ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(統計分科会生活機能分類専門委員会)> 第12回社会保障審議会統計分科会生活機能分類専門委員会議事録




2012年9月27日 第12回社会保障審議会統計分科会生活機能分類専門委員会議事録

統計情報部企画課国際分類情報管理室

○日時

平成24年9月27日(木) 10時00分~12時00分


○場所

厚生労働省共用第6会議室


○出席者

委員

石川広巳委員 大川弥生委員 河原和夫委員 木村伸也委員 木村隆次委員 
坂本洋一委員 春名由一郎委員 <五十音順>

事務局

辻田企画課長 谷国際分類情報管理室長 岩崎保健統計室長補佐 及川国際分類分析官

○議題

(1)委員長の選出について
(2)ICFの普及・活用について
(3)その他

○議事

○事務局 それでは、予定の時間となりましたので、第12回「社会保障審議会統計分科会生活機能分類専門委員会」を開催いたします。
 各委員の先生方におかれましては、お忙しい所を御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 私は、本日、進行を務めさせていただきます統計情報部企画課国際分類情報管理室長の谷でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、最初に課長の辻田のほうから御挨拶を申し上げます。

○辻田企画課長 統計情報部企画課長の辻田です。どうかよろしくお願いいたします。
 今月の10日付けで移動になりまして、前職は高齢者の雇用対策をやってまいりました。今回統計ということで、いろいろ勉強しながら、皆さん方と一緒にやっていければと思っております。
 本日は御多忙の中、この専門委員会にお集まりいただきまして、本当にありがとうございます。
 2006年、平成18年にWHOの国際統計分類ネットワークという中に、今回議題となっております生活機能分類についての検討グループというのが設置されたということを受けて、私ども、あるいは我が国において、それに関する意見を集約する、適切な対応をとる、あるいは積極的に貢献をしていくといったような観点から、この統計の基本事項として、社会保障審議会統計分科会において議論していく必要があるということで、本委員会が設置されたということでございます。
 現段階では、まだ国内でのICFの認知、定着というのは必ずしも十分でないという状況でございまして、これをこれから普及促進させて、認知、定着を図っていくということが非常に大事だということで、今後、WHOにおいていろいろ私どもの意見なり見解なりを述べさせていただく際にも、そういった定着というのがないとなかなか難しいというのがございますので、そういった意味で非常に大事なことだと思っています。まずは国内における普及の促進の必要性について御理解いただきまして、本委員会の運営に御協力を賜りますように、どうかよろしくお願いします。

○事務局 それでは、お手元の資料の確認をさせていただきます。
 まず、資料でございますが、最初に、式次第がございまして、次に席次。続きまして、委員名簿。
 その次に、資料2-1といたしまして、「ICF普及・活用に関する基本方針(案)」となっているものが1枚。
 資料2-2として、「ICF(国際生活機能分類)-『生きることの全体像』についての『共通言語』-」としての資料が1部。
 資料2-3といたしまして、「ICFの概念枠組み」。横資料でございます。
 資料2-4といたしまして、「ICFの誤用例」。
 資料3といたしまして、「平成24年度ICFシンポジウムプログラム(案)」。
 その次に、参考資料といたしまして、参考資料1「WHO-FICとICF」といったものが1部。
 参考資料2として「ICFの活用」。
 その次に、机上配布資料といたしまして、1番に「社会保障審議会の運営規則」が1枚。
 机上配布資料2といたしまして、「生活機能分類に係る委員会の設置について」。
 机上配布3といたしまして、「WHO国際統計分類ネットワーク組織図」。
 机上配布資料4といたしまして、「世界保健機関国際統計分類」の横の1枚紙。
 最後の資料として、机上配布資料5といたしまして、「WHO国際統計分類協力センター体制」としたものでございます。
 あわせまして、冊子のほうで「生活機能分類の活用に向けて」というちょっと薄めの冊子が1部と、「国際生活機能分類のICF-CY」という冊子を配布しております。
 なお、最後の「生活機能分類の活用に向けて」と「ICF-CY」のほうにつきましては、部数の関係もございますので、会議終了後も机上に残したままお帰りいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 過不足等ございましたら、事務局のほうまでお申し出ください。いかがでございましょうか。
 それでは、本日、専門委員会では、今期初めての委員会となりますので、委員の御紹介をさせていただきます。事務局のほうから名簿順でお呼びいたしますので、一言ずつコメントをいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 まず、石川広己日本医師会常任理事でございます。

○石川委員 日本医師会の石川でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○事務局 独立行政法人国立長寿医療研究センター研究所生活機能賦活研究部部長、大川弥生委員でございます。

○大川委員 大川でございます。よろしくお願いいたします。

○事務局 本日、株式会社電通パブリックリレーションズの大日方先生は、体調不良ということでございまして、今回は欠席とご連絡いただいております。
 続きまして、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科医療政策学講座政策科学分野教授、河原和夫委員でございます。

○河原委員 東京医科歯科大学の河原です。よろしくお願いいたします。

○事務局 愛知医科大学リハビリテーション科教授、木村伸也委員でございます。

○木村伸也委員 愛知医科大学の木村です。よろしくお願いいたします。

○事務局 日本介護支援専門員協会会長、木村?次委員でございます。

○木村隆次委員 日本介護支援専門員協会の会長をしております木村です。よろしくお願いします。

○事務局 全国老人クラブ連合会理事・事務局長の齊藤秀樹委員からは、きょう、御欠席の連絡をいただいております。
 続きまして、和洋女子大学社会福祉大学研究室教授、坂本洋一委員でございます。

○坂本委員 和洋女子大学の坂本です。福祉大学ではなくて、福祉学研究室。大を取れば。

○事務局 済みません。失礼いたしました。
 続きまして、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構障害者職業総合センター主任研究員の春名由一郎委員でございます。

○春名委員 御紹介いただきました春名と申します。今回初めて委員になりました。どうぞよろしくお願いいたします。

○事務局 ありがとうございました。
 続きまして、議事に先立ちまして、事務局で運営について御説明をさせていただきます。
 机上配布資料の1をごらんください。
 当委員会につきましては、こちらにあります社会保障審議会の運営規則に基づいて運営を行うこととなっております。また、委員会は原則公開となっており、議事録も公開されるということで、御承知おきいただければと思います。
 それでは、議事に入らせていただきますが、まず、委員長が選出されるまでの間は、事務局にて議事を進めさせていただきますことをお許しください。
 まず、議事の第1でございます。本委員会の委員長の選任を行いたいと思います。各委員の方々で誰か御推薦等ございましたら。河原委員。

○河原委員 この分野で今まで指導的な役割を果たしてこられ、非常にご造詣が深い大川弥生委員を委員長に推薦いたします。

○事務局 ただいま、河原委員のほうから大川委員を委員長に推薦との御発言がございましたが、皆さん方いかがでございましょうか。
(「異議なし」と声あり)
○事務局 異義がないようでございますので、本委員会の委員長につきましては、大川委員にお願いいたしたいと思います。
 それでは、大川委員、席の移動をお願いいたします。
(大川委員移動)
○事務局 それでは、大川委員のほうから一言御挨拶をお願いいたします。

○大川委員長 国立長寿医療研究センターの大川でございます。委員長を承りまして、身の引き締まる思いでございます。課長からも御挨拶いただきましたように、ICFというのは非常に重要な考え方であり、また分類法でありますけれども、普及・啓発も含め、これからももっと力を入れるべき点がありますので、活発な御意見、御討議をいただければと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 では、早速に議題に入りましょう。事務局のほうから御説明をよろしくお願いします。

