ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(疾病対策部会造血幹細胞移植委員会)> 第33回厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会議事録




2012年7月18日 第33回厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会議事録

健康局臓器移植対策室

○日時

平成24年7月18日(水) 15:00~16:30


○場所

厚生労働省 省議室(9階)
千代田区霞が関1-2-2


○議題

1 造血幹細胞移植の現状について
2 臍帯血移植以外の臍帯血の利用について
 ・有識者からのヒアリング(京都大学iPS細胞研究所所長 山中伸弥氏を予定)
3 その他

○議事

○佐藤室長補佐 ただいまより、第33回厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会を開催いたします。先生方におかれましては、お忙しいところご参加いただき、ありがとうございます。本日、新任の先生がいらっしゃいますので、ご紹介をさせていただきます。社団法人日本医師会常任理事の今村定臣先生が新しく委員になられました。今村委員ですが、本日遅れてご参加とのご連絡をいただいておりますので、後ほど改めてご紹介させていただきます。なお、本日は、神田委員、新美委員、野村委員、山口委員、吉村委員より、ご欠席のご連絡をいただいております。また、本日は議事の参考人として、京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥所長にご出席いただいております。後ほど山中先生にはご発表いただきますので、よろしくお願いいたします。
 また、本年4月1日付で事務局に異動がありましたので、新しく着任いたしました3名をご紹介させていただきます。室長補佐の加賀山です。同じく室長補佐の竹内です。主査の永井です。本日、健康局長の外山が来ておりますので、一言ご挨拶をさせていただきます。
○外山健康局長 皆様方におかれましては、平素より造血幹細胞移植の推進にご理解とご協力を賜りまして、厚く御礼を申し上げます。造血幹細胞移植の分野については、近年、移植の成績も向上し、これまで移植を必要とする多くの患者さんの命が救われてきました。これはひとえに移植にかかわる皆様方の長年のご尽力があってこその結果であり、この場を借りて深く御礼を申し上げます。厚生労働省といたしましては、移植において大きな役割を果たす骨髄バンクやさい帯血バンクに対する補助金について、平成24年度においては前年度より1,100万円増額の17億8,400万円の予算を確保したところです。また、平成24年度診療報酬改定においても、骨髄、末梢血の移植術と採取術、臍帯血の移植術がそれぞれ増点となり、特に臍帯血の移植術については1.5倍の大幅な増点となりました。これを受けて、医療機関のご理解をいただきまして、医療機関からさい帯血バンクに支払われる額も大幅に増額になるなど、造血幹細胞移植分野に対して追い風が吹いているところです。
 このような状況の中、造血幹細胞移植を望む患者さんが、より良い移植を受けることができる体制を強化していくため、去る6月12日に議員立法である「移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律案」が国会に提出されました。法律案はこれから議論されるものではありますが、関係者の積年のご努力を社会的に評価する動きであると、私どもも前向きに受け止めているところです。
 本日は、造血幹細胞移植の現状と最新の動向について、事務局よりご報告させていただいた後、臍帯血が材料になると期待されておりますiPS細胞について、京都大学の山中先生よりお話をいただき、再生医療分野における臍帯血の利用についてご議論いただきたいと考えております。今後とも造血機能に障害がある患者に対して、適切な造血幹細胞移植が行われますよう、皆様方のご支援とご協力をお願いいたしまして、私の挨拶とさせていただきます。
○佐藤室長補佐 次に、資料の確認をさせていただきます。資料一覧を参照しながら、ご確認いただければと思います。まず、名簿と座席表がありますが、これについては割愛いたします。資料1-1「造血幹細胞移植の現状について」が9枚あります。資料1-2「移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律案」が2枚紙になっております。資料2-1は山中先生の提出資料ですが、「iPS細胞研究と臍帯血の利用について」で、5枚紙になっております。資料2-2「臍帯血移植以外の臍帯血の利用の現状について」が3枚になっております。もし不備等がありましたら、事務局までお申し出いただければと思います。以降の議事進行を齋藤委員長にお願いいたします。報道のカメラについては、ご退室いただきますようお願いいたします。
○齋藤委員長 大変厳しい暑さの中をお集まりいただきまして、ありがとうございました。早速、議事に入りたいと思います。本委員会の前回の開催が平成23年10月で、9カ月ぶりの開催です。また、いろいろな動きもありましたので、最初に造血幹細胞移植の現状と最新の動向について、事務局から説明をお願いします。
○間臓器移植対策室長 私のほうから資料1-1「造血幹細胞移植の現状について」に基づいて、簡潔に説明申し上げたいと思います。「造血幹細胞移植実績の推移」ですが、特に非血縁者間の実績について、資料を用意しております。ご案内のとおり、関係者の皆様方の大変なご努力により、平成23年度においては、2,378件の移植が行われ、これは過去最高の件数です。また、同時に骨髄移植と末梢血幹細胞移植が1,272件、臍帯血移植が1,106件と、いずれも過去最高の移植が行われており、大変期待されている分野であると考えております。
 3頁です。「同種移植における1年生存率の推移」について、これは日本造血細胞移植学会から頂戴した資料ですが、1991年から5年間ごとに平均の各移植法の1年生存率について出ております。基本的には上向いており、紫色ですがUCBとあります。非血縁の臍帯血移植については、若干低下しております。これについては、17頁の「さい帯血移植時年齢階層別移植数」を見ていただくと、平成15年(2003年)以降、急激に移植数が伸びているのがご覧いただけると思います。ここで伸びたのは、特に中高年の方で、骨髄を完全に破壊しない、通称ミニ移植と言われている移植法が普及したことによって、高齢者の移植が行われるようになったことも影響して、先ほどの3頁のような実績になっているものと推察されます。
 4頁です。造血幹細胞移植の適用疾病は非常に広いのですが、その中で主な急性骨髄性白血病以下、4つほど提示しております。移植法について、骨髄移植、臍帯血移植のそれぞれ1年後、5年後の実績はご覧のとおりです。ちなみに、この移植実績は、国際的に見ても非常に優秀であると認識しているところです。
 5頁です。「造血幹細胞移植の実施体制」についてはご案内のとおりですが、この絵の左と右の上のほうにありますように、ドナーの方々がいらっしゃって、その善意によって支えられている医療が造血幹細胞移植です。その方々がこの絵の左下と右下の骨髄バンクとさい帯血バンクに登録をいただいて、あるいは提供いただいて、そのデータを日赤のほうで管理をし、医療機関からのデータの検索に合わせて、どこにどのぐらいのドナーがいらっしゃるのかということを知った上で、医療機関がその患者にとってより良い移植術を選んでいくという形になっているわけです。この関係については、先ほど局長の挨拶にもありましたが、厚生労働省としてもしっかり応援していかなければいけないと考えているところです。
