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2012年11月16日 第2回再生医療の安全性確保と推進に関する専門委員会 議事録

医政局

○日時

平成24年11月16日(金)17:00〜19:00


○場所

厚生労働省(17階)専用第18・19・20会議室


○出席者

永井委員長、位田委員、伊藤委員、今村委員、梅澤委員、掛江委員、辰井委員、中畑委員、西川委員、野村委員、早川委員、前川委員、町野委員、宮田委員、大和委員

櫻井副大臣
原医政局長、神田審議官、吉岡医政局総務課長、鎌田経済課長、佐原研究開発振興課長、荒木再生医療研究推進室長
松岡医薬食品局総務課長、赤川審査管理課長

○議事

○荒木室長(医政局研究開発振興課再生医療研究推進室) それでは、定刻となりましたので、第2回再生医療の安全性確保と推進に関する専門委員会を開会いたします。先生方には、お忙しい中お集まりくださり、ありがとうございます。初めに、前回はオブザーバーでしたが、本会議より新たに委員になられた先生方を、50音順に御紹介いたします。独立行政法人国立成育医療研究センター生殖・細胞医療研究部長、梅澤明弘委員。同じく、独立行政法人国立成育医療研究センター成育保健政策科学研究室長、掛江直子委員。東京女子医科大学先端生命医科学研究所教授、大和雅之委員です。本日は、大阪大学大学院医学系研究科教授、澤芳樹委員、及び全国薬害被害者団体連絡協議会代表世話人、花井十伍委員、協和発酵キリン株式会社相談役、松田譲委員から御欠席の御連絡をいただいています。18名の委員のうち15名の委員に御出席いただいており、本会議は成立しておりますことを申し上げます。また、本日は櫻井副大臣に御出席いただいております。御挨拶、よろしくお願いいたしたいと思います。
○櫻井副大臣 今日は、委員の皆様方におかれましては、御多忙のところ、厚生科学審議会科学技術部会再生医療の安全性確保と推進に関する専門委員会に御参集いただきまして、誠にありがとうございます。簡単に自己紹介だけさせていただきますと、私も内科の医者でございまして、東北大学の第一内科で、単離心筋の細胞内のカルシウム動態を調べておりました。10年ほど東北大学で研究しておりましたので、研究の現場の実態や研究の重要性は十分に認識しているつもりでございます。一昨年、財務副大臣を拝命いたしましたときには、科学研究費補助金の一部基金化を実現させていただきましたし、現在、文部科学省と取り組ませていただいているのは、大学単体で特区に指定できないかどうかということです。つまり、特区の指定は地域ごとになっていて、東北大であれば仙台市なら仙台市が理解してくださらないと、そこの特区を認めてもらえないという状況がありますので、研究の費用を自由に使えるということだけではなくて、規制の問題をどうしていくのかということが非常に大事だと思っていまして、現在、文部科学省とどこまでやれるかといったこともやらせていただいております。
 こういう状況の中で、山中先生がノーベル賞を受賞されました。これは、日本の研究というものがいかに素晴らしいのかということを、世界に示せたものだと思っています。私は、今回の山中教授のノーベル賞の受賞が素晴らしかった点は、過去の受賞者に怒られることを覚悟で申し上げますが、非常に若い方が受賞されて、これから更に研究を進められるという点で、いままでとは大きく違っていることだと思います。別に山中教授を特別後押しをしようということではなくて、こういったイノベーション全体を、山中教授がノーベル賞を受賞されたということを切っ掛けに、更に推進していくべきではないのかと思っています。そういう意味で、先日、11月2日に、野田総理が議長である総合科学技術会議においても、山中先生による科学技術イノベーションを巡る課題についてのプレゼンテーションを受けて、総理から、iPS細胞を用いた再生医療を実現するために、次期通常国会で薬事法を改正するなど関連法制の整備を行うとともに、安全規制面での基準整備、倫理面の検討加速を行うことと指示されてきております。
 もう一つは、こうした中で今回の委員会が、9月26日に第1回を開催して、2回目となりますが、いま申し上げたとおり、10月8日に山中先生のノーベル賞受賞が決定された、それから、これを受けて、我々も予備費を活用して「iPS等幹細胞研究開発の安全基盤緊急整備」を前倒しで実施することを閣議決定し、民主・自民・公明の三党で「再生医療推進法案」について取りまとめの議論が行われるなど、再生医療に関わる様々な動きが進展しております。また、厚生労働省といたしましては、再生医療製品の特性を踏まえた規制とするための薬事法改正法案を、次期通常国会に提出することとしております。
 もう一つ、私はいま女子医科大学の岡野先生ともお付合いさせていただいています。彼の細胞シートという素晴らしい技術がありますが、結局、治験はフランスで行われている。こういった実態を、我々行政府の人間は相当重く受け止めなければいけないのではないか。本来であれば、治験の整備だけではなくて、こういった研究のことについての安全性や規制がきちんとした形で担保されていれば、こういうことにはならなかったのではないかと思っているのです。25年度の予算のところでも、厚生労働省といたしましては、基礎研究からその最終的な臨床応用に向かっていくところの、いわゆる「死の谷」と言われていると言ったほうがいいのか、「懸け橋」と言ったほうがいいのかもしれませんが、こういったところに力を入れていきたいと思っています。つまり、基礎研究からシーズを見付け出して、そして、それを製品化していくと。この一連のところを、できれば国内で行っていき、日本の産業というものを活性化していく必要性があるのではないかと思っていますし、これが我が国の再生の切り札になっていくのではないかと思っております。
 こういう状況を踏まえてまいりますと、本委員会の検討事項である、医療として提供される再生医療の安全性の確保のための枠組みの検討にいたしましても、当初は来年夏までの取りまとめをお願いしておりましたが、今後は、ガイドラインにとどまらず法制化に向けて議論を加速していただく必要性があると考えております。でき得れば、年明けには中間的に取りまとめていただきたいと考えております。皆様には御多忙の中、重ねてのお願いで恐縮でございますが、国民の皆様の期待、社会的要請も大変大きい再生医療の、一刻も早い実用化に向けて、何とぞ御協力のほど、よろしくお願いいたします。少し長くなりましたが、今日はよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○荒木室長 ありがとうございます。メディアの方につきましては、頭撮りはここまでとさせていただきます。なお、櫻井副大臣は所用のため途中退席とさせていただくことについて、御了承をお願いいたします。それでは、ここからは座長の永井委員長に司会をお願いしたいと思います。
○永井委員長 それでは最初に、事務局から本日の資料の説明をお願いいたします。
○荒木室長 それでは、簡潔に。本日お手元に配らせていただきました資料を御覧ください。まず、議事次第、座席表、委員名簿がございます。続けて、資料ということで、資料1から3がございます。一つは「前委員会の主な御意見」、もう1点の資料2は「前回御指摘いただいた事項について」、そして資料3として「国内の制度的枠組み等について」でございます。また、机上の配付資料ということで、これは委員の方だけですが、自由診療における診療状況について別添を用意しております。また、参考資料の1から5については紙ファイルで配付しております。こちらについては、委員会終了後も第3回、第4回でも使いますので、机上に置いたまま、お持ち帰りにならないようお願いいたします。以上です。過不足、落丁等ございましたら、事務局までお申し付けください。
○永井委員長 それでは、本日の議事に入ります。最初に事務局から、再生医療の現状と課題について御説明をお願いします。まず、前回の専門委員会での主な御意見より始めてください。
○荒木室長 それでは、前回の専門委員会での主な御意見を、事務局のほうで少しカテゴライズしてまとめさせていただきました。これが資料1になります。第1回再生医療の安全性確保と推進に関する専門委員会での主な御意見ということで、まず大きく「1.としまして、再生医療のルールの必要性」ということについて様々な御意見をいただきました。
 まずは(現状認識)ですが、再生医療に関しては、アカデミアの方は、再生医療の方は守るべきルールがあり、自由診療の方は放置というまだらな規制がかかっている現状で、医療としてどういう規制の在り方が妥当なのか議論すべきではないのか、という御意見、患者の立場としては再生医療に対して期待が大きいが、当然一定のブレーキは必要である、という御意見。さらに、再生医療学会の視点からすると、国民に安全・迅速に届けるため研究をしているが、再生医療の名で似て非なる医療が実施されており、まじめにやっているもののモチベーション低下にもつながっているという御意見。さらには、産業界からの御意見としまして、バイオ医薬品も遺伝子組換えを行っているが、きちんとした法律があるからこそ安全性が確保され、(遺伝子組換え食品と比較し)て国民の理解がある。産業化の観点からも統一ルールがあることで逆に推進につながるのではないのか、ということをいただいています。さらに、再生医療を名乗った自由診療を規制するという議論は、当該分野以外にも同様の状況があるため、議論はそれだけでは持たないのではないのか、どちらかというと国策として再生医療を推進するということから一定程度の規制も要るという点でしかないのではないか、という御意見をいただいています。
 次に、(実態把握等)という観点です。こちらは前回かなり活発な御意見をいただきましたが、臓器移植法と同様に再生医療を実施された患者数や治療成績を把握することは大切ではないのか、さらに、海外でのいわゆる“似非”再生医療に対する規制の現状や規制当局の動きについても取り上げて欲しい、更に、今後の議論取りまとめに当たっては、ヒト幹指針の見直し専門委員会、あるいはPMDAの科学委員会の議論との整合性をとって欲しいというような御要望、御意見がございました。
 次に、後ろのページです。それでは、具体的にルールの在り方は。最初の1回目でしたので、具体的というか概要で、ルールの在り方はこういうものがいいのではないかという御意見でしたが、一つは、安全性というものは相対的なものであり、その対象等によって必要な安全対策は変わるのではないかと。更に、再生医療についても、ES、iPSなどまだまだ未知の部分が多いものから、一般的に使われる体性幹細胞のようなレベルのものまでもある、特に先端的な技術については一定程度施設を限定するという方法もあるのではないのか、そこでの検証を踏まえて一般的医療になるものかどうか議論していくのが良いのではないのか、という御意見がありました。更に、細胞治療を含めて細胞の確保の基準や培養士の技術認定を議論する必要があるのではないのかと。更に、医政局長通知、参考資料にもありますが、平成22年3月31日付けで出させていただいているこの通知については、遵守されるよう見直しが必要ではないのかという御意見をいただきました。これが大きく1番の再生医療のルールの必要性ということで、おおむね一定程度のルールは必要だということとともに、留意事項あるいは、このようなルールの考え方があるのではないか、というような御意見でした。
