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2012年7月30日 第1回政策評価に関する有識者会議医療・衛生WG 議事録

○日時

平成24年7月30日(月)13:00~15:00


○場所

中央合同庁舎5号館
共用第9会議室


○出席者

森田座長、井部委員、河北委員、篠原委員、本田委員

○議事

(以下、議事録)

○政策評価官
 定刻になりましたので、ただいまから第1回政策評価に関する有識者会議医療・衛生WGを開催させていただきます。委員の皆様方におかれましてはお忙しい中をお集まりいただき、誠にありがとうございます。
 最初に新任委員についてご紹介させていただきます。聖路加看護大学学長の井部委員です。なお、篠原委員は所用により少し遅れるとのことです。また、本田委員も少し遅れるとのことでした。
 進め方ですけれども、委員のどなたかに座長をお願いしなければならないのですが、皆様方に事前に相談してご了解をいただきました森田委員にお願いしたいと思います。森田委員、よろしくお願いいたします。

○森田座長
 森田でございます。当ワーキング・グループの座長を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 「議事次第」にありますように、本日はまず5つのテーマの実績評価書につきまして委員の皆様にご議論いただきたいと思っています。また、その他といたしまして、指定等法人が行う指定、登録等に係る事務・事業の定期的検証について所管課より説明があります。
 それでは、「平成24年度に実施する政策評価について」の進め方につきまして、事務局より説明をお願いいたします。

○政策評価官
 政策評価につきましてはもう皆さんご存じのとおりかと思いますが、再度確認させていただきたいと思います。
 「行政機関が行う政策の評価に関する法律」(第3条)に「政策評価の在り方」が書いてございます。「その所掌する政策について、適宜にその政策効果を把握し、それを基礎として必要性・効率性又は有効性の観点その他、当該施策の特性に応じて必要な観点から自ら評価するとともに、その評価の結果を当該施策に適切に反映させなければならない」とされています。
 また、評価を行う際には同条第2項第2号に、「政策の特性に応じて各種学識経験を有する者の知見の活用を図ること」とされています。つまり、政策評価につきましては基本的には所管課の自己評価ということですけれども、本委員会の学識経験者の皆様の知見を活用させて頂き、評価書を向上させていくということになっておりますので、よろしくお願いいたします。
 厚生労働省では、本年度より新たに5年間を計画期間とします「厚生労働省における政策評価に関する基本計画第3期」が始まりました。これまで以上に学識経験を有する先生方の知見の活用という観点から、政策評価に関する有識者会議の下に「労働・子育て」「医療・衛生」「福祉・年金」の3つのワーキング・グループを設置し、専門的にご議論いただくことにいたしました。また、各ワーキング・グループには「実績評価書」を5年間の基本計画期間中、少なくとも1度はお諮りするということで、5年間ですべての施策目標についてご議論をいただく予定にしています。
 「医療・衛生ワーキング・グループ」でご議論いただく施策目標全体につきましては「参考資料1」をご覧ください。「医療・衛生ワーキング・グループ」でご議論いただくのは「参考資料1」の右側に「医療・衛生ワーキング」と書いています。1から2までをご議論しいただくことになっています。その左側に○が付いているが付いているのが本日ご議論いただく5つのテーマとなっています。
 合わせて、本日お配りした資料についてご説明しておきます。今見ていただいた参考資料1では「労働・子育てワーキング」、「年金・福祉ワーキング」でご議論するテーマ一覧も記載されております。全部で施策目標が74ありますけれども、その一覧でございます。参考資料2が「第3期基本計画」です。参考資料3ですが、これは平成24年度の年度計画ということでございます。
 後ろに「別紙」が付いているかと思います。これは本年4月27日に決定いたしました年度計画の別紙ということで、全部を添付すると大部になりますので、本日ご議論いただく施策テーマ5つを添付しております。これは「事前分析表」を兼ねた計画ということでございます。見ていただいてわかるとおり、これには「測定資料の選定理由」とか「目標値設定の根拠」というものも記載されておりますし、その裏には「達成手段」ということで関連する各個別事業についても記載されておりますので、評価の際に参考にしていただければと思っています。
 参考資料4は「医療・衛生ワーキング」で本日、議論する以外のものです。「モニタリング結果報告書」、あるいは「実績評価書」のものもありますが、本日議論する以外のものということでご理解いただければと思います。
 参考資料5は指定法人の関係の資料です。資料の説明については以上です。
 本日の進め方ですが、「議事次第」の順番でテーマごとに担当課の入替えを行いたいと思っております。1テーマごとの所要時間につきましては大体20分ぐらい、担当課より有効性の評価や必要性の評価を中心に約5分間で説明をしていただき、その後15分程度、ご議論をしていただく時間を取りたいと思っています。よろしくお願いいたします。

○森田座長
 ありがとうございました。時間が相当タイトですので、早速議事に入りたいと思います。まず1つ目のテーマ、施策番号1-5-1、「感染症の発生・蔓延の防止を図ること」、これにつきまして担当課から5分以内でご説明をお願いし、その後15分ほど質疑を行いたいと思います。時間が限られていますので、申し訳ありませんが説明時間は厳守でお願いいたします。それでは、よろしくお願いいたします。

(1)平成24年度に実施する政策評価について

[1]感染症の発生・蔓延の防止を図ること(施策番号1-5-1)

○説明者(健康局)
 結核感染症課長の正林でございます。よろしくお願いいたします。
 感染症についてはまず、大きな目標として「感染症の発生・蔓延の防止」を大きな目標として掲げています。感染症については、戦後間もないころは結核を中心に日本にとっては非常に重要な問題だったわけですが、50年、60年たって何となく「克服された」という感があります。
 ただ、ここにきて新興・再興感染症、例えばSARS であるとか3年前に起きた新型インフルエンザであるとか、引き続き感染症は無視できない大きな問題であります。特に感染症対策でよく指摘されるのは、医療体制が十分にできていないということがよく言われます。
 それから予防接種、これも通称「ワクチンギャップ」と呼ばれていますが先進国が当たり前のようにやっているワクチンが日本に導入できていないということで2つ目の大きな課題です。
 結核についても確かに罹患率は減ってきて、何となく克服したという感がありますが、実は先進国の中では中蔓延国、ほかの先進国と比べるとやはり倍ぐらい高い罹患率がありますので、もっともっと下げる必要がある。
 それから、肝炎はここ数年、C型肝炎のフィブリノゲンの裁判、あるいはB型肝炎、予防接種の類の裁判のもので注目されましたが肝炎対策の充実も大きな課題です。それぞれについて目標を掲げて、施策をいま進めております。
 医療体制については、資料で付けていますけれども「感染症指定医療機関」というものがございます。上から「特定」「第一種」「第二種」「結核指定」とありますが、第二種感染症指定医療機関というのは当初掲げていた整備目標を概ね達成しています。一方で第一種感染症指定医療機関という、各都道府県でウルトラCをやっていただけるような医療機関ですが、それについては47都道府県のうち、いま現在は32都道府県にとどまっています。目標としては全都道府県、できれば平成28年度には47都道府県全部で第一種感染症指定医療機関がきちんと指定されていることを目標に掲げています。それについて予算措置であるとか、さまざまなことをやって、いまのところは着実に増えてはきているのですが、あと15県未指定の県がありますので引き続き進めていく必要がある。
 結核については、先ほど罹患率が他の先進国と比べて若干高いことを申し上げました。これについても「結核予防指針」というものを定めて、もともと平成22年の段階で18という数字だったのですが、平成27年にはそれを15まで下げようという目標を掲げています。これも年々下がってはきているのですが、まだまだ下降するスピードはそれほど高くはない。理由としては、これも資料を付けていますが高齢者の結核の再発、それから都市部における若者の感染、外国人の問題、そういった問題もあってまだまだ結核の罹患率については下がるスピードがそれほど高くはなっていないというのがかなりあります。
 これについてもDOTSという、抗結核薬を直接、保健師なら保健師がちゃんと服薬しているかをチェックしながら、指導しながら進めていくというやり方があります。このDOTSを強く押し進めることによって、罹患率をもっとスピーディーに下げていこうというように考えています。
 予防接種についてですが、いちばんわかりやすい指標は接種率であります。特に麻しんの予防接種が非常にわかりやすい指標で、これについて大体接種率95%を目指して過去やってまいりました。「概ね達成」とは言えないですね。9割前後ですので、完全に95%は達成できていません。理由は、麻しんについては1期、2期、1期というのは1歳児、2期というのは5歳、6歳ぐらいということですが、平成19年に高校生、大学生ではしかが大きく蔓延したことを契機に、時限的に第3期、第4期が定められました。第3期は中学1年生、第4期は高校3年生相当、これを新しく導入しました。中学生、高校生相当の接種率が8割ちょっとに止どまっているので、全体として接種率が9割前後に止どまっている。まだまだ95%に達していないので、そこは課題だと思っています。
 それから肝炎対策、ここ数年、マスコミ等の注目もあってかなり予算も充実され、施策は進んでまいりました。1つの指標として、肝炎については都道府県ごとに計画を策定していただくことを掲げています。まだ、全部で32県しか計画が策定されていませんので、これも全都道府県での策定を目指していま鋭意努力しているところです。
 効率性については昨今、感染症対策の予算はそれほど増えていません。大体、前年度と同額の中、着実に政策だけは進んでいるということである程度の効率性は担保されているかなと思っています。以上です。

○森田座長
 ありがとうございました。ただいまのご説明につきましてご意見、ご質問等、ございましたらご発言いただきたいと思います。

○河北委員
 感染症に対する対策は非常に大切だと思っています。ですから、是非、有効で効率的な政策を推進していただきたいと思います。
 予防接種のことを伺いたいのですが、国際的な比較をしてみて予防接種を個人の自由に任せている国、それから施策として半ば、例えば母子保健、あるいは学校保健等できちんと集団的にやるような施策を取っている国との比較をした場合、日本の予防接種において、いまの95%に相当するような接種率というのはどのぐらいの位置付けと考えればいいのでしょうか。

○説明者(健康局)
 外国と比較すると、日本の接種率は我々としては比較的高いと思っています。日本は「予防接種法」という法律に基づいて予防接種を推進しています。先進国を見ても法律まで定めて、ご本人に努力義務までかけて接種している国はそう多くはないと思っています。ただ、アメリカの場合、学校に入るに当たって予防接種を打っていないと入学させないとか、法律ではないのですが、事実上の義務みたいなものをかけて接種率を高めているということは聞いています。
 日本の場合は1980年代から1990年代にかけて、国を相手とする裁判が多数起きて、ほとんどの裁判が国は負けてしまいました。あのとき、いわゆる「アンチ・ワクチネーション・キャンペーン」が起きて、「いつまでワクチンなんて続けているのか」とかなり強い批判を浴びた。結果として、あのときに予防接種法は改正して、それまで「義務」でやっていたものを「努力義務」に変えるとか、一部のワクチンは事実上撤退してしまうとかいうことがあって、その流れはこの10年、20年変わらなかったと思います。
 結果として、残念ながら「ワクチンギャップ」というものが起きた。そのあと新しいワクチンが開発され、多くの国はどんどん導入していったのですが、日本は新しいワクチンを導入する雰囲気は全くなかったので、結果として「ワクチンギャップ」が生じてしまった。その意味では、日本は残念ながら遅れていると言わざるを得ません。

