ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 年金局が実施する検討会等> 地域医療機能推進機構の法人制度に関する検討会> 第2回地域医療機能推進機構の法人制度に関する検討会議事録




2012年10月17日 第2回地域医療機能推進機構の法人制度に関する検討会議事録

年金局事業企画課社会保険病院等対策室

○日時

平成24年10月17日(水) 9:00~11:00


○場所

厚生労働省省議室(9階)


○議題

1 独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構からのヒアリング
2 目標・評価
3 組織・業務運営・財政運営
4 情報公開・発信
5 その他

○議事

○重元社会保険病院対策室長 おはようございます。若干定刻より早いですが、皆さんおそろいですので、ただいまから第2回地域医療機能推進機構の法人制度に関する検討会を開催します。本日は朝早い中、また大変お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。
 まず本日の委員の出欠状況について報告します。小林委員が欠席との連絡をいただいていますが、その他の委員の皆さまは全員ご出席です。出席されている方々のご紹介ですが、本日はRFOから尾身理事長、依田審議役、宇口総務部長にもご出席をいただいています。続いて事務局に9月10日付で人事異動があり、メンバーの変更がありましたので紹介します。高倉年金管理審議官です。八神事業企画課長です。
○八神事業企画課長 八神です。よろしくお願いします。
○重元社会保険病院対策室長 事務局というわけではありませんが医政局の土生国立病院課長にも出席をいただいています。
○土生医政局国立病院課長 土生です。よろしくお願いします。
○重元社会保険病院対策室長 最後になりましたが、私は社会保険病院等対策室長の重元と申します。よろしくお願いします。
 検討会の開催にあたり、高倉厚生労働省年金管理審議官より一言ごあいさつをします。
○高倉審議官 おはようございます。ただいまご紹介いただいた年金管理審議官に着任した高倉です。よろしくお願いします。9月10日付で厚生労働省でかなり大規模な人事異動があり、こちらは新しい顔ぶれになっています。9月3日から既に第1回の議論を経て進められている委員の皆さま方は大丈夫かと思われるかもしれません。私どもは着任後ただちにこの大事な仕事につき、それぞれ前任からの引き継ぎを受けるとともに記録等も精査、精読して今日に至っています。精いっぱい事務局役を皆で務めたいと思いますのでよろしくお願いします。
 この検討会のミッションは第1回において既に確認されていますので、改めて貴重な時間を費やすことはしません。これからの在り方に向けての議論ということで第1回目の議事録を読みましたが、非常に濃度の濃い議論が進んでいると承知しています。現在の独立行政法人、年金・健康保険福祉施設整理機構、いわゆるRFOの尾身理事長のリーダーシップの下でさまざまな取り組みが既に進みつつあります。さらにその先をどうしていくかという点に関して、さまざまな角度から皆さま方にご意見をいただきながら進めていきたいと思っています。よろしくお願いします。
○重元社会保険病院対策室長 それではここから議事に入りますので、プレスの方のカメラ撮りはここまででご遠慮いただければと思います。ここからの議事進行については座長によろしくお願いします。
○田中座長 おはようございます。63病院の患者さんや、働いている方々が安心できるようなものにする必要があるので、皆さま方からの積極的な意見や発言をお願いします。本日は地域医療機能推進機構の目標・評価、2番目の組織・業務運営・財政運営、3番目の情報公開・発信について議論をいただきます。それに関連してRFOの尾身理事長より新機構に関する方針についての説明を頂戴します。理事長、よろしくお願いします。

