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2012年10月18日 医師臨床研修制度の評価に関するワーキンググループ(第8回) 議事録

○日時

平成24年10月18日(木) 10:00~12:00


○場所

厚生労働省 共用第8会議室(6階)
東京都千代田区霞が関1-2-2


○議題

論点骨子(案)等について

○議事




医師臨床研修制度の評価に関するワーキンググループ(第8回)



日時 平成24年10月18日(木)
10:00~
場所 厚生労働省共用第8会議室(6階)

○臨床研修指導官 皆様、恐れ入りますが、定刻より少し早いのですが、先生方皆様おそろいですので、医師臨床研修制度の評価に関するワーキンググループをこれから開催させていただきます。本日は、先生方にはご多忙のところご出席をいただきまして、誠にありがとうございます。本日は、岡村委員から所用により欠席とのご連絡をいただいております。また、本日の議題に関連いたしまして、参考人の先生方をお呼びしております。東京大学医学部附属病院企画情報運営部准教授の小池創一先生でいらっしゃいます。北海道大学大学院医学研究科特別研究学生の武冨貴久子先生でいらっしゃいます。株式会社パスコの松下香代先生でいらっしゃいます。また、文部科学省医学教育課からは、渡辺企画官にお越しいただいております。以降の議事運営につきましては、座長にお願いいたします。堀田先生、よろしくお願いいたします。
○堀田座長 おはようございます。ただいまから議事を進めてまいります。まず、資料の確認をしたいのですが、よろしいですか。
○臨床研修指導官 先生方、お手数ですが、お手元の資料のご確認をお願いいたします。いちばん上に載っています議事次第、委員名簿、参考人名簿、座席表の束です。次の束が、ヒアリング資料1として大滝先生の資料です。次の束がヒアリング資料2、小池先生の資料です。次の束ですが、事務局提出資料1、論点骨子(案)となっている資料です。続きまして、事務局提出資料2、論点骨子(案)の参考資料(案)とさせていただいている資料です。次の束からが、参考資料(案)の別添となります。別添1といたしまして福井参考人の提出資料、別添2といたしまして安田参考人の提出資料、別添3といたしまして片岡先生の資料、別添4といたしまして私ども事務局の提出資料、別添5といたしまして研修医アンケートの追加となっているものです。最後が「参考資料」と右肩にございますが、臨床研修制度に係る施行通知のものです。不足等がございましたら、事務局にお申しつけください。
○堀田座長 よろしいでしょうか。特になければ議事に入ります。本日は、論点骨子(案)の議論が中心ということで、この会もいよいよ終盤に差しかかってきて、まとめの時期に入ります。ということで、議論はそろそろそちらに移していきたいのですが、その前に懸案になっていました海外の研修制度等について、調査結果をご報告いただきます。まず、大滝先生、武冨先生から海外の臨床研修制度についてのご紹介をいただきますが、大滝先生、よろしくお願いします。
○大滝委員 ヒアリング資料1に沿ってご説明してまいります。概要は私からご説明し、補足的なことについては武冨からも追加をいたします。それから、同じ分担研究の担当者として、田中先生にも、特にインフォーマントのご紹介や、以前に調査された際の資料など、たくさんの情報を頂いていますので、田中先生からも補足をいただければと思います。
 資料の頁に沿ってご案内してまいります。最初の「国別」と印を付けていただいたところから、裏表4頁つながっている資料がございます。この資料の見方ですが、国別というのは、今回調査の対象とした米国、英国、フランス、ドイツ、台湾、韓国、これが縦の列になっています。もう1カ所、オーストラリアについても調査対象としましたが、情報がまだ十分集まっていませんので、今日のご報告はそれを除いた6カ国としています。
 載せてある情報の種類は、大きく分けて4種類ございます。1頁の左端のところに縦に細長く「プログラム概要等」と書いてあります。この頁はここに示すように、各国の臨床研修プログラムがどのような枠組で行われているかを整理した頁です。2頁は、同じく左端の縦の欄を見ていただきますと、「研修医に対する評価」となっています。この頁には、研修医に対する評価がどのような形で行われているのかが記されています。3頁の左端の欄には「指導医に対する評価」と書かれています。これは、研修医の指導を担当している指導医が、どのような形で評価を受けているのかをまとめたものです。4頁は、「プログラムに対する評価」です。これは研修プログラム自体について、主に研修医からの情報が多いのですが、どのように評価が行われているかが記されています。これら4種類に分けて資料を整理してあります。
 かなり膨大な内容ですので、網羅的にご説明することは控えます。大まかに申しまして、米国の評価制度については、すでにこれまでにいろいろ情報が入ってきている内容と同様です。略称で「ACGME」と書かれていますが、NPOの団体が中心になっていろいろな制度を、この評価についても管理しています。ご存じのように、米国の場合には医師養成の時期がカレッジ卒業後であるということなど、日本とはいくつか違う点がございます。
 2列目の英国については、かなり日本に近い研修制度になっています。高校卒業後、5年ないし6年の医学教育を受けたあとこの研修制度に入ります。卒後研修の流れとしてはFoundation Program、Foundation Yearということで、FYという略称で呼ばれているようですが、FY1が卒後研修1年目、FY2が2年目、1年目が必修で、2年目は約60%の者が履修するようです。これは最近制度が変わって、こういった形になったと聞いています。卒後研修に必修の形で全科共通のものを入れていること、高校卒業後の医学教育であることなど、日本と共通する面が多いと思います。
 フランス、ドイツについては、研修医の評価等に関する情報は少ないのですが、枠組については、ここにお示しした内容です。高校卒業後6年間の医学教育を受けたあと、臨床研修に進みます。日本と違い、例えばフランスでは、一般医と専門医の研修が、これはいま見直しも行われているようですが、かなりはっきりと分かれているということ。ドイツの場合には、これは卒前の実習の充実度にもよると思うのですが、卒後すぐに専門医の研修が始まるということなど、日本の状況とは少し違う面があるかと思います。
 台湾と韓国については、台湾は高校卒業後7年間が学部教育ですが、そのうち最後の1年間がインターンということです。日本の卒後研修に近い形での卒前教育があり、実質的には日本にかなり近い状況になっていると思います。日本の卒後研修と似た形で、ここでは「PGY」と書かれていますが、2年間の研修も含められています。韓国の場合は、ご存じのように、いま高校卒業後に入る医学部と、いわゆるメディカルスクール型のものと2本立てのトライアル的な医学教育を行っており、つい最近、メディカルスクール型があまりうまく行っていないということで、撤退する方針が発表されたと聞いていますが、こういった2本立ての医学部での教育が行われてきています。韓国の場合には、兵役があるなど、かなり日本と違った部分もありますが、ここに書いてあるような枠組です。こういったプログラムの概要を見ますと、日本でのこれからの卒後臨床研修を考えていく上でいちばん参考になるのは、英国だろうと思いますが、各国で共通点、相違点があります。
 2頁は研修医に対する評価です。時間の関係で、特に参考になると思われる英国を中心にご紹介してまいりますが、後ほどの質疑のところで、必要があればほかの国についてもご意見やご質問をいただければと思います。英国の場合は、評価の担当者は、そこの中ほどに「評価担当者」という項目がありますが、指導医とプログラム責任者が主に行っているようです。
 評価の方法ですが、これは後ほど詳しくご紹介しますが、日本とはかなり大きく違った評価方法を使っています。前回のワーキンググループでも少し紹介しましたが、網羅的に疾患のリストを経験したかどうかをチェックしていくということはないようです。これは田中先生から、実際にそちらで研修した今回のインフォーマントの先生にも確認をしていただいたのですが、そういったものは使用していないという確認が取れています。
 代わりにどのようなことをしているかについては、このあとでご紹介します。その他、どういった形でチェックが入るかについては、内容についてはそれほど各国で大きな違いがありませんが、評価や苦情の受付などについて、英国の場合にはほとんどがオンラインで行われているようです。この中では「E-portforio」という言葉が使われていますが、要するにオンライン上でportforio、もともとは資料を束ねておくといった概念かと思いますが、医学教育では評価をするためにその人が学習した履歴を振り返りなどを含めてためていくといったイメージで使われている用語だと思います。それをオンラインで共通のシステムを使ってやっているようです。それについても、あとでもう少し具体的にご紹介してまいります。
 3頁に進みますと、今度は指導医に対する評価です。これも英国のところを中心にご紹介してまいります。英国でもこういった評価は行われているそうですが、項目の内容については、我が国のEPOCなどと同様の項目で、これもE-portforio、オンラインで行われていることが確認できています。
 指導医の評価を誰がやるのかについては、研修医とGMC(ジェネラル・メディカル・カウンセリング)です。Deanaryというのは、イギリスの制度独特の組織ですが、地区の研修委員会といった位置づけになるのかと思います。そこが指導医の評価も行っているようです。
 指導医の認定要件、いちばん下のところをご覧いただきますと、英国の場合には、私はこれは少し意外だったのですが、指導医になるための事前のチェックは特にないということだそうです。ただ、指導医のためのトレーニング、日本でいうと指導医講習会に当たるかと思いますが、そういったフォーマルな講習会のような研修を受けている人が、かなりの割合でおられるということだそうです。
 次の頁に行きますと、プログラムに対する評価です。これもイギリスのところを中心にご紹介してまいりますと、方法のところに??とありますが、プログラムに対する評価が2種類行われていて、1つがE-portforio。これはその下の「評価担当者」というところが、同じく?が研修医となっているように、研修医が自分が研修を受けているプログラムについての評価を、E-portforioの一環として提出するということになっているそうです。?のところに、方法で「3ないし5年毎の現地視察」となっているのは、これが外部評価に相当するものかと思いますが、これがジェネラル・メディカル・カウンセリングです。準公的な機関と言っていいかと思いますが、そこがこういったサイクルで行っているということです。
