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2012年10月2日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会新開発食品調査部会新開発食品評価調査会議事録

○日時

平成24年10月2日(火)15:00〜17:00


○場所

厚生労働省共用第8会議室


○出席者

委員

梅垣委員(座長)、久保委員、志村委員、諏訪委員、西委員、宮川委員

事務局

森口基準審査課長、温泉川新開発食品保健対策室長、横田課長補佐、長坂室長補佐、岡崎専門官、木阪専門官

○議事

○岡崎健康食品安全対策専門官 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会新開発食品調査部会新開発食品評価調査会」を開催いたします。
 本日は御多忙のところ御参集いただき、厚くお礼を申し上げます。
 本調査会は平成23年1月の改選以来、初の開催となりますので、座長が選出されるまでの間、食品安全部の岡崎が進行を務めさせていただきます。
 初めに、森口基準審査課長より御挨拶を申し上げます。
○森口基準審査課長 基準審査課長の森口でございます。
 本日は大変お忙しい中、この調査会にお集まりいただきましてありがとうございます。
 また、先生方には日頃より食品安全行政の推進に当たりまして、格別の御理解と御協力を賜り、重ねて御礼申し上げます。
 この調査会は、健康食品に起因する健康被害発生時に、その被害実態の整理、原因物質、健康食品との因果関係の究明等、そういった調査審議をする目的で設置しているものでございます。そういった際には患者さんの個人情報等も扱うことから、部会の下に調査会という形で、通常はそういう場合には非公開で行うという形で行っているものでございます。
 そういった目的の調査会ですので、それが頻繁に行われるということは望ましくないことでございまして、委員任期は2年で改選、平成23年1月の改選でしたので、もうじき来年1月にまた再度改選の時期を迎えますけれども、前回の改選から今回初めての開催ということで、そういう点では良かったのですが、今回の審議、議題にもありますけれども、健康被害があったというわけではなくて、疑わしい、可能性があるものについて未然に検討を行うという趣旨で、開催させていただいたものでございます。
 本日の議題にありますように、厚生労働科学研究費においてアラキドン酸補給の安全性に関する研究という研究を行ったところ、このアラキドン酸は御承知のとおり必須脂肪酸でありまして、乳幼児用のミルクには添加が推奨されているといったようなもので、安全性については特に世界的にも問題ないのではないかと考えられていたものでございますが、今回、研究班のほうで、高用量投与した際に実験動物にいろいろ影響が見られたということで、このアラキドン酸を主要成分とする健康食品もあるということで、今回御審議をお願いしたところでございます。
 健康食品であっても、実験で見られたような高用量投与ができるような製品はないということで、そこは直ちに健康被害とか、そういうことになるようなことはないと私どもも考えておりますけれども、行政上の対応が必要かどうか御審議いただきたいと考えている次第でございます。
 個人情報は扱わないので、今回の会議は公開でさせていただいているところでございます。
 先生方には、それぞれ専門の立場から忌憚のない御意見をぜひ賜りますよう、お願いいたします。
 また、本日、参考人として板倉先生に御出席いただきまして、脂質代謝の専門家としての立場から御意見をいただくことになっております。板倉先生、お忙しい中ありがとうございます。
 以上、簡単でございますけれども、本日の会議の趣旨、目的等を話させていただきました。これをもって開会の挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○岡崎健康食品安全対策専門官 ありがとうございました。
 それでは、これから議事に入りますので、カメラ撮影はここまでとさせていただきます。
(カメラ退室)
○岡崎健康食品安全対策専門官 調査会の開催に当たり、平成23年1月の改選以降に7名の委員が新たに就任されましたので、事務局から御紹介させていただきます。
 梅垣委員でございます。
 志村委員でございます。
 諏訪委員でございます。
 西委員でございます。
 本日御欠席ですが、石川委員、曽根委員、宮野委員でございます。
 なお、新たな委員ではありませんが、松崎委員が御欠席との連絡がありました。
 したがいまして、本日は委員総数10名のうち、現時点で6名の御出席をいただいており、出席委員が過半数に達しておりますので、本日の調査会が成立いたしますことを御報告申し上げます。
 さらに、本日は元国立健康・栄養研究所臨床栄養部長で、脂質代謝の専門であられる板倉弘重先生に参考人として御出席いただいております。
 では、本日の議題についてですが、お手元の議事次第にございますように、1つ目として「調査会座長の選出について」、2つとして「アラキドン酸補給の安全性に関する研究(厚生労働科学研究)結果に対する行政対応の必要性について」を御審議いただき、最後に事務局から御報告を申し上げます。
 まずは、本調査会の座長の選出に入りたいと思いますが、薬事・食品衛生審議会令において、所属する委員の互選により選任することとされております。どなたか御推薦いただけますと幸いです。
○志村委員 梅垣委員を御推薦します。新開発食品調査部会の委員を務められておられて、健康食品の被害情報あるいは成分検索などの情報も発信され、長らく健康食品の安全性に取り組んでこられたということで、この調査会の座長として適任ではないかと思います。
 以上です。
○岡崎健康食品安全対策専門官 ありがとうございます。
 志村委員より、梅垣委員を御推薦いただきましたが、ほかに御推薦等ございますでしょうか。特に異議なしでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○岡崎健康食品安全対策専門官 それでは、梅垣委員に座長をお願いすることで御異論がないようですので、梅垣委員、調査会座長をお引き受けいただけますでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、梅垣委員には調査会座長席にお移りいただき、以降の議事の進行をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○梅垣座長 ただいま調査会座長を仰せつかりました、梅垣と申します。