1独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構からのヒアリング
○尾身理事長 おはようございます。資料1を基に説明します。就任時における主な私の問題意識は2つあります。1つ目は新機構の果たすべき役割についてです。これについては前回既に話しました。もう一つの問題意識は赤字で書いてあるところです。新機構における在るべき組織運営の姿についてです。ご承知のように3団体は、異なる歴史、組織文化、ガバナンス、人事・給与制度等を持っていますが、これらを乗り越えて一体感のある組織づくりをする必要があるというのが第一の認識です。
 新機構は国からの運営交付金に頼れないことになっていますので、財政的に自立した病院運営を行う必要性が2番目の問題認識です。3番目は、従来は公設民営でしたが今度は改組により公設公営になるために、社会に対する説明責任あるいは透明性が今まで以上に求められるということです。この3つが主な私の問題意識でした。
 今日は組織運営の姿の中で、特に人事、給与制度、財務運営に関して、主な点に絞って話します。3ページ目ですが、いろいろな組織運営に関するデシジョンメーキングをしなければなりませんが、そのような方針をつくる際に、以下の3点を常に念頭に置いて行いました。1点目は、私どもの意思決定が、前回話したビジョンの実現のために資するかどうかということ。それを効率的に実現できるかどうかという観点です。2番目の判断基準は、判断の根拠あるいは期待される効果等について合理的に社会に説明できるかということです。社会に対して説明責任をしっかり果たせるか、あるいは透明性のある意思決定になっているかどうかということです。3番目は、職員のやる気、モチベーション、士気に好影響を与えるかどうかです。この3つが主な判断基準でした。
 次のページですが、そのような判断基準を基に人事の原則から話したいと思います。3つあります。組織としての一体感ということで、共有された使命を達成するための一体感。特に今回の場合は3団体が合同になるということで、この一体感を醸成すること。使命の実現にふさわしい人材を適材適所登用すること。今回の場合は全国的なネットワークがありますので、それを活用した組織運営をダイナミックに行うということです。2番目は、本部、地区および各病院の役割、権限、責任の明確化で、地区については後で簡単に説明します。3番目は客観的な評価により、努力した人が報われる人事制度にしていきたいと思います。その3つが原則です。
 次のページは人事、採用についてどうするかということです。これまでの地域医療の一翼を担ってきた現委託3団体の病院の職員について、地域医療を維持するためには原則全員採用する方針としました。しかし、国民目線から見て、新機構の職員としてふさわしくない、以下の3つのカテゴリーに属する者は例外とするということです。1番目は新機構のミッションに賛同しない者、2番目は新機構のミッションの実現に支障をきたすと判断される者、3番目は、昨年6月の議員立法で法改正が行われ、衆・参議院の附帯決議で「政府は新たな機構に対し、いわゆる天下りをさせないこと」とされていますので、私どもの機構としてもこの精神を遵守したいと思っています。
 次のページは先ほどの地区のことです。私どもは全国区のネットワークがありますが、全国の県を5つに分けた地区を設けることにして、目的は、職員の能力を最大限活かして高めるために、職員の広域な異動による組織の活性化を図るということです。具体的な方法はたくさんありますが、1つ例を挙げれば、病院運営に必要な看護師の確保を図るために、看護師の採用を病院ごとではなく地区単位で計画をして、地区内の病院内における適切な人事配置が行われるようにしたいと思います。
 次に地区の機能です。人事は原則理事長が責任を持って行いますが、職種や役職に応じて院長がやる場合もあるし、地区の代表がやる場合もあります。理事長の任命権の一部を、院長あるいは地区の代表に一任するというように考えています。地区内の全院長により構成される人事調整会議を設け、人事の透明性、客観性を高める。院長が1人でやるということではなく、このような会議を通して行う。なお、地区の業務を行うための人員体制は業務に対して最低限のものとし、効率的・効果的な業務体制とするということです。
 次のページで、医師の採用等、人事について、医師の場合を例に取って説明します。本部がすべての医師の人事に責任を持つわけですが、実際に本部がすべてやることは現実的ではないということがあります。従って、院長、副院長は理事長が任命、決定します。3番目ですが、医長を含む一般医師は現場の院長の判断を尊重して、院長に任命権を委任することにしたいと思います。一方で、診療の責任者、実質的な責任者である診療部長については、病院経営における責任、影響の大きさという観点から最適な人材を選ぶ必要があります。この観点から客観性および透明性を確保するということで、院長案を尊重しつつも次の手順をもって決定したいと思います。各院長が自分の案を持ってきて、その案を2番目の人事調整会議でオープンに検討する。そして最後に本部で検討案がよろしければ了承、決定し、最終的に理事長の任命をするということです。これは医師の場合の1つの例です。
 次のページです。このような地区においては、今申し上げた人事以外にも以下の4つの役割について担っていただければと思います。1つは病院運営の諸問題・諸課題の共有、解決に向けた提案・検討・議論・相互支援を地区全体でやってもらうということです。それから医療、介護における連携、相互協力。例えばある病院で医師が不足している場合には、近隣の病院から応援するということです。3番目は研修会、交流会等の開催で、職員のいろいろなスキルを向上させるということです。あとは移行時、現在ですが、地区を利用して、新機構移行時のいろいろな支援をするということです。
 9ページは給与制度の原則についてです。独立行政法人通則法等の趣旨を踏まえて、病院を経営する国病など他の独立行政法人などの給与水準を考慮する。その上で新機構における給与制度は独立行政法人としてふさわしく、社会に対して合理的な説明ができる範囲内で、給与は年功序列型とはせず、職員の評価および組織の業績が反映できるものとする。賞与については国立病院機構等の支給水準に準拠することを基本とする。ただし赤字病院の場合は賞与の支給水準を減額できるものにしたいと考えています。
 次のページは賞与についてです。賞与は現在3団体で全く異なっています。同一団体内において各院長が支給月数を決定するため、現在は支給月数に極めて大きな差があります。年間2.8カ月のところもあれば8カ月ぐらいのところもあります。新機構では、国や病院を経営する他の独立行政法人である国病などと同水準の年間3.95月を基本とする。さらに個々の病院の経営状況次第では、当該賞与の支給水準を減額したいと思っています。
 次のページは財務運営に関しての原則です。組織として一体感があり、自立・効率的な病院経営。2番目は病院内の診療・財務状況などの内部環境のみならず、地域の医療ニーズ全体、外部環境も含めた詳しい経営分析に基づいた運営とすること。3番目は社会に対し説明責任を果たすことができる、透明性のある財務運営であるということです。説明責任、透明性をしっかりするという文脈において、1つの情報提供をしたいと思います。
 RFOでは新機構への改組を見据え、各病院における財務等の内部統制が現在どのような状況にあるかを把握するため監査法人に委託し、3委託先団体の全病院を対象に調査を行っています。この調査は9月中旬より実施しており、本日までに10病院の実地調査を行い、来年の2月までに全病院の実地調査を行う予定です。現時点での監査法人からの報告によれば、実地調査を行った病院の中には、1、日常の病院会計事務における管理体制の在り方、2、毎年度の決算処理の在り方などにつき、改善を要する点がある旨の報告を受けました。これらについては現在、事実関係の精査と、速やかな改善を委託先団体に求めているところです。私としては新機構への改組までの限られた時間の中で新機構に求められる、透明性が高く説明責任を果たすことができる高いレベルのガバナンスを確立するために、本件への対応を最重要課題の1つとして位置付け、全力で取り組んでいく所存です。今後も必要に応じ、調査の状況について公表していきたいと考えています。
 同じページに戻って、4番目の赤字病院に対しては、本部の義務と当該病院が担うべき責任を明確にするということです。
 次のページでは財務運営の具体的なことを少し述べます。従来この委託3団体はそれぞれの会計制度の下で事業運営が行われており、国費で整備された建物等についても減価償却が行われていませんでした。従って多額の償却不足の状態での出発となります。また、退職給付引当金も団体によって取り扱いが異なってきました。新機構では統一的な会計ルールの下、財政的に自立した病院運営の確立を図る必要があると思っています。このため、各病院においては将来の建替整備や医療機器整備に必要な資金についても、減価償却として準備し、また、退職金の支給に必要な資金についても引当金として準備する必要があると思っています。なお、自己資金が不足する赤字病院については、各病院からの拠出金を財源とする本部からの短期貸付を行うことを考えています。ただし、先ほど申し上げたように、赤字病院が漫然とした経営を続け、短期貸付が継続した場合には病院長の運営責任が問われることになると思います。
