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2012年8月22日 第3回中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門部会議事録

○日時

平成24年8月22日(水)12:37~14:01


○場所

於 厚生労働省講堂(低層棟2階)


○出席者

印南一路部会長代理 西村万里子委員 森田朗委員
小林剛委員 白川修二委員 花井十伍委員 
石山惠司委員 田中伸一委員 伊藤文郎委員 
鈴木邦彦委員 安達秀樹委員 嘉山孝正委員 
万代恭嗣委員 堀憲郎委員 三浦洋嗣委員
禰宜寛治専門委員 昌子久仁子専門委員 田村誠専門委員 加茂谷専門委員
池田俊也参考人 田倉智之参考人 福田敬参考人
<事務局>
外口保険局長 唐澤審議官 鈴木医療課長 迫井医療課企画官
屋敷保険医療企画調査室長 吉田薬剤管理官 鳥山歯科医療管理官 他

○議題

○今後の議論の進め方
○効果指標の取り扱いについて

○議事

○印南部会長代理
 それでは、時間になりましたので始めたいと思います。ただいまより、第4回「中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会」を開催いたします。
 本日は、関原部会長が所用により御欠席のため、あらかじめ部会長代理として御指名をいただいている私が、議事進行を務めさせていただきます。
 委員の出欠状況について報告します。先ほど、報告しましたとおり、本日は、関原部会長が御欠席です。
 また、審議官は公務により欠席です。
 それでは「今後の議論の進め方」を議題といたします。
 事務局より、資料が提出されておりますので、事務局より、説明をお願いします。
 企画官お願いします。
○迫井医療課企画官
 医療課企画官でございます。お手元の費-1の1枚紙、両面でございますが、御用意いただきたいと思います。
 今回を含め、今後の当面の議論の進め方につきまして、あらかじめ明確にしていただきたいという趣旨で用意させていただいております。1枚目、1.でございます。おさらいでございますけれども、この部会、検討開始をさせていただきましてから、関係者にとっての基本的な理解が得られるような運用の考え方、これを前提として少しずつ議論を積み重ねていくということが重要だという認識で、事務局としては対応させていただいております。
 したがいまして、これは、これまで3回で議論していただいたことも含まれておりますが、この点々で囲みました、6月27日にお示しをしました当面の検討事項ということで、(1)に該当する部分、これが、前回までで、一定程度確認をさせていただいたところでございます。
 そこで、今回、(2)の具体的な評価の運用方法につきまして、今後、御議論いただきたいという趣旨でございます。
 おめくりいただきまして、具体的な検討のスケジュール、簡単ではございますが、まとめさせていただいております。
 1ページ目の(2)の?、?とございますけれども、?、?それぞれにつきまして、おおむね2回ずつ、合計4回で議論を進めていただければと考えております。
 当然でございますけれども、この検討につきましては、それぞれ相互に関連しているということがございますので、厳密にこの範囲ということで、限定することは、もちろん、困難ではあるんですけれども、やはり、全体を一とおり御議論いただいた上で、さまざまな、次のステップに進んでいただくためには、ある程度スケジュールとしてお示しをして、一定程度、ここを議論するんだという共通の認識の下で、御検討いただきたいという趣旨でございます。
 したがいまして、向こう、おおむね4回程度、1ページ目の(2)の?、今回特に(2)の?の2)ですが、効果指標の取扱いについて、まず、御議論をいただきたいという趣旨で、今回、お示しをしているものでございます。
 事務局からは、以上でございます。
○印南部会長代理
 どうもありがとうございました。ただいまの説明について、何か御意見等がありましたら、お願いします。
 よろしいでしょうか。
 それでは、この原案に従って進めさせていただきたいと思います。
 続きまして「効果指標の取扱いについて」を議題といたします。本日は、結論について合意を得ることが目的ではなく、具体的な論点を提示し、検討を行うこととしております。
 事務局より、資料が提出されておりますので、事務局より、説明をお願いいたします。
 企画官、どうぞ。
○迫井医療課企画官
 医療課企画官でございます。それでは、本日、効果指標の取扱いについての御議論をお願いしたいと思います。費-2の資料でございます。
 1ページ目に、検討の背景のところ、これは、以前にもお示しをしておりますけれども、簡単にまとめさせていただいております。
 1つ目の○でございますが、この費用対効果の議論の前提といたしまして、幅広い医療技術の効果という視点での評価が必要だと、こういうことでございます。
 括弧書きで書いてございますけれども、異なる治療方法でございますとか、疾患分野との比較あるいは横断的に幅広い検討が必要だと、こういう認識の下で、こういった背景があるということでございます。
 それから、2点目の○、3点目の○に書いてございますけれども、先行して諸外国で、実際に制度運用されているケース、御案内のとおりございますけれども、以前にも、参考人からの御説明を含めましてお示しをしておりますが、国によって取扱いが異なるということが、まず、前提としてございます。
 ただ、一方で、ほとんどの国が効果指標として質調整生存年、いわゆるQALYという指標を採用しているというのが実態でございます。
 同時に、このQALYの指標につきましての取扱いにつきまして、考え方も国によって異なっておりまして、国際的な標準となる、唯一絶対の指標があるということではないということが、まず、この背景にございます。こういったことを含めて、今後、御検討いただきたいという前提のまとめでございます。
 2ページ以降、今回、具体的に御紹介して御検討いただきたい事項でございますが、2ページ目、2.効果指標の在り方ということでまとめております。今から、具体的な指標の例とか、諸外国の御紹介もさせていただきますが、その前に、2ページの2.で、その在り方、考え方というものを、まず、記載してまとめさせていただいております。
 まず(1)で基本的な考え方ということを整理させていただいております。○2つでございますけれども、冒頭の背景のところでも申し上げました、繰り返しになるかもしれませんが、医療技術の多様性、それは、すなわち対象疾患とか、治療方法がかなり多岐にわたる多様性があるということでございますけれども、こういったことに対応ができるような、一定程度の普遍性が必要だということが、1つ、基本的な考え方につながってまいります。 そういった意味で、比較可能性等に留意する必要がありますというのが、1つ目の○です。
 「更に」ということで、2つ目の○ですけれども、この評価・分析を行った結果というものを、さらに医療保険制度でどう取り扱うのかということになってくるんですが、その評価が明確なものとなるような運用をしていくことが必要ですので、原則としては、単一の指標をあらかじめ想定して評価をしていくことが基本だと、こういうことでございます。
 すなわち、一定の考え方、一定のルール、一定の取扱いにのっとって、分析をして、その結果を評価するというのが、当然必要ですから、あらかじめ、単一の指標であることが望ましいということです。
 ただし、括弧書きに書かせていただいておりますけれども、必ずしも単一の指標に限定できるケースではない場合も当然あり得ますから、必要があれば、複数の指標による評価を行う手法についての検討も求められるということを付記させていただいております。
 このような考え方に基づきまして、(2)でございますけれども、効果指標として、具体的にどのような特徴が必要かということを、もう少しブレークダウンさせていただいておりまして、?~?まで整理をさせていただいています。
 まず?、1点目でございますけれども、ある種、当たり前の話でございますが、医療技術でございますので、医療技術がもたらす効果、健康アウトカム、これを、まず、包含していただかないと、評価にならないということでございます。
 この際、重要なのは、むしろ括弧書きだと思いますけれども、効果の一部ということではなくて、基本的には、技術全体を評価するという趣旨で、全体を包含するような指標であってしかるべきであるというのが1点目でございます。
 2点目でございますが、これは、むしろ、分析手法として一般的に必要な要件ですが、定量的で再現性、透明性が高いと、言い換えますと、定義が明確であるということが指標として求められるということでございます。
 ?、?、特に今回の費用対効果の評価に関しまして、これまでも御議論ございましたけれども、?でございますけれども、幾つかの技術につきまして、比較検討を行うことが、一定程度想定されておりますので、既存技術等との比較が可能であるということが?、それから、?でございますが、特に、臨床試験等の実績、これは、エビデンスというふうに呼んでいいんだろうと思いますけれども、実績に基づいた実際の評価を行うことが基本的には想定されておりますので、逆にいいますと、そういった実績エビデンスに基づいた算出が可能であるということが求められるということでございます。
 2ページの2.で基本的考え方の(1)と具体的な要件といいますか、特徴(2)、これらが総論的に効果指標の在り方として必要だというふうに整理をさせていただいているということでございます。
 次に、3ページ以降、少し具体的な効果指標の例を幾つか整理をしてお示しをしたいと思っております。
