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2012年10月5日 障害年金の認定(眼の障害)に関する専門家会合(第2回)議事録

○日時

平成24年10月5日(金)14:00~16:00


○場所

中央合同庁舎5号館共用第8会議室


○出席者

委員

久保田伸枝委員 小沢忠彦委員 前嶋京子委員 
松本長太委員 若倉雅登委員

○議題

(1) 眼の障害に係る検討事項について
(2) 障害認定基準及び診断書の修正案について

○議事

○久保田座長 定刻になりましたので始めたいと思います。小沢先生は15分ぐらい遅れるとの連絡がありました。これより第2回障害年金の認定(眼の障害)に関する専門家会合を開きます。本日は大変お忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。
 最初に本日の資料について事務局から説明をお願いします。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 本日の会合資料の確認をします。お手元に座席表、委員名簿、議事次第、資料1として認定基準の見直し案(修正版)の検討事項、資料2として認定基準の見直し案(修正版)、資料3として診断書の見直し案(修正版)、以上の資料の他、参考資料として松本委員提出資料、若倉委員提出資料、障害年金の認定(眼の障害)に関する専門家会合(第1回)、前回の議事録をお配りしています。不足があればお申し出いただければと思います。資料については以上です。
○久保田座長 前回の第1回の会議のときに検討した内容についての意見を事務局にという話でしたが、その後に皆さまから多くの意見をいただきました。第1回の会合の意見等を踏まえて、事務局で検討事項を整理しています。今日は整理した検討事項について1つずつ議論をしていきたいと思います。議事次第にそって事務局より検討事項の項番1から説明してください。
○栗原障害認定企画専門官 本日は資料1の認定基準の見直し案(修正版)の検討事項を項目ごとに説明します。また、資料2の認定基準の見直し案(修正版)は修正箇所を赤字としています。資料3の診断書の見直し案(修正版)においても修正箇所を赤字とし、前回会合後に修正したところには下線を引いていますが、随時検討事項と併せて説明します。その後委員の皆さまに議論をいただきたいと存じます。
 まず、今回の改正の柱の1つである視野障害の部分からですが、資料1の検討事項の1について説明します。資料2も併せてご覧ください。資料1の検討事項の1、視野障害をご覧ください。項番1は視野の測定方法とその判断基準についての考え方として整理しました。認定基準は資料2の2ページの(2)視野障害の「ア」「イ」となります。
 検討事項を整理するに当たり、委員の皆さまからいただいた意見を集約したものを検討事項として挙げています。1つはゴールドマン視野計以外の測定をどう考えるか。次に自動視野計の測定結果が提出された場合の取り扱い、次に「ゴールドマン視野計」から「ゴールドマン型視野計」への表記の変更についてです。また、検討事項の表の下に委員からの意見を要約したものを列挙しましたので読み上げます。
 項番1です。自動視野計で測定された時の認定基準について示してほしい。それができないなら自動視野計の部分を削除してほしい。自動視野計そのものを排除すれば話は単純になるが、逆に言うと、そこに一行自動視野計に関する記載があるということが、将来自動視野計を導入するための大きな布石にもなっている。現在ゴールドマン視野計は製造していない。ゴールドマン型視野計とすべきではないか。自動視野計に関しては、身体障害者福祉法でも大きな課題となっているが、今大きく分けて2つの考え方がある。
 続いて2ページ目です。1つは現状の判定基準に完全に準拠して、できるだけ自動視野計の測定条件をゴールドマン視野計の条件に合わせていくという方法、もう1つは自動視野計を主体として米国のAMAの基準などを参考に、測定基準、判断基準そのものを改変した方がいいのではないかという考え方。自動視野計に関しては、身体障害者福祉法の方も現実的にはどれがいいのかという議論が今でも続けられているので、今回のタイミングで障害年金の方へ明確な運用基準を出すのはなかなか難しいと考えるとの意見をいただきました。以上が視野の測定方法とその基準についての考え方の意見です。項番1については以上です。
○久保田座長 それでは資料2の2ページの2の「ア」と「イ」ですが、只今、皆さまからの意見もあわせて事務局から説明がありました。問題になるのは、ゴールドマン視野計以外の測定をどうするかということと、自動視野計の測定結果が出た場合の取り扱い、それから表記をどうするかということです。ここで、皆さんの意見をいただきたいのですが。原則今はまだ自動視野計は使わないということですか、松本先生。
○松本委員 自動視野計といいますか、静的でこの判定基準を完全に満たそうとすると、おそらく一般的に使用されている30-2などのプログラムでは評価できません。詳細なデータを周辺視野も含めてすべて提出していただけた場合には評価できると思いますが、現実的には難しいと思います。ただし、自動視野計には動的プログラムもありますので、完全に排除するのではなく、現時点で使う場合は、現行の判定基準に合った方法でしか認定できないということになるかと思います。
○久保田座長 若倉先生はほとんどゴールドマン視野計で測定されているのですか。
○若倉委員 うちはそうです。ただペリメトリスト(視野測量士)というか視野を測る上手な人がいるということが前提になるので、どこの施設でもやりやすいということではない。人員がたくさんいなければ無理だと。
○久保田座長 前嶋先生、実際に認定のときにゴールドマン視野計ではなく自動視野計が出た場合はどうしていますか。
○前嶋委員 群馬県の場合はほとんどがゴールドマン視野計を持っている施設に、開業医さんから紹介をされて、そこでゴールドマン視野計でとられて、認定として回ってくることが多いので、今までに1度だけ静的視野計で送られてきたことがありますが、自動視野計で苦労したことはほとんどありません。
○久保田座長 診断する側も認定される側も今のところ、ゴールドマン視野計を主に使っていらっしゃるということですね。事務局からの最後のほうの意見にもありましたように、将来は自動視野計が導入されるかもしれませんが、今の基準からいうとゴールドマン視野計でしか判定できないということですね。全体は分かりませんが、各県でもゴールドマン視野計でやっていると思います。
○若倉委員 課題として残しておくということで。
○久保田座長 ここの2番目の意見にあるように、将来自動視野計を導入するためにここのところを削除すると、今度は入れるときに大変なので、自動視野計は残すことにしましょうか。そういうことで、ここの「ア」と「イ」の部分については、今の記載の通りで特に変更しなくてもよろしいということで異論はありませんか。ここは現在の「ア」と「イ」の記載の通りで変更しなくてもいいということ、ゴールドマン視野計の他に自動視野計の記載もそのまま残しておくということを認めていただいたと思います。
 それでは次の2に移りたいと思います。事務局から説明をお願いします。
○栗原障害認定企画専門官 資料1の検討事項の項番2、視野の測定値の正常域について説明します。認定基準は資料2の2ページの(2)視野障害の「ウ」、3ページの「カ」となります。検討事項を整理するに当たり、委員の皆さまからいただいた意見を集約したものを検討事項として挙げています。1つは、視野の測定値の正常域の説明は追記した内容で十分か。次に、「視野の生理的限界値」を「視野の正常域」と改めた表現は妥当かです。
 また、検討事項の表の下に委員からの意見を要約したものを列挙しましたので読み上げます。2ページの項番2で、視野の2分の1の生理的限界値というが、これはゴールドマン視野計1/4ではなく、5/4という視標を使った範囲を意味している。それだと本当の意味での2分の1より少し緩い基準となるが、現状をよしとすべきか文言も含めて疑問である。次に半盲症、視野狭窄、視野変状について、労災では5/4の視標と記載されているとの意見をいただきました。以上が視野の測定値の正常域についての意見です。
 続いて、いただいた意見を踏まえて、認定基準について修正を行った箇所の説明をします。資料2の3ページの上方の「カ」をご覧ください。2行目の「視野の正常域」はこれまで「視野の生理的限界値」としていましたが、委員から文言を含めて疑問であるとの意見をいただきましたので、今回の診断書のほうでも表しましたが、それを「ウ」として「視野の測定値の正常域」という表現で手帳に準拠して書き加えると同時に、「生理的限界値」を「正常域」に改め、併せてその視標の角度を記述しています。項番2については以上です。
○久保田座長 それでは皆さまの意見をお伺いします。1つは「ウ」の視野の測定値の正常域は今まで入っていませんでした。それを追加することによって、3ページの「カ」の生理的限界を正常域に改める、その2点が2の検討事項だと思いますが、いかがですか。正常値を入れることと、生理的限界値を正常域とする。「ウ」の正常域は5/4ですね。だから1/4の正常域ではないのですが、正常域とするのはどうでしょうか、若倉先生。
○若倉委員 難しい。申請するときに、1/4と1/2だけを測って出す場合もあるんです。
○久保田座長 診断書はそうなっていますので、1/4は実際には測っていても書く必要はないです。
○若倉委員 だから5/4がここに書いてあってもあまり参考にならないというか意味がない、認定基準としては意味がないのかと。
○久保田座長 認定される側として、これが書いてあったほうが有利か不利か、何かありますか。
○小沢委員 視野の2分の1が欠損というのは非常に微妙で、私としては正常域が明示されていることは非常にいいと思います。ありがたいと思います。ただ、問題はあるのですが。
○久保田座長 1/4で測ると、結構2分の1以上欠損になりますね。それでもそのほうがよろしいですか?