 私は先ほど御紹介いただきましたように「健康食品」の安全性・有効性情報データベースというものを運営しています。これは新開発食品保健対策室といろいろ連携して作っているものです。そういうものを作っているという経緯で今回、座長を仰せつかったと思っています。
 健康食品というのは定義がなくて、いろいろなものがあって、今日御審議されるアラキドン酸のように普通食べているものから、ほとんど今まで食べていないようなものなど、さまざまなものが出ています。そういう中で、安全性を考えるときに、いろいろな視点で考えなければいけないということで、委員の先生方の御専門の立場からいろんな御意見をいただければと思います。それでは、よろしくお願いします。
 まず、資料の確認をさせていただきます。机の上の資料の議事次第用紙の配布資料にありますように、資料1〜資料3の3つの資料で進めていきたいと思います。資料の不足や落丁等ございましたら、事務局まで御連絡いただければと思います。特にございませんか。
 ないようでしたら、アラキドン酸補給の安全性に関する研究(厚生労働科学研究)結果に対する行政対応の必要性の審議を行います。
 まず初めに、事務局から説明をお願いします。
○岡崎健康食品安全対策専門官 事務局の説明の前に、今回参考人として御出席いただいている板倉先生より、アラキドン酸について御説明をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○板倉参考人 アラキドン酸については、委員の方々はよく御存じだと思いますけれども、どんなものかということを簡単に説明させていただきたいと思います。
 資料3に今日お話することを用意しておりますが、人間の体は脂肪酸が重要な構成要素として存在しております。その主な脂肪酸が最初のページに出ておりますけれども、大きく分けますと飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸ですけども、この飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸は食事からも入ってまいりますが、食事の脂肪酸からもそのまま入ってまいりますけれども、糖質からも体内で飽和脂肪酸が作られ、そしてオレイン酸まで合成することができ、そしてこれらの脂肪酸は主に中性脂肪として存在して、脂肪組織に多く存在し、体の中ではこれが燃えて、エネルギー源として利用されております。
 これに対して、二重結合が2個以上ついた多価不飽和脂肪酸。これは体内では合成されませんので必須脂肪酸と呼ばれています。これらが体内で欠乏してまいりまと、皮膚症状あるいは神経症状、生殖機能の低下等のさまざまな欠乏症状が現れてまいります。
 この多価不飽和脂肪酸は二重結合の位置によって、この図では一番端のほうにメチル基があるのですけれども、そのメチルから考えて6番目のところから二重結合が始まるn-6系の脂肪酸、オメガ6とも言われます。
 もう一つは、3番のところから二重結合が始まるn-3系、あるいはオメガ3系があって、このn-6系とn-3系の間では相互に移行することは人間ではありません。そして、元になるリノール酸、α-リノレン酸は体では作られませんので、食べ物からともに摂るということが必須になっています。そしてリノール酸からアラキドン酸等が作られてまいります。したがって、アラキドン酸は体の中でリノール酸から作られるという特徴がありますけれども、同時に食べ物からも体の中に取り込まれております。
 この代謝について、また後でお話しますが、このリノール酸からアラキドン酸に行く経路、α-リノレン酸からEPA、DHAと変化される経路は、そのとおり流れて行くわけではなくて、途中で大きな代謝の制約を受けております。したがって、体内では存在する分布が変わってきますけれども、これらの多価不飽和脂肪酸の特徴としては、主にリン脂質として人間の体では存在し、そして細胞膜の構成成分として非常に大事な役割をしています。
 それが次の図に書いてありますが、リン脂質としてはこの脂肪酸、ここではホスファジルコリンを例に挙げておりますけれども、一番上のほうにリンの化合物が結合し、そして一番端のほうに主に飽和脂肪酸等の脂肪酸があって、その次に二重結合を2つ以上持った多価不飽和脂肪酸が主に結合して存在しております。立体構造で示しますと、二重結合があることによって、分子の形態として折れ曲がったような構造をとっております。したがって、このリン脂質が細胞膜を構成するときに、この次の右側のところに細胞膜の模型図があるのですが、このリン脂質も二重層という形で存在しておりますので、リンの部分が水になじみがある親水性の部分、それから、脂肪酸の部分が疎水性であり膜の内側を構成し、そして反対側の細胞内のところに親水性のリンの部分が存在するという形をとっています。人間の体はおよそ60兆個ほどの非常に多数の細胞から構成されていますけれども、それらの細胞の細胞膜でこのリン脂質が機能を担うということになります。
 そして、この下にリノール酸、α-リノレン酸の例を挙げて、細胞膜の模型が書いてありますけれども、この細胞膜が流動性を持ち、あるいは細胞の内外で物質の転送をする場合に、この折れ曲がった部分、脂肪酸の二重結合の場所で折れ曲がっているということが、この膜の中でスペースを形成して、そして膜機能を円滑に行うためには必須の構造物となります。
 したがって、細胞の食品を私たちが摂る場合でも、細胞膜を多く持った物質というのは多価不飽和脂肪酸を多く含み、例えば肉の脂あるいは油脂を摂る場合には、ほとんど中性脂肪ですので不飽和脂肪酸とオレイン酸を多く含んでおります。
 このように、二重結合を2個以上持ったもの、この上にありますリノール酸、アラキドン酸、α-リノレン酸、EPA、DHA、これらは細胞膜を構成するリン脂質成分として人体には必須物質であります。
 では、人体に大体どのくらいの割合で存在しているか。その次の図に示します。これは血清成分中の脂肪酸構成なのですけれども、日本人で調べた値、それから、磯先生がこれまで報告されました日本人、アメリカ人のデータ等を示しております。