 次のページは資金の流れを参考までに書きました。本部が統一のルールを基に資金管理を責任を持って行う制度、スタイル、システムにしたいと思っています。
 最後に新機構では組織運営について、透明性を確保し、社会に対する説明責任をしっかり果たしたいと思っています。ミッションを達成するために最も効果的・効率的であり、職員にとって働きがいがあり、地域住民に対する奉仕者として納得してもらえるような組織づくりをしたいと考えています。以上ですが、さまざまなアドバイスをお願いします。ありがとうございました。
○田中座長  ただいまの理事長からの方針の説明に対して質問や意見、さらにアドバイスがあればお願いします。渡辺委員、どうぞ。
○渡辺座長代理 全体でやりますか、順番的にやりますか。
○田中座長 相互に絡むと思うので全体で。
○渡辺座長代理 後で質問なり意見がありますが、取りあえず1点です。5ページで確認したいのですが、人事の?の天下りの件です。国会の附帯決議で、政府は新たな機構に対し、いわゆる天下りをさせないこととし、今、理事長もこの精神を遵守したいと言われました。天下りというと、われわれは本部機構の天下りがすぐに浮かびます。現実に社会保険病院では、現場の病院でも事務部門等々に天下りはあると思いますが、もし分かればその現状をご説明願えますか。
○尾身理事長 渡辺委員の天下りの件についてです。天下りのわれわれの精神については本部だけではなく、病院に勤務する職員についてもこの精神を適応したいと思います。その上で、今の渡辺委員からの質問の、現状は天下りがどうなっているかということです。今、手元に正確な人数は持っていませんが、私が理解しているところでは、例えば病院における事務局長、事務のトップは確か10名を超えた人数がいると聞いています。
○渡辺座長代理 全部ですか。
○尾身理事長 病院全体の中で10名を超えた十数名だったと思いますが、後でスタッフに確認します。老健の施設の長は院長がやっている場合が多いですが、副施設長は事務の方がやっている場合が多いです。副施設長も今は天下りという人が数名いると私は理解しています。
○田中座長 よろしいですか。
○渡辺座長代理 確認ですが、そのような方々1、2、3は、新機構においては採用しない方針だと理解していいですか。
○尾身理事長 おっしゃる通りです。
○渡辺座長代理 ありがとうございました。
○田中座長 福井委員お願いします。
○福井委員 5ページの1、2の方々をどういう手続きで排除していくのか、具体的にありましたら伺いたい。7ページ目で、本部のほうで理事長が副院長を決定・任命するという点と、診療部長についても本部のほうで関与するという案ですが、このこと自体が非常に煩雑となり、院長のリーダーシップを阻害する可能性がないか少し心配です。それについてご意見がありましたら。
○田中座長 2点ありましたのでお願いします。
○尾身理事長 福井委員の1点目は5ページの1、2をどう手続きするかです。せっかくの質問ですから、手続きの前にどういう人ということもあると思います。ミッションに賛同しない人というのは、例えば今回の場合には地域包括ケアなども急性期と同時にやると言っているわけで、それに反対する人がいた場合のことです。次の、ミッションの実現に支障きたす者は、意図的に、一生懸命頑張る人、職員に対して妨害するような、そのようなことがあった場合です。それを実際に誰が判断するかという手続きの話だと思います。詳しい手続きについてはまだ考えていませんが、基本的には現場の院長等々のいろいろな情報を得て、最終的には本部がいろいろな情報を踏まえて理事長が判断することになると思います。そのプロセスをどのような形に、委員会をつくるかどうかということはこれから考えますが、基本的には一方的な情報だけではなく、多角的な情報を得て最終的に総合的に判断するということだと思います。
 2つ目の診療部長、これは確かに福井委員が言われるのは、院長に権限をすべて裁量権を持たせなければ院長のやる気がなくなったりということと、手続きが煩雑になるのではないかという2つです。確かにその部分にそういう懸念はあります。しかし、そういう中でなぜこのような話を提案したかというと、今までは団体によっては、診療部長を病院長が第三者の意見を聞かないで、自分だけで決定してきたということがあります。社会的に説明を求められる新機構においては、診療部の部長としては地域の医療に貢献するため、最適な人を選ぶ必要があります。そういう意味で、福井委員が言う、院長の考えというのは尊重されるシステムになっています。院長が「私はこれでいい」と、しかじかの理由でこの人が一番ふさわしいということをみんなに言って、それをみんなが納得すればそのまま特に反対はない。ただし、場合によっては、これは危機管理の一環としても、院長が提案した人が必ずしも最適ではないということが理論上はあり得るわけです。それを院長だけの裁量でやれば、それをチェックする機能がないわけです。それについて、院長が考えていることをオープンの場で言って、ほとんどの場合はそれで済んで、あっという間に、1日の間に本部に行くと思います。しかし、場合によっては院長の提案する方が必ずしもふさわしくないこともあるので、それについて議論する比較的オープンな場がなければ、それは新しい組織としてなかなか説明できないと思います。
 手続きが煩雑になったら、これは本末転倒ですが、今はインターネットや電話もあるので、院長の提案がもっともであれば1日で決まる話だと思います。院長のやる気については先ほど申し上げたように、院長の考えが合理的であればそのまま通るということで、院長のやる気がそがれることはないと。そういう全体の判断でこういうことを提案しました。
○田中座長 福井委員、よろしいですか。冨永委員、お願いします。
○冨永委員 私の知識不足だと思うのですが。1ページの「就任時の私の問題意識」というところに、公設民営から公設公営になると書いてあります。これは公務員ということですか。公設公営というのはどういうことですか。独立行政法人機構の公務員型と非公務員型とありますが。
○尾身理事長 われわれの場合は非公務員型です。ここで共通のワードは公設で、違うのは民営か公営かということです。公設が共通という意味は、例えば一番分かりやすいのは、土地や建物が以前は社会保険庁、国のほうで提供されているものですし、法人税や固定資産税も払っていないわけです。そういう意味で公設という、国が建てた、国が所有している土地あるいは建物でやっていく、これからもそれは一緒です。ただ、民のほうは今までは社団法人あるいは財団法人が経営していたわけで民営ですが、これからは独立行政法人という国に準拠したものが運営するということで公設です。従って社会的説明は今までも求められていたわけですが、公営になるので今まで以上に透明性や社会への説明が求められるという文脈です。
○冨永委員 法的に非公務員型でありながら、公設公営というのはわかりにくいのですが。
○尾身理事長 法的には矛盾はないと理解しています。
○冨永委員 普通公設公営といったら、私どもは公務員というようにすぐに思うのですが、そうではないということですか。
○重元社会保険病院対策室長 事務局から補足します。先ほどの理事長の説明は、今はRFOが個々の社会保険病院の運営を社団法人などに委託しているということで公設民営です。確かに法令上の厳密な意味で言えば、公設公営は公務員というイメージがあります。ここで言っている公設公営というワーディングは、新しい地域医療推進機構が全国にある社会保険病院を自ら直営という形で運営するということです。公務員か公務員でないかというところとは一致しないワーディングだと理解しています。
○冨永委員 私を含めて一般の国民が見たら分かりにくいと思います。分かりやすいように説明したほうがいいと思います。
 先ほどの渡辺委員の5ページの天下り云々というところです。具体的に衆・参議院の附帯決議においてそのようになったのなら、法的な縛りでしょうからしょうがないです。天下りの定義ですが、私は病院の運営というか、院長という立場ですので、院長にしても事務長にしても、その病院に最適な人が任に当たるべきだと思います。それが独立採算性を遂行するために最も大切なことだと思っています。だから天下りというのが3年したらいいのか、5年したらいいのか、4年でいいのか、一生だめなのかよく分かりません。天下りの定義について教えていただきたいと思います。
 今いわゆる天下りといわれている事務長方がおられると聞いたのですが、その方々は優秀であっても全部辞めてもらうのですか。
○尾身理事長 定義については、専門家がおられるので補足してください。私の一般的理解は、天下りというのは一度役所を退職して退職金等を、定年の場合が多いと思いますが、年数に至って退職金をもらったという人が一般的です。定義については後で補足してもらいます。
 2つ目は今いる人を全部辞めてもらうのかという質問ですが、基本的には原則今言ったようなカテゴリーに当てはまる、既に退職金をもらって年数もたった人たちが新しい機構にいることは、原則ないというのが今の私どもの考えです。
○田中座長 事務局から補足をお願いします。
○重元社会保険病院対策室長 補足します。資料5ページのRFOの議員立法の附帯決議の中の天下りさせないということについて、天下りの明確な定義はそこにはありません。一般的には国家公務員のOB、公務員のOBと理解されていますが、明確な定義があるわけではありません。