○小沢委員 このことだけではなくて、私自身は日本眼科医会の人間でもあるのですが、日本眼科医会の考え方として、視野や視力の障害の認定が厳し過ぎるということがあるので、境界域の方を救済するという意味でも、緩やかにするというのはいけないのですが、そういった意味では、これはよろしいのではないかと思います。学問的ではなくて申し訳ないのですが。
○久保田座長 前嶋先生はどうですか。
○前嶋委員 難しいですね。ということは5/4は測る必要性がなく、1/4で正常域の2分の1以上を基準にするということですね。そうすると、適用患者がかなり増えるのかなという意味合いがあると思うのですが、そのように考えてよろしいですか。
○久保田座長 松本先生、視野の専門ですが、このように書かれて何か違和感はありますか。
○松本委員 おそらく現行の運用では、この正常域を用いて判定されているので、1/4でこの正常域の2分の1以上を基準として明記しても認定患者の変動はないと思います。ただ文面でこのように書くと、1/4の正常値がこれということを意味することになり、学術的におかしくなってしまいます。現行の正常域で判定することは、等級の判定をこうすると決めればそれでいいと思うのですが、これが1/4の正常値だと明記すると、間違っていることになります。
○久保田座長 この正常域を書くと身体障害者手帳の視能率の計算の分母である560も認めることになるのですよね。分母の560そのものがおかしいと訴え続けているのですが、この5/4の正常域が出て判定は1/4というとおかしい。しかし、実務上はそれで構わないと思うのです。そうしなければ2分の1がもっと減ってしまいますから構わないと思うのですが、ここに書くと学問上おかしいですよね。1/4の正常値を書くか、あるいは認定を5/4でやらなければおかしいと思います。
○若倉委員 今まではどうなっていたのですか。
○久保田座長 今までは書いてありません。
○若倉委員 書かなくてもいいと思います。眼科医だったら大体分かっていることなので。
○久保田座長 そうですね。身体障害者手帳の解説には書いてあるのです。手帳の方も、それが正常値というのは本当はおかしいのですが。
○若倉委員 おかしいのをわざわざ今度付け加えるというのも。
○久保田座長 分かりました。そうすると視野の正常値は付け加えたものを削除することにして、生理的限界値よりも正常域のほうが分かりやすいですから、それでよろしいですか。
○若倉委員 そうですね。
○久保田座長 正常域のほうだけを修正するように整理していきたいと思います。もし問題がありましたら次回に検討しますが、一応2番はそのようにします。3番に入りたいと思いますので、事務局のほうからお願いします。
○栗原障害認定企画専門官 資料1の検討事項の項番3、視野が2分の1以上欠損した場合について説明します。認定基準は資料2の3ページの「カ」です。検討事項を整理するに当たり、委員の皆さまからいただいた意見を集約したものを検討事項として挙げています。
 1つは、中心暗点の症状のみ有する場合、原則として視野障害での認定対象とはしないが、個々の状態に応じて対象とするという取り扱いでよいか。また、中心暗点となる傷病名は例示しなくてもよいか。次に認定の対象とする不規則性視野狭窄、半盲性視野欠損、交叉性半盲の障害の状態や例示した主な傷病名は適切かです。また、検討事項の表の下に委員からの意見を要約したものを列挙しましたので読み上げます。
 項番3に関しては、「カ」に注意書きとして、「但し、斜視などにより生活上単眼しか使用出来ない場合はこの限りではない」と添えるべきではないか。中心暗点の視力での認定について、「加齢黄斑変性は」原則とは書いてあるが、おそらく病名だけで視野からはじかれてしまう。大変大きな中心暗点もあることを配慮しなければいけないのではないか。黄斑ジストロフィーの中に周辺視野(杆体機能障害合併例が時にあること、また、「等」には視神経症も入ると思われる)が準視野狭窄を呈する例や、視力が比較的保たれていても、中心50度以上の大きな暗点を示す例もあるので、そうした症例が不利になる可能性があるため「カ」の中心暗点の記載箇所は削除すべき。中心暗点の記載部分は、疾患名に偏りがあると思われるので、具体的な疾患名を省き、「中心暗点のみの場合は、程度にもよるが原則として視野障害として認定は行わない」等の記載にしてはどうか、との意見をいただきました。以上が視野が2分の1以上欠損した場合についての意見です。
 続いて、いただいた意見を踏まえて修正した箇所について資料2で説明します。資料2の3ページの「カ」をご覧ください。前回のたたき台では、中心暗点の傷病名である黄斑ジストロフィーや加齢黄斑変性について記載していましたが、委員から、病名だけで視野からはじかれてしまうという意見や、疾患名に偏りがあると思われるので具体的な疾患名を省いたほうがいいのではないかという意見をいただきましたので、傷病名については除いています。
 また、前回のたたき台では、中心暗点の記載は別の箇所に記載していましたが、委員から、中心暗点については大変大きな暗点を示すものもあるという意見をいただきましたのでそれを考慮して、視野でも認定できる書きぶりにすると同時に、別項目としていたものをまた書きとしてこちらの箇所に移しています。また、前回のたたき台でも示している、認定の対象となる障害の状態や、例示した傷病名について併せて確認をお願いしたいと思います。
 具体的には「カ」の注意書きの部分ですが、不規則性視野狭窄は、網膜剥離、緑内障等により、視野が不規則に狭くなるものであり、半盲性視野欠損は、脳梗塞等による同名半盲で両眼の視野の左右のいずれか半分が欠損するものである。また、交叉性半盲は、下垂体腫瘍等による異名半盲で両眼の鼻側または耳側半分の視野が欠損するものであると記載しています。項番3については以上です。
○久保田座長 この部分は資料2のほうに直してあるのでよろしいかということです。認定される方のほうで、このように直されるといかがですか。傷病名が削除されたのですね。
○小沢委員 削除はされていますが、注意書きの病名に「等」が入っているので、広くなっているので、特に不自由は感じないと思います。
○久保田座長 前嶋先生は。
○前嶋委員 特に異論はない形です。原則として視野障害として扱わないにしても、大きな中心暗点があるものは概して視力でかなり障害を受けていると思います。視野障害に認定されなくても、視力そのもので等級はかなり悪い状態で認定できるのではないかと思います。
○久保田座長 分かりました。診断書を書くほうは傷病名が削除されても問題はないですか、若倉先生。
○若倉委員 それは等が書いてあるし問題はない。
○久保田座長 ここの直した部分は下の注意書きも特に間違いはないと思います。これは異論ありませんね。この部分はこのように整理したいと思います。
 次に4です。2級に該当する部分の障害の認定で、ここがいろいろ大変なところです。事務局からその部分について説明してください。
○栗原障害認定企画専門官 資料1の検討事項の項番4の2級に相当する障害の状態について説明します。認定基準は資料2の(2)視野障害の「エ」となります。検討事項を整理するに当たり、委員の皆さまからいただいた意見を集約したものを検討事項として挙げています。1つは、2級に相当する障害の状態として示した内容は妥当か。次に、ゴールドマン視野計の1/4の視標で測定が不能の場合、求心性視野狭窄であれば2級相当とみなす扱いは妥当かです。また、検討事項の表の下に委員からの意見を要約したものを列挙しましたので読み上げます。
 項番4では、中心の視野が5度以内で2級に該当するが、精度的にもかなり難しい部位であり、固視標もあるのでなかなか評価が難しく、このままの基準で本当にいいのか疑問。2級の包括条項の障害状態として、「求心性視野狭窄あるいは輪状暗点により、両眼による中心10度以内の残余視野が1/2の視標で50%未満であるものをいう」と定義すべきではないか。緑内障(末期)の視野障害については、非常に不規則な視野で中心から外れたところに縞状の視野や中心に近くても10度を超えてしまう視野が見られる。そういうところをどのように取り扱うか。輪状暗点があるもの、もしくは20度外に縞状視野があっても、中心20度内で残存視野(1/2)の径が5度以内であればこれを含めるべきではないかとの意見をいただきました。前回のたたき台では「5度以内におさまるもの」としていましたが、委員から評価が困難など問題があるという意見があり、また、具体的な提案がありましたのでこのように修正しました。
 「エ」の6行目のなお書き以降を「ゴールドマン視野計の1/4の視標での測定が不能の場合は、求心性視野狭窄の症状を有していれば、同等のものとして認定する」としていますが、2級の規定としての内容が妥当かご確認いただきたいと思います。項番4については以上です。
○久保田座長 この部分は最初の資料2の2級のところの視力の下です。ほとんどが視野で認定するということが認定要項のほうに書いてあります。それが中心5度以内におさまるというと、なかなか認定できないということでいろいろ検討していただいた結果、松本先生が提案されたことについて資料もありますのでご説明いただけますか。
