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2012年10月29日 新型インフルエンザ等対策有識者会議 医療・公衆衛生に関する分科会(第3回)議事録

健康局結核感染症課新型インフルエンザ対策推進室

○日時

平成24年10月29日(月)10:00〜13:00


○場所

厚生労働省 講堂


○議題

(1)抗インフルエンザウイルス薬について
(2)特定接種について(登録方法、接種体制等)
(3)パンデミックワクチンの接種順位の考え方等について
(4)インフルエンザワクチンについて(臨床研究、事前接種等

○議事

○佐々木室長 定刻になりましたので、ただ今より第3回医療・公衆衛生に関する分科会を開催いたします。委員の皆さま方には御多忙の折、お集りいただきまして感謝申し上げます。
 初めに、委員の皆様の出欠状況を確認いたします。本日は井戸委員、大橋委員、押谷委員、河岡委員、朝野委員、古木委員、丸井委員から御欠席されるとの御連絡をいただいております。
 今回の会議では、沈降インフルエンザワクチン(H5N1)に係る臨床研究について、国立病院機構本部臨床研究センター臨床研究統括部・治験研究部伊藤部長から、専門的な知見について御説明をいただくことになっています。また、一般社団法人日本経済団体連合会経済政策本部藤原本部長、社団法人日本医薬品卸業連合会流通近代化検討委員会吉田流通専門委員にオブザーバーとして御出席いただいています。それでは、以降の議事進行を岡部分科会長にお願いいたします。カメラ撮影はここまでとさせていただきます。
○岡部分科会長 おはようございます。それでは、3回目になりますが、医療・公衆衛生に関する分科会を開催したいと思います。時間がいつもより長めに取ってありますが、項目としても、かなりディスカッションしないといけないところがありますので、よろしくお願いいたします。
 それから、参考人、あるいはオブザーバーでお出でになっている方がおられますので、もし関連のところで御意見がありましたら、手を挙げておっしゃっていただいて結構ですので、よろしくお願いいたします。それでは議事に入りたいと思いますので、事務局側から資料の確認をお願いします。
○佐々木室長 では資料です。議事次第1枚ものです。ここに配付資料一覧を付けていますが、資料1として、抗インフルエンザウイルス薬について。これは前回の積残しです。資料2として、特定接種についてです。資料3として、パンデミックワクチンの接種順位の考え方等について。資料4として、資料番号を打っていませんが、伊藤部長様の資料です。資料5として、インフルエンザワクチンについて(臨床研究、事前接種等)です。
 それから、別添1として、本日御欠席である朝野委員の資料1の関係の意見書です。別添2として、本日御欠席の河岡委員から資料3と資料5について意見書です。
 それから、参考資料1は前回の主な御意見を事務局でまとめたものです。参考資料2は第1回、第2回分科会で法律と計画・ガイドラインの関係について分かりにくいという御指摘をいただいていましたので、この資料の上段は特措法と他の法律との関係を図示したものです。並立して他の法律も存在していて、その内容も特措法に基づく計画の中に入ってくるということです。同じ資料の下段は、分科会で御議論をいただいている内容に関して、どこが政令事項、省令事項、告示事項かというのを示したものです。
 参考資料3として、これも前回からの積残しですが、抗インフルエンザの予防投与の考え方に関する資料。参考資料4として、ファクシミリ等による処方に関する資料です。参考資料5はガイドラインの見直し意見書の項目と、本日御議論いただく議事との関係を表したものです。残った項目につきましては、今後の分科会で御議論いただきたいと思っております。
 参考資料6として、平成21年10月2日付の「新型インフルエンザワクチン接種について」という資料です。それから平成21年10月13日付の通知が参考資料7です。参考資料8として、インフルエンザワクチンについてという資料5の参考資料です。それから最後に、田代委員から第3回有識者会議に提出された資料を一部改変したものを御提出いただいています。資料等不足等がありましたら事務局にお申し付けくださいますようお願いいたします。
○岡部分科会長 それでは、スタートしたいと思います。最初の議題1として、抗インフルエンザウイルス薬、資料1をお願いします。
○佐々木室長 では、最初の資料1。関連しますのが別添1、朝野委員のご意見、それから参考資料3、4が関連資料です。
 まず資料1は、前回の分科会では、御議論していただけませんでしたが、前回の資料に1ページ目を新しく追加しております。これは議題となっている事項が、政省令・告示事項か計画・ガイドライン事項かということを明示したものです。今後は他の議題の資料もこういう形で御提示させていただく予定です。抗インフルエンザウイルス薬につきましては、特措法第10条の「特措法上必要な医薬品、その他物資の備蓄」に関連はしていますが、政省令・告示事項として御議論いただくことはありません。計画・ガイドライン事項について、御議論いただくということです。
 2ページは抗インフルエンザウイルス薬の、行動計画ガイドライン上の位置付けを各未発生期から小康期まで含めまして、各段階においてどういうような記載があるかというのを大まかに一覧にしたものです。
 3ページです。抗インフルエンザウイルス薬に関しては、国会で、必要な量を供給可能となるように備蓄、配分、流通調整を行うということと、独居世帯を含めた在宅患者への薬剤処方の在り方に関して、附帯決議をいただいております。見直し意見書では、45%の備蓄、予防投与について、国と都道府県が備蓄しているものを使うということなどのご意見いただいております。以上を踏まえて、今回の検討事項は3点あげさせていただいております。まず、1点目の抗インフルエンザウイルス薬の備蓄に関して御説明させていただきます。
 5ページは、諸外国における抗インフルエンザウイルス薬の目標備蓄量等の資料です。2005年時点と2008年時点のデータですが、イギリス、フランス、オーストラリア、アメリカ共に2005年の時点では20%台だったのですが、2008年時点の目標値は、40%から50%で、アメリカは30%です。日本は当初は2,500万人分ということで約20%程度でしたが、現状では45%と行動計画に記載されています。国と都道府県で備蓄をしておりまして、現在では国民の約49%相当が備蓄されているという状況です。タミフル、リレンザを備蓄していますが、タミフルの割合が86%程度となっています。
 6ページはこの備蓄政策に要する費用です。棒グラフのほうが購入費ですが、年によっては250億円を超える金額がかかっております。保管費に関しましては、折れ線グラフですが6〜7,000万円ぐらいです。
 7ページは行政備蓄している抗インフルエンザウイルス薬を実際にどの程度使っているかという資料ですが、2009年度に関してのデータでタミフル42,968人分、リレンザに関しては国のみですが2,275人分となっており、ほとんど使用されていないという実態です。
 8ページは、2009年10月末から本年3月末までの国内保有量の推移です。2009年10月末時点では、メーカー・卸売業者の保有量と都道府県、国の備蓄分を合わせて人口の45%程度でしたが、本年3月末現在では人口の65%程度国内で保有しているということです。また、今後有効期限が切れたものから廃棄をしていくわけですが、タミフルに関しては下段の棒グラフのとおり、順次廃棄していくことになっています。
 9ページは、各抗インフルエンザウイルス薬の概要であります。タミフル、リレンザが使用期限が7年となっており、イナビル、ラピアクタは3年となっております。
 10ページは抗インフルエンザ薬の耐性株検出情報です。アマンタジンは、毎年耐性株がみられておりますが、タミフルも2008〜2009シーズンでは耐性株検出率が98.8%という状況です。
 11ページはいままでの資料のまとめですが、平成17年から2,500万人分を目標ということでタミフルの備蓄を開始し、平成18年からはリレンザもタミフルの備蓄量の1割程度を目標に備蓄をしてきています。諸外国における備蓄の状況を勘案しまして、平成20年度より国民の45%程度を目標に備蓄してきたところですが、現状ではイナビル、ラピアクタも出てきているところです。
 12ページは参考ですが、備蓄している薬剤をどうやって市場に流通させるかということです。まずは各都道府県単位で流通状況を見ながら、都道府県備蓄分を市場に出していくということになっております。これは予防投薬以外のルートです。各都道府県で不足分が生じてきたときに、国備蓄分を都道府県へ補充していくという形になっています。
 13ページの(検討事項1)が議論をいただきたい内容ですが、現在45%と備蓄目標になっていることなどにつきまして、見直し意見書の内容でよろしいかというのが1点です。それから、現在の目標量を設定した当時と比べて、メーカー・卸売業者の保有量が増加しているということを踏まえて、備蓄量をどう考えていくかということがもう1点です。最後は、タミフルの備蓄割合が高いということですので、今後追加備蓄する際には、他の薬剤の備蓄量を増やしてはどうかということです。
 なお、関連しまして、別添1の朝野委員の意見書ですが、検討事項(1)としては「新型インフルエンザは国民に免疫がなく、国民の20〜25%が罹患すると予想されていることから、流通分を含めて国民の50%分の備蓄が妥当」という御意見です。
 検討事項(2)は、予防投与です。まず15ページにガイドラインの現状の記載です。予防投与に関しては患者の同居者、それから同居者を除く患者との濃厚接触者など、それから医療従事者等・水際対策関係者、地域封じ込め実施地域の住民の場合が考えられています。ガイドラインの見直し意見書では、現状のガイドラインに準じる、予防投与に関しては原則、地域感染期までという御意見と、国・都道府県が備蓄している薬剤を「予防投与で使う」ということを明記するなどの御意見をいただいております。
 16ページは平成23年に見直された行動計画どの段階で、予防投与をしていくかという模式図です。これに関して別添1の朝野委員意見書では、「予防投薬の対象者も流行時期に応じて制限的に用いるべきだ」という御意見です。また、まん延期は基本的には使わないということで、「まん延期には予防投薬は中止あるいは表記を点線にすべき」という御意見です。これは、16ページの図の一番下の両矢印の国内感染期にかかる部分について点線に変更、つまり原則、予防投与は行わないという形で表記してはどうかという御意見です。以上を踏まえた検討事項としては、予防投与に関しては現行のガイドラインどおりで良いかということと、地域感染期までは予防投与はするが、そこまでとすることと、用いる薬剤については行政備蓄分を使うということを明記してはどうかというものです。
 関連して、参考資料3は、抗インフルエンザ薬の予防投与の考え方等に関して、2009年の新型インフルエンザ発生時に、インフルエンザ対策本部名で出した事務連絡です。内容は精査をする必要があると思いますが、何らかの形で取り扱いを示していくということを考えております。
 次に、18ページの「流行期の処方薬の取扱い」です。行動計画では、在宅で療養する患者に対して、ファクシミリ処方をするということを記載しております。ガイドラインでも同様の話が出てきております。見直し意見書では(表5)のとおり、地域感染期以降では、病原性不明又は病原性が高い場合に関しては、電話再診患者のファクシミリ処方とし、「病原性が低い場合であっても、必要に応じてファクシミリ処方をしてはどうか」という御意見をいただいております。
 関連資料して、参考資料4は、2009年に出したファクシミリ処方等の取扱いに関しての事務連絡と質疑応答集であすが、今後、こうした資料を参考とうしながら、取扱いをガイドラインに書いてはどうかということを考えております。また、別添1の朝野委員の意見書では、「ファクシミリ処方に関しては毒力によります。社会機能がかなり制限される状況においてはありうると考えている」ということです。また「電話で診断するというのはかなり難しいのではないか」、「インフルエンザと慢性疾患という場合には、異なる基準を設けて取扱いを考えてはどうか」という御意見をいただいています。以上が抗インフルエンザウイルス薬に関係する資料です。
○岡部分科会長 大きく分けると3つあるので、最初が備蓄・放出、次が予防・投薬と処方になります。1つずつで何か御意見がありましたらお願いします。最初の備蓄量と放出に関して。検討事項として述べられ、事務局から提出されているのがスライド13に3点書いてあります。これを中心にして御意見があればおっしゃっていただければと思います。1点、私から確認ですが、タミフルは大人のカプセルでの換算であって、小児のドライシロップはこの中には入れていないというのが以前の議論だったと思いますが、そのままですね。
○佐々木室長 はい、そのとおりです。
○坂元委員 この備蓄について、前回の2009年の流行時にたぶん厚生労働省の方はご存じだと思いますが、都道府県以外の市町村がタミフルなどを結構独自で購入し、備蓄騒ぎのようなものが若干あったと思います。厚生労働省から、市町村がそういうことはしないようにという通知がきた記憶があります。市町村の中には備蓄といっても管理薬剤師の問題などがあっても、やはり海外で発生したとなると、議会等から独自に備蓄するべきだなどいろいろ言われてしまうと、買わざるを得なくなるということで、問屋さんも困ってしまった事態もありました。やはりその辺は、また同じことが起こるのではないかということもあるので、事前の徹底をお願いしたいということです。
○岡部分科会長 では、そこのところは事務局でお願いします。
○田代委員 備蓄の目的ですが、私が理解しているのは、基本的には予防投与が中心だと思いますが、現時点でもそうなのでしょうか。
