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2012年8月22日 平成24年度第1回厚生科学審議会疾病対策部会

健康局疾病対策課

○日時

平成24年8月22日(水曜日)14:00 ~ 16:00


○場所

都道府県会館 402会議室(4階)
東京都千代田区平河町2-6-3


○議事

○西嶋疾病対策課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまより、平成24年度第1回「厚生科学審議会疾病対策部会」を開会いたします。
 委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきましてまことにありがとうございました。
 部会の開催に際しまして、辻副大臣より御挨拶を申し上げます。
○辻厚生労働副大臣 疾病対策部会の皆様方、本日は御多用の中を御参加いただきましてまことにありがとうございます。
 金澤部会長を始めとする先生方には、日ごろより疾病対策全般につきまして大変御指導・御協力いただいておりますことを心より感謝申し上げる次第でございます。
今日は、臓器移植等の報告もございますけれども、中心的には難病の問題についての御審議をお願いするところでございます。私も国会に身を置きまして長らく厚生労働委員会に所属してきた人間でございますけれども、難病問題も私の取り組みの一つの大きな課題でございました。御承知のとおり、研究事業という対策のあり方も議論がございましたし、対象疾患の指定のあり方、あるいは地方の超過負担をもたらしている財政措置のあり方、こういった大きな課題を抱えた難病対策でございます。
この問題につきましては、昨年9月に開催されました疾病対策部会におきまして、医療費助成あるいは研究等の難病対策について検討を行うべしということで、難病対策委員会に指示を賜ったところでございます。これを受けた形で、難病対策委員会を頻繁に開催していただきまして、平成13年から11年間で23回を迎えておる中で、この1年間で11回をこなしていただくという、その数字が示すように、本当に金澤委員長を中心に御議論いただきまして、ワーキンググループでもより専門的な検討をいただいたということでございました。その結果といたしまして、今月16日の難病対策委員会におきまして、中間報告をとりまとめていただいたところでございます。
難病対策の抜本的な見直しに向けまして、方向性をお与えいただけたものと思っているところで、心から感謝を申し上げ、また大変意義があることだと思っているところでございます。
そして、去る18日には、難病の患者団体の皆さん方を御招聘いたしまして、東京にお出ましいただく方々も多かったわけでありますけれども、そういった難病患者の皆さん方との意見交換を厚生労働省として、私も参加させていただきまして、1団体3分という短い時間ではございましたが、数時間にわたって御議論させていただき、お困りになっていることなどについての、あるいは厚生労働省に対する要望などについても忌憚のない御意見・御提言をいただいたところでございます。特に御要望が強かったことは、難病に対する社会への普及啓発や、研究の推進、就労支援・社会参加、医療費助成の拡充といった問題点であったわけでございます。
一方、御承知のことと思いますけれども、厚生労働省としても政府内で難病対策の取り組みを進めてきたわけでありますが、税と社会保障の一体改革という取り組みの中で2月17日に閣議決定を行わせていただいておりまして、その中におきまして、難病対策について法制化も視野に入れてということでの閣議決定をいただいている、そういった経緯もございました。
そういった中で、本日、部会を依頼いたしまして、御議論いただき、中間報告を踏まえた御議論をお願いいたしまして、部会としての御了承がいただければと考えている次第でございます。
今後とも、難病対策の抜本的改革に向けて、先生方のお力を賜りながら力いっぱい取り組んでいく所存でございますので、何とぞ御指導くださいますように心からお願いを申し上げまして、冒頭の御挨拶とさせていただきます。
よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○西嶋疾病対策課長補佐 それでは、カメラの撮影はここまでとさせていただきます。
傍聴される皆様におかれましては、傍聴時の注意事項を御確認いただきますようよろしくお願いいたします。
本日の委員の出欠状況でございますが、永井委員、本田委員、眞鍋委員から欠席の連絡をいただいております。また、土屋委員が遅れるということで事前の御連絡をいただいております。あと、水田委員が現在遅れているところでございます。
以降の議事進行につきましては、金澤部会長、よろしくお願いいたします。
○金澤部会長 どうもありがとうございました。
皆さん、今日は暑い中をお集まりいただきましてありがとうございます。また、辻副大臣は最初から最後までいていただけるという大変御熱心なところで、どうもありがとうございます。また、ただいま非常に力強い御挨拶をちょうだいいたしましたので、身の引き締まる思いがしております。
まず、資料の確認をお願いいたします。
○西嶋疾病対策課長補佐 資料の確認でございます。
議事次第の後に座席図がございます。
資料1 臓器移植の現状について
資料2 造血幹細胞移植の現状について
資料3 「今後の難病対策の在り方(中間報告)」の概要
資料4 今後の難病対策の在り方(中間報告)の全文
資料5 難病対策に関する意見交換会の概要
参考資料 「今後の難病対策の在り方(中間報告)」に係る参考資料
でございます。
資料の欠落等がございましたら、事務局までお申し付けいただければと思います。
以上です。
○金澤部会長 ありがとうございました。
不備等はないようですので、議事に入っていきたいと思います。
最初は、「(1)臓器移植委員会及び造血幹細胞移植委員会の最近の動き」でございます。
前回の会議が昨年9月26日で、11か月近く経っております。この間に臓器移植委員会と造血幹細胞移植委員会が開かれておりますので、その状況についての御報告をお願いいたします。
事務局からどうぞ。
○間臓器移植対策室長 臓器移植対策室長でございます。お手元の資料1と資料2に基づきまして御説明申し上げたいと存じます。
まず、臓器移植委員会での御議論で、現状などを御説明しておりますので、資料1の1ページをごらんいただきたいと存じます。
平成22年に全面施行されました改正臓器移植法によりまして、脳死下で臓器を提供してくださる方が増えているのは昨年も御報告したところでございますが、その傾向は引き続き続いておりまして、御案内のとおり、平成23年は最終的に44名の方の御提供をちょうだいしました。そして、平成24年は現在のところ25名の方の御提供をいただいているところでございます。
2ページは、提供してくださった方のうち、御本人の意思表示によるものと、御本人の意思が不明で御家族の承諾によるものと色分けしてございます。
これで見ていただきますと、下の白いところが御本人の意思表示によるもので、これは改正臓器移植法によっても余り変わっていない面がございます。今後御本人に、イエスであっても、ノーであっても、意思表示をしていただくことを引き続き努力しなければいけないと考えているところでございます。
3ページをごらんいただきたいと存じます。これは先ほどと違いまして、脳死下の臓器提供だけではなくて、そこが色の黒い部分で、心停止下の臓器提供を全部合わせたものがこちらでございます。
これで見ていただきますと、心停止下の臓器提供と脳死下の臓器提供を足しますと、実は余り変わっていない。今まで心停止下であったものが脳死下の方に変わってきたことになっております。これは何がどうなるかといいますと、脳死下で初めて移植が可能になります。例えば心臓などはこれによって大きく増加したということでありますが、逆に言えば心停止下でも移植が行われてきました腎臓などは、総数としては余り変わっていないということが起きております。このあたりも課題であると思っております。
その辺りの数字が4ページに出ておりまして、臓器別にどのように推移しているかを書いてございますが、今、申し上げましたように、腎臓などにつきましては、脳死下は増えておりますけれども、総数としては余り変わっていない現状で、移植をお待ちになっている方も相変わらず1万2,000名ほどいらっしゃる現状でございます。こういうことについて、引き続き取り組む必要があると考えております。
5ページをお開きいただきたいと思います。脳死下での臓器提供に関しましては、大変多くの議論があるところでございますので、これにつきましては、ごく初期の段階から救命措置が適切であったのか、ガイドラインなどに沿いまして適切な脳死判定が行われているのかどうかにつきまして、一例一例、脳死下での臓器提供事例に係る検証会議で検証いただいているところでございます。
この表は、どれぐらい検証していただいたかという数字が真ん中に書いてございますが、平成22~23年に急増してございます。ここは密度濃く検証いただきまして、平成24年におきましても、引き続き熱心に御検証いただいているところでございます。
こうした中で、単に検証するだけではなくて、それがどうであったのかをきちんと情報公開することが大事であろうというお考えがございまして、同じページの下の丸囲みで掲げてございますが、今年の3月に102例の検証が終わったことを踏まえまして、その102例の全体像、個々のケースではなくてマスとしてどうであったか、一体、何歳ぐらいの方がどういう疾患で脳死に至っているのか、脳死判定はどんなふうに行われているのか、そのときの数値はどうであったのか、御家族はどんな理由で同意をしてくださったのか、移植後の成績はどうか、社会復帰の状況はどうであるか、あるいは臓器提供後の御家族の状況はどうであるか、こういったものにつきまして、つまびらかにしたところでございます。こうしたことを通じて、臓器提供に対する国民の皆さんの御理解が深まるように引き続き努力したいと考えております。
6ページで、臓器移植委員会では以上のような報告をさせていただくと同時に、いろいろな指針」などを改正しておりまして、1つは上にございますように「眼球のあっせんに関する技術指針で、今まで通常は、角膜移植の場合には眼球を全部取り出してということが通例でありましたけれども、それを取り出さなくても角膜だけ、切片を取り出す技術が出ておりますので、それを行う場合の衛生基準などについて定めていただいたのが1つでございます。御審議いただきまして、局長通知を出してございます。
もう一つは、臓器提供施設になり得る候補で、脳神経外科学会の専門医研修に係る施設類型が変わりましたものですから、それに合わせて臓器提供施設になり得る施設の要件も見直したところで、これを本年5月1日から施行してございます。
この資料の最後が7ページで、委員の皆様方、御案内のように、今年の6月、国内で初めて6才未満の小児からの脳死下の臓器提供事例がございまして、これについても対応したところで、この事例につきましても、他の事例に先駆けて、1年以内に検証をしっかり行っていきたいと考えているところでございます。
臓器移植に関しましては、以上でございます。
続きまして、資料2「造血幹細胞移植の現状について」という資料をごらんいただきたいと思います。
1枚おめくりいただきたいと存じます。造血幹細胞移植実績の推移でございます。これは血縁者間のものを除いて、非血縁者間、第三者間のものを示しております。
ごらんのとおり、引き続き年々、移植が増加しておりまして、特に平成23年におきましては、棒グラフで申し上げますと、色のやや薄い方が骨髄移植、末梢血幹細胞移植で、色の濃い方が臍帯血移植で、どちらも過去最高を記録してございます。高齢者を中心に移植を必要とする方が増えておりまして、今後もそのニーズに対応していく必要があると考えているところでございます。
2ページは、移植後の成績がどうかで、RBMとかRPBとかわかりにくく書いておりまして申し訳ありません。下に書いてございますけれども、基本的に血縁者間の骨髄移植とか、血縁者間の末梢血幹細胞移植とか、非血縁者間の骨髄移植、非血縁者間の臍帯血移植を並べたもので、全体的には上昇傾向にありますが、1つだけやや右肩下がりになっているものがございます。これは非血縁者間の臍帯血移植で、平成15年ぐらいにミニ移植という、骨髄を完全に放射線で破壊しなくても移植できる移植法が発見された結果、高齢者の方に多く移植できるようになりました。そういった傾向もあって、結果的に少し下がっている部分があるようでございます。