○河北委員
 そういうギャップが生じないような施策をまた新たに考えたほうがいのではないかと私は思います。私自身、病理医でしたから、結核、特に呼吸器の結核に関して病理をやっていると、「非常に恐ろしい」ということを教授から言われていたのですが、日常の生活の中で結核に関する意識がものすごく低下しているような気がします。先ほど言われたように高齢者だけではなくて、都市の若い人たちの生活の中でやはり結核というのが非常に怖いということ、それから医療従事者の結核感染が非常に増えてきているような感じがします。是非、その辺はきちんと対応できるような施策を作っていただきたいと思います。

○説明者(健康局) 
 予防接種については審議会での議論は一応終わって、ちょうど「ギャップ」の部分、当たり前のように外国で行われている7つのワクチンについて、これを「予防接種法」に位置付けることが望ましい。「接種を促進するように」というご提言をいただいていますので、何とか「予防接種法」の改正案を国会に提出したいと考えています。

○森田座長
 よろしいですか、ほかにございますか。

○井部委員
 「結核病床」という特別な病床がありますが、通院で服薬をしていることが一般的なのか、入院して結核病床をきちんと利用されているのか、その辺はどういう割合ですか。

○説明者(健康局)
 結核については、昔であれば国立療養所とか、いろいろな所にそういう施設がありました。そこに結核病床があり、多くの結核の患者が療養してきました。戦後からずっと結核の患者は減ってきているので、常にベッドが空いてしまうのです。空いては非効率なので、それをたたんで患者の数に合わせてベッドの数も減らしてきているのが日本の歴史であります。ただ、極端に減ってしまうと、実はある地域で全く結核の病床がなくなってしまうことが起きてしまう。非常にアクセスが悪くなって、場合によっては県の端から端に患者が行かないといけないとか。そういうことがまた新たなテーマで出てきています。

○井部委員
 結核病床数は減っているわけですか。

○説明者(健康局)
 減ってはいます、患者の数に合わせて減っています。

○河北委員
 いまの結核のことなのですが、結核だけではないかもしれないけれども感染症に対する情報提供ができるような体制をきちんと作っていただきたいと思います。例えば、結核病床が減っているといっても、結核を発症した人に関する医療をきちんと提供しなければいけないので、結核病床ではなくても、例えば陰圧室が整備されているような所で薬の使い方、あるいは本人の症状の取り方等、きちんとした診察ができるような診療体制を取れるような情報提供の仕組みをインターネット等で作っていただきたい。例えば、日本医療機能評価機構でもガイドラインを作っていますけれども、そういったものが使いやすいのかということ、そこで対応できない場合にきちんとした指導体制、例えば指導医がそこに飛んで行かれるような体制、そのような臨機応変に対応していただけるような体制を是非作っていただきたいと思います。

○説明者(健康局)
 情報提供は非常に感染症の分野では大事ですので、一生懸命情報発信はしていきたいと思っています。ホームページはできるだけ頻回に変えるようにしています。やはり、多くの国民はマスコミから情報を入手することが多いので、例えば「国立感染症研究所」という専門の国立機関がありますが、そこで月1回勉強会を開催して、記者に集まってもらって大いに勉強していただいて、ときどき記事にしてもらうとかいった努力もしています。
 そのほか、一般国民のみならず、医療従事者にも感染症の知識を持っていただきたいので、研修コースであるとか、もちろんメルマガなどを通じた情報発信など、いろいろなことをやって情報提供をしっかりやっていきたいと思っています。

○本田委員
 私も同じ事なのですが、私事ながら、30代の友人で、ずっとが調子悪く、風邪を引いていると思っていたら半年ぐらい経って結核だったとわかったという人がいて、私自身もびっくりしたのです。結構、身近にそういう事例があるということを、私は友人が言うまで全く気が付かなくて、情報提供はとても大事だと思います。それから、その友人は普通のクリニックに通っていたのですが、結核の診断が出るまで半年以上かかったということもあるので、医療機関への情報提供も重要です。是非情報提供はお願いしたいと思います。
 もう1つ、肝炎対策について、都道府県計画がまだ全県では揃っていないということでしょうか。結構、法律ができてから年数が経っていますよね。都道府県計画は法律ができてから何年以内に作らなければいけない、ということになってはいなかったですか。

○説明者(健康局)
 「肝炎対策基本法」には、実は都道府県の計画策定は規定されていません。法の中に「指針」というものがあって、指針の中で「肝炎の計画を作ることが望ましい」とかいうような表現で書いてあります。ただ、我々としてはそれを根拠にしてできるだけ都道府県に作ってもらいたい。実はまだ指針ができて1年ぐらいしか経っていなくて、1年で32カ所だからまあまあのペースかなと思うのですが、あと15県ありますので引き続き声をかけていきたいと思っています。

○本田委員
 個人的には、がん対策のほうも計画を作らなければいけないし、都道府県も大変だなと思います。共通化できる所はある程度共通に作れるようにしたらいいのにと感じています。

○説明者(健康局)
 事務権限というものがありますが、県からしたら、多分医療計画を作るときにがんも入れたり、肝炎も入れたり、1つのパッケージで作るのが普通ではないかと思います。

○森田座長
 よろしいですか、ありがとうございました。私から申し上げておきます。この会議そのものは「いかに感染症予防対策をすべきか」という議論をする場所ではなくて、これまでそれを前提にして施策を実施されてきた点について事後評価をなさっているわけです。その事後評価が適正であるかどうかということについて確認をするという場です、そのことを確認させていただきます。専門的な内容についてご関心のある先生方がいらっしゃいますし、そういうご発言もございましたし、それはそのとおりだと思います。ただ、評価書そのものの書き方からすると本来は一定の目的を達成するため、例えば感染症を予防するためにこういう施策を講じてきた。それがきちんと、そのための効果を発揮しているかどうかというのが「有効性の評価」だと思います。したがって、ある目的のためにある手段というものが合理的であるかどうか。もう1つの視点からいくと、そこでは代替的な、「ほかにもっと良い方法があるのではないか」という比較の対象、比較した上でそれがベストであるかどうかというのが「有効性の評価」になるかと思います。
 効率性というのは、合理的と考えられる手段が最も少ないコストでなされているか。少ないコストかどうかというのはなかなか難しいところですが、その場合の比較の対象というのは類似したほかのケースと比べて効率的であるかどうか。あるいは、過去から比べて効率化が進展しているか。政策評価の教科書的に言うとそういうことを見ていただくことになっています。合わせて総合評価ということになります。
 いまのお話にございましたように、現実にはそもそも、さまざまな政策を実施するための選択肢、手段そのものが適正であるかどうか。これ自体、なかなか評価が難しいのと、多分担当されている課でそれが選択できるかというと、いまのお話にもございましたように法律で決まっている。ご専門の方から言うと、これは必ずしも合理的ではないのですが、法律でそう書いてあるからやらざるを得ないというところもあります。現在の政策評価制度の下では、1つの欠陥と言ってしまっていいのかどうか知りませんが、もとになる施策そのもの、手段そのものの選択とその手段をいかにきちんと達成しているかの評価が混在しているような形になっています。その辺につきまして、これは全体的な話ですが、今回の評価書の有効性・効率性・総合評価を見た場合、その辺が、いま申し上げました有効かどうか、効率的かどうかが少し見えにくいのかなという気がします。制度の問題もありますのであまりそれに固執するつもりはありません。しかし、その辺、もう少しメッセージとしてクリアであるとこちらの評価もしやすいと思います。
 余計なことを言いました、この件につきましてはほかによろしいでしょうか。

○井部委員
 この資料では「年間約2万3,000人が新たに結核患者となっている」とあります。この2万3,000人というのは多いのでしょうか、少ないのでしょうか。減少しているのでしょうか、それとも増加傾向なのでしょうか。

○説明者(健康局)
 減少はしてきています。先ほど申し上げましたが、昔に比べたら年々下がってきているのですが、下がるペースが鈍化しています。罹患率でみた場合、日本だと18ですが、諸外国は10を切っています。

○森田座長
 したがって、下がり方が少ないのは何が問題なのかというのがここでは言われているわけです。そもそも、いまの制度的な枠組みが行政でしっかり権限が与えられていないというのが問題なのか、あるいは国民の意識の問題なのか。意識だとしたら、先ほどの話ではありませんが国民に対する啓蒙という手段をもうちょっと強化すべきではないか、そういうことが問題になるのではないかと思います。

○説明者(健康局)
 大きなファクターはやはりお年寄りの結核の再発です。戦後間もないころ、20代、30代で結核に罹患された方が一旦は薬で治るのですが、肺の中にずっと巣くって、70代、80代になって免疫が落ちて再発をするという方が結核患者で見つかる。仮に見つかるタイミングがちょっと遅かったりすると、ほかの方にうつしたりということで、それで、なかなか罹患率が思ったほどは下がっていないという状況だと思います。

○森田座長
 高齢者向けに、別の対策がさらに必要になるということなのかもしれませんね。

○説明者(健康局)
 そうですね。

○森田座長
 ほかにないようでしたら、時間もまいりましたのでこれぐらいにさせていただきたいと思います。所管課におかれましては、ただいまの議論を踏まえて、必要に応じて実績評価書の修正、もう少し先ほど申し上げましたようにクリアにしていただけると、私としてはありがたいと思います。そうしたことにつきまして、学識経験者の知見の活用欄に記入してくださいということです。ありがとうございました。
(メインテーブル交替)

[2]日常生活圏の中で、良質かつ適切な医療が効率的に提供できる体制を整備すること(施策番号1-1-1)

○森田座長 
 それでは続きまして、施策番号1-1-1、「日常生活圏の中で、良質かつ適切な医療が効率的に提供できる体制を整備すること」について、これにつきまして、担当課からまた5分以内で、ご説明をお願いしたいと思います。そのあと、また15分程度質疑を行います。
 では、時間をなるべく守っていただきます。よろしくお願いします。