○田中座長 今後検討するということですね。
○重元社会保険病院対策室長 そこの仕分けは整理が必要だと思っています。
○田中座長 例えば5年働いただけの人を天下りと呼ぶかとか、辞めてから何年なのか。冨永委員が言われたことはこれからのようですね。よろしいですか。菊池委員、お願いします。
○菊池委員 私も採用のところで1点あります。先ほども話に出ましたが、5ページの1、2のところです。形式的には雇用関係がいったん終了して新規採用ということになると思いますが、ここで基本的に全員採用するという方針が前提としてあり、その中で例外があるということです。1は比較的、主観的なその人の意思ということで明確なのかもしれませんが、2は支障をきたすかどうかという判断が介在してきます。実質的に判断すればするほど、採用するかしないかというところでトラブルが発生する可能性、そういうリスクが高くなってくると思います。例えば賞与のところにもありましたが、箇所によっては賞与が半減するという労働条件の実質かなりな切り下げも含まれています。採用の部分で判断を実質的にどうするかというのはやや懸念されるところです。場合によっては?の判断基準をどう考えるかというのは、あらかじめ方針をもう少し示したほうがいいのではという意見を持ちました。以上です。
○田中座長 お願いします。
○尾身理事長 今の菊池委員の指摘ですが、いろいろな判断がこのまま曖昧であれば混乱の原因になるのではないかという懸念を表明されました。これは原則を書いたわけで、実際にこれを適用するためには基準のようなものをつくる必要が確かにあると思います。先ほどの天下りの件もそうですが、これについてはさっそく判断基準をわれわれの中で考えてみたいと思います。
○田中座長 どうぞ。
○渡辺座長代理 また天下りの話ですが、結局、昨年6月の附帯決議は、RFOつまり社会保険関係の、社保、厚年、船保などのいわゆる保険料を中心とした病院ですよね。私自身も少し知っていますが、社会保険庁の天下りが極めて多かったわけで、今もあるという話ですが。社会保険庁が、年金の保険料の極めてのずさんさに代表されるように解体されたわけです。その背景があって、国会で民主党も自民党もそうだが、あまりにも社会保険庁がひどいというのがあったことは事実だと。そういったことが、その後国会の、私が解説する話ではないが私の知る範囲で言えば、国会議員つまり国会の意思として社会保険の天下りが極めて多くて、それはひどいというのがあったと思います。私自身も社会保険庁解体のときもそうだと思ったのですが、その辺のことが随分頭にあったのではないか、背景はあったと思うのです。だから先ほど座長からも話があったように、例えば5年官僚をやったから絶対だめだとか、そういうことまで言ってないのではないかという気がしますが、これは私の感想だからこれだけにとどめておきます。他の公的病院とは少し事情が違う部分もあるという気はします。
 それと関連して10ページの給与制度です。理事長から説明がありましたが、病院によって支給月数、賞与が2.8から7.7という、民間では儲かっているところはやってもいいのだが、同じ社会保険関係の病院で、特に社会保険病院が中心だと思うのですが、あまりにも異常です。国病が3.95ということで抑えている、みんな一律にしているというのも。
先ほど冨永委員からも公設公営とは何とかという質問があって、その定義も曖昧です。少なくとも公的な病院であることは確かなわけです。特に再来年4月からは。公的な病院でミッションを持つときに7.7はあまりにも異常だと。これは抑えるという話があったのでぜひ抑えていただきたいです。私の感想ですが、これまで社会保険病院を中心として、天下りをはじめとしたお手盛りがあったのは事実だと思います。そのような一連流れの中で、悪く言えば極めてずさんなといってもいいぐらいの経営だったと思います。尾身理事長が最後に説明した財務調査に関しても今後発表いただけると思いますが、かなりずさんな部分があったと思わざるを得ないという気がします。
 公的な性格を持つ病院だという認識を改めて強くして、国病の3.95という基準にそろえることがベストかどうかは別として、世間から見てあまりにも異常な数字の背景には、先ほど天下りで言ったお手盛りがあったという気がしますので、改めて強く改革をしていただきたいとお願いします。以上です。
○田中座長 今のはご意見ですね。よろしいですか。中沢委員どうぞ。
○中沢委員 6ページの「地区の活用」で全国を5つの地区に分けるというところです。ブロック間での異動は基本的にはないという整理かと思いますが、5つのブロックがそれぞれ平準化されているというか、病院機能なり病院の規模なり、その辺は原則同じような5つのブロックが前提だと思いますが、実際にはどうでしょうか。でなければ、地域間の異動もあり得るのかどうかを教えてください。
○田中座長 お願いします。
○尾身理事長 地域を越えての異動があるか、あるいは地域内か。基本的には職員の事情を考慮することはあると思いますが、全国の異動もあり得ると。現実に九州の人が北海道に行くことはないから、そこの地区が基本だとは思います。場合によっては地区を越えての異動も当然あり得るべしと考えています。むしろあることで、職員にとってもキャリアのデベロップメントというか自分のスキルアップ、あるいは組織にとってもいいことがあるのではないかと確信しています。
○田中座長 私も一委員として質問させてください。退職金と減価償却を今後きちんと計上すると書いてありますが、これは当然だと思います。しかし過去債務、退職金部分と減価償却費を今後の収入で計上するのはかなり厳しいはずですが、そこはどのようになるのですか。
○尾身理事長 以前は減価償却の分を十分積み立てていないわけです。いろいろな計算がありますが、今の病院収益だけで減価償却を賄おうと思うと、大まかな話で現在の純利益を2倍にしなければ間に合わないということを今試算しています。透明性、社会説明ということが今日の主題ですが、病院経営についても、単に透明性、社会説明だけではなく、病院の経営的な戦略をかなり練らなければならないと思っています。一生懸命、経営努力を最大限しても足りない場合には、13ページの長期貸付金を銀行から借りるか、あるいは財政投融資として国に借りるかの議論だと思います。しかし、なるべく自分らで経営改善をして努力していきたいと思っています。
○田中座長 厳しいところです。資金調達、借りたら返さなければいけないので、キャッシュフローが繰り延べされるだけで、キャッシュフローはその場では助かるが、会計上の債務は消えるわけではないです。過去債務が銀行への債務に変わるだけだから、そこをどうするかはこれからの課題だと感じました。今日どうこうというよりも長期の課題です。他にありますか。福井委員、お願いします。
○福井委員 医師の人事、特に院長の人事ですが、現状で特定の大学に完全に依存しているところがあるのかどうかということと、その場合、大学側とどのように交渉して、理事長の権限にできるのかという、微妙な話ですが、先生に何かアイデアはありますでしょうか。
○田中座長 理事長、どうぞ。
○尾身理事長 福井委員の質問はまさに的を得た質問です。基本的には地域医療機能推進機構のミッションというか、これからの在り方を一言で述べよといえば、連携の要になりたいということです。総合医もそうです。総合医も専門医と地域での連携の要になるということです。さまざまな医療機関、今、福井委員が言われた大学病院とこれからは連携しなければいけないし、地域の診療所あるいは介護施設とも連携しなければいけないので、大学と人事があろうがなかろうが、大学から院長先生を送ってもらうかどうかにかかわらず、大学とはいろいろな意味で連携を取らなければいけないと思います。その中で最終的には院長の人事は理事長が決めることになっていますが、実際には現場のいろいろな各医療機関との連携ということもありますので、院長が大学から派遣された場合には、院長が替わるときに大学の医学部長あるいは病院長と十分相談して、こちらの必要としている人材についてはっきり申し上げて、適材適所ですから、ふさわしい人がそこの大学にいれば送ってもらうし、ふさわしい人がいなければ別のことを院長と十分相談して決めるというスタイルになると思います。
○田中座長 どうぞ。
○渡辺座長代理 基本的なことですが、全国5つというのはどういう概念というか、病院の数のどういう分け方ですか。
○尾身理事長 ある意味で理屈と実態のバランスですが、実は5つではなくて6つでもいいし、はっきり言ってサイエンティフィックなベースがあるわけではないのです。社会的説明、透明性ということで申し上げますが、5つというのはある意味で便宜、実態的な要請から来ている部分もあります。どういうことかというと、去年通った議員立法で、非常勤理事を5人選ぶということが法律的に規定されています。常勤の理事とは別に非常勤の理事が5人指名できると法律に書かれていますので、そういうことが実態的にあったということです。実際には各地域には特色があり、北海道と九州は違います。そういう意味では多様性があり、6つでもいい、あるいは4つでもいいのかもしれません。ただ、地理的あるいは文化的医療圏として近いのを選ぶというのは当然のことですから、北陸とか関東ということになると思います。なぜ5つかと言われればそういうことです。