3ページにつきましては、細かいことは申し述べませんが、代表的な血液疾患につきまして、骨髄移植、臍帯血移植、代表の2選手につきまして、移植後1年、移植後5年の生存率を書いてございますけれども、かつて不治の病の典型と言われた白血病も、ごらんのように5年後でも4割程度助かるようになってきておりまして、更にこの移植成績は向上していくのではないかというふうに関係者も御努力いただいているところでございます。ちなみに、この移植成績につきましては、国際的にも優秀であると承っております。
4ページにつきましては、説明は省かせていただきますけれども、二重線で囲まれた左下の骨髄バンク、右下の臍帯血バンク、あるいは真ん中の上にあります日本赤十字社などを中心に、ドナーさんと患者さんをつないで、医療機関に移植を実施していただく協力体制で進めているところでございます。近年、こういった連携がますます重要になっていると認識しております。
こういったものを応援するために、5ページで、平成24年度の造血幹細胞移植対策予算につきましても、そう多くはございませんが、予算全体としては大変厳しい中で、対前年度で増額を図っておるところでございます。
6ページで、本年の診療報酬改定におきまして、骨髄移植、末梢血幹細胞移植、臍帯血移植、これらの3つの移植法は同一の疾病に対してどれも適用し得るものでございますが、これらの移植法がその患者さんにとって最適なもので移植が行われるようにという観点から、平成24年度におきましては、3種の移植術につきまして増点の上、点数をそろえた。特に臍帯血移植は1.5倍ほどの大幅増点で、こういう形で医療機関により頑張っていただけるような点数上の評価をしたところでございます。
それを踏まえて7ページで、一旦、医療機関に支払われたお金が、わかりにくい図で恐縮でございますが、真ん中辺にある移植医療機関から左側の骨髄バンクや臍帯血バンクに対しまして、骨髄の提供があった場合、あるいは臍帯血の提供があった場合に、移植術からそれぞれ同じ額、4万800点分、40万8,000円分を、骨髄の場合には採取も含めまして4万5,000点分、45万円分を支払い、それが骨髄バンクあるいは臍帯血バンクの非常に重要な財源となっているところでございます。これに補助金も併せて運営していただいているところでございます。
こういうことで、今後、高齢化も含めて造血幹細胞移植は増加が見込まれるところでございますが、今後の増加にも耐えられるように、もう少し社会的な評価を高めて、骨髄バンクや臍帯血バンクを法制化していこうではないかという動きがございます。
詳細は省かせていただきますが、8ページ以降のもので、「移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律案」が国会に提出されております。現在、各党でも調整中であると聞いておりまして、この法案が通りますれば、厚生労働省令で定める基準はたくさんございますので、造血幹細胞移植委員会で御議論いただくことになるだろうと考えているところでございます。
長くなりましたが、以上でございます。よろしくお願いいたします。
○金澤部会長 どうもありがとうございました。
ただいまの御説明に何か御質問、御意見はございますでしょうか。
着実に進んでいるようであります。
山本先生、どうぞ。
○山本委員 臓器移植と幹細胞移植について着実に進んでいるのがよくわかっていいのですけれども、我が国ではまだまだハードルが高いので、こういうふうに移植の件数が増えること自体はいいことだと思いますので、関係の方々の御努力は評価されなければいけないと思うのです。
しかし、実際に先ほどの生存率が、移植しなければどうなるかと考えたときと比べればよくなっているのは間違いないのですけれども、移植の現場の先生方は移植をすることが物すごく大変なので、そちらに非常に御努力を払われていて、実際にはその後の移植拒絶は使える薬を使っているのが現状なのですが、それが決して理想的ではないわけです。まだまだ改良しなければいけない。
それはそのほかの疾患にも通じるのですが、この移植の免疫抑制は最も強く使われているわけですから、できましたら、新しい治療薬の開発をというところまで行くのはいいのですけれども、その前にも移植をされた方々が、生存率が必ずしも今でも十分でないときに、もともとの御病気で亡くなられたのか、そうでなくて、残念ながら移植の拒絶によって亡くなられたかとか、そういうデータが少しでもあると、これからの移植の行政、科学的な方向性にも役立つと思いますので、あるかもしれませんけれども、そういうことが公表できたらもっといいと思うのです。
よろしくお願いします。
○金澤部会長 どうぞ。簡潔にお願いします。
○間臓器移植対策室長 ありがとうございます。
 おっしゃるとおりで、ドナーの方と移植を受けられた方の健康状況のフォローアップは大変重要な問題で、今、学会を中心にそういった取り組みがなされております。患者登録はなされております。今回、先ほどごく簡単に触れました法律の中でも、そういった取組みを国が支援すべきであるということも書かれておりまして、今回そういったことを踏まえて取り組んでまいりたいと思います。
○金澤部会長 どうもありがとうございました。
ほかにいかがですか。
よろしいでしょうか。
ありがとうございました。
それでは、続きまして「(2)難病対策委員会の中間報告」に入りたいと思います。
先ほど、辻副大臣から大変詳細に御紹介がございましたので、あえて繰り返すことはいたしませんが、これから事務局から読み上げてもらいますけれども、難病対策委員会でかなり回を重ね、また、下にワーキンググループをつくって、かなり検討してまいりました。それがまとまりましたので、この間、中間報告を事務局に渡したわけでありますが、今日の会は、難病対策の部会としてこれを了承していただけますと、これが執行されていくことになりますので、是非御議論いただきたいと思っております。
会の進め方でありますけれども、先ほど申しましたように、最初に事務局からすべての項目について説明してもらいたいと思います。その後に少し区切って皆さん方から御意見をちょうだいしたいと思っておりますので、お許しいただきたいと思います。
それでは、事務局から説明してください。竹内さん、どうぞ。
○竹内疾病対策課長補佐 資料3、資料4とございますけれども、資料3が難病対策委員会の中間報告の概要でございますが、本日は、今、部会長からお話がありましたとおり、この部会での合意がいただければ了承していただくということもございますので、資料4の本文を使って読み上げさせていただきたいと思います。
今後の難病対策の在り方(中間報告)
平成24年8月16日
厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会
はじめに
我が国の難病対策は、昭和47年に策定された「難病対策要綱」を踏まえ、?「調査研究の推進」、?「医療機関の整備」、?「医療費の自己負担の軽減」の三点を柱として進められ、平成元年度に?「地域保健医療の推進」が加えられ、また、平成8年度に「地域保健医療の推進」が「地域における保健医療福祉の充実・連携」とされ、?「QOLの向上を目指した福祉施策の推進」が加えられた。現在、この5本の柱に基づき、各種の事業を推進している。
その結果、難病の実態把握や治療法の開発、難病医療の水準の向上、患者の療養環境の改善及び難病に関する社会的認識の促進に一定の成果をあげてきた。
しかしながら、医療の進歩や患者及びその家族のニーズの多様化、社会・経済状況の変化に伴い、原因の解明すら未確立の疾患でも研究事業や医療費助成の対象に選定されていないものがあることなど難病の疾患間で不公平感があることや、難病に対する普及啓発が不十分なこと等により国民の理解が必ずしも十分でないこと、難病患者の長期にわたる療養と社会生活を支える総合的な対策が不十分であることなど様々な課題が指摘されており、難病対策の見直しが強く求められている状況にある。
そのため、本委員会は、今後の難病対策の在り方について昨年9月より審議を行い、12月には「今後の難病対策の検討に当たって(中間的な整理)」を取りまとめた。この中間的な整理においては、「希少・難治性疾患の患者・家族を我が国の社会が包含し、支援していくことが、これからの成熟した我が国の社会にとってふさわしい」ことを基本的な認識とした。
この中間的な整理を基に、その後も、「社会保障・税一体改革大綱」(平成24年2月17日閣議決定)や難病研究・医療ワーキンググループ及び難病在宅看護・介護等ワーキンググループにおける検討状況の報告も踏まえ、「難病対策の必要性と理念」、「「難病」の定義、範囲の在り方」、「医療費助成の在り方」、「福祉サービスの在り方」、「難病相談・支援センターの在り方」、「難病手帳(カード)(仮称)の在り方」、「難病研究の在り方」、「難病医療の質の向上のための医療・看護・介護サービスの提供体制の在り方」、「就労支援の在り方」、「難病を持つ子どもへの支援の在り方」、「小児慢性特定疾患治療研究事業の対象者等小児期から難病に罹患している者が成人移行(トランジション)する場合の支援の在り方」の各々の項目について議論を行い、論点・課題の整理を行った。
今般、これまでの検討結果を「今後の難病対策の在り方(中間報告)」として取りまとめたので報告する。
なお、委員会の昨年12月の中間的な整理とか、社会保障・税一体改革大綱の該当部分については、それぞれ参考資料の3ページ、6ページに掲載してございますので、併せてごらんいただければと思います。
1.難病対策の必要性と理念
○ いわゆる難病は、まれではあるが国民の中に一定の割合で発症する可能性のあるものである。難病患者は、治療方法が確立していない疾患にり患し、往々にして生涯にわたる長期間の療養を必要とすることから、生活面における制約や経済的な負担が大きい。また、病名や病態が知られていないために、社会の理解が進んでおらず、就業など社会生活への参加が進みにくい状態にある。
○ このため、難病対策の見直しに当たっては、難病の治療研究を進め、疾患の克服を目指すとともに、難病患者の社会参加を支援し、難病にかかっても地域で尊厳を持って生きられる共生社会の実現を目指す。また、患者の長期かつ重度の精神的・身体的・経済的負担を社会全体で支えることを目指し、中間的な整理で示した「今後の難病対策の見直しの方向性」を踏まえ、時代に合った新たな難病対策の構築を目指す。
また、文中の理念の部分につきましても、併せて参考資料の5ページないしは7ページに中間的な整理あるいは社会保障・税一体改革大綱の参考にした部分を掲載してございます。ごらんいただければと思います。
2.「難病」の定義、範囲の在り方
○ 総合的な難病対策の外縁となる「難病」の定義については、「難病対策要綱」(昭和47年10月厚生省)をも参考にしつつ、できるだけ幅広くとらえるべきである。一方で、個別施策の対象となる疾病の範囲については、広く国民の理解を得られるよう、それぞれの施策の趣旨・目的等も踏まえ、比較的まれな疾病を基本に選定すべきである。
○ 今後、「難病」の定義については、個別施策の対象となる疾病の範囲の議論を深めつつ、引き続き検討する。
なお、難病対策要綱につきましても、参考資料の8ページに掲載させていただいております。
3.医療費助成の在り方
(1)基本的な考え方
○ 現行の「特定疾患治療研究事業」は、患者の医療費負担の軽減という福祉的な面を持つものの、その主たる目的は、難治性の疾患を克服するための治療研究の推進にある。
○ しかしながら、本施策については、患者等からは、福祉的施策ととらえられている現状もあり、できるだけ安定的な仕組みとすることが必要との指摘もなされている。このような観点から、今後、福祉的な面をどのように位置づけるか、また、そのための財源をどう確保していくかを含め、本施策の在り方について検討する必要がある。
○ なお、検討に当たっては、がんなど他の慢性疾患との関係等を含め、改めて本施策の趣旨・目的を整理し、公平性の観点から、広く国民の理解が得られるものとする必要がある。
(2)基本的な枠組み
? 対象疾患の在り方