 6頁です。既に平成24年度は始まっておりますが、平成24年度の予算については、昨年大変痛ましい東日本大震災もありまして、国家全体としてもそちらのほうに相当程度予算を集中しているわけですが、厳しい中でも骨髄移植・末梢血幹細胞移植、臍帯血移植についても、対前年増額を図って、必要な予算の確保に努めているところです。もう1つは国庫補助以外に非常に重要な診療報酬です。これも先ほど局長のほうから申し上げましたが、今回の平成24年の診療報酬改定においては、骨髄移植の採取移植、末梢血幹細胞移植の採取移植、臍帯血移植について、それぞれ増点になっている。そして、大事なことは、骨髄・末梢血及び臍帯血の移植術については、6万6,450点で揃ったということです。これは患者の選択の幅を同等にしていくという意味では、非常に意味のある改定だったのではないかと考えております。そのほかに、いちばん下にありますように、抗HLA抗体加算などもできて、全体的には造血幹細胞移植を社会的に評価するという方向になっているのではないかと、私どもとしては考えているところです。
 8頁です。こういうことを背景にして、骨髄移植、末梢血幹細胞移植、あるいは臍帯血移植を支えております骨髄バンクやさい帯血バンクに対しての財政的な支援についても、例えば上の段でいくと、左側に骨髄バンクがあり、右から2番目に移植医療機関があります。この移植医療機関から骨髄バンクに対して、採取術から4,200点、移植術から4万800点、合わせて4万5,000点、このようにあっせんの費用として支払われております。これは非血縁の場合です。同じ頁の下で、臍帯血移植については採取というのが、臍帯血の場合には事前に保管されているということもありまして、診療報酬から移植術が支払われるということになっております。この移植術から4万800点、これも今回、骨髄移植と並んだと。これに関しては、日本造血細胞移植学会からご助言をいただきながら、各医療機関のご理解を得て、このような形になったということです。こういう形で、相当程度改善を図ってきているという状況です。
 それ以降は参考資料ですので、本日説明は省かせていただきますが、骨髄移植のドナーの方々が40万人を超えるというように非常に喜ばしい状況です。ただ、引き続きコーディネーションの質を上げていく、あるいはコーディネート期間の短縮といった課題はありますし、臍帯血についても質を上げていくということが引き続き課題で、こういったことに取り組んでいきたいと考えております。資料1-1については以上です。
 併せて、資料1-2「移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律案」です。まさに造血幹細胞移植の分野に関する基本となるような法律案が、6月12日に自民党、公明党、共産党、新党改革の共同提出で参議院に提出されています。これから国会でご議論いただくということですので、まだ具体的に法案が通っていないという意味では、どこまで説明していいのかというのはあるわけですが、いまこんなものが動きとしてあるということで、簡単に概略だけ、ご紹介をしておきたいと思います。「根拠法の必要性」ですが、議員立法ですので、国会議員の先生方がお考えになった必要性ということです。1つは治療成績の向上、あるいは高齢化に伴って、今後また移植のニーズが増加するだろうという見込みの中で、それに対してしっかり対応できるような体制の整備が必要だという問題意識が1つあると伺っております。2番目に、公的バンクに関しての規制が存在していないということで、バンクの業務は大変重要なものですので、法律によって適切に業務が行われることを担保することが必要ではないかという問題意識です。3番目は、そういう公的な仕事ですので、運営の安定性は大事だということで、安定的な事業運営を確保するための財政上の措置等について、法律で規定をするということのようです。
 これに関して、次頁以降に具体的な法律案の中身が書いてあります。かいつまんで説明申し上げたいと思います。これが法律案の概要です。最初の四角に目的が書いてあります。読ませていただくと、「移植に用いる造血幹細胞(骨髄・末梢血幹細胞・臍帯血)の適切な提供の推進に関し、基本理念を定め、国の責務等を明らかにし、及び移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する施策の基本となる事項について定めるとともに、骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業及び臍帯血供給事業について必要な規制及び助成を行うこと等により、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進を図り、もって造血幹細胞移植の円滑かつ適正な実施に資する」。最初のところで説明すべきだったかもしれませんが、基本的には患者がより良い移植を受けられるような体制を作ることを目指したもの、これまで関係者が築き上げたご努力を、きちんと社会的に位置づけると評価するものだというように伺っております。法律の中身については、第1に「基本理念」ということで、任意性、公平性、安全性、ドナーの健康の保護、臍帯血の品質の確保といった考え方が示された上で、第2に「責務」があり、それらを踏まえて第3に「基本方針」として厚生労働大臣が基本方針を策定し、公表しなければならないという責務を課すものです。これはいままでないものです。その上で、第4で「移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進のための施策」として、1は国民の皆さんの理解を深めていくということが必要であること、2は造血幹細胞の提供に関する情報が一体的に提供されるようなものでなければいけないこと、これは要するに主治医の先生と相談しながら、患者が選べるという意味で、一体的な提供について示されています。3は「国は」という主語であり、いまでは学会のほうで行っていただいているレジストリ、患者登録、患者フォローアップ事業について、ドナーと移植を受けた方の健康状況のフォローアップ事業を支援するために必要な施策を講ずることと書かれています。その他4では、安定的な事業運営の確保のための財政上の措置等、5は研究開発の促進、6は国際協力の推進、7は骨髄や末梢血幹細胞の採取に係る医療提供体制の整備といったことを行うべしという形で書かれているわけです。
 3頁です。いまの頁がどちらかというと全体として推進をしていくといいましょうか、応援をしていくというものですが、こちらは応援していくに当たって必要な規制を行わなければいけないということで、第5、第6、第7とあります。第5は骨髄バンクに関するもの。骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業ということで、基本的にこれは厚生労働大臣の許可にかからしめるということが書かれています。その必要な条件として、(3)にあるように骨髄・末梢血幹細胞の安全性の確保、あるいは(4)にあるようにドナーの健康の保護のための措置といった諸々のことを行うべし、ということが規定されております。第6がさい帯血バンクで、これについても許可制にかからしめるという提案がなされていると考えています。その中で、(3)にあるように臍帯血の品質の確保のために必要なものとして、「厚生労働省令で定める基準を遵守しなければならない」ということで、いままでは日本さい帯血バンクネットワークで自主的にお決めいただいていたものについて、国のほうで基準を定めなさいという内容になっております。
 本日の2番目の議題にも関係してまいりますが、(6)にあるように、厚生労働省令で定める基準に従い、臍帯血供給業務の遂行に支障のない範囲内においてでありますが、その採取した移植に用いる臍帯血は研究のために自ら利用し、または提供することができると。堂々とやりなさいと。ただ、そのルールはちゃんと厚生労働省令で定めなさいという内容になっているところです。その他、骨髄バンクやさい帯血バンクに関して、補助規定、あるいは監督規定が設けられるということです。
 第7ですが、これらの骨髄バンクやさい帯血バンクを支援する機関として、耳慣れない言葉ですが、「造血幹細胞提供支援機関」なるものが規定されています。実際には日本赤十字社を想定していると伺っております。日本赤十字社が両バンクと協力をしながら進めていくということで、例えばドナー登録であったり、造血幹細胞の提供関係事業者間の連絡調整であるとか、情報の一元的な管理であるとか、あるいは普及啓発というものが規定されているところです。これについてはこれからの審議ですが、いまの法律案では、法律が成立して交付された日から1年6カ月以内に施行しなさいということになっております。以上、簡単ではありますが、こうした大きな動きがあるということで、報告をさせていただきます。