○説明者(医政局)
 医政局の指導課長の井上です。よろしくお願いします。
 それでは、「日常生活圏の中で、良質かつ適切な医療が効率的に提供できる体制を整備すること」という施策目標につきまして、ご説明をいたします。
 急速な少子高齢化の進展ですとか、医療技術の進歩、国民の意識の変化等、医療を取り巻く環境には、さまざまな変化が見られるということです。また、地域医療の現状を見てみますと、引き続き産科、小児科などの診療科やへき地における医療不足の問題、また、救急患者の受入れの問題などへの対応というのが求められているところです。
 こうした中で、限られた医療資源を有効に活用して、質の高い医療を効率的に提供できる体制を整備していくということが重要な課題となっていると考えています。
 このような課題に対応していくために、厚労省といたしましては、都道府県による医療計画の作成を通じまして、地域の実情に応じた医療連携体制の構築というものが図られるようにしていくことを目指しています。このため、都道府県に対して、基本方針や指針を示すなどの支援を行っているところです。この点につきましては、実績評価書、評価シートの「施策の慨要」の所で、施策の柱の1番目に「医療計画に基づく医療連携体制を構築すること」と記載しているところです。この医療計画ですが、各都道府県が地域の実情に応じて、それぞれの都道府県における医療提供体制の確保を図るために、概ね5年ごとに作成するものでして、救急医療、周産期医療、小児医療、災害医療、へき地医療、そういった事業や主要な疾病ごとに、医療提供体制の整備目標、また、連携体制などを計画に盛り込むとされています。
 いま申し上げた医療計画に盛り込むべき救急医療、周産期医療などの各種事業につきましては、やはり、評価シートの施策の概要の中に、施策の柱としてそれぞれ記載しております。厚労省といたしましては、医療計画に沿った医療提供体制の構築が図られますよう、医療計画に盛り込まれた各種事業の体制整備や、在宅医療、介護の推進を図るための取組などに対しまして、さまざまなメニューの予算補助により、支援を行っているところです。
 例えば、救急医療対策、周産期医療対策などの事業を実施するために、救命救急センターや新生児集中治療室(NICU)に対する支援といった医療施設などの運営や施設整備等に必要な経費についての財政支援を行っております。また、補正予算などにより、造成した基金によって、災害拠点病院等の耐震化に対する支援を行うということです。また、へき地医療対策の総合的な企画調整などを行うへき地医療支援機構やへき地における巡回診療等を行うへき地医療、拠点病院、また、へき地住民の医療確保をするへき地診療所などに対する運営経費等の支援を行うなどといったことを、実施してきているということです。
 こうした支援を通じまして、例えば救命救急センターにつきましては、平成23年度末の時点で249カ所ということで、前年度から14カ所増加、周産期母子医療センターにつきましては、平成24年4月1日の時点で376カ所ということで、1年前より8カ所増加、へき地保険医療の対策につきましては、巡回診療等の実施件数が、平成22年度には2万6,834件ということで、前年度より4,000回以上増加しているなどといったように、施策の推進が図られているとこです。
 こうした中で、評価シートの測定指標の所ですが、指標として1から7まで書かれておりますが、この推移を見てみますと、平成22年度までの傾向として、概ね改善傾向または、前年度と同水準にあるということが見てとれると思います。本施策は、こういったことから本施策は一定程度有効であると言えるのではないかと考えております。また、効率性の観点ですが、都道府県が作成する医療計画に基づく事業計画というものによりまして、各都道府県が裁量を持って弾力的かつ計画的に医療提供体制を整備することを、さまざまなメニューからなる統合補助金、医療提供体制推進事業費補助金と申しますが、こういった補助金により支援するなど、地域の実情に応じた医療提供体制の計画的整備を推進しているところでして、こうした点におきまして、効率的な予算執行が行われていると考えております。
 以上のとおり、施策の有効性、効率性は一定程度認められると考えておりますが、医療をめぐるさまざまな環境の変化に対応していくためには、より一層効率的で質の高い医療の実現を目指していくことが必要ということでして、引き続き施策の有効、かつ効率的な実施に努めていきたいと考えております。

○森田座長 
 ありがとうございました。それでは、ただいまご説明したことについて、ご意見ございますか。

○河北委員
 さっき森田座長から、「当会委員は、事後評価に対する評価をきちんとしなさい」と言われたのですが、なかなか非常に難しいことなのですが、実はこの地域医療計画というのは、1985年の医療法改正のときに出てきたのですね。私は、そのときからずうっとかかわっているのですが、全然計画ではない。もう単なる現状を肯定しただけのものでして、計画性なんかはほとんどないではないかと、ずうっと言い続けてきたのですが、この指標を見てると、それなりにその改善は動き始めているような気がします。ですから、事後評価に対する評価ではなくなってしまうのですが、ただこの中で、やっぱり未だに医療って官尊民卑みたいなところがあって、その公立病院。私は言葉もまず間違っていると。公の立ではなくて、あれは官立病院ですね。ですから、民間病院に対して、官立病院だから、まず言葉を訂正してほしいと思います。官尊民卑みたいなことをやめて、できるだけその民間の病院を活用するようにというようなことを、施策の中に盛り込まれればもっと有効性が高まるというような気がします。
 あとは、効率性に関しては、これも意見になってしまうのですが、家庭医をしっかりとやっぱり養成するということを含めれば、効率性というのは高まると思うので、そういうことが欠如するような気がします。

○井部委員 
 私は指標1の「自宅で死亡する者の数」が測定指標になっていることが大変興味深いです。これは在宅医療・介護の結果として、在宅で死亡する者の数が増えることが、在宅医療が推進していることになると捉えられているのでしょうか。

○説明者(医政局)
 日本の場合は、病院で亡くなる方が約8割ということで、ほかの先進国と比べて非常に多いわけです。ところが、意識調査などでは、終末期を自宅で過ごしたいというような方が、かなり多くいらっしゃるということで、そういった人たちの希望がかなえられてない現状があるのではないかということです。そういったことで、在宅医療・介護の体制を強化するつもりなのですが、それだけではなくて、急性期から回復期、維持期に至る一連の医療の提供が切れ目なく、スムーズにいって在宅までつながっていくような体制を構築していくことがひいてはご自宅で最期を迎えられる方の数の増加になっていくと考えておりまして、それを施策の目標とさせていただいております。

○井部委員  
 22年度の数値は、実数ですよね。この数は、全体の死亡者のどのぐらいの割合ですか。
 
○河北委員
 年間で亡くなる方が約17、8万人ですよね。

○説明者(医政局)
 平成21年のデータで病院で亡くなる方が78.4%、自宅で亡くなる方が12.4%で、22年で少し上がっている可能性はありますが、率で見ますと、そんなに劇的に大きな変化はないと考えています。

○井部委員 
 測定指標の中では、全体の死亡患者の中の自宅、最近は介護施設とか、そういったいわゆる住まいとが拡大しているので、測定指標をもう少し工夫してもいいかなと思います。

○説明者(医政局)
 データがうまくとれるかどうか、そこはよく研究していきたいと思います。ご指摘の趣旨はよく理解できました。

○井部委員 
 私は病院の管理者をやった経験から、病院への立入検査の徹底というのが、非常に負担だったのですが、立入検査をして何を目指しているのですか。

○説明者(医政局)
 立入検査は、病院や診療所などが法令で規定された人員や構造・設備をきちんと有しているかとか、それから、適正な管理が行われているかということを検査して、不適正な場合には、指導などをして、改善を図って、それで質の高い適正な医療が行われるようにしていくということを目指したものです。
 
○井部委員
 指標の7も、指標は、これで適切なのかという点も疑問です。検査項目に対する遵守率。

○説明者(医政局)
 これはまさに法令に規定されている、守るべき基準というのが、どれだけ守られているかということなので、これは遵守率が高ければ高いほど法令に沿って適正で質の高い医療が行われているということを表していると考えられるので、目標として考えた次第です。

○井部委員
 私の単なる個人的な反発ですけれど。

○説明者(医政局)
 こちらは医療法の関係ですから、最低限の基準でありますので、できるだけ100%守っていただく方向で、私どもも取り組んでいきたいと思います。

○本田委員 
 有効性・効率性に対する質問というのが難しいですが、医療計画制度を新しい医療制度にして、4疾病5事業で連携して、地域完結型の医療をというのはよく聞くのですが、それで医療連携パスなどを各地で作ったりしていますよね。その医療連携パスは、もう作ることとされているのですか。それと、実は医療連携パスを作ることで、本当にすごく連携が進んだとか、どこに行ったらいいのか困ってしまうような患者さんが減っているとか、そういう効果というのは、測れるものなのでしょうか。

○説明者(医政局)
 まず、医療連携パスの作成は義務付けているわけではないのです。ただ、そういうものを作ることが望ましいというか、そういう形で、地域によっては、医療連携パスを今までこのぐらいしか普及してないものを、このぐらい普及するみたいな目標を立てて取り組むということも考えられます。
 一般論としては、そういった医療連携パスが定着した地域は、かなり医療機関同士の機能分担と連携が進んで、質が高くて効率的な医療が行われているというような傾向があるというのは、一般的には言えるかもしれません。各都道府県で行っているそういう取組について国として全体を分析したり評価したりというのは、今までにないと思いますが、そこは、今後の課題だと思っています。

○森田座長
 よろしいですか、ちょっと私からも伺いたいのです。1つは、そちらの課でやっているさまざまな施策が、目標を達成するために、どのぐらい寄与率があるかというのは、これはほかの施策との関係とかで決まってくると思うのです。日本の医療における救急体制の場合には、基本的にコントロールするのは、診療報酬が非常に大きいと思いますので、そちらでやっていらっしゃるのは、それを補完するような形、すなわち補助金ですよね。補助金がどれぐらい有効かということを言われているわけですが、この有効性とか効率性で、そこまで細かい話は必要ないのかもしれませんが、要するに、補助金の寄与率の中で、どれぐらい効果があるのか。同じ限られた補助金をほかの出し方をするとか、ほかの目的に使うということも考えられるのではないかなということにつきまして、その辺がわかりにくいというか、はっきりしないのかなという気がします。それで、ご存じのとおり、その補助金がどれぐらい効果を生んだか、そして何が生まれたかというのは、ある意味でアウトプット指標、施策の結果として生じた事象ですが、その結果、国民の健康が改善したかどうか、目的が達成できたかどうかというのは、アウトカム指標になるわけでして、測定指標というのは、比較的アウトカム指標が含まれているという気がします。例えば自宅で死亡する者の数ですが、先ほどおっしゃいましたように、8割病院で、1割が施設で1割が自宅ぐらいですが、これいま120万弱ぐらいですね。これがだんだん増えて150万とか160万とかなる。ただ、現在予測されている所だったら、医療機関の終末期用のベッドの数というのはそんなに増えませんし、施設も限界があるとしたら、何もしないでも自宅の人が増えるのではないか。要するに、そういう増えてきた人たちがどこでターミナルケアを受けるのかということが、かなり深刻な話になっている。そのときに、これ自宅で死亡する数というのは、いまのままでいったら、ほかの条件をコントロールしない場合だったら、自然に増えていってしまう。それが成績がよくなっていると評価できるかどうかというのは、厳密に考えた場合には、きちんとチェックしなければいけないということかと思います。そういう意味では、指標の立て方、問題もそうですが、本当はその辺はいわゆるロジックモデルと言いますが、ある目的のためにいくつかの手段があって、こちらではどういう理由で、この手段を採用されたのか、その手段を採用した結果、どういう効果が現れたか。効果が最終的にどういう目的に結びつくか、その辺について、少しストーリーが論理的にわかるような何か情報を提供していただけると、もうちょっとすっきりします。それを国民に発信するということが重要ではないかと思っています。このケースだけではなくて、一般的にです。