○ 医療費助成の対象疾患については、「今後の難病対策の在り方について(中間報告)」(平成14年8月23日厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会)においてまとめられた、?症例が比較的少ないために全国的な規模で研究を行わなければ対策が進まない、?原因不明、?効果的な治療法未確立、?生活面への長期にわたる支障(長期療養を必要とする)の4要素を基本的には踏襲することが適当である。
○ 対象疾患の範囲の拡大を含めた見直しにあたっては、より公平に対象疾患を選定する必要がある。一方で、効果的な治療方法が確立するなど治療成績等の面で状況の変化が生じた対象疾患については、引き続き対象疾患として取り扱うことが適当かどうか定期的に評価し、見直していくことも必要である。
○ このため、対象疾患の選定及び見直し方法について具体的に検討し、広く国民の理解を得られる公平な仕組みとすることが必要である。その際、同じような性格の疾患にもかかわらず、疾患名の違いにより対象疾患の選定に差が生じることがないようにする必要がある。
○ また、対象患者の範囲については、重症度等の基準を設定することが必要であり、具体的な基準の内容について検討する必要がある。
○ 対象疾患の具体的な範囲については、現在、難治性疾患克服研究事業「今後の難病対策のあり方に関する研究班」において調査・分析を行っており、その結果等も参考に、今後更に検討する。
文中の「今後の難病対策のあり方に関する研究班」につきましても、参考資料の13ページに概要を掲載してございます。併せてごらんいただければと思います。
? 対象患者の認定等の在り方
○ 医療費助成の対象疾患にり患しているかどうかについては、専門医が診断基準に基づき的確に診断すべきであり、自治体の指定を受けた専門医の診断を要件とすることが必要である。また、良質かつ適切な医療を受けられるようにするため、緊急時を除き、自治体の指定を受けた医療機関で受診した場合に医療費助成を行うこととする必要がある。
この場合、病気の診断や治療の質等の担保と患者の利用のしやすさとの両立をどのように図るかについて留意する必要がある。
○ 科学的根拠に基づく治療の適正化を行うため、疾患ごとの治療ガイドラインを策定し、周知徹底することが必要である。
その際、様々な新しい治療の試みを縛ってしまわないような配慮も必要である。
○ 医療費助成の対象となる医療の範囲については、対象疾患及び対象疾患に付随して発現する傷病に対する医療に限定し、対象疾患に関係しない医療は対象外とする必要がある。
○ 医療費助成を受ける前提として、本施策の目的である治療法の開発研究等に役立てるため、引き続き患者データの提供が行われるようにする必要がある。
この場合、精度の向上や有効活用の観点から、現行の臨床調査個人票の内容及びデータ収集の方法については見直しを行う必要がある。
なお、収集される患者データは災害時の対応等にも役立て得る正確なものとすべきとの意見があった。
○ 医療費助成の認定手続ができるだけ患者や医療関係者、自治体の負担とならないよう検討する。
? 給付水準の在り方
○ 難病の特性を踏まえつつ他制度との均衡を図るとともに、施策の安定性を確保し、国民の理解を得られるよう、給付水準(公費で負担される額)の見直しを検討する必要がある。
<主な検討事項>
・ 入院時の食事及び生活に係る自己負担
・ 薬局での保険調剤に係る自己負担
・ 対象患者が負担する一部負担額(重症度基準、高額所得者、重症患者の取扱い等)
4.福祉サービスの在り方
○ 「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」(以下「障害者総合支援法」という。)において、治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病であって政令で定めるものによる障害の程度が厚生労働大臣が定める程度である者も、障害児・者の範囲に加えられたことから、平成25年4月以降、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスに係る給付対象となる。
なお、児童福祉法上の障害児通所支援及び障害児入所支援についても同様の取扱いとなる。
この障害者総合支援法の改正につきましては、参考資料の14ページ~15ページに新旧対照表を掲載してございます。
○ 障害者総合支援法の「治療方法が確立していない疾病」であって「政令で定めるもの」の疾病の具体的な範囲については、現在、難治性疾患克服研究事業「今後の難病対策のあり方に関する研究班」において調査・分析を行っており、その結果等の他、新たな難病対策における医療費助成の対象疾患の範囲も参考にしつつ、障害者総合支援法の施行に向け、検討する。
○ 障害程度区分の認定に当たっては、難病ごとの特性(病状の変化や進行等)についてきめ細かく配慮する必要がある。
5.難病相談・支援センターの在り方
○ 難病相談・支援センターは、すべての難病を幅広くカバーし、あらゆる相談に自ら対応するばかりではなく、医療、福祉、行政など様々な機関と連携し、患者を適切なサービスに結びつけていく役割を担う必要がある。特に、医療機関、保健所、就労支援機関、子どもの相談支援機関等との連携の強化を図る必要がある。
○ 難病相談・支援センターは、引き続き都道府県ごとに設置することとし、その運営は地域の実情に合わせて委託できることとするが、どの都道府県においても基本的な機能を果たせるよう必要な体制を確保する必要がある。
○ 難病相談・支援センターの質の向上のため、職員の研修等を充実させるとともに、全国の難病相談・支援センターが連携し、互いに支援しあうことも必要である。
○ 同じ病気の人の経験を聞く(ピアサポート)など患者の視点に立った相談・支援が行われるよう留意することが必要であり、そのためにも、患者間の相互支援の取組や相談・支援を担う人材の育成が重要である。
○ 各都道府県の難病相談・支援センターの中心的な機能を担うセンターの在り方について検討する。
6.難病手帳(カード)(仮称)の在り方
○ 昨年の障害者基本法改正により、障害者の定義が見直され、「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」とされ、難病に起因する障害についても「その他の心身の機能の障害」に含まれると解されている。
○ 身体障害、知的障害及び精神障害については、既に手帳制度が設けられているところ、難病手帳(カード)(仮称)の在り方については、その目的、効果、事務負担等を他制度の例も参考にしつつ、今後更に検討する。
他制度の例につきましては、参考資料の16ページ~17ページに整理させていただいております。
7.難病研究の在り方
(1)難病研究の対象
○ 難病研究の対象については、引き続き、診断基準が確立されていないものも含め対象とすべきである。
○ 現行の130疾患を指定し研究対象とする「臨床調査研究分野」とそれ以外の希少難治性疾患を研究対象とする「研究奨励分野」の区分けについては、総合的な難病対策を構築する際に根本的に見直すべきである。
(2)難病研究の重点化
○ 診断基準の作成や病態解明等に加え、研究の最終目標として、治療法開発、創薬を重点的に目指すべきであり、特に医師主導治験を行う創薬実用化研究を推進する必要がある。
○ 製薬企業等が難病の治療薬の開発に積極的に参加しやすくなるための環境整備が必要である。
(3)患者の参加と研究成果の還元
○ 難病患者が治験を含めた研究に参加しやすくなるような仕掛けが必要である。
○ 研究の進捗状況や成果を患者、国民にわかりやすく伝えることが必要である。
(4)総合的な難病研究の実施と国際協力の推進
○ 関係各省、関係者が一体となった難病研究開発の総合戦略が必要である。
○ 難病の病態解明、治療方法の開発、創薬研究を促進するため、欧米をはじめとした国際協力を進めることが必要である。また、患者団体間の国際連携も重要である。
8.難病医療の質の向上のための医療・看護・介護サービスの提供体制の在り方
(1)「新・難病医療拠点病院(仮称)」の整備
○ どこに行っても診断がつかない、治療経験のある医師が見つからない等の難病患者が医療を受ける上での困難を克服するため、都道府県は、現在の難病医療拠点病院をさらに発展させ、医療費助成のために指定された医療機関の中から、難病の診断・治療に関して高い専門性と経験を有する拠点的な医療機関(新・難病医療拠点病院(仮称))を整備することが必要である。(医療費助成は必ずしも「新・難病医療拠点病院(仮称)」での診断・治療に限定するものではない。)
○ 「新・難病医療拠点病院(仮称)」には、概ねすべての疾患領域に対応し得る「総合型(仮称)」と特定の疾患群について専門性の高い「特定領域型(仮称)」を含める必要がある。
(2)難病患者の長期にわたる治療・療養を支える体制(環境)の整備
○ 様々な病態やステージにある難病患者に対し、長期にわたり適切な外来・入院医療を提供するためには、「新・難病医療拠点病院(仮称)」等の一部の限定された医療機関だけでなく、地域の様々な専門性・役割を持つ医療費助成のために指定された医療機関が連携し、難病医療を担う必要がある。また、連携を促進する手段として、例えば、連携パスのような仕組みを構築することも有用である。
○ 難病患者が地域で包括的な医療、看護、介護サービスを受けることができるよう、都道府県は、現在の難病医療拠点病院や難病医療協力病院をさらに発展させ、医療費助成のために指定された医療機関の中から、地域の実情を踏まえつつ、概ね二次医療圏に1か所程度「難病医療地域基幹病院(仮称)」を整備し、「新・難病医療拠点病院(仮称)」や地域の様々な医療機関と連携し、地域で難病医療・福祉サービスを提供する人材の育成や入院・療養施設の確保を進める必要がある。
○ 現在の難病医療専門員をさらに発展させ、「難病医療地域基幹病院(仮称)」等に、在宅難病患者の地域の医療機関等での受け入れ調整や入院患者の退院調整等を行う難病医療コーディネーター(仮称)を置くことも有用と考えられる。
○ 地域で生活する難病患者が安心して療養できるよう、地域の診療医、看護、介護、福祉サービスの担い手の量及び質を高めるとともに、関係機関のネットワークを充実させる必要がある。このため、地域の特性を把握し、難病患者に対する支援体制を整備するため、現在の地域の取組をさらに発展させ、保健所を中心とした「難病対策地域協議会(仮称)」を設置することについて検討する。
○ 特に極めて希少な疾患については、全国的にも患者数が数名という場合もあり、これら希少疾患に対し高度専門的な対応ができるセンター(難病治療研究センター(仮称))の在り方について検討する。
○ 難病医療・福祉サービスの地域間格差を是正するため、医療福祉従事者の教育研修、患者・家族を含む関係者間のネットワークによる情報共有、助言・協力等を促進する必要がある。
○ 難病患者・家族が地域で安心して生活し続けることができるよう、難病の在宅医療・看護・介護の在り方について、当事者も参画の上、引き続き、研究・検討する。さらに、コミュニケーション支援、災害対策、レスパイトの場の確保、在宅療養の安全確保等、難病患者の特殊性に配慮した支援についても考える必要がある。
なお、現在の難病医療拠点病院等の取り組みにつきましては、参考資料の20~21ページに概要を掲載してございます。
9.就労支援の在り方
○ 難病患者の就職・復職や就職後の雇用管理については、まずは、難病に関する知識(通院への配慮等)や既存の支援策(難治性疾患患者雇用開発助成金(注)等)の普及啓発が重要であり、事業主や関係機関への周知が必要である。
○ 加えて、既存の支援策の充実や難病相談・支援センターと就労支援機関等の関係機関との連携体制の強化を行うべきである。
また、民間の職業紹介事業者等の活用について検討すべきとの意見があった。
(注)難病のある人の雇用を促進し、職業生活上の課題を把握するため、難病のある人をハローワークの職業紹介により常用労働者として雇い入れ、雇用管理に関する事項を把握・報告する事業主に対する助成を行うもので、平成21年度に創設。
なお、既存の支援策につきましては、参考資料の22~23ページに掲載してございます。
10.難病を持つ子どもへの支援の在り方
