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2012年8月2日 薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会 議事録

医薬食品局

○日時

平成24年8月2日(木)17:00~


○場所

厚生労働省 専用第23会議室


○出席者

出席委員(17名):五十音順 

◎五十嵐   隆、 猪 熊 茂 子、 遠 藤 一 司、 生 出 泉太郎、

 大 野 泰 雄、 加 藤 進 昌、 金 澤   實、  高 杉  敬 久、

 新 見 伸 吾、 林   邦 彦、 日 野 治 子、  槇 田 浩 史、

○松 本 和 則、 三 谷 絹 子、 三 宅 良 彦、  村 島 温 子、

 矢 野   哲

(注) ◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(5名)五十音順 

 石 井 則 久、 國 頭 英 夫、 倉 田 雅 子、 倉 山 英 昭、

 渡 邉 治 雄

行政機関出席者

 平 山 佳 伸 (大臣官房審議官)

 俵 木 登美子 (安全対策課長)

 渡 邊 伸 一 (安全使用推進室長)

 森   和 彦 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)

○議事

○事務局 定刻になりましたので、「平成24年度第1回医薬品等安全対策部会」を開催いたします。本日の部会は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入る前までとさせていただいておりますので、御理解、御協力のほどよろしくお願いいたします。また、傍聴の方々におかれましては、「静粛を旨とし喧噪にわたる行為はしないこと」、「座長及び座長の命を受けた事務局職員の指示にしたがうこと」など留意事項の厳守をお願いいたします。
 本日御出席の委員の先生方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。本日の会議は、石井委員、國頭委員、倉田委員、倉山委員、渡邉委員より欠席の御連絡がございました。加藤委員からは、若干遅れるとの御連絡をいただいております。現在16名の委員に御出席いただいております。本部会の定員は22名ですので、定足数に達しております。なお、高杉委員より、18時ごろに御退席される旨の御連絡をいただいております。
 議事に入る前に、新任の委員の先生の御紹介をさせていただきます。新任の委員といたしまして、東京大学医学部産婦人科学教室准教授の矢野哲先生でございます。
○矢野委員 矢野でございます。よろしくお願いいたします。
○事務局 それでは議事に入りますので、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。以後の議事の進行は五十嵐部会長にお願いいたします。
○五十嵐部会長 皆様、お暑いところをお集まりいただきましてありがとうございます。この部屋は、厚生労働省の中で一番暑い部屋なのではないかと思います。しかも電気が明るいので、余計体感的に暑い雰囲気がいたしますが、これから頑張っていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。まず事務局から、審議参加に関する遵守事項について報告をお願いいたします。
○事務局 薬事分科会審議参加規程についてです。本日の審議事項は、イブプロフェンのリスク区分の見直しについてですので、イブプロフェン含有製剤の売上げ上位3社のエスエス製薬株式会社、大正製薬株式会社、武田薬品工業株式会社から、過去3年度における寄付金等の受取について申告いただきました。それでは委員からの申し出状況について御報告いたします。猪熊委員より、武田薬品工業株式会社より50万円以下の受取との申告、金澤委員より、大正製薬株式会社より50万円以下の受取との申告、林委員より、大正製薬株式会社より50万円超500万円以下の受取との申告、槇田委員より、武田薬品工業株式会社より50万円以下の受取との申告、三谷委員より、武田薬品工業株式会社より50万円超500万円以下の受取との申告、三宅委員より、大正製薬株式会社より50万円以下の受取、武田薬品工業株式会社より50万円超500万円以下の受取との申告、村島委員より、武田薬品工業株式会社より50万円超500万円以下の受取との申告がありましたのでお知らせいたします。イブプロフェンのリスク区分について審議する間は、林委員、三谷委員、三宅委員、村島委員におかれましては出席し、意見を述べることはできますが、議決には加わらないことといたします。
○五十嵐部会長 ありがとうございました。ただ今、事務局から説明がありました審議参加に関する遵守事項について御理解いただきましたでしょうか。よろしいでしょうか。特にないようですので、競合品目、競合企業の妥当性を含めて御了解をいただいたものといたします。それでは、事務局から本日お配りしている資料の確認をお願いいたします。
○事務局 各委員の先生方には、事前に資料を送付させていただいておりますが、お手元の資料の御確認をお願いいたします。配付資料一覧に沿ってお願いいたします。<資料1一般用医薬品のリスク区分について>関連の資料といたしまして、資料1「イブプロフェンのリスク区分の見直しについて」、参考資料1-1「一般用医薬品のリスク区分の変更手順について」、参考資料1-2「一般用医薬品のリスク区分」、参考資料1-3「リスク区分変更に係るパブリックコメントに寄せられたご意見」でございます。<資料2医薬品等の市販後安全対策について>関連の資料といたしまして、資料2-1-1「平成23年度の安全対策について(まとめ)」、資料2-1-2「過去5年間の副作用報告の公表状況」、資料2-1-3「死亡症例の公表状況(A評価:因果関係が否定できないもの)」、資料2-1-4「死亡症例の公表状況(公表しているものすべて)」、資料2-2「医薬品等の使用上の注意の改訂について」、資料2-3「ベバシズマブ(遺伝子組換え)の安全性に係る調査結果について」、資料2-4「インフルエンザワクチン及び子宮頸がんワクチン等の副反応報告状況について」でございます。