 3ページ以降、3.でございますが、具体例でございますけれども、まず(1)といたしまして、先ほどの健康アウトカムを表現するということで、生存期間に関連する指標が、かなり一般的に、議論でもそうですし、実際に用いられているということでございます。
 生存期間に関連します指標につきましては、代表的にAとBということで、2つ掲げてございますけれども、まず、一番オーソドックスといいますか、基本となるのが、生存年Aでございます。
 これは、その名のとおりで、生存年、生存期間の延長を効果指標とするという考え方で、?にさまざまな特徴、利点、欠点というふうに書いてございますけれども、致死的な疾患を中心として、諸外国も含めまして、かなりそれは指標としては広く用いられていますということでございます。
 臨床試験等でも、どちらかというと、こういう致死的な影響を、まずは評価するというケースが多いので、そういった結果を活用することが可能だということなんですけれども、4つ目の○に書いてございますが、欠点というといい過ぎかもしれませんけれども、特徴として指摘されておりますのは、いわゆるQOL、生活の質が全く考慮されていないということになります。
 したがいまして、そういったことを改良した指標として次のBのQALYということになってまいりますけれども、Aの生存年の最後のポツですけれども、データの収集が困難な場合があると。すなわち、致死的な疾患については、そういったデータの収集が比較的可能かもしれませんけれども、そうではない場合に、データの収集が困難な場合があるというのが、1つ大きな課題になっているということでございます。
 では、次にBでございますが、そういった特徴の中で、特にQOLを考慮しようということで開発されたのが、QALY、質調整生存年でございます。
 ?のところの概要、これは、さまざま、これまで参考人の御説明を含めて説明させていただいておりますので、この詳細は省略させていただきまして、おめくりいただきまして、利点、欠点、この部分も何度か繰り返し御説明いただいておりますけれども、改めまして、幾つかの御指摘、簡略ではございますが、まとめさせていただいておりまして、疾患に依存しないということが1つの特徴でもあり、逆にいいますと、データの収集が困難なケースがあり得るあるいは労力を要するという欠点というふうに整理できる特徴がございます。
 それから、諸外国で広く利用されているというのは、繰り返し申し上げているとおりで、一定の運用実績がありますというようなことでございます。
 非常におおざっぱでございますが、ここまでが、まず(1)の生存年というカテゴリーでございます。
 それ以外にどんな指標があるかというのは、4ページの(2)(3)でございますが、代表的なものとして(2)治療率、治癒率、治療目的達成率というようなものでございまして、これは、疾患ごとに定められた治療、治癒の定義を達成できたのが、どの程度の割合かという指標でございます。
 ?にその特徴をまとめてございますが、現に、今、申し上げましたが、疾患ごとということでございますので、いい点、悪い点、それぞれございまして、疾患ごとに、その特徴に応じて指標が設定できますし、逆にいいますと、異なる疾患間では、概念の違うあるいは特徴の違う指標になりますから、比較が困難なケースが当然あり得るということでございます。
 それから、真ん中辺の○に書いてございますけれども、これも疾患によってということの性質上、健康アウトカムへの反映の程度に差が生じますし、再現性や共通性といいますか、透明性について、限界、課題があるケースがあるということでございます。
 最後、具体例の1つとして御紹介する、4ページの(3)でございますけれども、臨床検査値でございます。
 これは、その名のとおり、さまざまな、実際に技術の中でも対象疾患の状態を表わす検査値等を中心とする指標がございます。例として、わかりやすいという趣旨でございますが、糖尿病におけるHbA1Cと、こういったものでございます。
 特徴といたしましては、疾患ごとに、それぞれ中心的な検査の項目等ございますので、疾患等に応じた指標が利用可能と、これは、逆にいいますと、疾患ごとのさまざまな、先ほどと共通したような、包括的な評価にならないとか、個々の指標に応じて設ける必要があるとか、さまざまな課題にもつながるといったこと、それから、異なる指標間での比較が困難になるというのは、当然、そういったことになってしまう。
 ただし、データの入手は、臨床現場の実際の活用状況によって、入手が容易な場合が多いということでございますが、そういった特徴もございます。
 続きまして、5ページ、4点目の論点といいますか、今回、資料として御用意させていただきましたのは、冒頭、基本的には、単一な効果指標を設定して整理して、評価に結び付けるというのが基本だろうということでございます。
 ただ、必ずしも単一の指標ですべて整理ができるということではないということもあり得ますので、その場合、一体どういうことを念頭に置く必要があるのかということを、この5ページの4.にまとめてございます。
 ?概要は、今、申し上げましたとおりでございまして、単一の評価は、もちろん望ましいんですけれども、補足する指標として、他の指標を利用するという観点もありますと。
 その際、?でございますけれども、表として整理をしておりますけれども、単一の場合、複数の場合それぞれ、ややトレードオフ的なところはございますけれども、解釈の点でございますとか、効果の評価の範囲、これが当然変わってくるということでございます。
 駆け足になりますが、6ページ、7ページ、最後、2つの点について資料をまとめさせていただいておりますけれども、6ページ、5.諸外国の状況でございます。
 繰り返しになりますが、これは、これまで参考人からの御説明、それから、資料等で何度も言及しておりますので、簡単にまとめてございますけれども、主要な4か国、イギリス、ドイツ、フランス、オーストラリアにつきまして、先行事例でございますので、どういった取扱いになっているかということでございます。
 最も実績等、有名で言及されるケースの多いイギリスでございますけれども、イギリスについていいますと、さまざまな疾患領域や治療法の比較をするために、効果指標にQALYに統一するという取扱いをしておりますけれども、その一方で、例外的にQALY以外の効果指標を併用している例もございます。
 (2)ドイツでございますが、ドイツは、QALYに限定していないということでございまして、疾病や治療法に応じた指標を用いている。
 フランスは、表現がそのままですけれども、QALYを用いてもよいという取扱いになっておりまして、オーストラリアも同様で、QALYを用いてもよい、ただしということで、医薬品の評価の場合については、有効性及び安全性のうち一方が改善し、もう一方が低下する場合は、QALYの評価が望ましいということで、もう少し詳細な取扱いの規定がございます。
 ここまでが、私ども、今回、検討に当たって整理をさせていただいた事項でございます。
 7ページ、最後に、本日と次回、この効果指標について御議論をいただきたいと思っておりますけれども、今回は、冒頭部会長からお話がございましたとおり、何か決めると、そういうことでは決してございませんけれども、一定程度、御議論なり、論点を掲げて御意見をいただきたいと思っておりますが、6.具体的な論点として、大きく2つあるのかなと考えておりまして、1つ目の○でございますが、冒頭整理をさせていただきました在り方、こういった定性的、総論的な考え方について、どのようにお考えかという御意見をいただければと思っております。
 2点目でございますけれども、さまざまな効果指標、先ほど、御説明して、整理をさせていただきましたけれども、この黒ポツにあるような観点、これは、先ほど説明の中で言及しましたので、詳細は省略させていただきますけれども、こういったさまざまな特徴、諸外国の状況を踏まえて検討を行うということを前提に、どのようにお考えかという御意見を賜ればと思っております。
 事務局からは、以上でございます。
○印南部会長代理
 どうもありがとうございました。ただいまの説明について、御質問や具体的な論点についての御意見等がありましたら、お願いします。
 鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員
 今の説明を伺いますと、できる限り単一の指標、すなわちQALYを用いたいということで、補足的に、それだけでは足りない場合に、他の指標を組み合わせるようにしたいということのようですが、そもそも議論の進め方として、最初に段階的に確認を重ねながら検討を行うとしながら、どうしても、当初、示されていた流れに沿って議事を進めたいということを強く感じます。
 そもそも6ページの諸外国の状況を見ましても、いずれの国においても、最初の○のところに、医療技術の費用対効果評価の手法について定めたガイドラインが存在しということがあるわけですが、そのように全体の流れが示された中での議論でないと、部分的に取り出してきて、どうだといわれても、なかなか答えは出せないのではないかという気がいたします。
 そもそもガイドラインは、以前、私が質問したときには、必要だと思うというような話もありましたが、そういったものを我が国でつくるつもりでいるのか、あるいはつくっていらっしゃるのか、そういったことも明らかではない。そういう中で、QALYを使うか、使わないか決めろといわれても、なかなか返事ができるものではないと思います。もし、ガイドラインをおつくりになっているんだったら、具体的に今、どういう状況なのかお示しいただいて、少なくともどういう項目について検討しているのかのリストを出していただきたいと思いますし、そういうものがない中で、部分的に、いずれかは具体的な指標の取扱いの検討というところも出てくるでしょうけれども、いきなりそれが出てきて、途中を飛ばして、いきなりそこへもっていこうとするのは、私は不安を感じます。