 2番目として、国民への情報発信、公開の重要性ということで、再生医療は夢の治療として非常に期待されがちだが、そうではない問題も中にはある、専門家と一般の方の知識の乖離というのは少なからずあることから、国民への情報公開、情報の発信と共有というのが重要ではないのか、という御意見をいただいています。更に、倫理面への配慮ということで、本委員会の名称は「推進と安全性確保」なのだから当然のことながら生命倫理への配慮ということも議論されるべきであろうということで、第1回目の主な御意見を簡単にまとめたものについて御説明申し上げました。以上です。
○永井委員長 ありがとうございます。ただいまの御説明に、御質問、御意見、いかがでしょうか。
○早川委員 これは意見がこうであったということなので、意見がそのままであればそれで結構なのですが、例えばこの取扱いです。この委員会としてこういう意見があったということは理解するのですが、例えば(現状認識)の4番目のところです。「バイオ医薬品も遺伝子組換えを行っているが、きちんとした法律があるから安全性が確保され」というところまではいいのですが、(遺伝子組換え食品と比較し)国民の理解があるとのくだりが、国民の理解は遺伝子組換え食品にはないけれどもバイオ医薬品に関してはあるという趣旨なのか、あるいは「きちんとした法律はあるから安全性が確保され」のほうにかかっているのか。もし後者であれば、それは事実認識としては間違いであって、遺伝子組換え食品については内閣府の食品安全委員会がきちんとした法律の下に構成されていて、その中で遺伝子組換え食品の健康影響をどのように評価するかということに関するルールもありますし、そのルールに則って専門の委員会が審議をして是非を判定しているということですので、そこのところは、書きぶりの問題なのですが、資料的には少し留意していただいたほうがいいのではないかという感じを持ちました。
○永井委員長 事務局から何かありますか。
○荒木室長 ありがとうございました。まさに早川委員が御指摘のとおりで、当日の第1回目のニュアンスとしては、バイオ医薬品というのはしっかりとした法律があるから安全性が確保されて安心感がある、一方、遺伝子組換え食品というのは、そういう法律があるにせよ若干国民の理解の差がある、というようなニュアンスだったかと思います。しっかりとした基準が必要だということを強調するために比較として出されたような印象ですので、厳密な意味では早川委員の御指摘のとおりだと思います。ありがとうございました。
○早川委員 「ルールの必要性」というタイトルの下で、ルールがあるものに対して国民の理解があるかどうかというのは、これは別の問題であって、ルールの是非、ルールの有無の問題ではないと思いますので、あえて括弧を付けておく必要があるのかどうか。そういう意味です。
○永井委員長 よろしいでしょうか。ほかに、いかがでしょうか。いまの点については、修正の上また次回に提示をお願いします。それでは、続いて、前回の専門委員会で御指摘いただいた事項について、事務局より御説明をお願いします。
○荒木室長 資料2ということで、前回の委員会で御指摘というか、こういうところについて調べておいて、あるいはこういうことでどういうことだというようなことでいただきましたので、そちらについての回答で資料2を準備させていただきました。
 表題がございますが、次ページ、「自由診療における診療状況について」ということです。こちらは机上配付している資料とともにという形になります。
 前回の御議論の中で、自由診療において様々な再生医療という名をもって、いろいろなことがされているのではないか。この辺の実態の把握、どういう実情になっているのかが分からないのか、というような御指摘をいただきました。結論と申しましては、悉皆的な把握は難しいものがありましたので、まずはWeb上でこういうようなものがあるという事例提供ということでさせていただきたいと思っております。
 資料2の1ページ目です。「自由診療における診療状況について」ということで、様々な再生医療という名の下でされていますが、例えば脂肪幹細胞を用いた再生医療の広告ということで、どういうことがされているかです。まず(事例1)として豊胸術ということで、例えば配付資料の事例1と併せて御覧いただきます。まず事例1につきましては、大学病院などの公共機関でも導入されている御自身の幹細胞を使用する、世界一安全な再生医療豊胸術ですというような話。あるいは異物を挿入せず、御自身のバストをボリュームアップするため、入替えが必要なく、一生ものの究極ナチュラルなバストを実現できます。要らない脂肪を吸引し、“幹細胞”として御自身のバストへ注入しますので、痩身とバストアップ両方を叶えることが可能ですというように、最先端の再生医療を使って、しかも安全かつ究極の治療法ができるということを、ホームページ上で謳っているのが事例1です。
 (事例2)で幹細胞バンクです。こちらについては、御自身の脂肪から採取した幹細胞を-150℃の窒素タンクで凍結保存し、将来の疾患治療等で御活用いただく「保険」としての細胞保管サービスです。幹細胞を使った再生医療は私たちが本来持っている自己再生能力を最大限に活用する、無限の可能性を秘めた医療です。費用としては180万かかりますが、御自身の幹細胞を保存する。これは民間のクリニックでされているものがございます。
 (事例3)ですが、机上配付資料で11ページになりますが、先端の再生医療(脂肪由来間葉系幹細胞移植治療)ということで、糖尿病あるいは脳梗塞後遺症など、様々な病態に対応して適用しているということで書かれております。このような形で事例報告となってしまいましたが、自由診療においても脂肪幹細胞だけに限っても、このような再生医療が実際になされている。あるいは広告されているという現況です。これが最初の宿題の部分です。
 次にヒト幹細胞臨床研究ということで、大臣告示に基づきまして審査をし、大臣に意見を発出するものが、今年の10月現在で57件ございます。そちらについて本当に簡単なサマライズですが、どのような分布、どのような領域で研究されているかが2ページ目です。これは累積になりますので、年々増えてきているように見えますが、実際のところ、審査件数も増えてきています。更にいろいろな機関から出てきています。多いところでは大阪大学の7件、先端医療振興財団の5件、名古屋大学の3件、以下様々な大学でなされていることになります。更に領域としましては、血管系とかバージャー病、ASOとかそちらの方の件数が多いと思いますが、血管系、あるいは骨、角膜、心臓系、肝臓、歯周組織、脳血管障害等、幅広い臨床研究がなされています。
 3、4ページは今の57研究の一覧ですので割愛させていただきます。
 5ページ、これはヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針の見直しをしているということで、そちらとも連携を図ってという御意見もありましたので、具体的に今どのような検討をしているかを、情報共有させていただきたいと思います。
 指針改定の経緯で、この指針自体は、平成18年7月に大臣告示として策定されています。その後の研究の進展、具体的にはiPS細胞の樹立がありますが、こちらを受けまして平成22年11月に全文改正を行っています。更に臨床研究における使用を前提としたヒト胚性幹細胞、いわゆるES細胞についても、ヒト細胞の幹細胞の樹立と分配に関して倫理性、安全性、品質等の観点から検討をするということで、引続き平成23年10月から今も議論を行っているところです。
 論点ですが、ヒトES細胞が臨床研究において使用できない課題への対応が一つあろうということで、こちらについては倫理的な課題も十分配慮しつつ、ヒトES細胞を用いた臨床研究を実施することができないという課題の解決に向けて、十分な検討をする必要があるということで、検討をしています。更には今後考えられる多数の患者への同種移植のためのヒト幹細胞の取扱いということで、これまでのヒト幹の57研究ありますが、ほぼ自家細胞、御自身から採った幹細胞を用いた治療ですが、今後、多数の患者への同種移植も可能性として広がってきます。こちらにつきまして、ヒト幹細胞を保存する。即ちヒト幹細胞のストックについての定義をすべきであろうということで、株化されたヒト幹細胞が有する既知の課題への対応。樹立、保存、分配等の過程における汚染への対応方策、contaminationの防止、予期せぬリスク(未知の感染症、あるいは遺伝性疾患)への対応方策づくりについて検討をする必要があるということで、現在、検討をしています。
 6ページ、これは安全性確保の枠組みから見た、似たような細胞治療、あるいは幅広く言えば臓器移植、あるいは生殖補助医療との対比ということで、こちらも特に御指摘をいただいたものがありましたので、簡単にまとめています。カラムの真ん中が臓器移植、右端が生殖補助医療です。まず臓器移植ということで、(脳死下)の臓器移植ですが、関係規制としては、法律に基づく施行省令規則、そしてそれに基づく(局長通知のガイドライン)がございます。その中で施設の登録、設備の基準、人員基準等については、ガイドラインにおいて条件(例えば施設の類型、臓器摘出に必要な体制の確保、臓器摘出についての院内合意、そして脳死判定を行う体制の確保)が定められています。移植施設については、具体的にはこのガイドライン第11に基づきまして、学会が認める。つまり移植関係学会合同委員会が選定する施設が対象となっています。
 次に治療の実績報告はどうされているか、あるいはフォローアップ体制がどうだということですが、関係学会による任意の登録制度、あるいはあっせんが行われた臓器の数につきましては、各あっせん機関が把握をしています。各あっせん機関、具体的には臓器移植ネットワーク、角膜についてはアイバンク等がございます。更に心臓等の移植については、臓器の廃絶や移植を受けた患者の死亡などについて、臓器移植ネットワークがその報告を求めているということです。更に保険適用ということで、小腸を除く様々な臓器の移植については保険適用です。小腸移植については先進医療で見ています。
 更に罰則規定はどうかということで、臓器の売買、あるいは無許可のあっせん業等に対しては、懲役又は罰金ということで罰則規定があります。これが臓器移植です。
 次に生殖補助医療ということで、これは国としての関与ですと、(特定不妊治療助成)事業という補助金による助成をしていますので、そちらに基づいた関係規制という形で絞らせていただいていますが、関係規制については具体的なものはない。その補助金を地方自治体に出すことについての「要綱」が定められています。そちらについての施設基準、設備基準あるいは実施施設については、実施施設として都道府県等知事の指定。設置基準、人員基準については要綱で定めたものがあります。更に治療実績報告、フォローアップについては、原則、(日本産科婦人科学会を通じて把握)をしております。更にフォローアップもそのとおりです。
 更に保険適用についてはなし。罰則規定についてはなしということで、医療機関の指定の取消しの規定が要綱上あります。生殖補助医療については国の補助という観点からの関係規制等の説明ですが、それ以外に関係学会である日本産科婦人科学会の戒告等において認めている、定義されているものがございます。これが資料の6ページです。
