうと思っております。
 現役世代の保険料に過度に依存する高齢者医療制度の仕組みを改めないまま、しかも、保険給付の適正化・重点化の議論も、先ほどの話のように、十分に行われないもとで、国庫負担の肩がわりになるだけの総報酬割の議論だけを切り離して議論するというやり方は、あり得ないだろうと思っております。
 それから、総報酬割によって、要するに頑張っている人から多くとるという仕組みを入れることで、そういう人たちの活力を失わせることになってしまうのではないかと思います。また、これにより人件費増となる企業も、日本での事業継続が困難となることの一助になり、国内の雇用機会が失われてしまうことも、大きく懸念されるところです。
 保険者が健康増進活動などの医療費適正化に積極的に取り組み、保険料をせっかく低く抑えても、このような形で負担増を強いられることになってしまいますと、保険者機能をどこで発揮すればいいのかということになってしまい、健保組合を継続している意義が全く失われてしまうのではないかと思っております。実際、高齢者医療への拠出金がどんどん増えていくことによって、健保組合における健康保険事業がどんどん縮小されているという実態が既に起きております。このように、健保組合が持っている保険者機能を減退させる、または抹殺してしまうことがあってはならないと思っております。
 以上です。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 小林委員、岩本委員という順番でいきたいと思います。
○小林委員
 菅家委員がお話になったのは、まさにそのとおりだと思います。
 前回の説明でも、現在、国庫補助率16.4%、3分の1総報酬按分という現行の制度そのままで推移したときに、今後の見通しについて、今の保険料率10%にしたままですと、5年後の29年度は2兆3,700億の累積赤字になります。したがって、この問題については、高齢者医療制度を含めて抜本的に考えなければいけないと思っております。
 ただ、現在の足元について見ますと、3年間の特例措置が切れて、25年度以降は何も決まっていない中で、今後の収支を見据えた上で、足元をどう考えていかなければいけないのかということは、現役世代のところについていいますと、国庫補助率16.4%を20%に引き上げていただきたい。その中で、今の制度そのものについて、総報酬按分を含めてどう考えるかということで、25年度を考えていただきたいと思っています。
 以上です。
○遠藤部会長
 ありがとうございました。
 岩本委員、お願いします。
○岩本委員
 総報酬割の是非についてなんですけれども、現在のところ、被用者保険の中では、それぞれの組合、協会けんぽの方では、自分たちの保険料については総報酬割という仕組みで運用していて、それについては、特段問題が起こっていない状況だと思います。
 先ほどインセンティブのお話が出ましたけれども、1つの健保組合の中でも、高額な所得者は高額の保険料を払うことになっているんですが、それによって、健保組合の高額所得者の働くインセンティブが失われるということが、真剣に懸念されているような議論は聞きませんので、総報酬割が導入されるということで、そういったことを心配する必要はないと思っております。
 この利点といいますのは、結局全面総報酬割をとりますと、保険料がそろっていくということで、1つの組合の中では、現在、確立されております、みんな同じ保険料率です、ということが、被用者保険全体に行き渡ることになるわけです。さらに公費負担がどの水準であっても、制度上こういうふうになるということは1つ重要な性格だと思います。
 今までの公費負担の考え方は、協会けんぽの財政状況が苦しかったから入れていたんですけれども、もし全面総報酬割へ移行しますと、公費負担を入れるということは、被用者保険全体の保険料を引き下げるという役目を果たすということで、性格が変わってきます。これは今までの考え方とは違ったものになるんだということを念頭に置いて、公費負担のことを考えていかなければいけないと思います。
 健保組合さんと協会けんぽさんが、公費負担につきまして、保険のために使ってくれと足並みをそろえておっしゃる、そういう発言ができるというのは、非常に理解できる考え方だと思います。といいますのは、そろっているから、財政格差を調整する必要はないということで、公費負担をなくしますという論拠があらわれるかもしれないんですけれども、現在、公費負担が入っているところに関しては、医療保険財政全体を助けているという形で考え方を変えていって、維持するという考え方は、ある程度納得いくものだと考えております。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 まだ御意見があるかと思いますけれども、実はまだ幾つか審議の事項がございますので、この件につきましては、引き続き、審議をしたいと思いますので、本日はこのぐらいにさせていただきたいと思います。
 それでは、引き続きまして「2.高額療養費の見直しについて」を議題としたいと思いますが、事務局から資料の説明をお願いしたいと思います。