 それから、実際、医療技術の評価をする場合は、評価をする前の段階で、その医療技術に適切な評価指標を確認して明示しておくという作業が必要なわけで、そういうことも踏まえて考えないといけないんですが、あくまでもQALYありきというようなことでは、基本的な議論ができないのではないかと思います。
 さらに、QALYでも、その他の指標でもいいんですが、その情報をどのようにして得るかということの議論も、まだ行われていません。臨床試験からというような場合も多いとは思いますが、通常の臨床試験では、QOLの指標というのはアウトカムとして示していないということも多いわけですから、こういう場合には、推測値というものを用いて使用するということになるわけですけれども、その推測値をどのようして求めるのかとか、そういったことも、まだ、全く議論が行われておりません。
 さらに、その基になる臨床試験からの情報に関しては、これはWHOの手法のガイドラインを見ても、NICEの手法ガイドラインを見ても、系統的レビューを行うということを標準としているんですが、これも、私は何回もいっているんですが、やるというふうにはおっしゃらないですね。こういった国際的なガイドラインにあるものを飛ばして、あくまでも費用対効果、しかも、QALYを使う、使わない、そういう話にいきなりもっていくというのは、非常に全体の議論を、不確実性のある不安定な、恣意的な内容にしかねないと思いますので、ぜひ、きちんとした議論をしていただきたいと思うんですが、今の私の質問に対して、現時点での回答をしていただきたいと思います。
○印南部会長代理
 事務局の方は、いかがですか。結構、たくさん論点がありましたけれども、企画官、お願いします。
○迫井医療課企画官
 医療課企画官でございます。進め方に関する御指摘が、かなりの部分占めていたように感じております。進め方につきましては、もちろん、中医協の、あるいは部会のガイダンスをいただいて、事務局としては進めていくということは基本でございますので、我々としては、これまで3回議論をさせていただいて、今回もスケジュールといいますか、段取りを御説明させていただいております。決して、何か結論ありきとか、時間を区切ってとか、こういったことは、この部会を設置した最初の段階で、そういったことを、誤解を招かないように、そういった疑念が生じないようにということで、進めていくべしという御指摘をいただきましたので、我々としては、かなり丁寧にひも解いて、ステップを踏んでということを留意させていただいておるつもりでございますけれども、この点につきまして、さらにこうすべきだという御指摘がもしございましたら、もちろん、我々としては、そのガイダンスに従いたいと思っております。
 その上で、ガイドラインについてのお話がございましたが、私どもの理解は、ガイドラインというものは、一定の運用の合意があって、具体的に、それを具体化した提案をさせていただいて、あるいは専門家の御協力を得て作成をして、もちろん、さらに最終的に中医協で御承認いただくことになるんですが、ガイドラインは、逆にいいますと、今、議論している真っ最中でございますから、既に今の時点でガイドラインが存在することは、逆にいいますと、あり得ない。従ってガイドラインは、厳然として、今の時点ではございません。
 それから、ガイドラインは、逆にいいますと、制度を運用することになれば、当然、今後策定していくことが必要だというのは、事務局の認識でございます。ただ、その際にも、今、こうやって少しずつ御議論いただいているような指標の取扱いとか、データの算出の方法とか、制度の運用とか、そういったものが定まらないと、ガイドラインは逆にいうと、つくれませんので、鶏と卵のような関係なんでございますけれども、我々は逆にいいますと、透明性をもって、結論を誘導することなく、議論していただいた結果として、一定の結論が得られてガイドラインの作成に着手するという認識でございます。
 それから、QALYにつきましては、これは、繰り返し御指摘をいただいて、我々もそこの点については、随分注意を払っているつもりですけれども、QALYありきということでは決してございませんで、あくまで、効果指標が求められる性質、具体的に資料でいきますと、2ページでございますけれども、在り方、基本的な考え方というのを整理した上で、諸外国ではこうなっていますということをお話をして、今日、まさにそういったことを含めて御議論いただきたいという運び方でございますので、事務局の認識は、繰り返しになりますが、決してQALYありきですということではないというのは、御理解いただきたいと考えております。
 それから、費用、臨床試験のことも含めて、系統的レビューをやってからというようなことも御指摘を得ております。今回、検討を行っていただいている範囲の中で、医療技術の評価を全体としてどうするのかと、恐らく鈴木委員の御指摘は、医療技術そのものをどうとらえて、どう評価するのかという全体の枠組みとの関係を明らかにしてほしいと、そういう趣旨だろうと、我々は理解しております。
 そういった意味で、全体的な見直しといいますか、全体な技術評価は、どちらかといいますと、中医協全体で医療技術をどういうふうにとらえて、どう評価するのかというのが、まず、中医協の役割そのものといってもいいような部分がございますので、その中で、今回、費用対効果の部会を設置して御議論いただいている趣旨からしますと、これもちょっと鶏と卵的なところがございまして、全体像がわからなければ、個々の議論ができないというのは、そのとおりなんですが、個々の議論を積み上げていくことも、逆に制度論の場合には必要ですので、今回としては、議論に至った経緯も含めまして、こういう段取りで進めていきますということを、まず、御理解いただけないかなというふうに、事務局としては感じております。
 幾つか、もしかしたらお答えできていない点があるかもしれませんが、まずは、私どもの受けとめとしては、以上のような認識でございます。
○印南部会長代理
 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員
 実際の進め方としては、やはり行ったり来たりしながら進めていかないといけないと思うんです。全体を見ながら、どの部分についての議論をしているか確認しながら、だから、部分の議論の積み重ねだけで全体をつくるんですか、それでは、全体の設計図がないまま、部分的な設計の寄せ集めだけで、全体の建物をつくるような感じがします。建物の設計だって、まず基本設計、次に実施設計、構造設計、そういう順番でいくんじゃないですか。ですから、そういう意味では、全体像の検討というのも同時に進めていかないといけないと思うんです。それが、見えてこないので、非常に不安定な議論になっていると思うんですけれども、せっかく専門委員の方も、皆さんいらしているので、ぜひ、御意見をお聞きしたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○印南部会長代理
 専門委員の方々、今、リクエストありましたから、この点について、どなたか、お答えになりますか、それとも、嘉山委員、ちょっとお待ちください、この点について、専門委員から意見を伺いたいというリクエストが来ているんですが。
○鈴木委員
 失礼しました。参考人です。3人の専門参考人から御意見を伺いたいと思います。
○印南部会長代理
 お願いします。
○池田参考人
 御指名いただきましたので、参考人の池田でございます。
 先生御指摘のとおり、例えば、NICEのテクノロジーアプレイザルですね。個々の医療技術等について評価したものの中でも、前半部分は、システマティックレビューを中心とした臨床的な効果について十分議論をしてと、それで、後半部分で、それを踏まえた経済的な評価を行っています。
 なので、私の理解といたしましては、今回の費用対効果評価を行うに当たりましては、当然、その前提としてシステマティックレビューを含めました臨床的な効果、その臨床的効果というのも、いわゆる臨床試験の中で短期的な視点で、いわゆるサロゲートエンドポイントですね、検査値の変動とか、そういうところだけではなくて、長期的な予後とか、QOLとか、総合的な患者に与えるアウトカム、これを評価した上で、それを踏まえて、QALYか何かわかりませんが、さまざまな効果指標を推計し、それと費用との関係を見ると、そういう手順で進んでいくものと理解しています。ですので、先生の御指摘は、ごもっともでありまして、この費用対効果評価をするときには、必ず、そういった先生の御指摘の部分は含まれると認識しております。
○鈴木委員
 田倉参考人と、福田参考人も、ぜひお伺いしたいと思います。
○印南部会長代理
 では、お二人、それぞれお願いします。
○田倉参考人
御指名いただきました、田倉と申します。医療経済評価においては、基本的に臨床的な実績とか、臨床的な評価を前提として、経済的な評価を乗せていくことが、アプローチとして海外でもスタンダードだと認識しております。
 ですから、費用対効果というような表現をしますけれども、本質的にはアウトカムのような効果を最初に議論した上で、次に経済性などの要因について論じるという話になると思っております。
 簡単ながら、以上とさせていただきます。

○福田参考人
 福田でございます。ガイドラインにつきましては、前回も御質問をいただきましたけれども、やはり、こういうものが今後必要になってくると認識しています。