○佐々木室長 先ほど資料にも示しましたとおり、2つ目的があります。抗インフルエンザウイルス薬は通常、市場で流通しているわけですが、その使用量が非常に増えてきた場合、都道府県の備蓄分を卸売業者に供給することとなっています。国は、都道府県備蓄薬の不測が見込まれる場合に供給することとなっていますもう1つが、先生が御指摘のとおりの予防投与です。
○岡部分科会長 ただし、予防のタイミングは非常に限定的であるというのがあったと思うので、その点もノートしておいたほうがいいと思います。
○小森委員 タミフルとザナミビルについての比率は、やはりタミフルに偏っているのは間違いがないと思います。いろいろ予算等の問題があると思いますが、やはりザナミビルの量を比率については、あくまでこれは科学的な見地ということが必要だと思いますので、その上でザナミビルの備蓄を増やすことについては、検討する必要があるだろうと思います。
○岡部分科会長 たぶん今後は使い勝手の良さ、あるいは市場というか実際の臨床現場でどのように使われて、どれがいちばん使い易いかというようなことが参考になってくると思うので、これはあくまでも現時点のことで、今後は臨床でのニーズを踏まえてという形にしていただければと思いますが、よろしいでしょうか。
○永井委員 私が分からないところですが、8ページのスライドでは、国内の保有量と備蓄が45%を目標として、ほぼ2010年3月末に達していて、そのほかにも業者等々の保有による流通量があって、トータルとして人口の65%に見合うだけのものがあるということですね。そうすると朝野委員の別添に記載があるように、国民の20〜25%ぐらいが罹患すると予測すると、その分ぐらいが今、流通量として業者等々にあるとすれば、実際の備蓄の45%分は先ほど田代委員がおっしゃったように、予防のところに全部回せる感じの数字になるような気がするのですが、その辺りはいかがなのですか。
○佐々木室長 45%という目標は、新型インフルエンザに罹患した患者の治療のほか、予防投与での使用、重症な方に対する倍量投与などにも対応していくという考え方で決定されております。御指摘のとおり予防投与は含まれていると理解しております。
○岡部分科会長 それでは、一応今の議論を伺っておいて、時間的なこともあり、次に、放出方法は今のでよろしいでしょうか。これについては異論はなさそうです。
○田代委員 先ほどのお話では、8ページで毎年期限が切れて廃棄していかなければいけないということになるわけです。それは全く使われない、市場にも出ていかないと。これは全く無駄だと私は思います。ほかの国では、期限が切れたものについては、メーカーに1回それを戻して、もう1回製剤化してカプセルを詰め直して、備蓄用に回すなど。それから市場で流通している分を新たに買い上げて、国家備蓄している。期限が既に経ったものについて市場に出していくなど。そういういろいろなやり方を取っている国があるわけです。日本ではそういうことを検討することはできないのでしょうか。
○佐々木室長 公式、非公式の情報の部分もありますので、必ずしも確認できたものばかりでないのですが、今お話のあった原末で購入することについては、メーカーからは、原末を製剤化する施設が国内にないということもあり、現時点では困難という回答です。ほかにもさまざまな諸外国の取組み等がありましたら、我々も調べて研究はしてまいりたいと思っております。
○岡部分科会長 保存期間についても更に研究が進むと、もう少し長くなるかもしれないということです。これも現時点でというところだと思います。もう1つのテーマについても御意見をいただきたいのですが、予防投与についてです。
○田代委員 今の佐々木さんの回答には十分満足しておりません。諸外国を見ながら検討するというのですが、これは積極的に備蓄について無駄使いをしないようなことを進めると、そういうようなことをきちっとこの会で提言してもらいたいと思います。
○岡部分科会長 ほかの委員はいかがですか。ではそこは記入として、できるだけ効率よく使えるように、更に調査・研究を進めるというようなことをできるだけ積極的にやっていただきたいというのが、委員会の注文であるということでよろしいでしょうか。それでは先ほど田代委員から予防投与が目的でもあるというお話がありましたが、予防投与は原則としては地域感染期に至るまでであって、これには備蓄分が使えるというような意見になっていますが、いかがでしょうか。
○坂元委員 予防投与に関しては前回の2009年のときに、医療機関に定期的にかかられている方は、その医療機関で投与ということも可能なのですが、ここに書かれている一般住民の方などは誰の権限で、誰の指示で予防投与するかは、前回もかなり問題になりました。結局は保健所長の判断で「投与してもいい」ということもありました。その辺のところがしっかりしていいないと、例えば妊娠している方が濃厚接触者になった場合とか、ほかに基礎疾患があった場合とか、誰の判断でその人に投与するのか、前回かなりいろいろ議論になりました。何となく最終的にはあいまいになってしまって、もう仕方ないから保健所長の権限でということで投与した場合もあります。自治体によってはこのようにいろいろなことが起こったので、その辺、誰がどういう権限で予防投与を行うのかということをやはり自治体側としてははっきりさせていただきたいというお願いです。
○佐々木室長 今の御指摘ですが、基本的には公衆衛生的な対応ということであれば、医師である保健所長の判断の下で投与されることを想定しておりますが、今、御指摘があったような例えば妊婦さんの取扱い、持病をお持ちの方などについてガイドライン等にどう書くかは、十分検討が必要だと思っております。
○庵原委員 この予防投与はあくまでも濃厚接触者が対象ですよね。そうすると、その方は何らかの基礎疾患がある、ないしは妊娠しているということで、掛りつけ医がいるわけです。そうすると、掛りつけ医が処方するのが、現在の日本の医療体制に合っているのではないかと思います。やみくもに予防投与するわけではないわけですね。何らかの濃厚接触者で、かかると重くなる人があくまでも対象であるという発想ならば、掛りつけ医で問題はないと思います。
○岡部分科会長 私も確認をしたかったのですが、予防投与を濃厚接触者に対してこのガイドラインでやると。仮に公衆衛生的なもので保健所長さんがそれを判断したときに、しかし実際にやるのは医師の裁量権が上位になるという考え方でよろしいですか。
○佐々木室長 新型インフルエンザの場合に、そういうケースがどの程度あるかですが、特措法自体は新型インフルエンザ等対策として、地域封じ込めが必要な場合もあります。そういう場合は公衆衛生的な対応ということで、行政が前面に出る場合もあると思いますが、抗インフルエンザウイルス薬投与に関しては、かかりつけ医の判断が必要な場合がありますので、ガイドライン等の記載は工夫してまいりたいと思っております。
○坂元委員 濃厚接触者は前回の場合、海外から帰ってきた方の御家族などいろいろなパターンがあって、必ずしも基礎疾患だけではなく、特に妊産婦の場合に問題になったのは、妊産婦のかかりつけの産婦人科がインフルエンザの濃厚接触者を診ないということで、電話連絡等々でお願いしても電話で連絡されても判断できないなどと言われた場合もあります。自治体にとっては実際にそういう事態が起ってしまったので、やはりそこはしっかりと考えておかないといろいろな問題が起きるだろうということです。またここに地域住民の封じ込めの際に予防投与をするという項目もあるので、その場合の投与する権限等はやはり明確にさせていただきたいと思います。
○佐々木委員 権限については坂元委員と同じ意見ですが、前回の場合は予防投与は薬を使える、その薬が赤タミフル、備蓄のものということだったので、要するに公務員というか、県職員がそれを管理しながら予防投与をしたということがあります。だから保健所長がやったのですが、患者さん、例えば妊婦さんの扱いについては、その主治医と相談しながらやっていますので、どこまで保健所長が責任を持てるかはあれですが、大規模ではありませんので、今のやり方でもそれほど困ることはないだろうと思います。
○岡部分科会長 今の佐々木委員のご発言がいちばんのまとめだと思うので、よろしくお願いします。それから地域封じ込めのことがここには出ていますが、これは委員会でも地域封じ込めは非常に限定的な状況においてのことで、普遍的に地域封じ込めを例えば東京都内でやるなどということではないということも確認しておきたいと思います。よろしいですか。
○庵原委員 予防投与は投与期間の問題があると思います。2009年のパンデミックのときに基礎疾患があるからといって、やみくもに1カ月、2カ月と予防投与したら耐性ウイルスが出てきたという報告がありますので、これはあくまでも接触があってその潜伏期間を過ぎるまでなど、何かそういう形で決めておかないと、やみくもに長く使うというのは問題であると思います。その辺の検討が必要かと思います。
○岡部分科会長 よろしいですか。川名委員、これで最後にしたいと思います。
○川名委員 予防投与ですが、例えば病院で患者さんが1人入院してくると、例えば同室の人、あるいはワンフロアーの方に予防内服をさせようかどうかという問題があると思います。そういうものがこの予防内服の中に含まれているのでしょうか。それだけを確認しさせていただきたいと思います。
○佐々木室長 そのようなケースは医療機関の院内感染対策としての取組みという観点と思いますので、行政備蓄の薬剤を用いる予防投与の対象ではないと思っております。
○岡部分科会長 赤タミフルを使うわけではないということになりますね。
○佐々木室長 そういうことです。
○岡部分科会長 よろしいですか。
○川名委員 と言いますのは2009年のパンデミックの後に、いくつかの比較的大きな病院に対してアンケート調査を行いましたが、多くの病院は病院で独自備蓄をしているのです。それは恐らく病院の中での感染対策を押えたりする目的でだと思うのですが、そうすると、今後もある一定量病院、医療機関で独自備蓄をする必要があると考えるべきかなのかどうかです。
○佐々木室長 国と都道府県で行政備蓄しております薬剤は、流通状況を見ながら市場に供給していくことになっています。医療機関が保険診療であれ、院内感染対策であれ、市場で購入される薬剤は、最終的には、行政備蓄で補填されてきますので、医療機関が独自に備蓄をされることを国として積極的に推奨することは考えておりません。
○岡部分科会長 ではもう1つのファックス処方、これもかなり臨床現場に近い話なので、御意見をいただければと思います。
○坂元委員 参考資料4、医師が患者さんと同意した旨をカルテに記載してということで、前回も確認しましたが、いわゆるカルテに記載することはいつの時点からの同意が有効かということです。海外発生の時点なのか、国内で1例が出た時点なのか。これは地域の医師からかなり問合せがきました。平常時のうちから掛りつけの患者さんはカルテに書いてしまえば有効なのですかという問合せが我々自治体に寄せられます。この辺りをしっかり明記をお願いしたいと思います。
○佐々木室長 かりつけ医と患者さんとの関係の問題ですので、一概には言えないですが、直近に診察を受けられて、ある程度、今の御様子が分かっているという前提でのファックス処方だと思います。極端な話かもしれませんが1年、半年という場合は、さすがに現状ではないと思います。一概に言えない面もありますが、あまり時間があいているということは、該当しないと理解しています。
○櫻井委員 すみません、今の基準になっていないのではないかと思います。気持はよく分かりましたが、どういう基準になるのですか。
○佐々木室長 厳密にある程度何日ぐらいというのは、患者さんと診療する医師との関係なので、専門的な観点で例えば1週間ならフォローできる、1カ月ならフォローできるということがあれば、御提言をいただきたいと思っております。
○小森委員 御意見はごもっともだと思います。朝野委員の意見も性善説に基づいているのでハードルをというお話がありましたが、いずれにしてもお一方、お一方との関係というのはこれが極めて基本的な問題であり、やはりその間ある程度診療が途絶えていても、その方とはやはり多くの医療機関の医師は10年、20年、30年というお付合いをしてきているわけですので、このことにあまり限定的な縛りをかけてしまうと、現実の体制が動かないことがありますので、性善説に基づいているかどうかということではなく、ある程度緩くしておいていただかないと、結果として患者さんがお困りになるということです。あまり限定的な縛りを付けすぎるということはやはり少し問題だと思っています。
○永井委員 病院団体としては先ほどの小森委員の意見も分かるのですが、やはり長期投与には1カ月投与、半年投与などいろいろあるわけです。では90日分投与している慢性疾患の患者さんが本当にインフルエンザにかかって何か急変するとか、悪くなることがあった場合も病院が対応すべきかどうかという問題は少しあるので、やはり病院に対しては1カ月ぐらいのところで押えていたほうが良いのではと思います。やはり1カ月ぐらいの間隔で受診されて、患者さんを診て、それで薬を出すという患者さんに関しては、きちんとしたこういうことはあり得るだろうと思います。3カ月ごと、半年ごとに来るような患者さんにファックスで処方できるかと言ったら、それは少し現実と違うのではないかなと思います。
○小森委員 永井委員の御指摘はごもっともです。したがって、それは医師として患者さん、御一家を診ていっているという過程の中で、それは医師が適切に判断するということです。つまり3カ月だと駄目だ、1カ月以内でないと駄目だという規定を設ける必要はないということです。
○永井委員 それは理解しております。
○岡部分科会長 基本的にはこれはよく分かっている患者さんに対して処方ができるということであって、初めて来た方とか、もう1年も来なくて薬だけという方はやはり勘弁していただきたいというお考えではないかと思いますが。あまり限定的にやると小森先生がおっしゃったような問題も出てきます。解釈の問題も出てきますが、その辺をきちっと目的はこういうことですとガイドラインの中に入れるか、あるいは説明としてそういうことをやるかというようにしておいていただければと思います。