○大島課長
 保険課長です。
 資料4「高額療養費の見直しについて」をご覧願います。
 1ページに社会保障・税一体改革大綱の記述がございます。
 (3)の○の1つ目、高額療養費については、制度の持続性の観点から、改善に必要な財源と方策を検討する必要があるということで、財源とあわせた改善の方策が書いてあります。
 その下の○には、他方、こうした抜本的な見直しまでの間も、まずは年間での負担上限額等を設けることについて、所要の財源を確保した上で、導入することを目指す。その際、年収300万以下程度の所得が低い方に、特に配慮すると書いてあります。
 具体的な案といたしまして、この大綱に基づきまして、3ページと4ページをごらんになっていただけますでしょうか。
 3ページに2つのケースが並べてあります。どちらも年間の医療費が280万円かかっているケースです。
 左側は医療費のかかり方が、最初の3カ月で33万円かかって、残りの9カ月に20万円かかりましたということで、自己負担が当初の3カ月が10万円、残りの9カ月が6万円になります。この場合ですと、最初の3カ月、8万100円のところに横の線が引っ張ってありますが、ここを超えた部分が高額療養費の適用になります。4カ月目以降は、4万4,400円を超えたところが高額療養費の適用になりまして、4月で一段下がった横の線を超えた部分も全部足し合わせますと、大体20万円になるんですけれども、この20万円が高額療養費として給付されます。本人の自己負担額の合計は64万円になります。
 一方、右側の方は、月々平均的に医療費がかかって23万円。そうしますと、自己負担が約7万円になります。8万100円の限度額を下回っていますので、高額療養費の適用がないということで、年間の自己負担額の合計が84万円になります。
 同じ年間の医療費であるにもかかわらず、年間の自己負担額に20万円の差が生じ、アンバランスだということです。ここを改善するために、年間上限額の考え方を設けようということです。
 4ページになりますが、現在は月々の負担上限額しかございません。矢印の左側の箱ですが、所得階層に応じて、3つに分かれています。
 これに加えまして、年間の上限額を設けようというのが、矢印の右側の箱になります。薄く色をかけてある年間の上限額という欄です。上位所得の方は120万600円、一般所得の方が63万9,900円、低所得の方が32万7,600円。それぞれ月々の上限額の3カ月分、4カ月目以降は上限額が低い額になりますので、その額を9カ月分掛け合わせて、今、申し上げました数字を算出しています。したがいまして、右側のケースは、年間の上限額63万9,900円を超えた部分が、給付されるということで、20万円が給付されることになります。
 加えまして、年収300万以下の方については、特に配慮を行うということで、一般所得者の中に、年収300万以下という層を区分けいたしまして、この方につきましては、低くなった月々の上限額、4万4,400円を丸々12カ月分掛けて、53万2,800円という上限額を設定してはどうかという提案でございます。
 仮にこれを実施した場合、5ページですけれども、どのぐらいの財政影響が出るかというと、保険料と公費で約100億円の増加になります。保険料が80億円、公費が20億円、公費はほとんどが国費になります。
 課題として、1つは、財政影響が保険料、公費にあるということがございますが、加えて、6ページですけれども、保険者の事務負担の問題があります。上の○のところですけれども、対象となり得る人数を踏まえると、手作業で行うことは難しいのではないかという予測をしています。
 参考2のところに、対象人数の見込みを書いておりますが、協会けんぽで1万2,000人、健保組合で9,000人等々となっておりまして、一定の時期に事務が集中しますので、この規模を手作業でやるのはちょっと難しく、システム改修を行う必要があるだろうと考えます。
 この場合、どれぐらいの期間と費用がかかるかですが、一部の医療保険者にアンケート調査をさせていただきました。それによりますと、期間としては1年から1年半かかります。費用に関しましては、非常に粗い推計ではあるんですけれども、数百億程度かかると見込まれます。したがいまして、今回の見直し規模と比較して、システム改修の期間と費用がかなり大き目にかかりますので、このことをどう考えるのかということが、課題としてございます。
 7ページは参考的なものなんですけれども、高額療養費の支給手続につきましては、この間かなり改善が進められてきています。
 8ページをごらんになっていただきますと、もともと立てかえ払いをやっていたわけですけれども、平成14年に70歳以上の方の入院について、立てかえ払いが不要になりました。
 19年には、70歳未満の方の入院について、そうなりました。
 24年4月からは、外来について、立てかえ払いが不要という形になっております。
 こういうふうに運用面での改善を図ってきています。