2目標・評価
○田中座長 では議題2に移ってよろしいですか。2番目は地域医療機能推進機構の目標・評価についてです。これを議論いただきます。事務局から資料の説明をお願いします。
○重元社会保険病院対策室長 事務局から資料を説明します。資料2は前回の第1回の検討会で出した資料です。新機構の法人制度の検討にあたっての基本的な枠組み、全体の検討の枠組みを整理した資料です。新機構の法人制度を考えていく上で2つのパーツに分けて整理しました。左側に機構の使命、役割、その下の法人制度の2つの部分です。このうち上の機構の使命、役割については前回の検討会で議論をいただきました。今回は下の法人制度、組織・業務・財務の部分について議論をいただきます。今回の議論の全体の位置付けをこの資料で確認しました。
 資料3はこれから議論をいただく法人制度の在り方についてです。1ページ目は検討の趣旨を簡単に整理したものです。1つ目の○にあるように、新機構は5事業、5疾病、リハビリテーション、その他地域において必要とされる医療および介護を提供する機能の確保を図ることを目的としています。その際に地域における協議会で、地域住民のニーズを反映していくことも求められている法人です。
 2つ目の○にあるように、このような地域住民のニーズに応え、地域医療の機能の確保を積極的に図っていくために業務運営を最適化するために、法人の長のガバナンスの下に臨機応変な対応が求められています。また、このような病院事業を診療報酬体系下で独立採算により実施することが求められています。このような状況の下で、新機構の使命、役割を的確に遂行し、地域医療に確実に貢献していただく。なおかつ自律的・効率的な運営を行うことができる法人制度の在り方について、国の関与を含め、どのような制度設計を行うべきかというのが今回の検討の趣旨です。最後にあるように検討の際には、同時並行で検討が進んでいる国立病院機構の検討会の検討状況について、横目でにらみながらということになるのではないかと考えています。
 2ページ目は検討にあたっての視点ということで基本的な考え方です。新機構が自らの使命、役割を的確に遂行することを制度として担保することが必要と。2つ目にあるように病院事業の特性、ここは。
○渡辺座長代理 資料2の2ページ目はないです。
○重元社会保険病院対策室長 失礼しました。資料3の2ページの裏面です。他の委員の皆さまは大丈夫ですか。
 検討にあたっての視点ということで、新機構が自らの使命、役割を的確に遂行していくことを制度として担保しなければならないと。病院事業の特性、前回の議論の中にもありましたが診療報酬体系下で自立的な経営をやっていただく。医師、看護師という人材の確保、建替え・医療機器の整備といった投資的資金の確保などを診療報酬体系下の中でやらなければいけない。そのようなことを踏まえると、独法共通の規制というのがなじみにくいのではないかということで、可能な限り、法人の自主性・自律性を尊重しなければならないのではないかということです。
 その際の国による法人への関与の在り方として、法人の説明責任、透明性の確保が大前提ですが、それを前提として事後的な評価を重視することとしてはどうかという考え方。最後の○にあるように、新機構は政府からRFOに対して出資されている病院を用いて事業運営を行っている法人ですので、事業の実施にあたっては事業の適正性を確保する、担保する観点から監事機能強化や、国による法人の業務運営の改善への関与、役員の責任の強化を行うこととしてはどうかということです。以下これらの各論についてはこの後説明します。以上が全体的な考え方です。
 続いて資料4は目標・評価の仕組みについてです。この点に関する論点として、新しい法人制度の中で国の関与の在り方を含む制度設計をどのように行うべきかということです。目標・評価の在り方についての基本的な考え方の案としては下半分にあります。目標・評価の在り方の1つ目の○、国の医療政策として重要な課題である地域医療の機能を確実に確保するということから、国が医療の特性を踏まえながら直接評価を行う。必要な改善を促せる仕組みとすべきであるというところが大前提だと思います。
 2つ目の○、法人の機能をより効果的に発揮するためには医療の現場を担う、法人の自主性・自律性を尊重すべきではないかということです。要は現場のニーズや、いろいろな人やもの、金という資源の状況を十分に分かっている、医療現場を担う新機構の自主性・自律性に委ねるべきではないかという考え方です。
 2ページは具体的な仕組みについてです。ここでは3つのステージに分けて整理しています。1の基本方針の提示については左側に現行の独立行政法人というところがあります。現行の仕組みとしては主務大臣が法人に対して中期目標の指示をする。その際には各府省に置かれた独法評価委員会の意見を踏まえた上で、中期目標の指示をするという仕組みになっています。こちらについて新法人ではどうするかということで、上の検討の視点というところに書いています。医療の現場を担う法人の自主性・自律性を尊重するという観点から?にあるように、国から詳細な指示を行うのではなく、国の医療政策として法人に求められている役割についての基本的な方向性を基本方針として示してはどうかということです。基本方針の策定にあたり、専門的な観点から関係審議会の意見を聞くことにしてはどうかということです。そのイメージ案が2ページ目の右側の新法人のイメージ案というところに書いてあります。
 2ページ目の下に他法人の例があります。今、国会で継続審議となっている独立行政法人の改正法案の中に中期目標行政法人というものがあります。この中では主務大臣が今までと同じように中期目標の指示をすることになっています。その際は、これまでの各省の評価委員会ではなく、総務省の行政法人評価制度委員会が意見を述べる仕組みになっています。また、国立大学法人については文科大臣が中期目標を示すことになっていますが、その際には文科省にある国立大学法人評価委員会が意見を述べるとともに、国立大学法人そのものの意見を聴くという仕組みになっています。
 3ページ目は、法人による基本目標、基本計画、年度計画の作成ということです。現行の独立行政法人の仕組みでは、国からの中期目標を踏まえて法人のほうで、3~5年という期間になる中期計画を作成し、主務大臣の認可を受ける。認可を受けるに際しては、各府省の評価委員会の意見を踏まえることになっています。中期計画を踏まえて各法人が年度計画を主務大臣に届け出るという仕組みになっています。こちらについて新法人においては、検討の視点のところにあるように、法人が国が示す基本方針に基づいて基本目標を作成する。この基本目標は先ほど申し上げた基本方針に基づき、法人が達成すべき業務運営に関する目標を作成するという位置付けです。そのような基本目標を作成し、こちらについて主務大臣、厚生労働大臣の認可を受ける。認可に際しては専門的な観点から関係審議会の意見を踏まえることにしてはどうかということです。
 また、検討の視点の?にあるように、法人が定めた基本目標を踏まえて中期的な基本計画、それに基づく事業年度ごとの年度計画を作成することにしてはどうかということです。中期的な基本計画および年度計画については主務大臣への届出という形にしてはどうかということです。
 他法人の例では、左下の中期目標行政法人が中期計画を作成し、主務大臣がそれを認可する。それを踏まえて年度計画を届け出るという仕組みです。国立大学法人については同じような仕組みですが、文科省に置かれている国立大学法人の評価委員会が中期計画の認可にあたり意見を述べるという仕組みです。
 4ページは、業績評価あるいは評価の結果を踏まえた業務運営改善についての仕組みです。現行の独法制度の仕組みにおいては、各府省に置かれた評価委員会がまずは実績評価を行う。その中で改善すべき点があれば、業務運営改善の勧告を行うという仕組みになっています。こちらは主務大臣が直接評価を行う仕組みにはなっていません。各府省評価委員会の評価を踏まえて、各府省評価委員会の評価をそろえるという観点から、総務省に置かれている政策評価独立行政法人評価委員会で二次的な評価、意見を述べるという仕組みになっています。
 こちらについて新法人ではどうするかということです。検討の視点の?にあるように、政策責任者たる厚労大臣が法人の業務運営の状況を評価することにしてはどうかと考えています。その評価の結果に基づく業務運営の改善の仕組みについては、法人の自律性を促すという観点から、命令ではなく勧告という形にしてはどうかということです。?にあるように、評価を行うにあたり第三者的なチェックの仕組みとして、専門的な観点からの関係審議会の意見を聞くことにしてはどうかということです。
 他法人の例としては、左下にある中期目標行政法人の仕組みでは同じように主務大臣が評価を行う。その業務運営改善に必要があれば業務運営改善の命令を行うという仕組みになっています。第三者的な関与という意味では、総務省に置かれる行政法人評価制度委員会が、中期目標期間の最終年度の前の事業年度に行う実績評価の点検を行うことになっています。これは次の中期目標期間の計画に反映させる意味でこのような仕組みになっていると理解しています。