○坂元委員 この問合せのなかでは、電話での同意でもいいのですか、という問合せが結構きたのです。今の小森先生のお話の患者さんとの付合いが大事という観点からすると、電話でのやり取りでの同意もありということなのですね。
○佐々木室長 そこは具体的にどういうケースかにもよると思いますので、2009年のときの状況も参考にしつつ、ガイドライン等の中に、可能な限り、反映をしていきたいとは考えています。
○櫻井委員 私、お医者さんでないのですが、やはり医者と患者の関係が優れて個人的な信頼関係のもとに成り立っているという中で、医療が提供されるのは当然、大前提なのです。ただ、行政として参考資料4もそうですが、厚生労働省の事務局から各都道府県あるいは保健所設置市等についての担当部局の長に対して、こういう文書を出して、行政としてどういう仕切りをしていくのかという観点で考える必要もあります。そこは早すぎる場合と遅すぎる場合と個別の案件では出てくるのは当然です。それを含んだ上で、目安としてこのぐらいのものがあるというように示していただいたほうがよろしいのではないか。普通の行政のやり方として洗練されているのではないかと思いますが。
○岡部分科会長 では、最終ガイドラインを書くときにそこを配慮しながら提示していただくということにします。最後に総合討論も時間があるので、一応この場はこれにして、次のテーマに移ります。次はワクチンですが、まずは資料の説明をお願いします。
○佐々木室長 では、資料2を用いまして御説明をさせていただきます。まず、特定接種の登録方法、接種体制です。
 特定接種に関しましては、新型インフルエンザ等対策有識者会議で2つの分科会である社会機能に関する分科会との医療・公衆衛生に関する分科会で議論していただいております。どなたが対象になるとか、その優先順位に関しましては社会機能に関する分科会で御議論いただいておりますので、本日は、登録に係る手続、その体制というところを御議論いただきたい、というのが1ページ目です。
 2ページ目ですが、特定接種は、登録事業者の従業員等と国家公務員に関しては厚生労働大臣が実施をして、都道府県の職員、市町村の職員は知事、市町村長が実施をするということとなっております。
 まず1点目の登録方法に関してですが、4ページをお願いいたします。今回議論していただく必要があるのが、特定接種の登録方法と、登録事業者において、医療提供および社会機能維持業務に従事する者の基準が告示事項です。計画とガイドラインの中にも特措法に基づく特定接種というに対応した見直しをする必要があるということになっています。
 5ページが有識者会議の社会機能に関する分科会で既に出ている資料です。一部手を入れさせていただいておりますが、ステップ?、登録事業者として必要な特性を満たしているかどうかでの絞込みついては行動計画に記載しまして、ステップ?、従事者レベルの絞込みかということは厚生労働大臣告示で出すと、このような関係になっております。
 6ページ、7ページが御議論いただきたい事項です。まず1つ目、論点1「特定接種にかかる登録の周知についての方法」です。まずは厚生労働大臣から業種別の所管行政機関、例えば、右下※にありますが、電力会社であれば国(経済産業省)と、病院であれば各都道府県、介護事業所であれば各市町村など、その事業者に許認可を与えている官公署を指します。どういうものが対象になるかは今、社会機能分科会で議論中ですが、決まりましたら、関係する官公署から登録の候補となる事業者の長に、まず意向を確認し、その後、事業者から意思回答を受け、登録申請依頼をするという手順が、周知と考えておりますが、こういった手順でよろしいかどうかということです。
 次に7ページが、検討事項2「登録の手続」です。登録は、先ほどご説明した周知をしていただいた業種別の所管行政機関を経由して厚生労働大臣に申請をしていただき、その内容の適格性について、各所管行政機関に御協力いただいて最終的に登録し、厚生労働大臣から事業者の長に完了通知するということを考えておりますです。このような形で進めさせていただいてよろしいかということです。
 8ページからですが、「接種体制」です。接種体制に関しては、政省令・告示事項はありません。計画とガイドライン事項です。ガイドラインの見直し意見書の内容は、10〜12ページです。
 まず、10ページの未発生期の準備ですが、都道府県が実施主体として実施する例ではありますが、市町村と協力して接種体制を構築し、事業所において接種する場合は、接種を実施する医療機関と事前に協定を結んでおく等のご意見をいただいております。
 11ページは、都道府県が直接接種体制を構築する場合ですが、対象者を名簿で確認するとか、接種券を配るなど様々御意見をいただいています。
 12ページ事業者ごとに接種体制を確保する場合です。論点3としましては、この意見書も参考としながら、特措法で定められた実施主体を踏まえて、特定接種についてガイドラインに記載をする。
 また、13ページに特措法第28条が記載されておりますが、厚生労働大臣は、事業者等に対して報告を求めることができるでありますとか、接種の実施に関して、都道府県知事、市町村長及び各省各庁の長に対して、必要な協力を求めることができるという規定がございます。また、正当な理由がない限り、協力を拒んではならないという規定もあります。接種の実施に当たっては、都道府県、市町村、各省各庁の協力はいただく必要がありますので、その協力についても計画・ガイドライン等に記載させていただきたい、ということです。以上が特定接種に関しまして御議論いただきたい事項です。よろしくお願いいたします。
○岡部分科会長 ありがとうございます。それでは、今の点について御意見があればよろしくお願いします、ここは主に手続論であるという御説明をいただきましたが。
○坂元委員 いわゆる登録事業者の業務に関して、これはたぶん都道府県、市町村ではかなりの事務量が発生することになることがまず第1点です。それから、都道府県が分担する業者はどこで、市町村がどの業者かという、たぶんこういう問題も実際に現場ではかなり起きてくるということです。この登録事務に関しては、自治体に対しては依頼なのか、それともいわゆる別の法的な委任事務なのか、その辺がはっきりしないと、これはかなりの事務量が発生するので、我々としても、財政当局に人員要求等々をするときに、やはりある一定の根拠がないとそういう人員要求ができないので、その辺の見解をお伺いしたいと思います。
○佐々木室長 これは13ページの説明で触れさせていただきましたが、第28条の中で、厚生労働大臣は、労務、施設の確保等、必要な協力を都道府県知事、市町村長等に求めることができることになっておりまして、正当な理由がない限り、協力を拒んではならないという規定になっておりますので、これを根拠にご協力をいただくということと理解しています。
○坂元委員 協力をしないということではなくて、当然、市町村等の財政基盤は非常にさまざまなので、やはり指示という背景には財政支援という問題も出てくると思います。当然、豊かな自治体ばかりではないので。その辺の御配慮がないと、指示と言われても、自治体側は「そうですか」と言うわけにはいかない部分もあるので、よろしくお願いしたいと思います。
○岡部分科会長 事務局、今のはよろしいですか。
○佐々木室長 事務に関して、御協力いただくということなので、人件費等の補助は来年度の予算で要求をしているところです。
○岡部分科会長 そのほかに御意見はありますでしょうか。
○田代委員 特定接種の対象者の数は大体どのぐらいを想定しているのですか。これにはワクチンの製造供給量がかかわってくると思うのですが。
○杉本参事官 内閣官房の杉本です。現在、社会機能分科会において御議論がなされておりまして、今、特段どれぐらいという数が具体的なイメージを持って出てきているわけではありません。今後、引き続き御検討いただくというところです。
○岡部分科会長 ほかにはいかがでしょうか。それでは、登録方法、接種体制については今の御意見を基にして、またこれも報告書の中に加えるというようにお願いします。それから、生産量や何かももう1つのほうの議論でだんだん固まってくるでしょうから、それも分かり次第、早めに教えていただくというようなことにお願いしたいと思います。
 それでは、実際に生じたときの「パンデミックワクチンの接種順位の考え方等について」に入っていきたいと思います。では事務局からお願いします。
○佐々木室長 では資料3と、別添2ということで河岡委員の意見書、参考資料6、7を用いまして御説明をさせていただきます。
 まず資料3です。パンデミックワクチンの接種順位の考え方等です。これは、政省令・告示事項ではありませんで、計画とガイドライン事項です。
 2ページからですが、これは先ほど御説明したものと重複しておりますので割愛させていただきますが、第28条に特定接種、第46条に住民に対する予防接種ということで規定されているというところです。この実施主体は、特定接種は先ほど御説明しましたが、第46条の予防接種に関しては実施主体が市町村となっております。それを模式化したものが3ページです。
 4〜5ページは参考です。特定接種と住民に対する接種の判断に関しましては、政府対策本部長は、これは内閣総理大臣ですが、その実施の可否を検討することになっております。厚生労働大臣が新型インフルエンザの発生を公表し、政府対策本部が設置され、緊急事態宣言が行われる前から実施される場合がある。これが特定接種です。
 住民に対する接種に関しましては、緊急事態宣言が行われている場合と行われていない場合で取扱いが異なります。行われている場合については、特別措置法第46条の接種になりますし、緊急事態宣言が行われていないような場合に関しては、予防接種法の新臨時の接種になります。この各々の接種に関しての根拠と考え方、実施主体、費用等に関しては5ページにまとめております。
 更に、6ページですが、これは特別措置法に基づく費用負担です。住民に対する予防接種については市町村が実施主体ですが、費用負担は、国2分の1、都道府県4分の1、市町村4分の1です。特定接種に関しては、実施主体が負担をするというようになっております。あとは、嵩上げ規定というのが法律にあります。大規模災害と類似しているという観点で、地方団体の財政力に応じて嵩上げを行う規定を特措法上、設けております。
 パンデミックワクチンの先行接種に関しまして、見直し意見書にもさまざま意見をいただいています。7ページ以降です。まず、7ページで議論いただきたいことが1点あります。見直し意見書はあくまでも特措法成立前の内容ですので、これを全てそのまま引用できるかどうかという面もありますが、専門家会議でいろいろと御議論いただいたものであります。論点(1)としまして、住民に先行して接種する先行接種対象者の考え方です。病原性が低い場合に行われる可能性のある予防接種法第6条第3項の新臨時の予防接種に関しましては、見直し意見書にありますとおり、直接診療に従事する医療従事者から順に接種するという考え方でよろしいかどうかです。
 なお、特定接種対象者の考え方については社会機能分科会において別途議論されることになっております。
 8〜9ページですが、先行接種者以外の優先接種の考え方です。これも意見書でにいろいろと御提言いただいております。医学的ハイリスク者、小児、成人・若年者、高齢者の4群に分類し、政府対策本部が接種順位を決定することになっておりますが、更に9ページにはさまざまな観点からの場合分けの例が示されております。重症化、死亡を可能な限り抑えることに重点を置いた場合や、我が国の将来を守るということに重点を置いた場合などです。論点(2)としましては、優先接種の考え方についてこの意見書の内容でよろしいかどうかということです。
 これに関連して別添2ですが、河岡委員から御意見をいただいております。パンデミックワクチンの接種順位の考え方等についてですが、パンデミック発生時にどのようなパンデミックか判断するのに時間がかかるということで、接種順位を決定する情報を得るのはある程度時間が必要ということです。それから、接種順位については年齢によるワクチンの効果の違いも考慮する必要があるという御意見をいただいております。
 10ページ以降が、2009年の新型インフルエンザ発生時の優先接種の対象となる基礎疾患の決め方、それから実際に対象となった方は約5,400万人だったわけですが、その分類です。12ページは、実際にどういうスケジュールで進めていったかということを参考までにお付けしております。また、2009年のワクチン接種について厚生労働省としての考え方を示したものが参考資料6で、都道府県等に対して通知した2009年のワクチン接種の実施要領が参考資料7です。
 13ページからが決定方法です。これは、政省令・告示事項ではありませんが、行動計画・ガイドライン事項です。
 14〜16ページは、2009年に接種順位をどのような手順で決めていったかという参考資料です。16ページは、専門家と意見交換のスケジュールです。
 17〜18ページは、現在の特措法の中での専門家に意見を聴く場合の体制図です。現在開催しております医療・公衆衛生分科会、社会機能分科会、有識者会議はインフルエンザ等が発生していない平時に、ご議論いただくわけですが、実際に基本方針を決め、接種順位を決めていく場合には「基本的対処方針等諮問委員会」で考えていくことになっています。具体的にメンバーは18ページのとおり既に決まっています。
 論点(3)です。ワクチンの接種順位等の決定方法に関して特措法で専門家として御意見を聴くことになっております基本的対処方針等諮問委員会に諮った上でその接種順位を決めていく、これは行動計画に明示させていただく、このようなことでどうかというのが3点目です。以上です。よろしくお願いいたします。
○岡部分科会長 ありがとうございました。ただ今の接種順位の考え方についてですが、これも御意見はいろいろあると思いますので、よろしくお願いします。
