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2012年6月22日 第177回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 議事録

職業安定局派遣・有期労働対策部需給調整事業課

○日時

平成24年6月22日


○場所

職業安定局第1・2会議室


○出席者

大橋委員、柴田委員、橋本委員 (公益代表)
石黒委員、新谷委員、宮本委員 (労働者代表)
秋山委員、小林委員、高橋委員 (使用者代表)

事務局

生田派遣・有期労働対策部長、田畑需給調整事業課長、三上派遣・請負労働企画官
鈴木主任中央需給調整事業指導官、佐藤需給調整課長補佐

○議題

労働者派遣法改正法の施行等について(公開)

○議事

○大橋部会長 ただいまから、第177回労働力需給制度部会を開催いたします。それでは、議事に入ります。本日は公開で、前回の続きをご議論いただきます。前回は、日雇派遣の収入要件に関する議論を行ったところで、時間が尽きてしまいましたので、本日はまずは残された論点である「グループ企業派遣」と、それ以外で言い足りない論点があれば、ご意見をいただきたいと思います。お手元に、前回事務局からご説明いただいた資料1と資料2をお配りいただきますので、資料を適宜参照していただきつつ、ご意見をいただきたいと思います。論点が限られていますので、「グループ企業派遣」とそれ以外のどちらでも構いませんので、ご意見がある方はお願いします。それでは、よろしくお願いいたします。
○新谷委員 前回配布された資料2の6頁に、グループ企業派遣における「関係派遣先のイメージ」という資料をいただいています。これは、グループ企業の定義を「親会社及び連結子会社」とするという平成20年の建議に基づくもので、その当該企業が連結決算を導入するか否かで2つに場合分けをして、それぞれについての定義をしてあります。7頁に、連結決算を導入している場合についての図を付けていただいています。前回も確認をさせていただきましたが、これの(注1)に記載されている『親会社と子会社が一体となって、「他の会社」を支配している場合と子会社1社で「他の会社」を支配している場合等は、当該「他の会社」も親会社の子会社と見なされる。』という点についてです。連結決算により実質的に支配をしているものとして、子会社1社でいわゆる「他の会社」、おそらく孫会社やひ孫なども全部ツリーでつながると思いますが、大きな企業グループですと、子会社が孫会社を作り、ひ孫会社を作り、さらにその子会社を作っていくということがあります。それは、1社で株式を全部保有しているといったケースで散見されるわけですが、こういったケースもここの定義でいう子会社の範囲に含まれることをもう一度確認させていただきたいと思います。以上です。
○大橋部会長 確認です。
○佐藤補佐 親会社・子会社の関係ですが、連結決算の範囲で今回考えていってはどうかということで、資料としては説明申し上げましたが、連結決算を導入している会社の場合には、それぞれの会計処理の基準に即して判断をしていくことになります。その会計処理の結果、連結子会社ということであれば、その会社は連結子会社という位置づけになるわけです。ですから、例えばここの図ですが、派遣元事業主と親会社という関係で書いていますが、派遣元事業主に何らかの形で子会社がいるような場合には、そこは連結子会社ということになるのであれば入ってくるということになります。
○大橋部会長 ほかにいかがでしょうか。
○高橋委員 まず質問をしたいのですが、今回の6頁の提案というのは、会計上の方針によって分子となる項が変動し得る計算式になっていくというようなものです。労働規制において、財務上の方針によって労働規制の対象が変わり得るような規制は、これまでに前例があるのでしょうか。
○田畑課長 すべての法令を調べているわけではありませんので、確たる答は難しいですが、あまり例があるケースではないとは考えています。
○高橋委員 前回、あるいは前々回からも申し上げていますが、企業あるいは企業グループの取る財務上の方針に応じて、労働規制の算定式の範囲が異なるというのは、極めておかしな規定の仕方であると思っています。例えば連結決算を導入している場合だとしても、それはあくまでも財務上の観点からの整理であって、人事上の概念や管理範囲とは必ずしも一致するものではありません。そこを十分留意すれば、このような形で、連結決算を導入しているかしていないかで定義を分けるのは、極めておかしいと言わざるを得ないことだと思っています。
 また、6月19日の日経新聞に、いみじくも関連の記事が出ていましたが、大手商社や製薬大手が来期から国際会計基準にということで、国際会計基準の広がりを報じる記事が出ていました。これから国際会計基準はコンバージエンスの時代を迎えていますから、だんだん日本基準から国際会計基準への移行がこれからまた増えていくのではないかと思います。何回も申し上げていますが、日本基準と国際会計基準は定義が若干異なりますので、当然算定式に大きく影響してくる可能性があると考えます。では、日本基準が国際会計基準に移行するときに、人事上の政策もそれに合わせて変わるのか、そんなことはございません。国際会計基準に移行するのは、やはり海外の投資家に理解を求めやすいというような財務上の観点から移行をするものであって、それによってまた算式の分子が異なって、8割を超えるか超えないかということにもなり兼ねないわけで、このような形で規定をすることはよろしくないと考えていますので、繰り返しになりますが第1回の会合で厚生労働省事務局が出した案として規定をするべきではないかと考えています。
 前回の会合のいちばん最後に、部会長から企業の財務上の方針として企業が選択したのだから、それでいいのではないかというようなご発言もあったところですが、私はそういうご発言には納得はできておりません。やはり、この法の改正の趣旨が第二人事部的な対応を防止するのが、この8割規制の趣旨だと思うのですが、グループ企業はもちろんグループの方針に基づいてその方針を達成するためにグループ各社で必死に取り組むわけですが、それが人事上どうかというところまで縛るものではなくて、むしろグループ各社の独立性をなるべく尊重しながら、全体としての目標を達成するというような動きに強まっていますので、そうしたもともとの規制の趣旨を考える点と、それから、労働規制というのはどのような財務上の方針であろうとも、一率の規制とすべきという観点から、当初案を私は支持したいと考えています。
○新谷委員 先ほどの質問に戻ってもう一度確認させていただきたいのですが、7頁の図では、矢印が書いてあるだけですが、この7頁の図ですと、すべて議決権の過半数を有していて、連結子会社Bについては議決権40%以上かつ財務及び事業方針の決定を支配していますので、この図の左にある派遣元事業主は、連結子会社AまたはBに対しても、これらと親会社も含めて合計で8割を超えてはならないというのが、今回の規制の範囲であるという図で見るわけです。そのときに、この親会社にさらに親会社があった場合、あるいは連結子会社のAまたはBにさらに子会社があった場合で、それらがいずれも全議決権を有している、あるいは議決権の過半数を有しており、このツリーがずっと上下につながったときに、派遣元事業主はそれらの一連の連結子会社に対する派遣についても、今回の算定の中に入ってくるということになると思います。それは、連結財務諸表規則の適用で連結財務緒表を作って連結子会社であるということであれば、それらがすべて今回の計算の中に入る、ということを確認させていただきたいと思います。
○田畑課長 連結決算の場合は、連結決算の書類に基づいて判断をさせていただくことになりますので、連結決算の中で含まれているということであれば、そういった形で判断をさせていただくことになると考えています。
○高橋委員 別な質問をさせていただきます。平成20年の建議に当たって、平成19年の調査として、厚生労働省がグループ企業派遣の実態を200数十社調べたことに基づいて、おそらく8割という数字が決まったという経緯があったのではないかと私は思い出します。そのときの厚生労働省の調査のグループ企業の範囲は、どういうものだったのでしょうか。
○田畑課長 すみません、いま俄にお答えできませんので、ちょっと調べさせていただきます。調べてわかり次第、お答えさせていただきます。
○大橋部会長 ほかにいかがでしょうか。
○高橋委員 ですから、そのときの調査を基に建議として作ってきたとするならば、その範囲はどうだったのかを是非確認をしたうえで、どうあるべきかを議論するべきではないかと思います。
○大橋部会長 わかりますか。
○高橋委員 しばらくお時間をいただいて調べていただいても結構だと思います。
○大橋部会長 ほかにいかがでしょうか。
○秋山委員 派遣の原則禁止の例外となる収入要件についてですが、事務局に派遣元事業主から現場の意見は出ていますでしょうか。
○田畑課長 収入要件ですか。
○秋山委員 はい。
○田畑課長 具体的に、要望書などの形でご意見が出されているということではありませんが、収入要件については適切に決めていただきたいという趣旨のご要望は承っております。
○秋山委員 政令の制定に当たっては、現場の声をしっかり聞いて、労働者や派遣元企業、派遣先企業に混乱が起きないように定めていただきたいと思います。
○高橋委員 8割規制の関連で確認をさせていただきたいのですが、今回10月施行と仮定しますと、その際、タイミングとして、この8割規制の対象となるのは、一体いつからなのかを確認したいのですが、施行後に開始される事業年度からの算定ということでよろしいのでしょうか。
○田畑課長 改正法の附則で、改正法の施行後に開始される事業年度から適用することとされていますので、いま高橋委員からお話のあったとおり、改正法施行後開始される事業年度からの適用となります。
○高橋委員 2点目の確認ですが、改正法には派遣元事業主という言葉で8割規制が規定されています。事業主という言葉の意味なのですが、この報告の単位というのは事業所単位なのか、企業単位なのかというところの確認なのですが。
○田畑課長 派遣元事業主からご報告を受けるということですので、企業単位になるものと考えています。
○高橋委員 3点目ですが、定年退職者については計算式の分子から控除をするとなっております。定年退職者について、これは当該グループ企業を定年した定年退職者に限らないという理解でよろしいのでしょうか。要するに、他のグループ企業、あるいは他の会社の定年退職者も含まれるという理解でよろしいのかどうかを確認したいと思います。
○田畑課長 いま高橋委員からお話のあったとおり、グループ企業の定年退職者に限らない取扱いとする予定です。
○高橋委員 それから、前回も意見を申し上げましたが、定年退職者であるかどうかということの確認は、どのようにしたらいいのかということについて非常に疑問を感じるのですが、それについてお答えをいただきたいと思います。
○田畑課長 例えば、グループ企業などで人事記録が共用されているとか、そういうことで確認できるということであれば、そういった形で確認していただくことになると思います。そうでなければ、最終的にはご本人の確認をしっかり取っていただくということになろうと考えています。