<資料3医薬品等の副作用等報告の状況について>関連の資料といたしまして、資料3-1「薬事法第77条の4の4の規定に基づく薬事・食品衛生審議会への副作用・感染症等報告について」、資料3-2「国内副作用報告の状況(医療用医薬品)」、参考資料3-2「薬効分類表」、資料3-3「国内副作用報告の状況(一般用医薬品)」、資料3-4「国内感染症報告の状況」、資料3-5「外国における新たな措置の報告状況」、資料3-6「研究報告の報告状況」でございます。<資料4医薬品の感染症定期報告の状況について>関連の資料といたしまして、資料4-1「感染症定期報告感染症別文献一覧表」、資料4-2「感染症定期報告の報告状況」でございます。<資料5医薬品等の回収報告の状況について>関連の資料といたしまして、資料5-1「医薬品等の回収報告の状況について」、資料5-2「平成23年度医薬品等自主回収一覧」でございます。<資料6その他>関連の資料といたしまして、資料6-1「医薬品リスク管理計画指針について」、資料6-2「小麦加水分解物を含有する医薬部外品・化粧品の使用者に発生した全身性アレルギーに係る報告について」、資料6-3「市販直後等安全性情報収集事業結果(プラザキサカプセル)について」、資料6-4「ゼラチンカプセルを使用した医薬品等の品質及び安全性の確保について」、資料6-5「コチニール等を含有する医薬品、医薬部外品及び化粧品への成分表示等について」でございます。当日配付資料といたしまして、「患者副作用報告の開始について」でございます。以上でございます。資料の不足等ございましたら事務局までお申し付けください。
○五十嵐部会長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。それでは議題1の審議に入りたいと思います。事務局から概要の説明をお願いいたします。
○事務局 審議事項、議題1「一般用医薬品のリスク区分について」を御説明いたします。資料1、参考資料1-1、参考資料1-2、参考資料1-3を御用意ください。まず資料1「イブプロフェンのリスク区分の見直しについて」を御覧ください。イブプロフェンは、現在、第二類医薬品に分類されている非ステロイド性消炎鎮痛薬でございます。この度、1.「経緯」の二つ目の白丸にございますとおり、非ステロイド性消炎鎮痛薬の妊婦への投与に関して使用上の注意の整備を行いました。2ページ~5ページにございますとおり、平成24年4月24日付け、厚生労働省医薬食品局安全対策課長通知により、イブプロフェンについては妊娠後期の婦人について禁忌となっております。今回、使用上の注意の改訂を踏まえ、イブプロフェンのリスク区分について御審議をお願いするものでございます。1ページの下の2.「対応」を御覧ください。現行のリスク区分においては「相互作用」又は「患者背景」において特に注意すべき「禁忌」がありその要件に該当する者が服用した場合に健康被害に至るリスクが高まるものや依存性・習慣性がある成分等を指定第二類医薬品としております。また、同様に、妊娠後期の婦人に禁忌であるNSAIDSのアスピリンは指定第二類として分類しております。これらの理由により、今回の使用上の注意の改訂により、妊娠後期の婦人が禁忌となったイブプロフェンについて、指定第二類と指定することを考えております。また、安全対策部会での御審議に先立って、調査・整理を安全対策調査会で行うこととされておりますが、同調査会委員の先生と、薬学、妊娠関係の専門の先生方にイブプロフェンを指定第二類にすることについて、書面により皆様から、指定第二類にすることは妥当である旨の御意見を頂き、イブプロフェンを指定第二類として指定する案でパブリックコメントを行っております。パブリックコメントの結果につきましては、参考資料1-3を御覧ください。
頂いた御意見は、第一類医薬品とすべきである旨の御意見、施行時期に関する御意見など、合わせて5件の御意見がございました。また、参考資料1-3の二つ目の御意見の中で、カナダ医師会雑誌に掲載されたイブプロフェンなどのNSAIDと流産リスクに関する研究報告が参考文献として提示されております。この研究報告につきましては、企業から既に報告されていて、独立行政法人医薬品医療機器総合機構の専門委員に評価され、引き続き情報を求めること、情報提供に努めることとされておりますので御報告させていただきます。なお、現行のリスク区分の指定第二類医薬品は、資料1の6ページ~7ページに、別添2として掲載しておりますので、御参考にしていただければと思います。以上、資料の説明は終わらせていただきます。イブプロフェンのリスク区分の見直しにつきまして、御審議のほどよろしくお願いいたします。
○五十嵐部会長 ありがとうございました。ただ今の事務局からの説明に対しまして御意見、御質問はいかがでしょうか。
○生出委員 薬剤師会の生出でございます。イブプロフェンのリスク区分の見直しについて、正に第二類から引き上げということは非常に評価いたします。ただ、参考資料1-3にありますように、日本薬剤師会としてパブリックコメントに意見を出させていただきました。1番に書いてあるのがそうであります。妊娠後期時の動物実験で、胎児の動脈管収縮が報告されています。また、類似成分では関連性が否定できない胎児動脈管収縮の症例も報告されています。この胎児動脈管収縮は、胎児に心不全を引き起こし、場合によっては予後不良となることもあり、胎児期に死亡する例や、新生児遷延性肺高血圧症の要因にもなるとされています。このような有害事象の発生を未然に防ぐためにも、薬剤師による相談応需並びに適切な情報提供が必須と考えておりますので、第二類から指定第二類というだけではなくて、第一類まで引き上げる必要があると考えて、パブリックコメントに出させていただきました。
○五十嵐部会長 ありがとうございます。ほかに御意見はいかがでしょうか。アスピリンが指定第二類医薬品として分類されているわけですが、イブプロフェンを、更にそれよりも厳しい第一類にすべきという理由として何かございますか。
○生出委員 例えば、妊娠後期時の、してはいけないことにも書いてありますし、第二類だと薬剤師以外の登録販売者でも情報提供・販売が可能となっております。できれば薬物療法の専門家である薬剤師しか販売・情報提供することができない第一類がふさわしいのではないかと思い、パブリックコメントに出させていただきました。
○五十嵐部会長 事務局はいかがでしょうか。