○坂元委員 いくつかあるのですが、まずその費用の観点。予防接種部会等でも、予防接種の費用についての財源のあり方は自治体からかなりいろいろ意見が出されているところで、たとえ都道府県と市町村がそれぞれ4分の1といっても全住民となれば、単価がいくらかということが現在分からないので何とも言えないのですが、恐らく相当の負担が自治体に来て、財政基盤の弱い自治体にとっては相当苦しいのではないかということです。この辺がまたかなり自治体から不満や意見が出るところではないかということで、その辺の御配慮をお願いしたいということです。
○岡部分科会長 これは事務局から。
○佐々木室長 資料の6ページに付けておりますとおり、負担の嵩上げの規定が特措法上用意されております。
○坂元委員 あと、この緊急事態宣言が行われている場合と行われていない場合でその法背景が違うのです。例えば予防接種法第6条といった場合、これは自治体事務になるのかなと思いますが、そうなると、いわゆるその接種単価です。やはり自治体にあるのは単価を国が一律に決めていただきたいというようなものです。それで、できれば負担の少ない価格で全国で統一単価でやっていただければ自治体の財政的な負担も少なくて済むという意見が自治体から結構ありますので、その辺も御考慮いただければと思います。
○佐々木室長 新臨時で実施することになりますと、接種医師の確保等接種体制が、各地域での医療状況を踏まえる必要もあり、一律に調整するのが難しいというところもあります。また、正確には確認しなければいけませんが、公正取引関係の課題もあるというようなことも聞いております。今日いろいろなことを御指摘いただいた点も含めまして、また整理して回答させていただきたいと思います。
○岡部分科会長 2009年のパンデミックのときに、ガイドラインはあるけれども実際に具体的なところが示されていなかったというのが金澤先生がまとめた総括委員会にもありますので、今のようなことをここの議論ではなくてやはり自治体、特に実施主体の自治体と国と、実際にやるときのことをだいぶ詰めておいていただけると、現場がそれだけ混乱も少ないと思うのです。
 私のほうからの質問で申し訳ないのですが。一度特措法が動いて進み出すけれども状況に応じて特措法ではなくなると、これを下ろすというような状態も考えられるわけですね。病原性が途中で分かってきて、思ったよりも重症者が少ないとか、そういった場合にこういった予防接種を2つの法律でいくことになってしまうので、その仕組みも元に戻すということですね。参事官、お願いします。
○杉本参事官 実際の運用において緊急事態宣言をいたしまして、第46条の住民接種を開始する。当然、それ相当の期間はかかろうかと思っているのですが、その間に、どうも病原性が弱いみたいだ、と途中で分かってしまったと。その場合にはどうなるのかということかと思います。その時点でいきなり「もう46条、これ、有効切れです」と言うのはかなり混乱を招くことになるであろうと思っておりまして、混乱を招かないようにする、接種を希望していた人たちがきちんと接種をされるということを第一義にして全体を対策本部で考えるのではないかと。当然、実施主体、市町村も絡んでまいりますので全体で考えていく、そのように思っております。
○岡部分科会長 この間のパンデミックの反省点は、たまたま思ったよりも軽かったというところで、対策の方が強すぎてしまった、しかしそこでギアチェンジがうまくいかなかった、ということでっす。しかし、逆の場合もあり得るわけで、思ったより軽いと言ってスタートしたけれども更に重いのではないかというようなときに、やはりその切替えをきちんとやっていただきたいというのが今までの委員会、あるいは総括委員会での検討事項だったと思うので、その辺も、予防接種を実際にやるとき、あるいは予防投与の実施のやり方について十分考慮していただきたいと思います。
○坂元委員 ここの4ページに「政府対策本部が、基本的対処方針を変更し、住民に対する予防接種の対象者及び期間を決定」とあります。例えば川崎市の場合143万人、お隣の横浜市は360万人ということで、途中で対処方針の中で対象者や期間をポッと突然勝手に決められても、全住民に実施するとなると、そんな簡単なものではないということです。平常時から十分にシミュレーションを考え、医師会の先生方とも相談して医師等の動員計画等を作らなければいけないので、やはりこれはかなり以前から準備しないと、現実に全住民の接種ということは、私は不可能ではないかと思います。直前に基本方針を作って、「さあ、やってください」と自治体に言われても、そんな簡単にはできないと思います。
○岡部分科会長 ほかに御意見はありますでしょうか。
○田代委員 これは、前の意見書を作るときにさんざんいろいろな意見が出ました、今、坂元先生が言われたようなことでいっぱい、それ以外にもさまざまな意見があったのです。これは2つの理由で全部どこにも最終的には記載されていなかったと思います。1つは時間切れであると。昨年の12月までぐらいに、何しろまとめてくれということが1つ。もう1つは、現行法で対処できる範囲で考えて、それを超えるようなさまざまな提言があったわけですが、それは全部削られました。そういう前回の検討の内容をもう1回きちんと吟味していただいて、どこに問題があったのかということをはっきりさせてもらわないと、あの議論は無駄になってしまったと私は思います。同じことをこれから繰り返す時間もありませんし、そこは是非検討していただきたいと思います。
 その中で1つ今思い出すのが、都道府県を超えて接種をする、そういう希望者が出てくるわけですね。住民台帳で決めますと、例えば、昼間、どこかの学校に行っているとか、さまざまな問題があって、それを全国一律、どこでも同じ条件で受けられるようにしてほしいと、それができないなら法律を変えろと、そういう提言をしました。
○佐々木室長 実際にどうやって体制を組んで接種していくかなどについては、次回以降に資料を用意して御議論していただく予定にしております。
○岡部分科会長 では、そのことはまだもう1回議論する時間があるということですね。
○佐々木委員 私もずっと知らなかったのですが、予防接種法第3条、要するに、市町村長は予防接種をするときに保健所長の指示を受けてやらなければいけないということがあるのですよね。それについて、特措法の場合にはあまり関係がなくなるわけですかね。
○杉本参事官 特措法第46条における住民に対する予防接種は、基本的には予防接種法第6条1項のスキームを使いながら、ただ、特措法によって特殊にスキームを変更した部分があります。まず、やるかどうかの判断を政府対策本部長が決めるということ。これは、特措法によってその目的に応じて追加をした部分です。あとは基本的には第6条1項の臨時接種の枠組みを使っていく、こういう考えです。
○佐々木委員 そうすると、保健所長が一応指示をしなければいけないという第3条を適用されるということになりますか。
○杉本参事官 保健所長につきましては、法制的には何ら関与はないのではないかと思っております。特措法では住民接種法の第3条については意識をしておりません。特段、引っ張るスキームにはしておりません。
○櫻井委員 全体の文脈みたいなところを確認させていただきたいのです。7ページでは先行接種の話が出てきて、9ページにいきますと優先接種の話になっていて、時間的な前後関係の話と優先の関係は論理的には違うのかもしれませんが少し混じっていますので、これは優先の中に入ってくるのかなという気もしますが。それが1点確認です。
 それから9ページの四角の中で、結局、(a)(b)(c)という考え方があって、こうした考え方を踏まえるというのがいちばん上に書いてあるのです。ということは、3つの説を併記するということでしょうか。とすると、それはこういう考え方があり得るということだけを決めるという、それだけのこと。では、いつチョイスするのかということがよく見えないのです。
 もう1点は、もともとの基本方針を決めるときにはどのぐらい具体的にその病状が、あるいはそのウイルスの性質が分かっている段階でどのぐらいの、タイミングの問題だと思うのですが、想定してあらかじめ決めているのかというところ。それから、今度は19ページになっていますが、実際に住民に対して接種をするときにその基本方針を変更するという議論が出てくるので、時間的なスケジュール感というか、緊急の度合いが何となくのんびりしているような感じもしてイメージが取りにくいので、全体の流れを説明していただけるとありがたいのです。
○佐々木室長 まず1点目です。今回の資料に「先行接種」と「優先接種」という言葉が出てくるので分かりにくいところがあるのですが、特措法のいわゆる先行接種である特定接種の対象者については、今社会機能分科会で議論されております。7ページで提示させていただいた論点は、特措法のということではなく、病原性が低い場合のことを考えています。2009年の新型インフルエンザの際も同様なのですが、患者さんを直接診られる医師を含めた医療従事者がまず接種を受けて、そのあとに住民という順番という提言を見直し意見書でいただいておりましたので、「まずはそれでよろしいですか」というのことです。
 また、8〜9ページで「優先」と出てきますのは、住民の中で誰を先に打ちますかという優先順位の話です。
 あと、場合分けだけをガイドラインに書いておいて、いつ判断するのかという点です。これは論点(3)の「決定方法」に関係がありますが、基本的対処方針等諮問委員会で、その時点での最新の知見を踏まえて議論していただいて、優先順位を決めていくことになるということです。
 基本的対処方針の改定につきましては、前回の2009年のときもそうでしたが、ワクチンを作る・作らないとか、プレパンデミックワクチンを使うかどうかというような判断は早期の段階でしていただくことになると理解しております。その時点で知り得る最新の知見を専門家の先生、我々も国際機関等を通じて可能な情報を集めて、それらを踏まえて議論をして、決定していただくということになると思っております。以上です。
○櫻井委員 そうすると、先行接種の話は特措法と関係ない論点が入っているということでよろしいのですよね。それで、優先接種に関しては場合分け自体を行動計画の中に入れておくのですか。
○佐々木室長 ガイドラインの中に書くことになると思っております。
○櫻井委員 ガイドラインのほうですか。
○佐々木室長 はい。
○岡部分科会長 この接種優先順位に関しては、ずっと前の委員会でも議論があって、実際には医学的な観点ではなくて相当社会的な要素で、たとえば若い者を守るのか年寄りを守るのかというようなことがあるので、できたらこういう議論は、社会的なコンセンサスを得るという意味でいろいろな所で議論をしておいて、最終判断はどっちみち決めなくてはいけないところが決めるのでしょうけれども、それに至るまではどこかで議論を続けていただきたいと思うのです。
○櫻井委員 少しずつ議論が見えてくるのですが。そうするとこの優先接種の考え方は、場合分けだとあまり意味がないというのは、今、分科会長がおっしゃったように、結局、哲学的な話が入っていて。要するに、どういうタイプの新型インフルエンザかどうかというところの認定は確かに事態が始まってから検討すべき要素として出てくるので、そこのオプションはあり得るのかと思うのですが、(a)と(b)はやはり質的に違う部分があって、(c)だと混じっているので基準にならないのではないかと思いますが、落としどころはこういうふうになりがちなのだろうなとは想定しますが、それは、とりあえず今回は時間がないのでこのままでいいかという、そういう御提案ですね。
○佐々木室長 今回9ページに提示させていただいておりますのは、健康局長の検討会である専門家会議で一通りご議論をいただいてとりまとめていただいていたものです。本日分科会で改めて、御議論いただいておりますので、現時点でもし付け加えるようなものなどがあればご意見いただきたいと思います。なお、先ほど分科会長からお話がありましたように、引き続き議論が必要ということであれば、まずはこの形で置かせていただいておいて、今後とも議論をしていただくという整理もあるのではないかと理解しております。
○岡部分科会長 以前の専門家会議でこの3つの提案が出てきたときに、これは昔話のようではありますが、専門家はここまで決められるけれどもここの接種順位に関しては決して医学的な話ではないので、今、櫻井委員がおっしゃったような、哲学的というか、倫理的なものが随分入ってくると思うのです。ですからそこが専門家会議、専門家と称する人だけが決定できることではないので、是非ここのところは議論として、どういう方向性にあるかというようなところを、できれば多分野で話していただきたい、というのがそのときの議論だったのです。しかしあまり置きっ放しにはできないと思うのですが、最終決定はどこかでやらなければいけないわけですね。それは対策本部でやるということだと思うのですが。
○坂元委員 論点の住民に先行して接種する者は、私は医療従事者はこれでいいのかなと思います。でないと、その後の住民への予防接種もお願いしにくいと思います。ただ、医療従事者の範囲をどこまで限定するかという問題は別として、これでいいのかなということです。それから、優先順位が実際として非常に問題になるのは、先ほど田代先生もおっしゃったのですが、都市部になると、住民がどこの病院にかかっているか、つまり自治体の範囲を越えてかかっているということは普通です。例えば川崎市の市民が都内の病院にかかっている、東京都民が川崎市内の医療機関にかかっている、つまり移動は自由です。優先順位と同時にやはり自治体間の相互乗入れも考えないといけないのではないかということです。また基礎疾患のある方を体育館に集めて集団接種をやるということはあまり好ましいとは思いません。これは掛りつけの先生のところでやるとかが必要です。そういうこともあるので、接種の優先順位の付け方と全住民に計画的にに接種をやっていくというのは非常に密接にリンクしているので、その辺の御配慮もお願いしたいと思います。