○ 難病相談・支援センターにおいて、子どもの相談支援機関や小児の難病に対応できる医療機関等と連携しつつ、難病の子どもや保護者の相談(学校との連携、社会性の育成等を含む)に引き続き対応すべきである。
○ 治療研究において、小児の難病の研究も引き続き行うべきである。また、極めて希少な疾患に高度専門的な対応ができるセンターの検討に際して、小児の極めて希少な難病についても考慮するべきである。
○ 「新・難病医療拠点病院(仮称)」の「特定領域型(仮称)」に小児の難病に対応できる医療機関を含めるとともに、「総合型(仮称)」において小児の難病への対応及び必要に応じて小児期のかかりつけの医師と成人疾患を担当する医師との連携を図るべきである。また、連携を促進する手段として、例えば、連携パスのような仕組みを構築することも有用である。
○ 総合的な難病対策の在り方の検討に当たっては、小児期の難病患者の特性にも配慮するとともに、教育支援、就労支援を含む総合的な自立支援についても検討を行う必要がある。
11.小児慢性特定疾患治療研究事業(注)の対象者等小児期から難病に罹患している者が成人移行(トランジション)する場合の支援の在り方
○ 患者は小児から成人にかけて継続して治療が必要となる場合もあることから、切れ目のない支援の在り方を検討すべきである。
○ 小児期に発症する難病の成人後の医療・ケアに携わる医療従事者に対する研修等を行うとともに、小児期からのかかりつけの医師等との連携を促進する必要がある。
○ 総合的な難病対策の在り方の検討に当たっては、小児慢性特定疾患治療研究事業の対象者等小児期から難病に罹患している者については、小児期に長期の療養生活を余儀なくされてきたなどの特性にも配慮するとともに、教育支援、就労支援を含む総合的な自立支援についても検討を行う必要がある。
(注)「治療が長期間にわたり、医療費の負担も高額となり、これを放置することは児童の健全な育成を阻害することとなる」疾患を対象として、医療保険の自己負担分を公費で助成している。対象年齢は18歳未満であるが、18歳になるまでに認定を受けており、引き続き治療が必要と認められる人については、20歳未満まで延長されている。
なお、小児慢性特定疾患治療研究事業の内容等につきましては、参考資料の24ページ~25ページに掲載してございます。
 おわりに
本委員会は、総合的な難病対策の在り方について審議を行い、本中間報告をとりまとめた。
本委員会の中間報告に対して、関係各方面からの積極的な御意見を期待するとともに、本委員会としても、総合的な難病対策の構築を目指し、さらに専門的な立場から検討を続けていきたい。
なお、行政関係者におかれては、この中間報告に記載された事項のうち、法制化の要否の検討が必要なものについては、早急に検討作業に取り組んでいただくよう要請する。
今後、本委員会としては、これまでの審議経過を踏まえ、厚生科学審議会疾病対策部会へ報告を行い、さらに事務局より今後の検討課題及びその手順について整理を得た上で検討を進め、本委員会としての最終報告を厚生科学審議会疾病対策部会に提出することとしたい。
中間報告についての御説明は以上でございますが、併せてごく簡単に、冒頭、副大臣からも御紹介していただきましたけれども、この委員会での中間報告をとりまとめていただいたのが8月16日ですが、先般8月18日の土曜日に全国から難病患者の団体、全体で50団体にお集まりいただいたわけでございますが、意見交換会を開催させていただきました。資料5に概要をとりまとめてございます。
いただいた意見はここに掲載し切れないほどたくさんいただいたわけで、また改めて詳細については整理して公表させていただきたいと思っておりますけれども、ここでは主な御意見ということで掲載させていただいておりますので、ごらんいただければと思います。
幾つか御紹介させていただきたいと思います。
難病対策全般につきましては、
・ 難病患者の実態を踏まえたうえで、難病患者が安心して暮らせるような医療や福祉等総合的な対策を行ってほしい。
・ 制度設計において、患者等当事者を排除しないでほしい。
・ 難病に関する普及啓発を推進し、難病の認知度を上げ、働きにくさやいじめ・差別を解消してほしい。
といった御意見をいただいております。
医療費助成の在り方につきましては、
・ 対象疾患の範囲について、公平、公正に選定すべき。
・ 患者数が増えたからといって、対象から外さないでほしい。
・ 医療費だけでなく、通院等の際に必要となる交通費の助成も行ってほしい。
といった御意見がございました。
福祉サービスの在り方につきましては、
・ 障害・疾患別に福祉サービスのメニューを決めるのではなく、患者個々の状況に応じて必要なサービスが提供されるような仕組みにしてほしい。
等の御意見がございました。
裏面で、難病手帳(カード)(仮称)の在り方につきましては、
・ 難病患者への福祉・就労支援策を充実するため、難病手帳を実現してほしい。
などの御意見がございました。
難病研究の在り方については、
・ 治療方法の確立に向け、治療研究が継続されるよう安定的に研究費を助成していただきたい。
等の御意見がございました。
就労支援の在り方については、
・ 障害者手帳の有無にかかわらず、難病患者を障害者の法定雇用率の対象に加えてほしい。
等の御意見があったところでございます。
すべては詳細に御紹介できませんけれども、あくまでも主な御意見ということで概要としてまとめさせていただきましたので、併せて御報告させていただきます。
以上でございます。
○金澤部会長 どうも御苦労様でした。ありがとうございました。
 それでは、お約束のとおり、「はじめに」に戻りまして、項目ごとに御意見をちょうだいしていこうと思います。
 最初は、「はじめに」であります。資料4の1ページ~2ページ目の頭ぐらいまでで、何か御意見はございますか。
 それでは、「1.難病対策の必要性と理念」。これも理念的なことですので、そこまで範囲を広げますが、いかがでしょうか。
 この辺は、難病対策委員会にこういうことを検討すべきであるということを言っていただきましたこの会で既に言われていることでありますので、少し具体的な方向に入ってよろしいでしょうか。「2.『難病』の定義、範囲の在り方」についてです。
 よろしいでしょうか。
 田嶼先生、どうぞ。
○田嶼委員 まず全体的にみて、この中間報告はよく御審議いただいたと思います。といいますのも、かつて難治性疾患克服研究事業の企画または評価に関する研究の委員を務めさせていただいたときに問題だと思っていたことがすべて反映されているからです。
 今、お話の対象になっている「2.『難病』の定義、範囲の在り方」について「できるだけ幅広くとらえるべきである」というお考えは大変結構だと思います。しかし、その前にまれな疾患かどうかをきちんと評価するべきと思います。しかし、正確な疫学的なデータはかなり欠損しているのではないかと思います。すべての疾患に言えることですが、全国的な調査をして有病者数が集計されている疾患がほとんどです。「幅広く」という概念を入れるのであれば、有病率をきちんと出すとか、患者さんの新規登録をするなどにより、どの程度「稀な疾患」なのかをデータとして残しておくことも必要かなと思いました。
 以上でございます。
○金澤部会長 どうもありがとうございました。
 今の件に関しては、まさにそのとおりで、今、研究班でまとめてくれている部分もあるわけです。その結果を期待したいと思います。
 ほかにいかがでしょうか。
 よろしいですか。
 それでは、範囲を広げていくことにしましょう。「1.難病対策の必要性と理念」、「2.『難病』の定義、範囲の在り方」、その辺はもう終わったから意見はだめとしないで、「3.医療費助成の在り方」まで広げて御意見をちょうだいしたいと思います。
 実は、これはかなり長いもので、4ページの上から4分の3ぐらいまでございます。この辺はいかがでしょうか。本来ならばかなり議論があるはずのところですけれども、既にかなり丁寧に議論をしていただいておりますので、読んでいただければおわかりかもしれません。
 いかがでしょうか。
 洪さん、どうぞ。
○洪委員 ありがとうございます。
 3ページですが、「対象患者の範囲については、重症度等の基準を設定することが必要であり」という箇所なのですけれども、この重症度の基準設定は、難病の場合には数値評価できるものが少ないので難しいのではないかと思うのですが、その点について、丁寧な基準を検討してくださるとは思うのですけれども、少し懸念するところでございます。
 以上です。
○金澤部会長 今でも幾つかの疾患に関しては重症度の基準があるのですが、その範囲をもっと広げる場合にということですか。
○洪委員 はい。
○金澤部会長 何かコメントはありますか。
 課長、どうぞ。
○山本疾病対策課長 今、部会長がおっしゃってくださいましたように、現在の医療費助成の対象の56疾患のうちでも12疾患は一定の重症度がかかっております。そういう中で、今の3ページの「(2)基本的な枠組み」の「? 対象疾患の在り方」の1個目の○ですけれども、「?症例が比較的少ないために全国的な規模で研究を行わなければ対策が進まない、?原因不明、?効果的な治療法未確立、?生活面への長期にわたる支障(長期療養を必要とする)の4要素を基本的には踏襲することが適当である」ということで、特に?生活面への長期にわたる支障といいますと、疾患の中には非常に軽症な方も混在する疾患の場合、?には当たらない部分もあろうかと思います。
 ですので、研究班の先生方には疾患分野ごとに、ある程度、共通の視点での重症度について、今までの学会なり医学の基準、あるいは基準がないようなまれな疾患については、類似の重症度を使うことは可能なのかどうか等々について医学的な情報を集めていただいておりますので、単なる重症度だけではないと思いますが、重症度も大きな指標の一つとして、生活面への長期にわたる支障を見ていくということで、これから各論で詰めていくということだと思います。
○金澤部会長 ありがとうございます。
 確かに、この基準づくりはそう簡単ではないのですよ。これからの問題であると思います。
 ほかにいかがでしょうか。
 よろしいですか。
 田嶼委員、どうぞ。
○田嶼委員 4ページの上から3つ目の○に「医療費助成を受ける前提として」とありますが、「引き続き患者データの提供が行われるようにする必要がある」という文言がございますけれども、これについては詳細な規定といいますか、二次利用になるということであれば、守秘義務等についての検討などもなされているのか、少し漠然としているかしらと思ったので、お伺いしてよろしいでしょうか。
○金澤部会長 これは、この部会でも申し上げたかもしれませんけれども、ここに書いてあるとおりで、医療費助成を受ける前提は研究に御協力いただくことなのですよ。
 そのことではないのですね。
○田嶼委員 小児慢性特定疾患研究事業の場合には、私どもが、小児1型や2型糖尿病の患者さんのデータを申請書に記入して提出するわけです。しかし、そのデータはきちんと解析されて公表されません。ある機関に集められて、そこで報告書としてウェブには出ていますけれども、研究成果としてとりまとめたものではない感じもいたします。データは「研究事業に使われる」という文言があるのであれば、クリーニングした形で提供するとか、そのような形までお考えいただければと思うのです。
 というのも、日本のこのようなシステムはとてもきちんとしていますし、得られた情報も貴重なものなのに、それが世界に向けて発信できないことは少し残念と思ったこともございますので、申し上げました。
○金澤部会長 ありがとうございました。
○葛原委員 ワーキンググループで検討した内容について追加しておきます。
 先ほど部会長がおっしゃったように、これは研究事業ということで、今、基本的な調査個人票のデータは研究のために供することを前提で患者さんに御協力いただいている建前になっていることをもう一度確認したいということが1つです。
 もう一つは、福祉的な面が加わりますと、医学的なデータが必ずしも正確でなくなっている面もあるわけです。それはどういうことかといいますと、ほかのところに書いてありましたが、同じような病気でも診断名が違うと補助の対象にならない。具体的なことで言いますと、例えば多発性硬化症という病気があるのですが、今までその中に含まれていた視神経脊髄炎は、最近は多発性硬化症とは別の病気であることがわかったわけです。そうしましたら、ちゃんとした病名を書くと補助金の対象から外れるということで、もとの病名がそのまま使われていることもあったりします。