○安全対策課長 指定第二類医薬品につきましては、本日の資料1の1ページの2.「対応」の一つ目の丸にございますように、「患者背景」として妊婦さん又は小児のような、特定の患者集団において「禁忌」になっているようなものについては、第二類の中でも特に指定第二類ということで、一定の範囲内、薬局で販売する場合にも薬剤師さんなり登録販売者のいる所から一定の範囲内、目の届く範囲に陳列をして、相談を特にできるようにとしております。部会長御指摘のように、アスピリン等も同じ妊娠後期が禁忌という理由で指定第二類としてきております。全体をどうするかという御議論は今後あろうかと事務局としてもそれを否定するものではなく、現在、指定第二類の在り方については、化学薬品全体のリスク区分の見直しを進めようとしているところでございます。頂きました御意見については、今後、イブプロフェンだけではなくて、その他のものも含めて指定第二類の考え方をどうするかという中で、検討を進めさせていただければと思っております。いかがでしょうか。
○五十嵐部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。御意見がないようでしたら議決を採りたいと思います。イブプロフェンにつきましては、指定第二類の医薬品に指定するとしたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。ありがとうございました。御異議なしということで、指定第二類医薬品に指定することにいたします。ただ今、御審議いただきましたイブプロフェンのリスク区分案につきまして、今後の予定を事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 御審議ありがとうございました。御審議いただきました結果に基づき、イブプロフェンを指定第二類に指定するということで告示の改正を進めさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○五十嵐部会長 ありがとうございました。議題1の審議は以上で終わります。続きまして議題2に入りたいと思います。事務局から資料の説明をお願いいたします。
○事務局 議題2「医薬品等の市販後安全対策について」を御説明いたします。資料2-1-1「平成23年度の安全対策について(まとめ)」でございます。1ページに、医薬品及び医療機器の副作用等報告数の推移を示しております。副作用等の報告については、薬事法第77条の4の2第1項の規定により、医薬品等の製造販売業者は、医薬品等に係る副作用・不具合・感染症・研究報告を知ったときは報告することが義務づけられております。また医師、歯科医師、薬剤師等の医薬関係者についても、同条第2項の規定により、医薬関係者が必要と認めるときは、国に直接報告することが義務づけられております。この制度に基づき報告された、過去5年間の副作用等の報告数を下表に示しております。(1)「医薬品」については、平成23年度の製造販売業者からの副作用報告は36,641件、研究報告は841件、外国措置報告は1,347件、感染症定期報告は1,089件、また医薬関係者からの副作用報告は3,388件です。こちらは、昨年度と比べて大きな変化はありません。次のページは、安全対策上の措置数の推移を示しております。医薬品に係る平成23年度の措置ですが、「医薬品・医療機器等安全性情報」への情報掲載が47件、使用上の注意の改訂が185件です。4ページの(2)「その他」の安全対策の状況として、安全対策調査会での審議状況をお示ししております。内容としては、一般用医薬品のリスク区分の見直し、ニフェジピン製剤、ラベタロール製剤、ニカルジピン製剤の禁忌の見直しと、インフルエンザワクチン、子宮頸がん予防ワクチン、ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンの安全性に関する評価について等となっております。資料2-1-1については以上です。
 次に資料2-1-2を御覧ください。医療機関及び製造販売業者から報告を受けた副作用症例については、医薬品医療機器総合機構の情報提供ホームページにおいて、医薬品ごとに副作用ごとの件数や、各症例のラインリストを公開しています。これについて、全体の公表数の総計、そしてこのうちの死亡症例の公表数について、過去5年間の状況をまとめたものとなっております。一番上の行が公表数の年次推移、その下が死亡公表数、死亡公表のうち因果関係が否定できないとされたもの等となっております。
 続いて資料2-1-3は、医薬品医療機器総合機構の情報提供ホームページに公表されている死亡例につきまして、医薬品ごとに因果関係が否定できないと評価されたものの件数を、過去5年間分まとめたものです。また、同じような形式になりますが、資料2-1-4では同様に公表されている死亡例について、こちらでは因果関係にかかわらず、死亡例の数を集計したものとなっております。これらの集計につきましては、国民の皆様に対する、医薬品の適正使用に供する情報提供の一環として、毎年1回本部会において報告しているものでございます。資料2-1の関係については以上です。
○事務局 資料2-2「医薬品等の使用上の注意の改訂について」でございます。本年3月23日に開催された、前回の医薬品等安全対策部会以降に改訂したものの一覧です。4月に39件、6月に10件、7月に13件の改訂を行いました。これらの使用上の注意の改訂につきましては、本部会の先生方に事前に御確認をいただいたものであり、またこれらの改訂は、機構の情報提供ホームページに掲載するとともに、毎月発行しております医薬品医療機器等安全衛生情報にも掲載しておりますので、詳細な御説明は省略させていただきますが、4点だけ御紹介いたします。第1に表の一番左の通し番号12-001、12-002及び12-039の、イブプロフェン経口剤、イブプロフェン坐剤及び一般用医薬品イブプロフェン含有製剤についてです。議題1で御説明しましたように、妊婦の禁忌について改訂しております。第2に12-028~035にございます、ピボキシル基を含有する製剤についてです。妊婦及び小児(特に乳幼児)への投与において、低カルニチン血症と、低カルニチン血症に伴う低血糖症に対する注意喚起を行っております。第3に12-041の、アリスキレンフマル酸塩についてです。2型糖尿病患者で、腎機能低下のあるハイリスク患者に対する国際共同治験の結果を踏まえ、「禁忌」と「重要な基本的注意」の項で、アンジオテンシン変換酵素阻害剤又はアンジオテンシンII受容体拮抗剤との併用に対する注意喚起を行っております。最後に12-043の、テラプレビルについてです。急性腎不全等の重篤な腎機能障害及び重篤な肝機能障害について注意喚起を行っております。重篤な腎機能障害及び重篤な肝機能障害の多くが、投与開始1週間以内に発現しているので、腎機能検査、肝機能検査及び電解質等の生化学検査を、投与開始後1週間以内に少なくとも2度実施すること等を、「慎重投与」の項に追記いたしました。以上でございます。