○永井委員 先ほどの議論が少し交錯しているところがあって。私も櫻井委員と同じで、4ページと7ページのところがどうもはっきりしないのです。先行接種というときに、病原性が低いかどうかは最初は分からないわけですよね。分からないときに、分かった段階で医療従事者は先にやってうんぬんというのは分かるのですが。要するに、分からない状況でどう転ぶか分からないというときには、特措法が出ようが出まいが、予防接種法の新臨時接種でやろうがやるまいが、医療従事者を先にやるというのは基本的には何も変わらず、ここの辺りは分けて議論する話ではないような気がするのですが、それはいかがなのですか。
○佐々木室長 見直し意見書をとりまとめていただいた段階では特措法はまだありませんでしたので幅広く、いろいろなケースでも「医療従事者優先」と単純に書いているということだと思います。特措法の特定接種に関しては、社会機能分科会で議論していただいておりますし、本日、社会機能分科会の事務局も参加しておりますので、御指摘も頭に入れながら、計画とかガイドラインの内容をまた御相談したいと思っております。
○岡部分科会長 私の理解しているところでは、これはパンデミックワクチンなので、ある程度その病状等々が分かってきて、なおかつ生産されているワクチンですから、状況は随分分かってきていると思うのです。ただ、その第一波に間に合うかどうかが分からないのと、それから、生産次第順次出てきているので一気に国民1億何千万人分かが全部出来るわけではないから、そうなったときに出来た順でどこから優先的にやっていくかということがいちばん問題になるのではないかと思っているのです。事務局、今の考えはどうですか。
○佐々木室長 そのとおりだと思います。
○岡部分科会長 ほかに御意見は何かありますでしょうか。よろしいですか。それでは、次の議題に移っていきたいと思います。次はインフルエンザワクチン、プレパンデミックワクチンを中心にしたものになると思うのですが、臨床研究、それから事前接種に関する検討のところで、事務局からお願いします。
○佐々木室長 まず、資料4を伊藤先生にお願いして、そのあと、事務局からご説明させていただいてもよろしいでしょうか。
○岡部分科会長 失礼しました。以前にやったスタディその他の説明がありますので、その臨床研究に中心になって携わっていただいた伊藤先生からよろしくお願いします。
○伊藤参考人 国立病院機構本部におります伊藤でございます。主として国立病院機構病院、一部は感染症指定医療機関の皆様方に協力をしていただいて、本日お示しするデータを作ってまいりました。その結果を代表して発表させていただく機会を得ましたことは大変光栄に思っております。平成18年にこのワクチンの開発を始めまして、その当時三重病院の名誉院長であられた神谷先生に開発をお願いし、引き続き小児の治験も併せてやっていただきました。そのあとは、庵原先生に引き継いでいただいて、臨床研究を行っております。日本医師会の治験促進センターのアドバイザーとして、開発当初から関わっておりましたので、両方まとめてということでしたので私が発表させていただいています。
 資料1枚目がワクチン開発の時系列です。平成16年に出てまいりましたベトナム株を用いて、ワクチンの治験が始まりましたのが平成18年です。1年間で治験が終わりまして、翌年には承認されております。その年に、小児に関しての治験が開始をされております。平成20年に持続・交叉免疫性試験など、臨床研究がスタートしております。21年については、例のH1N1のインフルエンザが勃発いたしまして、このときはH1N1対応ワクチンの研究をしておりますのでH5N1ワクチンの研究はしておりません。22年以降は2ページ目のような形の試験を行っております。
 このH5N1ワクチンですが、全粒子の不活化ワクチンで、鶏卵を使っております。こちらにおられる先生方には詳しい説明は必要ないかとは思いますが、株によって免疫原性が異なっています。スライドの4、5ページはその有効性についてまとめたスライドでして、今まで私どもがやりました治験も含めての成人に対する知見をまとめています。
 このワクチンはアルミのアジュバントを含んでおりますが、初回は3週間間隔で2回接種しております。ワクチンの接種前後で各株に対する抗体価がどう推移をしているのかを表示したものが4ページ目のスライドです。こちらに書いてある数字は、幾何平均抗体価倍率といいまして、接種をする前に持たれていた抗体価と、それから2回接種後3週間後の抗体価の比の平均です。具体的にはこの倍率が2.5倍を超えると免疫原性がある。それから、中和抗体価ですので、40倍が感染防御能を表しているかどうかは別にして、40倍以上の方々の割合を示したものが、その後ろに書いてある数字です。
 この表を御覧いただきますと、分かるとおりで、接種をした株に対する抗体価は上がりますが、接種をしていない株に対する抗体価は、いずれも2.5倍とか、70%以下でして、接種直後は、接種したプレパンデミック株だけの抗体価が上がるというワクチンの性格を持っております。
 5ページ目を御覧いただきますと、既にワクチンを打たれた方に対して2年後に、一部は半年後のデータもありますが、ワクチンを接種いたしますと、御覧いただいて分かるとおりで、既存に初回接種をしたワクチン株だけでなくて、追加接種をした株、さらに追加接種をしていない株についても抗体価が上がるという特徴を持っております。したがいまして、このワクチンについては4ページ目で御覧いただいたとおり、基礎免疫効果があり、かつ追加接種をすることによって、ブースター効果とか、交叉免疫性の効果があるワクチンであるということが示されるところです。
 6ページ目でこのワクチンの安全性についてです。こちらはH5N1ワクチンを2008年に打ったものですが、5,561人の方に対してワクチンを接種しております。このワクチンは御覧いただいて分かるとおりで、局所反応が大変強い。しかも、1回目と2回目を比べると、1回目の反応が大変強いのですけれども、2回目が3週間後には局所反応が落ちるという結果がわかるかと思います。
 参考資料8の17ページ目に重篤な有害事象ということで、提示をさせていただいておりますけれども、このワクチン、5,561名の方に接種して、接種後30日後までの約60日弱の間に8名の方が入院されるような事態がありました。これは治験に順じて因果関係を問わず、全て入院事象を取りまとめたものでして、因果関係に関してはお2人の方があります。発熱を契機に鎮痛薬を使ってぜんそくの発作を起こされた方と、それから、大変不安に思われて、四肢末梢のしびれを起こされた方、がいらっしゃいますが、それ以外の方については因果関係はなかったと認識しています。
 以上が成人の臨床研究、治験についての御報告です。小児ですが、当然成人が終わったあとは子どもに対するものを開発すべしということで、次のスライドは小児治験の概要です。小児の治験に関しては、実は当初の計画が途中から変わっております。いちばん最初は黒い数字でスタートいたしましたが、試験を開始すると発熱の頻度が大変高い。このままではとても継続できないだろうということになりまして、追加で当初の量の2.5分の1とか、それから1回目は発熱の頻度が大変高いことが分かったので、1回目だけ接種量を減らすとか、さまざまな工夫を行った治験をしております。
 免疫原性については次のスライドで、A社とB社とありますが、ここに書かれている数字は先ほどの幾何平均抗体価変化倍率ではなく抗体価の平均値の数字が書かれております。簡単に申し上げますと、40倍以上の値が出ていれば、ほぼ有効なのではないかと見ていただければと思っております。御覧いただいたとおりで、量を少なくしても有効性が高い。小児においても有効性は見られるという結論は得られておりますが、11枚目、12枚目のスライドを御覧いただくと、分かるとおりですが、39度以上の発熱、接種当日に3歳未満の方では47.1%の方が起こしております。試験の途中からはワクチンの接種するときに、アセトアミノフェンを事前に飲んでいただくような状況で、無事事故がなく、熱性けいれんもなく、試験としては374名の方が終了いたしましたが、試験をやっている最中、私どもは大変ドキドキするような状況でした。それはA社だけでなく、B社も同様です。ただ、1回目は39度以上の熱が出るのですが、2回目になると出ないという、このワクチンはそういう特徴を持っております。ちなみに、成人においても若い人は熱が出ましたが、年齢が高い人に関してはあまり熱が出ませんでした。
 13枚目は最後のスライドですが、先ほどお話させていただいた交叉免疫性のことについてとか、接種間隔だとか、さまざまなことについて現在試験中でして、一部の結果についてまだ取りまとめが終わっておりませんので、この場に提示できませんが、こういった形で着々と臨床試験、臨床研究の成績についてはまとめているところです。以上が御報告です。
○佐々木室長 資料5と別添2、河岡先生の意見書と参考資料8を用いまして、ご説明いたします。まず、ワクチンの基本的な考え方、ワクチンの確保についてです。資料5の2ページは、法律、計画それから意見書となっていますが、意見書は、参考資料8の2、3ページの内容をまとめたものになっています。
 3ページが論点1ですが、ワクチンの基本的な考え方、ワクチン確保については政省令・告示事項はありません。行動計画とガイドライン事項です。関連で参考資料8です。4ページは、ワクチンの製造方法、剤形それからアジュバントについてまとめた資料です。5ページは、季節性ワクチンとH5N1ワクチン等の違いを示しております。
 参考資料8の6ページが「インフルエンザワクチンの効果」ということで、季節性インフルエンザワクチンについて参考までにお示しをしております。H5N1のワクチンの備蓄の現状は8ページですが、この前御議論いただきましたとおり、チンハイ株を平成24年度に備蓄することになっております。9ページから11ページは新型インフルエンザワクチンの開発・生産体制事業についてです。今は鶏卵で作っておりますが、更に生産力を強化したり、他の投与方法を研究したり、それから細胞培養法での生産体制の構築も継続して実施をしています。以上の対策が現状では、ガイドライン、計画の中に根拠をもって実施をさせていただいております。計画については特措法で制定された法的枠組みを記載し、あとは意見書に基づきガイドラインの見直しをしてよろしいかというのが論点1です。
 論点2が資料5の4ページからで、未発生期のプレパンデミックワクチンの運用についてです。法律、計画、ガイドラインとの関係について5ページにお示しをしております。未発生期にワクチンの接種をするいわゆる事前接種は特措法では想定していないという状況であります。ただし、計画とガイドラインの見直し意見書では事前接種の実施を検討するなどが書かれております。本日は現時点での厚生労働省のスタンスをお示しして、いま伊藤先生がご説明があった最新の治験等を踏まえて、どうしていくかの御議論をいただきたいわけです。
 まず資料5の6ページを御覧いただきます。現行は新型インフルエンザが発生後に接種をするという運用をしております。リスク・ベネフィットを比較した表ですが、ワクチンは副反応が一定の割合で存在します。発生後に接種する場合は、ワクチンを打つという意味合い、ベネフィットがあり、リスクとの比較ができて、それを上回ると考えられる。ただし、事前接種に関しては、現在未発生の段階でありますので、副反応のみが生じることになります。なお、将来H5N1が発生すれば、発生後に接種するのと同じになります。
 抗体の上昇に関しては伊藤先生の発表にもありましたが、発生後に接種する場合というのは2回接種をすることになっておりますので、第一波に抗体の上昇が間に合わない可能性がある。また、接種したワクチン株に対する抗体の上昇が期待をされるということですが、事前接種の場合は発生前に接種したワクチン株に対する基礎免疫が獲得でき、それから発生後に追加接種することで迅速に抗体の上昇が期待できる。それから、追加接種後には接種したワクチン株以外に対する抗体の上昇も期待できるということで。
 接種対象者に関してですが、発生後に接種する場合は、実際に対応する方にきちんと接種することができますが、発生前に接種しますと、例えば転職とか人事異動等で事前接種を受けた方が第一線で対応するとは限らないということです。また、発生前に事前接種する場合には、安全性のデータ集積できるということもあります。
 参考資料8の14ページから18ページは伊藤先生が御説明の内容と重複いたしますので省略いたします。19ページはWHOのH5N1ワクチンの接種の対象者についての資料ですが、接種が推奨される者として実験等に従事する方、鳥又は人における集団感染時に防疫業務等に従事する方、H5N1ウイルスが存在する地域の医療従事者が挙げられております。
 20ページは日本でのH5N1ワクチン研究に関するWHOの見解です。世界で最も大規模な臨床研究ですが、まだ頻度が少ない、長期的な有害事象を除外するものではないという見解です。21ページは未発生期のH5N1ワクチンの使用に関するWHOの見解です。未発生期にH5N1インフルエンザワクチンの接種を推奨したり、接種可能な状態にしておくということを提案するのに充分な科学的エビデンスはまだ揃ってないとなっておりますし、参考までに米国ではプレパンデミックワクチン接種のタイミングについて、はパンデミック発生後位置付けられております。
 論点は、資料5の7ページは現行の行動計画において、プレパンデミックワクチンの事前接種について検討するとされているが、沈降インフルエンザワクチン等の結果を踏まえまして、未発生期の運用をどのようにするのがよいかということであります。なお、この点に関しまして、別添2で河岡委員から意見書をいただいております。インフルエンザワクチンの臨床研究、事前接種については、これはワクチンによる効果と副反応のバランスを考える必要がある。未発生期に接種するような状況としてはH5N1ウイルスの人への伝播並びに流行状況次第ということであって、人の感染頻度が上昇した場合とか、家族間の濃厚な接触感染が頻繁に起こるような場合などが考えられる。現在、WHOは600名を越える鳥インフルエンザの人での発生事例を報告されておりますが、上記の状況を勘案すると、現時点では未発生期の段階でH5N1ワクチンの事前接種をする状況になっているとは思っていないとい。また、それを実施する場合には補償体制とか、法律の裏付けが必要である。世界において事前接種について議論されているのは承知しているが、知っている限りで実際に接種の方向で進めていく国はないというご意見です。以上の内容を踏まえて、論点2を御議論いただければと思います。