 もう少し研究の内容に役立つような調査票にするということが中に書いてございますけれども、それと一緒に、最近ではいろんな薬の反応が遺伝子レベルで違うこともありますので、そういうことも含めて、遺伝子研究あるいはいろんな薬への反応とか、そんなものも含めて全部、難病の病態とか、あるいは診断、新しい薬の開発に役立つような協力を、こういう事業をやる中で患者さんに訴えて御協力いただこうというのが、この内容の趣旨です。
○金澤部会長 どうもありがとうございました。
 その次の2行に書いてあるのがそういうことで、精度を上げて利用できるようにしようということなのです。おっしゃることは大変よくわかります。
 どうぞ。
○田嶼委員 ということは、将来的にはきちんと整備された段階では、例えばこういう研究をしたいと申請したときには国からそれの使用許可が出る、出ないという御判断も起こるかもしれないということでよろしゅうございますね。
○金澤部会長 そう理解しておりますが、局長、何かございますか。
○外山健康局長 現在の特定疾患治療研究事業でも、この調査個人票のデータについては、研究班の班長さんから申請がありますと、役所で研究に供するためにデータを出しております。年間何件かやっているのですけれども、それが、今、お話があったように、十分なデータになり得ないということで、今後、もう少しそういうところをさまざまな研究に資するデータベースになるような形でつくれというのがここの御意見の趣旨なわけでございます。
○田嶼委員 ありがとうございました。
○金澤部会長 御指摘いただきまして、どうもありがとうございます。
 医療費助成のあり方に関して、ほかにどうですか。全般で結構ですが、よろしければ次の「4.福祉サービスの在り方」にまで広げましょう。いかがでしょうか。
 どうぞ。
○田嶼委員 福祉サービスに関しましては、8月20日に会議を持たれたということですが、資料5の「主なご意見」の「『難病』の定義、範囲の在り方について」の2つ目の黒ポツに「研究と福祉は分けて考えるべき」という御意見がありましたが、この点を考えておいた方がいいのではないかと思うのです。私も分けるべきであると思うに至っております。
○金澤部会長 ほかにどうですか。
 水田先生、どうぞ。
○水田委員 こういう場合には、医療も大事ですし、福祉も大事なのですけれども、研究も進めていかなくてはいけないことに直面するわけですが、そのようなときに、例えばデータを取るときにどういう取り方をするのかまでは介入できるのですか。
 といいますのは、先ほども山本先生が、病名が違っても、そうなりますと全然違う病気になったときに福祉のこととか医療費ができなくなりますから、前の病名を書いてしまうということをおっしゃったのですけれども、そうしたときに本当の意味での医学的なテータがわからなくなるのではないかという気がするのです。
 勿論、そういう病気の人の福祉は大事ですし、医療費も大事なのですが、そこをどこまでクリアーカットにできるのかということを、何となしに私たちも経験したこともあるのですけれども、何とかして医療費補助を受けたいからということで診断名を少し広く取ったりすることもありますので、そうしますとまた変わってくるのではないかという気がするのですが、そこはどう解釈したらよろしいのでしょうか。
○金澤部会長 どうぞ。
○外山健康局長 私から補足的に答えますけれども、それは3ページに、対象患者の認定等のあり方についても「専門医が診断基準に基づき的確に診断すべきであり」と書いてありまして、現在その辺の診断基準ははっきりしていないわけでありますから、今度データを取るときには、限界があるかもしれませんけれども、さまざまな基準をもう少し明らかにした上で、それは患者さんのためでもありますが、最初はやはり専門の方に診てもらうということを通じてデータの信憑性を高めていきたいと委員会の方で言われております。
○金澤部会長 そういうことであると理解しております。
 いかがでしょうか。ほかに御意見はございますか。
 後戻りしていただいても結構ですから、とりあえず「5.難病相談・支援センターの在り方」まで広げてみましょう。どうでしょうか。
 これは、今も都道府県その他自治体でやっていただいているわけですね。それをより充実してほしいということでありますが、よろしいですか。
 それでは、新しく出てきた「6.難病手帳(カード)(仮称)の在り方」まで広げてみましょう。いかがでしょうか。
 資料5でいきますと、ちょっと理解しにくいのですが、資料5の裏側の一番上が難病手帳に関する意見交換会での御意見ですけれども、3つ目の意味がよくわからないのです。「新たな谷間をつくるような手帳制度はつくるべきでない」というのはどういう意味なのでしょうか。
 課長、どうぞ。
○山本疾病対策課長 この御意見の趣旨は、例えば手帳をもらえる疾患ともらえない疾患とに分けまして、手帳を取得できる疾患をリストアップした場合に、もらえる人ともらえない人ができるということで、そこにも新たな難病間での谷間ができるのではないかという御懸念であると思います。
 一方で、この意見交換会では、難病手帳(カード)については、1つ目に書いてありますような、福祉・就労支援策の充実、あるいはそれを受けやすくするためのこのカードについては肯定的な意見が多うございました。
○金澤部会長 それはそうだと思います。新たな谷間と言われても、今も立派な谷間があるわけで、その谷間が遠くへ行くだけの話と私は理解していますので、難病の範囲を基本的に広げようではないかということを言っているわけですから、これは御理解が難しいですね。
 ほかにいかがでしょうか。
○葛原委員 先ほどの水田先生の御質問に関して外山局長がお答えになりましたが、そのほとんどについては、この中間報告の中に2か所ぐらいはっきり明記しているところがございます。それは中間報告の2ページの「2.『難病』の定義、範囲の在り方」の最初の○の2~3行目で、従来の56疾患が医療費の対象になっているわけですが、それに加えて「できるだけ幅広くとらえるべきである」というのは、この疾患の範囲を56疾患という病名に限らず、もう少し広く比較的似たような疾患も含めてとらえるべきであるということが中には含まれているわけです。
 もう一つは、3ページの(2)の?の3つ目の○に「このため、対象疾患の選定及び見直し方法について具体的に検討し、広く国民の理解を得られる公平な仕組みとすることが必要である。その際、同じような性格の疾患にもかかわらず、疾患名の違いにより対象疾患の選定に差が生じることがないようにする必要がある」というのは、先ほどの例のように、症状や障害は全く同じなのに、特定の病名に限定されているから別の病気が外されることが現に起こっているわけです。それをなくしてほしいというのがここの中に盛り込まれていることで、はっきり中に書いていただいたということがございます。
○金澤部会長 どうぞ。
○水田委員 私が一番言いたかったことは、こういうふうにしていったときに、たくさんの人が認定されて援助が受けられることになるのは、いいことなのですけれども、ただ、純粋に医学的な研究の視点で見た場合に焦点がぼけないかなということが、データの信憑性が根本的にどういうふうに解釈できるか、そこのところを心配したわけです。
○葛原委員 それは、今の調査個人票の内容と品質では疫学研究とか医学研究には使えないということがございます。これは完全に見直していただいて、様式が決まったら順番にその作業に着手すべきであるというのが、ここに「見直し」と書いてあることです。決して福祉の対象から外さないようにするけれども、病名だけはきちんと正確なものを書いて認定してもらうようにする。それでもって疫学研究・医学研究に使える正確なデータにしていきたいというのが委員の方たちの御意見でした。
○金澤部会長 課長、専門医にまずは診断してもらってというのはどこでしたか。
○山本疾病対策課長 3ページの?の1つ目の○です。
○金澤部会長 水田先生、ここが極めて重要で、患者さんの団体の方からは一部反対もあったのですけれども、どこか自治体が指定する専門医でまずは診断してもらうのを条件にしようぐらいの強い意思でこれを書いていただいたのですが、いつもというわけではないのですけれども、まずはきちんとしたことをやっていただこうということです。
○水田委員 日常の診療は別に専門医でなくてもよろしいのですけれども、確定診断は必ず専門医にお願いするということだと思います。しかし、難病もいろいろありまして、全国にどれぐらい専門医いるのかということが問題ですね。東京都とか大都会はいっぱいいらっしゃるでしょうが、地方では必ずしもその難病の専門医がいらっしゃるかということです。訓練を受けてきちんと勉強し、専門医の資格を取得してもらうことも必要ですから、そういうこともどこかに書いてありましたね。トレーニング・指導をちゃんと促進するということもやっていただいた方がいいと思います。
○金澤部会長 ありがとうございます。
 そのためにも、4ページの一番上にありますように、疾患ごとのガイドラインをつくったりとか、そういうことも考慮はしております。
 ほかにいかがでしょうか。
 次は6ページで「7.難病研究の在り方」であります。これについてはどうでしょうか。
 どうぞ。
○田嶼委員 この項目については、中間報告として本当にいいことを書いてくださったと、私は思いました。といいますのは、研究事業は56疾患に出されておりますけれども、3年の成果を見ても研究発表がほとんどない研究班もあるわけです。そして、素晴らしい研究成果が上がっているところは基礎実験が多いようでした。また、本当に困ったことだなと思いましたのは、ここから研究費をいただいているのであれば、この事業で研究費をいただいたという謝辞が述べられるはずなのに、ほとんど書かれていない。
 ですから、研究することはもちろん大切ですけれども、するのであれば、国のお金をちょうだいしているのですから、質の高い、この事業に見合った研究がなされなくてはいけない。そういう意味で、先ほど申し上げたのは、福祉と研究は、あるところで線を引いて考えなくてはいけないということを申し上げたかったのです。ここでは「研究の最終目標として、治療法開発、創薬を重点的に目指すべきであり」と書かれておりますので、これで研究の実ももっと上がるのではないかと期待しているところであります。
○金澤部会長 ありがとうございます。
 山本課長、どうぞ。
○山本疾病対策課長 傍聴の方がおられるので、今、田嶼先生がおっしゃった、現在130疾患を調査研究分野で研究を行っていまして、残りが234になりましたけれども、症例分野で実際に研究をしていただいているところです。
○金澤部会長 山本委員、どうぞ。
○山本委員 親部会ですので、ここでももう一度確認させていただきますけれども、この研究の重点分野として創薬と治療法を目指すのは正しいと思うのですが、残念ながら、創薬と治療法を目指すというのは、今までの予算では無理ということも認識していただかないと、目標はそうなのですけれども、欧米の創薬にかける力はこんなものではないので、田嶼先生が言われたのは正しいのですが、なかなかそこまで行かない。ですから、そこについて、めり張りをつけて、これからどうやっていくかを検討していただきたいということであって、今までの研究費をそのままここに投入したら、皆さんの班が全部創薬研究に向かうかというのは無理であることは認識しなければいかぬのかなと思います。済みません、これはぼやきです。
 それから1つ、言葉じりだけなので非常にマイナーなのですけれども、「7.難病研究の在り方」の(3)で、「難病患者が治験を含めた研究に参加しやすくなるような」まではいいのですが、「仕掛け」というのは読んでいてざらざらした言葉なので、「仕組み」というのはところどころ出てきていて、「仕組み」はあれなのですけれども、「仕掛け」はよくない。もっとマイルドな言葉でしたら、「環境整備・情報提供」とかがいいと思うのですが、せめて「仕組み」にする方がいいかなと思うのです。
 それだけです。
○金澤部会長 ありがとうございました。そのとおりだと思います。
 とりあえずは「仕組み」がいいですね。
 小川先生、どうぞ。
○小川委員 全体的によく検討されてまとめられているとは思います。
