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2012年9月28日 第8回社会保障審議会生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会議事録

社会・援護局総務課

○日時

平成24年9月28日


○場所

航空会館大ホール(7階)


○出席者

委員

上田文雄委員 岡崎誠也委員 奥田知志委員(森松代理)
柏木克之委員 勝部麗子委員 櫛部武俊委員
小杉礼子委員 駒村康平委員 高杉敬久委員
武居敏委員 谷口仁史委員 長谷川正義委員
花井圭子委員 広田和子委員 藤田孝典委員
堀田力委員 松井一郎委員(古川代理) 山村睦委員
宮本太郎部会長

○議事

○宮本部会長
 定刻になりました。ただいまから第8回「社会保障審議会生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」を開会させていただきます。
 久しぶりの特別部会ということになると思います。この間は委員の皆様に新宿、千葉、横浜と関連施設を暑い中御視察いただきました。行動し汗をかく部会としてしっかり情報収集もしてきたと思ってございます。
 それから、この間人事の異動がございました。今度は村木局長という卓越した行政手腕を持つ、私も個人的には大変信頼を置いている局長がお見えになりまして、そのことに全く問題はない、ウェルカムなのですけれども、他方において厚労行政の継続性を考えると、若干不安をお持ちの委員の方、関係の方もおいでかもしれません。あるいは10月1日には内閣改造も予定されているということです。
 本日は、これまでこの特別委員会にも大変御協力いただき、たびたび御出席をいただいた西村厚生労働副大臣、津田厚生労働大臣政務官に御出席いただいております。厚労行政、社会的包摂を目指す政策に関する政権としての一貫性、継続性ということも若干含めて、2人から冒頭御発言、御挨拶をいただければと思います。
 西村副大臣、いかがでしょう。

○西村厚生労働副大臣
 厚生労働副大臣の西村でございます。
 宮本部会長の御指示により、冒頭の挨拶をさせていただきたいと思います。
 今日はまた特別部会の会合にお忙しいところをお集まりをいただきまして、本当にありがとうございます。また、まさに暑い中、汗をかく行動、視察に本当に多くの委員の皆様から御参加をいただいて、具体的に論点を深掘りしていくに際して非常にいい材料を得ることができたのではないかと、私自身も視察に参加してみてそのように考えているところでございます。
 行政のほうも、また政治のほうももしかすると少し顔ぶれが変わるかもしれない状況でありますけれども、私どもとしてはやはり社会的包摂という考え方のもとで、これからの社会福祉のあり方をしっかりとつくり上げていくことが何よりも急がれることだと思って、そこはしっかりとこれからも取り組んでいきたいと考えております。
 今日は民主党の長妻厚生労働部会長も傍聴に来てくださると伺っているのですけれども、こんなことで政府と与党がまさに一体となってこれは取り進めようとしておりますので、きょうは具体的な論点をお示ししておりますが、それについてぜひ闊達な御議論をいただき、深めていければと考えております。委員の先生方には引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。

○宮本部会長
 ありがとうございました。大変力強く思った次第です。
 次に、津田政務官もお願いします。

○津田厚生労働大臣政務官
 皆さん、こんにちは。
 本当にお忙しい中を活発な御議論をいただいたことに心より感謝を申し上げたいと思います。いよいよ取りまとめに向かって進めていくわけでございます。皆様のそれぞれの専門や経験を踏まえたヒアリングをたくさん行ってきました。それから、生活困窮者対策の構築、生活保護制度の見直しに向けた貴重な御意見をたくさんいただいたと考えておるわけでございます。
 本日、生活支援戦略に関する主な論点を踏まえて、さらに御議論を深めていただくわけでございます。今回の新たな生活支援戦略は、私はある面では人間の尊厳をしっかり踏まえて提言をしなければならないものだと思っております。そういうものをぎりぎり何とかクリアできたのではないかなと思っておりますが、皆様の厳しい御意見をお願い申し上げたいと思います。
 また、皆様には視察を行っていただきました。時期は違いますけれども、私も横浜の寿町や、あるいはふるさとの会にも行って、現場で頑張っている、環境を変え、当事者の皆様方の目がだんだん光ってくる、そんな状況に努力をされている方々、そして当事者の方々、本当にこれが我々が狙っている姿なのだなと、そんなふうに思っているところでございます。
 本当に皆様にはこれまで大事な御議論をいただいてきましたことに心より感謝をし、そしてまた今後とも幅広い御意見をいただきますことをお願い申し上げまして御挨拶とさせていただきます。
 よろしくお願いします。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 それから、先ほども触れたところでございますけれども、9月10日付で厚生労働省の人事異動がございました。新しい布陣で社会・援護局もこの問題に臨んでいただけることになっております。事務局のほうから新しい幹部メンバーの紹介をいただけるでしょうか。

○古都社会・援護局総務課長
 9月10日付で人事異動がございました。
 山崎前社会・援護局長にかわりまして村木社会・援護局長が、定塚前福祉基盤課長にかわりまして友藤福祉基盤課長がそれぞれ新たに着任しております。

○村木社会・援護局長
 社会・援護局長を拝命いたしました村木でございます。
 部会長から、汗をかき行動する特別部会というお話がありました。その事務局としてしっかり汗をかいていきたいと思います。
 よろしくお願いいたします。

○友藤社会・援護局福祉基盤課長
 福祉基盤課長を拝命しました友藤と申します。
 どうぞよろしくお願いいたします。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 次に、事務局から委員の出席状況について御説明をお願いします。

○古都社会・援護局総務課長
 本日の委員の出席状況でございます。石委員、岩田委員、岩村委員、野老委員、藤巻委員、宮本みち子委員の6名が御欠席でございます。また、駒村委員、高杉委員が所用により遅れるとの御連絡をいただいております。また、奥田委員の代理といたしまして森松北九州ホームレス支援機構常務理事、松井委員の代理といたしまして古川大阪府福祉部福祉総務課長に御出席いただいております。
 以上、出席委員につきましては委員総数25名の3分の1を超えておりますので、本日の開催の要件を満たしております。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 それでは、カメラの撮影はここまでということにさせていただきたいと思います。申しわけありませんが、御退出をお願いします。

○宮本部会長
 冒頭1つ私のほうから御提案なのですけれども、これから私たちは全力をもって生活支援戦略の具体化に取り組んでいくわけでございますけれども、行政的な資源もフルに活用したいということでございまして、内閣府のほうには共生担当の政策統括官がおいでで、どうも山崎さんという方らしいのですけれども、余裕があるときはこの委員会にオブザーバーとして出席いただくのが望ましいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
お忙しい方だとは思いますけれども、事務局のほうからそのようにお願いをしていただいて、その辺にちょっと1つ席をぽつんと空けておいていただいて、お願いいたしたいと思います。船頭が多くて船が山に登っては仕方がございません。強力な局長、船頭を迎えましたので、そこはそのとおりでございます。そこを問題視することでは全くございません。
 さて、これまで皆さんの御専門、御経験を踏まえたヒアリングを重ねてまいりました。また、先ほど言及しましたように視察も重ねていただきました。そうした成果に基づいてこれから報告書を作成していく議論に入っていくということになります。その際、これからの議論は上手に進めていくためにも、私のほうから事務局に対してこれまで「生活支援戦略」中間まとめを1度お出しいただいております。これ自体に私どもの議論を可能な範囲で反映させていただいたわけですけれども、それをも踏まえながら問題の現状や取り組みを進めるに当たっての先進例等、これから議論を本格化させていく上でどういう論点が考えられるのかということについて、現時点での事務局の考え方も織りまぜながら1つ議論のたたき台をつくってほしいとお願いをしました。
 本日、この私のお願いに基づいて、お手元に「『生活支援戦略』に関する主な論点(案)」という形でたたき台が提出してあります。大変大部なものでもございますし、論点も多岐にわたります。したがいまして、本日と次回の2回に分けてこのたたき台をもとに議論を進めてまいりたいと思います。
 本日はまず事務局のほうから議論の全体について説明をしていただいて、2度に分けての議論に入っていきたいと思います。委員の皆様からの御意見をいただきたいと思います。
 それでは、事務局のほうから御説明をお願いします。

○古都社会・援護局総務課長
 では、本日お配りいたしております資料1に基づきまして、「『生活支援戦略』に関する主な論点(案)」ということでございます。先ほど部会長から御発言がございましたように、この資料は、私ども事務局に対しまして、現状、先進事例あるいは部会などにおきます議論を踏まえまして参考資料として作成せよということでございました。
 1枚めくっていただきまして、生活支援戦略の全体像を新たな生活困窮者支援体系に関する論点と生活保護制度の見直しに関する論点の2本の柱につきまして、それぞれこれまで到達している議論あるいは御発言、論点、事例といったものを整理いたしておりますので、詳細につきまして、熊木室長と古川課長のほうからそれぞれ説明させたいと思います。よろしくお願いします。