○河北委員
 これも評価に関係ないのかもしれないのですが、こうやって指標を見ていても、いま森田座長からアウトプット、アウトカムのことが多いと言われていますが、これは目に見える数値に合わせるものなんでね。それで、例えば日本人の心の揺らぎみたいなものを、どうとらえるかという資料が全然ないんですよ。特に、学童期、思春期だけではなくて、高齢者も含めてものすごくいま日本人は、メンタルな部分の問題を抱えているのだと思いますが、厚生省の施策にほとんどそれが載ってこないのです。ですから、やっぱりそういうことも含めて、もう一度特に指標の部分をなんとか考えていただけるといいのかなという気がします。

○森田座長
 大体時間がまいりましたが、ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。どうもありがとうございました。それでは、所管課におかれましては、ただいまの議論を踏まえまして、必要に応じてですが、実績評価書への修正等を行うとともに、実績評価書の学識経験を有する者の知見の活用欄への記入をお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。
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[3]有効性・安全性の高い新医薬・品医療機器を迅速に提供できるようにすること(施策番号1-6-1)

○森田座長
 ありがとうございました。それでは続きまして、施策番号1-6-1「有効性・安全性の高い新医薬・品医療機器を迅速に提供できるようにすること」。このことにつきまして、担当から5分以内でご説明をお願いし、その後、15分程度で質疑を行いたいと思います。
 それでは、5分以内でお願いいたします。

○説明者(医薬食品局)
 医薬食品局の審査官二課長の赤川です。お手元に、こういうパワーポイントの資料を用意していますので、それに沿って概略を説明させていただきたいと思います。「新薬品・医療機器の審査迅速化について」という資料です。
 まず1頁目に、医薬品の開発について書いてあります。ここでは何を申し上げようかと言いますと、指標となるべきものはどこなのかということで、まず、医薬品の開発ステージ、「基礎研究」「前臨床」「臨床研究・治験」とあります。それで「申請」というのは企業からの薬事法に基づく申請。「承認申請」、ここはPMDA、医薬品・医療機器総合機構、独立行政法人ですけれども、こちらで承認審査あるいはデータの信頼性のチェック、信頼性調査というものをやりまして、ここが審査機関になるわけです。これを経て「承認」になると。これは厚生労働大臣による製造販売承認。申請から承認までの審査機関、これが有効性の指標の1つとさせていただいております。
 一方、患者さんに、より早く届くという、諸外国と比べて遅いのではないかという、いわゆるドラッグ・ラグ、デバイス・ラグと、導入が遅れていると言われていますので、そもそも開発に着手するのが遅いなどといったことも加えると、申請前、要するに承認申請なされる時期がそもそも遅いのではないか。これは申請ラグということを言わせていただいていまして、こちらも含めた形でのドラッグ・ラグあるいはデバイス・ラグに関して、別途、欧米との比較でのラグを指標に設定しています。これが概略です。
 3頁は医薬品・医療機器の審査、市販後の安全まで含めての業務の流れです。左下に申請企業があります。独立行政法人医薬品医療機器総合機構、PMDAと称しますが、ここで承認審査をやっています。承認審査の結果が厚生労働大臣に報告されて、それに基づいて、最終的には新薬・新医療機器については薬事食品衛生審議会、これは厚生労働大臣の諮問機関ですが、ここでの諮問・答申を経て、最終的に承認するという流れになっています。
 具体的な指標の業績の結果が4頁にあります。まず、新薬品における審査実績ですが、先ほど申し上げました審査期間、申請から承認までの審査期間、ここでは総審査期間と表記させていただいていますが、平成25年度の目標ということで、これは平成23年度の目標でもあるのですが、新薬優先品目については9カ月、優先品目以外の通常の品目については12カ月という審査期間の設定をしています。平成23年度の欄では、いわゆる優先審査品目については希少疾病医薬品や、その他優先すべき、薬事法上優先が認められた申請品目ですけども、こういった優先品目については平成23年度、6.5カ月ということで、目標の9カ月を達成しています。下の通常品目についても、平成23年度の目標12カ月のところを11.5カ月ということで、達成しています。
 5頁の新医療機器ですが、こちらは、医薬品は実は平成19年度から、後ほど説明しますが、こういったいろいろな増員等の取組をやってきましたが、新医療機についてはちょっと遅れていまして、平成21年度から、いろいろ増員等の計画でやってきました。2年遅れていますが、平成23年度の実績を見ていただきますと、新医療機器優先品目については、目標10カ月のところを4.3カ月。それ以外の通常品目についても、目標14カ月のところが9.7カ月ということで、一応目標は達成しています。ただ、医療機器は品目がまだ限られていることもありまして、まだ増員等もかなり途上の段階ですので、この実績がたまたまうまくいっているように見えるということで、こちらとしては、ここのところはまだ引き続き努めていかなければならないと思っています。
 その先の頁のドラッグ・ラグ、デバイス・ラグの推移です。これは先ほど申請ラグと審査ラグというふうに分けて考えていただければと冒頭申し上げましたが、先ほど、2枚のスライドでは審査ラグ、審査をしている期間によって起きるラグがないかどうか、そこは解消されつつあります。一方で、申請ラグについてはなかなか縮まりにくいところもありまして、ただ、医薬品のほうについては、平成22年度の欄のドラッグ・ラグを見ていただくと、平成20年度の28カ月、平成21年度の24カ月、平成22年度の14カ月と縮まってきています。これは審査ラグの大幅な短縮によるものでして、申請ラグも若干は縮んでいますが、まだこの辺りが申請ラグのほうが残されている課題です。医療機器については、デバイス・ラグはあまり変わっていない、若干縮まっているかもしれないといった状況にあるということです。
 最後の7頁は、審査迅速化に向けた主な取組です。申請ラグと審査ラグと2つ分けて書いています。まず申請ラグですが、これはいろいろ企業の行動を見ると、やはりコスト回収の点から市場性や日本での薬価がどうであるかなどを考慮して、各国、開発着手時期が決まるのが常でして、そういう意味で考えると、日本は必ずしも開発着手時期が高くない場合もあります。私どももいろいろ施策上、工夫はさせていただいているのですが、なかなか開発着手時期に関わらず、開発期間そのものを短縮するのは、いかにやっていますがなかなか難しいところがあります。いまやっている取組としては、まず治験体制の充実、これが国内で、ちゃんとできる体制になっていないといけない。それから、国際共同治験の推進、これは日米を含めて共同で同じ時期に治験を開始すれば、同じ頃終わって同じように申請が出て、承認できるだろうという発想の下で国際共同治験の推進を図っています。
 欧米で開発が中心になされるものだけでなく、国内でも新しいシーズなどがあった場合に、それはやはり、開発を推進するという観点からも平成23年度からは、薬事戦略相談ということで、開発の初期の段階からシーズをうまくすくい上げて、具体的には審査機関でのPMDAで、いろいろ、大学、ベンチャー企業への相談に乗って、早い段階からどういう方向で開発したらいいかという相談に乗る制度、薬事戦略相談制度を開始しています。
 2つ目の審査ラグですが、新薬については平成19年度から236名の増員。医療機器については平成21年度から69名の増員ということで、いずれにしても審査人員の増員ということで体制強化を図っています。新医薬については、かなり人員は増員されてきました。ただ、医療機器のほうはまだ途上ですし、新医療機器というわけではないのですが、後発の医療機器については、やはりいろいろ時間を要している事例も認められるのが現状です。
 PMDAの体制強化についても、平成24年現在678名ということで、これは平成25年度末、751名に向かって、いま増員の途上にある状況です。
 今後の、審査ラグについては、これまでの取組から一定の成果を、ある程度解消が図られつつあると私どもは思っています。さらなる対策が必要と考えていまして、申請ラグの、いわゆる開発ラグと言いますか、そういったものとしては開発の道しるべとなるようなガイドラインを早期に作成していく必要があるだろうと。
 審査ラグについては、審査員も751名に向かって、当然増員もしなければならないのですが、それと同時に、質の向上ということで、特に人材育成、一度PMDAで審査員をして、一定年経つと、持っていた知識等はもう古くなることも考えられるので、そういう意味で、人材育成のためにアカデミアとの人材交流なども、今後していかなければならないと考えています。一応、私どもの説明は以上でございます。

○森田座長
 ありがとうございました。ただいまのご説明につきましてご発言をお願いします。

○本田委員
  まずは、すごく努力されていて、10年前ぐらいに比べて、すごくドラッグ・ラグなど解消されてきていて、国民の声、患者さんの声、医療従事者の声を聞いてくださっていて、進んできたということは評価したいと思いますし、お礼も申し上げたいと思っています。
 その上で、あえて言いたいのですが、6頁でドラッグ・ラグ、デバイス・ラグの推移の結果というか、こんなふうに変わってきたと出していらっしゃいますが、これはピカ新の数字ですよね。ピカ新は本当によくなってきたと私も実感しているのですけれども、いま、国民、患者が困っているのは適応外の薬の問題、特に難治癌や難治疾患の方々の適応外の薬の問題で、そういうものをどういうふうに変えてきたのかという尺度や、どういうふうに努力してきたのかということと、その結果を示していただきたかった、と感じています。
 医療機器のほうは、これは厚労省に言っても申し訳ないのかもしれませんが、薬と同じ薬事法でやっていくことに、本当に無理があると思います。議論はされていたと思うのですが、政治の問題かもしれませんが、ちゃんとやっていただかないとなかなか変わらないと思うので、その辺りのことも一言、実際にどう進めていくのか、どういうことになっているのかが知りたかったと思っています。
 これは審査管理課の話ではないのかもしれませんけれども、この大目標に関係している申請ラグのことなのですが、国際共同治験も頑張って入っていらっしゃる、すごく先生方も頑張ってらっしゃいますし、治験体制の充実という意味でも、たくさん予算を付けて、拠点病院など作って、いろいろ予算も付けてこられましたが、その予算を付けた拠点病院がどれぐらい体制を充実させ、もしくはパフォーマンスをどの程度上げたのかなど、予算が何に結び付いたのかということも示していただきたいと感じました。というのは、治験の拠点病院はいろいろなものができましたが、不祥事もこの前ありましたので、予算を付けていただくのはありがたいのですが、それがどのように効率的に使われたというのも知りたかったと思います。
○森田座長
 それはご意見ということでよろしいですね。

○本田委員
 はい。

○森田座長
 ほかにいかがでしょうか。

○篠原委員
 本田さんと同じ意見で、私も独立行政法人評価委員会をここで10年やって、常に、早くするという話は出てきて、明らかに進歩しているのですが、今回データが出ていないのが海外です。やはり日本はもう、先進国と対抗していかなければならず、明らかに薬も競争しているという視点からどうするのか。検査部門が少なくてどんどん増やしているというのはわかりますが、本当にこの人数でいいのかという検討が要ると思います。それは、厚生労働省の仕事ではないと言われるかもしれませんが。
 私の知人で、定年前は病気を何もしていないけれども、定年後に難病などあらゆる病気をやっていて、認可がなかなか降りないと言っていました。それを聞いていると、医学部がものすごく日本のトップクラスが行くところだというのは理解できますが、やはりこういう部分で遅れているなと、正に特殊な部分だという感じがしました。彼らは、一患者として必死になっていろいろな状報を集めているのです。薬があれば使いたいのだけれども、なかなか認可が下りない。私たちは難病になっていないから無関心なのですが、病気をしている人には命にかかわりますから、やはりその部分が少し遅れているかなと感じます。切実感がないと言ってしまえば怒られてしまうかもしれませんが。