○齋藤委員長 ただいまの説明について、ご質問をいただきたいと思いますが、その前に新しい委員である日本医師会の今村委員がいま来られましたので、一言ご挨拶をお願いします。
○今村委員 日本医師会の今村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○齋藤委員長 いままでの説明について、ご意見はいかがでしょうか。
○今村委員 例えば3頁の第6、さい帯血バンクで、(6)研究のために自ら利用し、又は提供することができる。このことについて同意が当然必要なのだろうと思いますが、目的以外の研究に対する同意のあり方というのですか。包括合意とか同意ということが最近よく言われますが、この同意のあり方といいますか、内容といいますか、そこのところについても少しご説明いただけますか。
○齋藤委員長 私から一言申し上げますと、現在でもさい帯血バンクで妊婦から同意を取る場合に、移植以外にも臍帯血移植の研究に使うことに対して、得られる場合には、同意をいただいております。それをさらに法律的に整備することかと理解しておりますが。
○間臓器移植対策室長 法律のことについては、まだこれから国会でご審議ということなので、具体的なことは申し上げにくいのですが、いま委員長のほうからお話がありましたように、現状でも個々に臍帯血をご提供いただく際に同意書を頂戴しております。その中には、移植または移植に関する研究に使うことについて同意をいただいているということです。今後、法律が仮にこのまま通ったとした場合については、いま委員にご指摘いただいた(6)「厚生労働省令で定める基準に従い」とありますので、その省令をおそらくこの場でご議論いただく形になるのだと思います。それに沿ったようなインフォームド・コンセントのとり方をしていくことになるのではないかと考えておりまして、その辺りはまた今後のご議論でお願いしたいと思っております。
○今村委員 いろいろな提供される資料について、研究に使うという同意を求める。こういうことについては、提供する側もなるべく医学の進歩に寄与したいという、基本的な賛同があると思います。ただし、そうは言いながら、使用する医療者側が持っている情報と、提供する側が持っている情報の差は非常に大きいものがあって、同意を求めると言っても、何となく研究のためにということで同意してしまって、どういうことに使われ、どういう個人情報の保護が行われるかということについては、ほとんど知らされないままといいますか、そのような危惧があるので、省令でいまから決めるということになるのならば、あるいはこの検討会の場でじっくりと検討させていただきたいと思います。
○青木委員 法律ができるというのは、私どもも前から申し上げていて結構なことなのです。ただ、法案ができる過程を私どもは全然知らないし、関係者の意見もあまり聞かれないままできているような感じがするわけです。将来的にこれが施行された段階で、よく法律が実情と合っているかどうかの検討をする必要があると思います。したがって、国の政府提案ではなくて、議員提案ですから、どこまでご意見を言っていただけるかわかりませんが、何年か後に見直しをするとか、そういったことをきちんとやっていただく必要があるのではないかと思います。
 先ほどの今村委員のご意見ですが、そういった不安は確かにあると思うのです。ただ、今日、山中先生のお話も伺って、明るい展望が出てくると思うのですが、いまは血液疾患の移植しか適用でなかったけれども、善意をもって妊産婦さんの提供される細胞ですから、より多くの治療に使える新たな発展というのは、大いに期待するところです。
○小寺委員 いま青木委員のほうから、法律のことについて関係者もまだなかなか知らされていないところがあると。それもあるかもしれませんが、日本造血細胞移植学会、これは関連の深い学会ですが、そこでは以前より法律ということについては検討会議をもって検討してきたのですが、その中で新たに昨年末ぐらいからこういう議員立法の動きが出てきて、骨格としてのこういうものが出てきているわけです。それに応じて、ホームページですべての会員に知らせると、そういう操作はしております。ですから、濃淡はあるでしょうけれども、またこの動きが大変早いと。これは喜ばしいことなのですが、それに対応して関連学会等ではそういう作業をしているということを、一応追加しておきます。
○武藤委員 ご説明ありがとうございました。先ほどご指摘がありました研究利用の同意の点なのですが、たぶんこれから省令で定めていくという中で1つポイントにすべきかと思いましたのは、この研究に限らず、さまざまなヒト由来試料の研究については、できるだけ積極的に進めていく方向で、その代わり一度の同意だけではなくて、長期的にサンプルの使用状況であるとか、研究の進展状況を国民に広くお伝えするというインフラを充実するという方法に、国際的にもなっていると思いますので、折角このようにいままでの関係者のご努力を法律という形で納めるということですので、その辺りも他の研究に先がけて、国民と研究の距離をより縮めるような方策が盛り込めるとよいのではないかと思いました。以上です。
○西川委員 実際に研究利用に関しては、10年ぐらい前に再生医療の実現化プロジェクトの第1期が始まったときに、総合科学ワーキングのほうから日本でもいろいろな細胞をほかの研究にも使えないかということで、いろいろな委員会を作って、実際にさい帯血バンクの皆さんと一緒に委員会を重ねて、最終的にいまのインフォームド・コンセントも含めて、これは逆に言うと臍帯血の研究だけではなくて、さらにもっと広い範囲での研究に使えるという仕組みを作ってきています。
 そのときに私自身も感じたのは、それぞれさい帯血バンクがボランティアとして一生懸命やっておられるのが、はっきり言うと市民権をしっかり獲得するという意味では、今回の法律は今後より対応する相手として、いろいろな議論をディスクロージャーしてオープンにやっていくときには、必須のことだと思います。今後どのように使うかは別としても、こういう形でしっかりした市民権が得られていくということは、やはり全面的にサポートしていきたい。その上で、もう少しオープンな議論をさらに重ねていって、先ほどおっしゃったようなどういう形でさい帯血バンクの方がそこの成果を見たいかとか、そういうことも全部聴き取りをして、実際にお金で戻すのではなくて、それが何かに役に立っているということをしっかりと目に見えるようにしてくれとか、そういうことも全部重ねた上で、実際私はもうそこから離れてしまっていますが、今日傍聴にもその関係者の方も来ていただいているので、もし何かあったら現状もまた報告できるのではないかと思います。
○今村委員 日本医師会は、医学の発展に寄与するということが大きな使命です。医学の発展の果実というものをまた国民に還元するということも非常に大事な仕事だと認識しております。それゆえにといいますか、だからこそ国民の支持を失うことがあっては絶対にいけないということで、いまディスクロージャーのお話が出ましたが、同意の取り方云々についても、しっかりしたものを作っていかなければならないと思っております。
○齋藤委員長 ほかにいかがでしょうか。大体議論も尽きたと思いますので、スムーズに法律ができるのを見守りたいと思います。第2の議題にいきます。臍帯血移植以外の臍帯血の利用について議論したいと思います。まず、本日、参考人としてお越しいただいております京都大学iPS細胞研究所の山中所長に、iPS研究と臍帯血の関係について、ご発表いただきます。そのあとで、公的バンクにおける臍帯血移植以外の臍帯血の利用の現状について、事務局から説明をしてもらいまして、そのあとまとめて議論したいと思います。山中先生、よろしくお願いします。