○熊木社会・援護局生活困窮者自立支援室長
生活困窮者自立支援室長熊木でございます。
 私から新たな生活困窮者支援体系、いわば第2のセーフティーネットの部分について御説明申し上げたいと思います。資料1の4ページからごらんいただければと思います。
 4ページからは、まず「総合的な相談と『包括的』かつ『伴走型』の支援」ということでございます。そこにつけましたのは中間まとめでお示しをしました皆様御案内の図ではないかと思います。5ページ以降御説明させていただきます。それぞれのパーツは、このようにこれまでの主な議論とそれを踏まえた論点という形で整理をさせていただきました。
 5ページ目はこれまでの主な議論でございます。現状と課題が書いてございます。細かくは申し上げませんが、生活保護受給者が過去最高に達していること、稼働層における増加が著しいこと、またそれ以外の低所得者が増大していること、あるいは複合的な課題を抱えていらっしゃる、経済的困窮のみならずいろいろな課題を抱えていらっしゃる方がいて、そういった方に対する支援が弱いといったことが書いてございます。
 特別部会における主な議論は省略させていただきます。
 6ページでございますが、これを踏まえまして主な論点として提示をさせていただいております。1つ目の○、「今後、生活困窮者に対し『谷間』のない総合相談や包括的・継続的な支援(『伴走型』支援)を行うため、費用対効果の視点も踏まえつつ、総合的な相談支援センターの設置を検討してはどうか」と提示をさせていただきました。
 この総合相談センターでございますが、四角の中に早期把握、早期訪問支援ですとか、アセスメント、プラン作成、コーディネートといったキーワードを書き込んでございますが、こういったことについてどう考えるか。
 また、論点といたしましては、四角の下に4つほど○をつけてございます。総合相談センターと福祉事務所の役割分担、次の○でございますが、設置運営の主体につきまして地方自治体の役割、また民間団体の役割をどう考えるかとしてございます。
 また、自治体の中には小規模なものがございます。地域によって実情が異なりますので、地域の実情に応じた柔軟な対応が可能となるような、そういうことが必要ではないかとさせていただいております。
 最後の○で職員の専門性、その養成についてどう考えるかという論点を掲げさせていただきました。
 7ページは「総合相談・ワンストップ対応の事例」でございますが、説明は省略させていただきます。
 8ページからは「就労支援の強化」でございます。
 9ページからになりますけれども、これまで議論がございました点は「特別部会における主な議論」に書かせていただきましたが、就労までにステップを要する方への対応はどうあるべきかということだったかと思います。こうした議論を踏まえました主な論点として、最初の○、生活習慣の確立ですとか、社会参加能力の形成といったようなことから事業所での就労体験など、一般就労に従事する準備としての基礎能力の形成を支援する事業の検討が必要と考えるがどうかとしてございます。
 1つ飛ばしまして、こういった方はどういう方かと申し上げますと、稼働層であって、一般雇用につくことは直ちには難しく、職業紹介や求職者支援制度の現行の就労支援の対象ともなりにくい方が中心と考えてはどうかということ。
 10ページでございますが、1つ飛ばしまして、こうした就労準備のための支援は有期としてはいかがだろうかということ。
 その次ですけれども、支援の具体的なあり方として、基礎的な生活習慣の形成のための指導といったような生活自立段階、社会自立段階、就労自立段階といった段階での工夫が考えられるのではないか。
 その次の○ですが、形式としては通所によるものや合宿によるものが考えられるがどうか等々としてございます。
 続きまして12ページでございますが、このような短期的な有期の就労支援をしたとして、それでも一般就労が困難な方について支援付きの就労、雇用あるいは非雇用という形の中間的就労の場を設けることを検討することが必要と考えられるがどうかとしてございます。
 この対象としましては、一番下の○にございますように、就労準備のための支援を受けても一般雇用への移行ができない方や、将来的に就労可能だけれども直ちに一般雇用に至らない方が考えられるがどうかとしてございます。
 この中間的就労の内容でございますが、13ページでございます。一定生活習慣が確立している中で軽易な作業等の機会をいわば就労の場として提供するということでございます。
 1つ飛ばしますが、この中間的就労は、先ほどの就労準備の支援は有期と申し上げましたけれども、この場合の支援の期間はどう考えるかという論点を提示させていただいています。
 その次にありますように、社会福祉法人、NPO法人、営利企業等の自主事業として考えてはどうかと考えます。
 1つ飛ばしまして、実施形態でございますが、いわゆる社会的企業の形態、生活困窮の方が一定集まっていただくような事業所、こういうものが想定できるのではないか。もう一つは一般事業所の活用。一般事業所内に生活困窮者の方が入り込むというような形というものが考えられるがどうかとしてございます。
 いずれにしましても、貧困ビジネス化を防止する必要があるだろう。したがって、就労環境の質を確保するための仕組み、例えば公的機関が認定する仕組みを設けるなどを検討することが必要ではないかと考えます。
 最後の○ですが、中間的就労を推進していくための支援についてよく検討していくということでございます。
 15ページからは「ハローワークと一体となった就労支援の抜本強化」でございます。
 具体的には17ページでございます。主な論点といたしまして、自治体とハローワークが一体となった就労支援体制、これは前のほうにこれまでかなり進んできているという実績を書いてございますが、これを全国的に整備して、就労可能な生活困窮者を広く対象として早期のアプローチを徹底するということをしてはどうか。
 さらにこうした方々に対しまして、就労準備のための支援までは必要ないけれども、さまざまな課題を抱えている方もいらっしゃるだろう、そういった方に対する能力開発等の施策をどうするかということでございます。
 特に幾つか論点として挙げさせていただいておりますのは、1つ目の・で書いてありますワンストップ型の支援体制を整備していくということであろう。具体的には1の常設の形、2にあります定期的な巡回相談の形、3にありますような連携体制の構築といった形でこのワンストップ型を整備していくことが必要ではないか。
 飛ばしますけれども、こうした方々に対して、いずれにしても就職後の職場定着、最後に書きましたハローワークによるフォローアップを確実に実施すべきではないかと考えてございます。
 家計再建に向けた支援でございます。19ページをお開きいただければと思います。これまで家計相談とか指導をきめ細かく行って貸し倒れも少ないという好事例があるという説明を申し上げてきました。したがいまして、ここではやはり単に貸し付けを行うというのにとどまらず、家計等に関する相談支援をあわせて行う必要があると考えますがどうでしょうか。
 さらには一般金融機関からの借り入れが困難な方が生活困窮状態に陥らないように貸し付けができるような環境の整備を検討すべきではないか。
 その際、こういう相談支援事業でございますが、地方自治体の役割、貸付機関の役割をどう考えるか、ここは論点として提示をさせていただいています。
 また、総合的な相談支援センターとの役割分担、生活保護受給者に対する家計の相談支援、こういうものをどう考えるかということも論点かと思います。
 加えまして、支援員の方の専門性の養成についてどのように考えるかとしてございます。
 「居住の確保」でございますが、21ページからでございます。今、住宅手当が基金による事業で今年度末をもって終了するということであります。
 こうした中で22ページですが、離職による住居喪失、またはその恐れが高い低所得者に対する居住の確保の仕組みについてどう考えるか、ということで論点提示をさせていただきました。
 1つ飛ばしまして、また住居がない生活困窮者に対しましては緊急的に一時的な宿泊場所、衣食等の日常生活に必要なサービスを提供することをどう考えるか。その場合の地方自治体の役割はどうか。
 また、こうした方に対しては、先ほど申し上げました総合的な相談支援センターでのアセスメントをして、例えば家計再建に向けた支援をするなど、他の支援につなげることで生活保護に頼ることなく自立を促進するという仕組みが考えられるのではないかということでございます。
 最後に、居住の確保につきまして、この審議会におきましても国土交通省の出席をいただいておりますが、いろいろ連携を図りまして、例えばそこには総合的な相談センター等への公営住宅等の情報の提供といったことが書いてございますが、引き続き連携を模索していきたいと考えます。
 貧困の連鎖の防止が非常に強く言われていると思います。25ページに少しデータを書かせていただきました。学歴別の貧困率ですとか、生活保護世帯での貧困の連鎖の数字が出ているかと思います。
 こうした状況を踏まえまして、26ページですが、最初の○で貧困連鎖防止の観点から若者の総合相談支援センターの設置を検討することが考えられるがどうか。
 また、こうしたセンターにおきましては積極的にアウトリーチを考えることについてはどうかということでございます。
 1つ飛ばしまして4つ目の○ですが、さらに貧困の連鎖ということでいえば、生活保護受給世帯を含めまして生活困窮家庭の子供、家庭についての学習支援、日常生活習慣を確立するための支援といった事業を検討することが考えられるがどうか。
 また、こういった仕組みについては地域の実情に応じた柔軟な実施の方法が可能となるような仕組みとすることが必要ではないかとしてございます。
 私からは最後になりますが、28ページ「地域における計画的な基盤の整備」といたしまして3つ○を書いてございますが、1つ目、サービス基盤あるいは人材の整備をきちんとしていくことが必要だろうと考えます。
 私からは以上です。