○川北委員
 あまり関係ないかもしれませんが、私は日本の治験体制に非常に疑問を持っているのです。やはり、こういう施策の中で、ここに書いてある数値その他はわかるのですが、日本の治験は、いちばん暇そうな医者にやらせるときや、適当にその現場で治験に手を挙げて、それを少し収益にでもしようかと思うような現場はたくさんあるのです。例えばナショナルセンターは、全国から患者さんを集めて治療して治って帰ればいいという所ではなくて、ナショナルセンターこそ、データベース化、データセンターにするというぐらいのつもりで100%病床は治験にするというぐらいの施策を取らなければ、日本の治験は高度にはならないのです。ですから、そういうことも是非評価の中に入れて欲しいと思うのです。大学病院も、特定機能と言っているのであれば、例えば1,000ベッドのうちの200~300ベッドぐらいは治験専用の病床にするというぐらいのことをやって、バラバラに力のない所で治験などやっても意味がないのだから、あんなもの止めてしまえと。よほどそちらのほうが効果的な治験ができると思いますよ。全然、政策評価には関係ないのですが。

○政策評価官
 答えられる部分は答えさせていただくということなのですが。資料1-6-1のことを、今回、施策目標で議論していただいていて、先ほどの話などだと、新薬の開発は、資料1-8-1の「新医薬品・医療機器の開発を促進するとともに医薬品産業の振興を図ること」など、もしこちらにあるのであれば、これはまた別の機会に議論していただくことになるので、是非資料1-6-1のテーマの実績評価書の改良を中心に議論していただけるとありがたいと思います。

○篠原委員
 厚生労働省のほかのところで放射線の関係を少し見学したときに、ハムスターを10,000匹飼っていて、ものすごく細かく切るのは日本人にすごく向いているということで、癌の細胞は冷凍していて必要があれば送るという。ところが、最近は若い人が、あんな細い仕事に向かなくなってきた。せっかく日本人の得意な部分が少しずつ崩れていってしまうなと感じています今より認可を速くするための基礎になる部分が崩れてきてしまうかなという恐れを持ちます。日本はいろいろなところで崩れてしまっている気がしないでもないのですが、それは、我々が気が付いたところから必死になってやらないと、という気はしています。これも少し遠い話ですが。

○森田座長
 ありがとうございました。私もいろいろとこちらのほうにかかわっていますが、要するに審査ラグのほうはかなり解消されてきたと思いますが、治験も含めた申請ラグのほうの、申請のときの治験のクオリティも含めて、その体制をどうするのかというのと、本日お話は出ませんでしたが、やはり企業のほうが開発リスク、そのリスクには副作用のいろいろな問題もありますが、そのリスクに対してマーケットがどれぐらい魅力的であるかというところが、少なくとも申請ラグにはかなり影響していると思いました。これ自体は薬価の問題になりかねないので、これ以上言いませんが。そこも含めて考えないと、単にドラッグ・ラグというだけでは解決しないかなと思います。これも余計なことですが。
 では、よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
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[4]健康危機が発生した際に迅速かつ適切に対応するための体制を整備すること(施策番号1-11-1)

○森田座長
 続いて施策番号1-11-1「健康危機が発生した際に迅速かつ適切に対応するための体制を整備すること」について、担当課から5分以内で説明をお願いします。そのあとに15分程度の質疑を行います。

○説明者(厚生科学課)
 大臣官房厚生科学課健康危機管理官の小澤と申します。よろしくお願いします。健康危機管理体制については、今回大きく指標としては、健康危機管理調整会議の開催件数と、健康危機管理保健所研修の出席率を立てています。この2つについて、簡単に政策の内容をご説明させていただきます。
 参考資料「健康危機管理体制について」頁をめくっていただきますと、「厚生労働省の健康危機管理のイメージ図」があります。厚生労働省においては、医薬品、食中毒、感染症、飲料水、その他の何らかの原因により生じる国民の生命、健康、安全を脅かす事態に対する感染予防、発生予防、拡大防止の業務を健康危機管理と位置付けて、省内体制を作っております。
 そのイメージ図がこちらで、省内の関係課としては、医政局、健康局、医薬食品局、労働基準局、安全衛生部を主体にして、その中で私ども大臣官房厚生科学課が健康危機管理体制のとりまとめとして、毎月2回健康危機管理調整会議を開催し、国内外の健康危険情報、例えば海外のどこで原因不明の疾病が発生したとか、そういった情報をそれぞれ担当部局から提供して、各部局間で調整しています。
 こうした体制を作ったそもそもの契機としては、いわゆる薬害エイズ問題がありました。当時はエイズという疾病の発生に関する情報を、いわゆる感染症担当部局では把握していたと。ところが医薬品のほうでは把握していなくて、被害を有効に防げなかったという反省がありました。そのため、こういった健康危機に対応する部局が月に2回、あるいは臨時に集まりまして、それぞれの情報をまず共有して、対応を関係部局間で協議する機関として、この健康危機管理調整会議を、課長級を月1回、課長補佐級を月1回ということで開催しております。
 その中で、今回この指標におきましては、この健康危機管理調整会議の開催回数を、原則月2回ですので、年に24回開催ということで、まずは指標を立てました。
 これについては、前年度については東日本大震災の影響もありまして、評価シートのほうですが、23回から22回に下がっています。ただ、これについては震災の影響ということがありまして、開催が一部できなかったということと、臨時の調整会議を健康危機情報が入った度に開催し、補っています。
 次に、保健所長の研修については、「健康危機管理研修の概要」の「健康危機管理研修の目的」をご覧ください。研修の詳細については入りませんが、これは実務編、高度技術編という2つの研修を立てまして、これを見て、厚生労働省においては保健所長の健康危機管理能力を高めることを目的としています。厚生労働省においては、地方の健康危機管理の中核を保健所と位置付けておりますので、ここの対応能力が地域における健康危機の対応能力の正否にかかわるわけですが、これについて現在保健医療科学院で検証しています。
 成果指標においては、この研修に対する参加率、具体的には実務編は30名で年2回、高度技術編は20名を年1回、これを80名で開催していますが、これに対する出席率で指標としています。これについては、前年度よりも上昇しているということです。
 いま政策の内容と有効性の評価の部分について併せて述べましたが、調整会議については、臨時の会議で補完、省庁研修については出席率が上昇ということで、一定程度有効に働いていると思います。
 効率性については、健康危機管理調整会議の効率的な点というのは、改めて何か問題が起こったときに関係部局間での検討体制を作り上げないで、初めからそこの場で議論さればいいというメリットがあります。この点は事前に問題が起きた度に調整するとか、そういったコストは回避できると考えています。研修については、こちらは効率的な研修の開催ということで、旅費、謝金単価の見直し、あるいはなるべく個々の職員、保健医療課の職員を使って、謝金を使わない形で可能にしているということです。
 評価の総括においては、この体制により、緊急事態が発生した際の対応体制というのが、省内で一応整備されていること、所長の検視については、所長の健康危機に対する対応能力の向上が図られていることで、一定の機能を果たしていると。ただ、今後は所長については、特に災害関係の機能の充実が求められていると考えています。

○森田座長
 ただいまのご説明について、ご意見、ご質問がありましたらどうぞ。


○篠原委員
 あまり厚生労働省に危機感がなかったというのは、3.11のあと、人工衛星の携帯電話を持っていなかった。自衛隊はもちろんあるではないですか。厚生労働省は、おそらく全然情報収集できなかった。そういう意味では、危機管理体制がちょっと甘かった。

○説明者(厚生科学課)
 いま健康危機管理体制については少し見直しをかけています。例えばいまおっしゃった衛星携帯電話がないことについては、例えば事前に訓練などをしていれば、そういうことがないことを事前に把握することができると。そういうこともありますので、今後そういった訓練をどうやっていくかということ、机上演習的なものになりますが、そういったことについても今後見直しをかけていきたいと考えています。

○森田座長
 私から伺いたいのですが、こちらの健康危機管理の場合に、制度上の目的だと、「公衆衛生上の緊急事態やテロリズム等国民の生命、健康」と書いてあります。テロリズムも入っているわけで、生物兵器による攻撃も想定されているのかと思うのですが、要するにこの場合には、そういう危機が発生した場合に、いかに早くそれを察知して、対応するかという体制がどうできているかということですね。
 これはなかなか難しいと思うのですが、ここでの政策指標というのは、会議がどれぐらい開催されているのかというのと、研修をどれぐらいやっているかということなのですが、いま篠原先生がおっしゃったように、どういう情報をどのように、どれぐらい早く集めてくるか、そういう形での指標というのは、もう少し工夫できないのかなと思うのです。もちろん会議は重要ですし、そこで重要な決断をすることは必要だと思いますが、集まる会議だけではなくて、もちろん会議は重要ですし、そこで重要な決断をすることは必要だと思いますが、集まる会議だけではなくて、いまは通信が完備しますとテレビ会議もできますし、いずれにしても、本当のリアルな情報をいかに早く共有できるか、そしてそこからどうやって早く答えを出して、それをまた伝達していくかというのが問題かなと思っていまして、これはこれからの話になるかと思いますが、やはりその辺が、対応についての例えば効率性にしても、ある事態についてどれぐらい早く、的確にやるかということで、謝礼単価を下げるのも十分に効率的なのかもしれませんが、その辺についてもう一工夫していただいたほうが、国民のためになるのかなという気がいたしました。

○河北委員
 私もいま森田座長が言われたように、先ほどお示しいただいた資料の3頁目、4頁目を見ていて、会議を開催して、会議の中での議題を見てみると、本当にこれが健康危機管理に相当するような議題かと。これはほとんど個別の話ですよね。今日の次の5番目のテーマに食品の話が出てきますが、レバ刺しのことを厚生労働省が真剣に取り上げて、あんな禁止通知みたいなものを作ること自体がおかしいのであって、あんなものは個人の危機管理であって、国家の危機管理ではないと思うのです。
 ここを見ていると、どのような情報を厚生労働省の危機管理室みたいなところに集めてきて、それをどのように迅速にほかの省庁とのやり取り、あるいは内閣と直接やり取りができるような体制を組むかということが大切で、保健所を対象にして、保健所から吸い上げた個別の事例を議論する場ではないのではないかという感じがします。