 その評価で問題があると判断された場合、どうなるかというと、その下の「FB(フィードバック)や判定の仕組み」「指導や介入」というところにあるように、再視察を行ったり改善の要求が出されるということだそうです。
 以上が今回の調査の結果の概要です。申し遅れましたが、今回の調査は、各国の研修を管理する立場にある方1名、研修を経験した方1名をこちらで探し出し、その方にご協力をお願いして、質問票とインタビュー、ないしメールでのやり取りで、ここに書かれている情報を集めたものです。情報提供者に関する資料が整っていませんが、今後、報告書に向けてそこもまとめていく予定ですが。ただし、国によっては、いろいろな事情で一方の、例えば研修医だけとか、管理者側がけからしか情報を得られなかった場合もありますので、その点はご承知おきください。
 具体的な内容について、特に英国の研修医評価についての情報が中心になりますが、もう少し詳しくご紹介してまいります。5頁をご覧ください。先ほど申しましたように、イギリスの研修の評価システムは、日本とかなり方法が違っております。一言で言いますと、何かを経験したかということよりも、何ができるようになったか、本当にできるようになっているかを現場で確認することを重視しています。
 ここでは大きく分けて3種類挙げられています。それが5頁の表に書かれているものです。1つ目が、指導医による直接観察。指導医が、実際に研修医ができるようになっているかどうかを確認して記録を残していくものです。これは細かく2つに分かれまして、1つ目がMini-CEXと呼ばれる評価表です。これについては、後ほどさらに具体的にご紹介します。もう1つが、ダイレクト・オブザーベーション・オブ・プロシージャル・スキル、「DOPS」と書いてありますが、手技ができるようになったかどうかをチェックしていくことです。これについては、それぞれおおよそどのような内容で、どれぐらいの回数を行うべきかが規定されています。
 2つ目のところが、症例検討会できちんといろいろな報告をしたり、アセスメントをしたりすることができたかということです。これがCbD、Case-based Discussionと呼ばれています。
 最後が、プレゼンテーションのスキル。その3つが評価方法として用いられているそうです。
 6頁を見ていただきますと、これは英国だけではなくて、情報の得られた4つの国の比較です。「コンピテンシー」という言葉が書かれていますが、これは最近の教育の考え方の中でよく用いられる用語であり、目標を立てる場合によく使うのですが、日本語で近い言葉としては「行動特性」と訳されることも多いかと思います。要するに何かを経験したか、見たことがあるかではなくて、そういう場で適切な対応行動が取れるかを評価する、そういった内容の目標の立て方と言ってよろしいかと思います。日本の場合には、目標がコンピテンシーの形式になっていない部分があります。行動目標として挙げられているのがコンピテンシーに近いと思われますので、ここに抜き書きしました。この他に経験目標など、行動特性以外の目標もありますが、ここでは行動に関係したものを比較するために挙げてありますので、これプラスアルファが日本の研修目標とお考えください。米国、英国、カナダについては、こういったことがコンピテンシーとして挙げられています。
 これらのコンピテンシーについては、当然、深さとか、具体的な内容を、さらにこの下にぶら下げる形で膨らませて目標や学習方法が作られるわけですが、ここに書いてある多様な能力が目標として組み込まれているということです。国によって大きく違うわけではありませんが、多少、観点や表現の仕方にバリエーションがあります。
 7頁には各国によっていろいろ呼び方がありますので、その中でも略語がよく使われやすいもの、参考資料のURLなどをご紹介してあります。8頁にも、参考資料の引用元などをご紹介してあります。
 9頁以降が、ニポポ、評価の枠組みというPDAファイルをダウンロードしてプリントした資料になっています。ニポポというと耳慣れない方もおられるかと思いますが、これは北海道にある家庭医療学の後期研修のプログラムの1つです。ここの研修は、評価方法をとてもきちんと作り込んでおられて、しかもその評価方法をご自分たちのウェブサイトで公開しておられます。公開されているので、ここでご紹介するものですが、オリジナルは私どもではなくて、そちらのサイトからの引用ですので、お取扱いにはご留意ください。
 資料としては30頁ほどありますが、今回特にご紹介したいのは、先ほど紹介したMini-CEX、それが8~11頁です。日本ですでに使っている所があるということで、具体例として紹介します。通しの頁数で言うと16頁、ニポポの資料で言うと8頁からが、Mini-CEXについての資料です。Mini-CEXという評価表の使い方が、最初の2頁に書かれていて、3頁目、ニポポの資料で言うと10頁、通しの頁数で言うと18頁に、実際のMini-CEXの評価表が付いております。日本語訳も付いており、「短縮版臨床評価テスト」となっております。短縮版といいますか、簡易版といいますか、手軽に使えるいろいろな臨床現場での評価のリストということで、これは私も研修医の指導の場で実際に使用した経験がございます。
 大体5分~15分ぐらい、研修医がやっている診療行為を観察して、これでチェックして、チェックした上で研修医とディスカッションするといった使い方をします。もちろん、場合によっては評価できない項目もありますので、その評価項目については観察できなかったという評価をして、かなり幅広く利用できます。もちろん、必要に応じて内容を多少作り替えることも可能かと思います。そういったことも含めてニポポで使っている多様な評価方法がここで紹介されています。特にMini-CEXについては、参考になるかと思いました。
 最後に、通し頁で45頁に飛んでください。ここからは、英国で使われている評価の具体的な内容です。45頁は、E-portforioで行う評価の1つの自己評価の評価表です。特にご覧いただきたいのは、向かって左側の欄、1~16まで付いていますが、これが先ほどご紹介したコンピテンシーをさらにもう少し細かい要素に分けて評価する、そういうリストになっているということです。コンピテンシーごとの自己評価を行うということです。
 「F1」と書いてあるのが、1年目の研修医が使用するという意味で、2年目になると、さらにこの内容がもう少し深いレベルの具体的な評価項目になっているそうです。46頁は、これが英国で使われているMini-CEXの実物です。47頁がCase-based Discussionです。実例検討会での記録用のシートです。さらに、49頁からは「NHS」と書かれていますが、これはご存じのナショナル・ヘルス・サービスです。イギリスの制度の中でDeaneryという言葉もありますが、ヨークシャー辺りの後期研修のDeaneryの資料です。これは、地域の委員会で使われているE-portforioの使い方のガイドラインのようなことが書かれている資料です。
 55頁のいちばん最後のところには、実際に研修医が記入するシートがあります。ナショナル・ヘルス・サービスの資料番号で14頁ですが、こういった形でここに何かを書き込んで、E-portforioにどんどん入れていくといったフォームのようですが、項目や使い方などについて、こういった資料が確認できております。以上、駆け足ですが、海外の研修制度に関する、特に評価を中心としたこれまで集めた情報や資料についてご紹介しました。
○堀田座長 武冨先生、何か追加、コメントはありますか。
○武冨参考人 アセスメントの方法について、評価という言葉に訳されますが、これは研修医の先生が、いまの時点でどういう技能できるとか、できないとかいう判定ではなくて、現時点での状況を一定のものさしを使って、アセスメントシートですが、それを実施の状況を直接観察して必ずフィードバックする、フィードバックすることがセットになっていることが特徴かと思われます。
 フィードバックを受けて、研修医の先生はそれをE-portfolioに自分の学習の履歴として残していく。そこにはリフレクション、省察ですが、できたことからも、できなかったことからも省察することによって何かを学ぶことまでがセットになっていることが、アセスメントの一連の流れとして感じられたことでした。
○堀田座長 田中先生、何かコメントはありますか。
○田中委員 私は、大滝先生がおっしゃったように、実際に向こうに行ったこともありますし、向こうで臨床研修を経験して、しかも日本でも臨床研修をやったという人を知っているのです。その研修医の話によれば、1人だけの話になりますが、評価のシステムは英国は非常にしっかりしている。ただ、経験する内容は、日本のほうがずっと多いと言っていました。要するに、かなりゆったりした感じの研修であり、病院も日本ほどそこまで忙しくないので、指導員のほうにも評価する時間的余裕があるということを言っていました。そこが付け加える点です。
○堀田座長 要するに、網羅的にいろいろなものを経験しなければいけないという到達目的よりは、あるところから深くやって横へ広げていくという発想ですかね。少しそういう評価の視点、あるいは目標設定の視点が違うのかもしれません。これからいまの報告についてご質問やコメントをいただければと思います。いかがでしょうか。最初に確認しておきたいのは、いくつかの6カ国から調査していただいたのですが、皆さんは学部教育のところでは少しずつ違うところはありますが、医師になってから研修をすると。台湾は少しだけ違うのですね。それ以外は医師としての研修であると、そこはいいですか。
○田中委員 はい。
○堀田座長 もう1つの外形的なこととしては、研修が終わったときに誰が最終的にそれをオーソライズしているかは、どうなのでしょうか。例えば、いま日本だと、病院長なり、研修委員会から病院長が承認すれば、それで終了認定になってしまいますよね。そこはどうなっていますか。
○武冨参考人 イギリスの場合ですと、評価の材料はE-portfolioとか、ほかの方たちからの評価プラス自己評価と、そういうものをすべてGMCに提出して、そこからの認定ということです。
○堀田座長 だから、最終的には国家認定になるのですか。
○武冨参考人 そうです。国家試験はありませんが、GMCに登録することによって医師としての活動ができるという登録制になっています。
○小森委員 質問をしたい点が何点かあります。いまは特に主に英国の例を取ってお話になられましたが、フランス、ドイツは比較的専門医とGPとでは、研修制度そのものがかなり違っていると認識をしていますが、イギリスもおそらく2005年ぐらいに臨床研修制度が随分変わったと聞いていますが、あの国はGPと、コンサルタントがありますが、研修は一律にやられるのでしょうか。