○松本委員 参考資料の1について解説します。現在の2級の判定に関しては幾つかの問題点があります。我が国には、視覚障害を等級判定する基準として障害年金の他に身体障害者福祉法があります。両者の判定基準は視力の基準も含め、ある程度並行して定められてきました。しかしながら、改正の時期的などの違いにより両者には乖離が生じてきております。実際に両者を比較してみますと、例えば視力の基準を見ますと、障害年金の2級は両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のものであると規定されています。同じ文言が身体障害者福祉法にもあり、これは3級相当になっています。この事実から、おそらく障害の程度としては、障害年金の2級は身体障害者福祉法の3級相当を意味していると考えます。ところが、両者の視野の評価方法は、ご存じのように障害年金のほうでは両眼の視野がそれぞれ1/2の視標で5度以内という規定になっています。身体障害者福祉法では両眼の損失率が90%以上ということで、これは前回の改正のときに5度以内の基準を廃止して視能率を導入したためにこのような記載に変わっています。身体障害者福祉法では、視能率を導入したことで、10度以内の求心性視野狭窄を有する対象者にも適応範囲が広がりました。
 損失率は両眼の視野から、ある一定の計算式を用い算出される障害程度を意味します。現在の身体障害者福祉法の損失率90%とは、もし同心円状に両眼とも視野が狭窄していると仮定すると、7度の求心性視野狭窄に対応します。これは、10度内視野が面積として50%障害されている計算になります。これが身体障害者福祉法の3級になります。
 では、障害年金の2級が今どのような状況かというと、5度の求心性視野狭窄という規定になっており、損失率で再計算すると93%に相当します。これは中心10度内の残余面積が25%しか残っていないことになります。これらのことから視野の基準は障害年金のほうがかなり厳しくなっていることが分かると思います。身体障害者福祉法では10度内を視能率で評価するようになったために認定範囲が拡大しましたが、障害年金のほうは従来の5度内をそのまま用いているため、このような乖離が生じていると考えます。
 5度の求心性視野障害の問題点は、手動のゴールドマン視野計では中心5度を正確に評価しづらい点が挙げられます。たとえば、測定時に一点でもわずかに6度になったらだめなのか、狭窄が少し横に偏位したらだめなのか、同じ面積でも下方に偏位したらだめなのかなど、いろいろあります。5度という狭い範囲を厳格に規定すると、障害の程度が同程度なのに障害認定できない方が出てくるという問題があります。
 ちなみに身体障害者福祉法と同じ基準を導入すると両者の判定は一緒になり下の改定案の1になります。この方法では実際に身体障害者福祉法で導入されている視能率を計算しなければいけないことになりますが、両者の診断基準はほぼ整合性が取られ、判定も数量化されるので正確になります。ただ、視能率の計算はやや煩雑で、現時点でもその根拠に対し議論があります。あえて身体障害者福祉法の複雑な数式を障害年金に入れるのかという議論があります。
 もう少し簡便な方法はないかということで両者を見ると、現時点で身体障害者の3級、損失率90%というのは、中心10度内の残余面積でいうと49%ですから50%を切ったところに境界があります。例えば規定として1/2の視標で、周辺視野と同じように両眼の視野を重ねたときに、中心10度内視野の面積の5割を切った場合に2級と判定するという考え方が成立します。両眼の視野が2分の1以上欠損したという方法は、周辺視野の判定で既に用いられています。また、半分ということで考え方が比較的単純という利点があります。しかし、問題点としては従来のようにきっちりと数字で評価できないことで、半分という意味は分かりやすいが、例えば48%ぐらいの場合や52%などのボーダーラインになったときに、認定医の先生がどのぐらいの裁量で判定できるのかどうかにあります。目測で評価する場合、円の面積の場合、半分というのがおそらく目測で評価できる限界だと思います。どこまで精度を求めるかによって、この方法が運用できるかどうかが決まって来ると思います。
 現在の障害年金の場合には、先ほどの等級の表を見ると、2級以上と2級未満がもともとは別の判定基準だったものが1つにピラミッド状につなげられています。そして法令としては2級が非常に曖昧な表現になっています。実際の運用上で障害手当金に相当するのが両眼による視野が2分の1以上欠損したもの、又は両眼の視野が10度以内のものですが、これらを満たした者だけが2級の判定対象者となっているのか、あるいは単純に1/2で5度以内の求心性視野狭窄の方がすべて2級対象となっているのか、実際の現場の状況を委員の先生方に教えていただければと思います。
○久保田座長 松本先生が最後に言われた5度以内を認定するときに、その下の3級の条件を満たしている場合に判定されているわけですか。小沢先生と前嶋先生、そうなのですか(うなづく)。実際はそのようですけど、事務局のほうではどうですか。視野が2分の1以上欠損したもの、又は両眼の視野が10度以内のものという3級の条件を満たした上で、さらに1/2で5度以内であれば2級にすることになっているのでしょうか。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 現行の認定基準を見ますと、両眼の視野が5度以内のものをいうという記載になっています。あと、10度以内または両眼の視野が5度以内のところに、それぞれの眼の視野が5度以内のものをいい、求心性視野狭窄の意味である。基準上視標の記載がないところでありますけれども、実際に認定の上では今診断書に視標が一つありますので、1/2で測るように、注意書きではありますけれども記述しておりますので、実際には1/2だけで測っている場合もあるかもしれませんし、視野単独で5度以内であれば、両眼の視野がそれぞれ5度以内であれば認定する可能性はあると思います。ただ、手当金ないし3級の場合は10度以内または2分の1以上欠損ですので、10度以内から少しはみ出ていたとしても、2分の1以下ではあると思いますので、そちらのほうで3級相当としているのではないかと思います。
○久保田座長 只今の松本先生の説明について、小沢先生や前嶋先生が認定する上で何か問題はありますか。その文言では、前と比べてよくなったとか悪くなったとかありますか。
○前嶋委員 正直非常に分かりづらいです。10度以内の50%未満というところが、裁量になりがちなのではないかという懸念が一番大きいです。身障者手帳のようにきちんと視能率のような形で数値で出してあるものと違いますのでなかなか難しく感じます。
○久保田座長 小沢先生もそうですか。
○小沢委員 1/2の視標で50%未満というのは、どのように数値的に表現したらいいのかというのが、感覚的に半分なのか視能率を求めるのか。
○若倉委員 目視でしょ。
○松本委員 おそらく周辺視野の2分の1以上の欠損と同じ判定精度になると思います。煩雑な式を全く用いない場合の運用方法として考えられるぎりぎりの評価法がこれで、精度的にはボーダーラインの症例の判定は少し難しくなるのではないかということを理解した上での提案になります。
○小沢委員 となると診断書のところに、1/2のところの中心視野に正常域か何か書いていただいて、実際測定を書いて2分の1になったとかそのようになるのでしょうか。
○松本委員 実際には、中心10度の面積に対し、1/2の残余面積がその半分以下であれば、2級認定ということになると思います。
○久保田座長 若倉先生から出ている資料はここで説明なさいますか。
○若倉委員 ここでもいいですけれども。今いろいろ数字のことで、松本先生から身障者福祉法の基準と照らし合わせながら説明をいただき、大変苦労された数字だと思います。よく読むと裁量の部分はありますが、少し明確になったのかなという気がします。しかし、どうしてもわれわれ眼科医は数字至上主義というか、どんどん数字のところに入ってしまって、患者の対象者が労働でどのぐらい厳しいのかということよりもそちらに入っていく傾向があります。
 例えば神経の基準を読むと、ほとんど元の基本の文章に立ち返っていて、例えば2級では日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものをいう、これで基準になっているわけで、医師の裁量権が非常に大きいわけです。それに対して眼科のほうは数字をいじってしまって、かえって医師の裁量権を縮めて、それが救うべき患者をはみ出させるところにいってしまう可能性があります。あまり数字をぎちぎちにすることは、今回の見直しにおいてはいいことではないのではないかと思います。結局、日常生活や就労困難の程度は同じなのに認定基準に入らない人をなるべく今度の基準改正で入れてあげましょうというのが、厚労省の方から最初に聞いたときのスタンスでもあります。
 実際に全体を見渡してみると、厚労省の平成20年の資料を見てきたのですが、視覚障害の就業率が非常に悪いと。これはロービジョン学会などでも盛んに言われていることです。例えば平成20年のもので見ると、肢体障害者の就労率は37%、内部障害は35%、聴覚障害は17%。これに対して視覚障害は4.5%で、非常に厳しいということです。ということは、認定基準が厳し過ぎるということでもあり、視覚障害は労働という観点からいうと、この前委員長が「この基準は労働ができるかできないかということが大切なんだ」とおっしゃいましたが、まさにそこのところです。4.5%しかないということは、等級に入らない程度の障害でも相当厳しいということを意味していると考えます。