 7ページですが、そういった内容にもう少し取り組む余地がないかということを検討したのが、この紙でございます。現物給付化、立てかえ払いが基本的に要らなくなっていますが、現物給付を受けるためには、申請をして、限度額適用認定証という書類をあらかじめもらっておく必要があるため、場合によっては立てかえ払いになるようなケースがまだあります。
 こういったことを防止するために、一部の保険者では、下の制度別の実施状況に書いてございますが、自動的に銀行口座に金額を振り込む仕組みですとか、保険者が必要な事項をあらかじめ記載をして、判こを押せば、そのまま申請書になるといったような、手間暇を省略できる取り組みをされています。
 協会けんぽでは、全支部で、必要事項をあらかじめ記載した申請書が対象者に送られています。
 健保組合では、約7割で自動的に口座に振り込むことをされています。
 今後、利用者、被保険者の立場に立って、そういう取り組みの拡大を国から保険者に対して依頼をしていってはどうかという提案でございます。特に高額療養費は、非常に役に立つ制度ではあるんですけれども、必ずしも十分に知られていない面もありますので、高額療養費制度そのものを知ってもらうことの意味合いも兼ねまして、手続の改善についての周知を図っていってはどうかということでございます。
 事務局からは以上でございます。
○遠藤部会長
 ありがとうございました。
 ただいまの事務局の提案でございますけれども、いかがでございましょうか。御意見を頂戴したいと思います。
 横尾委員、お願いします。
○横尾委員
 質問なのですけれども、最後の方のページでございました、支給手続の改善についてなのですが、今回、急な解散になって、法案は流れてしまっているのですけれども、マイナンバー法案が上程されています。おそらく延期になりますから、半年か1年ずれる形で、改善・改革が図られると思いますが、マイナンバー法案ができますと、マイナンバーに基づいて、国民一人ひとりのニーズに応じた行政サービス提供が可能になるわけです。ヨーロッパ、例えばエストニアでも、デンマークでも確実にやっているわけです。当然日本はそうなっていかなければいけないと思っているのですが、そういったことを想定した改革案を考えていらっしゃいますか。
○大島課長
 マイナンバーを前提とした改革案は、今回この中には入っておりません。
○横尾委員
 考えないと間に合わなくなるので、考えるべきだと前から申し上げていますし、ぜひ考えていくべきだと思います。それができれば、当初の予定では平成27年1月の申告からナンバーを使うという想定を、内閣府としてもっていったと思うのです。ですから、今後改革の中ではそのことを想定していく。そして、できれば、国民に不要な文書を出させたり、取得させたりしないで、ネット上で確実に符合させて、サービスを提供するという改革を目指してほしいと思っています。
○遠藤部会長
 総務課長、どうぞ。
○濱谷課長
 マイナンバー法案につきましては、現在、国会審議中でございますけれども、マイナンバーの導入に向けた準備等については、内閣官房を中心に粛々と準備中でございます。
 また、医療関係については、特別な番号を付してはどうかという議論も別途ございまして、厚労省の社会保障統括官室を中心に、そのあり方について検討中でございます。
○遠藤部会長
 横尾委員、どうぞ。
○横尾委員
 最近の情報では、どうも内閣府の動き、新たに厚労省の動きが出たりしてきて、番号が幾つかに増える可能性を心配しています。国民から見れば、シンプルで、わかりやすくて、的確に行政サービスが提供されるのが一番いいのです。ぜひそういったものになるように、努力してほしいと思っています。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 小林委員、どうぞ。
○小林委員
 高額療養費の見直し・改善自体は、一定の理解ができます。ただ、一方で、社会保険制度として、改善のための財源については、セットで議論する必要があると思っておりまして、これまでも繰り返し申し上げておりますとおり、協会けんぽだけでなく、他の保険者も財政状況は厳しい状況にありますので、今回、高額療養費制度を改善するということであれば、資料4の1ページのアンダーラインの部分にありますとおり、所要財源を確保した上で行うということは当然でありますし、また同じ資料の5ページの上の枠で囲った部分の※にあるとおり、個別制度ベースで財政中立とする必要があることが大変重要でありますので、この点は強くお願いいたします。
 また、高額療養費制度の見直しに伴う保険者の事務負担についてですが、仮に見直したとすると、システム改修が当然必要になります。先ほど御説明いただきましたように、システム改修費については、全額国費で賄っていただくことが大前提であるとしても、6ページの下の方にありますように、1年から1年半の期間をかけて、さらに数百億円の費用負担をしていくということは、私ども保険者の側から見ると、現実的ではないと思います。
 さらに、今、お話がありましたマイナンバー法案の議論も、今後すぐ出てくるわけでありますので、そのような状況の中では、慎重な対応が必要ではないかと考えております。