 余り細かいことを言うのは差し控えようかなと思っていたのですが、山本先生のあれにエンカレッジされて話すわけではないのですけれども、6ページで7.の「(2)難病研究の重点化」、非常にいいことをまとめておられると思います。2番目の○の「製薬企業等が難病の治療薬の開発に積極的に参加しやすくなるための環境整備が必要である」という環境整備はどこまでディスカッションしたのかとか、今、ここでお伺いする必要はないのですが、「(3)患者の参加と研究成果の還元」で「難病患者が治験を含めた研究に参加しやすくなるような仕掛けが必要である」で、例えばどういうディフィカルティーがあって、どういうことをすればいいのかという、患者さんの御意見を聞いたりした研究班からの提言をお聞きしたい。
 それから、「研究の進捗状況や成果を患者、国民にわかりやすく伝えることが必要である」。そのとおりなのですが、どういう形で伝えるのが伝わりやすくて誤解されないということもいつかエクスクラメーションしてほしいと思います。
 全般的なことを言いますと、私、ずっと資料を見ていて、この国家的な事業は、日本で先駆的に椿先生がスモン、キノホルムの命がけの発表をしていたときに立ち会っていたので、一つの疾患がこうやって明らかになっていくのかなと非常に感動を受けて、次々と続いていけばもっとよかったのですけれども、なかなか進みませんが、幾つかのうちには世界をリーディングして新しい治療法を確立したものもたくさんあると思うのです。そのようなことも国民によく還元して、そして、みんなでこの難病に対して協力して闘っていくのだ。そして、日本の試みが患者さんの救い、希望を与えると同時に、世界に向かっても情報を日本から発信していく、その辺のことももうちょっと、変な言葉があった反面、いい言葉も入れて、高らかにそういうことも入れてほしいと思いました。
○金澤部会長 どうもありがとうございました。最終報告で生かさせていただきたいと思います。
 今の御意見は大変貴重な御意見なので、内容は具体的にこれからまとめることですから、今のところでお答えになる必要は必ずしもないと私は思います。
○小川委員 答えは全然求めていません。
○金澤部会長 ですから、これは最終報告に向けてこういうことまできちんと議論するようにという御示唆だと思いますので、そのように受け取らせていただきます。
 どうぞ。
○小川委員 事務局に対してお願いしておきたいことは、これは日本のやり方のとてもいいところと、諸外国でやっているやり方に対しての対比とか、そういう日本だけのデータよりは外国のデータをたくさん客観指数で入れて、その都度、紹介したり、進む方向を定めてやる。国民に対して説明するときも、日本ではこうだけれども、外国ではこうであるとか、そういうものを出して、常に客観的な数字をもとに論ずる、エビデンスベースのディスカッションという形ができればと思います。
 今日はちょっとした中締めの会のようなものですので、よろしくお願いします。
○金澤部会長 貴重な御意見、ありがとうございます。
 ほかにどうでしょうか。
 6ページの下3分の1で、「8.難病医療の質の向上のための医療・看護・介護サービスの提供体制の在り方」まで広げましょう。どうですか。
 どうぞ。
○水田委員 その前に厚労省にお聞きしたいのですけれども、私が全く知らないだけかもしれないのですが、「(3)患者の参加と研究成果の還元」で、具体的に実際には今まででもそういう病気の方たちにそういうふうな説明とか、今、ここまで進んでいますということは言っていらっしゃるのですか。
 例えば患者さんの家族とか、私が関係している胆道閉鎖症とかがいろいろ研究が進んでいて、学会のときとかに家族の方が来られて、それから、地域でも私たちの大学で年に1回は、今ここまで進んでいますという説明とかをしているのですけれども、そういうふうな国としての事業でやっていて、今、ここまで行ったとか、こういうふうになっていることを一般の方が知られるような情報はあるのですか。例えば、私たちのところにはこんなに厚い難病などの冊子が毎年来ますけれども、そういうものがどこまで行っているのかなと思うので、わかったら教えてください。
○金澤部会長 課長、どうぞ。
○山本疾病対策課長 まず、先ほども申し上げました130疾患の調査研究分野、あるいは234疾患の研究奨励分野につきましては、成果については難病情報センターというサイトがありますけれども、これは厚労省の委託事業ですが、そちらにそれぞれの研究班が疾患の概要などをまとめていただいており、それらは毎年改訂されています。
 また、研究班員の名簿等もそこに掲載されております。
 併せまして、頻度は少ないのですけれども、この特定疾患治療研究事業、あるいはその他の難病の研究事業での成果を一部ピックアップしまして、例えば市民シンポジウムというのでしょうか、公開シンポジウムの形で流して、それをウェブサイトで流したりということも小規模ながらやっております。
 ただ、先ほどの小川先生からの御質問に関係するかもしれませんけれども、葛原先生が座長をやってくださった難病研究・医療ワーキンググループの中でも、当事者の方からは、例えばもっと学会に患者さんが参加できるようにとか、班研究の班会議にもっと当事者が参加できるようにとか、参加した場合にもっとわかりやすい総合的な議論をしていただきたいということが出ておりましたし、この研究の中には臨床治験等もございますけれども、どこでどんな治験が行われているのか、その成果がどうであったのかということもきちんと公開される、あるいはアクセスできるようにということが出されました。特にインターナショナルな、アメリカのサイトなどですとかなりそういうものがありますものですから、そういう御意見がありました。
○金澤部会長 どうぞ。
○外山健康局長 この治験を含めた研究に参加しやすくなるような仕組みが必要であるという話があったときに話題になりましたのは、がん対策情報センターのサイトには、今、どこでどんな治験が行われているかが出ているのです。ですから、患者さんにしてみれば、その治験に参加したいというのはあるのですけれども、しかし、その場合でも企業の秘密の問題もありますし、どこでどんなことをやっているレベルまでたどり着くかもしれませんが、自分がその治験に参加できるかというのは具体的にはわからないわけです。
 ですから、今後、難病だけではないかもしれませんけれども、この治験も含めた研究に参加するような仕組みは、提言いただいておりますが、これから厚労省としてはまだ暗中模索といいますか、どの程度までぎりぎりとしたことでやるのかどうか、まさに研究課題であろうと思っております。ただ、その方向性は言われていますので、患者さんにしてみればわらをもつかむような話なので、これを書いたものを受け取る形でおります。
○金澤部会長 ありがとうございます。
 小川委員、どうぞ。
○小川委員 やっていただきたい話が進まれているので安心しましたけれども、絶対やらなければいけないことです。研究開発にどのように役に立っていくかなのですが、ちょっとデリケートな問題が、最近はネットとかいろんなもので、当然の権利としては、患者さんは自分の提供したデータは全部自分が知るべきであるという部分は正論になります。それで知りますと、それをどこかに自分の意思で出したり、自分の意思でだったのだけれども、意思でない形で伝わったり、この検査をしてもらっていたのですが、それからちょっと時間が経つと、あるいは設備などの問題でもう一つの検査がしていないとか、そういう問題で研究開発が絡んできますと、これは記録から消していただいた方がいいかもしれませんけれども、例えば外国の製薬企業がそういうものを集めて、せっかくこうやっているものをどかんと患者さんを経由したり、あるいはデータバンク自体をぼんと押さえて持っていくということもあります。
 ですので、そういう情報の管理を是非、厚労省で最善の方法を考えていただきたいと思いますし、何か言われたときにエクスクラメーションをちゃんとできるような対策をしてもらえるように、もうちょっと突っ込んで言いますと、私どもと理研などでやります。ただ、理研の方にとってはそういう臨床情報は余りよくわからない。しかし我々とすれば、これは外へ出てはいけないとか、ところが研究者の一つの倫理としては、患者さんから得た情報は患者さんに返す考えが人体に接しておられる基礎的な研究者にはあるのです。ところが我々は医者で、医の現場をやっていますから、それで起こる、とてもいいことばかりではなくて悪いこともある。変なことが絡んでくるというのはありまして、これ以上申し上げませんけれども、厚労省の技官の人々と是非その辺を詰める作業をしていただきたいと思います。
○金澤部会長 ありがとうございました。
 最終報告に向けていろいろ検討することが多くなりましたが、是非やりましょう。
 6ページの後半で、いかがでしょうか。「8.難病医療の質の向上のための医療・看護・介護サービスの提供体制の在り方」です。
 これはちょっと複雑ですけれども、読んでいただければおわかりかもしれませんが、一言で言えば、今、各自治体でやっていることを更に強化しようではないかということなのです。そこを御理解いただければよろしいかと思います。
 それでは、8ページの「9.就労支援の在り方」まで行きましょう。一気に「おわりに」に御意見があるようですからね。
 洪さん、どうぞ。
○洪委員 7ページなのですが、記載されている内容はよくまとめられているところであると思うのですけれども、7ページの中ほど、3つ目の○あたりに、今の難病医療専門員を更に発展させるということで、難病医療コーディネーター(仮称)の有用性なども今後期待したいと書かれているところに大いに賛成なのですが、その役割としまして、ほとんどの方は在宅療養をされますので、その在宅療養の視点で生活に密着した支援を行っていく上では、私たち看護職なども役割を大いに発揮できるのではないかと思っているところでございます。
 また、施設間の連携も大事なのですが、いろんな職種の方が一緒にチームアプローチしますので、他職種がチームアプローチすることに関して、それを推進していく役割などもこうしたコーディネーターの役割としてもあるかなと思っておりますので、それが患者さんを中心としたサービス提供につながるところも意見として述べさせていただきたいと思います。
 以上です。
○金澤部会長 ありがとうございました。確かにそのとおりです。
 議論の中では、チーム医療とか職種間の何とかというものがあった気がするのですけれども、さっと見ると見当たらないです。
○葛原委員 4つ目の○がそうなっています。
○金澤部会長 もう一つ下の○がそうなのですか。
 「関係機関のネットワーク」ですね。ニュアンスとしては少しこちらに入っているようですね。でも、おっしゃることはよくわかりますので、最終報告に向けての中で議論していきましょう。
 ほかにいかがですか。
 田嶼さん、どうぞ。
○田嶼委員 細かいことなのですけれども、難病の場合には専門医もそうですが、かかりつけ医の先生の位置づけは大きいのではないかと思います。かかりつけ医という言葉は余りないようですが、それは当然のこととして入っているということですか。
○金澤部会長 そういえば、かかりつけ医という言葉はなかったですね。
○田嶼委員 「地域の診療医」というものですか。
○山本疾病対策課長 そうです。
○金澤部会長 それですね。
 戻りましょう。8ページの「9.就労支援の在り方」です。どうですか。
 それでは、「10.難病を持つ子どもへの支援の在り方」。これはどうでしょうか。
 「11.小児慢性特定疾患治療研究事業(注)の対象者等小児期から難病に罹患している者が成人移行(トランジション)する場合の支援の在り方」。
 これは「トランジション」と書いてありますが、かつてはキャリーオーバーと言っていたのです。これは宝くじなどで当選者がいなかったときに次の年に繰り延べられるといって、どうもよくないイメージがあるので、キャリーオーバーという言葉は使わないようにということでトランジションになったのです。困ったことです。
 どうでしょうか。
 どうぞ。小児のことですのでね。
○水田委員 私、ずっと疑問に思っていたのですけれども、ここにわざわざ(注)と書いてあるでしょう。
○金澤部会長 8ページですか。
○水田委員 9ページです。
○金澤部会長 わかりました。