○高橋委員 他社のことについてはわかりませんので、やはり自己申告を認めていくことになるのではないかと私も思っています。それから、最後の確認点なのですが、定年退職者は、新法施行前に定年退職をした人も含まれるということでよろしいかどうかの確認です。
○田畑課長 法律上限定はございませんので、高齢者の雇用促進という趣旨にも鑑みれば、施行前の方についても対象とすることが適当と考えています。
○大橋部会長 その他いかがですか。
○新谷委員 前回の議論では、日雇派遣の禁止の例外について相当論議をしまして、そのときに実際の運用に関して、世帯収入の把握方法として、把握が困難な場合については本人の誓約書で運用するという話があったと記憶していますが、この点について懸念をしております。折角、前回喧々諤々論議をして、基準とする年収額は一体いくらがこの法律において相応しいのかという論議をしましたが、実際の運用で、例えば誓約書を認めるものとしてしまうと、基準とする年収額を決めた意義を失いかねないと思います。もちろん、現場での混乱を防止するという面はあるものの、法律の本来の意図する内容の実効性を確保することとのバランスで、運用の段階で、どこまでどのような手段を認めるかも重要な視点だと思うのです。やはり、厚生労働行政に対する国民からの信頼という観点からは、一定の規制はあるが現実の運用はザルではないか、と評価されないよう、きちんと運用のルールを決めるべきだと考えます。前回、事務局から、確認の手段として誓約書を認めうるという趣旨の説明がありましたので、改めてこの点についての見解を求めたいと思います。
○田畑課長 前回の説明で、誓約書という方法も最終的にあり得るというような趣旨で発言をしたものですが、基本的には書類で確認をすることが重要だろうと考えています。ですから、そういったことできちんと確認できるものは確認をしていただくと。ただし、要件に該当しているのだが、やむを得ない理由で書類の確認ができない、例えば遠隔地に親御さんがいて、ただちに収入を証する書類が手元に入らない、また世帯が離ればなれになっていて同一の世帯で生計を立てているのだが、公的書類がすぐに準備できない、すぐに確認ができないケースや、公的な証明書類がないのだが実態上同一生計を立てているなど、いろいろなケースがあり得ると思います。最終的に、どうしてもそういった確認が書類で困難な場合で、ただご本人がそういった要件を満たしているという場合においては、誓約書ということで確認を取っていただくことで可とする必要があると考えて、前回そういった趣旨でお答えさせていただいたものです。
○高橋委員 ただいまのやりとりを聞かせていただいて、それが実態的にワークするものでなければなりませんので、例えば主たる生計者でないものという形で、世帯全体の収入のような形をギチギチに諸票で確認をするというようなことは、そもそも派遣元企業としても世帯の構成員がどういう形になっているのかなどの確認をどのように行なうのか。住民票まで出させて、その人たちの全部の所得を出させてということは、非現実的な対応だと思うのですね。ですから、やはり基本的には前回の事務局の答弁にもありましたとおり、自己申告も認めていくという形の対応が現実的な対応ではないかと思います。
○石黒委員 根本的に日雇派遣は原則禁止であって、例外的に認められる場合をどうするかという議論をしているのです。非常に不安定な日雇派遣の現在の待遇、安全衛生の確保も含めて、日雇派遣は原則禁止ということなので、例外規定の中で適切に例外の場合を管理、運用していくということであれば、いま申し上げたような収入要件などを含めたところをきちんと確認する必要があると思います。自己申告で問題ないとなると、分かりやすくいえば、本人も日雇派遣を希望しているから誓約書を書いてください、ということで、安易な自己申告につながると思います。日雇派遣を例外的に認める場合については、きちんと確認をしておかなければ、なぜ日雇派遣を原則禁止とするのか、という趣旨が没却されてしまうと思いますので、例外を認める場合についてはきちんと確認する運用をしていくべきだと思います。
○田畑課長 当然、原則禁止の趣旨をきちんと法令遵守でやっていただくということですので、基本的に書類での確認は重要だと考えています。ただ、高橋委員からもお話がありましたが、実務の中ですぐに書類が揃わないとか、なかなかそういったものが揃えられないといういろいろな事情もあるかと思いますので、そういったケースで誓約書で最終的に確認を取るという手法については、これはそういった取扱いも可とする形にしないと、実際の運用もありますし、それから働く方の権利保護の観点からも、やむを得ない取扱いなのかなと考えています。
○新谷委員 おっしゃりたいことはよくわかりますが、一体、原則は何で、例外は何かというところの書き分けだと思います。労働者派遣については、残念ながら違反する事業主が跡を絶たないわけです。労働者派遣の業界の健全化のためにも、やはり決められたことはきちんと守っていただき、その下での適正な業務遂行をもって事業発展をしていただくことが大事だと思います。法律による規制と現実の運用にズレがあると、まさしく労働者派遣法に対する信頼、あるいは厚生労働行政に対する信頼が落ちてしまうということをいちばん懸念しております。実際の運用における混乱を防止するという面も十分わかりますが、原則は原則、例外は例外という区分けをきちんとしていただきたいと思います。
○秋山委員 派遣元事業主から実際のお話を聞くと、日雇派遣などは、仕事が来たら電話で対応するというのが実情のようです。そのときに、細々とした書類のやり取りを実際にできるのかどうか、予めやっておかなければいけないことを整理するなど、実務を反映した内容としていただきたいとは思います。
○田畑課長 新谷委員、秋山委員からお話がありました。原則は原則ということで、制度の運用をきちんとやっていくことが大変重要です。そういった基本線を押さえつつ、実務上は企業が確認をするというようなこともありますので、そういった運用にも一定の配慮をしつつ、運用に心がけていきたいと考えています。
○大橋部会長 わかりましたか。
○田畑課長 当時の議事録で、そのグループの調査の範囲についての質問がありました。そのときには、連結財務諸表提出会社の連結範囲に含まれている会社ということで定義をして調査をしたということで回答しています。
○大橋部会長 高橋委員 よろしいですか。
○高橋委員 それは、今回の質問ですので、確認させていただければと思っています。日雇派遣の関係で確認なのですが、もし書類で確認する場合のケースですが、確認というのはどういうことなのかと。即ち、コピーを見てそれを派遣元事業主として保存義務が課されるのか、あるいはチェックするだけなのか、細かい話ですがその辺りを確認したいと思います。
○田畑課長 チェックは、しっかりやっていただくということだろうと思いますが、保存の義務までは不要かなと考えています。ただ、何でチェックをしたのだとか、どのような中身であったかといった事項については、記録をしていただくことが必要だと思います。そうでないと、どういうチェックをしたかがあとでわかりませんので、そういったことはきちんとやっていただきたいと思います。
○大橋部会長 ほかにいかがでしょうか。
○高橋委員 違ったテーマでよろしいでしょうか。離職後1年以内に派遣労働者として受け入れることの禁止に関わるところなのですが、まず細かいところからの確認をさせていただきたいと思います。新法の施行のタイミングと、離職後1年以内の起算の関係性を確認させていただきたいと思っています。これは、新法施行後に新たに成立した派遣契約から適用するという理解でよろしいかどうかの確認なのですが。
○田畑課長 附則の第6条に、改正法の施行後に締結される労働者が派遣契約に基づき行われる労働者派遣から適用と規定されていますので、いまのご発言のとおりです。
○高橋委員 そうすると、新法施行後前に離職したか、していないということではなくて、あくまでも派遣契約で考えていくということでよろしいですか。
○田畑課長 そのとおりです。
○高橋委員 それから、2点目の確認なのですが、60歳以上の定年退職者について除くことについての質問ですが、これも先ほどの質問と同じなのですが、定年退職者かどうかの確認は、どのように行うのでしょうか。
○田畑課長 派遣元会社が何らかの方法でそういうことが確認できる、そういった資料を持っているとか、そういった中で確認できる場合は、そういったもので確認いただくことになろうと思います。そういったものがなければ、最終的にはご本人からの申告できちんと確認を取っていただくことになろうと考えています。
○高橋委員 この離職後1年以内の受入禁止なのですが、前々からも時間がないのであまり申し上げてこられませんでしたが、やはり例外として、定年退職者だけを別扱いをすることについては、非常に違和感を持っています。と申しますのは、前回か前々回かの会合でリストラの話をされてしまいましたが、そういうことではなくて、非正社員として一生懸命働いている方もずっといらっしゃるわけで、そういう方については当然定年や定年ではないという概念そのものがないのですね。ただし、企業の嘱託や契約社員の就業規則において、その契約更新の上限を正社員の定年と同じ年に定めるというような扱いもされている所も多くあります。そういう方々は、定年退職者ではないのですね。しかしながら、契約が満了となる方々がいらっしゃるわけですね。そういう方々は当然高齢者ですので、就業の機会も非常に厳しいと。そういう方については、認めていくことが望ましいと私は考えています。
 さらに、円満に自己都合で退職をなさる社員の方もいらっしゃるわけですよね。家族の方の転勤等に伴って離職をしていくケースも当然ありますし、いろいろな事情で円満に退職をしてきちんと退職金等も受領して、失業等給付についてもきちんと待期期間を経て受給をしていく方々はいらっしゃるわけですので、そういう方々については元いた会社のカルチャーや企業文化、あるいは働き方によく精通されており、そのような方々が希望する場合については、今回のこの規定が入れば一律禁止になってしまうわけです。そういう自己都合の円満な退職者は、失業等給付の受給によりしっかりと確認ができるはずですから、そういう方々についても併せて例外としていくことが望ましいのではないかと主張させていただきたいと思います。
○大橋部会長 今後の展開を見て、少し手直しするようなことがあり得ますし、そういう抜けておられる層が目立ってきたら、また配慮していくこともあり得ると思います。ここで、さらに追加してそういった層をどうするかということを検討するだけの時間的な設定はされていませんので、一応そういう意見をお伺いしたということにさせていただきたいと思います。
○高橋委員 ただ、10月1日の施行から、ただちにそういう方々については影響が出てしまいますので、そこは慎重に検討していく必要があるのではないかと私は思います。
○新谷委員 前回も、いまの件に関してはリストラの話も申し上げましたが、最近多いのは円満な自己都合とおっしゃるのですけれども、この円満な自己都合なるものが事業主、使用者からさまざまな圧力の中で、退職届を出させられたというやり方に関する労働相談が非常に増えています。これは、雇用調整助成金における支給要件との関係等もあり、基本的には非自発的離職者を出さないという政府の方針の下に、形の上では自己都合退職を装うケースです。非常に巧妙な形になっていますし、労働相談は非常に増えていますので、その見極めが難しいのではないかと私どもは思っています。離職後1年以内に派遣労働者として受け入れることの禁止の例外に自己都合退職者を含めてしまうと、変な政策誘導をしてしまいかねないという懸念もありますので、私どもとしての意見を申し上げておきたいと思います。