○事務局 それでは、お手元に資料の2-1及び2-2を御用意ください。
 まず、今回でございますが、何回か議論を経て、ある程度ICFについての普及・啓発というものの指針を策定できればと事務局のほうでは考えておりますので、それに基づき御説明させていただきます。
 指針の中におきましては、資料2-1に御提示させていただきましたように、ICFに対する正しい理解、効果的な活用の確立、啓発事業の実施方針として、それぞれをある程度拡充していく必要があるだろうということで御説明をさせていただきます。
 それでは、資料2-2をお手元に御用意ください。
 一部、釈迦に説法的なところではございますが、ICFについて、以前の会議の中で大川委員長のほうから御提示いただきました資料のほうで御説明させていただきます。
 まず、ICFのもともとの経緯というものを含めた御説明でございます。
 ICFにつきましては、健康構成要素に関する分類として、2001年5月にWHOの総会で採択されたものでございます。
 ICFの前身であるICIDH(国際障害分類)、1980年に策定されているものでございますが、こちらのほうは、疾病の帰結(結果)に関する分類といったものでございましたが、ICFに関しましては、健康の構成要素に関する分類であって、新しい健康観を提案するものとなっております。
 ですので、生活機能上の問題は誰にでも起こりうるものであり、ICFは特定の人々のためのものではなくて、すべての人を対象にする分類であるというもので作成されたものでございます。
 ICFは、生きること全体についての共通言語といたしまして、専門分野、異なった立場の人々の間で共通理解に役立つことを目指して策定されております。
 具体的には、健康に関する状況、健康に影響する因子を深く理解するためという点と、健康に関する共通言語の確立で、さまざまな関係機関間のコミュニケーションの改善を行うという点また、国、専門分野、サービス分野、立場、時期などの違いを超えたデータの比較が可能となるように策定されたものでございます。
 ICFの適用でございますが、先ほども御説明したとおり、多様な分野での個人へのサービスとシステムの構築というものを対象にしておりますので、対象分野につきましても、ICD等の健康分野に特に傾注したものではなく、保険であるとか、社会保障、労働、教育、経済、社会政策、立法、環境整備、インフラストラクチャーを含めた環境整備といったような領域にも用いられるように設計されているというものでございます。
 また、個々人の生活機能向上を図るためのサービス提供上での活用と、システム構築上での活用というものを主眼につくられているというものでございます。
 1枚おめくりいただきまして、生きること全体を相互作用において捉えるということが、ICFの特に特徴的なところでございまして、生活機能の分類とそれに影響する背景因子といたしまして、環境因子、個人因子の分類で全体が構成されております。
 それに加えて、健康状態、これはICDのほうで分類しておりますが、健康状態を加えた生活機能モデルというのがここの図のほうに入っておりますが、このモデルの中で全体が構成されているのがICFでございます。
 各項目については、個々に独立性はあるのですが、相互にお互い影響し合いながら、それぞれの部分での結果が出てくるというものでございますので、全体としては下の○にあるように、相互作用モデルとなっております。この作用につきましては、生活機能レベルにおいて、今回、ICFについては生活機能の部分が中心ですが、3つのレベル、心身機能・構造、活動、参加といったような体のこと、あとは、生活行為、社会等への関与・役割といったものが主眼につくられております。
 次のページでございます。3番目でございますが、生きること全体像の2といたしまして、人間全体を個別性において捉えることが重要としたものがICFでございます。
 生きること全体を見るモデルとしては、生活機能の3つのレベル、心身機能、活動、参加のどれかに偏るものではなくて、常に全体像の中でのバランスを考えることが重要であるという点、あと、3つのレベルの相互作用を重視するということを考えつつ、健康状態、背景因子である環境因子、個人因子の影響を重視していくということが重要になってくるということです。
 具体的に言いますと、人間全体を捉えて見るということで、自分の専門領域を中心とするのではなくて、全体としてどうその人を捉えるのかという点。
 あと、個別性を捉える点といたしまして、心身機能と構造につきましては、ICDでもわかるように、それぞれの共通性が高いのですが、活動内容であるとか、社会参加等の参加につきましては、個々の個人によってはバリエーションが非常に大きくありますので、こういったところ、個別性の高いところを含めてのバラエティを含めた評価が必要であろうと。また、環境因子については、物的環境だけではなくて、人的環境にも、家族であるとか、コミュニティーであるとかといったものについてもある程度の理解を示した上でこの中で語っておりますので、こういったものも評価が要るだろう。
 あと、サービス効果についても全体的に捉えることが重要であろうという点でございます。
 サービスについても、医療、介護、福祉、教育といったような介入の効果を考える際に、相互的にお互いの影響を考えることが必要としてつくられております。
 おめくりいただきまして4番目、生活機能とはICFの中心概念として、心身機能、活動、参加の包括概念となっております。この点でございます。
 ICFにつきましては、心身機能・身体構造、活動、参加という3つのレベルに相応した中で構成されているというものでございまして、それぞれの3つでございますが、心身機能・身体機能というのは、生物レベル、生命レベル、疾患であるとか、構造であるとかといったものと、例えば、手足の動き、精神の動き、視覚といったようなものでございます。
 活動につきましては、個人レベル、生活レベルといった活動の内容で、生活行為、すなわち、生活上の目的を持って一連の動作からなる具体的な行動のことを指しておりまして、この中で、特にICFでは、活動をできる活動、能力でございますね。できるか、できないかと、実際に行っているかどうか、している活動、実行状況との二面から捉えるということを重要視しております。
 また、参加につきましては、社会レベル、人生レベルとして、家庭や社会に関与し、そこで役割を果たすことであるということで、社会参加だけでなくて、例えば主婦として、あるいは親として家庭内役割であるとか、働くこと、職場での役割、あるいは趣味にしても、趣味の会に参加する、スポーツに参加するといったような、地域組織の中での役割を果たすといった文化的・政治的・宗教的などの集まりに参加する、などの広い概念で参加というものを規定しております。
 次のページでございますが、生活機能に影響する因子として、健康状態と背景因子(環境因子と個人因子)でございます。
 疾病から健康状態へということで、実は生活機能低下を起こす原因の一つとしては健康状態がございますが、これは、ICIDHでは障害・疾病・外傷に限られていたことと異なって、ICFではそれらに加えて、例えば妊娠であるとか加齢、ストレス、あとは生活の環境といったものがございますが、いろいろなものを含む広範囲な概念になっているというものでございます。
 ここで言っている背景因子でございますが、まず1つの環境因子としては、建物とか道路といったような社会インフラですね。社会基盤のような物的な環境のみをイメージしやすいところですが、ICFの中では、人的な環境、コミュニティーであるとか、態度とか社会意識としての環境、あと、制度環境といったような幅広い環境概念で構成されております。
 その中に促進因子、阻害因子というものが考えとしては含まれておりまして、環境因子が生活機能に対してプラスの影響を与える場合には促進因子であり、マイナス影響の場合は阻害因子という分け方をしております。
 あと、個人の因子でございますが、こちらについては非常に多様性があって、分類は将来の課題とされており、年齢、性別、民族、生活歴、価値観、ライフスタイルといったようないろいろなものがあり、この個人因子は個性というものに非常に近いものであることから、医療でも福祉でも、職業、教育、その他、患者、利用者などの個性を尊重しなければいけないということが強調されているということがこの中では言われております。
 ICFの一番大きい特徴としては、今までの前身であるICIDHのほうが障害という点についてマイナス面を評価していたことでございますが、これに対して、ICFにつきましては、プラス面についての評価を重視して行うということです。
 ICFとICIDHとのマイナス面の見方の違いにつきましては、ICFにおきましては、マイナスをプラスの中に位置づけて見ているということが一つ大きく言えることだと思います。ここで図示しておりますように、ICIDHの国際障害者モデルにつきましては、3つのレベルの関係だけでそれぞれの状態というのを把握していたところですが、ICFにつきましては、下のように、3つの背景因子の部分、あとは健康状態、生活機能の分、また、生活機能の中においては、3つの身体機能、活動、参加といった評価、背景因子の中では、環境、個人といったような複数の要因から相互関係で構成されているという中で、お互いに何がどれに対してプラスに働き、マイナスに働くか、というのが総合的に勘案して最終評価となっていくということでございますので、その点がICFとICIDHについての一番大きい違いとなっております。
 次、7ページでございますが、統合モデルとしてのICF、医学モデルと社会モデルの統合ということが一つICFの特徴でございます。
 まず、ここで医学モデルと社会モデルを統合した統合モデルであるということでございますが、医学モデルというのは、基本的に心身機能を特に見ていくといったもののイメージが強いのですけれども、心身機能を過大視して、それによって活動、参加も決まってしまうような考えというのが一部存在しておりますが、この中ではどちらかというと一般的な健康状態から直接生じるものであって、障害への対処、治癒、あるいは個人によりよい適応と行動変容というものを目標と見ております。
 社会モデルにつきましては、障害を個人の特性ではなく、種として社会によってつくられた問題とみなすといった傾向がやや強く見られるところでございますが、そういったもので社会的な参加と環境因子を過大視するといったことは排除してICFでは考える必要があるだろうということです。
 統合モデルとここで言っている理由といたしましては、それぞれのレベルについての要因を相互作用として見ながら、プラス面の評価を前提に、統合して考えるということであって、折衷案的なお互いオーバーラップしたところをまず見ましょうというものではなくて、両方、要するに、社会、医学、双方に含まれるものを総合的に見ましょう、ということです。例えがいいか悪いかわかりませんけれども、最大公約数的な見方ではなくて、最小公倍数的な要因で構成されており、かつ、それぞれの要因が相互に影響を及ぼし合いながら機能していることを理解した上で評価をしていくというものでございまして、単純にそれぞれの共通した部分をピックアップしてやる、それを評価していくというものではないということがICFの特徴でございます。
 8番目の階層性の意義と相互依存性、相対的独立性でございますが、相互依存性につきましては、当然先ほどからも何度か説明しておりますが、社会的なインフラの状態というものが、イコール精神状態であるとか活動状況に対しても影響を及ぼすし、逆にまた、精神状態が活動的な部分に入ってくるといったような相互の関係でございますが、それに対して、相対的な独立性というものを今回ICFではうたっております。
 相対的独立性というのは、相互依存性と相反するような概念でございますが、それぞれのところは、それぞれの分野において、それぞれ独立をしております。それぞれが構成される場合には影響を及ぼし合ってはいるのだけれども、その影響を加味しながらも独立した部分をどう評価していくかということで、ある程度の独立性を確保するような内容となっているというものでございます。
 次のページでございます。活動の実行状況として、している行動と能力。先ほど、少し説明させていただきましたが、実際にできる行為ということと、やっている行為というものの違いを評価しなければいけないということに立脚しています。実行状況とは、実際に行っている行為でございます。「しゃべる」ことについては、実際に「しゃべっている」、「会話をしている」ということかと思いますが、能力としては、「しゃべることができる」能力であり、しゃべっているかどうかというものではございません。ですから、潜在的な生活機能としての能力を評価するのではなくて、実行状況がどうなっているかというものを加味しながら全体を見ていく必要があるだろうということでございます。
 次のページをおめくりいただきまして、10番目。国際障害分類からICF(国際生活機能分類)へということで、疾病の帰結(結果)から健康の構成要素といたしまして、まず、先ほどから御説明しているような3つのレベルでの階層構造の構築をしたという点、ICIDHのほうで問題というか課題であった疾病結果に関する分類であるといったような点、マイナス、できないことを中心とした評価になっていた点、環境が配慮されていない、社会的不利の分類が余り行われていないといったような点について、改正が行われたものというのがICFというものでございます。
 お待たせいたしました。最後でございますが、共通言語としてのものの考え方としては、実際に人間全体の評価を行うに当たっては、いろいろな職種の関係であるとか関与が出てきます。実際には医療機関で医療を行っていたとしても、ICF的な機能というような評価がございますし、介護施設、療養型病床、在宅、一般生活、学校、職場といったものでも多々ございますが、そういった中で共通言語化をすることにより、コミュニケーションのスムーズ化であるとか、誤解の解消といったものを目的につくったものでございます。
 また、これは国際的にも共通化されておりますので、海外との比較であるとか、最近は国際化で海外に行かざるを得ないというか、行く場合も多くなっております。そういった中でのどういったものの変化というものも評価ができてくるとなると、例えば看護師の方々が日本で研修されているような状態であれば、同じ共通項目での言語で行っていることによる、よりスムーズな日本社会への移行であるとか、そういったものも可能になるだろうというふうには少し思われる部分でございます。ですので、そういった意味で各サービス間の共通言語としてのICFの位置決めというのが一つ今後の方針としては見えてくるのではないかと思っております。
  それでは、次の資料でございますが、資料2-1のほうに出ております効果的な活用方法の確立として、臨床的な活用事例の提示といたしまして、適正例、誤用例というのがありまして、今、概念的にお話しさせていただいたものを、ダイジェストと付加的につくったものが資料2-3でございます。
 1枚おめくりいただきますと、ICFの活用については、生活機能向上というのが一つの目的とされています。健康とは、病気がないだけではなくて、生活機能も高い水準にあることということで、病気中心から生活機能重視であるとか、身体機能偏重から生活行為、人生の豊かさを重視といったような、こういった概念で活用するということが重要であります。先ほどは10個ぐらい御説明させていただきましたが、1-3のほうにそれの概念のダイジェストとしてまとめたものです。
 基本概念といたしましては、どれか項目に偏重するということでなくて、相互的な影響を及ぼしつつ、それぞれが表現されているものでございますが、相互影響の部分を理解した上でどう評価をしていくかというのを総合的に行っていく必要があるという点と、一部に偏るのではなくて、総合的な評価を行うことによって真の課題というのが見えてくるという活用が重要になってくるだろうと思います。
 1枚おめくりいただきまして、まず、生活機能と疾病の概念の大まかな違いにつきまして座長のほうにおまとめいただいたものでございます。
 生活機能向上の方向性としては、1-5の次のページでございますが、こういった基本的な考え方から、自己決定権というもので、まずは相互影響を及ぼしているということと、トータル的な適切な評価、偏重しない評価というのが適切な利用例でございまして、2-2の3-8のところでございますが、脳卒中の患者さんに対する解決といったような例示がされています。このような概念の中で使用されるということが、多分ICFの求められているものであり、かつ、わかることを十分に活用した例かと思います。
 適正例については、ある程度幅がありますので、誤解例、重複になるかと思いますが、誤解をしたような例がございましたので、そちらのほうを発表させていただきます。資料の2-4をお手元に御準備ください。
 ICFについてのモデルでございますが、幾つか重複があって大変申しわけございませんが、まずは、ICFについては、先ほども言ったように、社会モデルであるという誤解が存在します。要するに、インフラストラクチャーであるとか、そういったものを中心に見ていくものであって、身体影響については、一応ゼロとしようということの社会モデル偏重型での認識というのが非常に強い場合もあると聞いております。
 また、ICFについては、医学モデルと社会モデルとの折衷、要するに、オーバーラップした部分で構成されているものだということで、それぞれの分野について限定されているような行為については、見なくてもいいのではないかという誤解が一部存在しています。あとは、マイナス面の評価を中心に使用する。要するに、前身であったICIDHのほうの影響からもございますが、マイナス面をどう評価するのかというマイナス評価のところが中心になって、プラス面の評価というのが概念としては誤っているケースなどがあると伺っております。
 具体的に申しますと、活動と参加の概念の不徹底、また混同ということがございます。活動につきましては、ICFの中では、「d」という項目で頭からナンバリングがされている部分がございます。その中には、まずはその活動、あと、参加の部分でございますが、その中に活動を示すということで「a」という項目、参加を示す「b」という項目で分類がされていましています。議論の中で、ICFの中では当初、活動と参加というのは、やはり見方が違う行為であることから、分けたらどうかという議論がされていたのですが、最終案としては、それが一体化された、コードとしては「d」というコードが振られているという現状があります。このように、活動と参加の部分の分けの必要性についての概念が議論されたことを知らずに、こちらのコードの中だけを見ると、「d」のコードでまとまっているので、そのままdコードを振ってしまうといったことによって、実は一つ深い概念として分類しようとしたときに、どうしても評価が十分できなかったということがあるように聞いております。
 ICFにつきましては、ICDも同様でございますが、常に社会情勢等によって、科学的な進展によっても見直されるべきものであり、そういったものを適切に見直していく必要があることから、今後、最終的にはdでまとめてしまっていいんだというふうになる場合もあれば、当然、もう一度分割して、参加と活動というのはやはり違うものだということで、分けていくのがより適切な評価につながるということになり、分けるという行為が重要になってくる場合もある。これが決定事項ではなくて、課題は課題として認識しつつ、その課題をどう乗り越えていくかというのが今後のまさに課題になってくると思います。
 先ほど言いましたように、区別しないで混同してしようとしてしまう場合、あとは活動、参加の違いを適切に理解していないことによって、余り深く考えにdコードでそのまま振ってしまう場合というのがあります。
 あと、「活動」と「参加」でございますが、「参加」というのは、例えば何かのイベントに参加すると思った時点で、その前の日程調整が入り、予定が入っていれば、予定の管理が入って、予約が入っていれば、それをキャンセルというコミュニケーションが入って、その後、その会場まで動く、移動するという活動が入った後に、実際にそこで何かイベントに出るのですが、イベントの場合では、受付であったり、あとは、そこまでの余暇時間というか、空いた時間での会話があったり、その後、終わった後も、自宅に帰って、その後にどうしたか、日記をつけていれば、日記をつけるというふうないろいろな個別の活動により最終的に構成されております。イベントだけの時間ではなくて、その前後にも当然、活動内容、活動としての行為が含まれているということを余り考えずに、ウオーキング大会というと歩くというように、1対1の単純対比をしてしまうことによって、実際には実はものすごく遠い、5キロ歩かないといけない所で大会があるときに、5キロ歩いていって、また2~3キロ歩いて、また帰ってくるという行為の中で、前後の5キロがスパッと抜けてしまうような評価になってしまうと、実際のその人の評価というのは誤った評価になってしまうということもあって、そういった誤解が一部あるように聞いております。
 あと、裏側の3.でございますが、「活動」と「実行状況」と「能力」との区別があいまいである、という点がございます。
 先ほども言ったように、実行状況というのは、「できる」ことではなく、「やっている」ことでございます。能力というのは、「できる」、「行うことができる」ということでございます。できるかどうかというよりも、行っているかどうかというのが重要になってくる。それは、生活機能賦活病とかでもわかるように、できていたのだけれども、行わなかったことによってできなくなっていったとか、余り行っていないので、スムーズにできないことから、精神的なブレーキがかかってしまってどんどんできなくなっていくというふうなことも考えられます。ところが、できることと行っていることの区別が曖昧になっている。これによって、できるのだからいいだろうと思うのではなくて、行っているからこれを継続させるべきだというふうな、実行状況と能力を適切に評価をしていくということが重要であるにもかかわらず、一部誤解を招いておって、できればいいだろうというふうな認識になってしまっている場合も想定されております。
 あと、個人因子を軽視する誤りといたしましては、背景因子の中で、環境因子に比べて個人の因子について軽く見てしまう傾向があり、環境偏重主義というか、バリアフリーにすればすべてオッケーだというふうな形で、個人の行動パターンとかも配慮していないというもので、少し平均的な評価をするのでなくて、どちらかに傾注したような評価になってしまっている、というものがございます。
 あと、ICFコードを引用すること自体が標準化するという誤認でございますが、ICFというのは、ただコードが振られているということだけではなくて、実際には相互関係といったものを評価した上での活動というのが必要になってきますので、そういった意味では、コードを用いることによってICFでやっているのだというのは、なかなか本来のICFの認識とは異なっているのではないか、ということです。
 ただ、普及等を考えた場合には、コードを標準化していくことによって、次のステップとして、より標準化に一歩出ていく、踏み出せるという行為を含めると、まさに普及の方法としていろいろな評価方法の中で、ICFというコードに準じて行っていただくことからスタートするという必要性も少し検討しなければいけないかもしれないと思っております。
 その他といたしましては、利用者は、それぞれに個人的な経験、認識、価値観に左右されてしまっていて、この冊子がポッと出て、これを見てICFとはというふうに独学で学んでいらっしゃる方が多いので、どうしても個人的価値観とか経験に基づき判断されてしまう場合があるということです。先ほど申し上げましたところで、dの項目で、aとbについての議論の経過の部分が見えないままdの項目で見てしまうと、どうしてもdを振りたくなってしまうのは、人間的には仕方ないことだと思いますが、そういった面についての影響があることによって、十分生かしきれていないという実態がございます。
 このような、具体的な話に余り傾注すると、少し個人批判的な部分も出てくるのはちょっと問題となりますので、一般論化して御報告させていただきました。
 以上でございます。