 以上です。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 白川委員、お願いします。
○白川委員
 たしか1年前は、この件について受診時定額負担とセットという御提案があって、3,600億円規模だったと記憶をしておりますけれども、今回は諸般の事情から、合計でも100億円程度の援助という案になっておりまして、1つは、この程度で本当に救いになるのかどうかというのが、どうも実感としてつかめないということがございます。
 それから、保険者の負担が当然増えるわけでございまして、そこのところは、私も小林委員と同じ意見でございまして、前回の議論のときも、保険者の財政状況から見て、これ以上負担が増えることについては、額の多寡を問わず、非常に危惧しているというのが現実でございます。これは国の方で何らか手当をすべき内容ではないかと思っております。
 それから、小林委員がシステム改修の話をされておりましたが、まさにそのとおりでございまして、数百億円程度かかる。しかも、先ほど話が出ましたマイナンバー法だったり、あるいはこれもある、70〜74歳の方の2割負担の問題もある、場合によっては、国民会議でまた別の改革が出される。そういうふうに細切れで改革をやられますと、保険者としては全く非効率で、必要以上のお金が必要になってくることがあります。さまざまな改革を、タイミングを見て実施していかなければいけないことは、もちろんそのとおりでありますけれども、やはりシステムの改修ということも、実行の際には、最初から計画の中に入れて、実行時期を調整するといった御配慮をぜひともお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○遠藤部会長
 ありがとうございました。
 鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員
 高額療養費の見直しですが、これは総論的には必要な話だと思いますが、今回の財政影響100億円に対して、システム改修費が数百億円というのは、その額が本当かどうかは私もわからないんですけれども、そういう意味では、かけた費用に見合った効果がないようです。これは公費でというわけにもいかないと思います。保険者の負担も大変なことだと理解いたしますので、後半に載っているような運用の見直し等でも、かなり改善できる部分があるようですから、そういったもので、今回は対応するしかないのではないかという気がいたします。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 山下委員、お願いします。
○山下委員
 見直しの内容については、特に反対するものではありませんが、今、保険者財政が厳しい中で、タイミング的な問題も含めて、配慮が必要ではないか。
 あと、受診時定額負担ということも以前検討されていましたけれども、やはり財政中立の視点は忘れないでいただきたいと思います。
 以上です。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 村岡参考人、お願いします。
○村岡参考人
 ありがとうございます。
 被用者保険の皆さんからの意見もありましたけれども、低所得者に対して、少しでも負担が軽減されるということについては、歓迎をいたしたいんですが、全体の効果が100億円で、システム改修費用が数百億といった場合、制度改正がばらばらきて、保険者の負担は増えておりますので、そういう面では、事業効果そのものの規模が小さいということであれば、前段の70〜74歳の議論もございましたけれども、もっと抜本的な全体のあり方について考えた中で、高額療養費の制度も検討すべきではないかというのが、率直な思いでございます。
 特に保険者の負担という面でいえば、今回の高額療養費の問題もそうですし、先ほどの委員さんの発言の中でも、後期高齢者制度での経過措置の問題などの延長の課題もありますけれども、それに伴って、国の制度の変更によって、保険者のシステム改修というのはたびたび行わなくてはならない。それによって、より複雑な制度になっているというのが率直な印象でございますので、そういった面に十分配慮して検討していただきたいというのが、意見でございます。
 以上です。
○遠藤部会長
 ありがとうございました。
 幾つかの御要望の中には、事務局からコメントをいただいてもいいものもあったかもしれないんですけれども、何かコメントございますか。
 特段の事務局への質問はなかったと思いますけれども、例えばこの財源レベルで効果があるのかというお話とか、いろいろあったかと思いますが、何かコメントがあれば、承りたいと思いますけれども、特段よろしいですか。
 特に委員の方々から、事務局への質問という形ではありませんでした。
 横尾委員、どうぞ。
○横尾委員
 いただいた資料の最後の方の改修費用のところですが、ざくっと「数百億円程度と見込まれる」とあるのですけれども、これをもうちょっと安くする方法などはないのですか。
○大島課長