○水田委員 今まで18歳未満だったものが「20歳未満まで延長されている」と書いてあるのですけれども、20歳を過ぎた人に対してはどうするのですか。どうお考えなのですか。突然、病名は成人の難病に変われないので、何でわざわざ、これがここに書いてあるのだろうと、委員会のときからそう思っていたのですけれども、何か聞きにくかったのですが、今日は聞いてみようと思い切って聞くのです。20歳まででいいのかが疑問なのですよ。
○金澤部会長 それが困るのでこういうことを議論したわけですが、何かございますか。
 泉さん、どうぞ。
○泉母子保健課長 母子保健課の泉でございます。小慢事業を所管しておりますので、ここにおります。
 今、御指摘あったところは、小慢事業自体が児童福祉法の中の事業なので、児童というのは基本的に18歳未満で、18歳時点で治療が必要な方は20歳未満までとしており、そこまでが児童福祉法で扱える限界みたいなところです。ただ、20歳以降のことは課題になっていたわけですが、今回初めてこうやって難治性疾患全体、難病全体の議論ができて、そこに私たちも加わることができ、トランジションをどうするかという議論が初めてできる状態になっているわけなのです。
 これについては、今も難病で助成をもらっている疾患と小慢の対象が重なっている部分が一部ありまして、そういった方については20歳以降も引き続き助成が受けられる可能性が高い。それ以外の疾患はどうするかについては、今後、難病の医療費助成の対象をさらに検討する話が前半に出てまいりましたので、そういった中で、そこに小児慢性の疾患がどう扱われてくるのかというところでトランジションができる疾患がさらに増えてくるのかどうかということです。小慢事業そのものを20歳以上までどんどん増やしていくことは難しいことと思っております。
○水田委員 小児の年齢を超えた場合には小児慢性疾患と呼べないというだけで、その年齢になっても病気は突然よくならないし、消えないのです。今一番困っている点はこのことなのです。患者さんもそうですけれども、小児を扱っている医者もそうなのですよ。ですから、そこは是非、違う名称でもいいから、何とか続けて欲しいと思っています。
○泉母子保健課長 逆に言いますと、小児慢性の事業は、子どもの慢性疾患はかなり広く対象にしていまして、例えば大人だったらば、特に助成のないがんとか、生活習慣病に該当するような2型糖尿病とか、そういった疾患も含めて、子どもだからこそ親も大変でしょうし、子どもの健全育成という観点で特別の手当が必要であるということで、子どもだからこそ医療費助成がある制度になっているわけです。それを単純に延ばしていく理屈は、この制度の中では難しいと考えます。もちろん、御本人にとっては、そこで何か変わるわけではないのでとお思いになるのはよくわかるのですが、制度の目的として健全育成ということです。
○水田委員 ですけれども、就職もできないと健康保険もないわけですよ。それから、がんを経験した子どもは、今は元気でぴんぴんしていても、昔、子どものときにがんになった既往歴があると、生命保険にも入れないのですよ。ですから、そこは医学的というよりも社会福祉でも考えないといけないと思うのです。いろんな意味で考えていただきたいと思います。
○金澤部会長 局長、どうぞ。
○外山健康局長 補足しますと、先生御案内のように、特定疾患治療研究事業は年齢要件がなくて、子どもであろうが、大人であろうが、難病を対象にしてきているわけです。それと同じような疾患で、たしか56疾患のうち15疾患ぐらいでしたか、小慢とダブる疾患があって、たまたま規定の仕方が違っていたり、自己負担が小慢の方が緩やかであったりしているので小慢を選択している場合もありますけれども、その中でより難病に近いとか難病のものについては、今度は二十歳を過ぎてもこの制度の中で受け入れようというふうに、患者さんにしてみれば連続性があるわけですから、そういったことで、今度の制度改正で、どこで線を引くかは今度の課題なのですけれども、思い切って受け入れようというふうに変えようということなので、そういうことで先生の御疑問は晴れるでしょうか。
○水田委員 はい、わかりました。
○金澤部会長 切れ目のない支援の在り方をというところなのですよ。
○水田委員 いつもこれが書いてありますから、何でこういうものが載っているのだろうと思っていましてね。
○金澤部会長 ここはシームレスと言っていましたので、切れ目のないようにせよということで、そこがポイントになります。
 どうぞ。
○田嶼委員 同じことで1つだけ伺いたいのですけれども、この20歳未満までというのは、国が決めたことではなくて、都道府県の決定ではないのですか。国ですか。
○泉母子保健課長 国の制度です。
○田嶼委員 わかりました。小児糖尿病の場合に、県によって異なった時期があったものですから伺いました。
 現在は国になったのですね。
○泉母子保健課長 県によって独自の事業を上乗せしている場合もありますので、そういうお話かもしれませんが、糖尿病については小児慢性疾患の対象ですので、それについては法律で、このような年齢についての決まりがございます。
○田嶼委員 ありがとうございました。
○金澤部会長 ほかにいかがですか。
 町野委員、どうぞ。
○町野委員 非常に初歩的な質問なのですけれども、要するに今の段階では受け入れるといいますか、そちらの事業で、大人になったときに改めて難病として認定することはないわけですか。それはないのですか。そのまま自動的に行くとか、そういうことは全然ないのですか。
○外山健康局長 制度が違いますから、小慢からの、同じような疾患で、ある年齢になったら特定疾患治療研究事業として改めて認定しているのだと思います。
○町野委員 ということは、要するに継続は、シームレスのことは今でも可能であるということですか。
○外山健康局長 ですから、それが可能なものもありますし、可能でないものもありますので、可能でないことの方がクローズアップされていますので、そういうことをきちんと拡大すべきということでございます。
○町野委員 可能でないものというのは、どういうものなのですか。
○外山健康局長 可能でないものについては適用されませんから、宙に浮くわけです。それをもっと宙に浮かずに、難病の方で、特定疾患治療研究事業で見てくれという御要望があるということでございます。
○金澤部会長 具体的な例を言った方がいいのですか。
○山本疾病対策課長 お手元の参考資料の25ページに、今、局長から申し上げたことが図に載っています。
 年齢に関係なく、特定疾患治療研究事業と言われている難病の事業で医療費助成の対象は、56疾患です。この56疾患は年齢制限なく対象になります。一方で、小児慢性特定疾患は514疾患あります。それは先ほど泉課長からも申し上げましたように、希少な難病というだけではなくて、子どもの慢性疾患を子どもの健全育成という観点から幅広く対象にしている。例えば、今、申し上げました2型糖尿病とかぜんそくとか、そういうものもすべてここに入っております。それで15疾患だけが重複しています。
○金澤部会長 真ん中の列ですね。
○山本疾病対策課長 はい。真ん中の列が重複している部分です。
 なお、小児慢性特定疾患も、大人の特定疾患治療研究事業もそうですけれども、受給者の更新が毎年ございまして、医療受給を受けるためには毎年診断して、病状を確認して、かつ所得によって自己負担が違うものですから、前年の所得も確認して、その上で更新していますので、毎年更新手続があります。
 お子さんの場合は、小児慢性特定疾患事業の方が助成が手厚いものですから、一般的にはそちらをお使いになって、二十歳を過ぎれば移行できる方、15疾患については大人といいますか、特定疾患治療研究事業の方に入る。ただ、それは対象疾患が56疾患しかございませんものですから、514疾患の多くの方は二十歳で助成が途絶えているという現状です。
○町野委員 そうすると、真ん中のダブっている部分は問題ないということですか。
○金澤部会長 そうです。
○町野委員 それで、難病の中に入っていない部類のそれが問題なのでということですか。シームレスと言われたので、どこか途中で切れてしまうのかと思ったのですけれども、要するに小児ということで切れているだけであって、そのつながるべき相手は、基本的には存在しないということですね。
○山本疾病対策課長 私の説明が悪かったかもしれませんが、真ん中にあります表の15疾患だけは、お子様になっても、何歳になっても、医療費助成等の支援サービスがあります。それぞれのサービスは疾患名で対象疾患が決まっているものですから、15疾患だけがつながっている。
 もっと極端に申しますと、右側にあります小児慢性特定疾患だけで対象になっている疾患は二十歳になりますと助成が受けられない。一方で、左側の56疾患は大人の疾患といいまして、年齢制限はございませんので、ここに置かれております0歳~9歳でも受けていらっしゃる方がいらっしゃいますように、ここは年齢関係なく上につながっています。
○外山健康局長 さらに言いますと、右側のこの中に本来、難病がまだまじっているのではないか。したがいまして、そこの部分で難病ではない健全育成にだけ着目した疾患もあるかもしれませんけれども、本来、ここにも難病がありますから、そこを小慢で見るだけではなくて、大人で見るということでございます。
○町野委員 わかりました。
 要するに右側の中で、ある範囲で難病との継続性を見ようという話ですね。
○外山健康局長 そうです。
○町野委員 わかりました。
○金澤部会長 そのとおりでございます。
 例を言って恐縮ですけれども、例えばがんのたぐいはちょっと難しいですけれども、それ以外のものは可能ではないかという話でございますね。
 ですから、これは範囲を広げるかどうかという議論なのです。今、決まっているわけでも何でもないのです。多分、間違いなく決まっていることは、がんは入らないであろうということはわかる。それ以外のことに関しては、これからでございます。どうぞ、誤解のないようにしてください。
 ほかにどうですか。
 それでは、お待ちかね「おわりに」でありますので、坂本さんどうぞ。
○坂本委員 「おわりに」なのですけれども、総合的な難病対策という形で非常に幅広く検討されていますので、これを具体化していくときに具体化の手法みたいなものも言っておいた方がいいのではないかと思うのです。
 今、小慢と特定疾患の部分については、すぐにでも検討しますとおっしゃったのですけれども、重点化してやっていくこと、それから、すぐにできることを、分けながら、できるだけ早く取り組んでほしいので、取り組みの手法についても書いていただいた方がいいのではないかと思います。
○金澤部会長 これは、最終報告のときには当然出てきますね。施策の中で、これは緊急性を要するとか、いろいろな表現を含めて、お話はわかりました。
 ほかにいかがでしょうか。
 ほかに何か御意見はありますか。あるいは全体を通じて、個々の場所で御議論はいただきましたが、一旦もとへ戻って、全体を通じて、御感想でも結構です。
 町野さん、どうぞ。
○町野委員 2ページに戻って、「3.医療費助成の在り方」ですが、この中間報告の考えは、これを福祉的施策であることを正面から認めて対応を図るということなのでしょうか。そうでないとすると、この側面はどのようなところに位置づけられるかという話であろうと思います。
 といいますのは、難病の患者さんへのいろんな援助については、今回は障害者も法律の改正で、ある程度これが入ってくることがある。しかし、恐らくそれだけでは十分ではない面もあるわけで、その部分をどうするかが問題であると思うのですけれども、これを医療費助成で依然としてこれからも行っていくことになると、思想的な基盤といいますか、基礎的な考え方は一体どこにあるのか。これは最初から福祉的なものと位置づけてやるとしますと、特別の施策は必要になってくるのではないかと思いますけれども、そこら辺のスタンスがいま一つ、2ページの最後から3ページの最初の部分にかけては読めないところがあるのですが、どのようなお考えになっているのかということでございます。
○金澤部会長 なかなか難しい御質問なのですけれども、少なくとも私どもは、かつて小川先生が座長をおやりになったころから、この2つの問題、先ほど資料5にもありましたが、あるいは田嶼さんからも御意見がありましたけれども、本来は研究と福祉は分けるべきであるとずっと言ってきたのです。