○大川委員長 どうもありがとうございました。
 ICFの普及、正しい活用法の検討というのがそもそも生活機能分類専門委員会が発足しましたときの大きな目的だったと思います。その目的を十分に達成するために、今年で7年目になるわけですが、もう一度最初に戻りまして再確認をするということで御説明をいただいたと捉えてもよいかと思っております。
 なお、追加いたしますが、この委員会の目的のもう一点は、評価点を検討するということであったことは、もう一度思い出していただければと思います。
 いかがでしょうか。今、確認という意味で御説明いただきまして、資料2-1の1:ICFの正しい理解を中心として、それと関係しまして、2の最初の臨床的活用事例の提示としての誤用例も含めまして御説明をいただいたと思います。何か御質問や御意見ございましたら、どうぞ。
 こういうものだということですから、質問も意見もないのではないかと。問題があれば、また御指摘いただければと思います。
 むしろ本題かと思いますが、2番目の効果的な活用法の確立ということで、今後の活用の展開をどうするのかが非常に大事な点だと思います。
 また、3番目の啓発事業の実施方針も、実は2番目、3番目とかなり関係し合っていくものだと思います。そこでまず、効果的な活用法の確立ということで、正しく、広く活用していただくためにはどういうことが課題なのかということ、具体的にどうすればいいのかも含めまして、どういう観点からでも結構ですので、御意見いただければと思います。
 それぞれのフィールドをお持ちの方々もいらっしゃいますし、ぜひ総論的なことだけではなく、各論的なこともおっしゃっていただければ、そこから総論的にまとめることもできるかと思いますので、御意見いかがでしょうか。
 石川委員、どうぞ。