 この中で最初にJELISと書いてあるのが、私たちが2万人の人を対象に検査した結果であります。脂肪酸は左からパルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、EPA、DHA、リノール酸と最後にアラキドン酸が出ております。これらの脂肪酸の種類によって量はかなり違うのですけれども、日本人とアメリカ人との差はそれほどでなく、脂肪酸構成比はほぼ一定に調節されています。個々の脂肪酸でみますと、日本人とアメリカ人とで食生活がかなり違っておりますので、ちょうど真ん中にありますEPA、DHAは欧米人では非常に血中濃度が低くなっております。これは食べ物の影響がEPA、DHAで非常に強く出やすいということを表しておりますが、一番右端にアラキドン酸があるのですけれども、アラキドン酸は欧米人は肉食その他が多いため、あるいはリノール酸の摂取量が多いからアラキドン酸への移行がやや多いかもしれないのですが、意外とその差というのはこの図で見ますように非常に小さいですね。確かに欧米人、Caucasianはやや多めですけれども、それほど大きな差はない。ここではJapanese American、Caucasian Americanとして出ておりますが、オメガ3系、n-3系の脂肪酸と比べるとn-6系のアラキドン酸では大きな差がなく、やや多い程度であります。
 血清中の脂肪酸組成はある一定の幅のなかで分布しています。これは血清中で脂肪酸の一部は遊離脂肪酸として存在しますが、多くはリポ蛋白の形で存在しておりまして、リポ蛋白中の中性脂肪では飽和脂肪酸とオレイン酸が多いのですが、リポ蛋白のリン脂質では多価不飽和脂肪酸が多く存在し、これがこのような血清中でのバランスという形であらわれてまいります。
 人間の組織を考えますと、例えば脳神経系とか筋肉とか、脂肪が少なく細胞の集まった組織では膜を構成するリン脂質の脂肪酸が多く含まれています。特に神経系では細胞膜が神経伝達に重要な役割をしており、アラキドン酸とDHAが非常に多く存在しております。これに対してEPAは脳神経系の細胞膜では比較的少なくなっており、細胞によって細胞膜の脂肪酸組成が異なっていることも分かっています。
 このEPAとアラキドン酸のもう一つの特徴は、その次の図にありますけれども、このアラキドン酸とEPAはリン脂質を構成している脂肪酸ですが、リン脂質を分解するリン脂質分解酵素、phospholipaseの働きでこれらの脂肪酸が遊離し、それがいくつかの酵素作用などによりプロスタグランジンとか、ロイコトリエンなどの物質に変化して、非常に強い生理機能を発揮してまいります。
 人間の体は何か傷害を受けたときに炎症として反応が起こり、そして、その臓器の炎症反応を修復していく機構が存在しておりますけれども、そこにこれらの多価不飽和脂肪酸が重要な役割をしております。一般にアラキドン酸は、この次の図にありますように機能が大体強く、そしてEPAの機能がやや弱いという傾向があります。細胞膜の脂肪酸はその炎症を強くするということと、炎症を起こすことによって、その修復にも影響が出てくるということになります。
 この炎症に関連する物質についていろいろな種類とその作用が分かってきております。脂肪酸の代謝として全体の図が書いてありますが、ここにももう少し詳しく多価不飽和脂肪酸から作られる分子が書いてあります。多価不飽和脂肪酸のほうを見ていただきますと、リノール酸からアラキドン酸ができる。その過程でγ-リノレン酸、ジホモ-γ-リノレン酸ができていきますけれども、このジホモ-γ-リノレン酸とアラキドン酸から、第1グループあるいは第2グループの今のプロスタグランジンとかロイコトリエン、リポキシン等ができていきます。また、アラキドン酸からできるもう一つ特徴的なものとして、アナンダミドというものも見つかってきております。
 n-3系のα-リノレン酸から、EPA、DHAが生成されてきますが、このうちEPAからこのアラキドン酸と対応して、同じような構造のよく似たプロスタグランジン、ロイコトリエン等ができてきます。
 細胞膜に何か侵襲が加わったときに、アラキドン酸やEPAが活性物質に変化する、このような機能性を持って存在しておりますので、このアラキドン酸とEPAが細胞膜にどのような割合で存在するかということが、その炎症反応の変化に影響してまいります。
 EPAからDHAができていくのですが、DHAからはこれらのプロスタグランジン、ロイコトリエン等はできません。しかし、最近分かってきたのはEPAからレゾルビン、DHAからレゾルビン、プロテクチンという物質ができるということが分かって、これらは炎症を収束させる作用を持っているということであります。
 炎症を起こすということは、傷を治すということでも大事ですので、アラキドン酸、EPAの役割は大きいのですけれども、もう一方、起こった炎症を抑えるために、またEPA、DHA等が働いてくることになります。
 このように、生体では体の機能と構造に応じて脂肪酸が一定の割合で存在していることが大切です。飽和脂肪酸、それも長鎖のものと、一価不飽和脂肪酸のオレイン酸のような、非常に安定して酸化されにくい脂が脂肪組織に貯蔵され、そして機能を持った脂として多価不飽和脂肪酸が細胞膜に存在しており、体の脂肪酸の分布割合は生体がコントロールしております。このコントロールはいろいろな酵素あるいはトランスポーター等によってなされ、体の中の脂肪酸比率を大きく変えないように、例えば食事から取り込まれる脂肪酸量を変化させても、体の中では大体一定量になるような調整が人間では行われております。
 それでは、人は大体どのくらいの食事を摂るのが好ましいか。あるいは実際にどのくらい摂っているか。脂肪酸の摂取基準については、日本人の食事摂取基準からピックアップしたものを示しております。飽和脂肪酸としては総脂肪摂取量が10g以下だと、死亡率が10g以上の人と比べると2倍になるということで、飽和脂肪酸はおよそ10gよりちょっと多めぐらいは摂ったほうが良いとされています。最近は欧米諸国では飽和脂肪酸を摂り過ぎているから、食品表示で飽和脂肪酸含有量を示し、なるべく摂らないようにしたほうがいいということで、いろいろ検討が行われております。日本人は飽和脂肪酸をそれほど多く摂っていないのですが、10gぐらいは摂った方が望ましいということが示されております。
 一価不飽和脂肪酸。これは食事摂取基準では摂取量の設定はされておりませんけれども、総脂肪の摂取割合は、エネルギーとして大体20%〜30%ぐらいの間が望ましいとなっておりますので、これからその他の脂肪酸を引いた残りとして出ておりますので、大体十数gぐらいが基準値として出てまいります。
 多価不飽和脂肪酸では、n-6系のアラキドン酸について研究は少ないということで記載がされておりません。主にリノール酸について設定されておりまして、年齢によってその量が違うのですけれども、これは体の体重に応じて変わってまいりますので、体の小さい場合には摂取量は少なくするし、多い場合には量を多くする。脂肪酸は機能性を持っているとともに、エネルギー源としても使われていますので、量を摂り過ぎると肥満になるし、大体体重に応じて量が規定されております。そして、ここでは仮に30〜49歳のデータを示しておりますけれども、目安量としては大体男性10g、女性はやや体が小さいので9gです。