 ただ、先ほど企画官からもありましたけれども、やはり実際に、こういうものをどう使っていくのか、基本的にどのような評価を行っていくのかという方針が決まった上で、具体的に、それをどういう形での評価にするかという手順かなと思いますので、方針が決まれば、多分、ガイドラインの議論ができるのかなというふうに認識しています。
 それから、システマティックレビューにつきましては、今、ほかの先生方からもありましたとおり、費用対効果を考える上では、まずは、効果が確立していることというのが前提になりますので、その効果を評価していく段階として、手続の1つのとして必須なものであると認識しています。
○印南部会長代理
 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員
 ありがとうございました。皆さん、基本的には、やはりそういう国際的に標準的な流れに従ってやるべきだとおっしゃっていただいていると思うんですけれども、そうであるならば、ぜひ、そのようにしていただきたいと思いますが。ガイドラインをいずれつくられるということかと思うんですが、それもできましたといって、結果だけ報告ということではなくて、この部会があるわけですから、その意見も踏まえながらやっていただきたいと思います。既に確立されたWHOなりNICEのガイドラインがあるわけですから、仮にそういったものを参考にしながら始めるということもあってもいいのではないでしょうか。何か、今、闇雲にやっているような感じがするんですね。それを、仮のガイドラインということにして、議論の中で見直していけばいいわけですから、そういったものをベースにして議論を進めていくべきだと思います。
○印南部会長代理
 企画官の方から、何か補足はありますか。大丈夫ですか。
 それでは、嘉山委員、どうぞ。
○嘉山委員
 基本的には、鈴木委員と同じ考えで進めていただきたいと思うんですけれども、日本版の費用対効果をつくるべきだと思っているんですね。やはり、社会制度とか、あるいは宗教観とか、人間の命の重さとか、そういうので、日本と諸外国は、ヨーロッパと違います。例えば、多分、鈴木先生が非常に心配されているのは、3ページの効果指標の具体例というところ、これが、すごくクールというか、コールドという感じを受けるんではないかと思うんですね。
 医療の中には、いろんな要素がありまして、ただ単に生命予後を延ばすものだけではないんですね。現時点では、かなり表に出ているのは、プライマリーエンドポイントとしては、生命を延ばす、延ばさないでやっているんですけれども、私の専門の、例えば、先天的な病気で、水頭症の病気があったとして、その生命予後を延ばしは余りしないんだけれども、頭がどんどん大きくなるのを予防するために、シャント手術というのをやるわけですね。それは、お母さんが余り頭が大きくなってしまうと、管理ができないからです。
 そういう意味では、エンドポイントを、もうちょっと幅広げて、日本版のものをつくるんであれば、QALYと違うようなものをつくるのであれば、日本人の宗教観とか、そういうのを含めるとすれば、4番に機能とか、あるいは管理というような面を入れると、随分見方が違ってくるんです。これをただ単に、クオリティー・オブ・ライフだけではないと、メンテナンスですね、そういうものを入れるといいんではないかと。
 あと、5番目としては、これは、一例、一例でやらなければならないと思いますので、その他という項目をつくって、1つの疾患、疾患で、費用対効果を議論していくことは必要なんではないかと。そうじゃないと、非常にエコノミーだけでやってしまうと、私の専門の神経膠芽腫というのがあるんですけれども、これは、QALYでいうと、ランキング2位なんですよ、つまり、ほとんど効果がないという治療なんですが、やはり、これは治療をして、少しでも、手足が動くようになったとか、そういうことで家族に安心感を与えると、もうあたなは今、治療法がありませんよということでは、これはどうしようもならないわけで、それを患者に安心感を与えるというのも、やはり必要な指標なので、一例、一例でやっていく、その他というのもここに入れておいていただきたいんですね。あと、4番には、機能、管理というのを入れると、非常にクリアーになると思いますが、いかがでしょうか。
○印南部会長代理
 今の御意見に対して、質問なんですけれども、今のお話は、4番目、5番目として、ここに挙がっていない、機能管理とか、そういう指標も検討の対象に含めるべきだという御意見ですね。
○嘉山委員
 ですから、前に、私がお話ししました、エンドポイントを単なるOS、つまり、サバイバルレートだけにしてしまうと、非常に、どんどん、あるいは患者さん数が非常に少ない、あるいはエコノミーとOSだけにしてしまいますと、希少がんであるとか、そういう病気が切り捨てられていくということで、医療が成り立たなくなりますね、医療というのは、そういうものだけでもないので、やはり安心感を与えるというところも、患者さん寄り添うというのは、患者さんは、病気になったときには、身体的な病気にもなるし、心も非常に疲れるわけですね。したがって、そのことを入れないと、非常にコールドな制度設計になってしまうので、4番、5番を入れていただきたいと、それが日本版ではないかと思っているんですけれども、そうしないと、QALYをそのまま使うんであれば、QALYをそのまま取れば、単にいいわけで、それでは、やはり、私と安達先生が、多分提案したと思うんですけれども、今の高度先進医療の中で、わずか2週間から3週間しか延命効果がない、でもそっちは効果があると、延命効果だけで見ますと、でも、それよりももっと大事なものもあるので、エコノミーだけでやってはいけないと、これは日本版の対費用効果をつくる意義だと思っていますけれども、ですから、中医協でこれは決定できるので、この案が出てきていますけれども、このエンドポイントの具体例の中に、それを加えていただきたいと。
○印南部会長代理
 企画官、どうぞ。
○迫井医療課企画官
 医療課企画官でございます。嘉山委員の御指摘は、私どもなりの理解といたしましては、大きく3点言及いただいたかと思っております。
 まず、1点目は、希少疾患等、もともと現時点で共通の御認識を得て議論していこうというものの中に、明らかに希少、数が少ない、あるいは唯一、その治療法しかないというような、代替性がないというようなものについては、こういった評価を機械的にやるということは、現時点では、少なくとも対象としないとしておりますので、その点の御配慮、引き続きの御懸念だろうと思いますので、そこの点については、そういう前提で議論を進めているつもりではいますが、十分に配慮したいと思っております。
 2点目は、特にコールドといいますか、数字だけで、経済評価だけでということについても、重ねての御懸念の表明だと思いますが、これは、繰り返しになりますが、もともとこの議論を始めさせていただいたときに、費用対効果の評価を行って、例えば、ある数字が出た、あるインジケーターでこうなった、では、機械的それをということはやらないと、総合評価ということを繰り返し確認をさせていただいておりますので、その点についても、改めの御懸念の表明だろうと思いますけれども、当然、十分配慮させていただきたいと考えております。
 最後、3点目でございますが、幾つかエンドポイントの設定とか、具体的な管理の関係の話も御指摘がありましたが、私どものとらえ方としては、QOLと、あるいは仮に生存年をベースとするような場合について、それを修正するといいますか、ちゃんと考慮するという意味では、QOL、QALYの範囲の中で、それを具体的にどう設定するのか、どう考慮するのかというモデルの中での対応が基本的に重要で、そこの具体的な設定において、しっかり配慮してほしいと、そういう趣旨だろうと、私は受けとめておりますので、その点についての対応で、十分配慮できるような形にさせていただければと思っております。
 事務局からは、以上でございます。
○印南部会長代理
 嘉山委員、どうぞ。
○嘉山委員
 どうもありがとうございます。ただ、1つだけ、希少疾患というデシジョンはないんですよ。100万人に1人だったら希少なのか、10万人に1人だったら希少なのかというのがないので、それを私は心配して、そういうものがあったとしても、耐えられるような対費用効果制度にしないと、非常に危惧する患者さんもいらっしゃるので、そこは、希少が、100万人に1人だったら希少なのか、それはわかりませんから、どちらに入るかで、全然違ってしまうことになるので、そこは希少がんであっても、例えば、これから発展するであろう、まず、キックオフのお薬をつくるとか、そういうような機械にしろ、お薬にしろ、ただのエコノミーと、OSのエンドポイントだけでのってしまうと、非常に機器の開発ですとか、お薬の開発ができなくなってしまうので、その辺も心配ないような制度設計にしなければ、私はならないと思ってお話ししたんですけれども、その辺は、もうちょっと具体的なものを出していただけると、これが、オリジナル規定が高くて、世界に冠たる患者さんのことを思った、対費用効果制度であるということがいえると思うんですが、単にQALYの真似に近いようなものでは、鈴木先生が危惧するとおりになると思うので、その辺を事務局がもうちょっと練っていただいて、さらに具体例を出していただきたいと思います。
○印南部会長代理
 ほかに御意見、堀先生、お願いします。
○堀委員