 ということと、マッチングのときに、全国一律にされるので、書類審査のみなので、学生たちが学部教育でひたすら点数を取りにくると。それだけで決まってしまって、人間性は全く面接等はないものだからと、そういう批判を逆に随分聞いているのですが、そういう意味で何か教えていただければと。その2点です。
○武冨参考人 英国は、2005年に制度が変わった時点でFoundation Programに移行したのですが、Foundation ProgramのF1を卒業生は必ず受けることになっていて、F2はF1を終えた60%の人が受けているという現状です。それ以降に専門研修に入ることになっていますので、Foundation Program(F1)は全員が必ず受けるというシステムになっています。
 そのあとで専門を決めて進んでいくわけですが、先ほどのマッチングのところにもかかわってくるのですが、マッチングの時点でご自分がどのような専門に行きたいかも見据えて病院を希望するようです。その際病院は個々の病院ではなくて、先ほど言葉が出ましたが、第1段階としてDeaneryという地区を選択します。その中に希望の病院が入っている地区を希望して、もちろんそこで成績によってマッチするか決まります。もちろん人気のある病院もあります。が、ご自分が地元に帰りたいという人はその地域、地方を希望していると。これはインタビューの中で大学の副校長の先生からも聞いた内容ですが、それぞれの成績も関係するのですが、本人の意志による希望という認識を持たれているようでした。
○堀田座長 確認しますと、FY1というのは共通で、そこは必須項目なのだけれども、2年目は60%ぐらいが引き続きジェネラルをやるのだけれども、専門研修に入ってもいいということですか。
○武冨参考人 専門研修に入るためには、F2の修了が必要です。
○堀田座長 そうすると、いま小森先生が少しおっしゃったように、最初から専門研修とジェネラルが分かれているかどうかという点では、いまはそういうF1、F2を経過してからになりますね。
○武冨参考人 はい。ドイツは、最初から専門医研修に入ります。例えば、ここに挙げているように、家庭医が5年とか、cardiologistが6年とかあるのですが、その5年や6年の中に基本的な技術の研修は組み込まれていることになっています。ただ、最初から専門医の研修医ということで入っていくというところは、全く違う形になっています。
○小森委員 お聞きしたかったのは、ブレア政権のときにGPの給料を上げてGPの待遇改善をしてというお話があった中で、長い歴史がありますので、最初に研修医のマッチングをしていくときに、ただ基本的に全国一律にマッチングという面もありますので、以前から成績のいい方が主にコンサルタントに行かれるという傾向が、イギリスには長くありましたので、そういうことは関係なくFoundationの1、FY1ということについても、そこの成績のそういうことは現れてないのか、FY1・2。
 それと、最初からそういう長い歴史の中でGPとコンサルタントに行かれる人は、かなり成績がいいとか、学生のばらつきとか、地区の問題とか、あるいはF1、FY2などの選択などにそういう相当な色濃さみたいなものがあるのか。それとも、日本の場合はこの2年間については、2年目は弾力化はありますが、無関係に一律に選択しますよね。そのあとどうなっていくかを研修医の方々が選んでいくことなので、そういうことは一見よく似ているけれども、どうなのかと、そこをお聞きしたかったのです。
○田中委員 まず、成績でマッチングの希望先が決まることですが、エッセーのほうがウエイトは高いのです。オンラインでエッセーを書いて投稿する。学部の成績は、4分の1ぐらいのウエイトを占めているということです。小森先生がおっしゃる、将来GPに進んだ人とコンサルタントになった人はどちらがいい成績でマッチしていたかどうかは、データがないので何とも言えないです。ただ、国は違いますが、フランスは、専門を選ぶときに国家試験の成績順に選んでいきますので、フランスでは上位半分ぐらいがコンサルタントを選んで、要するにスペシャリストを選んで、下位半分が家庭医を選ぶという傾向は概ねあります。ただ、イギリスについてはちょっと。
○大滝委員 私自身は、地域を限定する英国のマッチングがいいと思っているわけではありませんが、その点については情報を詳細に集めていません。英国が日本の参考になると思うのは、評価の枠組です。実際の現場での評価を重視するという点です。例えば日本ですと、眼科の経験目標を達成してないから眼科に何日か行ってこいと、そういう手段と目的が逆転した研修になっている場面も出てきていますので、そういうことを避けて、実質的に能力を身につけたかどうかをチェックする意味では大変参考になるかと思います。
 いま田中先生からもご指摘のありましたフランスについては、あまりにも成績順で、特にジェネラリストは成績の悪い人が回るという傾向があったために、ここ3年ぐらいかなり大幅な見直しが行われつつありました。今回私はフランスの研修経験者の方のインタビューを担当したのですが、状況は徐々に変わってきているとおっしゃっていました。
○神野委員 少し関連するかもしれません。それから、9月1、2日に大滝先生もいらっしゃいましたが、プライマリ・ケア連合学会でイギリスの研修を終わった方の講演がありました。NHSの病院だけではなくて、GPの所へ行って、E-portforioをものすごく丁寧に書いて、そしてきちんとしたフィードバックがあるのを聞いて、大変印象深く思いました。
 質問ですが、イギリスだけではなくて、どの国もあるのですが、日本みたいに病院の規模で臨床研修病院を規定しているのかどうか。病院の大きさです。臨床研修の病院、あるいはGP診療所の何か基準みたいなのは世界ではあるのでしょうか。
○堀田座長 先ほどの研修施設認定要件と、これですよね。
○神野委員 はい。
○堀田座長 これがどうかと。この辺についてはここに一応書いてありますが、実施体制が整っていった施設は、実際は何なのかということ。
○神野委員 退院患者3,000人というのはあるのかという話です。
○堀田座長 そういう規模とか、そういうのがあるかという話ですよね。そういうのは、どうでしょうか。
○武冨参考人 研修施設の認定に関しては、ベッド数というよりは、GMCの研修プログラムが実践できるのかのほうがより重要視されているようでして、イギリスの場合はNHSの病院ですので、NHSの関連の病院である大学病院とか、GPの病院とか、ホスピスなどに行きますが、調べた範囲ですが、ベッド数が何床以上という指定は特には書いてなかったです。
○堀田座長 ということらしいですが、よろしいですか。
○神野委員 はい。
○岡留委員 これは田中先生にお聞きしたほうがいいと思うのですが、日本でEPOCはあまりそれほどスタンダードライズされてない、普及してないと。だけど、こういう外国の報告を見ると、portforioを使って頻繁にやっていますね。この違いは何だろうかといつも思うのです。
 もう1点は、先ほど小森先生の研修の中で人間性云々という話がありましたが、コンピテンシーという概念が日本の医学教育には全く入っていません。医学教育の卒前教育の中に、こういうコミュニケーション学を非常に取り込んでいる所を、日本もある程度、これは全部真似せよとは言いませんが、やはり必要になってくるのではないかと。研修医だけがこれほど変われるわけがないので、これは卒前からの問題を含んでいるのではないかと思っているのですが、田中先生、最初の問題はいかがでしょうか。
○田中委員 E-portforioは強制というか義務ですので、要するにこれに登録しないとどうしようもないという意味で100%だと思うのです。EPOCはいま60%ぐらいの研修で使っていますが、これも別に義務ではないので、その差が出ていると思います。
○岡留委員 項目が多過ぎて、現場からは非常にコンプレクシーというか複雑性があるのではないですか。
○田中委員 それもあると思います。ですから、これは厚労省が定めた項目をそのまま使っているので、そういう問題はあると思います。でも、評価する観点が、先生がおっしゃったように、コンピテンシーを見るか、例えばどの程度経験したかで見るかと、全然観点が違うので、どちらがいいかというか、どちらを取るかという考え方だと思います。
 2番目のご質問は大滝先生もお答えになると思いますが、コンピテンシーを重視した医学教育は最近は転換しつつあって、いくつかの大学、私の大学も導入しましたが、そう変わってきているので、これは時間の問題だと思います。
○大滝委員 コンピテンシーについては、文科省からお答えいただくのがいいのかもしれませんが、いまコア・カリキュラムを見直す中で、目標の枠組みについてもそういったことを意識してり検討しているところです。特に、卒前と卒後を連動させ、大学だけではなく地域の医療機関や地域のコミュニティーの中でのトレーニングを積極的に取り入れるということが、文科省のGP補助金と呼ばれる教育の補助金の中でも、ここ数年重点化されてきていますので、田中先生もおっしゃったように、今後そういった方向に進んでいくのは間違いないと思います。
○堀田座長 文科省から何か発言はありますか、コンピテンシーについて、医学教育の中で今後流れはどういう方向になるかは。
○文部科学省医学教育課企画官 いま大滝先生が言われたとおりで、繰返しになるかもしれませんが、参加型の臨床実習を重視していきましょうという話と、いま議論がございますのは、大学の中だけで患者さんを診るのは限界があろうという議論が最近少しあり、地域の病院により出ていって、いろいろな大学以外の症例を経験していくという方向にあるところです。
○横田委員 私たち行政でも、最近は人事考課をよくやっていますし、その中でコンピテンシーは非常に重要な評価方法であり、いわゆるスキルだけではなくて、チームとして、チーム医療のためにどのように貢献してきたかとか、そういう人間の行動を観察して評価していくのが、今後よい医師を育てる上で非常に重要ではないかと思っていますので、そういった項目も入ってくると非常によろしいと思います。
○堀田座長 論点整理の中にもいまの議論はきちんと組み込んでいきたいと思っていますので、ここで結論を出してしまうというわけではないので、いろいろなご意見をいただければと思います。時間の関係がありますので、一旦ここで次の議題に移りたいと思います。
 続いて、本日お越しいただいている小池先生、松下先生から、「臨床研修制度の導入前後における若手医師の地域分布の変化」ということで、調査結果をご紹介いただきますが、よろしくお願いします。
○小池参考人 このような機会を与えてくださいまして、どうもありがとうございます。私は、平成24年度厚生労働科学研究「医師臨床研修制度の評価と医師のキャリアパスの動向に関する調査研究班」の研究分担者の一人である東京大学医学部附属病院の小池と申します。また、本研究に関しては、株式会社パスコの松下とともに実施をしておりますので、ご紹介を申し上げたいと思います。