○古川社会・援護局保護課長
 保護課長でございます。
 引き続きまして29ページ目以降でございますが、「生活保護制度の見直しに関する論点」につきまして説明させていただきます。
 30ページ、まず「切れ目のない就労・自立支援とインセンティブの強化」という項目でございます。
 「これまでの主な議論等」につきましては時間の関係がございますので省略をさせていただきまして、31ページをお願いいたします。「これまでの議論等を踏まえた主な論点」というところでございます。「保護開始直後から脱却後まで、稼働可能な者については、切れ目なく、また、どの段階でも就労・自立支援とインセンティブを強化することとし、以下の観点からの取組が必要と考えられるがどうか」と書かせていただいております。
 まず、生保に至った方で稼働可能だという方であれば保護開始の早期の段階からさまざまな就労支援をすることが大変重要ということでございます。具体的には「保護開始段階」のところにありますけれども、「就労・社会的自立を促進する観点からの基準体系の見直し」と書かせていただきました。
 受給者の能力の活用や義務の履行の取り組みが十分と言えない場合であっても、現在は給付額が一定というところでございます。このため、その活動に要する経費等も踏まえまして、受給者の自発的な能力活用等への取り組みを促す仕組みが必要であるということであります。
 具体的には実際に就労活動を積極的にお取り組みいただくことになれば、ここにありますように活動に要する経費もありましょうし、また積極的に取り組んでいただくインセンティブを付与するという観点からも、何らかの給付を上乗せするような形でお渡しするのも1つの考え方ではないかと考えているところでございます。
 2つ目の○ですけれども、「保護開始直後から早期で集中的な就労支援」というところでございます。
 就労可能な方につきましては、就労による保護からの早期脱却を図るため保護開始時点で、例えば6カ月を目途に受給者主体の自立に向けた取り組みについての計画の策定を求めて、御本人が働く、また、積極的に就労活動をしていくということについて納得を得て集中的な就労支援を行うことにしたらどうかということでございます。つまり、就労に関する目標を御本人と担当のケースワーカーさんとで共有して一緒に二人三脚でやっていくことを明確にしたらどうかという趣旨でございます。
 なお、一般就労が可能と判断される方であって、みずからの希望を尊重した就労活動を行っても、3カ月とか6カ月とか、そうした取り組みを行っても、残念ながら一定期間なかなか就労のめどが立たないという場合につきましては、職種なり就労場所なりのエリアを広げるなりして就労活動を積極的に柔軟に対応していただくことを基本的な考えとしたらどうかということで書かせていただいております。
 現場ではもちろん、既にいろいろな工夫で柔軟な取り組みをしていただいているわけですけれども、厚労省としてここを明確に今まで申し上げてきてはいなかったことから、こうしたことを明確に示したらどうかと提案をさせていただいているところでございます。
 保護開始段階から若干進みまして、開始後3カ月~6カ月段階になりますが、この場合「『低額・短時間であってもまず就労すること』への就労支援方針の明確化」、(月額5万円程度の収入をイメージ)と書かせていただいております。この5万円というのは具体的な根拠があるわけではございませんが、保護脱却に至らないまでも低収入でも働いていただくことは御本人の自立につながるのではないかということで、イメージ的なものとして書かせていただいております。それまでの求職活動を通じて、直ちに保護脱却可能に至るまでの就労がなかなか見つかりにくい状況にあった場合につきましては、低額であっても一旦就労することを基本的考え方とすることを明確にしたらどうかということでございます。
 仮に収入が低い、脱却に至らないといたしましても、生活のリズムが安定したり、就労実績を積み重ねることでその後の就労につながりやすくなるという話も現場でお聞きしたりするところでもありますので、このように書かせていただいております。
 32ページでございます。こうした取り組みを通じて保護脱却には至らないまでも就労に至ったというのがこのステージでございますが、その場合勤労控除という制度がございます。現在の勤労控除は、就労によって得た収入の一部が手元に残るということで就労インセンティブの施策として一定の効果はありますけれども、一層の就労を促すためには現在の金額では不十分との指摘や、増収するほどに控除率が下がるという仕組みを見直すべきだとの指摘もございます。
 具体的には右側に折れ線グラフがついてございますが、現行制度ではまず100%手元に残る金額が一番左、Aの段階で8,000円ということでございます。それ以上の収入を得ることになりますと、折れ線グラフの状況に従って手元に残るような仕組みとなっていますが、途中で傾きが折れていまして、これが就労を促すという観点からどうかというような話をお聞きするところでございます。
 文章に戻りますが、このため全額控除となる水準でありますとか、控除率の見直し、つまり働けば働くほど同じ率で、例えば折れ線を直しまして、全額控除になる分を引き上げた上で一直線を引いたらどうか、現場の声などを踏まえますと、そんなことも1つの案としてあるのではないかということで、このような形で提案させていただきたいということでございます。
 上記とあわせまして特別控除という制度がありますけれども、その活用の程度が地域でいろいろばらつきがあるということもございますので、できる限りわかりやすい制度にすることも必要かなと思っておりますので、廃止も含めた見直しを検討したらどうかと書かせていただいております。
 「4 保護脱却段階」であります。
 そうした取り組みを通じて保護脱却に至るということでございますけれども、その段階での支援でございます。これは就労収入積立制度創設ということで書かせていただいております。
 2行目、「保護脱却後には新たに各種税・社会保険料負担が生じる」ということでございますので、保護脱却によってかえって手取り収入が減ってしまうことが脱却をためらわせるとの指摘もあり、こうした点に対応した脱却インセンティブの強化が必要ではないかということでございます。このため保護受給中の就労収入に応じて一定額を仮想的に積み立てて、安定就労の機会を得たことによって保護廃止に至った場合に支給する就労収入積立制度を創設したらどうかというところでございます。
 詳細は次の33ページをごらんいただきたいと思います。
 まず、対象者でございますけれども、就労収入積立と書いている以上、あくまで生活保護受給者のうち就労収入のある方が対象ということでございます。
 「積立方法」というところでございますが、積立と申し上げておりますけれども、本人から実際に働いて得た収入を強制的に預かることもできませんし、実際に福祉事務所で現金を管理するのも大変難しいなどの理由から、実際に現金を積み上げていくのではなく、御本人の就労収入の範囲内で、実際に働いた金額の中で一定額を、例えばクレジットカードのポイント制度のようなイメージですけれども、1万円相当分をポイントとしてバーチャルに積み立てるというイメージでございます。
 次の○ですけれども、そういうポイント制という形にした上で、「早期の脱却を推進するため、保護受給期間が長くなると金額が逓減していくような仕組みとする必要がある」と書かせていただいております。つまりポイントがどんどんたまっていくと、長く生保にいたほうが得であるというような感じになってしまっても制度の趣旨に反しますので、例えば一定期間のところからはポイントが減額されるようなことも考えたらどうかと書かせていただいたところでございます。
 「3 積立(支給)額」でございますが、脱却時にかかる税・社会保険料が一定程度賄える必要がある一方で、一般低所得者世帯の方の貯金等との均衡にも配慮するということがございますので、もし制度化するとなった場合は、そうした点も考える必要があるだろうと考えてございます。
 還付要件ですけれども、一時金目当ての保護辞退や受給の繰り返しを予防するといったことにつきましては当然配慮が必要だろうと考えております。
 34ページですが、こうした取り組みを通じまして脱却に至ったとしても、生保から脱却すればそれで支援が終わりということではなく、保護脱却のフォローアップ支援も大変重要だと考えております。ただ、現実問題として社会福祉事務所で脱却後の方までサポートを続けるのは厳しいと思いますので、現実的には生活困窮者対策の新たな仕組み、総合相談体制の中で行っていく、情報を確実につなぐことによって支援を行っていったらどうかということで書かせていただいております。
 6番は実務的な話でありますけれども、支援方法の見直しというところで幾つか書かせていただいております。
 「車が主な通勤手段である地域における就労活動用の車保有容認の要件の緩和」というところでございます。
 公共交通手段がないなど、車が主な通勤手段である地域におきましては、車の保有を認めることが就労に結びつくとの指摘がございます。ただ、これにつきましては保有要件自体を新たに認めることは一般低所得者の方との均衡に配慮して難しいと考えますけれども、※印に記載しているように、現在、半年以内に就労により保護脱却することが確実に見込める場合については、車の処分が保留される、頑張って就労活動をされるのであれば半年間は持っていていいということになっておりますけれども、半年近くなったところで、もうちょっとで就労に至りそうだということであれば、例えばその期間を延長するということで積極的に就労活動に取り組んでいただくことにしたらどうかということでございます。
 また、「転居を伴う就労に対する積極的支援」と書いております。アンダーラインのところですが、保護脱却が十分に見込める場合については、敷金や移送費なども負担するという方向で運用を見直したらどうかということでございます。先ほどエリアを広げる形で柔軟な就労活動と書かせていただきましたが、それとセットといいますか、それを裏打ちするような形でさまざまな稼働阻害要因を除去する形のメニューとしてこのようなことを考えさせていただいているところでございます。
 下の※印、このほかですが、就労機会の拡大を図る観点から、身元保証制度の創設なども考えたらどうかと書かせていただいております。これが就労支援のメニューでございます。
 続きまして35ページをお願いいたします。「健康・生活面等ライフスタイルの改善支援」というところでございます。
 「これまでの主な議論等」は省略させていただきまして、一番下でございますが、「健康・生活面等ライフスタイルの改善支援のため、以下の観点からの取組が必要と考えられるが、どうか」と書かせていただきました。
 具体的には36ページをお願いいたします。まず、「1 健康管理について」というところでございます。就労支援ももちろん重要でございますが、何より御本人が健康になって張りを持って生活していただくことが全ての基本であろうと思っております。そういう意味で受給者がみずから健康管理を行い、健康の維持・向上に努めていただくことは受給者の自立を助長するという意味で大変大事でありますけれども、そのことは現行法上は明確にされていないということでありますので、理念というか、考え方でございますけれども、受給者みずからが健康管理を行うことの責務を明記した上で、健康面に着目した支援を行っていったらどうだろうかというところでございます。
 2つ目の○ですが、また受給者の健康状況を踏まえた効果的な助言指導を具体的に行うためには、例えばでございますが、福祉事務所が受給者に対しまして健康増進法に基づく健診などを積極的に促して受けていただくとともに、これまで個人情報保護の観点から入手しにくかった、その健康診査の結果を、法律上個人情報を完全に守るという手だてを講じた上で福祉事務所が入手可能にするようにしたら、根拠をもって具体的な健康に関するアドバイスもできるようになるのではないかということでございます。
 それを補強する観点からということでございますが、福祉事務所において健康診断に基づく保健指導でありますとか、受給者からの健康や受診に関する相談があった際に的確な助言指導などを行う専門の職員の配置も検討したらどうかと書かせていただいております。受給者の疾病の早期発見や重症化防止にも大変有効なのではないかと考えております。望ましい人材ということになれば保健師さんなどの配置になろうと思いますけれども、こうした方向性が御了解いただけることになれば検討してまいりたいと考えております。
 また、先ほど熊木のほうからも家計管理の話がございました。生活保護受給者にあっても家計管理は大変大事だと思っております。ただ、全部きちんと家計簿をつけることはなかなか難しい方も多いということだろうと思いますので、2行目あたりに書いてございますけれども、受給者の状況に応じて領収書を保存していただいて、支出内容を後できちんとケースワーカーさんと御相談できるような形にすることも1つのアイデアではないかと書かせていただいているところでございます。
 それから、住宅扶助につきましては、住宅扶助費用の目的外使用を防止するため、代理納付を推進することも書かせていただいております。
 あわせてということでございますが、住宅扶助に関連いたしまして、民間住宅を活用した居住支援ということで書いてあるのが4でございます。住宅扶助の代理納付の仕組みを活用することで、家賃滞納リスクが大家さんにとっては解消されるということでございますが、そういうこととの合わせ技といいますか、メリットということで、既存の民間住宅ストックに積極的に生保受給者の方を受け入れていただいたらどうだろうかということでございます。
 あわせてそういう場合につきましては、次の○の2行目の後半でありますけれども、例えば地域で見守り活動を行っていただくような民間団体に、あわせて日常生活を支援するような事業とトータルで一緒に行っていただいたらどうかということも考えさせていただきました。
 実際、ある程度実例などもございますけれども、もしそのようなことが実現できれば、下の○ですけれども、高齢独居の多い生保受給者の一定の日常生活支援を行っていただくことで、孤独の防止でありますとか、地域でできる限り生活を継続できるのではないか、こんな観点からも生保受給者の方の生活改善につながるのではないかということで書かせていただいたところでございます。
 37ページ以降は「医療扶助の適正化」というところでございます。
 38ページをごらんいただきたいと思います。「医療扶助の適正化を図るため、以下の観点からの取組が必要と考えられるが、どうか」というところでございます。
 まず、受給者サイドでございますけれども、生保受給者の健康管理などにつきましては先ほど申し上げましたけれども、そうした取り組みが図られれば御本人が健康を取り戻されてより快適な生活を送られるとともに、結果として医療扶助なども逓減するということだろうということでありますので、このように書かせていただいているところでございます。
 3つ目の○に「セカンド・オピニオンの活用」と書かせていただいております。福祉事務所の嘱託医さんが生活保護受給者の健康状態あるいは医療の継続性などについて確認するため、例えば他の医療機関の健診を受けていただくことで的確に情報を得る必要があると判断したとなれば、そうしていただいたらどうかということでございます。また、長期にわたって医療扶助を受給している場合につきましては、例えば定期的に稼働能力を判断していただくという形の1つのプロセス、手法としてセカンド・オピニオンという形で他の医療機関の健診情報を積極的に活用していただいたらどうかと書かせていただいております。
 2は医療機関サイドでございますけれども、言うまでもなく医療機関におかれましては、生保受給者であるか否かにかかわらず適正に取り組んでいただいているわけでありますけれども、ほとんどの医療機関は実は健康保険に基づく保険医療機関と生活保護に基づく指定医療機関がかぶっているところでございます。しかしながら、現行法上、健康保険法ではかなり具体的に指定や取り消しの要件が定められている一方、生活保護については極めてあいまいな表現しかない、あるいは法文上に全く出てこないところがございますので、そうしたことを明確に健康保険法並びで規定したらどうかということでございます。
 39ページをごらんいただきたいと思います。具体的には「指導権限」というところですけれども、今、申し上げたのですけれども、指定医療機関の指定要件及び取り消し事由については法律上明確な規定がありません。このため健康保険の取り扱いを参考に、指定医療機関の指定要件及び指定取り消し要件を法律上明確化したらどうだろうかということでございます。期限も今、生保の指定医療機関にはございませんので、健保法の規定を参考に有効期限を導入したらどうかということでございます。
 2つ目の・でございますけれども、指定医療機関の指定が取り消された場合であっても、療養の給付を行う保険医療機関の指定の取り消し事由にはならず、余り実効性がないのではないかという指摘がございます。そのため例えば指定医療機関または保険医療機関のいずれかの指定が取り消された場合については、残る一方の指定の取り消し処分に影響させることが制度上できないのだろうかということを検討したらどうかと書かせていただいております。別制度ということでありますので、制度論としてはちょっと難しいのかもしれませんけれども、事実上同じ医療機関で2つの肩書を持って取り組みいただいていることを考えれば、あり得るのではないかという現場の声などもございましたので書かせていただいております。
 2つ目の○ですけれども、「指定医療機関への指導・調査、検査の強化」ということでございます。これも健康保険制度での運用と同じようにしたらどうかということで、書かせていただいております。かつて指定医療機関の管理者であった者、以前そうであった方に対しても報告徴収や検査の対象にするということでありますとか、2つ目ですけれども、アンダーラインの部分ですが、取り消し処分前に指定医療機関等の指定辞退がなされた場合であっても、指定取り消しがあった場合と同様に取り扱い、原則5年間は再指定できないこととするといったことでございます。
 (3)は体制強化ということですが、1つ○を飛ばしまして、2つ目の○をお願いしたいと思います。「指定医療機関への指導・調査、検査の強化のための体制強化」というところでございます。現在は基本的には都道府県知事による指導監督を行っていただいているところではございますけれども、なかなかやり切れないところもあるということでございますので、国による直接指導もあわせて実施できるように法律上明確化した上で、地方厚生局に専門の生保の指定医療機関の担当を増配置するということで検討したらどうかと考えているところでございます。
 40ページは「不正・不適正受給対策の強化等」でございます。箱の中は省略をさせていただきまして、一番下ですが、「不正・不適正受給対策の強化を図るため、以下の観点からの取組が必要と考えられるが、どうか」というところでございます。
 41ページの「1 不正受給対策の強化」の自治体の権限強化ということですが、生活保護法第29条に福祉事務所の調査権限と規定されておりますけれども、現在できますのは資産及び収入の状況に限定されているということでございます。このためそれだけではなかなか対応し切れない、限界があるというお声をよくお聞きするところでございますので、保護費支給の適正化を確保するという観点から、就労の状況などにつきまして、調査対象として明確にすることにしたらどうだろうかというところでございます。
 2つ目ですけれども、福祉事務所の調査の対象者について、現在の要保護者、扶養義務者に加えまして、過去に保護を受給していた方及びその扶養義務者も対象とすることはできないかということで、例えば不正受給が保護を脱却した後でわかった場合につきましても、調査ができるという形にしたらどうだろうかということでございます。無論この場合保護を脱却した方がどこまでも追いかけられるというのは余り適切ではないという御意見もあろうと思いますので、ある程度そこは範囲を縛ることは必要かとは考えているところでございますが、項目としては書かせていただいております。
 また、現在、照会しても回答が得られないとの指摘がございます。民間の方に対しまして義務づけるのはなかなか難しいと思っておりますけれども、官公署に対しては一定の条件はつくかもしれませんけれども、積極的に回答いただけるような形で法文上の手当てができないか検討したらどうかと書かせていただいております。
 下のほうに※印がありますけれども、金融機関本店等への一括照会とは、銀行協会さんに御協力をいただいて、口座の有無などを御回答いただくものでございますけれども、大変な御協力をいただきまして、本年12月から実施予定となっております。
 次ですが、「不正受給に係る返還金と保護費との調整」というところでございます。「不正受給に係る返還金の確実な徴収を図るため、当該返還金については、事前の本人同意を前提に保護費との調整をできないかを検討する」と書かせていただいております。不正受給をした方であっても満額そのまま受け取っておられるということがどうなのだろうかという御意見がある一方で、最低生活費との観点からそのことが制度上できるのだろうかという御意見もある中でございますけれども、ぜひ御議論をいただければと思って書かせていただいております。
 第三者求償権の創設というのは、交通事故を原因として治療を受けていただいた場合等については、本来損害保険などにより支払われるということでございますけれども、そこはなかなかうまくいかないということでございますので、他法令に準じて同様の規定を入れさせていただいたらどうだろうかと書かせていただいております。
 42ページでございますが、「返還金に対する税の滞納処分の例による処分」でございます。アンダーラインのところですけれども、「生活保護法の不正受給に係る返還金について、税の滞納処分の例による処分をできるように」法文上明確にしたらどうかということでございます。他法令にも似たような規定が既にあるということでございますので、それを参考にしたらどうかということでございます。
 2つ目ですが、「稼働能力があるにもかかわらず明らかに就労の意思のない者への対応」というところでございます。稼働能力がありながら、その能力に応じた就労活動を行っていないことを理由に、所定の手続を経て一旦保護を廃止された方が、その後保護を申請された場合、当然福祉事務所さんでは今度は就労活動をちゃんとやってほしいということを確認するわけです。その上で、生保に至ったけれども、やはり能力に応じた就労活動を行っていただけなかったということで、再度所定の手続を経て廃止された場合、つまり2度廃止になった後に再々度保護を求めてこられた場合、急迫の状況でないなど一定の条件が必要だと思いますけれども、本当にその間就労の取り組みをしたようなことがちゃんと見えるような形する等という意味で審査を厳格化することも必要ではないかということで書かせていただいております。
 そのほか「(2)制裁措置の強化」ということで不正受給に対する罰則の引き上げとか、不正受給に係る返還金への加算という形で、不正に関しては厳正に対処するという観点からこのようなことはどのようにお考えになるかということで書かせていただいております。御議論いただければと思います。
 43ページでございますが、「適正支給の確保」の一環といたしまして「(2)扶養義務の適切な履行の確保」ということでございます。「扶養義務者に対する福祉事務所への説明責務」と書かせていただいております。本当に生活保護が必要な人が受けることができなくならないように留意するというのは当然大原則でございますけれども、特段必要と福祉事務所が判断された場合については、扶養が困難と回答した方につきまして、その理由を説明していただくということの根拠を法律上定めたらどうかということでございます。
 ※印の2行目の後段からですけれども、当然先ほど申し上げたとおり、必要な方に確実に対応することが大前提でございますので、実際にこのケースが仮に制度化されても適用されるケースは極めて限定的になると思われます。
 また、家庭裁判所による扶養請求調停手続は現行でもございますので、より積極的に活用して判断をいただくこともどうだろうかということでございます。
 最後、44ページ「地方自治体の負担軽減」と書かせていただいておりますが、これは地方自治体の皆様がより仕事をしやすい環境づくり、体制づくりということで、今、申し上げたようなメニューを横串という形で整理させていただいたということでございます。内容は同じでございますので省略をさせていただきます。以上です。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 それでは、これから今の御説明に基づいて議論に入っていきたいと思います。特に後段の生活保護の見直しに関する論点、この部分については、これまで特別部会でもこれ自体正面から議論することが少なかった論点であろうかと思います。そういう点でまずここを1つ柱として重視しながら議論していきたいと思います。
 もちろん、これからの議論は今の事務局の説明に対する御意見や御質問を事務局にぶつけていただくという面もございます。しかし、他方において私が理解している限りで、何か事務局ないしは厚労省のほうに落としどころのようなものがあって、特別部会での議論を形式的にくくってそこに到達しようという段取りになっているとは思っておりません。
 今、財政的に大変厳しい条件のもとで、また政治的にも大変流動的な環境のもとで、生活困窮者の社会的包摂に少しでも実効性のある、あるいは社会的排除を少しでも抑制していく手だて、しかも実行可能であり合意が獲得できるような手だてを本当に特別部会で知恵を絞って構築していかなければいけないという状況にあると認識してございます。
 私自身、今のたたき台を伺って、こういう表現の仕方でいいのかとか、こういう問題の捉え方でいいのかと感じるところも幾つかございますし、それは委員の皆さんも同じであろうかと思います。ぜひ事務局に対して問題を提起するだけではなくて、委員の皆さん同士の間で、例えばきょうは自治体関係の皆さん、札幌市長、高知市長の方がおいでですし、また大阪府知事代理の方もおいででございます。こういう問題については自治体としてはこういうふうに考える、こういうアプローチがより実効性を伴うのではないか、そういう御回答をいただければ幸いでございますし、あるいは現場で支援のために奮闘していらっしゃる委員の方、その現場の観点からレスポンスをいただくという議論も必要であろうかと思います。
 繰り返しになりますが、何か決まった落としどころをめぐる攻防戦ではございません。本当にここで知恵を絞っていく必要がございます。そういう観点から議論をお願いできればと思います。それでは、いかがでしょうか。