 各保険者ごとにシステムがばらばらになっていますので、本当はその標準形みたいなものがあって、それでやってくれたり、あるいはベンダー間の連絡体制があれば、もっと安くなるのかもしれませんが、健保組合1,400、国保も1,800ぐらい事業者の数があって、それぞれの会社でまたオリジナルな修正などを加えられています。
 ITをどのように効率的に使っていくかということについて、そういう問題は常にありまして、なかなか妙案がない状況ではあるんですけれども、効率的にし得る余地はあるとは思います。すぐにはできないとは思います。
○横尾委員
 それぞれのベンダーのお立場もあるし、ビジネスとしてのプロフィットの問題もあると思うのですけれども、国の国難に応じて、若干の配慮とか工夫などをしてほしいという要請などは、これまでもあるのですか。
○大島課長
 頑張りたいと思います。
○遠藤部会長
 それはよろしくお願いいたします。
 大体よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、まだ少し残っておりまして、次に「3.調査権限・現金給付の見直しについて」を議題としたいと思いますが、事務局から手短に御説明をお願いしたいと思います。
○大島課長
 資料5と資料6を続けて御説明させていただきたいと思います。
 資料5「保険者への調査権限の付与について」でございます。
 1ページ、傷病手当金に関しまして、最近、不正受給が若干見受けられます。資格取得当初、加入時に相当高額の標準報酬を届け出て、資格取得後、すぐに鬱病や関節痛ということで、業務ができないということを申請して、傷病手当金を申請するというケースが、たまに見受けられるようになっております。不正請求の疑いがあるわけでございます。
 こういったことに関しまして、昨年12月の当部会での議論の整理の中でも、6の○のところですが、不正請求の防止に加え、保険者機能の強化の観点から、事業主への質問・調査権限の法律上の明確化を検討すべきであるという御指摘をいただいておりました。
 法制的な検討を加えまして、2ページ2つ目の○でございます。厚生労働大臣は行政権限として、事業主に対する立入調査権を持っております。健康保険法に規定がございます。保険給付に関して、厚生労働大臣から協会けんぽに委任する案をお示ししています。行政権限を保険者に委任するわけですけれども、協会けんぽは役員の任命とか解任、こういったことに関しまして、厚生労働大臣が関与し、行政上の統制を行っておりますので、こういう行政権限を委任することが可能という、法制的な考え方が背景にございます。
 特に今回の不正事案は、事業主とつながりがどうしても薄くなりがちな協会けんぽにおいて起こっておりますので、協会けんぽに対して、こういう権限を付与することができれば、相当の抑止効果があるのではないかと考えています。
 具体的には2ページの下でございます。矢印の左側、事業主への立入調査権限は、厚生労働大臣にございます。198条です。
 右側ですけれども、保険給付に関しては、協会けんぽに委任することができるという規定を加えるということで、やっていきたいと考えます。
 資料6は、同じように、傷病手当金の不正対策という意味もありまして、その上での見直しの案でございます。
 1ページ、先ほどの平成23年12月の議論の整理の中で、傷病手当金の不正防止の観点等からということで、2つ意見がありました。1つは支給上限額を設定する。2つ目はその月の標準報酬に基づいて出すのではなく、平均額に基づいて支給を決定すべきとの意見がありました。これらにつきましては、保険料負担に応じた給付という傷病手当金の基本的な考え方や実務のコスト面から問題との意見があったということで、こういう整理がされておりました。
 このたび、少し具体的な案を考えてみました。それが2ページ目でございます。支給上限額を設定する案でございます。
 下に47級から順次級が下っている表がございますが、今、傷病手当金は標準報酬月額の3分の2を支給するという規定になっています。47級、一番高い標準報酬月額のところですと、121万円の月額に対し3分の2ですので、80.6万円の傷病手当金が支給されることになります。
 この表の右側ですけれども、保険者の判断で、高い傷病手当金の額のところは、給付水準を下げてよいという提案でございます。具体的には、ILOの条約での考え方なども踏まえまして、45%の範囲まで下げることができるという提案です。121万円の方は現在80.6万円ですが、54.5万円まで保険者の範囲で下げることができる。
 同じように46級ですと、現在76万6,000円のところ、51万8,000円まで下げることができるということです。
 だんだん下がってまいりまして、一番下、31級のところに53万円とございますが、ここが高額療養費制度における上位所得者の概念のラインでありまして、これから上の方が高額療養費では上位取得者という考え方をとっております。ぎりぎりのラインの53万円の方が、今、大体35.3万円の傷病手当金になっておりますが、下の33万3,000円より下ると、逆転現象になりますので、ここは維持をするということで、45%まで下げていくんですが、33.3万円以下には下げないという考え方で、下限額を設定しています。