 そのようなときに、医師の裁量権を縮ませるような厳しい基準を持ってくると今度の改正、おそらく数年とか10年は続くと思うのですが、ここに汚点を残すというと言い過ぎかもしれませんが、その方向性がいいほうに向くというところをだめにしてしまうという気がしてならないわけです。
 具体的に出した資料を見ていただいていいですか。
○久保田座長 では、どうぞ。
○若倉委員 これはこの前約束したように、緑内障の専門家を呼んだらと言ったのですが、それがなかなか難しいということでしたので、緑内障の専門家に頼んで、今、障害等級数で困っている人、あるいは障害等級が取れないで困っている人を中心として、視野を幾つか集めてほしいとお願いしたところ、積極的に協力していただいた資料です。
 資料1の1と2ページで見ると、この人はもともとは年金は障害等級を通っている人ですが、左は視力が0.03で、右は視野がこういう形で、中心は1/4が5度以内にあり、1/2が小さい赤いところです。ここだけを見れば今の等級に合いますが、この周辺を見ると1/4でかなり大きい視野が残っています。これが輪状暗点であればこの基準に合ってくると思いますが、これを輪状暗点と取ったのだと思います。輪状暗点という場合には、眼科医の何人がこれを輪状暗点として認めるかというととても難しい。緑内障の視野というのはこのようになり、輪状暗点はどちらかというと網膜色素変性症の用語であり、ここの基準の中に「求心性狭窄あるいは輪状暗点により」と書いてありますが、これでは輪状暗点と無理やり取ることになると思います。ですので、ここには輪状暗点あるいは周辺部の視野の沈下といった言葉があったほうがいいのではないかという気がしました。
 資料の3と4ページの74歳の男性の場合はまさに求心性狭窄です。ところが、松本先生がご提案になった1/4の視標で中心残存視野が10度以内に収まるもので、かつ、両眼による視野が1/2の視標で50%未満であるものとすると、この人は前半の1/4の視標で、中心の残存視野が10度以内に当てはまるというところに当てはまらないことになります。1/4が10度からはみ出ているからです。しかも「かつ」にすると、これだけでこの人は落ちてしまうことになります。これはもともと障害年金を取っていた方で、更新するときに今度の先生の提案されたものに照らし合わせると落とさなければならなくなり、今までもらえていた人がもらえなくなります。そういう事態に陥るという点で、今回の先生のご提案になったものは1つ1つの基準、例えば前半の1/4は10度以内に収まるもの、これは前よりも緩まったと思いますし、1/2が50%未満であるものも幾分緩まったと見ることができると思います。「かつ」にしたことで非常に落ちてくるものがあるということで、大きな問題ではないかと思います。私は「かつ」ではなく「または」とすればいいのではないかと提案します。
○久保田座長 若倉先生は「かつ」を「または」にすればよろしいと言われるのですが、50%未満というものが認定する側としては非常に分かりづらいということですね。
○若倉委員 分かりづらいかもしれないが、厳しく見ないというようにすればいいのではないかと。運用でですね。
○久保田座長 視能率をまたここに持ってくるのは、手帳の視能率があまり学問的ではないので、ここへ持ってくると、それを認めたようになるので嫌なのですが。ただ、この5度以内というところを視野の8方向の合計の値が仮に56以下とすれば、両眼が5度以内とほぼ同じになる。
○前嶋委員 大体そのぐらいです。
○久保田座長 56は各方向7度で、手帳でいう損失率90%に相当すると思われます。事前に松本先生にその話はしてありますが、いいほうの眼で取ると、もう一つの眼がいいほうの眼よりもはみ出た場合に7度では90%を超えるのではないかというのが問題だと言われました。何か他にいい案はありますか。
○松本委員 言葉で50%と書くと細かいのですが、実際は中心10度内が半分以上障害されていたらいいということで、それを医師の裁量権内で認めるということになります。若倉先生から1/4での規定のことに関してのご指摘を受けましたが、当初の私の案でもその規定は入っていませんでした。ただ、実際には障害手当金との整合性を合わせようとすると、このような規定になります。障害手当金ですでに両眼による視野が2分の1欠けているもの、あるいは10度以内のものというのが規定されていますので。
○若倉委員 でもこの方は上の等級だったのではないかと思います。
○久保田座長 この人は2級ですね。
○松本委員 それで2級のほうに上がれるのではないかと。単純に1/4で10度以内という規定にしてしまうと、従来2級を取れていた方が漏れてくると思います。ここが身体障害者手帳と違うところです。
○若倉委員 それはないのではないですか。「または」にすればどっちかでいいわけです。
○松本委員 そうですね。ですから2分の1か、あるいは1/4eで10度以内の方が2級を評価する前提になって、それが従来は5度以内だけであったというのが、10度内が半分障害されておれば2級を与えてはどうかという話になります。
○若倉委員 この文章では「求心性狭窄、輪状暗点により」ですから「かつ」になるわけです。だからここを「あるいは」にしなければ、そこを変えるか「かつ」を「または」にするかにしなければいけないと思います。
○久保田座長 この50%を2分の1以下にすると、分かりやすいですね。
○前嶋委員 そうですね。
○松本委員 あとは2分の1というのが本当に実務上できるかどうかです。言葉で言うのは簡単ですが、丸の中の半分ということになりますので。
○若倉委員 概ねです。概ねという言葉をこのような法律というか条令に入れていいのか知りませんが、そういうことを入れられるならそうしたらいいのではないかと思います。
○久保田座長 「両眼による」ですから、これは後でも出てくる2分の1以上障害と同じように、視野を重ね合わせて判定するわけですね。今回の認定要領に重ね合わせるというのが、手帳には出ているがこれには出ていないのですが、それは分かるでしょう。
○若倉委員 でも1/2を重ね合わせると変なことになりますよね。下手な視野をやっていると50%を超えてしまいます。そこが重ね合わせはどうなのでしょう。
○久保田座長 でも「両眼による」というと重ね合わせるので、いいほうの眼の視野に決めれば重ねなくてもいいわけです。
○松本委員 実際は周辺視野の場合には、なぜ両眼の視野を重ねるかということが説明されていたと思います。
○久保田座長 重ね合わせるというのは障害認定のほうには付いていないのです。
○松本委員 たしか、2分の1の場合に、両耳側半盲の場合にはだめな場合があるとか、その辺が書いてあったかと。
○久保田座長 それは手帳のほうに書いてあって、障害認定のほうには書いてないからおかしいということも考えたのですが、探してもここには書いてないのです。
○前嶋委員 障害手当金ではないですか。障害手当金に相当する部分で。
○久保田座長 書いてありますか。2分の1というのは両眼の視野によるという意味で、両眼視野ではなくて片方ずつ測定した視野を重ねて全体で面積を見ているわけです。
○松本委員 両眼視野の障害手当金のところで、両眼による視野が2分の1以上欠損という定義は、本文には説明がない。
○久保田座長 説明は本文にはないですよね。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 本文にはないです。
○松本委員 運用上で皆さんが重ね合わせているということですね。
○久保田座長 それは検討事項の次のほうに出てきます。2分の1以上欠損と10度以内というのは次で検討するのですか。違いましたか。10度以内のものについては、2分の1はないですね。失礼しました。
○小沢委員 質問です。私はよく理解できませんので、私のレベルの眼科医がたくさんいて大変だと思います。「または」の問題で、両眼の視野が2分の1で「または」になると、従来障害手当金だった方が2級に上がるということですか。
○久保田座長 それで「かつ」というか。
○小沢委員 「かつ」にされたんですか。
○久保田座長 ですよね。
○松本委員 従来の認定基準よりは基準が緩くなりますので、5度以内の求心性狭窄の方は全員入ると思います。
○若倉委員 でも「かつ」だと入らなくなるわけです。
○松本委員 そうですね。これは文章的に。
○若倉委員 「かつ」だと入らなくなるのでこれは大問題です。
○松本委員 そうですね。必ず現在2級で5度以内の求心性狭窄の方は全員が入らなければいけないと思います。
○若倉委員 そうです。
○松本委員 1/2の残余面積が中心10度内の50%未満とした場合は、従来の2級は全員が含まれるはずです。ただし、その他の規定で「かつ」が増えてくると、従来入っていた人が外されていきますので、それは直さなければいけないと思います。
○若倉委員 よく検討しなければ、そこの文章は難しい。
○久保田座長 10度以内の人で5度以内という人が落ちるというわけですか。
○若倉委員 少し10度を外れるような人で。
○久保田座長 外れるような人で5度以内の人が落ちてしまうというわけですね。
○若倉委員 そう、先ほどの2例目のような人。
○久保田座長 「あるいは」にすると?