○石川委員 日本医師会の石川でございます。
 今、私たちは、医療というのは大変厳しいところに来ているという状況の中で、日本全体のことを考えて、医療がどういうふうにいくべきかとか、介護はどういうふうにいくのかということについて、さまざま考えているわけですけれども、いずれにしましても、医療というのは今まで医療、医学というふうに全体的に捉えたときに、疾病オリエンテッド・メディシンだったのですね。それが高齢化の時代だとか、さまざまな疾病も解決でき、慢性疾患が多くなる時代になってきたときに、生活オリエンテッド・メディシンじゃないとだめだというのが私の持論なのです。つまり、丸ごとその人の生活を考えて、それに基づく医療、あるいは介護というものをやられなければいけないという点では、今のICFの考え方というのはとてもすばらしいと思うのです。思うのですけれども、例えばこれを日常的に普及するとかということについて、賛成は賛成なのですけれども、どうやってそれを導入するかという点については、2001年にICIDHという段階の所で提唱されたにもかかわらず、今まで余り普及してこなかったという歴史について、きちんとなんでそうだったのかということを考えていかなければいけないと思うのです。
 それで、医療というのは、日々日本全国で膨大な数の活動が営まれているわけですね。医療・介護ということについて、なぜこのICFという考えが導入されて共通言語にならないのかということについては、率直に考えていかないといけないと思います。
ICD-10が一番使われるところ、これは、会計のところだと思います。
 私たち医者は、診断書、死亡診断書を書くときに、ICD-10で分類はどんなふうに書くのかというと、本を用意して一生懸命調べて書くと。それから、いろいろなほかの障害の診断書を書くときも調べるぐらいで、本当に1カ月に1回、書くか書かないかぐらいです。ただ、レセプトのところとか、そういったところでは、日々、ICD-10は触れたりしているわけですね。と考えますと、ICFということについて一番大事になってくるのは、例えば介護保険というのが日々やられている中で、介護保険の中になぜこれが入らなかったのかということです。介護保険はまだ比較的新しい歴史ですので、これになぜうまく入り込めなかったのかということを考えながら、今までのお話を聞いていました。
 介護保険は、介護保険審査会という所で、1例1例細かく、いろいろな職種の人が集まって、その人の障害、まさにICFを審査しているわけです。何分もかけて。そういうことが全国津々浦々でやられているわけですから、ICFというのは、そこは本当に導入できやすいところなのではないかと思うのですね。
 私もずっと当初から審査委員をやっていまして、途中、痴呆の点数が色んな形でどんどん加算されていきました。最初は介護の分野では痴呆というのは、ある面では軽んじられていたのが、実は必要だということで、かなり加わったという歴史を見ていますけれども、恐らくこのICFも、使っていくうちにいろいろな知恵が出てきて、改変されていくところだとか、そういうのが出てくるのだと思うのですけれども、そこら辺で歴史を振り返って、なんでこれはうまくいかなかったか。歴史的な認識としては、本当にこれは大事なことだと思うのだけれども、なんでうまくいかなかったのかということについて考えていただきたいと思います。

○大川委員長 どうもありがとうございました。
 非常に重要な観点かと思います。今後の啓発事業や、どのように導入していくのかということからも、過去のことはきちんと検証したほうがいいかなと思われますので、いかがでしょうか。まずは石川委員から頂戴しました御意見に関しまして御意見があれば。どうぞ。

○木村伸也委員 愛知医大の木村です。
 今伺った医師会の御意見、非常に大事な点を御指摘されていると思うのですね。私は、リハビリテーション医学というのを自分で専門にしてきたものですから、ICFだけではなくてICIDHからずっと、それ自体が私たちの臨床の方法論として使ってきたということで、非常に不可欠なものであったという意識でずっとやってきたのですね。私は急性期医療と回復期リハ病棟の医療にかかわってくることが多いのですけれども、最近感じているのは、1つは、ICFというこういう立派なものができたにもかかわらず、現場でモデルとして、モデルといっても2つの問題があると思うのですけれども、先ほど御報告にありましたように、相互作用モデルという理解は非常に不十分なのですね。先ほど石川委員がおっしゃったように、疾病から考えていくという。特に医療の場ではですね。その傾向が非常に強くて、結局、ICFの言葉を使っているのだけれども、考え方は機能障害がどうかという話が来て、次に、活動がどう影響を受けているか。それも極めて狭い範囲の、先ほど能力と実行状況の区別が不十分だということが出ましたけれども、そういったところに近い、かなり限定的な、何ができるかということだけに限定された見方でしか使われていないことが多くて、私も、自分の職場でもそういうところがかなり忸怩たる思いがあるのですね。常にスタッフをそういう視点で教育していかなければいけない。ところが、教育するためのツールとかそういうものは非常に少ない状況が現状だと思うので、やはりもっとそこら辺を強化していく必要があるのではないかと日ごろ思っているのですね。
 もう一つは、プラスの中にマイナスを位置づけるというお話が先ほどありました。この点がもう一つ不十分なのです。これは、回復期リハ病棟でもそうですけれども、回復期リハ病棟というのは、本来はそういうプラスを引き出す仕事をする、リハビリテーション医学的に言うとそういう場だと思うのですが、そこの現場にいる人たちも、プラスを見る視点ということと技術ですね。具体的技術にまだまだ不十分な点があって、どうしても悲観的な見方になるのですね。結局、リハビリテーションをやっているが、もっと高いところにいけるはずだと思えるのだが、それが見出せないという、そういうプラスを見つけ出せないというところが、これまた現場でやっていて感じるところです。だから、プラスをどう見つけていくかというところをもっと強調して、ICFとICIDHのモデルを転換したわけですから、その辺をもっと現場に浸透させていく。だから、まず全体のモデルとしての位置づけをもう一回きちんと徹底する必要があるのではないかと思います。
また、ICDのようにコードを使うというところが、現場の実利にかなっているようなものと、ICFはちょっと違うのではないかなと今私はまだ思っております。

○大川委員長 どうもありがとうございました。
誤用例でもかなり事務局で強調していただいていましたが、医学モデルではなく統合モデルというところがICFの特徴ですが、どうしても医学モデルという考え方はかなり染みついているところがあります。医療関係、それから、実は医療関係だけではなく、福祉や介護でも、基本的には医学モデル的な考え方に、私は呪縛されているという表現を使うのですが、かなり影響しているということは確かかなと思っております。
 ほかにいかがでしょうか。春名委員、どうぞ。

○春名委員 就労支援の分野でも、最近では単に就職の支援だけではなく、職業生活だとか職業人生の支援になっている。つまり、仕事につく前からついた後まで、医療とか福祉だとか、教育だとか、労働だとか、そういう多職種が連携して、職業生活から日常生活、地域生活を支えていくという取り組みになっている。精神障害でも、身体障害でも、知的障害でも、そういう多職種で職業生活と日常生活を一体的に支えるような取り組みとなっており、このような専門分野を超えた本人中心の支援においてこそICFというのは非常に重要な考え方である。そのような現場では、それぞれの職種の人たちがそれぞれの評価表みたいなものを使って計画をばらばらに立てている状況がありますが、現在ではそれではやっていけないということで、ケース会議等において口頭でなんとか共通認識をつくろうということをやられている。まさにそういうところに共通言語としてのICFの重要性が出てくるだろう。そのような実際のニーズが非常に高まっているというところに活用・普及を進めていくということが重要なのではないかと思います。
 就労関係で言えば、最近では、従来の「障害者」の範囲だけではなくて、がんであるとか、長期慢性疾患のような、今まで障害と考えられていなかったのだけれども、疾患とか障害によっていろいろな問題を抱えている方がいらっしゃって、そういう方に対してどういう支援をしていくかということも課題になっている。それもまさにICFで整理できる問題であります。
普及・活用といったときに、ICFをトップダウンで「こういうのを使え」というのではなくて、以上のように実際に現場では本当はICFが活用されればもっとうまくいくだろう取り組みが既にあることを踏まえると、そのようなニーズのあるところにICFをうまく活用していただけるようなやり方というのが必要なのではないかなと思っております。

○大川委員長 ありがとうございました。
 職業リハビリテーションを中心としたご意見だったと思いますが、基本的に人を見るという観点は同じですし、また、おっしゃいましたように、チームを組んでいくということは、今後ますます必要でしょうから、職業リハはこういうやり方、ほかの分野はこういうやり方ではなく、共通で普及する、活用する方法性でも検討できればと思います。
 石川委員からの御意見だったのですが、介護保険との関係を御指摘いただいたので、いかがでしょう。木村委員。