○説明者(厚生科学課)
 実例を申し上げさせていただきます。先日カンボジアで原因不明の疾病が起きたという報道がありました。あの情報については、まずどういった形で国内にもたらせるかと言いますと、いわゆるIHR、WHOが設けている国際的な疾病発生のネットワークを通じて、それが国内にきました。それが日曜日だったと思います。月曜日には、すぐに臨時の健康危機管理調整会議を開催して、対応策を検討しました。
 そのときにやったことは、まず検疫上での注意喚起のための情報提供、他省としては外務省に対して情報提供をして、特にカンボジアの在外邦人に対する注意喚起を促すようにということも実際にしております。
 健康危機管理というのは、定型的に対応できるもの、あるいは非定型的にしか対応できないものもありますが、そういった形で、私どもも情報が上がって、それが重大な情報であれば、臨時の健康危機管理調整会議を開催して、まずは情報共有、対策本部で対策をすぐに決めることはしています。
 ただ、先ほど座長がおっしゃいましたように、情報が上がってきて、いかにそれが対策までいくかというラグ、それをどのように図ることができるかについては、今後検討していきたいと思っております。

○河北委員
 そしたら、厚生労働省の内部で危機管理対策室が対応すべきだと思っているもので、ほかの課あるいは室と重複するようなものはないのですか。かなり重複するような気がするのですが。

○説明者(厚生科学課)
 私ども健康危機管理室が対応するものは、原因が不明な健康危機については、私ども健康危機管理室が直接担当することにしております。それ以外の、例えば医薬品を原因とするもの、あるいは感染症を原因とするものについては、それぞれの担当課が対応することにしております。先ほどのWHOを通じた情報提供については、私ども健康危機管理対策室が国内の窓口になっていますので、そからの情報については私どもが担当して関係部局に流すという体制を取っています。

○篠原委員
 急速に情報を得るためには人間の情報認識が重要で、放射能のことももどうもそういう感じがして、結局末端の人たちの教育が要るのではないかと思うのです。
 災害が起きたときは対策に行っていて、情報などは上に上げられないという話を聞きます。そういう意味では、こっちから情報を取りにいくとか、情報が上がってくるのを待っているのとは少し違う視点が要るのかなという気がしますが、その辺はどうなのですか。

○説明者(厚生科学課)
 いまの健康危機管理指針の中でも、とにかく緊急事態が起きたら現地に行けというのを基本にしています。実際に先日、ある件でそういう状況があったのですが、結果的には特段健康危機という状況ではなかったのですが、現地に行くことを基本にして、現地で情報収集するというのは、私どもは非常に重要な手段だと考えています。
 それから、情報提供につきましては、そういった情報を察知したときに、いかに政府部内で早く情報を上げるか。それから個々に対して情報提供するかということについては、そこのスピードアップを図っていまして、例えばそういった情報が出たときには、最近着手した見直しとしては、いままででしたら電話で幹部に連絡するという方法を取っていたのですが、そうではなくて、先日の北朝鮮のミサイルの発射のときには、これも健康危機管理という観点からは問題がありましたので、情報提供しましたが、携帯メールで一斉に幹部に情報提供するという仕組みで、なるべくその時間を短縮するといった試みはしている状況です。

○本田委員
 災害時の対応が課題と書かれており、少しだけ関連するかと思うのですが、東日本大震災のときに、いまの情報を上に上げて判断するという話も重要だけれども、災害で情報がなかなか上がらなかったり判断がなかなか返ってこなかったりするときに、現地で判断していいこととか、体制をどうするのかということがとても重要だと思っています。実際に取材に行ったときも、つまらないこと、避難所の小学校のトイレのスリッパがないので調達してほしいというようなことすら、上に上げないと保健所は動けなかったのです。それを地域の先生たちが自分たちで調達して避難所を支援したとか、結局保健所は役に立たないという話をたくさん聞いたので、上げなければいけないことと、その場で判断して自分たちでどんどんやらなければいけないことの区別についても、是非研修の中に入れていただきたいと思っています。

○説明者(厚生科学課)
 健康危機管理には国際的に取り組んでいるのですが、その中のトピックの1つにソーシャルメディアの活用というのがあります。この中で、1つは情報提供のツールとして、あるいは情報収集のツールとして、例えばいまのここはスリッパがないという情報ですが、おそらく普通には上がってこないと思います。例えばツイッターでスリッパがないという情報が上がってきて、それをどのように見るか。
 ソーシャルメディアから情報収集するというのは難しいところがあるのですが、国際的にはそういった形での情報収集は、健康危機管理の分野では非常に重要になってきます。特に現地に行けない場合がありますし、行っても情報が取れない場合がありますので、そういったときにソーシャルメディアは比較的有効なツールになり得るということがあります。

○本田委員
 そうだと思います。現地に頑張って行っていても、判断できないということなのです。そこも迅速に、もちろん通信ができるということも大事かもしれませんが、判断する権限も、どこまでどうなのかというのも是非ご検討いただきたいと思います。

○森田座長
 重要な論点だと思います。

○井部委員
 施策の目標のところで書いてある重要なところだと思うのですが、大きなことをいろいろやっていらっしゃるにもかかわらず、測定指標が会議の開催と受講者の出席率では大変残念です。皆さんの活動をアピールするには、指標としては小さすぎるのではないかと思います。測定指標を少し考えていただくとよりわかりやすくなると思います。

○説明者(厚生科学課)
 この測定指標を考えるときに私も悩みまして、アウトカム的な指標を取ると、被害額がどれぐらいで、それがどれぐらい政策によって減少できたかをアウトカムにするという方法があるのですが、この場合に危機を想定して、どれぐらい被害が出るかというのは、結局どれも仮定の数字になってしまうということで、言ってみれば眉唾的なものになる恐れがあったので、結果的にはこういうものを今回採用しました。
 ただ、いまご指摘のあった点、例えば情報を関知してから対策を打つまでのラグとか、そういった観点を含めて、指標については検討させていただきたいと思います。

○森田座長
 それは是非やっていただきたいと思います。評価書の問題について言いますと、せっかくすごく危機管理について体制整備をして、いろいろ備えていらっしゃるのですが、この評価書を読んだだけではそれがなかなか見えてこないということで、せっかくやっている以上は、それを反映するような形で工夫していただきたいと思います。よろしいでしょうか。ただいまの議論を踏まえまして、必要に応じ実績評価書の修正あるいは学識経験を有する者の知見の活用欄へ、是非記入していただきたいと思います。
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[5]食品等の飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止すること(施策番号2-1-1)

○森田座長
 続いて施策番号2-1-1「食品等の飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止すること」についてです。担当課から5分以内で説明をお願いします。

○説明者(食品安全部)
 食品安全部企画情報課長です。お手元に、実績評価書と横長の資料を用意していますので、平行してご説明します。
 まず、食品安全行政についての有効性です。横長の資料の1頁をご覧いただきますと、我が国の食品等の輸入届出件数あるいは重量は、非常に増加しています。カロリーベースで6割を輸入食品が占めるというのが我が国です。したがって、水際での検査というのは非常に重要になります。2頁にあるように、全国31カ所の検疫所で食品衛生監視員というものを毎年度増員を図りながら、食品の検査をやっている状況です。
 3頁です。こうした輸入食品については、輸出国段階での対策、輸入時の水際の対策、国内に入ってからの対策と、3段階に分かれるわけですが、とりわけ輸入時の水際での検査が重要になるわけです。その中でも、モニタリング検査というものを国で行っているわけです。違反の可能性、輸入実績等を考慮して、毎年度年間計画を定めます。その中で、食品群ごとに件数、項目を定めて、それを実施する検査です。
 したがいまして、このモニタリング検査の計画数を100%実行していくことが、何よりも重要になっているわけで、近年その目標を毎年度達成してきている状況にあります。そして、またその検査結果を踏まえて、輸入時の検査の強化を図るとか、検査命令などの輸入者に対する指導を行うということで、政策を展開している状況です。
 食品中の放射性物質という問題への新たな対応というものが、昨年より必要になってきました。資料の4頁をご覧いただきますと、原発事故後、速やかに暫定規制値を策定しました。今年の4月から新しい基準値をスタートしたわけで、従来暫定規制値で許容していた年間線量5mSvから1mSvに、国際的な指標も踏まえて引き下げました。具体的な新基準値は、右下にあるようなもので、4つの食品群ごとに定めているわけです。そして、これを超えるものは回収、廃棄といった対応を行うとともに、必要に応じて出荷制限といった措置を講じているわけでして、したがって、検査などの監視体制が極めて重要になっているということです。それについては、国の支援の下に、各地方自治体が中心となって検査を行っているところです。こうした取組も食品の安全性の確保に有効であると考えているところです。
 「有効性の施策目標2」は規格基準の設定です。これについては機動的に対応すべきものと、恒常的な取組とがあるわけですが、機動的な対応を必要とするものについては、特に平成23年ですが、牛肉の生食が原因となる食中毒で、5人の方がお亡くなりになるという事件がありました。それを受けて、昨年10月から生食用食肉の規格基準を設定し、また先ほど河北先生からご指摘のありましたような、生レバーを禁止することを、この7月からスタートしました。
 恒常的な取組としては、農薬等に関するポジティブリスト制度を平成18年度から施行していまして、毎年計画的に基準の見直しを行うことが必要となっていますが、逐次その制度の整備、運用を図ってきていると考えています。
 施策目標3の健康食品については、ご覧のとおりです。施策目標4のリスコミの実施についても、国民との意見交換会、あるいは政府広報などのさまざまな媒体を活用しての情報提供に工夫をしながら取り組んでいるという状況です。
 食品の安全性に関する基礎的な知識を持っている国民の割合も、一定の指標を見ると改善している状況もあるところです。
 次に効率性です。まず、食品中の放射性物質の検査については、すべての食品を行うことはできないわけですので、いかに効率的、効果的に行うかが重要です。そうした中で、1つは重点的に検査を行うべき品目などを示した検査計画のガイドラインを策定して、自治体にお示ししています。もう1つは、検査の効率化ということで、すべて精密機器でやるというよりも、簡易測定機器を使える場合があるわけですので、その要件を示して導入を推進することも行っています。
 もう一方、輸入食品の問題です。先ほど申し上げたようなモニタリング検査の結果に基づいて、違反の蓋然性が高いと判断されるものについては、検査命令を適用させ、確実に検査を実施するといったことで、モニタリング検査と検査命令によりまして、監視体制の効率的な実施を図っていると考えているところです。
 施策目標2に国際汎用添加物の問題を書いています。横長の資料の8頁ですが、食品添加物の指定については、企業からの申請によるのが原則なわけですが、平成14年に、国際的に汎用されている添加物については、企業の申請がなくても国が主体的に指定に向けた検討を進めることにしたわけです。これに基づいて46品目を選定したわけですが、15品目がまだ未指定という状況があります。
 そこで、先般、指定のさらなる迅速化について、規制制度改革に係る方針の一環として、閣議決定が行われました。リソースを充実させた上で、すなわち体制を充実させた上で、指定まで概ね1年程度を標準とする今後のロードマップを策定、公表していこうということで、指定のさらなる迅速化を図っていこうということを決めて、これから実施していこうと考えているところです。
 施策目標3の健康食品については、ご覧のとおりです。施策目標4のリスコミの関係については、基本的には輸入食品、食品添加物といった幅広いテーマを行いながら、そのときどきの重要テーマを組み合わせてやっていくということで、昨年度は食品中の放射性物質の問題について行ったところです。
 実施に当たっては、消費者庁、食品安全委員会、農水省といったところと共催で開催して、効率的かつわかりやすい説明会になるように工夫しているということです。
 全体の評価の総括です。食品などの飲食に起因する衛生上の危害発生防止、これは社会のニーズに応じた必要で有効な施策と考えているところです。今後の方向性としては、食中毒の防止、輸入食品の安全性確保といった恒常的な課題については、今後とも計画的かつ着実に取り組んでいこうということですが、効率化できるものは最大限に効率化を図る、そして迅速化が求められるものについてはさらなる迅速化を図るという減り張りを図りながら、そして併せて新しい課題が生じた際には、機動的に取り組んでいく。そうしたことで対応していきたいと考えております。以上です。