 次に再生医療において、様々な事故等もあったのではないのかという御指摘で、二つ御指摘がございましたので、そちらについての動向なり概要を簡単にまとめたものがあります。一つは京都Bethesbaクリニックに関する動向の(概要)です。こちらについては京都に2010年5月、韓国のバイオ関連会社の協力病院として開院されています。診療内容はホームページに書いてあるものを抜粋していますが、脂肪幹細胞を特許技術で急速培養し「億単位の脂肪幹細胞を静脈経由で全身投与によって自己免疫性の疾患、あるいは虚血性の疾患、脳神経疾患などの治療をしているということです。その年の9月、幹細胞治療剤の投与を受けた韓国の方が、肺動脈塞栓症で死亡された。実際のところの因果関係は不明となっていますが、そのような報道になっています。更に12月、開設に伴う京都市の立入検査があり、翌年の5月には不動産の差押えとともに、現段階では1年以上にわたって休診になっているのが動向の概要です。
 8ページ目、これも委員の方からドイツにおける幹細胞の死亡事例等もあったけれども、その辺どうなっているのだったかというようなお話でしたが、これも報道情報からの要約で恐縮ですが、こういうものになっております。ドイツでは2007年の1月と、もう5年以上前に、ドイツ・X社が幹細胞を使った治療を開始したということです。こちらは自家骨髄幹細胞、間葉系幹細胞を用いて、再生医療を実施するヨーロッパで最初の施設ということで、ドイツの法律あるいはヨーロッパのガイドライン、国際標準化機構のISOをとっているということになっています。方法としては腸骨から採取した骨髄の間葉系幹細胞、こちらを対象疾患に併せて、脳室内投与をしたり、腰椎穿刺をしたり、動脈カテーテルによる投与をしたということです。対象疾患は難病であるALS、あるいはアルツハイマー病、パーキンソン病から脊髄損傷、あるいは脳性まひ、網膜色素変性症等となっています。実績としては、日本を含む世界各国から4,000名以上が受療したというようなことを、実績として掲げていました。2010年5月にアゼルバイジャンの方が脳内注射後、急性脳内出血で死亡した。国籍不明ですが、同様に脳性まひの方に、脳への幹細胞投与後、脳内出血で死亡ということで、2011年1月にドイツ保健省で、脳や脊髄への直接の幹細胞投与の禁止。更には2011年4月に多くの欧州諸国において、幹細胞治療のガイドライン強化がなされたということで、商業ベースでの投与は不可となった状況で、ドイツ・X社自体も幹細胞を使った治療の中止を発表し、閉鎖(破産手続)に入りました。日本においても、メディカルツーリズムとして提携している日本の会社が、このコーディネーションを打ち切ったということになっています。これが8ページです。
 9ページ、先ほどのBethesdaの件等を受けまして、日本再生医療学会から声明文を出されています。これの要約で、国内の医療現場においては、正規の手続を行わず、幹細胞の輸注、投与、移植等の、いわゆる再生・細胞医療と称する行為が行われ、種々の医療事故等が発生している。
 日本が他国から幹細胞治療において、「therapeutic heaven」として利用される、あるいは(既にされつつある)ことについて危惧を覚える。再生医療学会としてはこれらに関して国民の皆さんに幹細胞治療に対する誤った認識を持たせてしまうことに対して、強い憂慮をすることをもとに、各学会会員に対して、患者・患者家族に対して、行政に対して、それぞれ要望というか意見を出していただいております。学会会員に対しては、患者の安全性の確保と早期の再生医療の適正な実用化のため、各種法令等を遵守してください。未認可の幹細胞を用いた医療に関与しないでくださいということが求められています。
 患者・家族の方に対しては、根拠なく行われる「未承認の再生・細胞医療」については、安易に受診せず、治療を行う医療機関が、その当該治療に関して、公的機関から承認をされているか、若しくは臨床研究や治験の承認を受けていることを確認した上で判断されてはいかがかというような推奨をされています。
 行政につきましては「未承認の再生・細胞医療」に対して、医療法、薬事法等の改正等を推進すべきこと。適切な新しい医療提供体制の構築による患者の安全性を早急に確保することを切望する、ということをいただいております。これは2011年1月に出されたものです。
 10、11ページにつきましては、国民の方に対して、しっかりどのような再生医療、あるいは例えばiPS、ESについては、どの程度まで、どういうことができるのだということを、しっかりと情報を公開して共有を図るべきだということで、今年度から厚生労働省でやっている事業として、ヒト幹細胞情報化推進事業がありますので、これが10ページに書いています。こちら、国内外の大学研究機関によって作成・保存されているヒト幹細胞の作成・保存方法、性質等の情報を取りまとめ、これは研究者及び患者等に対して情報の提供を行うヒト幹細胞データベースの構築を行うこと。更には国内外の研究者は、このサイトにアクセスすることによって、ヒトの細胞を見つけて利用できるようになるということ。更に患者さんについても、幹細胞治療はどういうことがなされているか。使用されているヒト幹細胞の利点・欠点等が分かるようになるということで、こちらの事業は今始まったばかりですが、構築をしているところです。
 11ページは文部科学省がiPS細胞について、「iPS Trend」というホームページで、どのような形でiPS細胞について基礎研究を中心に、どういうことがされているかをホームページで公表されていますので、これも参考までに載せています。
 12、13ページは、前回委員からPMDAの科学委員会というのが設置されていますので、そちらとの情報共有も図ってはいかがという御指摘でございました。12ページ中ほど、科学委員会の設置ということで書いていますが、先端科学技術応用製品に係る評価方法について、基礎技術の段階から開発支援、承認審査、市販後安全対策の各段階まで、アカデミアと審査員等との意見交換を通じて、評価方法等について模索していく枠組みとして、今年の5月に設置されました。特にその先端科学技術応用製品ということで、再生医療分野のものについても、大きなターゲットになっていると理解しています。
 こちらが更に科学委員会の設置とともに、大学等のアカデミアから委員として参画するとともに、人材交流を図って審査等改革本部がなされているというように伺っています。
 13ページ、科学委員会・審査等改革本部のイメージということになっていまして、右側の科学委員のメンバー構成です。医歯薬工等の外部専門家で構成されています。会議は親委員会、専門部会とも、個別事例を基に議論することがあり得るため、非公開を予定ということですが、議論の内容についてはホームページで公開されています。個別品目の承認審査、個別には関わらないが公正性の確保をしっかり図っていくということで、親委員会、専門部会、それぞれ役割分担をされていると伺っています。説明につきましては冗長になりましたが以上でございます。
○永井委員長 ありがとうございます。それではただ今の御説明に御質問等御意見をお願いいたします。
○今村委員 6ページですが、生殖補助医療についての今の規制の在り方が書いてございます。これにつきましては、現在IVF-ET等による生命の誕生、赤ちゃんの誕生というのが、大体年間3万例ぐらいに達していて、非常に我が国では普遍的な医療技術になってきております。生命の誕生という非常に大事な問題に関わらず、この規制が学会の会告、あるいはガイドラインでやられているに過ぎない。罰則規定につきましても、それに違反した場合には、学会の登録の取消しという程度のものしかないということで、非常に問題があると思っております。学界あるいは司法界からは十数年来、きちんとした法規制の下に置くようにという提言があるにも拘らず、こういう状態で、日本医師会としても非常に問題意識を持ちまして、現在、日本医師会の会内に生殖補助医療法制化検討委員会を立ち上げまして、この法制化について検討を行っております。ある程度煮詰ったところで当局の方にも是非御参画いただいて、このようなことについて一緒に検討をしていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○永井委員長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
○宮田委員 5ページの指針の見直しを進めていらっしゃることは、非常に素晴らしいと思うのですが、多数の患者の同種移植の指針の見直しを今どうやって取り扱うかを議論しているとおっしゃいますが、一方で薬事申請のほうで、日本で他家の移植がフェーズ?に進んでいるという現状があります。ですからそういう意味で、ここの前回の議論でもありましたが、この薬事申請よりも実は臨床研究のほうが遅れているというような実態をどうやって調整していくのかということを、もう少しプロアクティブな規制を考えると、申請がないからやらないと、あぐらをかいているのではなくて、もう少しプロアクティブに、しかも薬事申請ではある一定の情報が厚労省には得られているわけで、そういう形でもう少し前向きに進めていただくような手配も重要なのではないかと思います。
 その前の3、4ページ、これ御覧になっていただければ分かりますが、臨床研究の期間、ちょうど27件か26件が終了しているのです。24年1月とかの終了が非常に多いのですが、では、この臨床研究の結果、何が分かって、何が分からなかったのかということを、我々は本当に把握しているのだろうかということが、非常に問題だと思います。臨床研究において、本当にトランスレーショナルな形で、実用化に進められるものと、そうではないものが、どのように仕分けられて進められていくかという情報、例えば、先進医療のほうに行くのか、臨床治験に行くのか、それとも中断か?ということも含めて、もう少しこれは解析しなければいけないのではないでしょうか。患者を使った臨床研究は非常に重要ですが、できればそれが本当の意味で、最新医療を国民に届けるような流れに繋がらないと、臨床研究というものは一体何なのだと、人体実験かというような考え方すら出てくると思うので、制度全体で継ぎ目がないような形で、是々非々で進めればいいと思いますが、この臨床研究がうまくいかなかった研究の経験も共有しつつ、再生医療という新しい革新的な医療を我々進めていくような体制を整えるべきではないかなと、この表を見ただけで個人的な感想で申し訳ありませんが、思っております。
○永井委員長 今の点いかがでしょうか。
○荒木室長 今2点御指摘をいただきましてありがとうございます。まず最初にヒト幹指針の見直しについては、まさに御指摘のとおりでございまして、できるだけプロアクティブにというようなことでございます。前向きにしっかりと対応したいと思います。
 ヒト幹指針の臨床研究についても、終了している課題も確かにございます。こちらについては、ヒト幹指針上、報告を受けることにもなっておりますので、必要な段階でその報告を取りまとめたような形にすべきだと、評価をしっかりするということだと思います。今57件、安全性か有効性かというと、安全性の評価のヒト幹の研究がほとんどだと思いますが、その結果としてもしっかりとサマライズすべきだということで、御指摘をいただきましたので、そこについては十分検討させていただきたいと思っております。