○事務局 続きまして、資料2-3「ベバシズマブ(遺伝子組換え)の安全性に係る調査結果について」を御説明いたします。本件につきましては、日本臨床腫瘍学会、日本肺癌学会、日本呼吸器学会及び製造販売業者からの要望を踏まえまして、ベバシズマブについて、脳転移を有する患者への投与を原則禁忌にしていることについて検討を行ったものでございます。資料2-3は、厚生労働省からの依頼に基づき、脳転移を有する患者へのベバシズマブの投与に関して、医薬品医療機器総合機構が取りまとめた調査結果報告書です。30ページ以降に3学会から提出された要望書がございます。1ページに戻りまして、「1.国内における状況」として2ページに記載されているように海外第I相試験において、脳転移を有する肝細胞がん患者1例に重篤な脳出血が発生したため、以降に実施された臨床試験で、脳転移を有する患者が除外されていたことから、承認申請時点では、脳転移を有する患者での安全性の情報が極めて限られておりました。このため、本剤の承認時には、脳転移を有する患者での本剤の使用には慎重な対応が必要であるとされ、脳転移を有する患者は原則禁忌となっておりました。3ページ以降に記載がありますが、機構では海外での注意喚起の状況、海外の臨床試験結果、国内の臨床試験結果及び製造販売後調査の結果、国内外の診療ガイドラインや教科書の記載状況、公表文献、国内副作用報告の集積状況等の調査を行いました。さらに、専門協議による専門委員の意見を踏まえ、本剤の出血リスクは既知のものであり、脳転移を有する患者に本剤を投与した場合、脳出血の発現リスクが増大する可能性はあるものの、脳転移を有する患者が、本剤により得られるベネフィットはそのリスクを上回ることから、脳転移を有する患者について原則禁忌を慎重に投与すべき旨の注意喚起に変更することが妥当と判断したと報告されています。ただし、脳転移を有する患者に本剤を投与する際には、脳出血のリスクが高まる可能性があることを理解した上で、専門医が個別の患者の状態に応じて本剤の適用を慎重に判断し、さらに、投与開始後も十分な観察を行い、脳出血が疑われる場合には投与中止も含めた適切な対応を行う必要があることから、医療現場への十分な情報提供が必要と判断したとされています。また、脳出血の発現状況等についても注視していく必要があるとされています。26ページに、この調査結果に基づく改訂案がございます。既に本部会の委員の先生方からは、改訂案のとおり使用上の注意の改訂を行うことについて差し支えない旨の御意見をいただいておりますので、製造販売業者に対してその旨を連絡しております。以上でございます。
○事務局 続きまして資料2-4「インフルエンザワクチン及び子宮頸がんワクチン等の副反応報告状況について」を御説明いたします。本年5月25日に開催された安全対策調査会において、インフルエンザワクチン及び子宮頸がん予防ワクチン等3ワクチンの副反応状況等につきまして、御評価をいただきました。本資料の裏面の表1を御覧ください。インフルエンザワクチンの副反応につきましては、昨年10月1日~本年3月31日まで、推定接種回数は5,033万回で、副反応の報告人数は、医療機関から554人で、100万接種当たり11人、うち重篤症例が96人で、100万接種当たり1.9人でした。また、製造販売業者からの報告では83人で、100万接種当たり1.6人でした。右に、昨シーズンの副反応報告数が参考として載っておりますが、これと比較しても、副反応の報告頻度の傾向は高くはありませんでした。死亡症例は、医療機関から7人、企業から1人報告されていますが、専門家の評価では死亡とワクチンの直接的な因果関係は認められておりません。注目される副反応として、化血研のインフルエンザワクチンでアナフィラキシーが、昨シーズンと比べて多く報告されておりますが、新型インフルエンザにおける発生率と比較して高い数値ではありませんでした。このワクチンにつきましては、原因は明らかになっておりませんが、防腐剤の種類を2007シーズンと同じものに変更する予定でございます。同じく裏面の表2を御覧ください。子宮頸がんワクチン等の副反応状況につきましては、昨年12月1日~本年3月末までにつきまして、子宮頸がん予防ワクチンの「サーバリックス」が、医療機関から91人、製造販売業者から88人報告されております。同じく子宮頸がん予防ワクチンの「ガーダシル」は、医療機関から22人、製造販売業者から14人報告されております。Hibワクチンにつきましては、医療機関から48人、製造販売業者から13人報告されております。小児用肺炎球菌ワクチンは、医療機関から74人、製造販売業者から26人報告されております。これらの副反応の報告頻度は、下の表3の発売当初からの報告頻度と類似したものになっております。注目する副反応としては、子宮頸がん予防ワクチンにつきましては、接種後に失神する報告があり、引き続き注意喚起を実施しております。また、Hibワクチン及び小児用肺炎球菌ワクチンの接種後の死亡例が3例ありましたが、調査中であった1例を除く2例で、ワクチン接種との直接的な、明確な因果関係は認められないと評価されております。本報告事項については以上でございます。
○五十嵐部会長 ありがとうございました。それでは、ただ今の事務局からの説明に対し、御意見、御質問はいかがでしょうか。特にないようでしたら、議題3に進みたいと思います。事務局から資料の説明をお願いいたします。