 国立大学については主務大臣ではなく、文科省に置かれている評価委員会が実績評価、改善勧告を行います。新しい今回の改正法の中では、総務省に置かれている行政法人評価制度委員会が中期目標行政法人と同じように、中期目標期間の最終年度の前々事業年度に行う業務実績評価の点検を行う仕組みになっていると承知しています。
 5ページに新法人の目標・評価の仕組みのイメージ案を整理しています。こちらは2ページ、3ページ、4ページで説明した仕組みを左から右に流れるような形で、基本方針の提示、基本目標、基本計画、年度計画の作成、業務実績評価ということで、上半分が現行の独法制度、下半分が新しい法人のイメージ案ということで整理したものです。資料4についての説明は以上です。
○田中座長 ただいまの説明について質問や意見をお願いします。渡辺委員、どうぞ。
○渡辺座長代理 目標・評価ということで、基本目標や基本計画という言葉が出てきますが、国立病院機構の発足以来、独法の評価委員を私自身がやった経験から言うと、5カ年計画、5カ年の目標は極めて細かいです。例えば紹介率と逆紹介率を5年後にこうすると、毎年プラスになっていなければ評価としてマイナスになるのです。救急の受け入れ、小児救急例、研修医を何人受け入れたかという、そこまでの基本目標を厚労省は考えているのか、あるいはどの程度の基本目標か、分かれば教えてもらえますか。
○重元社会保険病院対策室長 今は基本目標の大まかなイメージという質問だったと思います。詳細はこれから詰めていかなければいけないと思いますが、今は独立行政法人制度の中で中期目標という形で大臣が指示することになっています。その中期目標について各事項は独法通則法の中にある程度書いてあります。今回われわれが考えている新法人における基本方針はそこまでのものというよりは、国として地域医療を確保する、あるいは地域医療の機能を確保しなければならないという医療政策を実現していくにあたって、このような役割を果たさなければいけないという大枠を基本方針として提示することを考えています。そこから先、基本方針を踏まえて具体的にどのように地域医療の確保の観点からやっていくのかということは、新法人のほうで中期的な基本目標という形で定めていくことを考えています。要するに基本方針はそこまで細かいところまで考えているかというと、そういうことではないと考えています。
○渡辺座長代理 全く同感ですが、ある程度の数値目標は必要だと思います。しかし、あまり数値目標を掲げると、1年ごとにそれを上回っていなければだめという評価を現にした人もいるし、総務省の政・独委もそういう評価をしたことがあります。だから、ある程度の数値目標も必要です。しかし一方で政策医療とか地域医療とか、総合医を毎年何人育てるというのはできるわけがないと思います。やや抽象的な言い方ですが、うまい組み合わせのようなものでやっていただきたいと思います。
○田中座長 冨永委員、お願いします。
○冨永委員 基本目標を立てることは必ず必要だと思います。業務運営という言葉が出てきますが、私が素人だからかもわかりませんが、これから大変だということもあるのでしょうが、文章を読むと経営のことがかなり重点的に記載されているように思います。片方で地域医療機能推進機構ということで、地域医療を推進し、住民の福祉の向上に寄与するとあります。それは国の政策でもあります。61病院の地域の特性というのは、その病院の規模等にもよりますし、都会であるか田舎であるかにもよりますし、周囲の病院の配置状況にもより、いろいろな状況があると思います。その中で、地域住民の福祉の向上のために、地域医療機能をどう推進していこうかということは基本目標に出してもらったらいいのですが。そうであればあるほど、先ほど福井委員も触れられましたが、院長、事務長の裁量権を認めていただかなければ運営が難しいということもあるのではないかと思います。
 片方は後から出てくるかもしれませんが、懈怠があった場合は賠償金をとか書いてあります。責任と権限は表裏一体で、権限をある程度以上認めてもらわなければ運営もやっていけない。総務省の公立病院のガイドラインでもそのような方向にいっていると思います。責任と権限の一体化ということがありますので、機構本部の調整は必要ですが、あまりコントロールが効き過ぎると病院の運営が困難になると考えられます。
 それから、規模によって赤字、黒字というのは出ていますが、病院の規模によって、同じ努力をしても同じ経営をしても、この病院は黒字だがこの病院は赤字になるということは当然あるわけです。現実に、田舎の中小病院は非常に厳しい。22年度、24年度の診療報酬改定は都会の大病院に厚い診療報酬改定があったと思っています。そういうことから判断すると、赤字病院に貸し付けはするが、あとは返しなさいというのではなかなかやっていけないと考えています。地域医療を推進して地域に貢献している小さな病院があると思いますが、そういうところに「あなたの病院は赤字だからけしからん」というのであれば、組織としての一体感はないのではないか。私が言いたいのは、同一病院でも、この部門は赤字だがこの部門は黒字だというところはありますので、組織全体としカバーしていくことも考えていただきたいと思います。
○田中座長 ご意見ですね。菊池委員、どうぞ。
○菊池委員 1点お伺いしたのですが。新法人のイメージ案で関係審議会というのは、もう少し具体的なイメージがあったら教えていただきたいです。
○重元社会保険病院対策室長 関係審議会については、現在これから検討しなければいけないと思います。1つは厚労省の関係の審議会という選択肢もあると思いますし、そのようなことも踏まえて今後詰めていきたいと思います。
○菊池委員 申し上げたのは、1つは医療関係の審議会というイメージかなと思ったのですが。可能性として、私は政策評価にかかわっていますので政策評価官室もありますし、厚労省の政策評価ではありますが、以前は厚労省と社保庁だったときは社保庁の政策評価もやっていました。だから政策選択の在り方としては可能性としてですが、目標を設定して評価していくという同じような作業をやっている部署があって、それは厚労省本体の政策評価のところでというのは一つの在り方だと思います。今は政策評価の中でワーキングをつくって医療関係でも1つやっていますし、いろいろ考えていただければいいと思います。審議会は将来的な政策形成をどうしていくかというのが本来的なミッションだと思います。そういう意味でそこに置くのがいいのか、あるいは評価という面をとらえて整理したらいいのかという、結論はどちらでも複数あり得ると思いますので考えていただければと思います。
○田中座長 検討して、先生方のご意見でした。
○重元社会保険病院対策室長 ただいまのご意見を踏まえて、こちらでも詰めていきたいと思います。また、委員の皆さま方のご意見も賜ればと思っています
○田中座長 福井委員、どうぞ。
○福井委員 私は大学の中期計画作成や評価に携わってきましたし、今も携わっています。大変煩雑で膨大な作業量で、もう少し簡潔なものにできないかとずっと思っていました。総論的に申し上げると、簡略なもので、作業量が度を超えて増えないようなものにぜひしていただきたいと思います。
○田中座長 その通りです。中沢委員、お願いします。
○中沢委員 法人のほうの自主性・自律性を尊重して、法人自らが基本目標なり計画をつくるという形で、今回目標をとにかく立てるというのが、今までは主務大臣が指示していたのですが、それに関して法人自らがつくるというところでの評価はしたいと思います。 基本方針について必要に応じて見直すという形で書いてありますが、例えば今各都道府県が行っている医療計画の見直しなど、大体5年なりで国が基本方針を見直して、それに基づいて計画の見直しを各都道府県がやっているというスキームがあります。医療の状況なり、法人が置かれている環境等もある程度定期的に見直す必要があると思います。例えば基本方針を必要に応じて見直すというところは、もう少し踏み込んでもいいのではという気がしますが、いかがでしょうか。
○重元社会保険病院対策室長 基本方針と同じように基本目標のところにも、必要に応じて見直すと書いています。ここは基本方針なり基本目標を、ある程度年限を決めるか決めないかという議論ともかかわるのではないかと思っています。先ほど渡辺委員から期間の話の言及があったと思いますが、医療現場の変化への対応や、今、中沢委員が言われた地域医療計画など医療を巡る政策計画の改訂状況などがいろいろある中で、どのように改訂期間をあらかじめ定めるのか定めないのかは一つの議論だと思っています。そのような意味で、今回の資料の中には必要に応じて見直すという形で、ある程度議論をいただきたいという意味で書いています。
○田中座長 委員が示された意見や質問は、それぞれ何らかの懸念があってのことなのでご検討ください。いつでも戻っていただいても結構ですが、時間の都合上、議題3に移ります。議題3は機構の組織、業務運営、財政運営に関してです。事務局から説明をお願いします。