○秋山委員 前回も質問したと思うのですが、標準生計費を「2倍」にするという2倍の数字という根拠は、明確になったのでしょうか。
○田畑課長 前回いろいろご議論いただきました収入制限についても、今回ご意見をいただいていますが、それが出尽したところで一定の整理をすることになるのではないかと考えています。
○秋山委員 2倍は高過ぎるのではないでしょうか。
○大橋部会長 2倍そのものの数値はともかくとして、一応所得分布を見まして、大体例外ですから、原則禁止の中での例外ですから、例えば半数以上の人がクリアするような状況は、例外と言いにくいと思うのですね。そうしますと、やはり半数以下の層が対象になることは考えなければいけないと。プラス、これは家計全体の収入ですから、例えば400万が主たる生計者の所得としまして、これが大体半数を少し下回るぐらいなのですよ。プラス、あと150万というのが、日雇労働者の平均的な収入になりますので、大体540、550万になります。それがちょうど2倍ぐらいになりますので、そういう意味では結果的に最もらしい数字かなと思っています。審議会としても、原則禁止でしかも例外を認めるという形ですので、これは社会的な要請だということで、やはりその辺りを踏まえて私としては取りまとめていきたいと思っています。
○田畑課長 一通り議論が終わって意見もかなり出尽している状況ですので、議論が一通り出たということであれば、少し私どもも公益委員と相談をさせていただいて、取りまとめ案を作成させていただければと思っています。
○高橋委員 いまの部会長の整理は、私としては非常に納得感がなく、前回の会合を踏まえても、なお納得感がないのですね。繰り返しになる部分があるのは恐縮なのですが、1点目としては今回の日雇派遣の原則禁止の例外が、国会の審議の中で設けられた例外です。日雇派遣は原則禁止だから、収入水準も高くするといったような審議は、国会の中では一切行われていないのですね。にも関わらず、何か日雇派遣の原則禁止なのだから高い水準だというような考え方については、私は非常に理解できないです。ですから1点目に関して言えば、50%だったら良くないとか悪いということではないだろうと。所得水準の決め方として、所得分布を見てそれが50%よりも高いとどうだという話ではなかろうということです。
 2点目に、前回の議論でもあったのですが、日雇派遣に関する平成19年に行った調査で、159万6,000円という日雇派遣労働者の平均月収の数字をプラスするというような議論が出されていました。そもそも、これは平成19年調査ということで、いまから5年前であって、実態を十分直近で捉えているものではないというテクニカルな問題点もあります。それとは別に、この調査を見ると平均就業日数は、月14.0日となっています。即ち、平均14日ということはどういうことか。月30日だとして、週に1回休みを取られるとしたら、その月の就業期間の半分は日雇派遣で働く方の統計を使うということは、今回の禁止の例外は、主たる生業ではなくて副業として行うというものですよね。副業というものが月14日副業します、それはあり得ないだろうという統計を足して議論、検討することについても、おかしいのではないかと思います。
○田畑課長 主たる生計者でない者と副業の方と、双方の収入制限について議論をいただいていますが、私どもとしては、そういったものを決めるときに、それぞれに分けるのではなくて、運用やわかりやすさなども勘案して1本ということで提案をさせていただいているものです。それぞれ、世帯のケースなどいろいろな状況があると思いますが、そういったものをトータルに勘案をして、制度のわかりやすさ、また運用のしやすさから提案したものです。いずれにしても、日雇派遣については、毎回にわたりご意見をいただいています。それから、その他の論点についても、概ね意見が出尽した状況のようですので、もし委員のご了解がいただければ、一旦ここで会議を休憩とさせていただいて、現段階での取りまとめの考え方を少し公益委員と相談をさせていただければと思いますが、いかがでしょうか。
○大橋部会長 よろしいですか。では、そういうことで、よろしくお願いします。
○田畑課長 10分から15分程度少しお時間をいただいて、その間休憩とさせていただきます。しばらくお待ちください。
(休憩)
○大橋部会長 お待たせいたしました。公益委員で相談させていただき、議論がまとまらない論点について公益委員としての意見を事務局と相談しながら、まとめさせていただきました。政省令事項の全体像と合わせて資料を用意してもらいましたので、いまから皆様のお手元にお配りいたします。
                 (資料配付)
○大橋部会長 お配りした資料について、まずは事務局から説明をしていただき、その後私から補足説明を加えたいと思います。まずは、事務局から説明をお願いいたします。
○佐藤補佐 お手元に資料1、資料2、資料3、資料4、参考資料の1と2をお配りをしています。もし、資料に不備等がありましたらお申し付けください。
 私ども事務局のほうで、公益委員の先生方とご相談を申し上げて資料という形でお配りをしています。内容について、ご説明を申し上げます。資料1は、いちばん最初にこの部会で私どもの案としてお出ししたものを、これまでのご意見を踏まえて改めて整理をした全体像です。政省令と告示の事項です。順にご説明を申し上げます。
 1.日雇派遣の原則禁止です。?日雇派遣の原則禁止の例外となる業務は17.5業務ということで、ここについてはご議論はなかったかと思っております。?日雇派遣の原則禁止の例外として認められる場合は、次のとおりとするということで、アからエがあります。アは60歳以上である場合、いわゆる高齢者です。イは、学校教育法の学生又は生徒である場合。昼間学生ということで、雇用保険法の適用を受けない学生のことです。ウは日雇労働者の収入。これは生業の収入ですが、この額が500万円以上である場合、これは副業の方の話です。エは日雇労働者が生計を一にする配偶者等の収入により生計を維持する方であって、世帯収入の額が500万円以上である場合ということで、これは<主たる生計者でない方>についてです。ここについては額の話が本日もありましたが、これに関して資料2をご用意しておりますので、先に資料2のご説明を申し上げます。
 資料2は、日雇派遣の原則禁止の例外として認められる「場合」という資料です。上の箱の中は、日雇派遣の原則禁止の例外として認められる「場合」については、これまでの議論を踏まえて以下のとおりと整理をしてはどうかということです。下の点線の枠囲いですが、?日雇派遣の例外として認められる場合。いま申し上げました高齢者、昼間学生、副業の方、主たる生計者ではない方ということで、副業として従事する方、主たる生計者でない方については以下に該当する方に限定する。それぞれ生業の収入あるいは世帯全体の収入が、一定額以上であるということです。その収入額の考え方は、資料2の2頁に「収入要件の考え方」ということで整理をしています。
 いちばん上の○からご説明申し上げますと、日雇派遣の原則禁止とされた趣旨については、必要な雇用管理がなされず、労働者保護が果たされないといった課題に対応するためであるということで、今回ご議論いただいている収入要件は、あくまでも「日雇派遣の原則禁止の例外」という位置付けです。真ん中の○は、副業として従事する者、主たる生計者でない者の収入要件を分けて考えるという方法もあり得ますが、派遣元事業主は当然のことながら労働者一人一人にも理解をしていただく必要があるため、分かりやすい制度とすることが重要である。そのため、副業として従事する者と主たる生計者でない者の収入要件については、一本とすることが適当であるということです。いちばん下の○です。収入要件の具体的な水準については、これは世帯数の加重平均の数字ですが、2~4人世帯の平均的な標準生計費の「2倍」を基準に考えていくことを基本とするが、これまでお出ししました各種調査の所得分布(世帯単位あるいは個人単位)も参考としつつ、賃金構造基本統計調査における正社員労働者の平均年収、数字の分かりやすさ等も加味をした上で、「500万円以上」という形で設定してはどうかということです。
 資料2の1頁の下の点線の枠囲いです。日雇派遣の原則禁止の例外として認められる「場合」の要件の確認方法です。?要件の確認は、以下の方法によることを基本とするということで、アからウがあります。高齢者の場合であれば、年齢が確認できる公的な書類等。学生であれば学生証。収入要件であれば、本人・配偶者等の所得証明書あるいは源泉徴収票の写し等です。いちばん下で、?なお、派遣元事業主において、所得証明書や源泉徴収票の写し等を保存しておく必要はないけれども、例えば、派遣元管理台帳に記録を残しておくなど、どのような種類の書類により要件に該当するか否かの確認を行ったかが分かるようにしておく必要があるということで、整理をしてはどうかと考えています。
 資料2の3頁は、前回の部会で高橋委員から賃金構造基本統計調査の平均年収の算定に用いた、それぞれの基データを示してほしいということで資料としてご用意をしたものです。男女計、男性、女性それぞれ全体うち正社員、非正社員ということで決まって支給する現金給与額はそれぞれいくらか。あるいは、年間賞与その他特別給与額はいくらかということで、資料としてご用意をいたしました。数字はここに記載しているとおりですので、細かい説明は省かせていただきます。
 資料1の1頁の?は、派遣元事業主は、労働者を日雇派遣労働者として雇い入れようとするときは、当該労働者が従事する業務が17.5業務に該当するかどうか。あるいは、いま申し上げました例外として認められる場合に、該当しているかどうかを確認すること。?は安全衛生の関係ですが、派遣元事業主は、雇入れ時の安全衛生教育を行う際には、具体的な業務内容について、派遣先から確実に聴取をした上で、当該業務内容に即した安全衛生教育を行うこと。2頁です。また、日雇派遣労働者が危険有害業務に従事する場合には、派遣先が危険有害業務就業時の安全衛生教育をきちんと行ったかどうかを確認するということです。?派遣先は、派遣元事業主が雇入時の安全衛生教育をきちんと行えるように、具体的な業務内容を積極的に提供すること。また、そういった雇入時の安全衛生教育を派遣元事業主が確実に行ったかどうかというのを確認することとしてはどうかと考えております。このあたりについては、ご議論はなかったかと思っております。
 2頁の真ん中から下は、2.グループ企業内派遣の8割規制です。?法第23条の2の厚生労働省令で定める者ということで、(関係派遣先に含まれる者)は、次のとおりとすること。ということです。これについては別途資料3をご用意していますので、資料3をご覧ください。グループ企業内派遣の8割規制ということで記載をしています。いちばん最初の関係派遣先の範囲というのは先ほども議論がありましたが、平成20年9月の「労働政策審議会建議」でグループ企業が「親会社及び連結子会社」と整理をされていることから、以下のように整理をしてはどうかということで、?連結決算を導入している場合には親会社というのは、派遣元事業主が連結子会社である場合の当該派遣元事業主の親会社。それから親会社の子会社というのは、親会社の連結子会社、いわゆる、会計上の「連結子会社」とする。?連結決算を導入していない場合は、親会社のほうは議決権の過半数を持っている方、資本金の過半数を出資している方、それからこれらと同等以上の支配力を有する方ということで、親会社の子会社は同じように派遣元の事業主の親会社が議決権の過半数を持っている。資本金の過半数を出資している。それから、これらと同等以上の支配力を有するということで整理をしています。