○松井委員(古川代理)
 大阪府です。
 特に委員長のほうからも言われました知事会の代表という形で入っておりまして、知事会のほうの意見はもう少し後でまとまると思いますので、私どもから先行した形で意見を申し上げたいと思っています。
 まず、第2部の生活保護のパートにつきましては、全体的な方向としては私どももこれで非常にいいかなと思っておりますが、やはり新たな取り組みが必要になってくる場合にはぜひとも事務負担とか財政負担等に御配慮いただきたいなと思っております。これはあくまでも意見といいますか、考え方を言っているだけでございます。
 第1部のほうも少し意見を言わせていただきたいと思うのですけれども、第2のセーフティーネットは非常に重要な考え方でございますので、実は自治体はさまざまなサービスはもうやっております。単独事業でやったりしておりますので、そういったところが継続してできるためには何といってもその根拠となるような法整備が必要だろうと思っていまして、もちろん今、検討されているというのは伺っているのですけれども、きちんと根拠を持ってできるようになりますと自治体としてはやりやすいなと思っております。
 それから、支援施策の問題なのですけれども、例えば総合的な相談支援センターを設置するということで概算要求等でも上がっております。これにつきまして、これは非常に大事なことなのですが、これも結構各都道府県は、私は千葉を見に行ったのですけれども、きょう勝部さんがいらっしゃいますけれども、大阪の豊中もありますし、さまざまな形で取り組んでおります。そういうことで市町村が割に中心になってやっているところがございますので、やはり市町村が中心になるべきかなと私は思っております。資料を見せていただく限り、主体につきましては、相談支援センターに限らずややあいまいな形にされておりまして、決めつけではありませんけれども、市町村として積極的に取り組めるように書いていただければなと思っておりまして、今後自治体の意見をよく聞いていただければなと思っております。以上です。

○宮本部会長
 ありがとうございます。
 それでは、続けて高知市長、お願いします。

○岡崎委員
 実施主体の市のほうからの意見を少し述べさせていただきます。高知市長の岡崎でございます。
 前段、後段それぞれございますが、前段のほうはまた次回ということもございますので、少しポイントだけ申し上げます。各市町村におきましては、特に先ほど出ました総合的な窓口センターの話なのですが、本当に縦割りにはなっているのですが、市町村の窓口にはさまざまな相談センターが既に設置されています。例えば高齢者支援センターとか障害者支援センター、最近では虐待とかいじめの支援センターとか、これはほとんど縦割りでいろいろなものに基づいて設置をしているのですが、現状の相談センターは専門性が高いので、現在縦割りでも機能していますので、それはいいと思います。ただ、今回の書きぶりですが、例えば4ページは本当に生活に困った方の総合的な相談センターという書きぶりで、窓口が相当広いということもございます。実施主体はどこにするかということは相当窓口が広いので、例えば今、お話があったとおり、これを市町村で全部やりなさいということになりますと相当の財源とマンパワーが要るので、全体を市町村が主体になってこれまでのセンターと違うような形で窓口を広く受けるというのは現実的にかなり難しいです。最終的に法制化になるにしても、「例えばこういうものを対象としてこういう相談を具体的にやるのだ」ということをもう少し絞り込んでいただいたほうがいいと思いますし、実施主体がどこかというのはこれからまだ論議が要ると思うのですが、仮に各市町村が総合的な窓口センターを主体的に置くことになりますと、全国市長会とか町村会とか、こういう場で論議が必要になりますので、そういう論議を詰めていくためには一定の時間が要りますので、実務的にもう少し絞り込んだほうがいいのではないかと思います。また、財源の問題も必ず出てまいると思います。そこはまた次回含めてもう少し絞り込んでいただきたいということを、意見として申し上げておきたいと思います。
 それと生活保護本体のほうは地方のそれぞれの福祉事務所の現実的な意見も踏まえながら相当書き込んでいただいている部分もございますので、一定の問題提起もありますし、全体の方向性としてはかなりこの方向でいいのではないかと思います。ただ、幾つか例えば勤労者控除のやり方とか、この辺、それともう一つは積立金制度の新たなやり方とかいうことはさまざまな意見があると思います。控除のやり方、特に特別控除のやり方については、それぞれ実施主体によって、例えば毎月に分けて控除しているパターンと、一定のボーナスがある方についてはボーナス時に控除しているやり方とか、ばらつきがありますので、一定やり方は統一をしながら積立金制度のほうも一緒に組み上げていくということで整理したほうがいいと考えております。
 次に、家計管理というのは実は相当難しい部分がございまして、家計管理のやり方は貸し付けがうまく機能している部分と貸し付けが機能していないところも当然ございます。全国的に一般的な部分でいいますと、それぞれの社会福祉協議会が貸付制度を持っておりますけれども、社会福祉協議会のほうの貸付制度は十分機能していない部分もございます。一定家計管理にどこまで踏み込んでいけるかという問題、これはマンパワーの問題も含めてですが、そこと貸付制度がうまく機能していくか、現行の社会福祉協議会の貸付制度はどちらかというとうまく機能していないところのほうが多分多いと思います。その部分は民間団体が少しフォローしてやっているのではないかと思いますので、ここはもう少し掘り下げて論議をしたほうが多分いいのではないかと、現場の感じでも思っております。
 あと医療扶助につきましては、例えば生活保護の場合は窓口負担がないので過剰診療が多いとかいう論議を国会の中ではよくされていますが、我々、高知の実態を見ますと、過剰診療がものすごくあるという状況ではございません。これは地域地域によって多少違うかもしれませんが、過剰診療が実態的にあるかどうかいろいろ調べましても、例えば病院を何軒もはしごしているとかいう実態は高知の場合では余りないということではございますが、一部やはり眠剤を大量にもらっているとか、湿布薬を何十枚も1人でとっていくとか、こういうケースはあるように聞いていますので、そういうところは適正に指導が必要なのではないかという、そういう細かい部分では幾つか課題はあろうかと思います。あとは福祉事務所には嘱託の指導のドクターがおって、意見書を点検しておりまして、これはどうかというのは嘱託医が直接的に医療機関に電話をして、これはちょっとおかしいのではないかということをやっていますが、やはり力関係がありますので、そういう嘱託医の権限の強化の問題と、あとやはり問題のあるときに市町村は仕組み上なかなか医療機関の検査とか監査に入れないので、医政局に入っていただくか、医療機関の指導監督権限を持っている県に入っていただくかどちらかということですので、四国の医政局などは非常に人数が少ないのもあって、そういう体制の強化をしていただいたほうがいいということです。
 余り長くなってもいけませんので、気がついた点だけを申し上げておきまして、あと、それぞれ実施機関は特に市町村になっていますので、市町村とまた十分協議もしていただくようにお願いを申し上げたいと思います。以上です。