 n-3系の脂肪酸では、およそエネルギーで大体2.2%E、女性は1.8%Eと基準が設定されています。
 n-3系脂肪酸のなかでも、EPA+DHAは1g以上摂取することが推奨されています。n-3系の脂肪酸のなかではα-リノレン酸が多く摂取されておりますので、n-3系脂肪酸としては1日大体2.5gぐらいを多くの人が摂っているということになります。
 これを実際に食事から摂られているのを調査して、それぞれの脂肪酸について摂取量を計算したのが最後の表になりますが、ここでは日本人の主な脂肪酸摂取量の50パーセンタイル値として示されています。
 平成17年から18年度の国民健康・栄養調査から、30〜49歳の値をここに拾ってまいりました。男性2,110人、女性2,291人のデータですけれども、飽和脂肪酸がそれぞれ15.0g、13.8g、一価不飽和脂肪酸は20.6g、27.6gぐらい摂っておりまして、n-6系の脂肪酸は10.2gと8.7gです。n-6系の脂肪酸はこれだけの数値で、日本人の食事摂取基準では98%がリノール酸から摂っているということで、残りをアラキドン酸とほかのγリノレン酸等にしますと、この下のほうに計算してありますけれども、アラキドン酸は男性が大体204mg以下ぐらい、女性は174mg以下ぐらいを摂っております。そして、この委員の先生方のお手元にいろいろな資料がありますが、その中に徳留先生の資料があって、そこではアラキドン酸としては、1日143±37gを摂っているというデータが出されております。
 欧米の成績、Western-style dietsではアラキドン酸はどのくらい摂られるかというデータを、ここに示した文献から見ますと、大体1日50〜300mgぐらいを摂取しているとされています。そして、この文献では1日摂取量、アラキドン酸をおおよそ1.5gという、かなり大量に摂っても、そこまではいろいろな健康成人の生物学的マーカーには影響が見られないけれども、それ以上だとマーカーに影響が現れてくるということが、ここで報告されています。
 n-3系脂肪酸について、以下ここに挙げておりますけれども、こういう日本人の実際の摂取状況を見ますと、この前のページの日本人の摂取基準の示されているものが、およそ大体日本人の摂取量から導き出されていることが伺うことができますし、したがって、日本人が大体摂取しているこの量は、長い間、日本人が日常の食生活の中で食経験のある量は大体このぐらいだろうと。これが多くの日本人の健康に関係している必要量あるいは推奨量に近いものと考えることはできるかと思います。
 以上、整理させていただきました。
○梅垣座長 ありがとうございました。
 引き続き、事務局から説明をお願いします。
○岡崎健康食品安全対策専門官 資料1を使って説明させていただきます。
 まず資料の修正がありますので、そこを修正していただければと思うのですが、10ページ目「3.摂取量の推計」「4.各実験のARA用量比較」と続くのですが、番号がずれていまして、3が4、4が5、5が6、6が7になります。
 そうしましたら1ページ目に戻っていただいて、御説明させていただきます。
 「アラキドン酸補給の安全性に関する研究(厚生労働科学研究)結果に対する行政対応の必要性について」ということで「1.概要」といたしまして、平成22、23年度の厚生労働科学研究において「アラキドン酸補給の安全性に関する研究」を実施いたしました。この研究においてアラキドン酸は「癌、炎症、自発運動上昇・運動機能低下など全てにわたって、促進的に作用する可能性が示された。動物実験で催奇形性という根本的な安全性の問題が認められ、この問題が解決しない限り、一般者の補給は勧められない」と結論付けられております。
 これらの報告を踏まえまして、アラキドン酸を含有する食品について行政対応の必要性について、本調査会において御審議頂き、報告の取りまとめを依頼することにしております。
 なお、今回の新開発評価調査会におきましては、各研究の(1)、(7)、(8)、(9)、これは9ページ目にまとめているのですが、これらの研究の内容につきましては健康被害に関係する内容ではないということ、n-3系脂肪酸を欠乏させた動物での実験など、通常の日本人の栄養状態では想定しにくいモデルですので、審議の対象とはしないとさせていただきました。
 続きまして「2.ARAについて」ですが、先ほど板倉先生からの御説明にもあったとおり、必須脂肪酸の一種であり、卵や肉、魚等動物性の食品に多く含まれています。人間の体内で必要量を合成することができず、食事から摂取する必要があり、通常の食事から1日平均約150mg摂取しております。
 その安全性につきましては、先ほど課長の御挨拶の中にもあったとおり、アラキドン酸含有トリグリセリドとして米国及びカナダではGRAS(一般的に安全とみなされた物質)、欧州(EU)ではNovel Foodに認定され、2007年7月に開催されたCODEXの委員会総会では、ベビーミルクの規格において「DHAを配合する場合、同量以上のARAの配合を推奨する」ということが合意されております。
 現在、サプリメントとして流通している製品でアラキドン酸含有トリグリセリドは、微生物を使用した発酵法で培養し、乾燥、粉砕、遠心分離などを経て生産されております。
 この製品は、ARA、DHA、EPAを配合した製品であり、1日摂取目安量として6粒(ARAとして120mg)と設定をされております。
 2ページ「3.各研究概要」としまして「(2)脳卒中易発症高血圧自然発症ラット(SHRSP)を用いるアラキドン酸の病態進行に対する影響の検討」。
 この研究の目的としましては、アラキドン酸投与が脳卒中易発症高血圧自然発症ラット(SHRSP)における炎症性病態(高血圧、血管傷害、脳出血等)を増悪するか否かを、医薬品非臨床試験ガイドラインに準じた13週間(90日間)反復投与毒性試験を実施して評価することになっております。
 【方法、結果、検討ポイント】【ARA用量・投与期間】雌雄それぞれ32匹のSHRSPを1群8匹からなる4群に分けて、0〜240mgの4用量を13週間反復経口投与しております。
 【評価項目】としましては、一般症状、体重、血圧など、ごらんの項目を評価の項目としております。
 【結果】としましては、雌の240mg/kg用量で血液生化学検査のリン脂質濃度が低値を示した。その他、体重、血圧、血液学等の検査では群間差は見られていません。詳細については11ページの別紙1を御覧ください。