 2番目は、厚生労働大臣への報告時期ということで、前回の部会のいちばん最後にご議論があったかと思います。関係派遣先の範囲に連結決算の結果を利用することを鑑みまして、派遣割合の報告時期については収支計算書の提出時期と合わせて、毎事業年度経過後3カ月以内という形にしてはどうかと考えています。2頁以降はこれまで出した資料を付けているだけですので、こちらについての説明は割愛させていただきます。
 資料1の2頁の下の関係派遣先の範囲はいまご説明申し上げたとおりですので、説明はそれに代えさせていただきます。3頁の?法第23条の2の厚生労働省令で定めるところに算定した割合、いわゆる派遣割合については、1の事業年度における派遣元事業主が雇用する派遣労働者(60歳以上の定年退職者を除く。)の関係派遣先に係る派遣就業に係る総労働時間を、その事業年度の当該派遣元事業主が雇用する派遣労働者の全ての就業時間に係る総労働時間で除して得た割合とするということです。?はいまもご説明申し上げた件ですが、派遣元事業主の派遣割合の報告時期については、毎事業年度終了後3カ月が経過する日までに厚生労働大臣に報告することという形で整理をしています。
 3は、離職した労働者を離職後1年以内に派遣労働者として受け入れることの禁止です。?派遣法第40条の6第1項の厚生労働省令で定める者というのは、具体的には派遣労働者としての受入禁止の例外となる者ですが、これについては60歳以上の定年退職者とすること。それから、法第40条の6の第2項の規定による通知(労働者派遣の役務の提供を受けた場合に、離職後1年の規定に抵触する場合の派遣元事業主への通知)方法については、書面の交付、FAX、メールの送信により行うということです。
 3頁のいちばん下です。4.一定の有期雇用派遣労働者の無期雇用への転換推進措置ということで、派遣元事業主の努力義務としてかかっているものですが、この法第30条の規定の対象者としてどういったものが考えられるかということで、アとイがあります。アは雇用期間が通算して1年以上である派遣労働者、イは雇用期間が通算して1年以上である派遣労働者として期間を定めて雇用しようとする労働者ということで、頁が飛んで括弧で書いてありますが、登録型派遣の場合の登録状態にある労働者ということで規定をしてはどうかということ。4頁の上の?は、派遣元事業主は、この無期雇用への転換推進措置を講ずるに当たっては、対象となる派遣労働者等に対して労働契約の締結、更新等の機会を活用し、あるいはメールを活用する等により、こういった措置を受けるかどうかについて派遣労働者等の希望を把握するように努めること、ということを指針に記載してはどうかと考えています。これについては、ある程度合意が得られているものと考えております。
 4頁の下の5.均衡待遇の確保です。?は派遣元事業主の責務として、派遣元事業主は、派遣労働者の賃金の決定に当たっては、法律の趣旨を踏まえて、派遣労働者と同種の業務に従事する派遣先の労働者の賃金水準との均衡を考慮しつつ、派遣労働者と同種の業務に従事する一般の労働者の賃金水準や派遣労働者の職務の内容等を勘案するように努めること。また、派遣労働者の職務の成果等に応じて適切な賃金を決定するように努めること。なお、派遣労働者と同種の業務に従事する派遣先の労働者の賃金水準との均衡を考慮した結果のみをもって、派遣労働者の賃金を従前よりも引き下げるような取扱いは、均衡待遇の趣旨を踏まえた対応とは言えない、ということを指針に記載してはどうかということです。
 ?派遣先は、派遣元事業主の求めに応じ、派遣労働者と同種の業務に従事する派遣先の労働者の賃金水準、教育訓練等に関する情報を提供するように努めること。また、派遣元事業主が派遣労働者の職務の成果等に応じた適切な賃金を決定できるよう、派遣元事業主からの求めに応じ、派遣労働者の職務の評価等に協力するよう努めることということを派遣先の指針に記載してはどうかと考えています。
 5頁の上の6は、マージン率等の情報提供です。?法第23条第5項の厚生労働省令で定める事項(情報提供すべき事項)は、次のとおりとするということで、法律に既に書いてあることとは別に、さらに省令で委任されている情報提供事項として次のとおりとしてはどうかということで、アからウまで記載しています。アは労働者派遣の料金の額の平均額。イは派遣労働者の賃金の額の平均額。これらは、マージン率の算定の基礎となる数字です。ウは、その他労働者派遣事業の業務に関し参考となると認められる事項ということで、各派遣元事業主において必要と考える事項を情報提供することとしてはどうかと考えています。?マージン率等の情報提供の方法です。この方法については事業所への書類の備付け、あるいはインターネットの利用その他の適切な方法により行うこと。?マージン率の算定方法は、前事業年度に係る労働者派遣事業を行う事業所ごとの労働者派遣に関する料金の額の平均額から派遣労働者の賃金の額の平均額を控除した額を、当該労働者派遣に関する料金の額の平均額で除して得た割合とする。ただし、当該事業所が労働者派遣事業を行う他の事業所と一体的な経営を行っている場合には、その範囲内において算定することを妨げないという趣旨を省令に記載するとしてはどうかと考えています。
 7.待遇に関する事項等の説明ということで、雇入れ前の待遇の説明方法の関係です。?労働者に対する説明事項としては次のとおりとするということで、アは当該労働者を派遣労働者として雇用した場合における労働者の賃金の額の見込みその他の待遇に関する事項。イは事業運営に関する事項。ウは派遣に関する制度の概要です。
 6頁のいちばん上の?は、(待遇等に関する事項等の説明)の方法です。これについては書面の交付、FAX、メールの送信、その他の適切な方法による。ただし、?アのうち労働者の賃金の額の見込みを説明する場合には、書面の交付、FAXあるいは電子メールの送信という方法により行うということです。これに関しては別途資料をご用意しておりますので、恐縮ですが資料4をご参照ください。3頁ものの資料を用意していますが、「待遇に関する事項等の説明方法」ということで、これまで部会でいろいろとご議論いただきましたが、そういったご議論を踏まえてどういう形で整理をしていくのかということです。1.検討の方向性は、いまご説明申し上げた内容ですが、賃金の額については書面の交付、FAX、電子メール。賃金の額以外のその他の待遇に関する事項、事業運営に関する事項、派遣制度の概要について書面の交付、FAX、電子メール等ということで、口頭等の説明も可とするとしてはどうかと考えております。
 次に2.具体的な説明の方法ということで、賃金の額の見込みについてどういう形で説明をしていくのかということです。これについては労働者の能力・経験・職歴・保有資格等を考慮して、労働者を派遣労働者として雇用した場合の賃金額の見込みを説明すれば良いわけで、ここの賃金額の見込みには一定の幅があって構わないというものです。2頁、3頁に具体的なイメージを添付しています。2頁をご覧ください。具体的な説明方法のイメージということで、ここでは例1、例2とあります。例えば40歳の女性でヘルパー2級の資格があって、実務経験が5年といった方が週休2日の施設内の介護職員を希望されている場合に、どういう形で賃金額の見込みを提示していけばいいのかということで一例として添付をしていますが、月給で15~21万円とか、注意書きで書いていますが、これはあなたの資格・実務経験等を考慮して現時点で想定される賃金額の見込みであって、実際の賃金額はこれとは異なる場合がありますというイメージです。
 例2も同じように、30歳の男性で資格がない方が、週休2日の携帯電話の販売業務を希望した場合に、どういう賃金の見込みになりますかと言われたら、あなたの賃金額は、月給で16~22万円となる見込みですといった形でお示しをいただければいいのではないか。
 3頁に、もう1個別の例を付けています。例3は、25歳の女性で特段の資格をお持ちでない方が週休2日の一般事務を希望された場合に、派遣先が例えば丸の内地区となる場合の賃金額の見込みは月給で16~18万円です。逆に派遣先が新宿地区となる場合の賃金額の見込みであれば、月給で15~16万円ですといった形でご説明をいただければいいのではないかと考えています。
 資料4の1頁にお戻りください。いちばん下の○は、電子メールの説明方法です。なお書きで書いてありますが、電子メールにより説明をする場合には、そのメールの中で賃金額の見込みを明記するということで、下に*を付けていますが、当該労働者が派遣労働者として特定の業務に従事した場合における賃金額の見込みを記載すれば良く、その方法としては、ホームページの特定の画面に記載されている賃金額の見込みをコピーして貼り付けるということでも構わない。ただし、メールの中でリンク先を明示することで賃金額の説明に代えることもあり得るのではないかといった議論もありましたが、そのリンク先がリンク切れになる可能性も十分に考えられるということで、原則としてそういった方法は認めないとしてはどうかと考えています。
 資料1の6頁の8.派遣労働者に対する派遣料金の額の明示です。これは雇い入れた後の話です。?法第34条の2の厚生労働省令で定める額(明示すべき労働者派遣に関する料金額)は次のいずれかとするということで、アとイです。アは労働者派遣に関する料金の額。イは、それぞれの事業所における労働者派遣に関する料金の額の平均額。アは労働者個人の料金額、イは事業所平均の額にしてはどうかと考えています。
 ?明示の方法については、書面の交付、FAX、電子メールの送信により行うことにしています。ただし、派遣元事業主が労働者派遣をしようとする場合において、まずは雇入れの際に派遣料金額を明示した上で、その後実際に労働者派遣をしようとする場合にも再度明示をする義務がありますが、料金額が変わらない場合については改めての明示を要しないことを省令に書いてはどうかと考えております。いちばん下は、9.その他ですが、施行期日は10月1日、その他所要の規定の整備ということで、法律名の改正に伴う規定の整備等々を行うことにしてはどうかと考えています。事務局からの説明は以上です。
○大橋部会長 私から、基本的な点について若干補足をさせていただきます。まず、収入要件に関しては前回の部会でも相当時間をかけてご議論いただきました。収入要件をどの水準に設定するかについては、そもそもこれは「原則禁止とされた日雇派遣の例外」であるという考え方に立つことが重要であると考えております。その上で、標準生計費の2倍という考え方を基本としつつ、様々な所得分布の状況から、例外といえる収入要件を考慮し、さらに、キリの良い数字にすることも考慮して、制度のスタート時としては「500万円」というラインで線引きすることが適当ではないかと思います。