○山中参考人 本日このような機会をいただきまして、心より感謝申し上げます。資料2-1を用いて、iPS細胞研究と臍帯血の利用について、簡単に説明申し上げます。2頁ですが、iPS細胞の概略について記しております。iPS細胞は成人の血液や皮膚の細胞に少数の遺伝子を導入することによって、ES細胞と同じ高い増殖能と分化多能性を獲得した幹細胞です。このiPS細胞を使うと、人間の神経の細胞や心臓の細胞、肝臓・膵臓の細胞を大量に作ることができます。この細胞を用いて、細胞移植治療、再生医療および病気のメカニズムや薬の開発への利用が期待されています。
 3頁ですが、人間のiPS細胞ができて5年経ちましたが、この5年で再生医療への応用は、我が国において急速に進歩しております。ここに示しておりますいくつかの病気が特に研究が進んでおり、早いものでは来年、またその後数年以内に臨床研究が始まるのではないかと期待されているものが、これらの疾患です。これらについて、オールジャパンということで、国内で協力体制ができており、私たちの研究所CiRAにおいては、このiPS細胞を作製して供給するという点で、すべてのプロジェクトに貢献したいと考えております。
 具体例を挙げますが、4頁です。例えばパーキンソン病については、私たちの研究所の高橋淳教授が文部科学省のハイウェイ事業の研究者となっており、iPS細胞から作るドーパミン産生神経細胞を使った再生医療で、パーキンソン病の患者の治療を目指して、サルを使って、いま非臨床研究を積極的に進めておられます。
 5頁です。私たちの研究所の江藤教授ですが、iPS細胞から血小板や赤血球の前駆細胞を作ることに成功しており、それらの細胞から血小板や赤血球を恒常的に作り出すことに成功されています。今後は、これらの細胞を血液疾患の患者に移植する研究の治療の実現に向けて、非臨床研究をいま行っておられます。
 6頁です。iPS細胞は患者ご本人、自家の移植が可能です。ですから、先ほどお示ししました臨床研究の多くは、最初は自家の細胞を用いて行われる可能性が高いと考えております。それにより、受精卵を用いるような倫理的な問題、また拒絶反応を回避できると期待されています。しかし、近い将来、こういった治療がより一般的な治療となることを目指すと、自家移植というのは限界があります。1人の方からCPCを占有してiPS細胞を作るというのは数カ月の時間がかかりますので、CPCの占有ということを考えると1人当たり数百万円、1,000万円を超えるような費用がかかってしまいます。また、iPS細胞の樹立、そしてそれを増やして、また目的の細胞に分化させるのには半年ぐらいの時間がかかりますので、一般的な治療としては自家移植は限界があると考えられています。そこで、私たちは他家移植であるiPS細胞ストックをあらかじめ作っておいて、これを国内外に提供していきたいと考えております。
 7頁に再生医療用のiPS細胞ストックの概略を示しております。これは患者からではなくて、あらかじめボランティアの末梢血、また臍帯血等からiPS細胞のストックを作製しておこうというものです。そして、iPS細胞は1回の実験で複数の株が樹立されますが、その中から最も品質の高い、安全で分化能の良いものを選んでおいて、そういったものを提供すると。また、2次ストックとして、iPS細胞から移植に用いる神経細胞等にもあらかじめ分化誘導しておくというのが、このiPS細胞ストックの概略です。ただし、これは他家移植ですので、拒絶反応を惹起します。拒絶反応を少しでも少なくするためには、HLAを合わせる必要があります。ご存じのように、このHLAは多岐にわたっており、すべてのHLA型を揃えるとなると数万以上のかなり大がかりなストックを作製する必要があって、膨大なお金がかかってしまいます。
 8頁です。しかし、HLA型をホモでお持ちのドナーを同定して、そこからiPS細胞を樹立すると、簡単な模式図で示しておりますように、HLAホモの方は1人のホモドナーから複数のヘテロのHLA型をお持ちの患者の方々に移植が可能になると考えられます。この場合、実際の日本人のHLAハプロタイプを基に試みの計算をしてみますと、日本人で最頻度のHLAアリルをホモでお持ちのドナーを1人見つけてきて、その方からiPS細胞を樹立しますと、そのiPS細胞は日本人の約20%に対してHLAの6座一致するiPS細胞を供給できると考えられます。また、75名のHLAホモドナーを同定して、iPS細胞を樹立しますと、日本人の80%に対して6座一致のiPS細胞を供給できると計算されております。
 9頁です。以上iPS細胞を用いた再生医療の現状について簡単に報告いたしましたが、このiPS細胞ストックの理想的なソースの1つとして、臍帯血の利用をお願いしたいと希望しております。これまで5年間の研究で、さまざまなオリジン、皮膚の細胞、末梢血、臍帯血、また親不知から採取します歯牙細胞等から作ったiPS細胞の品質について、比較検討を行ってまいりましたが、その結果、臍帯血由来のiPS細胞が極めて高品質であるということがわかっています。また、HLAホモの方75名で、日本人の80%がカバーされると試みの計算ができておりますが、この75名を同定するためには、20万人近い方のHLAを調べる必要があります。さい帯血バンクのHLA情報を利用させていただくことができましたら、これらのホモドナーの方の同定も容易となります。これらのことを踏まえて、現在、移植用として採取・提供を受けた臍帯血のサンプルの中で、細胞数が少ない等の理由で移植には適さないと判定されている検体があります。しかし、それらの検体は移植に準じた高い品質を保持している臍帯血が存在しているということですので、それらに限って本来の目的には用いることのない臍帯血のサンプルの中で、HLAホモのものに関して、iPS細胞の作製のために利用させていただけないかと希望をお願いしたいと考えております。以上、非常に簡単ですが、説明申し上げました。
○間臓器移植対策室長 続きまして、資料2-2「臍帯血移植以外の臍帯血の利用の現状について」について、私のほうから説明申し上げます。そもそも臍帯血の研究目的の利用については、現状では各バンクでそれぞれご判断をいただくということになっています。基本的に臍帯血を提供してくださる方から移植または移植に関する研究について、同意をあらかじめいただいておりますので、それに添って各バンクでご判断いただくことになっております。ただ、今回ご議論いただきたいと思っておりますのは、再生医療については、政府においても医療イノベーション5カ年戦略が6月6日にできております。この中で、再生医療も世界最先端の医療を実現するという意味で、推進していく方針と、iPS細胞ストックについても応援していこうと、このような大きな方向性が出ております。その中で、最終的には各バンクにそれぞれご判断いただくのですが、何にもないままお任せするのか、もう少しオープンな場でご議論いただくのかという意味では、この審議会の場でご議論いただきたいと思い、まず現状から説明申し上げたいと思います。
 2頁ですが、現状の公的さい帯血バンクで、臍帯血がどのような扱いになっているかということの資料です。採取の医療機関、つまり臍帯血を提供してくださる妊婦さんから実際に臍帯血を採って、さい帯血バンクにお送りくださる協力医療機関があります。こちらから公的バンクに、「これはどうだろうか。ご本人の同意もいただいているので使ってください」という形で受け入れさせていただいているものが、年間約1万1,000個、各バンク合計であるということです。
 縦にずっと見ていただくと、調製・保存あるいは公開まで含めて、実際に移植用として公開されるものが、そのうちの25%ということです。ここに至る過程はどうなっているかといいますと、まず採取をして公的バンクで受入れをしますが、目視などで初期チェックをいたします。これは各バンク若干違いますが、例えば採取後24時間以内に調製・保存を開始するというルールになっているものですから、採取後24時間以上経過してしまったとか、あるいは明らかに細胞数あるいは量が不足しているとか、あるいは塊がある、血が固まっているとか、あるいは変色があるといった場合には、残念ながら廃棄せざるを得ないということで、いちばん右の15%のものになっているわけです。
 それをクリアしたものについては、分離器などにかけて調製・保存してまいりますが、その中の25%は公開に至りますが、そのうち20%は品質は良いのだけれども、細胞数が足りない、日本さい帯血バンクネットワークの中で8億個以上のものを公開しましょうということを、独自にお決めになっていますので、8億個に満たない場合には公開しないと。したがって、それについては品質はいいのだけれども細胞数が少ないので、公開以外の保存という形になっております。