○伊藤委員 もう少しいろいろなお話を伺ってから発言しようかと思っていたのですが、こういう先端技術といいますか、今の再生医療やiPSへの期待とか希望というのは、患者にとっては、非常に大きいものがあります。期待が大きいだけではなくて、本当に生きる希望にもなっている状況があるわけです。そういう中で、今日の資料にもありますように、様々な所で研究がたくさん行われており、関わる企業もどんどん増えていく。そして、研究も国の一つの戦略として捉えられているわけですし、たくさんの省庁にも関わっている。文科省、厚労省、経産省という省庁にもまたがっていますし、たくさんの学会や企業にもまたがって起きているわけです。それぞれに、それぞれの規制なり倫理での監視なりしているわけですが、これだけ期待が大きくなって、様々に広がっていく、今後ももっと大きくなっていくだろう再生医療について、個々の学会や省庁で規制をしたりというようなことだけで済むのだろうかという疑問が当然あるわけです。海外、今のところは小さい例ですし、極わずかな例と言えばそれまでなのでしょうけれども、必ず大きい事故は起きる。そういうことを大前提にしていけば、このように個々の学会や研究者の個人的な善意や倫理感にだけ任せておいていいのかということも、当然患者団体の中にも大きな懸念としてありますので、早いうちにこういう省庁間、あるいは学会などを網羅するような強い権限を持った監視。規制のシステムを早く構築するべきではないか。前回もあったのですが、これはせっかく研究をしているモチベーションが下がるという御意見もありましたが、一生懸命やっている方々には、そういう面もあるでしょうが、推進とそういう規制や監視というのは、全く別個な組織にしていけば、もっと研究の方々も安心して進めるでしょうし、大体、推進をする人と規制、監視が同じメンバーでやっているということ自体も、規模が小さいうちはいいですが、大きくなると当然それでは間に合わなくなるわけですから、私たちとしては、是非大きな事故や問題が起きる前に、監視と規制のシステムを別個に作っていっていただきたいと、意見として申し上げたいと思います。
○永井委員長 今の点、いかがでしょうか。
○荒木室長 貴重な御意見として承りました。
○永井委員長 現在行われているヒト幹指針に従った研究というのは、先ほど事務局から説明がありましたが、ほとんど安全性試験なのです。極めて画期的であれば少数例でも分かるわけですが、そういうものは今のところなくて、統計処理をしないと分からない。しかもできたら二つの方法を比較する試験を行わないといけないのですが、まだそこまでは行っていない。安全性試験で確認するところでは今精一杯というのが状況なのです。いかがでしょうか。
○辰井委員 自由診療の話がいろいろ問題になるのかと思うのですが、せっかく御専門の先生方がいらっしゃる席なので、再生医療の広告として挙げていただいたものをぱっと御覧になって、これはどの程度、どのように眉唾なのかということを明確に教えていただけると、私たちとしては問題が把握しやすいところがあります。
○永井委員長 これは事務局いかがでしょうか。
○大和委員 話しにくい人が多いと思うので、私からお話しさせていただきます。基本的には我々が臨床研究をおこなう場合には、細胞を使った実験、小動物を使った実験、ブタもしくはサル等の大動物を使った実験を経て、ヒトに行くということです。そのいずれのステップにおいても、査読付きの英語論文として発表し、最後にヒト幹指針の厚労省審査に申請いたします。ここに出てきているものは、たぶん全てと言っていいと思いますが、そのような前臨床、動物実験のエビデンスがなくて、いきなりヒト患者さんに行なっている。例えば豊胸の件に関して、先ほどの「80〜90%で半永久的にそこに残ってくれる」などというのは、何のエビデンスもないと思います。私が知る限りという留保を付ける必要があるかもしれませんが、絶対にないと言っていいと思います。
 6ページに臨床研究でこういうのがされていて、前臨床研究ではこういうのがされていてというのは一部、もしかしたら全部事実かもしれませんが、だからといって、すなわち研究があるからといって、有効かつ安全という証明がなされているわけではないのです。その有効とか安全とかを初めてヒトで調べているのが臨床研究です。さらに、そういう臨床研究が世界のどこかにあるからといって、自分のクリニックでやって良いというロジックもいかがなものかと考えます。
 最後のものはきちんと読んでおりませんが、教科書に書いてあるようなことが書かれてあって、だからいろいろな疾患に使えますというロジックとなっています。しかし、個々の適応疾患毎に評価されるべきです。さらに、我々が臨床研究をおこなう場合、クリアカットなデータを集めるために、その適応をかなり限定的にするのが一般的です。ところが、このようなクリニックは非常に一般的にどんな疾患にでも効くかのような言葉が並んでいて、我々としては非常に違和感を覚えるところです。ちょっと大雑把ですが、このようなところです。
○位田委員 今のこととも関連するのですが、要するにもう既に使われている、本当に増えているかどうかは分からないわけですが、臨床研究もやらないで「自由診療」という名前で使われている。問題は何が自由診療で許されて、何が駄目なのかということを何で規制をしているかという問題だと思うのです。ただ、日本では臨床研究指針というのがありますが、あれは法的拘束力が何もない。そうすると、こういう自由診療を駄目だという話だけではなくて、実効的にこれを禁止し、若しくは制限するために、何が必要かという問題。若しくは今本当にこれを規制する手立てがあるのかという問題があると思うのです。そうすると、特に再生医療など最先端の医療に関して言うと、いろいろな外国を調べてみると、例えば法律で臨床研究をやることを義務付けて、若しくは臨床研究の条件なども定めている。それに違反すれば当然法律違反ですから、何らかのサンクションがある。日本はそれは実質的にはないわけです。そうすると、どういう手立てでもって今後、再生医療の安全性確保の規制をしていくか。恐らく研究から実際の臨床研究へという点では、研究なので、できるだけ法律は作りたくないとおっしゃる方が科学者の方には非常に多いと思うのです。
 実際に今度は、では、医療に本当に使う段階になると、薬事法だけでいいのか、若しくは再生医療なら再生医療に関する特別法が要るのか。もっと一般に先端の医療の研究から臨床応用に行く段階のプロセスを規制する法律が要るのか。その辺の手立てをきちんとしておかないと、指針を作ればみんなが従ってくれるだろうというのが今の日本の状況なのですが、それを破ってこういうことをやる人は必ず出てくるので、それをどう実効的に抑えていくかというのは、考えておく必要があると思います。
○宮田委員 私もその意見には賛成ですが、法律だけで取り締まれるのかという疑問も一つあります。前にもお話をさせていただきましたが、国民の方でも、例えば末期の父親に対して、何らかの「言い訳医療」と言っては悪いのですが、何かしたいと。そのときにこういうようなものが、今これ以外にもはびこっていると思うのですが、国民のそういった自由を制限する法律を、果たして作れるかという疑問を、皆さんと討議しなければいけないというのが一つです。
 そうすると、本当は我々メディアの立場で言うと、国民が賢くなってくれて、これに騙されないというのが、いちばん健全なステップであろうと考えているのです。あるいは騙されても300万ぐらいは使おうかという覚悟でやっていただければいいのですが、今大和委員がお話したとおり、まるであたかも効果があるような、そして、しかも安全であるような形で、業として実態としてなされていることは私も問題だと思うのです。
 それを一方で国家として再生医療を推進すると決めたときに、便乗してそのような商法がはびこるようなことは、国民にとって再生医療に対する信を失わせることになりますので、私は大問題だと思うのです。それは今委員の御指摘のような法律でもいいし教育でもいいし、学会としてのプロフェッショナルな自主基準でもいいし、あらゆることを組み合わせて、ベストマッチをここで議論すべきだと考えています。何でもかんでも法律を作れば私はいけるとは思いません。当然、薬事法では再生医療が規定されていないので、そういったことは、しっかり法的にまず作った上でですが、是非ベストミックスの手段を委員にも教えていただきたいと思います。
○位田委員 私は法律を作れば何でも解決できるとは思っていないのですが、基本になる法律はやはり作っておかないといけないのではないか。その上に実際にいろいろな手立てを考えておく必要があると思います。
○伊藤委員 結局、これだけの事例もWebサイトから拾わなければなかったという状況もあるわけですね。そして、騙されてはいけないよという、騙されたほうが悪いと言えばそれまでなのでしょうけれども、騙されてはいけないということをさんざん言っている「オレオレ詐欺」だって、なかなか後を絶たないということもあって、簡単な病気でというのでしたら、それは個人の自由でしょうけれども、これだけたくさんの、本当にこれ絶望に近い難病がたくさん並べられていると、患者にしても家族にしても、それを知った以上は、どうしても飛びつかざるを得ない。そういうときに単なる治療とか研究の規制というだけではなくて、そういうもの全体に対してどうするのかということを考えていただきたいというのが、私の先ほどの発言の真意です。
○町野委員 前回申し上げたことだと思いますが、医療の規制ですから、これはかなり大変な話で、2種類の規制の仕方がこれまで伝統的にあった。一つは医業そのものを規制するというやり方です。これ例えばあんまとか鍼とか、更にいろいろ関わってきますが、そういうようなタイプでやるのかという問題が一つ。これは恐らくかなり難しいだろうと思います。
 もう一つは医療の内容で規制をするということで、恐らく多くの方はそのことをお考えだろうと思いますが、これは日本には例がないということを、まず御記憶いただきたいと思います。臓器移植法がこの延長線上にあるものだと思いますが、例の病腎移植のことが問題になったときにも、病腎移植を規制できるかというと、これは法律上は難しいことが明らかなのです。唯一ある条文が「医師は移植医療をやるときについては、適切な注意をはらえ」というその一文しかない。そして、他方、医療法では、医療者側の義務というのをやっておりますが、大枠の規制はそれしかない。そして、恐らく大枠の規制があって、中の枠組みを作れという話を先ほどされていますが、そこができるかどうかが最大の問題。大枠の規制はその限りでは既にあるわけです。
 他方、8ページのドイツのこの例で、私は実は十分に検討はしておりませんが、ドイツの臓器移植法は、この4、5年前でしたか、もっと前でしたか、改正されて組織まで入るようになり、更に組織の中に個々の細胞まで含むようになっていますから、幹細胞の移植も恐らくこの法律の問題だとされたと思います。そして、自家移植についても臓器移植法は規定しているのです。だからその関係でなったのだろうと思いますが、実はドイツ法を専門にしているのは私ですから、「おまえが調べろ」というのですが、残念ながらまだ調べておりませんが、恐らくそうだろうと思います。