 一方、第30級以下の所得の報酬月額の方は、現行と同じ傷病手当金を維持します。保険者の判断で高過ぎると思うような部分につきましては、一定の範囲で傷病手当金を下げられるようにしてはどうだろうかという提案でございます。
 以上でございます。
○遠藤部会長
 ありがとうございました。
 保険者への調査権限の付与と傷病手当金の見直し、両方まとめて結構でございますので、御審議いただきたいと思います。
 小林委員、どうぞ。
○小林委員
 当事者として、まず一言申し上げます。
 保険者への調査権限の付与について、本日、特に協会けんぽの性格を踏まえての具体的な提案がされており、事務局に対して御礼を申し上げたいと思います。
 不正が疑われる請求への対応のため、これはぜひとも実現していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 その上で申し上げたいことは、特に私ども協会けんぽの制度運営の中では、傷病手当金や出産手当金の現在の仕組み自体が、不正を誘発する仕組みになっていることを御理解いただきたいと思います。
 本日、私どもの傷病手当金などの現金給付の運営実態について、資料を提出しております。委員提出資料1−1、委員提出資料1−2でございます。
 委員提出資料1−1をごらんいただきたいと思いますが、これは協会けんぽの傷病手当金受給者について、その月収の分布状況を示したグラフです。点線が全受給者について、実線が協会けんぽの被保険者の資格を取得し、標準報酬月額というのは年に1回変える、これは9月に定時決定しますが、報酬が大幅に変化したときには、随時それを変えることになっており、それを随時改定と言っております。被保険者の資格を取得し、または随時改定をしてから、傷病手当金が支給されるまでの期間が2カ月未満という、極めて短期間のうちに傷病手当金を受け始めた受給者について、それぞれ傷病手当金の算定基礎となる標準報酬月額ごとの分布状況を示しております。
 特に注目すべきは、右側の枠囲いの部分であります。これは月収の高い人たちの分布ですが、これを拡大したものが、次のページです。
 一番右の点線で囲っている部分ですが、最高等級121万円の部分をごらんいただくとおわかりのとおり、資格取得または随時改定をしてから2カ月以内に傷病手当金の受給をされる方の割合が、不自然に突如として伸びております。この現象は制度改正要望を本部会に提出した2年前と全く変わっておりません。
 これらのどれもが傷病手当金の額を引き上げるために、あえて標準報酬月額を操作したという不正受給が疑われる事象であるということは言えないでしょうが、傷病手当金をだまし取ることを目的として、合同会社をつくり、従業員を鬱病と偽って虚偽申請して、約1億円もの多額の傷病手当金を受け取るという、組織ぐるみの極めて悪質な事案も起こっております。
 また、刑事事件に発展しなくても、申請窓口でおかしいと思える申請でも、一定の要件を満たせば、申請が可能となる仕組みになっております。これは手足を縛って泳げと言われているようもので、私どもは事業主との距離感が非常に遠く、事業所の実態になかなか目が届かない協会けんぽにとっては、制度の欠陥と言わざるを得ないと考えております。
 他の保険者も含む一律の制度改正が困難だとしても、少なくとも支給額の算定基礎となる、平均標準報酬月額の計算基礎を、例えば直前の1カ月というワンポイントで支給するのではなく、過去の一定期間の平均とするなど、保険者がその実態に応じて支給できるような仕組みを導入すべきだと思います。
 また、現金給付のあり方に関連して、出産手当金に関するデータも資料として提出しております。委員提出資料1−2をごらんいただきたいと思います。
 これは協会けんぽの出産手当金受給者について、その月収の分布状況を示したグラフです。出産手当金についても、現金給付という面から傷病手当金と似た現象が見られます。
 右側の枠で囲った部分をごらんください。ここは月収の高い人たちの分布ですが、これを拡大したものが次のページです。特に資格取得をしてから、1カ月以内に出産手当金を受給される方が4年間で900人、随時改定では約3,000人となっております。言いかえれば、妊娠7カ月〜8カ月の臨月間近の状態で、新規に加入される方が900人、標準報酬月額随時改定に該当される方が約3,000人いるということであります。このような臨月間近にある女性を新規に雇用するという実態は、一体どういうことか、私どもは理解に苦しみます。
 さらに社会保障・税一体改革に伴って、私どもは反対いたしましたが、産前・産後休業期間中の保険料負担すらも免除されることが決まっております。保険者としては大変危惧しているので、あえて申し上げました。
 傷病手当金については、以上でございます。
 もう一つ、私どもは資料を提出しております。健康保険委員に関して、前回の部会では十分に説明ができませんでしたので、委員提出資料2として改めて健康保険委員の役割などを整理した資料を提出させていただきました。説明は省略いたしますが、御参照いただければと思います。