 8割規制の関係派遣先の範囲については、これまでも議論がありましたが、公労使の三者で構成されている審議会である以上、いまから4年前の建議ではありますが、建議として取りまとめられた内容は重く受け止めないといけないと思います。したがいまして、制度のスタート時としては、事務局から説明のあったような形で始めていくことが適当ではないかと思います。ただし、会計基準が日本でどのように展開していくかについて、注視しなければならないと思います。
 雇入れ前の説明についても、相当ご議論いただきました。賃金額の見込みについてはもともと幅があってよいものですので、この部分についてはまずは事務局から説明があったような形で始めていくことが適当ではないかと思います。
 ただいまの説明に関して、ご意見があればお願いいたします。
○小林委員 短時間に資料が出てきたのでびっくりしていますが、いくつかあります。1つは日雇派遣の原則禁止の収入要件についてです。わかりやすい制度とすることが重要だとは思いますが、まだ根拠がわからないのが収入要件の具体的な水準として、2~4人の世帯の平均的な標準生計費の2倍とすることを基本とすることがよくわかりません。確かに500万円という数字はわかりやすいのですが、これが妥当なのかどうかどうもまだ納得がいかないというのが意見です。
 もう1つは、グループ企業内の派遣の件です。昨日、厚労省の能力開発の関係で技能検定等の技能振興のあり方に関する研究会に出席しました。そのときの配付資料で実名を挙げて申し訳ありませんが、日立グループの会社概要が提出されていました。日立グループは、従業員数32万3,540人です。海外にかなりの拠点もありますが、21万2,302人が日本です。ほかに欧州、アジア、北米、その他南米等がありますが、欧州で142社、北米で75社、アジアで322社、日本においては341社です。連結をどうやって取るのかは会計上出ていないのです。グループとして、かなりの企業数があるなというのを実感して、そこで働く海外の従業員の数がとても多いなと感じたところです。事業セグメントも10個ぐらい分かれていて、たぶん子会社の中に派遣元事業主があるのだと思います。
 1社ではないと思います。341社の中に関連会社があって、そこに先ほどの新谷委員の発言でいえば、どこかの会社の下に派遣会社があるわけです。このグループで派遣元の事業主は複数あることが考えられるわけです。その中で8割を相互に計算するわけです。先ほどの話でいけば、日立グループ32万3,540人のうち、派遣がどれだけの従業員を抱えているのかはわかりませんが、それを計算しなくてはならないというのはとても大変なことで、この数字を見てわかるとおり、複数の会社が派遣元としてあった場合、グループ内で複数のカウントになるわけです。8割規制の何の意味があるのかというの意見がありましたが、それを感じています。
 もう1つ感じるのは、海外の事業所はこれだけあることは、海外でも派遣を内部でやっているのでしょう。それの数字も把握する必要があるのかどうなのか。8割規制というのであれば、国内の事業所の単位でいけばここでは341社、これだけが対象となるのか、そ先ほど感じたところです。このグループ企業内派遣について、親会社及び連結子会社を捉えた場合の会計上の捉え方、グループの捉え方といろいろあるということで、今回時間がない中これを10月施行で、どのようにするのかはこれから皆さんと話合いになるのだと思いますが、中小企業の立場から大企業のことはわからないことがおおいのですが、単純に見ただけでも大企業のことでも把握するのはとても大変なことだと感じています。見直しも含めて、今後課題として残す必要があると感じたところです。とりあえず以上です。
○田畑課長 グループ企業派遣の8割のところでご意見がありました。いずれにしても法規制として、グループ企業内での派遣を一定割合以下に規制をしようということですので、連結決算を取っているか取っていないかに関わらず、親子関係というものをきちんと見てやっていただくということなので、大企業に相当の負担がかかるというご意見もご意見として受け止めたいと思いますが、そういったきちんとした法に則った責務は果たしていただく必要があるのかなと考えております。
 海外派遣のお話がありましたが、海外派遣については当然、派遣元事業主で派遣元の管理台帳を規定をしたり、また海外派遣をする場合は届出をしていただいたりということで、海外派遣の実態というのは派遣元事業主が把握をしているものですので、8割の計算をするときにそんなに困難が生じるとは思っておりません。法律でそういった規定に則っていろいろ派遣元としての責任を果たしていただくという観点から、海外派遣も含めた形での計算をしていただいて、8割規制というものの遵守をしていただきたいと考えております。
○小林委員 私は海外派遣を言っているのではなくて、海外企業の中でも日本と同じように派遣というのがあるのだろうと。それはカウントに入れるのですか。
○田畑課長 国内から見てのことで、海外の派遣事業所はそもそも国内法の適用がありませんので、除外。
○小林委員 というと、国内の日立グループでいくと340数社があります。そこの関係する事業所で派遣元の事業主がいて、例えばグループ内のどこかの海外拠点に派遣されるものはカウントに入るけれど、ということで理解してよろしいですか。
○田畑課長 国内の事業所が海外に派遣する場合は、当然カウントに入ります。海外の事業所は国内法の適用がありませんので、その国の規制に従ってやっていただくということだと思います。
○小林委員 会計上はすべてですね。連結決算でいくと、国際会計基準に合わせれば、すべての企業を含めた考え方が出てくるわけです。なおかついまのは派遣というのでいけば、海外派遣も含めて国内の法規制の中で捉え方ことは、何か違和感を感じます。
○新谷委員 私から質問に入る前に、いま小林委員から出た会社がありまして、個人的には私の出身の産業の企業の1つなので、よく存じ上げております。ここはテレビのCMでも大きいツリーが映し出されて、たくさん会社の名前が出てくる。おそらく、日本で関連会社を持っている数がいちばん多い会社の1つではないかと思います。実は、そこも念頭に置いて今回の論議を私どもはしてきたつもりですので、今更驚く必要は全然ないと思っております。といいますのも、先ほどの会社は米国会計基準を採用している会社ですので、本邦基準もそうですが、連結財務諸表が作られて連結財務諸表記載の子会社もきちんと書かれており、新たに別途資料を作る必要がないわけです。連結会社は、連結財務諸表規則に従って書証の整理が義務づけられておりますので、そこに書いてある子会社について確認をすればよく、別途新たにこの法律の施行に伴って子会社を確認する作業は基本的には必要ないのではないかと思います。
 そもそも、なぜこの8割規制を設けているのかという趣旨をもう一度考える必要があると思います。もともと、派遣会社というのは労働力の需給調整機能を担う役割で事業を認められているわけですから、その企業が同一連結のグループ経営をしている中だけにしか派遣労働者を派遣していないのであれば、それは労働力需給調整機能を担っていないのではないか、というところからこの論議が始まったと記憶しています。派遣会社がいわゆる第二人事部的に位置付けられ、労働条件や労働契約の内容を変更して、労働者を派遣しているのではないか、という疑義があり8割規制が出てきたと思います。本来の趣旨に従って、きちんと経営努力で企業グループ外を開拓していくというのが本来の派遣会社の事業の趣旨ではないかなと考えますので、意見として申し上げておきたいと思います。
 その上で、いま示された資料1について、前回の論議を踏まえてまとめていただいたことには感謝を申し上げますが、ただ、日雇派遣の原則禁止の例外について、500万円という数字になったことについては、率直に申し上げて残念です。私どもとしては標準生計費の「2倍」というところで540万円という数字がきちんと書かれてありますので、その数字を明記していただきたかったというのが率直な印象です。もちろんこれはまとめていただきましたので、それを重く私どもとしては受け止めておりますが、資料2の2頁の3つ目の○に過重平均による世帯の標準生計費の「2倍」を基本とすると書いていただいておりますので、これがいちばんの肝というか、今回の確認の重要なポイントではないかと私どもは認識をしております。そういった意味で、この「2倍」が539万9,000円になるということが前回提出資料の3頁にその金額が出ておりますので、今日の部会の資料がホームページにも公開されて、あるいは何年か経ったときにこれが参照されるときに、この「2倍」はいくらだったものが500万円となったのかということがわかるように、この「2倍」のあとに539万9,000円という数字を明記して残しておいていただきたいということをまず要望として申し上げたいと思います。
 次に、先ほどいただいた資料1の4頁「5.均衡待遇の確保」についてです。?の2つ目の段落に、派遣労働者の賃金水準が、派遣労働者と同種業務に従事する派遣先の労働者の賃金水準の方が低い場合に、それをもって派遣労働者の賃金を引き下げるような取扱いについては、この法の趣旨を踏まえた対応とはいえないと書いていただいています。考えてみれば、労働条件の不利益変更法理が働く場合でありますので、これは当たり前のことだから改正法の条文には書いていないのだと思います。これだけを見ると、あたかも労働者派遣法第30条の2第1項だけで対応できないと見えますので、もともと不利益変更法理の中でそういった不利益の引き下げが効力を持たないということがまず第一義的に考えられることであります。行政指導としてはこうした基準でやればいいのでしょうけれども、今後通達を出されるときには、不利益変更法理についても言及を是非いただきたいと思います。
 同じく前回も申し上げましたが、上の段落の賃金水準の考慮についてです。均衡考慮の中の「賃金水準」の中には、さまざまな手当、例えば通勤手当、食堂の利用といった福利厚生のものも含まれているということを前回確認のときに申し上げたと思いますので、今後通達等で展開する際には、是非それについても言及をお願いしたいと思っております。
 今度は確認をさせていただきたいところがあります。5頁です。「6.マージン率の情報提供」の?に、基本的には事業所単位での情報開示をするべきであるけれども、ただし書きで労働者派遣事業を行う事業所が「他の事業所と一体的な経営を行っている場合には、その範囲内で算定することを妨げない」とありますが、非公開の当部会で審査を行う一般労働者派遣事業の許可申請の際も、同時に10事業所ぐらい申請があったときに、ある事業所で10事業所から全部ここに書いてあるような賃金の平均額が1円まで全く同じという申請があって、1回差し戻した覚えがあります。それから、ここの「他の事業所と一体的な経営を行っている」という判断を、どのように検証していくのかというところをお聞きしたい。それに関連して、6頁の「8.派遣労働者に対する派遣料金の額の明示」のところは、?のイに「当該労働者にかかる労働者派遣を行う事業所における労働者派遣に関する料金の額の平均額」と記載されており、一体的な経営を行う事業所との合算というのは書いてありませんので、基本的には派遣料金の明示は派遣元事業所単位で全部開示するということでいいですよね、という確認をしたいと思います。以上です。
○田畑課長 いくつかありました。まず540万円の数字を明記ということでしたが、資料もこれまでいろいろお配りをしておりますし、今回ご発言もあったということで、これはこういった形で1回資料を出したということでご理解いただければと思っております。