 そして、8ページからが小児への投与についてです。また、参考資料8では23ページから25ページです。現時点でインフルエンザが発生した場合に小児へのワクチン接種をどのように考えるかです。議論していただくに当たって、資料5の9ページですが、現在新型インフルエンザが発生した場合は、パデミックワクチンは季節性インフルエンザワクチンか、沈降インフルエンザワクチンの作り方があります。それから、沈降インフルエンザワクチンの場合については、小児においても抗体価上昇が確認されておりまして、有効性はあるが、発熱が高頻度あるということについては、先ほど伊藤先生の御発表にもありましたとおりです。
 海外については小児の用量・用法が明確になっていないという状況です。なお、現在細胞培養ワクチンの開発も行っておりますが、これも成人での承認を取得したあとに小児を対象に開発を行うことになっている状況でして、そのような状況も踏まえまして、御議論をいただければと思っております。説明は以上です。
○岡部分科会長 資料5には「インフルエンザワクチン」というタイトルになっているけれども、これは基本的にはプレパンデミックワクチンのことを意味しているので、資料9ページの論点3で、「現時点でインフルエンザが発生した場合の小児へのワクチン」と書いてありますが、これも新型インフルエンザが発生したときに、プレパンワクチンをどうするかという理解でいいですね。こんがらがるといけないので、普遍的にインフルエンザが出たという意味ではないですね。
○佐々木室長 すみません、そこは資料の作り方が分かりにくかったかもしれません。基本的には事前接種という話につきましては、プレパンデミックワクチンの御議論をしていただきたいということでございます。
 ただし、小児への投与の部分に関しましては、現行では、H5N1の製法に関しては、パンデミックワクチンについても、プレパンデミックワクチンと同じ製法ですので、小児に対する議論については、プレパンデミックワクチンの臨床試験の結果もありますので、それで実際にパンデミックが発生したときに、どうするのかということを、現時点での知見での御議論をしていただく必要があるということで、提示させていただいております。
○岡部分科会長 小児にはどうするかというのは、次の議論として、それの前に、全体にプレパンデミックワクチンをどのようにして、臨床研究と事前接種をどう考えるかということでやっていきたいと思うのですが、田代先生からも資料が出ているので、先生どうぞ。
○田代委員 その前に、資料5の6ページのスライドですが、これは発生前と発生後を比べたことですが、発生前であろうが発生後であろうが、使うワクチンは同じなわけです。ですから、副作用その他が出る場合も同じです。これを事前にやったから、やらないからといって、そのリスクを区別することは間違っています。それが1点です。
 それから、いままでの議論で「プレパンデミックワクチン」という言葉が出てきますが、現時点ではH5N1だけですね。
○岡部分科会長 そうですね。
○田代委員 それ以外のパンデミックが起こった場合には、このformulationで全粒子のアジュバントを入れたワクチンが必要か、若しくは季節性のワクチンのスプリットワクチンだけで十分なのか、これは検討する必要があります。新型ウイルスが出てきたからといって、全部このformulationでやるということはあり得ないです。少なくとも、3年前のH1N1のPDMの場合には、季節性のワクチンと同じ製法のワクチンを使いました。
○岡部分科会長 いまのも確認事項ですね。現在あるプレパンデミックワクチンというのは、H5N1だけだから、それについてやると。次の課題としてはH5N1以外のものが出たときにどうするか。これは今日の議論とは別ですが、次の課題だと思います。
 それから、先ほど言いかけたのは、田代先生が欠席だったときに提出された第3回資料、前段のいろいろな解説はともかくとして、簡単に要旨を御説明いただけますか。
○田代委員 最後の資料ですが、これは前回お出しした資料とほとんど同じで、語句を一部修正しただけです。
 これは、この有識者会議のメンバーの方から、個人的にパンデミックの問題についてよく理解していないというか、説明をしてほしい、どこかでレクチャーでもしてほしいということを、何人かの方からお尋ねがありましたので、私も時間がありませんでしたので、この文章を書きました。
 プレパンデミックワクチンについては9ページぐらいから読んでいただければ分かるわけですが、これはあくまでもH5N1だけです。これによるパンデミックが起こった場合には、大きな健康被害と社会的なインパクトがあるという前提の下で、それ以外のパンデミックについては、起こり得る可能性はもちろんありますが、H5ほどの大きな影響はなくて、少なくとも特措法が発令される事態には、恐らくならないだろうと思っています。ですから、これはH5N1に特化した話だと考えていただいていいと思います。
 現時点では、H5N1については誰も免疫を持っていないわけです。ですから、全ての人が感染を受ける可能性があります。その場合に重症化する可能性があります。致死率も非常に高いだろうと言われています。
 こういう事態において、現在備蓄しているパンデミックワクチンは、先ほど伊藤先生からお話がありましたように、H5のウイルスであれば、ある程度交叉性の免疫が期待できると。そういう意味では、事前に現在のトリのウイルスを用いてワクチンを作っておくということは、非常に有用であると考えます。
 それで問題なのは、現在備蓄してある国産のワクチンは、大体2,000万人分です。これは当然国民全員分としては足りないわけですが、2,000万人分のワクチンをどのように使うか、誰から接種していくかということは、先ほどから議論されていることですが、大きな問題は、現在考えられている計画では、このワクチンはパンデミックのウイルスが出現した場合に、このワクチンが有効であろうと考えられる場合に、初めて打ち始めるということになります。
 そうしますと、そういうことが分かった段階から、いま備蓄しているワクチンは原液で大量に備蓄してあるわけですが、そこから接種するような小分け製品、最終製品に分注して、安全性の試験を行って、それから市場に出すためには2カ月かかります。誰も免疫を持っていないところにこのワクチンを接種しますと、先ほど伊藤先生からのお話がありましたように、最低3週間のintervalを置いて2回接種しなければいけない。それから1週間ぐらい経って免疫が上がってくるわけです。そういう状態ではまだ十分ではないと。更に半年ないし1年後に打つと、更に広く免疫が誘導されるという話だったわけです。
 実際に、新型インフルエンザのH5が出てきてから、そういう対応をしたのでは、最初の段階で免疫が上がる、まだ十分には上がっていないけれども、それが期待できるまでには3カ月かかります。3年前のパンデミックを考えますと、最初にメキシコで見つかった段階から3カ月後にどうなっていたか。もう世界中に広がっていたわけです。日本では幸いなことに、8月下旬から第一波が始まりました。3カ月の間に広がってしまった場合には、備蓄してあったプレパンデミックワクチンを現在の方法で接種を開始したのでは間に合わない。早い話が、宝の持ち腐れになってしまう可能性があるということです。
 そこで、どういうことを提案したかと言いますと、事前に接種して基礎免疫を付けておく。先ほど伊藤先生がお話になりましたように、3週間から1カ月のintervalを置いて2回接種して、基礎免疫の記憶をつくっておく。そうしておけば、実際にパンデミックが起こった場合には、1回接種で、その1週間後ぐらいに十分に高い免疫が上がってくるわけです。それも、さまざまな株に対して、交叉性の免疫が上がってくると。ですから、実際のパンデミックのウイルスが、現在備蓄してあるウイルス株と全く一致しなくても、H5でありさえすれば、かなり有効であるということが考えられます。
 これは3年前のパンデミックのときには、H1N1で、95年前のスペイン風邪のウイルスの子孫だったわけですが、その後このウイルスは季節性インフルエンザとして、抗原性を少し変えながら、その直前まで世界で、毎年のように季節性のインフルエンザとして流行してきたわけです。ほとんどの人がそれに対して免疫を持っていたわけです。それが交叉性の免疫として、新型のH1N1のブタ由来のウイルスに対しても対応できたと。ですから、その免疫を持っていない小児を除いては、ほとんどの人がこれに対する交叉性の基礎免疫を持っていたと。ですから、健康被害は非常に少なくて済んだし、大きな社会的影響も出なかったと。こういう状況に事前にしておくということは、非常に重要なことだと思います。
 H5N1で想定される健康被害ですが、厚生労働省で出している被害は非常に甘い被害で、実際にはそれ以上の大きな健康被害が出ると思います。大きな社会的なインパクトがあると。それを最小限度にとどめるためには、事前に多くの人に対して、交叉性の基礎免疫を付けておくということが、非常に有効であろうと。恐らくこういうような状況を、事前に準備しておかないでパンデミックが起こった場合には、3カ月若しくはそれよりもっと遅く時間がかかるわけですから、その場合には対応できないだろうということが想定されます。
 そういう意味で、現在備蓄しているパンデミックワクチンを、一気に全部使うことは安全性を確保する意味では不可能ですけれども、希望者に対して少しずつ使用していくという戦略が有効であろうとして、提案したいと思います。
 それから、その理由として更に、現在備蓄されているワクチンは3年間で有効期限が切れまして、廃棄しなければなりません。そうすると、それをH5の流行が続く以上は、今後何回も繰り返していくことになると思いますが、これについて廃棄するのであれば、希望者に対してワクチンの事前接種を少しずつ進めていって、安全性を確保しながら、このワクチンのformulationで今後も大丈夫なのかどうかということを検証していく必要があると思います。
 現在、先ほどの話では6,000人に接種して、大きな健康被害は起こっていないということでしたが、これはあくまでも1,000人に1人起こるというsensitivityでやっている試験です。実際のパンデミックワクチンは数千万人、国民全員1億人近くに打つということになるわけですが、その場合には6,000人では検出できなかった重篤な副作用というのが、当然起こる可能性があります。事前にそういうことを全く検査しないで、調べておかないで、一気にこれを数千万人にやるということは、非常に大きな危険を伴うと思います。ですから、そういう意味でも希望者に対して、こういう状況であるということをよく説明した上で、事前接種を少しずつ膨らませながら安全性を確保していくと。
 ここで、もし万が一安全性に関して大きな問題が起こった場合には、恐らくこのワクチンは使えない、別のワクチンを新たに開発し直さなければいけないことになると思います。そういう判断をするためにも、6,000人の枠を超えて、少しずつワクチンを増やしていくことが非常に重要になると思います。
○岡部分科会長 これまでの伊藤先生の御発表、事務局からの資料の説明、加えて田代先生からの提案、これらについてディスカッションをしたいと思います。御意見のある方はよろしくお願いします。
○櫻井委員 専門的でない立場からなのですが、いまの田代先生の事前接種についての御意見をお伺いして、それはそうかなと思うのですが、若干戸惑うのは、別添2の河岡先生のペーパーのいちばん最後に、「事前接種についての議論が各国でされているということはあるけれども、実際にその方向を進めている国はない」という言い方がされていて、方向性が違うのだと思うのです。それなので、そこはどのように考えたらよろしいでしょうか。
○田代委員 ほとんどの研究者が私が言ったようなこと、H5のパンデミックの健康被害、社会的影響を回避するためにはいちばん効果が高いだろうと言っています。
 1つ問題は、これをWHOが世界中にrecommendationしていない理由というのは、WHOというのは、200あるmember countryに対して、同じようにrecommendationするわけです。それに対応できない途上国がほとんどです。そういう国は準備をしていない、WHOのrecommendationは達成できていない。そこでもしパンデミックが起こって健康被害が出た場合には、なぜやっておかなかったのだという大きな政治的な問題が起こります。
 そういう意味でWHOのrecommendationというのは、全ての国が対応できるような、非常に敷居の低いところでしか実際にはrecommendationしないのです。ですから、対応できる国は、当然そのrecommendationにかかわらず、それぞれの国の判断でやってくださいというのが、WHOのスタンスです。それが1つです。
 それから、現時点では全ての人にワクチンを接種するという状況にないことは、私も認識しています。
○大石分科会長代理 田代先生に確認です。原則的に2回接種ということですが、先ほど伊藤先生から御提示いただいたデータから見ても、成人であれば田代先生が御提案のことは受け入れられるかと思うのですが、小児においては余りにも副反応の頻度が高いので、まずは成人からということでよろしいのでしょうか。
○岡部分科会長 今している議論は、小児のほうは別枠でやるので、一般論としてプレパンワクチン、H5N1というものについての議論としたいと思います。