 それ以外に、例えば臍帯血を提供してくださった方が輸血歴があるとか、4週間以内に海外渡航されているとか、そういった場合には日本さい帯血バンクネットワークでお決めいただいている基準に合致しないということで、残念ながらこれも廃棄になる。中には細菌培養してみたところ、陽性反応だったので廃棄するものもある。これが40%ほどあるということです。まず、全体はこういう形で、公開の25%と公開以外の保存の20%の合わせて45%ほどが保存されていくということです。
 3頁ですが、実際もうちょっとスタティックに見たときに、保存されている臍帯血はどのようになっているか、総量の内訳です。左側にA1、A2、B、Cと、あえて名前をつけておりますが、ここで申し上げているA1は臍帯血移植用ということで、公開されているものです。これについては横に見ていただくと、いろいろな基準を中で定めていただいておりますが、先ほどの細胞数以外にも正期産とか正常妊娠分娩であるとか、先ほど申し上げた輸血歴がないとか、採取後24時間以内の調製・保存であるとか、こういった細菌チェックなどを全部クリアしたものだけが合格ということで、これについては87%、約3万3,700余あるということです。
 次に準じるのがA2で、同等の品質だということではありますが、例えば公開用として保存したのですが、10年以上経過したということで、血液については公開から落としていくというルールに則ったものがあります。そうすると、それは品質的なものはともかくとして、公開から落ちているということです。もう1つは、有核細胞数が8億個未満であるものはここに該当して、各バンクにお尋ねしたところ、こういったものを約8%、約3,100個ほど保存しておられるということでした。
 それ以外に、Bというもので、調製・保存という意味でいくと、書類上の手続のものを含めて、品質においてA1、A2とは若干劣るものがあるということです。例えば臍帯血調製・保存後6カ月以降に、出産された方ご本人とお子さんの状況について、健康調査を行います。この健康調査の結果が返ってこないという場合、あるいは調製・保存を行ったクリーンルームの清浄度チェックにおいて、基準を満たしていないということで公開を取り消したようなものもあって、こういったものが約5%、約2,200個あると承知をしております。ちなみに、いちばん下のC、調製を行わないでほとんどそのまま保存したものについては、ないと聞いているところです。
 このA1、A2、B、Cという品質のものを、いまどのように利用しているのかというのが4頁です。「公的臍帯血バンクにおける臍帯血の利用の現状について」という資料ですが、これを見ていただくときに、上の「利用場所」が「医療機関等」と「臍帯血バンク内利用」と「理化学研究所のバイオリソースセンター」と、あえて3つ書いてあります。そのうち左2つ、「医療機関等」と「臍帯血バンク内利用」については、さい帯血バンクにおける通常の同意書の中で、「移植または移植に関する研究に使用すること」ということについて同意をいただいております。理化学研究所のバイオリソースセンターの関係は、また別途のICをいただいていると承知をしているところです。
 「医療機関等」ですが、基本的には造血幹細胞移植とか移植の研究ということなわけですが、ここについてはA1、つまり公開されているものが移植用として約30%使われている、提供されているということです。それ以外の非臨床目的で、A2からBなのかCなのか、Cはいま実際ゼロだという調査でしたが、ここに分類されるようなものが、区分はわからないのですが42%あると承知をしております。
 さい帯血バンク内において、内部のバリデーションなどに使われるものが約11%あるという調査結果が出ております。
 いちばん右の理化学研究所バイオリソースセンターにお出しをしているものですが、こちらの基本方針において、治療や営利目的には使用しないという方針を出されていると聞いております。ドナー情報とも連結できないようになっている。そして、例えば製薬企業などの営利機関にも提供され得ると聞いております。こういったものが約16%あると承知をしております。
 今回、いま山中先生からご提案のありましたような将来、移植目的の臨床に使うようなiPS細胞を臍帯血から作る場合に、どこのところを提供すべきなのだろうか。現状は、これは各バンクのご判断になっているわけですが、5頁であえて申し上げれば、最終的にヒトに投与される、移植に使われるということを考えますと、臍帯血移植に準じた品質のものである必要があるのではないかと。他方、現在、造血幹細胞移植の需要も伸びておりますので、そういった事業への影響も考慮しないといけない。そういったことから、これは事務局の案ですが、私どもの分類で言うところの品質において公開されているものに準じているけれども、例えば細胞数が少ないなどのA2というもの。こういう中身は良いけれども細胞数が少なくて、臍帯植移植にはすぐに使えないもの。こういったものを提供するという形にしてはどうだろうかということをご提案申し上げたいと思っています。この点については、いままではオープンな場で議論されたことがないということもありますので、本日この点のご議論をお願いしたいと思います。以上です。
○齋藤委員長 ディスカッションをお願いします。
○坂巻委員 山中先生にお聞きします。凍結の期間なのですが、相当長期間凍結したものでも、iPS細胞には使えるのでしょうか。
○山中参考人 これはよりデータを積み重ねる必要がありますが、これまでのところは1年以上経過したものでもiPS細胞の樹立効率はそれほど下がりませんので、10年経ったものがどうかということは、実際に調べてみる必要はありますが、いまiPS細胞の樹立効率そのものがどんどん高くなっていますので、おそらくは大丈夫であると考えています。
○麦島委員 山中先生にお伺いしますが、現在臍帯血に関しては満期産の産婦からいただいているわけですが、これは学問的なことですが、私は新生児あるいは小児科を専門にしているものですから、25週とか26週とか、非常に早い時期に生まれたお子さんの臍帯血に関して、iPS細胞をつくりやすいという情報は、何かお持ちでしょうか。
○山中参考人 これまでのところ、満期産以外の臍帯血からの樹立の経験はございません。しかし、予想しますと、樹立効率そのものは胎児期のものであっても十分に樹立できると考えています。
 しかし、いちばんの問題は、樹立したiPS細胞の安全性にありまして、こちらについては慎重に検討しないと、増殖能等がかえって高すぎたりしますと、移植に用いた場合の腫瘍の発生等も危惧されますので、慎重に検討すべきだと思います。全くデータがありませんので、良い悪いというより全く中立の立場で発言していますが、検討する必要があると思います。
○青木委員 A2に属する部分は、先ほどの数字でいくと約3,000で、これは10年以上経過したもの、あるいは量的な不足のものですが、3,000が先生がおっしゃった先ほどのランダムな20万人のうちの3,000人ではなくて、10年間経過したものは、HLAのタイピングが合わなかったものが残ってきている。むしろ、私どもバンクをやっていますと、採取すると、すぐにどんどん移植に使われるもの、これは日本人に非常に多いタイプのものがどんどん使われていて、残るのは、どちらかというとレアタイプに近いものが残っているわけです。
 そうすると、この3,000は20万人のうちの普通の3,000人ではなくて、もうちょっと先生が求められている、あるいは5万人分ぐらいの価値があるかどうか、そこら辺がわかりませんので、教えていただきたいと思います。
○山中参考人 HLAホモの臍帯血は、通常の移植には原則としては用いられないと理解していますので、HLAホモだからといって、優先的にそれがどんどん使われることはないと理解しています。実際、私たちは内容を詳細なところまで知ることはできませんが、複数のバンクで10年経過したものの中にHLAホモがあるかどうかをお伺いしたことがありますが、それは複数存在していると伺ったことがあります。