○松本委員 その方は求心性視野狭窄が10度を超えていても2分の1の視野の欠損があるので、5度以内の評価をしてもいいということになるのでしょうか。
○若倉委員 だからこの文章はそこが明確ではないです。
○松本委員 そうですね。
○久保田座長 でも、これはとにかく1/2で2分の1か10度以内かは別として、1/2で50%未満というか2分の1か。
○若倉委員 全員入らなければおかしいのに、これでは前の条件が付いているから、それに少し外れる人がいると、例えば輪状暗点ではないような変な視野の人も外れるし、1/4で10度を少し大きくなる……。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 少し議論が混乱しているので整理したいと思います。別表を見ると障害手当金のほうに、両眼による視野が2分の1以上欠損したもの、または両眼の視野が10度以内のものというように既に規定があります。松本先生が言われるのは、両眼の視野が10度以内のものか、ここにある全体の視野が2分の1以上欠損したものということだと思います。あとはそれが1つの条件で、次は2級相当のところですので、手当金と同じことを2級ということにはならないと思います。障害の状態が重い方を2級と判定することになると、かつ、両眼による視野が2分の1で50%、2分の1以下でもいいですが、2分の1以下であるものをいうということで、縛りをかけて現行の障害の状態を維持するという形の2級相当ということになるかと思います。
○若倉委員 だから、これでは両眼による視野、1/2の視標で50%未満になるものが全員は入らなくなるというところが問題だと言っているわけです。
○久保田座長 これを10度以内に限ったから、少し10度をはみ出ている人が落ちると言われるのですが、障害手当金にあるように、両眼の視野の2分の1が欠損しているもの、または両眼視野が10度以内のもので、それで「かつ」とやれば。「かつ」でなければ1つのみで小さくないとおかしいわけですよね。同じではまずいわけですよね。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 同じでは障害状態としては適当ではないと思います。
○若倉委員 1/2では小さいというのはその通りですが。
○久保田座長 でも2分の1以下にすれば10度からはみ出ても絶対に入りますから、「かつ」になっても大丈夫だと思います。10度以内に限られると……。
○若倉委員 そこがこの文章は明確ではないでしょ? 手当金のことは別で、2級のことをいっているので、両眼視野が1/4の視標で中心の視野が10度以内に収まるものでというところを読めば、そうではない人が出てきますので。
○久保田座長 ですからそこを……。
○若倉委員 そのときに2分の1というのはここには書いてないわけですよ。
○久保田座長 そうではなくて、5度以内のを入れるためには、かつ両眼の視野が1/2で50%なり40%なり何かがないと。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 もともと今の規定では5度以内しか、先ほど言ったように書いていないので、実際に松本先生が言われるような状態が生じるかどうかは。
○若倉委員 これで生じているでしょ?
○和田事業管理課給付事業室長補佐 あり得るのですが、どれぐらいの方がいるかというのはなかなか分からないので。
○若倉委員 1人でもいたらだめでしょ。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 基準ですので、認定基準として適正化というところも判断の1つとしては重要なところですから、必ずしも救う、救わないという問題ではなくて、認定基準としてどのように適切なものをつくるかということでお願いしたいと思います。
○松本委員 少し混乱しているのでもう一回整理してよろしいですか。現行ですと、障害手当金のところで両眼による視野が2分の1以上欠損したもの、または両眼の視野が10度以内のもので、とりあえず3級までの視野の判定基準になっているということでよろしいですね。これを満たした人で、なおかつ5度以内に1/2で狭窄している方が2級になっていると考えてよろしいですか。
○若倉委員 そうであればいいです。
○松本委員 それが正しいということであれば、両眼による視野が2分の1以上欠損したもの、または両眼の視野が10度以内のもので、かつ1/2で10度内面積が半分以上狭窄しているということで全員救えるはずなのですが。
○若倉委員 その文章ならいいのではないかと思います。
○久保田座長 それで全員が救えますね。今までそれが明確にされていないが、今、認定されるお二方に聞いたらそうだと言われるので、そのように考えて認定されていたわけですね。5度以内をやるからには、2分の1か10度以内の人について5度以内という。
○小沢委員 私は松本先生の解釈でいいと思います。そうすれば従来より厳しくなることもないし、それなら大丈夫です。ただ周辺視野が2分の1以上欠損という文言が入っていなかったので、それを追加すればよろしいと思います。どうですか。
○久保田座長 ここは10度以内、あるいは2分の1の小さいのでも、半分というのは何の半分にしますか。そうすると10度以内の半分でなければまずいですね。
○若倉委員 片眼ずつが半分というようにしないと、このように重ねてでは。5度以内を重ねては大きくなりますよね。
○久保田座長 大きいというか小さ過ぎては分からない。
○若倉委員 極めて不正確になるので、1枚ずつを見て5度以内に入っていればよろしいとしたほうが。判定するほうも素人ではないが、判定の教育を受けたドクターがやっているわけではなくて、どの眼科医もやるわけなので。
○松本委員 ここで先ほどの半分という話をもう一度整理します。現在の基準は非常に単純で、求心性視野狭窄が5度を超えていればたとえ片眼でも認めないことになります。今回は、視能率での同等性を考え、中心10度内の半分までの障害は認めていいのではということになります。ただ、これはあくまで面積の話になります。求心性狭窄を中心から同心円で描くと7度がちょうど10度の半分の面積になります。ただ、単純に基準を中心7度にしてしまうと、今度は下方視野だけ障害されている人が入らないなどの問題が出るため、面積として中心10度内の少なくとも半分以上が障害されていれば、認定すればいいのではないかというのが趣旨になるわけです。
○若倉委員 そのニュアンスが入らなければ、判定してそれを認定していただく先生たちはよく分からない。
○前嶋委員 質問です。例えば右眼で、先生の言われた10度以内で50%以上やられていれば2級に相当しますね。10度以内で50%以下の場合は障害手当金に入るという考えですね。片方の眼が50%以上やられていて2級に相当する、もう片眼が50%よりは緩い形で、障害手当金に片眼だけ入ってしまうという場合はどのように。
○松本委員 そのようなことがありますので、やはり中心も両眼の視野を重ねて評価する必要があります。たとえば、両耳側半盲でちょうど真ん中で半分ずつ障害されていた場合に、左右を重ねると正常になってしまいます。こういう場合は従来も周辺視野で2分の1欠損には含まれなかったので、同様のことが中心視野でも当てはまると思います。たとえば、1つの中心10度を示す円の中に左右視野を書いて、見えないところを塗りつぶし、半分以上障害されていれば認定するということになります。
○久保田座長 大体分かりましたので検討いただいた問題点を整理して、ここだけは次回にもう一度きちんと決めて、矛盾がないようにもう少し検討してよろしいですか。
○若倉委員 ここのところだけを書き直していただくということで、書き直したものを会議の前にメールなどでいただいて。
○久保田座長 意見を伺って、できれば次回にはここ以外は大体完成したものにして、ここは一番重要なところなのでもう少し整理をします。今、いろいろ言われたことで大体問題点はよく分かったと思いますので、それを次回に持ち越します。
 次の5にいきます。事務局の方、よろしくお願いします。
○栗原障害認定企画専門官 資料1の検討事項の項番5です。両眼の視野が10度以内のものについて説明します。認定基準は資料2の(2)視野障害の「オ」です。こちらは視野障害の手当金の規定になります。1つは認定の対象を「求心性視野狭窄」と「輪状暗点」とし、「1/4の視標で中心の残存視野が10度以内におさまるもの」とした内容は妥当か。次に、対象とする求心性視野狭窄等の障害の状態や、例示した主な傷病名は適切かです。1点目は項番4でいただいた意見を踏まえて修正した箇所と同様に文言を整理したものになります。
 資料2の2ページ目の下の「オ」です。具体的には両眼の視野が10度以内のものとは、求心性視野狭窄あるいは輪状暗点により、両眼の視野がそれぞれ1/4の視標で、中心の残存視野が10度以内におさまるものをいうと記載しています。2点目は前回のたたき台にはありませんでしたが、輪状暗点を求心性視野狭窄と同列とした書きぶりに修正したため、また書きとして状態の説明を付け加えました。
 前回のたたき台でも示した認定の対象となる障害の状態や、例示した傷病名について併せて確認をお願いしたいと思います。具体的には「オ」の注意書きの部分ですが、求心性視野狭窄は、網膜色素変性症や緑内障等により、視野の周辺部分から欠損が始まり見えない部分がゆっくりと中心部に向かって進行するものである。また、輪状暗点は、暗点が中心部を取り巻いて輪状を呈する場合をいうと記載しています。項番5については以上です。