 少し具体的な資料になったので、お聞きしたいんですが、3ページ以降の効果指標の具体例が幾つかありまして、このQALY以外の指標は大体理解できるんですが、QALYの中で、特に効用値ですね。1を完全な健康、0を死亡としてその間の数字を決めるわけですが、このプロセスがどうもイメージがわきません。恐らく臨床検査の結果であるとか、患者さんに対する調査もするというような御説明もあったので、例えば、調査票等で、このケースは零コンマ幾つと定めるというふうなプロセスの具体例、多分、国によって違うんだと思いますが、それを資料としてお示しいただきまして、理解をしたいと思うので、その辺をお願いできますでしょうか。
○印南部会長代理
 参考人の方から、今の質問に対して御回答できますか。
 どうぞ。
○福田参考人
 福田でございます。効用値の評価方法に関しましては、幾つか具体的な方法が諸外国でも取られています。諸外国では、ガイドラインの中で、やはりどのような方法をとるのかを限定している場合というのが多く見られます。
 よく使われていますのは、患者さん、あるいは御家族等が回答しやすいような調査票を用いて、状態についての調査を行って、それを基に、0が死亡、1が完全な健康というスケールに換算できるような、これは、重みづけの係数等があらかじめ研究として出されているもの、確立しているものというのがございまして、これについては、日本語でも使えるツールあるいは重みづけ係数というのができているもの等がございますので、そういうものを使って計算していくというのが、多くも要られている方法だと思います。
○印南部会長代理
 どうぞ。
○堀委員
 その資料の量が膨大かもしれないんですけれども、お示しいただけることは可能ですか。それをぜひ、拝見したいと思います。
○福田参考人
 資料として用意をさせていただきます。
○印南部会長代理
 白川委員、どうぞ。
○白川委員
 費-2の2ページにあります効果指標の在り方の基本的な考え方等について、概念的にはこういうことだと思います。普遍性を有した単一の指標を1つ設定しても、それだけでは十分ではないと思われますので、それ以外の補強する指標をつくっていくことが現実的ですから、これに賛成いたします。
 ただ、概念としてはわかりますが、先ほど、堀先生もQALYの効用値の具体的なイメージがつかないと言われましたが、私も同じ思いです。一口にQALYといっても、いろいろな国で少しずつ考え方が違うのではないかと思います。しかし、今のところ、欧米で一般的な指標はQALYですから、とりあえずは、日本版のQALYを普遍的な単一の指標として検討していくという方向でいいと思います。その議論をするために、我々素人にもわかるようなQALYの具体例を、ぜひとも参考人の方々からお示しをいただきたい。
 それを補強する指標につきましては、いろいろな意見があるかと思いますが、まず、QALYそのものをもう少し勉強しないと、何が足りないのか、何を補強すべきなのかの議論に進めないと思います。当面は、日本版のQALYはどうあるべきかなどを議論することを提案します。
 
○印南部会長代理
 同じ論点に関してですか、安達委員、どうぞ。
○安達委員
 白川委員おっしゃるのが、堀先生もおっしゃいましたけれども、恐らく、一番具体的にやるべきことなんだろうと。強いて用語の使い方をいうと、QALYにアラージックな方もおられるようですから、日本版QALYといわずに、日本版基準といった方がいいかなと思いますけれども、そういうことは、私はありだと思います。
 それから、QALYは、英国で、ある数年以上の、長い年限の運用の実績を持っていて、その結果として、見えてきた欠点というのもある。そのことで、NHSの制度も、一昨年英国は、部分的には変えなければいけなかったということもあります。
 だから、その辺がわかるようなことも含めて、福田先生には、次回にもそういうデータをお願いできればというふうに思います。
 私の理解では、やはりQALYが持っていることの、一番大きな欠点というのは、一番難しいところでもあるけれども、QOLとして、何をどう取って、何をQOLとするかというところが、一番難しいんだと思います。
 例えていえば、生存年というけれども、30歳からの生存年と、75歳からの生存年というのは、別に高齢者が早く亡くなっていいということをいっているわけではありませんから、語弊がないように申し上げますけれども、それは違うと思いますし、QOLそのものも、30代、40代の方々の生存期間中のQOLということと、ある程度高齢になられてからのQOLということは違うと思う。そういうところが、QALYの中には、ある意味、配慮に欠けている部分で、それを画一化することで、非常にクリアカットになりますけれども、クリアカットにし過ぎたことの欠点が、今、出ているということもあるんだろうと思います。
 だから、単一の指標をベースにといいつつ、硬直化しないように、幾つかのファクターを加え、あるいは対象とする医療技術によっては、生存期間を延ばすものや、いろいろありますから、あるいは状態改善、QOLを上げることに重点が置かれたものもあるでしょうから、それぞれの指標については、弾力的に個別の判断をする余地を残すという考え方が、全体としては、私は、一番、日本型としていいのではないかと思っております。
○印南部会長代理
 それでは、鈴木委員。
○鈴木委員
 今、皆さんから、疑問が出てきたと思うんですけれども、まさにQALYと簡単にいいますが、実際は、生存年というのは、いろんな臨床研究などからも出しやすいのでしょうが、この生活の質、QOLを評価するというのは非常に難しい話だと思います。それを0から1の間の幾つにするかという、効用値に至っては、そう簡単にやれるものではないですよ。その基になるデータをどう集めるのかとか、そういう議論もしないで、いきなりQALYを入れますか、入れませんかという話を出すというのが、私は非常に不安な、不確実な話だと思って、それをいっているのであって、私が反対しているという人もいるけれども、そうじゃないんです。やるんならちゃんとやりましょうといっているんですから、その議論をすっ飛ばさないでちゃんとやっていただきたいと思います。日本版QALYを、というんだったら、それが何かというのを議論するのも結構だと思いますが、全体の流れを示していただいて、今、どこの議論をしているのかわかるようにしていただきたいと思うんです。ガイドラインには、世界標準的なものがあり、日本でもおつくりになられるということを、いっていらっしゃるわけですから、その概要を、項目だけでも示していただいて、今、どこの議論をしているのか明らかにして、その流れに沿ってやっていく必要があると思いますし、ぜひ、そういうふうにしていただきたいと思います。今日の時点で、QALYを入れますか、入れませんか、これを唯一の指標として、その他補足的に使うのをお認めていただいてよろしいでしょうか、みたいなことをいわれても、とてもとても結構ですということはいえないと思います。それは非常に重い話だと思いますので、ぜひ、QALY1つにしても、こういった効用値というのはどういうものなのか、イギリスではどういう問題点があって、どのように改善されていったのか、日本では、それを、どのようにして、国民皆保険制度に入れていったらいいのかとか、そういう議論をしっかりしていかないと、私は本当に危険だと思います。
○印南部会長代理
 嘉山委員、どうぞ。
○嘉山委員
 ですから、QALYの弱点は、もう表に出てきているわけですから、その大きなファクターは、このエンドポイントの決め方と、それから、経済的効果の決め方なんですよ。ですから、その2つを議論してすり合わせれば、制度設計はできますので、先生方、QALYの欠点も、いいところもおわかりでしょうから、エンドポイントとエコノミーの経済の仕方をきちんと議論するような段取りを付けていただければ、今、鈴木先生がおっしゃったような不安は払拭されるんではないかと思いますので、よろしくお願いします。
○印南部会長代理
 ほかに御意見等はございませんでしょうか。先に目に入ったので、花井委員、どうぞ。
○花井十伍委員
 余り黙っていると、患者はどうなるのかなという話なので、ちょっと一言いっておきたいんですけれども、1つは、これまで議論に出ているように、希少な疾病とか、最後の土壇場になると、金の問題じゃないという、そういう場合、医師にしても、目の前に患者がいる場合に、何かしなければいけないというときに、コスト、コストということになると、これは、本当に医療者と患者の間がハッピーかという議論は、先ほど嘉山先生が指摘したとおり、当然御考慮いただいていると、理解しています。
 もう一点は、QOLなんですけれども、QOLといい出されてから大分経つんですけれども、いろんなスケールがあって、患者の価値観も多様だというところで、では、QALYを判断されるQOLというのは、1から0までで、一応、連続数の中で行くわけで、それがどうなのかという議論、これも当然そうだと思うんです。だから、これも考えていただいているんだというふうに理解しています。
 何を申し上げたいかというと、そういうところは、当然、理解は難しいということは踏まえた上で、やはり1つの単一の指標ではかったときに、どの程度評価できるのかということを試みようというトライアルだというふうに理解しています。
 したがいまして、今、いった2つのことに関連することも含めて、今後、いろんな問題点というのは顕在化するとは思うんですけれども、個々の症例とか疾病名、しかしながら、とりあえず、1つの基本的な足場として、この指標で、どのようにできるかという前向きな議論をしていったらいいんじゃないかというふうに、私は考えています。
 以上です。
○印南部会長代理
 ほかに、万代委員、どうぞ。
○万代委員
 まず、議論の進め方ということで、制度設計とまではいかないでしょうけれども、企画官が提案されているのは、基本的にどういう議論で進めていくかという基本認識で合意したいということだろうと認識しています。