3組織・業務運営・財政運営
○重元社会保険病院対策室長 資料5-1の監事機能ということです。医療法人制度については監事に職務として業務および財産の監査を求めています。下半分に医療法人等における監事の職務について各制度の整理をしています。現行の独法制度の中で監事の職務については職務に対する規定があるだけですが、医療法人については職務の他、義務に関する規定がある。義務については不正行為等の発見時の報告義務ということです。右にいって民間会社、一般社団法人では職務、義務に加えて権限に関する規定。これは報告徴収、業務および財産の状況の調査ということです。このような形になっており、今、国会で継続審議になっている行政法人の改正法案の中では、監事については職務、権限、義務がそれぞれ規定されているということです。
 新法人においてはどうするかということで、上の囲みの3つ目の○です。私どもとしては、新法人における監事機能については職務の遂行の適正性を図るという観点から行政法人改正案と同様に、権限、義務、職務だけではなく、権限および義務を法律上明確に付与することにしてはどうかと考えています。
 2ページの資料5-2、法人の業務運営の改善についてです。先ほどの目標評価のところで簡単に触れましたが、下半分に各制度の比較があります。現行の独法で、現行と書いてある部分については評価結果に必要があれば改善勧告、不正・違法行為があれば是正要求という形になっています。医療法人においては真ん中で、業務運営が著しく適正を欠く場合には業務改善命令、不正・違法があれば改善命令となっています。改正案である中期目標行政法人では評価結果に必要があれば改善命令、著しく適正を欠く場合、不正・違法行為がある場合も同様に主務大臣による改善命令となっています。
 新法人についてどうするかということについては、上の囲みの1つ目の○の後半部分です。厚生労働大臣が評価結果に基づいて業務運営の改善を促すという仕組みについては、医療現場を担う法人の自主性・自律性を尊重して、まずは命令ではなく勧告という形ではどうかと考えています。ただし、著しく適正を欠く場合や不正・違法行為がある場合は、厚労大臣が是正業務運営改善について命令することにしてはどうかと考えています。
 3ページの資料5-3、役員の任命についてです。下半分に現行の比較がありますが、現行の独法通則法では法人の長、監事は大臣任命、その他の役員は法人の長の任命となっています。別途21年の閣議決定の中で、2つ目の○で、公務員OBが就任しているポストに後任者を置こうとする場合は公募という形になっています。こちらは現在の改正法案の中でどうなっているかというと、それぞれ法人の長、監事は大臣、役員は法人の長が任命だが、原則として公募を行った上でというところがかかっています。米印に書いていますが、公募によらない場合については、専門的な知識、経験または優れた見識を有する特定の方を任命することが必要な特別の事情がある場合は、改正法案の中で公募によらずともという例外が設けられています。
 新法人についてですが、こちらについては結論が書いてありません。上の囲みの部分の1つ目の○にあるように、新機構は地域医療の機能を確実に確保する役割を果たすこと、災害等の緊急時において、大臣の求めに応じて国の業務を確実に遂行する役割があります。このような役割を踏まえると、役員は国の医療政策、医療全般についての専門知識や優れた経験を有する人がふさわしいと。特に理事長職については全国六十幾つある病院を統率する強いリーダーシップ、調整能力が求められますので、新法人の役員にふさわしい方をどのような形で任命するかについてぜひ議論をいただきたいと考えています。
 資料5-4、役員の責任等です。現行の仕組み、独法通則法の中では、特に役員が任務を怠ったときの損害賠償責任に関する規定はありません。一般社団財団法人、民間会社についてはこのような場合の損害賠償責任の規定があります。新しい通則法案の中にも同様に規定があります。新法人については自律的な経営や業務運営を確保する一方で、職務の遂行の適正性を担保する観点から同様に損害賠償責任を課すという方向でいってはどうかと考えています。
 5ページの資料5-5、雇用・人事管理です。同じ病院を運営している国病機構における例を引いて説明します。今の独立行政法人には総人件費抑制の仕組みがありました。具体的には平成18年度以降の5年間で5%以上を基本とする人件費の削減、こちらについては平成23年度まで1年延びています。このような仕組みというか規制がありました。しかし国病機構においては体制整備が必要ということで、総人件費の削減は実現されていません。独法評価委員会から医療現場に対する総人件費改革の一律の適用は困難という意見をいただいています。
 6ページは、政府においても社会保障・税一体改革の中でも人員配置の充実、医療提供体制の効率化、重点化、機能強化を図ることが求められ、示されています。
 7ページは飛ばして8ページ、新法人移行にあたっての方向性ということです。国立病院機構においては、真ん中辺りに論点提示があります。医療事業を行う法人については透明性を確保しつつ、法人の目的を達成するために必要な人員を効率的に配置することにしてはどうかという論点が提示されています。地域医療推進機構についても国立病院機構と同様の考え方を取ることにしてはどうかと考えています。
 9ページの資料5-6、財政措置についてです。地域医療機構については、国の医療政策として重要な課題である地域医療の機能の確保を図ることが必要です。現行の独法通則法の中では第46条で、独立行政法人に対しては業務の財源にあてるための運営費交付金を交付することができるという規定があります。現在議員立法で成立している地域医療機能推進機構法の中では、第19条で独法通則法46条の規定は適用しないことになっています。米印で災害が発生した場合に厚労大臣の求めに応じて機構が必要な措置を取る場合を除き、適用しないということですが、原則としては運営費交付金は出ないことになっています。このような前提を基に病院等の施設に掛かる整備費用、医療機器の購入費用なども確保しながら、自立的かつ効率的な経営を実施することが求められています。
 10ページは各仕組みにおける財政措置に関する規定を整理したものです。
 11ページの資料5の7、利益処分についてです。利益が出た場合にどうするかということです。国立病院機構の例は独法一般の例と同じですが説明します。当期純利益が出た場合、基本的には前年度までの繰越損失があれば損失を埋めることが大前提です。それをした上で、さらに純利益がある場合は、経営努力により生じた利益かどうかという、ここで一つ関門があります。経営努力かどうかというのは、11ページの下に総務省の通知を引用していますが、このように書いてある認定基準を踏まえて判断がされます。ここで経営努力と認められれば、斜め上の目的積立金ということで中期計画期間中に中期計画に定められた、建物の整備や機器の購入、借入金の償還という費用にあてることができます。経営努力でなければ積立金ということで、次年度決算で損失が生じた場合に穴埋めにあてるというように使途が決められています。
 中期計画期間の最終年度において、さらにその残額が生じれば、次の中期計画に繰り越せるかどうかを財務大臣なりと必要な協議をした上で繰り越すことができます。そこで繰り越しに入らなければ、残余があれば国庫納付という仕組みになっています。12ページが今申し上げた仕組みの根拠規定を引用しているものです。
 13ページは利益処分の比較で、各仕組みがどうなっているかということです。行政法人の改正案では今と同じように、目標を上回った自己収入の増加交付金の節減努力による利益については、一定割合について適切に経営努力を認めるという仕組みになっています。国立大学法人については線が引いてありますが、原則として経営努力認定を行う取り扱いですが、具体的な仕組みとしては、当該事業年度における行うべき事業を行ったことを立証することをもって、経営努力に係る説明責任を果たしたとする取り扱いになっています。
 これは文科省の局長通知がありますが、例えば学生の定員に対して一定の学生が在籍していれば、経営努力に係る説明責任を果たしたという取り扱いがなされていると承知しています。右端の地方独法については、公営企業型の病院事業を行う、地方独法に関してはあらかじめ規定した剰余金の使途にあてる場合は、設立団体の長の承認を受けることを要しないということになっています。これは地方独法の第84条に規定があります。
 14ページは医療事業における利益処分をどのように考えるべきかということです。そもそも医療法の中で、営利目的の人については病院、診療所、助産所の開設の許可を与えられないということや、医療法人は剰余金の配当はしてはならないという仕組みになっていることを考えれば、下の二重囲みになっているところですが、医療法人、剰余金の配当を禁止される結果、仮に利益があれば医療の事業にあてることが基本となっているところから、新法人についても医療で得られた利益は医療事業に活用することを基本に、利益処分の仕組みを考えてはどうかと考えています。資料5については以上です。
○田中座長 ただいまの説明についての質問や意見をお願いします。
○冨永委員 今、利益、剰余金の話が出ました。先ほど座長の田中委員からも質問がありましたように今までのことは置いておいて、今財産価値がどれぐらいあるかによって減価償却をしていくのだと思います。先ほど減価償却をすると現在の利益約90億円の2倍ぐらいの利益が出なければだめだと言われました。国立大学法人でも国立病院機構でも運営交付金は少しずつ下がっていると言われますが、運営交付金があるのでやっていけていると思います。運営交付金、財政措置が全くなしで減価償却も計上(費用化)すると、現在の状況で利益が出る見通しとお考えですか。
○田中座長 どなたが答えますか。
○尾身理事長 大変難しい質問ですが2つあると思います。1つは大きな全体のピクチャーから考えると、今までは設備投資のお金が国から来ていたわけですが、これから交付金がないということで、設備投資のお金を減価償却を計上して自前でやることはかなり大変なことだと認識しています。その中で、今の病院経営はどうなのかというと、大きな全体像としてはそういう大状況があります。そう簡単ではないが、もう少し小状況を考えると、病院は60弱ありますが、私はまだ就任して半年で全部の病院を訪問しているわけではありません。今の赤字病院を幾つか訪問しましたが、改善の余地があることは間違いありません。
 先ほど裁量権の問題の話がありました。少し話がずれますが、院長の裁量権をもっと上げたほうがいいというのは当然だと思います。同時に給料、ボーナスが8カ月から2カ月ということで、一方で過去に現実としてわれわれが認めなければいけないのは、組織全体のガバナンスがやや弱かったことが間違いなくあるということです。そういう意味では現場のどういう診療科をどうするという意味の裁量権は当然必要ですが、組織全体の一体感のある、例えばボーナスが8カ月から2カ月などということはあり得ないと思っています。そういう意味で申し上げます。その文脈の中で経営についても、今までは各病院長の努力で、もちろん組織全体の努力もありました。まだまだ組織全体の知恵を絞って、経営は一義的には院長の責任ですが、冨永委員が言われたように、努力をしても地の利のない病院もあります。ここは院長の努力はもちろんですが、組織全体として、先ほど私が申した経営分析、経営戦略をしっかりして、少しでも収益を上げるという方向だと思います。大状況としてはそういうところがあるという感じです。
○田中座長 菊池委員、どうぞ。
○菊池委員 1点伺います。2ページの業務運営の改善についてです。評価結果に基づき、必要がある場合に新法人へ勧告と書かれています。この点は判断として非常に難しいと思いますが、囲みのところに、まずは命令ではなく勧告してはどうかと書かれています。
「まずは」という意味合いですが、勧告に従わない場合はどうするのか。命令が出せるかというと、評価結果に基づき必要がある場合に出した勧告に対して、それがその下の業務運営に著しく適正を欠く場合にあたるかというのは、構成要件は別なのであたらないと考えるのが自然だと思います。勧告に従わない場合に命令を出せるようにするためには法律でその旨を書かなければいけないと思います。
 自主性・自律性を尊重して勧告でいいのかということです。全体の視点として、前提として今回は可能な限り、法人の自主性・自律性を尊重するという点があります。そういう点から事後評価を重視するという方向性を出すと。その事後評価の一環として、法人の業務運営の改善への関与、チェックという形で国が関与するということです。しかしそれに対して、今日も議論に出ていますが、この法人は公的ミッションがあると。さらに先ほど質問も出ていましたが、いわゆるカッコ付きの公設公営になるのだという観点を踏まえると、業務運営の改善という事後チェックの場面においてまで、どこまで自主性・自律性を尊重する必要があるのかという点で、勧告ではなく命令という形で書いておいたほうがいいのではないかと思います。命令と書いたからといって、命令という形で出さなければいけないかというと必ずしもそうではないと思います。最終段階として命令を出せばいいわけです。それまで事実上の指導等も含めてあると思いますので、法律家は性善説ではなく性悪説の観点から述べなければいけないので申し訳ないですが、結論として勧告ではなく命令のほうがいいのではないかという意見です。
○田中座長 他にはいかがですか。よろしいですか。
私は過去の退職金などがどうなるのか気になっています。今後の病院の設備投資について自前でするのは当然のことで、それについて新たに自分の責任でお金を借りて返していくことは問題ないと思いますが、過去の分の話は違うと思います。過去の退職金が積み立てられていないとすれば、積み立てられているのなら問題はありませんが、新法人になって過去に発生している、将来の退職のためのというのはどういう形になりますか。
○宇口総務部長 RFO総務部長の宇口です。状況だけ説明します。今回の場合は3団体でいったん離職、採用という形を取ります。今3団体の会計処理において、三者三様の退職手当の引き当てという形になっているということを先ほど理事長が説明しました。団体によっては退職手当の引き当ての仕方に少しばらつきというか、今座長が言われたように、ありていに言うと100%ひけていない病院もあります。さりながら全員退職という形を取りますので、個別病院ではなく全体としてやりますので、キャッシュフローがある分、まずは優先順位が高いですから、退職手当の支給と厚生年金基金の解散について優先順位が先に出てきて、残ったキャッシュで各団体とRFOが清算という業務になる予定です。
○田中座長 1回退職してしまうので引き継がないのですね。分かりました。理解しました。
 繰り返しますが、それぞれの委員は何らかの懸念に基づいて言われているので、今の説明で私は1つ安心しました。新法人は引き継がないということです。そのほかの点も説明したり検討したりしてください。
 最後の議題は機構の情報公開・発信についてです。資料の説明をお願いします。