 【検討ポイント】といたしましては、まず1ポツ目として血漿中リン脂質濃度への有意な影響を有害効果と考えた場合、有害効果は認められない量である35mg/kg摂取するためには、50kg換算で1,750mgとなりまして、通常の摂取量150mg/50kgの11.7倍となること。また、先ほど紹介した上記2.のサプリメントを追加で摂取したとしても、6.4倍程度の摂取が必要となることから、通常の食事では想定できる摂取量ではないと考えております。
 また、文献が示されておりまして、日本人高齢者にARA油を通常の食事の4〜5倍程度を4週間摂取させた論文では、リン脂質の変動は認められていない。
 高度不飽和脂肪酸(DHAやARAなど)の摂取が血漿リン脂質を低下させることは、よく知られているという論文が示されております。論文は資料の後ろに付けております。
 以上でございます。
○梅垣座長 ありがとうございました。
 それでは、ここまでについて何か御質問とか御意見はございますか。
○久保委員 板倉先生に御質問なのですが、資料の7ページのCalder PC 2007の論文なのですけれども、私はこれ分からなかったのですが、1.5gというのはかなりの量だと思いますけれども、健康成人の生物学的マーカーというこのマーカーは、具体的にどういうマーカーだったのかということと、投与期間が私は一番問題だと思うのですが、期間はどのくらいだったのか、お知りになっていらっしゃったら教えていただきたい。
○板倉参考人 Calderさんの文献はエディトリアルとしてのもので、調査された内容については、この論文には出ていないので詳しいことはわかりません。マーカーとしては多くは炎症反応、InterleukinとかTNFαとか、そういうマーカーと、あとは血清の脂質とか血圧とか、そういうごく一般的な検査マーカーであったと思います。投与期間は分かりません。以上分かっている範囲はこの程度です。
○久保委員 ありがとうございます。
○梅垣座長 ほかにどなたか御意見ございますか。
○志村委員 板倉先生にお伺いしますが、先ほど先生が御紹介くださった徳留先生の論文を見ますと、リノール酸の摂取量は大体10gぐらいであって、アラキドン酸は150mgぐらいです。血清のレベルは、リノール酸が90mg/dl、アラキドン酸は十数mg、20mg近いということですので、血中のアラキドン酸は、ほとんどがリノール酸由来と考えてよろしいのかどうかというところなのです。よろしくお願いいたします。
○板倉参考人 このリノール酸からアラキドン酸に行く過程で、デサチュラーゼ活性が遺伝子の個人差がいろいろあって、かなり行く人と行かない人があるということがレポートされております、したがって、個人差はある程度考慮しないといけないのですが、例えばベジタリアンのようにほとんど卵も肉も魚も食べないような人でも、アラキドン酸量がある程度存在しております。そういう意味でリノール酸からアラキドン酸に行く割合というのは、そう多くはないのですけれども、体内に存在しているアラキドン酸の多くはリノール酸由来であることは間違いないだろうと思うのです。
 また、徳留先生のレポートでも、食事の摂取量と血中濃度の間の相関係数を出しておるのですが、そうすると、その相関係数が0.3ぐらい。余り高くないけれども、脂肪酸の中ではやや高めに出ているということで、血中のアラキドン酸のうちの何割がリノール酸由来で、何割が食事由来かというのはなかなか難しいのですが、リノール酸から行く量もかなりのところがあるのではないかと思います。
○梅垣座長 よろしいですか。ほかにどなたか御意見ありますか。
 ないようでしたら次の項目に行って、御意見があればまた戻ってということで対応したいと思います。
 それでは、次の項目の御説明をお願いします。
○岡崎健康食品安全対策専門官 続きまして、3ページになります。「(3)アラキドン酸補給の炎症への影響の評価」ということで、【目的】としましてはARAの補給が炎症性疾患に影響を与えるか否かを調べることを目的とし、ARAを投与したラットに炎症性大腸炎を誘導するデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)を経口投与し、誘導された大腸炎の程度や頻度などを評価した。また、DSSを投与しない群も設定し、正常動物への影響の有無を評価することも目的としております。
 【方法、結果、検討ポイント】【ARA等用量・投与期間】としましては、雄のWistarラット60匹を1群10匹に分け、(1)DSS投与群につきましてはARAを0〜240mgの4用量投与しております。(2)としましてはDSS投与なし群として、ARAを0と240mgの2用量群を設定し、合計6群に8週間の反復経口投与をしております。
 【評価項目】といたしましては、症状観察、体重、摂餌量、摂水量、便性状など、御覧の項目になっております。
 【結果】としましては、DSS投与の240mg/kg用量にて大腸粘膜下組織の浮腫の増加、炎症性マーカーのMPO活性の上昇、マクロファージの浸潤促進が認められております。その他の用量、項目では顕著な変化は認められておりません。
 【検討ポイント】といたしましては2点ありまして、まず1点目としましては、報告書の中に240mg用量は市販品の1日摂取目安量の50倍に相当する。また、ARA補給が炎症性大腸炎を顕著に促進する可能性は低いと考えられると考察されております。
 2点目ですが、仮にARA補給が炎症性大腸炎を促進する可能性があると考えた場合、促進効果を認めない量である35mgを摂取すると50kg換算で1,750mgとなり、通常の摂取量と比較すると11.7倍になるということと、上記2.で記載したサプリメントを追加で摂取した場合であっても、6.4倍程度の摂取が必要となることから、通常の食事で想定される摂取量ではないと考えられております。
 以上です。
○梅垣座長 ありがとうございます。
 それでは、ただいまの件について御質問、御意見ございますか。よろしいですか。
 ないようでしたら、また次の御説明をお願いします。
○岡崎健康食品安全対策専門官 続きまして4ページになります。「(4)胎仔期のアラキドン酸が乳癌発症に及ぼす影響」。
 【目的】としましては、がんの発生・増殖・転移には脂肪の摂取量とともに、その種類が影響する。n-6系不飽和脂肪酸であるARAについては、疫学的にがんの発生と関連するという報告や、高濃度で殺細胞効果があるとの報告も見られるが、詳細な検討は乏しい。一方、ARAは母乳に含まれる必須脂肪酸で、胎児期から新生児期にかけて脳神経系・網膜組織に多い脂肪酸であり、ベビーミルクの規格においてARA配合が推奨されているが、新生児暴露によるがんの発生・増殖に関する報告はない。ARA補給が乳がん細胞に及ぼす影響について、細胞培養実験並びに動物発がん実験で検討し、ヒトへの外挿を考察したという目的になっております。