○田代委員 小児のことですが、これについては先ほど伊藤先生からお話がありましたように、現在臨床試験をやった用量では非常に熱が出た、同じ用量で全ての小児に、パンデミックが起こったときに接種するというのは、私はやるべきではないと思います。ですから、小児については、現在のワクチンについては事前に用量を減らす、ないしはアジュバントの量を減らすとか、副作用が少ない、かつ十分に有効性が期待できるようなワクチン用量を設定して、それから検討すべきだと考えます。
○岡部分科会長 小児のことはさて置いてということにします。
○永井委員 田代委員に確認なのですが、基本的には冒頭におっしゃったように、H5N1に関しての話であって、よくWHOなどはH5N1のpriming(事前接種)をやっていても、別の新型ウイルスが出ることもあるので、余り事前接種は意味ないのではないかという反対意見があるのですが、基本的にはH5N1に関してはこうだけれども、H5以外のところが出る可能性に関しては、想定として議論はきちんとしておかなければ駄目だという大前提ですよね。
○田代委員 もちろんそうです。
○櫻井委員 田代先生にお伺いしたいのですが、WHOの勧告がそのように多数の国を前提としているものだということなのですが、そうすると、先進国の場合は具体的にそういう議論を進めて、政策として採用されているところがあるのかどうかということを確認した上で、慎重に検討すべきだと厚生労働省がおっしゃっているので、反論をお伺いしたいのですが。
○田代委員 これについては3年前のパンデミックが起こる前に、いくつかの国で導入しようという動きがあって、一気にやろうというつもりではないと。そのために、少しずつ希望者に対してワクチンの接種をするということを検討しました。
 実際にやった国は、1つはスイスです。スイスはやったのですが、スイスがそのときに使ったワクチンは日本のワクチンと違いまして、海外のあるメーカーが作ったワクチンなのですが、局所反応が非常に強く起こったために、2回目の接種はみんな来なくなってしまったということで、途中で中止になりました。
 もう1つは台湾です。台湾も日本と同じようにワクチンを数十万人分備蓄してあったわけですが、その期限が切れるということで、無駄に捨てるならば希望者に接種をして、安全性を確保していきたい、成績を得ていきたいということで、3年前の秋に接種の宣伝がされましたが、そのときにちょうど3年前のパンデミックと重なっていたわけです。そのときにH5N1のワクチンよりもH1N1のパンデミックのワクチンの接種が優先されたわけです。そのときにH1N1のワクチンは日本の製品と同じような製剤のワクチンで、台湾製のワクチンが使われたわけですが、そのときに35人の子どもが亡くなったと。これが、当時はメディアが台湾製のワクチンが原因であるということで、非常に台湾が大騒ぎになったわけです。
 実際は、これはワクチンが原因ではなくて、あるウイルスの流行があって、小児が大勢感染して亡くなったということがあとから分かりましたが、当時はそういうことではなくて、パンデミックのワクチンによって起こったのだということで、メディアが大騒ぎしたものですから、H5N1のワクチン接種を勧めるプロジェクトが、こちらのほうもストップしてしまったと。台湾はこのプロジェクトを今後も繰り返してやっていくという計画であると聞いています。
○坂元委員 自治体側から見ると、田代先生の話がすごくリーズナブルなのはなぜかという気がします。、パンデミックワクチンを全住民にやるといっても、優先順位の問題とか、当然1カ月の期間などでできないので、ある一定の期間をかけてやっていくと、その間にもうインフルエンザ広がってしまうと思います。そうすると、もしこれが非常に強毒性だと住民の間で接種の順番を争う形になって自治体でコントロールできない混乱状態になることは、当然予想されるので、そういうこと等を考えると、今せっかく現在持っているものを希望者に事前に接種するという考え方はある意味で住民から受け入れられるのではないかという気がします。
 なぜかというと、感染の発生が起こって、これが非常に致死性が高いと判明し、でも、あなたの接種の順番は半年後と言われたときに、住民が素直に納得するかどうかというのは、私は接種主体の自治体として非常に疑問だということです。田代先生のお考えは自治体側としても検討する価値があるものではないかと考えます。
○小森委員 私は医師の1人ではありますが、この領域の専門ではありませんが、現時点でプレパンデミックワクチンを広く接種をしていくという田代先生のお話は私は理解できるところではありますけれども、現時点では副反応があまりに強すぎるという感じをもっていまして、今後もこのことについて推進をしていって、更に医学的・科学的なデータを集積をする必要はもちろんあると思っておりますが、厚生労働省が事務局ですので、庵原先生、川名先生、そのほか御専門の方がいらっしゃるので、御専門の先生の御意見を聞いた上で、事務局の意見をお聞きするのがいいのかなと思っておりますが、そこは議長の御判断にお任せします。
○岡部分科会長 櫻井先生が厚生労働省からの意見をいちばん最初に求められていますから、まずそこをやって、それから専門領域の先生方からの意見も伺いたいと思います。
○佐々木室長 先ほど十分ご説明できていなかったのですが、資料5の6ページに「厚生労働省としてのスタンス」ということで、四角囲いしております部分に現時点での考え方をお示しております。事前接種の効果は、新型インフルエンザが発生した場合に得られると理解しておりまして、現時点では副反応のみが生じるということですので、慎重に検討すべきと考えております。
 WHOの勧告等については、国際的な議論を踏まえて出されるものと理解しておりますので、踏まえて対応していくということと考えております。
 なお、いま小森委員のお話にもありましたが、運用方法、安全性等を検討していくということは重要ですので、伊藤先生の御発表にもありましたような研究は継続して実施していく必要があると考えているということです。
○岡部分科会長 先ほど専門家ということで、庵原先生、川名先生、大石先生、永井先生、御意見があればおっしゃってください。
○庵原委員 2009年のパンデミックが出るまでは、H5N1が新型インフルエンザウイルスと言われ、パンデミックを起こすいちばんのウイルス型であったというのはたしかです。そのときは、確かに事前接種という動きは出てきたのですが、いざ2009年のパンデミックが出てからは、本当にH5N1が出てくるのかという疑問のほうが強く出てきています。ですから、出てくるかどうかが分からないのを積極的にやるメリットは少ないのではないかというのが、1つの意見だと思います。
 ですから、H5のヒト・ヒト感染があることが証明されるまでは、慌ててやる必要はないのではないかと思います。私は河岡先生の意見に近い意見を持っています。
○川名委員 私はかつて、例えばベトナム、インドネシアで、H5N1に実際に感染した患者を診せていただくような機会もあって、これは本当に重症な肺炎を起こしますので、非常に危鹸な病原体であるとは思っております。ただ、これが本当に現在パンデミックを起こす蓋然性という点からみて、いまいちばん高いものなのかどうかというのは、もう1回原点に立ち返って検討してみる必要があるかなという気はしております。
 ですから、いろいろ分子レベルで、どういう形質を持ってくるとヒト・ヒト感染が起こりやすくなってくるのかといったような、基礎的な研究もどんどん進められているとは理解しておりますが、実際に大勢の方に打ち始める前に、まだクリアしなくてはいけない問題がたくさんあるのではないかと思っております。
○大石分科会長代理 ヒトのH5N1インフルエンザでは確かに今はヒト・ヒト感染はないわけですが、基礎免疫を付けるという田代先生の御意見については、私も賛成であります。ただ、今、川名先生がおっしゃったように、まだクリアすべき問題として、副反応の問題は大きいと思います。
 もし可能であれば伊藤先生にお聞きしたいのですが、8名入院されていますが、入院して処置あるいは治療が必要だった症例でしょうか。
○伊藤参考人 御覧いただいたとおりで、入院をされた方です。8名の方が入院をされて処置された方ですが、そのうち因果関係があったのはお2人だけです。ただ、安全性の情報として、欠落がないように、網羅的に情報を取ったので8名という数字になっておりますが、因果関係があったと判断しておりますのはお2人だけです。
○大石分科会長代理 2名については、何らかの治療をされたということですか。
○伊藤参考人 しております。
○永井委員 私も川名委員の意見に賛成なのですが、田代委員、2回prime(事前接種)で打つとしても、実際的には、もう1回実際にパンデミックが起きたときには打たなければ駄目ですよね。
○田代委員 その点についてお答えします。3回目にboostを掛けられればいちばんいいわけです、パンデミックが起こったときに。そういう状況だとした場合に、事前に接種しておかなかった場合には、1カ月更にかかるわけですが、それが1カ月短くなって、2カ月目に接種できるということが1つあります。
 ただし、3回目のboostが間に合わなくて、実際に感染を受けてしまうという状況が当然起こってくるわけですが、その場合にはウイルスが増えますから、その増えたウイルスの抗原刺激によって、3回目のboostと同じことがすぐに起こります。そうなりますと、全く免疫のない状況で初めて感染したのと、基礎免疫があったところで感染したのでは、全然状況が違うので、軽く済みます。
○永井委員 そういう意味では、3回目を打つ場合もあるし、打たない場合もあるということですね。
○田代委員 打つに越したことはないわけですが、もし間に合わなかった場合でも、それなりの効果は期待できるということです。
○永井委員 小児の話はまた別の話になるとは思うのですが、先ほどの副作用、副反応等を見ますと、現実に起きたときと、interpandemic(発生以前の時期)というか、起きていない時期の事前接種が本当に国民の納得が得られるかどうかという問題は、小森先生と同じで、その辺りについては、手順としてはまだやるべきことは少し残っているのではないかという気がするのですが。
○坂元委員 私の意見は、保存しているものをすぐやってくださいということではなくて、住民全員に接種するという業務が、どれだけの時間とどれだけの労力がかかるかということを考えていただきたいということと、1カ月ではとても全住民は接種できないということです。前回の2009年の流行の経験からですと、海外で発生した1カ月後にはすでに日本には入ってきてしまっております。しかもそれが致死性が高いというときに、「あなたの順番はまだですからしばらく待ってください」ということは自治体として非常に言い難いと思います。田代先生の提案どおりにやってくださいというのではなくて、自治体としては、もっと確実な方法で接種ができる方法を、専門家の方たちに考えていただきたいというお願いです。
○藤原参考人 今の坂元委員のお話とよく似ているのですが、経済界の中でも、社会機能維持者を担っていこうと考えている人たちの中では、少しでも交叉免疫があって、安全性が確認できれば、あらかじめプレパンデミックワクチンを打たせてほしいという意見は根強くございます。これは先ほどもお話がありましたように、第一波がきたときに、何も安全対策を打たないで、そういう発生している地域で働けということを従業員に対して申し上げるということは、かなり雇用関係の中で問題が出てくるのではないかという懸念から、そういうお話をされている企業の方もたくさんいらっしゃることも、御参考までにお話しておきたいと思います。
 それからもう1点です。いまの話と直接関係はありませんが、田代先生がおっしゃった致死率の問題です。これも企業の中でBCPを作っていく中で、本当に致死率が2%でいいのか、先生がおっしゃるような15%まで考えておかなければいけないのかということも、是非この場で御議論いただいて、社会機能の維持のほうの分科会にもお示しいただければと思います。
○岡部分科会長 致死率の問題は、ここでは話題が逸れてしまうので、プレパンワクチンのほうに集中したいと思います。
 私も1委員として意見を言わせていただきたいのですが、私は予防接種部会などもやっていますが、病気が目の前にあるものについては、ある程度目をつぶってもやらなければいけない。そこの条件からすると、少し離れる。もう一方は、副反応がもし強ければ、ワクチンを切り替えるというのは、例えば生ポリオから不活化ポリオに切り替えたばかりですが、そういう非常にニーズが高いワクチンであっても、関連があるなしを含めて、何らかのアクシデントが起きると、社会は騒然としてくるということも、また一方ではあると思います。
 現時点で、これが臨床研究という形でインフォームド・コンセントを取って、きちんとした形での臨床研究を積み重ねての安全性を確認するということであればいいのですが、希望者に随時ということになると、今度はやらないと不安だというのも出てきて、なかなかそこがきちんとしていかなくなるのではないかという懸念があるので、私自身は、臨床研究をきちんとやるべきだけれども、広く希望者を募ってという形は、まだ時期尚早ではないかと思います。これは1委員としての意見です。田代先生からどうぞ。
○田代委員 岡部先生の意見と同じで、私は全員にすぐにやれと言っているわけではありません。少しずつ膨らませながら接種者の数を増やして、安全性を確認しながらやっていくと。そこで、もしこのワクチンで重篤な副反応が出た場合には、実際にはパンデミックのときには使えないわけです。そういう準備をして、検証をしないまま、このワクチンで一気にやっていって、そのときにワクチンを打って、事故がある程度起こったとなったときには、世の中は大パニックになるわけです。そういうことを防ぐ意味でも、6,000人では到底足りないので、更に大きな規模で安全性を確保していく必要があると。