4情報公開・発信
○重元社会保険病院対策室長 資料6で説明責任・透明性の確保についてです。上の囲みの部分で、今の独法制度の仕組みの中では、事業の公共性に加えて国からの出資や運営費交付金を受けていると。このような実態に応じた説明責任が求められているという仕組みです。一方医療法人においては、例えば医療法などに基づき、事業の公共性を踏まえて同じように一定の説明責任が求められている状況です。
 下方の図で左と右に分かれていますが、左側は同じ病院事業を運営する国立病院機構を例に書いています。例えば今、事業に関するもの、財務に関するもの、その他ということで、事業計画、事業報告書のたぐいや財務諸表、監査報告書、その他役員報酬の基準等々について公表なりが求められています。ここに書かれているものはほとんどが独立行政法人通則法の中に規定があり、公表なりが求められている。事業に関するものの?の契約・調達情報に関しては、平成22年の閣議決定の独法の事務事業の見直しの基本方針の中でも、一定の情報について公表と書かれています。おおむね通則法の中でこのような仕組みになっているということです。
 こちらについて新法人ではどうするかということです。上の囲みの2つ目の○にあるように、新法人はこれまで説明したように、自律的かつ効率的な法人運営を行っていただくわけです。病院については国からの出資を受けて事業を行っていただくことや、最初に説明した法人の説明責任や透明性の確保を前提に事後評価を重視するとした場合、政策目的の実施状況や医療事業の公共性に着目した情報公開を引き続き行い、説明責任を果たすことが必要ではないかと考えています。
 下半分の図の右側の新法人の方向性で、便宜上政策目的の実施状況に関すること、医療事業の公共性ということで、それぞれ国に報告あるいは法人が公表する項目や、医療法上、主務官庁への報告が義務付けられていることなどについて整理しています。おおむねこれまで情報公開・公表したものについては引き続き、情報公表・公開あるいは国への報告などをするべきではないかということです。
 上の囲みの最後の米印のところに書いていますが、地域医療機能推進機構については、議員立法の法律の中で地域の実情に応じた運営に努めるために、地域の利用者の意見を聴く協議会を開催することになっています。このような協議会の場を通じて必要な病院の運営状況の公表や公開、説明責任などを果たす場は当然出てくると考えています。資料6については以上です。
○田中座長 最後の資料について質問や意見をお願いします。さかのぼって前のものについても構いません。渡辺委員、どうぞ。
○渡辺座長代理 説明責任、透明性はここに書いてあることで異論はありません。どこの団体でもそうですが、一定の説明責任が求められるとか、情報公開を行うことで説明責任を果たすこととしてはどうかというのは、誰に対してやるのかということが、これに限らず私自身が経験したことです。例えば国会なのか、このような委員会なのか、あるいは世間全般なのかというのは、一番望ましいのは世間に対しての説明責任だと思います。ただ、肝心のどうやってということが触れられていないことが多いです。その辺までもう少し、役所だけではなく尾身理事長のほうにも今後期待したいと。具体的に誰にどのような方法で説明責任を果たすのか。人によってしゃべる内容、明らかにする内容は違ってくるかもしれませんが、そこまで踏み込んでいただきたいというのが1点です。
 もう一点はある意味では細かい話かもしれませんが、他の病院との情報交換です。例えば公的病院が加盟している団体として日本病院会、日病がありますが、私の記憶が間違っていればいいのですが、日本病院会に社会保険病院や厚生年金病院、船保病院が出てきたという話は聞いたことがありません。自治体病院や国立病院も出てきているし、日赤、済生会、厚生連も出てきている。出てくればいいというものではないと思うが、私の印象では極めて閉鎖的な体質です。他病院との連携も併せてやっていただきたいと思います。何か意見があれば承ります。
○尾身理事長 大変大事な指摘をありがとうございます。1つのサジェスチョンはRFOとしても情報公開の努力をせよということです。例えばホームページだけではなく、いろいろな機会があると思うので、今われわれの機構がどうなっているのか、どういうことをやりたいかというのをできる限りしてみたいと。それから日病などに社会保険の病院ということですが、先ほども申しましたが、機構のキャッチフレーズの1つといえば連携の要ということです。今回の独法の在り方で一番われわれが参考にする国病があります。国病の理事長とこの前話をしました。これからもいろいろな連携ということで、まずは国病や労災はわれわれの兄弟分というか、機構としてはいろいろなところで協力する。同時に冨永先生の国保の診療所とも、いずれはいろいろな自治体病院とも、積極的にいろいろなところの組織の長と会ってできる限りの連携を。組織のガバナンスが違うので全く統一はできませんが、できる限り人事の交流や政策の提言なども一緒にしたり、さまざまな情報交換をするということで、そのことは私の頭の中に入っています。ぜひその方向でやりたいと思っています。
○重元社会保険病院対策室長 今の渡辺委員の情報公開の話について一言コメントをします。確かに言われるように、情報公開の相手というか、患者利用者の方に対する情報公開というレベルもあれば、全国民、世間一般に対する情報公開といういろいろな段階があると思います。基本は全国民というか世間一般に対する情報公開をベースに考えなければいけないと思います。そのような具体的仕組みについては、ご指摘も踏まえてきちんと検討を進めていきたいと考えています。
 この場を借りて恐縮ですが、引き続き説明責任などの意見をいただくとともに、前の議題、資料5-3の役員の任命で、この部分については説明のときに申し上げたように、われわれ事務局の方針を書いてないところです。この部分についても残った時間の中で、ご意見等があれば賜りたいと思っています。今の説明責任、透明性の確保のところと同様にお願いしたいと思います。
○田中座長 資料5についても意見を求めるということでした。いかがですか。
○福井委員 先ほど資料6に協議会という言葉出てきましたが、法律上の措置として地域の実情に応じた運営に努めるためという協議会ですが、これは地域医療機能推進機構全体についての1つの協議会を頭に置いているものなのか、一つ一つの病院についての協議会なのか、何か決まっているかどうかを伺いたいのが1つです。
 先ほどの資料5-3については、ある法人の理事長の選考にあたったことがありますが、あまりにも公募の範囲が広すぎると、最初から応募されても気の毒な人が入ってくることもありますので、応募条件を十分詰めた上で、公募自体はいいのではないかと思います。2点目は意見です。
○田中座長 1点目についてお答えください。
○重元社会保険病院対策室長 協議会に関しては、法律の中では機構は施設の運営にあたり、協議会の開催等により、広く利用者、患者の意見を聴いて参考とし、地域の実情に応じた運営に努めなければならないという規定になっています。イメージとしては機構に1つというよりは、地域、地域、病院、病院という形で、1つの自治体に複数の病院があるとすれば、そこは病院ごとに付くのかという議論はあるかもしれませんが、基本は病院単位の協議会と事務局としては理解しています。
○渡辺座長代理 厚労省側のご要望とありますが、資料5の役員の任命については、結論はこの表現でいいと思います。本来なら天下りが本部の理事長になってはだめだ等々、ずっと議論があって、だめかと言われれば確かにだめで、何でだめかと言ったら、はっきり言って能力がない人が来るからとか、経験のない人が来るからとか、そういう現実があったからです。しかし、能力がある人だったら別に官僚でも構わないと思うのです、一律にすべてだめというのもおかしいと思います。結局ここに書いてある通り、今度の改正案でも主務大臣が責任を持って決めるわけです。本来は大臣がしっかりしていれば、しっかりした人を決めるわけです。ただこれは理想論だからここで強調してもしょうがないのですが、このような表現しかないのではないか。ただ現実問題としては公募を含めて、一番ふさわしい人を大臣なり責任者がきちんと決めるとしか言いようがないと思います。表現としてはこれでいいのではないかと思います。
○田中座長 今の公募を通った場合は天下りの範疇に入るのですか、入らないのですか。トップが勝手に任命すれば天下りだと思います。役人で局長で辞めた人を役所側の指示で理事長にするのは天下りだと思いますが、フェアな公募で元役人、局長なり次官でなくても元官僚が公募で受かった場合は、天下りの定義に入るのですか、入らないのですか。
○重元社会保険病院対策室長 そのような場合は天下りの定義かどうかということより、公募というフェアな選考過程を経て就任するということであれば、公務員のOBであってもそれが排除されるということではない。公正な選考過程を経て選考されたということで、そこまで排除されるわけではないと理解しています。
○田中座長 渡辺委員もそういう趣旨でいいですね。
○渡辺座長代理 おっしゃる通りです。結局フェアなプロセスで誰もがというとオーバーですが、多くの選考委員が納得した結果、それが隠れ蓑に使われては困りますが、フェアなことをした結果、選ばれた人が元官僚だったというのは今でもあるわけです。この2~3年の中でも現実にあるわけです。現実に批判が出ていないケースが多いと。そういった意味で私は構わないと思います。
○田中座長 実務的には福井委員が言われたように、私も独法等の役員選考に幾つかかかわったことがありますが、全く誰でもどうぞという応募をさせると、受けてきた人も気の毒だし、事務局も大変だし、意味をなさないのできちんと条件を実務的に集めてください。例えば大学では教授を公募するが、その場合には博士号を有していて、学術論文を何本という条件を付けます。それでも今起きている事件のように何か起きるかもしれませんが。条件なしのどなたでもどうぞという公募があると確かに困るので、そこは実務的にこれから詰めてください。
 全体を通じていかがですか。
 そろそろ時間になりましたので、本日はここまでとします。次回はこれまでの議論を踏まえた論点整理を行った上で、全体的な意見を皆さまからいただく予定になっています。最後に事務局から連絡事項があればお願いします。

5その他
○重元社会保険病院対策室長 本日はありがとうございました。次回は今座長から話がありましたように、1回目、2回目とやりましたので、これまでのご意見を改めて事務局で整理して、全体的な議論をしていただければと思います。日程については11月中に開催したいと思っていますが、具体的な日程は改めて連絡します。事務局からは以上です。
○田中座長 これで第2回の検討会を終了します。本日は活発な議論をありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 年金局が実施する検討会等> 地域医療機能推進機構の法人制度に関する検討会> 第2回地域医療機能推進機構の法人制度に関する検討会議事録

ページの先頭へ戻る