○森田座長
 ただいまのご説明につきまして、発言をお願いいたします。

○河北委員
 指標であるとか、効率性、有効性の問題ではないのかもしれないのですが、中央省庁としての役割と、自治体としての役割が混在しているのではないかという感じがするのです。そういうものを指標の中に入れていただくことも可能ではないかと感じます。
 先ほど私が指摘した、例えば指標3の食品関係事業施設の禁停止命令を受けた施設は800前後ありますが、これは全国の総数どのぐらいの中の800なのですか。ものすごい数の中で、800で、そういう数というのは、どんなに一生懸命やってもゼロになるはずはないわけです。だから、これは本当に意味があるのかどうかということです。
 それから指標10ですが、食中毒による死者数は、4人、ゼロ、ゼロ、11人と書いてありますが、例えば交通事故で亡くなる人が減ってきて、3,000人ぐらいになってきたのかもしれないけれども、それでも車自体を社会で禁止して、発売停止にはしていないわけですよね。ですから、中央省庁としてやる仕事と、個別の作業、あるいは自治体でやる作業をきちんと分けたようなものを、指標とか有効性に入れていただけるといいのではないかという感じがします。

○説明者(食品安全部)
 2点あったかと思います。1つは、国と自治体との役割分担ということです。確かに、先生がご指摘のように、例えば3でいったところは、国の取組と自治体の取組とが相俟っての指標だとは思います。そうした先生のご指摘のような点も含めて、これからの指標については考えさせていただければなと思っています。
 2つ目は車との比較のご指摘いただきました。おそらく生レバーのことを意識してのご指摘だと思いますが、車というのは、確かに有用性というものがあるわけで、代えられないというものがありますが、生レバーというものが本当に代えられないというものなのかということで、間違いなくいつか、誰か死ぬということがわかっているものを国として禁止しないことはできないということで、これは審議会でも全員一致でなったものですので。

○河北委員
  審議会も問題だと思いますよ。

○説明者(食品安全部)
 その有用性というものと比較しながら、どのように規制をするかということで、そこは我々は効率的に考えていかなければいけないと思っています。

○河北委員
 ちなみに教えていただきたいのですが、生レバーの禁止をしている国はどのぐらいあるのですか。

○説明者(食品安全部)
 もともと恒常的に広く食べているのは、韓国と日本ぐらいですよね。

○河北委員
 そんなことないと思うけれども。

○説明者(食品安全部)
 お手元の資料の7頁をご覧ください。7月に規制する直前に、皆さんが駆込みで食べられたというケースが結構あったのですが、はっきりと物が残っていないからわからないのですが、お年寄りの方が亡くなったケースが生じました。全体としては、3日間の駆込み消費で、11件54人の食中毒が発生していることは事実ですし、腸管出血性大腸炎の感染患者が、6月には非常に多く23人発生していて、その中でお1人が亡くなっているということもありますので、そうしたことを考えても、我々の規制は適切であったのだろうと思っています。

○河北委員
 分散すれば、そんなに大きな事件と認定されなかったのかもしれません。

○篠原委員
 ものすごく素人考えですが、牡蠣はよく事故が起こりますが、あちらは禁止されていないですよね。あれは禁止しなくても対応できるということなのですか。

○説明者(食品安全部)
 それぞれの食品ごとで、例えば刺し身についてもそうですが、規格基準というものを定めていて、一定の要件をクリアしないと販売できないということで、食品というものは守られているわけです。生レバーというのは中に菌がいるものですから、そういう規格基準の定めようがないわけです。あらかじめそれがわからないかということも調査したのですが、例えば牛の糞便を調べて、生レバーの中にいるのではないか。ところが、その相関関係がないということがわかったので、これはもうどうしようもないわけです。特定の部位だけが危なければ、フグの資格のように免許制度を設ければいいのですが、そういうわけにもいかないということで、生で安全に食べられる方法が見つかるまでの間、これは禁止せざるを得ないというのが結論です。

○河北委員
 食事というのは本人の免疫力とのバランスなのです。細菌、ウイルスがいるからといって、すべて発症するということはないわけです。個人の免疫力とのバランスなのだから、そんなものを中央省庁が時間をかけて、これだけ優秀な人たちが会議をすること自体、私は無駄だと思います。個人的な意見です。

○説明者(食品安全部)
 いまのようなご指摘は、確かに読売新聞はそういったご意見で、一方で、みのもんたさんとか朝日新聞などは、当然規制すべきだということで、いろいろなご意見があります。ただ、国民の健康、生命を守るという責任ある立場にある審議会のご意見は、全員の方が規制すべきというご意見だったことは間違いないことです。

○河北委員
 それは審議会のメンバーを入れ替えたほうがいいですよ。

○篠原委員
 日本というのは自己管理という考えがなくて、みんな国などがやってくれるという安心があるではないですか。海外などは、臭いをかいで、臭いがどうかで食べるといい、あるところは自分で判断するようになっています。我々は子どもの頃はそれをやりましたが、いまはそうではなくなって、消費期限とかが絶対になってしまっています。
 それで、これは生産者側への規制だと思うのですが、それを使う側、つまり大きな病院や給食をやっているところへの規制というのはあるのですか。そういうものを買ってはいけないとか、買ったら罰則があるとか。

○説明者(食品安全部)
 焼き肉屋であれば、これは焼いて食べなければいけない、焼く道具も当然出さなければいけないし、そういう情報提供もしなくてはいけません。あと生で食べている人を見かけたら、焼いて食べるように声を掛けてくれというところまでお願いをしています。

○森田座長
 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。国民の健康にとって大変重要なことだと思いますし、指標も随分たくさんありまして、結果としてはだんだんよくなっていると思います。いまのお話もありましたし、基本的な政策の考え方というのと、もう1つはアウトカム指標で評価されているわけですが、当然のことながら、暑い夏は多くなるでしょうし、そういうことも含めて、できるだけどういう形でやっていらっしゃることが政策の目標達成に貢献しているかについて、指標についても工夫していただければと思います。

○篠原委員
 放射能の規制では、チェックをすり抜けて流通するものがあると思います。チェルノブイリでもそうだったように聞きました。そういう調査は厚生労働省には関係ないのですか。

○説明者(食品安全部)
 実際に食品からどれだけ被曝したかという調査を行っています。それというのは、自然界にある放射線の影響よりももっと小さな数値だということもオープンにしていますし、いま篠原先生がおっしゃったように、危ないものが抜けていくことがないようにということで、各自治体ごとに綿密に検査をやっていますし、国でも買上調査というものをやっていまして、その中に基準値を超えるようなものがあったとしたら、それは自治体の検査のやり方が悪いので、その自治体に検査の改善を求めるといったこともやっています。そこは先ほどもご指摘があったように、国、自治体の役割分担を図りながら、そういった体制を確保してやっているということです。

○森田座長
 ただいまの議論を踏まえまして、必要に応じ実績評価書の修正を行っていただくとともに、学識経験を有する者の知見の活用というところに、ご記入いただければと思います。ありがとうございました。
(メインテーブル交代)

(2)指定等法人が行う指定、登録等に係る事務・事業の定期的検証

○森田座長
 本年度このWGで議論を行う実績評価については、以上で終了です。次の議事に移ります。続いて「指定等法人が行う指定、登録等に係る事務・事業の定期的検証」についてです。所管課よりご説明ください。

○説明者(大臣官房総務課)
 大臣官房総務課の宮崎と申します。資料に沿って概略を説明させていただきます。資料2-1をご覧ください。指定等法人が行う指定、登録等に係る事務・事業の定期的検証です。これは法令に基づきまして、公益法人など特定して事務・事業を行わせているもの、典型的には各種試験、研修といった事業を、特定の法人に行わせているというようなものですが、これらの事業については、特定の法人の既得権益になっているのではないか、あるいは指定の過程が透明化されていないのではないかという、各種の懸念あるいは問題点の指摘などがありました。
 こうしたことを踏まえまして、資料2-1の上の四角囲いの中にありますが、平成18年に、国からの指定等に基づき特定の事務・事業を実施する法人に係る規制の新設審査及び国の関与等の透明化・合理化のための基準というものが閣議決定されています。この閣議決定に基づいて、こうした法人にかかわる事務・事業について、改善すべき点はないかということを毎年行政庁で見直しを行うとともに、少なくとも3年から5年ごとに政策評価を行い、所管する行政庁として、当該事務・事業の必要性について定期的な検証を行うことが決められたところです。
 平成18年夏に閣議決定されましたので、3から5年ということになりますと、平成23年度までということですが、私どもはこの閣議決定に基づき、それぞれの所管部局において検証を行いました。その結果について、本日報告をさせていただきます。
 資料2-1の1頁目の下段にありますが、当時の時点で厚生労働省においては対象となる事務・事業が90事業ありまして、その対象の指定法人としては8,358ありました。これまでの見直しの結果、90のうちの5つの事務・事業については、必要性が乏しいということで廃止してきました。後ほど別の資料で説明させていただきますが、この5つ廃止したというものについては、行政刷新会議による事業仕分けなどを踏まえたものです。さらには、厚生労働省独自の省内事業仕分け、あるいは独立行政法人、公益法人の整理合理化委員会における指摘などを踏まえて、見直しを行ってきたところです。
 その結果、下にあるように、大きく分けると[1]から[6]のような、各種の見直しの実施をそれぞれの事務・事業について行ってきました。透明性の確保ということで、インターネットの公開等をこの間に進めたもの、あるいは国からの補助金の削減、公務員OBの削減等の取組を行ってきたところで、それぞれの事務・事業の該当する数については、記載のとおりです。
 今回、先ほど申し上げた廃止された5つの事務・事業を除く残る85事業について、次の頁に「政策評価の結果」ということで簡単に書いていますが、事務・事業の必要性あるいは事務・事業の執行性の妥当性、評価などを踏まえまして、評価結果の総括という観点から、それぞれ検証を行ったところです。
 現時点で、この85事務・事業の必要性等を検証した結果については、評価結果にあるように、今後定期的な検証を行って引き続きその見直しが必要であれば、適時見直しを行っていくということです。現時点で85の事務・事業については、引き続き指定等法人という仕組みの下で実施していく必要があるという結論を出していますが、今後とも定期的な検証を行っていくということです。
 この政策評価の結果については、本WGでの報告の後、厚生労働省のホームページで、具体的な個票も含めて、公表する予定にしています。
 具体的な内容は資料2-2です。先ほど申し上げた85の事務・事業について、根拠法令、事務・事業。そして、この間の事務・事業の見直し状況等を、簡単に記載しているところです。当WGとの関係で申しますと、例えばNo.1からNo.6は製菓衛生師法や食品衛生関係の事務・事業でして、例えばこの間製菓衛生師試験事務については、指定事業の厳格化、あるいは製菓衛生師の養成に係る事務・事業に関しては、指定法人のインターネットでの公開を進めるなどの見直しを行ってきたところです。
 また、11番以降については、公衆衛生関係で、クリーニング業法に基づくクリーニング師の試験事務、そのほかビル管理にかかわる資格等に関しての、講習、研修にかかわる事務・事業関係が並んでいますが、これらについても、登録法人のインターネットでの公開、あるいは資格によっては研修カリキュラムの見直し、養成施設の具体的な中身として、省令改正を行って単位制の変更を行うような、中身の見直しなども行っているところです。
 3頁です。35番以降で、医療関係、例えば医師、臨床研修の実施、歯科医師臨床研修の実施等にかかわるもの、あるいは看護師・保健師・助産師の養成等にかかわる各種の事務・事業があります。これらそれぞれについても、例えば臨床研修に関しての一部内容の見直しですとか、医療関係職種にかかわる教育カリキュラムの内容の見直しといったものを随時行ってきているところで、これらについては、中身について個票でさらに詳しい記載をして、ホームページで公表したいと考えています。
 6頁です。医療関係では、そのほか薬事関係で81番から84番、保健関係の85番ということで、関連の事業があります。これらについても、例えば薬事法においては、薬事法第23条の2で、81番ですが、基準適合性審査事務という検査、検定に係る事務を行っておりまして、これも例えば平成20年12月に策定したアクションプログラムに基づいて内容の見直し等を進めているところです。
 また、当WGに関連する分野ではありませんが、90の事業のうち、廃止をしたものが86番から90番の5事業です。これらは例えば労働分野、あるいは福祉分野における事業で、平成21年11月の事業仕分けなどを踏まえて、廃止をしたところです。例えば86番で言いますと、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律に基づいて助成業務等を行っていた部分につきまして、指定の法人の活用廃止をして、都道府県労働局で行うような形に改めたと。このような形で、指定事務の見直しなどを行っているということです。
 これらの検証結果を含めて、個票の形で公表したいと考えているところです。