 【方法、結果、検討ポイント】といたしまして、ヒト乳癌細胞株KPL-1を24時間培養し、その後10〜200μMのARAを24〜72時間連続暴露し、MTTアッセイを実施した。
 その結果としましては5ページ【結果】(1)にあります、いずれの暴露時間においても、ARA200μMでMTTの低下傾向が見られたという結果になっております。
 4ページ(2)BALB/c-nu/nu系雌マウスに2.5×106cells/animalのKPL-1ヒト乳癌細胞株を右腋窩乳腺組織内に移植し、10日後からARA10μLを1日おきに原発腫瘍塊内に直接投与した。なお、対照群として同様の乳癌細胞株を移植した動物に0.2%エタノールを投与した群を設定しております。各群の一般状態や生死確認、体重、触診、腫瘍サイズなど、御覧の項目を調査しております。
 その結果としましては、5ページ【結果】(2)に記載しているとおり、両群とも調査項目に有意な差は認められておりません。
 1つ飛ばしまして(4)に行きます。雌雄ルイス系ラットを購入後交配させ、交配期1週間、妊娠期3週間、授乳期3週間にARA添加食0.13〜2.01%を摂食させております。離乳以降実験終了までは市販飼料を摂食させております。出生した雌の仔ラットの50日齢時に50mg/kgN-メチル-N-ニトロソ尿素を単回腹腔内投与し、21週齢まで各群について一般状態や生死確認、摂餌量など、御覧の項目を調査しております。
 【結果】としましては、両群とも調査項目に有意な差は認められておりません。
 4ページの(3)に戻りまして、(2)の系統の雌マウスに2週間ARA添加食0.13〜2.01%を摂食させ、同様に人乳癌細胞株を右腋窩乳腺組織内に移植をしました。対照群として基礎食(ARA含有0.008%)を摂食させております。35日後に全ての動物を解剖し、(2)の調査項目と同じ項目、一般状態、生死確認、体重、腫瘍サイズなど、御覧の項目を調査しております。
 その結果としまして、5ページ【結果】(3)に記載しているとおり、腫瘍サイズ(体積、重量)及び乳腺腫瘍のBrdU陽性率が、高用量群2.01%で有意に増加したという結果になっております。その他の項目は、両群とも有意な差は認められておりません。
 【検討ポイント】といたしましては2つありまして、実験(3)で有意な差が生じた腫瘍サイズについては、高用量での結果であるということがまず1つ目です。
 2つ目としては、報告書で上記腫瘍サイズの有意差について、腫瘍細胞への直接的な作用というよりは、血管新生に対する作用など、他の間接的なメカニズムが関与している可能性が記載されております。
 【最大無毒性量と摂取量の比較】(3)実験の結果、ARA添加食中用量の0.50%を最大無毒性量とした場合、体重50kg当たり5万3,500mgとなり、通常の摂取量の356倍。また、上記2.のサプリメントを追加で摂取した場合であっても198倍程度の摂取が必要となることから、通常の食事で想定できる摂取量ではないと考えております。
 以上です。
○梅垣座長 ありがとうございました。
 この件も、先ほどの件も、アラキドン酸を単独でしかも高用量を投与したときに認められた現象です。アラキドン酸は食品成分で普段摂っているものですから、それをどう考えるかというのは問題だと思います。先生方でほかに何かこの件で御意見ありますか。ございませんか。
 そうしたら、次に行きたいと思います。御説明をお願いします。
○岡崎健康食品安全対策専門官 続きまして6ページになります。「(5)アラキドン酸等の脂肪酸摂取がラット炎症病態やマウス眼組織の形性に及ぼす影響について(アラキドン酸等の脂肪酸摂取のラット炎症病態影響については、脂質メタボローム解析手法の確立、有効性の検証のため以下目的等は省略)」。
 【目的】といたしましては、ARAを過剰摂取すると、特定系統の雌性マウス胎仔において、ある程度の頻度でがん組織の発達異常が発生することが報告されております。これらマウス胎仔のがん組織における脂質分子の変動を詳細に解析することにより、ARAの過剰摂取が雌性マウス胎児の眼組織の発達異常に及ぼす機構について、検討したということが目的となっております。
 【方法、結果、検討ポイント】としまして【実験動物】はC57BL/6系統雌雄マウスを使っております。
 【ARA等用量・投与期間】につきましては、交配2週間前から(1)普通食、(2)普通食にARA4%強化、(3)普通食にDHA4%強化、(4)普通食にARA、DHAを両方4%強化した食餌を投与しております。
 【評価項目】としましては、各群マウス胎仔の眼組織のリン脂質を定量しております。
 【結果】としましては、雌胎仔眼組織において、普通食にARA4%強化した食餌を投与した場合に、リゾリン脂質の含量が5〜9倍高かったが、その他のリン脂質含量に大きな変化は認められておりません。また、その他の各群においてもリン脂質含量に大きな変化は認められておりません。
 【検討ポイント】としましては全部で6つありまして、まず1つ目がARAを強化した食餌を投与したマウスの実験で、眼の発達異常が報告されている。その際のARA投与量は1用量のみで360mg/kgと仮定できます。この報告で眼の発達異常が認められるのはC57BL/6系統雌マウスのみであり、同系雄マウス、C3H系マウスでは異常は認められておりません。
 2つ目としまして、ARA油は上記2.に記載したとおり、安全性(子宮内曝露を含むラット亜急性毒性試験やラット催奇形性試験で眼の異常がないことが確認されている)が確認されております。
 3つ目としまして、報告書にリゾリン脂質の蓄積が眼の発生や形態形成とかかわっていることが示唆されたと記載されております。
 4つ目として、報告書にARAとDHAを添加することにより、リゾリン脂質の蓄積が認められなくなった。したがって、DHAはARAの効果を打ち消す作用を有していると考えられると記載されております。
 5つ目として、普通食にARA4%強化した食餌について、ARA投与量として360mg/kgと仮定した場合、50kg換算で1万8,000mgとなり、通常の摂取量の120倍となること。また、上記2.で記載したサプリメントを追加で摂取した場合であっても、66倍程度の摂取が必要となることから、今回の実験と同様量のアラキドン酸を単独で摂取できる食品は、現在のところ流通しておりません。
 7ページに移りまして6ポツ目として、上記2.のサプリメントはARAとDHA、EPAが配合されております。
 以上でございます。