 本分担研究では、昨今言われている医師の分布についてのさまざまな課題について、地図上にわかりやすく示すということでテーマをいただいております。その意味では平成22年度に行われた「初期研修制度の評価の在り方に関する研究」を踏まえたものといえます。。本日は、これまでの中間解析結果についてご紹介いたします。
 今回我々は、2年に1度国が12月末現在の状況について調査をしている医師・歯科医師・薬剤師調査について調査票情報の提供について申出を行い、許可を得た上で、市区町村単位に男女別、医籍登録後、年数別に集計をした結果を利用しております。
 なお、市区町村の境界は、市町村合併などがあり、かなり動いておりますので、平成22年12月31日時点の区分に合わせて解析を行うことを基本としておりますが、合併とともに分割した市区町村もありますし、都道府県を超える合併もありましたので、こちらについてはより大きな単位で括っております。従いまして、本発表で「市区町村」と用語を使った場合には、集約後の1,865区分を意味している点ご留意ください。
 配付資料の5頁目以降の図をご覧ください。資料の前半が医師の全体の状況について資料の後半が医籍登録後1年目~6年目までに限定した解析を示しております。
 こういった情報を地図上に表記するメリットとしては、全体傾向を把握する、あるいは、わかりやすく把握するという点があるかと思います。注意すべき点は2点あります。市区町村の数と面積に全体の印象が影響をうけやすい。たとえば、面積の大きな市区町村も、面積の小さな市区町村も同じ1になりますが、地図から得られる印象は、ある区分がどのぐらいの面積を占めているのかということになりますので、面積の小さな市区町村の印象よりも、面積の大きな市区町村の印象がより全体に強く印象を与えるということがあります。
 また、同じ色の区分になった市区町村が隣り合った場合は、市区町村の境界を引かれておりませんので、1つの塊に見えてしまう。このため特に面積が大きくて、人口の少ない1市区町村と、各々の面積は小さいが、人口の多い市区町村が隣り合って1つの塊になった場合も同じに見えてしまうので、評価には若干の注意が必要かと思います。
 図1~図4は、医師の全体の状況について説明した資料です。この地図では、7つの区分にわけて、平成22年度における人口10万人当たりの医師数を図示しております。寒色系になるほど少なく、暖色系になるにつれて大きな値を示しております。全国平均が人口10万人当たり230人でこれは黄色のエリアになります。
 東日本に比べて、西日本に人口10万人当たりの医師数が多い市区町村が多く見られております。関東地方、関西地区、各県庁所在地、あるいは医育機関が所在する市区町村に医師数が多いエリアがあります。
 図1では、人口10万人当たりの医師数を示しております。これに実際の医師数を重ね合わせたものが、図2です。棒が高いほど医師数が多く、大都市部、県庁所在地、医育機関エリアのある市区町村に医師数が多い状況がわかるかと思います。
 図3、図4に平成12年度の状況を示しております。こちらをご覧いただきますと、平成12年度と平成22年度は、地域別の傾向ついては、ほぼ共通の状況であることが見てとれるかと存じます。
 図5は平成12年から平成22年の医師分布の変化を市区町村別に見ております。人口10万人当たり医師数は、平成12年では202名だったものが、平成22年度では230名と増加しておりますが、市区町村単位で見てゆきますと、10年間で、人口10万人当たりの医師数を大きく増やす市区町村と、大きく減らす市区町村が混在していることがわかるかと思います。暖色系が、人口10万人当たりの医師数が増えているエリアです。 図6,7はこれに実数を重ねたものです。図6が増加、図7が減少している市区町村の状況です。 表1は、都道府県別の医師の増減を示しております。都道府県別に、医育機関、病院、その他別に平成12年、平成22年の実数、増減、増加率を示しております。増加率に関しては、お手元の資料で緑色に塗ってある部分が全国平均を上回っている都道府県で、プラスについては黒字で、マイナスについては赤字で示しております。医師数に関しては、平成12年~平成22年にかけて15.4%増加しましたが、医育機関、病院はそれぞれ16%、17.4%の増加を示しております。医師数はすべての都道府県で増加しておりますが、医育機関、病院双方が増加する都道府県、医育機関のみが増加している都道府県、病院のみが増加している都道府県のさまざまなパターンが混在しております。
 表1-2では人口10万人当たりの医師数が増加した市区町村、減少した市区町村数を都道府県ごとに集計したものです。10年間で人口当たりの医師数が減少した市区町村の数を分子、合併の影響を調整した市区町村数を分母にして割合を算出したのが、いちばん右端の「割合」です。
 女性医師の割合がどの程度であるのかを、地図上に表記したのが図8です。平成22年の段階で全国平均の女性医師割合は18.9%です。平均値を中心に、暖色系になれば多い、寒色系になれば少ないという図示をしております。都市部や医育機関の所在市区町村、あるいは医師数が特に少ない市区町村に女性医師が高い市区町村が多く分布する傾向が見られているかと思います。 図9以降が、若手、即ち医籍登録後1年目~6年目までの医師の状況について、地図上に示したものをご紹介します。
図9は平成22年度における1・2年目の医師の分布です。背景にある各市区町村の医師数というのは、全年齢階級における人口10万人当たりの医師数です。青の棒グラフで示しているのが、平成22年度調査時点における市区町村別の1年目、2年目の医師数の合計です。
 全年齢の合計医師数が多い市区町村は暖色系に塗られていますが、1・2年目の医師が多い傾向かと存じます。図9が、直近、平成22年度の分布です。図10が、平成14年度の状況、平成22年と平成14年時点を比較したのが図10です。1・2年目の医師が勤務している市区町村数が平成14年度では784ありましたが、平成22年度には588に減少しており、この減少はどちらかというと、西日本に多く見られております。
 図11は、平成22年度における3・4年目の医師、図12は、平成14年度における3・4年目の医師の分布です。医師数の多い市区町村には、1・2年目と同様、3・4年目の医師も多い傾向が見られます。3・4年目の医師が勤務する市区町村数は、平成14年度には1,065ありましたが、平成22年度には838に減少しております。1・2年目の医師が勤務する市区町村数と、3・4年目の医師が勤務する市区町村数を比較すると、平成14年度では1・2年目は784市町村から3・4年目は1,065市町村、平成22年度では1・2年目は588から・4年目は838と、いずれも増加しております。
 5・6年目も同様に平成22年度の医師数を図13に、平成14年度の医師数を図14に示しております。1・2年目、3・4年目と同様に医師数の多い市区町村に5・6年目の医師も多い傾向にあります。3・4年目の医師が勤務する市区町村数と、5・6年目の医師が勤務する市区町村数を比較すると、平成14年度には3・4年目が1,065、5・6年目が1,130、平成22年度では3・4年目が838、5・6年目が976となっております。
 図15では、平成14年度から平成22年度の1・2年目の医師数の増減を増加を赤、減少を青で示しております。図16は、3・4年目の医師が平成14年度から平成22年度の増減を。増加を赤、減少を青で示しております。
 1・2年目の医師数は医育機関のある市区町村数を中心に大幅に減少しているように見えます。また、関東地方に関しては、1・2年目医師が増加した市町村が特に多いように見えますが、3・4年目に関しては、一部の市区町村の増加が目立ちます。1・2年目の医師が減少した市区町村では、周辺で1・2年目の医師の増加がみられるパターンがある一方、1・2年目の医師が減少した所から少し離れた地域で増加している市区町村が見られる場合も見られます。
 図16から図18は、1年目~6年目の医師数の全体の状況を示しております。増加地域については図17、減少する地域については図18に示しております。こちらはご参考までに提示しているということで、ご覧いただければと思います。
 図19-1から19-3は、都道府県別に若手の医師数がどのように変化してきたのかを示したものです。各グラフとも、平成8年~平成22年にかけて、1・2年目の医師数は青、3・4年目の医師数は赤、5・6年目の医師数は黄で示しております。比較のために、平成14年を100とした場合に、各年の1・2年目、3・4年目、5・6年目がそれぞれどの程度の数がいたかについて折線グラフで示し1年目~6年目までの医師の合計数を棒グラフで示しております。1年目~6年目の医師数が大幅に伸びている地域、あまり変わらない地域、減少している地域というものもご覧いただけるかと思います。1・2年目、3・4年目、5・6年目の医師数同じようなパターンを示している場合、1・2年目の医師が減った分、3・4年目の医師が増えているように都道府県等、いくつかのパターンが見られるかと思います。
 医師のキャリアパスの変化についてお示ししたのが図20と表2です。図20は、2年分の調査結果を足した値を示している点にご留意ください。平成12年、平成14年調査の合計をみると、1年目の医師は7割程度が医育機関に勤務し、3年目になると、その割合が3割程度に減少し、5年目には4割程度まで戻っている。それが平成20年、平成22年調査の合計をみると1年目、3年目、5年目も医育機関の勤務者の割合が大きく変化していることが見てとれます。
これを都道府県別に見た場合が表2-1、2-2になります。医育機関に勤務する1年目医師は大幅に減少しましたが、都道府県別にみると減少幅には大きな差があることがお分かりかと思います。
3年目になると、医育機関に勤務する医師は増えております。ただ、その増加割合も都道府県ごとに大きく異なっていることがわかります。5年目の医師に関しても同様で、全体的な傾向としては、医育機関勤務者は減少していますが、減少幅は都道府県ごとに異なっていることがわかります。
 全国レベルの傾向と、都道府県、あるいは市区町村別が必ずしも常に同一の傾向とはなっておりません。全国的には医師数は増えていますが、市区町村単位で見ると、人口当たりの医師数が減っている所も、増えている所もある。この意味も、医師の偏在により、アクセスが減少しているという面と、医療の高度化、あるいは安全確保、適切なトレーニングの確保のための集約化が図られている点の両面があり、評価にあたって留意が必要ではないかと考えます。