 均衡考慮のところについては、不利益変更という形で問題があれば、そちらの法制で当然問題になるということですので、今後の私どもの要領等でいろいろ確定をしていく中で、そういったことも考慮し、配慮して周知を図っていきたいと考えております。
 事業所単位で審査のときのお話もありましたが、これは実際にそういった形で事業活動をした結果に基づいて、きちんとした数字を示していただくということです。実際にどういった数字を開示していたかということを必要に応じて、我々も定期監査とかいろいろな機会がありますので、お話をお聞きをして誤りのない数字かどうかということを、場合によってはいろいろな書類も拝見をさせていただきながら判断をしていくことになろうかと思います。
 8の当該労働者に係る労働者派遣を行う事業所における労働者派遣に関する料金の額の平均額ですが、事業所における平均額ということで規定をしますので、それに従ってやっていただくことだろうと思います。ただ、趣旨としては先ほどの一体としてやっている形でないと、平均額が算定ができないといったケース等もありますので、一体的な範囲でやっている場合においてはそういったケースでないと運用ができないことになるのではないかと考えています。
○新谷委員 最後にご説明いただいたマージン率の算定については、なぜ一体的な範囲で算定することを妨げないのかがよくわかりません。というのは、マージン率等の情報提供については、確かに資料1の5頁「6.マージン率等の情報提供」にあるように、マージン率の根拠となるさまざまな経営指標を計算する必要があると思いますが、6頁「8.派遣労働者に対する派遣料金の額の明示」において算出する派遣料金に関する平均額ですから、これは小学生でも計算できますし、エクセルを使えば、数字を入力すると平均額がすぐに算出できます。わざわざ、なぜ一体的な経営の事業所単位で括らないと算出できないのか、なぜ同じ扱いなのかという説明にまったく根拠がないと思いますので、あくまでも資料に記載のとおり「6.マージン率等の情報提供」の扱いと「8.派遣労働者に対する派遣料金の額の明示」の扱いは違うということで確認をさせていただきたいと思います。
○田畑課長 6ポツについては、そういった事業所の経営の実態において判定することを当然やって妨げないことになろうかと思います。それから8で一体的と言って申し訳ありませんが、賃金の平均額の提示を可能とした法律の趣旨として、事業所ごとに派遣料金の額が違うケースもあるわけですが、そういったときに労働者の賃金がより下方に修正されるおそれもあるということで、こういった平均額で可とすることにされたという、いろいろなこれまでの議論の経緯も鑑みますと、事業所の提示ということを原則としつつも、一体的な経営を行っている場合にその範囲内において算定することについては、これを妨げないということが適当ではないかと考えております。
○大橋部会長 その他いかがでしょうか。
○秋山委員 いろいろな意見を公益の先生方と事務局がまとめていただいていることに対して、私もとてもありがたく思っております。ただ、いま出されました資料2の収入要件のところですが、「副業として従事する者」と「主たる生計者でない者」を一緒にして考えることになると、例えば結婚していない人と結婚している人、世帯がある人を一緒に考えるということですよね。であるとするならば、3頁に男女別の平均年収の算定が出ていますが、女性の場合、全体でも平均年収は355万円で、正社員390万円、非正社員233万円です。そうすると、とても500万円には届かないわけで、ここを正社員労働者の平均年収や数字のわかりやすさも加味して500万円というのだったら、400万円や300万円でもわかりやすい数字になるのではないかと思いますが、それはいかがでしょうか。
○田畑課長 収入制限額についてはいろいろなご意見もありましたが、これまでの議論を踏まえて標準生計費の「2倍」ということを基本としつつも、さまざまな所得調査の結果を考慮し、また会計調査でどれぐらいの世帯がどれぐらいおられるのかというような数字、それから正社員の平均年収。これは、賃金構造基本統計調査で正社員ですと500万円程度の数字が502.いくらの数字があるわけですが、そういったことを考慮して500万円という数字が妥当ということで、公益委員とも慎重によく相談をしてお示しをしたものであるということをご理解いただきたいと思います。
○秋山委員 500万円は、女性の平均年収とは全然違いますね。
○田畑課長 男性、女性で別の数字を置くことが本当に適当かという話もあろうかと思いますし、これは制度の運用としてそういった区分けをするのではなくて、一本として運用することが適当だと考えたものです。それぞれの世帯なり個々人が置かれている生計費というか収入の状況は、男性、女性で当然賃金格差があることは現実としてあるわけですが、だからといって男女で差をつけてそういった制限を設けることが適当かについては、慎重なご議論が必要と感じたところです。
○秋山委員 私は男女差をつけろということではなくて、ハードルを低くしたほうがいいと考えます。
○田畑課長 そういったいろいろなご意見も踏まえた上で、部会長からもお話がありましたが、日雇派遣の原則禁止の例外として、どういった収入制限額が適当かという考え方の中で、500万円という数字が適当ではないかということでお示しをしているものです。
○石黒委員 これは原則禁止の例外を作るので、算定基礎を分けて考えるならば、男性も549万円を目標に考えていくべきだと思います。主たる生計者ではないとか副業というところについて、そこまで秋山委員がおっしゃるのであれば、549万円を基礎にして600万円とするのが妥当だと思います。なぜ、女性の低い括りのところを基準に出すのかが全く理解できません。今回の諸々の事情を勘案したところの500万円という基準は、我々としては、もう少し高い金額を設定するべきではないかと思っていますが、理解はしたいと思います。それ以下に下げることについては全く理解ができません。以上です。
○高橋委員 再開後に配付された資料1を見て、これまで私どもが主張してきたことがほとんど反映されていないことに対しては、本当に残念だなという印象をまず持ちました。時間の関係ですべてを指摘することはできませんので、最初の日雇派遣の原則禁止のところだけになってしまうかもしれませんが、申し上げたいと思います。
 別途配られた資料2の収入要件の考え方は、いずれ安定分科会等に報告をしていく際に資料として配付されるものですので、こういうものについてはきちんとしていかなければいけないのですが、私としてみればこの考え方をこのまま安定分科会に報告することはできないだろうと思っています。というのは、そもそも最初の○の3行目からの考え方、立脚点が間違っていると思っていて、原則禁止だといいますが、それは今回の例外を付す前のことに立脚していっている主張だと思っていて、今回はこの国会で「例外を付す」という新しい展開があったわけです。繰り返しになりますが、国会では例外を付す際に日雇派遣の原則禁止の例外としての位置づけを十分に重んじるのだというような趣旨の審議はないわけです。ですから、今回新しく加わった例外については、あくまで原則禁止なのだからという最初にそれありきの位置づけというのは間違っていると思っています。ですから、そもそもこの考え方のペーパーは、全く認められないと思っています。そもそも立脚点が違いますから。
 その上でペーパーとして何かまとめなければいけないとしても、3番目の○は全く意味が不明です。なぜならば、なぜ2倍なのですかという合理的な根拠を示す必要があります。労政審としてのペーパーを出す以上は、どうして2倍なのかということの少なくとも修飾が付されるべき。ペーパーとして出すなら、なぜ2倍ですかと。2倍の根拠はないではないですか。前々回でしたか、部会長も自ら2倍には根拠はありませんとおっしゃっていただきましたが、根拠がないものを労政審の資料としてペーパーを出していくことについては、絶対反対です。
 3番目の○の3ポツ目ですが、なぜ賃金構造基本統計調査しか言及していないのでしょうか。そもそも前回もお話しましたが、賃金構造基本統計調査による今回の厚労省の試算はあくまでも試算、平均値を基に出しているものであって実態の分布と異なります。国税庁の民間企業の実態調査なども資料として使っているわけです。それで考えれば、500万円ということにはなり得ません。ただ、その上で仮に賃金構造基本統計調査ということに立脚するとしても、厚労省のこの前出されたカバー率を見ても、労働者全体で見て年収500万円以上のカバーというのは33%です。すなわち、67%の人はそもそも非適用です。あるいは非正社員のカバー率も出していただいていますが、「500万円以上」では5%です。ということは、95%の人は「500万円以上」と設定された段階で選択できない形になるわけです。賃金構造基本統計調査だけに立脚したとしても、あまりにも高すぎる水準だと思っています。
 実はこの間、私も派遣元の企業からもいろいろお声をお伺いしますが、一方で派遣労働者の方々の声もごく一部ではあるかもしれませんがお寄せいただくことがあります。このようなあまりにも高い水準で、もし本当に設定しようとするならば、代表性をどうするかという問題はありますが、派遣元の企業を代表される方々や派遣労働者で実際に働いていらっしゃる方々をこの場にお招きをして、本当にこの「500万円以上」と設定することについてのご見解なども十分承った上で、安定分科会のほうに報告をすべきものではないかと考えます。
○大橋部会長 いまその500万とか400万、賃金構造で指摘されましたが、いまここで決めている500万というのは、家族全体の収入制限なのです、そのことを念頭に置いていただきたいと思います。
○高橋委員 もちろんです。
○大橋部会長 だから、500万以上が何パーセントという賃金構造基本統計調査を見て、何パーセントというのは。 
○高橋委員 それは厚生労働省が出した資料に基づいて、私は主張をしておりますので、もし、それが必要であればそういう資料を出してください。
○大橋部会長 はい、わかりました。
○田畑課長 基本的にここに掲げているように、2人・4人世帯の平均的な標準生計費の2倍を基本ということで、単身の世帯、これは2・4の世帯ですが、稼得者が1人のケース、こういった場合が副業かどうかということになりますし、稼得者が複数の場合で50%ない方にとって、それが主たる生計者でない方ということになろうかと思います。そういった要素を、まずは生計費ということで、掛ける2倍で基本とするということです。
 これは繰り返しになりますが、日雇派遣の原則禁止の趣旨に鑑みて、生活のためにやむを得ず仕事を選ぶことができないでいる方以外の方に限って、収入要件を設定することが適当ということです。そういったことを考えれば、標準生計費の2倍程度であれば、そういった心配がないということでご説明を申し上げ、またそれについてご議論をいただいたことを踏まえて、最終的にこういった形でご提案をしたものです。
 それから賃金構造調査の500万円ということで、カバー率もお話をしました。また、非正規社員のお話もありましたが、非正規社員という非常に厳しい方々の状況をこういった例外の基本にするのがどうかという話。それから、カバー率なども正社員の賃金構造の話、いま高橋委員から国税庁の収入調査のお話もありましたが、それも各調査の所得分布ということで含んで、そういったことを参考にし、年収とかわかりやすさを加味をして、500万という数字にすることが適当ではないかということで提案をさせていただいたことを重ねてご説明し、ご理解をいただければと思います。