 そして、75名分を最初からiPSストックを作る必要は全くないと考えております。最頻度のハプロタイプのものだけで、20%の方に適合することになりますし、最頻度と2番目の頻度、3番目ぐらいだけで、日本人の30%、40%をカバーすることになりますので、そういったわずか数株のiPS細胞を作ることによって、今後10年から20年程度の臨床研究や治験を想定すると、十分にカバーできるのではないかと考えています。
○今村委員 山中先生にお伺いします。「正常妊娠分娩」と書いてありますが、これは例えば、疾患は何もないけれども、前回帝王切開だから、正常な経過を取っているけれども安全を期して帝王切開しましょうというような症例というのは、これに入るのですか、入らないのですか。
○齋藤委員長 それはさい帯血バンクに関する質問ですね。
○高梨委員 計画的な帝王切開ですと対象にさせていただいておりますので、ドナーに含まれています。
○今村委員 産婦人科医が見ていますと、「正常妊娠分娩」と書かれていますと、通常の経膣の分娩が対象例ではないかなと思いますので、もしそういうものも含まれるとすれば、ここの書き様は工夫されたほうがいいのではないか。回ってきたときに、帝王切開だから違いますよねとなって、しかも、いま正常妊娠経過で帝王切開というのは、安全を期すために非常に多くなっています。ですから、これをたくさん回収するためにも、そういう書きぶりは考えられたほうがいいかなと思います。
○高梨委員 ご説明の中で「6座マッチ」という表現をなさいましたが、これはGVDH方向で、6座ではなく3座なのかなという理解をして伺っていました。つまり、20万人でなくても、とりあえずいまあるものの中から、たまたま使えそうなもので、iPSを樹立できるかどうかをなさりたいというご意思だと理解しましたが、よろしいでしょうか。
○山中参考人 そのとおりです。まず日本人の20~30%をカバーできるiPS細胞ストックを作って、その細胞を先ほどお示ししたような、臨床研究を目指している機関に提供して、前臨床試験を実際に、臍帯血から作ったiPS細胞で行っていただきたい。安全性と効果を前臨床試験で調べていただきたいというのが、いまの計画です。
○武藤委員 さい帯血バンクの運用のことでお伺いしたいのですが、Aの2にランクされている公開せずに保存されている8%というのは、バンクの側から見ると、保存しておく積極的な意義、あるいは必要性というのは、先ほど中でvalidationの話とかもありましたが、ここに書かれていること以外に何かございますでしょうか。
○高梨委員 バンクの立場ですと、10年過ぎても、造血細胞関連の検査で、十分な回収率があるかどうかの確認は大事なので、それが11年目、12年目となっても大丈夫かというのは、取っておきたいというデータではあります。
 あとは、実は研究用に差し上げてよろしいかなということで、私どもは保存していまして、研究用に差し上げる場合には、研究期間というものの設定がありまして、その期間が過ぎれば、残ったサンプルも含めて、廃棄をお願いしておりますので、長期保存のつもりで取ってあるというわけではありません。
○小寺委員 山中先生に基礎的なことで教えていただきたいのですが、もともとiPS細胞を使った再生医療というのは、自己完結型ということだったと思うのですが、やはり時間とお金ということを考えると、病における助け合いというか、同種のシステムのほうが現実的であろうというのが、いまのお立場だと思います。
 私の予想では、同種のシステムのほうが、暫くは少なくてもメインストリームになるのではないかという気がするのですが、その点はいかがでしょうか。
○山中参考人 同種というか、他家ということですね。私もそう考えております。中でも脊髄損傷の治療に関しては、これまでの研究で、遅くとも1カ月以内に細胞移植療法をした場合に、いちばん効果が期待されて、それ以降ですと効果が激減すると考えられていますので、1カ月しか猶予期間がありませんので、患者の自主細胞にiPS細胞を作り出してということをしますと、時間的に全く間に合いません。脊髄損傷に関しては同種、こういったストックからの細胞を使うことが、実際上は必須になっております。
 それ以外の疾患については、自家を行う時間的な余裕はあるかもしれないのですが、費用と、半年くらいの間に患者がどんどん悪くなってしまうことを考えますと、こうしたストックを用いた同種を考慮する必要があると思います。
 それからもう1つは安全性という点で、5年間一生懸命調べていますが、iPS細胞、ES細胞でもそうだと思うのですが、移植するまさにその細胞で、十分に非臨床試験、前臨床試験で安全性を確かめたものを患者に移植しないと、リスクの軽減が十分ではないのではないかと考えています。それを考えますと、こういったストックで、あらかじめ十分に安全性を検討しておいて、それを治療に用いることが、安全性の面からも望ましいと考えております。
○青木委員 量の問題で、いまある3,000は、以前は4億個のものを保存していて、いまは8億個以上ですが、このように非常に少ないものもたくさんあります。それから、お産の結果ですから、せっかくホモタイプを見つけても、そう何回もお産をするわけではありません。いまある、臍帯血そのものしか使えない、そのあとお産がなければ、その人は提供できないわけです。だから、iPSのストアをされる場合に、どれぐらいの量があれば、将来のいろいろな治療のソースができるのかというのを教えていただけますか。
○山中参考人 iPS細胞樹立には、臍帯血、CD34陽性細胞として1,000万個あれば十分です。ですから、いま8億個ないと移植には使われないのですが、その100分の1程度の量があれば、iPS細胞誘導としては十分です。
 iPS細胞に変えますと、iPS細胞の状態で何百倍、何千倍と増やすことができますので、多くの患者に1人のドナーから移植可能な十分量は作ることができます。
○麦島委員 新生児領域で、重症仮死で、どう見ても脳障害を併発するという患者を対象に、海外では自家の、ご本人の新生児の持っている、臍帯血を使って移植をするということで、ある程度の成果が上がっているような報告はあるのですが、実際に先生のお話ですと、いわゆる同種のiPSを用いたほうが、より有効ではないだろうか、つまり時間的な問題もあると思うのですが、そのようなpreliminaryなデータはお持ちでしたら教えていただきたいと思いますし、また、今後そういう展望があるのかどうかをお教えいただきたいと思います。
○山中参考人 いまのところ私たち自身は、脳障害、特に新生児の脳障害に対するデータは持っておりません。やはり時間的なことを考えると、臍帯血そのものを移植するというのが、時間的には優れているとは思います。
 それから、安全性の面でも、何も加工していない細胞をそのまま使って効果が期待できるのであれば、そちらのほうが優れているのではないかと考えています。
○高梨委員 細胞数について、もう一度お願いします。CD34で、1×10^7とおっしゃったのでしょうか。通常、大人の移植に、細胞は1×10^5レベルでしかないのです。つまり、トータルでは10^6レベルのCD34しか、臍帯血の中にはありません。そういう意味で、先生のご研究に少なすぎますでしょうか。
○山中参考人 私の発言に間違いがあったかと思うのですが、臍帯血として1,000万個あれば、その中に存在するわずかなCD34から、十分にiPS細胞は樹立できます。
○齋藤委員長 いままで、主として技術的な質問で山中先生に答えていただいたのですが、もう1つ今日確認しておきたいのは、現在例えば、質が保証された3,000個のものをiPSの研究に利用することについてです。iPS細胞は日本で発見された技術ですし、国として全面的にバックアップしている研究なので、できるだけ協力したいという気持ちは、皆さん同じだと思います。すでに臍帯血を提供いただくときに、移植のための研究には使えるというICは取ってあるのですが、それで十分かということを、今日確認していただきたいと思います。実際の細かいことは各さい帯血バンクで議論していただくとして、この委員会としては、そこの総論だけを押さえておきたいと思うのですが、それについて何かご意見はございますでしょうか。