 新臨床研修制度が、医師分布にどのような影響を与えたかに関しては、2004年前後で医育機関、臨床研修指定病院の間の分布が大きく変わったのは事実ですが、初期研修後どう医師がキャリアを重ねてゆくのかに着目しております。その面では今回の分析では2010年(平成22年)までのデータしか分析できておりませんが、今後のデータを注意深く見ていきたいと思います。
 平成16年に臨床研修制度の見直しがあって以降、医師の分布に大きな変化があったことはいえるのですが、平成16年以降だけに変化があったわけではなく、1990年代の後半から、医師の分布にはが何か大きな変化が起こっているように見えております。
 そのような大きな流れにいかに対応してゆくかは、大学に勤務する者として考えていかなければいけないと思いますし、制度設計の面でも、各都道府県や大学がの工夫を活かせるような制度上の手助けをしていただければと思っております。以上、研究成果の中間報告とさせていただきます。ありがとうございました。
○堀田座長 ありがとうございました。非常にビジュアルで示していただいて、詳細な部分はまた参照していただくことにして、全体の傾向としては、かなりわかりやすい流れになっています。平成14年度と平成22年度との比較で言えば、1・2年はマッチング等で大学から周辺に出て、一般病院の研修病院のある所にある程度分布が移りましたが、3・4年になると、またそれは従来とは逆向きの流れがあって、また大学に戻るという流れはあるのです。最終的に5・6年目になると、あまり変わらないというか、やはり、落ち着くところに落ち着くのかなという印象は持ちました。何かディスカッション、あるいは質問をしていただければと思います。
○神野委員 事務局からもあったかもしれませんが、いま座長がおっしゃったように、この会の当初で、平成22年よりも前のデータを見たときも、同じような傾向が事務局から出されました。平成22年の弾力化研修が入ったので、事務局的には前回までのデータと多少違いがあるかどうかというのが1点です。
 感想的なことですが、図19のグラフを見ると、多くの1・2年生も、5・6年生も減ってくるのはみんな地方ですが、新潟県だけが結構大都市、大人口があるわりには、図19-1では結構減っていますよね。これは別に肯定、否定ではないですが、新潟県がいまいちばん大きく医学部をつくれと、声が大きい所であり、医師の確保で相当大変なのだなという印象を受けました。最初の質問についてもしよかったら回答お願いします。
○医師臨床研修推進室長 神野委員がご指摘のとおり、ワーキングの当初、しばらく前に、事務局から移動のデータについて似たような形のものをお出ししました。その際にも、傾向としては1・2年目については大学から地方に、3・4年目については戻ってくるという傾向は、大まかなところでは同じかと思っております。今回いただいたデータとの致密な分析、移動関係を整理しておりませんので、また分析をして、対象も全く同じではありませんので、あとは年数の取り方とかも若干違いがあると思いますので、その辺りを分析した上でご案内したいと思います。
○堀田座長 全体としては、医師数は増えている中でという分布の移動であるというのが1点です。平成14年度当初と比べると、いろいろなバックグラウンドが少し違うというのがあります。女性医師の割合が増えているのもあります。学位よりはどちらかというと専門医を取る志向が非常に強くなったというバックグラウンドがある中での評価だと思います。ディスカッションをお願いします。
○田中委員 いま座長がおっしゃったことの1つで、女性医師が増えているということが、医師の分布を不均一にしている1つの要因ではないかという印象受けたのですが。例えば、地域の医師不足で有名な産婦人科は20代の女性の比率が3分の2ぐらいです。小児科も4割が女性というデータはあります。女性医師がどうしても都市部を志向するとか、生活環境の関係かどうかわかりませんが、そういった要素があるのではないかという印象を持っています。このデータ上はどういう分析になるのですか。小池先生に教えていただければと思います。あるいは松下先生にお願いします。
○松下参考人 データをクロスさせて、今回は分析しておりませんので、女性医師割合というのは全医師数の中でまとめておりますので、直接的な因果関係は、このデータだけからはまだ申し上げられないかと思っておりますが。
○堀田座長 田中先生がいちばん聞きたかったポイントは。
○田中委員 要するに、女性医師の割合は年々増えているわけです。ですから、若い医師の地方と都会の分布の差が極端になっているのではないかと思うのです。そういう分析はされていないということですか。
○松下参考人 そうですね。性別で区切って整理させていただければ、いま先生がおっしゃった傾向も見ることができるかと思います。
○堀田座長 データはないかもしれませんが、片岡先生、女性医師の動向は、どうしても家族や子どもさんをかかえて、地方に出て行って一人医長みたいな所では、なかなか勤めにくいというところがあって、ある程度都市部で保育環境が整っていないとできないというバックグラウンドはあるのですか。
○片岡委員 たしかにそういった可能性はあるのではないかという印象を持っております。逆に、女性医師の1年目から5年目というのは、まだ結婚していない人も多い時期ですので、1年目から5年目のデータであれば、そこまでの大きな差はないかもしれませんが、そういった傾向は多少出るのかもしれないと考えております。
○堀田座長 今後、その辺の分析もまたクロスさせて解析していただければと思います。
○大滝委員 2点あります。1つはテクニカルなことです。図19の棒グラフだけグラフの基準値といいますか、設定が折線グラフとは違っていますよね。特に、縦軸のいちばん下をゼロにしているかどうかとか、横軸の人数の尺度の幅が違っているので、これでかなり棒グラフは見え方が違ってくると思います。代案があるわけではないのですが、この設定によって変化がややオーバーに見える都道府県と、目立たない所があるように感じました。例えば、折れ線グラフと同じように、どこかの時点を基準値にして、そこを100としするとか、設定によって見え方がばらつかない工夫をしていただきたいと思いました。
 もう1つは、小池先生のお話の中で、今回の調査の対象以前の平成8年ごろからの傾向も、全体を見渡す上で重要なのではないかと、最後の「考察」のところでおっしゃっていたと思うのですが、その辺をもう少し詳しく教えていただけるでしょうか。
○小池参考人 前段部分については、本当にアドバイスをありがとうございました。後段部分で、とかく新研修制度が始まって以降の医師数の分布の議論が多いように感じるのですが、例えば、図19-1で、1・2年目の医師が減っている。あるいは3・4年目の医師が増えている傾向が、平成14年度以降にだけ起こっているのであれば、制度の直接的な影響が言えることもあるかと思います。医師数が増えている、あるいは減っているという傾向は平成8年ぐらいから同じようなスピードで起こっている都道府県もいくつかある。このようなことを考えると、ベースに医師分布の変化が、それが新制度の影響で加速されたり、そうでないところががあるのではないかと申し上げたかったわけです。
○堀田座長 ありがとうございました。このデータは遡ると、どこから取れるのですか。三師調査自体はずっと前からやっていますよね。ただ、臨床研修制度と絡んで、データを取り始めたのは、前回の桐野班からですか。
○医師臨床研修専門官 三師調査自体は毎年2年ごとにやっておりますので、データ自体はあるということです。分析をどこからどこまでの範囲をやるかということは、その時々の研究班によって、直近ですと桐野班等々の分析になるということになります。
○堀田座長 やろうと思ったらデータはあるけれども、今回対象にはなっていないと、そういうご理解でよろしいかと思います。
○横田委員 また、行政的な立場からの意見ですが、いまちょうど医療計画の見直しをやっていまして、その中では二次医療圏の見直しも含まれていますが、小池委員が提示された資料には二次医療圏ごとのデータは出てなかったようです。できればそういったものも出していただくと都道府県としてはありがたいと思います。以上希望です。
○堀田座長 これは切り分けさえやれば、データは出るということですね。
○小池参考人 市区町村単位でデータは医師・歯科医師、薬剤師調査はあるのですが、解析する上では、市町村合併の影響をどう整理をするのか、二次医療圏についても含まれる市区町村が出入りがあり、どう調整するのかという点が、技術的に難しい部分です。ただ、各調査時点における市区町村別のデータはございます。
○堀田座長 わかりました。それは行政区分けがどういうふうに変わっていくかという話がありますので、リアルタイムにやるのはなかなか難しいということですかね。
○岡部委員 このデータの最初の部分のまとめ方ですが、医師が存在している行政単位の数の変化ということが、いちばん重要なパラメータとして扱われています。これが本当に医師の偏りを表すのに、いちばん良い数値なのかという理由づけがわからなかったのですが。全くいないような地域の数は、そんなに変わっていなくても、それ以外の地域で実際には平均値が減っているパターンもあり得ると思ったのですが。
○松下参考人 今回人口10万人当たりという、人口と組み合わせたのは、お医者さんが増えたのは、それなりに人口が増えたからだという見方もできるかと思いましたので、人口10万人当たりという形で、数字は取っておりますが、実際にそれでいいかどうかというところでいきますと、アクセス時間を使って、例えば、30分でアクセスできる範囲に、どの程度の人口当たりのお医者さんがいらっしゃるかとか、そういった整理をしていくと、より現実に近くなってくるのではないかと思います。
○岡部委員 非常にわかりやすい数ではあるのですが、これだけでいいのかなという気が少しします。
○堀田座長 それだけだとミスリードされるかなということで、そういう意味でね。わかりました。その辺は慎重に取り扱うというか、解釈が必要だと思います。
○岡留委員 これは事務局にお聞きしたいのですが、図1と2の医師の分布というのは、ある1つの定点で三師会のデータを持ってきてみて、それはドクターであったら全部その数に入るのですか。あるいは、例えば伏して、勤務も何もしていない、要するにドクターではあるが、ドクターではない方々がたくさん含まれている可能性があるのではないかと思うのですが。
○松下参考人 今回は前半の部分のデータは、全医師で資料を作成しておりますが、いまおっしゃられていたように、医師免許を持っていて、勤務先が不明だったり、無職の方のデータは合計で2,000人ほどでしたので、総数はそのままで処理させていただいております。
○岡留委員 もっといるのではないかと思うのですが。医師の総数は、いま30万人余ですかね。万という数字が出てくるのではないかと思います。