○新谷委員 高橋委員のご発言の中で少し気になったのが、国会での議論がどのようなものだったのかというのを、もう1回確認させていただきたい。以前配られた資料の中で、国会でのやり取りを抜粋した資料があります。第175回の部会資料の資料1の3頁に、今年の3月27日の参議院の厚労委員会の質疑のやり取りがあって、公明党の渡辺孝男議員から、この禁止の例外に当たって、「副業として従事される方々、あるいは主たる生計者ではない方々については、全てを認めるという形ではなくて、やはり収入が一定額以上であるというような一定の制限を設けることが必要ではないか」というご質問をされているのです。つまり、禁止の例外を認めるに際しては制限を設けるべきとの趣旨に立ってご質問をされていて、それに対して、牧副大臣が「しっかりとそれを要件として設ける方向で検討してまいりたい」というご答弁をされております。ですから、先ほど高橋委員は、国会ではそこを論議していないのではないかとおっしゃったかと思いますが、これはやはり禁止の例外として、これは制限をする形で年収を設けるべきであり、この点については労働政策審議会での審議を踏まえるということを答弁されているわけですから、高橋委員のご認識とは少し違うのではないかと感じましたので、意見を申し上げておきたいと思います。以上です。
○高橋委員 何度も繰り返し申し上げてますが、一定の収入制限を課すことについてまで反対をしているわけではなくて、それを聞いていただけないのが本当に残念です。日雇派遣の原則禁止の例外なのだから、重くその水準を設定しなければいけないという形ではないですよねと言っているだけなのですね。そういう議論はなかったはずです。「収入の実際の状況等々を見ながらしっかり課していきます」という発言は確かに確認はしていますが、修正提案の議員の先生たちのご説明なども見させていただきましたが、あくまでも日雇派遣は原則禁止なのだから例外を付すものの、原則禁止の趣旨を踏まえて例外を認めるものですといったような趣旨の発言はありませんということです。
○田畑課長 いずれにしても国会での議論を踏まえて、審議会でお決めをいただく中で、労働者側・使用者側から、それぞれご意見をいただいたものを、我々として受け止めた上で、今回このような整理にさせていただいたということを、重ねてご理解いただければと思います。
○高橋委員 派遣で働く方々ですとが、派遣元の企業の皆さんにお越しいただいて、我々でお話を伺う、という提案もさせていただきましたが、それについてはいかがなのでしょうか。
○田畑課長 審議会でこういった三者構成の場で、それぞれ使用者側を代表とする方々、労働者を代表とする方々、公益を代表とする方々で、ご議論をいただいているということを重く受け止めて、こういった形で整理をさせていただいています。そういった派遣の事業者の方々については使用者側が、派遣労働者については労働者側が、それぞれそういったご意見も踏まえてご発言をいただいているということではないかと思っておりますし、施行まで時間も限られていることもありますので、この場で是非お決めをいただきたい、ということをお願い申し上げたいと思います。
○大橋部会長 これはどれぐらいの収入制限の金額が効果をもっているかということは、やってみないとわからない部分がありますので、それで審議会としましては、やはり日雇派遣の例外として認められるという、例外という世間の常識のようなものから、例外と言いつつも、ほとんどの方が日雇派遣できるというようなことになりますと、それは社会的な要請に応えていないのではないかと言われかねないので、そういう点では、まず500万円という基準のところからスタートさせていただく。いずれにしても収入制限は決めないといけないので、それで500万円だとほとんど日雇派遣ができないとか、あるいは応じる人がいないということになれば、また別の問題になると思うのですが、とりあえずは期日も迫ってきていますので、この辺からスタートさせていただきたいということなのです。
○高橋委員 科学的な実験と違って労働規制というのは、ただちに働く人たちに大きな影響をもよおすものですから、とりあえずこれでやってみてという考え方に対しては、その基本的な考え方については私は反対を申し上げたいと思っています。10月1日以降にただちに影響が出てくる人たちのことを十分に考慮をしていく必要があるだろうと、私の意見を述べさせていただきたいと思います。
○田畑課長 ご意見は受け止めたいと思いますが、日雇派遣の禁止であって、日雇就労の禁止ではありません。もともと原則禁止の時にこういった方々のニーズが、働く場がなくなるのではないかというご指摘もある中で、日雇紹介ということで、もしそういった日雇いのニーズがあれば、そういったものにきちんと行政として支援をしていく。それから、基本的にはもっと安定した雇用を望むという方が日雇派遣で働いている中には、相当数おられると思いますので、そういった方々にはハローワークを中心に、しっかりとした職業紹介、マッチングを行っていくことで、そういった働く方々に影響が出ないように、行政としても最大限努力をしてまいりたいと考えております。
○大橋部会長 もう時間が過ぎているのですが、新しい資料1についての議論にまだ相当時間がかかるのですが、今後の審議の進め方について、どのようにお考えになっておられるのかをお知らせいただければと思います。 
○田畑課長 12時を少し超えていますが、事前にもお願いもしていましたが、少し時間を延長して、できるかぎりこの場で議論を尽くしていただければ、取りまとめまでの時間も非常に限られていることもありますので、是非引き続き残りの論点についてご意見を頂戴できればと思っています。恐縮ですが、よろしければほかの論点でご意見を頂戴できればと思います。
○高橋委員 では、引き続き私から。日雇派遣の原則禁止の年収制限については申し上げましたので、是非ご勘案いただければと思います。いきなり細かい話で恐縮なのですが、資料2の1頁?、「要件の確認は以下の方法によることを基本とする」というところですが、例えばイ)の昼間学生、学生証を出していただいて、その学生証で昼間部に在籍しているかどうかということまで分かるのでしょうか。おそらく、分からないのではないかと思います。大学名とか学部とか、そうしたことはもしかしたら記載されているかもしれませんが、どうやって昼間学生だと確認していくのかを、改めて確認をしたいと思います。
○田畑課長 確認方法については最初のほうでもご議論がありましたので、そういった書類による確認を基本とするということだと思いますが、いまのご質問については、まず学生ということは学生証でご確認をいただいて、最終的に昼間学生かどうかということは誓約書等で必要に応じて確認をするということで、実際にその方が夜間の学生でないということをご確認いただくことになると考えています。
○大橋部会長 学生に誓約書まで出させるのですか。
○田畑課長 ご本人から昼間の学生であるということを、きちっと確認をしていただくということで、学生証を確認をし、夜間の学生でないということがきちんと確認できれば、誓約書はいらないことになりますが、どうも何となく夜間かもしれないということであれば、誓約書を取っていただいたほうが当然いいのではないかと思います。いずれにしても、公的書類で確認できる範囲で確認をしていただくということです。
○高橋委員 それは何かすごくおかしな感じですよね。誓約書でいいのだったら、別に学生証はいらないではないですか。最初から誓約書でいいではないですかという議論も成り立ってしまいます。ですから学生証でよろしいのではないですか。
○田畑課長 基本的には書類でご確認をきっちりしていただく。いまのように学生証を見たときに昼間の学生ということがわかるのであれば、更に付け加えての確認は不要ということは当然ですが、学生証だけではわからないということであれば。
○高橋委員 派遣元として、この人は昼間部の学生だとかいうことはわかるのですか。
○大橋部会長 学部を見ればたいてい分かるようになっています。
○高橋委員 いま700近い大学があって、いろいろな学部がありますよね。先生が在籍されたような有名な大学ならよろしいかもしれませんが。
○大橋部会長 ですから本人から聞けば、例えばそれはすぐわかると思いますけれども。それで調べればどこの。
○高橋委員 ネットで調べなければいけないのですか。
○大橋部会長 どうしてもわからなければ。
○田畑課長 繰り返しになりますが、公的書類で確認をして、それで昼間学生ということがわかれば、改めて書類を取る必要はありませんし、それでどうしても何かわからないということであれば、最後の手段として誓約書という方法があり得るということで、先ほどもご説明を申し上げたとおりでございます。
○高橋委員 むしろ資料1の1頁にあるとおり、雇用保険法の適用を受けない学生と書いていますよね。こちらとの関係はどうなのですか。
○田畑課長 学生ということで昼間部ということではなくて、昼間部の学生の中にも仕事と兼ね合いで行っている方とか、雇用保険の適用対象となる方がおりますので、雇用保険の適用対象となるような学生は、この昼間学生という趣旨には当てはまらないということで、雇用保険の判断でこういったものは判断していこうということで、ご説明申し上げたものです。
○高橋委員 いずれにしても、この要件の確認にア)イ)ウ)で、いずれも最後に「等」が付いていますが、この「等」の意味は要するに誓約書を含むと、そういう理解でよろしいですか。 
○田畑課長 ここに書いている以外のいろいろな公的書類もあり得ると思いますが、最終的にそれで依り難い場合に誓約書で確認することがあり得るということで、ご説明いたしましたので、この「等」にはそういったものも含まれるということになろうかと思います。
○石黒委員 いまの事務方の説明は、自分の聞き取りがおかしかったかもしれないのですが、これは基本は初めに申し上げたように誓約書を書くのであったら、別にこんなもの必要ないので、「等」というのは、これに同等するような公的な書類。これができない場合に限って誓約書というのが、ここに書きませんがあり得るかもしれないと。だから、どこまでいってもこういうものを見るということで確認しないと「等」に誓約書が入るのですかと、それは陳腐なご意見ではないのですか。
○田畑課長 すみません。ちょっと説明を間違いました。「等」は書類ということで、基本とするという、その基本とするのだけれども、これは基本ということなのでそうでない、どうしても依り難い場合に誓約書ということです。説明を訂正させていただきます。
○高橋委員 では、この「等」は基本の中身を規定しているのであって、基本でないものについては規定していないということですか。
○田畑課長 はい、そういうことでございます。
○高橋委員 そうすると、ますますこの「等」の中身が気になるのですが、それは何なのですか。例えば収入要件で所得証明書とか源泉徴収票の写し以外のもの、例えば具体的にそれぞれ何なのですか。
○田畑課長 こういった規定をするときに、それ以外のいろいろな書類があり得るということも勘案をして「等」ということで書かせていただいています。具体的にどのような書類があるかについては、施行までに詰めさせていただいて、運用の中できっちりと対応してまいりたいと考えております。例えば昼間学生では在学証明書とか、そういったケースもあるかと思いますし、「等」の中にはいろいろな書類が考えられますが、そういったものについては今後施行までに具体化をしてお示しをすることになると考えています。