○今村委員 私どももこの研究の推進には全面的にご支援を申し上げたいと思います。ただ、同意のときに、おそらく漠然と研究のために使っていいかということで同意をいただいているのだと思いますが、例えばこのiPS細胞の研究のためにやっていいという同意を取る、具体的なやり方というのがあるのでしょうか。いまから、もしより詳しい同意を求めるときに、こうすればより詳しい同意が取れるというのがあれば取っていただきたいと思うし、それが非常に難しいということであれば、委員会の総意として、同意するのに吝かではありません。
○齋藤委員長 事務局から、その辺りのことについて、整理をした現在の同意の取り方を含めて、お話をしてください。
○間臓器移植対策室長 いま今村委員からお話がありました点については、難しい面が一部にあると思うのです。と申しますのは、どなたからご提供いただいたかについては、個人情報は外に出さないようにバンクで保管しておりますが、例えば転居をされたような場合に連絡がくるようになっているかというと、必ずしもそうなっていないという意味では、再度というのは難しい場合があると思います。
 この関係に関しては、このように考えられないだろうかと思います。まず、いま委員がご指摘のように、提供者から採取のときにいただいている同意書というのは非常に重要で、このあり方というのは非常に重要だと思います。現在各バンクで用いている標準的な同意書においては、今日何度か申し上げていますが、移植または移植に関する研究に用いることについて、同意をいただいているというものです。この同意の範囲の解釈については、現状では各バンクに委ねられているということです。
 いままではそういう形だったのですが、今回ご議論いただいたのは、やはりオープンな場でご議論いただくことが、より適切な研究利用につながるだろうということと、各バンクの負担も、多少軽減することになるのではないかと考えております。
 今回ご提案いただいている件に関していうと、4点ほどあると思っています。臍帯血そのものは所有権が各バンクに移転しておりまして、出産された方に所有権を放棄していただいて、バンクの所有権になっています。だから何でもいいという意味ではありませんが、そこに相当の裁量権があるというのが1つです。
 2つ目は、各バンクの提供の実態を伺いますと、いま申し上げたような、移植または移植に関する研究の中で、医療機関だけでなくて、大学や国の研究機関も含めまして、それなりに幅広く非臨床目的ですでに提供しているという実態があるということです。
 3点目に、今回議論になりましたのは、血液疾患、パーキンソン病などの疾病の治療のために移植を行うという、臨床応用を念頭に置いている。そのために、臍帯血から分化能の高いiPS細胞を作ろうとするものなので、単なる実験というよりは、患者の役に立つという意味で比較的理解を得やすいものではないのかなと思います。
 4点目は、このさい帯血バンクが出来た当時は、iPS細胞の存在は知られていなかったと。そういう意味で、医学の進歩に適切に対応する必要があるという意味では、現在の移植に関する研究という同意の範囲内でと解することは、不可能ではないのではないかと思います。ただ、何度も申し上げますが、これは各バンクでご判断いただくという現状のルールの中では、各バンクが再度同意を得ることも含めて、より厳格に解することを妨げるものではないと思っています。
 今後のことを申し上げますと、仮に先ほどのような法案が成立した場合には、研究目的で利用する場合の基本的なルールについて、厚生労働省令で定めることになります。各バンクがその省令に従って提供いただくことになりますので、いまご議論いただいていることというのは、当面の過渡期のルールなのだろうと思いまして、その範囲内において、無理のない範囲内で進めていただけたらいいのではないかと考えているところです。
○齋藤委員長 いかがでしょうか。
○坂巻委員 将来的に、同意の内容を、文書等も含めて改正するつもりもあるわけですか。
○間臓器移植対策室長 これも、たらればの話で恐縮ですが、法案が通ったらということですが、そこでルールを定める、例えばどのような臍帯血を、誰に対して、どんな目的で、どれぐらいの量を、どれだけ適用するのかということを、仮に定めていくということになりますと、要するに省令に従ってということなので、ICの取り方も、省令に従った形に、同意書の文書も変えていただく必要が、いずれ出てくるのではないかと思います。ただ、その辺りのルールも、この審議会の場でご議論いただきたいと思っています。
○青木委員 同意書を取って、いままで提供していただいているわけですが、臍帯血移植のため、移植の研究のためと漠然としたインフォームド・コンセントをいただいているわけです。実際には付属説明として、いま白血病の方が非常に多い、白血病の移植はこれしかないということを、私どもは始終言っているわけですが、実際問題として、移植の対象の疾病、適用を限定しているわけではない。したがって、いままで広く行われてきた移植以外に、新しい対象が出てきたときに、各バンクはそれぞれの倫理委員会、あるいはネットワークの倫理委員会に掛けて、こういう新しい治療法に、移植に使っていいかどうかを議論して、決めてきているのが、いままでの現状です。
 先ほど室長からお話があったように、iPS細胞を作って処理するとか、そういうものはいままでなかったわけで、iPSを作るというのは、1つの臍帯血の処理の過程と考えれば、結果的に、将来もっと新しい臍帯血の移植の疾病が増えていってもおかしくはない、そういう考え方をすればいいのではないか。将来的にはその法律が出来て、厚生労働省令で適用を決めるなら決めるでよろしいのですが、いままで白血病等の狭い適応しかバンクも考えていなかったものですから、そこからはみ出すことに非常に疑念を抱いていたのは事実なので、そこの考え方をもう少し広く考えたらどうかなと思います。
○西川委員 実際には、造血幹細胞移植ではなくて、ヒト幹細胞の移植治療については、厚生労働省が委員会を持っておられて、なおかつ指針を改定中なのです。そこで倫理の先生などもおられて、ずっと議論していく。もちろん最初から薬事でやっていくという場合は別として、これで可能になった細胞治療を最初に行われるとなると、やはりヒト幹細胞に関する指針を通してということもあり得るわけです。そうなったときに、あの委員会は私も委員として出ていますが、その議論の内容から考えると、拡大解釈することに関しては、かなり強く反対される方が多いと感じます。
 ただ、1度ES細胞でも議論をしたのですが、臍帯血の場合は、皆さんが高い意思で、医師のほうもインフォームド・コンセントを取ったりするプロセスを全部クリアし、なおかつ是非いろいろなところで使ってほしいという高い意思で作られてきたもので、なおかつA2に関しては個人情報が連結がされている部分があるので、そこをしっかりと考えた上で、現実的、あるいはヒト幹の先生方にも理解してもらえるようなICの取り方を考えたほうがいいかなという、私自身は印象を持ちます。
 ですから、いま事務局がおっしゃったように、基本的には各さい帯血バンクの裁量に任されているという部分があるので、十分クリアできるのではないかと思いますが、その次にヒト幹にいったりということがたくさんありますから、事務局ともしっかりと考えて、ここのagreementとしては、全面的にサポートするということがあったとしても、より具体的にはもう少し違う委員会などもどうしてもあるというのは考えておいたほうがいいのではないかというのが。
○齋藤委員長 それは将来の話ですよね。それを作って、それをやるときに、もう1度クリアしなければいけないということですね。
○西川委員 具体的にですね。
○武藤委員 移植または移植に関する研究というご説明が現時点であって、先ほど来事務局にもご説明いただいたような根拠で、今回新しく始まるiPS細胞を用いる移植ということも、全くの目的外とは思えませんし、十分にその射程に入るものだとは思います。
 ただ、気になる点としては、いま西川委員からヒト幹指針の話が出ましたが、そちらの雰囲気とだいぶ違ってくるということと、他方で、今回この同意書については、臍帯血移植という文脈ではありながら、人の体内に投与されるということについては了解されておられるということがあって、その部分も考慮すべきかなと思います。