 もちろん、鈴木委員のいわれるように、全体像あるいはガイドラインというものを踏まえた上で議論していかなければというところもわかりますが、一方で、企画官のいわれるように、鶏が先が卵が先かということも非常によくわかるところだろうというふうに思います。
 そんな中で、1つ、費-1のところに、先ほど企画官から説明をいただいたように、点線のところで全体像は、一応示されているのではないかと、私は認識しております。
 その中で、本日の議論として、費-2の2ページの2.のところを議論しようということで、提案いただいたので、そこを議論すべきかと思いますし、QALYのことも非常に気になりますけれども、それは、あくまでも具体例ということで例示されたものであって、それを今、余り細かく議論しても前に進まないかなと思います。
 そこで、先ほど申し上げた認識で、1つ質問なり、提案をさせていただきたいのは、費-2の2ページの2.の(2)の効果指標について、4つ提示いただきまして、このほかにも幾つかあるかのようにも思いますが、今すぐにアイデアは出ませんので、この4つに関して、ちょっとコメントを申し上げますと、?から?については、非常に具体的な文言が並んでいてわかりやすいんですけれども、?が少しわかりにくいと、であればこそ、括弧内に、医療技術の効果の一部ではなく、全体を評価するという文言が書かれてあるのかなと思いますので、今後の効果指標の在り方をどういうふうに考えているかという中の概念を規定する中で、少し具体的な方がわかりやすいかなと思いますので、むしろ、この括弧内だけにしていただいて、前半部分は削除いただいた方がわかりやすいかなと、そうすると、バランスというか、レベル的に???と同じような用語使いになるかなと思いますので、いかがでしょうかということ。
 もう一つは、5ページの4.の単一の効果指標による評価と複数の効果指標による評価ということで、これにつきましては、福田参考人から単一効果同士を合わせて、それを重みづけをするとか、そういったような手法はないということで、この前、御説明をいただきましたが、この4.が出てきた単一の効果指標と複数の効果指標による評価と、今、申し上げた効果指標の?の全体を評価する指標であることというところが、少し整合性が取れないような気がいたしまして、4.を提示された目的というか、意図というか、それをもう少し御説明をいただければと企画官にはお願いしたいと思います。
 以上です。
○印南部会長代理
 企画官、どうぞ。
○迫井医療課企画官
 医療課企画官でございます。この2つの提案、趣旨、もしかしたら相反するようにとらえられてしまったかもしれません。
 これは、いってみれば、もののたとえとして適切かどうかわかりませんが、縦と横のような関係なんですけれども、2ページ目の(2)の?でいっているのは、評価指標そのもの自体は、いってみれば、全体をちゃんと反映させるようなものであってしかるべきだという趣旨の単一の指標の中のスペシフィケーション、特徴を述べたものでございます。
 4.の話は、むしろ2ページの(1)に一部記載してございますが、単一の数字、単一のアセスメントを評価するのは、だれがどう考えても簡単ですけれども、ところが、単一の指標を適用しようとしても、どうしてもそういう指標が見つからない、あるいは適切ではないといった場合に、別の指標と加味してと、2つ指標が出てきた場合、どうするんだという話が生じると。
 その場合は、1つの軸の中での評価の話とは別の次元として、縦と横というよりは、別の概念といった方がいいかもしれませんけれども、複数の数字が出たときの取扱いとしてどう考えるんだと、そういう2つの概念がありますということを整理させていただきたいという趣旨で5ページの4.を記載させていただいたと、そういうことでございます。
○万代委員
 そうすると、私なりに申し上げると、2ページの効果指標の?で全体を評価する指標で、単一のものがあれば、それでよろしいと、そうではない場合には、複数の指標も用いることがあり得ると、そういったような理解でよろしいでしょうか。
○迫井医療課企画官
 はい。
○万代委員
 わかりました。
○印南部会長代理
 ほかに、では、安達委員、お願いします。
○安達委員
 整理させていただきたいんですけれども、1つは、私、今日のこの資料で、別にQALYの採否の是非を決めろといわれたとは思っていないんです。いろんなものがありますが、どうしましょうという議論の進め方の、1つの提示だと思っているということが1つです。
 先ほど申し上げたように、花井委員も言及されましたが、QALYはさまざまな問題点があるわけです。特にQOLのところはそうなんです。ですから、そのことの欠点が、今、イギリスなんかでも出てきている部分は多々あるわけですので、現実に、しかし、世界的に一番広く運用されているのがQALYでもあると、だから、1つの例として、ここにQALYが出ているに過ぎないと、私は思っているんですけれども、単一で決めたことの欠点が多々ある以上は、そこまでも全部画一的に決めて評価しようとすることで問題が噴き出すことがいっぱいあるわけですから、もう少し、基準となる考え方を基本線としては、ある意味低いレベルに置いて、ここまでは最低限の基準だということにした上で、個々の出てくる案件について、それぞれ積み上げると、4.でいえば、複雑にはなるんですけれども、2番目の○の方が、私は日本としては適正ではないのかなと思います。これは、私の意見でございます。
○印南部会長代理
 石山委員、お願いします。
○石山委員
 大分、この議論も前からやって、いろんな意見も出ますけれども、基本的に、最初に企画官が説明された、まず、検討の事項の制度の基本の考え方、この辺は、もうクリアーされていて、蒸し返しして、希少だとか、そういう話は、もうないと思うんです。希少病、非常にレアケースの場合については、原則外していますよと、何回も今まで整理されてきましたね。ですから、その経緯を踏まえれば、1つのガイドラインをつくっていくというのは必要だと思います。ただ、今まで、安達先生おっしゃるように、いろんな問題点が出てきているのは事実だし、その分野について、我々はっきり申し上げて、経験したことがないんですよ。だからこそ、逆に専門委員の方で、QALYにしろ、こういう問題があって、実は、こういう手を、改善を加えたら、もっとこういうふうになるといういろんな意見をいっていただいて、最終的に1つのガイドラインというか、これを決められたら最高ですね、人間の世界は、そんなことはあり得ないですね。ですから、二転、三転なりして、こういうふうにしたら、もうちょっと評価でもいいものができるというものを、逆に具体的にこれから、方向としては結構だと思うので、議論を提示していただきたいと思います。
 以上です。
 大分、この議論も前からやって、いろんな意見も出ますけれども、基本的に、最初に企画官が説明された、制度の基本の考え方については、前回整理されたのだから、蒸し返すべきでないと思います。
 また、1つのガイドラインをつくる必要があるとの意見ですが、安達先生がおっしゃるように、QALYを巡っては、いろんな問題点が出てきているのは事実のようですし、その分野について、我々は、はっきり申し上げて、経験したことがないのですから、専門委員の方で、こういう問題に対してこのように改善を加える等、いろんな意見を言っていただいて、最終的にガイドラインを決められたらいいと思います。ですから、事務局が提案された方向性で結構だと思うので、試行錯誤していくことになるかと思いますが、具体的にこれからの議論に資する材料を提示していただきたいと思います。
 以上です。
○印南部会長代理
 専門委員、お願いします。
○田村専門委員
 先ほど万代委員がお話しされた、費-2の2ページ目の効果指標の在り方の(2)効果指標についての?のところでございますが、私もここにやや違和感を持っておりまして、当該医療技術がもたらす効果というのを、健康アウトカムと書いてあるのですが、医療技術がもたらす効果というのは、必ずしも健康アウトカムだけではないのかなと。
 例えば、特定保険医療材料の評価をしていただくときの補正加算の要件には、医療従事者の方の安全性の向上とか、それから、環境に及ぼす影響とか、こういうものも医療材料の評価の要素として入っています。
 あるいは、よくいわれますように、例えば、労働生産性にどう寄与するかというような問題もあると思いますので、効果指標が、すなわち即、健康アウトカムというのは、やや違和感がありますので、今後、日本版の効果指標を検討していただくときには、その要素も加味していただければと思います。
 以上です。
○印南部会長代理
 どうぞ。
○禰宜専門委員
 少し元に戻って恐縮なんですけれども、少しお聞きしたいこともあるんですが、このQALYというものが、私が認識しておりますのは、現在は、英国は積極的に、この10年間くらい使われておるということで、その資料の中でもオーストラリアは、現在、使われておるというようなことでございますが、例えば、欧州のドイツあるいはフランス等では、ほとんど、これについては、消極的であるというような認識をしているんですが、その辺のところの、私の考えというのは、間違っていますでしょうか。
○印南部会長代理
 参考人の方から、お答えしていただいた方がいいと思います。
○福田参考人
 福田でございます。先ほど資料にもございましたけれども、ドイツに関しましては、前回、諸外国の例を御説明させていただきましたが、ドイツは、QALYに限定しないという形で、疾患に応じた指標を使うということになっています。
 フランスに関しましては、昨年、一応、ガイドラインが出されて、その中ではQALYも含まれているという形ですが、どちらの国も具体的な評価は、これからの取組みになりますので、まだ、事例としては出ていない状況だというふうに認識しています。