○梅垣座長 ありがとうございました。
 ただいまの項目について、先生方で御意見とか御質問ございますか。
 例えばアラキドン酸単独の製品があったら問題なのですが、今、ないというのと、ここの報告書で書かれていますけれども、アラキドン酸とDHAを併用していると問題はないということです。現時点でアラキドン酸単独の製品はないということなので、問題にはならないのではないかと思われます。
 ほかにございませんか。ないようでしたら次の説明をお願いします。
○岡崎健康食品安全対策専門官 資料の8ページ目になります。「(6)発がんプロモーション過程への影響評価」。
 【目的】としましては、ARA摂取の安全性については単回投与試験、反復経口投与試験はあるものの、発がん性についての検討はin vitro評価系において変異原性がないという報告があるのみで、動物を用いた発がん試験の報告はありません。そこで、ARAの発がん促進効果を評価する目的で、ラットを用いた中期多臓器発がん試験を実施しております。
 【方法、結果、検討ポイント】としましては【実験動物】としてF344系雄ラットを用いております。
 【ARA等用量・投与期間】としましては、F344系雄ラット100匹を1群20匹の5群に分けて、そのうちの4群にイニシエーター処理を行って、ARA投与を0〜1,000mgになるように調整した食餌を24時間自由摂取させております。
 もう一つ、対照群として(2)の1群はイニシエーター処理を行わず、ARA投与量が1,000mg/kgとなるように調整した食餌を24時間自由摂取させております。
 ARAの実際の摂取量は(1)群の低、中、高用量群でそれぞれ70、292、1,183mg/kg、(2)群で1,060mg/kgでありました。
 【評価項目】としましては、一般状態、体重、摂餌量、ARA摂取量、血液学的検査など、御覧の項目を評価項目としております。
 【結果】としましては、組織学的検査において膀胱の乳頭腫が対照、低、中、高用量群でそれぞれ1、3、5、7例発生し、高用量群で有意差が認められ、用量とともに発生頻度も増加し、投与終了時生存例における発生頻度も高用量群で有意に高かったとなっております。結果については12ページの別紙2に掲載しております。
 【検討ポイント】としましては2つありまして、まず1つ目として発がんプロモーションの作用を持つと仮定した場合、高用量群で有意差が認められている。2つ目として、ARA油が発がんプロモーション作用を持たないこと及び膀胱における細胞増殖活性がないことが、既に論文で報告されております。
 【最大無毒性量と摂取量の比較】中用量の292mg/kgを最大無毒性量とした場合、50kg換算で1万4,600mgとなり、通常の摂取量の97.3倍となること。また、上記2.で記載したサプリメントを追加で摂取した場合であっても、54.1倍程度の摂取が必要となることから、通常の食事で想定できる摂取量ではないと考えております。
 以上です。
○梅垣座長 ありがとうございます。
 先生方で今の件について御意見、御質問ございますか。
○志村委員 ARA油が発がんプロモーション作用を持たないことを報告したこの6−1の文献とは、既にFood and Chemical Toxicologyにパブリッシュされている論文で、かなりしっかりした研究であるという印象を持ちました。例えば食餌はAIN-93Mを使ってということで。一方、報告書の研究についてはパブリッシュされているのかどうかという辺りと、市販の粉末飼料を使っているというところで、そういうところの違いがあるのかないのかということ。AINは抗酸化剤とかしっかり入っていますし、報告書の食餌のほうではそういったものが入っているのかどうか、その辺が少し気になるところかなと思います。
○梅垣座長 ありがとうございます。
 事務局からお願いできますか。
○岡崎健康食品安全対策専門官 今回の結果につきましては、特に論文化されているということは今のところ確認できておりません。
 あと、餌のGLP管理だとか、そういったことについては特段確認しておりません。報告書にも記載はありません。
○梅垣座長 志村先生がおっしゃったように、これは不飽和脂肪酸ですから、餌をどう与えているかがかなり影響してきます。だから、そういうところも報告書では分からないですね。
 それから、アラキドン酸油を使ったというのですけれども、どのような原材料を使ったというのが重要です。名前は同じでも作り方によってかなりばらつきというか、不純物の混入などが変わってきます。その面で、この報告書から得られた結果に一般性があるかというのは疑問です。例え、報告書のデータで安全であったとしても、アラキドン酸を含む製品が全て安全ですよとも言えない。製品にどういうアラキドン酸の原材料が使われるかによって、安全である場合もあるし、そうでない場合もある。
 厚生労働省では数年前に、健康食品に使われる原材料の安全性を確保してほしいと業界に求めています。それがちゃんと遵守されているかというのが、この件でもかなり重要になってくるのではないかと思います。
 今回、市販されているのは、この論文になっている安全性を検証した原材料だと思いますので、現時点では問題になるという状況ではないと考えていいのではないでしょうか。先生方で何かございますか。
○西委員 先ほど志村委員から御質問がありましたように、この分担研究が論文になっているかという観点で、今(6)については論文になっていないというお話でしたけれども、これまで御紹介いただきました(2)〜(5)につきましても論文になっているかどうかというところ、事務局で把握されていましたらお教えいただけますでしょうか。
○岡崎健康食品安全対策専門官 こちらで論文化されているという確認はとっておりません。もし必要であれば研究者の方に確認して、論文化されているのか、もしくは予定があるのかということを確認したほうがよろしいでしょうか。
○梅垣座長 論文化されているかどうかというのは非常に重要なのですけれども、今回の報告書で判断しますと、投与量が多いというのと、アラキドン酸だけを単独投与しているというところがあります。そのようなことから、論文化されていなくても評価が変わるということは恐らくないのではないかと思います。よろしいですか。
 ほかに先生方で何かございますか。前の項目にさかのぼって何かコメントがあればお願いできればと思います。