○宮本部会長
 前段、後段双方にかかわる論点が幾つか出まして、お2人から両方言及されたのが総合窓口の設置主体等にかかわる問題でございました。言うまでもなく生活支援戦略の実施主体は地方自治体及び現場のNPO等の観点が非常に重要になってまいりまして、とにかく既に先駆的に同様の取り組みを進めているところに、何か上から決まったフォーマットをおろして邪魔をしてしまうといったようなことがあってはいけないわけでございます。
 同時にこの特別部会に御参集の皆さんは精鋭部隊でございまして、全ての自治体やNPOで同じ水準の取り組みがなされているわけではなく、そうしたところにはどんどん新しい工夫、取り組みを行ってもらうという呼び水にもならなければならないということがあろうかと思います。
 どこから参りましょうか。まず支援センターの設置主体の問題等、これは事務局のほうから今の2人の御発言を踏まえて何かレスポンスがあれば伺いたいと思います。

○熊木社会・援護局生活困窮者自立支援室長
 生活困窮者自立支援室長でございます。
 まず、先ほど部会長からございましたように、この点は非常に重要でございますので、ぜひ委員の皆様の御意見を賜りたいと思います。
 私のほうから論点としてお話をするという意味で申し上げますと、総合相談センターは今のケースでは7ページでございますが、どういう形で行われているかということで、野洲市、富士宮市、東京都、豊中市、千葉県という5つの例を載せてございます。このほかにもいろいろな形態がございます。全体としては地方自治体と民間の団体が連携して協働でやっているということだと思います。野洲市、富士宮市におきましては市が直営という形でやっております。豊中市、千葉県のケースでは、豊中市は市、千葉県の場合は県が主体となりつつ、社会福祉協議会ですとか法人に委託をして設置をしているということでございます。
 この点は今回のターゲットとしまして経済的困窮、社会的孤立といっておりますが、生活保護受給者、生活保護に至らないボーダーの方、社会的孤立の方に対して支援をするということの責任をどこが果たすべきなのか、国なのか地方自治体なのか、地方自治体の場合に都道府県なのか市町村なのかといったこと、そして実施の責任と運営の主体はまた別だと思いまして、民間と自治体がどういうふうに協働関係でやっていくのかというところが論点だと思います。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 ほかの論点でございますけれども、松井委員代理のほうからは第2のセーフティーネットについて、これを法的な根拠を持たせてほしいというお話、これは御要望という形で受けとめたいと思います。
 岡崎委員のほうからは、勤労者控除、就労収入の積立制度にかかわって特別控除をこちらに吸収するというたたき台の方向性だったのですけれども、委員の御指摘は特別控除はそれなりに固有の役割があると承ったほうがよろしいでしょうか。

○岡崎委員
 それは統合しても構わない。いずれにしても整理したほうがいいと思います。

○宮本部会長
 わかりました。
 それから、家計管理について現在、社会福祉協議会が行っている生活福祉資金貸付制度、加えて民間のイニシアチブという話もございました。これは恐らく事務局のほうでも民間のイニシアチブとの組み立て方についてはお考えをお持ちだと思いますけれども、そこはいかがでしょうか。

○熊木社会・援護局生活困窮者自立支援室長
 
家計の管理につきましては、これも論点の提示ということで申し上げますと、やはり対象者は3層あると思います。生活保護受給の方は貸し付けとはセットではなくて、まさに先ほど課長から申し上げましたように領収書の管理をどうするかとかそういった問題、それから、生活保護受給でない方につきましては貸し付けということになります。
 貸し付けの場合では市町村民税非課税以下の方については社協の生活福祉資金の貸し付けがある。それから、市町村民税非課税以上になりますと、基本的には公的な枠組みはございません。一部の地域において生協ですとかが貸し付けを行っている状況。中間まとめ等々で御案内申し上げましたのは、そういう生協の中できちんとした相談をやった上で低所得の方も含めてお貸しをしている。それできちんと家計の再建を果たしているし、貸付機関としても貸し倒れが少ないという事例があるということでございます。
 そこで家計の相談を入れることによって当然ながら今の3層、今の生活保護受給の方には行動変容を促すという意味もあると思いますし、市町村民税非課税の社協の生活福祉資金の貸し付けにおいても家計の相談がつくことによって家計そのものを向上させていくこと、その中で貸し付けの貸し倒れを少なくしていくことが可能になるのではないか。加えて市町村民税以上の方は現在は貸付機関が少ないということですが、仮にこういう家計の再建、相談が入った場合には、環境の整備が図られて、貸付機関が拡大していくことが可能かどうかということだと思います。したがいまして、貸し付けと相談をいわばセットで構築していくことはどうかというのが、今、議論になっていると認識してございますが、この特別部会での御議論如何と思いますので、また御意見を賜れればと思います。

○宮本部会長
 ありがとうございます。
 あと2点の論点だけ確認します。
医療扶助については過剰診療の実態はさほどの、少なくとも高知市に関してはそういうようなことはないけれども、一定の眠剤、湿布等の過剰の給付については対応が必要、それから、医政局のイニシアチブの2点がございました。これは御意見として承っておきます。
 今、事務局とのやりとりのようになっていますけれども、先ほど申し上げたように、遠慮なく個々の論点について皆さんのほうからもう少し別なアプローチもあるのではないか等の御意見があれば承りたいと思っております。

○勝部委員
 社協が機能していないと言われていますのでちょっとお話をさせていただきたいと思います。
 今、家計管理の問題と最初の総合相談の問題は、これまた巨大総合相談を市役所の前にフロント相談窓口で置くとしたらもう一つ市役所ができるみたいな、総合相談のもう一つ手前の総合相談、仕分け係があって、その人が生活保護に行っていいよとか悪いよと決めたら、今度は福祉事務所がそんなやつはまだだめだという話をここでやりとりするような変な格好になるのはどうなのかなという感じがすごく、現状からいうと違和感があります。
 今回の事例でいいますと、野洲とか富士宮という人口規模のところであれば庁内調整をかなり強化をして、そこでこぼさないということを取り組まれることをメーンにされていると思いますけれども、そこでもはざまの問題が必ず出ますので、行政の仕組みの中ではざま問題を住民とかと連携して全てやっていけるのかという問題、そこのところはかなり工夫されているのだろうと思います。
 多分豊中ですとか千葉という人口規模がかなり大きいところになると、庁内調整を窓口、総合相談というイメージでとるよりは、そこからこぼれたものとかはざまの問題とか、問題がストライクゾーンで来ない、いわゆる専門性の高い相談のところからこぼれてしまった問題を引き受けながら課題を整理して伴走型で支援していくようなやり方に少し切り分けてやっていく窓口をつくって絶対こぼさないというやり方をしていくという、イメージとしてはそういう分け方なのかなと思うのです。多分人口規模によって随分このやり方も変わってくると思いますので、どちらが正しいということよりはどちらも選べるということでいいのかもしれないのですけれども、絶対こぼさないことが重要ということと、それぞれの前にもう一つ置くような屋上屋的な相談窓口はちょっとイメージが違うのかなと感じております。
 それから、この機能でやはり大事なのは、社会的包摂という考えでいいますと、市民の皆さん方にこういう社会的課題を考えてもらうというか、理解を啓発していくような機関であるということが大事なので、そう考えますと行政が直営だけでそういうことがやっていけるのかとか、その辺のところもよく連携みたいなことが必要なのかなという気持ちもあります。住民の側に立っているというところもすごく重要なのではないかなということ。それから、早期発見というところでいうと、地域としっかりつながっている機関がやっていくことがかなりイメージとしては強いのかなと思いながら見ています。
 もう一つ、今の御指摘の家計の管理の問題なのですが、確かに生活保護で家計管理の問題はかなり大きなところです。今のお話でいきますと、領収書、レシートをちゃんととって管理するという話もありましたが、実際にはそういうお仕事のかなりの部分を日常生活自立支援事業で担っている場合が多くあります。これは判断能力が乏しいということが一定のキーワードになっていますが、判断能力が乏しい方が家計管理が必要な場合と、判断はできるけれどもお金の使い方がうまくできない人、ここのあたりは、実は私どももそういう事業をやらせていただいている中で、生活そのものを管理するのはものすごく責任と権利侵害になるような可能性のある業務であることは間違いないです。お昼御飯を抑えてでも、例えば月1回何かぜいたくなことをしたいと思って暮らす人もあれば、毎日決まったものを食べないとだめな人もいるわけで、それを誰がどの指示で動かしていくかというのはすごく難しい話ということになるのですけれども、今のようないわゆる日常生活自立支援事業が、生活保護のかなり管理がしにくい方々の支援をしているという部分をこの事業とどうすみ分けをして考えるのかということが1つ。
 それから、社協がやっています貸付制度はやはりかなり歴史があるところがあって、民生委員さんを頼りにしながら運営していることがあります。きょう長谷川先生がおられるのですけれども、人口流動が激しい状況でなかなか地域で顔のわからない人が突然貸し付けを借りに来るという状況の中で、従来のようにその方と信頼関係を結んで伴走型で民生委員さんたちが支援してきたところの機能がしにくくなってきているというところと、そういうことが前提となって職員配置がされない中で貸し付けをしている社会福祉協議会の厳しさみたいなところもありますので、家計支援がプラスアルファできちんと位置づけられるのであれば、そういうことを機能として中に持つのか、それはまた民生委員さんたちにお願いするような話になるのかということでも随分話が変わってくるのかなと、お聞きしながらというか、今回のものを見ながらすごく感じたところであります。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 1つは窓口の話でフォローしていただきました。ワンストップというのは欧米でも社会的包摂の仕組みを考えていく上でのキーワードであるわけですけれども、今、勝部委員のほうからもお話があったように、何かまた人工的に屋上屋を架すような形になってはいけないという中では校区単位で複数のワンストップサービスがあって、実は形容矛盾のようですけれども、ワンストップサービスが複数あるということは全く差し支えないことなのだと思うのです。そのあたりの柔軟性を制度の設計にどう組み込んでいくかという非常に大事な問題提起をいただいたのではないかと思います。
 それから、家計再建のところですけれども、私自身、ここでの表現の仕方としてはライフスタイルの改善とかいうと行政権力で、自分のライフスタイルもそう自信があるわけではございませんし、お金の使い方も家計再建委員に面接するといろいろ言われそうなところも多々ございますので、それを考えていくともうちょっとセンシティブといいますか、権力を行使する立場がライフスタイルを問題にする場合の緊張感のようなものを持っていかないと広い理解は得られないのではないかなとも思います。そのあたりの具体的な設計についても勝部委員から幾つか御提起があったわけですけれども、事務局に何かレスポンスいただく前に、もしこのことに。