○森田座長
 これは報告事項ですね。何かございましたらお願いします。

○篠原委員
 政策評価の最初の頃からの日本とアメリカとの差というのは、アメリカは業界でかなりいろいろと規制しているけれど、日本の場合は国が規制しているんですよね。日本の業界というのは相互援助団体で、きちんと規制をやるという文化がないのですが、規制を緩めていく将来のことを考えると業界がやるべきだと思うのだけれども、日本の今の考え方ではなかなかできません。いま我々の会計監査の場合は、原理原則主義で、細則主義をやめつつあるのです。現場で責任ある人が決めたということは、その人の責任になります。だから、監査法人とか設定機関は、責任をずっと逃れて、考え方としてやってない。国は考え方だけを示して、あとは業界でやりなさいとか、その中で個人が決定するのですという文化を作っていかないと、いつまでも指導する文化でいては先進国になれないのではないか。その辺は、10年、20年かけてやっていくのかなという気がするのですが、どうなのでしょうか。

○説明者(大臣官房総務課)
 最近議論になったもので言いますと、例えば厚生年金基金の規制などに関しては、従来は事前規制という形で厳しく国がやっていたものを、事後規制に改めましたが、それは緩かったのではないかと、AIJの関係で今回いろいろ議論がありましたが、結果的には、事後規制をきちんとしていく方向でやっていきましょうということになりました。それは、国が最初から事前でやるというのは、きちんとした競争をさせて、責任を負わせる、それで事後的にきちんと見るべきところは見るほうがいいだろうだと思います。そういう意味では先生のおっしゃるような方向があるのだと思います。
 ただ一方で、衛生基準のような部分ですと、事後規制で、あとは責任を取らせればいいではないかということが難しいもの、やはり事前にある程度規制しないといけないものはあるものですから、そういう意味では、事務・事業に応じて、先生がおっしゃるような事後規制で当事者にきちんと責任を負わせることが適当なもの、国の関与は少し減らしていくべきものと、ある程度国の事前規制は最小限とはいえやらなければいけないもの、そこを俊別していく必要があるのかなと思っております。

○河北委員
 全く同じ意見なので繰り返しになるかもしれませんが、私は中央政府、国家の役割というのは、生命、財産、基本的人権にかかわることさえしていればいい。それ以外は、身近な自治体等に任せればいいし、あるいは個人の責任だと思っています。
 もう1つですが、特に中央省庁というのは、企画に徹するべきであって、現業は持たないほうがいいと、個人的には考えています。そうすると、こういう現業に近いことというのは、まさにピア・レビューではないのですが、そういう業界あるいは関係者に任せるほうがいいと私も思うのです。ですから、中央省庁がこういうことをやるよりも、例えば先ほどの医療というところをわざわざ取り上げていただいたのだと思いますが、臨床研修病院の指定などというのは、私から見れば国がやっているからろくでもない病院がいっぱい入っている、私がやったほうがよほどきちんとした病院が揃います。これは日本医療機能評価機構の認定、あるいはプログラム認定を岩崎先生たちがやっているようなものを組み合わせれば、よほどいいものができると思っています。それは自主的に受けるということと、第三者であるということ、結果を公表する、この3つを組み合わせれば、省庁がやらなくても私はできると思っています。

○森田座長
 ということですので、よろしいでしょうか。これらの指定等法人の事務・事業については、今後も必要な見直しを行うということだと思いますが、いまのようなご意見を反映して、ご検討いただければと思います。特に、本日のご説明について、ここをこうすべきだとか、これがどうというご意見はなかったと思っていますので、これで終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 時間は過ぎていますが、事務局で予定された議事については終了しましたが、さらにご議論はありますでしょうか。

○篠原委員
 いろいろな国の委員会に関わっているのですが、ここは遠慮しているのかどうか、2時間ぐらいです。文科省は厳しくて1日やるんです。地方公共団体も最近は1日でやるとか。この忙しい有識者を1日使えないのではないかという観点はある一方、かなり駆け足になってしまっており、その部分はどうするのか。テーマを絞るのか、もうちょっと突っ込むのか検討されたほうがいいと思います。文科省は1日たっぷりやらせて、朝9時半とか10時から、夕方の5時とかまでで、日当は同じです。

○政策評価審議官
 この政策評価をWGの形でやったのは、今年初めてなのですが、今日で一応3つ終わりましたので、また来年に向けて、どうするのがいいのか考えさせていただけたらと思います。まさに、いま篠原先生がおっしゃるとおりで、お忙しい方々ばかりにお願いしていますので、そんなに長時間拘束するのがいいのかどうか。
 度々ご説明しているとおり、一応基本計画が5年計画になっています。今回のコンセプトは、厚生労働省はマンモス官庁のせいもあって、目標の数が多いのですが、これを大体5年で一巡、つまり5で割って、1年当たりのテーマ数を設定したというのが実態でして、全部の目標について見てもらったほうがいいと考えたものですから。また来年に向けて考えさせていただきます。

○森田座長
 それについて1点申し上げますと、いまの政策評価制度そのものは、かなり見直す必要があると思っていて、言ってはいるのですが、なかなか変わりません。その場合に、これだけ大量の実態について、こういう委員会だけで全部目を通すというのは、そもそも無理だと思うのです。本当に、きちんとした形で有識者の評価をするとしますと、会議に出る人は、私がボランティアでいいというのは変ですが、それ相当の報酬を払って、若い専門の研究者とか、そういう人にぎっちりと1週間でもいいから、それに専念してもらって、きちんと評価をするようにと。そこで原案が出てきて、それについて議論をする。そのほうが評価のクオリティも高まると思うし、客観性、第三者性も高まると思います。それだけのことを引き受けてくださる人がいるかどうか。報酬との関係もありますが、そうした仕組みのほうがいいという気がします。
 先ほどから何回か指摘しましたが、評価書の書き方にしても、ずっと10年ぐらい前から言い続けているのですが、きちんとした形で書くのは難しいということなので、その辺も含めて専門の方を、相当それに時間が割けるような人を何人か置いたほうが効率的かなという気がします。

○篠原委員
 いまオーバードクターという話があるように、行政の政策などを研究している人で、20代、30代で就職できない人を、ほどほどの金額で雇い入れたら、将来のステップアップになるのではないかという気もするので、そういう人をどんどん使ったらいいのではないですか。

○森田座長
 そのお金が出ないというのが現状のようです。そこはご検討いただきたいと思いますが、本当に評価をきちんとやるなら、そのほうが効率的だと思います。

○井部委員
 医療では構造、プロセス、アウトカムということで評価をすると言われていますが、先ほどの会議を何回開いたとかというのは、いわゆるプロセスの部分だけしか触れていない。アウトカムなのかアウトプットなのかも考えなければなりませんが、ある一定の評価の枠組みがあると、もう少しわかりやすくなるのではないかと思うのです。

○森田座長
 おっしゃるとおりなのです。ただし問題なのは、国防、警察、消防、病院もそうなのですが、管理されていて被害がゼロの状態が当たり前のとき、果たして管理コストがどのぐらいが妥当かというのはなかなか難しい評価なのです。ですから、常日頃何をしているかというアウトプットをお示しになるわけですが、それが世論に対する働き掛けとか、心の準備をされているというだけでは、なかなかそれが数量化できないものですから、その辺は私は無理に数字は出さなくてもいいではないかと思います。何回会議をしたとか、ホームページにどのぐらいアクセスがあったかを示すよりは、これだけきちんとやっていますという報告で十分ではないかと思うのですが、いまのところは、とにかく数値目標を掲げてやれとなっているものですから、ちょっと無理をされているのかなと思います。
 10分過ぎましたので、終わりのほうになってかなりいい議論をしていると思いますが、この辺にさせていただきます。本日は誠に熱心かつ有意義なご審議をいただきまして、ありがとうございました。事務局より、本日の議論の取扱いについて一言報告をお願いします。

○政策評価官
 長時間にわたりご議論いただき、ありがとうございました。本日いただきました意見等については、今後担当課において必要に応じ、実績評価書に反映させるとともに、学識経験を有する者の知見の欄に記入したものを評価官室でとりまとめた上、委員の皆様にもお送りいたしますし、総務省への送付、ホームページの公表手続をさせていただきたいと思います。

○森田座長
 必要に応じということですので、適宜ご判断いただきたいと思います。それでは、本日の第1回政策評価に関する有識者会議医療・衛生WGを終わります。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

政策統括官付政策評価官室

政策評価第二係: 03(5253)1111(内線7780)

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