○久保田座長 この部分の記載について、認定される方は分かりますか。
○前嶋委員 大丈夫です。
○久保田座長 実務上は大丈夫だそうですが、松本先生は問題になるところはありますか。
○松本委員 輪状暗点の定義が厳格に書いてあるのですが、そうすると、これ以外は全部輪状暗点ルールが適用できなくなることが心配です。今までは輪状暗点とあってもそれが何かという定義がないので、少々端が欠けていても裁量権で判定していけたのですが、取り巻いて輪状を呈するときちんと書くと、完全なドーナツ状でなければ絶対にだめということにならないかという危惧があります。
○久保田座長 それは事務局のほうではどうですか。輪状暗点、眼科医が見れば大体分かりますが、他で見ると、つながってなければだめということになりますね。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 従来書いてなかったので、これまでは認定医の先生方の判断でやっていただいたところがあると思います。今回は書き方を並列にしたので、輪状暗点だけないのもどうかというところでつくったものです。今までなかったものですから、特にそのままでも差し支えないということであればそれでもいいと思います。
○久保田座長 ここは削ったほうがよろしいですね。
○若倉委員 今までで別によかったわけですから。
○久保田座長 今までなかったわけですから。その上のほうはこの書き方で分かりますね。松本先生はどうですか。「10度以内のものとは」というところです。
○松本委員 これはこの通りではないかと思います。
○久保田座長 よろしいですね。「オ」の赤で書いた上の部分は、これで問題は。
○若倉委員 求心性狭窄は中心部に向かって進行するものです。書いてないからいいと思うのですが、均等にということではないわけです。そこのところが大事なのではないかと思います。特に緑内障では部分的にというのもあり得るので。
○松本委員 完全に同心円でない狭窄も含まれるべきだと思います。それをどこまで厳格に、求心性狭窄を定義するかによりますが、本来は10度内になっていれば、形がどうであれ、認めていいと思います。
○久保田座長 手帳のほうは求心狭窄でなければ視能率を計算しませんので問題ですが、この場合は2分の1でもいいということが今度決まれば、あまり厳格に考えなくても大丈夫だと思います。
○若倉委員 緑内障の場合はどちらも鼻側がやられる、両方を足すと2分の1ではだめな場合ですよね。
○久保田座長 「または」の2分の1のほうに移行するかもしれません。10度を超えれば2分の1のほうに入るかもしれないので、判定を受ける側としてはあまり厳密ではなくても厳しくはなっていないと思います。ここは変えていないわけですね。黒字ですから。
○松本委員 実測したデータが10度内であればいいのではないかと思います。
○若倉委員 だからこの「求心性狭窄は」というのもないほうがいいのではないですか。
○前嶋委員 なくてもいいです。
○若倉委員 なくてもいいですね。
○松本委員 本当の意味での求心性狭窄という規定を入れますと制限が厳しくなります。
○若倉委員 そしたら色素変性ばかりになってしまう。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 そこは今回の改正に当たって要望があったところです。なるべく傷病名を入れたほうがその時点で判断がしやすいと。スピーディーに判断する意味も含めて、そういった要望が多かったので入れたものです。それを今現行と同じように「なし」とするのは要望に応えられない形になります。
○松本委員 実はこの部分も身体障害者福祉法のほうで問題になっています。求心性視野狭窄という言葉は厳密にいうと、周辺視野が完全に障害され、例えば5/4eにも反応せず、中心部に残余視野だけが残っている状態をいいます。このような形状で視野が徐々に狭くなっていく状態で、例外として輪状暗転だけは含むというのが身体障害者福祉法の考え方です。しかし基準をあまり厳格にすると実際には重症の緑内障症例などの判定が非常に難しくなるので、1/4が10度以内になっていれば、認定できる方がいいのではと思います。
○若倉委員 妥当です。
○松本委員 どれが求心性狭窄か、どれが輪状暗点かという悩みがなくなるのではないかと思います。
○若倉委員 定性的ですから、逆に言うと、不規則狭窄、不規則性狭窄のような言葉を輪状暗点と並列で入れてもらえるならもっといいのではないかという気がします。そこも次回の案を出すときに、ここの「エ」と「オ」は一緒に考えたほうがいいのではないですか。
○久保田座長 病名を入れるのではなくて不規則狭窄のような言葉ですか。
○若倉委員 狭窄という言葉を入れるとか。
○久保田座長 不規則狭窄で10度以内に収まるというとまた、それは2分の1のほうも不規則狭窄ですか?
○若倉委員 不規則狭窄などは緑内障であります。求心性狭窄はどうしても色素変性が多いですが。
○松本委員 この文言が必要になる背景には、白内障などで全体に視野が沈下している方の場合で、周辺視野は残っているのに小さい視標だけが10度内になっている方は少し再検討してほしいという意味合いが、身体障害者福祉法のほうにはあるのだと思います。ただその厳格な運用は難しいので少なくとも1/4eという基準が10度内であればいいということが明確であればいいのではと思います。
○若倉委員 その点は賛成です。
○久保田座長 これは入れないほうがいいということですか。
○松本委員 病名を入れないか、不規則も入れてしまうか、どちらかになると思います。
○久保田座長 注以下は削除したほうがいいということですか。
○若倉委員 削除できないとおっしゃるので。
○久保田座長 とにかく輪状暗点は削除しますね。
○若倉委員 輪状暗点の説明はですね。
○久保田座長 分かりました。そこはそれで、今度は「エ」のほうとの兼ね合いで、次回もし何かありましたらということにします。
 6にいきます。事務局の方、よろしくお願いします。
○栗原障害認定企画専門官 資料1の検討事項の項番6、診断書の測定結果の記載方法等について説明します。こちらは資料3の診断書の見直し案と併せてご覧ください。診断書の表面のマル10欄の(2)視野の箇所になります。2つの視標にそれぞれの測定結果を記載することで判断は可能か。次に測定結果のコピーが添付された場合、記載内容を省略しても問題ないかということです。この2点についても前回たたき台で示しましたが、委員の皆さまに再度確認をお願いしたいと思います。
 これまでは1つの視標に2つの測定結果を記載していただいていましたので、1/2と1/4、それぞれの測定結果を記載していただくようにマル2の視標を追加したことと、右下の2つの米印の箇所に「視野障害がある場合は、左記の(2)マル1視野とマル2中心視野に測定結果を記入してください。」1/4と1/2の測定結果のコピーを添付される場合は、左記に記入する必要はありませんと追加しています。また、左右の字も従来より大きくしています。文言も含めてこれでよろしいか確認をお願います。項番6については以上です。
○久保田座長 前回も視野表が2つになることについては、認定されるほうとしてはありがたいという話でしたね。2つの表に分けて診断書に書くのは、診断するほうとしても別に問題はないと思います。
 その下の文言についてはどうですか。
○小沢委員 コピーが添付された場合は記載内容省略という部分です。かなりのレベルの視野の測定結果が出まして、素人が取っているような、それに近いような視野が出てくることがよくあるので、申請する先生方の直々の中心視野の結果をこちらに書いていただいたほうが、私はやりやすいです。
○久保田座長 一応書いて一緒に添付してもらってもいいのですが、このようにしてこちらに全く書かないで視野表を出すと、診断した医師が何を考えているか分からないことがあります。先生が言われるようにレベルの低い視野を入れてくることがあります。
○小沢委員 1/2と1/4、大きい小さいとか混じっていますが、それが何を意味するかとか、そのレベルのことまで知らない先生もいると思います。冒頭で申し上げましたが、これは眼科医でなくても書けるわけです。
○久保田座長 そうなのです。
○小沢委員 ですから身体障害者福祉法とは違って、いろいろなレベルの先生がいらっしゃるので、基本に返って話をしなければいけないと思います。そのような意味で、例えば検査員が視野を測って、ただそれを添付して出してくる先生がいるのは事実だと思います。
○松本委員 実際にはどれが1/2のイソプタか分からないような視野も少なくないので、明確に書いていただいたほうがいいと思います。
○久保田座長 視覚障害の診断書ですが、診療科名は書いてあるが眼科とは書いてないわけです。だから他の科の先生も書ける診断書です。そうすると、コピーの云々というところを削除したほうがいいですか。
○小沢委員 私はそうしたほうがいいと思います。
○若倉委員 2つ出てきた場合、コピーと記入もしてある場合はどちらを正とするのですか。
○久保田座長 それはとにかく診断書ではないですか。診断書ですから。
○若倉委員 だったら診断書には書かなくてはだめです。
○久保田座長 だめですね。
○小沢委員 コピーと診断書が違っていること自体が問題だと思うのですが。
○若倉委員 視野検査の信頼性も見た上で医師が診断書に記入すれば、そこに解釈が若干入っているということになると思います。それが医師の裁量だと思います。