○松下参考人 そういう意味でいきますと、各年届出率が93%とか95%で、100%ではない部分にそういった方たちが多く含まれている可能性もあるかと思います。
○岡留委員 私が問題にしたいのは、いつもこういうデータが出てくるときは、ただ行政の数で登録してある書類だけでチェックしている分。本当の有効ドクターというか、実働のドクターなのか、あるいは勤務医なのか、あるいは日本医師会の診療所の先生なのか、その詳細なデータを私は見たことがないのです。
○堀田座長 そこまではわからないと思います。
○岡留委員 わからないかもしれませんが。これは母数を考えるときに非常に大事なことではないかと思うのですが。
○松下参考人 表1の医育機関、病院、その他で分類している数字のほうは、そういう意味では「主に従事している施設及び業務種別」で分けており、診療所や医育機関に勤務していても、臨床を行っていないとか、介護老人ホーム保健施設などのデータが、その他として扱われていますので、医育機関と病院の純粋な数としては、表1をご覧いただくと、こういった数字になってくるかと思います。
○岡留委員 わかったような、わからないような感じですが。この辺は小森先生にもお聞きしたいのですが、日本医師会はこういうデータは持っていないのですか。
○小森委員 大変恐縮ですが、日本医師会といたしましては全医師のものについては、厚労省、行政に協力するということですので、会員等については分析は可能ですが、全医師ができない。
○堀田座長 年に1回かどうか知りませんが、主たる勤務先はどこだという調査がありますが、それに漏れてしまっている人がいますよね。届出自体が届いていないみたいな人が。
○岡留委員 もういないのではないか。ドクターとして働いていないのではないか。
○堀田座長 よくあるのは、病院にいても開設者として、過去に勤務したのだけれども、いまもう辞めてしまっている人、あるいは産休の人が、実は書類が届いていないことがあるではないかということで、それを徹低的にやってくださいという通知が来ています。
ですから、どこまでそれが補足できているかというのは、先生がおっしゃるとおり、ちょっと問題はありますが、いまは補足できている数でいくという話でよろしいでしょうか。
○片岡委員 私は質問だけですが、基準として適切かどうかというご指摘もありましたが、これは平成14年から平成22年の比較をすると、卒後1・2年目も、3・4年目も、5・6年目もすべて勤務している市区町村の数は減っていると思います。医師が勤務している市区町村の数はどこかの時点から増えるのか、要するに、6年目以上のデータがもしおありだったら教えていただけたらと思います。
○堀田座長 そのデータは、今はないですよね。そういったものもできれば参考にしたいということですよね。
○片岡委員 そうですね。
○堀田座長 よろしいですか。次の「論点骨子」に入りたいと思います。年内にとりまとめるという話になっておりますので、まずはいままでのワーキングで皆さんからいただいたご意見をとりまとめて、事務局案という形で骨子の、わりと骨っぽいところを整理していただいたので、それを参考にして、これからのディスカッションを始めたいと思います。少し長くなりますので、いくつかに区切りを付けて、その時点時点でご意見をいただきたいと思います。それでは事務局からお願いします。
○医師臨床研修推進室長 事務局提出資料1と題した「医師臨床研修制度の評価に関するワーキンググループ~論点骨子(案)~」をご覧ください。こちらは、座長からご指摘がありましたように、年内に取りまとめていただく論点の整理について、前回のワーキングで、総論事項のみを整理したものをご案内しました。今回はその他の項目を拡充して、網羅的に整理したものを骨子案としてご案内するものです。今回を含めて、今後3回のワーキングを現時点で予定しております。この案をたたき台としてご議論いただき、記述の追加、削除、あるいは修正を加えて、最終的に論点の整理として取りまとめいただきたいと考えております。
 全体の構成は前回ご案内のとおり、各項目について、現状の概要を記述した上で、二重枠括弧内の枠内に論点として列記しております。なお、現状については、最後まで記述するとそれだけで大変なボリュームになってしまいますので、別途参考資料として一括することが適当と考えております。それが事務局提出資料2です。こちらをご覧ください。参考資料(案)です。資料の構成ですが、先ほどの論点骨子(案)の項目に添って、これまでワーキングで提出された資料、多数ありますが、その中から特に議論に資するものを抜粋しておりますので、適宜ご参照ください。ただ、現段階では、目次の下のほうにあります別添1から別添5のように、まだ項目ごとの整理が追いついていないところがあります。全体としては若干雑駁なものとなっております。申し訳ありません。今後、最終的な論点の取りまとめまでの間に漸次整理をさせていただきたいと考えております。
 戻っていただき論点骨子(案)です。項目が多岐にわたりますので、全体を3つほどの区切りに分けてご説明申し上げます。1つ目の区切りについては4頁の2)までです。ここまでを1つ目の区切りといたします。3)「指導・管理体制」から頁をめくっていただき6頁の最後まで、5)「研修医の処遇等の確保」までを2つ目の区切り。その後ろを3つ目の区切りとさせていただければと考えております。
 1つ目の区切りから説明申し上げます。2頁をお開きください。1番「基本理念と到達目標について」です。1)「基本理念」については、前回ワーキングでお示ししたものをそのまま踏襲しておりますので、説明は割愛させていただきます。2)「到達目標」も基本的には前回お示ししたとおりですが、前回のワーキングでご議論いただいた論点を踏まえて、項目を2つに分けて整理をしております。論点の1つ目が到達目標の内容ということで、基本理念等々を踏まえて、現在の行動目標及び経験目標についてどう考えるか。経験目標における経験すべき疾患・病態の種別についてどう考えるか。2つ目の論点として評価手法です。到達目標の達成に係る評価の在り方についてどう考えるか。あるいは評価方法に関する何らかの目安を設定することについてどう考えるか。EPOCの今後の普及に向けてどのような取組が必要かという論点を挙げております。
 次の頁の3)「臨床研修全体の研修期間」については、前回ワーキングでお示ししたとおりですので、割愛させていただきます。大きな2番「基幹型臨床研修病院の指定基準について」の1)「研修プログラム」です。1つ目のポイントとして、研修診療科です。2つ目は各研修診療科の研修期間。両方については基本的に前回お示ししたとおりですので、説明は割愛させていただきます。
 4頁をお開きください。2)「必要な症例」です。まず現状です。臨床研修を行うために必要な症例を確保するため、基幹型臨床研修病院の指定基準として、平成22年度研修から年間入院患者数を3,000人以上とする基準が設けられました。平成22年度の制度改正以前からの指定病院については、平成23年度末、即ち今年の3月末日までの間、いわゆる激変緩和措置として、3,000人に満たなくても指定が継続されておりました。その後、即ち平成24年4月以降からは従来の指定病院については個別の訪問調査を行い、その結果、研修医が基本的な診療能力を修得することができると認められる場合には指定を継続することとされております。
 3つ目の○です。各診療科での研修に必要な症例については、例えば救急患者の取扱い件数が年間5,000件以上とか、内科、外科等々の診療科については年間入院患者数100人とか、分娩数については年間350件又は研修医1人当たり10件以上が望ましいというような基準を設けているところです。
 これらの現状を踏まえ、枠の中の論点ですが、1つ目は年間入院患者数です。臨床研修の到達目標を達成するために必要な症例の確保のために、引き続き3,000人以上の基準を設けることについてどう考えるか。一定の症例数を確保するためには大病院が望ましいというご意見がある一方で、中小病院のほうが地域医療に密接にかかわる中で基本的診療能力を身につけることに秀でているというご意見があることを踏まえて、どう考えるか。訪問調査については、3,000人未満だけではなく、3,000人以上の病院に対しても実施することについて、どう考えるか。この部分については、前回ご案内した臨床研修部会における主な発言の中に記述のあった項目です。2つ目の論点です。その他の症例数として、現在の診療科ごとの必要症例数の取扱いについてどう考えるかということです。1つ目の区切りについては以上です。よろしくお願いいたします。
○堀田座長 1つ目の区切りの中でご意見がありましたら、今日で決着するわけではありませんので、いまご意見いただく部分で結構ですから、こういうことを付け加えたほうがいいのではないかとか、もう少し突っ込んで、こういった論点があるのではないかということでも結構です。
○大滝委員 基本理念と到達目標についてです。私は基本理念については、この文章にあります「一般的な診療において頻繁に関わる負傷又は疾病に適切に対応できる」といったことを目標に含めておくことは、今後も重視していただくことが重要だと思います。こういったところが卒前教育でどの程度実際の能力として身につけられるかによって、卒後教育の目標の見直しが必要になってくる可能性はあると思いますが、現時点ではこれを明記していただいておくことが必要だと思います。到達目標については、先ほどの海外の調査の報告でも話題にしましたが、目標の構造をコンピテンシーによる再構成といいますか、見直しをすること、卒前教育との整合性を図ることの2点が重要な課題だと思います。大幅な変更をいま行うことが適切かどうかについては議論があると思います。今後、これらの2点、コンピテンシーを基盤とした目標の設定と、卒前との整合性とを進めていただく必要があると思います。さらにそれらと関連して、オンラインシステムの整備が重要です。EPOCは、もちろん今後も検討や改善が必要だと思いますが、諸外国を見ますと、今日話題にした、いわゆるE-portforioの形での評価や研修の記録をオンラインでいろいろ利用するシステムを、さらに拡充していく必要があるかと思います。以上です。
○小森委員 この前もお話申し上げましたが、会も繰り返されてまいりましたが、全般にわたってごく簡単に私の意見を述べさせていただきます。1)の基本理念については、私はいま変える必要はないという基本的な考え方です。到達目標等については、この前のことがあって少し考える必要があると思っております。弾力化プログラムの、特に分娩の経験等については、文部科学省の方もいらっしゃるわけですが、従来から問題になっております、いわゆる5年生、6年生の臨床参加型実習を推進すべきであるということを文部科学省も言っているわけですし、日本医師会もそれを強く主張しておりますが、現実に平成21年の段階で1,500時間より少ないのが23校もある。平成23年になっても16校ということで、なかなかそれが改善していない問題があります。これは各大学にとって国家試験に合格することが最大命題になってしまっているということです。