○広田委員
 「レスポンス」を日本語でお願いします。

○宮本部会長
 すみません、だんだん日本語が磨滅しておりまして、「回答」ともちょっと違って、事務局なりの現段階での考え方についてお話をいただく前に、小杉委員。

○小杉委員
 ワンストップサービスにかかわってなのですけれども、この中でもたびたび地域若者サポートステーションと言われますが、地域若者ステーションはまさに若者支援のワンストップサービスということでできた経緯があるのです。そういう意味でたくさんワンストップがあっていいという発想は大変私もそう思います。
 ただ、ここで気になっているのは、若者サポートステーションが貧困の連鎖のほうにはっきり位置づけられていて、実は若者サポートステーション自身は就業支援、就労支援のところの機能が評価されている仕組みだと思うのですが、前のほうにある相談サービスの話と、若者の貧困の連鎖の中に入っているサポートステーションの機能とが何かよく切り分けられていないなという感じがして、ここで貧困防止というとやはり生活保護世帯の中学生の勉強の支援とか、そういうことがかなりウエートがあると思うのですが、ここに今、サポートステーションがやっている若者の就業支援と中学生へ勉強をしてきちんと学力をつけようという話と一緒に位置づけるのは無理があるかなという気がするのです。たくさんあるワンストップサービスの1つとして多分若者に特化したサービスはこれまで機能してきて、これはこれで重要だという位置づけがあるのですが、無理やりここでくっつけなくてもいいのではないかなということが意見としてあります。

○宮本部会長
 ありがとうございます。
 これもサポステ系で既に幾つかアクティブな、活動的な窓口があるところですので、これをないがしろにしないで、かつ連携をつくっていくということですね。
 では、広田委員。

○広田委員
 格調高い話が続いているのですけれど、私はここに座って2つのことを思い出しています。1つは私が社会保障審議会障害者部会委員のときに村木さんがいて、自立支援法の与党側の「参考人に出ない」という話をされたことを思い出して、村木さん、厚労省お帰りなさいということですけれど、私が見ていると、どの業界もやたら知り合いに利害関係を求めますから、ああいうふうな入りたくないところに入ったことによって私は弘明寺観音にお参りしていましたし、神奈川県警の村木さんを知っている人たちはみんな信じている、厚労省の人も信じていたわけだけれど、あの時、直接的にお世話になった方たちに恩を返すような仕事をなさらない聡明な村木さんを信じています。それを返させたがる業界ですから、特に障害の世界はそうですから、国民に向かって発言しておきます。村木さんが公明正大にちゃんとバランス感覚を持ってやれるように仕事をしていただきたいということです。笑っているけど、津田さんもそういうことですね。人間やはりそういう縛り、義理人情でしごとしては、それはいけないということです。
 もう一つは、朝日新聞の若手のイケメン記者と飲んでいましたけれど、夜中に、新橋で1時に大げんかして、「母子加算は要らない」と言ったら、「要る」という話で、最後に「ふざけんな」と言ったら、「ふざけていません」と言うから、「ふざけていなければもっと悪い」と言った。要するに新聞とかマスコミはものすごい給料をもらっているわけです。あの人たちから見ればすごく気の毒だと。民主党もそれに乗ったんだけれど、そうすると今、また私は宮本さんに注意されますけれど、ニューヨークタイムズの東京支局長が言うとおり、本当に日本のマスコミの給料は高過ぎるから、まだ本は読んでいませんけれど、それが1点。
 それと、ぜひ資料を1つ出してください。去年と今年の生活保護コンシューマーの自殺率です。今、どこかの団体が報道が行き過ぎていたということで、やっとそういう報道が出てきていますけれど、本当にずっと言っているけれど、日本のパパラッチマスコミはこう言ったり、ああ言ったり。例えば中国とか韓国のことで反日の報道ばかりしていたメディアがいきなり今度のことでは「政治の問題だ」となってきてしまうわけです。
 そういうことで、ここではそういうふうな報道とか世論というつくり出されたものに左右されないで、本当に10年後20年後、「あそこに集まっていたスウェーデン帰りの宮本太郎はイケメンだったけれど」、「今は死んでしまったけれど広田和子もいて」というふうないいものを、この間はタレントみたいな副大臣の西村さんたちと一緒に千葉へ行ってきましたけれど、そういうことです。
 私は聞いていると、障害に行こうがここに来ようがやたら相談なのです。日本人は考えないでどうしてしまうのということです。考えさせてくれない、悩ませてくれない、待ってくれない、どんどんどんどん相談というところへ持っていく。
 それと私の家はうちの近所の子供を含めていろいろな子供が来るから近所にちょっとひんしゅくの場合もあるのですけれど、子供たちにとって大事です。行けるところがあるのは。うちのおじは身寄りがあるけど、面会に行く人もいなくて、緊急連絡先もこういう忙しい私しかいなくて、医療機関から電話があったのですよ。2回あって、1回目は生活保護と関係ありませんからはしょります。2回目に行ったのです。そうしたらいわゆる集中治療室に入っていたのです。その前に私が、「本人にちゃんとインフォームドコンセントをしてから家族に言ってください」といったものだから、集中治療室で本人を目の前にして「酸素吸入をつける」と医者が言い出したのです。それで私は言ったのです。「お金がないのよ」と大きい声で。おじは年金です。そうしたら医者が、「生活保護があります」と。私が、「何言っているの、この国、地方自治体は1,000兆の赤字ですよ、軽々しくそんな生活保護と言わないでください」と言ったのです。そうしたら「そういう大きな問題ではなくて」と言ったのです。一人ひとりの医者は、国家財政の中の生活保護だと思っていないのです。きょうは日本医師会がいないからとても残念なのだけれど、いる。よかった、あなたはやっているそうですけれど、医療機関が領収書を出していないらしいですから、そこをちゃんとやってください。
 一人ひとりの医者のそのときの判断が、もし家族がいて、金銭的な問題で悩んだりするところを飛ばしてしまって、安直に「生活保護」とやっている場面に私は出くわしたわけです。だからそういうふうにじゃぶじゃぶ人のお金だからと使ってしまうような医療が問題だし、患者の側が足が痛いと湿布薬を人にあげている問題も先ほど出てきましたが問題です。
 それから、いわゆる収入申告を厳しくするというけれど、6月15日議事録で恐らく出ていると思います。作業所に行っている本人が不正しているのではなくて、作業所側がよかれと思って現金を渡さないで全部現物給付してしまっている。そういうような不正はどちらの不利益になるのか、本人が後でお金を返せという問題になると違うのではないのということですから、これも大きな問題です。
 それと新聞などを読んでいると、いろいろな党が生活保護を現物給付で出すというのです。そんなものはどうなってしまっているのと。先ほどの判断能力はあるけれどもほかにお金を使っている、たまたま「精神障害者に手帳サービスで何がいい」と聞いたら、「ソープランドに行きたい」というのです。「ソープランドに行きたい精神障害者で生活保護者の人はかなりいるのです。薬の副作用で性的不能になって悩んでいる男性を含めて。こういう人多いですから。それを健全なお嬢さんとかが来たら、「何ですかこれは」ということになってしまう。本人が決められるような形にしないと、本当に少数の何かよほどのものすごい問題、世論を受けてではなくて、本人を応援する意味で、先ほど私が村木さんを応援したみたいに応援するレアケースはあるかもしれないけれど、みんなでよってたかって会計管理をやってしまったりしたら、本人は何なの。ただのお人形さんよ、着せかえ人形みたいに。そういうような生活保護制度にしてはいけない。生活保護制度は憲法25条、健康で文化的な最低限度の生活を保障された、アメリカのGHQがアメリカ本国でできなかった制度をつくったわけです。日本がつくったのではなく。重要な制度です。だからそんな現物給付とかわけのわからないことをやったり、こまごまいじくり回してはいけない。私は前にも言っていますけれど、扶養義務者を何で福祉事務所が判断するのですか。判断は一人ひとりによって変わる。親族関係を不幸にする。
 それから、きょう上田さんがおいでになっているから言うけれど、地方公務員は今、この時代に組合まであって、多くの民間企業で組合等やっていられませんよ。そういう時代にあって守られている中でケースワーカーは絶えず「大変大変」と言うのだけれど、この前も言いましたけど、やはり大変にしているのですよ。私などが行けば考え方がもっと大らかですから。もっと職場を明るくする。鬱予防大作戦を日本国じゅう打たないと医療費も大変です。資料を出します。だからそういう意味でもっと明るい方向で。ここに来るのに暗い顔をして、みんな帰って眠れているのと聞かなければいけないような顔になっていますから、前向きに。結果的には生活保護を見直さなければいけない。母子加算は見直した方がいい。
 それから、1類に御本人の食事とかお洋服とかにかかるところ、特にお食事です。それが1掛ける5ですよ。掛ける0.幾つ。これも見直した方がいい。5日に生活保護部会があるというから傍聴に参りますけれど、そういうようなことを皆さんたまにはもっと低所得者の身になって。自分がもし低所得になったらどうなのかという視点で見ていかないと。このままいろいろなものをどんどんぎゅうぎゅう支援者、相談者という視点だけでやっていってしまうのは危険だし、それからこういうこともありますよ。

○宮本部会長
 広田委員、きょうは大分委員の御意見に賛成なのですけれども、ちょっと機会の平等という観点で、ありがとうございました。
 村木局長も大分驚いて、この部会はニュフェースは広田委員のしごきを受けて一人前という。
 今、保護受給者の自殺率については大変重要なデータでもあると思いますので、御用意をいただければと思います。
 上田委員のほうから何か。

○上田委員
 
御指名ありがとうございます。公務員は大変だ、大変だと言って、そんなことない、もっと楽しくやればいいのだというお話がございました。確かにつらい、つらいと言っていれば大変になりますので、やはり保護を受けられる方も、いろいろな障害を持っておられる方も社会的包摂をまさに自分たちと一緒にやるんだという意欲に満ちた、希望に満ちた職場であればかなりのことは乗り越えられるだろうという気持ちを私も同じく持っているところです。そういう気持ちがなければ明るい社会はできないですよ。そういう意味でつらい、つらいばかり言わないということだけはお約束をしたいと思います。ただ、現実はなかなかつらい。
 きょう生活保護の問題についてレポートを頂戴しまして、検討させていただきましたけれども、政令市は、憲法25条の精神を踏まえてしっかり実施しようという努力をしつつ、余りにひどいという事例がたくさん窓口、あるいはケースワーカー等が体験をする中でありますので、何とかしなければならないという、やむにやまれずというところで出てきた改革案を前回お示しさせていただきました。そのことはほとんどきょうの中間レポートの中に反映されているということで大変ありがたく思っております。しかし、その運用に当たりましては、やはりやむにやまれずというところで最小限度この程度のことをしていただきたいとお願いしているわけでありますので、運用の精神についてはこれがひとり歩きするようなことになっては非常に生活保護制度が窮屈になるということもございますのでよろしくお願いしたいということ。
 それと総合窓口という話も、アウトリーチの話が書いてありますね。官が出ていくという仕事、ケースワーカーが待ちの仕事ではなくて、一つ一つ出ていくのだということは非常に立派なことなのですけれども、これもやはり仕事の限界がございます。当然これは民間のNPOあるいは社会福祉法人等がやらなければならないということになっているのですけれども、民間の人たちがこの仕事をどうやるかということについての刺激策というか、これは保護受給者のインセンティブについては書いてありますけれども、こちらで民間で活動する人たちのやろうというインセンティブをどう起こさせるかということについての検討がなされていないと思います。

○広田委員
 日本語、日本語、「インセンティブ」。

○上田委員
 
動機を与えるといいますか、意欲を持たせるといいますか、そういうところが多分足りないのだと思うのです。ですから、いいことを言ってもそれを実際にやれるかどうかという視点に立ちますと、官の力だけではできないということははっきりしておりますので、いかに民間の人たちが、意欲的な人たちが、優しい気持ちを持った人たちが、その心を生かすために活動しやすい状況を制度的に保障していくかという議論が多分抜けているのだろうと思いますので、受ける方のインセンティブではなくて、実際に行動する、一緒に頑張ろうとサポートしていただける方々の活動のインセンティブを提供することをしっかりやっていかなければいけない。そういうことをぜひ御検討いただければと思っているところでございます。
 あと本質的なところで前回申し上げたのは、年金制度との整合性をどうするのかとか、あるいは生保の費用の全額国家負担だとか、この辺は政令市がずっと言ってきたところでもございますので、ぜひ締めのところではそこはしっかり答申を出すなりということをやっていただければ大変ありがたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 たくさん手が挙がっております。高杉委員もすぐ参ります。その前に谷口委員、長谷川委員、その後堀田委員。