○事務局 資料3-1「薬事法第77条の4の4の規定に基づく薬事・食品衛生審議会への副作用・感染症等報告について」を御説明いたします。平成23年12月1日~平成24年3月31日までの4か月間に受け付けた、副作用報告等に関する情報を御報告するものです。報告事項は大きく二つです。一つ目として、1.製造販売業者からの報告、二つ目として、2.医薬関係者からの報告でございます。1.の(1)製造販売業者からの「国内症例の報告状況」でございます。表の左側の副作用報告につきまして、医療用医薬品について19,489件、一般用医薬品について126件、合わせて19,615件の報告を受け付けております。また、表の右側は感染症報告として、医療用医薬品について30件の報告を受け付けております。前回の部会において御報告いたしましたが、平成23年8月1日~平成23年11月30日の4か月間に受け付けた副作用報告は18,895件、感染症報告は30件でしたので、報告件数としては大きな変化はないものと考えております。(2)「外国症例の報告状況」でございます。この4か月間で、副作用報告が76,476件、感染症報告が9件ございました。なお、前回の4か月間の報告数は、副作用報告が70,070件、感染症報告が34件であり、大きな変化はないものと考えております。(3)「外国での新たな措置の報告状況」でございます。この4か月間で482件の報告を受け付けております。前回の4か月間の報告数は430件であり、大きな変化はないものと考えております。(4)「研究報告の報告状況」でございます。この4か月間で300件の報告を受け付けております。前回の4か月間の報告数は352件でしたので、大きな変化はないものと考えております。2.として医薬関係者からの報告でございます。この4か月間に1,525件の報告を受け付けております。前回の4か月間の報告数は2,113件であり、大きな変化はありません。
 資料3-2~資料3-6は副作用報告、感染症報告、外国措置報告、研究報告の概要資料です。概略を御説明いたします。
 資料3-2は、この4か月間に報告された医療用医薬品の国内の副作用報告について、医薬品別、副作用名別の件数を整理したものでございます。薬効分類別に並べておりますが、薬効分類については参考資料3-2の表を御参照ください。表の見方にいくつか留意点がございますので御注意ください。1)これらの副作用報告は、医薬品との因果関係が不明なものを含め、製造販売業者等から報告されたもので、個々に医薬品との関連性を評価したものではございません。2)副作用報告の件数につきましては、平成23年12月1日~平成24年3月31日までに報告されたものですが、同一症例に複数の被疑薬が存在し、同じ症例が複数の企業から報告された場合は重複してカウントしておりますので、ここで報告された件数が、そのまま症例数にはなりません。3)副作用報告の件数は、本報告期間中に報告されたものであっても、本報告期間中に追加情報により因果関係が否定された場合や、重篤性が変更となり、報告対象外となった場合には、報告件数から除外しております。4)報告件数は、副作用名別の件数を示したものであり、1症例で複数の副作用を発現する場合がありますので、報告件数を合計した数が報告症例数になるわけではございません。以上です。
 資料3-3は、一般用医薬品の国内の副作用報告でございます。一般用医薬品につきましては、一番左の行に薬効群の名前を示しております。こちらを参考に御確認いただければと思います。
続きまして、資料3-4「国内感染症報告の状況」でございます。多くが輸血用血液製剤に関連する感染症の報告でございます。
資料3-5「外国における新たな措置の報告状況」でございます。
資料3-6「研究報告の報告状況」でございます。簡単ではございますが、副作用等の報告についての御説明は以上でございます。
○五十嵐部会長 ありがとうございました。ただ今の事務局からの説明に対しまして、御意見、御質問ございますでしょうか。特にご意見がないようですので議題4に進みたいと思います。事務局から資料の説明をお願いいたします。
○事務局 資料4-1及び資料4-2により、薬事法第68条の8に基づきます医薬品の感染症定期報告について御報告させていただきます。今回は、平成23年12月~本年3月末までに報告された、感染症定期報告を取りまとめました。合計363件の報告がございました。資料4-2が感染症定期報告の報告ごとの整理・調査結果ですが、医薬品の原材料ごとになっております。感染症単位でまとまっておらず、同一文献が何度も出てくること、また前回までの部会にも御報告済みのものがございますので、それらを新規の文献について、感染症ごとに整理したものが資料4-1でございます。
資料4-1には、平成23年12月~本年3月末までに報告された新規文献及び報道記事等81件をまとめております。今回比較的報告が多かった感染症は、ウイルス感染が24件で最も多く、次いでインフルエンザが10件、B型肝炎、E型肝炎、HIVでそれぞれ4件の報告がございました。今回も、事前に渡邉先生、石井先生、新見先生に御確認いただいておりますが、直ちに安全対策措置を講ずるものはなかったということでございます。また、ウイルス感染の報告のうち、45番~61番の17報告につきましては、欧州におけるヒツジ、ウシ、ヤギ等に発生したSchmallenberg virusについてでございます。新見先生からコメントを頂けると伺っておりますので、よろしくお願いいたします。以上でございます。
○新見委員 それでは、欧州で発見された新規ウイルスである、Schmallenberg virusについて報告させていただきます。Schmallenberg virusは、ブニアウイルス科オルソブニヤウイルス属のうち、Simbu血清群に属すると見られており、2011年の夏~2012年の2月まで、欧州5か国のウシ、ヒツジ、ヤギで感染が確認されております。主な症状としては、下痢、発熱、乳量低下で、妊娠期間に感染した場合には流産、死産、先天性奇形を起こす場合があります。今のところ動物間の直接的な感染はなさそうで、ヒトへの感染についても知られていません。また、その可能性は低いと考えられています。今後も本ウイルスに関する情報については注視する必要があると思います。以上です。
○五十嵐部会長 ありがとうございました。ただ今の、事務局からの説明に関して御意見、御質問はいかがでしょうか。御意見がないようですので、議題5に進みたいと思います。事務局から資料の説明をお願いいたします。