 もう1点ですが、現在バンクで提供についての可否を検討されているので、移植または移植に関する研究という用途に当てはまらないとして、撥ねた例はどういったものがあるのかは、1度確認しておいてもいいのかとも思います。それぞれの委員会で、過去基準というのを持っておられる経緯があると思いますので、それはエビデンスとして持っておいたほうがよろしいのかなと思います。
○高梨委員 iPSを樹立したあとの保存期間というのはいかがなものでしょうか。つまり、私どもはもちろん移植に関する研究という同意は取っておりますが、保存期間は大体10年ということでの了解は得ております。つまり、10年経ったので、本来私どもは誠実にそれを廃棄するべく準備をしているわけではありますが、iPSになってしまい、それをストックと呼び、さらに保存するというのは、初めの約束と多少違ってくるという面があるので、そこに至るまでには、ある一定、何年から何年までご協力いただいた方で、iPSへの転用を拒否する方はご連絡くださいという、パブリックコメントのような時期が必要とか、通常の手段があると思いますので、その辺りの時期、時間軸についても、明らかにすべきかなと思います。私どもは、内部の者ですが倫理委員会の先生からは、サンプルでさえも保存するといったら、何年というのは書くようにというご指示をいただいております。
○武藤委員 いまのご指摘はすごく重要だと思います。iPS細胞は、これからずっと増殖できるという点で、普通の細胞と違いますので、そういった論点を整理した資料は、研究者の機関の倫理審査委員会にも広報が必要だと思いますので、こういった違いはあるけれども、積極的な広報やこういった根拠によって何とか使用を応援したいと思っているという趣旨の啓発は、是非すべきかと思います。
○小寺委員 いつ、どういう同意を取ったかとか、それは大事なのですが、やはり臍帯血を提供される母体、胎児から見れば、従来廃棄されるものが、どのような形であれお役に立てるという志、先ほど西川委員が言われた高い志が根底にあるわけですから、それが液体窒素の中で眠り続けるのか、何らかのもので役に立つのかというどちらを取るかといえば、やはり役に立つほうを母体は取るだろうと思います。
 ただ大事なのは、いつどういう同意を取ったかというよりも、これからの研究で、どういう進展があるのかということをup to dateで常に示していくことが大事だと。それが国民のコンセンサス、母体のコンセンサスを得ていく上で大事ではないかと思います。
○齋藤委員長 いかがでしょうか。大体皆さんの意見を伺いまして、コンセンサスとして、とにかく過渡期的な考え方として、ここにある「移植のための臍帯血に準じたもので、ただ移植には使えないものをiPS研究に活用する」ということで、ほぼ合意が得られたものと思います。あとは各さい帯血バンクで本日の議論を参考にして、どのような臍帯血を提供していったらいいかということを、先ほど2、3指摘がありました、年数の問題などもありますので、適切にご判断していただきたいと思います。
○西川委員 先ほどちょっと違う雰囲気と言いましたが、私は両方にかかわって感じるのは、骨髄移植あるいはさい帯血バンクというのは、いま小寺先生もおっしゃったように、かなり善意の結集であるという部分があるわけです。一方、山中さんのiPSというのは、私自身不思議なことに、山中さんがいちばん最初にこの話をウィスラーというシンポジウムでやったときに座長だったのですが、そのときに一緒にいたイタリア人が、これは政治を変えると言ったのです。
 いまある限られた範囲でのiPS利用ということが言われていますが、私自身が考えるに、どんどんいろいろな可能性を広げるものだろうと思います。そうなったときに、逆に、いままで善意の固まりとしてやってこられた新しいアイディアと、皆さんが知っているというiPSというものを、もっと積極的に合体させていくというのは、1つ新しいバンキングであったり、新しい互助システムのあり方としては、チャンスがあるのではないかと。これは個人的な意見ですが、そういう意味で政治のほうも、議員立法でどんどんやっていっていただけるということなので、そういう意味では大きく期待して、ここから新しいイメージ、あるいはアイディアが出てくるということになってほしいというのが、個人的な気持です。
○小達委員 闊達な貴重なご意見を拝聴させていただきました。実は、骨髄移植の広報は若干ACの中で取られていたのですが、新たに開始されます。今回は非常にいままでと違いまして、実は高校生に、こんな私たちでもできることがあったのだというような、とても爽やかな、素晴らしい情報になっております。
 いま情報公開、ディスクロージャーという話がたくさん出ていたのですが、現在小学校の授業でも、道徳、倫理として習った授業で、ゆとりから考え方という転換の中に「互助」という括りがありまして、我々がやれること、お互いに助け合えることはたくさんあるのだという中に、骨髄移植のことも出ているのです。つまり、若い人たちが、これから本当に大きな意味で、この造血幹細胞移植の世界に対する着目は上がると思います。
 そのときに、今日出たようなご議論の中の、我々が本当に知らなくてはいけない、日進月歩以上に発達している新しい医療の側面的な部分を、十分に国民に対して提供していただける土壌を、もう少し作り上げていく必要があると感じております。
○齋藤委員長 ありがとうございました。「その他」について、事務局から何かありますか。
○間臓器移植対策室長 ただいまの点につきましては、委員長のご指示もいただきながら、各バンクにも本日の議論をご紹介し、ご検討いただけるようにしていきたいと思っています。
 もう1つ、先ほど申し忘れましたが、本日は法案についてご質問も含めてありましたが、仮にこの法案が成立した暁には、例えば基本方針ですとか、厚生労働省令で定める事項が数多くございます。これについては、本委員会でご議論をいただきたいと思っていまして、特に、さい帯血バンクの基準など、かなり技術的な話がありますので、そういったものによっては必要に応じて作業部会など、さらに専門家のワーキンググループみたいなものを設置させていただければと思っています。
 最後になりますが、本日の委員会をもちまして、齋藤委員長ほか、8名の委員の皆様の任期が満了となります。今回任期の満了を迎える委員の皆様方におかれましては、お忙しい中ご協力をいただけましたこと、本当に厚く御礼を申し上げます。ありがとうございます。
 また、齋藤委員長におかれましては、当初から長きにわたりまして本委員会の委員長をお務めいただきまして、重ねて御礼を申し上げます。規定により、齋藤委員長におかれましては今回をもってご退任となります。よろしければ、最後に齋藤委員長より、一言ご退任のご挨拶をいただければと存じます。よろしくお願いいたします。
○齋藤委員長 本委員会では、いろいろな分野からの委員の方々に活発なディスカッションをいただきまして、造血幹細胞移植をめぐる、いろいろな諸課題を検討して、整理してきました。そして、合意の得られたものにつきましては、国、日赤、骨髄バンク、日本さい帯血バンクネットワークに実現していただいてきたと思います。本当にご協力ありがとうございました。
○佐藤室長補佐 本日は活発なご議論をいただきありがとうございました。次回の日程については、改めて日程調整をさせていただきますので、ご協力のほどをお願いいたします。
○齋藤委員長 これで第33回厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会を終わります。ありがとうございました。


(了)

データの累乗を、以下のように「^」で表記しておりますのでご了承ください。
10^5 10^6 10^7

<<照会先>>

厚生労働省健康局疾病対策課臓器移植対策室

代表 : 03(5253)1111
内線 : 2362 ・ 2363

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(疾病対策部会造血幹細胞移植委員会)> 第33回厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会議事録

ページの先頭へ戻る