 この一連の新聞記事から見ますと、8ページにあるのですと、結局のところ、これは法律違反ということで介入したわけではなくて、最終的にガイドラインの強化によってこれが不可能になった。これがどのような事情か。これヨーロッパの場合は、ヨーロッパの一応の基準を作って、それに従って運ばれていますから、これはただの国内法だけの問題ではないと思いますが、その辺も調べてみる必要があると思います。だから幹細胞のこれについて規制を加えたということは、恐らく一つの参考にはなる話だろうと思います。ただ、日本ではこういうことは今までやっていなかったということに、まず気をつけるべきだと思います。
 ついでながら先ほどの対照表ですね、生殖医療の6ページのこれを見ましても、今のようなことで、つまり幹細胞移植の医療そのものについて、参考になるものが一つもないということです。前に申しましたとおり、薬事法の方も薬の適用については何の規制もないのです。あれは製造についてだけですから、薬事法の規制がかかっていないからけしからんという議論というのは、今はそれはできる話ではないということだろうと思います。
○永井委員長 そろそろ次の議論に移りたいと思いますが、ただ、ちょっと気をつけていただきたいのは、あらゆる治療は確率論的だということなのです。奇跡的ではないのですね。ですから100人中、もちろん中には90人に効く治療もあるでしょうが、中には100人中3人にしか効かない治療もあるわけです。個人個人から見たら無効と見えるかもしれない。集団で有効でも個人個人には効かないことも十分あるわけです。そういう意味ではデータを取りながら議論をしませんと、はっきりと法律できれいに分けるというのは意外と難しい面があります。このことは、是非御考慮いただきたいと思います。御意見はいろいろあるかと思いますが、次の課題の中でも御意見をいただければと思います。ただ今の御指摘の事項については、次回に御報告させていただきます。
 前回の専門委員会の御意見で、再生医療のルールの必要性、ただ今のお話にも関係がありますが、その点につきまして、国内の制度的枠組みについて事務局にまとめていただきました。それを御説明いただけますでしょうか。
○荒木室長 資料3「国内の制度的枠組み等について」です。これまでどのような議論がなされてきているかをサマライズしたものです。まず、「再生医療における制度的枠組みに関する検討会」、まさにその名のとおりの検討会を平成21年度から平成22年度末まで、2年間かけてやっておりました。
 「経緯」です。規制改革推進のための3か年計画というのがありました。その中で、医療機関が患者から採取した細胞について、別の医療機関において培養・加工を行った上で患者の診療に用いることが、現行の医療法の下で可能であること、及びその条件を明示し、周知徹底するということ、これが平成21年度の検討でなされた先ほどの医政局長通知です。
 もう一つが、再生・細胞医療にふさわしい制度を実現するため、自家細胞と他家細胞の違いや皮膚・角膜・軟骨・免疫細胞など、用途の違いを踏まえながら、現行の法制度に捉われれることなく、臨床研究から実用化への切れ目ない移行を可能とする最適な制度的枠組みについて検討する場を設け、結論を得るということが、平成22年度の検討の内容です。
 「検討会の開催」ということで、最終的な結論が書いてありますが、平成21年度の検討については、医政局長通知という形で発出されております。さらに、平成22年度の検討につきましては、取りまとめ報告書という形になっております。
 2ページです。「検討会での検討範囲」ということで、左側は平成21年度の検討範囲です。これは、今の再生・細胞医療の共同での診療をどう考えるのか、これは薬事法の規制の対象外のものですが、例えば加工医療機関と依頼医療機関、両方とも医療機関ですが、患者と直接細胞を採取、投与する医療機関と別に、加工医療機関、CPCを有するような細胞の培養・加工をするような医療機関の関係を、共同でやった場合に、どのようなルールが必要なのかを議論し、その結果が平成22年3月に通知としてなされております。
 平成22年度の検討範囲ですが、それを製品化した場合、現在の薬事法における規制対象の範囲の中で、医師以外の細胞加工業者がCPC等を有している細胞加工する業者として、どのようなルールが必要なのか、どのような枠組みで達成するかという検討を行ったものです。
 3ページです。少し詳しくなりますが、平成21年度の検討の「基本的な考え方」の結論です。自家細胞・組織の加工を医療機関において実施する場合の要件を取りまとめました。更に、現段階における再生・細胞医療の実態等を踏まえ、薬事法に基づく承認取得や保険収載をした上で、幅広く実施される以前の段階における必要とされる要件を中心に検討される、すなわち薬事承認の前の臨床研究の段階のものということです。あるいは臨床研究、あるいはということです。
 薬事法に基づき、有効性及び安全性が評価されていない段階では、まず臨床研究として実施する際の要件を定めた「ヒト幹細胞指針」と同等の安全対策を講じる必要があるのではないのかということになります。
 例えば一つの医療機関で実施する場合には、倫理審査委員会を開催すること、あるいはカンファレンス等で診療情報の共有をすること、更に交差汚染を防ぐための必要な措置、安全キャビネット等の必要な設備を有すること。重要なのは四つ目ですが、評価療養の対象でない再生・細胞医療等は、まずは研究として実施してくださいということを書いています。
 そして、その評価を得たものについては、次のステップとして先進医療等の評価療養の枠組みに進んでいただければ、ということが書かれています。
 「複数の医療機関が共同で実施する場合」についても、同様ですが、倫理審査委員会、これはそれぞれの医療機関で固有のものを設置してくださいと。そして、それぞれがしっかり情報共有するために、倫理審査委員会の議論の内容が分かるような書面の交換等をしてください。こういうような要件を加味した上で、医政局長通知として出させていただいています。
 4ページ目が平成22年度の報告書の概要になります。こちらについては、再生・細胞医療を臨床研究から実用化へ切れ目ない移行を可能とする制度的枠組みの考え方ということで、自己細胞由来製品について、「品目毎に国が承認する必要はなく、製造施設を認定する制度としてはどうか」という問い掛け、更には、「自己細胞由来製品であっても細胞の性質等の変化を伴うことから、個別に審査する必要がある」という御意見、「問題が起こってからでは遅いので、事前に確認するべきことはしっかりとチェック、確認すべきだ」という議論がございました。
 「結論」としては、再生・細胞医療製品としての有効性・安全性の評価、管理については、品目毎に行政による承認審査、安全対策等が必要ということが出されています。下に簡単に書いていますが、米国のFDAあるいは欧州医薬品庁のEMAにおいても、品目ごとの製造販売承認(自己・同種とも)という形になっているということです。
 5ページです。さはさりながら、質の高い製品を迅速に開発する方策として掲げられた項目です。主な項目としては、薬事戦略相談を創設すべき、確認申請の廃止、更には、再生・細胞医療製品の特性にあった評価指針の作成を検討すること、開発支援についてもオーファンの制度について柔軟な運用を行うこと、更には審査の質の向上ということで、学会との協力・連携によりPMDAの審査の質やサービスの向上を図る。更には臨床研究・治験の促進策、あるいは関係学会とも規制当局との意見交換の場を設けることが有用ということで、このときに出された方策あるいは対策というのが、現行、PMDAの科学委員会等で実現していると理解しております。
 更に、薬事法等制度改正部会というのが平成24年1月にまとめられています。こちらも永井先生のもとで、議論されたものですので、私が説明するのもあれでございますが、こちらに書いてありますように、こちらは再生医療に限らず薬事全体のことで、医薬品・医療機器等の安全対策の強化を主に議論されていますが、その中で再生医療製品についても、「?医療上必要性の高い医薬品・医療機器等の迅速な承認等について」の枠の下の3.ですが、「再生医療製品など先端的技術を用いた製品への対応」をしっかりやるべきだということになっておりまして、その具体的なコメントが7、8ページになります。
 こちらに書いておりますように、1.は皆さん御存じのことなので飛ばしまして、○の二つ目「基本的な考え方」ということで、「代替治療がないような重篤な疾患については、新薬の承認審査で求められるようなランダム化の比較試験は必ずしも容易ではないということで、合理的に有効性・安全性を評価するようなデータで審査が進められる必要がある」という御指摘、○の三つ目ですが「PMDAとの人事交流など、レギュラトリーサイエンスの考え方に基づく共通の基盤、あるいは承認審査等の方針を明らかにするガイドラインの策定、更には医師主導治験に対する相談の充実を行うべき」ということです。○の四つ目ですが、我が国の現行の薬事法は再生医療製品など、法制度上どのように取り扱うべきかの知見が確立しているとは言い難いということで、下線の部分ですが、「再生医療についても医療機器と同様に、臨床研究の果たすべき役割が大きいことから、担当する部局間での連携もしっかりすること、そういう中で再生医療製品の実情の把握と特性を踏まえた制度の在り方をしっかりとやってください」というような御指摘をいただいております。これが医薬品等制度改正検討部会の報告書です。
 こちらを受けて9ページです。これは与党の民主党の医療・介護ワーキングチームの薬事法小委員会の取りまとめで、(4)再生医療製品の特性を踏まえた制度等の在り方ということで、ここは少し詳しく書いています。○の二つ目では、例えば「薬事法第2条の定義を改め、新たに再生医療製品の定義を置いてはいかがか」、あるいは○の三つ目では「再生医療製品にふさわしい製造の要件や承認の仕組みを設けるべきである」、あるいは「市販後のフォローアップの仕組みを構築すべきである」、最後に「再生医療については、医療として提供される場合と事業として提供される場合の違いを踏まえつつ、関係規制体制の中で同等の安全性を十分に確保すべきである。その際、生命倫理の問題も十分に配慮すべきである」というまとめをいただいております。
 そういうものを受けまして、医療イノベーション5か年戦略、あるいは日本再生戦略においても、薬事の部分、あるいは再生医療として既に提供されている医療の部分についての文言を書かせていただいております。
 下線を引いているところだけを見ますと、10ページ目ですが、4.「再生医療の特性を踏まえた実用化推進の仕組みの構築」ということで、(1)「国民が再生医療の恩恵を受けるためには、その実用化を加速する取組等の強化が必要」ということです。これは内閣官房イノベーション推進室を中心に、医薬品とは異なり、再生医療の特性を踏まえた再生医療推進に係る課題・仕組みについての検討をし、更に(2)で、再生医療の実用化に向けた薬事法等の担当範囲を明確にする、再生医療製品の定義を薬事法に置く、特性を踏まえた規制の仕組みの構築と市販後のフォローアップ体制の仕組みの構築ということで、これは平成24年度からの検討開始することを、厚生労働省として求められております。
 更に、(3)は、「医療として提供される再生医療について、薬事規制と同等の安全性の確保」ということで、これはまさに本検討会で既に検討を始めているという整理です。日本再生戦略についても、同様のことをまとめて書かれておりますので、こちらのほうは割愛させていただきます。