○木村隆次委員 石川先生がおっしゃったことはそのとおりだと思っておりまして、この委員会でもずっと話をしてきたことの繰り返しになりますけれども、きょうの資料の2-3の1-2というのがあります。「『生活機能』向上をめざし」という所で、下の四角の中に記載されていることが、左に書いてあるのが課題という形ですね。平成12年4月に介護保険が始まって、反省しなければいけないのが、多くが「できないこと」を補うサービスでずっとやってきてしまったわけですね。要するに、何かができなければ、そこにサービスを入れていって、補ってしまっていたのです。その結果、さらにできなくなってしまうのです。例えば、極論ですけれども、本当は歩行できるようになるのに、そこに介助を入れたり、車椅子を入れたりしていくと、寝たきりのベッド上の生活になってしまう。そうではなく、予後予測して、しっかり本人に促していけば、寝たきりになるまでの期間、時間がもっと長く、要するに自分で歩ける時間が長くとれたのに、それができなかったということであります。
 そういう反省において、平成18年、正確には17年度に、厚生労働省の中で、要支援を要支援1、2に切りかえたときに、地域包括支援センターをつくって、その中で指定介護予防支援事業所として介護予防をケアマネジメントする仕組みをつくりました。ケアマネジメントの標準化のためいわゆるA3シートというものを検討チームにより作成しました。そのチームの中に大川委員長と私もいました。申し上げたいことは、その時まで課題分析していくときの項目の標準化がなっていなかったということです。
 そこで、標準化していく中で、ICFの考え方、たしか29項目だったと思いますけれども、最低そこを押さえてやっていこうということで変更しました。しかし、約6年間、できないことを補う、そこをやってきたことを逆に切りかえるということがまだできていないのではないかということです。
 2年にわたり、厚生労働省の中でケアマネジャーがケアマネジメントの課題分析をどうしているかという調査研究をやってきました。そこで見えてきたことは、いわゆる期間を決めて評価していないということがわかってきました。例えばある利用者が立ち上がり、歩行という行為ができるようになるということで、リハビリテーションを、3カ月なら3カ月、そこをきちんとやってもらえればできるはずと予後予測します。しかし、アセスメント時、医師、専門職のアドバイスも含めて、ケアプランが確定して、リハビリテーションは受けているのですけれども、いつまでということがはっきりされていないということがわかりました。
 それで、今、さらに厚生労働省の中で調査研究を進めているのですが、これは一つの例ですが生活全般を見なければいけないのですけれども、IADL、ADLで、「できること」があるのに、それを「していること」に変えていかなければいけないわけです。その「している」になるまでの期間をきちんと決めて進めていこうということの検証事業をしているところであります。
 長々と話しましたが介護保険導入時のケアマネジメントのアセスメントのそういうことの勘違いがあり、そこを修正していくということに時間がかかっているのですが、、さらにICFに基づいたアセスメント項目の見直しをもう一回やって、それをいつまでにとか、きちんと評価していく軸にしなければ変わらないということをやらなければいけないなということの一つです。
 それから、もう一つは、同じくこの表の中にある「自助・共助の促進」というところです。介護保険制度が始まり介護サービスのみで全部支援してしまうという感じになってしまったのです。本来なら、地方自治体にある福祉制度をうまく組み合わせたり、インフォーマルサービスを組み合わせていけばいいのですが、それらを組み合わせても介護報酬側の居宅介護支援費の評価が全くないということで、結局、介護サービス事業所との関係で、介護給付サービスをどんどん入れてしまっているという、制度上の環境の問題もあります。そういうことも今、変えていかなければいけないということで、介護支援専門員(ケアマネジャー)の資質向上と今後のあり方に関する検討会を今やっておりまして、その辺のところを集中的に議論していっているところです。
 関連していることとしていないことの話をしましたが、とりあえずそういう状況です。

○大川委員長 ありがとうございました。どうぞ、坂本委員。

○坂本委員 障害者福祉の観点でお話を2点ほどしたいのですけれども、まず第1点は、今、内閣府での検討、あるいは障害者総合支援法という一連の流れの中で、はっきり障害の捉え方に関して、社会モデルと言っているのですね。ここは、基本的に社会モデルと言い切っている大きなコンセプトというのは、対医療モデルに対する反論みたいなイメージでしかなくて、実はICFというのは、当初から統合モデルだということをさんざん言っているのですけれども、なかなかそこの面が理解されていないということで、厚生労働省の施策をつくる意味でも、社会モデルという捉え方しか障害を見ていないというのは大きな課題なんだろうなというのがまず第1点。ここが基本的なところです。
 それから、臨床的に私がかかわりを持っているのは、厚生労働省が進めている相談支援専門員の研修、あるいはサービス管理責任者の研修があります。その中で、利用者に対して個別支援計画とかサービス等利用計画というのを実はつくらないといけないのですね。そのときに、しっかり利用者の全体像をどうやってつかんでいくのかというのがすごく重要なキーワードなんです。そこの部分というのは、我々「見立て」と言っているのですけれども、見立てが狂ったら、手立てなんて当然違った方向に行くというのがわかっているので、そのときに、私自身は、ICFモデルを使って全体像のイメージをつくろうと。このモデル自体がツールとしてかなり使えるのですね。
 ただ、そこで1つ問題になっているのは、アセスメントという段階になっていったときに、正しい理解がされていない。先ほど木村先生がおっしゃった、まさに相互作用モデルというのはほとんど理解されていないのです。独立したものだみたいなイメージでしかなくて、機能性はこうだよね、活動はこうだよねとか、参加すればこうだよねという仕組みでしか捉えられていないというところがちょっと問題なので、アセスメントそのものというのも活用するという意味では大切な要素になってくるかなと。その普及がかなり鍵になってくるのだろうと。
 いろいろなところでもICFの話はするのですけれども、全体的には、今、障害者分野ではストレングスモデルという観点から、その人の強さを引き出そうという着眼点の考え方というのが1つあります。
 それと、もう一つは、エンパメント理論ということで、エンパメントの視点でどうやって障害者支援をやっていくのかということ、これは実はICFとすごくリンクしている話なので、そのことに関しては共通理解があるのかなと思っているのですけれども、具体的な活用手法がまだでき上がっていないなというのが私の印象です。一応2点。

○大川委員長 ありがとうございました。

○河原委員 根本は、戦略的に考えれば、介護保険とかいう制度に組み込んでいかないと、本質的な解決にならないと思うのですね。例えば研修とか関係者への普及・啓発にしても、戦術的なことでしかならないと思うのです。ですから、ICD-10のほうが定着したような形になっているのは、もう既に組み込まれているわけですので、介護保険が例に出ていますが、介護保険の考え方、理念の中にこれをきちんと組み込んで、それによって体系もかなり影響が出てくると思います。評価方法も評価の観点もかなり影響が出てくると思いますけれども、そこまで覚悟を持たないと、この問題というのはなかなか解決しないのかなという印象を持っています。
 それから、制度に組み込まない以上は、例えば、工業製品を見ても、規格がいっぱい出てくるわけで、規格というのが誤用例だと思うのですね。ですから、何らかのお墨つきみたいな形で、これでいくみたいなEUの規格でいくとか、そういうような形でやって確立すれば、自然に規格自体は、例えば世界的に収束するという形だと思います。
戦略的に考えて、大きな制度に組み込んでいくということで、ちょっと時間がかかると思いますが、やっていく必要があるかなと思います。

○大川委員長 ありがとうございました。
 質問よろしいでしょうか。河原先生、制度に組み込むというのは、現実的には大事なことだと思うのですが、組み込める対象となる制度というのはどういうものを考えればいいでしょう。

○河原委員 やはり話に出ている介護保険が一番だと思いますね。それから、障害・福祉分野、医療と社会の統合モデルですから、その分野は厚生労働省はいっぱいあると思うので、ぜひこの観点で政策の立案というのが必要ではないかなと思います。

○坂本委員 現在、障害者福祉政策というのは、障害者自立支援法ででき上がっているのですけれども、来年の4月から障害者総合支援法に変わります。そのときに、障害程度区分という考え方から、障害支援区分に変えて、標準的なサービスの内容の度合いを示そうという結論になっているのですけれども、25年の4月に障害支援区分と名称を変更して、その後3年間検討して、26年の4月1日から具体的に支給決定のプロセスから支援区分のやり方まで、多分結論が出るのだろうと思うのですね。現実にこれは動いている最中で、どうやって程度区分から支援区分に変更していくかなというのは、具体的な話というのはその辺のところももう少しあってもいいのかなということと、あと、障害者分野で新しく法律的には難病患者さんを障害の範囲の中に入れることになっていまして、その辺のところの障害の認定とかアセスメントをどうするのかなという問題がまだ解決していない要素があるのだろうと思います。以上です。

○大川委員長 介護保険は大事な分野で、また議論するとしまして、障害のことを一通りまとめたいと思います。坂本委員から最初に御指摘いただきましたように、障害関係はかなり障がい者制度改革推進会議や総合福祉部会であるとか、厚労省関係でも議論が行われておりました。私自身もウオッチしていますと、社会モデルか医学モデルかという対立構図がもとであり、統合モデルというものに関しての検討や言及はほとんどされないままに、なぜか社会モデルに立つというような結論に立ってしまったというところに問題があるように思っております。
 ICFの本にも書いてありますが、ICFの検討は、1990年代から10年かけてなされましたが、その時点から既に医学モデルと社会モデルという対立的な議論は避け、どのように本人にとっていいモデルをつくるのかという基本スタンスがありました。それは国際的、国内でも当事者も入っていただいて議論したのですが、今回は、そういう議論はほとんどなされなかったということは、これも我々の啓発が不十分だったという反省をするということかもしれませんが、その点は検討をしていかなければならない点かと思っております。
 障害の中にもICFがいかに入っていくのかというのは大事かと思いますが、もう一つ、障害関係で、ICFという言葉を使っていながら、実は社会モデルであるみたいな捉え方をしての発言もあるということは、大きな問題だと思います。
 実は、これは、国連障害者権利条約の31条ですか、統計が重要であるとあります。ここの委員会のもともとの統計という立場からいきましても、今、障害関係で指摘されている問題点は、かなり後々影響するかなと思っております。
 済みません、座長がしゃべり過ぎましたが、一応障害のことはこれでまとめるとしまして、介護保険関係でほかにいかがでしょうか。