○高橋委員 時間がないので、次にグループ企業内派遣の件に移りたいと思います。再三再四、先ほどの部会長のご説明、事務当局からも建議を踏まえてということでしたが、それは何回もお聞きしているのですが、労働規制として、財務方針に応じて対応を変えるという計算式の計算方法を変えることについて、どう考えるかについては、この需給制度部会としてきちんと考え方を示して、安定分科会に出していく必要があろう。20年の建議があるからこれだということも、もちろん1つの考え方ではありますが、検討の中でそういう見解が出されていますので、それについてどう考えるのかということを明示的にグループ企業内派遣の関係派遣先の範囲の考え方として出していただくことが必要ではないかと思います。
○田畑課長 グループ派遣の規制の趣旨、経済的な結び付きが強い範囲内で、派遣会社を第二次的に活用する行為を、一定の範囲内で制限をしようとするものです。そういった経済的な結び付きが強い範囲内での規制ということですので、経済的活動の1つの基準である会計基準に合わせることが、合理性を欠くというものではないというように考えています。そういった親会社及び連結子会社とされた、そのときの趣旨もそういったグループ企業の活動を、どういう形で規定をしていくかということで、こういった規定になったものということで理解をしていますので、そういった考え方から、今回このような案でまとめさせていただいたことをご理解いただければと思います。
○高橋委員 それならペーパーとして出してくださいと言ってるわけです。
○田畑課長 またこれから政省令の諮問、分科会にもそういったことで、資料提出をいたしますので、そういった資料を準備させていただきます。
○高橋委員 この関係で質問なのですが、では、例えば日本基準から国際会計基準に移行したときに、当然数値が変わり得ると思いますが、当局として、その会社が何基準で、その結果、数字がどのように変動したかということを、きちんとわかるだけの知見等があるのですか。
○田畑課長 報告は書式でいただくことになっていますが、それに必要な書類を添付していただくことになると思っていますし、例えば連結決算の場合ですと、有価証券報告書とか、そういったものでの確認、それから、最終的には企業にもどういった計算をされたのかを確認をして、間違いなく、誤まりなく計算がされているということを確認することになろうと思っています。
○高橋委員 そういうことを言っているのではなくて、8割の意味合いが変わるということを、きちんと理解しないといけないのですよ。
○田畑課長 いずれにしても、その企業がグループとしての活動として、どういう活動をしているかの1つの現われが、連結決算ということだろうと私どもは受け止めています。連結決算で示されるということで受け止めていますので、そういった連結決算に基づいて、連結子会社を確定した上で判断をさせていただく。ただ、いろいろな企業の活動実態がありますので、実際8割規制を満たしていないということであれば、私ども指導に着手するわけですが、そのときはそういった企業の活動実態をよくお聞きをしながら、必要な指導をやっていくことになるのではないかと考えています。
○新谷委員 高橋委員のご発言を先ほどから聞いておりますと、実際の運用に当たって、本当に大変だと思うのです。たとえば、先ほど小林委員がおっしゃったような会社は、世界で1,000社近く関連会社があり、その会社はどのように資料を作っているかというと、米国基準を採用している会社ですので、連結財務諸表の中に、米国基準に従った連結会社の一覧を作っているわけです。高橋委員のご発言を聞いておりますと、別の基準での関連会社の基準を作ることを、何か求めているように聞こえてくるのです。先ほど出ていた会社も、たしか高橋委員の所属する団体の会員企業ではないかと思いますが、米国基準を採用している会員企業の皆さんに対して、新しい基準での関連会社、例えば持株50%だけの表を作成して提出するというようなことを、本当に望んでおられるのかということです。先ほど「日雇派遣の労働者の声を聞け」とおっしゃっていましたが、会員企業の声が本当にそうなのかというのも、企業の皆さんがどうお考えになっているのかを、一度聞かせていただきたいと思います。
○田畑課長 いろいろ審議会でご議論を尽くしていただいている中で、適宜これまでもご紹介があったと思いますので、そういったことで議論を取りまとめていただければ有難いと考えます。
○高橋委員 私の主張が全く理解されていない。計算のしやすさとかいうことを言っているのではないのです。要するに労働規制として、財務会計方針に応じて規制の計算の範囲を変えるということが、いかがなものですかと言っているのです。それが全く理解されないのは不思議です。
○大橋部会長 逆にですね、労働側の基準と財務上の基準が違った場合には、逆に二重の基準になってしまうので、運用上、結構難しいのではないですか。
○高橋委員 そんなことはないと思いますよ。
○大橋部会長 いや、でも、やはり、しかも一応連結という言葉を使っていますから。 
○高橋委員 計算する上で親会社から、ここが対象だと示されれば、それに基づいて計算をすれば。
○大橋部会長 ただ、連結という言葉は会計上の言葉としてありますので、だから、一応その連結ということを言ったときに、もうそういうことになるのじゃないですか。
○高橋委員 私は計算方法等の困難さとか、そういうことを主張しているのではないのです。連結決算をとっているかとっていないかで、分子が変わり得ると。
○大橋部会長 もちろんそれは変わりますよ。
○高橋委員 では、例えば極めて例外的ですが、ある連結決算を上場している会社が、非上場になったら、全然範囲が変わるではないですか。そういうことで労働規制のあり方としてはいいのですかと、そういうことを申し上げているのです。
○田畑課長 繰り返しになりますが、グループ企業としての経済的活動範囲をどのように確定をして、その中での派遣ということで数字を計算してもらうという観点から申し上げれば、こういった連結決算でやるということで、そういった連結決算の方式によって、おっしゃるように変わり得ることもあり得るわけです。それは、それぞれの企業グループがどういった経済活動をとっているかということと、密接に関連するところでもありますので、そういった連結決算ということで規制の対象を確定することが法規制の趣旨から見て、そんなに合理性がないということは言えないと、私どもは考えて、今回この提案をさせていただいたということを重ねてご説明申し上げます。
○大橋部会長 これは施行までの時間もありますので、まだ文言のところでいろいろと注文もあるようですので、その辺は事務局でまとめていただいて、とりあえず今日出させていただきました案を、そういった要綱等も含めて調整していただきまして、次回に事務局に政省令等の要綱案を作成していただくという手順でいかがでしょうか。
○高橋委員 その前に1点、冒頭の審議で私個人は意味がよくわからなかったのは、不利益変更をめぐる議論というのが、いま一つ意味がよくわからなかったのですが、それはどういうことなのでしょうか。派遣社員における不利益変更というのは、何のことを議論されているのか、私には理解できなかったのです。
○田畑課長 賃金の引き下げのところですね。要は賃金の引き下げをするということであれば、労働条件の不利益変更なので、そもそもそういった問題があるだろうということでご指摘をいただいたと考えております。ここで指針に書こうということは、均衡のときに、均衡、均衡、バランス、バランスと言うけれども、バランスで向こうが低い、派遣元が高いということで、ほかの何の要素も考えずにそれだけ見て、下げるということでは趣旨に沿ったことでないということで、規定をするということで書いているものです。派遣法以外に、こういった指針以外にも、そういった労働条件の引き下げについては、ほかの法体系でいろいろ問題になるケースがあるということのご指摘だと思いますのでそれを。これだけではなくてそういったこともあるのだということを、我々指導の現場でわかるようにしてくれという趣旨なり、それから、そういったことがあるのだということが均衡ということで、今後取り組まれる企業の中にも誤解がないようにしてくれということだと思います。どういった形で示すかとか、どういった形でそういった趣旨を主張していくかは考えたいと思いますが、そういった趣旨であったので、それは当然そういう法規制で、ほかの法体系の中でそういったことがあるということは、そのとおりですということをお答えしたつもりです。
○高橋委員 一般論としてはいいので、具体的には先ほど雇入れ前の説明の資料として、一般事務派遣でエリアごとに月給が変わるような例示を示されましたが、それは実態を踏まえた内容だと私個人的には理解しているのですが、では、丸の内エリアで事務派遣をしていて、今度新宿エリアで事務派遣をした。当然その時給の相場がエリアによって異なるのが実態だと思うのです。例えば丸の内エリアで働いていて、次に同一労働者の方がほかのエリアで働く。当然、相場に従って時給が決まってきたときに、仮に安いエリアで働くとなると時給が下がることもあると思います。一般的にはそれは別に不利益変更ということに、通常はないという理解でよろしいですね。
○田畑課長 当然その就業先、仕事の内容によって賃金というものは適切に決められるということなので、ここはいろいろな諸般の事情を勘案して賃金が決められるということです。場所が違って賃金が下がったからいきなり不利益変更だということではないと思います。同じ仕事で引き下げるというのが典型的な話なのだと思うのです。同じ所で同じように派遣をして、向こうの賃金が高かったから、今度から派遣先の賃金が低いのだから、あなた、同じ仕事だけれども来月からは1万円低いみたいな話は、これは趣旨と違いますねと。そういうことを念のため均衡配慮のところで書いていますが、そもそも仕事内容が変わらないのに、一方的に賃金を引き下げることが問題だということを忘れていませんかというご指摘だったと思いますので、それはそのとおりですねということです。いま高橋委員がおっしゃったように、エリアで変わるとか仕事内容が変わったところで賃金が変わるのは、通常あり得ることですし、それを不利益変更とは通常言わないのではないかと思っています。
○大橋部会長 時間もだいぶ来ましたのでまとめたいと思います。まだ詰まっていないところが少々ありますので、次回までに事務局で調整していただいて、先ほど言いましたように、政省令案の要綱案を作成していただくことにさせていただきたいと思います。事務局から何か連絡事項がありますか。
○佐藤補佐 次回の部会ですが、6月27日(水)の10時からを予定しております。場所は17階の専用21会議室です。よろしくお願いいたします。、
○大橋部会長 次回の部会につきましては、ただいま事務局から説明があったとおりですので、委員の皆さまよろしくお願いいたします。以上をもちまして第177回労働力需給制度部会を終了いたします。本日の署名委員は使用者代表秋山委員、労働者代表宮本委員にお願いします。委員の皆さまどうもありがとうございました。


(了)

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