 13ページ以降については、担当の医薬局から説明させていただきます。
○松岡課長(医薬食品局総務課) 13ページに現在検討中の薬事法改正の方向性ということで、資料を付けています。先ほどもありましたように、これまで5か年戦略や再生戦略で掲げていますように、薬事法の改正といったことで検討を進めると掲げていましたが、その中で再生医療についての方向性ということで挙げています。
 まず、上にありますように、そもそも再生医療が進展している中で医療実用化を円滑に進める施策が講じられるようにするということです。先ほどありましたように、従来の医薬品・医療機器と異なる再生医療製品の特性を踏まえた安全性と倫理性の確保を通じて、国民の安全・安心を実現することが重要ということです。いまのところ、これまでも再生医療製品としては2品目、自家培養表皮、自家培養軟骨といったものが承認されておりますが、こういう特性を見て、これらについては医療機器といった扱いで承認しておりますが、新しく再生医療の特性を踏まえて、承認を進めているといったことです。これについて、こういうことで再生医療の迅速な実用化に対応できるようにするために、次期通常国会に薬事法改正を提出することを目指すということです。
 具体的には、まず第1には、今、申しましたように、再生医療製品を独立に扱うということで、薬事法にその規定を置くということで、それに即した形での再生医療製品の特性を踏まえた承認、市販後の対策等を行うということです。
 それから、2.早期の実用化に対応した承認制度です。具体的には、14ページを見ていただければと思います。大雑把なポンチ絵を描いたものですが、これまでの承認の道筋としては、臨床研究を重ねた上、治験を行い、有効性、安全性の確認をした上で承認をするということですが、再生医療の特性を見ますと、品質が不均一であるといったことがあります。特に、ヒト由来の生きた細胞を加工していますので、原料となるヒトの個人差などにより、たとえ同じ製造プロセスであっても、出来上がった製品間で品質にばらつきが生じるといった特性を持っております。そういうことがありますので、そういう特性を踏まえますと、治験の段階である程度有効性が示唆されるということと、その上で安全性については、そこの安全性についての確認が必要ですが、安全性を確認した上で、特別に早期に承認する制度を設けてはどうかということで、検討しております。
 更に、その上で早期に承認をした後は、市販後に有効性を見るとともに、更なる安全性の検証を行い、その上でまた改めて承認を行うか、あるいは特別な早期承認を行っておりますが、これは失効するといった形を取る。こういう形で、その後は引き続き市販をということであろうかと思います。
 この場合、特別に早期に承認した場合ですが、それから次の段階での承認といった間では、患者にリスクを説明し、同意を得るなど、市販後の安全対策を講じる。あるいはこれを使っていく医療機関についても、しっかりとした体制が組めているところでやっていただくなど、そういった形の安全面の対策を講じながら進めていくことを想定しています。こういったことで、患者へのアクセスをより早くしていくことを想定しています。
 13ページに戻ります。今、申しましたように、早期の実用化に対応した承認制度を設けるとともに、3.市販後の安全性、倫理性の確保を行うこと、こういったことを念頭に置いた改正を検討しているものです。これらについては、現段階で検討中のものですので、今後変更する可能性があるというものです。
 今、申しましたのは、製品化をして薬事法に乗ってくる、これは自家の場合も他家の場合もあるでしょうけれども、薬事法の製品という形で乗ってくるような薬事法のものについては、薬事法の世界できっちりと対応していくことを念頭に置いているものです。薬事法の関係については以上です。
○荒木室長 15ページです。先ほど副大臣からの御挨拶にもありましたが、国会議員の先生方の民主党、自民党、公明党におきましても、再生医療に関する法律を立法しようという動きがあります。そちらについての内容ということで、「再生医療を国民が迅速かつ安全に受けられるようにするための施策の総合的な推進に関する法律案」が考えられております。
 「目的」は、再生医療を国民が迅速かつ安全に受けられるようにするために、その研究開発及び提供並びに普及の促進に関し基本理念を定め、国、医師等、研究者及び事業者の責務を明らかにするとともに、再生医療の研究開発から実用化までの施策の総合的な推進を図り、もって国民が受ける医療の質及び保健衛生の向上に寄与することを目的とする」ということです。
 法律に規定する内容については、1.基本理念あるいは2.国等の責務、3.基本方針がありまして、更には4.基本的施策で、法制上の措置、あるいは先進的な再生医療の研究開発を促進すること、再生医療を行う環境の整備、臨床研究環境の整備、審査に関する整備、更には関係する事業、産業化の促進、人材の確保等が掲げられています。最後に、5.安全面及び倫理面の配慮ということで、再生医療の実用化に向けて、国民が早く享受できるようにということでの、推進の法律案が考えられているというものです。
 16、17ページについては、第1回目の資料としても御提示させていただきました資料で、国内においては薬事の規制、研究については大臣告示による規制、診療行為や自由診療の部分については医政局長通知で、それぞれ規制がなされていることを書いたものです。ここは簡単に飛ばさせていただきます。
 16ページです。これも副大臣からの御挨拶にもありましたように、平成24年度の予備費ということで、再生医療に関するiPS細胞等の臨床研究安全基盤整備支援事業で、移植に用いたヒト幹細胞を長期間保存しておくこと、あとで遡った際にそちらについての安全性・有効性がしっかりと評価できるようにということで、現行、予備費が閣議決定されて、公布し、更に審査をしている段階です。こちらは参考までの御紹介です。説明は以上です。
○永井委員長 ただいまの御説明に対して、御質問、御意見はいかがでしょうか。
○今村委員 ずっと御説明をお聞きしたのですが、大きな流れとして、省庁横断的にというか、国策として再生医療を推進していこうという意欲が強く見られる御説明だったと思います。
 それはそれで非常に結構なことだと思っておりますが、15ページの最後で、「安全面及び倫理面への配慮」ということで、当然臨床研究あるいは治験の段階でこういうものに配慮しなければいけないのですが、生命倫理に対する配慮と、個人情報に対する配慮、これはとりわけ大事なことだと思いますので、いろいろな資料、細胞を保存、あるいはそれを臨床研究に活用したりというときには、個人情報をきちんと保護して、患者あるいは被験者について守っていくという姿勢を見せてもらうというのが、この委員会の非常に大きな使命ではないかとも思いますし、先ほどから議論も出ておりますが、推進する立場の方と、それをチェックする方々を別個にして、そういう機能を持たせる工夫が必要なのではないかと思います。
○掛江委員 確認させていただきます。16ページについてで、これは前回も見せていただいた資料だと思うのですが、こちらのいちばん右の「診療行為として提供される場合の使用時・使用後のリスクへの対応」の2番目の○に「倫理審査委員会の承認」とあるのは、診療行為全てにこういうルールがあるという理解になるのでしょうか。
○荒木室長 参考資料1ですが、こちらが先ほどの医政局長通知です。第2章の1「再生・細胞医療提供の体制等」の(2)ですが、各医療機関でやっていただく場合には、「医療機関としての管理、責任体制を明らかにするため倫理審査委員会の承認を求めることが必要である」ということで、医療機関における自家細胞組織を用いて再生・細胞医療を実施される医療機関の皆様に対して、倫理審査委員会の承認を求めることが必要であるということで、地方自治法上の助言をさせていただいております。ですので、前提としては掛江委員が御指摘のとおりの認識です。
○位田委員 3点申し上げます。一つは、先ほど出てきた倫理審査委員会なのですが、どの指針でも倫理審査委員会を各機関に置かなければいけないというのははっきりしているのですが、倫理審査委員会が有効な審査をしているかどうかのほうが非常に問題で、再生医療のような最先端の研究、その応用に対して、倫理委員会の委員が内容を必ずしも十分に把握できていない状況というのはあると思うので、本当に各機関の倫理審査委員会に審査を任せてしまっていいのかどうか。例えばアメリカであれば、ステムセルの研究の倫理審査は、通常のURIRBとは別の形でやっているわけです。それはそういう必要があるから別の制度をつくっているのだと思うのですが、我が国では、基本的にはそういう制度にはなっていないし、指針で「こういう構成の倫理委員会をつくりなさい」と書いてあるだけで、内容についてはほとんどノータッチになっているので、その辺の倫理審査委員会任せというのが、私は非常に危惧を感じます。
 2点目です。先ほど14ページの図で御説明された特別早期承認制度ですが、これをやると進むのは非常に早いと思うのですが、問題はなぜ再生医療だけこういう特別早期承認制度を作るのかという理由が明確でないといけないかなと思います。
 例えば先ほどの御説明では、人の細胞を使うので製品間の性質の違いがあり得る、必ずしも均質ではないのでということなのでしょうけれども、再生医療以外にも、そういう可能性はあり得ると思うので、なぜ再生医療だけこういう特別の制度を作るのかという理由が説明されないといけないと思います。
 3つ目です。今おっしゃった個人情報の問題について、iPS細胞、恐らくES細胞もそうでしょうけれども、幹細胞の場合は連結可能匿名化で、誰からもらったかは基本的には分かる体制で臨まれるのだろうと思いますし、しかもそのときには、ホールゲノムで、全部遺伝情報を解析して、それも情報としては付いているわけなので、その辺の安全性ではなくて、むしろ個人情報の保護について、どのような体制を取るかも考えておく必要があるかなと思います。
○宮田委員 二つ伺います。一つは、再生医療だけを抜き出して、薬事規制に新しい形で規制をしているのは、韓国はそうかもしれませんが、ほかに事例があるのでしょうか。
 もう1点は、これは再生医療の話なのか、先ほど委員からも御指摘がありましたが、医療イノベーションの話なのか、そこを明確にしておかないと、再生医療の別枠を作って、次にもっと新しい、我々が未経験の役に立つようなイノベーションが起こったときに、また別章薬事法改正するのかということも含めて、全体の枠組みを考えなければいけないのではないか。
 そうすると、反語的ですが、薬事法の中にある生物由来製品という定義と、今回の再生医療というものをどのように仕分けるのか、先ほどから頭の中でトレーニングしていたのですが、どこでどう線を引くと考えているのか。それをお尋ねします。
○赤川課長(医薬食品局審査管理課) 特別早期承認制度について、なぜ再生医療だけなのかということについてです。まず再生医療製品の特性ということで、出来上がった製品間での品質のばらつきがどうしても生じてしまうということと、有効性の検証を考えたときに、比較すべきものをどのように捉えるかという問題、統計的にも非常に難しい問題があるというところを併せて考えると、今のところ再生医療製品はどういう規制があるかということを特に言われているということと相俟って、再生医療製品について、早期承認制度を検討しているというところです。