○石川委員 今、皆さんのご意見をお聞きしていたのですけれども、私が言いたいのは、基本的には、例えば医学教育にしても、いろいろな専門職種の教育にしても、今までの教育の水準といいますか、それが疾病モデルだったということです。社会モデルで、社会的な参加とか、そういったことで語られるというのは極めて少ない。それは介護の分野ではもう既にそういうことは行われているのだと思うのですけれども、私なんかはからきし、三十何年前に教育を受けた人間ですけれども、そんなものはありはしなかったわけです。ですから、そこら辺のところからパラダイムシフトみたいな形でいかないと、ICFというのはなかなかうまく入り込めないと思っています。
 それは、激変で行くのではなくて、急激に変えるということではなくて、最初、先生方が今御指摘されたような、疾病モデル、社会モデル、もしかしたら区別がうまくつかないで行くのかもしれないけれども、それでも最終的にはICFが今狙っているようなところを、統合モデルということで着地すればいいわけで、今、いきなり統合モデルだと言ったって難しいと思います。
 それから、事務局の先ほどからの説明で、私は聞いていて大変違和感を覚えているのは、誤用例とか、何か間違っているんじゃないですかという形での言われ方というのは、私たち実際に医療の現場にいる人間からすれば、使ってもいないわけです。使ってもいないのに誤用例という形で例示されても、正直言って全くぴんときません。ですから、ICFの本来のものとは違うとか、そういうことを言われても大変違和感がある。それは、恐らく普及にとって障害になると思います。

○大川委員長 御意見いかがでしょうか。事務局何かありませんか。

○事務局 ちょっと表現が、誤っているといった誤解を生む表現を使いまして、大変申しわけありませんでした。ICFにつきましては、国際的にもどう扱うかというのが実際に運用のところがいろいろとまだ、ICDのように決着がついたものではなく、逆に、それぞれトライアルが幾つか行われているというのが現状です。
 また、個々人についての評価ということになってきて、個別サービスの総合評価では有効ではあるのですけれども、なかなかトータルでその方を見ていくというのは難しいのが現状かなと思います。
 というのは、医療機関においては、医療機関に受診している間だけであり、何かの施設のところでは、その施設だけでありというところで、最終的には患者さん御本人であるとか、御本人がある程度意識をしながらどうなのかということを培っていくには非常にいいツールなのですが、専門家でつくっておりますので非常に難しいという部分も同時にある部分でございます。そこは、使用者がだれかということと、実際に統計情報部でございますので、将来的には統計情報としての有用な指標とするのであれば、統計情報として使うために何が必要なのかといったものに基づいて、今後ICFのほうも改定をずっとしていくと思いますので、そのときに、日本がまさにイニシアチブをとって、日本モデルというのが国際モデルであるというところまで、ビジョンを描くのであれば、今の問題点というところが、石川委員がおっしゃるように、問題なのかどうかもよくわからないというのが実態でございます。
 そういった面を踏まえて、じゃ、どれが一番リーズナブルで、将来、ここに行きたいのだけれども、リーズナブルな使い方はこれであり、それを将来像につなげていくためには何をしなければいけないのか。もしかしたら、今回、当初の考え方とはちょっとずれた使い方であるのだけれども、ある程度普及が進んでしまったところにあわせながら、概念展開をしていくとか、いろいろなまさに戦略、河原委員がおっしゃったように、戦略を考えながら入っていかないと、既に構築されたシステムの中に、いきなりこれに変えろというのは、なかなかそこは受け入れられない部分だと思いますので、そういった点についても少し考えつつ、御意見をいただければと思っております。

○大川委員長 ほか、よろしゅうございましょうか。どうぞ。

○石川委員 私ばかりお話しして済みませんけれども、例えば、今、障害の診断書を書くときに、精神のほうもそうですし、身体障害のところもそうですけれども、私たち、結構それは書くわけですね。そのときに、例えば教育だとか、そういったところにICFが入っていれば、もう一つ紙を添えて、できれば括弧か何かしておいて、ICFだったらどうでしょうという形で少しずつ浸透させていくとか。
 ただ、そのときに、今言った、例えばマイナスじゃなくてプラスでいきなさいというのは、今までの私たちが受けてきた教育の中で難しいです。正直言って。インペアメントとか、ディスアビリティーだとか、そっちのほうが私たちは習ってきていて、そこからの基準ですから、プラスから考えなさいというのはなかなか難しいですよね。どこをゼロに持ってくるというのはすごく難しいので。
 ですから、今の、例えば現実、医療のところで無数に行われている作業だとか、そういったところに少しずつICFを入れ込んでいく。できればこっちでも書いてくださいというふうな形でやっていくのが、僕は正しいやり方だと。
 それから、介護保険のところでも、少しずつ入っていかない限りは、いつまでたっても入らないと思います。介護保険そのものがどんどん複雑化していきますので、これまたICFを今からドンと入れるなんていったら、抵抗がすごくて、とても嫌だと。学校教育の中でこれがちゃんと入っていれば別ですけれども、そんなふうなことを思います。

○大川委員長 済みません、座長ですが、少しお話しさせてください。
 石川先生の御指摘は非常に大事な点だなと思うのは、例えば事務局が出しました誤用例というのは、ある程度ICFを使っている人たちを念頭に置いた誤用例ということで出してもらったと思います。実は背景としては、ICFについての執筆や講演で、こういう誤ったといいますか、本来のICFの考え方ではないことをお話しになっているために、正しい普及が妨げられているという点があるので、提示をしてもらったのではないかと思っています。
 石川先生から御指摘いただいたところですが、私が非常に大事だと思うのは、今使っている人だけではなく、もっと普通のお医者さん、普通の介護関係者ももっとICFのいい点を活用できればいいのではないかという御指摘です。それが、例えば医療におきましても生活オリエンテッドのメディシンに持っていけるのではないかというような御指摘ではないかと思っておりますが、先生、それでいいのですね。まずは。

○石川委員 そうです。

○大川委員長 そういたしますと、ICFが相互作用モデルであるということから議論をし出すと、そこがICFらしいところではあるのですが、少し難しいかもしれません。そこでまず最初に、少なくとも病気のほかに生活機能という概念があり、その中に社会的なものを見る「参加」、日常動作を見る「活動」、その要素的な「心身機能」があるという、少なくともこの3つは分けて考えましょうと、そこはきちんと押さえて普及をしていって、次の段階としてそれに影響するのは、病気だけではなくて、環境因子も個人因子も考えましょうというふうに、何段階かに分けながらいく、広く啓発するという意味であれば、そういう戦略も非常に大事かなと思いました。先生、いかがでしょう。

○石川委員 そうだと思うのですけれども、そうだとすると、誤用のところの5.はよくわからないのです。5.の「ICFのコードを引用することがICFに準拠しているという誤解」というのが、要するに、段階的にいろいろやっていくのであれば、こういうことはちょっと言えないのではないかと思うのですね。私が言ったストラテジーとして、これを普及していこうとか、それから、さっき言ったように、障害の診断書のところで、できれば、今の時点でのICFで表現するとどうでしょうかとか、そういった使い方もできなくなるのではないかと思うのです。こういうことを言うと。

○事務局 私のほうもこの資料を作成しておりまして、5.のところは、まさに現状の一区分だけで見た場合に、合っている、合っていないという短絡的な判断に基づいて書いているなというのは意識しつつも、問題提起になるのかということに基づいていて、では、どういう普及啓発戦略をとっていくのかというふうに議論していただけるといいかと思って、あえてちょっと誤解を招くような表現で、というより、そもそも誤解を招いてしまっておりますが、入れさせていただいたというものでございます。現状、まさに先生がおっしゃるように、まずは使ってみるということは、非常に大きい一歩でございますので、そういったところから展開するというのも、今後、普及戦略の中ではあるかなと思っておりますので、そういった点も踏まえて御議論をお願いします。

○大川委員長 追加させていただきますと実は、参加、活動、心身機能に分けること、それから、生活機能を病気などの健康状態と一緒に考えるという基本のところすら押さえていないのに、コードだけを使って、それをICFとして広める動きへの危惧が、実はこの背景にあるとお考えいただければと思います。

○石川委員 それだったら、それをちゃんと言ったほうがいいです。

○大川委員長 それは事務局が最後にちょっとおっしゃった、個人攻撃になるので、ということでしょう。
 では話を戻らせていただいて、実は一番最初に石川委員から御指摘いただいた、例えば介護保険関係になぜ入らなかったかということですけれども、まず、介護保険がスタートするときにはICFはまだできていませんでした。検討の段階であったというところに要因があるかと思います。
 ただ、できた後は、かなり老健局は力を入れていただきまして、木村委員もよく御存じのように、ケアマネジメントの教育ではICFの活用について、一時期きちんとした啓発をしていただいたと思います。
 1回目の介護保険法の大改正のときには、介護予防の重視は、具体的に言えば、ICの生活機能の向上であり、例えば、先ほど御紹介があった介護予防サービス・支援計画表も、項目を決めていくときには、委員会で一個一個のICFの項目を確認しながら項目設定をしていった経過があります。
 ですが、なぜか介護予防は心身機能の筋トレだとか口腔ケアだとかメニュー中心に考えられがちになってしまい、これは医学モデルにやはり呪縛されているせいだと思うのですが、なおかつ、マイナスをただ補完するという現状に陥ってしまったところがとても問題だと思っています。
 また、介護保険の主治医の意見書も1回目の改定のときにかなり変わりまして、ICFの観点で言えば、病気の予後というものとは別個に生活機能の維持向上の可能性という欄はできたりしました。
 教育についてはICFは、医師の国家試験にも看護師さんの国家試験にもPT・OTも介護福祉士も、国家試験ではありませんが、ケアマネさんの試験にはかなり前から出ています。みなさん試験勉強としては勉強するのですが、なかなか現場では使わないし、また、経験年数の長い人たちには十分に理解されていないという卒後教育の問題もあるかと思っています。
 もう一つですが、医学教育の中で国家試験には出ているのですが、先生おっしゃいましたように、医師は病気、それから、マイナスを中心とした教育を徹底して受け、どうしても社会的なものを見ることは軽視されがちであったことは確かです。本来は、病気だけを見るのではなくて、患者を見るということは、すなわち、ICF的に見るということにもつながることかと思いますので、ぜひその辺は医師会にも御協力いただきまして、どのような戦略をとるべきか、お知恵をおかりできればと思っております。
 ほか、いかがでございましょうか。