 国家試験の在り方についても議論しないといけないわけですが、基本的にそういうことの大まかな合意ができている仮定のもと、いわゆる5年生、6年生の臨床参加型実習等を踏まえながら、必ずしも2年間ですべて到達するということではなく、卒前教育の5年、6年の臨床参加型実習をさらに促進することによって、4年間で見ていくというような柔軟な考え方も必要ではないかということを申し上げたいと思います。臨床研修全体の研修期間は2年以上、当然、基本的には2年というぐらいの程度が必要と考えておりますので、さまざまな疾病、特に精神科的なさまざまな課題を持っていらっしゃる方。何よりも女性の問題がありますので、2年以上という規定はよろしいのではないか。
 日本医師会としては、会内の勤務医部会の下に臨床研修医部会をもって、全国の臨床研修医の方々のご意見をお聞きする。本年も2週間ほど前に私が担当として、愛媛県を訪れまして、愛媛県の臨床研修医の方々にいろいろご意見をお聞きしました。基本的に、弾力化プログラムについては評価をする声が高かったと思っております。日本医師会としては、弾力化プログラムを以前に戻すことについては反対であるということを基本的に申し上げたい。3,000人の問題の基準が別のところからきたというところが論点になっておりますが、しかし、では何でもありかというと、日本医師会としてはやはり問題であろうということで、3,000人という基準については議論をすべきかと思います。それより少ないものについては、基幹型病院としては、前回やられたような立ち入り調査等を踏まえながら、特質について考える。今日は、臨床研修群の話は出しませんので、そういうようなことでもいろいろカバーできるのかなというふうに思っております。時間もありませんので、群の話はまたあとのお話ですので、いま気づいた点だけ。
○堀田座長 ありがとうございました。
○神野委員 基本理念のところで、プライマリ・ケアの基本的診療能力を身につけるというのを謳っておりますので、前回申し上げましたが、これが基本理念ならばこれに添ったものをやるというのが、教えるほうも教えられるほうも重要な視点ではないかなと思います。到達目標のところで、先ほど大滝委員もおっしゃいましたが、病院間で評価基準が違うのは私は違和感を覚えます。もしEPOCならEPOC、あるいはEPOCの新バージョン2といいますか、モデルチェンジならモデルチェンジといったような、あるいはE-portforioなのかもしれませんが、何らかの標準化したものがあるべきである。しかも、今度はそれを評価する人は誰ですかというところはおそらくここ1・2年でというのは無理かもしれませんが、イギリスでありましたような機関のような、単に病院の中だけでの指導医、あるいはプログラム責任者だけの評価でいいのかどうかということは、国民に対して各病院の認可だけでいいのかという問題があると思いますので、何らかの機関というものが必要ではないかなと思います。
 いま、小森委員からお話があったような弾力型等のお話ですが、これまでの、第7回までのこの会でのいろいろな参考人の方とか、いろいろなデータを客観的に見せていただくならば、弾力型の弊害も出ているというのも、出ているわけです。それに対して大学学部教育の問題だけか、やはり卒後臨床教育の中で、先ほど言いましたプライマリ・ケアを身につけるというところで、弾力型の弊害が出てくるのではないかなと判断せざるを得ないデータがいままで出ていると思います。とするならば、旧7診療科に関して、期間の問題がいろいろ検討の余地があるかもしれませんが、学生実習と実際に医師免許を持っている方ができることは明らかに違いますので、何らかの必須化は私は必要であると思います。
 最後に、先ほどの3,000人の話ですが、これもいままでのこの会に出てきたデータを客観的に見る限り、3,000人以下のところが劣るというデータは1つも出てきていないわけです。もちろん病院によっていろいろな種類の病院がありますので、すべて3,000人以下が全部オーケイというわけにはいかないと思いますが、何らかの指定基準等、あるいは訪問調査等も含めて、3,000人でもきちんと、しかも研修医の数がもし何十人ではなくて、1人、2人をきめ細かに教えることができるならば、3,000人以下の地方の病院でも、やる気のあるところならばお認めするのが筋ではないかなと思います。以上です。
○岡留委員 2点。私は日本病院会を代表して来ていますので、病院団体としてどう考えるかということですが、第1点目は先ほど神野委員がおっしゃいました弾力化プログラムにはやはり病院のチーム医療、今後の安全・安心な医療を考えると、若いうちからいろいろな科を経験しておくことが基本だろうということで、弾力化プログラムには日本病院会、病院団体としては反対。前のシステムのほうがはるかにいいだろうと考えております。経験症例数の考えですが、私はこの会議でもだいぶ発言させていただきましたが、3,000人という根拠がまずわからないということと、私は済生会病院ですが、済生会病院の臨床研修病院で調査したところ、大きい病院にたくさんの研修医がいるところは1人の分担の数がものすごく少ないのですね。手術につく数もはるかに少ない。ですから、病院ごとの施設基準ではなく、研修医1人当たりに大体何人ぐらいの年間の手術症例数を持てるとか、具体的な各論でいかないと、総論でいくからいつもこういうおかしいコンクルージョンになっていくのではないかなと私たちは考えています。これが病院団体としての私たちの考えです。
○堀田座長 ありがとうございました。いずれも重要な論点でここでどちらかに決める話ではないので、いろいろ両論併記みたいな形でもかまわないと思います。今日、もうそろそろ約束している時間がきたのですが、今後の進め方について相談したいのですけれども。
○医師臨床研修推進室長 今回お示ししたのはたたき台で、全体を項目として網羅しておりますが、あと2回、今日含めて3回のご議論で、これを最終的な論点の整理につなげていただければと思っております。今日、全部やる必要はないのです。
○堀田座長 これ以降は次回ということで、全体を区切りのあとから説明していただけますか。
○医師臨床研修推進室長 4頁の3)「指導管理体制」からです。現状を申し上げます。現在、基幹型臨床研修病院の指定基準として、研修管理委員会を設置していること。プログラム責任者を適切に配置していること。適切な指導体制を有していること。具体的には、研修医5人に対して指導医が1人以上ということが定められております。また、内科、外科、小児科、産婦人科及び精神科の診療科は必置」とされております。これらを踏まえ、論点としては、現在の指導・管理体制に係る指定基準についてどう考えるか。研修管理委員会の在り方についてどう考えるか。現行の診療科に加えて、必修(病院独自に必修としているものを含みます)又は選択必修となっている診療科についても、指導医を必置とすることについてどう考えるか。この部分については、前回ご案内した部会における発言の中に記述があったものです。
 4)「募集定員の設定」についてです。募集定員の設定方法については、現在、全国の研修医の総数を1つ目、都道府県別の人口により按分した数、2つ目、都道府県別の医学部入学定員数により按分した数。この2つのうちの多いほうに、3つ目として地理的な条件を勘案した数を加えた数を都道府県ごとの募集定員の上限として設定しております。各都道府県では、この上限の範囲内で、各病院の定員を調整することが可能となっております。
 平成25年度末、即ち平成26年3月末日までの激変緩和措置として、この上限は前年度の受入実績の90%を下回らないような措置がなされております。各病院の募集定員については、過去3年間の研修医の受入実績の最大値に医師派遣等の実績を勘案した上で設定しております。こちらについても、平成25年度末までの激変緩和措置として、前年度の内定者数を下回らないようにされております。募集定員が20人以上になる病院については、募集定員各2人以上ですが、小児科・産科のプログラムを設けることとされております。
 以上のような現状を踏まえ、論点としては、各都道府県の募集定員として、地域医療への影響も踏まえ、上限設定について、例えば新たに人口当たりの医師数、あるいは高齢者割合などを加味することについてどう考えるか。激変緩和措置についてどう考えるかという論点があります。各研修病院の募集定員については、例えば医師派遣加算について、いまは派遣先を特定しておりませんが、派遣先が医師不足地域である場合などを加味することについてどう考えるのか。こちらも激変緩和措置についてどう考えるのか。産科・小児科特例プログラム加算についてどう考えるのかという論点があろうかと考えております。
 6頁は地域枠への対応です。地域の医師確保のため、各大学において、いわゆる地域枠が設けられております。例えば、平成23年度時点で見ますと、67大学において計1,292名分の地域枠が設定されております。なお、地域枠には、卒業後の勤務条件は特に定められていないものや、臨床研修を指定された特定の医療機関、自分が選択する都道府県内の医療機関などで実施することが条件付けされているもの、あるいは卒後の勤務条件がないものなど、さまざまな形態があります。
 一方で、募集定員の設定においては、地域枠学生に対する特別な配慮は行っておりません。即ち、通常の定員の内数として算入しております。他県にかかる地域枠がその大学にあった場合であっても、他県ではなく、当該大学の所在する都道府県の募集定員に現在は反映して設定しております。地域枠の学生も、地域枠以外の学生、いわゆる一般枠の学生と同様に、マッチングに参加して臨床研修を行う病院を決定しております。自治医科大学と防衛医科大学校については、マッチングに参加せずに個別に調整を行っております。
 以上のような現状を踏まえ、論点としては、まず地域枠と都道府県の募集定員については、都道府県の募集定員には地域枠も現在は含まれている。この現状についてどう考えるか。他県にかかる地域枠であっても、当該大学の所在する都道府県の募集定員に反映していることについてどう考えるか。マッチングとの関係についてもどう考えるかという問題があります。
 5)「研修医の処遇等の確保」です。現在、基幹型臨床研修病院の指定基準として、研修医に対する適切な処遇を確保していることが定められております。論点としては給与・手当について、この状況についてどう考えるか。これらについては、研修医の処遇等に関するデータをお示ししたところです。今回の参考資料の該当頁にも挿入させていただいているところです。労働環境については、研修医の労働時間の状況、特に当直回数、あるいは当直明けの連続勤務等を含むことについて、どう考えるのかという問題があります。