 それから、再生医療製品の範囲の問題については、「再生」という言葉が、いろいろな組織等を再建するというようなイメージの言葉ですので、いわゆる細胞治療のようなものが入らないのではないかということは、当然ある御指摘でして、そういった、今グローバルに規制されているという趣旨からすれば、組織、細胞を用いた加工等を行うような治療を目的とした製品というのも含み得るわけでして、そういったところも範囲として視野に入れる必要はあると考えていまして、その定義についても、現在検討させていただいているところです。
○永井委員長 今の点ですが、再生医療ということばは考えるとおかしい点があります。中には皮膚のように再生するものもあるわけですが、多くは細胞医療なのです。薬物医療や外科医療というのは、手段をいっているわけです。手段としては細胞医療で、中には再生することがあるとうことです。それを再生医療と十把一絡げにしていると、再生したらいいなという細胞医療が、全部再生医療になってしまうのです。先ほどの確率論の話が実はここにかなり入っているということで、規制するときに考えておかなければいけないと思います。
○松岡課長 先ほどの補足をいたします。生物由来製品などとの違いということで御質問がありましたが、この定義についてはいろいろ検討しておりますが、大体「再生医療製品」といった場合には、一般的には、人の組織など培養等の加工を施した人の細胞から構成されて、人の構造や機能の修復、再建、病気の治療を目的として使用されるもの、こういったものになろうかと思われます。
 もう少し定義を検討していく必要がありますが、そういう意味で、今ございますような薬事法にも、生物由来製品などがございますが、そういったものとは違う特色を持っているものだと考えています。
 今、申しましたようなものとしての、持っているものとしての特性なりを踏まえた形での制度、規制の在り方を考えていきたいというものです。
 それから、ほかの国の制度、アメリカやEUなりについても、いろいろな形で制度があります。今日お配りした資料にもありますが、そういった他国の状況なりも十分に見ていきたいと思っておりますが、御指摘がありまして、韓国などでそういった、ある意味で早期に承認するような仕組みがあるということですが、そういったものも一つ横目で見ながら、我々としても考えていきたいと思っています。
○宮田委員 それをまずちゃんと研究してほしいというのがお願いです。早期承認をするのだとしたら、今一方で野放しにされているような医療に関する規制というのは、当然バランスとしてはやらなければいけないだろうと考えます。
 それから、再生医療というのはすごくロマンチックな言葉ですが、先ほど永井委員長がおっしゃったように、今の御説明を受けますと、細胞及び細胞から構成される組織ということを考えていらっしゃるので、それが低分子、あるいはタンパク質の医薬品と違うという形で明確に定義できるかもしれません。でも、その場合、通常の手術で行われているようなことは、一体どこから外すのかという議論をしなければいけなくて、いちばん重要なのはミニマリーオペレイテッド、ミニマリープロセスドというのをどうやって定義するかということになるわけです。繰り返しますが、規制をするのだったら、一方で野放しをしているようなことに関する、医療に関する規制をしっかりやらなければいけないということと、今、言ったように、もう少し物質とか、そういったベースで薬事法の定義をすべきではないか。はっきり申し上げると、低分子で組織再生を促すような医薬品の開発が始まっていますので、最終的な薬効として再生医療を定義した場合は、低分子まで入ってしまいます。ですから、そこら辺は気をつけて、薬事法をきちんと定義していかないといけないと思っています。
○西川委員 宮田委員の話で、先ほどproactiveの話をおっしゃっていましたが、今、イノベーションなどでも議論されている問題で、細胞と予防の二つの科学性というものは、将来的課題だろうと思うのです。これから先に考えていくという意味で、はっきりとした回答はないだろうと。中畑委員も含めて、科学あるいは細胞を扱ってきている人は、大腸菌が分裂した途端に、同じでないということは実感しているわけです。
 ですから、10の9乗の細胞を作ったということ自体が、実感的にいうと、今まで同一性と言っていた部分に関しての新しい科学があることは間違いなくて、それをレギュラトリー・サイエンスという形で、単純にいってしまっていいのかどうかすら分からない。それは同じことが予防も言えて、10年、20年先の問題を、私たちは科学的に予測できるのか。先ほど、確率論というものが、例えば20年先にどのぐらい当てはまるかという問題と同じです。ですから、この二つの問題は、取り上げていただいてやっていくことしかないと。
 ただ、逆に医者の側で、私はハイウエイもやっていますが、それがきちんとデータとして、次の問題に資していくということをやらないと議論だけでは済まないという状況なので、どういう構造にしていいのか私もいつも分からないのですが、単純にレギュラトリーサイエンスで終わってしまえるものではない。ですから、是非真剣に悩んでいただきたいし、proactiveにやっていただきたいのだけれども、全く新しい問題を私は考えています。
 それから、先ほど位田委員がおっしゃった部分の話でいうと、日本とアメリカ、あるいはいろいろなところを比べて、やはり理想的なのは、さっき言った、科学性というものの担保をどこでやるか。それは、決して機関のIRBではないのです。FDAあるいはPMDAでやっていただくということが、科学性の担保にいちばん大事な部分ですから、それをどう有効にしていくかということの明確な方向があれば、さっき言った将来的な科学問題というのも、どこで議論していったらいいのかというのは、割とクリアになってきます。ただ、ここで議論しても、なかなか難しいのではないかと私は思うのです。
○中畑委員 大体同感ですが、今のPMDAのシステムだと、医薬品と医療機器という形で、さっきから議論になっているのは細胞自身を取り扱うということは、どちらかに強引に押し込めて審査をしてきたわけですが、そういったことで立ち行かなくなっているということは間違いないことだと思いますので、新しいカテゴリーとして、細胞を取り扱うようなものをしっかりと作って、そこで議論をしていくと。
 その際に、さっきもヒト幹でやられた結果というのがしっかりフィードバックされているかどうかということが、非常に問題だと宮田委員から指摘されましたが、新しい細胞を使った医療というのが、どういった形でそのあと運命をたどっているかということが、しっかりとフィードバックできるような体制を最初から作っておくということが、これからの医療を考えると非常に大事ではないかと思いますので、再生医療製品という新しいカテゴリーを作るときには、どういったものをその中に入れ込むかということとともに、それを使った医療が、フォローアップまでを含めたような形で最初から作り上げていったほうがいいのではないかと私は思います。
○大和委員 研究者の立場から申し上げると、再生医療製品というのは非常に違和感があるということに、同意していただける研究者の数は非常に多いと思います。細胞組織加工製品というような単語のほうがよほど適切だと思います。なぜなら、従来型の薬物すなわち低分子化合物やタンパク製剤等に比べて、こちらは生きている細胞を投与するということで、未知の部分がさらに上乗せになっているということを明示するという目的では、「細胞」とか、「組織」という言葉が入っていたほうが良いと考えます、一方、一国民としては、山中先生のノーベル賞受賞もあり、「再生医療」製品としたほうが国民受けする良い表現かもしれません。たしかに、国民の皆さんにシンパシーを持っていただくことも重要だと思います。十分検討の上、判断するべきだと思います。
 私の理解は、この仮承認制度、早期実用化に対応した承認制度等というところは、再生医療製品なら全部このトラックに載せるということではないというものです。例えば欧米の書類等を読むと、homologous useといって、採取部位と移植部位が、同等かそれに非常に近い場合には、非常に軽くというか、重くしないと。さらにrisk-based approachになっていまして、リスクに対応して十分な対応ができるような分析が行われているならば軽くしていくというような審査をやっていると、書類上は読めると思います。
 私も相当な数を読みましたけれども、アメリカ、ヨーロッパの審査では、自家細胞の製品では、治験は比較的小規模で、その代わり市販後調査にかなり重きが置かれておりました。それでも過去の事例では大きなトラブル、重篤な有害事象は報告されていません。
 私は、再生医療に限ったことではなくて他のタイプの製品でも、ある一定条件を満たすならば、このような市販後調査に重きを置くような治験、薬事承認として良いのではないかと考えております。これは私だけが言っているわけではありません。最近では、少し前からadaptive designというのが流行りまして、治験の中でprimary end-pointさえも変えてしまう、治験のデータを見ながらadaptiveにデザインを変えるという議論が盛り上がっています。最近では、adaptive licensingという新しい概念が出ていて、どこで承認を出すかというところも、治験のデータを見ながら柔軟に変えていくというようなことが提案されています。これはどうしてかというと、従来法でガチガチでいくと、治験のコストがかかりすぎて、ゴールまでたどりつかない薬が頻出しているという現実があるのです。
 このような現状と絡めると、必ずしも海外にないとか、突飛でありすぎるということではないと考えておりまして、ご提案いただいている仮承認制度に私は非常にシンパシーを持っております。特に今お話したような点には御留意いただきたいと思います。
○早川委員 ここの委員会がカバーすることが、世間一般に言われている再生医療と。だから、再生医療というdefinition、ここではどういうdefinitionとして捉えるのかを明確にしないと、あちらへいったり、こちらへいったりすると思うのです。
 再生医療というものの代表的なものは、ヘパラン硫酸か何かを用いた皮膚の創傷で、ここから再生医療という言葉は始まっているのです。しかし、日本でいっている再生医療というのはそういうことではなくて、細胞組織をベースにした医療ということだと思うのです。だから、まずそこら辺の定義を明確にして、そのように定義したときに、対象として、細胞と組織というキーワードが出てくるわけです。対象としてそれが出てきたときに、今、システムとしては三つ走っているわけです。薬事法、ヒト幹、自由診療という3つのトラックが走っていますので、それぞれを患者に対して投与しているのだというベースメントで、どう安全性、倫理性を捉えかえすのか、あるいはもっと大きな意味での法律的な全体のカバーがあるのだろうと思うのですが、そういう議論として、要するにdefinitionとclassificationをきちんとやりながら議論をしたほうが実りがあるだろうと思います。
○永井委員長 この点はいかがですか、言葉の使い方ですが、外国の規制では regenerativeとなっているのですが。