 2ページのSHRSPの結果なのですけれども、動物で投与量が多いというのはありますが、検討ポイントの2つ目のポツで、日本人の高齢者のARA油での検討結果が書いてあります。それでは血漿リン脂質の変動は認められないということです。やはり人のデータというのは非常に大きい意味がありますから、この報告書の動物で認めた現象があったとしても、やはり人でどうなのだというのを考えることが、こういう評価をするときに重要になると思います。そういう面も考えると、このラットで認められた現象はそれほど問題にする案件ではない。現時点ではそう考えていいのではないかと思います。
 先生方で何か御意見ございますか。
○志村委員 例えば食経験の乏しい素材等に関して安全性を評価するというときに、ADIを求めるという考え方があって、そのときに不確実係数は大体100を使ってということです。ただし、このアラキドン酸について100という係数を当てはめるのはいかがなものかと私は今、思っております。
 100ということで言えば危ないのかなというような結果かなと思うのですが、実際は先ほどちょっと申し上げたように、例えば10gぐらい摂取しているリノール酸があって、それに対してアラキドン酸は150mgぐらいであって、血中のほうではアラキドン酸の10分の1ぐらいの濃度が確保されているということは、恐らくリノール酸からアラキドン酸が生成されてと。こういったものについて食品添加物等の安全性評価みたいな形で100という係数で見るのはいかがかなということは、現在思いつつあります。そういう意味では11.何倍という投与量での結果が人には当てはまりにくいとするのは、妥当ではないかなという具合に考えております。
○梅垣座長 多分、添加物とは異なる考え方をしないといけないと思います。普段アラキドン酸は結構摂っているのです。普段摂っているものに例えば安全係数幾つをかける根拠も明確ではないし、拡大解釈すると食べるものがなくなってしまいます。栄養素についてはそういうことを考えていくというのが必要だと思います。板倉先生、この点について何かコメントいただけますか。
○板倉参考人 アラキドン酸については志村先生おっしゃったように、リノール酸からもかなり行く代謝系があって、しかも行く代謝のコントロールは不飽和化酵素がn-6系だけではなくてn-3系のほうにも両方に働いていくので、同時にDHAとかEPAを摂るか摂らないかによっても量がまた割合が変わってくるし、そして細胞の中に保存されていく量も調節されていますので、体内で産生されない添加物で摂るというのとは違うと考えられます。食事から摂ったものと、代謝でできたものが体の中で一定量になるような調節が行われていますので、食事から通常摂っている量は食経験でされている量で、例えばそれが倍ぐらい多くなっても、今度はリノール酸から行く量を抑えるという具合に体の中で調整されていますので、血中あるいは組織中の濃度はほぼ一定に保たれているのではないかと思いますので、添加物のように直接影響するということとは、違った考えは必要かなと思います。
 したがって、今、梅垣先生、志村先生がおっしゃったとおりに大体、私も同じ考えでよろしいかと思いますけど。
○梅垣座長 ありがとうございました。
 先生方で御意見何かございますか。よろしいですか。
 それでは、他に御意見がないようでしたら、これまでの審議を踏まえて、行政対応案について事務局から説明をお願いします。
○岡崎健康食品安全対策専門官 資料の10ページ目になります。「6.研究結果を踏まえた行政対応(案)」ということで、今回の報告書の研究で影響が認められたものは、ARAを高用量に投与した場合の結果である。
 当該研究で影響が認められたと考えられる量を摂取しようとした場合、通常の食事からの摂取量と比較し、約11〜356倍程度必要です。また、上記2.で示したサプリメントを追加で摂取した場合であっても、6〜198倍程度の摂取が必要となっております。
 したがいまして、現在のところ、このような過剰摂取が想定される食品は市場に流通していないため、特段対応の必要がないと考えております。ただ、健康食品の関係業界や上記2.サプリメントの製造者に対しては、ARAを単独で高用量に摂取した場合の結果として、今回の報告書の内容を情報提供する必要があると考えております。
 以上です。
○梅垣座長 それでは、行政対応案について、何か御質問とか御意見ございますか。
○久保委員 対応案に対する意見ということではないのですけれども、このようなアラキドン酸で臨床的な指標を考えると、リン脂質の濃度とか炎症のマーカーというのは非常に短期に変わるマーカーなのです。それが安心ということであっても、アラキドン酸はもともと血小板の凝集を非常に亢進させたりする、血栓に対する影響というものを見ていかなければいけない。ちょっと見た範囲では凝結学的なパラメータをきちんと見たものは少ないので、そういった点は注意が必要かなと思います。ただ、行政的な意見に関しては特に私はこれに付記するものはありません。
○梅垣座長 ありがとうございます。
 ほかの先生方、よろしいですか。それでは、特に意見がないようでしたら、調査会としてこれで了承したいと思います。
 調査会では一応結論を得たわけですが、この行政対応の必要性の取扱いをどうするか、事務局から何か説明はありますでしょうか。
○岡崎健康食品安全対策専門官 行政対応については今、御議論いただいたとおり、現在のところ過剰摂取が想定される食品は市場に流通していないため、特段の必要はないということと、また、研究の報告内容を健康食品の関係協会と製造者に情報提供いたしますが、それ以外にこの行政対応の必要性の修正を行ったものを、厚生労働省ホームページの審議会等の新開発食品評価調査会に係る箇所に、その他の資料と併せて掲載し、それ以外の措置は特段考えておりません。
 以上でございます。
○梅垣座長 委員の皆様、それでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○梅垣座長 ありがとうございました。
 それでは、特に御意見がないようですので、事務局から他の議事はありますでしょうか。
○岡崎健康食品安全対策専門官 事務局からの連絡になりますが、本調査会については健康食品に起因する健康被害発生時の被害実態の把握、原因物質の究明等の対応、健康食品による被害を未然に防止するための事前対応を御審議いただくときに開催させていただきますので、その際は何とぞ御参集のほどよろしくお願いいたします。
○梅垣座長 ほかに特に御意見がないようでしたら、本日の議事はすべて終了となります。
 以上をもちまして本日の調査会を閉会いたします。長時間の御審議ありがとうございました。


(了)
<照会先>

医薬食品局食品安全部基準審査課 新開発食品保健対策室
(代表:03-5253-1111 内線2458)

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