 2つ目の区切りはここまでですが、引き続き3つ目の区切りにまいります。7頁の6)「その他」です。臨床研修病院群の形成です。現在、基幹型臨床研修病院は、協力型臨床研修病院、臨床研修協力施設又は大学病院と連携して臨床研修を行うこととされております。また、病院群を構成する関係施設相互間で密接な連携体制を確保していることとされております。病院群の構成については、同一の二次医療圏内又は同一の都道府県内にあることが望ましいこととされております。論点としては、主に前回お示しした部会における発言に記述があったものですが、臨床研修病院群の在り方についてどう考えるのか。大学病院を含めた病院群の形成を指定の要件とすることについてどう考えるか。あるいは病院群の形成における地理的範囲、二次医療圏内や都道府県内等についてどう考えるのか。病院群を形成する各病院の規模、例えば、具体的には病院数について定めることの適否についてどう考えるかという論点があります。
 第三者評価です。現在、研修病院の指定基準として、将来、第三者による評価を受け、その結果を公表することを目指すこととされております。これを踏まえ、論点としては、評価の在り方についてどう考えるかという点があります。
 その次は都道府県の役割です。現在、地域医療の確保のための協議、あるいは施策の実施に参加するよう都道府県から求めがあった場合には、これに協力するよう努めることとされているところです。
 先ほどの定員の項目でも申し上げましたとおり、地域における病院群の形成を促進するために、都道府県は、管轄する地域における各病院の募集定員について、各病院の研修医の受入実績、地域の実情等を勘案して必要な調整を行うことができるとされているところです。それを受け、8頁、論点としては、都道府県の役割についてどう考えるのかという点があろうかと考えております。
 次は制度運用上の問題です。前回お示しした部会における発言の中に記述があったものです。現在、受入実績が2年間ないことにより指定を取り消された病院が、翌年すぐに再申請ができるようになっております。また、指導医講習会については翌年度の受講予定の段階で前年度に既に申請が可能となっております。これについては、研修医の受入実績が2年間なかったということで取消になった病院の再申請の在り方についてどう考えるのか。協力型の臨床研修病院については、研修医の受入実績がない場合は指定がずっと継続されることになっておりますが、この指定の取扱いについてどう考えるのか。指導医講習会については、講習会の受講と指定申請の時期との関係についてどう考えるかという論点を挙げさせていただいております。
 大きな3つ目は「中断及び再開、修了について」です。現状としては、臨床研修の中断とは、研修プログラムにあらかじめ定められた研修期間の途中での臨床研修の中止です。原則として病院を変更して研修を再開することを前提としたものです。一方、未修了については、研修期間の修了に際する評価において修了基準を満たしていない等の理由により、管理者が臨床研修を修了したと認めないことをいうものであり、原則として、引き続き同一の研修プログラムで研修を行うことを前提としたものです。これを受け、論点としては中断者のうち、病気療養が約半数を占めるということです。かつ、研修の再開割合が低い傾向があることについてどう考えるか。研修医に対するメンタルヘルスの面からケアの必要性についてどう考えるのか。研修中の妊娠出産等への対応、あるいは障害を有する研修医への対応について、何らかの具体的な方策を考える必要があるのかという論点があります。
 いま申し上げた論点との関係で今回追加させていただいた資料がありますので、簡単にご案内します。参考資料の最後に添付しております別添5、研修医アンケートに関する追加資料です。今年行った研修医のアンケートの結果については、前回ワーキングでご案内して、本日も別添4としてお付けしております。その際に、整理が間に合わなかった項目で、かつご議論に資すると思われるデータの分析が出来上がりましたので、今回追加という形でご案内するものです。お時間の関係もありますのでかい摘んで説明申し上げます。
 1頁目の1.は専門医・認定医の取得希望を聞いております。こちらについては大学病院、臨床研修病院ともにほとんどの研修医がこの取得を希望しているようです。頁をおめくりいただき2.です。大学の医局への入局希望を聞いております。全体としては卒業大学あるいは卒業大学以外の大学への入局希望者は合わせて約76%ですが、大学病院では90%近く、臨床研修病院では約60%と差があります。また、入局の予定がないとする割合も大学病院では5.3%、研修病院では19.2%と若干の差が出ているところです。
 3頁の3.は医学博士の取得希望です。全体としては40%ほどの研修医が取得を希望しておりますが、大学病院では44.7%、研修病院では36.2%と若干の差があります。4頁の4.臨床研修と大学院への進学の時期、これは理想とする形として、博士号の取得希望ありのみ回答していただいております。大学病院、研修病院とも研修期間中に週に半日から2、3日程度通学したいという研修医が10%から20%ほどおります。
 5頁の5.は大学院での研究分野です。これも博士号の取得希望がある場合のみの回答です。大学病院、研修病院ともに半数以上が臨床研究、10数%が基礎研究、数%が公衆衛生などの社会分野での研究を希望しているようです。
 6頁は6.臨床研修中の悩み・ストレスの内容です。書いてあるように内容はさまざまです。若干目につくのは、この中の項目としてコメディカルスタッフとの関係とか給与・福利厚生などの処遇を内容とする割合は、大学病院のほうが若干高めです。7頁は7.悩みやストレスの相談相手です。大学病院、研修病院いずれも、まずは同僚に、次に上級医や指導医を相談相手としているようです。8頁にまいります。8.子どもができた場合の育児休暇の取得希望です。大学病院と研修病院とでは傾向に大きな違いがありません。9頁にまいりまして男女別に見てみると、男性の場合にはそもそも休暇を取らなくていいとする割合が25%ほどに上ります。これに対して、女性の場合には取りたい、あるいは復帰等の条件が合えば取りたいとする割合が合わせて90%以上に上っております。10頁は9.子育てをしながら勤務を続ける条件です。これについても大学病院と臨床研修病院との間には傾向には大きな差はありません。11頁ですが、男女別で見てみますと、男性の場合にはフレックスタイム制あるいは子どもの急病等の際に休暇が取りやすいこととする割合が高いのに対して、女性の場合には何よりも勤務先に託児施設があることを挙げる割合が高いです。
 追加資料の説明は以上です。論点骨子(案)に戻っていただき9頁です。4.「その他」ということで、1つ目が研究医養成との関係です。現状です。近年、特に基礎系を中心に大学院に進む医学生の割合が減少しております。将来の基礎系の教員確保や医学研究の推進を懸念する声があります。大学の医学部定員については、平成22年度から平成25年度の増員の枠組みとして、研究医枠が設けられているところです。一部の大学では、臨床研修期間中に大学院における研究も並行して行うなど、研究者の養成に取り組んでいるところです。以上を踏まえ、論点としては、臨床研修期間中の大学院における研究についてどう考えるかという項目を挙げております。
 次に、関連する医学教育です。医学教育に関しては文部科学省において、平成12年度に、いわゆるモデル・コアカリキュラムを定め、平成19年度及び平成22年度の改定を経て、すべての大学において利用されております。平成17年度からは、いわゆるCBT、あるいはOSCEが全面的に導入され、全大学において実施されております。現状では、大部分の大学において、臨床実習は5年次から6年次の夏頃までに実施されているものの、実施期間には大きな幅があり、その内容もさまざまです。医学生が診療にチームの一員として参加していく実習を推進するなど、質・量ともに改善していく動きがあります。臨床研修修了後の専門教育については、各学会において主体的に取り組まれております。昨年の10月から厚生労働省において、専門医の在り方に関する検討会が開催され、議論されているところです。以上を踏まえ、論点としては、卒前教育、臨床研修、専門研修の連続性の観点から、卒前教育の在り方についてどう考えるのか。専門医の養成の在り方についてどう考えるのかというのが挙げられるかと考えております。以上でございます。
○堀田座長 ありがとうございました。このような論点骨子(案)ですが、これに基づいて肉付けをしていきたいということです。次回また引き続き議論をお願いしたいと思います。今日はここまでにさせていただきます。
○小森委員 1点だけ、文部科学省に是非お願いしたいのですが、分析が大変難しいと思いますが、地域枠の問題です。大学によっては半数以上が地域枠というところもあるわけで、あとの制度設計の問題に欠かすことのできない話題ですから、できるだけの資料を、もしも3回目の議論をやるとしたら、この次までには可能な範囲で、できるだけ詳細にデータを出していただかないと議論ができないということなので、是非お願いしたい。
○医師臨床研修推進室長 かしこまりました。私どものほうで資料を作成したので、地域枠については詳細に把握できるような形で文部科学省と相談して出したいと思っております。
○文部科学省医学教育課企画官 地域枠といっても、用語の定義がいろいろありまして、5・6年前から始まった地域枠とそれ以前から各大学でやられてらっしゃる地域枠がありまして、その辺りの制度の仕組み等々も若干違ったりもしますので、その辺り、混乱のないように整理しながら、一つひとつ確認しながら進めていかなければいけない。そういうふうに思っているところです。
○堀田座長 ありがとうございました。地域枠といっても1,200人以上あるのですが、中身はいろいろで、地域を特定していない地域枠もあるということもありますので、その辺の整理をしていただきたい。
○神野委員 宿題といいますか、今日の小池先生のデータとかいままでのいろいろなデータが出ましたが、さっきの弾力化プログラムでの前と後で大学と地域病院での研修医の数の違いはなかなかデータが出てこなかったように思うのですが、おそらく既にあるデータで分析できるはずですので、是非宿題でお願いしたいと思います。
○堀田座長 よろしくお願いします。次回、あるいは連絡事項をよろしくお願いします。
○臨床研修指導官 次回は11月を予定しています。詳細が決まりましたら後日、先生方にご案内させていただきます。連絡事項は以上です。
○堀田座長 急いで申し訳ありません。ご協力ありがとうございました。また次回よろしくお願いいたします。


(了)

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