○早川委員 外国では、みんながいちばん分かるのは、この分野ではcell therapyという言葉ですね。
○永井委員長 そうでしょうね。つまり、細胞を使っても、再生しているかどうかは分からないのです。機能改善しているだけかもしれないので、余りにもゴールを明確に、理想的に置いてしまうと、いろいろ行き違いが起こるように思うのです。非常に画期的に機能改善しても、再生していないという可能性があるわけです。そういうことも含めてですが、いかがでしょうか。確かに、cell therapyのほうが妥当のような気がします。
○西川委員 例えば「再生ハイウェイ」と言いますが、一つかな、体性幹細胞を注射するというプロジェクトが選ばれています。詳しいことは言いませんが、それ自身は肝臓の再生を目指しているわけではなくて、永井委員長がおっしゃったような形で、違うものを入れて、状態のコンディションがimproveするのを目指すと。
 ただ、一般的に分かりやすいという部分で、「再生」という言葉を使っていると割りきってもいいのではないかと思います。そうでないと、今まで文科省、いろいろなところで使ってきたものが、丸っきり使えなくなるという話になると、少しややこしいと思います。
○早川委員 そこは割り切っていいと思うのです。概念としてはcell therapyという概念なのだと思うのです。
○永井委員長 規制で、いろいろな法律を作るときは、cell therapyということを念頭に置いて作っていかないとややこしくなりますね。
○西川委員 細胞製剤という形で規制はやっていくと。
 それから、先ほど大和さんがadaptiveの話をされましたが、全体の議論の中で、せっかく伊藤委員がおられるのに一つ欠けているなというのが、患者たちがどのような形で参加されるかという部分だと思います。adaptiveの場合、要するに製薬会社から見たら、どこまでやっていいか分からないというのがあるのですが、患者側から見たら、統計学のフィールドになっていくということに対するいろいろな反省を促している部分があるわけです。ですから、両方どうしてもあって、私の経験的に言いますと、具体的には言いませんが、ある大学である治療をされようとしたときに、患者団体のほうから電話が掛かってきて、それが正しくやられるかどうかを調べてほしいというようなinteractionもありますから、逆にそれを先生は紹介してあげると、患者のほうから、逆にいったら倫理的な部分も全部クリアされていくと。実際に、そこでは今やっておられます。
 科学性の部分と科学性のliteracyの問題をどういう形で構築するかというのが、今、いちばん重要な部分になっているなという感覚はあります。
○宮田委員 今週の月曜日にOECDでバイオフォーラムというのがあったのです。それはまさにその話をしているので、FDAで来た係員も言っていましたが、これからどうやって、患者、製薬企業、規制当局の三つがジョインして新しい規制の枠組みを作っていくかが最大の課題で、そうでないと費用負担に耐えられなくなるだろうという言い方をしていました。
 ですから、今度の薬事法の改正のときに、そういうことを全然考えていない感じがしていて、これが怖いのは、我が国の官僚は優秀だから、規制をどんどん作ってしまうのです。適切な規制を作れば作るほど、実はコストが掛かってきて、再生医療が患者に届かなくなるという自己矛盾だけは絶対にやらないようにしていただきたいと思います。
 先ほどから大雑把な言い方で、イノベーションをどうやって規制していくかというような枠組みを議論してきました。例えば一つの例を申し上げますと、遺伝子組換えの医薬品というのがありました。インスリン、成長ホルモンというのは、アメリカでは普通の化学合成医薬品のジャンルに入って規制されています。そのように、製法が確定したときに、細胞医薬も特別扱いしない時期が必ずくるであろうと。そうでないと、薬事法そのものが、増築、増築のできの悪い旅館のようになってしまって、その分また煩雑な、些末な規制が省令として付いてしまって、またワークしなくなることがよく見えているからなのです。
 ですから、そういう意味では、本当の意味で患者にどうやって届けるのかを基盤にして作ってほしいと思っています。ですから、薬事法で再生医療というのを作ってもいいですが、時限立法にしてほしいのです。10年後に見直す、5年後に見直すとか、イノベーションの早さからすると、ひょっとしたら2年後に見直さなければいけないかもしれないですが、そういう時限措置のexemption(規制対象からの除外や規制緩和)のやり方を法律の中に入れていかないと、どんどんできの悪い建増しの旅館みたいになって、いろいろなところで齟齬がくるだろうということだけは、今、絶対に言っておこうと思っています。
○西川委員 私もネガティブに言いましたが、まだ科学的に進んでいないからという部分があって、少し考えていただくと、私たちの体の中の60兆個の細胞というのは、そういう問題がほとんど起こらないようにできているのです。ですから、大腸菌は、geneticsにだけ見たら、二つに分かれたら絶対に違います。それがきちんとコーディネーションされているということがあるので、間違いなく細胞を安全に使える、それは私たちが細胞を明らかに安全に体として使っているからなのです。
 ですから、そういう意味で、どのぐらい研究のレベルがあって、それはもうゴールですよね。残念ながら、試験管の中で、体と同じところがいかないというギャップを議論しているのだということは、皆さんに認識していただきたいという感じです。
 ただ、もうそこまでいくまでないのかというのは、私はそうは思ってなくて、先ほど永井委員長がおっしゃった統計学であるとか、いろいろな方法でそれをクリアしようと。例えばPMDAの方も、そういう部分をいわゆるレギュラトリーサイエンスというもので、何か見つけていきたいと考えていられるようです。ですから、共同事業でやっていくしかないと思っています。
○野村委員 専門的なことは何も言えないのですが、今おっしゃったような、ゴールがまだ先にある中で、でもやっていこうということで早期に承認を進めていくことに当たっては、遺伝的な個人情報保護というのはもちろんあるのですが、それを笠に情報公開というものが滞ってはいけないと非常に思っていて、そういったこと、今のようなことを進めていこうということを国民も理解して、私たちがどう受け入れていくかということをきちんと決めるためには、100%のリアルタイムの情報公開が必要になってくるというのは、薬事法に関しても、新しい法律に関しても、とても強く感じています。
 あと、前半のところにありましたように、ヒト細胞情報化推進事業というものも今年度から始まっているということですし、再生医療に関してもデータベースを作っていくという方針だと聞いているのですが、是非お願いしたいのは、委員たちがこうしたああした、研究機関や大学がこういうことをしたということを、国民や患者に情報として渡すときに、軟らかくかみ砕けばいいということではないということだけは、頭に置いておいてほしいのです。主語が全然違うわけで、私たちとか患者たちというのは、自分にとってその情報や研究結果がどうなのか、それが知りたい時期というのが、様々な段階において知りたい情報というのが変わってくる、そういったアクセスができなければ、いくら軟らかくかみ砕いても、国民の理解や承認はもらえない、不安は消えない部分があるので、簡単に言えば、主語を入れ替えるという、視点の持ち方でテクニカルなことはどうにでもなって、患者にとってどういう情報が必要かを考えれば、軟らかくかみ砕かなくても患者たちはきちんと勉強されていますし、そういうことは分かるということで、その辺の情報公開の在り方についても間違えないでいただきたいというのがお願いです。
○西川委員 役所が頑張って、そこを越えて、患者がそういうことにinvolveされるだろうと思います。
 いちばん分かりやすい例が、アメリカのPatient Like Meというサイトがあって、ここでは15万人の患者が自分の顔を出して、1,000種類の病気について、discloseしています。ですから、そういう形でもっと進んでいくだろうと。ですから、単純に役所のほうだけで、どうプライバシーとdisclosureをバランス取ったらいいのかというところを越えてものが進むので、それこそ宮田委員が言われるようなproactiveなことを、本当にどのように設計していくかということをやらないと、後手後手になっていくという時代がきているなというのが私の印象です。
○野村委員 今まで取材をしていて実感するのは、いくら情報がたくさんあっても、それぞれ個々人の生の声を聞きたいというのが、皆さんの希望であるということがあって、個人情報保護はありますが、そういった形で自律的に進んでいけばいいのでしょうけれども、全体でそういう雰囲気でいけばいいなと思います。
○掛江委員 話を戻すようで申し訳ないのですが委員方の議論を伺っていて、再生医療のイメージというのが、私のような素人と専門家の委員と、随分違うのかなというのが実感として感じました。少なくとも、委員会の名前も「再生医療の安全性確保」ということで、「再生医療」という言葉を遣っていますし、少なくとも本委員会での定義をもう一度きちんと教えていただければなと思います。今回でなくていいのですが、整理して、ここの場で共通のタームとして使えるように教えていただければと思うのが一つです。
 あと、平成22年3月の自治法への助言のところなのですが、ここの中で「再生医療・細胞医療の実施」という言葉を遣われたということは、同じような議論があったのかどうかを教えていただきたいのと、あと、そういったことを踏まえて、将来的に薬事法とか、規制の形を考える際に、どこまで念頭に置くかという議論と、今回ここの委員会が「再生医療」という言葉でどこまで検討するのかが、私自身混乱してしまったので、もう1度整理をして、教えていただければと思っております。
○大和委員 厚生労働省は書類によっては「再生医療」とだけ書いていたことがあったのですが、私を含む委員から、がん免疫療法などもあるので、中ポツで「細胞」というのも付けてくれと言いまして、そうなっています。そのときの私たちのmotivationは、再生医療の中にがん免疫療法が入るのか入らないのか、入らないなら明示的に書くということをお願いしたように記憶しています。
○永井委員長 まだ御議論はあるかと思いますが時間になりましたので、次回までに事務局に今日の論点を整理していただいて、改めて御報告いただきたいと思います。事務局から連絡事項等をお願いいたします。
○荒木室長 本日は金曜日の遅くの時間で、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございました。次回は12月14日(金)の4時から6時ということで、また金曜日になりますが、その時間で開催したいと思います。詳細な場所、会場等については、メール等でお伝えしますので、よろしくお願いいたします。
○永井委員長 本日の厚生科学審議会科学技術部会第2回再生医療の安全性確保と推進に関する専門委員会は終了とします。どうもありがとうございました。


(了)

照会先
厚生労働省医政局研究開発振興課再生医療研究推進室
TEL  03−5253−1111
内線 2587

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