○印南部会長代理
 よろしいでしょうか、どうぞ。
○禰宜専門委員
 確かに、イギリスなんかも、この10年間、いろいろな形でQALYについて検討され、使われてきたわけでございますが、疾患横断的な、画一的な評価の限界があるというようなことから、さまざまな救済策が導入されて、さらに本質的な見直しが必要となったということで、2014年以降については、バリュー・ベースド・プライシングへの移行も検討されておるというようなことですから、先ほど来、いろいろ御議論がありますように、確かにその課題については、もう少し明確にしていただいた上で、これから議論をしていただきたいと思っております。
○印南部会長代理
 安達委員、どうぞ。
○安達委員
 2つありますけれども、1つは、禰宜さん、製薬の立場で、今、おっしゃる、その話は、私はもう済んでいると思っている、この部会では、バリュー・ベースド・プライシングということはやらないと、つまり、この結果の扱い方について、それを薬価の決定には直接使わないんだということを確認した上でやっているわけで、そのことに準拠したQALY等々への、製薬業の皆さんの反発は強いということは、私も承知しておりますが、日本型で、この議論をするときには、その確認をした上でやるわけですから、そういう確認の上で議論に御参加いただきたいということを申し上げておきます。
 それから、先ほど鈴木先生にいわれて、参考人の先生方の御意見もお伺いをしたまま、そこがある程度ペンディングになってしまっているんですが、NICEでもやっているように、要するに、まずは薬剤の有効性、安全性も含めた検討をして、その上で、プライス等の議論というのをやっているという二段階構造ですね。その前半の部分が不十分なんではないかということを、鈴木先生はずっと指摘しているわけです。
 その中でいうと、費-1の紙の(2)の?評価方法というところですね。この中に、そこが明確に書いていない、抜けているんじゃないかということを具体的に、鈴木先生が指摘しているのに等しいんじゃないかと思っているわけで、まずは、対象とする医療技術の有効性、安全性の確認を第一段階とした上で、費用対効果の観点から効果指標の取扱いというふうに二段階にここを書いていただくということが大事なんではないかということが、私の1つの提案であります。
 その上で、実際、今まで費-1の(2)の評価の運用方法というところで、既に議論は一部あったわけで、例えば、先進医療、今度1つ統一された検討会議とか、そういうところとの双方向性の議論をするということは我々確認をしています。
 さらに、もう少し進めていえば、(2)の?の中に、そういう点を明確に1つ項目を挙げていただくとすれば、その方法の1つは、ある意味では、例えば保険外併用療法に一度少し落としておいて、そこの中で、有効性や効果等をデータを集積して、また、ここへ戻してくるということも、その双方向性という議論の中にはあるのではないかということも含めてでありますけれども、その項目を明確に、ここに確認しておけば、その手順は踏めるんではないかと、私はそう思います。
○印南部会長代理
 事務局の方、いかがでしょうか。
 企画官、どうぞ。
○迫井医療課企画官
 医療課企画官でございます。幾つか御指摘をいただいた点、そのとおりだと認識しております。確かに、現時点で、点々と囲んだ当面の課題、設定の仕方とか、整理の仕方は、現時点でのいただいた御意見、十分反映できていないのが実態でございます。ですから、一定程度、御意見をいただいたところで、さらに再構築というか、整理をして、特に、対象技術の前提となる安全性、有効性が確立されたもの、そこに絡んでのシステマティックレビューというようなお話もございましたし、その辺りの整理は、当然させていただくつもりでおります。ですから、現時点での、この整理の中に、そういったものは十分組み込まれていないというのは、御指摘のとおりだと思いますし、できるだけ早い段階で、そういったものを反映できるように、一定程度議論が進んだところで、まとめて、その辺りに対応できればいいかなと、そういうふうに考えております。
○印南部会長代理
 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員
 安達先生にいっていただいたので、この点線の中でいえば、そういうことだと思います。参考人の先生方もおっしゃっていたように、経済的評価の前に、やはり臨床的評価をしっかりする必要があるということなのに、それが抜けているということだと思いますし、QALYといっても、結局、QOLの評価が入ってくるわけです。ここでその議論するのではなくて、その前の段階の、臨床的評価のときに、QOLの評価は、どういうふうにやるのかとか、その問題点とか、そういうものを議論すべきであって、いきなりここでQALYを入れますか、入れませんかということをいわれても、それは決められるものではないと思いますので、ぜひ、よろしくお願いしたいと思います。
○印南部会長代理
 安達委員、どうぞ。
○安達委員
 今ごろ気が付いて申し訳ないんですが、私は、ちょっと禰宜さんに失礼なことをいったかもしれないなと思うのは、禰宜さんが、今、何でそれをいわれたかというと、費-1の点々の中の?の中に、製薬業からすれば、物騒なことが書いてあると、そういう御認識かもしれないんですけれども、この?の価格評価における費用対効果の評価の反映手法、このタイトルは何なんでしょう、(1)の?のところで、以前から確認したように、結果の活用においては、価格評価には直接反映させないということは確認したんではなかったですか、それが、なぜここに出てくるのかということ。2)もあります。保険収載時における評価の反映手法、これも場合によっては、医療技術等の点数に関わるものであるかもしれませんから、狭義の医療技術のということですが、これは、何で改めてここに出てきたんですかね、(1)の?で既に決めたこととの整合性はどうなっているのかということですけれども。
○印南部会長代理
 企画官どうぞ。
○迫井医療課企画官
 医療課企画官でございます。これは、先般、御議論いただいた内容を改めて項目だけ抜き出しておりますけれども、7月18日の前回の費用対効果の部会のときに、これは、基本線として御理解をいただけたというふうにまとめさせていただいた内容、1.この点々の中でいいますと、制度の基本的な考え方ということで、対象技術の原則と、それから、結果活用の原則というのをまとめて議論いただいております。
 具体的に申し上げますと、お手元にバインダーがあるかもしれませんけれども、7月18日の費用対効果の部会でございます。この7月18日の費用対効果の部会の費-2という資料、これをベースに前回整理をさせていただいて、基本線として、こういうふうな考え方ですよということです。
 改めて確認といいますか、認識の共有を図らせていただきたいと思っておりますのは、このときに、特に7月18日の費-2の2ページ目でございますが、結果活用の原則というところにまとめてございます。私どもの受けとめ、理解は、この費用対効果の評価の結果だけをもって、直接的にいくらだとか、何点とか、そういう機械的、硬直的な運用はしないというのは確認をさせていただいております。それが、この費-2の2ページ目でいうところの、2.の2つ目の○辺りだと思いますが、あくまで基本的には、医療保険の評価は総合評価ですよと。
 ただ、一方で、価格評価とか、保険収載の議論があってこその医療保険制度の運用でございますから、そこの辺りの取扱いは、かなり具体論になりますので、これは、もともとこの部会で何度も御指摘をいただいて、まとめさせていただいた、議論の進め方として、まず、共通認識を図りましょうという段階では、今、お話ししたような総論ですございます。
 次に、具体的に評価を行っていくとなってまいりますと、例えば、薬価であれば、何円という話になりますし、医療材料も同様です。医療技術についていいますと、この場合は、狭義になるかもしれませんけれども、何点というような世界が当然ありますので、そこの取扱いの中で、どう勘案するかは、技術的な話も含めて、これから議論していただくと、そういう趣旨でございます。
 ですから、もしかしたら、レベルといいますか、とらえ方の問題かもしれませんけれども、機械的な運用で何円、何点にするということは、決してないですよということは前提で議論を進めていただいておりますが、今後、それを具体的にどう評価に活用するのかというのは、まだオープンであると、そういう趣旨で、本日の費-1の2.(2)の?が議論として残っているのは、そういう趣旨でございます。
 事務局からは、以上でございます。
○印南部会長代理
 どうぞ。
○安達委員
 趣旨は、そうだろうと思いますけれども、7月18日の2.の?というのは、費用対効果評価は、医療技術の評価の一部分でありと書いているわけですね。だから、これだけをもって硬直的に、償還価格等に反映することは避けると書いているわけですから、その文章との整合性でいうと、ここに、それも勘案した上で、それは、一部だから全く考えないわけではないんだよと、関係はゼロではないと、だけれども、それだけで決めるものではないんだということを決めたんですから、その決め方に比べると、この文章は、かなり、ある意味では物騒で、もう少し丁寧に書かないといけないんではないのかなということは、私はあると思いますので、少しここは書き直していただくか、何かしていただかないと、それぞれの立場がありますけれども、相当どっきりされる方もたくさんおられるということではないかと思います。
○印南部会長代理
 事務局、どうぞ。
○迫井医療課企画官