○事務局 資料5-1について御説明いたします。回収でございますが、薬事法により、製造販売業者は医薬品等の回収に着手したときは、その旨を厚生労働大臣に報告しなければいけないことになっております。この規定に基づき、施行規則が設定されておりまして、そこにおいて具体的な報告事項を規定しているところでございます。1ページの「また」以下でございますが、このような法令を受けて、私どもは回収通知と称しておりますけれども、いわゆる監視指導要領として、回収に当たっての基本的な考え方や、対象範囲をどのような考え方で特定するか、若しくは手続をどうするかといったようなことを規定しております。また、この回収通知により実際に回収に至った場合においては、すべての事例をインターネットで公開し、注意喚起しております。また、薬事法の中には回収の状況につきまして薬事・食品衛生審議会へ報告という規定があり、その規定に基づいて御報告いたします。1.「回収件数年次推移」でございます。毎年度報告しているものでございますが、一番右側に、平成23年度というところを今回新しく記載しております。医薬品・医療機器、医薬部外品、化粧品、全体の回収の件数は668件で、年次推移という観点から見ても、例年と比べて特段大きな変化はないと考えております。また、医薬品・医療機器、医薬部外品、化粧品、それぞれにつきましても、特段大きな変化はないと考えております。2ページは、平成23年度の今回追記した回収の中身でございます。回収件数及びクラス分類と記載がありますけれども、回収につきましては、先ほどお話した回収通知の中に規定がございまして、回収される製品によってもたらされる健康への危険性の程度により、クラスI~クラスIIIとして数字が割り当てられております。基本的にはクラスIIを標準として、その製品の使用によって重篤な健康被害又は死亡の原因となり得るようなものであれば、クラスIとなりますし、その製品の使用によって健康被害の原因となるとは、まず考えられない場合はクラスIIIとして数字が割り振られ、回収ということになります。今回は医薬品・医薬部外品・化粧品の部会でございますので、その関係でお話しますと、医薬品につきましては、平成23年度はクラスI回収が42件起きております。これにつきましては※1にあるように、血液製剤の、献血後の様々な情報により、投与前に事前回収されたものでございます。また、医薬部外品につきましては2件生じており、小麦加水分解物を含有する石鹸で、今回2例がクラスI回収されております。クラスII回収、クラスIII回収につきましては、記載のとおりでございます。
もう一つ、回収の関連資料として資料5-2を提出しております。今、御説明した数字の中身でございます。1ページは医薬品のクラスI回収で、すべて血液製剤で、記載のとおりの回収理由で回収が行われております。2ページは医薬部外品の2品目について、クラスI回収が行われております。3ページ以降はクラスII回収、クラスIII回収がなされたものを報告しております。こちらにつきましては御説明を割愛させていただきます。報告は以上でございます。
○五十嵐部会長 ありがとうございました。ただ今の事務局からの説明に関して、御意見、御質問ございませんでしょうか。
○日野委員 このようにして回収された場合、世の中に出回った物の何%ぐらいが回収されたかということは、企業に問い合わせているのでしょうか。例えば、先ほどの加水分解小麦の石鹸などは、まだ世の中に出回っている状態ですけれども、何%ぐらいが回収できたかという、念押しと言うのでしょうか、そういったことはされているのでしょうか。
○事務局 回収を行うに当たりまして、まず、回収の対象範囲を特定することになります。その範囲が決められましたら、可能な限り回収していただくように、基本的に都道府県が指導いたします。ただ、ものによっては回収の対象範囲が決められたものであっても、使用してなくなってしまうものなどについては回収できませんので、回収率がどれぐらいまで上がるかというのは、個別のケースによって異なりますけれども、いずれにしても回収の対象範囲がきちんと回収されているかどうかについては、都道府県が確認をします。100%と言いますか、完璧というのはなかなか難しいところがありますけれども、常識的に考えてこれ以上の回収は難しいという判断がなされた段階で、回収終了報告を受け取り、そちらもPMDAになりますが、先ほどの回収報告と同様に公表するという形で対応しているところでございます。
○五十嵐部会長 今、指示を出した後のプロセスを御説明いただいたのですが、よろしいですか。
○猪熊委員 質問です。クラスI、II、IIIとありますが、いずれも対価を払ってと言うか、購入するのに要したお金はクラスIでもIIでもIIIでも、すべて払い戻されるということですか。
○事務局 それはどこからどこへの対価でしょうか。要は、事業者が回収するに当たって、その対価を医療機関などに払うかということでしょうか。
○猪熊委員 回収を受ける者にです。
○事務局 そこについては企業間の関係になっておりますので、私どもはすべてについて把握しているわけではございません。薬事法上は少なくとも品質に問題のある医薬品等があれば、健康被害につながるものですから、そういったものについては回収という形で指導し、製造販売業者はその指導に従って市場からそのような物を回収するという対応を取っていただいております。
○五十嵐部会長 よろしいでしょうか。ほかはいかがでしょうか。ほかに御意見がないようですので、次の議題に進みたいと思います。事務局より資料の説明をお願いいたします。
○事務局 資料6-1「医薬品リスク管理計画指針について」を御説明いたします。医薬品リスク管理計画指針については、本年4月11日に発出した通知です。この指針はICH E2Eガイドラインに基づき、承認審査時及び製造販売後に各医薬品の安全性に関して検討すべき事項を明らかにし、重要な安全性検討事項について行うべき調査、試験の計画立案、及びリスク最小化のための追加的な安全対策措置の検討を行い、その全体を医薬品リスク管理計画として策定するための指針として取りまとめられたものでございます。この指針に基づく医薬品リスク管理計画は、平成25年4月1日以降に製造販売承認申請される新医薬品、バイオ後続品から策定される予定となっており、それらの品目については策定された医薬品リスク管理計画に基づき、製造販売後の安全性の確保を目指していくことになります。以上です。