 そのためには、先ほど藤原参考人から話がありましたように、社会機能の維持で仕事をしなければいけない、例えば医療従事者、公共指定機関の方、そういう人たちを中心にして、こういう背景をよく説明した上で、接種を受けてもらって、安全性を同時に、それに対する成績を提供することに協力してもらうと。そういう進め方が、具体的にはいちばん望ましいのではないかと思います。
○櫻井委員 法的な観点から、今の御議論を踏まえてコメントします。これは田代先生のペーパーの2ページ目にも少し出てくるのですが、いまの議論である程度明らかになったのは、H5N1ワクチンというものが本当に必要な状況が、どのぐらいの蓋然性で生じるのかということ自体について、相当数の疑問を呈される方があり、しかも目をつぶって打たなければならないという話がございましたが、打つとかなりリスクもあるし、ましていわんや、空振りになる可能性もあるという前提の中で議論がされているということなのですが、そもそも2ページ目のところにありますように、法的基盤の話が下に出てきますが、そういう強毒性のインフルエンザが出てくる可能性があるという前提で特措法はできていると思うのですが、そういう話を聞くと、そもそもこの法律の立法事実はどこにあったのかという感じがしてきて、前提が揺らぐのではないかという気もしております。それはそれで、法律が結構急にできたという印象は私ももともと持っていましたけれども。
 そういう前提で議論を立てていくという、余裕というか、そういうところが必要なのかなと思ったところでありまして、ですから、私自身はこの特措法については、この特措法が直接問題にしている危機管理の問題ということも然ることながら、一般的な法制度全般としての危機管理法としては、日本全体として非常に不備なので、そうすると先進事例として、法律的にはかなり進んだ部分がありまして、そうすると、普遍的に価値のある法律なのかなと思っているのですが、本件自体が問題にしているものとの関係で、どのぐらい直接性があるのかというのは、少し留保が付くのかなというのがコメントです。
○杉本参事官 特措法の根本的な問題について御言及がありました。これについては、特定接種というものを作った背景ですが、これは田代センター長も言っておられたH5N1、そのために今、プレパンデミックワクチンということで備蓄しているわけなのですが、これが発生したとき、これは大方の専門家の認識として、病原性は相当程度高いのであろうと。スペイン風邪並程度を想定しなければいけないのではないか、そのときに社会をどうやって守るのか、併せて、実は未知の感染症というのも非常にあり得る話で、新型インフルエンザ等感染症でも、H5N1以外のもの、これも2009年のように出てくる可能性があるのだと。しかも、その病原性のvariationというのは非常に幅広いものだろうと。いろいろな知見が得られたり、考えが変化したり、また新感染症というのも含むということで、特措法は大変幅広いものに、基盤としてはなったものです。
 それで、そのうちの特定接種について申し上げますと、この特定接種を特措法の中に盛り込んだのは、これは予防接種法ではできない仕組みだろうと。無理やりやってできないことはないのですが、国民生活、国民経済の基盤を守る、安定を守るという、これはどちらかというと予防接種法にはかなりなじまないものであるということで、特措法に織り込みまして、スキームとして予防接種法の第6条第1項を国が実施する形にして借りるという仕組みを取っているわけです。
 ただ、特定接種についても、これは住民接種も同じなのですが、実は予防接種法の第7条の2、第8条という、行政による対象者への接種の勧奨、接種対象者の接種の努力義務を掛けております。これは発生時において、きちんと打っていただくということがいちばん社会全体を守る上で大事なことであろうと。もちろん任意であることは間違いないのですが、社会全体でお互いに守り合うということから考えれば、行政によって勧奨もするし、当然それに応じていただく義務を持つ。
 では、そういう行政の勧奨をし、接種の努力義務を持たせる、そういう事態はどういうものかと考えたときに、いまの仕組み、つまり「発生時において」という仕組みを取ったわけです。
 厚生労働省の本日の事務局の資料にもありますとおり、発生時におけるリスク、罹患によるリスクと、ワクチンを打つことによる副反応という健康被害というもののリスクを天秤に掛ける。発生前については、特措法の中には入れていませんが、これはまさに未発生段階における、先ほど発生時において、シーソーに乗せた一方は罹患することによるリスク、これは現実的なものとしてある、病原性が高くて死者が大変多くで出る可能性がある、それから一方に、接種することで副反応によるリスクがあるけれども、罹患による死者数に比べればこれを実施するということです。。一方で、未発生時においては、具体的な罹患によるリスクが見えない、見えにくいということで、発生時や発生前については、行政勧奨と接種の努力義務がかかる特定接種の枠組みはとらない。これが特措法の全体的な考え方です。
○岡部分科会長 そのほかに御意見はございますか。
○田代委員 先ほど庵原先生の御発言で、H5N1によるパンデミックのリスクがどの程度かという話がありました。3年前のH1N1のパンデミックの間も、鳥の間ではH5N1の流行は全く独立して起こっていました。その間も同じように、人の患者は出ていて、現在も出ています。ですから、WHOその他の、世界的にH5によるパンデミックのリスクは変わっていないと。むしろ遺伝子を見ていきますと、徐々にヒト型に変化していくような遺伝子が蓄積されているということがあります。
 3年前のパンデミックが、ブタ由来のH1N1が出てきたというのは、我々インフルエンザ専門家の裏をかかれたわけで、ほとんど予測していなかったのですが、その反省として、パンデミックというのはいつ何が起こるか分からないと。ですから、現在まだ鳥型だといって安心していられるかどうか、決してそんなことはない。いつでも起こり得る、明日起こるかもしれないと。そういうような危機感を持っています。
○坂元委員 これはお願いなのですが、ワクチンと同時に、今後例えば集団接種という形になれば、そのワクチンを打つdeviceの備蓄が必要かとか思います。そういう準備も自治体としてはしていかなければならないのです。このワクチンの議論のほかに、集団接種の際に使用するマスクや注射針というものに関しても、是非御検討いただきたいというお願いが1点です。
 それと、伊藤先生にお聞きしたいのですが、住民に全部接種するときに、テクニカルな問題として皮内というのは大勢にやると非常に疲れるらしいのです。それで、これは筋注では駄目なのかと。筋注ですと、非常に大量に接種者を処理できるというところがあるので、その辺をお伺いしたいと思います。これを見ると、小児は筋注をやっているようなので、お聞かせいただければと思います。
○伊藤参考人 5,561人のデータは全て筋注です。皮下注ですと発赤が非常に広がる人がおりまして、筋注のほうが、被験者にとっての負担が少ないということで、その5,561人の安全性の研究以降の私どもの臨床研究については、全て筋注でさせていただいております。
○坂元委員 この参考資料8を見ると、メーカーは皮内注の開発を考えられているところがあるようなのですが、これは実際に集団接種で大量に処理すると、皮内注と筋注では、全然処理速度が違うので、この辺も、病院と体育館で大量接種をやる場合は、全然事情が違いますので、御検討いただければと思います。
○伊藤参考人 庵原先生にお答えいただいたほうがいいかもしれませんが、皮内接種については、特殊なdeviceと併せて開発をされておりますので、一般的に、ぷくっと膨らませるというような接種の方法ではございません。
○庵原委員 いまの伊藤先生と同じで、あくまでも今回のH5はまだ筋注が主体で、皮内はこれから開発の段階ですので、それはまた5年ぐらい先の話かと私は思っています。
○岡部分科会長 一応まとめておきたいと思うのですが、確かにH5N1の危機がこれで去ってしまったわけではないので、やはりあるわけですが、それが目前にあるのか、もう少し先にあるのかの見通しの付かないところでもあると思うのです。ただ、ここでやっているのは、危機管理としてそういうものが必要かどうかということでやっているので、その積重ねとしては、パンデミックワクチンの備蓄ということもこの中で議論して、それについてはコンセンサスは取れてきていると思います。
 ここのワクチン接種、特に事前接種のところが問題になっているのですが、現時点でオープンにして、いわゆる任意接種の形で希望者にはというのは、どうも全体としては時期尚早ではないか。ただし、ワクチンの開発ということも含めては臨床研究は重要なので、そこはきちんとした臨床研究のスタイルを取った上で、ここに厚生労働省としてのスタンスとしての、ワクチンの運用方法、安全性等を検討することは重要であり、この研究をきちんと継続して、その中には、もう少し今までのものよりも規模、あるいは対象を膨らませて行うことも視点に入れて、研究を進めるということではいかがでしょうか。そこら辺を、この委員会での事前接種に対するまとめということにしておきたいと思います。
○田代委員 今の座長のまとめで結構なのですが、1つ特措法で、実際に緊急事態が起こったときにリスクを背負いながら仕事を続けなければいけない職種の方が、医療従事者を含めているわけです。そういう方たちに丸腰でやれと国が言うこと自体が、私は倫理的に間違っていると思います。ですから、そういう危険を冒してまでやってもらうのであれば、それなりの手当てをする必要があると。それには1つは先ほど言った、プレパンデミックワクチンの事前接種というのが1つ有力な解決策ではないかと思っています。
○岡部分科会長 臨床研究の対象その他については、また別途ディスカッションが必要だと思いますが、いまの御意見なども踏まえながら、臨床研究についてはやっていってはいかがかと思います。
 最後に5分ぐらいで小児について御意見をいただきたいのですが、いかがでしょうか。小児科出身としては、庵原先生、永井先生。
○庵原委員 今、伊藤先生がお示しになりましたように、子どものほうが反応がよすぎるのです。結局、自然免疫が働いて、獲得免疫ができるわけですから、これだけ副反応が出るということは、それだけ抗体反応も高く出ることを示しています。ですから、たぶん子どもの場合は、primingは2回やらずに1回で十分だろうと予測しています。
 ですけれども、これだけ発熱率が高ければ、現状では接種は難しいだろうと思います。ただ、実際に起こったパンデミックが重篤かどうか、そことの両天秤だと思います。その天秤をどう測るかということです。
 それともう1つは、いま田代先生がおっしゃいましたように、量をどうするか、もっと薄めたものを接種するのか、それとも本当にアジュバントまで入れておかないといけないのか。これに関しては、某メーカーが全粒子のワクチンを開発していますので、それとの絡みかと思っています。それまでにパンデミックが出ないことを祈って、その治験のデータが出るまで。実際に起こったときに、どう判断するかだと思います。
○永井委員 事前に庵原委員と少し話合いをしていたのですが、私も同じ意見で、打たないという選択肢はないのだろうと思うのですが、現時点のパンデミックワクチンを打てるかというと、なかなかお子さんの御両親等、いろいろ問題があるだろうと思います。そこのところは、アジュバントの問題にしても全粒子ワクチンの問題にしても、少し議論していかれればいいと思うのです。ただ、打つ必要があるという大前提で、進めていく必要はあるだろうとは思っています。
○岡部分科会長 プレパンワクチンのスタートは大人の前提でやっているので、小児の量あるいはアジュバントの問題も含めて、もう少し大人の治験がきちんとしてから、順番としては小児と。ただし、小児の場合は疾病としての危険性が高いということがあるので、実際に起きた場合は、少し違ったdecisionが要るかとは思いますが、そういうわけで、いまこれをすぐに小児にも同時平行でやっていくことではないということが、一応のコンセンサスではないかと思います。ただし、これもできるだけいろいろな方の理解、協力をいただきながら、臨床研究、理論的な研究、あるいは治験も含めて進めていくということが前提ではないかと思います。
 一応、事前接種と臨床研究についてはこれで区切るとして、あとは総合的に何か御意見があれば、あと5分ぐらいでおっしゃっていただければと思うのですが、いかがでしょうか。
○吉田参考人 私は医薬品の卸しなのですが、せっかくの機会なので発言させていただきます。
 先ほど田代先生、坂元先生からありましたが、各現場で、我々注射針とか、そういうものまでも含めて、末端への流通等もありますので、こういう会議の中でしっかりした判断をしていただいて、我々も現場の社員に、使命として行動していただかなければいけないこともありますので、本当に今日これに参加させていただいて、全体の流れが分かって、いろいろな部分で協力もできればと思いますので、よろしくお願いします。
○岡部分科会長 特にほかに御意見がなければ、そろそろ今日の会議としては終了したいと思います。今日の資料で全て決定ということではないので、これを踏まえて中間報告の資料にしていただいて、それをもう1回議論することになりますが、今後のことを含めて、事務局にお返ししますので、よろしくお願いいたします。
○佐々木室長 当初は年内に5回ぐらい開催と御説明していたのですが、議論すべき内容が多々ありますので、全体で少なくとも6回ぐらいになるかと思います。あと3回ぐらいはお願いすることになるかと思います。今、日程調整もさせていただいておりますが、正式に日程が決まりましたら御連絡させていただきます。本日は長時間ありがとうございました。
○岡部分科会長 これで新型インフルエンザ等対策有識者会議 医療・公衆衛生に関する分科会(第3回)を終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)

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