 以上です。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 当初の終了予定時刻に近づいております。大変恐縮でございますけれども、司会の不手際でちょっと長引いておりますので、少し終わりを延長させていただければと思っておるわけでございます。
 ただいま小林委員から協会けんぽの直面する実態について御説明もありましたけれども、ただいまのことにつきまして、御意見、御質問があればと思います。
 白川委員、どうぞ。
○白川委員
 資料6の傷病手当金の見直しについての御提案でございます。
 資料の2ページの上段に事務局の御提案がありますけれども、端的に申し上げると、これについては、私どもは反対でございます。
 理由は2つございまして、1つは、不正受給でありますとか、不正が疑われる案件があるということは、承知をしておりますが、大部分の方はそんなことはなく、通常の保険料の負担をし、病気になったからということで、それに対応した給付を受けているわけでございます。負担と給付の関係から見て、負担だけが重くて、給付が軽いというのは、理論として成り立たないのではないかというのが1点でございます。
 2つ目は、保険者によって設定できるという御提案になっておりますが、これはまた混乱のもとでございまして、協会けんぽさんは1本だからいいかもしれませんが、私どもは1,400以上の健保組合がありますから、それぞれさまざまな設定をし、はっきり申し上げて、裁判になったら多分負けるだろうと思います。したがって、御提案としては、反対せざるを得ないと申し上げます。
 もう一つの調査権限の付与につきまして、資料を見ますと、健保組合の調査権についても一応御検討いただけたということで、結論について、法的に難しいということはもちろん理解をいたします。これは事業主だけではなくて、例えば医療機関からレセプトなどを頂戴するんですけれども、それに関する疑義照会等は、調査という意味ではなくて、今でもやっております。事業主なり医療機関とのコミュニケーションについては、厚生労働省として、今後とも御支援をいただきたいとお願い申し上げます。
 以上でございます。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 菅家委員、山下委員の順でお願いします。
○菅家委員
 保険課長の提案は、いずれも傷病手当金の不正受給にかかわって、どう対応するかという議論に対する事務局としての提案だと理解しておりますけれども、調査権限をきちんと協会けんぽに付与すべきというのは、私が前回申し上げたとおりでありまして、そういう方向での制度改正をぜひともお願いしたいと思っております。そのことによって、相当程度不正受給がなくなるのではないかと思っております。
 もう一点の提案、傷病手当金の見直しについては、今、白川委員がおっしゃったとおり、やはり標準報酬というのは、給付と負担の両方にリンクする制度でありますので、原理的にこれは切り離すのはおかしいだろう。
 それから、公租公課にかかわっては、これは法定主義でありますので、保険者が勝手にできるということは、法律的にも多分おかしいんだろうと思っております。
 以上です。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 山下委員、お待たせしました。
○山下委員
 私は協会けんぽの運営委員もしていますが、新しい保険者として生まれ変わった協会けんぽは、皆さん一生懸命やっている割には、手足をとられているような状態で、閉塞感があるわけですけれども、こういう調査権限を与えていただくことによって、協会けんぽが保険者機能を発揮できるという部分では、ぜひしていただきたいと思います。
 それから、アメリカのHMOみたいなことはないと思いますけれども、経済的な部分だけではなくて、質を落とさないような形で、ぜひ調査権限の保険者機能を発揮していただきたいと思います。
 また、きょうの最後に出てきました健康保険委員ですけれども、これは厚生労働省にもお願いしたいんですが、社会保険委員といった形で、今、年金の関係をやっていらっしゃる方と、まだまだ整理ができてなくて、認識が一般にできていない。かなりの人数の健康保険委員がいるにもかかわらず、存在が余り意識されていない気がしますので、この辺はせっかくつくった委員の効果的な機能を発揮するためにも、そのような配慮をぜひお願いしたい。
 整理されていないものがあれば、もうちょっときちんと整理をするようにお願いしたいと思います。
 以上です。
○遠藤部会長
 ありがとうございました。
 岩本委員、お願いいたします。
○岩本委員
 きょう御提案がありました支給上限額を設定する案につきましては、紛争が起こった場合、どうするのかということを疑問に思います。
 資料5の調査権限の付与については、私も賛成なんですけれども、資料の紹介は不正請求の疑いのある事例から始まりますように、疑わしきは罰せずという世の中の常識がございます。