○谷口委員
 上田委員のほうから励ましをいただいた民間の立場から発言させていただきたいのですが、まず先ほど総合相談、ワンストップ化に議論が向いたところで、その点についてお話をさせていただきますと、先ほどお話に出ましたけれども、ネットワークはかなりたくさんあるのです。虐待であるとかひきこもり、あるいは障害、ニート、さまざまなところにネットワークはあるのですが、実際主要な数字、例えば不登校であるとかひきこもり、ニートはさまざまな指標が出ておりますけれども、主要な指標が減少に向かっているのかといえば必ずしもそうではないということをしっかり我々現場の人間は真摯に反省すべきだと思うわけです。つまりは体制が機能しているかといえば、機能している部分も当然あるのですが、まだまだ足りない部分があるということは真摯に受けとめる必要があるだろうと考えているところです。
 そういったところでもう一つ現場の視点から申し上げますと、例えば子ども若者育成支援推進法に基づいて活動しております子ども若者総合相談センターで我々はワンストップの相談を受けておるのですが、そこでは実は86.3%の子供たち、若者が多重に問題を抱えている、つまり複数分野にまたがる問題を抱えているということであります。
 また、地域若者サポートステーション事業もニートの自立支援のワンストップの窓口として運用させていただいているのですが、5割~6割の若者が既に複数の支援機関の支援を受けてもなお立ち直っていないという現実があるわけなのです。
 そういったところでいくと、やはり同時並行的に問題に対処しなければいけない、つまり分野横断的に対処しなければいけないということを考えると、これまでのネットワークで十分だという話ではなくて、これも再度見直して整理をして統廃合もする、これくらいの勢いを持って取り組まないとこの分野はいつまでたっても縦割りのままで変わらないと思うところであります。
 一元化の方向性、縦割りを変えていく方向性は大前提として持っておく必要があると思うのですが、支援現場における留意点としては先ほど小杉委員のほうからもお話があったように、何でもかんでも一元化すればいいというわけでもないということです。しっかりとした目的のもとに、それを最善の策として効果的に運用するためにはどうしたらいいのだろうという視点が必要になってくるかと思います。
 例えばひきこもり支援のノウハウといわゆる非行の若者の自立支援のノウハウはかなり変わってくるということなのです。受容が必要な場合と一方で指導的なものが必要な場合と、それぞれの分野によってのノウハウの違いがあります。そういったものもしっかりと見据えた上でやらなければいけない、つまりは導入段階の支援と振り分け機能を持つ総合相談窓口には複数分野のノウハウをきちんと一元化し体制として整える。人員体制をしっかり強化した上で運用しなければこの本部会で対象としている問題には対処できないだろうということになります。
 また、先ほど小杉委員から学習支援の話が出ましたけれども、具体的な支援の段階、例えば居場所機能、いわゆる癒しのための場所といったものと実際に自立支援で次のステップに進もうという段階の人を全く同じスペースで全く同じ形で支援をするとマイナスの効果を生んでしまうこともあるのです。学校で例えるならば、みんなが勉強している中で保健室を真ん中に置くという話にもなってしまうところで、ちょっと例えは悪かったですけれども、場所であるとか時間をしっかりと分けつつ一体的に運営していくといった運用面での工夫も必要になってくることになります。
 こういったノウハウは今、公的にもやっと発展的に取り組みが進んできているといった段階で、一番可能性を持っているのはやはりサポートステーション、これはいろいろな分野の縦割りを突破した形で運用させていただいているところと、いろいろな分野の知見が結集をされてきて、それが結果の検証をもとに発展的に再構築されているという状態でありますから、そういったものはしっかりと生かしつつ、今、論じられている総合相談窓口の設置を図るという考え方が必要だと思います。
 そういった点で、支援現場の問題点、課題はかなり多岐にわたっている、それをしっかりとクリアにした形でこの施策の中に組み込まないと本当に絵に描いた餅に終わってしまうということで、今、ちょうど並行して「地域若者サポートステーション」事業の今後のあり方に関する検討会立ち上がっておりますし、また子ども・若者の生活困窮支援のあり方に関する研究も実際動き出しているということですから、その議論の進捗状況、現場の声もしっかりと踏まえた上で並行的に議論を進めていく必要があるのではないかと考えているところであります。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 上田委員のほうから民間の能動的な取り組みを生かすように、まさにその中心におられる谷口委員のほうから、そう言いつつも民間の取り組みそのものが縦割りの仕組みに災いされてまだまだ多くの課題を抱えているのだという大変興味深いやりとりだったと思います。
 引き続き発言を求めますけれども、ぜひたたき台の具体的などこかの部分を、例えばこういうふうにしていくといいのではないかという御示唆も含めて御議論いただけると、なおのこと助かります。
 では、長谷川委員。

○長谷川委員
 先ほど来いろいろと御説明いただきましたように、今の生活保護受給者が全国に211万人を超えている。その中でも就労可能な年齢層がここのところ非常に増大しているというような状況なのですけれども、今、我々がそばで見ておりますと、ハローワークに行って一生懸命仕事を紹介していただき、就労支援に結びつく努力を本当にしているのかどうなのか。ハローワークに行くよりも、まず役所に行って生活保護の申請をするような傾向にあるわけですから、やはりこの辺については考えていかなければいけないだろうし、横浜市では区役所にハローワークを併設するという方針でもってやっているようなのですけれども、ぜひその辺でセットとしてより就労支援に結びつける努力をしていかなくてはいけないのだろうなと思います。
 私も前にヒアリングで申し上げましたように、更新制で1回受ければずっと保護してもらえるというのではなくて、自立を促すためにも3年なら3年のスパンでもって、そこで1つの制度として見直しをして、またそこからもう一度見直しをしながら3年間ずつ更新をしていくような体制づくりをこれから考えていくべきではないのかなと、率直にそのようなことを繰り返して申し上げたいと思うのです。
 先ほど勝部さんから、民生委員と一緒に社協は生活福祉資金の貸し付けをしていますと。これはなかなか民生委員の側として見ると、社協へ行って、返せないのがわかっているのに大きな声を上げて、社協の職員が本当にどうしたらいいのか判断に苦しんでいるような状況を我々はよく見るのです。そうしたような形でもって私たちが年間4回ほど訪問しながら返済の状況報告をするわけですけれども、我々が状況報告書を持っていくと、それが取り立てに来たんだろうというような見方をされているのが民生委員の実態なのです。
 民生委員も来年一斉改選なのですけれども、欠員が非常に多い中でもって、こういうようなことを通してさらに欠員がふえて、私たちは何のために民生委員をやっているのか、なぜしかられなくてはならないのか。それが今の民生委員の実態なのです。神奈川県の社協では、やはりその辺を改善すべきだろうという我々の要求に対しても応えていただきまして、年に4回我々が今まで足を運んでいたものが、本人に直接郵送するような形で、年に1回はもちろん訪問をするのですけれども、昨年からそのような制度改正がありました。
 そうした実態としては苦しい中でお互いに社協とうまく連携を保ちながら、より豊かな、そしてまた就労支援に少しでも結びつけていくような努力を私たちもしていかなければいけないなという思いを持っております。

○宮本部会長
 ありがとうございます。
 関連する問題について、後でまとめて事務局のほうからお答えいただくことにしたいと思います。
 高杉委員、お願いします。

○高杉委員
 すみません、おくれて参りました日本医師会の高杉でございます。
 医療をじゃぶじゃぶと使っているとおっしゃいましたけれども、決してそんなことはありません。これから日本は大変な高齢社会になるわけで、その中で医療をどのように提供するか、私たちはむしろ地域でこれをどのようにするかということをこれから一生懸命工夫をやります。いかに生きるかではなくて、どのように死ぬかということもものすごく大切なのです。これは国民教育を含めて大切なことだろうと、みんなで一緒に考えましょう。
 ただ、本委員会に私は4月から福祉の分野に初めて参加して、いろいろな視点での取り組みに非常に敬服しています。NPOの人たちも頑張っているし、行政の人たちも頑張っているし、いろいろな点でやられているのですけれども、きょうの生活支援戦略に関する主な論点は非常によくできておりますけれども、ただ1つ、若者たちに手とり足とりいろいろなサービスを行政がやられるのはわかるのですけれども、もうちょっと仕事も与えましょうやと思います。例えば雪国の雪おろし。これはどうにもならぬです。例えば今、戸山団地の3階に住んでいるお年寄りはどうなのでしょうか。仕事を与えてやれば、もっと違う視点の若者たちをよみがえらせることができると思うのです。だから与えるばかりではなしに、行政も少し仕事をさせることを考えたら、この報告書にはそれがないからちょっと不満だと。
 感想だけです。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 堀田委員、その後花井委員、山村委員。

○堀田委員
 難しい問題に頑張ってしっかりした制度を構築されていることにまず敬意を表しまして、それを前提としまして3点。
 1つは、生活保護の制度と第2のセーフティーネット、総合相談体制ですか、これが切り離され過ぎているのではないかと思います。生活保護を抜け出せば総合相談センターへと、その程度の関連しかないのですけれども、仮に生活保護を受ける立場になったとしてもやはり相談をし、何とか自分に合った職を探し、そちらで自立していくということは非常に重要で、そういうことをするために第2のセーフティーネットをせっかく設けたわけですから、生活保護者についてももっと活用する形がいいのではないか。これが第1点です。
 第2点も生活保護に関してですけれども、生活保護をしっかり支えましょうという関係、これが1対1の関係になっている。生活保護者はもちろん、いろいろな方がおられますけれども、やはり何とか立ち直っていきたいというお気持ちの方も結構おられるし、そういった生活保護者が集まり、相談し、お互いに情報を交換し、自分らで立ち直るところを見つけて立ち直っていくという仕組みも十分考えられます。生活保護者について例えば非常にソフトな保護司のような役割の方が民間で入って、いろいろと民間の立場で相談し、ネットワークをつくるという仕組みもあり得ます。そのように、みずから自立していくという構図が1つあっていいのかなと思います。これが第2点です。
 第3点、最後です。第2のセーフティーネットについてはいろいろと仕組みを考えられましたけれども、本気でやろうとしたら行政のこの仕組みで第2のセーフティーネットにかかりそうな人たちを全部やれるはずがないのです。これをやるのはほとんどが民間であり、NPOであり、地域の人ですから、相談の仕組みはいいのですけれども、アウトリーチも、自分でアウトリーチするというよりは、そういった地域で活躍しておられるいろいろな方々としっかりネットを張り、情報をとり、情報をいただけるようにお願いして、そこのしっかりしたチャンネルをつくることがむしろ大切なことだと思います。出口のほうでもハローワークに任せるというのではなくて、これまた本人に合った働き方を考えてもらって、どこか働き口を見つけてもらうというような作業も非常に必要になってくる。これも企業その他の大きな協力が要るので、そういう協力を求めるコーディネーターとして個々の職員をしっかり訓練していただく、むしろそういう構成が重要かなと思います。これが第3点。以上です。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 非常に大事な3つの点を御指摘いただきました。これもぜひ後で事務局を含めて御意見を賜りたいと思います。
 すみません、花井委員が先でした。かなり時間が押してございまして、きょうは私の不手際もございまして、やや延長やむなき状況かもしれません。ただ、今、手が挙がったところまでで、すみません、櫛部委員も見ていました。少し短縮をしてお願いいたします。