○事務局 続きまして、資料6-2「小麦加水分解物を含有する医薬部外品・化粧品の使用者に発生した全身性アレルギーに係る報告について」を御説明いたします。小麦を加水分解した成分を含有した石鹸の使用者におきまして、小麦含有食品を摂取後に運動した際、全身性のアレルギーを発症した事例が報告されたことを受け、平成22年10月以降、小麦加水分解物を含有する医薬部外品・化粧品について、小麦アレルギーに関する注意喚起及び副作用報告の徹底、さらに製品の自主回収及び使用者に対する注意喚起等の安全対策を実施しております。なお、このような経緯につきましては、本年3月の平成23年度第3回部会において御報告したところでございます。副作用の集積状況につきましては、2ページの別紙1の表でお示ししております。報告された副作用名を基に、食物依存性・運動誘発性アレルギーと思われる症例を集計したところ、医療機関からの報告が131例あり、前回の報告より9例増えております。このうち救急受診や入院が必要となった重篤症例が27例、この27例のうち、専門家の評価により因果関係が否定できないとされたのは15例であり、前回の報告より1例増えております。また、その他のアレルギーの副作用名で報告された医療機関からの報告は5例増えて102例、うち27例が重篤症例でした。重篤症例数は前回の報告より増加はございませんでした。製造販売業者からの報告では、食物依存性・運動誘発性アレルギーの報告が565例増えて1,856例、うち重篤症例は47例増加し、186例となっております。因果関係につきましては報告書から得られる情報が十分ではなく、評価が困難な症例が多いものの、因果関係が否定できないと評価された症例は10例増加して29例となっております。3ページの別紙2では、「茶のしずく石鹸」以外の小麦加水分解物を含有する医薬部外品又は化粧品の使用者に発生したアレルギーについてお示ししております。平成24年6月30日までに全9例の報告がございましたが、症例No.1~7につきましては、昨年11月の第2回部会において御報告した症例です。新たに報告されたNo.8についてはシャンプー、No.9についてはヘアコンディショナーによるアレルギー症状の発現となっておりますが、いずれの製品に含まれている小麦加水分解物は、「茶のしずく石鹸」に含まれていたグルパール19Sとは異なるものであり、また食物依存性・運動誘発アレルギーの発現は報告されておらず、現在までのところ、同一製品で複数の方にアレルギーが発生したという報告もございません。今後も引き続き副作用の発現状況を注視するとともに、必要な安全対策を実施していくこととしております。以上でございます。
○事務局 続きまして、資料6-3「市販直後等安全性情報収集事業(定点観測事業)報告書」を御報告いたします。本事業は新たに承認された医薬品のうち、新規性が高いものや国内外において使用経験が少ないものなど、特に市販直後の安全性確保が必要と判断されるものについて、原則として6か月間、その医薬品の使用状況や副作用の発現状況、臨床現場への製造販売業者による安全性情報の情報提供状況などについて医療機関より毎月提供していただき、必要な対応を図ることを目的とした事業でございます。今回は資料6-3になりますが、事業が終了しましたプラザキサカプセル(一般名ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸)について御報告いたします。製造販売元は日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社、効能・効果は非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制でございます。調査に御協力いただいた医療機関は、財団法人全国社会保険協会連合会北海道社会保険病院、茨城県厚生農業協同組合連合会総合病院土浦協同病院、地方独立行政法人神戸市民病院機構神戸市立医療センター中央市民病院、岡山赤十字病院及び国立病院機構九州医療センターの5医療機関でございます。これらの医療機関における当該医薬品の使用状況や副作用の発生状況、また製造販売業者による安全性情報の収集・提供状況などについて、平成23年3月14日の発売日以降、各医療機関での採用から6か月間、毎月1回御報告いただきました。使用状況について、すべての医療機関で採用され、約270名の患者さんに使用されました。副作用などの発現状況については、調査実施機関中、腹部不快感・嘔気・胸やけ・逆流性食道炎等の消化器症状、APTTの延長・歯肉等からの出血等の出血関連事象、皮疹、軽度な腎機能低下、夜間動悸、疲労感等の症状が認められ、本剤を減量又は中止した症例が報告されましたが、重篤な副作用の発現はございませんでした。製造販売業者の活動状況につきましては、定期的な医療機関への訪問により、安全性情報の提供が行われていたとの報告がありましたが、一方で調査期間中、情報提供に時間を要していた旨や、昨年8月に腎機能障害患者での重篤な出血の発現についてブルーレターを配付していますが、ブルーレター発出前に安全性情報に関する情報提供が不十分な面があった旨も報告がございました。このため、調査終了期間後、製造販売業者へ医療機関訪問状況について聴き取りを行いましたところ、情報提供の遅れの指摘があった医療機関につきましては、情報提供開始日から週末を挟んで5日目に配付しており、全医療機関を訪問するには一定の時間を要するものであるとのことでした。また、適切な情報提供を徹底するため、資材内容の改善、教育を通じた社内体制の強化、社内情報共有の迅速化といった対応が取られているとのことでございました。さらに、引き続き適正使用を推進するため、継続的に資材の作成、配付を行っており、今後も注意喚起を実施していく旨の見解が示されました。その他の事項としては、資料2ページを御覧ください。医療機関においては製造販売業者からの安全性情報について院内に周知する等、適切に活動した旨の御報告がございました。また、調査終了後の意見交換におきまして、規模の小さい医療機関も調査実施機関として選定してはどうかとの御意見がありましたので、今後、対象品目の特徴に応じ、様々な規模の医療機関も選定の対象として積極的に考慮していくことといたしました。以上でございます。
○事務局 引き続き、資料6-4「ゼラチンカプセルを使用した医薬品等の品質及び安全性の確保について」の御報告をいたします。本年4月、中国において同国の基準を超えるクロムを含有するゼラチンカプセルが流通しているとの報道があったことから、医薬品及び医薬部外品の製造販売業者に自己点検を実施し、製品の品質及び安全性の確保をお願いしたところでございます。また、5月にはカプセルのみならず、ゼラチンについても同様の状況であることが判明しまして、対象をゼラチンにも広げるとともに、化粧品や医療機器の製造販売業者にも自己点検を実施し、製品の品質及び安全性の確保をお願いいたしました。なお、点検の結果、何か問題があった場合には厚生労働省に御報告いただくように通知しているところですが、特に問題があった等の報告はいただいていないという状況でございます。