 支給上限額を設定する案の記述につきましても、傷病手当金の額の水準が高過ぎると考える保険者においては、ということなので、考えればよいとも読めるわけなんですけれども、本当に紛争が起こってしまったら、きちんと不正受給であることを立証しないと、先ほどお話が出ましたように、裁判に負けてしまうと思うので、本当にこれで運用できるのかということは、この資料を読む限り疑問に思いますので、どのように考えているのか、お伺いしたいと思います。
○遠藤部会長
 事務局、よろしいでしょうか。
○大島課長
 資料6の案でございますけれども、保険者であらかじめ下限額を決めておくことを想定しておりまして、不正受給対策という面もあるんですけれども、制度で仕組む際には、高額な収入の被保険者について、当該保険者の判断で、そういった方々への給付を抑えるという形で制度をつくっております。
 おそれがあるかどうかの判断をせずに、あらかじめ保険者の中で、この標準報酬月額の方には傷病手当金は幾らとするという決め方をして、そこは一律に適用するということで、この案を考えております。
○遠藤部会長
 岩本委員、いかがでしょうか。
○岩本委員
 つまり個別の人に対して判断するのではなくて、保険者の傷病手当金の制度はこういう設計にする、これは判断できるという言い方ですか。
○大島課長
 そうです。
○岩本委員
 わかりました。
○遠藤部会長
 ほかにございますでしょうか。鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員
 傷病手当金の額というのは、保険者の方々の御意見を尊重する必要があると思います。
 調査権限は、協会けんぽに対してだけということで、法的に健保組合には難しいということですけれども、同じような状況が健保組合にもあるとした場合、健保組合として、自分たちはやむを得ないとお考えなのか、御意見を伺いたいと思います。
○遠藤部会長
 白川委員、お願いいたします。
○白川委員
 私どもの健保組合でも、疑義のあるものについて調査という希望を出す者もおります。したがいまして、今回の件に関しては、事務局とも御相談をさせていただいて、そういう要望があるということは、お伝えをいたしました。
 厚生労働省で、法制局とも十分に検討していただいた結果、厚生労働大臣が持っておる権限を、厚生労働大臣が指名もしない各健保組合に渡すというのは、法的に無理だというのが、政府としての解釈でございましたので、今回はやむを得ないと、私どもとしては判断をしております。
 そんなことで、私の説明はよろしかったですか。
○大島課長
 法制局から、今、白川委員がおっしゃったような判断がございまして、それをもとにした案としております。
○遠藤部会長
 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員
 傷病手当金はわかるんですけれども、出産育児金というのは、出産をしていないのにしているというんですか。
○遠藤部会長
 小林委員、お願いします。
○小林委員
 そうではなくて、出産の1〜2カ月前に協会けんぽの資格を取得して、あるいは随時改定で標準報酬月額を最高等級121万円まで上げて、出産手当金を申請するという状況でございます。
○鈴木委員
 そういう不正に対する対策というのは、我々の分野でも厳しくされているところでありますので、何らかの対応が必要だと思いますが、法的に可能なところでやらざるを得ないということですので、事業主に対しては、やむを得ないと思います。
○遠藤部会長
 ありがとうございます。
 ほかによろしゅうございますか。岩本委員、お願いします。
○岩本委員
 ちょっと間を置きましたけれども、先ほどの質問の続きなんですが、今、不正受給の観点から、傷病手当金の額の水準が高過ぎると考える保険者については、この提案は妥当するかもしれませんが、単純に傷病手当金の額の水準が高過ぎると考える保険者がいて、これを引き下げるということは、この提案で防ぐことができるんでしょうか。
 公式、表向きには、不正請求の防止の観点からこういうふうに考えるんだけれども、内心はそうではなくて、単純に傷病手当金が高過ぎると思っている保険者がいるとしたら、どういうふうに対応するんでしょうか。それが懸念に思います。
○大島課長
 それは防げないと思います。その場合でも可能ということになります。
○遠藤部会長
 よろしいですか。
○岩本委員
 わかりました。
○遠藤部会長
 そういう仕組みだということでございます。
 大体よろしゅうございますでしょうか。
 予定の時間をオーバーしまして、申しわけございませんでした。本日は活発な御議論をいただきまして、御協力に感謝したいと思います。
 それでは、本日の「医療保険部会」は、これにて終了したいと思います。
 次回の開催につきましては、追って事務局より連絡があると思いますので、どうぞよろしくお願いします。
 本日はどうもありがとうございました。


(了)

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