○久保田座長 赤字の部分の上の段はこのままでよろしいわけですね。下の段は一応削除する方向でいきましょう。
 今度は視野から離れて、その他の障害のほうに入ります。7のほうをよろしくお願いします。
○栗原障害認定企画専門官 次にまぶたの運動障害、眼球の運動障害、瞳孔の障害について説明します。資料1の検討事項の項番7、「その他の障害」の整理、障害の程度及び状態についてと、項番8、診断書の記載箇所については続けて説明します。まず項番7です。資料2の3ページの(3)その他の障害と併せてご覧ください。(3)その他の障害は前回のたたき台で、調節機能障害および輻輳機能障害、まぶたの欠損障害、まぶたの運動障害として、それぞれ3つに区分していました。他の障害状態も追加したことから、今回の修正案では(3)のその他の障害として、1つの区分にまとめて整理しています。これらは障害の状態として障害手当金相当となります。
 検討事項を整理するに当たり、委員の皆さまからいただいた意見を集約したものを検討事項として挙げています。1つは、眼の障害を「視力障害」、「視野障害」、「その他の障害」の3つに区分し、「その他の障害」として、「まぶたの欠損障害」、「調節機能障害及び輻輳機能障害」、「まぶたの運動障害」、「眼球の運動障害」、「瞳孔の障害」として整理することが妥当か。次に、その他の障害の程度を障害手当金相当とし、障害の状態としてそれぞれ規定した内容は妥当かです。また、検討事項の表の下に、委員からの意見を要約したものを列挙しましたので読み上げます。
 項番7では眼瞼痙攣の障害の程度について、ほぼ終日閉瞼固守しているものや、閉瞼固守が治療等によっても1日の概ね4分の1を超える場合又は、瞼の運動異常(開瞼困難)、眼瞼痙攣における知覚過敏(高度の羞明や痛みなど)のために長時間(10分程度)継続しての読み書きができない程度のものは、手当金相当より上位にすべきではないか。眼瞼痙攣の認定は、手当金相当と考える。そもそも眼瞼痙攣は眼の障害ではないという意見もある。眼瞼痙攣を定量化することが困難なため、重症度判定も困難ではないか。「身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの」として、「まぶたの運動障害」の他に「眼球の運動障害」を追加すべきではないか。また、散瞳障害が調節機能障害及び輻輳機能障害に入るのはおかしいので、「瞳孔の障害」として規定すべきではないかとの意見をいただきました。
 続いて資料2の(3)その他の障害について説明します。前回のたたき台からの変更点は3点あります。1点目は「まぶたに著しい欠損を残すもの」と「調節機能及び輻輳機能に著しい障害を残すもの」を認定基準の別表の順番通りに変更し、順序を入れ替えました。内容については変更していません。2点目は散瞳に障害があるものについて「調節機能障害及び輻輳機能障害」のところに含めていましたが、瞳孔の障害として規定すべきとの意見があり、別項目として規定しました。3点目は麻痺性斜視で複視が強固なため、労働に制限があるものの状態として、眼球の運動障害を新たに規定しました。項番7については以上です。
 続いて資料1の検討事項の項番8の診断書の記載箇所について説明します。資料3の診断書の見直し案と併せてご覧ください。診断書の表面のマル10欄で、視野表の右側の(4)から(6)になります。検討事項については「瞳孔」を「調節機能・輻輳機能」の項目に、「まぶたの運動」を「まぶたの欠損」の項目に追加し、「眼球の運動」の項目を新たに設けることで問題がないかということです。こちらはその他の障害に区分し、新たに明記したまぶたの運動障害、眼球の運動障害、瞳孔の障害について、その状態を診断書に記載してもらうために診断書の項目を3つに区分して表記しました。ご確認いただければと思います。項番8については以上です。
○久保田座長 項目がたくさんありますが、前回こちらの項目は従来あまりないという話もありました。このように書ける場所と、いろいろ病名が付け加えられたことにより、手当金の該当者が多くなるのではないかと思われますが、いかがですか。ただ、眼瞼痙攣を2級ぐらいという、強い症例があるという。
○若倉委員 事実です。障害年金を申請した方が過去に5例あります。1人は、治療をしても絶対に眼が開かない、1日中閉じているような人です。その人は1級の認定になりました。ただし1回目は却下されて、3回ぐらい不服申し立てをしてやっとそうなりました。1人は2級になりました。1人は3級で、どういう基準でそうなっているかというのは私には分かりません。あとの4~5例で、1人は却下、もう1人は却下されて今不服申し立て申請中という方々が私の患者さんであります。神経内科の先生に話を聞くと、神経内科でも相当ひどい閉瞼固守をしている方は、メイジュ症候群とかオクロ‐オローマンディブラージストニアというような眼瞼痙攣の親戚のような病気があるわけですけれども。そういう方は9節の神経系統障害というところの2級とか、場合によっては1級に申請している場合もあると、ジストニアの専門家に聞きました。これは眼の障害のところに無理やり全部入れるとおかしくなるということは確かにあります。一応今回は非常に進歩して、眼瞼痙攣を認識していただくことができたわけですが、閉瞼固守が長期間持続する、あるいは治療によっても長時間持続するような症例については神経障害のほうの基準に準じて認定するという、「なお」という書き方が1つあれば全部解決するのではないかと思いました。
○久保田座長 重症なのはよく分かるのですが、眼の障害というと、眼球、神経、視野の障害で判定して、身体障害者福祉法でも眼瞼によるものは眼瞼下垂も眼瞼痙攣も該当しないというように扱われています。
○若倉委員 過去にはですね。
○久保田座長 ただ障害年金の場合を考えると、眼瞼痙攣があると、軽い人でも就労には治療に通院困難などいろいろあって、該当するのは悪くないと思い、今度入ったことは大変進歩だと思います。すごく重症なのは、第1回の議事録にもありますように、他の科の診断書を一緒に出してということで、それは眼の診断を書く先生がそういうことを患者に勧めるというか紹介するというようにして。
○若倉委員 難しいのではないでしょうか。眼の障害が一番辛いので眼科に来ているので。
○久保田座長 眼瞼痙攣で来ている患者のいる病院に来たというのは、ボツリヌス療法などができるところに来ていますので、そういう知識のある先生がいらっしゃるので。あるいはボツリヌス研究会などで、そういう場合は精神科を勧めて診断書を出すようにということですね。ボツリヌス研究会などにもアナウンスをしてもらうとか、他の方法で眼の障害のところで、この疾患だけそこまで書く必要があるかということです。
○若倉委員 眼科だけで完結できないと、地方などでは難しいと思います。東京なら割合に神経内科に行ってくださいと言って行ける可能性はありますが、地方では眼科に来るのが精いっぱいで、病気自体がそういう病気ですので。そのようなときには、この基準の基本に立ち戻ってどれだけ就労が難しいか、一番基本の、一般的事項の基本の第1項のところにありますように、ここに立ち戻るべきではないでしょうか。障害の程度という、障害の問題を考えるときの一番の基本の構成例とかそういうものの別表の1級、2級、3級はどういうものをいうか。例えば2級では労働により収入を得ることができない程度のものとか、3級では労働が制限を受けるか、または労働に制限を加えることが必要な程度のものという、そこまで立ち戻った評価で、神経眼科学的な病気についてはそこに立ち戻るべきではないかと主張したいと思います。
○久保田座長 いかがですか。
○小沢委員 若倉先生は眼瞼痙攣や眼瞼系が専門なので、例えば先生の基準の中で定量に近いレベルの診断ができると思うのですが。私が懸念しているのは、眼瞼下垂や眼瞼痙攣も軽度のものから重症のものまであるわけですが、この文章の中では定量性、大中小、強弱というものを全くうたっていないので、極端な話では、ある程度の中年以上の方は全員眼瞼下垂だと診断する眼科の先生もいるかもしれない。
○若倉委員 だから閉瞼固守という言葉を用いて、閉瞼固守が長時間続いているケースについてはその程度を神経学における基準を準用するというような文章を置いておけば全部解決するのではないかと。閉瞼したままという方がいるわけですから、そういう人を何とか救わなければ、それも手当金というと非常に不公平というか。他の科での認定患者との格差ができてしまうということだと思います。
○小沢委員 手当金の上というのは2級になってきます。そうすると、先ほど視野でかなりディテールまで話し合っていたわけですが、網膜色素変性症などの方を救おうという。私は眼球が専門で、先生は眼瞼なので多少の違いはあるかもしれません。眼を開けても何をしても見えない方が2級というのと、眼瞼痙攣での2級というのが、認定の妥当性、公平性はとても大事だと思いますが、公平ということは数字が大事だと思うし。
○若倉委員 それは違うと思います。眼科だけこれだけ数字を細かくやって、神経学的な病気、精神医学的な病気、整形外科的な病気は医師の裁量が中心になっているという、そこだけでものすごい格差ができてしまって、この数字があることで随分と視覚障害の人は損をしていると。
○小沢委員 ですから数字を緩めてほしいというのがわれわれ認定医のお願いなんです。
○若倉委員 それは私も賛成です。
○小沢委員 緩めていただきたいというのと。