 医療課企画官でございます。先ほどの点も踏まえまして、今の御指摘、そのように反映させていただくように、次回以降の資料で修正させていただきたいと思っております。御指摘、ありがとうございました。
○印南部会長代理
 ほかに御意見、鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員
 先ほどの費-1の点線の中の話ですが、これは、当面の検討事項ということで、そのまま話を聞いていたんですが、先ほど安達先生からもいっていただいたので、そういうガイドライン的にというか、何も目安がないので、そういう意味で、今後の議論の流れとして使うということであれば、(2)の前半に臨床的評価、今、書いてあるのは経済的評価、その後に、やはり、それのみで決めるんじゃないということを示すために、イギリス的にいえば、総意形成ということになるんでしょうけれども、総合的検討とか総合的評価とか、そういうようなものを入れておいたら、とりあえずの流れとしては、示せるのかなと思いますので、ぜひ、そういうふうに御検討いただければと思います。
○印南部会長代理
 大分時間も経過しておりますが、ほかに御意見等ございませんでしょうか。
 では、森田委員。
○森田委員
 済みません、簡単にコメントします。また、中途半端なことをいうと、新聞に誤解をされると困るんですけれども、要するに、この議論といいますのは、保険財政が非常に厳しくなってきたときに、薬事承認を受けたものや、そのほかの技術を自動的に全部保険に収載することは厳しくなってきた。これは、諸外国でもそうですけれども、そういう背景があると思います。
 したがいまして、保険財政の方で、必要なニーズに対して十分手当することができるという財政事情にあるならば、そもそもこの議論自体が必要ない。その意味でいいますと、ここでの評価というのは、あくまでも保険収載を前提にしてどうするかということです。
 これは、印南先生の方が御専門だと思いますけれども、経済学的に言えば、限られた資源、限られたパイを、どれに優先して配分していくかという、稀少資源の配分の問題であると思っております。
 したがいまして、どの候補に対して、それを配分するかというときに、厳密にいえば、優先順位を付けざるを得ない。それは、それぞれの可能性について評価をせざるを得ないということであり、そのため、2ページの(1)の基本的な考え方にありますけれども、そうした指標というものは、一定の普遍性と比較可能性を持っていなければいけない。1つの物差しでもって測定するということが、一番便利であるということがいえるかと思います。
 したがって、QALYというのは、私が知っている限りでは、いろいろと批判があるわけですけれども、それに代わるような比較可能性をもった指標というのが、なかなか見出し得ていない。それが現状ではないかなと思います。これは、違っていたら、また、参考人の方に御指摘をいただきたいと思います。
 それゆえ、それを補足するために、いろいろな指標が開発されたり、適用されているわけですけれども、実際問題として、複数の指標があって評価が異なった場合には、判断が非常に難しくなるということもあって、それがなかなかできない。
 それぞれ外国を見ましても、これ一本で行くというところはないわけですけれども、完全に排除しているところもないのではないかと思っております。その点が1点。
 もう一つは、次回以降の話になるのかもしれませんけれども、あくまでも、これは、効果についての一定の指標についての測定の方法なんでありまして、これで保険収載するかどうかというのは、それこそ、これをデータにして、この中医協で判断すべきことだと思います。
 したがって、ある場合には、このQALYによる評価が悪かったとしても、そのほかの事情を考慮して、きちんと保険収載すべきものだというふうに判断される場合には、それに保険適用するということもあり得ると思います。
 お話を伺っていて、私もおなかが空いて頭の回転が遅くなっておりますけれども、共通了解として、その辺をもう一度皆さんでお考えになっていただいて、この議論をさらに進めていただきたいと思って発言いたしました。
 以上です。
○印南部会長代理
 安達委員。
○安達委員
 私もおなかは空いていますけれども、薬価専門部会は、次回回しになることを期待して、今、森田先生、大変重要な御指摘だと思います。なぜ、この費用対効果を日本で議論を始めたかということについて、どう考えるかということを、意見としていわせていただきたいと思います。
 話が吹っ飛んで申し訳ありませんが、世界の経済が、フリードマン経済学の、先進国での採用以来、この経済学に振り回されて、その中で市場原理主義的な国家の運用が行われてきた。そのことの弊害が、今、先進国全般にわたって、すべてにわたって起こっている、日本も例外ではない。フリードマン経済学が資本の運用に対して、国家は一切の干渉をするなと、国家の役割は、国境の警備と殺人罪の摘発だけでいいとまで、フリードマンが生前いった、そのような考え方で行われる限りは、国家というものの成り立ちを考えたときには、国家の政策は、フリードマン経済学がいう、最高の効率性を求めてばかりでは成り立たないわけでありまして、最高の効率性を求める以外に、必要な国家の成り立ちの部分については、国家は、それを明確に規定した上で、その部分についての市場原理主義的な政策運用というものとは、一線を画した政策をやらなければならないというのが、それぞれの国家に問われていることだろうと思います。
 日本の政府あるいは日本の政治が、今後明確にする部分は、その必要があるのは、そのことであると思います。
 医療の分野で、市場原理主義的考え方が一番強く出てきたのは何かというと、これは、国民皆保険制度の守備範囲を、一定額までに抑えて、それ以上のものは自己負担でやりなさい、自己責任でやりなさいという、いわゆる混合診療全面解禁論であります。
 こうなることは、最も懸念される、今の森田先生御指摘のような日本の経済状況の中で、一定の限りはどうしても出てくる医療費というものの中で、混合診療解禁論のような市場原理主義的な考え方に基づく医療制度にしないために、今、私は、この費用対効果の議論をしていると思っておりますし、そのことが、先ほど申し上げた市場原理主義的経済の外に置くべき国家の在り方の政策の決め方ということの医療分野における一番具体的な第一歩として、この議論をするんだと思っておりますので、医療界の一部にも、ひょっとしたら混合診療解禁につながるんではないかという危惧をお持ちの方もあるやにお伺いしますけれども、全くそこは意味が違うと、私はそう理解しておりますということを意見として申し上げさせていただきました。
○印南部会長代理
 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員
 今、会長は、非常に重い発言をされたと思います。公益の会長が、そこまでいっていいものかみたいな気もちょっといたしますが、発言されたので、これは重いということです。綸言汗の如しということですが、そういう重いテーマを持った議論であるということですので、改めてこれはしっかり議論しないといけないということだと思います。
 イギリスも、いろんな問題点があって改善してきているんですが、それをさらにフランスとかドイツが、説明を聞いておわかりのように、イギリスのやり方を、そのまま入れているわけではないですね。ドイツ流、フランス流にアレンジして、それぞれ独自のものをつくっているわけですから、我々としても、国民皆保険制度にそれを取り入れていくとすれば、どのようにしたらいいか、そういう議論をしないといけないと思います。そういうものを全部すっ飛ばして、ただQALYを入れますか、入れませんか、みたいな話というのは、私は本当に、何回もいいますけれども、危険な話だと思いますので、議論をかえって進まなくすると思うんです。どうせやるなら、きちんとやってほしいと思うし、今回、ガイドライン的な、そういう流れに沿ってという話が出てきましたし、さっき費用対効果だけで決めるんではないと、会長もおっしゃいましたので、それだったら、なおさら、この最後に、総意形成というところを入れていただいて、それだけではないということを示していただきたいし、そういったものを、全体の流れを、設計図とはいいませんが、見取り図程度でいいので、示していただいた上でやらないと、とにかく議論が、いろんな思惑が入り乱れた形で進まなくなるのではないかということを改めて感じましたので、よろしくお願いします。
○印南部会長代理
 ほかに御意見はありますでしょうか。
 それでは、大分時間も経ちましたので、この議題については、この辺りにさせていただきたいと思います。
 本日いただいた御意見を踏まえ、とりまとめに向けた検討を行っていきたいと考えます。
 本日の議題は、以上です。
 次回の日程等について、事務局からお願いします。
○迫井医療課企画官
 次回の日程につきましては、未定でございます。決まり次第、また、アナウンスをさせていただきます。
○印南部会長代理
 それでは、本日の費用対効果評価専門部会は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。
○鈴木医療課長
 済みません、次に、薬価専門部会もありまして、もう2時ではございますが、説明を簡潔にしていただくという前提条件で、5分後に開催をさせていただければというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。


(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線3288)

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