○春名委員 相互作用モデルについて難しいというお話ですけれども、それは根幹的な非常に重要なポイントでありますし、現実の理解としてはそれほど難しくないと考えています。私たちの職業分野での調査ですけれども、一方では、例えば聴覚障害がコミュニケーションの問題があったり、発達障害でコミュニケーションとか人間関係の問題があったりとか、肢体不自由で移動だとか、障害種類に応じた活動の問題点というのはあるのですけれども、それだけではなくて、職場の中でどういう配慮があるのかとか、それによって問題の起き方というのは全く違ってきています。そのような意味で、相互作用モデルは事実関係として分かりやすいもの。例えば介護の問題でも、就労可能性を判断するにしても、ただ単にこの人が働ける、働けないという判断はできなくて、どういうサービスを受けているのかとか、職場でどういう配慮を受けられる可能性があるのかとか、そういうところによって全く就労可能性というのも変わってくる。実際、精神障害のある方だとか、発達障害の方だとか、そういう障害者の就労可能性の判断においても、医療分野、福祉分野だけでは判断できなくて、もっと関係機関の人たちが連携して評価をして、チームで支援しながら評価していくと、そういう体制で初めてその人がどういう就労可能性があるのかとか、どういう支援が必要なのかというのが分かる。現実がそのようなものであるのだから、相互作用モデルについての正しい理解なくして、介護保険のあり方だとか、そういうのもなかなか検討しにくいのではないかと思います。

○石川委員 そのとおりだと思うのですね。しかし、現状では、先ほどからずっと言っていますように、医学教育だとか、そういった教育がそうだったということで、なかなかそこを脱却できないのです。それが現実です。
 先ほど、僕が冒頭に申し上げましたように、今、疾病もかなり治ってくる。例えばがんもかなり治ってきて、その後、がんと診断されてから治療して、長い間生きていられるということ。それから、高齢になってきている。こういうところから、疾病を持ちながら、あるいは障害を持ちながら仕事をする、社会参加をするという時代になってきた。そういう時代認識そのものが医療従事者や介護に携わる人に出てこなければいけない。そこはパラダイムシフトしていかないといけない。そういう点では、ICFの考え方というのは、僕は大変いいと思ってはいるのですけれども、ストラテジーがうまくできないと、なかなか普及しないし、世の中も変わっていかないと思うのですね。
 ただし、それで一例で挙げたのは、介護保険というのはあれだけたくさんの人たちが審査会でやっていると、これが入っていないのはおかしいでしょうと。ぴんぴんしていても、痴呆があると介護の負担があるのですねということがだんだんわかってきて、得点が上になっていくということがあったわけですから、まずは使っていただくというモデルをどんどんつくっていかないと、これはICFとして、先ほどICFは発展するものだとおっしゃいましたけれども、発展もしないと思うのですね。

○春名委員 そのとおりだと同意です。ありがとうございます。

○大川委員長 基本方針の効果的な活用法と、自然に3の啓発事業の実施方針のところにも議論は行っているかと思いますが、私はICIDHのフィールドトライアルのときからずっと関与してきましたので、ICFのICFらしい細かい使い方に関しましても、非常に利点を感じるところですけれども、石川委員に、御指摘いただいたように、広く活用していただくのかというところも大事な観点だと。何段階かに分けて、どのような人たちに主に使っていただくのかということを考えながら啓発をする。例えばトレーニングコースというのが具体的な例として挙げてありますけれども、そういうところでもそのように考えていく必要があるかと思います。
 今後、啓発事業をやっていこうという方針が事務局にもおありのようですので、具体的にはどういうやり方がいいのか、考え方、何か御意見ありましたら、ぜひお願いいたします。それぞれの分野でも結構ですし、総合的にということも含めましていかがでしょうか。
 あともう一点議論しなければいけない点は、もともとのこの委員会の目的でありますが、まだ不十分であります評価点をどのように考えていくのかというところも含めて御意見をいただいて結構かと思います。

○木村伸也委員 トレーニングということで、かなり具体的なことをまた検討していかなければいけないと思うのですね。私は日ごろ思っていますのは、ICFを実際に活用している本当に直接的な場面としては、私の現場では、リハビリテーション総合実施計画書というのをつくるときに、これはICFのコードを基本につくられているものだと思っていますから、もともとICIDHから出発してつくられたものだと思うのですけれども、やっています。
 それで、そこの作成をするときに、一つ問題なのは、先ほど私が申し上げたモデルの問題なのですけれども、医療の計画書と介護の計画書は大きく違いまして、介護のほうは、かなり全体から見るという視点でつくられているのですね。ところが、医療に関して言いますと、先ほど石川委員がおっしゃったように、疾病モデルからスタートして、機能障害を追加してという形になっているのです。ここがすごく影響しているような気がして、やはりICFの活用を考えていくときに、本当は総合実施計画書のレイアウトまで変えていけるような方向へ持っていけないかなというのが一つ思っています。
 それから、もう一つ、評価点のことですが、これは計画書とはちょっと違うのですが、評価点に関連するものとして、既存の評価法を幾つか医療で広く使われているものには、バーセルインデックスというのと機能的自立度評価法というのがあります。私たちの病院では主にバーセルインデックスを使うことが多く、回復期病棟などでは機能的自立度評価法を使うことが多いのですね。
 この2つに共通する問題は、いつも私は感じているのですけれども、特に患者さんと対応するときに困っていますのは、一番低い点数のところが1とか5とか0とか、低い点数のところを見ますと、全介助で実行していても最低点なんですね。全介助でさえも実行していなくて、非実施も同じ点数になってしまって区別ができないのですね。要するに、床効果みたいなところがそこにあるのですね。もう一つは、一番高い点数のところで、FIMですと7点です。バーセルインデックスですと10とか15点ですが、そこのところは、できるというか、自立しているということだけであって、いろいろな環境を問わず、社会の中で自立しているのか、病院環境の中だけで自立しているのか、区別できていないのですね。ここは天井効果というところだと思うのですけれども、この問題はいつもぶつかっていまして、結局、患者さんの未来とか、次の家に帰ってからとか、社会復帰を想定したときに、この高いところの普遍自立なのか、限定自立なのかというところが区別できないという問題を持っているのです。
 その点は、私もこの冊子を以前拝見して思ったのですが、この評価点、暫定案となっていますけれども、0、1、2、3、4の0、1と、今私が申し上げたようなことを区別していただいているという点は、ぜひ早く実際に使ってみる形にもっていったほうがいいのではないかなと思っています。ですから、一応これは暫定案と書いてあるのですが、これからもっとこれを使っていけるような積極的な、確定案と言っていいのかどうかわかりませんけれども、もっと実際に使っていけるような形に変えていただけないかなと思っております。
 以上です。

○大川委員長 今、御意見がありましたのは、お手元の冊子が、サブタイトルにありますように、ICFの活動と参加の基準(暫定案)となっていますが、これがつくられましてからかなり時間もたっております。また今、木村委員がおっしゃったのは、例えば、11ページに「活動の評価点基準(案)」というのがありますが、まず実行状況と能力とで評価を2つ行うわけですが、WHOは、評価点を0から4に定めるというところまでで、各国の状況なども違っておりますので、それぞれが検討するということで、我が国はこの委員会で検討しまして、この案が出たと。
 そのときに、0がよい状態で、4がそうではないのですが、0と1がいわゆる自立と言われているものでも、ICFの対象者は障害者だけではなく、あらゆる人なわけですから、全人口でいきましたらば、自立と言っていても、評価点1のある特定の場所だけで自立をしている人と、そうではない、普遍的自立0は別だと分けたことです。
 また、先ほど御指摘いただいたのは3と4のことですね。全介助という言葉で、実は実施していない評価点4も含めて使われている場合が少なくない。時間もたちましたし、問題がなければ、「案」を外してはどうかということは私も思っております。
 というのは、「まだ案でしょう」というようにも思われてしまいますし、これはきちんとした検証を行いましたらば、「案」は取ろうということになっていたわけですから、そろそろ検討をすべき時期かなとも思っています。
 また、いろいろな、例えば介護保険や、障害関係におきましても、その評価としては、この考え方はとても大事になるのかなと。具体的プランを立てるときも、限定的自立であれば、大丈夫じゃなくて、もっと普遍的まで向上させるという観点も大事かと思います。という御指摘かと思います。私の意見も含めて申し上げましたが。

○木村伸也委員 ちょっと追加です。
 リハの総合実施計画書がレイアウト上は問題あると先ほど私は意見を申し上げましたが、一方、活動の評価の指標、評価点については、これはすごく先進的に総合実施計画書をつくられたのは、たしかもう13年ぐらい前だと思うのです。

○大川委員長 リハビリテーション総合実施計画書ですね。

○木村伸也委員 リハビリテーション総合実施計画書です。医療のですね。そこはちゃんと非実施と全介助を分けていますし、そういう使い方をもっと、リハビリテーションだけではなくて、さまざまな分野に広げていくという意味で、暫定案というのではなく、もっと積極的に押し出してほしいなと私は思っているのです。以上です。