○花井委員
 それでは、短く。
 まず、今日提出された資料の32ページのところです。「勤労控除の見直し」とありまして、やはり生活保護を脱却する動機のためには勤労控除をもっと拡大する必要があると思っております。拡大する方向性は賛成ですので、ぜひともそこの金額についても今後大幅に拡大する方向で検討していただきたいというのが1点です。
 それから、36ページのところでございます。健康の問題で、「健康管理について」というところの1つ目の○の行目「受給者自ら健康管理を行うことの責務を明記し」とあります。書かれていることを否定するものではないのですが、健康至上主義みたいに、健康でなければ人ではないみたいな、ともするとそういう方向に行きかねないと懸念しています。例えば札幌市で餓死した姉妹のお姉さんの話などを見てみますと、ずっと具合が悪くて、しかしながらそれは外からなかなかわからなくて、そして脳内出血を起こして亡くなるわけです。自分の努力ではどうしようもない方もいらっしゃいますので、余りこのことは強調しないで、運用のときにそういう形での健康管理を進めていただきたいと思います。ここはちょっと危ないな、怖いなということがありますので、その辺をぜひ配慮していただきたいと思います。
 それから、38ページの指定取り消しの関係です。これにつきましては先ほど生活保護の指定を取り消された場合、もう一方の保険医療指定機関の指定を取り消すかどうかという論点として示されましたが、私は当然取り消すべきだろうと考えます。生活保護という全額公費で医療を見ているところを不正した医療機関は保険医療指定機関も取り消すべきだと思います。
 最後のほうのページでいきますと、43ページの扶養義務です。これにつきましては前回からこのことについて意見が出されていますが、家族関係が昔とは大きく違っております。やはり生活保護を受給しようと決心するには相当の覚悟を持ってする場合が多いと思います。扶養関係にある人の援助を受けられるくらいならとっくにそうしているだろうと思います。扶養義務の調査についてはよほど慎重に対応していただきたいと思います。「扶養が困難な理由を説明しなければならないこととする」となっていますが、ここはもう少し検討する必要があるのではないかと思います。
 以上です。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 山村委員、お願いします。

○山村委員
 主に4ページ、これは前回7月の中間まとめでも出されたところなのですが、ここを中心に申し上げたいと思います。総合的な相談は大変重要であるということは間違いないだろうと思います。やはり相談支援はほかの分野で既に多数ある現状でございますが、私は相談支援と実際に支援を担う事業は両輪だと思っております。そこでいう事業というのは下段のところに書かれてある就労支援あるいは家計再建支援、学習支援等だと思います。真ん中に総合的なアセスメントから再アセスメント、その目標が「生活困窮状態からの脱却」という大きな目標に向けて支援をしていくと。相談支援のあり方は、ほかの相談支援のところでもよく言われているのは、中立性と独立性を大事にしていかなければいけないという意味では、事業との両輪としての連携は大切なのですが、相談支援としての中立性、独立性をある一定担保しながらやっていく必要がある。それでないと相談支援が機能しにくいのではないかということは配慮する必要があると思っています。
 それから、相談支援センターのあり方ですが、いろいろ御意見がありましたように、非常に多岐にわたっているのかなと。現状も既にそういう状況にありますので、各地域に応じた柔軟な体制は、書かれてあるとおりかなり弾力的に考えていただいて、そのあり方を配慮した形が望ましいのだろうと思っております。
 ただし、これも既にある例の中で全てを民間でというのはやはりいろいろな支障を来すのではないか、複数あれば1カ所直轄型といいますか、直営型といいますか、直接行政がかかわる部分を担いながら、他の部分を民間が委託を受けて連携をとっていく。もちろん全てを直営、直轄というのは大変行政側の荷が重い部分があって、当然民間の活用という視点が大事だと思います。その総合相談の総合的なアセスメント、左側から右側に向けての一連の業務はソーシャルワークの機能であると理解されます。それはかなり専門的な業務であるということは間違いなく位置づけて考えることができると思います。これをどの場所でどのように担うか、さらに専門的機能を担う者が誰かということはしっかりと考えていただく必要があると思っております。
 それから、官民協働の支援体制の中で民間という中で幾つか列記されているわけですが、社会福祉法人と一言ございますけれども、社会福祉法人も非常に多岐にわたっております。しかし、社会福祉事業は60年余、最も日本の社会福祉を担ってきている歴史のある事業体でありますので、先ほどインセンティブという話がありましたけれども、やはりこの分野に対してより一層積極的に担うべきというところは強く強調して申し上げていいのかなと。
 そういう意味では、社会福祉法人の中で特に現実に今、このテーマの中でかかわっているところを具体的に申し上げれば、社会福祉協議会。これは全国の市町村社協にあります。それから、生活保護法による施設がございますので、そういったあたりがもちろん先頭に立ってやっていただくことが大事かなと思います。
 1点だけ、来年度の概算要求の中で貧困格差対策の強化は予算が上げられております。全くこの部会でのテーマに沿った内容でありますので、これは走りながら考えていくということなのかなと思っておりますが、具体的にはこの部会でもいろいろこれについて検討しながら来年度の事業に反映していくということだろうと思っておりますが、ちょっと確認をさせていただきたいと思います。以上です。

○宮本部会長
 次回もう2時間丸ごとございます。そこは完全に全て議論に充てる予定でございますので、そこを念頭に置いて御協力願いたいと思います。あと議題が2つほどございまして、これをどうしていくかという問題がありますけれども、あと手を挙げていらっしゃった方、櫛部委員、よろしいですか。

○櫛部委員
 細かいことはまた次回ということで、現場に22年いましたのでいろいろあるのですけれども、生活支援戦略、生活支援そのものを制度化する、あるいは立法化するという方向はやはり前進だというのが全体を読みますとあるのですが、生活保護と生活困窮者との間のグラデーションがどうなのかなというところが、書きぶり全体としてそういう感じがすごくします。これは今まで生活支援で欠けていたと思います。労働系にしても、社会福祉にしても、教育という観点がなかったという意味で重要なところではないかと。特に生活はプロセスなのだと私は思うのです。先ほど先生がおっしゃったように、生活はいろいろあるよといったときに、やはりそれはプロセスなので、ある目標を持って尻たたきをするというイメージよりも、そのプロセス自体が大事で、そこに当事者や支援者や役場がどうかかわるかという構図をつくるかがすごく大事なのではないか。そういう意味で当事者参加は相当決め手になってくるのではないかなと私は思っています。そういう意味での人材の育成であるし、あるいは担い手の育成なのだという観点で見ないとよくないのではないかなと私は思っております。
 私は今、役所を終えてから中間就労の発展ということでペイドワークをやっているのですが、役所は偉大なりだったなと改めて思います。役所の力がちゃんと発揮されるならば、もっと有効にされるならば、これはやはり力になるということを痛切に感じております。例えば中間就労を発展させるといったときに、いろいろ今、仕事を探しているのですけれども、年収2万円の国とは闘えないですよ。アイヌコタンにある民族衣装は1,050円で売っているのですけれども、それはそういうところでつくられているのです。その人たちに我々が参入していくのはとてもではないけれども難しい。
 ただ、地域でよく考えると、漁業の関連で何かあるという問題もあるので、それをどうやって育成していくかということで、今、12万の3分の1、4万くらい稼ぎたいということで受給者と集まりながらやっているのですけれども、皆さんこうおっしゃっています。結局働いても働かなくても同じじゃないと言っても、そうではないと。つまり税金を返したいとおっしゃっている。もう一つは、普通の人間として死にたいと言っている。これは1つはスティグマです。もう一つは発達要求だと私は見ておるのです。それをどう育成していくかというところが企業にできるかというと、なかなか今は厳しいです。優良企業は実は札幌へ出たいと思っています。ここでは売れないから札幌へ店を出したい。出ていかれないところだけが残っている状態の中で、企業がそれを育成するというのは非常に厳しいと考えますと、もうちょっといろいろな自治体の施策、あるいは雇用、産業、福祉をもっと一体的な地域政策の中でやっていかないと非常に難しいと思いました。
 そういう意味で例えば障害者の場合、AとかBで授産が成立するわけですけれども、企業内授産をもし設定するとしたら、Aでもない、Bでもない、こういう人たちのための同じような、似たようなワーキングがあるならばその足がかりができるのではないかとかいろいろあると思いますので、人手不足と福祉事務所の問題も言われていますが、それだけの問題ではなくて、むしろ逆に言えば自治体の役割がここで改めて脚光を浴びたなと私は思っています。以上です。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 もう時間を過ぎておりますけれども、もし次回にお回しいただけるのであれば。

○柏木委員
 では、次回の初めに。

○宮本部会長
 わかりました、では予約を入れておきます。すみません、私の不手際で、御協力に大変感謝を申し上げます。
 現地視察の報告等がございますけれども、これも次回でもよろしいですか、それともきょう簡単に。

○古都社会・援護局総務課長
 簡単にご説明します。
 資料2でございます。8月21日に横浜コースということでK2インターナショナル、あるいは横浜市寿プラザ、中区福祉事務所といったところを御視察いただきました。
 8月22日には新宿コースということで自立支援を行っていますふるさとの会、ホームレスの拠点相談所、チャンレンジネットを御視察いただきました。
 そして8月30日には千葉コースということで生活クラブいなげビレッジ、あるいは中核地域生活支援センターさんをご覧いただきました。誠にありがとうございます。
 事務局の責任で概要を簡潔にまとめておりますので、また何かございましたら御指導いただきたいと思いますけれども、これで概要の御報告にさせていただきたいと思います。お読みいただければと思います。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 それから、皆さんの机の上に内閣官房のほうでまとめた「社会的排除に至るプロセス」というレポートが配付されてございます。これは今、簡単に御説明いただきましょうか、それとももし可能であれば次回でも構いませんが、どうしましょう。

○阿部国立社会保障・人口問題研究所社会保障応用分析研究部部長
 よろしければ、今、御説明させていただきます。
 お配りしておりますのは、内閣官房社会的包摂推進室が行いました調査の報告書でございます。内閣官房社会的包摂推進室は平成23年4月から設置されておりまして、先ほど途中で退席しなければならなかったのですけれども、安田内閣官房審議官が室長で今も機能しております。
 報告書については後で読んでいただくとして、この報告書のハイライトだけ2点申し上げさせていただきたいと思います。
 これは高校中退ですとか、ホームレスですとか、非正規就労、生活保護受給者、シングルマザー、薬物・アルコール依存者、自殺という社会的排除の典型と思われるような若い人々の事例を、彼らの幼少期までさかのぼってどのようなリスクが潜在的にあったのかということを調べた調査です。
 1つ画期的な点は、先ほど縦割りというお話がありましたけれども、これらの方々がかなり同じプロセスで社会的排除に至ったことがわかったということ、つまり社会的排除のあらわれ方はホームレスであったり、若年シングルマザーであったり、自殺であったりといろいろあるのですけれども、彼らがたどってきた道は非常に似通っているということが1つわかったということ。
 もう一つは、やはりこのように複合的にいろいろなリスクがあるのですけれども、そこの中であのときにこういう支援の手が差し伸べられていれば、恐らく彼らはこういうふうにならずに済んだであろうというようなところまでさかのぼって話をしたというところです。ですので、今の生活支援戦略はどちらかというと排除になってしまった人たちにどうやって支援をしていくかという観点ですけれども、これはむしろ彼らがそうならないためにはどのような時点でどのような支援をするべきであったのかという観点から書かれた報告書です。後で読んでいただければと思います。ありがとうございました。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 短い説明ではもったいないくらいの中身だと思います。もし皆さんがお読みになって御質問等があれば、また次回に議論の素材としたいと思います。きょうは最後に怒濤のように非常に重要な、しかも建設的な議論があって、あえて私の判断でとめませんでした。その意味があったと思います。次回、今、委員の皆さんから出た非常に重要な論点について事務局からもいろいろ御回答いただきながら、さらに深めていきたいと思っております。
 それでは、最後に事務局のほうから次回の御案内をお願いします。

○古都社会・援護局総務課長
 本日もありがとうございました。
 次回は10月17日水曜日午前10時からの開催を予定しております。場所はグランドアーク半蔵門華の間でございます。今日と場所が違いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 それでは、きょうの特別部会をこれで終了させていただきます。


(了)

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