○若倉委員 新しく分かってきた病気とか、そういうことの進歩はこれからもあるわけですから、そういうものを取り入れて。学際的というか他の科と関連しているような病気もたくさん出てきますので、そういうものについても眼科は眼だけ、視覚だけというようにしないことが大切ではないかと思います。
○久保田座長 先生のご意見はすべてもっともだと思います。ただ、眼瞼痙攣はすべてが重症という取られ方をされると。
○若倉委員 それは言っていません。
○久保田座長 そういう文章で入ると、運転免許を取るときや就職をするときに、眼瞼痙攣というのが逆に差別というかそういう目に遭うと。免許に書かなければいけないとか、そういうようになるかもしれない。
○若倉委員 それはここの議論とは違います。
○久保田座長 違いますが、眼瞼痙攣で治療を定期的に受けて普通に就労している方がたくさんいるわけです。
○若倉委員 だけど閉瞼固守をしている人は仕事はできません。
○久保田座長 眼瞼痙攣ではなくて閉瞼固守は他の精神的なものが加味されて。 
○若倉委員 精神的というか病気自体も重症ですね。
○久保田座長 普通の眼瞼痙攣として治療を受けている病気とは違うと思います。それは今回は眼瞼痙攣にとどめて、そういう特殊な方については第1回の議事録にもあるように、他の科の診断書を取れば、先生のところでも何人か年金に該当されているわけですから、最初はそういう努力を先生のところのようにされていると、後に続く人はもっと簡単に取れるようになるのではないかと思います。
○若倉委員 先生のお考えもよく分かります。
○久保田座長 これもいろいろな議論で、診断書を書く側も判定する側も患者のことを思ってやっているのですが、公平とか、ずば抜けて1つだけ特別という。
○若倉委員 それは全然言っていませんよ。眼瞼痙攣だけを特別扱いしてくださいとは言ってなくて、神経の病気として2級、1級になっているケースもあると。そういうケースと、こちらで眼瞼痙攣は全部手当金相当とすると格差ができますねという話です。
○久保田座長 今まで眼瞼痙攣で何も取れなかった方はこれでだいぶ取れると思うのです。
○若倉委員 それはそうです。
○久保田座長 そちらのほうが今回は大きいと思うのです。だから今回は眼瞼痙攣で手当金までで一応こらえて、その他の救済についてはもう少しいい方法を考えてはどうでしょうか。
○若倉委員 それを一言書いていただけないでしょうか。
○久保田座長 書けますか。
○若倉委員 閉瞼固守については神経学的な評価を別途必要とするということを。
○久保田座長 分かりました。それは後で次回までに相談して入れるかどうかということですね。
○若倉委員 お願いします。
○久保田座長 分かりました。大変熱心な議論をいただいて一応8までは終わって、9と10は視力のほうに戻るのですが、あと15分ありますので9と10も説明してください。
○栗原障害認定企画専門官 次に3、その他について説明します。検討事項のその他の部分として2項目を挙げています。これは認定現場のほうからは特に要望のなかったところですが、前回の会合で委員の皆さまから意見があったもので、今回継続して議論をいただければと思っています。資料1の検討事項の項番9、現行の視力障害の両眼の視力の和での認定の考え方、検討事項の項番10、法別表についての考え方について続けて説明します。資料2の1ページおよび2ページの(1)視力障害と併せてご覧ください。
 検討事項を整理するに当たり、委員の皆さまからいただいた意見を集約したものを検討事項として挙げています。1つは視力の測定方法をどのように考えるか。次に「両眼視によって累加された視力ではなく」という記述を削除することでいいかです。また、検討事項の表の下に委員からの意見を要約したものを列挙していますので読み上げます。
 項番9では、両眼視の視力の和での認定方法について問題ではないか。視力の和での認定については身体障害者福祉法の等級も変えなければいけないと思うが、大きな課題が残っていると思うので、この点だけは今回できなくても、必要なときに両方の委員会できちんとやらなければいけないと思う。
 単眼視や複視を含めて両眼視の問題を考える必要があるのではないか。複視、混乱視などにより常時片眼(優位眼)しか使用できない場合、視力の和での非優位眼を0として計算すべきではないか。両眼視によって累加された視力という表現は好ましくない。両眼視は遠近感覚や立体視といった機能に対して使い、ここの場合は「両眼を同時に使用したとき」あるいは「両眼を開けてみたとき」の意味と思う。手帳では「両眼の視力の和」だけなので、ここでは削除したほうがいいとの意見をいただきました。認定基準については特に委員より意見のあった「両眼視によって累加された視力ではなく」の部分については削除しました。その他については引き続き議論をいただきたいと思います。項番9については以上です。
 続いて資料1の検討事項の項番10、法別表の考え方について説明します。検討事項を整理するに当たり、委員の皆さまからいただいた意見を集約したものを検討事項として挙げています。検討事項については、認定基準の法別表の障害の状態に視野障害の規定を新たに設けることについてです。また、検討事項の表の下に委員からの意見を要約したものを列挙しましたので読み上げます。
 項番10では、確かに認定要領においては視野のことが明確に書かれているが、別表は視野についての記載が明確でないと前々から思っている。身体障害者福祉法には別表に視野のことがある程度きちんと書いてあるが、年金では書いていないので認定基準のところまでちゃんと読んで知っている先生は比較的少なく、医者側の問題だが誤解を受けやすい点があるとの意見をいただきました。項番10については以上です。
○久保田座長 9と10についてはいろいろご意見もあるし問題が多いところですが、今回の改正に、この中からぜひ入れなければならないことなどはありますか。次回も時間がありましたらそういう意見に対して、今後どのようにしたら矛盾を解決できるかということで、提言という形でまとめて、解説は別に討論したものを少しまとめられればと考えています。
○若倉委員 私が提出した資料の7ページと8ページを少し説明します。これに関連します。これは緑内障の先生がこういう人たちを助ける方法はないのかということで、一緒に議論というか問題点としてここに掲載してもらいたいと思っています。ぜひ言ってくださいと言われてきましたので、あと5分ありますので言います。
 この方は左が0.09の視力でこういう視野です。右の視力は1.0ありますが、こういう視野で、つまり中心の?/2に関しては非常に狭い視野、おそらく50%以下になると思うのですが。以上の欠損があると思うのですが。片眼は視力が悪い、片眼は視野が悪いという場合、こういう人は損をするわけです。両方とも視野が悪ければいいのですが、あるいは両方とも視力が悪ければいいのですが、片眼は視力が低下して、片眼は視野が著しく悪いということは緑内障ではしばしばで、他の病気でも出てきますが。この人自身は白杖が必要だし、事実上は左眼は眼をつぶって歩いている。左眼は全体が白く見えてしまって仕事はほとんど短い時間しかできない、自営の方でフルタイムの仕事はとてもできないという方です。今は75歳になりましたのでそれほど仕事をしていませんが、段々できなくなっているということです。もっと若年者でもこういった例がいくつもあると思います。片方は視力、片方は視野が悪いということに対しての配慮が今回の基準については少しうまくいかないのです。両眼の視野とか両眼の視力ということでいくと、それがうまくいかないので、そこら辺のところを。
○久保田座長 障害認定のほうでは片方が0.1以下に減じたものが手当金として入ります。この人は0.09だから年金ではありませんが、1眼の視力が0.1以下に減じたものですから、片方がよくても構わないで、障害認定のほうは割と1眼がよくても手帳にはならない人でもかなり該当していると思います。
○若倉委員 ぴたっとしたいいケースが例示できたわけではないと思うのですが、これが0.1以上だったら同じことですね。0.09が0.1だって、0.2だったりしたら認定されないわけですから、そこのところが配慮されていない点を問題点として追記していただきたい。あと1回で改正できるとは思いませんが、問題点として意識していただければありがたいと思います。
○小沢委員 おそらく今の若倉先生の「かつ」と「または」のところに関わっている問題ですね。こういう方が軽く認定されている可能性はあると思っています。
○久保田座長 では時間になりますので。今日も前回と同じでまとまりがつきませんでしたが、かなりの議論が進んで、修正案が次回最終的にチェックできる段階までいくと思いますので、事務局のお力を期待して、これで議論を終わりたいと思います。
 次回の日程など、事務局から何か話がありますか。
○和田事業管理課給付事業室長補佐 今日はどうもありがとうございます。次回は11月2日金曜日の午後2時からの開催を予定しています。後日改めて開催場所の連絡を差し上げたいと存じます。なお、本日の資料および前回会合の議事録については厚生労働省のホームページに掲載する予定にしていますのでよろしくお願いします。以上です。
○久保田座長 本日の会合はこれで終了します。長時間熱心に討論をいただきありがとうございました。事務局の皆さまもお疲れさまでした。


(了)
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