○大川委員長 評価点に関しましてはいかがでしょうか。

○春名委員 ちょっと細かい話かもしれないのですけれども、実行状況についての評価で、ICFはスナップショットだと。その場での、その状況のことに関するスナップショットで捉えるということと、「どのような環境でも」という評価点は両立できるのか、という話になると思うのですが、そこら辺はどうなんでしょうか。例えば、職業場面では支援機器を利用して普通に実行していることが、日常生活ではそうではないかもしれない。勤務評定としては、実際に職場で必要なことを実行していれば、日常生活のことは関係ない。これはスナップショットとしての実行状況の評価のよい点と考えているのですが。

○大川委員長 例えば、職業の場、生活の場とは様々な環境因子を集合した表現ですよね。環境因子もきちんと分析的に見て、どういう状況のときにはどうだと評価するわけです。
 例えば食事など5章のセルフケア、普通のADLと言われていることですら、この0と1の区別はとても大事だとお考えいただければと思うのですけれども。

○春名委員 構成要素は独立しているから、能力については環境も踏まえた上での評価になると思いますけれども、実行状況のほうは環境とは独立してそのまま評価するのではないでしょうか。

○大川委員長 実行状況でも、環境因子が生活機能に影響するわけですから、それはまさに相互作用モデルとしましては一番大事なことです。

○春名委員 相互作用ですけれども、実行状況については、実行しているかどうかをそのまま捉えるという趣旨でいけば、環境からは独立して見ていなければいけないのではないかという思いがします。

○大川委員長 済みません、この議論は別にさせていただきまして、具体的な啓発等々に関しまして御意見があれば、いかがでしょうか。
 まずは、ICFのトレーニングのやり方、ICFの本にも書いてありますけれども、トレーニングをきちんと受けて、その上で使うということが望まれるという表現がありますので、こういうトレーニングコース自体をきちんとつくっていなかったこと自体は反省すべきことかもしれません。なぜ普及しなかったのかということの一因かとも思うので、まず、このようなICFのトレーニングをどうやるべきかということを考える必要があるということに関してはいかがでしょうか。

○木村隆次委員 今、介護支援専門員は、5年に1回、資格の更新をしなければいけません。それで、その資格の更新をするための法定研修があり、そのカリキュラムの内容をどういうふうに教えていくかということのガイドラインを、今、厚生労働省と一緒につくっているところです。その中にICFのことが入っています。ですから、教える側がそれこそ同じ考え方、同じ理解をして教えていかなければいけないということです。今、項目整理はしていますけれども、具体にICFのことを、法定研修の専門1、専門2のところできちんと教えて実務に使えるという形にもっていこうとしているところです。参考にしていただければと思います。

○大川委員長 では、ぜひその中で正しく理解していただくというようにやっていただければと思います。といいますのは、実は私、最近、東北の震災関係で、災害の分野では、プリベンタブル・ディスアビリティーというのがプリベンタブルデスと同じように重要だと言われてきているので、生活機能ということをお話をすると、どうもICFを違ったふうに聞いていたと言われることが多いものですから、ぜひよろしくお願いいたします。事務局とも御相談いただきながら、正しい啓発の一つとしてやっていただければと思っております。
 ほか、いかがでございましょうか。

○石川委員 私なんかが今考えている中では、医療の連携というのが、医療の供給体制の問題、介護のほうもそうですけれども、供給体制の問題が日本では大変不足しているという現状から見ると、連携が大事だということは時代認識として大変重要なことだと思います。特に、医療と介護の連携まで踏み込んだところの連携というのが、先ほど言いました患者の生活を守るという点でも大変大事だと思っています。
 そこで、例えば、数年前に私の所在する県で、県全体の医療連携パスを脳卒中でつくったわけです。そのときに、生活機能評価という点で採用したものが、先ほど言われましたFIMを採用したわけですね。これで統一しようというときにも、脳卒中というのは連携するときにすべての職種がかかわりますし、急性期病院から慢性期病院、そして在宅という流れがありますので、そのときに共通言語としてその段階ではFIMを使ったわけです。それでもそのFIMを使うために大変な苦労をして講習会を何回もやっていただいて、共通言語として入れ込んだわけですね。これが今、私の言っているのは千葉県ですけれども、千葉県の600万人口のうちの300万人口をカバーする地域でそのパスが行われていて、そこは共通言語としてFIMなんですね。
 ですから、例えば連携を行うときに、このICFをどうやって入れ込んでいくかということを作戦として考えていただいて、そこら辺の、例えば関係する従事者に、そうじゃなくて、私みたいな小児科医にこの話をしても、なかなかストンと入らないので、やはり関係する、特にリハビリテーションに関係する方、脳卒中に関係する方、あるいは高齢の介護に関係する方のところで、引き続き、とにかく講習会だとかそういったものをやって、実際の場面でこれを置きかえていっていただくということを着実にやっていかない限りはなかなか難しいのではないかなと思っております。

○大川委員長 ありがとうございます。
 ほか、いかがでしょうか。
 トレーニングするに当たっての内容と、その具体的やり方という2つで考えていく必要があるかなと思っております。恐らくはすべての分野・人々にとっての共通言語としての基本があって、それぞれの分野ごとの特徴的な使い方というのはあるのかと思っております。
 啓発に関して、河原先生何かございますか。

○河原委員 先ほど、戦術と戦略の話をいたしましたけれども、戦略は時間をかけて、かなり負担も大きいですから、じっくり綿密に計画を立ててやる必要があると思うのですが、当面は、戦術的な動きとしては普及・啓発、何らかの形で関係者、今までやってこられていると思いますが、さらに充実して、どこが悪いかということを改善していくということが当面必要かと思いますから、両方考えていって、戦略と戦術、ICFの普及とか啓発、活用に取り組んでいく必要があると思います。

○大川委員長 ありがとうございます。
 戦略と戦術、両方を考えていくということで、この委員会が開催される回数はある程度制限がありますので、途中でも事務局を中心としてメールでやりとりということもできると思いますので、会議のときだけではなく連絡を取り合っていただければありがたいなと思っております。

○春名委員 啓発という意味では、先ほどの誤用の例の以外にも、例えば、社会モデルを強調する人たちの間では、ICFを医学モデルだというような誤解もあるかと思います。しかし、もともとICFというのは、社会モデルと医学モデルをちゃんと統合して、障害者団体も加わってつくったものなので、そういうところにICFの良さを理解してもらうという意味での啓発を進めるという必要もあるでしょう。また逆に、先ほど坂本委員がおっしゃられた障害のストレングスモデルであるとか、あるいは精神障害者の分野ではリカバリーと言って、専門家の観点から治療の成果ではなくて、御本人から見た生活の充実だとか満足を重視する支援をつくっていきましょうだとか、ICFの考え方に非常に近い取り組みというのはたくさんあると思いますので、そういうところには積極的に啓発することもよい。そういう二面、誤解されているところに対しての啓発と、ここに利用してもらうと非常に役に立つし、発展していくのではないかというところにも啓発していくということが大切なのではないかと思います。

○大川委員長 どういうところに啓発すればいいのかとか、特にどういう内容を啓発すべきであるかとか、きょう出ました誤用に近いこと、そういう情報に関しましても、ぜひ事務局のほうに御連絡をいただければと思っております。
 それから、きょう、非常に大事な観点が一つ抜けておりました。それは何かといいますと、この委員会も、例えば老人クラブとか、大日方さんのような当事者の方に御参加いただいています。そして、当事者がどのように活用するのかということも大事な観点ですが、本日、たまたまお二人御欠席ということで、その議論は不十分でしたけれども、議論があったことは、すべて当事者にも言えることだと思いますので、その観点はぜひきちんと押さえながら進めていきたいと思っております。
 では、本日の資料2-1にあります3の啓発事業のトレーニングについては、例えば指針の作成であるとか、マニュアルの作成とか、そういうことは必要であるということで検討を進めるということでよろしゅうございましょうか。
 では、これに関しましてもメールなどで御意見いただければと思っております。
 では、きょうの議題に関しましては、まだまだご意見あるかと思いますが、これで終了させていただきまして、事務局のほうで事務連絡等々をお願いいたします。

○事務局 最後、その他でございますが、資料3をごらんください。平成24年度のICFシンポジウムの開催を予定しておりまして、情報提供を含めての内容でございます。
 日時は、ことしの12月13日木曜日、13時から17時で、日本科学未来館で開催を予定しております。今回まさに直接的な普及のところに入っていきますので、これについてももし御意見あるようでございましたら、御意見をお出しいただければと思います。
 また、次回の開催でございますが、年度末ぐらいを予定したいと考えておりますが、急ぐ議論ということが必要だということであれば、また少し検討したいと思っておりますので、日程調整を含めて御協力のほどをお願いいたします。
 以上でございます。

○大川委員長 では、ほかに何かありましたら、どうぞ。

○石川委員 先ほどからちょっと話が出ている老健局の、今、宇都宮さんがいるところかな、方にも、これは関係してくるのではないかと思いますけれども、どうでしょうか、参加していただくというのは。そうじゃないと、いつも厚労というのは結構縦割りですので、なかなか横の連携がないというまま、現場ではこういういいものがあっても、なかなか普及していないという大変残念な結果になっているので、そこが一番近いのは老健局のほうだと思うので、参加していただくというのはどうでしょうか。

○事務局 老健課、精神・障害保健課には今日、傍聴にも来てもらっているのですが、御参加いただけるように、次回から調整してみようと思います。

○大川委員長 どうもありがとうございました。
 では、きょうの会議はこれにて終了させていただきたいと思います。熱心な御討議をいただきまして、どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

大臣官房統計情報部企画課国際分類情報管理室

疾病傷害死因分類係: 03-5253-1111 (内線7493)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(統計分科会生活機能分類専門委員会)> 第12回社会保障審議会統計分科会生活機能分類専門委員会議事録

ページの先頭へ戻る