 続きまして、資料6-5「コチニール等を含有する医薬品、医薬部外品及び化粧品への成分表示等について」の御報告をいたします。こちらは本年5月、コチニール及びカルミンについて、不純物として含有するタンパク質に起因すると推定されるアナフィラキシー反応の発現が報告されたため、コチニール等を含有する医薬品、医薬部外品及び化粧品について、情報収集の徹底及び注意喚起のための表示の整備を行ったものでございます。コチニール等を含有する医薬品、医薬部外品及び化粧品への成分表示等についての御報告は以上でございます。
○事務局 最後に、当日配付資料「患者副作用報告の開始について」の御説明をいたします。平成24年3月より、PMDAが医薬品によって生じた副作用を、患者又はその家族がインターネットを介して報告できる患者副作用報告システムの運用を試行的に開始いたしました。収集された情報は医薬品による副作用の発生傾向を把握するなどの、医薬品の安全対策を行う目的で利用されます。報告いただく内容は、生じた副作用を始め、副作用を引き起こした医薬品、副作用情報を聞くことができる医療機関名等です。受け付けた副作用情報につきましては、より詳しい情報を得るためにPMDAが調査を実施する場合がございます。その場合は、原則として副作用が現れた本人に承諾を得た上で、必要に応じて関係の医療機関等にも御協力をいただく場合がございます。次に、2ページ中段を御覧ください。3.「これまでの報告状況」としては、受付開始以降、本年5月末までに90例の報告がございました。今後は試行期間中に収集した報告や報告者へのアンケート調査の結果などを基に、報告システムの見直し、運用方法の検討などを行った上で正式に受付を開始する予定となっております。できるだけ多くの方にこのシステムを知っていただき、利用していただきたいと考えております。以上でございます。
○五十嵐部会長 ありがとうございました。ただ今の事務局からの説明に対して、御意見、御質問はいかがでしょうか。副作用の患者様からの自主的な報告につきましては始まったばかりですけれども、まだなかなか世間に周知されていないでしょうし、医療関係者も知らない方が多いと思いますので、これから宣伝等が必要だと思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。本日御出席の先生方にも、御協力いただけると大変有り難いと思います。御意見がないようですので、議題6については終了したいと思います。本日予定していた議題は以上ですが、事務局から何かございますでしょうか。
○事務局 特にございません。
○五十嵐部会長 委員の先生方から何かあればお願いいたします。
○猪熊委員 元に戻りまして、「茶のしずく石鹸」のことですけれども、ホームページを拝見したところ、茶のしずく(悠香)は載っていたのですが、フェニックスという会社も同様にあります。私はこれを初めて拝見して、どうしてなのかと思ったのですが、いかがでしょうか。
○安全対策課長 「茶のしずく石鹸」については、フェニックスが製造して、販売を株式会社悠香がやっているという関係にあります。悠香とフェニックスについては同日に回収を開始しておりまして、併せてホームページにも載っています。
○五十嵐部会長 よろしいですか。
○安全対策課長 両者は協力して回収又は情報提供しておりますので、片方の会社の使用者に対して情報が行き届かないなどということはないと理解しております。
○猪熊委員 別件で、最後の新しい事業ですが、患者あるいは家族の方から報告があると、同じ件が医療機関からも、あるいは業者からも報告されているかどうかというのは、どのようにチェックできるのでしょうか。
○安全管理監 実際に報告を受けているPMDAから御説明いたします。現状の患者さんからいただくという方法について、最初に厚生科学研究費の研究班で慶應義塾大学薬学部の望月真弓先生にお願いしまして、どんな格好であれば患者さんから報告をうまくいただけるかということでテストをして、そこから更にシステム化をして、まだ試行ですけれどもPMDAでやっています。この段階の報告は、患者さんが自分でこれは副作用だと思うということを報告されるのですが、このケースについてはほとんどが医療用の医薬品での副作用報告ですので、ものによっては医療機関若しくは企業からの報告としても出てくる可能性のあるものもあるとは思います。ただ、それを特定するような情報というのは必ずしもいただいておりませんし、企業や医療機関から報告されるものについては、患者さんを特定する情報を含めていませんので、同じものが来ているかどうかというのは、今の時点では分かりません。ただ、内容的に見ますと、患者さんからいただいているものの大部分は、お医者さんにかかって医療用の医薬品を処方されていて、使用中に熱が出たとか、発疹が出たとか、あるいは肝機能の数値が少し上がったとか、このようなことを言われましたということで、御報告をいただいております。これらの報告内容について見ている限りは、必ず従来の然るべき副作用報告のルートから報告されるものとか、あるいは副作用としては既に分かっているものなど、そういったものがほとんどであるという現状です。中には、患者さんが御自身の症状として感じるということで報告されるものが、出てくる可能性はあります。こうしたものの中に、私どもが普通の副作用報告のルートで見ている限りでは、なかなか分からないような、患者さんならではの観察あるいは症状の訴えというものが直接来る可能性はあると思っております。ですから、患者報告の間口を開けて報告を頂き続けるという中に、患者さんからでないと分からないことが出てくるのではないかと考えて、注意深く見ているというのが現状でございます。今のところ、頂いているものは既存の分かっている副作用の範疇のものばかりで推移している状況です。
○五十嵐部会長 よろしいでしょうか。ほかに御質問、御意見ございますか。ないようですので、以上で本日の部会を閉会といたします。どうもありがとうございました。


(了)

備考
本部会は、公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 安全対策課 課長補佐 広瀬(内線2752)

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