 ただ、その場合は、完全に分けてしまいますと、よほどのしっかりした基盤がないと福祉が落ちてしまうのです。そこを本省の方では非常に心配して、今までのように、つまり研究に協力してもらうという、その見返りと言ってはいけませんが、福祉的な部分をそこでカバーしていたのが現実で、今後は多分、私の期待では、障害者の中に入れていただきましたので、その部分については少し安定的になってきているのではないかと期待をしているのです。ただし、今のままではなかなか難しいので、3ページの頭にもありますように、今後、財源をどう確保していくのかを含めて検討するということを言っているのではないかと理解しています。
 つまり、今までよりは研究と福祉を、少し距離を置くことが可能なのではないかと理解しているのですが、局長、私の解釈は違いますか。
○外山健康局長 それは、役所が何だかんだ言うのではなくて、ここは肝ですからね
○金澤部会長 そうではないです。聞いていて、今までの議論のまとめとしてどうであったのかということを言っているのです。あるいはほかの委員の先生方、どうでしょうか。ここは難しいのですよ。
 どうぞ。
○田嶼委員 私などが意見を申し上げる立場ではありませんけれども、100%同じになりようがないだろうと思うのです。両方ともあいまいなところがあります。研究がかなり進んで、ほとんど治療が確立されたところまで行っている疾患もあれば、そうでないものもある。でも、一体どこで研究をとめるのか。もういいですと言えるのかは、なかなか線引きが難しい。
 一方、福祉という面での事業は、患者さんのQOLのこともありますから、これまた適切な難病の範囲を決めるのが難しい。決めるのだったらば、定義をしてもはっきりしたエビデンスに基づいていなくてはいけないのにあいまいです。福祉を受けるかどうかを判定するために必要なデータが十分ないものもある。このように、両方とも流動的なので、常に両方、既得権があるからといってずるずる続くということになっています。これでは国の予算がはち切れてしまうことになるのではないかと思うのです。
 ですから、今後どの辺りで切って、どの辺りをつなげていくかというのは、今後のこの事業の推進の中で整理されていくものではないかと私は思います。
○金澤部会長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○外山健康局長 この文言で尽きていると思いますけれども、ここでおっしゃっているのは、特定疾患治療研究事業は、治療研究がメーンに出てきたけれども、そのデータは十分活用できなくて、その間、時代とともに経済的側面といいますか、そういった意味での福祉的側面が前面に出てきている。ですから、形式と実態は乖離してきてといいますか、こういうことで進んできた。
 一方で、厚生労働科学研究の方はそれなりに伸びてきた状況の中で、今後はいただいたレポートの中で見れば、調査個人票についてのもとデータのところは、ある意味、支えるものとして、そういった意味では、治療研究の根っこの部分についてはきちんとしてくれとおっしゃると同時に、欲張った提言になっていますけれども、一方で福祉的側面と書いてありますが、こういう医療費助成についても安定的な仕組みがこういったところで必要である。
 そういうふうに両方とも、実質でも、形式的にも相並び立つように仕組みを検討せよといったことになっておりまして、どちらが主になって、どちらが従ではなくて、今まで形式面と実態面がかけ離れたところについては、実態もちゃんと並び立つようにしますし、結果として経済的側面も出てきたものについてもといいますか、今も非常に予算が乏しくなってきておりますけれども、安定した対応ができるということで、私がいただいたイメージとしては両方しっかりやれという形になっていると思っているのですけれども、そうではだめでしょうか。
○金澤部会長 両方しっかりやっていただければ言うことはないのですが、そういうわけでございますね。禅問答をしているようです。
 どうぞ。
○町野委員 恐らく、この2つのことを1つの制度でやるのはかなり難しい感じはするので、要するにニーズに合わせた安定的な制度をつくることまで考えられないだろうか。研究との連動ではなくて、それができないだろうかと思うのですけれども、そこまでお考えなのでしょうか。あるいはそれは全然考えないで、2つとも今はかなり何とかそこをやりくりしていこうということなのでしょうか。
○金澤部会長 少なくとも、私どもはインディペンデントにできればいいと思っていますが、今の時点では不可能であろうと思います。したがって、天の声ではないのですけれども、両方しっかりやっていただくとしか申し上げられないです。
 どうぞ。
○葛原委員 難しい問題で、我々も困っています。すっきり分ければ、こちらはすぐ福祉関係のデータがきちんとできて、こちらは研究的なデータがきちんと集まる。こうなれば言うことないのですが、スッキリと分けるのは難しいとと思います。
 難病研究事業対象疾患、特に56疾患に関しては、ほかの福祉ではカバーができていないぐらいの、かなり手厚いいろんな経済的支援があるわけですね。そこはどういう根拠に基づいているかと言えば、この研究事業であると私は思います。
 もう一つは、こういう研究事業が長年実施されてきたために、いわゆる難病と言われている患者さんと研究班などの連携は非常にうまくいっています。一般的な医療機関にぽんと投げられては、非常に困る状況の患者さんたちが、こういう研究班がずっと続いているために、全国的にもまとまりやすいですし、また相談などもしやすいということです。ここは難しいですが、余りすきっと切らずに、持ちつ持たれつ行くような状態が当分続くのではないかと思っているわけです。
 ただ、その中で、先ほどから言っていますように、対象となる病気の範囲を広げて、きちんとした診断基準に基づいた正しい病名で、福祉もきちんと受けられるようにしてほしいというのが、関係者の願いです。それがきちんとできれば、日本で昭和47年から続いてきた難病の研究班で、非常にしっかりした疫学的なデータが出る基盤はあるわけです。しかし、福祉面を重視した結果、科学性が多少薄まっている面が出てきています。ここのところをきちんと区別してやってもらえば、正確なデータが集積できると期待されます。年々、この病気はこの程度の患者さんが新規に発生し、現時点でこれだけの患者数がいることが、リアルタイムで出てくるような難病事業にしていただきたいというのが私どもの、いわゆる医療側からの希望なのです。
 また、そういう質を単ぷするためには、医療機関も是非指定して、1年に1回は専門医の評価を受けることにより、患者さんには一番新しくて適切な医療を受けていただきたい。それを実現してほしいということで、こういう中間報告の記述になったことを理解していただきたいのです。
○金澤部会長 ありがとうございました。
 それでは、土屋さんどうぞ。
○土屋委員 先ほど小川先生からもございましたが、6ページの「7.難病研究の在り方」の(2)で、いわゆる医師主導治験を行う環境整備とか、製薬企業等が難病の治療薬の開発に積極的に参加しやすくなるための環境整備でありますけれども、現実としては、オーファンドラッグについてのあれはありますが、こういう場合はオーファンのオーファンぐらいの話で、オーファンドラッグには一定のボリュームが必要だし、開発の可能性があることが要件に入っているというものがあります。
 現実としては、医療機関の中で自分たちで、薬剤部が薬をつくったりとか、そういうことをする例もございますので、そこら辺について私どもも調べまして、要するに本当に小さいボリュームを、何せ院内製剤ですので、一医療機関単位でしかできませんので、それがどうなっているかを一度調べてみて、企業はどうしてもオーファンのボリュームにならないと手を出せないところもありますので、そこら辺について私どもでも調べてみたいと思いますので、委員会には薬関係の人が入っておりませんから、何らかの形で資料をつくってみたいと思っております。
○金澤部会長 ありがとうございます。それでは、事務局に是非お願いいたします。
 ほかに全体を通じて何か御意見はございますか。
 よろしいですか。
 長時間にわたりまして、いろいろ貴重な御意見をありがとうございました。
 最終報告に向けては、今日いただいた御意見を取り入れる形で、またしっかりしたものにしていきたいと思いますが、この中間報告、とりあえず、この疾病対策部会として御承認いただけますでしょうか。
(拍手あり)
○金澤部会長 どうもありがとうございました。
○葛原委員 「仕掛け」は訂正するのですか。
○金澤部会長 「仕掛け」は変えましょう。これは「仕組み」にさせていただきましょう。ありがとうございます。
 どうもありがとうございました。
 それでは「(3)その他」でございますが、実は私からお願いなのです。
 私が出席できないこともございますので、副部会長をお決めいただきたいと思っております。根拠となる規定がありまして、厚生科学審議会令の第6条第5項だそうですが、部会長に事故があるという、事故と決まっているのです。事故でないといかぬようですが、当該部会に属する委員または臨時委員のうちから部会長があらかじめ指定する者が、その職務を代行するということが根拠になっておりまして、先輩で申し訳ないのですが、副部会長は小川先生にお願いしたいと思っておりますけれども、いかがでしょうか。
(拍手あり)
○金澤部会長 どうもありがとうございます。
 それでは、特にないようでございますので、最後に辻副大臣からまた一言いただけないでしょうか。ありがとうございます。
○辻厚生労働副大臣 金澤部会長を初めとする疾病対策部会の皆様、2時間にわたりまして専門的な見地から御熱心な御討議をいただきまして、まことにありがとうございました。
 本日の御議論によりまして、難病対策委員会がおまとめいただきました中間報告を疾病対策部会の方針としていただいたものと思っております。これまでの御審議、御協力に心から感謝を申し上げる次第でございます。
 今後は、私が厚生労働省内で座長を務めております、新たな難治性疾患対策の在り方検討チームを近日中に開催いたしまして、法制化等の取り組みに向けまして、さらなる検討を行っていきたい、このように考えているところでございます。
 私も、冒頭に申しましたように、この難病対策について国会で議論するなど、取り組んできた人間でございますけれども、難病対策は必ずしも十分体系的なものでなかった対策であったと私は思っておりますし、財政状況厳しき折からマイナスシーリングの対象となる中で、財政的に十分対応ができなかった結果として、都道府県にも超過負担という形で、国が負担すべきという約束をしたものが果たせない300億円をつくってしまっている状況もあるわけでございます。
 そういった意味で、私としては法制化ということで、法的背景をもって、この難病対策を講じていかなければ十分体系立った、または財政的にもしっかりとした対策にならないと思っているところで、久しく谷間という言葉で表現されてきた難病対策でございますけれども、政治的には超党派的に取り組むべき、そして行政が力いっぱい取り組んで光を当てるべき領域であると思っております。
 本日までにいただきました皆様方の御指導を胸に刻みながら、この対策に向けて力いっぱい頑張っていきたいと思っております。疾病対策部会の皆様方には、今後とも御協力、御指導を賜ることになるわけでございますけれども、どうか引き続き御協力くださいますように心からお願い申し上げまして、最後のごあいさつとさせていただきます。
 ありがとうございました。
○金澤部会長 どうもありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、今後の予定について、事務局からどうぞ。
○西嶋疾病対策課長補佐 本日は委員の皆様、ありがとうございました。
 今後は、難病対策委員会におきまして、本日の部会の意見も踏まえまして、引き続き検討を進めてまいる予定でございます。
 また、次回の疾病対策部会の日程につきましては、追って御連絡させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○金澤部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、本日の疾病対策部会はここで閉会といたします。
 どうもありがとうございました。


(了)

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